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1988-02-26 第112回国会 衆議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十二年十二月二十八日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 渡辺 秀央君    理事 甘利  明君 理事 尾身 幸次君    理事 奥田 幹生君 理事 田原  隆君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君       麻生 太郎君    石渡 照久君       小川  元君    海部 俊樹君       佐藤 信二君    島村 宜伸君       玉生 孝久君    中川 秀直君       中山 太郎君    額賀福志郎君       福島 譲二君    穂積 良行君       牧野 隆守君    宮下 創平君       粟山  明君    森   清君       山崎  拓君    綿貫 民輔君       井上  泉君    小澤 克介君       緒方 克腸君    城地 豊司君       関山 信之君    水田  稔君       石田幸四郎君    権藤 恒夫君       森本 晃司君    薮仲 義彦君       米沢  隆君    工藤  晃君       藤原ひろ子君 ────────────────────── 昭和六十三年二月二十六日(金曜日)     午後八時九分開議  出席委員    委員長 渡辺 秀央君    理事 尾身 幸次君 理事 奥田 幹生君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君       石渡 照久君    小川  元君       大島 理森君    木村 義雄君       佐藤 信二君    自見庄三郎君       島村 宜伸君    園田 博之君       玉生 孝久君    月原 茂皓君       中川 秀直君    額賀福志郎君       福島 譲二君    穂積 良行君       村上誠一郎君    綿貫 民輔君       井上  泉君    小澤 克介君       小林 恒人君    関山 信之君       水田  稔君    森本 晃司君       薮仲 義彦君    工藤  晃君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     梅澤 節男君         公正取引委員会         事務局経済部長 柴田 章平君         公正取引委員会         事務局取引部長 土原 陽美君         公正取引委員会         事務局審査部長 植木 邦之君         公害等調整委員         会委員長    勝見 嘉美君         公害等調整委員         会事務局長   稲橋 一正君         経済企画庁長官         官房長     保田  博君         経済企画庁長官         官房会計課長  安田  靖君         経済企画庁調整         局長      横溝 雅夫君         通商産業大臣官         房長      棚橋 祐治君         通商産業大臣官         房総務審議官  山本 幸助君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         通商産業大臣官         房審議官    安藤 勝良君         通商産業省通商         政策局長    村岡 茂生君         通商産業省貿易         局長      畠山  襄君         通商産業省立地         公害局長    安楽 隆二君         通商産業省基礎         産業局長    鈴木 直道君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         通商産業省生活         産業局長    鎌田 吉郎君         工業技術院長  飯塚 幸三君         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         特許庁長官   小川 邦夫君         中小企業庁長官 岩崎 八男君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      倉田 雄広君     ───────────── 委員の異動 二月三日  辞任         補欠選任   石波 照久君     倉成  正君 同日  辞任         補欠選任   倉成  正君     石渡 照久君 同月五日  辞任         補欠選任   森本 晃司君     坂口  力君 同日  辞任         補欠選任   坂口  力君     森本 晃司君 同月十六日  辞任         補欠選任   緒方 克陽君     早川  勝君 同日  辞任         補欠選任   早川  勝君     緒方 克陽君 同月十七日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     石橋 一弥君   海部 俊樹君     谷  洋一君  佐藤 信二君     小此木彦三郎君   中山 太郎君     浜田 幸一君   額賀福志郎君     細田 吉藏君   穂積 良行君     愛野興一郎君   牧野 隆守君     志賀  節君   宮下 創平君     砂田 重民君   粟山  明君     渡辺 省一君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     穂積 良行君   石橋 一弥君     石渡 照久君  小此木彦三郎君     佐藤 信二君   志賀  節君     牧野 隆守君   砂田 重民君     宮下 創平君   谷  洋一君     海部 俊樹君   浜田 幸一君     中山 太郎君   細田 吉藏君     額賀福志郎君   渡辺 省一君     粟山  明君 同月十八日  辞任         補欠選任   森本 晃司君     大久保直彦君 同日  辞任         補欠選任   大久保直彦君     森本 晃司君 同月二十六日  辞任         補欠選任   海部 俊樹君     大島 理森君   中山 太郎君     園田 博之君   牧野 隆守君     木村 義雄君   粟山  明君     村上誠一郎君   森   清君     月原 茂皓君   山崎  拓君     自見庄三郎君   緒方 克陽君     小林 恒人君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     海部 俊樹君   木村 義雄君     牧野 隆守君   自見庄三郎君     山崎  拓君   園田 博之君     中山 太郎君   月原 茂皓君     森   清君   村上誠一郎君     粟山  明君   小林 恒人君     緒方 克陽君     ───────────── 昭和六十二年十二月二十八日  官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律の一部を改正する法律案二見伸明君外四名提出、第百八回国会衆法第一八号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案二見伸明君外四名提出、第百八回国会衆法第一九号) 昭和六十三年二月五日  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第一三号) 同月八日  異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案内閣提出第一四号) 同月十二日  企業人材資源専任制度法制化に関する請願嶋崎譲紹介)(第六二号)  企業危険管理に対応する人材育成制度法制化に関する請願嶋崎譲紹介)(第六三号)  産業技術開発評価体制に呼応する開発工学技術者に関する請願嶋崎譲紹介)(第六四号)  悪徳商法規制に関する請願魚住汎英紹介)(第一四九号)  中小零細企業対策充実に関する請願魚住汎英紹介)(第一五〇号) 同月二十二日  伊方原発号炉出力調整実験及び出力調整実施中止に関する請願田中恒刺紹介)(第五二二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件  鉱業一般公益との調整等に関する件      ────◇─────
  2. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  通商産業基本施策に関する事項  中小企業に関する事項  資源エネルギーに関する事項  特許及び工業技術に関する事項  経済計画及び総合調整に関する事項  私的独占禁止及び公正取引に関する事項  鉱業一般公益との調整等に関する事項 以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。      ────◇─────
  4. 渡辺秀央

    渡辺委員長 通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件、私的独占禁止及び公正取引に関する件並びに鉱業一般公益との調整等に関する件について調査を進めます。  この際、通商産業大臣から、通商産業基本施策について所信を聴取いたします。田村通商産業大臣
  5. 田村元

    田村国務大臣 第百十二国会における商工委員会の御審議に先立ちまして、通商産業行政に対する私の所信一端を申し上げます。  今日の世界経済は、依然として困難な局面に直面しております。すなわち、不安定な動きを見せる為替株式市場改善しつつあるものの依然高水準を続けている主要国間の対外均衡、引き続き深刻な累積債務問題等々、何をおいても克服されねばならぬ課題が山積しているのであります。このような難局を打開し、世界経済創造的発展を図っていくためには、先進諸国が、国際的な政策協調もと、まず為替レートの安定に努めるとともに、産業政策マクロ経済政策など多角的な政策対応を行っていくことが不可欠であります。また、経済大国なる我が国としては、世界経済運営においてその経済的地位にふさわしい積極的な役割を果たしていくことが強く求められております。  私は、年明け後、アジア太平洋貿易大臣会合に出席するとともに、英国及び西独を訪問してまいりましたが、主要先進国アジア太平洋地域主要閣僚との一連の意見交換を通じ、日米欧経済政策面で一層の連携強化を図るべきことを再確認すると同時に、我が国の積極的な国際貢献に対する諸外国の期待の大きさを痛感した次第であります。  一方、我が国経済においては、景気は全体としては内需主導型により着実な回復局面にあるものの、構造調整に伴う二面性が強くあらわれており、輸出型中小企業、とりわけ輸出型産地企業城下町等の景況には依然としてはかばかしくないものがあります。また、今後の為替レート動向いかんでは、我が国経済全体に深刻な影響があらわれることも懸念されます。また、東京への一極集中傾向産業頭脳部分において一段と進展し、中央と地方経済格差が再び拡大しつつあるという問題もあります。  このような状況の中で、我が国巨額対外均衡是正しつつ、二十一世紀に向けて新たな自律的発展への基盤整備を進めていくためには、持続的な内需拡大を図り、国際調和型産業構造への円滑な転換促進することが基本となります。このためには、今後とも内需主導による高目経済成長を持続し、我が国潜在成長力を十分に発揮させていくことが不可欠であると考えます。  以上のような認識のもと、私は、特に次のような諸点中心として、今後、通商産業行政展開してまいる所存であります。  第一に、国際調和型産業構造への円滑な転換であります。  我が国経常収支均衡改善傾向にあるものの、なお巨額であり、今後ともその着実な是正を図っていくことが急務であります。このためには、為替レートの安定に努めるとともに、製品輸入拡大、海外直接投資の円滑化等により、バランスのとれた国際分業体制を構築していく一方、国内的には産業構造調整の過程で生ずる種々の苦痛を吸収していくことが必要であります。具体的には、内需中心高目経済成長確保しつつ、産業構造転換円滑化臨時措置法活用等により産業構造転換の円滑な推進を図るとともに、雇用不安、地域の疲弊などを回避していくため、後述するような地域活性化技術開発推進内需型新規産業育成等諸般施策を積極的に推進してまいる所存であります。  第二に、国際社会への積極的な貢献であります。  世界経済において枢要な地位を占めるに至った我が国としては、世界の中の日本という視点から、世界経済持続的成長に積極的に貢献していくことが求められております。かかる観点から、政府開発援助(ODA)の第三次中期目標をできるだけ早く達成できるよう努めるとともに、発展途上国経済自立を支援するための新アジア工業化総合協力プラン、いわゆるニューAIDプラン資金還流促進等を初めとする経済協力の一層の推進に取り組んでまいります。また、これまで積み上げてきた各国との人的信頼関係を生かし、ガット・ウルグアイ・ラウンドの一層の推進に努めるとともに、我が国欧米諸国との円滑な通商関係維持全力を挙げていく所存であります。  第三に、地域活性化であります。  地域経済均衡ある発展を図るため、従来から工業配置施策テクノポリス施策等による生産機能地方分散施策を進めてきているところでありますが、近年、研究開発情報サービス等いわば産業頭脳部分東京圏一極集中する傾向にあり、地域経済活性化を図るためには、こうした産業頭脳部分地方分散促進することが急務となっています。このため、今国会地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案、いわば頭脳立地法案提出したところであります。  一方、各地民活プロジェクトについては、最近ようやく軌道に乗りつつあるものの、今後さらに草の根民活推進し、特色ある地方発展を図っていくための環境を整えていくことが必要であります。このため、今国会にいわゆる民活法、民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部改正法案提出し、同法の対象施設拡充を図ることとしております。こうした施策推進は、円滑な産業構造調整を進めつつ足腰の強い地域経済を構築していくため極めて重要であり、東京への過度の機能集中を解消し、いささかなりとも首都圏の土地問題の緩和にも資するものであると考えます。  第四に、創造的飛躍を目指した技術開発推進であります。  技術開発は、新たなフロンティアを拡大し、新しい経済発展の原動力となるものであります。特に、技術立国を目指す我が国としては、今後、基礎的、先導的な研究開発充実強化を図るとともに、研究開発を通じた国際的貢献を果たすことが強く求められています。  かかる観点から、基礎的、先導的分野における研究開発に不可欠な高度な研究施設を国のイニシアチブで整備する等産業技術開発の一体的、総合的な推進を図ることにより、我が国研究開発能力を一層向上させることが急務であります。また、ヒューマン・サイエンス・プログラムの推進等研究開発を通じて世界へ積極的な貢献を果たしていくことが不可欠であると考えます。このため、今国会産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案提出したところであります。  第五に、内外環境変化に対応した中小企業施策展開であります。  我が国経済社会基盤をなしている中小企業が、その機動性を生かして内外環境変化に的確に対応し、健全な発展を遂げられるよう中小企業施策展開を図ってまいります。かかる中小企業構造転換を支援するため、異分野中小企業が結びつき、おのおの事業分野知識を提供し合って新たな事業分野開拓するいわゆる融合化促進を図るべく、今国会に異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案提出し、総合的な施策を講ずることとしています。  また、近時における経済構造調整進展円高等の厳しい経営環境に直面する中小企業資金需要に的確に対応するため、今国会所要保険限度額の引き上げ、新種保険創設等を内容とする中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案提出したところであります。  さらに、事業転換対策特定地域中小企業対策経営基盤対策小規模企業対策など各般の施策を講じてまいる所存であります。  第六に、中長期的観点に立った資源エネルギー政策推進であります。  国際石油情勢については、近年、原油価格が大きな変動を見せており、また、ペルシャ湾情勢は緊張の度を高めたまま推移しております。さらに、中長期的な石油供給不安定化石油需給逼迫化が懸念されております。このような中で、我が国エネルギー需給構造は国際的に見て依然として極めて脆弱なものであります。このため、先般改定された長期エネルギー需給見通しを踏まえつつ、総合的なエネルギー政策を着実に推進していくことが必要であります。また、政策の遂行に当たっては、厳しい財政状況もと施策の一層の効率化重点化に十分配慮しながら、所要財源措置を講じていくことが不可欠であると考えております。  また、レアメタルを初めとする資源安定供給確保にも積極的に努めてまいる所存であります。  以上に加え、我が国経済力を真に豊かな国民生活実現に向けて集中していくため、引き続き円高差益積極的還元に努めるとともに、快適な国民生活実現のためきめ細かい施策推進に努めてまいる所存であります。その一つとして、訪問販売通信販売等における消費者トラブル多様化、複雑化している現状に対応するため、今国会訪問販売等に関する法律の一部改正法案提出することとしております。  また、成層圏中のオゾン層を破壊するとして、世界的に問題とされているフロン等規制に関する条約を実施するため、今国会オゾン層保護のための特定物質の製造の規制等に関する法律案提出することとしております。  以上、我が国経済社会国際協調活性化という観点から、今後の通商産業行政に対する私の所信一端を申し上げました。  我が国は、刻一刻と激しく変化する国際経済の中で、世界のGNPの一割以上を占める経済大国にふさわしい役割を果たしていくとともに、みずからも二十一世紀に向けて新たな自律的発展への基盤整備を進めていくという大きな課題を抱えております。私としても、「世界の中の日本」としてのかじ取りに誤りなきを期すべく、大局的な見地に立って通商産業行政推進全力で取り組んでまいる所存でございますので、委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますよう心からお願いを申し上げます。(拍手)
  6. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、経済企画庁長官から、経済計画及び総合調整について所信を聴取いたします。中尾経済企画庁長官
  7. 中尾栄一

    中尾国務大臣 我が国経済の当面する課題経済運営基本的な考え方につきましては、さきの経済演説において明らかにしたところでありますが、当委員会が開催されるに当たりまして、重ねて所信一端を申し述べたいと存じます。  我が国経済は、国民総生産にして一日当たり約一兆円を生み出す規模にまで成長いたしましたが、今後、対外面では、国際的に調和のとれた対外均衡達成世界経済への貢献国内面では、国民生活質的向上に努めることが重要な課題となっております。  これらの内外課題を克服するためのかぎは、内需主導型成長の中で経済構造調整を進めることであります。私は、経済構造調整をさらに進めていくためには、国民一人一人がその必要性をしっかりと認識することが重要であると考えております。  内外経済現状を見ますると、世界経済は、このところ緩やかながらも息の長い景気拡大を続けております。しかしながら、従来からの課題であるアメリカの財政赤字の縮減、主要国対外均衡是正発展途上国累積債務問題等については、今後も解決に努めるべき課題として残されております。  一方、我が国経済は、一昨年末に景気転換点を迎え、昨年は、政府緊急経済対策の効果も加わり、景気回復から拡大への道をたどってまいりました。現在も、国内需要は堅調に推移し、企業取引増益傾向にあり、雇用情勢改善するなど、景気拡大局面にあります。また、輸出は、やや強含みとはなっておりますが、輸入は、製品類等中心に増加しており、経常収支黒字幅は、このところ、縮小傾向にあります。  こうした状況を踏まえ、私は昭和六十三年度の経済運営に当たっては、特に、次の諸点基本的な柱としてまいりたいと考えております。  第一の柱は、景気回復二年目における景気の足取りを確実なものとするため、内需中心とした景気持続的拡大を図ることであります。同時に、雇用の安定及び地域経済活性化にも努めてまいります。このため、主要国との政策協調推進しつつ、円レート安定化を図る一方、急速な円高進展等により影響を受けた地域等に十分配慮しながら、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努めてまいります。  具体的には、まず、内需拡大を図るため、昭和六十三年度予算におきましては、NTT株式の売り払い収入の活用等により、一般公共事業費は、前年度当初予算に対し二〇%の伸びを確保したところであります。また、既に実施が決まっている住民税減税のほか、住宅取得促進税制拡充等住宅建設促進施策実施することとしております。さらに、民間活力が最大限発揮されるための所要環境整備中小企業経営安定化構造転換等のための各種中小企業対策産業地域高齢者雇用プロジェクト等雇用対策等についても積極的に推進することとしております。  金融政策については、内外経済動向及び国際通貨情勢を注視しつつ、適切かつ機動的な運営を図る必要があると考えております。  昭和六十三年度の我が国経済は、以上のような政府の諸施策民間経済活力一つとなり、引き続き対外均衡是正を進めながら、内需中心とした着実な拡大が図れるものと考えられ、実質経済成長率は、三・八%程度になるものと見込まれます。  第二の柱は、自由貿易体制維持強化に向けて率先して努力するとともに、調和ある対外経済関係の形成と世界経済への積極的貢献を図ることであります。このため、まず、保護貿易主義の抑止と貿易拡大均衡を目指して、国際協調型経済構造への変革を推進し、我が国市場の積極的な開放等による市場アクセス改善を図るとともに、ウルグアイ・ラウンド交渉の一層の進展貢献してまいりたいと考えております。  発展途上国への経済協力については、政府開発援助の第三次中期目標早期達成を図るとともに、発展途上国への資金還流拡大を図るため、積極的な役割を果たしていく必要があると考えております。  第三の柱は、物価の安定と国民生活質的向上に努めることであります。  最近の物価動向を見ますると、これまで累次にわたる円高差益還元策等実施されたことに伴い、円高等のメリットは国民経済全体にかなり浸透されてきているものと考えられ、こうした状況を反映して、我が国消費者物価上昇率は、過去二年続けて一%を切るなど、最近の物価動向は極めて落ちついた動きを示しております。政府といたしましても、最近では、電気・ガス料金の三度目の引き下げに努めてきたところでありますが、今後とも、公共料金について円高差益の的確な反映を図るとともに、輸入促進、消費者への情報提供等を通じて、円高等のメリットの一層の還元に努めることにより、物価の安定を図ってまいる所存であります。  さらに、住生活の質的改善等、豊かで質の高い国民生活実現するための諸施策について、積極的に検討するとともにその推進に努力をしてまいる所存であります。また、国民が安心して充実した消費生活を送ることができるように、悪質な商法による被害の防止等の消費者保護施策推進するとともに、消費者教育の充実を図ってまいりたいと考えております。  第四の柱は、新しい中長期的な経済運営基本方針を速やかに策定することであります。  これまで述べてまいりましたように、我が国は、国民生活質的向上地域経済活性化経済摩擦の解消、国際社会への貢献等の課題に緊急かつ重点的に取り組んでいかなければなりません。このため政府は、昨年十一月、中長期的展望の上に立った新たな経済運営基本方針である新経済計画の策定について、経済審議会に諮問を行い、これを受けて去る一月二十二日、経済審議会は、新計画基本的考え方と検討の方向を取りまとめたところであります。  新しい経済計画においては、経済構造調整を一層強力に推進し、内需主導型成長への転換・定着を進めることを基本方向としつつ、主要な政策課題として、第一に経済発展の成果を国民一人一人の生活に十分生かし、豊かさを実感できる国民生活実現すること、第二に東京への過剰な依存から脱却し、第四次全国総合開発計画で示された多極分散型の国土を形成していくこと、第三に日本の豊かさと活力を生かし、世界貢献していくことの三点が重点になるものと考えております。  以上、我が国経済が当面する主な課題経済運営基本方向について所信を申し述べました。  私は、世界経済動向我が国経済社会についての中長期的展望を踏まえ、常に国民生活の向上と人間性豊かな社会の建設を目指して、今後の経済運営に万全を期してまいりたいと考えておる次第であります。  本委員会の皆様の御支援と御協力を切に切にお願いする次第であります。ありがとうございました。(拍手)
  8. 渡辺秀央

    渡辺委員長 以上で両大臣の所信表明は終わりました。  なお、この際申し上げます。  昭和六十三年度通商産業省関係予算及び昭和六十三年度経済企画庁関係予算につきましては、お手元に配付してあります関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承をお願い申し上げます。  次に、昭和六十二年における公正取引委員会の業務の概略について説明を聴取いたします。梅澤公正取引委員会委員長
  9. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 昭和六十二年における公正取引委員会の業務につきまして、その概略を御説明申し上げます。  昨年の我が国経済は、円高進展等により外需の減少が見られましたが、国内需要が堅調に推移し、鉱工業生産が増加傾向にあるなど、景気回復局面から拡大局面へ向かいつつあります。経済社会の構造変化については、引き続き、技術革新、情報化が進展し、また、経済の国際化が進展しており、今後、一層変化の度合いを強めていくものと考えられます。  このような中で、民間活力が十分に発揮されるような経済環境整備を行うことがますます重要になっており、公正取引委員会といたしましては、公正かつ自由な競争を維持促進し、我が国経済活力維持し、その健全な発展を図るため、独占禁止政策の適正な運営に努めてまいったところであります。  特に昨年は、独占禁止法違反事件の迅速な審査に努めるとともに、広報活動等により予防行政を推進いたしました。また、経済社会の構造変化の過程にあって生じる独占禁止政策上の諸問題に積極的に取り組んだほか、下請取引を初めとする中小企業関係の取引の公正化に努めたところであります。  まず、独占禁止法の運用状況について申し上げます。  昭和六十二年中に審査いたしました独占禁止法違反事件は二百十三件であり、同年中に審査を終了した事件は百五十一件であります。このうち、法律の規定に基づき違反行為の排除等を勧告いたしましたものは六件、法的措置をとるには至りませんでしたが警告を行いましたものは九十三件であります。また、八件のカルテル事件の七十四事業者に対し、総額四億四百五十六万円の課徴金の納付を命じました。  また、貿易摩擦問題への対応の一環として、ソーダ灰輸入制限カルテル事件についての第二次監査、不当な返品、比較広告、並行輸入の不当阻害に関する考え方の公表、景品提供制限の見直し等を行いました。  次に、届け出受理等に関する業務でありますが、合併及び営業譲り受け等につきましては、昭和六十二年中に二千二百六十八件の届け出があり、所要の審査を行いました。  事業者団体につきましては、昭和六十二年中に成立届等千二百五十八件の届け出がありました。また、事業者団体の活動に関する事前の相談に対しましては適切な対応を行うとともに、相談事例を取りまとめて公表することにより違反行為の未然防止を図りました。  国際契約等につきましては、昭和六十二年中に四千六百九十件の届け出があり、不公正な取引方法に該当するおそれのある改良技術に関する制限、競争品の取り扱いの制限等を含むもの百四十七件についてこれを是正するよう指導いたしました。  独占的状態に対する措置に関する業務といたしましては、独占的状態に関するガイドラインの別表掲載の十九業種について実態の把握及び関係企業動向の監視に努めました。  価格の同調的引き上げに関する報告徴収の業務につきましては、昭和六十二年中に価格引き上げ理由の報告を求めたものはありませんが、価格の同調的引き上げに関するガイドラインの別表掲載の七十四品目について価格の動向の監視に努めました。  次に、経済実態の調査といたしましては、VAN事業に関する調査輸入総代理店制度と並行輸入に関する調査、生産・出荷集中度調査等を行いました。また、流通分野においては、大規模小売業者の仕入れ体制のシステム化に関する調査、新聞販売等に関する調査等に基づき、独占禁止法及び景品表示法上問題のある行為につきまして、所要改善指導を行いました。  政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度につきましては、我が国経済における民間の活力を生かし、経済の効率性を高める見地から、引き続きその見直しのための検討を行いました。  独占禁止法上の不況カルテルは、鋼船及び舶用ディーゼルエンジンの二品目について認可しました。なお、独占禁止法の適用除外を受けている共同行為の数は、昭和六十二年末現在で三百十六件となっておりますが、その大半は、中小企業関係のものであります。  国際関係の業務といたしましては、OECD等の国際機関における会議に積極的に参加するとともに、アメリカ、西ドイツ等の独占禁止当局との間で意見交換を行うなど、国際的な連携の強化に努めました。  次に、下請法の運用状況について申し上げます。  下請事業者の利益の保護を図るため、違反の事実が認められた親事業者千二百六十社に対し、下請代金の支払い改善等の措置を講ずるよう指導いたしました。特に下請代金の減額につきましては、減額分を下請事業者に返還するよう指導するなど、重点的に取り組みました。また、親事業者及び親事業者団体に対して下請取引適正化の要請を行うなど下請法の周知徹底を図り、違反行為の未然防止に努めました。  最後に、景品表示法の運用状況について申し上げます。  まず、同法第三条の規定に基づき、銀行業における景品類の提供を制限する告示を変更し、相互銀行業をその対象に含めました。  昭和六十二年中に調査いたしました景品表示法違反事件は六千二百九十一件であり、このうち、排除命令を行いましたものは九件、警告により是正させましたものは千百八十一件であります。都道府県の行いました違反事件の処理件数は、昭和六十二年一月から九月末までで三千七百九十一件となっております。  また、事業者が過大な景品提供及び不当表示を自主的に規制するための公正競争規約につきましては、新たに相互銀行業における景品に関する規約など四件を認定し、昭和六十二年末現在における公正競争規約の総数は百三十二件となっております。  以上、簡単でございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。  今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。(拍手)
  10. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、昭和六十二年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について説明を聴取いたします。勝見公害等調整委員会委員長
  11. 勝見嘉美

    ○勝見政府委員 公害等調整委員会が昭和六十二年中に行いました鉱業、採石業または砂利採取業と一般公益等との調整等土地利用の調整に関する事務につきまして、御説明申し上げます。  初めに、鉱区禁止地域の指定に関する事務について申し上げます。  これは、各大臣または都道府県知事の請求に基づき、鉱物を堀採することが一般公益または農業、林業その他の産業と対比して適当でないと認めた地域を鉱区禁止地域として指定するものでありますが、昭和六十二年中に当委員会に係属した事案は十一件であります。これを請求理由別に見ますと、ダム等の施設の保全に関するもの十件、環境保全に関するもの一件であります。これらのうち、二件について処理を完了いたしました。  第二は、鉱業法、採石法、砂利採取法等に規定する特定の処分に対する不服については、専ら当委員会が審査庁として裁定を行うものでありますが、昭和六十二年中に当委員会に係属した事案は三件であります。これらの事案は、採石法、砂利採取法の規定による知事の処分に対するものであり、一件については棄却の裁定をなし、二件については取り下げられ、すべて処理を完了いたしました。  第三は、土地収用法等の規定に基づき、収用裁決等に対する不服申し立てについて、主務大臣が裁決等を行う場合には、当委員会の意見を聞かなければならないこととされておりますが、昭和六十二年中に当委員会で処理をしたものは四件であります。  以上が昭和六十二年中に公害等調整委員会が行ってまいりました鉱業、採石業または砂利採取業と一般公益等との調整等土地利用の調整に関する事務の概要でございます。  今後ともこれらの事務の処理に当たっては、法の趣旨にのっとり、審理を進めてまいる所存でありますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
  12. 渡辺秀央

    渡辺委員長 以上で両委員長の説明は終わりました。  次回は、来る三月一日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十一分散会