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1984-07-24 第101回国会 参議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十四日(火曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月十八日     辞任         補欠選任      藤原 房雄君     鈴木 一弘君  七月二十三日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     吉村 真事君  七月二十四日     辞任         補欠選任      吉村 真事君     倉田 寛之君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         伊江 朝雄君     理 事                 岩崎 純三君                 大坪健一郎君                 藤井 孝男君                 竹田 四郎君                 塩出 啓典君     委 員                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 中村 太郎君                 福岡日出麿君                 藤井 裕久君                 藤野 賢二君                 宮島  滉君                 矢野俊比古君                 吉川  博君                 吉村 真事君                 赤桐  操君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君                 青木  茂君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君    政府委員        大蔵政務次官   井上  裕君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        小野 博義君        大蔵大臣官房審        議官       角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        平澤 貞昭君        大蔵省関税局長  矢澤富太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君    説明員        厚生省保健医療        局健康増進栄養        課長       郡司 篤晃君        自治省税務学府        県税課長     前川 尚美君        日本専売公社総        裁        長岡  實君        日本専売公社総        務理事      岡島 和男君        日本専売公社総        務理事      西村 忠弘君        日本専売公社総        務理事      森  宗作君        日本専売公社理        事        生平 幸立君        日本専売公社理        事        丹生 守夫君        日本専売公社理        事        友成  豊君        日本国有鉄道旅        客局総務課長   本田勇一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○たばこ事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本たばこ産業株式会社法案内閣提出、衆議  院送付) ○塩専売法案内閣提出衆議院送付) ○たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○たばこ消費税法案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十八日、藤原房雄君が委員辞任され、その補欠として鈴木一弘君が選任されました。  また、昨日、倉田寛之君が委員辞任され、その補欠として吉村真事君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 次に、たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案、以上五法案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  7. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま議題となりましたたばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案につきまして、提案理由及びその内客を御説明申し上げます。  まず初めに、たばこ事業法案につきまして御説明申し上げます。  たばこ専売制度は、明治三十七年に制度が設けられて以来、財政収入確保に寄与してまいりましたが、時代の変遷、環境変化等背景として、その見直しの必要性がとみに高まってきたところであります。  このような状況を踏まえ、一昨年七月に臨時行政調査会により提出された「行政改革に関する第三次答申」の趣旨に沿って、たばこ事業関係者等とも意見の調整を図りながら、政府部内において検討を進めてきたところであります。その結果、今般、開放経済体制に即応し、かつ、たばこ事業効率的運営等を図るため、たばこ専売制度廃止するとともに、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入安定的確保及び国民経済の健全な発展に資するため、新たにたばこ事業法を制定することとし、ここに本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、原料用国内産葉たばこ生産及び買い入れにつきましては、日本たばこ産業株式会社が、あらかじめ、たばこ耕作者耕作面積等を定めた葉たばこ買い入れに関する契約を締結することとし、当該契約面積から生産された葉たばこについては、日本たばこ産業株式会社が全量買い入れることとしております。  また、日本たばこ産業株式会社は、当該契約を締結しようとするときは、あらかじめ、耕作面積及び価格について、日本たばこ産業株式会社に置かれる葉たばこ審議会に諮り、その意見を尊重しなければならないこととする等所要措置を講ずることとしております。  第二に、製造たばこ製造につきましては、国内葉たばこ問題への配慮から、日本たばこ産業株式会社に独占させることとしておりますが、製造独占の弊害を防止するため、その製造する製造たばこについては、品目別蔵出し価格最高額について、大蔵大臣の認可を受けなければならないこととしております。  第三に、たばこ輸入自由化を図ることとしております。したがって、だれでも自由にたばこ輸入することができることとなりますが、輸入した製造たばこを業として販売する者につきましては、流通秩序維持等観点から、登録制を採用することとしております。  また、同様の観点から、卸売販売業を営む者につきましても、登録制を採用することとしております。  第四に、小売販売関係につきましては、小売人の置かれた状況等を考慮し、当分の間、小売販売業を営む者は許可を受けなければならないこととしております。  また、小売販売価格につきましては、これまで小売定価制が果たしてきた役割等を考慮し、引き続き、当分の間、定価制を維持することとしております。  その他、喫煙と健康の関係に関する注意文言の表示の義務づけ、製造たばこの広告に関し必要な指導等を行うための所要規定整備しているところであります。  なお、この法律は、昭和六十年四月一日から施行することとしております。  次に、日本たばこ産業株式会社法案につきまして御説明申し上げます。  たばこ専売側度廃止及びたばこ輸入自由化に伴い、我が国たばこ事業は、輸入たばことの対等な競争関係のもとで営まれることとなります。  このような状況下において、我が国たばこ産業の健全な発展等を図るためには、日本専売公社経営形態政府関係特殊法人の中で最も経営自主性の認められる特殊会社に改組することが必要であります。このため、日本専売公社法廃止し、新たに日本たばこ産業株式会社法を制定するため、ここに本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、日本たばこ産業株式会社は、たばこ事業法第一条に規定する目的を達成するため、製造たばこ製造販売及び輸入に関する事業経営することを目的とする株式会社とすることとしております。  第二に、日本たばこ産業株式会社株式については、たばこ産業の置かれた状況等にかんがみ、本則で発行済株式の総数の二分の一以上、附則で、当分の間、三分の二以上の保有義務政府に課すこととしており、さらに政府がその保有する株式を処分するに際しては、国会の議決を経なければならないこととしております。  第三に、日本たばこ産業株式会社は、製造たばこ製造販売及び輸入事業のほか、これらに附帯する事業及び日本たばこ産業株式会社目的を達成するために必要な事業を営むことができることとしております。  また、日本たばこ産業株式会社は、当分の間、塩専売法の定めるところにより、塩専売事業を行うこととしております。  第四に、取締役及び監査役選任及び解任の決議、事業計画等に対する公的規制に関する規定を設けておりますが、いずれも公益性を担保するための必要最小限のものにとどめており、可能な限り企業自主性にゆだねることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  次に、塩専売法案につきまして御説明申し上げます。  塩専売事業は、現在、日本専売公社が実施しておりますが、今回本法律案とともに御提案申し上げております日本たばこ産業株式会社法案により公社日本たばこ産業株式会社に改組されることに伴い、塩専売事業当該会社に実施させることとし、このために必要な措置を講ずるとともに、経済社会情勢変化に対応して、塩専売制度整備改善を図るための措置を講ずるほか、所要規定整備を行うため、塩専売法の全部を改正することとし、ここに本法律案提案した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、塩専売事業公益専売である旨を明らかにした目的規定を新たに設けることとしております。  第二に、塩業整備及び近代化の促進に関する臨時措置法において規定されている諸措置のうち、今後なお必要と認められる買い入れ数量割り当て制度及び販売特例制度を本法律案に取り入れた上、当該臨時措置法廃止することとしております。  第三に、国に専属する専売権能日本たばこ産業株式会社に行わせることとし、このため、塩専売事業責任者の指名、塩専売事業運営委員会の設置、たばこ事業との区分経理等塩専売事業を実施する上での公共性を担保するための所要措置を講ずることとしております。  その他、今後国内塩産業自立化の目途が得られた段階で、本法律案について検討を加えることとする規定を設けるほか、所要措置を講ずることとしております。  次に、たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  このたび、たばこ事業法及び日本たばこ産業株式会社法の制定並びに塩専売法の全部改正を行うこととしておりますが、これに伴い、製塩施設法等廃止するほか、国家公務員等共済組合法等につきまして、所要規定整備等を図ることとし、ここに本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、たばこ事業法施行及びたばこ専売法廃止に伴い、たばこ耕作組合法等十三法律につきまして、所要規定整備等を図ることとしております。  第二に、日本たばこ産業株式会社法施行及び日本専売公社法廃止に伴い、国家公務員等共済組合法等三十九法律につきまして、所要規定整備等を図ることとしております。  第三に、塩専売法の全部改正に伴い、製塩施設法及び塩業組合法廃止するほか、八法律につきまして、所要規定整備等を図ることとしております。  最後に、たばこ消費税法案につきまして御説明申し上げます。  たばこ専売制度廃止することとなったことに伴い、現行専売納付金制度にかえて新たにたばこ消費税制度を設けることとし、ここに本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、たばこ消費税は、製造たばこ課税物件とし、国産製造たばこについては製造たばこ製造者輸入製造たばこについては保税地域から引き取る者をそれぞれ納税義務者とすることとしております。  第二に、たばこ消費税の税額は、価格に応じて負担を求める従価割額数量に応じて負担を求める従量割額合算額とし、課税標準は、従価割にあっては小売定価とし、従量割にあっては本数または重量とすることとしております。  第三に、税率は、現行専売納付金率及び別途提案している地方たばこ消費税税率を参酌しつつ製造たばこ種類ごとに定めることとし、従価割税率従量割税率組み合わせ比率はすべての種類製造たばこについて八対二程度とすることとしております。具体的には、例えば、紙巻たばこについては、従価割税率を二三%、従量割税率を千本につき五百八十二円とすることとしております。  第四に、申告及び納付につきましては、製造たばこ製造者については移出した月の翌月末日までに申告納付することとし、保税地域から引き取る者については引き取りの際に申告納付することとしております。  以上のほか、納期限の延長、納税地等所要規定を設けることとしております。  なお、この法律は、昭和六十年四月一日から施行することとしております。  以上が、たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  8. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 以上で五法案趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、皆さん御案内のとおり、昭和二十一年から昭和五十五年まで専売公社に御厄介になった一人でございまして、二十一年のときには専売局でした。二十四年から専売公社になったわけですが、今大臣から趣旨説明があった中でも、今まではどちらかというと、たばこを売りながら税金をいただくというような会社に勤めてきたようなつもりだったんですが、今度はたばこを売って税金を納める会社なんだなということを考えまして、万感の思いで質問を申し上げたいと存じます。  そういう意味で、まず大臣にお伺いしたいんですが、今日まで専売局または日本専売公社地域経済とか日本経済とかいろんな産業発展などに寄与してまいったと思っておるんでございますが、大臣の今日までの経過に対する評価をまず最初にお伺いしたいと思うんです。
  10. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 公社制度たばこ専売事業、そして塩専売事業、これはそれぞれいわゆる財政専売として、国全体の立場から申しますならば、財政収入確保に、そして公益専売としては塩の需給及び価格の安定に、それぞれ所要役割を果たしてこられたものであるという評価をいたしておるところであります。しかしながら、開放経済体制を志向いたします我が国としては、たばこ事業をいつまでも閉鎖的な状況下に置くことは適当でなく、製造たばこ輸入自由化に踏み切りますとともに、これと並行して専売公社経営形態をより自由な競争に耐え得るものに改めることが必要であるというふうに判断をいたしております。要するに専売公社経営に大きな欠陥が生じているわけではありませんし、たばこ事業の今後のあるべき姿を一方展望しますときに、経営形態の変更というのは、これは避けて通れないものだというふうな判断をいたしておるわけであります。  そして一方、国及び地方にというお言葉がございましたが、地方にあってはそれぞれ工場工場とし、地方の有力な雇用の場であり、そして地方に対してそれは貢献し、また農業の一環としての位置づけの中に地域農業を支えてきた役割。そしていま一つは、全国二十六万の小売店というものは、非常に、零細な方も多いわけでございますけれども福祉的立場役割も果たすと同時に、いま一方、また誠心誠意いわば専売納付金、これからは消費税の、言ってみれば取次業務を行っていただいたんではないかなと、そういうふうな評価をいたしておるところであります。
  11. 鈴木和美

    鈴木和美君 専売公社にお尋ね申し上げますが、今大臣から評価の点が述べられましたが、細部にまたお尋ねする意味専売公社にこの際聞きたいんですが、外国メーカーたばこ産業ですが、たばこメーカー国内類似産業日本専売公社労側生産性ということについてどのような経過をたどって、今日どういうふうになっているのかをお尋ねしたいわけです。特に私などが比較するときに私なりの言葉でいつも使うんですが、一億本たばこをつくるのに人が何人かかるんだろうかとか、それから一千万本たばこをつくるのにどのぐらい労働時間がかかったんだろうかとか、一時間当たりたばこはどのぐらいできたんだろうかというような意味で、よく工場生産性を述べるんですが、そういう意味で、ぜひだれにでもわかるような意味のデータで、どんな現状になっているのか専売公社にお尋ねしたいと思います。
  12. 長岡實

    説明員長岡實君) 外国たばこメーカー労働生産性につきましては、事柄が本来企業秘密でございます関係上、正確な数値を把握することは困難でございますけれども、公開されております統計資料等によりまして日米労働生産性比較いたしてみますと、昭和四十年ごろには、米国たばこ製造業の一億本当たり人員に比べまして、我が専売公社が倍ぐらいかかっておったという実態のようでございますが、その後、専売公社といたしましても、労働生産性を高めるために毎年毎年努力を積み重ねてまいりまして、昭和四十八、九年ごろにはアメリカのたばこ製造業の総平均とはほぼ肩を並べるというところまで参りまして、ごく最近時点では一億本当たり人員については、米国の総平均に比べますれば公社の方が上であるというふうに認識いたしております。  ただ、ただいま申し上げましたのは総平均での比較でございまして、米国たばこ製造業者の中でも大手二社、すなわちフィリップ・モリスとレイノルズ、これが自由化後の私どもの最大の競争相手になろうかと存じますけれども、この二社の労働生産性に限ってみますと、最近の機械設備投資動向等から見て、公社工場平均をやや上回っているのではないかというふうに推測いたしております。  なお、他の産業との労働生産性比較でございますが、たばこ産業を全産業の中でどのような位置づけを行うかという問題もございますけれども、仮に比較的類似していると思われます食品製造業比較いたしてみますと、日本生産性本部統計によりますれば、昭和四十五年を一〇〇といたしました場合に、食品製造業労側生産性昭和五十七年度に一三〇、これに対しまして私どもの方は一八七と相当程度生産性を高めていると認識いたしております。
  13. 鈴木和美

    鈴木和美君 大臣にもう一度お尋ねしたいんですが、今長岡総裁から現状が報告されたわけですが、ここに私、専売労使がつくった「労働協約集」というのを持っているんですが、専売労使は、サービス産業というよりは製造産業なものですから、大変難しい先行きの見通しなどあったとしても、将来に備えてその日その日、逐年逐年労使努力がずっと積み重ねられてきたと思うんです。したがいまして、諸外国たばこメーカー国内産業製造産業との比較においても遜色のないような状況に私はあるんじゃないのかなと思うんです。もちろん後ほど葉たばこの問題、原料問題も述べますが、相対的に言って、俗称官業能率論ということが叫ばれておって、そのために経営形態を変えなきゃならぬというような問題提起実態は大変違う状況にあるように思うんです。 そういう状況から見て、今日までの日本たばこ産業発展に努めてきたその実態労使の姿勢に対して大蔵大臣はどのような見解をお持ちなのか、この機会に聞かしていただきたいと存じます。
  14. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいまの労使の問題――私は今度の法律改正、確かに臨調からの指摘があったというのも大きな要因であると思います。しかし、この根底にあるものはいわゆる官業能率論というものではないと私は考えております。で、結論的に申しますと、いつまでも閉鎖的であってはならないという開放経済を志向する我が国として、それにより有力に対応できるためのより濶達な競争原理の中に自主性を持って行われる経営形態に変えるということであって、もともと官業であるから非能率であったという指摘をすべき性格ではないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、仮にビッグスリーと言いますのも、世界的に見れば私はビッグフォーだと思っております。そこまで厳しい環境の中に労使双方努力してこられたということは高く評価すべきでありますし、私自身先般サミットに参りまして、後から反省をいたしましたが、フランス、イギリスそれぞれストライキの最中でございまして、その苦悩を訴えられたときに、我が国労使関係というものは冠たるものだというような表現を申し上げると同時に、たまたま私の所管でございますので、いささかひいき筋もあったのか、特に私ども所管専売公社等世界に冠たるものだと、こう申しまして、後からそういう世界に冠たるなんという自分自分を褒めることはいけないかなと思っていささかの反省をいたしましたが、その表現が出たことは決して私のその場の思いつきではなく、底意にそういうものがあったからであるというふうにみずからをまた後から慰めた次第であります。
  15. 鈴木和美

    鈴木和美君 大臣もいみじくも今おっしゃっていただいたんですが、今回の専売公社改革法案の一番大きい背景となっている理由は何かということが自由化のように述べられておるわけですが、裏を返せばこういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。例えば自由化という問題は、ことしやるか来年やるか再来年やるか、時期的なことを除いたとすれば、専売公社つまりたばこ産業というのは民営でなくとも国民の期待にこたえていけるだけの体質とそれからその努力が行われてきたと、そういうふうに見ていいというように理解してよろしゅうございましょうか。
  16. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 概念的には私はこの自由化というものをネグって考えました場合、労使双方官業能率論などという範疇で議論すべきものでなく、まことに正当な形で今日まで生々発展してきたものではなかろうか。自由化ということになると、いま一層より当事者能力のある会社組織の方が競争力等を保持するために必要であるという措置としてこのたびお願いしているわけでありまして、自由化ということを全く考えないで、今までの日本専売公社というもののそういう労使関係というものは、少なくとも官業能率論の範疇で議せられるものではないという認識をいたしております。
  17. 鈴木和美

    鈴木和美君 後ほど財務諸表の問題でも多少お尋ねしようと思っていたんですが、主計局の平澤次長、お米の方との関係も何かあるそうでございますので、早目にそのことだけ抜き出してお尋ねしておきます。  今お話しのように、これから自由化の問題を私、議論させていただきますが、専売制度公社制度から自由化というような自由競争の波の中に突入するわけでございますが、それだけに経営の健全な体質強化というものをしておかなければ、日本のたばこ産業が大変苦況に入るということが目に見えてわかるわけです。そういうときに、今までは納付金率法定化の制度はとっておっても、納付制度の範疇でございましたから、それほど問題ではなかったと思うんですが、その中でも五十八年、五十九年に特例措置として特例の国庫納付金が一千億召し上げられたわけでございます。これなどは、今後いわゆる特殊会社の方式で経営を健全に運営していこうというときに、また特例というようなことで納付金というか、また今度は召し上げられるというか、そういうものが出てまいりますと、健全経営に大変悪影響をもたらすんじゃないかと心配しておるんです。今回の措置はもうこれで終わりだというようにお願いを申し上げたいし、もちろん法律が二年ということになっておるんですから、それ以上は考えないとは思うんですが、いかが展望されているのかお尋ねをしておきたいと思うんです。
  18. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 今委員のお話しの特例納付金は、おっしゃるとおり、制度といたしましては五十八、五十九両年度で切れるわけでございます。したがいまして、今後こういう問題についてどう考えるかということでございますけれども、このような納付金をお願いいたしましたのは、財政の事情が非常に厳しいというようなことから、いわゆる臨時かつ異例の措置としてとられたわけでございます。したがいまして、このような臨時かつ異例の措置につきまして、今後軽々に講ずべきでないということにつきましては、政府としても十分に承知しているところでございます。
  19. 鈴木和美

    鈴木和美君 なぜ平澤次長に指名で私おいでいただきたいということを申し上げたかというと、大先輩の長岡総裁もおいでですが、いずれ大蔵省の幹部の皆さんは時が来ればおやめになるか転職なさるわけです。この国会の審議というのは、私も国会に来て初めてわかるんですが、誠意を持って対処するとか前向きでどうとかというように、非常にわかったようなわからないような言葉で結局はお茶を濁されるというようなことが往々あって、大変苦労する問題があるわけでございます。したがいまして、竹下大臣のもとでいずれ平澤さんも偉くなられるんでしょう。そういう意味では、この委員会の中で、この特例の措置というような問題がいかに我々としては慎重に、またそういう問題があってはならぬということの認識を強めてもらうためにおいでいただいたわけです。  そこで大臣にお尋ねしたいんですが、後ほど財務の点からも多少議論させていただきますが、私は結論から言うと、私の見る財務諸表から見ると、これからのたばこ企業は大変だと思うんです。そういうことから考えたときに、この特例措置というような問題が再び出てくるということは大変なことだと思いますので、五十八年、五十九年でもう臨時の国庫納付金みたいなものはないよということをぜひ確約していただきたいと思うんでございますが、大臣いかがでございましょう。
  20. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は去年の三月の二十四日に鈴木先生にお答えした答弁を振り返ってみますと、非常に私はいい、自分自分の答弁を褒めちゃいけませんけれども、いいことを言ったなと思っております。それを読み上げてみますと、「私も、これは納付金率法定制の基本を変更するものではないとしても、異例の措置であるというふうな理解はいたしております。だから、異例の措置というのは、異例が異例でないようなことになってはならないというふうに理解をしております。」というお答えをいたしておりますが、その答えに尽きるんではなかろうかというふうに考えます。
  21. 鈴木和美

    鈴木和美君 後ほどまた同僚議員の方からもたくさん出ますので、その言葉は含蓄のある言葉かもしれませんけれども、この法案の締めくくりなどのときにもう一度大臣から明確な答弁をいただくことを前提にしまして、この議論はこの程度で終わりたいと思います。  さてそこで、大臣から先ほどお答えをいただきました、官業能率論というような立場から専売公社の改革が出たわけではないんだ、開放体制に向かうというような立場の方がニュアンスとして強いというお答えがございました。さて、たばこというのは、たばこ産業の中で一番心配をしているのは実は葉たばこの問題でございます。そういう葉たばこの原材料というものが一番大きいファクターを占めておるわけでございますので、日本の農業構造の立場から、たばこに限らず、農産物というものはいつも自由化品目をめぐりながら、いつ開放するのか、全面開放するのか、また輸入枠拡大でいくのか、そういう問題というのがいつも議論されているわけであります。先般のオレンジ、牛肉においてもしかりだと思うのです。ところが、たばこがいつの間にか、自由化がことしでなければならないような風潮が出てまいって、一挙に臨調との絡みにおいて今回、法案自由化の開放ということで提案されたような気がしてならないのです。私の持論でございますが、仮にたばこは国際商品である、ブレンド製品であるということから見れば、単なる農作物とは違うという意味においては私はある程度やむを得ないと思うんです。だから、いつかそういう自由化の体制にはまるんではないかということは予期しつつも、その選ぶ時期ですね、時期というものはもう少し慎重でなければならぬように私は思っていたんです。  例えば、一つは農作物の日本専売公社現状の在庫の状況を見ますと、一年分過剰在庫が抱えられている。つまり一三万トン抱えられているというようなことが述べられ、また職員構成においても、昭和二十一年から二十七年ぐらいまでに入社された方が間もなく退職に入るような時期であるわけでございますね。そしてもう一つは、後ほどこれまた議論させていただきますが、健康と喫煙問題が常に揺れ動いているような環境に今あるわけでございます。したがいまして、この三つの問題というものがある程度解決されるとか、解決される方向を見出したとか、そういうようなある合意が成立するような時期にこの自由化に踏み切るというのであればわかるわけなんですが、今回の場合はそういうものを全く無視しちゃって自由化に踏み切るということに対して私は納得できないんです。その納得できないということを今度政治的な背景から見てみると、何かたばこというものはいつも取引、政治的な外交の道具に使われているという歴史を見ても明らかなわけであります。特にレーガン政権との関係において急遽早まったというように見ざるを得ないんでございますが、なぜこの時期に六十年四月から実施しなければならぬというように踏み切ったのか。その背景理由などについてお聞かせいただきたいと思うんです。
  22. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も、今鈴木委員のおっしゃいます葉たばこの過剰在庫があるという問題、あるいは職員の方の年齢構成の問題、また健康と喫煙という問題等からいたしまして、なかんずく葉たばこ耕作、国内産葉問題等から見れば、十分な準備体制ができた後自由化してしかるべきではないか、こういう御議論は関係方面との話し合いの中で随分行ってきた問題でございます。  確かに、国際社会の中にある今日の日本の国のあり方といたしまして、いずれにせよ開放経済を志向しておるときに、私はある意味において時間の問題であったというふうに考えます。それを私が昭和五十四年、大蔵大臣をさしていただいた当時から見てまいりますと、国際商品としての位置づけの中に、ある意味においては非常に象徴的な商品としてたばこというものが、これは特にアメリカでございますけれども位置づけられてきたということを否定するわけにはまいらないと思うわけであります。しかしながら、私どもといたしましても、たばこ産業全体に与える影響、なかんずく財政専売でありますだけに、種々それに対しての時間をある意味においては稼いできたと言えるではないか。それが九〇が三五、二〇という非常に急ピッチではありましたものの、そういう関税というものによって対応してき、いま一方は国内の店舗の数をふやすことによって対応してきた。それぞれの対応の仕方から見て私は、およそ総合的に考えた場合、来年四月一日というのがいわば限界にまで達してきたではなかろうかということから踏み切ったということになるわけであります。  当初、素人考えでお考えになる外国の政治家もございます。すなわち資本の自由化でございますとか、いろんなことをお考えになった向きも、現在もないとは申しませんが、今の場合、私どもがお願いしております輸入自由化という点について相手国等も評価しておるという状態でございますので、かれこれ勘案してみるとおおよそ適切なタイミングではなかったかと、こういう感じがいたしております。しかし、なお厳しい問題が存在しておるという事実の認識は私も十分持っておるつもりでございます。
  23. 鈴木和美

    鈴木和美君 大臣、こういうふうに分析するのはひがみでございましょうか。つまり、オレンジ、牛肉の問題のとき、自動車などが大変問題にされているときでも、いわゆるガバメント・サイドにおいてたばこ自由化というのは側面で大変プッシュが強かったわけですね。それでもなかなか踏み切れないというような状況がございました。一つ一つ挙げれば切りがないんですが、そういう状況の中でいつの間にかたばこはそれほど大騒ぎのないまま六十年の四月に踏み切るというようなことがあったものですから、ほかのところの方もスムーズに進んだとか、そういうたばことの関係において、取引と言ってはおかしいかもしれませんけれども、そういうような産物として位置づけられていたんじゃないのかということは間違いのない事実だと私は見ているんですが、それは間違いでございましょうか。
  24. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはなかなか難しい見方でございましょう。総合的にお考えになった場合に、貿易自由化、そして対米関係の中で、最初は、金目にしたら余り問題にもなりませんが、金属バットというようなものが非常にシンボリックな問題として出ておりました。およそ誤解に基づくものもこれあり、だんだんこれが下火になったと申しましょうか、そういうことであったと思います。それから人によってそれぞれ違いましょうが、その後の場合は、農産品がそれぞれの形における、牛肉、オレンジにいたしましても、やっぱりシンボリックな存在であったと思うわけであります。  それで、たばこは、そういう状態の中で確かに継続的に自由化要請というものは続いておりましたが、これをいわば自由化したことによって他の問題への波及をとどめられたという性格として必ずしも位置づけるものではないのではなかろうか。やっぱり一品一品の問題で、自動車で見ますならば、一日に割りますと、アメリカへ日本の自動車五千台が出ておるそうでございますし、アメリカから入っておるのは十台だそうでございますが、そういうような問題はまた別の次元であり、そして開放経済全体の中の位置づけとして、たばこもシンボリックなものであったということは私も否定しませんが、これによって他の面の世論を抑えたということではなかろう。これはこれ、それはそれというふうに位置づけるべきものではなかろうかなというふうに、いささか見解の相違かもしれませんが、私はそういうふうに理解をいたしております。
  25. 鈴木和美

    鈴木和美君 今私が自由化について時期が早いの、反対だのと言うても、現実に衆議院の中でもう審議が済んできちゃっているわけですからこれ以上追及しませんが、言いたいことは、先ほど大臣からも労使関係で大変お褒めをいただいたわけでございますが、内心じくじたることがあるのは、非常にいい労使関係で合理化問題に取り組んできたというよりは、非常にいい環境で取り組まれていたという方が事実なんですね。つまり拡大生産の時代なんですね。ですから、同じ人間の配置転換も垣根の中での配置転換なんですよ。だから、比較的順調に拡大生産で泳げてきたわけですよ。  専売公社に今度お尋ねしますが、どうでしょう、これからの外国たばことの競争の中でどんな状態を展望できるかというと、私なりの展望ですが、たばこはこれからそんなに伸びないんじゃないのかなと思いますね。そういう中でコスト競争がかかってきますね。そして高速化、また機械化に踏み切らなきゃならぬ。そういうような状況を見てまいりますと、専売公社は今までお褒めをいただいたような労使関係の中で本当に行くんだろうか、上手に行けるんだろうかという心配が私はあるんですが、その数字は結構ですから大ざっぱな展望、どんなふうに考えているか聞かせていただけませんか。
  26. 長岡實

    説明員長岡實君) 我が国たばこ産業の将来を考えますときに、輸入自由化の問題も関係がございますけれども世界的な傾向としてたばこの需要が頭打ち状態であるという現実を踏まえて将来を見通していかなければならないわけでございます。そういった意味で、ただいま鈴木委員が御指摘になりましたように、事業規模を拡大しながら合理化を図っていけた過去とそれから将来とでは、その環境の厳しさにおいて比較にならない厳しさがあるのではないかということは覚悟いたしております。  いずれにいたしましても、今回御審議をいただいております制度改正法案内容といたしまして、その厳しい将来の中でも私どもが日本のたばこ産業の中核的な存在としてたばこ産業集団全体を維持発展させていく使命を負うわけでございます。そういったようなことを考えますと、幸いと申しますか、先人の努力の積み重ねによってよき労使関係が確立しておる今日でございますから、将来に向かってお互いが本当に腹を割って我々の企業の将来を話し合えば、従来と比べてあるいは苦労は伴うかもしれませんけれども労使の理解と協力によって合理化の道を切り開いていくことは可能ではないか、苦労はございますけれども可能ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  27. 鈴木和美

    鈴木和美君 後ほど大臣にもまたお願いを申し上げますが、ここで結論をとりあえずつけておきますと、つまり私の持論から見れば、たばこ自由化はちょっと早いんじゃないかというのが見解として今でも持っています。後ほど、葉たばこの問題、工場の問題、触れさせていただきますが、結論から言うと、ちょっと早いんじゃないのかな。だからといって、二、三年過ぎたから根本的に葉たばこの問題が完全に解消するかと逆に問われれば、頭が痛い問題でもあります。しかし、何としても早いんじゃないかなという気がする。  そこで、今長岡総裁にもお尋ねしましたが、つまり早く踏み切ったということは、準備態勢においてあと何カ月しかないというようなことで私は大変心配しているんです。だから、そこまでやらなきゃならぬというんであれば、ある程度健全経営に持っていけるための政府の援助や指導というものをぜひお願いをしなきゃならぬということが言いたいから、今そのことを述べてきました。後ほどまた財務諸表の問題なども付してお願いを申し上げたいと思うんです。  さてそこで、そうはいっても商売屋に徹するわけでございますから、商売をしっかりやって商売が伸びないことには、足かせ手かせを言われてもどうにもならないわけでございますね。そこで、いつも問題になっておるたばこの効用というか、禁煙とか嫌煙という問題がいつも問題になっておりますので、この機会にその問題についても私は触れておきたいと思うんです。  私が質問をする前で、恐縮ですが、竹下大蔵大臣も愛煙家の一人としてたばこをお吸いになっておりますが、たばこという商品に対しての大臣の見方というか考え方というか、それをどんなふうにお考えになっていましょうか。
  28. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も、整理してみると三つかなと、こういう感じがいたします。第一、これは嗜好品である、いわば憩いと安らぎを人それぞれに与える、これが一つ。それから二番目は、これは長い歴史の中で財政物資として位置づけられておるものであるという問題。それから三番目は、未成年者には少なくともこれは法律によって禁止されておる商品である、すなわち特殊な商品である。この三つの点がたばこという商品に対する私なりに整理した考え方かなと、こういうふうに感じております。
  29. 鈴木和美

    鈴木和美君 厚生省にちょっと先にお尋ねしますが、たばこは有害であるというような認識になっているんでございましょうか。たばこについては、健康と喫煙の問題から、厚生省としてはどういう見解の統一をなさっているんでしょう。
  30. 郡司篤晃

    説明員(郡司篤晃君) 厚生省といたしましては、喫煙は健康に対して悪い影響があるというふうに認識しております。
  31. 鈴木和美

    鈴木和美君 また後からなぜ悪いのか聞きます。  大臣、私、ここのところに「スモコロジー運動推進のための」というプリントを持っているんですが、これは私が組合の委員長のときやったんです。昭和五十四年に喫煙のことについて約三千人を対象にしていろんな調査をしたものなんです。これは専売公社の資料じゃなくて私の資料です。  それで、たばこについてどういうふうに思うか、喫煙の理由をずっと聞いてみたら、たくさんあるんです。拾ってみたら、「食後の一服」とか、それから「ホッと一息」とか「気分転換」とか「ゆったりした気分」とか「間をもたせる」とか「長年の習慣」とか「イライラ解消」とか「緊張をほぐす」とか「時間つぶし」だとか「考えるのによい」とか「眠気ざまし」だとか「生活の中のリズム」であるとか「気分が集中」するとか「疲労回復」するとか「健康が確かめられ」ていいとか「肥満防止」であるとか「お酒の代り」にのむとか「アクセサリー」とか、こんなのが私が調べたたばこを愛用する順番なんです。  そう考えてまいりますと、厚生省が言う有害の基準というか健康によくない――有害とはあなた言っていませんな。健康によくない、こう言っているんですが、その基準というのはどこにあるんですか。
  32. 郡司篤晃

    説明員(郡司篤晃君) 喫煙に関しましては、世界的に見ましても非常に膨大な研究がございまして、また我が国でも研究をたくさんしておりまして、それらの研究結果をまとめてみますと、喫煙は、肺がん及びその他のがん、それから慢性気管支炎、さらにそれが悪化しました肺気腫、さらに心筋梗塞、あるいは閉塞性の末梢血管障害などの重要な原因になっているというふうにされております。
  33. 鈴木和美

    鈴木和美君 別に反論するつもりはございませんけれども、あなたが述べている資料も私は別途持っていますけれども、それは全部統計学なんですよね。臨床医学上の問題ではないんです。たまたま肺がんにかかった人を調べてみたら、たまたまたばこを何本のんでおったというだけの実績でございまして、私はまだ臨床医学上たばこが絶対よくないんだというようにはなっていないと思う。もしもなっているとすれば、もう専売公社はやめればいいんですよ。そうじゃないから専売公社がもっているわけですね。ただ、嫌いな人というのは別ですよ。健康上の問題について私はあなたと意見を異にするんです。  だから、私はいつも言うんですが、有害と有益との違いというのは何だろうということを言うと、医学上の問題からいうと大変問題があるから、私は多少違った意味で言うているんです。快と不快というのが有害の私はサインだといつも言うんです。つまり快感を与えるものというのは結果として有益なんですよ。逆に不快なものは有害なんですよ。例えば魚でも何でも食べたいと思ったって、臭いと思ったら食べやせぬのですわ。つまり、それは臭いということにおいて不快があるから、それは手をつけないわけですね。例えばたばこでも、心地よいとか、今言うたいろいろな問題があれば、それはそれなりにその人間に私は有益だと思うんですね。ところが有益でも、例えば砂糖が甘いからといって、疲れたから甘いものを食って、それでどんどこどんどこ食い過ぎちゃって糖尿病になったら、これはまた大変ですわね。だから、そこには量という問題が当然かんでくるでしょう。私はかつてたばこに表示をする場合に大変議論があったときにそういうふうに述べて、だから吸い過ぎ注意でいいんじゃないかということを言ったことがあるんです。だから、そういう意味で私はぜひ、何も厚生省にだけ言ってもしようがないことなんですが、そんなふうに考えてもらいたいと思うんです。  そこで、私は自分なりに今幾つか調べたものをたばこの効用ということから見れば、生理的な効用というのを「感覚受容器に対する効果」と私は書いたんですが、例えばおいしく感ずるとか、重厚な趣味やマイルドな趣味に移行していくとか、甘いとか酸っぱいとか辛いとか苦いとか、そういうような問題というのは全部嗜好品ですから、これはコーヒーとか紅茶とかお酒とか、たばこが私は神秘的な味として生理的な効用を持っていると今でも思っているんですよ。  もう一つは薬理的な効用というものも見逃すことができないと思うのです。ヨーロッパでこういうことがたくさん文献に載っております。そして恐怖心、疲労こんぱい感をなくすとか、皮膚のかゆみとか水虫とか回虫下しとか、はれものとか、それから凍傷とか歯痛、血どめ、化膿どめにもたばこが使われていたということは、文献上も全部明らかになっていますね。また衆議院でも問題になったそうです。これは大臣にも専売公社にも聞こうと思うんですが、中国の高級たばこ、健康にいいといって、せきの治るたばこですね、こういうものも開発されているというようなことから見ると、精神的な効用とか、生活の何というんですか、そういう意味での生理学上の効用もあるんだから、一概に有害と言うことは避けるべきだと思うのです。  さてそこで、もう一つ自分の見解を述べておきますが、先ほど申し上げたスモコロジーという運動ですね。これをやってみたら、たばこが嫌いだという人の中の三分の一だけなんですな、たばこを吸ったら肺がんになると思っていらっしゃる方が。あと三分の二は吸い方がよくないと言うのです。つまりマナーとかモラルにおいて解決される部分がたくさんあるわけですね。そこのところが、吸ったらもう肺がんになってしまうのだということと、そうじゃなくて嫌なところでおまえ吸っているなというような、そういうマナー、モラルの問題と区分けして考えないと大変なことになるなと思うんです。つまり、たばこというものは、嫌いな人と好きな人との同居の世界ですから、そのことを中心に置いて考えてほしいと私は思うんです。  そこで、国鉄さんにお尋ねしますが、国鉄さんは、いつも私は列車に乗って不思議に思うんですが、禁煙時間とか禁煙ボックスとか、それから禁煙場所とか禁煙区間とか、そういうものをおつくりになっていますね。あれはだれがどこで決めてああいうふうになっているんですか。
  34. 本田勇一郎

    説明員本田勇一郎君) お答え申し上げます。  禁煙に対する社会的要請の高まりにつれまして、この数年、国鉄の禁煙対策につきまして、国会での御質問とか大変多くいただきまして、また乗客の方から陳情、苦情あるいは新聞投書等が飛躍的にふえてまいっております。国鉄といたしまして、禁煙問題に対しましては慎重に対処してまいったところでございますが、今先生の御質問につきまして、次のような考え方で私ども禁煙問題に対処しております。  まず、禁煙車の拡大ということでございましたが、一番目に車内が相当混雑してたばこの火が人の体に当たったり、被服を焦がすなどのおそれがあって他のお客様に迷惑になるような場合は、これは特に国電あるいは大都市周辺の普通列車の場合でございますが、禁煙にしております。  それから火災対策上必要なものということで寝台列車でございます。  それから三番目に、地域ぐるみで青少年非行防止連動を展開しておりまして、国鉄もこれに協力するような場合は、ローカル線列車で禁煙としております。  それから長距離列車でたばこを吸わない方への配慮をしなければならないような場合、例えば新幹線、在来線の特急、急行などでございます。  それで、これをだれが決めておるかという御質問でございましたが、新幹線や在来線の特急、急行列車の禁煙問題につきましては、本社が中心になって取り組んでおります。  またローカル列車等の禁煙の時間帯、それから禁煙区間、それから駅における禁煙タイムの設定、朝夕の通勤列車に禁煙車を設ける措置、それから禁煙場所等の設定につきましては、地方の管理局長が中心になって決めております。  禁煙問題につきましては、吸う方、吸われない方と相互理解の上に立って対策が講ぜられるべきものと考えておりますので、今後世論の動向等を十分勘案しながら対処してまいりたいと考えております。
  35. 鈴木和美

    鈴木和美君 厳密な理屈から言うと、国鉄が公共的な施設であるからというて、勝手にここからここまではのまないでくださいということはどうでしょう、法律的に。私は、法律的にどうも疑問があるんですよ、そこが。ですから、マナーとかモラルという面でそういうことをするのはよくわかります。しかし法律的なやり方というのは私は納得がいかないんです。一番納得がいかないのは――今あなたがおっしゃる中で、例えばラッシュのときにたばこを吸っているというのはお互いにやめようじゃないですかと、いいんじゃないですか、それは。それから、たばこを嫌いな人はもう総毛が立つ人もおるんですから、その隣のところでぷかぷかぷかぷかやるというのも、これもちょっとどうかと思うんですね。もっと別な表現で言えば、ノースモーキングのボックスをつくることも結構、禁煙車両をつくることも結構です。  ただ一つ納得がいかないことがあるんです、禁煙区間というのが納得がいかないんですよ。禁煙区間というのですよ。例えば禁煙区間の中でラッシュの時間帯で、ここからここまでは禁煙区間にするというんであれば、これはまだ納得する方ですよ。例えば午後列車はがらがらなんですよ。がらがらでも、ここは禁煙区間だからたばこを吸わないでくださいといって、あなたのところの車掌さんから二回私言われて、それでも吸っておったら怒られちゃったんです。だから、どこで決めたんですかといったら、総裁が決めましたというから、あららと思ったのです。だから長岡総裁に私は帰って言ったことがあるんです。商売を妨害されておるのじゃないですかと言うたことがあるんです。だから、禁煙区間というのがどうもわからないんですが、それはどういうことですか。
  36. 本田勇一郎

    説明員本田勇一郎君) 目下のところ禁煙区間は、東京近辺で申し上げますと、国電区間と、それからその外延部に延びます例えば東北線は小山までとか、高崎線は熊谷までというふうに決めております。  なお、先生が御質問の禁煙区間の設定でございますが、私どももデータイムでありましても、こういった区間にお客様の利用がかなり多いというところを前提として決めさせていただいております。
  37. 鈴木和美

    鈴木和美君 私が乗ったのは東京駅から平塚までなんです、湘南電車。午後の一時に乗ったらお客様が私ともう一人なんです。だから、ラッシュの時間帯のときにお互いの迷惑は遠慮しようという意味でやることはまだ私は理解がいくんです。そうじゃないときにはもう少し考慮をされるべきだと私は思っているんです。  なぜかというと、私はさっきから言うように、たばこ吸わない人を嫌いだと言っておるわけじゃないんですよ。たばこの嫌いな人もおるんです。だけども、三千四百万人という愛煙家のいることもどうぞ忘れないでほしいんです。そうすると、その同居だから同居の中でうまくやってほしいということが私は願いとしてあるんです。  最後にお尋ねしますが、そういうことから見ると、専売公社と国鉄というのは、そういう禁煙とかマナーとかモラルとかということに対して、公共施設を担当するようなところで事前にそういうようなコミュニケーションというのは図られていないんですか。
  38. 長岡實

    説明員長岡實君) これまでも専売公社と国鉄との間では業務上必要な交流を行ってきておりますけれども、例えば五十九年度の喫煙マナー向上強調月間などにつきましては、国鉄の御後援もいただいておりますし、喫煙マナーの啓蒙のポスターの掲出に当たりましても、便宜供与等を受けて、いろいろと御配慮をいただいております。こういったようなことから専売公社立場を御理解していただいた上で、一方においては公共輸送機関としてのお立場から、乗客の中で喫煙者と非喫煙者が共存し得るように両省の立場を十分に配慮されて、利用実態に応じながらいろいろの規制をしていらっしゃるというふうに理解をいたしております。
  39. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうすると、長岡総裁はそう推測しているというだけですな。自分から商売妨害だというようなことまではまだ言った覚えはないということになりますか。
  40. 長岡實

    説明員長岡實君) 私の方から積極的に国鉄にそのような申し入れをしたことはございませんが、現状からいたしまして、喫煙と健康の問題が国民の大きな関心の的になっておりますし、現実問題として非喫煙者の方々の主張もいろいろございますので、その辺のことを考えますと、国鉄がまあ非常に良識的な御判断で必要な規制をなさる方が、長い目で見た場合には喫煙者と非喫煙者が平和共存を可能にすることになり、私どもの仕事の上にもめぐりめぐってプラスになるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  41. 鈴木和美

    鈴木和美君 厚生省はどうか。今国鉄さんだけ来てもらって申しわけないんですが、私鉄にも実はあるわけですね、そういうものというのは。厚生省は何かそういうものに対する指導とか何かというのは直接やられるわけですか。
  42. 郡司篤晃

    説明員(郡司篤晃君) 厚生省といたしましては、病気を持った方が集まります医療機関におきまして、たばこの煙による悪影響を防止するという観点から、昭和五十三年に国立医療機関については、また昭和五十九年には都道府県を通じましてすべての医療機関について、喫煙の場所の制限が実施されるように通達により指導申し上げたということでございます。
  43. 鈴木和美

    鈴木和美君 時間もありませんからこの辺で終わりますが、国鉄においてもぜひ検討していただきたいことは、厚生省にお尋ねすると、喫煙場所については自分たちがこうやっておるというお話ですから、あとは車両ですね。飛行機もそうなんですが、そういう問題について禁煙車とか、それからボックスとか、それから禁煙帯、時間ですな、それは私も百歩譲ってやむを得ぬだろうと思うんです。その禁煙区間というのだけは何としても私は納得できないんです。たまたまラッシュのときの禁煙区間というんなら、これはわかりますよ。そうじゃなくて、吸いたいのに、だれもいないのに、だれにも迷惑もかからないのに禁止する。そしてボックスのところに灰皿もついてるんでしょう。あれで吸っちゃいかぬのなら、灰皿を取ってくださいよ、あなたのところは。ちゃんと灰皿もついているんだからね。専売公社長岡総裁だって、我々みんな吸い殻入れを持って歩いていますよね。そこまで専売公社の売る人の方も神経を使ってやっているわけだから、余り商売の妨害をすると、今度はみんな私鉄に乗っちまおうなんということになるから、お互いに頑張るように、総裁にぜひ伝えていただきたいと思うんです。  私は、特にそういう意味で、喫煙問題の最後ですが、たばこというのは単に吸う吸わないというだけじゃなくて、趣味とか嗜好の問題にも非常に幅広い支持があるということを皆さんに知っていただきたいと思うんです。先ほど大臣にもお見せをしたんですが、専売公社たばこの包カですね、どうぞ見ていただきたいと思いますが、大正四年の欧州戦争の終わったときの「ピース」という包カが今一枚三十万円するんです。それから昭和二十四年に福島県の郡山でやった博覧会のときの「ハッピー」という包カが今三十万から三十五万ぐらいしている。普通、一枚が十万から十五万ぐらいです。  それから、たばこのいわゆる紙によるいろんな細工の問題などがあったりして、非常に幅広く使われているということなどもたばこにまつわる話として聞いてほしいし、また生活評論家の浦順子さんという方がたばこについて集約したものを私はいただいたんですが、一般家庭で、ほぐしてちり紙に包んでたんすとか木箱とか押し入れなどに入れておくと虫よけになるとか、煮出すと防虫剤になるとか、ごみ捨て場にまくと害虫の発生を防ぐとか、切り傷につけると悪化を防ぐとか、キャンプ地などでいぶすと蚊取り線香の代用になるとか、いろんなこういうことを書いているわけであります。  したがって、たばこの問題については、ただ単に風習として健康喫煙で言うだけじゃなくて、人間との深いかかわり、文化の歴史ですから、そういう意味で御愛顧いただきたいと思うんです。私は、そういう意味では、喫煙は大地の生み出したものを味わうために人間が工夫した新しい創造の傑作である、そう言っているわけです。人間の最も古くからある暇つぶしの偉大さである、私は健康喫煙問題でこう言うておるものですから、どうぞお耳の中に入れておいていただきたいと思います。国鉄さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。  さて、健康喫煙問題のほかに本論に入らしていただきますが、専売公社にお尋ね申し上げたいと思います。  これからの経営の展望でございますが、非常に大ざっぱな計算でございますので、もし間違っておったら指摘していただきたいんですが、昭和六十年度の財務の見通しなどを昭和五十九年度の予算ベースで私ははじいたんです。後ほど細かに申し上げますが、大ざっぱに言いますと、配当の負担ども含めますと二百億くらいしか内部留保がとれない。五十八年度の内部留保と比較しますと、三分の一から四分の一程度だと思うんです。それでやっていけるのかなと思うんです。  それをもう少し細部的に見てみました。製造たばこの売上高については輸入品のシェアを専売公社はどのくらい見ているのか後ほど聞きたいんですが、輸入のウィスキーがございますから、あれが自由化になったときの資料を見てみましたら、大体自由化になった翌年というものは倍ぐらい伸びるんじゃないかなというように計算をしてみました。つまり二%が四%ぐらいになるのかなと思ってみたりしたんです。そうしますと、ことしの売り上げの本数が、五十九年度ベースの売り上げの本数が三千百六十だったでしょうか。それを今度はシェアで食われる部分をはじいてみますと、大体三千三十ぐらいかなというように見ておりまして、その売上高に大体原価が十銭ぐらいずつ上がっているんじゃないでしょうか、そんな計算なんですが、間違っていたら指摘してください。その十銭ぐらい上がっているものをぶっ掛けますと、大体三円ぐらいかなというように見ますと二兆六千三百億円。その中で、今度は二兆六千三百億円の中から総原価の上昇傾向を勘案した九千何億ぐらい大体見込まれるんじゃないでしょうか、差っ引き部分として。そうすると約一兆六千三百億円。六十年度の経常経費が大体一千億程度になるのじゃないかなというように見ているんです。こういうことから見て、残りが二百億ちょっと切るのかな、二百億ちょっと上がるのかなというそんな前後に私は見ているんですが、そのことについて大ざっぱで結構ですが、外国品のシェアとその部分との財務見通しなどについてよければ聞かしていただきたいと思うんです。
  44. 長岡實

    説明員長岡實君) 私ども制度改正後にどのような財務の内容になるかということにつきましては大変関心を持っておりますけれども、六十年度の内容を見通します場合に、最大のポイントは、輸入自由化が行われましたときに外国品の、輸入品のシェアがどのくらいになるかという点であろうかと思います。この点については、率直に申しましてなかなか見通しが困難でございまして、したがいまして、私どもといたしましては、自信を持って六十年度にこのような財務内容になるのではないかという試算をお示しできないのが現状でございます。  ただ、鈴木委員がおっしゃいましたように、ほかの国々の例あるいは洋酒の例等から言いまして、自由化が行われた年には前年度の倍ぐらいに急激にふえるのではないかというのは一つのお考えであろうかと思います。そういたしますと、昭和五十九年度に入りまして四、五、六とこの六月までの経緯を見ますと、大体輸入品のシェアが二%になっておりますので、ただいまおっしゃいましたように四%程度ということを前提にして計算することは、全くピント外れの数字ではないというふうに申し上げてよろしいかと存じます。そうなりますと、ただいま鈴木委員がお示しになりましたように、昭和五十九年度の我が国におけるたばこの売上総本数が三千百六十億本でございますから、そこから輸入品のシェア四%を引きますと、国内品につきましては三千三十億本になるわけでございまして、これに毎年十銭ずつぐらい、過去数年間そういう経過をたどっておりますので、一本当たりの原価が上昇すると見ますと、おっしゃいましたように六十年度の予想が三円ぐらい、一本三円ぐらいの原価になるということもほぼ現実に近い数字ではなかろうかと思います。  そのような計算に基づきまして、制度改正を織り込みまして、まずたばこ消費税が引かれる、それから制度改正に伴います諸税、法定福利費あるいは支払い利子を差し引きます。そういうふうにしてまいりますと、税引き前の利益で約八百億円弱でございますか、それから法人税を引き、また配当につきましては、これは資本金をどの程度と見るか、また配当率をどの程度と見るかによりますけれども、これはお聞き及びと存じますが、衆議院の段階で資本金の規模は最高が千五百三十億円ぐらい、それ以内のところで恐らく決まるだろうという資料を御提出しておりますけれども、仮に千五百億円といたしまして配当率が一〇%であれば配当が百五十億になる、また千億円としますれば百億円になるといったような配当負担が考えられるわけでございまして、そういったようなものを差し引いてまいりますと、配当金も支払った後の純利益といたしましては、現在おっしゃいましたように、二百億から二百五十億ぐらいというのは試算としては一つの妥当性を持った数字ではなかろうかというふうに考えております。
  45. 鈴木和美

    鈴木和美君 私もどのぐらい伸びるかということが予測として大変困難であるということは十分わかるんですが、私は先行きの五年、十年の見通しがどうなるのかということを一番基本的に押さえながら、これからの原料とか、それから製造工場であるとか、原料工場であるとか、支所であるとかというようなものにどうあるべきかというものを使わなきゃならぬと自分でも思っているんです。しかし、仰せこれ初めてのことですから必ずしも的確につかめないということはある意味では納得します。  そこで、今四%という数字を置いてお尋ねしたんですが、そうしますと、たばこ消費税は六十年度で大体一兆六千三百四十億ぐらいになりましょうか。それから雑益で八十億ぐらい見て、今総裁がおっしゃった、さっき私は一千億円と言ったんですが約九百八十億ぐらいじゃないかなと見ているんです。そしてそういう税引き前の利益というものを見ると七百五十から八百億ぐらいになるのかな、その間ぐらいかなというような計算で見ているわけです。そしてあとは法人税の問題が四百三十億ぐらい。したがって差し引き勘定しますと、税引き後が三百五十億で、今お話のように千五百億円の資本金であれば通常述べられている配当一〇%で百五十億、それが差し引かれて約二百億か、一千億の場合には二百五十億かというようなことであると、こういうふうに見て間違いございませんか。もう一度お願い申し上げます。
  46. 長岡實

    説明員長岡實君) 鈴木委員の試算によればそういうふうになろうと思いますし、その試算は、幾つかの前提はございますけれども、妥当性を持ったものであろうというふうに思います。
  47. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうしますと、これは監理官に尋ねた方がいいのか大臣に尋ねた方がいいかわかりませんが、一般の民間企業というんでしょうか、そういう民間企業比較した場合に、資本金との兼ね合いにおいて、中長期の内部留保というものの水準は何%ぐらいが適当かというのを一般論で結構ですから聞かしてもらいたいんです。  私は二百億、三百億の内部留保の金額が六十年度であるという試算をしたんですが、先行き見ますと、これからまた質問する事業範囲の枠を拡大したり、工場の統廃合をやったりいろいろなことをやるときに、どんどんどんどん投資資金が必要なわけですね。それが二、三百億ぐらいでやっていけるのかという心配を持っているわけです。したがって、専売たばこ会社に限らず、一般的に内部留保というものは資本金との兼ね合いにおいて標準的な、つまり中長期の水準というのは何%ぐらいが適当なのかなということについて、もし資料があったらお示しをいただくか、答弁をいただきたいと思います。
  48. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 一般的に民間企業の内部留保がどの程度であるかにつきまして、申しわけございませんがただいまちょっと手元に資料がございませんので、後ほど調べてまだ御返事申し上げます。
  49. 鈴木和美

    鈴木和美君 それじゃどうぞ後からでも結構です。  私の一般的な勉強をさしてもらった中では、中長期に考えたときに二百億-二百五十億。専売公社たばこ会社の方を見ますと、六十年度でもたばこの売上高が二兆六千億規模、そして資本金が一千億になりますか一千五百億になりますか、そういう会社の今度は移行の措置を考えますと、二百億ぐらいでは大変寂しい限りであるというように思っているんです。これで本当に専売公社はこれから転換して、たばこ会社として、長岡さんが社長になるかどうか私はわかりませんけれども、やっていけるという自信がおありなんですか、ここは。
  50. 長岡實

    説明員長岡實君) 将来、株式会社化が行われました場合に新会社の進む道というのは大変厳しいものがあろうと存じます。したがいまして、輸入自由化のもとで外国品との競争にも負けないようにしながらたばこ産業を維持していくということは、恐らく大変な努力を伴うことであろうと存じますけれども、私どもとしては何が何でも努力をいたしまして、日本のたばこ産業集団全体を守っていかなければならないという気持ちは非常に強く持っております。そういったような場合に、現在鈴木委員の試算による配当金も控除した後の純利益というものが一体十分なのかどうかという御質問であろうと受けとめたわけでございますけれども、私、決して十分であるという自信を持ってはっきりお答えを申し上げることはややちゅうちょいたしますけれども、それではこの程度の利益では自信がないというふうに申し上げるのもいかがかと存じております。私どもとしては必要最小限度この程度の利益を確保しながら合理化に取り組んでいく、また合理化に取り組んでいけば、何とか厳しい将来を切り開いていけるということを考えながら努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  51. 鈴木和美

    鈴木和美君 今総裁の決意はそれなりにわかります。後ろに戻るわけにいかないんですから、やらなきゃならぬという決意だと思うのです。しかし、私はそれではちょっと納得いかないんですがね。決意表則だけではとても納得がいかないです。したがって、二百億か二百五十億か三百億かわかりませんけれども、適正なそういう水準達成のためにこれから中長期展望に立って各種の施策が行われていくんでしょうね。もちろん具体的に営業とか製造とか原料とかというのは後ほどお尋ねはしますけれども、これからそういう水準達成を図るために、いわゆる自助努力というか、競争体制に打ちかつ体制というか、そのことを基本的にどう考えているのか示していただきたいと思います。
  52. 長岡實

    説明員長岡實君) 大変難しい御質問で、一口にはお答えが困難でございますけれども輸入品とのシェア競争が激烈に行われることが予想される中で、国内品のシェアの最大限の維持と、それから制度改正によりまして私どもの業務範囲も拡大されますので、そういった業務範囲の拡大を通じての事業領域の拡大等を基礎に置きまして、将来の展望を図っていかなければならないと思うわけでございますけれども、今後一層販売努力をするとか、いろいろの合理化をするというようなことは、これはもう当然のことではございますけれども、合理化につきましても、当然のことながら労使間の理解と協力あるいは関係団体等の理解、協力が必要であります。しかし、私どもといたしましてとりわけ対応が急がれておりますのは第一線についての業務の改善等があろうかと思います。こういったようなものにつきましては、事業所等について全国的な再編成を行わなければならないということで、現在準備を進めております。  また、製造部門といえどもその例外ではないと存じますけれども製造部門につきましては、その工場の置かれている配置と申しますか、地理的条件、そこに働いている職員の立場等を考えますと、そう簡単に具体的な将来図が描けるわけではございませんで、現在検討はいたしておりますけれども、現在のところ製造部門については、率直に申しまして、事業所その他の第一線部門に比べますと具体化はややおくれております。  こういったようなあらゆる努力を通じまして、私どもといたしましては、先ほどのお答えにも関連がございますけれども、何とか純利益の幅をふやしていくような努力、業務範囲の拡大とそれから今度は生産性を向上する合理化努力によるコストの低減という、その両者を合わせまして何とか少しでも純利益の幅を広げていくような努力を今後続けていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
  53. 鈴木和美

    鈴木和美君 多少具体的にこれからの営業の見通しとか、たばこづくりはどういうふうにするんであるとか、原料という問題に質問をいたしますが、ここでひとつ大臣にお聞きいただきたいんです。具体的な施策を検討し、理解をしなければお答えがなかなかできないかもしれませんが、私の感じではどうも六十年スタートのときの利益といいましょうか、二百億円ぐらいのことで、先行きの商売を見ると大変心配なわけでございますね。  それで、今長岡総裁のお話じゃないですが、自助努力というか付加価値というか、そういうやつを上げなきゃならぬ、またその努力をしないと競争に大変だというようなお話なわけですね。したがいまして、そのことを新しいたばこ会社にやらせようということになると、余り株主さんの方がいろんな口を出されると自主経営というものができなくなると思うんですね。したがいまして、そういう意味では、これから事業の範囲をどんどん確保していかなければ、職員の受け皿という問題などについても心配がございますし、それからもう一つは、事業のやり方についてもある程度自由にさしてもらわないと、自由化の中にほうり出されても結局ひとり歩きができないというようなことがあってはいかぬと思うんです。そういう意味で、後ほどまた日を改めて認可とか許可とか、そういう問題についてもお尋ねしたいとは思うんですが、ここで大臣から当事者能力を完全に付与しているぞということと、余り口は出さぬよということについての見解などについてお尋ねをしておきたいと思います。
  54. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そもそも自由化に踏み切った、それに対応するだけの競争力等を考えた場合に、経営形態を変更しよう、こういうことになって、一番基本的に考えたのは、経営形態が変わればそれなりの従来以上の合理化、効率化が進んでいかなきゃならぬ。そのためには何が一番必要かということになりますと、これは労使はもとより当事者のいわゆる主体性あるいは当事者能力、そういうものを可能な限りこれにお任せをすべきであるという基本的考え方に立って、さればこの特殊法人株式会社をどういうふうにするかということから、今までいっぱいございましたのをいろいろ調査いたしまして、少なくとも既存の経験の中で最も当事者能力を余計与えた法人はどれか、こういうようなことでいわば管理統制的な物の考え方というのを最も少なくするということを参考にして、日本航空方式でありますとか、あるいはもう既に手を離れておりますが、合成ゴム方式でありますとかというようなものの中で今度の法律案をつくり上げてきたわけであります。  したがって、基本的には労使双方の、要するに当事者能力が一〇〇%発揮されて我々が介入する範囲をいかに縮めていくかというところからこれに取り組んでおりますので、基本的姿勢としては本当に厳しかろうと思いますだけに、自由競争の波の中へさらけ出されるわけでございますから、それだけにこの自主性の尊重ということを可能な限り念頭に置きながらつくって御審議いただいておるのが、今日の法律改正であるというふうに御理解を基本的にはいただきたいものだというふうに考えておるところでございます。
  55. 鈴木和美

    鈴木和美君 監理官にお尋ねしますが、衆議院の段階で、小野監理官は正直な方だから気持ちをそのままお話しになったのか知りませんけれども、当面三分の二、二分の一国が持つわけですから、株主ですから、株主は株主なりに口を出すのかと言ったら、出すという答弁があってもめたようでございますが、今日の御心境はいかがですか。
  56. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 衆議院におきまして、私が積極的にという言葉を用いまして、それが議論になりましたのは先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、私の言葉が足りなかったというふうに反省しておりますのは、今回の法律におきまして、会社が常時二分の一、当分の間は三分の二以上の株式を保有しなければならないということを規定しておりますのは、このような我が国たばこ産業現状のもとにおきまして、一定の政策目的を持った会社として設立されるわけでございますから、株主としてその政策目的実現のために最終的な責任は持たなければならない。そういう意味で、株主としての権利を保有するという意味で申し上げたわけでございまして、所有と経営の分離といいますか、そういう原則のもとに成り立っております商法に基づいて設立される会社でございますから、そういう意味国民の重要な資産としての会社経営の健全性の確保とか、資産の安全性とか、そういうことについて重大な関心は持つわけでございますけれども、さはさりながら経営に積極的に口を出して介入していくというつもりで申し上げたものでは決してございませんので、御理解いただきたいと存じます。
  57. 鈴木和美

    鈴木和美君 これは大臣検討課題ということになるかもしれませんけれども、私は今回の特殊会社に踏み切る前に、今大蔵省の中で、政府の監督というか出資というか、お金を出すこととの関係においてある制度というのは四つぐらいのカテゴリーと聞いているんですね。つまり公社、公団、事業団、特殊会社、そういう分類の中で自由化体制が非常に強まってくる中で現行専売制度から新しい事業に変える、そして当事者能力をある程度付与するということだとすると、どうも特殊会社でないと、現行の枠組みの中では行き場所がないということで特殊会社ということになったのかもしれませんが、これは後ほど電電公社の問題も議論されるんでしょうけれども、そういうようなことを考えたとき、第五の形態というのか、そういうものというのは将来考えられないんでございましょうか。私は何か新しい公共企業体の転換に対しての制度的なものというものは考える必要があるんじゃないのかなと思うんですが、そのことについての御見解は今おありでしょうか。
  58. 竹下登

    国務大臣竹下登君) おっしゃいますとおり、公社、公団、事業団、特殊会社。で、別の形態であるとすれば、ちょっと不勉強でございますのであるいは間違っているかもしれませんが、俗によく言われる第三セクターでございますね。あれもあるいは政府が一部出資するとかいうような場合に一つの形態としてあり得るものではなかろうか。しかし、それは今議論していただいておるたばこ産業というものとどう結びつくかは別問題といたしまして、あるいは一つ考えられることとして、たばこ産業というものを念頭に置くことなく政府が関与するとすれば、第三セクター方式のようなものがあり得るのかな、不勉強でございますので、あるいは正確を欠くかもしれません。
  59. 鈴木和美

    鈴木和美君 またその議論は後ほどさしていただきます。  さて、この辺で実務的な問題についてこれからどういう展望になるのかお尋ねをしたいと存じます。  まず最初は、外国たばこ自由化されて市場がどうなるのかということもありましょうが、日本の専売公社のこれからのシガレット全体の売れ行きというものの見通しはどういうことになっているのか、まずそこを答弁していただきたいと思います。
  60. 長岡實

    説明員長岡實君) 最近のたばこ市場の動向を見ますと、昭和五十八年の定価改定の影響もございまして、需要の伸びというものにつきましては依然として厳しい状況が続いておるのが現状でございますが、今後のたばこ市場につきましても、まず成年人口の伸び率が年平均一%程度であるということ。また喫煙者率が基調といたしまして減少の傾向をたどっておるということ。それから一人当たりの喫煙本数が、これは若干ずつ伸びてまいりましたけれども、最近に至って頭打ちの状況になりつつあること。そういったようなことと、それ以外の、たばこ以外の要素と申しますか、過去のような高い経済成長が期待できるかどうかということも若干の関係はあろうかと思いますし、また一般的に喫煙の場所、時間等に対します社会的な規制が強まっているという現実もございまして、そういった諸要因を考えあわせますと、たばこ市場全体の伸びはほとんど期待できない、おおむね横ばい程度で推移するのではなかろうかというふうに見通しております。
  61. 鈴木和美

    鈴木和美君 横ばいということになりますと、先ほどの私の試算じゃございませんが、外国たばこを除けば、大体三千億前後の台で横ばいというように理解をしたいと思うんです。そういう状態の中で、先ほど私は、約二%から四%ぐらい外国シェアが出てくるんじゃないかというように見たわけですが、そのとき、私なりに非常に心配していることは、何回かビッグスリーのアメリカのたばこ会社にも行って、いろんなお話なども聞いたり、しゃべっている限りにおいては、数字上は的確にまだつかんでいませんけれども、どうもコスト競争ですね、コスト競争から考えると、アメリカたばこの方はコスト的にまだまだ余裕があって、もう初めから日本のたばこはコスト的に水があけられているんじゃないのかなというように私は感じているんですが、その点はどういう認識でございましょう。
  62. 長岡實

    説明員長岡實君) 問題は、外国企業のコストの実態把握が的確に行えるかどうかという問題にございまして、本来コストというものが企業秘密にかかわるものでございますから、外国たばこ企業のコストの実態把握というのが大変困難な現状にございます。外国たばこ企業製造原価その他のコストにつきまして公社として推定はいたしておりますけれども、アメリカを主とした外国たばこ産業と私どもとのコストの競争条件を公にいたしますことは、企業経営上最も秘密を要する事項にかかわることになりますので、いろいろと微妙な影響もあろうかと存じますので、公表は差し控えさしていただきたいと考えます。  ただし、葉たばこ価格実態及び製造工場の規模等から、外国メーカー製造原価をいろいろ推定いたしておるわけでございますが、そういった角度から見ますと、外国メーカー製造原価は日本に比べてかなり優位にあるものと認識しておりまして、そういう意味で今後一層の経営合理化が必要であろうというふうに考えている次第でございます。
  63. 鈴木和美

    鈴木和美君 私も数字を挙げることは差し控えますが、現状の中では、いろんな面を考察しますと、外国たばこの方がコスト的には、総原価と言ってもいいんですが、優位な方向にあるように私は思うんです。それだけに、これからたばこ会社が発足するにはこれは大変なことだなという認識を持っているんです。  そこで、もう一つ伺っておきたいことは、外国の製品に対して消費者が受けとめる立場なんですが、輸入品というハイカラ趣味というのかどうか知りませんが、高いものはうまいという感じがある面ではあるんですわ。高いものはうまいものだ、そういうようなイメージに対して公社は、外国製品に対して消費者が考えている意識、実態がどうであるかというその分析ですね、それと同時に、そういう意識に対して新しい商品開発上とのような対応をしていこうとしているのか、ここも聞かしていただきたいと思います。
  64. 丹生守夫

    説明員(丹生守夫君) お答えをいたします。  輸入品を主に吸っている方々の嗜好調査その他いろいろ調査をやっておりますけれども、高いからうまいということでは必ずしもなくて、国産品と比べますと、味、香り、特に香り、それから包装のデザイン、この三点で国産品に比べて輸入品の方の評価が高いということ。それからもう一つ、今度は国産品についてどうかといいますと、味の軽さ、この点では国産品の方が輸入品よりも評価が高い。こういうのが調査の実態でございます。  そこで、競争状態になりますと、何といいましても、消費者の皆さん方のニーズを的確にとらえて、それに適合した商品を開発して提供していくということが一番大事なことになるわけでございますので、私どもといたしましては、従来もそうでございましたけれども、今後ますますこの点、特に味、香りの点につきまして、大いに努力してまいりたいということで商品開発を進めていく考えでございます。消費者の皆さん方のお好みが多様でございますから、包装デザインにつきましては、できるだけお好みに合ったようなものを考えていかなければならないということだろうと思います。
  65. 鈴木和美

    鈴木和美君 今の問題に関連しますが、外国たばこに関する消費者のイメージもさることながら、日本のたばこ会社に対してもどういうたばこを望んでいるかというのがあるわけですね。そのニーズにこたえて新しい商品を開発し販売するわけでしょう。それが結局、今度はつくりの方とか原料の方に全部これが関連してくるわけですね。そういう意味で、軽いたばことか何々のたばことか、まろやかとかいろいろありますね。これからの日本のたばこ会社がその開発を目標とするというもののイメージというか基準というか、それはどういうたばこを開発なさるんですか。
  66. 長岡實

    説明員長岡實君) 過去数年間の傾向を振り返ってみますと、これは世界的な傾向でございますけれども、まずニコチンとタールの含有量の少ないたばこ、したがって軽いたばこということが一つの商品開発の目標になって進んでまいりまして、ニコチン、タールの含有量は顕著に減少傾向を示してきたわけでございますが、最近の傾向といたしましては、消費者の方々のたばこに対する期待と申しますか、そういうものが、軽くてなおかつ吸ったときに喫味感を味わえるような、いわばおいしいたばこと申しましょうか、そういうような条件が一つ加わってきております。ですから、私どもの製品といたしましても、軽いたばこ、いわゆるニコチン、タールの含有量の少ないたばこの開発ということにはどんどん新製品を投入してまいっておりますけれども、最近投入しております製品につきましては、その上にさらに軽くてなおかつ味があると申しますか、そういったような条件を具備した製品が好まれる、またそういうものを投入していかなければならないというふうに考えております。
  67. 鈴木和美

    鈴木和美君 軽くて味がなおかつその上につくということを今度はたばこづくりの方の責任者に聞きたいんですが、消費者がそういうたばこのイメージというものを望んでいるということになりますと、そのたばこというのは製品の過程でどういうたばこづくりになるんですか。
  68. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) たばこというのはいわゆる嗜好品でありまして、農産加工品の嗜好品であるということから、たばこの生地そのものの味というものを非常に大切にしていかなければならない製品だと思っております。しかし、最近の消費傾向として、たばこのオリジナルなものそのものでは満足いただけない。より軽さとマイルドさと いうような点をどうしても加工処理で補っていかなければなりません。そういう意味で、葉たばこの生地を極力生かしながら、それに今申し上げたような付加価値をつけることによって十分な満足が得られるようなたばこづくりをしていかなければならないと思っております。
  69. 鈴木和美

    鈴木和美君 もっと突っ込んで聞きますけれども、私何でそのことを今聞いているかというと、軽くてという表現の中に、ニコチン、タールが強いから低ニコチン、低タールという意味での軽いという表現がありますね。それから今お話の出たマイルドというのがありますね。そういうようなイメージをたばこづくりとしてつくるときに、私の記憶なんですが、原料の使用割合というのがありますね。つまり軽くてまろやかだというのであれば、一本のたばこの中に占めるグラムですな、これをもう少し少なくして、すうっと火が通るというようにしたいというようなたばこづくりもありましょう。そういうたばこをつくるということは、それが勢い原料にはねかえってくるわけですよね。だから、そういう原料との兼ね合いを考えながら私は今質問をしているんです。そういう意味で、軽くてまろやかというようなたばこづくりでは、実際グラムとか原料の入れ方はどういうことになるのかと、そう聞いているんです。
  70. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) たばこつくりの当初の段階でニコチン、タールの少ない軽いたばこをつくるという面では、技術的な水準がまだ十分でなかった時期には、諸外国の中で比較的ニコチン、タールの少ない原料を購入し、それを配合することによってつくってまいりましたけれども、    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕 最近は非常に多角的な技術が進んでまいりまして、原料加工段階で、たばこの張りは十分あるけれども比較的量を少なく、てん充の量を少なくしても立派なたばこができるようにという方法も出てまいりましたし、それからフィルターの素材、あるいはそれを巻きますチップペーパーの開孔度によって、途中で空気で薄めることによってたばこの味を軽くするという方法も随分発達をしてまいりました。世界の主流のマイルドなたばこ、低ニコチン、低タールのたばこはほとんどそれらの原料、素材によって達成されてまいっております。  そういう意味で、今委員おっしゃるような、原料の使用量もここ十年ぐらいの間に諸外国、日本もそうでありますけれども、約一〇%程度の使用量の減少を来しているということでございます。この面がコスト低減なりお客様のあるいは消費嗜好にも大変効いているというふうに思っております。
  71. 鈴木和美

    鈴木和美君 後ほどまたたばこつくりのところはお尋ねします。  もう一つ営業の方でございますが、今度は、外国たばこというものはやりたい人が自由にたばこ卸をやれるという状況から見ると、外国たばこの流通のルートというのは現在とのような話し合いが進められているのか、またどういう現状にあるのか聞かしてください。
  72. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答え申し上げます。  流通自由化後におきましての流通ルートといった場合には二つのものが考えられるわけでございます。その一つは、いわゆる取引の流れでございまして、この取引につきましては、外国メーカーは従来の輸入代理店、これが恐らく特定販売業者になると思いますが、この特定販売店を通じまして直接特定販売店から小売店との関係で取引を行う場合と、その間に卸売業者を介して取引を行うということが考えられるわけでございます。  いま一点は物の流れの方でございますが、物の流れにつきましては、今後外国メーカーは自由にこの流通網を選べるわけでございますが、私どもとしましては、従来、取引をしておりましたたばこの配送会社を使う公算が強いんではないかと思うわけでございますけれども、この点につきましては、まだ外国メーカーは明確な態度を示していないわけであります。  なお、一般的な例ではございませんが、私どもとしましても、今回たばこ事業法の附則第八条によりまして特定販売業者の登録を受けたものとみなされております。したがいまして、従来どおり公社と申しますか、新会社を利用しましてたばこ販売を行いたいというような外国メーカーにつきましては、新会社が従来の商品の取引の流れ、物の流れというものに従って取引を行うということになろうと思います。
  73. 鈴木和美

    鈴木和美君 俗称ビッグスリーと言われているような会社で、フィリップ・モリスとかレイノルズとかという、この会社は独自に流通のルートを持とうとしているのか。現在、日本専売公社との関係で、配送会社というのがございますね。その配送会社に委託をするというような話もちらちら問いておるわけですけれども、その会社は、今日段階で結構ですから、どういう状況になっていますか。
  74. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答えいたします。  この辺につきましては、今後どういう情勢になるか私どもも予測がなかなか困難でございますが、現在のところの情報によりますと、従来の東京を初めとしまして全国にございますたばこ配送会社を当面は利用するのではないかというふうに推測をいたしております。
  75. 鈴木和美

    鈴木和美君 小野監理官にちょっとお尋ねしますが、今回のたばこ事業法の中で、国内品については新会社が円滑供給義務というのが課せられておりますね。ところが、外国たばこにはそれがないですね。これはどういうわけなんでしょう。
  76. 小野博義

    政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。  今次の専売改革による輸入自由化に伴いまして、国内市場におきましては、国産品と輸入品との間で自由に競争が行われることになるわけでございますけれども、この場合、業者の間でいろいろな営業政策が展開されることになるというふうに考えております。したがいまして、地域によりましては、特定販売業社の営業政策によりましては、輸入品が全く販売されないという事態も起こり得ないわけではないと思っております。例えば地方でございますと、極端な田舎でございますとか、そういうところでございますけれども、このような場合におきましては、消費者利便等の観点からいたしますと、製造たばこ国内製造を独占いたします会社製造たばこの地域的な需給についての一定の役割を果たすということが相当であるという見地から、たばこ事業法におきまして、会社は地域的な需給状況を勘案して製造たばこの「円滑な供給を図るよう努めるものとする」という規定を入れたところでございます。他方、このように円滑供給規定と申しますのは、製造たばこ国内製造会社に独占させるということに由来していることでございますので、製造独占あるいは販売独占というものを与えられておりません特定販売業者に対してまでこの円滑供給規定を置くというのは適当ではないと考えて、新しい会社だけに円滑供給規定を置くという定めをしたわけでございます。  それからなお、先ほどちょっと資料がございませんで、お答え申し上げられませんで恐縮でございましたけれども、先ほどの先生の試算でございますと、税引き後、配当前の利益というのは大体三百五十億ぐらいだったと思っております。それに対して資本金につきましては、手元にちょっとないんでございますけれども、いわゆる資本金と申しますのは会社の事情によっていろいろと遮ってくると思います。    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕 例えば売上高の利益率でございますが、日銀の主要企業経営分析によりますと、全産業で売上高利益率が一・一、例えば食料品製造業でございますと一・二%ぐらいでございますが、先ほどの三百五十億と二兆六千三百億ということで計算いたしますと、たばこ会社の売上高利益率というのは一・三%ぐらいということでございます。
  77. 鈴木和美

    鈴木和美君 今のお話は、新しい会社製造独占にするということの背景というものは、私から述べるまでもない、いろんな背景があって製造独占になったんですね。だから、ある意味では製造独占というものは、北海道から沖縄まで円滑にそれこそ供給する義務があるんだぞと、これはこれなりに理解ができます。しかし、今度は外国たばことの関係を見たときには、製造独占の方はどっちかというと、国内的な理由から製造独占にしているんであって、自由化だというのであれば、北海道の人が例えば東京で吸っているフィリップ・モリスの会社たばこを吸いたいというときに、それはやっぱり供給してやらなきゃ自由競争にならぬじゃないかというような理屈が出てくると思うんですが、それはおかしいんですか。
  78. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 今後、日本の市場におきまして外国製品と国内製品との間にかなり競争が行われるとも思われます。したがいまして、一般的に申しますと、それなりの需要がある場合には当然その需要にこたえるべく新会社はもとより、特定販売業者にしても努力はすると思っております。したがいまして、よほど特殊な事情がなければそれなりに供給は行われると思うわけでございますけれども、ただ非常に需要が少ないとか、あるいは遠隔地であるとか、そういう場合に営業政策上、何と申しましても、現在のところ国内たばこに比べまして外国たばこというのは非常に量が少ないわけでございますので、いろんな意味から言って、地域によってはそういう営業政策上外国たばこが売られないというような場合が考えられないわけではございません。その場合にも、必ずしもそういう少ない需要についてまで強制するというのはいかがかと思われるわけでございますけれども、他方、日本の市場の現在においては九八・二%を押さえておる、かつ製造独占を与えられておる会社につきましては、それなりの消費者の立場から考えた円滑供給義務というのを置くのが適当かというふうに考えております。
  79. 鈴木和美

    鈴木和美君 身びいきにとられちゃいかぬのですがね。私は自由競争になれば、それだけ欲しがる地区があれば外国たばこ会社は当然何らかの方法で持ってきますよ。供給義務を課そうと課すまいと私は持っていくと思うんです。  そこで、そのことを質問している裏側は、その円滑な供給義務のある日本のたばこ会社が、その片方の製品の需要が望まれるよりももっと営業政策的にそこへどんどん行ってそんなことが出ないようにしないと、日本のたばこ会社の方がやられちゃうですよ。そういう意味で営業の戦略というのもしっかり考えてほしいという意味で今質問を申し上げました。  そこで、これから外国たばこが本格的に競争態勢に入るわけでございますから、営業の戦略というものをどういうふうに考えているのかお聞かせをいただきたいと思うんです。そして、この機会に専売公社の第一線、つまり営業所というようなものとか、それから拠点であるとか、そういうようなものの組織機構がどういうふうに配置になっていくのかということについても聞かせていただきたいと思います。
  80. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答えいたします。  公社におきましては、先生御案内のとおり、これまでも配給から営業という意識革命を行います中で、消費者嗜好というものに立脚をしました新製品の開発なり、また昭和四十七年におきましての塩の統廃合、配送分離という後におきまして、営業化政策の導入といったようなことでの第一線の営業体制の整備といったようなものに努めてまいったわけでございます。  今後、国内におきましての需要の停滞傾向、また輸入品のシェアの増加傾向といったような中で、従来の施策というものをさらに強化する意味におきまして、商品開発の面でコストの削減を図る傍ら、さらに付加価値の高い製品の開発というものを行いますとともに、特に今後におきましては良品販売というものを通じましての消費者サービス、また受注、配送業務といったような点につきまして販売店のサービスの向上を図るというようなことを基本的な柱として、国内製品のシェアの維持を図ってまいりたいというふうに考えております。  なお、営業所の再編成でありますが、この再編成につきましては、事業量の変動とか社会経済情勢、こういったものも昭和四十七年再編成を行いまして以後変化いたしております。まだ非効率な支所もあるわけでございまして、今回その適正化を図るというようなことで、近隣の営業所とかの距離、あるいはまた地理的条件といったものを勘案いたしまして再編成をしたいというわけでございます。その結果としましては、現在三百九十九の営業所があるわけでございますが、おおむね三分の一程度が統合されるというようなことになるわけでございます。  なお、この統廃合を行いますことによりまして消費者なり販売店へのサービスの低下というようなことにならないように、受注なり配送面での改善というのをあわせて行うわけでございまして、さらにこういった施策の実施に当たりましては、労働組合あるいは販売組合団体を初めとして関係の方々の御理解と御協力を得ながら実施に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  81. 鈴木和美

    鈴木和美君 営業の方の問題についてはぜひ私から意見を述べておきますので、専売公社においても十分配慮していただきたいと思うんです。  まず一つは、これから新しいたばこ会社ということに移行するということになれば、どうしても輸入品との競争が激しくなる都会地って言うんでしょうか、そこのところが中心になって営業活動が続けられることになりましょう。これはやむを得ない必然だと私も思うんです。だからといって、円滑な供給義務のある製造独占会社なんですから、地方に対しても十分な配慮というものを持って対処してもらいたいと思うんです。これが一つです。  それからもう一つは、専売公社、私なども含めて営業といって格好のいい話をするんですが、まだまだ専売公社の体質が抜けていないと思うんです。つまり専売公社の体質というのは何かというと、たばこをつくって配達をするんですよ。つまりたばこ屋さんのところへ持っていけばいいんですよ。そういうような感じの営業というものがまだ残っていると思うんです。それではこれからの外国競争との間でとってもやっていけないと思うんですね。だから、そういう意味での社員なり社内の訓練というか意識の統一というか、そういうものにもぜひ努力をしてもらいたいと思うんです。  三つ目の問題は、これからの営業の組織というものを考えるときに、先ほど地方を配慮しろよということを述べました、けれども、同時に地方に対する配慮というものは、専売公社の営業所とか生産事務所とかがその町にあるかないかでは、町の地域経済に対する影響や社会的な影響や政治的な影響に大変な重みがあると思うんですね。そういう面も十分考慮してほしいし、ただ道路がよくなった、そして配送がやりやすくなったというだけではいかぬので、職員の問題も十分踏まえて、そういう上で私は対処してほしいと思うんです。  なお、こういう平場ですから、もっともっと意見はありますけれども、どうぞこれから立ち向かう営業ですから、しっかり営業方針が立たないことにはどうにもなりませんので、長岡総裁以下私の意見を踏まえて対処していただきたいと思いますが、簡単な答弁で結構ですが、いかがでしょうか。
  82. 長岡實

    説明員長岡實君) 第一線の業務の合理化の一環といたしまして、営業所の配置につきましても、現在見直しをいたしまして統合もある程度行わなければならないと思っておりますけれども、そのような場合におきましても、いわゆる地方の営業部門において大変な不便を来すというようなことがないように配慮は当然いたすべきであろうと存じます。  また第二点の、営業に携わる職員のいわば意識革命と申しますか、そういったようなことにつきましても、かねがね私どももその必要性は痛感いたしておりまして、新制度の発足を待たず、現在におきましても、そういったような点については十分に理解を深めるべく指導を行っておるところでございまして、今後ともその努力を続けてまいりたいと存じます。  第三点の問題につきましては、これは御指摘趣旨は大変よくわかります。実際問題として難しい問題でございますけれども、一方におきまして、私どもといたしましては、将来の厳しい環境を考えましたときに、私どもとしてでき得る限りの合理化と申しますかは図り、企業の体質を強めていく必要はどうしてもあるわけでございまして、そういったようなことを十分に御説明して理解を求めながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  83. 鈴木和美

    鈴木和美君 私の持ち時間の残ったところ、たばこづくりの方についてお尋ねしたいと思うんです。  先ほど軽くてマイルドなたばこというものを製造するスタンスをお聞きしました。同時に、諸外国との関係を見ながら日本のたばこ工場労働生産性の問題も、一時間当たり製造の数字も聞きましたから、これは省略しますが、もう一つ技術的な意味で聞いておきたいんですが、たばこの原材料の中心である日本の葉たばこですね、この葉たばこというものは、つまりシガレットというたばこづくりから見てどのような評価をなさっているのかお尋ねしたいと思うんです。
  84. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) お答えいたします。  葉たばこ生産者、耕作者の方々はたばこ産業の一翼を担う方々でして、現在の厳しい状況も考えられて、一時昭和五十年以降大変品質低下をした時期がありましたけれども、現在はその品質回復に向けて大変な努力をしていただいております。しかしながら、日本の気候、土壌条件等の制約によりまして、日本で生産される葉たばこについては、ごく一部の地域を除きましては、大体緩和料あるいは補充料の産地に相当するというふうに考えております。  このような葉たばこも、しかし我々はこの製造独占という新しい会社のもとで、私どもは主体原料として今後とも使っていかなければならないというふうに思っておりますが、それには香味の豊かなどうしてもたばこのブレンドに必要な原料、あるいは緩和化のために必要な一部の原料、そういったものは輸入で賄って、それをブレンドしてたばこづくりをしていかなければならぬというふうに思っているわけであります。一般に葉たばこの香喫味の乏しい原料は、国際的には価格は安価であります。そういう意味で日本の原料が補充料的なものであるということから言いますと大変割高になるわけでありますが、今後ますます厳しさを増す市場環境のもとでこのような現状にある国産葉を主体原料として使ってまいりますためには、今後とも私ども製造技術の向上なり、そういった面で大変な努力が必要だろうということとともに、国産葉たばこ生産性向上あるいは価格の低減というものについて今後一段の努力をともにやっていかなければならない、そういうような位置づけにあるというふうに思っております。
  85. 鈴木和美

    鈴木和美君 原料そのものの葉たばこ問題は、別途また機会があったらやらせていただきますが、今私が聞いていることは、日本の葉たばこというのは日本のたばこ会社で使用する原料としては非常に大切であるし、それは原料の中の大半を占めていくのに可能なものであると、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  86. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) 問題はありますけれども努力によって克服しながらやっていけば、ある面の自給率を確保しているという面もありますから、先生のおっしゃるとおり大変重要な原料であると言って差し支えないと思っております。
  87. 鈴木和美

    鈴木和美君 それでは次の問題ですが、たばこ工場でつくる機械ですね、たばこの巻き紙、パッキング、いろいろありましょうけれども、相対的に外国たばこ会社との比較において、その使用している機械というものはそんなに遜色はないように思っているんですが、他方では、八千回転の巻き上げ機ができてくるというようなことなどがあったりして、そういう世界たばこをつくる機械というものはどういう現状になっているのかということが一つ。  それからもう一つは、そのたばこを巻いたり、パッキングする機械そのものは日本の中でできるのかできないのか、輸入などに頼らないで日本でできるのかできないのか、そういうたばこ機械をつくる技術水準というものは日本と外国との関係でどういうふうな状況にあるのか。この点を聞かせてくれませんか。
  88. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) 機械製作技術についてのお尋ねでございますけれども、戦前は、中研一型巻き上げ機と称しまして、世界たばこ製造機械の中でも比較的優秀な機械とされておりましたが、戦中、戦後の時期にたばこ用機械の開発技術の面で大変おくれをとりました。その結果、一方で、大変な量産が必要になり、フィルター製品の増強が必要であるというようなことから、やむを得ず昭和三十八年にイギリス及び西ドイツと技術提携、ライセンス供与を受けまして、日本での国産製造を開始したわけであります。これが十五年たちまして、一昨々年ライセンスが切れましたので、この時期から前後いたしまして、何とか国産化を図ろうということで開発能力の増強に努め、現在、鋭意国産の優秀な機械の開発に取り組んでいる段階であります。  ライセンスの供与によって製作を始めましたときは二千回転でありましたけれども、それを二次開発のデベロッピングで二千五百、四千、さらには五千まで上げてまいりましたが、現在、公社では、巻き上げ機につきましては八千回転の開発に取り組んでいるところでございます。  この辺の水準を見ますと、私どもの目から多少ひいき目に見えるかもしれませんが、欧米等のたばこ用機械のメーカーと技術的には遜色のないところにきているのではないかというふうに考えております。
  89. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一つは、そのような高速化というか、非常にハイスピードの機械というものがこれからコスト競争製造コストの面でも競争に入らにゃならぬわけですから、それの導入、直接工場に入っていくというような導入計画というものはどんなぐあいに今なっておりましょうか。
  90. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) 現在は、五千回転の機械を工場に導入している最中でございますが、これを全部更新しないうちに八千回転の開発は完了すると思っております。現在、私どもは、今年じゅうに試作一号機の組み立てを終えて来年度から平塚試験場なりあるいは一部の製造工場で試運転を行いまして、その中でいろいろな技術的な検証なり技術標準の確立を行って、それらのフィードバックによって量産体制に入りたいというふうに考えておりまして、一応私どものめどとしては、これらの機械が実際に工場に入っていく年度は六十二年度以降になろうかと思います。
  91. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一つ質問ですが、現在、昭和五十九年でも結構ですが、たばこの売り見込みと、工場でつくる施設能力、実際に動いている稼働能力ですね、稼働の状態というか、それはどのくらい、パーセンテージであらわすと何%ですか。
  92. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) お尋ねの趣旨は機械設備の稼動率のことかと思いますが、現在私ども工場の稼働は、数字で申し上げますと約九三%ぐらいでございます。人的能力の面では製造の余剰人員というのは持っておりませんで、機械設備の面では九三%になっております。かつてはもう少し高うございました。専売製造でございますので、国内たばこ事業というのは一手供給という意味比較的高い稼働率でよかったわけでありますけれども、今後は市場競争が激しくなるという意味でいろいろな対応をしなきゃならない、また輸出も考えなければならないというようなことから、ある程度の設備余裕、機械損失をなくさないような設備余裕というものは必要だと思っておりますので、現在の九三%というのは、それほど大きな過剰余力といいますか、そういうことではないんではないかというふうに考えております。
  93. 鈴木和美

    鈴木和美君 大臣、私の持ち時間、間もなくきょうはなくなるんですが、今までずっとこれからの状態などを聞いてまいったわけでございます が、これから同僚議員からもいろんな質問があると思うんです。つまり今、売りの見込み、つくりの状態――私、きょう時間がなくてまた別の機会にやらしていただきますが、葉たばこ現状の問題、時間がございませんが、今ずっと聞いてまいりまして、これからの国際競争力に打ちかつ、また勝たねばならないというような状況から見ますと、現状たばこ産業が持っている人の問題、機械の問題、また制約の問題などなどを見ると、完全に当事者能力を持ってやり得るのか、法律的にもまた実態的にも、そういう心配が私は一つ残ります。  もう一つは、職員の取り扱いというもの、きょうは時間がないからやりませんけれども、これだけのコスト競争に入るとすれば、営業所においても工場においても大変な合理化というものが伴ってくると思うんです。したがって、生首を飛ばすような合理化というようなことは我々も絶対反対ですし、そこは年齢別の構成などを見ながら、スムーズな転換というものをしていきながら競争力にこたえなきゃならぬと思うんです。  そこで、私は、一番最後に大臣にもお願い申し上げたいんですが、きょう、今、西村本部長のお話によれば、日本のたばこをつくる機械の製造の技術、こういうのはすごく高い、ハイ技術になっているわけですね。したがって、そういうたばこの機械というものを今度は職員の雇用の安定というような受け皿の方から考えてまいりますと、そういうハイ技術でもっているところを、もっと今度は違った、農機具の作製であるとか、そういう事業範囲の拡大というものをしながら雇用の受け皿をつくっていかなきゃならぬと思うんです。そういう意味でも、事業の範囲の拡大と、専売公社が今度新会社になった経営に対してしっかりやってほしいというような自主性の問題について、どうぞこれからも大臣の協力と御配慮をいただきたいと思うんですが、見解をお伺いして、私のきょうの質問の終わりといたします。
  94. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 事業範囲の問題でございますが、私は今の鈴木委員のおっしゃる意味はよく理解をいたすところであります。ただ、具体的な私の知識が鈴木委員とかなりの格差がございまして、知識が乏しゅうございますので、そういう優秀な技術等はありますが、それがいわゆる農機具に適するかどうとかということになりますと、私の能力をいささか超える問題でありますが、いずれにいたしましても、業務範囲の拡大等もいろんな各般の状況を考えながら、まさに大変な民業圧迫になりますとか、いろんな場合は別として、その自主性に大いにゆだねるべきものであるというふうな理解をいたしております。
  95. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十一分開会
  96. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  97. 藤井裕久

    藤井裕久君 今回の専売改革の五法というものは、これはもう明治三十七年に専売制度ができて八十余年、また昭和二十四年に専売公社ができて三十五年に及ぶ一つの仕組みというものに対してピリオドを打つというようなことで、私ども自由民主党といたしましても大変な大きな関心を持って、特に党内の専売対策特別委員会を中心に真剣な論議を重ねてまいったわけでございます。  政府の今回の提案が私どもの考え方を十分御理解をいただきまして、基本的な物の考え方を取り入れていただいたことに対しまして深く感謝をいたす次第でございます。本当にありがたいことだと思っております。  それで、時間が非常に制約されておりますので、衆議院なり同僚議員の質問のあったことと重複することはなるだけ避けて質問をさせていただきますが、この今回の改正というものが、先ほど大臣提案理由の説明にもありましたように、現行専売制度が果たしてきた役割評価はするが、開放経済体制という大きな流れの中で、たばこ産業もその場に率直にさらさなきゃいけないという前提をとってたばこ輸入自由化に踏み切って、同時にそういう国際的なたばこ産業に対して我が国たばこ産業競争力を持てるような新しい自主的な経営形態を持つ、そして同時に八十余年にわたって専売制度を支えてきた大きな関係者に対しても温かいというか、きめの細かい配慮をして激変の緩和に努めると、こういう調和を図ったのがこの法律であると考えておるんであります。こういうある意味では極めて難しい政策選択をされたわけでありますが、大臣といたしまして、この政策選択をされてこういう法案にまとめられるに当たって一番御苦労になりました点はどんなことでございましょうか。
  98. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは今のお話にもありましたように、開放経済体制に即応する、そこで輸入自由化に踏み切るという、それには専売制度廃止するということが一つ、それから国際競争力を確保する点から、合理的経営が最大限可能であるように特殊会社に改組する、こういう大きな柱であったと思います。  そこで、今お話にもありましたように、これをまとめるに当たってはそういういわゆる開放経済体制に即応するという大義というものが存在いたしますが、同時にこのことはたばこ産業を支える三つの大きな集団と申しておりますが、それはいわゆる耕作者の方々であり、そしていま一つは小売人の方々であり、そしていま一つは労使双方のまさに当事者そのもの、それ全体でもって日本のたばこ産業というものを支えておるという考え方になりますと、今お話があったように、それらに関係のある皆さん方の、いかに激変が生じないかということを合理的な範囲内においてどう工夫していくかということが、一つの大きな苦労と申しましょうか、考え方の基本にあって作成をするに至ったわけであります。  そういう激変緩和ということと、それからもう一つは、激変緩和の措置は行ったとしても、なおたばこ事業関係者全体に残る不安というものをいかにして解消するために心を砕いていくかというようなことが、まとめるに当たっての各方面とのたび重なる意見調整というもののポイントではなかったかというふうに私どもは理解をいたしております。
  99. 藤井裕久

    藤井裕久君 三つの大きな集団に対してそれぞれ御配慮をいただいて本当にありがたいことだと思っておりますが、その法律の中でいろんな仕組みを組み込んでいるわけであります。例えば一番におっしゃった耕作者の皆様に対しては全量の買い上げとか、あるいは買い上げる場合の買い上げの基準、再生産価格の保持とか、あるいはまた販売の皆さんに対してはいわゆる指定制、今度は許可制でございましょうか、また定価制というような制度をいろいろ仕組んでいただいておるわけでありますが、この制度が仕組まれているのは、私は法律的にぎりぎり詰めていきますと、この新経営形態特殊会社、特に二分の一以上株式を持っているというところに由来しているように考えております。  そこで、そういう関係者の方にとっては、新会社の形態が今後も恒久的に続くんだろうか、暫定的なものじゃないのかということを非常に心配しているというか、関心事になっておるわけでありますが、大臣は衆議院におかれては、この仕組みは民営・分割化への経過措置ではないということをはっきり答弁されておられるわけでありますが、今申し上げたような観点から、改めてこれは民営・分割化のためのステップではないんだということをひとつ御答弁いただければありがたいと思います。
  100. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今もろもろの御指摘がございましたが、そこのところが時にはいわゆる臨調路線というものからすれば後退しているんじゃないか、各新聞論調等でそのような批判も受けたわけであります。私どもといたしましては、今次改革というものを考えてみても、基本的に割高な国産業を抱えておる状態のもとで、たばこ輸入自由化を行いながら、なおかつ我が国たばこ産業が国際競争力を確保して健全な発展を遂げるということを期待するためには、専売公社政府出資の特殊会社に改組しながら、これにいわゆる製造独占、この製造独占権を付与すること以外にないという判断に達したわけであります。したがって、今次改革法案におきましては、このような特殊会社という経営形態及び製造独占、これは言ってみれば、民営・分割に対するワンステップとしての位置づけではなく、恒久的措置として位置づけられておるというふうに、これは明快にと申しますか、申し上げておるゆえんのものも、種々関係方面との協議を重ねた結果、この方法しかないという判断を下したからであります。
  101. 藤井裕久

    藤井裕久君 それと、今度はむしろ小野さんに伺うことかもしれないんですが、小野さんが衆議院で、今の仕組みの中で株主権の問題、この株主権の行使というものは商法の範囲に限られておるんだと、私はそのとおりだと思います。しかし、同時にこの株ということが政策手段、今たばこ事業法の第一条にあるような政策手段を担保する意味も持っておるんだということを最終的に言われたと思います。そういう意味から言うと、今大臣の言われたような、もろもろの話がすべて株主権の行使を通じてはなかなかいくものではないということは相当はっきり言われたように思うのでございます。  また、これは非常に大事なことでありますが、経営の合理化というか、自主的経営ということのためにもう一つ公的規制の対象に考えられておる業務計画の認可でございますね。これも非常に簡素なといいますか、基本的な問題についてだけ行われるんではないかというようなニュアンスのことを言っておられるわけであります。私は基本的にそのことは正しいと思うんですが、反面、逆の心配も出てくるわけでありまして、衆参両院でいろいろな質疑の中で、今の法律に書かれた各三つの集団に対する配慮以外にも実行上の問題としていろいろ配慮していただかなければならないこと、具体的には申しませんが、それがあるわけであり、それを政府なり公社の方が答弁されたことが随分あるわけであります。これから新しい経営主体が利潤を上げていかなきゃならないということになると、とかく今のいろいろ口頭で同会答弁として約束されたようなことを逸脱されるおそれがあるのではないか。今の経営者の方々が新しい会社経営者になられたときはそういう心配はないと確信いたしておりますが、将来そういうこともあるんじゃないかという危惧もあるわけなんです。  そこで、株主権の問題あるいは公的規制の問題ということが今のように、小野さんが衆議院で答弁されておる中で、いろいろとここで議論になった問題で、国会答弁として約束されたようなものを新経営主体が万一逸脱するようなときはしかるべき監督措置はとっていただけるのかどうか。そこをひとつはっきりさしていただきたいと思います。
  102. 小野博義

    政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。  今回の制度改革の趣旨が、開放経済体制に即応してたばこ事業の合理化、効率化を実現する、あるいは新会社経営自主性を尊重する、自主責任体制を確立するということにあることからいたしますと、私どもの監督権の行使というものはおのずから自己抑制的と申しますか、それなりに新会社経営自主性を尊重する中で行われなければならないということは、先生御指摘のとおりでございますし、一方で一定の政策目的を持つ会社といたしまして、その政策目的の実現のために、言葉を変えて言いますならば、たばこ事業法なり日本たばこ産業株式会社法なりに書いてある目的を達成するために行われるわけのものでございますから、その目的から逸脱することがないように、おのずから自主責任体制の中において新しい会社がそういう運営をされていくのは当然のことでございますし、私どもといたしましては、そういう目で、あくまでも会社の自主責任体制を尊重しながら、かつ毒薬法あるいは会社法の目的に沿うように運用を行ってまいるのが当然であると考えております。
  103. 藤井裕久

    藤井裕久君 それでは公社の総裁に伺いますが、今いろいろ話が出てたような、基本的には株式会社として自主性を持って合理的な経営を行うという中で、いろいろな一つの公的な規制と申しましょうか、があるわけでありまして、そういう意味では一般の会社より利潤追求という意味から言えばやりにくい、国際競争に対応するという意味においてもそれは非常に一つの足かせになると、こういうことだろうと思いますが、こういう一つの仕組みの中で国際競争に十分勝っていく、そのことが我が国たばこ産業全体に対して必要だと考えておりますので、それでも必ず国際競争にたえ得るんだという御自信のほどをひとつ伺いたいと思いますし、同時に、今話の出たようないろんな規制というものも、今や日本の農業の中では米に次ぐ作物となっている葉たばこ、しかも中核農薬になっているというような事実、あるいはまたたばこ販売の方々は社会保障的な見地から、母子だとか寡婦だとか身体障害者の方々が生活の一つの手段としてこういうものをやっておられるというものに対する配慮、そういうものを守りながら今のような自信を持って国際競争にたえていかれるかどうかということの御決意のほどを伺いたいと思うんでございます。
  104. 長岡實

    説明員長岡實君) 新会社の任務は、日本のたばこ産業の中核的な存在として、先ほど大臣もおっしゃいました葉たばこ農業から小売店に至るまで、日本のたばこ産業集団全体の維持発展を図っていくという役割を担うべき存在でございまして、率直に申しまして、輸入自由化を控えて国際競争が激化する中で、日本のたばこ産業集団全体の維持発展を図る役割を担う新会社経営というのは決して容易なものではないと考えております。  しかしながら、我が国たばこ産業と申しますか、現在まで専売制度のもとに維持されてまいりましたたばこ事業は、八十年の歴史を持つものであり、その間において中核的存在であるべき会社の前身である公社といたしましても、労使間の協力その他もございまして、設備の近代化経営の合理化等にもそれなりの努力は十分に積み重ねて今日に至っておりまして、技術水準その他の面においても、現在欧米の産業と比べましたときにほぼ互角に闘えるだけのものは身につけておるという自信はございます。  ただ、輸入自由化後に外国たばこ企業、特にアメリカの巨大資本等がどのような戦略を展開してくるかということは未知数でございまして、私どもといたしましては、ビッグスリーに代表されます外国の巨大たばこ資本が、経営戦略におきましても、また財務基盤におきましても、大変強力な競争相手であるという認識はせざるを得ない状態にございます。そういったようなもとにおきまして、私どもたばこ産業集団全体が相当程度厳しい合理化の道を歩む必要があろうかと存じますけれども、その合理化の道をたゆまず努力をして歩み続けますれば、国際競争にも負けないで日本のたばこ産業集団の維持発展が図られるものというふうに考えておる次第でございます。
  105. 藤井裕久

    藤井裕久君 わかりました。  そこで、これからいよいよ経営合理化のためのいろんな諸施策が出てくると思うんでございますが、新会社の発足は今のままいけば来年の四月ではございますが、先ほど鈴木委員からも御指摘がありましたように、経営の合理化をするためには関係者のいろんな理解が必要であるということで、なるたけ早目に関係者に対して合理化案というものを示してスムーズにそれが行われるようにしていただきたいと思います。  私は、製造部門について、先ほどお話ありました、今三十四工場といいますが、一工場三百億本できるということなら十工場でいいという一つの物の考え方もあるわけです。しかし、地域経済に大きな役割を果たしているというような問題、これには現地のいろんな御意見、職員の方の御意見も聞かなきゃならぬと思っております。私は全国のたばこ販売の政治連盟の幹事長をやっておりますもんで、たばこ販売関係するところだけで言っても、営業所を大いに統合することはいい。しかしそれが何か地域の今までの歴史とか沿革と逆らうような分割あるいは統合の仕方になるのは――一番お願いをしたいのは、その営業所の統合、分割によって中小企業組合法に基づくたばこ組合が同時に、一緒に、同じように編成がえをしろというようなことにならぬようにぜひお願いをいたしたいと思います。そうでなければ、特に御答弁は要らないわけであります。  もう一つは、合理化計画を出される場合、一番問題になるのは、私は関税率だろうというふうに考えております。大臣は衆議院におかれても、関税率の二〇は国際水準としてもうぎりぎりであるという非常にはっきりした御答弁をいただいたわけでありますが、公社としても、そこいらの前提条件の一つに関税率を今のようなことで前提に置いておられるか。ここいらもちょっと例えればありがたいと思います。
  106. 長岡實

    説明員長岡實君) 合理化計画を進めるに当たって関係団体その他の理解を十分得るようにという第一点の御指摘につきましては、そのとおりだと存じます。  公社自体の合理化を進める場合には、労使双方で理解がなければできないことでございますし、周辺の他集団に関係のある分野での合理化につきましては、当然のことながらその関係団体等の御理解も得なければできないと考えております。  ただ、私どもといたしましては、合理化を進めていく場合に当然御理解を得るように最大限の努力をいたす所存でございますけれども、合理化というのは、一口に言えば簡単でございますが、実施する場合には相当の努力を伴うものでございまして、関係団体におかれましても、日本のたばこ産業全体が置かれておる立場と申しますか、位置を十分に御認識いただきまして、私どもの考えについての御理解もしていただきながら、何とかいい結論を導き出すように努力いたしたいと考えております。  関税の問題につきましては、大蔵省のお答えの筋だと存じますけれども、私どもといたしましては、ただいま申し上げております合理化努力その他も、現行の関税率の水準を前提として考えておるということだけ申し上げたいと存じます。
  107. 藤井裕久

    藤井裕久君 それから実は総裁、今のこれからの新しい経営で一つの大きな経営負担になるのが過剰在庫であるというお話が過般からいろいろございました。私もそのとおりだと思います。だれの責任で過剰在庫になったかというようなことは申すわけではございませんが、その一つの処理として、実は私は過剰在庫はこの新会社移行の際に評価減をして荷を軽くして新会社が自由に動けるようになるのがいいんじゃないか。これは企業会計原則の保守主義にも合うんじゃないかと思っておっていろいろお話をしてみたんですが、大分反対の御意向が部内には事務的には強いようでございます。  私は、そういう技術的な話が主にあるのではなくて、一番大事なことは過剰在庫というものを掃くためにいろんな手段があると承っております。葉っぱの輸出、それからシート化、あるいは外国葉たばことの振りかえというようなことがございますが、例えば輸出に例をとってみると、これはどうしても出血輸出をせざるを得ないことになります。そのときに赤字がはっきりいたしますから、この組織変更のときに評価減をしておけば、そういう輸出に対しても一層の努力が行えるんじゃないか。新しい会社になってから赤字がどんどんあからさまになるよりはいいんじゃないかというような観点であったわけでありますが、なかなか技術的に難しいということであれば、総裁としての御決意をいただきたいのは、そういう問題があるにしろ、過剰在庫の処理のためには輸出は大いにこれから伸ばしていく、葉たばこの輸出でございますね。こういうような点についての御所見を例えればありがたいと思います。
  108. 長岡實

    説明員長岡實君) 過剰在庫の問題、実は大変頭の痛い問題でございまして、私どもといたしましては、あらゆる手段を講じて過剰在庫の解消に取り組みたいと考えております。  その中の一つが輸出でございまして、出血輸出ではございますけれども、しかしながら、可能な限り葉たばこの輸出を進めることによりまして過剰在庫の解消を図ってまいりたい。参考までに申し上げますと、昭和五十七年度にわずか二百六十トンでございました輸出を五十八年度には二千七百トンと十倍以上に仲はしておるわけでございまして、おのずから限界はあろうと存じますけれども、この努力は今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。  なお、葉たばこ評価の問題でございますが、私どもといたしましては、新会社発足以前にでき得る限り新会社負担を軽くするような配慮というのは、これは現在の公社経営を受け持っております私どもの一つの責務であろうと考えていろいろと知恵を絞っておりますけれども藤井委員もおっしゃいましたように、そう簡単にできる問題ではないようでございますが、私ども葉たばこ評価の問題に限りませず公社経営全体の問題について、少しでも新会社負担を軽くするような措置を講ずべく検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  109. 藤井裕久

    藤井裕久君 それでは、次に流通の問題なんでございますが、先ほどもお話がありましたように、外国たばこ輸入自由化される、流通がどうなるかはなかなかわからない、相手の経営戦略の問題であると。私はそのとおりであろうと思います。  そこで一つ伺っておきたいのは、地方の方のたばこ消費税の納税義務の問題なんでございます。地方たばこ消費税納税義務者というものは最終卸売業者ということになっておるわけでありますが、もしこの輸入会社そのものが直に、あるいは配送会社を使っても単なる配送として使うだけで最終卸売業者が輸入会社になったような場合は、輸入会社が全国三千の市町村に対する地方たばこ消費税納税義務者になる、そんなことが全部できるのかというような話がある。そうなると、それがアメリカにとっては新しい非関税障壁ではないかと、こういうような問題が実は今から危惧をされおるわけでございます。もちろん向こうの流地形態は経営戦略の問題ではございますけれども、これについて、現実に輸入会社そのものを納税義務者にするのは無理があると思います、法律の仕組みは今最終卸売業者ということになっておるわけでありますが。そこはあえてお答えをいただきませんけれども、ひとつ今のような新しい非関税障壁ではないかとアメリカに言われるようなことのないよう、向こうの経営戦略とはいいながら、できるだけの措置というか御配慮をいただきたいということを、これはお願いでございますが、申し上げておきたいと思う次第でございます。  もう一つ非関税障壁で出てくるおそれのあるのが実は製造年月日の記載の問題でございます。これも当委員会においての御指摘の中で出たわけでありますが、実は法律に基づくものでもない、国際的にもやっていない。恐らく外国たばこにはこれを強制することはできないと思います。そういう御答弁があったやに読ませていただいております。そうなりますと、できないときに日本だけがそういうことをやるということは、ある意味では販売上のイコールフッティングからはるかにマイナスになる。しかし同時に消費者の皆様方のことも考えなければいけない。こういう問題だろうと思うんでございますが、伺うところによると、製品たばこの品質の劣化というものは、置く場所にもよるかもしれませんが、一年ぐらいはそう劣化するものじゃないというふうにも研究結果が出ているようでございますが、そこいらに対する物の考え方でございますね、やめろという意味では全然ございませんが、余りに競争条件が不平等になるのはおかしいのではないか、何か妥協的な物の考え方はないのか、こういうことについて御所見を伺いたいと思います。
  110. 長岡實

    説明員長岡實君) 製造年月日表示の義務づけの問題につきましては、大蔵省からお答えをすべき問題であるかもしれませんけれども輸入自由化された場合に外国輸入品にはその年月日が表示されていない、私どもの方についてだけ非常に厳しい表示が行われることがハンディキャップにならないかという御心配からの御質問であろうと存じます。  その点につきまして、私どもといたしましては、今藤井委員もおっしゃいましたように、保管のよろしきを得れば、たばこという商品はそう変質するものではございませんので、その辺につきましてのPRあるいは小売店への指導等も十分に行いながら仕事を進めてまいるつもりでございますけれども、これは考えようでございまして、私個人の考えかもしれませんが、この製造年月日の表示が一つの今度は私どもの製品のセールスポイントにもなり得る可能性を秘めておる。外国に例もないことでございまして、我々がいつ製造したたばこを売っているんだということをはっきり消費者にお示しすることも、やりようによるのではございましょうけれども、一つの営業戦略のプラスにならないかということも考えながらこの問題を処理してまいりたいと考えております。
  111. 藤井裕久

    藤井裕久君 時間も来ましたが、それじゃもう一つ総裁に伺いたいんでございます。  総裁は、国内たばこについては販売政策上マージンは今の一〇%を一定に守っていきたい、こういうお話がございました。しかし、外国たばこの方は販売政策としていろいろなことをやるかもしれない。余り売れないところはマージン率を落とすかもしれない。売れるところにはリベートを弾むかもしれない。こういうような販売戦略をとってきた場合に、今総裁が御答弁になりました国内たばこについては、マージンを一定に保っていきたいということについては変更があるんでございましょうか。それとも衆議院での御答弁のとおり、ずっと貫いていくというお考えでございましょうか。
  112. 長岡實

    説明員長岡實君) 外国の業者がどのような手を打つかという点は、おっしゃるとおり、未知数でございますから、私どもも十分にその点については関心を持ってまいらなければなりませんけれども、私どもといたしましては、制度改正後も従前どおり一律一〇%というマージン率は維持してまいりたいというふうに考えております。
  113. 藤井裕久

    藤井裕久君 時間が参りましたが、塩の問題を本当はやろうと思ったんでありますが、塩については私は今の仕組みというものが非常にうまく機能しているということを率直に感じております。安価で、そして例えば昭和四十八年の狂乱物価のようなときに、トイレットペーパーや洗剤が買い占められて、次に塩に来たときに、これは専売品でございますということで安定的に供給されたというような事実などもあります。御答弁は要りませんが、国際競争力がついたときに改めて検討するというこの法律の実際の運用に当たりましては、専売という言葉を使うかどうかは別として、今のような公的規制が引き続き行われるということが、国民経済的にも消費者の方にとっても、大変いいんだという前提のもとに御検討を賜ればありがたい、このことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  114. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、まず順序といたしまして、最初、専売公社特殊会社に移行されるに至る経緯と、それから臨調答申とのかかわりについてお伺いしたいと思います。  昨年三月十四日に出されました第五次答申、すなわち臨調の最終答申を見ますと、「専売公社については、たばこ専売事業について諸外国からの市場開放要請の高まりの中で、巨大外国企業競争していくため、国産葉たばこの全量買取制度企業性を阻害する規制を排除する必要があり、基本的には民営とすべきである」として、また「具体的な改革の手順は、当面、政府株式を保有する特殊会社とし、政府は逐次特殊会社株式を公開する、そして国産葉たばこ問題が解決され、特殊会社経営基盤が強化された段階で製造独占廃止し、特殊会社を民営会社とする」となっておりました。  そこで、今回提出されました本案を見ますと、その臨調の指摘する趣旨とかなりかけ離れているという声が一方にあるわけでございます。しかし一方では、市場開放要請とともに今日まで多大の貢献をされてきた国内の葉たばこ耕作者、そして販売店の方々のいわゆる保護育成という大きな問題を抱えております。  そこで、大蔵省も大変苦心されたとは思いますが、今後このような市場開放問題とそれから保護育成問題という問題についてどのような調整策を講ぜられるのか、まず基本的見解を伺っておきたいと思います。
  115. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、多田委員おっしゃいました全量買い取り、それから民営、それから特殊会社からある時期に製造独占を取り上げるとでも申しましょうか、そういうことが臨調答申の中に読み取れることは事実でございます。  そこで、私どもといたしましては、この臨調答申の趣旨の柱というものはどこにあるかといろいろ議論いたしまして、一つには市場開放要請に適切に対応するとともに競争原理の導入による効率化の促進を図るため輸入自由化を行うこと、それから経営の自主責任体制の確立等のため公社制度を抜本的に改革すること、この二点というものが言ってみれば、臨調答申の二つの大きな指針であるというふうに考えまして、したがって、この二つはいずれも今次改革案に盛り込まれておるわけであります。したがって、専売改革関連法案内容は臨調答申の基本的趣旨にはそれなりに沿っておるというふうに事実認識をいたしておるわけであります。  この点につきましては、私どもとして現実問題としてとらまえてみますときに、日本のたばこ産業を支える三つの大きな集団、その一つであります国産葉という問題を抱えた耕作者の皆さん方、それから小売人の方々のよって立っていらっしゃる今日の立場ということを考えますと、本法案と臨調答申との主たる相違点とでも申しましょうか、それは一つには全量買い取り制を維持したことと、当分の間小売販売業許可制を採用したこと、この二つは、先ほど申しましたたばこ産業を支える二つの集団というものの現状からいたしまして、これがぎりぎり適当な解決方法ではなかろうかというふうに考えて御提案申し上げておるところでございます。
  116. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、同じく一昨年の五月十七日に発表されました臨調第四部会報告を見ますと、「改革の基本的考え方」といたしまして、「企業性発揮のための自主性の確立」というものを指摘しております。その中で、「国内市場で輸入品と競争しつつ海外市場に積極的に進出するためには、企業経営に徹することが望ましく、経営自主性を阻害する国会及び政府による諸規制を排除し、経営自主性」の確立が必要であるというような指摘をしているわけでございます。この「自主性」という点を見ますと、今回の法案ではどのように生かされているか御質問しておきたいと思います。私どもの目にはほとんど見当たらないように見えますけれども、いかがですか。
  117. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは公社を合理的企業経営が最大限可能な特殊会社に改める、申し上げますならば、商法と労働三法ということが私はこの「自主性」というものの基本になっておるではなかろうかというふうに考えるわけであります。今まで公社に課せられておりました投資また借入金の大臣認可、給与総額制等、これを廃止して、新会社経営自主性を最大限発揮することができるようにしたということ、具体的には。  それから新会社法に規定します事業計画や役員選任等の認可、また監督事項は新会社が担う政策目的を達成するための必要最小限度のものでございまして、政府規制というものは既存の、いろいろ比べてみましたが、他の特殊会社の中では最も規制が緩やかなものというふうにすることによって経営自主性が妨げられないようにしていこうと、そういうことにいたしたわけでございます。  さらに、許認可権等の行使につきましては、経営の自主責任体制の確立という今次制度改革の趣旨に沿って行わるべきものと考えておりますので、基本的には商法と労働三法というふうにも申しましたが、中身におきましては、経営自主性が損なわれることのないよう種々配慮をしてきたつもりでございます。
  118. 多田省吾

    ○多田省吾君 今の御答弁では私ども納得できないわけでございますが、これは後でまた質問することといたしまして、次に進みたいと思います。  同じくこの報告では、「競争原理の導入」という中で、巨大外国企業と互角に競争していくために、経常基盤の整備、強化というものをうたっておりますけれどもたばこの巨大外国企業現状、これを簡明に御説明いただきたい。
  119. 長岡實

    説明員長岡實君) 世界の巨大たばこ企業は近年積極的に事業の多角化を進めておりまして、例えばスーパー、食料品、ビールなど極めて多方面の事業に及んでおり、その売上高は企業の総売上高の半分近くを占めるに至っておると理解いたしております。また海外進出につきましては、市場の状況企業経営戦略等により輸出、ライセンス製造、あるいは資本進出等種々の形態をとりながら、ヨーロッパ、中南米を初め自由世界のほとんどの国に進出しており、現在ビッグスリーと言われておりますBAT、フィリップ・モリス、R・J・レイノルズの三社で世界たばこ市場の約五〇%を占めている現状でございます。
  120. 多田省吾

    ○多田省吾君 総裁は、巨大企業と互角に競争していくための問題もあわせておっしゃっておりますけれども、衆議院の段階では、総裁は、外国たばこ輸入は数年後には国内シェアの五%程度まで進むと発言されております。また、きょうの午前中の質疑におきましては、昭和六十年度中に四%ぐらいになるのではないかという御質問に対しまして、そうピント外れではない、こういう御答弁もあったわけでございます。  衆議院でも大分この問題は論議されたのでありますけれども、フランスの場合なんかを見ましても、一九七六年には一〇・四%の輸入たばこのシェアであったのが、一九七七年にEC内で域内自由化になった途端に、わずか四年間で一九八〇年には三〇%を超えるようなシェアに拡大したわけでございます。  今までも専売公社から輸入業務を委託された大手商社が手数料だけを受け取ってやってきたわけでございますが、今度はこの大手商社が輸入主体となって活躍することになりますと、流通コスト次第では利幅というものが物すごくふえることになるわけでございまして、広告宣伝活動等も相当巨大なものになると予想されるわけでございます。そうしますと、考えようによっては、四%とか五%を超えるようなシェアに外国たばこ輸入が拡大するおそれもあるのではないか、このように考えられますが、その見通しと、これに対抗する体制づくりというものをどのようにお考えになっているかお答えいただきたいと思います。
  121. 長岡實

    説明員長岡實君) 制度改正後の来年の四月以降になりませんと輸入の完全自由化が行われませんので、そうなった場合に、輸入品のシェアがどの程度になるかという見通しを立てることは現状においては大変困難でございます。私が衆議院の段階で、輸入自由化後数年の間に五%程度になることも覚悟しておかなければならないと思いますと申し上げましたのも、別に数字の裏づけがあって申し上げたわけではございません。ただ、現状が二%近いところになっておりますし、過去数年間の輸入品の消費の伸びを見ますと、輸入自由化が行われる以前において既に平均二割近い伸びも示しておる現状でございますので、自由化が行われた後にはこの伸びはもっとふえるのではないか。そうなれば数年の間には五%程度のシェアになることを覚悟しておかなければならないということを申し上げた次第でございます。  したがいまして、来年四月以降、何年たった場合にどの程度輸入品のシェアになるかということをお答え申し上げる自信はございませんけれども、私どもといたしましては、これは新会社発足以前から、私ども現状におきましても、将来のそういった傾向を見ながら、一体どの程度国内製造規模を維持するような見通しで仕事を進めていくべきかということにつきましても、でき得る限り詰めてまいりまして新会社の移行に備えたいというふうに考えている次第でございます。
  122. 多田省吾

    ○多田省吾君 大蔵大臣に再びお伺いしたいのでございますけれども現状としては今回の法案を最終的なものと考えておられるのかどうか、もう一度確たる御答弁をお願いしたいと思います。  それからもう一点は、増税なき財政再建というものを中曽根内閣は基本路線としておるわけでございますけれども、今回の制度制革というものがこの財政再建に作与すると考えられるのかどうか、その辺お伺いします。
  123. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず最初のお尋ねでございますが、これは確かにいろいろ議論いたしましたが、割高な国産葉を抱えた現状のもとで輸入自由化をやってそして国際競争力を確保していくということをやりますためには、これは専売公社政府出資の特殊会社に改組しながら、これに製造独占を与えていく、まさに製造独占を与える以外に方法はない、こういうふうに考えたわけでございます。したがいまして、この形態と製造独占ということは、今お言葉にもございましたように、現段階においていずれも恒久的措置であるというふうに位置づけるべきだ、いわゆる民営・分割のワンステップではないというふうに位置づけざるを得なかったというわけであります。  それから財政再建の問題でございますが、今度は、専売改革というのは開放経済に即応するということでございますので、財政収入の安定を期するという意味においては、これは財政再建と関係が全くないわけではございませんが、短期的に財政再建に寄与することを直接の目的として考えたものでは全くございません。
  124. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、たばこ事業法案についてお伺いしてまいりたいと思います。  竹下大蔵大臣提案理由の説明にもありましたが、たばこ専売制度は、明治三十七年に制度が設けられて以来、財政専売として寄与してきたが、時代の変遷、環境変化によって、その見直しが必要になってきたとしております。そこで専売制度というものを形式的とはいえ廃止することになるわけでありますが、そのメリットとデメリットについてどう見ておられるのか、また今後における財政収入安定的確保という面からどう考えておられるのか、この二点をお伺いしたいと思います。
  125. 竹下登

    国務大臣竹下登君) メリットといいますならば、開放経済体制を志向する我が国として、たばこ輸入自由化に踏み切ることとしたことと、そしてこれを通じてたばこ事業の効率的運営を図っていく見地からいわゆる専売制度廃止した、これがメリットとして挙げるべきことであろうというふうに考えます。  それから専売制の廃止と同時に、一方このたばこ事業関係者、先ほど申しました耕作者の方、また小売店の方でございますが、に対して急激な変化を及ぼすことのないような配慮を行った、それによってこの法律ができて摩擦が起こらないように、それをできるだけ除去するということにしたわけであります。  それから専売制度廃止専売納付金制度から消費税制度へ移行することになりますが、これによって引き続き、名前は変わりますものの、財政収入の安定的な確保は図られるというふうに考えられるわけでございます。  デメリットということになりますと、開放経済体制を志向したという前提におきますならば、現状これが最善のものであるというふうに考えますと、これによって生ずるデメリットというもの、 制度改革そのものの中でデメリットを引き出していくということはちょっと事実難しい問題ではないかなと、こういうふうに思うわけであります。
  126. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、原料用の国内産の葉たばこ生産及び買い入れにつきましては、日本たばこ産業株式会社があらかじめたばこ耕作者耕作面積等を定めた葉たばこ買い入れに関する契約を締結いたしまして、その上で会社生産された葉たばこを全量買い入れることになっておるわけでありますが、そこで、この契約につきまして第三条で、「たばこ種類別の耕作面積」及び「葉たばこ種類別及び品位別の価格を定める」ことになっております。しかしながら、災害等によりまして損害を生じた場合の取り扱いにつきましては、最近の異常気象から見ましても大変心配されるところでございます。この点について十分な配慮を行うべきだと考えておりますが、これはどう対処をされますか。  また、第二点としまして、現行たばこ災害補償制度がどのように運営されているのか実態を明らかにしていただきたいと思います。  第二点は、さらに今後災害補償がどのように変化するのか伺っておきたいと思います。
  127. 長岡實

    説明員長岡實君) 現行たばこ災害補償制度は、新制度への移行後におきましては、契約の基本的な事項として、たばこ耕作組合中央会と約定することになるわけでございますけれども、耕作者の経営の安定化に果たしている役割にかんがみまして、新会社移行後におきましても実質的に現行制度内容を維持していきたいと考えております。したがいまして、この点によって第一点と第三点のお答えを兼ねたものと存じます。  それから現行の補償制度につきましては、たばこ耕作農家が気象災害等、不可抗力の災害を受けた場合にその損失の一部を補てんするものでございまして、たばこの災害補償金の交付を受けるに当たりましては、たばこ耕作者が風水害あるいは病虫害等によって被害が二割以上になると判断された場合に申請することが要件でございます。公社ではこの申請に基づいて被災の事実を調査して買い入れ後に被害程度に応じて補償を行っておるわけでございますが、最近時点での数字を御披露申し上げますと、昭和五十八年度におきましてたばこ災害補償金の交付を受けた人員が一万百四十一人、補償金額は二十七億八百万円でございます。
  128. 多田省吾

    ○多田省吾君 葉たばこ耕作者にとりましては、全量買い入れとはいいましても、公社制度のもとで行われたものと特殊会社で今後行われる予定のものとは、耕作者の立場からいえば、受けとめ方がかなり違ってくると思います。で、今後の営農という立場から見通しがどのようになるかは将来的に大変な大事な問題だと思いますが、公社総裁の考え方といたしまして、葉たばこ耕作者位置づけというものをどのように考えておられるのかお伺いしておきたいと思います。  また、昭和十年から今日までの葉たばこ耕作面積、耕作者数、一人当たり耕作面積はどのように推移しているのか簡明に御説明いただきたい。  また、今後制度改革によって葉たばこ耕作面積等についてどうあるべきだと考えておられるのか明らかにしていただきたい。特に、最後の問題では、衆議院段階で総裁は大分減反を考えておられるような御答弁をなされておりますが、その点いかがでございましょうか。
  129. 長岡實

    説明員長岡實君) 今回の制度改正によりまして公社株式会社組織の政府関係特殊法人に変わるわけでございます。そういったような面におきまして、制度改正の結論に到達するまでの過程におきまして、葉たばこ耕作者の方々が不安をお感じになったことは事実でございます。ただ、ただいま御審議いただいております今回の制度改正内容につきましては、そういったような葉たばこ耕作者の方々の不安を解消すべく、面積や価格の決定方式等につきましても、従前の方式を基本的に維持するというような制度内容になっておるわけでございます。こういったような制度のもとにおきまして、新制度移行後におきましても私どもは、国内葉たばこというものは従来から製品たばこの主たる原料として位置づけられており、たばこ耕作者はその供給者として重要な役割を果たしてきたという基本的な認識を持ち続けてまいる所存でございます。  なお、今日に至るまでの面積あるいは耕作者数等につきましては担当者からお答えを申し上げますが、最後に御指摘になりましたその将来の見通しでございますけれども、この点につきましては、現状を維持できればそれにこしたことはないとは存じますけれども、将来を考えましたときに、たばこの消費全体が頭打ちの傾向である、そこへ輸入自由化が行われれば、若干ずつではございましょうが、輸入品のシェアがふえてくるといったようなことをあわせ考えますと、たばこ耕作農業の将来もなかなか厳しいものがあろうと存ずるわけでございます。私どもといたしましては、あらゆる努力を積み重ねまして、国産の葉たばこを原料として使用する努力は続けるつもりでございますけれども、率直に申しまして、将来にわたってある程度減反についても御協力をお願いせざるを得ないのではないかということを衆議院段階で申し上げた次第でございます。  ただ、それにつきましても、新しい会社たばこ産業集団全体の維持発展を図ることが目的でございますから、そのしわを耕作者にだけ寄せるということでは済みませんし、またそれでは協力が得られないと考えております。公社もみずから経営合理化の努力を最大限に行うよう努めまして、そういったようなこととあわせて、耕作者の方々にも御理解を得ながらある程度の御協力を求めざるを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  130. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) たばこ耕作の事績の推移でございます。昭和十年以降ということでございますので、全体の傾向がつかめるように十年刻みで申し上げたいと思いますが、昭和十年の耕作者の数は二十三万四百四十二人、耕作面積が三万四千八百二十二ヘクタール、一人当たり耕作面積が当時十五アールでございました。昭和二十年になりますと、耕作者の数が二十五万四千四百三十七人、耕作面積が三万八百四十二ヘクタール、一人当たり耕作面積が十二アール、若干減っております。昭和三十年になりますと、耕作者の数が四十三万五千百五十八名、耕作面積が七万四千八百六十九ヘクタール、一人当たり耕作面積が十七アールでございます。このあたりからだんだん事業量が拡大していっておりますので、耕作面積もふえてまいりますが、昭和四十年になりますと、耕作者の数が三十二万三千五百三十八名、耕作面積が八万六千三十二ヘクタール、一人当たり耕作面積が二十七アールとだんだん大きくなってまいります。昭和五十年になりますと、耕作者の数が十一万八千二百三十名、耕作面積が五万八千五百一ヘクタールで、一人当たり耕作面積が五十アールでございます。最近の数字ということで五十八年度の数字を申し上げますと、耕作者の数が九万二千九百七十九名、耕作面積が五万三千六百二十七ヘクタール、一人当たり耕作面積が五十八アール。  以上でございます。
  131. 多田省吾

    ○多田省吾君 耕作者数が昭和三十年の四十三万から現在九万二千人台まで大変減少しているわけですが、その主な理由はどういうところにございますか。  また一方、一人当たり耕作面積は最低十二アールから現在五十八アールと逆に増加しているわけでございます。葉たばこ耕作というものが多投労働品目ということからして簡単に合理化というわけにはいかないと思いますが、総裁も先ほどおっしゃったように、消費全体の頭打ち傾向とか、それから外国輸入たばこの大幅増加なんということがもしあるとすると、対策にこれから十分気を配る必要があると思いますけれども、その辺のこれからの対処の仕方についてもう一度お伺いしておきたい。
  132. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) たばこ耕作者の数が急激に減少してまいりましたのは昭和四十年以降でございます。これは我が国の経済の高度成長過程における農村労働力の都市への流出、これが大きな原因であったというふうに考えております。  なお、耕作者の数が大幅に減少はしましたけれども、先ほど申し上げましたように、一人当たり耕作面積はだんだん大きくなっておりまして、昭和十年当時十五アールでありましたものが、現在では先ほど申し上げましたように、五十七年で五十六アールというふうに年々増加している状況にございます。
  133. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、あわせてお伺いしますが、葉たばこ審議会を置くことにつきまして、会社の代表者の諮問に応じて原料用の国内葉たばこ生産及び買い入れに関する重要事項を審議するためのものというようになっておりますけれども、これまでの審議会と新たに設置される審議会との違いはあるのかないのか、また構成も違ってくるのかどうか、お伺いいたします。
  134. 長岡實

    説明員長岡實君) 新しく設置されます葉たばこ審議会は、会社買い入れ葉たばこ種類別の総面積及び価格審議する機関でございまして、現行たばこ耕作審議会の実質的な機能をそのまま引き継ぐものでございます。したがいまして、現行と同様にそのメンバーにつきましても耕作者を代表する者及び学識経験者合計十一人以内で構成することになっております。  なお、先ほどの御質問の後段でございますが、全体の需要が伸びない、その中で輸入品がふえてきた場合に、一体たばこ耕作農業の方はどうなるのかという点でございますけれども、これは私どもといたしましては、なるべく国内たばこ生産規模を減らさないような努力はいたしますけれども、客観情勢は大変厳しいものがございまして、そういったような点もあわせまして、先ほど申し上げましたように、たばこ産業集団全体の合理化の中で、耕作農家につきましても面積等について応分の協力をお願いせざるを得ないのではなかろうかといった見通しに触れた次第でございます。
  135. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、製造たばこの値上げは製造たばこ定価法で行われてきましたが、改正案では小売価格価格改定が大蔵大臣の認可事項となるわけであります。たしか前回の値上げの際、五十八年五月一日だったと思いますが、大蔵省は財源確保のために値上げしたいとおっしゃられ、専売公社の方はたばこ離れを起こすのではないかと反対の態度を最初とられたというように、食い違いが若干あったようでございます。特殊会社になった場合は、納付制度から消費税制度に移行するわけでありますが、今度は会社のコストアップなどを原因とした小売定価改定要請などに対してどのように受け入れていくのか、とりわけ輸入たばことの価格競争が避けられない場合には、自主性の問題と会社経営上の問題というものが当然出てくると思いますが、そうなった場合どう対応するのか、その辺の感触をお伺いしておきたいと思います。
  136. 小野博義

    政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。  小売定価の認可制をしきました理由といたしましては、この小売定価によって全国二十六万の小売店が全国一律の価格で売らなければならないということでございますので、不当な小売定価であってはならない、そういう意味で不当な小売定価の設定排除を担保するためのものでございます。したがいまして、会社小売定価の改定申請に対しましては、その申請価格が消費者の利益を不当に害することとなると認めるとき、またはその申請価格蔵出し価格に照らしまして不当に低いと認められるとき、この場合を除きましては、原則として認可しなければいけないということになっておるわけでございます。したがいまして、小売定価の改定に際しましては、会社自主性は十分尊重されることになるというふうに考えております。
  137. 多田省吾

    ○多田省吾君 総裁から、現在、消費全体が伸び悩みだ、頭打ち状態だということを再三お伺いしておりますけれども、売り上げについて横ばいないし下降ぎみだという、その数字を簡単で結構ですから示していただきたいと思います。また、その原因なるものを二、三挙げていただきたい。
  138. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答えいたします。  たばこ販売数量につきましては、昭和四十年代では、平均いたしまして、年約五%程度の伸びがあったわけでございますが、その後五十年以降、健康と喫煙の問題といったようなものもございまして、五十年から五十五年まででは平均で約一%程度の伸びになってまいっておりまして、さらにこの五十五年から最近五十八年まででは〇・四%といったような伸びの鈍化の傾向を示しております。  こうした消費の停滞の原因といたしましては、いろいろ考えられるわけでございますが、一つは喫煙者率が基調として低下傾向でございます。また一人当たりの喫煙本数につきましても頭打ちの状態になっておりまして、このほか成人人口の伸びにしましても、四十年代のような伸び率が現在は期待はできないということもございまして、さらには景気の停滞なり喫煙と健康問題といったようなものから起因します社会的な規制というものによって停滞いたしているものというふうに考えておるわけでございます。
  139. 多田省吾

    ○多田省吾君 大臣にお伺いしたいんです。  先ほども質疑がありましたが、今後輸入自由化要請が強まるにつれまして、さらに関税の引き下げ要請も高まると考えられます。現在、関税率は従価換算で二〇%程度となっているわけでありますが、これは諸外国と比べても決して高い水準ではありません。それゆえ、関税の引き下げ要求がなされましても、今後は極めて慎重に扱うべき問題だと思いますが、大臣はどのような考えでおられますか。
  140. 竹下登

    国務大臣竹下登君) たばこの関税につきましては、私が関係するようになりましてから、五十五年の四月、九〇%、それから五十六年の四月が三五%、それから五十八年の四月、今おっしゃいました二〇%、こういうふうにここのところ数年で急激にヨーロッパ並みからアメリカ並みにと、こういうことになっておるわけでございます。  したがって、米国並みの水準にまで大幅に引き下げた、まさに引き下げたところでございます。だから、これは国内産業事情等を配慮すればぎりぎりのものだ、これを変更する考えはない、こういうふうに申し上げておるわけでありますが、私は、我が国産業から見ればまさにぎりぎりであり、世界的に見て適正なものである、こういう理解のもとに、これ以上下げるというようなことは全く考えておらないところでございます。
  141. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、クロスライセンス生産についてお伺いしておきたいと思います。  クロスライセンス生産の効果と種類、実績、今後の方向性についての基本的な考え方を伺っておきたいと思います。また、我が国も輸出攻勢をかける意味で、諸外国に向けたクロスライセンスをこれからもますます行うことが必要と考えられますけれども、その点はいかがでしょうか。
  142. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答えいたします。  クロスライセンス契約につきましては、昭和四十七年度から、欧米四社でございますが、アメリカのフィリップ・モリス社、イギリスのBAT社、西ドイツのレームツマ社、オーストリーのオーストリー専売とクロスライセンスの契約を締結いたしておるわけでございまして、現在はこの中でBAT社とレームツマ社は休止中の関係にあるわけでございますが、五十八年度におきましての実績としましては、こちらの方からの進出数量で七百二十万本の実績でございまして、内訳としまして、五百二十万本がセブンスターでございまして、あと二百万本がハイライト・インターナショナルでございます。なお導入数量としましては四億一千万でございますが、このうちの三億四千万本がフィリップ・モリス社のマールボロでございまして、七千万本がオーストリー専売のゲルベ・ゾルテでございます。  公社としましては、これまでもこのライセンス契約によりまして、製造技術あるいはマーケッティングというような面につきましていろいろな情報なり知見を得てまいったわけでございます。今後におきましても、相手国メーカーとの友好関係の維持なりまた国内資源の活用というような面から、私どもとしましてもメリットがあるというふうには考えておるわけでございますが、ただ最近におきまして、相手国側からしますと、市場開放策の進展なり、また今後の輸入自由化というようなことになりますと、このクロスライセンスのメリットの効果というものが従来と比べますと減少してまいるわけでございます。ただ、私ども、これは相手のあることでございまして、私どもだけで決めるわけにもまいりませんが、今お話し申し上げたようなメリットもありますことから、その拡大につきましては、今後とも内外情勢の推移を見ながら前向きに対応してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  143. 多田省吾

    ○多田省吾君 現在、小売販売業者が専売公社の営業所から一定の数量製造たばこを購入する際に、現金または小切手ということになっておりますが、この制度の根拠をまず示していただきたいと思います。また、新会社になった場合、とりわけ輸入たばこのマージン率なんかの問題もありまして、このような方式では新会社は非常に営業が難しくなると思いますけれども消費税の保全という関係もございますので、その際の対応をどのように考えておられるのかお尋ねしておきたいと思います。
  144. 森宗作

    説明員(森宗作君) 現行制度のもとにおきましては、先生御指摘のように、製造たばこの売り渡し代金は、国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律によりまして、原則として現金決済となっておりまして、一般的には公社独自の判断によりまして延納制度を導入することはできないという仕組みになっております。  今後、新会社移行後におきましては、この法律の適用がなくなるわけでございます。そういったことから、制度としましては、会社判断によりまして延納制度を導入することは可能であるわけでございますが、ただ、大変長い間この現金取引制度が定着をいたしております。また、たばこは商品回転率も高いわけでございまして、資金効率もいいということもございます。このほか、延納制度を導入しますとかなりのコストアップ要因にもなるわけでございます。こういったことで、当面は延納制度を導入することは考えていないわけでございますが、ただ、この問題につきましては、輸入品との競争関係なり他の商品との競合関係というようなものを見ながら、長期的には弾力的に対応してまいる問題であるというふうに考えております。
  145. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、未成年者の喫煙防止等に配慮することが第四十条で広告との関連でうたわれているわけであります。そこで、現在どのような措置がとられておりますか、未成年者の喫煙は法律によって禁止されておりますが、その実効のほどをお伺いしたいと思います。  さらに、新たな防止策を含めまして、新会社ではどのような点に力点を置いて防止策を進めようとしておられるのか、四十条との関係でお尋ねしておきたいと思います。
  146. 森宗作

    説明員(森宗作君) 未成年者との関係でございますが、この問題は社会的な関心の大変高い問題でございます。こういったことから、公社におきましては、これまでもいろいろな施策をとってまいっておりますが、その主なものにつきまして申し上げますと、一つは、販売店に対しまして、未成年者に対してたばこを売らないような指導をいたしております。また、販売組合に対しましては、未成年者喫煙防止推進協議会というものの設置を指導いたしております。このほか、例えば自動販売機につきましては、未成年者の喫煙は禁止されております旨の文言を必ず入れるというような措置もとっております。また広告宣伝等におきましては、未成年者を主として対象としますような刊行物には広告宣伝を行わない、また未成年者のアイドルでありますようなタレントにつきましては、これを広告のモデルに使用しないというような施策も行っておりまして、このほか総務庁初め関係行政機関との提携によりましての未成年者喫煙防止についてのポスターの作成、提示というようなことも行っておるわけでございます。  新会社になりまして、今後ともこういった施策の充実を図ってまいりますが、さらにこの未成年者喫煙防止にかかわるような組織の整備を行いまして、地方におきましてのいろいろの関係団体との密接な連携のもとに、未成年者喫煙防止についてさらに努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  147. 多田省吾

    ○多田省吾君 未成年者に対する喫煙防止につきましては、未成年者喫煙禁止法というものがあるということで、これがよりどころになっているわけでございますが、明治三十三年の施行昭和二十二年に改正されているわけでございますが、この法律を犯すと、その親とか販売立場にある者に一円とか十円とかという罰金が科せられるということになっておりますけれども、ちょっとこれは大変古くさいような法律なんで、短いのでちょっと読み上げていただきたいと思うんです。
  148. 森宗作

    説明員(森宗作君) それでは読み上げさしていただきます。  未成年者喫煙禁止法、第一条「未成年者喫煙の禁止」でございますが、「満二十年二至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス」。第二条「煙草及び器具の没収」でございます。「前条ニ違反シタル者アルトキハ行政ノ処分ヲ以テ喫煙ノ為ニ所持スル煙草及器具ヲ没収ス」。第三条「親権者の処罰」でございます。「①未成年者ニ対シテ親権を行フ者情ヲ知リテ其ノ喫煙を制止セサルトキハ一円以下ノ科料に処ス」、「②親権ヲ行フ者ニ代リテ未成年者ヲ監督スル者亦前項ニ依リテ処断ス」。第四条「販売者の処罰」、「満二十年ニ至ラサル者ニ其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ十円以下ノ罰金ニ処ス」ということでございます。  なお、この中の科料一円につきましては、罰金等臨時措置法によりまして、「二十円以上四千円未満」というふうに読みかえることになっておりまして、また罰金の十円は同じく「八千円」ということに読みかえることになっているようでございます。
  149. 多田省吾

    ○多田省吾君 しかし、実際にこういった禁止法で処罰されている例なんかはほとんどないと思いますが、どうですか。
  150. 森宗作

    説明員(森宗作君) たばこ販売関係につきましての未成年者喫煙禁止法違反につきましては、警察御当局によりまして取り締まりが実施をされておりまして、公社の方で警察庁の方に照会をした結果では、検挙人員としまして、昭和五十六年では五十九人、昭和五十七年では六十五人、昭和五十八年では五十三人となっておりまして、このほか未成年者喫煙禁止法に基づきまして、警察当局によりまして、喫煙をしております未成年者に対しましてはいろいろ補導が行われているということのようでございます。
  151. 多田省吾

    ○多田省吾君 これは一罰百戒というようなものだと思うのでございますが、諸外国ではこういった未成年者に対する禁止法とか処罰とか、これはどうなっておりますか。特に欧米先進国の例で御説明いただきたいと思います。
  152. 森宗作

    説明員(森宗作君) 私どもとしまして、諸外国の法的規制につきまして必ずしも十分な資料を持っておるわけではございませんが、私どもが入手いたしております資料によりますと、一般的に申しますと、日本と比べまして禁止になりますところの対象の未成年者の年齢が日本よりは低いとか、あるいは親権者、監督者に対する制止義務といったようなものがないようなことから、日本の方がどちらかといえば厳しい、こういうような感じでございます。  主な国について申し上げますと、まずアメリカでございますが、アメリカではほとんどの州で未成年者に対して販売禁止になっておりますが、この場合の未成年者は十五歳未満から二十一歳未満までの区々でございます。中には喫煙を禁止いたしております例もございます。  次にイギリスでございますが、イギリスにおきましては、児童青少年法というのがございまして、ここでは十六歳未満の者についてたばこ販売禁止がございまして、そのほかには公共の場所で吸うとたばこを没収するというようなことでございます。  あと西ドイツでございますが、公共の場所におきましての児童の保護に関する法律というのがございまして、十六歳未満の者は公共の場所において喫煙禁止となっておりますが、この場合既婚者は除外するというようなことでございます。  そのほか、最後にフランスでは、これは大変特別な例でございますが、未成年者を対象としたような法的規制はどうもないようでございます。
  153. 多田省吾

    ○多田省吾君 この法律は明治三十三年にできまして、一部昭和二十二年に改正されたものでありますけれども、諸外国の例とも比べましてこういった法律をこのまま置いておいた方がよろしいのか、また改正する必要があるのか、今後の方策も含めて総裁と大臣からお答えいただきたい。
  154. 長岡實

    説明員長岡實君) 今回のたばこ事業法では第三十一条第九項で、未成年者喫煙禁止法第四条の規定に違反した者は小売販売業者の許可取り消し、もしくは営業の停止を命じることができ、より一層の実効が期待されるところでございます。未成年者の喫煙は明治三十三年以来法律で禁止されているところであり、青少年の健全育成には重要な問題でございますため、公社としても各種の施策を請じてまいったところでございますが、新会社となってなお不十分な点は、改善を図りながら関係行政機関あるいは関係団体等との連携を密にいたしまして、未成年者の喫煙防止についてより一層徹底を期してまいりたいというふうに考えております。
  155. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も、未成年者喫煙禁止法、ちょうど八十四年前からの法律になりますが、ああして罰金等の変更は法律改正でありましたものの、これを読む限りにおきまして、「煙草及器具ヲ没収ス」と書いてあって没収された者が近ごろおるのかな、それから「一円以下ノ科料ニ処ス」、処せられた者がおるのかな、それから「前項ニ依リテ処断ス」、処断された者がおるのかな、それから「十円以下ノ罰金ニ処ス」、処せられた者がおるのかな、こう思ってみますと、あること自身は必要でありますが、ただし大蔵省だけでこれはどうも考える問題ではないような感じもいたします。  ただ、一般的な認識といたしまして、要するに関係諸機関においていろいろ努力されておるわけでございますから、この法律が空文化しておるとは考えられないではなかろうか。したがって今後とも一層真剣に取り組む必要があると考えますので、今後公社、また公社改組後の新会社をそういう方向で指導していかなければならぬ。  ただ、改正の要があるかないか、多田さんの御質問でございますと、大蔵省だけでどうも判断するわけにもいきませんが、各方面と相談してみないと私が答える能力の限界を超しておるような感じがいたします。
  156. 多田省吾

    ○多田省吾君 広告費についてお伺いしたいと思います。  これまでの専売公社の広告費は年間どのくらいの額になっておりますか、過去十年間の推移をお伺いしたいと思います。また新会社に移行する場合、広告費はどういう考えでいくのか、支出の目途といいますか、どの程度にするのか。特に輸入たばこ等との関連におきましてこれから増大するんじゃないかというふうなことも考えられますが、いかがでございますか。
  157. 森宗作

    説明員(森宗作君) 公社におきましての広告宣伝費は、昭和五十八年度におきましては、定価改定もございました関係もございますが、二十六億九千五百万円ということになっております。十年間ということでございますが、昭和四十九年度では三億五千二百万円ということでございまして、これは年率で平均をいたしますと二五%程度の伸びということになっておるわけであります。  私どもとしましては、この広告宣伝につきましては、先ほど来の未成年者喫煙防止または喫煙と健康問題といったようなものにもいろいろ配慮いたしまして、これまで自主規制というものを行ってまいっておりますが、この点につきましては、昭和五十六年から外国メーカーも日本におきまして内外共通の基準によりましての広告宣伝を行うというようなことで、テレビ、ラジオにつきましては新製品に限定するとか、あるいはまた広告媒体なり広告表現といったようなものにつきましてもいろいろの配慮を行ってまいっておるわけでございます。  新会社になりましての広告宣伝費をどの程度にするかということでありますが、現段階におきましては、まだ具体的に計数を策定するに至っていない状況でございます。最近におきまして喫煙と健康問題なり消費の多様化というようなことからいろいろ私ども新製品を出しておるわけでありますが、こういった場合に商品選択上の情報を御提供するというようなことが必要でありまして、こういう新製品の市場投入との兼ね合いというものがございます。また今後国内たばこ産業を守るというような立場からの国産たばこのシェアの維持というものも図っていく必要があるわけでございますが、こういったようなことにつきまして今後いろいろ検討を行いまして、広告宣伝費につきましては適切な内容のものを考えてまいりたいと思うわけでございます。  しかし、いずれの場合におきましても、この広告宣伝等の実施に当たりましては、従来の自主規制というものの上に立ちまして、またたばこ事業法第四十条の趣旨を踏まえまして喫煙と健康問題なり未成年者喫煙防止問題というものについて十分配慮してまいりたいと考えているところでございます。
  158. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、日本たばこ産業株式会社法案について若干御質問いたします。  第二条では「政府は、常時、日本たばこ産業株式会社発行済株式の総数の二分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。」としております。第三条では「政府の保有する会社株式の処分は、その年度の予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内でなければならない。」ということになっております。しかし、附則の第十八条では、当分の間、三分の二以上政府が保有することになっております。これはどのような経緯で決められたのか、その間の事情をまず明らかにしていただきたいと思います。
  159. 小野博義

    政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。  政府株式保有につきましては、我が国たばこ産業の健全な発展を図るという新会社の設立目的に沿った事業運営を担保するために、政府に対して常時二分の一、附則で当分の間三分の二以上の株式の保有を雑務づけているわけでございます。国産葉たばこ問題を抱えた状況のもとにおきましては、会社経営が軌道に乗り、我が国たばこ産業の健全な発展の目途が明らかになるまでの間、つまり「当分の間」ということでございますが、この間におきましては、単に利益追求のみを図るのではなくて、たばこ産業の中心的な担い手といたしましてみずから経営の効率化を図りながら、同時にたばこ耕作者を初めとするたばこ事業関係者に十分な配慮を行うことが会社に対して強く要請されておるわけでございます。したがって、この間におきましては、政府が株主として万全の責任を持ち得る体制を整えておく必要がある。そのため商法上の特別決議、例えば役員の解任とか定款の変更でございますが、これをも担保し得るよう常時三分の二以上の株式を保有することとしておるわけでございます。
  160. 多田省吾

    ○多田省吾君 この点につきましては、株式会社という名称はとりながらも、その実態というものが三分の二以上の株式政府が保有するということでありまして、新会社が当事者能力を十分に発揮するための足かせとなることが心配されます。当初の発足が一〇〇%政府出資の特殊会社として発足するわけでございます。そして、まず三分の二以上になる時期も明らかでありませんし、まして二分の一以上になる時期も明らかでない。衆議院でも大分質疑があったようでございますが、今のような御答弁に終始しているわけでございます。一体一〇〇%政府出資の特殊会社として新会社が発足してから三分の二以上になる時期というものがどのくらいの期間を置くのか、株式を放出することを考えているのかどうか、まず明らかにしていただきたい。放出するとすれば、どのような状況になれば条件が満たされた場合として株式保有の移動を考えておられるのか、その辺もっとはっきりとおっしゃっていただきたい。
  161. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 株式の放出につきましては、先ほど先生が御指摘でございましたように、国会の議決を得ることがまず前提でございますけれども、現実に放出をする場合のことを考えますと、会社が発足いたしまして、その経営が安定してくるかどうか、つまり新会社経営実態、あるいはたばこ事業実態等を今後総合的に勘案して検討してまいることになると考えております。
  162. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、私が質問しているのは、三分の二以上から二分の一以上になる時期じゃない。まず、当初の発足のときには一〇〇%政府出資の特殊会社でしょう。それから三分の二以上になる時期というものがあるのかどうか。一〇〇%即三分の二以上ということに続いていくのか、その辺区別あるんですか。
  163. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 数字的な順序といたしましては、一〇〇%から三分の二以上になり、二分の一以上になるということであろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、株式の放出につきましては、先ほど申し上げましたように、新会社経営がいかに安定した状況になり、今後の見通しが明らかになっていくか、あるいはたばこ専業の実態がそういう株の放出というものに対して不安を感じないような状況になるかどうか、そういうふうなことを慎重に検討しながら、国会の御判断を仰ぎながらやっていくべきものだというふうに考えておりますので、物の順序といたしましては、やはり一〇〇%から三分の二以上になる方が先になるというふうに考えられます。
  164. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすると、実際に一〇〇%から三分の二以上になる放出というものは具体的に予定されているわけですか。
  165. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども株式の保有ということが、先ほど申し上げましたように、一つには、新会社の持っております政策的使命と申しますか、あるいは日本たばこ産業の中心的なあるいは中核的な存在としてたばこ産業全体を担っていかなければならないという使命を持った会社でございますので、そういう会社の使命に応じて会社経営の安定とか、そういったようなことを考えてやっていくわけでございますので、今日ただいまそれがいつの時点であるということは、むしろ新会社発足後の経営状況なり、あるいはたばこ事業実態等を考えながら判断していくべきものだと考えております。
  166. 多田省吾

    ○多田省吾君 竹下大蔵大臣にお伺いしたいんですが、衆議院の質疑の段階で我が党の官地委員質疑に答えられまして、六月二十九日の衆議院大蔵委員会では、竹下大蔵大臣は、この三分の二以上から二分の一以上に放出するいわゆる「当分の間」の考え方につきまして、整理をしたというのでおっしゃった御答弁がありますね。「新会社事業運営が軌道に乗り、将来にわたり我が国たばこ産業の健全な発展の目途が明らかになるまでは、経過措置として三分の二以上の保有義務政府に課することが適当であると判断したものであります。新会社経営者としては、新会社発足後三年あるいは五年の間に経営の安定を図りたいという意欲を持って経営に当たられるのは当然のことでございます」云々とあります。これで一応の答弁になっております、不十分でありますけれども。しかし私の質問したのは、それじゃ一〇〇%保有から三分の二以上の保有までの放出期間、これはどうなのかと、こう御質問したら、今のお答えはまた三分の二以上から二分の一以上の保有と同じような答弁、これじゃちょっと納得できませんが、これはどうなんですか。
  167. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今のお読みになりましたのは、宮地君の質問に関し、大蔵大臣から発言を求められておりますのでこれを許しますという形で、その前の委員会に混乱をいたしましたのを整理してお答えをいたしたものでございます。これについてもいろいろ各党の方々とも議論を整理いたします前にしてみたわけでございますけれども、画然とどういう状態ということを整理して申し上げることはなかなか困難だ、そして何年というようなことも非常に難しいというようなことからいたしまして、この新会社経営者としては、新会社発足後三年あるいは五年の間に経営の安定を図りたいという意欲を持っておるということに表現をとどめさしていただいたわけでございます。  確かに、そういう意欲があったにいたしましても、新会社事業運営が軌道に乗ったか否かを判断するにつきましては、まさに事業経営の基本にかかわる問題でございますので、今こういう時期でございますということについては見通しをつけがたい状況にある。それは今多田委員いみじくもおっしゃったように、十分ではないがなかなかこれ以上は難しいだろうと。そうなればそういう時点には、当然国会の議決を要する問題だから、それ以前にいろいろな協議もあるだろうということで放免――放免ということはちょっと表現がおかしいんですが、まあこの程度にとどめさしていただいたということでございますので、非常にお答えにくい問題でございますが、整理して申し上げるとすれば、今のお答え以上に申し上げることはなかなか難しい点でございます。
  168. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、それは法案にある三分の二以上保有義務の当分の間、二分の一以上の保有義務までの経過措置のことを大臣は御答弁になったわけです。これは出ているわけです。私が質問しているのは、一〇〇%出資から順序としてはまず三分の二以上の保有義務までの間はどうかと、ことを質問しているわけです。
  169. 長岡實

    説明員長岡實君) 的確なお答えになるかどうか存じませんが、私の考え方を申し上げてみたいと存じます。  三分の二以上当分の間、二分の一の本則を三分の二以上の保有義務規定いたしておりますのは、これはいわば新会社の性格が、日本のたばこ産業集団の中で中核的な位置づけとして、たばこ産業全体の維持発展を図る役割があるということで、会社の外にございます関係集団等もこの会社のあり方に対しては大変な関心を持っておる、そういったようなときに、新会社事業運営が本当に軌道に乗りまして、将来にわたって日本のたばこ産業全体の健全な発展を支えていけるようなめどが明らかになるまでの制度的担保として三分の二ということになったんだと思います。  そこで、一〇〇%から三分の二までの期間は、これは時系列的に申しますと、当然そのもう少し手前に位置するわけでございますけれども、そこまで制度的な担保は求められないにいたしましても、仮に新会社の株を放出する場合に、会社経営がある程度軌道に乗っておりませんと株価がどうなるかといったような問題もあるわけでございまして、これは新制度発足後何年という具体的なめどは立たないにいたしましても、観念的な時系列の順序から申しますと、先ほどのような一つの軌道に乗ったという段階に至らない前におきましても、株価が十分に維持されて、新会社経営もその時点においてはそれなりの成果を上げておるということがわかれば、その時点において、今度はほかの要素がいろいろ入ってくるんだろうと存じますけれども、一〇〇%から三分の二以上までの間で何がしかの株を放出し得る状態が現出するということは言えるんだろうと存じます。
  170. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、会社目的を達成するために、その事業範囲として製造たばこ製造販売及び輸入事業と、これに附帯する事業その他目的達成のための事業ができることになっております。私は、時間の制約がありますので、新会社移行後においていわゆる関連する事業というものはどのようなものを考えておられるのか。報道によりますと、公社ではプロジェクトチームをつくられて新経営戦略に真剣に取り組んでおられるとか、先ほども御答弁ありましたが、製造技術や育種技術を輸出するとか、あるいは中にはたばこのパッケージ、デザインを使ったTシャツの製造販売なんて、こんなことまで出ておりますが、具体的にはどういうものを考えておられるわけですか。
  171. 長岡實

    説明員長岡實君) 今回の制度改正事業範囲の拡大が図られることになるわけでございますが、この問題を控えまして、現在公社といたしましては、社内に事業開発委員会というのを設けて、公社が保有しております技術とか資産などの中から、一体どういったような新事業が開発し得るかということを取り組んでおる段階でございます。現時点において、まだ具体的な内容について御説明申し上げる段階ではございませんけれども、考えております項目を幾つか挙げてみますと、例えばたばこ製造用機械の機器の輸出、それから技術輸出、あるいはただいまお触れになりましたパッケージやデザイン等を活用した商品の製造販売、あるいは研究開発の過程でバイオテクノロジーその他の面におきましてもいろいろと成果を上げつつあるわけでございますが、そういった成果の中で果たして商品化できるものがあるかどうか。例えば葉たばこの成分の中に心臓の薬になり得るものがあるという、その抽出のところまでは研究が進んでおりますけれども、まだコストの面で商品化の段階まで至っておらない、こういったようなものが果たして商品化できるかどうかといったようなことを中心に業務範囲の拡大を考えてまいりたいと存じております。
  172. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから取締役等の人事権について大蔵大臣が認可することになっておりますが、会社の活性化とか自主性確保を図る上で必要最小限にとどめるべきではないかというような有力な意見もあるわけでございますが、これは大臣としてどう考えておられますか。
  173. 竹下登

    国務大臣竹下登君) その問題は私ども法案作成に当たりましていろいろ議論したところでございます。要は、新会社の取締役及び監査役選任と解任の決議は大蔵大臣の認可を受けて初めて効力を生ずるということになるわけであります。その大蔵大臣の認可する基準は、これは新法人の役員としてふさわしいかどうか、こういう見地から行われるものでありまして、いわゆる役員人事の自主性が損なわれるというふうには考えておりません。会社自主性を可能な限り尊重していくという考え方でございます。  取締役選任決議について大蔵大臣の認可を受けなければその効力を発生しないとなっておりますのは、新会社我が国たばこ産業の健全な発展を図るという使命を担った法人であることにかんがみまして、要するに会社の意思決定機関は取締役会でございますから、したがって意思決定機関すなわち取締役会を構成する取締役の方々が適正な方であるということを確保するという考え方に立ちまして、代表取締役というものにつきましては、大蔵大臣の認可を受けて選任されましたその意思決定機関である取締役会が、その中から互選によって選定するという形にしたわけでございます。  一方、議論いたしました問題は、代表取締役だけを選任して、それからあとは自主性にゆだねた方がいいじゃないか。が、我々はいわゆる意思決定機関というものをまず認可にあらしめて、その中から代表取締役はいわば互選の形で選任されるというのが、経営の自主責任体制を確立するためには代表取締役はむしろ意思決定機関の方々に征した方がより内部のコンセンサスを形成する上に適当であろう、こう考えたわけでございます。したがって、代表取締役は大臣認可にはしないと。これは見解が私は分かれるところもあろうかと思います。事実、議論をいたしました。しかし現状、出発の段階においては意思決定機関そのものを認可にあらしめて、その中の自主性において代表取締役が選ばれていくというのが一番素直じゃなかろうか。確かに見解の分かれた点でございましたが、そのように議論をしてお願いをしておるところでございます。
  174. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度たばこ消費税ということになりますと、国内におきましてもまた輸入たばこの問題も出てまいりますが、脱税という問題が起こってくる可能性があります。自由になりますと流通も非常につかみにくくなります。この点、大蔵省や自治省では脱税問題に対してどう対処されますか。
  175. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今度の公社が変わります新日本たばこ産業株式会社につきましては、毎月納付ということに今度変わるわけでございますが、基本的には製造者である新会社の方で納付させていただくということになりますので、この点については、脱税その他の問題は起こらないものと考えております。  今回新しく問題になりますのは、輸入たばこ自由化されたことに伴いまして、保税地域から輸入業者が引き取るものについてでございますけれども、今回のたばこ消費税におきましては、酒税とかあるいは物品税とかいうほかの消費税と全く同様でございますけれども輸入品につきましては、保税地域から引き取ります者を納税義務者といたしまして引き取り時点で課税して納付させるということを基本としている、すなわち納税といわば引きかえに輸入許可あるいは引き取り許可を与える、こういうことでございますので、制度的に見まして国税の確保上何ら問題はないものと考えております。
  176. 前川尚美

    説明員(前川尚美君) 御質問の点でございますけれども地方たばこ消費税に一ついてお答えを申し上げます。  輸入たばこの流通形態は今後どういうものになるのか、この点につきましては、不確定な点も現在は多々あるわけでございますが、いずれにいたしましても、特定販売業者から卸売販売業者を介して小売業者へ売り渡される、あるいは直接小売販売業者へ売り渡されるということになるわけでございますので、地方たばこ消費税小売販売業者に対する最終卸売段階で課税するということにいたしておるわけでございますが、御指摘のとおり、納税業務を負う卸売販売業者までの間において地方たばこ消費税が課税されていないたばこが流通するということが予想されるわけでございます。  そこで、小売販売業者を除くたばこ販売葉者は、その本店所在地の都道府県知事に対しまして、たばこの購入及び販売に対する事実を記載した書類を提出していただく、またその提出を受けた都道府県知事におきましては、製造たばこの取引数量とその記載事項の中で必要なものは関係ある都道府県知事に通知するというシステムをとりますほか、特定販売業者あるいは卸売販売業者に対しましては、たばこの貯蔵または販売に関する事実を帳簿に記載させるということにいたしまして、製造たばこの取引の実態を把握するようなシステムを考えているわけでございます。こういうことによりまして、輸入たばこの流通の把握あるいは地方税の捕捉については確実に行われるというふうに考えております。
  177. 多田省吾

    ○多田省吾君 たばこの最後で、喫煙と健康の問題で二問お伺いしたいと思います。  厚生省の課長さんは健康に対して悪い影響があると午前中お答えになりました。青少年の喫煙の問題、それから妊娠された御婦人の喫煙の問題、これは健康上大きな問題であると思いますので、これは十分注意しなければならないと思います。また一般成人者におきましても、本人よりも隣の人が一酸化炭素中毒に遭われるというようなことで害があるというような説もありますし、この点も留意しなければならないんじゃないか、このように考えます。  それからもう一点は、ことしの四月に専売公社が中心となって日本たばこインターナショナルを設立されたわけでありますが、国際消費者機構のアンワー・ファザール会長が中曽根総理あてに、東南アジアなど第三世界たばこを輸出しないでほしいというような要望書を提出したとも聞いております。東南アジア諸国の中でも香港、シンガポール、マレーシアなどでは国が先頭に立って反喫煙運動を行っているとも聞いておりますが、こういった喫煙と健康の問題、また輸出という企業性の問題との関係につきまして、厚生省と大蔵省それから総裁の御見解を聞いておきたいと思います。
  178. 郡司篤晃

    説明員(郡司篤晃君) たばこの人体への影響につきましては、各種の研究やあるいはWHOの勧告において指摘されているところでありまして、厚生省としては、一般的に喫煙は健康に悪影響を及ぼすものであるというふうに考えておりまして、従来から喫煙の健康影響に関する研究の推進をしてきたところであります。これらの研究の成果やWHOの勧告を踏まえまして、啓発普及にも努めてまいったところでございます。  なお、喫煙対策は、世界各国におきましてそれぞれの国の実情に応じて行われているところでありまして、たばこの輸出の是非につきましては、厚生省としては判断する立場にはございませんので、御理解をいただきたいというふうに思います。
  179. 長岡實

    説明員長岡實君) 喫煙と健康問題につきましては、公社といたしましても、当然最大限の関心を持ちながらこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。  たばこそのものにつきましては、再三申し上げておりますように、ニコチン、タールの含有量が少ない軽いたばこを開発していくということ、あるいは喫煙者と非喫煙者との共存関係という立場からいたしますれば、喫煙のマナーの向上といったようなことにも私ども公社自体としても最大の関心を持ってこの普及徹底に努力をいたしてまいりたいと考えております。  輸出会社の問題でございますが、実はこの四月に輸出会社を発足させたことが公社たばこ製品の海外輸出の開始と受け取られている向きもあるわけでございますけれども、実はたばこというのは国際的に通用する嗜好品でございますから、公社自体といたしましても、それほど大きな規模ではございませんけれども、従来から海外に対してたばこの輸出は行ってまいったわけでございます。ただ、公社政府関係機関として予算も単年度予算である、その他いろいろの制約がありまして、輸出先の国の商慣習その他に合致しない面が多々見受けられたものでございますから、四月から新会社を発足させて輸出先の市場の慣行その他にマッチするような方法で輸出を行うという方式に切りかえたわけでございます。その点につきまして、東南アジアの幾つかの国から輸出についてのクレームと申しますか、そういったようなことが出ておることは事実でございますけれども、私どもといたしましては、その輸出先の国の喫煙の規制その他については十分に配慮いたしまして、喫煙規制等の範囲内で節度あるたばこの輸出を心がけておるつもりでございますし、今後ともそのような努力を積み重ねてまいりたいというふうに考えております。
  180. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に塩の問題で若干お伺いしたいと思います。  まず第一に、臨調の第三次答申にもありますけれども、塩の専売廃止という臨調答申の前提を踏襲していくのか、またそうでないのか、その辺まずお伺いしたい。
  181. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 今回の塩専売法におきましては、従来の塩専売制度を基本的に維持するという立場に立っているわけでございますけれども、附則の第二条におきまして、国内塩産業自立化の達成のめどが明らかになった段階において、この法律について検討し、必要とあれば所要措置を講ずるということになっておるわけでございますが、ここで申しております自立化の達成と申しますのは、国内塩産業が、専売制度というものに依存しなくても自力で存立、発展し、かつ国民に対して需給及び価格の両面において塩を安定的に供給することが可能となるような段階を考えて自立化というふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、こういう段階においては専売制度を維持するということがあるいは不要になるというふうにも考えられるわけでございますけれども、他方、塩が国民生活に欠くことのできない物資であるということには変わりないわけでございますので、そういう自立化達成のめどが立った段階におきまして、塩専売制度自体を含めまして公的関与のあり方について検討するというふうに考えております。
  182. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから昭和五十六年十二月の塩業審議会答申では、今後五年間のうちに国際価格にさや寄せしていくように言われておりますけれども、まだトン当たり四千円程度の開きがあるようでございます。答申に言う五年間といいますと、昭和六十一年前後に外国輸入塩の価格と並ばなければならないようになりますけれども、その見通しをどう認識されているか。それからそう並んだときに自立化の目途が立ったということの大きな要素となるのかどうか、その辺お伺いしたい。
  183. 友成豊

    説明員(友成豊君) 五十六年の塩業審議会の答申におきまして、当面五年後の目標価格を定めて合理化誘導の価格政策を実施していって、その結果、将来的に外国の塩を輸入して、いわゆる食料として使う場合に対しまして競争力を持つ状態に持っていく。そういうプロセスといたしまして、当面五年後ということで六十一年度ということになったわけでございますが、そういうことでございますので、六十一年度の目標価格といたしましては、塩業審議会の答申をいただきました時点でのいろんな条件の中で試算いたしまして、そして六十一年度に輸入価格に関税二〇%相当というものを加えまして、さらに食料用として最低粉砕加工する必要があるだろうということで、粉砕加工費を加えたものがいわゆる一万七千円ということでございます。  現時点で現在の七社が大変合理化に努力いたしておりますが、その見通しはどうかという第一の御質問でございますけれども、大変な努力をいたしておりまして、現在の時点ではこの六十一年度における目標価格にはいずれも到達可能ではないかというふうに私どもは見ております。  第二の質問でございます、それではそれで自立するということになるのかという問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、これは将来そういう裸で競争できる状態に持っていくために、その価格政策の一つの手段として、当面五年後ということで関税相当二〇%を足しておりますので、その一万七千円といいますか、六十一年度の目標価格を達成したから直ちに国際競争力を持つということには直接はつながってまいりません。その後の合理化をさらに続けまして、本当に国際競争力を持つという状態をつくっていくということで、現在その合理化に努めているところでございます。
  184. 多田省吾

    ○多田省吾君 現在、国内塩は、従来の塩田方式から流下式、また現在、昭和四十七年からは全面的にイオン交換膜製塩法に転換しているわけでございますが、今おっしゃったように、七社で、しかも中小企業者のような大変な姿であり、五十七年度中の実績も十三万トンから十四万トン前後と横並びの状況にございます。  それで、端的にお伺いしますが、この七社に対しまして新会社政府としてどのような指導をしていかれるのか、またこの七社体制を維持していくのか、もう少し集約化していくのか、その辺お伺いしたいと思います。
  185. 長岡實

    説明員長岡實君) 現在七社に対しまして生産性を向上する点について公社としても指導をいたしておりますし、また七社ともその努力を積み重ねているわけでございますが、当面六十一年度に達成されるべき目標価格水準トン当たり一万七千円という水準につきましては、その到達可能性につきましては七社ともおおむね可能性があるという見込みが持てるわけでございますが、ただ、そうなりますと、このままでは過剰生産という問題が発生することが明らかでございます。国内塩業自立化のためには、この過剰生産という問題を避けて通ることができないと考えております。今後この問題をどう処理していくかということにつきましては、生産業界と十分に協議をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  186. 多田省吾

    ○多田省吾君 今、販売特例塩制度というものがありますけれども国内生産量の三割程度だと思います。どの程度までこの販売特例塩の需要を伸ばしていくお考えですか。
  187. 友成豊

    説明員(友成豊君) 塩業審議会の答申におきまして、製塩企業の積極的な販売活動といいますか、自主責任経営といいますか、そういう形で今後合理化を進めていくという手段といたしまして、この特例塩制度を大いに活用していきなさいということがございまして、私どもの方もできるだけこの特例塩が広がるように指導してまいったわけでございます。現在のところ、五十六年度では、いわゆる特例塩として売られた数量七社で合計いたしまして十七万一千トンでございましたけれども、五十七年度では二十一万七千トン、それから五十八年度では三十万七千トンというふうにかなり大きく広がってきております。  今後の問題でございますけれども、製塩企業の体質改善といったようなこと、あるいは製塩企業経営の基盤を強化するといったような面から見ますと、これをさらに伸ばしてまいりたい。ただ、塩の急激な拡大は、需給に不安定といいますか、そういったような問題を起こしたり、あるいは流通秩序を乱すといったようなこともございますので、そういったような点に十分配慮しながら今後とも伸ばしてまいりたいというように考えております。
  188. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、塩収納価格審議会というものが現在ありますが、新会社になった場合どうなるのか。それから専売公社総裁の私的諮問機関の塩業審議会がありますが、この存続についてどういうお考えなのか、総裁からお答えいただきたいと思います。
  189. 長岡實

    説明員長岡實君) 塩の収納価格は、三十三年に設置されました公社総裁の諮問機関でございます塩の収納価格審議会に諮りまして答申を得て決定してきたところでございます。制度改正後は、会社の恣意性を排除して公共性を担保するために、買い入れ価格については大蔵大臣の認可を受けることとされておりますが、塩の買い入れ価格塩業政策を遂行する上で重要な基本課題でありますとともに、生産者にとって経営の基本にかかわるものでございますので、その適正を期するために、塩収納価格審議会については名称を塩買入価格審議会と変更して、引き続き会社の塩事業責任者の諮問機関として現行どおりの運営を行っていきたいと考えております。  また、塩業審議会の問題でございますが、これは塩業政策の基本事項についての調査、審議を行うために設置されているものでございますが、今後におきましても、引き続き塩業審議会を新会社の塩事業責任者の諮問機関として現行どおり踏襲し、塩業政策の基本的事項について同審議会に諮ってまいりたいと考えております。
  190. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 先ほどの藤井議員の発言でしたが、難しい選択だったということです。そこで、この法案提案者である大蔵大臣に最初に総括的にお伺いします。  今回の市場開放、それから専売制度廃止、この経過を見てみますと、この間の本会議でも指摘いたしましたが、民間たばこ企業などをバックとしたアメリカなどの要求にいわばなし崩し的に応じてきた結果であると思うんです。この内容はきょうは議論しません、これは次回にしたいと思うんです。問題は、先ほど来議論になっておりますように、輸入自由化を受け入れた結果、新会社は国際たばこ資本との激しい競争にさらされることになったわけです。そこで大臣にお伺いするんですが、この新会社は国際競争力に打ちかつ、このことが経営の基本にあると、こう理解していいですか。
  191. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 開放経済体制下に即応した措置でありますから、新会社は国際競争に対応し得る経営形態に直すようにお願いしていると、こういうことでございます。
  192. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それは形態ですが、今度経営の基本ですね、それは経過から見ても、競争力に打ちかつことをまず第一義的に考えて経営をやっていくと、そういうことになるんでしょうか。
  193. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 競争力に打ちかつという表現が適切なのか、国際競争に対応し得ると、こういうことでございましょう。
  194. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 いずれにしましても、そのことが新会社の第一義的な問題になってくる。  そこで、私はそのことを基本として幾つかの点を指摘したいんですが、    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕 一つは、専売公社「第一線事業所の業務遂行体制整備等の概要」というものがことしの四月に出ております。これは合理化提案でありますが、この文書の内容は、昭和六十年四月一日の実施予定となっておりますので、これは明らかに特殊会社移行とともに実施される中身なんですね。ですから、私はこの法案施行と一体のものであるんだと思うんですが、その点間違いないでしょうか。
  195. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 輸入自由化後の厳しい環境に対応するため、公社自信の合理化が必要であることは、再三私どもが御質問に答えて申し上げてきたとおりでございます。現在、公社経営全般にわたる合理化策を検討している段階でございますが、その一環といたしまして、第一線事業所の再編成が非常に急務であるということでございまして、公社として成案を固めて関係の諸団体と話し合いを始めたところでございます。  この第一線の専業所の整備計画というのは、輸入自由化を展望いたしまして、国際競争力を確保するということのために行うものでございまして、その意味で今回の法案と非常に密接に関係をいたしているということはそのとおりでございます。ただ、競争力を確保するということのために第一線の事業所を整備するということになりますと、関係の諸団体に話をするというようなこともございまして、一定の準備期間が必要でございます。輸入自由化が実施された際に手おくれとならないように、そういうことで話し合いを開始したわけでございます。したがいまして、これは法案そのものと若干離れたと申しますか、先にと申しますか、手おくれにならないようにと申しますか、そういうことを念頭に置きまして早急に行おうとしていると、こういうものでございます。
  196. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 このかなめをなすと思われます組織の再編成等の方針の項目では、第一線事業所の再編成、中間管理組織の一部見直しなどを行うと、こうなっております。  そこで、第一線事業所の再編成について、具体的に営業所、それから生産事務所、総合支所の現在の数字、それから統合再編後の数字、実際幾つ減るのか、それぞれ御説明いただきたいと思います。
  197. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 公社事業所数を、これはいろんな勘定の仕方があるわけでございますが、取り扱い業務別に見てまいりますと、営業関係の支所が三百九十九、それから原料調達関係の支所が百四十七、これは直轄の十五というのを含んでおります。直轄というのは地方局という中間管理組織がございまして、そこで直接に実際上原料調達の仕事をしているという意味でございますが、その十五を含みまして原料調達関係の支所が百四十七でございます。  今回どのぐらいに再編成するかということで現在話し合いを進めている段階でございますが、営業関係の支所では三分の二程度、それから原料調達関係では半分程度に再編成すると、こういうことを考えて話し合いを始めたというところでございます。
  198. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この統合再編に伴う中間管理職は、実際、数としてはどれくらい減少いたしますか。
  199. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 今回の第一線事務所の業務遂行体制の整備に伴いまして、管理職と申しますか、ポスト数が減少するということでございます。営業所、生産事務所数の減少に伴って減少することになるわけでございますが、統合に伴って増加する要素もございます。現在、適正なポスト数はどうあるべきかというところについて現在検討中の段階でございまして、    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕 まだ数字が流動的でございまして、ちょっとまだ申し上げる段階に至ってないということでお許しいただきたいと思います。
  200. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 流動的であるにしても、一定の幅というのがあるでしょう、大体この辺からこのぐらいと。その辺はどうですか。
  201. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 具体的な数字につきまして、私どもまだ固めてない段階でございまして、こういう問題になりますと、一番関係の深い労働組合であるとか、あるいは耕作組合であるとか、あるいは販売組合であるとか、そういう関係団体にもまだ実はお話をしておりません。現在、この合理化を進めるために話し合いを開始した非常に微妙な段階でございまして、そういうポストの数みたいな問題につきましては、ちょっとまだ私ども申し上げるのを差し控えさしていただきたいということで御理解いただきたいと思います。
  202. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 微妙な問題だからそんなことを聞かぬでくれということを、きのう総務課長が私のところに言いに来たんですがね。しかし、国会ですから、国会として、新会社へ移行するのに実際どんなぐあいになっていくのか、どんなぐあいに合理化――合理化は必要だと思うんですよ。問題はやり方が問題なんであって、それを国会に明らかにしないのは、私はこれは大変残念だと思うんです。  それからついでに申しますけれども、この関連のいろんな資料を大分要求いたしました。実はさっき示した概要もこれは別に入手したんだけれども、これも出してくれと――これも出さぬのですよね。そういう何か微妙だ微妙だと言ってこの問題を明らかにしないまま進めていくのは、これは大変問題だと思うんです。しかし答えないんだからしようがないんで、別な角度からお聞きします。  次に、ここの中で経理部門の合理化として業務の一体的処理、それから経理事務の電算機処理、支払い資金の集中管理などを出しています。これによる余剰人員の発生はどれくらいか、そして、ついでに聞いちゃいますけれども、この経理部門を含めた全体の余剰人員は何人なのか。これは組合の方に既に提示しておるわけなんで、これはお答えいただけると思います。
  203. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 今御質問になりました余剰人員という言葉意味でございますけれども、余剰人員と申しますのは、合理化時点の在籍人員から新体制になった場合の配置予定人員を差し引くと、こういうことになるわけでございます。それで、合理化時点の在籍人員というのは、来年のいわば四月、あるいはもう少し先になって合理化する営業部門ございますからもう少し先でございますけれども、合理化時点の在籍人員と申しますものは、本年度の退職人員という数字を見ないと確定することができないわけでございます。したがいまして、経理部門を含めた余剰人員の具体的な数字はまだ動いている最中でございます。  それで、今、五十九年度中の退職人員を含めてどのぐらいの想定をしてという御質問かと思いますけれども、また今御自分で数字を持っておられるという大変手厳しい御質問がございましたけれども、現在、公社において試算した数字は確かに存在はいたしております。ただ、これは私ども労働組合に対してもまだ説明を申し上げてない段階でございます。先ほどと同じ答弁になって大変恐縮でございますけれども、大変微妙な段階でございますものですから、絶対にここで未来永劫説明しないということではございませんけれども、今微妙な段階でございますものですから、その点につきましては何とか御容赦をいただきたいと、こういうふうに思っております。
  204. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私の知る限りでは、第一線職場の余剰人員が千三百名、それから全体の余剰人員が二千三百五十名、これは労働組合に提示してあると、こう聞いておるんです。問題は、これをあと労働組合がのむかのまぬか、これからの交渉でしょうけれども、しかし公社としての、さっきの概要から出てくる一つの線だと思うんです。これもお答えいただけないんですが、私は間違いないと思うんですね。  問題は、今後、第一線事業所だけじゃなくて、工場も含めて、統廃合や巻き上げ機の回転数のスピードアップなどが行われてくると思うんです。これは先ほど鈴木委員からの質問で大体八千回転の機械が入るのはいつごろか、昭和六十二年から実用化になると言うんですが、私はもうちょっと――六十二年に実用化され、それから衆議院の答弁では全体の工場に八千回転の機械が入るのが十年から二十年、そしてそれが入った場合に人員として節減できるのが現在一万一千五百人の約二分の一であると、こういう指摘があったんですが、実はこれはもっと早まるんじゃないかと思うんですね。  と申しますのは、八千回転の機械が間もなく実用化になるとしますと、現在の生産本数三千四百億本ですか、それをもし八千回転の機械で全部操業しますと、大体二百台ちょっとで足りるんじゃないでしょうか。そうしますと、これは私の調査によりますと、小売の機械製作所でのこの機械製作能力は月十台分ぐらいある。この機械製作能力からいきますと大体二年間で達成できるんですよね。そこで私は、既に新聞でも指摘されておりますように、四、五年で一万人程度削減などという記事が出まして、これもきのう総務課長が来て、これはとても困っています、こんなことは全然考えていませんと、言うんだけれども、計算しますと、ほぼこれに近いのがどうしても出てくる数字なんですね。そして、実際、現に四千回転のこれは直結の機械ですが、三人ついています。人員が三人ですね。しかし、今研究し、かつ実用化段階に入っていく段階で、八千回転の機械ではそれ以下の人員で可能だという、そういうことも言われておるんです。そうしますと、人員は、先ほど衆議院の答弁のように二分の一じゃなくて、もっと減るんじゃないか。となりますと、先ほどの一万人、四、五年で削減というのは、合理化が進んでいけばおのずと出てくる問題じゃないかと、私はいろいろな数字から指摘をせざるを得ないんですが、この点についてどうお考えになりますか。
  205. 長岡實

    説明員長岡實君) 八千回転の機械の導入の計画等につきましては担当理事からお答え申し上げますけれども、全体として私ども将来の厳しい方向を考えますときに、公社は合理化の努力を惜しんでいられない、それだけの努力を積み重ねなければならないと考えておりますけれども、ただ具体的にいつごろまでにどれだけの人員を減らしていくかといったような問題につきましては、当然のことながら、労働組合と十分に話し合いをしまして、その労使の理解の上に初めて実施できる問題でございます。  従来も、公社といたしましては、工場の統廃合その他の合理化につきまして、労働組合と十分に話を尽くした上で、組合の協力を得て順次合理化を進めてまいっておりますが、今後はその必要性がますます高まるものと考えております。したがいまして、そういったような組合との話も済まないうちに一万人計画であるとか、何千人計画であるとか、そういった具体的な数字の計画を私どもが持ち合わせておるとか、あるいはそれを申しておるという事実は全くございません。
  206. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、鈴木先生もおられるけれども、全専売という大きな組合があるんですから、そこで十分に議論をし、そうしてそこの了承がない限り合理化は進みません、これは当然のことです。しかし、だからといって、これから新会社に移行するのに今の専売の責任者がどうやってこの合理化を進めていくのか、その計画が全然決まってない、こんなことはあり得ないんですよ。それはあるんです。ただ、国会に出すといろいろと差しさわりがあるということで資料も何も出さないんです。これじゃ審議できませんよ。私たちは専売をやめるのは反対なんです。だから特に心配して言うんですよ、大変なことになるよと。その場合にどうなっていくのか。今の総裁初め幹部の皆さんがどうやってこれを進めていくのか。当然労働組合から反対もあったり、賛成もあったりしますよ。それはそれとして、労働組合との協議で決めるから今何も言えませんなんというんじゃ、これは国会で何を審議するんですか。これはお答えいただきたいと思うんです。
  207. 長岡實

    説明員長岡實君) 私どもが部内において新会社発足後の厳しい環境に対応していくためにどういった合理化計画をつくるべきであるか、またそれをもって実行していくべきであるかということを鋭意詰めていることは事実でございます。したがいまして、詰めている段階でのいろいろの数字はあろうかと存じますけれども、これは率直に申しまして、私が最終決断を出しまして、これで組合と交渉するという具体的な最終結論というところまではまだ至っておりません。したがいまして、そこにいくまでは国会の席ではございますけれども、具体的な計画についての内容の御説明はお許しいただきたいと存ずる次第でございます。
  208. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 もしこのままいけば、一定の時期にこれは成立しますよ。となれば来年四月一日から新会社になるんですね。国会としますと、また大蔵委員会としますと、一体その先どうなっていくんだろうか。その見通しもないまま、今総裁が言ったとおりまだ全然決まってないというようなことで果たして発足させていいのか。賛成の方はいいと言うでしょうけれども、反対の者としてはこれはちょっと待ってくれ、問題たくさんありますよと。そこを明らかにしろと言わざるを得ないんです。なぜ私がそういうことを言うかといいますと、合理化――私は合理化はもちろん必要だと思うんですよ。例えば機械の回転数をふやさずにして絶対競争に勝てないですよ、何しろ葉たばこは割高なんですから。すべての環境から見まして、それは機械の回転数をまさに世界一の速度で上げていかなきゃこれは絶対勝てません。それはそうだと思うんです。だけれども、問題は、その面に限って言いますと、そのことを単にそのまま進めていいんだろうか。  一つは人員の問題があります、先ほど聞いてきたとおり。余った人員をどうするのかという問題ももちろんありますが、もう一つは私は健康問題があるんです。  健康問題で端的にお伺いしますけれども、今公社として、この機械化がどんどんスピードアップしていった場合に、それに携わっている労働者の上にどういう影響が出ていくのか、この点については把握されておりますか。
  209. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 全体的な形をあらわすものとして、合理化を進めている例として二交代制というのを私ども実施いたしております。二交代制をとった場合にそれが健康にどういうふうな影響があるかというような問題、特に女性の職員もおるわけでございますので、それについてどういうことをしているかというような点につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  二交代従事者につきましては、これは二交代でやるわけでございますから早朝から夜までかかるわけでございますので、勤務時間を若干短縮いたしております。一日七時間ということでございます。それから二交代の場合の始業時刻はなるべく余り早くしないよう、また余り深夜にならぬようということでございます。例えば北関東工場では、六時二十五分から午後二時十分までと、それから午後一時五十五分から午後九時四十分と、こういうような二交代にしておるわけでございます。二交代の場合、早朝勤務の点を考慮して、通勤バスを特別に出さないと通えないという問題もございますので、通勤バスの配車をしているというようなことがございます。家庭の事情等によりましてどうしても交代勤務になじまない職員も出てまいりますが、そういう職員につきましては一般の勤務時間帯、日勤帯と申しておりますが、そういう日勤帯などを設けるというような措置を講じているわけでございます。言うまでもなく、二交代につきまして労働組合とも十分協議の上、実施しているものでございますが、特にその二交代勤務従事者につきましては、定期健康診断も通常の場合は年一回であるけれども年二回行うというようなこともいたしまして、健康問題につきましては十分な配慮を行っていると、こういうふうに考えております。
  210. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 健康問題に配慮しているのはいいんですが、ちょっとその前に委員長、私、時間も急いでおるものだから、先ほどの資料を出さない問題について委員長のひとつ配慮をお願いしたいと思うんで、後で理事会でこの資料の問題を御検討いただきたいと思うんです。すぐ健康問題に入っちゃったんですが、その点ひとつお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  211. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  212. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記を起こして。
  213. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そういう前提で質問に入りますが、今の二交代制問題で、女子で二交代をやっているほかの業種があるのかどうか。若干あると思うんですが、その実情はどうでしょうか。
  214. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 今の御質問の趣旨を私が取り違えてなければ、公社の中で二交代に従事している……
  215. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃなくて、ほかの産業
  216. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 失礼いたしました。  ほかの産業につきまして私ども労働省などにいろいろ聞いてみたわけでございますけれども、民間企業で交代制勤務を実施している割合というのは、かなり高くて六七%ということでございますが、お尋ねの女子の交代制勤務の状況については、調べた結果、統計がないというふうになっております。  それで、ただこれは非常に常識的な話でございますから確たるお答えになるかどうか存じませんけれども、交代制勤務を実施している業種としては、繊維工業とかあるいは化学工業の一部とかサービス業務にあるいはあるのではないかと、現在、その程度のデータしか持ち合わせておりません。
  217. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 労働省にデータがないほど私は少ないんだと思うんですよ。実際、特に女性にとっては大変なようです。  先ほど、勤務時間を短くしているというんですが、そして法律では午後十時から午前五時の深夜労働はいかぬというんですが、私のところへ来た一女子労働者の手紙によりますと、早番のときは、五時二十七分に通勤バスが迎えに来るので四時半に起きますと。この人はそうなんですね。家族のある人はお弁当をこしらえたりしなけりゃならないので三時半に起きますと。それで、これは午後二時五分まで働くんですね。遅番のときは、十二時過ぎに家を出て二時から仕事、それで夜十時四十分にうちに帰りますと。それで、寝るのは、神経が興奮しているので大体十二時過ぎになるというんですね。実際、工場で働く時間は法律の中には入っておりませんけれども、しかしこうやって実際体を使っている時間は労働基準法で言っている時間を超える、そういう実情にあるんです。  それから、これは私も本会議で指摘をしたんですが、現に二千回転から四千回転になっているような現状ですね。特に、関西工場では最新鋭工場と言われていますが、大体四千回転の機械なんですが、現にやっぱり目が疲れる、それから目が疲れりゃ頭が痛くなり、そして肩が凝ったり頸腕になったり、こういう状況なんです。  この点については衆議院で我が党の簑輪委員がいろいろ手紙などを引用して指摘したんですが、公社のお答えは、公社工場はもう大変いい工場で、労働環境も大変すばらしいのでそういったことは認識が違いますというんですが、確かにきれいですよ。私も何度も行っていますが、大変きれいな工場なんですね。しかし、きれいなことと、そこで働いている労働者が特に高速の機械についていけるかどうか、肉体的な限界にきているかどうか、これはやっぱり違うと思うんです。  その点で、私は、衆議院の答弁を見ておっても、また私自身が関西工場へ行って工場長などから説明を受けましても、そういう機械が高速化したために現在でも既に労働者の上にいろんな障害が出ている、その認識はほとんど絶無に近いんです。  そこでお伺いしたいんですが、これは関西工場の婦人部が昨年十一月に実施したアンケート調査です。これは女子組合員数四百四十一名で、回収率が九七%ですから、四百二十九名について報告があります。これは御存じですか。
  218. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 私の手元には現在来ておりません。
  219. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それはないけれども、しかしそういうアンケートがあり、実際にその中ではいろんな症状などを訴えているという事実は御存じかどうか。
  220. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 全体のパーセンテージ、回収率あるいはまたどのくらいの数のアンケートの回答があったかということは別にいたしまして、そういうことを言っていらっしゃる職員がいるということは承知いたしております。
  221. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 言っていらっしゃる職員がいるというと、ごく少数の人間が、特異な人間が言っているように聞こえるんですが、これは回収率九七%ですからね。  じゃ私の方で指摘します。その中で二交代問題について、二交代している婦人については睡眠時間が、高速化になってからいろいろ興奮がうちへ帰っても続いて眠れない、睡眠時間が大変少なくなっている。六時間以下が全体では六二%ですが、特に二交代の婦人についてはそれが七五%ということで、二交代勤務についての睡眠不足が多くなっていますね。  それから、ふだん仕事による疲れについては、いつも疲れた感じがする人が三八%、翌日に疲れが残る人が三二%。疲労の蓄積が婦人全体の七〇%と多くなっておるんです。  それから具体的に、目が疲れる人二百二十二人、これは二交代の場合には六二%です。その中でも機械従事者の比率が高くて、二交代の場合には六六%となっています。肩が凝ると答えた人が全体で四〇%、そのうち原材料関係で、この間私も関西工場の現場を見てきましたけれども、肩が凝るのは原材料関係で多いんですが、五六%。その他、腰が痛いとか、腕、首、足のしびれ等々、そういうのが出ておるんですね。  ただ、私が大変残念だったのは、この間関西工場へ行って、工場長がよく詳しく、特に高速の機械のところへ案内して説明してくれたんですが、あそこで二名ばかりついていました。そのときの説明では、ごらんのとおり大変のんびりとゆっくりで、目が回るような、そんな疲れが出るような状況ではございませんという説明だったんですが、どうも私が実際にこういうアンケートや、それからじかに何人かから聞いたこととは随分遣うんですね。その辺の認識はおありなんでしょうか。
  222. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) たばこ製造に従事する作業につきましては、事前に労働組合と十分協議いたしまして、適正と考えられる作業内客を取り決めて実施をいたしております。作業の配分、作業の量、労働強度、作業姿勢等を十分検討しながらやっているというふうに私ども考えておるわけでございます。  それで、これは定期健康診断の結果によりますと、たばこ工場等の職員の最近五カ年の有病率というのは、一三ないし一四%程度でございまして、むしろ支社、地方局のいわば一般の職員の一五%ないし一七%というのに比較いたしまして、大体同水準または少し低いくらいのレベルでございまして、特別に私ども定期健康診断の結果を見る限り、それほどの特段に作業環境が厳しいという結果が出ているようには考えられないというふうに見ております。
  223. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ずっとそういうお答えなんですが、私はその認識そのものがやっぱり問題だと思うんですね。  そこで、これは資料要求したんですが、共済の療養給付の病名をずっとチェックアップすれば、どういう病名がふえているか、あるいはどういう症状がふえているかということは出てくると思うんです。これは要求したんですが、この資料はないんでしょうか。
  224. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 共済組合に関します資料でございますが、個々の組合員証を使用した受診者の疾病に関する統計というのは私どもとっていないわけでございます。  共済組合は、医療給付等に際しまして医療機関から共済組合に請求されてきました受診者別の診療報酬請求明細書、いわゆるレセプトでございますが、それが適正であるかどうかについては審査をしているわけでございますけれども、現在のところ疾病の種類に関する統計は行っておりません。年間のレセプト件数は、五十八年度で約三十八万件ほどございまして、これを疾病種類別に集計するということはちょっと技術的にも事務的にもなかなか困難な状況にあるというふうに思っております。
  225. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 現に二千から四千になってもこういう症状が出ておるんですね。ただ、それは公社の方が実態に即して積極的にそいつをつかんでいこうという、こういう努力が足りないことなんです。  そこで、この間も私、関西工場視察に行ったときに、たしか工場長が、そんなに大した仕事じゃありませんというので、その機械についている人の仕事としては、抜き取り調査、こうやって何分かに一遍見て間違いないかどうかということなんだというんですが、実際聞いてみますと、その抜き取り検査のほかに材料供給、これが速い機械についていくのでなかなか大変だというんですね。特に妊婦が大変だと言います。そのほかに一べつ検査といいまして、四千回転のやつをずっと目で追っていくというんですよ、そのとおり動いているかどうか。そこでミスをうっかり見過ごしていますと後で大変なことになるわけですね。  これも私のところへ手紙が来ていますが、これはもう時間がないので簡単に言いますが、この方はこう言っています。私は、高速機のオペレーターですが、きょうもつくった製品の中にセロハンの上から製造月日を捺印している数字の一部が少し欠けておった、それが不良だということで全部不良品扱いされた。だからほんのちょっとの不良でも、機械は速いですから、さあっと行っちゃってたくさん出てしまう。そこにいる労働者としてはこういったことはとてもやり切れないこと、だから一生懸命見るんで当然目が疲れるんです。ところが、公社側の今までの説明では、そういう高速機についていくことではなくて、たまにこいつを取り出すだけでいいんだ、だから目は疲れませんという、こういう認識なんです。  時間が来てしまったので、私はもっとたくさん、いっぱいそういうことがあるんですけれども、これは次回、次々回にまた具体的に指摘したいと思うんですけれども、結論的にここで申し上げたいことは、まず現状をもっともっと的確につかんでいく意思があるや否や。それから、これから八千回転というようなところにいくならば、これはまた次元が違うんですから、現在の倍ですから、となれば、その機械の高速化に伴って人間の健康がどのように影響されていくのか、その辺についての本格的な調査研究、これをやっていく意思があるや否や。これだけ伺って私の質問を終わりたいと思います。
  226. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) ただいまの先生のお話を伺っておりまして、私ども多少認識に違いがあるのかなというふうにお聞きいたしました。  おっしゃるような点につきましては、私どもも、従来高速化に伴いましていろいろ作業の内容が変わってまいりますので、そういう点について十分事前に調査し、また問題の箇所につきましては労働組合とも協議して進めてまいりましたけれども、私どもの認識といたしましては、高速化、高性能化に伴って、従来手作業で行っていましたものがだんだん高性能の機械の自動検知、自動排除というような方向に進んでまいりましたので、作業といたしましては、どちらかというと、作業の質は高度化いたしますけれども仕事の内容はだんだん軽易になっていく。御指摘のような、高速化ということの中で一べつ検査なりあるいは抜き取り検査なりというような面で疲れを訴えるというような点については、私ども実は余り職場の方からは聞いておりません。むしろ、それよりも新しい技術を覚えるのに年とってから大変だという点がありまして、これらの点については十分訓練なり習熟なりというものに努力してきたわけでございますけれども、そういう意味で機械にまつわるいろいろな調査をしなければ、問題というのはどういうことかということについて先生と多少認識が違うように思いますが、私ども一応事業の責任者でございますので、今後の合理化につきましては十分その辺検討し、また十分な協議も行ってまいりたいと思っております。
  227. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。     ―――――――――――――
  228. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、吉村真事君が委員辞任され、その補欠として倉田寛之君が選任されました。     ―――――――――――――
  229. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 まず、大臣に事実認識の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  先ほど、たばこ集団として小売店と葉たばこ耕作者と新会社と、この三つをお挙げになりました。私はここにもう二つ足しまして、たばこ関係集団というような格好でお尋ねをしていきたいんです。足しますのは、一つは消費者、もう一つは財政当局です。そこで、たばこ輸入自由化についてそれぞれがどう反応するだろうか、私の意見を含めながらこう判断してよろしいでしょうかということでお尋ねをします。  まず、消費者です。消費者の方は自由に選択ができるわけです。選択の幅が広がる。消費者としますと、安くてうまければ文句はないわけですから、それは専売公社たばこだろうと輸入たばこだろうと構わない。ただ惜しむらく、もう一つ言うと近くの販売店にあってもらいたい。最後の条件が満たされますと、実は消費者にとっては輸入たばこ自由化というのは多々ますます弁ずるわけであります。  一方、小売店はどうかと言いますと、これからは外国輸入たばこを何を扱っても構わないわけですから、考えてみると品ぞろえが自由になる。したがって、これもまた多々ますます弁ずるんだ。困るのは、余りあちこちに販売店ができちゃ困るんで、それは今度の法案でも許可制で守ってやる。であれば小売店とすると輸入たばこ自由化は結構でありますと恐らくなるんではないか。  財政当局はどうだろうか。これまでは納付金でした。これからは消費税ですから、日本のたばこだろうと外国たばこだろうと、要するに売れてくれればいい。できれば高いたばこが売れてくれるにこしたことはないんですが、とにかく全体として税収が確保されるんだったら結構ですと。  そうすると、今申し上げた消費者、小売店、財政当局、考えてみると、輸入たばこ自由化に対しては中立もしくは結構ではないか。そういったぐあいで受けとめるというのが事実認識として間違いないんではないかと思いますが、いかがですか。
  230. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初、財政当局から申しますならば、これは安定的な財政収入ということになりますと、これは専売納付金制度消費税制度に変わりましても、それはそれで期待できることであると思っております。  それから、小売店の問題、おっしゃることは、それは間違っておりませんが、当初いろいろ議論された中においては、この流通専売のうちの輸入だけが今度自由化されるわけですが、将来資本の自由化とか、そういうようなことを考えた場合に、いわゆる既得権益としての自分らの立場という、ある意味における不安があったのじゃないかと思いますので、素直に法律の中でそれらが当面許可制として存続するという中においては、まあ品ぞろえができるということはメリットであろう。しかし、一方の不安というものは、法律作成に至るまでの間は残っておったではないかというふうに思うわけであります。  それから消費者の問題は、これはそもそも貿易自由化の原則から言うならば、地球上に生存する人類が安価にして良質な嗜好に合うものを自由に選べるという点においては、それはそれなりの意義はあり得るというふうに考えるわけでございます。ただ、そういうことを素直に申し上げる以前に、幾らかたばこ関係、今日の改正法のみならず感じますことは、健康とたばこの問題がございますと、一概にすべてを断定するということにいささかのちゅうちょを感じながら答弁をしがちになるという心境もまた一面ございます。
  231. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 財政当局としましては、従来専売納付金で世話になってきたんですから、輸入自由化になったから、じゃおいらの方はいいんだと、そうは言えないでしょうけれども、ただ税金が入ってくればいいわけですから、日本のたばこが売れようと、外国たばこが売れようと、たばこ消費税は間違いなく入ってくるので、その意味では関係がなくなったんです。  なぜこう申し上げるかといいますと、開放経済体制に対応してと御説明になっておりますけれども開放経済体制というのはもう十数年前の言葉なんです。大体昭和四十年代に使われていたのが開放経済体制なんです。五十年代初頭は国際化時代という言葉がはやったんです。今は国際化時代から化が抜けまして、今は国際時代なんです。そういったことで周りが回っている中で、はっと考えてみると、なるほど不安は法律案作成の過程であったでしょうけれども、気がついてみたら、いや消費者の方だって、それは健康は自分で管理するとしても、いろんなものを選択できていいではないか。小売店とすると品ぞろえが豊富になる。財政当局はよく考えてみたら、別にどれがどう売れようと直接の関係はないんだなあ。そうなってくると思うんです。  では葉たばこ耕作者、これはどうかといいますと、契約生産量の全量買い上げですから、不安で今でもいっぱいでしょうけれども、まずまずそれにしがみついて何とか守ってくれる。そうしますと輸入自由化の前面にさらされるのは新しいたばこ会社。このたばこ会社が品物の自由化によってどういう事態に襲われるだろうか。これも将来のことですけれども、そう想像に難しくないんですよ。あれだけある小売店のネットワークのほかに販売ネットワークをつくるばかな人はいませんよ。それは当然、あなたのお店の品ぞろえが豊かになるんだからぜひ置いてくださいと。そのときに、もしその品物のマージン率が高かったら、喜んで売りますよ。したがって、まず第一段階の競争価格競争になる。価格競争というのは、専売公社たばこよりも安い値段をつけてくるというふうに申し上げているんじゃないんですよ。その間の価格差を詰める競争が恐らくあるだろう。その次はいろんな販売促進政策、マージン率は完全に自由ですから。恐らくそういったぐあいに入ってくる。それから恐らくは今アメリカの方では、まず日本市場の一割から二割は取って当たり前と思っていますから、さあそれが取れないとなると、日本市場だけを対象にした新製品の開発をする。当然そうだと思うんです。  そこで、そういう外国との競争に対して新しい会社は迅速に決断しなければいけませんね。問題は、だれが決断するのか。これが今回御提案法律案では非常にあいまいもことしているんです。従来の公社制度では自由が足らないから、こういった株式会社に変えますとおっしゃっていますが、自由をなぜ必要とするんだろうか。自由の裏返しは責任でありまして、経営責任を明確にするというのが本来は公社制度から株式会社に変える本当のねらいだと思うんです。そこで、経営責任を最終的に担うのは一体だれなんだろうか。この点がこの法律には全然書いてないんです。従来で したら総裁は大臣が任命なさいます。そして副総裁以下は総裁が任命して大臣の認可です。序列がある程度はっきりしている。今度の場合には、国の方は株主権は持っているわけですね。当然大臣の認可がなければ取締役以下の選任は効果を発しないと法律に書いてありますけれども、その全株持っている会社の株主総会であれにしようということを大臣がおっしゃって、決まったと持ってきたら、じゃ認可しようかというのは、これは言葉の遊びでしてね。実際には取締役以下について大臣の認可がなければ効力を発しないというのは書いてみただけのことである。問題は、株主総会でその人たちを選出したでとまりなんです。問題なのは、一体だれが最終的な経営責任を負担するのか。どこの会社だって、社長一体だれなんだ、だれが代表取締役なんだということがもう評価の眼目でしょう。それが全然ここに書いてなくて、この法律のままいきますと、あとは適当に仲よく選んでくれや。もしそうだとすると、これは完全な集団指導制ですから無責任体制ですよ。それで果たしてこれから直面する非常に険しい競争に瞬時に判断ができるのだろうかというのが私の疑問なんですがね。
  232. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の御意見、私なりに整理してみますと、本当は、少しさかのぼるようですが、小売店の方々の不安等がありましたのは、例えばいわゆるビッグスリーなりが――例えばの話でございますが、コカ・コーラの販売ルートを通ずるとか、あるいはチューインガム、ロッテ、まあロッテは別としまして、そうしたところを通ずるとかいうようなことに対する不安感というのはあったではないかというふうに思います。  それから財政当局から見た場合も、たばこ消費税のみを考えますと、どのたばこであろうと一緒でありますけれども国内企業がまた健全であることによって雇用の場とか法人税とか所得税とかいうようなことも、あるいは財政当局を少し広げて考えれば、そこまで考えるべきでございましよう。  それから今の問題でございますが、確かに今日の時点、出発時点、全株持っておりますし、株主であり、そしてまた監督権があるという、いわば車の両輪と言えば両輪でございますが、二つの立場を持っておることは事実でございます。ただ、まずは製造独占権というものを持っておるわけでございますから、そういう意味におきまして、私どもがそれなりに監督大臣としての立場というものを持っていなければならぬ。いずれ、いろいろな議論がございましたが、三分の二になり仮に二分の一になりというようなことがあり得たといたしますならば、そこに商法上の三分の二の場合と二分の一の場合との権限の相違等はございますが、私どもはそういう国庫大臣としての立場と、いま一つは、製造独占権を与えたこの特殊会社自身の監督権ということがございますので、最初は人は同じでございますけれども立場は株主権の行使をできる立場と、そして監督権と二つあろうかというふうに思っておるわけであります。したがって、これは車の両輪であると今日時点においては考えるべきであるというふうに私どもは考えております。  それから、したがって今度は当然のこととして、いわゆるコスト競争も激化してくるでございましょう。そうして、それに対してはあるいは販売促進、営業政策とでも申しますか、そういうものもあるでございましょう。その場合に、会社経営というものを一般論として申し上げますならば、代表取締役というのが非常に迅速にこれに対応していく、こういうことになるという論理はそれなりに私は成り立つと思うわけであります。  私どもとして考えましたのは、言ってみれば、意思決定機関というものの中で、まあ仲よしグループで選ぶという意味じゃございませんが、代表が任意に選任されていく。大蔵大臣は何もどなたがなられようとチェックするわけじゃございません。当面、今国民のコンセスサス、今おっしゃいました中に、結構でございます、消費者も加えあるいは財政当局も加えて五つの要素があるといたします。たばこ産業そのものの成り立ちは三つの集団だと思いますが、五つの集団というものがあるといたしましても、それらの総合的なコンセンサスを得ながら、これは激変緩和の措置等もいろいろつけておりますものの、大きな変化でございますだけに、コンセンサスを得やすい体制の中で、そしてそのリーダーを任意に選んでいくというのが結論からいって適当ではなかろうか。その意味においては、私どもも二つの、明確に言って二つという表現が成り立つかどうかは別としまして、両方の考えがあったと思います。それはいろんな見解の相違もございまして、議論をした結果、意思決定機関、そしてそこから任意に選ばれていくというのが、この出発の時点において、少なくとも私どもとしては、コンセンサスを最も得やすい体制としてはそれが適当ではないかという結論に達したわけであります。
  233. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私の立場は余り縛りなさんなということなんですが、仮に百歩譲って今のままでいいとしましても、大蔵大臣が監督権を持っておるような立場から見て、当然あれが選ばれるだろうと思っていた人じゃない人が選ばれちゃったと。法律ですからそういった前提でお伺いすることも許されると思うんですよ。そのときには監督権を発動してかえろとおっしゃるんですか、その場合には。取締役が選ばれますね。お互いの互選で代表取締役を決める。そのときに、当然あれがなるだろうと思っていたのが別なのがなっちゃった。しかも、これじゃちょっと無理じゃないかというときには、監督権を発動してかえろとおっしゃるんですか。
  234. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 法手続上、私も正確に今直ちには判断できかねますが、どなたが代表取締役に互選のうちになられても、集団の意思決定機関というものがしっかりしておって、そしてその集団の意思決定機関の方々は、それぞれ代表取締役に選ばれても適当な人を初めから選んでおけばいいではないか、まあこのように考えるわけであります。
  235. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 商法を見ますと、表見代表取締役の行為と会社の責任というのがありまして、「社長、副社長、専務取締役、常務取締役其ノ他会社ヲ代表スル権限ヲ有スルモノト認ムベキ名称ヲ附シタル取締役ノ為シタル行為ニ付テハ会社ハ善意ノ第三者ニ」対抗できないと、こうあるわけですね。その前の二百六十一条では、「会社ハ取締役会ノ決議ヲ以テ会社ヲ代表スベキ取締役ヲ定ムルコトヲ要ス」、「要ス」ですよ。この二条が言っているのは、代表取締役の持っている比重の重さを言っているんです。これは株式会社になるわけでしょう。  そこで、どういう方法でビッグスリーの方が出てくるかわかりません、とりわけビッグツーですがね。そのときにどう対応するかというのは、責任の帰属が明確でなかったら決断のしようがない。どこだって同じなんだというところが二百六十一条で代表「取締役ヲ定ムルコトヲ要ス」と書き、二百六十二条では、代表権を持っていようといまいと、その名前がついていたら善意の第三者に対抗できないと、わざわざ二条を使って書いているんですね。で、みんなが相談してコンセンサスが集まってというのでは迅速な決定は到底できない。  ですから、いろいろ議論があったというのはわかるんですが、せっかく二百六十一条に代表取締役の選任が書いてあるわけだから、この選任については大蔵大臣の認可を要すると一条入れておけば何でもないじゃないですか。それを入れておかないで、なぜ取締役全員についてだけ認可としたんですか。しかも、実際問題は、株主権の行使と認可の行使は事実上あなたの、お一人ですよ、大蔵大臣。私が心配するのは、新会社経営責任というのは最終的に、どこに帰属するのか。これが不明確だったら会社は何にもできないですよ。というのは、あるリスクをしょった選択をせざるを得ないわけですね。それがうまくいかなかったら赤字になるでしょうし、うまくいきゃもうかるでしょうし、その選択に迫られるのが会社経営者でしょう。その立場に人を立たせてやった方が公社よりはいいから株式会社にしようというので今回の御提案になっているわけですね。と考えてみると、私はここのところがどうしても眼目だと思えてならないんですが、もう一遍伺います。
  236. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 私の方から法案についてのことでございますのでちょっと御説明さしていただきたいと思いますけれども、先ほど大臣からのお話がございましたように、大臣の認可を得て選ばれました取締役によって構成される取締役の中から代表取締役が選ばれるわけでございますけれども、これは一般の民間企業におきましても、株主総会において選任された取締役会の中で、ただいままさに先生が商法を引用しておっしゃいましたように、代表取締役が選ばれるわけでございます。代表取締役はまさに会社の代表といたしまして経営責任をとるわけでございますから、そういう意味におきまして新会社の代表取締役も同じように経営責任を持つというふうに考えてよろしいんではないかと理解しておりますが。
  237. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いや、当然その経営責任を持つんですよ。持つんだけど、代表取締役にだれが選ばれるかというのは大蔵大臣の監督機能のうちの最大のものになるでしょう。だれが代表になったって構わないって、それはないですよ。いろんな取締役、監査役等含めて、それは株主総会で選びますよ。選ぶけども、そこの中のだれが代表取締役であるかというのは当然みんな知っているわけですよね、企業は続いていますから。その人は代表取締役になるわけ。したがって、社長になると何年も何期もおやりになる人があっちにもこっちにもいるんですよ。しかし、経営が結果としてよかったら、だめということにはならないわけ。したがって、新会社で十年、二十年ある人が社長をやったって何ら構わぬわけですよ、その仕事をしてくれたら。それが代表取締役の私は重みだと思う。それがあいまいになっていて、コンセンサスを固めてころがしてということになると、この会社はどこに行くのかさっぱりわからないということを私は申し上げたんであります。  そこで、あと一つだけお尋ねしますけれども製造独占、それはたばこ集団を守るためには製造独占でいくしかないとおっしゃいましたが、製造独占葉たばこは、日本の葉たばこですよ、守れるんでしょうか。製造独占というのは、日本ではその会社しかたばこをつくってはいかぬという意味でありまして、販売独占なら守れますよ、製造独占で守れますか。現実に消費者が買わなくなったらどうですか。小売店が、いや結構です、うちはフィリップ・モリスでいきますと、そうなったらどうなります。買おうたって買えないじゃないですか。製造独占で本当に葉たばこの利益というのは守れるんですか。フランスで大幅に国内販売が落ち込んだ結果どうなったんでしょうかって聞いたら、約十年間で耕作面積は、一万九千ヘクタールから一万四千ヘクタールに五千ヘクタール減ったんです。農家の数はどうかというと、四万二千から二万四千に減った。しかもフランスではこのSEITAというたばこ会社が、いわばどっちかというと特殊会社的な位置にあるんですよ。だって売れなきゃだめなんですよ。だから製造独占葉たばこを守るというのは言葉のまやかしなんです。製造独占会社が分割して乗っ取られることを防ぐ手段ではあっても、製造独占が葉たばこ耕作者のあの耕作を担保する道でもなんでもない。したがって、製造独占だからこういう規制をかけておりますというのは、本当はおかしいんです。  製造独占はいいですよ、第二臨調だって分割とは一言も言ってないんだから、これは。相手が大きいものだから分割したらかなわないですよ。したがって、第二臨調だって分割とは一言も言ってない。ただ不安があり過ぎるから、今こういった法律になったわけでしょう。要するに不安を静めるためにはもうこれでいくしかない。わかりますよ。わかるけれども、代表取締役をどうするかというのは根幹の部分ですよ、会社経営の。その根幹の部分について大蔵大臣がどうするのか、またその選び方について一体どうするのか、あくまでも商法の規定にお任せですよということでいくのか。これが来年の四月一日から発足するこの会社の生命を分けると思いますよ。  以上、意見だけ申し上げて質問を終わります。
  238. 青木茂

    ○青木茂君 この諸法律案を拝見いたしまして、いろいろなぜだ、なぜだという疑問があるわけなんです。それを私なりに整理してみますと、大体五つに分かれるだろうと思っております。  一つは、これは公社であろうと会社であろうと、健康に害があると言われるものをここまでなぜ国が介入するのか、つまり国が売るのかという問題が一つ。それからもう一つのなぜだは、一体なぜここまで全量買い取りにこだわらなければならないのか、これが第二点でございます。それから第三点は、なぜ政府一〇〇%出資の特殊会社でなければならないのか、これが第三点でございます。それから第四点は、なぜこれが自由化と言えるのかということでございます。それから第五点は、なぜこれが行革関連法案なのかということでございます。  この五つのクエスチョンマークですね、この法案が議了されるまでに私にどれだけの時間がいただけるかわかりませんけれども、この五つについて一つずつお伺いをしていきたいと思っております。  まず第一に、先ほどの厚生省の方の御説明のように、害があるとは言わないけれども益があるとも言わない、非常に微妙なお話ではございましたけれども、とにかくプラスではない。そういうものに国がここまで入り込む。これは専売公社の時代からそうですね。そうすると国が関与する以上何かそこに国益に沿うものがなければならない。そうすると一体このたばこ法案専売から会社に移る大きな流れの中でたばこにおける国益というものは一体何だったろうか、現在何であるであろうか、まず、ここら辺のところをお伺いを申し上げたいと思います。
  239. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あるいは、私より総裁の方が専門でございますから、その方からお答えなすった方が適当かな、私いささか思いつきの答弁になると思うんでございます。私自身も、ヘビースモーカーではございませんが、ミドルぐらいでございましょう。喫煙と健康ということになりますと、確かに私どももいろんなものを読ましていただいたり聞かしていただいたりいたしますと、統計的あるいは医学的事実が指摘されたりしておるということは承知いたしておりますが、たばこにも「吸いすぎに注意しましょう」と書いてありますから、手ごろな喫煙というものは、ここで一服とか、あるいは憩いとか、あるいは倦怠をレクリェートするとかいうようなことの効果も私自身にはあっているんじゃないかというふうに思うわけでございます。  まず、たばこというのはどういう意義を果たしたかといえば、財政物資であったということは、これは否定できないと思うんであります。財政物資であると同時に、いわゆる嗜好品としてそれなりに機能したではないか。ただ、健康とたばこということになりますと、私にも画然たる知識はございません。この表示の「吸いすぎに注意しましょう」というのが私の知識の限界であって、言うなればたばこというのは人生の憩いと潤いであるという一面と、そして財政当局としては当然のことながら、とにかく今のような二%程度ではなく、かなり大きな比率を占めておったこの歳入財源としての役割を果たしておった時代もございますゆえに、まさに財政物資として安定的に我が国の財政に資したということは言えるではないかというふうに思っております。
  240. 青木茂

    ○青木茂君 嗜好品、人々に潤いを与える、これは私も、ヘビーじゃないつもりですけれども、かなり吸う方ですから、それは確かだと思います。しかし、それがそのまま国益の問題だとは理解できないと思いますね。そうすると、たばこにおける国益ということになると、これは財政目的だ、それに尽きるんではないかと思うわけです。そうなりますと、財政に対する寄与率ですね、寄与率は一体どれくらいなんだろうか。これはきょういただきました資料で、例えば歳入分の専売納付金につきまして、昭和四十年に四・八%、五十年に一・六%、五十八年に二%ちょうど。こういう資料はいただいておるわけでございますけれども、もう少しさかのぼって、例えば二十年代、二十年は負けた年ですからこれはあれですけれども、例えば二十五年あるいは昭和三十年あたりにさかのぼって考えてみますと、どういうことなんでございましょうか。
  241. 小野博義

    政府委員(小野博義君) ちょっと順序が逆になるんでございますけれども、逆に申してまいりますと、昭和三十年度が一〇・一%でございます。それから昭和二十年、終戦の年ということでございますので、昭和二十五年度をとってみますと、一五・九%でございます。ちなみに戦前を申し上げますと、昭和元年から二十年の平均で七・九%、それから大正年間が七・〇%、明治年間が六・七%というような数字になっております。
  242. 青木茂

    ○青木茂君 ありがとうございました。  まず今の数字を伺いまして、昭和二十五年に一五・九%、三十年に一〇・一%。今や二%ですから、財政に対する寄与率というものはもう既に問題にならないほど落ちてきているということになりますと、現時点において、たばこに対して国が非常に強く干渉する、つまり国益であるという要素はなくなってきたんではないか。非常にパワーは落ちてきているんじゃないか。そうすると、もうたばこからむしろぼつぼつ国が手を引く時代になってきたんではないかという認識を私自身は持つわけなんですけれども、いかがでございましょうか。
  243. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは私どもが国会へ出ました当時、酒、たばこで三分の一と、こういうことをよく言われておりました、非常に大ざっぱな話でございますけれども。だから、当時に比べますならば、財政的なシェアからいう寄与度というふうに申しますか、それは確かに落ちておるわけでございますが、その二%というものが、これは今は大変貴重な財源でございまして、可能な限り今後とも赤字財政とか公債発行政策とかを少しでも縮めていくための財政物資として考えた場合には、なお私は貴重なありがたき存在であるというふうに理解をしております。
  244. 青木茂

    ○青木茂君 それはよくわかりますよ。よくわかりますけれども、二%仮に財政収入確保するということなら、外国たばこをどんどんどんどん入れて、それに消費税五万とかければ同じことですからね。ですから私は、国のたばこ事業は、もっとどんどんどんどん資本主義経済の原則どおり、民営化の方向に持っていって、余り国がいろいろなことに口を出したり手を出したりしない方がいい。それが自由経済だ、我々は自由諸国の一員なんだから、自由経済体制は守りたいと思うと。しかしながら、何となくこのたばこ法案を見ていると、これが自由経済の国の法案かいなという気がしないでもないわけなんですよ。そうすると、どうも私どもが、少しひがんで考えますと、このたばこという問題の中にも、国益であるとか公共であるとかいう定義がはっきりしないというのか、国益だとか公共だとか、そういうものが少し日本では免罪符を持ち過ぎている、マジックワードになっちゃう。実はこれは私益集団のプレッシャーによってこれがつくられてきているのじゃないか。国益だとか公共の名のもとに私益集団が群がり寄っているというところに、これはこのたばこ法案だけじゃございませんけれども、日本の政治体質の一つ悪い側面というものが出ていると思いますね。そうしますと、むしろこのたばこ法案というものは、農政問題だというふうに割り切って考えちゃった方がいいんではないかという気がしておるわけなんですけれども、ここの点いかがでございましょうか。
  245. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 現実問題として、今日までいわゆる製造独占製造専売、流通専売、二つの専売があったわけであります。したがって、そのたばこ産業を支えてきたものは、私は三つの集団ということを言いましたが、そういうものがたばこ産業全体を支えてきた。しかしながら、機械化、高度化等々の状態からいたしまして、いろんな合理化も行われ、また耕作者の皆さんで見れば、それなりに四十万から今九万というふうな、必ずしもなだらかでない形において減反をされ集約され、一人当たりの面積はふえてきたというそれぞれの自己意識の中で、それに対応してこられたという歴史が今日存在しておると思うわけであります。しかし、いまだに国産葉というものは、これは原料として価格的に見れば高い。しかしこの方々のなおかつ自助努力によって合理化を進め、あるいは中には転廃業される人もそれはあるでございましょう。いろいろな形でこれが最も激変なく自由化の方向の中で相互に協調して生きていくということを考えれば、現状において今度御審議いただいておるものが最善の、今日の時点における最善の方途ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  246. 青木茂

    ○青木茂君 ただいまずっとお答えをいただきましたように、たばこというのが専売であったということは財政目的が一番大きな問題であったと思います。ただ、こういう国際化ですか、国際時代ですか、そういう時代に入ってまいりますと、財政目的というのは数字的にも落ちているし、これは外国たばこ輸入によって、輸入消費税をぼんとかければそれで済むことだということだから、私は、たばこという産業に対する国家介入、国家介入というものはだんだんだんだんこれは少なくしていく、減らしていくということが自由経済の原則から言えば当然だと思います。激変は、それは確かに今まで小売店の方にしろ葉たばこの耕作農家の方にしろ、ずっとこれが続くものと思ってきたのだから、それは激変はいけませんね。激変はいけませんけれども、だんだんだんだん国がたばこ産業から撤退していくということは私は筋が通ると思います。  したがいまして、ここでお伺いを申し上げたいのは、とにかく嗜好品なんだから、どうしてもなきゃならぬ、いわゆるたばこ安保とは言わないのだ。そうなりますと、今度の法案というのは、もうこれでもってフィックスされてしまうものなのか。つまり固定されてしまうものなのか、あるいはだんだんだんだん国というものが下がっていく、後へ隠れていく、そういう方向に進むワンステップなのかということが一番私の伺いたい基本的な問題であったわけなんですけれどもね。いかがでしょうか。
  247. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは開放経済体制の中で少なくとも輸入自由化、これは行ったわけです。そうして現在の我が国専売公社、これは製造独占もしております、販売独占もしておるわけでありますが、しかし、これを支えるものとしての三つの柱として、耕作段階があり、そして小売店がある。これはある意味においては消費桃の取次段かもしれません。それからいま一つは労使ともに公社自体がいらっしゃる。そういうことを考えてみました場合に、私はどこの国でも自由化の段階にはいろいろな不安があり、そこに激変緩和があり、そして競争原理が働いて結局、対応力のつくものはつく、余りにも対応力のつかざるものは、これはやむを得ず自然になくなっていくと、こういう原則であろうと思うんでありますが、日本の場合は少なくとも三大メーカーとは言わなくても四大メーカーである、だからなお一層たばこ産業を構成する方々の合理化努力をするならば、この国産葉たばこ、割高の国産葉というものを持ちつつも対応力がつけ得る可能性がある。そしてそういう体制にするためには、今まで以上に自由濶達な当事者能力の中で努力してもらう体制をつくるべきだというのでこういう法律改正をお願いしておるわけでありますから、現状において民営・分割のワンステップだという考え方はございません。この形態がベストである、今日、現実的な問題としてこれがベストであるという考え方に立っておることは事実であります。いろんな議論をした結果最も現実的な措置であると、こういう認識の上に立ったわけであります。
  248. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、現在のこの今審議をされている法案内容ですね、これがベストであって、つまり現在がベターで次のベターにもう一回いって、またベターにいって、またベターにいって、最後にはベストにいくという意味ではなしに、これがベストである、こういう御認識だと了解していいわけですね。
  249. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 現状における恒久的措置であるという御認識をいただかなきゃならぬということであります。
  250. 青木茂

    ○青木茂君 ちょっとよくわからなくなった。現状における恒久的措置現状における恒久的措置。ちょっと日本語としてよくわからないんですけれどもね。現状というのはどういうことなんですか。
  251. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは割高の国産葉たばこを抱えておるとかそういうもろもろの条件というものが現状にあるわけですけれども、その現状認識の上に立っていわゆる自由化時代に対応していくためには、これが恒久的措置であります、ワンステップではございませんと。ただ、世の中が変化しましていわゆるバイオの時代とかいろいろ言われて、葉たばこというのが土というものを要さずしてつくられるようになるとか、いろんなことを言う人もございますけれども現状の私どもの認識としては、あの大地の中から汗によって葉たばこというものができて、そういうところに九万人の方がしかも合理化努力をしながら国際競争力もつけていこうという意欲のもとにいらっしゃる一つの集団、まあ小売店の場合はちょっと性格が異なるかもしれませんけれども、そういうことを考えた場合、これは恒久的な措置でございますということを私が申し上げておるわけであります。
  252. 青木茂

    ○青木茂君 そういたしますと、その現状というものを政治の努力あるいは新会社経営努力によってアクティブに変えていこうとなさるんですか。現状はもうこれでいいんだからこれに即応する入れ物をつくろうと、こういう意味なんですかね。
  253. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはあるいは長岡総裁からお答えするが適当かと思いますが、私も今の現状固定という考え方で経営に当たられることはなかろう、相当な意気込みで経営の合理化努力というのをされていくという、その任に当たる人は当然そういう考え方に立たなきゃならぬではなかろうかというふうに考えます。
  254. 長岡實

    説明員長岡實君) 私からも一言お答え申し上げますが、大臣から現状においては恒久的な措置であると申し上げたのは、先ほどのように、現在において予想し得ざるような事態が起きた場合には、果たして今御審議をいただいております制度がその事態でうまく機能するのかどうか、これは問題があろうかと思いますけれども、現時点において考えます場合に、従来の経緯を踏まえ、現状を踏まえ、そして将来を見通してまいりましたときに、この恒久措置の中で、もう初めから日本の葉たばこ農業というものが存在し得ないということであるならば、これはまた一つ別の考え方が出ようかと存じますけれども葉たばこ農業葉たばこ農業として合理化に努力をしていただく、また次の新会社でございますが、新会社は新会社として努力するというようなたばこ産業全体を通じての合理化努力を積み重ねることによって日本のたばこ産業が生き残れるという認識のもとに、現在この制度が一番うまく機能するのではないかというふうに結論を出したということであろうと存じます。
  255. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、葉たばこを取り巻く方方ができるだけいい方向に現状を変えようと努力なさる。とすれば、この法案もその時点において変わるかもしれない。そういう認識に立てば恒久とは言えない。そこら辺は言葉のあやですからこれはいいですけれども、そういう少し疑問があることは事実です。  ただ、最後に農政問題で私が申し上げたいのは、これからどんどん外国から農業に対して、とにかく国際価格はこれだけ違うんだから、プレッシャーはかかってきますよ、これからどんどん。そうなってくると、我々はどうしても主食である米は守りたい、守らなければならないという認識に立ちますと、嗜好品であるたばこはある程度譲歩というのか、犠牲になるというのか、これはやむを得ないことになってくるんではないか。主食と嗜好品ではウエートが違いますからね。そこら辺で農政問題だけ、それといわゆる外圧という言葉はいいかどうかは知りませんけれども、そういう問題でいけば、たばこの例えば耕作農家は聖域であるとか、小売店は聖域であるとかいう聖域論にこだわり過ぎてしまうと、私は米まで影響が及んでくるんじゃないかという心配を非常にしているということを申し上げておいて次へ進みたいと思います。次へ進みたいと言ってももう時間がなくなったんですけれども。  一つその次に申し上げたいことは、いわゆる全量買い取りに絡んでなんですけれども、これから新会社がおできになるわけですけれども、その場合新会社の社長にだれがおなりになるかまだわからぬわけですけれども、仮に総裁がおなりになったと仮定を置きまして、その場合新会社としては、今たばこ産業で問題になっている過剰在庫ですね、過剰在庫の処理をまず第一義目標になさろうとするのか、あるいはコストダウンですね、外国たばこ競争するためのコストダウンが第一義目標になるのか、これはどちらなんでしょうか。
  256. 長岡實

    説明員長岡實君) 過剰在庫処理の問題とコストダウンの処理の問題は、どちらが優先すべきであるかという比較の問題とは若干性格が違うような気はいたしますけれども、強いて申し上げれば、私どもは過剰在庫処理に最大の努力を払わなければならない、少なくとも現時点においては過剰在庫処理に全力を傾けなければならないというふうに考えております。  その理由は、過剰在庫を抱えていることが新会社にとって大変な負担になる、したがってこれを何とか処理していかなければならないという問題が一つございますけれども、もう一歩進んだお答えをさせていただきますと、日本のたばこ産業葉たばこ農業を守る立場に置かれる新会社といたしましても、現在の人員、現在の面積そのままを将来にわたって長く維持できるかどうかということになりますと、これはやや問題がございます。たばこ産業自体が非常に拡大的な方向に向かっている産業であるならばいざ知らず、全体が頭打ちのような状態の中で葉たばこ農業を考えますと、先ほど来申し上げておりますように、何がしかの減反その他の御協力もお願いしながら、また一方において先ほど御指摘があった生産の合理化等も図りながら生き延びていくことを考えていかなければならない。そういった場合に、過剰在庫の処理にも努力せずに単に需給関係で供給過剰である葉たばこの問題をすべて減反で処理するということでは、これは何と申しますか、ある分野にだけしわ寄せした措置ではないかというふうに農業のサイドでおとりになるのは当然であろうと思いますので、私といたしましては、多角的にあらゆる努力を払うその一環として農業にも御協力をいただきたいという呼びかけをせざるを得ないと思っておりますので、その一環の中に在庫処理問題というのが非常に大きな意味を持って存在しておるのではないかと認識いたしております。
  257. 青木茂

    ○青木茂君 新会社の第一義目標を過剰在庫の処理に置くのかあるいはコストダウンに置くのか、これは矛盾するわけですよね、実際問題。両立はちょっと難しいと思うんですよ。過剰在庫の処理に置こうとすれば、在庫をたくさん使わなければならないんだから、それだけ外国の葉っぱはできるだけウエートを低くしていかなければいけませんわね。コストダウンということになれば、外国の葉っぱの方が安いんだから、できるだけ外国の葉っぱを入れてブレンドすればコストダウンに役に立つわけです。だから非常にこれは矛盾した概念になるわけなんですね。  そこで、ちょっとこれは数字的なことをお伺いしたいんです。外国産の葉っぱですね、これの日本のたばこの中に占める比重、ブレンドのウェートですね、これは動いているんですか、年によって。あるいは大体一定なんでしょうかね。
  258. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) お答えいたします。  外葉の使用割合は、原則からいきますと、各銘柄の構成比の変動――ブランドの中にどういう葉っぱをどのくらい入れるのかというのがあらかじめ銘柄設定のときに決まっておりますので、その銘柄が動くと結果として数字が動くわけでございますが、専売制度の時代、さらに今度の新会社になりましても、私どもはそういう原則だけでやれない会社企業でございます。そういう意味で、従来もそうですし、今後も国産葉を主体的に使っていこうと思っております。  ちょっと年代別にアウトラインを申し上げますと、三十年代まではせいぜい上級品でもハイライトぐらいまででしたから、私の頭にあるのでは一七%ぐらいだったと思います、輸入葉がですね。その後四十年代になりまして高度成長の中でだんだん葉たばこ農業離れが起きまして、原料が足りなくなってきたものですから、その当時、あわせて消費の高度化に伴いまして、多様化、高級化が進みまして、あわせて将来いつ市場が開放されるかわからないという心配もありましたので、高級化政策を進めてまいりました。その結果、使用割合が二〇から三〇に向かってだんだんふえてまいりまして、現在五十年代は三三%前後を使用しております。
  259. 青木茂

    ○青木茂君 ありがとうございました。  時間が参りましたから、全量買い取りの問題については問題の提起だけさしていただきまして終わらしていただきます。  第一は、今度の経営形態の変動ですね、変更は一体過剰在庫の処理につながるかどうか、こういう問題です。つながるとすれば、これは文句ないんですけれども、つながらないと仮にするならば、過剰在庫の解消の具体策というものは一体どういうふうにお考えになっているか。  それから第三点は割高ですね。とにかく国際相場に比べて三倍高いという割高の解消策というものをどういうふうにお考えになっているかというような問題を、次の機会が得られればお伺いを申し上げたいと思うわけでございます。  質問を終わります。
  260. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 五法案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十二分散会      ―――――・―――――