運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1994-03-24 第129回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成六年一月三十一日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 粟屋 敏信君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 古屋 圭司君 理事 穂積 良行君    理事 北沢 清功君 理事 井奥 貞雄君    理事 今井  宏君 理事 山名 靖英君       石橋 一弥君    金子原二郎君       栗原 裕康君    小坂 憲次君       佐藤 剛男君    中馬 弘毅君       西田  司君    蓮実  進君       平泉  渉君    池田 隆一君       小林  守君    畠山健治郎君       吉岡 賢治君    吹田  愰君       吉田 公一君    石田 勝之君       山崎広太郎君    長内 順一君       佐藤 茂樹君    神田  厚君       穀田 恵二君 ───────────────────── 平成六年三月二十四日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 粟屋 敏信君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 古屋 圭司君 理事 穂積 良行君    理事 北沢 清功君 理事 井奥 貞雄君    理事 今井  宏君 理事 山名 靖英君       金子原二郎君    金田 英行君       岸本 光造君    栗原 裕康君       小坂 憲次君    佐藤 剛男君       住  博司君    中馬 弘毅君       西田  司君    蓮実  進君       池田 隆一君    小林  守君       畠山健治郎君    吉岡 賢治君       吹田  愰君    吉田 公一君       石田 勝之君    山崎広太郎君       長内 順一君    佐藤 茂樹君       竹内  譲君    穀田 恵二君  出席国務大臣         自 治 大 臣 佐藤 観樹君  出席政府委員         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁警備局長 菅沼 清高君         防衛庁長官官房         長       宝珠山 昇君         自治大臣官房長 遠藤 安彦君         自治大臣官房総         務審議官    松本 英昭君         自治行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 滝   実君         消防庁長官   紀内 隆宏君  委員外出席者         運輸大臣官房審         議官      松浦 道夫君         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ───────────── 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   佐藤 剛男君     岸本 光造君   蓮実  進君     金田 英行君   平泉  渉君     住  博司君   佐藤 茂樹君     竹内  譲君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     蓮実  進君   岸本 光造君     佐藤 剛男君   住  博司君     平泉  渉君   竹内  譲君     佐藤 茂樹君     ───────────── 三月二十四日  地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二号)  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三号)  消防施設強化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三一号) 同月一日  地方税財源確保に関する請願唐沢俊二郎君  紹介)(第一一七号)  同(小坂憲次紹介)(第一一八号)  同(宮下創平紹介)(第一一九号)  同(若林正俊紹介)(第一二〇号)  同(小川元紹介)(第一四一号)  同(田中秀征紹介)(第一四二号) 同月八日  固定資産評価替え反対に関する請願穀田恵二  君紹介)(第二九八号)  同(矢島恒夫紹介)(第二九九号)  地方税財源確保に関する請願堀込征雄君紹  介)(第三〇〇号) 同月十五日  地方税財源確保に関する請願中島衛紹介  )(第三五九号)  同(村井仁紹介)(第三六〇号)  固定資産税都市計画税評価替えに関する請願  (穀田恵二紹介)(第四八七号)  同(寺前巖紹介)(第四八八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 二月二十八日  地方財政対策に関する陳情書外一件  (第七号)  地方税財源確保に関する陳情書外六件  (第八号)  坂本弁護士一家拉致事件の捜査に関する陳情書  (第九号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三号)  消防施設強化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四号)  地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三一号)  地方財政に関する件(平成年度地方財政計画  )      ────◇─────
  2. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国政に関する調査を行うため、本会期中  地方自治に関する事項  地方財政に関する事項  警察に関する事項  消防に関する事項 以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 粟屋敏信

    粟屋委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  4. 粟屋敏信

    粟屋委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び消防施設強化促進法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。佐藤自治大臣。     ─────────────  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  消防施設強化促進法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  5. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 ただいま議題となりました新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び消防施設強化促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  初めに、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律は、新東京国際空港周辺地域における公共施設その他の施設の計画的な整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置を講ずることを目的として昭和四十五年三月に制定されたものでありますが、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととなっております。  政府としては空港周辺地域整備計画に基づく整備事業の推進に努めてまいったところでありますが、諸般事情により、一部の事業が、法律有効期限内に完了できない見込みであります。また、最近における諸般事情の変化に対応し、かつ、関係地方公共団体要望を考慮して、新たな事業空港周辺地域整備計画に追加する必要があると考えられるのであります。  このような状況にかんがみ、空港周辺地域における公共施設等の計画的な整備を促進するため、この法律有効期限延長し、引き続き、国の財政上の特別措置を講じてまいる必要があると存ずるのであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  次に、法律案内容について御説明いたします。  まず第一に、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律有効期限を五年間延長し、平成十一年三月三十一日までとすることとし、これに伴う所要の規定整備を行うことといたしております。  第二に、この法律施行期日を公布の日といたしております。  次に、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  市町村消防施設整備につきましては、昭和二十八年の消防施設強化促進法の制定により、国庫補助制度の確立を見て以来、逐次その充実強化が図られてきたところでありますが、昭和四十九年度から、人口急増市町村における消防施設整備を促進するため、これらの市町村消防施設整備に係る国庫補助率を引き上げる特例措置を講じてきたところであります。平成年度から平成年度までの間においては、この特例措置による国庫補助率は、通常人口急増市町村については、二分の一以内とし、政令で定める人口急増市町村については、十分の四以内としてきたところであります。  しかしながら、平成年度以降においても、なお相当数人口急増市町村の存在が予想されますので、これらの市町村における市街地の拡大等に伴う消防施設整備緊急性にかんがみ、国庫補助率特例措置延長する必要があります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  人口急増市町村における消防施設整備を促進するため、通常人口急増市町村における消防施設整備に係る国庫補助率を二分の一以内に、人口急増市町村のうち、政令で定める市町村に係る国庫補助率を十分の四以内に引き上げる措置を、引き続き平成年度まで講ずることといたしております。  以上が、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び消防施設強化促進法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げます。
  6. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これにて両案についての趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  7. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
  8. 古屋圭司

    古屋委員 古屋圭司でございます。  それでは、今般提出になりました消防施設強化促進法の一部を改正する法律案並びに新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる成田財特法、両法の期限延長につきまして御質問申し上げたいと思います。  御承知のとおり、この二法案は、後に審議をされます交付税法あるいは地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案とともに、与野党協議の結果、日切れ扱いということになりました。これは国民生活に非常に密接に関係があるということから適切な結果だと考えますが、まず、それぞれにつきまして御質問を申し上げたいと思います。  最初に、消防施設強化促進法関係につきまして御質問を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、消防力充実強化というのは、いわゆる住民の生命と財産を守る、あるいは国民生活安全性の向上という観点から極めて重要な問題であることは申すまでもないわけであります。  最近、高層建築が大分ふえてきましたし、あるいは危険施設相当増加をいたしてきました。そういったことからも、災害大変複雑多様化、そして広域化しているということが挙げられると思います。このような状況に対応し、適切迅速な消防防災活動を行うためには、やはりその基本である消防防災施設補助金確保が何よりも必要であろうかと思います。  しかしながら、最近の傾向を見てみますと、この消防防災施設補助金は、昭和五十六年度がたしか二百五億円だったと思いますが、それからだんだん減ってまいりまして、平成年度に至っては百三十五億という額にまで減少をしてまいりました。その後は徐々に増加傾向になっておるようでございます。生活関連重点化枠等々の取り扱いもございまして、こういうものを通じまして増加傾向にあるようでございますが、国民の安全のための投資としては、やはり何といってもこの消防施設充実が必要不可欠であります。いわば一般公共事業等々とは性格が全く違うものである、こんなふうに言えるかと思います。  どうか、そういった状況の中から、最近の消防防災施設補助金の全般的な状況につきまして大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。
  9. 紀内隆宏

    紀内政府委員 お答え申し上げます。  消防補助金につきましては、ただいま委員からお話がございましたとおり、昭和五十六年には二百五億円という数字でございました。昭和五十年代後半から、御存じのような厳しい財政事情のもとでマイナスシーリングが設定されるということによりまして、昭和六十三年度まで減少してきたところでございます。  ただ、消防施設につきましては、これも御指摘にございましたように、地域住民の命を守り、体を守り、財産を守るという基本的な施設でございますので、その計画的な整備が必要ということで、平成年度以降は毎年度予算額の増額が図られているところでございます。平成年度の現在提出しております政府予算案におきましても、前年度比で四%増の百六十七億円を計上させていただいているところであります。  御指摘にもございましたように、消防施設整備を図るためには何としても財源が必要であるということでございます。今後とも、計画的な整備に努めるために財源確保全力を挙げていきたい、このように思っております。
  10. 古屋圭司

    古屋委員 補助金確保につきましては、ぜひとも全力で当たっていただきたいと思います。少なくとも昭和五十六年に二百五億という実績があるわけですから、やはり最低限これはクリアして、消防重要性というものを認識するためにも、大いに頑張っていただきたいと思います。  さて、今御答弁ございましたとおり、大変国財政状況が厳しいということで、なかなか要望どおり消防防災施設ができないというようなこともありまして、十年ほど前から、いわゆる防災まちづくり事業というものを推進しておられるわけであります。  私の地元におきましてもこの防災まちづくり事業による消防施設充実というのは盛んに図られておりまして、これは御承知のとおり、地方債地方交付税措置活用しまして行うものでありますけれども、実質的には、自治体財政負担を強いない形での、そして地域の実情に即したものをつくっていこう、こういうのが基本的な趣旨だと思います。例えば、防災センターとか防災無線避難路防火水槽等々のいわゆる地域防災基盤整備を積極的に推進するためには大変有益な事業でございまして、財政力指数の余り強くない自治体なんかは、むしろこちらを使った方が実質的には得をする、損得で言ってはいけないと思いますが得をするというようなことで、積極的な活用をされておるということであります。このことは私も大変評価しておる次第でございます。  特に、平成年度からは、震災対策特別事業というものが設けられまして、いわゆる拠点避難地整備事業だとか公共施設耐震事業あるいはヘリコプターの発着の整備事業等々を行っているというふうに聞いておりますが、このような特別事業の一層の充実というのは私は必要だと思います。そういった観点から、最近のこの防災まちづくり事業活用状況について、御説明をちょうだいをしたいと思います。
  11. 紀内隆宏

    紀内政府委員 火災を始めといたしまして地震や風水害、それらの災害に対処いたしまして、市町村がその地域の特性に応じた災害に強い安全な町づくりを推進するということのために、御指摘のように、地方債地方交付税をあわせ活用する防災まちづくり事業というものを昭和六十一年度から始めたところでございます。  その中身も、これまた御指摘がございましたが、防災センターあるいは防災無線小型動力ポンプといったような消防防災施設、さらには避難路とか避難地とかいった防災基盤整備などがございまして、その仕組みを若干申し上げますと、事業費の九五%に地域総合整備事業債というものが認められます。この九五%のうち八五%相当額がいわゆる地総債特別分という形で、元利償還金につきまして、財政力に応じて三〇%から最高五五%までが交付税にはね返される、こういうことになっております。なお、防災基盤整備関係につきましては、特別分の七五%が充当される、こういう仕組みでございます。  おかげさまで、防災まちづくり事業につきましては、年々市町村において広く活用されてきておりまして、平成年度における防災まちづくり事業事業費ベースで申し上げますと、三百五十億円ということになっております。平成年度は、現在まだ見込みが定かではございませんが、四百億円程度になるのではないか、このように考えております。
  12. 古屋圭司

    古屋委員 どうかこれからも、この防災まちづくり事業を通じまして、シーリングというのがございまして補助金確保はなかなか難しいということもありましょう、自治体としてはやはり補助金でいただくのが一番いいのでしょうけれども、やはり、いずれにしろ施設充実するという観点から、大いにこの防災まちづくり事業を積極的に活用するように、それぞれの自治体にも働きかけをお願いを申し上げたいと思います。  次に、この消防施設強化促進法に関することにつきまして御質問を申し上げたいと思います。  この法律は、先ほど大臣からの趣旨説明でもございましたとおり、人口急増地区におきましては消防防災施設に関する国庫補助率を、政令指定都市あるいは財政力指数が一・〇〇以上の自治体については十分の四、その他については二分の一とするということでございまして、これは昭和四十九年以降の毎年、五年間ごと特例措置として補助金かさ上げの実施をされておる、こういうふうに承知をいたしております。これが本年三月三十一日で期限を迎えるということでございまして、再度の延長ということでございます。今までの経緯からして、この延長は、私も当然認められてしかるべきではないかな、こういう気がいたしますが、大臣として、今般、この再延長をしなければいけないという基本的な理由等々、あるいは何ゆえ五年ごととしているのか、この辺につきましての基本的な考え方につきまして御答弁をいただければと思います。
  13. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 古屋委員から冒頭御質問の中でもございましたように、もう率直に言って、消防というのは待ったなしの整備をしなければならぬものでございます。特に、人口が急増しておりますところは、消防だけでございませんで、義務教育の学校の施設とか、あるいはごみの処理の問題とか、もう需要が一挙にわっと出てくるわけでございます。そういったいろいろな需要が多い中でございますけれども、まさに待ったなしのこの防災施設整備をしていくということで御承知のように法律ができておるわけでございますけれども、今、なおかつやはり人口急増市町村というのは、消防ポンプ自動車充足率にいたしましても全国平均八八・五に対しまして四・六%下回っておるとか、はしごつき消防自動車充足率につきましても全国が六二・一%に対しまして一・五%下がっているとか、非常にその意味では充実強化が急がれるところでございます。  したがいまして、私たちといたしましては、五年間延長していただきまして一日も早くこれが全国並みになっていくようにしていかなければならぬということでございまして、ただ、人口移動等がこれからどうなっていくか、その辺のところもございますので、従来どおり五年間ということにさせていただいてかなり充実強化が図られていくのではないだろうか。そして、そのときの状況を見てその後どうしていくかということだということで、従来どおり五年間ということにさせていただいた次第でございます。
  14. 古屋圭司

    古屋委員 大臣の御答弁のとおりだと私も思います。いわるゆ人口急増市町村における消防施設というのは、私もたまたま地元人口急増地区市町村を抱えておりますが、これは消防施設だけではなくて、下水等々を初めとするいわゆる社会資本整備につきましても、大分おくれているというのが現状であります。確かに税収もふえましょうが、しかし、それ以上にやはりそういった施設充実にお金がかかる、なかなか追いつかないということでございまして、私も、ぜひともこの延長によりまして、さらなる人口急増地域に対しましての手厚い保護をよろしくお願いを申し上げたいと思っております。  さて次に、人口急増地という言葉がございますが、この人口急増地というのはどういう定義なのか、どういった場合に人口急増地になって、そして、その条件がどういった場合には人口急増地から指定が外されるのかということが一つ。それから、今この人口急増市町村がどういう形で推移をしているのか、そして今後どういうふうに見込まれるか、あるいはその補助実績等々について、まずお伺いをしたいと思います。
  15. 紀内隆宏

    紀内政府委員 人口急増市町村考え方でございますけれども、その年度の初日の属する年の前年度の三月三十一日、非常に回りくどい言い方をしておりますけれども、平成年度について言うならば、平成五年の三月三十一日を基準にいたしまして、それから丸三年前、平成二年三月三十一日の人口と比べるわけでございます。その間に、人口の絶対数が三千人、パーセンテージにして六%、この両方を満たすような場合に人口急増市町村として指定をする、こういうことでございます。  それで、実際にそのような市町村状況がどうであったかと申しますと、前回の改正時以降の人口急増市町村指定状況が、元年度が七十五、二年度が九十七、三年度が九十九、四年度が九十八、五年度が八十三、こういうことになっております。この間の補助実績が、補助金ベースで申し上げまして合計約三十億円、うちかさ上げ額が約九億円ということになっております。
  16. 古屋圭司

    古屋委員 この人口急増地域における特例補助率の適用につきましては、対象事業が限られているというふうに私は理解しております。例えば防火水槽であるとか消防ポンプ自動車消防無線小型動力ポンプつき水槽車化学消防ポンプ自動車あるいははしごつき消防ポンプ自動車等々だというふうに承っておりますが、こういった対象を何ゆえ限定しているのか。むしろ限定しないで全部の事業に対してこういったことをしてもいいんじゃないかなという率直な考えがあるんですが、その辺はどういったふうにお考えなのか、あるいはどういったふうに規定をしておられるのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  17. 紀内隆宏

    紀内政府委員 御指摘のように、幅広い対象をとらえて、それは補助かさ上げすることが望ましいことではございますけれども、何分人口急増という現象に対応して、特に当該市町村において重点的に対応しなければいけないというものを考えますと、やはり基本的な施設であるところの防火水槽あるいはポンプ自動車のたぐい、それに消防無線施設であろう。このようなことから重点を絞って対応しているところでございます。
  18. 古屋圭司

    古屋委員 確かに財政上の問題があるということはよく承知をいたしております。しかし、施設というのは今挙げられた限定施設に限りませんで、やはりほかにもいろいろな必要な施設というのはあろうかと思います。これはソフト、ハード両面にわたって必要なんだと思いますが、そういったことにつきましても、今後とも大いにいろいろな面で御配慮をいただきたい、このように要望をいたしておきます。  それと、今後、人口急増地域指定されている市町村が将来的にはどういうふうになっていくのか、その見込みあるいは事業実施の見込み等々について、消防庁の方のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  19. 紀内隆宏

    紀内政府委員 先ほど申し上げました要件によって人口急増指定がされていくわけでございますので、そのときどきによっていろいろ数字が変わるかと思いますが、現在一定の見込みを立てておりまして、それによりますと、今後の人口急増指定が見込まれる市町村というのは大都市の近郊とそれから地域中核都市の周辺ということが中心になろうかと思います。大体先ほど申し上げましたような元年度の七十五から五年度の八十三、これと似通ったような数字で人口増加市町村が存在するもの、このように考えております。  それで、これを補助金ベースで見ますと、平成年度以降五年間の補助率特例に係る総体の計画事業量というのは約三十六億円、うちかさ上げ分としては約十二億円程度であろうか、このように見込んでおります。
  20. 古屋圭司

    古屋委員 それでは、この人口急増地域における特例補助率の適用年度延長につきましては、もう基本的にこれは問題ないと思います。ぜひ延長していただくという方向でいいんじゃないかなと私も考えておりますので、この部分につきましての質問はこの程度にさしていただきまして、ちょっと消防関係の関連につきまして質問さしていただきたいと思います。  最近は、シーリングがかかっているということもありまして、いわゆる消防施設事業量の拡大を優先するということになりますと、どうしても消防施設補助金補助単価というものを据え置きにせざるを得ない。これは、この消防だけに限ったことではなくて、文教とか一般公共事業についても同じことが言えると思うんですが、消防関係補助単価はたしか十年ぐらい据え置きになっているかと理解をしております。地元市町村自治体においては、やはりこの単価を何とか見直してほしいという要望がかなり出ておるようでございますけれども、この補助単価の見直しにつきまして、その引き上げにつきまして、どのようにお考えになっているのかにつきまして御質問を申し上げたいと思います。
  21. 紀内隆宏

    紀内政府委員 御指摘ございましたように、消防施設補助基準額、その前提となる単価につきましては、近年物価が安定的に推移していたということもございまして、消費税導入時に若干の見直しを行ったことを除きますと引き上げを行ってきておりません。このため、補助基準額ベースで見ますと、購入価格との間で乖離が見られるというのは事実でございます。  そこで、平成年度におきましては、最も基本的なものでございます防火水槽あるいは消防ポンプ自動車、こういうものにつきまして、政府予算案におきましては予算単価を引き上げを行ったところでございます。予算が成立いたしますと、その後において、この予算単価を勘案してそれぞれの施設についての補助基準額を改定する、こういう運びになります。  今後とも、その補助基準額と実勢価格とが見合ったものとなるよう引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  22. 古屋圭司

    古屋委員 それでは次に、特に地方都市、小さな市町村にとっては切っても切り離すことのできない、いわゆる消防関係のことについて御質問をさせていただきたいと思います。  施設充実強化をすることはもちろんでありますが、それをしましても、最終的に消防業務に従事する人がいなければ、これは全く意味をなさないわけであります。昨年、たしか十一月だったと思いますが、自治体消防四十五周年ということで、大臣も御出席されました、陛下も御出席されて、東京ドームで大変盛大な式典が行われました。数多くの消防団の皆様があそこに参列をされて、自分たちの使命の重大さというものを恐らく改めて認識をされたと思います。  実は、私ごとになりますが、私も若いころ消防団に三年ほど入っていたことがございまして、何しろこの消防活動というのは、時期になりますと、年末警戒の時期あるいは操法大会の時期になりますと、かなり時間をとられるんですね。それで、どうですか、時には自分の仕事も犠牲にしてやっているという方がほとんどであります。しかし、彼らの心の中にあるものは、やはり住民の生命と財産を守るという崇高な消防精神やあるいはそれ以外にやはり地域とのかかわり合い、そして自分たちの地域の郷土愛というものをはぐくむためにも、そしてまた、連帯意識、同志意識というものを高揚するためにも非常に重要な組織だ、私はそういうふうにとらえております。しかしながら、最近消防団の数が大変減ってきている。特に高齢化なんかが著しいというふうに聞いております。  ある都市部出身の議員さんとこの前お話ししましたら、おれのところの消防団は、団長はもう八十歳代、分団長とか班長でも七十歳代であって、これじゃとてもじゃないけど有事の際に活動できないぞと、まあいわば名誉職に成り下がってしまっているということでありました。確かに消防本部の充実というものもございましょうけれども、やはり地域の、自分たちの地域は自分たちの地域で守るというこの伝統を守っていくことこそが私は大切じゃないかなと思っております。  ちなみに、団員数でも、一番のピーク時は昭和二十八年の二百万人、これに対して平成年度では九十八万人になっております。確かに、消防施設充実されたり、道路網が整備されたり等々で絶対的な数だけでは比較はできませんけれども、この九十八万人の中でもスリーピングメンバーというのがたくさんいるんじゃないかなということを考えますと、これは自治体消防の根幹を揺るがしかねない大きな問題ではないかな、こんなふうに思っております。  ちなみに、消防機械の保有台数を見てみましても、例えば消防ポンプ自動車は、消防本部が四千四百八十八台であるのに対しまして、消防団は一万四千三百九十六台ということであります。小型動力ポンプに至っては、三千百六十三台が五万一千五百三十二台ということでございまして、この数字を見ても、やはり全国に三千三百ある市町村消防のかなめは消防団であると言っても過言でないと私は思います。  そういった意味からも、ぜひとも今後消防団の処遇改善を積極的に進めていく必要があろうかと思います。この辺につきましての考え方をお伺いを申し上げたいと思います。
  23. 紀内隆宏

    紀内政府委員 消防団員としての御経験に基づいての貴重なお話を拝聴いたしました。お話しのように、消防団員というのは、通常は各自それぞれの職業に従事しているわけでございますけれども、一朝有事の際にはみずからの手で災害から郷土を守るという崇高な精神の発露によって、常備消防と相まって、地域の防災のために非常な活躍をしていただく存在でございます。  その労苦に報いるためには、御指摘のように適切な感謝の意を表することが必要であるということで、平成年度におきましては、報酬なり出動手当等につきまして、地方交付税上従来にも増した財政措置を講じたところでございます。平成年度におきましても、引き続き、交付税に算入いたします報酬、出動手当の額を引き上げる、さらには公務災害における補償基礎額あるいは退職報償金等の改善も行ってまいりたい、このように考えております。
  24. 古屋圭司

    古屋委員 そういった処遇の改善はもちろん必要でありますが、もう一つ必要なことは、やはり消防団の大切さを一層、啓蒙活動、PR活動を大いにしていただくということが必要だと思います。最近の若い人たちはいろいろな趣味を持っておりますし、団体で行動するよりもむしろ個人を大切にするという風潮があって、どうしても入ったがらない傾向があろうかと思いますが、しかし、一たん入ってみれば、その貴重な体験というのは長い人生の中で必ずや役に立つことが多々あろうかと思います。そういった観点からも、ぜひこの消防団に入っていただくためのPR活動につきましても、大いに所要の予算の確保等々をお願い申し上げたいと思います。  それからもう一つ、私の地元の方からのよく聞く要望でございます。  実は、団員の退職報償金がございます。これについては五年刻みで行われているというふうに承っておりますけれども、どうも五年刻みでやると、これを年数によってそう差別化するのはいいか悪いかという議論はありますが、やはりその人に対する、消防団活動に対する敬意を表するためにも、もうちょっときめ細かな基準があってもいいのではないかという議論をよく聞きます。具体的には、まあ一年刻みぐらいでやってくれると一番ありがたいのだけれどもなという話もあるわけでございますが、この辺につきまして、国の基準を出してほしいという要望が実は出ておりまして、この点もあわせ、お伺いを申し上げたいと思います。
  25. 紀内隆宏

    紀内政府委員 まず、消防団員の確保につきまして、地域の青年層あたりの理解を求めて、それへの加入を促進するような、そういう啓発につきましては、かねて力を入れているところでございます。また、消防団の施設なり装備なりというものにつきましても、補助事業でもこれを対象としておりまして、そのような面からも魅力をふやして、消防団の人員の確保、若返りということに力を入れていきたいというふうに思っております。  それから、終わりにございました退職報償金の年限の計算の話でございますけれども、確かに一年刻みでというふうな要望を聞いたことはございますが、何分、一定の年限できるだけいていただく、そのことによって一定の報償をするというスタイルを考えますと、一年刻みということについてやはり慎重にならざるを得ない、このように考えております。
  26. 古屋圭司

    古屋委員 確かにおっしゃることもわかりますが、やはり、自分の仕事を犠牲にして一年でも多く消防団員として働きたいという気持ちはあろうかと思います。しかし、諸般の情勢からしてどうしても退団せざるを得ないという方が大部分だと思いますので、そういった気持ちも大いに酌み取っていただいて、消防団員の確保、そしてそのための施設充実については、今後ともお力添えを賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。  さて、消防団員というと男だけだと思っておりますが、実は女性の消防団員もいらっしゃるということでありまして、全国に数千人の女性の消防団員がいらっしゃる。これは、いわゆる婦人防火クラブとは別でございます。細川総理大臣は、女性の活用というものを積極的に行おう、特にいろいろな審議会におきましても、女性のメンバーが必ず入っておられます。今度の選挙制度の区割りの審議会でも女性が入っておられます。そういったことからしても、やはり女性の活用を重視していくということが大切かと思います。  女性ならではの団活動というものも、例えば今申し上げましたような啓蒙活動あるいは防災思想の普及等々、女性が活躍できる面というのは多々あろうかと思います。ただ、いざ有事の際には男性と比べれば若干能力は劣るのかなという気もしますが、最近は男性の女性化という言葉もございまして、大変張り切っている女性もたくさんいらっしゃるということでありまして、そういった活動にもあるいは操法大会にも女性が参加しているということを私も聞いたことがあります。そういった意味で、女性の団員の確保、これが数の確保にもつながりますし、また女性が入ればそれに伴って、ああおれも入ろうかなという男性もふえようかと思いますので、その辺につきまして、どうか大臣の御見解をお願いを申し上げたいと思います。
  27. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 前半言われた審議会の委員の問題とはいささか性格を異にすると思いますけれども、実際に古屋さんのところもそうだと思いますし、私どももそうでございますが、男性の場合には、かなり住んでいるところと違うところに勤務していらっしゃる形態が非常に多いのじゃないか。それから、火を使うということを考えますと、私のようにたばこを吸わない者は、火は直接的にはほとんど一日じゅう手にしない場合がある。女性の場合には、やはり料理ということで、それは分けてしまうとまた怒られるかもしれませんが、そういうことで火に対する親近感というのは、やはり女性の方がその意味では非常に強いのではないか。  そういった意味から申しますと、私の地域にもございますけれども、やはり昼間じゅう、パートの方も随分いらっしゃいますけれども、みずから住んでいらっしゃる機会が多い、また火を使う機会が非常に多い方々に、なお一層消防、防火ということをやっていただく、関心を深めていただくという意味におきましては、その意味でやはり女性の消防団といいましょうか、消防団員と申しましょうか、これ自体はそういった観点からも大変意義があることではないかということで、我々の方としても大変関心を持って進めるように考えておるわけでございます。  御指摘のように、今かなりのところでできつつあるわけでございますので、古屋委員指摘のように、私たちも同じような考えに沿って、より一層発展をしますように考慮していきたいと考えております。
  28. 古屋圭司

    古屋委員 ありがとうございました。それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。  一昨年ですか、高規格救急自動車の導入に伴いまして、救急救命士の資格を国家資格として与えていこう、こういう制度ができ上がりました。今、各自治体が救急高度化に向けて必死に取り組んでおります。これは、災害の多様化あるいは高度化ということからも緊急的に必要な問題だ、こういうふうに私は考えております。  消防八分あるいは救急五分と言われるように、最初の数分間が人間の生死を左右するということを言っても過言ではないと思います。そういった状況から、どうか今後とも高規格救急自動車の導入あるいは救急救命士の養成につきましては、積極的な対応をしていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  ちなみに、私の岐阜県におきましては、本年度は七台程度要望を出しておると思うのですが、国の方で認められるのは二、三台ぐらいだろうという話を聞きまして、あとは県の方で何とか確保をしなきゃいけないのかというような話も聞いております。やはり最終的には各市町村に一台の高規格自動車が配備をされるという時代になってしかるべきだと思います。そういったことからも、大いに今後この高規格自動車の導入、そして救急救命士の養成につきましては、積極的な対応をお願いしたいと思います。  これにつきましての御見解につきまして御答弁お願いしたいと思います。
  29. 紀内隆宏

    紀内政府委員 救急の現場あるいは患者を搬送する途上、そういうところでの救命率の向上ということを考えまして、御指摘にもございましたが、平成三年の八月に、救急隊員の行う応急処置等の範囲を拡大する、あわせまして、とりわけ症状の重い傷病者につきましては医師の指示のもとで心臓に対する電気ショックといったような高度の応急処置を行うことができるよう、救急救命士という制度が発足したところでございます。これを受けまして、現在、各消防機関では救急救命士の養成あるいは高規格救急車を初めとする資機材の整備、さらには救急医療関係機関等との連携というものに積極的に取り組んでいるところでございます。  特にお尋ねの高規格救急車につきましては、地方交付税あるいは国庫補助制度で所要の財政措置を講じているところでございまして、その導入状況について申し上げますと、平成年度末現在で全国で四百二十一台という配備見込みでございます。今後ともその配備が促進されるように努めてまいりたいと思っております。  それから、救急救命士につきましては、これまで国家試験が四回行われまして、その結果、現在救急隊員の中で千二百八十四名が資格を取得しております。この三月現在で九十六の消防本部におきまして千百名が実務についております。  この救急救命士の教育訓練施設につきましては、昨年の十月に救急振興財団が東京研修所というものを開校し、平成年度には九州研修所、仮称でございますけれども、北九州に置こうということで開校を予定しております。そのことによって養成規模の拡大が図られまして、それらを含めまして毎年千人程度の養成が進むのではなかろうかと思っております。今後とも計画的に救急救命士の養成に努めてまいりたいと考えております。
  30. 古屋圭司

    古屋委員 どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、消防関係はこれで最後ですが、最近、消防審議会におきまして、消防業務協力者に対する補償範囲のあり方について答申が行われまして、その中で、応急消火義務者、緊急的に消火をしていただいた方についても補償の対象とするということを検討しているというふうに私は承っております。このこと自体は非常に時代にマッチしたものなのかなという気もいたします。  ただ、この補償金というのは共済組合の方から出ているわけでありまして、このようなてん補の範囲の拡大によってレートの改正など加入者の負担がふえていかないのか、こういった心配も一方ではあろうかと思います。そういった面も含め、この制度の内容と制度改正の見通しにつきまして御意見をちょうだいしたいと思います。
  31. 紀内隆宏

    紀内政府委員 まず、現在の消防法の中でどうなっているかと申し上げますと、火災が発生いたしますと、その発生した消防対象物と称する建物の所有者とか管理者とかあるいは占有者、あるいはそこに居住する者あるいは勤務する者、そういう人たちは、そこで消火とかあるいは延焼防止、人命救助ということを行わなければならない、こういう立場に置かれておりまして、これは応急消火義務者と呼ばれるグループでございます。  一方、その場合に火災の現場付近にある者は、というのは通りがかった人もありましょうが、例えば隣の建物に住んでいる人、勤務している人、そういう人をいうわけでございます。これは今言った応急消火義務者が行う消火あるいは延焼防止、人命救助というものに協力しなければならない、こういう立場に置かれています。これは消防業務協力者という言葉で呼ばれております。  それで、その結果負傷する、あるいは疾病にかかる、場合によっては死亡ということがある場合に、消防業務協力者の方は、その受けた損害を市町村から補償してもらうことができるというのが現行の法制でございます。一方、初めの応急消火義務者につきましては、その損害補償の対象にならないというのが現行法の仕組みになっているわけでございます。  しかしながら、同じ消防活動を行いながら、同じ建物の居住者や勤務者であるということのために補償が受けられない。例えばマンションみたいなもので一番端っこが燃えたのに一番端っこのフラットから飛んできて協力をした、あるいは違う階層からやってきて消したという者の場合には、隣の建物から来た者と似たような関係にあるわけでございますけれども、同一棟に居住しているというふうなことによって損害補償の対象にならないわけでございます。  この法が制定されましたのが昭和二十七年でございます。その後、建物についていうならば区分所有法というふうなものができる、あるいは建物の実態からいいましても共同住宅とか雑居ビルというものがふえてくる。さらには、国民一般の意識として近隣意識というものが薄くなってきているというふうなことを考えますと、消防業務協力者に対する補償制度というものについても、この際、応急消火義務者のうち消防業務協力者に準ずるような立場で見ていいものがあるのではなかろうか。  そこのところをひとつ公平の観点から見直してはどうかということで、例えば応急消火義務者とされる者につきましても、火災が発生した部分以外のマンション等の居住者であるとか、あるいは雑居ビルの勤務者であるとか、社会実態上は消防業務協力者の立場に近いと認められる者につきましては、協力者に準じて補償の対象とすることが適当であろう、こういう御答申をいただいたところでございます。  現在、私ども法案化の詰めの作業を行っているところでございまして、今国会に消防法の一部を改正する法律案というものを提出して答申の実現に努めたい、このように考えているところでございます。
  32. 古屋圭司

    古屋委員 どうもありがとうございました。ぜひそういう方針に沿いましての改正をお願いを申し上げたいと思います。  以上で、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案関係につきましては、質問を終わらせていただきたいと思います。御協力ありがとうございました。  次に、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる成田財特法期限延長の問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。  この法律は、御案内のとおり成田空港の設置に伴いまして関係地方公共団体において空港周辺地域における公共施設を計画的に整備すべく、その財政負担を軽減するための特例措置であります。  その成立は昭和四十五年の三月でありました。昭和五十四年三月にまず十年間の延長をなされております。その後、平成元年三月に五年、また今般は五年間の延長ということの要望でございます。今までの長い経緯によりまして、本案の延長は基本的には必要と考えております。  しかしながら、成田空港の位置決定が昭和四十一年になされて以来、もう既に二十五年以上経過しておるわけでございます。そこでまず、成田空港整備にかかわりますいろいろこれまでの歴史的経緯や幾つもの課題があったかと思いますが、それぞれにつきまして、おさらいの意味も込めまして、概略等を運輸省からお伺いできれば、こんなふうに思っております。
  33. 松浦道夫

    ○松浦説明員 ます、経緯につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  新しい国際空港が必要だというのが出てきましたのが昭和三十年代の後半でございます。羽田空港がもう限界に達するという見込みができましたので、そういうことで航空審議会に諮問をいたしまして、答申を得て、当初、昭和四十年でございますけれども、新空港の位置を富里村付近というところに内定をしたのでございます。しかしながら、地元で大変激しい反対運動が起こっておりまして、地元の知事さんとも相談した結果、これではまずかろうということでるる検討をしたのですが、まず面積を半分にし、それから、位置を国有地、県有地なんかが多く利用できる三里塚の位置にしようということで、昭和四十一年七月四日に閣議決定されたものでございます。今先生のお話がありましたものでございます。それが現在の計画でございます。  なお、このときに、同時に千葉県からお示しをされておりました地元対策、ぜひこういうことをやってほしいという地元対策につきましても閣議決定を同時にしたところでございますが、それが今日の成田財特法につながったものでございます。  ところが、当時の状況は、全学連というのが大変勢力の強いときでございましたけれども、それが成田の現地に支援に入るというようなことで、昭和四十一年以降大変激しい反対運動が続いたわけでございます。しかし、空港公団の方では一生懸命用地交渉に努めました。そして、昭和四十四年に至りましては、民有地の九〇%の土地につきまして地権者の同意を得るという状況に立ち至ったわけですが、片一方、羽田空港、その当時羽田空港一カ所でやっていたわけですが、そこの混雑の限界というのが大変な状況になっておりましたので、そこで、話し合いというのはぎりぎりまで続けるということを目指してはおりましたのですが、手続として土地収用法の手続に入ったのが昭和四十四年でございます。  ところが、この土地収用の手続に入ったこと自体が大変反対運動をかえって激化させることになってしまったのが、今から思うと反省されるところでございますけれども、この間流血の惨事も生じました。いろいろなそういうことがございましたけれども、警備の関係者の方々あるいは地元地方公共団体の方々などの御協力を得まして、五十三年の五月に一期計画分につきましては開港することができたわけでございます。  それで、五十三年五月開港いたしました後も、何とか話し合いで解決できないだろうかということで、運輸省といたしましては、例えば五十四年の七月でございますが、当時の運輸大臣から反対同盟の委員長に話し合いを呼びかけたりもいたしております。そんな努力もいろいろやりましたけれども、解決の糸口というのがっかめないまま最近まで至ったわけでございますが、幸い平成二年の十一月に至りまして、地元の地方公共団体だとかあるいは地元の有志の方々で地域振興連絡協議会というものをつくってくれまして、話し合いを進めようという機運が地元に大分高まってまいりました。それを契機にいたしまして、いわゆるシンポジウムと称しておりますが、成田空港問題シンポジウムというのを平成三年の十一月に第一回を発足させて、それ以来十五回にわたりまして、隅谷調査団という調査団の方々に間を取り持っていただきながら審議を続けてまいりました。  十五回の議論の結果、昨年の五月、所見が出されまして、収用裁決申請を取り下げなさいということと、それから後はまた話し合いを続けてやってくださいということで、話し合いの場を、成田空港問題円卓会議というのを今やっております。  メンバーは、反対同盟だとか運輸省、空港公団、千葉県という従来のメンバーに加えまして、地元の市だとか町、それから民間の有識者の方なんかにも加わってもらっておりまして、空港と地域はどうやったら共生できるだろうかなというようなことにつきまして真剣な議論を続けているというのが今日までの経緯でございますけれども、運輸省としましては、この話し合いの流れというものを大切にして問題解決を目指していきたいというふうに思っております。
  34. 古屋圭司

    古屋委員 今、経緯を承りまして、改めて成田空港の歴史というものを再認識をさせていただきました。円卓会議までごぎつけているということでありますが、ここまでくるのに果たしてこれでよかったのだろうかといういろいろな疑念もあったかと思いますが、どうか一日も早く解決をしていただいて、さらなる前進を私ども切に望んでいる次第でございます。  さて、先ほど概要説明の中でいわゆる過激派の問題が出ておりましたけれども、成田空港というと、当初は三里塚闘争に象徴されるように過激派の歴史だったと言っても過言ではない面があったと思います。最近はその過激派につきましては今御説明のとおりのような状況だというふうに承っておりますが、念のため、警察庁の方からこの過激派の動向等についても御意見をちょうだいできればと思っております。
  35. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  いわゆる過激派、私どもは極左暴力集団と称しておりますけれども、この過激派は、成田空港の廃港化、二期工事の阻止をテーマとして掲げまして恒常的な成田闘争を展開してきたところでございまして、成田の現地でさまざまな機会をとらえて集会、デモに取り組みます一方、放火、爆発物、迫撃弾といったものを用いましたテロ、ゲリラ事件を多数引き起こしてまいったところでございます。その数は、大規模な集団行動が少なくなった昭和五十年以降を見てみましても、現在まで五百三十件に及んでおりまして、ことしに入りましてからも、既に運輸省の幹部宅への同時ゲリラ等の二件のゲリラ事件を発生させております。  なお、現在も成田空港の周辺には十四セクト、約百人の極左暴力集団が十五カ所のいわゆる団結小屋と称する地点に常駐いたしておりまして、空港反対同盟への支援活動を行っているところでございます。  なお、昭和五十八年の三月に反対同盟が分裂をしたわけでございますけれども、そのうち北原派と称するグループを過激派の中核派グループが支援をいたしておりまして、公開シンポジウムあるいは円卓会議の粉砕、収用委員の再任命阻止といったことを叫んで現在も活動を続けている状況でございます。
  36. 古屋圭司

    古屋委員 やはりこの過激派に対する対策というのは、今後ともしっかりと警察庁の方で対応をしていただきたいと思います。  さて、この成田空港の現状というものを見てみまするに、現在まだ滑走路一本なわけでございます。日本の空の玄関口としてはいかにも寂しいわけでございます。空港の整備、完成を急ぐべきだと考えております。  そこで、現在二期工事中でありますけれども、その進捗状況はどうなっているのか、あるいは今後の見通しにつきまして、簡単で結構ですから御説明をちょうだいしたいと思います。
  37. 松浦道夫

    ○松浦説明員 御説明いたします。  成田空港の現状につきましては、飛行機の発着回数で十二万回を超えるような状況になっておりますし、国際線の旅客なんかも二千万人を超えております。大変な数字になっておりまして、現在乗り入れている航空会社からの増便要求だとか、あるいは新しく乗り入れたいと四十五カ国からも要請が来ておりますけれども、それにこたえられないという状況でございます。大変混雑しているわけでございますが、そこで、昭和六十一年から今先生お話のございました二期工事に着手したところでございます。  そこで、そのうち工事は、平成四年の十二月には一番混んでおりました旅客ターミナル部分につきまして完成をいたしますとともに、それに関連する周りのエプロンなんかにつきましては供用を開始することができました。さらに、二本目、三本目の滑走路、誘導路でございますが、それにつきましても、一部工事のやれるところは既に一部実施しております。  しかしながら、二十一・三ヘクタールの未買収地がまだ用地の中に残っております。そんなことでございますので、それに向けてどう打開するかということでございますが、先ほど申し上げておりましたような円卓会議なんかを通じました空港問題の解決というのがどうしてもないと、そこの二十一・三ヘクタールの問題も解決しないだろうなと思っております。先ほどちょっと最初に経緯を申し上げましたように、長い対立の歴史という、非常に長いことやっているわけですが、やっと対話で問題を解決しよう、テーブルが今できたわけでございますが、そこで、この流れを大事にして取り組もうということで、いわば話し合いによる解決というのが一番の早道ではないかというふうに私ども考えております。  そういう意味で、地域と共生できる空港つくりを目指してとにかく一生懸命努力するというのが現在の状況でございます。
  38. 古屋圭司

    古屋委員 どうか一刻も早く日本の玄関口としての十分なる機能が果たせるように御努力をいただきたいと思います。  合成田空港は面積が千六十五ヘクタールだそうであります。今度建設中の関西新空港は五百十一ヘクタール、これに比べまして、新たにソウルで建設が予定されております新ソウル空港は四千七百六十三ヘクタール、こういうふうに承っております。この規模からしても、今いわゆるハブ空港化というのがトレンドになっておりますが、アジアのハブ空港の座を韓国にとられてしまうのではないか、こういう危惧が最近マスコミ等々を通じましても盛んに報道をされておられるわけであります。  これにも関連いたしまして、我が国における国際空港の整備についての基本的な考え方にも関係してくると思うのでありますが、例えば空港整備費と港湾整備費、こういうものを見てみましても、大体二倍ぐらい港湾整備費の方に投資をしているということでございます。確かに港湾は、日本は島国でございますから、面が広うございます。そういったこともありますが、しかしながら、やはりこれから、成田空港はもとより、関西新空港の完成あるいは拡充あるいは中部新国際空港の建設等々、大変大きな投資を必要とする事業を抱えているわけであります。そして、こういった整備をすることこそがやはり国際社会の中で生き抜いていく一つの方法でもある、こんなふうに考えております。  そういった観点から、日本における国際空港整備についての基本的な考え方等々につきましてお答えをちょうだいしたいと思います。
  39. 松浦道夫

    ○松浦説明員 先生今御指摘になりましたように、アジア各国では大変国際空港つくりに力を入れております。今御指摘のありました韓国もそうでございますし、香港なんかにつきましてもそうでございます。  そんなようなことで、新しい国際空港の整備というのは進められておりますけれども、国際ハブ空港という地位といいますか、それは単に空港が大きいとか機能がいいとか、空港だけのもので決まるものではない、やはり一番の大きい要素は背後圏の経済圏、背後の経済活動なり社会活動、そういうのがやはり一番ポイントなのかな。そういう意味では、今の成田空港だとか、あるいは関西国際空港というのは、いわば他のアジア空港に負けない重要なハブ空港に機能していくものというふうに私ども考えております。  そこで、容量がないとこれはちょっとそれにこたえられませんので、何としても頑張らなければいかぬというようなことで考えておるわけでございます。そこで、私ども空港整備五カ年計画というので空港整備を進めておりますけれども、平成三年の十一月に閣議決定しました第六次空港整備五カ年計画というのに今取り組んでおります。その中では、成田空港の二期工事の完成、整備というのと、それから関西国際空港の開港という最優先の課題を抱えておりますけれども、関西空港につきましては、ことしの九月四日に開港する予定でございます。  さらには、同五カ年計画におきましては、二十一世紀に向けまして、空港は長く時間がかかりますので今から考えるわけですが、二十一世紀に向けまして、関西国際空港の全体構想につきまして、その推進を図るための調査検討を進めるということを一つの大きい目玉にしております。さらには、今お話もございましたけれども、中部国際空港の構想につきましても、総合的な調査を進めるということといたしております。  このような長期的な取り組みを含めまして、国際空港の整備には積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  40. 古屋圭司

    古屋委員 ありがとうございました。ぜひとも、今後とも空港整備につきましての格段の御尽力をお願い申し上げたいと思います。  運輸省の方、後は結構でございますので、どうもありがとうございました。  次に、今般提案になっております成田財特法関係について御質問申し上げたいと思います。  平成年度までに既に事業費総額で四千八百億円、この周辺整備のための事業でございますが、このうち、いわゆるかさ上げ額が百六十九億円、事業の進捗状況は九五・三%、そして全体の事業三十九事業のうち十事業がまだ未完了ではあるけれども、こういった状況になっているというふうに承っております。  このような状況からしても、あるいは先ほど大臣趣旨説明の中にもございましたとおり、補助率が、例えば県道とか市道は三分の二になるとか、町村道も十分の八、小中学校三分の二、一般河川改修四分の三という補助率のことから見ましても、あるいは今までの実績を見ても、この成田財特法によりまして、少なくとも空港周辺地域における公共施設充実に十分なる効果を与えてきた、こういうふうに考えることができるかと思います。  この点につきまして、大臣はどのように御評価をされておられるのかにつきまして、御見解をお伺いしたいと思います。
  41. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 もう既に古屋委員の御質問の中に答えは入っているように思うわけでございますけれども、今運輸省からもお話ございましたような、いわば成田新国際空港というのは国家的プロジェクトとして、国と地方とが相協力して仕上げなければならぬ事業であること、そのために、具体的には千葉県でございますけれども、地方公共団体の御協力をいただくために空港周辺整備事業を進めていくことが必要でございましたし、また、地元の負担を軽減をする、そして事業の円滑な実施を図るということで、この俗に言う成田財特法を進めてきたわけでございます。その結果、今御指摘のように、地元の県、市町村の生活関連の公共施設整備あるいは雇用機会というものが大変拡大をしたということで、当初の目標どおり成果を大変挙げてきたのではないかと思うわけでございます。  ただ、今御指摘のように九五・三%でございますので、まだ事業が残っております。特に、かさ上げ対象事業になります十五事業のうち六事業、県道、河川、下水道、小学校、中学校、成田用水、それから、新たな状況の変化によりましてやらなければならぬ追加の事業が、道路など五事業がありますので、ここでひとつ五年間の延長お願いしまして、この間に完成をさせていきたい、こういうつもりでおるわけでございます。
  42. 古屋圭司

    古屋委員 大臣の御指摘されるとおりだと思います。まだ残事業が幾つか残っている。また、いわゆる空港周辺地域における都市化の進展や交通量の増大等によりまして幾つかの追加事業もあるということでございます。具体的には今大臣の方から御答弁をいただきました。こういった事業を完成させるためにも今回の延長は私も必要だ、こういうふうに考えております。  そこで一つ御質問でございますが、今回この延長をするということに対しては私も賛成でございますが、この事業は今回の延長で完成すると見込まれているのか。進捗率自体からいうと九五%ということでございます。しかし、残っている事業の一番ネックになっている部分が用地買収のおくれ等々というのがございまして、こういったことも含め今回の延長で完了するのかどうか。やはり理論的には早くこれは完成をさせるべきだ。特に、周辺の地域が市街化等々大変変貌してまいりまして、それに伴う公共施設充実というのは、住んでいる住民にとりまして必要不可欠であります。そういったことを含め、大臣の御見解をいただきたいと思います。
  43. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 ただいま財特法の関係事業につきまして今回の延長事業が完了できるかどうかということでございますけれども、委員の御指摘にもございましたとおり、これまでの整備事業の進捗率は九五・三%ということで、かなり高い率になっているわけでございます。そして、これまで残された未完了の十事業のうち二つの事業は、これは人口が予測どおり伸びなかった等の事由によりまして整備計画から除外することにいたしまして、残った十事業のうち八事業につきましては、おおむね平成年度までに完了する予定でございます。また、今回お願いしております追加の事業につきましても、おおむね平成年度までには完了するのではないか、こういう予定で今回の法案の延長を五年間ということでお願いしているものでございます。
  44. 古屋圭司

    古屋委員 どうもありがとうございました。予定どおり速やかなる事業の完了を私どもも期待をしている次第でございます。  多少時間が余っておりますが、先ほど理事会でも御了解いただきましたとおり、穂積良行委員の方から別途質問をさせていただきたいと思いますので、私はこれで終わらしていただきます。ありがとうございました。
  45. 粟屋敏信

    粟屋委員長 この際、穂積良行君から関連質問の申し出があります。古屋圭司君の持ち時間の範囲内でこれを許します。穂積良行君。
  46. 穂積良行

    穂積委員 委員長及び同僚理事の御配慮によってこのような扱いをしていただいたことを感謝申し上げます。  政治改革関連法案が成立し、今や私ども政治家を含めて真の政治改革に取り組まなければならないという時期にあるときに、実はこの地方行政委員会でぜひ私は関係当局に事の真偽を明らかにしたいことがございます。  それは、まず国家公務員あるいは地方公務員は、公務に関しては、例えば出張するときに公費出張、そして公務を遂行する。当然であります。片や私ごとに関しては、それは自分の責任において私費によって賄い、処理する。当然のことだと思います。特に、特別公務員である政治家出身の大臣あるいは政務次官は、政務とそれから公務をどのように仕分けして行動するか、私どもを含めて慎重な行動を国民から求められていると思います。  そうしたことを考えますときに、実は愛知防衛庁長官が先々週の週末、石川県下に出張なさったとお聞きしております。これについて明日、先ほど申しました観点から質疑をいたしたいと思っておりますが、きょうは防衛庁官房長においでいただいているようでありますが、この防衛庁長官の出張の目的、用務ですね。それが公務それから政務、どのようなものであったか。そして、実際における現地の出張に際して現地の自衛隊組織がどのような対応をされたか。特に週末、土曜、日曜でありますから、その場合に現地の防衛庁、自衛隊組織は休日における超過勤務等の問題もあると思います。したがいまして、その辺、この出張についての事実関係を資料として明日明らかにしていただきたいと思います。  その上で、冒頭申し上げたような趣旨から、この国務大臣の行動が果たして妥当なものであったのか。あるいはその上に、例えば公職選挙法上、国家公務員あるいは地方公務員はその地位を利用して選挙運動をすることができないという規定があるのは御承知のとおりでございます。その規定に照らして妥当な行動であったかどうか等について明らかにしたいと思っておりますので、まず防衛庁官房長さん、ただいま申し上げたような長官の出張の有無といいますか、今お答えいただける限りにおいて状況を御説明いただきたいと思います。
  47. 宝珠山昇

    ○宝珠山政府委員 出張の目的でございますが、簡単に申しますと、厳しい勤務環境で、特に北朝鮮の疑惑などが表面化する中で緊張いたしております隊員の激励、実情の視察であります。  日程について申し上げますと、羽田空港を八時五十分と承知しておりますが民間航空機で出発し、小松に十時に到着しております。小松基地で、ここでは二十四時間態勢で、スクランブルと申しておりますが、緊急発進の態勢についてございますので、この隊員を激励しております。それから、昼食時間帯でございますので、昼食をともにしております。その後、輪島基地に十三時二十五分に到着しております。ここでは同じように二十四時間態勢でレーダーサイトの勤務をいたしております隊員を激励し、幹部と懇談しております。十六時には小松基地に戻りまして、宿舎に入っております。宿舎では随行者それから付近の重立った隊長などと夕食をともにしております。  十三日は政務でありまして、これは私ども詳細には掌握しておりませんが、宿舎に地元の方から陳情といいますか、ごあいさつがあったというので三十分お受けしたというようなことをお聞きしております。途中、選挙事務所に五分ということを言っておりますが、予定では十分ほどを予定しておりますが選挙事務所に寄り、小松空港の方に十一時には着いております。ここでやはり基地の方のごあいさつを受けておられます。そこで昼食をともにしております。十二時半前後に、仙台行きの航空機は一便しかないそうでございますが、これで出発いたしております。  それから超過勤務のお話がございましたが、自衛隊の場合には、超過勤務手当は本俸の中に繰り入れる方式をとっております。二十四時間勤務で勤めるという職務の性格によるものであります。補足して申し上げますと、この長官出張に当たりまして、土曜日であるということで、隊員にたくさん出てくるようにとかそういう指示をしたかということでございますれば、普通のあるがままの二十四時間での勤務の体制を視察いただくということで、強化はいたしておりません。  若干誤解もありますようですので、今回石川県の部隊を視察された背景について御説明をお聞きいただけるとありがたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  48. 穂積良行

    穂積委員 実は、過去にさかのぼって申しますと、公私の別を問題とされて防衛庁長官が短期間で辞職に至った経緯がございます。上林山さんがそのケースでありますが、それ以来土日は現地の自衛隊組織に迷惑をかけないように出張を慎んでいたというようなことも伺うのですが、そうした防衛庁組織の一つの公私のけじめあるいは土日勤務の有無絡みの仕分けといいますか、そうしたことなどどうなっていたか、そうした従来の慣例に照らして、今回の長官の報道はどう判断してよいのか、こういうことがありますので、その辺を明日また明らかにしてください。  それから事は、これは今激しい石川県知事選挙のさなかであります。先ほど申したように、政治改革法案成立後の重要なる地方選挙として、これについて公選法絡みで、とかくの政治改革の実が上がってないじゃないかというようなことになってはいかがかと思うので、その辺を少し明日、明らかにしたいと思いますので、また質問させていただきたいと思っております。  きょうは時間もありませんので、これで私は、質問の予告だけで恐縮ですけれども、防衛庁官房長さん、何か追加することがありましたらどうぞ。
  49. 宝珠山昇

    ○宝珠山政府委員 先ほど申し上げました選挙運動をやったのではないかということでございますれば、申し上げましたように激励と懇談ということで実情について意見交換するということはございましたが、一切いたしておりませんので、その旨御理解いただきたいと思います。  なぜ休日といいますか土曜日を含めて出張するかについて若干補足をさしていただきます。  十二月二日に愛知大臣は急遽長官に就任されましたが、厳しい環境のもとで勤務している隊員をじかに激励したいという非常に強い御意向を持っておられまして、休日お出かけになるというのは大変御本人にも負担があるわけでありますが、現在までに十七回の出張をいただいております。その中に土日が七回含まれているところであります。これは政務次官などでございますとウイークデーが出張に使えるということはございますが、大臣の場合には、予算委員会等によりまして拘束されておりますので、どうしてもじかにということになりますと、土曜日なりを使わなければならないという実情がございます。もう一つは、先ほども申し上げましたように、自衛隊の特性として、休日といえども勤務している隊員がおりますので、大臣においでいただきましても、十分それを御視察をいただけるわけでございます。  こういう中で、石川県においでいただいたということとの関連では、前の週の三月五日に、これも土曜日でありますが、金曜日から立ちまして、佐渡のレーダーサイトを視察いただいております。この佐渡のレーダーサイト、それから輪島のレーダーサイトというのは昨年五月末、北朝鮮がミサイルの実験とおぼしき行動をした際に大変緊張したところでもございます。その種のことについて話題になったということがございます。  そういうことをごらんになりまして、大変厳しい環境の中で緊張して勤務している隊員に接しまして、非常に感銘を受けた、ほぼ同様の環境にある隊員に直接接して励ましたいという意向を持たれまして、月曜日でございますが、輪島のサイトを中心に視察ができないだろうかということでございまして、御指示がございました。その際に言われたことでありますが、三月中旬以降のことを考えると、いろいろ防衛大学校等々の卒業式でありますとか入校行事等々がありますので、これも日程が土日にかかる行事であります。それらを考一えますとこの機会でないと行けないということで、三月十二日に視察するという御決心をしたわけであります。  御指摘がございましたように、新聞にも石川県知事選の問題が出ておりましたので、こういう選挙の問題に自衛隊員を巻き込むようなことは避けてほしいということをあえて私から大臣には申し上げさせていただきました。大臣はそのようなことは絶対にしないということを約束されて御出発になりました。帰りましてから私もそのことをチェックいたしましたが、そのような行動はございません。そういうことでありまして、地位利用との関係で公職選挙法云々ということでございますれば、選挙運動を行っていないわけでありますから、その問題は生じないというのが私どもの理解でございます。  以上でございます。
  50. 穂積良行

    穂積委員 では、委員長、またあしたお願いいたします。
  51. 粟屋敏信

  52. 穀田恵二

    穀田委員 私は、時間も余りありませんので、きょうは端的に大臣にお聞きしたいと思っています。中心は消防職員の団結権の問題です。このことについてお聞きしたいと思うのです。  ついせんだって、新聞を見ていますと、マイヤー国際労働機関、ILOの事務局次長が一月に来日していますね。そしてそのときの一連の記事を見ますと、消防職員で団結権がないのは日本とスーダンとガボンという、これはアフリカの地方ですかね、そういうことなんかが載っていまして、あわせて細川首相を訪問していろいろ懇談していることも書かれていました。  消防職員に団結権をということで改めて要請があったかと思うのですが、その辺は佐藤大臣はお会いになったのか、そしてまたどういう感想をお持ちかということをまず最初にお聞きしたいと思うのです。
  53. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 この問題は御承知のように長い長い経過を持っておりますので、その経過の部分と、それからなぜその長い時間がかからざるを得ないかという困難性の問題につきましては、ひとつ公務員部長の方からお答えをさせていただきます。  それから、マイヤーILO事務局次長に一月にお会いをさせていただきましたが、それは前年の六月のILOの総会のときに、ひとつ今後とも関係者間、つまり自治省と自治労等でよく話し合うということと、それからILO関係者に日本の実情をよく知っていただこうということになっておりました約束に基づきまして一月にお越しをいただいて、総理以下にお会いをしていただき、関係当局にいろいろと会っていただいて、日本のこの問題に関する労働事情と申しましょうか、話を聞いていただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、ILOという国際的な場で議論になっていることであり、かつ長い長い時間がかかっていることでありますから、私といたしましては、何らかの格好での解決を当然図らなければいかぬ。しかし、きょう古屋委員の御質問にもございましたように、消防職員だけではなくて、約百万の消防団員の皆さん方のお気持ち等々、消防庁と各自治体消防署という関係だけではない、消防団百万の方々及び消防関係者という多くの方々がいらっしゃるものですから、そういった方々の理解と合意というものを得ないことにはこの問題についての結論というのが出せないわけでございますので、そのことにつきましてなお一層私としても努力することをマイヤー事務局次長には表明させていただきました。  冒頭申し上げましたように、過去の経過と、なぜこんなに時間がかかっておるかの困難性の問題につきまして御質問がございましたら、公務員部長の方からお答えをさせていただきます。
  54. 穀田恵二

    穀田委員 そこはよく承知しているというとおかしいですけれども、長い経過があってそういう問題があったことも、これは議会で議論を何度もしていますよね。ただ、そういう意味でいいますと、新しい政権に交代したという中で、しかも佐藤自治大臣が所属する党の場合にはかつてこの問題について堂々と主張されていた、こういう経緯がありますよね。こういう点から、長い時間の論議を経て、そして一定の転換をする重大な時期に来ていると私は思っているわけです。  そこで、私が住んでおります京都では自治労連の消防職員アンケートというのがありまして、そのアンケートの中ではやはり賃金だとか労働条件に対する不満というのは結構強い。もちろん国民の命と財産を守る昼夜をかけだそういう働く人々の奮闘は、私どもこういう地方行政にかかわる人間にとって当然誇りだと思うのですね。ただし、そういう誇りにかけてやっていただくと同時に、そういう労働条件なども含めて改善していくということは当然だと思うのです。そういう要望が強いのとあわせて、例えば八〇%近くの方々が団結権については必要だと考えているのですね。こういうアンケートが実はございます。数字でいいますと、三百八十四人に自宅郵送方式で送られて回答があった中で、もちろん労働組合を好まないと答えている人も含まれているわけですけれども、団結権については八割近くの方々が、必要だと。  ただ、要望も含めて、そんな形で私は機は熟しているというふうに考えています。ですからその点で、佐藤自治大臣自身もそういう運動にかかわってきたこともございますでしょうし、というのは社会党としてそういう立場を表明してきたこともありますから、その意味で必要と思うのだけれども、その点の御見解と、何が今の障害になっているか。単に消防団員の気持ちだとかじゃなくて、私がお聞きするところいろいろあるようで、例えば部隊としてのあり方だとか、それから、きのうその他を聞きますと災害が非常に多いからだ、こういうふうな話があるわけですが、それらを含めてもう少しお聞きしたいのです。
  55. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  現行法制で消防職員の団結権を禁止しているということでございますが、その趣旨は、我が国の消防というものは、警察と同様に、国民の生命、身体及び財産を保護し、安寧秩序を保持するという目的、任務を与えられている。そして、その任務の遂行に当たりまして広範な強制的な権限も与えられているということが第一点でございます。もう一つは、実際の活動に当たりましては、厳正な規律と統制のとれた迅速果敢な部隊活動ということが常に要求される、いわばこういう特別な性格も持っているわけでございまして、そういったことから、災害等から国民を守る、国民全体の共同利益を確保するということでこういった制約を課しているということでございます。
  56. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 委員指摘のように、消防で働いていらっしゃる方々のお気持ち、自分の労働条件について発言権を持ちたい、そのための団結権が必要であるという御意見も、働いている方の立場からいえばある意味では持っていらっしゃるのも当然と私も考えております。  一方、今部長からも答弁させましたように、国民の中にも、消防という生命財産というものを守るというのに、一緒に消火活動に当たっている、その命令をすべき立場の方がいわば団体交渉の相手であるというような形態、まあすべてがすべてそういうケースになるかどうかわかりませんけれども、要するに、そういうものがそこに持ち込まれることが果たしていかがなものだろうかという意見もございまして、かなりこの間に距離があるわけですね。  しかも、先ほど言いましたように、消防団員の方はボランティアでやっていらっしゃるというようなときに、基本はボランティアでございますので、職員の方に団結権をということについて違和感というものも過去の長い話の中ではあったようでございまして、その調整を、ILOという場で討議をされております、国際問題になっておりますときに、我々としてはどうやってお互いが、今言葉で言えば大変意見の距離はあるわけでありますけれども、しかし、あるからといってこのままにしておくわけにはまいらぬわけでございますので、私といたしましては、ひとつどういう方向に意見の一致を見ることができるかということで今鋭意いろいろな格好で努力をしておる。閣議でも、長い経過の中で決まりました自治省と自治労とのこの問題についての討議というのもさらに精力的にやらせているということで、何らかの一つの方向性というのを見出さなければならぬということで、大変な努力をしておるということでございます。
  57. 穀田恵二

    穀田委員 迅速果敢な部隊活動というのは、いつもこれは議論になるのですよね。そういう報告です。しかし、迅速果敢な部隊活動が団結権の保障でそう支障を来すとは私は思えないわけですね。  しかも、もう時間がありませんからこっちで言いますけれども、ILOの考え方は、先ほど部長のお答えでは警察と同様の目的云々、任務の遂行とありましたけれども、この問題でいえば、新しく九一年三月のILO条約勧告適用専門家委員会から「消防職員の行なう職務は本条約第九条にもとづき団結権から除外することを正当化するような性質のものではなく、軍隊と警察以外のいかなる種類の労働者の団結権をも否認することは条約と適合しない」ということも改めて指摘しているわけですね。  しかも私、この間、都市災害のことで行かせていただきましたけれども、外国の場合の例もありますように、例えばおっしゃるように、警察と同じようなことを言っておりますけれども、しかし外国の場合でいいますと、災害対策の問題でももっと危機管理という考え方が中心ですよね。だから、日本の消防以上に、いわば動乱とか騒乱とかそういうものを抑え込むということがどちらかというと主眼と言ったら怒られますけれども、そういう考え方に近いものがあります。  そうであるところでもいわば団結権を保障しているわけですから、私が言いたいのは、そういう世界的な流れ、それから二つ目に消防としての性格、三つ目にやはり政権が新しくかわった。先ほどの大臣のお答えだと、これは今までの自民党の話と全然変わらぬとはっきり申し上げてよろしいのじゃないかと思う。  そういう意味では、そうじゃなくて、いわば今までの主張どおり新しい高いレベルでの政治判断が必要だということを改めて述べて、最後のこの点だけお聞きしておきたいと思います。
  58. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 かなり委員指摘のようなことも私も頭に描きながら答弁をしているつもりでございますけれども、いずれにしましても、そもそもILOの問題の発端は、日本がこれに加盟をするときにこの問題は触れないのですということを、そもそも入るときからそういう話があったようでございまして、そういう長い経過を持っているものですから、今委員指摘のようなことだけですべていけるのなら苦労がないと申しましょうか、一つの結論を見るわけでございますけれども、一方では、やはり消防というもののやっている業務からいっていかがなものかという御意見もあるので、したがって、それをどういうところでうまくまとめて、私は国際的と申し上げましたが、ILOからも御指摘をいただいておる問題でございますから、どうやって関係者の意見の合一を見ることができるかというのを、かなりこれも私としましても最大限の努力をしているわけでございまして、その言葉の中にいろいろな意味が含まれている、努力をしているということで現状を御理解いただきたいと存じます。
  59. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  60. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  61. 粟屋敏信

    粟屋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案について採択いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  62. 粟屋敏信

    粟屋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なしと呼ぶ者あり」〕
  63. 粟屋敏信

    粟屋委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  64. 粟屋敏信

    粟屋委員長 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十四分休憩      ────◇─────     午後二時三十分開議
  65. 粟屋敏信

    粟屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、平成年度地方財政計画について説明を聴取いたします。佐藤自治大臣
  66. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 平成年度地方財政計画概要について御説明申し上げます。  平成年度地方財政につきましては、現下の厳しい経済情勢と地方財政状況にかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方税負担の公平適正化及び地方交付税の所要額の確保を図り、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、景気に可能な限り配慮しつつ、自主的、主体的な活力ある地域づくり、生活者、消費者の視点に立った社会資本整備地域住民の福祉の充実、快適な環境づくりなどを積極的に推進するため必要な事業費確保に配意する等限られた財源重点的配分と経費支出の効率化に徹し、地方財政の健全性の確保にも留意し、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。  以下、平成年度地方財政計画の策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税については、個人住民税の特別減税を実施するとともに、最近における社会経済情勢の変化に対応して早急に実施すべき措置を講じることとしております。  第二に、地方財政の運営に支障の生じることのないようにするため、所得税及び住民税の特別減税等に伴う影響額については、地方交付税の増額及び減税補てん債の発行により補てんすることとしております。また、所得税及び住民税の特別減税等以外の地方財源不足見込み額についても、地方交付税の増額と建設地方債の増発により補てんすることとしております。  このような措置により、地方交付税総額は前年を上回る約十五兆五千億円を確保いたしました。  第三に、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、景気にも可能な限り配慮して、自主的、主体的な活力ある地域づくり、生活者、消費者の視点に立った社会資本整備地域住民の福祉の充実、快適な環境づくり、住民生活の安全の確保等を図るため、地方単独事業を前年度比一二%増の約十八兆六千億円確保するなど所要の措置を講じることといたしております。  第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金につきまして補助負担基準の改善を図ることといたしております。  以上の方針のもとに、平成年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十兆九千二百八十一億円となり、前年度に比し四兆五千百二十九億円、五・九%の増加となっております。  以上が、平成年度地方財政計画概要であります。
  67. 粟屋敏信

    粟屋委員長 以上で説明は終わりました。      ────◇─────
  68. 粟屋敏信

    粟屋委員長 次に、ただいま付託になりました内閣提出地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。佐藤自治大臣。     ─────────────  地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  69. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 ただいま議題となりました地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  まず、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  当面の経済情勢に対応するため、個人住民税について平成年度限りの措置として定率による特別減税を実施するとともに、最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化等を図るため、個人住民税所得割について非課税限度額の引き上げ及び特定扶養親族に係る控除額の引き上げを行うほか、法人住民税均等割の税率の見直し、土地の評価がえに伴う不動産取得税の課税標準の特例措置の創設、非課税等特別措置の整理合理化等の措置を講じることとし、あわせて、個人住民税に係る特別減税等による減収額を埋めるため、地方債特例措置を講じる必要があります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法の改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  まず、個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、当面の経済情勢に対応するため、平成年度限りの措置として一兆六千億円余の定率による特別減税を実施することといたしております。この特別減税においては、税負担の軽減効果が早期に実現することとなるよう、徴収方法についても特例措置を講じることといたしております。  また、低所得者層の税負担に配慮するため、所得割の非課税限度額を引き上げるとともに、教育等の諸出費のかさむ中堅層の税負担に配慮するため、特定扶養親族に係る控除額を三万円引き上げるほか、前年中において所得を有しなかった者に係る非課税措置を廃止する等の措置を講じることといたしております。  次に、法人の道府県民税及び市町村民税につきましては、昭和五十九年度以来据え置かれてきた均等割の税率について、その後の物価水準等の推移、法人の事業活動と地域社会との受益関係等を勘案し、その見直しを行うことといたしております。  また、移転価格税制の適用に伴う法人の道府県民税及び市町村民税の更正により生じる過納金等の額について、次回に納付すべき税額から当該過納金等の額を控除する制度を導入するとともに、控除し切れなかった金額は一定の方法により還付するものとする特例措置を創設することといたしております。  その二は、事業税についての改正であります。  事業税につきましては、マスコミ等七事業に係る非課税措置の廃止に伴う経過措置について、四年間に限り段階的な措置を講じつつ、廃止することといたしております。  また、移転価格税制の適用に伴う法人事業税の更正により生じる過納金等の額について、法人の道府県民税及び市町村民税と同様の措置を講じることといたしております。  その三は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、平成年度の土地の評価がえに伴い、宅地評価土地について、平成六年一月一日から平成八年十二月三十一日までの間に取得した場合に限り、課税標準を価格の三分の二の額とし、特に、平成六年一月一日から同年十二月三十一日までの間に取得した場合にあっては、課税標準を価格の二分の一の額とする特例措置を創設する等の措置を講じることといたしております。  その四は、自動車税及び自動車取得税についての改正であります。  自動車税及び自動車取得税につきましては、メタノール自動車に係る税率の特例措置を二年間延長する等の措置を講じることといたしております。  その五は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  固定資産税及び都市計画税につきましては、信用協同組合、労働金庫、信用金庫及びこれらの連合会が所有し、かつ、使用する事務所及び倉庫に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置を廃止し、事業規模を勘案した経過措置を講じつつ、課税標準を価格の二分の一の額とする特例措置に移行することとするほか、公害防止設備に係る固定資産税の非課税措置等について、整理合理化を行うことといたしております。  また、三大都市圏の特定市に所在する一定の市街化区域農地で、都市計画の決定に基づき、土地区画整理事業等によって計画的な市街化が図られるものについて、固定資産税及び都市計画税を三年間減額する措置を創設することといたしております。  その他、特定フロン等に代替する物質を使用する一定の設備、第一種電気通信事業者が新設する電気通信の高度化に資する一定の電気通信回線設備等に係る固定資産税の課税標準の特例措置を創設する等の措置を講じることといたしております。  その六は、特別土地保有税についての改正であります。  特別土地保有税につきましては、三大都市圏の特定市の市街化区域における課税の特例措置対象となる土地の取得期限を繰り上げ、平成五年十二月三十一日までとする等の措置を講じることといたしております。  その七は、事業所税についての改正であります。  事業所税につきましては、大阪湾臨海地域開発整備法に基づく開発地区において整備される一定の中核的施設に対し、新増設に係る事業所税の非課税措置及び資産割の課税標準の特例措置を創設する等の措置を講じることといたしております。  第二は、地方財政法の改正に関する事項であります。  地方財政に関する事項につきましては、個人の道府県民税または市町村民税に係る特別減税等による減収額を埋めるため、地方債特例措置を講じることといたしております。  以上が、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政状況等にかんがみ、平成年度分の地方交付税の総額について特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正に伴って必要となる経費及び地方団体の行政水準の向上のために必要となる経費の財源措置するため、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  まず、平成年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に二千百六十億円及び交付税特別会計借入金二兆九千百七十九億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額二千百三十七億円を控除した額とすることとしております。  また、平成十二年度から平成二十一年度までの地方交付税の総額につきましては、七千八百八十億円を加算することとしております。  次に、平成年度分の普通交付税の算定につきましては、高齢者の保健及び福祉の増進に要する経費を充実することとし、新たに高齢者保健福祉費を設けることとしております。また、自主的、主体的な地域づくりの推進等地域振興に要する経費生活保護基準の引き上げ等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善・義務教育施設整備・私学助成の充実・生涯学習の推進等教育施策に要する経費、道路・街路・公園・下水道・社会福祉施設・清掃施設住民の生活に直結する公共施設整備及び維持管理に要する経費、自然環境の保全・廃棄物の減量化等快適な環境づくりに要する経費、農山漁村対策・森林・山村対策に要する経費地域社会における国際化・情報化への対応及び文化の振興に要する経費、消防救急業務の充実等に要する経費並びに国民健康保険財政についてその安定化のための措置等に要する経費の財源等を措置し、あわせて、道府県民税及び市町村民税の所得割の減収補てんのため特別に発行を許可された地方債元利償還金を新たに基準財政需要額に算入することとしております。  さらに、平成年度においては、基準財政収入額の算定方法について、道府県民税及び市町村民税の所得割の特別減税等による減収額を加算することとする特例を設けることとしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  70. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これにて両案についての趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  71. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原裕康君。
  72. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 自民党の栗原でございます。  提出されました法律質疑に入る前に、先ほど本会議でも同僚議員から御質疑があったわけでございますが、予算の越年編成、そして地方財政計画のおくれ、このことについて一言申し上げたいわけでございます。  私ども自民党は、もう御案内のように、国民生活に直結をする予算、ぜひ従来どおり年内編成にしていただきたい、そういうことを要望してまいったわけでございますが、政府の方は、これは政治改革法案が先である、政治改革がすべてに優先をするんだ、こういうことでございました。結果として予算は越年の編成になりましたし、地方財政計画は大幅におくれたわけでございます。  私ども地元では、各市町村長さんあるいは知事さん方が、あるいは県会議員さんたちが、一体いつになったら地方財政計画は出てくるんだ、この景気の悪いときに一体何てことをしてくれるんだ、こういう声が非常に多うございます。これは全国津々浦々、どこでも同じだと思います。市町村長さんたちは、ただでさえ政権がかわって陳情へ行く先が多くて困る、こう言っておるわけでございますので、大変なときにそういうことをしていただいたということでございます。  そのときに世論はどうなったかといいますと、とにかく政治改革法案は早く決着つけてくれ、もっと申しますと、中身はともかくとして早く政治改革法案を決着をして景気対策に取り組んでくれ、これが国民世論の声でございました。  御案内のように、総・総会談で決着がついたわけでございますけれども、結果として政治改革法案は通ったわけでございます。その政治改革法案はどういう評価をされているかというと、世論調査によると、この法案が通ったことによって政治がよくなると思っている方が──別に変わらないと思っている方が六十数%いる。何のために苦労したんだろう、実はそういう気がするわけでございます。  それはともかくといたしまして、この地方財政計画のおくれあるいは予算の越年編成というものが地方自治体に及ぼした影響、地方自治体の予算編成等に及ぼした影響、こういったものをどういうふうに大臣は評価なさっていらっしゃるか、あるいはどういうふうに反省をなさっていらっしゃるか、そのことをまずお伺いをしたいと思うわけでございます。
  73. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 大変御心配をおかけしましたけれども、もう細かいことは申しませんが、栗原委員承知のように、地方が来年度予算を組むに当たりましては、私たちは、二月の第一週、これがいわば地方財政対策を発表します限界であるというふうに考えておりましたので、私たちといたしましては、税制改正大綱というものがまだ出ていない前に、しかも国がどのくらいの支出を予定をしているのかという数字も出ていない、あるいは経企庁の方から経済見通し等が出ていないという状況でございましたけれども、栗原委員指摘のようなことも十分頭に入れながら、二月の五日でございましたが、この日に大蔵省との間に地方財政対策を決定をさしていただいたわけでございます。土曜日でございましたが、直ちに、たしか午後二時だと思いましたが、東京事務所長会議を持ちまして概要説明を行い、また税制改正等につきましても、その後逐一各地方自治体に連絡をとり、報告をしてきたところでございまして、地方自治体といたしましては、この地方財政対策、これを参考にしながら予算を組まれたというふうに考えております。  ちなみに、知事選挙を控えておりました三県を除きまして、年間予算、つまり骨格予算ではなくて年間予算として編成をしていただいておりますので、しかもまた内容的にも景気対策上非常に重要な投資の地方単独事業、これにつきましても大多数のところが伸び率一二%という地方財政計画にございます数字を確保していただいたということで、私たちの方といたしましては、深刻な影響は避けられたというふうに考えておるところでございす。
  74. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 いずれにしましても、地方公共団体の皆様方に大変御心配をかけたわけでございますが、それはそれといたしまして、この提出されました平成年度地方財政計画、これを拝見をさせていただきますと、一言で言うと大変借金体質といいますか、地方公共団体の借金体質が非常に進んでおる、こういうことが言えると思います。そして、この借金体質が非常に進んでいるという中で、重要な財源でございます住民税等を大幅減税をする必要が本当にあったのかどうか、若干疑問に感じるところでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  75. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 景気の状況は、御承知のように住宅関連は非常にいい、それから公共事業等の執行につきましても国及び地方自治体とも大体予定どおりきておりまして、景気の下支えをしておるという状況になっております。ただ、設備投資と個人消費が、何といってもこれがなかなか盛り上がってこないという状況だと思います。したがって、私たちの方としましては、個人消費をやはりこの際喚起をしなければならぬということでございますので、国とあわせまして住民税の減税を行ったわけでございます。  ただ、栗原委員言われますように、何といっても大事なことは財政でございますので、これにつきましても、与党の方でも、この減税に伴うところの財政措置というものにつきまして、いろいろな角度から税制改革協議会というもとにおいて検討していただいておりますので、また消費を喚起することによりまして、景気回復ということによりますところのまた増収ということも予定をされますので、そういった中で私たちといたしまして、御指摘のように大変厳しい情勢ではございますが、ひとつ消費を喚起するという観点でこれはぜひ必要であるというふうに考えたわけでございます。
  76. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 上限が二十万円ということでございます。二十万円減税になって本当に個人消費が喚起できるのか、ちょっと疑問でございます。もちろんこれは個人所得税との関連もございますけれども、その辺は正直言ってまだ疑問でございます。いずれにしましても、その後この財源を特例としての減税補てん債に求める、一兆六千四百六十一億円、こういう数字でございますが、この特例としての減税補てん債というのは、要するに赤字地方債なわけでございますね。  赤字地方債といいましてもなかなか一般の方がよくわからぬものですから、例えばよくないかもしれませんけれども、私どもは、これは要するにサラ金と一緒だ、家計のやりくりがっかなくなってどうにもならなくなって、苦し紛れにサラ金に手を出したんだ。そういうことだ。今の政府の言っていることは、それをどうやってサラ金の借金を返すか一年以内に結論を出す、こういうことだ。こういうことが家庭で許されますかというお話をよく申し上げるわけでございます。  この赤字補てん債、これは一体この後どういうふうに償還をなさっていくおつもりなのか、そこをお聞かせを願いたいと思うわけでございます。
  77. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 今回の住民税減税それから所得税減税に伴いまして地方交付税が減額になるということで、地方財政に対しましては非常に大きな影響があるわけでございます。これにつきましては、ただいま御指摘のように、所得税減税に伴います交付税の減収については、これは交付税の特別会計で借り入れを行う、それから住民税の減税に伴う減収につきましては、特例地方債の発行によって当面対処せざるを得ない、こういうことでございます。  しかし、今も御指摘のように、こういう借入金を長く続けるということは、これはとても財政的にはもたないわけでございますから、この補てん財源というものが税制の総合的な見直しの中で将来きちんと補てんされなければならない、こういう考え方でいるわけでございます。  その意味で、既に税制改革につきましての御論議も始めていただいているところでございますけれども、特に地方財源のための減税補てんというものについて、税制の総合的な見直しの中で適切に対処していただけるように、これからも私ども努力してまいらなければならないと思っているところでございます。  いずれにいたしましても、今御指摘のような借入金の継続によりまして財政運営に非常に支障が生ずるというようなことのないように、この補てん財源についてはきちんと税制改正の中で補てんできるような、そういう努力をしてまいらなければならないと思っているところでございます。
  78. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 税制改正の中できちんと対処をしていくということでございますが、最近、公共料金が軒並み値上がりしているわけでございます。当然、地方公共団体も県営住宅あるいは市営住宅等を持っておりますし、いろいろな公共料金に関係をするわけでございますが、いよいよ苦しくなってくると、その辺を上げていこうじゃないか、当然そういうふうになるわけでございます。  そんなことも含めまして、今税制改正の中で適切に対処していくといえばそれまででございますが、一体将来どうなるんだ、どうしてくれるんだということがわからないと、先ほど言いましたように苦し紛れに、とにかく地方でやれるものは値上げぐらいですから、これは県議会がオーケーすればいいわけですから、あるいは市議会、町議会がオーケーすればいいわけですから、公共料金の値上げということに結びつかないか、そういう心配もあるわけでございますので、この際はっきりと将来展望、そういったものをもう少し具体的にお示しをいただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  79. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 この問題は、私は公共料金の値上げの問題とは直結しないというふうに考えております。つまり、公共料金の場合には受益者負担の原則ということで、おのおの、水道にいたしましても下水道にいたしましてもあるいは病院にいたしましても、それなりの会計でやっておられるわけでございまして、一定の負担の公平ということを求めていかないとその会計自体がおかしくなるということでありますから、つまり、税収をいただこうということで公共料金の値上げということになっているわけじゃありませんので、この問題とは結びつかないと思います。  御心配のことはそのとおりでございまして、百兆余を超える借入金残高があるわけでございますから、今年度地方財政計画でいえば、公債費がたしか九兆円ぐらいことしも返さなければいかぬということになっておると思います。九兆円までいっていないと思いましたが、約八十一兆の地方財政計画に対しまして、それだけ返さなければいかぬということになるわけでありますから、こういったことは、今財政局長からお話ししましたようにいつまでも続けていられる問題ではない。そこで、私たちはひとつまず量的に、何といってももう一回税制のあり方そのものを考えていかなければならぬということでございまして、先ほど触れましたように、与党の方の税制改革協議会の中でいろいろな角度からこれは議論をしていただかなければならぬ。  それは、何といっても納税者は国民の皆さんでございますから、御納得をいただかなければいかぬ。その際、これから福祉が高齢化社会の中で増していくでありましょうという福祉のビジョンというのをやはり国民にわかっていただかなければなりませんし、あるいは政府自身が行政改革ということで徹底的に血を流してやることも必要でございますし、また補助金等のいろいろな意味での見直しということも必要でございましょう。それから、消費税自身にいろいろな御不満が国民の中にあるわけでありますから、この見直しということも出てきましょう。こういうことを、いわば国民の皆さんにさらに御負担をいただくためには、その前の前提として、国民の皆さんが十分理解できるようなお互いの土壌というのをつくっていかないと、この財源を得ることは難しいと私は考えております。・したがって、量的にこういったふうにする中で、所得と資産と消費のバランスある税制という中で、地方の財政につきましても十二分にひとつ考えていただかなければならぬというのが一つでございます。  それから、今申しましたように、個人消費を拡大をさせることによりまして景気がよくなっていく、それによるところの増収ということによりまして、かつて、昭和六十二年から七年間でございましたか、借金を早く返した、十三兆円余を返したということもございましたので、やはりそういうような状況というものを早くつくり出す必要があるのではないかというふうに考えておりまして、このままの状況でいいことではない。やはり国民に求めるものは求めるけれども、その前提も十分国民の皆さんとの間で議論をする中で、健全なる地方財政、特に、もう委員に言うまでもありませんけれども、間接税が地方は一割という、国が三割だという、むしろこれから我々が必要な、地方公共団体は恒久的、安定的な財源がぜひ必要でございますから、そういった観点から、ひとつ当委員会におきましても、いろいろなアイデアを出していただきまして、地方公共団体が本当に健全に力強く住民サービスに対しまして業務ができますように、やはり考えていく必要があるというふうに考えております。
  80. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 財源につきましては後ほどもう一度お尋ねをしたいと思うわけでございますけれども、大きな意味で、マクロという意味では、日本全国地方自治体というものが非常に借金体質になってきているということでございますが、個別の団体でございますね、個別の町村といいますか、そういったものが全体の中で相当やはり悪くなっているのじゃないかな、こう思うわけでございます。団体ごとに見た財政状況というのは、起債制限比率とか公債費負担比率とか、ちょっとわかりにくい定義がいろいろあるようでございますが、個別団体ということでミクロの観点から見ますとこれは相当悪い、私はそんな感じがするのです。その辺はいかがなふうに考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  81. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 個々の地方公共団体の財政状況につきましては、これは最終的には決算を見ないとわからないわけでございますが、一番新しい決算が平成年度の決算でございます。  この決算の内容を見てみますと、やはり平成年度から景気が下降してきたということもございますので、税収が非常に厳しい状況になってきた、あるいは交付税も伸びない、その分、景気対策も相当やりましたから地方債が伸びてくる、こういう形で、かなり借入金の増加が顕著であるということが言えようかと思います。これは、それぞれの団体についてそういうことが言えようかと思います。  ただ、具体的にそれが計数的にどうなってくるかということは、これは決算を見なければわからないわけでございますけれども、四年度を見る限りにおきましては、この公債費の負担比率というものが一五%以上の団体は約三分の一の千百二十一団体を占めておりますから、やはりかなり厳しいのじゃないか。一五%を超えるというのは、一つの私どもの指導の方針としては、黄色信号です。そろそろ黄色信号ですよという率が一五%でございますので、この一五%以上という団体が約三分の一あるということは、これはかなり厳しいということを言わざるを得ないと思います。  さらにその後、平成年度平成年度でこういう形で借入金をしていくわけでございますから、その公債費もこれに加わってくる。また、一般財源の方は伸びが悪いということを考えますと、これからの個々の団体の財政運営は、これはもう非常に厳しくなるのじゃないかという感じがいたしております。公債費でどうにもならなくなってきたという団体は今の段階では非常に少のうございますけれども、まあ黄色信号だというような段階の団体はこれからだんだん多くなってくるでしょうから、この辺の財政運営が健全にいくような、そういう指導はこれからきちんとやっていかなければならぬというふうにも考えているところでございます。
  82. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 今の御答弁では、平成年度の決算で約三分の一の団体が黄色い信号だ、千百二十一団体が黄色い信号だ、こういうことでございます。これは平成五年、平成六年、借金体質がますますふえてくるわけでございまして、財政はますます硬直化してくるわけですね。そうしますと、先ほど言ったいろいろな景気対策の上で地方単独の事業をやってください、こう言っておるのに、平成四年の段階でもう既に黄色い信号が点滅しておる、こういうことでございますと、ではこれから一体どうするのだ、こういうふうな大変な危惧があるわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
  83. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 この状況がずっと続くということになりますとこれは大変なことになるわけでございますが、景気というものはある程度波があるわけでございますから、平成年度から下降してきてそろそろ上昇に向かうのじゃないかというような話も一部に出ているわけでございまして、そういう甘い期待を簡単に持つわけにはいきませんけれども、できるだけいろいろな施策を行うことによって景気を上昇させて、そしてそれを税収の増に結びつけていく、そしてまた、景気対策が要らなくなれば地方債も要らなくなるということで借入金も減ってくる、こういう形にこれからしていかなければならないのではないかというふうに考えているところでございます。
  84. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 とにかく私どもも、一刻も早く景気がよくなるようにそれぞれの立場で努力をしなければいかぬ。そうしない限り、今言いましたように平成四年で黄色い信号ですから、五年、六年と下がってきているのはもう間違いないわけですから、この辺で打ちどめにしなければいかぬなという気がいたしますので、私どもの立場としましても、頑張っていかなければいけないなという感を強くいたします。  今、財政についていろいろお尋ねをしたわけでございますが、いずれにしましても、これから景気対策も含めまして地方の財政基盤というものをしっかりさせていかなければいけない、これはだれもがそういうふうに考えるところだと思います。一つは景気対策をして税収をふやす、こういうことが言えると思うのでございますが、その税収をふやすという中に、例えば地方消費税みたいなものを少し決めてくれないか、地方消費税みたいなものをつくってくれないか、そういう自主財源、こういった希望が地方は大変強いわけでございます。  そういうことも含めまして、これからの税制改正、先ほど税制改正の話がございましたが、地方独自の財源、例えて言えば地方消費税みたいなものでございますけれども、そういったものを今後税制改正の中で御検討なさっていくのか、それともそういったものは今のところ全く考えてないのか、そういったことについてお尋ねをしたいと思います。
  85. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 これは既に、昨年秋でございましたが税制調査会の方からも、「地方消費税を含めた地方税源の問題は、今後、消費税のあり方の見直しと併行し、検討を加えることが必要である」というのが出されておるわけでございます。また、地方公共団体の方からも、現行の消費譲与税から、みずからも徴収する地方消費税に切りかえていくべきだ、これは地方自治体の住民に本当の意味での地方分権あるいは自治ということをわかっていただく原点ではないかということも、地方公共団体からいろいろと要望が出ておるところでございます。  したがいまして、私たちといたしましても、委員指摘のようにちょっとダブりになりますけれども、地方公共団体がやることというのは極めて安定的な財源が必要なことばかりでございますし、これからさらに福祉の介護等きめ細かなことをやっていく、あるいは福祉の施設づくりということになってまいりますと、これはいわば国より以上に安定的な財源というのが必要になっていくわけでございまして、そういった意味では、税制改革の中で議論される中で、消費税の欠陥の見直しということが与党の方の中にもはっきり書かれておるわけでございまして、その際には当然のことながら、地方消費税という考え方も十二分に、国と地方の財源の配分のあり方、しかもそれは、今約四割になっていますが譲与税という国がとったものを譲与するというだけではなくて、みずから徴収をして、住民自治の意識、みずから税金を納めるんだ、自分のところで買えば消費税は自分のところへ戻ってくるんだということを十分していただくことが、これは非常に地方自治のいわば本旨に沿うことだと考えておりますので、私たち自治省という立場におきましても、与党の税制改革の協議会の中で消費税の見直しを論ずるときには、必ず地方消費税の問題も大きな課題として議論していただかなければならないということを、機会あるごとに表明をさせていただいておるところでございます。
  86. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 伺っておりますと、何か国民福祉税みたいなものがまた出てくるような気がするわけでございますが、それはそれとしまして、もう一つ、地方の財政の健全化ということの中にはやはり行政の、スリムといいますか簡素化といいますか効率化、こういったことも大変重要なことだと思うわけでございます。先ほど大臣、みずから血を流す努力をしてそして税の負担というものをお願いをしなければいけないということを御答弁なさいましたけれども、全く同感でございます。そういった観点から考えますと、地方の行政の簡素化、効率化ということがこれからは不可欠になると思うわけでございます。  そこで、ちょっとこの委員会質問することが適当かどうかわかりませんが、さきの国会で行政手続法というのが成立いたしました。法律の中には、地方自治観点から地方の行政には適用しない、適用除外になっているわけでございますけれども、大臣等の答弁では、当然地方にも見習っていただきたいというような希望を述べていらっしゃいますし、また石田大臣答弁の中に、行政手続法が施行されますと事務量がふえてくるかもしれない、しかしそれはいつときのことであって、今度は国民の皆様方が行政手続のやり方をよくわかって、簡素化が進む、あるいは事務量といいますか事務負担の軽減も考えられる、こういうような答弁をなさっておるわけでございます。  まず自治大臣として、この行政手続法についてどういう評価をなさっていらっしゃるか、あるいは今後行政の簡素化あるいは効率化、あるいは公平、公正、透明性、こういったものを目指すために、地方自治体に対してどのように自治省の立場で指導していくかということについてお尋ねをしたいと思います。
  87. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 行政手続法についてのお尋ねが最初にございましたので、これは御案内のように昨年法律が成立をしたわけでございまして、この秋にも施行が予定をされているわけでございます。御案内のように、この法律は行政運営におきます公正の確保と透明性の向上を図って、もって国民の権利利益の保護に資するということを目的としているものでございます。  この法律と地方団体との関係でございますが、この法律によりまして、法令に基づいて行われる処分、例えば申請に対する処分でありますとかあるいは不利益処分、こういった処分でございますとか法令に基づく届け出につきましては、その根拠が条例や規則にあるものを除きまして地方団体にも直接にこの手続法が適用されるということになっております。  また、地方団体が条例とか規則に基づいて行います処分でございますとか届け出あるいは行政指導につきましても、これは直接にはこの行政手続法の規定は適用はされないのでございますけれども、しかしこの法律によりまして、法律に三十八条という規定がございまして、地方団体は、この行政手続法の規定趣旨に沿って、行政運営における公正の確保と透明性の向上のために必要な措置を講ずるように努めなければならないという努力義務の規定が設けられております。これによりまして、地方団体もこの法律とのかかわりが非常に深いものがいろいろあるわけでございます。行政の簡素効率化あるいは住民の権利保護にも役立つ制度でございます。  私どもといたしまして、地方自治観点あるいは地方団体における行政運営の実態を十分踏まえながら、それに配慮をしながら、地方団体におきます行政手続が公正、透明性の要請に的確にこたえられるように努力をしてまいりたい。特に、手続の整備の進行状況なども把握いたしまして、情報を提供することによりまして円滑な施行ができるようにしてまいりたいと考えている次第でございます。  それから、行政改革といいますか、その簡素合理化についてどういうふうに取り組んでいくのかというお話がございましたので、これにつきましては、御承知のように地方団体は、行政改革というのは大変重要な課題であるという認識で取り組んでおられるところでございます。  具体的に申しますと、都道府県及び指定都市のすべての団体におきまして、また市町村ではほとんどの団体において、行政改革大綱というものをつくりまして事務事業の改善合理化に努めているわけでございます。組織、機構の簡素合理化でございますとか給与、定員管理の適正化等の行政改革を積極的に進めてきておりまして、それぞれ効果が上がってきているわけでございます。都道府県なり市町村の組織の簡素合理化、部局の統廃合ということも進んでおりますし、人員等についても、一般行政部門でいいますと昭和五十六年にピークとなっておりましたが、平成四年はその五十六年に比べて七千人余り減少をしているというような状況でございます。  今後とも自治省といたしまして、さらにこの地方における行政改革が進むように指導助言に努めてまいりたいと思いますし、あわせて、やはり地方団体が創意工夫を凝らした行政改革ができますように、機関委任事務の整理合理化でございますとか、あるいは国の関与、必置規制の見直し等に努力をいたしまして、国・地方における行政の簡素合理化が進みますように努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  88. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 行政手続法につきましては、地元の話をしたら恐縮でございますけれども、私ども地元に帰ってなるべくPRに努めている、非常にいい法律だという評価をいただいているわけでございます。ただ実際に、地元の人たちというか住民の人たちは、市役所とか県庁の窓口に行くことがやはり圧倒的に多いのですね。そういった意味からも、この行政手続法の趣旨が一刻も早く地方自治体にも徹底するように御努力をお願いしたいと思いますけれども、私どもも頑張ってまいりたい、こういうふうに思います。  次に、やはり先ほど言った、これからの地方自治体の財政の健全化あるいは地方自治体のあるべき姿ということを考えますと、これは細川内閣の大きな看板でもございます地方分権ということが当然取り上げられてくるわけでございます。地方分権についてはこの委員会でも御質疑があったということを承知しておるわけでございますが、重複をして大変恐縮でございますけれども、私もこの問題をこれから取り上げてまいりたいと思います。  地方分権、こうよく言うのですが、一体何だと聞かれるのですね。私どもは、それは国の権限と財源の一部を地方にどんどん渡すことだよ、こう言うのですが、なかなかぴんとこないですね。では、地方分権ということは、今は要するに中央集権なのか、こういうことを言うのですね。  その中央集権というのもよくわからぬ。それで私どもが説明する場合は、これは大変変な例で恐縮でございますが、県庁に行ってみると、私どもは静岡県でございますけれども、十の部がある。十の部があって、そのうちの五つの部が県庁生え抜きの方が部長さんになれる。大体定年間際にやっと部長さんになっておやめになる。残りの半分の五つの部は、厚生省や建設省や自治省やあるいは通産省からみんな来る。年は大体私と同じ四十三、四でおいでになって、三年がたつと大体お帰りになってしまう。また新しい方が来る。これが中央集権ですよ、こういう説明をするわけでございますが、こういう実態というのは、これは私が伺っている限りにおいては静岡県だけじゃないのですね。各県みんなそうなんですよ。  こういうことに対するアンチテーゼとして地方分権があるのかなとも思うのでございますが、大臣、私の話を聞いていてどういう感想をお持ちになったか、ちょっとお尋ねをしたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  89. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 その問題と地方分権とは結びつかない問題だと私は思うわけでございます。やはり行政のレベルを上げる、あるいは指導をしに行くということで、いわば今栗原委員の言われた問題は、各県の方から要望があって、こういう人材を欲しい、それによって行政のレベルアップなり、スムーズに全体がいくようにということでしているわけでございまして、各省とも、うちの省も含め、求められて行く人材なのでございまして、うちの方から押しつけるわけではないことが一つでございます。  それから、地方分権というのは、もう基本的に委員指摘のように、国の権限というものをスリム化し、そして県、市町村におろしていくことだということが最も基本的なことじゃないかと思うのでございます。したがいまして、私としては、本来国がもっとやるべきことは絞って、そして身の回りの住民に最も身近な仕事というのはどんどん県、市町村にきめ細かく、かゆいところに手が届くようにやっていただくという仕分けをすることが地方分権だというふうに私は基本的に考えております。
  90. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 その問題についてはまた後ほど触れたいと思うわけでございますが、例えばパイロット自治体とかあるいは中核市、それから広域連合構想ですか、こういったものを今までなさっていると思いますけれども、これも国の権限を移譲していくということにつながると思うのでございますが、このことについての今までの評価といいますか、そういったことについて伺いたいと思います。
  91. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 細部につきましては後で吉田行政局長の方から答弁を補足をしていただきますが、御承知のように昨年の十一月十六日に、地方分権特例制度ということで、いわゆるパイロット事業ということで十五の市とグループが指定をされたわけでございます。個々におきまして、いろいろな市やグループによってやっていることが違いますけれども、独自にある業務につきましてできるようにということで進めております。  十五で果たして三千三百自治体があるのにどうだということがございまして、本年六月までにさらにひとつ希望のあるところは出していただきたいということで今各県を通じましてやっておるわけでございますけれども、これは国の許認可とかあるいは機関委任事務、補助金等の制度につきまして先導的に試みに行う、試行ということでございますので、こういったことでどんどんとひとつ熟達する中で一般制度化に広げていこうということでございますから、できるだけやはりたくさんの市町村が手を挙げていただくことが地方分権の前段として大変意義があるのではないかというふうに私どもとして評価をしておりまして、その意味では、六月末の第二次の指定につきましてより多くの市町村が手を挙げていただくことを私の方としては希望しておるところでございます。
  92. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 地方分権特例制度、パイロット制度につきましては、今大臣から御答弁がありましたとおりでございます。一つの新しい制度として、地方分権に資する制度ということで、私ども、特に市町村活用したいところはぜひこれを活用して一歩でも二歩でも前へ進めていただきたいと考えているところでございます。  それから、お話がございました中核市、広域連合の問題でございますが、これは御承知のように、第二十三次の地方制度調査会におきまして昨年の四月に答申がされたものでございます。多様化してきております広域行政需要への的確な対応と、一定規模以上の都市の事務権限の強化を図りまして、地方分権を推進する制度としてこの広域連合制度と中核市制度の創設が答申をされたところでございます。  自治省といたしましては、この広域連合制度及び中核市制度の創設は地方分権を推進するための具体的な方策であると考えておりまして、この答申の趣旨を踏まえまして、これを法制化をしてまいりたいということで今鋭意作業をしておりまして、これらを内容といたします地方自治法の一部改正法を今国会に御提出申し上げて御審議を賜りたいというふうに考えて、今精力的に作業をしている段階でございます。
  93. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 先ほど大臣答弁の中に、地方分権というのはなるべく国の権限を、特に身の回りのことについて、住民に大変密接に関係するものについて地方に移譲していくんだ、こういうことであったわけでございます。  現状を私どもも見ておりますと、例えば地域保健福祉計画みたいなものをどうぞこれからは各県と市町村でやってくださいと言うと、自治体によっては、とてもじゃないけれどもそんなことはできぬと、いっそのこと面倒くさいからコンサルタントにやらせてしまおうというようなこともあるやに聞いておるのですね。ですから、やはり分権、分権といっても受け皿が大切ですね、受け皿が。やはりそういう能力のないところにやってちょうだいと言うと、それは役人のことですから、コンサルタントに任せて、できましたと言って持っていけばまあいいやというようなものですね。それではいかぬと思います。  そういう意味で、これから市町村の合併とかそういったものも大切な課題になってくると思うわけでございまして、きのういただいた資料でございますけれども、「平成年度市町村の自主的合併の推進方策等に関する調査研究報告書」というのをいただきました。これを見ておりますと、自主的合併をどんどん進めていく、こういうことのようでございます。  都市というのはワンセットでございますので、当然市役所あるいは町役場があって、下水道やし尿処理やごみ焼却場があって、文化センターがあって、こういうワンセットでございますね。そうすると、例えば人口が十万とか二十万とかという都市が合併をしないでそのままの状態でありますと、隣の町が千人ぐらいの大きな公会堂をつくったのでうちの町も負けるもんかというので、また同じようなものをつくってしまう。車で行けば二十分ぐらいの距離のところに同じようなものができてくる。そういう行政の不効率、これはまさに不効率でございますので、そういう意味では、これは合併するのがいいのかは別としましても、やはり都市というのはワンセットで考えるのですけれども、そのワンセットの範囲を大きくしなければいかぬ、こういうふうに思うわけでございます。  ところが、それほど困らなければ、せっかく議員になったとかあるいはせっかく市長さんになったとかということで、自主的、自主的といってもなかなかこれは進まないのですね。進まないのです。それがいいんだといえばそれまででございますけれども、私どもは、むしろやはりこういうことは、これから地方財政が苦しいと言っているのですから、ワンセットという概念を大きくしていくということが大事だと思います。  そういった意味で、最近の合併の実績等を、これにも出ておるわけでございますが、改めてお尋ねをしたいと思いますが、いかがでございましょう。
  94. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 私の方から、最近の合併の実績ということでございますので、その数字的なことを申し上げたいと思いますが、最近十年間におきます市町村合併でございますが、全部で十七件でございます。合併の形式といたしましては、編入合併、新設合併等があるわけでございますが、編入合併で行われた合併が十五件、新設の合併が二件というようなことに相なっております。  かつては、町村合併促進法等があった時代は計画的な合併ということで進められてきたわけでございますが、その後、三十年代半ばごろからは自主的合併ということで進められてまいりまして、市町村が自主的に合併するという場合に、いろいろその障害となりますようなものを取り除く合併、いわゆる合併特例法というものがございまして、そういう中で、市町村の議会の議員の定数でございますとか任期でございますとか、あるいは合併をしても交付税が減らないように合併算定がえをするとかというようなさまざまな特例措置を設けておりますが、そういう中で合併がされてきたのでございますが、自主合併でございますので、この程度の件数にとどまっているということでございます。  先般は、その合併につきまして自治省の方に研究委員会をつくりまして、報告書が先般出されたわけでございますが、その中で、合併は一つの有効な施策であるというような見地からこの報告書が出されているところでございまして、私ども、それの報告書を踏まえて、今後さらに合併が進みますようにいろいろ努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  95. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 今の御答弁ですと、合併は編入がもうほとんどですね。その合併が進まない理由というのは、私、ちょっとさっき市長さんがどうのこうのとか議員さんがどうのこうのと言ったけれども、今の局長さんの御答弁だと自主合併だから進まないのだというふうに聞こえたのですけれども、そういうことでよろしいのですか。
  96. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 自主合併だから進まないという意味ではございません。言い方がちょっとあれでしたら、そこは……。  合併といいますものは基本的にはいろいろな理由があるのでございますが、一つの基本的な問題といたしましては、当該地方公共団体の存立そのものにかかわる問題ということでございます。したがいまして、関係市町村当局あるいはその住民の方々にとって大変重要な、また影響の大きい事柄でございますので、その合併についての合意形成というものが大変重要になってくるわけでございます。そのために比較的時間を要しているということが共通な問題としてはあろうかと思います。
  97. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 今御答弁をいただいたわけでございますが、要するに、私は自主合併というのはもう限界があるのではないかな、そういう気がしてしようがないのですね。これからますます財政が厳しくなってきて、よく農協さんが合併しますけれども、あれはこれからの時代にスケールメリットを求めて合併するのですね、要するにやっていけないと。  そういうことになるのかもしれませんけれども、それはやはり余り望ましい姿ではなくて、むしろいろいろな意味で合併できない、実質的にはできないのだから、国あるいは県の指導で、昭和あるいは明治の大合併があったときのように、これはもちろん強制ということではないのですけれども、相当きつい、きついといいますか、思い切った指導みたいなものが出てこないと、自主合併どうぞと言ってもなかなかこれはいかないのではないかな。いくとすれば、それこそ財政がやり切れなくなってしまって、もう破産だ、こういう状況でやるということになってしまいますので、それは余り面白くない。  こういうことでございますから、やはりこれからは相当大きな意味での、大きな立場からあるいは大所高所からの指導というものが必要だと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  98. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 栗原委員の言われることは大体わかります。ということは、地方分権を言うときに、いつも権限の移譲が先か受け皿が先かという議論が今日まで長いこと続いてきたわけでございます。その意味で、権限の移譲というときに、今例を挙げられましたけれども、今のような三千三百という地方公共団体のあり方、サイズでいいのかどうかということにつきましては大いに議論があるところだと思います。  そういった意味で、来年三月に市町村合併特例法が切れることもございまして、自治省といたしましても、合併の問題というのについて、お読みいただいたと思いますが、三月にこの答申をいただいたわけでございます。そういった意味で、私たちとしましても、市町村の自主性、自律性ということを全く無視するわけにいかないが、しかし財政的に合併をしたらどういうメリットがありますとか、何かそういう先導役的な中身をさらに研究する必要があるのではないだろうか。  そのいわば片りんと申しましょうか、それがこの報告書に出ておるわけでございまして、合併したことによって逆に合併された方の市町村が過疎化していくというのでは、これはまた何もならぬわけでございますので、そこで市町村の計画を、建設計画というのをつくりなさいというようなことも書かれておるわけでございまして、私たちといたしましては、栗原委員の言われることもよくわかるのでありますが、一方ではやはり、地方分権がどういう姿になっていくのか、市町村合併と言っておる場合には恐らく県の権限が市町村に移るということになる内容だと思うのです、実際の権限のことでいえば。  ところが、地方分権というのは、先ほど言いましたように国の権限を地方自治体にどう移していくかという大きな問題がある。これとある意味では並行してやっていきませんと、いろいろ個々には申しませんけれども、いろんな意味で抵抗がある。地方分権の問題が県の権限を市町村に移すというだけで終わってしまっては、本格的な、あるべき姿からいうと本来の姿ではないということもあるものですから、私たちといたしましては、市町村合併の重要性ということにつきましては、委員指摘の意味は私どもよくわかっております。  一方では、地方分権のあり方そのものもさらに深めて、大きな波と議論を深めていく必要があるのではないか。それとある程度並行してやっていきませんといかぬのではないかというふうに考えておるものですから、当面、さらにこれはいろいろな、今後あと一年近くありますので、類型化をしたり、市町村合併によって必ずしもプラスになっていないところも、地域によってはいろいろ議論があるところもありますので、そういったところもいろいろと研究をしながら、来年三月に切れるわけでございますので、その後を引き継ぐ内容を、さらに皆さんの御意見もいただきながら、またこの研究委員会から出されましたものも十分あれしながら、法制化に向けてこういったところの議論も入れて、そして我々としては考えていきたい。  やはり地方分権という全体の中で、卵が先か鶏が先かの議論ではなくて、地方分権も大体少しスケジュール化が見えてくる中で市町村合併というのも一緒にこうやっていこうということでありまして、単なる自主性、自律性ということで、はいお好きな方はどうぞということではない。それは何らかの方策を持って先導的にやっていかなければいかぬということも考えております。一方では、地方分権という大きなまた流れと相呼応してやっていくべきことがこの市町村合併だと考えなければいかぬというふうに考えておりますので、委員の御指摘のことも非常に我々もよくわかっておりますが、もう一つの方のと相あわせてこれは進めていくべきテーマだというふうに考えていることを基本的な点で申し述べさせていただきたいと存じます。
  99. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 この報告書の中には住民発議制度の創設というのも出ておりますので、これから合併をしていきたい、もう既に、私ども地元の話で大変恐縮でございますが、二十年来ぐらい私のところはやろうやろうと言っている中でなかなか進まないという、そういうジレンマもございますので、これは、ぜひ住民発議制度というものも活用をしながら、これはどうなるかわかりませんがやってまいりたいと思いますので、その辺もよろしくお願い申し上げます。  今地元の話をさせていただきましたので、ついでで大変恐縮でございますが申し上げますと、私のところは新幹線のとまる三島駅というのがございまして、その隣に清水町と長泉町、人口二万五千から三万ぐらいの町がございまして、隣が沼津市ということでございます。人口的に申しますと三島市が十一万、清水町、長泉町が今申しましたように二万五千から三万、沼津市が二十一万、こういうところでございます。  これをもう前々から二市二町で合併しようや、こういう話があるわけでございます。ところが、本当に具体例で恐縮でございますが、今度の小選挙区制になりますとこれはすばっと分かれてしまうのです。いや、決まってないですけれども、一応そういうことなんです。恐らくこれは私のところだけが特殊ケースではなくて全国でも、今私が言いましたところは箱根山から見たりあるいは愛鷹山から見ると、街の明かりがずっと切れ目なく続いているのです。要するに境がないんです。そういうところで小選挙区制度の区割りによっては、切られてしまうところがあるような気がするのです。私のところだけではないと思うのです。  そういったことが、これはお答えにくいのかもしれませんけれども、今後の合併とかあるいは地方分権とかということにどういうふうに影響するのかというのは大変私も心配をするし、お答えにくいかもしれませんけれども、お答えをいただければ大変ありがたい、こう思います。
  100. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 小選挙区の区割りにつきましては、これから新たに設置されます衆議院議員選挙区画定審議会でこれから御検討いただくことになるのではないかと思います。  先般成立いたしましたこの審議会設置法では、区割りの作成の基準といたしまして、各選挙区の人口の均衡を図り、人口格差が二倍以上とならないことを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないとされておるところでございます。審議会が設置されますれば、七人の委員の方々の合議によりまして、この法律趣旨に沿った公正適切な区割りが行われるものと考えておる次第でございます。
  101. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 まあまあしようがないです。こういう答弁しかないと思いましたので、大変時間のむだをしたような気がして恐縮でございます。  時間もなくなってまいりましたので、最後に、先ほど来ずっと議論をしております、これから景気がよくなってどんどん地方の財政が健全になればいいわけですけれども、いずれにしても、これからの日本経済というのが、いっときのようにきのうよりもきょうの方が豊かになる、きょうよりもあすの方が豊かになるというような感じで成長していくというのはなかなか期待しにくい。そういった面で、先ほど言いました都市ワンセットでございますから、ワンセットの範囲を広げていただいて、そして効率のいいそういう都市づくりといいますか地方都市づくりというものをこれから進めていかなければいけない、こういうふうに思います。  同時に、そういうことになりますと、全国どこへ行っても、よく言われることでございますが金太郎あめみたいで全然地方都市の特色がない。お城があればお城をつくってしまうとか、とにかく同じような都市ばかりだというようなことがあるわけでございまして、この報告書にも書いてございますけれども、合併しにくいところ、大変な山村とかというのがあるわけですね。そういったところは当然残ってもいいと思うのですね、私は。  そういう意味では、これからの地方都市といいますか、地方のあり方といいますか、要するに、日本の国を旅をするといろいろな特色ある、バラエティーのある都市があるんだ、行くたびに非常に楽しいというような、そういう都市づくりといいますか、そういう国づくりというのが私は理想の姿だと思うわけでございますが、その点につきまして、大臣から何か御答弁がございましたらば、御感想なりありましたら、聞かせていただきたいと思います。
  102. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 委員も長いこと地方行政に携わっていらっしゃるからとは思いますが、必ずしも金太郎あめだろうかな。特に地方単独事業というのは、国からの補助金でやるのが今九兆円ですけれども、十八兆、地方単独事業も倍になってきているわけです。どんどんこの差が開いてきておるわけでございます。  そういった意味で、先週でございますけれども、ふるさとづくりの市町村を表彰したのでありますが、いろいろふるさとづくりのために、よく人間ってこれだけ考えられるなと思うくらい、いろいろな意味で町づくりということで考えていらっしゃる。地方単独事業というのは、その意味で、そういう下支えをしたり、あるいはふるさと創生事業の例の一億円ですね。今六千万円から一億六千万円という、金額は変わっていますが、これらを使われて愛着のある町づくりということで、それなりの独特のあれを出そうと腐心していらっしゃるという感じもするわけでございます。したがって、こういった地方独特のものというのをやはりどんどんと伸ばしていくということが非常になお一層大事なことではないか。  それから、前段に委員が言われました三千は三千の町のいいところもあれば、五百人は五百人のいいところもあると思いますが、一体、同じような今の地方自治のあり方というのがいいのかどうなのか。御説明がありましたように、これから三十万以上、百平方キロ以上の中核市というのが大体県都を中心にしてできてくる。それは準政令市並みの権限が委譲されるようになってくるというような中で、小さなといいましょうか、財政力の弱いところを同じようなやり方でいいのかどうかというのは、これからさらにいろいろ研究、検討しなければいかぬ課題だと思うわけでございます。  そんなことで、我々としましては、特色ある、魅力ある、そこに住んでいらっしゃる方が愛着を持てると同時に、やはりその地域の人が町づくりに参加をすることが非常に重要だと思いますので、そういった意味では、地方財政計画の中でかなりそのあたりばことしもさらに見込んだつもりでございますけれども、そんなことを考えながら運営をさせていただきたいというふうに考えております。
  103. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 これで終わりますが、政権がどうなっているかわかりませんけれども、ぜひ来年の予算編成は越年にしないでいただきたい。地方財政計画もおくれて出さないように、引き継ぎをもしする必要があるならば、引き継ぎをしていただきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  104. 粟屋敏信

    粟屋委員長 蓮実進君。
  105. 蓮実進

    蓮実委員 私は、同僚栗原議員に続きまして、一部重複するところもあるかと思いますが、地方財政問題、それから市町村の合併問題行政改革と地方行政について、それから地方税制のあり方、首都移転等について御質問を申し上げたいと思います。  最初に、地方財政についてお伺いいたします。  地方財政の現状と見通しについてまずお聞かせをいただきたい。平成年度地方財政計画によると、厳しい経済と地方財政の現状にかんがみとありますが、これは具体的にどのような認識に基づくのか、数字を挙げて御説明をいただきたいと思います。
  106. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 最近の地方財政状況ということでございますが、御案内のとおり、我が国の経済は非常に厳しい、低迷が続いているわけでございます。こういう情勢を受けまして、財政の中身を見ましても、非常に厳しいわけです。  まず、地方税を見ますと、地方税につきましては、この景気の低迷などを受けて、一番影響の大きく出ているのは法人関係税でございまして、これが非常に不振といいますか、税収の伸びが厳しいということがございます。これに加えまして、個人の所得につきましても、やはりこういう景気でございますから所得の伸びが悪いということで、それが個人の住民税などの収入にもはね返ってきている、こういうことで非常に厳しい状況になっております。  また、地方交付税につきましても、これは国の税金、国税五税にリンクしているわけでございますので、この国税五税の収入状況によりまして大きく影響を受けるわけでございますが、この中で所得税、法人税が非常に大きなウエートを占めます。この部分が大変な景気の落ち込みによって税収が落ちてきているということでございますので、交付税もあわせて落ちてくるということになるわけです。特に、平成年度におきましては、交付税について、四年度で実はもらい過ぎている分、交付し過ぎた分が約一兆円という金額になっておりまして、これもあわせて精算をしていかなければならない、こういうことで地方税、地方交付税は極めて厳しい状況になっております。  こういう中で、やはり景気対策といいますか、これからの景気を浮揚するための措置として所得税、住民税の特別減税が行われるということで、住民税の減税は当然そのまま地方税の税収にはね返ってまいりますが、所得税の減税につきましても、その三二%は地方交付税の減収にはね返ってくる、こういう状況でございますので、地方の一般財源でございます地方税と、それから地方交付税、いずれも非常に厳しい状況になっている。これを結局、地方債なり、あるいは交付税の特別会計の借入金という形で補てんをするということでございますから、平成年度地方財政は借入金の依存度が非常に大きくなってきている、こういうふうに言えようかと思います。こういうことで、平成年度末におきましては地方財政全体として百兆円を超える借入金残高になるのじゃないか、こういうことが予想されるわけでございます。  他方、歳出面におきましては、今までもお話がございましたように、地方の特色あるいろいろな施策を、その地域地域において、実情に応じて実施をしていくというためのいろいろな政策課題というものがございます。ふるさとづくりあるいは社会資本整備、いろいろな形で出てくるわけでございますけれども、こういうものに対応するための財政需要というものも非常に大きなものになっている。歳入面では厳しいわけでございますが、反面、歳出面ではいろいろと政策課題に対応するための財政需要も大きくなってきている、こういう状況平成年度の現況というふうに理解をいたしております。
  107. 蓮実進

    蓮実委員 厳しい経済は当然地方にも大きな影響を与えておると思います。税収の落ち込み等に大きく反映していることはわかりますが、日本経済は、幸いにやっと底が見えて、かすかな光が差してきつつあると言われておりますが、地方財政にはどのような好影響を与えていると見ているか、お伺いいたしたい。
  108. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 平成年度からこれまでの間は、むしろ景気は下降ということで続いてきたものですから、今お答え申し上げましたとおり、地方税にしましても交付税の関連税目でございます国税にいたしましても、非常に大きな低迷が続いてきているわけでございます。  この状況から脱却するために、本年度にも経済対策を三回もやりましたし、平成年度にも経済対策をやったということで、政府としてもいろいろと手を打ってきたわけでございます。この効果というものがどういう形で出るかということは即断をできないわけでございますけれども、平成年度におきましても景気に配慮するためのいろいろな配慮を国の財政においても行ったわけでございます。地方財政におきましても、例えば、地方単独事業を一二%伸ばすというようなことで景気対策のためにいろいろやってきたわけでございます。  この景気がどういう形でこれから上向いてくるかということ、これはなかなか即断できないわけでございますけれども、これから景気が安定成長の軌道に乗っていくということになりますと、税収、地方税にいたしましてもあるいは国税にいたしましても一定の伸びが期待できるのじゃないか。これが財政にとっては一番の大きな要因だと思います。  逆にもう一つは、歳出面におきましても、これまでいろいろな形で景気対策という形で行ってまいりました事業、これもほとんど借入金で実施したわけでございますけれども、こういうものも景気が上向いてくれば必要なくなってくるということでございますから、歳入面ではよくなって、歳出面ではこれを縮減する、両方の効果が出てきて、景気が上向くことによって今後のさまざまな政策課題に弾力的に対応し得るようになるのじゃないか、こういうことを期待しているわけでございますが、この状況がいつになってくるか、これが私どもも最大限の関心の的のところでございます。
  109. 蓮実進

    蓮実委員 地方財政全体の現状はよくわかりましたが、いろいろと別の話も実は聞くのです。今、全国の県や市町村では予算の審議が行われていると思います。大づかみに見て実態は一体どうなっているのだろうか。どうも大変だ、大変だという声ばかりが先走って、事業費を大幅に削減をしたり、あるいは新規事業に極めて消極的な県や市町村があるやに聞いております。どうでしょうか。  それから、せっかく景気が持ち直しと明るい見通しがつかめるようになったのに、肝心な足元が揺れているようではまた危なくなってくる。県や市町村がしっかりしなければならないのではないか。現段階での全国的な傾向をひとつ御説明願えないだろうか。
  110. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 今議会中のところもありますので、見通しということで言わせていただきたいと思いますけれども、平成年度の都道府県の当初予算は、石川県と京都府と長崎県が知事選挙がございましたので、この三県だけは骨格になっておりますが、それも含めまして、そのほかのところは通常予算を編成しておるわけでございますけれども、その総額は四十九兆六千億円程度ということで、骨格予算を編成いたしました三つの県を除きました伸び率というのは、地方財政計画の伸び率五・九%とほぼ同程度の六%程度の伸び率になる見込みということになっておりますので、各県とも大変御努力をいただいているというふうに考えております。
  111. 蓮実進

    蓮実委員 先ほど同僚もちょっと質問したかと思いますが、県や市町村レベルでの公共料金、特に上下水道や学校などの公共料金を引き上げるところが多いようでありますが、実態は一体どうなっておられるか。また、景気がせっかく回復しようとしているやさきだけに影響は決して小さくないと思っております。自治省はいかなる指導を行っているか、あるいは考えを持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  112. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 公共料金の関係につきましては、全体的な状況というものを私ども掌握しているわけではございませんけれども、いろいろな料金改定を予定している団体はございますけれども、公営企業、特に上下水道などの状況を見てみますと、料金改定を予定している団体の数というものは大体例年と同じぐらいの数の団体ではないかというふうに理解をいたしております。  と申しますのは、例えば上水道とか下水道とか、あるいは交通事業とかというような事業の料金につきましては、これはやはり利用者が全体的に負担をする、こういうところに一般財源を投入するということは、そういう利用者に負担させないで税金で負担するということは、逆に受益者負担の原則に反するのではないかということもございまして、できるだけそういうものを利用される方々に応分の負担をしていただく、これが公営事業の性格だと思うわけでございます。  そういう意味からいきまして、毎年毎年原価というものを計算した上で赤字になる場合には、これはやはり適切な料金改定ということが必要じゃないかと思うのです。ただ、その場合にも、ただ赤字になれば料金を上げるということではなしに、合理化できるところあるいは経営改善ができるところは極力そういうことに徹することによって原価を抑えていく、原価を抑えた上でなおかつ赤字になるというような場合に料金改定ということで、これは最後の手段だというふうに理解をしながら料金改定というものに取り組まなければならないのではないかというふうに考えております。  そういう意味で、各自治体におきましても、料金改定の場合には必ずそれぞれの議会でその内容審議していただくわけでございますから、相当慎重にそれぞれ扱っていることも事実でございますし、この料金というものを安易な形で決めていくということはこれからもやってはいけないというふうに考えております。  今御指摘のように、ことし目立って公共料金の引き上げが自治体の中で多いのじゃないかという御指摘は、どうも全体的な今の公営企業の状況を見ましても必ずしもそういうことではなしに、毎年毎年それぞれの自治体において必要なところでやっているということで、例えばことし料金改定をやっているところに具体的に聞いてみますと、いや実は十年間引き上げをしなかった、どうしてもことしは赤字になってどうにもならないから引き上げるんですとかというような形で、今回上げることについての努力というものも随分やっていたという答えがあちこちで返ってきているわけでございまして、できるだけ私どもも合理化なり経営改善によってこの原価の上昇を防ぐということをお願いをしながら、受益者の負担の適正化というものに取り組んでいただきたいということで団体にお願いをしているところでございます。
  113. 蓮実進

    蓮実委員 やはりそれなりの自治体のそういう合理化できるところは原価を抑えてやろうということはわかりますけれども、私は、時期が時期だけに非常に大きい影響がある。これは景気がいいときなら別ですけれども、やはり国民感情として、何か減税、減税といっても、その減税分が公共料金の値上げでツーペイになってしまう、こういう印象を実は国民は受けている、正直なところ。ですから、やはり公共的なところというものは常にそういうことを配慮しながらやっていくべきではないかなというふうに思っております。  先ほどの話からすると、地方財政はなかなか厳しいことがわかりました。平成年度予算が本日今もってなお審議に入っておりません。五十日以上というかなり長期の暫定予算となると、地方財政がとても第二・四半期以降に正常な軌道に乗るとは思いません。いかがでございましょうか。  公共事業の箇所づけなど、先延ばしになるとどうしても積極的な取り組みができないのではないかと考えられます。自治省として適切な指導なり通達なりの手を早目に打つ考えはないのか。特に景気の現状から、下半期の地方財政の動向がポイントに私はなるのではないかと考えております。お伺いをいたします。
  114. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 大変御心配いただいているわけでございますけれども、平成年度、六月に第一次の補正予算、十二月に第二次の補正予算をやり、二月に第三次の補正予算を組んだわけでございます。順調に契約率もずっと推移をしてきておるわけでございますけれども、十二月末の契約率が八二・一%ということで、これはちょうど全く数字が一緒なのでありますが、前年度と同じ契約率ということになっております。  したがって、第三次補正につきまして、国の方が一般公共事業として三兆六千四百億円というふうに組んだわけでございますけれども、俗に言う、地方公共団体がそのために用意をしますお金一がざっと二兆五千億円必要になってまいります。それから、地方の単独事業が三千億ということでございますので、ざっと地方という面から見ますと二兆八千億円の事業を三月の補正予算が通ってからやるということにしております。  したがって、実態的には三月に発注をして四月、五月どのくらい、物によりますけれども、仕事になっていくということになると思いますが、その意味では十五カ月予算と言っておりましたように、四月、五月も実態的に仕事があるということになってまいりますので、いわば大変御心配いただいております暫定予算の間は、地方としても今申しましたような公共事業を順次消化をして景気の下支えをやるということになっていくだろう、なっていくというふうに我々の方としては考えておるところでございます。
  115. 蓮実進

    蓮実委員 地方財政に忘れてならないのは、平成年度が今の御説明の補正予算、大型補正が組まれている、その実情はよくわかりました。  そこで、今大臣が言われているように、本当に反映するかどうか。これは大変心配。言っているようになかなかうまくいかない、そういう心配も実は持っておるわけであります。その明許繰り越し、年度がかわって、明許繰り越しなどによって事業そのものは平成年度施行でも可能なんですね、これは。国は一方的に予算化し手続したから後は地方に任せるというわけにはいかないと思います。  それで無理に補助申請をしたり予算を膨らませたりしているところはないのかどうか、あるいはこうした点について自治省として適切な指導をしているのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  116. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 先ほど大臣からの御答弁にもございましたとおり、平成年度の補正を三回にわたって国はいたしました。そして、それぞれかなり大型の公共事業を編成したわけでございますけれども、特に二月に決めました総合経済対策によります三次補正につきましては、この三次補正予算が成立したのはもう二月の末でございましたから、わずか一月ぐらいしかないわけでございます。したがいまして、このうちの大きな部分は明年度への明許繰り越しという形で扱われることになるのじゃないかなというふうに考えているわけでございます。この三次補正というものは、もともと、年度がわりの春先に向けまして切れ目のない財政出動をしていくという観点から編成されたというふうに理解しておりますから、当然そういうことはこの編成したときから予想しているところでございます。  そして、事業ごとの張りつけと申しますか、公共事業の全体の、例えば下水道で幾ら、道路で幾らというような形の張りつけというものは、財政当局が公共事業を所管している官庁と十分詰めた上でそれぞれ金額を決めまして、そしてそれを地方団体と相談しながら箇所づけをしていくということでやっておりますので、これについて無理やりに消化しなければならないというような事態にはなっていないのではないかというふうに考えております。  この公共事業の張りつけに当たりましては、それに伴います地方負担額は全額地方債措置をするということで、これも地方団体には通知をしております。この地方債については、通常地方債と違って、この元利償還金については一定の割合で将来交付税にも算入していこう、こういうことをやっておりますので、地方負担がないから公共事業を受け入れられない、こういうことはなかったのじゃないかなというふうに考えているわけでございまして、これでともかくこの第三次補正というものを四月から年度かわり目に当たっても切れ目なくやっていく。  それからもう一方、地方の単独事業につきましては、現在各地方団体で来年度の予算を議会で審議していただいているところでございますが、この中には単独事業が盛り込まれているわけでございますから、これが議決になりまして新年度になりますと単独事業は明年度の単独事業として動いてくるということでございますから、この三次補正の公共事業と新年度の単独事業とがまざり合ってとりあえず四月から動き出す。それで国の予算が成立いたしますと、今度は本格的な公共事業がその後についてくる、こういう形になりますので、当面は切れ目なく公共事業が続いていくのじゃないか、こういうふうに考えているところでございます。  また年度の中途で、いろいろな景気の状況等によりまして慎重にこの財政運営を考えていかなきゃならぬと思いますが、当面そういうことで動いていけるのじゃないかということで私ども認識しているところでございます。
  117. 蓮実進

    蓮実委員 地方財政問題で今日ほど自治省の配慮と指導が必要な時期はないのではないか、ぜひひとつしっかりやっていただきたい、私はこう思っております。  先ほど同僚の栗原議員からも質問がありましたのでちょっと重複をすると思いますが、町村合併の問題について四点ばかり御質問をしたいと思います。  先ほどもお話がありましたように、三月十七日に自治省の、市町村の自主的合併の推進方策等に関する調査研究委員会、これは委員長が横浜国大の成田さんですか、市町村合併を住民発議でできるようにするという新制度を提言したと聞いておりますが、これはどのような内容か、説明をしていただきたいと思います。
  118. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 合併の研究委員会、正式には、今お話がございましたように市町村の自主的合併の推進方策等に関する調査研究委員会、これは委員長は横浜国立大学の名誉教授の成田先生でございます。学識経験者の方々、マスコミの方々にも委員になっていただきまして、御検討を願ってきたものでございます。平成五年六月にこの委員会が設置されまして、市町村の自主的合併の推進方策について、多角的にいろいろな面から鋭意検討がなされてまいりまして、本年の三月十七日に報告書が取りまとめられたところでございます。  報告書では、市町村の合併につきまして、これは住民の共回生活意識の醸成を初めとして、関係する市町村住民の自主的な判断が前提とされなければなりませんけれども、合併というものは、地域の一体的な整備でありますとか行財政基盤の強化、さらには高齢化社会に備えた社会福祉等の住民に身近な行政サービスの充実を図るために有効で適切な方策であるというふうに報告をいたしているところでございます。そしてその中で、現在合併特例法によりましていろいろ合併についての特例措置が講じられておりますが、それらの特例措置につきましても拡充整備を図りまして、合併の効果が一層発揮できるようにする必要があると考えるというようなことも指摘をしておられるわけです。  報告書では、そのようなことで市町村の自主的合併を推進するために、合併市町村の建設の基本方針となっております市町村建設計画というものがあるわけでございますが、これについて都道府県との調整をするような仕組み、あるいは建設計画に盛り込まれた事業につきましていろいろ経費がかかりますが、そういった経費を初めとする合併に伴いまして生ずる各種の財政負担についての措置の問題、さらには今お話ございましたように、合併について住民のイニシアチブを発揮できるようにするために住民発議制度というものを創設したらどうかというようなこととか、あるいは合併による旧町村役場の廃止等によりまして人口の流出等が懸念される地域がございますが、そういう地域の振興方策等につきましてさらによく検討をしていくべきであるというようなことが指摘をされたところでありまして、私ども、まことに時宜を得た報告というふうに考えておりまして、これをもとに今後いろいろ対策を講じてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  119. 蓮実進

    蓮実委員 私はかねてから、地方分権を積極的に進めるために、受け皿となる市町村が実力を備えなければいけない、そう考えて合併促進を提唱をしてきたわけでありますが、自治省としてはこの提言をどう扱うつもりなのか、また明平成七年三月には市町村合併特例法が期限切れになるわけでありますが、その後の扱いを含めて方針をお聞かせをいただきたい。
  120. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 ただいまお答えしましたとおり、今回報告書でいろいろ提言がなされましたので、私ども、これをもとにいたしまして、合併のいろいろな対策について検討してまいりたいと考えている次第でございます。報告書で指摘をされました事柄は、いずれも自主的合併を推進していく上で重要な事柄であるというふうに考えております。  お話がございましたように、現在の市町村の合併の特例に関する法律は時限法になっておりまして、平成七年三月三十一日でこの法律期限が切れるということに相なっておりますので、そういうことで、その後のこの法律をどうするかという大きな問題があるわけでございます。このほど報告書もいただきましたので、さらに今後、発議制度の問題、その他の問題につきましても、地方制度調査会等でも御審議を賜ることになろうと思いますが、そこら辺の答申などもいただきながら、今後さらに合併が進んでいきますように措置をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  現行の合併特例法に盛り込まれた各種の特例措置はいわばニュートラルな格好に出ているわけでございますが、それについての見直しをいたしまして、先ほども提言がありましたように、拡充整備ということも必要になってくるかと思います。  いずれにいたしましても、合併の効果が一層発揮されますような行財政上の措置を講じることについて検討をしてまいらなければならないと考えておる次第でございます。
  121. 蓮実進

    蓮実委員 自治省としてはこれまでの市町村合併の実績をつかんでから取り組むやに聞いておりますが、余り過去の例にとらわれない方がいいのではないかなというふうに考えております。やはり地方分権という大きな目標に向かって新しい促進制度を考えてつくっていくようにすべきだと私は考えておりますが、いかがでございましょうか。
  122. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 お話ありましたように、今後の合併の進め方の問題でございますが、これも報告書にも指摘されているわけでございますが、地方分権を積極的に推進していく上で、市町村の行財政能力を充実していくことが必要であり、そのためには市町村の合併は有効で適切な方策であるという趣旨のことも指摘をされておりますので、そういう趣旨からも、私どもとしてこれを進めていきたいというふうに考えている次第でございます。  自治省といたしましては、国からの権限移管と相まって、市町村の自主的な合併でございますが、市町村の合併が推進されるということが必要であるというふうに考えているわけでございます。これはさっき大臣からもお答えがあったとおりでございます。今回の合併の報告書では、先ほど来申し上げておりますように、いろいろ特例措置の見直しをしてその拡充強化をすべきであるというようなこともございますので、これらを踏まえながら、先ほどお答えしているとおり、地方制度調査会等の御審議も踏まえながら、さらに検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  123. 蓮実進

    蓮実委員 さきに説明いただいた提言の中にある住民発議は新しい発想で、私はおもしろいと思いますが、問題点も実は少なくないのではないかなというふうに思っております。特に条例制定や請願地方自治のあり方、自治体住民との関係の根幹部分にかかわる問題だけに、ほかに与える影響は少なくないというふうに思っております。地方自治全体の中でいかにとらえるか、誤りのないようにしてほしいと思いますが、いかがでございましょうか。
  124. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回の報告書で、住民発議の問題についての御指摘があるわけでございます。これは、合併について住民側のイニシアチブが発揮できるようにということから、こういう提言がなされているわけでございます。市町村合併については、申し上げるまでもなく、住民の意向が十分尊重されるということが大変重要であるわけでございますので、今回のこの住民発議制度ということは大変意味の大きい重要な提言であるというふうに受けとめている次第でございます。  そこで、この住民発議制度でございますが、確かにいろいろ現在の間接民主主義と直接民主主義との関係のあり方というような大きな問題も含んでいるわけでございます。そういう意味では、地方自治制度の本質にもかかわるような点も含んでいることは御指摘のとおりかと存じます。そこで、これらの問題については、制度化に当たりましては、そういう点もよく踏まえて、十分御指摘趣旨も入れながら対応をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  125. 蓮実進

    蓮実委員 市町村合併問題については、これで終わります。  それでは次に、行政改革と地方分権について質問をしたいと思います。  細川首相は、行政改革に本格的に取り組むべく作業を進めております。その核心たる地方分権については、作業部会を行革推進本部に設置すると伝えられておりますが、どうなっているのか、現状と今後の日程等についてお示しをいただきたいと思います。
  126. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 細川内閣は、政治改革の次は行政改革、経済改革ということで精力的に取り組んでおるわけでございます。行政改革本部が去る二月十五日に発足をいたしまして、行政改革の大綱方針を決めておるわけでございますけれども、今作業部会といたしましては、建設あるいは建築、土地の関係、それから情報通信の関係、それからこの後流通の関係の作業部会をやって、関係閣僚と民間の方々と合同で、ひとつ具体的に規制緩和をするための項目をひねり出して実行していこうということで、精力的に取り組んでおるわけでございますが、あわせて、蓮実委員指摘のように、地方分権につきましてもいろいろなところでいろいろな考え方を持って研究していただいております。  例えば、今蓮実委員指摘のように、自治省の中でやってまいりました市町村合併の問題、これもそのうちの一つだと思っております。それから地方六団体も、秋ごろまでに答申をするために地方分権推進委員会というのをつくられておられまして、いろいろと研究をされております。それから連立与党の方も、地方分権推進プロジェクトというのをつくられて、これまたいろいろな角度から、地方分権推進基本法の骨子をつくろうということで今精力的にやられておられます。それから、二十四次の地方制度調査会を発足させまして、これは御承知のように総理の諮問機関でございますけれども、地方分権のあり方について研究をしていただこうということでございます。  そして、最後にという言い方はおかしいのでありますが、御指摘の行革推進本部の中のこの地方分権の作業部会につきましては、今おおむねそういう方向で、関係閣僚と地方自治体の代表ということで、いわば推進機関として、今申しましたような地方制度調査会での御意見や与党の御意見やあるいは地方六団体の意見や、そういったものを全部取りまとめまして、御承知のように平成六年内に、平成六年の十二月までに地方分権の大綱をつくろう、こういうことになっておりますので、今いろいろと研究していただいております団体の御意見も統合いたしましてやっていこう。そのための機関といたしまして、行革推進本部の中に地方分権の作業部会をなるべく早くつくりまして、我々といたしましては今申しましたようないろいろなところの研究していただいております意見を集約し、そして地方分権大綱というものをつくるべく努力をしていきたい、こういうスケジュールで全体的に動いているところでございます。
  127. 蓮実進

    蓮実委員 地方分権という命題が細川首相のかけ声の割には、今いろいろ大臣から説明がありましたが、どうも私は低迷しているように見えるわけであります。許認可権はもちろんでありますけれども、財源をどう配分するかなど、大騒ぎする割合には具体化していないのではないかなというふうに思っております。今大臣が言われた新しい部会をつくられるわけでありますから、その中でいかに議論を進めるつもりか、そういうことをこのテーマでどのように取り組むつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。
  128. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 地方分権は、言うまでもなく、三ゲンと言われますように、権限、財源、人間、人間というのは人材ということでございますので、権限移譲と同時に、蓮実委員言われますように、その財源措置をどうしていくかということは非常に重要な課題であることは言うまでもございません。  したがいまして、先ほどからも御答弁をしておりますけれども、与党の方の税制改革協議会の中で、将来にわたる安定的、恒久的な地方の独立財源というものをぜひこれは見出していただかなければならないということで議論をしていただきますので、その中で私たちといたしましては、特に地方分権という観点からいうならば、国からの譲与税という形で、国がとって地方にそれを分配しますということじゃなくて、地方自身がやはり徴収するというあり方、このこと自体、非常に重要なことだと思っております。  したがいまして、連立与党の方の税制協議会で精力的にこの財源問題についても議論をいただいておりますので、私たちといたしましても今日までもいろいろな格好で我々の考え方、つまり消費税というものの欠陥を見直すときには、税制調査会からも御指摘をいただいておりますけれども、そのときには地方の財源としての地方消費税というものも考えていかなければならぬという御指摘も税制調査会からいただいておりますので、与党の税制協議会で消費税の欠陥等を見直すときには、その見直しと同時に、地方の独立財源としての地方消費税のあり方というものについても、これも十分検討していただかなければならぬということをたびたび機会があるごとに表明させていただいておりますが、今後とも与党の税制協議会の中でこのことについても十二分に協議がされますよう、我々としてもなお一層努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  129. 蓮実進

    蓮実委員 先ほど栗原同僚議員からもちょっとお話があったのですが、地方分権、地方財政、それから人材の問題で、実は地方の、例えば市町村へ行きますと、公民館を建てる、先ほど言ったように隣の町もまた建てる、それから大変なでかい建物を何十億という金を出して建てる。しかし、私は栃木県なんですが、せっかく千五百人とか千何百人という人が入れる立派な入れ物ができても、いつもからっとしているのですね。土曜、日曜は何とかかんとか埋まりますけれども、ほとんど空き家になっている。これは私は自治省がやはり指導する必要があるのじゃないかな。  私は前々から言っているのですが、市町村合併問題について、今恐らく市町村全国で三千二百四十ぐらいですか、それをどのくらいにしたら一体うまくいくのだろう。自治省、大体の試算があると思うのですね。どうも私の感じでは、今の三千二百が恐らく半分ぐらい、半分ぐらいになったら市町村に分権しても何とかひとり立ちできるのじゃないかなということを思っているのじゃないかと実は思うのです。これはわかりませんが。  そこで、やはり地方にむだのないように自治省が指導しなけりゃいけない。本当にむだが多いのです。だから、例えば三つの市町村があるときに、文化会館を三つつくると百億ぐらいになるのですよ。ところが、いつもがらがらですから、三つの市町村が相談して一つぐらいに絞るとか、それでもう一方の市町村は体育館をつくるとか、そういう調整をやってやらないとなかなか地方がうまくいかない。どこの町村も、隣の町村がつくったから自分のところもつくるということで、競争になりますから、結果はむだ。むだは国民の税金の負担、こういうことですから、そういうことをひとつぜひ自治省でも指導していただきたいというふうに思っております。  それから、地方行政問題はこれで終わりますが、地方税制のあり方、この問題について質問をいたしたいと思います。  現在、連立与党で税制の抜本的見直しの議論が行われているようであります。地方分権の推進の立場から、地方税制のあり方を見直していくべきではないか、こう思っておりますが、お伺いをいたしたいと思います。
  130. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 最も重要なことは、当然のことながら、これからますます需要がふえます地方の財政につきまして量的な面でふやしていくこと、これはもう当然だと思うのです。  委員指摘の、かねてからお話がございましたように、特に地方税の税制構造自体が、直接税が九割という状況になっている。それは、府県民税と市町村民税とまたウエートが違いますけれども、つまり、直接税が九割ということは、非常に景気の波に洗われやすい。景気が悪くなれば、先ほども財政局長からお話がございましたように、大変地方財政が悪くなる度合いが強くなってくる。そういう意味では、消費税ができましたときに地方は間接税をかなり吸収されておりますので、間接税が一割しかないということでございまして、これが税制構造上、私は一番問題だと思っております。  したがいまして、所得と消費と資産のバランスある税制と言っておるわけでございますけれども、やはりそれを実現さしていくことが非常に重要ではないかというふうに考えておるわけでございまして、それらも含めて、私たちは税制改革協議会の中で十分討議をしていただきたいということをたびたび申し上げておるところでございます。
  131. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 先ほど公共施設についていろいろ非効率な面があるという点の御指摘がございましたけれども、私どもとしては、今御指摘のようなことにならないように一般的な御指導はしておりますけれども、個々の問題につきましていろいろ申し上げると、これまた地方自治の問題がございますからあれでございますけれども、やはりおっしゃるとおり、近くにいろいろな施設が、同じような施設がつくられるということは、これは適当でないということで、例えば広域市町村圏単位でこういう施設というものを、いろいろな施設を分担し合いながら設置をしていくというようなことはお願いしたいということを今でも申し上げているところでございます。  そういうことで、今お話しのようなことのないような財源の配分といいますか、効率的な使用ということはこれからも努力をしていかなきゃならない、よくその点は御指導申し上げたいと思っております。
  132. 蓮実進

    蓮実委員 直間比率は、国が七対三、それから地方が九対一。それで、地方の税制が国以上にいびつではないかというふうに考えられますが、どうお考えになっているか、お伺いをいたしたい。
  133. 滝実

    ○滝政府委員 ただいま大臣からも御答弁をさせていただきましたけれども、そのところが地方税の構造としては大変問題だというふうに私どもは認識をいたしておるわけでございます。  したがって、これからの地方税制を改革していくということでございますれば、当然そういった点について十分に議論をしていただく、こういうことが大事だろうというふうに思っております。これは、やはり今後の高齢化社会というものを見通した場合には、何といっても国以上に地方は安定財源というものが当然要求されてくるわけでございますから、そういったものにたえられるような観点からということになりますと、ただいまおっしゃるような直接税、間接税の比率というのは、これは議論すべき重要なポイントだろう、こういうふうに私どもは考えている次第でございます。
  134. 蓮実進

    蓮実委員 消費税のあり方についての見直しの中で地方消費税について検討を行うべきではないかと思いますが、お伺いをいたしたいと思います。
  135. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 この件については、たびたび表明をさせていただいたわけでございますが、今申しましたように、間接税という安定的な財源、これをふやしていくという中において、所得と資産と消費のバランスある税制というときには、地方消費税というのは非常に重要なポイントになってくると私たちも考えております。これは繰り返しになりますが、税制調査会の方からも昨年御指摘を受けているわけでございまして、そのつもりでおるわけでございますし、また与党の方にも問題を投げかけておるわけでございます。  確かに、消費税につきましては、消費譲与税という形で地方は約四割国から譲与を受けているわけでございますが、やはり地方分権というときには地方自治体自体が徴収をする。もちろん、これは納税者の立場も考えなければいけませんけれども、地方自身が徴収をする。たばこを自分の町で買いましょうという標語が今なお生きておりますけれども、これは自分の町で買えばその分だけたばこ消費税が入ってくるということになり、これが自分たちの橋やら道路やら施設やらその他のいろいろなものになってくるという、まさに住民の納めていただいた税金が地方自治に使われるんだという、まさに地方自治の原点がここにあると私は思いますので、その意味では、量の問題もしかりでございますが、質の問題、いわば徴収の問題もこの際非常に大きなポイントとして、地方分権という大きな流れの中で、地方公共団体がみずから徴収するという視点も税制改正の中で忘れてはならないポイントだというふうに考えております。
  136. 蓮実進

    蓮実委員 地方分権の流れの中で、自治省、ぜひしっかりやっていただきたいというふうに思っております。  それでは、首都移転の問題について質問をいたしたいと思います。  地方分権問題と深くかかわっているのが首都移転の行方と考えております。東京一極集中の弊害がバブル経済崩壊とともに余り声高に叫ばれなくなったがゆえに、最近影が薄いような印象を与えていると私は思っております。しかし、私は、地方自治をいかに充実していくか、東京に集中する行政、立法機能をほかに移す、移すことでいかに地方に活を入れるかが大きなポイントと考えております。  自治省の直接の担当ではないかもしれませんが、どのように見ているか、それを示していただきたいと思います。地方分権との観点からどう考えておられるか、お聞きをいたしたいと思います。
  137. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 いわゆる首都機能の移転の具体化につきましては、積極的に検討を進めることを目的とした国会等の移転に関する法律が制定され、現在、本法に基づく国会等移転調査会において検討が行われていることは御承知のとおりでございます。  首都機能の移転と地方分権の関係についてでありますけれども、この法律の前文におきまして、国会等の移転とあわせまして、「地方分権その他の行財政の改革等を推進することにより、自主的で創造的な地域社会の実現を図っていくことが肝要であり、また国会等の移転をそのような改革の契機として活用していくことが重要であると確信する。」というふうにされているところであります。また、同法の四条におきまして、国会等の移転を「地方への権限の委譲の積極的推進、国による規制の合理化等行財政の改革と的確に関連付けるものとする。」とされているところでございます。  こういう観点からいいましても、いわゆる首都機能の移転というのは、地方分権、地方分散の観点からも象徴的な意味を有するものだ、こういう認識に我々は立っておるところでございます。
  138. 蓮実進

    蓮実委員 私は、首都移転問題は地方自治にとって新しい、今までにない観点から地方行財政を見ていく貴重なきっかけを与えてくれると思うので、ぜひとも自治省においても真剣に考えていっていただきたいと思っております。国土庁や建設省などにゆだねずに、国と地方のあり方を改めて問い直すための出発点にしたいと考えておりますが、いかがお考えですか。
  139. 佐藤剛男

    佐藤国務大臣 御指摘のとおりでございますが、首都機能の移転につきましては、何といっても、やはり大変膨大な資金もかかることでございますから、あわせて、国民の皆さん方の合意を得るようにしていかなければならぬことは言うまでもないわけでございまして、御指摘のように、首都機能の移転と地方分権、地方分散との密接な関連づけを考慮して推進を図るべきものだと考えております。  このために、自治省におきましても平成年度において、国と地方のあり方も含め、地方分権、地方分散を推進する観点から、首都機能の移転について検討を行う研究会を設置することを考えておるところでございます。
  140. 蓮実進

    蓮実委員 時間が大分余っているようですが、これで私の質問を終わりたいと思います。
  141. 粟屋敏信

    粟屋委員長 次回は、明二十五日金曜日午前十一時二十分理事会、午前十一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会      ────◇─────