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1988-03-22 第112回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十二日(火曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 渡辺 秀央君    理事 甘利  明君 理事 尾身 幸次君    理事 奥田 幹生君 理事 田原  隆君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君       石渡 照久君    小川  元君       海部 俊樹君    佐藤 信二君       島村 宜伸君    玉生 孝久君       中山 太郎君    額賀福志郎君       福島 譲二君    二田 孝治君       穂積 良行君    牧野 隆守君       宮下 創平君    粟山  明君       森   清君    綿貫 民輔君       井上  泉君    小澤 克介君       上坂  昇君    城地 豊司君       関山 信之君    前島 秀行君       水田  稔君    石田幸四郎君       権藤 恒夫君    森本 晃司君       薮仲 義彦君    米沢  隆君       工藤  晃君    藤原ひろ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君  出席政府委員         通商産業政務次         官       浦野 烋興君         通商産業大臣官         房総務審議官  山本 幸助君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         工業技術院長  飯塚 幸三君         工業技術院総務         部長      山本 貞一君         中小企業庁長官 岩崎 八男君         中小企業庁次長 広海 正光君         中小企業庁計画         部長      田辺 俊彦君         中小企業庁指導         部長      村田 憲寿君         中小企業庁小規         模企業部長   三上 義忠君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     佐藤 文生君   中山 太郎君     小坂徳三郎君 同日  辞任         補欠選任   小坂徳三郎君     中山 太郎君   佐藤 文生君     石渡 照久君 同月五日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     池田 行彦君   佐藤 信二君     愛野興一郎君   中山 太郎君     小坂徳三郎君   額賀福志郎君     左藤  恵君   穂積 良行君     村山 達雄君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     佐藤 信二君   池田 行彦君     石渡 照久君   小坂徳三郎君     中山 太郎君   左藤  恵君     額賀福志郎君   村山 達雄君     穂積 良行君 同月十八日  辞任         補欠選任   森本 晃司君     神崎 武法君 同日  辞任         補欠選任   神崎 武法君     森本 晃司君 同月二十二日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     二田 孝治君   緒方 克陽君     前島 秀行君   城地 豊司君     上坂  昇君 同日  辞任         補欠選任   二田 孝治君     麻生 太郎君   上坂  昇君     城地 豊司君   前島 秀行君     緒方 克陽君     ───────────── 三月十一日  異常円高による産業空洞化防止等に関する請願(中路雅弘君紹介)(第八二一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案内閣提出第一四号)  産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案内閣提出第三一号)      ────◇─────
  2. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案並びに異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。
  3. 上坂昇

    上坂委員 今提案されております法律について御質問を申し上げます。  まず、法案提出背景にあるものとしてお聞きしたいのは、この法案提出理由背景、これについては、まず第一に内需主導型への構造転換、第二に国民ニーズ多様化高度化、第三に経済国際化状況、こういうふうにとらえられておいでです。この法の意図しているいわゆる需要開拓、新分野開発あるいは開拓が、従来のように内需だけではなくて海外市場を含んでいる、あるいは海外市場が主たるものとなったような場合には、こういう開発をやったりなんかした企業に対してこの法の適用は受けられるのか受けられないのか、ここのところをお答えをいただきます。
  4. 田辺俊彦

    田辺政府委員 今、上坂委員指摘のとおり、本法趣旨構造転換ということでございます。もちろん内需転換主体となると思います。  しかしながら、その融合等を通じまして私どもの意図しておりますのは新しい分野開拓ということでございまして、中小企業にとっての新しいフロンティアを開くということでございます。したがいまして、その開拓されたフロンティアあるいは新しい製品が結果として海外市場海外ニーズと結びつくという場合を否定するものではございません。したがって、開発された製品が少しでも輸出される可能性があるからといって対象としないということは、本法趣旨に沿わないものと考えている次第でございます。
  5. 上坂昇

    上坂委員 それなら大変安心するわけでありますが、今申し上げました背景、これは今おっしゃったように、中小企業分野構造変革とか活路開発目的としております。  しかし大企業というのは、常に現在では中小企業分野への参入をねらっているというふうに言っても差し支えないんじゃないかと思うのです。今までのような経済状況ではなくて、最近の軽薄短小時代と言われる実態においては、その支配下にある下請企業あるいはダミーを使って中小企業分野に進出することができるのです。こういう場合がもしあるとすれば、中小企業あるいは下請企業が親企業等の指示を受けてこの法律適用を得ようとするような場合も出てくるのではないかというふうに考えております。そういうことについてはどんなふうにお考えになりますか。
  6. 村田憲寿

    村田政府委員 この法律は異分野中小企業がその経営資源融合させまして、新たな製品とかサービスを協同して開発することによりまして新しい分野開拓していくことを促進するものでございます。そういう観点から申しまして、協同して開発を行うということが特に私ども重要だと考えておるわけでございます。そういうことにかんがみまして、これを推進する主体といたしまして、協同組合原則を有する事業協同組合を位置づけて、広く中小企業者がこの法律利用できることにしておるところでございます。  そういう意味から申しますと、御指摘のような大企業ダミー等が参加する場合でございましても、大企業ダミーが参加しておるということだけで計画認定を不可とすることは、他の参加中小企業融合化の芽を摘むという感じがするわけでございまして、そういう点からいって妥当ではないんじゃないかというように考えられるわけでございます。参加企業の行います共同開発協同組合原則にのっとっておることが計画で担保されておる限りにおきまして、この法律に基づく計画認定を行いたいと私どもは考えておる次第でございます。
  7. 上坂昇

    上坂委員 それでは次に、国の助成とかあるいは金融措置あるいは税法の優遇措置を受けても、開発資金上行き詰まってしまう。これは、今の中小企業信用、担保の弱さ、そういうものがある限り、こういうことはしょっちゅう起こると思うのですが、その場合、大企業とか関連企業の親企業資金援助を受けざるを得ないような場合になったときですね、その開発過程とかあるいは成果についても。そういうときにはどうするかということが一点。  それからもう一つは、いわゆる開発成果ですね。市場分野ができたりあるいは新しい製品ができたりしても、法律にあるように特定組合認定を受けるわけでありますが、それが経営の都合で、助成されてできてから大企業に移譲したり、あるいは何か経営権みたいな権利が移動してしまうような場合がないとは言えないと思うのです。こういう場合にはどういう措置をとられるか、お答えいただきたい。
  8. 村田憲寿

    村田政府委員 まず第一の点でございますけれども開発段階におきましては先生御案内のとおり、補助金とか税制等措置を講ずることにしておるわけでございますので、開発を行います特定組合資金面で行き詰まるということはまず余りないのではないかというように私ども考えておるわけでございますが、御指摘のように、もし行き詰まった場合にどうするかという問題でございますけれども、そういう場合、今先生指摘のように、大企業資金援助等を受けるようになる場合も考えられるわけでございます。その場合でも、私ども考えておりますのは、組合主体性を持って事業を継続していくものであれば特段問題はないだろうというように考えておる次第でございます。ただしこの場合には、資金調達にかかわります計画変更認可が必要になってこようかと考えておるわけでございます。  それから第二点目でございますけれども過程で大企業との研究開発等の必要が出てくる場合というあれでございますけれども、この法案に基づきまして中小企業共同開発を進めていく場合には、開発の内容によりましては先生指摘のようにいろいろ、例えば特許の問題でございますとかそういう問題を初めとしまして、組合と大企業が提携して開発を行うことが必要になる場合も出てきましょうし、またその方が融合化に対する効果も大きいという場合も考えられるわけでございます。このような開発につきましても、それが協同組合原則にのっとっておりまして中小企業融合化が進むというのであれば、そういう組合に対しても必要な助成を行うことを私どもとしては検討しておるところでございます。
  9. 上坂昇

    上坂委員 今特許との関係が出ましたけれども特許法では大きなところはみんな特許の申請をしているわけでありますが、製品ができなくても、その技術過程過程一つ一つ特許を取っていくことはできるというふうに思うのです。そんな場合、成果ができる場合に、そういうものと中小企業分野開発されたものが抵触するような場合あるいは競合している場合、大企業先願をしていればそちらが優先してしまいますから、こちらは困っちゃうわけですね。その場合どういうふうな手当てをしてあげられるかということですね、中小企業に。まあいろいろ方法はあるんじゃないかというふうに思うのですが、それをお聞かせいただきたい。
  10. 村田憲寿

    村田政府委員 先生指摘のように、開発段階から事業化に至るまでの過程も結構時間を要しますので、その間にいろいろな客観的な条件の変動などによりまして、必ずしも中小企業組合が当初抱いておった計画どおりにいかない場合も当然出てくることと考えられるわけでございます。  ただ、この法律案基本は、中小企業者の新たな事業分野開拓促進するということを目的とするものでございますから、研究開発成果をみずから全く利用せずに専ら他人に売るというような、当初からそういう計画のものでございますとこれらを認定することは困難ということになってまいるわけでございますけれども、いろいろ先ほど申しましたように、研究開発過程で出てきた成果を一切事業化しなきゃならぬかとなりますと、先ほど申したいろいろな事情の変化もございますので、その辺につきましては余り硬直的過ぎる運用はいけないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  例えばでございますけれども事業化までの間に経済的な条件が大きく変わって、当初はかなり中小企業としても市場に出して販売できるという見込みであったけれども、これがその中小企業だけでもって出すにはとても難しいというようなことも考えられるわけでございまして、そういう場合にまで全部自分たち中小企業だけでやれということは非常に酷でございますので、その辺は若干弾力的に考えていく必要があるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。要は、開発に参加しました中小企業者が新しい分野開拓して事業化を行う計画であるか否かということを基本としながら適時適切な認定を行っていく、そういう取り扱いが必要じゃないかというふうに考えておる次第でございます。  もし途中で、その開発成果を大企業等に売るというようなことが客観的条件変化で出てきたとします場合には、その際、当然計画変更認定ということになってくるわけでございますけれども、私どもとしましては可能な限りそういう計画変更認定ができるように、中小企業者に対して適切な指導等もそういう段階でも行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  11. 上坂昇

    上坂委員 今の特許の問題ですが、新しいものを研究開発するとどうしてもやっぱり特許を取りたくなる、これは人情として。そうすると、それに大企業先願しているような場合には取れないわけですね。取れなければまた困るというような問題もあるのです。だから問題なのは、特許とかなんかをこの法律によるところの手当てをする場合には、そうした自分技術だけで縛ってしまうような形でやるのではなくて、あくまでも技術が公開されるように、みんなでそれを利用されるような方向指導するということになれば、そうすればその特許の問題も、取れるなら取ってもいいのですよ、だけれども余りそういうことにこだわらないで、とにかく現実の中小企業分野開拓あるいは新しい製品成果をつくるというような方向指導をしていく、そのためにこの法律があるんだ、こういうふうに解釈をしたいのだけれども、それでいいのかどうかということ。
  12. 村田憲寿

    村田政府委員 基本的には、中小企業の方がやりやすいように私どもも運用してまいりたいと思っておりますので、御指摘趣旨を十分踏まえながら今後とも進めてまいりたいと思っております。全く御指摘のとおりでございます。
  13. 上坂昇

    上坂委員 これは沖縄から北海道までずっと適用されるわけですが、同じ時期に少し離れた地域で同じような製品開発あるいは技術開発サービス開発が行われて、その成果が出てきたというような場合はどうするのか。それからもう一つは、研究過程は異なっていても出てきた成果というのか製品というのは同じだ、こういうこともあるだろうと思うのです。そういう場合でもそれは一向差し支えないんだ、これはお互いに競合しながらこっちでも開発しこっちでも開発したんだからそれはいいんだ、こういうふうに認定をしてもらえるのかどうかということです。
  14. 村田憲寿

    村田政府委員 ただいま先生の御指摘二つのケースでございますけれども、私どもとしては認定対象となり得るというように考えております。
  15. 上坂昇

    上坂委員 それから同業種企業は、それぞれ競争相手でありますからそのノーハウをなかなか発表しないというのが普通なんですね。しかし、たまたま同業種企業間で知識の交換が行われた結果新しい果実が生まれた、こういう場合は、これに対して助成するようになるのかどうか、そういうのも対象になるか。
  16. 村田憲寿

    村田政府委員 ただいま先生指摘の同業種の場合でございますと、この法律での助成対象にはなりません。ただ、別途のいろんな法律等がございますので、その対象ははなり得るものでございます。
  17. 上坂昇

    上坂委員 その場合にはあれでしょう、その中でつくってもだめなんですね。いわゆる事業協同組合をつくってもだめなんですか、同業種ではだめだということですか。
  18. 村田憲寿

    村田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  19. 上坂昇

    上坂委員 そうすると、どこかの企業を加えてくればいいということにもなりますか。別な異業種がとにかく一つでも二つでも入っていればいいということですか。
  20. 村田憲寿

    村田政府委員 今私どもが内部で検討しておりますのは、異業種企業が四社以上の組合というようなことで、内々でございますけれどもまだ検討を続けておるところでございまして、同業種だけというのは全く論外でございますけれども、異業種と同業種が入りまじった場合どうするかとかいろいろ問題がございますので、ただいま申したような方向で今検討しておるところでございます。
  21. 上坂昇

    上坂委員 じゃあ法文上の問題についてお伺いしますが、「知識融合による新分野開拓」ということは、第二条の定義の三項で明らかになるのです。ですが、その開拓の中にたくさんあるんですね。まず、知識基準というのを一体どこに置くのかということ。例えば生産販売役務提供技術あるいは経営管理及びその成果について、それぞれの基準になるものが必要になってくるのではないかというふうに私は思うのです。これをどうするかということが第一点ですね。  それからもう一つは、「当該成果利用のために必要な需要」というふうにこの法文には書かれているのです。これは一体何を意味するのか。市場と解釈して差し支えないのかどうかということですね。もし市場と解釈してもいいということであるならば、需要開拓はしたが、しかし今の非常にテンポの速い現代においては、恒久的な市場というものを確保していくということはなかなか難しいですね。やっぱり非常に短期間に市場化して、それがどんどん変わっていくという形があるだろうというふうに思うのですね。そういうふうに、非常に短期的に変わるような市場があったときは一体どうするのか、基準に照らしてどういうふうにしていくのかということですね。  それからついでにもう一つ需要開拓ができなければ、研究開発過程でどんなに注目されたものであっても、それにまた基準があって、僕は前に基準のことを聞きましたが基準はまだお聞きしていませんからわかりませんが、例えば基準があってその基準に該当するというときに、しかし新しい事業分野開拓することができなかった、いわゆる売れなかったということになっちゃうんですかね、そういう場合には助成対象になるかどうか。研究は一生懸命やったけれども結果としてはなかなか市場が生まれてこない、非常にいい製品である、いつか利用する価値はあるかもしれないけれどもといったようなものも、考えられないことはないと思うのです。そういう場合にはどういうふうに対処されるか。
  22. 村田憲寿

    村田政府委員 まず第一点目の、需要知識とか組み合わせ等基準についての御質問でございますけれども、それぞれの知識とかその組み合わせ方について基準を設けることは私ども考えておりません。ですから、比較的一般的といいますか、そういう大きなところでの基準というように考えておるわけでございます。  それから、第二点目の「需要開拓」の需要でございますけれども、これは先生指摘のように市場、マーケットのことを意味しておるわけでございます。  それから、関連いたしまして、需要開拓の見通しがどうもうまくいかなかった場合ということでございますけれども、この場合でも助成対象とするように私ども考えておるわけでございます。
  23. 上坂昇

    上坂委員 この基準については非常に難しいと思うのですが、どこで認定するのか。後で出てくると思いますが、生産販売役務提供技術等ずっと並べていって、それぞれについて非常に立派だ、いいな、優秀だと思えばそういうように対象になるという形になると、それぞれのところである程度基準というものが設けられていないと、認定する方は非常に困ってしまうのじゃないか。また、申請した方も、どこをどうやったら、どの程度になったら認定してもらえるのかという不安もあるだろうと思うのですね。  そういう意味で、基準というのは、ある程度できる段階においての基準というものを設けておく必要があるのじゃないかというふうに私は思っているわけです。しかし、今それぞれの基準は考えない、非常に一般的な大きな基準だけつくるのだと言う。長官、それで対処できる、これは大丈夫だと自信を持ってお答えになれますか。
  24. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 結局、この技術なり経営知識なり市場についてのノーハウなり、そういうものをできるだけ持ち寄るという発想でございますが、ではおのおのについてどういうウエートをつけるとか、あなたはどの程度のレベルにあるか、これはなかなか判定が難しいと思いますので、要はそれをひっくるめた外形標準として、先ほどからの、異業種においてそういう経験をしてきておるということ自体がそういったおのおの分野においておのおの補完し合うある蓄積物を持っておる、こういう前提に立って、したがって、そういう異業種のまじりぐあいがどのような程度であるかということが最終的な判断になっていく、そのように考えております。
  25. 上坂昇

    上坂委員 もう一つお聞きしますが、「知識を組み合わせ、一体的に活用して、」こういう言葉があるのですが、これはどういうことを意味しているのか、お答えいただきたいと思います。
  26. 村田憲寿

    村田政府委員 それぞれの中小企業者の持っております生産技術等経営資源を相互に提供し合ってという意味でございます。
  27. 上坂昇

    上坂委員 次に、第三条で、国及び地方公共団体は、情報の提供、交流と組織化の推進、さらに研究開発、その成果利用及び需要開拓に必要な施策を推進する責任を持つということになるわけでありますが、その施策によっても需要開拓が思うように進まない場合はどういうふうに指導されるかということ。  それからもう一つは、知識融合開発計画認定、第四条及び五条でありますが、異分野中小企業者組合員とする事業協同組合特定組合認定するということになっておるわけですが、その企業組合の中には既に異業種企業組合が存在をしております。異業種企業組合の中で第二条第三項に該当するような場合、特定組合として認めないというふうに言われているのですが、この理由についてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  28. 田辺俊彦

    田辺政府委員 委員指摘のように、マーケティングといいますか、開発された製品需要と結びつくということが本法の一番の眼目とするところでございます。しかしながら、市場構造は大変流動的であり多様でありますので、場合によっては、開発された製品市場の中で必ずしも成果を上げないということもあり得ると思います。私どもは絶えずそういう方向に向けて精いっぱいの予算措置等を講じるわけでございますが、例えば今年度から実施しております中小企業関係フェア下請企業フェアテクノフェアというのがございますが、そういうところでも需要開拓に努めていきたいと思っております。しかしながら、重要なことは、開発過程において融合化して新しいフロンティアを築くということ自体にも大きな意味が見出せると思っております。  あとの質問については、指導部長よりお答え申し上げます。
  29. 村田憲寿

    村田政府委員 企業組合についての御質問でございますけれども企業組合の場合、先生も十分御承知のとおり、事業活動主体でございますので、開発主体として助成を受けることはできないというように考えるわけでございます。ただし、中小企業者といたしましてその当該特定組合組合員となることは可能でございます。  それからさらに、事業化段階におきましては、企業組合事業協同組合協業組合等と同様に助成対象になることになっております。
  30. 上坂昇

    上坂委員 今のお答えは、結局、企業組合事業主としてはだめだ、だけれども事業協同組合を別に設けて事業計画を出せばそれは認定対象になる、こういうことですね。わかりました。  それから、四項の中でただし書きがあるのですね。「負担金の賦課に係る試験研究」云々、こういうただし書きがあるのですが、これは何かよくわからないのですが、これについて説明をいただきたいのです。
  31. 村田憲寿

    村田政府委員 条文にいたしますとなかなかわかりにくいあれで恐縮でございますけれども、内容的には、試験研究税制と準備金の二重の適用はないという意味でございます。
  32. 上坂昇

    上坂委員 これはどうしてだめなんですか。二重にはやらないのですか、その理由をひとつ。
  33. 村田憲寿

    村田政府委員 準備金の場合もそれから試験研究税制の負担金の場合も、同様に組合員が負担分を納付するわけでございますけれども、その際の扱いが研究税制と準備金ではいささか違っておるわけでございまして、これを二重に適用いたしますとその辺が非常に混乱してまいるというようなことで、組合としての経理上といいますか、そういう面から非常に混乱が生じるのじゃないかということが一つあるわけでございまして、そういうことで二重の適用は避けるということでございます。
  34. 上坂昇

    上坂委員 その混乱するというのがよくわからないのだけれども、何で混乱するのか。別に税制で優遇を受ける方は決して混乱しないと思うのですが、それを適用する方が混乱したってしようがない。適用する方は混乱を整理しなければならぬと思うのだけれども、そこがわからない。
  35. 田辺俊彦

    田辺政府委員 今御指摘の点につきましては、試験研究とそれから事業化という二つ段階でこの融合化を推進するわけでございますが、税制に関しましては、試験研究税制という今までのさまざまな政策において確立された体系がございます。例えば、組合員に対しては賦課金の任意償却ができる。それから、増加試験研究費の税額控除ができる。それからまた、組合に対しましては、試験研究部分については圧縮記帳ができるという三つの税制がございます。これは、厳密に試験研究というプロセスに適用されるわけでございます。  それから、今度新しく税制で対応してまいります事業化に対する対応でございますが、これは全く新しい制度で準備金制度というのを私どもは今提案しておるわけでございますが、この準備金制度は、その試験研究段階を終了した段階事業化に対して適用されるわけでございます。これは、例えば組合が準備金として積み立てる場合、これは損金算入、組合員が賦課金を出す場合にこれも損金算入といったような新しい制度でございます。したがいまして、税制の適用のためにはそこを峻別する必要があるという意味で、今の条文がございます。
  36. 上坂昇

    上坂委員 そうしますと、試験研究段階一つ過程として、それには試験研究の税制で優遇していく。しかし、今度は事業段階に入った場合には準備金制度等に基づいてやっていく。したがって、段階的な状況だから一緒にしてはやらない、こういうことですね。わかりました。  それから、そこで融合化促進施策についてちょっとお伺いしますが、第一段階は交流の機会の確保に置いておるわけですね。そして第三セクターなどを拠点とする、いわゆる技術市場プラザといいますか交流プラザをつくる、そしてこれを促進をするということでありますが、このプラザづくりの当初の音頭取りというのは、だれがどこで行うのかということが一つであります。  それについて、これを行うために、これに対して政府の果たす役割というものは一体どういうものであるのか。というのは、こうしたプラザとかなんかいろいろできましても中小企業、特に小規模企業においては仕事が非常に忙しくて、おやじさんというのはそういう研究とかなんとかになかなか出ていけないのが実態なんです。これは中小企業の人に会っても、そんな暇はありませんということが大体一致しているわけであります。そこで、こうしたプラザとかなんかに参加できるのは、ある程度経営基盤がしっかりしている企業になると思うのですね。したがって、このプラザというものを一体どこで開催をして、いつどのように開催をするかということが非常に重要なファクターを持ってくると思うのです。それでないと、せっかくの人たちが参加できないのでは困りますから。こういうことを含めてお答えをいただきたい。
  37. 田辺俊彦

    田辺政府委員 御指摘融合化の第一段階が交流でございます。交流プラザ、技術交流プラザということで、従来、事業団がブロックごとにあるいは全国的にやってまいりましたけれども、飛躍的に私どもそれを充実すべく予算措置を確保しております。ただしその主体は、まず地域における県、そして県を超えまして今度はブロック、そしてブロックと全国的な技術交流に関しましては、中小企業事業団が主体になってくると思います。それに対しまして、国といたしましては、それぞれに対応する予算措置を講じてバックアップをしていきたいと思っております。  例えば県におきましては、各県に融合化センターをつくってまいります。融合化センターについて、これは前回予算が少ないじゃないかという御指摘を受けましたけれども、呼び水としてのささやかな予算によって精いっぱいの地域の融合化を支援してまいりたいと思いますし、それから単なる技術交流だけじゃなくて、マーケティングも含めた技術市場交流プラザとして予算を拡大し事業を拡大して、これを事業団を通じてブロックごと、全国ごとの交流のきっかけの機会を拡大していきたいと思っております。  それから、委員指摘中小企業者の集まる機会を本当にうまく考えたらどうだということは、全く御指摘のとおりでございまして、私どももそれを十分に踏まえて事業団及び県を指導してまいりたいと思っています。例えば零細企業の方々ですと、大変に忙しい中で集まる時間がウィークデーのワーキングデー、ワーキングアワーに集まるということも不可能でございますから、夜間に集まるとか、月一回はきっとみんなが集まれるような機会をつくる。それから県の融合化センターの設置場所も、今担当課にいろいろと相談が来ておりますけれども、皆さんが近づきやすい、集まりやすい場所をつくるべく、それぞれの地域の実態に応じて指導してまいりたいと思っております。
  38. 上坂昇

    上坂委員 カタライザーについてお伺いしますが、カタライザーというのはよほど中小企業の実情を認識して、あるいは広範な知識を持ち、経験それから人格にすぐれた、こういう人物を必要とすると思うのですね。したがって、こういう人はなかなかたくさんいません。だから相当高給を出さないと来ないんじゃないかという感じもします。こうした人材の確保に、大体九十何人置くということでありますが、成算は一体あるかどうかということですね。それから、どのようにして人選をするのかということが一つ問題になってくる。  そしてまた、人選をしても、この融合化法案は初めての法案でありますから、これに対する相当の知識をもう一度勉強してもらう機会が必要だろうと思うのです。そのことによって、従来の経験なりうんちくなりというものがもっともっと豊富になってくる、そこですばらしい人ができる、こういう形になるだろうと思うのです。そういうことをどこでやるのか。それからまた、それを今度は統括して動かしていくことが必要だと思うのですね。そういうことをどうするのかということをお聞きしたいのです。  それから、今零細企業という言葉を使ったけれども、これは使わない方がいい。あれは企業側から使う言葉であって、我々はやっぱり小規模企業と言った方がいいんじゃないですかね、これは。
  39. 村田憲寿

    村田政府委員 カタライザーについての御質問でございますけれども先生指摘のように、カタライザーというのは大変重要な役割を担う人でございますので、私どもといたしましても、十分その任にたえ得る人を選んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。  まだ検討中でございますけれども、このためにカタライザーの要件といたしまして幾つかのことを考えておるわけでございまして、例えば異業種交流事業に係る指導、診断等の十分な経験を持っておるとか、あるいはいろいろな技術市場動向、それらに関する情報の所在について知っておるとか、それから、まず最も基本的なことでございますけれども、異業種交流活動の促進に非常に熱意を有しておって、しかも皆さんをまとめていけるような十分な信用、人望を有する人とか、それからさらに、そういう指導、助言、調整を行うのに必要な時間が確保できるような人とか、そういうようなことなどが例えば要件としても入ってこようかと思っておるわけでございます。そういう点からカタライザーとなる人を選んでいきたいというふうに思っておるわけでございます。  こういう要件を満たす人材はどの程度おるかということでございますけれども、バックグラウンドといたしましては、必ずしも特定の職歴とか資格といったものを持っている人に限定されるものじゃないだろうと考えておるわけでございまして、産業界でございますとかあるいは学界でございますとかあるいは行政関係、そういったおのおの分野におきましてこれまでも経験しておられる方が多数おられるわけでございますので、そういうカタライザーとしてふさわしい経験や知識、熱意を持った人を広く対象として人材確保を図っていきたいというように考えておるわけでございます。  それで、このカタライザーでございますけれども、仕組みといたしましては、中小企業事業団が都道府県等にカタライザーの候補の人材の推薦依頼を行いまして、推薦された人材をただいま申したような基準に照らして審査いたしまして、カタライザーとして適格であると判断される人を登録するというような仕組みを考えておるわけでございます。その派遣につきまして、中小企業事業団が一元的に実施するということでございます。  それから、カタライザーの研修でございますけれども中小企業事業団の中小企業大学校で、候補になり得る人を対象に異業種交流に係るノーハウ、事例等について研修を行うということを考えておるわけでございますが、あくまでもこの研修によってカタライザーになる人は、今後カタライザーに対する需要が増大してくる、それに対応しようというものでございまして、現在の段階では、現在各界におられる方がカタライザーとしての役割を十分果たしていただけるのではないかというように期待しておるところでございます。
  40. 上坂昇

    上坂委員 そうした立派な人材を養成をしていくわけでありますが、一体どのくらいの期間で確保できるか、あるいはそこまで行くまでにどのくらいの費用がかかるか、これをひとつ教えていただきたいと思うのです。それから、確保するまでの間は、事業団なり通産省なりがどういうことをこれからやっていくのかということが一点であります。  それから、派遣をする場合、大体事業団が派遣をすることになるのでしょうけれども、そういうときの費用、例えば旅費なり宿泊費、そうしたものは、これはやっぱり事業団が持つということになるわけですか。これを教えていただきたいと思います。
  41. 村田憲寿

    村田政府委員 カタライザーの養成に関する費用でございますけれども、六十三年度の予算案ではトータルで百三十九万一千円というのが計上されておるわけでございまして、中小企業大学校の東京校で一週間、二十人の研修を行うということになっておるわけでございます。研修の期間、大変短いようでございますけれども、先ほど申し上げましたように、それ相応の知識、経験等を有する人を候補としてこのカタライザー養成の講座に入れるわけでございますので、内容的には事例研究とか異業種交流の現在の全国的な動きとかいうようなことを研修することになろうかと考えておるわけでございます。  それからカタライザーを派遣する場合の経費でございますけれども先生おっしゃいましたように、派遣にかかわる費用は中小企業事業団が支給することになっておるわけでございまして、旅費とか謝金等、そういったものを支給することとしておるわけでございます。
  42. 上坂昇

    上坂委員 プラザ事業を推進する場合、研究開発のデータベースとかを整理したり情報の提供をやったり、それから公設試験研究機関の試験室の開放、整備、こういうものを施策として考えているということでありますが、これらについての費用、例えば情報を提供してもらう費用は個々の企業が負担することになるのか、それとも情報提供はみんな政府あるいは事業団の方でやってくれるのかどうか。  それから、プラザ事業の整備をやるわけでありますが、整備をする場合、その整備に対しては一プラザ当たりどのぐらいの費用を頭に描いているのか、その辺も聞かせてください。
  43. 村田憲寿

    村田政府委員 プラザの関係の費用でございますけれども、現在都道府県の公設試験研究機関等でいろいろな研究などをやっておるわけでございますし、また融合化関係の試験機器の開放等を通じていろいろな技術支援を行うことにしておるわけでございます。  それぞれ六十三年度の予算規模で申しますと、融合化研究については六テーマで一億円を私ども予算ではとっておるわけでございまして、事業規模で申しますと、都道府県の負担分も入ってまいりますので、一テーマ当たりの事業規模になりますと約三千三百万円ということでございます。それから、融合化にかかわる試験機器の開放でございますが、これは私どもの予算では六カ所で一億五千万円ということになっておるわけでございますけれども、これも都道府県の負担がございますので、一カ所当たりの事業規模で申しますと約五千万円を予定しておるわけでございます。  それから、情報関係の御質問があったわけでございますが、これにつきましてはいろいろ中小企業事業団等々で情報提供を行うことにしておるわけでございますけれども利用者の方にとってみますと、これは当然無償で情報提供を受けることができると考えておるわけでございます。
  44. 上坂昇

    上坂委員 また、これらの促進の拠点として地域センターを整備するということになるわけですが、そうするとその場合、第三セクター方式はどういう形が一番いいとお考えになっているか。それからこの第三セクターの規模、いわゆる職員はどんなふうになるのかということであります。それから第一年度として、ことしでありますが六十三年度ではセンターを幾つぐらい設置される考えであるのか、これが一つです。  この間も出ていたようでありますが、交流段階における一般会計の予算が六億五千万円で、どうも少し足りないのではないかという心配は私もあります。ただ先ほど、これは誘導していくのだから初年度はこのぐらいで頑張ってもらいたい、こういう話だからそういう形になるのだろうと思いますが、その辺を含めてひとつ御回答いただきたいと思います。
  45. 村田憲寿

    村田政府委員 地域融合化センターでございますけれども、ここはいろいろ既存の都道府県等の機関、例えば公設試験研究機関でございますとかあるいは総合指導所、あるいは都道府県のつくっておる公益法人があるわけでございますけれども、そういう場所に自由な交流を行えるような交流室でございますとか成果を展示する施設、さらには情報提供のためのいろいろな設備、機器といったものを整備することを考えておるわけでございます。国の方は、同センターを整備する都道府県等に対して必要な経費の一部を補助することにしておるわけでございまして、今年度全国で二十カ所を予定しておるところでございます。  それから、センターの管理運営でございますけれども、置く場所がこういう都道府県等の関係のところでございますので、運営につきましても、どうするかは十分に詰め切っておるわけではございませんけれども、都道府県とか公益法人の職員に行っていただくという方向で現在検討を進めておるところでございます。そういうところに、中小企業事業団からはカタライザーを適宜派遣していくというような仕組みを考えておるわけでございます。  全体の経費が十分かどうかにつきましては、計画部長の方からお答えいたします。
  46. 田辺俊彦

    田辺政府委員 委員指摘のように、全体で六億五千五百万ということでございます。決して十分ではないと思いますが、交流プラザの本年度の予算が約一億七千万で、新しい事業の拡大にかんがみまして今までの四倍強にふやしております。来年度も一層努力したいと思っております。精いっぱい有効活用をしたいと思います。
  47. 上坂昇

    上坂委員 その点はよろしくお願いしたいと思います。県にセンターを置いて県の職員にやらせるということになると、本当のことを言うと地方自治体は非常に財政難で困っているわけでございます。だから、よほどこれに対して手当てをしていかないと、また地方自治体がやる気がなくなってしまう。事業を返している県すらあるわけでありますから、その辺を十分考えてもらいたいと思います。これは希望です。  それから、第二段階技術開発の援助というところでは、認定特定組合に対する補助があります。これは一件当たりどのくらいに考えておられるのか。それから、組合によって、事業の内容によって規模の大小が出てくると思うのです。そういう場合には、規模の大小にとらわれないで内容に基づいて助成をするという考え方で大体同じようになるのかどうか、この辺をお答えいただきたいと思います。  それから、研究開発の期間というものは余り長くなったら、五年も六年もなったら大変だと思うのです。しかし、研究開発というものはそんなに簡単にできるものではないと思うのです。ある一定の期間は必要だと思うのですね。そういう期間をどのくらいに見て、各年度にわたる場合にはどういうふうな形で年度ごとに助成をしてもらえるのかどうか、この辺をお答えいただきたい。  それからもう一つは、税制も同じでありますが、研究開発の期間中ずっと優遇措置を続けてもらえるのかどうか、この辺をひとつお答えいただきたい。
  48. 村田憲寿

    村田政府委員 認定特定組合組合に対する補助金額でございますけれども、上限で一千九百万円と私ども考えておるわけでございます。それから、組合の規模等に応じて差をつけるのかどうかという御質問でございますけれども、私どもといたしましては、組合の規模によって差をつけるのではなくて、開発の内容によって資金計画等が違ってくるでございましょうから、その結果差は出てくることはあろうかというものは考えますが、規模のいかんで差をつける考えはございません。  それから、研究開発の期間でございますけれども、これについては、私どもが調査した結果によりますと大体三年程度というのが現に行われている研究開発の期間の平均のようでございますので、私どもとしては三年程度ということを想定しておるわけでございます。それで、組合の方で必要になってくれば三年程度、継続的にということも検討していっていいのじゃないかと私どもとしては考えておる次第でございます。  それから、税の関係につきましては計画部長の方からお答えいたします。
  49. 田辺俊彦

    田辺政府委員 先ほど申し上げました試験研究関係の三つの制度は、研究開発期間において十分に適用されるようになっております。また、信用保険法の特例もこの研究開発期間に適用されることになっております。
  50. 上坂昇

    上坂委員 次に、第三段階事業化への支援についてでありますが、事業化資金中小企業事業団の高度化資金と商工中金の特別貸し付けの二本立てになっておるわけですね。中小企業事業団の場合、一組合当たりの限度額、利率、貸付期限それからその他のいろいろな条件、簡単に大きな条件で結構ですからこれと、商工中金についても今のことをお答えいただきたいと思います。
  51. 田辺俊彦

    田辺政府委員 事業化段階におきましては二つの融資制度、御指摘のとおりでございます。  高度化資金につきましては、これは現に中小企業高度化資金という制度が実在しているわけでございますが、組合が実施します共同施設事業、集団化事業、あるいは組合員が今度は事業化段階で合併したり、相互に出資して会社をつくる場合の高度化事業、こういう事業にも適用されます。十五年から二十年ぐらいの期間で、無利子融資ということでございます。限度額は特ほ規定されておりませんで、決めておりません。これは、事業の内容に応じて審査をしていく次第でございます。  もう一つの商工中金でございますが、これも事業化段階における新しい低利融資制度として、産投の出資をもって確立したわけでございます。これは、認定を受けた知識融合開発事業計画に基づく事業ということで、設備資金と運転資金をともに融資いたします。利率の方は、これから財政当局等とも勘案しつつ決めていくわけでございますが、長期プライムレート現在五・五%でございますが、これを下回る金利ということで決めていくことにいたしたいと思います。精いっぱい中小企業者の利益を考えるということで決めていきます。貸付期間につきましては七年が最低でございまして、七年から十五年間の期間ということでございます。  委員指摘の限度額につきましては、これもこれから政府系中小企業金融機関の限度額を勘案しながら、個々の中小企業者の実態に応じて、ニーズに対応するように決めてまいりたいと思っております。ちなみに、中小公庫の貸出限度額が現在三・五億円でございます。そういう点を十分考慮をしてまいりたいと思います。
  52. 上坂昇

    上坂委員 中小企業は元来、信用力もないし担保力も乏しいわけであります。したがって、その信用保証の特別措置というのは非常に大きな効果をあらわすのは当然であります。問題は、信用保証協会の今までのあり方だと私は思うのです。  どうも聞くところによりますと、というよりも私が見ても、中小企業そのものの信用する協会にはなっていないのですね。銀行の信用保証機関じゃないかというふうにどうしても考えないわけにはいかない。だから、例えば仮に申請しても、絶対返してくれる者でないとほとんど貸さないので、これでは本当の中小企業のためのものにはならないだろうと私は思うのですね。やはり多少のデメリットも考える、あるいは冒険も考える、そして危ない企業を救っていくという気持ちがなければ、こんなものをつくったって役に立たないのです。銀行なんか助ける必要はないと思うのですよ。銀行なんか、担保をとったり保証人を置いたり、いろいろなことをやって絶対に損しないようになっているのだから。貸倒積立金なんて、貸し倒れなんか一切ないのに、いっぱい貸倒積立金を許されているわけでしょう。銀行はおっかなくてみんな必ず払いますから、払わなければ担保でも土地でも何でも全部とられてしまうのだから、これは大丈夫なんですよ。  だから、保証協会というのは、銀行の保証をするのじゃなくて中小企業事業を保証してもらいたいと思うのですね。この精神がないのです。僕らが代理で行ってやってもだめなんですね。これは内容ばかり見ているんだ。ここはだめですね、払えませんね、こうなってしまう。払えないから借りに行くのじゃないのですよ、払えるようにしようと思うから借りに行くのだから、そういうふうに考えてもらわなければ困るのですね。それがどうもおかしいのです。ですから私は、こういう法律をつくっても非常に心配になってしまうのであります。この点をどう考えていくか。要するに、今度改正になる信用保険法なり公庫法、これがむだにならないようにひとつ運営をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  53. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 この中小企業信用保証体系は、今百三十四万の中小企業者利用しております。事業所の総数が六百五十万ですから、ほぼ五軒に一軒はこの制度を今活用している。信用保証残高も十兆円、こういうことで、全体としては非常に普及発達してまいっておると思いますけれども、その具体的な運用において、先生指摘のような、そういった公共性と一種の営利性といいますか事業性、そういうものの兼ね合いみたいなものが、このところ特に財政基盤が弱かったということもございまして、率直に申し上げていろいろ御不満のケースが多かったのではないかというふうに思っております。  そういう反省に立ちまして、昨年来、私どもも一生懸命勉強してまいりました。それで、やはりそういうものは基本的に財政基盤の確立が先決であるということで、全員努力してまいりまして、ようやくそのめどがついてきたように思っております。今年度の予算案においても、そのような視点からいろいろな手当てをしております。  もう一つが、やはり各保証協会が独自性を持って判断できる。おっしゃるとおり、金融機関の判断が先行した後、保証協会が判断するということではなくて、財政基盤の確立の上に、できるだけ保証機関が先行性を持って判断するようにする、こういうことを今後できるだけ指導してまいりたいと思っております。
  54. 上坂昇

    上坂委員 長官の今のお話はよくわかるわけですが、実態はこうですからね。例えば金を借りに行くでしょう。銀行にまず行く、そうすると銀行では保証協会に行ってくれと言うのです。何にも言わないで、審査もしないで、それは保証協会へ先に行ってくださいと。保証協会へ行くでしょう。そうするともうだめになってしまう。だから困ってしまうのですよ。銀行は、もちろんそれを返してくれるところ、確実に返るところといったら黙って貸すわけですから。そして今度は、そういうところへ借りてくれ、借りてくれと言うのですよ、今の段階では金が余っているから。  それで、これは保証協会に行くともうだめなんですね。だから、銀行は全部保証協会にかぶせるわけなんです。だから、少しぐらい保証協会の方は冒険をやって、銀行に払われなくてもいいようなのが出てもいいぐらいの気持ちでやらなければ、中小企業、零細企業はとても救われない。——零細企業なんて言ってはいけないから小規模企業と言います。小規模企業は救われないというふうに私は思うのであります。そこのところを十分気をつけて運営をしていただきたいと思います。これはもうずっと長年言ってきたことですが、なかなか実態は改まっていないということであります。  そこで、今度は中小企業融合化の進展の状況ということについてお伺いをしたいと思うのですが、異業種中小企業の交流というのが五十六年ごろから行われてきた、そして今グループでも七百を教えて二万社ぐらいが参加をしている、こういうことでありますね。これらのグループが、研究開発製品開発、業態開発等の目的に向かってやっているという報告があります。  これらのグループの先見性と努力によって、中小企業者も異業種融合化法律もできるような状態が出てきたのだろうと考えられますが、既成のグループ、これは大きな犠牲を払ってきたものであります。したがって、この既成のグループが融合化法ができるような努力をしてきたということも大変なことだと思うのです。これらに対しては何ら優遇措置が出てこないというのでは困るから、これからの事業を拡大をしていったり、あるいはその事業をもっと安定をさせるというような状況が生まれる場合には、これに対して金融措置なりあるいは税制措置なりを十分考えていただけないかということが一つであります。  それから、異業種組合のこうした目標でありますが、先ほどから言われているように、いわゆる技術開発あるいは製品開発、業態開発需要開拓、こういうふうにずっと段階的になってきているわけでありますが、それらのいずれについても、これが果実化するという見込みがある、あるいは果実化しているということになれば、今までおっしゃられた金融、税制というものの措置を受けられるのかどうか、そこのところをお答えいただきたい。
  55. 村田憲寿

    村田政府委員 最初の方に御指摘いただきました、これまで異業種交流活動を熱心にやってこられたグループの方々、大変御努力をされてこられたと思うわけでございますけれども、今度の法案関係で申しますと、既にできておる組合でございましても、新たに新製品等の開発を始める場合であれあるいは既に開発を開始しておる場合であれ、いずれにつきましても開発事業計画を作成いたしまして行政庁の認定を受けましたら、本法に基づく助成措置を受けることができるというふうに私ども考えておるわけでございます。  それから、既にいろいろ開発が進んできておるあれがあるじゃないかという御指摘でございますけれども、この法律対象となります知識融合開発事業というのは研究開発だけじゃございませんで、その成果利用でございますとかあるいはその成果利用に必要な需要開拓といったものもその具体的内容になっているわけでございますので、既に研究開発を終了している場合でございましても、実施しました研究開発の内容が妥当であり、かつその成果利用またはその成果利用に必要な需要開拓関係する計画の内容が適切なものであれば、計画認定され得るものと考えておるわけでございます。ただ、この場合、事務手続といたしましては、計画認定を申請する際に、これまで実施した研究開発について記載した書類をあわせて出していただくということになろうかと思いますけれども対象として認定され得ることは可能でございます。
  56. 上坂昇

    上坂委員 その場合には、結局事業協同組合とかそういうものを新たにつくらなくちゃいけないわけですね。この法律に該当するように新たにつくって、そして今までの成果なり資金計画なり、あるいはこれからの計画なりこういうものを出せば面倒見てもらえる、こういうふうに解釈してよろしいわけですね。
  57. 村田憲寿

    村田政府委員 ただいま先生指摘のとおりでございます。
  58. 上坂昇

    上坂委員 大体、開発というのはすぐできるものではないと思います。だから、むしろ偶発性が非常に高いのではないかというふうに私は考えておるのです。したがって、ひょこっとできる場合もあるけれども、やはりかなりの時日を要すると思うのですね。大企業は大きな資金を持って研究開発に取り組んでいるのでありますが、なかなか成果というものはそう上がるものではないと思うのです。したがって、問題なのは、研究過程で一番資金が必要なのは、新分野開拓であり新製品開発であろう、こういうふうに私は思います。したがって、従来は資金力と人材を豊富に持っていた大企業はよかったのですが、中小企業はなかなかこれができない。そこで、今のようにノーハウができても、それが短期間に普及してしまう、あるいは一般化してしまう。それから、先ほど言ったように需要市場を長期に期待することができない。いわゆる短サイクルの時代に現在は入っていると思うのです。  こういう状況を踏まえて、この法の運用については本当に慎重な運用と、それから中小企業が十分生きていけるようなところへ指導していく必要があるので、そういう法の運用というものが絶対に必要であろうと私は考えているわけであります。そういうことについて、これについては大臣の御決意をひとつ承りたいと思うのであります。
  59. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 御指摘のとおりだと思います。私どもは、これは単なる当面の円高対策というよりは、今後長期的に日本の中小企業が現在占めている地歩を今後とも確保し続けるためにはこういった努力、方向が必要である、このように考えて今回の提案をしておりますので、中小企業ニーズ技術開発、そういった環境条件変化に対応して今後とも新しい事業分野を確保していけるように、そこの現実に即したこの法の運用を常に考えてまいりたいと思っております。
  60. 田村元

    ○田村国務大臣 今長官が申しましたように、中小企業ニーズにこたえて新しいフロンティア開拓のために弾力的に運用することが何よりも必要だと思います。  それから、この場をおかりして恐縮でございますが、私は十八、十九、二十日と三日間、西独コンスタンツにおいて行われました貿易大臣会合に出席してまいりました。先進国十四カ国、発展途上国十三カ国及びEC委員会、これの貿易担当責任者並びにガット事務局長が集まりまして、ウルグアイ・ラウンド交渉の中間レビューを実りあるものにしようという相談をする、そういう会合でございまして、大変大きな成果があったと思っておりますが、その間委員各位には何かと御迷惑、御不自由をおかけしたこととおわび申し上げ、一言帰国のごあいさつを申し上げます。
  61. 上坂昇

    上坂委員 大臣には、大変重要な国際的な会議に出席をされまして、今一番当面しているいわゆる通商政策に御努力をいただいていることについては、大変感謝をいたしております。  また、こういう法律をつくられて、そしていわゆる中小企業の新しい分野開拓させる、それについて非常に大きな力を政府が出しているということについても、これは非常にありがたいと思います。問題は、中小企業の実態をよく踏まえて、本当に十分な指導をしていただきたいということが私の望みであります。  それから、政府の統計によりますと、中小企業の倒産というのは大体一、二年ずっと低下をしているというふうに言われております。これは実際そうなっています。しかし、一般的には中小企業の景況はそんなにいいとは決して思われません、特に地方は。問題なのは、やめている企業が非常に多いということであります。廃業がすごく多いのです。廃業ということになりますと、これは倒産に入りませんからそこのところは全部統計から外れてしまうというのが実態であります。したがって、言ってみれば倒産するものは既に倒産してしまった、これからはとても耐えていけないものがやめていく時代になっちゃった、こういう時代に入っていると思いますから、これは非常に重要な問題であろうと思いまして、楽観的な形での中小企業対策というものはとれない、ますます厳しい条件が付してこられるだろうというふうに私は思っています。  もちろん円高のメリットがこのところへきて生きてきて、製造業なり何なりが非常によくなってきているということも、これは認めるわけでありますけれども、その点において中小企業に対する特別な気持ちを持って、予算が余り少な過ぎるから、二千百億円程度じゃとても何もできないという感じがするから余り大きなことは言えませんが、ひとつ温かい気持ちで中小企業の育成を見守って育てていただきますように、これは大臣にお願いして、大臣の決意のほどを承りまして私の質問を終わります。
  62. 田村元

    ○田村国務大臣 ただいまの御質問がすなわち私の答弁になろうかと思います、率直に言いまして。六十年九月のプラザ合意以降の急速な円高、これは我が国の経済、産業自体を根底から揺るがすものでございました。特に、中小企業生産の停滞等がひどくなりました。景況も非常によろしくない状態になりました。最近はおかげさまで中小企業生産もほぼ回復してまいりましたし、輸出にも下げどまりの動きが見られてまいりました。総じて申せば、中小企業の景況は回復しつつあるということは言えるかもしれません。  しかしながら、今御指摘がありましたように、中小企業の景況には二面性がございます。輸出型中小企業、とりわけ輸出型産地、企業城下町等の景況にははかばかしくないものがまだまだございます。中小企業の倒産は、六十二年には十二年ぶりの低水準となったので落ちついた状況にはございますけれども、また円高倒産も鎮静化の傾向にはございますけれども、民間の調査機関の調査によりますと、実に倒産の十倍以上の転休廃業があると言われております。御指摘のとおりであります。円レートの動向等も含めまして、今後の中小企業の景況を十分注視してまいりたい。  いつも私が申しておりますように、事業所のシェアからいいますと、日本全体の九九・四%が中小企業であります。従業員数もまた八一・四%が中小企業でございます。まさに日本は中小企業が産業の中核であり、大部分を占めておるということが言えるわけでございます。我々はこれに対して非常な神経過敏な見方をしていかなきゃなりませんし、温かくまた力強い支えもしていかなきゃならぬというふうに思っております。  それから、先ほどおっしゃった、私興味深くちょっと伺っておりましたが、零細企業という言葉であります。先般、いつだったか、国際会議で私はあるアジアNICSの大臣から言われたのです。NICSという言葉使わないでくれ、こう言われたので、それはそうだなと。彼は、NICSという言葉は差別用語だ、こう言って私に——私に文句を言ったんじゃない、私にそういう話をしておった。ところが、国際会議ではNICSという言葉を使っているのですね。ところが、これがまた非常によくわかるのですね。零細企業というのもそうだと思うのですね。これは使わない方がいいんでしょうけれども、小規模企業と言うと何だか、使い初めだからそうかもしれませんけれども、零細企業というとぴんとくる。でございますから、いい意味において助けるときには零細企業という言葉を使って、そうでないときには使わない方がいいんじゃないかなと思ったりもしておりますが、非常に興味深く拝聴いたしました。
  63. 上坂昇

    上坂委員 どうもありがとうございました。
  64. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、青山丘君。
  65. 青山丘

    ○青山委員 私からも質問させていただきますが、中小企業対策が先ほどからいろいろと議論されておりますけれども中小企業が抱えております問題はなかなか複雑でありまして、あるいはなかなか克服困難かもしれませんけれども、大企業に比べますと、やはり資金調達の面で悩んでおります。また、なかなか人材を確保することができない。せっかく人材を確保しても、十分な教育といいますか人材を育成していくことができない。そういう家庭の事情みたいなものがあって、この大きなハンディを克服できれば技術革新にもついていくことができるでしょうし、いろんな情報も十分集められて販路の拡大にも結びつけていくことができる。しかし数年前からの円高等での大きな経済変化、厳しい状況の中で中小企業が生き延びていこう、これは大変な苦しみを今味わっております。そういう意味で、このような厳しい経済情勢の中で、いわば中小企業独自の進路を開拓していくということがなかなか難しい。ちょっと大げさな例えをしますと、いわば方向を見失った大海の小舟みたいな苦しみを今味わっております。  そういう点では、今回出てきております法律案を含めまして私自身は一定の評価をしていますが、中小企業対策をひとつぜひ積極的に進めていただきたい。その意味で、来月から新しい年度が始まりますが、新年度の中小企業の重点政策、ひとつぜひこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
  66. 田村元

    ○田村国務大臣 中小企業は、私が常日ごろ申し上げておりますように、日本の経済、産業の中核であり、しかもかつ大部分を占めております。我が国経済社会の基盤をなしておると言っても過言ではないと思うのです。雇用の確保や地域経済の発展にも大きな役割を果たしてきました。率直に言って、大企業以上の役割を果たしてきた。  六十年秋以降の急激な円高というものは、輸出型中小企業を初めとして我が国中小企業に深刻な打撃、影響を与えました。最近の中小企業の景況は総じて回復しつつあるものの、二面性が見られます。とりわけ輸出型の中小企業、その中でも輸出型産地などにおきましては依然として低迷、はかばかしくない姿であります。さらに国際化の進展、技術革新、情報化の進展等、中小企業を取り巻く経済環境は大きく変化しておりまして、一般に経営基盤が脆弱であり、かつ経営資源に乏しい中小企業にとって大変厳しい対応を迫っております。  通産省、今お尋ねの六十三年度における諸政策でございますが、中小企業がこれらの当面する厳しい経済環境に的確に対応して健全な発展を遂げられますようにというので、申し上げれば切りのないほどたくさんあるわけですけれども、重点的な問題として幾つかの問題を進めようといたしております。  まず、円高構造転換対策でありますが、今御審議いただいております融合化法を核とする融合化促進施策、それから新転換法を核とする事業転換対策、特定地域法を核とする中小企業対策、いわゆる地域中小企業対策ですね。それから下請中小企業対策、国際化対策などを展開しようとしております。  中小企業経営基盤の充実を図るためには、金融の円滑化、それからまたお世話になります信用補完制度の拡充、中小企業大学校の整備などによる人材養成の強化、情報化への対応及び技術力の向上の推進というようなことに努めてまいるとともに、あわせて小規模企業対策及び中小小売商業対策などの一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
  67. 青山丘

    ○青山委員 融合化法に入ります前にもう一、二点。  円高によって、例えば輸出型産地、輸出型企業を抱えております地域に特定してその影響が出てきておりました。そういう点を配慮して、さきに特定地域中小企業対策臨時措置法、これに伴うところの各種の施策がとられてきたところでありますが、今も大臣がおっしゃられたように地域対策というのが非常に重要であると思います。私は、そういう意味でさらに地域対策を積極的に進めていただきたい、それが中小企業対策に直接的に結びついてくるというふうに思います。これが一点。  それから、今大臣が述べられましたように、地域の活性化に結びつけていくためには何といっても商店街を振興していかなければいけない。私は、商店街が果たしてきた役割は非常に大きいと思います。商店街が発展して、振興されて活性化してきますと消費の拡大につながってくる。このことは、内需拡大という我が国経済社会が抱えている大きな課題にもこたえていくことになるわけでありますから、商店街対策を積極的に進めていくべきだというふうに私は考えております。その施策について御見解を、また対策を示していただきたいと思います。
  68. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 今回の円高が特定の地域に特に著しく集中してあらわれている、こういう認識に基づいていわゆる新地域法を御提案申し上げ、今施行しておる。おかげさまで、これは非常に効果があったのではないかと思っております。特に、その地域の中小企業内需転換は相当この間に進行したのではないかというふうに思っております。ただ、これを地域全体としてどのように再び活性化していくか、これは依然残っている課題であるというふうに思っておりまして、各地域、自治体でも非常に懸命な努力が今なされております。そういう努力に少しでもお手伝いするという意味で、私ども今年度予算において、そういう新しい地域のプロジェクトのフィージビリティー調査、これをもっと突っ込んでやるための資金等も新たに今用意をしておるところでございます。  それから、商店街については、基本的な考え方は先生のおっしゃるとおりだと思っております。そのために具体的な施策も今回用意しておりますが、これはせっかく小規模部長が参っておりますので、専門的には小規模部長から御答弁させていただきたいと思います。
  69. 三上義忠

    ○三上政府委員 商店街の活性化の対策につきまして御説明を申し上げます。  商店街の活性化が地域経済の活性化あるいは内需の拡大、こういう我が国経済にとりまして大変重要な課題に大きく貢献するものであることは御指摘のとおりでございます。私どももこうした認識に立ちまして、従来、各種の商店街活性化対策を講じてまいっているところでございますが、六十三年度につきましては、新たに二つの制度を創設することといたしております。  一つは、やはり商店街が魅力あるものになるために、それぞれの商店街の特徴を生かしまして、豊かな個性を持ちましたような、こうした商店街の活性化構想づくりに対しまして、新たに補助制度を創設をいたしております。初年度は、全国で大体二十地域ぐらいを対象にすることを予定いたしております。  それからもう一つは、これは商店街がどんなに自力で努力をいたしましても、それはおのずから限界もございますし、どうしても地元の市町村と一緒になりまして、いわば町づくりの一環という形で商店街の振興を図ることが大変重要になってきておるわけでございます。こういう観点に立ちまして、商店街組合と市町村等の公共団体が出捐をいたします第三セクターが商店街を魅力ある、言ってみれば暮らしの広場、こういうものにしていくための例えば多目的ホールでございますとか小公園でございますとか、こういった施設を整備する場合には無利子の高度化融資を行う、こういう制度も創設をすることにいたしておりまして、これらを通じまして引き続き商店街の活性化を図ってまいりたいと思っております。
  70. 青山丘

    ○青山委員 今の説明がありました内容については、スタートを切るわけで、まだそんなにたくさんの地域が計画されているわけではないと思います。また、それぞれの商店街からも相当な要請がきっと出てくるであろうと思いますから、ぜひ対応をしていけるように取り組んでいただきたいと思います。  さて、融合化法でありますが、新しく知識融合の動きが相当出てきておりまして、中小企業間における交流が大分活発になってきているというふうに聞いております。御承知のように、この円高の影響を相当深刻に受けておりますし、これが長期化して定着化してきますと、中小企業にとってはどういう方向に新たに進んでいくべきであろうか、それぞれの企業はみんな悩み苦しんできたわけでありますが、なかなかいい知恵が幾ら考えても浮かんでこない。そうなってくると、周辺は一体どういうふうに動いているのかということに非常に関心が出てきておるということで、私は、交流はそれなりに意義が深いと思っております。  ただ、この交流をぜひ開発へ結びつけていかなければいけないし、事業化へ結びつけていかなければ何にもならない。また、それぞれ中小企業者が抱えている問題はみんな別々で、なかなか交流といったってそれなりに難しい問題を抱えているであろうと私は思うのです。後でカタライザーのことで少しお尋ねをいたしますが、そうした交流、開発事業化へ向けての政府の支援の取り組みというのがこれを成功させるかどうかという重要なかぎになってきます。今回の交流に対する政府の考え方、基本的な異業種交流に対する考え方をひとつ明らかにしていただきたいことと、現状は一体どのような異業種交流が行われているのか、実態をひとつ御説明いただきたい。どんな特徴を持ってきておるのか、その辺はいかがでしょうか。
  71. 田辺俊彦

    田辺政府委員 青山委員指摘のように、円高の定着化の中で中小企業は新しい分野開拓によって生き残り、発展していくということでございまして、融合化はまさにそのための一つの大きな流れ、きっかけ、道をつくるものでございます。  現状でございますけれども、御指摘のように昭和五十年以降少しずつ異業種交流の芽が出てまいっております。現在は、私どもの調査によりますと大体七百ぐらいの交流グループがございまして、企業で二万社ということでございます。さらに、調査の対象を超えてもっと多くの異業種交流グループもあろうかと思います。  それで特徴は、整理をしてみますと三つぐらいあると思います。一つは、冒頭の御質問にございますように、非常に苦しい地域、円高の地域、そういう地域の異業種交流が意外に盛んであるという点でございます。これは、私どもの調査の中で全体の一六%ぐらいがそういう特定地域の異業種交流グループになっておりまして、全体の出荷額における特定地域の割合というのは一一%ぐらいですから、それを上回って盛んであるというのが一つでございます。  二つ目は、これは中央会の調査でございますけれども、三百五十くらいの異業種連携組合が活動中でございまして、その三分の一が六十年以降出ている。これは中央会の調査ですから先ほどの七百と数字が違いますが、三分の一強が六十年以降ということは、円高に対応していかに中小企業が新しい分野を求めているかということがおわかりになられるかと思います。  それから第三の特徴でございますが、交流ということで、知識を交流し合ったりしてきっかけをつくっている程度かなという感じで見られがちでございますけれども、意外にその三五%が既に融合化ということで共同研究開発を行っているという数字がございます。そういう意味で、とうとうとしてこういう動きがございまして、この法律はそれをさらに加速化し、新しい中小企業の発展につなげるものだと思います。
  72. 青山丘

    ○青山委員 交流の場を円滑に進めていくというのはなかなか難しい。そのためには、今回カタライザー制度を導入して、これで何とか進めていくことができないか。私は、それなりにこのカタライザーの果たす役割というのは重要だと思います。  そのカタライザー制度の仕組みで、先ほども質疑の中にありましたが、そのカタライザーというのは中小企業事業団で一定の基準に合った人たちということですが、その基準というのは一体何かということですね。それから、中小企業事業団へ九十六名のカタライザーを登録するに際しての考え方、このあたりいかがでしょうか。
  73. 村田憲寿

    村田政府委員 カタライザーの基準でございますけれども、現在検討を進めているところでございまして、まだ確とはまとまってない段階でございますけれども、重点といたしましては四つばかり考えておるわけでございます。  一つは、異業種交流事業に係る指導、診断等において十分な経験を持っておる人であること。それから二つ目といたしまして、中小企業にかかわります技術とか市場の動向、それからこれらに関する情報の所在について幅広い知識を持っている人であること。それから三つ目としまして、異業種交流活動の促進に熱意を持っておられる方であって、公正かつ円滑な活動、調整を行い得るに十分な信用、人望を有する人であること。それから四つ目でございますけれども、当然のことでございますけれども、こういう異業種交流活動に対して指導助言、調整を行うのに必要な時間を確保できるような人であること。  そういったようなことが基本になろうかと思っておるわけでございまして、こういう基本点を勘案しながら基準を作成しつつあるところでございます。
  74. 青山丘

    ○青山委員 人材というのはなかなか点数ではかれませんし、率直に言ってなかなか難しいと思うのです。しかし、九十六名がどれくらいの機能を果たしていただけるか。それから、九十六名になるのか、九十六名プラスになるのか。カタライザー養成コースというのを検討しておられる。東京校で二十名、一週間コースでカタライザーを養成していくのだ。あるいは、これがカタライザー予備軍になるんでしょうか。カタライザーにそのままなっていくんでしょうか。この養成コースの内容はどういうふうになっていくのか。それから、東京校で二十名、一週間コースの勉強をされた方は、中小企業事業団に自動的にカタライザーとして登録をされていくのか、その辺の関係は予備軍になっていくのか、どんなお考えでしょうか。     〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕
  75. 村田憲寿

    村田政府委員 先生指摘のように大変重要なカタライザーでございますので、ふさわしい人の確保となりますとなかなか容易ではないと思っておりますけれども、御指摘がございましたように、現在でも既にいろいろな異業種交流活動が行われておるわけでございまして、それに携わっておられる産業界の方あるいは大学の関係の方、行政関係の方、いろいろおられるわけでございます。そういう人たちの中から、カタライザーとしてふさわしい人がとりあえずは十分確保できるのではないかというように考えておるわけでございまして、必ずしもこれこれの資格を持った人とか、そういうようには限定されるものではないだろうというように考えておるわけでございます。  そういうことでカタライザーを確保していくことを考えておるわけでございますけれども、今後やはり異業種交流活動、融合化が活発になってまいりますと、現在おられる人たちだけでは人数的に間に合わないことにもなってくる事態が出てくることが十分予想されますので、そういう事態に備えまして、先生ただいま御指摘になられましたような中小企業大学校の東京校でカタライザーの養成というものをやろうとしておるわけでございます。  この具体的な研修の内容でございますけれども、これも現在準備中でございますが、考えられる方向といたしましては、異業種交流グループの組織化、運営方法に関する知識、ノーハウといったものについての研修でございますとか、それから異業種交流の事例等についての研究でございますとか、さらには中小企業融合化関係いたします新しい技術とか新しい市場あるいは経営動向といったものにつきまして研修を行う方向で、現在検討しておるところでございます。  そういう研修の講座を修了された方がどうなるのかということでございますけれども、私どもといたしましては、修了した方につきましてはカタライザーの登録の対象候補に含めるということを考えておるわけでございまして、先生おっしゃいましたように予備軍といいますか、そういうようなところでとりあえず考えておりまして、全体の人数が足りなくなった場合にこの予備軍の人の中からカタライザーを選んで任命していく、そういう仕組みで考えておるわけでございます。
  76. 青山丘

    ○青山委員 登録をされるカタライザー九十六名というのは、中小企業事業団から交流の場へ派遣されていくのか、それぞれの県に例えば二名ずつ担当を決めて行かれるのか、それからそのカタライザーはどこまで交流の場に対する権限を持っておるのか、その辺いかがでしょう。
  77. 村田憲寿

    村田政府委員 先生指摘のように、ただいま予算で計上しておりますカタライザーは九十六名ということでございまして、積算の内容といたしましては、地域ごとに配置されるカタライザー二名ずつ、これで九十四名になるわけでございます。それに中小企業事業団に配置されまして全国的に派遣されるといいますか、そういうカタライザーが二名というような積算になっておるわけでございますけれども、実態といたしましては、各地の要請等を踏まえまして指導助言を行うということになりますので、必ずしもこの枠にはこだわらないで運営した方がよろしいのじゃないかというような感じもしておるわけでございます。  実際のあり方でございますけれども、各地域ごとのそういう交流活動の場から要請がございますと派遣されるということでございまして、派遣されて指導助言を行うということを現在想定しておるわけでございます。その場合、それでは行ったときのカタライザーの権限等はどうなるかという御質問かと思うわけでございますけれども、特に法律に基づく権限等を持っておるわけではございませんで、グループの求めに応じて参りまして、それで中小企業の交流活動の円滑な促進を図るという観点から指導助言を行うというものでございます。  具体的な指導助言の分野等につきましては、次のように類型としては考えられるわけでございます。一つは、グループ活動にかかわる参加メンバー間の調整や取りまとめといったようなこともあろうかと思いますし、もう一つ技術面、市場面等の情報などを紹介、あっせんするというようなこともあろうかと思いますし、三つ目の類型といたしましては、交流活動全体についての総合的なアドバイスの実施といったようなことも考えられるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういう指導助言というものを行うわけでございまして、法律に基づく権限等を持っておるものではございません。
  78. 青山丘

    ○青山委員 異業種交流ということになってきますと、交流が進んでいきますと、どうしても一定の人たちの中には中核となる人材が必ず出てくると思うのです。やがてそういう人たちが中心になって交流がさらに進められていく。そこでは、カタライザーとの関係が非常にデリケートになってきます。その辺の方針はきっと持っておられるでしょうから、ひとつぜひ聞かしていただきたい。  それから、地域における交流が進められていくために地域融合化センターを整備していこうという考え方がありますが、どのような助成を考えておられますか。  それからもう一点ついでに、先ほどの質疑の中でありましたが、既にできておる異業種組合が恐らく相当な研究開発が進んでおるであろうと思われます。そうなってきますと、例の知識融合開発事業計画認定、これは既に設立された既存の異業種組合にはもう当然私は認定されるべきものであろうと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  79. 村田憲寿

    村田政府委員 まず御質問の第一点目の、交流過程でおのずからそういう取りまとめ等をやるような人物が出てくるんではないか、そういう人材との関連はどうなのかという御質問でございますけれども、おっしゃるように現在既に活動をやっておられるグループの中にもそういう方が多々出てきておられるわけでございますし、そういう中小企業の方がやっておられる交流活動の参加企業の中からリーダーシップを発揮する人が出てくれば、それはそれで私どもとしては望ましいことだろうというようには考えておるわけでございます。  ただ、実際のいろいろ経験をしておられる方のお話などを伺ってみますと、そういう非常にリーダーシップを発揮される方がおられるところ、グループももちろんあるわけでございますけれども、そうじゃなくて、いろいろ個々の業種ごとに技術市場に関する知識が異なっておりますので、なかなかそのグループの中での意見の調整がしにくいというような経験が耳に入ってくるわけでございますし、またいろいろ必要な知識とか情報が乏しくてなかなか活動の方向づけが難しいというような課題があるというような話も聞くわけでございまして、そういう中小企業のグループ活動をやっておられる方の悩みといいますか、そういうものも一方ではございますので、そういう課題を克服していくのがやはりカタライザーとしての大きな役割であろうというように考えるわけでございまして、そういう課題を抱えておるグループに対する人材の提供といいますか、そういうような意味で私ども、カタライザーというものは大変重要であろうと考えておるわけでございます。  ですから結論的に申しますと、そういう方がおられるところはそれで十分やっていけるのであれば結構でございますけれども、もし必要とあってそして要請があれば、カタライザーというものを派遣していきたいというように考えておるわけでございます。  それから、第二点目の地域融合化センターの業務の内容でございますけれども、ただいま申しましたように、いろいろ中小企業の方、まずその融合化の第一歩となる交流を進めるに当たりましてもいろいろな課題を抱えておるわけでございますので、こういう課題に対する対応といいますか、そういうお手助けの一環といたしまして私ども考えておりますのは、ただいま先生指摘の地域融合化センターでございまして、都道府県等に対しまして必要な経費の一部を補助いたしまして地域融合化センターを設けまして、それで各地域での交流ニーズに対応するような自由な交流を行うための交流室でございますか、そういう場を提供するとか、それからさらにはその融合化に関する成果を展示するような施設を設けるとか、それから技術情報、市場情報を提供するような情報提供用の設備、機器といったものを整備するといったようなことを考えておるわけでございまして、それを中小企業の方に開放いたしますとともに、先ほど申し上げました中小企業事業団が派遣するカタライザーの活動場所ということにいたしまして、地域レベルでの中小企業の交流、融合化促進の拠点というものにしていきたいと考えておるわけでございます。  具体的にどういうところを想定しているかということになってまいるわけでございますけれども、こういう御時勢でもございますので、都道府県等にございます公設の試験研究機関でございますとか総合指導所といったもの、あるいは公益法人といったものの中の場所をそういう地域融合化センターというようにして整備していくことを考えておるわけでございます。  それから第三点目の、既に研究開発に取り組んでいる組合についてはどう考えるかということでございますけれども、この法律対象となります知識融合開発事業といいますのは、研究開発だけではなくて、その成果利用でございますとかあるいはその成果利用に必要な需要開拓といったものもその具体的内容となっておるわけでございますので、既に研究開発に取り組んでいる場合でございましても、実施しております研究開発の内容が妥当でありかつ今後実施しようとする研究開発、その成果利用あるいは当該成果利用に必要な需要開拓関係いたします計画の内容が適切なものであれば、計画認定され得るものというように私ども考えておる次第でございます。
  80. 青山丘

    ○青山委員 先日来の質疑の中にもありましたが、問題は認定基準が余り厳しいと、これがネックになっていくのではないかという心配が述べられておりました。今回の融合化法の制度というのは、考え方として非常に積極的、前向きで評価できると思うのです。ただ、その制度を生かすも殺すも問題は中小企業の姿勢なんでしょうけれども、しかし新しい分野開拓していこうという意欲を持った中小企業であればできるだけ認めていくんだという姿勢が、まず基本的にどうしても必要です。そうでないと、特定の優良な中小企業だけは計画認定を受けられるんだけれども、そのハードルが非常に高い、そのために手続で非常に困難だということになってきますと、一般の中小企業者、これから優良な中小企業者になろうとする現役の一般の中小企業者にとっては、余り面倒だからもういいや、撤退したいというようなことでは、せっかくの融合化の芽を育てられなくなってしまう、こういう心配があります。その辺の考え方を基本的にひとつ述べていただきたいこと。  それから、この計画認定は所管される行政庁が行うということでありますが、これまでの協同組合でありましたら単一の所管の行政庁ということになりますが、従来の組合と違って今度は異業種、それぞれの違う業界の人たちが集まる特定組合でありますから、所管する行政庁が複数になる可能性が出てきます。そうなってくると、一般の中小企業者にとってはこれもなかなか厄介な問題で、こんなことかなわぬ。窓口が違う、つまり担当行政庁が違うと言うことが違うじゃないか、戻ってきてはまた頭抱えて悩み抜くというのが出てくるんではないかと心配をしております。その辺の知識融合開発事業計画認定基準それから方針、その辺をきちっとしておいていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  81. 村田憲寿

    村田政府委員 今後、私ども行政として心得べき大変重要な点の御指摘でございますけれども、まずどういう認定基準で考えるかということでございますけれども、私ども現在考えておりますのは、非常に幅のあるといいますかそういうもので考えておるわけでございまして、例えば計画の内容が新しい分野開拓を行うために有効かつ適切なものであるというようなことでございますとか、資金計画がこの事業を確実に遂行するために適切なものだというようなことでありますとか、あるいは試験研究費あるいは準備金に関係する賦課の基準が適切なものであることといったことなどを考えておるわけでございまして、そういう比較的中小企業の方が利用しやすいような認定基準にしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  と申しますのも、まさに先生指摘のとおり、この制度は特定の中小企業者対象とするものじゃございませんで、中小企業の方一般を対象といたしまして融合化というものを進めていこうというものでございますし、また、私どもが調査したところによりますと、実際にもこの制度の利用を希望する中小企業者のうち約四〇%が従業員二十人以下のいわゆる小規模企業者ということになっておるわけでございまして、特に経営資源の蓄積の乏しい方々も融合化に積極的に取り組もうとしておる実態にあるわけでございます。そんなことを踏まえまして、私どもといたしましては認定基準、今後政令で定めることとしておるわけでございますけれども、その際にはこの制度の趣旨それから中小企業の実態、そういったものを踏まえまして、御指摘のように余り高いハードルをつくって優良な人だけが認定を受けるということにならないよう、十分に注意をしてまいりたいと考えておるわけであります。今後とも、先生の御指摘の点も十分肝に銘じまして、認定基準をつくる作業を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、第二点目の所管行政庁の関係でございますけれども、私どもいろいろ調査などをしております点から見るところでは、融合化を実施しようとしておる異業種組合、通常組合員数が割合少のうございまして、その規模が小さいということが考えられるわけでございますので、大体大方はその区域が都道府県の中にとどまるのが多いのではないかというように考えておるわけでございます。その場合は、先生御案内のとおり、原則としてその所管行政庁は都道府県、都道府県の知事ということになるわけでございますけれども、しかしやはりその地区が都道府県の区域を越える組合というものも十分想定されるわけでございまして、そうなりますと、組合員事業を所管する大臣ということになるわけでございますから、所管行政庁が複数になる場合が十分あり得るわけでございます。私どもといたしましては、こういうような場合におきましても、行政庁間での判断が食い違うとか、あるいは認定の手続がいろいろ遅延するということでもって中小企業の方に余計な負担がかからないように、そういう弊害がないようにやはり行政庁間の緊密な連絡といいますか、そういうものを体制的にも整備するなどいたしまして、十分に配慮していかなければいけないだろうというふうに考えておるところでございます。
  82. 青山丘

    ○青山委員 この辺明確な方針を持っておいていただかないと、これから運用の段階でいろいろな混乱といいますか、中小企業者にとっては悩みが出てくるであろうと思いますので、ひとつぜひしっかりとした方針を立てておいていただきたいし、その決意で臨んでいただきたいと思います。  それから、時間がありませんから進みますが、共同開発段階における助成措置、それから事業化段階における助成措置、どんなことを考えておられるのか。事業化段階になってきますと、どうしても今度は営利を目的とする団体になってきますから、そのあたりの取り組みを今から十分考えておいていただかないといけないのではないか、その組織形態はどういう形でなければ進められないのかという点、だんだん時間がなくなってきましたので、まずこれを聞いてから進みます。
  83. 田辺俊彦

    田辺政府委員 助成措置でございますが、開発段階におきましては、開発のための補助金、それから試験研究関連税制、さらには保証、新しい融合化の保険がございます。  それから事業化段階でございますが、まず事業化対象といたしまして、開発段階の場合には組合でございますけれども、これはいろいろな形が考えられます。特定の組合あるいは組合員の中の複数の組合員の合併法人あるいは共同出資法人、あるいは協業組合になる場合もございます。また、組合員個別に行われる場合もあります。それらに対応いたしまして、先ほど来御質問ございました準備金制度等による税制、さらには融資といたしまして商工中金の低利融資、それから事業団の高度化資金による融資、これは無利子融資でございます。そういうものを用意してございます。
  84. 青山丘

    ○青山委員 組織化のことで後で述べていただこうと思っていましたが、ちょっと時間がありませんから先へ進みますけれども、円高で大分深刻な影響を受けてきた中小企業、そういうときに信用補完制度が果たしてきた役割というのは相当大きかったと思います。しかし、中小企業信用補完制度が果たしてきた役割は率直に認めますけれども、現実には保証協会の審査というのはなかなか難しくて厳しくて、だから中小企業の補完制度が必要なんでありますが、なかなか保証が得られないというようなケースをたくさん聞きます。そのあたりは、先ほども御答弁の中にありましたように、中小企業の振興の立場をきちっと持ってもらってよほど弾力的に運用していく、こういう決意を持ってもらわないといけないのではないかと思います。この点はいかがでしょう。これが一点。  それから、五十五年から据え置かれてきておりました例の保険限度額の引き上げが今回なされます。中小企業にとっては、経済規模が大分大きくなってきておりますし、それから円高の影響が相当深刻な影を落としてきておる。こういうような中で、中小企業の要請にこれで十分こたえられるものだというふうに受けとめておられるかどうか、いかがでしょうか。
  85. 田辺俊彦

    田辺政府委員 確かに第一次石油ショック以降、保険公庫及び協会の収支状況が大変難しい状況にあったために、一部に御指摘のような点もあったやに聞いておるわけでございます。しかしながら、経営体としての保証協会の収支改善努力、これが実は中小企業ニーズにこたえるための前提でございますが、その努力の成果が大変に上がってまいりまして、今後委員指摘のような弾力的対応を行う基盤ができたと考えております。  また、今度枠を拡大するわけでございますが、これはむしろ後追いの感がございまして、中小公庫の融資枠等が上がっておりますし、全体としての大口化への動きがございます。そういう中で幅広くニーズにこたえていくために、今度のような枠の拡大、場合によってあるいは新種保険の創設というようなことになっているわけでございます。
  86. 青山丘

    ○青山委員 保証料が、今までは当然のようになってきておったかもしれませんけれども、低金利時代に入って保証料が何となく割高になっているような印象が強くあります。やはり基本的には円高対策の一環でもあり、かつ産業構造調整を積極的に進めていくんだというような経済社会環境の中で、中小企業者の保証料の割高感を解消していく必要がある、保証料をぜひ軽減していくべきだという気持ちを私は強く持っていますが、いかがでしょうか。
  87. 田辺俊彦

    田辺政府委員 保証料につきましては、五十八年以降一%ということで、苦しい中でその保証料を維持してきているわけでございます。しかしながら、またその中で、各信用保証協会は徴収方法についてできるだけ中小企業者ニーズに合うようにさまざまな形で、これは多少技術的になりますが、検討をしているわけでございます。そういう状況の中で、先ほど申しました保証協会の経営基盤の環境が整備されつつあることにかんがみまして、委員指摘のような形で、私どもも保証料の負担の軽減という方向で強く指導してまいりたいと思っております。
  88. 青山丘

    ○青山委員 最後に大臣にお尋ねしたいと思いますが、今回の法改正を実効あらしめるためにも、信用保証協会の保証が中小企業者にとって利用しやすいものだという実感を持ってもらうためにもひとつ弾力的な運用を、今述べていただきましたが、必要だと思いますが、大臣の御見解をお尋ねしておきたいと思います。
  89. 田村元

    ○田村国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、せっかくこういういいことをしようというわけでございますから、当然それは平等に均てんされるべきものであり、かつなじみやすいものでないといけないと思うのです。弾力的な運営は当然のこと、これからも事務方にも私からよく指導をしてまいりたいと思っております。
  90. 青山丘

    ○青山委員 終わります。
  91. 尾身幸次

    ○尾身委員長 代理 藤原ひろ子君。
  92. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 本題に入ります前に、大型間接税の問題についてお尋ねをしたいと思います。  大型間接税につきましては、今日の段階ではまだ竹下内閣も導入を閣議決定していないばかりか、政府税調や自民党税調においてすら、一体どのようなタイプの大型間接税にするのかさえ明らかにしておりません。ところが、ここに「間接税について」という通産省の方がつくられたアンケート用紙がございます。一から九項目まであるのですが、「間接税のタイプ」「非課税取引の範囲」「免税点」「税率」「税額票」「課税期間」「税収の使途」「経過措置」「転嫁円滑化のための特別措置」となっておりまして、まず最初の「間接税のタイプ」では「(1)製造業者売上税+サービス税 (2)小売段階一括課税(含むサービス)(3)多段階付加価値税」と三つのタイプの間接税の名称が書かれているわけです。  このアンケート用紙は、ここに現物のコピーを私、持っておりますが、ことしの二月十二日に日本書店組合連合会の常務理事と事務局長が産業政策局のサービス産業室に呼ばれて示されて、おたくの組合は間接税についてどう考えるかと聞かれたときのものでございます。どの項目も、新型間接税の導入を前提にしたものばかりです。余りの一方的な話に、常務理事の八田さんらが抗議されますと、御丁寧にも後から、ああいうことではおたくの業界に協力することは難しくなりますよという電話までかかってきたということです。  大臣、大型間接税導入のための地ならしともいうべき業界工作をいつから、どれだけの業界に、だれの指示で行われたのでしょうか。国会はもちろん、竹下内閣においてすら方向が決定されていないときに、中小企業、各種業界団体や国民が大きく反対している大型間接税導入の先導役を通産省が勝手に果たしていくようなことは、直ちにやめるべきではないでしょうか。この二点について、まずお答えをいただきたいと思います。
  93. 杉山弘

    ○杉山政府委員 お尋ねの点についてでございますが、御案内のように政府の税制調査会では、税制改正問題について幅広い方面からの検討が行われているところでございます。産業界の中におきましても、税制改正さらにはその内容となります間接税の問題等につきましては、賛否いろいろな意見がございます。幅広い産業界を所管いたします通産省といたしましては、各業界がこの税制改正問題についてどういう御意見をお持ちかということにつきましては、当然のことながら業界の意向を十分把握、承知をしておくことが必要ではないかと思います。  ただ、先生おっしゃいましたアンケート用紙と申しますのは、むしろ私どもの局の一セクションが関係の業界の税制改正問題に関する御意見を伺う際に、その議論の整理のために、前回の売上税の際の経験をもとにいたしまして、いろいろな観点から議論の整理のために差し上げたものでございますが、この業界が税制改正、特に間接税の問題については反対というような冒頭のお話がございましたので、内部についての詳細な御意見を伺わないということで終わったというものでございまして、これは通産省全体としてこういうアンケート用紙をお配りをしてどうこうというようなものではございません。むしろ通産省としては、日常業務の一環として、折に触れて各業界の税制改正問題についての意向をお伺いしているというのが現状でございます。
  94. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 通産省の一セクションでありましても、通産省のもとにあるところです。折に触れ時に触れ、日常的にこのような誘導尋問とでも思われるような設問がしてある。自由にいろいろな意見を聞き、それを参考にして反映するというのがアンケートの根本ですけれども、これはこの大型間接税に誘導していくような設問をし、しかもそれについて抗議をすれば電話がかかってくるというふうな事実です。私はこの八田さんほかに確かめたわけですから、これをおっしゃた方の名前も、調査された方の名前ももちろん知っております。ここで申し上げませんけれども、通産省当局の責任者が、一セクションということで何をやってもよいというふうなことは全くけしからぬことではないかと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  95. 田村元

    ○田村国務大臣 一つのセクションといっても通産省であることには間違いないことで、おっしゃるとおりだと思いますが、私がいつも事務方に申しておりますのは、税制改革というものは政府の最大重要施策一つであるし、これは我々拒否するわけにいかない。しかしながら、各業界等の意見は十分に聞いておいた方がいいよ、問答無用のお上ぶりは発揮しちゃいかぬよ、こう私は申しておりますので、恐らくそういう趣旨でアンケート調査をしたんじゃないかと私も思います。設問といいますかアンケートというのは、案外そんなものじゃないでしょうか。私のところに来る新聞社のアンケートも、皆ちゃんと設問が書いてあります。何でもいいから意見を書けというアンケートというのはほとんど見たことがありません。  そんなものじゃないかと思いますが、大変申しわけのないことでございますが、私生まれてからまだ一度も赤旗というものを読んだことがございませんので、その新聞に関する御答弁はちょっと差し控えとうございますけれども、私が申しましたのはそういう趣旨で、むしろよかれかしと思って部下には申してございます。
  96. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 それでは、赤旗もぜひ毎日お読みをいただきたいというふうに思うのです。見聞をいろいろと広めていただいて、やはり偏ったアンケートというのは問題があるし、今重大問題になっている問題ですから、意見を聞くアンケートというのとこういう一セクションが行き過ぎているというアンケート、大臣御存じなければ後で赤旗のコピーと一緒に差し上げてもいいと思いますけれども、そういうものについてはぜひ御指導いただき、行き過ぎがないように慎んでいただきたいと思います。  では、まず信用保険法改正案、この問題から入りたいと思います。  最初は、特別小口保険の問題でございますが、これは都道府県など全国の地方自治体で実施され、中小企業の中でも最も多数を占める小規模零細業者の皆さんが多く利用されているという無担保無保証人の融資の保証にかかわる保険でございますね。私ども日本共産党は、全国の中小業者の皆さんの切実な要望に沿いまして、ここ十年来、特別小口の限度額引き上げをずっと要求してまいりましたが、今回やっと限度額が三百万円から四百五十万円に上げられるということになるわけです。  そこで、大臣に御答弁をお願いしたいと思うのですが、せっかく特別小口保険の限度額を引き上げるのですから、これに対応する無担保無保証人融資の限度額についても、ほとんどの自治体で三百万円となっております現行の融資限度額を四百五十万円まで引き上げるようにと、ぜひ地方自治体に要請、御指導をしていただきたいというふうに思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  97. 田辺俊彦

    田辺政府委員 確かに各県におきます無担保無保証人の融資制度、これはその限度額も信用保証協会の小口保証制度の限度額を踏まえて設定しているということを承知しているわけでございます。私どもといたしましては、今度の四百五十万円の引き上げが、各自治体におかれましてそういう引き上げの基盤ができたものと理解しているわけでございます。ただ、地方自治体の融資制度の内容については、基本的には地域の実情に即して各地方自治体において判断されるべきものと考えておるわけでございます。
  98. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 これは、日本経済を支える中小企業の、そのまたずっとすそ野を支えている中小零細業者の皆さんの長年にわたる切実な要求なんですから、ぜひお願いをしたい。埼玉県では、既に無担保無保証人融資の限度額を四百五十万円に引き上げるという準備を始めたというふうに聞いております。私たちも、全国で実施できるように運動を進めていきたいというふうに思いますが、ぜひしかるべき要請を行っていただきたい。  今回、この特別小口保険を含めまして、普通保険、無担保保険につきましてもそれぞれ保険限度額が引き上げられることになっているわけです。それぞれの保険につきまして、現行及び改正案の保険限度額、八六年度の一件当たり平均保険引受額というのはどうなっているでしょうか。
  99. 田辺俊彦

    田辺政府委員 現在の保険限度額でございますが、いろいろ種類がございますけれども、普通保険が七千万円、また無担保保険が一千万円、特別小口保険が三百万円でございます。今回の法改正はそれを大幅に拡大するということで、それぞれ一億二千万円、千五百万円、四百五十万円ということで法改正をお願いしているところでございます。  最後の御質問でございます一件当たりの保険利用実績でございますが、平均して普通保険が約千二百万円、無担保保険が約四百万円、特別小口保険が二百万円程度というのが実態であろうかと思います。
  100. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 一件当たりの平均保険引受額を見ますと、現行の限度額をはるかに下回っているわけですね。普通保険に至りましては、限度額の二割にも満たないという状態です。これは、実際の現場では、中小企業者の希望する保証額が保証協会による厳しい審査で低く抑えられているということの反映でもあるわけです。ですから、今回の保険限度額引き上げは、より高額の資金需要にこたえるものには違いありませんけれども、このことは多くの中小業者の切実な資金需要、少額融資の保証を切り捨て、整理していくことになるのではないか、こう心配されるわけです。まさかそういうことではないんでしょうね、お答えいただきたいと思います。
  101. 田辺俊彦

    田辺政府委員 先ほど申し上げました平均利用実績は先ほどのとおりでございますけれども、全体として中小企業資金需要というのは大口化しているわけでございます。例えば一番新しい数字で申し上げますと、普通保険で申しますと上限の二千万円のところに大体二五%くらいが張りついている状況になっておりまして、大口化の傾向があらわれているわけでございます。また、この保証といいますのは、必要な保証はそういう意味で大口化の傾向に対処しつつ、小口の保証に関しましてもきめ細かく対応していくという状況について、私どもの方針は確固としておるわけでございます。
  102. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 これまで、本委員会におきましても我が党が繰り返し指摘をしてまいったわけでございますが、中小企業庁長官は一九八一年九月、大蔵省の銀行局長と連名で「中小企業信用補完制度の健全な運営について」こういう通達を出しておられる。各都道府県知事、中小企業信用保険公庫総裁、各信用保証協会会長あてに出されたわけでございます。公庫や全国の協会は、この通達に基づいて今年度まで二次にわたる三カ年計画で、保証審査体制の強化、期中管理の徹底強化などいわゆる保険収支改善に取り組んでこられたわけでございます。その結果、信用保険公庫の保険収支は、いただいた資料によりますと急速に改善をしてきております。こうした収支改善を最優先にするやり方は、業者への事業資金融通円滑化のための保証、保険を行うという中小企業信用保険法趣旨を大きくゆがめて、中小零細業者の切実な保証の要求を踏みにじっていくことにつながるのではないか、そういう心配があるんですが、いかがでしょうか。
  103. 田辺俊彦

    田辺政府委員 御指摘のように石油ショック以降、確かに倒産等がふえまして、保険公庫及び協会の収支が悪化いたしました。大変な赤字でございました。その間に、中期的に中小企業者ニーズに幅広くこたえるために、御指摘の通達及び収支改善計画によって経営改善の努力を行ってきたわけでございます。私どもは、その収支改善努力と申しますのは、保険料率を上げたりそれからてん補率を下げたりという、保険制度自体を後退させないというぎりぎりの努力のあらわれだと思っております。委員指摘のように、その結果どうにか公庫の収支もバランスする方向で、より弾力的に中小企業者ニーズにこたえられるような基盤ができてきたというふうに理解しているわけでございます。
  104. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 私は京都の中小零細業者の実態をいろいろと調査をいたしまして、要望や御意見を聞かせていただきました。そうしますと、融資を受けたくても受けられない、保証を受けたくても受けられない、こういう中小零細業者の実態、悩みは言い尽くせないくらいだなと強い印象で帰ってまいったわけです。  そこで聞くわけなんですが、実際の保証業務において、都市銀行、地方銀行を合わせた全国銀行の位置は一体どうなっているでしょうか。保証承諾、保証債務残高、代位弁済について、八二年度と八六年度の実績推移について金額とその構成比でお答えをいただきたいと思います。     〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 田辺俊彦

    田辺政府委員 昭和五十七年度とそれから昭和六十一年度の、御指摘の三点についての数字を御報告させていただきます。  全国銀行の保証承諾額でございますが、五十七年度二兆七千七百億円、全体に占める全国銀行の構成比が五二・一%でございます。保証債務残高は四兆三百六十六億円、五〇・七%が全体におけるシェアでございます。また、代位弁済額でございますが、八百三十一億円で三九・六%でございます。また、四年後の六十一年度は、その冒頭の保証承諾額におきまして四兆三千百七十三億円、これが全国銀行の全体額でございまして、比率が六四・五%。それから保証債務残高が六兆一千九百二十一億円と上がっておりまして、六二・三%がシェア。それから代位弁済額が一千二十五億円でございまして、シェアが四七・一%でございます。
  106. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 今御答弁にありましたように、中小企業の保証の分野でも大銀行はシェアを大幅に伸ばしております。信用金庫などの中小企業専門金融機関を、これは大変圧迫しております。これは、私が住んでおります京都でも同じことなんですね。三菱、三井、第一勧業、富士銀行など、都市銀行が大きく進出をいたしております。  問題はその中身なんです。大銀行の姿勢が大変問題だと思うのですね。ここに、いただきました「中小企業信用保険公庫月報」昨年の五月号があるわけですが、この中で太陽神戸銀行の業務開発部長が次のように書いておられます。  「都銀は経営の効率化を図るため、人員の削減を主な目標として推進してきた。」人員は、六十一年三月末までの三年間に十二行合計で「一万六千人減少した。率にして一〇%近い減少となっている。」「一方、これに対して、取引先の数は、この期間三年間で見ると、大企業、中堅企業で横ばい、中小企業では三万先増加している。このように、一方で人員の減少、他方で取引先の増加ということになると、何らかの合理化、効率化が必要となる。すなわち、中小企業関係の融資案件の処理を可能な限り定型化し、効率化を図ろうとする欲求は極めて強いものがある。」「種々の効率化の一環として、保証協会保証付貸出しの増加は当然と思われる。」こういうふうに言っておられるわけですね。  そしてさらに重大なのは、「信用補完制度の今後のあり方」について「社会政策として考えるならば、対象、保証額等は、当然制限されたものでなくてはならず、いわゆる救済であるとか、育成であるとかの考え方にたたねばならない。」として、社会政策的色彩からの脱却を主張しておられると思うわけですね。大銀行は人員を削減をして、経営効率化、高利潤確保を図るために信用保証つき融資をふやしているわけです。その立場からしますと、中小零細な融資案件は手間暇かかって効率が悪いので、優良な大口案件をふやしたい。そのためには、保険や保証の限度額を大きく引き上げて、公庫や協会は社会性も投げ捨てなさい、言うたらこういうふうにおっしゃっているわけですね。  中小企業信用補完制度は、今や中小零細業者にとってなくてはならないものとして定着をしているわけです。それだけに、この間の保証の推移、大銀行の動向に私は大変不安を感じているわけです。今紹介いたしました大銀行の主張どおりに、大銀行の利益第一に信用補完制度を変質させる、そして中小零細業者の切実な保証、融資の要求を切り捨てていくというようなことが断じてあってはならない、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  107. 田辺俊彦

    田辺政府委員 御指摘の大銀行あるいは都市銀行が保証承諾額においてシェアを高めているということは、数字があらわすとおりでございます。しかし、それがゆえに小規模企業者が切り捨てられているということはないわけでございます。中小企業信用補完制度は、小規模企業を初めとする広範な中小企業ニーズに広くこたえるということを本旨としているわけでございまして、全体の保証の保険限度額の引き上げと、それからそれに伴う予算措置も、私ども来年度を含めまして大きく拡大をしているところでございまして、小規模企業ニーズにも十分こたえるように保証協会を指導してまいる所存でございます。  それから、一つだけ数字を申し上げさせていただきます、御指摘でございますので。例えば従業員二十人以下の小規模企業、これの付保実績を見ますと、小規模企業が六十一年度で七五%でございます。これは五十七年度も七五%、少し上下がございますが大体横ばいで推移しているわけでございますし、また特別小口保険の利用状況についても、これは二十人以下の企業が、例えば五十五年度は三・六%でありましたのが六十一年度は四・一%と、やや増加傾向にあるということで、私どもは、広くニーズにこたえているということではないかと考えております。
  108. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 部長さんがおっしゃるとおりなら何も心配はないのですけれども、この間の保証業務の推移あるいは現場の実態が大銀行の部長さんが言ってらっしゃるとおりになっているという面なきにしもあらずということで、大変心配をしているわけです。これも机の上に、皆さんに配っていただいたものでございます。責任を持ってお読みなさいとおっしゃったから読んだわけですが、そういうことが書いてあるわけですね。  こういう点、大臣、御見解をお聞かせいただきたい。心配ないかどうかという点ですね。よろしくお願いします。
  109. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 金融機関別の付保の推移、これは金融界におけるいろいろな消長、これが当然影響をしてくる面もあろうかと思います。  それから、今申し上げましたように、私どもとしては、限度額の引き上げ等が下の方を切り捨てることになるというふうには全く思っておりませんで、そういう面は今後とも、小規模企業も含め中小企業者ニーズに十分こたえるべく努力してまいりたいと思っております。
  110. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 済みません。今長官がおっしゃったとおりで大臣、いいでしょうか。この五月号のここのところに写真入りで出ていますので、念のため大臣に、そのとおりだという点、よろしくお願いします。
  111. 田村元

    ○田村国務大臣 岩崎長官が申したとおりでございます。
  112. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 私は、今回の質問に当たりまして、先ほども述べましたとおり、多くの中小業者の皆さんから、信用保証や融資の実情を直接聞かせていただいたわけです。そうしますと、一回でも返済がおくれたり滞ったところには物すごく厳しくなってきている。京都府や市の制度融資について、それぞれの窓口に申し込んだのに、銀行や保証協会が突然、直接あれこれとしつこく問いただしてくるようになったと、皆さん口々におっしゃるわけですね。私以外の同僚委員の先ほどの御質問にあったわけですが、そういう感じが全体的にあることは確かなんだな、私の一方的なひとりよがりじゃないなと思って御質問も聞かせていただいたわけですけれども、とにかく融資や保証がなかなか希望どおりに受けられなくなった、こうおっしゃっているわけです。  そこで、いろいろ調べてみましたら、先ほど紹介しました収支改善を目標とする中小企業庁長官の通達を受けたものと思われるわけですけれども、京都府の場合、一九八三年十一月一日から制度融資の取り扱い手続が変更されているわけです。ここに「改正内容一覧表」というのを私持ってきているわけですが、その変更内容の一つが「保証審査における金融機関の意見聴取」ということなんですね。それまでは「必要に応じ適宜行う」とされていましたのに、「すべてについて金融機関意見書(所定様式)を徴求する」と変更されているわけです。  ここにマル秘というふうに印刷されましたものを持ってきておりますが「金融機関意見書」の用紙、これは「協会送付用」とされまして「下記の借入申込について融資あっ旋を受けましたので、意見書を送付します。 京都信用保証協会殿」とありまして、金融機関名、代表者印の欄があるのですね。そして「当店取引状況」として預金取引、融資取引の欄があって、融資の返済ぶりについては「A…期日履行 B…多少遅れる C…しばしば遅れる」このA、B、Cのランクづけがしてある。最後の「意見欄」では「1融資姿勢 積極 現状維持 消極 取引なし」「2本件取組 承諾 協議」それから「3申込人との接触」は、何月何日、時間は、電話は、面接は、こういうものを全部チェックして記入するようになっております。こうした厳しい審査によりまして、まじめに努力していても返済が一回おくれただけで保証を受けられない、こういう事態が起きてきているのです。  そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、保証を必要とする皆さんが確実に保証を受けられるように、保証審査や担保徴求をもっと弾力的に行うように指導を改めるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  113. 田辺俊彦

    田辺政府委員 五十六年度の通達及び五十九年度以降の収支改善計画、これは先ほど申し上げましたように保証協会、公庫が、収支改善によって本当に真に中小企業ニーズにこたえるための一つの準備段階と申しますか、基盤整備の時期でございました。一部にお話しのようなことも伺うわけでございますが、私どもは、今やそういう状況、環境が整いまして、御指摘のような幅広いニーズはこたえる弾力的な保証が行えるような状況が出てきたと考えておりますし、そういう方向指導してまいる次第でございます。
  114. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 部長さんは一部に聞くと、私どもはあれが一部かなと思うのですが、そこらのギャップがあるのですね。  そこで心配なんですが、大臣、もっと弾力的に行うよう指導を強めていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  115. 田村元

    ○田村国務大臣 それは、可能な限り弾力的に行うことは好ましいことだと思います。
  116. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 私の聞いてきました点、一部じゃなくて相当数あると思いますので、ぜひ御指導のほどを強く要請していきたいと思います。  続いて保証料、保険料の問題でございますが、保険の種類ごとに保険料率はどのようになっているか、それはいつ改定されたものか、お聞かせをいただきたいと思います。
  117. 田辺俊彦

    田辺政府委員 保険料率でございますが、現行の保険が創設されました昭和四十二年度当時、普通保険が〇・七六六五、無担保保険が〇・五四七五、特別小口保険が〇・三六五でありましたが、現在は普通保険が〇・五七%、無担保保険が〇・四六%、特別小口保険が〇・三三%でございます。保証料率につきましては、基本保証料率が逐次引き下げられまして、昭和五十九年度以降すべての協会について一%となっているわけでございます。
  118. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 十二年間も据え置かれているわけですね。異常円高とともに、現在御承知のような低金利時代に突入していますから、協会の皆さんからこの保険料率を少し下げてもらえないかと聞くわけです。中小業者の皆さんも当然、保証料率が下がり負担が軽くなることを強く期待されております。  そこで、昨年貿易保険法が改正されましたとき通産省からいただいた一九八五年の「主要外国輸出保険機関との比較」、この資料を調べてみたわけなんです。すると、貿易保険は中小企業利用しているのはごくわずかで、ほとんど商社とかメーカーなど大企業利用しているのです。ところが、その保険料率は〇・三六%とアメリカの五分の一弱、西ドイツの四分の一弱というふうに世界一安くなっているわけです。先ほどお聞きした保険料率と比べますと、普通保険では六割、無担保保険では三割も中小企業の方が高くなっているわけですね。こうした現状から見ましても、保険料率、保証料率の引き下げを直ちに検討し、これを実現すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  119. 田辺俊彦

    田辺政府委員 各保証協会の努力の結果、基本保証料率が今申し上げましたように一%ということになっております。保証協会におきましては、それぞれ今の制度の範囲内で信用保証料の徴収方法の変更等によってでき得る限りの努力を今しているわけでございますが、企業収支改善の状況の中で精いっぱいの努力をするよう、私どもも今後指導してまいる所存でございます。
  120. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 貿易保険につきましては、保険収支が悪化し、資金運用部からの借り入れが八五年度の七百四十億円から来年度予算案では四千七億円にも急増しているわけですね。世界一安い料金は据え置いたままです。中小企業の保険料率を下げるのは当然ではないでしょうか。今指導をしていくということで、ぜひ再度こういう上でも御検討をお願いしたいと思います。  今回の法改正に当たりまして、中小企業の五軒に一軒が利用しておりますこの信用補完制度を、大銀行の利潤追求のためとか単純な収支改善ということではなくて、担保力、信用力に劣る中小企業者の要求にこたえる生きた制度に改善するということが急務だというふうに思うのですね。このためにも、信用保険公庫への出資や都道府県協会への補助などさらにふやして努力をお願いしたいというふうに思うのですが、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  121. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 この保険体系において料率というのは、収支が全体として償うような形で計算をどの保険体系もされていると思います。したがって、貿易保険がどのような料率になっておるか、あるいは中小企業信用保証体系における保険料率がどのようになっているか、これを直接比較するというわけにはやはりまいらないのではないかと思います。  それから、私ども中小企業者信用保証体系の健全性の保持のためには、単なるそういう借り入れではなくて、国から例えば来年度予算におきましても信用保証協会基金補助金二十四億、それから信用保険公庫出資三百九十五億ということで、四百億前後の予算を常に毎年投入することによってこの体系の健全性を直接支援をしてきておるわけでございまして、そういう中で、片や各信用保証協会においても最大限の努力をし、その条件の悪化をこれまで食いとめてきた、こういうことだと思います。ただ、御指摘のとおり、保証料率等はでき得る限り低くあるということは当然望ましいことでありますし、これまでもようやく一%そのものまで下がってまいりましたけれども、今後とも余裕があるところはどんどん下げていくように努力をしていきたいと思います。
  122. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 通産省が出しておられる大企業への補助金ですね、この上から十社とってみただけでも三百億円ですか、大変なものが出ているわけです。そういうものと単純比較はもちろんできないとしても、ぜひ信用保険公庫への出資とか都道府県協会への補助、さらにふやして中小零細企業を守る、日本の経済の主役であります中小企業家、この営業と暮らしを守るためにぜひ御努力をいただきたいということを強く要望をいたしまして、では融合化法に進みたいと思います。  京都におきましても、八一年度から今年度までに七グループができまして、技術交流プラザ事業を実施してきております。例えば「クロス京都」というグループは、大原御幸で有名な大原八瀬の里にシソの葉っぱを漬け込みました土井のしば漬けという、皆さん御賞味いただいていると思うのですが、有名なお漬物があるのです。この大原物語からストーリーを立てまして、このシソの葉っぱを使ってシソ染というものを創造をいたしました。そして、異業種技術交流として世界歴史都市博覧会にも参加をされたわけですね。今それが四季染というふうに、春夏秋冬の四季染、こういうものに発展をさせて、友禅の絵柄や色をコンピューターソフトで作成をする、こういうシステムを開発をしておられるわけです。これは、京都の地場産業であります和装業界の活性化のためにもぜひ成功させるということが重要だというふうに、私はここのグループの方とお話をして強く感じてまいりました。  また「虹の会」は、小型で簡便な体力診断測定システムを開発中ということなんです。それから「京都フォーラム21」は「山城クロスオーバー21」と共同いたしまして、京都の名産であります北山杉、この廃材をプラスチックの粉末に融合させた新素材の製品開発に取り組んでいるわけです。このグループは、既に異業種交流の中から、茶畑のモノレールを改良しまして北山杉を搬出する新型モノレールを開発したり、磨き丸太生産工程の改善策などの成果を生み出しているわけです。これらの皆さんは、それぞれ自分たちのグループが認定されることを強く期待をされておりました。  ところで、本法案で進めます知識融合開発のための補助金は、来年度五十組合へ交付を予定されているわけですが、各組合に対して何年間程度の交付を考えておられるのでしょうか。次年度以降も希望が多いという場合、対象をふやすお考えかどうかお聞かせいただきたい。  それからまた、補助金を初め税制、金融上の支援措置を受けるためには、知識融合開発事業計画を作成をして行政庁の認定を受けなければならないわけですね。こうした計画をつくるのは、中小企業者の皆さんには大変骨が折れるわけなんです。意欲的に取り組もうとする組合がすべて認定を受けられるようにするためには、国はもちろん都道府県のきめ細かい指導と援助が不可欠というふうに思われるんですが、この点についての方針もあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  123. 村田憲寿

    村田政府委員 開発補助金でございますけれども、今年度六十三年度、先生指摘のように五十組合ということでございますが、一組合当たり一千九百万円までというのが六十三年度の予算でございます。期間につきましては、予算が単年度主義でございますので、毎年度補助の当否を判断するということになるわけでございますけれども事業によりましては三年間程度必要となるものなども出てくることも考えられますので、その辺についても今後とも検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、現在御指摘のようにいろいろな異業種交流グループの活動が活発化してきておりますので、そういう進展状況もあわせ考えながらそれ以後の予算については検討してまいりたいというように考えておるところでございます。  それから、御指摘ございました小規模の事業者の方の関係でございますけれども、私どもの調査によりましても、規模の小さい事業の方でもかなり融合化に積極的に取り組むという姿勢が見られますので、そういうこともあわせ考えましてそういう意欲のある方を大いに支援していこうということでございまして、組合を設立、運営するに際しての中央会からの集中指導事業でございますとか、あるいはそのカタライザー制度というものを利用していただくとか、そういういろいろな面での指導助言といったことを行って、こういう規模の小さな方の融合化についてもお手助けをしていきたいと思っておるところでございます。
  124. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 この不況の中で、我が家の商売がうまく成り立たないので、みんなで知恵を集めて一緒に新しいものをつくり出していこうじゃないか、こういうわけですから、結局商売として成り立ち、営業としてちゃんと利益が上がる。趣味でやるわけはないんですからね。そのためには、それこそ幅を持たせて、期間もいろいろ考えていただく、額もいろいろ考えていただくということが大変必要で、本当にその異業種の人たちの仕事が弾むだけではなくてこの地域が活性化するということですから、ぜひいろいろと御検討をいただき、援助していただきたい、強く御要望申し上げます。  それから、異業種交流をしているグループの方方にお話を聞きますと、一国一城のそれぞれあるじがばらばらであったものを企業努力で心一つにしてやろう、そのためには、今までは補助がなかったのですから、金も要るのなら金も出し合おう、そういうことで、まさに犠牲的な精神を発揮して新事業開発に力を注いでおられる様子を、私は目の当たりにいたしました。それにしましても、この計画を作成し認定を受けられるような企業組合は、力もある一部の中小企業に限られているなというふうに思うのですね。  しかし現在、中小企業の皆さんの経営はそれぞれ大変困難な状態に追い込まれていますから、何とかしてそれを打開しようとして、異業種の皆さんの間の交流は確かに無数に行われております。しかし、うまくいっているところはさっき挙げたようなところなんですが、始めてはみたけれども交流する場所もない。今度カタライザーというのができますけれども、今まで適切な援助者がいない、日々の営業で精いっぱいで集まる時間もない、資金がない、さまざまな事情によりまして、やりたいと思っていたけれどもうまくいかなかったというふうなケースも随分あるということに私もぶつかってまいりました。こういう困難にぶつかっている皆さんの要求にこたえて、それを本当に粘り強く支援をしていく、そのための施策をもっともっと充実をさせていく、改善をしていく必要があるというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  125. 村田憲寿

    村田政府委員 いろいろ悩みを抱えながら融合化に取り組んでおられる中小企業の方が大部分だろうと思うわけでございまして、そういう方々の御要望にもこたえ得るようなことを、私どもとしても実施面でやっていかなければいけないだろうと考えておるわけでございます。  今先生指摘になりましたように、大変時間が足りないという方もおられると思うわけでございまして、その関係で申しますと、いろいろ技術交流プラザというものを従来やってきておったわけでございますけれども、それなどを見ましても、開催の日時とか場所とか、そういったものもいろいろ中小企業の方に便利なように配慮しておるところでございますので、今後とも融合化関係につきましても、その辺十分きめの細かな配慮をしていきたいというように考えておるところでございます。いろいろ予算等につきましても、先ほど申しましたように、全体の進展状況等を見ながら検討してまいりたいというように考えておるところでございます。
  126. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 きょう質問させていただきました中小企業の二法は、やはり通産省と地方自治体との十分な連携、緊密な連絡、そういうものの上に立って初めて成り立つというふうに思いますので、いろいろな点で強い指導と温かい援助、これを強く要望いたしまして、終わりたいと思います。
  127. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  128. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 渡辺秀央

    渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  130. 渡辺秀央

    渡辺委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、田原隆君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。田原隆君。
  131. 田原隆

    ○田原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、現下の中小企業を取り巻く厳しい経済環境において、中小企業信用補完制度が果たしている役割の重要性にかんがみ、同制度の健全な運営に配慮しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 中小企業者の実情に応じた保証が行われるよう、昭和五十六年以降収支改善のためにとられてきた諸措置を見直し、担保徴求等について弾力的に運用するよう指導すること。  二 新事業開拓保険及び海外投資関係保険については、中小企業者に幅広く利用されるよう極力弾力的な運用に努めること。特に、新事業開拓保険の対象事業については、各信用保証協会において地域の実情を踏まえた運用を行うことができるよう配慮すること。  三 倒産関連保証特例制度については、今後とも、円高等の影響を受けている中小企業者の実情に適切に対応することができるよう配慮すること。  四 信用保証協会に対して、中小企業者の保証料負担の軽減を図るよう指導すること。  五 中小企業信用保険公庫及び信用保証協会の経営基盤の強化に関する諸施策を積極的に推進すること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によって御理解いただけると存じますので、詳細な説明は省略させていただきたいと思います。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  132. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  田原隆君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 渡辺秀央

    渡辺委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通産大臣。
  134. 田村元

    ○田村国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。ありがとうございました。     ─────────────
  135. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 渡辺秀央

    渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  137. 渡辺秀央

    渡辺委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  139. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、内閣提出産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。田村通商産業大臣。     ─────────────  産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  140. 田村元

    ○田村国務大臣 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  二十一世紀を間近に控えた今日、世界経済技術革新による産業社会の変革の新たな局面を迎えております。とりわけ、エレクトロニクス、新素材、バイオテクノロジー等の先端的分野における技術革新の進展には目覚ましいものがあり、内外の産業社会の変革に大きな影響を与えております。技術革新は、経済社会の発展の原動力であり、我が国経済が今後とも一層の発展を遂げていくためには、みずから創造的な技術開発の積極的な推進を図っていくことが不可欠であります。  一方、国際経済社会に目を転じますと、折からの貿易摩擦等の影響もあり、我が国が海外の基礎研究に多くを依存し、その成果を活用して経済的成功をおさめてきたという、いわゆる技術ただ乗り論等の批判があります。我が国としましては、こうした国際的批判にこたえるとともに、技術革新による世界経済の発展のために、その国際的地位にふさわしい役割を担っていくことが必要であります。このため、我が国みずから先導的分野における技術開発を積極的に推進し、技術開発を通じた国際社会への積極的貢献を図ることが喫緊の課題となっております。  本法律案は、このような我が国産業技術をめぐる内外の諸情勢にかんがみ新エネルギー・産業技術総合開発機構に産業技術に関する研究開発研究基盤施設の整備、国際的な共同研究に対する助成等の業務を、国際的に協調しつつ総合的、計画的かつ効率的に行わせるための措置を講ずること等により、産業技術の向上と産業技術分野における国際交流の進展を図り、もって国民経済の国際経済環境と調和のある中長期的な発展に寄与することを目的として立案されたものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、新エネルギー総合開発機構に産業技術に関する研究開発を行うこと、機構みずからが高度な産業技術に関する研究開発に必要な相当の規模の施設及び設備を整備して研究者等の共用に供すること、こうした研究基盤施設を整備して研究者等の共用に供するために必要な資金を供給するための出資を行うこと、外国の研究者が参加する研究開発に対する助成を行うこと等の業務を追加し、同機構の名称を新エネルギー・産業技術総合開発機構に改めることであります。  第二は、通商産業大臣が新エネルギー・産業技術総合開発機構に右に述べた新規業務を行わせるための基本方針を定め、これを機構に指示するとともに、公表するものとすることであります。  第三は、産業基盤整備基金の業務に、新エネルギー・産業技術総合開発機構の出資に係る研究基盤整備会社が行う民間からの資金の借り入れを円滑化するために、当該資金についての債務保証の業務を追加することであります。  第四は、新エネルギー総合開発機構の根拠法である石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律につきまして、同機構の目的規定に新規業務に係る目的を追加する等、新規業務の追加に必要な改正を加えることであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  141. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明二十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十三分散会