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1982-12-08 第97回国会 衆議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年十二月八日(水曜日)     ─────────────  議事日程 第四号   昭和五十七年十二月八日     午後一時開議  一 国務大臣演説に対する質疑     ───────────── ○本日の会議に付した案件  国務大臣演説に対する質疑     午後一時四分開議
  2. 福田一

    議長福田一君) これより会議を開きます。      ────◇─────  国務大臣演説に対する質疑
  3. 福田一

    議長福田一君) これより国務大臣演説に対する質疑に入ります。飛鳥田一雄君。     〔飛鳥田一雄登壇
  4. 飛鳥田一雄

    飛鳥田一雄君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、総理所信表明演説に対し、われわれの考え方を明らかにしつつ、同時に、若干の質問を行いたいと考えます。  総理、あなたがつくった中曽根内閣の顔ぶれを見て、私は驚き、あきれ、果ては憤りさえ感じたのであります。政府・与党のかなめの地位に平然と灰色高官を据え、あまつさえ刑事被告人に率いられる勢力から大量の入閣を強行する、まさにこれは国民の神経を逆なでするものと言わざるを得ません。しかも、加えて、前例もないほど警察官僚内閣の色彩が強く、これは露骨に権力政治への志向とともに、ロッキード求刑や判決に対処するための布陣ではないかという疑惑を深めざるを得ないのであります。  総理は、一体金権腐敗汚職政治に対する国民の憤激をどうお考えになっていらっしゃるのか、国民の声と田中軍団の声と、いずれに従って政治をなさるおつもりか、まず冒頭伺っておきたいと考えます。(拍手)  総理、あなたは「わかりやすい政治」を心がけるとおっしゃいました。確かに中曽根内閣はわかりやすい。だれが見ても、鈴木前内閣以上の田中支配直角内閣だと言われています。もし、そうではない、政治倫理確立は単なるうたい文句なのではないと強弁されるならば、国民にわかりやすく、自民党総裁として、灰色高官と言われる現職大臣自民党幹部国会証人喚問の実現に努力するとここではっきりお約束ができますか、伺いたいと思います。佐藤孝行議員辞職勧告決議案に賛成だと言明できますか、ここに具体的な答弁伺いたいと思います。(拍手)  さらに、金権腐敗政治の根を断つためには、企業献金禁止の問題を含む政治資金規正法改正こそ必要ではないか。総理はどうこれをお考えになるのか、伺っておきたいと思います。  次に重要な問題は、経済財政政策の問題であります。  日本経済は、いま深刻な経済不況財政危機、そして国際経済摩擦という三つの難問に直面いたしております。これに対して従来の自民党政府は、いままで全くその場しのぎで過ごし、いまだに景気回復めども、財政再建めども立っていないではありませんか。そこで、私はまず第一に、不況克服対策からお伺いをいたしたい、このように存じます。  いま、サラリーマン世帯実質手取りが二年間続いてマイナスとなり、二軒に一軒は住宅ローンなどの返済に追われています。十月の企業倒産は千五百件を超え、それは年末にかけてさらにふえてくるだろうと予測をせられているのであります。完全失業者は百三十九万人にも上り、新規学卒者中高年齢雇用不安が深まりつつあります。また、御承知と存じますが、最近の世論調査でも明らかなように、国民は物価高に泣かされているのであります。  この深刻な不況原因は、何よりも内需の不振であると言わざるを得ません。政府勤労者所得税を五年間も据え置いて実質増税を進め、民間企業減量経営人減らしを行い、賃金抑制を押しつけ、下請に犠牲を押しつけてきたことなどなどがその原因であります。ところが、総理所信表明を伺っておって、国民の納得できるような不況克服方策が全く出てきていないのであります。逆に、あなたは内需振興に反して人勧実施を見送り、各種年金福祉関係等の諸手当の規制、削減を図っておられるのであります。  こうした政府方針を受けて、財界も民間労働者賃金抑制を声高に主張し始めました。これでは個人消費が冷え込み、年の瀬を控えた中小企業や商店の売り上げもふるわず、さらに来年も不況が一層深刻化するのを防ぐことはできないではありませんか。不況克服のためには、当面、まず人勧仲裁完全実施、一兆円の所得税減税中小企業への投資減税などの景気刺激策を断行し、冷え込んだ内需振興の道を開くべきであります。  総理、あなたはこの不況をどう克服し、国民生活をどう守るかということを明確にここでお答えをいただきたいと存じます。(拍手)  なお、改めて言うまでもありませんが、人事院勧告制度公務員労働基本権制約の代償としてその完全実施政府国会に義務づけたもので、いかなる理由があろうとも、これは尊重せられなければなりません。  与野党国会対策委員長会談においては、人事院勧告政府に対して行われたものであると同時に、国会に対しても行われたものだという認識の上に立って、今後、人事院勧告取り扱いについては政党間で誠意を持って相談するということで合意し、その結果、各党代表者間で協議をすることに相なりました。政府としても当然これを尊重すべきであります。明確な御答弁をお願いしたいと思います。(拍手)  また、最近、ILOは仲裁裁定の今国会における完全実施政府に要請いたしております。また、これを裁定どおり実施することは、前国会における公党間の約束でもあります。ところが政府は、人勧見送り政府方針に沿って、仲裁裁定に伴う諸手当に格差をつけるなどのことが伝えられておりますが、もしそうだとすれば、これは総理の言う労使間の健全な慣行をみずから踏み破るものだと言わざるを得ないでありましょう。(拍手)  第二に、財政再建対策についてお尋ねをいたします。  本来、財政再建経済立て直し一体のものであります。経済をどうするかという方針なしに、財政のつじつまだけを合わせていくやり方などは政治ではありません。総理もお認めになるように、昭和五十九年度赤字国債発行ゼロという前内閣の公約は、膨大な税収不足のもとですでに破綻をいたしました。財政再建のために歳出見直しを行い、防衛費削減を初め、不急不要の経費節約に努めるのは当然でありますが、同時に、不公平税制是正を行い、大資産家や過大な利益を上げているものに対し相当な増税をすることは当然であります。財政非常事態だと言われるなら、利子配当についての分離課税をやめ、総合課税のためのグリーンカード制実施すべきであります。また、億万長者から富裕税を取り、高度成長の中で労せずして異常な利益を上げた大規模な法人、地主の所有地には土地増価税を課するなどの方策を断行して、まず社会的公正を図るべきであります。これらを財源として計画的に財政健全化を図ることこそ、最も現実的な財政再建策であると私たちは考えます。(拍手)  すなわち、政府は、これまでの失敗を認め、わが党の主張するような総合的な財政再建計画国民の前に示すべきであります。総理所信をここにお伺いいたしたいと思います。(拍手国民もまたそれを待ち焦がれているのであります。  それと関連して、総理は、「増税なき財政再建」の方針を堅持するとおっしゃいましたが、それならば、中曽根内閣は、大型消費税やその他の大衆課税は絶対にやらないとお約束になれるのですか。これもはっきりと伺っておきたいと存じます。(拍手)  第三に、行政改革についてお伺いをいたします。  総理は、臨調答申を尊重し、行政改革を強力に推進すると言われます。しかし、臨調答申なるものは、第一のねらいは軍備優先福祉教育費の切り下げではありませんか。このような行革は、国民が真に求めているものとは全然違います。わが党は断じてこれを認めるわけにいかないのであります。  たとえば、総理は、国鉄分割民営前提とした国鉄再建監理委員会を設置したい、こう言われました。しかし、分割民営可能性妥当性の論証もなく、なぜ赤字が累積したかの分析もはなはだ不十分であります。政府は、上越・東北新幹線の建設国鉄に押しつけました。四兆二千八百億を費やした両幹線は、今後、毎年四千億円もの赤字と見込まれております。赤字原因政府が一方的に、勝手に押しつけておきながら、赤字がふえたからといって国鉄を悪者にするのは不当ではありませんか。(拍手)  また、分割民営になれば、大多数の地方赤字線が切り捨てられ、住民の足が奪われます。大幅な運賃値上げも必至となってくるでありましょう。こうして、地域経済住民福祉はこれによって致命的な痛手を受けるのであります。この一例を挙げただけでも、臨調答申に基づく行革というものは、国民生活福祉犠牲にするものだと断ぜざるを得ません。(拍手)  総理国民が求めている行革の重要な課題は、むしろ自民党利権政治の基盤を支えている補助金の整理に切り込むことです。そして、ロッキード疑獄から建設談合に至るまでの政官財の癒着の汚職構造の根を絶ち切ることであります。防衛予算を聖域とせず、防衛費削減を断行して、日本軍事大国とならないあかしを立てることであります。  総理利権汚職が横行し、福祉が先細りにされ、防衛費だけがふくらむような国が、どうして「たくましい文化福祉の国」と言えるのですか。(拍手)お伺いをいたしておきます。そしてこの際、臨調答申を退けて、国民のための民主的行革に切りかえる意思はないかどうか明確にお答えをいただきたい、このように存じます。  以上が国内経済財政行革に対するわれわれの疑問でありますが、中曽根内閣に対する国民のもう一つの不安は、これまで改憲を叫んできた中曽根総理が、アメリカ軍事力増強要求にこたえて歯どめなき軍備増強の道を突き進むのではないかということであります。  総理は、アメリカからの圧力はないと否定をされておられますが、現実アメリカ国防長官などが、「日本防衛計画大綱の水準を上回る努力が必要だ」とか、「シーレーン防衛能力を増強すべきだ」とかいった見解を事あるごとに発表しておられるではありませんか。  総理は、来年初めにいち早く訪米の予定と伺っております。そうしたアメリカ側見解を押し返して、平和憲法のもとでこれ以上の軍備増強はだめだときっぱりお断りになる勇気をお持ちでありますか。また、これまで掲げてきた武器輸出禁止原則を厳格に守って、対米軍事技術供与要求があってもこれを拒否せられますか。明らかにしていただきたいと存じます。  総理は、政治目標の第一に「平和の維持」を挙げ、これを可能ならしめる国際環境をつくり出すため努力をすると言われました。その努力とは、結局、アメリカの戦略に従い、要求を受け入れることになるのではありませんか。平和憲法を持つ日本は、アメリカとは立場が違います。努力の方法がアメリカと同じである必要はないのであります。  ところが、これまで政府が進めてきたアメリカとのいわゆる同盟関係なるものは、ありもしないソ連脅威論前提にした力の論理に基づく軍事同盟でありました。レーガン大統領は、そのことを露骨に強調しておられるのであります。しかし、それは世界の今日の状況に逆らう逆流だと言わなければなりません。  いま、米ソ大国とも国内経済に困難を抱え、力の政治にかげりを見せつつあります。他方では、核軍縮を求める国際世論が高まり、国際関係での体制を超えた相互依存関係が強まりつつあります。レーガン政権軍拡路線に対してさえ、アメリカ国内でも批判の声が高まりました。ソ連は、アンドロポフ新政権がデタントの再構築を模索し、中ソ正常化への動きも始まっています。すなわち、現代は、軍事力外交手段とする時代から経済文化技術にわたる相互依存関係に向かい、平和共存世界をつくり出していく大きなる転換期と見るべきではないでしょうか。(拍手)この点、総理の率直な時代認識を伺っておきたいと思います。  さらに最近では、わが国シーレーン防衛に踏み込もうとする動きに対して、東南アジア諸国から、日本軍事大国化に対する危惧の声が上がっています。加えて、教科書検定問題を通じ、日本がかつてのアジア諸国に対する侵略への反省を放棄したと見られたことから、アジア諸国民の日本脅威論を一層高めることになったことは御存じのとおりであります。これは平和国家日本のイメージを大きく失墜させたものだと言わざるを得ません。このように近隣諸国アジア諸国民の信頼を失って、どうして日本の安全を確保できるのでしょうか。  総理日本アジアの平和を守るためには、日本の国是である非核原則武器輸出禁止原則を堅持し、平和外交に徹すべきであります。シーレーン防衛にくみして憲法違反集団自衛権に踏み込み、東南アジア諸国脅威を与えるべきではありません。(拍手総理あなたは、日本国憲法集団自衛権認めていないことをも含めて、これらの諸問題に対して明確に御答弁をいただきたい、このように存じます。(拍手)  平和憲法を持つわが国こそ、時代おくれの力の政治への追従をやめて、先頭に立って世界の軍縮、非軍事化政策を提案し、平和な国際環境を築く努力をすべき時期であります。すなわち、日本は率先して軍事力増強をやめ、経済文化技術協力など非軍事的な手段による平和友好外交積極性を示し、アジア太平洋非核地域創設の提唱など、平和な国際環境をつくるイニシアチブをこの際こそ発揮すべきであります。軍事化への道に追従するのか、非軍事化方向勇気を持って進めるか、ここに総理所信伺いたいと思います。  また、伝えられるところによりますと、防衛庁が政府に対し、中曽根内閣では防衛費はGNPの一%以内の方針を守るという発言をしないでほしいと申し入れたと言われています。これは、昭和の初期に戦争への道を突き進んでいった軍部が、時の政府圧力をかけたやり方と同じではありませんか。くしくも、きょう十二月八日は、大東亜戦争勃発のときであります。財政再建のためにマイナスシーリングを強調する中曽根総理として、このような圧力に屈せず、せめて一%枠内の基本方針を守ると御答弁をいただきたいと私は思っています。  次に、国際問題で直面する重要な課題は、欧米諸国との経済摩擦であります。  一千万人を超える失業者を抱え、対日貿易赤字に悩むアメリカは、日本に対して農産物輸入自由化を求め、市場開放を強く要求してきています。しかし、今日の国際経済摩擦は、世界的な経済構造そのもの変化に根本の原因があります。先端技術の採用や雇用政策中進国の追い上げ、資源問題など、さまざまな変化に対応する新しい国際経済秩序を粘り強く話し合って追求すべきであり、安易な保護貿易に陥ることでもなく、また安易に国内の弱い部門犠牲を負わせるべきでもありません。  わが国は、御承知のように、すでに世界最大食糧輸入国となり、穀物自給率は三〇%以下の実態であります。自由化の拡大が進めば、農業は壊滅的な打撃を受け、多数の農民失業者となるでしょう。総理の一月訪米に際して、防衛力増強圧力とともにアメリカからの農産物輸入自由化圧力にも屈することなく、日本農業農民を守る立場で対処をすべきであります。いかがなものでありましょうか。(拍手)  また、日本の対米輸出超過一つの要因には、アメリカ高金利政策に伴うドル高・円安の影響があるのではないか。政府は、アメリカに対し、この高金利政策是正をこそ求めるべきであります。もちろん、日本自身も、欧米諸国に比べはるかに長い労働時間があります。これをみずから短縮すべき努力をすべきであります。  さらにまた、これも重要なことでありますが、最近の円相場の不安定を招いた原因一つに、わが国民間金融機関国際金融部門での収益競争に狂奔し、きわめて不安定な対外融資をしているということが指摘されています。わが国の銀行の発展途上国への融資残高は今年末には恐らく一千億ドル、約二十五兆円に達するだろう、その中には明らかに返済不能の危険性を持つものがふえていると言われています。政府はこのことをこれまで野放しにしておられました。今後どうするのか。最近の国際金融市場の異常な状態にかんがみ、この点のお答えを明確にいただきたい、こう考えています。(拍手)  最後に、私は、ここで中曽根総理憲法に対するお考えをはっきりと伺っておきたい、このように存じます。  総理は、かつて明確な改憲論者であり、昭和三十一年には憲法改正の歌をみずから作詞しておられるのであります。もし何なら、この演壇でお歌いになっていただいても結構であります。昭和五十三年の自民党総裁選に立候補した際には、「タブーに挑戦する政治」というスローガンを掲げ、憲法現実にそぐわない点は部分的に修正したらどうかと主張し、あげくの果てに、自衛隊に日本を本気で守ってもらうためには交戦権認めるべきだと言っています。  そして今回、新総裁としての記者会見では、憲法の平和、人権尊重理念を護持するという一方で、時代国民意識変化に伴う改正可能性を示唆しておられるのであります。憲法は不磨の大典であります。恐らくこのような改憲派総理の出現に力を得たのでありましょう。自民党国会議員を中心とする自主憲法期成議員同盟は、近く中曽根総理に対して、自民党総裁として憲法改正作業を推進するよう要求すると言われています。  また、中曽根総理は、自民党憲法調査会長である瀬戸山氏を文部大臣に任命し、その瀬戸山文相は、閣僚就任後といえども憲法改正を検討していくことは差し支えないと言明すると同時に、憲法教育のあり方にも疑問を投げかけておられるのであります。  総理は、所信表明で、軍事大国にならず、近隣諸国軍事的脅威を与えることのないよう、平和外交基本方針を堅持すると言われましたが、そのためには、わが国平和憲法を守り、これを貫き通すという決意を明らかにすることがまず第一に必要なことであるべきであります。(拍手)  いま、アメリカ日本軍事力増強を強く求め、アジア諸国日本がこれにこたえて軍事大国化の道を歩むことを恐れています。この重大な時期に、総理みずからが改憲動きを是認するか否かということは、日本方向を左右する重大な問題であります。御承知でもありましょうが、日本国民の七割を超える圧倒的多数は改憲に反対です。総理、あなたは自主憲法期成議員同盟改憲推進要望書をはっきりと拒否されるか、それともこれを受け入れて改憲動き認めるか、国民の前に態度を明らかにしていただきたい。憲法第九十九条の国務大臣憲法尊重の義務についてのお考えもあわせて伺っておきたいと思います。  また、これに関連して、教科書問題でアジア諸国民から改めて指摘された、かつての戦争の際、日本アジア諸国侵略した行為について、総理はこれを侵略とお認めになって、反省していらっしゃるかどうか、御自身見解伺いたいと存じます。(拍手)  総理、重ねてお伺い申し上げます。国民中曽根内閣に強い不信感を抱いています。国民信頼回復する道は何か。それは、美しい言葉を並べ、能弁に語りかけるだけではありません。国民が抱いている不安を、庶民が抱いている憂いを、ともに感じ、真剣に悩みつつ、国民と共感を分かち合う政治家良心、その良心と具体的な方途をお示しになることが必要であります。  総理、清潔な政治のためには、はっきりと田中支配を断つべきであります。平和の確立のためには、はっきりと改憲の意図を放棄すべきであります。あなたに一体それができるかどうか、中曽根総理良心をかけたお答えを伺って、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  5. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 飛鳥田議員お答えいたします。  まず、清潔、公正な政治確立せよという御質問でございますが、まことに同感でございます。やはり民主主義国民信頼の上に初めて確立されると思います。そういう意味におきまして、政治家一人一人あるいは政党政治団体、すべてが国民の意を体して、見本になるようなりっぱな清潔な行動をとらなければならないと考えております。  また、国民の声を聞かなければならないという御主張にも同感でございまして、私はかねてから、わかりやすい政治、あるいは国民に語りかける政治ということを申し上げているのは、同じような趣旨で申し上げている次第でございます。  今回の組閣についていろいろ御批判をいただきましたが、今回の組閣は、仕事本位、そして人材を超派閥的に簡抜いたしまして、その仕事を実行しようという趣旨に基づいて、人材本位仕事本位で派閥を超越して編成をした考え方にあります。  また、証人喚問について御質問がございましたが、これは、現在議院証言法改正につきまして与野党におきまして真剣な論議が行われておりますので、見守りたいと思います。  また、佐藤議員辞職勧告の問題でございますが、これは、事柄の性質上、最終的には本人が判断すべきものであると考えております。  さて、次に、不況克服の問題でございます。  日本の現在の経済状況は、先進国に比べれば良好ではございますが、景気の足取りは必ずしも力強いものではございません。不況雇用情勢については、重大な関心を持って見守っておる次第でございます。そして、景気の着実な回復を図り、雇用の安定を確保するために、総合経済対策を先般決定いたしまして、これらを盛った補正予算等も提出して御審議していただいておるところでございます。  当面これらの対策を着実に実施いたしまして、今後とも内外の経済動向を注目しながら、機動的な政策を進めていきたいと考えております。  人事院勧告の問題につきましては、人事院勧告国会及び内閣に対してなされたものであると考えております。  前内閣におきましても、勧告制度を尊重するという基本的たてまえに立って検討してきたところでございますが、現在は、この危機的な財政事情のもとにおいて、公務員に対しましても率先して行財政改革に協力していただくという必要を判断をいたしまして、異例の措置として決定した次第でございます。この前内閣方針は、現内閣においても踏襲してまいりたいと思います。(拍手)  仲裁裁定取り扱いにつきましては、国会の御判断にゆだねてありまして、その結論を待っておる状態でございます。  公企体職員の諸手当の問題につきましては、これは労使間の交渉により決定すべき問題であると考えております。  次に、富裕税等社会党の御主張の御提案がございました。  政府は、現在、最も重要な政策課題一つとして、財政再建全力を傾倒しておるところでございます。そして最近、いわゆる経済社会七カ年計画見直しまして、現実的な、着実な観点から新しい経済計画を、いま策定にかかり始めているところでございまして、財政再建計画もこれと非常に大きなかかわりがある情勢でございます。これらの新しい経済計画との関連におきまして、財政再建計画も新しく策定していく必要があると感じております。  御提言土地増価税あるいは富裕税等につきましては、いろいろ問題がございます。所得税は、日本は外国に比べまして超過累進度が非常に強い国でございまして、これらにつきましてもいろいろ御異論がございます。当面、御提言土地増価税富裕税財源として考えることは適当でないと考えております。  利子配当総合課税グリーンカード制の導入につきましては、実施を五カ年間延期する法案継続審査中でございまして、この法案の成り行きを注目しておるところでございます。  大衆増税をやらないと約束せよ、こういう御質問でございますが、「増税なき財政再建」という方針は、われわれは行革理念として今後も堅持していくつもりでございます。安易に増税を念頭に置くということなく、まず行政簡素化効率化制度・施策の見直しを行い、歳出カット全力を集中する考え方でございます。  歳入面につきましても、「増税なき財政再建」の理念に沿いつつ、歳入構造見直し考えてまいりたいと思っております。  さて、行革の問題でございますが、行政改革は現在の国政の最重要課題一つとして考えております。そして、臨時行政調査会が提出いたしました答申は妥当であると考えております。先般、第三次答申が提出されましたが、それ以来つくりました政府行革大綱の線に沿いまして、諸課題一つ一つ解決してまいりたいと思っております。  その一つとして、今回国会国鉄再建推進臨時措置法案を提出いたしました。政府の進めている行革は、国の将来に明るい展望を開くため、行政の姿を時代にふさわしいものにつくりかえていくという考えに立っておるものでございます。そのため、既存の行財政のあらゆる分野にわたって聖域を設けずに徹底した見直しを行う、この中には補助金も含まれておると考えております。  国鉄再建の方策について御議論をいただきましたが、簡素効率化、生産性の向上、これらがやはり国鉄再建に重要な因子をなすと考えておりまして、臨時行政調査会の答申はおおむね妥当であるとわれわれは考えておる次第でございます。  さて、防衛問題につきましては、われわれの内閣の基本的な考えとして、まず自分の国は自分で守るという基本原則確立すること、第二番目に、自分で守れないことにつきましては、友好国と安全保障条約を結んで、提携して守るということ、第三番目は、この国際平和そのほかにつきまして環境づくりを行う、それと同時に、総合的安全保障の観点から、食糧やエネルギーの供給あるいは軍縮そのほかの国際世論の醸成等も必要である、こういう三つの考え方を持ちまして、国の防衛問題をとらえてまいりたいと考えております。(拍手)  わが国は自主的判断に基づきまして、憲法及び基本的な防衛政策に従い、また財政事情等も考慮しつつ、適切に防衛問題は今後対処していくつもりでございます。  米ソ間の情勢につきまして御質問がございましたが、アフガニスタン問題やポーランド問題等々も考えまして、この両国間の緊張状態はまだそれほど緩和されるに至っていない。しかし、ソ連邦におきましてアンドロポフ新政権が出てまいりまして、いかなる政策を行うか全世界が注目しているところであると思います。私も大きな関心を持ちまして、世界並びにわが国に対するソ連の新体制の出方を見守ってまいりたいと考えております。  対米軍事技術供与問題につきましては、一方におきまして武器輸出三原則という政府方針がございます。また、一方におきましては、日米安全保障条約等に基づく安保体制がございます。これらの二つの要素を念頭に置きながら、妥当な解決方法を行うように現在関係各省に指示いたしまして、検討中でございます。  次に、アジア外交及び平和問題でございますが、アジア諸国近隣諸国との一層の相互理解と友好関係の強化に努めてまいりたいと思っております。  わが国の防衛政策基本方針は、先ほど申し上げた基本的考えに立ちまして、まず、みずから自分の国を守る、それから日米安保体制の円滑、効果的な運用を図る、それから平和憲法並びに専守防衛の原則を守っていく、非核原則を同じく守っていく、そして必要最小限度の防衛力を整備していく、こういう考えに立ってやっていくつもりでございます。  教科書問題等につきまして、先般来いろいろな問題が起こりましたが、八月二十六日の官房長官談話に示された措置を、引き続き誠実に実行してまいるつもりでおります。特に近隣諸国との友好関係保持につきましては、今後とも細心の注意を払ってまいりたいと思います。  シーレーンの問題につきましては、海上交通保護のための防衛力の整備は、憲法及び基本的防衛政策に従い、わが国を防衛するための必要最小限度の範囲内のものでございます。集団的自衛権の行使を想定したものではございません。したがいまして、近隣諸国に何ら脅威を与える性格のものではございません。  なお、これらの問題につきましては、近隣諸国に、今後ともわが国の防衛努力について理解を得るように努めてまいりたいと思います。  平和友好外交と非軍事化の御主張につきましては、わが国平和外交を今後とも積極的に展開していく所存でございます。  それと同時に、先ほど来申し上げましたように、適切な規模の防衛力の整備及び日米安保体制の円滑かつ効果的な運用によって、みずからの安全を確保していくことを考えております。非武装中立の考えは持っておりません。(拍手)  なお、軍備管理、軍縮はわが国平和外交の重要な一環であります。御指摘のアジア太平洋非核地域創設につきましては、その実現のための現実的な環境はまだ整っていないと考えております。  次に、防衛費GNP一%の枠をどうするかという御質問でございますが、現在のところ、これを変更する必要はないと考えております。  次に、対外経済摩擦国際経済秩序の問題でございますが、自由貿易秩序の維持は、世界経済及び日本経済にとって不可欠でございまして、いま世界各地に起ころうとしており、また起こりつつあります保護主義の傾向につきましては、全力をふるって阻止する必要があると考えております。世界経済の再活性化を図るべく一層の市場開放を進め、貿易の拡大均衡に努める一方、内需中心の経済成長を目指す必要があると考えております。  なお、昨年来、一連の市場開放政策を決定いたしましたが、今後内外両面にわたるこれらの対策の着実な実施に努めるとともに、対外経済摩擦の解消に向けて、さらに一層努力を集中する考え方でございます。  農産物輸入の自由化の問題につましては、農産物市場開放については関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向等を踏まえ、わが国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的な考え方でございます。  一月訪米を予定しておりますが、この機会におきましても、わが国農業の特異性や実情、これまでの農産物市場開放措置等を米側に十分説明いたしまして、その理解を得ながら適切に対処していく考え方であります。  次に、アメリカの高金利の問題でございますが、わが国の輸出は、最近までの円安にもかかわらず、本年二月以降減少ぎみでございます。本年に入っての対米輸出超過額は、前年比ほぼ横ばいとなっております。五十七年一月から十月までの対米貿易の収支は、約百三億ドルの輸出超過でございますが、昨年同じ時期で、百七億ドルの輸出超過という数字でございます。  米国の高金利については、かねがねその低下を要請してまいりました。本年七月以降、六回にわたる公定歩合の引き下げを米国はやりまして、現在九%程度になっております。最近は円安も是正方向へ向かいつつあり、今後もこの傾向の定着を期待しておるところでございます。  次に、民間金融機関の対外貸し付けの御質問がございました。  年初来十月までの円安は、基本的には米国の高金利によるドル高の反映でありまして、わが国民間金融機関の対外貸し付け活動に由来するものではございません。行ぎ過ぎたドル高・円安は、最近かなり是正されてきております。民間金融機関の対外貸し付けは、基本的には民間金融機関の自主的な判断により行わるべきものでありますが、政府といたしましても、金融機関の健全性を確保する等の考慮から、適切な指導監督に十分配慮してまいるつもりでございます。  憲法問題について御質問がございました。  私は、憲法民主主義、基本的人権、平和主義、国際協調主義等々の、この基本理念を高く評価しておるものでございます。戦争にも参りまして、戦争の悲惨さを一番知っている人間の一人でもございます。第二次世界大戦前の日本と第二次世界大戦後の日本を見ますと、非常に変わった日本になっております。それは、平和主義あるいは基本的人権、自由、こういうものが民間あるいは社会に定着しつつあるということでありまして、この成果は憲法によるところも大でございまして、いまの日本国憲法の歴史的役割りというものを高く評価している一人でございます。  しかし、いかなる制度、法律にいたしましても完全無欠というものはないのでございまして、常によりよきものへ志向して、これを見直し、勉強し、検討することはしかるべしと考えておるものでございます。(拍手)  なお、現段階におきまして、内閣としては、憲法改正問題を政治的日程にのせる考えはございません。  次に、教科書問題でございますが、戦前のわが国の行為につきましては、国際的に侵略であるという厳しい批判を受けていることは事実でございます。この事実は政府としても十分認識する必要があると考えております。わが国はかかる事実を踏まえ、このようなことを二度と起こさないように心がけていきたいと考えております。  次に、国民信頼確保の道でございます。  私も過去三十五年間議会政治に参画いたしておりまして、国民とともに共感を分かち合う政治の実現を念願しておる一人でございます。そのために、「わかりやすい政治」とか「国民の皆様に話しかける政治」という考えを申し上げているものでございまして、国民の皆様方と痛みを分かち合う、特に政府の場合は、先憂後楽という考えに立って政治を行わなければならないと考えております。  政府の重要施策あるいは人事は、政党政治といたしまして当然党内の各種機関の議を経まして、機関中心で企画、実行されているものでございまして、特定の個人や一部の意見に左右されて行われているものではございません。(拍手)     ─────────────
  6. 福田一

    議長福田一君) 木野晴夫君。     〔木野晴夫君登壇
  7. 木野晴夫

    ○木野晴夫君 私は、自由民主党を代表いたしまして、中曽根総理大臣の所信表明に対しまして、その重要問題につきまして質問を行うものであります。  中曽根総理は、去る十一月二十五日自由民主党の総裁に選出せられ、翌二十六日国会におきまして総理に指名されたのであります。したがいまして、この国会は、総理にとりまして最初の国会でございます。まことに意義の深いものがあるわけであります。  総理所信表明に当たりまして、厳粛な決意を持ってこれに当たることを力強く表明されたところであります。  また、総理は、国民に対しまして語りかける政治を力説されました。私は、この質問を通じまして、国民に十二分に語りかけていただきたいことをまずもって念願するものでございます。  なお、この新内閣ができるに当たりまして一月余の日時を要しておるわけであります。この間、御承知のとおり、内外きわめて大事なときでございまして、問題が山積いたしておるわけであります。中曽根総理といたしましては、この問題に速やかに対処することが何よりも緊要の問題であると私は考えております。とりわけ景気対策、災害対策を織り込みましたところの補正予算が提出されておるのでありまして、野党の協力を得て一日も早い成立を心から望んでおるものでございます。  私は、外交、内政の順に従いまして御質問をいたしたいと思います。  国際情勢はきわめて激動いたしております。あるときは非常に平和的な時代もありますれば、また対立の激化しておる時代もございます。こういった中にありまして、わが国の安全と平和を求めていく、これが外交の基本的課題でありまして、総理の最も大きな使命であると思うのでございます。  顧みますると、本年はサンフランシスコ条約が発効いたしまして満三十年に当たるのでございます。皆さんも御承知のとおり、自由と平和主義がわが国にようやく定着いたしまして、わが国は自由主義国家のまさに有力な一員である、このように申せると思います。外交問題に当たりまして、この地位と、そうして国際社会におきますところの日本の役割りを果たすことが一番大きな問題でございます。そうして、皆さん方に申し上げたいことは、こういった問題を議論いたす場合に、日米間の問題が何よりもその基礎をなすということでございます。(拍手)  ところで、皆さんも御承知のとおり、日米間にはいま貿易摩擦の問題、防衛問題、また世界を活性化さすためにどのようにしていくか等々、幾多の問題があるわけでございます。総理は来年の一月早々にアメリカに行かれますが、私は、両国首脳がこの際胸襟を開いてこの問題につきまして忌憚ない意見を率直に話し合う、まことに時宜に適した訪米であると思うのでございます。私は、ここに総理に対しまして、一月訪米されますが、どういった問題をどのように折衝されますか、そういった問題につきまして、お考えを聞かしていただきたいと思うのでございます。  次に、防衛問題についてであります。  日米安保条約に基づきますところの安保体制、これはわが国の安全保障の基盤をなすものであります。これをば円滑に、効率的に運用することが、わが国の平和だけではなしに、世界の平和にも私は大きく貢献するものがあると思うのでございます。  したがいまして、先ほど申しました、世界のGNPの一〇%の力を得たわが国が、その地位を十分に自覚いたしまして、この防衛問題に対しましては、自主的に、主体性を持って当たっていく必要があると思うのであります。とりわけ五六中業につきましては、早急にこの達成に努力しなければならないと思うのでありますが、総理の防衛問題に対する御見解をお伺いいたします。  次に、日ソの関係について一言触れたいと思います。  先般、ソ連におきましては、ブレジネフ書記長が急逝されまして、アンドロポフ書記長の新しい指導に入ったわけでございます。新指導体制はどういった方向にいくか推測の域をまだ出ないところでございますが、私は、ブレジネフ書記長の後半を考えてみますると、相当に厳しいものがあったと思うのでございます。北方領土の問題をとりましてもきわめて厳しいものがございました。したがいまして、私は、外交は継続だとは思うのでございますが、この指導体制がかわったときに、総理はこの対ソ外交をどのように展開していくか、この点についてお伺いいたしたいと思うのでございます。  次に、日中関係についてお伺いいたします。  日中は国交正常化いたしまして十年でございます。この間、両国の首脳の相互訪問もございました。また、交流、協力、そういった関係は見るべきものがあったと私は思うのでございます。中国は日本の隣国でございます。この関係をば密接に進めることがわが国外交の基本でなければならないと思うのでありまして、この日中関係をどのように考えておるか、総理の御見解をお聞きしたいところであります。  以上、外交問題につきまして質問いたしましたが、私は繰り返し申しますが、わが国世界のGNPの一〇%を占める自由諸国の有力な一員でございます。その他位、その役割りを自覚いたしまして、そうしてこういった問題に取り組んでいくことが一番大事だと思いますので、重ねて総理の御見解をお聞きする次第であります。  次に、内政についてお伺いいたしたいと思います。  内政問題につきましては、わが国をめぐりますところの諸情勢はきわめて厳しいものがございます。この内政問題もいろいろ問題ございますが、そのまず第一は行政改革の問題でございます。  行政改革の問題につきましては、鈴木前内閣におきまして鋭意全力を挙げて当たってきたところでありますが、新内閣におかれましてもこれを引き継ぎ、さらに強力に対処すべきであると私は思うのであります。  高度成長時代には機構は自然膨張しがちでございます。しかしながら、いまや経済高度成長時代から低成長の時代に入ったわけであります。安定成長の時代に入ったわけでありますから、おのずから機構につきましても再検討を要することは言うまでもございません。ことに日本の国は資源エネルギー、そういったものに恵まれておりません。しかも、人口は非常に多く、かつ、高齢社会に向かっておるわけであります。そういったときでありますから、二十一世紀に乗り込んでいくためには、私は、日本型の活力のある福祉社会、これがわが国課題であると思うのでございます。(拍手)  西欧諸国は、いまだ第一次、第二次の不況から脱し切れておりません。また、皆さんも御承知のとおり、福祉は高いが負担もきわめて高く、この点について問題を含んでおるところでございます。私は、日本におきましては、親、子、孫三代互いに助け合う日本型の新しい福祉国家の建設でなければならないと思うのでございます。総理は、これをば日本国民の新しい政治目標といたしまして、「たくましい文化福祉の国日本」という表現をされましたが、私は、これこそわれわれの努力すべき目標であると思うのでございます。(拍手)  新内閣におきましては、鈴木内閣が進められましたこの行政改革路線を、これをばさらに積極的に実行していくことを心から願ってやみません。  私は、この行政改革の柱である国鉄再建問題について一言触れたいと思います。  国鉄再建につきましては、皆さんも御承知のとおり、私は、国鉄の果たしてきた役割り、それを無視するものではございません。しかしながら、国民の間で国鉄があれでいいのか、非常に心配している声のあることは皆さん御存じのところでございます。輸送体系の変革によりまして、シェアが変遷している、縮小しているということはもちろんでございますが、国鉄の職場秩序につきまして、あれでいいのかという声もあるのであります。  また、その財政一点とってみましても、五十七年度末の長期負債は十八兆円を上回っております。単年度の赤字は二兆円であります。こういった危機的状態にある国鉄、この危機を乗り切るためには、体質の徹底した改革、これが必要であることは、私が言うまでもなく、皆さん方御承知のところでございます。  そのための第一歩が、今回提出になっております国鉄再建監理委員会でございます。私からこのことにつきましていろいろ申し上げることもございませんが、これが私は行政改革の試金石である、このように感じますので、この際、総理国鉄改革の実行に対する所信をお伺いする次第であります。  次に、公務員の給与についてお伺いいたします。  公務員の給与につきましては、人事院勧告を前内閣は見送ることを決定されました。先憂後楽という言葉がございます。また、国家公務員が全体の奉仕者という立場から、今日の危機的な財政状態のもとにおいて、人事院勧告の見送りは万やむを得ない措置であると思うのであります。国家財政が未曾有の危機的な状態におきまして、国民にも負担を願わなければならない状態にあります。国家公務員が率先して行うのでなければ、国民全体の協力は得られないところであります。  新内閣におきまして、先般の人事院勧告実施見送りの決定につきましてはこれを堅持すべきであり、さらにまた関係方面との調整も早急に進め、さらにまた地方公共団体に対しましてもその協力を要請すべきであると思いますが、総理はどのようにお考えでございますか。  また、前国会におきまして議決案件として継続審議になりました仲裁裁定につきましては、現在、本国会において議決すべく、誠心誠意その交渉が進められておるところでありますが、私は、この問題は慎重を要すべきであると考えておるところでございます。  次に、財政再建についてお尋ねいたします。  五十八年度の予算編成に当たりまして、私は、世界的な景気の先行き、また税収の不足、そういった状態考えますときに、来年度の予算編成はきわめてむずかしい問題があることは申すまでもございません。鈴木内閣は、財政再建を最重要課題としてこれに努力してこられたところであります。しかしながら、税収の落ち込みその他からきわめてむずかしい問題に逢着したことも、これまた事実でございます。  私は、この道のりに対しましてどのように総理考えておられるのか、財政再建行政改革とともに中曽根内閣の絶対に守らなければならぬ重要課題であると考えるところでございます。この道のりにつきまして、五十九年度赤字国債をゼロとする、そういった目的は非常にむずかしい状態にあることは繰り返し申す必要ございませんが、この財政再建をどのように考え、どのように取り組んでいかれるか、総理の御方針をお伺いするところでございます。  私は、この財政再建に取り組みますときに、経費の節減、見直しが根本であると思うのであります。  五十八年度予算を編成いたします場合に、五十七年度はゼロシーリングで発足いたしました。五十八年度はマイナス五%のシーリングでいたわけでありますが、私は、五十八年度予算の実際の編成に当たっては、これではいけないと思うのであります。切り込んでいかなければならぬ、こういった状態にあるわけでございます。したがいまして、いわゆる聖域というものにつきましてどのように考えておられるか、この点につきまして総理のお考えをお伺いする次第であります。  また、納税者の負担と受益との関係、これについても考えていかなければなりません。今後わが国は予想される高齢化社会に向かうわけでありますが、その施策を充実するために国民がどの程度この経費を持つか、また、制度を守っていくためにはどの程度国と国民とが持ち合うか、そういった点につきまして真剣な考察が必要でございます。中曽根総理のこの国民負担についての考え方をお伺いする次第であります。  次に、私は、この国会に提出されております五十七年度の補正予算につきましてお伺いいたしたいと思います。  五十七年度予算は、先日大蔵大臣の話にありましたとおり、歳入欠陥六兆一千四百六十億円であります。それに対しまして、安易に国債の追加発行によることなく、経費の節約、そういったものを極力図ったわけでございます。それとともに、災害と景気復興対策を織り込んだのがこの予算でございます。したがいまして、私は、一日も早い補正予算の通過を心から望んでおるところでございます。  なお、災害につきまして一言お話し申しますと、実は本年は災害の非常に多い年でありまして、全国各地で大きな被害を受けました。不幸にも災害に遭われて亡くなった方は四百九十二名でございます。その被害総額は一兆五千億の多額に上っております。私は、自由民主党を代表いたしまして、亡くなられた方に対しまして心から哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた方に対しましてお見舞いを申し上げる次第であります。  今回の補正予算にこの災害対策が織り込まれておるのでありますから、野党の諸君に対しましても、深い御理解を賜ることを私も心からお願いいたす次第でございます。  次に、景気対策につきまして国民はひとしく希望を抱き、また総理から聞きたい、こういう声が強いわけでございます。先般二兆七百億円の総合経済対策が出されましたが、新内閣景気対策に対しましてどのように対処されますか。  ことに私は申し上げたいことは、中小企業についてでございます。本年も年末になりまして、中小企業は日夜その経営に苦労いたしておるのであります。中小企業のために年末金融をどのように考えているか、その対策をお示し願いたいと思うのでございます。  さらにまた、財政面からの景気浮揚はもちろんでございますが、金融面から公定歩合の引き下げ、金利対策等々の対策考えられないか、この点につきましても総理の御答弁をお願いいたしたいところでございます。  次に、五十八年度を起点といたしますところの新経済五カ年計画を現在検討を開始したと聞いておるわけであります。世界経済全体が非常に低迷しております。この中にありまして、日本経済の展望はどうなるのか、中曽根新内閣の新しい経済政策の展望はどうかということでございます。この新経済五カ年計画をどのように考えておられるか、誤ることのないようにお願いいたしたいと思う次第でございます。  また、財政再建につきましても、この新計画との関連におきまして、どのように考えておるか、これまた明確にお示し願いたいと思う次第でございます。  私は、非常に厳しい経済のさなかにありまして、実は国民の中におきまして、所得税減税の声のあることは皆様も十分御承知のところでございます。この所得税減税につきましては、先般、大蔵委員会におきまして、議長に答申をされたところでございます。勤労者に対する所得税減税につきまして、どのように総理はお考えか、その見解をお示し願いたいと思う次第でございます。  また、相続が起こりますと、中小企業におきましては、その後の事業ができないということが言われております。したがいまして、私は、中小企業の承継税制、これにつきましても、総理の御見解をお聞きしたいと思うのでございます。  以上、私は、わが国外交、内政にわたって重要な問題につきまして、総理見解をお聞きしてまいりました。  時局はまさに、きわめて厳しいものがございます。これらの諸問題を解決するためには、国民の活力を十分に引き出しまして、国民と手を携えて進む政治が必要であります。中曽根総理は、国会の冒頭におきまして、この問題に触れたわけでございます。すなわち、「話しかける政治」、「わかりやすい政治」の実現がそれであります。礼節、愛情に富んだ政治、これがそれであります。私は、この厳しい時代に生きる政治家の一人といたしまして、精神的な触れ合いのある社会を念頭に置いて政治を行いたい、このように考えておるものでございます。  そのためには、総理も言われましたが、まず、指導者たる政治家がおのれを正し、厳しい政治倫理に徹し、清潔な政治を行い、国民に語りかけ、国民の気持ちを酌んで、ともに進んでいくことが何よりも必要でございます。信頼が何よりも大事であると思うのであります。  私は、この質問を終わるに当たりまして、中曽根総理に対しまして、総裁として挙党一致事に当たるとともに、国会の運営に当たりましては、野党の皆さんとも十分に誠意を尽くして、円満な国会の運営を図られることを重ねてお願いいたしまして、私の代表質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  8. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 先ほど、飛鳥田議員の御質問に対しまして答弁漏れがございました。失礼をいたしました。  お答えいたします。  政治資金規正法改正にちなんで、企業献金の問題をどういうふうに改革するかという御質問でございました。  企業一つの社会的実在としてその政治活動の自由は保障されておるものでございまして、最初から企業献金が悪であると決めてかかるのはどうかと思います。  いま、政治資金規制につきましては、国民からいろいろな御批判等もございまして、今後とも慎重に検討してまいるべきものと心得ております。  木野議員の御質問お答えを申し上げます。  一月訪米につきまして御質問がございました。一月訪米を予定して、心がけておるところでございます。今回の訪米に際しましては、レーガン大統領との間におきまして、最近における国際情勢世界情勢変化、日米間における政治経済問題あるいは防衛問題等につきまして忌憚のない意見の交換を行いまして、そして個人的にも親密な関係を樹立して、今後の日米関係をより緊密化し、信頼のこもった関係に強化していきたいと念じております。  さて、防衛力整備促進と五十八年度予算でございますが、緊急な課題である財政再建前提としつつ、「防衛計画の大綱」の水準をできるだけ早く達成したいと考えております。しかし、防衛費も聖域とせず、厳しく内容については検討していくべきものであると思います。もちろん、日米安全保障条約等を結んでおる関係上、国際関係につきましてもまた配慮する必要があると考えております。  日ソ関係につきましては、政府の基本的課題でありまする北方領土問題を解決して平和条約を締結し、真の相互理解に基づく安定的な長期的な関係を確立したいと念願しております。  先般、ソ連邦におきまして新しい指導部が誕生いたしましたが、政府は前述の基本方針にのっとり、ソ連側と粘り強く話し合っていく考え方であります。特に、新体制の外交政策世界政策がどのような形に出るか注目してまいりたいと思っております。  中国外交につきましては、すでに国交正常化以来十年たちまして、日中両国の関係は着実に発展を遂げております。日中関係にはすでに安定した友好協力の基礎ができ上がっていると考えております。政府といたしましては、今後とも中国との間で政治経済文化等幅広い分野において協力関係の発展を図るべく努力してまいりたいと考えております。  わが国外交基本方針は、最近わが国の国際責任と役割りが増大をしてまいりました。この事実を認識して、世界の平和と繁栄に積極的に、かつ主体的に貢献してまいりたいと思っております。そして、国際社会から信頼される国になることが、今日の日本にとって非常に重要であると考えております。  行政改革は、現在の国政上の最重要課題一つでございます。当面、臨調答申を受けて決定されました行革大綱に沿いまして、改革の諸課題一つ一つ実施してまいる考え方であります。  緊急を要する国鉄再建のためには、本国会国鉄再建推進臨時措置法案を提出いたしまして、成立をお願いしておるところでございます。  なお、日本型の福祉国家建設という御提案については、全く同感でございます。私は、つとに、家庭の機能を重視し、そして、在宅福祉を重視した日本型の福祉国家を建設すべきであると主張しているものでございます。  国鉄再建につきましては、累増赤字が五十六年度決算におきまして七兆六千億円に及んでおりまして、いまや国政上緊急な課題にもなっております。今回新しい法案を提出いたしまして御審議を願っておるところでございまして、ぜひ成立さしたいと念願しておるところでございます。  国鉄の改革につきましては、御指摘のとおり強い決意をもって断固推進していく考え方でおります。(拍手)  公務員給与の問題につきましては、給与改定見送りの決定は、前内閣方針を踏襲して変わりません。地方公共団体におきましても、この国家公務員に準じた措置を講ずるよう指導してまいりたいと思っております。  財政再建につきましては、五十九年度に特例公債依存体質から脱却することはきわめて困難になってまいりました。いま新しい経済計画を策定中でございますが、財政再建の新しい方策も、この新しい経済計画との見合いにおきましてつくらるべきものと考えております。  いずれにせよ、財政再建につきましては、まず歳出見直し、合理化を徹底すること、昭和五十八年度予算では、いわゆる一般歳出を前年度同額にまで圧縮する意気込みで努力いたしたいと思います。  歳入につきましても、「増税なき財政再建」の基本理念に沿って見直しを行い、財政の対応力回復を図る所存であります。  財政における受益と負担の関係でございますが、受益と負担は表裏一体をなしておりまして、受益の水準に見合った負担が原則的に必要であると考えております。現在、公債依存度三〇%を超えておる現状は、受益と負担の間にかなりのギャップがあることを示しているものではないかと考えます。今後の高齢化社会到来を考えますれば、できるだけ早期に特例公債依存体質から脱却することは、また必要でございます。  将来の受益と負担の関係につきましては、行財政のあり方と絡めて、国民の選択を求めて考慮していきたいと考えております。  補正予算につきましては、今回の補正予算には御指摘のとおり景気対策、災害対策等の重要な施策も含まれておりまして、速やかな成立を期待しておるところでございます。  経済の現状は、先進国に比べればいま良好ではございますが、しかし、景気の足取りは力強さを欠いております。したがいまして、景気対策といたしまして先般総合経済対策を決定いたしまして、この補正予算にもその一部が盛られておる次第でございます。当面これらの対策を着実に実施いたしまして、今後とも内外の経済動向を注視しつつ、機動的な政策運営を図ってまいる所存でございます。  中小企業対策につきましては、政府中小企業金融三機関の年末貸付資金枠として約二兆円を確保して、信用補完面でも一層の配慮をしていくつもりでございます。  公定歩合の問題につきましては、これは日本銀行の所管するところでございます。金融政策全般の運営は、内外の情勢を慎重に見守りながら、引き続き適切かつ機動的に対処してまいりたいと思います。  新経済計画につきましては、内外の諸情勢変化に対応して、現実的な基盤に立脚しながら、活力ある経済社会と充実した国民生活を実現する明るい展望のある新計画を目指しております。財政再建は、この新しい計画の中におきましても重要な課題であります。経済審議会の場で各界からの御意見を伺い、十分な検討を行って、よりよき計画を作成する所存でございます。  所得税減税につきましては、衆議院大蔵委員会減税問題に関する特別小委員会で検討していただいております。この小委員会におきまして財源問題を含めて与野党合意の結論が得られますならば、これを尊重する考え方でおります。  中小企業者の相続税につきましては、相続財産の評価は、実態に即した評価を心がけていくようにいたしたいと思います。  取引相場のない株式の評価方法については、政府の税制調査会で検討中でございます。その審議の結果を踏まえて適切に対処してまいります。  最後に、この時局に臨む心がけと野党との関係でございますが、内外ともに時局は非常に厳しい段階にあると心得ております。あくまでも国民の皆様方の御信頼の上に立って、また野党の皆様方とも国会運営等におきましても隔意なき対話を心がけまして、誠意をもって円滑かつ効率的な議会運営を図ってまいりたいと思います。野党各会派、各党の御協力を心からお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)     ─────────────
  9. 福田一

    議長福田一君) 米田東吾君。     〔米田東吾君登壇
  10. 米田東吾

    ○米田東吾君 私は、質問に入る前に、先ほどのわが党の飛鳥田委員長に対する総理答弁のあり方について、大変問題があると思いますので、そのことにまず冒頭触れて、総理に反省を求めたいと思います。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕  飛鳥田委員長の質問は、少なくとも野党第一党の党首の質問であります。三十三分にわたって国政の重要点に触れた質問をいたしております。あなたの誠意ある答えを求めておるわけであります。あなたの答弁は、わずか十五分。時間が問題とは思いませんけれども、もっと順序を立てて、誠意を尽くして、あなたの所信を野党第一党の委員長に訴えるべきじゃないですか。これをやりませんと議会の形骸化になります。  私は、日本社会党護憲共同を代表して質問をいたしますけれども、議会制民主主義の形骸化を防ぐためには、何としても中曽根総理答弁、これから本会議場で続くであろう総理答弁について、反省を訴えておきたいと思うのです。(拍手、発言する者あり)議会を権威づけるためには、政府総理も誠意をもって議員の質問に答えてもらいたい。私の質問にも誠意をもって答えてもらいたい。拾い読みでは困ります。はっきり申し上げておきたい。(拍手)  私は、日本社会党護憲共同を代表し、総理所信表明に対しまして、総理並びに関係大臣に質問を行いたいと思います。  まず最初に、総理の人間性にかかわるかと思いますけれども、二つばかり質問をさせていただきます。  総理は、所信表明におきまして、決意を新たにし、国民の皆様の御信頼と御期待にこたえたい、政治を支えるものは国民信頼であると、まことに美しい言葉で呼びかけられました。私も、政治国民信頼の上にのみ成り立つものと考えております。総理に対して、いまだ、しかし、私は信頼が置けません。これは今日までの総理の言行を見ての私の結論であります。  そこで、中曽根総理伺います。  あなたは、去る二十五日の自民党大会における新総裁の就任のあいさつの中で、「過去三十五年の私の政治経歴を考えると、党員に迷惑をかけ、思慮の至らざるところがあったことを反省している」と述べられたのであります。これはあなたの風見鶏とも言われる体質についての反省だと言われております。かかる反省を国民に対してまず示されるべきではないかと私は希望申し上げておきます。  総理の体質を評して言う風見鶏とは、常に吹く風の方向に向かうことであります。言いかえれば、力の強い方に向いているということであります。無節操、無定見といった好ましからざる内容を含んでいると、国民は常識的に受けとめております。  政治家に求められるものは、信念を通すことであり、つまり風見鶏であってはいけないということであります。私は少なくともそう思っております。まして、一国の総理たる者が風見鶏から抜け出せないようでは、とうていその資格を持つことができないと思います。あなたは風見鶏から脱皮できるかどうか、私はこの際はっきりとお伺いをしておきたいし、総理の決意を求めたいところであります。(拍手)  次に、国民は、あなたの言動に思いつきと無責任さがあることについて不信を抱いております。  かつてあなたは、内閣総理大臣国民投票で選ぼうということを提唱されました。右翼的体質のあなたのこの提案のねらいがどこにあるかにも問題がありますけれども、少なくとも、現憲法が保障する政党政治、そして議会制民主主義に反していることは確かだと思うのであります。あなたの改憲の発想はこのときからそもそもスタートしたのではないかと私は疑っております。  しかも、この立場からすると、あなたは今回、一握りの自民党員によって選ばれた総理であることに何らの矛盾も感じませんか。また、国民投票は今後一体どうするのでありましょうか。私は、総理の信念のほどを披瀝願いたいと思うのであります。  次に、もう一つお聞きいたしますが、国民は、総理改憲を企図しておる体質について疑念を持っておるのであります。わが党の飛鳥田委員長も触れましたけれども、いかに口で平和国家に徹し、軍事大国を目指さず、平和外交を展開すると唱えられましても、現実の行動を見ないことには信ずることはできません。口のうまい者ほど軽々に信じないという、これは国民生活の知恵であります。巧言令色は信じない、政治家の美辞麗句は信じない、これは国民生活の知恵であります。  まず総理が行うべきことは、憲法改正動きを抑えて、軍事費の突出、防衛費優先の予算編成を行わず、レーガンの軍事・反共戦略にくみしない姿勢を明確にすることでありますが、総理の信念のほどを伺いたいと思います。  総理、あなたに指名された大臣の顔ぶれを見まして、国民は唖然とし、強く疑問と不信の念を抱いております。それは、ロッキードけ飛ばし内閣とすでにマスコミが酷評しておりますように、官房長官、法務大臣、自治大臣など、いわゆる被告人田中親衛の閣僚を配置し、これから迎えるであろうロッキード裁判の論告求刑、田中擁護の布陣と見たからでございます。  そこで伺いますが、あなたは内閣と官僚の力によって司法権に介入し、指揮権発動に動くのではないかと、国民は重大な関心を持って見守っておりますから、この際、明確にあなたの決意のほどを承りたいと思うのであります。(拍手)  私は、ここで、中曽根総理の朝鮮政策について、伺いたいと思います。  あなたは、所信表明アジア諸国との相互理解、友好関係の強化をうたわれました。しかし、日本の今日までの外交で欠落しておるものがあったとすれば、それは朝鮮政策であります。  まず、あなたは朝鮮民主主義人民共和国と正式に国名の呼称ができますか。かつて田中総理時代に、この本会議場で、朝鮮民主主義人民共和国と正式に発言されたことが一回ありますけれども、以来、総理も外務大臣も、この正式な国名の呼称を避けているのであります。  いまや、朝鮮民主主義人民共和国は、国連にオブザーバー加盟が認められ、各種国連機構の正式加盟が認められておる。しかも、世界の百六カ国が国家間の外交関係を持っておるのであります。政府がいかに敵視政策をとろうとしても、いまや朝鮮民主主義人民共和国は、主権国家として国際的に認知されておるのであります。日本政府は、いまこそこの現実認めて、朝鮮民主主義人民共和国と友好親善関係を強めるときだと思うのであります。したがって、あなたにまず国名の正式呼称に踏み切ることをお勧めいたします。あなたの御見解をしっかりとお聞きしておきたい。  次に、総理、あなたは今後一体朝鮮政策をどのように展開されようとするのか。  朝鮮はわが国と一衣帯水の関係にある最も近いアジアの隣国であります。かつて、わが国の支配下に置かれ、筆舌に尽くしがたい侵略犠牲を朝鮮人民に与えたことは、歴史上の事実であります。総理はこのことをどのように反省されるのか、朝鮮問題の原点であるだけに、明確に承りたいと思います。  戦後三十七年が経過いたしましたにもかかわらず、歴代の自民党内閣は、朝鮮民主主義人民共和国との国交を持たないまま放置し続けてまいりました。このため、現在の日朝関係は、わが党を初めとする野党外交民間レベルでの外交の積み重ねによって、辛うじて経済、スポーツ、文化の面での交流が維持されていると言っても過言ではないのであります。このような民間外交努力にもかかわらず、歴代の政府は、この努力認めようとしないばかりか、これを妨害し、国益であるはずの日朝漁業の暫定合意書の失効に見れますように、わが国の漁民を犠牲にしてまで朝鮮敵視政策をとり続けているということを、私はここではっきりと指摘せざるを得ません。(拍手)  総理、あなたはこの事実に対してどのように御見解をお持ちでございましょうか。この不幸な状態を今後とも続けられますか。また、この間の関係漁民の経済的損失に対してどのように償われようとされるのか、総理の明確なるお答えをいただきたいと思います。  朝鮮半島における分断を現状のままにしておいて、アジアの平和も日本の平和もないのであります。今日、中ソの和解や米中の接近や韓国の外交政策変化など、最近の極東をめぐる国際情勢変化は、わが国がもはや朝鮮との関係改善を避けては通れない、そこまで来ていると思うのであります。総理は、この朝鮮問題が解決されない以上は、わが国の戦後は終わらないということについて御理解をいただけるかどうか、私はそのことをお聞きしたいと思います。  総理は、極東の情勢と朝鮮半島の現状を勇気を持って直視され、この問題の解決に決断されるべきだと考えますが、決意のほどをしっかりと承りたいと思います。(拍手)  一方、韓国における内政を見ても、全斗煥政権は依然として不安定な状況が続いております。鈴木内閣時代における韓国に対する慎重な対応は、これに不安を感じられたためではないかと思うのであります。  総理は、就任早々、アメリカのレーガンと韓国の全斗煥に直接電話をされたそうでありますけれども、歴代総理にはかつて見られない親韓的姿勢と言わざるを得ません。  いま、日韓の間に四十億ドル供与など重要案件が山積しております。しかし、これに対する国民の合意はまだ得られておりません。ことに、四十億ドル供与については、わが党は絶対反対であります。あなたがいま、朝鮮問題に公正な対応を誤ると、それは日本外交にとって重大な悔いを残すことになります。いたずらに韓国に気がねをしているときではありません。  また、朝鮮半島の現状を無視して、全斗煥政権には莫大な資金援助を行い、一方の朝鮮に対しては依然として敵視政策をとり続け、現在のささやかな友好関係までも犠牲にすることは、余りにも外交の公正を欠く差別であり、わが国の国益を損ね、あなたの言う近隣外交の基本理念に反するものと考えるのでありますが、総理見解はいかがでございますか。少なくとも均衡外交を守るべきではありませんか。  私は、朝鮮問題の最も現実的な対応について、総理にひとつ御提案を申し上げたい。  日朝両国間の人事交流、すなわち、政党並びに超党派の日朝友好議員連盟を軸とした政治家レベルの相互交流をいまこそ認めるべきであるということであります。そして議員外交の特色をもっと発揮し、発展させるべきであると思うのであります。  外交には、相互主義の原則、互恵平等の原則があることは、改めて指摘するまでもありません。日本政府がこれらの国際的な原則を大胆に認め国会議員を含む政治家レベルでの相互交流を拡大し、友好関係を発展させることが、必ずや両国国民の皆さんに歓迎され、大きな支持を得るものと確信しております。このことによって、当面の懸案事項となっておりますところの日朝民間漁業協定の回復も可能になると考えるのであります。  総理、あなたにその決意があるかどうかをひとつお聞かせいただきたいし、あわせて、この関係では外務大臣からも所見を伺っておきたいのであります。(拍手)  次に、私は、内政問題について若干の質問をいたします。  まず、教育問題についてお伺いをいたします。  本年の政治問題の焦点の一つは、教科書をめぐる外交問題でありました。わが国が犯した過去の侵略戦争や植民地支配の事実を改ざんした教科書検定によって、中国を初め近隣諸国との関係を悪化させた責任は大きいと言わざるを得ません。  この問題は、政府見解の線で一応外交上の鎮静を見たかのごときでありますが、本質的な解決が図られたわけではないのであります。政府が、この問題に対する反省の姿勢、これを具体的に内外に示す必要があります。  そのためには、問題の背景である不当な教科書攻撃をやめることであり、国民が求める検定の公開を図ることであります。そして自由民主党や文部省が進めている教科書の採択拡大など、教科書制度の改悪の動きを直ちにやめるべきであると考えます。(拍手総理の御見解を承りたいのであります。  総理、いま教育問題についての国民の最大の願いは、受験地獄の解消であります。大学入試制度の改革と銘打って登場した共通一次テストは、改革どころか、東大を頂点とする大学の序列化をもたらしただけで、一層競争を激化させたにすぎないのであります。  このような問題を解消するためには、大学入学資格試験を抜本的に改革すること、当面、少なくとも足切りの禁止、私大の参加、二次試験の充実など改革を図るべきであると考えますが、御見解を承りたいのであります。  総理国民生活にとって、足の確保、つまり交通手段の整備は欠くことのできない政府の重要な施策と考えます。政府は、行政改革の名のもとに、国鉄分割民営移管を図ろうとして地方赤字線の切り捨てに着手しております。このことは、すでにわが党の飛鳥田委員長が質問されたのでありますけれども、赤字線の廃止に伴う国民生活の混乱は著しく、たとえば、北海道では生活路線の半分以上が奪われるのであります。  国民生活を脅かすこのような暴挙を行って、あなたが言われる「思いやりの心」とか、あるいは美辞麗句は一体どうなるのでありましょうか。少なくとも「たくましい文化」も「福祉」も私はないと思うのであります。国民生活の安定の基盤を崩すことになることにも重大な問題があると思います。重ねて総理の御見解を承りたいと思います。(拍手)  総理臨調答申福祉を見ますと、十九世紀的低福祉政策への逆戻りを意図されていると言わざるを得ません。わが国の人口高齢化は急速なテンポで進み、その対策は、抜本的改革を講ぜざるを得ない、そこまで来ているのであります。  しかるに政府は、高齢者医療無料制度を押しつぶし、国の責任を不明確にしたままで、各種年金制度の統合を策し、掛金の引き上げ、給付水準の三、四割もの引き下げ、年金支給開始年齢の繰り下げなど、一言で言えば、老後にまで国民に、あなたが責任を持ちなさいというものであり、まさに福祉の逆行であります。  われわれは、福祉や医療の切り捨ては絶対に容認することはできませんし、高齢化社会に対応する福祉の充実こそが、われわれの要求するところであり、今日の政治の急務だと思います。総理の御見解を承りたいと思います。(拍手)  次に、いま一つ、原子力発電所の設置に関する公開ヒヤリングは、建設促進のための住民の意見を聞きおく会であり、余りにも非民主的、官僚的なものでありまして、多くの国民から強い批判を浴びていることは厳然たる事実であります。  原子力発電所の建設問題は、建設の可否を中央で決定するのでなく、公開ヒヤリングを公平かつ民主的な方法で実施し、しかる後に関係住民の投票によって決定するよう改めるべきだと考えますが、総理の御見解を承りたい。  最後でありますが、今回提出されました補正予算において、地方交付税の減収が一兆七千億円にも及ぶとされております。このほか、地方税の落ち込みが一兆二千億円も見込まれ、加えて景気対策のための地方単独事業の追加が国の施策として求められておるのであります。  問題は、これらの財政対策は、資金運用部資金からの借り入れを中心にした借金で賄うということであります。地方自治体の借金の増加は、民生行政の切り下げ、あるいは住民負担の増加となってはね返らざるを得ないのであります。地方分権のための思い切った行政の再配分、税財源の地方移譲が、福祉の充実と行政の改革を実現する道だと考えます。  総理見解を求めて、しかも誠意ある答弁を求めて、日本社会党護憲共同を代表しての質問を終わりたいと思います。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  11. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 米田議員にお答えをいたします。  内外にわたる難問山積のこのときに国政を負託されまして、この重大責務に対しましては厳粛な決意で臨みたいと考えております。いろいろ御批判をいただきましたが、戒めの言葉として謹んで拝聴いたしました。今後とも、問題の解決は容易ではございませんが、各党各会派、全国民の御支援によりまして、一つ一つ着実に解決してまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)  次に、総理大臣の国民投票制度について御質問がございました。  昭和三十年代におきまして内閣憲法調査会がつくられましたときに、私は委員といたしまして、いわゆる首相公選論というものを唱えたことがございます。あの内閣憲法調査会におきましては、自由濶達ないろいろな議論が展開をされまして、たとえば参議院の廃止論であるとかあるいは全国区制の改革論であるとか、さまざまな意見が出されたのでございます。そのときに、私は、一つ考え方といたしまして、直接民主制へもう一歩行政府を前進さしたらどうか、そういう意味で、総理大臣は国民投票で直接選ぶ、その選ばれた人を天皇が任命する、そういう形をとったらどうかということを唱えたのであります。これは、いわゆる直接民主制に前進することがさらに政治国民を密着させるゆえんであり、政局の安定、民意のくみ上げ等から見て、より好ましい制度ではないかと考えた結果でございます。しかし、これは憲法改正を要する問題でございます。内閣といたしましては、現段階で憲法改正問題を政治的日程にのせることはしないと考えておりますので、この問題は差し控えておるわけであります。  次に、平和外交についてお答えいたします。  恒久的な世界平和の確保のために努力することは、私の信念でございます。そして、米国は日本にとりましては最も重要なパートナーであります。太平洋を永久に平和な海にしておくという重大な責任を世界に対しても両国は持っておる関係でございまして、この間に相互信頼関係をさらに強化することは、世界のためにも適切な処理であると考えております。私は、このような観点に立ちまして、自主的な判断に立ちまして平和外交を進めてまいりたいと思っております。  新内閣の顔ぶれについて御批判がありましたが、先ほど申し上げましたように、仕事本位人材本位で、派閥を超えて人材を簡抜したと考えております。刑事裁判等につきまして、これに介入するというような考えは毛頭ございません。厳正公平な行政を貫いてまいりたいと考えております。  北朝鮮の問題でございますが、北朝鮮と呼ぶ場合もございますし、朝鮮民主主義人民共和国と呼んでいる場合もございます。ソ連については、同じように、ソビエト社会主義共和国連邦と呼ぶ場合もあるし、ソ連と呼んでいる場合もあります。ただ、ソ連の場合は国交がありますが、北朝鮮の場合は国交はございません。しかし、議会におきまして、政府あるいは政府委員は、正式の名前をもってこれをお答えしていることもしばしばあるのでございます。  さらに、議員外交、野党外交につきましては、私も常に敬意を表しておるものでございます。この議員外交、野党外交をさらに進められまして、成果あらんことを期待しておる次第でございます。  朝鮮半島に対する政策といたしましては、朝鮮半島を含むアジアにおける過去のわが国の行為に対し、国際的に厳しい批判があるという事実を深く反省して、かかる反省の上に立って平和国家としての道を歩んでまいらなければならないと思っております。  日朝漁業民間取り決めにつきましては、従来、日本と北朝鮮の間におきましてはさまざまな交流がございました。貿易、経済文化、スポーツ、漁業等でございます。これらの一環として民間取り決めも結ばれていたのでございますが、これがいま途絶していることは遺憾でございます。しかし、この取り決め失効の経緯にもかんがみまして、これは日本政府のみの責任に帰することはできないと考えております。  政府といたしましては、日本と北朝鮮との交流のあり方、関係漁民への影響、国際関係への配慮等を踏まえてこの問題に対処していきたいと思いまして、早期に、現実的な観点に立つ双方の民間関係者の話し合いの開始を期待しておるところでございます。  さらに、朝鮮半島に対する政策、南北問題につきましてお答えいたします。  朝鮮半島の将来は、南北の両当事者による解決にゆだねらるべきことであると考えております。両当事者間の実質的な南北対話の再開を期待をしております。  わが国も、南北間の緊張緩和のための諸方策、たとえば南北対話の再開、国連への南北同時加盟等に関しまして、できることがあれば御協力申し上げたいとも考えております。また、南北関係の推移に留意しつつ、今後とも朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮との間で経済文化などの分野を中心に交流を維持し、あるいは交流を通じて南北間の緊張緩和の方途を探求してまいりたいと考えております。  朝鮮半島の将来は、基本的には南北の両当事者による解決にゆだねらるべきものでありまして、両当事者による対話が再開され、平和統一へ向けて建設的な努力が積み重ねられることを希望しております。わが国は、北鮮敵視政策をとっているわけではございません。各種の交流が現に維持されている次第でございます。  また、韓国に対する経済協力の目的は、韓国の民生安定と福祉の向上を心がけて実施しておるものでございまして、この対韓経済協力が南北対話の実現への阻害要因となったり、朝鮮半島の緊張を助長したりすることはないと確信しております。  さらに、日本、北朝鮮間には国会議員レベルを含め各種の交流がございますが、今後ともこのような交流を積み重ねていくことは好ましいと考えております。  漁業問題につきましても、民間取り決めについて現実的解決への糸口が見出されることを期待してやみません。  教科書検定問題につきましては、各方面からの御意見は教科書に関する国民の期待と関心のあらわれとして受けとめ、これを参考としながら、教科書検定制度を通じて教科書の改善と充実に努めていきたいと考えています。  個々の教科書検定の具体的な内容等を公表することは、教科書の採択の公正を害するおそれがあるので、従来から差し控えておるところであります。  教科書の検定、採択などその基本的なあり方については、現在、中教審におきまして検討されているところであり、その結論を待って適切に対処いたしたいと思います。  なお、受験地獄に関しまして共通一次試験等に御質問がございました。  この共通一次試験につきましては、実施前に比して適切な出題がなされるようになったことなど一応の評価を得ていると承知しております。大学入試の改善につきましては、国立大学協会を初め、関係者による積極的な検討を経て、順次その改善が図られることをさらに期待してまいります。  大学入学資格試験につきましては、高校制度の基本にかかわる問題であり、慎重に対処することが必要であると思います。  私学の参加問題につきましては、なお検討、調整すべき問題もあり、当面、共通一次試験の実施を見守りたいとする私立大学が多いと聞いております。  国鉄の再建の問題でございますが、ローカル線問題は、国鉄の経営努力だけではいまや解決できない状態であると考えます。国鉄再建は、行革の見地からもいまや猶予のできない問題になっておりまして、この地方交通線につきましても、臨調答申に沿い、地域住民の御理解を得つつ、緊急に所要の措置を進めることが必要であると考えます。このような対策は、地域における効率的な新しい交通体系形成を図る見地からも実施すべきものでありまして、国民生活の安定基盤を崩すとの御指摘は必ずしも当たっていないと思います。  高齢化社会に対応する福祉のあり方につきましては、高齢者、障害者、母子世帯を含む国民すべてが、充実した家庭を基盤として、連帯と相互扶助の精神のもとに健康で生きがいのある生活を送れるようにすることが、これからの社会保障の大きな目的であります。保健医療、年金、福祉等、各種施策の有機的な総合化、統合化を推進していく必要があると思います。  さらに、国民の将来の負担が過重とならないよう、今後の高齢化社会に対応する安定した社会保障制度確立にも努力する必要があると思います。  原子力発電のヒヤリングについて御質問がございましたが、関係住民の民意を吸収する一つの方法として行われておりますが、もし改善を要する点があれば、さらに検討を加える必要があると思います。  地方自治の問題につきまして御質問がございました。  地方行財政に係る諸施策の推進に当たっては、従来から地方自治の尊重及び中央、地方を通ずる行政財政の合理化推進、事務、財源配分等、各種の施策を実施してまいりました。今後とも、この方向に十分意を用い、臨調答申のもとに一層の検討を進めてまいりたいと思います。具体的には、中央、地方ともにある程度痛み分けを行う必要があるのではないかとも考えております。  以上で、御答弁を終わりにいたします。(拍手)     〔国務大臣安倍晋太郎君登壇
  12. 安倍晋太郎

    国務大臣(安倍晋太郎君) 私への御質問は一問でありますが、日朝間で議員を含む政治家レベルの交流を拡大することにより、現在途絶しておるところの日朝民間漁業協定の回復も可能と考えるがどうかというお尋ねであります。  日朝間には、御承知のように、まだ国交がないわけでございますが、国会議員レベルを含め各種の交流があります。この交流は、今後とも積み重ねていくべきであると考えております。  また、漁業に関する民間取り決めにつきましても、このような交流を通じて、日朝間で現実的な解決への糸口が見出されることを期待をいたしておるわけであります。(拍手)      ────◇─────
  13. 保利耕輔

    ○保利耕輔君 国務大臣演説に対する残余の質疑は延期し、明九日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
  14. 岡田春夫

    ○副議長(岡田春夫君) 保利耕輔君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 岡田春夫

    ○副議長(岡田春夫君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会