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2003-07-17 第156回国会 参議院 国土交通委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年七月十七日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  七月十日     辞任         補欠選任      池口 修次君     勝木 健司君  七月十一日     辞任         補欠選任      後藤 博子君     吉田 博美君      勝木 健司君     池口 修次君  七月十五日     辞任         補欠選任      野上浩太郎君     若林 正俊君  七月十六日     辞任         補欠選任      若林 正俊君     野上浩太郎君      佐藤 雄平君     高橋 千秋君      谷林 正昭君     辻  泰弘君  七月十七日     辞任         補欠選任      富樫 練三君     林  紀子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 俊男君     理 事                 鈴木 政二君                 脇  雅史君                 山下八洲夫君                 森本 晃司君                 大江 康弘君     委 員                 岩城 光英君                 木村  仁君                 沓掛 哲男君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 野上浩太郎君                 松谷蒼一郎君                 吉田 博美君                 吉村剛太郎君                 池口 修次君                 北澤 俊美君                 高橋 千秋君                 辻  泰弘君                 続  訓弘君                 大沢 辰美君                 林  紀子君                 田名部匡省君    国務大臣        国土交通大臣   扇  千景君    副大臣        国土交通大臣  吉村剛太郎君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岩城 光英君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        都市再生本部事        務局次長     和泉 洋人君        警察庁交通局長  属  憲夫君        金融庁監督局長  五味 廣文君        厚生労働大臣官        房審議官     青木  豊君        国土交通省総合        政策局長     三沢  真君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君        国土交通省鉄道        局長       石川 裕己君        国土交通省自動        車交通局長    丸山  博君        国土交通省航空        局長       洞   駿君        国土交通省政策        統括官      河崎 広二君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君    参考人        日本道路公団総        裁        藤井 治芳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (日本道路公団財務諸表及び民営化に関する  件)  (道路整備在り方に関する件)  (ハイヤー・タクシー事業規制緩和に関する  件)  (ETCの普及促進策に関する件)  (高速道路料金別納割引制度に関する件)  (ディーゼル車排ガス規制対策に関する件)  (尼崎公害訴訟和解条項履行に係るあっせん  項目への対応に関する件)  (公共事業在り方に関する件)  (中国高速鉄道計画への新幹線技術の供与に関  する件)     ─────────────
  2. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一日、後藤博子君が委員辞任され、その補欠として吉田博美君が選任されました。  また、昨十六日、谷林正昭君及び佐藤雄平君が委員辞任され、その補欠として辻泰弘君及び高橋千秋君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤井俊男

  4. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会日本道路公団総裁藤井治芳君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 自民党の松谷でございます。  本日は、国土交通行政のうち、特に建設行政道路関連をいたしまして御質問をさせていただきたいと存じます。  道路公団民営化小泉内閣方針として閣議決定をされました。その方向に向かって道路公団としては諸般の準備をしているというように思いますが、それに関連して、いろんな雑音というんでしょうか、そういうものがいろいろと聞かれておりますが、その中でも、特に最近発刊をされました文芸春秋の八月号におきまして、現職四国支社の副支社長現職でありますが、その人から内部告発ともいうべき記事が出ております。  こういうことは異例のことでありますが、高速道路建設という非常に重要な業務を抱えて、正にこれから民営化へ向けて道路公団がしっかりとした方針を打ち立て、その方向に沿って大きく踏み出していかなければならないその時期にこういうようなことがあるというのは遺憾なことだと思いますが、どういうような原因でこういうような事態が発生をしておるのか、内部の問題も含めて道路公団総裁にお伺いをいたしたいと思いますが、見解について、その所感のあるところがありましたらお聞かせを願いたいと存じます。
  9. 藤井治芳

    参考人藤井治芳君) どうしてこうなったかと言われるのは私もちょっとお答えしにくいんですけれども、私ども道路公団といたしましては、政府方針に従いまして国土大臣の指揮の下に仕事をさせていただいております。そして、昨年の十二月に民営化委員会意見書が出て、それに基づく政府・与党の協議会における当面の方針等々をいただきまして、それに沿って今民営化に向けての種々の作業をさせていただいております。  その民営化委員会が昨年の六月に、十七日でしたか、発足したわけでございますが、それに先立ちまして私ども道路公団として、民営化って一体どういうことなんだろうか、どういうことを事前に勉強しておかなければいけないんだろうかと、こういうような検討をしておかないと、いよいよ議論が始まったときにどうにもならないということからそういう準備を始めてまいりました。  そのときに、まず若い人たちにひとつ大いに勉強してみてくれということで、何をどのような形でということは特に私どもも十分承知しているわけではございませんので、そういうことでプロジェクトチームを昨年の一月に発足をさせました。そして、そこで若手人たちが集まってフリートーキングをし、意見交換をしながら、まず、いずれ民営化するとなれば、どんな形にしても財務諸表というものが必要になるなと。財務諸表って民間では当たり前のように言っているけれども公会計ではその概念がございません。全くございません。私どもは単なる償還計画という形でやっております。  そこで、財務諸表って公会計を変えるときに一体どういうものが必要かということをちょっと勉強しようじゃないかということになりますと、いわゆる資産評価額資産がどのぐらいあるかということが分からなければどうにもなりません。そこで、その資産評価額というものは一体どうやって作るんだろうかと、もう過去に作ったものから現在まであって価値は非常に変わっている、それを現在の価値でどう見るんだろうかとか、数量はどうなんだろうかということを勉強させ始めました。自主的に勉強いたしました。ところが、データがほとんどそれにふさわしいようなものがないので、結果的にそういう作業が途中で中断せざるを得なくなったわけでございますが、そういう勉強の過程の中からいろんな考え方が生まれたんではなかろうかと思います。  そのことが、たまたま当時総務部次長で、直接タッチはいたしておりません、この勉強会に。しかし、総務部の所管でもありましたので、この方は途中で、民営化委員会事務局次長で六月十七日に転勤をしております。その方が今度は民営化委員会でいろいろな御活躍をなさったわけでございますが、その間においていろんな不満を持たれたのか、いろんなお考えを持たれたのか分かりませんが、そのことが今回の文春記事に結果としてなったのではなかろうかと思っております。  ただ、一点だけ申し上げますと、最後に、この片桐さんという筆者は私が道路局有料道路課長のときの課長補佐で非常に親しい方なんです。ですから、それまでも私とは毎年一、二回同窓会のような形の会合を持って、その幹事長片桐君がやっておりましたから、私とは比較的親しい間柄でございましたので、不満があれば私のところに直接まずいろんなことを言いに来るのが普通のことだのに、そうならないでああいう形になったのを私は理解できないと同時に、寂しい思いをしているというのが現状の気持ちでございます。
  10. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 その背景というんでしょうか、状況については総裁の今の発言で大体分かりましたが、ということは、この文芸春秋の中に書かれていることについては、若手の中のいろんな方々が集まって、自主的に民営化に向けて、もし財務諸表考えるとすればこういうような考え方が取られるんじゃないかというような形で自主的な研究をしたと。道路公団としてこういうような研究をやれと業務命令を出してやったわけではないということですね。  ただ、その中にいろんなことが指摘されておりますので、若干お伺いをいたしたいと思いますが、自主的な考え方一つではあるのかもしれませんが、二〇〇二年に既に民間基準での財務諸表を作成して、六千百七十五億円の債務超過になっていたと、こういうことが記述がありますが、その点についてはいかがですか。
  11. 藤井治芳

    参考人藤井治芳君) まず最初に一つだけ申し上げたいと思いますが、その文春記事については、十数か所私ども立場から見て間違いといいますか、誤解があると思っておりますので、即日、文春の方に口頭で抗議をいたしまして、多分、本日付けで文書で正式に内容証明付き抗議をし、必要に応じて法的な手段に至るということをきちっと申し上げております。  なお、今、先生がおっしゃった、財務諸表みたいなものがあるとおっしゃったわけでございますが、私ども、先ほど申しましたように、当時、勉強してみて、とてもできないということで中断をいたしてしまいました。そして、その中断した段階で民営化委員会が発足して、そのための作業がどんどん下りてまいりましたから、このプロジェクトチームはその民営化委員会のいろんな作業のお手伝いをするという方に担当が変わってきたということでございます。  衆議院の先生から委員会の方で、財務諸表というこういう表があるよということを配られて、私もそのときに初めて拝見をいたしました。したがって、これがどういう経緯でこんな表ができたのか私どもには分かりません。作れなかったんですから。作れたら、また後ほどあるかもしれませんが、加古委員会という、いわゆる先生方を集めて委員会を作り、三十億円に近いお金を掛け、人員も、中の職員も百五十名に至る大異動をさせながら作業をするということはあり得ません。そうしなければできなかったわけでございます。  したがって、表そのものがどういうものかというのは、どうしてそうなったのか私どもには分かりませんが、一点だけいただいた資料を見てびっくりしましたのは、いわゆる固定資本とそれから負債と、この二種類から内容が成っております。そのところの中で、固定資産合計から、本来、負債合計を引きますと一・四兆円の、この表で見ますと一・四兆円の資産超過、要するに資産が大きいという数字がこの表に載っております。それなのに六千億赤字であるという表現がその以後のマスコミ等の情報で出ておりましたが、私ども考えますのに、この資本金が、これは政府出資金でございますが、これを引きますと大体六千億台の負債が出てまいります。  この政府出資金というのは、これはあくまでも資本金でございますから、こういう財務諸表の形の中では、これは監査法人等にもお聞きしましたけれども資本金というのは負債ではないと、これは負債の中に入れるのはおかしいというのが普通の財務諸表の中での扱いなんだそうでございます。私も専門家じゃないので聞いたとおり申し上げます。ですから、それを引いて赤字だというのはいかがかなという、そういう御示唆をいただきました。  私ども、まだこれ見たばかりで十分分かりませんけれども、その他のことにつきましても私ども全く初めて見たものでございますから、先ほど言いましたように膨大な積み上げ作業、膨大な積み上げ作業の下に作らなきゃいけないのが、簡単にこういうものができるというデータがどうしてなっているのか、その辺の御説明もございませんでした。私どもよく分かりませんが、そういう意味で、これはこれから私ども、私どものお願いしている先生たちにも見ていただいて、またお教えいただこうと思っております。  ただ、そういう意味で、積み上げた結果でなければ意味がない、その積み上げ作業というのはそう簡単にできない。民営化委員会でも、この議論議事録を見ていただきますと分かりますが、民営化委員会議事録財務諸表というのは十か月から一年は最低掛かるという発言が随所に出ております。それから、NTTでいえば約二年間掛かっている、そういうものでございます。
  12. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いずれにいたしましても、片桐支社長さんがお書きになった、二〇〇二年に作ったというのは、単なる、若手か何か知りませんが、そういったグループで、業務命令があってのきちっとした財務諸表の作成ではなかったと。一つ考え方勉強したと、その勉強した一つの結果がこういうことであるということなんですね。  ところが、これに対して、今年六月の九日に、これは道路公団として財務諸表について発表をしておりますね。このことについていろんな問題があるじゃないかということもこの文春の中では指摘をしております。一つずつ申し上げますと、建設中の道路金利費用ではなく資産として計上をしていると、この点についてはいかがですか。
  13. 藤井治芳

    参考人藤井治芳君) これは、この資産建設中の金利費用でなく資産として計上しているという点は、加古先生を中心とする会計学の権威の方々で御議論いただきました。そして、これから財務諸表道路公団が作る際にはこの方式計算して出しなさいというものを中間整理としていただきました。その中に、こういう償却資産に係る建設金利資産原価に算入するというものが書かれております。これは一般的に、その中間整理に細かく書いてありますので、全部申し上げるのは時間が掛かりますのであれでございますが、アメリカの会計基準国際会計基準等でも建設中の金利資産原価への算入は許容されていると、こういうふうに先生方からお教えを受けております。
  14. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 その点については分かりました。  それから、取得原価について、建設時ではなく再調達原価方式を採用している、このことはいかがですか。
  15. 藤井治芳

    参考人藤井治芳君) これにつきましても、先ほどの先生方のルールのおまとめの中で再調達原価方式を採用するのがふさわしいと、こういう御指摘をいただいたわけでございます。その主たる理由は、これから民営化会社を作ります。そういう新しい組織を発足させるという立場で見ますと、時価、現在の時価で財産がどのぐらいあるかと、いわゆる再調達原価でございます。時価というのは再調達、それによって評価するのがふさわしい、適当である、こういういろいろな議論先生方の間で行われた結果、結論として出されました。それが、その方式に従って私ども計算をしたと、こういうことでございます。
  16. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 次に、固定資産減価償却について、税法で四十年と定められている土工盛土工事などの耐用年数を七十年に引き上げている。これは必ずしも、私は税法ですべてを律するのがいいのかどうか、その辺は確かに問題はあると思うんですが、この点、どうでしょうか。
  17. 藤井治芳

    参考人藤井治芳君) これも実はこの財務諸表検討委員会の中で、物理的耐用年数又は機能的耐用年数に基づくのが原則である、安易に税法上の耐用年数に頼るべきでないという御指摘を受けました。  そこで、今回、先生方が御議論なさいまして、現行の税法上の耐用年数内容を精査するとともに、物理的耐用年数との比較を実施いたしました。その結果、土工類似項目として、土で造ったもの、自動車道、これ耐用年数四十年がありますが、私どもが造っている横浜新道戸塚支線であるとか、これは四十七年たっております、名神高速道路は四十年たっております。こういったものはまだ全然悪くなっていない、こういう実態、こういうものをまず調査先生方がなさいました。そして、土工の他の類似項目である鉄道業用の線路切取り、線路築堤という項目がございますが、それと比較しますと、JHとJRの施工基準面施工面のり面災害発生率等においてほぼ同等の性能を有していると、こういう判断をなさいました。  その結果、ここで用いられている鉄道業用の線路切取り、線路築堤の七十年を中間整理として今後耐用年数として使うのがふさわしいということが先生方の一致した御意見として書かれましたので、それに基づきまして私ども計算をしたと、こういうことでございます。
  18. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 減価償却について、私もそのように思うんですよね。税法というのはどうしても後追いになりますから、やっぱりその時点その時点実態がやっぱり反映されるべきであると、私もそう思います。  最後に、財務諸表の基礎となったデータが全く示されていないとありますが、これはどういうことでしょうか。
  19. 藤井治芳

    参考人藤井治芳君) まず、六月の九日に概数を出させていただきました。六月の十三日に確定値大臣の方から公表していただきました。六月二十三日に説明責任の確保と透明性の向上という意味合いを含めまして、道路事業固定資産路線別再調達原価一覧表であるとか固定資産区分表であるとか標準的単金表単価ですね、単価表、あるいは土地価格表等を全部公表いたしました。  私どもとしては、取りあえずそうやって公表させていただきましたが、更に必要があればそれに応じてまいりたいというふうに思っておりまして、今民営化委員会等々から言われているのは、路線別かつ区間別に細かくそういうものを出すべきだというようなことも言われておりますので、私ども可能な限りの努力をするつもりでございます。
  20. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 以上、個々の問題についてはこれで終わりますが、この中で面白いというのか、論理矛盾というんでしょうかね、片桐さんという人の意見によれば、民営化道路公団債務超過であるから公的資金を注入していかなくちゃいけないと。そうしたら、現在の特殊法人である道路公団になるわけでありますね。ああ、なるほど、この人は民営化は反対だと、公的道路公団で行けという意見かなと思ったんですが、この点については、総裁民営化についてどういうふうにお考えになるか、ちょっとお考え伺いたいと思います。
  21. 藤井治芳

    参考人藤井治芳君) 私ども道路公団は、昭和三十一年に、一昨日、名神の「プロジェクトX」が出ましたけれども、我が国が非常に後れているときに、そのときの財政状況国費がないということから、PFIのような形式で道路公団を生み出したわけでございます、時の政府が。そして、それに基づいて現在までやってまいりましたが、世界各国どの国でも高速道路というものは全部国有物でございます。公物でございます。イタリア、フランス、これも今民営化会社が経営しておりますが、ここでも道路公有物国有物でございます。  そういう性格の下で道路公団が四十年間お預かりしてきたわけですが、四十年間たちますと、いろんな点であかがたまりました。いろんな制度的にも仕組み的にも問題が出てまいりました。そこで、そういうものをより、国費が足らないんだからもっと国費を減らして、そして料金を下げて、そして国民にいいサービスをするような方式考えられないかということが国民のニーズだと思います。料金が下がらなければ、国民にとって道路公団がどう変わろうと全然変わらないわけでございます。国民にとっては料金ということが最大の接触点でございます。  そういう意味におきまして、私ども、まずコスト縮減をするとか、あらゆる部門の無駄をなくして、全部総点検する。その一環としていわゆるファミリーと言われている関連事業、アウトソーシングしている関連事業についても全面的に見直しをさせていただいております。その中の一環として天下り問題についても厳しく私ども立場で臨もうと思っております。  まずそういうことをやる中で、じゃ、道路公団そのものの、国の委託を受けてやる性格事業というものをどういう形でやっていくか、これは国がお決めになることでございます。道路公団が決める立場ではございませんし、意見を申す立場ではございませんが、あえて申し上げれば、結果として国費料金も増えないように、そして所定の目的が達成されるような自由度を持った組織形態、仕組みを作っていただきたい、作ることが本当の意味での民営化だというふうに私個人は理解をいたしております。
  22. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 冒頭、総裁発言されましたように、道路地域社会の生活に非常に有用であるし、経済政策上も極めて有用なものであります。本来、公共財であり、したがいまして原則としては私は国費をもって整備すべきであるというように考えます。  ただ、整備をできるだけ促進をしよう、できるだけ地域の要望に応じて、国費は限られておりますから、十年掛かるところを多少の料金を徴収することによって例えば五年間でやるとか三年間でやる、そういうために道路公団というのがあるんじゃないかというように思うわけでありますが、今後とも道路公団を活用して、こういったような方式、これは民営化であった方がいいということに現在閣議決定でなっておりますが、民営化された道路公団を活用して今後とも道路整備を行うべきであると私は思いますが、大臣の所見を伺いたいと存じます。
  23. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 私は、今こうして松谷議員と総裁のやり取りを拝聴しておりまして、一昨日もそうでございますけれども、衆参でこういうことで議論になり、あらゆるマスコミにこれが反対だ賛成だ、いや、改革派だ保守派だというふうに取り上げられておりますことは、道路公団民営化ということがそれほど今までと変わらなければならないという、私は重大問題を呈していると思っています。ですから、民営化に向けての賛否両論がこれほど注目を浴びるということこそが国民に開かれていると、私はそう思っておりますし、今、松谷議員が総裁に、今後、道路公団民営化、どう考えているかとおっしゃいましたけれども、私はこれは道路公団民営化するということを総理から御下命いただいておりますので、少なくとも私は、民間企業並みに行くまでには山あり谷ありあるのは当然でございます。  それはなぜかといいますと、特殊法人というのは七十七ありますけれども財務諸表を作っているのは十一しかありません。今まで財務諸表なんて作ったことないんです。しかも、私は、民営化推進委員会というものが、総理が七人の侍をお選びになりました。けれども、そこで財務諸表ということがほとんど論議されていない。なおかつ、今のお話に出ました片桐さんという人が、事務局長ですか、民営化務局次長片桐さんがおなりになっていて、なおかつ私は民営化推進委員会議事録を読みますと、その片桐務局次長という方は、議事録の中で、財務諸表というのはそんなに簡単にできるものではありません、私の私的なメモなら出せるかもしれませんと、こう答えていらっしゃる。  しかも、民営化推進委員会に十二月に答申されまして、私は受け取りましたけれども、総理から渡されました。これに従って、尊重しなさいと言われましたけれども、経緯の過程、民営化に移行する過程において来年の九月に財務諸表整備してくださいと書いてあるんですね。それは、私がわざわざ、本当に過酷だと思いましたけれども総裁財務諸表がなくて民営化の論議できないじゃないですかと言って前倒しを要求しました。しかも、通常国会が終わるまでに出してくださいと言ったものですから、今の話で、三十億掛かったかどうか知りませんけれども、百五十人の職員を使ってということですけれども。  私は、少なくとも、道路公団民営化するということに関しましては、私は今までのような利権からの脱却ということは大変重要なことだと思っています。利権の巣窟だと思っている人がそういうふうに書くんですから、まず国民の目にこの利権からの脱却ということも私は必要だと。無駄がなかったとは言いません。私も委員会で資料出していますけれども、必ず無駄はありました。それから脱却するということと、自主的、効率的な経営を図る、これは民営化のために大事な私は二点目だと思っております。  そして、三点目には、少なくとも道路を造ることに対する国の責任というものは私はあくまで国民に明快にしておくべきだと。民営化されても国の責任だけはきちんと私はしょうべきである、それが日本の発展と国民の生活と経済性に私は大きく寄与していると。ですから、最後には民営化しても国の責任だけは明快にしておかなければ、しかも日本は地震列島ですから。そういう意味では大事にしなきゃいけないという、私はそういうふうに感じておりますし、またそう進むべきであろうと思いますし、一言だけ最後に付け加えさせていただきますと、私は、財務諸表というものは作るのに、今言ったように七十七特殊法人で十一しか経験したことがないんですから。  今まで、それが国の怠慢であると言われればそのとおりだと思います。けれども、今ここで私は、総裁は詳しくおっしゃいませんでしたけれども、この加古委員会を設置したというこの意味は、加古委員会が平成十四年十月三日付けで日本道路公団から企業会計原則に基づく財務諸表の作成に当たり採用すべき会計処理方法の検討を委託され、約八か月掛かって、やっと十五年、本年の六月六日にこの指針をお出しになった。財務諸表を作る方程式を作るだけでも八か月掛かった。  しかも、この加古委員会という、加古委員長というのは企業会計審議会の会長、公益法人会計基準検討委員会の座長でいらっしゃいます。黒川行治さんという委員長代理は、これは企業会計審議会の第一部会の委員でいらっしゃいます。そして、会田一雄先生という方は、これは財政制度等審議会財政分科会の法制の公会計部会の委員でいらっしゃいます。川村先生という方は企業会計審議会の第一部会のこれ専門委員でいらっしゃいます。なおかつ、最後の辻山栄子さんという方は、先生ですけれども、企業会計審議会のこれも第一部会の委員。これだけ日本の会計の専門家人たち財務諸表を作る方程式の原則作るだけでも八か月掛かってお作りになった。その出された方程式に基づいて計算したのが総裁から私に手渡された財務諸表でございますので、現段階で、私のような会計の素人から見れば、こういうれっきとした先生方の方程式に基づいて計算したものが正確なものであると思わざるを得ない、現段階ではですよ。出たものが正しいかどうかは別として。私は正しいと思って受け取って総理にお見せし、衆議院の国土交通委員会にも出させていただいたというのが現状でございますので。  私は、それよりも何よりも、民営化に進むという、私はこの民営化推進委員会からの答申をいただいて、すぐできること、そして中期にできることと、最後は来年の通常国会に民営化の法案を出す、これが私の課せられた大きな責務だと思って、一歩ずつですけれども、私は確実に民営化に向けての歩を進めているというのが現状でございます。
  24. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、大臣のお話を聞いていまして、大変きちっとした方針をお立てになっていらっしゃいますし、いろんな雑音が出てくるかもしれませんが、扇大臣はそれにびくともしないでぶれない、これは大したものだと私は評価をしている。これからもその姿勢をきちっと貫いていただいて、民営化はもう閣議決定されているわけですから、その方針の中でいかにすばらしい民営化された道路公団が誕生するか、大いに努力をしていただきたい、かように存じております。
  25. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 委員長、一言だけよろしいですか。  ただ、私は一言、今日は総裁が御出席ですから、道路公団総裁として、公団内部内部告発的なものが幹部から出るというような状況を、終始するというのは、私は、総裁に少なくとも道路公団内の整理整とん、そしてお互いの企業としての秩序というものをしていくということがこれも民営化への第一歩だと思いますので、公団内の整理整とん、そして、こういう不満は公団内で処理するということには私は総裁に励んでいただきたいと思います。
  26. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 正に当を得た発言でありまして、今回の文春記事というのは、民間の人がそういう記事を書くというならまだ分かるかもしれませんが、現職の副支社長さんが、仲間内の争いか何か知りませんが、天下に現職のままこういった言わば告発的な記事を書いているんですね。これはやはり大臣が言うように整理整とんしなきゃいけない。  この点、総裁としてどうした措置を行うか、やっぱりきちんとやる必要があると思いますが、いかがですか。
  27. 藤井治芳

    参考人藤井治芳君) 十日に文春記事が出て、先ほど申しましたように、すぐ口頭で文春の方には編集長に抗議を申し入れました。それで、緊急記者会見もさせていただきました。それで、月曜日、今週の月曜日に片桐支社長を東京に来てもらいまして、呼びまして、私どもの総務担当、人事担当の理事と人事課長とで、どういう趣旨かというのを数時間にわたって細かく聞きました。  一つだけ申し上げますと、インタビューで、編集長と二回インタビューをしたと、そのインタビュー記事が、インタビューの内容があれでございます。じゃ、おまえさん、あなたは書かなかった、自ら書かなかったんですねということを言ったら、インタビュー記事だということを言っておりました。  という具合に、まず文春の取扱いについて私ども非常に疑義を感じておりますので、法的な手続を踏まえてきちっとやるというのと、本日、コンプライアンス本部の会議を今、十時から開催いたしております。その場で、コンプライアンス本部というのは綱紀粛正というのが最大の建前でございますから、法遵守と、そこで、このコンプライアンス本部でこの問題を最大の議題としてとらえて、どういうふうに処置すべきかという方向性をまとめていただく。と同時に、私ども内部でこれらの全体のいろいろな流れを見ながらきちっとした職員管理に対する対応を取ってまいりたいと思っております。  そういう意味で、世の中に対して、いろいろな関係者の方々に御迷惑や御心配をお掛けしたことをおわび申し上げて、これからきちっと、我々は一歩も下がらないでこれからの新しい高速道路建設国民への高速道路サービスに向けて頑張っていくということを申し添えて、おわびといたします。
  28. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 大臣がせっかく整理整とんしなさいと、こう言ったわけですから、整理整とんの具体的意味はちょっと分かりませんが、整理整とんをしていただきたいというように思います。  ところで、やはりこういった道路整備というのは国の政策としてきちんとやるべきものであって、そのことが、これまで閣議決定でございましたように、九千三百四十二キロメートルの整備計画というものが決定されているわけですね。  ただ、この中にはやっぱり採算上という問題が、本来は国費でやるべきものですから採算というのはないのかもしれないけれども、しかしやっぱり道路公団に、こういった道路公団方式を使って建設をするとなれば採算の問題も出てくるわけですが、そういう点で、国が責任を持って行うべき九千三百四十二キロメートルの整備計画について道路公団をいかように活用していくのか、今後の在り方について道路局長から見解をいただきたいと思います。
  29. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まず、せっかくでございますので二点ほど申し上げたいと思うんですが、九千三百四十二キロの高速道路整備、これの前提となっております一万一千五百二十キロの予定路線につきましては、昭和六十二年に、我が国の社会、経済、文化の発展のための基盤となると、こういうことで全会一致で国土開発幹線自動車道建設法を位置付けていただいたわけでございます、国会で。この中で、九千三百四十二キロは、平成十一年の十二月の国幹審まででございますが、国民経済的に見て整備の必要性がある、こういうことで、法律の手続を踏んで策定していただいており、地元にも具体的な区間として既に提示いたしておりまして、いろんな調整あるいは工事を進め始めている、こういうことであるわけではございます。  したがいまして、今後のこうした高速自動車国道の整備につきましては、真に必要な道路というものについて国として責任を持って整備していく、こういうことが大事なことだと思います。  その場合に、二点目でございますが、先生指摘のように、有料道路でやる場合には採算性も考える必要はある、こういうことではございます。  一番大事なことは、本当に必要かどうかという問題は共通して、有料道路でもそれから一般の道路事業でも共通して、例えば費用対便益で言えば便益が費用を上回る、いろいろな便益、費用の整理の仕方はございますが、国民経済的に本当にそれが大事であるか、こういう点が大事な検証すべき材料かと思います。これにつきましては、真剣にきっちりとやっていく、これが共通のまず基盤だと思います。そうした上で、一般の、今回の国会でお認めいただきました新しい直轄事業、それから有料道路事業で行うもの、これを両方ともきちっと整備を進めていく、これが大事なことだと思います。  この場合に、真に必要で、便益が費用を上回る、国民経済全体にとって、暮らしにとって必要だと、こういう中で、採算は厳しい、有料の場合には採算は厳しい、これもまた状況としては確かなところであるわけであります。  ただ、ついでにちょっと一言申し上げますと、道路の場合には特定財源を国費でいただいて、おかげさまで税金でやっていかせていただいているわけでございますが、公共事業全般で申し上げますと、建設国債、現状では。これは有料道路事業で借金するのと同程度の金利も掛かっている、将来の子供や孫にも負担していただく、こういうことで建設国債でやっていただいているわけであります。六十年間の返済でございますから、子供や孫がみんな負担していただく、これは社会資本というのはそういうものである。  一方で、有料道路の方は有料道路事業として利用者から直接いただく部分が大部分である。これはこれで採算がきちっと取れなければ、全体として、そうすると、また後の子供や孫に負担が掛かり過ぎる。したがって、そこはきちっとしていく、こういうことが必要だというふうに私どもも思っています。  その場合に、有料道路事業として効率よく整備を進めるというためには、公団におきましても、あるいは公団が今後民営化された新しい会社におきましても、無駄を省いて効率的に、効果的に、できるだけ時間管理概念等を持って、取り掛かったらすぐに完成に近づける、世の中の皆様にできるだけの御理解をいただきながら事業を進める、これが大事なことだというふうに思っております。
  30. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 この文春記事の中でも、本人が発言したかどうか分かりませんが、盛んに書いてあるのが、道路公団民営化されても不採算路線がまた押し付けられて、民営化された道路公団がパンクしてしまうんじゃないかということが盛んに書いてあるんですが、本来は、先ほどから何度も申し上げますように、道路というのは地域密着の必要性のある公共財でありますから、これは国費をもってやるべきなんですね。ただ、採算が取れる路線もあるし、できるだけ急いで建設した方がいいと、そういうようなものは道路公団方式でやったらどうかと。原則は私は国が責任を持ってやるべきものではないかというように思います。  したがいまして、その辺のところをきちっと仕分をされて、道路公団民営化された場合にでも、これが、採算を取れながらきちっとやっていく路線はこういうようなものだということをやっぱり決定をしていく、それは国の責任でもって決定をしていくということが必要だと思いますので、要望しておきます。  以上で道路公団関係は終わります。どうぞ、総裁、どうぞ。  次に、都市再生の関連について伺いますが、先般、六本木ヒルズが開業になりまして、一日十万人の人が訪れるであろうという予測が、現在は二十万人来ていると。年間六千万人が来客するんじゃないかと、こういうふうに言われている。  私は、公共事業について、いろいろな観点から、もう必要ないんじゃないかとか余り経済効果はないとか、そういうようなことが言われて、いかにも我が国の社会資本整備はもう既に終わったんだというような意見がマスコミを中心にいろいろ言われておりますが、諸外国に行ったら決してそういうことはない、やっぱりかなり我が国の社会資本整備というのは劣っているんじゃないかというように思うんです。その中でも、道路については今まで申し上げましたが、まだまだ地域の要望は大きいんですが、それと併せてやっぱり都市のありようが、やっぱりアメリカやヨーロッパ、先進諸国と比べてまだまだ劣っているというように思います。こういった六本木ヒルズみたいなものが都市再生のチャンピオンとして事業が行われておりますと、これがやっぱり一つの弾みとなって大きく我が国の都市が整備されていく一つの起点になるんじゃないかというように思うんです。  そのためには、こういった都市再生の事業というものが経済成長の要素として極めて重要でありますが、例えば一つ一つの都市再生事業について経済効果というものを予測したことがあるのか、あるいは例えば六本木ヒルズについてはどうか、汐留についてはどうか、その点について伺いたいと思います。
  31. 和泉洋人

    政府参考人和泉洋人君) お答え申し上げます。  今、先生指摘のように、都市再生は、地震に危険な市街地や交通渋滞などの二十世紀の負の遺産を解消するとともに、国際競争力のある世界都市、安心して暮らせる美しい都市の形成、あるいは持続発展可能な社会の実現など、二十一世紀へ向けた新しい都市創造の両面から国民生活の向上を図るものでございます。この際、御指摘のように、民間に存在する資金やノウハウなど、民間の力を引き出し、都市に振り向け、更なる需要を喚起する点で経済効果も大きいものでございます。  今御指摘の具体のプロジェクトについて言いますと、六本木ヒルズにつきましては建設投資額で約二千九百億円、さらに、先行して進んでございました汐留地区では約七千五百億円、こういった投資額でございますし、こういった場所についても各々再開発事業や区画整理事業という観点から若干の公的資金は入ってございますが、各々の投資額がそういった公的補助の三十倍から五十倍程度の規模に達してございます。加えて言いますと、こういった都市開発投資の生産誘発効果は二倍でございますので、今申し上げました直接の建設投資のおおむね二倍の生産誘発効果があると、こう期待しております。  加えて言いますと、冒頭、先生も御指摘ありましたように、六本木ヒルズについて言うと、四月二十五日の開業以来二か月弱で一千万人の方が来街され、現在もおおむね一日平均十八万人が来街するなど、非常に大きな消費を惹起する効果もございます。そういった意味で、都市再生を通じた経済効果というものは極めて大きいものがあると考えております。
  32. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 具体的な数値が欲しかったんですが、今、教科書のような読み方では、それでは答弁になりませんよ。ちょっと頑張ってもらわないと。例えば、こういうようなプロジェクトについてはどのような経済効果があって、その波及効果はどうで、波及効果の中にはこういうようなものがあるとか、そういう説明が欲しかったんですが、ちょっと物足りなかったですね。  ところで、通常、住宅の経済効果、波及効果というのは、例えば、まあ計算の仕方によって若干違うんですが、二・三倍とか一・七倍とか、いろいろ言われておりますが、この場合の、都市再生事業の経済効果というものは住宅と比べてどうでしょうか。
  33. 和泉洋人

    政府参考人和泉洋人君) 済みません。  都市再生の中には、先生御案内のように、住宅の大量供給につながるような都市再生もございますので、単純に都市再生と住宅という二律対立で御説明できないんですが、いずれにしましても、その都市開発事業の中心となります建築投資の生産誘発効果はおおむね二倍ということでございます。住宅投資につきましても、戸建て住宅も含めましておおむね二倍と。そういった観点からは、その生産誘発効果はほぼ同様だと思っています。  ただし、違う点は、住宅の場合には、個々の住宅の全国での集積のそういった投資額を足すのに対しまして、都市再生の場合については、個別の拠点の整備について、冒頭御説明いたしましたように、かなり大きな金額のものが出てくる。加えて、住宅と違う点は、都市開発事業を通じまして、新しい都市空間、あるいは商業、文化、こういったものが刺激されることによって更に加えて直接の建設投資以外の様々な需要、消費が起こってくる、そういった意味での違いがあろうかと思っております。  いずれにしましても、都市再生事業は、そういった直接投資の生産誘発効果も大きいし、加えて、そういった関連する新しい需要を起こすという意味でも効果が大きいものでございますので、引き続き一生懸命頑張ってまいりたいと考えております。
  34. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 かなり大きな経済効果が期待されるわけでありますから、これからの政府の、小泉内閣としての経済対策の一つの中心として、こういう都市再生事業というようなものを大きな柱として据えていく必要があるだろうと私は思います。  その場合、東京に余り一極集中しない。景気の状況をいろいろ、皆さん方からいろいろとお伺いしますと、私も現実にそういうふうに感じておりますが、東京の景気の状況と、それから例えば九州とか四国とか北海道とか、そういったところの地域の景気の状況はかなり乖離があるんですね。したがいまして、やはり国土が均衡ある発展をしていく、それが私は我が国の景気を基本的に拡大していく、回復していく基調になると思いますので、そういった地方都市についてもこういった都市再生事業をできるだけ選択し、育てていくということが必要であるのではないかというように思っております。  ところで、現在、これまでの住宅政策の一環としていろいろな郊外ニュータウン開発がなされました。例えば、大阪の千里ニュータウンでありますとか、東京でいえば多摩ニュータウン、いろんなニュータウンが開発され、それなりに成功を収めてはきたんですが、そのニュータウンに居住する人たちの年齢が高齢化していった、それによってゴーストタウン現象が起こっているというふうに言われております。  こういった郊外ニュータウンを再生する基本的な政策というものを考えているのかどうか、住宅局長伺いたいと思います。
  35. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  多摩ニュータウンあるいは千里ニュータウンなど、郊外のニュータウンにつきましては人口が流出してしまって町がゴーストタウン化するという状況にまでは至っていないということではございますが、初期に開発されたものにおきましては、御指摘のとおり、高齢化が進む、あるいは住宅あるいは施設の老朽化が進行するといったことと並行して商業機能が衰退するというような活力の低下が問題となっております。  国といたしましても、これまでニュータウンでの蓄積された都市資産を活用しながら、我が国の都市全体を高齢化に対応した活力と魅力に満ちたものへと再生するということが都市再生の趣旨からも必要だと思いますが、地域住民あるいは地元の公共団体、あるいは住宅あるいはその施設管理者、これが連携して進めておりますニュータウンの再生に向けての取組を支援していくことが必要ではないかと思います。  具体的に現在の施策でございますが、高齢化に対応いたしましては、公共賃貸住宅へのエレベーターの設置あるいは室内のバリアフリー化の推進、それから既存の公団賃貸住宅の中で高齢者向け優良賃貸住宅としての活用に取り組むということも実施しております。また、都市の再生という観点からは、そのニュータウンの中心部の、センター地区の施設のリニューアルといったことも実施していくと。それから、空き店舗が存在しておりますが、これへの生活支援という意味でNPOの人たちの入居というようなことも進めて活性化を図っていく必要があると思います。それから、公共賃貸住宅のリニューアルあるいは建て替えの推進も進めているところでございます。また、一部には既に民間の分譲マンションの建て替えも行われております。こういったものへの支援等に取り組んできております。  こういった施策を総合的に実施しながら、ニュータウンの再生というものに取り組んでまいりたいと考えております。
  36. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 こういった多摩ニュータウンのようなところは、老齢化していって、高齢化した人たちだけが残っている。そうなってきますと、いわゆる子供二人、若い夫婦二人、例えば四人家族の標準家族などに比べますと購買力はずっと落ちますし、食事もそう食べる必要もありませんし、何もそうぜいたくをする必要もないというようなことで、中心地区のショッピングセンター等もどんどん閉鎖をされていっていると。閉鎖をされていけばますます人も集まらなくなる。高齢化した家族は大変に不便になっているというようなことで、一種の悪循環になってきているんですね。  それを改めるには、もちろん、エレベーターを設置するとか、あるいはバリアフリー化を行うとかいうようなことも大事でしょうけれども、基本的には私は、住宅政策というものの、住み替えというものをきちんと考えながら政策というものを実現していく必要があるんじゃないかと。その大きな形での住宅政策というものをやっぱり打ち出していく時期に来たんじゃないかというように思いますが、その点、いかがですか。
  37. 松野仁

    政府参考人松野仁君) 確かに、郊外でかなり、戸建てにしろあるいは集合住宅にしろ、都心部に比べますとかなり広めの住宅にお年寄りが一人あるいは二人になって生活しているというケースもございます。それに比べて、若い三人世帯、四人世帯が割合狭いところに住まざるを得ないというようなことも起きております。これは規模のという意味ではミスマッチが起きておりますが、こういったことをむしろ市場全体の循環ということでお互いに住み替えるということも必要でございます。  これに対応して、例えば郊外のお年寄りの住んでおられるところを若い人に、多少規模の大きい世帯に貸すというようなことも、これから持家の賃貸化というようなことも進めていかなければいけないということで、その際の家賃の言わば保証システムといいますか、そういったものも含めて、サブリースの保証システムなども含めて、そうした循環を進めていく基盤整備をこれから進めていく必要があるというふうに思っております。
  38. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 最後に、都市・住宅政策について抜本的な政策を打ち出していくことを要望いたしまして、私どもが頼みとしております国土交通大臣より所感をいただきまして、終わりたいと思います。
  39. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 住宅政策等々、旧建設省御出身の松谷議員は専門家でいらっしゃいますから、むしろ住宅政策の御教示をいただかなきゃいけない立場かもしれませんけれども、我々は、戦後、今日まであらゆる面で、いわゆる住宅金融公庫も含めて、多くの国民が住宅を取得するその手助けをし、なおかつ国策として私は今日を見たと思います。  また、今でも、景気が悪いと言われておりますけれども、少なくとも住宅を十万戸、これをもし今、ベビーブーマーの、第二次ベビーブーマーがちょうど、いわゆる増築、子供が勉強部屋を持ちたいとか、そういう年代層になっておりますので、例えば十万戸の住宅の建て替え、あるいは新築あるいは増築等々が行われれば、少なくとも波及効果というのは二千二百六十億円に達するというふうに専門家計算も出ておりますし、そしてその十万戸の雇用創出は二十六万人あるとも言われております。そういう意味で私は、国民の夢をかなえ、なおかつ経済効果が上がり、雇用効果も上がると、一挙何得にもなるという住宅、そしてまた、一生涯に住宅というものは何回も造るだけのゆとりもありません、日本の場合は。  ですから、そういう意味では、狭い国土の中でも、今おっしゃったような、一時は郊外にニュータウンを建ててどんどんどんどん郊外へと出ましたけれども、通勤距離等々考えますと、やっぱり家庭円満のためには勤住接近ということで、なるべく職業の近いところへ集まろうという傾向に今なっています。そのために、少し狭くても近いところへ行こうという傾向がありますけれども、私はこれは、今申しましたように、先生も御指摘のように、新しい住宅、あるいはマンション、あるいはアパートメント、あるいはニュータウン等々、ちょうど建て直しに時期に来ておりますので、そういう意味では、一戸の建て直しではなくて広域的な範囲を、私はエリアを決めて、エリア全体での建て直しのゆとりをして、高層にしてもいい、あるいは全部そのエリアでの空間の利用で私はそこに老人のホームも造ればいいし、あるいは託児所も造ればいいし、そういう総合的な計画というものが、個々ではなくてブロック単位でやるということが私は今後の日本の、いわゆるお年寄りと子供と、あるいは幼児が一緒に住めるという、そういう計画というものを地区ごとに、これは都市だけではありません、これは総理がおっしゃっていますように稚内から石垣までという、この日本列島の中での住宅計画というものは、そこで個性のある私はデザインを作って、それを私たちは推進していき、後押ししていく。それぞれの地域の個性ある私はアイデアを出していただくというのが、私は官から民へ、私はまた地方への分権の大きな住宅の中でも意味があると思って、それを推進していきたいと思っております。
  40. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 終わります。
  41. 池口修次

    池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  今国会では最後になるというふうに思いますが、六十分の質問時間をいただきましたので、何点か質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをします。  まず、ちょっと今の松谷先生の話を聞いていまして、少し私なりの御意見なり感じをお話しさせていただきますと、民営化と国の責任という話がありました。これは私の前々回の質問でも、最近官から民へというような言葉が先行をしておるんですが、本当にそれでいいのかどうかという問題提起をさせてもらいました。  今日の扇大臣の答弁でも、民営化はすると、ただ国の責任でやるべきことはやるんだということですと、どういうことになるのかなと。ある程度民営化する部分と国がやる部分をすみ分けをするということであれば私は理解はできるんですけれども民営化をしてもらって、民営化した会社に、やっぱり国としてここはしっかりやらなきゃいけないんで、民営化会社に国が注文を付けてやらせるんだということになりますと、一方で進められています規制緩和の流れとは全く反対をするわけですし、それぐらいだったら別に民営化しなくてやってもいいんじゃないかというような思いもしております。  ですから、この部分のところが、特に道路公団民営化議論にしましても、当初の目的は何か、私の目的じゃなくて小泉首相の目的は、無駄な道路は造らないんだというようなことが目的かなというふうに考えていたんですけれども、必ずしも今の流れはそうじゃないなということで、どうも最近のいろんな議論の、民営化議論に疑問を持っている一人でございまして、再度、民営化はするんだと、ただ国の責任でやるんだと、国の責任が果たすところはやるんだというのは、どういう手法でこれをやろうとしているのかというのを、再度ちょっと、できましたらお聞きをしたいと思います。
  42. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 私は、元々日本の国は、本来は諸外国に比べて、諸外国は私は国の責任で社会資本整備一環として道路を造り、しかもほとんどが料金を取っておりません。御存じのとおり、ハイウエー。けれども、日本は、戦後、一日も早く社会資本整備を充実しようということで、これも政治判断でございましたけれども、借金をしながらでも道路を造っていこうと、荒廃した国土の中で。私は、スタートが全然違ったわけですね。  ですけれども、私は、ある時点でそれは方針を変えるべきであったと。いつまでも借金をして借金をして造っていくんだということが、先ほども局長が言いましたように、一万一千、一一五二、一万一千五百二十キロ、これを達成するということは公表しましたけれども、何しろ時間が掛かり過ぎて建設コストがどんどん高くなる。ですから、少なくとも私は、今でもアメリカは社会資本整備で一年間に九千キロぐらい造っています。でも、二十年間で中国だってゼロからもう二万キロ造っています。日本はこれ何年掛かりました。いまだに七千キロじゃないですか。これでは私は、国としてのなりわいとして社会資本整備が充実したとは言い難い。  そして、私は、現実に、赤字路線、赤字路線とおっしゃいますけれども、全国から知事さんも市長さんも国会議員の皆さんも、自分のところは造ってくださいとおっしゃるの当たり前なんですね。それは見ていただいたら分かる。私、主婦でございますから、少なくとも道路ができていないころには中央市場に地方からの生鮮食料品というのが二四%ぐらい入っていた。ところが、高速道路ができたら地方の生鮮食料品は四八%、今、中央市場へ集まっている。ですから、私たちは、主婦の立場一つ取ってみても、道路ができたおかげで日本じゅうの生鮮食料が朝来て夜台所へ来るというふうな利便性も供与しているわけですね。  ですから、私は、道路を造ること自体が赤字でも、悪い言い方しますと、私に造ってくれとおっしゃってくだすってできたところで、知事さんなり市長さんなり国会議員の皆さん方が、うちのところに高速道路ができたおかげで工団も誘致できました、あるいは住宅もできました、地価も上がりました、固定資産税がこれだけ増えました、道路赤字で造っていただいても、我々の県はこれだけ経済効果が上がりましたって報告に来た人一人もいない。  ですから、私は、ただ赤字だという計算の仕方を、現に四公団で四十兆という赤字ができているわけです。これは、本四はもうでき上がっちゃっていますけれども、あとの三公団に関しては私はまだ社会資本整備としては不十分なところがあると認識しています。  世論調査をしましても六〇%の人がもう高速道路は要らないとお答えになっています。けれども、日本の高速道路、六〇%しかできていないんです。ですから、できているところの人は要らないとおっしゃる。できていないところの四〇%の人は造れとおっしゃるんですね。ですから、私はそういう意味で、世論調査をして六〇%が要らないと言っているから造らなくていい、それはできている人が要らないと言うので、お嫁さんもらっている人がもう次要らないと言うのと同じでございまして、そういうことで私は世論調査を操作するというのは、私はないところの人たちは欲しいと思うのは当たり前だと思います。結婚できていない人はやっぱりしたいと思っていますから。したくないと思っている人もいるかもしれませんけれども。して後悔している人もいるかもしれません。  けれども、私は、社会資本整備というものは借金をして造るという体質から脱却しなさいと。総理の民営化というのは国の金を使わないということなんですね。ですから、少なくとも我々は、建設国債なり、高速道路に関しては受益者負担ということで料金を払っていただいています。けれども、これをまけなきゃいけないということを、民主党さんが高速道路を無料にしろとおっしゃっているのも知っています。私も本来ならそれが一番いいと思っています。けれども、メンテナンスはどうするんだと。そして、民営化推進委員会でもおっしゃっている、これを分断しろとおっしゃる。分断したら、民営化というのは、皆さん御存じのとおり、国鉄をみんな分断して、地方ローカルは民営化しましたけれども民営化したところ、みんなつぶれています。路線閉鎖してバスにしようと言っています。  ですから、区切った路線が、地震が入ったときにその造っている高速道路はだれが補償するんだということになりますと、私はやっぱり国としての責任が、社会整備一環として、これは国がある程度造った者の責任というものを私は持っていなきゃいけないと。民営化しても造った者の責任というのは明快にしておくべきであるということで、私は国の責任も明快にすべきであると。  特に、阪神・淡路大震災の私、経験者でございますから、そういう意味では、道路がつぶれたら会社の経費ができないからほっておけというんじゃ、これは民営化にして国民が不自由になりますので、そういう意味での基本の国の責任というものを持ち得るべきである、それが社会資本整備一環であるということを認識しているという意味でございます。
  43. 池口修次

    池口修次君 私もやっぱり道路高速道路を含めて道路はやっぱり国の大事な社会資本だというふうには思っていますから、ある程度国の責任で整備をすべきだというふうに思っていますが、ただ、財政事情もありますから、毎年どの程度の金を使うかというのは議論をしながら、議会の場で議論をしながらやるということが本来は筋だというふうに思いますが、ただ、そこが、その民営化というところが、どうも今のお話聞いても、本当に大臣自身が民営化した方がいいというふうに思っているのか、やっぱり国でやった方がいいというふうに思っているのかというのは若干ちょっと明確ではなかったので、これから大変だなというふうに実は思っております。  こればっかりやっていますと用意したのがなくなっちゃいますので。  一つは、ハイ・タク産業の現状ということで御認識をお聞きをしたいというふうに思っております。  このハイヤー、タクシーの規制緩和につきましては、平成十二年の法改正に沿いまして、十四年の二月から規制が緩和されました。その目的、法の趣旨説明のときの目的を見ますと、「事業者の創意工夫を生かした多様なサービスの提供や事業の効率化、活性化を図る」というところと、ただ一方では、輸送の安全及び利用者利便の確保はしなきゃいかぬというのが説明の趣旨であります。  ただ、やはり、最近、関係者から必ずしも法改正の趣旨に沿ってないんじゃないかという声が多数寄せられておりまして、民主党としまして、六月の二十三日に実地検証というのを大阪で実施をしました。聞いたのは、近畿運輸局なり大阪タクシー協会なり街頭の実情視察ということでやってきたわけですけれども、改めて、必ずしも、必ずしもというか、ほとんど改正の目的にしたいい部分は出てなくて、影響でかなり痛みの方が際立ってきているんじゃないかというふうに視察したメンバーを含めて思っているわけですが、まず、国土交通省として、この改正をして、現状がこの改正目的に沿ったようになっているのかどうかという御認識をお聞きをしたいというふうに思います。
  44. 丸山博

    政府参考人丸山博君) 昨年二月に改正されました道路運送法改正後のタクシー、ハイヤーの市場の状況についてのお尋ねがございました。  一年間の状況を見てみますと、まず、新規参入でございますとか増車を中心といたしまして、全国で七千五百台タクシーが増加しております。全体で見ますと二・八%車両が増加したということでございます。  それから、需給動向を把握するという観点から、私ども、実車率、それから日車営収、つまり、一日実働車両一台当たりどのくらい営業収入が上がったかという指標で見ておるわけでございますけれども、東京特別区、武蔵野、三鷹のところで東京乗用旅客自動車協会が取りまとめた数字がございますので紹介をさせていただきたいと思いますが、法施行時点でございます昨年二月で見ますと、実車率は四三・二%、日車営収が四万九千二百四十七円でございました。一年後について見ますと、実車率が四三・三%、日車営収が四万八千七百三十五円となっております。実車率は若干の改善、日車営収は小幅の下落ということでございます。  制度的に法の目的が達成されなくなって、例えば輸送の安全だとか旅客の利便を害するような事態が起こったときにどうするかということでございますけれども、それにつきまして、タクシー、ハイヤーにつきましては特別監視区域という制度が設けられておるところでございますけれども、法施行時に全国七百三十三の営業区域のうち百四十地域、約二割でございますが、百四十地域を特別監視区域というふうに指定をいたしまして、昨年の九月には特別監視区域を二百十二にしたところでございます。
  45. 池口修次

    池口修次君 では、厚生労働省にもお聞きをしたいんですが、今言ったような答弁でしたけれども、ただ、我々が聞いているのは、実態としてはやっぱりタクシーの運転手の皆さんは相当過酷な労働条件になっておるというふうにもお聞きをしております。なかなか競争が厳しくなって、収入を得るためには長時間、今までより長く運転をしないと収入が得られないと。それだけ頑張っても年収でいいますと三百万円台になってしまっているし、ひどいところだと最賃も割れるような状況があるというような話も聞いているわけですが。  実態として、厚生労働省としては、ハイヤー、タクシーの運転手の皆さんの労働条件についてどうつかんでいるのかということと、他の産業に比べてどうなのかという点についてお聞きをしたいというふうに思います。
  46. 青木豊

    政府参考人青木豊君) タクシーの運転者につきましては、例えば平成十四年の平均年間所得三百二十四万円ということでありますけれども、全産業男子の所得の約六割程度ということになっております。そしてまた、その賃金も景気の低迷に伴う輸送人員の減少を受けまして減少傾向にあります。大変厳しい状況にあるものと認識をしております。  また、タクシー運転者の労働時間につきましては、全体として減少傾向にありますものの、全産業男子の労働時間に比べまして約一割程度長い状況にございます。  タクシーの運転者の賃金体系とか水準とか、そういったものを基本的には労使でお話を決める、お話合いで決めるということでありますけれども、賃金でありますとか労働時間、そういった労働条件について、最賃というお話もありましたけれども、労働基準関係法令の違反がないよう的確な監督指導を厚生労働省としては努めていきたいというふうに思っております。
  47. 池口修次

    池口修次君 では、同じ現状について警察庁にもお聞きをしたいんですけれども、東京でも場所によっては見られるんですけれども、それぞれ大都市では一定の時間になるとほとんど道がタクシーが二列、三列で埋まっているという状況で、ほかの車の通行ができないというような実態なり、あと本来はお客さんを乗せてはいけない場所でお客を乗せるということなり、本来はしてはいけない客引き行為とか、いろんな問題が出ているというふうに認識をしておりますし、調査の段階でもそれは事実だということで認められたようですが、警察庁としてはこういう問題についてどう対応をしようとしているのかというのをお聞きしたいと思います。
  48. 属憲夫

    政府参考人(属憲夫君) 大阪など大都市の一部地域におきましてタクシーが客待ちのために交差点内や横断歩道上などに違法に駐停車していることは交通の安全、円滑を大きく阻害するものでありまして、国民からも多数の取締り要望が寄せられているところであります。また、大阪市内の一部地域では、客引きを行って長距離客だけを選んで乗車をさせる悪質なタクシー運転者が認められるところでございます。  警察としましては、交差点内における駐停車等、タクシーによる迷惑性の高い駐停車違反に対する取締りに努めているところであります。本年三月には、大阪ミナミ地区におきまして、客引き行為を行った上で指定された乗り場以外で旅客を乗車させたタクシー運転手及びその雇用主であるタクシー事業者を大阪府警、大阪府警察がタクシー業務適正化特別措置法違反で検挙したところであると。この種の違法行為に対しては今後も厳正に対処をしてまいる考えであります。  さらに、警察において違反を検挙した場合には、国土交通省の行政措置に資するために、同省に対して違反事実を積極的に通知しているほか、関係機関、団体と連携して街頭指導や駐車マナーの向上等を呼び掛ける広報啓発を行うなど、各種対策を推進しているところでございます。
  49. 池口修次

    池口修次君 今、国土交通省なり厚生労働省、警察庁で現状の認識を確認させていただいたわけですけれども、やっぱり今のお話を聞きますと、規制緩和はある意味したんですけれども、必ずしも規制緩和のメリットの方の目的にはなっていなくて、やっぱり痛みだけが際立っているというふうに私は思っております。  特に、厚生労働省から報告がありましたように、労働時間は他の産業に比べて一割長い、それでも賃金は全産業の六割だということになりますと、これは、ほかの産業も不景気ですから下がっている中でなおかつこういう水準というふうに私は受け取るべきだと思いますし、法案の趣旨のときにありました、一方で輸送の安全は確保しなきゃいけないというところにも場合によってはその影響が出てくる可能性も秘めているというふうに思っております。  やっぱりこの点は改善はしなきゃいけないし、単に違法行為を取り締まるということだけでいいのかどうか。一部特別監視区域の指定等を、基準を見直す中でやっぱりもう少し正常というか、気持ちよくドライバーの皆さんが働ける、聞くところによりますと、現状ですと、もう若い人はほとんどこの労働条件だと参入というか、入ってこないというふうに聞いております。この点について是非、大臣に再度、多方面から検討をして改善をお願いしたいわけですが、大臣としての御見解なり御感想がありましたらお聞きしたいと思います。
  50. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 先ほども池口委員から、御自身からおっしゃいましたように、これは平成十四年二月に初めてこれ改正の道路運送法を通していただいて、そしてより規制緩和を図るということをしたわけでございますけれども、現実に規制緩和をした結果どうなったかということは、今、局長から詳しく数字等々が出てまいりました。  けれども規制緩和をしたことで現実にユーザーの皆さん方にはどれほどのメリットがあったんだろうかと。規制緩和したおかげで随分乗りやすくなって、料金も安くなって安全性も強化されてという、そのメリットがうんと多ければいいんですけれども、今、池口委員がおっしゃったように、規制緩和した途端に車の量が増えて、二重、三重駐車は増えるは、余り料金も安くなっていないは、ワンコインというので五百円タクシーというのもできました、けれども、五百円まではいいけれども、その先はどうなっているのかというのが一般にはまだよく分からない。初乗りは安くなった、けれども、それがメーターが上がる距離は普通のタクシーとどう違うのかという、その辺も私はユーザーは明快ではないと思うんですね。  ですから、そういう意味では、規制緩和のメリットとデメリットがどこにあったのか。今、池口議員は従業者の方からのデメリットというふうに御指摘なさいましたけれども、私は、ユーザーの方からのメリット、デメリットもこれは対象にすべきであると。私は、安心して乗れるというのが一番大事なことでございますので、そういう意味では私は、安心と安全と、なおかつ料金の低廉化、そして、私は前にも言ったんですけれども、深夜割引って、どうして高くなるのと、深夜割引というのは、夜割高じゃなくて割引であるべきであると。深夜でどうしてすうすう走れるのに割高なのという話をしたこともあるんですけれども、業界によっては深夜を割高ではなくて割引に転換している業者もございます。業者のサービス合戦が始まればユーザーの皆さんは助かるんですけれども、今、池口委員がおっしゃったように、従業員には過重労働になるというこのメリットとデメリットをどこに整合性を持たすか。  私は、昨年の二月に初めて規制緩和したわけですから、私は少なくとも、この一、二年この動向を見ながら、今度、今話も出ましたように、少なくとも意欲のある業者によって新たな需要開拓ができて、そういうサービスも始まっていますから、これも一つの私はいいメリットの部分だと思います。けれども、今おっしゃったようなことで、どういうふうになるのかということでの特別監視地域というのを、先ほど局長が言いましたように二百十二に指定して、これもやっぱり動向を見守るということの一つの手だてでございますので、まだこれが施行されて一年ちょっとでございますので、もう少しこの動向を見ながら、新たに考えなければいけないことがあるのであれば検討していきたいと思っております。
  51. 池口修次

    池口修次君 私も、ドライバー、運転手の皆さんだけの見方じゃなくて、ユーザーの見方からすることは非常に大事なことだというふうに思いますが、ただ、やっぱり運転手の皆さんの労働環境が非常に過酷だということは、やっぱりその人に運転をゆだねるわけですから、やっぱり安全の問題に影響をするという観点でも、運転手の皆さんのやっぱり働く環境というのも大事だということを申し述べさせていただきたいというふうに思います。  じゃ、テーマを変えまして、何回かやりましたけれども、ETCの普及の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。  その前に、今回、国土交通省の人事の発令がありまして、佐藤道路局長が留任ということで、これから大事な道路公団議論がする前には、やっぱり佐藤さんしかいないのかなという見方と、なかなか今まで少し宿題が残っているんでもう少し続けてやれという見方か、これは大臣に聞いても人事の問題ですからお答えにならないというふうに思いますが……
  52. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) いえいえ、大丈夫です。
  53. 池口修次

    池口修次君 大丈夫ですか、じゃ、簡単にお願いします。
  54. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) なぜ大丈夫ですかと申し上げましたのは、もう既に閣議で了解もいただき、内閣にも提出し、十八日、明日が交付でございますので、今もう申し上げてもいいということで、一週間前に内示をすることにしておりますので、本人が自覚しておりますのであえて申し上げさせていただきたいと思いますけれども、私は、大変道路公団の、先ほどから、今朝から松谷議員の御論議をお聞きいただきましたように、また世間で今話題になっておりますように、大変国土交通省にとっては大事な時期に来ております。少なくともこれだけ世論に賛否両論あるということは、それほど問題が大きいという証拠でございます。  そして、先ほど申しましたように、民営化推進委員会から意見書をいただいて、総理からこれを尊重しながら取り計らいなさいという御下命をいただいておりまして、今すること、中間的にすること、最終目標はというのは来年の通常国会に法案を出すことでございます。私は、そのためには、今の佐藤道路局長が、昨年来からの民営化推進委員会の設置、またそれ以前からもその経緯を一番熟知、今しております。また、責任ある立場で両方を公平な目で見る目を佐藤局長は持っていると思っています。間違っているなら私の目も間違っているんでしょう。ですから私は、法案を提出までは、何としてもその経験と、そして多くの公平な目で見る、目で法案を作らなきゃいけませんので、私は、佐藤道路局長に法案を作ることに、これが最終目標だから頑張ってくれということで留任をお願いしています。
  55. 池口修次

    池口修次君 私も佐藤局長は信頼をしておりますので、是非、大変な仕事になると思いますが、公平に頑張っていただきたいというふうに思いますし、是非これからも議論をさせていただく立場に立ちたいというふうに思います。  本題に入りまして、ETCについてかなり最近いろいろな努力がされているというふうに認識はしておりますし、いろいろな調査なり検討をされているという認識はしております。ということで、一つ補助金、五千円の補助金を付けて、これが大変好評であったと、一般の人たちの枠は発売して何日かでもう埋まってしまったというような話で、これはいいことだというふうに思いますが、現状、この補助金の仕組みについて、今はどういう状況になっているのかというのをお聞きしたいと思います。
  56. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘の制度は、ETCモニター・リース等の支援制度、こう呼んでおりますが、有料道路の多頻度利用者を対象にいたしまして、一般車両で先着十万台、業務用の車両で先着三十五万台ということでETC車載器の購入などに係る費用のうち、一台当たり五千円を支援する制度として六月十八日より開始いたしました。  一般車両につきましては応募が殺到いたしまして、急遽十二万台まで大臣御指示をいただいて枠を拡大したんでございますが、これも七月一日には予定台数に達しまして受付を終了している、こういう状態でございます。  業務用車両の方でございますが、現時点で既に取付けいただいておりますのは三万台でございます。しかしながら、状況をヒアリングいたしますと、大手メーカー三社で既に十一万台分の商談がまとまっている。あるいはまた、今度は需要家の側といいますか、ユーザーの側からと、こういう目で見ますと、各都道府県のトラック協会、これが十二万台分ぐらいは購入していただけるのかなと、こんなふうに思っておりますが、メーカーと価格の折衝中で、団体で購入すると、こういうことなものですから、かなりお安くというようなことでおやりになっておられるのだと思います。調整が整った段階で取付けの急増が予想される、こういう状態でございます。
  57. 池口修次

    池口修次君 まあ予算もあるんでしょうから、何台でもというわけにはいかないというふうに思いますが、ただ、一般の人がこれだけ短期間で埋まってしまったということは、ある意味、このETC、値段によってはやっぱりETCを、やっぱりETCは付けたいと、ただ値段があるよというところが思料されたわけですから、値段を下げるための努力なり、私は補助補助というのは余り好きではないんですけれども、やっぱり値段を何らかの形で、一般の方はこれで制度はなくなっちゃうんで、また五千円が高くなっちゃって進まないということだと本来の趣旨だとならないんで、是非、引き続き導入のためにどうしたらいいかというのを検討をお願いをしたいというふうに思っております。  もう一つ、これは新聞の記事ですので、事実かどうかも含めてちょっとお聞きをしたいわけですけれども、ETC専用のインターチェンジを一部造りたいと、造ろうというような計画があるというのが新聞に載っていたんですが、この構想の事実確認を含めて確認したいと思います。
  58. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 結論的に申し上げますと、そういうふうに決定したという事実はございません。ただ、いろんな検討をしているということは確かでございます。  状況を一言申し上げますと、大体、高速道路、今七千二百キロほどあるわけでございますが、高速自動車国道、大体十キロに一か所インターチェンジが付いております。追加的に、中では、非常に間隔が広いとか、多いところは、大きいところは二十キロを超えるようなところもあるわけでございますし、それから十キロあるいは八キロでも途中段階での出入りが非常に大きなものが期待されているところがあるとかというようなことで、全国で百か所ぐらい、おおむね百か所、現在の既に供用しております高速道路について追加インターが欲しいと、こういう御要望が地元でございます。  これにつきましては従来からいろんな検討をしてまいりました。元々は請願インターチェンジという形から始まりまして、これは国幹審でお認めいただければ道路公団の責任で整備する。ただし、整備費用料金所ぐらいまでは公共団体でお持ちいただく、一般道路から、取付け道路側から。というところから始まりまして、その後、開発インターチェンジ、これは開発に伴って開発者にも負担していただく、整備、管理を。それから、現在では地域活性化インターチェンジということで、取りあえず有料道路制度、公社事業などと一緒になってインターチェンジの整備費、管理費を御負担いただくとか、いろんな形の追加インターチェンジの整備の方策を取ってまいりました。  現在、先ほど申し上げました百か所についていろんな検討をしておるんでございますが、何分にも通常のインターチェンジでございますと、御存じのように、トランペット型とか、そういう形でまいりますと、大体一か所当たり四十億円ぐらいの建設費が掛かります。それから、管理費が、これがまたなかなか厳しいんですが、管理費が、掛けようによりますけれども、大体一億円前後は掛かるだろうと。これを、今申し上げましたような取付けをお願いする側といいますか、開発者あるいは地方公共団体が負担するとなりますと、これも大変な負担にはなっているということで、もっと建設費も少なくし、管理費もできるだけ少ない、こういう形でいろいろ検討すると、ETCの専用のインターチェンジというのはそういう意味では有効性があるなと、こういう形だと思っております。  ただ、どういう形でその整備を、そういう制度化をしていくかという点については、まさしくただいまいろんな角度から検討している最中であると、こういうことでございます。
  59. 池口修次

    池口修次君 私は、その専用インターチェンジのメリットという面で、管理費もほとんど要らないし、用地も小さくて済むということでは、確かにそうだというふうに思います。  ただ、やっぱりこれは普及率との問題で、自分の家の近くにインターチェンジできたけれどもETC付いていないんで使えないということになりますと、やっぱりこれは、今のインターチェンジを含めて高速道路というのがユーザーからのお金で造っているわけですから、この高速道路は使えませんよ、このインターチェンジは使えませんよということは私は相当問題があるというふうに思っていますので、やっぱりこれはちょっと無理な、現段階では私は無理な検討だというふうに思っております。それよりは、私は、やっぱり日本のすべての車にETCを付ける、すべての。そうすればすべてのところは専用インターチェンジになるわけで、料金収集経費も要りませんし、土地も、今の土地を削るというわけにいきませんから有効活用ができるというふうに思っておりまして、私はそんなに金は掛からないというふうに思います。  一般に今七千万台というふうに言われていますから、七千万台のETCの機器を作ろうとすると、多分一万円は相当割れるんじゃないかと。そうすると、四、五千億で機器自体は買えますし、これは新車のときに工場で装着させれば、これはメーカーはこの装着費用をよこせというふうには多分言わないというふうに思います。これを新車のたびに換えていけば、十年ぐらいで換えるということになりゃ年に数百億で、将来的にはインターチェンジの料金収集経費がなくなれば、ほとんど金が掛からなくてこれは一〇〇%装着できるというふうに私は思っております。  何でこういうことをやらないのかなというのが、ちょっとなぜかというのは分からないんですが、こういう構想についていかがかというのをちょっとお聞きしたいと思います。
  60. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) とにかく早くETCの普及を、ETCの車載器の普及をしろと、そのための方策をいろいろ考えろと、こういう御趣旨だと思います。  先ほど現状をちょっと申し上げましたが、もう少し現状と、及びこれからを申し上げますと、現在、車載器のセットアップ台数は七月十日現在で百二十二万台になっております。百二十二万台。
  61. 池口修次

    池口修次君 いや、取りあえず徐々に進めようというのは分かっていますから、将来的にそういう構想についてやる気があるのかないのかと聞いているわけです。
  62. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) ということで、そういう意味では、とにかくETC車載器、一〇〇%の装着というのを少しでも早くやりたいと。これは、そういう意味では、法で強制するというのも日本的には難しいと思いますので、いろんなインセンティブ、モチベーションを提案、提示したりしながら努力してまいりたいと思っておりますし、もう一つの問題といたしまして、先生指摘のETCの専用のインターチェンジとか、あるいは首都高速などにおきまして、都市高速はETCであれば場合によっては対距離制というような形も取り得ると、こういう問題もございます。現在は結局入口で取るだけでございます。  そういうことで、一〇〇%の装着をできるだけ早くというふうには是非努力してまいりたいと思っております。
  63. 池口修次

    池口修次君 やっぱりいろいろ実際の担当をする立場としては明確にはっきり言えない部分があるかなというふうには思いますが、多分大臣は私の考えにかなり賛同をいただけたというふうに思いますので、是非大臣の権限で強い御指導をいただきたいというふうに思っております。  それと、もう一点お聞きしたいのは、二輪車用のETCもかなり研究がされてテストが始まったということですが、具体的にはいつごろ実施になるのかというのをまずお聞きしたいと思います。
  64. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 二輪車用のETCにつきましては、平成十二年度及び十三年度にテストコースで走行実験等をいたしまして、現在は、本年の五月の下旬からこの試行運用をプロドライバーと申しますか、の皆様にお願いしたりしながら試行運用を実行しているところであります。  それから、ETCともう一つ、二輪車の場合には非接触型のICカード、こういうものも試行運用することにしておりまして、こちらの方はこの七月上旬に約千名の、これは公募で、現実に実際の実走行でやろうと、こういうことで公募しましたら、七月十二日に予定台数に達したということで締め切らせていただいたところであります。  いずれにしましても、これらの試行運用の結果を踏まえまして、平成十六年度のできるだけ早く、早期に二輪車の新しい料金支払システム、ETC及びこの非接触のICカードの両方式があるわけでございますが、この両方式について実用化を図っていく所存でございます。
  65. 池口修次

    池口修次君 是非早急にお願いをしたいというふうに思いますし、前回も説明していただきました、話いたしましたように、二輪車のドライバーはハイウエーカードがなくなって割引が今ないというのが実態ですので、是非お願いをしたいというふうに思います。  それともう一つ、直接ETCにはかかわらないかもしれませんけれども、別納の割引制度というのがあるということで、一部新聞ではこの問題点等も報道されたわけですが、この別納制度の設立の目的と、制度内容の中身まで聞くと時間が掛かっちゃうんであれですけれども、簡単にこの目的と中身について、簡潔にお願いしたいと思います。
  66. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 高速道路料金別納割引制度は昭和四十一年からでございますが、大量利用の促進、大口利用の定着、こういうことを目的にいたしまして、月当たりの利用額に応じまして料金を割り引く、こういう仕組みで導入したものでございます。  昭和四十四年からは、個人や法人に加えまして、中小企業の利用者による事業協同組合も対象としていると、こういうことでございます。現在では、最大は、月の利用に応じまして、七百万以上であれば以上の部分は三〇%割引と、こういう形でやらせていただいております。  平成十三年度におきまして別納割引制度の利用者数は、個人、法人と事業協同組合を合わせまして八千九十三でございます。その割引額が約二千二百億円でございます。
  67. 池口修次

    池口修次君 私は、ある意味、大口利用者に対してサービスをするということは当然なことだし、少しも悪いことではないというふうに思っております。  ただ、問題なのは、本来はこの制度の対象にならない人が割引を目的で事業協同組合、これは事業協同組合といっても、そうはっきり分かるようなものは作らないでしょうから、いろんなほかの仕事も加えているんでしょうけれども、やっぱり主たる目的が割引を目的とした事業協同組合といったようなものを作って本来は適用されない割引率を受けるということは、やっぱりまじめに払っている人からするとある意味で不公平でありますし、今の仕組みでいうと、この料金高速道路の維持なり新しいものを造るということになると負担割合が変わってくるわけですから、やっぱりこれは問題だというふうに思います。  さらに、これは新聞報道ですから、事実を私は確認したわけじゃないんですけれども、ある意味中間マージンみたいなものを取って割引制度を商売にするというようなものを放置しておくということは、私はやっぱり相当、これは道路公団の制度ですからということでは済まされないというふうに思います。  この点について、もし調査をしていただいて、そういうある意味割引を目的としたものが大部分の活動であるというような協同組合なり、中間マージンを相当取っているというようなものがもし確認された場合にどういうふうに対応されるのかというのを、これは大臣にお聞きしたいと思います。
  68. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 今、局長が答えましたように、私は、四十四年、昭和四十四年から始まって、一番基本的に私は今ゆがんできていると思っておりますのは、少なくとも中小企業者に対して大企業に伍していけるように配慮しようという、元々中小企業への助成というふうなことで始まったものであるにもかかわらず、この別納制度以外の事業をほとんどしていなくて、別納制度を得るための目標としてこれを利用するということは私は許せないと思っています。まともに払っている人間はばか見ますからね。そういう意味では、言葉は悪いかもしれませんけれども、わずか五人から組合として認めると、そのこと自体が私はおかしくて、なおかつ組合員を寄ってらっしゃい寄ってらっしゃいと募集しているなんというのは、私はそれはおかしいと思うんですね。  ですから、今既にこれが千百八十七団体ある。千百八十七団体もあるということ自体も、元々これが事業協同組合としての本来の目的はどこにあったかということを私は調べるべきであって、ただこれは所管が私どもではなくて、これは調べましたら十一省庁に及んでいます、内閣府も含めて。ですから、十一省庁がこの事業協同組合の許可をするときに関連しているわけですね。ですから、どんどんどんどん増えて千百八十七団体もできてしまって、しかも別納の料金が一年間に二千二百億円にも及ぶ。本来はバス業者とか、そういうところの割引をということから始まったのに、五人で設立して、何か政治団体の助成金もらえる五人と同じようなものでどんどん増やせばいいみたいな、そんなことでは私は本来の事業協同組合の趣旨から反していると思います。  ただ、道路公団にこれはする義務がなくて、私は、この間申し上げましたけれども、十一省庁の中でこの事業協同組合を認めるときの原則規定がないんです。だれに聞いても、いや、それはと、こうおっしゃるんですね。  ですから、私はもう一度この事業協同組合を全部洗い、なおかつ平均二九%割り引いてもらっています、道路公団から。それなのに組合員には一五%で、あとの差益はこの事業協同組合の経費に、何に使っているか分からないと。これは余りにも私は、事業協同組合としては本来の設立趣旨がきちんとした定義がないということも一つの問題。なおかつ、そういう別納だけのための事業協同組合を設立するという、私はゆがんだ考え方というものを正さなければいけないということで、これ全部洗い直します。  少なくとも、千百八十七団体ができております、これ全部分かっていますので。また、その中には政治家が絡んでいるというものもあると言われておりますので、私はやっぱり姿勢を正す意味において、これは明快にしていかなければ、一般の皆さん方と、五人集まれば割引できるなんということとでは、余りにも私はいけないと思っていますので、全部洗い直したいと思っています。
  69. 池口修次

    池口修次君 時間が限られていますので、これ以上この問題は触れませんけれども、余りこういうのが実態が放置されますと、それこそまじめに有料道路料金、不払運動が、今でも一部あるようですが、なるというふうに思います。私も名前を見させてもらいましたけれども、相当ちょっとこれは危ないんじゃないかなというような名前のところが、付いているところもありまして、是非調査をして善処をお願いをしたいというふうに思います。  時間が限られております。最後の質問ですが、国土交通省とは直接関係ありませんけれども高速道路における二輪車の二人乗りについて警察庁に見解をお聞きしたいというふうに思います。  一年前のこの委員会で二人乗りについてどうなっているのかという質問をさせてもらいました。そのときには、規制緩和の絡みでこういう検討をしなきゃいけないということで、いろいろな実験をしていきますよという答弁であったというふうに思います。これについて、現在どういう状況の進展になっているのかというのをお聞きしたいと思います。
  70. 属憲夫

    政府参考人(属憲夫君) 警察庁では、平成十五年三月に閣議決定されました規制改革推進三か年計画の中で、高速自動車国道等における自動二輪車の二人乗りを認めることの可否については調査検討して、平成十五年度中の可能な限り早期に結論を得るということにされておりまして、現在必要な調査検討を行っているところであります。  具体的には、高速道路等での自動二輪車事故の分析を進めるとともに、特に今年度につきましては警察庁予算に調査研究予算を計上いたしまして、自動二輪車の二人乗りの運転特性に関する走行実験を実施しているところでございます。
  71. 池口修次

    池口修次君 もう一点お聞きしたいんですが、高速道路の二人乗りについて、諸外国でこれについて規制をしているというのが日本以外にあるのかどうかというのをちょっとお聞きしたいと思います。
  72. 属憲夫

    政府参考人(属憲夫君) 韓国及び中国が高速道路での二人乗りを禁止しておりまして、そのうち韓国では自動二輪車の高速道路への乗り入れ自体を禁止をしているというふうに承知をしております。
  73. 池口修次

    池口修次君 高速道路の二人乗りについてはいろいろな意見があるのは事実だというふうに思いますが、ただ、今言いましたように、韓国は元々乗り入れしていないんですから、一人乗り、二人乗り、関係ない。そうしますと、二人乗りが危ないというような感じで規制をしているのは、日本、中国ということになるというふうに思います。  ヨーロッパなんかの調査ですと、これは前回も話をさせてもらいましたけれども、二人乗りが必ずしも危険だというようなことにはなっていないというふうにさせていただきましたけれども、この問題については、そういう状況なり実験結果、自動車安全運転センターというところでやっているというふうにお聞きをしまして、これは警察庁が依頼したものじゃなくて、独自の調査を以前にもやっておって、明確な一人乗り、二人乗りの差はないというような感じを私は受けております。  これは、その二輪車のユーザーからしますと、やっぱりオートバイを身近な、ある意味レジャーというか、二輪のユーザーからしますとある意味貴重な生活の一部なりにもなっているということで、この二人乗りの解禁を望んでいる声というのは強くなっております。  是非、早急な検討結果を出していただきまして、早急に前向きな議論ができるような体制を組んでいただくことをお願いをさせていただきたいというふうに思います。
  74. 属憲夫

    政府参考人(属憲夫君) 現在、自動車安全運転センターの中央安全運転研修所でいろいろな走行実験やりましたので、その結果について今いろいろ分析、検討しているところでございます。それについては大体九月中には結果をまとめることができるだろうというふうに思っております。それを踏まえて更に検討していきたいというふうに思います。
  75. 池口修次

    池口修次君 持ち時間でいいますと少しありますが、もう十二時過ぎましたので、これで終わらせてもらいます。  どうもありがとうございました。
  76. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  77. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、富樫練三君が委員辞任され、その補欠として林紀子君が選任されました。     ─────────────
  78. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  79. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  今朝からの議論の中で、池口先生の方からはETCの問題について相当深くいろいろと御議論をいただき、また推進方のお話をいただいたわけでございますが、引き続いて私の方からもETCの推進、普及について私の方からも議論をさせていただきたいと思うところであります。  ちょうど先月、ETC車載器のセットアップ台数百万台を超えたと、このように突破した状況を伺っておりますが、高速道路のETC推進、極めて大事でございますから、この利用状況についてお伺いをしたい。さらにまた、利用者にとってメリットのある民営化を実現する観点からETCの更なる普及促進、活用を図ることは極めて重要でありますけれども、その取組はいかにされているのか、さらに普及促進策としてETCモニター・リース等支援制度を実施したようだが、結果は、その効果はどういう状況にあるのか、併せて三点について伺いましたが、御答弁願います。
  80. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 最初に、三点のうちの一番初め、セットアップ台数が百万台を突破したということで、高速道路でどういう利用状況にあるかと、こういう御質問でございました。最初にお答え申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、ETCの車載器の新規セットアップ台数がこの六月には累計百万台超えまして、七月十日現在で百二十二万台になっております。六月に新たにセットアップされた台数は約十八万台ということで、その普及が加速されつつあるところでございます。  有料道路におけるETCの利用状況につきましては、七月十日現在でこの百二十二万台のうちのと、こう申し上げればよろしいんだと思いますが、一日当たり五十万台がETCを利用していただいています。ETCの利用率そのものは全国平均で七・七%、十三台に一台、こういう状況でございます。特に首都圏などにつきましてはかなりETCの利用の割合が進んでおりまして、例えばアクアラインでは一八・八%、それから東名高速の東京本線料金所も一割を超えて一〇・四%、あるいは川崎の浮島本線というところが、首都高速でここが一番ETCの利用が多いところでございますが、三三・五%ということで三分の一を超えたところでございます。  利用状況はそういうことでございますが、二番目の御質問の、利用者にとってメリットがある民営化を実現する、こういう観点から更なるETCの普及促進、活用を図ることが重要である、こういう御指摘でございました。  そういう意味では、民営化を踏まえまして、今後の有料道路の施策の方向といたしまして、ETCの利用の向上によりまして料金所の渋滞を解消し、併せて料金所周辺の環境改善に努める、そのためにETC利用者を対象とした多様で弾力的な料金施策を実施することが必要だと、こう認識しております。  平成十四年の七月からハイウエーカードと同等の割引となるETCの前払割引を導入しておりますが、このほかにも、現在、東京湾アクアラインにおきまして実施している社会実験、これはETCの前払を御利用いただきますと三千円の料金が二千円になる、こういうことでございますが、さらに七月一日より本州四国連絡道路におきましてETCの前払割引の適用とETC特別料金を設定すると。この特別料金によりまして、基本料金に対しまして約四一%を超える割引と、こういうことに、四割を超える割引と、こういうことになっているわけでございます。  さらに、七月十九日より高速自動車国道におきまして長距離割引に関する社会実験をETCに関して実験する、こういうことにしております。これにつきましては、例えば東京—福岡の間ですと、現在の高速利用料金よりも更に二割ぐらい安くなる、こういうことでございます。今後は、さらに都市高速などにおきましてETCを前提とした対距離制の料金の導入などの幅広い施策の導入を検討しながら、普及促進に努めてまいりたいと思っております。  それから、三つ目の御質問のETCのモニター・リースなどの支援制度を実施したと、こういうことで、その効果はどうだったと、こういうことでございました。ETCのモニター・リースなどの支援制度につきましては、有料道路の多頻度利用者を対象にいたしまして、一般車両で先着十万台、業務用車両で先着三十五万台までということで実施しているところでございますが、一般車両につきましては既に十万台を超え、十二万台になったと、こういうことで二万台は追加いたしましたが、七月一日で一応打ち切らせていただいたと。  ただ、こうしたことに伴いまして、逆に実はいろんなメーカーなり、あるいはオートバックス等のショップの方でいろんなことをやってくださるようになりまして、例えば六月、七月はこのモニター制度と別に、選から漏れた皆様にもメーカーによりましては五千円の割引を七月一杯実施するとか、あるいはまた自動車用品ディーラーの皆様は別途にそれぞれ五千円程度のキャッシュバックであるとか、いろんな努力をしていただいている、こういうところでございます。さらに、お申込みの、申し込んでから随分時間が掛かるではないかと、こういう御指摘もございまして、三十分で取付けができるというようなお店も現れているところでございます。  こうしたことで、このモニター・リース制度そのものを導火線といたしまして、更にそうした民間といいますか、いろんな取組が出てきておる、こういう実態でございます。
  81. 森本晃司

    ○森本晃司君 私は、道路利用者にとってより便利でよりメリットがあると、こういうものをやっぱりやっていくには、一番ETC普及が一番かなというふうに考えているところでございまして、今いろいろと社会的実験等々がされましたけれども、もっともっとこの普及、例えば夜間は半額にするとか、あるいは社会的実験の場所がもっと数多く指定するとか、そういうことをやっていくことによって非常に喜ばれるんではないかと思っております。いっそ夜間はETC利用者は半額というぐらいにまで思い切ったことをやることが極めて大事ではないかと思っております。  それから、先ほどの池口先生議論の中で、大臣との話の中で、五人ぐらいで組合を作ってという話がありました。五人で組合作って、そしてやっているというのは確かにおかしな状況でございますけれども、これ、いかがでございましょうか、思い切ってETC利用者では二〇%から二五%ぐらいまで割引をすると、こういう具合にすれば、そういったのは今度は逆に五人で作って客寄せしているメリットがなくなるという、ではないかと思います。  突然の私の質問になりましたけれども池口先生大臣とのやり取りの中からそういうことを思っているんですけれども、この点についてはどのように考えていらっしゃいますか。
  82. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 今、ETCでどの程度、長距離も割引していますので、割引率というのは、細かいのは局長から後で答えてもらうといたしまして、私は基本的にETCの導入をもう就任当時から言い続けておりました。それは、言い続けたのは何かと言いますと、私が外国でETCを利用しまして、そのときにこの機械はどうですかと言ったら、これはメード・イン・ジャパンですとおっしゃったんですね。外国が日本の機械を導入してETCをしているにもかかわらず、日本にはまだ一か所もなかった。こんなばかなことはないということで私は就任以来叱咤激励をしておりまして、もう国土交通省、道路局もみんな嫌になるほど怒られているんですけれども、私、意地悪ばあさんと言われているぐらい言っているんですけれども。  なぜかと言いますと、京都議定書を、私たちは、日本がまず環境、二十一世紀の環境を提案いたしました。今、高速道路の渋滞は少なくとも三〇%は料金の収受で込んでいるんですね。この渋滞解消をするということに関しては、何としても私はETCが必要であると。環境面においても、あるいは交通面、あるいは有料でお金を払っていただいた人たちに還元するという意味でも、料金所をなくすということが理想であるということからETCに早く着手してくださいといって、スタート時点で私は間違ったと今でも反省しています。  それはなぜかと。ETCを導入したときに、少なくとも日本の規制で、規制緩和だと言われていますから逆なんですけれども、導入のときにはこの機種で、この材料でいきますよといって、その機種を作り、販売するところを少なくとも三つぐらいに規制していればもっと売れて、もっと安くなったんです。ですから、その辺のところでは、私は今回そういう意味では一日も早くということを思っておりますけれども、最終的には、先ほど池口議員がおっしゃったように、私は製造過程でビルトインをして、ETCの、車の中にもう入っているという車を作ることというのが究極の私は目標であると思いますけれども、今おっしゃったように、私は現段階ではこの料金の収受所、これ四公団で七十四社ございます。そして、年間にこの収受の費用が千三百億円掛かっております。  そういう意味から考えますと、これをETCにしますと三千億円の私は効果があるということで、これは、今おっしゃったように、何としても早急にし、割合を増やすために、この今おっしゃった別納の問題も、このETCの割引がどの程度すれば、どこの部分でどうするかということを私は是非局長からもしていただいて、森本議員がおっしゃるように、別納が、組合を解消する意味においても、先ほども山下議員から、私も、いや、同じことすれば大丈夫ですよという御示唆もいただいていますので、森本議員の御提案も含めて、今後、局長検討するであろうと思います。この場でも改めて局長検討するように申し上げておきます。
  83. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 大臣の御指示のとおり検討いたします。
  84. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、私は、是非これはETC普及、それから身障者の皆さんへの支援策、こういう意味から実現を強く要望をしたいと思うんですが、今、身障者の皆さんは半額ですね、高速道路は。これは非常に多くの人喜んでいらっしゃっています。その横に乗っている者も一緒に喜んでいる。高速道路で、料金でこんなに喜ばれているのはここだけと言ってもいいぐらいのやっぱり大きな半額という効果があるわけであります。ところが、その人たちは今全部どうしているかというと、身分証明書を見せて、チケットを渡して、それで通らなければならない。だから、ETCは使えないわけですね。私はこの皆さんもETCが使えるようにいろいろと工夫していくことが大事ではないかと思います。  例えば、車の免許を持ってETCを希望されている人、車の免許は二十万台、免許を身障者でお持ちの人は二十万人ぐらいいらっしゃるかと思いますが、その中で御希望をされている、申請された人には車にそれを、ETC、身障者専用のETCでぱっと通れば分かる、金額が半額になると、そういう機械を工夫していただくことが極めて大事ではないかなというふうに思っております。  この辺を今どうしていくのか、どう考えておられるのか伺いたい。
  85. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 森本先生がおっしゃいますように、これはETCの料金を収受するときに、計算書、後で、後払いですから、請求するときにこれ半額にすればいいというのは、もう技術的に何でもないことだと思います。
  86. 森本晃司

    ○森本晃司君 通れば行けるように工夫をいろいろしてあげればいいと思います。今はそういった人たちはほとんどETC付けていない状況であります。だから、それはいろいろと身分証明の仕方もあるかと思いますので、その辺をどうするのかということと、もう一つは、私はいろいろと支援策として、そういった方々にETCを、身障者の方々に無料で、支援策としてETCをその方々に付けると、これぐらいの思い切ったことを私は公団はやった方がいいと、そのように思っておりますが、いかがですか。
  87. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 二つのお話があろうかと思います。  最初に、身体障害者の割引そのものにつきまして、ETCでノンストップ通行で割引ができないかと、こういう御議論かと思います。現在は障害者御本人の確認も必要だと、こういうことで、料金収受員に身障者手帳を提示していただいている。したがいまして、これに代わる措置というものをきちっとせにゃいかぬという、こういう問題が一つございました。このために、障害者御本人のETCカードと、それから割引の対象となる自動車に設置されている車載器を事前に登録していただいて、そしてノンストップ通行で障害者割引を受け得ると、こういうシステムを、プログラム、システムを開発しているところでございまして、今年度中に実施する方向で今調整、最終調整中でございます。  もう一つ議論は、先生のお話の、車載器を障害者の方々、現状は安くなったとはいっても、まだ一万五千円とか二万円とかいうオーダーがするのでその助成ができないかと、こういう御指摘だと思います。  身体障害者の方々に対しますETC車載器の購入支援、こういう問題につきましては、第三回の道路関係の四公団民営化に関する政府・与党協議会、この三月に開かれましたが、そこで国土交通大臣より、道路関係四公団民営化に関して直ちに取り組む事項、ここにおきまして、サービスエリア、パーキングエリア事業を行っている財団法人が身体障害者の高速道路利用への支援などの公益事業を行うこととしている、こういう問題をとらえまして、ETC車載器の購入支援につきましてもこの財団法人から積極的に対応すると。こういうことで、対象範囲の絞り込みなど、市町村の福祉事務所等、関係機関の御協力をいただきながら、二つの財団法人ございますが、財団法人と早急に調整してまいると、こういうことにしているところでございます。
  88. 森本晃司

    ○森本晃司君 是非、身障者の方へのそういう支援策、しっかりとこれからやり、またETC普及に力を注いでいただきたいと、このように思うところでございます。  次に、公共住宅のバリアフリー化について質問をさせていただきます。  公共住宅の既存ストックの改善をより一層促進することが必要であります。特に、高齢者などへの配慮からバリアフリー化が極めて重要であります。我が党が推進してまいりましたけれども、従来の例えば四階建ての公共住宅等々に階段室型共同住宅がありますが、そこにエレベーターを取り付けることができるように、この実現をする必要がありますが、この進捗状況、どういう状況になっておりますでしょうか。
  89. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  公営住宅におきましては、平成十二年度末までに、中層住宅約百二十六万七千戸ございますが、このストックに対しまして約七万七千戸分、六%のエレベーターを設置しております。このうち、特に委員指摘の階段室型の住棟につきましては約百二万七千戸ございますが、これに対して、まだパーセンテージとしてはわずかでございまして、約三千戸分のエレベーターを設置しているという状況でございます。  また、公団住宅につきましては、平成十四年度末までに、三十八万六千戸のストックに対しまして、これは階段室型という意味ですが、試行的に四十戸分のエレベーターを設置しているという状況でございます。
  90. 森本晃司

    ○森本晃司君 本来であれば現状ストックの大部分、もう少し改善がされてしかるべきであるかと思うんですが、私もこの問題についていろいろ状況を聞きますと、一つは財政圧迫により計画が先送りされている、二つ目は住民の合意形成が極めて困難である、三番は市場の参入が少ないと、こういったことが考えられるんではないかと思います。  私は、団地内の不公平是正あるいは財政負担の軽減、それから早期住民サービスへの実現などの課題を同時に解決を図って公共賃貸住宅へのエレベーター設置を進めるべきであるというふうに考えております。  特に、私は、これは民間の力を、PFI方式、これでやれば、私はその創意工夫を生かしてやれば、資金は民間からも出していただく、それから公共団体はその土地を民間に提供すると、こういうやり方、また十年間でそれぞれ、一挙にじゃなしに、一年に一度に払うんではなしに、十年間で債務でいろいろできる方法等々いろいろあると思います。そうすると、今度は、一つの団地の中で一棟だけエレベーターを付けている、予算の関係で一棟だけ付けているとなればコストが高くなりますけれども、その団地全体にそういう民間のPFIを使ってやればコストも私は安くなるんではないかと思っておりまして、これを積極的に活用すべきではないかと思っておるんですが、いかがですか。
  91. 松野仁

    政府参考人松野仁君) 御指摘のとおり、公営住宅等のバリアフリー化、これは高齢者の方あるいは障害者の方が安全で安心に暮らせるようにということで是非必要な事業だというふうに思います。委員指摘のとおり、PFIを始めとする民間の創意工夫を活用した手法、御指摘のようなやり方が有効なやり方ではないかと考えております。  今後、公共団体におきまして、事業の適否あるいは実現可能性について十分な検証が行われまして、具体的な計画ができた場合には国の予算における必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  92. 森本晃司

    ○森本晃司君 是非PFIで進めていただきたいと思います。公共住宅のエレベーターについては質問を終えます。結構でございます。  それから次に、ディーゼル車規制問題、これはもう今年の十月から、目の前に出てきておりまして、私の方にもいろいろと、トラックあるいはディーゼル車を使って流通業をされておる皆さんからいろいろと声が私のところへ寄せられております。  今年の十月から国のNOx・PM法の規制値強化による規制、また東京都など一都三県のディーゼル車規制条例の施行が開始されることになっております。国の規制は車種などにより激変緩和措置が取られて二年間の猶予期間がありますが、これらの規制によって、車の買換え、DPFなどPM低減装置の装着をしなければ車の使用が事実上不可能になり、大きな影響が及ぼされることになります。  これらの影響を回避すべく制度化された国土交通省のディーゼル車排出ガス減少装置装てん対策費、これが四十億、低公害車導入補助金二十五億円、この根拠について及び各年次計画の概要とこの対策の終了時期について伺いたいと思います。あわせて、この対策を終了させるために物流の根幹を担うトラック業界全体で代用車に必要な経費はどれぐらいなのか、その総額について伺います。
  93. 丸山博

    政府参考人丸山博君) 最初に、私どもの低公害車普及促進対策費補助制度の全体計画なり今の状況についてお話を申し上げます。  低公害車普及促進対策費補助制度の目的でございますけれども、これは自動車NOx・PM法の車種規制と相まちまして、環境性能の優れた車両への代替を促進するということでございます。  目標といたしましては、平成十八年度までに低公害車、バスにつきましては一千台、低公害トラックにつきましては三万台というものを目標にしておるところでございます。このため、十三年度から補助を開始いたしまして、十五年度につきましては、これまでの導入数でございますとか低公害車の販売見込みなどを勘案いたしまして、二千八百台の導入を予定しておるところでございます。  いずれにいたしましても、補助を付けることによりまして、それが呼び水になりまして滑り出していって、十八年には先ほど申し上げましたような目標に達するということを私どもとしては目的としておるところでございます。  一方、ディーゼル微粒子除去装置、DPFと言っておりますけれども、これの考え方でございますけれども、基本的には、私どもとしましては、NOxもPMもなくなるような自動車が導入されることが望ましいわけでございますけれども、現下の厳しい状況考えますと、PMだけでも取るものがあればそれを促進すべきだという考え方でDPFの補助金を作ったところでございます。考え方といたしましては、十五年度、十六年度、二年程度で各年三万機ずつの導入を予定しておるというところでございます。  それで二番目に、トラック運送業界全体で環境対策にどのくらいのお金が掛かるのかというお問い合わせでございますが、まずNOx・PM法の対策のための費用についてお話を申し上げます。  NOx・PM法対策地域内において代替が必要となるトラックの数は四十万台というふうにトラック協会は試算しております。大型、中型、いろんな車種によって値段は違いますが、平均的に七百万円ぐらいというふうにして勘案いたしますと約二兆八千億円の費用が必要になるということでございます。  それから、一都三県の環境確保条例へ対応するためには、先ほど申し上げましたDPFなどの後付け装置が必要になるわけでございますが、これにつきましては、やはり全日本トラック協会の試算でございますが、一都三県におきまして六百四十億円、それから流入車について八百億円、合わせて千五百億円が必要であるというふうに試算されておるところでございます。
  94. 森本晃司

    ○森本晃司君 DPFなどの装置を補助する排出ガス減少装置購入補助制度が行われましたが、もう申請が殺到して予算額を上回り、急遽六月十一日に手続を打ち切っていると伺っています。一昨日、我が党の申入れで大臣が財源を捻出して対応していきたいと答えておられますが、今後の対処方針はどのようになっているのか。  また、この問題で東京都と国の二重規制による地域間の不公平感や先行きの不安感があり、当該事業者の間において混乱を来しているようでもあります。ディーゼル車排出ガス規制で事業環境条件の公平性を確保するために必要な平衡調整策を展開して、国の責任の下、政策のミスマッチを解消すべきではないかと、このように考えておりますが、いかがですか。
  95. 丸山博

    政府参考人丸山博君) まず、私ども用意いたしましたDPFの補助金四十億、今、先生指摘のとおり六月十一日で締め切りました点、それと今後どうするかという点についてお答え申し上げます。  四月の制度発足以来、二か月半で予算がなくなったということでございますけれども、このこと自体は政策として非常に有効であったというふうに私ども考えております。ただ、申込みが殺到いたしまして、予算がなくなったということで、緊急に実施すべき措置について、大臣の御指摘もございまして、検討を行ってきたところでございます。  具体的に申し上げますと、今年度四十億、DPFの補助金のために用意しておりましたが、他の予算から八億円、二割増し、合わせまして四十八億円の予算措置を取ったところでございます。ちなみに昨年度の予算額はわずかに一・五億円でございましたので、その予算に比べますと三十二倍、今年度予算に対しても二割増しということでございます。さらに、国による支援を上回る部分につきましては、現在、DPFを付けます事業者の負担が過大とならないように、全日本トラック協会などを始めといたしまして、関係団体における措置を検討をしておるところでございます。  それから二重規制、ミスマッチについてどういうふうにすべきかということでございます。  私ども、NOx・PM法の車種規制と申しますのは、大都市圏のこの非常に厳しい大気汚染の状況考えればやむにやまれぬものということで規制をお願いしておるものでございますけれども、全国において行うということにつきましては、非常に規制が過大になるということで、それからまた取締りも非常に難しいということで、平成十三年の法改正時には一部の地域に限ってやるということでやっておるところでございます。  一方、一都三県の東京都などの条例につきましては、NOx・PM法がNOxとPMと両方を対象としているのに対しまして、PMだけを対象といたしまして規制をする、さらにそこに使用の本拠を置く車だけではなくて流入車についても禁止する、言わばNOx・PM法の上乗せ規制のようなものであるというふうに認識しております。  私ども考え方といたしましては、特にこの地域につきましては大気汚染の状況が非常に厳しいということで、地方自治の趣旨にのっとって行われているという政策だというふうに考えております。ただ、そうは申し上げましても、事業者の方々に負担を掛けるということはこれは事実でございますので、私どもといたしましては、関係省庁と調整をいたしながら、税制上の優遇措置あるいは融資制度など講じまして、事業者の負担を軽くするような施策を講じてきたところでございます。
  96. 森本晃司

    ○森本晃司君 あるシンクタンクの調査、試算によりますと、これに対して強力な支援策がなかった場合に中小零細企業三千九百社前後が廃業になるんではないだろうかと、全輸送業者の七%が、そういう試算があります。また、これで一から二万人程度の雇用に影響するということでございます。これは、倒産に追い込まれる、廃業するのと、それから雇用が、失業する人が出てくるという問題等々考えますと、同時に輸送能力、これもこれからこういう状況でいくと下がってしまうんじゃないかと、産業社会への影響が物すごく懸念されるわけでございまして、今、そうでなくとも運送業界、これは運賃の低下、物流の減少でデフレ不況が深刻化していまして、非常に厳しい経営状況があります。現状の支援策を考えますと、車種が限定されたり事後的であったり、優遇措置も微々たるもので必要なトラックを代替できるレベルではない、金融環境が切迫している零細企業や個人企業者が利用しにくいと、こういうことになっているわけでございまして、多くの欠点があります。  こういう状況を踏まえて、輸送能力の低下を回避しながら環境問題の改善を図るには、一つは車両代替コストへの支援措置、それから助成措置、税制優遇、リース補助等々、それから融資円滑化への保証枠の拡大、融資がやっぱり大きな決め手にはなるかと思いますので、そこの保証枠の拡大、それから購入車両を所有権保留、それを担保とする融資制度、これは先般、骨太方針のときにも私はいろいろと話し合ったことがございますけれども、これ購入車両、これを担保としてやる制度等々考えるべきではないかと思うんです。  これは国土交通省だけではなしに、環境省も、さらに経済産業省の中小企業庁、それから国民金融公庫、政府系金融機関、こういったところがよく連携してグランドデザインを描けるようにして、政府一体となって取り組む連絡会議を設置すべきであると私は考えておりますが、この点についてどのように考えるのか、現状の実態をよく把握した上で、九九・九%中小企業の運送業界でありますので、血の通った、希望の持てる制度の拡充、充実を早急にすべきだと思っておりますが、いかがですか。
  97. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 今、先生の御指摘がございましたように、事業者の方からは様々な、本当に大変であるということからの要望あるいは案というようなものが寄せられているというふうに承知しております。  それで、関係省庁の連携でございますけれども、大都市の自動車に起因する大気汚染対策にかかわる諸問題、これ全体に総合的かつ緊密な連携を図ろうということで元々警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省から成る道路交通環境対策関係省庁連絡会議というものを設けておりまして、常時連絡を取っておりますほか、私自身も関係局長のところに随時参って連絡、相談をしております。  特に、目下の問題は、このディーゼル事業者に対する支援措置の拡充ということが非常に大きな問題でございます。この問題につきましても、私の方から経済産業省、国土交通省の方にも連絡を取り、またお願いもしということでやっておりまして、現在関係省庁との連絡の下に鋭意検討を進めているという状況にございます。
  98. 丸山博

    政府参考人丸山博君) ただいま環境庁の方からお話がありましたことについて補足をさせていただきます。  現在でも、私ども融資制度でございますとか、あるいは税制上の優遇措置、トラックの買換えが必要となりますNOx・PM法対策としてやっておるところでございます。ただ、昨今の非常に厳しい経済状況、今、先生からるる御指摘がございましたけれども、そういう中でトラック業界の中からも更に優遇された融資制度ができないのかと、例えば先生からお話がございましたトラックを担保にするような話ができないかというようなお話も承っておるところでございます。  それで、私ども今トラック業界から具体的な要望事項を聴取しておるところでございまして、その業界の要望を踏まえまして、関係省庁とも連携の上、トラック事業者の資金調達が円滑に行われますような支援策の充実に向けて検討を進めておるところでございます。
  99. 森本晃司

    ○森本晃司君 あと建設機械、この排ガスの問題もあるかと思います。建設産業も非常に厳しい状況に置かれております。建設機械抵当法、これを活用して新規購入の建設機械を担保に融資が実行できるように、法はあるけれどもなかなかそれはできない、これは実施できるようにすべきだと思いますが、金融庁の対応をお伺いして、終えさせていただきます。
  100. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 各金融機関の融資商品一つ一つにつきましては民間の経営判断でございますので、私どもから具体的な指図はできませんが、現実にそうして担保として提供できるような制度が用意されてありますものでございますれば、その貸付先の信用度によってこの担保を徴求した上で、もし健全な貸付先であれば積極的にそのニーズのあるところへは融資をしていただく、これは基本でございますので、金融機関として本当にニーズのあるところにはこうした制度も活用しながら円滑な資金供給をするようにという、こういう指導を今後ともしてまいりたいと思います。
  101. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  102. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  私は、いわゆる国道四十三号線、そして阪神高速道路三号神戸線、これが立体、並行して走っている尼崎道路公害問題について質問をしたいと思います。  つい最近、六月二十六日でございましたけれども、公害等調整委員会から尼崎市大気汚染被害防止のあっせん案が出され、原告と国土交通省、阪神高速道路公団の双方がこのあっせん案を受け入れました。  尼崎大気汚染公害訴訟は、御存じのように、今から十五年前の一九八八年に神戸地裁に提訴され、二〇〇〇年一月には損害賠償請求と自動車排気ガスの排出規制、つまり差止め請求を認める歴史的判決もありました。しかし、大阪高裁に控訴となって、それが、続いてその後二〇〇〇年の十二月の八日に和解が成立した経緯がございます。この和解から二年半が経過しました。大型車の交通量の削減は進まず、道路沿いの大気汚染は全く改善されないままで、尼崎公害患者の皆さんの苦しみは続いています。  そこで、私はそのあっせんについてまず確認をしたいと思いますが、道路局長の方に確認をさせていただきたいと思います。  まず、申請の内容なんですけれども、この申請内容にはこういうふうにうたわれています。  大阪高等裁判所での和解条項により実施した道路交通量調査に基づき、本件地域における大型車の交通量低減のため大型車の具体的削減目標を設定し、それに沿う大型車の規制施策や環境ロードプライシングなどの大型車削減方策を具体的に検討する等、和解条項を誠実に履行することを求めると。で、和解後、国土交通省及び阪神高速道路公団により一定の施策が実施され、国土交通省及び阪神高速道路公団は、これにより和解条項は履行されたと主張するのに対して、申請者ですね、これは尼崎の公害患者さん、家族ですが、その人たちは、大型車の交通の転換が図られていないことから和解条項の履行としては不十分であるとして、昨年の十月十五日に国、代表者国土交通大臣を相手にあっせん申請を行ったと。これが申請の内容でございますが、この点については、そのとおりでしょうか。
  103. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘のあっせんを求める趣旨という点につきまして、私どもも原告らがそのように御主張なさっていると認識しているところであります。
  104. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そこで、このあっせんの趣旨ですね、それについて、もう一度確認をさせていただきたいと思います。  このあっせんの趣旨は、「和解後二年半を経過したが、本件地域の汚染実態は、環境基準がなお未達成であるなど依然として改善されていない状況にある。」と言っています。あっせん委員としては、和解前文及び、二年半前ですね、和解条項の趣旨並びに和解条項の履行状況を勘案しつつ、当事者双方の意見を踏まえ、本あっせん申請事件の解決を図ることによって、申請人らと被申請人、これは国土交通ですね、和解当時の精神に立ち返り、相互の理解と協力によってより良い沿道の環境の実現に向けて努力していくことを期待してこのあっせんを行ったとうたっていますが、この趣旨でよろしいでしょうか。
  105. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) このあっせん案のあっせんの趣旨のとおり、申請人らと被申請人らが和解当時の精神に立ち返りまして相互の理解と協力によってより良い沿道環境の実現に向けて努力していく、こういうことを考えているところでございます。
  106. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そこで、和解当時の精神、この精神はもちろん生きていると思うんですが、これは、和解当時の、和解前文というのがございますが、その最後にこううたっていますね。当事者双方は、以上のような諸事情及び自動車排出ガス対策の一層の推進が必要であることを踏まえ、現段階で争いを止め、当事者双方が将来に向かってより良い沿道環境の実現を目指して互いに努力することが最も妥当な解決であるとの結論に達したと、これが精神とうたわれていますが、このことについては今もきちっと確認できるでしょうか。
  107. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まさしく、道路の供用に伴いまして沿道環境の改善を図る、これは大事なことだと認識しておりますし、今の御趣旨そのものを現在も引き続き努力すると、こういうことで考えております。
  108. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そこで、簡単ですけれども、今までの経過を確認をさせていただいて、あっせん事項の内容のポイントを、趣旨についての確認をさせていただきました。  そこで、公害等調整委員会のあっせん事項を受けまして、国土交通省の対応が本当に私は目をみはるように良くなったと言えるようになってほしいと私は思っています。  そこで、扇大臣は、このあっせん案の受託を受けて、今後どのような姿勢で臨まれるのか、基本的な姿勢で結構でございます。まず、お聞かせください。
  109. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 今、大沢議員がおっしゃいましたように、これは六月の二十六日、お互いに、公害等の調整委員会から尼崎の公害訴訟の和解に関するあっせん案、これが示されたものを我々は国土交通省として受け入れたという事実は、今、大沢議員がおっしゃったとおりでございまして、我々は、今後、これに関してどうあるべきかという、環境ロードプライシング、私も当時尼崎まで見に行きました。集音の舗装にするとか、樹木を植えるとか、いろんなことをして見てまいりましたけれども、現在もこのロードプライシングがまだ利用度が少ないということも含めまして、今後は少なくとも十分な効果が見られるように、我々は、このあっせん案で最も重要な公害対策改善というのは、もう先ほどから申しましたように、二十一世紀の私たちは課題でございますので、それを実行できるように、我々もバイパス等々の道路のネットワークの少なくとも整備、それから総合的な抜本的な環境対策というものを図っていくということに力を入れていきたいと思っております。
  110. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 非常に、あっせんを受けて、今までと違った私は姿勢を感じたのは一つです。  そこで、具体的にお伺いしたいと思うんですけれども、このあっせんの受託を至るまで、公害患者さんの皆さんは本当にいろいろと、もちろん気管支炎、ぜんそく、肺気腫、もう様々な病気が併発して苦しんでいらっしゃった。このままでは、こういう表現をしていましたね、百年河清を待つという言葉どおり、私たち原告患者が生きているうちには尼崎には青い空は取り戻せないんだろうかと、こういう表現をしておりました。そして、子供や孫に私たちと同じ苦しみを味わわせてはいけない、こういう表現もされています。いつぜんそくの発作が起きるか、呼吸が止まるという思いで、不安を抱きながら、酸素吸入をして日常生活を送っていらっしゃるという、そういう苦しみは私は早く取り除いていただきたいと、そのことをもう強く最初に申し上げておきたいと思います。  そして、私、国土交通省と阪神道路公団は、現実に尼崎での大型車の交通量がどのように削減され、その結果この大気汚染がどのように改善されるのか、具体的な私は数値目標、そしてその達成目標を私は明らかにすることが、今のこの人たちに安心というんですか、不安を取り除く大きな課題であると思うんですね。だけれども、そのことは今まだやられていないからあっせん案が出されたわけですけれども、ですから、私は、政治そして私たち国会も含めてですけれども、公害患者さん、その患者の家族に対して、この声にどうこたえていくか、正面から問われているように思うんですね。  公共事業など社会資本の問題で、ここでも論議がたくさんされてきたわけですけれども、そういうところには数値目標を入れて、これからアウトカム、成果目標の達成はどうするかということを盛んに今まで宣伝もしていますし、そのことをやるんだということで約束をされてきているわけですけれども。  私は、環境対策、特にこういう形で、非常に苦しんでいる人の中で裁判が和解になって、あっせん案がまた更に出されたという、こういう状況の環境対策に対して、私は、具体的なやはり数値目標といいますか、政策目標、達成期間といいますか、それをやっぱり明らかにしてこの問題に取り組んでいただきたいというのが一番大きな課題ではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  111. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まず、先生、第一に現況の把握といいますか、それと実は交通量の調査などにつきましても、平成十三年の二月から五月にかけて交通量調査を行ったりもしてきておりますが、今回のあっせんで示された事業所を対象としまして、更に大型車の運行実態、こういったものを追加調査を行いまして、まず現実をしっかり把握する。そして、警察庁等と連携しながら大型車の交通規制の可否、こうした問題も追加的に検討をしていくということが大変大事なことだろうと思います。  それから、目標数字と、こういうことでございますが、総合的な対策と、こういう意味で実は環境施設帯を御協力いただけるところから取得させていただくとか、あるいはまたNOx・PM法の施行などもあるわけでございますが、そうした総合的な効果を、現状しっかり把握した上で総合的な方向を図りながら、きっちりと関係省庁で連携しながら把握していく、こういうことも必要かと思います。そうした努力を、私どももむしろ中心になりまして引き続き大いに努力して、できるだけ先生指摘のような環境の数値的なもの、これはミクロな、非常にミクロな部分もございますのでなかなか難しいところはあるかとは思いますが、そうした取組を進めてまいりたいと思っております。
  112. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 総合的な対策という表現でまとめてしまえば、もちろんこれは大事なことなんですが、やはり具体的に数字が今示せないということですが、これから示していただけるような対策を作っていただきたいと思うんですね。  そこで、もう一つ数字的な問題で具体的な問題をお聞きしたいと思うんですけれども、和解条項の中には、阪神高速道路三号神戸線、あの四十三号線の上を走っているわけですが、ここに走っている車両を五号線の湾岸、海の方に、そこへ回すという表現なんですが、それに料金に格差を設ける、環境ロードプライシングを早期に試行的に実施するというのがございますね。私は、そこがやられていたならば、この二年半でも相当交通量を削減することができたのではないかと思うんですが。  そこで、やられた内容を今までもお聞きしていますが、その点を指摘しますと、その内容は、何と阪神高速、今言った三号神戸線から海の方の湾岸線に乗り換えても、大型車では千円の料金が二割引、これはETC、今の問題、ETCだけの車なんですが、二百円安くなるだけという料金格差になっているわけですが、ほとんど大型車、私も統計ずっと調査しているのを見ましたら、一日七万台、八万台、ずっと走っているわけですが、大型車、そのうち含む量の割合というのは、やっぱり二五%ぐらいが大型車なんですね。それはやっぱり減ってないわけですね。だから、千円の料金を二百円減らして八百円では迂回しないという実態がもうここに表れてきているわけですから、これをどうするかということになると思うんですが。  だから、私は、阪神高速道路公団の枠の中というんですか、財布の中というのか、そこの中だけでロードプライシングをやろうと思っても、私は効果がないということは、もうこの二年半で実験できたと思うんですね。ですから、これを具体的に、この和解条項を誠実に実施していますというのがこの程度だと思うんですが、やはり今望んでいるのはそれだけじゃないんだと。目に見える形でその大型車の車両の削減をしてほしいと、そのことをあっせん案はまた提起をされたわけですから、この点を思い切って、私は充実が求められると思うんです。  その点について、先ほどからETCの料金の問題、そしていわゆる高速道路料金の問題も出ていましたけれども、もちろん全体的なそういう一般車両もそうですし、ここは公害で裁判でもこういう指摘を受けた場所であるだけに、私は思い切った、充実という言葉を大臣も言われましたけれども、抜本的という表現もされました。そこに踏み込んでいかない限り解決できないと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生が御指摘のように、平成十三年十一月からのロードプライシング、通常千円のところを八百円、こういう形で、ETC車両に関しまして阪神西線、東線の通し通行という大型車に対して割引をさせていただいたと。利用台数が現在で三百四十台、こういうことでございますので、まだまだこれからETCの普及も含めて努力してまいる必要があると、こう考えております。  それから、先ほど来のお話の、より抜本的な、もっと本格的にロードプライシングができないか、こういう御指摘でございました。ここについては二点申し上げたいと思います。  一つは、今度、社会実験、有料道路に関する弾力的な料金在り方の社会的実験を行いたいと、こういうことで地方公共団体からも公募をいたしております。この十五日までの申込みの内容の中には、兵庫県からも阪神高速湾岸線を中心としまして社会実験という形で御相談が上がってきているところであります。具体的にどのぐらいの割引内容で、あるいは時間帯をどういうふうにするか、あるいは期間をどうするか、この辺は具体的な相談をこれから兵庫県ともやってまいりたいと思いますが、今までのロードプライシングよりはもう一歩進んだ形で実行してまいりたいと、こんなふうに思っております。  それから、もう一つ大切なことは、恐らく、先ほど申し上げましたが、四十三号沿道の事業所が、やっぱり非常にそこに足を持つ、トリップが、交通が多いということがございます。そういう点から申し上げますと、今度は湾岸線への誘導とともに、大型車を四十三号の内側車線といいますか、に誘導するというふうな規制措置もどのぐらい有効かとか、先ほど申し上げましたような総合的な形でということで、併せて両方の施策を一緒にやりながら考えてまいりたいと思っております。
  114. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 それで、私も今日の日本経済新聞を見させていただいて、ここに一覧表がずっと、二十路線ですか、全国的な高速有料道路の割引の実験という形で出されていますので、そこで兵庫県の阪神高速道路湾岸線ということで書いてあります。  そこには、大型車を割引、時期については未定ということで、すべて大体期間は分かっているのに、ここだけが未定になっていますね。ですから、私は、大型車ということに書いてあるということは、やはりこの公害問題とリンクしているのではないかなという期待も持っていますし、そうでなければならないと思っていますが、この未定という数字は、今折衝しているということですが、どれぐらいで明らかになりますか。
  115. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 実は、先生、多分ごらんいただいているのを私ここに持っていますが、ごらんいただいている新聞記事は、こういうふうにやっていきましょうというお互いの調整結果ではなくて、それぞれの公共団体がこういうことがやりたいということで御要望なさって、御提案なさってみえているのをおまとめになられたのかなと思っております。これはそれぞれ、私どもこれから一緒に検討しながら内容を詰めていくと、いずれもいうことにしております。  特にこの阪神高速につきましては、兵庫県の方でも、まずとにかく今回のあっせん案もこれありで、積極的に県の負担もやりますということでお申出をいただいていると、こういう状態でございますので、具体的には、県の方の予算の措置等も、見込みも御検討いただきながら、できるだけ早くに詰めてまいりたいとは思っております。何分、今度の十五日までに要望いただいた分を多分まとめて出していただいているという状態でございますので、内容的にはできるだけ早く詰めたいと思っております。
  116. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 兵庫県も非常に裁判結果だけに基づいてということじゃなくて、やはりあそこの地域の環境改善という形で取り組んでおられると思うんですけれども、私は、やはり国土交通省が和解勧告を受けて、あっせんを受けてこの二年半やったけれどもできなかったという反省の上に立って、やはり目標というんですか、先ほども繰り返していますが、そういう政策目標をしっかり持つことによって、そこまで行くためにはどうしていくかというのが大事だと思うんです。それが、兵庫県も頑張る、尼崎ももちろん努力すると、そして皆さんが一番、道路管理者ですから、責任者ですから、皆さんが中心になってこのことを進めることが大事だと思うので、だから今、二割引きで駄目だったと。そうしたら、どうすればこれが改善できるかというところの提示がやはり必要だと思うんですね。  私はそれを望みたいと思うんですが、私は今日皆さんのところにちょっと写真をお配りさせていただきたいんですけれども。(資料配付)全部にありませんので、申し訳ありません、大臣委員長と、ほかの方にちょっと回覧をさせていただきたいんです。  先日、この四十三号線のど真ん中ですが、ちょうど横断歩道があるところなんです。非常に改善されたところと全く改善されていないところと、もちろんございます。私は、この中央分離帯のところに、歩道のあるところなんですが、横断歩道のあるところなんですが、本当に手でこすっても、これはちょっとやそっとで、洗ってもすぐ取れないぐらいのいわゆる粒子ですね、こういう形での汚染が数十年間へばり付いているという実態なんですが、ここで気管支にこれを吸い込んで、そしてぜんそくを発作しているというのが現実の実態であるということはよく御存じだと思いますが。  そこで、私は、今回のあっせんの中で非常に注目をしましたのは、調査の目的がきちっと書いてあるわけですね、項目も。ここまであっせんをしてくださったのかという私は思いをしたんですが、それだけ今までがやられていなかったということになると思うんですが、確かに国土交通省は以前に調査はしたようでございますけれども、今度の調査の目的は大型車の交通量低減のための施策ということで、はっきりうたわれているわけです。調査内容もうたわれています。  ですから、国土交通省がこのあっせんを受けて調査を開始されるわけですが、直ちに入っていただきたいわけですが、その調査を、また長引いて長引いてその対策がなかなかできないということでは、私はその人たちの期待にもこたえられないし、このあっせんに応じる内容にはならないと思いますので、そこのところ、調査の開始をすぐやって、その調査機関が大体どれぐらいたってそれを分析して、対策を講じて、本当にこれでよくなりますよということを患者さんやその家族に示せるのは大体いつごろなのか、一定の見通しをお聞かせいただけませんか。
  117. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘のように、今回のあっせん事項の中で大型車の交通量低減のための総合的な調査の実施、こういうものが盛り込まれておるわけであります。この調査準備に当たりましては、連絡会を通じまして原告団の方々意見も聞きながら、警察等関係機関と調整を行った上で実施することが重要だと考えております。また、調査の過程におきましても、運輸関係の事業所の意向調査、こうしたことも必要かと思いますので、確実に成果が得られるような手続も必要だと考えてはおります。  そうしたことを通じて考えますと、調査の実施に掛かる期間、これが二年も三年も掛かっていてはいかぬ、こういうことだとは思います。それから、現在のところいつまでに、これはそれぞれの関係機関と、あるいはまた原告団の皆様御自身とも調査内容等についても打合せしながら進める、こういうことでありますので、いつまでにということは明確に申し上げられる段階ではないと思いますが、できる限り早く円滑に進めてまいりたい、そのように思っております。  この調査の結果につきましては、あっせんに示された大型車の交通規制の可否の追加的検討について警察庁へ要請するなり、あるいは環境ロードプライシング、先ほどの兵庫県と一緒になって一層の充実を図る、あるいはまたトラックの事業者の皆様に効率的な迂回要請、こうしたことも必要になってくるかなと思っておりまして、こうしたことに活用しながら、関連する環境対策を検討する際の参考として十分に活用する、こういうことだと思っておりますので、できるだけ早くと、そんなふうに思っております。
  118. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 期限は明確にできないということなんです。確かに段取り、準備が要るわけですから、大変な作業だと思う。でも皆さんはプロですからね。今までも十三年度にやっているわけです、調査。だけれども、今度は事業所の調査も入ります、内容をどうするかという患者さんとの打合せもあります。ですから、大変だということは分かりますけれども、皆さんは今までそういう調査というのは繰り返しやってきたわけですから、手順も分かっているし、内容も大体分かっていますし、どれぐらい掛かればこれはやれるということが、私はプロとして把握されていると思うんですが。  二年半、言ったら私は放置していたということを言いたいと思うんですが、今度はもちろん二年半掛かることはあり得ないことですし、あってはならないんですけれども、半年でやるとか、一年以内にはやって対策を講じる案を出せるとか、やはりそういう目標を持たないと何のためのあっせんだったかということになりますから、その辺もう一度、局長としての答弁をいただきたいと思います。
  119. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先ほども申し上げましたが、こうした調査に二年も三年も掛ける、こういうことではないと思っております。  そこで、いつまでか、明確にいつまでと、こういうことを今申し上げられる段階ではございませんが、少なくとも現地におきましては、ああ、一生懸命やっていてくれるな、そんなに打合せしろと言われても大変ですよと、受けていただく住民の皆様や工場の皆様やいろんな皆様が、かえってそんなペース、そんな早過ぎるんじゃないかぐらいのペースでやっていきたいと、そういうふうに思っております。
  120. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 局長、苦しい最後の一言だと思うんですが、一生懸命やっているという姿が患者さんに見えるような形でやっていただきたいということを強く申し上げて、大臣最後にこの問題について、最初に私は非常にあっせんを受けての変化というのはあったように答弁で感じましたけれども最後に一言、患者さんの皆さんに答える形でお願いします。
  121. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 今、大沢議員がおっしゃいましたように、これはあっせん項目が七項目ございます。時間もありますでしょうから七項目全部私がもう一度申し上げるのは、もう大沢議員御承知のとおりでございますから、その七項目一つずつ、我々ができること、また地元がしていただかなければならないこと、あるいはその中で事業者の運行経路の選択もこれもありということで、我々できることは、少なくとも私はロードプライシング、今おっしゃったように、二百円引いても余り効果が出ていないじゃないかと大沢議員も御指摘になりましたけれども、私は、そのためのロードプライシングを作って、全国的にも、私はこのロードプライシングを利用していただくということは、他の地域に対しても、大変私は今後環境問題にとってはいい案としてロードプライシング方式というものが目に見えて使っていただけるということが大変いいと思うんですけれども、今おっしゃったように、果たして二百円を引いたことによって効果が思ったほど上がっていないというのも私は実感として感じております。  けれども、その辺で何か、このあっせんの七項目一つずつ、私は担当者等と、また地元の皆さんの御要望も踏まえて、今後どう対処していくか、期間はいつまでであるかというようなことも含めて、私はこれが二十一世紀の環境の大きな基本になると思っておりますので、総合的に調整していくというのが大きな役割だと思っています。
  122. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 やはり道路管理者の監督、担当責任者としての国土交通省の役割を私はこの問題についてはしかと遂行していただきたいということを強く申し上げて、あと一点だけ、別の問題ですが質問をさせていただきたいと思います。申し訳ありません。  今、ディーゼル車の問題で今質問もあったんですが、この問題で、大体お聞きになられましたので、ちょっと角度を変えて一点か二点、お聞きしたいと思うんですが。  もうこの問題については、今法律が実施されるに当たってディーゼル車の排気規制が始まるわけですけれども、この規制が本当に効果があるようにするためにどうするかということで、今取組が、それぞれの業者もやっていらっしゃるし、環境庁も、それぞれの庁省、国土交通省も対応しているわけですが、特に国土交通省で後付け装置、そして予算の問題も今言われましたけれども、大体四十万円から一台について百万ぐらい掛かるということですが、その四分の一補助で国の施策として今年度四十億を組まれて、それが不足して八億追加しようとしているわけですが、まとめてお聞きしたいと思うんですが、今この規制の対象になるディーゼル車両は全国でどれぐらいになるのかという数字、そしてこの四十億に不足した分で、十億、六十億にしたいという申込み、六十億に相当する分が申込みあったと、その二十億をどうするかということに対して衆議院での審議の中で、吉村副大臣だったでしょうか、新たに八億、今も局長がおっしゃり、八億円は組みたいと、業界に要請をしたいという、吉村大臣は十二億円ほど業界に要請をしたいということをおっしゃいましたが、その点について確認をさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  123. 丸山博

    政府参考人丸山博君) 東京都を始めといたします一都三県条例、先ほども申し上げましたように、PMについて規制をやるわけでございますが、その車両、どのくらいあるかということでございますけれども、全国で見ますと五百万台でございます。そこの中で新車登録してから七年以上経過しておるもの、それから一都三県に入ってくるものというものが規制の対象となるというふうに認識、母集団は五百万台ということでございます。  それから、予算の八億円は国費で措置して、その先をどうするかということについてお話がございましたが、業界に要請しておりますのは十二億ということで決めて要請しておるわけではございません。ちょっとそこら辺は非常にあいまいになっておりまして、実は二つ留意しなければいけない点がございます。  一つは、この制度が非常にある意味効果があったということで申込みも殺到しておりますし、メーカーに生産といいますか注文も殺到しているわけでございます。ただ、これは未来永劫売れるようなものではございませんので、メーカーも急に言われても急に増産ができないというようなことがございます。したがいまして、補助金を付けただけでは、お金を付けたけれども物は付かないというような状況が出てくる可能性がございます。  それから、業界団体自身が、とりあえず緊急的に国が八億円出して、その先を肩代わりというと非常に語弊がございますけれども、措置をいたしますが、基本的には補正で対応してほしいと、こういうふうに言っておりますので、そういう生産状況でございますが、業界の要望も踏まえながら、国費を超える部分については検討していきたいというふうに考えております。
  124. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 今、結果として六十億円の予算が今年度得るとしても、私は台数にして四万五千台ぐらいの後付け装置の予算にしかならないと思うんですが、数字的には。今も言われたメーカーの生産が追い付かないのではないかという、十月までに間に合わない可能性が高いという趣旨も言われたわけですが、そうしたらトラック業者の皆さんは後付け装置を付けたいと思っているけれども、メーカーの生産が間に合わないという場合、そして車が走れなくなるというんで、私も兵庫県の方にお聞きして、十五台トラックを持っているんだけれども、ほとんどが東京に仕事に行っていると。そうすれば使えなくなるんだということで、今買換えをしようということで融資を申し込んだけれども、それも十分に受けられないという実態の中で、本当に八方ふさがりになりそうなんですね。  ですから、多くの皆さんがそのことに苦労されている。だけれども、環境対策はきちっとやらないといけないことは私たち分かっています。だけれども国土交通省として六十億の予算を対応したいというけれども、それでは間に合わないという、じゃ、これをどうするのかというこれからの見通しについてお伺いいたします。
  125. 丸山博

    政府参考人丸山博君) 非常に難しい問題で、一刀両断にこうだというふうにお答えするのは難しいところでございますけれども、基本的になぜこれほどDPFに殺到したかということを考えてみますと、本来ならばNOx・PM法に基づきまして買い換えようと思っていたけれども、昨今の経済情勢が非常に厳しいということで、買換えを延期して、その間DPFを付けることによってしのごうというような形で増えてきた部分もあると思っています。  我々、当初四十億の予算を付けましたときに、二年間にわたりまして三万台ずつ、六万機二年間にわたって付けるという想定で予算を組ませていただきました。ただ、今申し上げましたように、本年度に入りまして景気が低迷しておるということで、買換えよりもDPFで二年間だけしのごうとか、あるいは地方の補助制度もかなり充実しておりますので、補助をもらえるうちに付けてしまおうというような動き、それから全国で低硫黄軽油の導入が進んできたと、そういうことがあって需要が高まったというふうに思っております。  それで、私どもとしましては、今申し上げましたように、DPFにつきましては国の部分を膨らませて、更に足りない部分は業界団体の支援をお願いして、なるべくスムーズに導入が進むようにしていきたいというふうに考えております。  それから、買換えの部分につきましては基本的には融資が中心になるわけでございますけれども、私どももこれまで税制でございますとか融資制度につきましていろいろ工夫をしてきたつもりではございますけれども、更に現今の厳しい状況の中で、そういう厳しい状況をにらんだ更なる融資制度を考えてくれないかと、こういうお話も承っております。  したがいまして、今業界からいろいろお話を承っておるところでございますので、その承りましたお話を踏まえまして、関係省庁とも相談の上、新しい融資制度、より有利な融資制度ができないか検討を進めておるところでございます。
  126. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 最後に。確かにもう不況で買換えできないという実態は本当にあります。  そこで、大臣最後、やはりこの問題は経済産業省、そして地方自治体も頑張ってくださっているんですが、その辺の連携が必要ではないかと。もちろん環境庁もですけれども、必要でないかということは大臣もよく把握されていると思いますが、私はやはりメーカー、自動車メーカーにも大きな役割を負っていただきたいと思うわけです。  特にNOx、PM、双方を除去する後付け装置の開発、そういうものの働き掛けをやって、低公害の車種の開発などを求めて、私は国交省としてはリーダー、柱になってこの問題を解決していただきたいということを申し上げて、一言、大臣の御見解をお聞きして終わりたいと思います。
  127. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 環境問題は一言で片付かないと思いますけれども、少なくとも私は、国土交通省として、自動車から排出されております窒素酸化物の約七割、それから粒子状物質の約八割を占めている大形ディーゼル車の排出ガス対策が最重要と考えておりますので、関係省庁、地方自治団体、そして住民の皆さん方と連携しながら二十一世紀型の環境に対応していきたいと思っています。
  128. 大江康弘

    ○大江康弘君 国会改革連絡会の大江でございます。  大沢先生がこんなに早く終わられるということはもう本当にすごい決断であったと思います。その気持ちを私も体しまして、終わるスピードを加速してみたいなと、こんなふうに思っております。  そこで、これ、今回もう最後になるかなという感じがするわけであります。国土交通省関係といいますと、もう本当に一歩家を外へ出たらすべてが関係すると、家におったって、例えば地震が起こった場合、家どうなるかということも、もう本当にどこにいたって国土交通省、関係のところがないぐらいの、そういう大変な実はやっぱり国交省というのは責任を果たしていただいておるんだなということを感じます。  今朝ほど来から先輩の先生方のいろんな御意見も聞きながらも、また今常会のいろいろ振り返ってみましても、本当に実りのあるような議論であったかというふうにも思うわけですけれども一つ残念なのは、埼玉県の知事が実はお辞めになられました。委員長、埼玉ですのであれですけれども委員長、どうぞ知事選なんか行くなんて言わぬと、ずっとこっちでおっていただきたいなと思うわけですけれども、これは余計なことですけれども、そういう思いだけは伝えておきたいと思いますが。やはり応援します、委員長だったら。  この不正の温床といいますか、いろいろと起こってくる問題の温床というのはやっぱり公共事業というものに結び付いていっておるということで非常に残念なわけなんですけれども、まず大臣、第一点、埼玉の知事さんのことは国の公共事業とは関係ありませんが、全般に公共事業というようなことの中で過去にもいろいろありました。やっぱりこういうことの感想をちょっと大臣に聞かせていただけませんか、いわゆる公共事業がこういういろんな不正の温床になっているという部分について。
  129. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 大江議員に今国会有意義な議論ができたと言っていただいて、心からこれも感謝申し上げたいと思います。十五本の法案を皆さんに御協力いただいて通せたことも改めて感謝の対象でございまして、御礼を申し上げる。  ただし、今お話ございましたように、委員会の審議は審議として、世間にはまだ公共事業の問題が後を絶たない。このことに関しては私も頭の痛い問題でございますし、またこういうことが二度とないようにということで、委員会の皆さんの御協力をいただきまして、少なくとも公共工事の入札と契約に関する適正化法というものを一昨々年に出させていただいて、そしてこれは全会一致で通していただいたということも私は大きな成果であったと思いますけれども、残念ながらまだこの法案の周知徹底が、都道府県までは一応行ったと思います、市町村まで行っておりません。  それが私は今心残りで残念だなと思っておりますけれども、私は、今後これらの公共工事の入札と契約をめぐります不祥事、それが少なくとも私はこの法案を通していただいた後起こっていないようにと、いつも国土交通省でみんなに気を引き締めて、市町村まで行き渡って、なぜかといいますと、この公共工事の入札と契約に関する適正化法、我が国で初めてできた公共工事の公正さを担保する大きな法案でございましたけれども、少なくとも今、十四年度でどこまでこの法案を遵守しているかというフォローアップの調査に入っております。  これが間もなく出てくると思いますけれども、少なくとも私は、この法案の中には電子入札制度というものを明記してございます。これで公共工事の不正も電子入札で私は防げる大きな要因の一つであろう、また各都市においてはもう既に電子入札を実行していらっしゃるところもございます。これも明快に分かってまいりました。  それから、十五年度からすべての直轄工事では既に国土交通省は電子入札、実施しております。また二つ目には、予定価格の事前公表、もう価格を事前に公表して談合のしようがないというところもあります。ただ、これは一つ欠点がございまして、事前公表することによって積算計算の価格というものを積み上げ方式にしないで、やっぱり手抜きをする業者がいるのではないかと、事前公表することによってですね。  ですから、その辺のところは私は注意すればいいことであって、少なくとも今、大江議員がおっしゃいましたように、公共工事というものは国民の税金で賄うものでございますから、その原点に立って、こういう記事が後を絶たなかったり、事件が後を絶たないということだけは、この法案のより実効を徹底せしめるということが大事だと思っています。
  130. 大江康弘

    ○大江康弘君 ありがとうございます、大臣。  私は、なぜこういうことをお聞きするかといいますと、私も地方の出身として、公共事業の必要性、重要性をずっと言ってきたんですね。今朝ほど藤井総裁が来られて、整理整とんだとか、何か小学校へ今日は授業でも受けに来たのかなというような、そんな言葉もありました。  しかし、私は、残念に思うということは、結局こういうことで政治家が、政治家不信になるというのは、これは我々が甘んじて受けたらいいんです、そういう批判というのは。しかし、こういうことだとか、例えば今の道路公団内部対立の中で、何か国民が受けるイメージというのは、今言いましたように、公共工事を通じてこういう不正が起こるということになれば、すぐどういう議論になるかといえば、公共工事は悪だとか、いわゆる公共工事不要論だとかという、やっぱりこういう一つの世論というものが形成をされていくという。  だから、政治家不信というのは我々特定少数が受けたらいい話になるんですけれども、やっぱり公共工事というのは全国それぞれまだやらなければいけないところがある、まだ必要なところがある。そういう中で、我々とすれば、例えば道路公団の私は民営化の問題にしても、議論を聞いておりますと、この委員会の中ではほとんどはやっぱりしっかりやれと、まだ国が責任を持ってやれという声が私は多いように思うんです。私自身もその立場の一人でありますから。  ですから、公団が、それはマスコミという問題もあるんでしょうけれども、ああいう形で何か内部で告発されて、ああいうことがほんまに載っているという。また、藤井総裁を見ておったら、まあ、あのぐらいの馬力がなければこれはやっぱり道路ができていかぬのだなというぐらい馬力の良さがつい画面に出ると、やっぱりどうしても、今は映像社会ですから、あれを見たときにどっちが悪いかということになれば、やっぱり悪いというのか、そういうイメージが与えられてしまうと。  そうなってきたときに、せっかく我々は道路公団というものをしっかりというふうに応援しようという立場の者にあってみても、しかし世論がそういうふうにならなかった場合に、そしてそういう世論が形成をされて、今言いましたように、やっぱりそういう政治家のいろんな不正の温床というものが公共事業の中で作られていくということになって、そして公共事業が悪だというような、そういうせっかく積み重ねてきたことが、積み木が音を立てて崩れていくようなことにという、非常に私はそういうことが残念だなと。同時に、これは私も含めてこれは気を付けないかぬなということにつながっていくわけなんですけれども。少し話がずれました。  それだけに、大臣、もう一度私は、公共事業在り方、これからやはり、後ほどちょっと政策評価のところで聞きますけれども大臣がいつも言われるように、先般も池口先生ですかね、百年のデザインというか、本当に夢を持って国交省に入ってこられた若い人たちが、国の、日本国の百年がどうあるべきかというグランドデザインを夢を持ってかかれたと。それに対して我々政治家はどうこたえていく、あるいは国民がそれをどう理解するというような、そういう片っ方ですばらしいことがありながらも、片っ方で一つ一つ事業を進めていく中でこんなことがまた、枝葉末節でありますけれども、枝葉でありますけれども起こっていって、そういう枝葉末節の小さいことの方が何か世論がどっと大きくなっていくという、誠に残念な部分もあるんですけれども。  もう一度大臣に、この公共事業という、やはり進めていかなければいけないという一つの義務感、いわゆるやらなければいけないという責任感の上に立って、国交省として、やっぱり一番公共事業を抱えておる立場の所管のトップとしてどういうふうに思われておるか、もう一度聞かせてください。
  131. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 大江議員がおっしゃいますように、私、終戦のときにはまだ小学生でございました、もういい年になりましたけれども。日本が今日までこれほど世界に伍していける国になる、経済大国第二位だと言われたり、そういうことができる、その中の基本的なものは、私は、多くの国民が税金を何のために払っているのかと。我々は一生懸命汗水垂らして働いているけれども、その汗水、働いた中から税金を納めるというのは何のためなのか。それは、我々国民全部が、日本の国の住みやすい、そして自分たちが安心して住める、そしていかに多くの皆さん方が利便性を図って、国の経済の発展に寄与するという、私はその基本が社会資本整備だと思っています。  ですから、私は、社会資本整備が、日本の国が、国民がもうこれでいいですよ、これで十分ですと、あとはもうバリアフリーとか環境だけに使っていただいて、あと社会資本整備はもうこれで十分です、道路も、それから鉄道も飛行機も、あらゆるところ、港も含めて、全部これでもう十分ですとおっしゃるのなら私は別だと思うんですね。  欧米先進国に比べて社会資本整備の充実率はまだまだ日本は先進国とは言えない状況にある、それが私、現実だと思います。それが陸海空含めて国土交通省の所管の中で、今お手元に供していただきました百年のデザインという若者が作ったものが、二十一世紀の終わりに日本はこういう国になりますよ、港からも空港からも道路へあるいは鉄道に直結するのが十分以内ですよ、効率のある経済効果と、あるいは物流コストを下げるということで国際社会に生き抜いていきますよというものを見せて、そのためにはどこから手を付けて、どこに予算を集中するか、その選択方法が私は縦割りであったという反省の中から国土交通省ができたわけでございますから、私はそういう意味で、社会資本整備で、いただいた税金を無駄なく、なおかつ国威の発揚と国民の生活の安定と安心と前進のために使うということで、その選択の方法が、官がするか、あるいは民がするか、あるいは地域がするか、その私は選択の境目が今二十一世紀の初頭であると思っております。  ですから、二十一世紀の最後のデザインをお見せして、どこから手を付けるか、どういう配分をしていくか。税収もだんだん少なくなっています。けれども、その中でも私たちは先を見て、少しでも希望の持てるような選択を、国と地方と国民と一体になって調和して、ない財源の中からでも効率よく使う、無駄を省くということで私たちは今、誠意、努力しているというのが今でございます。
  132. 大江康弘

    ○大江康弘君 ありがとうございました。  そこで、今、三位一体が進んでいこうとしておるという、これはいろいろとまだ議論もあるところではありまして、方向性が固まったということでありますけれども、今朝ほど新聞を見ておりましたら、公共事業の関係費のいわゆる補助金の一割削減に加えて、直轄事業も三%を削減する、だから全体で七%削減するというようなことも出ておりましたんですけれども、これは時代の流れの中で致し方ない部分もあるわけですけれども。  去年の四月に行政評価法ができました。今日は河崎統括官にお越しをいただいて、ちょっと聞かせていただきたいんですが、いわゆる行政評価法ができて、政策評価をする。これは、自分のところを自分で評価をするわけですから、なかなか国民の皆さんにとってみたら、どれだけ公共事業というものが理解をしてくれるのかなと、自分で自分を評価する自己裁定の部分でありますから。しかし、昨年は幾つか事業も中止もされて、そういう一つの国交省としての、これは各省全般ですけれども、国交省としてはそういう一つ方向も出された。  しかし、今私が大臣にお聞かせをいただいた中で申し上げましたように、いわゆる公共事業の必要性の中で、国民がそれを理解してという、そういうことを更に進めていく中で、もうそろそろ来年度の予算編成という形の中で概算要求という方向にもこれ時期的になっていくと思うんですけれども、いわゆる政策評価というものの中で、来年の予算の編成というものにどう生かしていくのか、そこらをちょっとお考えがあれば、統括官、聞かせていただきたいと思います。
  133. 河崎広二

    政府参考人河崎広二君) 政策評価の関連でございますが、私どもの評価制度というのを前段で概要をちょっと述べさせていただきますけれども、まず施策自体を評価する政策評価という評価と、それから個別の事業箇所、個別の事業箇所がいいのか悪いのかというようなことを評価する個別公共事業等評価という二つの大きな項目になっておりまして、まず政策評価というやつについて申し上げますと、省庁再編を機に三つの方式から成る政策評価システムを導入いたしております。  一つは、新規施策を導入するに当たって、事前評価として、その施策の必要性あるいは有効性、効率性をチェックする政策アセスメントということをやっております。これは、平成十三年度、十四年度と実施しておりまして、十四年度でいいますと四十九件の新規施策について実施をいたしております。  それから、国土交通省のいわゆるアウトカム的な政策目標を設定いたしまして、それを達成するための具体的な指標、これをあらかじめ明示しておきまして、その指標の動向を見て、その達成度を事後的にチェックする、事後評価でございますが、政策チェックアップという評価がございます。これにつきましては、十四年度分の評価が最初の評価でございまして、実は先般取りまとめたところでございます。  それから、もう一つは、現在実施中のいろんな施策の中で、特に国民の皆さんの関心の高いといったような形で特定のテーマを選びまして、総合的にかつ詳細な分析の下に効果の検証等を行う政策レビュー、プログラム評価という言い方もしておりますが、そういう項目がございまして、これは十四年度におきまして、これも初めてでございましたが、ダム事業とかあるいはリゾート地域の整備といった十一テーマを実施をいたしたところでございます。  一方、個別の公共事業の評価でございますが、これにつきましては、個別の公共事業につきまして新規事業採択時の評価、それから再評価ということで、事業採択後五年間未着手であるような事業、あるいは採択後十年を経過してまだ継続しているというような事業、そういったものを評価をするという仕組みでございますが、これらは旧省庁時代の平成十年度から実施をいたしておりまして、今、先生からもちょっと御指摘がありましたけれども、再評価の結果の中で、平成十年から平成十四年度までの五年間で九千六百六件の再評価を実施いたしまして、その中で事業中止というのを二百六十八件、そういった形で処理をしたと。平成十四年度につきましても三十八件の中止というふうな形の見直しを行ったということでございます。  さらに、個別公共事業については、これから更に評価制度を充実していくという観点から、今年度から、事業完了後、一体その公共事業はどういう効果があったのかということをやっぱり事後的にも検証していく必要があるだろうというようなことで、完了後五年以内の事業につきまして事後評価、完了後評価というものを新たに今年度から本格的に実施をしようというふうな形にしたわけでございます。  このように、我々国土交通省におきましては、国土交通省発足前の旧省庁時代から政策評価に積極的に取り組んできたところでございます。今後も、評価手法の改善というのはまだまだいろいろ努力しなきゃいけない点もございますし、それは外部の方々から的確に批判をしていかなきゃならないということでございます。  先ほど事後評価であるということについて御指摘があったわけでございますが、たまたま今度の行政評価法に基づく政策評価というのは各府省が自らその政策について評価を行うという事後評価の仕組みになっております。それはどういう趣旨かといいますと、やはり関連する府省が自ら評価して、その結果を新たな企画立案や政策の実施に反映させていく、それを通じて必要に応じて政策の改善、見直しにつなげていくという、いわゆる成果重視の新しい行政マネジメント確立につなげていく、そういった趣旨で実は事後評価ということに大きな意義を見いだしているというところでございます。  ただ、問題は、事後評価によって甘くなってはいけないというふうなことがございまして、実はそれぞれの、具体的に、個別には申し上げませんが、それぞれの評価書の作成に当たりましては第三者のいろんな機関によるチェックをしていただいておりますし、それから評価結果につきましても極力使用したデータ等も含めて広く公表する、そういうことによって外からの適切な御批判をちょうだいしながら進めていくということにいたしておりまして、今後とも適切な評価が行われるように努力していきたいと考えているところでございます。  それから、御指摘のありました政策評価の結果を予算要求や政策の実施に的確に反映していく、特に来年度予算要求に向けてということだろうと思いますが、先ほども言いましたように、特に今年度は国土交通省として初めて事後評価でございます政策チェックアップの評価書を取りまとめたところでございます。そういうことで、この評価結果を踏まえて、八月に取りまとめます来年度の予算要求等におきましてこの政策評価の結果が適切に反映されるよう努めていきたいというふうに考えております。そういうことによりまして、企画してそれを実行する、それを評価する、さらにその評価を新しい企画につなげていくというマネジメントサイクルというものの確立に努めていきたいというふうに考えております。また、個別の公共事業の再評価機関につきましても、これまでと同様、予算要求等に十分反映をしていきたいというふうに考えているところでございます。  ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
  134. 大江康弘

    ○大江康弘君 どうも統括官、御丁寧な御答弁ありがとうございました。  私は余り成果主義というのは好きじゃないんですね。今年、やっぱり民間会社で成果主義を入れたらどういう結果が出たかといったら、非常にお中元が増えたそうですね、上司に。だから、それはどういう意味か分かりませんけれども、覚えよろしくというようなことなんでしょうけれども、これはまあ民間会社の話。  ですから、私は、公共事業というのはやっぱり成果主義、成果、アウトカムということも大事でしょうけれども、それぞれの地域にとってやっぱりやっていくという、一つの計画を立ててという、経過というものもやっぱり大事であろうと思いますので、余り、でき上がってこれがどうかということの評価ということも大事でしょうが、やっぱりそういう作り上げていく段階を重視もしていただきたいなということをちょっと申し上げておきます。しっかりとまた来年度の予算に反映をしていただきたいと思います。  それで、航空局長、済みません、前回聞かせていただいたら良かったんですけれども、今それぞれ局長方、皆さん引っ越しで忙しい時期であろうというふうに思いますけれども。  実は、先般ちょっと気になりまして、よう聞かせていただかなかったんですが、例の航空機内の中での安全阻害行為の中で、飛行機に乗るまでの間のいわゆるペットボトルの関係で、ペットボトルが例えばガソリンを入れられていたりとか灯油が入れられていたりして、それが機内に持ち込まれたときに、マッチ一本でこれはもう大火災になると。実はそれの前段として気になったのが例の韓国での地下鉄の火災であります。これはだれも想定していなかったいわゆる放火というこの行為、これが想定外だということの中であれだけの大きな事故につながって、事件につながって犠牲を出したわけでありますけれども。今日は鉄道局長もお越しですけれども、このことに関してはもうちょっと質問はやめておきますけれども。  いわゆる、そういう中で、今回、ペットボトルが飛行機の中にそういう形で持ち込まれたときに、あれだけしっかりとチェックをしておっても日本はハワイまでパスポートもなしで行って帰ってこれるというようなそういう管理の国でありますから、それは、あれは何もなかったからいいですけれども、やはりいったん飛び立って、地下鉄であればまだ陸上を走っていますからこれは何とか最小限に被害を抑えることができるんですけれども、ペットボトルを機内の中でいわゆる火を付けてやられた分には、これは空を飛んであの密室の中でというのはもう正に大惨事ということになるんですけれども、これのいわゆるチェック体制というのはどうなっておるのか、ちょっとお聞かせください。
  135. 洞駿

    政府参考人(洞駿君) 先生指摘のとおり、ガソリンなどのいわゆる引火性液体を始めといたしました危険物の航空機内への持込みを防止するということは交通保安上極めて重要な課題の一つでございます。  引火性の液体物につきましては航空法に基づきまして航空機内への持込みが禁止されているんですけれども、それをどういうふうにチェックしているかということでございますが、いわゆる一昨年の平成十三年九月の米国の同時多発テロ事件以降、我が国の警戒態勢はフェーズEという最高レベルに達して、最高レベルの警戒態勢をやっているわけでございますけれども先生指摘の今年の二月の韓国におきます地下鉄の放火事件を踏まえまして、いわゆる不審と思われる手荷物内の液体物に対しましては入念に開披検査を実施すると。それから、液体物を身に付けて機内に持ち込む場合もありますから、携行者の外観等が不審な人物だなと思われるような場合はためらうことなく接触検査を実施することということを航空会社に指示いたしました。  さらに、米国等によるイラク戦争が開始されました今年の三月の二十日以降でございますけれども、これ以降はさらに原則として三百五十ミリリットル以上の液体容器について、内容物の表示とか、あるいは液体の色、それから容器の周辺のにおい等によって不審な点がないかどうかをチェックいたしまして、不審な点がある場合はお客さんにそれを開栓してもらってそのにおいを検査するなど、検査を強化しているところでございます。  今後は、実は今いろいろ研究しているんですけれども、キャップ等を開けなくても透明なペットボトル内の液体が可燃性であるか不燃性であるかという識別ができる検査装置の導入の可能性について航空会社とともに今検討しております。  そういうことで、そういうのが、試作品等が出てきているんですけれども、できれば将来的にはそういったものを導入して検査したいと思っておりまして、そういったことを含みまして、航空保安対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  136. 大江康弘

    ○大江康弘君 局長が今おっしゃっていただいたようにチェックはされているということであるんですが、私なんかももう水が好きでいつも持って入るんですけれども、余りチェックをされたことがないというか、これはやろうと思えばやる人間はどうやったってやりますし、聞けば、これをチェックというか、調べる機械というのはアメリカにもあるそうですけれども、非常に高い、何億円という単位のそういう機械だということも聞きますから、これも現実的にどうかなということも思うんですけれども。  逆に、こんな議論が出れば、またそんなことを聞いて悪いことをするやつがこれはまた世の中出てくるから余りこんな質問はどうかなとは思ったんですけれども、非常に気になったことの一点でしたので聞かせていただいたわけであります。どうぞひとつチェック体制、更に厳しくしていただけたらというふうに思います。  最後に、ちょっと局長、鉄道局長石川局長にお聞きしますが、扇大臣が非常にこの夏にかけて意欲を持っておられる例の中国の高速の鉄道計画、いわゆる新幹線を中国が北京オリンピックまでにどうするかということで、今それぞれフランスやドイツや日本が競っておるわけでありますけれども、ちょっと今の流れを、局長、聞かせていただけますか。
  137. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 中国の北京—上海の高速鉄道でございますけれども、これは実は平成十年の十一月に日中首脳会議におきまして、時の小渕総理から江沢民主席に対しまして、二十一世紀の両国友好のシンボルとしたいという御発言がありました。それ以来、歴代大臣を始めとした政府ハイレベルでの積極的な対応がなされてきたわけであります。  一方で、平成九年七月でございますが、JR東日本、JR東海あるいはJR西日本を始めとした鉄道事業者、さらには車両メーカー、あるいは商社、こういうふうな民間の六十五社が参画して日中鉄道友好推進協議会というものが設立されまして、これは中国の鉄道部と共同研究等を通じて交流を深めてきたところであります。  さらに、本年四月には日本経済団体連合会の中に北京—上海高速鉄道協力推進懇談会というのが設立されまして、奥田会長を中心として産業界を挙げて日本の新幹線方式の導入を支援するというふうな取組が進められてきているわけでございまして、このように従来から官民協調して取り組んでいるところでございます。
  138. 大江康弘

    ○大江康弘君 実は私は余り中国という国に対してはいい感じを持っておらないというか、私はどちらかといえば台湾派でございますから、そういう中で物事をつい見がちなんですけれども。  あのしたたかな中国が本当にビジネスということだけで、今回、向こうも二〇〇八年のオリンピックを成功させにゃいかぬということで必死なんでしょうから、いろんなやっぱり、そこにはやり遂げなければいけないという中で、中国が国策としていろいろあの手この手でやっていると。  そういう中で、日本が積み重ねてきた本当に世界に冠たる新幹線の技術、そういうものがやっぱり中国へこれ出ていくというような話でありますから、私はよっぽど、やっぱり大臣、しっかりとした方針を持ってやっていただきたいということを実はお願いをするわけです。  それだけに、JRの中でも、今、石川局長がおっしゃられましたが、いわゆる東海、そして東日本、そして西日本、JR西日本は二〇〇五年に開業予定の台湾に今行っております。それだけに、中国にしてみれば余りJR西日本に対してはいい感じを持っておらないのじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、JR西日本の幹部の方の声といえば、台湾のことが忙しいから中国まで手が回らない。ですから、三社が本当に、今、局長が言われるような同一歩調で、ああ、いいことだ、よし、やろうという私は、そういうスタート地点には立っておらないように私は思うんです。  それだけに、かつて欧州から中国が車の会社を入れて、今度は自分たちで造り出した。それで、いわゆるパテント、技術のパテントの問題で訴訟が起こって、中国は結果的に負けたということもあるわけですけれども。そういうせっかくの日本の技術がそういう形になって、後々政治問題化して、ああ、あのときにやっぱりもっとしっかり考えておったらよかったなという、こういう結果にならないように、私は、やはり中国相手の商売ですから、しかも日本の、世界の最高の技術を持っていくという話ですから、やはり大臣にそこはしっかりと、経団連の奥田さんなんかはいいことだと言って一緒に行かれるそうですけれども、やはりそういう空気で私は流されていくということは非常に危惧を持っておる一人であります。  どうぞひとつ、その点、よく戦略を持っていただいて、本当に日本の国益のためにはどうかということを考えていただいて私はこの問題を対応していただきたいなと思いますので、最後大臣のこのことに関しての私は所見といいますか、考えを聞かせていただきたいと思います。
  139. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 大江議員がおっしゃることもよく分かりますし、ある物事を進めるときには賛否両論あるのも事実でございます。そして、投資対効果、そういうことも必ず話題になります。  そういう意味では、私は、今回少なくとももみ手で売り込みに行くということではなくて、我々は今日まで少なくとも日本の新幹線というものの技術、これ、三十九年間七十億人を輸送し、なおかつ無事故でございます。私は、それほどの日本が技術を持っているということを世界に堂々と私は言うべきであり、また日本は、戦後、今日まで欧米先進国に追い付け追い越せとして欧米の技術を、あるいは再利用して輸出して今日まで大きくなってきた。お互いに持ちつ持たれつというのが世界の共生でございます。  その中で、私は、今回の場合は、日本の、今言いました三十九年間七十億人の中で一番大事なことは、乗客の事故がゼロという高い安全性、これが第一でございます。二つ目には、少なくとも今時速三百キロというスピードを出して、なおかつほとんど人体に快適な思いで三百キロで乗っていていただける、しかも最初の車両から一番後ろの車両までほとんど振動が平均していると、これも日本の最高の技術です。そして三つ目には、一時間当たり今列車本数が十本を超える本数を運行しております。しかも、その中で、一番最大限で平均の遅れ時間が少なくとも十八秒にしかすぎない。これは世界で見ると驚異的なことなんですね。  ですから、そういう意味で私は、日本はこれだけの技術を持っているから、もしもお役に立つんだったらどうぞお使いくださいという、日本の度量の深いところと、そして日本の技術の良さと、それを私は世間にアピールすると。持った技術をじっと抱え込んでしているということではなくて、私はシャトルでも何でもそうだと思います。お互いに技術移転できないところは技術移転できない。シャトルもそうです。アメリカは抱えて放さないときはブラックボックスです。我々も日本の技術をすべて一〇〇%オープンにしようということではありませんけれども、これだけの技術を持ったもので、今までの研究者が努力してくれたこの日本の新幹線技術というものは私は誇るべきものだと思って、私は自慢したいと思っています。  そういう意味の中で、やっぱりお互いに、近隣国でございますから、友好のためにこれはお互いに、オリンピックを目指している中国の姿勢というものにでも日本が協力できることがあるというのであれば、私は協力していくということも一つの友好の手ではないかと。  今、大江議員がおっしゃいましたように、ああいう国だからだまされないようにと御警告いただいたのは有り難いことですけれども、私一人の頭で言うわけではなくて、財界も、あるいはうちの国土交通省の技術も、そして私が今まで中国の要人の皆さん方と話し合った中にも、これはあくまでも日中友好のシンボルということになればということで、これが今おっしゃったようにシンボルにならなければやめればいいことですから。そういう意味では、私は、今の御忠告を受けながら、なおアジアの発展のためにということで役に立つ部分は、日本の国威発揚、また研究者の今後の研究成果をより深めるという意味においても、今までの持てる技術は堂々と胸を張って言ってこようと思っています。
  140. 大江康弘

    ○大江康弘君 その答弁で結構だと思います。  ただ、私は、やはり個人的には、今、我々日本にとってはそこにある危機は北朝鮮だと思いますし、次に起こる不安定要因というのはやっぱり中国を中心としたいろんな問題かなというふうにこれは政治的に思いますので、まあ今は日中友好シンボルと、まあ中国からファンドをもらってくるような話でもないわけでありますから、日本の高い技術を、今、大臣が自慢されましたことを向こうに持っていくわけですから、十分ひとつ注意をしてやっていただきたいということを最後に要望申し上げまして、三沢局長、今日来ていただきました、済みません、ちょっと質問する時間がなかったので、申し訳ございませんでした。  終わります。
  141. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時五十六分散会