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参考人(
飯尾潤君)
飯尾でございます。どうも本日はお招きいただきましてありがとうございます。
参議院の
憲法調査会では以前にもお招きをいただきまして、
意見を述べさせていただいたことがございます。その際は、
議院内閣制の
在り方について
中心に
お話をしたわけでございますが、今回、
参議院の
選挙制度について話せということでございますので、まず
選挙制度に入ります前に私の
考え方、
議院内閣制についての
考え方を簡単に申し述べまして、それと
二院制の問題を整理いたしまして、それに対して必要な
選挙制度の
在り方について考えるという
順番で
お話をさせていただきたいと存じます。
最初に、そういうことでございますので、
二院制と
議院内閣制の問題でございますが、私
自身は、
日本型の
議院内閣制の
在り方、非常に大きな、諸
外国と比べても大きな特徴も持っておりますし、あるいは一部
問題点も含んでおるというふうに考えております。
その
中身といたしましては、一番もう基本的なところは、私どもの
憲法が、
日本国憲法が制定されたにもかかわらず戦前からの
内閣制が維持されている
側面があり、やや
議院内閣制の
原理が不徹底な
部分があると考えておりまして、そういう点でいうと、
日本の
議院内閣制には
一定の
改革が必要であるというふうな
立場でございます。
その
中身といたしましては、
内閣の
問題点は、基本的に
議院内閣制は
国会が
中心であって、それから実は
内閣が出てくるという
順番でなければならないのでございますが、実態として省庁の
連合体として
内閣が運用される、そういう
側面がある。そこで、
議院内閣制を取っているにもかかわらず三権分立が強く主張されるという
問題点、それとともに
与党が
内閣と分離して存在する傾向にあり、あるいは
二院の違いというものが
与党を介して十分な特色が示されない、こういう問題があるというふうに考えております。
そこで、実は、そういう問題がどういうことをもたらすかということを考えますと、
選挙と
政権基盤が分離するということでございまして、
憲法の定める
議院内閣制、基本的に
国会議員の
選挙によってという、
内閣総理大臣が指名されるということでございますが、この点について実は
衆議院に明確な優位が定められていると。ところが、なかなか、例えば中間で
参議院議員選挙が行われると、それで
内閣が交代するということが起こったり、必ずしも
憲法の想定しない問題が起こるのは、実はこの問題が未整理なためではないかというふうに考えるわけです。
あるいは、この
日本型の
議院内閣制、
省庁連合体として
内閣が組織されて、それと別に
与党があると。こういうことになりますと、大変複雑な
政策過程、
内閣に
与党の幹部が一元化されるという形で、
責任の
所在が明確になるということがないために非常に複雑な
政策過程が展開する。しかも、そういうことになると、実は
政策体系全体を見渡すということではなくて、どちらかというと
国会議員、特に
与党の
議員の方と
行政府の下部、課長、
課長補佐の
レベルまで実は直接連携ができてしまって、実は
トップレベルでその
政策体系を作り直す、あるいはまとめるという
機能が弱いというふうなことを考えてまいりました。
ただ、私は、このように
日本型の
議院内閣制に問題があると申しますのは、主として
衆議院についてのことを念頭に置いているわけでございます。と申しますのは、
議院内閣制、やはりどちらの、どこの国でも下院に
基盤を置くわけでありまして、
日本的な言い方をすれば、
議院内閣制というのは
衆議院内閣制と言った方が実は
責任の
所在はむしろ明確になるという
側面があるのではないかと思います。
そういう点で申しますと、
政党政治は
議会制の中で不可欠な
要素であり、
政党政治、
政党間の
権力闘争によって
政権ができる、あるいは
政権をめぐる争いが起こるというのは大変結構なことであり、不可欠な問題でありますが、その問題が十全に発揮されないといけないのは、実は
衆議院においてであろうというふうに思うわけであります。
そう考えますと、実は
日本国憲法が定めております
二院制と
議院内閣制度、
両方とも実は
憲法の中にある
原理でございますが、本質的な
緊張関係にあるという問題がございまして、
議院内閣制を徹底すると
衆議院と
参議院の問題は少し微妙になってくる、あるいはその
両院の
関係をあいまいにしておくと
議院内閣制の
原理は必ずしも徹底しないという問題が起こるのではないか。
これを端的に示しますのは、
議院内閣制と
大統領制を比べた場合に、
有権者から
国会議員に、あるいは
行政府に至る
権限連鎖と申しますか、
正当性の連鎖の
関係がどうなるかということを考えると明確でありまして、
議院内閣制はそれが普通の場合統一されていると考えております。つまり、
有権者が
国会議員を選び、
国会議員が
内閣総理大臣を選び、
内閣総理大臣が
大臣を選び、
大臣が実は
補助者として官僚を使うと、こういう
関係でありまして、非常に問題が整理されるというのが
議院内閣制の
原理であって、それに対して
大統領制は、
行政府と議会と
両方に民意が
代表されて、その
関係は実は複雑であると考えるわけでございます。
ところが、この今のモデルで申しますと、
議院内閣制は非常に民意からのルートが一本で分かりやすいということになるわけでございますが、ところが、
国会議員の
選挙は二つあって、
両方の側から、国民の
意思を受けた
国会議員が
参議院と
衆議院、
両方から出てきてという
関係ができますと、実は基本的に
憲法の指名の順序からしまして
衆議院が優先されますので、
衆議院に
基盤を置いて
内閣、
内閣総理大臣が任命されて
内閣というのは成立するという
関係でございますが、同じ矢印が
参議院の方からも
一定程度出てくるわけでございまして、
日本国憲法には
総理大臣の
指名権もございます。ただ、これ
衆議院が優先いたしますので、これが生きるということがなかなかないわけでございますが、その
関係、
責任関係がやや不明確になる点があるというふうに考えるわけでございます。
それでは、第二の
参議院と
衆議院の
役割分担をどうすればよろしいかということでございますが、やはりその矢印の向きが
両方出てきて複雑になるということを整理する必要があるんではないかと考えます。
そう考えますと、先ほど来申し上げていますように、
衆議院においては
行政権創出機能、これ
内閣、まあこれ立法府としての
機能というよりは
行政権を作り出す
機能でございますが、それが非常に重視される院であるということになりますと、それに
政党という、あるいは
政党、
与野党の
対立というのは不可欠な
要素になると。これは
行政権をめぐる争いになりますものですから、
与野党の
対立は決定的であって、
野党の方は
与党をいずれ
選挙で負かそうというふうに考え、
与党は逆に言うと
行政府の方を擁護するという態度になるのはこれは当然のことでございます。
しかしながら、この
機能を果たしますと、
国会の
議員の中でも実はなかなかほかの
機能を果たせない
側面、
衆議院には果たせない
側面が出てくる。それは、例えば
与党議員であって、必ずしも
行政府のしていることにとって満足でない場合も、自らの
政権を守るという感覚からすると必ずしもそれを強く主張できないという
側面、やはり厳しい
与野党対立がある場合には起こるということでございます。
そう考えますと、
衆議院はそういうものであると考えますと、その同じ
機能を
参議院も持ってしまう。
参議院の
与党側の
国会議員は常に
行政府を擁護し、そして
野党の方は常に批判をするという態度を取りますと、時々
両院の間に不協和音ができることがあると考えるわけであります。これが実は顕在化しない
立場は、
衆議院における多数党と
参議院における多数党が一致してしまえば、実はこれ日常的にどちらも
与野党という
立場が同じでありますからよろしいわけですが、別個に
選挙をした場合には、必ずしもその両者の多数派が一致しないということが起こり得るわけであります。そうした場合には、実は
衆議院側の
内閣が提出した
法案が
参議院において通るのかどうかということが問われるわけでありまして、
政党の
立場ということを重視すれば、実は
衆議院における
野党が
参議院における多数党で、しかも政府の出してきた
法案をブロックする、通さないということが起こり得るわけでございます。
そうした場合に、実は
日本国憲法は、
両院の
関係を規定するのに、例えば
法案の場合、
衆議院における再議決、この
委員会でも何回も出ているかと思いますけれども、三分の二の多数を要求するということでございますけれども、
衆議院において正常な
与野党関係が起こるということは恐らく両者の勢力がある程度拮抗している場合が多いと考えられますと、必ずしもその条件、
衆議院が一致して再可決するということは
余りないのではないかというふうに考えられます。
そこで、どういうことが起こるかと申しますと、
衆議院側としては、
参議院側で議決されるということも
前提とせざるを得ないということでありまして、必ずしも、
日本国憲法は
衆議院の
意思で
内閣が成立するということを考えておりますけれども、それだけではなくて、
参議院で通るかどうかを考えて
政権を成立させようということが起こる。そうすると、極めて複雑なことが起こってしまうということでございます。
そういう点から考えますと、
二院制を、こちらはしばしば引かれることでありますけれども、一致しておれば
両方同じでありますからよろしいということでありますが、一致しなければ実はこれはどうなるかというこの
関係が大変難しい、混乱になるということでございます。
そう考えますと、私
自身の
意見からいたしますと、先ほどのように、
衆議院で
与野党対決を非常に明確に出すような、そういう
タイプの
議院内閣制を成立させるといたしますと、
参議院においてはそれとは違うような
役割を果たした方がよろしいのではないか。別の独自の
役割を果たす
参議院というのが好ましいのではないかと思うわけであります。
そういう点から考えますと、
政権の
基盤にかかわるような、
内閣の存続にかかわるようなものについては
参議院側は
一定の抑制ということを果たすというのがやはり
原理的に好ましいということになりますし、あるいは
参議院は
衆議院と違いまして、少し
与野党対立が緩和される、どちらかというと
政党単位というよりは、
議員の見識あるいは
政党それぞれに少し
自由度を持たせた
やり方ということが必要ではないかと思うわけです。
しかも、このことは先ほどの
日本型の
議院内閣制の
改革とも
関係をしておりまして、実は、
日本型の
議院内閣制、大変難しい点は、
日本の
政党が、これ諸
外国にとっても珍しいことでございますが、院外の
政党が
衆議院、
参議院を通じて
党議拘束をするという例が見られるということでありまして、別の
選挙でそれぞれ選ばれている
議員でありますから、それぞれ
会派ごとに
意思決定をされてしかるべきでございますが、それが別の、党で
党議拘束をされてしまう。そうすると、
国会審議が始まる前から、実は
参議院も
衆議院もある程度賛成、反対が明確に分かってしまうということになりまして、その点でまた
二院制を生かすのが難しい、そういう状態になっておるというわけでございます。
そういう点から申しますと、
党議拘束も実は
行政権を守るために存在する
制度でございますので、先ほど申しました理屈から申しますと、
衆議院において
党議拘束的な会派の
拘束が強く掛かるのは当然でございますけれども、
参議院において同じことをする必要があるのかどうかということは再考の
余地があるのではないかと思われます。
そう考えますと、そうした厳しい
与野党対立によって問題が処理するような問題は
衆議院で処理されるとしまして、それ以外の問題を
中心に
参議院が
役割を果たせば、
衆議院ができないことを
参議院が、できない
役割を果たして、そして国政に寄与するということがあるのではないかと思われます。
これは幾つも、非常に多くのことがこれに含まれると思いますけれども、例示的に申しますと、
代表的なものは、例えば
党派対立になじまないような
政策課題の処理をするということでありまして、すべての
政策課題が
党派対立によるものではございません。党の中で
意見が違い、しかしながら
政党を通じて見れば様々な
意見があるという問題を、必ずしも
党派対立が厳しいところで処理するというよりも、
党派対立が緩い院でゆっくり時間を掛けて合意を形成していくというのも好ましい処理の仕方ではないか。現在、例えば
IT社会の進展によって様々な新しい問題が生じて、あるいは
生命倫理の問題が生じるとか、そういう問題は様々にあるわけですけれども、そういう問題を
参議院で処理していくというのは非常に良いことではないかと思うわけであります。
あるいは先ほど少し例に挙げましたけれども、
行政監視に類することでありまして、
行政監視ということから考えますと、
与野党対立が厳しいと、どうしても
与党側は数の力で政府を守るという
立場になるわけでございまして、そういうことが、
与野党対立が薄い院であれば、
与党、
野党、共通して
行政を
監視していく、
政治家が官僚のすることを
監視していくという
役割を果たせる
余地が十分にあるわけでありまして、そういうところを
中心に
参議院は活躍するということも重要ではないかと思うわけであります。
そういう
行政監視の
機能の中には、広い意味での
行政監視の
機能の中には、例えば最近
参議院で重視しておられます決算の
機能なども含まれるわけでありまして、決算というのもなかなか、しばしば
与野党対立の中では埋没しがちでありますけれども、これをしっかりするというのも実は
長期的視野に立った
参議院ならではの
機能ではないかと思われますし、あるいは、現在のところ実は
憲法には必ずしも明確な規定はありませんけれども、
人事案件あるいは
外交案件について、条約についてはございますが、
案件について
参議院がもう少し重要な
機能を果たすということも一つ考えてもよろしいことではないか。将来的に
憲法改正をするということになりますと、例えば
司法部との
関係というようなものはもう少し
参議院が
役割を、積極的な
役割を果たしてもよい
部分ではないかというふうに考える次第でございます。
以上、私の考える
二院の
役割分担の
在り方を考えましたが、それを
前提に実は
選挙制度について申し述べたいと存じます。
最初に申し上げますのは、実は
選挙制度は世界じゅう様々な
制度がございますが、これが絶対であるということがないというのが大体
政治学者が
普通常識としていることでございまして、様々な
選挙制度には一長一短がございまして、これがベストだというものはないということでございます。
しかしながら、
衆議院と
参議院の
選挙制度ということを考えますと、やはり違う
制度がよろしいのではないかと思われますのは、先ほどのように別の個性を発揮するためにはやはり選ばれ方も違った方がよろしい。なぜならば、同じように選ばれていると同じような根拠を持って
議員になっておられるということでありますから、同じような性格の
議員が同じような根拠を持って活動をするとすると、どうしても同じような行動になりやすい、個性が発揮しにくいということでありますので、
選挙制度も変えられた方がよろしいということであります。
では、どういう
制度があるかと申しますと、理論的に申しますと、世界の
選挙制度は大体大きく二つの性格に分かれるわけでありまして、一つは多数
代表的な
制度でありまして、これは小
選挙区制が
代表でありまして、
勝者総取りの
タイプの
制度でございます。それに対して
比例代表制は、できるだけ、
政党別に見れば
議席配分が
比例的になる、近いと。この
比例代表の中にも様々な種類がございますけれども、そういう
両方の種類があるということになるわけでございます。
そういう点から申しますと、私
自身の
意見から申しますと、
衆議院のように
政権の帰趨を争うというそういう院は、どちらかというと多数
代表制に傾斜した
制度、現行の
制度も小
選挙区制が半分以上入っておりますけれども、そういう
制度であるということは
一定の意味があることだというふうに考えております。
しかしながら、先ほど申しましたように、
参議院がそういう
タイプで
与野党対立を緩和した存在とならざるを得ないとしますと、多数
代表的な
原理が強く出る
選挙制度は
余り好ましくないのではないか。どちらかというと、
二院制の
存在理由の中に、
少数者の権利の保護、あるいは
少数者の主張がされることを挙げる学者も多いわけでございますが、そういう
機能を果たそうとしますと、どちらかというと
参議院には
比例代表原理が強く表れた方がよろしいということになるわけでございます。
ただ、問題が難しいのは、実はそれで終わらないからでございます。と申しますのは、
比例代表制は何をもって
比例とするかと考えますと、一般的に申しますと、これ
政党中心で
政党ごとの
比例ということを考えるわけでございます。そうなると、実は
政党中心が問題がある。
政党の
対立が激しいのは問題があるので、
政党の力を少し弱めた方が
参議院にとっては好ましいと申したわけでございますが、
比例代表制を取って、
政党中心の
比例代表制を取ってしまうと、むしろ
選挙制度によってそれが強化されるという逆の結果をも導きかねないという問題があるわけでございます。
これが大変実は悩ましいところでございまして、端的に表れますのは
代表的な
比例代表制である
拘束名簿式、つまり
政党がだれが当選するかを選ぶという
比例代表制、これが一番明快な
比例代表制でございますけれども、そういう
制度を取ると、逆に言うと、
議員個人の
自律性というのはやや損なわれる
側面があるということが
問題点としてあるわけでございます。
そういう点から申しますと、その
両方を何か調整する、そういう
選挙制度が望ましい。つまり、
個人が
中心的であって
比例代表的な結果が出ると。かつて
衆議院にございました中
選挙区的な
制度も、実はある
一定そういう
機能を果たしている
側面がございまして、
個人中心の、選ばれてきて、
政党の縛りが弱い
制度であります。
あるいは、非
拘束名簿式というのをどういうふうに考えるかと。これは、今行われている、
参議院で行われている
制度でございますが、これで
個人の
自律性というのはある程度確保されるのかどうかということでございます。
方向としてはそういう方向がございますけれども、その
議論をいたしますと、だんだん突き詰めてまいりますと、先ほどの私がその
二院制の問題を
お話をしたときに、
与野党対立が激しい問題については
参議院は抑制的になった方がよろしいというふうな
お話をしましたが、それは取りも直さず、
権力的場面においては、実は
参議院は少し自制をする、弱い
立場に立つということでございます。
そう考えますと、実は、
民主制の
原理から考えても、必ずしも
公選である必要があるのかどうかという
議論は当然出てくるわけでありまして、良識の府として、その修正を求めたり、あるいは長期的な、専門的な問題について考える、あるいは
行政を
監視をするということであれば、直接
公選が絶対の原則になるのかどうかという問題はもちろんございまして、
議論の
やり方としては、
間接制であるとかあるいは
任命制の
議論というのも当然あり得るだろうというふうに考えております。
しかしながら、結論から申しますと、私
自身は、既に
憲法で
公選を入れている以上、実はこれを制限するというのは、国民の理解を得ることは大変難しいのではないかと。
推薦制ということを入れるということは、実は、現に
公選の
参議院議員がいる中でその方に逆に動くということは大変難しいというふうに考えておりまして、そういう点で、
推薦制の
議論は起こるでしょうけれども、どういう形で推薦したらいいというところで恐らく結論を得ることができないだろうと考えるわけです。
そう考えますと、実は、
公選制を維持して、
比例代表的な
選挙制度を維持するというだけでは足らないところをどうやって補うかと考えますと、実は次に書きました三つの
要素を工夫する
余地があるんではないか。
つまり、
任期でありますとか、
再選制限、被
選挙権でありまして、現在、
参議院は
解散がない
制度でありまして、そういう
制度を
前提にいたしますと、これは
衆議院と同じような権限を与えますと、
解散を入れろという、そういう
議論が当然出てくるわけでありますが、私のように、違う
機能を果たすということであれば、むしろ
解散がないというのは
安定性の点から好ましいということになります。
そうすると、
任期というのはある程度長い方がよろしいということでありますが、現在の六年、
衆議院の一・五倍という
任期がよろしいかどうかという
議論になりまして、それを長くするかどうか、あるいは
余り短くするという選択肢はないのだろうと思いますが、そういうことが一つございます。
それに対して、それと関連いたしますのは、実は現在、
任期は長いと申しますけれども、再選の問題をどう考えるかでございます。実のところ、
政党の
拘束が極めて強く働くのは、実は、
再選意欲があってもう一度選ばれるためには、実は
選挙をするとなると
政党の力をかりざるを得ない、そうすると、もう一度選ばれるというとなるとその
政党の
党議拘束が強く利くという問題がございますので、実は、
選挙制度として一期限り、再選はなしということ、しかも
任期を長くしておくという
選挙制度を取った場合においては、ある程度
個人中心の審議が実現する可能性が理論上は考えられるということであります。
さらに、思想的に見ますと、被
選挙権をどう考えるのかという問題もございまして、現在、
参議院の方が
衆議院よりも年長になっておりますけれども、これを更に延ばすかどうかというのも一つの
考え方であります。
そう考えますと、実はこうした諸条件をかんがみまして、現在の
制度をいかに手直しをするかという方向で問題を考えるのがよろしいのではないかと。一挙に例えば、一院制の
議論は私は支持いたしませんけれども、
二院制を残すとしても、一挙に一つの
改革だけでこの
二院制の問題を解決できるほど問題は単純ではないので、
選挙制度についても絶対ではありませんので、そうした諸条件をして少しずつ手直しをしていって
二院の
関係を整理するのが好ましいというふうに考えております。
以上でございます。ありがとうございました。