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1988-03-22 第112回国会 衆議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十二日(火曜日)     ─────────────  議事日程 第七号   昭和六十三年三月二十二日     午後一時開議  第一 国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正受諾について承認を求めるの件  第二 租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)     ───────────── ○本日の会議に付した案件  永年在職議員楢崎弥之助君に対し、院議をもつて功労表彰することとし、表彰文議長に一任するの件(議長発議)  議員請暇の件  人事官任命につき同意を求めるの件  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件  宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの件  日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求めるの件  日程第一 国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正受諾について承認を求めるの件  日程第二 租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案内閣提出)  国民健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時三十三分開議
  2. 原健三郎

    議長原健三郎君) これより会議を開きます。      ────◇─────  永年在職議員表彰の件
  3. 原健三郎

    議長原健三郎君) お諮りいたします。  本院議員として在職二十五年に達せられました楢崎弥之助君に対し、先例により、院議をもつてその功労表彰いたしたいと存じます。表彰文議長に一任されたいと存じます。これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  表彰文を朗読いたします。  議員楢崎弥之助君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた  よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する     〔拍手〕  この贈呈方議長において取り計らいます。     ─────────────
  5. 原健三郎

    議長原健三郎君) この際、楢崎弥之助君から発言を求められております。これを許します。楢崎弥之助君。     〔楢崎弥之助登壇
  6. 楢崎弥之助

    楢崎弥之助君 ただいま、本院議員として在職二十五年に当たり、院議をもって永年在職表彰をいただきました。まことに光栄の至り、感激のきわみであります。  ここに謹んで、はるかふるさとの皆様並びに陰に陽に私を支えてきていただきましたたくさんの方々に対し、心から深く、厚く御礼を申し上げたいと存じます。(拍手)  なお、高いところから、個人ごとではございますが、皆さん方のお許しを得まして、過ぐる三年前に黄泉のかなたに旅立ちをいたしました亡き妻に対し、本日のこの晴れ姿の喜びを分かち合いたいと存じます。(拍手)  私は、九州博多の古い呉服商、しにせでございますが、「紙弥」の次男坊として生まれました。  私の学びました中学校は、福岡県立修猷館という黒田藩につながる歴史と伝統を持った由緒ある学校でありましたが、皆さん方にとっても先輩議員であります、あの戦争中、東条軍閥に抗して自刃した中野正剛、「落日燃ゆ」の悲劇の宰相廣田弘毅、爛頭の急務と叫んで総理総裁の座につく寸前に惜しくも倒れました当時の自由党副総裁緒方竹虎日本社会党創設の重鎮三輪壽壯、これすべて我が修猷館の私の先輩であります。(拍手)  楢崎弥之助、とてもこれら大先輩の足元に及ぶべくもございませんが、ただ一つ、その反骨の精神、反権力の気風だけは学び取ってきたつもりであります。(拍手)そして、義理と人情に厚い九州男児の情熱と純粋さだけは失わないようにとみずからを厳しく律してまいりました。(拍手)  昭和二十年十一月二日、あの敗戦の瓦れきの中に日比谷公会堂で産声を上げました日本社会党の結党に参加して政治運動に身を投じて以来今日まで四十三年、その間、昭和三十五年秋に、淺沼稻次郎社会党委員長のかばねを乗り越えて初めて本院に議席を得ましてからも二十五年がたちました。思えば、はるばる遠くへ来たものだという感慨で今胸がいっぱいであります。  およそ世の中の常識と隔絶されたこの赤じゅうたんの世界の中で、私はいたずらに試行錯誤の年輪を重ね、悔い多き風雪の日々を送ってまいりました。もし、この四半世紀の間におまえは一体何を得たかと問われるならば、私は、何のためらいもなく即座に、それは人の心でありました、そして党派を超えてよき先輩、すばらしい仲間にめぐり会えたことだと答えるでありましょう。(拍手)  風さそうままに花落ち、雲流れるままに人は去る。たくさんのすばらしい出会いがありました。そして悲しい別れもありました。これから先、もし楢崎弥之助みずからの生きるあかしを求めるものがあるとするならば、それは日本政治議会制民主主義活性化のために、自民党党支配にかわり得る新しい政治勢力をつくる以外にないと深く心に刻んでおります。(拍手)  かの動乱の幕末期薩長土肥四藩の連合を果たし、維新の夜明けに身を投じましたあの土佐藩下級武士坂本竜馬の生きざまに、今私は限りない政治へのロマンをかき立て、この命生きる限りおのれの務めを最後まで果たしてまいる存念でございます。  どうぞこれからも皆さん方の御指導をよろしくお願いを申し上げ、謝辞にかえたいと存じます。きょうはまことにありがとうございました。(拍手)      ────◇─────  議員請暇の件
  7. 原健三郎

    議長原健三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  橋本龍太郎君から、海外旅行のため、三月二十二日から四月八日まで十八日間、請暇申し出があります。これを許可するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ────◇─────  人事官任命につき同意を求めるの件  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件  宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの件  日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求めるの件
  9. 原健三郎

    議長原健三郎君) お諮りいたします。  内閣から、  人事官内海倫君を、  原子力委員会委員に中江要介君を、  宇宙開発委員会委員齋藤成文君を、  日本銀行政策委員会委員小尾知愛君を 任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。  まず、人事官原子力委員会委員及び日本銀行政策委員会委員任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  10. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。  次に、宇宙開発委員会委員任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ────◇─────  日程第一 国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正受諾について承認を求めるの件
  12. 原健三郎

    議長原健三郎君) 日程第一、国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正受諾について承認を求めるの件を議題といたします。  委員長報告を求めます。外務委員長糸英太郎君。     ─────────────  国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正受諾について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     ─────────────     〔糸山英太郎登壇
  13. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 ただいま議題となりました国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正について、外務委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  国際復興開発銀行、すなわち世界銀行は、戦災をこうむった加盟国経済復興及び開発途上国開発を援助するための国際機関として昭和二十年に設立されたもので、現在その加盟国数は、我が国を含め百五十一カ国に達しております。  我が国は、近年、国力にふさわしい地位を銀行において確保し、応分の貢献を行うため、銀行の総資本金に対する我が国出資金比率引き上げるよう努めてまいりました。本改正は、銀行における加盟国間の出資比率調整一環として、銀行協定安定性の向上を図るため、昭和六十二年六月三十日に銀行総務会において採択されたものであります。  本改正内容は、銀行協定第八条(a)に定める協定改正効力発生に必要な受諾加盟国投票権数の総投票権数に占める割合を、五分の四、すなわち八〇%から八五%に改めるものであります。  本件は、去る三月四日外務委員会に付託され、同月九日宇野外務大臣から提案理由説明を聴取し、同月十八日質疑を行い、討論の後、引き続き採決を行いました結果、多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  14. 原健三郎

    議長原健三郎君) 採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり承認するに決しました。      ────◇───── O自見庄三郎君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  日程第二とともに、内閣提出関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を追加して、両案を一括議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  16. 原健三郎

    議長原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。     ─────────────  日程第二 租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出
  18. 原健三郎

    議長原健三郎君) 日程第二、租税特別措置法の一部を改正する法律案関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員長越智通雄君。     ─────────────  租税特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     ─────────────     〔越智通雄登壇
  19. 越智通雄

    越智通雄君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  初めに、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、税制抜本的改革との関連に留意しつつ、最近の社会経済情勢等に即応して、土地住宅税制見直し等当面早急に実施すべき措置を講じようとするものであります。  以下、その概要を申し上げます。  第一に、土地税制につきましては、土地供給促進地価対策等に資するため、優良住宅地造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得について、一律二〇%の税率による分離課税を行うこととするほか、所有期間が十年を超える居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得について、買いかえの特例原則として廃止し、軽減税率による分離課税を行うこととする等の措置を講ずることとしております。  第二に、住宅取得促進税制につきましては、国民持ち家取得を一層促進する見地から、現行控除対象限度額二千万円の範囲内で、公的な借入金等に係る控除対象額をその年末残高の二分の一から全額に引き上げることとするほか、適用対象となる借入金等範囲拡充等を行い、あわせて適用期限延長を行うこととしております。  第三に、石油税につきましては、昭和六十三年度における税負担の安定を図りつつ、石油及び石油代替エネルギー対策財源を安定的に確保するため、昭和六十三年八月一日から昭和六十四年三月三十一日までの間の特例措置として、課税方式従量税とするとともに、所要措置を講ずることとしております。  第四に、企業関係租税特別措置等につきましては、既存の租税特別措置整理合理化を図る一方、地域産業活性化事業分野を異にする中小企業者知識融合化による新分野開拓に資するため、新たに所要措置を講うずる等必要な改正を行うこととしております。  その他、欠損金繰越控除の一部停止措置等適用期限の到来をもって廃止するほか、たばこ消費税揮発油税地方道路税等税率特例措置等適用期限の到来するものについて実情に応じてその延長を行う等の措置を講ずることとしております。  本案につきましては、去る三月一日宮澤大蔵大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑に入り、以来五回にわたり質疑を行うなど慎重な審査を進め、十八日質疑を終了いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。  次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における内外の経済情勢変化対応し、関税率特恵関税制度等について所要改正を行おうとするもので、以下、その概要を申し上げますと、  第一に、我が国市場アクセスの一層の改善を図る等の見地から、チョコレート菓子、スキー、原油等について関税率引き下げ等を行うこととしております。  第二に、特定の鉱工業産品に係る特恵関税適用限度枠について、国内産業実情等に応じて、現行枠を五〇%、三〇%または一〇%拡大することとしております。  以上のほか、加工再輸入減税制度について対象品目拡充を行うとともに、昭和六十三年三月末に適用期限の到来する暫定関税率及び関税還付制度についてこれらの適用期限延長する等の改正を行うこととしております。  本案につきましては、本日宮澤大蔵大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、質疑終了後、直ちに採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  20. 原健三郎

    議長原健三郎君) 両案中、日程第二につき討論の通告があります。これを許します。早川勝君。     〔早川勝登壇
  21. 早川勝

    早川勝君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。  税金に対して国民の関心が日一日と高まっていることは多くの世論調査の結果を見ても明らかでありますが、その反面、不公平感不信感が増幅されてきていることも否定できない現実であります。言うまでもなく、公平、公正こそ租税の第一の原則であります。しかし、租税特別措置による、減免税項目は現在なお百七十三に上り、それだけ数多くの不公平な制度を認めているのであります。したがって、政策効果を厳しく点検し、その目的を達成した際には速やかに廃止しなければならず、また存続、新設に当たっては不公平を最小限にとどめる中で最大の効果を期待する方針こそ守られなければならないのであります。不公平な税制を一日も早くなくし、最近の土地暴騰に伴う不労所得への課税の強化、土地脱税への厳しい対応等こそ政府に求めている国民の声であります。このような観点に立ってみますと、今回の改正案は全く不十分と言わざるを得ません。  以下、具体的な反対理由を申し上げます。  第一には、特別措置の点検と整理改廃が徹底されていないことであります。  例えば、制度導入以来十四年間に適用件数わずか四件といった項目もありますが、これは政策効果以前の問題であります。そのほか、法人関係準備金引当金等を整理し、圧縮することは、抜本的税制改革に着手するに当たってのいわば条件整備でなければならないのでありますが、惰性と既得権化を追認しているだけでは、不公平税制に取り組む政府の姿勢に大きな疑念を抱かざるを得ないのであります。  第二には、土地税制住宅税制に関して、地価抑制持ち家取得政策目的とはいえ、新たな不公平をもたらすおそれのあることであります。  土地政策の失敗のツケを税制で処理するには限界があり、しかも税制の頻繁な変更は土地政策上も望ましいものではありません。しかも、今回の改正によって住宅建設にどれだけ寄与できるのか事前にその効果を評定できず、単に業界の要望を受け入れただけというのでは、従来の反省に立った対応とは言えず、土地供給のための税率緩和もいわばこれまでの政策の繰り返しであり、必ずしも地価抑制につながらなかったのであります。また、いわゆるローン減税適用対象者所得要件三千万円への引き上げは、高所得者に対する過当な優遇政策と考えるものであります。  第三には、石油税引き上げの問題であります。  石油業界とりわけ販売業者間の競争の激しさに加えて、石油関係諸税負担が重く、その上に今回の課税標準を変えての引き上げは、末端販売業者消費者を圧迫するものとなります。しかも、従価税から従量税に切りかえて来年度末までの特例措置としておりますが、課税方式の転換は税制基本的改革ともいうべきものであり、それを特例として行うことは余りにも便宜的対応で認めがたいのであります。  第四には、たばこ消費税延長についてであります。  一本一円の増税は六十一年度の財政措置として、まさに臨時特例措置として認められたものであります。しかも、その延長売上税導入と連動させていたもので、売上税廃案とともに完全に廃止されなければならないにもかかわらず、三度延長することは専売制度改革法案成立時の附帯決議に反し、特別な高率の税負担率を適正な負担率とみなし、新大型間接税負担を先取りするものであって容認できません。景気の上昇に伴い大きな自然増収が確保できている現状を見るとき、特別増税を続ける理由はなくなったのであります。  以上、反対理由を申し述べましたが、今後の我が国税制抜本的改革に当たっては、公平、特に所得分配機能を重視するシャウプ税制公平原則を堅持すること、不公平税制を是正するプログラムを明らかにすること、資産、所得の保有と分布等々資料を作成し公表すること、正確に税収を見積もることなど、国民納得信頼を得ることが重要になってきています。しかし、政府の最近の対応はかえって国民の不満と不信を助長している傾向が強まっていると判断せざるを得ないのであります。  予算修正一環として野党共同で要求しております二兆九千四百億円の減税は、所得税住民税を中心にして、政策減税から相続税法人税減税まで国民の要求をくみ上げ、今日の生活実態経済状況に配慮した上に、その財源もキャピタルゲイン課税等不公平な税制を是正して確保しようとするものであり、早期に完全に実施することで国民にこたえるべきなのであります。したがいまして、財源対策を口実に、あらゆる術策を講じて新大型間接税導入を図ろうとする政府自民党方針は直ちに撤回すべきであります。  また、竹下総理大型間接税に関して六項目懸念を示されましたが、これらはいわば大型間接税の本質であり、それ自体でもって解消不可能な問題点であります。六項目懸念の解消に努力すると言われておりますが、それよりも高齢化社会における年金、医療、住宅、そして仕事といった国民が抱いている不安感をなくすためのプランを明らかにすることが先決であり、高齢化社会生活設計を可能ならしめる計画こそ示すべきであります。  ところで、一昨日総理府が発表した税制改革に関する有識者調査は、正確な意識調査に当たるのか大きな疑問を持ちます。千人の対象者抽出基準があいまいであり、ほとんどが東京在住者に限られ、質問内容も新大型間接税導入に向けての誘導的な設定が行われているのであります。これでは世論調査ではなく世論操作にほかなりません。もはや税制改革具体的計画やイメージを鮮明に提起した上での調査でなければ、税金問題の解決を誤らせるものとなり、国民不信感を高めるだけとなるのであります。  税金は、国民のあらゆる層に大きな影響を及ぼし、納税の義務を課すものとなり、国民納得信頼を前提にしなければなりません。現在の税論議は、我が国民主主義政治のあり方が問われている重大な局面に立っております。それだけに拙速と強引な改革政治不信を招くことを指摘いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  22. 原健三郎

    議長原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  23. 原健三郎

    議長原健三郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第二につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  24. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  25. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────
  26. 自見庄三郎

    ○自見庄三郎君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  内閣提出中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案、異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案、右両案を一括議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  27. 原健三郎

    議長原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。     ─────────────  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案内閣提出
  29. 原健三郎

    議長原健三郎君) 中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案、異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案、右両案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。商工委員長渡辺秀央君。     ─────────────  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案及び同報告書  異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案及び同  報告書     〔本号末尾掲載〕     ─────────────     〔渡辺秀央登壇
  30. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、商工委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、円高進展等最近における経済環境の著しい変化対応し、中小企業信用補完制度拡充を図ろうとするものでありまして、  その内容の第一は、普通保険、無担保保険及び特別小口保険について、付保限度額引き上げること、  第二は、中小企業海外直接投資に必要な資金対象とする海外投資関係保険を創設すること、  第三は、中小企業の新たな事業開拓に要する資金対象とする新事業開拓保険を創設すること、  第四は、本年三月三十一日で期限が到来する倒産関連保証に係る無担保保険付保限度額特例措置を一年間延長するとともに、引き続き円高で影響を受けている個別の中小企業者についても、倒産関連保証特例措置対象とすること、  第五は、中小企業信用保険公庫の理事及び監事の任期を現行の四年から二年に変更するとともに、同保険公庫の利益処理方法の政令委任等について定めること 等であります。  次に、異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案について申し上げます。  現在、最近の経済環境変化対応して、全国各地で事業分野を異にする中小企業者が協力して、それぞれの技術や経営に関する知識融合させ、新たな製品やサービスを開発し新分野開拓しようとする、いわゆる異分野中小企業者融合化が積極的に展開されております。  本案は、このような融合化を促進するための措置を講じようとするものでありまして、  その内容の第一は、国及び地方公共団体は、異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進するための施策を総合的に推進するよう努めるものとすること、  第二は、異分野中小企業者を組合員とする事業協同組合は、知識融合開発事業計画を作成し、所管行政庁の認定を受けることができること、  第三は、計画の認定を受けた組合及び組合員等に対して、必要な資金の確保、新事業開拓保険付保限度額等の特例、試験研究についての課税特例準備金制度の創設等の助成措置を講ずること、  第四は、計画の認定を受けた事業協同組合が知識融合開発事業を円滑に実施できるよう、中小企業等協同組合法及び中小企業団体の組織に関する法律の特例を設けること 等であります。  両法律案は、去る二月五日及び八日にそれぞれ当委員会に付託され、三月一日田村通商産業大臣から提案理由説明を聴取し、同月二日及び本二十二日質疑を行い、採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  31. 原健三郎

    議長原健三郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────  国民健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  33. 原健三郎

    議長原健三郎君) この際、内閣提出国民健康保険法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣藤本孝雄君。     〔国務大臣藤本孝雄君登壇
  34. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 国民健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  国民健康保険制度は、我が国国民皆保険体制の基盤となる制度として重要な役割を果たしておりますが、制度を取り巻く社会経済が大きく変化し、人口の高齢化等を背景に医療費が増高する中で、運営上さまざまな問題を抱えるに至っており、その解決を図ることが重要な課題となっております。  そこで、保険料負担能力の低い被保険者の加入割合が高いという問題や医療費の地域差問題等、国民健康保険制度が当面している不安定要因に対して、国、都道府県及び市町村が共同して取り組む仕組みをつくることにより、国民健康保険事業の運営の安定化を図ることを目的として、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、指定市町村における国民健康保険事業の運営の安定化の推進であります。厚生大臣が指定する医療給付費等が著しく多額な市町村は、安定化計画を作成し、国及び都道府県の指導及び援助のもとに、給付費等の適正化等運営の安定化のための措置を講ずることとしています。この計画の実施状況を踏まえ、指定市町村の給付費等が特別の事情を勘案してもなお被保険者の年齢構成等をもとに定める基準を超える場合、その基準を超える著しく高い給付費等の一定部分について、国、都道府県、市町村が六分の一ずつ共同で負担するものとしています。  第二は、保険財政基盤の安定化措置であります。市町村の国民健康保険の財政基盤の安定のため、市町村は、保険料負担能力の低い被保険者の保険料軽減相当額を基礎として算定した額を一般会計から国民健康保険特別会計に繰り入れることとし、国はその二分の一を、都道府県はその四分の一をそれぞれ負担することとしております。  第三は、高額医療費共同事業の強化充実であります。高額な医療給付が市町村の国民健康保険の財政に与える影響を緩和するため、国及び都道府県は、国民健康保険団体連合会が行う高額医療費共同事業に対してその費用の一部を補助することができることとし、これにより同事業の強化充実を図ることとしております。  第四は、老人保健医療費拠出金の国庫負担の見直しであります。保険財政基盤の安定化措置等を通じ、国民健康保険の運営の安定化が図られることから、その財政運営への影響に配慮しつつ、特例的に高くなっている老人保健医療費拠出金に係る国庫負担率を調整することとしております。  こうした改正のほか、被保険者資格証明書の交付を受けている場合の療養について社会保険診療の扱いとするなど、その他所要改正を行うこととしております。  以上申し上げました制度改正のうち、保険財政基盤の安定化措置、高額医療費共同事業に対する補助及び老人保健医療費拠出金に対する国庫負担の見直しの措置昭和六十三年度及び六十四年度における措置としております。  最後に、施行期日でありますが、本年四月一日から施行することとしております。  以上が国民健康保険法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)      ────◇─────  国民健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  35. 原健三郎

    議長原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。伊藤忠治君。     〔伊藤忠治君登壇
  36. 伊藤忠治

    ○伊藤忠治君 私は、日本社会党護憲共同を代表し、ただいま提案のありました国民健康保険法の一部を改正する法律案について質問を行います。  バターと大砲は両立しないという言葉のとおり、国民福祉を重視し、社会保障制度拡充に国政が最大限の努力を傾注してこそ政治に対する国民信頼を高めることができると確信するものであります。にもかかわらず、自民党政治の現状はどうでありましょう。医療、福祉、年金など社会保障に関する改正案の中身は、そのほとんどが政府負担金、補助金、交付金、助成金の削除を企図したものばかりであります。一方、防衛予算については伸長とどまるところを知らず、今日では、我が国の国是とも言うべきGNP比一%枠を前中曽根内閣が突破し、これを踏襲する竹下内閣は軍事大国路線を着実に推し進めようとしているのであります。  竹下総理、六十三年度国家予算案を見るとき、社会保障費の伸び率より防衛費の伸び率の方が大きく上回っています。これは明らかに社会保障の拡充より軍備拡大を重視する姿勢にほかならないと考えますが、総理の見解をまず明らかにしていただきたいのであります。(拍手)  次に、医療保険制度の一元化について質問いたします。  医療保険制度に関する政府方針は、一つには、昭和六十年代後半のできるだけ早い時期に一元化を実施することであり、二つには、老人医療費に対する各保険からの拠出金において加入者按分率を一〇〇%に引き上げる六十五年度までに老人保健制度の見直しを行うことの二点に基本が置かれています。そして、社会保険審議会など関係審議会は、昨年五月以来これらのための検討作業を進めているところであります。  このように、基本的な流れから見ると、この政府案は極めて唐突であり、隣の車線から突然割り込んできたようなものであります。制度の一元化や見直しという大改革にとって、これは一体どのような意味を持つのか、その位置づけをまず明確にしていただきたいのであります。  この件を諮問された国保問題懇談会の報告においても、国保改革については、「医療保険制度の一元化、保険料の標準化等の在り方について、結論を得た上で改革に踏み切るべきであり、六十三年度予算編成に向けて現段階で報告を急ぐべきでないとの意見があった。」と明記されているのでありますが、それにもかかわらずこれを急いだ理由を明らかにしていただきたいのであります。  政府内部においては、この改正案制度一元化への地ならしと位置づけられているようであります。もしそうだとするならば、その地ならし、すなわち前提条件の整備とはどういうものであるべきかについて、私は我が党の基本的見解を明らかにしつつ、政府の考え方をただしたいと思うのであります。  まず第一に、医療保険制度は大別して、地域保険としての国民健康保険と、職域保険としての被用者保険の二つのグループを基本とすべきであり、一元化とは一本化を意味するものではないということを確認する必要があります。なぜならば、保険制度の立て方は、その運営に加入者が積極的に参加することに視点を据えて考えるべきだからであり、したがって、分権、自治の性格を持つ多様な制度を基本とし、しかも給付と負担のあり方を一元化するという方向を目指さなければなりません。前提条件の第二は、急速な高齢化の中で、老人医療を医療保険制度の中に押し込めようとすることには無理があること、すなわち、現役世代の保険料の高騰に歯どめをかけるため、一般財源を中心とした老人医療制度とすることであります。第三に、高齢者対策の一元化が必要なこと、特にまだ六十歳定年制が一般的であるにもかかわらず、年金支給開始年齢を六十五歳におくらせたり、あるいはまた老人医療を七十歳に固定化することをやめ、とりあえず老人福祉法による老人、すなわち六十五歳以上を老人医療の対象とし、また、そこで雇用と年金の接続を図ることであります。  制度一元化への地ならしと言われるならば、少なくともこれら三つの前提条件について立場を明確にする必要があると考えますが、厚生大臣の見解を伺いたいのであります。(拍手)  政府が、このように重大な前提条件についていまだ方針を確立していないうちに今次改正案の提出を急いだ理由は、一体何だったのでありましょうか。それは、とにもかくにも厚生省予算を概算要求の枠内におさめる必要があったからというだけのことではないでしょうか。改正案による財政影響を見ますと、厚生省の支出分が四百五十億円減り、その分自治体負担がふえ、さらに、これを自治省予算に上乗せしてつじつまを合わせているのであります。ただそれだけのことに厚生省が改革としての意味を強調しているのは、都道府県が拠出することによって国保運営への全員参加体制ができ、したがってまた、医療費の抑制にもみんなの努力を期待できるという点にあるようであります。しかし、肝心の加入者、国民の間に不公平感が充満したままでは、みんなの努力など期待できるわけがありません。例えば世帯当たりの平均保険料は、医療保険制度の中で最も給付水準の悪い国保が逆に高く、その高い平均保険料の実態は、一番安い鹿児島県十島村の月額一千八百七十六円から最高の北海道南茅部町の二万一千八百七十二円に至るまで、およそ十三倍という開きがあるのであります。現在の所得税住民税は、低所得者にとって過酷なものであり、さらに過酷なのは国保税であります。  このように矛盾した現状のもとで、政府がいやしくも国保を改革しようというならば、せめてサラリーマン保険本人、つまり九割給付との給付格差是正プランや保険料の抑制、公平化プランをセットで示すべきではなかったでありましょうか。  本法案の内容で問題なのは、まず第一に、自治体の過大な負担を解消する効果がないということであります。  政府案による財政影響は、都道府県四百四十億円、市町村二百五十億円、合計六百九十億円の負担増となり、保険料負担の軽減分二百四十億円を差し引いた四百五十億円は、確実に新たな自治体負担になります。これに対して政府は、六十三、六十四両年度だけ地方交付税の特例加算によって手当てし、それが交付されない自治体には起債を認めるというのであります。しかし、地方交付税の特例加算という措置は、本来、自治体の一般財源である地方交付税に対して国が使途を限定することを意味し、自治体財政の基本にもとるものと言わなければなりません。さらに問題なのは、六十五年度以降の措置について、全く触れられていないことであります。  これらの諸点について自治大臣並びに大蔵大臣の見解を明らかにしていただきたいのであります。  そもそも国保に対する自治体の法外負担は恒常化しており、市町村は六十年度一千七百六十一億円、六十一年度二千二百六十七億円を持ち出しています。また、都道府県においても、現に三十七都道府県が市町村国保を補助しており、その合計は、六十年度三百七十五億円、六十一年度三百七十億円に上っているのが実状であります。このように巨額の自治体負担の解消に向けて政府案が一体どう役に立つというのか、はっきりさせていただきたいのであります。  また、五十九年度に発足した退職者医療制度への加入者を四百六万人と過大に見積もった政府は、その分、国保に対する国庫負担を引き下げ、当時、医療費の四五%から三八・五%に引き下げたのでありますが、実際の加入者は当初二百六十万人にすぎず、これに見合って四一・四%の国庫負担を確保しなければならないのであります。つまり、政府判断の誤りによって国庫負担率を約三%余計に引き下げてしまったのですが、これをいつ回復するつもりなのか、明確な答弁を求めるものであります。  政府案の第二の問題は、医療費の抑制効果についてほとんど期待できないということであります。  その理由の一つは、医療費の抑制効果を持つ決定的な施策ほほとんど国レベルのものであり、自治体の機能は小さいということであります。それにもかかわらず、政府案は、著しく医療費の高い市町村に安定化計画をつくらせ、都道府県の助言指導のもとにこれを推進しようというのであります。例えば、診療報酬の点数表やその支払い方式は、医療費の実情に最大の影響を与える要因だと思いますが、すべてこれは国の制度であって、自治体ではどうしようもありません。また、薬づけ、検査づけと言われる医療内容に関しては、医師の処方権に属することであり、確実な医療被害でも起きない限り、国さえ容易に口出しすることはできないのであります。  政府案の医療費抑制効果に期待できない二つ目の理由は、他の医療保険制度、とりわけ家族を含めて三千二百万人が加入する政府管掌健康保険は、高医療費地域対策としてどのような施策を講じようとしているのか全くわからないことであります。  この点について厚生大臣並びに自治大臣の見解を求めるものであります。  政府は、さほど権限のない自治体に医療費の抑制効果を迫るよりも先に、国としてやるべきことを実行すべきであると考えるものであります。例えば、欠陥の多い点数出来高払い方式を補強する制度として、家庭医制度、すなわち、家庭医を希望する医師の中から一人を選び、その医師に家族全員の健康管理を引き受けてもらう制度を創設し、家庭医に対しては、担当する世帯員数に応じ年間委託料を交付するようにすべきではないかと考えるのであります。また、医療内容の適正化を優先することによって、結果として医療費を抑制するため、市民参加による健康・福祉サービス適正化委員会を市町村に設置し、医療供給側と費用負担側との緊張関係と新たな信頼関係を築くべきではないかと考えるのであります。  以上の考え方に対して、厚生大臣の見解をお伺いしたいのであります。  最後に、国民医療費は依然膨張を続け、今や二十兆円に迫ろうとしています。二十一世紀に向けなおも高齢化社会が進行する我が国にとって、負担と給付の公平を期する真の医療保険制度の実現に向け抜本改革を行うことは喫緊の課題であり、我が党はそのために全力を挙げて取り組む決意であることを強く表明し、私の代表質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇
  37. 竹下登

    内閣総理大臣(竹下登君) 伊藤さんの御質問は医療保険制度全般にわたるものでございますが、私に対する質問は、今年度予算の性格づけという形であったと思います。  内需主導型とともに、今日まで御厄介になりまして財政改革を続けてまいりました。その財政改革は強力に推進しなければならぬ、それはどうしても既存の制度、施策の根本的見直しということが必要になってくるわけであります。したがって、経費の一層の節減合理化、このことにやはり力を注いでまいりました。しかし、国民生活全体に配慮しなければなりませんので、財源の重点的、効率的配分には努めてきたところでございます。したがって、社会保障関係予算につきましても、それぞれきめ細かな重点的配慮をいたしておるところでございます。  なお、防衛関係費につきましては、厳しい財政事情におきまして、言ってみれば他の諸施策とのぎりぎりの調和点を求める、こういう考え方で経費を計上したものでございますので、これをして軍拡予算だというようには私どもは考えておりません。  以上、私のお答えを申し上げ、残余のお答えは関係大臣から申し上げます。(拍手)     〔国務大臣藤本孝雄君登壇
  38. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) まず、今回の改正案の位置づけでございますが、今回の改革は、低所得者問題や医療費の地域差問題等国保の不安定要因となっております構造問題につきまして、国と地方が共同して取り組む仕組みをつくることにより国保の安定化を図るものであり、給付と負担の公平化に向けての改革一環としてこれを位置づけております。  なお、国保問題懇談会の報告におきましては、大方の意見は、国保制度の安定化のために現時点で必要な措置について早急に改革に取り組むよう要望されたものと理解をいたしております。  次に、医療保険制度の一元化の前提条件に関しまして、重要な点の御指摘をいただきました。さらに検討を深めるべき面もあると思います。  まず、給付と負担の公平化につきましては、現行国民皆保険の基本を前提とし、段階的に改革を進める所存であります。医療保険制度の将来構想につきましては、引き続き検討してまいりたいと考えております。  次に、老人医療制度財源でありますが、各保険者の共同事業という制度の性格からいたしまして、公費と拠出金で賄うことが最もふさわしい現実的な方式ではないかと考えております。  第三の高齢者対策の一元化についてでありますが、老人医療の対象年齢につきましては、高齢者雇用や公的年金の支給開始年齢等の今後の動向を踏まえ、長期的課題として取り組んでまいる所存であります。  次に、今回の改正法案と予算編成との関係についてでありますが、今回の改革は、先ほど御答弁申し上げましたように、国保制度が当面する構造的な問題に対しまして、国と地方が一体となって取り組む体制を整備をして制度の運営の安定化を図るものでありまして、予算編成の必要性から行うものではございません。  次に、国保の給付水準についてでありますが、国保問題懇談会の時期尚早との意見も踏まえまして今回の改革には織り込まないことといたしましたが、保険料の公平化等の問題ともあわせ、今後、医療保険制度全体の給付と負担のあり方も念頭に置いてさらに検討してまいる所存であります。なお、社会保障制度審議会におきましても、国保制度の長期的安定方策について現在御検討いただくことといたしております。  なお、今回の改革全体を通じまして二百四十億円、一世帯当たり約千七百円の保険料軽減効果が見込まれるところであります。  次に、国保に対する自治体負担の問題につきましては、自治体ごとのそれぞれの事情によって行われているものでございますから一概には申し上げられませんが、今回の改正案、また退職者医療の影響額に対する補てん措置、さらには老人保健法改正効果等が相まちまして国保財政の安定化が図られ、そのことが一般会計の繰り入れにも反映していくものと考えております。  次に、退職者医療制度創設に伴う財政影響につきましては、六十一年度までのいわゆる未措置分につきまして完全補てんしたところでございます。その後の影響につきましては、老人保健法の改正効果もあること、さらに国保も社会保険制度である以上、国庫負担は給付費の二分の一が一つの限度と考えられることから、これを引き上げることは適当でないと考えております。  次に、安定化計画につきましては、市町村はレセプト点検など、都道府県は療養取扱機関の指導など、それぞれの立場で医療費適正化対策を推進できる権限を持っております。また、例えば老人医療につきましては、ヘルス事業や在宅福祉等の対策を推進することにより医療費の適正化にも資するものと考えております。もとより、国におきましても、御指摘のあった診療報酬の合理化等の施策を積極的に推進する考えでございまして、また、政管健保等他制度におきましても、地域的な医療費適正化対策を推進することとしておりますので、このような取り組みによりまして適正化がさらに進められるものと考えております。  最後に、家庭医につきましてでございますが、来年度、モデル事業を実施する等、家庭医機能の普及定着のための方策を現在検討しておるわけでございます。また保健、医療、福祉サービスの有効、適切な提供という面につきましては、特に高齢者に着目して提供できるよう六十二年度より市町村に高齢者サービス調整チーム、これの設置を図るなど措置を講じたところであります。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣梶山静六君登壇
  39. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 伊藤議員にお答えを申し上げます。  質問の第一は、地方交付税の使途についてでございますけれども、今回の国保制度の見直しに伴い地方負担の増加額が生ずることとなるために、地方交付税の特例加算等により補てんすることといたしたものであり、地方交付税の算定においてその所要額を財政需要額として配分するものでありますが、各地方団体は、地方税収入等とともに一般財源としてその使途を制限されているものではないことを御理解をいただきたいところであります。  次に、六十五年度以降の地方財政措置についてでございますけれども、御指摘の地方負担の増加額は、昭和六十三年度及び六十四年度の暫定的措置に伴うものであり、両年度に限って生ずるものと承知をいたしているところでございます。六十五年度以降については、医療保険制度の一元化の方策等の基本的問題とあわせて検討をすべきものであると考えております。  次に、国保への一般会計の繰り入れについてでありますが、国民健康保険事業は、原則として保険料及び国庫支出金により賄われるべきものと認識をいたしております。しかしながら、増高する医療費等に対応するため、やむなく一般会計からの繰り入れが行われている現状等にもかんがみ、国保経営の安定化に資するため制度の見直しを行ったものと考えているところであります。  最後に、医療費の抑制についてでありますが、医療費の適正化については、まず国において総合的な対策を講ずることが必要と考えておりますが、その実施に当たっては、国、都道府県及び市町村が協力して、より実効が上がるものと考えているところであります。なお、政管健保等他の医療保険制度においても、地域的な医療費適正化の取り組みが行われるものと認識をいたしております。  以上です。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  40. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの国保制度改革に伴いまして、地方の負担が生じることになります保険基盤安定制度の実施並びに高額医療費共同事業拡充、この二つの措置は、昭和六十三年度及び六十四年度の措置とされておりまして、六十五年度におきましてはその見直しを行うこととされております。したがいまして、六十五年度以降の地方財政につきましては、この改正改革がどのように六十五年度以降なりますか、それに係るものでございますので、それを待ちまして地方財政措置を定めていかなければならないと思っております。  次に、退職者医療制度の創設についてお尋ねがございましたが、この創設に際しまして、加入者数を予測いたしました予測と実際との乖離がございましたことは事実であります。それで国保の財政に影響を与えました。これにつきましては、昭和六十二年度の補正予算におきまして一千八億円を計上いたしまして国保特別交付金といたしました。これでこの乖離に伴います影響額につきましては完全に補てんをいたしたところでございます。  なお、昭和六十二年一月の老人保健制度改正に加えまして、今回御提案申し上げております国保制度の見直しによりまして、国保の運営の安定化が図られるものと考えられますので、今後国庫負担率引き上げることは適当でないと考えております。(拍手)     ─────────────
  41. 原健三郎

    議長原健三郎君) 吉井光照君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔吉井光照君登壇
  42. 吉井光照

    ○吉井光照君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました国民健康保険法の一部を改正する法律案に対し、竹下総理を初め関係各大臣に質問をいたします。  先日、六十二年版の厚生白書が発表されましたが、この白書によりますと、日本の社会保障制度が二十一世紀に向かって大きな転換期を迎えつつあり、今までのような欧米諸国水準への追いつけ追い越せのいわゆるキャッチアップ型から、国民のニーズに積極的に対応する生活の質の向上、すなわちクォリティー・オブ・ライフ型への必要性、そして医療保険制度について一元化論の中で、二十一世紀の本格的な高齢化社会に向かって、医療費保障システムの長期的安定化と給付と負担の不均衡是正を前提に、国保制度の見直しを初め医療保険制度改革を推進すると主張しているのであります。  そこで、総理にお伺いをいたします。  昭和五十八年の老人保健制度の創設に始まり、同五十九年に健康保険法の改正、さらに同六十一年に老人保健制度改革等、一連の法改正制度改革が給付と負担の公平化の名のもとに実施されてまいりましたが、私の見るところ、これらはいずれも増大し続ける老人医療費をいかに抑制するか、また国庫負担をいかに軽減させるか、そして、連帯と自助努力の名による制度間の財政調整と個人の負担強化に帰趨させるものであったと言わざるを得ません。まさに、老人医療など保険制度から国庫を撤退させ、医療費抑制だけがねらいの改革以外の何物でもないと言っても過言ではないと考えます。このようなことで、国民全体に良質の医療をできるだけ安くという医療保険制度本来の役割と使命が全うできるのでありましょうか。白書も指摘するように、急速な高齢化社会を迎えてますます深刻かつ重大な局面に遭遇する老人医療の将来を思うとき、二十一世紀へ向けて医療保険制度に対する国の、政府の責任と役割をどのように認識し、担っていく考えなのか、今こそ国民の前に明確にすべきであると考えますが、御所見を伺いたいのであります。  また、政府の医療費の政策目標として、従来、所得の伸びの範囲に抑えるということでありましたが、五十八年、五十九年は範囲内にとどまったものの、六十年以降は大幅に所得の伸びを上回る医療費の伸びであります。しかも、毎年一兆円ずつ医療費が増大しておりますが、これは財政のつじつま合わせ、つまり財政主導型の医療政策を推進してきた結果によるものではありませんか。今後とも所得の伸びの範囲内という目標を堅持するおつもりなのか、医療費政策目標をどこに置かれるのかを明確にお示しをいただきたいのであります。  次に、医療保険の一元化について厚生大臣にお伺いします。  政府は、医療保険の給付と負担の公平化という観点から、六十年代後半のできるだけ早い時期に医療保険の一元化を図るとの改革方針を打ち出しておりますが、何をもって一元化と言うのか、その姿、中身、すなわち給付率、一元化への時期等について、具体的構想をお示しいただきたいのであります。  次に、国庫負担について、大蔵大臣にお尋ねをいたします。  さきにも述べましたように、老人保健制度制度化、退職者医療制度の導入、健保法の改正など、一連の制度改革のたびごとに国の医療に対する責任の低下が顕著になっていることは甚だ遺憾であります。今後の医療保険制度における国庫負担の位置づけについて明快に御説明をいただきたいのであります。  次に、負担と給付の公平化問題についてであります。  国民皆保険制度のもとで、保険税を納付するという負担面ではそれぞれの所得に応じて公平に行われていると考えられますが、問題は給付面であります。僻地、離島などいわゆる過疎地、無医地区等においては適切な受診、受療が得られないという不公平についても、何らかの是正策を講ずる必要があります。この点について自治、厚生両大臣の御所見を承りたいのであります。  次に、地方財政への影響について伺います。  六十三年度財源補てんは、十分でないにしても地方交付税の特例加算等の措置で補てんすると言うが、六十四年度については明らかにされていないのであります。これについてどう扱われるのか、また、この措置で国保運営は十分確保されると考えておられるのか。また、調整債はいわば地方の借金であり、いずれは返済すべきものであります。従来からの取り扱いでいきますと、約八割程度しか国からは補てんされていません。まして、不交付団体のままであれば補てんがないことになり、公平の観点からこれら不交付団体に対しどう対処されるおつもりか。またさらに、政府説明によれば、改正に伴う地方財政への影響額については地方交付税調整債で財源補てんをしており、単なる財源の地方負担の転嫁でないと強弁していますが、百歩譲って、もしそうであるならば、このような複雑な仕組みをわざわざ用いずとも、初めから国が直接国庫負担という形で負担すれば済むことではありませんか。この点あわせて大蔵、自治、厚生各大臣の御説明をいただきたいのであります。  次に、低所得者対策についてであります。  いわゆる保険基盤安定制度の中で懸念されることは、改革案にもかかわらず、より根本的な問題として、国保被保険者に年金生活者が増大することから、四割、六割の保険料軽減者がふえる傾向にあります。このような状況についてどのように受けとめ、対処される考えか、厚生大臣の御答弁をいただきたいのであります。  次に、医療費地域対策について伺います。  いわゆる基準医療費の二割を超える部分について、保険料と国、地方で折半負担するという趣旨でありますが、国は単に口を差し挟むだけでなく、地方の経営努力に具体的に協力、参画すべきではありませんか。例えば、地域医療計画、診療報酬改定など、ほとんど国の決定権にまつものが多く、一方的に地方自治体に押しつけることには問題があります。したがって、その実施に当たっては、国は相当分の国庫負担をすべきが当然ではないでしょうか。また、改革案は、運用面において不透明な部分が多分に見受けられるのであります。例えば、地域医療費適正化プログラムにおける平均医療費の基準額の定め方、高額医療地域としての指定等について、政令委任事項となっているため、具体的には何も明らかではありません。この点もぜひ明確にしておくべきであります。厚生大臣の御所見を承りたいのであります。  次に、高額医療費共同事業についてであります。  六十三年度の国民医療費は十九兆円に達すると推計されており、対前年度伸び率は国民所得の伸び率を上回る五・二%増であります。この医療費増加の理由について、厚生省の分析結果によりますと、その一つに、医療技術の急速な進歩による医療の高度化が挙げられています。すなわち、高価な医療機器の開発と普及がどんどん医療費を押し上げているということであります。もしそうであるならば、このたびの高額医療費共同事業の強化拡充策としての国、地方分合わせて二百億円の助成で妥当と言えるのでありましょうか。つまり、交付の基準となる限度額約百万円の国保が、健保の約八十万円並みに引き上げ対象拡大されるのでしょうか。また、二百億円の助成金のうち国の負担が一割というのは、政府の公言する国と地方が一体となって取り組むという精神にもとるのではありませんか。厚生大臣の御所見を承りたいのであります。  次に、老人保健拠出金に関する国庫負担の問題についてであります。  改革案の最大の眼目は、国保制度の安定化を図るためとされています。しかしながら、中身を検証すると、老人保健拠出金に係る国庫負担の見直しとして国は四百六十億円の削減を行っており、その相当分を保険料で補てんする内容となっています。これでは国保からの拠出金を増額したも同然であり、国保制度の安定を目指すとの政府の考え方と矛盾することになり、単なる国庫負担の削減策であるとの批判があるのも当然であります。真に老人保健制度のあるべき姿を求めるのであるならば、六十五年度に予定されている老人保健の加入者按分率の引き上げなど見直しの際に行えば事足りるのではありませんか。何ゆえ今回の改正の中で老人保健拠出金に係る国庫負担のみの見直しを行わねばならないのか、厚生大臣に御説明をいただきたいのであります。  次に、保健施設事業についてであります。  今回の厚生白書には、注目すべき点があります。すなわち、超高齢化社会のもとでは、マンパワーの量の拡大と質の向上がこれからの社会保障の重要な課題であり、その整備改革が急務であるとの指摘があります。全く同感であります。私は、かねて年金制度、医療保険制度の整備も、高齢化社会においては極めて重要な問題であるとは思っていますが、それ以上に二十一世紀の福祉行政の重要な課題は介護問題に尽きると考えていたからであります。保健施設事業も介護サービスも、国保被保険者の健康増進と社会参加に重要な役割を果たすものであります。御提案の国保の医療費抑制策も全く否定するものではありませんが、疾病予防にまさる国民の健康保障と保険財政の健全化への有効な手だてはありません。そのような視点からも保健施設事業は重要であります。また、それが結果として医療費の軽減に連動するものと確信をしております。しかしながら、国保の保健施設事業は、被用者保険と比較するとき、事業内容に大きな格差があることは否定できません。例えば、健保組合、政管健保、いずれも健康教育、健康診査、健康相談、成人病予防検診等々、積極的に保健施設事業に取り組んでいることは御承知のとおりであります。今後、国保被保険者の高齢化が進むことから、このままでは医療費の増大は必至であり、被保険者の疾病予防と健康確保のため、保健施設事業の有効な確立と推進が急務であると考えます。この保健施設事業拡充整備について自治、厚生両大臣の決意を承りたいのであります。  終わりに、医療費の適正化対策について伺います。  真の意味の医療費適正化の処方せんは、現行保険制度に予防給付の導入を図るとともに、老人数の増加、成人病増加、疾病構造の変化等諸要因の究明と、さらには医療技術の急速な進歩と高度化に対応し得るよう制度の見直しが必要であります。例えば、医療の高度化を理由に、過剰な検査や薬づけに象徴される過剰濃密診療が恒常的に行われている中で、レセプト審査の強化や医療機関への指導監督の強化等が世論として強く指摘されているところであります。これらを放置して医療の適正化はあり得ません。医療給付内容の適正化と改善こそが制度建て直しの基本的施策であり、国民の保険制度への信頼を回復するかぎであります。厚生大臣の御決意を承って、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇
  43. 竹下登

    内閣総理大臣(竹下登君) 私に対する質問は、医療保険制度に対する国の基本的な責任やいかに、こういうことであろうと思います。  高齢化社会の到来に備えまして、現在の皆保険体制を堅持しつつ、その上で給付と負担の公平化を図っていく、それで国民が安心して医療を受けられる、こういう安定的な制度とすることが今日までいろいろ苦心したところであり、この安定的な制度とすることそのものが政府としての基本方針である、このように理解いただきたいと思います。  次の問題は、国民医療費の規模についてさまざまな議論があることは事実でございます。その目標について絶えず検討する必要がございます。しかし当面は、医療費の伸びを国民所得の伸び程度とする政策目標のもとで、これまで以上に医療費適正化のための諸施策を進めますとともに、あわせて良質で効率的な医療を確保するための医療システムの効率化、合理化、これを進めてまいる考え方でございます。  一元化問題等につきましては、担当大臣から申し述べます。(拍手)     〔国務大臣藤本孝雄君登壇
  44. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 医療保険の一元化につきましては、これまでも給付と負担の公平化に向けて逐次改革を実施してきたところであります。また、今回の国保制度改正は、給付と負担の公平化に向けての条件整備となるものであります。さらに、六十五年度までには老人保健制度及び国保制度の見直しを予定しておりまして、今後、その帰趨を見きわめながら、現行国民皆保険体制の基本を前提に原則八割程度の給付水準となるよう、給付と負担の公平化に向けて段階的に改革を進めてまいる所存であります。  次に、お尋ねの過疎地や無医地区における医療の確保の問題でございますが、従来から僻地中核病院の整備、僻地巡回診療など各種の施策を進めてきているところでありますが、いまだ無医地区と言われる地域が残されております。このため、昭和六十一年度から第六次の僻地保健医療計画を定め、僻地医療の推進を図っているところであります。  次に、地方財政措置につきましては、今回の改正に伴いまして新たな地方負担が生じておりますが、六十三年度におきまして所要財源措置を講じ、地方財政の運営に支障がないよう措置することといたしております。また、六十四年度におきましても、同様の措置を講じてまいりたいと考えております。  また、地方財政措置の具体的方法につきましては、不交付団体に対する調整債による財政措置はこれまでも行われてきているものでございまして、問題はないものと承知しております。また、今回の改正は、国保の安定化を図るために国と地方が一体となって、制度の不安定要因となっている問題に取り組むその仕組みをつくろうとするものでございます。これにつきまして、単に国庫負担という形で対応することでは解決が困難であると考えております。  次に、低所得者対策についてでございますが、低所得者の加入割合が高いことが国保財政の不安定要因となっておりますために、他制度に比べて高率の国庫補助を行っているわけでございます。さらに、保険料軽減相当額に着目した新たな補助制度を設けることにより、この問題に対処できるものと考えております。  次に、医療費の地域差対策についてでありますが、今回の改正案におきまして、高医療費市町村における適正化が推進されるよう国は必要な助言指導等を行うこととなっております。厚生省といたしましても積極的に取り組んでまいる所存であります。なお、高医療費市町村の指定基準等政令委任事項の具体的な内容につきましては、現在検討を進めているところでありますが、基本的には、年齢構成のほか災害等の特別の事情を考慮してもなお医療費水準が著しく高い市町村を指定することを考えております。  次に、高額医療費共同事業の強化拡充でございますが、御指摘のように交付基準額八十万円を目途とするようお願いし、ほとんどの都道府県で既に所要の予算措置を講じることとしていただいているところであります。なお、高額医療費につきましても、給付費の二分の一につきましては国庫補助が行われているところでございまして、今回の国の補助十億円は、新たに共同事業の事務費等についての補助を行うものであります。  次に、老人保健拠出金にかかわる国庫負担についてでございますが、今般の制度改正全体を通じまして国保の財政体質が改善されることを踏まえ、国保財政への影響にも配慮しつつ、老人保健拠出金にかかわる特例的に高い国庫負担率を調整するものでございます。なお、今回の措置は、六十三、六十四年度、二年度の措置でございまして、いずれにいたしましても、六十五年度におきましては改めて見直しを行うことといたしております。  次に、保健施設事業拡充整備でございますが、まさしく御指摘のとおりでございまして、保健施設事業は疾病の予防や健康増進のため大変重要であるとの認識をいたしております。このため、市町村保険者に対しまして、より適切な事業を実施するよう指導するとともに、国庫負担の配分におきましても、ヘルスパイオニアタウン事業を初め各種の保健施設事業への補助に努めているところでございます。今後とも一層推進してまいる所存でございます。  最後に、医療費の適正化でございますが、レセプト審査の充実や指導監査の強化などの医療費適正化対策を今後とも一層強力に推進していきたいと考えております。また、予防対策につきましても、健康診断を初め保健施設事業の一層の充実を図ってまいる所存であります。(拍手)     〔国務大臣梶山静六君登壇
  45. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 吉井議員にお答えを申し上げます。  まず第一に、受診機会の不公平是正についてでありますが、ただいま厚生大臣からもお答えがありましたとおり、過疎地等においてはなお医師不足の地域があり、この是正が地域医療を確保する上で重要な課題でございます。自治省としては、自治医大の卒業生の活用のほか、関係省庁、自治体病院協議会等とも協議をしながら、地域医療において不足する医師の確保に努めてきたところであります。今後とも一層努力をいたしてまいりたいと思います。また、過疎地域等の医療の確保、充実のために従来から不採算地区病院などに対する財政措置を講じておりますけれども、今後ともその拡充に努めてまいりたいと考えております。  次に、六十四年度の地方財政措置等についてでありますけれども、今回の制度見直しに伴う六十四年度の地方負担増加額についても、地方財政の運営に支障が生じないよう所要の地方財政措置を講じてまいる所存であります。また、こうした地方財政措置により、今回の見直し措置が円滑に実施され、国保経営の安定化に資することになることと考えておる次第であります。  また、不交付団体については、交付税の基準財政需要額への算入措置を講じても現実には財源の増加とはならないことから、必要に応じ調整債を発行することにより、財政運営に支障のないように処置することといたしております。なお、将来とも不交付団体となる団体にあっては、調整債の償還費に対する交付税措置も現実の財源の増加にならないが、現状の地方税収入の動向等にかんがみ、これによって不交付団体の財政運営に支障を与えるものではないと思料され、やむを得ないものと認識をいたしております。現実に支障を生ずる事態が招来すれば適切に対処をしてまいる所存であります。  なお、先ほど厚生大臣からもお答えになりましたけれども、今回のような措置をやめて国庫の負担増のみをすればよいではないかという御提案がございましたけれども、もちろん国保は国が責任を負うことが大前提でございますが、この国保の今置かれている状態が危機的状況にあることにかんがみ、国保というのはまさに地域問題でもあることから、市町村や市町村に強いかかわりのある都道府県がこれに関係をすることによって、国保の経営の健全化を願うゆえの措置であるというふうに御理解を願いたいと思います。  今回の見直しの形についてでございますが、今回の国保制度の見直しにおいては、保険制度の基礎条件を超える部分について国保の安定のための条件整備に都道府県や市町村の普通会計が協力することといたしたものであり、これに伴う地方負担の増加額について地方財政の運営に支障が生じないよう所要の地方財政措置を講じた結果、このような形となったものであることをつけ加えるわけであります。  次に、最後でありますが、保健施設の事業についてでありますが、国保における保健施設事業は、基本的には保険者である市町村または国保組合の自主的判断によって運営をされておりますけれども、今後ますます増大する国保医療費に適切に対処するため、保健施設の有効な活用が望まれているものと考えているところでございます。  以上です。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  46. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 医療保険制度において国庫負担がどのような役割を担うべきかというお尋ねでございましたが、もともと保険制度でございますから、本来は保険料が中心的な財源になるべきものであろうと考えます。しかし、例えば国民健康保険のように、事業主の負担というものはございません、被保険者は比較的所得が低いということになりますと、これはもう制度を安定的に運営を図る必要から医療給付費の二分の一という極めて高い国庫負担が行われておるのは御承知のとおりでございます。でございますから、なかなか一概に論じられませんで、やはり各制度の趣旨や実態に即して国庫負担の関与の仕方を対応して考えるべきものであろうかと思います。  それから、地方財政の問題でございましたが、今度六十三年度に二つの措置をいたします。それに伴いまして財政措置をいたしたわけでございますが、六十四年度でございますが、六十四年度も同じような制度が続きますので、特段の事情の変更がございません限り、やはり六十三年度と同様の地方財政措置を講ずることになるだろうと思っております。六十五年度以降は、これは制度が見直されますので、それに即しましてまた考えなければならないと思います。  最後に、このたびの改革に伴います六十三年度の地方負担の増につきましては、地方交付税の特例措置を行うなど全額財源措置を講ずることといたしておりまして、地方財政に支障を生じませんように最大限の配慮を行っておるところでございます。(拍手)     ─────────────
  47. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 小渕正義君。     〔小渕正義君登壇
  48. 小渕正義

    ○小渕正義君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。  総理総理の考える福祉とは一体何でありましょうか。政府自民党は、これまで財政再建の名のもとに一方的に福祉の後退、福祉予算の削減を続けてまいりました。昭和五十九年の健康保険本人給付率の削減、六十年の児童手当の支給期間短縮と児童扶養手当の支給制限、六十一年の老人保健法の改悪などであります。そして、六十三年度予算案においても、厚生年金の国庫負担繰り延べ三千六百億円、政管健保の国庫補助繰り入れの減額特例六百五十億円、国民年金の国庫負担平準化六百一億円が提案されていることは、極めて遺憾であると言わなければなりません。  福祉政策は、そもそも人間の生存と生活の安全という人間の生死にかかわる基礎的ニーズの充足から始まる政策であり、ゆとりのあるときのぜいたく品ではありません。これらの経費を財政再建のために一貫して削減し続けておきながら、今度は高齢化社会における福祉財源の確保を新型間接税導入の名目に利用しようとする。一体政府の福祉政策に理念があるのか、疑わざるを得ないのであります。もしあるとすれば、それは福祉とは財政や家計にゆとりのあるときにのみ進めるべきものであり、福祉は恩恵的に与えるものであり、福祉政策の恩恵を受ける者を差別的に扱うという前時代的救貧法時代のものではないかと思うのでありますが、そうでないならば、竹下総理の福祉観を明確にお示しいただきたいのであります。  来るべき我が国高齢化社会は、これまで世界のどの国も体験したことのないものであるだけに、今からそのあるべき姿を念頭に置きつつ諸般の施策を講じていかなければ、活力ある明るい社会とすることはできません。政府昭和六十一年六月に閣議決定した長寿社会対策大綱は、各省庁の施策を高齢化の視点から抽出したにとどまり、実現に当たってのプログラムもまた各施策の関連もない極めて粗雑なものであり、このままこの状態を放置すれば、国民の老後不安の増大を招き、高齢者福祉の恩恵を受ける者と受けない者の格差が拡大し、財政負担も膨大なものとならざるを得ません。  政府は、国民負担増を求める前に、福祉の将来ビジョン、各省庁の施策の体系化、効率化、財政需要、国民負担のあり方などを明確にし、その実現のための年次別施策を具体的に示した高齢者福祉計画をまず策定すべきであり、その実施に当たっての財源を生み出すために、不公平税制の是正、行政改革の徹底などの努力を行うことなしに新型間接税の導入を図ろうとすることは、到底国民の理解を得られないのじゃないかと考えますが、これらの点についての総理の御見解はいかがでありましょうか。  また、一部で導入が主張されている福祉目的税について、一、福祉目的税は、財政の硬直化と社会保障関係費の浪費的膨張を招き、各種の政策プログラム間への財政資金の効率的な配分を阻害する、二、目的税は、特定の公共サービスの受益者あるいは原因者にその費用を負担させようとするものであるから、社会保障の財源にはふさわしくない、三、新税の使途を社会保障あるいは年金に限定してしまえば、財政再建のため必要な巨額の財源を確保できなくなる、四、社会保障の財源は、分配の平準化に寄与する累進所得税に依存すべきである、などの強力な反対論がありますが、あわせてこれについての総理の御見解を承りたいのであります。  厚生省がまとめた昭和六十三年度の国民医療費推計によれば、六十三年度の国民医療費は十九兆円の大台に迫る十八兆九千六百億円にも上ると見込まれており、医療費の適正化対策は大きな課題でもあります。そのためには、不正請求や過剰請求の是正を進めるとともに、基本的には、早期発見、早期治療、そして、速やかなる社会復帰が図られるよう、予防からリハビリテーションに至る総合的な保健医療対策を講ずることが不可欠であります。これらの施策を今後具体的にどのように実行に移される方針なのか。また、総理は、今国会の施政方針演説において、「国民一人一人が健やかに生きがいを持って安心して暮らすことができるよう、健康づくり対策を推進する」と述べておられますが、健康づくりに関する具体策を示していただきたいのであります。  厚生省推計による六十三年度の国民医療費は、対前年度比五・二%増であるのに対し、国民所得の伸び率は四・六%増と見込まれていることから、国民医療費の伸び率を国民所得の伸びの範囲内で抑えるという政府政策目標は、これで三年連続達成できないことになります。医療費膨張の歯どめとするとともに、保険料を抑制しようとするその意図は理解できるにしても、景気変動の影響を大きく受ける国民所得と、人口の高齢化や医療技術の高度化等の影響を受ける医療費の伸びとを同列で考えることに無理があり、これを政策目標として設定すること自体が合理的とは言えないと考えるのであります。国民の立場に立てば、租税負担を含め、国民負担率の上限を明示するなど、新たな合理的な目標を設定するお考えはないのか、総理にお尋ねをいたします。(拍手)  今回の国保改正案も、医療費の増大を背景に、国保事業の運営の安定化を図るために提出したとの趣旨説明がありました。六十一年度決算によれば、全国三千二百七十市町村の一〇%強に当たる三百三十七市町村が赤字を出し、その総額は初めて一千億円を突破し、史上最悪の一千二百四十五億円に達しております。我が党は、国保については、市町村が経営主体となっていること、低所得者層が大半を占めることなどによる財政の不安定性、被用者保険との保険料負担の不均衡、医療費適正化の不徹底などの問題を抱えており、経営主体、国保制度概念の再検討などを含め、国保制度の抜本的見直しを図ることを主張してまいりました。その意味で、今回提案された改正案は極めて不十分なものであると断ぜざるを得ません。政府は、この改正が行われることにより、国保経営が安定すると考えるのか、明確に御答弁をいただきたいのであります。  今回の改正案が抜本改革に当たらないことは、提案された四項目のうち三項目が二年度限りの措置であることを見ても明らかであります。医療保険制度の一元化の時期と姿を明らかにした上で国保の位置づけを明確にすべきであるにもかかわらず、国保の将来ビジョンを明らかにもせぬままに小手先の制度いじりを行うことは、舟をこぎ出してから行き先を決めるというに等しく、責任ある行政の姿勢とは言えないと思うのでありますが、厚生大臣の御見解をお伺いいたします。  制度改革国民の立場に立って行わなければなりません。財政面にのみ目を向け、国民負担能力を考慮に入れないようなことがあってはならないのであります。医療費の増大に伴って国保の保険料は年々増加し、その伸び率は所得の伸びを上回っております。当然のことながら医療費の一部負担も急激に上昇しているのであります。政府が大幅減税の必要性を認めるのならば、保険料負担の軽減にも努めるべきですが、一体この改正で六十三年度は国保の保険料の引き上げも行わなくて済むのかどうか、お聞かせいただきたいのであります。  最後に、自治大臣にお伺いいたします。  今回の改革で、都道府県が新たに財政負担し、国保運営にかかわる仕組みができたほか、医療費適正化のため国、都道府県、市町村が一体となって取り組む体制ができたとのことであります。制度改正によって生じる六十三年度の地方の負担増については、地方交付税の特例加算等により全額補てんすることになっており、地方財政に支障ないと聞きますが、これは六十四年度以降も行われる恒久的な措置と理解してよいのか。また、都道府県はどのような権限と責任に基づき国保運営にかかわっていくことになるのか。さらに、多くの市町村は、国保経営安定化のため経営主体を都道府県に移譲すべきだとの意見を持っておりますが、この件についての自治大臣の明確なる御答弁を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇
  49. 竹下登

    内閣総理大臣(竹下登君) 私に対する御質問の第一は、いわゆる福祉観の問題でございます。  私は、かねてから、人々それぞれ能力、適性に応じ生き生きとして働く場所がある、そして、疾病その他によって、その意思あるなしいかんにかかわらず、そうしたことにできない方々が安定した生活を送るため、そういう社会を構築したいものだと思っております。したがって、私は、社会保障というものを考えましたときに、生存と安定というお言葉もございました、決して恩恵的なものであってはならないというふうに考えておるところであります。  さて次に、高齢者福祉計画の策定の問題でありますが、貴党におきまして、かねてから、日本の長寿社会対策大綱のポイントというのは少なくとも数字的な裏づけとか将来展望とかが足りないではないか、こういう御批判をいただき、一方、高齢者福祉計画という御提言も賜っておることは、私も十分承知しております。したがって、高齢者福祉計画の策定という問題に先立って大綱をつくっておりますのは、要するに雇用・所得保障、それから健康・福祉、学習・社会参加、住宅・生活環境及び研究開発の推進、これを基本といたしまして、さらに経済社会情勢の変化に適切に対応するためのフォローアップを毎年していくということになっておるわけであります。これからも御鞭撻を受けながら、フォローアップの実施等を通じて重点的、効率的、総合的な政策を推進していかなければならない、このように考えております。  次は、税制問題に触れての御質疑でございました。  そもそも税制改革問題がこのようになりましたのは、やはりいわゆる公平確保という観点から国民の間に盛り上がってきた税制改革への雰囲気というふうに私は理解をいたしておるところであります。したがって、いわゆる不公平感をなくして、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた税体系を横築しなければならぬというので、一方政府税調にお願いすると同時に、国会でも活発な議論をいただいておるところであります。そうしてまた一方、財政が決して今よくなったと言える状況ではありません。いわゆる財政改革、なかんずく行政改革等を推進して、その対応力の回復を図っていく、このことは大事なことであると私は思っております。そこで、その意味においては、既存の制度、施策に対してメスを入れるということが必要になってくるわけでありましょう。  ただ、福祉目的税についての御意見もございました。確かに福祉目的税を検討すべしという議論があっておることは事実でございますが、しかし、税というものは基本的には特定の使途、目的に拘束すべきものではなく、政策の優先順位に従って歳出でいわゆる予算というものは講じらるべきものであるというのが、これが原則論でございます。したがって、今おっしゃいましたように、目的税は資源の適正な配分をゆがめる、あるいは財政の硬直化を招く、こういう御指摘があることは事実でございますので、これは税制改革全体の問題として今後幅広く御意見をちょうだいする問題であって、まず初めに目的税ありきという考え方には立っておりません。  次は、医療費の適正化の問題についてでございますが、これは指導監査の強化、レセプト審査の充実など医療費適正化対策を一層強力に推進しますと同時に、在宅ケアの充実などに積極的に取り組んでまいる考え方であります。  さらに、健康づくり対策の具体策を示せということがございました。  健康診査などのヘルス事業を推進しますとともに、食生活の改善あるいは運動習慣の普及等に努めまして、栄養、運動、休養、この調和のとれたライフスタイルの確立を図ってまいりたいと思います。特に本年から健康福祉祭を開催するというような計画が持たれたのもその一つでございます。  それから、国民医療費の伸びについての問題でございますが、確かに国民負担と裏腹をなすものでありますから、負担面の観点も必要でございます。国民医療費につきましては、国民負担も念頭に置いて、支出面からその伸びの目標を設定してまいっておるところであります。国民医療費の規模についていろいろな議論がございますが、この目標自体については絶えず検討すべき必要があると思います。しかしながら、当面は医療費の伸びを国民所得の伸び程度とする政策目標のもとで、国民の医療費負担が過大なものとならないように諸施策を進めてまいる考えであります。  なお、国民負担率にもお触れになりました。受益と負担のあり方、これに関する問題は、最終的には政策選択の問題に帰するであろう、このように考えております。(拍手)     〔国務大臣藤本孝雄君登壇
  50. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 初めに、国保運営の安定化でございますが、国保の財政状況は、御承知のように現在もなお厳しい状況にございます。老人保健制度改正後におきましても、低所得者問題や医療費の地域差問題等の不安定要因が残されておるわけでございます。そこで、今回の改革では、これらの問題に対しまして国と地方が共同して取り組む仕組みをつくることとしておりまして、これによりまして国保制度の長期的な安定が図られるものと考えております。  次に、医療保険制度の一元化と国保改革との関係についてでございますが、今回の改革は、国保制度の安定を図り、一元化に向けての条件整備をしようとするものでございまして、給付と負担の公平化に向けての改革一環として位置づけられるものでございます。国保の給付と負担のあり方につきましては、医療保険制度全体の中で今後さらに検討することといたしております。現在、社会保障制度審議会におきまして、国保制度の長期的安定方策につきまして大所高所から幅広く御検討いただくことにいたしております。  最後に、国保の保険料についてでございますが、医療費も増加をしております。これに見合った保険料収入の確保を図る必要があるものと考えておりますが、今回の改正全体を通じまして、改正がなかった場合に比べ六十三年度では二百四十億円、一世帯当たり約千七百円の保険料軽減効果が生ずるものと見込んでおります。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣梶山静六君登壇
  51. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 小渕議員にお答えを申し上げます。  まず、六十四年度以降の地方財政措置についてでありますが、今回の制度の見直しは六十三、六十四年度の二年間の暫定措置でございまして、六十三年度のみならず六十四年度においても地方負担の増加額が生ずることとなるが、これについても地方財政の運営に支障がないように所要の地方財政措置を講じてまいる所存でございます。六十五年度以降はまた別個の問題でございますので、協議をいたしたいと思います。  次に、国保運営への都道府県のかかわりについてでありますが、都道府県は今回の国保制度の見直しにおいて、国保に対し国と同様な立場で関与するのではなく、国保の安定のための条件整備に協力することとしたものであると認識をいたしております。また、医療費の適正化については、国民健康保険法等において都道府県知事に医療取扱機関等に対する指導、検査などが機関委任されているが、今回の見直しにおいては、こうした従来からの権限を含め適正化に協力してもらうこととなるものと承知をいたしております。  最後に、国保の経営主体でございますが、国民健康保険の保険者を都道府県とすることにつきましては、被保険者の把握や保険料の賦課は市町村でなければ適正に行われないこと、それから市町村が事業主体である老人保健法のヘルス事業等との一体的実施を図る必要があることなどから、適切ではないと考えておりますが、関連が深いことでもございますので、将来には相互に考慮すべきことと思考をいたしております。  以上です。(拍手)     ─────────────
  52. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 浦井洋君。     〔浦井洋君登壇
  53. 浦井洋

    ○浦井洋君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、国民健康保険法一部改正案について、総理並びに関係閣僚に質問をするものであります。  そもそも国民皆保険の根幹をなす国保は、事業負担がなく、低所得者世帯が集中しているのが特徴であり、このため国保事業に対しては国が全責任を持ち、費用も国庫負担として財政的責任を果たすことによって成り立ってきた制度であります。この国民健康保険制度が今破綻の危機にさらされています。一九八四年から三年間に全国の九七・四%の自治体で四割近い驚くべき保険料引き上げが行われ、負担能力をはるかに超える保険料を強いられているところが少なくありません。保険料を払えない世帯に対し、政府は保険証を交付しないという非人道的措置を自治体にとらしているため、病人が必要な医療を受けられずに亡くなるという痛ましい事件さえ各地で発生しています。なぜこのような事態が起こるのでしょうか。  中曽根前内閣は臨調行革の名のもとで、軍拡のために福祉、教育を容赦なく切り捨ててきたのであります。国民がせっかくかち取った老人医療費無料制度を覆し、本人一割負担を戦後初めて導入する健康保険法の抜本的改悪、さらに退職者医療制度の創設など、医療保険制度の改悪に次ぐ改悪を強行し、そのどさくさに紛れて国保に対する国庫負担を大幅に切り下げたのであります。まさにこのことが今日の国保の財政危機を招いた真の原因であることは極めて明らかであります。  総理、あなたは、この臨調行革で自民党政府の要職にあって、その遂行に重要な役割を果たしたのでありますが、国民の命を守るべき国保の危機を招いた責任をどう感じておられるのか、まずお聞きをしたい。(拍手)  憲法二十五条や国民健康保険法の基本理念に照らすならば、今政府のなすべきことは、国保に対する国庫負担を大幅にふやし、国保を充実強化させることであります。ところが、竹下内閣の社会保障に関する初めての提案である本改正案は、これとは逆に、国庫負担を大幅に減らし、それを地方自治体や住民に転嫁しているのが主な内容であります。だから、本改正案は、国保制度の根幹にかかわる大改悪と言わなければなりません。総理の言う「公平で安定した社会保障制度の確立」とは、自分の命は自分で守るべきであると言って、国保に対する国の責任を放棄するということでありますか。総理の見解をお聞きをしたい。  次に、国保及び医療保険制度の将来展望について質問をいたします。  政府が、昭和六十五年以降に予定しておる医療保険制度の一元化のねらいは、年間三兆円近くに上る医療保険への国の支出を限りなく少なくするためのものであります。そのために、健保本人の二割負担など自己負担の強化、財政調整と称して、労働者保険から老人医療費への支出をふやし、国保への国の負担軽減を図ろうとするものであります。それは、単に保険財政にとどまらず、必要な医療まで切り捨てるものであり、保険あって医療なしと言っても決して過言ではありません。この一元化で、政府は国保をどのような方向に持っていこうとしているのか、また、金持ちと貧乏人で医療に差別を持ち込む悪名高い福祉医療制度を再び持ち出してくることはないのか、国民は強い懸念を抱いております。総理並びに厚生大臣の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  さて、国民健康保険法改正案について具体的に質問をいたします。  第一は、保険基盤安定のためと称して、低所得者に対する保険料軽減分に新たに都道府県及び市町村の負担を法定化することについてであります。  国保では、無職の世帯が過去二十年間に三・四%から一六・五%に激増しており、年間所得二百万円以下の世帯が実に七二・三%を占めているため、抜本的な低所得者対策が求められています。現在の国保料減額制度は、その適用条件が厳し過ぎて、六割の減額を受けられるのは一カ月の所得が二万三千円余りという無収入に近い世帯に限られています。真に低所得者対策を考えるならば、もっと多くの世帯が救済されるよう適用基準を改善し、減額幅も拡大すべきであります。従来、国保の基本的性格から減額分の費用は全額国が負担してきました。ところが、臨調行革で国の負担を八割にし、さらに今回は地方に新たな負担を負わせる一方、国の負担は五割にまで引き下げようとしているのであります。これは断じて許せるものではありません。国が全額負担する本来の姿に戻し、国保料減額制度を必要とする低所得世帯の人々が利用しやすいようにすべきであると考えますが、厚生大臣の見解を求めます。  次に、健康保険証の問題であります。  今回の改正で、保険証交付の条項についても新たな規定を設けて強化していますが、これは一昨年の改悪の際、私の質問に当時の斎藤厚生大臣が、所得がなくて払えない方を悪質とみなすようなことはいたしませんと答えましたが、その約束に反するではありませんか。政府は保険証取り上げで現に生じている事態に痛みを感じないのですか。すべての国保加入者に保険証が渡るようにするために、保険証を交付しない制裁措置の条項を削除すべきだと考えますが、厚生大臣の答弁を求めます。  第二は、医療費削減の強制により医療内容の低下を強いることになる医療費適正化システムについてであります。  医療費の地域格差は、それぞれの地域の住民が置かれた条件の違いから生じたもので、この違いを考慮せずに、ただ医療費が高いというだけで一律に締めつけを行っては、まともな医療はできません。もしこの制度が実施されるならば、都道府県や市町村は、ペナルティーを避けるため、平均医療給付費を上回らないよう際限のない競争を強いられます。その結果、医療担当者は医療内容の質を落とすことを強制され、国民は必要な医療が受けられなくなるのではありませんか。特に、医療費抑制システムで最も影響を受けるのが高齢者であります。長期入院のお年寄りを病院から追い出すような非人道的なことはやめるべきではありませんか。厚生大臣の見解を求めます。  第三は、老人保健に対する国保拠出金の国庫負担を大幅に削減しようとしていることについてであります。  保険料を初め自治体からの一般会計への繰り入れ、被用者保険からの繰り入れなど押しなべて増加している中で、ひとり国庫負担のみを減額するのは余りにも筋の通らない話ではありませんか。厚生大臣の答弁を求めます。  第四にお聞きしたいのは、制度改正に伴う地方負担の問題であります。  昭和六十三年度、都道府県が四百四十億円、市町村が二百五十億円、合わせて六百九十億円の新たな地方負担が課せられることになっています。政府は、自治体負担の導入で一世帯当たり千七百円保険料負担は軽くなると宣伝していますが、果たしてそう断言できるのですか。現在、地方自治体が独自で一般会計から国保へ繰り入れている額が二千二百六十七億円にも上っており、国保財政はこれによって辛うじて破綻を免れているのであります。今回の改正によりさらに義務的な負担増を押しつけるならば、地方自治体はこの独自の繰入額を減額せざるを得なくなり、結果的に保険料の値上げにつながるのではありませんか。厚生大臣並びに自治大臣の明確な答弁を求めます。(拍手)  最後に、財源と新大型間接税についてお聞きをいたします。  政府は、財源がないことを最大の口実にして国保の改悪を重ねてきましたが、それこそが今日の国保財政の危機を招いたのであります。我が党は、国保財政再建のために国保の国庫負担率を四五%に戻すことを強く要求してまいりました。そのために必要な金額は年間わずか三千億円強であります。これだけの金額は、一隻千三百億円のイージス艦の導入を取りやめるなど、軍事費や大企業補助金の削減、不公平税制の是正で十分に生み出せます。要は国保をよくするのかつぶすのかの考え一つではありませんか。  政府は、高齢化社会に備えることを新大型間接税導入の大きな理由の一つとしております。しかし、いかなる形にせよ、大型間接税所得の低い人ほど厳しい負担になる、まさに福祉破壊の大悪税であります。臨調行革の六年間に、軍事費は異常突出し、社会保障費は必要経費さえ切り捨てられた実績からしても、新大型間接税が福祉の充実に振り向けられるなどというのは真っ赤な偽りであり、専ら軍事費の拡大や大企業奉仕に使われることは極めて明らかであります。総理、あなたが真剣に高齢化社会に思いをはせ、社会保障の充実を少しでも考えるならば、このような悪税の導入は絶対にやるべきではありません。あえて強行しようとするのなら、国会を解散して国民に信を問うべきであります。最後に総理の御所見をしかとお聞きをいたしたい。  以上、政府改正案に基づいて質問をいたしましたが、今回の政府案は、国民健康保険に対する国の責任を放棄し、一層重い負担国民と地方自治体に負わせる以外の何物でもないのであります。日本共産党・革新共同は、本改正案の撤回を強く要求をし、国民健康保険の充実のために奮闘することを表明して、私の質問を終わります。  以上であります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇
  54. 竹下登

    内閣総理大臣(竹下登君) まず、国保制度については、何分給付費の二分の一という高率国庫負担を行っておりますほかに、老人保健制度改正、いろいろやりました。しかしながら、なお厳しい情勢にある、安定化のために今後ともさらに努力をしたい、このように思います。  それから、今回の改正は、国と地方が協力して取り組む仕組みをつくるものがまず基本でございます。したがって、安定化のためにはこれはぜひ必要であると考えております。さらにおっしゃいましたが、いわゆる地方への負担転嫁とか国の責任の放棄とか、ましてや自助努力を押しつけるとか、そんなことは全く考えていないところであります。  それから、一元化問題につきましては、給付と負担のあり方等について全体的な中で検討すべき課題であると思います。  次に、高齢化社会と間接税という御議論がございましたが、高齢化社会、そして間接税が何だか軍拡予算の財源となるというような主張がございましたが、私は全くそのことを考えておりません。  また、解散などは、今の与えられた任期を大事に大事にすべきものだ、いつも申し上げるとおりであります。(拍手)     〔国務大臣藤本孝雄君登壇
  55. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 初めに、医療保険制度の一元化と国保改革との関係でございますが、給付と負担の公平化を目指しまして、これまでも一連の改革を行ってきたところでありますが、今回の改革は、国保制度の安定化を図り一元化に向けての条件整備を行おうとするものであります。今後のあり方につきましては、医療保険制度全体の給付と負担の公平を念頭に置いて、低所得者問題も含め今後さらに検討することといたしております。  次に、保険基盤安定制度でございますが、国と地方が共同して低所得者の保険料軽減に着目した補助を行うことにより国保の安定化を図ることを目的とするものであります。なお、軽減制度の適用基準につきましては、これまで毎年見直しを行っているところでありますが、軽減割合につきましては、現行の六割、四割という水準は適切なものと考えており、これを引き上げることは考えておりません。  次に、国保の保険料滞納者対策でございますが、今後とも対象世帯の状況等を適切に把握をして実施するよう十分指導してまいる所存であります。この措置は、申し上げるまでもなく被保険者の負担の公平を図るために最小限必要なものでありまして、この条項を削除する考えはございません。  次に、高医療市町村における医療費適正化対策につきましては、地域の実情に即した適切な適正化対策の推進を図るものでございまして、必要な医療を受けることを阻害したり医療内容の質の低下をもたらすようなものではありません。  次に、国保の老人保健拠出金に対する国庫負担率につきましては、今回の国保改革全体を通じまして国保制度の財政体質が改善されることから、この効果を踏まえ、国保財政への影響にも配慮しつつ調整するものでございまして、これを撤回する考えはございません。  次に、市町村負担の導入により保険料負担が増大するとの御指摘につきましては、地方負担については所要財源措置を講ずることとしております。御指摘のようなことはございません。むしろ改正がないとした場合に比べ総額二百四十億円の保険料負担の緩和効果があるものと考えております。  次に、国保の国庫負担率につきましては、先般の老人保健制度改正や今回の国保制度改革等を通じまして国保の財政負担は大幅に軽減されること、また、国保も社会保険制度である以上国庫負担は給付費の二分の一が一つの限度と考えられることから、御指摘のような国庫負担率にすることは考えておりません。  最後に、国保改革の取り扱いについてでありますが、この改革は国保制度の安定化のためにぜひとも必要であり、また地方へ負担転嫁をするものではございません。したがって、これを撤回する考えはございません。(拍手)     〔国務大臣梶山静六君登壇
  56. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 国民健康保険事業は、原則として保険料及び国庫支出金により賄われるべきものと認識をしております。しかしながら、増高する医療費等に対応するため、やむなく一般会計からの繰り入れが行われている現況等にもかんがみ、国保経営の安定化に資するため、制度の見直しを行うこととしたものであります。  なお、今回の制度見直しに伴う地方負担増加額については、地方財政の運営に支障が生じないよう、所要の地方財政措置を講ずることとしており、なお、この見直しが保険料の値上げにつながるものとは考えておりません。(拍手
  57. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) これにて質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  58. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十六分散会