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大出委員 総理、
賃金の
質問をすることは通告をしてありまして、
人事院勧告について御
質問することになっている。あなたがたくさんの
公務員を抱えて、使用者たる権限ある
政府の
責任者でございます。まあそのくらいのところはちょっと目を通しておくぐらいの御用意があってもいいという気が私はする。八等級の三号です、八万五千九百円、これは現行でございます。
勧告が
実施されますと、八万九千九百円に上がります。四千円上がるということです。八万五千九百円が八万九千九百円になるのです。八の三から振り
出しでございます。大学を卒業して入りますと七の二になるでしょうけれども、十万六千九百円、これが甲でございます。乙で七の一で十万一千九百円。これが十一万一千九百円、十万六千七百円。五千円、四千八百円というふうに上がる。これが
公務員の振り
出しでございます。
ちょっとこれを配っていただきたいのですけれども。
——そこで、一体どういう
給与の実態にあるかをここで申し上げておきたいのでありますが、たくさんの問題はございますけれども、時間の関係もございますから、省略するところは省略して、本題に入りたいと
思います。
これは後から御説明をいたしますけれども、その前に、ここに幾つか
公務員の実態の例がございますから申し上げたいのであります。
公務員というのは、
皆さんがよく官高民低とおっしゃるけれども、そんなにもらっていない、そんなにもらっておりません。地方
公務員も全部カバーしてのことですから、
中曽根さんが
御存じのところから申し上げます。
中曽根さんの選挙区に小野上村という村がある。
御存じですな、
総理。
御存じのようであります。(「ある、ある」と呼ぶ者あり)ああ、そちらにも群馬の方が
おいでになる。ここにありますのは、小野上村の村長さん以下、助役さんも教育長さんも全部の
給与の明細書がここにございます。
村長さんで一体幾らもらっているか。六十六歳の村長さん、四十三万円というのが俸給であります。べらぼうに高い税金も取られております。それらのところを全部差し引いてまいりますと、一体手取り幾らになるか、三十二万七千七百五十五円、三十二万円ですよ、小野上村の村長さんが。助役さんが何歳かというと五十六歳。助役さんが三十四万五千円です。低いものです。手取り幾らかというと二十五万三百十円。総務課長さん、この方は三十一年七カ月勤めている。総務課長さんの給料が二十九万六千六百円、高いですか、これ。手取りが二十一万六千七十六円。(発言する者あり)その資料じゃない。これはいま実情を申し上げているので、平均
給与でございますから、後からそちらの方の説明をいたします。これを見てまいりますと、教育長さんなんかでも非常に低い。だから、一般の職員の
方々というのは、十四年七カ月もお勤めになっても、十七万九千四百円というのが俸給ですよ。そして、手取りは十三万二千円。
それから、今度は市を申し上げますけれども、おたくの方のやはり御関係のあるところの例をとりますが、沼田市、私もおやじもおふくろも群馬でございますからよく知っておりますが、この沼田市、これは
御存じのようにりっぱな市であります。ここの課長さん、五十・四カ月、勤務年数が三十年と八カ月、この方の俸給が二十九万六千六百円。そして、手取りは一体幾らになるか、税金その他非常に高いですね、税金だけで七万三千五百九十円引かれておりますが、実質手取りが二十三万二千五百四円、この方は課長さん。
それから、同じ非現業で若い方を一人挙げますが、二十七歳八カ月、五年六カ月勤めて
おいでになる方、この方が俸給が十三万七千三百円、そして税金その他引きまして、この方は超過勤務をやっておられますけれども、そこらを引きまして十二万六千九百三十五円。
それから、
皆さんのところにごみを取りに
おいでになる清掃関係の現業の方。
公務員の
皆さんにも行(二)というのがございますけれども、こういう
方々は、本当に今度の
賃金ストップというのはこたえています。五十六歳五カ月、二十八年五カ月勤めておられる、三十年近い。二十八歳でこの方は入っている。この方の給料が二十一万七千七百円、毎日ごみの収集に当たっている方です。この方の特殊勤務手当が一万一千五十円ございますし、扶養手当がお一人ですから一万二千円ございます。この方のを
計算してみますと、実質手取り十九万円、五十六・五歳、二十八年五カ月お勤めしている。どこから
考えても高いとは言えない。
こんなにたくさんございます。どれをとっても似たようなもの。ただ、
ローンにばっちり入っておりますから、
計算がめんどうだから、住宅
ローン等に入っておられて小野上村でも四万七千円しかもらっていない人もいるのだけれども、そういう例は挙げないことにしましたが。
次に、
人事院の総裁そこに
おいでになりますから申し上げますが、ここに
人事院がございます。ここに
給与の明細書を私はたくさん持っておりますが、明細書をもらってくれば一遍でわかることです。ここにたくさん入っております。後でお返しをする約束でございますが、
給与明細書、みんな長いやつがたくさん入っておりますが、
給与の明細書に間違いない。
これを見ますと、五十四歳の守衛さん、十八年勤めている。お二人の扶養者がいる。この方が俸給が二十万五千八百円、十八年勤めて二十万五千八百円。実質手取りが幾らになるかと思って
計算してみましたら十九万二千三百八十二円。守衛さんですよ、
皆さん行けばいつも立っている。
次に運転手さん、
人事院の方、三十六歳で十四年お勤めになって
おいでになる。この方の俸給が十八万七千七百円、通勤手当や何かを払っちゃうのですから差し引きますと、扶養者が三人、四人世帯、この方の手取りが十九万三千九百三十六円。十四年も勤めている。
用務員の方を挙げておきますが、用務員の方
——行政(二)表というのはなくしてもらいたいというのが私の長い主張でございます。本当にこれは気の毒です。この方も十三年勤めている、四十七歳、扶養者一人、この方は中学卒業です。その方が、いろいろなのがございますが、実質手取りとなりますと十六万十二円ですよ。
人事院の総裁のひざ元だって、こういう実態。
もう一つ挙げておきますけれども、扶養者二人、高卒で四十七歳、二十年勤めて
おいでになる方、この方の俸給は二十万八千百円。そして、実質手取りが二十万九千二百六十三円。挙げれば切りがありません。
私どもからすると、
公務員の
給与が云々、
給与が云々と言われるが、よくお調べになってから世の中の方に言っていただきたいと私は
思います。
ここに病院がございます。国立病院。
皆さんが病院にお入りになると、敷布だ何だ汚れる。洗濯している方もいれば、薬剤をやっている方もいる。看護婦さんもいる。時間の関係もございますから、四つだけ例を挙げます。
薬科大学を卒業して、薬剤師で、この国立病院の調剤主任さん。国立東病院。この主任さんは四十二歳で、十八年十カ月お勤めになって調剤主任になっておられる。
仕事としてはこれは大変な
仕事です。全部の薬剤を責任を持って病人に、大きな国立病院でございますから。この方の俸給が二十五万七百円。そして、通勤手当やいろいろなものを差し引いてまいりますと二十四万三千三百六十円。薬科大学までお出になって調剤主任にまで
おなりになって二十五万円にいかない。
それから、看護婦さんの例を一つ挙げますが、この方は看護学校を出た三十歳の方。一般の病院に一年お勤めになって、その後千ベッドがある市立の大きな病院に一年お勤めになって、前歴加算をいたしますが、この東病院に入られて四年九ヵ月、約五年近い。前歴が二年ございます。この方で俸給が十三万八千二百一円。いろいろな手当を入れていきまして、少しよく見ていって十四万五千九百六十四円。准看じゃない、ちゃんとした看護婦さんです。
それから、五十八歳の男性で、この病院で看護助手という
仕事です。二十四年六カ月も勤めています。
皆さんが寝たベッドのカバーを外し、それを消毒をする。寝具の消毒、病棟の寝台の消毒、じんあいの焼却。人がやりたがらない
仕事をやっております。この病院は三百床ございます。この方で、二十四年六カ月勤めて五十八になって、いわゆる行(二)ですから、三等級の特です。なかなかこれからは上がらない。俸給が十九万二千七百円。現金支給額が十九万九千八百七円。二十万にいかない。何と二十四年六カ月勤めている。それでいて、奥さんの扶養手当一人。ここに非常に細かく自分の支出を書いて窮状を訴えていますよ。
もう一つだけ挙げておきますが、ここで厚生技官ということでクリーニング師の免許を持っている方。白衣あるいは敷布その他を全部消毒し、洗う、そういう
仕事です。この方は二十七歳で入って今日三十三歳。こういう
仕事をしている方の給料が一体幾らかといいますと、十四万六千七百九十円が俸給でありまして、現金支給額が十七万九千八十八円。
どれを取り上げても、
皆さん差額で借金返済を予定していたんだがとここに書いてあります。
ボーナスで借金返済と書いてある。こういう実情にある。
そのことをぜひひとつ頭に置いていただいて、いまお手元に差し上げましたものを簡単に御説明いたしますから、見ていただきたいのであります。
いま
皆さんのお手元に二枚の表がございますが、細かい数字がたくさん書かれております方をお
出しいただきたいわけでございます。
高校を出まして官庁に入る。八の三で入るのが最初であります。左の一番上であります。去年は管理者を除きまして
勧告は
実施されております。ただし、調整手当というのが落とされております。東京在勤でございますと八%が九%になりましたが、これを
実施しないということになりました。そのために、一番左の上の昨年八の三で入った方、この方はここで二万四千八百四十七円、
人勧が
実施されませんので損をした。この方はことし昇給をしまして一号上がっておりますから、八の四になりました。この方が一体ことしどのくらい損をするか、
勧告を
実施いたしませんと。下に書いてありますが、減収分、
勧告未
実施に基づきます差が二万一千八百九十八円。勤勉手当が四千九百十六円、はね返りでございますが、期末手当一万六千九百八十二円。それから、俸給の方で四千百円、調整手当三百六十九円。二万一千八百九十八円。したがいまして、前の方と合わせますと、減収分総計というのがございますけれども、合計十一万六百八十一円若い方が損をすることになります。この方は官庁に勤めて喜んで、さてこれからと意気込んでいるところに初めて出た
勧告であります。それが
実施されない。去年の調整手当を含めれば、こんな若い八万五千九百円で入ってやっと八万八千七百円になった方、この方が減収分総計十一万六百八十一円損をする。どうでしょう。給料の一ヵ月半近い。一ヵ月半食わずにはいられません。これが一つ。
次に二番目、七等級の四号、二十七歳の方。次の段であります。奥さんが
おいでになる。二十七歳で結婚するというのが厚生省統計で一番多い。この方は去年一体幾ら損をしたか。いまの手法で申しまして、去年の減収分が、期末・勤勉手当で四万二千百三十三円。そして、ことしは一体幾ら損をしたか。現行、
勧告、差と書いてあります。三万六千百八十八円。これが減収分総計は一体幾らになるか。合計がその次にありまして、減収分総計というのが出ています。この方でも十八万五千五百七十七円損をするのですよ。現行給料十二万四千五百円。そうすると、十二万四千五百円の給料で十八万五千五百七十七円損をしたらどういうことになりますか。一月半食わずにいろとでもおっしゃいますか。
その次、六等級の十号、奥さんと子供さん一人。もうあと中身は説明しませんが、減収分総計は二十五万六千六百十円、現行の俸給は十七万一千八百円ですよ。そうでしょう。妻と子供が一人いる。それで二十五万六千六百十円損する。わかりますでしょう。
その次に、もう少し上の方、五等級の七号。もう少し偉くなってきている方。三十五歳、妻及び子供二人。この方の減収分総計は二十八万四百十八円。給料は十七万九千四百円だ、この人は。この人も一ヵ月半にわたって食わずにいなければ埋まらない。
課長補佐の方がその次にございます。四等級の十一号。東京勤務、四十三歳、妻と子供二人。この課長補佐の方の減収分総額は三十三万九千八百七円。給料は二十四万一千六百円です。そうでしょう。これは全部高卒ですが、高校卒の方が、行政(一)表で普通の官庁の
公務員で六〇%超えているのですから高校卒の例をとった。そうすると、高校卒の方はこの課長補佐どまりなんだ。後はほとんど上がらないのですよ。ここまで行けば位人臣なんですよ。位人臣をきめわた一般の高校卒の課長補佐まで行った方が、二十四万一千六百円という俸給をもらっておって、三十三万九千八百七円今度の
措置で損をするということです。こういうことはがまんできませんよ。そうでしょう。
〔
委員長退席、高鳥
委員長代理着席〕
そして、この裏をひっくり返していただきますと、つまりこれは仲裁裁定との関係における、裁定が
実施された場合の郵政を
一つ例に挙げたわけでありますが、一体幾ら違うかということでございます。
十九歳の独身の方で、郵政の場合に今度の仲裁裁定が
実施されますと八万三千三百八十五円ふえる。それから、係員の二十七歳で妻がおられる方で十一万三千四百七十五円ふえる。さらに、三十五歳の方で十五万一千百三十円ふえる。ところが、
勧告が
実施されないのだからふえない。
必要ならば、ここに全部
計算いたしまして、国鉄、林野の例、二・四四ということでまとまったようでございますから、年末手当を〇・〇六切られている、切られたところと
比較いたしましても、国鉄は〇・〇六差っ引かれているにもかかわらず、俸給だけで九万八千百七十九円
公務員よりふえている。しかも、これは恩給、退職金全部に響く。国鉄は九万八千百七十九円。これは、手当その他の新ベースにならぬというようなことを、こんなことは団体交渉ですからわかりませんから入れなかっただけでありますけれども、現状は現行ベースで払われているようでありますから
計算したのですが、これは同じになります、〇・〇六引かれただけですから。国鉄が九万八千百七十九円。それから、電電が十万四千九百七十六円。十二ヵ月分だけで、手当を入れないで、
人勧より多い。専売が十万六千百二十八円。これだけ差がついた。現状、
給与はこのとおりである。しかも、これは生存権という権利の上に成り立っている代償機関である。
ここまで申し上げて実情を御把握いただいて、その上で
総理にもう一遍承りたいのですが、無理を
承知でおやりになった、それならば無理は通らぬ。
皆さんに現状を御高察いただきまして、なぜ
凍結をして、ゼロにしたかということについても満足なお答えがない。したがって、ここでもう一遍明確に
総理から、
人事院勧告未
実施、無視、これについてのお答えをもう一遍、どういう理由で無視をされたか、お答えをいただきたい。