○今川正美君 私は、社会
民主党・市民連合を代表して、
政府提出の
イラクにおける
人道復興支援活動及び
安全確保支援活動の
実施に関する
特別措置法案に対して、
反対の
立場から
討論を行います。(
拍手)
きょうは、くしくも
アメリカの独立記念日であります。かつてはモンロー主義を掲げた
アメリカも、第二次大戦後は、
国際社会のトップリーダーとして自他ともに認める存在となりました。
ところが、その
米国を大きく狂わせたのは、二年前の同時多発テロ事件でありました。これを契機に出されたブッシュ・ドクトリンは、特定の国を悪の枢軸、ならず者
国家と指定し、
国際社会を無視してでも
武力で相手国を先制的につぶすことを当然としました。
皮肉なことに、アフガニスタンへの報復戦争と今回の
イラク戦争で
アメリカの敵となったのは、オサマ・ビンラディン率いるテロ
組織と
フセイン独裁政権でしたが、そのいずれも、旧ソ連によるアフガン戦争とイラン・
イラク戦争で
アメリカ自身が
支援を惜しまなかった相手でありました。
今回、
イラクの
大量破壊兵器問題では、
国連のIAEAやUNMOVICはもとより、フランス、ロシア、中国など
国連安保常任理事国を初め圧倒的多数の国々は、
国連査察の徹底した継続による
平和的解決を求めたのでありました。しかし、
米英両国は、
国連の
武力行使容認
決議もないまま、
フセイン独裁政権打倒と
中東の民主化あるいは石油利権をねらいとして、戦争に踏み切ったのであります。
米英両国は、
イラクの
大量破壊兵器の隠匿を戦争の
理由としました。しかし、
フセイン政権が崩壊してから約三カ月たつというのに、いまだに
大量破壊兵器は発見されていません。むしろ、
米英両国では、
イラクの
大量破壊兵器に関する
情報操作、証拠偽造の疑惑が露呈して、ブッシュ、ブレア両政権は危機に立たされているのが現実であります。
このような大義なき戦争を実際はわかっていながら、ほこりをかぶった六七八、六八七や、
査察継続を求める一四四一など、一連の
国連決議を身勝手に解釈し、
日米同盟重視を
理由に
イラクへの
武力攻撃を支持した
小泉総理とその
内閣は、国際法を犯し、
イラクの罪なき民衆を殺傷した
米英両国と同罪と言わざるを得ません。(
拍手)しかも、せっかく長年にわたって築いてきた
中東諸国と
我が国との信頼関係を大きく傷つけてしまいました。
そもそも、
世界最大の
大量破壊兵器の保有国である
米国が、
大量破壊兵器を隠し持っているかもしれない
イラクを
武力制裁する行為は、わかりやすく例えると、そもそも道交法を認めず免許証も持たない
米国が交通違反を犯した
イラクをいきなり暴力で制裁する行為に等しいでしょう。
こうした無謀な
米国を支持する
小泉内閣の姿は、あたかも、飲酒運転で暴走するブッシュ大統領の車の後部座席からわざわざウイスキーを勧めて他人をひき殺すお手伝いをするに等しい。
同盟国だったら、ブレーキを踏み、エンジンキーを抜いて、暴走車をとめてやるのが
小泉総理の役目のはずです。(
拍手)
かつては、後部座席、つまり野党からブレーキを踏めば、助手席、つまり自民党の内部からもブレーキを踏んで、政治の暴走を抑止する装置があったはずですけれども、今、この政治の現状は、その機能が壊れているありさまであります。
さて、不法な戦争後、本来なら、
米英両軍は速やかに撤退し、
国連主導のもとで
イラク復興を図るのが本筋です。しかし、現実は、
米英両国による不当な軍事占領が続いています。
国連決議一四八三も、
米英両軍の戦争を合法化したわけではなくて、
人道復興支援を各国に
要請はしても、軍隊
派遣を求めているわけではありません。
支援のあり方は、それぞれの国の
憲法など、それぞれの仕組みによってやるものです。
政府・
与党は、人道
支援と
安全確保、つまり治安維持のためには自己完結型
組織たる
自衛隊が適切であり、非
戦闘地域へ
派遣するから
憲法に抵触しないと繰り返しておりますけれども、全くの詭弁であります。
私も、社民党の団長として
イラクの
現地を調査してきましたし、また、野党各党の調査の
報告によっても、
イラクの
治安状況はかえって悪化しています。
与党の
調査団はどこを見てきたのでしょうか。現在、一日平均二人の米兵が
襲撃され、死亡しています。
政府の言う非
戦闘地域も、決して安全地帯ではありません。仮に、安全地帯であるのなら、わざわざ武装
組織は必要ないはずです。
国連も、このたび、人道
支援の
領域では丸腰、非武装が望ましいとのガイドラインを発表しているのです。
いずれにせよ、
イラク復興支援の前提としては、治安
回復とあわせて健康上の安全が不可欠です。その象徴的事例が、劣化ウラン弾による被害なんです。
米軍による劣化ウラン弾の使用は、湾岸戦争とコソボ紛争で証明されました。湾岸戦争とその後の経済制裁によって、
イラクの多くの
人々は放射能障害に苦しみ、特に、多くの子供たちが命を奪われているのです。こうした被害実態の検証は時間を要します。
今回の
イラク戦争でも劣化ウラン弾が使用された事実は、
我が国の民間団体や国際的な専門機関の調査で既に立証されています。しかし、
我が国政府は、劣化ウラン弾と放射能障害との因果関係及び
イラク戦争で使用を否認する
米国報告をうのみにするだけです。これでも、
世界で唯一の被爆国と言えるのでしょうか。
NGOであれ、
派遣予定の
自衛隊であれ、
イラク復興支援に当たる人材をむざむざ放射能被害にさらすのですか。広島、長崎で原爆投下の洗礼を受けた
日本であればこそ、その先端医療を生かした
支援ができるのではありませんか。
教育の分野でも同様です。
イラクの学校の先生は、月に二百四十円、よくても千五百円ほどの月給で、まさしくボランティアで頑張っています。
イラクの多くの子供たちが一日も早い
支援を望んでいるのです。
自衛隊などの出る幕ではありません。(
拍手)
ところで、本来、戦争放棄、戦力不保持を定めた
憲法とのかかわりで専守
防衛を原則とする
自衛隊を、このように長期間、その基本的
任務を外れて海外派兵に使用することは、決して許されません。
国会では、海外派兵を為さざる
決議までしているはずです。しかし、冷戦後、この十年余り、
自衛隊は専らPKOやインド洋
派遣などに従事し、
自衛隊法上の雑則
運用の実態にあるのではありませんか。
我が国の独立と平和を守ると宣誓して入隊した
自衛官にとって、海外
派遣は、
憲法違反であることはもとより、雇用契約違反であります。
一昨年十一月以来、テロ対策を名目にしたインド洋
派遣は二十カ月に及んでいます。今、どういう実態にありますか。この間、二人の
自衛官が命をなくし、
任務遂行中に
組織ごとの飲酒事件まで発覚しましたが、
政府は、
国会に
報告すらしません。
派遣命令が下る前に辞職したり転属する
自衛官も出てきているようであります。果たして、彼らを非難することができるでしょうか。毎年、七十人を超える
自衛官が自殺しており……