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1999-08-05 第145回国会 参議院 国民福祉委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月五日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  七月二十七日     辞任         補欠選任      加納 時男君     水島  裕君  七月二十九日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     木俣 佳丈君  七月三十日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     櫻井  充君  八月二日     辞任         補欠選任      久野 恒一君     倉田 寛之君  八月三日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     久野 恒一君  八月四日     辞任         補欠選任      井上 美代君     大沢 辰美君  八月五日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     谷林 正昭君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 清水嘉与子君                 常田 享詳君                 朝日 俊弘君                 渡辺 孝男君                 小池  晃君     委 員                 久野 恒一君                 塩崎 恭久君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 水島  裕君                 櫻井  充君                 谷林 正昭君                 直嶋 正行君                 堀  利和君                 松崎 俊久君                 沢 たまき君                 大沢 辰美君                 清水 澄子君                 入澤  肇君                 堂本 暁子君                 西川きよし君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    政府委員        総務庁長官官房        長        西村 正紀君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨四日、井上美代君が委員辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。     ─────────────
  3. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中川農林水産大臣
  4. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農業者年金保険料の額につきましては、平成七年の農業者年金基金法の一部を改正する法律におきまして、毎年、平成七年度価格で月額八百円ずつ引き上げるとともに、保険料の額について物価スライドを実施することとなっております。  この結果、平成十一年における保険料の額は月額二万四百四十円となっており、平成十二年におきましては一月当たり八百十円上がり月額二万一千二百五十円となることとなっておりますが、現下社会経済情勢にかんがみ、平成十二年以後の保険料の額を平成十一年と同額の月額二万四百四十円とすることを内容とし、この法律案を提出した次第であります。  以上がこの法律案提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  5. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  ただいま趣旨説明のありました法案について、幾つか基礎的な問題も含めて御質問をさせていただきたいと思います。  率直に申し上げて、私自身は今回この農業者年金基金という法律あるいは制度について改めて勉強させていただいたということで、これまで必ずしも問題意識が余りなかった領域の法律であります。恐らく参議院の国民福祉委員会としても、あるいはそれの前身の厚生委員会としても、この問題は必ずしもきちんと取り上げて議論したことはなかったのではないか、むしろ農水の方でいろいろ議論をしていただいた課題ではないかと思います。そういう意味で、やや戸惑いといいますか、あるいは初歩的な質問も含めて入るかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  それで、まず最初に具体的なことで、何でこうなっているんだろうかということで一、二お尋ねしたいと思います。  一つは、この農業者年金財政収支について、いただいた資料で、例えば平成十年度で見ますと、収入と支出があって、収入の部については、保険料が五百三十五億円、国庫助成が七百六十九億円、運用収入が五十一億円、こういうことで、全体の収入の中の六割近くが国庫助成で充てられているという数字を見て、一体これは何なんだろうと。ほかの年金制度でも、御存じのように、今、国民年金国庫負担を三分の一から二分の一にするということであれやこれや議論が交わされているというのに、そういうところから見るとこの制度は一体何でこうなっているんだろうというところが、率直に第一の疑問として感じました。  まず、この点について御説明をいただきたいと思います。
  7. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今、先生から御指摘がございましたように、平成十年度の農業者年金基金収入に占める国庫助成の比率は約六割となっております。これは農業者年金が他の公的年金とは性格を異にする点を有しているということでございます。  すなわち、農業者適期経営移譲を通じまして世代交代を促進する、それから農地細分化防止あるいは規模拡大といった農業構造改善という農業政策上の目的年金という手法を通じまして実現しようというものでございます。こういう点におきまして、老後保障だけを目的とする他の公的年金とは性格を異にしているというふうに御説明をさせていただきます。  したがいまして、この農業者年金事業に充てられる国庫補助は、年金事業の運営の観点に加えまして、この制度がねらいとしております農業構造改善を推進するために必要なものとして行っているわけでございます。農業政策目的に充当されるという点でございます。
  8. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今御説明いただいたように、同じ年金制度といっても、この制度はかなり性格を異にするというか、ある種特別な政策的意味あるいは目的を持たせた制度だということだと思います。  この点については後ほどまたさらに触れたいと思いますが、どうも納得がいかないもう一つの点は、いただいた資料で見ますと、非常に財政収支状況は厳しいわけですね。厳しいなんというものじゃない。例えば直近の数字で言えば、加入者が二十九万四千、約三十万人。ところが、受給権者は七十五万人。だから、三十万人で七十五万人を見るという、ちょっと年金の数理としては考えられない数字になっているわけでありまして、仮に政策的に特に設定された経営移譲年金の問題を除いて考えても、今のままではこれから後の五年間の財政見通しが立たない状況ではないかというふうに私は思います。  それにもかかわらず、今回の法律提案保険料を据え置く、こういう提案であります。据え置けば当然その分さらに財政状況は悪化することは目に見えている。何で今回、こういう財政状況にもかかわらず保険料引き上げ凍結するのか。  いろいろ尋ねますと、いや、国民年金の方の保険料も据え置かれたしという御説明なんですが、しかしこれはどうなんですか、仮に現行の額を据え置いたとしても、せいぜい一人当たり月八百十円ですね。金額的にはとてもこれで現下社会経済情勢を勘案して云々というふうには言えないような額ではないか。保険財政そのものから考えると、むしろ予定どおりきちんとこれは上げていただかざるを得ないんじゃないか。もちろんそれでも問題は解決しないけれども、そういう方向で対応すべきじゃないかと思うんです。どうもその辺が納得しがたいんですが、その点についての御説明をいただきたいと思います。
  9. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今、先生から御指摘がありましたように、農業者年金基金財政状況が非常に厳しいというのはそのとおりでございます。  ところで、農業者年金保険料の額、今御指摘がありましたように、将来にわたって財政の均衡を保つように定めるというのは基本でございます。他方、具体的な保険料の額につきましては、従来から他の公的年金とのバランス、それに農業者負担能力といったことを考慮して設定してきております。現在の月額はそういう考慮から二万四百四十円となっているわけでございます。  先生の御質問の中でのことの繰り返しになりますけれども、今回の保険料引き上げ凍結は、国民年金など他の公的年金保険料引き上げ凍結されるということに伴う措置でありまして、先ほど申し上げました他の公的年金とのバランス等から見て必要な措置である、そのバランスの中には、実額の問題もさることながら、凍結をするといった加入者に与える心理的な問題も含めて必要な措置であるというふうに考えております。
  10. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 心理的な問題も含めてという御説明はいささか苦しいのではないかと思うんですが、結局最初質問では、この制度年金制度としてはある意味で特別な政策目的を持った性格制度なんだといういわば特異性を強調される。さて、保険料の話になると、いや、ほかの年金バランスをとるというふうにおっしゃる。これはどうも少なくとも論理的にはちょっと説明しがたいというか矛盾するのではないか、こんな気がしてなりません。  今お尋ねした二つの具体的な問題を解きほぐすためにも、そもそもこの農業者年金制度あるいは農業者年金基金というのがどういう目的で、あるいはどういう政策的なねらいを持って創設されたのか、改めてこの制度性格というか特徴をもう一度わかりやすく説明をしていただきたいと思います。
  11. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 農業者年金制度趣旨といいますか、ねらいは大きく二つでございます。  公的な年金である農業者年金制度でありますけれども農業者の老齢及び経営移譲について必要な年金等給付するという仕組みをとっております。その二つの大きな柱は、一つは二階建て部分年金として、国民年金給付上乗せとして農業者老後生活の安定と福祉の向上を図るという点でございます。それから二つ目は、第一番目の御質問に答えてお話を申し上げました適期における経営移譲を通じまして農業経営近代化をする。これは世代交代であり、若い経営者就農者を確保するということでございます。そして、農地保有合理化を図る。農地保有合理化というのは、農地細分化防止あるいは規模拡大、こういったことに寄与することを目的としているわけでございます。  これまでの年金制度運用を通じまして、約九十六万人に三兆六千億円という年金が支給をされまして、国民年金給付と相まって農業者老後生活の安定に重要な役割を果たしてまいりましたが、農業経営近代化農地保有合理化という観点から見ますと、経営を譲り受けた後継者平均年齢が三十五歳、こういうことで経営若返りということが図られております。それから、七十七万件の後継者移譲というものが行われておりますので、その結果百五十四万ヘクタールという農地細分化をされずに後継者に継承されております。さらに、第三者への移譲を通じまして、規模拡大といった農業構造改善に一定の役割を果たしてきたと私ども評価をしているところでございます。
  12. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 役割をどの程度果たしてきたのかという評価の問題については、後でも出てきますけれども、今、研究会を設置していろいろ検討されているようですから、そこでの御判断を待ちたいと思うんですが、結局制度目的というのは大きく分けて二つあるんですね。その二つ年金制度という制度に乗せているものですから、そこである種のわかりにくさがどうしても出てきてしまう。むしろ、政策目的基本的に違う部分を無理やりくっつけるのではなくて、もう少しきちっと峻別していく方向で今後の検討を加えたらどうかというふうに私は思っているんですが、これは後の質問に譲りたいと思います。  さてそこで、今の御説明の中でありましたように、この農業者年金制度年金制度全体からいうといわゆる二階部分に当たる、こういう御説明であります。厚生省に来ていただいていますので、ちょっと復習の意味も含めて、現行公的年金制度全体の体系の中で、きょう議題となっています農業者年金基金というのは一体どういう位置にあるのか、そしてどういう特徴を持った制度なのか、全体を見渡した中で御説明をいただきたいと思います。
  13. 矢野朝水

    政府委員矢野朝水君) 御承知のとおり、我が国の公的年金というのは二階建てでございます。一階部分は、全国民の二十歳から六十歳の方は原則強制加入ということで、国民全体が加入をするということになっているわけです。二階部分サラリーマン対象にした制度でございまして、民間ですと厚生年金、公務員でございますと共済年金ということで、こういったサラリーマン階層に対しましては二階部分がございます。  ところが、自営業の方、これは農家の方も当然含むわけでございますけれども、こういう自営業とか農家の方につきましては公的年金は一階しかないということで、二階部分自助努力で充実する、こういうことで制度がございまして、その一つ農業者年金基金ということでございます。  農業者年金基金は、先ほどからるる御説明がありますように、高齢者所得保障と、これだけではなくて農業政策一環ということで、政策年金として位置づけられているということでございます。  同じように自営業の方の二階部分ということになりますと、これは国民年金基金というのが平成元年改正でできまして、国民年金基金という制度がございます。これは自営業の方一般対象にしてできた制度でございます。
  14. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 そこで、余計ちょっとわからなくなるんです。つまり、一階部分国民年金基礎年金というのがある。サラリーマン等はいろいろまた別の二階部分があるとして、農業者あるいは自営業者についてはこの農業者年金基金と、それから比較的似たような制度というか近い位置国民年金基金という制度がある。これは後でできた制度のようであります。そうすると、この二つがどういう関係になっていくんだろうかということがどうもよく見えないんですね。いずれ国民年金基金そのもの内容的に改善を図っていく、あるいは充実を図っていくということが課題になってきていると思います。  この農業者年金基金のこれからのあり方を考えるためにも、その比較的近い位置にいるように私は思う国民年金基金の現状と、それから今後その制度をどのように改善していこうとしているのか、あるいは目指そうとしているのか、その辺の方向について御説明いただきたいと思います。
  15. 矢野朝水

    政府委員矢野朝水君) ただいま申し上げましたとおり、自営業の方につきましては二階部分がないということで、自助努力として二階部分制度も設けて、より豊かといいますか充実した老後生活に充てていただこう、こういうことで、自営業者対象にいたしまして基礎年金上乗せということで国民年金基金制度が発足したわけでございます。  それから、平成三年から具体的に制度が動き出しまして既に八年を経過したわけでございますけれども、現在、基金数が七十二でございます。これは地域型基金職能型基金ということで合わせまして七十二の基金でございまして、現在加入員の方が約七十二万人いらっしゃいます。  ただ、昨今非常に景気が厳しい、経済状況が厳しいということで加入員数が伸び悩んでおるわけでございまして、いかによりたくさんの方に加入していただくかというのが一番の私どもの当面の課題でございます。そういうことで、よりたくさんの人に入っていただくような形で今努力しているところでございます。
  16. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 国民年金基金について加入者をふやすべく努力をしているということなんですが、さらに追加の質問で申しわけないんですが、そうすると将来的にはこの農業者年金基金と、これからさらに加入者を拡大していこうとしている国民年金基金との関係はどうなるんでしょうか。
  17. 矢野朝水

    政府委員矢野朝水君) ただいま先生の御質問にもございましたように、農業者年金基金につきましては、現在研究会が設けられて検討中と伺っております。したがって、その検討結果によるわけでございまして、私どもとしては、この国民年金基金について今後とも普及促進を図っていきたいということに尽きるわけでございます。  農業者年金基金というのは、先ほどから何回も出てまいっておりますように、これは農業政策一環政策年金という色彩が非常に強いわけでございます。そういう点で、私どもが実施しておりますのはもう全く老後所得保障ということ、それだけのために実施しているわけでございまして、そこが農業者年金基金一般国民年金基金とは基本的な性格が異なるところじゃないか、こう思っております。
  18. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 確かに、単なる老後所得保障だけを目的とした純粋な年金制度ではないがゆえに目的を異にしているというのはおっしゃるとおりだと思うんです。  ただ、これはお答えは結構なんですが、私の考えでは、年金制度という基本的枠組みを維持しようとする限り、それはいろいろな政策目的が付加されるのはあり得るとしても、年金制度原理原則みたいなところはきちっと押さえておかないと、あるいは踏まえておかないと、制度として成り立たないという気がするわけであります。既にそういう状態になっている。だから、これは研究会で今検討されていると思いますが、ぜひその辺のところをきちんと区分けしながら議論をお願いしたいなと思います。  さて、そこで、そういう問題が多分この制度はスタートからはらんでいたんでしょう。だから、この制度改正に当たっては、これまで何回となく社会保障制度審議会からは答申に付して意見が述べられているわけであります。私も大急ぎで調べてみました。大急ぎで調べてみましたら、簡単に言うと五年ごとに、要するに財政計算のたびに社会保障制度審議会からこの制度あり方について抜本的な見直しをしろというかなりきつい指摘がされているわけです。  例えば昭和六十年、一九八五年、このときの「農業者年金制度改正について」の答申の中にも触れられています。社会保障制度審議会、「本審議会は、これまで繰り返し社会保障制度としての在り方からみて疑念を述べるとともに、」と昭和六十年のときに繰り返しと言っておりますから、もっと前から言っているんだろうと思います。そこまでさかのぼるのはちょっと時間的にできませんでしたけれども、とにかく六十年の段階から既にこれまで繰り返し社会保障制度としてのあり方から見て疑念がある。「早急に本制度趣旨目的にまでさかのぼつて、根本的な検討を行うことを強く要望する。」、これは昭和六十年の答申中身です。  もう一々言いませんけれども、それと同じように、例えば五年後の平成二年にも「農業者年金制度改正について」の答申の中でさらに詳しく述べられています。そして、こんな言い方さえしておられるわけです。社会保障制度審議会答申の中の文章です。「農業者年金制度は、農業経営者若返り農業経営規模維持拡大といった農業政策上の要請に応じることを主眼としているが、年金保険という形態をとっており、その政策効果についてはいぜんとして明らかではない。」、これは平成二年。  こんなふうにるる指摘をされ、制度改正あるいは財政計算のたびに社会保障制度審議会からはかなりきついあるいは鋭い問題指摘がされているわけですが、それにもかかわらずといいますか、どうもなかなか制度改正、抜本的な検討作業に入ってこなかった。これは一体どういう理由があってのことなんでしょうか。
  19. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 社会保障制度審議会で累次にわたり指摘を受けてきたということは事実でございます。ただ、その中で、その政策効果について依然として明らかでないということにつきましては、私どもは必ずしもそうではないと思っております。  それから、指摘を踏まえまして、また農業情勢変化に応じまして、例えば昭和六十年の改正であれば専業的な担い手、農地の集積を一層促進する観点から、経営移譲年金につきまして加算額基本額という制度を導入しておりますし、さらに平成二年の改正では農村における高齢化進行等に対応いたしまして、経営移譲の時期について画一的なものからそうでないあり方へと大きな変更もしております。  社会経済農業の構造的な変化に対応した所要の見直しを行ってまいりましたが、社会保障制度審議会で本年金制度あり方に疑問を持っておられて、今日に至るまでこの点について疑念が解消されないというのはまことに残念な思いがいたしております。  ただ、今日、非常に農業情勢は大きく変化をいたしました。先生から御指摘がありましたように、受給権者加入者数の大幅なギャップ、いわゆる成熟度が大変高くなっているという状況や、目的といたしておりました経営移譲者の割合が低下をしているという状況もございます。  この国会で新しい食料・農業農村基本法も制定をしていただきました。この基本法のもとでの新たな農業経営展開等も念頭に置きながら、この際、抜本的な制度見直しを行いたいと思っております。その中には、制度目的であるとかあるいは年金財政見通し給付負担あり方、そういったものも含めて検討させていただきたいと考えております。
  20. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 実はことしの三月でしたか、私も社会保障制度審議会委員になっておりまして、なかなか疑念がとれないどころか、ますます疑念が強まっているという雰囲気なんです、社会保障制度審議会の中での議論というのは。だからこそ、今回もさらにつけ加えて答申の中でかなり厳しい指摘をさせていただいたわけです。  これは皆さんも御存じだと思いますが、要するに中身的には、今回保険料を据え置くのはとにかくいろんな動向があって緊急的にやむを得ないけれども、「今回の措置年金財政を圧迫し、更に制度の安定が将来とも損なわれる要因となることについては、十分考慮する必要がある。」、これをまず指摘している。その上で「本審議会は、これまで再三にわたって制度についての根本的な検討を要請してきたところであるが、本改正に伴う年金財政の悪化への対応策並びに年金制度としての社会的妥当性を含め、制度基本的な検討を急ぐことを改めて強く要望する。」、こういう中身であります。これは、いろんな書き方があるんでしょうが、かなり制度審としては厳しい表現をしていると私は受けとめているんです。しかも、改めて調べてみると、ほとんど五年ごと制度審から同様の趣旨のことが指摘をされていて、ようやくその研究会を設置して今検討作業を進めている。  そして、お聞きしますと、今後、秋ごろには一定のお考えをおまとめいただいて、それを受けて来年度抜本的な法改正を次期通常国会に出したい、こういうようなことでありますから、今の段階で何をどうするということは必ずしも十分に詳しくはお話しいただけないのかもしれませんが、ただかなり根本問題というか基本問題にかかわる改正にならなきゃいけない、あるいはなるべきだと思っていますので、この点については制度審が繰り返し指摘をしていること、そして今、研究会での検討作業が進んでいることを踏まえて、大臣としてこの制度の抜本的な見直しに向けてどのようなお考えで進めようとされているのか、その御決意も含めてお伺いをしたいと思います。
  21. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今までの先生の御質問なりお考えを伺っておりまして、財政的な側面あるいは本来の年金的な側面から見れば、国のお金までつぎ込んでこういうことをやっているのは大変いかがなものかという御指摘は、確かに今の財政状況あるいは五年ごと見直しのときの予測と実際とのよくない方向での見込み違いというものがあるわけでございますから、その局面限りにおいては先生の御指摘というものも一つのお考えであろうというふうに思います。  しかし、先ほど構造改善局長から答弁がございましたように、農政的な側面から果たしておる役割というものは、過去においても意義が大変ありましたし、また今後新しい基本法のもとでの農政のあるべき姿を推進していく上でもますます重要になっていくのではないかというふうに考えております。  そういう意味で、純粋な意味での年金目的だけではない、たしか昭和四十五年に農業者にも恩給をという合い言葉でこの制度がつくられ、スタートしたというふうに聞いたことがございますけれども、そういう観点意味合いもあって、先生の御疑念部分をそういう観点が実は使命を果たしてきたというふうに理解をしております。  いずれにいたしましても、そういう問題点の御指摘もあることも事実でございますので、ことしの十一月を一応のめどといたしまして農業者年金制度研究会一つ方向性を出していただき、来年の年金財政計算に当たっての作業に対しての大前提ということを今やっていただいておるところでございます。  制度面、農政面あるいはまた年金制度面から、あるいはまた財源面も含めまして、あらゆる角度から今検討をしていただいておるところでございますが、ぜひとも本制度のそういう役割というものもぜひ御理解をいただきながら、引き続きの御指導をお願いいたしたいと思っております。
  22. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 そもそも、この法案審議をここの国民福祉委員会でするのか農水委員会でするのかという議論が、実は入り口のところでありました。一見、老後所得保障をするという目的での年金と、それからもう一方、農業政策の一定の政策目的を果たそうとする役割とをうまく結びつけているようにも見えるんです。  しかし、逆にそれは、例えばこれから年金財政がますます厳しくなるであろうというときに、年金数理上から考えると、もはやこれは賦課方式ではなくて積立方式に変えなきゃいかぬのじゃないかという議論も含めてあってしかるべきだと思うんです。つまり、年金なら年金の数理に基づいての一定の方針というのがきちっと出てくるだろうと思うんです。また、農業政策としてのこの間の農業構造変化などを踏まえたより具体的な政策目的というのを明らかにしてやっていく方法はもっとあり得るのではないか。だから、何かその二つがドッキングしているがゆえにどちらも中途半端に制度運用されてきている節があるなというふうに私は感じざるを得ません。  したがって、これは御答弁は結構ですが、そういう意味では、ぜひ今後私どもも厚生関係と農水関係の議員がひざを突き合わせてきちっと議論をしてみようというふうに思っていますので、必ずしも従来の省庁の所管にとらわれないで、農水と厚生とがもう少しきちっと議論をした上での抜本改正をぜひ期待したい、こういうふうに思います。  以上、最後は私の意見として申し上げて、質問を終わります。
  23. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして質問したいと思います。  最初に、農水大臣の方にお伺いしたいと思うんですけれども、今回の法改正現下社会経済情勢にかんがみ農業者年金保険料引き上げ凍結するとの理由でありましたけれども、この現下社会経済情勢というのはどういうふうに認識されているのか、ここをお聞きしたいと思います。
  24. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 現下社会経済情勢と申しますのは、結論的に申し上げますならば、国民年金の今回の全体の凍結措置理由と同じことであるわけでございますが、特定の数字を取り出して非常に状況が厳しいからとか、そういうことで行ったわけではございません。文字どおり、我が国の現在置かれておる経済情勢を総合的に勘案し、何としても日本の今の経済を一日も早く回復させていくためのさまざまな諸施策を政府としても今やっておる最中でございまして、そういう観点との整合性という意味から、現下社会経済情勢にかんがみという理由先ほど申し上げたところでございます。
  25. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 特に、農業従事者の方が大変な状況だということでの社会経済情勢ということではなくて、一般的な意味でのとらえ方ということでありましょうか。
  26. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農業者年金でございますからもちろん農業者年金でありますけれども農業者も含めて我が国全体の現在の状況を考えた上でという意味でございます。
  27. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 それで、この農業者年金凍結期間が平成十三年十二月までとなっておりますけれども、この十三年十二月までとした理由はどういうものなのか、お伺いしたいと思います。
  28. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 数字にかかわる部分でもございますので、私から答弁申し上げます。  農業者年金保険料につきましては、平成十三年十二月までの額が法律に定められております。したがいまして、平成十四年一月以降の取り扱いにつきましては、制度見直し全般とあわせまして平成十二年の財政計算の際に検討することとしております。したがいまして、今回の法改正におきましては、保険料凍結期間を平成十三年十二月までとしたところでございます。
  29. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 国民年金保険料あるいは厚生年金保険料率を平成十二年度まで政府の方は凍結する方針であると聞いております。  これは厚生省の方にお聞きしたいんですけれども厚生年金保険料値上げの凍結解除の条件とその見通しについてお伺いしたいと思います。
  30. 矢野朝水

    政府委員矢野朝水君) 日本の国民年金あるいは厚生年金の構造がどうなっているかというのをまず一言申し上げさせていただきたいと思います。  日本の公的年金財政運営は、段階保険料方式ということで段階的に保険料引き上げていくということになっておるわけでございます。厚生年金は五年ごと国民年金は毎年引き上げると、こういうことで、長期的に見た場合に負担給付を均衡させる、こういう財政方式をとっておるわけでございます。  現在の厚生年金国民年金保険料というのは、約束した給付に対しましては大体六割ぐらいの保険料の水準でございます。したがって、今の保険料をこれからもずっと続けていく、引き上げないということは、逆に言いますと、長期的に見た場合に給付を四割カットしなければやっていけない、こういう基本構造になっているわけでございます。そういう点からいいますと、保険料凍結するということは端的に言いますと負担を先送りするということになるわけでございまして、年金の立場だけを考えますと、凍結というのは私どもとしては本来やるべきではない、こう思っております。  ただ、非常に未曾有の経済不況ということで、緊急避難的に凍結をするというのはやむを得ない、こう思うわけでございます。したがいまして、凍結の解除というのはもうできるだけ早くやっていただきたいというのが私どものお願いでございます。ただ、問題は景気の回復次第ということでございまして、景気がいつ回復するのかということに専ら凍結解除がかかっているわけでございます。できるだけ早く景気を回復させていただいて速やかに凍結を解除する、こういうことをこれからお願いしていきたいと思っておるわけでございます。  そういうことで、いつから凍結解除ができるかということは現時点で申し上げられるような問題ではないということでございます。
  31. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 農業者年金の場合は二階建て部分でありますので、厚生年金等と類似しているわけでありますけれども、景気の状況を見て凍結が解除されるかどうかということで、今のところ見通しが立ってはいないということであります。  万一なんという言葉を使っては怒られてしまいますけれども、景気が早く回復した方がいいわけでありますので、平成十二年度あるいは平成十三年度より厚生年金保険料率が凍結解除、こういうふうになった場合を仮定すると、この農業者年金保険料も改めて凍結を解除するようなことになるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  32. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 先ほど、私は農業者年金保険料は他の公的年金とのバランス農家負担能力を考慮して設定されているというふうに答弁申し上げました。  今般、国民年金あるいは厚生年金保険料凍結を踏まえまして、その引き上げ凍結したわけでございますので、この凍結の取り扱いについて、今、先生が御指摘になりましたように、国民年金厚生年金保険料凍結が解除されるというふうなことでありますれば、その時点におきまして、他の公的年金あるいは農家負担能力等を考慮して、その解除も含めて検討をすべきものと考えております。  ただ、先ほど私お話し申し上げましたように、平成十四年一月以降の取り扱いにつきましては、財政計算の年がやってまいりますので、この年金制度研究会検討を踏まえまして、次の財政計算のときに検討したいと考えております。
  33. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 農水省の方にもう少し基本的なことでお伺いしたいと思うんですけれども農業者年金の任意加入の要件の一つ農地等の面積が三十アール以上という項目があります。また、五十アール以上の農業経営者の場合は当然加入というふうになっているわけであります。  農地等の面積が三十アール以上ある任意加入農家の六十五歳以上の方の公的年金あるいは私的年金の実態はどのようなものなのか、あるいは五十アール以上の当然加入農家の場合は年金状況がどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
  34. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) まず後者の方から申し上げますと、私的年金の実態につきましては、残念ながら調査もデータもございません。  それから、公的年金ということで一階部分国民年金と二階部分農業者年金基金ということでお話し申し上げたいんですが、これまでの実績は九十六万人に総額三兆六千億円という支給額になっております。モデルケースで計算をいたしますと、昭和十四年に生まれて二十八年加入する、そして六十五歳から受給をするという場合の年金の額は、これを月額に引き直しますと、いわゆる経営移譲年金として月額五万六千六百二十五円でございます。国民年金が一階部分にございますので、御夫婦二人で月二十万円弱という計算になります。  実際にアンケート調査を実施いたしますと、農業者年金受給者の方々の所得に占める農業者年金の割合は、一概には申せませんけれども、概して申し上げますならば、所得の中で三割未満という方が六三、四%というふうな実態になっております。
  35. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 三十アール以上五十アール未満の層はどういう状況なんでしょうか。任意加入の方ですね。
  36. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 資格として任意加入、当然加入というふうになっておりますが、一たん加入いたしますと、任意の方とそうでない方の間に差はございませんので、非常にばらつきはありますけれども、モデルケースが一番代表的な例かなというふうに思います。
  37. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 農業者年金、御夫婦で二十万円弱だとすると、収入の三割弱ぐらいを占めている非常に大事な収入源だとは思うんですけれども先ほどからも論議になっておりますけれども、国費が大部分投入されているということでありまして、今のままでよろしいのかというのがいつも議論になるわけでございます。  それで、そのほかにも未加入の問題、また未納者の問題等があるわけでありますけれども最初に未加入の問題をちょっとお聞きしたいんです。  農業者年金の未加入者平成十年度で六万九千八百十二人となっておりますが、この未加入理由あるいは原因というのはどういうものなのか、お聞きしたいと思います。
  38. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今、先生指摘の未加入者六万九千八百十二人の内訳は、当然加入加入すべきであるという方で加入していらっしゃらない方が二万五千九百七十七人、それから任意加入で資格を持っていて入っておられない方が四万三千八百三十五人という内訳でございます。  農業委員会を通じて調査をいたしましたところ、この未加入理由として非常に比率が高かったのは、第一が農業者年金に魅力がない、これが二四%でございます。それから、これは農業者年金に限らず年金制度全般について、将来に不安があるという方が二〇%いらっしゃいました。それから、三番目、四番目の理由として、保険料負担が苦しい、これが一九%、二十年以上加入できるかどうか不安だという方が一六%、こういったことが主な未加入理由になっております。  とりわけ、当然加入の方々が入っていただけないということは年金の設計上も非常に大きな圧迫要因となりますので、毎年加入促進を重点課題にいたしまして、いろいろと啓蒙活動その他を行っているところでございます。
  39. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今後、この未加入改善するのにどういうことをしていくのかということで、今少しお答えがありましたけれども、改めてもう一度お答えいただきたいんです。  年金に魅力がない、年金制度そのもの、公的年金制度もでしょうか、不安が大きい等々あります。これは抜本改革をしていかなければならないということにつながってくると思うんですが、今後の未加入者改善の見込みにつきましてお伺いしたいと思います。
  40. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) この年金制度は、とりわけ農地の権利に着目をした制度でございますので、加入候補者の掌握というのは農業委員会がデータを持っております。そういう点で幾つかのことをやっておりますけれども農業者年金加入者名簿を整備してそれを随時補正していく。これは、特に女性農業者の名簿を整備補正するということでございますが、それをもとにいたしまして加入推進員、これは農業委員会の委員になりますけれども、戸別訪問を繰り返す、あるいは加入勧奨文をお送りする、それからチームをつくりまして重点的に一定の地区で指導をする、あるいは広報活動をする、こういったようなことで加入の促進に努めているところでありますけれども、残念ながら未加入状況というのはまだ改善を見ておりません。  したがいまして、今後、農業者年金制度全体をどう持っていくか、魅力ある制度にどう再構築できるかということを通じまして、もう少し根本的な対応を考えたいと思っております。
  41. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 未加入の問題のほかに、保険料の収納率が低くなってきている。平成二年度は八九%であったのが平成十年度は七七・四%と、年々低下しているわけでありますけれども、この収納率の低下の原因はどういうものなのか、お伺いしたいと思います。
  42. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 収納率の低下につきましては、今、先生がデータをお示しになったとおりでございます。特に、最近収納率の低下が著しくなっておりまして憂慮しておる次第でございますけれども農業者年金基金を通じまして調査をいたしましたところ、直近二年間のうち、未納期間が十二カ月以上ある長期未納者、こういった方々の未納の理由といたしまして、大きな点が二つございます。  一つは、農業収入の低下によって保険料納付の余裕がない、これが大体四分の一を占めております。それから、保険料が年々高くなり負担過重となっている、これも四分の一を占めております。この二つが大きな理由として収納率が低い背景をなしているのではないかと考えております。
  43. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 大臣にこの点に関してお伺いしたいんですけれども、収納率の改善のために農水省として現在どのような取り組みをしているのか、また今後どういう取り組みをしていってさらにこの収納率を上げていくつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  44. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 収納率それから加入率をともに上げていくということは、先ほどから申し上げている農業政策上の目的達成のためにも非常に重要なことだと考えておりますので、さまざまな努力をしていかなければなりません。  具体的には、農業者年金基金におきまして、業務受託機関との連携のもとで、一番目といたしまして保険料収納推進員等による戸別訪問、二番目として保険料の前納制度あるいは自動振替方式の利用等利用しやすい状況にしていくということ、それから三番目といたしまして長期未納者に対する保険料収納の勧奨通知等の直接送付といったような収納対策、先ほど構造改善局長からも答弁がございましたけれども、等々を含めまして、あらゆる努力を払いながら制度維持、その根底にある農政上の目的達成のために一層努力していかなければならないというふうに考えております。
  45. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 この農業者年金先ほどお伺いしますと、やはり減反等も影響しているのではないかと思うんですけれども農家の方の収入がやはりなかなか伸びてこない、そういうことで保険料負担も大きい、負担感も感じている、そういう状況にあるわけです。本当に魅力ある年金であれば加入率、収納率も上がってくると思うんですけれども、なかなかそこが難しい問題かなというふうに思います。  最後の質問になるんですけれども、これも大臣にお伺いしたいんです。  農業者年金財政収支先ほど質問にありましたけれども、単年度赤字が続いておりまして、平成十年度では保険料収入五百三十五億円の約一・四倍の国庫助成、七百六十九億円を受けているわけでありますけれども、それでさえも単年度三百九十四億円の赤字となっている。年度末資産も残すところ千八百八十億円に減少してきている。  農林水産大臣としまして、今後、この農業者年金をどのようにしていく方針なのか。特に、今後の国庫負担あり方を含めてお伺いしたいと思います。
  46. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 昭和四十五年の制度発足以来、国庫負担を入れながらの制度でございますが、先生指摘のように、過去の累次にわたる再計算時におきまして長期安定化のためのいろいろな努力保険料引き上げでありますとか国庫負担引き上げ等々、いろいろ講じてきたところでございます。  この年金財政は、新規加入者の減少、これは農業者の全体の状況というものもございますが、先ほどの未納とか、資格があるにもかかわらず入らないとかいったような状況もございますし、また、現下の低金利で運用利回りが非常に低いといった、必ずしも財政計算時に見通せない、農業上だけではない財政上の理由もございまして、極めて厳しい状況にあります。  今後の国庫負担も含めた制度あり方についてどうだという御指摘でございますが、現時点においては、新しい基本法推進の観点からも、ある意味では農政の新しいスタートの時点だという意識を我々は持っておりますので、ぜひこの制度を今後ともさらに充実発展させていきたいと思っております。現在、年金制度研究会でのさまざまな御検討をいただいておりますので、その検討をいただいた上で今後のあり方について進めてまいりたいというふうに考えております。
  47. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今回の法案に関しましては、現下の経済社会状況が依然として厳しいということで、景気の状況に配慮し、また国民年金保険料の額が据え置かれている、それから厚生年金保険料率も本年度より引き上げなしの据え置きとなっている、そういう状況を考えればやむを得ないのかなというふうに考えるわけでありますけれども、この農業者年金制度そのものに関しましては、やはり加入者あるいは受給者の立場に十分配慮して検討いただいて、安心して入れるような年金制度になることを望んでおります。  以上で私の質問は終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  48. 大沢辰美

    大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  今、本当に多くの国民の皆さんが年金問題に対して、老後の不安、そして現在の保険料の掛金に負担感を抱いているというのは皆さんよく御認識だと思います。私ももと看護婦をしておりましたので、社会保障についてはとても関心を持ってきょうこの福祉委員会に参加をさせていただいたんですが、きょうは議題農業者年金でございますので、その点についての質問をさせていただきたいと思います。  第一に、農家の女性の年金問題についてお聞きしたいと思います。  農地を持たない配偶者の保険料についてですけれども、現在、農業総人口、特に農業就業者の六割を女性は占めているわけです。そして、家族農業を維持発展させていく上でも地域農業において非常に重要な役割を担っています。だけれども、女性農業者状況は、朝早くから長時間の農作業に従事しているけれどもまともな報酬はない、そしてまた自分自身の農地等の資産もつくれない、一生農業で働いても養子縁組でもしない限り何も残らないというのが今の農家の女性の地位なわけです。だから、非常に低い状況です。  その中で、前回、法改正によって農地の権利名義を持たない女性にも農業者年金加入の道が開かれました。女性の地位を引き上げる第一歩として期待されました。しかし、改正後四年たっても加入者は三千三百にしかならない。改正時、農業者年金加入者の配偶者は三十万人程度いるということが言われていたわけですけれども、これらの女性農業者加入促進をどのようにお進めになったのか、お進めになるつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  49. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 確かに、現行農業者年金制度農地の権利名義を有することを前提としておりますので、これまでは権利名義を有する女性が非常に少ないということで加入が少なかったわけでございます。  平成七年度の改正で、夫とともに農業経営に参画する配偶者については農地等の権利名義を有しない場合であっても加入の道が開かれたということで、現況三千三百三十人がお入りになっておられます。  ただ、この背景として家族経営協定を結んでおられる農家の数が一万戸弱、九千九百戸でございますので、まずはその母体である家族経営協定をもう少し広範に広げることが肝心だというふうに私どもは考えております。  そういう点で、農林水産省の中でも、または農業団体を通じましても、家族経営協定を結ぼうという形での底上げの努力、それからその中での御夫婦でも配偶者が入れますよといった周知徹底、加入促進活動というふうなことに努めているところでございます。
  50. 大沢辰美

    大沢辰美君 今、家族経営協定を結んでいれば農地を持たなくても配偶者、農家女性は加入できるということなんですが、九千九百四十七戸数ですかあるわけですけれども、現在その三分の一しか加入されていないという実態。女性の加入率の低さの原因はどこにあると思いますか。
  51. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) もちろんベースが家族経営協定にあるわけですけれども先ほどのアンケートで見られますようにやはり保険料負担というものが、もちろん保険料を払えばいずれはそれに伴って年金が入ってくるわけですけれども、その長期にわたる年金の成果といいますか効果と目の前で払わなければならない保険料負担という関係について、まだこういう農業あるいは経済状況の中で進んで入るというふうな事情になっていないのではないかというふうに推測をいたしております。
  52. 大沢辰美

    大沢辰美君 今、局長がおっしゃったように、女性の加入率の低い原因は保険料負担にあるということを指摘できると私は思うんです。  最初に他の議員の質問の中に説明がありましたけれども、農水省の資料でも、農業者年金加入者の平均農業所得は一カ月二十三万八千円、この所得で農業者の人たちは、国民年金農業者年金を合わせて負担金があるわけですが、夫婦で六万八千円になるわけです。そうしたら、非常に負担感がふえてくるというのはもう明らかで、それが女性の加入を抑えているのじゃないかということ、局長が今おっしゃったとおりだと私は思うんです。  農業者年金の女性加入の問題は、そもそも大規模農家の配偶者を加入対象として想定していたということに問題があるのじゃないか。女性農業者老後保障のために加入を実質的に進めようとする視点が欠けていたのではないか。  九五年ですから四年前ですけれども、このときの参議院の農水委員会で前の構造改善局長がこういうふうに述べています。加入意向を有する配偶者のうち、農産物販売額一千万円以上が二万六千人、そのうち二千万円以上の所得の人が一万一千人いらっしゃる、その半分ぐらいが加入するのではないかということで、女性の加入者は五千人から一万人は加入するということも答弁しています。  この間の米価暴落などの影響も受けて所得減少が著しい中で、私は大規模農家でも加入が進むわけがないと思うんです。ですから、本気で女性の加入を進めるというならば、中小規模の農家も含めて、実際に農業を担っているすべての女性が加入できる条件をつくることが必要じゃないか、配偶者の加入の際の負担軽減が必要じゃないかということを指摘したいと思うんですが、いかがでしょうか。
  53. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 現況、加入資格からいいますと、農地に係る権利ということでいいますと当然加入が五十アール、任意加入が三十アールですので、先生が今おっしゃったように、大規模農家に限定しているかどうかという点についていいますと、必ずしも私は三十アールという規模がそんなに大きいものだというふうには思いません。  ただ、最近、とりわけ施設型農業ということでハウス栽培その他が大分出てきておりますので、そういった農業者をどう扱うかという点につきましては今後この研究会の中で検討上留意すべき事項ではないかというふうに思っております。  それから、負担についての軽減の問題でありますけれども、これは女性の農業者経営のパートナーをどう見るかということなんですけれども経営のパートナーをやはり一人前の経営者として見るということであれば、どちらの方々もそれぞれ一人前の経営者として一人前の年金加入するというのが筋ではないかというふうに私は思っております。  それから、先ほどのことと関連をして、なぜ加入が低いかという点についてアンケート調査を今ちょっと当たってみたんですけれども、経済的要因というのは確かに一番高うございました。しかし、そのほかに、ほかの年金に入っているという御回答、それから夫の理解、家族の理解というふうなこともありますので、そういうものが万般要因として複合してこういう実態が出てきていると思いますので、この年金制度の設計なり制度なりだけで女性の加入者の数がふえるということでは必ずしもないというふうに思っております。
  54. 大沢辰美

    大沢辰美君 この農家の女性の加入について制度導入されたときに参考にされたと言われるドイツの農業者年金、これは低所得の経営保険料の補助がついています。そして、離婚された場合とか死別の場合の女性の老後保障も配慮されているという点が特徴だったと思うんですが、日本の場合と大いに違いがあるということを指摘したいと思うんです。  例えば中山間地、特に本当に条件不利な地域での農家の調査ですけれども、これは女性が本当に農業全般を取り仕切っているのに、農家戸数の七七・二%の農地は男性のみの名義になっているわけです。だから、農水省の調査でも、毎月決まった報酬をもらっている農家の女性は一六・二%しかいないという、ほとんどが家計費、もちろん子供の教育費などになってしまって、女性が労働報酬さえもまともに受け取れない状況がいまだにあるわけですから、本当に今おっしゃったように、一人の農業者として認められているという実態がまだないわけです。  そういう中で、新農基法が決まりました。女性農業者の参画促進をうたいました。農村での実質的な女性の地位向上を前進させるためには、農水省自身がそのための具体化の一歩として女性も農業者年金にしっかりと加入できるように促進をさせていく、そして、今申し上げました保険料負担も含めて考慮の大きな問題点ではないかと思いますが、もう一度お尋ねいたします。
  55. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 年金制度研究会がつい先ごろ中間的に検討項目を整理いたしましたけれども、その中にやはり農業経営への男女共同参画、活動の促進といったことが盛り込まれておりまして、これから新しい農業者年金制度検討する場合の大きな視点になっております。今の先生の御指摘も踏まえまして、今後の検討の中で生かしていきたいと考えております。
  56. 大沢辰美

    大沢辰美君 もう一点、女性の問題についてお聞きしたいと思うんです。  後継者の妻の任意加入について、いわゆる農業後継者の妻は、後継者である息子さんに嫁いだ場合、たとえ農業に従事し、家族協定を結んでいても農業者年金加入資格がないという問題です。今、農村はどこでも後継者不足、担い手不足が深刻です。若い農業従事者をふやして家族経営を維持していくためには、青年農業者とともに農業経営を支える妻の地位向上も重要な課題です。後継者の妻に対しても後継者と同様に任意加入の道を開くべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  57. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 後継者の配偶者の加入の問題でありますけれども、夫が農業者年金後継者加入をしていれば、農地の権利名義について夫が一ヘクタール以上、つまり二人で分けると五十、五十ということになりますけれども、あるいは配偶者自身が三十アール以上持っている、それから経営主、それから夫との間で家族経営協定を締結しているということを要件に農業者年金加入することができるというふうになっておりますので、その点につきましてもう少しPRといいますか、浸透を図りたいと思っております。
  58. 大沢辰美

    大沢辰美君 女性の農業者年金加入についてはこれで終わりたいと思うんですけれども、本当に女性が朝から夜遅くまで働き続けて、そしてその上子供を育て、家事をやり、また両親の介護をしながら農業を続けているという今の女性の実態、そういう実態を踏まえて農業者年金位置づけ、そして女性農家位置づけというのをぜひ確立していただきたいということを要望して、次の質問に移りたいと思います。  二年間この農業者年金保険料凍結するということですけれども、その凍結後について私は一点指摘と要望をしたいと思うんです。  現在、農業者経営は長引く不況で、消費不況も加えて農産物輸入の増大も加えて大変な経営状況だと思います。そういう中で保険料の額を凍結するということは私は当然の措置であると思うんです。だけれども、十四年一月には解けるわけですけれども、解除後の保険料などはどうなるんだろうという不安、また年金に対する不安を持っています。  衆議院の質疑の中で、今後の保険料について構造改善局長農業者負担可能な保険料を勉強していきたいと言われました。当然のことだと思います。そこで、全国農業会議所などで調査したアンケートを報告したいんですが、他の議員の皆さんの質問の中で、今、局長が答弁をされていますので省略したいと思いますけれども、やはり農業者年金制度改善ということを指摘していますね。魅力がない、将来に不安がある、そして保険料負担が苦しいという指摘をされています。やはり国の責任で年金の面でも農業の面でも安心できる見通しを示すことが今大事だと思います。  そこで、解除後の保険料について、構造改善局長が答弁されたように農業者負担可能な保険料にする。今でも保険料が高いという思いは農業者は持っているわけですから、その点についての大臣の認識をお伺いしたいと思います。
  59. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回御審議願っている法律は、平成七年度の財政計算に基づく平成十三年十二月三十一日までの農業者年金について凍結をしていただくということでございますが、その後についてどういう考えかと。  農業者負担ももちろん考慮に入れなければなりませんし、それから他の公的年金とのバランスというものもやはり公的年金全体のスキームというものの観点からも考慮に入れなければならないと思いますし、将来に向かっての農業者年金の長期的な展望というものも考えていかなければならない。あるいはまた、さまざまな情勢、特に新しい基本法のもとでスタートをした現時点でございますから、その後の大事な農政上の時期でもございますので、現在いわゆる研究会でそういう視点からも御検討をいただいておるところでございまして、そういうものを踏まえながら、その時点で今申し上げたさまざまな要素を検討しながら考えていきたいというふうに考えております。
  60. 大沢辰美

    大沢辰美君 農政改革大綱が出されまして、新農基法もつくられたわけですけれども、その中で経営政策の体系的整備というところで農業者年金制度見直しについて触れています。ここで言う経営政策とは、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な農業経営を育成し、その創意工夫を発揮した経営展開が行われるよう意欲ある担い手に施策を集中するとされています。新農基法の質疑で大臣は、効率的かつ安定的な農業経営とは、主たる従事者の年間労働時間が他産業並みの水準で、従事者一人当たりの生涯所得が他産業従事者と遜色のない現に経営をしている農業者と言われました。つまり、こういう農業者農業者年金対象にするということだと思うんですが、こういう農業者以外は農業者年金対象者から外すようなことがあってはならない。選別規定を設けることになるんじゃないかと私は心配しています。  ですから、本当に農業者老後生活を保障するわけですから、一部の農業者だけを対象にするような選別規定はやるべきではないということをもう一度指摘したいと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農業者年金というのは、先ほどから御議論いただいておりますように、年金という形をとりながら農業政策も進めていくという両面があって御議論いただいておるわけであります。年金である以上は負担給付というものが、あり方も含めて研究会検討いただくわけでございますけれども、とにかく負担給付というものが大前提にあるわけでございます。しかし一方、あるべき農業者の姿、大綱あるいは基本法でもいろいろ書かれておりますけれども、そこでのあるべき姿、農業者あるいはまた育成すべき農業者という、いろいろな表現が使われておりますが、それは今後の日本の国民に対する食料の安定供給等々のさまざまな役割上の一つのあるべき姿でございます。  一方、農業者年金というのは、それは入る資格のある方が負担を伴って入るわけでございますから、それによって、資格のない人はもちろんこれは別格でございますけれども年金上資格のある方については、育成すべきだとか育成すべきじゃないとか、大規模だとか小規模だとか、そういう観点から排除をするというようなことは決してない。あくまでも年金制度、そして農業政策制度の上に立った農業者年金制度を今後どういうふうにしていくかということが大前提で、今研究会でいろいろ検討をしていただいておるわけでございますが、最初からそういう形での排除というものは考えておりません。
  62. 大沢辰美

    大沢辰美君 ぜひ農業者年金についての充実をお願いして、最後に厚生省の方にお尋ねしたいと思います。  農水省の説明によりますと、農業者年金制度をつくったのは、農業者老後生活厚生年金並みの水準になるように保障したいということでございました。農業者年金国民年金上乗せ年金となっていますが、安心できる老後生活を保障するという点からいえば、根本的には上乗せ部分、つまり農業者年金がなくても生活できる制度が私は必要だと思うんです。だから、高齢者が安心できる生活が保障されることが抜本的に必要だということです。  そこで問われるのは、国民年金中身だと思います。今、自営業者国民年金受給者、平均的な年金受給額は月額約四万一千円と極めて低い水準ですね。これで本当に老後生活ができるのかと。私は、生活保護水準以下であり、一カ月どういうふうにこのお金を使っていますかということでお年寄りの方にお聞きしましたら、県営住宅の家賃に一万二千円です、食事代には一日五百円で一万五千円使います、ガス、水道、電気などで一万円かかる、その他の経費で五千円でもう本当に苦しい、生活できないということを訴えておられました。本当に胸の痛む年金制度だなと思いますが、その点についてお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 矢野朝水

    政府委員矢野朝水君) 基礎年金の水準というのは、今の四十年加入した場合、六万七千円でございます。夫婦でいきますと十二万を超えるわけでございまして、これは決して低くない水準だと思っております。ただ現実には、今御指摘ございましたように平均で見ますと四万数千円。ただ、これも、最近新しく受給され始めた方の基礎年金部分というのは約五万一千円ぐらいでございます。  といいますのは、これまで六十五歳まで待って受けるとちゃんともらえるのですけれども、六十歳から早くもらいたいということでもらいますと、その分減額になる。それとか、これまでの方はどうしても加入期間が短いということで、現実の年金水準はまだまだ五万円に達しておりませんけれども、本来ですと六万七千円ということで、これは決して基礎的な消費生活ができないとかそういう水準ではないと思っております。
  64. 清水澄子

    ○清水澄子君 大臣にお伺いいたします。  平成七年に農業者年金制度改正されたとき、夫とともに農業に専従する女性も年金加入できることになったという点では、私どももこれを推進したもので評価をしたいと思ったのですが、平成九年のときに私はこれと同じことを質問しました。そのときに、二年後だったのですが、当時千六百二十三人しか加入していなかった。ですから、これで本当に加入が促進できるのかという質問をしましたとき、政府の方は五年間で五千人から一万人の加入を見込んでいますと平然とおっしゃった。現在もう四年たったのですが、どの程度かという、先ほど数字が出ていましたけれども、こういうふうに見込みがどんどん違っても、それらについてどういう対応をされてこられたのでしょうか。
  65. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 確かに、当時かなり意欲的な数字を答弁したことは議事録で拝見をいたしております。  ただ、この女性の問題に限らず、先ほど来、就農率の問題であるとか未加入者の問題であるとか、制度全体が社会経済情勢が余りよくないという状況の中で年金へのインセンティブが非常に減っているというか、低いものになっております。そういう中で、しわ寄せという言葉は適当かどうかわかりませんけれども、同じ世帯の中で女性の部分負担してまでもというのが、先ほどのアンケートの中にある七五%の方が負担が大変だからということの結果として三千三百人のオーダーにとどまっているのではないかと私は思っております。
  66. 清水澄子

    ○清水澄子君 全体で五%しか加入していませんね。その理由一つとして、配偶者との家族経営協定が締結されていなければいけないとか、夫婦名義の農地が必要だとか、経営農地の合計面積が一ヘクタール以上でなければならないとか、非常に多くの加入要件を満たさなければ入れない。そうすると、女性は幾ら農業の専従者として大きな役割を担っていても、その加入要件がなかなか満たされないということになると、それによって老後生活の安定が得られないということになるわけです。  ですから、この加入を促進していくのであれば、このような厳しい加入要件をもう少し緩和していく。そういう点で農水大臣、少しは頭を悩まされましたか。
  67. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘のように、平成八年からいわゆる土地を所有していない配偶者としての女性も入れるということでスタートしたわけでありますけれども先ほど局長の方から答弁いたしましたように、当初の見込みを下回る現実になっておるわけであります。  やはり男女共同参画社会とか、特に農村におきましては女性というのは労働力のウエートが六割あり、当然のことながら子育て、家事等々も大変な役割を果たしておるわけでございます。もともと私は農村における女性のお立場というものに対して何とかお手伝いをしたいという気持ちを持っておるわけでございますが、先ほどから答弁を申し上げておりますように、さまざまな方策をとって何としても、女性でしかも御主人と同等に経営の主体的な役割を果たしていくというような農業者年金上の目的にかなう形での一定の要件というものがやはり当然必要になってくるという前提であることは、これは当然と言わせていただかなければなりませんが、その上で、御苦労され、一生懸命働かれ、そして老後については少しでも経済的に余裕のあるような老後を女性の方にも過ごしていただきたいということで、何とか加入促進に向けて私も頭を悩ませておるところでございます。
  68. 清水澄子

    ○清水澄子君 もう少し、今申し上げたように具体的なところをひとつ検討していただきたい、女性の加入要件をやはり検討していただきたいと思います。  その一つとして、現行制度では死亡一時金は平均七十五万円なんですね。これでは、妻だけが残されるわけじゃありませんが、残された妻や家族の経済的自立を支えるには余りにも低い金額だと思います。ですから、この死亡一時金の給付水準をもう少し引き上げるとか、また遺族年金制度の導入を検討したらいいと思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  69. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今、先生おっしゃいましたように、死亡一時金の給付水準というのは平均をすると掛金の三割ぐらいでしょうか、非常に低いという点につきましても、また遺族年金制度を導入できないかという点につきましても、これまで随分と長い間、御要望や御議論がございます。それから、この制度研究会の中でもやはりそうしたものを導入してはどうかという議論が相当根強くございます。  ただ、これは、そういう御議論がある一方で、実は私たちも非常に悩みの尽きない問題でありまして、一定の年金の財源をどういうふうに振り向けるかということに結局は突き当たってしまうわけでございます。  一つは、例えば年金というのが長生きをした方に対してその当人の生活の安定に向けるんだという考え方もありますし、それから年金の配分の中で死亡一時金あるいは遺族年金というふうなところにその財源を振り向けますと、本来は高くて魅力的でなければならない年金の水準自身が非常に低いものになってしまう。これをクリアしようとすると掛金をやはりふやさなければならないということで、両方が満たせるような解が目下見つかっておりませんので、議論はまだ終息をしているわけではございませんから、今後その点も含めましてこの検討会の中でそういう仕組みを入れるのか入れないのか、また議論を深めていきたいと考えているところでございます。
  70. 清水澄子

    ○清水澄子君 国民年金の場合には、サラリーマンの妻は第三号被保険者ということで保険料負担しないで年金給付がありますね。女性農業者は第一号被保険者になって国民年金に一万三千三百円を毎月払うわけでしょう。それに加えて、所得と関係なく月二万四百四十円の農業者年金保険料を払わなきゃならないということになると、所得を余り持たない人たちが特に女性農業者の場合は多いですね。ですから、非常にこれは入りにくい制度だと思います。もちろん将来的にそうあってはならないんですけれども、現に日本の女性農業者は七割が無給の家族従業者と言われているような実態で、女性自身の所得はなきに等しい現状の中で、こういうのは非常に無理になっていると思いますね。  ですから、二万四百四十円を払えない人はゼロになっちゃうというのではなくて、所得に応じた掛金とか、段階的な保険料率等の導入ももっと工夫すべきだと思いますが、その点はどうでしょうか。
  71. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 一番最初の大前提なんですけれども、女性が無報酬状態であることがかなり多いという御指摘もあったわけでございます。そこのところからやはり解決をしていくというのが、今日、私たちが推奨している家族農業経営協定であります。報酬の規定をしっかりすること、経営への参画についてきちんとした決まりがあること、それからみずからの経営を次の者に継承するときにお互い話し合って決めること、この三つが大きな家族経営協定の中身なんですけれども、そういったものをもっと広範に農業者の家族の中で結ぶようにする、そして女性が一人前のといいますか真に共同のパートナーとして堂々と経営の中で位置づけられるというふうなことが、遠回りなようではありますけれども私は大事だと思っているわけです。  ですから、女性の配偶者であるから免責を減らすとか保険料を下げるというふうな手法が、果たして共同した対等のパートナーという立場からいいのかどうかという点についても、もう少しいろいろ考えなければならないと思っております。現に、先ごろもアンケート調査をしましたけれども、知っているけれども入る気持ちがないという方が非常に多いわけでございまして、そこら辺から少しずつ解きほぐしていく努力をしていきたいと思っております。
  72. 清水澄子

    ○清水澄子君 全然女性の置かれた実態に基づいてお考えにならないから、理想論へ一遍に飛んじゃっていらっしゃいますね。私も、女性がきちんと自立できる経済力を持つ、それは両面をやっていかないとできないし、特に農村の場合は地域社会全体のあり方を構造的に変えなきゃならない、意識も変えなきゃならないという大きな問題がありますから、それができるまではこのままでいくんだというのでは、これは女性の加入率を含めて、私は農業者年金制度というのは非常に硬直したものであるなと今感じました。ですから、本当に女性の経済的自立を促進するのであれば、男女共同参画社会を推進するという意思をお持ちならば、もっとこの点は具体的に進めていただきたいと思います。  大臣もさっきおっしゃいましたけれども、日本の農業は全農業人口の六〇%を女性が占めている、こう言われてからもう相当長いんですよ。その当時から六〇%の農業生産を担っているそういう実態の中で、農林水産業における女性の経営上の地位というのは一向に改善されてこない、非常に遅々たるものであるわけです。それで、今そのうち七割の女性が無給の家族従業者だと。いわゆる経営の実権は男性が握っているという状態の中で、男性の方は七五%が使用者及び自営業者の地位を占めているわけです。  ですから、女性は何か非常に農業を担っていると言いながら、ただ働きといいますか、つまりアンペイドワークがずっと維持されている。ですから、これは相当政策的なてこ入れをしない限り改善できないわけです。これはもう何年も同じことを言い続けているわけですけれども、そういう中で私はぜひ農業女性の労働報酬の問題ということをもっと真剣に農水省は取り組んでいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事清水嘉与子君着席〕  そして、そういう意味では、今国会で成立した新農業基本法には第二十六条で女性の参画の促進ということがうたわれて、「国は、」「女性の農業経営における役割を適正に評価するとともに、女性が自らの意思によって農業経営及びこれに関連する活動に参画する機会を確保するための環境整備を推進するものとする。」と、そういうことがうたわれている以上は、女性が家業としてではなくて農業経営ができる、自立できる、そういう経済的なエンパワーメントを図っていくという、そういう具体的な第二十六条の政策を、大臣はこの時点に当たってどういう新しい問題、政策づくりをお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  73. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、先生指摘のように、新しい基本法二十六条で「あらゆる活動に参画する機会を確保」とか「役割を適正に評価する」とか「女性が自らの意思によって」云々というような形で、女性の自主的な活動を積極的に国としてもきちっと支援をしていかなければならないということが定められておるわけでございます。  そこで、具体的に何をやっておるか、何を考えておるかということでございますけれども、やはり土地の所有者が農業者であるという現在の農業経営形態の大宗の中で、御主人が土地の所有者である、したがって女性は手伝いあるいは無報酬というようなことではだめだという現実と、それからあるべき姿、両面の観点から女性の役割というものをこの年金の中にもきちっとやっていこうというのが平成八年以降の制度でございます。  その場合に、家族経営協定というのはやはり重要な役割を果たさざるを得ない、また果たしていくことになると思っております。これは決してややこしい約束をして縛るという、先生から冒頭に加入のときの一つの要件が余り滑らかな要件ではないというような御趣旨のことがございましたけれども、むしろ家族経営協定を結ぶことによって、女性の適正な報酬の評価の決定でありますとか、経営に参画できるとか、あるいはまた年金に、それ以外にも要件がございますが、参画できるという意味で、家族経営協定というものはこの問題に限らず前向きの一つの協定というふうに我々は理解をしております。  さらには、農協等の役員への女性の登用の促進でありますとか、農業制度資金の中に婦人あるいは高齢者に対する企業活動への無利子資金でありますとか、あるいは技術や経営ノウハウの習得のための機会、研修でありますとか、そういうさまざまなことを現にやっておりますし、さらに進めていかなければならないと考えております。  要は、農林省にも大変優秀な女性職員がおりますけれども、男性が女性のことを考えてこうすべきだというよりも、やはり女性の皆さんのいろいろな御指摘、御指導を謙虚に受けとめながら、農林省に婦人・生活課というものもございますけれども、この課を中心にいたしまして、農林省全体、なかんずく私が先頭に立って女性のお立場の支援の役割を果たしていく使命があるというふうに私自身肝に銘じておるところでございます。
  74. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、家族経営協定の締結推進は支持しておりますので、そこだけは明確に申し上げておきたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  75. 清水嘉与子

    ○理事(清水嘉与子君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、櫻井充さんが委員辞任され、その補欠として谷林正昭さんが選任されました。     ─────────────
  76. 入澤肇

    ○入澤肇君 この国民福祉委員会において、農政の中の基本的な課題である年金問題について議論できるということは、逆に農政の持っているミクロコスモス的な政策体系の象徴じゃないかと私は思っておるんです。  きょう、朝日先生初め大変本質を突く御質問が続出しているのでございますけれども、たまたま私が昭和四十四年ごろに官房の予算課にいましたときに厚生省と折衝してつくることに参画した制度なものですから、非常に思いが深いわけであります。  思いが深いといいますのは、当時、三十六年に農業基本法ができてから、十年たって一向に農業基本法の理念が実現できない、要するに構造政策が進まないということで、亡くなられた武田次官をキャップにいたしまして、農林省内に構造政策推進会議というのができました。そこで農林省の基本的な法制度について抜本的に見直そうじゃないかということで、農地法の改正がございました。  そのときの農地法の改正は所有権中心主義、要するに小作人に農地を解放して、そして零細分散錯圃という状況になってしまったわけでございますけれども、所有権中心主義を改めて利用権中心主義に切り変えるという大原則の方向転換があったわけでございます。そのほかに農協法の改正だとか土地改良法の改正だとかありまして、あわせてこの農業者年金制度ができたわけです。  この農業者年金制度ができたときに、いきさつがちょっと変わっておりまして、倉石農林大臣が宇都宮におきまして農民にも年金をというふうなことを言って、それを佐藤総理大臣がフォローして、極めて政策的な政治誘導型、政治主導型でできたのがこの農業者年金制度でございます。  厚生省といろいろな折衝をして、果たしてこれが、年金制度を仕組む一つの原則、大数の法則にかなう、要するに保険者と被保険者の割合が将来とも安定的に年金制度を維持できるだけの条件が充足できるのかどうか。それから、付加掛金率と純掛金率の割合が一定の割合で維持できる、国庫補助をある程度入れるにしてもこんなに大胆に、さっきもお話がございましたけれども、五割以上国庫補助を入れなければ維持できないなんということは当時考えていなかったわけであります。要するに、年金制度を維持するだけの条件があるのかどうかということについても基本的な議論があったわけであります。さらに、農林省と厚生省でどのように役割分担するかということも議論がございました。  きょう資料をいただいたんですけれども厚生省は約十一億円の予算を計上し、農林省は約八百八十二億円の予算を要求しております。最初は、この十一億円が農林省の予算で、厚生省の予算が八百八十二億円に相当する分野を担当するわけだったんですけれども、当時、シーリング制度がございませんでしたので、大きい方がいいことだというので農林省が主導的にこの制度をつくったものですから、その大きい方をとったんですね。ところが、その後、シーリング制度ができまして頭打ちになってしまって、逆にこの八百八十二億という大きな金額が農政を推進する上で非常に桎梏になってきた、そういうふうなことも付随的に生じたわけであります。  そこで、まずお聞きしたいのは、発足当初は年金制度を維持できるだけの条件があったと思うんですけれども、その後の農政を取り巻くいろいろな条件変化、これが今回の農業基本法改正にもつながったわけでございますけれども、これからも年金制度を維持できるだけの条件が確保できるのかどうか、これについての見通しをまずお聞きしたいと思うのであります。
  77. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) まさにその点が今後詰めるべき大きな点であります。  先生指摘のとおり、発足した当初は言ってみれば積立方式といいますか積んできたものを戻して年金として使うという制度で始まったものが、途中ああいった物価の大きな上昇の中で、今は賦課方式ということで、現在の世代がリタイアをした世代の年金を賄うという仕組みになっております。そうなりますと、こういった農業構造の変革の中で加入者と支給者の間に成熟度二五五%という非常に大きなギャップが生じ、一人がそのときに積んでいるお金で二・五五人を養わなければならない、こういうことになっているわけです。  したがいまして、この賦課方式というふうなやり方も含めて、年金制度をどういうふうに仕組むかということが、これから先、大きな枠組みを決めていく上での重要な要素の一つでありましょうし、それから日本の農業構造をこれから先、十年なり二十年間どういうものとして見通すかという点が明らかになりませんと、例えば一つ新規参入者を取り上げ、新規参入者の中から加入者がどれだけ出てくるか、また年金に入る方々の資格をどう見るかというふうなフレームをつくった上で初めて年金として成り立つのか、そうでない仕組みがいいのかということも出てくるわけだというふうに思っておりまして、ここはまだ論点が出たところでございますので、どう持っていくかという点についてはこれから、先ほど大臣は十一月を目途にと申し上げましたけれども、この秋遅くを目指して詰めていきたいと思っております。
  78. 入澤肇

    ○入澤肇君 その際に、年金制度を継続させるかどうか、新しい仕組みをつくるかどうかということの検討の際に一つお聞きしたいんですけれども、一応経営移譲年金というような政策年金として他の年金にない目的を持って発足した、それなりに農地の流動化あるいは細分化防止あるいは農業経営近代化役割を果たしてきたと思うんですけれども、構造政策として他にたくさんの手法を持っていますね。他の構造政策の中で、年金制度というのは果たしてこれからも大きな役割を果たしていけるんだろうか、この年金制度がなければ農林省がねらっている構造改革というのはできないのかどうか、なくても他の制度で十分に目的が遂行できるのではないか、この辺についてはいかがでしょうか。
  79. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 先ほど来の答弁の中で、農業者若返りあるいは農地保有合理化という問題についてお答え申し上げましたけれども、もう一つ農業者年金基金が行いましたアンケートでちょっとお話をしたいんですけれども後継者移譲をした方々のうち、農業者年金加入していることによって移譲の時期が早まったというふうに答えておられる方々が七五%あります。それから、現実問題として、今トータルで言いますと、一件当たり農地の権利移動の平均面積は〇・二八ヘクタール、〇・三ヘクタールというところなんですけれども農業者年金の第三者移譲の場合には、この四倍の一・一一ヘクタールというまとまった面積での農地権利の移動が起こっております。第三者移譲、移動面積の中での一割、一〇%ぐらいがこの年金制度を通じた権利移動でございます。  そういう点からいいますと、この年金制度なかりせば構造政策の進展度合いはより後退したのではないかという評価はできるわけでありますけれども、これから積極的にこの年金という手法を通じてどういう構造をつくり上げていくかということはまだこれから、ほかの構造政策全体も今検討しているところでございますので、それらの中で全体のフレームワークを決めたいというふうに思っております。
  80. 入澤肇

    ○入澤肇君 構造政策で細分化防止農地の集団化、あるいは土地利用の効率化、こういうことで相当な金額を出していますね。その金額は大体どのくらいになりますか。
  81. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 私のところでやっている政策というのは、基本的には構造政策の推進なわけですけれども、今、先生から御指摘があった、とりわけ農地流動化対策でありますけれども平成十一年度の当初予算ベースで一千五百五十一億というふうになっております。  ただ、圃場整備その他公共事業等を通じて面をいじりますとき、あるいはかんがい排水施設をつくるという際にもこれをきっかけとして農地の集約をいたしておりますので、そういう点でいいますと、公共事業も含めた私ども構造改善局の十一年度の一般会計当初予算は一兆三千七百億という状況にございます。
  82. 入澤肇

    ○入澤肇君 予算額もさることながら、全国に行政委員会としては唯一選挙制度を適用している農業委員制度が残っているわけですね。それから、各都道府県に農業公社もあり、いろんな仕組みができているわけです。これらが十分に動けばいいんですけれども、必ずしも十分に動いていない。  今度の農業基本法で一番問題だったのは、農政を運動論としてとらえて、運動論の核になる機関をきちんと位置づけなかったことが非常に大きな問題じゃないかと思っていたんですけれども、このように大きな構造政策の予算の中で年金制度にこれだけの金額をかけて、そしてそれが今言ったような例えば第三者移譲にしても一割程度の進捗度、そういうことになりますと、この年金制度はやっぱり思い切ってこれから直していったらいいんじゃないかというふうに思うんです。  その直す方向として、恐らく研究会におきましていろんな議論が出ていると思うんですけれども一つはみどり年金制度というのがございますね。これをひとつ評価したらどうか。そこで、みどり年金制度の現在における位置づけと評価をちょっと御説明ください。
  83. 矢野朝水

    政府委員矢野朝水君) 全国農業みどり国民年金基金だと思いますけれども、これは先ほど質問に出ました国民年金基金一つでございます。これは、農業者年金基金加入されていない農業従事者の方々を対象として平成三年に創立されたわけでございまして、現在約二万三千人の方が加入されておられるわけでございます。  この全国農業みどり国民年金基金は、農業者年金基金とともに農業従事者の方の老後所得保障ということで非常に重要な役割を果たしておると認識いたしております。
  84. 入澤肇

    ○入澤肇君 そういう抽象的なことじゃなくて、どのくらい加入していて、今の財政状況、財務がどうかということを本当は聞きたかったんです。  このみどり年金制度、これは国民年金の二階の部分にあるわけでしょう、基礎年金の二階の部分にある。農業者年金基金も二階部分だと。しかも、これは政策年金だということであれば、年金制度の論理、基礎的な原則が農業者年金基金において貫徹できないのであれば、いっそのことみどり年金の中に統合するということも一つの案だし、それからまた、今自民党を含めて各党で確定拠出型年金について議論が進んでいますが、こういうふうなものに転化していくことも一つの案じゃないかと思うんです。  同時に、認定農家制度をもっと拡充強化していって、決して兼業農家を切り捨てるという意味じゃないんですよ、プロの農家を育成しなければ、プロの担い手がいなければどの産業も必ず衰退する。そういう意味におきまして、日本農業を発展させるためには、せっかく意欲的にやっている農家層を大事にしなくちゃいけないので、そこの認定農家のみに限って別途の、例えば一時退職金の制度を設けるとか、あるいは平場における中山間において今新しい所得補てん的な直接払いの制度が設けられるように検討されていますけれども、平場の例えば北海道酪農地帯の経営安定のための新しい仕組みをつくるとか、そっちの方向へ、本格的に農家経営安定ということに焦点を絞ってこの制度を切り変えていくということもあっていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  85. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今まさに農業者年金制度の将来について抜本的改革をどうするかということを議論しているところであります。  今の先生の御指摘では、年金として運用する部分と構造政策として行う政策部分とを切り離して、構造政策としてやる部分については特定の今後発展をしていく層に焦点を当てて重点的に金を使う方が効果的であるという御意見でございました。  余り特定のことにとらわれずに検討会におきましては総合的、抜本的に見直しをしたいということでございますので、御意見も踏まえましてそういった点も幅広く検討させていただきたいと存じます。
  86. 入澤肇

    ○入澤肇君 この年金制度一つの農政の象徴のようなものでございますし、非常に希望を持って出発した制度が内部から崩れていっていたという意味ではまた日本農業の象徴のような感じもいたします。これからどうしても反転攻勢させて日本農業を上向きにするために、そういう視点からこの農業者年金基金を抜本的に見直すことを心から希望して、質問を終わります。
  87. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 最後の方になりますと大分ダブった質問もお願いしているので、ダブりはなくしたいと思いますが、まず大臣に、先ほどの大臣の女性に関しての御答弁の中で、例えば農水省に女性の職員がいるとか、それからもう少し加入しやすいようなことをいろいろ研究したいというようなことをおっしゃったんですが、そのことに対しての感想をちょっと申し上げたいと思うんです。    〔理事清水嘉与子君退席、委員長着席〕  私は、農業という包括的な政策の中の女性の問題、それからこの年金の問題というのは部分というふうにどうしてもとらえられないんです。それは大変小さい部分かもしれない、全体の農業行政からいえば。しかし、一九九五年に北京で世界女性会議というのがございました。いろんな分野の女性がいろんなことを言った。そのときに日本の農村の女性が言ったことは、いろんな女性の地位向上はやってきた、しかしどうしても手がつけられないのが年金だと、こう言ったわけです。ですから、女性たちにとってこの年金という問題がどんなに根が深い問題かということを示しているわけですね。  それからもう一つは、加入する、しないということ以前に、そもそも女性が農地の三十アールを持たないといろいろな権利が出てこないという中で、一体どういう状況に今あるのかということも知りたいと思ったわけです。きょう、女性について私は十二項目の数字を教えていただきたいということを農水省にお願いしました。自分名義の農地を三十アール以上保有している女性の数、これについてはデータがないそうです。そもそも本気で考えてくださるのであれば、こういったところのデータは私は必要だろうと思います。これが一つです。  それからもう一つの問題は、そういうふうに女性が思っている。これはこの間、男女共同参画社会基本法の中で質問したことと共通しているんですが、そのぐらい女性にとって農村が魅力がないと女性が農村に残らない。これは後継者不足。二、三日前に千葉県の鴨川である集落の長をしている方に会いましたら、三人独身の男性がいる、四十代、五十代、六十代だと。五十代の男性のお母さんは八十代だと。これではとてもここへ来る女性はいないんだと言って笑っていました。  ですから、後継者がもういない、そういう状況をつくっているのはまさにこういう問題なんです。そのことに農水省が気がついていなくてこういうことを、小手先とは申しませんけれども農業新聞を見ますと、何か一生懸命女性をふやすために女性を重点にシンポジウムをやって、それから戸別訪問までした。何人ふえたんですかということを質問しているわけですが、お答えいただければそれも伺いたいけれども、そういったことで済む問題ではなくて、日本の食料安全保障を脅かすような、その根っこの部分の問題だと思うんです。  ですから、大臣が、女性の職員がいるとか、それから加入者をこれからふやす努力をするとか、るる女性の議員からは質問がございましたけれども、そういった次元でとらえていただいたのでは私は違うんじゃないかなということを思います。そのことをまず一つ申し上げておいて、促進のための制度をやって何人ふえたかという数字がもしおありになるのなら、これは局長に御答弁いただきたい。
  88. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) では、今の堂本先生のは局長の方から答弁をいたさせます。  先ほど私がちょっと長目に力を込めたつもりで申し上げたのは、要は女性の農村における役割というのは現に非常に重要であり、しかも今後のあるべき施策として、男女共同参画型でありますとか基本法二十六条でありますとか、文字どおりやらされて、家族の一員だからやるんだということではなくて、まさに経営感覚を持って、男性のパートナーとしてやっていくという自主的かつ自覚を持ってやっていく方に対してどうやってやっていくか、あるいはまた、そうじゃない方に対してどうやって支援策をやっていくかということについて、あえて我が省には優秀な女性職員がたくさんおりますと申し上げたのは、つまり男性の職員だけで女性のことを考えても限界があるのではないかという意味で、農村社会においても女性の農業者の方に昔じっくりお話を伺って、なるほどなということを聞かせていただきましたし、また地元を含めて農家の女性の方のお話を聞けば、やはり目からうろこが落ちるようなお話を聞かせていただきますし、我が省においても女性の職員から直接話を聞きますと、なるほどというような話を聞かせていただくという意味で女性の職員がおりますというふうに申し上げたつもりでございます。  そういう意味で、我々が意欲はあっても、女性の悩みなり課題というのは、今の先生の御指摘に見られるように、やはり女性の農業者あるいはまた地域の女性の方々、そして行政においては女性の職員の意見も聞かないと本当の現状というのはわからないという意味先ほど申し上げたということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  89. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 大臣のおっしゃる意味はよくわかりました。ただ、もう一回そのことに意見を言わせていただければ、現在、農村で働いている女性、しかし多くの女性が去ってしまう。だから千葉県の場合も次男、三男はほとんど町へ出てしまった、正月に帰ってくるぐらいだと。そういうような形でとにかく子供も産めないわけです、奥さんがいないんだから、そういう状態。今、実際に仕事をしておられる方だけではなくて、これから若い人が農村に居つかないという構造の方が私は問題だと思うんです。  女性の視点はもちろん大事です。そういった意味では、農水省の職員が何人いらっしゃるのか知りませんが、五〇%は女性にしていただくともう少し女性の視点が入っていいんじゃないでしょうか。それをお勧めします。  しかし、抜本的にもっと構造改革をすべきだと思います。隣の入澤先生がまさに今るるおっしゃった政策誘導のための年金、私はそもそも年金をそういうことに使うこと自体に非常に疑問を持っています、おかしいんじゃないかと。年金年金であるべきであって、政策誘導は別な形でやるべきじゃないかというふうに思っていますけれども細分化防止とか農業近代化年金を通してやったと。  しかしその一方で、北京へ行って、日本で農業をやっている女性にとってのガンは年金だと言われること。これだけのネガティブなことを女性が思っているということは、それだけ後継者農村にいなくなってしまったということなんですね。ですから、そのことのマイナスのダメージの大きさ、これは私ははかり知れないものだと思います。  ぜひとも農水省にお願いしたいのは、せめてデータがないとおっしゃっている三十アール以上を保有している女性の数字ぐらいは後でいただきたい。それはお願いいたします。  もう一つ、そういう意味でいろいろマイナスがありますけれども先ほどの同僚の女性議員とダブることは伺いませんけれども、例えば遺族年金制度もない。私なんかはサラリーマンでしたけれども、そうすると世帯単位で遺族年金はあるわけです。しかし、ずっと働き続けて遺族年金がないというのはやはりおかしいと思います。  私は、政策誘導型をこれから検討する研究会をなさるのであれば、年金年金なのであって、みどり年金でも結構です、やはり政策誘導をやる場合には、細分化はなくなったかもしれない、しかしこれだけの過疎化が進んだ原因、これだけの独身男性、長男を生んでしまった農業政策という視点までを含めてぜひとも御検討いただきたい。  今の現状を皆様の分析の中だけではなくてもう一つ深く掘り下げて、実際に農村のありよう、日本の食料安全保障という視点から、私は女性と農業者年金の問題をうんと掘り下げていただきたいというお願いを大臣にここで申し上げさせていただきます。  次に、新規参入の問題に移りたいと思うんですけれども、これは数字をいただきました。昨年、新規就農者数は五万六千人、大変心強いことだと思っています。であるにもかかわらず、この方たちがどれだけ農業者年金加入したかというと、これまたデータがない。これはゼロなんでしょうか、どうなんでしょうか、わかりませんが、そもそも入れない状況があるんだと思います。私の知っている限りでは、兼業者へ移譲する場合、年金は六〇%しかもらえないことになっている。これはおかしいんじゃないですか。  それから、もっと言わせていただければ、先ほど入澤先生の方から、本当に専門的に農業をやっている人を大事にすべきだというお話がございました。しかし同時に、兼業農家も私は大事なんだろうと思います。それで、兼業農家でなければやっていけないような実態があるとすれば、兼業農家もきちっと認めていく、そういった展開が必要なんだろうと思うんです。そのためには、新規に入った人の場合は、自分の仕事をやめて、一〇〇%兼業が許されない、そうしないと土地を購入することもできない、そういうふうだとこれから農業というのは非常に疲弊していってしまうのじゃないかというふうに思うんです。  ですから、その辺のところをきちっと、この年金自体は大変問題ですけれども、新規に参入した方たちに対してきちっとしたインセンティブがないということも指摘したいんですが、この辺についてはいかがお考えでしょうか。
  90. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 幾つか御指摘があったんですが、順次申し上げますと、年金が掛けたお金の六割しか戻ってこないというふうなことも時折聞きます。ただ一方で、掛金の四倍返ってきたというふうな話もございます。これは、世代間で掛けた期間であるとかスタートの時期によって相当差があるわけでございます。今、先生が挙げられた事例は恐らく老齢年金だけであって、しかも賦課方式の中で物価スライド、所得スライドなしという一番厳しい計算の中で生まれた数字だろうと思います。  先ほど来申し上げておりますように、この年金経営移譲ということを前提に仕組んでおりますので、再計算のときにどういう数字を組み立てるかということはこれからでございますけれども、そのような数字には私はならないと思っております。  それから、新規参入者の問題と兼業の問題であります。これは、実はこの農業者年金固有の問題ではなくて、年金適用の順位というのが年金の社会全体で決まっております。第一順位は被用者であれば被用者年金に入る、つまりお勤めをしていればそこで入るのが優先であって、そういうのがない全くの自営の場合に、自営の中で今度は農業者年金に入るのかどうかという、こういう順番になっておりますので、そこら辺との兼ね合いで兼業も認めたらどうかということになりますと、これだけではなくて年金制度全体を検討しなければならないということが出てくるわけでございます。  ただ、その場合に、この年金から次の年金に移ったときにその期間がむだになってはいけませんので、空期間という形で通算を認めているというのがこの農業者年金のまたもう一つ特徴でございます。  いずれにしても、新規参入者の問題、それからこれまではどちらかというと土地の所有規模で縛ってきたという問題、これらも農業の構造や就業構造が変わっているわけでありますので、この制度研究会の中でどういうふうにしたら安定した年金設計ができるかということを勉強したいと思います。
  91. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 時間が参っておりますので、手短にお願いいたします。
  92. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 今、私が伺ったのは兼業の方に農業者年金をという形ではないので、ちょっと私の質問の仕方が悪かったかもしれませんが、そうではなくて兼業農家あり方ももう少しこれから改善していくべきだろうという意味で申し上げたことです。  ありがとうございました。
  93. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。  私もこの農業者年金基金法というのは初めてでございまして、きょうは朝から聞かせていただいて、久しぶりに複雑な気持ちでこの委員会に参加させていただいております。素人でございますので、素朴な疑問を正直にお伺いしたいと思います。  やっぱり勉強もさせていただかなければいけないということで、昭和四十五年当時の会議録もずっと目を通させていただいたんです。平成六年の総務庁の行政監察、こっちの方も見せていただきました。何点か疑問に感じたことをお伺いしたいわけですけれども、約三十年前の会議録を見ましたら、政府側の答弁は、何と当時の厚生政務次官が橋本龍太郎さん、また農林水産政務次官は渡辺美智雄元副総理という大変なメンバーでございました。  その中で、経営移譲をしない場合には掛け捨てになるのではないか、こういう御指摘に対しましては、当時の橋本政務次官は、「いま御指摘のようなケースにおきましても、なるほど五分五厘という金利はつかないかもしれません。しかし」「四分何厘でしたかのプラスはその場合にもあったはずであります。決して掛け金を払っていただいた方々に対して掛け損、掛け捨てという状態は起こさないということを、あらためて申し上げます。」というふうに、そのときに答弁しておられます。  政府の皆さん方が並々ならぬ熱意でということが本当によく議事録から伝わってくるわけです。日進月歩、世の移り変わりというのは本当に激しいものがあるんですけれども、そのときの状況、そして今の変化、そういうものをおさらいのつもりで、諸先生方からたくさん質問は出ましたが、改めて農林水産大臣に御感想を述べていただきたいと思います。
  94. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生今御指摘のように、昭和四十五年からスタートしたこの農業者年金制度は、先ほどもちょっと申し上げましたように農業者にも恩給をと、ちょっと古い言葉ですけれども、そういう形でスタートをしたいわゆる政策年金でございます。したがいまして、年金つまり老後収入という意味もございますが、構造政策としての経営移譲を適切な時期にやっていく、あるいはまた規模の細分化を防ぎ、むしろ規模拡大のためにこの制度が資するという意味で、年金の形の中でそういう農業政策上の推進のための目的というものも仕組んだわけでございます。  その実績については先ほどから数字を述べておりますので、結論的に申し上げれば、やはりその役割は私は果たしてきたというふうに考えております。そしてまた、新しい基本法のもとでその役割というものは引き続き、少なくとも構造政策の推進という観点はますます重要になっていくでありましょうというふうに考えております。  しかし、現状、予想以上の農業者の減少あるいは高齢化、そして新規の加入者が予想よりも少ないといった現実、あるいは財政事情、運用利回り等々を考えますと、現状は大変厳しい状況だということも事実でございまして、先ほどから御指摘をいただいているとおりでございます。  したがいまして、いろいろな問題点を抱え、また時代に合ったこういう年金あり方につきまして、さまざまな観点から御議論をいただくべく研究会でやっていただいており、十一月をめどに来年度の法制化に向けて作業を進めていただいておるわけでございまして、そういう農政上あるいは財政上、年金政策上の観点から、これからも適切に運営すべく検討をしていきたいというふうに考えております。
  95. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  今回、お役所の皆さん方にたくさんの資料をいただきまして、忙しい思いをさせて申しわけなかったんですけれども、その中に平成六年七月の総務庁の行政監察結果報告というのがございました。この中で、制度上さまざまな角度から指摘、勧告が行われているわけですけれども厚生省、農林水産省にもということで、両省の回答は平成七年五月、改善措置状況平成八年十月にそれぞれ示されておるわけです。  まず、総務庁にお伺いしたいんですけれども、行政監察の趣旨それから勧告の一点目にあります財政計算における新規加入者の推計に関する勧告の内容をお伺いしたいと思います。
  96. 西村正紀

    政府委員西村正紀君) お尋ねの農業者年金制度に関する行政監察でございます。これは、農業者年金制度の的確、効果的な運営という観点から、平成五年一月から三月にかけまして調査を行いまして、六年七月に厚生省、農水省に対しまして、農業者年金制度見直し農業者年金業務の効果的実施、適正化の推進等について勧告をしたものでございます。  お尋ねの財政計算でございますが、新規加入者の推計につきまして、新規加入者数の大宗を占める他産業からの離職就農者数が経年的に減少傾向にある中で、直近三年間の平均値をもとにして推計をしていることなどから、平成二年に行われました財政計算時の推計と実績が乖離しておる、すなわち平成五年度の新規加入者数の推計が一万七千人であったわけですが、実績は七千四百人という状況を踏まえまして、勧告では、農業者年金財政の健全化を一層推進する観点から、次期財政計算において実態に即して新規加入者数等の推計を行うように勧告したところでございます。
  97. 西川きよし

    西川きよし君 二十八分まででございますので、よろしくお願いいたします。短い時間でたくさんお伺いしたいなと思います。  諸先生方からも出たんですけれども、それでは今度は農水省に、その平成七年の財政計算ですけれども改善処置をとられたその実績をぜひお伺いしたいと思います。
  98. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 率直に言って実績ははかばかしいものではございません。見込みを大きく下回っております。平成八年度、九年度、十年度でそれぞれ三千九百六十七人、三千四百八十一人、二千六百三十人というのが新規加入の状態であります。
  99. 西川きよし

    西川きよし君 勧告の財政計算ですけれども、新規加入者の実績の推計に対する割合は、平成八年が四九%、九年が三五%、十年が二二%と、勧告の前より数字が落ち込んでいるわけです。  きょうこの委員会に参加させていただきまして、西川さんは賛成ですか、反対ですかとずっとお伺いされて、今まだ気持ちの整理がついていないわけです。僕らはいろんな方々にお伺いして、最終的に一人で採決に挑まなければいけない。いつもこういうときは本当に孤独にさいなまれるわけです。  これは素朴な疑問として、農水省はどういうふうに分析をされているのか、お伺いします。
  100. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) これは、その当時における農業構造の変革の進度というものがまず背景にございます。一年間に十万人ずつリタイアをしていくと十年間で百万人リタイアが起こる。そうすると、その分一定規模の新規参入がなければ日本の農業構造は安定供給ができるだけのものにならないというバックグラウンドがございます。  それから、現実問題として、その当時三十九歳以下の新規就農青年の数が、平成五年、六年、七年とぐっと上向きになりました。そういうふうなことを背景として、私ども平成七年の財政計算では、新規参入の数を先生から御指摘のあったような比較的高い数字に見込んだものでございます。  できるだけこれに近づけようということで、もちろん農地を所有している方々というのはすべて農業委員会で掌握をしておりますので、戸別訪問を初めとして努力はしてまいりましたけれども、結果としてそのような数字でございます。
  101. 西川きよし

    西川きよし君 続いて保険料の収納対策ですけれども、監察の結果、勧告内容を総務庁からお願いします。
  102. 西村正紀

    政府委員西村正紀君) 農業者年金保険料の収納状況の調査でございますが、調査では、単年度収納率が当時、昭和五十六年度が九四・六%、これがピークでございましたが、平成四年度には八七・五%まで低下をしており、四年度の保険料の未収納額が約九十八億円ある。それから、農協ごとに単年度収納率と保険料の自動振替方式の利用率との関係を調査した結果、自動振替方式の利用率が高い組合が収納率も高いという状況が見られました。また、未収納保険料については、納付の督励にとどまっておりまして、平成四年度に時効によって徴収権が消滅した保険料額が約六十一億円ある。このようなことが調査の結果明らかになりました。  このため、保険料の自動振替方式の利用率が低い農協について、その実態、原因を把握して効果的な普及方策を講ずること、二番目に、滞納者について理由を具体的に把握して重点的に収納対策を講ずること、それから保険料の長期滞納者に対しまして必要に応じた督促の実施等適切な措置を講ずることを勧告しております。
  103. 西川きよし

    西川きよし君 農水省に勧告後の単年度の収納率についてお伺いしたいんですけれども、二十八分まででございますので、最後の質問に移らせていただきたいと思います。  保険料の収納率の低下はもちろんですけれども先ほど先生方からも出ております新規加入者の推移、そして財政計算、実績の数字の大きな開き。どうしても、何か本当に難しい。私たちは素人でありますけれども、もう間もなく採決になるということですからしっかりと最後の質問をしたいわけです。  この制度あり方について研究が行われていると。そしてまた資料もいただき、読ませてもいただきました。説明をいただいた勧告に対する改善措置もとられているということですけれども、勧告前よりさらに落ち込んでいる、こういう点を我々は素人ですので本当に悩みます。  今後どのように考えてよりよい方向に持っていかれるのか、農林水産省、大臣の御答弁でいいんでしょうか、いただいたその答弁によって採決に挑みたいと思います。
  104. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどから見込みよりも下回っているという総務庁あるいは農林省の答弁がございました。  確かに、この時期というのは、これは私の見方でございますけれども、ある意味では農業に対する一番厳しい時期ではなかったかというふうに思っております。新規の就農者がどんどん減っていって二千人を割るというような状況になった時期がボトムでございました。それ以降だんだんと農業に対しての、新規就農者あるいは中途からの就農者もふえてきている傾向でございます。  何としても、先ほどから御指摘のある、特に女性なり若い人が農村に魅力がないというようなことから、現在は都市と農村との交流とか、さまざまな意味で、まさに農村と都市との共生というものが国民の安定的な食料供給という観点から非常に重要であるということが国民の皆様にも御理解を得つつあるという認識を持っております。食料自給率が低過ぎることに対する不安、国民の大多数の皆さんが将来に対してのそういう考えを持っており、やはり国産が基本であるというようなアンケート結果も出ております。  そういうボトムのトレンドから、今まさに農村というものは大事な地域であり、そして魅力的な地域にしなければなりませんし、またそれを期待しておるという状況でございますから、そういう意味で、これから農業に対して、新しい人々が入り、そしてそれによってよりよい経営というものが農村全体で行われるということの、まあ卵と鶏のような関係としての農業者年金制度位置づけというものが今後ますます重要になっていくと考えております。  そしてまた、日ごろから私は西川先生の弱い立場の方々に対する御配慮に満ちた質問にいつも敬意を表しておるところでございます。そういう意味で、農村において一生懸命働いて経営移譲したおじいちゃんやおばあちゃんが少しでも安心して暮らせるために役立っておりますこの農業者年金制度を、今後我々も改善すべきところは研究会を踏まえまして全力を挙げて改善努力をしていきますので、どうぞこの制度に対しての御理解と御支援を、農村のおじいちゃん、おばあちゃんのためにもよろしくお願いいたしたいと思います。
  105. 西川きよし

    西川きよし君 御丁寧に御答弁いただき、ありがとうございました。初めてですので、今回の内容より少し拡大して自分もいろいろお伺いしたかったものですから。  ありがとうございました。賛成をさせていただきます。
  106. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  107. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、朝日君から発言を求められておりますので、これを許します。朝日俊弘君。
  108. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 私は、ただいま可決されました農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   農業者年金制度については、農業従事者の高齢化及び減少、農業就業人口の過半を女性が占めるに至っている現状などの農業を取り巻く情勢の変化年金財政の悪化などにより、抜本的な改革が必要とされる状況にあること、また、社会保障制度審議会から、農業政策上の有効性、年金制度としての社会的妥当性財政的健全性などについて、再三にわたる根本的な検討が要請されていることにかんがみ、政府は、農業者年金制度の在り方について検討を進め、早急に抜本的な改革を行うべきである。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  109. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいま朝日君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  110. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 全会一致と認めます。よって、朝日君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川農林水産大臣
  111. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいまは法案を御可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
  112. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会