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1987-12-08 第111回国会 参議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年十二月八日(火曜日)    午後一時開会     —————————————   委員氏名     委員長         村上 正邦君     理 事         大浜 方栄君     理 事         梶原  清君     理 事         赤桐  操君     理 事         多田 省吾君                 井上  裕君                大河原太一郎君                 河本嘉久蔵君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 福田 幸弘君                 藤井 孝男君                 藤野 賢二君                 矢野俊比古君                 山本 富雄君                 吉川  博君                 志苫  裕君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 塩出 啓典君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 吉岡 吉典君                 栗林 卓司君                 野末 陳平君     —————————————    委員異動  十二月四日     辞任         補欠選任      矢野俊比古君     竹山  裕君  十二月七日     辞任         補欠選任      井上  裕君     高橋 清孝君      竹山  裕君     宮島  滉君  十二月八日     辞任         補欠選任      吉川  博君     下稲葉耕吉君      塩出 啓典君     鶴岡  洋君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 正邦君     理 事                 大浜 方栄君                 梶原  清君                 藤井 孝男君                 赤桐  操君                 多田 省吾君     委 員                大河原太一郎君                 河本嘉久蔵君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 高橋 清孝君                 福田 幸弘君                 藤野 賢二君                 宮島  滉君                 山本 富雄君                 志苫  裕君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 鶴岡  洋君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 吉岡 吉典君                 栗林 卓司君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        大蔵政務次官   佐藤栄佐久君        大蔵大臣官房総        務審議官     角谷 正彦君        大蔵大臣官房審        議官内閣審議        官        土居 信良君        大蔵大臣官房審        議官       尾崎  護君        大蔵省主税局長  水野  勝者        大蔵省証券局長  藤田 恒郎君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        大蔵省国際金融        局長       内海  孚君        国税庁次長    日向  隆君    事務局側        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    説明員        警察庁刑事局保        安部経済調査官  五十嵐忠行君        国土庁土地局地        価調査課長    森   悠君        法務省民事局第        三課長      永井 紀昭君        法務省刑事局刑        事課長      石川 達紘君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○抵当証券業規制等に関する法律案(第百九回  国会内閣提出衆議院送付)(継続案件)     —————————————
  2. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、塩出啓典君が委員辞任され、その補欠として鶴岡洋君が選任されました。     —————————————
  3. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事藤井孝男君を指名いたします。(拍手)     —————————————
  5. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、租税及び金融等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 次に、抵当証券業規制等に関する法律案議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま議題となりました抵当証券業規制等に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  近年、我が国におきましては、国民金融資産の増大や金利自由化の進展に伴う金利選好高まり等背景として、抵当証券取引が急速に発展しております。しかしながら、他方では、悪質業者による抵当証券のカラ売り、二重売り等によって多数の購入者被害が生じてきているのが実情であります。  このような状況を踏まえ、抵当証券購入者保護を図るため、本法律案提出したところであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、抵当証券業を営もうとする者に対して大蔵大臣への登録を義務づけるとともに、帳簿書類作成保存等の義務に関する規定及び立入検査、登録取り消し等監督に関する規定を設けることとしております。  第二に、抵当証券業者は、販売を行った抵当証券購入者に現実に引き渡す場合等を除き、これを大蔵大臣の指定する抵当証券保管機構に保管させなければならないこととしております。  このほか、不適切な広告の規制契約締結に際しての一定の事項の開示の義務づけなど抵当証券業者の行う業務について必要な規制を行うこととしております。  第三に、大蔵大臣は、一定要件を備える者の申請があった場合において、その者が抵当証券業者販売に係る抵当証券を適正に保管すること等ができると認められるときは、抵当証券保管機構として指定することができることとし、当該機構監督等に関し、所要の規定を設けることとしております。  第四に、抵当証券業協会についての規定を設けることとしております。  以上が抵当証券業規制等に関する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  9. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、まず抵当証券業規制等に関する法律案質疑を行う前に、答弁は必要ございませんけれども、二、三意見だけを述べておきたいと思うんです。  竹下内閣が誕生いたしまして、大変な税制改正から金融業界をめぐる状況などが緊迫しておりまして、本来この問題を冒頭に質問しようかと思いましたが、いずれ機会をまた見まして質問さしていただきます。  ただ、一言たばこの問題について申し上げておきたいのですが、先般の三カ月延長の際に私は反対であるという立場を表明しましたが、再延長になった次第です。そのときの質疑のときにも種々意見を述べましたが、今回新聞等でまた再々延長されるというような新聞報道がありますけれども、よもやこの次の場合には前回提出したような法案のそのままで延長されるというようなことは決してないものだと、こういうふうに私は理解をしているのでございますが、その点十分留意されてこれから対応していただきたいと思います。もう一度申し上げますが、前回延長されたままでの延長はないと私は理解している。その点十分記憶にとどめておいていただきたいと思います。答弁は必要ございません。  さて、本法律案質疑に入らさせていただきますが、簡単で結構ですが、最初に本法律案提出の目的と背景について簡単に御説明をいただきたいと思います。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま提案理由で概略申し述べたところでございますが、この数年間に抵当証券を取り扱う業者の数、それから販売量等が急増しておりまして、その反面でと申しますか、それに関連いたしまして抵当証券のカラ売り、二重売りといったような不正な取引を行う業者も出てまいりまして、昨年秋には大変たくさんの被害者が発生することとなりました。そういうことが報道もされ、また事実として出てまいったわけでございます。  本来、この抵当証券の発行につきましては、抵当証券法で定める要件及び手続に従いさえすればだれでも登記所から交付を受けることが可能でございます。また、業としてこの抵当証券販売を行う者に対する法律上の規制そのものはございません。したがって、何らの規制を受けていないということでございます。したがいまして、悪質の業者が出ました場合にも、それが詐欺であれば刑事事件として制裁を受けるわけでございますが、事前にこれを防止することができません。事後の処理しかできないということで、したがいまして被害者が続出いたしましても、それを事前防止する方法がないという現況でございました。  そこで、そのような状況にかんがみまして、これをいかにすべきかということを実は法務省並び大蔵省におきまして学識経験者に御参加を願って検討していただいたわけでございますが、やはり最小限の法的規制をすることが必要であろうという結論になりまして、それを受けまして、抵当証券業を営む者について法律によりまして登録制度を実施する、それにさらに事業に対して必要な規制を行うことによりまして、悪質業者が参入をいたさないように、また業務が適正に運営せられるように最小限度規制を加えまして購入者保護を図ることが必要であろう、そういう結論になりまして、立案をいたしまして御審議をお願いすることとなった次第でございます。
  12. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は大変この法律案は時期を失しているみたいな感をしています。  そこで、前回の国会のときの法案提出の仕方について大変私は不明朗を感じているんですが、これだけ重要な法案を何で前国会のあんなどさくさ紛れに提案をされたのか、銀行局はそれだけの勉強が足りなかったのか、それとも何か別な考えがあってああいう提出の仕方になったのか、ここのところを明らかにしてほしいと思うんです。
  13. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 大蔵省といたしましては、従来から抵当証券取引一般について非常に注意深く見守ってきたところでございます。かつまた、この問題につきましては、本委員会におきましても六十一年四月に御議論もあったわけでございます。そういうようなことから大蔵省といたしましては、その直後に省内にこの問題の勉強会をつくりまして、さらに六十一年十月からはこれを抵当証券研究会という公的な機関にいたしまして、法務省と一緒に問題の検討を進めたわけでございます。  ごらんのように、法案は条文がかなり大部のものでございますし、法律的にもいろいろ詰めるべき点が多々ございまして、この研究会は約十五回いろんな角度から検討をいたしまして、六十二年、本年の六月十一日に報告書が出たわけでございます。その報告書を受けまして法案作成作業に入ったわけでございますが、法制局等も大変忙しい時期等でもあったわけでございますが、精力的に審議をしていただきまして、結局、検討の時間等々あるいは法文化の時間等がかなりかかったわけでございまして、その結果、法制面での法律的な問題の詰めを終わりまして、六十二年の九月四日に国会提出したということでございます。  気持ちは非常に焦っておったわけでございますけれども、今申し上げましたように、いろいろ法案提出まで時間がかかりましたことは我々としても大変恐縮に存じている次第でございます。
  14. 鈴木和美

    鈴木和美君 私はただいまの答弁に対して、今だからそういうことが言えるんだと思いますが、その答弁は不満です。なぜかと申し上げますと、私も皆さんが勉強したり対策を立てたり、いろいろしていることをこの目で見ているんですよ。もう既に前国会前に提出できるだけの準備態勢もみんなよく研究しておったんですよ。それはいろいろ局長はおっしゃいますけれども、私が思うのは、ただ税制改正議論があったり大変な法案等の関係もあったりして、並びとか、それから、出してもどうなるのであるかという心配とか、そういう国会審議技術の面に大変問題があったように思うんですよ。私が言いたいことは、やっぱりそういう国会審議技術論じゃなくて、国民が本当にこの法案を待っているというような状況のときには堂々とやられることが適当だと思うんですね。余り法案の駆け引きにとらわれるようなやり方は私は反対です。その点については大臣もよく肝に銘じていただきたいと思います。  そこで私は、この法案というものは、先ほども申し上げましたように時期を失している感がするんです。もちろんこれから悪徳業者を取り締まるということも非常に大切でしょう。しかし現状は、民事の問題ではあると言うけれども、刑事事件の問題とか検挙の問題とか、そういうようなことでむしろ救済というような方に目が向いているわけですね、そういうのが私は現状だと思うんですよ。  そこで、余り長い答弁でなくて結構ですから、今までの被害状況とそれから現在の検挙及びその裁判上の問題などなどの状況について、簡単で結構ですから、警察庁法務省にお伺い申し上げます。
  15. 五十嵐忠行

    説明員五十嵐忠行君) お答えいたします。  昭和六十年以降、一部悪質業者抵当証券業界に参入いたしまして、昨年初めころにはその傾向が著しくなったということから、警察といたしましては、消費者保護弱者保護観点から取り綿まり重点課題として、積極的に取り組んでまいったところであります。  抵当証券商法に係る事件につきましては、昨年秋に静岡県警日証抵当証券事件検挙したのを初めといたしまして、昨年から本年にかけまして悪質業者を六社詐欺等の容疑で検挙しており、これらの事件に係る被害状況は、被害者数約二千人、被害総額約二十六億円に上っております。  また、警察といたしましては、こうした厳正な取り締りに加えまして、いろいろな機会をとらえ、この商法問題点等一般消費者広報いたしまして、その注意を喚起するなど消費者啓発活動を推進し、被害未然防止拡大防止に努めているところであります。
  16. 石川達紘

    説明員石川達紘君) 抵当証券業者にかかわる刑事事件といたしましては、法務当局が把握している事件昭和六十年以降に発生した六件でございまして、東京地検ほか五地検におきまして受理、処理しております。  事件内容は、いずれも抵当証券交付を受けていないのに、あるいは販売すべき抵当証券を保有していないのにこれを販売するかのように装いまして、購入代金名下現金等を騙取したという詐欺の事案でございまして、代表者取締役等につきまして公判請求がなされているところでございます。  そのうち、横浜地検で捜査、処理いたしました東洋抵当証券にかかわるものは現在公判継続中でございますが、他の五件はいずれも判決が言い渡され、確定いたしております。  ちなみに、それらの判決内容は、中国共栄会及び芙蓉抵当証券にかかわる二件につきましては執行猶予判決が言い渡されたわけでございますが、他の富士抵当証券日証抵当証券及び千代田抵当証券等にかかわる三件につきましては、いずれも懲役二年六月おいし六年の実刑判決が下されております。  以上でございます。
  17. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一度警察庁にお伺いしますが、新聞報道などによりますと、六十一年九月から十一月にかけて十二社が倒産したというようなことなどにも絡んで、その時期は大変被害が多かったわけですね。検挙件数も多かったわけです。現在は、そういう時期から見ると検挙件数というものは少ないんですか、それとも多いんですか。
  18. 五十嵐忠行

    説明員五十嵐忠行君) お答えいたします。  昨年の夏ごろに悪質業者が非常に多くなりまして、ピーク時には五十数社把握しておりました。その後、ただいま申し上げましたように、昨年からことしにかけまして六事件検挙したことによりまして、現在、当時把握した悪質業者で残っているのはもうほとんどないという状況でございます。ほとんど転業または廃業、そういった状況で営業している状況にございます。また、苦情等につきましてもことしの八月以降は全くゼロという状況になっております。
  19. 鈴木和美

    鈴木和美君 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、こういう問題が起きるという背景でございます。まあ一億総財テク時代と言われるみたいに、金余りの現象というものも多分あるんでしょう。同時に、有利な商品投資をしたいという投資家のニーズというか、そういう希望もありましょう。これは否定できないと思うんです。けれども、実態を見てみると、被害状況をこうむっている方々というのは往々にして老人とか婦人とか、大変失礼な話なんだけれども余り知識が豊富でないというか、勧誘に唆されるというか、そういうような人たちがどうも多いような気がするんですね。  さて、そういうような一億総財テク時代であるとか、知識が十分でないというような婦人層があるようなときに、私どもが大変反対をしてきたマル優の問題です。これが廃止されるということになりますと、そういう方にどうしても手をかけるようになるんじゃないかと思うんです。だから、本人のもちろん自己責任ということもありましょうけれども、マル優廃止というような問題が婦人の層がそっちの方に逃げでまた被害を出してくるんじゃないかというように私は思うんですが、大臣はそのことについてどういう見解をお持ちですか。
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 抵当証券自身は、その他の金融方法に必ずしも恵まれない人々が場合によりましてかなり長い期間こういう形で金融を受けることができるという、そういうメリットを持っておりますので、このこと自身一つ商品として正当に存在してしかるべきものと考えておるわけでございますけれども、先ほどから申し上げましたように、これが不正に利用される、あるいは今鈴木委員の言われますように、その不正の過程におきまして、とかくいわばだまされやすい投資者に近づくといったようなことがなかったとは申せないと思います。  そういう場合に、それらの投資者に対して、もうマル優というものも今度はなくなります、したがってといったような誘い方というものは、それは確かにあるいはあったかもしれない。そういうことは想像できることでございますが、その間に必然的な連関があるといったようなことは、鈴木委員もおっしゃいませんでしたが、私もそうは思っておりません。大事なことは、これが商品として、経済手段として正当な、また有意義な働きをしておる限りにおきまして、ただいまのような、いわば十分に知識を持たない人々がとかく詐欺にかかりやすい、だまされやすいといったような形にこれをほうっておくことは問題があろうと、こう思いまして規制をいたしたいと考えておるわけでございます。
  21. 鈴木和美

    鈴木和美君 先ほど警察庁のお話じゃございませんが、まあ言ってみれば欲得に絡んで失敗したというみたいなことで、どっちかというと、自己責任という問題について日本は欧米に比べて弱いですね。そういう自己責任という問題もあるわけなんでございますが、それよりも、啓発をするという意味では、検挙されたときにマスコミなどにもこういうことで被害状況があったということも一つ啓発ですね。  さて、そういう意味では、欲得と突っ張りだというだけではいかぬのでございますから、銀行局というか、むしろ行政サイドというか、その啓発についてどういう具体策を持っているのか、この機会に伺っておきたいと思うんです。
  22. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今委員指摘のように、投資家自己責任の問題、これは非常に重要な課題であろうかと考えるわけでございます。したがいまして、本法律におきましても、購入者保護あるいは購入者抵当証券に対する知識、これを充実させるということが保護の上で非常に重要であるわけでございますが、そういうものをより深度あるものとするために、法律の中で抵当証券業協会の設立を予定しているわけでございます。  その協会の仕事の一つといたしまして、購入者等に対する広報という項目があるわけでございます。したがいまして、その協会を通じまして、今委員が御指摘のような投資家理解、さらに知識の充実等々を深めるような広報を積極的に行っていきたいと考えている次第でございます。
  23. 鈴木和美

    鈴木和美君 自己責任という問題の啓発も大変必要だと思いますが、行政サイドからの指導もどうぞ十分強めていただきたいと思うんです。法務省警察庁、どうもありがとうございました。  それでは、法案の中身に入らしていただきます。  今回、貸金業とか投資顧問業と同じように登録制という制度をとって、三年更新ということでございますが、問題の性格上もう少し被害未然防止をするという立場からすれば許可制にしてもいいんじゃないかという私は気持ちを持っておったのですが、どうして登録制と三年更新という措置をとったのか、この点をお伺いします。
  24. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) この点につきましては、先ほど申し上げました抵当証券研究会、その他においていろいろ議論がなされました。このような開業を認める場合には、一番緩いやり方といたしまして届け出がございます。その次に、本法案でとっております登録、それからさらに認可許可という仕組みがあるわけでございます。  そういうものを考えます場合に、一つの視点は、やはり投資家保護するという観点が非常に強く出てまいりますときには、認可許可というきつい規制の方に開業規制を置いていくという考え方もあるわけでございますが、逆に営業の自由という点も制度効率性を維持する上で非常に重要でございます。そういう観点もできるだけ尊重しようということでまいりますと、いろいろ議論をいたしましたが、最終的には登録制を採用するのが適当であるということになったわけでございます。  ただ、この登録制のもとにおきましても、この法案の中にございますように、いわゆる開業規制におきまして不適当な抵当証券業者開業できないような基準をきちっと決めておりますし、開業後もそういう抵当証券業者の行為につきまして十分規制をいたしております。  さらに具体的に申し上げますと、抵当証券そのものの保管機構を設ける等によって二重売り、カラ売りができないような仕組みもつくっておりますので、そういう意味では、登録制でも十分に購入者保護が図れるものというふうに考えている次第でございます。  それから、第二の御質問の登録を受けた業者登録の有効期間についてでございますが、三年ということになっております。この年限につきましてはできるだけ短い方が投資家保護に役立つわけでございますが、しかし余り短いということになりますと、しょっちゅう見直していくという事務的な問題もございますし、片方、余り長くするとこれも問題があるということで、これまでのもろもろの立法例等を勘案いたしまして、多くの場合が大体似たような事例におきましては三年というふうになっておりますので、この場合も三年が適当であろうということで、登録の有効期間をそのように定めた法案になっているのでございます。
  25. 鈴木和美

    鈴木和美君 お答えは決まっているかもしれませんけれども、登録制をとる、三年更新をとる、保管機構を設けたということにおいて、これからそういうような被害が出ないように取り締まりないしは行政サイドとしてはこれで十分であるというように思っているということですか。
  26. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) そのとおりでございます。
  27. 鈴木和美

    鈴木和美君 後ほどこの問題についてはもう一回触れさせていただきますが、その前に、都道府県で一県だけで貸金業を営んでいる人が抵当証券業をもう一回やりたいというようなケースは想定されますか。
  28. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) そういうことも想定されます。
  29. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうしますと、現在貸金業の所管というのは一県だけの場合には都道府県ですね。今度その人が抵当証券業もやりたいということになると、今度は大蔵省の所管ですね。同じ人が二重の所管、監督を受けるようなことになりますね。そういう場合に、もう少し検討を深めて、一本の所管というようにすることはできなかったんですか。例えばもう大蔵省に全部それをやっちゃうというようなことはできなかったんですか。
  30. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) その点につきましてもいろいろ検討いたしましたが、一つ理由は、貸金業規制法案保護しようとしております法益と、それから今回の抵当証券業法が保護しようとしております投資家保護とがかなり違っているわけでございます。    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 例えば貸金業者につきましては、その数が極めて多いわけでございまして四万以上あるのでございます。しかも、御存じのように、貸金業規制法は貸金業者からお金を借りている社会的弱者である債務者の保護ということを重要な法益としておりますので、これは非常にそれぞれの地域に密着した社会問題として問題が起こってくるわけでございますので、これに的確に対応していくという観点かるいいますと、本来ですと市町村程度まで絞った方がいいわけでございますが、そこがいろいろ問題があるわけでございまして、最終的には都道府県の範囲まで絞って、そこでこの保護を担当していただくということになっているわけでございます。したがいまして、この指導監督その他につきましては都道府県が行うというふうにしているわけでございます。  他方、本法案で考えております抵当証券業者につきましては、その数が貸金業者と比べますと非常に少ないわけでございまして、現在活動している者が約百社でございます。しかも、その販売の範囲は、一都道府県に限らずかなり広く、大きいものは全国的にやっているという広がりを持っておりますので、やはりこの監督につきましては大蔵省が財務局を通じて行うのが適当であるということから、財務局の登録にしたということでございます。
  31. 鈴木和美

    鈴木和美君 現在この種の問題を担当しているのは財務局の金融課ですね。貸金業も大体今度行われる抵当証券も立入検査は恐らく金融課が担当することになるんだと思うんですが、そうすると今お話しのように狭い、広いという問題はあるけれども、業者の受ける方から見ると、二重にやられるという問題に対する抵抗もあるし、面倒くさいというのもあるし、これは正常な業者から見ればなおさらそうだと思うんですね。だから、今局長のお話はお話として承りますが、なおその点は効率的に運用するような検討もこれからぜひしていただきたいというように思います。  そこで次ですが、法六条の登録の拒否ですね。登録の拒否の条項の中で七号で「抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人」と言っていますが、非常に抽象的でございまして、これは一体具体的にどういうような内容を持っているのか。また、現存する抵当証券会社でこのような条件で登録が拒否される会社というのは、一体どのくらい見込まれるのかということについてお伺いをしておきたいと思います。
  32. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) この登録拒否の条件でございます「財産的基礎及び人的構成を有しない法人」の具体的な中身につきましては、本法案が成立いたしました後に具体的に詰めることになろうかと存じますが、その考え方を申し上げますと、結局抵当証券購入者の権利を保護する場合に、やはり抵当証券業者のこのような財産的な基礎あるいは十分な人的構成ということが非常に重要であると考えられるからでございます。  まず、その財産的基礎についてでございますが、抵当証券を証券業者投資家販売いたします際に多くの場合保証をしているわけでございます。したがいまして、その保証の基礎にはやはり十分な財産的な基盤がなければならないという観点もあるわけでございますし、多くの場合抵当証券は三年とか五年という期間で投資家が所有しているわけでございますので、その間にこのような抵当証券業者が経営上問題が起こるということも投資家保護の上で問題が生じることもあるわけでございます。それとともに、抵当証券業者投資家販売いたします抵当権つきの債権、これを証券化して売るわけでございますが、これの債権の中身も非常に重要でございまして、最初その債権を抵当証券化する場合に、非常に信用のない債権である場合には、結果的には仮に抵当権がついておりましても、投資家保護の上で問題が生ずるおそれもあるわけでございます。そういう点等を考えまして、このような登録要件を法制上決めているということでございます。
  33. 鈴木和美

    鈴木和美君 これから検討されるというお話ですね。省令か政令がで出されるのか知りませんけれども、私は大変ここは重要なことだと思うんですね。  それで、俗称まじめな業者と不まじめな業者という言葉があるんですが、そのまじめと不まじめというこの定義がこれはなかなか難しいんですよね。いろんな角度から議論すれば議論するほど大変難しい議論一つあるんです。同時にその登録の審査に当たって、客観的に納得できるような基準というものを設けておかないとそれは担当する人も大変だと思うんですね。社会的に、何であれはだめだったのかとか、何がどうだったとかというようなことで、大変これは問題を生じやすい事柄だと思うんです。  だから私は、そういう意味で早目にこれはつくって発表をしてもらわないと、我々もここのところ本当は相当議論しながら法案を通過させるべきだと思うんですけれども、今の局長の話からいくと後からだということなんでございまして、これは物理的、日時的にいうとどのぐらいの時間帯で検討が済んで指示されるということになりましょうか。
  34. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今内々考えております具体的な基準を若干申し上げますと、例えば財産的基礎の場合重要なのは、やはりこれは開業の際の要件にもなっておりますけれども、どの程度自己資本があるかという点が一つございますし、さらに仮に自己資本がありましても純資産額が非常に小さい場合にはこれは問題があるわけでございまして、開業の際に資本金が十分あっても三年後に純資産額が減っていたという場合にはこれはやはり問題であるということでございます。  それから、人的な構成の方は、債務者の例えば返済能力あるいは担保評価、こういうものを十分にやれる、適正に判断できる人材、抵当証券業者がそういう人たちを持っているということが重要な課題でございますので、そういう人たち一定の考え方のもとに何人いるかというような判断も具体的には必要であろうかというふうに考えておる次第でございます。     —————————————
  35. 梶原清

    理事梶原清君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、吉川博君が委員辞任され、その補欠として下稲葉耕吉君が選任されました。     —————————————
  36. 鈴木和美

    鈴木和美君 今の局長のお話はちょっと全部はよくわかりませんけれども、早くとにかくつくって早く出してもらいたいということを言いたいのです。
  37. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) できるだけ早くそういうものをつくってまいりたいということでございます。
  38. 鈴木和美

    鈴木和美君 次は、抵当証券の担保の十分性の問題でございますが、現行の抵当証券法施行細則の二十一条の二に規定されておりますね。つまり、実務上は不動産鑑定士作成の鑑定評価書によって判断されるということになっているんですが、新聞で見ました岡山事件というようなことを見ると、鑑定士と業者が結託をするとか、債務者と結託をするというようなことがあって、こういう法律案をつくってももう及ばないところがあるわけですね。そういう問題については行政当局の指導とか不動産鑑定協会の協力とか、そういうものを十分受けなきゃならぬことだと思うんですね。  そこで、そういうような適正な運用を図るためにどういうふうにしたらいいのかという、鑑定士問題に絡んで、これは国土庁の所管だそうですから国土庁からちょっと説明していただけませんか。
  39. 森悠

    説明員(森悠君) 不動産鑑定士の指導につきましては、社団法人日本不動産鑑定協会を通じまして、これまでも研修とか広報活動等によりまして、その資質の向上、倫理の高揚に努めてまいったところでございます。特に抵当証券発行に伴います鑑定評価についてはその指導を強めまして、同協会では昨年十二月に抵当証券発行に伴う鑑定評価の留意点などにつきましてかなり詳細な通知を発しましたほか、会員広報あるいは講演会等を通じて啓蒙活動を行ってきているところでございます。  国土庁といたしましては、今後におきましてもこの協会と緊密な連絡をとりながら、抵当証券発行に係る鑑定評価に遺漏がないように十分に指導監督の徹底を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
  40. 鈴木和美

    鈴木和美君 時間が私ございませんので、ぜひ遺憾のないように、その点が一番問題ですからきちっとしていただきたいと思います。  その次の問題に移らせていただきますが、裏書の問題です。抵当証券法では抵当証券の譲渡の方式は裏書交付でありますね。ところが実際は、抵当証券会社は事務の煩瑣だとか小口取引のコストだとか、そういうものが絡んで被裏書人の記載が省略されていますね。そういうような問題で考えますと、倒産したときに購入者保護というものがそれでは非常に問題がありやせぬかということは、前々から指摘されておったところだと思うんです。ちなみに、今回の抵当証券法案を出すに当たっての研究会の報告がございますね。この研究会の報告では「抵当証券販売に際して、記名式裏書による処理を行うことが適当である。」という文言があるのでございますが、今回そのような研究会意見と、実際に行われるものとの関連性はどういうことになっていましょう。
  41. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今お話がございましたように、抵当証券研究会報告書にも書かれておりますように、現在、実際上はかなり裏書を省略してやっている会社が多いわけでございます。    〔理事梶原清君退席、委員長着席にしたがいまして、そのような場合には投資家保護等の面で問題が起こったときに法律上欠ける点もありますので、報告書は、先ほどもお話がございましたように、「記名式裏書による処理を行うことが適当」と述べているところでございます。  そこで現在、業界内におきまして、この報告書の趣旨を受けて記名式裏書を行うよう業務方法書の改善が検討されつつあると聞いております。行政当局といたしましても、本法案の施行後、速やかにこの記名式裏書によって販売が行われるよう十分指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  42. 鈴木和美

    鈴木和美君 私もそれは全く賛成でございますので、その記名式にいくようにぜひ指導を強めてもらいたいと思います。  さて、それと関連する問題は販売方式ですね。私も余り勉強が十分ではございませんけれども、債権の分割方式というものと共有の持ち分権とありますね。これはどういうもので、どっちがどういう功罪があって、それで今回どういうふうに指導しようとしているのか、そこをお尋ねしたい。
  43. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 簡単に申しますと、抵当証券を証券業者登記所から発行してもらいましたときに、これを幾つかに分割いたしまして共有持ち分権としてモーゲージ証書を販売するというのが共有持ち分権方式でございます。それからもう一つの方式は、この分けたもの一つ一つ登記所から抵当証券をもらってくるという方式でございまして、後者の場合は投資家保護の面で問題がないわけです。  そこで問題はこの共有持ち分権方式でございますが、これをこれまで業界でとってきておりますのは、この抵当証券登記所にもらいに行きましたときの手数料、これがやはりかなりの額になっておりまして、幾つも分けますと非常にコスト面で大きなものになってくる。したがって、取引コストの軽減上これを分けたいということが一つあるわけでございます。それとともに、このようにいたしませんと、結局小口取引ということがなかなか行われませんので、小口取引を活発化させるという意味から言うと、どうしてもこの共有持ち分権方式の方に業界としても引かれるわけでございまして、結局この方式が行われることによって抵当証券取引の発展に寄与してきていたという面も否定できないわけでございます。  しかしながら、片方で、先ほど申し上げましたように、問題がなきにしもあらずということでございますので、この辺のことにつきましては今後共有持ち分権方式を前提としつつも裏書をきちっとする。結局、抵当証券の裏に一人の裏書ではなくて複数の裏書を行わせることによって権利関係を明確にさせようということで、先ほどの御質問につながってくるわけでございますが、そういう解決方法をとっていこうじゃないかということで現在検討を進めているところでございます。しかし、余りにも今度は人数がふえますとこれまた裏書の部分が非常に多くなりますので、したがってそれの上で支障が生じない程度の人数ということもまた考えざるを得ないということであろうかと思います。
  44. 鈴木和美

    鈴木和美君 私はどちらかというと、やっぱり共有じゃない、分割をした方が一番何というんでしょう、安全というか、自分の気持ち的にも投資者はそれで安心するわけで、コストの面というのはどのぐらいかかって、どのような額だからちょっと無理なのかということが判断できないんです。だからこの際の支障としては、今そういう共有の名前を書く、裏書をするという方法も採用しながらいくというお話でございますが、投資者の側からはどっちか選べないんですから、分割にするか共有にするかというのは選べないでしょう。どっちかというと、業界というか会社というか、その方の言い分ばっかり通っちゃって投資者の選択ができないという悩みもあるので、行政サイドの方でなるべく問題のないような、そして投資家が非常に安心して保護されているというような方法をとることについて全力を尽くしてもらいたいと思うんですが、いかがでございますか。
  45. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 先ほどの御説明でもう一つ補足させていただきたいのですが、今回の法案の中でいわゆる保管機構ということをつくっておりますので、したがってきちっと抵当証券が保管されて、しかも複数ではあるが裏書きもされまして、そして十分その抵当証券とチェックして預かり証が発行されて投資家に小口のモーゲージ証書が販売されるということになれば、いわゆる投資家保護の面で十分であるという仕組みに今度からはなりますので、従来とはその点では格段の進歩であるということはつけ加えさせていただきたいと思うわけでございます。
  46. 鈴木和美

    鈴木和美君 たまたま保管機構の問題に入りましたから、私もこの保管機構をつくることについて大賛成です。そういう意味では多少なりとも前進であるというように思います。  そこで、この保管機構というのはどういうことなんでしょうか。全国に一カ所でございますか。それで保管機構に業者は全部入らなきゃいかぬのですか。例えばある証券会社が抵当証券をバックである銀行に保管してあるというようなことは、どちらかというと信用が非常に強いわけでしょう。それでもやっぱり保管機構には持っていかなきゃならぬのですか。いかがですか。
  47. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) この保管機構は、先ほど申し上げましたように、いわゆる二重売りあるいはカラ売りを防止するためにつくる機関でございます。したがって、全国に何カ所もつくる方が投資家あるいは抵当証券業者にとって便利であるわけでございますが、大部分の業者が東京あるいは大阪に集中しております。そういう点等、あるいはコストの点等から考えますと、当面は一カ所ということではないかというふうに考えている次第でございます。  ただ、そういたしますと地方の業者人たちが不便を感じるわけでございまして、その場合には、この業務の一部を委託することができるという規定がございますので、金融機関その他しっかりしたところに業務の委託を行うということも可能なようになっているわけでございます。
  48. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうすると、出先をつくったり委託をするところというのはおおむね銀行であるというように理解していいんですか。
  49. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 金庫等がしっかりしているところということになりますと銀行等になりますが、先ほどの御質問の続きになるわけでございますが、そうしましたら全部そういうところへ委託すればいいじゃないか、既に金融機関に預けているところもあるじゃないか、こういうことでございますけれども、抵当証券業者の中では、金融機関関係の子会社である抵当証券業者はかなりの程度に銀行に抵当証券を預けておりますが、ほかの業者は大体自分で持っているということが一つ、ございます。  それから、そのような業務の一部委託といいましても、保管の業務、いわゆる抵当証券と預かり証とのチェック、あるいはモーゲージ証書とのチェック等々、より知識を要する、あるいは経験を要する業務につきましてまで金融機関に全部委託するわけにはいきませんので、そういう業務は大体本体でやるということになります。したがって、将来そういう経験を金融機関も十分に持ってきたというときには考えられるかもしれませんが、現段階におきましては今申し上げたところが常識的なお答えではないかと思うわけでございます。
  50. 鈴木和美

    鈴木和美君 時間が余りないものですから掘り下げて議論する時間がございませんで残念なんですけれども、その次は私は、時間との関係からいいますと、この監督の方についてお尋ねをしたいと思うんです。  つまり、監督というのは財務局ということになりますね。それで、先ほどの財産的基礎とか人的という問題は早く、いわゆる監督するに当たっての基準というか、これは出していただけるそうですからそれはそれでいいです。  その次の問題は広告ですな。広告の問題は、言葉では過度の広告はいかぬとか詐欺まがいのやつはいかぬということはこれなりにわかるんですが、非常に信用のある業者からいえば、営業のためにはいろんな宣伝もしたいというのもあるわけです。だから、監督の方からいうと、どこからどこまでがよくてどこからどこまでが悪いということを統一しておかないと、関東の財務局でよかったけれども近畿はだめだったというようなことがあってもいかぬと思うんですね。だから、こういう問題について私はしっかりしておいてほしいと思うんです。  それからもう一つは帳簿です。帳簿とか記帳というのは、これは監督一つの問題になっていますね。これも統一基準をつくっておかないと、ある財務局とそうでないところでは指導の観点が違うというようなことになってまいりますので、これも一考をしていただきたいと思います。  もう一つの問題は、信用されている業者かどうかというけれども、そのモーゲージを預っている、または交付したその交付の名簿というのは義務づけられていませんね、知らせるとき。ところが、本当はそこまでやらないと監督というのはいかないわけでしょう。だから、そういうことは私は義務づけるべきだと思うんだが、今回義務づけられていませんね。それだけに私は、監督立場は非常にやりづらい面が出てくるというように思うんです。  一つ一つの答えは要りませんけれども、時間がございませんので、私の言わんとする趣旨だけを酌んでもらって、局長答弁してくれませんか。
  51. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) まさに委員のおっしゃるようなことでございまして、法律には所要の規定が設けられているわけですが、具体的な適用、取り扱いにつきましては、より細部のものが必要であると考えております。したがいまして、この法案が成立いたしますと、施行まで六カ月ございますので、できるだけ早く適切な時期に基本的な取扱通達を発遣したいと考えているわけでございます。その中には、今御指摘の点につきましても細かく盛り込みたい、特に広告規制の具体的な取り扱いは重要でございますから、これについても入れておきたいと考えておる次第であります。
  52. 鈴木和美

    鈴木和美君 最後の質問ですが、宮澤大臣、私も法案に絡んで職員の問題というのはいつも話をするんですが、財務の仕事というものが大蔵省の中で重要ではあるということは口でおっしゃいますが、実際の対応というのは、総定員法がしかれてきてから今日まで減りっぱなしなんですよ。それでも新規業務というのは大変ふえているわけですね。五十八年には貸金業の指導監督に関する業務、六十年には、たばこ小売店の新設等に伴う許可業務、為替検査及び為替取扱店舗増設の許可業務、六十一年は国有地の土地信託制度導入に伴う業務投資顧問業者の指導監督に関する業務、今回抵当証券です。これだけの新しい仕事を財務局の中で担当することになっても人は全然ふえないんです。  私はいろんな言い方はあると思うんですよ、現状に対しての答弁の仕方というのは。しかし、私が言いたいことは、一々の答弁は要らないです、財務局の働いている人たちが今どういう気持ちでいるかというと、もう被害者意識だけなんですよ。それは国税、税関は数字にあらわれてくることもある。緊急性もありましょう、こういう業務は。けれども、出先というのは私は大変だと思うんですね。しかし、どちらかというと大蔵省は査定官庁でもありますから、隗より始めよということで、なかなかそこのところを踏み出すことができないわけです。そこで私は、財務局の職員に向かって、本当に今まで「捨て石になる気の無欲がついに勝ち」という川柳を言ったんです。そのうちいいことがあるよと。しかし、こういう業務がここまでふえますと、もう剣が峰に立たされたような気持ちなんです。  これは労働組合が調べてくれた世論調査ですけれども、財務局の職員に自分の仕事量に対して世論調査を行ったところが、「忙しくなった」と答えているのが五八%あります。それから「少し忙しくなった」と答えたのが一二%、「どちらともいえない」というのが一九%。もう圧倒的に仕事がふえた、きついということの結果なんです。そういう業務をやっている職員の問題について、一体これからどういうふうに考えておられるんだろうか。まだ後がございますので、時間がありませんから一々私は数字を挙げてやりませんけれども、まず大臣気持ちをちょっと伺っておきたいんです。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま最近において財務局の所管となりました仕事を幾つかお挙げになりまして、私もなるほどそういうことがあるなということを今伺いまして思っておるところでございます。財務に限りませんが、中の人員の適正配置あるいは機械化、合理化等久を進めてまいりまして、これからもそうしなければならないと思っております。  確かに国税あるいは税関のしわ寄せを受けているというような印象を財務局におられる諸君が持っておられるようではいけないと思います、実はときどきそういう声を聞くことがございますので、よく注意をいたしてまいります。
  54. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一つこれも紹介しておきたいんです。さっきは「忙しくなった」という五八%を紹介したんですが、人員の削減、業務の複雑多様化、新規業務の増加などにより業務が増大し、残業が日常不断に続けられている。職員は仕事に追われ、健康状態に不安を感ずる者が六七%なんです。これは労働組合だから一方的だと言われればそれまでかもしれません。しかし私は、大蔵省の労働組合というのはそんなにひん曲がった組合員はいないと思うんです。まじめだと思うんですよ。だから、そういう職員の気持ちというものをしっかり踏まえてやらなければ、私は、どんなこういう立派な法案をつくってみても、みんなしり抜けになってしまうと思うんです。だから私は、その職場に働いている人たちが活気を持って、自信を持って自分たちの仕事を、これが自分の仕事なんだと誇りを持ってやれるようにしていただきたいと思うんです。  大臣はいみじくもおっしゃいましたが、国税とか税関のつまりしわ寄せを食っているというようには思わぬでくれということが言葉としてはありますけれども、私は実態から見ると往々にしてそういうきらいがなしとはしないと思うんです。それは総定員法がある。だから、本当は国税の職員なんというのは、これは総定員法の枠の外に置いて、そしてこれは今緊急課題なんですから、そういうところまで踏み込まなければ、総体の枠の中でやったりとったりの話なんですから、これはやっぱり被害者意識を持つなと言われても、私は実感として持たざるを得ないと思うんです。  もちろん財務局の問題は、統廃合という問題もあり、機械化の問題もある。これはこれなりに進めねばしようがないことだと思うけれども、やっぱりこういう新規業務というものが行われるときにもう一回見直すというような気持ちを持っていただかないと、ただ国民からの要求だけでやって、それを担当する職員が泣いてしまうということでは私は実効が上がらないと思うんです。  そういう意味で、ぜひ大臣にもその点を深く留意していただきたいと思うし、もう一度答弁をお願いしたいと思うんです。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういう声が私の耳にも実は入ってまいります。適切な御指摘でございますので、よく注意をいたしてまいります。
  56. 鈴木和美

    鈴木和美君 最後ですが、村上委員長にお願い申し上げます。  私は時間が六十五分しかございませんので、実態について十分話をすることができません。しかし、自分の心境は今大臣に申し上げたとおりです。  国税の職員とか税関の職員の法案がかかるときには、大変同僚の皆さんにも御協力をいただいて附帯決議というのがつけられます。しかし、財務局の問題について今まで一回もないです。これは、私は大変な仕事をやっていると思うんです。ですから、附帯決議についてもぜひ委員長の御考慮をいただきたいと思うし、今お話をしたように、あの広告の問題なんというのは、どこからどこまでが悪でどこからどこまでがいいのかという、なかなか難しい問題もあるんですよ。  だから、単に広告の規則をすればいいというだけでなくて、悪退治の方ばかりじゃなくて、善良な方もやっぱり育成するというような観点に立ってほしいし、それから職員の問題についても、単にこの法案をどうするというだけじゃなくて、今私が全部話をした五十八年からの新規業務のそういう仕事量に見合った定員というものを再考してもらうというようなことを、まげて本院の皆さんの御協力を得たいと思いますので、また委員長においても十分再考していただきたいと思います。
  57. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 心にとめておきます。
  58. 鈴木和美

    鈴木和美君 以上をもって終わります。
  59. 和田教美

    和田教美君 抵当証券取引につきましては、これまで抵当証券の発行に関する法律すなわち抵当証券法、これは存在するわけですけれども、この証券の販売を行う業者に対する法律上の規制がなくて、貸金業登録さえあればだれでも抵当証券取引を行うことができる、こういうことになっておりました。そういうルーズな仕組みが去年の秋以降一般投資家販売するモーゲージ証書のカラ売り、二重売りを行う悪質業者を出現させて、そして一般大衆に大きな被害を及ぼした原因の一つだと言えると思います。  そこで、今議題になっておりますこの抵当証券業規制等に関する法律案は、このような状況を受けて抵当証券購入者保護立場から抵当証券業者について登録制を実施し、その事業に対して必要な規制を行うということを内容とするものでありまして、我々ももちろんそれは必要だと思うし、その趣旨には賛成であります。しかし、なぜ昨年ああいう事件が相次ぐ前にこのような規制法の整備が行われなかったのか。例によって後追い行政に対する政府の責任というものは追及しなければならないと考えております。  そこで、まず大蔵大臣に総括的にお尋ねするんですけれども、今回の規制法によって購入者保護あるいはまた抵当証券業者の体質改善、こういうものを確保する法制の整備が一応整うというふうに考えておられるのか、お聞きしたいわけであります。
  60. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御審議をいただいております法律によりまして、まず抵当証券業者について、これは登録制という、先ほども御質問があっておりましたが、許可というわけではない、しかし届け出ということでもない、登録ということにいたしまして欠格条項を設けた、三年でレビューをするというようなことで。また、その登録を受けました業者が不適当な行為がありましたときには、それについての監督、罰則等を加えまして、それによりまして、まず抵当証券業者の側について一つ規制をした。しかし、どちらかといえば、市場経済というものを尊重する考えの上での規制をしたということでございます。  それからまた、この購入者に対しましても、それは同時に購入者に対する保護にもなるわけでございますけれども、保管機構というようなことも設けまして、カラ売りあるいは二重売り等々の被害を受けないようにという配慮もいたしたと。これもしかしどちらかといいますと、金利の高い商品でございますから、金利の高い商品についてはそれなりに多少のリスクはあるということはこれは当然でございましょうし、その範囲のことはやはり市場経済の選択のうちであろうというふうにも考えましたので、その程度の購入者保護を行う、こういうことでまず自由経済の中で起こってまいりました取り締まるべきゆがみ、不正あるいは詐欺に及ぶような行為等々については、それを行う者またその被害を受ける者両方についてまず適度な保護を、規制を行ったと、このぐらいのところではないかという感じを持っております。
  61. 和田教美

    和田教美君 それでは、以下、鈴木委員の質問となるべく重複しない形で法案内容に即して二、三問題点を聞いてみたいと思います。  まずこの法案は、第三条以下で「抵当証券販売で業として行うもの」は大蔵大臣登録を受けた法人でなければならないということ。また、登録申請書が一定要件に該当するときは登録は拒否されるといういわゆる開業規制の条項を設けております。  そこで、第六条によると「資本又は出資の額が抵当証券購入者保護するため必要かつ適当と認められる金額」で、「政令で定める金額に満たない」場合は登録を拒否するということになっておりますが、これは具体的には抵当証券業者の資本金がどの程度以上でなければならないということなのか、お尋ねしたいと思います。
  62. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 購入者投資家保護するためには、抵当証券業者が非常にしっかりしていなければいけない。特に経済的基礎の面において十分なものがなければならないという要請があるわけでございます。したがって、このような観点からはある程度高い金額にすることが望ましいということでございます。しかし、余りにも高くしますと、必要以上に参入制限を課することになるということもございますので、この両者をいろいろ勘案して今後政令に定めていくということになるわけでございますが、その際には、さらに他の金融機関についての最低資本金とのバランス等々も考えなければなりませんし、それから現在営業している抵当証券業者の資本金等も考えなければなりません。したがって、具体的に今この金額ということはなかなか申し上げられないのですが、一応事務的に現在頭にありますのは、五千万円から一億円といった金額を念頭に置きながら今後早急に詰めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  63. 和田教美

    和田教美君 次に、第六条一項七号の「適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成」という問題については既にお答えがございましたから、私も鈴木委員意見と全く同感で、早くその基準をはっきりする必要があるというふうに思います。  次に、私がこういう登録の拒否要件というものをまずお聞きしたのは、資本金などのバーが余り高いということになりますと、当然登録を拒否される業者がふえてくる、こういうことになると思います。そうすると、抵当証券購入者立場から見れば、業者登録を拒否されるということはその業者の信用が著しく低下するということになりまして、そこで投資家が不安になって、一斉に現在既に購入をしているモーゲージ証書の解約を業者に申し込む、その結果、一種の取りつけ騒ぎのような状態になって、もともと財政基盤が弱いから登録を拒否されるわけですから、そういう状態になると業者はたちまちパンクしてしまう。そこで倒産をする。それによって購入者に不測の損害を与えるという、去年のケースとまた違った形での被害事件が起こらないかどうかということをまず心配するわけでございます。  そこで、こういう混乱状態が起こるのを避けるために、例えば登録を拒否された業者が既に販売をしている抵当証券ですね、これを他の金融機関に買い取らせるとか、何らかの手段を準備しておく必要があると思うんですけれども、そういう対応策について大蔵省はどういうふうにお考えですか。
  64. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 本法案が成立いたしました後、登録を拒否される業者が仮に出てくるということも予想されるわけでございますが、現在約百社あるわけでございますが、恐らく大部分の業者は、既に問題の業者警察等で検挙しておりますので、そのまま営業が継続できるものと我々は一応考えているわけでございます。しかし、そういう中でもなお仮に登録拒否というような事態が起こりましたときに、既に抵当証券を保有している投資家、これをどう保護するかということは、委員がおっしゃいますように、非常に重要な問題であろうかと考えている次第でございます。そしてその場合に、法律上は、この法律が成立しました後半年の間は登録がなくても営業ができるというふうになっております。それが一つ法律上の手当てでございます。  それから、仮に登録が拒否されましても、私法的な関係では引き続きその抵当証券は従来登録を拒否されました抵当証券業者との間で有効でございますので、そういう面でも法律上は問題がないわけでございます。  ただ、仮に先ほどおっしゃいますように倒産したというときに問題が出てくるわけでありますが、この場合には、法律上この抵当証券保管機構に取り立てその他の委任を、投資家が契約を結びまして、そちらにお願いするという手段もあるわけでございます。場合によりましては、どこかの業者がその抵当証券を引き受けるということも法律上は可能でございますので、もろもろのそういう措置を念頭に置きながら、遺漏なきように行政上措置をとってまいりたいと考えている次第でございます。
  65. 和田教美

    和田教美君 今のお答えで大体わかりましたけれども、抵当証券に関する団体には抵当証券業懇話会、これは金融機関その他をバックとしているものですけれども、そのほかにいわゆる独立系と言われる三十社ぐらいの業者がありまして、これは任意団体ですけれども、最近日本抵当証券業協会というのを発足させて、二十社程度が加入したというふうに聞いております。また、法務省系の社団法人の日本抵当証券協会というものもございます。  ところが、この独立系の一部に大蔵省はどうも登録に当たって非常に厳しい条件をつけて、抵当証券業懇話会に加入をしている業者ということで大体線を引いて、その他の業者はなかなか認めてくれないのではないかというようなうわさなり、デマかもしれませんけれども、そういうものも私は耳にするわけです。そういう画一的な線の引き方ということは私はあり得ないと思うんですけれども、念のためにその点も確かめておきたいと思います。
  66. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 本法案におきまして、大蔵大臣は、登録の申請があったときは、一定登録拒否要件に該当しない限りその者を登録しなければならないとされているわけでございまして、したがって、今委員からお話がございましたようなことはあり得ないということでございます。したがいまして、要件に合致する限り、登録を受け付けるということでございます。
  67. 和田教美

    和田教美君 次に、この法律によって新設される抵当証券保管機構についてお尋ねします。  第十八条で、業者販売を行った抵当証券をみずから保管することを禁止して、新設する抵当証券保管機構が保管するということになっております。さきにも述べましたように、抵当証券取引に関する悪質な手口は、実際に抵当証券が発行されていないのにモーゲージ証書を売るとかカラ売りする、あるいはモーゲージ証書の水増し、二重売りというふうなことであったわけですけれども、この保管機構に原券を預けることでこのような不正な手口は完全に防げるのかどうか。つまり、保管機構は原券の保管に当たってその原券に見合うモーゲージ証書が発行されているかどうかを厳密にチェックできるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  68. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今おっしゃいました点がこの保管機構の一番ポイントになる点でございまして、したがって、この保管機構は抵当証券の原券を保管した際に預かり証を発行するわけでございますが、その場合にはモーゲージ証書ともきちっとチェックいたしましてその対応を間違えないようにするということで、今おっしゃいました二重売り、カラ売りということが起こらないようにするという仕組みになっておるわけでございます。
  69. 和田教美

    和田教美君 保管機構のチェックによってカラ売り、二重売りが一応防止できるというふうな前提に立っても、もう一つ問題があると思います。それは、先ほどちょっと出ておりましたけれども、そもそも抵当証券の発行に当たって担保の十分性が確保されているかどうかをどういうふうな手段で点検をするかということです。  抵当証券における担保の十分性を証する書面として不動産鑑定士による鑑定書がつけられるというわけですけれども、もしこの不動産鑑定士の土地評価が水増しされて、抵当証券の金額が担保価値以上になっているという場合にどのような手段でチェックできるのか。今後は、例えば土地の値段はむしろ下がっていく、そういうふうにやっていくんだと政府はおっしゃっているわけですから、担保価値が高くて実際の価値は値下がりによってそれ以下になっているというふうなケースも十分考えられるわけですけれども、これは国土庁ですね、国土庁としてはどういうお考えで指導していくつもりかお答えを願いたいと思います。
  70. 森悠

    説明員(森悠君) 不動産鑑定士の指導につきましては、これまでも不動産鑑定士等の団体でございます社団法人日本不動産鑑定協会を通じましてその資質の向上等に努めてまいったわけでございますが、低生証券発行に伴います鑑定評価については、昨年の十二月に同協会からその留意点等につきましてかなり詳細な通知を発しまして、また会員広報とか講演会等によりましても啓蒙活動を行ってきたところでございます。  この結果、現在では不動産鑑定士は抵当証券発行に伴います鑑定評価の社会的な重大性ということについて十分に認識するに至っておりますので、鑑定評価の適正さというものは確保できるものと考えておりますが、今後におきましても指導の強化を図ってまいりたいと考えております。
  71. 和田教美

    和田教美君 今の銀行局長の御答弁で、今度の保管機構は抵当証券の保管のチェックが一番の任務だというふうにおっしゃったけれども、購入者保護という立場から見れば単なる保管というだけでなくて、支払い保証機構をつくるということが必要でないかどうか、業者によっては自分で保証するというふうなところが多いわけですけれども、それが十分でないということであれば、支払い保証機構というものを考えたらどうかというふうに私は考えるんです。  例えば保証のやり方として、この支払い保証機構に業者から財源をそれぞれ出資させて、その運営利益等によって保証財源をつくる。そして、この保証機構は抵当証券原券を業者から預かるときにその保証額を決定して、その範囲内でモーゲージ証書を発行させる、それに保証印を押す、また保証機構は保証したモーゲージ証書の買い取りも行う、こういうふうなやり方も一案ではないかというふうに思うんですけれども、これは今後の研究課題として検討される価値があると思うんですがいかがですか。
  72. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 保証することによって、より投資物件としての安全性を確保していくという点は一つ検討に値するお考えかと思いますが、ただ、いずれにしましても現実にはほとんどの抵当証券会社が既に保証を行っております。さらに、今回の法案によりまして開業規制、行為規制、その他非常に投資家保護のための規制を強化しておりますので、そういう意味では従来に比べまして抵当証券の信用度は非常に高まったと考えられるわけでございます。  しかし、いずれにしましても将来そういう問題についてどう考えていくかということは当然一つ課題としてあるわけでございまして、今度の法律でこの抵当証券保管機構調査及び研究の機能を与えておりますので、今後そこでこの問題について研究させるということも考えられるということでございます。
  73. 和田教美

    和田教美君 この法案は、例えば第十六条を読んでみますと、「抵当証券業者は、抵当証券販売に係る契約を締結したときは、」云々というふうな書き方で、あくまで発行された抵当証券の原券を販売するという建前で書かれております。しかし、実際には抵当証券業者は、先ほどから話が出ておりますように、抵当証券の原券を購入者に直接渡すのではなくて、そのかわりに購入者にはいわゆるモーゲージ証書、これを交付するという販売方式をとっております。  ところが、この法案の文言を読んでみますと、このモーゲージ証書に関する的確な条項はどうも見当たらないように私は思うんです。昭和六年に施行された抵当証券法はもともと抵当証券販売がこういうモーゲージ証書方式で行われることを全く想定していなかったからこれに関する規定がないのは当然だと思うんですけれども、せっかく新しく規制法案をつくってやるというのなら、この機会にモーゲージ証書というものの法的性格、例えば共有持ち分権方式、荷預かり証であるとかどうとか、そういう性格などについてもっと明確な規定を置いたらどうかと思うんですけれども、第十六条はややそういう感じがいたしますけれども、どうも第十六条に書いてある「書面」というものは、今のモーゲージ証書そのものではないような気もするし、その点が非常に不明確になっていると思うんですけれども、その点はどうですか。
  74. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今委員の御指摘の点は抵当証券法の問題であろうかと存じます。したがいまして、法務省の所管になる事項が大部分かと思いますが、今回のこの抵当証券業規制法におきましては、証券法そのものは改正いたしませんで、いわゆる投資家保護観点から必要な措置をとっているわけでございます。したがいまして、現在ございますモーゲージ証書を使ってのいわゆる抵当証券販売方式、これもそのまま受け入れまして、その中で投資家をどう保護していくかという観点から法整備を行ったわけでございます。  したがいまして、本法案では、先ほど委員もおっしゃいましたように、モーゲージ証書による販売方式は当然前提になっておりまして、例えば抵当証券販売に係る契約を締結したときは、一定の事項を記載した書面の交付を義務づけておるという点、この辺にはやはりモーゲージ証書やその販売約款等を念頭に置いて、それを投資家保護観点から規定の整備をしているということでございます。
  75. 和田教美

    和田教美君 それでは法務省の方いらしてますか。  今のお話で、大体これは抵当証券業の問題だということでございましたけれども、抵当証券法にモーゲージ証書に関する部分を新しく加えたものにしていくという考え方について、法務省はどういう考え方ですか。
  76. 永井紀昭

    説明員(永井紀昭君) ただいまのお話は抵当証券法にモーゲージ証書を入れるというそういう趣旨でございますか。
  77. 和田教美

    和田教美君 それを聞いているわけです。だからそういうことを、抵当証券法を変えていくということを考えるのかどうかということです。
  78. 永井紀昭

    説明員(永井紀昭君) 現在のところ私どもとしては、モーゲージ証書の動向というものを必ずしも正確に把握しておりませんが、将来的にこれを検討すべきだという意見研究会等でもございました。しかし、現段階では私どもは、この証券法そのものをモーゲージ証券を含めて規定するということは考えておりません。
  79. 和田教美

    和田教美君 そうすると、そのモーゲージ証書の性格というような問題は行方不明になっちゃうわけですね、どっちもやらないということですから。その点は大蔵大臣どうですか、今の問題は。
  80. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 法律問題でもございますので、私の方からまず御答弁申し上げたいと思いますが、いわゆるこのモーゲージ証書は抵当証券の売買の事実を明らかにするとともに、売買の対象となった抵当証券抵当証券会社が保護預かりしているという事実を明らかにする、いわゆる証拠証券でございまして、このようなモーゲージ証書による販売方式は、日本の民事法のもとで契約自由の原則、あるいは私法的自治の原則により、当事者間で合意されればこれは認められる。したがって、極端に言えば違法性はないということでございまして、そういうもとでこのモーゲージ証書は現在実際に使われている、こういうことでございます。
  81. 和田教美

    和田教美君 しかし、購入者立場から見ると、実際に自分が持っているのはモーゲージ証書なんですよね。その法的性格なり原券との関連性なんというようなものが、今のお話を聞いているとさっぱりはっきりしないわけですね。そういうものを持たされているというのは非常に不安ではないですか。その点はもっと今度の、今すぐというわけにはいかないかもしれぬけれども、検討課題として政府部内でもっと調整をする必要があるのではないかと思うのですがいかがですか。
  82. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) その点につきましては、モーゲージ証書のほかに保管証というもの、これは普通はあわせて今後考えていかざるを得ないと思うのですが、それによって抵当証券を保管機構で預かっているということもきちっと対応関係を明らかにしてやっておりますので、そういう意味では、この投資家保護の点では欠けるところがないというふうに考えたわけでございます。  しかし、将来の問題といたしまして、これは法務省の所管になりますが、諸外国にございますような抵当証券、非常に流通性のあるそういうものにどう考えていくかという点は、将来の検討課題として十分あり得ると考えている次第でございます。
  83. 和田教美

    和田教美君 最後の質問ですけれども、抵当証券がこれだけ急速に発展してきたという一つ理由は、利子に対する課税が今まで雑所得の特別控除でほとんど課税されないということがあったわけですね。ところが、今度の所得税法等の改正で、来年四月から抵当証券の利子に対しても一律二〇%の分離課税ということになりました。  そこで、今回の税制の変更が今後抵当証券取引あるいは発行にどのような影響を及ぼすというふうに見ていられるのか、大蔵省の見方をひとつお聞きしない。そして私の質問を終わります。
  84. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今回の税制改正によりまして、抵当証券と他の金融商品、預金その他がございますが、との間の税の上での扱いは二〇%ということで分離課税で一律になったわけでございます。その意味で税の上では全くイコールフッティングになったということでございますので、今後その税引き後の利回りがどうなるかということが、この投資家金利選好と絡んで、抵当証券という商品が伸びていくのかどうかということにかかわってくるかと思います。  ただ、御存じのように、抵当証券は利回りそのものがほかの金融商品に比較しますと高くなっておりますので、したがって、その意味での有利性はなおあるのではないかというふうに考えられるわけでございます。
  85. 多田省吾

    多田省吾君 重複する点もあろうかと思いますが、引き続いて法案につきまして御質問いたします。  まず、法務省にお尋ねいたしますが、抵当証券法が制定されましたのは昭和六年と伺っております。その目的は、金融機関の不動産担保貸し付けの流動化を図り、中小金融機関の倒産を防ぐことにあったと聞いております。当時この目的は十分に果たされたのかどうか、まずお伺いしておきたいと思います。
  86. 永井紀昭

    説明員(永井紀昭君) 昭和六年にこの抵当証券法が制定されましたのは昭和二年の金融恐慌を契機としたということでございます。その当時の提案理由はただいま委員指摘のとおりで中ございます。  私どもの統計を見てみますと、当時昭和六年で申請件数が八十五件ございました。その後昭和七年に四十数件。ところが、それ以降は一けた台の申請件数で推移しておりまして、昭和六年、七年、制定当時は一応それなりの機能をしたのかなと思われますが、その後につきましては、果たして十分その当初の目的が機能していたかどうかということにつきましてはわかりかねるところでございます。
  87. 多田省吾

    多田省吾君 昭和六、七年ごろは少しは活用されたという御答弁でございましたが、その後ほとんど活用されておりません。それが今日、制度の目的とは違った金融商品として注目されたわけです。  それではお伺いいたしますが、ほとんど死文化されたまま長期間を経たものが、いわゆる小口化した預かり証、モーゲージ証書という形で販売されるに至って見直されたわけです。政府は、当然当初の目的と違った形で昭和四十八年ころから流動化し始めたときに、十分その行方を見きわめる必要があったと思います。それが十四年以上もたってやっとそのデメリットに歯どめをかけようとされております。余りにも遅過ぎると言わざるを得ません。被害者が出ないうちに対策を立てることが政府の役目だと思います。それに、生じた事件に関しましても私は責任を感じていただきたい、このように思います。  国の施策を見ておりますと、ちょうどネズミ講あるいはマルチ商法というようなものがありましたけれども、昭和四十五年ごろ本委員会におきましてもネズミ講が初めて質疑されましたが、その当時は福田大蔵大臣でありましたけれども、翌年脱税ということで摘発岩れ、しかし法案ができるまで数年間かかったと思っております。その後、土地対策にしましてもこの抵当証券業対策にしましても、国民の間に被害が広がって、司法が動き出し、マスコミがそれを報じてから重い腰を上げると、このような姿でございます。  大蔵省の機構にもやはり財務局、あるいは地方庁には財政担当部門があります。なぜこのような被害未然防止できなかったのか大変残念に思うわけでございますが、これからますますマル優の原則廃止も重なりまして、さまざまな金融商品国民に選択されるようになっております。その中には、国民被害をこうむるものがまた続出しないとも限りません。政府はどのような措置を講じてこれを未然に防いでいくかお尋ねしたい。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のように、かなり古い法律によって認められた制度が、長い時間たちまして今回のような商品になってきたということ、それは考えてみれば、市場経済においてそうなるだけの理由があってそういう商品が生まれたというふうに考えていくべきだと思いますので、そのこと自身が不適当である、間違っておるというふうに考えるべきではないと思います。  ただ、そういう商品が流通をしていく中にあっていわばそれが不正な手段の対象になる、あるいは投資者側が十分知識がないといったようないろいろな理由があるにしましても、その不正に乗ぜられるというような結果になるに及びまして、それは詐欺であるといって法に問いましても事後の処置にしかなりませんので、やむを得ず最小限度規制を行うと、そういう一つのこれは事例であったと思います。  私どもは、そういう市場経済の中から取引が自然に生まれるということ自身はこれはそれでよろしいことだと思っておりまして、政府の任務は、そのような中でいわば弱いと申しますかあるいは十分に知識を持っていないと申しますか、そういう人々がそのような詐欺等に遣わないように、遭いにくいように、そういう意味での保護を両方の側に向かって規制を行うということがこのたびの法律であろうと思いますので、これは弁解を申し上げるという意味ではございませんで、本来的にそのような現象が起こってまいりましたときに最小限度規制なり保護なりを考えるという、そういう行政の姿勢でよろしいのではないか。幾らか手おくれになりましたことは残念なことでございますけれども、立法の趣旨はそのような趣旨でございます。
  89. 多田省吾

    多田省吾君 今回の制度抵当証券保管機構ができるわけです。しかし、これは保管であって保証ではありません。投資家は、抵当という土地をバックにしたものであれば絶対大丈夫であろうと考えます。抵当証券といえども、他の株式などの金融商品と同様に、得もすれば損もするんだとい  認識が国民の皆さんに知っていただかなければならないことだと思いますが、この抵当証券の持つデメリットの部分として考えられるものを挙げていただきたい。
  90. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 抵当証券取引は特定の債務に係る債権の譲渡であるわけでございますので、その債務者の返済能力や担保物件の換価価値が違ってまいりますとおのずからリスクに差が出てくるという点で、通例の金融商品ですとそういう意味でのリスクの点で同じ商品は大体同じようなリスクということでございますが、この場合は個々によってそういう差がかなりあるという点が一つ挙げられます。  また、抵当証券会社が間に立っておるわけでございますが、これがデフォルト、破産したような場合には、購入者がみずから取り立てを行わざるを得なくなるという問題も従来から指摘されてきたところでございます。したがって、こうした点から言いますと、抵当証券は預貯金等と比較して金融商品として差があるというふうに言われるわけでございますが、そのかわり、メリットの方になるかもしれませんが、利回りは若干高くなるということでございます。  したがって、今回の法改正におきましてはこのデメリットの点をできるだけなくす方向で法改正をお願いしているわけでございまして、そういう意味では本法案は今後抵当証券が健全に流通していく上でプラスになるというふうに考えている次第でございます。
  91. 多田省吾

    多田省吾君 抵当証券保管機構についてもう一点お伺いしたいのでございますが、一つは取り立てを代行できるとあるが、どのような方法で行うのか。二つは機構がどの程度の人員と経費を必要とするのか。三つは実際の業務は他に委託するとありますが、その方法はどういうものか。以上、この点。
  92. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 第一の取り立て代行のお話でございますけれども、これは抵当証券会社が仮にその正常な業務運営に支障を来したような場合、破産したような場合に、購入者がみずからの元利金の取り立てを行わざるを得なくなるわけでございますけれども、本法案ではこの購入者がそういうような場合には抵当証券保管機構に取り立ての代行を頼むことができるというふうになっているわけでございます。したがって、保管機構との間で取り立てについての委任契約を締結する等によって元利金の弁済を受けることができるということでございます。  それから二番目の、機構はどの程度の人数と経費という点でございますが、これにつきましては、ここへの手数料が結局コストとなるものですから、できるだけそういう点では必要最小限の機構にしていく、より効率的なものをできるだけ考えていくということでございます。  ただ、余りにもそういう点で節約いたしますとまた機構が十分に動きませんので、その辺の兼ね合いを考えながら機構をつくっていくということになろうかと考えております。  それから、業務は他に委託することができるというふうになっておりますが、これは主として抵当証券の保管を委託するということになろうかと思います。保管されている抵当証券の実質的な管理や保管証の発行など保管機構の中枢をなす業務につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、機構自身が行うということになりますので、そういう物理的な保管等が委託されるということであろうかと存じます。
  93. 多田省吾

    多田省吾君 現在、抵当証券は現実的には幾らかのモーゲージ証書になって販売されておりますけれども、その額面は五十万円から百万円がほとんどであります。それが今度の制度下でどうなるのか。また、債務者にとって自分の抵当証券がだれに購入されているかを知る方法はあるのか。また、何分割されているかについて知る方法があるのか。投資家にとっても自分が購入したモーゲージ証券が何分割されたうちの一つかも知りたいと思いますが、知る方法があるのか。その点お答えいただきたい。
  94. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) まず、モーゲージ証書の額面でございますが、現在ほとんどが百万円前後ということでございます。今回の法律が制定されましてもこの金額についてはさほど大きな変更は起こらないのではないかというふうに予想しているのでございます。  それから第二の、債務者が、結局抵当証券がだれに購入され、何分割されているかという点を知ることができるかということでありますが、そもそも抵当証券を発行することは最初の契約において債務者との間で明確になっておりますので、その抵当証券は発行されている、しかしそれを一種の担保みたいにして預かり証等を出して、さらに分割して売れているという点につきましては、債務者がこの事実を知りませんでも特にその保護の上で問題はないのでございまして、したがってこの点は債務者が制度の上では知り得る状況にはないということでございます。  他方、投資家にとりまして、自分は抵当証券のどの部分を、河口に分けたうちの一口を買っているか等々について知ることにつきましては、やはりその意味での利益があるわけでございますので、投資家が購入した抵当証券につきましてモーゲージ証書その他を出すわけでございますが、その証券の番号、登記所の表示、それから証券作成の年月日、債権の元本及びその弁済期等を記載させまして、分割して購入した投資家にもそれを知り得るようにする方向で、現在その書面にどういうことを記載させるかについて、検討しているということでございます。
  95. 多田省吾

    多田省吾君 私は、最後に財務局の方々の増員問題で大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。  国税あるいは税関関係職員の増員に関しましては、本委員会でもいつも附帯決議がついているわけでございます。私は、昨日も全財務労組の方々からお聞きしたのでございますが、先ほど鈴木委員からも御質問ございましたように、財務局の職員不足で大変仕事が過重になっていると思います。労組の方々のお話によりますと、財務局の職場では昭和四十三年度から始まった十九年間の六次にわたる定員削減計画によって千八百一名が削減され、その純減率は二七・二%に及んでいる。ちなみに、過去五年におきましても新規業務等による定員増が三十九名に達しまして、減員は四百二名、差し引き純減三百六十三名に及んでいる。ところが、過去五年で見ましても貸金業監督業務、たばこ業務に加えて昨年十一月から投資顧問業監督業務の新規業務も行っておられる。  そこで、そういう金融自由化、国際化等の流れの中で業務が複雑かつ多様化している現状において、やはり業務量に見合った要員の確保というものが実効ある措置に不可欠であると、このように言われておりまして、大蔵省財務局、財務事務所、出張所の大幅増員を求める請願も本委員会にも出ているわけでございまして、これはこちらで審議することにしましても、この法案を早期に成立させることも大事でありますけれども、業務量に見合った要員の確保というものが非常に大事だと、このように私は思いますが大蔵大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  96. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど鈴木委員からも御指摘のあったところでございましたが、大蔵省が国の行財政改革のいわば主たる責任を負っておるとみずから考えております役所でございますだけに定員等につきましてもかなり厳しくみずからを律しておりますが、その中で国税これは御承知のように、国税事務というものは非常に目立って顕著に大きくなっておりますし、また税関も国際化等々に従いまして忙しくなっておる。財務局が決して仕事がふえていないわけではありませんで、ただいま御指摘のように、新しい仕事がたくさん出ておるわけでございますが、どうも前二者の事業の量が多くなってまいりますだけに、財務局がいわばそのしわ寄せを受けるといったようなことは私もしばしば耳にいたします。  全体として機械化あるいは合理化等々、一生懸命努めておりますが、事務が増大しておることもまた事実でございまして、財務局がいわば前二者のために必要以上な削減を受けるといったようなことがございませんように今後とも、ただいままた多田委員から御指摘がございまして、十分注意をいたしてまいります。
  97. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 宮澤大蔵大臣とは再び委員会で相まみえまして、引き続いてですから改めてということではないのですが、ただ竹下内閣大蔵大臣でありますので、最初に若干大蔵大臣に基本的な姿勢に関して質問をしたいと思います。    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕  大蔵省の関連のたくさんの職員が一生懸命に仕事をしているということは認めます。先ほど来お話があるとおり、なぜ仕事がふえて人が減るのかというような指摘も出ているくらいですが、ただ残念なことに、特に税務関係に関して最近大分不祥事例が出ていますね。私ここに新聞記事だけを持ってきましたが、九月十一日付の記事ですと山形税務署の渡辺というそこの統括官です。これは大変税務調査も厳しくて、事前にこの人に対していろんな抗議や署長に対する要請もあったんですが、わいろをとったとか、こういう事件であります。それから、税務大学校の研修所の職員がガードマンを刺殺した、盗みに入って放火もしたというようなこととか、今の記事は九月十日。それから十月十四日になりますと、脱税を口実に五百万恐喝をした。これは同和関係団体と共謀したということ。これまでは現職員です。それから、OB——OBまでちょっと大臣になかなか責任というのもあれですが、谷川元局長はもみ消しをやってこれは逮捕されたという、こういう事例まで出ておりまして、これは七月三日で、大変ほんのわずかの期間に集中しておるんです。  そこでお伺いしたいのは、なぜこういう事件が多発し集中したのか、これに対する、こういうものを防止する措置について、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  98. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このような事件が相次いで発生をいたしましたことはまことに遺憾なことでございます。  この際、どうして相次いで発生したか、何かその間に共通な事情があるかということは、ちょっと私ども思い当たりませんけれども、しかしまことに遺憾なことでありまして、従来から注意はいたしておるつもりでございましたが、特に今回のこのような出来事を真剣に受けとめまして、関係者に対して職員に十分注意を喚起するように伝えたところでございます。  今後、一層緊張いたしまして、組織を挙げてこのようなことが二度とございませんように注意をいたしてまいります。
  99. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 今挙げた事件のうち、私は山形へ行った機会に山形税務署に出向いて、署長に会いまして、なぜこういう事件が発生したのか、事前にチェックできなかったのか。しかも事前に申し出もあったわけですね。そしてこの渡辺という男は、わいろで取った金を使って金貸し業までやっておったわけです。現職の税務署の統括官が金貸し業までやっておったと。どうしてチェックできなかったのか、監督責任いかんというので聞いたんですが、この署長は、もう既に事件発生後私が行ったときには五十日もたっていますけれども、何も答えないんです。今は答えられないと言うんですね。五十日もたっておれば、やはり直接の上司であれば何らかの調査をし、しかも私が行くのわかっているんだから、この問題で行くよと。だから、何らかの返事があってしかるべきですが、この問題に関して一切答弁しませんでした。しかも、これは直接私にじゃないけれども、別の男には、そういう監督責任など外部から言われる筋じゃないと、こうまで言っておるわけですね。私は、こういう姿勢がこのような事件多発の一因だと思うんです。  だからそういう意味で、この場合は署長あるいは国税局の幹部の体質だと思うんですが、この辺に対して大臣からも厳しく指導してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。特にこの渡辺という男はとにかく大変厳しい税務調査で非常に評判の悪かった人です。たまたま調査へ行って、人が一人おってもだめだと言って排除しまして、だれもいなくなったところでおどかして、そして今度またすかして金を要求した、こういうことらしいんですよ。だから、こんなことを発生させる土壌があったんじゃないかと思うんですが、それについてもう一度大臣の所見をお伺いしたい。
  100. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 大臣から先ほどお答えしていただきました点と一部重複する点についてお答えをいたしたいと思いますけれども、ただいま委員が御指摘になりましたように、最近、直接税務行政に携わる者または税務行政に関連して幾つかの非行が発生し、新聞等にも報道されていることは事実でございまして、私どもまことに遺憾と思う次第であります。  私どもとしましては、税務行政の適正円滑な執行を図るためには、綱紀を厳正に保持し、もって税務に対する国民の信頼を確保することが不可欠の要件であることに思いをいたしまして、今後とも綱紀の厳正の保持については国税局長会議を初め、各種の会議において機会あるごとに繰り返し職員の注意を喚起するつもりであります。特に最近における、今委員が御指摘になりました山形事件を初め、これらの事件については真剣に受けとめまして、事件の発生に関係のあると思われる日常の事務管理及び職員の身上把握についての適正化等について具体的に重ねて注意を喚起しているところであります。また、非行事件の関係者についても、処分すべき者については厳正な処分を行っているところでございます。  今後ともこのようなことが二度と起こらぬよう最大限の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  101. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 山形の渡辺という人物は処分はありましたか。少なくとも私が行ったときだから事件発生後五十日たっていたけれども、何の処分もなかったんですが、どうですか。
  102. 日向隆

    政府委員(日向隆君) この事件につきましては司法当局の手によって取り調べが行われておりまして、私どもが、正直申し上げまして、事実確認をするのに若干時間をとったところでございます。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 私どもといたしましては、その後事実確認をいたしまして、渡辺孝芳統括官につきましては十二月一日付をもって懲戒免職処分にいたしております。
  103. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 次の問題は、本法案と関係しますが、土地の投機の問題との関係です。  きのうもやりましたし、またあしたも大蔵大臣と土地特別委員会でお会いします。また私あした大臣に質問をいたしますけれども、きはうはその一端として実は抵当証券業者が土地投機にかんでいる、そんな事例が最近大分出てきておるんですが、その辺の実情は局長つかんでいますか。
  104. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) その実情はつかんでおりません。
  105. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 となると、ちょっと私心配でしてね。きのう私このコピーを見に来た人にお渡ししましたけれども、大体この辺は西麻布三丁目の土地で、地価暴騰の一つの代表的な事例と言われている土地なんです。そこの土地について日本生命系のニッセイ抵当証券、これが七十億、それから地銀生保住宅ローン、五十億の融資を受けています。これは根抵当でなくて普通の抵当権ですから全額出していますから、恐らく抵当証券をここで設定したんだろうと、こう推察をします。この例だけじゃなくて、今の所有者は麻布土地ですが、芝興産という不動産会社の所有の土地に日本モーゲージが昨年の八月に七億円、それからさらに四月に十五億円、さらに今度は原宿駅に近い土地について日本抵当証券が七億、さらに一億と、こういう出資があっていずれも地上げの地域に関係をしておるんです。  私が心配をしますのは、地価高騰、急騰ですからね、私あした大臣に資料もお示ししますけれども、わずか一年、二年の間に二倍、三倍ですよ、抵当権のつき方を見て。そういう急騰土地は場合によったらまたがたっと落ちる可能性がありますね。また、落ちてしかるべきだし、私はそういう方策はあした提起したいと思うんですが、となりますと、こんな急騰土地に抵当証券がどんどん設定されてそれが売り出される、これはやっぱり大問題だと思うんですが、そういう認識はありませんか。
  106. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 抵当証券会社の融資につきましては、御存じのように、貸金業法上の規制を受けているわけでございます。したがいまして、今御審議いただいております抵当証券業法上の規制とは無関係であるわけでございます。  そして今度は貸金業法上の規制のあり方について申し上げますと、これも御存じのように、そもそもこの貸金業法ができましたのは、貸金業者からお金を借りている零細個人等に対する取り立て、その他厳しく貸金業者にいじめられるのでそれを保護するという観点だけでできておりまして、今委員がおっしゃいますようなむしろ貸金業者よりもさらに強くていろいろ問題のあることを行う業者を対象とし、それを規制するという観点から貸金業法というのはできてないわけでございます。  したがいまして、大蔵省としてはそういう意味では直接にこういう問題について法律上一般的な監督権限はないわけでございますが、しかし御存じのように、最近投機的な土地取引において貸金業者その他がそういうものを助長している面もあるかもしれないということから、大蔵省の直接監督しております金融機関の関連会社である貸金業者に対しましては、金融機関を通じまして特別ヒアリングその他をやることによって厳しく、最近ですが、監督規制を行っているところでございます。それとともに片方、貸金業者の方も、これは大蔵省と直接関係はございませんが、そういう意味での自主規制をやっておりまして申し合わせをやったところでございます。  したがいまして、そういう意味ではこの問題についても行政としてやれる範囲で措置をとってきているということでございます。
  107. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 どうも質問するたびに心配が一つ一つふえていく感じなんですが、今も答弁のとおり直接の監督対象でないわけですね。土地高騰については——サラ金法案をここで審議しましたが、貸金業者について一定規制、しかしこれはあくまでも外形的な部分に対する規制で、融資の中身に対する規制じゃありませんから、融資の中身に対するチェックとしてはこれは金融機関の不当な融資ということで大問題になって、それで銀行局長通達なども出て、私はまだ不十分な面もあるし、またそれはあした指摘しますけれども、私は、遅過ぎたという面もあるけれども、それなりに一定の効果はあるんじゃないかと思うんです。ただ、この銀行局長通達の及ぶ範囲、直接指導できる範囲が限られていまして、これは先週の土曜日の衆議院において我が党の工藤議員が具体的な事実で指摘をし、それは谷間だろう、盲点だろうという大臣答弁もあったんですが、そういう意味では、この抵当証券業者が不動産投機に手を出す、地価つり上げに手をかすというのは、その分野については大蔵省としてはやっぱり谷間、盲点と言わざるを得ないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  108. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) その意味では直接の一般的な監督権限はないわけでございます。
  109. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ですから、私は業務内容に立ち入ってまでこういう問題に対してやっぱり関与ができる——せっかく銀行に対してやりましても、この制度を使って大蔵省の目の届かぬ部分がやってくれば、せっかくやったってそれはしり抜けになってしまうので、ひとつ大いにその面までタッチできるような体制を検討していただきたい、こう思うんです。大臣、いかがですか。——ちょっと大臣が私の質問を聞いていなかったのでもう一度大臣に申し上げますと、今の現行法や現行制度では、今言った抵当証券業者の方に対して直接チェックがなかなか困難だろうと。しかし、せっかく銀行局長通達が一定の効果を出し始めたとしても、こういうところがあったらしり抜けじゃないか。となると、これはやっぱり一歩新しいところへ踏み込むことだと思いますので、これは局長段階じゃなくて、大臣としてそういうところの検討を始め、またチェックする方策を考えるべきではないかという質問をしたわけなんです。
  110. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず、貸金業者に対しましては、貸金業法そのものはそういう権限を私どもに実は与えていないわけでございますが、金融機関との関連がございますと、その関連で金融機関を通じて不動産等についての融資につきましては十分注意を喚起いたしたところでございます。  それから、抵当証券業者に対しましても、そういう意味での法的な権限はあるとは申せないと思いますが、一般的な指導と申しますか、協会等々を通じましてそういうことはできるだけ事実問題としてやってまいりたいとは思います。
  111. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 さっきも申し上げたとおり、抵当証券業者が何十億という単位で融資をし、そしてこの抵当証券を設定しているわけですね。結構大きい、また地上げに相当やっぱり影響を持つものだと思いまして、私は現行法で難しいことはわかるんですが、だから大臣に質問したのは、立法措置も含め、また指導も含めてあらゆる角度からもう一歩踏み込むということを考えてはいかがかというのが私の提案を含めた質問なんですが、いかがですか。
  112. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま申しましたようなことでございますから、事実問題といたしまして、不正はもちろんでございますが、不当と思われるような融資にわたりませんようにできるだけ注意をいたしてまいります。
  113. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 今具体的に指摘したように、やっぱり相手は次から次にいろんなことを考え、いろんなことが出てくるんですね。そうであるだけに、やっぱりこれを監督し、指導する大蔵省の現場の職員は大変だと思うんです。先ほど鈴木委員多田委員からも出ておった財務局、財務職員の仕事は大変だと思いますね。一つは、やっぱり国民のための仕事、地価暴騰を許さぬという面、それは一つの面ですが、たくさんあると思うんですが、そういう面。しかし、人は減っているという点では、私はこれは鈴木多田委員と全く同意見でありますので、ひとつこれは実現方お願いしたいと思います。これは要望だけで質疑に入っていきます。  次に、内容上の問題として、今回登録制にしたんですが、免許でなく登録制にとどめた理由は何でしょうか。
  114. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 開業規制につきましてはさまざまな議論抵当証券研究会にもございました。先ほども御答弁申し上げましたが、届け出がいいのではないかという考え方、それよりも、より規制が強くなりますが、登録がいいのではないか、さらに銀行等と同様に免許、認可等にかからしめてはどうかという議論等があったわけでございます。  その場合に、規制を強くいたしますと、いわゆる投資家保護という点では十分を期すことができるわけでございますが、片方では、余りにもこの規制を強くいたしますと、営業の自由をできるだけ尊重するという観点からは問題もあるわけでございまして、この両方の考え方の中でぎりぎり議論した結果、登録制が適当であるという結論に至りまして、報告書にもそのように書いてございますし、御審議いただいております法案にも登録制ということで御提出申し上げている次第でございます。
  115. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この登録要件の審査について先ほど来幾つか質問がありましたが、銀行法の場合には申請者が銀行業者足り得るかどうかをこれは積極的に審査する、こういう仕組みになっています。本件の場合には、先ほどのような規定はありますが、一応この登録要件を審査するということで銀行法ほど踏み込んではやっぱりやらないんじゃないかなという感じはするんですが、その点はどうか。  例えば六条の最後のところの「財産的基礎及び人的構成」。「財産的基礎」の方は質問がありましたが、「人的構成」については——いろんな経歴を持つ人物がおりますね、例えば豊田商事でいろんなことをやってきたのが紛れ込んでくる、あるいはそのほかのですね。その辺までの審査をするのかどうか。これは経歴書を出させて、うそを書いておったらそれを理由に免許を取り消しちゃうことも可能ですから、そういう人的面などでかなりチェックできるようになるのかどうか。その辺、通達で実現すると思うんですが、どう考えておいてか、いかがですか。
  116. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 抵当証券業者の信用度というのは、これは投資家保護のためにはできるだけ高く保つ必要があるわけでございまして、そういう意味では、登録を受け付ける際には十分に審査を行いたいと考えておるわけでございます。  例えば役員等につきましては、禁錮以上の刑に処せられ、三年を経過していない、そういう者はだめでございますし、傷害、脅迫、背任等の罪を犯して罰金刑に処せられた者等々につきましては登録を拒否するということにもなるわけでございます。さらに、審査に当たりまして、具体的には役員等の履歴書、住民票等々を添付書類として提出させ、そういうものを参考といたしまして十分に審査したいと考えております。
  117. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 その場合の審査がこの法律に書いてあるいろいろな禁止事項、否定的な事項だけの書面審査で終わるのか、それとも一歩踏み込んで、例えば刑罰に処せられていないけれども、実質的に、一例として豊田商事においてあれこれのことをしてきたが、たまたま逮捕、起訴はされていないというような人物でもそういう経歴などを考慮してノーと言うのかどうか。その辺のいわば踏み込んだ実質的な審査、これはどうですか。
  118. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) どの程度そういう点で突っ込んでやれるかという点は、行政権限の範囲からいろいろ限界はあろうかと存じますが、いずれにしましても、問題のある人物がこういう抵当証券業者、法人に入って引き続き従来やっていたような悪いことをやらないように、十分にその点は目を光らせていきたいということでございます。
  119. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 目を光らせるのは結構なんですが、ただここに書いてあるいろんな不適格事項というのは一つの類型だと思うんですね。しかしあくまでも類型であって、当てはまらぬものもありますね。大事なことは、刑罰に触れてなくたって、かつてのことから見て、例えばあちこち会社を倒してきたとか、詐欺罪までいかぬけれども詐欺的なことをずっとやってきたというようなことはそれなりに情報でわかる。過去の先例、幾つかのそういう不当な事例、違法事例、そういうものに踏み込んだ審査をするのかどうか。今の局長答弁ではどうもちょっとよくわかりませんし、その辺を通達でどういう表現でそこをきちっと押さえていくのか。これは大事なことなんですよ。どうですか。
  120. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) その点につきましては、片方におきましてこういう会社に従事している人たちの人権という問題もあるわけでございまして、そういう中でできるだけこの法人がしっかりしたものとなって運営できるように十分に目を光らせながら審査していきたいと考えておるわけでございます。
  121. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 同じ答弁ですから時間のむだなんでこの辺でやめておきますけれども、私は通達でかなり厳格な事項を決めておくことは大変役立つと思うんです。この点では、サラ金法案は衆議院の方はさあっと通ってしまったけれども、さすが良識の府で、参議院の大蔵委員会は相当徹底的に審議しまして、各野党相当厳しく指摘しました。私が大体大蔵省を褒めたのは余りないんだけれども、あの通達は褒めましたよ、これはよろしいと、これで大分効果上げるんじゃないかと。その結果、問題のあった業者は大体淘汰されてきましたよね。この法律そのものはまだまだすき間だらけだけれども、そういう点では通達の段階できちっとやりますと相当効果が上がるので、今のは公式答弁だからなかなか踏み込んだ答弁できないかもしれませんが、その辺よく検討しまして実の上がるような通達をひとつぜひともつくってほしいということを申し上げたいと思います。  次の問題に入りますが、法律的な問題幾つかあります。  その一つは裏書の問題ですね。裏書が白地の場合には、抵当証券上、抵当権を含めた債権を承継できないということが問題になっておるわけですね。問題は、じゃ裏書を強制したらいいじゃないかというんだが、なかなかそれができていない。先ほど答弁では、なるたけ裏書をさせるようにします、複数裏書もさせますということなんです。今まで裏書がなかなかされない理由として、裏書がたくさんあってとてもそれは証券上書き切れないというところが一つの問題だったようです。しかし、複数裏書を考えるようになりますと私はこれは可能だと思うんです。あとは事務的な、技術的な方法で可能だと思いますね。そして裏書がなければ保管機構は預かり書を発行しないというぐあいにしちゃえば、裏書は完全に実行されますよ。裏書が完全に実行されれば、これは購入者の権利保護には格段の保障がされると、だからそれをやったらどうですか。
  122. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) この抵当証券の裏書の問題、特に白地式裏書の効力につきましては、抵当証券法昭和六年に立法されました当時から議論がいろいろあって現在までその議論が続いているわけでございます。片方におきましては若干白地裏書の譲渡は疑義があるという意見もあるわけでございますけれども、一般的には問題ないということで現在まで来ているわけでございます。しかし、この問題の最終的な判断はやはり裁判所の判断にゆだねられるべき問題であると我々考えているわけでございまして、まだそういう意味での機会はないということでございます。
  123. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 白地裏書でも問題ないと局長おっしゃいますけれども、実際は大問題で、先例、判例がまだほとんどないだけに問題が起きてないだけで、法務省に聞いたら、それはやっぱり否定的に解釈せざるを得ないということです。  実際の破産の現場などでは、どうも抵当権を承継したとは実際されないまま倒産した抵当証券会社に対する一般的な債権者にすぎないというので、これは権利を保護されないという、そういう実情に実際これはあるようですよ。だから、いかに銀行局長がここで保証したって、裁判所でこれ否定されたら、その証言を信用していいと思っておった人はみんな損じちゃうのだから。私はそうじゃなくて、裁判所や実務の現場では決してそうなっていないということを前提に、やはりこれは裏書をむしろしっかりさせていく。複数裏書をさせようということになれば、あとはどうやっていくか幾らでも工夫はあると思いますね。だから、それはぜひそういう角度をひとつ進めるべきだ。  今言ったような大丈夫だというようなことじゃない、まだそこは確定してないし、現場じゃ例えばではどうやって倒産した場合に執行するのか何もわかってないと言うんです。法務省に聞いてもよくわからぬし、実際関与して事件を扱っている弁護士に聞いてもさっぱりわからぬ、これが現状で何もわかってないんです。それは長い間適用されてなかったからですね。だから、むしろそういう状況、そういう法解釈が厳として存在する以上、だめだという法解釈がある以上、それを前提に私は事を進めるべきだと思うんですが、どうですか。
  124. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) この問題につきましては、抵当証券研究会におきましてもいろいろの角度から議論されまして、最終的にはやはり裏書をやる方向で指導すべきであるというふうに研究会の報告もいただいているわけです。したがいまして、先ほども御答弁申し上げましたが、今後行政当局といたしましては裏書をさせる方向で業界を指導していくということでございます。
  125. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 時間があとわずかですので、最後の質問をして国土庁とそれから法務省警察庁に簡単に御答弁いただきたいと思います。  一つは、鑑定の水増しが大問題になって事件になったことは先ほど質疑がありましたが、法務局として受け付けの際にこれは実質審査できないものかどうか。大体法務局はその辺の地価はわかっているのだから、その鑑定はおかしいというようなことができないものかという疑問が一つあります。端的にお答えいただきたい。  それから、鑑定協会で自主規制している中身読んでみたら相当細かな、あれも注意しろ、これも注意しろと、それなりにできていますが、これは自主規制だけで足りるのかという問題があるんですね。  それからもう一つ、複数鑑定が必要じゃないか。大体土地鑑定ほどいいかげんなものはないんです。制度的になっている、五人で鑑定するというんでしょう。五人全部違っているんだからね、物すごい差があるというんです。そういう場合には、一番上と一番下を削って、あと三人の鑑定で平均を出す。五人やれば五つ違うというのがこれが普通なんですからね。だから、そういう点でやっぱり複数鑑定をやっていくべきじゃないかというのが国土庁への質問です。  それから、法務省はさっきの実質審査ですね。  警察庁につきましては、これは丸和モーゲージ、これはもう詐欺、背任、めちゃくちゃやった事件で、新聞にも出たので紹介は省略しますが、その捜査を今やっておるようですが、被害者が告訴状を出したのだけれどもこれが受理されてないというのは一体どうしてなのか。  それぞれ簡単にお答えいただいて私の質問を終わります。
  126. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 時間が参っておりますので、簡単に答弁してください。
  127. 永井紀昭

    説明員(永井紀昭君) 抵当証券法上、私どもの登記所の登記官が実質審査することができないというふうになっております。ただ、できないと申しましても、できるだけ正確な鑑定が出るように、国土庁あるいは不動産鑑定協会等と十分協議して、その手続について今後検討したいと思っております。  なお、複数鑑定人の問題でございますが、これはむしろ法務省だと思いますので、私の方から答えさせていただきますと、これにつきましては、委員指摘のとおり、確かに登記所側といたしましても高額の債権額のものにつきましては複数鑑定人の制度検討してもいいのではないかというふうに考えております。
  128. 森悠

    説明員(森悠君) 抵当証券発行に伴います鑑定評価の適正化につきましては、鑑定協会等を通じてこれまでもいろいろと指導を図ってまいったところでございますけれども、今後とも法務省あるいは鑑定協会と一緒にいろいろと検討を進めてまいりたいと思います。
  129. 五十嵐忠行

    説明員五十嵐忠行君) お尋ねの会社につきましては、警察に対しましても非常に苦情が寄せられているということで、現在警察でも捜査中でございます。また、会社自体は既に倒産いたしまして、破産管財人の手で整理が進められていることなどから、警察といたしましては、一応告訴の申し出があったんですが、こうした現状を御説明いたしまして、相手の判断を踏まえて適切に対処するということで考えております。  なお、これまでのところ、その御説明を申し上げましたところ、その後告訴状の提出がなされておりませんので、現在では告訴を受理したという状況にはなっておりません。
  130. 栗林卓司

    栗林卓司君 この抵当証券業というのは一体どういう性格のものなんであろうかというお尋ねであります。言うまでもなく、これが金融機関であることは間違いがないと思うんです。ただ、れっきとした金融機関がということになりますと、やや問題があるんではなかろうか。  そこで、どういう性格の金融機関なんだろうかという点をひとつ申し上げて、御所見を伺いたいと思うんです。  まず、これは「土地、建物又ハ地上権ヲ目的トスル抵当権」をベースにして、これを証券化して、幾つかの数に細分化しながら資金調達をするわけですね。問題はその抵当権の中身なんですが「土地、建物又ハ地上権」、言うまでもなく土地がその主たる部分であることは間違いない。そうすると、土地が値上がりしますと、抵当権そのものは価値が上がります。上がってまいりますと、それを細分化して、やがて資金調達をしようとした場合には比較的高い金利で発売することができるかもしれない。そう考えてみますと、この抵当証券業というのは、根に悪意があったかどうかは別にして、土地投機に利用されやすい体質をもともと持っている金融機関にどうやらなっていってしまいそうだ、私はこんなふうに思えるんですが、この点についてはいかがお考えでございますか。
  131. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 現在の抵当証券を利用している人たち、すなわち融資を受けて抵当権を設定してもらっている人たち、したがって投資家の方ではなくてお金を借りている方でございますが、主として中小企業者が多いわけでございまして、これらの人たちは土地その他を担保に出して融資を受ける。それを抵当証券化することによって、より資金を受けやすくするということに利用しているわけであります。したがいまして、現段階ではそういう機能を非常に果たしているということでございます。  ただ、将来の問題といたしましてどうなるかという点につきましてはいろいろ御議論があろうかと思いますが、いずれにしましても、今後地価その他が鎮静化してまいりますと、やはり本来の機能として伸びていくのではないかというふうに考えているわけでございます。
  132. 栗林卓司

    栗林卓司君 ですから、私が申し上げるのは、最初に悪意があったかどうかは別にしてと言ったんです。地価がどんどん上がってくれば、細分化された二次証券をより有利な条件で売りやすくなることもこれは間違いない。そうすると、この抵当証券業なるものは土地投機をやっぱり鎮静化させるよりも、あおる方に働いてしまうんではあるまいかという性格を申し上げたのであって、そういった意味でこれは要警戒ですねということを私は申し上げただけなんです。  もう一方、片一方で長期資金を融資をしているわけですね。それの調達をどうするかというと、長期資金を融資して担保を取って抵当権を設定して、この債権を幾つかに分けて適当な金利を付して売却をしているわけです。そのときに、どれくらいの単位で分けようかということはこれは自由勝手でありますね。どのくらいの金利を付して売却をするか、それも自由勝手です。こうなりますと、小口資金の自由化なんというのはどこ吹く風になる。そのときにおまえいかぬぞと言ってしまったのでは、この抵当証券業が育たないことになってしまう。そうすると、これは一体今後金融制度の中にどうやって位置づけていったらいいのかということも大問題だと私は思うんです。  よく周辺居住者という言葉がありますけれども、この抵当証券業というのは金融制度における周辺居住者のようなものでありましてね、それは真ん中の大通りを濶歩するにはちょっと柄が悪いんだけれども、ただ必要に応じてどんどん伸びていくんですから、大変なバイタリティーがある。そうしますと、これをきちんと管理するためにはよほど周到な準備をしていかないといけない。したがって、この抵当証券だってふだんの大通りの言葉で言えば金融債ですよ。抵当証券という金融債を発行して資金調達をして長期資金にという機能を果たしていることは間違いないのでありまして、そうしたものを金融制度としてどうやってこれを管理していったらいいんだろうかというあたりが、実ははしなくも結果として投げかけられた大蔵省の大きな課題ではなかろうかと私は思うんですが、この点の御認識を伺っておきたいと思います。
  133. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今御指摘観点も我々の頭の中には十分にあるわけでございますが、ただ、現在の抵当証券の仕組みのもとで考えてみますと、この抵当権及び債権、これが合体されたものが抵当証券でございますが、それは属人的であり特定性が非常に強いわけでございます。通例、金融商品となりますと画一的な普遍的な商品が多いわけでございます。したがって、抵当証券それぞれにかなりの程度に債権債務関係という特定的なものを背負いながらのものでございますから、金融制度の流れの中で今後発展していくには、かなりの制約があるというふうに考えているわけでございます。  現在のところ、個人金融資産残高が六百兆円ございますが、その中で一兆円強ということで金額的にはまだ小さいわけでございまして、したがって、将来、欧米にございますように、そのような特定性、属人性というものと切り離したいわゆる抵当証券制度抵当証券銀行、そういうものが日本において考えられるかどうかという点は、おっしゃるように、今後の金融制度検討の中で一つ課題として十分あり得ると考えているわけでございます。
  134. 栗林卓司

    栗林卓司君 個別性はおっしゃるとおりなんでありまして、抵当証券法の裏書譲渡に関する規定もその個別性を言っていることは間違いないんです。ところが、二次証券であるモーゲージ証券へ道を開きますと様相は一変するのではありますまいかと私は申し上げたので、じゃ、そのモーゲージ証券を一体これから伸ばしていくのか伸ばさないのか、これもひっくるめて大蔵省金融政策としては大問題でありましょうということを暗に申し上げたかったのであります。一いや結構です。意見だけ申し上げて、時間がありませんから先へ進みます。  大臣に、例のルーブル合意について一つだけお尋ねいたします。  声明書を今読んでいるんですが、そこの中で一番最後のくだりで翻訳文を見ますと、「各通貨間における為替レートのこれ以上の顕著な変化は、各国における成長及び調整の可能性を損う恐れがある。」、この認識はルーブル合意以降今日もなお生きていると私は思うんですが、その点に間違いがありますでしょうか。  生きているとしますと、その次のくだりで「為替レートを当面の水準の周辺に安定させることを促進するために緊密に協力することに合意した。」と、こうあるんです。御存じだと思うんです。この「為替レートを当面の水準の周辺」の意味なんですけれども、そのときには、周辺というのはそれはあなた周辺だよということで、何ですかと言ってもお答えを求めづらいんですが、この言葉を使いながらして、実はルーブル合意に集まった各国の人たちの頭にはある数字がやっぱりあったんでありましょう。その数字が幾らであったか、こんなやぼなことは聞きません。ただ私は、この流れているもの、行間を含めて読み取りますと、ルーブル合意というのは、そう言ってしまうことには誤解があり過ぎて、そうですとは言えないけれども、事実上ターゲットゾーンに相当近づいた合意であったのではあるまいか。あと一歩踏み出しますと、固定相場制へ近いようなところにまで実は各国の協議が進んだんですということで理解しておいて間違いないと思えるんですが、いかがでありましょうか。
  135. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) もし最後に言われましたことがお話の結論であるといたしますと、それは必ずしも私は栗林委員のおっしゃいますように思っておりません。やはり何かの、かなり具体的な意味でのターゲットと申しますか、ターゲットゾーンと申しますか、そういうものを考えるのには各国間の政策協調なり何なりがまだまだ流動性を持っておりまして、現実に可能な制度としてのターゲットゾーンというものは、私の見ております限り、いまだに実現性を強く持っているとは思えない。やはりここに述べておりますような、ある意味ではぼやけておるとおっしゃいますか、漠然としておると言われるかもしれませんが、その程度の合意がせいぜいであるというふうに私は思っております。
  136. 栗林卓司

    栗林卓司君 結構です。
  137. 野末陳平

    野末陳平君 この抵当証券の問題については、去年の四月に私は取り上げまして、そのとき竹下大蔵大臣がかなり消極的なお答えだったのでどうなることかと思っておりましたけれども、やっと成立までこぎつけて結構なことだと思います。今までの質疑で問題点も幾つかあるんですけれども、それらは運用の面でしっかり対応していただくということをお願いしておいて、これで質問を終わります。
  138. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  抵当証券業規制等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  139. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、赤桐操君から発言を求められておりますので、これを許します。赤桐操君。
  140. 赤桐操

    赤桐操君 私は、ただいま可決されました抵当証券業規制等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     抵当証券業規制等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一、抵当証券購入者保護を図るため、誇大広告の規制契約締結時の書面の交付等の規定の運用に当っては、当該規定の趣旨が活かされるよう指導・監督すること。  一、抵当証券取引の健全な発展に資するため、抵当証券保管機構抵当証券保管業務に対する監督について万全を期すること。  一、金融自由化、国際化が進むなかで、大蔵省・財務行政の質的向上が重要であり、今般本法が施行されることを踏まえ、業務処理体制等の一層の見直しを行うことにより、業務の効率的、重点的運用に努めるとともに、業務量に見合った財務局職員の要員の確保に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
  141. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ただいま赤村操君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  142. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 全会一致と認めます。よって、赤桐操君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣
  143. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえ配慮してまいりたいと存じます。
  144. 村上正邦

    委員長村上正邦君) なお、審査報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会