運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1982-12-15 第97回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年十二月十五日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 栗原 祐幸君    理事 江藤 隆美君 理事 越智 通雄君    理事 高鳥  修君 理事 堀内 光雄君    理事 三原 朝雄君 理事 阿部 助哉君    理事 藤田 高敏君 理事 坂井 弘一君    理事 大内 啓伍君       相沢 英之君    上村千一郎君       小渕 恵三君    大村 襄治君       太田 誠一君    海部 俊樹君       金子 一平君    近藤 元次君       笹山 登生君    澁谷 直藏君       正示啓次郎君    砂田 重民君       田中 龍夫君    渡海元三郎君       根本龍太郎君    橋本龍太郎君       原田  憲君    藤尾 正行君       藤田 義光君    藤本 孝雄君       武藤 嘉文君    渡辺 栄一君       稲葉 誠一君    大出  俊君       大原  亨君    岡田 利春君       木島喜兵衞君    野坂 浩賢君       武藤 山治君    山田 耻目君       横路 孝弘君    草川 昭三君       正木 良明君    木下敬之助君       米沢  隆君    瀬崎 博義君       中路 雅弘君    三浦  久君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         法 務 大 臣 秦野  章君         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 瀬戸山三男君         厚 生 大 臣 林  義郎君         農林水産大臣  金子 岩三君         通商産業大臣  山中 貞則君         運 輸 大 臣 長谷川 峻君         郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君         労 働 大 臣 大野  明君         建 設 大 臣 内海 英男君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     山本 幸雄君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      丹羽 兵助君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      齋藤 邦吉君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 加藤 六月君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 谷川 和穗君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 梶木 又三君  出席政府委員         内閣法制局長官 角田禮次郎君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    斧 誠之助君         総理府人事局長 藤井 良二君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         防衛庁参事官  新井 弘一君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 夏目 晴雄君         防衛庁経理局長 矢崎 新二君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         法務省刑事局長 前田  宏君         外務省条約局長 栗山 尚一君         大蔵省主計局長 山口 光秀君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         食糧庁長官   渡邊 五郎君         通商産業省貿易         局長      福川 伸次君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         労働省労政局長 関  英夫君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ───────────── 委員の異動 十二月十五日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     太田 誠一君   小渕 恵三君     近藤 元次君   奥野 誠亮君     森   清君   村山 達雄君     笹山 登生君   竹本 孫一君     米沢  隆君   金子 満広君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   太田 誠一君     宇野 宗佑君   近藤 元次君     小渕 恵三君   笹山 登生君     村山 達雄君   森   清君     奥野 誠亮君   米沢  隆君     竹本 孫一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十七年度特別会計補正予算(特第1号)      ────◇─────
  2. 栗原祐幸

    栗原委員長 これより会議を開きます。  昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)及び昭和五十七年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題とし、質疑を行います。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 総理に承りたいのですが、いろいろな問題がございますけれども、私に与えられましたのが公務員賃金人事院勧告でございますから、それを主題にしたいと思います。  そこで、総理御自身がお考えになって、私、きのう各党の皆さん質問をずっと冷静に聞いておりましたが、どこからどう考えても、今回の人勧見送り閣僚会議のやりとりを新聞で見る限りは凍結という言葉は使っておりますが、それに対するいろいろな意見が出ましたから、見送りというふうに閣議決定のときは改められたようでありますが。  勧告が出ていて、一%予算が組んである。長い慣行を——きょうはこの席に山中さんがおいでになりますが、四十五年というのは山中さんが給与担当大臣でございましたから、このときにこの制度確立をされたわけでありまして、亡くなられました与党皆さんの中の伊能繁次郎先生、ずいぶん御苦労いただきました。また、民社党受田新吉先生、私の給与先生でございますが、人事委員会委員長時代から、私、長いおつき合いでありますけれども、ずいぶん御苦労されました。私ども一緒に一生懸命やったのでありますが、そういう経緯がございますだけに、一%予算が組んであって、そして人事院勧告が四・五八%出ておるということ。ここにおいでになります国会職員方々初め政府委員席にお座りになっておいでになる各省庁の皆さん含めまして、まして二〇%、二五%という管理職手当をもらっている方々は昨年一年間凍結でございますから。  念のために申し上げておきますが、これは法律を出してきて三月三十一日まではこれ実施しない、わけのわかったやり方でございました。だから、それだけにみんな待っておられるのですから、大きな期待感、しかも、この期待感は実は期待権という権利だと私は思っております、制度がそうでございますから。  それを手続もろくに踏まずに、十六日に財政非常事態宣言なるものをお出しになった。どうも余り評判がよくない、いささかあわてたかっこうも見えましたが、二十日に閣僚会議でぽんと決める、ゼロである。これはどう考えても無理でございまして、世の中余り無理するとろくなことはございません。したがいまして、この無理、これは私はおやめいただきたいと思っているのですけれども、私は無理だと思っておりますが、総理は、この間の経緯を前閣僚でもございましたからよく御存じでございますが、どういうふうにお考えになりますか。
  4. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 いろいろこの問題につきましては御議論のあることを承知しております。  大出さんとは長いおつき合いでございますが、今度内閣委員会その他におきまして、公務員あるいは政府関係職員給与問題についていろいろごめんどうをいただきまして、いろいろないきさつを全部あなたは御承知であります。特に昭和四十五年、福田さんのときに山中担当大臣完全実施ということをお決めになった責任者でもあることもよく承知しております。そういういろいろな経緯も踏まえまして、政府といたしましては、従前どおり公務員皆さんにつきましては、年末に差しかかることでもあり、ぜひいままでどおりの処置をしたいと念願をしてまいってきたところでございます。  しかるところ、六兆一千億という大きな歳入欠陥が出てまいりまして、これは政府側歳入見積もりの錯誤に基づくところもありましてまことに申しわけない状態ではございます。しかし、いろいろな情勢を見まして、こういう状態になった以上は、まことに公務員政府関係皆さんには残念でございますけれども、万やむを得ず異例の措置としてこういう措置をとらざるを得なくなりました。その間におきまして、いろいろな関係方面に対する根回し等において必ずしも十全でなかったということをよく承知しております。現内閣になりましてから、組閣早々国会が開かれたり、いろいろ繁忙なことがございまして、その点につきまして必ずしも十分でないことであったということも反省しておりますが、事態こういう状態でございますので、まことに申しわけない状態ではございますが、事情を御了承を願いたいと思う次第でございます。  具体的な点につきましては、竹下大蔵大臣から御答弁申し上げます。
  5. 大出俊

    大出委員 総理から竹下さんにというお話でございますが、本来これは——きのうずっと聞いておりまして、竹下さんが給与担当大臣じゃございませんで、給与担当大臣はほかにおいでになるわけでございまして、米の方の一・一%をあっさり引き上げる御努力をなさって陰の農林大臣と言われる方でございますが、おまけにそのときに、どうも人勧という方面は絶対凍結してくれと条件をつけているのですね。一・一%のめというなら、人勧凍結せい、これはよけいなことです。その方が今度総務長官おなりになったとたんに、警告書をいきなり出した。警告大臣総務長官おなりになって人事局長等といろいろ御相談なさったようでありますけれども、給与担当大臣に間違いない。その初仕事が処分するぞという警告じゃ、どうもちょっと寝覚めがよくないんじゃないかと私は思っているのですね、その前に米の方だけ上げておいて。これは後から、米のことも私よく調べておきましたから、必要なら申し上げますけれども。  いま総理お話は、手続的にもいろいろというお話もございまして、いささか無理であることをお認めのようであります。確かにこれは無理過ぎる。  私は、実は国会の中を歩いておりましたら、国会職員の方が私を呼びとめまして、横の方へ連れていかれまして、その方の話を聞かされましたが、七年前にローンでうちをお買いになった。ところが、奥様のお母様が、まあ私の家内と同じような病気でございまして、がんの専門の病院に入っておいでになる。支払いのたびに三十何万という、もちろんこれは後から超過額は返ってまいりますけれども、大変苦しい思いをしてきた。奥様も、自分の親でございますから済まないということなんでございましょうけれども、かくて六カ月滞納した。そうしたところが競売の手続をとると言われて、あわてて銀行に出かけていきまして話をしたら、通常公団なら、政府関係機関ならば六カ月なんだが銀行は主に二カ月だ、半年待った、支払うめどがおありになりますか、保険制度代払いをしているんだということだったのですけれども、そこで、人事院勧告が出ているのは御存じのとおりで、やがて差額がもらえます、だから何とかそれで埋めますからということで、期限超過をいたしましたが、待ってもらっているというわけであります。ところが、勧告実施をしない、奥さんにいろいろ言われて弱り果てているのですが何とかなりませんかと、涙をためて実は話をされまして、私も長年給与をやってきた人間でございますし、私にすると、どうも私の半生、戦後官公労事務局長を二十何歳でやっておりましたから、人事院ができる前からでございますから、したがいまして、これはどうもしんみり聞かされて何ともやりきれぬ気持ちに実はなりましたが、これはこの方一人の例じゃございません。  これも後から時間があれば申し上げますけれども、五万件ぐらい、ローンで家を買った、マンションを買った、滞納をする、代払い制度で払ってもらっている、ある日突然にこの御家庭は夜逃げをする、近所のつき合い、体裁もございますから学校に行っている子供さんを連れたまま——私の選挙区にも幾つもございます。それぞれの家庭事情を抱えて公務員皆さんが待っていた期待権、これをぽかり凍結をする、あるいは見送る。中曽根さんが施政方針演説お話しになっておりますが、思いやりの心と、こうある。そして中曽根さんらしい、いつになってもお若いという感じがするのですけれども、本当にそうお思いになっている、これは別に悪いわけじゃないので、いいのでありますけれども、家族が家路を急いで、だから御主人も公務員方々家路を急いで、夕べ食卓を囲んだときにほのぼのとした親愛の情、団らんの中からほのぼのとした親愛の情が漂うという、そういう世の中をつくりたい、そういう家庭をつくれるようにひとつ誠実な努力をしたい、こういうお話を本会議でされまして、そのとおり私聞いておりましたが、年末を控えてこういう騒ぎが起こって、そしてストップをされて、家路を帰る公務員諸君がどうもほのぼのとした、やれ団らんだとか、つまり夕べ食卓を囲んだ幸せだとかそういうことになるかどうか、大変に暗い気持ちで、さっき一つ例を挙げましたが、皆さんの身近においでになる方でございますけれども、そういうことをやはり真剣に考えていくのが私は思いやり政治なんだろうと思うのです。おっしゃっていることと現実とこんなにかけ離れているということも、これまた理解に苦しむ。  この辺を、あなたが述べたこと、今日の手続的に不備を承知で、また多少の無理は承知でゼロという結論をお出しになったこととをあわせましてどうお考えになりますか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、公務員皆さん立場考え、特に家庭の主婦の立場考えてみますと、非常に胸の痛むものがございます。特に私は家庭の幸せということを中心に物を考え政治を進めようと思っておる人間でございます。公務員政府関係職員の若手の第一線の皆さん方は相当なローンを抱えておりまして、ベースアップボーナスを期待してそれで返している人がかなりいるということも承知しております。  そういうことを考えてみますと、実際胸痛む思いがいたしますが、何しろ六兆一千億円という大きな赤字が出て、できるだけ均衡を回復しようという考え方、あるいは民間の側でもそういう苦労をなすった方々がまた一面にはございまして、石油危機を乗り切るときにはまたみんな、中小企業皆さん方も同じようにベースアップをとめられたりあるいはボーナスを控えさせられたり、非常な苦労をなすってやはりやってきておる。そういう国民の皆様方の大部分とは申しませんが、中小企業皆さんでも御苦労なすったことを考えてみますと、やはり公務員がある意味においてはこの機会に率先垂範していただきまして、苦労をしていただく、そういう点もまた一面考えてみまして、政府当局者といたしましては涙をのんで重い心でやらざるを得ない、そういう気持ちでおる状態でございます。
  7. 大出俊

    大出委員 あなたがいまおっしゃっているのを聞いていますと、非常に冷酷無残だという気がするんです。人事院総裁藤井さんおいでになりますが、前任者でございました佐藤達夫さんが、口癖でございましてね、公務員に対する大変な愛情を持っておられまして、事あるたびに、私は公務員諸君に対して冷酷無残な措置はとりません、これは口癖でした。亡くなりました民社党の受田さんが私と一緒給与をやっておりまして、公務員が前向きにこの仕事に取り組める、そういう環境をつくらなければ、この国はもたぬということをよくおっしゃいましたが、そのとおりだと私は思うのです。また、伊能繁次郎先生がよく私に言っておられましたが、この方は運輸事務次官をおやりになって、政治を始めてから運輸政務次官をおやりになったわけでありますけれども、公務員というものをよく知っておりまして、公務員がやる気にならなければこの国は成り立たない、常にそういうふうに言っておりました。そこらが私はやはり四十五年の制度確立につながったと思っているのですけれども、そこのところを考えますと、公務員賃金がべらぼうに高いんならいざ知らず、低いから勧告出している。  そこで、まず、日本公務員というのはそんなに働かない公務員ですかね。賃金を切らなければいかぬほど働かない公務員でしょうか。私は、ここにおいでになる方をごらんになってもおわかりのように、大変に、それこそ懸命に仕事をなさっている方々ばかり、ほかの国に比べて非常に優秀な方々レベルの高い方々、そして非常に勤勉な方、こう思っているのですが、総理公務員皆さんに対してどういうふうにお考えでございますか。
  8. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は行管長官のときにも申し上げたことでございますが、日本公務員システムというのは、フランスと並んで非常にりっぱな制度になっておる。そして、公務員の能力、特に先見性とかあるいは仕事のやりぶり等につきましては、世界的にも高いレベルにある。そして、政治継続性安定性というものはフランスと並んでこの公務員体系というものによって維持されておる、こういうふうな評価を受けておるということもよく知っておりますし、また公務員の絶対数を比較してみた場合に、外国と比べてみてそれほど多過ぎるという数字ではない、むしろ外国の方が比率から見たら多い、そういうことも承知しております。しかし、民間会社企業との生産性等を見ると、必ずしも今度はそれほど上位にあるとは思えない。日本民間会社企業というものはかなり合理化を断行して生産性の高い水準にありますから、これは世界でも冠たるもので、それで日本経済はこれだけ伸びているわけでございますが、その民間との水準を比べると、日本公務員の方はまだまだ改善の余地がある、そう思います。しかし、世界的な水準から見れば、日本公務員制度はかなり評価の高い位置にあるのではないかと考えております。
  9. 大出俊

    大出委員 公務員生産性というのはどういう計算をなさるんですかね。私はどうもちょっと余り公務員生産性というものについての指数を見たことがないんですけれどもね。だから、給与法には、公務員生活水準という言葉が入っていまして、ポツ、ここから実は官民比較、こうなるのですけれども、そこで、それは時間がかかりますから、そこはさておきまして、いまのお話を聞くというと、世界公務員水準よりは高い、こういうふうにおっしゃっている。  時間がありませんから、私の方から申し上げますが、それでは一体世界公務員、といっても全部挙げるわけにはまいりませんが、アメリカやあるいはフランスだとかイギリスだとか西ドイツであるとかいう国しか挙げようがありません。これは申し上げますが、アメリカも、いまの国会じゃありませんが、前のときに自民党の、与党質問者の方がえらいどうも思い切って切り下げて低くしたというようなことをここで質問されましたが、アメリカを私調べておりまして、アメリカ連邦職員給与改定というのはこうなっているのですね。給与改定は、労働省民間給与のみを調査して、民間給与しか調査しないのですよ。ちょうど日本と同じです。民間給与実績に準拠する、そういう形の調査をして、大統領給与代理人、そういうかっこうで、その資料が人事管理庁長官労働省長官行政管理庁の、日本で言えば行政管理予算庁一緒になっていますが、行政管理予算庁長官、三者協議になるのですね。ここに組合の代表を三人入れておるわけですが、そして大統領勧告するという制度なんです。  それで、この官民比較の方法によって、去年の例を申し上げますと、去年の八月に勧告された率が一五・一%、ところがここで、大統領国家緊急事態等のときは代案を出すことができるという制度ができている。緊急事態をどう見るかということは異論のあるところでありますが、そこで大統領代案を何回も出しています。その代案というのはどういう代案かといいますと、比較の仕方が全然違う。給与、年金、生命保険などのすべてを含めた総合給与法、簡単にいえば総合給与比較法案とでも訳したらいいんだと思うのですが、それを議会に出すということになっているのです。それが昨年は四・八%なんです。だから、これは計算をしてみますと七%ちょっと超える、八%前後になるだろうと私は思うのでありますが、つまり一五・一%を角度の違った比較法総合給与比較法案という形でお出しになった。これが昨年の例です。したがいまして、名目的な四・八%じゃない、中身は。しかも、これは制度があっておやりになっておる。ゼロじゃないのです、もちろん。  ことしは一体どうなったか。ことしはもう少し高い一八%の勧告をした。それを何とかいまの形で軍人を除きまして四%引き上げるという代替案出している。これが現状です。これがどういうことになりますかまだ聞いておりませんが。つまりアメリカといえども千三百億ドルもの赤字を抱えておりますけれどもゼロにしてはいない。  さらにフランスは、私この間フランスに寄りまして、わざわざ最後に二日ばかり寄りまして細かく調べてまいりました。十月まで凍結をする、賃金凍結をする、こういう方針を当時出しております。ところが、これは納得できるのですね、公務員給与だけ凍結したのじゃないのですから。物価もすべて凍結をする、公共料金もすべて凍結をしたのだから。そういう意味ではその凍結解除のときにどういうことになるかというのを見守る、フランスにも強い労働組合がありますけれども、見守ってきた。それでフランスは、八〇年、八一年ともに一〇・七%という給与の引き上げであります。ことしは十一月に凍結解除がなされた。そうしたら、そこで三%を上げる。そうすると、前に一部実施しておりますから、合計九・三%になる。労働組合がこれに大不満でゼネストまがいの、これは民間方々フランスなんかの場合は公務員給与が抑えられれば、日本もそうですけれども、日本も今日まで公務員主導型の賃金、いまなお。人事院勧告中心になった公務員主導型の賃金。だから、公務員賃金を抑えられれば民間賃金を抑えられる。フランスもそうであります。公共部門民間部門に分かれているだけでございまして、その間の認識に差がない。だから、一つ間違うとゼネストになってしまう。そういう雰囲気ができたわけであります、私が参りましたときに。来年の三月にいってもう一遍考える、何がしか積み上げるということで回避させて話し合いに持ち込んでいるわけであります。だから、ここで三%上げまして合計九・三になるのだけれども、さらにそれに何がしかの上積みをするということで話が行われている、こういうわけですね。  イギリスはどうかというと、英国も、フォークランド紛争などがございましたけれども、公務員の賃上げは五月中旬に五・九%上げて妥結しています。五・九%、これは一昨年の一八・七五%、昨年の七%プラス一律三十ポンド上げ、これから見ると確かに落ちてはいます、フォークランド紛争等もありましたから。落ちてはいますけれども、もちろんゼロではない。かつかつ納得し得るところまで話は進んで、まとまっているわけでございます。  私がいま三つの国を挙げましたが、西ドイツの場合も昨年の賃上げ率は四・二%、ことし多小落ちて三・六%。日本とそんなに違いはない。  だから、これで四カ国になりますけれども、どこの国もゼロというようなことはやっておりませんし、しかも、どこの国も話し合いというものが先行している、実はこういう状況なんですね。  公務員生産性の話が出ましたけれども、フランス日本というのはずば抜けて優秀な公務員皆さんである、よく仕事をなさっている。これだけは前段におっしゃっている。そうすると、いま私が例に挙げたことをとらえて、なぜ一体経済的に日本がそんなに悪い。アメリカは千三百億ドルも赤字。なぜ一体ゼロにしたのか。ここが私はどうしてもわからぬ。六百七十億というのはこの予算委員会で審議して決めたのでしょう、一%は給与改善費で。審議に参画をしたわれわれにただの一言も皆さんからお話がない。それじゃ一体、何を審議してどう決めたって、これは全く意味がないじゃないですか。そのことを含めて、いまの国際的にゼロのところはない。なぜゼロでなければいかぬのか、理由を承りたい。六兆一千億の大赤字赤字の責任は一体どこにあるか、後から申し上げるが。公務員皆さんに責任がありますか。人事院勧告完全実施をされてきている。昨年一年だけ二〇%、二五%の管理職手当をもらっている方々が一年間ストップされた。これは無理だ。一体ゼロとはなぜ出てきた数字ですか。どこに根拠がございますか。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 いま諸外国の経済指標と給与改定の状況について御比較をなさった上での御質疑でございますが、これは総合的な判断において決まったことではございますが、ポイントを仮に三つ申し上げますならば、一つは、やっぱり物価上昇率が欧米諸国の、最近若干の落ちつきを見せたとはいえ二けた、こういう状態と、日本の場合予測される三%台という状態との大きな違いがあるということが一つではなかろうかと思います。それからもう一つは、日本もいわゆる定期昇給の二%程度ということは、これを行っておるということは御承知のとおりであります。そういう諸般の経済指標、これは確かに私は、いろんな点から見ても先進国の中である意味において世界一の状態である。そういうことのほかに、今度はいわゆる財政事情ということになりますと、公債依存率等から見ましても、これはまた最も困難な状態にある。そういう両面からして総合的な判断で見送る、こういうことが決定されたというふうに理解をしております。
  11. 大出俊

    大出委員 全くこれは根拠になりませんですね。そこで竹下さん、大蔵大臣におなりになったが、前は幹事長代理ですね。いま定期昇給にもお触れになりましたが、所管じゃないですね、これは。あなたが定期昇給のことを言うというのは越権だ。これはおやめになった方がいい。ぼろが出る。  そこで、人事院の総裁おいでになるから、私が言うよりその方が確かでしょう。定期昇給というのは何ですか。毎年人間というのは年をとりますね。厚生省統計でいけば二十七歳になれば結婚するのだ。これが一番多いのだ。そうでしょう。そうなりますと、どうしても奥さんをもらうことになる、一人で生きていけないのだから。そうすると、どうしても子供もできることになる。扶養手当だけでは済まない。つまりその変化の中に、幾つも理由がありますが、賃金引き上げじゃない、当然のこととして定期昇給が行われている。これは何も官庁だけではない、どこだってそうだ。だから、それはそれとして、二・一一とか二・一二とか言うけれども、それも全く根拠がないが、いま二%とおっしゃったけれども。一体定期昇給というのはなぜ定期昇給するのですか、総裁に承りたいと思う。教えてあげてください。
  12. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 定期昇給は、いま大出委員も御質疑の中でお触れになりましたように、公務員のみならず、労働者というのは年をとるわけであります。初め高等学校を出、若くして入って、その人がだんだん年をとって青年になり、そして奥さんをもらう、子供ができるということでございますので、それに見合って何らかの措置を講じていかなければ、そのままの据え置きではいけない。(江藤委員「年とり賃」と呼ぶ)いまここで年とり賃というお話がございましたが、いわばそういうものでございまして、これは民間でも、いわゆるベースアップとは別に、当然の措置として組み込まれてやっておるという制度でございます。
  13. 大出俊

    大出委員 江藤さん、いまいいことをおっしゃったが、まさに年とり賃なのですよ。これはどこでもやっているので、何も官庁だけではない。だから、官民比較の上で、民間と差が出てきたからというので四・五八上げたのであって、いまの竹下さんの言うのは全く理由にならぬ。給与を知らぬ人はしようがないものだと私は思うのだけれども、これはもう話になりません。したがいまして、いまの御答弁ではゼロにする根拠は全くない。財政が赤字だからゼロにする、これは全く成り立たない議論です。  そこで、一つだけ承っておきますが、総理人事院が代償機関とよく言われますが、一体代償機関とは何ですか。——米だけ上げておいて、黙っていないで答えなさいよ。警告だけ出しているのが能じゃない。
  14. 藤井良二

    藤井(良)政府委員 お答えいたします。  公務員は労働基本権がいろいろ制約されております。その労働基本権の制約の代償として人事院勧告があるわけでございます。
  15. 大出俊

    大出委員 憲法上、労働基本権というのは一体どこから出てくるのですか。日本の憲法という法体系は労働三権、二十八条で労働権を認めているけれども、それはどこから出てくるのですか。生存権でしょう。これも憲法に規定されている、判決にも出ている。お答えください。大法廷判決、中郵判決にも警職法判決にも載っているよ。きちんと答えておかなければいかぬ。
  16. 藤井良二

    藤井(良)政府委員 生存権でございます。
  17. 大出俊

    大出委員 そうだよ。人事局長がそんなこともわからぬで困るじゃないか。ちゃんとこれは警職法判決にも明確に書いてある。皆さんがやがて持ち出すことになる判決でございます。四十八年でございますが、ここに「この労働基本権の保障は、憲法二五条のいわゆる生存権の保障を基本理念とし、」ちゃんと書いてあるじゃないか。大法廷判決ぐらい読んでおきなさいよ。だから「憲法二七条の勤労の権利および勤労条件に関する基準の法定の保障と相まつて」つまり、仕事を与えなければいかぬ責任が政府には国民に対してある。その勤労の権利、これと相まって「勤労者の経済的地位の向上を目的とするものである。」これが労働権でしょう。だから、権利でしょう。生存権でしょう、その基本は。「憲法二五条のいわゆる生存権の保障を基本理念とし、」と明確じゃないですか。そうでしょう。  そうすると、代償機関というのは一体何かと言えば、突き詰めて言うと、生存権の保障に対する代償機関だ、労働権の保障に対する代償機関だ。金がないからといって、生存権の保障、その代償機関である人事院出したものがゼロで済みますか。そうでしょう。そんないいかげんな答弁じゃだめじゃないですか。知らぬものを幾ら言ってもしようがないが。  そこで、総理に承りたいのだが、閣議決定では、公務員が率先して行財政改革に協力する姿勢を示す必要がある。ずいぶん押しつけがましい話です。公務員の勤務ぶりが給与凍結の原因ではない、さっきあなたはそうおっしゃった、一生懸命働いていると。そうなると、一体この勤勉な公務員に対して、行財政改革に率先して協力するということは、勧告による給与の引き上げを、金がないんだから、財政赤字なんだから供出せい、こう言う。供出をしろと言う。法律的に期待権として確立をされている勧告が出て、予算に一%改善費が組まれているという現状の中で、この一%を含めて勧告の四・五八%を公務員が供出をしなければならぬ、財政赤字だから供出をしなければならぬ公務員の法律的な義務はございますか。法律上の義務はございますか。お答えをいただきたい、総理——そんなことじゃ質問にならぬじゃないですか、一々。そんなことでゼロにされてたまるか。
  18. 藤井良二

    藤井(良)政府委員 法律上の義務はございません。
  19. 大出俊

    大出委員 ないだろう。法律上の義務がないものを何で強制をするのですか。強制のしようがないじゃないですか。法律上の義務はないと明確にいま答えておいでになる。生存権の保障だ、勤労の権利の保障だ。その労働権の代償機関が出した。それを率先して、行政改革をやるので金がないのだから供出をせい、そんなことを使用者たる政府が強制できますか。民間で、会社は不景気だから、おまえたちに賃上げをやったけれどもこれは全部返せ、供出してくれ、そんなことはできますか。これは権利じゃないですか。金がないからといって権利を踏みにじれますか、そんなことは。生存権だ。まして、あなた方は一体この決定に至る間、さっき手続上の不備は総理お認めになったが、ただの一度でも、閣議決定する前に、給与関係閣僚会議が決める前に、相談をしたいと呼びかけたことがありますか、使用者たる政府が。私も長くやっている、公務員関係の組合諸君とも長いおつき合いがある。寡聞にしてただの一度も、政府側から相談をしようと呼びかけたことがありますか。ないでしょう。いかがですか。——そんなことまで人事局長ですか。
  20. 藤井良二

    藤井(良)政府委員 組合側と総務長官と、給与閣僚会議の決定の前後において、数度にわたり会見して、協力をお願いしております。
  21. 大出俊

    大出委員 うそばかり言っちゃいけませんよ。そういうことをぬけぬけと藤井君、君は言うけれども、あなたは昔から、総理府の人事局長が前向きに何か言おうとすると、すぐそばに行ってそでを引っ張った人だからそういうことを言うのだけれども、ここに、あなた方がいま数度にわたってと言う相手方の公務員共闘の「公務員共闘日誌」がある。ゼロックスをちゃんととってきた。書いてある。そういううそばかり言うと、これは本当にあなたの責任問題よ。審議できなくなりますぜ。  第一回目、九月十日なんだ。あなた方の財政非常事態宣言の話がちらちらした時期、したがって九月十七日に会いたいということを申し入れた。これは政府方針が固まる前にということであったが、あなた方を通じて内閣の官房長官等に会いたい。これは後から申し上げますが、交渉権というものは公務員には確立している。新しい公務員法で言えば百八条だ。したがって、権限ある当事者ということになっている、解釈上。権限ある当事者とはだれか。使用者としての政府の権限ある当事者というのは総理大臣なんです。だから、会いたいというのはあたりまえでしょう。ドライヤー実情調査調停委員会が来て、労使のイニシアチブは佐藤総理、あなたがとるべきだと言ったら、総理は認めた、昭和四十年だけれども。この前に池田総理太田総評議長の会談が持たれた。これが今日まで続いているのですよ。使用者たる政府の権限ある当事者だからです。そうでしょう。だから、申し入れるのはあたりまえでしょう。そして、社会党にも話があったから社会党の方からもちゃんと物を言った。そうしたら、何と九月十七日の当日になっても返事がない。ここにちゃんと書いてある。したがって交渉はできなかったと書いてあるじゃないか。そうでしょう。なぜそうでたらめを言うんだ。前後において会いましたと言ったって、会ってないじゃないですか。前というのは二十日の閣僚会議の前なんです。  さらに十八日に、会わないから、社会党の大蔵委員会の人たちを通じて、大蔵大臣にも会いたいというふうに申し入れをした。この方も組合関係の方を入れない。だから、参議院の私どもの野田君を初め議員がお目にかかったりしている。  十四日に官房副長官、これは池田さんですかね。官房副長官とここに書いてありますが、これも党の関係の諸君としか会ってない。  そして、十七日の当日になって、総理府交渉で、公務員共闘の小谷事務局長から人事局長に対して抗議をするとともに、今後早急に会うように申し入れをした。これは十七日です。日誌に書いてある。  第二回目、二十日、閣僚会議と前後する総務長官交渉の際にも、当事者たる政府に会わしてくれと言って、官房長官交渉を申し入れた。それから、給与関係閣僚会議凍結が決定したのは二十日です。二十一日、総理府、大蔵省、労働省などに交渉を申し入れた。そうしたら総理府だけは、これは人事担当当局だから、ここで小谷という事務局長が人事局長に、総理も、当事者たる公務員に相談もしないでぱんとやったんだから、これは謝るべきではないか、また話をすべきではないか。だから、官房長官交渉を一切拒否されているんだから、あなたの方から官房長官交渉を頼んでくれと書いてある。そうしたら、人事局長が、極力努力する。そして、ちゃんと官邸においでになって折衝された。しかし、二十四日の閣議決定前にという要求だったのだけれども、結果的に官邸はこれを拒否した。この連絡は総理府から電話で、会えない旨の連絡がありました。日時は二十二日の昼。  総理に承りたいのだが、これだけのことをお決めになるならば、権限ある当事者である総理あるいは官房長官が、これらの方々、当事者の諸君に会って、事前に了解を求めるという手続をとるのは当然でしょう。これは総理に承りたい。いかがでございますか、さっきあなたは手続上のいささかの不備とおっしゃったが。
  22. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 前内閣時代のことでございますけれども、事務的にあるいは政治的に、もう少し周到に配慮すべき点があったようにいま考えております。
  23. 大出俊

    大出委員 これはそれだけじゃ済まないのです。先を急ぎたいけれども、言うことは申し上げておかなければいかぬから申し上げるのだが、先ほどの警職法判決というのは、代償機関たる人事院があるから憲法二十八条にストライキ禁止が抵触しない、そう言っているだけじゃないのだ。生存権の保障の代替機関なんだからと明確に述べている。これは全農林警職法判決、四十八年大法廷判決の中身です。明確なんですよ、これは。「さらに、当局は、登録された職員団体から職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、およびこれに付帯して一定の事項に関し、交渉の申入れを受けた場合には、これに応ずべき地位に立つ」応じなければいけないのです。「これに応ずべき地位に立つ(国公法九八条二項、改正国公法一〇八条の五第一項)」、明確なんです。法的に「これに応ずべき地位に立つものとされているのであるから、私企業におけるような団体協約を締結する権利は認められないとはいえ、原則的にはいわゆる交渉権が認められており、」はっきりしている。これも権利じゃないですか。総理、あなたの方は単なる手続上の不備じゃない。この交渉権の確立ということを含めて、あわせて代償機関という問題が完全に機能しているということであれば憲法二十八条に違反するものではない、こういう判決ですよ。全く大きなこの判決の柱です。  何にもしない、呼びかけもしない。あなた方は当然呼びかけるべきなんですよ。呼びかけもしないで、交渉を申し入れても権限ある当事者はだれも会わぬで、総理も官房長官も会わぬで、一方的に決めて事が済むと考えるということは、もし、それで済むと考えるならばそれはファッショだ、民主主義じゃない。そうでしょう。総理、もう一遍これ御答弁願いたい。
  24. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 農林事件の判決は私もよく拝読しております。その精神はわれわれとしてもよく深くかみしめていかなければならぬと思っております。
  25. 大出俊

    大出委員 答弁にはなりませんが、この精神、よくかみしめておられるというのだからわかっているということであって、ただ、前内閣中曽根さんが総理じゃございませんから、行管庁長官というお立場でしょうから、前総理鈴木さんのときに起こった問題ですから、おわかりであればそれでいい。追及はしません。しませんが、冒頭に申し上げたように、無理があるということはかくて浮き彫りでしょう。無理をしちゃいけませんよ、総理。  さて次に、「私は、決して高額とはいえない給与の下、日夜公務に精励している国家公務員諸君の実情を十分に承知しております。」「国家公務員諸君が率先して本年度の給与改定見送りを甘受し、この難局の打開に貢献する姿勢を示されんことをあえて切望する」こう書いてある。これは九月二十四日の総理談話です。これもずいぶん不誠実な話です。法律的に何の義務もない。賃金を供出しなければならぬ何の義務もない。これでは納得しろと言ったって納得しようも何もないじゃないですか。前人事院総裁が冷酷無残なことはしないと口癖に言いましたが、冷酷無残ここにきわまれりだ。これは改めなきゃいけませんよ、総理。  さてそこで、総理に承りたいのだけれども、高校を出て公務員になる方が行政(一)表で言うと六〇%を超えている。六割以上が高校卒の方です。長年勤めて少しずつ賃金が上がってきている方々。この方は試験採用するわけでありますが、一体、一番最初に何等級何号、幾らの給料をもらうのですか、初任給と言っていいわけだけれども。御存じでございますか。
  26. 藤井良二

    藤井(良)政府委員 八等級三号俸でございますから、八万五千九百円でございます。
  27. 大出俊

    大出委員 総理賃金質問をすることは通告をしてありまして、人事院勧告について御質問することになっている。あなたがたくさんの公務員を抱えて、使用者たる権限ある政府責任者でございます。まあそのくらいのところはちょっと目を通しておくぐらいの御用意があってもいいという気が私はする。八等級の三号です、八万五千九百円、これは現行でございます。勧告実施されますと、八万九千九百円に上がります。四千円上がるということです。八万五千九百円が八万九千九百円になるのです。八の三から振り出しでございます。大学を卒業して入りますと七の二になるでしょうけれども、十万六千九百円、これが甲でございます。乙で七の一で十万一千九百円。これが十一万一千九百円、十万六千七百円。五千円、四千八百円というふうに上がる。これが公務員の振り出しでございます。  ちょっとこれを配っていただきたいのですけれども。——そこで、一体どういう給与の実態にあるかをここで申し上げておきたいのでありますが、たくさんの問題はございますけれども、時間の関係もございますから、省略するところは省略して、本題に入りたいと思います。  これは後から御説明をいたしますけれども、その前に、ここに幾つか公務員の実態の例がございますから申し上げたいのであります。公務員というのは、皆さんがよく官高民低とおっしゃるけれども、そんなにもらっていない、そんなにもらっておりません。地方公務員も全部カバーしてのことですから、中曽根さんが御存じのところから申し上げます。  中曽根さんの選挙区に小野上村という村がある。御存じですな、総理御存じのようであります。(「ある、ある」と呼ぶ者あり)ああ、そちらにも群馬の方がおいでになる。ここにありますのは、小野上村の村長さん以下、助役さんも教育長さんも全部の給与の明細書がここにございます。  村長さんで一体幾らもらっているか。六十六歳の村長さん、四十三万円というのが俸給であります。べらぼうに高い税金も取られております。それらのところを全部差し引いてまいりますと、一体手取り幾らになるか、三十二万七千七百五十五円、三十二万円ですよ、小野上村の村長さんが。助役さんが何歳かというと五十六歳。助役さんが三十四万五千円です。低いものです。手取り幾らかというと二十五万三百十円。総務課長さん、この方は三十一年七カ月勤めている。総務課長さんの給料が二十九万六千六百円、高いですか、これ。手取りが二十一万六千七十六円。(発言する者あり)その資料じゃない。これはいま実情を申し上げているので、平均給与でございますから、後からそちらの方の説明をいたします。これを見てまいりますと、教育長さんなんかでも非常に低い。だから、一般の職員の方々というのは、十四年七カ月もお勤めになっても、十七万九千四百円というのが俸給ですよ。そして、手取りは十三万二千円。  それから、今度は市を申し上げますけれども、おたくの方のやはり御関係のあるところの例をとりますが、沼田市、私もおやじもおふくろも群馬でございますからよく知っておりますが、この沼田市、これは御存じのようにりっぱな市であります。ここの課長さん、五十・四カ月、勤務年数が三十年と八カ月、この方の俸給が二十九万六千六百円。そして、手取りは一体幾らになるか、税金その他非常に高いですね、税金だけで七万三千五百九十円引かれておりますが、実質手取りが二十三万二千五百四円、この方は課長さん。  それから、同じ非現業で若い方を一人挙げますが、二十七歳八カ月、五年六カ月勤めておいでになる方、この方が俸給が十三万七千三百円、そして税金その他引きまして、この方は超過勤務をやっておられますけれども、そこらを引きまして十二万六千九百三十五円。  それから、皆さんのところにごみを取りにおいでになる清掃関係の現業の方。公務員皆さんにも行(二)というのがございますけれども、こういう方々は、本当に今度の賃金ストップというのはこたえています。五十六歳五カ月、二十八年五カ月勤めておられる、三十年近い。二十八歳でこの方は入っている。この方の給料が二十一万七千七百円、毎日ごみの収集に当たっている方です。この方の特殊勤務手当が一万一千五十円ございますし、扶養手当がお一人ですから一万二千円ございます。この方のを計算してみますと、実質手取り十九万円、五十六・五歳、二十八年五カ月お勤めしている。どこから考えても高いとは言えない。  こんなにたくさんございます。どれをとっても似たようなもの。ただ、ローンにばっちり入っておりますから、計算がめんどうだから、住宅ローン等に入っておられて小野上村でも四万七千円しかもらっていない人もいるのだけれども、そういう例は挙げないことにしましたが。  次に、人事院の総裁そこにおいでになりますから申し上げますが、ここに人事院がございます。ここに給与の明細書を私はたくさん持っておりますが、明細書をもらってくれば一遍でわかることです。ここにたくさん入っております。後でお返しをする約束でございますが、給与明細書、みんな長いやつがたくさん入っておりますが、給与の明細書に間違いない。  これを見ますと、五十四歳の守衛さん、十八年勤めている。お二人の扶養者がいる。この方が俸給が二十万五千八百円、十八年勤めて二十万五千八百円。実質手取りが幾らになるかと思って計算してみましたら十九万二千三百八十二円。守衛さんですよ、皆さん行けばいつも立っている。  次に運転手さん、人事院の方、三十六歳で十四年お勤めになっておいでになる。この方の俸給が十八万七千七百円、通勤手当や何かを払っちゃうのですから差し引きますと、扶養者が三人、四人世帯、この方の手取りが十九万三千九百三十六円。十四年も勤めている。  用務員の方を挙げておきますが、用務員の方——行政(二)表というのはなくしてもらいたいというのが私の長い主張でございます。本当にこれは気の毒です。この方も十三年勤めている、四十七歳、扶養者一人、この方は中学卒業です。その方が、いろいろなのがございますが、実質手取りとなりますと十六万十二円ですよ。人事院の総裁のひざ元だって、こういう実態。  もう一つ挙げておきますけれども、扶養者二人、高卒で四十七歳、二十年勤めておいでになる方、この方の俸給は二十万八千百円。そして、実質手取りが二十万九千二百六十三円。挙げれば切りがありません。  私どもからすると、公務員給与が云々、給与が云々と言われるが、よくお調べになってから世の中の方に言っていただきたいと私は思います。  ここに病院がございます。国立病院。皆さんが病院にお入りになると、敷布だ何だ汚れる。洗濯している方もいれば、薬剤をやっている方もいる。看護婦さんもいる。時間の関係もございますから、四つだけ例を挙げます。  薬科大学を卒業して、薬剤師で、この国立病院の調剤主任さん。国立東病院。この主任さんは四十二歳で、十八年十カ月お勤めになって調剤主任になっておられる。仕事としてはこれは大変な仕事です。全部の薬剤を責任を持って病人に、大きな国立病院でございますから。この方の俸給が二十五万七百円。そして、通勤手当やいろいろなものを差し引いてまいりますと二十四万三千三百六十円。薬科大学までお出になって調剤主任にまでおなりになって二十五万円にいかない。  それから、看護婦さんの例を一つ挙げますが、この方は看護学校を出た三十歳の方。一般の病院に一年お勤めになって、その後千ベッドがある市立の大きな病院に一年お勤めになって、前歴加算をいたしますが、この東病院に入られて四年九ヵ月、約五年近い。前歴が二年ございます。この方で俸給が十三万八千二百一円。いろいろな手当を入れていきまして、少しよく見ていって十四万五千九百六十四円。准看じゃない、ちゃんとした看護婦さんです。  それから、五十八歳の男性で、この病院で看護助手という仕事です。二十四年六カ月も勤めています。皆さんが寝たベッドのカバーを外し、それを消毒をする。寝具の消毒、病棟の寝台の消毒、じんあいの焼却。人がやりたがらない仕事をやっております。この病院は三百床ございます。この方で、二十四年六カ月勤めて五十八になって、いわゆる行(二)ですから、三等級の特です。なかなかこれからは上がらない。俸給が十九万二千七百円。現金支給額が十九万九千八百七円。二十万にいかない。何と二十四年六カ月勤めている。それでいて、奥さんの扶養手当一人。ここに非常に細かく自分の支出を書いて窮状を訴えていますよ。  もう一つだけ挙げておきますが、ここで厚生技官ということでクリーニング師の免許を持っている方。白衣あるいは敷布その他を全部消毒し、洗う、そういう仕事です。この方は二十七歳で入って今日三十三歳。こういう仕事をしている方の給料が一体幾らかといいますと、十四万六千七百九十円が俸給でありまして、現金支給額が十七万九千八十八円。  どれを取り上げても、皆さん差額で借金返済を予定していたんだがとここに書いてあります。ボーナスで借金返済と書いてある。こういう実情にある。  そのことをぜひひとつ頭に置いていただいて、いまお手元に差し上げましたものを簡単に御説明いたしますから、見ていただきたいのであります。  いま皆さんのお手元に二枚の表がございますが、細かい数字がたくさん書かれております方をお出しいただきたいわけでございます。  高校を出まして官庁に入る。八の三で入るのが最初であります。左の一番上であります。去年は管理者を除きまして勧告実施されております。ただし、調整手当というのが落とされております。東京在勤でございますと八%が九%になりましたが、これを実施しないということになりました。そのために、一番左の上の昨年八の三で入った方、この方はここで二万四千八百四十七円、人勧実施されませんので損をした。この方はことし昇給をしまして一号上がっておりますから、八の四になりました。この方が一体ことしどのくらい損をするか、勧告実施いたしませんと。下に書いてありますが、減収分、勧告実施に基づきます差が二万一千八百九十八円。勤勉手当が四千九百十六円、はね返りでございますが、期末手当一万六千九百八十二円。それから、俸給の方で四千百円、調整手当三百六十九円。二万一千八百九十八円。したがいまして、前の方と合わせますと、減収分総計というのがございますけれども、合計十一万六百八十一円若い方が損をすることになります。この方は官庁に勤めて喜んで、さてこれからと意気込んでいるところに初めて出た勧告であります。それが実施されない。去年の調整手当を含めれば、こんな若い八万五千九百円で入ってやっと八万八千七百円になった方、この方が減収分総計十一万六百八十一円損をする。どうでしょう。給料の一ヵ月半近い。一ヵ月半食わずにはいられません。これが一つ。  次に二番目、七等級の四号、二十七歳の方。次の段であります。奥さんがおいでになる。二十七歳で結婚するというのが厚生省統計で一番多い。この方は去年一体幾ら損をしたか。いまの手法で申しまして、去年の減収分が、期末・勤勉手当で四万二千百三十三円。そして、ことしは一体幾ら損をしたか。現行、勧告、差と書いてあります。三万六千百八十八円。これが減収分総計は一体幾らになるか。合計がその次にありまして、減収分総計というのが出ています。この方でも十八万五千五百七十七円損をするのですよ。現行給料十二万四千五百円。そうすると、十二万四千五百円の給料で十八万五千五百七十七円損をしたらどういうことになりますか。一月半食わずにいろとでもおっしゃいますか。  その次、六等級の十号、奥さんと子供さん一人。もうあと中身は説明しませんが、減収分総計は二十五万六千六百十円、現行の俸給は十七万一千八百円ですよ。そうでしょう。妻と子供が一人いる。それで二十五万六千六百十円損する。わかりますでしょう。  その次に、もう少し上の方、五等級の七号。もう少し偉くなってきている方。三十五歳、妻及び子供二人。この方の減収分総計は二十八万四百十八円。給料は十七万九千四百円だ、この人は。この人も一ヵ月半にわたって食わずにいなければ埋まらない。  課長補佐の方がその次にございます。四等級の十一号。東京勤務、四十三歳、妻と子供二人。この課長補佐の方の減収分総額は三十三万九千八百七円。給料は二十四万一千六百円です。そうでしょう。これは全部高卒ですが、高校卒の方が、行政(一)表で普通の官庁の公務員で六〇%超えているのですから高校卒の例をとった。そうすると、高校卒の方はこの課長補佐どまりなんだ。後はほとんど上がらないのですよ。ここまで行けば位人臣なんですよ。位人臣をきめわた一般の高校卒の課長補佐まで行った方が、二十四万一千六百円という俸給をもらっておって、三十三万九千八百七円今度の措置で損をするということです。こういうことはがまんできませんよ。そうでしょう。     〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕  そして、この裏をひっくり返していただきますと、つまりこれは仲裁裁定との関係における、裁定が実施された場合の郵政を一つ例に挙げたわけでありますが、一体幾ら違うかということでございます。  十九歳の独身の方で、郵政の場合に今度の仲裁裁定が実施されますと八万三千三百八十五円ふえる。それから、係員の二十七歳で妻がおられる方で十一万三千四百七十五円ふえる。さらに、三十五歳の方で十五万一千百三十円ふえる。ところが、勧告実施されないのだからふえない。  必要ならば、ここに全部計算いたしまして、国鉄、林野の例、二・四四ということでまとまったようでございますから、年末手当を〇・〇六切られている、切られたところと比較いたしましても、国鉄は〇・〇六差っ引かれているにもかかわらず、俸給だけで九万八千百七十九円公務員よりふえている。しかも、これは恩給、退職金全部に響く。国鉄は九万八千百七十九円。これは、手当その他の新ベースにならぬというようなことを、こんなことは団体交渉ですからわかりませんから入れなかっただけでありますけれども、現状は現行ベースで払われているようでありますから計算したのですが、これは同じになります、〇・〇六引かれただけですから。国鉄が九万八千百七十九円。それから、電電が十万四千九百七十六円。十二ヵ月分だけで、手当を入れないで、人勧より多い。専売が十万六千百二十八円。これだけ差がついた。現状、給与はこのとおりである。しかも、これは生存権という権利の上に成り立っている代償機関である。  ここまで申し上げて実情を御把握いただいて、その上で総理にもう一遍承りたいのですが、無理を承知でおやりになった、それならば無理は通らぬ。皆さんに現状を御高察いただきまして、なぜ凍結をして、ゼロにしたかということについても満足なお答えがない。したがって、ここでもう一遍明確に総理から、人事院勧告実施、無視、これについてのお答えをもう一遍、どういう理由で無視をされたか、お答えをいただきたい。
  28. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 いま公務員及び地方公務員に関する資料をお示しいただきましたが、確かにいまお示しのように、初級公務員等におきましてはそう十分な額ではない、生活に苦しいところもさぞやあるであろうと拝察できるわけでございます。いろいろそういう関係も考えてみまして、胸の痛む思いがするわけでございますけれども、政府といたしましては国家公務員法を尊重いたしましていままでのとおりに処置いたしたいという気持ちはやまやまあったのでございますけれども、いまのような財政欠陥が生じまして四苦八苦しているという状態であります。その上に人事院勧告尊重ということを考えてみまして、何回かいろいろ検討も加えたわけでございますが、ことしは異例の措置として万やむを得ずこういうことでおしのぎを願いたい、そういうような方向に考えを固めたわけでございます。その間におきまして、いまお示しのように、必ずしも事務的にあるいは政治的に根回しが十分でなかった点や、あるいは話し合いが十分でなかったという点も反省しなければならぬと思っております。  以上のような事情でございますので、御理解とまた御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  29. 大出俊

    大出委員 ここで二つ承ります。  先ほど、全農林警職法最高裁判決をよくお読みになったとおっしゃった。これは五十六年十月十五日の参議院における議事録であります。質問者は私どもの矢田部参議院議員でございます。答弁者は角田政府法制局長官でございます。  矢田部君の質問は、「法制局長官は、不完全実施でも直ちに違憲とは言えないという言い方をしているわけでありますけれども、では全く実施をしなかったということになれば、違憲の問題、憲法上の問題が出てくるというふうにはお考えでしょうか。」これに対するお答え、全農林判決の「多数意見に属する七裁判官が、少数意見の五裁判官の論難に対して答えているところに、「代償措置制度さえ設けておけばその争議行為を禁止しても憲法に違反するものではないとの安易な見解に立っているものであるかのごとく誤解し、多数意見を論難している。」と、こう述べておりますから、言いかえれば、そういうふうな考え方は持っていないということだろうと思います。したがって、制度さえ設けておいて、そしてそれは完全に実際の場合にはすべて無視するというようなことであっては、最高裁の多数意見は、それはいけないんだと、こういうことは言っていると思います。」  最高裁の大法廷判決は、全農林判決は、制度は設けてある、しかし全く無視する、それはいけないんだと言っている。おたくの法制局長官が答えているでしょう。お答えになりましたね。うなずいておいでになります。恐らく相談もなさらぬでぽっと決めたと思う。だから、後で法制局は違憲じゃないかと言ったなんて新聞記事が出た。そうしたら、後で今度は法制局長官、宮澤さんのところにおいでになったりしていますが、これは、きのうからさんざっぱら皆さんが御論議になった国会のこの立場は国権の最高機関でしょう、ここで全農林判決は無視はいけないと言っている。法制局長官国会で、無視はいけないとこの判決は言っているんだと言っているのに、いけないというのを何で無視するのですか。筋が通りますか。いけないというのに、なぜ無視するのですか。あなたのところの長官でしょう、この答弁は。総理、いかがですか。最高裁判決を無視するのですか。
  30. 角田禮次郎

    ○角田(禮)政府委員 そういう答弁はしたことは事実でございます。ただ、昨年の臨時国会では、人事院勧告と憲法との関係についてしばしば御質問があり、そして私は何回も答弁しております。  まず、その趣旨を申し上げれば、労働基本権の制約の代償措置として人事院勧告制度が設けられている。したがって、その勧告が実効が上げられるように、勧告を受けた国会及び内閣において最大限の努力をしなければならない、それが憲法の趣旨であろうということを申し上げました。同時にまた、それからさらに進んで、仮に人事院勧告が完全に実施されない場合にはどうであるか、憲法違反に直ちになるのではないかという御質問もございました。しかし、それに対しては、これは最高裁の判決もそこまでは言っていない、勧告を受けた国会及び内閣において最大限の努力をした上で、なおかつそれが実施されないような場合には、これは完全な機能発揮をしていないとは言えない、そういう見方ができるでありましょうから、それは憲法違反とは言えないでございましょうということも申し上げました。そして、さらに進んで、それでは制度があるだけで機能を発揮していない状態ではどうかと言われましたので、それに対しては、制度さえ設けておけばいいというような安易な考え方は許されないということを、最高裁の多数意見の裁判官が、五裁判官の論難に答えてそういう答えをしているということを申し上げたわけでございます。  私の答弁の全体を通じて、私の答弁の趣旨を理解していただきたいと思います。
  31. 大出俊

    大出委員 時間がありませんからね。どうせそんなことを言うだろうと思ったんだが、矢田部君の質問は、ことしは不完全実施だ、完全実施をしない。全く無視すると言ったらどうなんだ。不完全実施だ、次に全く無視する、そうなったらどうなんだ。あなたはそれに答えているんじゃないですか。まさかあなたはことしゼロになるとこのときは思ってない、去年だから。ことしはあなたはゼロになると思ってない。思ってないから、ことしは不完全実施だが、来年ゼロだったらどうなんだと言われて、あなたは困ってしまって、実際の場合に完全に無視するということであっては、最高裁の多数意見は、それはいけないんだ、こう言っている。ごまかしてはいけませんよ。なぜ一体、法制局長官がはっきりこれを答えているのに、いけないと言っていると言っているのに……。  もう一つ言いましょう。佐藤内閣のときの四十五年、これは冒頭に申し上げましたように、私も大変に苦労しましたが、最終的に衆議院の本会議で佐藤総理がお答えになりました。佐藤総理の衆議院本会議は四十五年十二月三日でございます。「人事院勧告は、これを尊重するというのが、公務員法の趣旨から申しましても当然のことであり、今回、ようやくにして実現を見た完全実施のたてまえを、今後とも実施してまいりたい、」はっきり言い切った。佐藤総理の答弁。  そこで、大蔵大臣の福田さんが何と言っているかといいますと、「人事院勧告はこれを完全実施いたしたいと、こういうことで、まあ血を見るというくらいな気持ちをもちまして整理、節約をいたしておる」、完全実施ができた、こう本会議で答えた。  山中長官給与担当大臣山中さんだ。「人事院勧告完全実施等につきましては、総理大臣からお話がございましたとおりでございます。ルールの確立したものと、私も担当大臣として認識いたしておるわけでございます。」ルールが確立した。     〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕  そこでさらに、四十五年十二月の九日、ここは最高機関ですよ、国会というのは。いいですか。内閣委員会の、これは私の本会議質問に対する総理答弁があって、それを受けた形の質問に対してお答えになった、山中総務長官。ここに議事録も全部ございます。これは当時の議事録でございます。ここにあります。そのとおり読み上げます。山中総務長官給与担当大臣でございます。  「私たちは、ことしの人事院給与に関する勧告については、完全実施をすることを国民に対しても、国会に対してもお約束をいたしたつもりでおりますから、これは今後のルールが確立したとお考えいただいていいと思います。」まず本会議答弁の敷衍。「したがって、人事院給与勧告の前提が何月からということの基本的な線が変わりましょうとも、」当時は、お覚えになっていると思いますけれども、四月実施、五月実施という争いがございました。人事院がよく五月実施勧告をなさったから。「前提が何月からということの基本的な線が変わりましょうとも、また内容においていろいろ手直しがされましょうとも、これは完全実施をしていく、財政事情その他によって今後特殊な措置はとらないというルールを、私たちは国民の前に明らかにしたものと考えております。」国民の前に明らかにしたんじゃないですか。どうですか、これは。「財政事情その他によって今後特殊な措置はとらないというルールを、私たちは国民の前に明らかにしたものと考えております。」明確に答えているじゃないですか。  そんなことはみんな忘れちゃって、さっき私は皆さんと雑談したが、覚えている人は一人もいない。それで一体議会制民主主義は成り立ちますか。野党がなくて与党だけでできますか。これだけ国民の前に明らかにしたという約束を全く無視する。法制局長官が、来年をおもんぱかって矢田部君が、無視したらどうなる、最高裁はそれはいけないと言っている。それをどうして一体無視なさるのですか、理由もなくて。現状はあんなに苦しい公務員を、期待権もみんな持っているのに、現実に勧告は出ている、一%組んである、なぜこういう理不尽なことをするんですか。少なくとも長い年月かかって積み上げた、亡くなった受田さんや伊能繁次郎さんや私ども、これは生きている私が物を言う責任がある。断じてこれは後に引けない。そんなことを全く忘れて、最高機関である国会で国民の前に明らかにしたと言っているのを、なぜやるんですか。後に引きません。後の質問はできない。全く答弁にならぬじゃないですか。議事録も明確にここにある。これだけ苦労して、これだけの答弁をしておいて、何です。——出る幕じゃない。総理に聞いているんだ。
  32. 藤井良二

    藤井(良)政府委員 政府といたしましては、従来から人事院勧告制度が、公務員の労働基本権の制約の代償の一つとして設けられていることを十分に認識いたしまして、その実施のために最大限の努力を尽くしてきたところでございます。  例の昭和四十四年に、今後は完全実施するという官房長官談話が出ているわけでございますけれども、それ以降、四十五年から五十五年度までは、一般職員について勧告率、実施時期とも完全に実施いたしてまいりました。ただ、昭和五十六年度におきましては、厳しい財政事情ではございましたけれども、期末・勤勉手当を除きましてほぼ完全実施いたしてきたところでございます。  本年度につきましては、未曽有の財政的事情のもとにおきまして、国民的課題である行財政改革を担う公務員が率先してこれに協力する姿勢を示す必要があるということがございまして、人事院勧告を見送ることにしたわけでございます。
  33. 大出俊

    大出委員 何だ、この答弁は。人事局長じゃないか。何だ、君の答弁は。ふざけなさんな。そんなことで質問できるか。国会をどう考えているんだ。いまの答弁、何だ。一言も触れないじゃないか、ここに。君が触れる問題じゃない。
  34. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 いま山中総務長官時代の文章をお読みいただきまして、われわれも非常に恐縮しておるところでございます。ああいうような精神で政府としても実行していきたいと歴代心がけてきたつもりで、歴代政府もその趣旨に沿って、以降全力を尽くしてきたと思います。しかし、あのころはまだ日本の経済力に余力がありまして、かなり財政的にも余裕がございました。恐らくそういう展望を持ってそういうお答えを多少しているんではないかとも思います。しかし、最近、石油危機を二度受けまして、そして、このような冷え込み状態が出て、思わざるぐらいの大きな歳入欠陥が出たことで、大きな事情変更がいま出てきておるわけであります。  そういうやむを得ざる事態を前にいたしまして、政府としてもいろいろ努力もし、考えた次第でございますけれども、冒頭に申し上げましたように、公務員皆様方には、まことに残念至極でございますが、こういう財政状態をぜひ考えていただきまして、御理解をいただきたい、このようにお願いをしておる次第なのでございます。
  35. 大出俊

    大出委員 総理気持ちがわからぬわけではありませんが、事国会で長い年月議論を続けて積み重ねて、私は、第一回の六三ベース、次の七千八百七十七円勧告、ここからこれは実施されなかった、とつっぱなのときの勧告ですが、全部思い返し、読み直してみました、たくさんの議事録を。だけれども、ずいぶんたくさんの方が苦労してここまで来て、さっき雑談で山中さんも、当時ルールを確立した、私の功績だとおっしゃっていましたが、そのとおり。ILOというものがあって、何と八年間に十一回も勧告しているのですよ。そういう状態があってこれができた。  それを一言も当時の質問者である私どもに何の話もすることなく、こういうことがあったんだということを世の中にも明らかにもせず、だからこうするんだということも言わず、こういうものは全く念頭になくて、十六日に財政非常事態宣言、さあ総理、総裁再任は危ういということでいきなりぽかりと決めてしまう。ゼロである。それでは国会はどうなるんですか。何を審議したって議会制民主主義はこれじゃ成り立たぬじゃないですか。一言もないとは何だ。受田さんだって伊能さんだって亡くなってしまっている。残っている私しか言う人間がないじゃないですか。本当に苦労した。三人で、受田さんと伊能さんと私で大蔵大臣福田さんともひざ詰め談判した。山中さんはよく覚えておいでになるが、三回も四回もお目にかかった、三人で。そして、福田大蔵大臣は、本当に腹を切らなければいかぬ、血の出るような思いだとおっしゃった。それが答弁にも出ている。それでできたものを、これは私の半生がかかっている。後に引ける筋合いですか。議会制民主主義が成り立たぬじゃないですか。こんなことじゃ議席を持っているのが嫌になりますよ。そんな無責任な話がありますか。後には引けません。相談してください。もうこんなばかな話がありますか、予算で組んであったのに。
  36. 栗原祐幸

    栗原委員長 大臣、答弁。
  37. 大出俊

    大出委員 それはいけません、何と言われてもいけません。私は命をかけているんだ。
  38. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいまの大出委員の過去の経過を含めての御意見でございます。私もその辺の事情を若干は承知いたしております。九月実施が八月実施になり、七月実施になり、六月実施になり、そして、いわゆる五月勧告、四月勧告の議論が行われて、それで一ヵ月飛ばして四十五年から四月実施、これが完全実施の歴史であったと私も記憶をいたしております。  そうして、やはりいろいろな事情の中に……(大出委員「これを言ってください」と呼ぶ)私は財政当局からの立場でございますが、昭和四十六年、いわゆるドルショックというものが起こりまして以来のわが国の経済、そして、それが与える財政というものの大きな変化が私は生じたと思います。(大出委員「時間がもったいない。簡単にやってください」と呼ぶ)その四十七年予算において、いわゆる四条公債というものが発行され、そうしてその後、やはり第一次石油ショック、四十八年の暮れからでございますが、それがいわゆる特例公債への道が開かれ……(大出委員「そんな歴史は知っていますよ、私は。時間がもったいない。国会はどうなんだ、国会は」と呼ぶ)そうして、そういう状態の中においても、しかし、この完全実施というものを、とにかくお互いが知恵をしぼりながら積み重ねてきた。これが昨年のいわゆる期末手当等旧ベースによるという、それから管理職の問題等についての実績に対しても、これに対して国会で議論はありましたが、理解をしていただいた。そうして、ことしに至って、いよいよ財政状態というものから見てその余裕がなくなり、そうして、確かにこの六百七十億円の問題についての期待権という問題も、議論すればできる議論であると私も承知しております。しかし、それをも、あえてその決定に基づいて、すなわち、物価の上昇も他の先進国に比べれば圧倒的に低い状態でございます。だからこの際、公務員皆さん方も忍びがたきを忍んで、みずから痛みを分ける、その先頭に立ってください、こういう切なる考え方で、すべて過去の歴史なり、そうして、それが行われますこの法的根拠なりは十分認識の上に給与関係閣僚会議でこれが決定され、閣議決定されたということになりますと、私自身は、その期待権というものはあり得ても、やはりこの際は、六百七十億というものを補正予算において減額修正して出すということは、決定に基づく国会に対しての私なりに示すべき筋だ、こういうふうに考えております。(大出委員「あなたの答弁じゃないよ。言いわけ聞いたってしようがないじゃないですか。ちゃんと議事録にあるんだ。そんなことでこれから質問ができるか。明確になっているんだ。インチキだよ。これを読んでごらんなさい。そんなばかなことがありますか。だめですよ。答弁にも何もならぬじゃないですか。とめておいてくださいよ、そっち」と呼ぶ)
  39. 栗原祐幸

    栗原委員長 午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕