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1994-01-17 第128回国会 参議院 政治改革に関する特別委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年一月十七日(月曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  一月十四日     辞任         補欠選任     合馬  敬君      鎌田 要人君     岩本 久人君      岩崎 昭弥君     寺澤 芳男君      泉  信也君  一月十七日     辞任         補欠選任     岩崎 昭弥君      岩本 久人君     藁科 滿治君      峰崎 直樹君     中村 鋭一君      寺澤 芳男君     吉岡 吉典君      聴濤  弘君     西川  潔君      青島 幸男君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         上野 雄文君     理 事                 下稲葉耕吉君                 関根 則之君                 松浦  功君                 一井 淳治君                 本岡 昭次君                 白浜 一良君                 平野 貞夫君                 吉田 之久君                 吉川 春子君     委 員                 岡  利定君                 鎌田 要人君                 久世 公堯君                 坂野 重信君                 清水 達雄君                 鈴木 貞敏君                 永田 良雄君                 楢崎 泰昌君                 星野 朋市君                 村上 正邦君                 森山 眞弓君                 会田 長栄君                 岩崎 昭弥君                 岩本 久人君                 川橋 幸子君                 角田 義一君                 峰崎 直樹君                 村田 誠醇君                 渡辺 四郎君                 猪熊 重二君                 続  訓弘君                 泉  信也君                 寺澤 芳男君                 直嶋 正行君                 聴濤  弘君                 青島 幸男君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    公述人        駒澤大学教授   西   修君        宮城県知事    浅野 史郎君        元参議院議員   矢嶋 三義君        読売新聞社取締        役副社長・論説        委員長      加藤 博久君        政治改革推進協        議会会長     亀井 正夫君        都留文科大学教        教授       右崎 正博君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○衆議院議員選挙画定審議会設置法案内閣提  出、衆議院送付) ○政治資金規正法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○政党助成法案内閣提出衆議院送付) ○公職選挙法の一部を改正する法律案橋本敦君  発議) ○政治資金規正法の一部を改正する法律案橋本  敦君発議)     ―――――――――――――
  2. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから政治改革に関する特別委員会公聴会を開会いたします。  本日は、公職選挙法の一部を改正する法律案閣法第一号)、衆議院議員選挙画定審議会設置法案閣法第二号)、政治資金規正法の一部を改正する法律案閣法第三号)及び政党助成法案閣法第四号)(いずれも内閣提出衆議院送付)並びに公職選挙法の一部を改正する法律案(参第三号)及び政治資金規正法の一部を改正する法律案(参第四号)(いずれも橋本敦発議)、以上六案につきまして、お手元の名簿の六名の公述人方々から御意見を伺います。  まず、午前中は三名の公述人方々お願いをいたします。  この際、公述人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。  皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の六案審査参考にしたいと存じております。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、まず西公述人お願いをいたします。
  3. 西修

    公述人西修君) 御紹介いただきました西でございます。  本日は、当委員会公述人として意見を述べさせていただく機会を得ましたことを感謝いたしております。  さて、限られた時間でございますので、私は大きく三つの観点から意見を陳述したいと考えております。  第一は基本認識に関して、第二は、いわゆる根幹部分と言われるものの幾つかの事項について、そして第三は私が専門としております比較憲法的考察からの若干の意見陳述でございます。  まず第一の基本認識に関してでありますが、希望を踏まえて三つばかり申し述べておきたいと思います。  一つは、何としてでも今国会でこの政治改革法案の成立を図っていただきたいと思います。言うまでもなく、自民党内閣時代から成案を得るべく鋭意審議され、現内閣においても長時間をかけて議論された結果、衆議院を通過しているのでございます。あと一歩というところで挫折すれば、国民政治不信はさらに高まること必至であるというふうに考えております。  二つは、そのためにはそれぞれの案についてお互いが謙虚に話し合い、妥協の道を見出すという姿勢が大切ではないかということであります。自分の案こそベストだと言って一歩も引かなければ進展してまいりません。制度の本旨、本来の趣旨を見失わないで可能な案を模索していくことが何より重要であると思慮いたします。  三つは、その可能な案の模索方法でありますが、現状とそれほど変わらないなまぬるいものであってはならないということであります。かといって、環境を整えることなく現状からはるかに離れたものであれば、空回りする危険が多分にございます。すなわち、制度改革はドラスチックなものを目指し、しかし、現実を踏まえながら実現可能なところから始めていかなければならないということであります。  これを本改革法案根幹部分一つ戸別訪問自由化について考えてみれば、完全な自由化有権者候補者あるいは政党との対話を促進させ、フィードバックさせながら政策の立案に役立てるという点では理想的であります。けれども、現時点戸別訪問完全自由化を実現するための環境が整っていると断言できるでしょうか。私にはむしろ混乱を招く方が多いのではないかと懸念されるのでございます。  ここでちょっと私の体験談をお話ししたいと思います。  もう十年以上前のことでございますけれども、憲法選挙制度の調査のためにオーストラリアとニュージーランドを訪れたことがございます。  御存じのように、両国とも小選挙区制の国であります。ニュージーランドでのことですが、ある政党の本部で選挙運動で最も力を入れることは何かと尋ねたところ、ノッキング・オン・ドアーズ、すなわちドアをノックする、ノッキング・オン・ドアーズであるという答えが返ってきました。要するに、戸別訪問が最も効果的だというわけでございます。  そこで私は、日本では戸別訪問が禁止されている、その理由有権者との間に金品のやりとりのおそれがあるからだ、貴国の場合そのようなおそれはないのかと尋ねたところ、もしそういうことがなされれば政党の評判はがた落ちになり壊滅的な敗北を喫するだろうというのが先方の答えでした。私は自分質問を恥じるとともに、彼我の国民意識の違いを感じたような次第であります。  日本もここまで持っていかなければならないとは思いますが、現時点での完全な自由化は可能でしょうか。ワンステップ置く必要があるのではないでしょうか。そういう意味で私は、戸別訪問そのものは禁じなくても、例えば運動員の数を限り、選挙管理委員会から正式のバッジを支給し、そのバッジをつけている者のみが戸別訪問を行うことができるなど、制限的あるいは部分的戸別訪問から始めていったらどうか、このように考えております。  第二に、いわゆる根幹部分に関する事項として総定数議席配分比例選挙区域に限定して意見を述べさせていただきます。  まず、総定数ですが、大きな違いは五百にするか四百七十一にするかの問題であります。私は、公職選挙法本則の四百七十一にするのが筋だと考えます。公職選挙法の第四条には「衆議院議員定数は、四百七十一人とする。」と明記されており、この数字は現在も条文として残っているのであります。けれども、附則の方でこの数字が何度も変えられて、現在では附則の五百十一人という数字本則ような形になってしまっている感があります。  この際、国会議員自身定数是正で身を切らなければならないとすれば、初心に返って本則の四百七十一人にするのが最も正当なそして最も説得力のある結論ではないでしょうか。  なお、定数に関連して、最終的にはどうなるにせよ、政府案の五百という偶数は避けるべきだと考えます。  というのは、偶数の場合、賛否が同数になりますとその処理が面倒になるという欠点が露呈します。この参議院政治改革特別委員会定数は三十五人という奇数ですから、十七対十七という同数になったとき委員長決裁権行使により議決が可能になりました。もし三十四人という偶数だったら、どうなっていたでしょうか。委員長最初議決で投票しないという慣行になっているようでありますから、緊迫しておるとき、委員長を出している側の案が少数で否決という結果を招来することになります。本会議においても、議長は最初の表決に加わらない慣行になっているとのことですから、同じ事態になることが懸念されます。  ここで、スウェーデンの例を引き合いに出したいと思います。  スウェーデンでは一九六九年に二院制から一院制になったのですけれども、当初一院制議会の総定数は三百五十に設定されていました。しかし、一九七三年の選挙で与野党の勢力が均衡し百七十五対百七十五になり、にっちもさっちもいかなくなる、そういう状態になりました。そこで、定数を減らして三百四十九人にしました。ここが肝心なところで、三百五十一人にしなかったのであります。日本的感覚でしたら三百五十一人にしたのではないでしょうか。  政府。与党におかれましては、原則五百を譲れないということであれば、せめて四百九十九人にすることをなされてはいかがでしょうか。やはり五百台から四百台にまで減じたということだけでも印象が違うように感じるわけでございます。  二つ目は、小選挙区と比例代表議席配分ですが、考え方の基本をどこに置くべきかということであります。二大政党制的なるものを志向し、また政権の交代を可能にするという視点に立てはやはり小選挙区により重点を置くべきだと考えます。この点、私自身自民党案の方がベターだと思いますが、当初の政府案である二百五十対二百五十から二百七十四対二百二十六へと修正されましたのをもう一歩進めて、その比率をせめて小選挙区六、比例代表四ぐらいにまで持っていけないだろうかと思います。  問題は、三つ目比例代表区域の設定であります。全国を一区域にするのか、都道府県を一区域にするかの問題でありますけれども、私自身は両方とも問題があるというふうに考えます。自民党案では一つの県から比例代表で選ばれる議員数が数人ということにもなり、このよう制度では比例代表趣旨が十分に生かされないと思います。また、政府案よう全国単位にしますと候補者数が余りにも膨大になるのではないかということ。そして、もう一つ大きな問題点は、現在の参議院と全く変わらない選挙方法を導入することになってしまうということであります。  憲法衆議院参議院を設け、任期、両院権限関係などにそれなりの工夫を凝らしました。私自身憲法における両院関係規定方法そのものが不十分だと考えておりますけれども、それはさておき、憲法制定時、国会で次のよう附帯決議がなされております。   参議院衆議院と均しく国民代表する選挙せられたる議員を以て組織すとの原則はこれを認むるも、これがために衆議院と重複する如き機関となり終ることは、その存在意義を没却するものである。政府は須くこの点に留意し、参議院の構成については、努めて社会各部門各職域の知識経験ある者がその議員となるに容易なるよう考慮すべきである。 云々。ここにおいて参議院独自性異質性を没却することのないよう注記されたのであります。  私は、今日の参議院は完全に政党化されており、憲法の精神からかなりずれてきているのではないかと考えておりますが、ここでまた全く同じ選挙方法を取り入れることになれば、参議院にとっては自殺行為になるのではないかと思います。参議院におかれましては、そのよう独自性の発揮できない選挙制度が通過しないことを希望します。  それでは、衆議院比例代表制区域単位をいかにすべきか。私はここで、第八次選挙制度審議会の第一次答申に盛られているブロック制を支持したいと思います。その答申では全国を十一のブロックに分けております。今日における行政、経済面での都道府県を超えた地域的結びつき、今後も情報、交通網などの発達により生活圏が拡大していくであろうこと、そして道州制の導入など地方分権の見直しが予測されることなどからブロック制を支持したいというのがその理由でございます。  なお、この点も根幹部分であり、全国単位比例代表の修正が難しいということであれば、将来参議院選挙方法の再検討がなされるべきではないかと考えます。  新聞によりますと、参議院の本特別委員会議院運営委員会において動議、採決の応酬合戦が続いていると報じられております。私が大学時代に読んだ憲法の本には、衆議院は数の府であるのに対して、参議院は理の府であると記述されていました。ところが現在、理の府である参議院で数の論理がまかり通っているように感じられてなりません。衆議院選挙制度を考えるに際して、両院関係あり方という基本を視座に据えなければならないということを申し上げておきたいと思います。  最後に、比較憲法の側面から二つだけ申し上げておきます。  一つ政党に関することで、近年の世界的傾向として政党に関する規定を完全に憲法の中に組み込むようになっております。この法案では政党に対する交付金国民一人当たり二百五十円と定め、総額にして三百九億円が見込まれております。現行の法体系では政党存在は極めてあいまいであります。それゆえ政党法なりをきちっと設け、国法体系における政党法的位置づけを明確にすることが何よりも必要であるというふうに考えます。  二つには、先ほども触れましたけれども、両院関係を含めた国会改革も進めなければならないのではないかということであります。  スウェーデンがなぜ一院制にしたかと申し上げますと、第二院政党化が顕著になり二院制の妙味がなくなったからであります。同じ理由で、デンマークでは一九五三年、ニュージーランドでは一九五〇年に二院制から一院制にしました。私が最近調査したところによりますと、世界二院制国家が五十七カ国、一院制国家が百十六カ国で、一院制国家の方が二院制国家の倍以上になっております。二税制をとっている国でもさまざまな工夫を凝らして二院制存在意義、レーゾンデートルを出そうとしております。  これら比較憲法的考察につきましては、時間の関係から、もし何か後ほど御質問があればもう少し敷衍させていただきますけれども、私が申し上げたいのは、政治改革の問題を考える場合、憲法にまで踏み込んで、衆議院参議院あり方政党法的地位国民意識など幅広い視野から検討していかなければならないのではないかということでございます。どうか理の府としての良識を存分に発揮して実りある成案がなされることを期待しております。  御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
  4. 上野雄文

    委員長上野雄文君) どうもありがとうございました。  次に、浅野公述人お願いいたします。
  5. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 御紹介いただきました浅野でございます。おいしい米の代表でありますササニシキとひとめぼれで有名な宮城県から参りました宮城県知事浅野でございます。  おいしい米ですが、私は新米知事でございまして、ことしの新米の炊き方にはコツがあって、少し水分を多く炊いてほしいと皆様にもそのようお願いをしておりますが、またよくかんで味わっていただきたい、だんだん味がわかってくるでしょうということで、新米知事一カ月半ばかりやらせていただいております。  私がこの場に呼ばれたこと、大変光栄でございますが、これは私のこの問題に関する見識というよりは、最も最新の知事選挙で選ばれた知事である、またそのほかの若干の話題性ということではないかと。したがって、私個人が申し上げられることは一般の方とほとんど変わらない感想文程度のことになろうとは思っております。その中で私がここで申し上げられることと言いますと、自分体験に基づいたやはり選挙経験、とれからくる率直な感想ということになろうと思っております。  二カ月半前までは私は公務員をやっておりまして、政治というものについては全くの門外漢でございました。しかし、この私が急遽ふるさと宮城県の知事選挙に出るということになった時点以降、選挙ということが私について回ったわけでございます。そして、ほんの一カ月半前に終わった選挙は大変強烈な私にとって印象を残しました。また、まだ生々しい経験として残っております。本日は、そのことについての感想を申し上げることでいささかの参考になればということでここに参っております。  申し上げましたように、初めての経験で右も左もわからずやってまいりました。また、私をその選挙で支えてくれた人たちも実は中心は私の高校の同級生ということで、これは私以上に素人でございました。出陣式のときには、たすきが間に合わない。これはたすき選挙管理委員会からもらえると信じ込んでおった。そういったところにもあらわれたよう素人もいいところのメンバーが私を支えてくれたわけでございます。  また、お金はかかりませんでした。これは威張って言うところもございますけれども、かけようがなかったというのが実態でございます。選挙告示前、三日前に、それまで勤めておりました厚生省を退職して急遽出馬したわけでございまして、お金をかける時間がなかったということが一つでございます。また、お金をかけるすべも知らなかった、どこで使っていいかもわからなかったということも事実でございます。また、もちろんそういった使えるお金手元になかったということが大きな理由でございますけれども、使いようがなかったというのが実態でございます。  そういった選挙を終えてまいりまして感じたこと三点ばかり、本当に感想文になってしまいますけれども、申し上げたいと思います。  まず第一点目は、十七日間の選挙でございましたけれども、一応戦ってまいりまして私が感じたのは恩というものでした。選挙を通じてたくさんの方々に私は恩を受けたという感じをしております。どうしてこの私のためにこんなにやってくれるんだろうと同級生の諸君にも心の中で手を合わせてまいりました。また、道端で名前も知らない方から千円、二千円というカンパもいただきました。また大変広く薄くのカンパもいただきました。いろいろな形で御協力をしていただいた方に心の中で手を合わせながら恩を感じました。  そして、その恩を感じて、もし仮に私が知事に当選することがあったときに必ずその恩には報いなければならないということも感じました。これは人間として当然のことだろうと思っております。私はその恩には必ず報いようというふうに決心をしたわけでございます。  私の恩の報い方は、私のふるさと宮城県を日本一の福祉先進県にしようということで恩に報いる、その道もあろうと思っておりますし、またお一人お一人の私にかけられた、また県政にかけられた期待というものにこたえていこう、そのことが恩に報いる道というふうに考えております。ただ、これがある個人ないしある企業、団体から多額の献金といいますかをもらった場合、これも私はその恩に報いたいと、この気持ちは隠すことができません。したがって、そのとき感じましたのは、そこでもらってはならないということでございます。そういった恩を受ければ必ず返す、これが人の道と。人の道からは外れたくない、であるとすれば、それはもらってはならないというふうに感じた次第でございます。  二番目に感じたことは、先ほど申し上げましたように、私の選挙を支えてくれたのは素人集団でございました。候補者ももちろん初めての選挙でございましたし、またそれを支えた集団もそれ以上の素人、先ほど申し上げたとおりでございます。ノウハウを知らない。先ほどのように、たすき出陣式に間に合わなかったというのはまだ笑い話程度でございますけれども、いろいろプロの方の話をまた素人集団は聞いてまいります。選挙というのはこうやってやるものだ、プラクティカルな部分でのノウハウもございますけれども、お金の使い方とか集め方とか、いろいろなことについての示唆がございます。そのときにいろいろ感じましたけれども、やはりこれは知らないよりは知っていた方がいい。ただ、それはひょっとすると法の抜け穴であったりいろいろな意味での裏であったりということもあるのではないかということでございます。  そこで、私ども素人集団選挙から申し上げますと、選挙を公平にやってもらうためにはルールがなければならない。これが今回の法律の改正によってそのルールがまた新たに確定されるわけでございますけれども、ルールがなければならない、これがまず第一点でございます。実際に選挙をやって感じましたことは、そのルールをだれもが守れるものでなければこれは勝負にならない、公平な勝負にならないということでございます。選挙を何回も何十回も経験してきた方は、いろんな意味でのまともな部分と申し上げましょうか、選挙戦い方ということを知っていることは当たり前でございますが、それ以外の、どうも我々のひが目かもしれませんが、いろいろ裏にも通じているとか抜け穴を知っている。そうすると、知っていない側はそれだけいわば不公平な立場に立たされるということがあるのではないかということも感じた次第でございます。  この法案は必ず通過成立させていただきたいと思いますが、もう一つこの段階でお願いしたいことは、つくったルールは絶対に守っていただきたい。その法の執行においても、百戦錬磨の選挙プロが大変に得をするといったよう執行の仕方は厳にできないというようなところにもぜひお心配りをいただきたいというふうに感じた次第でございます。  三番目の感想でございますが、やはり選挙素人にはわからないということ、これが実は選挙民の間にも浸透しているのではないかということでございます。今回の宮城県知事選挙有権者数はざっと百七十万人でございましたが、投票率が三九・二%でございましたのでざっと百万人以上の方が選挙に行かなかったということでございます。私は二十九万余票の票を獲得したわけでございますけれども、百七十万マイナス二十九万人の方は、実は選挙に行かなかったか私を支持しなかったかいずれかでございます。大変その意味ではその事実の重さを今もかみしめているところでございますが、これは推測するに、選挙というものに対する県民の期待といったものがやはり大きくはなかったということを示しているのではないかというふうに感じております。やはり、素人には選挙というものはわかりにくいし、また何かうさん臭いものというふうにとらえられている。これをぜひ解消しなければ、本当の意味での民主主義ということにはならないのではないかというふうに感じた次第でございます。  選挙を実際やってみて、庶民の感覚から見ていかがかというふうに思うこともございました。例えば、戸別訪問が禁止ということでございますが、候補者としてやっておりますと、ぜひ親しくお話をしたい、これは素直なところでございます。それがだめだということ。それから、立会演説会というのがなくなったというのも実は今回初めて知りました。私、候補者としては相手方の候補者がどんなことをお考えになっているのかということを対面しながら知りたいということも感じました。また県民の方はなおさらそうだと思っております。どちらの考えがまともなのかということを候補者を並べ立てて見たいと思うのは率直なところではないかと思っておりますが、いろいろな観点からそれが今実現されていないというのは、選挙を庶民、県民の方に広くわかっていただくという意味では大変抜けている部分ではないかというふうにも思っております。  素人選挙プロとの違いということで、一つ私がショックを受けた発言を紹介したいと思いますけれども、残念ながら我が宮城県で知事にまつわる不祥事が生じました。その結果として今回の知事選挙があったわけでございますが、それをめぐって、前知事お金をもらい、それを選挙に使ったのならともかく私腹を肥やしたのは許せない、そういった発言が実はございました。それは何か当然のようにおっしゃっていたと私は聞いたんですが、選挙に使うならともかくというのを公然とおっしゃる感覚がやはり庶民からは遠いのではないかというふうに感じた次第でございます。  選挙に関しての感想ということになってしまいましたが、三点でございます。残された時間、あと二点について申し上げたいと思っております。  二番目は政治活動ということでございます。  今回の政治資金規正法政治活動に使われるお金をどうしようかということでございますが、その政治活動というものに関しては、私のようないわゆる首長と議員さん方と違うのではないかという感じがしております。  私の場合は、一カ月半の経験でございますけれども、いわば毎日毎日の仕事が広い意味での政治活動である。行政の中で仕事をしておりますけれども、これを全うしていくということが政治活動そのものであろうというふうに感じて、その意味では大変楽だなというか、仕事即政治活動というのは楽だという面がございます。  一方、県会議員という方々を見ておりますと、なかなか自分政治活動というのはどういうものかというのがわからない、したがって勢いいわゆるサービス競争といったものになりがちで、それ即政治活動というふうになってしまう。何とか政策本位の政治活動というのができないものかということは考えておりますが、まだ私としてはどうしていいかはわかりません。  次に、政党助成の問題でございます。  これはさまざまの場で、国のレベルとそして私ども地方のレベルとでは違うという御議論がございました。同じ政党の系列化を地方政治に持ち込むことはできないのではないか、私も含め首長の九九%が無所属ということでございますので、その面からも政党の系列化というのはややそぐわないという感じはしております。  そこについての論点はかなり言い尽くされておるようでございますので、私は別な観点から申し上げたいと思います。  政党ということで考えた場合、これはもちろん政策を同じにする人たちがグループとして活動をする、これが政党でございますが、国のレベルでございますと、防衛問題、外交問題、税制問題、そういったことが論点となり、そしてそれが一つの政策となり政党を形づくっていくと思っておりますが、地方の場合、県の場合はいささか違うのではないかというふうに思っております。  私は、先ほど申し上げましたように、宮城県を日本一の福祉先進県にしたいというふうに、これを公約として知事選挙も出たわけでございますが、例えばこの福祉の問題について、できる限りやるというのと、まあそれはそこそこにしておいてもうちょっと開発とかそちらの方に力を入れるべきだ、それはいろいろ意見があっていいと思います。地方の場合には、そういった考え方、ニュアンスの違いで一つの政策グループというのができていく、これは国の場合といささか違うのではないかというふうに思っております。政党というものを一つの受け皿として政治資金の流れを考えていく、これは方向としては正しいと思っておりますけれども、その系列というか、それが国のレベルと地方のレベルとでは争点の違いから違ってくることが十分あるのではないかということを今感じている次第でございます。  最後になりましたが、政治改革法案の行方についての期待を申し上げて、私の陳述を終わらせていただきたいと思います。  確かに選挙制度につきましても、さまざまな政治改革の方向につきましても百点満点のものはなかろうと思っております。しかし、現状よりも一歩でも二歩でもより理想に近い形であれば、私はぜひ今国会で成立をさせていただきたいというふうに思っております。それは、実は政治改革の問題もございますけれども、今、宮城県を含めた地方の持っている懸案が山積をしております。冷害の問題、そして農業問題、深刻な景気の問題、これについて早く全力を挙げてやっていきたい。そしてその際には、国のレベルでの御支援、御指導もともにやっていかなければならないという時期でございます。政治改革法案が今国会で成立を見ずに、さらにこれが次の国会以降へも引き継がれるということになりますと、今言ったような懸案がどうなるのかということを大変心配しているところでございます。百点満点はないということで、ぜひあるところで妥協もしていただき、今国会での成立を図っていただく、これが地方の立場といたしましても、心から念ずるところでございます。  きょうは、このような場を設けていただきまして大変ありがとうございました。(拍手)
  6. 上野雄文

    委員長上野雄文君) どうもありがとうございました。  次に、矢嶋公述人お願いいたします。
  7. 矢嶋三義

    公述人(矢嶋三義君) 矢嶋三義でございます。  昭和二十五年から三十七年まで十二年間、参議院にお世話になりまして、この部屋に参りまして非常に懐かしさを感じているところでございます。皆様大変御苦労さまでございます。  私は、瀬戸山元文部大臣が会長をして衆参OB有志で結成している政治浄化連盟の役員として、毎月同志の方々と集まって、そして政治改革意見交換、情報交換、さらに論究、研修を続けているものでございます。皆さんかつての党籍は異なりますが、活発に議論するわけでございます。参議院改革に重大なる関心を払って院の状態を凝視いたしております。かつての政党所属は皆違いますけれども、皆さん大変御熱心で、政治改革の一日も早く成立することを願望いたしております。  本日は、私個人といたしまして、意見をお聞きいただくことはまことに光栄であり、感謝を申し上げます。何分にもこの案件は、私の記憶では約二十年前から政治改革国会改革というものが論じられてまいったわけでございまして、内容は非常に豊かであり長い経過がございますので、わずか十五分間で私見を尽くすということは非常に不可能でございます。しかし、一を聞いて十を悟る先生方ばかりでございまするので、私は本日、総括的に概括的に結論を申し上げます。そして、後刻質疑がございましたならば私なりにお答えをいたしたい、かように思っておるわけでございます。  参議院は永久でございます。衆議院は二十分間でやっておったようでございますが、後に続く人のために、ぜひとも次回からは二十分でやっていただくように御検討を願いたいと思っております。  私が一番懸念いたしておることは、ここにいらっしゃる皆様方が考えておられることと一般国民のそれとの間の乖離が余りにも大きいということでございます。本日、この御縁で幾らかでもその乖離を埋めていただくならば幸いだと思っております。  この案件が始まったのは約二十年前でありますが、最近五年間特に熱心に論じられ、御承知のごとく二つ内閣がつぶれました。そして、現在政治改革を標榜する細川内閣が発足いたしまして新たに法案を提案されたわけでありますが、昨年十一月十八日、衆議院が正常の形で議決して当院に送付されてまいりました。既に六十日を経過いたしております。現在なお当院が結論を出し得ない、出さない、この実態がございます。  今、深刻な不況下に大変苦しんでいる国民は、何とまあ国会はのんびりしていることだろうか、何をなさっているんだろうかと政治不信を増幅いたしつつございます。多くの国民は、一日も早くこの問題を解決して、たくましい不況対策並びに当面の緊急政策課題に本格的に取り組んでいただきたいと血を吐く思いで国会を眺めている、この実態を皆さんぜひとも御理解いただきたいと思っております。政治プロ以外の多くの国民は、この不況下で不安、焦燥のもとに生活を続けているというのが実態でございます。私にもたくさんの書面が参っておりますが、時間がありませんけれども、もし御質問があるならば後刻紹介させていただきたいと思います。  本論に入ります。  私は、この衆議院送付案を一日も早く一括して成立させることをお願いいたします。もう少し申し上げます。過去の経過からしてこの法案をともかく成立させるということが大前提でございます。こういう問題につきましてはなかなか一挙に完璧を期することはできない問題でございまするので、ともかくこの国会で結論を出す、それで足らざる点については長く論究、試行を重ねて完全なものを追求していくという姿勢をとっていただきたいと思います。  若干所見を申し上げますが、箇条書きになることをお許し願います。  まず、いわゆる三%条項は参議院に不適当。補完の使命を全うするために二%または一%に修正してしかるべき。  次、戸別訪問自由化は抑制の使命に基づいて再検討。メディアの活用等の研究。  次、均衡、補完の使命を全うするために、国会議員中心の内容を、地方議員への準国策を考慮してしかるべき。  次、小選挙区・比例部分をそれぞれ二百七十四、二百二十六としているが、この数字と二票制は民意の集約、反映等からしてまず妥当、賛成。  次、比例部分名簿の作成、運用に際しては、女性に格段の配慮と惜敗率の活用が望ましい。  次、比例選挙区域全国単位が適切。  次、重要でありますが、現行参議院選挙法と類似していると批判し反対理由としている向きがあるが、この所論は不適切で賛同することができない。質問があれば詳細に説明をします。  次、政治資金の透明度向上に一段の努力を要望する。抜け穴道の防止策検討。  次、企業・団体献金の個人への禁止は絶対に堅持。政治資金団体、政党への五年後の見直しは、廃止できるよう政党は党財政の充実、再建に努力すべきである。  次に、公的助成は賛成であるが、国民の血税であるからその使途には格段の留意を要す。例えば飲食代等に使用せず、人件費、通信費、広報宣伝費等に使用することは望ましい。  次、三百九の数字は数学でいう有効数字ではないから減額してはいかがか。足らなければ増額し、余ったならば返金するくらいの感覚で対処してしかるべき。  次、これまた大事なんですが、政治資金と腐敗防止の問題とを分離、先行処理すべきとの意見があるが、政治改革をもたらす確率は極めて低い。戦略として改革つぶし、そのための戦術の感あり、絶対反対。あくまで一括処理、成立を期すべきものであります。  私は数学を勉強したものでありますが、この三百九とか二百七十四とか二百二十六という数字は数学では有効数字ではないわけです。これをとやかく論ずることはちょっと数学的教養から問題があると思います。質問があったなら後でまたお答えいたします。  次、昭和二十一年十二月の参議院創設国会である貴族院議事録には、参議院の使命として衆議院に対する抑制、均衡、補完を繰り返し強調し、議事録に明記されております。政党に拘束されてはならない、自主性、独立性を堅持すべきと主張されております。この点を十分心していただきたいと思う次第であります。  また、審議に当たりましては、もう二十年前に参議院改革協議会ができたときから、法案提出されたならば直ちに付託して審議をすることが望ましいということがずっと論じられてまいりました。それから、ここに持っておりますが、この自民党の五年前に出しました立派な政治改革大綱にも、直ちに委員会に付託して審議するということが書かれているわけであります。外から眺めてみますと、審議の高度化ところか、これほど国民の関心が高くて重要な法案に審議日程さえ十分に組めずに、駆け引き、手続の抗争に明け暮れている姿はまことに遺憾であります。どうか皆様参議院の良識を発揚してうまく解決をしていただきたい、かようお願いするものでございます。  さらに重大なことがあります。それは、本法案の成立阻止に動いたりあるいはその運動を教唆扇動している向きの議員が散見されます。このことは極めて重大でございます。  したがって、少し詳しく申し上げますが、昨年十一月、私は参議院問題を考える座談会の司会をやりました。そのときに、本院の兄事務総長である立派な河野義克先生が「参議院の重要性とその自己抑制」という所見をされました。非常にその論旨は適切で、私は共鳴、敬服をいたした次第でございます。したがって、これをコピーいたしまして当院の正副議長並びに本岡前委員長、斎藤自民党議員会長を初め各派の会長さんにお目通しいただくべくお届けをいたした次第でありますが、その後この論旨は読売新聞に掲載されまして、釘宮磐先生の目にとまられて、磐先生はこの委員会皆様方に披露されて注意を喚起されておられました。まことに適切であったと思います。  要点を朗読いたします。  「日本憲法の建前との関係である。憲法は議院内閣制を採用し、内閣存在は事実上衆議院の多数の意思に依拠せしめている。この意味において衆議院の意思は重視されねばならない。また参議院内閣の解散権の対象にはされていない。参議院内閣が対立しても、内閣参議院を解散して審判を民意に問うということはあり得ない。このように見てくると参議院は」、ここが大事なんです、「政局の死命を制するような意思決定を謹むことが要請されているように思われる。」、こういう趣旨のものを述べられているのであります。  そこで、申し上げたいことは、先ほど申し上げましたように、この法案をつぶすように動くことは非常に重大であって、私は、参議院の先生方は良識を持ってこの賛否を表明するに当たっては慎重の上にも慎重に対処をしていただきたい。私は、全国の友人に対して、この一年間は極めて重要だから永田町に目を注いで一人一人の議員さんかどういう行動をとられるかということをはっきりと確認することが主権者として重要だと申しております。  私は、本席を通じても全国国民皆様方にそれをお訴えいたしたいと思います。ということは、現在のこの案件が左するか左するか、いかようになるかということは、日本議会政治の根本に触れてまいりまするし、また日本政治の動向に大変な影響を及ぼすものでありまして、歴史的重要段階と思っております。したがって、先ほど私は河野論旨を紹介いたしましたが、慎重の上にも慎重を期していただきたい。昨日の朝日新聞に当院の記事が出ておりましたが、ああいう記事が出る今の参議院を考えると私は非常に胸が痛みます。悲しんでおります。二院制度のもとにおける参議院あり方というものは、そういうものではないと思っております。  ともかく連座制の適用とか公民権の停止あるいは罰則強化等がなり大幅な改正が提案されていますので、成立後運用次第では相当の政治改革が実現するものと私は期待をいたしております。先ほど申し上げましたように、一挙に全面的に解決できるものでございませんので、繰り返してお願いしますが、ぜひとも今国会で一括して成立をさせていただき、足らざる点は継続的に研究、試行を重ねて完璧なものへと追求をして次の世代にバトンタッチをしていただきたい、このことを皆様方にお頼み申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)
  8. 上野雄文

    委員長上野雄文君) どうもありがとうございました。  以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 鎌田要人

    鎌田要人君 鎌田要人でございます。所属は自民党でございます。  本日は、西教授浅野宮城県知事、矢嶋元参議院議員皆様方には、大変お忙しい中を御光来賜り、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございます。私、まず先生方に以上厚く御礼を申し上げながら逐次質問をさせていただきたいと存じます。  時間が四十分でございますので、まず西教授にお伺いいたします。  私は、今度の政治改革関連諸法案の中で一番大事な問題はやはりこの比例代表制の問題だろうと思うのであります。西先生のお話を伺いまして、憲法制定時、国会附帯決議の中で参議院の構成について特に力点を置かれましたことをお伺いいたしまして、まことにそのとおりであろうと思うわけでございます。したがいまして、ここで衆参両院で全く同じ比例代表制を採用しておることにつきまして、それが参議院にとっては自殺行為になるのではないかと思うと言っておられますが、私も全く同感でございます。  そこで、この問題を回避するために先生は、衆議院比例代表制区域単位をいかにすべきかということで第八次選挙制度審議会の第一次答申に盛られましたブロック制を支持しておられます。  これは一つの御見識だと思うのでありますが、この十一ブロックということで選挙をされるということになりますと、私の場合は九州ですが、まずブロック制というのが実定法の制度としてどこにも規定がないわけです。でありますから、現実におきましては、この小選挙区制で選ばれますほかは、鹿児島の場合は小選挙区が大体四人ということになっておりまして、それであとは全国ブロックに行かれるわけですが、全国ブロックは私は問題にならないと。といいますのは、現実に実定制度としまして参議院制度全国ブロックがあるわけです。それで、これにつきまして私は何遍も細川総理大臣、山花政治改革担当大臣にお伺いしたのでありますが、満足いく御回答をいただいておらないわけです。それはそのとおりです。満足いく回答はできないと私は思います。  それで、その点はしばらくおきまして、先生のおとりになっておりますブロック単位ということ、これがどうしても私の場合、私の予感ですが、九州ブロックの場合ですと福岡にほとんどとられてしまうんじゃないか、そういう問題が一面ございます。それともう一つは、衆議院選挙というのは、やはりいわゆる地方の個別の利害というものが国政の場に反映されて、それで大局的な判断から自後の処理がとられていく、こういうことでありますと、この比例選挙の方も都道府県単位の方がいいんじゃないか。この点についてひとつお教えをいただきたい。  それから、一応全部の委員さんに申し上げまして、それで御回答をいただいて時間を終わりたいと思いますので、そういうことでお願い申し上げます。  それから第二点は、小選挙区と比例代表議席配分の問題です。これは私も小選挙区に重点を置くべきだと思うわけでございますが、この政府案では修正後、御指摘になりましたように二百七十四対二百二十六ということになっておりますが、その比率をせめて六対四ぐらいにしていただきたいという気持ちを私は持っておる次第でございます。その点につきまして重ねて御意見をお伺いいたしたい。  それから第三は、戸別訪問の禁止の問題でございますが、これにつきましては、先生の御意見では戸別訪問を全面的に禁止を解除するのは問題だと。ただ、戸別訪問そのものは禁じなくても、例えば運動員の数を限るとかあるいは選挙管理委員会からバッジなどを支給するとか、こういったことで、そのバッジをつけている者のみが戸別訪問を行うことにしたらどうだろうか、これも至極ごもっともな御意見でございます。  ただ、私はこの選挙運動につきましては、長年わきから見ていましたりまた自分でやってみまして思いますことは、これは性善説じゃだめですね。性悪説ですね。そういう意味で私は、今の先生のおっしゃった形でもこの戸別訪問というのがうまくいくかどうか、こういう点について非常に疑問を持っております。その点を重ねてお伺いを申し上げたいということが次の質問でございます。  それから、比較憲法の立場から、先生のお考えで、いわゆる理の政治といいますか理の府といいますか、これはまさにそのとおりだと思います。 良識の府として、この良識の発揮ということは参議院に望まれるわけでございますが、これはおしかりをいただいておるところでございますが、ごらんになりましても参議院政党化しておりますね。政党化しておるこの現実のもとで参議院というものがどうあるべきか、この点につきまして先生の、衆議院がいわゆる数の府であれば参議院は理の府であるべきである、それはまことにそのとおりだと思うんですが、それを現実にくっつけるためには、これはなかなか難しいと。私は、そういう意味では先生は一院制の方に傾いておられるのじゃないかなという気持ちもいたしますので、その点も含めまして御意見をお伺いしたい。  それから、一括して申し上げます。  第二の浅野参考人、本当におめでとうございました。御苦労さまでございます。私も地方の知事としまして苦労いたしましたので、あなたの御苦労は本当に身にしみてわかります。  そこで、あなたには一問お伺いいたしたいんですが、例の政党助成法の関係、これは地方には適用がありませんね。国政の国会議員だけがこの政党助成法でうまい汁を吸おうとしておる、こういうことも言われておるわけです。  私は政党助成法は個人的には反対であります。反対でありますが、これが体制としてしかれる場合に、これは地方の場合は、あなたもそうでありましょうしまたあなたの県の議員さん方も無所属の方が多い、でありますから政党助成をそのまま地方に適用を及ぼしましても適用になる人は限られておる、そういうことで、どういうふうにしたらいいのか。これは国政、地方政治といいましても同じ政治でありますから、余り懸隔の扱いはいかぬと思いますね。  そういう意味で、地方の首長、議員、これに対する政治資金をどういうふうにして国政の場で補助すべきか、あるいは補助はなしにして、国政の場合とは違いますけれども、一定の民間の資金の供与を認めるか、こういうことが大きな問題になってくるわけですね。その点についてのあなたのフレッシュな感覚をお聞かせ願いたい。  それから、矢嶋先生には、今の比例代表選挙の問題につきまして、衆議院参議院もともに全国区でいいというお考えのように拝聴したのでありますが、衆議院参議院も同じよう選挙制度であなたのおっしゃる参議院に抑制とか均衡とか補完とかそういう機能が果たせるとお考えなのか、そこのところを中心にして比例代表制についての考え方をお伺いしたいと思います。  以上であります。
  10. 上野雄文

    委員長上野雄文君) それでは、御質問の順でお答えをいただければ大変ありがたいです。
  11. 西修

    公述人西修君) お答え申し上げます。  私に対する御質問は四つだったと思います。一つブロック制の問題、もう一つ比例代表と小選挙区の割合の問題、それから第三には戸別訪問の、私は制限的な禁止ということですけれども、それについての御質問、そして最後に、これは非常に大きな問題ですけれども、政党化している中で参議院あり方をどう考えるか、この四つというふうに理解をいたしました。  そこで、ブロック制でございますけれども、先ほど一番最初に申し上げましたように、制度というものにベストというものは絶対ないわけであります。そこで、消去法的に一体何がいいだろうかということでこのブロック制を考えたわけで、ブロック制がほかよりも絶対にいいというふうには考えておりません。  先ほども申し上げましたように、自民党の都道府県単位ということになりますと数名ぐらいになってしまう可能性があるわけですね。そうしますと、そこから出てくる剰余といいますか、割った余りが非常に多くなってくる。それをやっていきますと、全国レベルで考えてみると、例えば自民党何%とった、社会党何%とった、比例のそのパーセントがこの四十七に分けてしまいますと必ずしも全国のものと合ってこない、そういう可能性があるんじゃないかということです。ですから、やっぱり比例代表制度で一番いいのは、全国にあればいいんですけれども、しかしながら、先ほど言ったようにそれについてはやっぱり参議院との関係で問題があるんじゃないかというようなことで、それではどうすればいいだろうかということで第八次選挙制度審議会で鋭意審議されて、そして十一のブロックに分けた。  ただ、この十一のブロックに分けているこれ自身が私は絶対に正しいとも思っておりません。これは一つのサンプルとして例えば第八次選挙制度審議会が十一に分けた。このブロック制もいろんな分け方があると思うんですね。いろいろ調べでみましたら、八つとか十とかいろいろあります。ですから、この十一というブロックにこだわっているわけではありませんけれども、要するに、比較考量してよりどちらがベターであろうかということで、第三の方法としてこのブロック制というものに行き着いたというのが私の考え方でございます。  なお、ちなみに申し上げますと、これもちょっと今となれば少し古くなっているんですけれども、かつて八、九年前に各国の比例代表の区割りを調べたことがございます。それによりますと、例えばオーストリアは九、ベルギーが三十、デンマークが十七、フィンランドが十五、イタリアが三十二、ノルウェーが二十、スウェーデンが二十八、スイスが二十五ぐらいで、まあ二十から三十ぐらい。もっとも、このとき調べたのは五十以上も、例えばスペインとかギリシャもありましたけれども、やはり余り大きくなりますとかえって比例代表の妙味が出てこない、ゆがみが出てくるんじゃないかということでブロック制というものを提案させていただいたという次第でございます。  それから第二の、自民党案の三百と百七十一、それから政府案の二百五十対二百五十、それじゃ二百七十四と二百二十六、どういうふうになったのか、先ほど数学の先生が数的な根拠がないとおっしゃいましたけれども、どうして二百七十四になったのか、これも何か妥協の産物のように思いますけれども、かといって六対四が絶対的な数的根拠があるかというと、必ずしもこれも数的根拠があるわけではありません。ただ、やっぱり六対四ぐらいが一応妥当性があるんではないかということで申し上げているわけで、これも絶対的な数的な根拠があるというわけではございません。    〔委員長退席、理事一井淳治君着席〕  第三に、戸別訪問の禁止の問題でございますけれども、先ほど浅野公述人もおっしゃいましたけれども、我々有権者として、この候補者が何を考えているのかあるいは政党自体として何を考えているのか、そういうことを発言したいこともあるわけですし、それから聞きたいこともあるわけです。ですから、イギリスなどでは五分間に限って戸別訪問を認める、しかもそれはドアを開けてやるんだというようなことが何かルールとしてあるみたいですけれども、やはり有権者候補者及び政党というものを、そしてそれはただ頼むだけじゃなくて、一体我々の政党のどこが問題なのかということで国民の声を聞いて、それを政党の中にインプットし、それでいろいろ政党の中でフィードバックして、アウトプットして政策をなしていく、そういう意味において、私は戸別訪問というのはそれなりに評価していい制度ではないかと思うんです。  ただ、現状においてやりますと、例えば何回も波状的に来られる。電話だけでもかなり迷惑な人もいますけれども、無条件にやりますと、やはり国民の側からすると来てもらいたくないという人もいるでしょうし、私なんかはやっぱり聞きたいということでそういうのはいいと思いますけれども。  そういういろんなことを考えても、あるいはまだ金品の問題とかいろいろあると思うんで、ですからやっぱり完全自由化では問題ではないか。しかし、戸別訪問というものの意味というものはあるんではないか。じゃ一体どうすればいいんだろうか。そこで、私なりに制限的な形でとりあえず一歩進めてみるということで提案させていただいたような次第でございます。  それから第四に、政党化している中で参議院あり方をどう考えるか。これは本当に非常に難しい問題でございます。私は、先ほど憲法にまで踏み込んでと申しましたけれども、これは憲法では両院とも選挙制、要するに全国民代表する選挙された議員ということであります。ですから、これは直接選挙だけなのか、間接選挙は可能なのか、そういう議論がありますけれども、しかしながら、直接選挙制にしていたのを現段階で間接選挙制にするのはなかなかこれは難しいと思うんですね。  ですから、私は選挙をしている限りにおいて政党化していくことはやむを得ないだろうと思うんです。選挙しているにもかかわらず政党化するなというのは、これはちょっと無理だと思うんです。それでまた、政党化された中で党議拘束を外せといっても、やはり次の選挙を戦っていかなきゃいけない。そうすると、政党の方針にそれなりに忠実であった人と全然別のことをやった人で必ずしもしっくりいかないんではないか。ですから、選挙をやっている限りにおいて、政党化することはこれはやむを得ない、不可避の問題だと思うんです。そうなれば、政党化というものを前提にして参議院あり方を考えていかなければいけない。  そういう中で、私は、はっきり申し上げまして、今の憲法に非常に大きな問題があるんではないかと思うんです。と申しますのは、同じ国民に選ばれているわけです。御存じのように今五十九条が問題になっておりますけれども、六十条予算、それから六十一条条約、そして六十七条に内閣総理大臣の指名の議決、これはもう完全に衆議院が圧倒的に優越を占めております。なぜそういう優越なのか。同じ国民から代表されているわけです。しかも、今度比例代表になって同じ選挙になった。なぜそんなに大きな違いがあるのか。憲法で今の直接選挙制をやっている限りにおいて、憲法趣旨がちょっとおかしいんじゃないか。まして五十九条。例えば六十条、六十一条、六十七条での衆議院の優越とこの五十九条の法律案とは非常に違うわけですね。なぜ三分の一なのか。  これは私なりに調べてみたんですけれども、当初、御存じのようにGHQは一院制でした。一院制ですけれども、これを松本さんが二院制に変えたわけですね。二院制に変えた最初はイギリス型を考えたんです。イギリスの場合、一九一一年の国会法で、庶民院が三回通せば貴族院が反対しても二年の中で通過したんですけれども、これは四九年に改正されまして二回になりました。松本さんのそのときの案では、衆議院二回通過すれば参議院が反対でもそれは通るんだということになった。けれども、GHQとか、それからそのときの日本自由党案は、これはアメリカの法案拒否権、アメリカの法案拒否権は両院通過したら大統領が法案拒否できますね、法案拒否できたら両院で三分の二で再可決すれば大統領の反対を覆すと、これを持ってきたわけです。ですから、我が国の今のこの五十九条の根源をさかのぼりますとアメリカの大統領の法案拒否権、これがなんかぷんときたわけです。ですから、私は論理的にも非常に矛盾になっていると思うんです。  それから、参議院には不信任がないわけですね。そういうことからしても今の憲法、それもちょっとおかしいように感じますけれどもそれはおきまして、私は、政党化されていることになれば、やはり同じ国民代表ですから、役割分担、こういったことを考えるべきではないかというように考えております。例えば、やっぱり六年と四年は違うわけです。それから解散がないわけです。となれば、参議院参議院なりの役割というのがあるんじゃないか。長期的な問題、そういういろんな点で役割分担というものを考えていかなければならないであろう。  けれども、現在のよう政党政治が完全になっていきますと、また参議院意味がなくなる。だからこそ、先ほど申し上げましたように、スウェーデンとかデンマークとかニュージーランドを見ますと、なぜ二院制から一院制になったかというと、全く政党化しちゃったわけです。政党化すると二院制意味がなくなるじゃないか。そこで、それじゃもう一院制にしてしまおうじゃないか。    〔理事一井淳治君退席、委員長着席〕私はそういう危険性がかなりあるんではないか。参議院そのものの、いろいろ理の府といいますか、そういう存在意義存在理由というものをぜひお考えになられて参議院あり方というものを考えていっていただきたいというのが私の意見であります。  ちょっと長くなったかもしれませんけれども、失礼いたしました。
  12. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 鎌田委員の御質問にお答えいたしたいと思います。  政党助成の問題でございますけれども、今回のこの関連法案全体がそうでございますけれども、国政レベルの問題について、これが中心課題でありまして、地方政治、また地方議員、また地方首長のこの制度でのあるべき姿ということは若干付随的なものというような感じをいたしております。したがいまして、基本的に申し上げますと、この政党助成のあり方につきましても、別途、別な機会にぜひ今度は正面からお考えいただきたいということをまず感じておるわけでございます。  また内容につきましては、基本的には、私は特に各議会議員方々、この方々のありようというかそういう観点から考えております。  先ほど申し上げましたように、私のよう知事とか首長はある意味では恵まれているという部分があると思っております。ただ、議員の方につきましては、日常の政治活動について別途何か自分なりの形をとらなければなりません。そのためにはある程度お金もかかります。どこから調達をしてくるかということに必ずなるわけでございます。  現状でありますと、私が心配しておりますのは、どうも本当に普通の方が議員に立候補すらできないという状況があるのではないか。よほど信念のかたい方、よほどの変わり者、よほどの目立ちたがり屋、よほどのお金持ちとか、よほどというのがつかないとそもそも立候補すらしない、できないという状況にあるのではないかと思っております。この状況は、知事なりのチェック機能としての議会のありようとしても私は大変大きな問題だと思っております。やはり普通の方が主流を占めるよう議会、そういう場でなければ本当に民意を反映した県政なり市政というものはできないのではないかというふうに思っております。  であるとすれば、普通の方も議員になり得るということを担保しなければなりません。その大きなところがやはり政治活動に伴う資金をどう手当てするかということではないかと思っております。選挙活動期間に限りましては、なるべく公営の部分、公から出る部分、これを多くしていただきたい、これは議員、首長共通でございます。また日常の政治活動につきましても、サービス合戦の部分ではなくて、最低限の政治活動、自分はどのような考えを持ち、どのような活動をしているのかということを知ってもらうような、そういった最低限の政治活動について何らかの方法でやはり資金の調達がされる、自分以外のところからされるということですね。そういった方法がぜひとられるべきではないかと思っております。  今回は、そういう意味では政党ということを通じてではありますが、先ほど申し上げましたように地方の場合にはやはり国の政党の系列とは違った形でのグループ化というのがあり得るのではないかという問題意識を持っておりますので、政党助成とはまた別な形での日常の政治活動を支えるための何らかの方法というものが別途考えられてしかるべきだろうと思っております。できるだけ早い時期に、この問題につきましてもぜひ国会レベルでまた御審議いただくことを強く期待したいと思っております。
  13. 矢嶋三義

    公述人(矢嶋三義君) ここは討論の場でないですから、先生から質問された点に限ってお答えいたしたいと思います。  これ、随分と国会で質疑応答があっているんですが、私は外から見ていますと、まことに失礼だけれども、不十分、浅薄だと、こう思っているんですよ。それで、私、今から言うことに皆さん方からおしかりをいただくかもしらぬけれども、しからないでくださいね、私の考えていることを申し上げます。  数学の問題を解くときに仮説、仮定条件というものが十分整備していなければ幾ら推理、演繹を加えても結論というものは出てこないんですよね。それによく似ているんですよ。私は、山花大臣、あの人の発言を聞くときにあるオクターブですぐわかるんですよ。「私たちは」と、これびっくりするようなのでやる。「私たちは」というか、オクターブが高いときはあの人は自信があるんです。この問題を聞かれたときはそのオクターブが落ちて、若干自信がないわけですよ。しかし、それなりに答弁しております。  それで、衆議院だけをやって何で参議院選挙制度を出さぬのかというようなことを質問されているんですが、政治改革というのは衆参の選挙制度改革と国会改革と、それから政治資金の問題と地方議会の改革、これらが政治改革なんですね。そのうちの二つを五年間やって二つ内閣がつぶれても解決しないから、僕はさっきのことを申し上げたわけなんですよ。  ちょっと時間かかりますけれども、しからないでくださいよ。  参議院全国制度ができたこの生まれ方を考えなければならぬですよね。私は全国区から出ておったんですよ。ところが、あの案が出るときに社会党の責任者は宮之原さんでしたよ。それで聞いたんですよ。あれは自社の合作なんですよね。もう社会党も単独労組では戦えないと。金がかかってもう戦えないと。自民党も大変骨が折れるし、金が要るし、やり切れぬと。だから、あのよう全国回るのをやめようじゃないかと。それはこっちがいいわといってこれができたわけですよ。まあ子供で言えば異常出産なんですよね。だから、あの国会のときに随分議論されて、自民党の劔木さんなんかは参議院自殺行為だと言ったんです。私と全く意見が合っていました。  したがって、あの法案が通るときに当時の徳永議長は、この運用をして欠点があれば改めると、こう記録に残っておりますわね。ところが随分出てきました。それはもう今どんな問題があるかは申し上げませんが、たくさんあるでしょう。例えば一つ挙げますと、参議院政党化してはいかぬというけれども、経世会が分裂したら参議院の中の自民党の皆さん方まで分裂したじゃないですか。それ以外にたくさんありますよ。  だから、おたくのこの政治改革大綱、この中にも、五年前、これは後藤田先生が主になってつくられたわけですが、立派なことを書いてありますよ。そして、やっぱり参議院の比例制というものは検討しなけりゃならぬということを明記してある。そして、欠点をたくさん書いてある。それで、比例区から出ている方におしかりを受けるかもしれませんが、成立とその後の運用からいって、参議院の比例というのは全国単位のこれはやめなくちゃいけませんよ、失礼だけれども。そういうものを前提に考えて、参議院と同じだからだめだだめだというのは、これは私は間違っていると思うんですよ。私は原則的には、政党が整備され国民政治意識が向上すれば簡明で責任がはっきりする小選挙区単純がいいと思っています。これは現代の日本ではそれはだめですよ。  おたくでも比例制を出したり、それから宮澤内閣のときは単純を出して、単純小選挙区でなくちゃいかぬといって内閣をつぶして下野するまでミステークをやっちゃったですね。本当の信念はないわけですよ。二百七十四、二百二十六なんといっても、これはさっき言ったように有効数字ではないんですよ。よく衆議院で哲学哲学と言っているんですが、私は哲学は専門でないんだが、何の哲学がというんです。強いて言えば欲望の哲学ですよ。二百七十四にしても二百二十六にしても、皆さんがまとまれば動かして差し支えないんですよ、これは。しかし、日本の現実から考えて、私ども主権者からいうと、政党が張り合ってそして一生懸命やってもらった方が一番よろしいわけですよ。そういうのをねらって、総合的に考えてやっぱり集約と反映という点から小選挙区と比例部分がよろしいと。  その内容は、私は併用制の方がよりいいと思ったんですが、併用制を考えてみますと、会館の部屋をつくる場所がない、それから本会議場の席をつくるところがない。だから併用制を並立制に変えていったわけでございます。それが現実なんです。だから、この小選挙区並立制で集約と反映としたのは結構だ。だから、まとまりさえすれば、二百七十四とか二百二十六にしたって日本議会政治がどうなるというものじゃないんですよ。  私が言いたいことは、前提を間違えて、参議院のこれはよろしい、これはするんだ、だからこれと同じだから云々といって反対をしている、それで盛んに衆参の委員会でやっていますが、衆参違うところを言え言えというものだから、山花さんは何とかこういうふうに違うと言っていますが、「私たちは」というところは一オクターブ落ちていますわ。それはやっぱり無理があるわけですね。これは私の主張なんですが、どうか先生、十分御理解、御検討いただきたいと思う。  参議院選挙はいかにあるべきかというのは私なりに意見を持っています。質問されぬから申しませんが、持っています。ともかく政党化はやむを得ないといっても、これをできるだけ抑制する方法を考えていかなければ意味がないでしょう。皆さん方一人について国民の税金が大体平均して一億五千万かかっているんですよ。そのコストを国民は出しているわけです。そうなると、二院制度が若干機能するようにならなければね。  ちょっと申し上げますが、私のころは参議院は相当なものだったですよ。私は当時社会党におって、今私は党籍を外れておりますが、社会党の議員総会でじゃんじゃんやると、衆議院の社会党の皆さんが、あなたたちは解散がないんだからちょっと控えてくれぬかなと言っておったです。当時の議長は松野鶴平さんでしたが、あの人がでんと座られておって、参議院衆議院に対しアヘッドだったんですよ。それは支配されていませんでしたよ。欠点もありましたよ、当時の参議院は。いろいろ経験を積み重ねて、本日どうしても政治改革をやらにゃならぬというこの時期に来ているわけです。ところが、最近見ていますと、参議院の各党会派も衆議院に少し姿勢がどうかなと、私は寂しい気持ちを持っているわけです。  憲法を改正しなければ二院制度は改められませんね。確かに世界的に見れば一院制が多いけれども、私はやっぱり二院制で、国民の選良で構成される二院制にしてうまく機能していくことが好ましい、日本政治風土にも合う、こう思っておるわけであります。  繰り返して申しますが、この法案参議院と同じようだから云々、参議院べっ視であるというようなことはひとつおやめいただきたい、かように思っておるわけです。  以上です。
  14. 鎌田要人

    鎌田要人君 ただいまの矢嶋先生の御意見、先輩の御意見として謹んで拝聴いたします。  そこで、私どもは、参議院が今の選挙区と比例代表でこの両院制になってきておることについて、それを前提としてこの議論をしておるということをお忘れになっちゃ困るんです。衆議院の方はこれからこの小選挙区制と比例代表制を入れようとするわけですね。こっちの方は既に現実の制度としてその選挙に基づいてここにおいでの先生方初め皆さん出てきておられるわけですから、その差というものは現実の問題としてお考えいただかなきゃいかぬ。それを私は申し上げておるわけです。  それを後から来た者が比例代表を、しかも全国区でということはこれはおかしいんじゃないかと、それを申し上げておるわけで、そこのところは先生と私はそう意見の違いはないんじゃないかと思って期待をしておったんですが、何かございましたら。
  15. 矢嶋三義

    公述人(矢嶋三義君) 第八次選挙制度審議会に、私は会長、副会長に、参議院軽視じゃないか、衆議院ばかり論じているが参議院も一緒に論じて答申してくださいということを言いましたよ。ところが、会長、副会長さんは、とりあえず大変なことだから衆議院と共通の政治資金だけに絞って、それから参議院にいこうとしているんだと、こういうふうに申されました。それを時の内閣も採択されまして、海部さんも宮澤さんも法案を出されてこうきているわけですが、一刻も早く参議院選挙制度改革というものをやらねばならぬですよ。さらに国会改革でやらねばならぬのはいっぱいあるでしょう。それは間髪を入れずにやらにゃならぬわけです。しかし、前からの選挙制度審議会やら内閣の方針等からしてとりあえずこれでいこうというわけですから、だから私は、論ずる場合にそういうことを心していただきたいと。  それで、私は総理の答弁を聞いておったが、彼はここまで出ているんだと思うんだけれども、それで皆さん方が、何だ、衆議院法案を出して参議院の方はどうすればよいかということを案を持たぬで君はやっておるのか、けしからぬ、こういうふうに盛んに責め立てて、表面から見ればそれだけですけれども、それをうっかり言うとまた絡まれて大変だから総理大臣はここまで出ているが言わないわけです。私は野にある者だから率直に皆さんのおしかりを受けるかわからぬが申し上げたわけで、そういうことを御考慮の上、審議をしていただきたい。  最後に申し上げますが、皆さん方は大学を出られてそうそうたる経歴の立派な方ばかりですが、何で理事会であんなに話ができないんですか。私は不思議でしょうがないんですよね。どうもよく高校球界では甲子園には魔物がおる、こういうふうに言われていますが、何か永田町には政治的魔物がおってこれが働いているような感じがいたしますよ。立派な人ばかりが集まっておって、そうして私が外から見ておって私どもの常識と反するようなことがこの議事堂の中では通っていくわけですね。国会議員さん、国会に対しては、最高の道義感、倫理観と健全なる常識の国民に通ずるものが求められているわけで、それを堅持して実践なさっていただきたいわけですが、冒頭に申し上げましたようにその乖離は大きいですよ。大きいですよね。それで申し上げているわけでございまして、よろしく御理解いただきたいと存じます。  以上です。
  16. 鎌田要人

    鎌田要人君 矢嶋先生の毒舌にあおられた感じがありますが、あえて毒舌と申し上げますが、私は先生に役人時代にお仕えしたこともありますが、お伺いしたこともありますが、私は先生の気持ちはわかるんです。それはまず永田町の問題ですが、永田町の常識は国民の常識なんですよ。そうなんですよ。私はそう思いますよ。国民だけが非常に高くて政治が非常に低いということはないです。政治国民の常識は同じ、雁行していますよ。それを私は矢嶋先生にあえて申し上げまして、あと一分ほど残しましたが、一応終わります。(拍手)
  17. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私は社会党、北海道の選挙区選出でございまして、特に浅野公述人はかって北海道庁の民生部の方にお勤めだということで、大変今回の当選おめでとうございますということをこの場をかりて申し上げます。  さて、最初に矢嶋公述人の方から、昭和二十五年からということで大変長いキャリアを誇っておられまして、私どもの大先輩で、私のように一昨年の七月に当選してきた者からすると、昭和二十五年というのはまだ私が小学校に入っておりませんでしたので本当に随分昔の気がするんですが、ひとつ過去の歴史ということで聞いてみたいわけでございます。  かつて、参議院になって常任委員会特別委員会委員長というものが不信任をされたことはないんだ、こういうような新聞記事を見ておりまして、本当かどうか私も確かめたわけではございませんが、長いキャリアを誇っておられる矢嶋公述人はこのことについてどのように評価をされているか、考えをお持ちであるか、ちょっとお聞かせ願えればと思います。
  18. 矢嶋三義

    公述人(矢嶋三義君) 随分荒っぽいことが行われたと私もびっくりしました。それで、不信任の理由はどうなのかと思って、まだ速記録ができていないからわからないんですけれども、二、三の人に聞くと、総理に会ったとか、あるいは本当か知らぬけれども、どうも牛歩戦術云々があるんじゃないかなというようなことで、はっきりした根拠がわからぬからそれだけで申し上げられませんけれども、この委員長の不信任というのは、私は結論的には、残念ながら私のふるさと参議院は悪例を残したと思っております。極めてこれは重要なことであります。  私は本岡委員長はかなり知っておりますが、ある段階で私は委員部を通じて委員長に対して、何をもたもたして審議をしないんですか、ともかく審議を始めなさい、あなたは国会の役員であるからという電報を打ちましたよ。手紙も出しましたよ。それで、責任上彼は詳しくは言わぬが、いろいろああいう形をとらざるを得なかったと思うんです。  議院内閣制、政党政治ですから、総理と会う云々ということは、これは問題にならないですね。  それから牛歩戦術云々ということなんですが、私は衆議院でこの法案議決されたときに三階から初めから終わりまで見ておりました。参議院の牛歩戦術はかつて私もやったことがあります。あのPKO国会と消費税国会のを三階からつぶさに私は見ております。私が消費税のあのときに出てまいりましたら、懇意な古参衛視がおって、矢嶋先生、あの様子どうですかと言うから、おお、それは問題があるが、僕らがやった当時に比べれば整然として立派なものだ、こういうふうに私は言ったわけです。これは、その主義主張を通すために抵抗権の一つとしてあり得るんでしょうけれども、こんなのは余りやるべきじゃないですよ。だから政治改革なんですよ。  もうちょっと申し上げますが、私はつぶさに見ておりますが、御婦人の方が時間つぶしでこういうふうにステップして行っている姿というものは、それは淑女のやることじゃないですよ、やらせることじゃないですよ。また、消費税のときは整然と歩いておったんだ。僕は三階から見ておって、これは本岡という人間は大した掌握力と指導力と統率力があるなど、その点に私は非常にびっくりしました。  ところが、PKOのときは、皆さん記憶あるでしょう、何か院内係が生理的現象で連れていくと、僕が時間を見ていると、中には帰ってこない人がおる。これは出ていって休むなり何が食べているんだろうと。三階から見ていると、遊び事しなさんなよと。これは与野党の議員にあります。かつて我々の時代には、男の議員で本会議場に一升瓶を持って入っていった人がおるんです。そういうような方の例はまたあってはならないと。しかし本岡氏は、まあ党から選ばれたんでしょうが、あの消費税のときなんか整然とやっておった。  当時の土屋議長、埼玉県知事を今やっておられるが、私は彼に敬意を表しました。私は三階から見ておって、議長は投票箱を閉鎖しますともう言うはずだと公務員諸君と一緒に見ていたんだが、なかなか言われない。あれ閉鎖すると言うと、どっと衛視が出てきて、それから先生方がだっと行ってこうなるわけですが、一遍もならない。あの土屋議長のやり口というものはまことに私は見事だったと思うんです。  それで、私は土屋議長に直接会って敬意を表しました。過去は過去として、あんなことはもう抵抗権の行使として許されておってもやらぬがよろしい。だから政治改革なんですよね。それなるがゆえに、本岡委員長の不信任の一端となっているとすると、私は残念に思います。皆さん仲よくやってくださいよ。  言論戦は大いにやってもよろしい。国会に「イシューブリーフ」というので、選挙制度から各国の政治のことを調査及び立法考査局でずっと出しておりますね。これを見ると、要するに実質的な議論をする時間は日本は一番少ないんですよ、先進国では。アメリカとか英国あたりに比べると、実質的な討議は少ないわけなんです。だから、どうか仲よくして、そして政策論争で対決するという姿勢をとっていただきたい。いろいろと経過と事情があったんだろうが、国権の最高機関の第二院である参議院として、委員長解任動議を行使したというのは前例もない。私たちの時代にもなかったことですし、これは非常に残念ながら悪例を残したと私は思っております。しからないでください。
  19. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 次に、浅野公述人の方にお伺いしたいと思うんですが、今、永田町の論理とかといろいろ出ておりますけれども、浅野公述人は霞が関の厚生省におられたということで、私も最近「お役所の掟」という厚生省のお役人の現職の方が書いた本を大変おもしろく読んだわけでございます。その内容はちょっとさておきまして、実は霞が関の文化ということを最近とある事件で耳にしたわけです。と申しますのは、通産省の役人の方が選挙に立候補されるときにワンランクアップされて、そして選挙に出られた。そのことの事の是非の問題はまた別にいたしまして、この説明をされた通産省のお役人の方が、霞が関の文化というものがあるんだ、こういう実はお話がございました。  これは、政治改革といいますか直接今回政治改革関係することではないのかもしれませんが、政治を改革していかなきゃいけない我々にとってみてもやはり大変重要な問題じゃないかな、こう思っていまして、元厚生省におられて今回知事に当選をなさいました浅野公述人はこの点についてはどのように思っていらっしゃるか、ちょっとお聞かせ願えればと思うのでございます。
  20. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 霞が関の文化と呼ばれるようなものがあるのかないのかも私よく存じておりませんが、それが多分悪い意味だとすれば、国家公務員の間にだけ通じる一つの考え方、論理というものであろうと思います。いい文化はともかくといたしまして、そこだけでのいわば楽屋話みたいなもの、楽屋言葉みたいなもの、そういうものが多ければ多いほど一般の国民、一般の県民の考え方と遊離をしてしまう。その意味では、そのような悪い意味での文化というのをなくしていくという方向が正しいと思っております。  私の在籍しております宮城県庁も、同じよう意味で、県庁の中では当たり前というようなこと、これが実は県民にとっては当たり前ではないということが出たような状況もございました。霞が関にもいた、また今新しく宮城県庁にいる私といたしましては、確かにそう言われて、霞が関の文化とかいって批判されるものもあろうとは思っております。そういったものについては、まず言葉遣いの問題から、そして考え方のことから、一般の国民、県民から見ていかがかと思われるものについてはやはり積極的に改めていく、そういった方向が必要ではないかということを若干の経験から感じるところでございます。
  21. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 浅野公述人、先ほど選挙の問題で、本当に恩を感じたと。私も実は選挙をやっていて、選挙活動の中で小さな方々の善意といいますか、時にはカンパをしていただいたりということで、本当に初心を忘れるべからずだなというふうに思いながら私も頑張っていきたいと思っているわけです。  その際、多額のお金をもらったら、これに対してもやはり恩を返さなきゃいかぬと思うようになるだろう、そこで自分としてはもらってはいけないと痛感をされたと、こうありますが、そうすると、企業献金という問題が今回大変大きなテーマになっているわけでありますが、浅野公述人はこの企業献金についてはやはり廃止をした方がいいというふうにお考えかどうか、この点、少しお聞きしたいと思います。
  22. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 私の先ほどの言い方からいいますと、献金は個人がよくて企業はだめというよりは、一つのメルクマールは広く薄くということであるということでございます。したがいまして、個人であろうとも、これはもちろん上限がありますけれども、私の気持ちからしますと、候補者としての気持ちからしますと、多額にもらった方にはやっぱりそれなりの恩を強く感じるということがございます。また、逆に企業、団体でも額が薄ければ広く薄くに当たるわけですから、その意味で、特に恩を強く感じて、そして余り公明正大ではないその返し方というものに通じることはないとは思います。  ただ、一方、企業というのは利潤を追求する主体であるということがございますので、その辺からの縛りもありましょうが、私が今率直に感じておりますのは広く薄くということで、ある一定の候補者、ある一定の政治家にそういった意味で思いを託すというか、そんなことはあろうかなと思っております。  したがって、今、私の率直なところで、個人献金は善、企業献金は悪というような二分法にいくのは若干ためらいはあります。ただ、これは国会での御審議の中でございますので、私の感じとして申し上げさせていただきます。
  23. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 企業献金の是非問題というのはこれからも恐らく議論になりますし、五年後にまた法案で言えばいろいろ再検討する場もあるようです。  さて、倫理の問題のことで少し、先ほどおっしゃられた点について、つくったルールは絶対守ってもらいたい、こういうふうに提起をされまして、私もそうだろうというふうに思うんです。また、そうでないとこれからも信頼というものは回復できないだろうと思うんです。しかし中には、例えば公職選挙法の第何条でしたでしょうか、選挙の裁判の問題なんかでも百日裁判ということの制度がしてあってもなかなかこれは守られない、こういったような形で、制度化の問題も含めていろいろ議論しなきゃいけない点がたくさんあるんじゃないかと思うんです。こういった点について、これは質問というか私の意見になっちゃいましたけれども、お答えを求めるというよりも、これから我々自身もそういった制度改正をしなきゃいかぬと思っています。  浅野公述人、先ほど投票率の問題で、大変私はこの投票率の問題、自分参議院選挙が本当に史上最低と言われるくらい低い、全国的には五〇%すれすれの平均だったわけですが、衆議院もああいう結果で、史上最低の投票率と。こういうことで、先ほど非常に選挙に対してわかりにくい、あるいはうさん臭いといったよう政治的な不信感の問題が述べられたんですが、投票率が低下をし、御自分知事選挙投票率もたしか三九%ぐらいだったと思うんですが、この点、先ほどおっしゃいました選挙に対する県民のわかりにくさとかうさん良さとかそういったものが主要な原因だというふうにゃはりお考えなんでしょうか。その点ちょっと、感想めいたものでも結構でございますが。
  24. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 私が候補として出ました前回の宮城県知事選挙は三九・二%ということで、宮城県の知事選挙としても史上最低の数字でございました。それにつきましては、その原因、いろいろ推察がございます。いずれにしても、これは科学的に割り切れるものではございませんので推察の域を超えないわけでございます。  一つには、宮城県にとって五回目の選挙であったといういわゆる選挙疲れというものもあったと思います。しかし、それだけの数の選挙になったということも、実は背景には政治というものに対する不信感、あきらめといったようなものがあった、これも事実でございます。そういったもろもろのことからそういった低い投票率になったというふうに感じております。  むしろ私といたしましては、その原因というものを深く考えまして、投票率を高くすればいいというものでもございませんけれども、私の県政を通じて政治にもう一度信頼感を回復してもらいたいということで、これから一生懸命やっていきたいということで重く受けとめているところでございます。
  25. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 調べてみると、先進国と言われている国がどうも軒並み投票率を低下させているとかあるいは政治腐敗が起きてきているとか、いろいろ我々も考えなきゃいけない問題がたくさんあると思いますが、これはまた別途議論をしていきたいと思います。  浅野公述人に、当選をされた方にすぐお聞きするのは大変恐縮なんですが、首長の多選を禁止すべきではないか、こういう見解があるのでございますが、当選されてすぐの浅野公述人には大変酷な質問かもしれませんが、その点はどのようにお考えになっておられるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  26. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 先ほども申し上げましたとおり、就任して一カ月半でございます。多選はおろか再選もまだ考えられるような状況ではございませんので、ただいまの御質問、全く考えを私なりに持ち合わせておりませんのでコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  27. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 浅野公述人だけに集中して時間がもう大分過ぎ去ってまいりましたけれども、先ほどの、選挙に出る人はいわゆるよほどの変わり者でなければ出ないとか普通の方がなかなか出られなくなっているとかいう問題は、これは私も大変これから政党政治家は考えなきゃいけない問題だと思っているわけです。  その際、先ほど政治資金の問題とかあるいはお金の問題を主としてお話しになられたんですが、この点、浅野公述人西公述人、あるいは矢嶋公述人、皆さんに関連するわけですが、私は前回、参考人のときにもちょっとお聞きしたんですけれども、どうもやはり民間の方々あるいは公務員もそうなんですけれども、なかなか今選挙に出にくいものというのは、今おっしゃったお金の面ももちろんある人ですけれども、特に国家公務員、地方公務員というのは出ると同時にこれはやめなければいけないという制度的な問題がございますね、国家公務員法、地方公務員法に。あるいは民間の方ですと何年間か、例えば参議院で一期六年間やりますと、帰ってくるともう職場が大きく変わっているというようなことがございます。  そういった点で、そういう制度面で何かきちっとこちらを直していかなきゃいけないと言われるよう意見が出ているのでございますが、特に公務員制度の問題なんかについてどのようにお考えになっているか。そういったことはやはり変えていくべきじゃないかといったよう意見についてはどのようにお考えですか。公務員の場合は例えば休職制度をとるとかそういったようなことですね。そういったことについてはどのようにお考えになっているか。これはお三方に答えていただければと思いますが。
  28. 西修

    公述人西修君) 公務員制度云々ということになりますとちょっと難しい、私の守備範囲を超えるかと思いますけれども。要するに出やすい選挙といいますか、一般の国民選挙に出やすくするためにはどうすればいいかということに対するお答えということでよろしいわけでございますね。  これからは今までの中選挙区制と違って、小選挙区制さらにまた比例代表制ということになりますと、要するに各党における候補者の選び方、これは当然変わっていかなければいけないのではないかと思います。  その変わり方ですけれども、例えば小選挙区制ですとやはり政党政党ということになります。ですから、やっぱりその選挙区における政党のベストの人をその選挙区から代表として選ぶということになりますと、ただ先ほどのあれじゃないけれども、よほど何とかという、よほどがつかなくても、あえてよほどということになれば、よほど政策とか国民のこととか、あるいは国レベルで言えば安全保障とか外交とか、そういうよほど政策、あるいは本当に国民のことを考えている人がだれかということを、これは政党の中での候補者の選び方、プロセスにおいて、例えば予備の討論会をやるとかそういういろんな形で本当にだれがいいのか、ただお金があるとかどうかということではなくて、本当にだれが考えているかということをやはり各党の中でいろんな討論会をやって、そこの中で一番いい代表選手を選ぶということになりますと、お金とかそういうことではなくて、本当に見識のある、そういう人たちをどうやって選ぶべきかということがかなり変わってくるのではないか。  今までの中選挙区制ですと、まさに各政党の中の争いということで必ずしもそういうことができなかったかと思いますけれども、やはり小選挙区制にせっかく変わるわけですから、党の候補者選びというものも変わっていかなければいけないんじゃないか、私はそういうふうに期待をしているわけでございます。
  29. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 先ほど私が申し上げたでんでいけば、私もよほどの変わり者でございまして、公務員を退職し知事選に立候補したわけでございます。まあ気持ちとすれば、これでだめだったらまた戻るところがあればこんな楽なことはございません。しかし、これを制度として考えますと、やはり公務員というものがそういう政治家として候補者となり、そして結果だめだった場合戻るということであれば、これは公務員としての中立性について大きな疑念が生じるということもまた制度上、また一般の国民の方の目から見てもこれはあり得ることではないかと思っております。  私の場合、いわば退路を断っていったわけですけれども、これは私とすればいたし方がないというか、それは読み込み済みでございますし、今後のあり方につきましても、この点はそれぞれの個人的な立場とは別に、やはり公務員制度の立場からも慎重に考えられてしかるべきではないかというふうに思っております。  私に関しましては、この制度は、先ほど申し上げましたが、読み込み済みというか、それについての不満というもの、これを残しての立候補ではございませんでした。
  30. 矢嶋三義

    公述人(矢嶋三義君) 私は九州の大分ですが、選挙で候補を選ぶときは、まあうちの方言で言うと、あん人は金つくりきるかな、金があるかな、これが第一前提ですね。政党を見ても、派閥の長でも委員長でも、金をいかに集めるかということが一番大事なんで、そればっかりで政策は余り勉強しておらぬですよ。この姿は改めなくちゃならぬと思うんだ。そのために必要なことだったら税金を幾らだって出してもいいと思っているんだ、私は。そのかわりさっき言ったように、きれいに正しく使っていただかにゃなりませんよ。ともかく金が大前提だもの。失礼だけれども、人格とか識見とかというのも要素には入っているけれども、しかし大前提は金ですよ。だから議員は、国会の役員のポストでも何でも探すときは金づるのところばかりまず行くでしょう。法務政務次官になれというよりは通産政務次官、大蔵政務次官、建設政務次官といったら、はいと言って行くわけでしょう。こういう政治土壌を改めにゃならぬということですね。  それから、候補者をやっぱり考えるときに外国の例も随分考えるんですが、議会政治課に調査に行くと外国の資料をいっぱい集めていますわ。しかし、あくまで参考にすぎず、やっぱり日本の風土に合うように考えるわけです。  男女平等という点から女性云々という特別に枠を設けることは好ましくないじゃないかという反論もあるかもしれませんが、さっき私は比例部分の名簿をつくるときに女性に格段の考慮を払ってほしいということを、法文にはならぬかもしれないけれども、それをあえて申し上げたわけです。ごらんなさいませ。女性議員の方は極めて少ない。ところが、外国では先進国は多いですよ。それで、好ましくないかもしらぬが、皆さん方は党の幹部ですから、ぜひ御配慮をいただきたい、比例部分の名簿をつくるときに女性に考慮する。男性はかなり伸びているが、女性をいかに啓発して、これを活用していくかということはこれからの日本の重大なポイントですよ。立派な人がたくさんおられる。  そこに森山先生いらっしゃるが、官房長官としてもすばらしかったが、あの甲子園の開会式におけるあいさつは男性になんかできるものじゃないですよ。その内容といい、お声のよさといい、それは諸君に感銘を与えておる。私、テレビで見ておったんですが、普通の開会式のときは選手は皆こんなことをやっておるが、森山先生のときはきちっとみんな聞いておったんですよ。これは例なんですが、そういう方々がおられるわけですから、各政党にもおるわけだから、ぜひともそういうふうに配慮をしていただきたい。そうしなけりゃ、日本ではなかなか選挙で女性は出てこれないですよ。  その点については、政策は別ですけれども、共産党の姿勢に私は敬意を表している。共産党は女性をいつも候補者に推している。しかも、やっぱり得票を考えるんでしょう、きれいな人ばっかり選ぶんだな。だから、その点で僕は共産党には敬意を表しているわけです。笑い事でないんですよ。皆さんぜひこの法律が通ったら比例部分の名簿をつくるときは女性に配慮をして、法律の明文上書けないんでも運用の面で配慮をしていただきたいというのでさっき申し上げたんです。そうでなければ、なかなか日本の現実では候補者になり得ない。  以上です。
  31. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 この質問を最後にしたいと思うんですが、きょうが衆議院から参議院に送られてきて六十日を超えて、最初に恐らくメンバーが集まってきているわけです。これから先は例の五十九条の第四項の問題で、衆議院から要請があったらもう参議院では否決したものとみなす、こういう第五十九条第四項の規定の問題が議論になっているわけであります。  西公述人にぜひお聞きしたいんですが、この規定の問題、先ほど憲法の問題に触れられておっしゃいましたけれども、このように六十日間も、結局この第五十九条第四項を適用されるような状況になっていることについて、西公述人の御意見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 西修

    公述人西修君) これは規定規定ですから、私は一応憲法学者としては、規定規定ということで、それをどう考えるかということは当不当の問題ということかと思いますけれども、私は、六十日が最大ぎりぎりでありますから、やはりこれは本来六十日以内に参議院で審議される、それで、可決でも否決でもいいわけですけれども、あれは例外的な規定である、条項であるというように考えるべきではないか。当然、衆議院参議院二院制になっているわけですから、衆議院から送られてきたら速やかに審議し、そして所定の日数の中で審議し何らかの結論を出すということが憲法趣旨であると思います。  それから、六十日というのは、それでもだめな場合、万が一の場合ということで、私はやっぱり本来はあるべき姿ではないように思います。その中で粛々と議論なされてそれなりの結論を得られるというのがあるべき姿ではないかというように考えます。
  33. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。(拍手)
  34. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ちょっと委員長からお願いがあります。  と申しますのは、これから五人の委員質問をされますが、お一人十分なんです。質問、答弁含めてでございますので、お互い有効に使えるように御配慮のほどをお願い申し上げたいと存じます。
  35. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は公明党・国民会議の続でございます。  本日はお三方から、ただいまは貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。私に与えられた時間は十分ほどでございます。簡潔にお伺い申し上げます。  先ほど西公述人からは基本認識、そして骨格部分、さらに比較憲法論、この三点から貴重な御意見を承りました。私は、基本認識の点で一つだけ御質問申し上げたいと存じます。  先ほど三公述人はそれぞれに、今回の政治改革法案が仮に国会で廃案の状況になれば政治不信はその頂点に達するであろう、したがって慎重かつ速やかに論議を深め所要の結論を出すようにと、こんな励ましのお言葉をちょうだいいたしました。  そんな西公述人に対しまして一つだけお伺いしたい点は、今、細川総理も担当の山花、佐藤大臣も関連四法案は一括というのが不動の姿勢だと、こんなふうに答弁をしておられますし、私もそのように思います。ただ、一部には分離論がございます。  この点に関して、西公述人はどのようなお考え方をお持ちであるか、その点をお伺いしたいと存じます。
  36. 西修

    公述人西修君) 時間の関係で端的に申し上げますと、私は一括してやるべきだ、両方ともすべて関係があるというように思いますから、私は、一括処理すべきであるというふうに考えております。
  37. 続訓弘

    ○続訓弘君 ありがとうございました。  続いて、浅野公述人にお伺いいたします。  先ほど、三日前に立候補した、そしてたくさんの方々、二十九万余票を自分に与えていただいた、それには大変感謝をしている、その感謝に報いるためには日本一の先進福祉県にしたい、こんな意見が述べられました。  御案内のように、地方主権、地方分権という議論はずっと長い間論議されております。昨年の六月に衆参両院におきましても地方分権に関する決議がなされました。そんな中に、今回の関連四法案は地方の側からすれば地方の主権あるいは分権に通ずるものだ、こんな考え方を述べておられる方もございます。  浅野公述人におかれては、この点に対してどんな御意見を持っておられるのかお伺いしたいと存じます。
  38. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 今御指摘いただきました御意見について、私どのようなものかちょっと詳しく存じておりません。  したがいまして、なかなか難しいところでございますけれども、今回のこの法案のみで地方分権が進展するということではなかろうというふうに思っております。一歩、二歩進めるという観点では必要なものだろうということでは思っております。  先ほども選挙制度ないしまた政治改革について申し上げましたけれども、一歩、二歩進めていただきましたのをさらに三歩、四歩、十歩進めていただくために、一応これはこれで整理をしていただいた後に、また真剣に地方における政治改革、地方における選挙制度についてぜひ考えていただきたいということをまず御期待、御希望を申し上げたいと思います。  さらには、選挙制度とは別に地方分権につきましては、私も私の立場上、地方、県の行政におきましても十分に力を発揮できる、また信頼していただいていい状況があるというふうに確信をしておりますので、その状況に合った権限を移譲されるということ、この方向もぜひ真剣にこの国会の場で考えていただきたいという思いでございます。
  39. 続訓弘

    ○続訓弘君 ありがとうございました。  続いて、矢嶋公述人にお伺いいたします。  先ほど峰崎委員浅野公述人に御質問された件でございますけれども、地方分権、地方主権が非常に高まっているこういう状況の中で、実は水を差すようなそんな事態が地方公共団体に発生していることは矢嶋公述人も御承知のとおりでございます。まさに私は残念至極なことだと存じます。それにつきまして言われていることは、多選がその原因ではないか、したがって今度の選挙改革に関連をして多選の問題も真剣に検討すべきではないか、こんな有識者の間に意見がございます。  この点について矢嶋公述人はどんな考え方を持っておられるのか、その辺のことをお伺いしたいと存じます。
  40. 矢嶋三義

    公述人(矢嶋三義君) 私は、結論を申しますと、多選はすべきでないということ。これは、人間は長短があるもので、万能な人もいないわけですよ。四年と決めているわけだから、なった人は四年で、一年目から本格的にやらなきゃいけないですよ。 だから、行政の継続性で云々といって五期も六期もやっている人は、やる人もやる人だけれども、選ぶ人も選ぶ人ですよ。一番長くても三期が許容限界ですよね。それ以上は絶対いけない。  かつて社会党も多選禁止と言っておったが、京都に蜷川知事がおりましたね、彼にかわる者がいないから、多選禁止と言ったが、言い出した社会党もぐらぐらになっちゃったんですよ。そして、今、七期、八期なんかあるんですよね。これ、いけませんよ。選ばれたならば、四年間にきちっとやることやって、やれなかったら二期、三期と。細川さんが二期が限界だと言って知事を去ったということはやっぱり一つの見識だと思いますね。だから、私は多選は禁止するべきものだと。憲法上の関係がありますから、禁止しなくても、出る人も出る人、選ぶ人も選ぶ人で、良識でそうやらなければならぬと思います。  それから、さっき話が出ておったように、政治改革について推進派と慎重派というのがありますね。これ、表現が不十分なんですよ。国民によくわかるようにしなきゃいけない。推進派はいいですよ。慎重派というのは色分けしなきゃいかぬ。本当に慎重なのと拒否派というのがあるわけですよ。その拒否派の中にも、本当に今の法案は悪いから拒否するという拒否派と、それから、小沢は憎いわ、それについている細川、あれをいじめてあれをつぶせと。意識するとしないとにかかわらず、そういうのをひっくるめて慎重派と言っては国民にはわからない。  観察と考察と処理能力を培うのが数学教育の目的ですが、よく見て聞いて、自分のコンピューターにかけて考察をして、結論を出したならば自主的に強く発言し行動する。観察と考察と処理、これが大事なんです。国民にそれを訴えています。先生方は非常にお口がみんなうまく本音と建前を区別してやるから、一般国民にはわからない。だから、私はこの一年間は非常に重要であるから、この点でしっかり心してほしいと訴えて終わります。
  41. 続訓弘

    ○続訓弘君 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  42. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 民主改革連合、新生党、日本新党の統一会派を代表いたしましてお尋ねをさせていただきます。  本日は本当にお忙しいところわざわざおいでいただきまして、心から感謝をいたしております。  宮城県の浅野知事は、去年十一月の選挙で選出されました。そのときに河北新報で個人としての浅野を応援してくれとお願いしております。一人千円程度カンパを募り、最終的には二千万円を集めたい。企業・団体からの献金は一切受けずに、広く浄財を集めますし、集めた金はすべて公開します。河北新報でこのように述べられております。  宮城県の特殊な事情があったにせよ、御自身の見識がなければこれはなかなか言えることではないと思います。選挙資金、組織に関する御苦労を踏まえて、地方政治家の選挙資金、政治資金のあり方はどうあるべきか、お聞きしたいと思います。
  43. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 私、突然、しかもたった一回の選挙を経たのみでございますので、今の御質問について的確にお答えできないとは思っております。また、今回の選挙もいわばかなり変則的な選挙でございまして、先ほど申し上げましたように、突然、しかも素人集団ということでお金使いようがなかった、集めようがなかったというのが実態でございます。これからのあり方につきましては、これは私も新しい立場で十分考えていかなければならないというふうに思っておりますが、先ほども陳述いたしましたけれども、やはり広く薄くという原則、これはぜひ守っていきたいというふうに思っております。  また、私の今までの経験でも、私に関しましては、お金のかかる政治活動というのは一体何なのかということについてよくわかりません。したがって、どの程度お金が必要とされるのかということについては、まだ未知数でございますが、感じといたしましてはそれほど要らないのではないかというふうに感じておる次第でございます。ただ、これは現職の首長というところの特殊性があると思いますので、議員方々のお立場、また状況というのは少し別かなということは思ってお仇ますが、これについては明確な意見は今持ち合わせておりません。
  44. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 ありがとうございました。  次に、政党あり方につきまして三人の公述人方々一人ずつにぜひお知恵を拝借したいと思うんです。  地方分権の非常に発達しているアメリカでは、大統領選挙を除いては政党の幹部がワシントンから各州に指令を出したり管理をするようなことは余りなく、例えばミネソタ州ではミネソタ民主労農党というようなミネソタ州にしかない政党が非常な力を持っていると聞いております。ミネソタ州の州知事が大統領選に出るようなときには、フレンドリーな政党すなわち友党である民主党にお願いして選挙を行うそうであります。日本でも、同じ政党とはいえそれぞれの地方にはそれぞれの事情があり、中央の指示で地方の政治を動かすことは難しいと思います。公述人浅野知事も先ほど中央と地方では争点のレベルが違うとおっしゃっておられました。  今回の政治改革関連法案におきましては、政党は従来より極めて重要な役割を果たすように設計されております。ただ、政党衆議院参議院、地方議会、そして地方の首長において果たす役割は同一ではないと思っております。政治改革法案の審議とその公聴会等におきまして二院制との関係や地方政治との関係が問題にされておりますが、その原因のかなりな部分はこの政党をそれぞれの政治制度でどうとらえたらよいかという点ではないでしょうか。  それぞれの公述人方々政党の各制度における役割に関する認識をお聞きしたいと思います。さらには、政党あり方について公述人方々の御意見をお伺いできれば幸いであります。
  45. 西修

    公述人西修君) 時間がありませんので、簡単に申し上げます。  それについては非常に大きな問題だと思うんですね。今アメリカの例をおっしゃいましたけれども、アメリカの場合と日本の場合とでは、まず政治風土が違う、それから政党の歴史が違う、いろんな点で違いがあると思います。ですから、アメリカの政党政治というものをそのまま日本へ持ってくるということにはちょっと無理があるように私には思えます。  それからもう一つ国会議員、地方議員、それからまた首長、ここにおける政党の役割というものの違い、これは当然あると思います。そういった点では先生の御意見に全く同感でございます。  何か本当にもう非常に限られた時間の中でしか申し上げませんが、それからもう一つ比較憲法的な側面からいいますと、私、一九八〇年以降の世界憲法を調べてみたんですけれども、私が持っている一九八〇年以降できた新しい憲法五十五のうち四十一の憲法の中にもう既に政党というものを組み込んでおります。ですから、もう政党というのは今や憲法事項なんですね。憲法で考えるべきだと。その中でどうやっていくべきかということですけれども、例えばドイツのようなものはどちらかというと規制型であります。政党はこうしなきゃいかぬ、これはだめだ。そういうこともありますし、それからまた、政党というものを考えていく場合に、政党育成型、いろんな政党というものを育成していく、こういう法体系もあるわけです。  私は、今後の考えるべきものとしては、先ほどちょっと政党法のことを申し上げましたけれども、規制ではなくて、やっぱりその国民の意思をどうやって吸収していくか。そういう育成型の政党あり方というものを憲法あるいは政党法とか、そういうものを通じて国法体系の中における政党というものをもっと考えていかなければならない、そういうふうに考えております。
  46. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 今の問題につきましては、先ほど申し上げたことの繰り返ししか申し上げられないと思います。  国のレベルでの政党の区分というのと地方政治における政党の区分というのはかなり違ってしかるべきではないかという考え方は持っております。現実には同じ政党が県議会のレベルでも同じグループ化をしておりますけれども、しかし、ちょっと国政レベルとはニュアンスが違うのではないかと感じております。  知事の立場から申し上げますと、県議会につきましてはぜひ議論を活発にしていただくということがまず肝要ではないかと感じております。ややもしますと、総与党とか県民党とかわけのわからない形になってしまいます。それが活発な前向きな議論ができるような形、これはどうにかならないものかなというふうには感じておりますが、それが政党あり方とどう関係してくるのか、まだ新米でございますので明確な方向は持ち合わせておりません。
  47. 矢嶋三義

    公述人(矢嶋三義君) 目標は国民一人一人が皆自分の好きな政党を持って努力する、そういう形に一年も早く到達するようにしなければならない。  問題は政党の民主的な組織と民主的な運営に尽きると思います。今の日本政党で一番欠けているものは、政党の教育活動がない、選挙のときだけで教育活動がほとんどない。そして、国民政治不信で嫌らしいように思っております。だから、政党になかなか入らない。これでは日本政党政治は育たない。繰り返して申しますが、民主的な組織と民主的な運営、それから平素から教育活動を活発にする、そして、国民は、最善でなくても次善でも、ともかく一人一人が支持政党を持つような姿に持っていくことを目標に努力していただくとありがたいと思っています。  以上です。
  48. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 本当にきょうはお忙しいところありがとうございました。これから我々も一生懸命に実りのある審議を尽くして、そして政治改革を一日も早く実現したいと思います。本当にきょうはありがとうございました。(拍手)
  49. 吉田之久

    ○吉田之久君 民社党を代表いたしまして御質問を申し上げます。  まず、西先生、いろいろと公私にわたりまして日ごろ御指導をいただきましてありがとうございます。  戸別訪問の問題。  ニュージーランドにおけるノッキング・オン・ドアーズのお話を承りました。いろいろと示唆に富んだお話でございました。  ただ、私自身も昭和三十年に県会議員になりまして今日まで選挙に明け暮れの人生を送っているわけでございますが、この戸別訪問というものはしょせん究極の選挙運動なのか、あるいは極めて原始的な選挙運動の始まりなのか、今もって悩むわけでございます。できればもっと時代の変貌に応じて新しい方法を考えるべきであると。  例えば、昔の立会演説会もいろいろ弊害も長所もありましたが、大統領選挙のミニ版みたいに屋外の広場で、しかも選挙管理委員会なんかが立ち会いまして、そしてみんなを集めて候補者が論議し合うとか、そういう方法をだんだん導入すべきではないかと思うんでございますが、いかがでございますか。
  50. 西修

    公述人西修君) 戸別訪問が究極なのか原始的なのかということですけれども、私は、時代は今コンピューターとかいろいろあるわけですから、むしろコンピューターを利用しまして、そして候補者とかあるいは政党の支部とかそういったところと双方向的にいろいろとやっていくというようなことは考えられていいんではないかというように思います。そういう意味において、先端の科学技術というものを駆使した選挙方法というものも今後あり得るんではないかというように考えております。しかしながら、そこまではなかなか無理であるとすれば、やはり戸別訪問というものに結局行き着くのではないかと思うんですね。  そういうことで、繰り返しになりますけれども、現段階においてはやっぱりその戸別訪問を完全に自由化するということにはいろいろ問題があるのではないか。ですから、その一歩として制限的なものを考えていけばいいんじゃないかということで申し上げた次第でございます。
  51. 吉田之久

    ○吉田之久君 我が国の実態といたしまして、戸別訪問を自由に解禁いたしましたら、本当に戸別に政党の政策などを説明して回るのならよろしいんですが、最後はもう土下座まがいの競争になる点を恐れるわけでございまして、また今後とも御検討いただきたいと思うのでございます。  次に、小選挙区の数と比例代表の数、六対四とか三対二、大体参議院の方もそうでございますし、私はその辺が適当な数字ではないかと。  なぜかと申しますと、民意を集約する、どういう政権を求めるかということが選挙区で問われる。民意を反映する、そういう意味比例代表で問う。理屈はわかるのでございますが、実際選挙をやりますと、一人しか通れない選挙区、それは血道を上げて戦いますね。この政党は立派であります、この政策はと言いながら、この町のために、この地域のためにということで、どうしてもローカルな問題を集中的に取り上げなければならない。そうでなければ当選しません。当選したってその問題に専念しなければなりません。  そして、都市議員は都市議員らしく、農山村の議員は農山村の問題ばっかり、本当に外交や防衛やエネルギーの問題、そんなことを論ずる人がだんだん減ってくれば大変でございますので、それを補う分として比例代表が必要だ。そういう点で私は必ずしもフィフティー・フィフティーでなければならないとは思いませんが、やっぱりしかるべき数の比例代表を確保しなきゃならないと思うのでございますが、いかがでございますか。
  52. 西修

    公述人西修君) これも先ほどの繰り返しになりますけれども、小選挙区制の方により多く比率を重点的にやったということは、やはり小選挙区制によって活発ないろいろな意見が出てくる、集約できるというようなことで、むしろその小選挙区、本当は自民党案の方がより活発にいけるかもしれませんけれども、それが無理であれば六対四ぐらいがいいんじゃないかということで、特に数的な根拠があるわけではないということは先ほども申し上げたとおりでございます。
  53. 吉田之久

    ○吉田之久君 特に我が国の場合には議院内閣制をとっておりますので、ローカルという言葉がいいか悪いか知りませんが、余りにも局地的な代表ばかりで衆議院を構成されましてそれが主力となって内閣をつくるということには非常にやっぱり問題があると思いますので、この点もいろいろまた今後御研究をいただきたいと思うのでございます。  次に、浅野知事さんにお伺いいたします。  まあさっそうと登場されましたすがすがしい知事のお姿を見て本当にうれしい思いでございますが、知事もおっしゃいましたように、知事議員、例えば県会議員らとは大分事情が違うわけでございます。県会議員はまさにサービス合戦をしなければならない。しかし、権限ある首長の方にはいろんな誘惑がまだいっぱい続く時代だと思うのでございまして、この辺は誇り高き新しき知事として断じて拒絶していく模範の姿勢を示していただきたい。  と同時に、私も経験があるのでございますが、県会議員というのは昔から土木関係の出身の方が非常に多いわけであります。昔からそうでありまして、問題だといってやめろと言ったら、みんなやめて、奥さんや子供の名前に切りかえた。実態は一緒でございます。大臣や国会議員が資産を公開し、大臣をやめたらその資産を改めて報告すると。だから、知事さんはひとつ宮城県の方で、土木事業に関係ある県会議員さんについては、そこの会社あるいは系列の受注量がどのように変化したかというぐらいのことは一遍公表していただいてもいいんじゃないか 一つの大きな抑止力になるんじゃないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  54. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 突然の御示唆でございましたので、どう考えていいかわかりませんが、まあ一つのお考えだとは思います。  ただ、一定の業種についてのみということは最初から予断があるわけでございますので、その点については少し考えるところはあろうと思います。  資産公開ということにつきましては、知事もそれから議員もこれからそういった面での条例化を図っていこうという方向でやっておりますので、そういう中での一つの技術的な問題として考えていくべき点がなとは思っております。
  55. 吉田之久

    ○吉田之久君 矢嶋先生には日ごろから尊敬をささげてまいりましたが、きょうはかくしゃくと存分に正論を吐いていただきまして、改めて深く敬意を表する次第でございます。  先ほどもお話がありましたが、衆議院参議院も両方威張っておりまして、おれたちが中心なんだと思っているんですね。いわばどちらも天動説に立っていると思うんです。だから衆議院は、我々がかく考えて、五年間考えてこの結論を出したんだ、この結論が一番いいんだ、それが参議院と一緒ならば参議院の方が変えればいいじゃないかと言わんばかりの姿勢でございます。我々参議院は、大変な経験全国区から考えて、これが今最善の選挙制度だと思う、それに衆議院がまねをするとは何事だというのが根底にあると思うんですが、どちらもが天動説に立っておったのでは話がつかないと思うんでございます。  私は、参議院は、衆議院がいろいろ選挙区の人たちがいっぱいふえてまいりますだけに、外交の問題とかあるいは教育の問題とか、福祉の問題とか行政改革の問題とか、持続的な中長期の問題は参議院が審議する、そういう意味でも見識を誇る者が集まる参議院にしなきゃならない。しかも党派性を薄くした方がいい。だから、やっぱり個人色を出して、全国区が余りにも広過ぎればブロック制ぐらいで、もう府県単位もやめまして、十か十五か幾つかのブロック日本じゅうを分けてその代表を選ぶというようなことも一法ではないかと思うのでございますが、いかがでございますか、
  56. 矢嶋三義

    公述人(矢嶋三義君) 第八次選挙制度審議会ブロック制を考えたとき、例えば千葉と神奈川と群馬を一ブロックにしたんですよね。衆議院は解散があるわけです。政党法もないところでそんな運用できませんよ。それから、私の場合はブロックを七つにしたわけです。これは苦労しました。九州、北海道なんかは楽ですけれども。それから、実際に運用する場合には管理の問題もありますね。  小選挙区もかなりあるんだから、私は申し上げているわけですけれども、それはやっぱり全国単位で、全国管理委員会でやればいいし、民意も反映されるし、それが私はよろしいと思うわけです。大野伴睦流の流れをくんで真ん中としてブロックというのは、やっぱり僕は賛成できないですね。  それからもう一つは、小選挙区が多い方が云々というのを盛んに言われますが、国会議員の皆さん、地方議員がやることとか役人のやることはやめてちょうだい。国会議員の職務に限定してやれば楽ですよ。それは国民もそうですよ。選挙をやると、うちの先生といえば地方議員ぐらいに思っているわけですね。それで田中さんといえば新潟、竹下さんといえば島根と。これじゃいけないので、それを整理する意味で小選挙区は余りふやさぬ方がいいですね。  以上です。
  57. 吉田之久

    ○吉田之久君 ありがとうございました。(拍手)
  58. 聴濤弘

    聴濤弘君 最初に西先生にお伺いいたします。  先ほど御意見を述べられた中で、小選挙区制を導入すると二大政党制に行く、二大政党制を敷くためには小選挙区制が適していると。むしろ自分としては六対四ぐらいの比率、六が小選挙区制ですね、にした方がいいという御意見をお述べになりました。私は、六対四がいいか、七対三がいいか、五対五がいいか、そういう比率のことじゃなくて、小選挙区制を導入することによって二大政党制を敷くというこの考え方そのものについて御質問したいと思うのです。  といいますのは、選挙制度をつくって、それで国民の考え方に鋳型をはめていくということ、これは本末転倒じゃないか。国民の方がいろいろな選択をして、そしてやはり結局は二大政党だと。今五つ、八つの党がある。そのうち国民がいろいろ選挙をやって選択しているうちに二つの党、それを結局は選ぶということが本当のあり方じゃないか。選挙制度をつくってどっちか二つしか選べないというよう政治制度でもってつくってやっていくというのは逆じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  59. 西修

    公述人西修君) 私は、先ほど小選挙区制イコール二大政党制そのものとは言っておりませんで、二大政党制的なるものということを申し上げたつもりでございます。  そこで、制度が先なのかあるいは国民がいろいろやっていく中で自然に収れんされていくのかということの御質問かと思うんですね。この何年間がずっとやってきたわけですけれども、とにかくはっきりしていることは、共産党さんの方は中選挙区制、そして議員定数とか二倍以内とか、それをやるべきだということをおっしゃっていらっしゃるようですけれども、私の基本認識基本認識が違えばこれはどうしようもないかと思います。基本認識としてやっぱり中選挙区制においてはいろいろ問題が多いんだという私は認識を持っているわけです。同士打ちその他いろんなことが政治腐敗の一つの大きな問題になっているという私は基本認識に立っているわけです。  それを変えていくにはどうすればいいか。そうするといろいろあるわけですけれども、一つの考え方として小選挙区制はあるだろう。これが絶対に二大政党制にいくとは限りませんが、二大政党制的なものにはなっていくと思うんですね。  しかし、そこにおいてはいろいろ問題があるわけです。例えば、この間のカナダではありませんけれども、百四十幾つかあったのがわずかに二議席になって、非常に大きくドラスティックに変わる。すると、非常に大きな問題がある。それから、小選挙区制ですと小政党の意思が反映されない、これはあるわけですね。ですから、そういうものをいわば補完する――補完という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、そういう意味比例代表制というのが考えられる。  ですから、そういう意味において基本認識が違えば、これはもうしようがありませんけれども、私は小選挙区制というものを起点に据えて、そして政党本位、そして政策本位で考えていく。しかしながら、そこにおいていろいろ民意を集約できない、これはやっぱり比例代表制を考えていく。そういうようなことで、いろいろその中にも比例代表制の連用制にするとか併用制にするとかいろいろあると思うんです。ですから、先ほど言ったようにこれはベストがないわけで、まず中選挙区制はいろいろ問題があるんだと、じゃその次にどうすればいいか。そこで小選挙区制と比例代表制の並立ということを考えていくべきではないか。    〔委員長退席、理事一井淳治君着席〕 そのときに、どちらにより重点を置くべきか。私は、小選挙区制により重点を置くべきではないかということを申し上げたわけで、これは基本認識が違うともうどうにもならないかと思います。私はそういう基本認識をとっているということを申し上げたいと思います。
  60. 聴濤弘

    聴濤弘君 こういう公述人質疑ですから、御意見を伺いました。  先に別の問題を質問させていただきます。  もう一つ、先生はきょうの意見を述べられる中で政党助成等に関連して数字のこともいろいろおっしゃいましたけれども、政党規定政党というのはこういうものだという規定、こういうものが必要なんじゃないかという趣旨のことをおっしゃいました。それは政党法の考え方につながるんだと思いますが、先生は憲法の上でやはり政党というものの規定があってしかるべきだというお立場のことを述べられたと思うんです。  今、日本でよく学会なんかの議論の中で、憲法政党規定が含まれているという方がむしろ進歩的であるかのよう意見を私はよく読んだりするんですが、中身は別としまして、私は憲法政党というのはこういうものだと規定をするということは、逆に政党の国家化といいますか、そういった方向に行くんじゃないか。むしろ、日本憲法が二十一条で結社の自由ということではっきりと自由を認めている。これこそ本当に政党国民の一定の意思を結集したそういう政党活動の自由というものを保障し得るものだというふうに思うんで、何か憲法政党規定するということが必要なことだということは、逆に今の日本憲法の二十一条に反してくるというふうに私は考えているんですが、先生はその点はいかがでしょうか。
  61. 西修

    公述人西修君) 先生の御意見、そういう考え方も当然あるし、また学会の中にもそういう考え方もあるわけです。これは基本認識の違いになるかと思いますけれども。  しかしながら、現在、この法案について言うならば、政党助成ということで、とにかく一人頭二百五十円ですか、見積もると三百九億円になるということですけれども、一体その根拠はどこにあるんだろうか。国民のやっぱり血税がそこに費やされるわけです。それで、根拠はどこにあるんだと。そうなれば、集会、結社という、どちらかといったら、私とすれば非常に弱い単なる集会、結社にそういう血税を注ぎ込む必要があるんだろうか、こういう疑問が当然出てくると思うんです。  そういう中で現在の政治状況というものを考えると、政党存在というものは不可避になると思いますね、不可避である。やっぱり政党政治です、完全に。であれば、現在の政党政治というものを前提にして、そして先ほど言ったように、政党を規制するというんじゃなくて政党を育成する、そういうふうな法体系をつくって、そうしてその中で政党というものはこういうものですよ、政党はこういきますよ、だからその政党に助成してくださいというような形で国民に納得してもらう、これが筋ではないか。けれども、何か事実関係がこうあって、とにかく政党という概念が何もないのに、政党助成ができたらすぐ二百五十円やってくださいということではちょっと納得がいかないんではないかそれはやっぱり基本というものを考えていくべきではないか、そういうことを先ほどから申し上げたわけでございます。
  62. 聴濤弘

    聴濤弘君 浅野知事にお伺いしたいと思います。  宮城県は、もう天下周知のとおり、昨年、ゼネコン疑惑、汚職で本当に荒れに荒れたわけでございますが、先ほど非常に選挙の棄権率が高い、投票に行かないということも知事が述べられました。それはそういうことが非常に影響していると思うんです。  この問題の根底には、企業・団体献金の問題があると思います。この点で、先ほどの質疑の中で企業・団体献金の問題についての浅野知事の考え方、薄く広くというふうにお述べになりましたので、もうその点は、企業・団体献金そのものについてはそういうお考えを述べられたので私はその点については質問をいたしません。  しかし、まさに宮城県で大問題になりましたゼネコンの問題ですけれども、今、公職選挙法では、国あるいは地方自治体の公共事業を請け負う会社、法人、これは選挙に当たっては献金をしてはならないというふうになっております。    〔理事一井淳治君退席、委員長着席〕 ところが、選挙のときはいけない、しかし一般の政治活動ではいい、こういうことになっている。選挙のときのお金政治活動のお金と、これ一体どこでどう区別するのか、これはもうほぼ不可能なことだと思うんです。まさにゼネコンが、選挙のときにはいけないが普通のときにはいいということで献金をしている。裏があり表があり、いろいろあると思いますけれども、献金をしている。それでこんな大事件が起こっている。  これは選挙のときに限らず、地方公共団体あるいは国からの事業を請け負うというゼネコン、そういう企業、これは選挙のみならず普通の政治活動においても献金を禁止すべきだ、それが宮城県の問題なんかを解決していく一つの大きな道じゃないか、こう考えるんですが、いかがでございましょうか。
  63. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) いわゆるゼネコン汚職ということで宮城県がそういう意味で有名になったことは大変遺憾に思っております。  今御質問の点につきまして、私は、そういったいわゆるゼネコンからの献金の是非ということとは別に、今まさに御指摘になりました選挙期間中とそれ以外のときを分けるというのは、確かに私の経験からいいますと、なかなか分からがたいのではないかということがございます。その意味で、同じ理屈が選挙中もまたそうでないときも適用されるべきではないかこれは一般の県民の常識としてはそちらの方が常識かなという感じはしております。  ただ、これについてはまだ深く考えておりませんので、基本的には一般の県民の方が納得できるそういった形でのお金の流れというものも特にまた宮城県においては必要ではないか、そういうことを深く感じております。
  64. 聴濤弘

    聴濤弘君 矢嶋先生に質問ようと思いましたけれども、時間がなくなりましたので終わります。
  65. 青島幸男

    青島幸男君 皆さん、御苦労さまでございます。  二院クラブの青島幸男と申します。  皆さん方のお話をお伺いしておりますと、早くこの問題を片づけてくれ、国民方々の御要望の重大問題が山積しているではないか、こういうお話でございまして、私もそれは十分納得しているわけでございまして、早くそのようになればいいなと心から念じているところでございます。  しかし、次の選挙からただいま議題になっている法案で、このルールで行われるわけでございますから、最近特に国民方々政治意識が多様化しておりますし、そういう多様化した意識をストレートに議会に反映して民主主義的なルールにのっとった議会が実際できるんだろうかどうかと、そのことを考えなきゃならないわけですね。そうしますと、将来における我が国の民主主義が守れるかどうかということにつきまして、その一点だけについて私は考慮をいたしましてこの法案に実は反対をしているわけです。  その反対の理由を申しますと、この法案は、現有の政党の中から選べということをまず提示しまして、それでほかの新しい勢方の台頭は三%条項とかあるいは五人の議員がいなきゃだめだとか、あるいは新しく三十人を擁立しなきゃだめだとかということで極めて厳しい制限をしているわけです。ですから、新しく今度は出てこられないわけですね。しかも、既存の政党に莫大な国家補助をしようとしているわけです。しかも大政党に厚くということもこれは明白になっておりますね。  ですから、既存の大政党に全く有利で、新しい考え方は出てこないということですけれども、私は、細川さんが決意をなすって日本新党をつくられて四人の参議院議員からスタートなすって今日細川政権を築いてこられたいきさつなどを考慮いたしますと、それを選んだのは、やっぱり最近の実に多様化している国民方々政治信条がそのままあらわれたことだと考えていいんではないかと思っているわけです。  まさに今お話を伺っておりますと、浅野知事の誕生なんというのは私は実にすばらしいと思っています。お話を伺っていて、涙が出るほど感動いたしました。無手勝流に選挙をなすって、個人の情熱と信条、それを県民の方が理解して推してくだすったに違いないと思いますし、私はそういう新しい意欲と情熱がこの多様化した民意を吸い上げて、新しく健全な民主主義を築いていく方向があるに違いないと確信をしておりますから、その道をふさぐというこの法案には反対だという立場をとっておりますので、この考えを皆さん方に申し上げまして、御批判を仰ぐなり御賛同を仰ぐなりしたいと思います。  お三方に順次御発言いただいて、私の質問は終わります。どうぞ。
  66. 西修

    公述人西修君) 基本的な考え方、ごもっともだと思います。まさにそれが民主主義の原点、まさにグラスルーツをどうやって集約していくかというところに尽きると思います。  そういう意味で、そこで制度の方にすぐ結論としていっちゃいますけれども、やっぱりそうするとどうするかということで、ですからこれはこの国会の中で例えばその三%を二%にするとか、あるいは一・五%ぐらいにするとかいろいろあろうかと思います。それはもうやはり先生の御意見を例えば今の法案の修正の中にどういうふうに生かしていくかということに尽きると思います。  ただ、一言だけちょっと申し上げておきますと、私一応政治制度なんかを勉強しておりまして、大切なことはもちろんこの多様化、多様性、これを吸い上げるということと同時に、やっぱり意見の収れん性、集約性、そういったものをまたどうやって吸い上げていくかということも重要な問題だろうと思うんですね。そこに出てくるのが先ほど言ったようにベストじゃなくてベターなものとしての小選挙比例代表制の並立型というような形、制度として出てこざるを得ないんじゃないか。  そこで結論を申し上げますと、やっぱり先生のお考えは今後の修正という形で反映されるように私どもは期待をしている次第でございます。
  67. 浅野史郎

    公述人浅野史郎君) 今回の四法案というのは、先ほど申し上げましたように、かなりその焦点が絞られておるというふうに感じております。私も一応地方の知事という立場で今ここに立っておりますので、その観点から見ますと、地方政治あり方ということについてはまだまだこれから真剣に考えていただくべき点があるのではないかという思いがしておるところは先ほど申し述べたとおりでございます。  今の問題につきましても、国政レベルの問題に焦点が当てられ、しかも衆議院選挙制度の改革ということで、いわば政権交代というものをある程度円滑に、そしてまた安定させながらという、そういった両様難しい問題を選挙制度の中で解決していこうということに中心課題があるように私の立場からは見えてまいります。そういう観点からは、実は私がここで是非を論じるのは立場上いささか問題ありというふうに思っておりますので、これは国会の中で十分に御審議をいただきたいと思っております。  先ほど若干申し上げましたのは、私どものエゴでもございませんけれども、切実な思いといたしましては、百点満点の解決はできなくても次善の策で、ぜひ十分な御審議の中でおまとめいただきたいということ、これを地方の立場から特に強調して申し上げておりますので、それは経緯ないし結果のいかんを問わすという意味ではございませんので、もう一度申し述べさせていただきたいと思います。
  68. 矢嶋三義

    公述人(矢嶋三義君) 青島先生が金丸問題のときに玄関の前でとられた行為に対し、私は名刺を持ってあなたの部屋に敬意を表しに参ったわけですが、通じたかどうかはわかりませんが、青島先生は必要なんですよ、あなたみたいな人は。だから、私はさっき三%というのをやったわけですよね。  それから、私は、根本的に本人の体質に民主主義が育つのかどうか非常に心配しています。本当の民主主義を育てにゃならぬ、育てるのは大変なことです。どうも民主主義よりも全体主義の方が日本人の体質として血の中にあるんじゃないかと非常に心配しているもので、常に心がけていかなければならぬと思うんですね。  それから、政治資金も、茨城と宮城の問題だけじゃないですよ。私は、幾何の問題を解くときの補助線とか、微分方程式を解くときはいろいろ予見してやるわけですが、断言はしませんけれども、濃淡の差こそあれ東京を頂点に日本全国が土建政治行政で覆われているおそれがあるという推定を私はしているんです。だから政治改革なんです。だからといって、政党並びに政治資金団体の企業体からの献金を一遍に切るということはやっぱり私は問題があると思うんですよ。  自民党さんは役職とお金でもってきているわけですよ。今一遍にこれを切っちゃったら陸に上がった魚で、死んでしまいますよ。死なせちゃならないんだよ。自民党というのはなかなかいいところもあって、若い人には立派な人がおりますよ。だから、私は五年間の経過措置に賛成をしたわけです。それで、申し上げましたように、いずれはこれはなくすべきものです。そのために党員をふやして、そして党財政を健全にしていくということが大事だと、かように思うわけです。  青島先生、参議院にはあなたみたいな人、先生みたいな人は必要なんですよ。だから私はそうしたんですが、朝日新聞を見ると、何かこういうふうに参議院としては恥ずかしいことなんだが、相手の懐に手を入れるようなことをやっているとかいうようなことが出ていますが、新聞で見る限り、青島先生の御意向でこの法案が起きるか寝るかということになっているように書いてあるんですね。だから、どうか青島先生、私のお願いですが、この法案を成立させ、そして前進的にあなたの主張を入れて改正していく。二院クラブの皆さん方に一括処理解決に賛成していただいて成立させていただき、次にあなたの御見解をさらに具体的により理想的なものにするように、これはひれ伏してお願い申し上げます。
  69. 青島幸男

    青島幸男君 皆さん方の御趣旨はよくわかりました。  私は、今のこのよう法案がこのまま通れば、そういう多様な政治意識はむしろ抹殺されて、大政党に収れんされて、しかもその大政党が金銭的にも多大な保護を受けて、そして一党が独裁的に長期にわたって肥大した形で頑張るんじゃないか、独裁政治みたいなことになりはしないかということを実は懸念してこの場に立っておりますということだけ皆さん方にお聞きいただきたいと思いまして、質問を終わらせてい。ただきます。  どうも皆様ありがとうございました。委員長、ありがとうございました。(拍手)
  70. 上野雄文

    委員長上野雄文君) これにて公述人に対する質疑は終わりました。  この際、公述人方々に一言お礼を申し上げます。  公述人方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  午後一時四十五分から公聴会を再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十五分開会
  71. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから政治改革に関する特別委員会公聴会を再開いたします。  休憩前に引き続き、六案につきまして、三名の公述人方々から御意見を伺います。  この際、公述人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。  皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の六案審査参考にしたいと存じております。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、まず加藤公述人お願いをいたします。
  72. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) お招きいただきまして、率直に意見を申し上げたいと思います。  私は、政治改革問題について、この国会の大詰めの段階でぜひ決着をつけていただきたいと思うわけでございます。その理由二つございます。  第一には、申すまでもなく、ここ数十年来、政治スキャンダルあるいは政治と金にまつわる不祥事が続きまして、国民政治不信は大変根深いものがございます。政治腐敗の防止をどうするかということにつきましては、さまざまな法的な措置や政治家及び関係者のモラルの向上、あるいは有権者意識改革が必要なことは申すまでもございません。しかし、この五年間にわたる国会内外の論議の結果、やはり選挙制度の改革あるいは政治システムの改革が最も必要だということが大方の共通認識になっていると思うわけです。細川政権発足後、小選挙比例代表並立制ということで共通の土俵ができまして、衆議院で論議を重ね、政府案の修正も行われて当院に送られてきたわけでございます。そして、この参議院におきましても独自の立場から議論されまして、今大詰めの段階を迎えているわけでございます。  この政府案につきましては修正の声が出ております。選挙制度にベストはないとよく言われます。これは裏返せば、議論をすれば切りがないということでもあろうかと思います。今この政治改革関連法案に決着をつけなければ、いつまたこういう政治的なチャンスが来るか見通しが立てにくい状況にあろうかと思います。そうすれば、ますます政治不信が取り返せなくなる、抜本的な政治システムの改革は期待できなくなるというおそれがございます。それが第一の理由でございます。  政治改革関連法案に決着をつけていただきたいという第二の理由は、内外に重要な政治課題が山積している現状において政治の対応が急務であると思うからでございます。  最も緊急を要する課題は、言うまでもなく景気対策でございます。政府の対策の明示、第三次補正予算案の提出、あるいは平成六年度予算案の作成が待たれております。国民はこの景気対策について急いでやってほしいという気持ちを多くの人が持っております。それから、日米間の包括経済協議への対応、あるいは農政の再建、そのほかさまざまありますし、中長期的には税財政の改革、経済の構造の改革、いろいろございます。  今の政治状況を見ておりますと、こうした緊急課題を打開しなきゃいけないのに、この政治改革問題が壁になっているという印象が率直な印象でございます。そのために緊急課題への対応がおくれているのは大変残念であるというふうに思うわけでございます。今、タイムリミットも迫っている現状において、妥協すべき点は妥協し、この問題に一応の決着をつけていただきたい、そういうふうに思うわけでございます。  修正の問題なんですが、この政府案について私も個人的に疑問を持っている点が数点ございますので申し上げたいと思います。  まず第一に、総定数定数配分の問題でございます。  並立制のあり方として、政権の交代と政局、政治の安定、あるいは政党政治の促進という観点が大事であると思いますが、第八次選挙制度審議会も指摘していますように、小選挙区六割、比例代表四割という定数配分が妥当ではないかというふうに思います。総定数につきましても、自民党の案にあります公選法本則の四百七十一が望ましいと思います。政府案衆議院段階で二百七十四、二百二十六というふうに修正されました。私はもう少し小選挙部分がふえた方がいいと思いますが、一応衆議院段階での修正を評価し、この妥協は尊重さるべきであるとも思います。  第二は、比例代表の単位の問題でございます。  政府案全国一単位、これは御承知のよう参議院選の比例選と同一でございます。衆院選の選出議員はできるだけ私は地域に近い方がいいというふうに思っておりますので都道府県単位が望ましいと思いますが、しかし今の社会状況を考えますと、交通網の整備その他によって地方の生活経済圏がブロック単位ぐらいに広がっているという面もございます。それから、府県単位よりはもう少し幅広い人材を求めるという観点に立ては、このブロック単位というのがよいのかなというふうに思うわけでございます。  ただし、今回この選挙制度改革が政府案の線で決着した場合、つまり比例選が全国単位となった場合、その場合は参議院選挙制度の改革も検討を急ぐ必要が迫られるというふうに思うわけです。有権者から見ますと、衆院選も参院選も比例選は全国一本だということになると大変紛らわしいといいますか戸惑いが起きますし、恐らく投票率も下がってくるんじゃないかというふうに思うわけです。さらには二院制への疑問、あるいは参議院無用論まで台頭しかねないという心配がございます。  第三には、政治資金の問題でございます。  政府案が公費による政党助成制度を導入する一方で、企業、団体による献金を政党政治資金管理団体だけに認めて個々の政治家、候補者には一切認めないとしていることは、政治腐敗の防止の原則から理解できますが、いささか疑問が残るということでございます。  その第一は、市町村レベルで政治活動をする首長、議員は非常に無所属が多い。それで、政党に助成される公費が配分されないということでございます。個人による政治献金というものがまだ日本ではそれほど多くを望めないという現状では、この議員、首長の政治資金をどう調達すればいいかという疑問が残ります。  政治資金問題についての二番目の疑問は、政府案に流れている思想は企業献金はすべて悪であるという考え方がうかがわれるわけでございます。確かにこれまで企業献金に絡むスキャンダルが相次いておりますし、法的な改善措置や関係者の自覚が必要であることは申すまでもございません。しかし、企業等の法人はやはり納税する社会的な存在であり政治活動の自由が認められてしかるべきだ、そういう原則は容認されてしかるべきだというふうに思います。  第三点は、これといささか関連しますが、政治資金規制を非常に厳しくし過ぎると、資金集めのパーティーやアングラマネーが横行するという傾向がございます。これは例えば昭和五十年、三木内閣当時に政治資金規正法の改正が行われましたときとその後にそういう現象が起きております。歴史的な教訓であるというふうに思うわけでございます。今回は公費による政党助成が導入されますのでその当時とは事情は異なりますが、こうした教訓は忘れてはならないことだと思うわけです。そういう観点から、政治資金問題の見直しあるいは修正に当たっては、一定限度の透明性あるいは限度額、政治資金管理団体の限定その他を配慮し、個人献金がふえるような措置を講じつつ、一定の経過措置をとることも必要ではないかというふうに思うわけでございます。  そのほか、ちょっと時間がございませんので、あと三点ばかり私見を申し上げておきたいんですが、一票制か二票制がという問題がございます。  これは並立制のもとでは、理論的には政党本位の選挙をやるということの一貫性からすれば一票制の方が筋が通っていると思います。しかし、過去の参議院選挙の例を見てみますと、選挙区選と比例選の間のクロスボーティングはかなり、私どものところの調査では二割前後ありまして、やっぱり有権者都道府県単位の選挙区で選ぶ個人あるいは政党と比例選で選ぶ政党とをバランス感覚でもって変えている面がございます。したがって、現状では二票制が妥当と思います。  それから、いわゆる比例選の排除規定。  これは得票率三%に明確な根拠があるわけではございませんけれども、やはり小党分立による政局の、政治の不安定を避ける観点からすれば余り下げるべきではないというふうに思いますが、これも今御議論なさっていることはよく承知しておりまして、二%程度に下げても別にということもございますが、余り下げるべきではないというふうに思います。  もう一点、戸別訪問でございます。  これは常に選挙運動自由化の問題で議論されてきたことでございますが、やはり今の日本の家庭生活を考えますと、選挙あるいは宗教活動あるいは訪問販売などで家庭のプライバシーを侵されたくないという状況がかなり根強くあると思いますので、解禁は時期尚早ではないかというふうに思うわけでございます。  時間が来ましたので、以上で終わります。(拍手)
  73. 上野雄文

    委員長上野雄文君) どうもありがとうございました。  次に、亀井公述人お願いをいたします。
  74. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 亀井でございます。この特別委員会意見を述べさせていただく機会を与えられまして、大変光栄に存じておる次第でございます。  私が現在関係しております政治改革推進協議会、俗称民間政治臨調と申しておりますが、これは社会経済国民会議という組織を母体にして成立をいたしまして、一昨年の四月から活動を開始してまいりました。社会経済国民会議といいますのは、これは経済界、労働界並びに学識経験者の三者構成による機関でございまして、国民の種々の問題に対する合意形成をやっていこうというシンクタンクであり提言団体でございました。これを基盤にいたしまして一昨年の四月から、政治改革につきまして国民のあらゆる階層の意見を集約して運動を展開してまいった次第でございます。  本日は限られた時間でございますので、この機会に四点だけ私どもの所感と要望事項を申し上げたいと存じます。  まず第一点は、政治改革の問題をこの国会の会期中にぜひとも成立をしていただきたいということでございます。  本年のもう一月二十九日という会期末が迫っておりまして、政治改革の問題もいよいよ九合目に達した、これから胸突き八丁という段階にあるように思われるのでございますけれども、衆議院選挙制度の抜本的な改革、政治資金制度の改革と腐敗防止、公的助成の導入を柱とする政治改革法案は、海部内閣、宮澤内閣、細川内閣と六年越しの三度目の挑戦でございまして、今度こそ今国会でぜひとも成立をさせていただきたいというふうに思います。これは国民の強い要望であり、またこの国民の要望におこたえになることが与野党とも政治家諸公の連帯責任ではないかというふうに私は考えております。  第二点は、この政治改革一つの大きな意義でございます。  現在、御承知のように東西冷戦構造が崩壊をいたしまして、国内においては保革の対立という五五年体制の政治構造も変わってきたわけでございまして、内外ともに大きな歴史的転換点にあると言わざるを得ないと思います。今、日本政治は内外に山積する課題を前にいたしまして立ち往生しておるというふうな感じを私どもは持つわけでございます。本来、こうした課題に直面する前に片づけておくはずであった政治改革が今日までおくれにおくれ、政治の側に解決するための体制づくりができないまま難問が次々と降りかかっているのが現在の姿ではないかというふうに思われます。  例えば、一刻の猶予も許されないという景気対策がございます。景気対策をできるだけ急いでほしいというのは国民の切なる願いでございますけれども、しかし、そもそも今回の不況といいますものは、成長期の循環型不況というのではなく、日本の社会に根差しておる構造的な不況と言わざるを得ないと思います。経済構造や行政の基本的な転換を図るためには、それを決断し実行に移す政治の見通しとリーダーシップが今ほど大事なときはないと思われます。そこに政治改革は急がねばならない最大の理由があるのではないかというふうに私は思います。与野党ともいま一度政治改革をなすべき本質的な理由、急がねばならぬ理由というものについて大きな道筋を思い出していただきたいというふうに思います。  第三点は、もしここで政治改革が成立できなかった場合にどうなるかという問題でございます。  そうなりますと、三遍挫折をした、海部内閣、宮澤内閣、そして今回の細川内閣。今世紀中に恐らく再び政治改革を論じ、また改革を断行するという機会が失われるんではないかというふうな私どもは危惧をいたします。そうなりますと、日本の国際的な信用というものは致命的な打撃を受けるのではないか。これは、日本政治改革をやるかどうかということは世界が注目しておるところでございます。  昨年の夏、私はシンガポールへ参りましたときに、シンガポールの高官から、西にイタリー束に日本、一体おたくのスキャンダルとかはどうなるんですかと言われてじくじたる思いをいたしました。しかし、イタリーの方は半年ぐらいで政治改革を断行した、それだけの実行力がある。日本はとにかく五年、六年たってもできない。こういうことは大変不幸なことでございまして、国民的な政治の不信というものはさらに高まりまして、恐らく経済構造の改革というふうなことも不可能になってくるのではないか。  そうすると、自己改革能力も課題に向かって前進する能力も欠如した政治の姿、そうなりましたら、当面いろいろ起こるであろう規制緩和の問題、あるいは地方分権の推進、あるいは中央省庁の機構改革などの抜本的な改革というものはこの政治の大きな壁を突き破らない限り断行できない。したがって、二十一世紀の日本というものは非常に暗いものになるのではないかということを危惧いたします。  第四点は、自民党さんに対してお願いでございます。  この衆議院の中選挙制度あるいは政治資金、腐敗防止等抜本的改革をやろうと言われたのは自民党さんでございます。これは竹下内閣のときに政治スキャンダルが起こりまして、そして六十三年の十二月に政治改革をやろうという方針を決められて、そして平成元年の一月から数カ月、竹下首相のもとに政治改革に関する有識者会議というものが開催されて、我々も参画をいたしました。それから引き続いて第八次選挙制度審議会、ここにも私は参画をいたしましていろいろ議論を求めました。そうして、海部内閣のときに三法案が提案された。そのときには、立場が変わりまして現在の与党に属する方は野党で、こぞって反対をされたんです。しかし、六年の歳月を経まして、現在はその立場が逆転されましたときにどうなっておるかということになりますと、むしろ逆転の格好であります。  今、国会で審議されております政治改革法案というのは、かつて自民党が海部内閣時代に提出された法案と余り変わったものではない、本質的には同様である、双子の子供と言ってもいいぐらいなふうに私には思われます。これを自民党がいろいろな問題点を列挙されてなかなか審議が進まないという状態は、国民からすると非常に不信感が出ておるのではないかというふうに思います。政府案自民党案の主張の差というものは決してこれは埋められぬものではないと思います。  とにかく、小選挙比例代表制という根幹の部分においては一致しておられる。今、加藤先生が指摘されたようないろいろの問題点がございます。しかし、これは話し合いをすればある程度解決できる問題ではないかというふうに恐らく国民も理解をしておるんではないか。一日も早く政治改革法案というものを成立させていただきたい。もちろんいろいろ修正点がありますのであれば、もう時間が切迫しておりますから、とにかく小選挙比例代表制という骨幹あるいは政治腐敗防止をやる、政治資金の問題とか基本のところをお決めになって、細かい点は両方でいろいろと案を持ち寄られて修正点を明記して、通常国会の場でもう一遍そこで妥協して成立をされるという方法もあるんではないかというふうに思います、  私はここに持ってまいりましたが、平成元年五月に自民党さんで非常に審議をされた政治改革大綱というのが私は実によくできておると思います。この中に特にこういうことを言われております。   もとより、永年続いた制度の改革はけっしてやさしくはない。しかし、国民政治にたいする信頼を回復するためには、いまこそ自らの出血と犠牲を覚悟して、国民政治家の良心と責任感をしめすときである。 と、こういうことを非常に明言しておられる。これをぜひともひとつお考えをいただきたいというふうに思います。  実は、先週の末に自民党の若手議員二十数名の方々政治改革を推進するための炎の会というのを結成されました。そして先週の金曜日に私のところへ来られまして、ぜひとも民間臨調としてもうひとつプッシュしてほしい、細川首相と河野総裁のリーダーシップと決断によって何とかここで改革の実を上げてほしい、こういう御要望がございまして、私はその熱意に打たれたのであります。  この二十一名の方々の炎の会の設立趣意書を少し時間をいただきまして読み上げて御参考に供したいと思いますが、こういうことを言っておられます。   我々は平成元年自民党の政治改革大網決定以来、一貴してその理念の下に政治改革を成就させる為、私心を棄てて行動をしてきたところである。   しかしながらその改革案は、海部内閣おいては審議未了廃案、宮沢内閣においては解散に伴い党分裂廃案、そして三度目にしてようやく参議院に送付され、現在審議の過程にある。この法案は先に我が党においても党議決定された小選挙比例代表並立制を骨格とすること等その基本において我が党の政治改革大綱の理念に沿うものである。   我々は三度の失敗を許してはならないとの決意の下、参議院での議論や与野党の合意にむけた努力を経て、長年の懸案であるこの政治改革法案を成立させ、ひいては二十一世紀の日本を担い得る政党政治の確立を目指してここに決起するものである。  これだけ自民党さんなどの若い方々、特に二十一世紀の日本を背負う政治家の方が真剣に日本の将来のために政治改革が必要であるということをお考え、真剣に行動を起こされようとしております。この際、どうかひとつ小異を捨てて大同につくという大局的な解決をこの国会においてぜひお願いをしたいと申したい。  現在、国民は深刻な不況の継続ということで暗い感じがあります。あるいは国際問題にいろいろ振り回されて暗い感じがありますが、政治改革も一体どうなっておるんだろうかというふうな意見が大いにあります。  ここで政治改革というのは、とにかく六十何年続いてきた衆議院の中選挙区制という制度を変えて気分一新をするということがやはり景気の回復ということにも大いに役に立つんではないか、そういうふうな重要な段階にあるということを御認識いただきまして、ぜひとも私どもの願いをお聞き届けいただきたいというふうに思う次第でございます。  簡単でございますが、四点の御要望を申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  75. 上野雄文

    委員長上野雄文君) どうもありがとうございました。  次に、右崎公述人お願いいたします。
  76. 右崎正博

    公述人右崎正博君) 私は、都留文科大学で憲法を担当しています右崎といいます。  本日は、こういう席で私見を述べさせていただくことを大変光栄に存じております。しかしながら、私は、現在連立与党の提案に保っている政治改革法案に対してはいささか疑問を持つ、そういう立場から意見を述べさせていただきたいと思います。  もともと政治改革の課題は、たび重なる汚職、腐敗事件の反省を踏まえて、政治腐敗の根絶と政治資金の浄化を求める国民の世論にどうこたえるか、そういうものであったはずです。それがいつの間にか衆議院選挙への小選挙比例代表制の導入とか政党への多額の公費助成の問題に焦点が移しかえられてきました。このような方向での政治改革論議のあり方にも疑問を持っています。  昨年の九月五日の朝日新聞の世論調査によりますと、「政治改革の中で一番注目しているのは、どんなことですか。」という問いに対しまして、政治資金の流れの透明化、企業・団体献金の禁止、選挙違反の連座制など罰則の強化、この三つを挙げた人が合わせて七二%に上ります。しかしながら、選挙制度の改革を挙げた人は一八%、政党への公費助成を挙げた人はわずか四%にとどまっています。こういう世論の動向にもかかわらず選挙制度改革と政党公費助成の導入を図ろうとすることは、世論の期待を裏切るものではないでしょうか。  国民の期待に真剣にこたえようとするのであれば、政治腐敗の原因をきちんと解明し、再び汚職、腐敗行為が生じないような必要な手だてを尽くすことこそが国民から権力を付託され、国権の最高機関とされている国会が第一に取り組むべき課題であると考えます。  そのような課題にこたえるためには、政治腐敗の温床となってきたことがだれの目にも明らかな企業・団体献金の禁止を法律によって明確にすることを中心として、政治資金の透明性の確保、違反行為に対する罰則の強化などを含む政治資金規正法の徹底強化がまず必要だと思います。あわせて、政治への信頼の確保を取り戻すために、政治資金の私的流用や公私混同を防止し政治倫理の確立に資するよう政治倫理制度の確立と公人の資産公開制度の徹底が必要であるというふうに考えています。  ところが、ゼネコン汚職がこのように大きな広がりを見せ、大手建設会社の中枢にまで摘発が及んでいるにもかかわらず、その真相を解明する努力が十分になされているとは思えません。これらの事件の背後には違法な企業献金があり、それを可能にしている法制度上の不備が存在することは明らかですが、連立与党の政治改革法案では汚職、腐敗の温床となってきた企業・団体献金を依然として容認するなど必要な手だてが十分に講じられているとは思えません。  国会法に政治倫理に関する規定は設けられましたが、行為規範の定めは余りにも抽象的で実効を欠くものになっています。政治倫理審査会も十分に機能するものにはなっていません。ロッキード事件以後、リクルート、佐川、共和、金丸事件など非常に不明朗な政治資金にまつわる事件が幾つも明るみに出ているわけですが、政治倫理審査会は一度も開かれないまま開店休業の状態が続いています。国会議員の資産公開法は確かに制定されましたが、提出された資産報告書を審査する十分な機関あるいは手続も備わっていません。重大な欠陥が残されていると思います。  この際、政治資金規正法を強化し、政治倫理制度、資産公開制度を徹底し、現行法の不備を是正することこそ世論の期待にこたえることになるというふうに確信しております。  さて、連立与党の提案に係る政治改革法案の中心をなしている小選挙比例代表並立制の問題点についてですが、その小選挙比例代表並立制は、小選挙選挙比例代表選挙への議席配分に端的に見られますように、一選挙区で一人の議員だけを選出する小選挙区を中心とする選挙制度になっています。この小選挙区制のもとでは、一般的に見て投票の六割ないし七割が議席に結びつかないいわゆる死票になると言われており、民意を極端に反映しにくくなるという欠陥があります。この小選挙比例代表並立制も、民意の集約の名のもとに大量の死票を生み出し、国民の多様な意見を排除して民意を切り捨てる選挙制度になりかねないのではないかという危惧を持っています。  日本憲法では、前文で日本国民は正当に選挙された代表者を通じて行動すると宣言し、四十二条で国会の「両議院は、全国民代表する選挙された議員でこれを組織する。」と述べています。日本憲法におけるこの国民代表規定について、憲法学の通説ではそれが社会学的代表制を意味するものと解されてきています。社会学的代表制とは、国会は実在する民意を縮図的に反映するものでなければならない、そういう考え方です。国民代表意味をそのようにとらえることによって、国会は国権の最高機関であるという憲法四十一条の規定が生きてくるわけです。したがって、民意の反映というよりも民意の集約を第一義とする小選挙区制は、日本憲法国民代表の観念に十分適合しないのではないかという疑問が残ります。  小選挙区制導入の理由一つとして、民意の集約を通して政権の選択が可能となり強力な政府をつくることができるということが言われます。しかし、そのような主張に立ちますと、多様な民意の存在はそれ自体が政治の不安定要因とみなされることになりますから、どうしても排除の対象とされてしまいます。それが民意集約論、政権選択論のもう一つの側面であると思うわけですが、このような主張が日本憲法における国民代表の観念と接合しないこともまた明らかであると言っていいのではないかと思います。  このような小選挙区制に伴う欠陥を補うためとされる比例代表選挙も、連立与党案によれば、直近の国政選挙で三%以上の票を得たか、あるいは一人六百万円の供託金を払って三十人以上の候補者を立てられる政党だけにしか候補者の擁立を認めず、しかも、選挙の結果、同じく三%以上の票を獲得しなければ議席の配分を受けられないとされているなど、小選挙区制の欠陥を補うどころか、それ自体が民意排除の仕組みになっているのではないかというふうに思っています。  現代社会においては、一般的に言いましても人々の価値観は次第に多様化する方向にあると言えます。このように民意が多様化する現代社会においてその多様な民意を反映しにくいよう選挙制度をとるということは、現代の政治あり方として非常に大きな欠陥を持っているというふうに言わなければならないと思います。  次に、政党への公費助成制度の導入についての問題ですが、六百十八億円から四百十四億円、そして三百九億円へという助成総額の変更にどのような根拠があるのか、納税者の一人としてもまず疑問があります。そのような助成額の算定根拠が明確でないとするならば、公費助成制度そのものの合理性を疑わせると言わなければなりません。また、その助成金の配分の基準が国会議員数と国政選挙での得票により、しかも国政選挙での得票率三%の受給要件を設定しているという点では、比較多数政党に極めて有利なものであって、少数政党を差別するものとして憲法十四条の法のもとの平等の保障に抵触する疑いがあります。  このような助成制度は、既成の多数政党による政治の独占を招き、少数意見に支えられる小政党政治への参加を阻害し、少数意見の国政への反映を妨げるおそれがあり、既存の政治勢力の分布を固定化し、かえって政治的変化を妨げる働きさえする可能性があるというふうに考えられます。  また、助成の基金の調達を国の一般財源に求めているという点では、納税者である国民が自己の支持しない政党に対しても献金を間接的に強制されることになりますから、憲法によって保障された国民の思想、言論、結社の自由、政党支持の自由に抵触する疑いがあると考えています。  この点に関しましては、政党助成を民主主義のコストであるという主張があります。確かに民主主義は素人による政治ですから、それを維持していくために相当な時間やコストがかかることは事実と言えます。その意味で、民主主義のコスト論に全く理由がないとは言えないと思います。しかし、民主主義の維持運営に必要な費用であればこそその費用の調達の方法や支出の方法が民主主義の原理にかなうような仕方をとることが必要だというふうに思われます。そうでなければ、民主主義を維持し運営する費用が逆に民主主義の原理を破壊するものになりかねないと考えるからです。  アメリカでは、この基金の調達に際して、連邦所得税から一ドルないし二ドルをチェックオフしてそれを基金に積み立てる、それを財源に充てるという方法がとられています。また、アメリカやドイツでは、政党政治活動一般に対して助成するというのではなくて、候補者選挙活動に対して助成するという限定を持っています。さらに、アメリカの予備選挙段階の補助ではマッチングペイメントシステムというのをとっていまして、候補者がみずから集めた個人寄附の額と同等額を補助するという方式をとっています。最近、ドイツでも政党が調達した資金額に応じて助成しようというペアシステムが提言されていると聞いています。  これらの方式は、個人の自発性を促し、政党の自主的な活力を引き出すという点で非常にすぐれているというふうに私は考えていますが、こういう方式をとらないで一般財源から三百九億円もの多額の助成金を政党の一般的な政治活動に助成するという方式はやや乱暴に過ぎるのではないかというふうに考えています。  以上のように、私は幾つかの点で現在提案されている政治改革法案に対しては疑問を持っているということを申し述べて私の意見陳述を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  77. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  78. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 私は自由民主党所属の鈴木貞敏と申します。  きょうは公述人の方、本当にありがとうございます。大変貴重な御意見を聞かせていただきました。ようやく中央公聴会ということで、衆議院は二日、そしてまた地方公聴会も二日と四日間やった、こういうことでございますが、参議院はきょう一日の中央公聴会というのは今の段階でのスケジュール、こう聞いているわけでございますが、この中央公聴会においてのそれぞれの先生方の本当に貴重なる御意見、まことにありがたく拝聴いたしました。  先ほど亀井先生からもお話がございましたイタリーの例が、西のイタリーと東の日本ということであったわけでございますが、けさの新聞を見ますと、イタリーも比例から小選挙に変えた、そして解散ということで三月選挙があるというふうな記事が載っておりました。この結果、果たしてどうなるのか、その反映と集約、そういった面を含めましてまた一つのケースになるんだろうな、こういうことで注目されるわけでございます。  さらにまた、昨年の十二月でございますか、ロシアで総選挙がございました。あれは二百五十対二百五十、日本の今の政府案ような並立制である、こういうことを聞いておったわけでございますが、あの選挙の結果、ジリノフスキーというんですか、まことにファシスト的右翼的人物が出て大変話題になっておるというふうなこと。  そんなことを考えまして、この選挙制度というのはなかなかお国柄お国柄それぞれ違うということ、そして我が日本においてもまさに日本的風土の中でこれをいかにいいものにしていくかということだろうと思うわけでございます。私も和魂漢才とか和魂洋才とか、そういう言葉を中学校時代習いながら一生懸命ヨーロッパの知識を詰め込むということでございますが、この選挙制度は和魂和才で日本人になじんだ、風土になじんだ、そして守られる、そして民主主義を本当に完熟したものにしていく、そういった制度でひとつありたい。  なおまた、今回のあれは衆議院が主体でございますが、衆議院選挙はもうすべてにかかわっているわけでございまして、まさに参議院選と裏腹の問題でもある、そしてまた地方政治にも大変なこれ全部及ぶということでございますから、我々受け取った参議院としては本当に初めてでございますので人ごとでない、やはり日本の将来の土俵づくり、あるいはまた地方政治参議院を含めたそういう枠の中で真剣に考えていかなくちゃならぬ、こんな気持ちで日々の審議に臨んでおるというふうな私個人の感懐でございます。  そういう中で、いろいろ御意見を伺いましたけれども、多岐にわたりそれぞれのお立場もあるわけでございますが、私は、公聴会という、国会法に基づいて、予算はもとよりでございますが、重要な項目については公聴会を開かなくちゃならぬということでございますが、きょうたった一日の中央公聴会でございますが、亀井先生は衆議院の方でも公述人として出られたというふうに私理解いたしますけれども、それぞれきょう貴重な御意見を伺った先生方、この国会における公聴会のあり方ということについて、きょうお臨みになっての御感想、そういったものを簡単に御三方にお伺いできれば幸いでございます。
  79. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 公聴会につきましては法律上の規定もございますことは承知しておりますが、私は正直に言いまして、二十年ぐらい前に取材席におりましてこういう公聴会の取材もしたことございます。  今、初めてお招きいただきまして、今度私の意見を述べる方の立場になった印象ですが、これから先生方から御質問をいただいて、率直に所信といいますか考えているところをお話ししたいと思います。  公聴会というのは地方でもやりますが、多くの人から意見を聞くというそれ自体は大変結構なことでございまして、できればそれは日数をたくさんとってやった方がいいと思うんですが、これもある程度限界があるのかなというふうに思います。やはり民主政治というのは多くの人の意見をくみ上げていただいて、そして議員の皆さんに御議論いただくということが一番いいわけでございますから、こういう制度は大変重要な制度であるというふうに認識しております。
  80. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) ただいま鈴木先生御指摘のように、私、衆議院特別委員会でも公述人として意見を述べさせていただきました。  私が理解する限りにおいては、こういう大きな問題をやるときには必ず中央と地方の公聴会をやって、その後で国会議員方々が決断をされるということでございまして、私どもはあくまでも参考意見ということを申し上げる立場にあろうかと思います。実際の政治なり決断をされるのは諸公、先生でございます。そういう意味で、こういう機会に出て、衆議院の場合にもいろいろ質問をちょうだいいたしました。そうしますと、やはりそういう見方もあるのかなということで私自身が大変な勉強になった次第でございますが、しかしその逆に、今度は我々民間の意見というものを、こういう意見があるんだということをおくみ取りいただきまして、これは感情でございますが、なるべくひとつ早急に御決断をいただきたい、そういうふうに思う次第でございます。
  81. 右崎正博

    公述人右崎正博君) 私も基本的には同じように考えております。公聴会というのは代議制民主主義を補うある種の直接民主制的なシステムではないか、民主主義を生かしていくために非常に貴重な制度であるというふうに考えています。  しかしながら、公聴会で述べられた公述人参考意見が結果として十分尊重されているかどうか、十分に組み入れられているかどうかという点については多少の疑問も持っています。といいますのは、例えば本日中央公聴会、明日地方公聴会、日程が設定された段階ですぐに最終的な委員会での議決、本会議での議決というようなことが取りざたされておりまして、結論が先に出ていて、ただ体裁を整えるためだけに公聴会を開いているのではないかという指摘も新聞などでなされていますので、そういうそしりを受けないようにぜひ真剣に我々の意見をおくみ取りいただきたいというふうにお願い申し上げます。
  82. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 ありがとうございます。  各先生方にそれぞれちょっとお伺いしたいと思います。  まず加藤公述人にお伺いしたいんですが、マスコミでの大変な重職にあられまして、いろいろ記事をお書きになったり、いろいろされていると思うわけでございます。  きょうお話しのらち外になりますけれども、私も二回選挙経験があるわけでございますが、あるいはそれぞれの各級の選挙において、新聞の選挙予想記事といいますかこれについては極めて大きな関心を持つわけでございます。筆先一つでこっちが優勢とすれば雪崩を打ったようにそっちへ行くんじゃないかとか、いろいろのことも言われているわけでございまして、投票日の近くになれば新聞の一文字一文字に神経を走らせる、こういうふうな実態があるわけでございます。  そういう意味で、選挙制度を含めた政界の方向について深い関心、御知識のある先生の、その辺の選挙予想報道、こういったものについてのひとつお考えをお伺いしたいということでございます。  それから、亀井先生でございますが、もう大分前でございますが、連用制ということを亀井先生の民間政治臨調でございますか、発表されて、大変いろいろ話題になったところでございます。私の記憶では、ハンディキャップ論的なあれで、大きな政党が小さい政党に譲って、比例の方でひとつセーブしようというふうなことを含めて、あの際は三百対二百、いわゆる六、四というあれで、小選挙区は三百というのが極めてこれは重い意味があるというふうなことをあの当時見た記憶がございます。  恐らく憲法論でいう一票の価値、いわゆる二対一以内というあの線からいけば三百という数字は譲れない数だと、非常に意味が重いんだよというようなことを、連用制の際は六対四、三百、二百ということであったと思いますが、その辺の件につきまして今回のあれでは、まあその数の問題、総数の問題を含めて配分の問題が大変その根幹部分とか言われているわけでございますが、運用制のあの当時の考え方からして、比例と小選挙区の配分のその辺の合理性といいますかその辺をお伺いできればありがたいと思います。  それから、右崎先生でございますが、外国の例もお伺いいたしました。私も大変外国の知識は浅いわけでございますけれども、アメリカでございますが、アメリカは企業献金はもう法律で禁止されておる、こういうふうなことも聞くわけでございますが、また一面、政治活動委員会、PACですか、PACとかその他いろいろの、独立支出とかなんとかいろいろの名目で、やっぱり企業はそれぞれ自発的に金を集めて、それで選挙運動なりに支援しておる。実態は、事実上は、法律で禁止しておっても、やはり後で手当てできるようなシステムがちゃんとでき上がっているんじゃないか。  非常に浅薄な私の知識でございますが、そんなどうもあれを持つわけでございまして、企業献金が悪であるというふうなあれから個人にはもうシャットアウトというふうなことになっているわけでございますが、その辺、企業献金というもののアメリカの、相当歴史的な背景があろうと思いますが、簡単で結構でございますが、そうじゃないというのか、いや、そういうもので事実上カバーされているというのかをひとつお教えいただきたいと思います。
  83. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 選挙予測でございますが、我々報道機関としては、選挙情勢調査を行いまして、我々の読者ひいては有権者選挙情勢の大きなトレンドといいますか流れというものを知らせる義務があるというふうに自覚しております。  それで、確かに実際に選挙活動に携わっておられる方、つまり候補者関係者の皆さんから大変マスコミの選挙予測が影響力が大きい、当落に直結するという御指摘は常々伺っております。それだけに我々はこの報道を慎重にしなければいけない、責任が重いと。候補者の生存にかかわる問題でございます。  それで我々は、この選挙情勢調査につきましては、精度を高めるべく、私自身読売新聞の選挙を担当する世論調査室長を三年やりましてその精度を高める研究を随分しまして、ちょうど昭和五十四年、大平内閣のときの秋の選挙で大変多くのマスコミが見通しを誤った経験がございまして、大変おしかりを有権者の皆さんからも受けまして、責任者として紙面でおわびをし、精度を高めるべく努力するとお誓いしたわけでございまして、紙面の扱いも、例えばその調査の結果、何党が幾つぐらいの議席をとる、あるいはプラス・マイナス幾つといういわゆるボックスというものを一面に出した、これを五十五年のダブル選挙からのときからやめました。そして、トレンドだけは出す、大きな衆議院選挙あるいは参議院、あのときはダブルでしたから、フロントの面にはマクロの有権者の支持動向を出す。  それから、個々の選挙区についての情勢調査につきましても、大きな見出しあるいは決定的な表現は使うな、つまり○○候補が独走とか楽勝とか、そういう表現は一切控えろということで自制しました。そういう報道の姿勢は今もって貫いておるつもりでございます。  それで、一つ言えますことは、中選挙区制というのは予測する上で非常に狂うことがございます。といいますのは、複数定数でございますので、例えば態度保留者が都市部などでは五割ぐらいいる。つまり、投票日の大体一週間前、七、八日前にやりますので態度未定者がいます。この人たちがどう動くかで随分変わりますし、その態度未定者の動きによって当選ラインにある人が陣営が緩んで、下位にある陣営が非常に引き締まって追い上げるというようなことがございます。  そういう意味のアナウンスメントエフェクトというのがあることは事実でございまして、昨年夏の総選挙においても、アナウンスメントが有権者の投票に余り影響のないように紙面発表を一日でも前にしろと私は言いまして、それで影響が少ないようにと。つまり、一度自民党の政治改革の先生方が新聞協会へ来られまして、直前の新聞報道というのは非常に影響が大きいということを申し入れられたこともございまして、そういうこともございまして、そういう影響力を少しでも減らそうとか、そういう決定的な表現を使うなとか、そういう自制はしております。  逆に、今度は小選挙区で定数一、そういう形になりますが、知事選とか市長選の場合においては私の記憶する限りにおいては読売新聞の予測が狂ったことはございません。定数一というのは、バンドワゴンエフェクト、つまり勝ち馬乗りというのが働きまして、中選挙区に見られるようなアンダードッグエフェクト、つまり判官びいき、こういう効果が出にくいんですね。ですから、定数一の場合は狂ったことがございませんし、比例選の場合も大体政党支持率とパラレルに出る、それほど調査自体の精度は高まっているというふうに思います。  責任の大きさは自覚しながら、自制しながら報道していきたいと思います。
  84. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 選挙制度は、世界的に大別いたしますと比例代表制と小選挙区制というふうに大体大きく分かれるかと存じますが、私ども考えましたのは、この中選挙区制というのが大正十四年以来七十年近くやって大変な制度疲労を来してしまったんではないだろうか。どんないい制度でも長年やっておりますとむしろいろいろ弊害が出てくるということで、一昨年の十一月に政治臨調といたしまして国民集会をやりました。国会議員の方にも多数御出席をいただきまして、二百人近い国会議員の方が中選挙区廃止宣言ということに署名をされました。  そこで、中選挙区をやめて、そして新しい制度に変えようという機運はできたということでありまして、当時の与党である自民党さんの案では小選挙区制一本という案でございました。それから、野党の連合の案は大体が併用制といいますか、ドイツの制度ような、これは言葉をかえますと実際は比例代表よう制度を出されてきたんです。  それで、昨年の春ごろに、どちらもが譲らないということでどうにもこれでは進まないというので、我々民間臨調で考えました。  中選挙区制をやめようということは与野党とも一致をしておられる。しかもやめるについて新しい小選挙区制を導入しようということでも一致をされておる。ただ、野党の方は比例代表制をそれにつけ加えて、これはフィフティー・フィフティーの案だったと思いますが、出しておられる。自民党さんの方は小選挙区だけ一本ということでありますから、小選挙区を導入するということでは一致されておるけれども、比例代表を加味するかどうかということで不一致の点がある。そこで、ここで何とか妥協ができないかということの知恵を、専門家の方々意見を聞きまして、小選挙区にプラス連用的な比例代表制比例代表につきましては、小選挙区で票に勝ったところは比例代表の方ではある程度譲ってあげて、弱い政党の方にプラスになる、こういう制度はどうだろうかと。  これは何も思いつきではございませんで、イギリスで小選挙区制を議論されて研究したとき、ハンサード委員会というのでこういうふうなアディショナル・メンバー・システムというものを一つの案として公表されたのもありまして、そういうものを参考にして、これで何とかお話し合いができませんかという提言をしたわけでございまして、あの連用制そのものをどうということではございませんが、ただ、それがたまたまきっかけになりまして、野党の方が連用制の修正案を、しかし自民党さんは最後まで小選挙区制を譲らずということで、結局、不信任案、解散と、こういう我々予想もしない結果になったということでございます。  そこで、私どもといたしまして、選挙制度というのは、一つは、さっきも言いましたが、小選挙では死に票があるじゃないか。逆に言えば、今度は政権交代の可能性がある。しかも、狭い範囲から選びますから、監視もきいて腐敗も起こしにくい、いろいろ長所もございます。そういう意味で、私どもは選挙制度審議会で議論をしましたときにも、大体が小選挙区制を中心にいたしまして、それにこれだけ価値観多様化の社会においては、そういう少数意見の反映ということで比例代表制を加味したらどうかということで、六対四、こういう案に選挙制度審議会の結論はなりまして、海部内閣法案はそうなっておったと思います。  ただ、今回、前の野党の方が八党派の連立政権になられまして、いろいろその派の中での集合意見を見ると、二百五十、二百五十ということで出しておられますが、私個人の考え方としては、やはり小選挙区というものを重点に置いて、そして比例代表制である程度民意の反映というものを加味するというシステムがいいということで考えております。  そういうことで、最初二百五十、二百五十でございましたけれども、与党案としては、その二百五十から一割譲るというところまできて、何とか妥協の道ということに現状はなっておるというふうに私どもは理解しておりますが、何とかその辺の数字の問題もお話し合いで解決の道がないかということを希望しております。  以上でございます。
  85. 右崎正博

    公述人右崎正博君) アメリカでの企業献金の扱いについての御質問でした。  アメリカでは、一九〇七年に企業献金が禁止されて今日に至っています。一九四七年になりましてから、労組による寄附も禁止され、今日では企業、労組の献金とも全面的に許されていないということです。そのほか、日本と同じように質的な規制、量的な規制を置いています。  例えば、外国の企業あるいは外国人から選挙資金の寄附を受けてはいけない、これは質的な規制ということになります。そのほか選挙ごとにあるいは一暦年中に個人政治活動委員会やその他の団体が寄附できる上限額というのが定められているわけです。アメリカの場合、非常にこれが実効的であるというのは、大変厳しい罰則を設けておりまして、法律に違反する違法献金がなされた場合、それをした者も受け取った側もまた選挙資金の報告書に虚偽の記載等をした場合も同じ罰則が規定されていますが、いずれも一年以下の禁錮または運法献金額の三倍という限度、三〇〇%という限度を罰金として科しています。  ですから、例えば五億円の違法献金を受け取って、それを親しい政治家に渡して、しかも政治資金として報告を怠ったということになりますと、三つの違反行為が重なりますから最高禁錮三年以下、罰金にしますと四十五億円以下というふうになっているわけです。ですから、違反を承知で違法な献金が授受されるということは政治家にとっては大変なリスクを伴うということです。それが違法献金の授受に非常に実効的な意味を持っているというふうに思っています。  それから、PACや独立支出の問題ですが、PACといいますのは個別分離基金あるいは政治活動委員会という名前で呼ばれているもので、企業であっても労組であっても、企業や労組とは別にPACを組織すればそれを通して寄附をすることが認められているというので、これは形を変えた企業献金ではないか、労組献金ではないかとしばしば言われるわけです。  当初、一九七一年の法律によって個別分離基金、つまりPACの存立が認められたわけですが、当初はそういう実態存在したようです。しかし、その後PACの活動に対してはかなり厳しい規制がなされるようになってきていまして、今日ではPACが寄附を集める集め方、支出する場合の支出の仕方等々かなり厳しい制限が設けられていますので、企業の会計からそのままPACを通して献金がなされるということはありません。あくまでPACを支える個人の自発的な寄附によっているということなんですね。  ですから、例えば会社の役員とか管理者あるいは株主等が主体になって会社の名前をつけたPACを設立することはできます。しかし、その寄附を集める場合に役員や株主及びその家族に対しては寄附を呼びかけることができますが、一般の従業員に対して寄附を呼びかけることは非常に制限されています。  かつては寄附をするのと引きかえに特別の手当を出してそれで補てんをした、事実上個人献金を企業が肩がわりしたというような事実もあったようですが、今日ではそのような形をとりますと、それは個人の所得とみなされます。課税の対象になりますから、そのようなやり方は抜け穴としてふさがれているというふうに理解しています。それから、個人の自発的な寄附とみなされますから、一回の選挙について寄附できる制限額、一年間に寄附できる寄附の上限額というものに当然服することになります。  また、実はPACは一つの企業に幾つも設立することは禁止されていません。しかし、同じ企業が幾つものPACを設立した場合には、それらはすべて一つの組織とみなされて、それを通して行われる寄附等については合算して量的な規制に服するという形をとっていますので、この点でも抜け道はかなりふさがれているのではないかというふうに考えています。  それから最後に、独立支出についてなんですが、独立支出は候補者とつながらない限り寄附とはみなされませんので、何人にも許されています。一九七四年のウォーターゲート事件の後、選挙法改正の中でそれを制限する規定がつくられたわけですが、すぐ違憲訴訟が提起されまして、憲法違反であるという判決が連邦最高裁によって下っています。七六年の判決ですが、その判決を受けて連邦議会はその制限を取り除きました。しかし、その性格上候補者とつながらない形で支出ができない政党とか候補者を支援するためのPAC、それから企業や労組等には独立支出は認められていません。独立支出は個人の言論の自由の問題としてみなされていますので規制はされていません。
  86. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 ありがとうございます。  今、アメリカのあれで大変御丁重なるお答えをいただいたわけでございますが、この企業献金、個人献金、いろいろの考え方があるわけでございますが、今のアメリカの例、私は、PACというもので事実上カバーできて、献金が法律で禁止されておるといいながら、それは事実上いろいろちゃんと手当てができているのじゃないか、こういう趣旨で結論だけ聞きたいような気持ちだったわけでございます。  加藤先生、亀井先生、いかがでしょうか、個人献金に依存するということが、日本の風土で果たしてこれ永続性あるいはそれでもつのかということを私は率直に実は心配する者の一人でございまして、企業も社会的存在だという最高裁の判断その他は別として今の政治不信はこれは解決して政治に信頼を持たぬといけませんが、たとえ政治に信頼を持つような状況になったとしても、個人に相当数を依存するというのはなかなかこれどうなんだろう。これは投票率が低いとかあるいは政治参加意識とかいろいろの問題があれなんですが、今度個人には企業献金アウト、地方政治家、無所属その他も政党からも流れない、これを何とかせぬといかぬと、いろいろの議論があるわけでございますが、その辺簡単に加藤先生、亀井先生お二人、個人・企業献金についてのあれについてそれぞれのお立場でちょっと簡単にお願いいたします。
  87. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 政治献金について、これ現実を考えますと、国民政治に対する意識というものが本当にまだ生育していない状態にもあるんじゃないか。甚だ失礼な言い方でございますけれども、国民国会の先生というと大学の入学の世話をしてくれる人とか、就職の世話をしてくれる人とか、交通違反のもらい下げをしてくれる、何かそういうことであって、国会議員がこれだけ努力せぬでも我々がコントリビュートしようという気分というのは、残念ながらまだそこまで日本の民主政治というものが熟成されていないんではないか。  そして、反面、議会制民主主義という制度においては、やはりどうしてもコストというものほかかるわけでございます。これをどういうふうに分担していくかということで、今回は公的助成、これも反対論はございますけれども、私はよくぞこういう案が出てきたというふうに思います。国民がダイレクトに出せないんなら、税の中から間接的にでも国会議員の活動のために政党の活動のためにコントリビュートすると。  そして、企業・団体献金というものは、これは頭から悪というものではなくて、やはり悪用されるから悪であって、議会制民主主義を社会的存在として企業とかあるいは労働組合と団体が正しい意味の民主政治の活動のためにある程度のコントリビュートをするということは、その清潔であり、しかもガラス張りであり、公明正大であるという担保制度がある限り、私は認めていっていいのではないか。そして、時間はかかりますけれども、本当に国民の民主政治というものに対する成熟を待つというのが私は正当な考え方ではないかというふうに思っております。
  88. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 簡単に申し上げます。  亀井先生と大体同じ考え方でございます。本来、やっぱり政党選挙という政党本位の選挙が進めば、政権交代もしばしば行われれば、個人政治政党に関心がふえまして、個人から浄財を出そうという気持ちが盛り上がってくると思いますが、今はそういう状況ではない。ですから、この新しい制度が入って、少なくとも身近な小選挙区でそういう関心が高まれば個人献金というものも少しはふえていくだろう、しかしかなり時間はかかるということが一つ。  もう一つは、企業献金については、透明性を保った上で非常に限定をして、公開基準も低くして、そして代議士、参議院議員を育てようじゃないかという道を残しておく方がいいのではないかというふうに思います。
  89. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 いろいろお伺いしたいことはあるわけでございますが、時間もあれでございますが、時間の限りひとつお伺いいたします。  両院制度、私の理解では、当時の占領軍は一院制でいいと。日本人は教育も高いし、同一民族的な国であるし、二院制は必要でないというのを、日本人のイニシアで何としてもこれは二院制にしてくれということで、四十二条のああいう非常に大ざっぱな規定でございますが、二院制になった。  そこで、いろいろな運用の問題あるいはそれぞれの院の原理の問題、役割の問題、これがきょうもいろいろ御意見があったわけでございますが、そういう中で、並立制というものを前提にした場合、参議院選挙制度というのは一体どんなイメージでどんなものがいいのだと。一言でお三方の先生の、参議院選挙制度はこうであったらいいというお考えがあればひとつ。  それからもう一点は、こういうことで衆議院政党中心、政策中心になります。そうなりますと、地方は今はほとんど首長を初め市町村議会議員は無所属、まあ県会議員は大分無所属でない党籍のある人が多いんですが、無所属的傾向が非常に多いわけでございますが、果たして衆議院政党本位、政策本位の政治から、地方の政治というものはより政党化するのが好ましいのか、あるいは今のこの無所属的傾向というものを是認していくのか、その辺の結論的なお考えをお三方からお伺いできれば幸いでございます。
  90. 上野雄文

    委員長上野雄文君) まことに恐れ入りますが、三分の残りなものですから。恐縮でございます。
  91. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 参議院は、私は有識者の全国単位の比例一本でいいのではないか。総定数は減らしていただきたい。それから、機能をやはり与えるべきだ。つまり、現状を変えるべきだ。外交案件、人事承認案件などは参議院先議にすべきだ。予算案は衆議院がもちろんですが、機能を変えるべきだというふうに思います。  地方の議員選挙については、私は、政令指定都市ぐらいのレベルまでは政党化現状ではかなり進んでおりますが、一般首長以下のところでは無所属が多くなるのはやむを得ないと。ですから、その辺の資金手当てというものを考えてやらなきゃいけないのではないかということを冒頭申し上げました。  以上です。
  92. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 簡単にお答えいたします。  参議院は良識の府ということが憲法上の地位であろうと思いますが、そういう意味衆議院のいろいろお決めになったことに対して均衡、補完、抑制という大きな職能を果たされる。そういう意味で、私どもの民間臨調で立てた案は、アメリカの上院のような格好がどうかという案でございます。  そうすると、端的に言いますと、これはショッキングになりますけれども、一都道府県二人ずつ。そうすると九十四人になりますね。そうすると、今の二百五十二人からの差のその費用というものは、何も国庫没収ではなくて、参議院の高い職責を充てんするために秘書を思い切って拡充をする、あるいは政策調査費をやる、あるいは議員会館も大いに立派にして権威を高めるということがいいのではないかというのが我々臨調の案でございました。  それから、地方政治につきましては、現在の政党化というのは、中央集権というのは日本ぐらいすぐれて強い国はないわけで、これは地方分権が進んでいきまして、地域住民の政治というのは地方が中心になってやっていくということになった場合には、中央と地方の政党関係というのはこれから変わっていくのではないか、こういうふうに考えております。
  93. 右崎正博

    公述人右崎正博君) 私は結論だけ申し上げさせていただきますが、参議院には衆議院と違う役割があるはずだというふうに考えています。数の政治ではない良識によるチェックということが期待されていると思います。  問題なのは、どういうふうに参議院を構成したらそういう役割が果たせるかということになろうかと思いますが、今、衆議院での選挙制度改革がこれだけ議論されていながら、参議院選挙制度あり方についてほとんど準備がなされていない、その点は大変大きな問題として残るのではないかと思います。  それから、地方の政治あり方についてですが、地方は中央とは違った独自の政治あり方があってよろしいというふうに考えますから、例えば、ある地方でだけ活動する政党よう存在も十分に認められ得るのではないか、その方が地方分権が一層進む、そういう地方政党の活動を中央の政治がつぶすよう政治の改革のあり方は望ましくないというふうに思っています。
  94. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 どうもありがとうございました。(拍手)
  95. 上野雄文

    委員長上野雄文君) どうも時間制限して済みません。
  96. 川橋幸子

    川橋幸子君 お三人の公述人方々から貴重な御意見を披露していただきまして大変ありがとうございます。順次、私なりにわからないところ、あるいは御意見を伺わせていただきたいと思います。ちなみに私は社会党の比例区の議員でございます。  まず、加藤公述人にお伺いさせていただきたいと思います。  読売新聞の論説委員長でいらっしゃると伺っております。そこで、きょうの読売の論説でございますが、「「政治改革」先送りは許されない」、こういう見出しで、わかりやすく納得できる論説をお書きいただいております。御本人がお書きでいらっしゃるのかどうかちょっと存じ上げませんけれども、社の論説としてはこれを支持していらっしゃると思うわけでございます。  お三人の御意見を伺ってまず私最初に感じましたことは、あらかじめこれを拝見していたこともありまして、加藤公述人と亀井公述人、お二人の論旨が、異口同音と言ったらちょっと言い過ぎでございましょうか、論点が非常に似ていらっしゃる。とにかく今回決着をつけてほしい、どうしてならば、内外の山積する課題があって、それに日本が対応していかなければならないからと、こういうことを御主張くださったわけでございます。  そこで、まず最初に加藤公述人、亀井公述人、両方似たようなことをお聞きすることになるかもわかりませんが、最初に加藤公述人にお伺いしたいことは、もし今回この政治改革が流れた場合の影響、影響と申しましてもさまざまな影響があるかと思いますが、政治担当の記者を長くおやりになられまして政治問題にお詳しいそのお立場から、政局への影響というものをどんなふうにお考えになっていらっしゃるかお教えいただきたいと思います。
  97. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 冒頭に申し上げましたように、このチャンスは再び近い将来に来ないんじゃないかというふうなことが一点。それから、いろいろ記事の面でも報道されておりますが、仮に二十九日までに成立できなかった場合には、解散その他というよう政治的な混乱のおそれがある。  実は、私どものところのけさの社説の論議の際にも、解散などという事態になった場合に、こういう景気情勢の中で一カ月以上の空白ができるということは大変国民にとって不幸なことになるという議論をしました。そして、景気対策も政治改革もと、同時に二兎を追ってやってくれという社説もしばらく前に書きました。  それから、常に政治改革法案を今国会で成立させてほしいという一貫した主張をしているんですが、この情勢の現状の中で、つまりタイムリミットも迫っております、景気情勢は一日一日が深刻です、そういう中で、先ほど申し上げましたようにこれが壁になっているということは大変残念だ、かといって政治空白を起こすことも、これはもしそうなったら我々は徹底的に批判するつもりでおるわけです。そういうことでこの際決着をつけていただきたいということでございます。
  98. 川橋幸子

    川橋幸子君 亀井公述人に移ります前に、もう少し加藤公述人の方に重ねてお伺いしたいと思います。  そこで、きょうの論説でございますけれども、「各党・会派に自制と責任ある対応が迫られているが、この際、とくに自民党と社会党に重ねて注文しておきたい。」というふうに書かれているわけでございます。先ほど亀井公述人の方は自民党の方にお願いしたいということで先にもうお述べいただいておりますが、自民党推薦の公述人でいらっしゃることでもございますので、自民党におっしゃりたいこと、それから社会党にも言われないときっとフェアではないと思いますので、私は社会党でございますが、社会党あるいはその他の会派でも結構でございますけれども、フェアな立場でどうぞ言いたいことを存分におっしゃっていただければと思います。
  99. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 率直に申し上げまして、両党の党内情勢の問題があるからでございます。これは余りここで申し上げると差しさわりがあるので申し上げませんが、いろいろ両論がある、賛否その他いろいろ議論があることは承知していまして、それはあることは当然なんでございますが、この際やはり特に自民党の場合は、先ほど亀井先生もお触れになりました平成元年の政治改革大綱、私もよく読みましたが、ここに明確な目標が掲げられておりますし、社会党も連立与党に入られたときにこれを使命として連立に参加される、この政治改革法を成立させることですね、というふうに伺っていますので注文をつけたわけでございます。
  100. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、お待たせいたしました。亀井公述人の方にお伺いいたします。  先ほど、不成立の場合、本当に今世紀中再び課題とするような気力が出るのかどうか、二十一世紀は暗くなるんじゃないかというようなことをおっしゃっていただきましたけれども、少し前の雑誌でございましたでしょうか、政治改革が実現しなければ地獄の底を見ると。後藤田先生は地獄を見るとおっしゃったわけでございますけれども、亀井公述人の方はそれに加えまして地獄の底を見るというふうに強調していらっしゃるわけでございますけれども、そこらあたりをもう少しお気持ちをお聞かせいただきたいということが一点です。不成立の場合には地獄の底をとおっしゃるほどの、その憂えていらっしゃるお気持ちをもう少し伺いたいということが一点です。  それからもう一点の方は、先ほど自民党にということをおっしゃっていただきましたけれども、私ども推薦申し上げましておいでいただきました当の本人でございますけれども、社会党の方にもぜひこれはフェアな立場でどうぞおっしゃりたいことがありましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  101. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) お答えいたします。  地獄の底を見るというのは、これは後藤田先生と私が政治改革でいろいろやっておりまして、後藤田先生の言葉をある講演の場で使わせていただいたわけでございます。  その意味は、先ほども申し上げましたけれども、まず第一にここで政治改革というのが五年、六年かかってもできないということは国際的な日本政治のクレディビリティーというものが非常に低下をすると。これは大変な日本の損失ではないかということ。  第二には、国民政治に対する不信感がだんだんさらに高まってくる。先般の衆議院選挙においても候補者の方はみんな政治改革をやりますということを公表されて出てこられた。それがいろいろな事情でできないということは、そうすると、そういう不信の現象というのが端的にあらわれておりますのが投票率の低下ということなんですね。投票率がどんどん低下していくということは議会制民主主義の非常な危機でございまして、悪い場合を想定すると、例えばファッショ的な人間が出てくるとか、いろいろとんでもない政治形態というものが現出する可能性があるんではないか。  第三には経済の問題でございます。これは昨年から不況の深刻化ということで、自民党政府あるいは細川政府において景気対策として合計して三回、三十兆ぐらいの特別の予算を景気対策で組まれましたけれども、それの実効がほとんど出ない。わずかに住宅建設の分野が伸びておる程度で、あとはあの金というものが全然経済界あるいは経済活性化に流れてない、蛇口が皆閉まっておるという状況であります。これはやはりいかなる図をかいても本当に国民なり経済界が政治を信頼しない限りにおいては経済の活性化というのは望まれない。そういう意味で、いろんな観点から大変な国民の不幸が二十一世紀には来るんではないかと。  こういう危惧が地獄という意味でございます。
  102. 川橋幸子

    川橋幸子君 社会党への御注文はよろしゅうございますか。
  103. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 大変失礼いたしました。  それでは、社会党さんは今度は戦後初めて――初めてじゃない、一度片山内閣ございましたが、政権の座につかれて責任政党になられたわけでございます。仄聞するところによりますと、中で社会党の大きな方針への造反分子もあるということですが、一つ政党というのは政治信条あるいは政権構想というものを一にされた方の同志の結集であるというふうに思います。こういう大きな制度の問題については、やはり党として完全に意見をまとめて、ここで政治改革を実現していただきたいということを社会党さんに要望したいと思います。
  104. 川橋幸子

    川橋幸子君 社会党の問題、私ども十分自覚して委員長以下当たっておりまして、ちょっとPRになるかもわかりませんが、当たり前のことと言えば当たり前でございますけれども、さきの党大会で今回の政治改革法案を上げるというそういう党としての議決をしておりますので、そこのところはぜひ御理解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  そこで、右崎先生にお尋ねしたいのでございますが、今のお二人の公述人の御意見は、言葉はお違いになりましても、二十一世紀にいかないうちに今のうちに日本あり方、将来を決着しなければいけない、そのための政治改革なんだ、こういう御意見が強かったと思いますが、この点についてはいかがでいらっしゃいますでしょうか。
  105. 右崎正博

    公述人右崎正博君) 確かにそのとおりだと思います。しかし、政治改革として今何が一番必要であるか。国際的な信用を落としている最大原因は、こんなにも汚職、腐敗がはびこっているという、そういう事実ではないでしょうか。そこのところを十分に踏まえる必要があると思います。
  106. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、もう一点続けて右崎先生にお尋ねしたいと思います。  今回、四法案の中で、特に腐敗防止あるいは政治資金関連と言われるところはかなり踏み込んだ改正を行っている政府案であるわけでございます。連座制の強化ですとかあるいは公民権の停止等の部分につきましては、先進国の中でもむしろ厳しい水準に属する、こういうふうな評価があるわけでございますけれども、そのところは御同意いただけませんでしょうか。
  107. 右崎正博

    公述人右崎正博君) その点については一定の評価をしています。しかし、先ほどアメリカの政治資金の違法な授受について罰則の例を紹介しましたが、それに比べるとなお緩やかではなかろうかというふうに考えています。
  108. 川橋幸子

    川橋幸子君 全体として、右崎公述人からもその点、腐敗防止の関連につきましては一定の評価をしている、そういう御意見をちょうだいいたしまして、大変心強いといいますか、心配がなくなったところでございます。  さて、もう一回、加藤公述人と亀井公述人のお二人の方にお話を戻させていただきまして、お二人とも先ほど、妥協できるところは妥協した方がよい、修正すべきはした方がよいというふうにおっしゃってくださいました。  そこで、亀井公述人の方は、とにかくもうここらで決着をつける、今会期中に成立をする、むしろ修正があったら通常国会でまた話し合いをやったらどうか、こういうお話でございましたけれども、一方、加藤公述人の方にお伺いしたいと思うのでございますけれども、読売の論説の中でも、後ろの方で書かれている点でございますが、「不十分な点は、法案を成立させた後、次期通常国会などの場で協議を続ければいい。」と、ここも期せずして同じ御意見ように思われました。  亀井公述人、加藤公述人の順番で、その点少しまた敷衍していただけるところがありましたらお話しいただきたいと思います。
  109. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 今、新聞に報ぜられるところでありますと、例えば小選挙区と比例代表議員定数の配分の問題、あるいは比例代表ブロック制をとるかどうか、それから政治資金についての企業・団体献金の取り扱い、また三%阻止条項の修正、あるいは戸別訪問の問題とか、数点あるようでございます。  これがどうしたらいいかというのはそれぞれの党の両方の立場のお考えがあろうかと思いますが、私どもがここでこれはどうしたらどうですかということではなくて、両党で、しかも党としてトップの方がリーダーシップをとって腹と腹を割って、例としてはおかしいが、勝海舟と西郷隆盛がやられたように腹を割ってここで解決をする。そして、大事なのは、小さい部分はございますけれども、今までの制度から新しい制度に変わるという、大きな政治をやるということが今の日本に一番大事ではないか、こういうふうに考えております。
  110. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 連立与党と自民党の間の意見の差はかなり縮まっているというよう印象を私は持っているんです。ですから、二十九日までまだ時間がありますので、修正問題を話し合っていただきたい。  ただ、その基本部分とかこういうことになってくるとまたいろいろ議論が大きくなる、そういうおそれもある。それで、ただ問題は、客観的な今の現状といたしまして、修正すれば衆議院に戻してまたということになって、そこの議決は三分の一とかいろいろありますので、そうするとそれほど時間の余裕もない。徹底的に議論するのはいいんですが、成立させるという約束があって修正をする、これは衆議院の方も含めてやるならばいいけれども、そうこうしているうちに時間がなくなるということもあるので、私どものところの社説は、やむを得ない場合は一たん成立させて衆議院の方でさらに詰めるということも次国会であり得ていいんじゃないかという趣旨で申し上げたわけです。
  111. 川橋幸子

    川橋幸子君 本当に望ましくは与野党がこの審議を通じて円満に妥協の道を探れればよろしいかと思いますけれども、胸突き八丁と亀井公述人おっしゃってくださいましたけれども、それぞれの立場がありということになりますと、この際はリーダーの問題ということもあるのかもわかりません。私ども委員の間では、この委員会の場にいるのはざんごうに出ている前線の兵隊だと、後ろの大将にもしっかりしてほしい、後ろなのでしょうか上なのでしょうか、そういう気持ちがあるわけでございますが、ぜひ今国会中の法案成立を御支持、御協力を重ねてお願い申し上げたいと思います。  さて、そこで、今は選挙制度改革、衆議院のだけでございます。選挙制度改革なり、それから腐敗防止関係政治資金、政党助成ということでございますけれども、政治改革の全貌、全体像というのは一体本当はどのくらい広いものなのでございましょうか。先ほどの鈴木貞敏先生の方からも衆参の整合性ある選挙制度という問題も出ましたし、地方の問題も出ましたし、あるいはもっとほかに国会改革等々広がりを持つものではないかと思うわけでございますが、亀井公述人の方から先にお伺いしてよろしゅうございますでしょうか、政治改革の全体像というものをひとつお伺いしたいと思います。
  112. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 私ども民間臨調といたしましては、一年以上日本政治の改革の問題について、労働組合、経済界、そして学識経験者の方と議論をいたしまして、去年の春には日本変革のビジョンということで政治臨調の構想を出しました。その観点では、衆議院の改革というのは日本政治の改革の出発点であるという位置づけでございます。衆議院の改革をやって、次には参議院制度の改革が必要である。あわせて国会の改革と。  現在の国会というものが本当の意味の双方向のディベートというものがやられてない。英国の国会のごとく与野党の本当の討論の生きた場、そして国民に対する政治の情報の発信機能をもっと拡充する。例えばアメリカのC-SPANというのをやるとか、あるいは官報一つ、これは一年契約でないと手に入らないとか、そういう情報発信機能をもっと活性化するというふうに、本当の近代政治の姿に変えて、そして最後の段階は、中央集権から地方分権へということで、思い切った中央政府のやる仕事と地方政府のやる仕事を本来のあるべき近代国家の姿に変える。  ぜひとも二十一世紀の初頭までにそういうふうな改革をしたいというのが我々の考え方でございます。
  113. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 私もやはり衆議院選挙制度の改革が政治改革のど真ん中にいるというふうに思います。  といいますのは、昨年政権交代があったわけなんですが、三十八年ぶりでございます。政権交代があるよう政治の活性化というのがすべての出発点。国民意識もそれによって変わってくる。先ほども申し上げましたように、もちろん参議院制度とか機能とかも検討されるべきですし、国会改革というのももう既に少しずつ変わってきておりますが、基本的に変えるべきであると。そして、そうすることが、例えば政界と官界の問題、財界の問題、企業との関係、政官財、鉄のトライアングルということも盛んに今度のゼネコン汚職をめぐって言われました。それは地方政治にも関係はございます。そういうところももちろん変えていかなきゃいけないですが、基本にあるのは、やはり私は第一院である衆議院選挙制度の改革であるというふうに認識しております。
  114. 川橋幸子

    川橋幸子君 本当にまだやらなければいけない政治改革、次々に課題も待っているわけでございますけれども、そういう意味からしましても、全体を待ってというのじゃなくて、まずは衆議院選挙制度からといいますか、もちろん腐敗防止を含めてでございますけれども、そういうお気持ちがお強い、そういうふうに受け取らせていただいたところでございます。お間違いございませんですね。ありがとうございます。  そこで、残り時間少ないのですが、ちょっと観点を変えて女性の問題についてお尋ねさせていただきたいと思います。  数少ない女性議員でございますので、私は質問の機会をいただきますと、必ず女性の問題を私の使命がなと思って言わせていただいておるわけでございます。  今回の小選挙区制の導入につきまして、女性のさまざまな団体から、女性が出にくくなる、こういう危惧が持たれております。私も、現実を見ますと、政治に女性が政治家として議員として参加するというこの道はなかなか険しいものがあると思っておりまして、そういうことが懸念されるのではないかと思います。  しかし、前回の総括質問、残念ながら自民党席の方はまだ空席でいらっしゃるときに質問させていただいたのですが、何を質問したかといいますと、それは制度上の問題というよりも各政党の運動論上の問題ではないか、そうした選挙制度の中に女性の候補者をどれだけ各政党が積極的に立てていくか、そうした政党の運動論上の問題ではないかということをお尋ねしまして、七党でございましたでしょうか、党首及び党首格の方々から積極的に努力するという大変いい言葉を聞いたところなんでございます。  そうした女性の参加の問題につきまして、ぜひこれは後で右崎先生にも聞きたいと思いますので、どちらからでも、お二人の方からお答えいただきたいと思いますが。
  115. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 候補者に女性を何人、何割ということでございましょうか。
  116. 川橋幸子

    川橋幸子君 そうでございます。
  117. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) それは、私は逆差別になるんじゃないかと思うんですね。やはりそれは男性でも女性でも力のある方、あるいは政党に支持されている方、地域で非常にお仕事をなさっていて評価の高い方が出てこられればいいんであって、それは余り御心配にならなくても、社会党さん自身がもう相当女性を衆議院の方では出されておりますし、今や二権の長が女性ですし閣僚にも三人おられますが、大変時代が変わっておりますので、余り御心配にならなくてもいいんじゃないかと思います。
  118. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) いろいろマスコミあたりでは小選挙区になると女性が出にくいという、これは私は全く反対ではないかということを言っておるわけです。  小選挙区といいますと、今度の例えば三百とか二百七十四というようなことですと、四十数万人 に一人選ぶという格好になるわけです。選挙民というのは、その中で男性と女性半々なんです。そうすると、むしろ女性の方々が結束して我々の地区からすばらしいこの方を選ぼうじゃないかと、これは女性の力というのは私は強いと思うんです。ですから、小選挙区になったら女性が出にくくなるというのはむしろ小選挙区をつぶすための案なんであって、私は公平に考えれば、むしろ女性が出やすくなる制度ではないか、一にかかって女性の方々の御努力、団結によるというふうに思っております。
  119. 右崎正博

    公述人右崎正博君) 私はむしろ逆の結果が生まれるのではないかというふうに心配をします。  小選挙区制というのは、先ほどからもいろんな方々からお話しがありましたが、政党を中心にするというものです。しかも、政党の中枢部に権力が集中するような結果を生むのではないか。そうしますと、だれを候補者にするかというのは、有権者の意向よりもむしろ政党の意向によって決まってしまうんです。これは制度的な問題ではない、その政党の中の問題だということが言えるかもしれませんが、結果としては明らかに女性たちにとっては代表を送りにくくなる、そういう懸念を持っています。
  120. 川橋幸子

    川橋幸子君 ようやく右崎先生と意見が一致したところがあるような気がいたしました。  確かに、個人本位の選挙に比べると、お金がないあるいは地盤がない、あるいは今までの何か受け継ぐものがなくても政党本位の選挙になれば新人が出やすくなる、したがって女性も出やすくなる。これも一理あるかと思いますけれども、やはりここは政党の中でどのように判断するかというのが非常に大きなウエートを持つような気が私はいたします。  特に、二人選ぶ場合ならまだしも、一つ選挙区の中で一人の候補者を選ぶといった場合には、女性男性といったときに、どうも日本の場合は男性の方が先で女性の方がいつもアフター男性のようなそういう序列意識が全体に強いように思うわけです。女性自身がこれに対して努力しなきゃいけないというのはもちろんわかるわけでございますけれども、今の日本現状から考えたら、公的な機関である政党こそがそれを率先してやるべきではないか、私はそういう意見を持っております。  社会党にも女性がいるし、日本には女性の議員がふえてきたとおっしゃいましたけれども、あえて申し上げさせていただきますと、衆議院の女性の議員のパーセンテージは日本は二・七%でございまして、列国議会同盟の調査によりますと百五十六カ国中下から数えて早い百二十八位ということでございますので、大きな力を持つ、公共的な使命を持たれますマスメディアにおかれましてもぜひ御努力いただきたいと思います。  何かこちらのお願いばかりが多くなってしまいまして、質問が少なくなってしまいましたけれども、きょうは、とにかく今決着すべきだ、そういう御意見を承りましたところで、私は大変感銘を受けましたということをもちまして質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  121. 白浜一良

    ○白浜一良君 公明党の白浜でございます。  きょうは、三人の公述人の先生方には大変お忙しい中、貴重な御意見をどうもありがとうございました。私の持ち時間は十分でございますので余りたくさん質問できませんが、お許しいただきたいと思うわけでございます。  まず加藤先生にお伺いしたいと思いますが、先ほどお伺いしましたら、今国会で決着をという力強い御意見をいただきまして感謝申し上げる次第でございます。  一点だけお伺いしたいんですが、今回の改正案で、要するに企業献金というのは悪というかそれがベースになっているというお話を多分されたと思うわけでございます。この一連の事件、スキャンダルというのは、それが必ずしもすべてが悪意があるとは言いませんが、しかしながら、政治個人と企業献金の結びつきというのは非常に不明になりやすいというか、こういうことが批判されているわけでございまして、そういう面で、とりあえずまず政治個人への献金を禁止して政党一本で認めようという少し前進した形になっているわけでございますが、当面、将来的に五年後の見直し規定もございますし、どうしていこうかということは今後も検討すべきだとは思いますが、最低限その前進というのは大事だと私認識しているわけでございますが、どのようなお考えをされているか、お伺いしたいと思います。
  122. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 先ほども申し上げましたのですが、私は今回の政治資金問題について、腐敗防止のために企業・団体献金を禁じられたのはそれなりにわかる、しかし急激にそれじゃ個人に対して企業、団体の献金は一切だめだということでいいのか多少の疑問を持つと申し上げたのは、やはりそういう企業、団体が今までやってきた献金に対する問題がありました。だから、それは違法のものは徹底的に捜査されるべきですし罰せられるべきですし、そういう温床になってきたことも事実です。ですから、これは一たん今の政府案ようにばさっと切ってしまった方がいいのかとも思いますが、それじゃすべて企業、団体の個人に対する献金は悪だという認識でいいのかと。経過措置みたいのもあるいは非常にディスクロージャーをはっきりさせて限定した上でしないと、例えば地方議員なんかの場合どうするんだという疑問が残るということを申し上げたわけでございます。
  123. 白浜一良

    ○白浜一良君 わかりました。  いずれにしても、いろいろ問題あると思うわけでございますが、やっぱり与えられた課題に対しては一歩前進しなけりゃならない、そういう意味でとりあえず公的要素の強い政党というところに絞ろうと、こういう案だと思いますので、御理解もいただきたいと思うわけでございます。  次に亀井先生にお伺いしたいと思うわけでございますが、参議院に送付されているいろこの四法案が審議されてまいりまして、よく批判をされている一つの視点に、今回の衆議院選挙制度が現行の参議院制度に非常に類似している、こういう御批判が実はあるわけでございますが、しかしながら、この足かけ六年にわたる政治改革の歩みというものがとりあえず衆議院選挙制度、先ほど来いろいろ御意見いただいていますが、そっちの方が大事だという御意見もございますし、それといわゆる政治資金に絡む問題というのが先行して、参議院の抜本改革という論議がなかなか軌道に乗らなかった、こういう経緯があったからこそ衆議院選挙制度改革というのがいろんな意見の対立の中で今の法案ような形態になっているわけでございますが、この辺、いろいろ参議院の現行の選挙制度と類似しているという、こういう批判に対してどのような御意見をお持ちでしょうか。
  124. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 選挙制度審議会に参画いたしましたときにいろいろお話を伺いましたのは、両院とも本来は一緒にやるべきだと、しかし両方やろうというのは、衆議院だけでこれだけ難航しておるんですから、大問題なので、まず衆議院の改革をやって次にそれに合わせて今度は参議院あり方と、いわゆる憲法の本来の良識の府という機能をどうやっていくかということは次のステップで考えようと。しかし、その間並行して参議院でも議員の方が与野党ともにいろいろ改革案は練っておられるということを伺っておりましたが、大体が与野党とものコンセンサスがまず衆議院をして次に参議院をやろうと、こういうことになっておるというふうに私どもは理解しております。  でありますから、両院を一緒にやるべしというのは昨年あたり議論がありましたが、これは一番の出発点でそういうコンセンサスが出てきたものを今になって何を言っておるんだという感じを私は持った次第でございます。
  125. 白浜一良

    ○白浜一良君 それから、いわゆるポスト冷戦下の政治体制の確立と申しますか内外の重要な政治課題がいっぱいあるわけでございまして、そういうものに合わせた政治改革政治体制づくりをしなきゃならないという冒頭に意見を申されましたが、イメージとしてどうなんでしょうか。戦後の日本政治体制というのは五五年体制と言われるような体制できたわけでございますが、いわゆる政界再編されて、今回の政治改革も成就することを前提といたしまして、どういう政治体制といいますか、穏健な多党制という表現もございますし、二大政権勢力という表現もございますし、いろんな表現をされているわけでございますが、亀井先生はどのようなイメージをお持ちになっていらっしゃいますか。
  126. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 衆議院の改革をやって、そして総選挙を一度か二度経た後恐らく政界再編成ということは可能であろう。そういう場合に我々が想定しておりますのは、ソフトな二大政党と言っておりますが、結局政治家の方々も革新をやろうという考え方の方と保守的な方とある。そういう面で、例えば憲法の問題、福祉対策の問題、あるいは国際化の問題、地方分権、いろいろ政権の維持がある。少なくとも今までの保革のイデオロギーを中心にした対立構造というのは世界的にも崩れた。新しい政治ポリシーというものによるソフトな二大政党、それに例えばドイツの緑の党のようなシングルイシューを中心にする小政党というものが幾つか星のごとくあるという格好になるのではないかというのが我々の考えでございます。
  127. 白浜一良

    ○白浜一良君 どうもありがとうございました。  右崎先生に一点お伺いしたいわけでございますが、十一月十八日に衆議院でこの四法案が通過いたしまして本院に送付されて六十日を過ぎたわけでございます。よく議題になってございます憲法五十九条のみなし規定がございますが、当然、衆議院内閣が解散権を持っているわけですが、参議院はないわけでございまして、ですから、おのずからやはり良識の府として送付された法案に対する態度というものもやっぱり良識的範囲であるべきだということで、いわゆるこの六十日という規定憲法上されているわけでございますが、この点に関してどのような認識をお持ちになっていらっしゃいますか。
  128. 右崎正博

    公述人右崎正博君) 衆議院議決した法律案参議院に送られた後に決着がはっきりしない、そういう場合に否決されたものとみなすというふうに考えているわけです。  ただ、そのほかの諸事情を一切勘案しないで、一生懸命審議している途中にただ単に日数が過ぎたからそれで否決したものとみなすと、そういう扱いにすることはやはり憲法趣旨にはそぐわないのではないか。なお審議中であれば、会期中なわけですから、参議院において十分な議論を尽くすことを待つというのは憲法から逸脱する扱いではないというふうに考えています。
  129. 白浜一良

    ○白浜一良君 六十日を経過しているわけでございますが、今日もなおかつ真剣に論議をしているわけでございまして、六十日のプロセス全体の問題だと思うわけでございまして、私が意見を申し上げる場でもございませんので、これで終わりだいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  130. 泉信也

    ○泉信也君 先ほど加藤先生、亀井先生から、本国会で決着をつけるべきである、あるいは成立をさせるべきであるというようなお話をちょうだいいたしました。私も全くそのような気持ちでおるわけでございます。  しかしながら、今なおこの参議院の中におきましても政治改革に取り組みます姿勢に若干の温度差があると感じざるを得ません。私どもは同じトラックを走ってまいったはずでございますが、気がついてみますと一周おくれあるいは二周おくれのランナーと今もなお走っておるのではないかこんな思いでございます。これは、あるいは日本の国際社会におきます位置づけでありますとか、戦後五十年の政治経済社会の各般にわたる我が国の今日的なありさまに対する考え方などの相違がある。申しますならば、時代認識あるいは歴史観に差がある、ずれがあるのではないかと思えてならないわけであります。  そこで、亀井先生、たびたび恐縮でございますが、長い間この問題にかかわってこられまして、この政治改革に取り組まれました背景について御意見をちょうだいいたしたいと思います。
  131. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 私ども民間人で政治改革に取り組んだ、その私の個人的な動機から申し上げたいと思います。  実は、昭和五十六年に土光臨調がありまして、その際に私は専門委員で参画いたしまして、規制緩和、補助金、それから中央と地方の機能分担という第三部会長として二年間いろいろ苦労いたしました。それから、今度は国鉄改革の再建監理委員会委員長として四年間やりました。  その間につくづく感じましたのは、国鉄の問題のときには国会にも何遍か出ていろいろ御質問を受けたり議論をさせていただきましたけれども、結局あの行政改革というのは常に道半ばである、それは結局その法案ができても国会でこれが審議されない、つるされるということで、どうもこれは政治の体質が変わらないと行政改革ができないんじゃないかということを感じておったわけでございます。  そういうことで、社会経済国民会議政治改革問題委員会委員長に就任しまして、何遍か提言を出しましたけれども、これは全部ナシのつぶて。そして、海部内閣のときに先ほども申し上げたように三法案が流れて、与野党の若手議員の方が、稲葉秀三先生が社会経済国民会議の議長で、私副議長です、あの二人のところへ行って何とか民間でやってくれ、民間でこれを上げぬと国会は動きませんと。こういう動機から政治改革推進協議会、俗称民間臨調というのをやりまして、素人ながら、先生方なら専門の方ばかりだから幼稚な議論をやっておると思われるかもしれませんけれども、まじめに日本の将来を考えて努力をしてきたというのが現在の姿でございます。
  132. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。  次に加藤先生にお尋ねをいたしますが、憲法参議院衆議院関係は、憲法六十条にいいます予算にかかわります衆議院の先議の問題でありますとか、あるいは五十九条四項の逆のケースが憲法規定していないということなどから考えましても、そのあり方にはおのずと差があることが前提になっておると私は思っております。  今回の政治改革法案に対しまして、こうしたことも踏まえ、河野元参議院事務総長が、修正ということは円熟した議会の所産であるとした上で、なお参議院の自己抑制という表現で、参議院は政局の死命を制するような決定は原則として避けるべきである、こうした御意見を発表しておられます。  法案の骨格部分と言われております幾つかの課題がございますが、このことにつきまして、もちろん参議院が判断することではございますけれども、衆議院と異なった結論を当院が出すことにつきましてどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  133. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 当問題は衆議院選挙制度の改革でございますので、参議院で異なった結論を出す場合には、これは制度上もそうなっておりますが、当然衆議院の方に戻ることになると思いますね。かといって、いろいろ議論を尽くされた上で修正点があれば出されればいいのであって、それは憲法上もあるいは国会法上も問題はないと思うんです。  ただ、先ほど来申し上げているのは、タイムリミットが迫っておりますので、多くの国民が期待している景気対策などのためにも決着をつけるということになりますれば、それは話し合いで二十九日までに成立させるという約束をして修正されるか、もしくは次の通常国会で修正の話し合いをするというお約束で上げるかした方がいいんじゃないかというふうに思います。  それから、その他のことは、先ほど来申し上げましたように、やはり参議院の機能というものをはっきりさせた方がいい。これはもう私は、憲法改正しでもそうした方がいいんじゃないかと思うぐらいです。そうでないと参議院存在理由がないわけでございますから。ないというのは極論ですが、非常に薄くなっておりますので、そのしわ寄せで法案が送られてくるのが遅かったりなんかしますので、ですからその辺ははっきりさせた方がいいというふうに思います。
  134. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。  先ほど同僚議員からも御質問がございました女性の政治参加につきまして、もう一度私の思いも含めまして亀井先生にお尋ねをさせていただきます。  この今回議論をされております法案が成立をいたしますと女性の政治参加が厳しくなる、こういうことが女性の方々に言われておるわけであります。これまでの衆議院は、常に解散という可能性の中で、個人本位あるいは利益誘導型とも言われますよう政治環境のもとにあって女性がなかなか出にくかった、政治への参加を敬遠せざるを得なかったということは大きな事実であると思っております。  今回の法律案で、まず小選挙区では、候補者本人の顔がよく見えるようになってきた、あるいは資質が従来に増して選挙民に評価を受けやすくなってきた、そしてまた政策を争う選挙となる、あるいは政党が前面に出てくる、こうした考え方からしますと、これまでの衆議院の先生方が負担を感じておられました部分がかなり軽減されてくるのではないかと思います。  また、比例区におきましては、女性の順位をどこに位置づけるか、そのことによってその政党の女性観を国民の前に明らかにいたしますとか、また選挙戦術としても、当然それぞれの党がきちんとした判断を示さなければならなくなると思っております。衆議院では女性は二・七%でございますが、参議院では全体で三十八名、一五・一%、比例だけをとりますと十九名、一九%という高い数字でございます。  私は、今回の法案が成立すれば、むしろ女性は政治への参加の道が広がる、こんな思いを持っておりますが、いかがでございましょうか。
  135. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 先生と全く同意見でございまして、これは最近の統計でございますが、日本の現在の有権者は九千四百六十四万人、その中で男性が四千五百九十二万人、女性が四千八百七十二万人、有権者は女性の方が三百万人多いんですね。  そういうことで、しかも現在は男女平等・同権、あるいは雇用問題とかいろいろについても女性に対しての配慮が出ておりますから、むしろこれからの国政の問題でも、女性の地位とかいろいろの問題あるいは女性的な観点というのが主になってくるとすると、女性の方々政治意識さえ目覚めれば私は制度のいかんにかかわらず女性進出ということは大いに活発化する、今の中選挙区であると縛られるんですけれども、小選挙区であれば女性の方の進出はむしろ非常に容易になるんではないか、こう考えております。
  136. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。(拍手)
  137. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、民社党を代表して、時間が十分と限られておりますが、御質問させていただきたいと思います。  さっき参議院あり方についても短くお答えいただきましたが、この国会を見ますと、政治改革関連法案の議論は別にしまして、もう一面で申し上げますと、やっぱり参議院の審議の中で参議院あり方が問われたのではないかというふうに思っております。  それで、まず最初に加藤さんと亀井さんにお伺いしたいんですが、十一月十八日に衆議院法案が通過いたしまして今日までの参議院における状況についてお感じになった点がございましたら、率直にお伺いをさせていただきたいと思います。
  138. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 率直に申し上げまして、随分時間があったのに借しかったなという、審議の問題でございますが、それで憲法五十九条の問題、いろいろ出ておりますんですが、私はやっぱりあれは国会の会期制の問題とも絡みがあるんじゃないか。一定の土俵の中で法案を審議し、議論し、そして成否を決するということがあります。そういう中で、やはり衆議院から送付された法案が六十日たっても成否を決せられないということの場合には否決と認めるというような方法が生まれてきたんじゃないかというふうに思います。  しかし、今回、先ほど来申し上げておりますように、なお時間がございますので、この会期末までに修正の話を含めて御議論を詰めて決着をつけていただきたいというお願いでございます。
  139. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 率直に感想を申し上げますと、十一月十八日に衆議院で可決されまして参議院に送られてから既に六十日という経過があり、いろいろな中で、今までの習慣とか手続とかいろいろあったかと存じますけれども、国民の側から見ると、この大事な問題を正面から見て、本当の討論の府としてなぜ正面から討論をなさらないのか、討論にいくまでに余りにもロスタイムというものが多かったんではないかという感じを痛感しております。  したがいまして、ここでぜひとも私は、参議院という制度は良識の府というのを憲法規定されておるんですから、そういう良識の府として参議院というのは日本にあってよかった、あるからいいんだと、国民がこういう感じを持つような審議と結論をぜひ出していただきたい、そういうふうに思う次第でございます。
  140. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっとこの法案とは離れまして、参議院あり方について一点お伺いしたいんです。  先ほどの質問の中で加藤さん、亀井さんそれぞれこう思うということを簡単にお話しされました。私は参議院議員になりましてからまだ一年半でございますが、その中で思ってきましたのは、やはり政党政治が今どんどん進展をしております。その中で、二院制ということ、それから衆と参とは別の機能を果たすということで考えますと、やっぱり政党政治が進展する中で参議院をどう考えるか、あるいは政党との関係をどうするかということが一つのポイントになってくるんではないかと思うんです。  さっき加藤さんは、参議院選挙制度について全国比例一本がいい、こういうふうにおっしゃいましたが、私はそれだとまさに政党を選ぶということになってしまうんではないかというふうに受けとめたわけでございますが、今申し上げたよう政党との関連について何かおつけ加えいただくような御意見ございましたらお伺いしたいと思うんです。
  141. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 私は、参議院あり方として本心室言えば、やっぱり有識者の集まりで、一院、衆議院のチェック機能を働かすという意味で、かつて全国区というのがありましたが、あれに近い感じのものがいいんじゃないか。その一番もとをただせば、二院制というのは一体必要なのかという議論からまず始めた場合に、日本ではやっぱりまだ一院制にしてしまうのは早過ぎるんじゃないか。やはり二院制でもってチェック機能が働くというのが望ましいんじゃないかということと、もう一つは、政党化が余り進み過ぎている今の参議院というのはいかがなものかという感じは持っておるんです。  そこで、私は、先ほど参院の選挙制度は何が望ましいか簡単に言えとおっしゃったから、まあそういう考え方もあるんじゃないかと申し上げたんですが、それがまた衆議院の今度の改正のよう政党中心の比例選になると、これもそれでいいのかなという疑問をまた持つわけですが、その辺の仕組みはまだ少し検討する必要があるかなと。  ただ、参議院の方の選挙区選の方が、これは都道府県単位ですね。そうしますと、今度は小選挙区があって、都道府県単位の比例を自民党は主張しておられますが、これがまたブロックぐらいになって、それから今の政府案全国一本ですね。一本になっちゃうと参議院の方は一体本当にどうしたらいいかというのが、はっきり言うとさっきの前言を訂正するようになりますが、それが絶対だとは思いません。どうすればいいのかというのはまだ余り検討もしておりませんですが、我々も議論してみたいと思うんですが、例えばやっぱり有識者を比例選で集められないかなと思って先ほど申し上げた次第でございます。
  142. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 参議院というのは、二院制をとっておりまして、アメリカは連邦制、ドイツも連邦制ですから上院がある、イギリスは貴族制度をとっているからと、理由があるんですが、日本の場合はかつての貴族院というもの、この制度を存置したいというのが憲法制定過程であったように聞いておりますが、その場合にはやはり良識の府ということで、衆議院というものの政治的な決断に対して均衡、抑制、補完ということで、したがって、ある程度政党色の薄いことを想定しておったんではないか。そういう意味で、戦後は緑風会という、良識の府であったんですが、やはり比例代表制を取り上げたために非常に政党色というものが強くなってきて、どうも衆議院参議院とは似たような、同じ議論の繰り返しということに現在なっておるように思います。  そういう意味におきまして、やはりどうしても、衆議院の改革が成った後は参議院選挙制度あるいはその諸機能について抜本的なひとつ議論をお願いしたい、そういうふうに思っております。
  143. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 最後になりますが、お二方にこれも時間ございませんので簡単にお伺いしたいと思うんですが、さっきから企業・団体献金のそういう議論がございました。私はお二人の御主張がわからないことないんですが、ちょっと違う角度から御意見をお伺いしたいんです。  一連のいろんな腐敗事件がございました。今もゼネコン疑惑で大変話題になっているんですが、こういう状況下で、逆に言うと企業の側としていろいろ反省をしなきゃいけない、あるいはこういう点は変えなきゃいけないという、これは法制度を含めていただいて結構なんですが、問題意識をお持ちでしたら、ちょっとお二人から一言ずつお伺いできればと思います。
  144. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 先ほども企業・団体献金のお話を申し上げましたが、議会制民主政治ではやはり必要経費をどういう形で負担するかという問題だと思っております。そういう意味で、これを厳密にむちゃくちゃにやると、必要は発明の母というふうにますます悪性のものが出てくる可能性もあるということで、やはり良識の範囲で、ガラス張りにして監視がきくという体制であれば、社会的存在としての企業あるいは労働組合がある程度政治資金にコントリビュートするという制度は認めてもいいではないかというのが私の考えでございます。
  145. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 亀井先生と大体同じ考えでございますが、現在のいろんな汚職摘発なんかの状況から見て、企業の方がもう政治資金はほとんど個人政治家に出さないような流れになっておるということを聞いております。現実論の立場から、今度は政党助成金が入りますから状況は変わりますよ。変わりますから、今の政府案でも結構ですが、じゃ地方議員、無所属はどうするんだということから考えると、現実論として、余りがちがちにしてしまうとアングラマネーとかいろいろまたそういう逆の効果が出てくるおそれがあるということを私はちょっと申し上げた次第でございます。
  146. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。終わります。(拍手)
  147. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  お三人の公述人に順次質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず右崎公述人にお伺いいたします。  政治腐敗の根絶という点が政治改革の一番大切な目的だろうと思います。企業・団体の献金を禁止するということを法律によって行う必要性を述べられました。我が党も政府案への対案として、企業・団体献金を禁止し罰則も科するという立法を今国会提出しております。一方、企業も社会的な存在であるという論が政党側を中心に繰り返し当委員会でも展開されましたが、この社会的存在であるということについて右崎公述人の御見解を述べていただきたいと思います。  また、もう一点でございますが、政党助成金は民主主義のコストであるという論について、公述人は、民主主義の維持に必要な経費ならば、その費用の調達、支出の方法が民主主義の原理にかなう仕方で行うべきだと指摘されまして、大変重要な指摘だと私は思います。それで、憲法上もその重大な疑念が政党助成金にはあると私ども考えております。政党助成が議席得票数に基づいて配分されますと、現実にはみずから集めて使っている政治資金を上回る、あるいはその何倍かの額を受け取る政党も出てくるわけですけれども、こういうことは政党を堕落させるんではなかろうかということ直言われておりますが、この件についての御見解をまず伺いたいと思います。
  148. 右崎正博

    公述人右崎正博君) 私は企業が社会的な存在であるということを否定しているわけではありません。しかし、社会的存在であるから直ちに企業献金が許されるというふうには考えていないだけなんです。  果たして企業に人権の享有、主体性が認められるかどうかというのは憲法上の大変大きな議論になっていますが、その点についてはっきりした統一的な意見は学問的にもまだ固まっていないと言っていいと思います。しかしながら、その点をおくとしても、今日の政治腐敗にとって企業の献金がもたらしている弊害は余りに大き過ぎる、しかもそれが非常に目に見えている、そういう弊害を防止するという観点から企業献金をなくすことが必要であるというふうに考えたわけです。  それから、政党助成の問題に関してなんですが、私は、先ほども述べましたように、まず配分の仕方が憲法十四条の上から疑問がある。三%を獲得できなかった政党には与えないとしている点は小さな政党を支持している人たちに対しては差別をするということになるのではないでしょうか。  それからもう一点は、少数意見を持っている納税者の政党支持の自由であるとか思想や結社の自由にどういう配慮を及ぼすかという点です。この点に関しても、先ほどアメリカではチェック・オフ・システムを採用している、納税者の同意を得る制度をつくっているということを言いましたが、そういう制度をぜひ工夫していただきたいというふうに思っています。  それからもう一点は、やはり政党支持の自由といいますか、言論、結社の自由にとって甚大な影響を及ぼすであろう、政党が堕落するのではないかという話がありましたが、その典型例としてイタリアの例を挙げることができるのではないかと思うんです。イタリアでは、公費助成制度が導入された後、お手盛りで総額がふやされてきました。昨年政治改革が断行された、それは先ほど亀井先生のお話の中にもあったとおりです。小選挙区制が導入されていますが、そのイタリアではあわせて国民投票によって政党に多額の助成を行うという制度を廃止しているんです。そういう経験もぜひくみ取っていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事一井淳治君着席〕
  149. 吉川春子

    ○吉川春子君 亀井公述人にお伺いいたします。  政治改革法案をこの国会の会期中にぜひ成立させてもらいたい、それが国民の要望であるとおっしゃられました。私は、国民の要望という点で言えば金権腐敗の根絶という点にあるというふうに、これ疑いないと思います。しかし、その選挙制度を、小選挙区比例並立制を導入してほしいという意見は、マスコミのいろいろな世論調査がありますけれども、ごく少数であるわけなんです。今の与党の選挙公約にもこの並立制というものはなかったわけですね。選挙制度も変えないと腐敗根絶もできないというふうに政府は繰り返し答弁しておられるんですけれども、選挙制度だけではまた腐敗根絶にはならないということもお認めになっておられるわけなんです。  それで、私は端的にお伺いしますが、小選挙比例代表制を導入してもらいたい、これは国民の要望ではない、国民の意思としては示されていないと思いますが、公述人はいかがお考えですか。
  150. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) いろいろなアンケートで国民は腐敗防止が主だということを、先ほど右崎公述人も八〇%あると言いましたけれども、これは素人が相次ぐスキャンダルで政治に不信を持っておる。ところが、その一番のもとはどこにあるかというと、七十年近く続いた中選挙区制というところに胚胎しておるということは五年前に自民党が分析をして発表しておられる。そうすると、この病気はここが痛いから治してくれと国民はその痛いところを治せと言うんです。しかし、その原因の基本を直さない限りだめだと。国会議員の皆さん方は専門家であります。そういうことを重々知っておられるのに、素人の患者の訴えだけを聞いてこれに対処したらどうかというのは私は逆転しておるんじゃないかというふうに思うんですね。ですから、やはり病原の基本制度にあるとすれば制度を直すべきではないかというのが私どもの考え方でございます。    〔理事一井淳治君退席、委員長着席〕
  151. 吉川春子

    ○吉川春子君 その制度疲労論についてもここで大分細川総理あるいは大臣ともやり合ったわけですけれども、この制度疲労論というのは、なかなかはっきりした御答弁がいただけずに、これは根拠にはならないと私は受けとめておりますが、ここは論争の場でありませんので承っておきます。  それで、加藤公述人にお伺いいたします。  国会内外の論で政治改革が大切という論が大方になっている、今決着をつけなければならないというふうに言われました。  私は、この法案は非常に慎重に審議するということ、これが大変重要になってきていると思うんです。それは、参議院ではこの小選挙比例代表並立制の論議が行われるのは今国会が初めてなんです。そしてしかも、今国会衆議院の審議時間に比べますと、まだ参議院の場合はその半分にも至っていないんですね、四十九時間何分なんです。衆議院の方は百何時間かしておりますね。そういうことでまだ非常に不十分だと。  そういう点と、それから、さっき会期制のことを言われたんですけれども、私も会期制というのはこれは民主主義というか基本的人権を守るための一つの非常に重要な制度だと思うんです。九十日の会期を設定して、しかしそこで成立できなかったんですね、そうしたら今度四十五日の大幅会期延長をしまして、通常国会を一月二十日前後に召集するというのを、ぎりぎり法律の許す一月三十一日に延ばしてやった。これは、その会期制のルールをもう踏みにじって、大変よくないやり方だと思うんです。  私はともかく参議院の審議というものは衆議院以下であってはならないし、初めてということも考えれば今国会衆議院以上に論議して、その法案の中身を国民にお知らせして、決着はもう国民の世論がつけると思うんです。そういう点で私は十分な審議をすることこそ今参議院の役割ではないか、採決を急ぐことが役割でないと考えるんですが、その点についての公述人のお考えを伺いたいと思います。
  152. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 確かに、参議院としては初めての審議で時間をそれほどまだ費やしてないとおっしゃいますが、そのとおりでございますが、国民の目から見ますと、先ほど来亀井さんもおっしゃっておりますが、もうこれは五年前後議論してきているじゃないか、あるいは衆議院の審議の中でかなり問題点を煮詰めたじゃないかというような感じもいたします。  会期を延ばしたというのは、我々も本当に、いいのか、景気対策の面から見てもいいのかという批判をいたしましたけれども、やはりここまで大詰めになったら大局的な見地で妥協すべきものはしていただいて、そして次の話し合いのチャンスもありますし、見直し条項も入っておるわけでございますから、ベストはないですからベターの線で話し合っていただけないかと、こういうことなんですね。
  153. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が参りましたので、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。(拍手)
  154. 青島幸男

    青島幸男君 公述人のお三方、長時間にわたりまして御熱心にお話しいただきましてまことにありがとうございます。  午前中の公述人に対する質疑のときにも私申し上げたんですけれども、今国民の間には、政治改革も大事だけれどももっとほかにも重大問題、政治問題が山積しているではないか、それを早く片づけてほしいという要望もたくさんに寄せられておるところだと、こういう御意見もございました。私もそれはそのとおりだと思います。  しかし、そのことも大事でございますけれども、選挙制度はまたまた大事なことだと思います。と申しますのが、ただいま上程されておりますこの案が成案になりますとこれが法律になりまして、次の選挙からはこれにのっとって選挙が行われるようになるわけでございますので、民主主義が将来的にきちっと定着していくんであろうか、あるいは成熟していくんであろうか、その指針に果たしてこの法案がなり得るであろうかということも大変重大な問題だと思って私は深く受けとめているわけです。  それで、将来的に民主主義が成熟、熟成するかこの一点について私はこの法案に異を唱えているわけでございます。  その反対の理由を簡単に申し上げますけれども、どうもこの今の法案は、現存する政党意見を反映するのではなくて、集約して、何か政権交代のできるものを恣意的につくっていこうじゃないかということにあるような気がいたしまして、その点がまず一点心配なんです。  もう一つは、三%条項とか五人の議員とか、あるいは三十人擁立しなければ比例は参加できないとかという制約を設けまして、新たに台頭してくる新しい多様化した国民政治意識をくみ上げるすべが全くないわけですね。そうなりますと、私はロマンチストなのかどうかわかりませんけれども、細川内閣の誕生の経緯なんかを見ましても、たった四人で日本新党で参議院の中で開花した花が、いろいろ紆余曲折ありましたが、情熱と意欲でここまで固まって政府代表するお立場になられたわけですから、それはもう中選挙区制の中でもなられたわけですから、ですから、そういう芽を摘み取ってはならない、こう思うわけです。  今の国庫補助なんかの問題を考えますと、もう外国では小さい政党にこそ発言のチャンスを与えるように補助しようじゃないか。大政党は大政党なりに論客もそろっておいででしょうし、伝統もおありでしょう、知名度もおありでしょう。ですから、大政党はそれほどお金をかけて宣伝したり新たな工夫を重ねなくても国民の多くの方に理解してもらえる政策が発表できるわけですね。ですから、そういう大政党が他にまさった大きな補助を受けて、そのままいきますと、大政党がますます肥大化して恒常的に君臨するということになりますと、一党長期独裁支配ということになって将来的には大きく民主主義を損なうことになるのではなかろうかという心配を私は抱いておりまして、そのことについて皆さん方の御意見を承りたいんです。  たまたま右崎公述人の御意見、先ほどから拝聴しておりますけれども、全くおっしゃられるとおり私は認識しておりますので改めてお尋ねすることはないと思いますけれども、お三方に逐次御発言いただきまして質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  155. 加藤博久

    公述人(加藤博久君) 青島先生のおっしゃることはよく理解できます。ただ、中選挙区制が、また三十八年間の自民党単独政権として長い間来だということも事実でございます。その間に、一党支配といいますか、の中からいろいろ腐敗問題も出てきて相次ぐスキャンダルがあったことも事実でございます。  それで、選挙制度というのは大変大事な基本的な問題であることもわかりますが、小選挙区制、比例代表制というのが一党独裁を生むというのは、私はそういう考え方はできないんじゃないかと。  といいますのは、中選挙区制の場合は、例えば三人区に自民党議員が二人とか四人区に三人とか当選してきて絶対多数とか安定多数をとりやすかったんですが、小選挙区制の場合は、例えば都市部と農村部とかあるいは地域によっての差もありますし、それから政治の流れというものを端的に反映しまして、政権交代あるいは二ないし三ぐらいの有力政党の争いに収れんされていくということになろうかと思いますので、一党だけがぬきんでてという感じにはとてもならないんじゃないか。  それに比例が加味されておりますから、比例選において、日本人の場合、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、参院の選挙区選と比例選の場合においても非常に微妙な投票行動を有権者はします。そういうバランス感覚というのは日本有権者は非常に持っておると思いますので、そういう一党支配が逆に生まれるという心配は私はないというふうに思います。
  156. 亀井正夫

    公述人(亀井正夫君) 私の基本は、中選挙区制というのは大正十四年からやって、いろいろ制度としてはメリットがあったにしても、現在はデメリットの方が大きくなり過ぎたと。結局どんな制度でも長年やるとやはりうみの部分が出てくる。そこで新しい制度に変えるというのは国会の先生方の大部分の方の総意であったわけでございます。そうすると、世界選挙制度は小選挙区と比例代表制。小選挙区にも長短ある、比例代表にも長短ある。そうすると、そこをコンバインしてやろうという、ここに日本的知恵の発想ということでこの考え方が出たんではないか。  私は、やはり小選挙区というものを主体にする選挙制度がいいと思っている。  というのは四十万人ないし四十五、六万人のところから五十万まで、そこで一人だけを選ぶということですね。ナンバーワンの人を選ぶと。こういう考え方になると選挙民意識は相当変わってくる。例えば私が前に住んでおりました兵庫二区に例をとってみますと、とにかく尼崎、西宮、芦屋、それから伊丹、宝塚、そして淡路島、それだけの範囲で五人なんですね。そうすると非常に運動範囲も広く金がかかる、そしてだれに当たるかわからない、こういう制度でございますが、例えば尼崎で五十万の人口に一人だけということになると、選挙民は本当に真剣に考えていくことになるんではないか。  それにあわせまして多様な民意の反映で比例代表を加味すると、こういうのは日本的な知恵の発想であって、現在においては私はいい制度であると、こう考えております。
  157. 右崎正博

    公述人右崎正博君) 私は、小選挙区制が導入されることになりますと、恐らく二つないし三つ政党しか残らないのではないかと思います。  といいますのは、先ほども言いましたが、価値観がこれだけ多様化している社会の中で、政治的な意見代表する組織が二つ三つしかないということの方がもっと民主主義にとっては重大な問題であるというふうに考えています。  先ほど亀井先生の方から、小選挙区制をとれば政権の選択が可能になる、有権者はもっと関心を持って見るから投票率は上がることになるだろうという予測を述べられましたが、諸外国のことをたくさん知っているわけではありませんが、アメリカなどの例を見ますと道なんですね。小選挙区制をとりますと、一人有力な政治家が出てきますとほかの人は勝ち目がなくなってしまうんです。そうしますと立候補できないんですね。負けることがわかっている選挙には立候補する人はだれもいないんです。  その結果どうなっているかといいますと、単純小選挙区制なんですが、下院議員が総議席数が四百三十五だったと思いますが、そのうちの八十を超える数、約二割が対立候補の立たない選挙区になってしまっているという状況なんです。ですから、投票率はもう目に見えて低下し始めています。大統領選挙の行われる年でも五〇%に届くか届かないかがやっとなんです。大統領選挙が行われない年には三〇%台ぐらいに下がってしまうんです。その中で六割ぐらいが議席に結びつかない形で代表者が選ばれる。極めて不自然な、民主主義を生かしていくにはほど遠い選挙制度になっていないだろうかという疑問を抱いているわけです。  それから、政党助成に関してですが、私は先ほど憲法十四条の点、十九条の点、二十一条の点から、いずれも疑問があるということを申し上げました。それに照らして考えますと、政党に対して一般的な形で助成をするというやり方ではなくて、立候補を平等に認めた上で各立候補者選挙活動を平等に援助するという形の補助、選挙公営の拡大と言ってもいいんですが、あるいは選挙によって選ばれて国会で活動する一人一人の議員政治活動に対してできる限り平等な形で補助をする、そういう形にとどめるべきではないかというふうに考えているわけです。それが憲法上許される限度ではないかということも申し添えておきます。
  158. 青島幸男

    青島幸男君 終わります。ありがとうございました。
  159. 上野雄文

    委員長上野雄文君) これにて公述人に対する質疑は終わりました。  この際、公述人方々に一言お礼を申し上げます。  公述人方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  これをもって公聴会を散会いたします。    午後四時三十四分散会