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1984-07-25 第101回国会 衆議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十五日(水曜日)     午前九時四十一分開議 出席委員   委員長 福家 俊一君    理事 鹿野 道彦君 理事 浜野  剛君    理事 三塚  博君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君       加藤 六月君    田中 直紀君       近岡理一郎君    中馬 弘毅君       中山 正暉君    林  大幹君       増岡 博之君    若林 正俊君       兒玉 末男君    左近 正男君       田並 胤明君    富塚 三夫君       西中  清君    森田 景一君       河村  勝君    梅田  勝君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君  出席政府委員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         運輸政務次官  津島 雄二君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君  委員外出席者         議     員 小林 恒人君         議     員 吉原 米治君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     坂田 浩一君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     太田 知行君         参  考  人         (日本国有鉄道         再建監理委員会         委員長)    亀井 正夫君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 七月二十五日  理事久間章生君同月二十四日委員辞任につき、  その補欠として久間章生君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  地域交通整備法案小林恒人君外六名提出、衆  法第二四号)  交通事業における公共割引国庫負担に関する  法律案吉原米治君外六名提出衆法第二五号  )  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 福家俊一

    福家委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件につき調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件につきお諮りいたします。  日本国有鉄道経営に関する件について、本日、参考人として日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福家俊一

    福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————
  4. 福家俊一

    福家委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。  亀井参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  なお、御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願いたいと存じます。  質疑申し出がありますので、順次これを許しますが、特にこの際、委員長一言申し上げます。  人の上に人はなく、国会が最高の権威でありますから、国会以上の権威はありません。その観点に立って、委員諸君は、きょうは時間の制限は委員長職権においていたしませんから、徹底的に論議をしてください。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。富塚三夫君。
  5. 富塚三夫

    富塚委員 きょうは監理委員会亀井委員長に御足労をいただきまして、お忙しいところありがとうございました。  国鉄再建問題で大変お骨折りを願っているわけですが、この衆議院運輸委員会には初めて参考人として御出席をいただいたわけでありますけれども、私は、本当に国鉄改革再建国民的な合意に立って実現するためにはどうすればいいのかということについて今から亀井委員長にいろいろ教えていただきたいし、私なりの所見も申し上げまして、できるだけ与党、野党とか言わず、あるいは国民全体の中でも従来のそれぞれ違った観点に立つ立場でのいろいろな対立とか見解の相違とかありましたけれども国民的な共通の認識と土俵に立って国鉄再建を、改革をすべきであるという観点に立って御質問を申し上げてみたいというふうに思います。  まず、監理委員会がこれからどのようなスケジュール成案をされていくのか、そして法律で定められましたように具体的な政府に対する提言をやられようとするのか、これからのスケジュールについてお伺いをいたしたいと思います。
  6. 亀井正夫

    亀井参考人 亀井でございます。ただいま富塚先生から、国鉄再建の問題について国民的課題として真剣に取り組むべきだということに、全く感銘を受けた次第でございます。  これからのスケジュールについて御質問でございますが、御承知のとおりに国鉄再建監理委員会は、国鉄のこれからの効率的な経営形態はいかにあるべきか、第二が効率的な適正な運営を確保するのにどうするか、それから長期債務その他の問題ということで、いずれをとりましても大変難しい問題でございます。昨年の六月からちょうど一年、六十数回にわたる審議調査を進めてまいりまして、やっと事実の認識がほぼできたという段階でございます。これからいよいよ本格的に効率的な経営形態ということは具体的にどうあるべきかあるいは適正な運営の確保というのはもっと深くどうすべきであるか、それから大きくのしかかっております長期債務、年金その他の問題についてどう処理するかということについて具体的な研究を進めまして、来年の夏ごろには答申の形で総理手元にお出しをしたい、そしてあと二年、任期は私ども四年ございますので、あと二年でその実現についてのフォローアップ、御協力を申し上げたい、非常に大まかでございますが、こういうスケジュールで現在検討を進めておるという段階でございます。
  7. 富塚三夫

    富塚委員 前回次長の林さんにお尋ねした際にも、中間的な答申といいますか、これは第二次的な緊急提言としてこの八月のしかるべき時期に行いたいというふうなことの見解を承りました。今委員長が申されましたように、法律的には来年の夏ということに相なるわけですが、この夏にいわゆる第二次緊急提言として提起をされるという内容のものはどういう性格を帯びることになるのですか、お尋ねをします。
  8. 亀井正夫

    亀井参考人 第二次緊急答申の問題でございますが、御承知のように、昨年の八月二日に第一次緊急答申総理手元にお出しをいたしました。これは六月にスタートいたしまして二月足らずの間で非常に取り急いでまとめたもので、当面の問題を答申したのでございますが、それから一年たちまして、私どもはせっかく勉強してきておるのでございますけれども、何も出さないと一体監理委員会は何をしておるのかということになりますので、現在いかなるものを出すべきかということで検討しております。  私個人考え方を申し上げますと、少なくとも一年、国鉄再建問題を検討してまいりました私ども五人の委員の事実認識コンセンサスというものはここではっきり出したい、一年勉強した結果、国鉄にこういう問題がありますということははっきり出したい。そして、それに基づいてこれからの方角について何をするかということについて具体的なアイテムを目下検討中でございますけれども、当面取り急いで、言うなれば国鉄というのは病状が非常に重い病人と申し上げてもいいと思いますが、その病気がさらに悪化しないような当面とるべき措置がもしあれば、これだけはさらにやっていただきたいということを出しまして、本格的な問題は数字を伴うものでございますから、これは先ほど申し上げたように、来年の半ばごろに最終を出したいということで、私ども五人の委員の事実認識と当面取り急ぎこれだけはやっていただいたらどうかというふうなものを出したいということで、いろいろ甲論乙駁、目下議論を進めておるところでございます。
  9. 富塚三夫

    富塚委員 御案内のように、国会電電改革専売改革法案衆議院は通りまして、今電電改革は参議院に回っておりますけれども、恐らくこの国会が終わりますと、電電専売改革と相まって国鉄問題をどうするのかということが内外とも論議を呼ぶだろう、同時に注目されるだろう、私はそういうふうに思います。  そういたしますと、今委員長おっしゃいましたが、今回は問題点をよく取り上げて、そしてこれから一年かけていろいろ議論を尽くして成案を得たいということの方向になるやに聞きましたけれども国鉄改革についての輪郭ですね、一言で言いますと、法律ができましたのは分割民営前提とする経営形態改革ということになっていますので、イメージとしてそういうことがわき起こるような、判断できるような材料というものがつまり提起されるのかどうか、ちょっと気になるところですが、その点はいかがなものになるのでしょうか。
  10. 亀井正夫

    亀井参考人 分割民営化がその場合に骨格になるかどうかという御質問でございますけれども、御承知のとおりに土光臨調答申が出ましたときに、国鉄の問題については分割民営化方角検討しろ、そしてそのために国鉄再建監理委員会を設置する、こういう提言で、政府並びに国会でそれを尊重されましてその方角に行きましたので、私どもは効率的な経営形態という場合にやはり臨調答申というものを念頭に置き、尊重しながら検討していくということが基本ではないか、こういうふうに考えておりますけれども、しかし、これはいろいろ事実を詰め、あるいは諸般の情勢を勘案したときにそれが絶対的なものであるかどうか。目的は、むしろ現在の国鉄が本当に国民に信頼をされ、効率的な経営をされ、そして大きな財政的な負担を来さないような格好にするということが根本的な目的でありまして、分割民営というのは一つ方法論だと思いますから、そういうことは多様的にこれからこれを念頭に置きながら慎重に検討していきたい、こういうふうに考えております。
  11. 富塚三夫

    富塚委員 来年度の国鉄予算要求といいますかシーリング問題、政府も最近は予算要求基準とか言われて、そういう問題が今、今月末に向けて枠組みが決まろうというふうに言われています。結局、来年度の予算に向けてどのように対応していくのかということの問題も、また来年夏の答申に向けて一年間あるわけです。あるいはさき提起された緊急項目の実施の状況という一つの問題の中身もあるでしょう。つまり、過渡的に監理委員会答申案を出すまでの間と、それからそういった答申が出された後の問題、常識的に見てかなりの期間が要ると思うのです。そうすると、来月予定をされる先ほど言いました中間的な提言、どういう名称になりますか、それは提言されることは、来年度予算とのかかわり合いについてはかなり明確に打ち出されるのでしょうか、その点はいかがでしょう。
  12. 亀井正夫

    亀井参考人 第二次緊急答申と六十年度の予算に対する意見の問題でございますが、第二次緊急答申は八月上旬ごろを予定しておるのでございますが、これは先ほども申し上げましたように、ベーシックな事実認識とベーシックな問題について申し上げたいと思っております。予算の問題については、これは具体的な問題でございまして、昨年の九月にも五十九年度の予算について運輸大臣から諮問を受けまして、私ども委員会として意見提出したわけでございます。六十年度の予算いかようになるかということについてはまだ未確認の事実でございまして、それができ上がって運輸大臣から諮問を受ければ私どもは具体的な意見出したいと思っております。  いずれにいたしましても、出す場合に、私の個人見解で申し上げますと、昨年予算について意見を申し上げたときに、この赤字をゼロにするということはできないから、赤字がだんだんふえていくのをできるだけ抑えるようにしてほしいということと、借金がどんどんふえていくのを、借金ふえ幅をできるだけ小さくしていってもらいたい、こういう基本認識出したわけでございまして、この考え方は、これは私の予測でございますが、もし今度諮問を受けました場合にも、赤字幅ができるだけ小さい努力をしていただく、また借金の幅をできるだけ小さくしていただく、そういう意見を出すことは変わりがないのではないか、これは全く予測の問題で、個人的な見解としてはそういう考えを持っております。
  13. 富塚三夫

    富塚委員 さき提起された緊急提言を軸に、運輸省国鉄当局経営者も、あるいは組合それなり努力をしている、そういう中で、例えば先日ある新聞に出ていましたように、東京駅前資産売却あるいは国鉄の新たな再建構想事業について監理委員会待ったをかけたということが新聞に載っていました。真偽のほどはよくわかりません。しかし、資産売却の問題とか今の法律の枠内でできる事業経営拡大とか、そういった問題などについて監理委員会が有効な結論を出すまで待ったをかけているということは、国鉄に働く人たちの士気を喪失させていくことになる。  つまり、監理委員会という大御所があって運輸省国鉄ということがあるわけで、その三者の関係なのですが、どうも監理委員会がいろいろな意味でプレッシャーをかけるとかということがあるように見受けられるわけです。そういうことと来年度単年度の予算の問題と、中期的な、長期的な一つの展望に立つ改革の問題ということになると、どうもすっきりしない間の問題で、中途半端な状況のもとに経営再建努力をせいというハッパだけをかけても実態は伴っていけないんじゃないかという懸念を私は持つのですが、そういう点について各論で例えば事業拡大資産売却、こういったことなどを軸に監理委員会の側はそれなり見解国鉄に示しておられるのでしょうか、お尋ねをします。
  14. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいま東京駅付近の土地の問題について待ったをかけたという新聞記事があったという御質問でございますが、監理委員会の本来の趣旨といいますのは、国鉄をいかに再建すべきかということについて総理答申出して、総理がそれを尊重されて具体的アクションを起こされるということでありまして、私どもは本来的に具体的の個々の問題についてとやかく指示をしたりする立場にはないという基本的な御認識をまずいただきたいと思います。  それから、この資産処分という問題でございますが、これについても緊急提言に盛り込むかどうかということを目下検討中でございますが、これが資産処分についていろいろな議論が出てくるわけです。国鉄赤字が大きいんだからどんどん荒らして借金を埋めたらどうか、こういう意見もございます。しかし、果たしてそれが一体どれだけの資産で評価できるのか、あるいは処分できるのかということについては、まだ国鉄当局自身もしっかりした事実のデータをつかんでない。それから、後に御質問があると思いますけれども、これは長期債務処理とか、そういう問題といろいろ関連する場合あるいは国鉄というものが、御賛同を得るかどうかわかりませんけれども、新しい形態になったときに事業活動をもっと大きく広げていかなければいかぬ、そういうときに裸になってしまったら、それは何もできないではないか、そういう面からこれは慎重にやるということと同時に、国鉄資金繰りが非常に苦しい、それを埋めるためには将来も全く不要と思うところは早く処分をして、借金幅なり赤字を埋めるとか資金繰りをやるとか、そういうことについては私どもは異存ございませんが、いずれにしても、資産処分の問題も根本的に新しい経営形態あるいは長期債務処理、そういうものを総合勘案してやっていくべきものではないか。基本的には、国鉄資産ということは国民の財産であります。これを本当に将来の国民のために有効に活用できる方途を見つけて、これを解決していくのが本筋ではないか、私はこういうふうに思っております。
  15. 富塚三夫

    富塚委員 旅客、貨物などの収益を上げるという面ではそれなり努力は当然必要と思いますが、どうなんでしょう、資産処理売却といった問題ですね。大分前には品川駅周辺土地を一千億以上で売却をした。国鉄はしてやったり、よくやった、こういう感じになったら、国土庁は、いや土地の値段のバランスの上から考えるととんでもないことをやってくれた、国民的にもいろいろな批判の目がある。一方、東京周辺土地の問題や売却の問題ないしは新たな事業経営という問題については、これまた監理委員会がちょっと待った、と伝えられているような感じがある。監理委員会が有効な結論を出すまで、国鉄資産の問題は一切手をつけない、そういった資産処理の問題には手をつけない。もちろん、地方交通線問題に対するさまざまな対応とか、そういう問題はあると思いますけれども、原則として手をつけないということについて、監理委員会の側は明確に打ち出された方がいいのではないか。何かちぐはぐなままに実際の国鉄経営が今なされておって、そして国民にもいろいろな角度から批判を受けているように思われるのですが、その点についていかがでしょうか。
  16. 亀井正夫

    亀井参考人 先ほど申し上げましたとおりで、富塚先生の御見解基本的には食い違っていないと思います。ただ、問題は、御承知のように、ことしも資金繰り資産処分千六百億をやらないとつじつまが合わないというふうな問題があります。そういうことで、これから将来も、むしろ新形態になっても、活用の見込みもないところで、せっかくそれを買いたいというところがあればそれを売ってやるということもやっていいかと思いますけれども、いずれにしても、そういう具体的アクション国鉄の御判断なり運輸省の御指導によってやられたらいいことでありまして、私どもとしては、基本的な見解というものを政府に申し上げるという立場にあるということを御理解いただきたいと思います。
  17. 富塚三夫

    富塚委員 監理委員会亀井委員長を先頭に四人の方がおられて、五人でいろいろ審議されている。何か分担を決めておられて、各論でそれぞれ問題提起をされたり、あるいは国鉄にそういった指示をされるということはあるのでしょうか、ちょっとお尋ねします。
  18. 亀井正夫

    亀井参考人 五人で分担を決めておるかということでございますが、別に格別分担を決めておるわけではないのでございます。私が委員長で、そして加藤寛先生委員長代行ということで、私に事故があった場合は代行していただくということは決めておりますけれどもあとそれぞれがいろいろな経歴によって専門専門見解がございます。経済学者の方は経済理論から言われるし、運輸官僚経歴があった方、大蔵官僚経歴があった方、それぞれの専門知識はありますけれども、だから大蔵官僚の人は財務担当だとかというようなことは格別何も仕分けずに、幸いにいたしまして五人という小世帯でございますから、常にコンセンサスをつくる、そして一体で動くという考え方に立っております。
  19. 富塚三夫

    富塚委員 さきに、こういう「もう走り出しています。「国鉄改革」号」というパンフレットを国鉄再建監理委員会が出されて、前回五月でしたか、委員会のときに林さんにいろいろお尋ねをしましたが、それなりのPRをされるということだというふうにお伺いをいたしました。  この中にも出ておりますが、五十八年の八月に内閣総理大臣緊急提言をした中で、「経営管理適正化」あるいは「事業分野の整理」、「営業収支の改善および債務増大の抑制」という三つの柱があるわけですけれども、とりわけ「経営管理適正化」ということの問題についてどの程度実施されているか。あるいは監理委員会としては、管理機構の問題の見直しなどについて不十分ではないかという見解を示されているやにお見受けするのですが、私も見ておって、管理部門と言われるそういう分野の具体的な改革はどうも非常におくれておると思うのです。この点について一体どのような見解を持っておられるかお尋ねをいたします。
  20. 亀井正夫

    亀井参考人 「経営管理適正化」は、私も民間企業経営者でございますが、適正化ということをやると、これはなかなか百点満点ということはないわけですね。     〔委員長退席浜野委員長代理着席〕 しかし、民間経営管理をやっているのと、国鉄がやったような経営管理を見ますと、相当の差があるということは感じるわけです。  例えば、縦割り組織というものが非常に強い。昨年も指摘されましたけれども名古屋鉄道管理局管内で、社宅といいますか官舎といいますか、それをどんどん建てておられる。ところが、名古屋管理局全体では社宅は余っておるのに、工作局系統予算を取ったから建てておる。こういうことは民間ではやらないわけですね。全体として会社の社宅がどれだけプラス・マイナスでバランスしておるかということで社宅建設計画を立てる。そういうふうな縦割り組織の問題がある。  それから、管理職の転勤の度合いが激し過ぎる。これは最近相当お直しになったようでございますけれども、本当の事業経営というものは、現場の起こっておる事実を認識しなければ正しい管理者判断はできないのではないか。そういう面でまだまだ不十分な点がある、そういうことをさらに進めていただきたいということを要望しておるわけでございます。
  21. 富塚三夫

    富塚委員 基本的なことでお尋ねしたいのですが、五十八年八月の総理大臣に対する緊急提言提出されたということは、このことが具体的に実施されれば、分割とか民営とかという経営形態改革問題、つまりそういった国鉄の全面的な改革経営形態改革につながらないで済むというふうなお考え前提にあって提起されているのか、あるいはやるだけのことをやれという観点から提起されているのか、その点をちょっとお尋ねします。
  22. 亀井正夫

    亀井参考人 今まで一年勉強しました結果を集約して申し上げますと、結局、国鉄の問題というものは現在の形態でやるのは無理ではないだろうか、どういう方法があるかはこれからの問題でございますけれども、今のままの延長線上でやるということは基本的に無理ではないかという認識を持っております。  というのは、結局、この国鉄という問題、鉄道事業というのは、我々民間人の表現でしますと構造不況業種というテリトリーに入るところなんですね。そうすると、構造不況業種であれば変化に対する対応を敏速にやらなければいかぬということがあるわけです。電電公社の場合は、情報化時代の発展する事業でございます。全くその立場が違うわけでございまして、今までどおりの、既に全国独占でなくなったものが独占形態のような公社形態というものでやるのかどうか。あるいは私ども民間人で言いますと、結局官僚システムによって事業経営するということに根本的に問題があるのではないか。きょうは三塚先生ここにおいででございますけれども三塚先生も、国鉄がなぜこう悪くなったか、一番の根本は状況変化対応するのに一こま一こまずつおくれていった、それの積み重ねがここになったということを御指摘になりまして、私も全くそうだという感じがしたわけでございまして、いわゆる公社形態というもの、それから北は北海道から南は鹿児島の端までを一人のトップの人が総括するということが管理限界、いわゆるスパン・オブ・コントロールから完全に外れておる。いろいろ構造的な欠陥というものがあるのではないか。そういうものを基本的に直さずして延長線上でしっかりやれと言っても、解決はできないのではないか。こういう認識を私は持っております。
  23. 富塚三夫

    富塚委員 国鉄総裁お尋ねするのですが、恐らく地方の管理局長にお話しになったのは、こういった緊急提言を積極的に実施することが分割民営化させないことであるというふうにハッパをかけられたように思いますし、同時にそれぞれの機関なり各組合にもそのような決意を盛んに申し述べられた、今もその考え方は変わりはないのでしょうか。
  24. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 私、就任してまだ七カ月半ぐらいでございますが、その前に例の四原則という話があるようでございます。これは雇用を守る、組織を守る、年金を守る、賃金を守るということのようでございますが、これにつきまして大体原則としてずっとそういう話をしているようでございます。それで、その中で組織を守るという問題になるのかと思いますけれども、これらの点につきましては実際問題として現在国鉄再建監理委員会亀井委員長さんのところでいろいろ御議論になっているわけでございますが、その結果で総理答申されるという段階対応するということになるというのが法律的な、あるいは規定的なやり方ということだと思いますが、その前に我々といたしましても、今の公社の、今の管理局というような体制のままでいけるのかどうかということにつきましては、実務を預かる立場といたしまして十分検討する。今亀井委員長もおっしゃいましたように、非常に組織が大き過ぎるためにコントロールが非常に効かないという面も確かにあると思います。そういう点も含めて今国鉄の幹部の間でいろいろと討論をしているという現状でございます。
  25. 富塚三夫

    富塚委員 国鉄総裁前回委員会で御質問をした際に、記者クラブで講演をされた中で、これからの経営形態分割民営の問題、あるいは後でいろいろ修正されたり、あるいは訂正されたりされたように受けとめているわけですけれども、やはり地方で働いている皆さんはその十一項目なら緊急十一項目の具体的な施策を実現、実施することが分割民営ということを防ぐことになる、そのことを本社の側も、総裁の側も一生懸命ハッパをかけて一生懸命努力をした。ところが、いつの間にかぐらついてしまって、そうじゃなくなってしまったという意味の不信感というものがやはりかなり根強くこのところ出ているように私は思うのです。  一方、亀井委員長も申されましたが、この監理委員会はそれぞれの角度から問題点を摘出し検討する。三塚先生分割民営論賛成、こういう御本も書かれた。百家争鳴と言いますか、いろいろな観点からいろいろ議論されているのですが、一体国鉄改革問題をどういう手順で進めていくかということについて、そのプロセスといいますか、私はもっと議論をしてみる必要があるのではないかというふうに一つは思うわけです。  そこで、やはりこの国鉄経営者経営者らしく確信を明確に持って対処していただかなければならないし、あるいは運輸行政を担当する運輸大臣それなりの所信を持って対応していただいて、監理委員会結論と相まってどうするかということが相談されるのがしかるべきだと思うのですが、どうもそうじゃなくて、ぐらぐら、至る方面からそういう問題が出てくると働く人たちも極めて不安でありますし、あるいは国民も一体どうなるかという関心を寄せていると思うのです。  そこでお尋ねをするのですが、新しい形態に移行する前に解決しなければならない、改革を行うという前に解決しなければならぬという問題で、今監理委員長が申されましたように、長期債務処理の問題ですね、この問題について一体どのようにお考えになっているかをお聞きしたいのでありますが、私たちは、きょうは詳しく申し上げませんけれども、やはり今日のこういった経営悪化を招いた原因というのは、輸送構造の変化やあるいは国会政府の過度の関与による企業性の欠如や労使関係の不安定、あるいは年金、退職金、利子負担の増大などによるものだというふうに臨調答申でも明らかになっていますし、私たちもそういう観点では同感であります。  しかし、責任の所在はやはり政府にあるということは私は毎回申し上げておるのですが、政府の責任において長期債務を解決するということになるのが正しいと思うのですが、そういう点についての監理委員長としての見解はいかがでしょうか。
  26. 亀井正夫

    亀井参考人 この長期累積債務の問題は国鉄にとって大変な問題でございます。もうこれは御承知のように今年末で二十二兆円になる。これから先も二兆円ずつふえていく。そのほかに年金、退職金の負担もございます。膨大な金額でございまして、これをいかに処理するかというのは、国鉄解決の問題の非常に大きな問題である。  ところが、過去におきましても、昭和五十一年と五十五年でございましたか、二度にわたって合計五兆円以上の棚上げをした。これでよくなるということが、やってみた結果は、またどんどんふえて、それから十数兆、累積債務がふえてしまった。そうしますと、国民の方々も、それをやったからそのままでよくなるかということの信頼はないのではないだろうか。基本的にこれは民間の企業の場合で言いますと、やはり会社更生法的な手法によりまして、これは棚上げをするかわりに、こちらの新しい形態でしっかり稼ぐような体制にしますということでないと、御認識がいただけない。  私の認識は、もちろん政府の責任はございましょう。しかし政府に金があるわけじゃないわけなんですね。そこで結局は、これは国有財産という以上は、この二十数兆を超える金額というものはやはり国民のマイナスの財産である。何らかの形でやはり経済界に変動を起こさないように、具体的にはどうするか、これから知恵を絞らなければいけませんけれども、いわゆる更生計画的な手法によりまして国民各位が御納得のいく方法で、大きな影響を与えない方法でこれをどう処理するか、これにこれから知恵を絞りたい、こういうふうに考えております。     〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 富塚三夫

    富塚委員 高度成長期に民間会社の高度成長を支えるというために行った国鉄の高投資も一つはあると思いますし、それが結果として国鉄自体に収益をもたらした、あるいは旅客でもうけて貨物で損をするという運賃政策を長年とってきたことも御案内のとおりです。そうすると、民間企業のために国鉄は大分犠牲になってきたという側面があるのですが、一説によりますと財界の、法人税を引き上げることによって解決するという、そういう一面の議論というものはされたことがあるでしょうか。
  28. 亀井正夫

    亀井参考人 経済界が利得をして国鉄が損をしたのではないか、これはある見方から言えばそういう言い方のできる分野もあるかもしれません。しかし、基本的に私は、富塚先生も御承知でございますけれども、財界に属している人間で、貨物は赤だ、しかし、トラックの方はそれより非常に安い運賃で割合に便利にやっていただいておる、そうすると、コストの高いものに民間がやってやれるかどうかといろいろ問題があったわけですね。ですから、そういうふうに非常に単純な図式でこれは割り切れない問題でございますし、法人税というものは、現在実質税率は世界一高いわけです。これ以上そういうことをやって日本の産業——産業が働く人々に職を提供し、また生活水準を維持し向上させているという基盤があるわけでございます。それをだんだん弱める方策がいいのかどうか、そういうところも問題がある。これは私は、どうという結論ではございませんで、感想的に申し上げているわけです。そういうものをいろいろ総合して、いかなる軟着陸の方法があるかということについてこれから議論していきたい、こういうふうに考えております。
  29. 富塚三夫

    富塚委員 一日に三十八億円の赤字が出る、三塚さんの本にもそのことを明快に出されています。一秒当たり四万円である。しかし、三十五万人の職員で年間三兆円近い収入を上げている、一人当たりに換算すると九百万稼いでいるわけですね。これは民間の会社と比較をして私はそう違っていると思わない。  にもかかわらず、なぜこんなに累積赤字がどんどんたまっていくのか。金利の問題が相当なものであることも事実だと思います。そういう観点から考えますと、累積赤字の解決の仕方の問題について私は基本的には政府の責任において棚上げすべきだと思いますけれども、私もいろいろ検討してみましたが、一つ国鉄資産を全部政府に預けて解決をしてもらうという方法もあるだろう、あるいは国民の方に負担を求めるという再建債の問題、あるいは国鉄資産売却の問題、政府の補助の問題、三者がやる問題もあるだろう、しかし、とりわけ国民負担の問題では、私は財界の側に積極的に負担をしてもらうということがないとだめなんじゃないかとも考えている一人なんです。金利を棚上げするということが明確になってこないと再建という問題の展望は出てこないんじゃないか。仮に今回の累積赤字を全部処理したとしても、そういう問題になっていくと思うのですが、そういったことについての考えはいかがでしょうか。
  30. 亀井正夫

    亀井参考人 今一人当たり九百万冊の売り上げで大きな赤字が出て不思議だ、こうおっしゃる。私も初め、国鉄の問題を見たときにどうしてかという疑問が生じました。ところが今度現実を見てみますと、百円の運賃でコストがひどいところでは二千円、三千円かかるところもある。なぜこんなことを運営しているのか、運輸技術あるいは技術の進歩、いろいろありますから、それにもっともっと適合していって、人に働きがいのあるような仕事をさせるということの基本があったんではないかというふうに思います。  したがいまして、長期債務処理の問題につきましても、基本的に受益と負担の関係というものを過去のいきさつから明らかにするということも一つ必要でございましょう。それから、今政府の責任においてこの国鉄再建監理委員会ができたということは、私は政府の責任においてこれを処理するという態度を明確にされたことだと思うのです。政府といっても大変お忙しい、したがって、こういうふうな特別機関を置いてそれを検討してくれ、それを総理は尊重して実行したい、こういうことになっておるので、基本的に政府処理するというベーシックな態度はそこで確立された、これは国会も承認をされたというふうに思っております。  ただ、政府といったって金がそう降ってわくような問題ではないのです。それから、具体的にこの財産とこの借金とをどうするかどいうような具体問題につきましては、それぞれのつかさつかさ、あるいは基本的なプランというものに基づいてやらざるを得ない、そういうことで、私どもはそういう任務の重要性ということを認識して、しっかりとその辺のところをこれから一年勉強してまいりたい、こういうふうに思っております。
  31. 富塚三夫

    富塚委員 仮に長期の累積債務を解決したとしても、これからの国鉄のあるべき姿を想定しても、借入金の金利の問題が今後も大きな障害になっていく、私はそういうふうに思いますし、あるいは現実に債務を棚上げするというやり方の問題について、先ほど言いましたように、借金返済、金利の返済のためにこんなに働いておってもどうにもならない。そこがどうなんだ。それが問題ではないかということは、一方ではおまえさん方が働かぬからこういうふうになったんでは立つ瀬がないという一面があるわけでして、いわゆる政府のそういったこれからの累積赤字処理の問題については、やはり金利の問題をどうするかということを一つは明確に今後の問題として考えていただかなければならないし、同時にこの累積赤字解決の問題について、私たちも政府の責任だとは言っても、現実にはどういう解決の仕方があるか、国鉄自身もどういう努力をしなければならぬか、いろいろ検討してみたいと思うのです。思いますけれども、根本になるべきところの問題点をきちっと監理委員会が整理をしていただいて、今監理委員会ができたということは政府が責任を持つということなのだ、まさに委員長そう申されましたけれども問題点をやはり明確にして少し議論をしていく作風を、国会の場でも議論をさせていただくようなことを、ひとつ考えていただきたいというふうに思います。  次に、国鉄輸送の使命といいますか、私は全国ネットワークの問題について国鉄は非常に使命を大事にしなければならないだろうと思っている一人です。あるいは効率化の問題、経済性重視の問題、いろいろ出てきますけれども、特に公共性と企業性の調和の問題ということがこれからも大変議論されていくと思いますが、当面は再建の点、国鉄改革の点ではやはり企業性をどう重視するかという点に傾斜する一面があることは私も十分理解をします。しかし、今飛行機は満席です、そして高速道路も自動車、トラックでいっぱいです。国鉄は夏休みになってようやく多少乗客がふえるといった程度です。やはり陸海空の輸送の分野をどう調整するかということが大変な問題になると思うのです。これは運輸大臣の所管ですけれども、ある程度輸送分野をどう調整するかという点について、法律とか政令で明確にしていくようなことをしない限り私はだめだと思うのです。  そういう点で考えてみますと、モータリゼーションの発達の結果から今日の状況を見ると、新幹線あるいは在来幹線の大都市間の輸送あるいは通勤通学輸送などが国鉄の大きな使命になるだろう、あるいは貨物などは大型なり大量輸送問題に重点がいくであろう、そういうふうに思うのですけれども分野を調整していくという点について、やはり監理委員会側は明確な方針を打ち出していただかないと、これから先の改革は私は成り立たないのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  32. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいまの富塚先生の御意見は、大部分の点は全く同意見でございます。私がこの国鉄再建問題を引き受けたときに、現状の国鉄をどうするのかという問題ではなくて、二十一世紀に向けて鉄道が本当に国民に愛され、そして国民の財産として活用されるという体系ということを考えなければいかぬ。  そうしますと、交通手段というものが明治、大正の時代とは全く変革が行われてきた。そうすると、鉄道特性を発揮する分野においてはまだまだ鉄道が発展し、国民に便益を供給する余地はあると思います。今も御指摘のように、大都市通勤圏における通勤通学あるいは中距離輸送、そういうことでは大いに特性を発揮する、そういうことに持っていくべきではないかというふうに思っておりますが、その場合に、国鉄に沿って国道がばりばりできる、あるいはハイウエーができる、あるいはどんどん空港ができる、そういうバランスが、一体国としての政策がどうなっておるのかということで、建設省からは道路建設についての計画を、いろいろそれが交通とどうなのかという意見も聞きました。そうすると、自分たちは運輸の便のためにつくるのであって、これは道路建設計画に基づいてやっています。運輸省の方は航空関係それから船の関係それから鉄道、こういうものを所管しておる。そこの総合性はどこでとるのかというと、経済企画庁でやっておる。そこで、経済企画庁に二十一世紀に向けての国の交通政策を聞きたいと言ったら、まだ目下勉強中だから答えるのは勘弁してくれ、こういう状態にあるわけでございます。  私どもといたしましても、今度の問題を考える場合には、どうしてもそういうふうな輸送という観点から、二十一世紀に向けてどういう手段が最も適当であるか。しかも、鉄道につきましても、いわゆる新交通システムとかニュートラムシステムとかあるいはレールバスとか、いろいろ技術が進歩しているわけです。そういうものを総合して取り入れて、現在のような、何車両で何時間置きに幾らやって、そしてどうだというような考え方から離れた国民の足、それが公共性でありますから、最も利便のいい方法でどうサービスをするかというところに焦点を絞って経営計画を考えるべきではないか。  そしてもう一つ、余論を申し上げますと、全国ネットワーク論というものが非常に大切だというお話でございますけれども、これはかつての鉄道独占時代の理論であって、新しい交通手段ができてきたときに——今東京から北海道へ行くのに汽車で行くという人は非常に少ないわけなんです。皆飛行機でいらっしゃる。北海道の交通線を廃止してもらっては困るということで、各市町村の方が私のところへ陳情に来られます。何で来られましたかと伺ってみると、飛行機で来たと言う。せめてそこの線を残してほしいという人は鉄道を愛して、時間はかかるかもしれませんけれども、鉄道で来たからこれは何とかというならまだ私どもは人情的に、浪花節的ではありますけれども、感ずるわけでございます。あるいは関西におきまして、高砂線とか北条線とかそういうところを廃止するのをやはりお話しに来られた。私は大阪におってお目にかかった。汽車で来られましたかと聞いてみると、いやいや車の方が便利ですから、こういうことなんですね。  したがいまして、いろいろニーズに適合した方法というものを考えていかなければだめではないか。そういう意味において全国ネットワーク論というのは非常に訴えるものがあっても、これは過去の理論、新しい交通手段の総合性によるネットワークというものを考えて、鉄道だけのネットワークというものは非常に困難ではないか。どうも御意見に少し反しますけれども、私の感想を申し上げた次第でございます。
  33. 富塚三夫

    富塚委員 陸上交通の機関として国鉄を位置づける、省エネの問題、低公害あるいは高速大量輸送、通勤通学輸送、私は大事な役割だと思うのであります。全国ネットワークを、今どうも亀井委員長は、それは過去の考え方だというふうなことをおっしゃいましたけれども、こういった陸上交通の機関として仮に新幹線、九州から東京まで来る場合でも、あらゆる面で全国ネットワーク、一貫輸送体制というものが非常に重要な問題であって、そこを変えるということは間違いだと私は思う一人なんですが、その点はどうも監理委員長は、新しい総合的な視点に立ってのネットワークといいますか、自動車や船、飛行機を加味したそういう観点考えるべきだ、こういうふうに申されます。私は、鉄道の再建改革、そのことはやはり全国ネットワークを大事にしていくべきだというふうに思っている一人ですが、ここで論争をするつもりはありません。  それから次に、ほとんどの方が申されていますが、私鉄並みの経営にしていったらどうか、そういう議論があります。つまり日鉄法を改正して、いろんな多角的な経営ができるような段取りをしたらどうか、いろんな意見提起されています。私は、本当に私鉄並みの経営にできるのかどうかというのを疑問に思っている一人です。言葉の上では非常に易しいですね。しかし、そんなに簡単なものではないと思っている一人です。国鉄の場合には、公共所有でも公共目的でも公共主体でも、より広い範囲の公共性が要求されております。私鉄はそういう点は本質的に内容がちょっと違うと私は思っている一人ですが、この私鉄並み経営ということについて監理委員長はどのようにお考えになっておられるかお尋ねしたいと思います。
  34. 亀井正夫

    亀井参考人 私鉄並みの経営をやることが非常に困難ではないかという御意見、これはごもっともでございます。しかし現状、国鉄の今の働きぶり、これは甚だ失礼な言い方かもしれませんけれども、あれでいいのか、国民があれで納得をしておるのかということになると、大変な問題があるのではないだろうかという気がするわけです。そこで、私は形の上の問題ではなくて、国鉄の職員が本当に私鉄並みに働く気持ち、やる気を起こすというところが基本ではないだろうかと思います。  現状をいろいろ見ておりますと、私鉄といわず民間経営では考えられないようなことが行われておる。例えば昨年行政管理庁に指摘をされましたけれども、大阪駅で駅のプラットホームを掃除する職員が十人おった。それを外注に切りかえたら合理化になるというので外注された。ところが、その十人はどうされたかというと、掃除点検要員として活用しておる。外注のコストがふえるだけですね。あるいは三ノ宮駅の手荷物係を外注に切りかえた。それで今までの七人はどうされたかというと、それの監視要員にした。こういうことは、私鉄並みということではなくて、基本的に経済原則から反しておりますし、またその現場におる人も苦痛だと思うのですね。やはり一人前の仕事をやる、そして働きがいを見出す、そこに基本があると思います。そういう意味で、私鉄並みに働くという形をずっと持っていくというよりは、そういう気持ち、働きがい、生きがいを感じるように国鉄の職員がなっていただくということが基本ではないか、私はこういうふうに思っております。
  35. 富塚三夫

    富塚委員 問題は、その私鉄並み経営にできるような環境づくりをきちっと監理委員会なり政府がやれるのかどうか、監理委員会提起政府がそういう措置をやれるのかどうか、私は非常に疑問に思うのです。  以前に名古屋の駅に国鉄のホテルを建てる問題でも、中部の財界の皆さんは猛反対したんです。そういういきさつを私もよく知っています。東京駅前国鉄がビルを建てて経営する。寄ってたかって財界の側が妨害をするのではないかと私は思うのです。  今の国鉄の環境の中で、そんなに簡単に法律改正をして、私鉄並みにできると思ったら非常に甘いというふうに見ている私は一人なんであります。むしろ亀井さん、財界の大御所でもあるわけですけれども、財界の皆さん方が結果として猛烈に反対をするんじゃないか。できそうにないからやれやれ、こういうふうに言っている一面もあるんじゃないかと思っている私は一人なんですが、その点は明確に監理委員会が私鉄並み経営に踏み切っていくという法律改正その他をするという際には、あらゆる面でそういった環境づくりをきちっとしてくれるような対応をしていかないとだめだというふうに私は思うのです。恐らくそう簡単にできる問題じゃないのじゃないか。私も、私鉄並み経営を必要とします、恐らくそういうことの努力は必要だと思いますけれども、簡単なものではないというふうに思うのです。  それから、経営基盤というのは、今のように中央が集権的に大きくなって、地方の権限がほとんどない、そして管理者である方々も二年ぐらいでぽんぽんと交代をする。御案内のように赴任をして勉強するのは一年、自分の身の回りの人の名前を覚えるだけだってかなり時間がかかるのに、それが二年ぐらいで転勤したら、経営問題なんかに本格的に取り組めないわけだ。ですから、全国何カ所かに分けての地域的な経営基盤を確立するということは積極的に進めてみる、つまり、地域の地方分権といいますか、中央集権型から地方に権限を持たせて、私鉄並みの経営方式に変えることも一つ方法でしょう、あらゆる点の努力をしてやってみる必要があるだろう、こういうふうに私は思うのですけれども、そういう点で、どうなんでしょう、分割民営前提とするような方針を出すということよりも、具体的に一つ一つ実行に移せるようなそういったことの展望を、そういったことの体制をつくって実行に移していくというか、検証するというか、そういうことをやってみないと、絵にかいたもちのようになってしまうのじゃないかと私は思うのですね。  その点で、分割だ、民営だ、監理委員会はそれが使命だと言って、何か分割民営論だけ先に出てしまって、実態は電電専売とは違うと私は思うのです。電電専売法律を改正して、それなり改革をするという要素はいろいろ時間がたっていけばやれると思いますけれども、本当に現実に採算がとれるような経営形態に変えていくということになるならば、地域分権的な経営基盤を確立をして、私鉄並みにやれるかどうか、いろんなことを検証してみるという点で、三年なりあるいは五年なり、そういうことを具体的に試行をしてみるという中で最終的な経営形態論の問題を考えていくことがより現実的であろうと私は思っている一人なんですが、その点は監理委員長として、非常に問題点をとらえておられる点は私は十分理解ができるのです。一生懸命勉強をされてやられていることも敬意を表します。しかし、現実問題はそういうふうに簡単にいかないのじゃないか、私も長年、国鉄に育ってきまして、そういうことを実感として持つのですが、その点についてどうお考えでしょうか。
  36. 亀井正夫

    亀井参考人 先般、富塚先生が分権論というのを発表されまして、私は新聞で拝読いたしまして、非常に有力な意見であるということで、これからも勉強の資料にさせていただきたいと思っておりますが、ただ、かっても分権論が国鉄で行われて、支社制度を設けられた。しかし、公社という枠組みで分権をしても、基盤的な、例えば、人事、給与制度というふうなものが準公務員のところで、公労委のところで縛られるとか、あるいは予算というものが政府で縛られるとか、あるいは運賃については多少弾力はございましたけれども国会で縛られるとか、そういう形で分権をされても、あるブロックの地区の支社長は一体どれだけの権限があるのかというと、大変な問題になるわけですね。そうしますと、そういう公社という枠組み、これは外していくことをしないと、分権というのは実際上できないのではないだろうか、こういう問題がある。  そうしますと、この民営化というと一遍に株式会社になるのかというと、そういう問題ではございませんで、加藤先生の説によりますと、国有国営と、第三セクターによる所有と経営と、それから民有民営という九つのカテゴリーというのですか、分け方ができるというのですね。でありますから、いろいろそういうことで実際的に分権ということが——やはり私は、働きがいが本当に出てくる。働く人々というのは、自分の長がだれであるか、その人が自分の働きぶりをどれだけ見てくれておるか、評価してくれておるかということが非常に問題でありまして、恐らく九州の端におる方が、これだけやっておるのに仁杉総裁が認めてくれるだろうとは今のシステムはなってない。そういう意味で分権化というのは非常に有力な意見だと思いますが、それを実際上効果あらしめる枠組みというものをどうやるか、これについて現在、これから知恵を絞ってやらざるを得ない、非常に難しい問題だ、しかし現状のままではこれはますます悪くなる、どうしてもこれはやらなければいかぬということで、使命意識に燃えてやっておりますので、これからもこういう席ではなくて富塚先生からいろいろ個人的にもアドバイスなり、私より恐らく現場の事実なりいろいろなことはよく御承知だと思いますので、いろいろお教えをいただきたいというふうに思う次第でございます。
  37. 富塚三夫

    富塚委員 私も現在の経営形態の限界というものはそれなりに認めているのですが、だからといって、分割民営というものをぽんと出してきても、そんな簡単に改革できるとは私は思わないのです。だから、やはり地方ごとに、地域ごとに自治体の協力を求める、あるいは住民、利用者の協力を求めて独立採算制に近づけるような最大の努力をしてみる、私鉄並みの経営方式も検討してみて取り入れられるものは取り入れるということ、そこから出発して一定期間試行してみるということが大事なんじゃないか。そういう結果から見て最終的な経営形態問題の結論を出すべきだろう。  本社という機能は、運賃の基本を決めるとか、私は、ローカルでは負担と公正が原則であれば、住民が納得すれば、ある程度幅を認めていいと思うのです。やはりその地域において徹底的に討議をして、国鉄が採算をとれるような、そういうことができるようにして、中央は全く調整する機能だけに簡素化をしてしまうということで試しにやってみるということがどうかと私は思っている。これはぜひ御検討いただきたいという点で申し上げておきたいと思います。  それから、労使問題について三塚先生の本を読ましてもらうと、組合が悪いからこうなったし、組合考えを直さなくちゃいけないみたいなことを書かれているのですが、私もかつて七四年の秋にスト権ストというものを指導した一人なんですけれども、七三年の春闘で合意をして、一年半の期間に結論を出すと田中総理から、官房長官から書面をいただいて、倉石さんが、そして故山崎五郎さんが——福田派の中枢の面々ですよ、全部スト権をやります、三年間試行しますと言ってもらって始めたのが、三木さんが全然黙っちゃって何もできなかった。私はいずれ裁判でも証言するつもりなんですけれども、やはり当時は全部そういうふうに政府の環境もなっていたと思うのです。それはそれなりに労使の悪循環を断ち切っていこうという一つの成算でもあったし、ILOにおけるさまざまな条約の批准あるいは問題提起もあったことも事実です。  私は思うのですが、やはり本当に国鉄の労使関係というのは職場規律に問題のあることは認めます。それは認めるけれども、しかし職場規律がけしからぬ、けしからぬと言うだけで、そしておまえら働かぬ、働かぬというだけの問題じゃないと思うのですね。そこのところは、本当にあるべき姿の労使関係というものは、やはり労働基本権の問題を明確にしていかなければならないだろうというふうに思うわけです。  労使関係と労働基本権という問題についてどういうふうにお考えになっておるか、ちょっとお尋ねをいたします。
  38. 亀井正夫

    亀井参考人 この労働基本権というものはありますし、ILOの条約の関係もいろいろあります。ありますが、あのスト権ストをおやりになったときに、その後に基本問題懇談会というのができ、私も参画をいたしましたが、スト権を与える方角へ行く場合には条件があったはずでございます。やはり分割をして、そして公社形態からある程度脱却する、今の言葉で言えば分割民営化方角の線でスト権を与える方角へ行こうというのが大体あの懇談会の結論であったように私は記憶しておるわけでございます。そういう意味で、やはりスト権を全面的に与えていい事業、あるいは富塚先生も鉄道というのは高度の公共性がある、そうするとそこにおのずから公共性という面からの制約というものもあり得るということであります。基本権と言えばストがある、しかし、そういう諸般の任務なり諸状況においてそれがある程度規制される場合もあり得るのだ。  非常に素朴でございますが、私はそういうふうな認識をしておるのでございます。
  39. 富塚三夫

    富塚委員 ぜひ監理委員長にお願いいたしたいのは、非常にお忙しい方でありますことは私も十分存じ上げておるのですが、やはり国会の中で忌憚のない意見の交換をしてみることが必要だろう、運輸委員会に所属している先生方も運輸行政のベテランで、それぞれの所見を持っていると私は思います。ですから、ひとつできるだけ先生自身がお忙しいのなら他のメンバーの方々でも出ていただいて、何か公式的にぶつかり合ってやりとりなどという問題ではないと私は思うのです。これだけせっぱ詰まった国鉄改革というのは、どれだけ国民の共通の土俵につけるかという問題が非常に大事だと思うのです。その点で福家委員長にも今度積極的に監理委員会の先生方に出ていただくようにお願いをいたしたい。そういった意味で、もっと本当にフランクに議論をしてみるといいますか、やはりそういう中で問題点を詰めていく必要があるだろう、私はそういうふうに思っているわけです。  そういう観点に立って、運輸大臣あるいは総裁あるいは監理委員会にもぜひひとつ、何かばらばらになって国鉄はこうだ、監理委員会はこうだ、あるところはこうだ、みんないろいろな案を出し議論するのは今の多元社会の特徴であっていいと思いますけれども、もっと問題点をきちっと詰めていく必要があるだろう。重ねて申し上げますけれども、私は絵をかいてみたってそんなに簡単に再建の道筋に乗っていくとは思いません。やはり長い歴史があり、伝統があり、これだけのさまざまな変化をもたらした中での今日ですから、ぜひひとつじっくりと時間をかけてやっていくような方向をとっていただきたいということをお願いいたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わらせていただきます。  きょうはありがとうございました。
  40. 福家俊一

    福家委員長 今の答弁は要りませんか。  ただいまの富塚君の意見は、まことに委員長も、この会を開きまして、双方が土俵としてこの委員会で主張されることは非常に意義があると思います。特に当該委員会には経営者の代表ともいうべき河村委員もおられますし、また三塚君もおられますし、労働者の代表たる富塚君もおられるわけですから、ただいまの提言委員長は賛成です。今後こういう会をできるだけ開きたいと思いますが、運輸大臣いかがでしょう、御答弁願えますか。
  41. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 極めて重大な国民的な課題でございますので、十分な論議があらゆる場所で尽くされることを期待いたしたいと考えております。
  42. 福家俊一

  43. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今、運輸大臣お答えになりましたが、私も全く同感でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  44. 福家俊一

    福家委員長 亀井参考人意見いかがですか。
  45. 亀井正夫

    亀井参考人 大変な問題でございますから、各界の御意見を十分拝聴するということは非常に大事でございます。  ただ、私は民間人でございまして、こういうような格好でやられるのはなんで、むしろ個々にひざを交えていろいろお伺いするということの方が実際的であろうか。やはりこれは傍聴人がおられると本当の本音ではなくて格好の出る場合が私でもございますし、そういう意味ではもっと個々にいろいろなお話を詰める、その点には私はやぶさかではないつもりでございます。
  46. 福家俊一

    福家委員長 参考人のお言葉ですが、国民の選良として国会で堂々と論議されることが最も正しいと思いますので、三人三様の御意見委員会委員の希望わかりました。今後できるだけ開きましょう。  それでは、西中清君。
  47. 西中清

    ○西中委員 本日は、参考人、大変御多用のところ御苦労さまでございます。昨年六月の発足以来、監理委員会の皆さんには大変な御努力を続けていただいておるわけでございまして、心から敬意を表したいと存じます。     〔委員長退席浜野委員長代理着席〕  そこで、まず最初にお伺いしたいのは、八月初めにも第二次の緊急提言をされるというようなことが伝えられておるわけでございますが、この第二次提言では国鉄再建は今のような公社形態では困難であり、分割民営化以外にないという基本的な考え方を盛り込まれるようなお話でございますけれども、その点はどうなっておるのか。そして、もしもそうであるならば、そういった基本的な考え方に傾いてこられた背景、これについてまず御説明をいただきたいと存じます。
  48. 亀井正夫

    亀井参考人 第二次緊急提言を先ほど出すということを申し上げたわけでございますが、これには一年間勉強いたしました事実を踏まえた基本認識出したいということで、分割民営化ということをはっきり出すかどうかはまだ検討中でございます。これは新聞でそういうふうに報道されたのでございます。ただ、事実は先ほどからるる申し上げましたように、国鉄問題点について全国、北は北海道から南は鹿児島までを一人の人間で統括するというこのシステムに大きな問題があるのではないか、あるいは政治の介入というものが非常にやりやすく、それによって経営というものがいろいろねじ曲げられる、こういう問題もあるということ。あるいは地域の自治体のエゴというようないろいろなものが総合しておるわけでございまして、そういうものについての抜本的な改革をここでやらなければいかぬ。国鉄がここまで悪くなったのは、何が悪いというよりはいろいろな原因の複合体といいますか、いわば国鉄症候群である、そういう診断結果を出しまして、それを手術をするかしないかというのは、これからひとつ皆様方の御意見もお伺いをし、いわゆるオペレーションというのをどうするかというのはこれから出すわけでございます。基本認識を出す、それから当面これだけは悪くならぬようにやっていただいたらどうか、こういう問題も出すという含みで現在検討しておる、こういうふうに御認識をいただきたいと思います。
  49. 西中清

    ○西中委員 先ほどもお話を聞いておりましたけれども、北海道から九州まで一人のトップでは管理できないというような御認識もお持ちですから、そうなれば当然これは分割という感じが出てくるわけでございますし、また効率的な経営をするためには今の公社形態ではだめだ、こういうような御認識も伺っておったわけでございますけれども、こういった点で先ほどの話では九つのカテゴリーがあるというようなことで民営といってもいろいろな形態考えられる。そこを模索していらっしゃるということはよくわかりました。ただ、第二次緊急提言をお出しになる、その大体の骨格はどういう内容になるのか、伺っておきたいと思うのです。
  50. 亀井正夫

    亀井参考人 骨格といたしまして、これはまだ私の考えでございまして、委員会でまとまったわけではございません。大きく分けますと、二つの部分、ツーパートといいますか、というのは、一つは事実認識といいますか、勉強した成果で、こういうところに病原がありますといういわゆる診断を出す。それから第二は、当面それについての本格的な治療方法といいますか、これは後に出すけれども、当面そういう本格的な治療に耐え得るだけの体力を養ってもらうためにはこれだけのことをやっていただいたらどうだろうか。そういう中に、先ほども質問ございました。地売却の問題もありましょうし、管理機構適正化の問題もありましょうし、そういうものを、具体的な問題としていろいろ提起をしたい、こういうふうに考えておりまして、抜本的なところへいく入り口論、こういうふうにお考えをいただいたらどうかと思います。
  51. 西中清

    ○西中委員 第二次の褒言をお出しいただくわけでございますけれども、そうしますと、昨年八月の第一次提言というものはその前にあったわけでございますから、これはいろいろと国鉄改革のための、再建のための一つの条件づくりというかそういう感じがするわけでございます。  そこで、国鉄としても、政府としてもそれなり対応をやってきたと私は実は認識をしておるのですね。多くの項目が出ておりますけれども、それに対応して、それなり努力を労使ともにやってきたことも事実だと思います。私は、そういう評価をいたしておるのですけれども、二次を出すためには、やはり一次の評価がはっきりあるのじゃないかと思うのですけれども、この一次提言に対して、一年間努力をしたその実績、こういったことについては、どのような評価を監理委員会としてなさっておるのか、伺っておきたいと思います。
  52. 亀井正夫

    亀井参考人 一次提言にいろいろな項目を出しました。その中で、完全に、例えば地域別運賃の導入の問題であるとか、あるいは職員管理、特に管理職の大事についての取り扱いとか、いろいろな面で、国鉄当局は、特に仁杉総裁になられてから非常な御努力をしておられるということは評価しているわけでございます。  しかし、何と申しましても我々民間経営者から考えますと、何分ずうたいが大きいので、総裁がこう命令しても、実行にいくまでになかなか、スローモーションですか時間がかかる、そういう点で私どもは幾分歯がゆいというふうな感じも持っておるわけでございます。ただ、方角としては、非常にまじめに努力をされ、特に私が感銘を受けておりますのは、先ほども申し上げました、国鉄職員に、やる気を起こせ、そして国民のサービスに徹しよ、こういうことを徹底して末端まで今やろうと努力をしておられる、こういう点には非常に高く評価をしております。
  53. 西中清

    ○西中委員 大臣は、第一次提言に対する評価はどうなさっておりますか。
  54. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 私は、第一次提言に対しては、国有鉄道としてはできるだけのことは対応しておると思います。もちろん、完全に一〇〇%できておるというふうには考えませんけれども、かなりな程度で、合格点ぐらいはいただける程度ではなかろうか、そういうふうに判断をいたしております。  個々の一つ一つの問題については、お尋ねがあればお答えいたします。
  55. 西中清

    ○西中委員 短時間でございますので、お聞きはちょっと遠慮しますけれども、今、国鉄、これはもう破産状態と言っても言い過ぎじゃないと私は認識しておりますが、とかく話題が暗いので、やはり評価すべきものはしてあげる、そうしなければ、やっている国鉄も、また働いている人たちも暗い話ばかりで本当に士気が上がらない、これでは再建再建のかけ声はあるけれども、それだけではだめだなという感じがいたしておるので、今お伺いしたわけでございます。したがって、第二次提言をいただくわけですけれども、やはりだんだん厳しい状況になると思いますけれども、長期的な展望に立って本当に国鉄再建するためのステップとして力があるものを出していただきたいというように御要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、経営形態、先ほどから議論がありましたけれども分割民営がどうこうというそういう議論の前に、しかも再建の大きなハードルとしては、一つ長期債務及び年金の負担、こういった問題、さらには新聞をにぎわしておりますけれども、余剰人員の問題等々の大きなハードルがあると思うのですね。  そこで、長期債務と年金についての質問でございますけれども、先ほどから伺ってはおりましたが、重複いたしますけれども、もう一度お伺いしておきたいと思うのです。  国鉄は現在二十二兆円に上る長期債務を抱えておるわけですけれども、この処理、これはどういう処理をなされるかということは、民営であれ、公社形態であれ、またほかの形であれ、いずれにしても、これは避けては通れないわけでございまして、今日までも委員会としても相当な議論をなされたと思うのですね。これは今日までの審議の経過はどういうようなことになっておるか、伺っておきたいと思うのです。  いろいろ伝えられる中で、とりわけ私が少し気になっておるのは、経営形態改革論議と一体としてこれはお考えになっておるのか、すなわち、ワンセットとしてこれはお考えになっておるのか。それとも、国鉄本来の基本問題としてこういうものを切り離して、経営形態と切り離してこの問題を処理しようとしておられるのか、その辺のところを伺っておきたいと思うのです。
  56. 亀井正夫

    亀井参考人 この長期債務の問題について、いろいろな議論がございます。これが大変な重荷だからこれを棚上げ、そうすれば国鉄はよくなるのだ。ところが、これで本当の御納得がいくかというと、先ほども申し上げましたように、過去に一度あるわけですね。五兆円棚上げして、あのときにはあのときで身軽になった。それでよくなるかというと、だんだんふえてきた。そうすると、この二十数兆というふうなものを、これの金利負担でも現在、一兆二千億、まだふえていくと思いますが、少なくともだれが、どこで、どういう形で負担するかという問題になると、いわば会社更生計画と同じでございまして、新しい形になってここはしっかりやります、そして何年かすればそれはお返しできるようにしますから、これはしばらく辛抱してください、これでないと、国民なりあるいは賢明なる国会の先生方の御承認も得られないのではないか。  そこで、それをどうするかということについて、現在いろいろ苦労しておる。どうやるかということについて、まだ名案があるわけではございません。非常なこれは難しい問題。ただ、考え方といたしまして、新形態になる場合に、この二十数兆の問題を分析しますと、負担のあれからいいますと、累積赤字から出た問題もある、赤字がだんだん積もる。それからもう一つは、建設によって、いわゆる建設国債的な要素のものもある。それから年金とか退職金とか、これもまた国鉄の異常な人員構成からくるひずみというものもある、そういうふうな原因別の仕分けが一つあるのではないか。それから、今度は処理する方角といたしましては、それをどういうふうに、例えばこれの借金というものが財政投融資から出ておる、あるいは民間の鉄道債の問題、いろいろありますから、それを仕分けてどういうふうにしていくか。  しかし、いずれにいたしましても、日本の経済界に大きなショックを与えない方法で、しかも国民負担の荷重が多くならないような、いろいろ諸条件がございますから、非常に難しい問題でございまして、問題点だけはわかっておるけれども、どの方向でやるかということは、これから本当に慎重なる審議を詰めていかなければいかぬ、こういうふうに思っております。
  57. 西中清

    ○西中委員 今ちょっと触れていただきましたけれども、いわゆる年金の問題でございますけれども、これはてこ入れがなされまして、六十五年までは一応の確保をなされておるわけでありますけれども、やはりこれは積み残された大きな問題でございます。これはまた国鉄の財政を圧迫しておるわけですが、この年金負担金の問題についてはどのような議論で行われておるのか、方向性はどういうような方向に向いておるのか伺いたいと思います。
  58. 亀井正夫

    亀井参考人 年金も、これは働く音あるいは年金受給をされておる人には非常に大きな問題でございます。しかし、非常に膨大な負担、特に成熟度が非常に進んでおる。そこで、私どもがつらいのは、電電公社の場合は発展産業である、国鉄の場合は構造不況業種である、したがって、新しい経営形態になってもそういう大きい負担をやらされては恐らく新しい形態も立ち行かぬであろう。すると、これをどういう方法で——新しい形態負担は軽くして、しかも受給者には大きなダメージを与えない方法でということで解決をしなければいかぬ。長い年月をかければ、やはりこれは厚生省で国民全体の年金問題として、国鉄が今当面の問題でございますけれども、高齢化社会に向けて、二十一世紀になればこれは恐らく年金の今の制度では全体に大きな深刻な問題になる。そういう路線に沿って何かうまい解決はないものかということをこれから掘り下げて勉強したい、こういうふうに思っております。
  59. 西中清

    ○西中委員 次に、余剰人員の問題でございますが、余剰人員の調整策というものが先ごろ国鉄当局から出ておるわけでございまして、一時帰休の導入であるとか関連企業への出向であるとか、勧奨退職制度の手直しによる退職促進、大体この三つの柱で、いわゆる三本柱でございますけれども、そういう対策が提示をされております。国鉄当局によりますと、今年度当初で二万四千五百人、来年度には二万八千人から三万人というような余剰人員が出てくるというようなお話でございます。この問題はやはり国鉄職員にとっては雇用不安という問題につながっておるわけでございまして、極めて重大な問題だと認識をいたしておるわけでございます。一方、輸送需要という点からいくと、そういう方向は避けられないのじゃないかという認識も十分いたしておるわけですけれども、この余剰人員というものについては委員会としてはどういうことを御議論なさっておるのか、そして将来どこまでこの余剰人員というものが出てくるというふうにお考えになっておるのか、その辺のところを伺いたい。これは国鉄の方にも伺っておきたいと思います。
  60. 亀井正夫

    亀井参考人 当面二万四千五百人の余剰問題が出まして、国鉄当局におきまして労使で話し合いをし、いかなる解決をやられるかということで進んでおられるわけでございます。これは当面の具体問題の解決は国鉄当局でおやりになることでございますが、私どもはこれから先の国鉄経営形態なり国鉄再建考えた場合に、一般に言われております私鉄並みの生産性、これも難しいじゃないかという御議論もありましたが、これでいきますと、今のは、今の体系のままで仕事がなくなったから余っておるということなんですね。今度は、うんと生産性を私鉄並みに持っていったら相当の人数が余る。これは三塚先生の御本には、現在の三十万体制が二十万体制というような御意見も出ております。私どもはそれが幾らの数がという結論がまだ出ておるわけではございませんが、相当の人がさらに余るということは予想される。しかし、私も長年労働関係を企業でやっておりまして、働く人々の生活の安定あるいは職業の安定が非常に必要なものであるということは重々知っておるわけでございます。  したがって、基本的には雇用の場をいかにしてつくって確保していくかということに全面の努力をしなければいかぬのじゃないだろうか。しかし、基本は、一般に言うようにワークシェアリングで二人の仕事を三人でやらせるというと、当面楽なようであっても一人は行く行くは苦痛になってくるわけですね、先ほどの掃除監視要員のような例で。でありますから、仕事を探す、これは民間経営では鉄綱でもだんだんと新しい仕事を生み出す。場合によっては、うまくいきませんでしたけれども、ウナギの養殖までやるというふうないろいろな仕事をやらせる。そういう意味で、やはりこれは単に国鉄だけの問題ではなくて全国民的課題として、国鉄の職員に働く場をいかにつくり出していくかということに全力を挙げることによって解決すべきではないだろうか、こういうふうに考えております。
  61. 太田知行

    ○太田説明員 余剰人員の問題は、一つには合理化をどのぐらい行うかということと、もう一つはいわゆる自然退職人員がどう推移するかということの関連性からとらえられるわけでございます。まず、その前段の合理化の方につきましては、輸送量の将来展望が極めて厳しいというふうに考えざるを得ないということ、そしてまた、いわゆる効率性ないしは生産性をもっともっと厳しく上げていかなければいけないということからいきまして、今後とも合理化をさらに推進する必要があるということが言えると思います。一方、退職人員の方につきましては、いわゆる労務構成、人員構成の方が峠を越しまして自然退職人員が少なくなっていく傾向がございますので、今後とも余剰人員の発生は続くという前提で物を考えていかなければいけないというふうに考えている次第でございます。  当面二万四千五百人、それから本年度の合理化を完遂いたしますれば、現状のままで推移、自然退職人員に特段の変化がないと推定すれば二万八千ないし御指摘のような三万という規模の余剰人員を抱えることに相なりますので、ただいま一方においては活国策を講じつつ、一方においては調整策ということで三本柱を組合側に提起し、交渉に入っているところでございます。いずれにしましても、まずもって自助努力を行うということが先決であるということを覚悟いたしまして、当面その努力をしている次第でございます。
  62. 西中清

    ○西中委員 国鉄にお伺いしたいのですけれども、この二万四千五百人という余剰人員は地域別なり系統別にはどういうようになっておるのか、お伺いをしておきたいと思うのです。
  63. 太田知行

    ○太田説明員 二万四千五百人の発生してまいりました構造でございますけれども、主たる原因はやはり貨物の輸送量が激減したということ、もちろんそれだけではございませんで、旅客の輸送量もまた微減でありますが減少しつつあるということ、全般的に業務のすべての分野について効率性ないしは生産性を厳しく見詰め直す必要があるというようなことが関連しているのでございますけれども、何といいましても基本的な要因は貨物の輸送量の変化によるものでございます。したがいまして、貨物のウエートの高かった地域ほど余剰人員の発生している割合が多いわけでございまして、その貨物の大宗がかつては石炭であったということと関連いたしまして、地域的に申し上げれば九州地区、北海道地区におきまして余剰人員の発生が多うございます。それからさらに、五九・二ダイヤ改正におきまして貨物のシステムを抜本的に見直しまして、特に大きなヤード、操車場でございますが、これを廃止いたしましたり、あるいは貨物列車用の機関車や貨車の両数を減らしたというようなことがございますので、北海道、九州に続きましては操車場の多い地区、それから貨車関係の機関区や工場の多かった地区ということでございます。やはり大阪地区、首都圏地区というところがそれに続くわけでございます。  そういう次第でございますので、概して申し上げれば、二万四千五百人のかなりな部分は、私どもの方の分類でいきますと、貨物営業にかかわった部分と、いわゆる運転関係でなかんずく貨物にかかわりのある分野から発生しているということは申し上げられると思います。ただ、地区別にというお話もございましたが、これも積み上げてはいるのでございますが、ただいま本社、本部におきましていわゆる三本柱の調整策についてトータルとしての議論をしております。私どもは十月十日までにこの議論を詰めて実施に入りたいと希望しているわけでございますけれども、十月十日実施という事態に相なりますれば、文字どおり全部個別具体的に問題を展開していくということになるのでありますが、現時点においてはトータルの問題としてとらえておりますので、段階を分からまして地区別のデテールについての御報告は御容赦いただきたいというふうに存じている次第でございます。もちろん、十月十日以降実施段階に入りますれば、それはもう細かく事柄を具体的に展開して進めてまいりたいと存じている次第でございます。
  64. 西中清

    ○西中委員 地域別、系統別の人数が出せないというお話でございますけれども、先ほど来のお話のように来年度は三万人になるだろうというお話、そしてそれはまた続くだろうというお話、こういうことを考えてみますと極めて重大な雇用問題ということになってくるわけでございます。  先ほど北海道、九州というようなお話がありましたけれども、もしも一定の地域にこういう余剰人員が集中してくるということになれば、やはりこれは対応考えていかなければならないんじゃないかというように思うわけです。ですから、これはひとり国鉄の問題というよりも政府全体としても考えていかなければならぬ問題だというように認識を実はいたしておるわけでありますが、こういう点について雇用問題、また地域経済への影響ということを考えますと何らかの対応をしていくのが当然だと思うのですけれども、大臣はその点いかがお考えでございますか。
  65. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 非常に重大な問題でございまして、当面は国鉄が先般発表しました対策で対応していくことになるということだと思いますが、今お話しのように、また太田常務理事からの御答弁にもありましたように、この問題はやや長期的に続くと見なければなりませんし、量的にももっと大きくなるという可能性を含んでおりますので、政府がただ国鉄労使に任せておくというわけにはまいらない問題に発展してまいっておる、少なくともそうなってくるというふうに認識をいたしております。したがって、それに対しては過去に石炭等の問題あるいはいろいろな構造不況業種について政府がとったいろいろな態度もございます。そういった点をいろいろ考えまして、政府としまして十分これに対応していく必要がある、かように考えておる次第でございます。
  66. 西中清

    ○西中委員 この点については監理委員会の方でも十分な御配慮で建設的な御意見出していただきたい、御要望しておきたいと思います。  それで、調整策三本柱というものがございますけれども、働く人にとっては大変厳しい内容だというように認識を実はしておるのですけれども国鉄としても何らかのねらいがあったと思いますが、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  67. 太田知行

    ○太田説明員 三つ、それぞれおっしゃるようにねらいがございますが、まず最初の退職勧奨制度の見直しのことでございます。  伝統的にずっと長く五十五歳を節目にしてやめてもらうようにということで制度の仕組みができております。そこの仕組みは変えないのでございますが、制度の編成に伴いまして六十歳まで割り増し退職金の対象にするというふうに拡大してまいりましたが、今日この事態に至りましては、五十六歳以上の職員については全体の雇用を守るという立場で後進のために道を譲っていただきたいということを考えまして、五十六、七、八、五十六歳以上の職員については退職時における、五十五歳ほどではございませんが、何がしかのインセンティブをつけておりましたのを廃止しまして割り増し退職の対象ということだけは残す、逆に言えば、それ以外の制度は全部廃止をして、その年齢層の諸君の退職を慫慂したいというふうに考えている次第でございます。  それから、二番目の依願休職の方につきましては、これはやってみないとわからないのでございますが、私どものねらいといたしましては、特に若い職員、二十代前半の職員の間にはかなり、世の中がいわゆる資格時代といいますか、いろいろな多彩なあるいは多方面にわたって能力を身につけていきたいという機運があることを受けまして、そういうものに対する欲求、願望があるやに我々推定しております。しかもまだ二十代前半の諸習であれば今後の生活もまた長く将来春秋にも富むわけでございますから、そういうことを考えまして、例えば専門学校、専修学校、ごく先般の調査でも大学進学率よりは専修、専門学校への進学率が高いということも聞いております。二年ないし三年の期間在籍しながら、例えば不動産鑑定士の資格を取るとか税理士の資格を取るとか会計士の資格を取るとかということで非帯に多彩な才能を身につけて帰ってきてもらって、また国鉄自体もいろいろな方面に事業範囲を拡大し、それが雇用の創設効果もねらう必要があるわけでございます。そういう面で活躍してもらいたい。それは本人にとっても将来深みのある人生を送る一つのきっかけになるのではないかというふうに考えております。この点についてぜひ若い職員が希望を出してくれるように望んでいる次第でございます。  また、派遣につきましては、これは随分前から言われていたのでございますが、フロントサービス、接客業務につきましても、国鉄という閉鎖的な社会の中ではこの世の中に通用するような水準になかなか到達し得ない、ぜひ世間からノーハウを教えていただく必要があると言われておったのでございますし、我々も痛感しておったのでありますが、要員の事情がタイトでございまして、なかなか実行できなかった。今回こういう機会に例えば接客関連業務について出向して二年とか三年とかそこで勉強してきて、そのノーハウを戻ってきて生かすといったような形で、これは場合によってはローテーションをつくってもよかろうかと存じますが、これは今私はフロントサービスの例だけを申し上げましたが、国鉄のいろいろな意味で、それにとどまらず全般の領域におきまして世の中の水準、ノーハウを導入できる一つのきっかけにすればまたプラスの面に作用するのではないか。どっちかと言えばやはり中年層かと存じますが、そういう層からの希望が出ることを期待している次第でございます。
  68. 西中清

    ○西中委員 委員長にお伺いをしますけれども、先ほど来のお話で分割の色彩が非常に濃いというふうに感じておるわけでありますけれども、例えば北海道というものを考えた場合、これは民間の手法で経営を合理化してやったとしてもなかなか採算は難しいのじゃないかという認識を実はしておるのです。そうなると、仮に分割民営ということになったとしても、やはり国の補助がなければとてもじゃないけれどもこれは成り立っていかない地域ではないかというように判断をいたします。こういうことは議論の中では、ある程度地域によっては助成はやむを得ないというような話はあるのでしょうか、どうなんでしょうか。
  69. 亀井正夫

    亀井参考人 今北海道の御質問でございましたが、北海道は現在九百億の収入に対して三千七百億の赤字が出ておる、これはもちろん累積債務の利子負担もございますけれども、これを民鉄並みに運賃を上げ、あれしてもバランスをとるのはなかなか難しいな。  そこで、今御指摘のように議論が二つございます。北海道という特殊事情で補助を与えるべきかという議論もございますし、もう一つは内部補助というものも今まであるわけです。ところが、国鉄で内部補助というために、三塚先生御指摘のように東海道新幹線にもっと投資すればもっと国民が喜ぶのにほかのところへつぎ込むためにいけない、しかし、もう少し狭い範囲で内部補助方式をやるというふうないろいろな組み合わせというものが考えられるのではないか。いずれにいたしましても、北海道において鉄道特性がはっきりする分野はどうしても残さなければならない。これをどういう形で経営が成り立つように残すか。しかし、今では北海道の方に九百億の収入で三千七百億の赤字ですよという事実を言うとびっくりされるわけですね、そんなむちゃくちゃですかと言う。そういう意味では、赤字がどう減っていくかということもある程度の分割をすることによって出てくるメリットでもなかろうか。いろいろな観点からやっておりまして、まだ確たる結論が出ていないというふうに御認識をいただきたいと思います。
  70. 西中清

    ○西中委員 次に、国鉄経営改善につきましては、全施労だとか勤労であるとか、また鉄労の方からそれぞれ経営改善に関する提言意見をお出しになっておりますね。これらの提言を眺めてまいりますと、自分たちの職場を守らなければならぬという切実な、そしてまじめな提言もうかがえるわけでございまして、こういう提言はやはりそれなりに私は評価をいたしておるのですが、委員会としてはどのような評価をお持ちであるか伺っておきたいと思います。
  71. 亀井正夫

    亀井参考人 鉄労が先般の大会で決議をされました。私は非常に感銘を持っておりまして、基本的な問題についてはまともに正鵠を得た議論出しておられる。こういうものを参考にしながらやっていきたい。あるいはまた、三塚先生の御意見も、新聞報道によって知る限りでございますが、分権化の方向というものを出しておられる。共通的に全般といたしまして、現状の延長線では国鉄再建は難しい、何かの抜本的な方法が必要であるという空気は醸成されてきた。そういう意味におきまして、各界の御意見、特に国鉄の中で働いておられる方々の御意見は十分尊重しながら勉強していきたいというふうに思っております。
  72. 西中清

    ○西中委員 先ほど、国会議員等々いろいろ懇談を今後もやりたいという非常に前向きの姿勢を見せていただいたわけでありますけれども、どういう経営形態であれ、その中で働く人たちの十分な理解、協力がなければ、これはうまくいかないのですね。ですから、今回の調整策についても慎重に取り組みをしていただきたいのですけれども、同時に、ぽこっと結論が出て、働く人たちが目玉をむくような結果が突如出てきたということであっては、これは後々非常に悪い影響、尾を引いていくのではないかというふうに私は心配いたしておるのです。したがいまして、我々国会議員も当然お願いをしたいのですけれども、建設的な意見出しておられる組合に関しては、またそれ以外の方でも結構ですけれども、いずれにしても、働く人たち意見監理委員会としてもまた聞いてあげる場所というものを積極的にお持ちいただけないものだろうかというように私は考えておるのですが、どうでございましょうか。
  73. 亀井正夫

    亀井参考人 今までも委員会組合の代表の方においでいただきまして公式にも聞いておりますし、またそういう公式の場でなくて、個人的に、亀井個人と国労、鉄労の代表の方個人と本当にひざを交えて本音を伺う、こういうようなことは今までもやっておりましたし、これからも十分やっていきたいというふうに思っております。
  74. 西中清

    ○西中委員 御希望が非常に強いようでございますので、大いにひとつ推進をしていただきたいと思います。  これで時間が参りましたので、最後でございますけれども、今、産業界は大変な改革のときだと私は見ておるわけですが、いずれにしても、鉄の時代は終わったと言われるように、付加価値の高いものをどんどん取り入れていこうという意欲的な動きがあるわけですね。先ほど委員長から、国鉄構造不況業種であるという御指摘がありましたけれども、確かにそういう一面はあるというふうに私はにらんでおります。経営者の御経験のある委員長としては、輸送事業だけで民間に移して本当に改善できるのかどうか、またそういった問題とあわせて、私は前からの持論でございますけれども、関連事業について拡大をしなければならぬ、これは雇用問題とあわせて大いにやるべきだという意見を持っております。しかし、現在法律で縛りをかけておるわけですから、自由にはできないわけですね。ですから、私はこの法の改正をしなければならぬということを主張を続けておるわけですけれども、これはなかなか前向きにいっておりません。  いずれにしても、そういう時代の変化と、一方で法律的な縛りがあるという一面、こういうところで幾らかけ声をかけてもそういった面の進展が見られない。こういうことで私は非常に残念だと思っておるのですけれども、この点についてはどのようにお考えか。  同時に、土地の利用という問題も先ほど出ておりましたけれども、これは再建の大きな足がかり、基盤となるものでございますから、売ればいいというものではないと思うのです。今売却をしましても、膨大な国鉄赤字から見れば本当にどこへいってしまうのかわからぬというようなことでございますね。しかし、これは利用方法によっては大変な価値を持ってくる資産だと思うのです。これのはっきりした位置づけを監理委員会からやっていただきたいなと私は思っておるのです。むしろ売るよりも、将来これをというよりも、直ちにどんどん利用して直接国鉄の収支にいい影響を与えるようなシステムに変えなければならぬ、こういうふうに私は考えておるわけでありますけれども、いかがなものでございましょうか。
  75. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいまの御質問、まことにそのとおりでございまして、事業範囲の拡大につきまして現在縛られておる。そうすると公社の枠組みをどう変えるかという問題に触れてくるわけでございまして、私は当然鉄道事業及びその関連の範囲を——このごろはそれぞれの産業が結晶体からアモルファスの非結晶という格好へ移りつつある時期でございますから、国鉄再建についてもこの結晶体から非結晶体、アモルファス化ということは当然考えている。  それからもう一つ資産処分の問題については、非常に大きな問題でございますが、なるべく早い機会に我々委員会といたしましてはこれについての明確な原則といいますか、原則的考え方を打ち出したいと思っております。
  76. 西中清

    ○西中委員 時間が参りましたので終わります。  委員長、御苦労さんでございました。以上です。
  77. 浜野剛

    浜野委員長代理 河村勝君。
  78. 河村勝

    ○河村委員 亀井委員長にお伺いする前に、さっき亀井委員長の発言の中にありましたことを国鉄にちょっと確認しておきたいと思います。  国鉄総裁でなくても結構です。太田常務理事、さっき亀井委員長が、大阪駅の掃除要員を、掃除を請負に出したらそれに充当していた人間を監視要員にして残した、それから三ノ宮駅では手荷物を請負に出したら、これまたその要員をそのまま監視要員として残したという御指摘がありましたが、本当にそんなことがあったのですか。
  79. 太田知行

    ○太田説明員 五十五年度末から五十六年度の初めにかけまして荷物の合理化をやりました際に、一種の要員のバック方式として監視要員をかなり配置する取り決めをした事実がございまして、これはその後見直しております。具体的な数字は私ただいま掌握しておりませんが、見直しをしておりますので、全般的にその辺の改正は進んでいると確信しております。  それからホームの要員も、いわゆるホーム近代化ということで見直しをしました際に、監視要員ということで保安と監視という意味を含めて何がしかを配置したように聞いておりますが、これもまた見直しを進めているので、そういう事態はないものと承知しております。
  80. 河村勝

    ○河村委員 事実そんなことがあったのでは、これは外に向けていかに合理化に努力をしていると言ったって通用するはずじゃない。これは五十六年度のことですから、最近の話ではないと思うけれども亀井委員長にそこまで指摘されたんじゃこれはもうおしまいだから、ひとつ頑張ってほしいとお願いをしておきます。  亀井委員長、本当に御苦労さまでございます。国会は余り愉快なところではございませんが、お見えになったのですからちょっとの間おつき合いをいただきたいと思います。  さっきからお話を伺っておりますと、これまでの委員会検討を通じて国鉄に対する事実認識はまず完全にできた。そこで八月上旬に緊急第二次答申ですか、中間的なものを出したい。そうして民営分割というのは、これは決まった話ではないけれども、大体そういう方向で結論を出すことに相なろう、大体こんなような筋だと思いますが、そう理解してよろしゅうございますか。
  81. 亀井正夫

    亀井参考人 緊急答申のお話でございますが、第二次につきましては一年間の事実認識に基づきまして診断した結果といいますか、ここに病因があるということは明確にはしたいということでございまして、具体的な提言は、先ほども申し上げましたように、来年本格答申出しましたときの大きな病気を治すための手術をやるためのいろいろ事前の準備という意味での徹底した合理化を進めていただきたい、その中には雇用対策の問題とか用地の取り扱いの問題とかいろいろなものを具体的な問題としては提言をしたい、こういうふうに考えております。
  82. 河村勝

    ○河村委員 五十九年度予算をつくるときに委員会として運輸大臣からの諮問を受けて意見をお述べになった。それで五十九年度予算ができているのでありますが、この五十九年度予算の中身を見ますと、大体国鉄の抱えている病根といいますか、民営にするにしても分割をするにしてもこれだけは処理しておかなければならぬものが明らかになっているように思います。職員給だけで千百六十六億、二万八千九百人の合理化、これは民間に比べても相当な合理化の速いスピードだと思います。物件費も五百億余り合理化をしておりますね。にもかかわらず、運賃収入が、どんどん輸送量が減るから大体それと帳消しになるぐらい。そこで運賃値上げをしなければならない。同時に特退手当なんというのは、これは普通の企業なら平準化してするものですから、これはもうちょっと勘定の仕方があるのだと思いますが、結局は赤字が千百億以上出て、しかも、その赤字を国からの借金で穴埋めをするという形になっておるわけですね。この五十九年度予算をごらんになって、一体、委員長としてはどういう感想をお持ちですか。
  83. 亀井正夫

    亀井参考人 これは民間から見ましたら、民間企業経営の者であのバランスシートを見ましたら、もうこれは完全な破産状態ということだと思います。といいますのは、年商売り上げが三兆円、これがだんだんと微減でございますが逓減する傾向にある。そして借金がその七倍からある。こういう状態でございますから、これはもう本当に抜本的な治療をやらなければどうにもならない。しかし、当面そう言ってもなかなかうまい案がすぐ出るわけではございませんから、昨年の九月には、借金はできるだけその借金幅を減らすように、それから赤字幅を減らすように努力をしていただきたい、そういう意味でむだな投資をやめるとか合理化を進めるとか、いろいろそういうことをアドバイスとして申し上げるということでございます。
  84. 河村勝

    ○河村委員 近く第二次答申をお出しになるそうでございますが、そこでは六十年度予算についても赤字幅を減らすように努力せいというようなことになるであろうというお話でございましたね。今、国鉄経営者はもちろん職員でも、おまえたちはもう経営をやっていく適格性はないんだ、だめだからいずれ分割民営をしてしまうんだ、だけれども当面これだけのことはやれというような形でございまして、余り士気が上がるような要素は一つもないんですね。おまえたちが努力したら先行きこうしてやるというような話があれば別だけれども、さっぱりそういうものはなくて、ただ赤字を減らせということだけでは、これは今非常な窮境に追い詰められているから一生懸命やっているけれども、やはり総体としての士気は上がらないわけですね。ですから第二次答申をお出しになるのでしたら、やはり本格的な答申までは時間が、答申をお出しになるのは来年の八月といたしましても、本当に民営とか分割に移行するとしても、それまでにはかなりの日数を要するのですから、その間に少しでも赤字を減らすために必要な措置、構造的な原因を取り除いていってやるというのは、やはり委員会一つの責任じゃないかと私は思うのですが、その点は委員長は一体どうお考えですか。
  85. 亀井正夫

    亀井参考人 先生の御指摘のとおり、全く私は個人としてはそういう感想を持っております。ただ、労働組合の幹部の方にいろいろ個人的にも聞きますと、とにかくいまのではどうにもならぬのだ、先に何とか希望の持てるようなシステムをつくってくれ、これは私は真剣な話だと思うのです。でありますから、私は今の枠組みの中で非常に努力をしておられるのは認めますけれども、とにかくその枠組みというものが、もうこれは万々河村先生の方がよく御承知で、今ある人によると、手足を縛ってプールで泳げというような状態だということですから、こういうことを抜本的に改正するということが本当の国鉄再建の道ではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  86. 河村勝

    ○河村委員 抜本的再建が必要であること、それから分割民営になることも、分割のやり方については私もいろいろ意見がございますけれども、それ自体には私は賛成です。ですけれども、それに至るまでも、もうちょっと張り合いのある仕事ができるように障害を除いてやるということは必要なので、例えばさっきから話に出ております余剰人員ですね、今二万四千五百が来年は二万八千から三万になってしまう。これは長期に続くわけですね。ですから、これを一時帰休制度その他いろいろやっておられるけれども、そういうものでこれは——そう言っては大変一生懸命交渉をやっている最中に水をかけるようでぐあいが悪いのですけれども、これがそう一遍に片づくことは難しいのでありますけれども、少なくとも一時帰休なりあるいは関連企業へ出向したりする枠を広げて、少しでも助けになるようなことはやってやらなければいかぬと思うのですが、一体第二次答申で関連事業も凍結ではなくてもう少し積極的にどんどんやって吸収に努力しろというようなことが言えないものか。  それから、時間の関係もございますから一緒に申し上げますけれども赤字借金で補う、これが国鉄を悪くした一番大きな原因だと私は思うのです。国鉄の方ももちろん悪いに決まっておりますけれども、もし赤字補てんを他のフランスとかドイツとかイギリスのように国の予算そのもの、現金で穴埋めをするというルールであったならば、そうすればどこかで壁にぶつかって、もうだめだから何とか合理化しろという話になって、もっと合理化のスタート、徹底した合理化、手術に取り組む時期が早かったはずですね。ですからこの際、来年度予算でも少なくともその赤字補てんは、国鉄借金を増加するという形でなしに、赤字を補てんすることを講じろ、これが二つ目。  それからもう一つは、運賃収入は恐らく民営にして経営努力をやったって、全体の趨勢からいってそう伸びるものではございませんね。ですから、ときどきには運賃値上げに頼らなければならぬけれども、もう大体限界ですね。来年やるといったって無理な話だと思います。私鉄との競争力から考えて、都市近郊なんか無辺ですね。ですからこの際、これは運輸大臣の仕事になるんだろうと思いますけれども、擬制キロを採用するくらいのことは早目にやってしまった方がいいのではないか。地域別の擬制キロは委員長も御存じだと思いますが、改組に至るまでの間にそういう抜本的な改善をするためにやるべきこと、こういうものを第二次答申でもってぜひ出していただきたいと思いますが、どうお考えでしょう。
  87. 亀井正夫

    亀井参考人 三点、御質問がございまして、まず第一の雇用問題でございますが、これについては二万何千人の問題が国鉄の問題と申し上げましたけれども、私はこれだけの人が遊ぶということはやはり大きな国民的課題であろうと思います。でありますから、私どもといたしましてはもちろん国鉄に関連事業拡大なりいろいろな御努力を望むことも出したいと思いますが、むしろ政府並びに国民各位にこれが非常に大きな問題であるという世論喚起の訴えをやりたい、こういうふうに考えております。  それから赤字の問題につきましては、ヨーロッパの各国の諸例を申し上げまして、私も十年前までにこういうシステムであれば国鉄の悩みは今ほど深くなかったであろうという感じは持つわけでございますが、ああいうふうにやれと言っても、何といいましても国の財政自身が破産状態でございましてどうにもやりにくい。しかも、先般加藤先生がドイツ、フランスに聞きに行きましたら、年々予算で埋めておるけれどもドイツの財政もそれができなくなる、もう既に過去の二年間は国鉄赤字はそのまま積み上げさせておる、だから日本でうまい案ができたらぜひ教えてほしい、こういうことでどうも余り諸外国の例も勉強にならないということでございまして、その中でどうするかということを考えていかなければいかぬ。  それから運賃の問題につきましては、地域別にコストを反映したものを導入されたことは両期的なことでありますが、これより先にももっといい知恵があればそれを導入して、受益と負担のバランスを全般的な公平感からもう少し是正するという方角のことは御意見として申し上げたい、こういうふうに思っております。
  88. 河村勝

    ○河村委員 私も赤字を国から現ナマで補てんしろというような無理なことを言うつもりはないのですけれども、少なくとも国鉄借金をふやすような形では穴埋めをしないというくらいのことはこの際やっておくべきではないかという意味で言ったのです。今私が申し上げたこと、運輸大臣もお考えがあるでしょうから、ちょっと伺っておきたいと思います。
  89. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今亀井委員長からの御答弁もございましたが、何といっても国有鉄道の単年度の赤字を、今五十九年度ですが六十年度の予算をつくるときに最小限度に縮めるためにどうしたらいいかということが一つの問題、とにかく赤字をふやさない、少なくとも借金をふやさないということがやはり一番大切だと思うわけでございます。その点はおっしゃるとおりでございまして、いずれ何とかするからその間はどんどんふえてやむを得ないという行き方は、これはもう感心した行き方ではないと私ども、非常に残念に思っております。したがって、その面についての努力予算編成に当たって十分したいと思いますが、何にいたしましても、傾向としまして一般会計予算というのは非常に窮屈なものですから、その関係で、遺憾なことですけれども問題を先送りするという状況になっておる。来年になれば長期債務の問題をどうせ根本的にやらなければいかぬのじゃないか、もうすぐのところに来ているのではないかという感じが率直なところないわけではございませんので、それはもとをとめておいて、決まった累積債務について対策を立てることの方がよりベターではないか、私はこう言って、政府の中では主張しておるのでございます。なかなか思うようにまいりませんが、努力はしてまいります。  それから、運賃の問題につきましては、ことし初めて今までになかったようないろいろ制度を取り入れましたが、六十年度についてどうするかということはまだ決まっておりません。できるならば、引き続いて毎年やるということだけは避けたい、私はこう考えております。ただ、制度の問題としては、おっしゃるように擬制キロの問題を初めいろいろな点がございますが、運賃改定があろうがなかろうが、考え直すところは十分考え直していく必要があるのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
  90. 河村勝

    ○河村委員 最後に落ちつくところは、結局長期債務をまず片づけるというのが前提になってしまうわけです。これを片づけるのは容易な方法ではありませんが、臨調の答申では、まず新しい会社には日本国有鉄道を残して、そこから出資をしてその会社が成り立つようになったらという意味なんでしょうか、その株を民間売却をしてそれで長期債務の償還をやるんだという構想が書いてありましたが、委員長はそういうことは成り立つと思いますか。
  91. 亀井正夫

    亀井参考人 なかなか難しい問題でございまして、現実論として実行可能なものをこれから検討していきたい。しかし、いずれにいたしましても、焦点は経営形態をいかにするかという問題、長期債務の問題をどう処理するか、それにあわせて労働問題、この三本を並行して整合性のあるものをつくりたいということでせっかく努力をしていきたい、そういうふうに存じております。
  92. 河村勝

    ○河村委員 民営に移行するということは私は原則的に賛成なんですけれども、今の私鉄は本体といっても大抵のところは不動産会社なんかを別にしている、鉄道事業の中にも不動産関係なんかをつくったりなんかして、そこの収益でカバーをしているのが大部分ですね。鉄道本体では私鉄といえども成り立たないという状況にあるんじゃないかと思いますが、どう認識をしておられますか。
  93. 亀井正夫

    亀井参考人 全く事実はそのとおりで、東急さんに伺いますと、東急グループの中で鉄道事業は一割であと九割は鉄道附帯あるいは関連のいろいろな事業をやっている、それで成り立っておるんだというお話でございます。そういう意味で、鉄道だけでペイするということが国民の要望であれば、やはり諸物価体系の中で運賃というものの見直しが必要でありましょう。あるいは自由なる経営形態において一つのフリーエンタープライズとして成り立つためには、事業範囲を拡大する。いろいろ総合的見地から出すべきでありまして、これは国民コンセンサス、良識でなるほどこの程度だなというところに持っていくのが必要ではないか、こう考えております。
  94. 河村勝

    ○河村委員 そうなりますと、民営にしましても結局国鉄に少なくとも私鉄並みに働かせるのと一緒に、私鉄並みに仕事の幅を広げなければ成り立たないということになるだろうと思うのですね。そうすると、いかに分割しても膨大なる国鉄、例えば九州を分割しても九州全土にまたがる国鉄が私鉄並みに何でもやってもよろしいということになるとこれまた大変なんですが、国鉄民営にしてどの辺までやらせるという構想は現在はお持ちなんでしょうか。
  95. 亀井正夫

    亀井参考人 その辺の構想はこれから詰めるところでございまして、逃げるわけではございません、目下勉強中でございます。  企業経営で一番大事なことは、私の経験によりますと、企業の目標というものをはっきりさせて従業員が全部それに結集してやる気を起こす、その体系にすることが一番根本ではないか。そうなり得るには現在の国鉄というのは余りにも目標がぼやけてしまって、一線の人とトップの間のコンセンサスというものがない。そういう意味で、全体が目標を一本にして、やる気を起こす体制というものが基盤ではないだろうか、こう考えております。
  96. 河村勝

    ○河村委員 やる気を起こすことが一番大事なことは当然ですが、もちろん国鉄そのものに縦割りの弊害というものがあることは私も多年経験をしてよくわかっておりますが、だんだんと合理化そのものについては意欲が出てきておるわけですね。ですから、本当は目標が決まれば、これだけやれば黒字になるんだという岡安があれば、今の体制だってかなりのことはやれるんですよね。だけど、今のところは幾ら働いたって赤字が積み上がるばかりで、合理化しても、しても赤だという状態ではなかなか気勢が上がらないわけですね。だから、私が言いたいと思いましたのは、それは分割民営結構でございますが、それに至るまででもその目標を与えること。今国鉄自身じゃ目標をつくりようがないのですよ。だから監理委員会もやる気を起こせ、起こせというだけでなくて、ぜひ何か一つの目標を設定して、ここまでやればおまえのところは合格だぞというものをお出しになる必要があるのではないか、そう思うのです。いかがでしょう。
  97. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいまの河村先生の御意見、全く同感でございまして、そのとおりにこれから努力をしていきたい、そういうふうに存じております。
  98. 河村勝

    ○河村委員 さっきお話がありましたのでちょっと申し上げますが、北海道について内部補助方式というようなことをおっしゃいましたけれども、これは分割に対する矛盾じゃないのでしょうか。だから、むしろ北海道というのは民営じゃ成り立たない。それを率直に認めたようなもので、補助を受ける民営なんというのはないでしょう。そうであれば北海道なんというのはむしろ北海道開拓鉄道、北海道というものはそういうものだと思いますよ、私は。そういうふうに割り切って分割をするならするという方がより合理的ではないかと思いますが、いかがでしょう。
  99. 亀井正夫

    亀井参考人 私は考え方をいろいろ申し上げたわけでございまして、内部補助というのは、ですから民間企業でいえば、この製品はもうからないけれども、こちらのもうかる製品と一体化して売れるという場合にはこちらの赤も我慢する、これが内部補助。国鉄の内部補助というのは非常にあいまいな格好になっておりますが、そういう意味では、ある分け方によってはこちらの赤はできるだけ減らして、こちらの黒で埋めるというふうなこともあり得るのではないか。今三島分離論とかいろんな議論がございますけれども、そういうものにとらわれずに弾力的な分け方、またみんながやる気を起こす分け方というものはどういう方法があり得るかということを目下検討中ということでございます。
  100. 河村勝

    ○河村委員 私の持ち時間が終わりましたので、これで終わります。  どうかひとつ、なお一層御検討いただいて、よき答申出していただくように心から切望いたしまして、質問を終わります。
  101. 浜野剛

    浜野委員長代理 梅田勝君。
  102. 梅田勝

    ○梅田委員 共産党・革新共同の梅田勝でございます。  分割民営前提としたように、現在国鉄再建監理委員会の方で御議論、また検討が行われておるように伺うわけでございますが、これは非常に重大な問題でありまして、私どもは、そもそも国鉄が今日の事態に立ち至った根本原因を解決することなしには国鉄の生きる道はないのじゃないかと思っておるわけでございます。  そこで、儀我壮一郎さんという学者がおられますが、「現代安企業改革の国際比較」という論文を書いておられますけれども、その中におきまして「日本の国鉄のような「赤字安企業」の場合には、第一に、私企業によるクリーム・スキミング、すなわち、良いところ取り的、つまみ食い的な状況を生む可能性が大きい。この種の民営化が行われるならば、財政上の補助金支出負担は逆に増大する。」、こういうような議論もなされているのであります。北海道にいたしましても、九州にいたしましても、四国にいたしましても、三つの島を分割して経営するにいたしましても、赤字が出るというのは、現在全体がもう赤字なんでございますからはっきりしておる。そういうところには補助が必要だ、そして、もうかる首都圏については黒字でやっていける、もしこういう形で今後分割民営をした場合の補助のあり方として、実際に経営をやる場合に、経営努力もありましょうが、国が補助をしていかなければならぬということになりますと、現在よりも助成はむしろふえるんじゃないかと思うわけでございますが、この点につきましてはどのようにお考えでしょうか。
  103. 亀井正夫

    亀井参考人 分割民営前提だとおっしゃいましたが、私ども基本は、国鉄の現状をいかに立ち直らせ再建するかということが目的でございまして、分割民営というのは一つの手法であり、これは臨調の答申でありますので、それを一応下敷きに置いて検討するということで、もっとベターな方法があればベターに行きたいと思いますが、現在の認識では分割はどういう形がいいか、あるいは今の公社という枠組みからいかに外せばいいかということが解決のキーではないかと思っております。しかし、補助という問題は、やはり再建をした以上は長期債務の問題、年金の問題を総合して解決する場合には、新しい形態というものは補助がなくて独立できる、一挙にはできぬでも、そういう体制になり得るという形をどう考えるか、これは理想に過ぎるかもしれませんが、そういう形でなくてはならぬのではないか、こういうふうに私は考えております。
  104. 梅田勝

    ○梅田委員 臨調の基本答申は、分割会社が受け継ぐ長期債務というものは、合理化を前提とはするが、その元金及び利息を支払い得る範囲内のものとするというように、もともとげたを預けているわけですね。ですから、いろいろ合理化の努力もなされると思うわけでございますけれども基本国民の足としての国鉄をいかに守っていくか、こういう前提で御検討いただかないと国民の期待に反するのじゃないかと私は思うわけであります。 そこで、同じように監理委員会のメンバーの一人でございます加藤寛先生の「行政改革国鉄再建」という論文を拝見いたしますと、最後の方に「分割民営化はやったとして成功できるのかという批判が出てくる。たしかに、そういう予測がすべてできて、完全でなければ実行できないというのが、国家の考え、つまり公社の考えであると私は思う。」ということを述べられまして、「私たちは予測できないことにも経営力を発揮することによって乗り切るためには民営化が望ましい。」、非常に危ないんだが、ここは民営によって切り抜ける以外にない、こういう私どもからいたしますと少々乱暴な議論がなされているように思うわけでございますが、この点は亀井委員長はどのようにお考えですか。
  105. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいまの加藤先生の御意見というのは、私はつぶさに伺ったわけではないのでそれを批判するわけではない、感想を申し上げたいと思いますが、経営形態はどうあるか、あるいは理想的にいろいろやっても民営化したらたちまちもうかってよくなるか、そういう問題ではない、形よりは私は基本は魂の問題だと思うのですね。ですから、本当の魂がこもってこれで本当にやれるんだ、そうすれば働いただけ生きがいがあり、働きがいがあり、報われるんだ、こういう体系をどうこしらえるかということが私個人としては根本的問題である。民営の企業は大体そういう形に今なっております、全般として。そして公社形態は、言っちゃいけませんが、親方日の丸といいますか、働いたってそう報われるわけじゃないんじゃないかというようなことが非常に多い、こういう傾向があるということは否定できない事実ではないか、私はこういうふうに思っております。
  106. 梅田勝

    ○梅田委員 しかし、国鉄の労働者はただ単に親方日の丸というような、そういう甘い考えではないと私は思うのですね。労働の生産性におきましても、国営企業で、鉄道の部門におきまして、日本の国鉄労働者ほど非常に生産性を上げている労働者はないと思うのですよ。非常によう働いていると思うのです。  先般、私は向日町の運転所を見学に行きましたけれども、そこに働いている労働者に直接伺いまして、運転のダイヤの勤務日程、これはもう大変に緻密ですよ。従来から国鉄労働者ほど長時間労働で、不規則勤務で、そして賃金が安い、こういうところはないと言われるぐらいによう働いておるということでありますから、国鉄の労働者が遊んでサボってはかりおるみたいなことは、私は慎んでいただきたいと思うのであります。  首都圏のように黒字経営ができるようなところ、あるいは東海道新幹線だけに限って言えば、そういうところは確かに大変な生産性を上げて黒字も出ておる。こういうところは民営でやれば非常に簡単ですね。民間資本も大いにやりたいということになりましょう。しかし、今国鉄で一番大事なことは、全体としての膨大な赤字長期債務、こういったものをどうするかということが国鉄再建の一番の問題ではなかろうかと思うわけでございますから、その点の決着をつけることがやはり先決ではないかと私は思うわけであります。  しかし、六月二十八日の参議院の国鉄問題の集中審議におきまして、委員長出席されておっしゃっておるわけでございますが、「日本国有鉄道というものは国民の財産としてあるものであるこということで、レールも財産だが、しかし借金の方もマイナスの財産だ、こういうことで「この借金というものは、そうするとやはり国民のマイナスの財産である。原因はいろいろあるにしろ、これを処置する、政府処理しろ、国が処理しろということは、結局は直接間接、国民負担をしなけりゃいかぬという問題になるわけであります。」とかようにおっしゃっておるわけでございますけれども、これを突き詰めていきますと、結局のところは増税のような、あるいは増税を含むような相当の荒療治をやらないとこれは解決がつかないというようにお考えなのか、そこらあたりお伺いしたいと思います。
  107. 亀井正夫

    亀井参考人 梅田先生は国鉄の職員が非常によく働いておるという認識でありますし、私どもはあるものと比較すれば生産性は低いではないかという見方、これはいろいろの見方があるわけでございますが、私が現場をいろいろ視察しましたときにはっと思ったこと、その一例を申し上げますと、なるほど非常に汗を流して働いておられるけれども、その効果たるや非常に薄いことをやっておられる。新鶴見の操車場を見に行って私は驚いたんですが、あそこでマウンドから時速四十キロでやるのに、車両をやる職員の人は飛び乗って、そして飛びおりて非常に危険な作業をやっておる。ああいうのは誘導無線を導入し、新しいシステムをやればそういう危険な作業をやらぬでも済んでおる。ところが、これはなぜかというと、労使関係のいろいろな反対とか、合理化反対闘争とかあってできなかった。いろいろのことがあるわけでございまして、いろいろな見方がありますので、これで私は別に異を唱えたり論争するつもりはございません。  そこで、本題の長期債務の問題について、私が参議院の運輸委員会で申し上げました国鉄借金というものは、やはりこれは日本国有鉄道、国有鉄道でありますから国鉄国民の財産である。そうすると借金もやはり国民の財産ということになる。そうすると、これの利息というものはどういう形で負担するのか、あるいは借金というのはどうなすのかというのは、これは政府の責任であるなら、政府というものは国民が選んだものでございますから、そういう意味で長期的に見ればやはり国民国民の生産の結晶によってなしていくということにならざるを得ない。しかし、増税というようなものは簡単に言うべきではない。増税には国民も非常にアレルギーがございます。でありますから、それをどう大きなショックを与えずに国民コンセンサスを得て、そして国鉄が再生できるようにするか、そこに私どもの知恵を絞らなければいかぬところがいろいろありますし、私どもの任務の重要性があるというふうに認識をしておる次第でございます。
  108. 梅田勝

    ○梅田委員 民間活力ということが言われているぐらいですから、企業とりわけ大企業にはそういう力があるんじゃないか。そういう点では租税特別措置法などを再検討して、国家の責任において国鉄の危機を救う手段というものを考えなければならぬというように私は思うわけであります。これはこれ以上の論争はしません。  鉄建公団が非常にたくさん借金を抱えておることは御存じかと思いますが、昭和五十七年度末におきまして三兆五千六百九十億円、六十年度末になりますというと約四兆円になるだろうと言われておりますが、そのときになりますと国鉄は二十四兆円の借金ができる。これはもう一体にして考えないと国鉄再建というのはいかぬわけですね。鉄建公団は勝手に——勝手と言うたら語弊があるかもしれませんけれども、どんどんつくってそれを国鉄が引き受ける。青函トンネルのように合意もなしにつくってそして後で押しつける。これではやっていけないと思うのであります。これは一体のものとして処理しなければならぬと思いますが、いかがでございましょう。
  109. 亀井正夫

    亀井参考人 鉄建公団の問題は、仁杉総裁はかってその総裁であられまして、その方が知識がお深いと思うのでありますが、国鉄と鉄建公団というのは一体不離の関係にある。しかし、具体的には青函トンネルの問題なり、また本四架橋の問題とか、あるいは特別東北線をつくった問題とかいろいろございますから、私ども国鉄再建考えるわけでございますけれども、やはり鉄建公団の問題を切り離してなかなか考えにくい、それから相関関係において総合的に考察をしたい、こういうふうに考えております。
  110. 梅田勝

    ○梅田委員 昨年末、第一次緊急提言が出されたわけでございますが、時間がございませんので、これに関連をいたしまして二つの点を御質問申し上げて終わりたいと思いますけれども一つ資産処分ですね、これは監理委員会としては売却優先ということを要求されておるようでございます。しかし、これは簡単にはいかない問題でありまして、例えば埼玉から東京へ入ってくる通勤新線の問題につきましても、なかなか車両基地が土地の確保ができないということで一つぶつかっておるということにございますように、これは将来、委員長がよく言われる二十一世紀を展望した交通ということを考えました場合には、これは省エネで一番大量輸送機関としては優秀な鉄道、中距離は非常に有効だ、しかし遠距離と言ったら飛行機だというのだけれども、都市というのはずっとつながっているわけですから、ここからここへ行くだけじゃない、AからBへ行き、BからまたCへ行き、CからDへ行く、こういう方法があるわけでありますから、結局鉄道としては全国ネットワークにならざるを得ないということでありまして、どこだけを切ったらいいということにならないものでございます。ですから、簡単に資産売却をして、将来二十一世紀に、あああれは置いておけばよかったなということになりかねないと思うのでありますが、委員長の常々言っておられる二十一世紀を展望した交通ということから見て現状はどうなのかということが一点でございます。  いま一点は運賃の問題でございますけれども、先ほど来議論がありましたように、国鉄の助成金が四年連続カットになりそうだということで、来年度予算で大蔵省はそういう方針を出しているということで、読売新聞にも「国鉄、来年度も値上げ 六%程度を考慮」というように書いているわけでございます。しかし、第一次提言を出されましたときには、「運賃改定については、他の輸送機関との競争関係等を考慮して、基本的には慎重に対処する必要がある。」というように提言で述べられたわけですね。ところが、去年その提言出して、ことしは値上げをした。来年も値上げたというように財政当局は考えておるし、国鉄もそうせざるを得ないんじゃないかというように考えておられるかもしらぬわけで、そうなりますと、監理委員会としての緊急提言観点国鉄に対する情勢の分析というのが甚だ甘いんじゃないかと思うのであります。第二次提言が近く出るそうでございますが、一体どのようにされるおつもりですか。これを申し上げて私の質問を終わります。
  111. 亀井正夫

    亀井参考人 まず第一の資産処分の問題でございますが、監理委員会として売り急げというようなことはちっとも言っておりません。これはやはり国鉄の非常に大事な財産でございますし、一つは前にも申し上げましたように、これからの新しい経営形態になった場合に活用すべき土地もある、それからいろいろ長期債務処理のために充てなければいかぬ問題もあるということでございますから、慎重に対処することの方が正しい。ただし、現在の国鉄が金繰りが非常に苦しい、借金をふやさないためには、将来とも必要のないところは売って、千六百程度をことしは処理する、それは迅速にやりなさい、こういう意見を申し上げたわけでございまして、その辺ひとつ御理解をいただきたい。  それから運賃の問題についてでございますが、昨年の提言では地域別運賃制というものの導入を申し上げました。これは国鉄の運賃法におきましても、運賃は物価対策とかいろいろありますが、一つ大事な点は、コストを償うものであることという原則がちゃんと入っておるわけであります。でありますから、例えば東京圏の通勤であるとコストは半分ぐらいだ。ところが地方の方へいくと百円の運賃で五百円とか千円のコストがかかっておるところがある。そういうところは、やはり一遍にそこまでは直せなくても受益と負担の関係を明確にしていく、こういうことが国民の公平の原則というものに適合していくのではないかと思っておりますから、具体的にどう言うかはさておきまして、そういう方角国鉄当局で運賃問題を研究していただいたら結構だ、こういうふうに考えております。
  112. 梅田勝

    ○梅田委員 反論もしたいのですが、全国一律運賃、賃率をとっておったわけです。我が旧忠法は法のもとで平等ということになっておるのですよ。過密過疎、国土の地理的状態、そういうものを考えたら今の御議論は納得いきませんが、時間でございますので終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  113. 浜野剛

    浜野委員長代理 この際、参考人一言お礼申し上げます。  亀井参考人には、大変御多用中のところ御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
  114. 浜野剛

    浜野委員長代理 引き続き、梅田君の質疑を許します。梅川君。
  115. 梅田勝

    ○梅田委員 今も再建監理委員長に対して分割民営化問題につきましての御質問をさせていただいたわけでございますが、この問題は非常に重大でございまして、財界は国鉄分割民営という問題につきましては非常に意欲を燃やしております。相当金も使っているのじゃないかと思うのです。先ほどキャンペーンをせないかぬと言っておられましたけれども、相当のキャンペーンもなされておるようであります。  ここに、「あなたの問題・国鉄改革分割民営化はなぜ必要か」というパンフレットが行革国民会議というものによって出されております。行革国民会議は皆さん御承知のように昨年にできたものでありますけれども、財界のメンバーが土光さんを先頭にいたしましてずっと顔を並べております。それから臨調第四部会の委員の方々も、例えば岩村さんでありますとか高橋さんでありますとか屋山さんでありますとか、いろいろ臨調答申を出されたメンバーの方々もこの中に加わっておられるわけであります。ですから臨調そのものがこのパンフレットを出して、我々の意向はこうだということで推進しておるように理解しても余り間違いがないのじゃないかと思うわけであります。  その十四ページから十五ページを開いていただきますと、「地域に根ざした経営へ」という問題が出まして、「全国一本の中央集権的な組織から地域分割の方向へ」という問題が提起されているわけであります。ここのところを読みますと、私は、なぜ分割民営をやろうとしておるかという財界の本音がちょろりと顔を出しておると思うわけであります。「たとえば現在二、五〇〇億円もの赤字をだしている北海道のようなところを、いきなり民営にせよといってもそれはムリな話。最初は国の援助を受けながらスタートするしかありません。」、国の援助が必要だということを書いておるわけです。それからその次、「一方、首都圏のような大都市では当初から黒字が予想され、分割民営化への移行もスムーズにできるでしょう。」、これは何ということですか。今は国鉄全体でプールでやっていますから、新幹線なんかはもうかった、在来線はそのために損したわけですから、そっちの赤字を埋めるということになっておる。これは別々になったらどうなりますか。大変なことですよ。もうかるところは財界は食い物にして、もうからなかったところの地域の会社は国が引き続き補助金を出さなければならぬということになれば、差し引きしたら補助金はふえるという関係になるわけであります。国鉄総裁、これはどう思いますか。
  116. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今梅田先生からの御指摘でございますが、これは行革国民会議がお出しになったものでございまして、今亀井委員長も申し上げましたように監理委員会そのものも結論出しておりませんが、我々といたしましてもまだ結論出しているということではございませんで、今議論を重ねているという場合でございます。それで、こういう考え方が入るのか入らないのかということにつきましても我々はまだ十分討論をしておりませんので、今これがいい、悪いというようなことを申し上げる理由はございません。
  117. 梅田勝

    ○梅田委員 私は国鉄総裁にわざわざこれを聞きましたのは、国鉄が解体されようとしているときにこういう意見が出てきておることについて腹が立つのか立たぬのかという問題を聞きたいわけです。そんな補助金がどんどん出てくるようであれば、何も今の国鉄経営できるじゃないですか。もちろん、いろいろな欠陥は是正して、そして能率的なものにしていかなければならぬと思いますが、私は国鉄総裁の苦労を思って言ってあげているんだから、そこのところはもうちょっと考えていただきたいと思うのでありますが、大体これは財界がもうかるところは食い取りしようということが極めて露骨に出ている文書でありますから、よく考えていただきたいと思うわけであります。  次に、余剰人員対策の問題についてお伺いいたします。  これは非常に重大な内容だと思うのです。七月十日に「余剰人員の調整策について」というものが組合に提示されたわけでありますが、出向、休職、退職勧奨という極めて重大な内容を打ち出しておるわけであります。けさの新聞にも出ておりましたが、国鉄労働組合がこの問題について団体交渉ができるように公労委に調停を頼んだところが、これは話をやるべきであるというのが出たようでありますが、これを国鉄として受け入れられるのかどうか。私は、当然、こういう労働者にとりまして非常に重大な賃金、労働条件にかかわる問題が変更されるわけでありますから、よく話し合っていく必要があるだろうと思うわけであります。  それから、団交で決着をつけるということでありますが、もし決着が出なかった場合、一方的にやられるのかどうか、これを伺っておかないと大変だと思うので、その点しっかりとお答えいただきたいと思います。
  118. 太田知行

    ○太田説明員 前段のお話は、きのうの調停案のことかと存じますが、きのうちょうだいいたしまして、ただいま内部で検討しております。その検討待った上で対処したいと考えております。  それから後段の方は、いわゆる調整策についての団体交渉に臨む当方の基本スタンスについてのお尋ねかと存じますが、私ども、六月五日に基本的な考え方を各組合に示しまして、約一月経ました七月十日に今度はそこに肉づけをいたしまして、具体的な提案という形で団体交渉に入ったのでございます。もちろん六月五日以降、機会を見て組合側の意見も聴取してまいったのでございます。余剰人員というのは国鉄の歴史始まって以来の事柄でございまして、大変異例であり、かつまた労使ともに実質的には初めて経験する事柄でございます。決して団体交渉は容易なことではないだろうというふうに思っております。しかし、これは避けて通ることのできない、労使ともに真っ正面から取り組むべき課題であることも間違いございません。そしてまた、私どもの三条件、三本柱の中身につきましても、関係省庁とも十分に御相談し、また我々の知恵の限りを絞りました案でございまして、必ずやそれらの点について組合側も理解をしてもらえるものというふうに確信しておりまして、十月十日実施を予定しておりますが、それまでの間十分に論議を尽くしていけば、必ずや労使の間に意見の一致が期せられるはずだということを確信して取り組んでいる次第でございます。
  119. 梅田勝

    ○梅田委員 やはり原則的には労使協定に達する、そこへいかなければ強行してはならない、私はそのように申し上げておきたいと思うのであります。  それから、希望によって休職というのがありますね、願休というぐあいに言われているそうですけれども、これはあくまでも本人の希望を募るということでありますから、すると、申し出がなかったらどうするんですか。あとは事実上肩たたきあるいは指名ということで強行されていくんですか、どうですか。
  120. 太田知行

    ○太田説明員 ただいま依願休職についてのお尋ねでございますけれども、今度の三本柱で共通しておりますのは本人の希望を前提としているという点でございまして、三つの条件ともにお尋ねのことは当てはまるわけでございます。  私どもは、基本的には、先ほど申しましたように、今回の余剰人員の問題は労使ともに、大変難しい課題でありますけれども真っ正面から取り組むべきことであるという認識のもとに交渉しているわけでございます。  実施段階になりますれば、これはもう当局の責任において進めなければいけない、こういうことに相なるわけでございます。本人の希望、同意というのはもちろんベースにいたしますけれども、制度の中身でありますとか制度の運用といったものは、今申しましたように非常に細かく具体的になってまいりますので、当局としては十分に指導もし勧奨もし、進めてまいりたいというふうに考えております。当然一人一人の職員に、場合によっては質問に答える場合もありましょうし、積極的にこちらから、こういう制度なんだよ、君もひとつやってみたらどうかねといったような意味での指導も勧奨もやるべきだというふうに考えている次第でございます。
  121. 梅田勝

    ○梅田委員 だから、その勧奨が事実上指名になる、そういうことをしてはいかぬ。あくまでも本人の希望ということでありますからね。結局はねらい撃ちで、おまえやめい、おまえやめいということになってくる。私は、それは重大な権利侵害に結びつくおそれがあるし、事実、かつてマル生運動のときに大変なことが起こったわけですから、私は、あくまでも労働組合と十分に審議をして協定に達するように再度お願いを申し上げておきたいと思うわけであります。ちょっと、それは国鉄総裁
  122. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 先生の御発言を十分頭に置きまして処理をしてまいりたいと思います。
  123. 梅田勝

    ○梅田委員 そこで、余剰人員の問題で、この間向日町の運転所へ行きまして、その過員の状態、それからそれに伴って外注の実態なんかを見させていただいたのであります。五九・二ダイヤ改正以後非常に急激に過員がふえたわけです。九州向けの特急がなくなったということで、一方幾つか客車がふえまして仕事がふえている部分もあるのでありますが、差し引きいたしますというと仕事量が減ったということで、百三十名の過員が生まれているということなんですね。しかし、中へ入っていろいろ見てみますというと、かつて私、向日町運転所というのは何遍も行ったことがあるのでありますが、車両の検修のところですね、その部屋、かつて国鉄労働者がおったところは今や外注の関西鉄道興業株式会社の方々の部屋になっているということで、今日では清掃、リネンだけではなくて、検修の部分にも外注が入ってきておる。  一たん外注を入れますと、それを切るというのはまた首切りにつながりますから非常に難しい問題があるので、下へおろす場合には相当慎重にしなければならぬ。内部でできるだけの努力をして、いわゆる企業努力をしてやっておれば私は今日のような膨大な外注をしているような、場合によれば二重払いですよね、こっちは遊んでおって給料を払う、かってそういう仕事をしていたのに遊ばして金を払って、同じような仕事を外注へ出して、払う、二重払いですよね。そこらあたりはどうしてもよく検討して改善をしなければならぬと思うわけでありますが、現在、全国的に見て部外外注の実態はどうなっているか。業務委託というものが非常にふえておるようでありますが、現状はどうなっているか、その支払っている経費はどのくらいになるのか、それから外注企業の数、その従業員の数及びその中におきます国鉄OBの人数はどれくらいに達しておるのかということですね。特に駅業務とか施設保守などが急増しているようでありますが、その実態、それから東北、上越の駅において改札業務まで下請にやらせておりますが、これは本来国鉄のやらなければならぬ仕事じゃないかと思うのでありますけれども、これはいかがですか。
  124. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 委託経費につきましては、五十七年度は、業務委託費が約千三百億円、それから保守外注が約千九百億円、合計で約三千二百億円ということになっております。  なお、これらの業務委託につきまして、従事している職員の数はなかなか把握が難しゅうございまして、例えば乗車券販売ということになりますと、交通公社の職員が何人いるかというようなことで、どうも余り正確にとらえがたい数値でございますので、むしろ誤解を生ずると思いますので、これは避けたいと思っております。  なお、従業員の中で国鉄のOBが占めております数につきましても、必ずしも的確には把握はできません。業種によりまして非常に割合の高いものと、それから極めて低いものとさまざまでございまして、これも全体のトータルが幾らということは必ずしも正確に把握していない状況でございます。
  125. 太田知行

    ○太田説明員 それでは後段の方の外注の考え方でございましょうか、それらについて私からお答え申し上げたいと思います。  国鉄における外注の歴史は相当古うございまして、もう戦後間もなくの時代から、業務運営方式の中で直営と外注をしかるべくミックスして効率を上げるようにずっと努力してまいりまして、そのやり方がある意味では定着していると存じます。主としまして、部外の専門的な能力を活用するとか、あるいは季節的な波動業務に対応するとか、あるいはもっと短いパート的な仕事に対応するとかというように、直営でやるよりは外注でこれを実施することが経済的であり、かつまた効率的であるといったような部門に着目して外注を実施してきた、こういう経緯があるわけでございます。  しかしながら、ことしの五九・二以降、特に余剰人員の問題が顕在化してまいりましたので、従来のそういう外注を進めていくやり方とこの余剰人員の問題は、当然関連させて対策を講ずる必要を痛感している次第でございまして、例えば、ことし五十九年度に二万五千人の合理化を予定しておるわけでございますが、これはもうほとんど外注による部分をなしにして、直営部分の合理化、どちらかといえば仕事の見直しということを重点にして、外注の置きかえをほとんど考えない、こういうことにしてみたり、それから、既に外注実施を決めておりました分野につきまして、余剰人員を使って暫定的にこれを直営で実施する、自然減耗に応じまして、そういう場合には外注を逐次取り入れていくといったような工夫をそれぞれ凝らしているわけでございまして、具体的にお話がございました乗りかえ口の要員の問題につきましても、全体の要員の回しの中でこれを勘案しているということで実施している次第でございます。
  126. 梅田勝

    ○梅田委員 昭和五十一年の実績と五十七年の実績を比較しますと、駅業務というのは伸び率が二二四・一%ですよ。倍以上になっている。それから施設保守の関係におきましては一七一・八%、この辺が一番際立ってふえているのですね。どう考えても東北新幹線の中間改札のところに国鉄職員でないのがおるというのはなじまぬわね。だから、ひょっとするとこれは分割民営の先取りをしたのと違うかという危惧さえ生まれるわけでございますけれども、あの辺はあのようにしなければいけなかったのですか。
  127. 太田知行

    ○太田説明員 実施しました当時は、先ほど申し上げましたような一般的な考え方から見ましても、現実的な具体的な問題としてとらえましてもそれなりの必要性はあったわけでございます。先ほど申しましたように、余剰人員の問題が顕在化してまいりましたのは五九・二以降でございますし、新幹線の方の開業はそれ以前でございまして、むしろその時点においては、部分的には、分野によっては欠員というような状況もあったわけでございます。それから一年半とか二年後においては余剰人員が出てくるわけでございますけれども、当時においてはそこまで、特に貨物の激減それからまた貨物における抜本的なシステムチェンジの予想は持ち合わせなかったものですから、そういう欠員やあるいは要員需給が非常にタイトであるという背景のもとで、それなりの必要性があって実施した事柄でございます。
  128. 梅田勝

    ○梅田委員 今の答弁は企業努力観点が全然ない、反省もない。その当時だって努力すればできたはずですよ。  それから向日町の運転所へ行って私、びっくりしたのは、ひところは千人以上おったがどんどん減ってきて、現在、需給要員というのですか、最低これだけは仕事をするのに必要だという人員、これは六百六人ですよ。ところが、助役何人おるんだと言うたら、三十七人おると言うんだ。これはちっとも減らぬ。管理職には過員がないというように組合の人に言わはったそうですけれどもね。職場全部のうなったところになぜ過員にならへんのやと言うたら、余っている人間を監督するために仕事はあるんだ、それも一つの理屈かもしれませんがね。しかし、何でも新しいことをやるときにはそれなり努力というものがなかったらうまくいかぬ、そこが放漫財政として攻撃されるわけですから、今後も起こることでありますから、十分に検討していただきたいと思うのです。  それから下請ですね。どんどん車両保守までいっておるわけです。ところが、OBの人が六割ぐらいおっていろいろ仕事をやっておるわけであります。しかし、従来は電灯などの上回り関係をやっていたのが、今度は下回りまできた。これまた勉強が要るわけですね。ところが、下請単価というものは全部一個何ぼや、その一個の単価も一日八時間働いて割ってみたら何ぼやという計算でいっておられるわけでありますから、下請条件としてそれなりの仕事ができる能力を持っているということが前提だとおっしゃられればそれまでだけれども、しかし、従来は上回りをやっていたのがだんだんと下回りへきた、難しいことになってきたというときには、やはりそれなりの勉強というのが要るわけでありますから、そこらあたりも、現実に下請に出しておるんでありますから、労働者の教育費というものもある程度加味する必要があるのじゃないかと思うのですが、その点、どうですか。
  129. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えします。  先生御指摘のように、車両の検修につきましては、従来は上回り部門ということを主体にやっておりました。この二、三年来、運転検修業務の近代化ということで、主として重要な走り装置とかあるいは動力発生装置、そういった分野につきましては検査を直営で、直轄でやるということを基本にして、臨修に応じた波動対応という意味で拡大するということで現在やっております。  ただ、こういった部門につきましては、いろいろ御指摘のように技術的に非常に重要な分野でございますので、会社の従業員の知識なりあるいは経験、技術力を認定するという意味で教育をさせ、さらに資格者にライセンスを与えるという対応策をして、保安を十分確保するように努力しているところでございます。
  130. 梅田勝

    ○梅田委員 それをやる場合の単価の計算というものは、従来のようなやり方では足りぬじゃないかということを申し上げているので、ひとつ研究していただきたいと思うのです。  それでは、その次の問題でありますが、ローカル線の廃止ですね。先月二十二日に運輸大臣は、特定地方交通線の二次線の問題、三十三線、六線を除きまして認可ということでありますが、ここに持ってきておるわけでありますけれども、十七関係府県の知事の意見書が出ております。この中には大変切実なものが並んでおるわけでございますけれども運輸大臣に、これを読まれての感想を、撤去してもらって結構だというようなことがあったのかどうか、お伺いしたいと思います。
  131. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 各県知事からの意見書は、いずれもローカル線を残してもらいたい、廃止反対という意見でございます。
  132. 梅田勝

    ○梅田委員 それを読んで胸が痛くなったということをちょっと言ってほしかったですね。どうですか。
  133. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 知事や沿線の市町村長さんとしてはごもっともだと思うのです。これは道路が幾らよくなってバスの便利があり、あるいはマイカーが発達しましても、さらに鉄道があれば、これは運転免許証が取れない者もおります、自動車を持ってない人もおる、年寄りの病院に通う人もいる、両方ある方が便利である、それだけ公共のためになるという観点からもうそのとおりなのでございまして、そういう観点からそういう意見が出されておるということなのでございます。これをどうして指定しようとしておるか、あるいは廃止または他の交通機関にかえようとしておるかといいますと、これは国有鉄道の経営の見地から見てそうする必要があるということで、昭和五十五年の再建法の法律国会で御審議をいただき通過を見たもので、その国会の決めた法律の趣旨によって出しておる、こういうことでございますから、相矛盾するものをどこで調和するかというのが今後の問題であるということになるわけでございます。
  134. 梅田勝

    ○梅田委員 再建法の八条四項に基づいて関係府県の知事の意見をわざわざとる、とって切実なことが書いてある。ここにも、ちょっと福島県の松平知事さんの内容を読みましても切実ですよね。そして、野岩線の工事もほぼ全線にわたって着工となって開業が二年後に迫っておる、いよいよ県民の期待は高まっておるということを述べて、しかし接続する相手が存続ができないとなったら大変だというようなことが書いてあるわけで、いずれも皆傾聴に値する内容が書かれておるということでありまして、再建法自体、いろいろそれに基づいてやっているというように言われますけれども再建法の目標としているものは国鉄再建だということでありますが、しかし地域住民が非常に切望しておる、熱望しておる鉄道の存続というものがなくなるということになりますと、これは破壊であって再建ではない。そうすると、目標に照らしまして法律違反の疑いも出てくると思うのですが、その点どうですか。
  135. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 特定地方交通線の廃止は、法律の規定に基づいて行っておるわけでございまして、その意味で法律に反するものだとは思っておりません。
  136. 梅田勝

    ○梅田委員 それを大もとを見ていない解釈というのですよ。  ここでちょっと一言質問じゃありませんけれども私の見解を申し上げておきますと、労働者は三十分ストライキやっても、そして列車をとめましても処分されるのですよ。レールを永久にめくって永久的ストライキをやっても、当局の方は何の処分もない、こんなばかな話はないと思うのですよ。これはもう頭にくる問題でありまして、何遍もあちこちで私はそれを言わしていただいているわけですけれども、ここらあたりの基本を変えない限り、国鉄再建はできないと思うのです。ところが、このローカル線廃止によりまして七十三線を全部、二千九百キロにわたって廃止をしたといたしましても、五十七年度の赤字は約七百九十億だ。しかし生首は切れぬわけでありますから、人件費は引き続き払わなければならぬということになりますと、実際の効果はどれだけですか。私の計算では約二百四十億程度だと思うのでありますが、いかがですか。
  137. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 御指摘のように特定地方交通線の全体から生じております赤字は七百数十億でございまして、それから人件費等の所要額を引きますと、二百四、五十億の赤字であるというふうに考えております。
  138. 梅田勝

    ○梅田委員 焼け石に水なんですね。その程度だったら、確かにその程度でも大きいですよ。決して小さいと言わぬ。大きいものでありますが、国鉄全体の抱えておる難問題から比べますと小さい。そこを少々いろうたぐらいでは解決はつかぬ。二十一世紀を展望した交通ということを考えた場合、私は全国ネットワークの路線というものはしっかりと守っていくことが必要じゃないか、この点を申し上げておきたいと思うわけでございます。大臣、いかがですか。
  139. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 なるほど、地方交通線の廃止によってもたらされる効果というものは、全体の赤字や累積債務というような問題から比べると小さい。しかしながら、これは御承知のように再建促進法でその再建の中の一つの項目として取り上げられておるということでございまして、あれもやりこれもやり、とにかく不合理なものについては全部見直そうという一環である、こういうふうな位置づけをしなければならない、かように考えております。これだけやったら全部済むとか、あるいは大半片づくというものでないことだけはおっしゃるとおりでございます。
  140. 梅田勝

    ○梅田委員 その点は今後におきましても繰り返し申し上げてまいりますけれども、よくお考えをいただきたいということだけを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  時間がありませんので一括して全部言いますけれども、安全対策でございます。  七月二十一日に山陰線の松江付近におきまして、踏切で特急電車とトラックの衝突、一人が死亡、二十一人が重軽傷という大事故が発生しております。これは警報機、遮断機つきの踏切でございますが、幅が狭いのです。五メートルしかない。すれ違って立ち往生しておるうちに列車が来てぶつかったというケースであります。  それから二番目に、少し前、三月三十日に外房線の茂原近くの踏切におきまして大型ミキサー車と列車が衝突。この場合は電車の運転士が殉職しております。乗客ら六十二名が重軽傷という大事故になっておる。この踏切は、私も直ちに現場へ行きまして見たわけでございますが、警報機しかついてない。遮断機がないのです。道路の方は六・二メートルあるわけでありますが、踏切の部分だけが急に狭くなりまして五メートルしかない。しかも現場は、ちょっとわき道から来たわけですけれども、一メートル近く急に坂になって踏切になっておる。踏切は大体そういう路盤の方が高いというケースが多いわけでありますが、エンストを起こしやすいわけですね。おまけに御丁寧に、道路が広い、六・二メートルですから、踏切にかかるところに五メートルにするようにだっとブロックが置いてあるわけですよ。わざわざ狭くしてある。そういうことで衝突した運転手に大きな責任があるわけでありますが、しかし列車の運転士の方は殉職をするという非常に痛ましい結果をもたらしているわけであります。この付近は従来は沼地だったのですけれども、土を入れて宅地造成をいたしまして、そしてどんどん家が建っている。だから従来はチンチンだけでよかったのですけれども、もう自動車がどんどん来るわけですから、それで宅造をやっておりますから、工事用のミキサーカーが当たったということもありまして、人口の急増に即応した保安体制、踏切の改良というものを進める必要があります。  ところが、第一種踏切は五十三年度末、一万五千五百五十五カ所、前の年に比べまして九百九十六カ所ふやしておるわけでありますが、それ以降だんだん減りまして、翌年は九百二十八、それからその翌年は七百七十二、さらに翌年五百四十、さらに翌年四百八十二、そして五十七年度におきましては三百十七というように、一種になっていくのがだんだん減っていくわけです。それで、これは工事費が減ったということで縮減されておるという事情はわかりますがね。しかし、これは踏切の保安上非常に大変ではないかと思うわけであります。第四種の踏切はなお七千四百二十三カ所、第三種は三千三百九十四カ所残っておるわけでありまして、第一種への移行がおくれておるわけであります。  ですから、現場をよく見て、ここはもうどうしても必要だというところを優先的に改革する必要があると思うのでありますが、千葉の方で聞きましたら、外房線のこの箇所は早急に格上げしてやらなければいかぬというように言っていましたけれども、その後どうなったかをお伺いしたい。  それから、奈良線の東福寺駅の北側に踏切がありますが、これも昨年七月二十七日に事故が起こりまして、田村君という中学生が回送中の気動車にはねられて大けがをいたしております。それで、この気動車の運転士は何かはねたような気がしたというので、おりて捜したけれどもわからない。五十メートル後戻りをして捜したけれども、どうもないというので行ってしまったというのですね。二分三十秒停車したという話でありますが、ところが溝の中に落ち込んで、もう大けがして瀕死の状態。通行人が発見をして、そして救急車を呼んで手当てをした。普通、軌道上で事故が起こった場合には、当たった者の責任だということを国鉄はよく言うわけでありますが、このケースはひき逃げじゃないかということで、管理局にも行きまして、責任を追及したのですが、余りにもお気の毒だというので、補償じゃなしにお見舞い金ということで、かかった費用については、かかった費用の二割ないし三割程度を補助しましょう、こういうことを言っておるわけでありますが、ここは京阪が走っておりまして、東福寺の駅というのは京阪と国鉄の共通駅なんですよ。北側には道路がありまして、これははっきりした認定道路が横断をしておる。京阪の方は立派なチンチンもあるし、遮断機もあるという第一種踏切になっているわけです。国鉄の方は何もない。そしてレールをまたいで行かんことには行かれへん。確かに細い道ではありますけれども、民鉄の京阪電車はちゃんとした保安施設を持っている。こっちの方はない。私はこれは大変な落ち度だと思うので、これは早急に踏切扱いをして改善を図るべきだと思うわけでありますが、いかがでございましょう。
  141. 岡田宏

    ○岡田説明員 先般、七月二十一日の山陰線の踏切事故におきまして、乗客一名の方が死亡され、二十数名の方が負傷されるという事故が起きましたこと、まことに残念に、申しわけなく存じております。  この山陰線の踏切についてでございますけれども、この踏切は当初四種踏切でございましたものを三十九年に三種踏切に格上げをし、四十四年には一種踏切に格上げをし、五十四年の十月に、山陰線の複線化に基づきまして踏切の構造改良をいたしたところでございます。先生御指摘のように、踏切の幅員が狭い。まあ道路の幅員も狭いわけでございますが、踏切の幅員も狭い。今回特に大型車のすれ違いの問題が原因であったということにかんがみまして、早急に公安委員会の方とも御相談を申し上げまして、例えば大型車の車禁とか、そういった措置をとるように考えたい。また近所には比較的近いところに立体交差もございますので、そういう措置がとれるかどうかということについて早急に御相談をしながら検討したいというふうに考えております。  それから外房線の八積−茂原間の踏切についてでございますが、これは五十九年の五月十八日に一種化を完了いたしております。さらに踏切の拡幅というお話がございましたけれども、もし踏切を今の道路幅員に合わせて拡幅をされるということでございますと、この踏切の拡幅につきましては道路管理者の方に費用負担をお願いするということになるわけでございます。  それから、全般の踏切対策がどうなっているかということの前に、お話ございました奈良線の東福寺の件でございますけれども、これにつきましては、この中学生の方がはねられた現場と申しますのは、踏切という状況にはなっていない箇所でございまして、ちょうど国鉄奈良線のホームの端にあるところでございます。踏切の新設をという御要望もございますけれども、御承知のように、現在国鉄といたしましては、例えば立体交差による踏切の廃止あるいは統廃合による廃止ということで、踏切事故を減らすためにまず踏切の数を減らすことが先決であるということで対策を進めておりますところでございますし、また奈良線のホームのすぐ縁端という位置でございまして、踏切をつくるということは非常に困難な箇所でございますので、この位置に歩道橋を設置をするということをお考えいただいてはいかがかということで、その後京都市といろいろお話を申し上げておりますが、現在のところまだ実現をしていない状況でございます。早急に協議を進めたいというふうに考えております。  なお、京阪電車と比べて非常におかしいではないかというお話もございましたけれども、京阪電車の場合には、道路からこの京阪電車を横断をいたしまして国鉄との間に若干民地が残っておりまして、そこに民家が三軒ぐらいあるということで、そこに御通行なさる方のためにもどうしても踏切が必要であるということでそういう措置がなされているというふうに考えております。  また、全般的に踏切の改良促進の状況はどうなっているかということについてでございますけれども、先生御指摘のように、五十七年度の数字の御指摘がございましたけれども、五十八年度一年間におきましても、一種の踏切の格上げ、それから踏切全体の廃止と申しますか、例えば連続立体交差でございますとかあるいは単独立体交差による廃止、それから地元の方々とお話し合いをさせていただいて踏切を統廃合するということで廃止を進め、かつその残った踏切については極力一種化を進める、あるいは四種の三種化を進める、四種につきましても、地元あるいは公安委員会とお話の上で車禁を進めるということで強力に進めてきておりまして、五十八年度現在の数字を申し上げますと、一種踏切は一万八千八百三十三ということで、五十七年度に比べましても増加をいたしております。なお、全体の踏切の数は二万九千四百十一から二万八千九百三十九ということで減少を見ている中で、一種踏切については増加を見ているということでございます。それから四種踏切につきましては、五十八年度末では六千八百八十二ということになっておりまして、このうち車禁の踏切が五千三百八十五でございますので、いわゆる車が通れる四種踏切というのは国鉄全体の踏切の中で千四百九十七カ所、五%というような数字になっております。御承知のように、国鉄の財政、非常に厳しい中でございますが、こういった安全に直接かかわりのある投資につきましては極力最重点で予算を配分するということで進めております。  以上でございます。
  142. 梅田勝

    ○梅田委員 時間がありませんので終わりますけれども、東福寺の踏切というのは認定道路と軌道の交差しているところですよ。確かに越したら人家はないというけれども、もう少し行ったら人家はいっぱいあって、通行量は非常に多いんですよ。それで話をしたら、軌道の部分は国鉄の用地だということで、これは踏切でないみたいなことを言うけれども、踏切とはレールと道路が交差しているところを言うのです。そこに保安施設がないというのは国鉄の責任ですよ。ですから、そんないいかげんな答弁では承知できないのですけれども、時間がございませんので、総裁にまとめて今のお話について御答弁いただいて私の質問を終わります。
  143. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 踏切の安全ということは非常に大切なことだというふうに私も認識しておりまして、今回田常務から説明いたしましたように各方面にわたりまして増強に努めているという実態でございます。まだ不十分でございますが、今後の問題といたしましてなるべく早く整備をするように努力を重ねてまいりたいと思います。  なお、東福寺については、地元等の折衝をさらに重ねてまいるというようなつもりでおりますので、御理解を願いたいと思います。
  144. 梅田勝

    ○梅田委員 どうもありがとうございました。終わります。      ————◇—————
  145. 浜野剛

    浜野委員長代理 次に、小林恒人君外六名提出地域交通整備法案及び吉原米治君外六名提出交通事業における公共割引国庫負担に関する法律案の両案を議題といたします。  提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。小林恒人君。     —————————————  地域交通整備法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  146. 小林恒人

    小林(恒)議員 陸海空の運輸行政を統括する運輸省行政の中にあって、総合交通体系を基本とする各種施策は極めて重要な時期を迎えておりまするけれども、そういった立場から地域交通整備にかかわっての法案を整備し、本委員会提起をしたいと考えるわけであります。  提出者を代表し、ただいま議題となりました地域交通整備法案の提案理由並びに概要について御説明いたします。  今日、都市、地方を問わず鉄道やバス等の公共交通機関は、モータリゼーションの進展によるマイカーの激増により大きな影響を受けております。都市部においては、交通渋滞が著しく、そのため各交通機関の機能は低下する中で経営は圧迫され、一方、地方においては、交通需要の減少から不採算路線が続出し、交通企業は自己防衛のためこれら路線の休廃止をもくろむこととなり、そのため地域住民の日常生活に重大な障害が生じているのであります。よって、こうした事態を改善し、地域住民のニーズに合った公共交通体系の整備を図ることは、今日政治に課された重大な責務でありますが、現行の交通関係諸法規は、そのすべてが事業者の申請主義を基礎としており、必ずしも国民の求める交通行政の確立のために十分なものとなっておりません。  したがって、本法案は、国民生活に不可欠な地域交通を効率的かつ安定的に整備するために国、自治体、交通事業者等が相協力して必要な責任を果たす仕組みをつくり、住民の輸送需要に適応した地域交通の確保を図り、もって住民の福祉の向上に寄与しようとするものであります。  次に、この法案の概要について簡単に申し上げます。  まず、対象とする公共交通事業者でありますが、日本国有鉄道法で規定する鉄道及び自動車運送事業、地方鉄道業、軌道業、一般乗り合い旅客自動車運送事業、その他タクシー、船舶等地域交通を確保するために、必要な政令で定める事業といたします。  次に、この法律の中心となります地域交通の整備についてでおりますが、地域交通の整備計画の策定は、各都道府県知事が、地域交通整備審議会の審議を経て、関係市町村や交通事業者及び関係労働者、利用者の意見を聞きながら対象地域とそこでの地域交通確保のための基本方針、公共交通事業に係る交通体系の整備に関する事項及び輸送施設の整備改善に関する事項を定めたその地域における交通の整備計画を作成し、政府の承認を受けることにします。  この計画は、  一、公共交通を中心とした効率的かつ安全な交通体系を形成するものであること。  二、地域の住民の日常生活の利便さに適切なものであること。  三、利用者にとって快適であること。  四、交通安全及び公害の防止について配慮したものであること。  五、学校や病院など他の施設の整備と調和したものであること。  六、関係労働者の雇用の安定につながるものであること。 などの基準に十分適合するものでなければならないこととします。  また、各都道府県知事はこの地域交通整備計画の承認を受けたときは、これが実現されるよう関係行政機関や交通事業者に協力を求め、かつ必要な事項については勧告することとします。地方公共団体は、この整備計画に基づく公共交通事業の維持整備や施設の整備改善に要する経費について必要な補助を行うこととし、国は、この経費について地方自治体に補助することとし、さらに、国は地方自治体及び交通事業者に対し、また自治体は交通事業者に対しこの整備計画を実施するために必要な資金の確保や税制上の措置その他の助成措置を講ずることとします。  なお、これら地域交通の整備が他の府県等にわたるものについては、当然のこととして当該地域の知事と協議することとします。また、この際地域交通の整備について的確な対応ができるよう各市町村に利用者や労働者の代表等で組織する交通委員会を置くこととし、市町村長の諮問に応じて地域交通の確保に関する事項を調査審議し関係行政機関の長に建議できる制度を設けることといたします。  以上が法案の概要であります。  これで法案についての提案理由の説明を終わりますが、最後に、かつて第八十五国会の本委員会において、全党が一致して、公共交通確保のために必要な行財政・立法措置を行うべきであるとの決議をしたことは御承知のとおりでございます。その後政府努力もあり行政措置については一定の前進を見ておりますが、必要な制度の確立にはまだ至っておりません。各委員におかれましては、ぜひとも本案に示された内容を十分御検討の上、この際国民の期待する新たな制度の確立のため格段の御協力をお願いするものであります。  何とぞ慎重審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
  147. 浜野剛

    浜野委員長代理 吉原米治君。     —————————————  交通事業における公共割引国庫負担に関する     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  148. 吉原米治

    吉原議員 ただいま議題となりました交通事業における公共割引国庫負担に関する法律案について提出者を代表し、提案の理由並びにその概要を御説明申し上げます。  従来から各交通事業者が行っております旅客貨物に対する運賃の割引については、その交通事業者が営業政策上の割引のほか、国の政策によるものがあり、その中には法律によるものもありますが、その多くは慣行により行われてきており、一部を除いて大半は、それぞれの交通事業の内部補助方式にゆだねられ、一般利用者の負担において実施されているのが実情であります。  しかるにモータリゼーションの猛烈な進展など最近の経済社会の激変により、公共輸送を担当している多くの交通事業者はその経営が悪化し、これを維持し継続することが困難になってきております。こうした経営の悪化している交通事業に国家政策上の責任まで背負わせることは、まさに不公正であり、また交通事業の健全な発達により国民の足を確保することにも支障があります。したがって、こうした国の産業政策、文化政策、社会政策等による要請のもとで行われる公共割引について、国庫負担の原則を打ち立て、費用負担区分を明確にする必要があります。これが本法案提出する理由であります。  次に、この法案の概要でありますが、この法律の適用により公共割引を実施した場合に国庫負担の対象となる交通事業は、日本国有鉄道の行う鉄道、連絡船及び自動車運送の各事業、地方鉄道法、軌道法による交通事業、一般乗り合い旅客自動車運送事業、貨物及び旅客の定期航路輸送事業並びに定期航空運送事業とします。そして国庫負担をする公共割引としては、  一、交通事業者が政令で定める心身障害者及び介護者について行う割引額  二、交通事業者が通学定期乗車券の運賃を普通旅客運賃の三割以上を割り引いたものについてその差額  三、交通事業者が産業政策、文化政策、社会政策その他の政策上の必要から政令により運賃割引を行った場合の割引額といたします。なお、交通事業者は本法に基づき行った割引額について、運輸大臣に請求することとしますので、政府は、想定される公共割引分については、あらかじめ予算に計上しておくことが望ましいと考えます。  さらにこの際、国会法の一部を改正することにより国会議員の交通費については別途国が負担することといたします。  これによって、交通事業の不当な負担を解消し、事業の健全な発展により公共交通を確保するとともに交通機関の機能を利用しての国家政策の円滑な遂行を期そうとするものであります。  以上、法案提出する理由並びにその内容の概要を御説明いたしました。何とぞ慎重審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたす次第でございます。(拍手)
  149. 浜野剛

    浜野委員長代理 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  150. 浜野剛

    浜野委員長代理 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  昨日の久間章生君の委員辞任に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 浜野剛

    浜野委員長代理 御異議なしと認めます。  それでは、委員長理事久間章生君を指名いたします。  次回は、来る二十七日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十四分散会      ————◇—————