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1985-12-19 第103回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十九日(木曜日)    午前十時三分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十二月十八日     辞任         補欠選任      亀井 久興君     嶋崎  均君  十二月十九日     辞任         補欠選任      嶋崎  均君     竹山  裕君      高木 正明君     添田増太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         成相 善十君     理 事                 浦田  勝君                 北  修二君                 星  長治君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 小林 国司君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 添田増太郎君                 高木 正明君                 竹山  裕君                 谷川 寛三君                 初村滝一郎君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 菅野 久光君                 山田  譲君                 刈田 貞子君                 塩出 啓典君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        厚 生 大 臣  増岡 博之君        農林水産大臣   佐藤 守良君    政府委員        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   山内 豊徳君        農林水産大臣官        房審議官     吉國  隆君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        厚生省年金局企        画課長      鏑木 伸一君        厚生省年金局資        金課長      丸山 晴男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する  法律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会  衆議院送付) ○農林水産政策に関する調査北洋漁業安定確  保に関する決議の件) ○米作と食糧安定供給等に関する請願(第三号  ) ○米作り日本食糧確保に関する請願(第四号  ) ○蚕と蚕糸の保護に関する請願(第三八号) ○農林水産物市場開放阻止に関する請願(第四二  号) ○農林水産省家畜衛生試験場北陸支場存置に関  する請願(第七五号) ○昭和六十一年産米良質米奨励金現行確保に関  する請願(第七六号) ○飢餓アフリカ救援日本農林業再建に関する  請願(第二六六号外一〇件) ○農林年金制度抜本改悪反対に関する請願(第  三三五号外三九件) ○営林署存置に関する請願(第七一八号外二件  ) ○標茶営林署の存続に関する請願(第七八八号)     ―――――――――――――
  2. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 菅野久光

    菅野久光君 私は、まず先に、この前我が党の山田委員から今回の改正案懲戒処分等による年金支給制限の問題について質問がございましたが、このことについてまずお伺いをいたしたいと思います。  現行農林漁業団体職員共済組合法の第三十条第三項の給付制限において、「この法律に基づく給付を受けるべき者が禁錮以上の刑に処せられたときは、政令で定めるところにより、その給付の全部又は一部を行わないことができる。」と規定しておりますね。このような制限は、一般社会保険としての厚生年金保険にはないわけであります。したがいまして、厚生年金刑事罰懲戒処分になっても年金支給停止規定はないわけでありますね。  そこで、現行法においてどうしてこのような支給制限規定を設けているのか、さらにこの規定によってこれまで毎年どのくらいの者が制限を受けていたのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
  4. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) お尋ねの点につきましてお答えを申し上げます。  職域年金部分の一部の支給停止をするという考えで御提案を申し上げておりまして、いわゆる厚生年金相当部分については、こういった禁錮以上の刑に処せられました場合も支給の一部停止ということはやらないわけでございます。  職域年金部分についてなぜこういう仕組みをとるかということでございますが、農林年金制度はやはり一定職域に着目をいたしまして、職員相互扶助というねらいで公務員年金制度と同様な措置として職域年金部分を設けておるわけでございまして、こういった観点からいたしますと、やはり刑法犯である禁錮以上の刑に処せられた方というのは重大な非行があった者で、農林漁業団体相互扶助の範疇から逸脱するものであるというふうに考えられますので、職域年金部分に限りまして、その一部について給付制限を行うことにいたしたものでございます。  なお、公務員共済の場合には、特別の身分関係でございますとか懲戒処分が、人事院規則等の定めるところによりまして一律に一定の基準に則して統一的に行われるという観点から、懲戒処分の場合もカット対象になりますけれども農林年金の場合は、禁錮以上の刑事罰に処せられた場合に限って職域年金部分の一部について支給停止する、こういうふうにいたしておるわけでございます。  なお、これまでの現行制度禁錮以上の刑に処せられました場合に二〇%のカットをやっておりますが、どのくらいの数があるのかという点につきましては、ちょっと手元に今数字を持っておりませんけれども、実質的にはほとんど、こういうことによりまして支給制限を受けている方というのは、ありましてもごく少数というふうに理解をいたしております。また、精査をいたしてみたいと思っております。
  5. 菅野久光

    菅野久光君 改正法職域部分についての支給停止ということでただいま答弁なさったのですが、私は現行法においてどうしてこのような支給制限規定を設けていたのかということを聞いたんです。そこの部分は時間の関係がありますからいいですが、ごく少数ということでありますが、この程度のことはやはりきちっと資料として持っているべきものではないかなというふうに私は思います。この点をやっていると、あと時間がございませんから、次に移らしていただきます。  今お話しのように、今回の法案でも、組合員もしくは組合員であった者または遺族共済年金受給権者禁錮以上の刑に処せられた場合並びに懲戒処分を受けた場合は、政令で定めるところにより各共済年金職域部分に係る額の全部または一部を支給しないことができることとしております。  そこで、職域部分カット規定しておりますが、職域部分といっても、ここは職員掛金負担しているのであって、さらにこうした支給停止ということは社会保障制度の理念に反するものではないのか、そう言わざるを得ないわけであります。まさにこの点でいけば、厚生年金との均衡を失することになる。  この規定を設けた合理的な理由というものを、先ほども言われておりましたけれども、さらにひとつ合理的な理由説明していただきたいと思います。
  6. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 厚生年金との比較におきましては、先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、基礎年金厚生年金の場合は二階建てでございますが、農林年金の場合は三階建てになっております。二階建て厚生年金部分につきましては支給制限ということをいたさないことになっておりまして、職域年金部分に限ってということでございますので、厚生年金とのアンバランスということはないというふうに私ども考えておるわけでございます。やはり職域に貢献をした、そしてその職域相互扶助の一環であるという観点からこのような制度を設けておるわけでございます。  しかし、本人掛金を払っているではないかというお尋ねでございますが、この一部支給停止は、具体的にはその率を政令で定めることになっておりますが、この点はまた政令を定めます際に他の共済年金考え方とも調整をしなければいけないと思っておりますが、私ども現在のところ、事業主組合員とのこれは折半負担で成り立っておる農林年金制度でございますので、制限をいたしたといたしましても、五〇%以上制限をするというようなことはしないつもりで考えておるところでございます。
  7. 菅野久光

    菅野久光君 職域に貢献した云々というようなことがあるわけでありますが、これは申すまでもありませんが、農林漁業団体職員共済というのは昭和三十四年に厚生年金保険制度から分離独立したものなんですね。だから、そういう意味からいくとこれは純粋に民間なんです。公務員じゃないんですね。公務員でなくてもその職域にかかわって、何というんですか、職域皆さん方に迷惑をかけたとか、何かそういうことだけで、社会保障的なこういうものまで制限をするということが本当に妥当なのかどうか。  これは衆議院大蔵委員会では国家公務員等共済組合法法案審議のときにいろいろ言われておりますが、公務の特殊性というようなことを非常に総理を初め政府方たちは主張されておったわけですね。ここら辺はかなり、共済組合に国が財政的に補助をしていたということで、国の方が補助をしている部分の中から幾らかを制限するというようなことが一見合理的であるやに見受けられるわけですけれども、あくまでも農林年金というのは厚生年金保険から分離独立したものであって、純粋に民間共済組合なんですね。そこに公務員と同じような形での支給制限を設けるということが一体どうなのか。先ほども言いましたように、厚生年金そのものには設けてないわけです。もともと入っていたところには設けられてなくて、分離独立したがために設けられるということはこれは不合理じゃないでしょうか。いかがでしょう。
  8. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) その点につきましては、厚生年金と申しますのは被用者一般対象にいたしました社会保険でございます。分離独立をいたしまして一定職域に従事する人々の共済年金という形をとりまして、その点で厚生年金と違った性格を帯びたということではないかと思うわけでございます。そして、先ほども申し上げましたけれども農林年金の中の二階建て厚生年金部分につきましては厚生年金と全く同じでございますので、その職域に着目した相互扶助事業であるということから設けられております職域年金部分に限定をしましてこの支給制限規定を設けているということで、御理解をいただけないかなと思っておるわけでございます。
  9. 菅野久光

    菅野久光君 ここのところは何としても理解ができないんですよ。公務員民間というものとを全く同じような考え方で処理をするということは、どう考えてみてもやっぱり不合理。しかも、これは社会保障という意味合いを持っているものですよ。だから、みんなが懲戒処分を受けるなどか、あるいは禁錮以上の刑を受けるなということは、これはそうあってはならないわけでありますけれども、しかし、何かの関係でそういうようなことにならざるを得ないといいますか、そういうものを受けざるを得ないような状態になったとしても、その人はやっぱり一人の人間として生きていかなければならない。  しかも、公務員じゃないわけです。その公務員でない民間共済組合ですね、そこに公務員とやや同じような形での支給制限を設けるということは何としてもこれは不合理だ、そういうふうに思わざるを得ないんですが、組合員禁錮以上の刑に処せられたときは政令で定めるということで先ほど局長が言われておりますが、この支給制限内容政令で決めることになるわけですね。じゃ、政令内容というものをひとつ明らかにしていただきたい。
  10. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 前段の方のお話でございますが、公務員共済の場合と農林年金の場合は、やはり今おっしゃいましたように、片っ方は公であり片っ方は民であるということがございますので、公務員共済の場合は懲戒処分を受けた場合も支給制限をする、農林年金の場合には禁錮以上の刑事上の刑に処せられた場合に制限するということで、公務員農林団体とはそこが違っておるわけでございます。  それから、政令で定める支給制限内容でございますが、これにつきましては、今後具体的に他の共済制度の運用なども御相談しながらやるつもりでございますが、私ども現在考えておりますところは、先ほど申し上げましたように、事業主組合員との折半負担でございますので、五〇%以上に及ぶ支給制限はしないように考えたらどうかということで現在考えているところでございます。
  11. 菅野久光

    菅野久光君 民間公務員とは違うとか違わないとかというようなそういうことじゃなくて、社会保障制度というそういうものを年金の一元化ということの中で確立していく。公務員だから私は支給制限をすべきだなんていうことは考えておりません。たとえ公務員であっても、やっぱり退職後の年金、みんなが生きていかなきゃならないそういうことにおいては、みんな同じような生活権というものが確保できるように、そのために今、年金改正をやろうとしているんだというふうに思うんですね。  この前の我が党の山田委員質問にもありましたが、戦犯方たちについては一切この支給制限というものがない、そういうことが明らかになっているわけですよね。ですから私は、こういう、何というんですか、社会保障的なそういうものにかかわっては、これはもう在職中にあったこととは別な立場でやっぱり考えるべきだ。在職中にいろんなことがあったときにはそれなりに、職場なりそれぞれの職域の中で一定の社会的な制裁というものは私は受けていると思うんですよ。それで私はいいと思うんです。それがずっと退職してもうこの世から亡くなるまで、どうして一生の間そういう重荷をしょっていかなきゃならないのか、私はその辺がどうも納得ができないわけであります。  これはあくまでも農林年金独自の私は問題だと思うんですよ。幾ら横並びといっても、公務員年金私学年金農林年金というのは私は性格が違うというふうに思う。そういう意味では、横並び横並びといっても、この部分は少なくとも横並びにすべきではない、そのように私は思うんです。  しかも、このことが本人のみならず遺族にまで拡大しております。何ということですか、これは。まさにいじめじゃないですか、いじめいじめというのは教育の問題だけじゃないですよ。社会的にもこういった面で遺族にまで及ぶなんというのは私はとんでもない話だ。本人でさえももってのほかだと思っているのに、これを遺族にまで及ぼす、こんないじめ政治がやっておって、どうして子供たちいじめをなくすなんということができるのか。もっとやっぱり温かい心を持ったそういう政治というものが必要だというふうに私は思うんですが、いかがでしょう。
  12. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 一つは、公務員との比較におきましては、懲戒処分支給制限の条件にはしていないという点が異なっております。  それから職域部分は、先ほどもお答え申し上げましたように、農林年金全体、確かに社会保障制度一つではございますけれども、同時にまた、共済年金ということで団体相互扶助という考えがございますので、やはり大きな非行があって禁錮以上の刑に処せられた、あるいは背任的な行為をしたというような人にまでこの相互扶助に基づく年金支給するなという議論があることも事実でございます。  遺族との関係の御指摘がございましたけれども遺族年金を受けている方が禁錮以上の刑に処せられた場合につきましても、遺族農林漁業団体関係者として、先ほど申しましたのと同じような理由から給付の一部制限をしておりますけれども退職年金受給権者の方がこのカットを受けているうちに死亡されました場合に、禁錮以上の刑に処せられていない遺族の方に対します遺族年金までカットするということは、制度仕組みとしていたしておらないわけでございます。  なお、恩給との関係がちょっとお尋ねの中に出ておりましたけれども恩給共済年金と違いまして相互扶助社会保険制度ではございませんので、なかなか同列に論ずることは難しいんではないかというふうに考えておりますが、懲戒処分なり禁錮等支給制限につきましては、共済制度よりも厳しい内容となっている部分もかなりあるというふうに私ども聞き及んでおるところでございます。
  13. 菅野久光

    菅野久光君 この支給制限の問題については、この前の山田委員質問から今の私の質問まで含めて、どう考えてみても私はおかしい、納得ができない。片や戦犯の人は一つ支給制限も何もなしに満席でもらっておって、国内でどのような罪かは別にして、受けた者が支給制限を受ける。しかも、これは年金を受けるようになった年齢というのは今度は六十五歳以上ですね。そういう老人ですよ、言えば。老人人たち生活権にかかわることまで切り込んでいくということ、これは何というかな、政治の公平さといいますか、そういう面から言ってももう明らかにここのところは不公平だ、あるべき姿ではないというふうに思いますので、ここの部分については強くひとつ再考を促しておきたいというふうに思います。  次は、我が国の公的年金制度はいよいよ来年の四月一日から大きく変わろうとしているわけです。公的年金制度とは何かが、個人の私的年金、いわゆる生命保険会社等がやっておるわけですが、こういうものが商品として大きく出回っていることからも問われているというふうに思います。  そこで、公的年金制度の目的なり性格について、まず厚生省ひとつ説明をしていただきたいと思います。
  14. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 公的年金制度性格を特に企業年金私的年金との関係で御説明いたしますと、言葉がきついかもしれませんが、国の一種の強制加入制度によってまずできているということ。それから財政の仕組みが、したがって当然加入者一定の義務づけられた拠出金負担の上に成り立っているということがございます。その意味では、世代内で、あるいは将来に向かって世代間での共同の連帯で老後保障を中心とする国民福祉需要生活需要に対応するための公の制度であるというふうに申し上げてよろしいかと思っております。
  15. 菅野久光

    菅野久光君 六十一年のいよいよ四月一日から、今回の改正案が成立すれば国民年金基礎年金ということになりますね。その他の公的年金にも基礎年金が導入されることとなります。この基礎年金は、論理的に見て極めてその根拠が不明確だというふうに言わざるを得ないわけでありますが、基礎年金の導入に当たって、その論理的な根拠というものを示していただきたいと思います。
  16. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 御質問趣旨は、いろんな公的年金制度が並んでいる中で今回のような基礎年金を共通化して再編成した趣旨は何であるかという点と、あるいはさらに基礎年金そのもの性格づけの点もあわせての御質問がと思います。  まず、前段の方から申し上げますと、やはり制度それぞれに全く独立した年金制度で運営いたしますと、非常に長期に見た高齢化社会での運営に安定が損なわれる事態も予測されるので、ある共通部門では財源の拠出共通原則給付の仕方も共通原則仕組みをつくったらどうかという基本発想から来たわけでございます。  形式的には、従来ございました国民年金という名前の制度に取り込んだ形になっておりますが、やはりこれは四月からは今までと全く変わった意味で、先生今お話しのように、各公的年金制度に共通する費用負担あるいは年金支給の土台を横につないだという点が基本性格かと思っております。
  17. 菅野久光

    菅野久光君 この基礎年金の問題でありますが、中曽根首相は今年の十一月十九日の衆議院大蔵委員会等連合審査会で、「改正法基礎年金は、老後生活の基礎的な部分を保障するものであり、高齢者現実生計費等を総合的に勘案して、月額五万円の水準といたした」、こういうような趣旨答弁をしておるわけですが、総合的に勘案して五万円の水準にしたという根拠と、改めて基礎年金性格について答弁をしていただきたいと思います。
  18. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 総理が御答弁申し上げ、あるいは私どももかねて御答弁申し上げております現実生計費などを総合的に勘案したということの非常に具体的な意味でございますが、具体的に申しますと、五十四年に実施されました全国消費実態調査という政府調査資料があるわけでございます。その中で高齢者世帯の実際その統計にあらわれております生活費がございますが、そのうち実は雑費として分類されております費用を除いた費用、言いかえますと食料費住居費、あるいは光熱費被服費ども入った額がございました。これが、ちょっと細かく申し上げますと四万円台の数字であったわけでございます。五十四年の調査でございますものですから、私ども今回の改正を五十九年価格でやるために、実質価値を置き直しますと四万七千円程度になったということでございます。  私どもが総合的に勘案したと申し上げておりますのは、実はその数字が四万七千円であったから五万円を決めたというそれだけではなくて、こういう金額であるならば老後生活の基礎的な部分を保障する水準としてふさわしいんではないだろうかということを勘案したわけでございますが、その際に、もちろんこれは、その金額がどんな生活需要に対応できるかという点では今申しました消費実態調査がもとにございますが、一面、この問題は、やはり基本的には将来にわたってどのくらいの保険料負担を前提とすればこういう水準が設定できるかということもございますものですから。総合勘案の中には、実は将来にわたる保険料負担のことも考えてそういう額を設定したという経過がございます。
  19. 菅野久光

    菅野久光君 これは現実生活の基礎的な部分を保障する、それから高齢者現実的な生計費等保険料負担というものを勘案して五万円にしたということでありますが、どうもこの基礎年金の五万円の積算根拠というのは、今のお話のように五十四年の全国消費実態調査の結果から、六十五歳以上の単身者の場合、これは一カ月当たりの消費支出の中から雑費等を除いた金額が四万六百八十五円で、これを五十九年の物価で換算すると約四万七千円になる、それから生活保護老人世帯給付水準比較して換算し、二級地ですね、地方の県庁所在地等になろうかと思いますが、二級地の五十九年度予算では六十五歳の単身者の経費が五万三千円、二人世帯の場合では八万二千円程度になっていることなどを参考にして、基礎年金水準を五万円にすることが妥当であるとの判断から決定されたようでありますが、この基礎年金を五万円にするという積算根拠について、非常に私はやはり問題があるのではないかというふうに思います。  言えば、生活保護費よりも何というのか、低額だということになるわけですね。基礎年金額の算出は生活保護費一つのやはり根拠になっているということは、私は間違いがないというふうに思うんですが、そことこの基礎年金との関係についてちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。  厚生省が示している昭和六十年度の生活保護水準ですね、それによりますと老人の二人世帯で男が七十歳、女の方が六十七歳、この二級地では月額十一万四百五十八円、また総務庁の全国消費実態調査によっても、高齢単身者の一カ月の生活費は七万七千七百五十九円もかかっていて、基礎年金額の五万円より高くなっております。こういったことから、基礎年金には最低生活の維持すら不可能であって、ナショナルミニマムの観点からほど遠いということになるわけであります。  基礎年金には、老後生活に必要な保健医療だとか、あるいは交通、通信、その他娯楽的な支出が含まれていると思いますが、ここはどうなのか。含まれて計算していないのであれば、なぜこれらの諸経費を入れて積算しなかったのか、その辺も含めてひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
  20. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 今、特に新しいといいますか、もっと新しい時期の六十年度の保護基準を引いての御質問がございましたんですが、私ども基本的に、先ほど申し上げました公的年金制度とは何ぞやから始まるんでございますが、個々の世帯、個々の個人の、生活保護法で言いますような最低限度の生活をすべてカバーするものが、基礎年金を含めた年金水準では必ずしもないという前提をとっております。  私、ここで余り法律論を申し上げるのはどうかと思いますが、あくまで公的年金制度国民年金法にもございますように、国民の共同連帯によって国民生活の安定が損なわれることを防止するという観点から設けられた趣旨でございます。したがって、私どもがあえて五十九年の保護基準、先生お示しのように、二級地の六十五歳男女平均五万三千円をあえてその時点で申し上げましたのは、必ずしも国民の皆さんにも五万円ということは保護基準そのものではございませんということを率直に申し上げた意味でお示ししたわけでございます。  さらに、先生は、私が申し上げました消費実態調査から引く場合に、雑費を引いたために、あるいは統計上そこに含まれていた保健医療費とか、交通、通信費が入ってないじゃないかということをおっしゃったわけでございますが、先ほど私が総合的に勘案したというのは、そこのところを必ずしも四万六百八十五円を使ったから基礎年金は保健医療費に充てることは全くできないんだという、かつて生活保護のマーケットバスケットのように積み上げた考えではなくて、あくまで五万円の水準が、もちろん保護基準が基礎ではございませんが、保護基準を念頭に置いた場合どの程度金額であるか、消費実態調査を念頭に置いた場合どのような金額であるかを総合的に勘案し、繰り返すようでございますが、保険料負担水準考えながら基礎的な年金水準として設定したという、そこがまさに総合的勘案の結果でございます。
  21. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしても、とにかく基礎年金とは言いながら、五万円そのものは生活を保障するというようなものではないということだけはやはりはっきり言えるというふうに思うんであります。  ここで、さらに基礎年金についてお尋ねをいたしますが、この年金は四十年間の加入と六十五歳になってからの支給ということになっているわけですね。したがって、四十年間という長期間、絶対加入は二十五年でありますが、この長期間にわたって保険科を納入しなければ五万円の満額を支給されない仕組みになっております。そこで、ただでさえ国民年金保険料、現在は月額が六千八百円で、三カ月ごとに二万四百円を納めることになっておりますが、これが高い。しかも、年々値上げの傾向にある中で、保険料免除の免除者が増加をしている、そういうことが言えますね。  そこで、この十年間ぐらい、国民年金強制加入被保険者に対する免除率というのは大変高くなっているわけです。私が調べたところでは、昭和五十年度で八・〇%、七六年が八・五%、七七年は九・一%、七八年は九・七%、七九年が一〇・五%、八〇年が一一・八%、八一年が一三・一%、八二年が一五%、八三年が一六・七%、八四年は、予想でありますが一七・四%であります。ということで、年々免除率というものが高くなっているわけであります。  国民年金保険料納付の免除者というのは、今お話しのように、今から十年前では八%だったわけですが、五十八年度は一六・七%と二倍以上に増加している。しかも、現在の保険料というのは、先ほど申し上げましたように月額六千八百円でありますが、今後毎年のように保険科が値上げされて、二〇一〇年以降は毎月一万三千円にするというふうに言われております。  このように保険科の値上げがなされると、今後ますます保険料の免除者というものが増加することは必至であるというふうに思うんですが、今後の免除者の増加傾向をどのように見込んでおられるのか、お伺いいたしたいと思います。
  22. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 今、数字を挙げてお示しのように、昭和五十年代といいますか、五十年以降の数字はおっしゃるとおりでございます。これは内容としましては、生活保護を受けていらっしゃるような法定免除の方と、申請によって免除手続をとられた方を含めての数字でございますが、それで端的にはこれから六千八百円の保険料が一回三百円ずつ、給付にスライドがあった場合もちろんそれにスライドするわけでございますし、ピーク時において月額一方三千円という保険科はこれはあくまで五十九年度価格でございますので、その時点での実額はもっと大きな額になるわけでございまして、率直に申し上げまして、これから大変この問題は厳しい面があることは私ども覚悟しなきゃならぬと思っております。  ただ、非常に数字の上での議論を申し上げるようで恐縮でございますが、ここ二、三年率は確かに高まっておりますが、これは全体の強制加入者の数が少し横ばい、あるいは三角、減少にあるために、免除者の絶対数は必ずしもそう大きくふえてないにもかかわらずこういう数字が出ておりますことと、余り古い話を申し上げるのもいかがかと思いますが、国民年金が発足しました三十年代は実は一七%まではいきませんでしたが、一〇%を超える時代も続いておりました。  そういった意味で、私どもは高度成長期の過程を通じて国民年金が定着していくことで大分免除率も下がってきたな、一時は今お話しのように八%台になってきたなということで、ある意味では安堵をしておったんでございますが、これからの保険料の傾向の中で、この問題は厳しいものがあることは認めております。  ただ、それにつけても、先ほど来の基礎年金水準自体の議論にもはね返るわけでございまして、まず今の改正前の姿にしておきますと、それが実は一万三千円でなくて一万九千円にもなってしまう、そこに今回年金改革の、私どもある意味では心のうちで苦しい選択があったわけでございますが、何とかそのレベルならば、免除の手続をもちろん一定の基準に従って認めていくつもりでございますが、ぜひこの程度の免除率は何とか維持できるようなものに努力をしていきたいと考えております。  この問題は、実は先生、気持ちの上では含めていらっしゃると思いますが、滞納者の問題でございますとか、そういう問題もございますので、行政努力としてはまたいろいろやることはございますし、新制度発足以来保険庁と申しますか、厚生省挙げての課題として取り組むつもりでやっております。
  23. 菅野久光

    菅野久光君 ある程度予測をしなければ計算できないということになっていくわけですよ。先ほども申し上げましたように、今の保険料でさえも免除者というのが年々ふえていっている。それだけ、言えば生活困窮者といいますか、そういう人たちがやはりふえていっているのだろうというふうに思わざるを得ないわけです。ある程度そういう見込みということからいって、確かに願望はわかりますけれども、やっぱり一定の見込みというものを立てなければ、この基礎年金にかかわる分の設定というものが非常に難しくなってくるのではないか。あるいは将来の保険料をどのようにしていこうかということについても、非常に難しい問題が出てくるのではないかというふうに思うんです。今の時点は今の時点で押さえながら、厚生省としてはその辺をどのように判断されているのか、この辺をもう少しお話をいただきたいと思います。
  24. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 私どもは幾つかのモデル的な財政見通しの上では、今申しましたように、現在のような免除の水準が何とか続かないか、続くべきであるという前提で財政計算をしております。  先ほどちょっと言葉が、具体的な点が不足しましたが、例えば今、先生も先ほどおっしゃいましたように、三月に一遍まとめて払うというような仕組みを毎月払いにするとか、あるいは一般的な窓口手続でもう少し丁寧に、免除が意味するものは何であるかということを率直に御説明する。これは何といいましても全体の財政がどうこうという問題の以前に、その方御本人老後保障なり年金保障の問題が、国庫負担額の三分の一になってしまうわけでございますから、そこをまず全力を挙げてやっているという、中身はそういうことでございます。  私ども、財政計算上は現在の実績程度の横ばいであるということを計算しておりますし、ある意味では基礎年金の財政運営という点を長い目で見ますと、これは余りここを強調しますと誤解を与えても困るのでございますが、国庫負担のみでカバーされる免除期間というものは、その限りでは基礎年金財政の長期的な財政負担には一応響かないことにはなるんでございますが、今申しましたように、御本人老後保障にとってどうかという観点から私ども努力を重ねているつもりでございます。
  25. 菅野久光

    菅野久光君 この免除者については基礎部分だけ、国庫負担分だけは払うわけですね。しかし、基礎年金そのもの、五万円というものはここで打ち消されてしまう。ですから、国庫負担そのものはふえないから免除者がふえても国自体は大したことないんだということでは、何のために基礎年金というものを導入してやるかということの意義が全く薄れてしまうのではないかというふうに思うんですよ。  ここの部分はやはり非常に問題だと思うんですが、今の話の中に、例えば一万三千円になったとしても三カ月まとめれば三万九千円だから納めづらかろう、そうすれば毎月納めるような形にしてはどうかというふうなことがありますが、逆に受ける側からすれば、何カ月かまとめて、三カ月なら三カ月まとめて受けるんじゃなくて、毎月とにかくお金をもらいたい、支給してもらいたいという希望があるわけですよ。そういうようなことも考えているということは、逆に裏返せばそういうことも考えるということなのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  26. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 今お話しの点は、年金受給につきましてやはり三月、福祉年金はたしか四月でございましたか、そういうことでまとまっているがそちらの方も同じようにということで、これは全く私どもも同じように考えておりまして、支払い面ではかなり事務体制は難しい面があるんでございますが、あわせてその方向は将来の年金行政として考えなきゃならぬ点だと考えております。
  27. 菅野久光

    菅野久光君 将来方向としてということよりは、年金生活者は皆さんそのことをやはり希望しておられるんですね。ですから、将来方向ということになれば、これから何十年後にそうするのかということではこれはやっぱり納得できないんじゃないか。一定の期間的なものを区切ってそういうものの要望にこたえていかなければ、片方ではどんどん負担をさせておいて片方はなかなか国民の要望を聞き入れないというようなことでは私は困ると思うんですが、その辺のおおよそのめどがわかればお答えいただきたいと思います。
  28. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 将来の課題と申しましても、二十年、三十年単位の将来じゃございませんで、私ども実は会計上の事務的な点とか業務体制の点もかなり内部的には詰めております。ですから、いつから実施できるかという点ではちょっと私この席で御答弁に苦しむんでございますが、ある意味ではここ一両年のうちにそのめどと申しますか、どんな手順、どういう隘路が解決されればできるかぐらいを含めまして、少し明らかなものを示さなければならないと考えているところでございます。
  29. 菅野久光

    菅野久光君 これは強い要望でもありますので、ぜひなるべく早い機会にひとつ決めていただきたいというふうに思います。  次に、厚生年金基金の問題なんですが、これは自民党の企業年金等議員懇話会の中間報告の中にこのことがありまして、中小企業の厚生年金基金への加入の問題ですね。現在の加入認可基準は単独企業では従業員が千人以上、同種同業が集まった場合には五千人以上というふうになっております。したがって、中小企業にも厚生年金基金に加入しやすくして従業員の年金改善に寄与するようにすることが必要だというふうに思いますが、この問題について厚生省は今後どのように取り組まれるのか、具体的な対応策があればお聞きしておきたいと思います。
  30. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 先生の冒頭のお話にもございましたように、公的年金それ自体の基盤なり給付を確固たるものにしなきゃならぬと同時に、やはりこれからの高齢化社会が、ある意味では多様なニードのもとに老後生活が形成されるという時代を迎えていると思いますので、私どもが直接今受け持っております厚生年金基金を含む企業年金のあり方と申しますか、層を厚くすることは、これからの大きな課題の一つと私ども考えております。  今、御指摘ございました懇話会の報告をまつまでもなく、実は私ども、今後の厚生年金基金を含む企業年金のあり方については幾つかのポイントで普及策、拡充策を考えなきゃいけないと思っております。今のところ実は、先生が御指摘のような設立認可基準を含めまして何とか見直しを図りたいという程度答弁にとどまるわけでございますが、一つは、そのように設立認可基準を見直すことによって普及がしやすくなる、あるいは今まで厚生年金基金の設立をためらっておられた事業主の方が踏み出しやすくするという点がございます。  この問題は、同時に、やはり大企業だけにとどまってはいけないわけでございますので、中小企業が相互に基金を組むことの道も、できるだけ容易な道を開く必要がありますので、これはまた中小企業への普及という問題から、設立認可基準のもう一つの面として見直しを図る必要があろうかと思っております。そのほか、実は、これをめぐる税制の問題とかいろんな年金制度外の条件整備も必要でございますが、やはりそのあたりは、それぞれの方策を組み合わせてこの普及を図っていく必要があると考えておるところでございます。
  31. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしても国民皆保険ということから、みんなが老後の生活というものを安定させていくという意味合いからいろいろな方策をやっぱりとっていかなければならない、そういうわけでありますから、障害になる部分をできるだけ取り払っていくということで、今後もひとつ一層の努力をしていただきたいと思います。  さて、今回の改正の中で障害者の最低保障額について大幅に引き上げた、障害者に対する最低保障額の大幅引き上げということについては大変いいことではあるんですけれども、これが本当に年金という、共済制度という中でやるべきことなのか、あるいは社会保障という立場、そういうことでやるべきなのかということについてはちょっと問題があるんじゃないか。障害者の方に対するそういう最低保障額を引き上げていくということは私は必要なことだと思うんですが、そこの負担部分共済制度というごとで持っていくのがいいのか、今申し上げましたように社会保障制度的な形でこれは取り組むべきことなのか、その辺のところについてはちょっと問題が私はあるのではないかというふうに思うんですが、そこのところをお伺いいたしたいと思います。
  32. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 今のお尋ねは、農林漁業団体共済固有の問題といいますよりは、今回私ども改正をお願いし、また御審議をお願いしている基礎年金の中に障害基礎年金が含まれておりまして、それの財政費用を各共済からも拠出をお願いしている点をどう考えるべきかという御質問ではないかと思って、私御説明さしていただきたいんでございますが、これはやはり障害という事故を大きな意味での社会保障あるいは社会保険のシステムの中でどう考えるかということになるわけで、実は二十歳前の幼少のころに障害になった方の場合は、どういう制度との関係あるなしにかかわらず確かに障害基礎年金支給され、その費用厚生年金国民年金、各共済が一律に持っていただくようになっておるわけでございますが、それ以外、二十歳以後の障害事故の場合は、いずれかの公的年金制度あるいは共済組合に属していらっしゃったときの事故に基礎年金を差し上げるという仕組みになっておるわけでございます。  したがいまして、先生の御指摘の点は、基本的には両方に共通かもしれませんが、少なくとも加入後の障害なり疾病に基づく給付費用については、これは私は各制度にお願いするのが当然ではないかと思っております。  そこで、問題は、二十歳前の幼少のころからの障害者をどう見るか、これは今、先生のお話では、何か別の体系あるいはもっと端的に申せば、全額国が見るような形でやるべきじゃないかというお話じゃないかと思うんでございますが、確かにそういう考え方、私ども全くおかしいと申し上げるつもりはございませんが、やはりこういう方の年金を手厚くしようと思うと、大きな社会保険の原則の上に立って給付を設計した方が手厚くなるんではないかということと、もう一つは、端的に申しまして、老齢基礎年金の場合は三分の一が国庫負担でございますが、幼少のころからの障害基礎年金につきましては、実は四〇%の国庫負担をつけるということで、これは従来からの福祉年金の例もございますので、そこは国の役割も少し高めた形で、かつ基本は、やはり今申しました社会保険原則の中でできるだけこういう方にも手厚い障害給付を差し上げるようにしてはどうかということからこういう案を御提案し、また国民年金厚生年金については御可決をいただいたわけでございます。
  33. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ただいまの菅野委員質問に関連をしてお尋ねをしたいと思います。  私も障害年金というをのについての考え方菅野委員と同じように考えておりまして、大変重要な問題なんでありますが、しかし、それでもなおかつ現在の体系の中ではそれぞれ各種年金共済年金に依拠している部分もあるわけであります。  そこで、妙な形でいろんな格差が起こっては困る、こんなふうに思いますので、これは厚生省にも聞いておいていただきながら、今農林年金制度における問題点をちょっと私はお伺いをしたいと思います。  農林年金の独自の問題といたしまして、旧法と新法の問題がございますが、局長の御答弁では、ずっと本委員会で、今度の法改正で旧法と新法の関係というのは今度は一本化されるからなくなる、こういうふうに言っておられますけれども、しかし障害年金につきましては、現法では一、二、三級に分かれております。旧法では年齢六十五歳以上とか、年齢による区分と勤続年数の区分ということになっておりますけれども、これはどういうふうに一本化をされるということになりましょうか。
  34. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金制度につきましては、今回の改正案におきまして新法、旧法の区分を廃止いたしまして、昭和三十九年九月三十日以前に退職をされた方についても通年方式による計算式に裁定がえをするということにいたしております。このため障害年金の最低保障額も、旧法年金者についても新法年金者と同様の水準を確保することにいたしております。
  35. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そういたしますと、評価がえを施行していかれるということになるわけでしょうが、もう少し具体的な、こんな事例があったらどうなるんだろうかということをお伺いしたいんでありますけれども基礎年金をいただくには国民年金一定の、所定の掛金の納付をしていなければならないということになるわけでありましょうが、旧法の適用者で、例えばサラリーマンの奥さんだった方で任意加入もしていなかったという方が農業団体に就職をされて、そしてその最低の、言ってみればそれこそ最低保障額の中の一番低いランクのものをもらう、支給をされていた、こういう場合、この場合は今度はどんなふうになりましょうか。五十万一千円ですね、たしか旧法の適用でいくと。
  36. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今お尋ねございましたのは、五十万一千円と申しますのは旧法のいわゆる絶対最低保障額で、六十歳以上の方で組合員期間が六年から九年というようなところの方の最低保障額をおっしゃられたと思いますが、先ほど申し上げましたように、旧法年金者についても新法年金者と同じ最低保障額を確保するということにいたしておりますので、新法におきましては障害の等級別、一級、二級というふうにして最低保障額が決められておるわけでございますが、昭和六十年度改正後におきまして障害年金の最低保障額は、一級で九十四万六千五百円、二級で七十七万四千円、こういった最低保障が働いてまいることになるわけでございます。
  37. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうしますと、今度この方は新法の一級の九十四万六千五百円という適用になると、こういうことになるわけですね、一級であれば。そうすると、その一級の場合、問題が起こるんじゃないでしょうか。  といいますのは、障害年金の一級のような重症の方でございますと、基礎年金としていただくという場合になりますと、年間七十五万円もらうことになります、基礎年金の場合は、もらえる人は。そして、それに一級障害者の重度の場合ですと、その一級障害者は福祉手当の方から特別障害手当の年間二十四万円がもらえると、こういうことに相なります。そういたしますと、合計九十九万円もらえるということに相なる。ところが、農林年金に加入をしているがために、この特別手当がもらえないわけであります。そして、しかも農林年金の一級でもってあれをしていただいても九十四万六千五百円。そうすると、年間にして五万円足らずということにはなりますけれども、しかし、基礎年金を適用されるという人に比べたら、農林年金だけしかもらえない人の障害者というのは不利な立場に置かれる、こういうことになると思うんで、この場合にはやはり基礎年金相当額というものが考えられなきゃいけないのじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
  38. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) お尋ねの、重症の場合の特別の加算でございますが、これは年金制度プロパーではございませんで、一つ厚生省の方でやっておられます手当の制度でございます。私どもは、この重症障害者に支給されます特別加算は、国民年金対象者だけに加算されるものではなくて、農林年金年金受給者であっても重症障害者に該当すれば、これは支給がされるというふうに理解をいたしておるところでございます。
  39. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 厚生省、それでよろしいですか。
  40. 丸山晴男

    説明員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  重症の場合の特別加算につきましては、障害者の生活保障というサイドから年金制度と別の、いわば社会福祉サービスの一環として昨年の通常国会で御審議いただき成立した法案に基づく給付でございまして、一般の社会福祉サービスによる給付と、それから社会保険サービスといいますか、各共済あるいは厚生年金等の給付との調整問題につきましては、それぞれの給付性格によりましてそれぞれの仕分け、あるいは調整の仕方をしているわけでございます。基礎年金につきましては、いわば基礎的な給付だということで併給をいたしておりますけれども、それ以外のものにつきましてはその対象になっておらないということであろうかと思っております。
  41. 村沢牧

    ○村沢牧君 委員長答弁が違うでしょう。答弁が違いますから、稲村委員の時間もありませんから、これは正確な答弁をさしてください。
  42. 成相善十

    委員長成相善十君) ちょっと協議して、統一的な答弁をしてください。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  43. 成相善十

    委員長成相善十君) 速記を起こして。
  44. 丸山晴男

    説明員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  御質問給付は、法律名は特別児童扶養手当等の支給に関する法律という法律でございまして、現在施行の準備をいたしている段階でございます。施行の予定は六十一年四月でございまして、御質問の各種年金との調整問題につきましては、政令段階におきましてその調整がされるということで、現在、これは私ども厚生省でございますが、年金局ではございませんで社会局、社会福祉サービスを担当する部局で各省庁との調整を進めている段階でございまして、私ども現在のところはまだその結論を聞いておらない段階でございますので、今後各省庁との調整を進める中でそれの整理を行ってまいりたいと考えております。
  45. 成相善十

    委員長成相善十君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  46. 成相善十

    委員長成相善十君) 速記を起こして。
  47. 丸山晴男

    説明員(丸山晴男君) 先ほど申し上げましたように、現在調整を進めている段階でございますので、その調整作業を見ながら先生の方にも別の機会にお答えをさしていただきたいと思っております。
  48. 成相善十

    委員長成相善十君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  49. 成相善十

    委員長成相善十君) 速記を起こして。
  50. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 農林水産省にこれはお願いでありますけれども、私は、今の厚生省の御答弁は、正直のことを申し上げて、厚生省が出した解説書の中にきちんと除外をするものの中に農林年金と明記をされているという根拠に基づいて申し上げております。したがいまして、もらえないということになりますと、間違いなくこの対象者は基礎年金をもらうよりは不利な立場に置かれます。こういうことがあってはならない、こういうふうに思いますので、その辺のところの対処をきちんとしていただきたいと思います。
  51. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について、引き続き質疑をさせていただきます。  私は、まず一番最初に、今回の改正趣旨について農林水産大臣から説明を求めるものでありますが、これまできょうの私の番で三巡してくるわけですね、質問の機会が。そして、だんだん明らかになってきたことは、大変な大改悪であるということ、私は今まで改悪というような言葉を余り使ったことがございませんでしたけれども、あえて使わしていただけば全くの大改悪であるということ、このことを私は強く申し上げなければなりません。  それから、だんだん質疑を重ねてくるうちに、明らかになってくる部分があると同時に、わからなくなる部分が非常に多くあるということも今回の改正案の特色であろうかというふうに思っております。  そこで、これだけの大改正をするに当たっては、再度改正趣旨について私は確認をさせていただかなければならないというふうに思うわけでありますけれども、この改正趣旨については^大臣は再三にわたって、公的年金制度全般の整合性を図ること、二番目が、制度の円滑な運営を図るために適正な給付水準を確保するとともに負担の均衡を図りあわせて世代間の公平に配慮すること、三番目、制度における財政の長期的安定を図る必要がある、来るべき高齢化社会を控えてと、こういう御答弁をなさるわけでありますけれども、私は大臣が挙げるこの三つの事柄が果たして今回の大改正趣旨と言われるものであるものかどうか、これを確認せざるを得ない。  憲法二十五条で保障されている健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するということ、あるいは国民年金法一条、二条にうたわれているような精神を反映して改正されたということにこの趣旨がなるのであろうか、どうでしょうか。こういう点から逆に質問させていただきたい、このように思います。いかがでしょうか。
  52. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 刈田先生にお答えします。  先生今御指摘のとおりでございまして、我が国の人口構造というのは大変高齢化社会を迎えております。そんなことで、農林年金者につきましても社会経済に対処するため、今、先生おっしゃいました三つの点に特に配慮して改正したいということでございまして、私はその趣旨のとおりだと理解しておるわけでございます。
  53. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その趣旨を、憲法二十五条ないしは国民年金法の一条、二条等の精神を踏まえて改正に当たるのであれば、この種の、私に言わせてもらう大改悪というものは出てこないと思うんですよね。私は、その点の配慮が本当にあったんだろうかどうなんだろうかということを非常に疑問に思います。  大臣がおっしゃる三つの事柄、整合性あるいは均衡性、そして長期安定化ということは、それはとりもなおさず国民の老後の年金を保障していくことにつながるというふうにおっしゃる意味だと思います。わかります。だけれども、これを踏まえて国民生活の最低の保障をしていくということが本当に認識されているんだとしたらば、それが配慮されているんだとしたらば、こういう改悪という事態は出てこないと思うんだけれども、大臣いかがですか、本音のところは。
  54. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。  今、先ほど言ったようなことでございまして、実は三つの点に配慮して、これは特に制度の財政の長期的安定を図るといったようなことでございまして、先生がおっしゃるような御指摘の点はあるかと思いますが、やはり私は十分配慮していたした、このように理解しておるわけでございます。
  55. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは厚生省の方に伺います。  今回の改正の一番のやはり基本になる基礎年金の問題について、先ほど同僚委員の中からも指摘があったわけでありますけれども、私の方の党といたしましては、かねてから基礎年金導入ということについては、積極的に取り組んできていることは御承知のとおりだと思いますが、しかし、その基礎年金のあり方については非常に問題が多いと言わざるを得ないわけでありまして、先ほどから指摘がありますように、給付水準の問題、あるいは保険料の問題、あるいは果たして無年金者がなくなるという、皆年金ということになるのだろうかどうだろうかということ、あるいはまた国庫負担の問題等も含めて、問題だらけの基礎年金導入ではなかろうかというふうに思います。  そして、先ほど言いました憲法二十五条の理念等を踏まえて、この基礎年金を導入していくということになるとすれば、この基礎年金の理念というものは一体どういうことなんだろうかということを、私は再度ここでお尋ねせざるを得ないわけでありますけれども先ほど伺っておりますと、やはり基礎部分を連結するとか、あるいは単独で行っていく場合には先行き障害が出てくるというような基礎年金考え方を披瀝していらしたけれども、これはあくまでも給付する側の方の言い分でありまして、つまり給付を受ける側、国民にとって一体基礎年金というのは何なんだろうか。国民がひとしく保障される基礎年金導入の基本理念について、再度確かめさしていただきたいと思います。
  56. 丸山晴男

    説明員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  先般の国会で御審議を賜りました基礎年金につきましては、国民老後生活の基礎的な部分を保障するという考え方のもとに立ちまして、全国民に共通する制度として導入が実施されたわけでございます。給付の面でも負担の面でも全く公平な仕組みということでございます。  先生御質問給付水準の問題、あるいは負担の問題、無年金の問題、あるいは免除の問題等々御指摘いただきましたけれども、これからの高齢化社会を踏まえて、全国民にひとしく基礎的な年金給付するあり方として、どのようなあり方が望ましいのかというようなことを関係審議会あるいは国会の場でも御審議いただきまして、やはり従来からの国民に定着しております社会保険方式を基礎にして基礎年金を構成することがこの際妥当ではないかというようなことに基づきまして、御案内のような基礎年金ができ上がったわけでございます。  御質問のように、免除によりましてその額が三分の一程度になるといったような問題もございますので、今後そういった年金制度年金に対する国民の皆様方への理解、あるいはいわば負担しやすくなるような工夫、そういった面についても、いわば自助努力として、制度を運営する側におきましてもできる限りの努力を払って、かつ基礎年金について国民的な御理解を賜りながら、この制度の施行を進めてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  57. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ほどの御説明にもありましたように、受ける側に立っておっしゃられた言い分としては、食料費とか、あるいは被服費とか、あるいは住居費とかいった、生活の基礎的部分を保障するものだというふうに言われているわけですけれども、保障するという言い分は私はあえて値しない。つまり、この五万円という根拠を再度確認させていただいているわけでありますけれども、むしろ補完するという言い方の方が適するんではないかと思いますが、保障するとあえておっしゃいますか。
  58. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 先生のおっしゃる意味は、保障という言葉に、生活保護制度考えますような最低限度の生活をケース・バイ・ケース、個々の世帯ごとに保障するという意味であれば、それは私どももう少し広い意味で使ったというふうに申しかえさせていただきたいのでございますが、要するに老後生活の全部ではない、基礎的な部分を念頭に置いて年金給付水準を決めたという意味で、そういう部分を保障すると申し上げているつもりでございます。
  59. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これも先ほどからも出ておりましたように、しかも五万円満額というこの額が保障される人というのは、あえて言えばごく少ない人たちでないだろうかというふうに私は思っております。  小さな各論に入らせていただくわけですけれども、例えば今回の改正の中で組合員の妻の話が出てきますね。空期間の問題についてでありますけれども、私がこれを取り上げようとする理由は、つまりこういう措置を設けることによって、ますます五万円満額から遠のいていくということを言わざるを得ないと思うんです。組合員の妻の場合、国民年金に任意加入をしていればこれは問題ないわけですね。ところが、これが任意加入していない妻の場合にあっても、六十一年四月一日からその女性には年金権が発生するわけでありますけれども、これまで営んでいた婚姻期間というものをいわゆる給付の段階においては算定の基準にしない、除外すると、こういうことでしょう。  そういたしますと、私は矛盾があるというふうに思うんです。組合員本人にとっては、その標準給与を基準にして掛金を払うという行為においては、何ら四月一日からの状況から変わっていないわけですね。それなのに、それ以前、強いて言えば二十年の婚姻期間があったと、これは空っぽで、本人の状況は変わらないんだけれども、これから先はカウントしていく、こういう考え方なんでしょう。この空期間ということの御説明を一度教えてください。
  60. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) おっしゃいますように、例えば来年の四月時点で、年齢によりますけれども、空期間とあえて申しておりますのは、全くゼロではなくて、その方の基礎年金の資格発生要件としては期間として見る。しかし、それが私ども給付という年金額の身につかないので空期間と言っているわけでございますから、全くゼロではないという点は、空期間という言葉とちょっと違った意味がございます。ただ、問題は、先生のおっしゃる意味は、任意加入で保険料を掛けてきた組合員の妻の方と、実は今、先生がおっしゃっている空期間しか持っていない方とのバランスをどうするかという問題で私ども考えて設計をしたつもりでございます。
  61. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 だから、私どものような女性の立場から言いますと、女性の年金権というものを少しでもその水準を上げていくという観点から言えば、これを空期間と考えないで、六十一年四月一日からは年金権が発生するのと同じ原理で、さかのぼって考えたらどうなんですか。そうして、そういうふうに私が言うと、それでは任意に国民年金に入ってきた婦人との差をどうするのかということを恐らくおっしゃると思うんです。だから逆に、こちらの方の婦人に付加を乗せていくという考え方はどうなのか、これをひとつ答えてください。
  62. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) おっしゃるとおりでございますが、そこはやはりそういう御指摘のようなことをした場合に、ではどういう給付の財源が必要かという問題、したがってそれを賄うためにどのような、私ども社会保険方式を前提にしますと、保険料負担が伴うかという問題でございまして、そこをいわば六十一年四月から即日に毎月五万円の年金が保障できないかという議論と実は同じ議論になりまして、そういうことになりますと、私ども公的年金負担水準論、あり方論として取り得なかったというふうに申し上げざるを得ないところでございます。
  63. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 あくまでも試算です、これは。ですけれども、そうするとしないとではどんな差が出てくるかということで試算をしてみたんですが、国民年金制度が発足した昭和三十六年に二十歳でいた人、そして今度の改正施行日においてはそれが四十五歳になるわけですね。この人が共済組合員と結婚して旧国民年金に当初から任意加入していた。それでこの婦人の受けることのできる基礎年金、それから年齢、私は一つ表を持っておりましてそれで試算をいたしますと、この人は基礎年金はちょうど四十年になるので満額六十万出るわけなんです。そして、ここで言われるところのいわゆる振りかえ加算額、私ちょっと計算の仕方がよくわかりませんが、振りかえ加算額が十一万二千八百六十円ある、そうするとこの人は合計すると七十一万二千八百六十円がもらえる。こういう計算を、これはあくまで試算ですが、してみました。  それから一方で、任意加入していなかった婦人の場合、結婚期間は全く空だというふうに考えると、基礎年金の施行以後十五年分に当たる二十二万五千円を合わせ、それに先ほどの振りかえ加算を乗せて三十三万七千八百六十円。全く半分にしかならない。こういうことを考えますと、任意に加入していた人といない人の差というのが実に物すごく出てくるわけなんですね。  それについてお尋ねしたいことは、一体この国民年金の任意加入という問題について、当初どういうふうな形で婦人たちに認識させたのか。
  64. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) その点、私、国民年金発足時の具体的な意味でのPRのあり方についてちょっと不勉強の点があって申しわけございませんが、確かに三十六年時点では、本日このように御議論いただいているような基礎年金制度の導入ということは必ずしも念頭になかったわけでございます。  ただ、国民年金法は、ごらんいただきますとわかりますように、やはり将来は何らかの形で今までのような自営業者中心の年金ではいけないということが法文の上にもありありとしておりまして、その意味では、実は今回こういう基礎年金を導入するという大改正をやったんでございますが、国民年金法という規定は実は目的の規定を一言もさわっていないわけでございます。  そんな意味で、その時点ではある意味ではサラリーマンの奥さんに私たちも加入したいというお声があったために、任意加入という法律構成でそれを考えざるを得なかったという事情があったと思います。思いますが、ここで強調させていただきたいのは、二十年間なり、あるいは個々の期間にしましても、全く自営業、農家の方と同じ額の保険料を納めていただいているわけでございます。  そうなりますと、これは先生お話しのように、当時どういうPRをしたかということでございますが、払ってこられた御本人にしてみれば自営業者世帯主と同じものを払ってきたという感覚でいらっしゃるわけでございますので、私どもはやはりそれを全く払ってこられなかった方ともちろん差をつけないということはできませんことと、かなりの差を設けなければやはり社会保険といいますか、国民年金に対する逆の意味での信頼にも響くのではないかと考えてこういうような案を御提案し、国年、厚年については御可決をいただいたわけでございます。
  65. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 だから、結局、それは任意加入していた人たちの既得権とかいうふうな問題を保障していくということになるわけでしょう。だから、空期間を設けて差をつけるというよりは、その人たちの既得権を保障する形を考えることによって婦人の年金というものを少しでも上げていく、特に基礎年金部分について考えていかなければならないというのが私は女性の立場からの主張なんですけれども、厚生大臣にお伺いいたします。  今回のこの年金改正の中で、皆年金ということを前提にすべての婦人含めて年金権が保障されていくんだ、こういううたい文句があるわけで、私はこれは本会議のときにもお尋ねをしたわけでありますが、大臣いかがですか、このことについて本当に保障されておりますでしょうか。厚生大臣にお伺いいたします。
  66. 増岡博之

    ○国務大臣(増岡博之君) 婦人の年金権につきましては、その御婦人、無業の妻の場合でも御本人名義の年金がつくわけでございます。先ほどから御指摘のようなことは、これはやはり社会保険方式をとっております以上は、掛金を掛けた人についてお支払いをするということにならざるを得ないのではなかろうかというふうに、現実の問題としてはなかなか先生の御指摘のことは困難ではなかろうかというふうに考えております。
  67. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大臣、お支払いしてきた人にお払いするのが筋だということになると、本当のことを言うと、これはへ理屈になるんですが、来年の四月一日からお支払いしない形の婦人に年金がおりるという逆の言い方もあるわけですけれども、これはどう考えますか。
  68. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) それはやはり御主人が加入していらっしゃる年金集団、保険集団の費用負担をしていただくということで、ある意味では議論がまたちょっと飛ぶかもしれませんが、将来にわたる財政見通しの上でも基礎年金部分を計算していただきながら、いわば新しい六十一年型の年金を運営させていただくことになったわけでございます。
  69. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、これも先ほどから出ましたけれども、今回はいわゆる皆年金制度を最前提にするということで、これによっていわゆる無年金者ということはなくなるのだということにはなっておりますけれども先ほどの御指摘にもありましたように、そうはなかなかなっていかないのではなかろうかというふうな危惧を私は持っておる者のやはり一人であります。  特に、女性の立場だけに限ってちょっと私は心配している部分のところをお尋ねしてみたいんですが、専業主婦はこれまで国民年金に任意加入をしているしかなかった。そして、この主婦が離婚した場合にはこれまで全く無年金だったわけです。これがこれから先どうなっていくのかというようなこと。また結婚しない女性、これはどうなっていくのか。それから夫がいても、その夫が零細企業の労働者であって、いろいろな事情から被用者年金に加入していなかった人の妻はどうなるのか。こういう人たちが二十五年間の保険料を納めていなければ年金は全くもらえない、こういうことになるのか、ならないのか。特に、こういう場合の女性は経済的にも弱い立場に置かれるし、また逆に、こういう人たちこそ厚い年金給付しなければならないという立場もあろうかというふうに思いますので、その点を私は心配しておりますのでお尋ねをいたします。  それとあわせて、先ほどの免除者の話もありましたけれども、一体無年金者というのはどういう状況になっていくのか、その実態を把握しておられるかどうかをあわせてお尋ねをいたします。  それと同時に、こうした人たちに対して、この大改正の時期に当たってこれを契機にしてどんな対策を考えていかれようとしておるのか。あわせて三点、お伺いをいたします。
  70. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) まず、冒頭の御婦人の幾つかの例で新しい年金の適用はどうなるかという御質問でございますが、離婚なさった方の場合、先生もお話しのように、それまでの被扶養者期間が生きるといいますか、その方の権利の基礎になるという点では今回の改正の大きな意味があるわけでございますが、確かに離婚なさった後は実は御自分で国民年金の、私ども法律用語で第一号被保険者として加入手続をとっていただかなければならない。その場合は保険料納付の義務が生ずるわけでございますから、非常に支払いにくいということであれば免除の手続をとっていただくということはございますが、考え方は、離婚なさったときから独立の国民年金被保険者になっていただく。それを続けていただかないと、先生お話しのように、二十五年間の資格期間が危ないことが出てくるということでございます。  二番目に、単身生活、御結婚なさらなかったような女性の方の場合はどうかということは、これは今と同じでございまして、やはり二十歳になられた年から国民年金被保険者の手続を市町村役場にとっていただいて保険料を払っていただく。もしどうしても負担能力がなければ、免除の手続をとっていただくことになるわけでございます。  三番目に、結婚なさっているけれども、御主人の方が零細企業でそこの企業が厚生年金とか共済組合の適用を受けてなかったという場合、これは本来適用を受けるべき事業所であるのに適用を受けてない場合は事業主に行政指導が要るわけでございますが、もし現行制度ではいずれの被用者年金も適用されない事業主であれば、その方の場合も、形はサラリーマンですが、御主人も奥様もそれぞれ独立の国民年金被保険者として国民年金保険料を納付していただくという、免除の手続は同様に考えられるわけでございますが、そういう関係になっているわけでございます。  二番目の御質問は、いわゆる無年金者をどの程度見込んでいるかということでございますが、これは現時点でのデータであるよりも将来にわたるデータでございますので、私どもの数理担当者の間で非常に大ざっぱな計算をさせましたら、六十五歳以上人口全体に対比すると五%から六%にはなるだろうかと。そうなりますと、昭和九十年ごろで百万を超える、百四十万といった数字も一応予想されるという私の部内的な見通しは立てております。そのためにも、先生のお話ございましたように、そういうことをできるだけ狭めるためにも、じゃ何をやるべきかという問題があるわけでございます。  免除の適正な運用あるいは滞納者とかそういったものの把握について、私ども社会保険庁を中心にどのような努力をすべきかという点は、もう何度か申し上げているところでございますが、今回の改正では余り大きな改正事項ではないかもしれませんが、例えばこういう国際化の時代になりまして、外国に住んでおられた期間が長いために、今までの制度だと空でもない、いわゆる資格期間にならないというようなことを救済するための、先ほど先生もおっしゃいました空期間としてこれをみなすという改正も取り入れるなど、あるいは六十歳以後五年間だけは、六十歳到達で大変かもしれませんが、任意加入する道を開いて過去の不足分をそこで補っていただく、そういった制度上の仕組みも加えて四月以降の体制を考えているわけでございます。  何と申しましても、基本はやはり行政努力であると思います。市町村役場なり社会保険事務所を中心に、これから年々高くなっていくであろう保険料負担も念頭に置きながら、いかなる工夫を講じ、いかなる努力を講じて、特に御婦人の方に手続面あるいは納入面でいかに年金時代にふさわしい体制を我々が用意するかという問題がございますので、細かい点はいろいろ申し上げればございますが、これらの点が私どものこれからの大きな年金行政上の課題と考えております。
  71. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それからもう一つ、これは大変卑近な話ですけれども、周辺で出ているのは、パートで働く主婦の立場のことですけれども、これが非常にふえていて、これは短期共済とか、あるいは税制の問題で言われる部分と同じことになるわけですけれども、年間九十万を超えた主婦、この人は国民年金保険料を自分で納めて払っていかなければいけないですね。それから八十九万の人が組合員の妻であった場合は何にも払わなくていいという、一万円の差でそういう事態が出てくるわけです。  このいわゆるパートで九十万を得ている、いないというすれすれの線で働いている人のことを、私はひょっとしたら気がつかないで将来無年金者になるんではなかろうかという心配をしたりするわけです。八十九万から九十万というのは、大体時間給六百円で計算して月額七万二、三千円で二十日間働いているという程度のちょうど今パートの人たち現実なのですね。こういう人たちに対するアドバイスをひとつしてあげてください。
  72. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 私ども実は健康保険の被扶養者認定の基準と同じように今、先生がお示しの数字、年収九十万を一応新しい被扶養者の認定基準、つまり言いかえれば国民年金で言います新しい第三号被保険者の基準として考えております。  一言で申し上げれば、どのようにアドバイスするかとなれば、やはりうっかり滞納にならないように、これは市町村役場でこれから現況を把握しながら年々PRをしていかなければならないわけでございますが、こういう方の場合は改めて第一号被保険者として市町村役場に手続が必要になります、こういう方の場合は必要でないということを、やはり市町村役場の広報を通じて周知させるということに尽きるのではないかと考えております。
  73. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 さっきの任意加入の問題の任意という認識がどこまでPRされていたかということとあわせて、この辺のところのやっぱりPRでしょうかね、大事になってくると思います。私は婦人の立場からこのことを主張しておきたいと思います。  それから次に、これは農水省の方の質問になろうかと思いますが、併給調整のことです。現在の制度でいけば、夫婦で組合員であった者が退職年金の受給権を持つと同時に配偶者の遺族年金の受給権を持ってその両方を受給できるということがあるわけですね。ところが、今回の改正では、重複給付はされないということになるわけですけれども、その理由はいかなるところにございますか。
  74. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の改正のねらいの一つに、やはり年金受給者相互間におきます給付面の均衡を図るということもございまして、いわゆる年金の併給調整によって現在の給付の重複問題の解消を図るということにいたしておるわけでございます。これはやはり公的年金給付というのは、それぞれ一つ年金で受給者の生活の支柱としての役割を果たすものとして設計をされておりますことと、二以上の年金を受給できる方とそうでない方との均衡ということもまた考えなければいけない。それから第三には、将来にわたります年金給付の適正化というふうなことを考えますと、給付はやはりより必要性の高い方に重点化をしていくべきものであるというようなことから、併給調整を今回の改正の中に織り込んだわけでございます。  その際、既に二つの年金の併給を現に受けておられる、具体的な権利としてそういうものをお持ちの方というようなところまでこれを調整するということは難しいというふうに考えまして、施行後にそのような調整を行うということにいたしておりますので、その点では確かに改正前と後では違ってまいる。これは制度改正に伴いましてやむを得ないことではないかというふうに考えております。
  75. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、保険は一体世帯単位なのか個人単位なのかという問題があるわけですけれども、今回の改正では、個人で主張されていっているような部分もあるようだし、世帯として考えられているような部分もあるようだし、この辺のところ、私は非常に定かでない部分があるというふうに思うんですが、共済組合本人年金給付を受ける権利は、これはずうっと本人掛金を掛けてきた段階からあるわけで、その妻もやっぱり遺族としての年金給付を受ける権利が同時に発生していた。それを前提としたいわゆる保険設計の中でやってきたんだから、あったはずなんです。これをカットしてしまうということがどうなのかということで、私は、併給調整について、していい部分ないしはしていい対象者もあるというふうに認識はいたしております、公平という観点から見て。  ただ、非常に低額な年金額である場合の残された妻なんかに対して、一時金等の調整を考えて、配慮することができないのかどうなんだろうかという、非常に零細な遺族に対する年金の問題を問題にしているわけなんですけれども、この辺どうでしょうか。
  76. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 確かに、共働きの御家庭の掛金に、妻が夫の死亡によって受けます遺族年金につきましては、従来は妻本人退職年金と両方受給できたのに対しまして、今回の改正では、施行日以後に新たに発生する年金につきましては、夫の死亡による遺族年金か妻本人退職年金か、どちらか一つを受給するということになることは御指摘のとおりでございます。  ただ、これはどちらを選ぶかというのは御本人の選択でございまして、それからまた、一度選択したら未来永劫変えられないというものではございませんで、そのどちらが有利かということの御判断でまた選択を変えるということもできることになっております。  今回、制度改正でこういうふうになりましたことにつきましては、先ほど申し上げましたように、やはり年金受給者間の均衡なり、あるいは給付の重点化による給付負担の均衡というような観点から行うというものでございますので、ひとつその点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。  ただ、今回の遺族年金退職年金との併給調整措置につきましては、経過措置が全然ないということはございませんで、例えば施行日の前日に既に妻が退職年金を受給しておりましたような場合に、施行日以後に夫が死亡をいたしましても、併給調整の原則にかかわらず、その夫の死亡による遺族共済年金と妻が受けておりました退職年金の半分とをあわせて受給できるというような措置は講じているわけでございます。
  77. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 反対に、残された方が夫であった場合で六十歳に達している、こういう場合は妻が掛けてきた年金を夫はもらえるんですか。
  78. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) いわゆる生計維持要件という問題はございますけれども、それを別にいたしますれば、残された方が男性であるか女性であるかということによる違いはないということでございます。
  79. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 時間がなくなりましたので先へ進めます。  もう一つは、支給開始年齢の問題についてお伺いをするわけですが、現在農林漁業団体の定年が五十六、七歳前後というところでありますけれども、これを速やかに六十歳定年に移行するということを今回措置をするわけですね。そして、七十五年までにすればよかったものが五年短縮で七十年までに、こういうことになるわけですが、私は、この七十五年だって経過措置なんで、それをさらに圧縮するという考え方なんですが、これは衆議院段階の参考人質疑等も読ませていただいている中で、かなり大きな問題があるという認識に私は立っております。  それで、この期間圧縮について、定年制の問題を含めて農水省側の見解をまず伺わしていただきたい。
  80. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回、支給開始年齢を六十歳まで引き上げます目標年次を昭和七十年ということにいたしたわけでございます。これはやはり公的年金制度一元化のためのいろいろな調整というのを七十年を目途にやるということで、それに合わせて支給開始年齢の経過措置も七十年をめどとするということにいたしたものでございます。  農林漁業団体の定年年齢につきましては、漸次延長はされてまいってきておりますが、率直に言いまして経営基盤の強い団体、弱小の団体、いろいろございます。したがいまして、私ども決してこれは容易なことだとは思っておりませんけれども、やはり今回の改正も踏まえまして農林漁業団体に対しましては、支給開始年齢と定年との間に空白が生じるということは好ましいことではございませんので、そういうことが起きませんように、できるだけの指導はしてまいりたいと思っておるわけでございます。  衆議院段階の参考人のお話も出ましたが、その際も農協中央会の代表の方から、いろいろ団体にも問い合わせをして積み上げているけれども昭和六十四、五年ぐらいまでには六割ぐらい方はいけるんではないか。残りをいわば六十年代の後半にとにかく六十歳まで持っていくという努力をしなければいけないという認識は持っておりますので、私どもよく団体とも協議をしながら、一層努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  81. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 衆議院段階の参考人質疑の今のお話は桜井さんの御発言だと思うんですけれども、私はその後、現場にいて現にそのことを扱ってきている人たちの発言が非常にやっぱり重みを感じるわけで、例えば定年延長については非常に難しさがあるんだということを言われて、そして五十四年当時に平均で五十七・六歳であった定年が、四年たった五十八年当時で五十七・七歳という、わずか〇・一歳しか実際には四年間で定年が延長されていないという現実があると、こう言っているわけです。これは理事者側の努力をしようという言い分と、それから現にその場に当たっている人たちの認識とではかなり差があるわけでございまして、時勢のあれもあるかと思います。加速が加わることもあるだろうと思いますけれども、四年間でたった〇・一歳しか現実には延長が進んでいないというこの現実は、やっぱり農水省側としてもきちっと踏まえて、それに対処していかなきゃいけないというふうに私は認識しておりまして、これは大変厳しい事柄ではないかというふうに思うんですが、これはいかがでしょうか。
  82. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほどお答えの中で申し上げましたように、私どもも決して容易なことであるとは思っておりません。当委員会でこの問題につきましてはたびたび取り上げられておりますので、私ども、当委員会での御意見を十分頭に置きながら対応してまいりたいと思っております。
  83. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 最後に、もう時間がなくなりましたんですが、今回の問題の一つは、私はやっぱり算定方式の問題が大変大きなウエートを占めているのであろうというふうに思うんですけれども、いわゆる算定方式について、厚生年金方式というんですか、これを取り入れることにしたとして、それによって出てくる農林漁業団体への影響というのは、これも再三御質問が出ていますが、あえて私が伺うということは、やっぱり今の定年の圧縮の問題とあわせて甘くお読みになっているのではなかろうかというところを指摘したく、あえて取り上げたわけですけれども、この影響というのはどのぐらいの数値に読んでおられますか。
  84. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の算定方式は、いろいろな部分がございますが、一つは、算定の基礎になります給与のとり方の問題が一つございます。これも組合員期間の長短とか給与の上昇率とかによっていろいろ違いがございますが、低下率の高い方で二〇%から三〇%、算定の基礎になります給与の水準は下がると思っております。ただ、給付仕組みが変わりますので、例えば定額で給付をされます基礎年金制度の適用がありますとか、あるいは新たに定額の加給年金が創設をされるというようなことがございますので、その率がストレートに給付の額に直ちに反映されるというものではないというふうに思っております。  それから、共済年金方式がいわば廃止されまして通年方式的な算定方式になるわけでございますが、共済年金方式の現在適用を受けております農林年金の受給者の方は全体の一七・六%程度でございます。他の共済年金制度と比べてもこれはそう高い数字ではございませんで、一例を私学についてとりますと、私学の場合は共済年金方式が四二・七%を占めておりますので、そういう意味では、総体的な影響の度合いは小さいということは一応言えるかなと思っております。
  85. 成相善十

    委員長成相善十君) この際、先ほどの稲村君の質疑に対して、政府から答弁を求めます。厚生省山内審議官。
  86. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 先ほどお尋ねのございました月二万円の手当ということは、今回新しく創設される特別障害者手当のことであろうかと存じますが、この手当は、現在政令で併給関係を定めることとしておりますが、特に農林共済の障害年金との関係では併給を認めることを方針として臨んでおります。  なお、お尋ねの過程で、かつての福祉手当が、今までほかの制度と比べて農林共済の障害年金だけが併給されてなかったんじゃないかという趣旨の御質問があったやに聞いておりますが、福祉手当の場合は、従来とも厚生年金を含め、他の障害年金とは調整しておりましたので、ある意味では、 対象とする障害の程度は大分違いますが、福祉手当が特別障害者手当となったことによって、その併給関係につきましては広げられたというふうに御理解いただきたいと思います。
  87. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 今の御答弁で大体わかりました。そうすると、今度は、特別障害者手当の方では政令で併給をされるというふうに理解をしてよろしい、こういうことですね。  そうすると、私も一つそれなりに厚生省にちょっと^厚生省が出された解説書が極めて不親切だということ。で指摘をしたいわけでありますが、「社会保障の手引」という、あれは千幾らでしたか、千六百円だか何かのあれがありますけれども、それは八月一日付で出ているのを私は見ているわけなんでありまして、それならば、何らかの形で、こういうところでもきちんと、今度は法改正というものも、こういう想定をされているということを記述されてなきゃ、八月一日に出ているものなんですから、そういうことをちゃんときちんとしていただきたい。このことは要望であります。
  88. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) お答えします。  ただいまの点は、十分注意してまいりたいと思います。
  89. 下田京子

    ○下田京子君 最初に、既裁定年金者のスライド停止問題で御質問します。  今回の改正で、共済方式で計算されている年金受給者のスライドが一時停止されるということは、現役組合員ばかりでなくて、既に年金をもらっている人にまで不利益が及ぶという点で、過去に例のない問題であるということを指摘しておきます。農林年金の場合に、共済方式採用者は、全体の年金受給者の中で一七・六%かと思います。ですから、この人たちが、幾ら従前額保障をと言っても、一定期間スライド停止、こういうことになることは明らかですから、不利益をこうむるということになりますね。
  90. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の改正によりまして共済方式から通年方式に裁定がえをされた方につきましても、従前の年金額は保障いたしておりますので、不利益変更にはならないと考えておりますが、一定期間スライドが停止されることもあるという点では、このような方が従来持っておられた期待にこたえられないということも事実でございます。
  91. 下田京子

    ○下田京子君 額は保障しているからいいという言い方は、まるでスライドは恩恵だというふうにも聞こえるんですよ。少なくとも年金額の実質価値を維持する、これが公的年金制度として当然のことだと私は思います。長年、国民の運動によって制度化されてきた既得権だということは、もう言うまでもないことなんです。このことは、ことしの四月十日、農水大臣あてに出されております社会保障制度審議会答申でも、こういうことでなお書きで出ているんですね。「改正案は老後の生活設計に組み込まれている既裁定年金のスライドを停止する等年金制度に対する信頼を裏切りかねない内容を持つものである。」というふうに明確に言っているわけです。ですから、これをもって御理解をということを言っても、とても年金受給者にとっては理解できるものじゃない。  なお、私のところにも全国各地から皆さん御要請に見えておりますけれども年金受給者というものは、公共料金が年々上がって、年をとって病気にもなる、ところが、先般医療費も有料化されたというような状況で、一年でもスライドが停止されるということは大変な不利益なんですということを申しております。局長も不利益であることは否定されておりません。重大なことだということを重ねて申し上げます。  次に移りたいんですけれども給付負担のバランスの問題です。  事あるごとに御説明の三つの柱の中にこれを出してきますね。給付負担のバランス問題で農水省の収支試算を見ますと、昭和百年度ですが、現行制度のままでいきますと掛金率は千分の四百四十一になりますね。改正すると、それが千分の三百一になる、こう言っております。しかし、改正後の三百一の掛金自体が現在の百九に比べて二・七倍という大幅なアップですね。本人負担二分の一ということになりますけれども、給料の一五%を差っ引かれるわけです。わかりやすく言えば、月額二十万円の給料取りの方は待ったなしで三万円年金掛金として差し引かれるということで、重大なことなんですね。  そこで、明確な答弁をいただきたいことは、西ドイツの例によりますと、掛金率の限度は千分の二百四十というふうに言われております。これから見ますと、この三百一というのはもう限界を超えているんですね、二百四十がいいかどうかは別にしてもですよ。そういうことで、この二百四十以内に掛金率を抑えよう、こう考えますと、近い将来に年金支給開始年齢の引き上げ、あるいは給付水準の大幅な引き下げということが当然考えられると思うんです。どうですか。
  92. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この損金負担の限界につきましては、年金以外の負担との関係もございまして、なかなかびたりと一つ数字で限界を示すというようなことは難しい問題だと思っておりますが、お話ございましたように、西ドイツでは、六十五歳支給開始ということで我が国の負担方式に換算すれば、現在既に千分の二百四十ぐらいになっているというふうに、見ております。  私ども長期的な収支の推算をいたしました中で、今御指摘のように、制度改正をして昭和百年ぐらいに千分の三百一というような負担になることを考えて推定をいたしておるところでございますが、これは、確かに組合員負担として負担の限界ぎりぎりのところというふうに私ども理解をいたしておりますけれども、他の共済年金でも大体今回の制度改正でそのくらいのものになるわけでございます。非常に高齢化社会が急速に進展をするということの中で、そのくらいのところはどうしても、やはりぎりぎりのところで負担をしていただかざるを得ないのかなというふうに考えております。  なお、これがあるからといって、それじゃすぐに六十五歳にまた支給開始年齢を引き上げるのかというようなことにつきましては、現在のところ、そういった考えは持っておらないところでございます。
  93. 下田京子

    ○下田京子君 限度内に抑えるということで、支給開始年齢六十五歳への引き上げが予想されるけれども、現在はそういうことは考えていないと、こうおっしゃっていますけれども厚生年金保険料率の見通し、その中で明確に言っているんですね。昭和百年度には二百八十九の掛金率になる。それを六十五歳支給とした場合には二百三十九となり、二百四十以内におさまるんだ。つまり、六十五歳支給を必然的に見てそのことを強調して出しているんですね。御説明されているんです。だから、考えていないというのは、まさにもう今この場でどうにもならなくなって言ったことで、これは非常に問題だということが明確になったということを指摘しておきます。  次に、年金財政の問題なんです。  農林年金の財政は、現在でも非常に深刻だと私は受けとめております。それはなぜかといいますと、五十九年度末の財政検証によりますと、資料を見ましても、前回五十五年三月末の再計算時に比べて所要財源率が約三〇パーミル上昇。しかも、その内容を見ますと、過去の積立不足分に当たる整理資源率の急増によって出ているわけですね。それを金額ベースでわかりやすく言いますと、三兆三千六百六十九億円の積み立てが必要だ。ところが、現在一兆二百二十六億円しか積んでいない。そのために不足額が二兆三千四百四十三億円にもなっている。問題は、聞きたいのは、この不足財源二兆三千四百四十三億円がどうして生まれたのか、この要因をどのように分析なされているのかという点です。
  94. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 確かに整理資源率は増加をいたしております。この要因といたしましては、既裁定年金額の改定、それから組合員のベースアップなり、それからまた、掛金を決定いたします際に修正率を採用したというようなこと等に起因するものというふうに考えております。  ちなみに、過去四回の財政再計算におきましてこの整理資源率が増大したのを見てみますと、第二回から第三回の再計算におきます増加は千分の二九・九一でございましたが、昭和四十五年度から四十九年度における組合員給与の上昇率が非常に高かった、また、消費者物価指数なり国家公務員の給与の上昇率が非常に高かったということで高率の年金額改定が行われましたことから、整理資源率が非常に増加をしたというようなことがあると考えております。
  95. 下田京子

    ○下田京子君 一般的にはそういうことなんでしょうけれども、明確に、今もお話がありましたが、第二回の再計算から第三回の再計算時になって急激にふえていったという理由は何ですか。
  96. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今さっき申し上げましたように、四十年代の後半、物価狂乱あるいは石油ショックというようなことで、消費者物価なり、あるいは賃金の上昇が非常に高く、高率の年金額改定を行ったということが大きな要因になっておろうと思います。
  97. 下田京子

    ○下田京子君 つまり、インフレが大きな要因だったということだと思うんですよ。ただ、今の御答弁を聞いていますと、いまだにきちんとした要因分析をされていないかに私は受けとめております。これは怠慢だと思うんです。  総理府の社会保障制度審議会の年金数理部会でも、五十七年七月に既に経過報告をされている。その中でこう言っているんですね。「不足財源率の上昇に著しいものがあるので、数理的保険料率と不足財源率とを区分して計算している保険者は、今後不足財源率の要因分析を行うべきである。」と、こう言っているんです。ですから、一体何によってなのかということを明確にやっぱり分析しなきゃならないと再度申し上げます。  そこで、私は、今も局長から答弁ありましたけれども、この不足財源、つまり整理資源率が急増しているのは一体どこなのかと見ますと、第三回目の再計算時であって、五十年の三月末なんですね。これは四十八年、四十九年の狂乱物価だと。消費者物価指数で見ますと、四十八年度一六・一%、四十九年度二一・八%アップ、こういうように異常なんです。ですから、インフレの影響によるものなんだということをもうはっきり物語っていると思うんです。再度、そうですね。
  98. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) やはり四十九年当時の物価、給与の相当大幅な上昇ということが影響をいたしておるものと認識しております。
  99. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、インフレというのは、国の財政経済政策の結果生まれてきているのでして、組合員負担に帰すべきものじゃない、これは明確だと私は思います。  四十九年当時と比べまして、じゃ一体農水省の姿勢は農林年金に対して、特に国の責任という点でどういうふうな対応をしてきたかということなんです。これは大臣にお聞きします。  このインフレ等によって五十年三月末の年金財政再計算の際に不足財源率が急増したというふうな中で、農水省は当時どういう態度をとっていたかというと、その一つは、国庫負担の拡充。農水省は、大蔵あるいは財政当局に対して、国庫負担一八%を二〇%にせよ、財政調整費補助を一・八二%から三%に上げよとずっと要求していたんです。当時の倉石農相も、四十九年五月八日農水委で、国庫補助の引き上げ、その実現につき最大の努力をすると確約していたんですね。実際には、その後財政当局の反対で実現しませんでしたけれども、この要求というのは、五十六年の臨調が発足するまでずっと要求していたということなんです。  二つ目には、掛金をアップする。これは組合の負担能力からしてとてもできないということで、修正率を初めて採用したんです。ですから、インフレ下の中でも給付水準の大幅改定はしたけれども掛金の方はぎりぎり千分の二アップというところで抑えたんですね。ところが、今回は何かといったら、相互扶助の名で自立自助、そういう格好で過去の不足財源まですべてこれから加入する人たちも含めて後代者負担にゆだねようとしている。大変問題だと思うんですよ。その辺、どういうふうに大臣、御認識されているんですか。
  100. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。  先生御指摘の整理資源率の増加要因につきましては先ほど局長の言ったとおりでございますが、この整理資源率は財政再計算を行うに際して、実は基本的に将来予測のできない社会経済変動を織り込んで計算することが困難であることから、その後に発生した必要財源を別途区分して計上するものであり、社会保険方式をとっている公的年金制度においては、この部分を含めて負担額の算定基礎となっているということでございます。  この場合、問題は負担割合でございますが、国庫補助相当部分を除きまして労使折半原則となっているということでございまして、これは農林年金のみでなくして、厚生年金を初めとする他の共済制度全般に共通する掛金負担割合であるので、これを変更することについては困難であると考えております。
  101. 下田京子

    ○下田京子君 私が大臣にお聞きしたのは、インフレによる影響でしょう。今御説明されたのは、その結果として出てきた不足財源率に対する対応の話なんです。インフレという国の財政経済政策によって起きたこの問題について国はどういう態度をとってきたかというと、当時は国庫負担をふやそうと一生懸命やってきた。今度は減らす方向をやっているんじゃないですか。おかしいと、それを言ったんですよ。だから、どう思うのかということなんです。  掛金の過去の状況を見ますと、発足当時が千分の七十八から現在千分の百九でしょう。ですから、二十五年の間に千分の三十一アップなんですよ。ところが、今回の改悪はどうかというと、収支試算で明らかになっていますが、五年ごとに千分の二十四上げようというのですよ。将来は千分の三百一にするというのですね。何と掛金現行の三倍でしょう。こういうことをやる。しかも、今言うように国庫負担の削減をやろうとしているんです。従来は、掛金アップは若干やってきましたけれども、必ずこれは給付改善とリンクしてやってきたんです。今回は給付も引き下げる、掛金は上げる、そして国庫負担は全く大幅削減。重大だ。こんな悪法は廃案以外にないんだということを再度主張して、質問を終わります。
  102. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、質問に入る前に、二つの点を指摘いたしておきます。  まず第一点は、今度の一連の改悪法案社会保障制度の根幹をなし崩しにしつつある。これは重大なことであるということが第一点。  第二点は、社会保障制度の根幹は、申し上げるまでもなく憲法第二十五条の柱が明確に示しているわけなんですね。この根幹が、私がいつも申し上げておりますとおり、制度改正は前進であり、増進であり、どんなことがあっても後退があってはならないということを言うわけですが、明らかに後退である、なし崩しである、これは大変なことであるということを指摘いたしまして、第一点、厚生省お尋ねします。  よく政府は、我が国の年金水準社会保障の先進国とされておる西欧諸国に比較しても決して見劣りしない、こういうことを言っております。我が国の年金水準は西欧諸国に比較して一体どういうレベルにあるのであるか、そのことをまず明確にしてもらいたい。
  103. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) 御説明申し上げます。  厚生年金をとりますと、厚生年金と先進諸国の一般的な被用者年金水準、これは実際の受け取る年金額でございますけれども、これと勤労者の賃金との比率を見てみますと、西ドイツの場合三三・五%から四八・九%となっております。幅がございますのは、西ドイツには勤労者をカバーする複数の制度があるからでございます。それからイギリスは四一・六%、アメリカは四三・四%でございます。これに対しまして我が国は四〇・五%、これは賃金の中にボーナスも含めておりますけれども、こういうことでございますので、ほぼ遜色のない水準ではないかと考えております。  なお、我が国の制度はまだ成熟化の途上にございますので、平均的な加入期間がこれからどんどん延びてまいりますので、年金水準がそれに伴って上昇するという構造的な仕組みになっておりますことを御留意願いたいと思います。
  104. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 未熟ながら西欧並みの水準に近づきつつある方向は認めます。ところが、やっとこさ近づきつつあると思った瞬間に、今度は巻いたぜんまいががらがらと崩れていくようなこういう状態で、ごろ合わせといいますか、数字並べで無理やり算段をしておるというこのことに私はどうしても納得がいきません。  第二点は、社会保障制度で、先ほど憲法二十五条の柱を述べたんですが、明確に内容は向上であり増進でなければいけないということがうたわれておりますね。これと結びつけた場合に、給付水準の引き下げを主な内容とされておることもこれは事実でありましょう。どう弁解してみたところで、事実は何よりの真実であります。こういうことから、仮にこの改正した内容が完成した時点で、西欧諸国に比べて一体どのような水準まで引き上げるという見通しを持っておられるか、このことを第二点にお聞きします。
  105. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) 改正後におきます国際比較を行うことは実はなかなか難しいわけでございます。標準的な年金についてちょっと見てみたいと思いますが、厚生年金の場合、改正後におきまして平均賃金の六九%、ボーナスを込みにいたしました賃金比では五三%ほどになろうかと思いますけれども、こういった水準を将来とも維持していくと、こういうことにしております。  西欧諸国におきましては、先ほど申し上げましたとおり日本と逆でございまして、既に制度が成熟しておりますので、年金水準は今後それほど変化がないのではないかと、こう推測されますので、我が国の年金水準は今後とも遜色のない水準を維持できるであろう、このように考えております。
  106. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いろいろな不安も予想されるわけなんですが、ということは、もと立ちて末起こるで、がっちりと柱が納得のいく揺るぎないものであればそこからは揺るぎないものが生まれてくる。もとがぼけてきて崩されてくるというと、そこから流れる流れはますますどういうふうに色が変わり内容が変わってくるかわからぬ、こういう不安がいっぱいあるから、私はそのことを今聞いたわけなんです。  次に農水大臣、農水省に聞きますが、農林年金給付水準は他の制度並みであったとしても、実際に年金受給者が受け取る額は共済年金の中で、他の三つの共済の中でも最も低く、厚生年金に比べても低い。その理由政府はどのように理解しておられるかということですね。給与水準には組合員期間などに起因するもの、そこに原因があるとするなれば、農林共済団体の経営基盤や雇用条件といった問題の解決に絡んでくると思うんですが、そのことについては政府はこれまでたびたびそれは今後指導すると言っておられる。ところが、言葉では易しいけれども、実際に具体的に指導するということはそう簡単にいくものではないと私思うんです。実際は困難であろうと思うんですが、その点についていかがお考えですか。
  107. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 確かに御指摘のように、五十八年度の受給者全体の平均額で見ますと、農林年金が百三十三万八千円でございますが、例えば国家公務員共済百九十一万二千円でありますとか私学共済百六十二万六千円、あるいはまた厚生年金も百三十六万円ということで、若干でございますが農林年金を上回っているという実績になっております。ただ、五十八年度の新規受給者だけについて比較をいたしますと、農林漁業団体の給与改善等を反映しまして他の年金との格差は改善されてきておりまして、国家公務員とか私学などよりは劣りますものの、厚生年金よりは高いという水準のところまでは来ておるわけでございます。  仕組みとしては他の制度と遜色がない仕組みになっておりますし、厚生年金よりは高い給付が行われ得る制度となっているわけでございますけれども、やはりベースになります給与の水準というのは、農村部に所在をする事務所に働いている人たちが非常に多いというようなことがございますし、また平均組合員期間が公務員などに比べますと六年程度短い、こういったことが反映をいたしておるものというふうに考えております。  今後そういう組合員期間なり、あるいはまた給与水準というものをどうやって改善をしていくのかというお尋ねでございますが、私ども組合員期間につきましては今後やはり伸長を見るであろう、近年伸長を続けてまいってきております。  問題は、給与水準でございますが、これは今お話がございましたように、ただ指導でどうこうなどというものでは必ずしもございません。やはり農林漁業団体の経営基盤そのものが強化をされませんと、給与水準の改善というものもなかなかやりにくいわけでございまして、そういう意味におきましては、農林年金に所属しております団体さまざまございますが、それぞれのやはり団体の経営基盤なり事業というものをどうやって伸ばしていくか、あるいは堅実なものにしていくかということで、これは農政万般にわたる各般の努力が必要だと思っております。農林漁業団体の広い意味では育成というふうなことで、いろいろな側面から私ども努力をしていかなければいけないと思っております。
  108. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後になりますが、まず今のコメントに対しては、今後この健全な運営が図られるよう、それから納得のいく理解を与えてほしい、こういうことを申し入れて、最後に、老人世帯の急増と生活水準の確保、この点から結論だけ時間の関係がありますので尋ねますが、老人人口の著しい増加ということは、これはもうそれだけ公的年金制度への期待が大きくなってくることは必然であります。その役割がこれまで以上に強まることを意味していると思うんですが、従来の我が国の社会においては、老人の扶養という問題は、大部分同一世帯の中で賄われてきたこと、それから公的年金制度の未整備という背景と、同時に複数世帯が同居するという農村社会の伝統と家の制度による面が強かったと思うんです。それが今日、核家族に変わってきた。  そういうことから、老人の独自の生活形態を樹立しなければいけない、これも戦後の推移であるわけなんですが、こういうことから現行制度では、国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合に、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに年金給付額の改定措置が講ぜられなければならないと言われておりますね。老人世帯の激増と老人世帯を取り巻く社会経済上の変化に対応して、どのような生活水準年金制度の中で確保していこうとしておられるのであろうか、このことについて、これは基本的な姿勢であり内容であると思いますので、ぜひひとつ大臣、お答え願いたい。  以上で私の質問を終わります。
  109. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。  もう先生御存じのことでありますが、農林年金給付水準の設定につきましては、掛金負担する組合員の所得と、また年金受給者の所得の均衡が図られるものでなければならぬと考えております。そんなことで、農林年金給付水準は、農林漁業団体職員の標準的なもの、大体四十五歳で夫婦子供二人というものを標準的なものと考えておりますが、その給与のおおむね七割程度と想定しており、これは年金受給者と現役組合員との均衡から考えた場合、ほぼ妥当なものであると考えております。  また、この年金額につきましては、物価情勢に応じた改定を行うこととしておりまして、年金額の実質的価値の維持を図ることとしております。
  110. 成相善十

    委員長成相善十君) 本案に対する質疑は午前はこの程度とし、午後四時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ―――――・―――――    午後四時三十二分開会
  111. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告をいたします。  本日、嶋崎均君、高木正明君が委員辞任され、その補欠として竹山裕君及び添田増太郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  112. 成相善十

    委員長成相善十君) 休憩前に引き続き、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  お諮りいたします。  本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  113. 成相善十

    委員長成相善十君) 多数と認めます。よって、質疑は終局いたしました。  本案の修正について北君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。北君。
  114. 北修二

    ○北修二君 私は、ただいま議題となっております農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合を代表して修正の動議を提出し、修正案の趣旨及びその概要を御説明いたします。  修正案の内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  これより、その趣旨及び概要について御説明申し上げます。  修正の内容は、第一に、年金額の政策改定の要素に賃金を加えることであります。政府原案では、この法律による年金である給付の額は、国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には速やかに改定の措置が講ぜられなければならないものとしておりますが、改定の要素として国民生活水準等のほか「賃金」という文言を加えることとしております。  第二は、職域年金相当部分支給要件を緩和することであります。職域年金相当部分年金額については、政府原案では組合員期間二十五年以上で厚生年金相当部分の二割相当としておりますが、これを二十年以上とすることとし、これに伴い所要の修正を行うこととしております。  第三は、本法の施行日前の期間を有する組合員の平均標準給与月額の計算については、政府原案では五年間平均補正方式を採用することとしておりますが、これに加えて個人ごとの全期間平均方式による額を参酌した調整を行うこととしております。  なお、この修正により必要となる経費は、昭和六十五年度約一千百万円と見込まれております。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  115. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまの北君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。佐藤農林水産大臣
  116. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの修正案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えます。  御可決された暁には、その趣旨を体し、農林漁業団体職員共済組合制度の適切な運用に一層努力してまいる所存でございます。
  117. 成相善十

    委員長成相善十君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  118. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、日本社会党を代表して、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案及び修正案に対して反対の討論を行うものであります。  申し上げるまでもなく、年金制度は、組合員老後生活の支えとして大きな役割を果たしてまいりました。また、今後は、高齢化社会の急速な到来が予想される中にあって、豊かな老後を保障し、安心して生活できるような社会を構築することが政府の責務であります。  しかるに、財界主導の臨調答申を受けて実施される一連の年金制度の改革は、将来の就労人口構造や労働環境の見通しなしに、単に年金財政が悪化することのみを主張し、公的年金制度全体の長期的安定と整合性のとれた制度の実現という口実で、国民に一層の負担給付の削減を強いるとともに、国の財政負担を削るなど、社会保障を拡充するという近代国家の担うべき今日的役割に逆行する改悪であり、断じて容認できるものではありません。  特に、改正の中心であります基礎年金制度の導入につきましては、最低生活を保障するにはほど遠い内容のものであるばかりか、公的年金水準全体の低位平準化を促進し、その固定化を図ろうとするものと言わざるを得ないのであります。したがって、その給付水準費用負担のあり方が再検討されてしかるべきだと考えるのであります。  また、共済年金給付水準も逓減され、年金水準が三〇%以上も切り下げられ、既裁定年金のスライドが一部停止されるなど、これまで共済年金制度の維持と発展に大きく貢献してきた年金受給者や組合員のいわゆる既得権、期待権を侵害する不当なものであります。  さらに、類似の公的年金制度に比べて、低額年金である農林年金制度の実情を無視し、他制度と一律に扱われていること、あるいは農林漁業団体の定年制の実態を考慮せず、退職年齢と年金支給開始年齢との間に空白期間が生じかねない内容を持つものであること等を考え合わせますと、本改正案は、農林漁業団体職員老後生活を不安なものにさせるばかりか、本制度設立の趣旨を失わせかねないものであると断言せざるを得ないのであります。  政府は、二十一世紀に向けて、公的年金制度の健全化を図るため、みずから果たすべき責任とその基本姿勢をまず明確に示すべきなのであります。それにもかかわらず、逆に、財政的見地から共済制度に対する国庫補助を廃止し、しかも、いまだに将来の年金政策の展望すら不明確なまま放置しているのであります。こうした政府の姿勢は、その主張とは全く逆に、公的年金制度の維持、発展の基本であります制度の信頼性を大きく損なうものであり、極めて遺憾であります。  私は、本案が速やかに撤回され、制度本来の趣旨に沿った改善がなされるよう期待いたしまして、反対の討論といたします。
  119. 星長治

    ○星長治君 私は、ただいま議題となっております農林漁業団体共済組合法の一部を改正する法律案について、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、原案並びに修正案に賛成の立場から討論を行うものであります。  申し上げるまでもなく、年金制度は、国民老後生活を支える重要な柱であり、社会保障制度の中核的な役割を担っている制度であります。  このような年金制度をめぐる情勢は、老齢人口の急速な増加、社会経済情勢の著しい変化等に伴い、そのよって立つ基盤に重大な変化が生じてきているのであります。  私は、このような社会経済情勢の変化に対処するとともに、二十一世紀を展望して公的年金制度の健全かつ安定的な運用を図っていくことが緊急の課題になっていると認識しております。  このような立場に立って年金制度の改革を実施するに当たりまして、最も重視して考えなければならないことは、公的年金制度の長期的な安定と、公平性の確保、さらには国民各層の全幅の信頼を得られるような制度に改めていくという視点であろうと存じます。  私は、今回提案されております農林年金制度改正は、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化等の改革の一環として、他の制度改正と同様に所要の改正を行おうとするものでありまして、今日の情勢から見て当然の措置であると考えるものであります。  すなわち、本制度に基づく年金給付につきま しては、原則として基礎年金に上乗せして支給する給与比例年金といたしておりますが、職域年金部分を加算することはその特殊性を配慮したものであり妥当な措置であると存じます。  また、年金額算定の基礎となる俸給につきましては、全期間の平均標準月額とするとともに、その他年金額の算定方式についても厚生年金と同様の考え方に基づいた設計がなされており、給付水準及び給付内容について類似の公的年金制度間相互の均衡を図ることとしているなど、まことに適切な措置と考えられるのであります。  また、今回の改正において最も関心が寄せられておりました既裁定年金の取り扱いにつきましては、世代間の公平等を考慮して給付水準の見直しを行うこととする一方、従前の既得権及び現行制度に対する期待権も十分に尊重し、給付水準の見直しの際に従前の年金額を保障する等所要の措置を講ずることとしているのであります。  さらに、今回の改正に当たりましては、本制度の長年の課題となっておりました消費者物価による自動スライド制を導入する改善措置も講じているところであります。  自由民主党・自由国民会議といたしましては、これらの措置を内容とする今回の改正案は、年金制度をめぐる諸情勢の変化に対応して、農林年金制度の長期的な安定と整合性のある発展を図るための適切な内容であり、十分評価できると認められますので、賛意を表するものであります。  以上をもちまして、今回の改正案に対する私の賛成討論といたします。
  120. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました政府提出の農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案及び修正案に反対する立場から討論を行います。  今回行われます共済制度の改革は、本格的な高齢化社会の到来を前に、各種の年金制度が分立することによって生じている問題を解決し、長期的に安定した制度体系を確立することを目指すものであると考えます。  すなわち、従来の国民年金を全国民対象とする基礎年金に改め、これを共通基盤として二階建て、三階建て年金を構築しようとするものであろうと思います。  この基礎年金構想については、昭和五十一年以来、我が党が提唱し続けてきた国民基礎年金構想と、その基本的考え方の方向性においておおむね一致するものであり、本改正案は、まさにこの抜本改革の一環をなすものであるだけに、その限りにおいては一応の評価を与えることをやぶさかとはいたしません。  しかしながら、本改正案内容には、これまでの委員会質疑を通して指摘されてきたごとく、さまざまな問題点があることを言わざるを得ません。  我が党としては、農林共済年金について、十四項目に及ぶ具体的な修正を要求したわけでありますが、残念ながら、一部を除いて修正要求は受け入れられることになっておりません。  以下、我が党が要求しつつも実現できなかった修正内容の基本的考え方をも含め、本改正案に反対する主な理由を申し述べます。  その第一は、他の共済制度の改革と同様、本改正案に導入される基礎年金そのものが、給付水準掛金負担のあり方等において、基礎年金本来の基本理念にほど遠いものであるなど、重大な欠陥を持っている事実を改めて指摘せざるを得ないということであります。  その第二は、既裁定年金を含め、今回、各種の共済年金厚生年金に準ずる方式に改めるに当たって、従前の共済年金の受給要件または給付水準厚生年金より不利になっていたものについては、この際、当然国の社会保障水準である厚生年金並みに引き上げるべきであったと考えるものであります。しかしながら、他の共済年金改正内容と同様、本改正案においても、このような考え方が甚だ欠落している部分を多く残してしまったということであります。  その第三は、本改正案において、各種の共済制度公的年金制度が再編される中で、今後、農林共済制度もどのような過程をたどっていくことになるのか、もう一つ明確になっていないという点であります。とりわけ、国鉄年金の救済策が将来にわたり明示されていない現状は、公的年金制度に対する国民の不安をも増長させるものであることを、あえてつけ加えておかなければならないと思うものであります。  以上の主な理由をもって、本改正案並びに修正案に反対の意を表明し、私の討論を終わります。
  121. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につき、修正案及び修正部分を除く政府原案に賛成の討論を行うものであります。  御承知のとおり、我が国は高齢化社会が進行する中で人生八十年時代を迎えました。老後はまさに第二の人生であり、この人生をいかに豊かに生きがいに満ちたものとするかが、国民各層の重大な関心事になっております。そのためには経済的基盤が万全でなければなりませんが、老後生活を支える所得保障の最大の柱は、何といっても公的年金制度でありましょう。  しかし、我が国の公的年金制度は、官民格差、給付負担の不均衡など多くの社会的不公正や矛盾を抱えているとともに、制度が多岐に分立しているがゆえに、国鉄共済のごとく個別制度が破綻に瀕している例も見られます。現在、国民の間に、多年にわたり保険料を納めて本当に年金がもらえるのかという不安が増大していることは否めない事実であります。これらの国民の不安を解消し、年金財政の長期安定と公正な制度を確立することが急務となっております。  政府が、今回の改正において、基礎年金制度の導入と所得比例年金、さらに職域年金部分を加えた三階建て構想によって、現実に即しながらも年金の一元化に踏み出したことは、遅きに失したとはいえ評価すべきことと考えます。  この改正に対し、不満や不平があることは十分承知しておりますが、この改正を断行しなければ公正な年金制度の確立は大幅におくれ、何よりも年金財政がパンクし、老後の経済不安を惹起するとともに、老後の給付を支える現役で働く人々の保険料負担が耐えがたいまで上昇することは必至であります。国家百年の大計を考えれば、今回の改正は必要不可欠であります。  我が党は、この見地から今回の改正に基本的に賛成するものでありますが、若干の問題点があるため、一部について修正するよう主張いたしました。  その結果、第一に、職域年金部分については、二十五年未満二分の一支給するという事項を二十年未満とするよう法修正がなされました。第二は、年金額の改定に当たり、賃金スライドを明確にするよう修正されました。その他、標準給与月額に関するもの等の修正についても評価できるものと考えております。  私は、以上述べた事由により、同法案に賛成の意を表するものであります。
  122. 下田京子

    ○下田京子君 私は、日本共産党を代表し、政府提出の農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案並びに自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合提出の同修正案に対し反対の討論を行います。  政府は、今回の年金改革について、高齢化社会の到来等に対応し、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るとしています。しかし、改正案内容は、発展どころか、公的年金制度としての国の責任である国庫負担を削りに削って、給付水準の大幅引き下げと掛金の大幅引き上げを行おうという年金制度始まって以来の大改悪です。  戦後、より豊かな老後の保障をと、国民的運動で年金制度の改善を実現してきた成果を一挙に奪い去るもので、まさに中曽根内閣の戦後政治総決算路線の年金版と言うべきものです。  第一の問題は、給付水準の大幅な引き下げです。私が具体的な事例で示したとおり、標準給与の算定基礎や計算方式の変更、支給率の削減などによって現行制度に比べ年金額は三、四割もダウンし、単身者の場合は五割近くも切り下げられます。政府は富民格差是正などと言っておりますが、これはより低い水準に合わせることによって年金水準全体を切り下げるための口実でしかありません。  ましてや、農林年金の場合、現役時代の低賃金、若年定年制による組合員期間が短いこともあって、その給付水準は他の共済年金厚生年金と比べて最も低い水準です。現状でも年金だけでは生活できないのに、それをさらに引き下げるということは断じて許すことができません。  また、既に年金を受給している人たちにまで、一時年金のスライドを停止するというやり方は、年金額の実質引き下げであり、公的年金制度におけるスライド実施という既得権を脅かすものです。  第二の問題は、掛金の大幅引き上げです。政府給付負担のバランスをとると、さも給付水準の引き下げによって負担が軽くなるかのように言っております。しかし、政府の試算によっても、将来の掛金率は現在の二・七倍にもはね上がり、給与の一五%が年金の保険科として天引きされることになります。年金制度研究会の意見でも、保険科負担の限界が一二%程度と言われているにもかかわらず、これを大幅に上回る今回の改定案は、生活の実態を全く顧みないものと言わざるを得ません。  第三に、年金支給開始年齢の引き上げも重大な問題です。農林漁業団体の定年延長が遅々として進まない中で、退職しても年金がもらえないという深刻な事態が現に生じております。再就職といっても、雇用がますます厳しい中、死活の問題です。  また、男女差別の定年制が、農協の場合五百二十七組合も残っております。また男子に比べ賃金水準も低く、女性であるがゆえの差別が老後の年金水準をさらに低いものとしています。婦人の自立した老後生活を保障する真の年金権の確立のためには、男女差別の是正など、婦人の労働条件の改善と年金の最低保障水準の大幅引き上げこそが必要です。ところが、今回の年金改革案は、給付水準引き下げという婦人の年金権確立に逆行するものです。  第四の問題は、国庫負担の大幅削減です。政府の収支見通しに基づき試算すると、昭和九十年度、農林年金だけで、現行に比べ改正案では二千二百億円の国庫負担削減、厚生、国民年金、国公共済、地公共済、私学共済合計すると、実に十二兆一千百億円もの削減になります。ここにこそ、今回の年金改革の真のねらいが示されております。  臨調行革前の昭和五十六年度予算と六十年度予算を比較すれば、社会保障はわずかに八・三%の伸び、一方、軍事費は三〇・七%と大幅に伸びています。まさに大軍拡が福祉を押しつぶしております。人口高齢化と制度の成熟化が進むにつれて、年金の必要財源が全体として大きくなることは当然のことであり、それだけに、老後保障の財源を圧迫する軍事費や大企業奉仕の不要不急経費の大胆な削減こそが今求められているのです。  以上の理由で、我が党は、政府提出法案並びに政府提出法案の改悪部分を何ら手直ししない自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合提出の修正案に反対するものです。  最後に、参考人質問を実施していないなど、極めて不十分な審議のまま採決を強行することに抗議するとともに、軍拡最優先、大企業奉仕の財政運営を抜本的に見直し、年金の労使負担割合を三対七に切りかえることを含め、国庫負担を拡充し年金制度の抜本的改善を実施することを改めてここに要求し、討論を終わります。
  123. 成相善十

    委員長成相善十君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、北君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  124. 成相善十

    委員長成相善十君) 多数と認めます。よって、北君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  125. 成相善十

    委員長成相善十君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  浦田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。浦田君。
  126. 浦田勝

    ○浦田勝君 私は、ただいま可決されました農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、農林漁業団体職員老後保障等を確保するため、本制度の沿革等を踏まえつつ、本制度の長期的安定と運営の円滑化が期せられるよう、次の事項を検討し、その実現を図るべきである。   一、 今回の改正は、共済年金制度の歴史上例をみない抜本的な改正であるので、組合員はもとより国民全体の理解納得を得られるよう周知徹底を図ること。   二、 公的年金一元化の内容及びスケジュールが依然として具体的にされていないので、できるだけ速やかに、その内容等につき明らかにすること。   三、 基礎年金水準費用負担のあり方等については、国民年金法の附則の規定に基づき、今後できるだけ速やかに検討に着手すること。   四、 今回の改正における職域年金相当部分根拠水準が必ずしも明確でないので、この点につき、社会経済情勢の推移、他の共済年金制度との均衡等を考慮し、引き続き検討を行うこと。   五、 既裁定の遺族年金について、最低保障の改善を図ること。   六、 禁錮刑等による給付制限措置については、今回の改正後、組合員掛金相当部分については行わないこととすること。   七、 併給調整について、その実施過程における問題を見極めた上で再検討すること。   八、 遺族共済年金に係る生計維持関係の要件について、制度間の不均衡の是正に努めること。また、被扶養配偶者の認定基準については、適正なものとすること。   九、 農林年金財政の健全化に資するため、今後とも必要な補助額を確保し、その財政基盤の強化等に努めること。また、昭和五十七年度から昭和六十年度までの間減額された国庫補助額については、適正な利子を付して速やかにその減額分の補填を行うよう努めること。   十、 一定期間を超えて雇用されるパート等臨時職員の組合加入を一層促進するよう指導すること。  十一、 農林漁業団体の経営基盤の強化に努めるとともに、年金支給開始年齢の引き上げに対処し、団体職員の定年制の延長等雇用条件の改善が図られるよう適切な指導を行うこと。  十二、 本制度の今後の改善に当たっては、公的年金制度として整合性ある発展を図りつつ、制度発足の経緯、沿革等にも配慮し、農林漁業団体の育成及び職員の人材確保を図る趣旨が損なわれないよう制度の維持に万全を期すること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  127. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまの浦田君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  128. 成相善十

    委員長成相善十君) 多数と認めます。よって、浦田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいま可決されました決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣
  129. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
  130. 成相善十

    委員長成相善十君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 成相善十

    委員長成相善十君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  132. 成相善十

    委員長成相善十君) 次に、農林水産政策に関する調査を議題といたします。  藤原君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。藤原君。
  133. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案に係る北洋漁業安定確保に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     北洋漁業安定確保に関する決議(案)   我が国の遠洋漁業は、二百海里体制の定着等に伴う沿岸諸国の漁業規制の強化により、深刻な影響を受けて、その対応に苦慮している。   このような情勢の下で、米国は、我が国北洋漁業において重要な地位を占めているさけ・ます漁業が、北米系さけ・ますを混獲しているとして、その禁止を要求するとともに、それに応じなければ、米国二百海里内における底魚の対日漁獲割当を停止するとの厳しい姿勢を打ち出してきている。   このような事態を放置するならば、国民食料の安定供給、漁業関係者の生計の維持、関係地域の社会経済に重大な影響を及ぼし、社会問題を惹起することは必至である。   よって、政府は、強力な対米折衝その他所要の措置を講ずるよう最大限の努力をすべきである。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  134. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまの藤原君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  135. 成相善十

    委員長成相善十君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣
  136. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、今後とも鋭意努力してまいります。
  137. 成相善十

    委員長成相善十君) 本調査につきましては、本日はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  138. 成相善十

    委員長成相善十君) 次に、請願の審査を行います。  第三号米作と食糧安定供給等に関する請願外六十件を議題といたします。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  139. 成相善十

    委員長成相善十君) 速記を起こして。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第四二号農林水産物市場開放阻止に関する請願及び第七六号昭和六十一年産米良質米奨励金現行確保に関する請願は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第三号米作と食糧安定供給等に関する請願外五十八件は保留とすることに一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 成相善十

    委員長成相善十君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 成相善十

    委員長成相善十君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会      ―――――・―――――