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1981-10-27 第95回国会 衆議院 行財政改革に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十月二十七日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 小渕 恵三君 理事 海部 俊樹君    理事 藤波 孝生君 理事 三塚  博君    理事 佐藤 敬治君 理事 山口 鶴男君    理事 正木 良明君 理事 大内 啓伍君       天野 光晴君   稻村左近四郎君       小里 貞利君    加藤 六月君       鹿野 道彦君    梶山 静六君       木野 晴夫君    齋藤 邦吉君       塩崎  潤君    塩谷 一夫君       澁谷 直藏君    竹下  登君       玉沢徳一郎君    中村喜四郎君       丹羽 雄哉君    橋本龍太郎君       松永  光君    三原 朝雄君       上原 康助君    沢田  広君       関  晴正君    竹内  猛君       森井 忠良君    安井 吉典君       湯山  勇君    横山 利秋君       鈴切 康雄君   平石磨作太郎君       岡田 正勝君    米沢  隆君       寺前  巖君    四ツ谷光子君       小杉  隆君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君         農林水産大臣  亀岡 高夫君         通商産業大臣  田中 六助君         運 輸 大 臣 塩川正十郎君         労 働 大 臣 藤尾 正行君         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 鯨岡 兵輔君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         総理府臨時行政         調査会事務局次         長       佐々木晴夫君         行政管理政務次         官       堀内 光雄君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         経済企画庁総合         計画局長    谷村 昭一君         科学技術庁原子         力局長     石渡 鷹雄君         科学技術庁原子         力安全局長   赤羽 信久君         環境庁長官官房         長       山崎  圭君         大蔵省主計局次         長       西垣  昭君         大蔵省主計局次         長       窪田  弘君         大蔵省主計局次         長       宍倉 宗夫君         厚生省児童家庭         局長      幸田 正孝君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         水産庁長官   松浦  昭君         資源エネルギー         庁長官     小松 国男君         運輸省船舶局長 野口  節君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         海上保安庁次長 勝目久二郎君         労働省婦人少年         局長      高橋 久子君         建設省計画局長 吉田 公二君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省住宅局長 豊蔵  一君         自治大臣官房審         議官      小林 悦夫君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治省行政局長 砂子田 隆君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    柴田 知子君         総理府人事局参         事官      熊澤 二郎君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉井  浩君         参  考  人         (臨時行政調査         会会長)    土光 敏夫君         参  考  人         (臨時行政調査         会会長代理)  圓城寺次郎君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事長)    野村 一彦君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         専務理事)   倉本 昌昭君         行財政改革に関         する特別委員会         調査室長    石川 健一君     ————————————— 委員の異動 十月二十三日  辞任         補欠選任   辻  英雄君     玉沢徳一郎君   森井 忠良君     中西 績介君 同日  辞任         補欠選任   中西 績介君     森井 忠良君 同月二十七日  辞任         補欠選任   佐藤  隆君     鹿野 道彦君   森井 忠良君     関  晴正君   横山 利秋君     竹内  猛君   正森 成二君     四ツ谷光子君   小杉  隆君     中馬 弘毅君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     森井 忠良君   竹内  猛君     横山 利秋君   四ツ谷光子君     正森 成二君   中馬 弘毅君     小杉  隆君     ————————————— 十月二十二日  福祉、教育の補助金削減一括改悪反対等に関  する請願安藤巖紹介)(第三一四号)  同(岩佐恵美紹介)(第三一五号)  同(浦井洋紹介)(第三一六号)  同(小沢和秋紹介)(第三一七号)  同(金子満広紹介)(第三一八号)  同(栗田翠紹介)(第三一九号)  同(小林政子紹介)(第三二〇号)  同(榊利夫紹介)(第三二一号)  同(瀬崎博義紹介)(第三二二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第三二三号)  同(辻第一君紹介)(第三二四号)  同(寺前巖紹介)(第三二五号)  同(中路雅弘紹介)(第三二六号)  同(中島武敏紹介)(第三二七号)  同(野間友一紹介)(第三二八号)  同(林百郎君紹介)(第三二九号)  同(東中光雄紹介)(第三三〇号)  同(不破哲三紹介)(第三三一号)  同(藤田スミ紹介)(第三三二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第三三三号)  同(正森成二君紹介)(第三三四号)  同(松本善明紹介)(第三三五号)  同(三浦久紹介)(第三三六号)  同(三谷秀治紹介)(第三三七号)  同(簑輪幸代紹介)(第三三八号)  同(村上弘紹介)(第三三九号)  同(山原健二郎紹介)(第三四〇号)  同(四ツ谷光子紹介)(第三四一号)  同(渡辺貢紹介)(第三四二号) 同月二十六日  国民本位行財政改革実現に関する請願安藤  巖君紹介)(第三六四号)  同(岩佐恵美紹介)(第三六五号)  同(栗田翠紹介)(第三六六号)  同(小林政子紹介)(第三六七号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第三六八号)  同(辻第一君紹介)(第三六九号)  同(寺前巖紹介)(第三七〇号)  同(中路雅弘紹介)(第三七一号)  同(林百郎君紹介)(第三七二号)  同(東中光雄紹介)(第三七三号)  同(藤田スミ紹介)(第三七四号)  同(正森成二君紹介)(第三七五号)  同(簑輪幸代紹介)(第三七六号)  同外一件(村上弘紹介)(第三七七号)  同(四ツ谷光子紹介)(第三七八号)  同外一件(渡辺貢紹介)(第三七九号)  行政改革の断行に関する請願岡田正勝君紹  介)(第三八〇号)  同(神田厚紹介)(第三八一号)  同(木下敬之助紹介)(第三八二号)  同(小渕正義紹介)(第三八三号)  同(佐々木良作紹介)(第三八四号)  同(玉置一弥紹介)(第三八五号)  同(中井洽紹介)(第三八六号)  同(西田八郎紹介)(第三八七号)  同外一件(林保夫紹介)(第三八八号)  同(部谷孝之紹介)(第三八九号)  同(横手文雄紹介)(第三九〇号)  同(米沢隆紹介)(第三九一号)  同(阿部昭吾紹介)(第四三四号)  同外一件(菅直人紹介)(第四三五号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四三六号)  同外二件(林保夫紹介)(第四三七号)  同(市川雄一紹介)(第四七一号)  同(鈴切康雄紹介)(第四七二号)  同(田中昭二紹介)(第四七三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一  環としての国の補助金等縮減その他の臨時の  特例措置に関する法律案内閣提出第一号)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等縮減その他の臨時特例措置に関する法律案議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております本案について、臨時行政調査会会長土光敏夫君及び臨時行政調査会会長代理圓城寺次郎君に本日参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 金丸信

    金丸委員長 それでは、まず土光参考人から御意見を承ることといたします。土光参考人
  5. 土光敏夫

    土光参考人 臨時行政調査会会長をいたしております土光でございます。  本日は、行財政改革特別委員会出席いたしましてごあいさつを申し上げ、かつまた行政改革につきます所信の一端を申し述べる機会を与えられましたことにつきまして、厚くお礼を申し上げます。  委員各位におかれましては、いわゆる行革関連特例法案を初め、広く行政改革あり方について、大所高所のお立場から連日御熱心な御審議をいただいておることに対しまして、臨時行政調査会会長といたしまして、また国民の一人といたしまして、深く敬意を表する次第であります。  さて、わが国は、明治以来約百年余り、戦後の廃墟から三十数年の間に、社会的、経済的に目覚ましい発展を遂げてまいりました。これはひとえに、すべての国民の一致したたゆまぬ努力の結晶ともいうべきものであります。  しかし、近年、内外の諸情勢は大きく変化いたしまして、わが国は今後、人口構成高齢化エネルギー資源制約等多くの困難を克服しつつ経済発展を図り、社会成熟化進展先進国家としての国際的役割りの増大に対応していくことが要請されているところであります。しかも、いまや財政は、国債残高八十二兆円にも及ぶ赤字を抱え、猶予を許さない深刻な事態に立ち至っておるのであります。このような状況では、新たな時代に対応した国民的、国家的課題に機動的、弾力的に対応することは不可能であります。資源エネルギーの乏しいわが国が、国際社会におきまして名誉ある地位を占めていくには、官民一体となって社会経済全体の創造性と活力を高めることが急務であります。  いま臨時行政調査会が設置され、国を挙げて行政改革に取り組むということは、長期的展望に立って新たな時代を切り開き、今後の日本の繁栄と安定の基礎を築くことになるのであります。このような考え方のもとに政府行財政改革にかける決意を確認しつつ、私は、当調査会会長をお引き受けいたしまして、増税なき財政再建、国、地方を通ずるわが国行政全体の抜本改革に微力を尽くしているわけであります。  もとより行政改革の本旨は、単に財政再建策検討することではなく、行財政惰性的運用を打破し、新たな時代に対応した国民的、国家的課題を担い得る行政の制度及び運用を構想し実現することにあります。しかしながら、財政再建を初めとする行財政の難局の打開と立て直しが現下の急務であることにかんがみまして、また同時に、政府からもこれにつき緊急の答申を求められましたので、まず財政支出の思い切った節減行政合理化効率化を緊急の課題として取り上げたわけであります。調査会といたしましては鋭意審議を尽くしまして、去る七月十日、緊急に着手しなければならない措置行政改革に関する第一次答申として取りまとめ、内閣総理大臣に提出し、国会にも御報告申し上げたところであります。  私は、今回の答申を今後の本格的行政改革を推進するための突破口になるものと考えております。今回の措置は、いわば緊急の外科手術であります。産業活動国民生活の各部門に何がしかの痛みを与えることは避けがたいところであります。しかし、これは新たな時代に向けた新しい国づくりに伴ういわゆる産みの苦しみともいうべきものであります。このような考えに基づきまして、当面、国民皆様財政支出節減に伴う痛みに耐えていただくことをあえてお願いしたわけであります。  私は、わが国の将来に思いをいたしますならば、答申が言わんとする趣旨については、必ずや国会を初めとして国民皆様の大方の御賛同が得られるものと確信するものであります。  政府におかれても、本答申趣旨にのっとり、当面講ずべき措置を取りまとめられ、いわゆる行革関連特例法案を初めとする関係法律案国会に提出されたところであります。国会におかれましては、国権の最高機関たるお立場におかれまして十分御審議をいただくとともに、これらの改善措置ができるだけ速やかに実施に移されるよう、さらに一段の御尽力をいただくことを強く期待するものであります。  次に、この機会に、当調査会審議状況及び今後の検討方針について御報告させていただきたいと存じます。  当調査会は、去る九月から行政改革の本番ともいうべき基本的課題につきまして本格的な検討に着手いたしました。すなわち、行政の果たすべき役割りといった行政改革を実施する際の物差しともいうべき基本理念を初めといたしまして、行政組織、国と地方機能分担特殊法人などのあり方につきまして根本的な見直しを行い、抜本的改革案答申いたしたいと考えております。これらの検討課題については、当調査会の終期である昭和五十八年三月を待つまでもなく、来年六月、七月に予定しておりまする基本答申にできるだけ多くの具体的な改革方策を盛り込むこととしております。なお、審議進展状況によりまして、一部の事項につきましては中間答申を提出することも考えてまいる所存であります。  本日は、第一次答申起草委員をお願いいたしました圓城寺会長代理出席いたしておりますので、答申考え方なり審議状況などにつきまして、御質問をいただきますならばお答えしたいと存じます。よろしくお願いいたします。  これで私のごあいさつは一応終わったのでありますが、一言付言させていただきますならば、私が老骨にもかかわらず臨調会長をお引き受けいたしましたのは、このままでは日本の将来は、非常に問題が切迫しておる、西欧先進国の例から見ましても遠からずにっちもさっちもいかなくなるという状況であろうかと思うのであります。しかし、もしわが国がいま国の歩みを変えるならば、十分これに対しては対応できる時間があると思うので、鈴木総理全力を尽くして行革の実行に邁進すると確約していただいたのであります。今回の臨調仕事国家に対するわれわれの最後の御奉公と考え全力を尽くしたいと思いますが、何とぞ全面的な御支援を重ねてお願いいたす次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  6. 金丸信

    金丸委員長 どうもありがとうございました。  土光参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。御退席いただいて結構でございますから、御退席を願います。ありがとうございました。  次に、圓城寺参考人の御意見は、委員からの質疑お答えを願う形で承ることといたしたいと思います。     —————————————
  7. 金丸信

    金丸委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  8. 安井吉典

    安井委員 いま土光会長からのごあいさつがございましたが、圓城寺さんともどもきょうは御苦労さまです。大事なお仕事の中で一生懸命にやっておられることに敬意を表したいと思います。本当はもう少し土光さんのお話質問に答える形で伺いたかったわけでありますが、残念ながらお帰りになりましたので、圓城寺会長代行へのお尋ね、こういうことでお願いをしたいと思うのであります。  いま土光会長から、こういう状況が続けば日本はもうにっちもさっちもいかなくなってしまうという言葉が最後にありました。にっちもさっちもいかないような状況にまで持ってきたその責任はどこにあるのかということについて、この答申は少しも触れてないわけでありますが、そういうような問題について臨調の中でお話し合いが行われたのかどうか、その点からまず伺いたいと思います。私どもにしてみれば、自民党長期政権がずっと続いてきているという中に起きた今日の状態であると思うのでありますが、その点いかがですか。
  9. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 お答えいたします。  このにっちもさっちもいかなくなったということは実は財政に出てきておる。諸外国に比較いたしましても、日本経済はいろいろな点で非常に好調にまいっておる。もちろん問題点はないわけでもありませんが、ただ財政に問題がある。そうしますと、財政にどうしてそういう問題が出てきたかということが御質問の御趣旨だと思います。それに対してお答えしたいと思いますが、実はこの点について答申にも触れております。  やはり文教あるいは福祉の点で制度的に整備されてきた関係で、そういった経費の問題。もう一つ私が申し上げたいのは、石油ショックがありまして、昭和五十一年ごろ石油ショックから立ち上がる過程において非常に需給にギャップができて、国民経済が非常に困難な状態に置かれた。そういったことから、どうしても公債を発行してこの点を救済しなければならぬということで、公共投資の形で膨大な公債を発行した。それでも間に合わなくて特例公債も出した。私は、実はこういった政策をとったことは間違いだとは言いません。しかし、現実の問題として膨大な公債が発行されて、それで八十二兆になる。そうしますと、財政が全く弾力性を失ってきたばかりではなしに、このまま放置していけばインフレにもなりかねない。そういう事態をどうして打開するか。それで、行財政改革ということを言われておりましたが、行政の機構、運営を改善すると同時に、財政支出の中でむだなものを排除して、早く財政再建に乗り出すということが必要だというふうに考えておりますので、それで御了承願いたいと思います。
  10. 安井吉典

    安井委員 ここで圓城寺さんから、自民党政権の中で起きた事態であるからどうのこうのというお答えを得ようとは思いません。しかし、私がこの質問を申し上げたのは、さっきの土光さんのお話に触発されたわけでありますが、痛み国民に分かち合わなければいかぬ、こう言われながら、だれの責任においてこういう事態が起きたかということについての反省が政府にないものですから、国民がぴんと来ない。そういう状況があるものですから、あなたからきちっとした答えをもらうことは水かけ問答になりますからやめますけれども、そのことをこれからの問題解決のための大事な問題だということで申し上げたかったわけであります。  そこで、まず伺いたいのは、第一次答申がなされましてから鈴木内閣でそれらの対応をいまの一括法案なり、来年度予算のゼロシーリングなりで進められつつあるわけでありますが、その鈴木行革の進行について臨調としてはどうお考えなのか。満足しておられるのか、もう少し何とかしてほしいというお考えがあるのか、その点を伺います。
  11. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 実はこの点につきましては、広範囲に検討しなければなりませんので、臨調としてはまだその点の検討はしておりませんけれども、九月の二十日過ぎだったと思いますが、主計局の方の担当官に聞きましたら、大体臨調の枠組みに沿っておる。特例法案も出たことだし、われわれの精神はかなえられておるのじゃないか。ただ、実際この問題は予算編成をしてみなければわからない点があります。ですから、この問題は予算編成をしてみた後でお答えするのが本当だと思いますが、いままでの姿勢については、われわれ臨調答申の線に沿ってよくやっておるというふうに考えております。
  12. 安井吉典

    安井委員 それではまた、予算編成が済んだ段階で評価をさらに承るような機会を持ちたいと思います。  そこで、今度の答申を拝見いたしますと、あれを削れ、これを抑えよという具体的な提起がたくさんあるわけでありますが、その措置をなさる場合の政策選択優先順位についてどういうふうなお考えで進まれたのか、その点を伺います。
  13. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 非常にもっともな御質問だと思いますけれども、ここで行政各般にわたって意見を出しておりますので、これについて優先順位をつけて云々ということはなかなか不可能なことでありますので、いまどこに優先順位をつけて——要するにむだを排除するという点から出た問題ですから、優先順位とはなかなかもっともな質問でありますけれども、どこに優先順位をつけたかということは申し上げられないと思います。
  14. 安井吉典

    安井委員 私が申し上げたいのは、福祉文教等がやたらに切られてしまっているわけですね。そして、財界に関係のありそうなところは温存されておるかっこうになっておるところに、いまのような疑問を感じたわけであります。私の方で要求して、各省庁から来年度の概算要求についての削減額の表を出していただきました。合計してみますと七千八百七十二億七千万円になります。この七千八百億円のうち、厚生省削減額が何と六千百七十六億円です。全体の七八・三四%になります。その次に多いのは農水省ですね。農水省が五百十九億円、文部省が四百九十九億円です。あとはみんな十何億円台、あるいは建設省などは二億一千万円です。ですから、削減削減と言っているけれども、何のことはない、厚生省に全部しょわせてしまっている。続いて農水、文教、こういっているわけです。ですから、優先順位のことは別に考えなかったとおっしゃるけれども、あらわれてきた結果がこういうことになっていて、何かここだけを目のかたきにされてやられたんじゃないかという気がするのですが、どうですか。
  15. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 そういういまの御質問のような批判は私も非常に聞いております。実は答申を作成する段階においてもそういう御意見を聞いておりますので、この点について申し上げたいと存じますけれども、私ども行政改革の案をつくるに当たっては聖域なしということで取り組んでおりますが、ただ、いわば聖域扱いにした点がございます。それは何かと申しますと、補給金の一括削減の中に生活保護費等は除くという文句を私は起草の段階で入れました。ですから、そういうことを考えてみても、福祉の切り捨てということに重点を置いてわれわれは案を作成したということはないと御了解を願いたいと思います。これは相当の金額になりますので……。
  16. 安井吉典

    安井委員 いずれにいたしましても、どういうお気持ちでおやりになったのかは別として、最初からお話がありましたような福祉文教のお金がふえたのが財政危機の原因だというとらえ方をなさっているそのことが、微に入り細に入り福祉文教、農業には切り刻んでいるというような印象を受けるわけです、この中身を見ますと。その他の部門についてはあっさり触れられている。通産省のことなどにはほとんどノータッチで過ぎておられる。そういう点に一つの問題があると私は思いますので、いまのようなお尋ねをしたわけです。  そこでもう一つは、この間鈴木総理大臣の施政方針演説を聞いておりましたら、この臨調第一次答申の中にある言葉、行政改革の方向として「国内的には「活力ある福祉社会の実現」、対外的には「国際社会に対する貢献の増大」」という言葉をそのまま使っておられるわけです。ところが、その前に各部会報告が行われているうち、第一専門部会中間報告の中では、国内的にはというのは同じ「活力ある福祉社会の実現」という言葉を使われておりますけれども、対外的にはというところには「国際社会に対する平和的貢献」ということになっているわけですね。ところが、答申の方にも、ずっと後の説明のところにはこの言葉はあります。ありますけれども、一番大事な、肝心の、総理大臣が施政方針演説などにお使いになるキャッチフレーズのところには、平和的貢献というのはなくなってしまっているわけですね、「国際社会に対する貢献の増大」という言葉で。平和的という三字を私たちは非常に大切だと思うのですが、そのいきさつをちょっとお聞かせください。
  17. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 私は国際社会に対する貢献で、つまり軍事的貢献なんということはあり得ないことだと思います。したがって、私は起草委員をしたわけでありますけれども、要するに経済的な観点で貢献する。そこで平和的という字を取ったのですが、しかし本文の中には、安井先生御指摘のように明白に書いておりましたように、これはそのことは部会報告と全く違っていない。いきさつとして申し上げればそういうことなんです。ですから、平和的貢献、これはもう間違いないことでありますから、十分誤解のないようにお願いします。
  18. 安井吉典

    安井委員 この文章の中に、後の説明のところには書いてありますね。それはありますけれども、大体名は体をあらわすというように、問題は表題ですよ。その中で平和的貢献という言葉がすっと消えてしまったということに、私たちはどうも臨調答申の何か基本的な性格の一部があらわれてきているような気がしてならぬわけです。いまの弁解だけではどうも私たちは納得ができないわけであります。なるほどいろいろな貢献の仕方がありますけれども、同じ経済の貢献にしても、いま韓国との六十億ドルの問題もありますよね。あるいはいろいろな国との経済協力でも、平和的なという言葉があるとないとで違ってくるわけですね。そういうような意味合いでも、この点重大な問題だというふうに私は思うわけであります。  そこで、緊急に取り組むべき改革方策としての第一次答申でございますが、先ほどの土光さんのお話にもありました増税なき財政再建というのが中心目標だというふうに私どもも受けとめるわけであります。ところが、この増税なき財政再建というのは、五十七年度の予算編成だけのものなのか、それとも五十八年度もずっと続くべきものというふうにお考えなのか。ずっとといったって少なくとも三年間財政再建期間があるわけですからね、そうなのか。その辺が政府の答弁があいまいなものですから、この間うちからいろいろやりとりをして、中曽根長官などは大分きちっとした言い方をなさっていられるようでありますけれども臨調のこのときのお気持ちはどうなんですか、それを伺いたいと思います。
  19. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 お答えします。  行政改革をやる場合にいろいろの考え方、やり方はあると思うのです。一つは歳出を切る面、今度歳出削減だけじゃないかという御批判もありますけれども、歳出を切るということは、やはり行政あり方に対して検討する機会を与えるというようなことにもなります。  そこで、その点は別にしまして、私はこの問題は当然本日御質問があろうと思いまして、この間、委員の正式な会合ではないのですけれども、休憩時間に、私は、こういう質問が出たら、行政調査会としては、行政改革に取り組んでおるのでありますから、やはり増税を考え行政改革をやるというようなことはとうてい考えられないことで、増税はしない、できたら減税する、そういった気構えで取り組んでいる、そういうふうに答弁したらどうかという話をしましたら、皆さんもそうですね、こういうことなんです。  それからもう一つ申し上げたいと存じますが、最初に申し上げたことですけれども、増税を考え行政改革というものは、これはできません。と申しますのは、やはり歳出を削減することによって政策の見直しをしてもらうという効果があるだろうと思うのです。ですから、昭和五十八年度も五十九年度もやはり増税をしないということで行政の姿を見直してもらうというやり方、これは私の私見ですが、そういう意味を持っているものだのと思うのです。そうなりますと、実はおまえそんなこと言ったって必要な経費を削られては困るよといういわゆる各論反対的な意見が出ると思いますが、現在の時点において、この財政の窮迫した折に行政改革をするということは絶好の機会ですから、いわゆる増税ない財政再建ということで行政改革をやるのが本当だと私は思います。私は増税をいま考えておりません。余り増税論議をされるということはちょっと迷惑だ、こういうふうに思います。
  20. 安井吉典

    安井委員 臨調のお考えはそれでわかりました。ただ、具体的な論争ということになると、これは政府との間にやらざるを得ないわけでありますが、きょうの私に対する答弁をつくる内論の話し合いまでここで明かしていただきましたから、答弁のその基礎になる臨調のお考え方というのだけは一応理解ができたと思います。  問題は、政府がどうするかということでしょうね。ですから、土光会長は、答申どおり完全実施すれば増税どころか所得税の減税も可能になる、こういう記者会見での話がありますね。それはそこまで受けとめておいていいわけですね。
  21. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 実際問題として、私も経済問題、財政問題には非常に関心を持っておりますから、増税ない財政再建はなかなか容易でないという、そういう考え方は大いにあり得ると思いますけれども、われわれの気構えとしては、やはり増税ない財政再建ということで行革に取り組んでいるということを申し上げたいのです。  それからもう一つは、この話は私個人だけですが、なかなかむずかしい問題があるのだけれども、やはり歳出を抑制することによっていままでの行政を見直してもらう。実は、五十七年度予算ではゼロシーリングですけれども行政改革に反対する学者もゼロシーリングはいいということを私に言うのです。それはゼロシーリングをすることによって、いままでの行政あり方考え直してみるという効果があるのです。そうしますと、やはり安易に増税に頼るというような考え方財政再建をすると、本当の行政改革というものができなくなるおそれがあるということで、これは私の考え方です。  しかし、なかなかむずかしい問題だと思うのです。現実に私が予算編成をするわけでもないし、実際いろいろな今後の経済情勢の変化もありますから、本当に増税ない財政再建ができるかどうか、いまの時点においていばってみても、情勢が変わればどうなるかわからない。ですから、気持ちとしては、あるいは方針としては、そういう方針で行政改革に取り組むべきものだ、これが私の考え方です。
  22. 安井吉典

    安井委員 税金と同じようなものとして国民の側で受けとめているのは公共料金なんですが、今度の政府予算編成がこれから行われる段階でいろいろな問題が出てくると思うのですけれども、たとえば国鉄の料金の値上げも大体決まっているようだし、国立大学の授業料の値上げはこの答申の中にも響いてあります。私立大学の授業料も上がりそうだし、消費者米価もどうも上がりそうだという。空港の使用料だとか公共下水道に対する利用者の負担も拡大されそうだというし、こういうような公共料金の値上げは、増税なきという言葉の中に入らないのですか。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕 つまり、増税なき財政再建という中に、単なる税金だけじゃなしに、それに類するものも一緒に含めてお考えになっていたのかいないのか、それを伺います。
  23. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 そこまで考えておりませんが、しかしこれについては、実は正直なところ、いろいろのことを言う方がおります。要するに、この問題はだれが負担するのが適当かという問題であろうと思うので、増税問題とは関係ないと私は思うのです。と申しますのは、財界の一部の人の中には、私に対して、租税特別措置を廃止せよというのは、これは負担が増になれば、それもやはり増税じゃないかということを言う人もいるわけですよ。ですから、そういうことによって国民の負担が増しても、それはどこで負担されるか、負担させるのが適当かという問題であって、われわれの言う増税なき財政再建の中でその問題を考えたということはございません。
  24. 安井吉典

    安井委員 租税特別措置等の問題は後でまた伺うことにいたします。  次に伺いたいのは、臨調として五十七年度の財政の帳じりを合わせるための支出削減をお考えになる場合に、大蔵省の中期財政展望を基礎にしてお考えになったというふうに聞いているわけでありますが、どの程度の削減をすればいわゆる帳じりが合うとお考えになって作業をお進めになったのか、どうですか。
  25. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは、実は私ども予算編成をするわけではありませんが、しかし増税なき財政再建、ことに初年度の五十七年度は必ず増税するな、こういうことでありますが、その中期財政展望の中の二兆七千七百億ですか、これをやはり念頭というか、一応の目安といたしました。それで、われわれの第一次答申を忠実に守ってもらえれば五十七年度の予算というものは増税なしにできるものと考えております。
  26. 安井吉典

    安井委員 きょうは深い論議をする時間はありませんけれども、あの大蔵省の中期財政展望なるものは非常に水増しをされた、甘い目標でつくられています。それはもう御承知のとおりだと思います。税の見積もりだとかの問題もありますけれども、公共事業なども、いまの状況からは考えられないくらいな甘さで数字が設定されているということではなかったかと思うのでありますけれども臨調の中で、そのようなあの資料の内容について検討はされたんですか、されなかったんですか。
  27. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 臨調の性格としてこれを基本的に検討し直すということはなかなかむずかしい点もありますし、これはただ一応の目安です。一応の目安とした。一応の目安としたということは、詳細に検討してこれを目標にしてやればいいんだということではなしに、われわれとしては何か予算の帳じり合わせということではないわけで、要するに行政改革委員会ですから、一応の目安としたということですから、詳細に検討した云々ということではもちろんありません。
  28. 安井吉典

    安井委員 それでは、この答申を実行する中で二兆七千七百億円は生み出されたという自信を持ってお書きになった、こういうことですね。
  29. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 増税なしの五十七年度予算は編成できる、こういう見通しで答申しました。
  30. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、中期財政展望との関係はどうなんですか。
  31. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 中期財政展望が先生御指摘のように甘いとか、いろいろ批判はあるだろうと思いますが、しかし臨調として緊急な突破口としての第一次答申を出すについては時間的な制約もありますので、一応これを目安にして答申すれば五十七年度予算は増税なしで編成できる、こういう考え方でやっております。
  32. 安井吉典

    安井委員 それじゃ、この二兆七千七百億円という数字にかかわっておつくりになったというわけじゃないわけですね。
  33. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 再三繰り返して申しわけありませんが、一応の目安ですから、どうぞそういうふうに……。
  34. 安井吉典

    安井委員 それは大分違うのですよ。二兆七千七百億円という数字を目標にして作業をされたのか、ただ結果的に増税がなしに五十七年度予算が組めさえすればいいんだという形で決着をおつけになったのかというのでは、大分これは違うわけです。つまり後者の方なんですね。
  35. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 もちろん増税ない五十七年度予算の編成、これが目的であることは間違いありません。それを達成する一つの目安としての二兆七千七百億という考えであります。行政調査会の方は、あくまでもむだな支出の排除とか、そういうことに力点を置かなければなりませんから、余り予算編成みたいな審議ということはできませんもので、一応目安として考えました。いま先生お話しのように余り私の答弁に疑問を持たれるようなことはないと思いますが……。
  36. 安井吉典

    安井委員 わかりました。つまり目安であって、結果的に五十七年度の予算がつじつま合わせができればいいというふうなことの方への力点だというふうに、いまの御答弁の中ではとらざるを得ないわけであります。  そこで、新経済社会七カ年計画との関係でありますが、たまたま圓城寺さんは経済審議会の会長でもあられて、この計画をおつくりになる責任者でもあられたわけでありますが、あの計画の方は大体いまの中期展望と同じ延長線にあるということになるのだろうと思いますけれども公共投資を大幅に増加をする等で、かなり国民に夢を振りまいてきたということは間違いないと思います。  ところが、今度臨調行革は、公共事業は前年度の据え置き、賃金も抑制、年金も抑える、そういうことで七カ年計画とは全くうらはらな位置づけということになるのではないかと思います。一方は夢多き計画で、一方はもうぎりぎりと国民に耐乏を強いていく。圓城寺さんはどちらの方の委員でもあるし、しかもそのどちちの方の委員会もきわめて重要な位置におられるわけでありますが、この二つのずれをどういうふうにお考えになっておられるのか。そして、臨調の方が具体的、現実的に進んでいくということになれば、この七カ年計画も改定が必要になってくるのではなかろうかと思うのですが、その点いかがですか。
  37. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 実は、経済社会七カ年計画と、それから数値にフォローアップを二回やっておりますが、それを読んでみていただきたいと思いますが、私は時間があればそれを読んでお答えしたいと思いますけれども、それを読むことによって貴重な時間をとっても悪いと思いますので申し上げませんけれども、新経済社会七カ年計画に書いてあることと、今度の第一次答申は余りにもよく似通っている。つまり臨調の方では「活力ある福祉社会」ということを言っておりますが、七カ年計画の方では「日本福祉社会」と言っております。それは文章を読んでみてもおわかりいただけると思いますが、本当によく似ております。それから、行政改革に関する問題につきまして、ことしの一月に決めたそのフォローアップの文章を読んでいただきますと、全く同じような調子で書かれております。  ただ、そこで先生の御指摘は、その理念よりもむしろ数字的な問題じゃないかと思うのです。ところが、その経済社会発展計画の方は、私がもちろん経済審議会の会長として策定に参和したのですが、やはり経済発展というものはどういう不測の事態が起きるかわからぬということで、主要な数字であっても参考資料の方に回して一応の目安にしてもらいたい。それから、本文の中に数少なく数字を書いてあることがありますが、これは先生御承知のように、ことしの一月にフォローアップで公共投資の二百四十兆を一年半延ばして百九十兆に変えております。これは長年私も経済計画をつくってきた関係で、経済計画というものはかなり弾力的につくっておかなければいかぬということで、そういうような仕組みにしてありますので、臨調の本格的答申も出て非常に大きな問題を抱えていることはわかりますが、第一次答申程度のものでは、第一次答申を実行することによって経済計画の方を改定するということは考えなくてもいいのじゃないかというふうに考えております。
  38. 安井吉典

    安井委員 文章の方はどうでも書けるし、非常に弾力的に整合性を持って書かれているのも、同一の圓城寺さんが両方におられるのですかちそういうことになると思うのですが、ただ具体的な数字になると、やはり両方の動きをながめている国民の側からすれば一体どうなるのかなということになるわけであります。  いまの公共投資の方も二百四十兆から百九十兆にフォローアップの結果変えられたということでありますけれども、これも公共投資は五十七年度はゼロシーリングに抑えるが、五十八年度もそうなのか、五十九年度もそうなのか、そういうような動きによって変わってくるわけですよ。そういうことをおっしゃったと思うのですが、今度の答申の程度では、いわゆるフォーローアップぐらいのやり方で大体いける。しかし、これから臨調の作業がもっと進む段階では七カ年計画そのものにも大きな影響を持ってくる可能性もある、こう受けとめてよろしいですね。
  39. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 現在の段階において予測できないし、現在の段階程度ならば、経済計画の方が非常に弾力的につくってありますから、その弾力的なフォローアップにおいて対応できるということです。しかし、これは何が起こるかわかりませんし、ことに相手が行革で、どういう最終的な案になるかわかりませんから、そのときのことはいまは予測できないということを申し上げておるわけです。ですから、第一次答申程度のことならば、このことだけによって新しく政府の諮問を受けて改定作業をするというようなことは、いまのところ考えなくてもいいじゃないか。もちろん私、経済審議会の会長をしておりますが、私の意見だけではこれは決定できませんので、逝く総会を開きまして意見を聞きますが、そのときにどういう意見が飛び出すかわかりませんが、いまの私の気持ちだけだとこういう考え方だと思います。
  40. 安井吉典

    安井委員 七カ年計画というのは、国民の側から見れば、これから政府経済社会計画が進めばこういうふうになっていくのですよという一つの方向づけだと思うのです。ところが、大分様子が変わってくる。とりわけ大型プロジェクトがどの程度見直されるのかということで金額がずいぶん違ってくると思うのですよ。そういう状況考えてみて、七カ年計画が先なのか、臨調がもっとそれを上回るだけの大きなコンパクトを持っていくのか、同じ審議会に席を置かれているお立場かち、臨調が優先なのか、七カ年計画がその後追いなのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいわけです。
  41. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 七カ年計画が先か臨調行政行革が先か、どっちも相呼応して進んでいくべきものだと思います。それから経済計画の方ですか、やはり将来の進むべき道というものをかなり具体的に表現しております。臨調の方は、そういった方向に日本経済社会を持っていくについては、こういう点を改善しなければいかぬ。ですから、七カ年計画の目標を達成するには、やはり行政改革をやらなければいかぬということですから、全く同じ方向を走っている。つまり、行政改革は、その七カ年計画の間に将来の日本社会発展計画の中で、これはこうなければいかぬということですから、違った方向に走っているということではないのじゃないかと思います。やはり同じ方向に走っていっている。
  42. 安井吉典

    安井委員 どこまで議論してもなかなか結論にならぬようでありますけれども、しかし臨調が作業をどんどん進めていけば七カ年計画の夢はだんだんしぼんでいくのじゃないですか。それは方向は同じかもしれぬけれども具体的な数字ではそうなってきますよ。つまり、臨調の作業というのが、私は七カ年計画のことだけ言いましたけれども政府のほかのいろいろな機関、審議会の作業もあります。あるいはまた国会の決議もいろいろあります。そういうものをみんな踏みにじってと言ったら大げさですけれども臨調がそれを越えていくことによって、他のすべてのものが全部影響を受けてくるわけですね。それぐらいのものが臨調なのか。あなたからおっしゃると同じように行っているのだというわけですけれども、これは具体的な数字になってくると違ってくるのですよ。そのことを私ははっきり指摘しておきたいと思います。ですから、いまのお答えでは私の要求した答弁になっていないということだけ一つ申し上げて、あと問題がたくさんありますので、ほかの皆さんからの質問もあると思いますから進めていきますが、いずれにしても、七カ年計画そのものが見直しの段階を迎えつつあるということだけ私は私の見方として申し上げておきたいわけであります。  次に、税制の問題でありますが、企業優遇税制と私どもが言う不公平税制の是正については余り踏み込んでないわけですね。わずか通り一遍の触れ方で過ごしておられるわけであります。先ほどもお話しのように企業優遇税制がもし改められれば、企業についてはそれだけ税金がふえることになるわけですかち、増税なき財政再建ということにならぬじゃないかという、あるいは財界のそういう反論もあるのかもしれませんけれども、私どもは、これは単なる税制の問題だけじゃなしに実質的な企業に対する補助金だと思うのですよ。そうでしょう。これは補助金としてあるわけですよ。特に地方税で、たとえば電気税などというのがあって、アルミ産業にはどれだけ電気税をまけますと、はっきりちゃんと八十品目が出ているのですから、その税制が改正されればそれがなくなるし、あればそれが補助金として生きているわけです。ですから、いわゆる企業優遇税制なるものは、補助金の一律カットだとか、農業なんかはこれ切れ、これ切れというのでばんばん切っているわけですから、ほかの産業についても切っているわけですよ。しかし、ここだけはどうもすうっと通り抜けてしまっているということで、財界主導行革というような非難も出てくるのではないかと私は思うわけであります。  そういう意味からいって、租税特別措置法だけじゃなしに法人税法。これは四二%の税率だ、こう言いますけれども、法人の利益に対して四二%すぐかけられるわけじゃないわけです。その利益からいろいろな控除、損金がどんどん計算されて、その残りに対してやっと四二%がいくわけですよ。その控除の中にいろいろな不公正税制と言われる分子が含まれていると私どもは思います。それから、いま申し上げましたように地方税の中にもあるわけですね。ですから、そういうものの全体的な是正、それは一遍にみんななくせなどという、そんな乱暴なことは言えないと思いますよ。言えないけれども、その不公平の是正が行われれば、それと同時に歳入もふえてくるわけですから一挙両得なんです。その点はもう少しお考えがあってしかるべきだったと思うのですが、どうですか。
  43. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 特別措置とか不公平税制につきましては、われわれも重大な関心を持っていることは、これは問題ないと思うのです。経済計画の話もありましたけれども経済計画の中でも、やはりそういった問題ももちろん出ております。ただ、臨調としましては、とにかく七月に答申を出さなければならぬということで、個々の税制について検討する時間的余裕がなかったという点もありますので、その点につきましては、ほかの審議会ということも先ほど先生のお話にもありましたが、税制調査会でかなり精力的に議論しているという点もあります。しかし何といっても、こういう感触を国民に与えていくことは非常によくないので、やはり租税特別措置についても、その原則を徹底的に見直してほしい。  それともう一つは産業助成ですが、これも見直してほしいと思うのです。ただ、この問題をやるとすれば、産業助成というのは必要なものもあるわけですね。石炭は二十年もやっている。これに対してもかなりの助成をしております。ですから、一概に産業助成だからといって目のかたきにするわけにもいかないし、その点は今後においてもわれわれも十分検討しますけれども、しかるべき機関においても政府においても検討することを注文を出している、こういうわけです。
  44. 安井吉典

    安井委員 地方制度審議会にしても、その他の制度審議会にしても、ほかの審議会の分野までずばずば入り込んでいるんだけれども、税制審議会にだけは遠慮されているのか、何か逃げようとするような構えがあるのは、私どもどうも理解できないのですが、税金の問題では特に物価調整減税をやってくれというのは国民の大きな要望ですね。どんな世論調査を猛ても一番トップに躍り出ているのはこれなんですよ。  この委員会でも、いままでしばしば論議をされてきているわけでありますけれども、不公平税制の是正ができれば、これも財源が浮いてくるわけですよ。物価調整減税をやれといったって財源がありませんよというのがいまの政府の答弁なんですけれども、きちっと不公平是正をやれば財源は浮いてくるじゃないですか。そういう観点からも、物価調整減税についてもっとお考えがあってもしかるべきだったと思うのですが、ただの一言も触れあれておりません。これはどうでしたか。
  45. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 一言も触れてないということではなしに、ただ、先生のお話は具体的に触れていないじゃないかということじゃないかと思うのです。(安井委員「ほかの方は具体的なんですがね、福祉なんかは」と呼ぶ)これは不公平税制ということでなかなかむずかしい点もありまして、税の理論からくる、税の理論についての見解の分かれだろうと思うのです。  それから企業の経営、産業と言われますか、そういった問題もありますけれども、一口に産業だからといって、産業に対する補助金だがらといって租税特別措置などで切れないようなお話、やはり産業保護の中にも、助成の中にそういうものもあるだろうと思うのです。一例として石炭を取り上げました。ただ、総体的に申し上げますと、日本は法人税の収入の割合というものが非常に高いのですね。ですから、これは企業に対して非常に不公正な税制だということを意識的に言えるかどうか。ことに税の理論からくるものもありますから、擬制説、実在説いろいろありますけれども、この点は行政調査会としても深く突っ込んでそこまでは議論しなかった。ただ、原則だけを示して、政府に対応を迫ったということでありますので、そのように理解していただきたいと思います。(安井委員「物価調整減税のお尋ねは」と呼ぶ)はっきり申し上げますと、物価調整減税というのは、私が税制調査会委員をしていたときに出てきた言葉なんです。ですから、機械的に物価調整減税という考え方には私も賛成しかねるのですけれども、やはり税の景気抑制的な効果もあります。  それで、どうしてこういう物価調整減税が出てきたかという歴史を振り返ってみますと、そんなことないよという人もあるのですが、恐らく高度成長時代にいまと全くさま変わりで財源はある。財源があるのをやはり非常に放漫に流れるのは困るんで、そこでその物価調整減税ということで所得税の減税をやろう。当時の税制調査会というのは減税調査会だったのです。そういう過程で生まれてきた言葉だと私は思うのですが、いまのような状態になって物価調整減税的な考え方を否定穿ることは間違いだと思うのですが、機械的に物価調整減税ということで減税をしていくということもどうかなと思います。そういうふうに考えております。
  46. 安井吉典

    安井委員 議論はきょうはやめて、一応考えとして承っておきます。私どもは違います。  そこで、厚生年金等に対する国庫負担率の引き下げについて「当面」ということになっているわけですが、政府の方は三年後には利子もつけて補てんする、こういうふうに答えています。それは臨調答申の中には書いてないんですが、そういうふうに答えているわけであります。そうなりますと、これだけでも六千億円から七千億円ぐらいに後年度負担がふえてくるわけです、六十年度以降。だから、臨調でお考えになっている増税なき財政再建と言われるのは、何か五十七年度さえよければいいんで、あとみんな後年度に行っちゃうということまでお許しになるのか。  これは後で時間があったら防衛費のことについても伺うつもりでありますけれども、防衛費についても、飛行機を新規装備だけでも百三十六機を初め軍艦をたくさん買うわけですよ。しかし、五十七年度の予算の中に出てくるのはわずか五百二十四億円の頭金だけ。これでシーリングは七・五でいいんですよ。こういうことで、後年度に二兆二千五百九十三億円も継続費や国庫債務負担行為で回されていくわけですね。だから、福祉でも回すし防衛でも回すし、後へ後へとみんな送っちゃって、五十七年度は増税なき財政再建ができましたよという、そんなことでいいのですかね。臨調のお考えというのをそのとおりいま政府がやろうとしているのですか。その辺、私どもの疑問にひとつお答えいただきたいと思います。
  47. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 先生御指摘のように、臨調答申は後で返せとは書いていないわけです。しかし、実はこの間国会討論をテレビで聞いておりますと、返す時期をはっきりせよという要求が非常に強かったのですね。ですから、あの文章は「等」という字が入っているから、まあ「等」の中に返すのもあると含んで解釈したのか。しかし、実際問題、現実の問題としては、政治の問題としてはああいうことなのかなということで、まあやむを得ないだろうというふうに考えたのですが、御指摘のように、返せとは書いてないのです。しかし、やむを得ないのじゃないかというふうに感じました。(安井委員「防衛費も同じですね」と呼ぶ)防衛費の点は、私どもも詳細に検討してないので、これは私、ちょっといま何ともお答えしにくいのですが、あの膨大な防衛費に対しては「極力抑制」という言葉も使っておりますので、もうそれはどうかなと思います。
  48. 安井吉典

    安井委員 防衛費のことについて後でちょっとおっしゃったわけですけれども、防衛費についての抑制というのは、いわゆる正面装備費まで含めてやたらな膨張は抑えるべきだという御意見だというふうに受けとめてよろしいですね。
  49. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 防衛費の問題を中身に立ち至って検討したということはございません。しかし、ここでは使用とか調達方法について合理化していくということで抑制していくということを書いておりますし、またその項目は国際協力の中に入っておりますが、その点では適切に抑制する、特に「抑制」というふうなことも響いておりまして、内容に立ち至って議論するということは臨調の性格としてなかなかそこまで踏み込めない問題だけに、そういった観点から「抑制」ということを響いておりますということで御理解願いたいと思います。
  50. 安井吉典

    安井委員 いまの御答弁を伺うと、一番最初のお答えと絡んで思わざるを得ないのでありますけれども福祉文教、農業等については、もう微に入り細に入り、私はさっき切り刻んでいると言いましたけれども、なますを切るようなかっこうで一つ一つやっておられるわけですよ。ところが、防衛費の方については、あるいはまたその他の部門についてはさっぱり書いてなくて、したがって、どうもお答えが納得できないわけであります。  いずれにしても、防衛費についてはここに「極力抑制」という言葉が書いてありますね。ただ、これは使用とか調達方法だけではなしに、防衛関係費、施設、装備、それらを含めてのおっしゃり方が「極力抑制」、こういうことだととっていいわけですね。
  51. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは答申としては、答申の解釈をそのまま申し上げますと、響いてあるとおりのことで臨調としては答申しておりますので、そういうふうに御理解願いたいと思うのですね、答申どおりに。それは私、会長代理として、それ以上の読み方をしろ、していいかということについて私が発言するわけにもいかない、そういうふうに理解していただきたいと思います。
  52. 安井吉典

    安井委員 いずれにしても、防衛費のことについては余り触れぬようにしようなあというようなコンセンサスがああいう文革になったのじゃなかろうかという私の推察は余り間違いはなさそうであります。  そこで、もう一つ伺っておきたいのは、恩給は増加を抑制せよと書いてありますね。この意味はどういう意味なのか。恩給生活者についても、これは物価が上がるだけみんな苦しくなっていると思います。  それからもう一つ、公務員のいろいろな共済の年金がありますね。そちらの方のことについては触れられていないわけでありますけれども、物価が上がったら、厚生年金や国民年金については実施時期はおくらせるが、スライドと書いてありますけれども、ここだけに恩給や年金についてスライドという言葉を使っておられないわけですよ。抑制せよと書いてありますね。どうもその辺が理解できないのですが、どうですか。
  53. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 正面に申し上げまして、私、答申を書いてからかなりたっておりますので、恩給について抑制——特別の措置をしておりますその措置はやめたらどうか、こういう意味だと思っております。
  54. 安井吉典

    安井委員 そうすると、公務員のベースアップもあるわけですね、まだ政府は法案を出しておりませんけれども。だから、それと同じように、物価の上昇に伴うようなアップは別に差し支えない、そういう受けとめ方でよろしいですね。
  55. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 私も、答申を書きましたので、いま安井先生のお話ではっと思ったのですが、それはそのとおり解釈して差し支えありません。
  56. 安井吉典

    安井委員 地方自治のことを最後にちょっと触れておきたいと思いますが、どうもこの臨調答申を読む限りにおいては、もっと地方自治を強化していくべきである、集権から分権へという思想がないように思うわけであります。  というのは、具体的には当然国が負担すべき国民健康保険や児童福祉手当等の負担を自治体にかぶせていく。そういったようなティピカルな例を挙げるまでもなく、国の財政再建さえできれば地方自治体の方はもうどうでもいいんだ、そういうふうな思想の方が地方自治尊重よりも先走ってききている、そういう印象を受けてならないわけでありますが、どうですか。
  57. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 そういうことは全くありません。基本的な問題につきましては、改めて基本的答申の中で問答を出したいということで考えております。
  58. 安井吉典

    安井委員 国民健康保険の都道府県に対する負担転嫁ということは政府部内でも意見が分かれていて、厚生省の方はそういうつもりで予算要求をしているし、自治省の方はそれを受けとめていないというし、さらに地方公共団体の方もこの問題に対しては強い反発があるわけです。国と地方財政秩序そのものにかかわる問題だという受けとめ方さえあるわけであります。そういう点についてどうも余り議論をなさらないで、国が赤字なんだから少し自治体に持ってもらえというかっこうで、さっとこういうふうな結論をお出しになったというふうな気がするわけであります。きちっとした議論をなさっていなかったということですか。
  59. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 はっきり申し上げますけれども、今度の第一次答申案をまとめるに当たりまして一番議論のあったところがここなんです。もちろん部会においても議論があって、これは両論併記で出てきたものです。しかし、両論併記で委員会として答申を出すわけにはまいりませんので、この問題は非常に議論をいたしました。議論をいたした結果、答申のような文革で満場一致になった、こういう仕儀になっておりますので、これは一番議論のあったということを申し上げて、この問題は単に国の負担を地方に移せばいいんだ、そういう考えではないんだということをぜひ御了解願いたいと思います。これはやはりどこに負担させるのが適正かということで議論したのです。
  60. 安井吉典

    安井委員 最後に一つだけ、これからの作業の段階での問題として伺っておきたいわけであります。たくさん伺いたいことはあるのですけれども、その一点にしぼります。  というのは、防衛庁を防衛省に昇格をせよという意見臨調の中に持ち込まれつつあるということでありますけれども、それはもう行軍じゃなしに、ちょうどあべこべじゃないですかね、そんな気がするわけでありますが。この点についていまどのような状況になっているか、あるいは将来のお見通しを伺います。
  61. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 私は、行政調査会委員でありますが、そういう意見を聞いたことはないのです。ただ、部会の中でヒヤリングをやっておりますから、そのヒヤリングの中でそういった意見が出たか出ないか、私は存じませんが、出るとすれば、だれか部会に出られてそういう意見を述べられた人があるんじゃないか。私は全然聞いておりませんので、先生のいまの御質問はそういうことじゃないかと想像したのですが、これも事実かどうかわかりません。
  62. 安井吉典

    安井委員 いずれにいたしましても、防衛庁であるのを省に格上げするなどというのは、中央官庁を減らそうという動きの中に、まさに大きな矛盾撞着ではないかと思うわけです。そのことだけ一つ指摘して、これからの審議の中で処理をしていただきたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  63. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて安井君の質疑は終了いたしました。  鈴切康雄君。     〔海部委員長代理退席、委員長着席〕
  64. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公明党・国民会議鈴切康雄でございます。本日は、第二臨調土光会長及び圓城寺会長代理に御出席をいただきまして、ありがとうございます。  臨調発足以来、わずか四カ月という短期間に精力的に審議をされまして、去る七月の十日、第一次答申を出されました御努力に対しましては敬意を表するものであります。  もとより、行政改革国民の声であり、また、その必要性が今日ほど高まってきているときはありません。そういう意味からして、第一次答申は、五十七年度増税なき財政再建という命題を総理の強い要請を受けて答申されたわけでありますが、内容を見ますと、財政再建策が中心となり、本来の行政改革という本筋からかけ離れてきているのではないかというように思われてなりません。その結果、社会保障や文教の切り捨てにつながりかねないという批判や、地方に負担を肩がわりさせようとする意図が露骨に出ているわけでございます。先ほども国民痛みだけ与えてこれからどうなるかわからないという不安があるわけでございます。これではなかなか国民的な合意を得るということはむずかしいのではないかと私は思うのであります。  そこで、臨調として行政改革に対する基本的な考えをどのように考えておられるか、また、臨調行政改革の全体像の中で今回出された第一次答申の位置づけをどうとらえておられるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。  先ほど土光会長は、突破口とかあるいは緊急な外科手術というような抽象的なお話がございましたけれども、今回の第一次答申は果たして皮だけを切って肉に達していないんじゃないだろうか、さらにまた、骨に達するような行政改革は、これから全体像の中でどういうふうな形で出てくるか、それについてお伺いいたします。
  65. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 第一点でありますけれども行政改革についてどういうような姿勢でということですが、これはもう答申に書いてありますように、とにかくまず第一次答申の中では、活力ある福祉社会、それから国際社会への平和的貢献ということで、そのための手段として行政を単に簡素効率的なものにするとか、あるいは変化に対応していけるようなものにするとか、あるいは行政に対する信頼性を確保していくとか、そういう理念を示したわけであります。  それからもう一つ、後の方の全体像と第一次答申、これは非常に重大な問題でありますけれども、あけすけに申し上げますけれども、きのうも委員と部会長あるいは部会長代理との懇談会を開きまして、いわゆる全体像的なものを具体的に早くつくる必要があるのではないかという議論が出ました。ただ、現段階においてその全体像をはっきり具体的に明示するということは、いろいろ勉強の最中でありますので、それはできないが、なるべくならばことしいっぱいで勉強を終わって、来年の初めから部会の方で本格的に討議が始まりますから、そういった段階においてはなるべく具体的な全体像みたいなものを示して、それに対する国民の批判を受けつつ、りっぱな全体像をつくり上げていくのがいいのじゃないかというようなことで、一応大体皆さんの意見が一致しておりますので、いまは申し上げられませんが、そういう審議経過になっていることを御了承願いたいと思います。
  66. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の第一次答申は増税なき財政再建ということが、五十七年度はもちろんのこと、それ以降においても基本的な考え方であると私は思います。五十八年度以降も財政的見地からそれらの問題に取り組む必要があると思いますが、五十七年度と同様に、臨調としては五十八年度も増税なき財政再建ができるとお考えになっておられるか。総理は、五十七年度は増税なき財政再建ということを明言しておりますが、それ以降は必ずしもはっきりと言質を与えていません。この際、臨調が目指す行政改革財政再建との関連性について、特に五十八年度以降の増税問題についてはどういう見識に立っておられるか、このことが第一点であります。  それから、現在課税最低限を据え置かれておりますので、現在実質上の増税というふうに国民は受け取っております。そういうことになりますと、消費が落ち込んでしまって行革ドライブがより強く働いて、景気が低迷するのじゃないだろうか、自然増収が非常に影を落としてくるのじゃないだろうかというふうなことが大変に心配をされております。そこで、土光会長は、やはり行政改革をやった結果減税につながるという方向に行かなければいけない、こうおっしゃっているわけでありますが、特例期間中にやはり減税というものをお考えになっているのか、あるいはまた減税につながる行政改革ということを徹底的にやるおつもりなのか、その点についてはいかがでしょうか。
  67. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは先ほども申し上げましたけれども行政改革をやる以上は、増税なんという考え方行政改革をやるということは間違いだろうと思います。これはただ気構えだけだろうという御批判があろうと思いますが、気構えでも、やはり増税を考えない。それで、土光会長の言うように、できたら減税をやる。しかし、これはなかなか実際問題として経済の情勢の変化もありますし、それからそういった増税なき再建、減税ということになりますと、やはり行政のサービスを低下させなければならぬという問題がある。行政改革いわゆる各論反対。ですから、委員会の内部でも、要するに負担と行政サービスのどっちを見るかの問題だという議論をなされている人ももちろんあります。ですから、私は必ずしもいま増税ない財政再建ができるということを申し上げているのではないのですけれども、われわれの態度としては増税ない財政再建。先ほど申し上げましたように、支出削減ということは非常に反対がありますけれども、支出削減によっていままでの政策の見直しということが行われるはずでありますから、やはり増税は考えないということでやってまいりたいと思います。
  68. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどは、圓城寺会長代理は個人的な意見としてというようなお話がございましたけれども、きょうは臨調から来ていただいて代表して御答弁願うわけですから、個人的ということではなくして、そうしませんと政府の方は非常に困ってしまうわけですね。五十八年度以降は増税をやろうかやるまいかというような考え方を持っておられるわけですから、やはりそこのところは明確に言っていただかないと困ります。
  69. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 この問題については、私はここに出るので答弁はこのようにしますということで正式に委員会の席上で意見を聞いてきたわけではないのですが、この問題は当然御質問が出るだろうと思いまして、休憩時間中に、とにかく委員会としては増税なき財政再建という気構えでやろう、そういうふうに答弁したいと思うがどうかと言ったら、それはそうだ、こういう話ですね。ところが、そういうことを安井先生に対する答弁として私は申し上げたのですが、後の方はそのとき皆さんに念を押してないから、私は私見として申し上げた。ですから、私見は取ってくださっても結構です。
  70. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 よくわかりました。やはり増税をしますと、せっかく行政改革をやろうというのが実際には方向が変わってしまうのです。行政改革を深く深くやらないとこの問題は成功しないのです。実は増税なんて考えるのは、もうそのときからいわゆる行政改革は進まないというふうに国民は受け取るわけですから、その点は増税というものについては一切考えないで、むしろ減税の方に行くような形でやっていただきたいと思います。  それから、政府のまずは五十七年度は増税なき財政再建という安易な考え方では、とうてい今後の本格的な歳出の合理化策というのは望めないと思います。そこで、赤字の最大原因である国鉄、健保、米、いわゆる食管の三K赤字をどのようにするのか。もう徹低的に洗い直しをしなければ抜本的な財政再建にはつながらないと私は思います。第一部会及び第四部会ではその点について検討することになっておりますが、食管、健保、国鉄、いわゆる三K赤字について、ただ単に理念やあり方論的なものにとどまってしまうのか、それとも具体的な改革策まで答申を出すおつもりであるのか、その点についてはいかがでしょうか。
  71. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 いわゆる三K問題というのはいまさら始まった問題ではなしに、長年の問題であり、しかもまた解決のできていない問題である。しかし、こういった財政窮迫の中で行政改革をやるというのは、行政改革としては絶好の機会だと思うのです。また、その絶好の機会をとらえて行政改革をやるということですから、三K赤字の問題についてもなかなかむずかしいと思います。どういう改革ができるかわかりませんが、とにかく抜本的な対策を出したいということで努力はいたしたいと思います。
  72. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今後の本格的な行政改革のためには、横に広がっておりますところの中央省庁の機構の統廃合や中央行政の仕組みの洗い直し、また縦につながっている国や地方の事務の再配分の問題をどのように改革していくか、国民は大きな関心を払っております。臨調では第二、第三部会がそれを検討することになっておりますが、中央省庁の問題や国、地方の事務の再配分の問題は、私は行政改革の最大のポイントだと思います。これをやらなければなりません。特に改革の基準を示すということだけではなくて、具体論でなければ絵にかいたもちだろうと私は思っておりますので、そうなってしまうともう行政改革は進みません。これらの問題についてどのような形で具体的に答申をお出しになられるのか、この点は明確に伺っておかなければならぬと思います。
  73. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これはなかなかむずかしい問題ですけれども、具体的に答申しないと、この問題は抽象的にということでは済まない。どういう答案が出るか、いま部会で精力的に審議を始めてもらっておりますから、それに呼応して委員会の方でもいまいろいろ勉強しておりまして、御趣旨に沿うような答申を出したいということでがんばっております。
  74. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 さらに、官民の役割りの分担についても、その見直しは今後の活力ある社会を維持するためには必要な要素であろうと思います。そこで、公社、公団の民間移行も大事なことではあるかもしれませんけれども、それよりも不要不急の特殊法人の実質的な整理統合とか民間への政府規制や監督とかいう問題について、大小漏らさず徹底的に洗い直すという姿勢が私は非常に大事な問題じゃないかと思いますけれども、この問題については臨調としてはどう取り組まれますか。
  75. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 いま先生のおっしゃられるような姿勢で、まず第四部会で精力的な審議と申しますか、審議の前段階のヒヤリング等を行いまして勉強していく、そういう姿勢でこの問題を処理していくということでございます。
  76. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政改革に対する国民の期待あるいは現在の関心の高まりを引き続き継続していくということは、私はこれからの行政改革を成功に導いていく秘訣であろうかと思います。鉄は熱いうちに打てと言います。そういう観点から私は、引き続きやはり答申を出していかなければならないと思っております。第一次答申は結果的には財政偏重にならざるを得なかったとしても、仕事減らしあるいは機構の簡素化への着手等、国民の期待にこたえるために通常国会へ向けてどういう観点からの改革案を御提示されるべきかということをお聞きしたいわけであります。行政改革の全体像の中にあって整合性ある臨調答申を期待する向きもありますけれども政府がすでに臨調に期待している許認可整理、これはもちろんお出しになると思いますけれども、さらに特殊法人とかあるいは機構の簡素化、こういう問題についても基本答申の前に随時に答申を出されるのかどうか、そういう点についてはどうお考えになっていましょうか。
  77. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 実は、第一次答申の終わった段階では、やはり再来年の三月十五日にわれわれの任期が来る前に、本格答申の前に何回か中間答申を出したいというふうに考えておりました。しかし、基本答申も来年の七月ということになりますと、その中間答申を出すための作業ということは技術的な問題でなかなかむずかしくなってきたのではないかと思います。  ただし、いま先生御指摘の許認可の問題につきましては、これが一万件あると言われておりまして、これを詳細に検討するには、この問題を全部一挙に検討できるかどうかという点については私も疑問に思いますし、実はこれも内輪を申し上げますと、きのうの部会長、部会長代理との懇談会で、部会の方としては、とにかくこれはほかの問題と余りかかわりのない許認可もありますから、これを精力的に進めまして、ある程度審議の進んだ段階答申する。ですから、許認可も一挙に早く答申するということではなしに、順次結論のついたものから答申していこう、こういう方針だということで委員会としてもその立場を了承した、こういう関係になっております。
  78. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、特殊法人とかその他の問題については、五十七年の基本答申のときにお出しになる。  それからなお、基本答申以降に持ち越されて五十八年三月の最終答申になるような問題は何でしょうか。
  79. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは正直なところ、具体的にいまこれこれは基本答申の後に残るということは申し上げる段階ではないのです。先生のおっしゃられた全体像もまだ具体的に確定しておりませんので、申し上げる段階ではないのです。ですから、その審議状況を見なければはっきり申し上げられない、こういうことです。
  80. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 地方事務官制度も、その改廃について論議されて久しいわけでありますけれども政府はこの地方事務官制度については全く統治能力を失ったかのように、五十五年の六月に結論を出しますというふうに言っておりましたが、それがまた後退をしてしまいまして、これは臨調に任せる以外にないというふうな考え方になっておりますので、地方事務官制度についても、はっきりとこの際、国、地方に分けての問題を明確にされるというふうに考えてよろしゅうございますか。  それからもう一つは、広域行政という観点から地方分権の根幹を揺るがす道州制を臨調答申の中に盛り込むのではないだろうか、そういう声、なかんずく道州制がこのところ非常に世間を騒がしておりますし、財界の方もそういうことを言っておるわけであります。私は、機構の上からいいますと、道州制は屋上屋を架す問題であり、また言うならば道州制をしなくても十分に広域行政はとり得るものであると思うわけでありますが、地方事務官制度と道州制についてはどうお考えでしょうか。
  81. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 この問題は二つとも第三部会で検討される問題ですけれども、道州制の問題は、先生おっしゃるようになかなか根幹に触れる問題でもあります。しかし、慎重な審議は必要だと考えております。
  82. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、地方事務官制度も、この際具体的に地方と国とのあれを明確に分けて答申をお出しになる、こういうわけですね。
  83. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは実は審議の結果がどうなるかということは、私もいま結論を出せませんので、その問題については第三部会で積極的に審議していただく、それでわれわれの方でもそれを受けて積極的に取り組む、こういうことになってくると了解していただきたいと思います。
  84. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は今回出されました第一次答申の内容と政府の実際の処理の仕方には相当距離があるのではないかという感じがしてならぬわけです。政府は、赤字国債をなくすために三年間の特例期間に限定して三十六本の法案を一括して出してきております。政府は、中期展望をもとにして五十七年度の財政の要調整額をゼロシーリングとか、あるいは歳出カットによって財政再建をなし遂げようとしておりますけれども、今回の法案は、特例適用期間後には厚生年金を初めとする個々の問題においても、元金はもとより、利息まで含めて返済をするということになりますと、数字合わせだとか、あるいはただ単に赤字を後に繰り延べるにすぎないのではないかという国民的な批判も実はあるわけであります。私は、小手先のやり方でなくして仕事減らし、器減らしにつながる制度そのものにメスを入れ、抜本的に改革をしていかなければ問題はなかなか解決をしないだろうと思います。臨調としては、もちろんこれから予算を組む段階だから、それを見なくてはわからないということはよくわかるわけでありますけれども、法案の問題について、後へ繰り延べていくというやり方について、臨調としては政府のやり方に対して大体よいと思っておられるのか、やむを得ないと思っておられるのか、あるいは煮え切らないと思っておられるのか、不十分と思っておられるのか、その点についての感触をぜひ……。
  85. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 臨調立場としては、後へしわを持っていくようなやり方では本当は困るわけです。行政改革というものは行政の姿をきちっとするということだし、行政負担を適正にするということで議論しているものですから、後へ持っていくというやり方、そういうやり方には基本的には賛成しません。ただ、項目によっては現実の政治との絡み合いで今度とったような措置もやむを得ないのかな一というのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、国会討論会などを見ますと、返す期限をはっきりしろというような御意見が非常に強かったですね。ですから、現実政治の中ではそういうことも仕方がないのじゃないかということで「等」という字が入っているのです。そういうふうに考えております。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。
  87. 金丸信

    金丸委員長 これにて鈴切君の質疑は終了いたしました。  岡田正勝君。
  88. 岡田正勝

    岡田(正)委員 どうも圓城寺さん、大変御苦労でございます。言うならば、日本行政の大掃除役を仰せつけられたようなものでございまして、三月から始まってまる二年間、長丁場でございますが、私ども民社党は大変な期待をかけておるわけであります。しっかりがんばっていただきたいと思います。  さて、当面問題になっておりますことからお尋ねをしたいと思うのでありますが、御承知のとおり、答申の中に、十ページと二十一ページに明瞭に「公務員等の定数の縮減、給与等の合理化により、総人件費の抑制を図る。」という意味のことが書いてあるのです。これが意外な力を発揮しておりまして、いま出ております公務員の諸君のいわゆる人事院勧告、それから仲裁裁定の実施という問題が、このことが原因ではないかと思うのでありますが、非常にもたついておるのであります。そのために国会がなかなか思うように進まない。下手をすれば会期延長もしなければいかぬのではないかといううわさもささやかれるような状態でございます。  そこで、私の心配になりますところをちょっと申し上げるのでありますが、日経連で出していらっしゃいます生涯賃金の官民格差というものを調べてみましても、これは明らかに、生涯賃金の差におきまして、五十四年度におきましては民間の平均と国家公務員の平均におきまして、高卒の人で七百一万円ぐらいの差がつく、それから大卒の間では千六百四十万ほどの差がついてくるではないかということが指摘をされておるのであります。  これがまた地方公務員と民間ということになると、この差はごっついのでありまして、高卒の場合で三千四百五十万円の差がついてくる、それから大卒の場合は三千七百四十万からの差がついてくるという分析をしていらっしゃるわけでございますが、この分析の中にもありますとおり、民間の一いわゆる生涯賃金の中には当然賃金やボーナス、それから今度は退職金、年金と、大項目に分けて三つに分かれると思うのですね。この賃金や賞与という点につきましては、人事院勧告という制度がありますので、余りそう民間との差はないのであります、この国家公務員の場合は。  それで、この人勧の制度というものは、ここ二十数年よき慣行としてずっとそれが続けられておるわけであります。その肩がわりと言ってはおかしいのでありますが、スト権は与えられていない、だから人事院勧告を出す、あるいは仲裁裁定をする、こういうことになっておるわけでありまして、私ども民社党の立場からいたしますると、仲裁裁定は当然お互いの信義によって、長年の慣行によって完全に実施されるべきものである、人事院勧告もまさにそのとおりである、こういう考え方を持っておるのでありますけれども、これはうわさにすぎませんけれども、どうも政府の対応を見ておりますると、圓城寺さんの方から出されました答申に刺激をされたのか、多少でも切り込まぬと、臨調に対して政府がどうもぐあいが悪い、顔が立たぬというようなお気持ちを持っておるのではないかな、そのためにもたもたしているのではないかというふうに実は疑われてならぬのです、それが杞憂であれば結構なんですけれども。  それで、私が思いますのは、この二十数年続いてまいりました人勧という制度、仲裁裁定の制度に対して、政府がいままで守ってきました慣行をもし破った場合、私はとんでもない問題が起きてくるであろうと思うのであります。たとえば、民間の問題を一つ例にとってみますと、民間の場合でスト権を与えられていないのは電力関係の労働者の皆さんです。この電力関係の労働者の皆さんは同盟に入っていらっしゃる非常に良識的な労働者でありますが、もう本当に法律を守りまして、一遍も破ったことがありません。これはお互いに労使の方で話し合いをする、決まる、決まったことは必ず実行する、これは両方がやっておるのですね。両方が守っておるのです。りっぱなものだと思います。もし、たとえば話し合いのついたことを使用者側の方が守らなかった場合、一体どうなるでしょう。ストを禁止されておるといっても、いかに同盟の労働者であっても、お互いの信義がなくなってしまうのでは、これはストをやらざるを得ないということになったら、日本全国の電気は消えちゃうのですね。これはもう鉄道のストどころじゃございませんよ。電車はもちろん走らぬわけでありますし、冷蔵庫の中のものまでみんな腐っちゃうというようなことになるわけでございまして、私はこれは一つの例として申し上げたのであります。  給与の関係においては、民間と国家公務員との間に、いままで人勧の制度があり、仲裁裁定の制度がありますから、いわゆる賃金の点については余りアンバランスはないのです。アンバランスがあるのは退職金と年金で、ものすごい差がついているのです。だから、臨調でおっしゃいました総人件費の抑制ということは、給料に切り込め、いわゆる給料を切ってしまえというようなことを言っていないと私は信じておるのでありますが、政府が人勧あるいは仲裁裁定の完全実施に対していささかも違背することがないことを期待しますが、もし違背するようなことがあったら、日本列島挙げてとんでもない大騒ぎになって、これはもう経済社会も大混乱に陥ると思うのですね。臨調答申がどうも政府に作用しているのではないかという疑いがありますので、臨調は、そうじゃないよ、総人件費の抑制を言っただけであるという明確なお答えをいただければ大変幸いだと思うのであります。
  89. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 仲裁裁定や人事院勧告が基本的に守られなければならぬということは当然だと思うのです。ただ、臨調答申にはああいう文句が、行政改革の折柄ではあるし、世論もあるからということで、ああいうように適切に抑制という字が入ったのだと思います。  そこで、仲裁裁定の問題については臨調意見を言っていないのです。それは国会の議決案件になっているからということで言ってないわけです。そうしますと、人事院勧告の問題も、これはすでに国会の問題になっているわけですから、私がここで意見をどうこう申し上げることもないと思いますが……。
  90. 岡田正勝

    岡田(正)委員 大変ありがとうございました。当然守られるべきものであるというあれでもう結構なんでございます。(圓城寺参考人「基本的には」と呼ぶ)基本的には当然守られるべきである、その答えを私は最も期待しておったのであります。これで日本は大混乱から救われるでありましょう。いまの答弁というのは、私非常に大きいと思うのです、この国会で。  次の問題に入らせていただきますが、先ほど鈴切さんの方からもちょっと御質問がありましたけれども、次の答申ですね。第二次の答申はいつごろお出しになる予定か、そして項目とすればどういう項目をまずこの次には出さなければいかぬと予定をされておるか、それをお尋ねしたいのであります。
  91. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 先ほども申し上げましたように、次の答申に間違いなく出てくるのは、基本的答申を来年の七月ごろまでに出しますけれども、ただ、許認可の問題については、いろんな性格もあって、ほかのものとの関連のないものもありますから一番懸案になって、これは再来年の三月までの答申に最終的にはなるかもわかりませんが、この問題で他と関連のないものの問題は来年の七月を待たずに途中で答申することもあるでしょう。そういうことで部会の方の審議を進めておりますので、われわれ委員会としてもそういった方針に従って答申を出す。早く出るということになると許認可の問題が早く出てくる可能性があると思います。
  92. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは来年の七月までは中間的には答申はないものと考えてよろしいのですか。
  93. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは部会の審議もありますから——来年の七月ですか。七月以前に答申することもあり得ると思います。しかし、これはもう少し審議状況を見守っていただきたいと思います。
  94. 岡田正勝

    岡田(正)委員 次にお尋ねいたしたいのは、成績主義の導入それから公務員倫理の確立、このことについてもお述べになっておるのでありますが、これは国民が大変期待しておるところなんであります。     〔委員長退席、小渕(恵)委員長代理着席〕 この中身の詰めというのがまだこの中には書いてございません。書いてございませんが、具体的にはどういうふうにされようと思っていらっしゃるのか。これは国民が非常に聞きたがっているのです。  なぜかといいますと、ずっと続けられてきましたこの特別委員会でも再三再四出たことでありますが、この間なんかもびっくりしたのでありますけれども、五十四年、五十五年における国鉄のストへ参加した者に対するところの処罰の問題にいたしましても、新聞に発表した処罰の数と実際に処罰をした数とは五〇%以上違うのです。こんなでたらめなことを当局は平気でやっているのです。ただここへ出て、申しわけありませんでした、それで終わりなんです。こんなことが平然と行われておるのが、私は、まあ口汚く言えばいまの日本の政治じゃないかというふうに思うのですよ。ですから、民間人としてはもう絶対に許すことのできないようなこの横着がまかり通っているのです。  たとえば、これは余談にわたりますけれども、国鉄の職場の中ではドラムかんをたった二本動かすのに職員が六人立ち会わなければ指を触れないという協定まで結んでおるのですね。そして作業員の詰め所には、中間管理職は作業前、そしてお昼の休憩時間足を踏み入れてはならない。こんなことが現場協定で結ばれておるのです。こんなことをやっておってどうやって仕事ができるのだろうか。私は国鉄が赤字が出るのはさもありなんというふうに実は思っておるのであります。そこへもっていって、今度処分をすると言えば半分以上もごまかしちゃって、国民に知らしたことと実際の内容とは全く違う。こんなことが平然と行われておるというのでありますから、私どもは——民間の人がよく言います。どうもお役人さんというのは、全部が全部じゃありませんが、三無主義といって、休まず、おくれず、仕事せず、ああいいなあと言って、国民は親方日の丸いいなと言って皆その役人を志望するのですね。  こういうような状態でございますから、何としても私はせめて信賞必罰、成績主義の導入、これはもう絶対やってもらわなければいかぬ。そして、公務員たる者は国民に奉仕をするのである、国民をあごの先で使うのじゃない、こういう公務員の倫理を確立せなければいかぬ。これは私は一番大事な問題だと思うのです。その点につきまして、中身の詰め、これは一体どう行われるのでしょうか。これからの具体策につきましてお伺いしたいのであります。
  95. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは御承知のように成績主義の導入というような言葉が入っております。これをどういうふうに審議を進めていくかということは、いま部会の段階審議を進めておりますので、日ごろなるべく部会と委員会の方の連絡は密にしようということで月一回連絡会議を開いておりますけれども、きのうの段階ではそういうことについてまだ部会の方の報告もございませんでした。ですから、やはり部会の方でその問題を詰めていくことになるだろうと思いますけれども、いま具体的にどうこうということを言われてもお答えするような状況にはないわけであります。
  96. 岡田正勝

    岡田(正)委員 これは圓城寺さん、部会へ任せっ切りということではなくて、この問題は大問題でありますから、成績主義の導入と公務員倫理の確立が成った暁には、これはちょっとやそっとの金ではない、ずいぶん節約ができる、そして明るい行政になり得ると私は深く信じておりますので、ぜひともみずから手をとってひとつ部会を指導していただきたいと思うのであります。  次に、先ほど来から御質問が出ておりましたけれども臨調の基本方針としては、これにも書いてありますように、増税なき再建ということを基本方向として打ち出していらっしゃるのであります。そして、いまお隣に座って黙然としていらっしゃる中層根長官も、この間から大変声をからしてはっきり言っていらっしゃることは、そうだ、増税を考えるような行政の再建なんというのは邪道だと言って、もう実に力強い発言を再三再四繰り返しているのです。それで、臨調といたしましても、増税なんかを考えるのじゃ行財政の改革なんということは考えられぬよという方向には間違いないと信じておりますが、いかがでございますか。
  97. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは中曽根長官がいまのようなことをおっしゃられたのなら、私も中曽根長官の御意見に賛成でございます。
  98. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。  次に、ちょっと具体的な数字に入りましてまことに恐縮でありますが、将来の日本経済におきます租税、それから社会保険料の負担率、これの将来の見通しを臨調としては立てていらっしゃるのでしょうか、お尋ねいたします。
  99. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 臨調という性格は行政の見直しですから、ことに国の経済全体の運営の見通しということになりますと経済審議会とかそういうところもありますから、臨調としては見通しを立てておりません。
  100. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは次の質問に入らせていただきますが、十ページにもありますが、不公正税制の是正、それから国有財産の処分等によります財源というのは大体どのくらい見込んでいらっしゃるものでありましょうか。
  101. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 再三繰り返して申し上げてきているのですが、臨調としては予算編成をするわけでもなし、現実に国有財財の余っているのがあるから売ったらいいということを言っても、どこにあってどういうふうに処分できるか、これもわからないわけですね。ですから、やはり基本的な方針を示して、それに対して政府が十分対応して財源を見つけてくれ、こういうわけですから、臨調としては計算はいたしておりません。
  102. 岡田正勝

    岡田(正)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、わが民社党といたしましては、まさに日本丸沈没という状態のときに、臨調の存在というもの、そして臨調答申というものはもう非常に大事なものであり、とうといものだと思っております。二年間にわたる長丁場でございますけれども、どうぞひとつ土光会長を中心とされまして、りっぱに日本行財政が立ち直るよう答申を固めて、早く出していただきますように再度お願いを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  103. 小渕恵三

    小渕(恵)委員長代理 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  寺前巖君。
  104. 寺前巖

    寺前委員 先ほどの質疑の中で防衛費の問題がございました。お聞きをしておりましたら、立ち入って検討しておられないというお言葉でした。  そこで、ちょっと聞いてみたいのですが、六月二十二日に出されました部会報告と第一次答申との間に、字句上やはり違いが防衛費問題でもある。「防衛関係費については、計画、運用、調達方法の効率化合理化に努める。」と部会報告ではなっていました。それが「計画、運用」が抜けて「防衛関係費については、装備品使用、調達方法等の効率化合理化に努め、極力抑制を図る。」というふうに答申では変わります。ですから、わざわざ「計画、運用」を抜くというのですから、立ち入って抜くことを検討されたのだと思うのです。一体これを抜くということはどういうことを意味するのか、お聞きをしたいと思うのです。
  105. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 臨調としましては、防衛計画の内容その他に深く立ち入って議論する時間的余裕もありませんし、またなかなか立ち入れない問題なんですね。そこで、第一次答申ではありますし、調達方法とか、そういった点についてのことを書いておる、こういうわけです。
  106. 寺前巖

    寺前委員 計画といいますと、閣議でどういうふうに防衛計画を立てるのかということを現実にお決めになっていますよね。だから、それに基づいて財政がどういう方向で動いていくのかということが決まっていくわけですね。それからそれに基づいて、いわゆる中業という形で武器の購入その他が準備されていくわけでしょう。それから運用というたら、今度は、そういうふうな計画に基づいて部隊をどのように配置して活動していくかということで、これは全体として言うならば、自衛隊の根幹になる問題なんです。戦前の言葉で言えば、天皇の大権としての立ち入るべからざるという性格のものの内容になると思うのです。本当に日本行財政について考えていこう、聖域は生活保護などそういう分野に限って聖域化していくんだ、こういうのだったら、後年度負担の分野から考えても、一体どういう計画を持ってやっていくかということに深くメスを入れていかなかったならば、責任ある行財政の分析にならないのではないだろうか。そういう点では、生活保護を聖域化しておるとおっしゃいましたけれども、ここに立ち入らないということ自身は聖域化しているということになるのではないだろうか。これは国民がそういうふうに批判をするのは無理からないと思うのです。  もう一度お伺いいたしますけれども、本当に日本行財政全般にわたるのだったら、そこにメスを入れるべきではなかったのか。先ほどおっしゃったように、それは時間的余裕がなかったからやれなんだので今後やるというのかどうか、そこのところをちょっとお聞きをしたいと思うのです。
  107. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 お答えします。  これは文章を変えておりますけれども、大体趣旨は同じだというふうに御了解願いたいのと、防衛費の問題はやはり極力抑制してもらいたいということはわれわれも考えておりますが、これを計画云々ということまで踏み込んで検討はしなかったのでこれを抜いた、こういうふうに理解を——大体意味は余り変わってないというふうに考えております。
  108. 寺前巖

    寺前委員 ぼくは、これは非常に大きな違いだ、意味が変わらないんだったらそのまま残されたらどうだろうかと思いますけれども、これはどうも理解できません。  それからちょっと部会報告との違いで言いますと、「自動車重量税については、特定財源的取扱いの見直しを行うとともに、道路その他の特定財源の在り方について幅広く検討する。」と部会報告にはありました。すなわち、部会報告は五十七年度の緊急課題として特定財源的取扱いを見直せという性格のものだと思うの上です。ところが、答申段階になりますと、自動車重量税を含め、道路その他の特定財源の在り方について幅広く検討しなさいということであって、緊急課題として財源問題として位置づけられていないというふうに変化がここには生まれている。この変化は一体どういうことであったのだろうか、お聞きをしたいと思うのです。
  109. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは実は調査会の中でも非常に議論があったところなんです。自動車重量税の方は一般財源の中で、まあ自動車重量税は特定財源ではないのですが、しかし特定財源的に取り扱われている。そこで、やはり特定財源というものは財政弾力性を失わせるという意味で、この問題を一般的な方針として見直したらどうかということにしたわけです。自動車重量税の方は特定財源じゃないのです。まあ特定財源的に取り扱われている。それで、これに対する反対論もありまして、そして結局特定財源全般を見直せ、こういうふうに変わってきた、こういうことです。
  110. 寺前巖

    寺前委員 いや、変わったことは知っているのですよ、書いてありますから。問題は、なぜ変わったのだろうか。広く建設族議員とかなんとか、いろいろ具体的に名前が挙がって新聞に書かれているだけに、臨調が本当に日本の将来の行財政考えていくのだったら、すかっと出されたことをなぜ貫かれなかったのだろうか、そこの動きは一体どうだったのか、聞きたかっただけなんです。  時間もあれですから次へ行きますけれども、次に、聖域化の問題として先ほど出ておった一つの問題として、大企業にメスを入れるということをなぜされなかったのだろうかという疑問が国民の中にあります。「中小企業対策費は、前年度と同額以下に抑制する。」と答申でわざわざ書いてくるわけですね。ところが、大企業の問題について、新聞報道によると、臨調自身が資料をお集めになって二千三百億のそういう補助金があるということが明らかになったということが報道されておりました。ですから、そういう資料をお集めになったのかどうか。それで、せっかく集められたものだったら、それを国民に公表されたらどうなんだろうか、これが第二点です。そして第三番目に、その集められた結果が結論として出てこなかったということは一体何だったのだろうか、私はそこを聞きたいと思うのです。  あえて付言をさせていただきますと、たとえば先ほどお見えになった会長土光さんは東芝電気の元社長であり現相談役だ。専門委員で一生懸命中心になってやられた亀井さんは日本電気の取締役だ。あるいは赤澤璋一さんは富士通の取締役副会長さんだ。参号の曽山克巳さんは日本電気の副社長です。  私は何でこの人たちの名前を挙げたかと言いますと、こういう方が直接関係する問題にコンピューター産業の問題があるのです。これは半導体を含めて、国際的にも国内的にも日本を代表するところの好況産業の部門です。このコンピューター産業のために、東芝、日立製作所、三菱電機、日本電気、富士通、沖電気といった五社から六社の特定企業に対して、技術研究の組合を受けざらにしながら、昭和四十七年からことしまで十年間にわたって、電子計算機等開発促進費六百八十六億円を初め、超LSI開発促進費とかあるいは第四世代電子計算機基本技術開発促進費という名目で千百十四億円もの補助金がすでにずっと出てきているわけですね。それで、利益が出たら返すという収益納付金制度もあるわけですけれども、たとえばその六百八十六億円出しておった電子計算機開発促進費で返ってきているのは二億円だけなんですね。それで、先ほど言った五つか六つの会社で組合をつくってやっているわけだけれども、この組合の諸君たちは、これを通じて会社として非常にずっと利益を上げてきているわけなんですね。たとえば日立製作所の三月期決算を見ると千百七十八億円、東芝は八百二十八億円、日本電気は三百五十二億円というふうに経常利益があるわけです。私は、こういうような会社をずっと見ておったら、組合という形態で補助金を出してきておるけれども、結局、五年前と比べても三倍も七倍ももうかるような会社の利益のためにこの補助金を出しているように見えて仕方がない。本当に自立自助、国民が等しく痛み分かちをやるんだというふうに言うんだったら、莫大な利益を上げている自分の会社に、まず隗より始めよということでメスを入れるべきではなかったんだろうか。そこがばっと出てこないというのは一体どういうことなんだろうか、理解に苦しむということで、この大企業補助金のカットという問題について臨調としてはどういう討論をやって、どういう結果がこういうことになったのか、今後どうされるつもりなのか、先ほどから言いました資料があったらお出しいただきたい問題を含めてお聞きをしたいと思います。
  111. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これはいろいろの質問がありましたのですが、ひとつ基本的に申し上げたいと思うのです。この産業助成あるいはそういう特別措置につきましても、やはり原則を決めて、こういう原則に従って政府において処理してくれということを臨調としては申し上げております。  それから、産業助成の中に大企業ということをおっしゃられるのですけれども、たとえばコンピューターにしろ、やはり政府の助成によってコンピューター産業が栄えて、将来のコンピューターを中心とした情報社会の中でいろいろと産業ができてくる。そして日本で最もこれが発展する産業になった。そうすれば、そこにたくさんの雇用も吸収され、景気も支えられて、それは結局国民の幸福につながるものだ。  もう一つは、大企業だからこんな助成をしなくたって研究開発ができるじゃないか、そういう疑問もあるだろうと思いますが、これはエネルギー問題に関係しておりますけれども、石油液化というものは非常に重大な日本の国策として推進しなければならぬものでありますが、これも企業だけではできなくて国でやろう、それで日米独の、経済力から言えば非常に経済力の強い国が集まってやろうとしても、やはりこれも大企業だけではできなかった、こういう状況にありますから、大企業だからどうこうということではないと思うのです。  それから、財界出身者が多いじゃないかということですけれども、財界出身者だとわが田に水を引く論というのはなかなかかえってできにくいという面もありますし、それ以前の問題に、あの委員会に参加している財界の方は、自分たちの立場考えて発言しているんじゃない、みんな公正な人だ、こういうふうに私は考えております。     〔小渕(恵)委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 寺前巖

    寺前委員 自分のことは逆にあれだというお話がございましたけれども、どう考えたっておかしいんですね。特別の大きな会社だけが組合をつくっているわけでしょう、この電算機の開発の問題について。そこが、それぞれが利益がずっと上がっていく。それで、利益が上がったことに対して収益納付金制度でわずかしかお返しをしなくて、もう来年から出さぬかてよろしい、こうなっている。そうすると、補助金をその組合の名前を通じてもらっているんだから、すでにそれによって会社が発展させられているんだから、これは恐れ入りますなという気持ちにならぬというのが、痛み分けをするということを言うんだったら、自分のところをまず言うてみないとおかしなことにならぬじゃろうかな、これはぼくは率直な意味で感ずるんですよ。大企業だからどうのこうのというより、率直にはやはりメスを入れるべきではないだろうか。まだこういう種類は、民間航空機用ジェットエンジン開発費補助金とか、民間輸送機開発費補助金とかがあるが、私はすべて技術開発に国家が助成をするのをやめろ、こう言うているわけじゃないのですよ。だけれども、こうやってどんどん利益が上がっていっているところに引き続いてそういう補助金を出していくということに対して、これはちょっとメスを入れてみないといかぬなということすら出てこないというのは、一体どうなんだろうかなという疑問を覚えざるを得ませんよ。こういう補助金は聖域ではなくして、はっきりとそこにもメスを入れていくという方向をこれからの臨調の中でとっていかれるべきではないだろうかということをあえて申し上げまして、先ほどの圧力に屈したという活を含めて最後の(圓城寺参考人「圧力に屈したというのは……」と呼ぶ)いや、新聞に書かれているさっきの自動車重量税の話です。新聞に書かれていることを含めて本当のところどうだったのか、もう一度……。
  113. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 臨調としては、圧力に屈して審議を曲げるとか結論を曲げるということは絶対ありません。臨調内部の意見で、内部にいろいろ意見があった、外部の意見によって……(寺前委員「内部に圧力があったわけですか」と呼ぶ)圧力じゃないのです。反対意見はすべて圧力と、私はそうは解釈をしておりません。
  114. 寺前巖

    寺前委員 時間が来ましたので終わります。
  115. 金丸信

    金丸委員長 これにて寺前君の質疑は終了いたしました。  小杉隆君。
  116. 小杉隆

    小杉委員 私の時間はわずか九分間でありますから、基本的な問題にしぼってお伺いしたいと思います。  それは、これからの臨調の姿勢とかあり方の問題です。今回の一次答申に対しては、政府は、いま審議している三十六の一括法案を提出したり、あるいはまた、五十七年度予算編成に当たってはゼロシーリングということでいま概算要求を出している段階ですが、いままでの政府臨調に対する対応の仕方についてどう評価されているか、まずお伺いしたいと思います。
  117. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは先ほど申し上げましたように、すべてどういうふうに対応していくかということを私どもまだ検討しておりませんが、特例法案を出して、これから予算編成についてもゼロシーリングで取り組んでいくということで、大体においていい線で対応しているものと思います。しかし、この評価は予算編成が済んでみないとこれはわかりませんけれども、現在の時点においては非常にいい線で対応している、こういうふうに思っております。
  118. 小杉隆

    小杉委員 大体いい線をいっているのじゃないかという御答弁でしたけれども、今回のは、言ってみれば本当の緊急的な、一時的な即効薬ですから、たとえば血が出ているところをちょっと血どめ薬を塗ったという段階だと思うのです。ところが、これから本格的な手術に入りますと、たとえば中央省庁の統廃合とか、特殊法人のいろいろ民営化も含めた検討とか、あるいは補助金の洗い直しとかいうようなことになりますと、これはいままで行政改革がたどってきた道ですが、常に圧力団体といいましょうか、先ほども建設族というような話も出ましたが、農林族とか労働組合あるいはまた官僚、そういったいろいろな抵抗なり反対が出てくると思うのですね。そういう場合に、臨調としては、今度の臨調もいろいろ補佐役でお役所が相当関与しておりますから、どうも実行できそうもないものだから、これは少し手かげんを加えて臨調答申を少しやわらげようではないか、実行可能なものだけに限定してしまおうではないかというふうに、臨調答申そのものを矮小化してしまうという危険性が一つあると思うのですね。  それから、そうではないんだ、いかなる圧力にもいかなる抵抗にも屈せずに、独自性を貫いて答申を出すんだということになりますと、結局政府の対応が全然答申に沿ったものにならない不十分な場合が起こってくるわけですね。そういう場合に臨調としてはどういう姿勢で臨むのか、どういう対応をされるのか、その点をひとつお聞かせいただいておきたいと思うのです。
  119. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 これは、圧力に屈して内容を曲げる、そういうことはありません。実行可能なものを答申しなければならないと思います。実行不可能なものを答申しても意味がないですから。しかし、圧力に屈して実行の可能なものまで不可能として答申することはない、こういうふうに理解しております。
  120. 小杉隆

    小杉委員 そこら辺が非常に微妙なんですね。反対が強くて実行ができないから、そういうものは実行できないものとして答申をしないということになってしまうと、結局いままでと同じように総論賛成、各論反対という形をたどらざるを得ないわけですから、場合によっては、政府の対応が十分に臨調答申に沿ってできないという場合も起こり得ると思うのですね。そういう場合は全然ないというふうにお考えですか。
  121. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 この臨時行政調査会は諮問機関ですから、われわれの方は決定機関ではありませんので、やはり国会審議の俎上に乗せなければならぬと思います。その点、われわれの考え方を一〇〇%通せ、必ず通るものだ、そういうことは申し上げられないと思うのですけれども、われわれとしては、臨調行政改革の精神に沿って、やるべきものはなるべく実行可能にして答申していきたい、実行可能なものはやるという姿勢で答申していきたい、こういうふうに思います。
  122. 小杉隆

    小杉委員 どうもちょっと答弁があいまいなような感じがするのですが、やはり土光さんなり圓城寺さんなり、外部の人が入って臨調をつくられたのですから、余りにも実現可能なものだけに矮小化してしまうと、何のための臨調かということになりかねませんので、いろいろな圧力や抵抗があろうかと思いますし、非常に困難な仕事だと思いますけれども、その点をひとつ毅然とした態度で出していただいて、もし政府がこれに十分対応しないというようなことが起こった場合には、むしろ臨調を解散するぐらいの気魄を持つべきだと私は思うのです。  これから来年から再来年にかけて第二次答申、第三次答申が出るわけですが、今回の一次答申はそんなに政府が実行できないようなものはほとんどないわけですから、これから第二次、第三次の答申に向かって、臨調の姿勢とかあり方というものが私は非常に重要だと思うのです。再度そういう点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  123. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 いま仰せになったような趣旨で、われわれとしても最大限にりっぱな案をつくりたい、こういうことで努力してまいります。
  124. 小杉隆

    小杉委員 いろいろ細かい問題がございますが、一つ二つちょっと私は触れておきたいところがあるのです。  今回の答申では、立法府や司法府のことについては余りお触れになっておられないわけですね。若干、自発的に合理化効率化の努力をされるよう要望するというくだりだけですけれども、もちろん司法、立法、行政という三権分立のシステムをとっておることは当然でありますが、立法府の予算あるいは司法の分野の予算もすべて大蔵省で管轄しているわけですから、そういう見地から、こういう観念的な言い回しではなくて、やはり地方の簡易裁判所のあり方とか、あるいは国会のいろいろなあり方についても、もう少し踏み込んで具体的に書かれたらどうだったのだろうかという気が私はするわけです。今後そういった点について、もう一歩踏み込んだ答申を出されるおつもりがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  125. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 はっきり申し上げまして、行政調査会の任務に属することについてはもちろん聖域なしに踏み込んでいきたいと思いますけれども、立法府のことなどは、もちろん皆さん良識ある方々ばかりですから、その良識に従って改革していただきたい。正直のところ、短い期間で相当広範囲な行政全般に関する問題を持っておるのですから、そのように考えております。
  126. 小杉隆

    小杉委員 この辺は私はちょっと見解が違いますが、立法府あるいは司法府の中にも、予算という関係あるいは行政との関連の中で手をつけるべき点が多々あると思うのですね。いままで自発的に、自主的にと覆われながらなかなかできなかったのが実態ですから、画期的な臨調ができたわけですから、そういう面でもひとつ従来の枠を踏み越えた姿勢で臨んでいただきたいということを申し上げて、もう一つの問題に移りたいと思います。  いろいろな世論調査を見ましても、臨調に望む声として一番大きいのは不公平税制の是正であります。この面についても、臨調答申では、非常に重要な課題だ、制度面、執行面の改善に一層努力を払えという趣旨が書いてありますが、サラリーマンの重税感というのはこの数年間非常に高まっておりますし、非常に世論の高まりもあるわけでありますので、この不公平税制の是正、税負担の公平確保という面については、もう一歩踏み込んだ答申を次の機会に期待したいと私は思うのですけれども、お考えを伺いたいと思います。
  127. 圓城寺次郎

    圓城寺参考人 臨調の姿勢としましては、第一次答申に書いてある姿勢で、大いに政府の方でも検討してほしいということを申し上げておきましたし、第一部会の方で重要政策について検討するということで、われわれの方でももうすでに税制については外部の有識者の方を招いてヒヤリングをいたしております。不公正税制と言われるものはかなり改善されてきておりますので、どういう結果になるかわかりませんが、この問題も検討したいと思います。
  128. 小杉隆

    小杉委員 時間が来ましたので終わります。
  129. 金丸信

    金丸委員長 これにて小杉君の質疑は終了いたしました。  圓城寺参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  130. 金丸信

    金丸委員長 この際、本案審査のため、宮城県及び福岡県にそれぞれ派遣いたしました委員からの報告を求めます。小渕恵三君。
  131. 小渕恵三

    小渕(恵)委員 第一班、仙台班の派遣委員を代表して、団長にかわり、便宜私から概要を御報告申し上げます。  当班の派遣委員は、金丸委員長を団長として、竹下登君、山口鶴男君、沢田広君、正木良明君、岡田正勝君、小杉隆君と私、小渕恵三の八名でありましたが、現地参加委員として三塚博君が参加されました。また、このほか、戸田菊雄議員が現地において出席されました。  会議は、仙台第一合同庁舎において開催し、まず団長から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事の順序等を含めてあいさつを行った後、意見陳述者より意見を聴取し、これに対して各委員より熱心な質疑が行われました。  意見陳述者は、東北経済連合会副会長宮脇参三君、小牛田町長栗村和夫君、宮城県農業協同組合中央会会長木村秀寿君、岩手大学人文社会学部教授河越任君、仙台経済同友会代表幹事藤崎三郎助君、宮城地方同盟書記長遠藤正之君の六名でありました。  その陳述内容につきましてごく簡単に申し上げますと、まず、行財政改革あり方等基本的な問題といたしましては、行政改革の理念と行革関連特例法案の位置づけ、行財政改革のフォローアップと官民監視体制の必要性、国の権限及び財源の地方への大幅移譲等行政の再配分と簡素効率化、中央集権的税制の地方税中心への転換及び道州制の検討等中央地方関係の根本的見直し、零細補助金等の整理削減地方交付税への振りかえ等の諸問題。  次に、法案の内容に関連いたしましては、厚生年金、農林年金等国庫負担金減額分の補てんの明確化、児童手当制度の存続拡充、特例期間中における数職員配置の合理化、特に複式学級、特殊学級等への配慮、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫の貸付金利の据え置き等の諸問題。  さらに、その他の問題といたしましては、公共事業の東北地方への傾斜的配分、日本の食糧基地東北への農業投資の必要性、水田転作面積の特別軽減措置、規格外米の政府買い入れ等五十六年度冷害に対する措置等の諸問題が取り上げられ、これら広範多岐にわたる事項について、それぞれの立場から意見、要望等を申し述べられました。  次いで各委員から、陳述者に対し、財政再建の方途、国の地方出先機関のあり方、小中学校及び養護教員、事務職員の配置状況、農業関係補助金の交付税への振りかえ等による合理化臨調第一次答申の農政関係事項に対する見解、地域特例補助金の一律削減の是非、東北新幹線の予想される赤字負担のあり方、いわゆる不公平税制是正の必要性、許認可事務の地方移管、限られた財源の中での公共事業、文教福祉政策の選択、児童手当制度のあり方行政改革の理念、住宅金融公庫の金利弾力化の是非、地方公共団体におけるゼロシーリング方式採用の可否等の問題について質疑が行われ、滞りなくすべての議事を終了いたしました。  以上が第一班の概要でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じますが、速記録ができましたならば、本委員会会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。  なお、現地会議の開催につきましては、地元の関係者を初め多数の方々の御協力を得ました。ここに深く謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
  132. 金丸信

    金丸委員長 海部俊樹君。
  133. 海部俊樹

    ○海部委員 第二班、福岡研の派遣委員を代表して、便宜私からその概要を御報告申し上げます。  当班の派遣委員は、私のほか、藤波孝生君、横山利秋君、湯山勇君、鈴切康雄君、米沢隆君、正森成二君の七名でありましたが、現地参加委員として三原朝雄君、辻英雄君及び中西績介君が参加されました。  現地における会議は、国家公務員共済組合連合会施設の「はかた会館」において開催し、まず私から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事の順序等を含めてあいさつを行った後、意見陳述者より意見を聴取し、これに対して各委員より熱心な質疑が行われました。  意見陳述者は、九州電力株式会社副社長川合辰雄君、田川市長滝井義高君、九州・山口経済連合会理事長古賀政久君、福岡大学法学部教授馬川千里君、福岡県農業協同組合中央会会長高嶋善一君、福岡県民間労組協議会事務局長馬場寿弘君の六人でありました。  以下、その陳述内容につきまして簡単に御報告申し上げます。  まず、行政改革の基本問題といたしましては、行政改革の長期ビジョンの提示と地方分権及び財源の再配分の必要性、道州制度を導入した広域行政による行政改革行政改革実現の第一歩たる臨調第一次答申の完全実施、国、地方役割り分担及び行政事務の洗い直しと許認可等の整理合理化、官民格差の是正と行政機構の簡素化、国会行政改革、特に議員定数及び議院運営の合理化効率化の自発的改革等。  次に、法案の内容についての問題に関しましては、厚生年金等の国庫負担金の返還措置の明確化、農林漁業者に対する地域配慮と国民全体に広がる行政改革の実施等。  さらに、その他の問題といたしましては、新規増税のない財政再建、産炭地域振興と国鉄地方線の廃止との関係、企業の公正かつ自由な競争の活動及び公務員数の縮減につながる許認可行政の見直し等であり、それぞれの立場から意見が述べられました。  次いで、各委員から、行財政改革推進のための具体的方策、国と地方との役割り分担の見直しについての配慮、厚生年金等の国庫負担金削減額の補てん措置の明確化、産炭地域振興計画の実施と国鉄地方線廃止との関係、企業優遇税制の是正、防衛予算の伸長傾向に対する見解、公務員制度の抜本的見直し、社会保障及び文教関係費を優先的に予算削減する根拠、失業対策事業及び同和対策事業の現況と今後の施策、農林漁業者に対する補助金等削減あり方、四十人学級編制及び教職員定数の改善計画を行財政改革の対象とする考え方の是非、大手スーパー進出規制強化の必要性、政府価格介入等商品と独禁法との関係、公共事業費の縮減に伴う地方の対応、行財政改革による財源確保の見通し、行財政改革における痛み分けのあり方等の諸問題について質疑が行われ、滞りなくすべての議事を終了いたしました。  以上が第二班の概要でありますが、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。速記録ができましたら、第一班と同様のお取り計らいをお願いいたします。  なお、現地会議の開催につきましては、地元の関係者を初め多数の方々に御協力をいただきました。ここに深く謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
  134. 金丸信

    金丸委員長 お諮りいたします。  ただいま御報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録が後ほどでき次第、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕     —————————————
  136. 金丸信

    金丸委員長 午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  137. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。関晴正君。
  138. 関晴正

    ○関委員 私は、この委員会が、いかに国のぜい肉を落とし、そうしてすがすがしい財政をつくるかということで御苦労されている、そのことについては認識をいたしております。しかし、いまわが国における重要な問題としてエネルギー対策があるわけですが、ある意味においては、そのエネルギー対策の一環にもなろうかと思いますが、しかし行政の行為からいきますと、むだと無理の連続の見本、そう言っていいものに原子力船の「むつ」があるのだ、こう思います。したがいまして、今次国会予算委員会におきましても、わが党の川俣さんから、るるこの問題についての御質問がありました。しかし、どうしてもまだ納得のいくような答弁を得ておりませんので、次々とやはり疑点がまた出てくるわけであります。  新聞の報ずるところによりますと、すでに佐世保における修理の問題は明年の八月三十一日まで延期されたいということが地元においても受け入れられた、こう聞きます。この受け入れに当たっては、科学技術庁長官が大分御苦労されまして、現地の要望というものをも相当に受け入れてきたとの報道もあるわけですが、長崎県側とはどのような協定を結ばれてきたのか。また、長崎児側からの御要望を受けて消化しようとすればどれだけの金がかかるように見ておられるのか。まずその点を伺っておきたいと思います。
  139. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答え申し上げます。  長崎県の皆様方には御理解をいただきまして、先生御指摘のとおり来年八月末まで修理期間を延長するということに同意していただいたわけでございます。またその際に、地元から、こんなことを考えてほしいという御要望もございました。  私どもといたしましては、科半技術庁で実施できるものにつきましては誠意を持って実施をいたしますということにしているわけでございます。また、他省庁にまたがると申しますか、他の省庁が主体となってやっていただくということにつきましては、私どもからできるだけお願いをするということでございます。  その内容は多岐にわたっておりまして、たとえば佐世保港湾の整備計画についての協力といったようなこと、これは主として防衛庁との関係が多い。また時間も相当かかる内容でございます。また潮流発電という研究をやってほしいというような御要望等につきましては、これは私どももかねがね、ぜひどこかでやってみたいと考えていたテーマでございますので、当庁において極力推進させていただくというようなことでございます。またテクノポリスの誘致、これは通産省が調査を始められたところでございますので、まずこの調査の対象に指定していただいて、現在、来年度にかけまして二十カ所の候補地点の一つとして調査の対象になる、こういったような内容のことでございまして、行政的に対応できるものにつきましては誠意を持って対応いたしたい、こういう姿勢で臨む、こういうお話し合いをしたわけでございます。特に協定とかなんとかいうことでお約束したことではございませんが、誠意を持って対応する、こういうお話になっているわけでございます。
  140. 関晴正

    ○関委員 肝心の聞いていることについての御答弁がありません。それらの要望を消化するのにどれだけの金が見込まれますか。
  141. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 ただいま御説明申し上げましたように内容が非常に多岐にわたっておりまして、たとえば港湾整備計画、こういうものにつきましては、今後の計画がどのようなものになっていくのかということで決まってくるものでございます。まだ金額が幾らという段階にはとうてい達していないわけでございます。  先ほど例示を申し上げました潮流発電につきましては、いわゆる基礎的な調査から始めたいということで考えておりまして、約数千万円程度の調査活動になろうかと考えております。  それからまた、テクノポリス等につきましては、これも将来の話でございまして、どういう規模で、どのような御協力ができるかということを、いわゆる金額で幾らという段階には達しておりませんので、全体としてどういう金額ということよりも、こういった諸計画を進めるについて、科学技術庁として直接あるいは側面的に協力してほしい、また御協力申し上げますという話で両者理解し合ったということでございます。
  142. 関晴正

    ○関委員 どうしてそういう、できる限り数字を隠そうとしたり、できる限り安いところの数字でお答えを終わろうとするのですか。一番多くかかるのは佐世保の港湾の整備計画でしょう。自衛隊の移設計画もその中に入っているでしょう。そういうような金額を合わせると大体七百億から八百億は、ここだけでもかかるだろう、こういう計算がされているのですが、具体的な設計ができないからとか、その港湾の建設の内容が定まらない間は明確な数字は言えないとしても、大体の数字ぐらいは言えるのじゃないですか。これだけでも七百億から八百億だと言われていることについてどうですか。うそだというなら何ぼになりますか。
  143. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 具体的な数字につきましては、市の計画また防衛庁の計画が固まった段階で出てくる数字と理解しておりまして、先生御指摘の数字は私ども存じ上げておりません。
  144. 関晴正

    ○関委員 数字も知らないで胸だけたたいてきたところに今日の行政推進の誤りがあったのでしょう。どうですか。私が言いました、これだけでも七百億から八百億、これは当たりますか当たりませんか、お答えください。当たらずといえども遠からずですか。
  145. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 私どもの判断の能力を超えておりまして、数字については申し上げることができません。
  146. 関晴正

    ○関委員 納得いきません。これはこの港湾計画に関係があるところの運輸大臣、御存じであるならば、運輸当局からでもよろしゅうございます。お答えいただけるなら出してください。
  147. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 港湾計画につきましては現在、現地での調査が進んでおりまして、現地調査の結果を待ちまして、それぞれ関係省庁と協議をして当省といたしましては計画を検討いたしたい、こう思うております。
  148. 関晴正

    ○関委員 全然お答えになっていません。これが自民党行政なのかもしれませんけれども、とにかく地元の佐世保へ行って、長崎県側の諸要望というものを引き受けて、中川長官は延長のことを了解してもらってきた、私はこう思っているわけです。  そこで長官、あなたが胸をたたいてとにかく引き受けてきた場合に、それを全部こなすとすればどのくらいの金がかかるかぐらいは考えてこなかったのですか、考えてきたのですか。考えておったとするならば、どのくらいだと考えてきたのですか。
  149. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私が現地に参りまして申し上げたことは、見返りとしてではなく、国の行政に誠意を持って示してくれるならば、われわれも地域の振興について誠意を持って努力をいたします、約束してきたのはこれだけでございます。  その中に港湾等いろいろありますが、これは何も「むつ」を置いてもらったから新たにぽっかり出てきたものではなくて、従来からいろいろと、そういうものをやるやらないの議論があって、防衛庁その他が、さあどうしたものか、どういう形で進めるかという中で、佐世保側の御要望が聞けるものなら聞いてやってくださいということに対して、防衛庁その他がまあ努力してみましょうということで、ぽっかり七百億とか五百億とか三百億というものが「むつ」のために生まれてきたものではない。したがって、これによって何ぼよけいできるとかできないかではなく、テクノポリスだって、これは佐世保に置くのがいいのか、どこへ置くのがいいのかという点に当たっては「むつ」のことも配慮してくれと言ったのであって、このために七百億とか五百億とか、そういうものを新しくできるようなことで約束はしてきておりません。地元が考えておるいろいろの計画の中での優先度といいますか、できるだけそういうことに御協力する、こういう約束でございます。
  150. 関晴正

    ○関委員 青森県側との五者共同声明というものをことしの五月二十四日になされたわけであります。この五者共同声明というものだけで事を進めるというわけにはいかないだろうと私は思う。そういう点からいきますと、当然五者協定というものを結んでいかなければ事を進めることはむずかしいのじゃないか、こう思いますが、五者協定を結ぶお考えがございますか、大臣。
  151. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先生つとに御承知のように、昭和四十九年の四者協定のうち第二項が守り切れずにこの時点に至ったわけでございまして、そこの守れなかった第二項をどう考えていくかという基本的な考え方について合意に達したというのが五者共同声明でございます。したがいまして、その第三項に、いろいろ協議するんだということも書いてございますが、協定という形になるかどうか、これは五者の今後の相談によるわけでございますけれども、いろいろなことについてさらに取り決めなり協定なりが結ばれていくという段取りになろうかと考えております。
  152. 関晴正

    ○関委員 長官からもお答えいただきたいのですが、五者共同声明というのは一つの声明ですよ。その声明に基づいて五者が協議をして一つの協定をする。その協定をした上で事を運ぶ。これが一般的な常識ではないだろうか、こう思うのですが、そういう観点に立ちますと、やはりこの問題についても当然五者協定を結んで進むべきものではないだろうか。長官のお考えをいただきたいと思います。
  153. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いまのお話は青森の話ですか。
  154. 関晴正

    ○関委員 そうです。青森県側の話です。
  155. 中川一郎

    ○中川国務大臣 青森県側については五者共同声明というものがきちっとあるわけで、それに従って、これから調査なり着工なりいろいろと進めていく。そこでいろいろとまた相談をしていかなければならないことが出てくれば相談いたしますけれども、いま五者協定をいじくって、どうこうするような段階にはなっておりません。
  156. 関晴正

    ○関委員 なっておらないのと、これから進めるのとは違うわけですからね。これまで五者共同声明を出されました後、実際に仕事を進めていかなければならないということで五音協定をお考えになっているわけです。そのときの市長にも五者協定を結ぶように勧めたはずであります。そういうことがどういうことになっているのでございましょうか。
  157. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 五者共同声明の中で、関根浜地区を対象といたしまして調査、調整の上ということが書いてございます。それで、まずその調査活動を急ぐべくいろいろ手配をいたしまして、九月中旬以降調査活動に入っているわけでございます。  またなお、それ以外にいろいろ問題があるわけでございますから相談をしていかなければならない。そういう意味で問題点の整理といったような予備的ないろいろ御相談を事務レベルでしているというのが現状でございます。
  158. 関晴正

    ○関委員 端的に聞きますが、五者共同声明の後、五者協定を結ぶということで、さきの市長であった河野君に、そのことを申し出た。しかしながら河野君は、いま選挙のさなかでもあるし選挙直前でもあるので、選挙の後にしよう、こういうお話をされたと聞くが事実ですか。
  159. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 そういうような御意向であるということを県を通じて私ども承知をしておりました。
  160. 関晴正

    ○関委員 市長がそういう意向であったということは、なぜ選挙の後にということについての意向を了承したのか。必要である協定というものを選挙の後でもいいと考えたのはなぜですか、お答えください。
  161. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 五者共同声明の一番のポイント、また急ぐべき点は、海域あるいは陸域につきましての候補地の調査でございます。その辺が姿が見えてまいりませんと前に進めないという判断もございまして、私どもといたしましては、一日も早く調査活動に入るということに全力を尽くしたわけでございます。
  162. 関晴正

    ○関委員 河野市長でさえも、この五音共同声明に基づいて五者協定を結ぶ場合に、これを結んでしまうと選挙に不利だ、こういうお考えがあったわけです。ですから、選挙の後に、当選して、そのときにゆっくり結びましょう、そういうことで御了解を求めたはずです。  そこで私の言いたいのは、河野市長は残念ながら落選しました。新しく菊池市長が誕生いたしました。ちょうど一カ月前です。九月の二十七日菊池市長が誕生しました。そして菊池市長が市長に就任して、きょうはちょうど一週間です。新しい市長と五者協定を結ぶお考えがございますか。
  163. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先ほども申し上げたわけでございますが、協議すべきこと、御相談すべきことがいろいろございます。それで、あくまで五者でこれをまとめていくわけでございますので、新市長も五者共同声明をスタートとしてお考えいただくという御意向を表明しておられるやに伺っておりますので、まず地元三者でいろいろ御相談もいただき、またできるだけ早く私どもも加えさせていただいて、協議あるいは御相談を進めさせていただきたい、このように考えております。
  164. 関晴正

    ○関委員 何の返事もしてくれません。五者協定を結ぶお考えですかと私は聞いているのです。それだけにお答えしてください。
  165. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 いろいろなことを盛り込んだ、すべての問題点を整理した形での五者協定という形を考えるのか、あるいはその事柄に応じて取り決めなりあるいは協定という形をとるのか、こういうことも含めまして地元側三者と御相談すべきことと考えておりますので、最終的にどういう形でということにつきましては、いまの段階で申し上げる時点ではないと思っているわけでございます。
  166. 関晴正

    ○関委員 これは中川長官にお聞きしたいと思います。長官の命も余り長くはないのかもしれません。あるいはまた長官はりっぱだからとどまることになるのかもしれません。しかし、いずれにしましても長官は大事なこの問題に取り組んでこられたわけですから、長官としては、やはり五者協定ぐらいはきちんと結んでお移りになるなり、おかわりになるなり、あるいは新しくなられるとしても、任期中にはきちんと定めておく、そういうことをお考えになっておられませんか。いかがです。
  167. 中川一郎

    ○中川国務大臣 五者共同声明で調査をやっていこうということになってやっておりまして、そして基本も決まっておりまして、さてこれを実行するに当たってどうするかというようなことは五者の間で決めるべきであって、私の方から特に新しい協定を結ぼうとかいうものではなく、逐次今後話し合ってどうするか、みんなで相談することであって、私から持ち出すつもりはございません。
  168. 関晴正

    ○関委員 私は、なお長官に聞いておきたいことがございます。  長官は、私がことしの春に科学技術委員会質問した際に、性格的にも性質的にも自然的条件においても、だれが見ても日本一不適格なこの場所に無理に定めるのだ、この質問についてあなたは、確かにそのとおりだ、しかしながら社会的条件がいいからここにするのだ、君の方の知事や君の方の自民党県連会長の竹中君あるいは地元の市長などが参って、ここにしてくれという御要望があったから、これほどいいものはないと思っておれは決めたのだ、こうお答えになりました。そのときに私は、科学的な態度ではなくて、まことに社会的条件といいますか、人的条件といいますか、自民党的勢力条件といいましょうか、そういうようなことで事を決めていいのですか、科学技術庁長官というものはもっと科学的に物を考えなさい、こう申し上げたはずであります。  そのうちの自然的条件が一番悪いのに加えて、今度は社会的条件も大変化をしたでしょう。いままでは何があってもよろしゅうございますと言うてきた市長であった。今度は何があっても反対とは言わないにしても、よろしゅうございますとはなお言わないでしょう。軽々には言わない慎重主義の市長が誕生した。これは社会的条件の大変わりでしょう。これに対して長官はどんな認識をされておりますか。
  169. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私は、自然的条件が非常に悪いと言ったわけではなくて、それは風が吹くとかいうようなことはあるでしょうということで、これが自然的に一番いい地帯だ、港の地点だとは必ずしも言えないということは言えますが、悪い地帯だとは言っておりませんことも申し上げておきます。  それから、社会的条件と両方なければならない。社会的条件を満たせるのは関根浜であるということは間違いありません。そこで、市長さんがかわったから社会的条件が変わったのじゃないかと言いますけれども、市長さんも五者協定をベースにして話し合っていくと言っているのであって、そう大きな変化が社会的にあったとは認識いたしておりませんで、五者で決めたことは五者でこれからきちっと話をして、しかるべく納得いただくようにやっていきますので、しばらくわれわれの方でやっておることを見守っていただきたいし、御協力もいただければなおありがたいことだと思います。
  170. 関晴正

    ○関委員 私は、中川長官に重ぬて聞きたいと思います。  日本国じゅう、どこでもこれをお招きしたり、お呼びしたりするところはないところを、青森県の政治の先にある諸君たちがとにかくお招きをした、こう言っていいと思うのです。しかし、それに最も懐疑的であり、最も疑念を持っておる方が、そうして四者協定を結んだ当事者でもあった方が、返り咲いて市長の座についた。これはあなた方が見ていた社会的条件からいけば大変化でしょう。あなただって驚いたでしょう。よもや河野が落ちるとは思わなかったのに、びっくりしたでしょう。正直なところ。それで青森県から出ている自民党の竹中君はえらい目に遭ったでしょう。ほめられるわけはない。これはあたりまえです。そこで、この変化を率直に受けて対応策というものを講ずるのがあなたの仕事じゃないだろうか、私はそう思っている。あなたは、事を進めようと思っても、これまでどおりいくと思っていますか。
  171. 中川一郎

    ○中川国務大臣 新市長さんも原子力行政には御協力いただける姿勢の方と承知しておりますし、五者協定をベースにして話し合っていくと言っておりますから、私は、この市長さんを信頼しながら、市民の選んだりっぱな市長さんですから、この人とよく話をして「むつ」のこの目的をりっぱに果たし、国民の期待にこたえていきたいと思っております。
  172. 関晴正

    ○関委員 私は、長官にさらに聞きたいと思います。  長官が信頼することは大変いいことです。彼を信頼するということは、長官も慎重になる、こういうことでしょう、あの人は慎重な人だからね。そこで、長官が長崎側に申し上げておる来年の八月三十一日を期して出港する、間違いありませんか。
  173. 中川一郎

    ○中川国務大臣 間違いございません。
  174. 関晴正

    ○関委員 それまでにはあと十カ月ですね。あと十カ月で、あの港から出港する。出港してどこへ行くのですか。
  175. 中川一郎

    ○中川国務大臣 五者共同声明で決めておりますように、大湊に係留していただくことになっておるわけでございます。
  176. 関晴正

    ○関委員 五者共同声明では無条件に大湊とは言っていませんね。無条件に大湊においでとは言っていません。どういう条件のもとならいいと言っていますか、長官。
  177. 中川一郎

    ○中川国務大臣 関根浜の港ができることを確認した上でと、こういうことになっております。
  178. 関晴正

    ○関委員 そのとおりです。関根の浜の新定係港の着工を確認した上でと、こうなっていますね。関根の浜というのは一体いつの時点で確認させるつもりですか。
  179. 野村一彦

    ○野村参考人 お答えいたします。  共同声明に基づきまして、地元の市並びに関係漁業協同組合の方々とお約束をいたしまして、そして、本年の九月から陸域、海域、空域にわたりまして調査を目下いたしておるところでございます。この調査の結果、大体調査開始後半年ぐらいたちますと、港湾として適地であるという技術的なめどが得られると私ども考えておりますが、なお調査が完了するまでには全体で一年半ぐらいかかるかと思いますが、調査開始後半年ぐらいたちますと、技術的に適地である、港湾を建設することができるというめどが立つものと考えておりますので、目下調査に全力を挙げておるところでございます。
  180. 関晴正

    ○関委員 半年で着工のめどがつくような調査の結果をつくるといういまのお答えですが、この関根の浜が適地であるかどうかということの判定をするのに、一年間の潮流も見ないで——一年間というのは三百六十五日、春夏秋冬あるのですよ。そのうちの秋と冬だけ調べて、春と夏の方は調べないままでも潮流についての調査は終わりとされ、そして一つの線が出されるものなり、こういうお考えですか。
  181. 野村一彦

    ○野村参考人 お答えいたします。  先生のお説のように、調査の中には気象、海象の調査それから地盤、地質の調査、その他いろいろと自然条件につきまして、広範にわたって行わなければならないものがございます。その中で、お説のように一年間を通じて調査をしなければならない項目がございまして、そのためにはボーリング調査等もいたす計画でございますが、いままでの私どものデータから見まして、港湾というものをあそこにつくるということについては、周年調査、全部の完全な調査を終わらなくても、半年ぐらいで所要の調査をいたしますれば、港湾があそこにできるという技術的なめどはできるという考え方のもとに現在調査をやっておるということでございます。
  182. 関晴正

    ○関委員 設計も建設計画もできますか。
  183. 野村一彦

    ○野村参考人 半年ぐらいの調査が終わりますと、大体概念設計と申しますか、港の規模とか配置の概要、そういうものについての概念設計はできる段取りになっております。
  184. 関晴正

    ○関委員 その際、現在の漁港はどういうふうになるのでしょうか。
  185. 野村一彦

    ○野村参考人 漁港は、いま私ども考えております関根浜の調査地区の隣に、すでに大部分できておるわけでございますが、漁協がお使いになるその漁港につきましては、その漁港でのお仕事の邪魔にならないように、十分共存してやっていけるという考え方のもとに私ども調査を進めております。
  186. 関晴正

    ○関委員 それで、どのくらいの経費を見込んでいますか。
  187. 野村一彦

    ○野村参考人 この新しい港の建設につきましては、ただいま申し上げましたように、大体の概念設計が得られる段階になりませんと、そのために幾らの金がかかるかということはわかりませんので、かなりのお金がかかるとは思いますけれども、現在の段階では、どの程度の金額になるかということはまだ詰まっておりません。
  188. 関晴正

    ○関委員 長崎から出港するというわけなんですが、駆動試験はどこでおやりになりますか。
  189. 野村一彦

    ○野村参考人 駆動試験につきまして、先生のいまのお問いは、制御棒駆動機構の試験のことをおっしゃっておられると思いますが、この点につきましては、私どもは広い意味のといいますか、佐世保港におきます遮蔽改修工事並びにそれと並行して行われる総点検の一つの自己チェックであるというふうに思います。したがいまして、私どもとしては、佐世保港に回航いたしました当初から、できれば佐世保港において駆動試験をやりたいという考えを持っておるわけでございまして、このことは先般来佐世保においても長崎においても御説明申し上げたわけでございますが、ただ地元の方々が駆動試験についていろいろと、特にその安全性等についての御疑問といいますか、そういうこともございますので、十分地元の方と誠意をもってお話をして、そして、できれば佐世保港でやりたいというふうに考えております。
  190. 関晴正

    ○関委員 出力上昇試験はどこでおやりになりますか。
  191. 野村一彦

    ○野村参考人 出力上昇試験は、これも本来は定係港におきましてやるということがたてまえでございますので、新しい定係港の機能がと申しますか、大湊並びに関根浜の港湾の関係関係者の了解を得た段階において行うという現実になろうと思いますが、たてまえといたしましては定係港において行うということが原則でございます。
  192. 関晴正

    ○関委員 どこが定係港になるのですか。
  193. 野村一彦

    ○野村参考人 五者共同声明にありますように、これから話し合いを進めまして条件を決めていただきまして、そして補助エンジンをもって大湊港に回航するということになっておるわけでございますが、その回航した上で、そこでどういうふうな試験をするかどうかということは、これは今後の地元との話し合いによって決まるということが現実の姿であると思います。
  194. 関晴正

    ○関委員 これはいま他の委員の方々が、何かつまらぬことを質問しているように聞いているようですけれども、これは非常に大事なことなんです。ということは、大湊へとにかく回航される。では大湊で出力試験をするのか。それについてはわからない。(「行政改革関係があるのか」と呼ぶ者あり)あるある、金のかかる話だから。
  195. 金丸信

    金丸委員長 番外発言は禁止します。
  196. 関晴正

    ○関委員 そういうことで、関根の浜に持っていこうとすれば、これもまた今度は大変な金もかかるし時間もかかる。それらの見通しがないと青森県側は、出港されて、青森に参りますと言っても、はいとは言わないのですよ。  そこで長官、大湊のもとの母港を、出力上昇試験をするとすれば直さなければいけませんよ。それから、時間的に今度は関根の浜にかかるとすれば、そちらも直さなければいけませんよ。どちらも直した上で臨むつもりか、その点についてはどうお考えになっていますか。
  197. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いろいろ御心配いただきまして、まことにありがとうございます。われわれとしてはわれわれの考えもあり、現地には現地の考えもありますから、すべて五者の間でじっくり話し合って、納得の上でやっていきますので、ひとつ御了承願います。
  198. 関晴正

    ○関委員 長官、あなたが納得を得るように求めることはいいですよ。しかし状態が変わったのですよ。何でもオーケーと言うところの市長と、今度は一つ一つチェックしますよという市長と、大きく変わったのです。  そこで、あなたが八月三十一日出港する一いいでしょう、約束したのだから。これは大湊が何と言おうと、あるいは関根の浜が見通しがつくまいと、出港だけはするのだ、こういう意味ですか。
  199. 中川一郎

    ○中川国務大臣 出港することについては約束をいたしております。これからのことについては、変更があったとかいろいろ御心配、御配慮いただいておりますけれども、われわれは基本線が守られる、話し合いができる、こう思って信頼をして、五者協定に基づく話し合いをして、計画どおりお願いしたい、こう思っております。
  200. 関晴正

    ○関委員 思うことはいいのです、幾ら思っても。願うこともいいのです。しかし、現実にその思いやその願いがかなえられそうもない事態でしょう。いいですか。なぜかと言えば、新しい市長ははっきり言うていますよ。(「協定があるじゃないか」と呼ぶ者あり)これは間違っている、協定があるなんて。ないんだから。こんな程度のものですよ、言っていることは。一事が万事なんです。そうなっちゃっているのです。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕  そこで、私申し上げますけれども、新しい市長は、とにかく関根の浜についての着工の見通しはいつごろまでになるだろうかということについては非常な関心を持っています。そもそもここの関根の浜に決めるといった場合に、漁民は非常な反対をしたのです。そうして漁民の中から二十八人協議会というものをつくりまして、採決までした。その結果、十七対十一で、調査することだけは認めてやろうということになったのですよ。その十七というのは、ほとんど魚をとっていない人。魚をとっている人たち十一人というのは断固反対なんだ。年間二億も三億もとっている人もあるし、少ない人でも二千万、三千万なんだ。ここは大変ないい漁港なんだ。ですから、今度いろいろ設計をされ、そして着工されようといった場合には、漁業補償の問題が出てきます。一概にオーケーというふうには見られません。二十八人協議会では確かに負けたけれども、今度やらせようということになると、またまた抵抗が出ますよ。そうして、どれだけの補償がかけられ、どれだけの建設費がかけられるだろうかということを勘定しますと、とてもとても五百億や六百億なんかでこの仕事がなされるようには思われません。  この際、私は大蔵大臣に聞きたいわけです。大蔵大臣は、さきの私の方の川俣代議士の質問については、自分は専門家でもないので専門家に任せるしかない、こうお答えになられました。しかし、いま専門家といっても、余り信用できる専門家というのはなくなっている時代だ。私はその例は後で申し上げますよ。専門家って、これほど当てにならないものかという例を申し上げましょう。だがしかし、大蔵大臣、いま行革時代でしょう。一学級四十人の、約束した十二カ年計画も、向こう三年はちょっと休もうじゃないか、こう言っています。これにかけられる金は一年間十億か十二億ですよ。来年からの三カ年というのは、わずか六億かそこらのことですよ。それでもとめようというじゃないですか。まして、いまのような何百億かかるのかわからないものに取りかかって、しかも、政治的にはスムーズにいくような条件ではなくなった。莫大な金がかかります。それよりは、もっと金もかからないで、そうして、社会的条件もいいところを新たに選んでやってもらった方がいいと大蔵大臣ならばお考えになるんじゃないだろうか、私はこう思うのです。また、その道を長官にとらせるように言いつけたらいいじゃないでしょうかね。その点についてひとつ大蔵大臣のお考えをいただきたいと思います。
  201. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 先生のおっしゃるように、もっと金がかからないですぐ受け入れてくれるようないいところがあれば、それはいいかもしれませんが、科学技術庁であっちこっちかなり専門的に探して、その結果、青森県の港に決まったわけですから、専門家がいろいろ努力した結果、そこしかないということになれば、「むつ」そのものはやはりどこかに始末をつけなければならぬわけですから、解体するといっても、これがまた非常にむずかしいそうです。私聞いてみました。何百億かかるとかいう話で、これもその技術がいまのところ開発されていないというようなことですと仕方のないことで、つくっちゃったものですから、何とも仕方がない。そういうことで、科学技術庁が一生懸命探したその大湊にする以外に仕方がない、こう思っておるわけでございます。
  202. 関晴正

    ○関委員 大蔵大臣に重ねて聞きます。  あきらめることは適当ではない。何をあきらめなければならないかというと、そういう計画があってそう進んだんだから仕方がないんだという、このあきらめの前にちょっと待っていただきたいと思う。  これは四十二年に計画をされて進んできました。ですから、この原子炉というものは、いまや古いものになってしまっている。新しい時代に沿うような新しいものになっておりません。こういうようなものに三百トンもセメントをつぎ込んで遮蔽のふたをしたからといって、問題の解決になるものじゃないし、これが利用価値というものも大したものじゃない。そこで、この原子炉の選定に当たって、計画に当たって、設計に当たっての当初の考えというものがいま大きく変わらなければならないところにきているのです。  なぜこの原子炉がこんな貧弱なものになったのか。これは原子炉の容積と燃料体の容積のバランスがとれないからなんです。ですから、直ちに水をくぐって、水の量が不足なものだから、直ちに中性子が出る。普通ならば、そう直ちに出るようになっていない。出やすくできている。ですから、根本的にこの原子炉を取りかえなければならないのです。ところが、その大事なところには触れないで、そうして古ものを包んだままで事を運ぼう、こうしているわけです。臭い物にふたというのがあるが、これは危ない物にふただけで逃れようとしている。そうして、仮にでき上がってやってみたところで、物の役に立つものじゃありません。  こんなことをしているのが原子力船研究開発事業団なんです。この研究開発というのも「研究」も去年やっとつけた。この間までは「研究」もなかった。この研究開発事業団だって、五年間の寿命ですが、もう一年たちましたよ。あと四年まで生かしておくつもりでありましょうが、こんなことを繰り返しておるようでは——こういうときじゃないでしょうか、行政改革というのは。行政改革というのはむだなものを省く、効果を上げないものを後回しにする、そうして、科学的な物の考え方に立って、炉と船が別個になってきちんと科学的に実証されるような、そういう体制をしいてこれに対処すべきだと思うのです。  これは中曽根長官、あなたに私は聞きたいところですよ。あなたはこの事業団のことについても、そういうものを見ていろいろと考えているところがあるでしょう。まず大蔵大臣にむだ遣いさせないように、たっての考え方をさらに聞きたいし、こういう制度がいかにずさんであって、でたらめだかということの反省がいま必要なときだと思う。そういう点についてはひとつ長官からお答えをいただきたいと思います。
  203. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子力船の事業団につきましては、意外にも長時間かかって国民皆様方に御心配をいただいておりますが、この間にいろいろなそごをしたことも起こったりして、まことにやむを得ないと思われる点もありますけれども、しかしこう長期間かかって、そして、国民の税金が国民に還元してこないような状態は憂うべき事態である、この事態を打開するために関係各省全力をふるってやってもらわなければいかぬと思っております。
  204. 関晴正

    ○関委員 先ほども申し上げました。金をかけても価値のあるものになるかどうかについての判断を大蔵大臣もやはり専門家に任せておかないで考えてもらって、いま私の話について、やはりこれは新たに出発すべきものなんじゃないか、そういうふうにお考えになられませんかどうか、大蔵大臣、お答えいただきます。
  205. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いろいろ御批判はありますけれども、私どもとしては、行革も必要でありますけれども、いまの世界情勢から見たならば、エネルギーの将来について国民責任を持つように断じてやっていかなければならないと思っております。ただ反対だ反対だでは国民責任を果たせない、こういう信念です。そうして、これがむだだむだだと言いますけれども、基礎試験は基礎試験でやらなければならない一つの重要な任務を持っておりますので、反対反対と言わずに、ひとつ御協力の上で、こういう方法がある、ああいう方法がある、どの地域があると言った上で、社会的にどこかいいところがあったら御提示の上で言っていただくならいいけれども、ただもう言われても私は困ります。最善を尽くしてまいりますから……。
  206. 関晴正

    ○関委員 ただいまの発言は……(「そんな答弁があるか」と呼び、その他発言する者あり)
  207. 三塚博

    ○三塚委員長代理 いまの反対、反対と言ったのは主観を言ったわけですから、まあ進みましょう。(「質問者に質問はできない、いまの話は国会法上間違いだ」と呼ぶ者あり)長官は長官の信念を言われたのだろうし……(「信念じゃないよ、取り消せ」「委員には質問できない、これは国会法上間違いだ」と呼ぶ者あり)委員には質問できないことになっております。このことは確認をさしていただきます。  それじゃ渡辺大蔵大臣。
  208. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は実は専門家でないので、それで中川長官にお願いして答弁をしていただいたわけでございます。  当然に大湊よりももっといいところがあって、具体的にここならこれだけで、もっと安くできるんだ、騒ぎもないんだということがわかっておれば、われわれとしても考えないわけじゃありません。しかしながら、いままで科学技術庁が日本国じゅういろいろなところを検討されたようでございます。その結果いろいろな経過を踏まえて決まったことでございますので、その段階では場所を動かすといってもそう簡単にいかない。あの船をそのまま置くわけにもいかない。ドイツでもアメリカでも原子力船をつくったけれども、結局どこかへ係留してある、これも事実でございます。したがって、これは地域の御了解を得て、経費もなるべく少ない方がいいに決まっておりますが、ただ、つないでくれつないでくれと言ったって、それはつないでくれるわけでもございませんから、そこは話し合いの上でひとつやっていこうということでいま進めておるところであります。
  209. 関晴正

    ○関委員 いまの中川長官のお答えはこれはいただきかねる。何もわれわれ社会党は反対、反対、反対と——われわれに提示させてそれに従うというなら提示してもいいですよ。そういう権限がわれわれにありますか。あなた方は、あらゆる権能を行使して、そして適地はどこかと言って探したと言っているけれども、どれだけ熱心に探しましたか。それだってろくな探し方はしなかったでしょう。そして、選ぶに事欠いて一番悪いところを選んだでしょう。それはそのとおりだとあなたは認めたっていいんです。  もっと大事なことは、これには経過がありました。参考人を去年呼んでいろいろ聞きました。そのときにいまのむつ市長さんも参考人になって選ばれました。あなたがいまこれから進まなければならないのは、むつ市長さんの理解と協力を得ることでしょう。理解と協力を得るためには、むつ市長さんが昨年参考人として言うたことをよく学んで、よく勉強して当たることが必要です。これは大蔵大臣もひとつ参考に読んでください、この方はりっぱなことを言っていますから。それから、そのときに日立の造船会社の社長である木下昌雄さん、この方もいいことを言っています。議事録がここにありますから読んであげましょうか。時間がありませんから、一くだりだけ読んであげましょう。いいですか。参考人として日立造船株式会社の社長木下昌雄さんが、もめるくらいなら出直しがいいと言っているのです。そうして最後に「余りこれがこじれるようでは、もうあきらめた方がましだというような感じはいまだに持っておるわけでございます。」こう言っているのです。こういう方々の参考意見というものを聞いて、あなた方は科学的に当たるべきなんです。中川長官は押しが強いからといって、押せ、押せといったって、押せば何でも片づくなんということは正しくないのです。これだけは科学的な一つの経過を積み重ねて当たらなければならぬことなんです。  そういう点からいけば、最も非科学的な態度でやってきているでしょう。そして、政治的には四者協定というものを踏みにじって、青森県と約束したことはどうあったって構わぬというようなやり方で、厚顔にも昨年の八月、また大湊を頼むとやってきたでしょう。ああいうようなことはあたりまえであればやれることじゃないのです、普通であれば。常識があればあんなことはできない。しかも総理大臣が鈴木さんでしょう。鈴木さんが四者協定を結んで大湊港から撤去すると約束したのでしょう。日本の一番偉い人が青森県民と約束したことをよくもまあ忘れちゃって、また大湊なんてことは言えることじゃない。言えることでないことを言えるところにあなたの特質があって、そうして、笑われているのかどうかしらぬけれども、それをいいことにしてあなただっていばることにはならないはずです。率直にこれは自己批判すべきだと思う。そういう意味で、この新しいことに向かっていくためには、これまでの経過を踏まえて、ただ進むというのじゃなくて、経過を踏まえて反省をし、新しく出直すことがいま一番大事なことだ。これが行革の精神そのものだ。私はこう思っているのです。  そういう意味からいけば、科学技術庁長官というのは委任大臣であって主務大臣じゃない。あなた、本物の大臣じゃないのです、これの担当の。本物の大臣というのは総理大臣と運輸大臣なんです。運輸大臣、笑ってばかりいないで、ここでひとつあなたもこれについての考えをきちんと出さなければならないのです。お答えいただきます。
  210. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 お答えいたします。  私の方は、要するに船の運航という面において主務官庁になっておりますが、いま当面問題になっておりますのはエンジンの問題——燃料、エンジン、この関係でございまして、船の運航がスムーズに行きますようにわれわれも極力協力してまいりたいと思うております。  つきましては港の係留でございますが、これにつきましては、われわれも港湾局がございまして、でき得る限りの協力はいたさなければならぬことは当然でございますが、先ほども申しましたように、中川長官が努力されて現在候補地を一応決定されて、その後いろいろな関係省庁との協議をしておられる最中でございますし、その結果を見まして、われわれといたしましても分相応の努力はしてまいらなければならないと思うております。
  211. 関晴正

    ○関委員 この問題についてはまだまだお尋ねをしたいと思いますけれども、本当は総理がおれば一番いいのだけれども、きょうはその機会に恵まれませんので、さらにまたこの問題についてはお尋ねをしたいと思いますが、とにかく大蔵大臣にしても中川長官にしても、この問題はあたりまえじゃない。そうして、明年の八月三十一日には出港しますと言う。出港はするかもしれないが、しかしながら大湊やそこに迎えることができるかどうかについてはきわめて問題が多いと思っていますから、そのときあなたが大臣でおればもっと言えるかもしれませんが、これをもって大臣としてのあなたに対するお尋ねはむずかしくなるかもしれませんので、これは記録としてだけはきちんととっておきたいと思っています。  この際、二つばかりお尋ねをしておきますが、もう時間がありませんので、そちらの御答弁だけで終わることになると思います。  一つは、イカの流し網漁業というものが太平洋の禁止区域において堂々と行われている。これは白昼堂々たるどろぼうと同じです。国が禁止している区域でどろぼうが行われて、手も足もつけられないというのがいまの政府の取り締まりの状態です。こんなことでどうします。それがためには、許可されている区域自体が誤りだということを反省しなければならない。水産庁長官は、これについての考え方、また海上保安庁長官は、これらについての取り締まり、こういうことについての方針をお尋ねしたいと思います。  それからいま一つ、風力エネルギーのことについて、通産大臣が見えておりますからお尋ねしておきたいと思うのですが、風力エネルギーというものがいまいかに大事にされなければならないかというときにあるかと思います、特に省エネの時代であるだけに。私は、津軽海峡を走っているところのあの風を素通りさせるようなことはもったいないといつも思っているわけです。ですから、あの風を使って、そうして風力発電を起こす、風力エネルギーというものを使う。何も青森県の下北半島を原子力半島にしなくても、風力半島にしても可能性のあるところです。そういう意味においては、これこそ大きく投資をしてもいい仕事ではないだろうか、私はこう思っております。  いま現実に青森県の車力村において、風力のエネルギーを活用してのモデル事業が行われようとしていますが、このモデル事業の内容は、もみがらの方が十六、風力エネルギーの方が一、十六対一というようなものに資源エネルギー庁が金を出してやろうと言っています。こんなばかなことはよしなさい。科学技術庁においてはちゃんと風トピア計画というものがあって、りっぱなものがある。(「風(ふう)トピアじゃないか」と呼ぶ者あり)これは風(ふう)トピアと言うのかと思ったら、正しくは風(かぜ)トピアだそうです、ユートピアからきているのだそうだけれども。とにかくその風トピア計画には、きちんとした風車の機能についてそれぞれを比較したものがあります。そのうちの一番いいものを使えばいいのに、一番悪いものを青森県に使わせようとして、判こを押しているわけですよ。  官僚の悪いくせに五つあるとは、私ども横山さんがおっしゃいました。それに対して中曽根長官はもう一つあると言って、なわ張り根性があると言いました。どうしてエネルギー庁は、科学技術庁の成果を受けて行政に生かすようなことをしないのです。これこそなわ張り根性の最たるものでしょう。そういうのを直すのがまた行政改革の目標なんでしょう。一つの例を挙げたにすぎません。日本国じゅうにどれだけ例があるかわかりませんよ。これは氷山の一角にすぎないのじゃないか、こう思います。  ここには東海大学のものと癒着している向きも私には見られます。そして、東海大学の風車というのは一番能力が悪い。一番能力の悪いものを資源エネルギー庁が使ってよろしいというようなことはよくない、こう思うのです。こういう点からいけば、これは再検討すべきじゃないか、こう思いますので、その二点だけおしまいに伺って、終わりたいと思います。
  212. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 イカの流し網につきまして御答弁申し上げたいと思います。  御案内のように、イカの流し網は、アカイカを漁獲対象にいたしまして、五十三年ごろからかなり操業が始まってまいりまして、五十四年には北緯二十度以北、東経百七十度以西を操業禁止区域にいたしたわけでございますけれども、その後なお東経百七十度以西の漁場でかなりの操業船がございまして、やはりイカ釣りとイカ流しの間の調整を図る必要があるということから、水産庁といたしましては非常に長い時間をかけましてようやく両者の調整を図りまして、かなりきつい規制措置も講じた上で、昭和五十六年八月からイカ流し網漁業を農林大臣の承認漁業といたしまして、違反防止の措置を強力にとってまいった次第でございます。  この規制措置を遵守させますために、水産庁といたしましては、海上保安庁及び関係県とも協議いたしまして、緊密に連絡体制をとってまいっておりまして、現在三百トン以上の漁業取り締まり船を使いまして、七月から十月の間では二隻投入し、業界からの違反のお話もございましたので、十月以降はさらに一隻増隻いたしまして、三隻をもちまして強力に取り締まりをいたしております。また、双発の飛行機も使いまして、現在きちんとした取り締まり体制をとっている次第でございます。先生お話しのように、この操業区域をきちんと守ってもらうことが、調整の結果を完璧にするゆえんでもございますので、今後ともしっかりとした取り締まりをやってまいりたいというふうに考えております。
  213. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 いわゆる虞犯海域における違法漁業でございますが、これはまことにけしからぬことだと思うております。つきましては、海上保安庁におきましては、ヘリコプター搭載の大型巡視船がございまして、あれを現地に張りつけまして鋭意監視をいたしております。  最近におきましては、その傾向は減ってまいりましたが、一月以降十四隻の違反船を検挙いたしております。今後情報のあり次第出動する態勢を絶えずとっておりますので、われわれも鋭意その違反の摘発に努力してまいりたいと思うております。
  214. 三塚博

    ○三塚委員長代理 時間が来ましたので、簡明にやってください。
  215. 小松国男

    ○小松政府委員 お答え申し上げます。  青森県の車力村のローカルエネルギーの開発プロジェクトの問題でございますが、これは先生御指摘のように、風力ともみがらによる燃焼熱を利用して菜園の熱利用に充てようという内容でございます。それに関連しまして、風力の比率が非常に低いのではないかというお話でございますけれども、これはその地方の風力特性、さらにはもみの燃焼熱の両方をどう合理的に、システム的に使うかということで検討されておりまして、確かに冬の寒いときは、先生御指摘のように風力のエネルギーの比率が非常に低いわけでございますが、春とか夏の場合には、必要なエネルギーのほとんど大部分を風力で賄うという状態になっております。  もう一つは、科学技術庁の風トピアで実験された小型風車の関連で、どうも能率の悪いものを使っているのじゃないかというお話でございますけれども、科学技術庁で行いましたのは、非常に小型の風車でございまして、しかもそれは風エネルギーの一般的な利用可能性の調査を行ったもので、特に風車についての技術的な優劣性とか、こういうものを判断したものではないというふうに私ども承知しておりまして、現在車力側がやっておる計画は、その地域の特性に十分合ったものだ、かように考えております。
  216. 三塚博

    ○三塚委員長代理 もう時間ですよ。
  217. 関晴正

    ○関委員 時間だけれども、ちょっといまの答弁じゃ容認できないです。一言だけ言っておきます。
  218. 三塚博

    ○三塚委員長代理 もう時間が大分超過しておりますから、一言だけ。
  219. 関晴正

    ○関委員 一言だけ。ただいまの答弁は通産大臣にお願いしたのですからね。いまの答弁は、局長答弁だか何だかわからない答弁だけれども、私の言いたいのは、ただいまの答弁は非常に容認できない。科学技術庁の資料というものを尊重すれば、東海大学の一先生の出した資料、一人で書いた資料を参考にして、そっちが権威あるなんてことじゃ容認できません。どこまでおわかりになってお答えになっておるか。しかも、あなたの方から出された、課長が私のところに持ってきた資料なんというのは、東海がグラフの上において一番いいことになっているのですよ。どうして科学技術庁で三年も調べた成果で発表になっているものを持ってこないで——これは三年も調べた結果を並べた風車の比較表ですよ。東海のものだけ、たった一日、一九七九年十月二日。一日のものでどこに資料の資格がありますか。資料というものは、風力にしても、雨量にしても、風速にしても、何年間も調べた上でデータにするものなんだ。これは本当のでたらめというものじゃないか。  私は、考え直してもらうことを強く申し上げ、通産大臣も聞いていただきましたから、通産大臣もよくお考えになって再検討してください、それだけ申し上げておきます。
  220. 田中六助

    田中(六)国務大臣 十分御意見を伺いましたので、その点を加味して検討していきたいと思います。
  221. 関晴正

    ○関委員 終わります。
  222. 三塚博

    ○三塚委員長代理 これにて関君の質疑は終了いたしました。  竹内猛君。
  223. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、行政改革を推進するための当面講ずべき処置に関連をして、農林水産の立場から、関係閣僚に対して若干の質問をしたいと思います。  まず、中曽根長官にお伺いします。きわめて率直な御質問で恐縮ですが、農林水産業というものを長官はどうお考えかということ。続いて、そのことについて同じことを大蔵大臣にもお尋ねします。
  224. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先週ここの場所で御答弁申し上げましたように、農は国のもとであると私は前から言っております。国のもとという意味は、総合的な食糧政策の面からも、あるいは民族の精神的な苗場という面からも、あらゆる面におきまして農村が堅実に発展していかなければならぬ、そう考えておるからであります。
  225. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 農林水産業は、ただいま中曽根長官が言ったことと同じでございまして、国民食糧の安定的な確保という面からも重要でございますし、また自然環境の保護、こういう点からも重要でありますし、日本民族の苗代としての文化の面からも重要なものだと考えております。
  226. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いずれも大変農業が重要だということであるわけですから、そこまではいいわけです。そこで、これからの問題としては、この一億一千七百万の国民の食糧というものが今日ほど不安定な時期はない、こういうふうに思うわけですね。それで、農業というもの、食糧というものを安全保障として考えるかどうかという点について、もう一度関係大臣のお答えをいただきたい。
  227. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 竹内君も御承知のとおり、一億一千万の国民の食糧を供給するという重大な責務があるわけでございます。これを供給してまいりますためには、生産と、足りない分は外国から安定的に輸入をしてまいる、こういうことが大事なわけでございまして、これを遂行していきますためには、生産の面においては、現在やっております各種の諸対策並びに流通の機構整備、さらには技術関係の体制、さらには統計調査の体制等々、これらの施策を総合的に効率的に行って、その任務を果たしてまいる。また、外国食糧の安定供給につきましては、これは外務省と緊密なる連絡をとり、そうしてどうしても国内で生産できない面についてはこれを外国から確保するということで、その対策の万全を期しておる、こういうことでございます。
  228. 竹内猛

    竹内(猛)委員 各大臣の意見が大体一致をしているのですが、しからば五十七年度に要求されている概算の予算要求を見ると、防衛費はまず枠外、エネルギー、これもまたかなり重要になっている、それから海外協力、それに通産省が目立って多くなっているわけですが、農林省の予算は〇・三、こういうことになっているわけですが、これは各省庁と同じ並びになっている。少なくとも農業が安全保障であり、あるいは民族の発展のために重要な産業であるということであるならば、去年の両院での自給力を高めるという決議にもあるように、こういう形ではこれは矛盾するのじゃないか。安全保障という中身からすれば矛盾するのじゃないか、これは大蔵大臣、どうですか。
  229. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 御承知のとおり非常に厳しい財政事情でございまして、各省庁とも中身についての見直しをやっていただきます。農林水産省の中でも、すでに目的を果たしたものや効果の薄いものは抑制をして、必要なものは確保する、こういうようなことをやってもらいたいということで、各省庁にみんな原則ゼロシーリングでお願いをした結果、そのような要求になってきたものであって、特別に差をつけたものではございません。
  230. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そう言うけれどもわが国の食糧自給率というものは、世界で最低で現在三三%、スイスが三五%、イギリスが六〇%、西ドイツが八〇%という状態の中で、依然として向上の道をたどっておらない。世界で最大の食糧輸入国であります。しかも、最近のアメリカの報道によってみれば、アメリカでは土が死んでしまった、ミシシッピー川の周辺の土が肥料のために非常に荒れているというようなことで、小麦の五五%、トウモロコシの八八%、大豆の九二%を輸入しているわが国としては、これは危惧すべき状態であるというような問題が出ております。にもかかわらず、国内におけるところの取り扱いは、安全保障ということは言いながら、大事だとは言いながら、本当はこれをだんだん破壊をしていくという方向に進んでいるように見えてならない。これは予算上にあらわれてくるわけだ。政策の方ではちゃんと口では言っているんだ。ところが中身が伴わないというところに問題があるんだ。これは農林大臣の経験者であり、やがて総理大臣になろうとする渡辺大蔵大臣は、もう少ししっかり農業問題について考えなければ、かつてはベトコンと言って米価の値上げで政府を突き上げてきた。このごろは米価を抑えることになれ切っている。それじゃ困る。
  231. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は、農林水産問題については人一倍の情熱をいまでも持っておることは間違いございません。ただ、自給率論争ということには、これはただ単に数字だけでどうこうという判断はいかがなものかという疑問を実は持っておるのです。御承知のとおり日本では、お米は余っておる、菜っぱ、大根も輸入はしてない、豚肉も余っていて生産制限だ、牛肉も余っているから過剰生産であるというようなことで、みんな余って困っておるという状態でございます。  問題は、何が足りないのかと言えば、穀類、えさ、人間の食う物というよりもむしろ家畜の食う物ということでありまして、これは金をかけたから自給率がどんと一〇%も一五%も改善されるというものでは実はございません。御承知のとおり食生活を向上させて動物たん白をたくさんとろうとすれば、加速度的にえさは不足になります。一キロの牛肉を食べれば十五キロとか二十キロの穀類を一度に食べたことと同じ計算になるわけですから、そういうように牛や豚や鶏を食べないということにすれば、それだけで実は自給力はえらく向上いたします。しかし、これが農業政策としてりっぱな政策であるかどうかということは、食糧問題とすれば非常に疑問のあるところでございます。したがって、自給率だけでよしあしということを論ずることはできないのではないか、そう考えております。
  232. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それはもちろん自給率だけで論ずるわけにはいきませんが、しかし最近農林水産省が公表したか発表したかそれはわかりませんが、ともかく新聞紙上に出ている報道によりますと、農政審議会が、最近の問題としては四つ五つの事情というものが輸出国内にあって、そのうちの一つでもあるいは二つでも実現をした場合においての日本の食糧事情についてのことを報道しておる。それによると、輸入がゼロであった場合には千三百四十九カロリー、半分の場合には千九百三十カロリー、終戦直後よりはるかに下のような状態になるということが報道されている。たまたま行革の真っ最中にこれが公表されたということは、幸か不幸か議論をかみ合わせるのに非常にぐあいがいい。これは農林大臣、何か意図を持ってやったのかどうか。
  233. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 昨年農政審議会から答申が出まして、食糧安保の問題についてはさらに検討しなければいけない、こういう内容の答申がなされたことは竹内委員も御承知のとおりでございます。したがいまして、私も事務当局に対していろいろと指示をいたしまして、食糧安保という中で、もしもいろいろな事情にぶつかった場合にはどういう手を打ったらいいのかということを常に農林水産省としては考えておかなければいかんのじゃないか、にもかかわらず、私も、八月と言ったのが十一月に延びたわけでありますけれども、もうそろそろだな、こう思って、もう任期もというときになっても、まだ農政審議会の検討事項である食糧安保の具体的内容の検討さえしていない、これはけしからぬ、少なくともぼくの在任中に農政審議会から言われたことくらいはちゃんとおぜん立てをしていかなければならぬ、こういうことで、実は未完成品ではありましたけれども、こういう事情を、食糧が非常に豊富で食糧の心配が何にもないようなときにもこういう時代が来ないということはないんですよという、そういう気持ちを持ってもらうことも悪いことではないんじゃないか、むしろ逆に言えば農業というものを認識していただくためにもちょうどいいときでもあるのではないか、そんな気持ちで実は事務当局に資料として出させたわけでございます。
  234. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは大変いいタイミングのときに出してもらったものと私は思います。  そこで、この間の総理が行ったサミットも食糧問題が中心になってついに物別れになってしまった。これは東西問題にしても食糧問題が中心でしょう、農業問題が。それからソ連でも中国でもポーランドでもブルガリアでも、どこでも食糧問題が、農業問題が問題にならない国はない。わが国でもこれは大問題なんだ。農業の後継者がいなくなってしまう、これはここに来ている人たちは百もみんな知っている。農村をどうするかと言えば、これはどうにもならないということがわかっていながら、食糧自給率のこういう状態の中で、本当に農業に魂を入れていくということについて長期の展望について確固たるものはなかなか出てこない。これはぜひこの機会に、去年の衆参両院の決議があるように、自給率を高めるという立場に立って……(「自給力だ」と呼ぶ者あり)自給率だけれどもそれを直させられたのだ、自給力に、圧力があって。自給力という圧力をかけた人がいるんだよ。そこらにいるんだけれども、自給力では弱いから自給率というふうにここでは突っ張らなければいかぬ。それでそのために予算の上でも、それからその他の面でもやはり努力をしてもらわなければならない。外交の問題からいっても努力をしてもらわなくちゃ困る。自給率論争をここでやれば切りがないからこの辺でおしまいにするが、とにかく閣僚が一致をしておるのだから、これはやはり政策の面でも一致してがんばってもらわなければ、防衛力だけにはどんどん突っ走ってしまって、飛行機の羽一枚ぐらいの問題で何十億という金がかかるわけだ。こういうようなところにはばかに力が入るけれども、この農業の問題では、この次の問題に出てくるけれども、もう少ししっかりしてもらわなければ困る。  そこで年金の問題。四十二万人に及ぶ農林漁業団体に働く人々の年金に関しては、すでに前から松沢委員からも質疑があったわけですが、これの初年度は四十五億。ところが、二年、三年になってきたときには金利も入れて一体どれだけの額になるのか。その辺の額について国が、農林省が関係者に借用するという形になるでしょう。その額についてお尋ねしたい。
  235. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  農林年金の特例適用期間における三カ年の削減額は、その計算の基礎となります給付額について、五十七年度予算概算要求に用いました給付見込み額千九億円をベースにして計算をいたしますと百六十億円になります。  それで、これの運用益でございますが、利回り五・五%と七%という二通りの試算を私どもいたしておりますが、五十九年度末におきまして、五・五%の方は十三億円、七%で計算した場合には十七億円の運用益の減ということに相なります。したがいまして、元利合計で申し上げますと、五・五%を用いました場合の試算では百七十三億、七%の場合で申し上げますと百七十七億でございます。
  236. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは厚生年金もそうですが、同じように取り扱いは、その三年がたったら必ず関係者に返しますね、大蔵大臣。
  237. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 他の年金と同様な扱いをいたします。
  238. 竹内猛

    竹内(猛)委員 他の年金と同様というと、どういうことになるのですか。それをはっきりしてください。他の年金というのは、私はここで初めて聞くのですから、そういう話はわからない。
  239. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 だから、厚生年金等法律に書いてありますように、元利の償還をお約束いたします。
  240. 竹内猛

    竹内(猛)委員 その償還をするという約束はどこでできたのですか。法律上にはそういうことを書いてない。どこでやるのですか。そのときまで大蔵大臣でいるのか総理大臣になるのかわからないけれども、野に下るのかもしれないが、とにかく人間というものはなかなか信用できないのだ。やはりだれが総理大臣になっても、だれが大蔵大臣になっても、ここにこう書いてあるからやれ、こうならなければだめだ。そういうものじゃないですか。
  241. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それは国会議事録にりっぱに書いてございます。
  242. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それが書いてないのですよ。そのときの経済事情を勘案し、どうとかこうとかということにはなっているけれども、確実に返すということになっていない。つまりこれは借用でしょう。借りるのでしょう。物を借りるときには返済計画、一括返すのか分割にするのか、そのときの返し方はどうなのか、そういうことでなければこれは返すことにならぬじゃないですか。どうですか。
  243. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それは年金財政を損なうことのないようにまずいたします。  それから返済方法は、一括して返すか分割して返すか、それはその時点になったときにそのときの国の財政事情を考慮いたしまして、それでそれぞれの関係大臣、厚生大臣とか農林大臣とか、いろいろ関係大臣がございますから、それらの関係大臣と相談をいたしまして無理のないようにお返しをさせていただきたい、そう言っておるわけでございます。
  244. 竹内猛

    竹内(猛)委員 どうしても理解ができない。これは逆の立場になったらどうです。あなたがもらう方の立場に立ったら、こんな不安なことじゃ困るじゃないですか。ちゃんとしてくれなければ困るでしょう。これはそれでいいのですか、農林大臣は。
  245. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 主権者の代表である政府の閣僚が、主権者の代表である国会議員の皆さん方の前で、返します、しかも利息もちゃんとつけて返します、こう言っておるわけでありまして、所管大臣である私といたしましても、農林年金の来年度以降三カ年分については必ず返してもらえるということで、政府内の合意のもとにこの大蔵大臣から答弁申し上げたようなことといたしておるわけであります。
  246. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、何度伺ってもこの問題についてはどうも理解できない。いま理事に聞いてみると、理事会で問題になっているようです。ともかくこれは年金受給者の立場に立ってみるとなかなか許しがたい問題だということでありますから、ひとつはっきりけじめをつけてもらいたいということを強く要求します。  続いて第七章の政府関係金融機関の貸付金利に関する問題。  この問題の中で、財政投融資というものを中心にしているわけですが、これはなぜ農林漁業金融公庫と住宅金融公庫を中心にしたのか。ほかにはそういうものを使っているものはないのか、まずその辺からひとつお伺いします。
  247. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 財政投融資計画に組み入れられております政府関係金融機関はほかにもございますが、金利そのもの、あるいは金利の上限を法律をもって定めておるというのは農林漁業金融公庫と住宅金融公庫しかございませんので、法定金利の弾力化はこれらの二つの機関について考えたわけでございます。
  248. 竹内猛

    竹内(猛)委員 佐野局長の前に大蔵大臣に聞きたい。  財政投融資をなぜ農林漁業金融公庫と住宅金融公庫に重点を置いたかということなんです。
  249. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それはただいま農林省経済局長からお話があったように、金利が法定されておる、そういうところに着目をして行革答申の内容となっておるわけでございまして、それを尊重して今回取り上げたわけでございます。
  250. 竹内猛

    竹内(猛)委員 あの法律を読む限りにおいて、六・五%というものを一つの基準にしている。たとえば自作農維持資金のように三・五%のものもある。そういうものもあるし、現行から言えば七・五%でやっているものもあるかもしれませんが、そうした場合、それはどういう取り扱いをしようとするのですか。それは政令で決めるということになっているでしょう。
  251. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  公庫の金利は各種ございますが、今回御審議を煩わしております法律案におきましては、財投の原資が高くない場合にまで法定金利を超えて加算する権限を行政府にいただきたいということをお願いしておるわけではないのでございまして、財投原資が六・五%を超える場合に、その超える範囲において法定上限あるいは法定金利に金利を加算する権限を与えていただきたいという趣旨でございます。それで、その場合に、現実に、しからば財投原資が六・五%を、たとえば現行七・五%のように一%超えているから一%加算するかというと、それはそういうわけではございませんで、政令で定める資金種類ごとに、政令で定める利率の範囲内において加算をするということにいたしたいということが法律案の内容でございます。
  252. 竹内猛

    竹内(猛)委員 政令政令と言うけれども、政令を見たことがないが、この法律のこれによって一体どれだけの財源を浮かそうとするのか、どれだけのメリットをとろうとするのか、これはどういうことなんですか。
  253. 西垣昭

    ○西垣政府委員 先ほどから伺っておりまして、ちょっと誤解があるのではないかと思いますので申し上げますが、今回の措置は、臨調答申を最大限尊重するということで、法律改正を要するものにつきまして今回御審議をいただいているわけでございます。  それで、臨調答申では、公庫、公団、事業団について貸付金利の法定制の弾力化ということを言っておりまして、こういった特殊法人につきましての金利の法定化あるいは上限の法定化をやっておりますものが住宅公庫と農林公庫だけであるということで、今回住宅公庫と農林公庫の金利の法定弾力化をお願いしているわけでございます。  それから、その財政効果ということでございますが、弾力化はいたしますけれども、具体的にどうするかというのは決まっているわけではございませんで、今後の問題でございます。したがいまして、やれば財政効果はもちろんあるわけでございますけれども、来年度どれだけというふうなことはまだ試算もいたしておりません。
  254. 竹内猛

    竹内(猛)委員 来年度は農林水産省の概算でやれば七千九百七十億円を金融公庫に入れる、こういうことになっているわけでしょう。これは農林金融の中心です。しかも、それが基盤整備に使われているわけですね。きょうの朝日新聞を見ると、決まらないうちにすでに二面に大きな字で「マイホームまた遠のく くすぶる公庫金利上げ」こう書いてある。いま法律でどうのこうのいろいろなことを言うけれども、これについては最も評判が悪い。こういうことが今度は農村でまた行われる。必ず政令というようなところでやられるのですね。これはもう見えているわけだ。だから、これは決して庶民にとって楽しいものじゃない。せっかくのマイホームが金利によって遠のいてしまう、こういう記事が出ている。朝日新聞の記事だから、文句があったら朝日新聞に言ってもらいたい。  農業の方では、財政投融資は土地改良等々、主として基盤整備に使っている。そうすると、土地改良をやってすでに借りている金がある。現在はこれを返さなければならない。ところが、土地改良をやって米をつくろうとすれば減反だ、米の値を上げようとすれば今度は行革だ。一七%の米価の要求に〇・四八という値上げをして、行革を破られたなどと言っているけれども、これはとてもどうしようもないということで、すでに農村では行革はもうかなり入っている。それくらいの状態の中でまた金利問題が出てくると、農家にとっては決してありがたいものではないと思うのですね。しかも、質問すれば、それはやってみなければわからないというようなことでは、これは不安でたまらぬじゃないですか。それはどうですか。
  255. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御承知のように、農林漁業金融公庫法に法定されたという意義を振り返ってみますと、やはり自然的、社会的、経済的に不利条件を持つ産業である農業、これを経営してまいりますためには、その必要資金はほかの産業のような金利のあり方ではいかない、こういう趣旨で法定せられたわけでございます。しかるところ、こういう八十二兆円というような公債の発行ということで、財政再建をしなければいかぬ、行政改革も思い切ってやる、こういうときでありますので、農業の場合におきましても、とにかく気持ちだけでも、やはりそういう気持ちを理解する立場国民、納税者の前に示していこう。何も法定をやめたから、政令にしたから金利を上げるのだというのではなくて、金利は、年々いま申し上げました社会的、経済的、自然的な条件をよく勘案をして、そして予算編成の際に大蔵省と折衝をして決めてまいる、こういうことでございまして、今回の法案提出に当たりましても、私といたしましては、法定化を三年間だけやめる、こういうことは直ちに金利の値上げにつながるものではないということで、この法案提出に賛意を表した次第でございます。
  256. 竹内猛

    竹内(猛)委員 金利が三年間上がらないという保証はありますか。
  257. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 それは担当大臣である農林水産大臣の実力であろうと思います。
  258. 竹内猛

    竹内(猛)委員 また恐縮なことを申し上げるようですけれども、十一月には内閣をかえようなんという話がある。亀岡大臣は養蚕の方は余り見通しがよくなかったけれども、ほかではかなり努力をされたと思うのですね。そういう点がありますが、まあいつあるかどうかわかりませんけれども、大臣等々の御発言は議事録によって残っておりますけれども、その議事録も、読みようによればどうにでも読めるわけだ。憲法だって読みようによればああいうふうな読み方をするのだから、まして議事録の読み方なんというのは大変な話なんだ。そこで、やはりこういう問題についても、農家あるいは金を借りる側に負担をかけないような仕方をしなければ、いつの日にか政令によってふんだくっていくということでは大変じゃないですか。そういうことになりませんか。大蔵大臣どうです。
  259. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは農林大臣から、また農林省の経済局長からお話がありましたとおりでございまして、結局六・五%を財投原資が上回るというような段階が起きた場合においては金利というものは固定化されない、政令によってそれは動かすこともできますという姿勢を示したわけでございます。それでは、それによって直ちに政令で上げるのかという御質問でございますが、それには社会的な必要性、経済的な問題等も十分に配慮をして、その上で政令で決めるということでございますから、そういう事態が起きたときに、そのときにそれらの法文の趣旨に沿って決めてまいりたいということでございます。
  260. 竹内猛

    竹内(猛)委員 政令を出してもいいし、出さなくてもよろしいという形にもなるのだろうが、なるべく金利というものは一定の形において、そして農家に負担をかけないようにしなければ、いままでたとえば自作農維持資金が三分五厘という形であった。これに今度はどうせ少し上乗せするでしょう。どうですか。
  261. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 金利の引き上げは考えておりません。
  262. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それならば、先ほども申し上げましたが、財政投融資を使って農村の基盤整備がかなり進んでいる。そしていま減反が非常に評判が悪い。そして本年は去年に続いて冷害があり、米のとれ不足がある。われわれのところの農協の倉庫には五十四年、五十五年の米はありません。一体米がないのに減反をするというのはおかしいじゃないかというのがちまたの声です。この減反に対して、もうこれで五年目ぐらいになってきていますから、何か感ずるところはありませんか。大臣、どうです。
  263. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど、一番先に中曽根、渡辺両大臣からお答えがありましたように、やはり水田民族と言われておる、日本文化は水田文化である、米の文化とさえ言われておるわけでありまして、その米をだんだん食わなくなってきておるということは、これはゆゆしい問題であろう。したがって、米を食べてもらいたい。米を食いさえすれば生産調整なんという問題は一遍に片づく、こういうことなのでございます。この辺にやはり私ども考えなければならぬ点があるのではないかという所感を持つところでございます。
  264. 竹内猛

    竹内(猛)委員 農林省の方針は、もう日本型食生活という形で米を食べるには限度が来た、もうこれ以上米を食べさせるよりも、むしろ食生活が変わったんだから別な方向に行くというのが八〇年の方針でしょう。それで畜産、野菜、果樹というような方向に進めていこうではないか、こういう方針を出している。それに米を食え食えと言ったって、それは無理な話だ。われわれは、最近は米から酒をとろう、純米酒をとろうというような運動をしているけれども、これは当然な話だ。あたりまえのことだ。だから、もっとえさ米をつくるとか、あるいは工業用の米をつくるとかという米の多目的生産をやって、それに対して指導していくというようなことは考えていないか。
  265. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 誤解があってはいけないのでありまして、いわゆる米の消費奨励をしていきませんと、これはもうどこまでも米の消費量がダウンをしていく、こういうことでありまして、米の消費拡大に努力をいたして米の消費の現状を維持していくことができる、わずかながらでも上げていくような方向に持っていきたいというのが現状でございまして、そうすることによって米を中心にした——消費が減退しておるといっても、何といっても米が主食の中心でありますから、米を中心にしてあるいは畜産物、豊富な野菜、果物等によって日本型食生活に固定化していけば、これは日本の文化、文明を維持しながら発展していくことができる、こういうことでございます。  と同時に、豊葦原瑞穂の国ということで、水田を中心にしてわが民族は発展してきた。この急峻なる山岳国日本は、畑にしてしまったんでは表土がすぐ流れてしまう。大変なことになる。そこで水田ということで、しかもモンスーン地帯で一番よく生産される農作物、米、これを中心の主食としてやってきたからこそ日本の文明は滅びずに発展してきておる。今後もこの水田というものを大事にせなければいかぬ。それにはやはり稲という作目をあらゆる面から検討し直すということは大変必要であろう。そういう意味において超多収米、味はもう食用に供し得なくても、超多収米というものを確保することによって、これをアルコール化して燃料に回すなり、あるいはこれをアルコールにした際にはそのかすはえさになるわけであります。また、飼料米そのものをえさに回してもよろしいという方向をとることが日本の農政の中でとるべき道であろう、私はこんなふうに考えて指導しておるところでございます。
  266. 竹内猛

    竹内(猛)委員 米の問題については、農林省の行政と米をつくっている農家との間にいろいろ不信感が生まれてきつつありますから、やみ米のようなものがたくさん出てどうにもならなくなってくる。そういうことは、中央の行政が農民に信頼されない、また、中央は農民を信頼しないという相互関係がある。官尊民卑の関係がある。これはやはり官民一体でしっかりやらなければだめだ。だから、特にえさ米の問題あるいは工業用の米の問題、超多収穫米の問題については、これは大蔵省もひとつ力を入れてもらいたい。大蔵大臣も農業の専門家だから、ひとつこの際横の方から感想を述べてもらいたいと思う。どうですか。
  267. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 えさ米の問題は、これも非常にむずかしい問題が実はあるようでございまして、農林大臣がいまおっしゃいましたように、一つは値段の問題です。それからやはり収量という問題はその裏表でございますから、一ヘクタールで十六俵とか十七俵とか、そういうふうにとれるかどうかという問題、それから米と類似のものであってほかの米まで悪くしてしまってはいけませんので、まぜないようにするのには米とまるっきり違った米というものでなければならぬ。そこらのところの検討がまだ足りないのではないかということで農林省がいろいろと工夫をしているようでございます。
  268. 竹内猛

    竹内(猛)委員 米の問題は、やや前向きの方向もあるけれどもまだ物足りないが、きょうはこれだけでおしまいにします。  そこで、官房長官が見えたようだから、官房長官、公社、公団、事業団及び特殊法人というものが最近非常に評判が悪い。公社、公団、事業団それから特殊法人に対する風当たりは非常に強いです。給与の問題、ボーナスの問題、それから、ついこの間やめた者がすぐそこへ天下っていくということ、これなんかはもうどうにもならないほど世論の風当たりが強い。そして、その処遇におけるところの無責任性というものも指摘をされておりますが、これからこの行革の中で、公社、公団、事業団の取り扱いをどのようにされるのかということについて、これは官房長官と行管の長官にお尋ねしたい。まず官房長官。
  269. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 特殊法人の業務は、本来国が行ってもいいような公的な性格のものが多うございますので、そういう意味で国家公務員の経験のある者が役員になるということは意味のないことではないと思いますけれども、しかしいわゆる民間各界から有識者をできるだけ採るということも大事なことでございます。  そこで、五十四年の十二月に閣議了解がございまして、国家公務員からの就任者を常勤役員の中で半数以内にとどめるようにこれからだんだんしていこうということがございまして、その後少しずつ割合が減っております。ただいままだ五六%ぐらいのようですが、しかし漸減はしております。そういう目標を立てて実現してまいりたいということ、並びにいわゆる昭和五十五年の行革特殊法人の整理合理化を決めまして、それを実行しつつあるというのがただいまの現状でございます。
  270. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 特殊法人政府関係機関として官庁と隣り合わせにあるような仕事をやらしているということでございますが、これが繁文縟礼や肥大化の原因にもなっておりまして、これを順次整理しつつあります。第二次の臨時行政調査会におきましても本格的検討を開始しておりまして、これが機構あるいは人員あるいは給与のあり方等につきましても、思い切った案が出ることを期待しております。
  271. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私ども行政改革には反対ではない。基本的にむだを省いて必要なところに人間と財政を配置するということは当然なことだと思うのですね。そういう意味において、やはり民間にあっても有能な者は入れて、そして活用するということと、それから同類のものについては十分に配慮するということはぜひしなければならぬことだろうと思います。  そこで、先般中央競馬会の問題でこの委員会質疑がありました。私どもも小委員会をつくって中央競馬会のことについていろいろと議論をしておりますが、発馬機等におけるところの汚職の問題等は徹底的に追及しなければならないし、むだは省略をしなければなりませんが、内部になすべき問題がいろいろあります。あるいは北海道の軽種馬を育成する農民の問題、あるいは厩務員の給与体系、退職金等々の取り扱いの問題、あるいは厩務員の労使関係に関する問題、それから遠隔の地におけるところのファンが直接参加できない場合における場外の券の発売の問題、あるいは電話による参加の問題や、いろいろ建物の問題等々もありますから、内部の整備をきちんとすると同時に、剰余については一定の金は出してあるし、去年も国に出したわけですが、やはり取り上げるとかなんとかじゃなくて、貸すとか、そういうような形で流用をする、国も最近は年金の方は借りているわけだから、そういうような形でいわゆる内部整備をするという形での取り扱いは早急に必要である、なかんずく厩務員の退職金積立金制度なんというものは再検討しなければならぬだろう、こう思っておりますが、この辺についてはどういうふうに考えられておりますか。
  272. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 現在の中央競馬は、長い伝統の中で多くの関係者の参加を得まして健全に発展してきているところであります。しかし、中央競馬を支えております諸法制である競馬法などにつきましては、開催場所あるいは特別登録料などはもちろん、いま竹内先生から御指摘になりました内部のいろいろな整備をする点についてのもろもろの問題点等もあるわけでございます。したがいまして、今後におきます中央競馬会の動向を十分踏まえまして、関係者の意見も十分に聞いて、それを参考にしながら競馬の健全な発展に向かって各般にわたる方策について検討を進めていかなければならない、こう考えましていろいろと検討を進めておるところでございます。
  273. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この際、法律も古いですから抜本的に検討する考え方はないかどうか、その点をお伺いします。
  274. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいまもろもろの検討をしておりますが、そのまとまりの状況を見まして、どの点をどう改善をしていったらいいかというようなことについての結論を出したい、こう考えております。
  275. 竹内猛

    竹内(猛)委員 検討して、この機会に内部の整備をして信頼を取り戻すべきだと思いますから、ぜひそのようにやってほしい。  そこで、環境庁長官が見えましたからお尋ねしますが、農林水産というのは、一つは物をつくる、あるいは魚をとる、木を育てるという面が農林水産省の仕事だと思うのです。一方において、観光であるとか環境整備であるとか、汚水とか悪臭とかという問題については環境庁の仕事だと思う。環境庁は、農林水産地域が社会、世間に与えている影響について、環境庁の立場からどのように考えられているかということをまずお尋ねします。
  276. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡国務大臣 前は人間のふん尿が肥やしになりましたが、いまはそれはほとんど肥やしになりませんで金肥になりまして、その人間のふん尿は、簡単な処理はいたしますが、そのまま川に流れたり湖に流れたりするので、特に閉鎖性水域なんかが困るということがあったり、あるいは化学肥料を少しよけいやって、その余った分が水に流されて川を汚すなんということもあります。しかしながら、おっしゃられるとおり農業というものは色であらわせば緑ですから、環境というのも色であらわせば緑ですから、私どもは食糧の問題は、それは御心配なさっておるところがありますが、同時に緑がふえていくということに対しては環境庁としては非常に歓迎するところでありますし、また、これからのことを考えましても、去年の七月に出たアメリカの「二〇〇〇年の地球」というあれを見ますと、地球的に森林がどんどん減っているのですね。そして逆に砂漠がどんどんふえているのです。そういうことを考えますと、日本だけの問題でなしに、地球全体としてあしたの心配としては緑をふやしていくということに努力をしなければならぬ、こう考えておるわけであります。
  277. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、農業が果たす役割り、食糧問題について安全保障ということについて合意を得ていると思うのです。予算の中身等々においては安全保障に値するようなものになっていないところははなはだ残念ですけれども、これからまた、これは問題にしなければならぬ。  それから最後に、農業の果たす役割り、農村地帯が果たす役割りとしては、緑を蓄え、酸素を出して人間の体の調整をとっていくということが、観光資源としてもこれは農山村は大事ですね。あるいはまた、海岸もそうです。そういう意味において、きれいな水と緑というものを保全をしながら、快適な生活環境を確保するという意味において、環境庁はあっちからこっちからやたら食われないようにしっかり監視をしながら、同時に自然を守ってもらいたいということを私は要求したい。環境庁長官、どうですか。
  278. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡国務大臣 全くそのとおりに思います。先ほども申し上げましたけれども、これは日本だけの問題でなしに、地球的な規模でその心配をいましなければ遅くなる、こう考えておりますので、全く同意見であります。
  279. 竹内猛

    竹内(猛)委員 最後に農林大臣にお伺いしますが、先ほど私は食糧問題についての安全保障の問題を出しましたが、食糧というものは安全保障であるということは間違いない。そこで、防衛力ばかりに力が入って、それで農業というものがだんだん壊されていって、農村に若い者がいなくなってしまう、こういう事態について、これは一体どうしたら若い青年が農業に居ついて将来の展望を持つようになるのかということについて、最後に農林大臣のお答えをいただきたい。
  280. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 やはり農村地域社会が都市生活にひけをとらないような環境条件が整備をされ、生活条件が整備をされ、しかも経営する農業の労働報酬がこれまたそうひけをとらないというような農業をつくっていかなければならぬわけであります。と同時に、生産性もこれを忘れるわけにいかない。やはり農業の基本でありますところの農地の整備とか、あるいは農林水産関係の金融の特色からいきましても、どうしてもある程度の国家保護を加えていかなければならないという面が、これはどこの国を見てもあるわけでございます。したがいまして、それらは結局納税者の税金でありますので、納税者が納得するだけの農家の立場も考慮しながら、しかも農家の再生産の意欲を燃やすことのできるような農業経営をやっていかなければならない。非常にむずかしい問題であります。したがいまして、農村地域社会から若者が離散しないようにしてまいりますためには、やはり農村の地域社会に職場をつくり上げていくというような構想も、農林水産省としては食料産業等を通じて積極的に展開をしていくことも現在検討を進めさしておるところでございます。
  281. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  282. 三塚博

    ○三塚委員長代理 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。  正木良明君。
  283. 正木良明

    ○正木委員 三十八分しか配分がありませんので、ひとつ要領よくお答えをいただきたいと思います。  確認の意味で大蔵大臣にお尋ねをしたいのですけれども、住宅金融公庫の貸付金利ですね。これは財投から幾らで借りていますか。
  284. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 七・五%でございます。
  285. 正木良明

    ○正木委員 法律で定めた最高金利というのは六・五%。     〔三塚委員長代理退席、海部委員長代理着席〕 ところが、実際住宅金融公庫には五・五%。そうすると、二%の逆ざやでそれを国庫負担しながら貸し付けているという状況は間違いありませんね。
  286. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 きょうでございます。
  287. 正木良明

    ○正木委員 そうすると、この法律はどう読んでもすでに六・五%を一%上回る金を財投から借りておる。したがって、直ちにやろうとすれば一%の金利の上昇を政令で認めることができるということになりませんか、他の政治的状況は別にして。
  288. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは政治的状況でなくてこの法文で制約がございますから、この法文を全然無視してやるということはできません。
  289. 正木良明

    ○正木委員 法文の状況というのはそういうことでしょう。住宅の建設状況だとか社会的な状況経済状況というようなことを考えてできるだけ上げないようにしたいという考え方ですが、しかし最高利率六・五%を上回ったときには政令によって新しい金利を決めることができるということになれば、もうすでに一%超えているわけでありますから、そういう点を無視するということになれば理屈の上じゃ可能ですね。
  290. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 理屈の上では可能でございます。
  291. 正木良明

    ○正木委員 それで、この後公定歩合の引き上げ等が行われてこの七・五%の財投の貸付金利というものが引き上げられたときには、これはさらに引き上がっていくということの弾力条項が政令によって定められることになりますね。
  292. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 金利の問題でございますから、非常に変動することもございます。仮に高金利というようなことが日本にも波及をするというようなことで、これは非常にいやなことでございますが、そういうような場合には、固定をしておきますと二%が三%、三%が四%というような利子補給ということになるでしょう。そのことは、一方において何千億円という莫大な金額にふくらんでまいりますから、とても財政的にはもたないし、うちを建てない納税者から不満が出ることは当然でございます。したがって、そういうような場合にはいろんな環境、そういう政治、経済上の問題、財政上の考慮、そういうものを全部頭の中に入れてその政令を改正する、そういうことができるように法律を出してあるわけでございます。
  293. 正木良明

    ○正木委員 この法律によって政令が定められるということになり、その政令によって金利を上げたり下げたりできるわけですね、下がる場合も書いてありますから。そういうことになりますと、この根拠法は三年ですね。昭和五十九年度までですね。そうすると、この法律が効力を失う昭和六十年度に至っては金利はもとに戻りますね、仮に上げたとしても。政令はこの三年に拘束されますね、根拠法で。
  294. 西垣昭

    ○西垣政府委員 技術的な問題でございますから私からお答えいたしますが、この法律は三年間の時限立法でございますので、三年間経過いたしますと、この法律がなかったときの状態に戻るわけでございます。したがいまして、それ以後の契約分につきましては五・五%以下ということになります。  ところで、この三年の間に五・五%よりも高いところで決められた貸し付けにつきましては、貸し付けというものはいずれもそうでございますが、契約が結ばれたときの金利でもっていく、こういうことになります。
  295. 正木良明

    ○正木委員 もうちょっと具体的に言ってください。契約が結ばれたときの金利でいくという……。要するに、この政令でもし仮にこの三年間において金利の上昇があったとして、そうして住宅金融公庫の貸付金利というものが政令によって上げられたとします。それはいま大蔵大臣がおっしゃったように、多額の利子補給という国庫負担はできないからということで。ところが、この法律は時限立法でありますから、効力を失ったときにはその政令はなくなるのです。そうするとこの政令というものは働かなくなりますね。もとの法律の住宅金融公庫の五・五%に戻るべきですね。どう考えても。その契約のどうのこうのというのはどういうことですか。
  296. 西垣昭

    ○西垣政府委員 制度論として申し上げますが、三年間たちますとこの特例措置がなかったことになりますので、三年以後のものにつきましては、いまの制度のままでございますと五・五%以下の金利ということになりますので、それ以後契約を結ばれるものにつきましては五・五%以下のそのときの金利水準、こういうことになります。  ところで、これは制度論でございますが、この三年の間に仮に五・五%以上のところで、政令で高い金利が設定されていたとしますと、その高い金利が設定されていた間に借りた契約につきましては、三年経過後もそのままその高い金利でいくわけでございます。これは現在の制度におきましても五・五%以下で金利が設定されることになっておりますので、制度としては五・五%以下で金利水準は上げ下げできるわけでございますが、そういった場合でも、その契約のときの金利でもって契約期間中ずっといくという点につきましては同じでございます。
  297. 正木良明

    ○正木委員 そうなりますと、これは非常に重大な問題になるわけでありまして、これは家を建てたいと思う人の心理からいいますと、少なくともこの三年間、仮に上がるようなことが予想されるとするならば、その間は金を借りないでおこう。そのときに金を借りたものは完全に返済するまでずっとその金利が続くわけですから。それよりもなおかつ高くなれば別ですよ。しかし少なくとも五・五%に戻ったとしても、その後法律改正がなければその金利は上げるわけにいかぬわけでありますから、その点についてはよほど考えていただかなければ、これはもう全く、こういう点が明らかになった時点においては、この三年間において上がらないうちにできるだけ早く金融公庫で金を借りようという動きが一つは出てくるか、ないしはこの三年間とりあえず待ってみようというような動きになるか、どちらかになるだろう、こう思うのです。ですから、ここでやはり明言してはっきりとしなければならないことは、絶対上げませんということを約束されることだと思うのです。この三年間政令委任がされるような法律が成立したとしても、年収八百万円以下の人たちについては金利五・五%はこの特例期間中も動かしませんという政府の確実な約束がなければ、家を建てるという問題については大きな問題が残るのではないだろうかという気がします。建設大臣、どう思いますか。
  298. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  このたびの行革関連法案にかかわる問題でございまして非常にむずかしい対応で、私たちも苦慮いたしておるわけでございますが、先生のおっしゃるような雰囲気にはなるであろうことを危惧するわけでありまして、それゆえにこそ社会経済的必要性と時の国の負担との調和を図ってという字句が入っているわけで、弾力性というものを頭に入れながら私たちといたしましては対応いたしたい、このように考えておるところでございます。
  299. 正木良明

    ○正木委員 ですから、これはもう上げないということを明確にしていただいた方が、私は国民の皆さん方は安心するだろうと思うのです。大蔵大臣、どうですか。
  300. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これはもう法律を提案してお願いしているわけですから、いかなる事態があっても上げないということを言うくらいならば提案しない方がいいわけでございますから、それは事態が、どういう事態があるかということが問題なわけでございまして、われわれといたしましてはそういうような事態に備えて考えておるわけであります。  確かに正木委員がおっしゃるように一遍仮に上げれば、それは上げ幅にもよるでしょう。〇・五とか〇・三とかという上げ幅にもよるでしょう。しかしながら、そういうことはあり得ませんが、極端に仮に二%も上がった、一%以上も上がったと仮定すれば、それは三年待とうという人も出るでしょう。しかしながら、上げない状態でおって、世界的な筒金利の波がどんどん押し寄せてきているという現状からすると、上げられるんじゃないか、じゃ、ともかく早く借りて建てようという心理も働くことも事実でしょう。問題は上げ幅の問題もございますし、いろいろございますから、いまここで私が、この法案を提案しておって、どんな事態になっても上げないんだということは、まことに残念ですが明言はできないわけであります。
  301. 正木良明

    ○正木委員 それじゃ大蔵大臣、きょうは経済企画庁長官をお呼びしておりませんので大蔵大臣にお願いしたいと思いますが、それならば、これはひとつ努力目標として約束してください。それはいまおっしゃったように世界的な高金利時代、世界的といったってアメリカだけが飛び抜けているのですけれども、こういう高金利というのがこっちへ押し寄せてくるということがどんなアクシデントであるかもわかりません。わかりませんけれども、しかし通常考えられる高金利というのは大変なインフレでなければ考えられないわけです。少なくともいまのようなデフレの状況において、景気回復というようなことが急務であるときに金利を上げるなんという、そんなばかな経済政策をまさか経済の問題についてよく御存じの渡辺大蔵大臣がお考えになるはずはないだろうと私は思いますね。もちろん政府が決めることじゃありませんよ、公定歩合というのは日銀ですから。であるけれども、しかし少なくとも金利が大幅に上がる状況というのは、日本が大インフレのいわゆる景気過熱というような状況で、物価上昇率も非常に高いというような状況でなければそれは考え得られないわけでありますから、そういうことになったときに初めてこの住宅金融公庫だとか農林関係の金融公庫の金利の上昇ということが考えられるわけでありますから、少なくとも大蔵大臣は、要するに政治家の使命として、そういう金利を大幅に上げなければならないようなインフレの状況というようなものを起こさないために極力努力するということのお約束はやはり国民にしなきゃならないんじゃないでしょうか。
  302. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 結論から先に申しますと極力努力をいたします。いたしますが、御承知のとおり金利問題は、現に国債にいたしましても、上げなければ売れないほど出さざるを得ないという現状にぶつかっておるわけですね。それからまた、世界的に高金利だということも事実であって、たとえば輸出入銀行が外国に貸す金についても日本の金利は安過ぎる。したがって、いま八%とか八・五、七・五で出している金は九・二五にしなさい、これは世界じゅうから言われまして、イエスかノーか、どっちだ。それをしなければ対抗手段を世界じゅうの国がそろって、二十何カ国とる、こう言うのですから、これはもう何とも仕方がない。さあそれで、けって一戦交えるか、それともここででかいけんかはしないで大勢順応でいくかという場面にこの間ぶつかったわけですね。私は、残念ながら大勢順応しかないという訓令を出しました。したがって、私はもう極力努力をするということはお約束をいたします。いたしますが、経済というのは生き物でございますから、そのときに非常に機敏に対応できる状態ということもまた必要なわけでございまして、それらの観点から今回最も慎重の上にも慎重を期して極力上げないように努力をいたしますが、この法文はこのとおりにしておいていただきたいということを最後のお願いといたします。
  303. 正木良明

    ○正木委員 ここで国際経済の話をしているとそれだけで時間をとられてしまいますので、プライムレートの引き上げだとかなんとかということはもう新聞でも承知いたしておりますし、そういう情勢にあることはわかるのですけれども、しかし片方、いま日本の景気の状況を見ましたときに、この前のときにも申し上げましたけれども、要するに貿易摩擦がこれだけ起こっているのに、これ以上輸出によって経済成長を支えるなんということはもう恐らく不可能でしょう。内需を振興していかなければいかぬ。そのためにやっていかなければならぬことは、一つは個人消費の問題もあり、これは人勧だとか仲裁裁定の問題も絡んでまいりますが、きょうはあえてそこまで広げません。そのほか民間の設備投資の問題もある。公共投資の問題もある。同時にまた、がたんと落ち込んだあの民間住宅建設という問題もあるわけでありまして、これはこの間からの議論を聞いておったって、政府がとてもじゃないけれども手が出せないというような状況にあるわけですね。そういうときに、一つは、やはり民間住宅建設をある意味では支えておるこの住宅金融公庫の金利というものもよほど慎重に考えていかないと、国内経済の内需喚起という問題を考えたときには非常に問題点があるということも十分おわかりだと思いますが、ひとつお考えいただきたいと思います。  それと同時に、私はこの金利だけで民間住宅建設が落ち込んだとは思っておりません。確かにこれは一つの大きな柱であるけれども、やはり地価の上界、もうとてもじゃないけれども庶民には手が出ないという土地の値上がりの問題があるわけです。  そこで建設大臣にお尋ねするのですが、首都圏だとか近畿圏の土地区画整理事業で、道路ができ下水ができ宅地としていつでも使えるというような状況の整備された土地が一万八千ヘクタールある。これは首都圏です。近畿圏では六千ヘクタールある。実はこれが眠っているわけですね。たとえば住宅公団がやった区画整理事業なんかは、もう一〇〇%宅地転用されております。こういうことが建設省の調査によって最近明らかになっておるわけです。この区画整理事業というのは、全部区画整理組合が経費を負担したわけじゃなくて、国からもまた自治体からも補助金が出ているわけでしょう。どうなんですか、それは。幾らぐらい出ていますか。
  304. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 数字的なことでございますので、局長から……。
  305. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 お答え申し上げます。  国費二〇%を含みまして公的な金が三七%ほど出ております。
  306. 正木良明

    ○正木委員 お聞きになったような状況で、これだけ国費がつぎ込まれて区画整理ができた。これは農地として利用していくという面もあるのかもしれませんけれども、しかし市街化区域内にあるような区画整理事業で完成した土地というものは、宅地に転用されるということにおいて国費がつぎ込まれておるのじゃないかと私は思うのです。言葉はちょっと激し過ぎるかもわかりませんが、これが死蔵されている。そして値上がり期待で全く宅地として使われていない。この問題が一つは解決しない限り、民間住宅建設というのは進んでいかないだろうと思うのです。したがって、これに何らかの対策を立てよう——現在死蔵しておるという状況は、決して違法ではないわけなんですが、宅地供給促進という面から、建設省ではこれに対して何らかの措置というものはお考えになっておりますか。
  307. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 ただいまの御指摘でございますが、私どもといたしましては、昨年の十二月に、御指摘のような事態にかんがみまして、土地区画整理事業完成後の未利用地につきまして市街化の促進をさらに図るための通達を出しております。  その中身は、保留地の処分に当たりまして、処分自体が困難とならない範囲内で建築計画を提示させるなど、なるべく早く建築行為が行われるように措置すること。それから、当然住宅を建てるであろうと思われる地方公共団体あるいは住宅・都市整備公団、地方住宅供給公社等の住宅供給機関、こういったものに優先的に分譲するように努めること。あるいは施行地区内の権利者や保留地購入者に対しましての金融、税制等についての必要情報の提供に努めるというようなこと。あるいは施行地区内の学校、病院、店舗、集会所等の公益利便施設等の誘致に努めることなどの指導を通達で行っているところでございます。
  308. 正木良明

    ○正木委員 それはどんな効果が期待できますか。また、事実効果があらわれてきておりますか。
  309. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 昨年十二月の通達でございますので、計数的にはまだ把握しておりませんが、こういった趣旨にのっとって、たとえば建築計画の義務づけ等を保留地の処分に当たってする等のことは逐次なさりつつあるように承知しております。
  310. 正木良明

    ○正木委員 私どもの党でいろいろ調べた幾つかの地区の事例でございますが、日本住宅公団が土地区画整理事業を行った後の民有地の市街化率というのは、常盤平地区、これが昭和三十一年度から三十七年度までの事業年度、しかし現在ではまだ市街化率が五〇・三%、新所沢地区においては三十二年度から三十五年度までの事業期間中に造成されましたが、六一・五%、高蔵寺四四・八%、これは昭和四十年から昭和六十年、金剛地区で三〇・四%、これは四十年から四十四年。これらの市街化というものが進展しない。これらについても、いまの通達だけではなくてもっと具体的な政策措置というようなものはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  311. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  御案内のように区画整理事業は地権者の全面的な協力をもってやっておる事業でございまして、あくまで土地所有者の自由な処分に任されているのが現状でございます。全面賠償という形でないというようなことから、通達によって非常に顕著な効果はないにいたしましても、一応地元公共団体等々に指導をお願いして、何とか公益公共施設等の整備を図りながら、いまこの土地問題について対応を図っているところでございます。地権者の自由に任されておりますので、これという決め手がないというのが私たちの非常に心配しておるところでございまして、この点につきましては諸般の状況を踏まえながらなお検討して対応を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  312. 正木良明

    ○正木委員 わが党では四、五年も前から選択的宅地並み課税制度という政策を発表しているわけです。要するに、少なくとも農業用地として使っているところにも、しゃにむに宅地並みの固定資産税をぶっかけるということは、ぼくは問題があるだろうと思います。しかし、その中には良心的に農業に従事するという方もあれば、ただその土地の値上がりを待つために農業をやっておるというふりをしているようなのも事実あるのです。したがって、将来ともにわたってずっと農業を続けていく人と、途中でこの農地を宅地転用して処分するかもしれませんという人と、やはり振り分けをしていくという形で、これは十年なら十年、十五年なら十五年農業を継続するか否かということで、これは公明党が前々から選択的宅地並み課税制度というものについても提唱しているのですが、こういう問題がやはり政策として実行されていかないと、結局は三大都市圏の市街化区域内にある農地の宅地供給の源泉にはなっていかないのじゃないかという気がします。この点、建設大臣いかがですか。
  313. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  正木先生御指摘の公明党の選択的手段につきましては、一つの方法論として結構なことだと思っております。  建設省といたしましては、現在まだ取りまとめた段階ではございませんけれども、税制調査会等の答申の線に沿って先生の御指摘の向きをも勘案しながら、この問題については、宅地並み課税というお言葉もございましたけれども、そうしたことにつきましてなお今後検討、成案を得て対応してまいりたい、このように考えているところでございます。
  314. 正木良明

    ○正木委員 それはせっかくひとつ御検討いただいて、できるだけ公平な立場でこのことが行われるように、要するに、所有者と宅地を必要とする人たちの間において公平な立場での政策推進をお願いしたいと思うのです。  それともう一つは、最近また土地税制を緩めようという動きがあるようなんですが、これはまだ建設省、大蔵省の段階でないのかもわかりませんが、自民党の専門部会の段階であるかもわかりませんが、ちょっと可能な限りその内容を、やるやらぬは別にして説明してください。
  315. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 ただいま私ども関係省と協議中でございまして、まだ成案は得ているわけではございませんが、ただいまの税制の中では、四十七、八年ごろの異常な投機的な土地取得に対します抑制というような面がございまして、この面がある意味では土地の流動性に対しましてマイナスに作用している点もあるのではないか、こういう点を総合的に考慮しながら現在検討をしているところでございます。
  316. 正木良明

    ○正木委員 私もこの問題に非常に大きな関心がございまして、ずっと宅地の供給問題について頭を悩ましていますが、これは天野大先生が張本人みたいな感じだけれども、土地の税制を幾ら軽くしても、優遇をいたしましても、本当に譲渡したいと思っていない人には全く効果がないということです。  それともう一つは、昭和三十年代後半から四十年、それからずっと現在にかけての土地の税制が、これはもう目まぐるしいぐらい変わっているわけですね。このことが土地の所有者にとってはむしろつけ込むすきを与えていると思います。要するに、政府の方は、おれたちががんばって土地を売らなければ、土地を出してほしいために必ず税金を安くしてくるに違いないという、確信に満ちた気持ちがあります。したがいまして、この土地税制というのは、そうネコの目のように、ネコの目といったって三年か四年ごとに変わっているのだけれども、くるくるくるくる変わるというところに問題があるのであって、土地税制というものは断固もう変えません、幾らお待ちになっても軽くはなりませんよという毅然とした政府の税制に対する確信の姿勢というものがなければ、恐らくぼくは土地の所有者に、こういう言葉はこういう公開の席上でまずいかもわかりませんが、なめられてしまいます。ここらに税制に対する考え方というものをはっきりしなければ、私はどうしようもないのじゃないかというふうに考えるわけです。  そして同時に、軽くしたから、それでは安くなったからどっと出てくるかというと、決してそうではありません。いま不動産業者の人たちといろいろ話し合うことがありますが、その人たちの話を聞きますと、新しい宅地供給というものはそんな幾つもチャンスはありません、最も大きなチャンスはだれかが亡くなられたときですと言うのです。だから、どこかでおやじさんが亡くなったといったら、もうそのお通夜の晩にずっと不動産業者が集まるのです。これはもう相続税とかなんとかの問題で必ずその土地を手放すであろう、それ以上にもう宅地供給のチャンスはありませんとまで言っているのですよ。だからそれが高じて、安くしたら出てくるだろうというので、業者からの圧力なんかがずっと集まってくるのかもわかりませんけれども、しかし少なくとも、この土地税制、譲渡税というものについて緩めたなら土地が出てくるのだという考え方は改めてもらわなければならぬし、やはり相当慎重に考えてもらわなければならぬと私は思うのですが、これは建設大臣と大蔵大臣のお二人にひとつ……。
  317. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 土地に対するお考えを拝聴いたしまして、非常に指針となりました。事ほどさように土地対策は非常にむずかしいわけで、これという決め手といいましても、恐らくなかなか現段階ではむずかしいのじゃなかろうかと思いますが、とにもかくにも住宅問題の非常に厳しい折でございますので、この土地対策につきましては、もとより財政当局が基本的に税制問題については対応して答えを出すことを期待するわけでございますが、よりよきコンセンサスを得ながら検討、対応いたしたい、このように考えるところでございます。
  318. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 この土地優遇税制では土地は出てこないだろう、これは私も同感です。やはりそこにはむちとあめと両方なければ機能しない。特に土地問題については、これは水と空気と同じようなものでありまして、少なくともその利用収益権は、ここまで来れば、農村においては従っているわけですから、土地の利用収益は社会、公共の福祉に従うぐらいの立法、憲法すれすれ、九条解釈ぐらいのすれすれのことをやらなければ、本当の土地は出てこないのじゃないか。そういうときに一緒に税制も何か考えろと言うのなら私は賛成いたしますが、そうでなければ、これだけ狭い土地ですから優遇だけではなかなか出てこないというように私は考えております。
  319. 正木良明

    ○正木委員 これで最後質問にいたしますが、したがいまして、もはや庶民は自分の手で家を持つということは本当に夢の夢になったというような考え方で、一つは別な住宅対策としての考え方に立ってもらわなければならぬだろうと思うのです。  私たちが調べますと、これは建設省も同じ数字になっておりますが、老朽化して建てかえの必要な公営住宅が全国で十七万三千戸あるのですよ。これは全く土地が必要でないのです。したがって、これを高層化するとか建てかえるということを考えて、少なくとも五カ年計画で定められた賃貸住宅は、いままでも計画戸数に足りないということで計画達成ができなくて今日まで来ておりますが、とりあえずはこの公営住宅の建てかえということを積極的にお考えになりませんか。私の住んでいる大阪府では要綱をつくりまして、五十五年度で千三十九戸増改築、建てかえをやるようです。東京都はいままで比較的進んできたわけでありますが、これはぜひおやりになっていただかなければ、都市におけるところの住宅問題は解決しません。  要するに、持ち家制度ということについてはもう大きな限界が見え始めてきた。相当収入のある人はいままでに建てるだけ建ててしまって、これからは収入の非常に少ない人の部分にこの持ち家住宅というものが及んでいかなければならぬときですから、これがとてもできないということになるならば、何といっても賃貸住宅を建てるよりほかに道がありません。ところが、高い土地のところに公営住宅を建てるということはとても無理でありますから、建てかえをまず推進するというお考えは建設大臣としていかがでしょう。このお答えで終わります。
  320. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  全く同感でございます。さきの委員会でも正木先生から、こうした状況であるので、土地に余り資金のかからない方法で住宅政策、公共事業というものを考えろというような御指針もございまして、私たちもそうした線で、公営住宅はもとより民間の方々にも、土地への投資でなく住宅を主にした御指摘のような向きで指導してまいる所存でございます。
  321. 正木良明

    ○正木委員 ありがとうございました。終わります。
  322. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて正木君の質疑は終了いたしました。  岡田正勝君。
  323. 岡田正勝

    岡田(正)委員 大蔵大臣がちょっと席を外しておられますので、国鉄の関係から先に行かしてもらいましょう。  図鉄の赤字というものは救いがたいものがありまして、長期負債が五十五年度末におきまして十四兆三千九百九十二億円、日本全国の所得税の金額と全く同じであります。恐ろしいほどの長期負債でありまして、しかも単年度の赤字たるやこれまたすごいもので、五十四年度におきまして八千四百二十五億円の赤字を出し、さらに五十五年度はそれを上回って、財政再建の年でありますのに一兆六億円、しかもここで注目すべきことは、赤字の中でしからば貨物輸送でどれだけの赤字を占めておるのかということを調べてみますると、五十四年の八千四百二十五億円の赤字のうち七〇%に当たります六千一億円、これが貨物だけの赤字なんです。だから、国鉄の赤字赤字と大騒ぎをしておりますが、中身を解明してみるとわりと簡単な姿が出てくるわけですね。それで、五十五年度決算がもうできておるはずなのでありますが、一兆六億円の赤字が出たうちで、しからば貨物で生んだ赤字は幾らであるかと問うたら、ただいまその金額は作業中でござると、こういうわけです。鉄道というのはもっと速いのかと思ったが、大変スロー、スローで走るわけですね。私はどうもそういう点が、再建の意気込みいずこにありやと実は言いたくなるのでございます。  しかも、その収入たるや、五十四年におきまして二兆九千二十一億円、ところが貨物の全収入はそのわずか一二%、三千五百三十九億円という状態であり、しかも五十五年度が、あれだけ運賃を値上げしたにかかわりませず二兆九千六百三十七億円という状態でありまして、ほんのちょこっとしか収入は上がっておりません。貨物もさぞかし上がったであろうなと期待をしておりましたら、貨物は逆に下がりまして三千二百九十六億円しか入っておりません。まさに国鉄全収入の一二%の収入しか上げないでおいて七〇%の赤字を出すというのでありますから、地方ローカル線をカットせいなんということは聞く耳持ちたくないと私は思うのであります。  さて、こういう状況の中で貨物の輸送量がどうであるかということを調べてみると、昭和四十五年に六百二十四億トンキロあったものがどんどん減りに減って、とうとう五十五年度におきましては三百七十億トンキロと減っておるのであります。しかも、これは再建計画からいったらそれよりもダウンをしておるのでありまして、一体将来どうなっていくのであろうか。  国鉄が立てておる再建計画と、いま運輸大臣がお越しになっておりますが、運輸省が発表しておりますところの総合的な交通政策の基本方向、あれに昭和五十四年から六十五年までの見通しを書いておりますが、国鉄の貨物輸送はよくてゼロ%の伸び、下手をするとマイナス二・二%の伸びであろうと見通しておるのであります。運輸省の見通しと国鉄の再建計画とが同じ省の中にあってどうして違うのでしょうか。こういう点が私にはどうにもわかりません。なぜ食い違っておるのか、どうしてこんな赤字を生み出してくるのか、これに対して一体どうしようと思っているのかということについてお答えをいただきたいと思います。答える方は、運輸大臣の方から先に答えていただきまして、その後総裁が補足してください。
  324. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 まず、貨物の赤字が大きいということは私も否定いたしません。しかしながら、その経理区分から見まして、そのように出てくることも事実でございましょうが、しかし同じ線路をいわば貨物も走り、客車も走っておりまして、その配分を従来の慣例によって負担をして貨物の収支というものを見ておる、ここに実は経理上の問題も若干あろうと思います。しかし、大きい赤字を出しておるということにつきましては、私はおっしゃるとおりだと思うております。  そこで、この経営改善計画を私たちが承認いたします場合に、将来の貨物輸送と、それから国鉄が貨物輸送に担当する役割りというものとを十分慎重に検討いたしました。  それで、お尋ねを総合して申しますと、まず第一点の、運政審の予測と国鉄の予測との間に非常な差があるではないかという仰せでございまして、若干差はございますけれども、仰せほどは実はないと思うておりまして、昭和六十五年を基点にいたしまして運政審の方で大体四百三十億トンキロ、国鉄の方は四百二十六億トンキロと見ております。しかし、運政審の方は幅をとっておりますので、アローアンスを広くとっておりますので、そこで見ようによりましたら相当差があるように見える。これは事実でございますが、答申と、それから国鉄が経営改善計画を出してまいりましたのには、そんなに根本的な食い違いはないということをひとつ御理解をいただきたい。  経営改善計画の中にもうたってございますし、私たちもそれを前提にして承認したのでございますが、国鉄が過去百十年の間に進めてまいりましたのはいわば鉄道中心の輸送であって、しかも富国強兵政策、その当時の国是にのっとりまして、貨物輸送中心に国鉄の線路が伸びてきたという歴史がございまして、これが全国に数多くのヤードを持ち、貨物取扱駅は、どの駅でも貨物取り扱いをやってきた。これが事実でございます。しかしながら、十数年前から貨物駅の集約化も進み、ヤードの縮小もしてまいりまして、これは改善計画にうたってあるとおりでございます。  しかし、なお合理化を進めなければならない一番のポイントはどこかといえば、やはり私は貨物体制だと思うておりまして、貨物につきましては、経営改善計画にうたっておるよりもさらに上積みして合理化に努力すべきである、それは一にかかって国鉄の自助努力にまつべきものであると思いまして、そういう観点で私たちは行政指導をいたしておるところであります。
  325. 高木文雄

    ○高木説明員 御指摘のように貨物の経営成績が非常に悪いわけでございます。貨物は昭和四十五年がピークでございましたが、その後毎年減ってきておるわけでございます。そこで、五十三年と五十五年の二回にわたりましていわゆるダイヤ改正を行いまして、輸送力を落として、輸送力と輸送量の間の差をかなり詰めたわけでございますが、五十四年からさらにお客さんが減るといいますか、貨物の輸送量が減ってまいりました。現在でも輸送量と輸送力との間に相当差が生まれてきております。  経営改善計画をつくります時点におきましては、五十三年あるいは五十四年の貨物成績が比較的よかったものでございますから、ずっとほぼ横ばいということで六十年度を見通したわけでございますけれども、その後さらに悪い状態になっておりますので、これにどう取り組むべきかを現在考えておるわけでございまして、いま大臣が言われましたような意味で、さらに高い目標を掲げて経費節減のための努力をいたさなければならぬと覚悟をいたしております。
  326. 岡田正勝

    岡田(正)委員 具体的な対策もお尋ねをいたしましたが、お答えがないのが非常に残念でありますけれども、時間がありませんので次へ進ませてもらいます。  さてそこで、これは大臣にお答えいただきたいと思うのでありますが、いま臨調をやっておりますね。昔は国鉄のかせぎ高の九五%が貨物であった、それがいまは逆転いたしまして旅客と入れかわっておる、しかも赤字の七割は貨物だ、こんなことではどうにもならぬというので、国鉄はもう貨物をやめなさいというような臨調答申がもし万が一出たとしたら、担当大臣としてはどう受けとめますか。
  327. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 臨調答申が出ましたら、これは答申を尊重するということは当然でございます。しかし、どのような答申が出るかわかりませんけれども、貨物の中でも一概に廃止できないものがあろうと思います。たとえば御承知のように危険物、特に油関係でございますが、これをトラックで輸送するということになりましたら実は大変なことになってまいりますので、これはやはり輸送の責任を負わざるを得ないだろうと思いますし、また定型にしてしかも定速で運び得るものがございまして、石灰石でございますとか石炭でございますとか、そういうのはやはり鉄道によらざるを得ない、そういうものをわれわれ見定めまして、これは国民経済の観点からどういうものを集約して残すかということを考えなければならぬだろうと思いますが、いずれにいたしましても臨調答申は十分に尊重して、それと国民経済の維持、そして安全、公害、そういう点を総合いたしまして、ぎりぎりのところでわれわれは考えていかなければならぬと思うております。
  328. 岡田正勝

    岡田(正)委員 次は年金の問題で質問いたしますが、総裁にお答えいただきたいと思います。  国鉄の職員として、これは高卒の場合と大卒の場合があると思いますが、三十年勤続をなさいました場合の年金はどのくらいになるのか。それから、もしわかりましたら退職金を教えていただきたいと思います。
  329. 高木文雄

    ○高木説明員 いろいろな前提で計算しなければいけないわけでございますけれども、大体三十年勤続の方が受ける年金の額は十四万二千円ぐらいだと聞いております。
  330. 岡田正勝

    岡田(正)委員 退職金はわかりませんか。——退職金の方はおわかりにならぬようでありますからそれは省きまして、もう一つお尋ねいたします。  年金と連動する問題であり、退職金と連動する問題でありますが、退職をするということになりましたら、二十年以上勤続しておれば特昇制度で文句なしに一号俸アップということになっておるのでしょうか。それから、国鉄では年金の支給制限はついておりますか、お尋ねいたします。
  331. 吉井浩

    ○吉井説明員 お答えいたします。  ただいまお尋ねの特昇制度につきましては、二十年以上退職で慫慂を受けて退職する場合には、そのような昇給制度をとっております。  それから所得制限のお尋ねでございますが、年金を受けました人が他に就職をいたしまして所得を受けた場合には、国家公務員と同様、課税所得六百万以上の場合には年金額のうち一定額を超えるものに対しては二分の一を限度、このような所得制限は三公社等しいものとして国家公務員に準じて行っております。
  332. 岡田正勝

    岡田(正)委員 一般行政職の方では支給制限というのはどうなっておりましょうか、お答えください。
  333. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 お答えいたします。  退職年金の受給者が退職後課税所得で年六百万円を超えます場合には、退職年金額の百二十万を超える部分について二分の一を支給停止するということにいたしております。
  334. 岡田正勝

    岡田(正)委員 時間がありませんので次に行きます。  五十七年度概算要求をしていらっしゃいます中に非常に珍しいものが出ておりますね。自賠責特会の方から補助をしたりというようなことが書いてありますが、これの問題につきまして、自賠責特会の経理の概況というのは一体どんなようになっているのだろうかということをお答えいただきたいと思います。
  335. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  自賠責特会の保険勘定の収支について御説明いたしますと、五十三年度におきましては六百五十八億円、五十四年度におきましては百七十五億円の利益を計上いたしております。五十五年度の予定額は百二十一億円でございますが、決算ではこれをかなり上回る見込みでございます。なお、五十六年度予算では七十一億円の利益を予定しているところでございます。  なお、保険勘定におきまして昭和五十五年度末現在で五千三百八十二億円の積立金を計上いたしておりますが、そのうち運用益の残の累計が二千九百五億円でございます。
  336. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、今度の五十七年度の概算要求の中で、百二十億円自賠責特会から持ち出しをすることになっており、その内容は、大都市の立体交差に対する補助が何ぼかある、それから踏切の保安施設の改善に無利子で融資をするということがあるのでありますが、その金額はおおむね見当がついておるのでありましょうか。     〔海部委員長代理退席、委員長着席〕
  337. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 お答えいたします。  大都市の立体交差を含めまして、無利子の貸付金でございますが、要求といたしましては約九十億円でございます。それから踏切の関係でございますが、国鉄の関係では三十億円、民営鉄道が約五億円ということでございます。
  338. 岡田正勝

    岡田(正)委員 この自賠責保険というのは、自動車を持ちました国民はすべて掛けなければならぬことになっておりますね。そこで、自動車の損害賠償保険で義務的に、強制的に掛けられておる保険が、赤字でどろまみれになった国鉄へ無利子で融資をするほど裕福な会計であるならば、私は自賠責保険料の値下げを断行すべきであると考えておるのでありますが、大臣の御意見はいかがでありますか。
  339. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 これは保険と申しましても、一年の短期保険でございますから、保険の原則に基づきまして、保険給付すべきものと保険料というものは絶えずバランスをとっていかなければならない。それがいわば毎年の積み重ねがございまして、その運用益が先ほど申しました二千九百億円たまっておる。その運用益がさらに益金を生むということになってまいっております。  そこで、お尋ねの、それじゃ運用益、積み立ててあるものを全部崩したら、こういう仰せだろうと思いますが、それはできることではございません。ただ、出てまいります運用益をどう使うかということは、これはまさに政策決定の問題ではないかと思うのでございます。  今回、自賠責の運用益、積立金の益金をもって踏切安全対策に使うということは、要するに、自動車の運行者にとりましての安全を期することに資するということでございまして、その方がベターではないか、こうわれわれは判断した次第です。  なお、その保険料なりあるいは給付内容、そちらにおける反対給付の還元をしたらどうだろう、こういう仰せでございますが、これをいたすのには、先ほど申しました保険の条件がまだ変更すべき状況ではないとわれわれは判断いたしておりまして、とりあえず踏切道の安全確保ということに使用することにいたしたということでございます。
  340. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは一つだけ確かめておきたいと思います。  いまのお答えによりますると、無利子の融資だけでありまして、補助というのはないと思っていいのですね。
  341. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 先ほど申し上げましたように、無利子の貸し付けが九十億、それから踏切保安施設につきましては、国鉄に関係いたしますものが三十億。これは補助金でございます。
  342. 岡田正勝

    岡田(正)委員 あと一つお尋ねをしておきます。  先ほどお尋ねいたしました年金の問題は、もうすでに五十五年で成熟度が七三%、六十年になったら一一六でありますから、これはもうパンク以上の状態でございますね。片や電電公社なんかの関係では一八%の成熟度という状態でありますが、こうも年金財政がパンク状態になったのではどうもならぬというので、年金の一本化という問題が先ごろから特別委員会でもいろいろと取りざたされておりますが、年金を一本化したらどうだというような御意見が出たら、運輸省としてはいかがでございますか。
  343. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 ありがとうございます。私の方は、一本化が出たらではなくして、一本化を早くやってほしいということをもう数年来お願いしておるようなことでございます。ところが、他の共済、特に電電さんなんかは、若い人が多いものでございますから成熟度が非常に低い。ましてや、成熟度の高い国鉄の貧乏神と一緒になろうということにはしてくれない。そこに問題がございます。  そこで私たちは、鋭意いま大蔵省が中心となってやっております共済年金制度基本問題研究会に再三再四結論を出してもらいたいということを要請しておるわけでございまして、この年金問題に不安を与えては合理化も十分に進まない、人員の削減ということをいま厳しくやっておる眼中でございますので、退職する人に不安感を持たせてはいかぬと思いまして、これは早急に解決してもらいたいと念願しておるところであります。
  344. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは運輸大臣に最後にお尋ねをいたします。  先ほどは貨物のことについてしぼってお尋ねをいたしましたけれども、もし臨調で、意見もいろいろと出ておるようでありますが、国鉄の民営化というような問題が出てまいりましたときに、大臣はどのように対応されますか。
  345. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 私は、そういう意見が広く国民の多くの方々から出ておることも承知いたしておりますが、しかし現実問題として処理する場合には、その民営論は直ちに採用すべきではないと思うております。  それはいろいろな理由はございましょう。がしかし、やはり根本的に考えなければならぬのは、国土の均衡ある発展の担い手として公共性を持たせてございますが、全国唯一の統一した交通機関として、やはり国が何らかの意味において関与を持っておらなければいかぬという、これが根本でございますし、また現実論として見ました場合に、先ほども仰せのように、十五兆円からの負債を抱え、そして六兆数千万円の赤字があり、現にそのうち五兆数百億円を大蔵省で利子を持ってもらっておる、たな上げしてもらっておるというような状況で、これをもし民営にいたします場合どう処理するか。これは国民経済の負担というものは大きいものになってくる。そこらの点がございます。そういうものをひっ構えての民営の引受手はないのではないか、こういうことが現実に起こってくると思うのです。それからもう一つ、民営にいたすにしましても、組合法関係を根本的に考えなければ民営に乗ってまいりません。  そこで、われわれがまず脅えておりますことは、民営に移行する一歩手前として、公社であって、しかも民営的な手法というものを入れていくということが大事なのではないか。そのためには、現在の国鉄を取り巻きますいろいろな法制並びに国鉄部内にありますところの規則というものを民営化の精神にのっとって改正していくということが私は当面現実的な解決ではないかと思うておる次第でございます。
  346. 岡田正勝

    岡田(正)委員 運輸大臣、国鉄総裁、ありがとうございました。  それでは大蔵大臣と行管庁長官にお尋ねをいたしますが、本日午前中に臨調圓城寺さん、それから土光さんがお越しになりまして、もっぱら圓城寺さんがお答えになったのでありますが、そのとき各委員から出ました問題で、行政改革をやるのに当たって増税ということは考えるべきではない、少なくとも財政再建期間中というものは考えるべきではない。それで中曽根長官の言葉を引用させていただきまして、増税を考えるなんということは、これはもう邪道ですよという御意見もあるのですが、圓城寺さん御意見いかがでしょうか、こう聞きましたら、圓城寺さんのお答えも全くそのとおりでありまして、答申の冒頭にも書いてあるように、増税なき財政再建、これを目指してわれわれは努力しているのだということをはっきりと言っていらっしゃいました。  そこで、その信念はいまでもお変わりないであろうかどうかということを中曽根長官の方から先にお答えいただきたいと思います。
  347. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 行政改革をやっているときに増税を考えるというようなことはなじまない、行政改革をやっているときに増税を考えるということは邪道である、こう言ったことはいまでも変わりません。
  348. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私も決して増税が好きで言っているわけではないわけでございます。もちろん行政改革で歳出カットができれば、増税の必要はなくて済むわけですから、まず歳出カットをする、抑制をするということで最大の努力をしてまいりたいと思います。
  349. 岡田正勝

    岡田(正)委員 では次に、今回出されております七項目、三十六法案の中で、特に国民の目を引く法律案が一つあるのですね。それは何かといいますと、どうも最後になりましていやなことをお尋ねするようでありますが、この提案をされました中に、内閣総理大臣等の給与の一部の返納という問題が出ておるのですね。それで公職選挙法に、寄付したからといって、それが違反にならぬようにしてもらおうではないかという関連の法案が出ておるのでございますが、これは国民が聞いても決して悪い感じのものではありません。非常にいい感じのものでございます。いい感じのものでございますからこそ私ははっきりしてもらいたいと思うので、以下お尋ねをするのであります。  まず、総理府の方にお善ねをしますが、国会議員の給与、俸給、それから大臣の給与とか俸給というものは、どういう法律でどこで決められておりますか。
  350. 熊澤二郎

    ○熊澤説明員 国会議員及び内閣総理大臣、国務大臣の給与はいかなる規定によって決められているのかというお尋ねかと思いますが、国会議員につきましては、国会法第三十五条という規定がございまして、そこにおきまして「一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける。」という規定がございます。さらに、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律というのがございまして、ここで規定されております。  内閣総理大臣及び国務大臣の給与でございますが、これにつきましては、特別職の職員の給与に関する法律というのがございまして、そこで規定されております。
  351. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そういう法律がありますのに、なぜわざわざ大臣が寄付するものについて公職選挙法に抵触しないことにしてもらいたいというような法律案をお出しになるのでしょうかね。これは本当を言ったら総理大臣にお尋ねをしなければいかぬのでありますが、都合があって出られませんので、中曽根行管庁長官に、大変御迷惑でしょうけれども、かわってお答えを願いたいと思うのです。  私ども考えるのは、ああ、いいものを出したなと思ったけれども、直観的にはそう思うが、よく考えると、さて何をしようとしているのかなというのがさっぱりわからぬのです。ですから、その期するものは何でしょうか、中身をちょっとお答えいただきたいと思うのです。
  352. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 法技術的なことでありますから、法制当局から答弁していただきます。
  353. 関守

    ○関(守)政府委員 いまの話は、特別職の給与法で書いてあることと、それから公職選挙法の改正との関係だと思いますが、この問題につきましては、公職選挙法による寄付の例外の問題ということで取り扱うという御方針でございまして、その関係でこういう形の法制になっておるわけでございます。つまり、特別職の給与法によります給与というものを寄付をするということについての法制でございますので、こういう形をとったということでございます。
  354. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、何を寄付するのでしょうかね。どのくらいのものを寄付するのでしょうかね。さっぱりわからぬのですよ。さっぱりわけがわからぬ。かっこうはいいですよ。
  355. 熊澤二郎

    ○熊澤説明員 今回の特例措置を設けました趣旨は、五十七年度から五十九年度までの間に内閣総理大臣または国務大臣の給与を引き上げるということもあり得るであろう、その場合においても、総理大臣または国務大臣の給与を一部返納することによりまして、実質的に給与凍結の効果をもたらすことができるようにして、そのことによりまして内閣総理大臣、国務大臣が行政改革を推進するに当たりましての姿勢を示そうという趣旨でございます。したがいまして、給与の引き上げがあった場合には、その分を返納しようという趣旨とわれわれ理解しております。
  356. 岡田正勝

    岡田(正)委員 いまお聞きをいたしましてちょっとびっくりしたのでありますが、まだ一般の公務員の給与法の改定も出ていませんね。一般の公務員の給与法の改定も出ていない段階において、昭和五十七年から五十八年、五十九年の三年間の再建期間中、総理大臣初め大臣の給与が引き上げられた場合、現状との差額を寄付する意思でございますと、ようやくその中身がわかったのです。一般の公務員ですらいまだに上がるやら上がらぬやらわからぬような答弁をしておいて、大臣のだけは上がることに決めておいて、上がったら寄付しますわいというのは、これは何ですか。一体何という姿勢ですか。余りかっこうばかりつけてもらっちゃ困りますよ。いま大臣がもらっておる、これはちゃんと別表第一があるでしょう。この別表第一の内閣総理大臣月額百五十五万円となっておるのをたとえば百万円にするとかいうのならわかりますよ。百五十五万円は据え置いておいて、いまもろうておるのは確保しておいて、今度上がるようになったら、その差額は返しますわい、それは選挙法の違反にせぬようにしてください、ちょっと国民が聞いたらびっくりするのじゃないでしょうか、このようなことしか考えてないのなら。しかも、この中身を読んでみますると、各人が幾ら出してもいい。いまたまたまあなたが説明したから、その上がったときの差額を寄付するのですというふうになったけれども、これはそれぞれの大臣が、幾ら寄付しようかな、やめておこうかな、それは自由になっておるじゃないですか。自由でしょう。強制じゃないでしょう。一律に大臣はベースアップ分を全部返却すべしということを書いているのじゃない。何ぼ出すやらわからぬ、出さぬやらわからぬ、出したときには違反にせぬといてくれ、こう言うのですからね。こんなわけのわからぬことをお書きになって、いかにも国民に、隗より始めよ、総理大臣初め各大臣が先頭切ってやっておるというような見せかけだけをつくることだけはやめてもらいたい。私はこの提案は引っ込めてもらいたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  357. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 国務大臣がまずその自粛の先頭を切ってやるというのは、やはり御政道の趣旨である、そうわれわれ思っております。したがって、それをどういうふうに具体化するかという点については、法技術的にいろいろ法制局を中心に検討していただきまして、それで、将来ベースアップがあった分はそれは凍結する、そういう方針をこのように法技術的にまとめていただいたのであって、われわれの意思は、あくまで国民皆様方に対してわれわれの誠意を先にお示ししたい、そういう意味であります。そしてその際に、寄付ということでありますから、これは当然自由意思ということになりますが、その辺は内閣は一体でありますから、あうんの呼吸で一致していける、これは当然のことであります。
  358. 岡田正勝

    岡田(正)委員 時間が過ぎましたので、これをもって終わらせていただきますが、私は最後に希望しておきます。  中曽根長官のおっしゃることもわからぬではありませんけれども、しかしまじめな純真な国民財政再建のこの法律案を読み取るときに、せっかく好意的に見てくれたものが、中身をはがしてみれば、別にベースアップ分を凍結とも書いてないのですよ。そして幾ら出すとも書いてないのですよ。出さぬ人があっても関係はないということになっているのですよ。出すかもわからぬ、出さぬかもわからぬ、幾ら出すかもわからぬ、全然出さぬかもわからぬ、そういうようなわけのわからぬような法律案なんか出さなくたって、明瞭にそれをやる意思があるのなら、向こう三カ年間の財政再建期間中は、歳費の値上げ、大臣の俸給の値上げは一切行わないものとするとはっきりただし書きをつけても結構じゃありませんか。むしろ私は、そういうはっきりした形をもって国民に示すのなら、隗より始めよというのをなるほど鈴木さん以下みんなやったなと思ってくれるでしょうが、これじゃごまかしです。国民に対するごまかしだけはやめてもらいたい。それだけを希望して終わります。
  359. 金丸信

    金丸委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  四ツ谷光子君。
  360. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 まず最初に、行政管理庁長官にお尋ねしたいと思います。  このたびの第二次臨時行政調査会土光さん以下九名の委員がいらっしゃいますが、どういうわけか婦人の委員が一名も含まれておりません。その理由について長官からお聞きをしたいと思います。
  361. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 第一次臨調の構成員は七名でございました。そのときには、残念ながら婦人は入っておりません。七人ということで、少なかったから入る余地もなかったのかもしれません。その後、最近の大きな事態の変動に伴いまして九人にふやしました。そのときに、労働関係からお一人、それから地方団体関係からお一人というふうにいたしまして、この時代の趨勢に合致するように、またそういう一番御意見が熾烈に出てくる分野の方々の御意見を入れる必要があるというので、労働関係及び地方団体から選んだということでございます。ただし、普通の専門委員の中には、御婦人の方もお入りいただいております。
  362. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ただいま長官は、労働問題と地方行政、これは新しい時代の趨勢だ、こうおっしゃいましたね。そういたしますと、婦人を入れるということは、時代の趨勢ではないのですかどうですか、その辺をはっきりお答え願いたい。  もう一つ、専門委員及び参与の中にいらっしゃることは確かでございます。しかし私は、そのことを言っているのではありません。一番大事な九名の委員の中に婦人を一名も含めておかないで、そして婦人のおらないということと時代の趨勢の問題を長官はどのようにお考えですか。
  363. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 婦人は国民の半分以上の数を占めているわけでございますから、もとよりわれわれは重視しておりますし、婦人の気持ちになってわれわれもやっておるつもりであります。しかし、この第二臨調をつくりますについて、この前のときと著しく違ったということは、地方関係が入ってきているということであります。それからもう一つは、労働界から熾烈な御要望がございまして、総評系からお一人お入りになっておるが、同盟系からも一人ぜひ入れろ、そういう具体的な強い御要望もございました。政策推進労組会議の方からも強い御要望がございまして、そういう直接的、具体的御要望、これを満たすことが適当であると考えました。御婦人の問題は、第一次臨調のときも、また今日第二臨調のときも依然非常に重大な問題であるということは変わっておりません。
  364. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 長官、婦人問題企画推進本部が出しております「婦人に関する施策の推進のための「国内行動計画」後期重点目標」というのは、これは内閣で決めておられるから御存じだと思いますけれども、その中で、「政策決定への婦人の参加の促進」という項があるのですよ。御存じでしょうか。いかがですか。長官、御存じですか。
  365. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 残念ながらその文書を読んでおりません。
  366. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そうでしょう。だから、先ほど婦人の問題は人口の半分を占めているなどと言いながら、婦人の問題はきわめて大事だと言いながら、そういうことが入っていない。こういうことなんですが、次に総理府にお聞きしたいと思います。  総理府は、私がいま長官にお示しいたしましたこの中身について、本部長は総理ですけれども、これを積極的に進めていくのは総理府の長官が責任を持っていらっしゃるわけです。そういたしますと、総理府はこの中身をよく知っているわけですね。各種委員会審議会、懇談会、こういうものに一〇%の婦人を入れるということを明記しています。それから「婦人委員のいない審議会等の解消に努力する。」というふうにも書いているところがあるのです。  それで総理府にお聞きしたいのですけれども、総理府は、今度のこの臨調で九名の委員を選ばれるに当たりまして、この運動を推進をしていくという立場から、ぜひ婦人を入れるようにというふうなことを建議したでしょうか、どうですか。
  367. 柴田知子

    ○柴田説明員 ただいま先生御指摘の婦人の政策決定への参加の促進につきましては、国内行動計画後半期におきましても重点目標の一つといたしております。前半期に引き続き、その促進を図っていくということにいたしております。  本年はこの後半期の第一年目に当たるということもございまして、私どもといたしましては、全省庁におきまして具体的に推進していただきますように、個々の審議会等の委員の任命の際に婦人委員の登用に一層御努力をお願いいたしております。これからもその方針で一層進めてまいりたいと思っております。
  368. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いま各省庁にお願いをしていますなどとおっしゃいましたけれども、この政府が進めようとしているいわゆる行政改革臨調答申の内容といいますのは、国民の生活全般にかかわって非常に重大な問題をたくさん含んでいるわけです。そういうふうな、国民生活に影響を与えるようなこの大事な臨調の九人のメンバーの中に積極的に婦人を入れるようにというふうな運動もしていないということで、総理府自身がこういうふうな方針をつくって、各地方自治体にもそういうことをやらせると言いながら、はっきりと一番大事なところでやっていないということがそもそもこの臨調答申の中身が一体どんなものか——先ほど長官がおっしゃった婦人は大事だけれどもというふうな、「ども」がつく中にこの臨調の中身がよくわかっているじゃありませんか。  婦人たちの願いはどんなことでしょう。税金を上げないで、物価を上げないで暮らしやすくしてほしいとか、保育所をもっと建ててほしいとか、教育をもっと充実してほしいとか、そういう婦人の願いが、この臨調答申の中に一体どこに書かれているのですか。そういうふうな中身だかちこそ、長官のその姿勢を見れば、一体この臨調が何をねらっているのかというのがよくわかるじゃありませんか。婦人は戦争に反対です。ところが、軍事費をどんどんふやしていくとか、大企業にだけ大もうけをさすというふうな、そういう偏ったことを考えている一部の男性のための臨調答申になっているじゃありませんか、皆さん。  長官、だから私は、こういうふうな中身につきまして、こういう状況の中で、一方では婦人の差別撤廃条約、これはもう二十数カ国で批准が行われました。そして国連では正式に発効しているわけです。わが国でも、この批准には積極的にもっと早くしてほしいと早期の批准を要求する世論が一層高まっているわけです。政府としては、こういうふうな状況の中で一九八五年、いわゆる国連婦人の十年が終わるそのときまでに、関係国内法を改正整備して批准ができる態勢があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  369. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 戦争に反対するとか子供を大事にするとかという願いは、女性だけの願いじゃなくて、われわれ男性も熾烈に願っておるところで、男女を超越した願いで、社会党の議員の皆さんはここでもう大声叱咤して、われわれをそれで激励されておられるのです。ですから、そういう点は御心配の必要はないと私は思います。今後とも、男女を超越した大事な問題として、われわれは処理してまいるつもりであります。
  370. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いまの私の質問に答えておられませんね。批准はいつできるかということです。
  371. 柴田知子

    ○柴田説明員 お答えいたします。  婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約につきましては、すでに先生が御指摘のとおり、本年九月三日に発効いたしました。  推進本部といたしましては、去る五月十五日に「婦人に関する施策の推進のための「国内行動計画」後期重点目標」において、その「批准のため国内法制等諸条件の整備に努める」ことを重点課題といたしております。  このような状況にかんがみまして、関係各省庁の間で連絡調整を密にいたしまして、批准のための諸条件の整備に一層努めてまいりたいと考えております。
  372. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 政府は、昨年デンマークでの世界会議で、大変りっぱなメッセージを国際的に送っておられます。これは内閣総理大臣臨時代理名のメッセージですけれども、大変りっぱなメッセージが送られているのですが、全文読んでおりますと時間がありませんので、そのうちの一部ですけれども、「本条約の批准に向けて国内諸条件の整備に積極的に取り組むことといたしております。」こういうくだりがございます。  「国内諸条件の整備」といいますのは、たとえば国籍法の問題だとか、それから男女雇用平等法をちゃんとしていくとか、そういう法制上の問題とあわせて、保育所の充実等々、働く婦人が安心して働くことのできるような社会保障のそうした制度、こういうものを充実をさせていかなければならない、こういうふうに考えるわけですけれども厚生省はその点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  373. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 ただいま四ツ谷委員御指摘の保育所の問題でございますが、現在わが国では三千二百七十九の市町村がございますが、保育所を設置しておりません市町村は百三十六程度でございまして、おおよそ二百万人の児童を対象にいたしております。  私しどもといたしましては、現在の保育所の充実状況から見まして、今後人口急増地域についてはなお整備を図る必要があると考えておりますが、おおむね整備は進んでいるもの、かように承知をしております。
  374. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ただいまの厚生省お答えは、これまた私の質問には答えていない。  保育所の問題だけではありませんね。国内整備に当たって保育所等と言ったんですよ。そうした社会保障の問題についてどのように考えているのかということを御質問したのですが、もうちょっとちゃんと答えていただきたいと思います。簡単でいいですから。
  375. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 婦人差別撤廃条約に関連いたしまして、私ども厚生省サイドでは特に問題はないものと承知をいたしております。
  376. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 厚生省も、この問題推進本部が出しているいろいろな重点項目がありますね。これをちゃんと見ているんですか。厚生省は問題がありませんなんて、そんなことは言えた義理ではありませんよ、この中身を見ると。  さて、労働大臣に来ていただいておりますので、この国内の整備の問題の中で、とりわけ法制的な問題といたしまして男女雇用平等法、これは制定を非常に急がれているわけなんですけれども、大臣、現在どのような順番で進んでおりますでしょうか、お答え願いたいと思います。
  377. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 お答えをいたします。  私どもの方では、御案内のとおり、婦人平等問題専門家会議というものを設けておりまして、これが五十六年度末までに具体的な男女雇用の平等に関していろいろな問題を審議をいたしております。したがいまして、来年の三月までの間に確実に男女の雇用に関する平等が貫徹をするための具体的な条件を整備をいたしたい、かように考えております。
  378. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ところが、この本委員会で今日までの審議をつぶさに聞いてみますと、政府がいま進めようとしている、臨調答申に基づいてやろうとしている中身が、差別撤廃条約の目指しているところの基本理念、これとは全く逆の方向である、そのことを私はここで指摘をしたいと思うのです。男女が本当に差別なく、この社会でそれぞれの能力を遺憾なく発揮して平等に参加をし、発展に努力をしていく、そういうふうな真の男女平等の実現のためには、まず根本に婦人があらゆるところで差別を受けない。そのためには、社会福祉の充実など基本的な条件がなおざりにされておったのでは本当の男女平等は実現をしない。こういうことは差別撤廃条約の条文の中にも書かれております。  ところが、先ほど厚生省は、保育所問題あるいはこの差別撤廃条約について厚生省としては余り問題がないなどというふうなことをおっしゃいましたけれども、この臨調の中で保育所の問題がどのようになっているか。ところが、これは臨調でいまから始まったわけじゃないわけです。昭和五十二年から所得税の減税が見送られました。勤労者の名目所得は年々上昇し、そのため保育料が年々上がっています。保育料が上がるということは、保育所に行かせにくいということをあらわしているわけです。昭和五十二年から五十六年、入所児童数全体が十五万人しかふえていないのに、保育料の高いD階層は倍の三十万にもなっている、こういうことなんです。  それからもう一つ、児童手当について言ってみますと、昭和五十二年の支給率が九二・五%、五十六年度が七九・五%とダウンをしています。しかも、臨調の一次答申では、自営業者の子供とサラリーマンの子供に差別を持ち込んで、所得制限を四百五十万から三百九十一万にし、国庫支出の対象児童を十四万人も切り捨てる。この保育所の問題と児童手当の問題を見ても、いかに臨調答申の中身がこれらの子供たちに対して冷たくなっているか。まさに福祉の後退が実質的な男女平等を実現していくその基礎的条件を取り崩しているのがこの臨調答申の中身であり、いま長官が、政府が一生懸命進めようとしている行政改革の中身だということがはっきりするではありませんか。  ところで、労働大臣にさらにお聞きをしたいのですけれども、この推進本部が後期重点目標として掲げています中に「雇用における男女の機会の均等と待遇の平等の促進」ということでいろいろな点を含めています。先ほど労働大臣は、男女雇用平等法の制定に向かって逐次準備を進めている、こういうふうにおっしゃいましたけれども、その中身、働きやすくするためには、労働環境をよくするためには保育所を充実していかなければならないとか、あるいは男女間での賃金差をなくしていくとか、パートタイマーの方をどうしていくのかというふうな根本的な問題がいろいろここに書かれているわけですけれども、いま進められようとしている臨調答申の中身は、先ほど私が指摘をしましたように、社会福祉を基礎的なところで取り崩そうとしているわけでございます。これでは、幾ら労働省がこれに基づいて一生懸命に目標を掲げて、男女の機会均等と待遇の平等の促進を進めようと思っても、できないのではないでしょうか。大臣、それについてお答え願いたいと思います。
  379. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 お答えをいたします。  私は労働大臣でございますから、私の所管の中におきまして不都合なことが他の委員会審議会で進められるというようなことがもしここにあると仮定をいたしましたならば、私どもはそういうことのないように進めていくというのが職務でございますから、さように私の信念に準じて私ども仕事を進めてまいります。御安心を願いたいと思います。
  380. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いま労働大臣は御安心を願いたいなどとおっしゃいましたけれども、私は、一番先に長官が、婦人の問題は大事だけれども九名の委員から外している、それからこの中身の問題についてもほとんど何も御存じないというふうなことからいいまして、この臨調答申の中身が労働大臣がおっしゃるように安心ができない。もう現に足元から、この間からの審議を見ていると、保育所の問題にしろ児童手当の問題にしろどんどんと取り崩されている中で、大臣の御安心願いたいというふうなことは決して安心できない。まさに臨調答申の示すところは、婦人の願っているところと全く相入れない方向である、こういうことを強く指摘しておきたい、このように思います。  そして、次の質問に移りたいと思いますが、次は、臨調の第一次答申では、公庫、公団、事業団等について貸付金利の法定制の弾力化、金利を含めた貸付条件の見直しを行うことになっています。現在審議中の一括処理法案では、政府金融機関の金利の弾力化が盛り込まれて、国民の住宅建設のための利子負担などが引き上げられようとしている。この問題を見ても、国民の方に負担のしわ寄せが出てきているということが明らかなんですけれども、一方、大企業向けの補助金の方は一体どうなっているのか、これは非常に重大な問題だと思うのです。  たとえば鉄建公団が行っております民鉄工事に対して、事業が開始されました一九七二年、昭和四十七年以降ですね、八〇年までに国及び地方自治体よりおのおの幾らの利子補給がなされたのか。これを運輸省から御提出いただきました資料で見てみますと、七二年から八〇年にかけて国から六十三億です。地方自治体も国分と同額を負担している、こういうふうに明示されていますから、同じ六十三億が出されておって、支給合計が百二十六億になります。さらに五十六年度は十七億円、五十七年度も、概算要求も十七億円が国から支給されることになっている。至れり尽くせり、ちゃんと出しておられるわけです。  また一方で、ここに日本鉄建公団の十年史というのがございますが、その中に、鉄建公団の資料によりますと「民鉄線の建設または大改良工事は、公団と民鉄との間で締結した「建設および譲渡・引渡し基本協定書」に基づいて、民鉄に全面的に工事施行を委託している」こういうふうに書いてありまして、しかも、こちら側には非常に詳しいことが書いてあるわけです。「建設および譲渡・引渡し基本協定書」に基づいて工事施行を民鉄に全面的に委託をするだけではなくて、工事の詳細設計それから工事予定価格の算出、さらに入札や請負会社の契約まで民鉄会社に委託することがこの十年史の中に明らかにされておりますけれども、そのとおりですか。  先ほど私がお聞きをいたしました地方自治体及び国からの支給金額、五十六年度、五十七年度も含めて金額に間違いがないか。それから、この鉄建公団の資料のとおりに、鉄建公団が民鉄線を工事するときにはこういうふうになっているのか、そこのところを確認したいと思います。
  381. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 補助金の金額でございますが、国の補助金の金額はいま先生おっしゃいましたような金額でございます。大体これと同じ金額が地方から出ているというふうに聞いております。  それから、鉄建公団と私鉄業者との間の契約その他は、いま先生おっしゃいましたような詳細な契約を結んでおる次第でございます。
  382. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ところが、すでに知られていますように、鉄建公団は、五十四年の十二月の閣議決定でほかとの統合等を図ることが決まっております。利子補給や財投資金を私鉄各社に流し込むためのトンネルの役割りを鉄建公団がしている、これしか言いようがないような形にはっきりしているわけなんです。そうしますと、鉄建公団の民鉄工事の取り扱いをどうするのか、これが第一の問題点。  それから、行政改革を進める上で、長官は国民に等しく痛みを分け合ってもらいたい、こういうふうに口ぐせのようにおっしゃっておりますね。ところが、国民の方だけどうも痛みを分け合っているのではないだろうかというふうな感じが、これを見てもするわけですけれども国民から、大企業向けの補助金の廃止、縮小、これについてはやはり強い期待が寄せられているわけでございます。この利子補給制度の対象となっているのは、大手私鉄及びその子会社と別会社なんですけれども、この問題を言いますと、大手私鉄は、鉄建公団による民鉄線の建設工事はいずれも巨額の建設費を要し、民鉄会社の努力のみではとうてい負担し切れない工事である、こういうふうによくおっしゃるわけなんです。これはきわめて虫のいい話だと言わなければならないと思います。といいますのは、運輸省が提出をされました資料によりますと、昭和五十四年度に鉄建公団工事を実施した大手私鉄六社の公団による事業費は合計四十四億円になっております。  一方、この六社が同じ年度に行った設備投資額は全体で千三百六十億円、これは有価証券報告書に出ている金額ですけれども、これで計算をいたしますと、鉄建公団による工事費の割合はわずかに三・二%にすぎないわけなんです。千三百億円以上もの、これだけの資金を調達できるような能力を持っている大企業が、その三十分の一にしかすぎない四十四億円のお金を調達できないというようなことはないと私は考えます。それで、金額が比較的多かった五十三年度でも百四十二億円、約一割になっているわけです。私鉄は運賃の値上げを申請されるときには公共的使命を云々されるわけです。公共的使命を自称する大手私鉄が輸送力改善のために設備投資を行うことはきわめて当然のことではありますけれども、先ほど私が指摘しましたような数字からいいますと、十分に自力で賄うことができるではありませんか。行政改革の名前で国民に大変な負担と犠牲を求めようというこのときに、このような大企業への補助金を放置しておいてよいものかどうか。国民は非常にここのところを注目をしております。抜本的な見直しをするのが当然だと私は考えるわけですけれども、これに対しましての行管庁長官と運輸大臣の御答弁を求めたいと思います。
  383. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 民鉄に対する助成が日本鉄建公団を通じて新線建設の場合行われておることは御承知のとおりでございます。  まず私から申し上げたいと思いますのは、鉄道建設というものは、初期投資においては膨大な投資が必要であるのに対し、利益の回収というものがなかなかしにくい事業である。でございますから、ただ単に民鉄だけじゃございませんで、国鉄等につきましては、いわば線増並びに新設につきましては、やはり国は多額の援助をしておるわけでございます。それはなぜかと申しましたら、一つは、資金調達の面からくる理由でございますし、それからもう一つは、運賃の計算上有利にしよう、運賃政策を有利にしたいというこちらの配慮があるということでございます。  それと同時に、民鉄の場合はさらにインセンティブをつけてそこに鉄道を引かしめ、地価対策上住宅開発という使命を同時に負わしていこう、こういう多目的でもってやられておるものでございます。でございますから、これは単に大企業に対する単なる補助、いわゆる経営補助的な意味とは全く違うということは御理解していただけると思います。  現在行っております方式につきましては、先ほど鉄道監督局長が答えたような次第でございますが、しかしこれとてもただ単に鉄建公団がトンネルとしてこの補助金を支給しておるのではなくして、鉄建公団と協議をいたしましたその結果、運輸省鉄道監督局が技術的に可能かどうか、そして技術的な正確な投資であるかどうかということを確認した上で支給しておるものでございまして、ただ単にトンネルとしてこの制度を活用しているというものではございません。  それからなお、この鉄建公団のこれからの補助のあり方ということでございますが、私は、鉄建公団がいかなる状態にこれからなるか、いわば行政改革の一環として青函トンネルの本体工事が完了した場合、そして上越新幹線が開通した暁において、他との統合等を図る等の合理化をしろ、こういうことがうたわれておることは承知いたしております。でございますけれども、民鉄、特に大都市交通線の新しい建設と通勤者の足の利便を図るという点から申しまして、この制度、すなわち民鉄の新線建設に対するインセンティブを持たすこの制度というものはやはり存続すべきものである、こういう方針で臨んでおるところであります。
  384. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大衆のための通勤線確保の政策でございますから、私は適切であると思います。
  385. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 これで私の質問は終わらしていただきたいと思いますけれども国民に等しく痛みを分け合うのが今度の行政改革だと長官は常におっしゃっていますけれども、それならば、こういうふうな大企業に対する補助金についても当然見直していってしかるべきだ、そういうふうに私は強調して、質問を終わらしていただきます。
  386. 金丸信

    金丸委員長 これにて四ツ谷君の質疑は終了いたしました。  小杉隆君。
  387. 小杉隆

    小杉委員 たびたびこの委員会で議論が出たことで確認の意味でお聞きしたいのですが、増税なき財政再建は、五十七年度だけではなくて、五十八年度、五十九年度ずっと考えていくべきだと思っておりますが、中曽根長官並びに大蔵大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕
  388. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 再度申し上げますように、行政改革をやっているときに増税の誘惑に駆られてはいかぬ、そういう信念で邁進していくつもりであります。
  389. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 極力御趣旨のような線で努力をいたします。
  390. 小杉隆

    小杉委員 増税をしない、それから国債も減らすということになれば、こうしてこの財政再建を図っていくためには行政改革以外に方法がないわけでございます。  そこで、大蔵大臣に伺いますが、「財政の中期展望」によりますと、要調整額は五十七年度二兆七千七百億円、五十八年度四兆九千六百億円、五十九年度六兆八千億円となっておりますが、仮に五十七年度もし二兆七千七百億円の調整ができたとすれば、五十八年度と五十九年度の要調整額は、五十七年度ベースで考えますと、二兆一千九百億円、一兆八千四百億円と、それぞれその差額を考えれば大体いいのではないかと思いますが、それに間違いないでしょうか。
  391. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私も一時そう思ったんですが、なかなかそう簡単にはいかないようでございます。と申しますのは、五十七年度の予算がどういうように組まれるか、その中身によって後年度の負担が違ってまいりますから調整額も違ってくる。したがって、五十七年度の予算が編成をされてみないと、八年、九年の、たとえば推計で後年度負担経費を出すにしても、その土台がわからなければわからないということでございます。
  392. 小杉隆

    小杉委員 どういう要因が一番そういう単純にいかない要素なのか。これは大蔵大臣が答弁できなければ事務当局で結構だと思うのですが、どうして単純にはいかないというその辺をもう少し説明してもらいたいと思います。
  393. 窪田弘

    ○窪田政府委員 いまの中期展望は、現在の制度がそのままであるとしてそれを単純に延長したものでございますから、経済の情勢いかんによって税収も変わってまいりますし、それから五十七年度予算において経費の節減その他仕組みの変更等がございますれば、その先のまた増加状況というのも変わってまいるわけでございますから、五十七年度予算ができた段階でもう一遍見直す必要があるわけでございます。
  394. 小杉隆

    小杉委員 最終的には税収その他の情勢も考えてみないとわからないということでしょうけれども、五十七年度、来年度だって第二次の答申が出るし、また第三次の答申が五十八年度に出るということで、行政改革がどんどん進んでいく中でむしろ節減効果というのが増すという要素もあるわけですね。ですから私は、五十七年度ベースで考えて多少のでこぼこはありましても、先ほど申し上げた要調整額の大体二兆円前後でそんなに大きな変動がないんじゃないかというふうに考えますと、これは五十七年度でやったゼロシーリングというやり方を五十八年度も五十九年度も続けていけば、何とか増税をしないであるいは国債を増発しないで乗り切っていけるのではないかというふうに考えるわけですが、この辺お答えいただきたいと思います。
  395. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は先ほど経費の面、歳出面を言いましたが、歳入面についても二%の名目成長がずっと続くかどうかというようなことは、そのときになってみないとなかなかわからない。したがいまして、収入がふえれば要調整はもっと減っちゃうし、収入が減れば要調整はもう少し広がる。広がる分だけさらに切り込みができるかどうか、これもまず五十七年のやつをつくってみないことにはわからないわけでございます。     〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕
  396. 小杉隆

    小杉委員 きょうは経済企画庁長官がどうしても所用で来られないということなんで事務当局に伺いますが、先日来の議論の中で経済企画庁長官は、五十七年度にゼロシーリングをやったとしても、日本経済規模から考えて、国間の経済活力を失わないで何とか予定した税収も得られるだろうという見通しを語っておられましたが、仮に五十八年度、五十九年度もゼロシーリングというようなやり方でやっていった場合に、日本経済の活力というものを損なわずにできると考えていいかどうか。
  397. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 いまの御質問でございますが、五十八年度、五十九年度につきましてはまだ何の方針も決まっておるわけでございませんので、お答えするのは非常にむずかしいわけでございますが、一般論として申しますれば、歳出規模の圧縮ということによって公共部門が抑制されることによる景気その他のマイナス要因があることは事実でございますが、他方、歳出がカットされますことによって国債の増発等が抑えられ、それが公共部門を縮小して、そのことによって民間部門の活力が増されるという面があることは確かでございますので、基本的には、先般来大臣が答えておりますように、民間の活力を維持することによって景気を維持していきたいという基本的姿勢は変わりはございません。
  398. 小杉隆

    小杉委員 私どもは、今回のこの一括法案というのは行政改革の本当の氷山の一角でしかないと思うのですね。これが第二、第三の本格的な答申があって初めて行政改革の名に値するものができるというふうに私は考えております。  そこで、来年度第三次答申、再来年に第三次答申が出されるわけで、これから本当に実のある行政改革をやっていくためには、やはり目標というものを設けていかなければいけない。そのためには五十七年度だけではなくて五十八年度も五十九年度もとにかく増税をしない、あるいは国債も増発しないという五十七年度と同じ考え方で抑え込んでいく、その上限を設定するということが私は大事だと思うのですね。日本人は目標民族と言われておりますように、何か目標といいますか上限がないと、いろいろな変動を理由にしてまたなし崩しに行政改革が崩されてしまうという懸念がありますので、ぜひひとつ三年間は増税をしないという形で、その分は第二次、第三次の本格的な行政改革の中で生み出すのだという一つの気魄でやってもらいたいと思うのですが、中曽根長官の見解を伺っておきたいと思います。
  399. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その目標に向かって、全力で努力をいたします。
  400. 小杉隆

    小杉委員 私どもは、行政改革を進めるに当たって立法府や司法府も聖域扱いにしてはならないという考えでございます。私たちは、むしろ国会議員がみずから自分たちの特権を見直すという姿勢こそ国民に対して痛みを分け合おうじゃないかという説得力も生まれてくるという見地から、具体的にさまざまな提案をしております。時間の関係でそれを一々読み上げることはいたしませんが、そういうことから考えますと、いまの国会の経費にしてもあるいは司法府の経費にしても見直すべき点が多々あるように私は思います。  そこで大蔵大臣に伺いますが、五十七年度の議会の予算もあるいは司法の予算も、ほかの予算と同じようにゼロシーリングで概算要求をさせているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  401. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 特別機関である国会及び裁判所の概算要求につきましては、去る六月五日の閣議了解に基づき、内閣から一般行政官庁と同様のゼロシーリング枠にとどめるよう要請をしてまいりました。しかし、国会については、五十六年度において国立国会図書館別館の新営工事に着手しているため、最終的には要求枠を上回る概算要求となっております。また、裁判所については、現在建築中である東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の建築費について、昭和五十六年度国庫債務負担行為の五十七年度歳出化の額が五十六年度予算を上回るため、要求枠を上回る概算要求となっております。  なお、特別機関の予算要求については、もちろん聖域ではありませんが、特別機関という特別な立場を尊重し、十分意見調整を行って、特別機関の合意を得た上で予算を作成したい。  ちなみに、国会のシーリング超過枠は二十八億円、裁判所のシーリング超過枠は二十一億円強であります。
  402. 小杉隆

    小杉委員 本来ゼロシーリングというのは、新しく事業を始めていままでよりも予算がよけいかかるという面と、もうすでに仕事が終わって減る分と、それを相殺してゼロになるという考え方だと思うのですよね。ですから、国会図書館とか高等・簡易裁判所ですか、こういったものも、そういうふうな考え方からすると、それがあるから例外で、ゼロシーリングにならないというのはちょっとどうかと私は思うのですね。  それで、いままで立法府や司法府の予算を査定する場合に、特別機関ということで聖域扱いをして、余り手をつけないというふうな慣行があるように私は聞いております。私どもももちろん自分みずからの努力もありますけれども、いまの世論のこういった問題に対する厳しさを考えますと、予算を総合的に扱っている大蔵大臣という立場でも、やはりこの問題は、単に自発性にまつという姿勢だけでいいのだろうかというふうに考えまして、これは大変お答えにくいと思いますが、大蔵大臣のお考えも聞き、またあわせて行管庁長官の見解も聞いて終わりたいと思います。
  403. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 法制上はいろいろございましょうけれども、こういう御時世でもございますから、特別機関といえども積極的に協力要請をして、厳正な査定を行いたい、さように考えております。
  404. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 各特別機関の自発的な、積極的な御協力を期待しております。
  405. 小杉隆

    小杉委員 終わります。
  406. 金丸信

    金丸委員長 これにて小杉君の質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会   〔本号(その一)参照〕     —————————————    派遣委員の宮城県における意見聴取に    関する記録 一、期日    昭和五十六年十月二十三日(金) 二、場所    仙台合同庁舎八階講堂 三、意見を聴取した問題    行政改革を推進するため当面講ずべき措置    の一環としての国の補助金等縮減その他    の臨時特例措置に関する法律案について 四、出席者  (1) 派遣委員    座長 金丸  信君       小渕 恵三君    竹下  登君       沢田  広君    山口 鶴男君       正木 良明君    岡田 正勝君       小杉  隆君  (2) 現地参加委員       三塚  博君  (3) 現地参加議員       戸田 菊雄君  (4) 政府出席者         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         管理局管理官  八木 俊道君         大蔵省主計局法         規課長     角谷 正彦君  (4) 意見陳述者         東北経済連合会         副会長     宮脇 参三君         小牛田町長   栗村 和夫君         宮城県農業協同         組合中央会会長 木村 秀寿君         岩手大学人文社         会科学部教授  河越 重任君         仙台経済同友会         代表幹事    藤崎三郎助君         宮城地方同盟書         記長      遠藤 正之君      ————◇—————     午前十時開議
  407. 金丸信

    金丸座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院行財政改革に関する特別委員長金丸信でございます。  私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願い申し上げます。  この際、私から、派遣委員を代表して、一言ごあいさつを申し上げます。  皆様御承知のとおり、ただいま本委員会におきましては、現下の急務とされております行財政改革の推進を図ろうとする行財政改革関連特例法案の審査を行っているところであります。  当委員会といたしましては、本法案の審査に当たりまして、国民各層から意見を聴取するため、福岡市と御当地におきまして、この会議を催し、各界の代表の方々から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。  御意見をお述べいただく方々には、御多忙中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。  まず、この会議の運営について申し上げます。  会議の議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持は、座長であります私が行うことといたします。発言をなさる方々は、必ず座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。  なお、この会議におきましては、御意見を陳述される方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。  最初に、意見陳述者各位から御意見をそれぞれ十五分程度に順次お述べいただいた後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、本日の出席委員及び意見陳述者の御紹介を申し上げます。  出席委員は、自由民主党の小渕恵三君、三塚博君、竹下登君、日本社会党の山口鶴男君、沢田広君、公明党・国民会議の正木良明君、民社党・国民連合の岡田正勝君、新自由クラブ・民主連合の小杉隆君、以上であります。なお、現地参加議員として、戸田菊雄君が出席されております。  次に、各界を代表して意見を述べていただく方方を御紹介申し上げます。  東北経済連合会副会長宮脇参三君、小牛田町長栗村和夫君、宮城県農業協同組合中央会会長木村秀寿君、岩手大学人文社会科学部教授河越重任君、仙台経済同友会代表幹事藤崎三郎助君、宮城地方同盟書記長遠藤正之君、以上の方々でございます。  それでは、宮脇参三君からお願いいたします。
  408. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 私は・東北経済連合会の副会長をいたしております宮脇でございます。本日は、国会の場で行財政改革審議しておられまする先生方に発言の機会を与えられましたので、これに賛成する立場意見を申し上げます。  行財政改革は、いまや国民各層各界を通じまして大きな世論となっておりまして、直ちにこれを実行に移し、将来の国民経済の安定を図ることは、現下の急務であります。  先般発表されました第二臨調の第一次答申は、昭和五十七年度に緊急に着手すべきものに重点を置いたもののみで、行財政改革の基本的問題につきましては、逐次結論を得てその成果を提出していきたいと述べておられます。  さて、私は最初に基本的なことを二つ御提案申し上げ、次いで具体的事項につきまして東北地方の実情も申し上げ、御臨席の先生方の御支援をお願いする次第でございます。  第一は、行財政改革財政再建という大きな仕事が、ゼロシーリングという公共投資予算抑制のみで打ち上げ花火的なことに終わることを憂慮いたすものでございます。こういう大事業は、何年がかりでも所期の目的達成のために努力すべきものと考えます。  もちろん、反対意見も、総論賛成、各論反対の意見もありましょうが、そういったことは長い時間をかけて乗り越えていくべきものであります。このため、行財政改革を根気よくフォローアップする必要があります。最終目標を達成するために、官民挙げての強力な監視体制が必要でございます。  第二に申し上げたいのは、この行財政改革財政再建を進めるに当たりまして、二十一世紀に向かっての日本の国土開発、国際的な日本経済の位置づけに十二分な配慮をした上で諸計画を立てることであります。すなわち、国土開発の方向性の明確化が必要であります。  二十一世紀に向かっての国土開発の指針といたしましては、三全総及び東北開発促進計画を初め、各地方の開発計画がございます。これらの計画を実現することによって初めて日本国土の均衡ある発展が進み、国際的にも日本経済力の位置づけが強化されていくものだと考えます。こういう意味におきましても、二十一世紀における国土の状況を十二分に御勘案いただきたいのであります。  以上、行財政改革に関する基本的考え方を申し上げましたが、引き続き、東北地方の具体的事項につきまして申し上げます。  第三次全国総合開発計画におきましては、人口を地方に分散し、過密過疎を解消し、均衡ある国土を建設することが国の方針として示され、東北地方は定住構想実現の地域として期待されております。しかし、現実には依然として人口、産業等が大都市圏に集中している状況であります。たとえば、昭和四十五年から五十五年の十年間に、埼玉は一県でもって百五十万人以上増加しているのに対しまして、東北七県は六十三万人の増加にすぎません。  この際、抜本的にこの傾向を改め、人口、産業を強力に地方に分散せしめるための配慮を行革の基本課題として取り入れていただきたいものであります。そして、今後大きく伸ばさねばならないところの地方役割りにつきましては、その活力を育てるよう、十分配慮していただきたいものであります。  東北地方に関しまして具体的に申し上げますことは五項目ございまするが、まず第一番に、公共事業の傾斜重点配分でございます。  公共投資は、本来国づくりのためのものでありまして、その配分につきましては、定住構想実現の重要地域であり、長年にわたり社会資本蓄積の少ない東北地方に傾斜重点配分することを要望しております。特に、東北・上越新幹線の東京駅始発五十九年度開業、仙台空港を初め東北域内空港の拡充整備、東北横断自動車道の建設、むつ小川原開発等、長期計画に基づき現に着実に進行中のプロジェクトに対しましては、中断等によりまして効率を減じ失業者を出すことのないようお願いするとともに、財政再建経済力の弱い地域の犠牲において行われないよう、地域の実情を的確に把握し、弾力的に実施されることをば要望するものでございます。  第二といたしましては、国と地方との行政事務の再配分についてであります。  中央、地方を通ずる複雑多岐な行政機構、錯雑した行政事務の簡素化、効率化を図り、中央と地方行政役割り責任分担を明確にしていただきたいと思うのであります。また、中央の権限を大幅に地方に移譲し、これに伴い財源配分を見直すべきものと考えております。  第三には、許認可事務の簡素化についてであります。  民間に対する許認可事務は膨大、複雑なために、これを処分するのに多くの時間と人員を必要とし、民間の事業活力や効率を著しく阻害しております。よって、この際、許認可事項につき検討を加え、手続の整理簡素化を図り、特に定例的なもの、簡易なものにつきましては、現地機関にその処理を任せるように望むものであります。  自分のことを申し上げましてまことに恐縮でございまするが、私は実は戦前二十年間国家公務員をいたしまして、追放されましてから後、民間の経済界に三十余年間おります。申しますれば官民両生類でございます。したがいまして、ただいまの第二、第三の項目等につきましては、官におり、あるいは民間におり、痛切にその必要性を感じております。どうぞその点につきましても十分の御配慮をお願いしたいと思います。  第四には、農業問題についてでございます。  東北地方は、わが国における食糧基地であり、農業問題は避けて通ることができません。わが国における食糧問題は、ひいては国防問題とも言える重大な意味を持っております。昨日のある新聞ですが、「食糧輸入世界一の日本」と、こういうような記事を拝見しましたが、この食糧問題につきましては、これはひいては国防問題に関連するものだと思います。このたびの行革機会に、この問題につきまして十分検討をしていただき、改めるべきは改めていただきますとともに、健全で意欲のある東北の中核農業が将来りっぱに育っていくよう、経営規模の拡大、農業基盤の整備、転作の定着化などにつきましては特段の御配慮をお願い申し上げるものでございます。  第五には、北海道東北開発公庫の活用でございます。  東北地方は、自立化に努力しておりまするが、交通基盤や産業基盤が十分に整備されておらない関係上、その経済力はいまだ十分ではございません。したがいまして、民間の企業活動を側面から支援する地域開発専門の政府金融機関はぜひとも必要と考えます。この点、長年にわたりまして地域の実情に精通し、実績を上げておりますところの北海道東北開発公庫の一層の機能強化を切に望むものでございます。  以上、特に御理解いただきたい具体的な東北地方課題につきまして、その実情と今後の方向を申し上げました。どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。  終わります。(拍手)
  409. 金丸信

    金丸座長 ありがとうございました。  次に、栗村和夫君。
  410. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 おおむね三つに分けて意見を述べたいと思います。  第一は、いわゆる行革問題が政治的、社会的に提起されましてからいままで、特にわれわれ自治体関係者がどう受けとめているかという点です。  第二は、行革に対する一般的というか、あるいは原則的な認識に関する考え方です。  第三に、私は東北地方の一町長であるとの立場から、例を挙げまして二、三の具体的提言を申し上げてみたいと思います。     〔座長退席、三塚座長代理着席〕  そこで、私は、防衛、外交あるいは基本的経済政策のことを除けば、地方自治に内政問題の多くは集約をされておるという認識に立ちます。それから、今回の三十六の法律にわたる行革関連法案を見、さらに国会での論議の経緯を耳にしながら、いよいよまあ大変なことになったなという気持ち、緊張感を持っております。  そこで、第一点ですが、以下、私は単に個人的な主観ではなく、県町村会の役員もしております立場から、その辺の町村長の日ごろの討議、意見交換なども踏まえて申し上げたいと思います。  昔からの、古きをたずねて新しきを知れとか、日々これ新たにとかということは、古今、洋の東西を問わず、人類と文明の進歩の中には当然のことであると思います。そういう一般的意味でなら、行政改革ということは当然取り組むべき大切な命題であり、そしてその改革との取り組みは、ある日突然に声を大にしなければならないということではなく、日々これ努力しなければならないことだと考えております。  しかるに、いわゆる行革問題が提起されましてから、一部の公社公団等、公的機関の行き過ぎ、はみ出し、でたらめな運営の例を、あたかも普遍性があるがごとく喧伝されているのは、全く心外であります。行政機構の第一線にいる町長として、いわゆる役所というものはいいかげんなものであり、でたらめで、高給を得ているにもかかわらず余り働かず、むだが多い、そういう印象づけが次々になされておることは、非常に残念であります。日夜ごみを集め、屎尿の始末をし、幼稚園や保育所であすを担ういたいけな子供を預かり、住民の苦情や非難の眼にさらされながら、都市計画や道路、下水、水道の整備等々に挺身し、一人一人の福祉行政対象者のために懸命に働いている公務員の気持ちを代表して、きわめて遺憾に思っております。  そして、その行政当事者に向けた論陣の根底には、特に民間人や財界人の立場からすれば、われわれの税金で公務員を養っているとの思い上がった思想あるいは認識があるのではないかとさえ考えられます。それは、意図するとしないとにかかわらず威圧の作用をして、公務員が中央、地方を問わず全体として萎縮しつつあることを、非常に憂えるものであります。官庁というのは国家あるいは自治体の事務局であり、それは常に活力がみなぎっていなければならないものだと思います。  そして、第二次臨時行政調査会があたかもにしきの御旗の旗手でもあるかのごとく広く全体に印象づけられていることも、議会制民主主義の中ではいかがなものかということの疑問を提起せざるを得ません。  そこで、第二の点ですが、私は以上のような状況認識に立った上で、若干基本的にわたる行革に対する意見を述べさせていただきたいと思います。  行革は、単にゼロシーリングという言葉に象徴されるような財政のつじつま合わせではいけないと思います。ビジョンはどうかという高い理念に裏打ちされなければなりません。第二臨調の第一次答申やそれにこたえた行革関連法案は、単なる歳出削減問題に帰納させてしまっているように思えてなりません。  何かにつけて民間との比較をした上で、役所はむだが多い、だめだという議論が出てまいります。官僚機構というのは、ともすれば独善的、浪費的になりがちな面のあることを否定はしませんが、民間と役所とは、その存在の意義において本質的に違う部面があるはずであります。たとえば人件費攻撃がすぐなされますが、利潤追求を本来の使命とする民間の人件費とは違うものであります。役所の人件費は、言うなれば事業費であります。建設事業などの目に見える行政と、福祉社会教育など目に見えないサービス行政が非常に多いことを強調しておきたいと思います。  次に、町づくり、地域づくりというものは、行き着くところのない山積みする課題を背負っております。そして、戦後の平和憲法、自治法のもと、三割自治とかなんとか言われながらも、地方自治は着実に前進をしてきていると信じております。したがって、その根底には平和主義と地方分権の二つを据えていかなければならないのではないかと考え、そう信じております。  そういう観点に立つときに、たとえばもらえるものなら何でもいいという体質にならされている私たち自治体の側、あるいは補助を受けている団体の側にも、大きな問題があることは否定をいたしません。だから、私は、目的あるいは経済事情からして今日的意味合いのなくなった補助金は、逐次思い切ってなたをふるうことには大いに賛成であります。中央と地方との機能分担や事務の再配分の考慮の中で、いわゆるたかりの論理に大胆にメスを入れ、どこまでが行政責任においてなすべきかはっきりさせることに、政治、行政の側も勇気を持って取り組まなければいけないと思います。  さて、その補助金の見直しあるいは大幅な削減ということを一方に対置しましたとき、私は自治体の立場で交付税の問題に触れざるを得ません。こうして補助金削減のことなどに取り組む一方で、それなら地方交付税率を引き上げるということも別な相対置した意見で議論の対象になってこなければいけないと思います。  交付税も聖域ではないなどという大蔵省当局者の発言もしょっちゅう報じられておりますが、補助金を切るなら交付税をふやす、あるいは許認可権を地方に移譲するなら、そういう部面での総体的な中央、地方行政の効果を上げていく観点から、少なくとも現行三二%の交付税率を、自治省が主張しております三七%ぐらいまでは引き上げるということも、これはことし、来年に結論を出さないとしても、重要な検討課題にしていただきたい、こう思います。それは分権と自治をより確かなものに前進させるための重要な検討課題だ、こういうふうに考えます。そうでありませんと、「地方時代」と言われて二、三年で全く「地方時代」の持つ意味合いが吹き飛んでしまう、そういう懸念さえ持たれるのであります。  次に、行政改革を快刀乱麻になし遂げることができると考えるのは、私は誤りだと思います。存在するということは合理的だという哲学用語があります。官僚機構も行政機構も、言うなれば国家統治のためという側面とともに、国民、住民の要望にこたえるという側面があり、結構合理的にでき上がっているものだという認識を持つ必要があります。これは、町長四期、十五年勤めてきた私の実感であります。だから、行革には五カ年計画とか十カ年計画とかでじっくり対応する必要があると思います。  よく縦割り行政がどうのこうのという意見がなされますが、縦割り行政でない行政機構を持っている国家があったら教えてもらいたいと思います。社会が多様化し、人々の生活が多様化すれば、行政も多様化せざるを得ないとの必然性を無視するわけにはいかないのではないでしょうか。  次に、行革に理念を持ってほしいということを、二、三の例を挙げながら指摘したいと思います。  例の一ですが、教科書の無料配付をやめるとか、四十人学級の実施を引き延ばすとかということを提起するならば、まず、少なくともどんな学校にも養護教員や事務職員あるいは司書補のうち一人は配置するというようなことが対案として出てこなければいけないと思います。どんな小さな学校でも、校長、教頭、主任は全部そろっているのでありますから、何でもかんでもというわけにはいきませんから、この辺はがまんしろ、しかしこの辺は充実していこうということがやはり提起されなければ片手落ちになるのではなかろうかと思います。  それから、例の二つ目ですが、たとえば福祉を足踏みしろとか、年金制度を見直せとか、たとえそれをよしとした場合に、何が重要かということは、将来の産業構造や就業構造を官民挙げて検討して、たとえば年金支給年齢を引き延ばすというなら定年を引き延ばすとか、高齢者の職場確保にどう対応するとか、こういうものについて労働省、通産省等で合同研究機関を設ける、これは文字どおり官民挙げてだと思いますけれども、そういうものなどが提起されるのが行革でなければならない、こう思います。  あるいは、車歩道の区分されない道路は道路とは呼ばないとか、公共下水道の整備されない都市は都市とは呼ばないとか、こういう根本的な発想があって、たとえば歩道設置のために、公共下水道のより急速な発展のために社会資本の投下をやる、だからこの部分はがまんしろ、こういうような対案が出てこなければいけないと思います。東北地方におりまして、特に道路の整備がまだまだこれからのときに、道路目的税が本来の道路整備のために使われるように、これも指摘をしておきたいと思います。  第三の点ですが、一般的に西高東低と言われますように、先ほど宮脇さんのお話もございましたけれども、地域の特殊性ということについて勘案をしていただきたいと思いますし、第二点は、これは余りにも具体的になりますが、新機構とか、農村総合整備モデル事業とか、農村基盤総合整備事業等の一連の農村関係の生産、生活の基盤を確保する補助事業は後退をさせないように、心からお願いをいたしたいと思います。  日本の食糧事情あるいは世界の食糧事情がどうなるのかという対応の中で、土地改良の基盤整備を日々これ確かなものにしておくことが、柔軟に対応する最も根本的な問題でありまして、ともすれば農業に対する保護過剰のことが言われますが、農業改良普及事業にしろ土地基盤整備にしろ、ぜひとも後退させないようにお願いを申し上げたいと思います。  最後になりますが、国民健康保険につきましては、老人医療費の別建てで一つの矛盾は解決されたように思います。しかし、元気に働いている間は社会保険で、定年退職し成人病になるころは国保という根本的矛盾はなくなりません。健康保険制度の一元化を目指すとともに、乱診乱療、薬づけの問題にもメスを入れるべきだと存じます。  以上、二、三の例を挙げまして考え方を申し述べましたが、小さな政府を目指すということは、逆な言い方をしますと、今後の行政は分権的体質をより強化しなければならないということだと思います。そして、悲鳴を上げるような財政危機を訴える面からだけでなく、この行革の議論というのは、この点はがまんしろ、そのかわり未来に向けてこういう夢を持とうという展望のある創造的議論も一方ではなされなければならないのではないかという深い疑問を持っております。  たとえば、昨年、ヨーロッパに旅をする機会がありましたが、エーボンでシェークスピア劇場をのぞいてみましたとき、英国では、少しまとまった土地ならどこにでもオペラハウスがある、あるいは国家がそれに対する援助をしているということを聞いてまいりました。たとえば国立劇場を東京だけでなしに大阪や仙台にもつくるとか、一面そういう積極的な展望を持った提言なども行革の議論の中で出されますことを心から期待をしまして、意見の開陳を終わります。(拍手)
  411. 三塚博

    ○三塚座長代理 ありがとうございました。  次に、木村秀寿君にお願いいたします。
  412. 木村秀寿

    ○木村秀寿君 宮城県農協中央会の木村でございます。  私ども農協の考え方といたしましては、行政改革に対しまして、昨今の膨大な赤字国債、肥大化した財政規模の縮小と新たな経済環境に合った効率の高い政府にするため、行政合理化効率化、民主化することは必要と考えており、この意味で行政改革は賛成であります。  しかしながら、臨時行政調査会発足以来、その審議と七月十日に行われた第一次答申を見る限り、五十七年度予算編成に向けて、増税なき財政再建の名のもとに、福祉文教を初め、われわれ農業者に対しきわめて厳しい内容であることは、いささか遺憾であると考えざるを得ないのであります。  さて、本日お招きいただきました件は、現在国会審議されております行政改革関連法案についてでありますが、その前に、行政改革に関連いたしまして、東北の農業の現況とそれにかかわる行革問題について意見を申し上げさせていただきたいと考えます。  東北における農業の地位は、総県民所得の約一〇%、農家戸数は全世帯の約二六%を占めております。この消長は、地域経済に与える影響も他の地域に比べて大きいものがありますが、農業の基盤整備の状況を見ましても、従来とかく西高東低と言われ、東北は立ちおくれており、さらに不利な気象条件が拍車をかけているのであります。本年も、春以来の低温と台風十五号の追い打ちによって、二年続きの不作に見舞われております。  こうした中で、関係者は力を合わせて、国民食糧の確保と農家所得の向上に取り組んでおりますが、何といりても食糧の確保は国民生活安定の根幹であり、安易に輸入に依存するということはきわめて重大なことで、将来に不安を残すことを憂慮するものであります。幸い、東北は土地、水に恵まれ、農業で働く若い人も他の地域よりも多い状況にありますので、国の支援と誘導のよろしきを得るならば、今後の発展は十分期待できると確信するものであります。  したがって、必要性の薄くなった制度や予算を整理合理化することは当然であると考えますが、財政が苦しいということだけで一律に補助金を打ち切るとか金利を上げるということでは、農業政策の後退であり、東北農業の後進性を払拭することはできないのであります。  東北の農業は、困難な環境から脱却して、足腰の強い農業経営を確立したいということで、米一辺倒でなく、ようやく野菜、果樹、畜産、畑作等の新しい産地が育ち始めてきたところであります。このような動きを援助し、定着させるための予算、構造改善や環境整備等、村づくりのための予算、経営規模拡大に役立つ予算、また最も立ちおくれております農業基盤整備の予算等は、優先的に確保していただきたいと要望するものであります。  農業振興の方向は、全国画一的なものでなく、地域の条件に応じて工夫されるきめ細かなものでなければならず、国の援助もこうした方向に弾力的に対応できるものでなければなりません。その意味で、農政も全国的、画一的なものでなく、地域に合った農業政策を推進することが肝要であると考えるものであります。行政組織検討に際しましても、安易に縮小する方向だけでなく、積極的に地域の特性を助長できるよう配慮すべきであると考えるものであります。  臨調の第一次答申に際しまして、米価、食管、水田利用再編について厳しい審議が行われたと聞いておりますが、日本農業の産業としての位置づけも明確にしなければならないと考えます。食管制度は、国民食糧の安定確保のためには消費者にとりても生産者にとっても守るべき大切な制度で、その果たしてきた役割りは十分評価できるものであり、二重価格制度は重要な柱であります。また、米価は米作農民にとって賃金に相当するものであり、他公務員等の賃金が上昇する中で実質四年連続の据え置きは、まことに片手落ちの措置と言わざるを得ません。  また、水田再編問題を含めて農業補助金について、特に財界等から強い批判がありますが、農林水産業にとって補助金は、産業として相対的劣位を底上げ、補完し、拡大再生産を維持するための重要な施策であり、農産物の価格体系の一部として深く組み込まれているものであります。補助金等財政措置は、自然的あるいは社会的制約のもとにある農林水産業を補完するための諸施策の積み上げによる歴史的な所産でもあります。葉落帰根と申しますが、自然の中にあって自然を守る農林水産業は社会経済の安定的基礎であり、補助金の役割りはきわめて重要なものであります。  以上申し上げましたことを前提といたしまして、今回の特例法案でありますが、直接農林漁業に関連いたしますのは、第一に、厚生年金保険事業等にかかわる国庫負担金の繰り入れ等の特例でございます。第二といたしまして、特定地域にかかわる国の負担補助率の特例であります。第三には、政府系金融機関の貸付金利の特例であります。  第一は、農林年金の問題でありますが、私ども農林漁業団体の職員の問題で恐縮でありますが、農林年金は制度として若く、まだ十分でない点が多い制度でありまして、この時期の国庫負担の減額はつらい試練であります。特例期間後において減額分に相当する額の補助その他の適切な措置を講ずるものとしておりますが、元本のみならず、運用に基づく利子部分の補てんについての十分な配慮とともに、給付、掛金率等の諸条件について、財政事情によって悪化させることのないよう、特にお願いを申し上げる次第であります。  第二は、地域特例の問題であります。特定地域は、社会的にも経済的にも相対的に不利な環境に立地している地域でありまして、農業者である受益者の負担増とならないよう、財政措置を十分図られるようお願い申し上げます。  第三の問題は、農林漁業金融公庫等の法定貸付金利の弾力化の問題でありますが、農林漁業への投資は長期かつ効果のあらわれるのがきわめて遅いという特徴を持っており、政府による利子補給なしにはとうてい進め得るものではありません。特に東北地方は二年続きの冷害により、その再建のため借入金への依存度が高まっている現状からも、借入者の負担増とならないよう、十分な御配慮をお願いする次第であります。  行革関連法案についての考え方は以上でありますので、他に通なしとせず、十分な配慮の上、法案の早期実現を図られますよう期待するものであります。  終わりに、今回の冷害対策について特に要請を申し上げます。  五十七年度予算編成に当たって、ゼロシーリングというきわめて厳しい状況にあることは十分承知しておるつもりでありますが、五十五年度は七十年に一度あるいは一世紀に一度の冷害ということで、農林水産省の作況統計によれば七九%、米の売り渡し実績では六九%という災害をこうむったのであります。共済金の支払い、水田再編第二期対策面積の特別軽減措置等の援助を受けながら、農業の再建に鋭意努力を続けてまいったところでありましたが、まことに残念ながら、五十六年度においても五月、六月の寡照、低温、また加えて登熟期には必要な最少積算温度八百六十度に満たない八百八度という低温、加えて台風十五号の追い打ちにより、前年を上回る被害が決定的な状況になりました。  政府においては、いち早く去る十月二十日、天災法激甚災の発動をしていただいておりましたが、二年続きでもあり、農家経済は大きな痛手をこうむっているところであります。つきましては、その対策として、水田利用再編対策の転作面積の特別軽減措置、規格外米の政府買い入れ、実態に即した農業共済の補償など昨年以上の措置を講じられますよう、この機会に特にお願いを申し上げまして、公述を終わらせていただきます。(拍手)
  413. 三塚博

    ○三塚座長代理 ありがとうございました。  次に、河越重任君にお願いいたします。
  414. 河越重任

    ○河越重任君 行政改革関連瞬時七一の一括法案に関しまして、私は、日ごろ社会政策を研究している者の一人として、この法案のうち社会保障ないし社会福祉にかかわることにつきまして、若干の意見を述べさしていただきたいと思います。  社会保障につきましては、改めて申し上げるまでもなく、この一括法案に織り込まれております事項の中におきましても、総額二千四百八十二億と試算されております財政節減効果のうちで、社会保障にかかわるものは、第二条、第三条関係の厚生年金等にかかわる特例措置が実は七六・六%、そして十条の児童手当に関する特例が二・四%、合わせて八割近くを占めるわけでございます。したがいまして、この法案に関する限りはその主要な部分であろうかと考えられます。  そこで、まず、明年度以降三年間にわたる財政再建期間中の特例措置といたしまして、厚生年金保険等にかかわる国庫負担の一部、四分の一減額でございますけれども、法案の上におきましては、特例期間後におきまして、この間の減額相当分は国庫より厚年特別会計等へ繰り入れるなどの措置がとられることにはなっております。  ところで、私どもが気にかかりますことは、この減額分が、来年度につきましては厚生省概算要求から一応は千八百億ですか、千九百億程度ということがうかがえましても、この四分の一と申しますのはあくまでも基準ということになっておりますので、五十八年度、五十九年度におきましては予算の上でどの程度の減額となるのか、必ずしもはっきりはしていないことであります。  それに、特例期間後におきますところの、俗に申し上げますと返済と言われましても、その場合「国の財政状況を勘案しつつ」ということから見ますならば、ちょうどそのころには、いわゆる赤字公債の返済のツケも回ってくることでございます。したがいまして、大なり小なり私どもといたしまして危惧の念を抱かざるを得ないということは、自然の成り行きであろうかと考えるわけでございます。したがいまして、国民の大多数の納得を得た上で、そうした改革に協力を得てこれを行うということからいたしますならば、少なくとも、そうしたものの返済の計画とでも言うべきものを具体的に明らかにしておく必要があるのではなかろうかと考える次第でございます。  国庫負担分の繰り延べと申しましても、世間一般の常識から平たく申しますならば、やはりそれはいわば一つの借金ということでございまして、そのような場合、借りる方の側から、私は大丈夫だから、返すから安心していてほしいということは、通常の場合だったら仮にも言えないことではなかろうかと考えるわけであります。  また、特例期間後における減額分の繰り入れのほかにありますところの「その他の適切な措置」ということでありますけれども、これは減額分にかかわるところの利子等の運用収入に相当する額というようなものだけを指すのでありましょうか。と申しますのは、この規定を見ますとき、国民の生活保障にかかわるところの年金給付ということよりも、むしろもっぱら保険事業の財政そのものという観点から、その安定が損なわれないようにというような規定になっているからでございます。  次に、児童手当の支給要件にかかわるところの特例についてであります。この法案によりますと、児童手当は、財政再建の期間中、公費負担にかかわる手当の所得制限額を現行の四百五十万から、老齢福祉年金受給者の所得制限にならいまして、五十七年度におきましては三百九十一万円に引き下げまして、臨調の第一次答申の言う「真に救済を必要とする者」と申しますか、いわゆる低所得世帯に限定されていることであります。そして、被用者につきましては、新たに事業主の拠出金による手当の支給を設けているわけでありますけれども、むしろ国民の期待する改革の方向から考えまして、そこには所得の不均衡を制度的に持ち込んでいるという結果になっているのではないかと考えられる節もあるわけでございます。  そして、この児童手当に関する特例措置は、必ずしも財政再建期間中に限られたものではなく、その後の必要な措置といたしましてどのような扱いがなされることになっているのかということをもう少しはっきりさせておいていただきたいところだと考えるわけであります。第十二条におきましてはその検討ということが規定されておりますけれども、その検討の結果は、国際的な趨勢からいたしますと、第一子から、給付ももっと拡充してというような方向が望まれるわけですけれども、果たしてそうした結果になり得るのでありましょうか。  その点に関連いたしまして、今後高齢化社会に向かって、特にわが国におきましては年金負担の増大等が大きな問題になるということになっております。しかしながら、たとえば厚生省の推計によりましても、これから十何年先、昭和七十年ごろまでは、従属人口指数というものはほぼ四八ないし九くらいで安定的に推移していくわけでございます。といたしますならば、仮に児童手当の方に相当な施策をとっているということを前提にいたしますと、そうしたことは、仮にお年寄りがふえても年少人口の方が減るというような、そうした扶養関係からいたしますと相殺されて、いま言われているほど大きな問題にしなくてもいいのではないかと考えられるわけでございます。  ところで、高齢化社会の急速な進行につきまして、この法案に書かれておりますところとは別に、いずれ保険料の引き上げとかあるいは支給開始年齢の引き上げ等が避けられない情勢にあるということが言われているわけであります。このごろ、わが国においても平均寿命が、男性の方が七十三歳、女性の方が七十八歳幾らとまで延びてきていると言われます。しかしながら、実際の国民の死亡の平均年齢は、一昨五十四年におきまして男が六十五・五歳、女性が七十・八歳であるとされているわけであります。そうしたことからいたしますと、仮に現在の六十歳の支給開始年齢を六十五歳にするといった場合に、一体どういうことになるのでありましょうか。そこら辺のところも気にかかるところでございます。  次に、一括法案十四条に規定されておりますところの特定地域に対する補助金等のかさ上げの減額、縮減措置についてでございます。自治省の試算によりますと、とりわけその都道府県にかかわるところの縮減総額、ざっと三百九十四億と試算されてはおりますけれども、実にその二五%はこの東北六県にかかってまいります。減額の方法は一律の物差しではかられます。実は、この東北地方国民はわずかに八%でございます。その八%の東北地方国民、地域の住民の上に、地域特例かさ上げの部分と申しますのは実に四分の一の二五%がかかってくるということでございます。当面、その穴は起債によって賄われるということになっておりましても、いずれ二分の一の負担は地元の自治体にかかってくるわけでございます。とりわけ、いわゆる後進地域を抱えて財政の弱いこの地域におきまして、問題が少なくないわけであります。  しかも、財政再建のための地方への負担転嫁と申しますものは、この法案に示されておるところのかさ上げだけではないようであります。たとえば、ただいま私が問題にしておりますところの社会保障の分野に限ってみましても、厚生省の五十七年度の概算要求におきましては、国民健康保険にかかわる都道府県の負担の導入というものが二千四百十三億で、その約一割の二百四十億ほどは、やはりこの東北六県の負担とされているわけであります。また、児童扶養手当、特別児童手当につきましても、都道府県等の負担が導入されます。いわゆる地方自治体へのツケ回しは、こうしたただいま挙げました縮減にとどまるものではないということであります。国の財政が苦しいときに、とりわけ、先ほどもお話に出ておりました昨年の冷害、ことしの台風による災害、そして来年以降こういうツケが回ってくる、そうした東北の置かれた地位というものをどうお考えいただけるでしょうか。     〔三塚座長代理退席、座長着席〕  このようなことからいたしまして、この法案を拝見いたします限り、いわゆる財政悪化の原因が主に福祉等の拡充にあるのだというような観点からの臨調答申、そしてその負担を抑制することに比重をかけられているというようなこと、それを具体化するための必要な法的根拠を設けるために立法されたものであるということになるのかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、国民は一応行政改革について、何かそうしたところで自分たちのよりいい行政サービスも受けられるのではないかということを期待していることは否定できないわけであります。  しかしながら、この法案に盛られていることはやはりごく一部で、全体の中において、たとえば厚生省予算にいたしましても、ここに出てくるのは来年度六千三百億とかいわれる節減効果のうちのほぼ三分の一ほどであります。むしろ国民のコンセンサスを得てこうしたことをお進めになるという上からも、この際、改革については、法律そのものの改正を必要としない部分についても、そうしたものの全体像を国民にわかりやすくするような、そしてそのコンセンサスのもとに進めていけるような方法を図っていただければ非常にいいのではないかと考えるわけです。現在、行革ということを言われておりますけれども国民は必ずしもその状況が一体どうなるのかということを十分に承知しているわけではございません。  最後に、そうした措置がやむを得ず特例期間中とられるにいたしましても、国民はいわばひとしく痛み分けということならば納得が得られるでしょうけれども、そうした方向での全体像を示されることを期待しているのではないかと考える次第でございます。  はなはだ雑駁ではございますけれども、以上で私の意見の陳述とさせていただきます。(拍手)
  415. 金丸信

    金丸座長 ありがとうございました。  次に、藤崎三郎助君。
  416. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 それでは、私の意見を述べさせていただきます。  まず、私は、今回国会において御審議をいただいております行革関連の法案の速やかなる成立を望むものでありますし、賛成の立場でございます。それに関して、私は地元在住の実業人を代表いたしまして意見を述べさせていただきます。  今回の臨時行政調査会がお出しになりました行政改革に関する答申案の最初めところに、「「増税なき財政再建」の実施」ということで、今回の措置があくまで「緊急の外科手術としての性格をもつ」ということを述べておられます。私は、この「緊急の外科手術」ということは、普通の場合におきましても本当に緊急でなければ行われないという意味を十分かみしめまして、今回の諸手続に賛成するものでございます。  そして、その意味は、この第一次答申の末尾の方に「国と地方との機能分担及び地方行政の改善」という中に「地方自治の原則と行政サービスの全国的公平性、統一性の確保の要請との最適な調和をめざして、国と地方公共団体のかかわり方を抜本的に見直すことが必要である。」と述べておられます。そしてさらに、その少し飛んだところに「この二つの要請を調和させ、心のかよった自主的で公平な行政を実現するために、国と地方公共団体との機能分担、費用分担及び財源配分」、それから少し飛びまして「広域行政需要への対応方式」等々と述べておられます。私はこのお考え方に賛成でございまして、それに伴いまして御意見を申し上げてみたいと思います。  今後、五十九年度までに赤字国債依存を脱却することが第一前提であり、今回の増税なき昭和五十七年度の予算編成の不可欠の前提としての御処置であると思うのでございますが、まことに時宜に適した考えであると思います。伺うところによりますと、かかるまとまった形で歳出削減のための法律案が提出されましたのは、昭和二十九年の補助金等臨時特例法案以来二十数年ぶりであると聞いております。ということは、それだけに日本財政が常に膨張を続けてきていたということの裏の証明でありまして、日本経済の高度成長の過程で行政は拡大をしてまいりましたが、第一次、第二次のオイルショックを契機とします資源エネルギーの制約や経済成長の鈍化という状況のもとで、行政の縮小は必至の情勢であります。したがって、この法律案は第一歩というものであり、いわば聖域なき見直しの糸口をつかむという法案の考え方を定着させていただかねばならないと思うのであります。  次に、行政改革の必要性ということにつきまして私見を申し上げます。  行革については、国民課題となっていると思われ、総論においてこれに反対する人はほとんどないと言っても過言ではないと存じます。考えてみますと、明治維新より百余年、敗戦後といいましてもすでに四十年近くになる現在、しかも経済力においてはその生産においてすでに世界の最先端を行くに等しい日本の現状を考えますとき、いわば明治維新後の政策が富国強兵、先進国に追いつくことのみを念願とした大正期までの政策、また戦後の復興、再建を最大の念願とし、必死になって事業の近代化と規模の拡大を図ってまいりましたこの戦後の復興、これに伴う必要な行政措置として採用されてまいりましたものが現在の行政組織の基本になっておると思いますし、高度成長政策というものがそれを財政的に支えたものであると考えております。これは予定以上の成功をおさめ、さらに近代化を促進するために、その後最終段階において日本列島改造論的な見解が論議されたのもごく最近であります。  しかし、ここにおきまして、従来の日本の採用してきた高能率の中央集権的な行政システムは、すでに世界経済に対する日本自体の地歩の変化、米国、ソ連の二頭支配の瓦解、さらに重大な資源問題の制約に直面した現時点におきまして、国民の価値観の変化や社会意識の変化等によりまして、その不適合性が表面化してきたものと考えます。行政改革に伴う財政再建におきましても、この問題が最も重大な問題であると考えるのであります。  もっとも、最近におきます各地方のビジョンの策定とか、あるいは今後の地方発展動向というものが国家的関心であるのも事実でございますが、これは今後の問題でありまして、中央、地方の合理的な関係の解決方法が考えられなければならないと思うのであります。したがって、それなくしていたずらな地方時代の呼号は真の解決を生むことはできない。すなわち、行革財政再建が叫ばれております一方、いまの地方時代の認識というものを、このままでいけば単なるスローガン化するおそれがないとは言えないのでございます。  今回の行革特別委員会の御活躍には心から敬意を表するものでありまして、先ほど申しましたようにその趣旨には全面的に賛成でございますが、今回の改革の発想に当たりましても、従来の中央集権的な思想を離れることがないのは、従来の経緯から見てむしろ当然であると存じます。  現在においては、国の富の配分は中央の集積が圧倒的であり、その盛衰は日本国全体の興廃に密接不可分な関係があることは明白でございます。そして、日本の繁栄は中央の繁栄となってあらわれ、日本の衰微と申しますか、挫折は中央の挫折となってまずあらわれてくるのは、現在までの組織の立て方にあって当然のことであります。  ちょうど本日は南北サミットの当日でありますが、世界における南北問題の生起というものも、国内における中央と地方との関係に似ているという点が多いと申せるのではないでありましょうか。  今日の国家財政の危機は、もちろん地方自治にとっても大なる危機であります。したがって、われわれもこの点に関する対応は早急にとり行わるべきであると存じます。しかし、この行革の根本的命題は、地方行政と中央行政との関係の根本的見直し、すなわち税制面における中央の徴税が大宗になるのではなく、地方がそれぞれの税収の大宗となり、逆に中央にその税収中より上納するという地方税収中心の根本的改正に至ることなしには、この行革問題の根がつかないと私は考えるのであります。  合衆国であるアメリカにおきましても現に見直しが求められていると聞いておりますが、いわゆる小さな政府というものは、今後の日本においては、日本の各地方の均衡のとれた発展のために、その上置きとして必要なものではないかと思うのでございます。現状の過大な中央集権というものがいまの陳情行政を生み、予算の分捕り合戦というような表現はこれをあらわしていると私は思うのであります。  東北地方の住民といたしましては、明治以来数度にわたる国家的なクライシスと申しますか、その時点における要請によりまして東北全体の発展が制約を受けたという感覚を払拭することはできないのでありまして、これは歴史的な事実でもあります。三全総または昨年九月の鈴木総理の最重要課題の御設問があるように、東北地方に対する国の配慮と期待を忘れるものではないのでございますが、それらのことを前提といたしましても、やはりこの段階におきまして、今回の行革は川上よりの改革であり、財政中心の見方という見解を捨てることはできません。  今後においては、少なくとも道州制とか税収の地方税重点とか、あるいはその本格的転換を含んだ今後百年、いわゆる二十一世紀の中央、地方関係の見直しに発展することを望むものでございます。そして、これこそが単に東北のわれわれのみならず、日本の近代化を真につくり上げた日本各地の人々の偽りのない心境であると存じます。  財政再建は喫緊の要であり、行革日本の今後の安定化の最良の道であることは信じますが、その方向が中央集権の機能の強化に向かうことは、すでに時代逆行であると存ずるのであります。このことは、今後まだしばらくは増大する人口の吸収のために、また水その他の物理的な資源の効率的運用のためにも、各地方の独自性の真の発見とその推進を中心とするものでなければ、今後の日本経済財政の安定は得られないと存じます。中央、地方を含む行政制度、組織もその改革の対象とされる真の大改革をこれから希望するものであります。  終わりに臨みまして、いまから九百年前、東北地方に当時の中央政府として独立した政府機関があったことは御存じのとおりであります。それは平泉を中心とする藤原四代の政府でありまして、その政府は他の援助なしにりっぱに自律的な文化と、それから生産を上げてまいったという事実であります。したがって、東北地方は何も中央の援助を得ないでも、りっぱにその活力を持っているということは、歴史的に証明されております。したがって、今後は日本の各地における独自性とその価値というものを再認識していただいた上で、真の意味の行政改革を達成されんことをお願い申す次第であります。  以上であります。(拍手)
  417. 金丸信

    金丸座長 どうもありがとうございました。  次に、遠藤正之君。
  418. 遠藤正之

    ○遠藤正之君 私は、まずもって、本日大変お忙しい中をわざわざおいでをいただきました金丸先生初め諸先生方に対しまして、心から敬意を表したいと思います。あわせて、本日、私に発言の機会をお与えくださいました関係皆様にも御礼を申し上げたいと思います。  私は、本日の行革特例法案に対して、条件つき賛成という立場意見を述べさせていただきたいと思います。  さて、われわれ民間の職場でまじめに働く労働者でつくっておりますわが同盟は、お集まりの皆さんすでに御承知のとおり、早くからこの行革問題にはこれが推進のために積極的に取り組んでまいっております。去る三月にも労働組合の今日的、社会責任として、「行革国民の声」という相言葉のもとに、多くの仲間と行政改革推進国民運動会議を結成し、広く国民運動としての活動を展開中であります。過去において、この行革が具体的政治日程に上りながらも、失敗あるいはおざなりに終わったのは、一体何であったのでしょうか。私は、二つのことが挙げられると思います。  その一つは、行政機構とそれにつながる政治勢力の中に、改革を阻む厚い壁があったこと。そして、その二つ目は、一般国民の中に、また国民世論の中に、改革を支持する機運の盛り上がりがいま一つ足りなかったということだと思っております。  しかし、皆さん、当面しておりますこの行革には、これまでのような失敗の繰り返しはもはや許されないのであります。わが国行政が破局的な困難に陥るか、それを乗り越えることができるかの瀬戸際に立っておると思います。  そこで、この行革を失敗させないために、少なくともこれから申し上げます三つの要件が満たされなければならないと考えます。  まず第一の要件は、臨調の活動とその成果が、障害となる壁を取り除くことと、国民世論の高揚のために力を発揮するだけの心の深さと説得力を持つということであります。よく痛みを忍べとか、甘えの構造を改めよとか言われておりますけれども、このような言葉が軽々しく飛び出してくるような限り、その声は国民の心を打つことはできないと思います。これは深く心すべきことであると思うのであります。  次に、私が一番強調したい二つ目の要件は、行革を阻む壁を取り除く力が行政機構の内部から盛り上がってくるということであります。この力の盛り上がりは、官公労働者とその組織の民主的前進にまたねばならないと思うのでありますけれども、民間産業に働くわれわれ労働者と労働組合は、これまた皆様御存じのとおり、過去幾多の技術革新のあらしをくぐり、資源、エネルギー制約の大波を乗り越えて、みずからの身を切り、血を流して、わが国産業の民主的再建を推進してきたところであります。官公労働組合もまた、われわれが果たしてきた役割りと同じ役割りを、行政の場において民主的改革を果たさねばならないのではないかと思います。いまや国民的緊急課題であるこの行革は、官公労働者とその組織として避けて通るわけにはいかないのであります。いや、むしろ彼らこそがその推進力となるべきであると思っております。  第三の要件は、行革を支持、推進する国民世論を燃え上がらせることであります。この行革は、全国民に生きがいの火を点ずるものでなければならないと思っております。それには、何よりもまず社会的不公正を排除することに意を注がなければならないということであります。  以上三要件が相満たされて、初めてこの行革が本当の意味での世直しになるのだと確信をいたしております。  さて、大分駄弁を弄しましたが、私は、今回の行革第一弾と言われておりますこの行革特例法案について、若干の条件を付して賛成の意見といたしたいと思います。  順を追ってまいりますが、第二章の厚生年金等に係る国庫負担金の繰り入れですが、この減額分の補てんの明確化をお願いをしたい。  特例適用期間中における厚生年金保険事業等に係る国庫負担金の減額分を速やかに補てんするということを明確にするために、第二章の条項中にあります「国の財政状況を勘案しつつ」の字句を削除するか、または返済期間の期限の明示をお願いをしたい。また、減額分の補てんに当たっては、年金特別会計等で運用した場合の運用益相当分の利子をあわせて返済することを御明示を願いたいと思います。  第三章については、それぞれの事務費の繰り入れ停止でございますから、特段の意見はございません。  第四章については、児童手当制度の存続の明示をお願いをしたい。今回の検討条文に、制度の存続を前提にしての検討であるということを御明示を願いたいと思います。  第五章の教職員定数改善計画の実施の件ですが、特例適用期間中における教職員定数計画の抑制の具体化に当たっては、教員配置を合理化するとともに、とりわけ複式学級、特殊学級、特殊教育諸学校の実情を考慮することを明示を願いたいと思います。  第六章については、特定地域に係る国の負担、補助等の特例に関する財政金融上の措置の明確化をお願いするということですが、十六条の「財政金融上の措置」は、かさ上げ補助等の減少相当額について地方債による措置またはその地方債に係る元利償還に要する経費の財政措置を明確化をしていただきたいと思います。  第七竜については、住宅金融公庫関係ですが、これについては貸付金利据え置きを明確にしていただきたいと思います。  最後に、第八章ですが、これについてはまこと敬意を表しつつ、私の意見といたします。  終わります。ありがとうございました。(拍手)
  419. 金丸信

    金丸座長 ありがとうございました。  以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  420. 金丸信

    金丸座長 これより委員からの質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三塚博君。
  421. 三塚博

    ○三塚委員 きょうは東北県民を代表する各界の代表の皆様方にお忙しいところにもかかわりませず御出席を賜わりまして、今後の審議に当たりましてきわめて貴重な、また示唆に富みました国民のサイドに立った御意見を承らせていただきましたことを、心から感謝を申し上げるものでございます。  ただいまお話がございましたとおり、行政改革、そして財政再建は、天の声とも言われるわけでございますが、わが国財政が行き着くところに行き着いたというこの判断の中に、しからばどうすべきかという方法の上に立ちまして、さしあたり行政改革の一環といたしまして、財政再建の一助としての一括法案を私ども審議をいたしておるところでございます。  よく言われるのでありますが、現代に生きる者がぜいたくに、豊かに暮らす、そのことが後世に大きな負担となってはね返る、こういうことはいかがなものであろうかという問題。それと、後世におきましても計画的にこれが進められていくのでありますればまた一つの考え方ではあろうかと思うのでありますが、数年をたたずして財政は破壊的な状況に立つであろうとよく言われるわけであります。  すでにきょう御出席皆様方御案内のように、八十二兆円の公債を抱えておるわけであります。五十七年度、これの償還である国債費六兆七千億円、総予算に占める比率は一四%、こういうことになり、五十九年度は九兆六千億円に達し、予算に占める比率は一五%になるという試算が出ております。そして、六十五年度には十七兆六千億円返してまいらなければならない、こういうことであるわけであります。公債費がふえてまいりますことは歳出を縮減せざるを得ないという相関関係がございますから、行政サービスは目に見えて低下をせざるを得ない。そのことがさらに経済に及ぼす波及効果、こういうものから見ますと、税収の伸びが頭打ちにならざるを得ないという状況も想定をされてまいるわけでございます。  こういう中にありまして、私ども国会といたしましても、何としても公債依存をこの際やめなければ財政の再建ができ得ないであろうという観点から今日の審議が行われ、われわれ政府の与党という立場の中から、本問題に的確にサポートをしつつ進めていかなければならぬだろう、こういうふうに思っておるところでございます。  そういう点から考えてみまして、今回の行政改革は、増税なき財政再建、そして行政改革ということに相なるわけであります。公債の発行を計画的に減少しながら、健全な財政の体質を改革しつつ、なおかつ行政国民のニーズにこたえる最小限の機能を果たしていかなければならないということになるわけであります。金は入りません。しかし、行政需要は逐年伸びてまいります。こういう形の中においてどうしたならばその目的が達せられるであろうかというきわめて至難な命題に、行政、特に私ども政治が直面をいたしておるということであろうと思います。  ちなみに、八一年度予算で拾ってみたのでありますが、租税負担率、国家財政歳出総額に占める税収ということになりますと、わが国は三十二兆円、六九%、七〇%に満ちません。残りの三〇%余以上は公債に頼りまして歳出とのバランスを確保していかざるを得ない、こういうことになるわけでございまして、この体質をそのまま続けてまいりますならば、前段申し上げましたことに行き着くわけでございまして、とどのつまりはデフレになってくるでありましょうし、スタグフレーションが起きてくるでありましょうし、そういたしますと、国債の発行を余儀なくされていく。そういたしますと、国債費がさらにその比率を高めていくということで、財政インフレからわが国は塗炭の苦しみに陥ることだけは火を見るより明らかなように感ずるわけであります。  そういう中において、しからばどういう手法があるのであろうかということであります。経済界において、またそれぞれの分野において、また学界において御研究をいただいておる皆様方に、増税をしないで、そして財政再建を行うということでありますならば、その手法は一体何なのだろうか、こういうことになるわけでございます。  そういうことで、まさにそのことは、言われますように行政改革ということに一つの道が出てまいるでありましょうし、さらには、行政改革を進めつつごしんぼうをいただく。再建のめどがつくある一定の期間、自助努力、地域の協調、連帯の中でそういうものが進められていくということも次の手法かというふうにも思います。第三に、これは行革委員会でいろいろと審議が行われたポイントの一つでございますが、やはりどうしても行政需要にこたえていく、財政再建を図っていかなければならないということであれば、総理は増税なき再建とは言っておりますものの、ある程度の増税もやむを得ないのではないだろうか、こういう議論でございます。  よく租税負担率の国際比較が出されるわけでございますが、わが国は先進諸国の比較の中におきましても三四・三%、税金は二四・二%であり、社会保障負担率が一〇・一、こういうことで三四%、アメリカは三七・四%、英国は四六・二%、西独は五一%、そしてスウェーデンは、社会保障のモデルになっておるわけでありますが、七〇・八と租税と社会保障を負担する、こういうことでありますから、この数字をそのまま見ます限り、先進国家として租税負担率というものを真剣に考えていく時期ではないだろうかというのも、国会サイド、符にわが党の中にもこの問題に対する検討が進められております。  しかし、議院内閣制で、わが党の総裁である内閣総理大臣が、増税なき再建ということでありますから、これは守り抜いていかなければならないということで、第三の道は閉ざされたというところであります。さはさりながら、私どもはそういう立場でございますが、いま申し上げたほかに、それも含めまして、きょうの公述人の先輩の方々から、行革は、財政再建はかくあるべしとただいまいろいろ御開陳をいただいたのでありますが、その点について御意見を賜りたいと思います。  第二点。お願いを申し上げて、ぜひ御意見をお聞きいたしたいのでありますが、行政改革の第二弾は、まさに公社公団、行政本庁機能に対する改革が提案をされていかなければならないと思いますし、臨調もそのことに思い切った英断を加えるであろうと私ども考えております。もちろん許認可の問題もこれに含まれますことは当然であります。  本日、東北における政府機関が集中しておる合同庁舎でこれをやっておるわけでありますが、特にそういう意味で端的に、現在の出先機関が国民のニーズにこたえ、国民の期待するような方向に機能しておるのであろうか、こういう点について御意見を賜りますならば大変幸せであります。言うなれば、地方分権というお話もありました。宮脇先輩からは、かつて役所に勤務された国家公務員という立場から、このことにずっしりとしたお話をちょうだいいたしました。こういう点でひとつ御見解を賜りますならば幸せでございます。  宮協先生から逐次、私の持ち時間は三十分でございますから、恐縮でありますが、お一人二分ないし二分三十秒程度で御意見をいただけますならば幸いでございます。
  422. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 政府におかれまして、いまこういうような財政状態につきまして非常に宸襟を悩ませておりますことは、国民として非常に同情もし、また、ぜひとも御奮闘願いたい、こう思っております。  実は私、自分のことを申しましてまことに恐縮でございますが、先ほど申しましたように、私、二十数年間国家公務員をやったのですが、それから追放になりまして、ごく小さい中小企業、具体的に申しましてまことに恐縮でございますが、北日本電線をつくりまして、そしてそれを育てたのです。最初にこの企業をやる際、私は通産局長をしていたころにパージになって、いままで役所の局長だったのですが、それが小さい中小企業の社長になりますと、東京へ通うのも三等の汽車でもって行く、それからまた、自動車がないから、しようがないから市電でもって通うというような、こういう苦しい状態を最初数年間やりました。  会社もごく新しい会社でありますから、販売も何もすべてのことを全部自分一人でもってやるというようなことで、人員も最初は三十数名の会社からたたき上げまして、今日は心配のないようなものにしたわけでございますが、そういうところを見ましても、大きくすれば政府といいますか、全体の立場におきましても、行政がいまとにかくふくらんでおる、ふくらみ過ぎておるというようなことを感じます。  こういうことを申しましてまことに恐縮でございますが、私が最初に赴任しましたのは、昭和二年に秋田県の保安課長。保安課長といいましても、当時は秋田県の警察官でも五、六百人あるかないかということで、保安課長が行政関係におきましては全部、現在では運輸省でやっておりますところの乗り合い自動車の免許も保安課でやったのです。それから精神病者の監置の衛生関係も保安課でやったのです。ごく少数でもって行政関係のことをやりましたのです。  そういうような経験がありまして、現在の行政の態様というのは、これは社会の要求が相当にふくらんでおるのでありましょうが、余りに膨大になり過ぎたというような感じを確かに私も持っております。これはやはり国民自体が、いろいろなことがあればすぐに賛成だ、反対だということでやりまして、それに対応するという気持ち、したがってこれは役所ばかりを責めるのではなく、国民自体もそれに協力するという気持ちがなければいけない。  それからまた、議会におきましても、当時は議員さんの関係でも、ごく少数の議員でもってやった。ところが、いまは非常に多くの議員で、しかも従来は全部自分でもって仕事をして、歳費なんかもごく少ないものであった。ところが、現在では、県会議員さんなんかを見ましても、大部分がそれを専業にやっている、しかもそれの収入も相当な額に達しているというようなことで、私、貧乏な時代からやったことを考えますと、現在では余りにそういうような点につきましても膨大にし過ぎる。したがって、行政の簡素化あるいは組織の簡素化という問題でもってひとつやらなければいかぬ。  しかし、これは役所だけを責めてはいけないと思う。やはり国民自体が、何かありますとすぐにそれに対して万全を期するという意味でもって反対をするというようなことが多いのですが、国民もやはりそれに対して協力をしていかなければ、役所の行政機構も簡素化できない、私はそう思います。したがって、国民全体が、そういうことをやれば自分らが税金を払わなければいけないのだということを身をもって考えて、そして、ごく小さい政府ということは、官庁関係だけでなくて、国民自体がそれを理解するということが一番大事だと思います。その点がなければ、本当の意味の簡素化という問題は、私はできないのじゃないかということを感じます。  けさの新聞ですか、きのうの新聞ですか、ある公社公団のなにで年間七千万円の収入があるというようなことを見ましたが、これなんかもってのほかだと私は思うのです。そういう点から余りたるみ過ぎているというような感じがいたしますので、もう少し簡素に考え、同時にまた、国民自体がそれに協力する。何でもかんでも反対だ、たとえば電力の発電所をつくる場合におきましても、ちょっと自分に関係があったりするとすぐに反対だ、そして補助金をよこせ、こういうことで余りにやり過ぎる傾向があるが、国民全体が、小さい政府ということにつきまして、それに対する協力の態勢を持つということが私は一番大事だと思うのです。  役所の人ばかり、あるいは議会の人ばかりの御苦心に甘えられない、国民全体がそれに協力するということ、行革のこういう際にこそ、本当に国民全体がそれに対する協力の態勢を持つということをぜひともやっていただきたい、これが一番大事な問題だ、私はこう思います。
  423. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 第一点、余りにも基本的な問題でよくわかりませんが、一つは、不公平税制というものの是正ができるように検討していただきたいと思います。  それから、増税はしていませんが、実際に重税感というのは相当なものでして、控除額が毎年同じようになっているものですから、この辺はぼくらは実質的な増税になっているのじゃなかろうかということを一つ考えます。  それから、もっと具体的に言いまして、健保とか国民健康保険とか年金、みんな関係してくるわけですね。たとえば健保ならやはり乱診乱療、薬づけ、この辺にメスを入れれば、一割や二割は国保をやりながら節約できそうな感じがします。この勇気をやはり厚生大臣に持っていただきたいということが一つですね。  年金については、これは専門家で大いに議論があって、積み立て方式がいいか、拠出方式がいいかという議論があるようですが、どっちの話を聞いてもなるほどなと思うのですけれども、この辺はもう少し高齢化社会に向けて、両方をミックスさせたようなものが何か編み出せないかというようなことを、漠然とですが考えております。  それから、地方にいるためにひがんでいるかもしれませんが、大型プロジェクトをやるなら、その前に並行してこっちの方の国道にも歩道をつけてほしいとか、こういうことば特に強く、地元の代議士でもありますので甘えて申し上げておきます。  それから、次の出先、これはちょっとよくわかりません。私たちが足を運ぶのは、小牛田町あたりでは地建と農政局ですが、これが縮小されて逃げていかれると、私たちは率直に言ってちょっと困ると思うのです。通産局やその他のことはちょっとよくわかりませんが、これだけはひとつ守ってください。
  424. 木村秀寿

    ○木村秀寿君 第一点でございますが、行政需要を支えるためにある程度の増税などもということもございますが、行政需要にもいろいろあると思うのです。自治をする、自分から治めるということは、地方行政ばかりじゃなしに、地域の住民もやはりある程度自分の連帯の中でなすべきことも相当多いのじゃないかと思います。それを一切行政に持ち込んで、行政需要だということで金がかかる、そういう立場ばかりでは問題が解決できないし、もう一つは、どうも最近、日本経済大国などと言われておりますから、皆お金を持ったつもりでぜいたくになってきているせいもあるのじゃないかと思うのですね。ですから、ひとつ政治の中で、金を持った弱い国民だけはつくってほしくない、丈夫な強い国民をつくるためにこの点でも配慮をしていけば、いろいろ経済関係の増税やなんかといったような問題もある程度出てくるのじゃないか。やはりみんなの力を引き上げていく方向にひとつ持っていってほしいと思います。  あと第二点の公団公社関係特殊法人関係は、私もよく存じませんけれども、いろいろ出てくる面におきましては、やはり制度の見直しということが時代の変化によって当然必要になってくるのじゃないかというふうに考えますので、行革を進めていく限りはこれにメスを入れることは非常に大事だ、内容は深くわかりませんけれども、そんな感じがいたします。  あとは出先機関の関係でございますが、出先機関は先ほど私が申し上げましたとおり、行政組織検討に際しても、安易に縮小するだけでなく、積極的に地域の特性を助長する云々と申し上げましたが、出先機関はやはり地域の実情を一番わかっているんですね。ところが、権限がないのですよ。どうも一切中央とつながらなければいかぬ。せっかく出先機関を出しておるならば、そこで一番地域に密着した仕事ができるのですから、そこで解決するぐらいな権限を付与しておくということが必要だ。もう中途半端なものは要らぬのじゃないかというような極論も出てきますので、やはり地域といたしましては、一番実情のわかったところはひとつ権限なんかも付与して仕事ができる体制にしてほしいというのが、私の私見でございます。
  425. 河越重任

    ○河越重任君 三塚先生の御質問の第一点の財政再建かくあるべしということになりますと、非常にいろいろ問題がございますし、どうも即効薬というのが、一書でこれだということはなかなか申し上げにくいので、御容赦いただきたいと思います。  ただ、私、ちょっと考えますのに、わが国経済的に相当恵まれてきたということなわけですけれども、どうも最近、要するにフローばかりではかって、わが国において国民のストックがいかに低いか、そこら辺をもう少しいわば海の外に向かっても言っていただけると、海の外からも余り余分な注文をつけられないで済むのではないか。そうすると、その分だけ財政負担を少なくするのに多少の役に立つかと思うわけであります。  それからもう一つ、行政改革につきまして、出先機関は国民のニーズにこたえているかどうかということでございますけれども、これはどうも先生の御質問趣旨には反するかもしれませんが、たとえばここにお見えになっているテレビ各社、東京では送信所が一つで済むかもしれませんが、東北では各社何十となく中継所を設けております。上の空を飛んでいくテレビの電波でさえニーズにこたえようとするとそれだけ要りますので、これは御質問趣旨からは大分あべこべになりますけれども、やはり行政の方もニーズにこたえようとすると、片方で省くと同時に、片方ではやはり少し高くつく、余分につくこともある程度考えに入れていただかなくてはならない部面があるのじゃないかと考える次第です。
  426. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 三塚先生の御質問、最初の財政の問題でございますが、租税負担率の問題も先生いろいろおっしゃいました。しかし、日本の租税と外国の租税とはいろいろ内容において違うようでございますので、単に租税負担率だけでは、なかなかその判断にわれわれは苦しむところであります。しかし、要するに財政の赤字というのは、特に赤字国債が出ましたのは第一次オイルショックの後の後始末であります。あれをああいう形で解決した日本と、それからああいう形をとらなかった外国、その結果、その後の世界経済における適応というものは、日本経済がすぐれておるということは証明されております。  ばらまきとも言える赤字国債を多額に出されましてバランスをとり、そしてその当時の経済活動の混乱を防がれたということは、私どもとしてはそれなりにその価値を認めざるを得ません。したがってそれの後始末というものが現在ある。この後始末の仕方がいろいろあるということでございまして、その一つの方法では増税もあるかもしれません。しかし同時に、何のために増税をするのか、どういう財政の中のバランスになるかということをお考えいただいて、これは御決定になるべきものであろうと私は存じております。  それからもう一つ、地方の出先機関の問題でありますが、これは日本国じゅうにおける法律の公平な適用ということを前提として、その行政機関をお設けになったのだと思います。先ほど申し上げましたように、それが日本の中央集権の一つのあらわれでありまして、この制度が続く限りこういう形はとらざるを得ない。先ほど木村さんもおっしゃっておりましたように、むしろある権限をその地方出先機関がはっきり持たれて、一々細かい問題までも中央と相談することがないようにすることが、本当は地方の出先機関の機能かと私は思うのであります。しかし、これとその制度自体がいいかどうかということは別問題でございまして、あくまで現在の制度が続く限り、この制度はやめるということはできないであろう。もしこれをやめて、そうしてもとに戻して現在の制度を続けるならば、いまの非常に多様化した日本経済の活動について、これを十分国自体が把握することができなくなる、私はかように考える次第でございます。  以上でございます。
  427. 遠藤正之

    ○遠藤正之君 私は、先ほど申し上げましたとおり、この行革の失敗という点で、一つには行政機構の問題をお話しいたしましたけれども、これはもう万人が承知をしておるところだと思います。したがって、この行革については、私が先ほど三つの要件というのを述べましたけれども、その二つ目に述べましたところの行政機構そのものの内からなる盛り上がりといいますか、そういったものが必要になるわけでございまして、これがないと、またぞろ前車の轍を踏むということになろうかと思います。  それから、二つ目の理由として、私は国民の世論なりあるいは支持なりがいま一つ足りなかったと申し上げましたけれども、今回はこれは違いますよ。ですから、この二つ目の国民の支持なり国民世論というものを十分御理解を願って事に当たっていただきたいと思います。われわれは、これも先ほど申し上げましたけれども、仲間とともに広く国民運動としての活動をいま展開中でございますが、過去のような安易な気持ちでなく、もう瀬戸際に来た、断崖絶壁に来たという覚悟でやっておるのでございまして、その辺が過去の様子とは違うということを御理解を願いたいと思います。  それから、地方の出先機関なり特殊法人の問題については、先生御案内のとおり、私の方からくどくど申し上げるまでもございません。臨調答申も出てございますし、さらには来年の臨調答申ということもございますので、われわれの立場として、それにのっとって推進実現のためにやるということでございますので、私の口からくどくど申し上げるまでもないかと思います。  以上です。
  428. 三塚博

    ○三塚委員 ありがとうございました。終わります。
  429. 金丸信

    金丸座長 午後一時再開することとし、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  430. 金丸信

    金丸座長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  431. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 六名の方々、お忙しいところお出かけをいただきまして貴重な御意見をお聞かせいただきましたことに対しまして、まずもって心から感謝を申し上げたいと思います。  今回、第二臨調が第一次答申を出しまして、それを受けまして、鈴木内閣としては行政改革推進に関して閣議決定を行い、そして今回、三十六本の法律案を一本にいたしまして行政改革臨時措置法という形で法律を提案してまいったわけです。  私たちは、行革というものはやはり八〇年代のわが国あるいは二十一世紀のわが国を展望して、ビジョンを持った行政改革でなければならないし、そしてまた、その基本は平和と福祉と分権を進める行政改革でなければならない、かように考えておる次第であります。  ところが、今回出てまいりました行政改革臨時措置法は、三十六本の法律を束ねて出しまして、内容としては七項目でございますけれども、これを見ますと、どうも私たちが期待をする行政改革とは縁遠いものではないだろうか。むしろ、昭和五十七年度予算編成鈴木内閣が進めているゼロシーリングに合わせて、いわばつじつま合わせのものでしかないのではないだろうか、このように考える次第であります。  そして、いま皆さんからお話がありましたように、福祉に対して非常に切り込んでいるのは問題ではないだろうかとか、あるいは教育に対して冷酷な面があるのではないか、さらには地方自治体に対して負担を転嫁しているのではないだろうか、そしてまた農政に対してどうも扱い方が冷たいのではないだろうか、こういうようなお考えがございますことも、私どもはまことにごもっともではないかと思っておる次第でございます。  さらに、防衛費については七・五%というような聖域を設けて、いわば軍事予算を拡大するために、福祉や教育や地方自治やあるいは農政にしわ寄せを持ってくる、こういうきらいがあるのではないだろうか。といたしますならば、これはどうも行革ではなくて軍拡ではないだろうかというような懸念すら私たちは抱かざるを得ない、かように考えておる次第でございます。  そういう立場から、私たちはこの法案に対していろいろな角度からの議論を進めてまいったわけでございますが、本日承りました六人の方の御意見の中から、お三人の方にしぼりましてお尋ねをいたしてみたいと思います。  第一は、栗村さんに対してお尋ねをいたしたいと存じますが、行政改革というのは高い理念がなければならないし、現に地方自治体の中で住民サービスのためにあるいはごみを集め、屎尿のくみ取りを行い、あるいは福祉のために専念している職員の人たちを萎縮させるようなことであってはならない、人件費というものは、地方自治体においてはむしろ事業費と考えてもよろしいのではないだろうか、このような御指摘は、まさにそのとおりだと存じます。このような御指摘を踏まえまして、たとえば教育について四十人学級を抑制するとか、あるいは教育費の無料制度を有料化するというようなことをしようとするならば、このようなことには反対だけれども、同時に、それでは町村の教育というものは一体どうあるべきなのか、ここはがまんをしろと言うならば、一方に明るい展望というものを示さなければ片手落ちではないかという御指摘は、まさにそのとおりだと思います。  栗村さんの町におきましては、小学校、中学校、特に山村におきましては養護教員、事務職員の配置が十分行われていないという状況を私も承知をいたしておりますが、具体的にはどのような状態になっておりますか。県が配置しないために、町村としては持ち出しで苦労しているというような状況がございますか、お尋ねをいたしたいと思います。  それから、今回の第二臨調の第一次答申は、後で木村さんにもお尋ねしたいと思いますが、どうも農政に対して少し冷淡な面があるのじゃないかという気がいたしております。特に東北六県の状況を踏まえ、栗村さんのところでは農業関係の補助金が一体地域の農民の皆さん方に対してどのような状況になっているのか。私は、農業関係の補助金は零細補助金で、中央の役所で一々チェックをするというようなことはむだではないか、むしろメニュー化し、あるいは栗村さんがおっしゃったように、補助金をカットするならば交付税をふやして、一般財源、自主財源として自治体に財源を与えて、要するにその地方の実態に即した農業の施策を進めた方がいいのではないかという御意見ではないかと思うのでありますが、実情を踏まえての御意見を賜りたい。  しかもまた、つけ加えて、零細補助金の場合は、補助金をもらうための事務手続が非常に煩瑣だと聞いております。具体的な事例を挙げて、こういうむだがある、こういうむだは解消すべきではないのかという御意見があれば承っておきたいと思います。  それから、私は、自治体の職員、特に基礎的自治体である市町村の任務というのは重大だと思います。行政改革はまさに分権でなければならないと思っておりますが、特に市町村の自治に携わっている職員の方々が意欲をなくしたのでは、私はどうにもならないと思います。人件費は自治体においては事業費だ、こういう御意見でございますが、栗村さんのお立場から、活力ある自治体、住民サービスのためにみんなが生き生きとして働く自治体というものをつくるためには、この人件費等どうあるべきかという御意見があれば承っておきたいと思う次第であります。     〔座長退席、三塚座長代理着席〕  次に、木村さんにお尋ねをいたしたいと思うのですが、第二臨調の第一次答申、御存じだと思います。これを見ますと、農業基盤整備事業については極力抑制する、あるいは食糧管理については、逆ザヤの解消に努めるとともに、需給の動向を踏まえつつ適正を期する必要がある、さらに、過剰米処理の合理化に努め、その損失を極力圧縮する、水田利用再編対策については、当面、経費の節減合理化に極力努める、構造改善事業等に対する助成については、補助内容を見直し、重点化を図る等々、あるいは各種農産物の価格支持については、国際価格を考慮し、価格水準及び対象数量を設定するというような形で、農政については相当厳しい注文をつけているわけです。  木村さん、御賛成の立場で今回御意見をお述べいただいたのでありますが、木村さんの農政に対する御心配は、私どもまさにそのとおりだと思います。臨調答申の農政に関する部分について、具体的にどういう御意見であるか、承っておきたいと思うのであります。  最後に、河越さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、特に福祉の問題についていろいろ御意見をいただきました。まさに御指摘のとおりだろうと私ども思っております。ただ、時間の関係もございますから、しぼってお尋ねしたいと思うのですが、特に地域特例の問題についてお触れになりました。  地域特例かさ上げのカット総額三百九十四億円のうち、東北六県が人口では実に八%でありながら、このカット分の二五%が東北にしわ寄せされておるという御指摘、さらにまた、国民健康保険二千四百十三億円のいわば都道府県に対する負担転嫁、これは法律には直接関係ございませんが、明年度の厚生省概算要求の中に出ているわけでございますし、答申の中にもその趣旨があるわけでございますが、このうち一〇%に当たる二百四十億が東北六県にしわ寄せされているという御指摘は、まさにそのとおりだろうと思うのです。  ですから、今回の行政改革は、ややもすると一律カットという方式をやろうとしているわけですね。今度のゼロシーリングもまさにそうなんでして、一律切っていこう、特にそのうち福祉や教育にしわを寄せられる、農業に多少しわ寄せがあるということが問題なんですが、公共投資なんかも一律切っていこう、こういうわけですね。そうなりますと、宮脇さんが主張されたような傾斜重点配分ではなくて、どこも一律切るよという形になると、特にしわ寄せが東北六県とか過疎地域とかいうところにくる。ここに私は、今回の臨調第一次答申及び今回の法律、また政府が明年やろうとしているゼロシーリングの問題点があると思っている次第です。  そういう意味で、一律カットというのはむしろ悪平等になるのじゃないかという御懸念を東北の皆さんがお持ちになるのは、私は当然ではないかと思います。そういう意味で、御指摘をいただいたわけでございますが、それを裏づけする御意見がさらにございますならば、河越さんから承っておきたいと思う次第であります。  以上です。
  432. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 第一点でございますが、特に人件費が事業費だというのは、行革を叫び、なお民間から見ておられる方々に、きわめてしっかり認識してほしい、こう思うのです。たとえば特別会計の水道事業などでは、人件費はその中に含まれますが、しかし余りもうけちゃいかぬし、それから赤字を出してはいかぬ、こういうことで綱渡りしながら特別会計の運用をしていまして、特別会計の人件費はまずちょっとおくとしまして、たとえば幼稚園なんかやりますと、うちの町では五つの幼稚園がございますが、幼稚園の使用料がいま月三千五百円、上がるのが二千百万円ぐらいでして、幼稚園費というのは七千七百万、約八千万ぐらいかかっていますが、そのうち人件費というものはいわゆる保母さんの経費が六千万円、パーセントにしまして七八・四%というのが保母さんの人件費なんですね。人件費攻撃をされるとき、こういう中身をしっかり理解して、それじゃ自分の子供や孫は幼稚園に預けていないのかとか、自分の子供は学校に行っていないのかとか、自分の出すごみはだれが始末しているかとか、こういうことをきちんと理解した上で、官民の人件費の本質的な違いというものを理解していただきたい、こういう意味で申し上げました。  それから、小中学校の養護教員や事務職員、司書補ですが、私の町は宮城県では大きな町でして、比較的開けた町の方に入りますので、過疎地帯のように小さな小学校というのは特にございません。したがって、養護教員は大体県費で配置になっていますし、事務職員、司書補、こういうものについてはまだ不十分なんですが、これも一応の基準がありますから、これはこれで、まずその基準まで切り込みませんで、ただ困りますのは、過疎地帯の小さな小中学校を持っているところなんですね。県費で配置されなければ、どうしたってPTAやその他の住民の要求が強いですから、村費や町費で配置せざるを得ない。そうなってきますと、財政力の乏しい市町村ほどそのしわ寄せ、重荷を背負っているという側面があるわけです。  ですから、私はそれがいいと言ったわけではありませんが、もし仮に教科書の無償配付をやめるとか、四十人学級を延ばすという——四十人学級を実施する前に、私はこういう事務職員、養護教員の配置の方を優先すべきだという議論ですから、まあこれは少しぐらい延びたって、割り切りて言えばその辺はがまんしてもという気持ちではおるわけですけれども、中身としてはそういうことでございます。  農政関係の補助金のことですが、補助金については一律に補助行政どうこうという言い方はおかしいのであって、補助金というのは国家的規模で行政をコントロールするという意味合いが非常に強いわけでして、特に財政力の乏しい町村にすれば、農林や建設サイドの大きな補助金というのは非常に重要な意味合いを持つわけですから、これは積極的に肯定をしてかかる必要がある。ただし、今日的意味合いのない、あるいは惰性でやっているようなもの、あるいは金額としてこんなものをもらってもしようがないというようなものについてはやはり思い切ってメスを入れる、こういうふうに補助金というものは分類して見なくちゃいかぬ。  特に農政関係の補助金ですが、結果としてあんなものはむだだったな、牛でも果樹の関係でもそういうのがずいぶんございますね。ところが、実際の農村あるいは農山漁村と言ってもいいですが、そごの生産活動というのは、農事試験場や大学の農学部と違うわけですね。そして、市場価格にもまれながらやっていますから、結果としてどうしても試行錯誤に終わったという補助金行政の実態もあると思うのです。やはりそういうようなことも見ながら、補助金の見直しはぜひやっていただきたいが、基本的な、国家的な規模でコントロールする、あるいは土地改良とかあるいは基盤整備に関するようなものを後退させてもらっちゃ困る、こういうことです。  ですから、農免道路やその他ありますと、実にわれながらさもしくなるほど、砂糖に群がるアリのように市町村長はそれに食らいついていくわけですよ。そして地元、私たちなら三塚さんにお願いするとか、いろいろな手をとりながらやるわけですね。そして、勝った、負けたと思いながらやっていますが、それは何も市町村長の手柄功名でありませんで、これで農道も整備しておこう、できればこれで地域の屎尿処理の関係もやっておこう。それから、特にこっちの東北地方にしますと湿田が多いですから、暗渠排水については、将来五年先、十年先、二十年先を展望して、米をつくれとなったらさっと米をつくる、あるいは麦といったら麦へ切りかえられるようなものにぜひやっていただきたい。  ですから、そのことのために他の補助金を多少やめてしまうとかいうようなことは、やはり政策の整合性を持つ必要がありますから、その辺のカットになる部分についてはこっちも甘んじて受ける、こういうようなことで、国と地方が一体になっていく必要がある、こう思います。  零細な補助金というのはすごいんですよ。こういう実態がわからないで批判している人が多いのですが、委託金とか、そのほかの零細補助金も含めて、たとえば日雇健康保険事務委託費四千二百六十八円とか、それから人口動態調査費四千円とか、三千円、六千円、八千円、五万円とかいうたぐいのものがいっぱいある。ですから、これももらえるものはもらった方がいいということになるでしょうけれども、こういうものは洗い直して、一括でメニュー化方式なり何なりでよこすようにしまして、そしてあとは地方の自治体の方でやるとか、あるいはこれはもらわなくてもいいから、ただ委任事務についてはやらなくちゃいかぬでしょうが、委任事務を洗い直すとか、こういうことについてはひとつ自治体の側からも行革にどう対応するかということを見ていただきたい、こういうことでございます。  それから、自治体職員に意欲を持たせるというのは、仙台市ぐらい大きくなればどうかわかりませんが、私たちのような町では、朝から晩まで住民に監視されていますから、でたらめに何かやろうといったってできないです。  うちの方もそんなにおくれてはいないと思うのですが、改めてラスパイレス指数を見たら九五でして、自分では少しは進んでいるつもりだったのですが、こういうようなことがほとんどこっちの方の地方の実態です。ところが、東京だの大阪近郊の一一五だとか一二五のところを取り上げて、地方自治体はけしからぬ、そうなると、何がわれわれの自治体もそういう高給をはんでいるような印象を与えてしまいますから、こういうことについては、やはりきちんと行革委員会などでも実態を明らかにしながら議論を誘導していっていただければと、こう思います。  特に第一線では住民とつばぜり合いでやっていますから、要求される、それを断る、そういう意味では一番苦労しているのはやはり市町村だと思いますけれども、むだなんかやろうといったってやれませんし、できれば許認可権とか、行政が対応することが少ない方が市町村もやりやすいわけですから、勇気を持って、やはりこれは住民の側でやりなさい一ごみを不法投棄しておいて町が悪いとか、農道に草が生えたから草刈りをしなさいとか、こういうような議論が平気で来ますから、そういうものには、行政の衝にあるわれわれも政治家の皆さん方も、勇気を持ってその辺は話す必要があるのではなかろうか。それが自治体の職員に意欲を持たせるということにつながると私は思います。  以上です。
  433. 木村秀寿

    ○木村秀寿君 いま先生の方から、私が先ほど公述した以外の具体的な内容についてということでございましたが、関連する内容についてはただいま栗村公述人の方からも申されましたので、私からも二、三の点について特に申し上げておきたいと思います。  特に、ただいま御指摘になりました第一次臨調答申の農政に対する厳しい見解についての内容も、食管赤字とか、過剰米の処理とか、水田利用再編の経費節減とか、土地基盤整備、それから価格問題、多面にわたって出てまいりましたが、私は、こうした部分的な問題を私たちが言うのであればいいといたしましても、今回、国の大きな行政改革をする、それから財政再建をするといったような高所に立つ方々は、もう少し広い目で見てほしかったということです。確かにこうした現象面があるとしましても、一体これから日本民族の食糧問題をどう考えていくのか、その中において農業の産業としての位置づけがこうあるからこの問題が出てきておるのだといったようなことで、高所に立ったものが欲しかったのでございますが、逆に近視眼的に、われわれが常に気にかけていることが出てまいったのを大変残念に思っております。  私から申し上げるまでもなく、農業全体から見ますと、ただ金銭的な面だけで解決つく内容ではないということも申し上げるまでもないことでございますが、一つ例をとりまして、食管赤字だ、一体これは赤字といったような性格のものだろうかということも、逆に、こうした発言をなさる方方が検討してほしいということでございます。  それから、過剰米の関係につきましても、現在は単年度需給が完全になされております。食糧米としてこのむずかしい米まで勘定していろいろな問題を提起をされておりますが、それはわれわれも単年度需給の中で、水田利用再編、減反の中でこれを整理しておりますので、そうした指摘はどうかと思っております。  それから、よく基盤整備は農家の個人の財産をふやすためにさらに国費を注ぐ云々ということも言われておりますけれども、果たしてそうだろうかといったような内容も出てまいりますし、あと、われわれがよく生産性が低いと言われておりますけれども、農業全般にわたって最近は目覚ましいほどの生産性の向上を見ておるのも御案内のとおりでございます。ただ、経営面積という面から取り上げるについてはそういうわけにはまいりませんけれども、全体からしますと、生産性も向上しているということが言い切れると思います。  そういうことで、私から別に食糧の安全保障の問題を言うつもりはございませんけれども、いろいろ補助金補助金と言いますが、私は、補助金は農業政策を推進するための潤滑油であって、どうしても足らない金が補助金という名前でついておりますが、これは政策推進のためにどうしても必要なものだという認識を持っておりますし、長期的な目で見て農業の発展として出てまいりますので、その点もこの臨調意見なんかとは別に持つものでございます。  全体としては先ほど私は賛成の意見を申し上げましたが、農政の中身についてはどうしても改善していただく事項がたくさんございますので、それをひとつ先生方にお願いいたしますが、現実に即した内容を整理していただきまして、将来の国民の食糧問題なり農業の将来について誤りのない御判断をしていただきますように、こちらからもお願い申し上げたいと存じます。  以上で終わらせていただきます。
  434. 河越重任

    ○河越重任君 先生の御質問の、地域を主とするところの一律カットの問題ということでございます。それで、私もこの公聴会に出てまいりますときに、せっかくの機会に実は一つでも二つでも、一体そういうことになった場合に具体的にどういう地域にはどんなことが出てくるのかということを、大まかな点でもつかみたいと思ったわけなんです。しかし、残念ながら、一応行革ということは言われる、法案は出ている、しかし、その法案だけではなくて、予算上といいますか、法改正には関係ないということで、概算要求の中には入っているようですけれども、それが個々の地域にどういうかっこうでおりてくるかということは、実は自治体あたりのところもどうなるかまだわからないというような状態で、はっきりしたお答えができかねる状態でございます。  ただ、一言申し上げさせていただきますれば、とりわけここ東北におきまして、物言わぬ農民が多うございます。その方たちの生活の実態というものを踏まえた上で、まあこれならばいい、痛み分けで仕方がないのだなというようなかっこうのものにしていただければと思うわけです。  それからもう一つ、一律カットのほかに、先ほどもお話に出ておりましたけれども、昨年のあの冷害、ことしの台風の害、そして来年あたりからこうした予算上の措置や何かが出てまいります。そして、公共事業等、地域に対する補助のかさ上げ分のカットにいたしましても、二分の一は地域に返ってまいります。その負担が出てくるころには、地方交通線の廃止とかなんとかという問題も出てきます。ここに直接出てこないものも重なってくるということになると、もっといろんな影響が出てくるのではないか。したがいまして、いわゆる地方時代と言われていますけれども、もう少しそうしたものについて、地方時代であったということにならないように、多少時間がかかるかと思いますけれども、そうした点も踏まえてやっていただきたいと思うわけです。  それからもう一つ、そうした点につきまして、私が主として申し上げてまいりましたいわゆる福祉の点については、物によってやはり機関委任事務だ、仕事も自治体に押しつけているからまあこの際ついでに金もということになると、その性格から一体どういうものであろうかという点もあろうかと考えるわけでございます。
  435. 三塚博

    ○三塚座長代理 次に、沢田広君。
  436. 沢田広

    ○沢田委員 沢田ですが、貴重な切々とした御意見等を伺いまして、心から厚くお礼を申し上げます。  山口委員の後を受けまして、若干質問をさせていただきます。私は、時間の関係がありますから  一問一答でさせていただきたいと思います。  宮脇さんにお伺いいたしますが、たとえば東北新幹線、これからわれわれも運動を進めますが、進めますと四千億ぐらい赤字が出てくるのであります。あなたの考えでは、これは税金から払うべきか、受益者から払うべきか、どちらとお考えですか。
  437. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 東北新幹線の問題を取り上げられたわけですが、私は東北開発の方には実は大分長く、昭和十年ごろから取り組んでおるのですが、きょうも申し上げたような総論賛成、各論反対というものがあっては困ると言いながら、やはり東北の地域としてはややそういうような各論反対的な点を申し上げてまことに恐縮なんですけれども、先ほどもちょっとお話がありましたように、二十一世紀の日本全体をながめてみますと、人口の増加の問題あるいは地域の不均衡の問題、そういう問題から考えまして、まだまだこの東北には広い地域もあれば、またその地域の産業も十分に発達してないという中途半端な点が相当にあるのです。東北新幹線の問題も、やはりそういう点なのです。  御承知のとおり、東北本線はたしか明治二十四年ですか、東海道線が走ったとほとんど変わらずに青森まで実はできたのです。ところが、新幹線につきましてはやはり西の方がはるかに早くつきまして、東北が非常におくれている。言ってみれば、時期が相当おくれたという点に非常に不利な点があると思います。  私は東北の人間じゃありません。関西の人間ですが、しかし妙な縁があって、もう四十数年間、実は東北のことばかりいろいろやっているのです。東北は、御承知のとおり戦時におきましては……(沢田委員「ひとつ簡単にお願いします」と呼ぶ)  簡単に申しますと、鉄道の問題につきましては現在も年間約一兆円の出費を補給しなければいかぬというような事態になっています。したがって、鉄道自体の財政的な改善という問題が一番大きな問題で、国鉄の総裁もその点につきましては非常にいじめられたり、また非常に苦心をしているようでございます。  東北新幹線につきましても、これは東北としての最小限度の主張だと思います。したがいまして、国鉄全体の経理のもとにおいてどうするかということにつきましては、私は現在そこまで御答弁申し上げかねますが、しかし最小限度、東北新幹線は少なくとも青森まではやってもらいたい、それが地域の均衡の問題である、私はこう考えておりますので、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
  438. 沢田広

    ○沢田委員 では、重ねてですが、西高東低は明治以来の伝統というか、歴史的な歩みなんですが、それをそのままの状態に置いていまこの行革をやろうとしておるわけですけれども、あなたの説からいえば、まず公平を確保してから行革をやるべきだ、こういうふうに思われるのか、そうじゃなくて、そのままでやれという御意見ですか、どちらかということだけお答えください。
  439. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 少なくとも東北としてはある程度の平均まで持っていくのが至当である、それがまた、日本の将来のためにもぜひとも必要である、こう考えております。
  440. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、不公正税制の問題は、われわれは公正税制が前提である、やはり不公正税制を直すことの上に立って、これも並行的なものだと思いますが、行革を行うべきであろうという主張も持っております。  そこで、自治体を預かっておられる栗村さんに、不公正税制として考えられるものを一、二挙げていただければ幸いだと思います。
  441. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 やはり租税優遇措置をやっている法人、あるいはお医者さんのどこまで入るかということになりますが、こういうことについてはぜひやってほしいと思いますし、それからサラリーマンが逃れっこなしに全く源泉徴収で取られていますから、他の中小企業者の人たちと比較しましても重税感を持っていることは実態ですから、そういう意味のちょっときめの細かい是正も含めまして、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
  442. 沢田広

    ○沢田委員 では、遠藤さん、いまクロヨンというふうに言われておりますし、また、不公正税制の是正、物価調整減税、こういうようなことも多く唱えられております。でこぼこのままの行革と、やはり公平感を確保してからの行革と、あなただったらいずれを選択されますか。
  443. 遠藤正之

    ○遠藤正之君 私は、やはり現行の社会悪とまで言われております諸種の社会的不公平、これをまず正して後にやるべきだと思います。
  444. 沢田広

    ○沢田委員 だが、それが行われないでやられるところに、いま私たちも問題があるわけなんです。  それから、いま町長さんの方からお話のありました不公正税制で、いま挙げられたのは法人の関係、医療の関係。その他引当金、準備金、交際費、広告、たくさんあるわけでありますが、これは藤崎さんから、これらの不公正税制の是正をまずやるべきである、優先順位という言葉がありますが、そういうことをやっていくべきである、こういういまの御発言等についてはどうお考えですか。
  445. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 ただいまの御質問は、非常に包括的な御質問でございますが、私といたしましては、不公正な税制があるとすれば直すのは当然でありますけれども、これは何も今度の行革の問題の必ずしも前提となるべきものではない。と申しますのは、税金というものはずっと続いておるものでありまして、現在の税体系ができたというところに一つの基礎があるわけであります。これは戦後におけるシャウプ税制から始まっておるわけでありまして、もし税体系そのものを考え直すのであれば、これは基本的に考えなければならぬ。  先ほど私が申し上げましたのは、一つは、税はいまいわば国税中心である、それを地方税中心に切りかえていただきたいということでありまして、いまの不公正税制を直すことが前提であるかどうかという御質問であるとすれば、私はこれは別個の問題であると考えております。
  446. 沢田広

    ○沢田委員 その中で、答申には一行ではありますけれども、不公正税制の是正はやるべきであると書いてあるのですね。ですから、やはりそのことは指摘はされているわけでありまして、だからやっていくということは一つの方向だ、こういうふうに考えておるわけであります。お言葉を返すようで大変失礼ですが、もし何かあったら……。
  447. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 ただいまのことは、これは当然であると思います。あるとすれば、当然これはおやりになるべきだと思います。
  448. 沢田広

    ○沢田委員 では、藤崎さんは不公正税制はいまのところはないと感じられているのですか、あると感じられているのですか。
  449. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 いや、見解が種々ございますからということを申し上げたのでありまして、不公正税制と答申の中でおっしゃっている点を具体的に論議なさるのであれば、それは当然不公正税制として是正さるべきである。たとえばいまの税制においても、所得税における課税最低限の問題がいろいろ論議されておりますが、これはやはり物価その他との関連において考える時期が必ずある。ただし、それをやらなければできないという問題ではないであろう。これは財政の取り組みの問題であって、予算編成上の問題であると私は考えております。
  450. 沢田広

    ○沢田委員 次に、木村さん、農業で大変お力添えをいただいているわけでありますが、特に東北関係は、農業を語らずして東北は語れない、こういうことだと思うのであります。特に今度の災害に当たりまして、百五十万あるいは巨万というような貸し付けなども行われているわけでありますが、これは簡単にお答えをいただきたいのですが、その効果と、どの程度の効率があったとお考えになっておられますか。
  451. 木村秀寿

    ○木村秀寿君 やはり常に経営改善のために資金は出ておりますが、災害時点におきましても、生活費ということじゃなしに、再生産の関係の方に資金が流れておりまして、農家自身も災害の年には災害の年らしい生活をつくっていきましょうということでございますので、多く使われているのは生産資金関係でございますから、これは来年のためにも、また永続性のためにも非常に大きな効果をもたらしている、そのように考えております。
  452. 沢田広

    ○沢田委員 なお、つけ加えて、国会議員もここに来ているわけですが、十分効果を挙げているから十分だとお考えになっているのですか、あるいはその他希望の意見は加えてあるのですか、これでいいということなんですか、どちらですか。ちょっと加える意見があったら、それをお聞かせいただきたい。
  453. 木村秀寿

    ○木村秀寿君 確かにその点はございます。ことしも天災法の激甚地の指定をいただきまして、天災資金も出すわけでございますが、やはり続いておりますとそれで限度いっぱいになる。それから、償還期限の問題なんかもその年にひっかかってくるという点もございまして、その限度の引き上げと、それから災害年度の翌年に償還を残すようなことを、具体的な方法などもあればよろしいと思いますし、やはり金額の問題でも制約を受けますので、もう少し金額の限度を上げてほしいという考えを持っております。
  454. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、たくさんで恐縮ですが、これは宮脇さんと栗村さんにお願いいたします。  栗村さんからお答えいただきますが、許認可事務関係で、具体的な例として、たとえばどういうものとどういうものは地方に移管してほしいとお考えになっておられるか。  これは宮脇さんの方も同じように、許認可事務の中でどういうものとどういうもの、全部挙げろというのじゃなくて、思いついたものだけで結構です。たとえば、具体的に一つでも結構ですが、こういうものは地方に移管すべきであるとお気づきになっているものがあれば、おっしゃっていただきたい。いま急に思いつかなければ結構です。
  455. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 いま急に特に思いつきませんが、ただ、地方の者が何でもかんでも東京に行かなければ用が足りないというような状態を見て、これは非常に不便であり、不能率である、こういうことを常々感じております。いま現在、具体的にどうということは、ちょっと申し上げるほど記憶にございません。
  456. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 いま宮城県でも他の都道府県に足を合わせるように権限の移譲が行われていますが、率直に言ってどうでもいいようなものとか、あるいは今日的意味がもうなくなっているのじゃないかと思うような小さなものがずいぶんございます。そういう意味では、多少これから試行錯誤を繰り返して、自治体相互間、県と市町村あるいは国も含めて整理されていくと思います。これには大筋期待をかけています。  ただ、特にぜひ市町村長に権限をもう少し大幅に移譲してほしいと思いますのは、開発許可行為とか、それから農地の転用とか、一定の規模のことも出てきますが、あるいは都市計画に関するような問題とかを、一々県に伺い、国に伺いということでなしに、これをひとつ追求していただきたい、こう思います。これは農地法や農地の保全上の課題もありますが、何と言ったって一番わかっているのは市町村長で、市町村長というのは決してむちゃくちゃなこととか、でたらめなことはできない立場にあるわけです。ですから、開発許可行為とかそれに類するものはひとつ市町村長に、完全にというわけにはいかぬのはわかりますが、相当大幅に権限を移譲してほしい。これは町づくりの基本になっていくだろうと思うのです。それは過疎地であろうが都市近郊であろうが、そういうふうに考えております。
  457. 沢田広

    ○沢田委員 違った立場で栗村さんに御回答いただきたいのですが、たとえば五十七年度ゼロシーリングでいきます。所得税、法人税、酒税、これは前年度並みでそのまままいります。五十八年度もゼロシーリングでいく。そういうふうにいった場合に、地方交付税の占める役割りというのは、同じ三二でも全体的なバランスでいくと、相対的なものからいけば高くなる。三二が三四の効果というかっこうを示すことも考えられるわけです。ちょっと意地の悪い質問で申しわけございませんが、その辺はどういうふうにお感じとめになられるか、お伺いいたしたい。
  458. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 前段の陳述でも申し上げましたが、補助金を切られるのを納得するのはやむを得ないが、交付税率を引き上げてほしい。そうすれば、必然的に財政的な見地から分権が多少でも確かなものになってくる。  そこで、今度の行革関連法案を見てみましても、後で交付税で見るとかなんとかというのが大分あるわけですね。そうしますと、私たちは特交という一つのところにしがみついていろいろやるわけでして、五百万でも一千万でも、少しでもよけいもらえればということで知恵をいろいろしぼるわけですけれども、交付税の中で後で見る、こういうようなことになっていって、交付税の算定基準についてさまざまな因子が出てきまして、何かちょっとおかしいなという感じはするのです。それから、総体としてゼロシーリングなら、簡単な算術計算からして三二が三四の効果があるのではなかろうかということのようですが、どうもその辺は、二万人ぐらいの町の町長としてはとても実感として受けとめるわけにはまいりません。
  459. 沢田広

    ○沢田委員 河越さんにお願いします。  いままで若干御質問をいたしまして、お伺いしてまいりました。結局、西高東低という五十六年度の予算が基礎である。その中には幾つかの不公正税制とかいろいろ矛盾もある。それを今度は横滑りに今度の法律ができ、続いて次はゼロシーリングである。そうすると、そのでこぼこはでこぼことして形態が残されたままで五十七年度に引き継ぐ。これは、私たちの意見は余り言うべき場所じゃありませんが、望ましい姿ではないというのが私たちの前提条件であるわけであります。  それについて五十八年度も、いまのところ政府は、行革と増税は似つかわないからやはりこれは行革でいく。そうすると、自然増、義務負担で約二兆円ぐらいまたふえるのじゃないか、赤字国債を含めると。そうすると、さらにゼロシーリングは続いて今度はマイナスシーリングをやらなければ、財政は、経済成長率がどのくらいになるか別といたしまして、そう大きな伸びは期待できない。とすると、さらに食い込んでくるということが考えられるわけですね。その点でどういうふうに受けとめられますか。
  460. 河越重任

    ○河越重任君 食い込んでいく、そのでこぼこをどう引き継ぐかということですけれども、そこら辺のところになりますと、先ほど申し上げました、国民のみんなに期待される行革であるためには、まず最低限こういうものになるのだという全体像と申しますか、そうしたものを示していただきたい。どうも法案を見る限りでは、国民の生活に非常に偏ったようなかっこうになるから、よけいその感は強くなるのではないだろうか。したがって、法案に関するものもそうでないものも、大体どんなものだ、しかも、できれば二、三年なりある程度の展望を持って示していただければ、かなり皆さんの賛成、あるいは一応それならば納得できるというところまではいけるのではないかと考えるわけです。
  461. 沢田広

    ○沢田委員 いまの問題、宮脇さんはどういうふうにお聞きになっておられるか。時間がなくなりかけておるのですが、もう一回言うと、結果的にことしゼロシーリングをやります。そして、今度の法律で二千五百億、これは二兆七千億から一〇%ですね。そうすると、二兆五千億をことしの予算でまた削るわけですね。来年度はさらにまた国債がふえる。そして増税もしないのですから、経済成長による税収がどれだけ伸びるかわかりませんけれども、約二兆円ぐらいまた削らなくちゃいけない。そういう状況になって、同じく平等に削る、かんなをかけると仮定いたしました場合に、御賛成の立場でそれも耐える、われわれは耐えなければいかぬのだ、そういうふうにお考えになられますか。
  462. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 これは東北としては、先ほども申し上げたように、将来の二十一世紀に向かってやる場合において、いままで余りに虐待と言うとちょっとおかしいですが、等閑視されていたというような感じです。したがって、それについては配慮をいただきながら、この国全体のものとしてはこれはやむを得ない。しかしながら、やはり気持ちとしては、おくれておる、従来とかく等閑視されていたので、この際十分に考えながらおやり願いたいということを申し上げるしか方法がないと思います。  五十七年度はむろんゼロシーリングでいきますが、五十八年度につきましては、総理も何ともまだはっきり申しておられないようですが、その点につきましてはまだ申し上げかねます。しかし、東北については、従来長い間等閑視されていたことを十分お忘れなく、ぜひともひとつおやり願いたい、こういうことを申し上げるしか方法がないと思うのです。  ただ、大きく国の行政財政の整理という問題は、非常に大事な問題でありまして、この際思い切っておやり願いたいと思いますが、しかし、こういうような東北のことも十分にお考え願いたいということを申し上げるしか方法がないと思います。
  463. 沢田広

    ○沢田委員 では、もう一回。大変恐縮ですが、たとえば三万円の滞納があるのに三十万円をかけて徴収をする。これが市町村あるいは県民税、国税、すべておしなべて公平を期すというたてまえからいきますと、三千円の滞納者にも三万円をかけて徴収しなければいけない。これはむだだと思いますか、それとも取るべきだと思いますか、いかがでしょうか。
  464. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 どうもその点についての例示は、私はどういう場合のものかちょっとわかりませんが、ただ、そのことが社会全体に非常に大きな影響を及ぼすようなときば、やはりある場合においてはそういうことはやらなければいかぬと思います。これは具体的の場合場合を考えて、全体に影響を及ぼす場合、それをそのままにほっておいてはより大きな弊害が起きるという場合には、そういうことはやるべきだと思いますが、一概にやっていいということはちょっと申し上げかねると思います。その場合場合の具体的なことを考えなければいかぬと思います。
  465. 沢田広

    ○沢田委員 大変どうもきつい質問かもわかりませんが、企業と行政とは基本的に異なるものがあるという一つの例示で出したのですが、企業というのはやはり採算が最重点であります。しかし、行政というものは、公正であるとか、公平であるとか、あるいは住民の納得であるとか、あるいは目に見えないサービスであるとか、そういうところに行政たるゆえんがあるわけですね。ですから、ときにある市町村等では、徴税費の方が徴収する額よりも大きいというのが市町村団体等には多く見られるわけです。それでも取らなければ、納めている人のいわゆる正しさが証明されない。場合場合の問題じゃない。最後まで追求しなければ公平感はとれない、こういうのがいま実態だと思うのです。  だから、いままでのお説を聞いて、企業と行政との本質的な相違というものが、若干私らの見方と違う点もあるのですが、栗村さんは、その点、町の立場からどうお考えですか。
  466. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 そう思いますが、たとえば滞納整理なんかの場合に、これはどうしても納める力がないなと判断した場合は、無理すべきじゃありませんし、明らかに悪質だ、こう判断した場合は、徴税費の方がよけいかかろうが断固貫く、こういう見識は必要だというふうに思います。
  467. 沢田広

    ○沢田委員 あと一分ですが、遠藤さん、この点はどういうふうにお考えになられますか。いわゆる企業と行政、そのあるべきものから追求していった場合に、経費のむだを省くためには、それは欠損処分で計上してしまう方が市町村としては経費は安くなる。しかし、それを取ることが行政の公平である。その場合には、栗村さんの市町村はどうかわかりませんが、いま市町村は二千万か三千万あるのに、人件費を加えますと四千万ぐらいかけているでしょうね、大体市町村をおしなべて。それは、ではなくしてしまうのが是なのか、それともあくまでも取れるものを追求して取るように努力することが是なのか。そのためには四千万の経費がかかる。それはやはり経費の節減から見れば、これは欠損処分にしてその人件費を浮かした方がいいとお考えですか、それとも、やはり四千万は必要な経費だとお考えですか、いかがでしょうか。
  468. 遠藤正之

    ○遠藤正之君 私は、現行の日本の置かれている法治国家という立場からいけば、それは取るべきだと思います。
  469. 沢田広

    ○沢田委員 時間になりましたので……。大変どうも失礼なことを申し上げました。ありがとうございました。
  470. 三塚博

    ○三塚座長代理 次に、正木良明君。
  471. 正木良明

    ○正木委員 公明党の正木良明でございます。きょうはお忙しい中を公述人の皆さん方にはこの公聴会にお出かけをいただいて、貴重な御意見をお聞かせいただきましたこと、ありがとうございました。  実は私、いまちょっと暗たんたる気持ちになっておりまして、先行き行財政改革というのはよほど腹をくくってと、いままでもそう思っておりましたが一さらに立ちふさがっている壁が非常に厚いような感じを皆さん方の御意見の中から受け取りました。  実は、私がいま一番心配いたしておりますことは、今回政府から提案されました行革の関連法案は、行財政改革のほんの一部の、全くの序幕にしかすぎないものであります。ところが、この法案だけで見てまいりますと、大体弱い国民地方にしわ寄せをされているような内容の法案であります。したがって、仮に行財政改革が今回の法案の成立のみで終わってしまうとするならば、国民地方自治体だけが一方的な犠牲を強いられた結果になってしまうわけです。したがって、来年臨調から答申が出てまいりますが、これは本格的な行財政改革の全体像に属する答申が出てまいるわけであります。  実は遠藤さんもおっしゃっておりましたが、第一次臨調のときも、何回か行財政改革が計画され、答申され、実行に移されようとして挫折してしまいました。それは、中央の公聴会のときの公述人のお話の中にもありまして、かつて行政監理委員会委員をなさっておった方でございますが、それはすべて業界であるとか、官僚であるとか、圧力団体のプレッシャーによってつぶされてしまったとおっしゃっておりましたけれども、これから本格的な行財政改革に取り組むに際して、これらの圧力団体の圧力というのを徹底的に排除しなければそれは成功しないのであります。  確かに東北という地域の特性はあるだろうと思いますから、それは十二分に配慮しなきゃいかぬと思いますけれども行財政改革は既得権の確保だけで終始してしまえば、これは失敗するに違いないわけでありまして、私の考え過ぎであれば、杞憂であるならば幸いでございますが、きょうの公述人の皆さん方から、本格的行財政改革に圧力団体になってしまうのじゃないかという危惧を抱いたわけでございます。  たとえば、中央省庁の機構の簡素化であるとか、出先機関の廃止の問題であるとか、公務員の減員の問題であるとか、特殊法人の整理統合であるとか、補助金の整理だとか、やらなければならぬものは本格的なものとして山ほどある。どうかそういう点ではひとつ皆さん方の良識を発揮していただいて、いまかってないくらいの政治的エネルギーが燃え上がった行財政改革に対する国民の意欲というものを十二分に発揮して、この行財政改革が成功するように御協力をいただきたいと思うのです。そうでなければ、もうここで国民をだましてしまえば、ここ十年、二十年、恐らく二十世紀中には行財政改革は手をつけることはできないだろうと私は思います。その点、ひとつ皆さん方のそれぞれの御良識に訴えたいと思うわけであります。  なぜ私がこういうことを言うかといいますと、宮脇さんを初め東北の皆さん方は、東北というところの特殊性、これが非常に等閑視されておったおくれはどうしても取り戻さなきゃいかぬ、そのお気持ちは十二分にわかります。主としてそれは公共事業になるだろうと思いますが、財源的に考えますと、公共事業は財源となるべき国債の種類から言うと、いわゆる四条債、建設国債です。赤字国債を財源とするのは一般経常費です。実は福祉も教育も、まあ学校の建設は別でありますけれども福祉だとか教育だとか、そういう問題は全部一般経常費に含まれるわけです。  もし皆さん方が期待なさるように、建設国債を減らさないで公共事業をどんどんどんどん伸ばしていけば、財政再建のための赤字減らしのためには一方的に赤字債が減らされていくであろうし、そこへ回されていく財源が少なくなってくる。これはもう宿命的に、福祉や教育というような非常に弱い人たちに対する手当てが一方的に削減されてくる。これはもうどうしようもない原理なんです、財源的にいって。そうすると、確かに道路もないからどうのこうのという話がありますけれども、せめてその建設債を減らさないならば、道路目的財源をある程度一般財源へ持ってくるとかなんとかしない限り、もうこれから先、切られて切られて、切られずくめになるのが福祉であり、教育なんです。  私は、非常に荒っぽい議論で申しわけありませんけれども、そういうふうに考えておりますので、非常に大局的な立場に立って、そういう結果になるから、ただむやみに公共事業だけ伸ばせばいいという考え方にはやはりある種のブレーキをかけなきゃいけないという考え方に御異論があるかどうか、簡単で結構ですから、公述人の皆さん方にお一人ずつお答え願いたい。
  472. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 先ほども述べましたように、東北の開発ということを言えば、何だかいま申し上げた行財政の問題につきまして相反するような考えをお持ちになるかもしれませんが、原則的には私どもは賛成だ、ただし、その気持ちとして、いままで非常におくれているのだから、ある程度東北の問題について御配慮願うことが、そこに住む国民、否、日本全体の福祉関係するということを頭の中に置かれまして、何でもかんでも節約すればそれでいいのだということでなくて、その気持ちをぜひともおくみ取り願いたい、こういう意味でございます。しかし、これには原則的には賛成でございます。
  473. 正木良明

    ○正木委員 ですから、私が申し上げたのは、東北という地域に局限するとそういう問題が起こってくるので、もっと大局的な、全国的な見方からして、公共事業が削減されていくということはいたし方のないことであるかどうかということです。その中の配分は、東北へ重点配分するとかなんとかは、これは政治的考慮がなされなければならぬだろうと思いますが、皆さん方もそのおつもりでひとつお願いいたします。
  474. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 ただ、二十一世紀を踏まえて、日本の生命も五年、七年で終わるわけではないのですから、やはり二十一世紀に向かってどうすれば日本が本当の意味でもってよくなるかということを頭の中に置きながら、行政財政整理の方を考えていただきたい、こういう意味でございます。
  475. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 ある程度の抑制はやむを得ない、こう思います。ただ、冒頭申し上げましたように、大型プロジェクトと生活に関連する建設、あるいは特におくれている地域、こういうものを見直しまして、では大型プロジェクト、四国の橋の話を出していいかどうかわかりませんが、これは少し延ばすとか、しかしこっちはおくらせないとか、こういう選択をお願いしたいと思います。
  476. 木村秀寿

    ○木村秀寿君 やはりこれは短い期間でどうのこうのというのじゃなしに、こうした関係は長期にわたっての計画が必要だろうと思います。そうした点では、やはり今度の行革で同じくこの苦しみを分かち合うといったような精神はあるようでございますから、長期的に見て、将来の展望に立って後退がないように、ひとつその時点では少なくしようとも、また先でふやしていくとか、弾力のある方向で進んでいただけばよろしいのではないかと思っております。
  477. 河越重任

    ○河越重任君 先生の御質問のとおりだと私は思います。と申しますのは、今日まさに財政再建が言われているそのことも、少し荒っぽく申しますと、いわゆるオイルショック後の公共事業とかなんとかいうことの方がむしろ問題があり、それが福祉の方にもはね返ってきているというような考え方を持っておりますので、したがいまして、全般的に見ますと、公共事業の方にブレーキをかけるのは先生がおっしゃるとおりでよろしいかと思います。
  478. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 ただいまの正木先生の御意見、そのとおりだと思います。ただし、私は、いまの建設国債というものは、今度の問題以前に、いわば継続的な事業として、そういう意味合いの投資としてこれを考えていったのであろうと思います。ただし、これからの財政規模とのバランスを考えて、そういうものの使用も考えなければならぬ。それの影響する範囲が過大になるならば、やはりこの問題も検討されなければならないと考えます。  ただ、いま申し上げましたように、絶対にこれを再建させなければならない、再建と同時に、行革が今回以外にないということは私も信じておりますので、ぜひこの機会に、あらゆる障害を排してもこの行革を完成させていただきたいと思う次第であります。
  479. 遠藤正之

    ○遠藤正之君 私は、あくまでも財政再建の枠内でやるべきだと思います。
  480. 正木良明

    ○正木委員 私の発言が誤解を受けちゃいけませんので、念のために申し上げておきますが、公共事業を抑制せざるを得ないだろうと私は思います。しかし、そのために公共事業が持つ経済効果というものを忘れてはならぬのでありまして、これを何の考えもなしにやりますと、いわゆる行革デフレと言われる状況が起こる可能性が多分にあるということですね。したがって、いま建設業界も非常に不況でございますけれども、ある程度仕事を減らさないで事業費が抑制されるという方法はある。それは、先ほどおっしゃった大型プロジェクトの制限の問題もございましょうし、さらにまた、土地の購入費に余り金を使わないような事業を選択して、そして重点的にやっていくという方法もありましょう。そういうことを中身としての意見であったことをちょっと申し添えておきたいと思います。  それから、午前中に皆さん方の御意見を承り、三塚さんの質問に対するお答えでございましたが、地方出先機関の整理の問題ですけれども、これは現在ある地方出先機関がなくならない方が便利でいいに違いないわけだし、これがさらに地方に権限が移譲されて、地方の出先機関で物事の処理ができればこれにこしたことはないと思うのです。しかし、やはり行財政改革では一つの大きな柱になっておることは事実なんでありまして、そういう点、地方の出先機関が受け持っておる仕事を県に移譲させるというようなことが仮にできたとしたら、決して皆さん方に御不便をおかけするようなことにならないだろうと思いますが、それでもなおかつ、地方出先機関等の存続というものを御希望になるでしょうか。その点、これはこの御主張をなさった宮脇さんと木村さんにお答えをいただきたいと思います。
  481. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 それはやはり程度の問題だと思います。整理するのだからもう何でもかんでも整理するなどということでなくて、やはり効率のある方法によってやるべきだ、むだは排除するという考え方を持って、程度の問題だと私は思います。
  482. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 ぼくは三塚さんの御質問に特に農政局や地建の話を出しましたですが、結局私たちから見まして相関関係があって、補助事業の仕組み、この項目がたとえば縮小になっていくとか、それから監督権、許認可権のものが整理されていくとか、そういうものと連動しなければいけないものだ、こう思います。したがって、町村の立場にすれば県だけで用を済ませられれば一番いいわけですが、その話をしましたところが、県のやめられた大槻副知事などから言われたように、やはり県にすれば今度は出先機関の方との関連が非常に密度が深くなってくるわけですから、これは補助事業の仕組み、性格、監督権、そういうものの整理とうらはらに議論されていくべきものだと思います。  ただ、ずばり結論的に申し上げますと、私たちも県だけで刑事が済めば非常に助かるとは思います。だから、県の立場からすれば出先が要らないという議論にはなっていかないように思うのですけれども、ちょっとどうも歯切れが悪いのですが……。
  483. 木村秀寿

    ○木村秀寿君 やはり出先機関も、いままで必要によって置いた機関だと思います。ですから、せっかく置いた機関には、地方の実情がよくわかっているのはその機関だと思いますから、思い切って仕事ができるようにひとつ配慮してほしいということは、さっき申し上げたとおりでございます。あと、そうしたことがなければ、これは別に考えるということだろうと思います。
  484. 正木良明

    ○正木委員 これは河越先生にお尋ねしたいと思うのですが、いわゆるナショナルミニマム、最低限のものを保障すべきものは保障するという形で、それでむだを排していくということが一番大事なことだと思うのですが、そういう点、今度の法案ではその片りんもございませんで、これが行政改革かという感じは国民の皆さん方に多分にあるだろうと思います。要するに福祉の問題というものは、先生御専攻でございますけれども、とりわけて今度の法案の中で特別に関係があるのは児童手当の問題があるわけなんです。  先生の御意見は午前中のお話の中にも出てまいりましたが、どうも政府はそうじゃないとは言っているけれども、やっていることは低所得者対策としてしかこの児童手当というものを見ておりませんし、どうも臨調考え方もそうだし、財政審議会の方もそんな考え方のようですね。私は、先生がおっしゃったように、これには十二分に人口政策的なものを加えていかなければ、これからの若い労働力がどんどん減っていくというような状況の中で、日本の産業や経済にも大きな関係がありますし、完全な高齢化社会になったときの老後の生活を支えていく若い人たちの数が少なくなってくる。昭和八十五年では三人に一人とかと言われているわけですが、これがますます危なくなってくる。先生のお考えからして、児童手当の本来のあり方というのはどういうふうなものをお考えになっていらっしゃるか。
  485. 河越重任

    ○河越重任君 児童手当は、諸外国の例でも大体第一子からかなりの額を払っておりますが、ただ、現在の財政事情からいうといきなりというわけにもいきませんでしょうけれども、基本的には将来のわが国をしょって立つ人たちでありますので、そうした人がいわば所得がどうだこうだということではなくて、ひとしくやはり私どもの将来を託す者たちだということで、社会的にそのミニマムがどのくらいかということになりますとちょっと一言で言えませんけれども、やはり相当な手当というようなものも必要であろうかと考えるわけです。
  486. 正木良明

    ○正木委員 藤崎さんにお願いしたいと思いますが、いまと同じ問題なんですが、今度は大分企業の方に御負担をいただいて、被用者の場合は所得制限が一般よりも非常に高いところに来るわけであります。企業の方から見た児童手当というもの、たとえばこういう児童手当という制度じゃなしに、企業それ自体は、扶養手当だとかなんとかという形で企業それ自体が出した方がいいと思っていらっしゃるのか、やはりいまの児童手当という制度を残しながら、企業の負担は少々重くなっても現制度を維持していった方がいいとお思いになっているのか、いかがでしょう。
  487. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 それは見方の問題だろうと思います。企業内における人間ということを考えますと、いまは企業における給与その他の支出と、それから国におけるそういう額と、その二つが生活の支えの基礎だろうと思います。これは今度の財政問題から、そのうちの一部がどうしても問題が起こるという場合に、その解決方法は必ずしもこれを全部国に持てということは企業としては言わぬでもいい。要するに、個々の従業員の問題と会社との関係にこれを移せることは移せる問題である。したがって、絶対的にこれはどうでなければならぬということに対してわれわれは意見を申し上げる必要はないと思いますが、その問題の程度であれば、企業内においてこれは解決できると思います。
  488. 正木良明

    ○正木委員 それでは、結構です。ありがとうございました。
  489. 三塚博

    ○三塚座長代理 次に、岡田正勝君。
  490. 岡田正勝

    岡田(正)委員 まず一問目は、宮脇さんと遠藤さんと河越先生にお尋ねをするのでありますが、本日は六人の公述人の先生方、大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。以下、順次お考えを承りたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  まず、税金の問題がいま大変かんかんがくがくと言われておりまして、増税なき再建、これがスローガンになっておるわけでありますが、昔から、税金はトラよりこわいと言われております。なぜ税金がトラよりこわいかと言えば、これは中国のことわざでありますが、トラは人間を襲います。人間よりも強いけれども、人間は知恵があります。逃げることを知っております。防ぐことを知っております。殺すことも知っております。つかまえることもできます。だから、トラはそう大したものではありません。ところが、税金というものは、一たん徴税令書が発布されたら最後、本人が気に入っても入らぬでも、とにかく納めなかったら日本国じゅうどこまででも追い回していくのが税金であります。  一つの例でありますが、ある町で固定資産税を三万円滞納したまま、本人が知らずに相当遠い、距離でいいますと八百キロメートルぐらい離れた町へ行っておりましたら、たまたま一年ほどたって、子供が小学校に行くので住民登録をしなければなりません。住民登録をしたらたちまち居どころがばれまして、早速その市役所から固定資産税を取りに職員が行きました。これが一人じゃなくて、必ず二人行かなければならない。二人行きまして、八百キロ往復して帰ってきたら、その当時の金で三万五千円の旅費の請求があった。三万円の税金を取るのに、三万五千円旅費を使ったという、実例でございます。  こうまでしてなぜ税金を取らねばならぬのかということであります。それは、政治をやらなければならぬからであります。政治は一体何のためにやるのかと言えば、もう諸先生御存じのように、国民の自由と平和と安全と、その生活を守るために政治があるわけであります。  ところが、いま日本の肝心かなめの政治をやりますその財政はどうなっているかと言えば、御承知のとおり八十二兆円というたまげるような借金を抱えておるのでありまして、赤ちゃんまで含めて勘定しても一人当たり七十五万円、標準世帯四人とすれば三百万の大借金でございます。  ところが、サラリーマンの皆さん方の家で昨年の年末に持っておりました貯金がどのくらいあるかといいますと、これは生命保険や証券、そういうものを除いての貯蓄でありますが、定期預金で二百三十三万円、普通預金で四十三万円、合わせて二百七十六万円しかありません。なおかつ、大体住宅ローンとかあるいは車のローンがありますので、平均百五十一万円の借金がありますから、二百七十六万円から引いたら残るお金は百二十五万円、これがわが国の平均的なサラリーマンの貯金であります。  そこへもっていって、一世帯当たり平均三百万円の国の借金でありますから、いかに大きいかということがわかるわけでございまして、間もなくわが国の税収の半分にその借金返しがなるであろうと、他の先生方もおっしゃっておられます。まさに、このままほっておけば日本丸の沈没は間近しということになって、いま大騒ぎをしておるのでありますが、この問題を解決する道が簡単に言って三つあると思うのです。  第一は、何でも構わぬからとにかく日本銀行に行って八十二兆円の新札を刷り上げてしまえ、こういうことになれば文句はない、借金はなくなった、こうなるわけです。ところが、たまらぬのは国民でありまして、大インフレになります。こんなことは許されるわけもありません。それなら、わが国国民は大体順応性がよろしいので、おとなしいことで有名であるから、増税をやらかすか、こういうことになりますと、増税を打ち出しただけで一つの内閣がつぶれるぐらい国民の反感が大きくなっております。それでなくても、社会保険料と合わせまして三四・三%の負担でありますから、これは相当なものであって、許すわけにはまいりません。  そこで、増税なき財政再建と、こうなってきたのでございますが、この増税なき財政再建を叫ばれておる中に、緊急外科的な措置として、今回、七項目、三十六法案にわたる法律案が出てまいりました。これに対する国民の世論というのは、新聞でも御承知のとおり、六〇%の国民が大変な不満を持っております。こんなことで一体行政改革ができるのかという不満を持っておるのであります。  そこで、先ほど申し上げました宮脇さん、遠藤さん、河越先生のお三人の方々から、それぞれ皆さんのお立場に立って、ずばり言ってこれをやらずして何の行政改革かというものがありましたならば、時間がありませんので一つか二つで結構でありますから、御披露願いたいと思うのであります。
  491. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 これは、国民もいろいろの考え方がありますが、私はよく言うのですが、われわれがホテルに行きましてコーヒー一杯飲んでも三百円、四百円取られる。そして、少し米が高くなると、もうえらい高いと文句を言う。こういうように、やや国民全体がぜいたくになっている点があります。私は、そういう点について、やはりもっとまじめにやらなければいかぬ、ことに、いまこの際に行政改革財政改革をやらなければ日本の将来はどうなるかということを考えれば、万難を排してもこの際、手をつけたこの問題についてはやるべきである、こういうように考えます。もちろんいろいろ議論する点はあります。さっき申しましたように、自分で四百円、五百円のコーヒーをひょっと飲みながら、ちょっと百円上がるとすぐに文句を言うようなのがありますけれども、それは文句を言うのが間違いなんで、余り気にかける必要はないと私は思うのです。思い切ってこの際こういうことをやるべきである、私はこう思います。
  492. 河越重任

    ○河越重任君 一言で申しますと、先ほどから話題になっております税制の公平さということ、それからもう一つは、いわゆる三割自治がこのごろ二割自治になっているから何かあれですが、余りひもつきの交付金ではなくて、かなりの程度の自治体に対する自主財源の確保と申しますか、ちょっと思いついたのですが、そういうことです。
  493. 遠藤正之

    ○遠藤正之君 私は先ほど意見陳述の中で申し上げたとおり、今回の行革は断行すべしということで、そういう考えに立って進めておるわけでございますけれども、いまここで何を一番やったらいいかという端的な御質問がございましたので申し上げますが、やはり不公平税制の問題は徹底して行っていただきたいということでございます。  若干それに関して申しますけれども、大衆増税によらないいわゆる財政再建を進めるということでございまして、わが国経済の停滞をさせないように、つまり国民生活を圧迫しないように、ひとつ不公平税制是正の徹底した断行をお願いしたいということでございます。
  494. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは、今度は全員の公述人の方にお願いをいたしたいと思います。  理念なき行革というものは、ハンドルやブレーキがぶつ壊れた車を運転しているのと全く同じことである。これが壊れたまま動き出したら大変恐ろしい結果を生み出すということは、およそ予想がつかれると思うのであります。     〔三塚座長代理退席、座長着席〕  いま、今回の法律案に直接関係はありませんけれども、早くも来年の当初予算に出てくるのではないかとほとんど確定的に取りざたをされております、国民健康保険の地方への負担を振りかえるという問題があります。こういう問題につきまして、いま私は理念なき行革という問題に結びつけてお尋ねをするのでありますが、たとえば国民健康保険の国庫補助金四〇%を一部都道府県に移転をする、これを肩がわりしてもらう、こういうことになるならば、その前にもっと片づけておかなければならぬ問題があるはずではないか。  それは、いま大変問題になっております地方分権の促進、権限の移譲、許認可の事務の移譲、財源をそれに見合って移しかえる、そして、すでに地方においてほとんど地方の固定の事務のようにされておりますところの道路だとか、あるいは川だとか、そういう関係の建設費の公共事業の関係は、もう都道府県の知事さんや市町村長さんに任していいではないか。その町で一番早くやりたいのは何か、この道路だ、いや、この川だというようなことが選択できるように、一定の財源、たとえば私ども民社党は第二交付税と称しているのでありますが、そういう財源をちゃんと与えて、それから後、地方で負担してもらうべきものは負担してもらうということを打ち出すべきでありまして、権限の移譲もなければ財源の移譲もなく、ただ単に国の負担が重たいから地方の方で持ってくれというようなことを打ち出してくるなんということは、まさにハンドルあるいはブレーキがぶつ壊れた車を運転するのと同じことであると思うのです。  いま私どもが控え室で食事をいただいておりましたら、県知事さんがお見えになりまして、開口一番、ごあいさつを申し上げますと言った中身は、実は陳情だったのです。その陳情が、この宮城県におきましても国保の負担なんかを押しつけられたら四十七億円も一遍に要るのであります、そんな金はどこから出ますか、大変なことです、助けてもらいたいと、こういうことです。危うく御飯がのどへ詰まるところでございました。こういうふうに、いわゆる理念のない行革というのは一番こわいと思うのです。  そこで、皆さん方、きょうわざわざお越しいただきましたので、行革はかくあるべしという理念を、一曹で結構ですからお述べいただきたいと思う次第であります。
  495. 宮脇参三

    ○宮脇参三君 これはいま申し上げるまでもなく、こういうようなことをやる場合には、やはり十分に周囲の状況考えながらやる。これは、中央の政府並びに議会を私ども満幅の信頼をしております。どうぞひとつその点につきまして、公平の原則に従って、十分に遺漏なきをお願い申し上げたい、これしか方法がございません。
  496. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 社会保障は基本的に国の責任でやるということをきちんとすることと、もう一つは、行政責任国民、住民の責任、義務、こういうものをきちんと整理するということがなくちゃいかぬと思います。
  497. 木村秀寿

    ○木村秀寿君 やはり増税なき行革をうたいながら、いま先生がおっしゃったとおり、中央の方ではそれで済むかもしれませんが、県にそれを移行された場合、当然これは増税になるわけでございますから、これはひとつ御免こうむりたいと思いますので、よろしくお願いします。  また、一つ言えますのは、行革の一番大事なことは、まず隗より始めよ、私はこの一言を申し上げておきます。
  498. 河越重任

    ○河越重任君 一言で申しますならば、国民の生活をどうふくよかにするかということであろうかと存じます。  それから、立ったついでにまことに申しわけありませんが、先ほどの御質問お答えでもう一つ。いま健保のお話が出ましたので、行革についてはということにつけ加えさせていただけば、康保険の点につきましては、制度の一元化と申しますか、いまのように、たくさん保険料が払えて余りお医者さんにかからないときには組合健保等で、余り払えなくなってお医者さんにかかるようになったら国保だという、それを直さないで、いきなり自治体の方にツケを回すというのはいかがかと思います。
  499. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 全般的に申し上げますと、理念はやはり真の意味の地方分権の確立であると思います。そのために税制を地方税中心に切りかえる。それに基づいて、行政もその制度に合わせて改革さるべきである。  そういたしますと、地方は非常に税収が少ないのではないか、その場合にどうかということでございますが、それはあくまでいまの税金が、たとえば法人税を中心に申すならば、これは企業中心であります。企業の本社が東京にあって、その主たる営業活動が全国にわたっておっても、税金は東京で徴収される。したがって、東京の税収は非常に多くなるのは当然でありまして、これは決して東京が税収が多いのではないということであります。それをその地方地方に還元するような税制をとって、その地方から逆に中央の必要経費を吸い上げるという形に税制体系を改めるのが、今度の一番の喫緊の問題ではないか。真の意味の地方分権の確立をお願いしたいと思います。
  500. 遠藤正之

    ○遠藤正之君 一言で申し上げますと、先生も御存じのとおり、われわれの目指す今回の行政改革の基本目標といいますのは、より高度な福祉国家の建設を目指しつつ、真に国民に奉仕し、国民のあらゆる面での活力を最大限に引き出す行政体制を確立することが目標だと思います。
  501. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。  では、次に、遠藤さんと河越先生と藤崎さんにお答えをいただきたいと思うのでありますが、今回提案になっております中で、御承知のとおり金融問題、たとえば住宅金融公庫なんかございますね。こういう関係の金利を弾力化しよう、弾力化しようなんというのはわけのわからぬような言葉ですが、要するに金利を上げてしまえ、適当なときに上げるぞ、こういうことでありますが、庶民にとりましてはマイホームというのはまさに夢なんでございまして、それでなくとも高くなって困っておる。手も出しかねるくらい高くなりつつある。  だから、地価の制限その他いろいろやってもらわなければいかぬことがありますが、たちまち建てるときに金を借りなければいかぬ。その借りる唯一のよりどころである住宅金融公庫の金利なんかが上がってくれたのじゃ、個人の夢も破れるし、もちろん個人の負担もふえるし、そしてあげくの果ては国全体の景気を冷やしてしまう、大変な問題が起きてくると思うのであります。この問題につきまして、中に意見を述べられた先生がお一人ございましたけれども、重複をいたしまして恐れ入りますが、お答えをいただきたいと思うのであります。
  502. 遠藤正之

    ○遠藤正之君 先ほど意見の陳述の中で申し上げたとおり、この金利その他については現行据え置きをお願いしたいということでございます。
  503. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 私は、本来金利は自由化たるべきものであると思っております。日本においては、いわば従来からのいろいろな関係によって、金利の自由化が阻害されております。したがって、本来の意味の金利の自由化が行われるならば、必ずしもそういう政策的な金融の場合においても金利が上がるのみとは考えられません。したがって、ただ住宅金融公庫の金利だけを対象とすることは現状においては無理だろうと思いますが、すべての意味の金利が自由化されるということが本来の金融行政の一番の懸案でなければならぬだろう、私はかように考えております。
  504. 河越重任

    ○河越重任君 特にこの東北圏におきましては、現在の金利でもなお手が出ないで、貸し付けといいますか、金融公庫つきの住宅が売れ残っているというような状態が出てきておりますので、上げるというよりも、現状維持、あるいはもう少し考えられるかと思います。したがいまして、仮に上げるとする。上げるのは、いろいろほかのローンを継ぎ足さなくちゃならない状態では、財政事情もあろうかと思いますが、できれば金利の方ではなくて、貸付限度の方かと思われます。
  505. 岡田正勝

    岡田(正)委員 予定をいたしました質問時間がやってまいりました。六人の公述人の方から大変貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。  行政改革というのは大変な難問題でありまして、園児が挙げて一つの心になってやらなければとても目的を達することができないような大問題であります。これからもお力添えを引き続きいただきますよう心からお願いを申し上げまして・私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  506. 金丸信

    金丸座長 次に、小杉隆君。
  507. 小杉隆

    小杉委員 すでにたくさんの質問が出ましたし、また時間も大分経過しましたので、私は簡単に二、三の点を伺いたいと思います。  きょうは六人の方に非常に貴重な御意見、特に東北ならではの窮状もいろいろ教えていただきまして、非常に参考になりました。  まず私は、地方自治体の責任をとっておられる栗村さんにお伺いするのですが、ゼロシーリングというやり方を国だけではなくて地方自治体もとれるのか、とれないのか。私は、できたらゼロベースという考え方を、五十七年度だけではなくて、五十八年度、五十九年度も国も自治体もやれないものだろうかという考えがあるわけです。  といいますのは、いま増税なき財政再建というものが、初めの委員会質疑では五十七年度だけのような感じだったのですが、だんだん後半になりまして中曽根長官も、増税は邪道だということで、五十八年度、五十九年度も増税をしないで乗り切っていくということですが、それでは具体的に増税をしないでやっていくためにはどうしたらいいか。これは、いろいろ機構の統廃合とか、人員の削減とか、民間に移すとか、今回の三十六法案以外のもっといろいろな根本的な問題に手を加えていかなければいけないわけです。  しかし、なかなか行政、政治というのはそう簡単に理屈どおりいかないので、何かやはり目標値と申しますか、枠をはめませんと、そこまでどのくらい、どういう期間でやっていくかという、手法というか手続というか、方法論が出てこないということから、たとえばいままでの役所の予算の組み方というのは、大体前年度実績を基本にして、昨年がこのくらいだったから、ことしはこれに何%上積みしていこうということで、どうも高度経済成長時代の惰性で、前年度実績に基づいて上積みしていくという考え方が私はあると思うのです。  しかし、私も具体的に地方自治体の予算の編成の過程などを見てみますと、たとえば、ある局で前年度これだけの予算を取った、そうしますと、その中の仕事は幾つかその年で終わったにもかかわらず、そのお金を減らしちゃいけないということで、また何とか名目をくっつけてほかの仕事をその中に加えるということで、なるべく前年度の予算を減らさないようにというやり方で、これでは幾らやっても役所の予算というのは減らすことはできないのじゃないかという気がしたのです。  そういうことを考えますと、今度、来年度の概算要求でも、各省庁が非常に苦労して、当然物件費とか人件費はどんどん上がっていくわけですから、どこかを切らなければゼロベースにならないわけですね、そういうことでいろいろ苦心をしておりますけれども、これが果たして五十七年度だけで終わってしまっていいのか、五十八年度も五十九年度も、財政再建期間中はゼロベース予算というものをひとつやってみたらどうかなと私は思うのですが、これは、自治体の直接の責任者であられる栗村さん、いろいろむずかしい点があろうかと思うのですが、どんなものか、ちょっとお考えを聞かしていただきたい。  それから、同じような質問を藤崎さんにもお願いしたいのですが、ずっと公共事業なりあるいは役所の予算を抑え込んでいくと、いわゆる行革デフレということで日本経済の活力が失われてしまって、角をためて牛を殺すということで、本来期待されるべき経済成長までとまってしまって、かえってマイナスじゃないかというふうな議論もあると思うのです。  いま日本経済規模というのは二百六十兆円、来年はもう三百兆円になろうとするときに、国の財政というのは一般会計で大体四十二、三兆円ですし、地方自治体を加えても日本経済全体に公共の占めるシェアというものは相対的に下がってきているわけですから、多少公共事業費なりお役所の予算を抑えたとしても、それほど日本経済に影響をもたらさないのではないか、活力をなくすことにはならないのではないかというふうに思うのですが、経済人の立場でどういうお考えか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
  508. 藤崎三郎助

    ○藤崎三郎助君 なかなかむずかしい御質問でございますが、私の関係する仕事は特に流通関係、小売関係でございます。かかる方面からだけ見ますと、いま先生のおっしゃったようなことに私も同感でございます。必ずしも国家財政の規模の縮小がわれわれの経済活動そのものを左右するとは考えておりません。したがって、財政再建の意味においていわばゼロシーリングというものが絶対的要請であるならば、それもやむを得ない。むしろ、その方が財政と企業活動の絡み合いというものをもう一度見直すという意味において結構だと思います。
  509. 栗村和夫

    ○栗村和夫君 いわゆるゼロシーリングを国でやるなら、いろいろな省庁があるのでやむを得ないのかなというふうな理解をしていますが、自治体でゼロシーリングをやるというところはない、私はこう思います。  申し上げるまでもなく、企業の会計と役所の会計の違いというのは、われわれの場合は、歳入を押さえて、それから歳出を決めていく、こう大枠を決めますね。そのとき、前年度実績というのは参考にするという程度でして、前年度実績を尺度にするということは、あるいは食糧費をどうするとか、交際費をどうするとか、あるいは備品費とか、そういう経常の経費はありますけれども、事業費に関することでは、その年その年に重点の置き方が違うのが自治体のやり方であって、少なくとも私の町だけでなしに、前年度実績というのは参考にする程度のことだろう、それもきわめて限られた経常経費の枠の中だ、こういうふうに思います。  したがって、ことし教育予算が三〇%で来年一八%になるということはあたりまえのことでして、学校の建築があるとかないとかで変わってきます。ことしは学校の建築をぜひやるから少し舗装の方はがまんしろとか、こういう勇断を持って対応していかなければ、本当の地方自治というものは、弾力的な、その時流に合ったような対応ができないのではなかろうか。  そのときに、自治体の場合、国と違いまして、二つあります。一つは、主体的に独自財源を基本にして物を考える、あるいは町の条件を考慮に入れて考える。それからあとは、いわゆるゼロシーリングでことしは公共事業の枠が相当厳しいぞということになれば、こっちは受動的ですからそれに対応するよりほかないわけでして、その面の制約と規制と、あるいは主体的に物を考え得る面と、二つあるのじゃなかろうか。  たとえば、来年に向けて、あるいは十二月の補正に向けて、ことしもひどい冷害ですから、こういうものは予測しないで、防除の関係をどうするとか、飛び込んできます。そういう意味では国も同じかもしれませんが、国と同じような次元、発想でゼロシーリングということはやり得ないし、やるのはきわめて愚かなことだ、こういうふうに思っております。ですから、できる枠内で、希望を持って、余り泣き言を言わないでやっていこう、こういうような気持ちでおります。
  510. 小杉隆

    小杉委員 まあここは議論の場ではありませんから反論はいたしませんが、これは国、地方を問わず、やはり長い間の慣例といいましょうか、既得権といいましょうか、とった予算は必ず減らさないで上積みしていくという習性がなかなか抜け切れないように思うのですね。ですから、完全に前年度と同じに抑え込むということではなくて、ゼロシーリング的な考え方を国も地方も持っていくべきではないかということを申し上げて、次に、もう一点だけお伺いしたいと思うのです。  遠藤さんは先ほどの公述の中で、世論の盛り上げあるいは説得力を持て、いままでのようにいろいろな圧力団体あるいは行政側の反対に負けないで行政改革を断行すべきだということですが、具体的に世論を盛り上げたり説得力を持たせる方法としてどんなことを考えておられますか。
  511. 遠藤正之

    ○遠藤正之君 意見の開陳の中でも申し上げましたとおり、私ども、いま多くの仲間と行政改革推進国民運動会議というものを結成をして活動を展開中でございます。やはり労働組合として、当然社会責任の上でもわれわれ先頭に立ってやっていかなくちゃならぬと思っておりますし、同時に、われわれ労組の責任として、全国昂的に世論の構築も図っていきたいということでやってございます。一部反対の勢力なりございますけれども、われわれは先ほど申し上げたとおり、みずからが身を切り、血を流ししてこの問題に取り組まなくちゃならぬという覚悟を持っております。  以上です。
  512. 小杉隆

    小杉委員 私ども国会改革あるいは議員の特権の見直しということで、たとえば議員定数を削減すること、あるいはその格差を是正すること、あるいは議員年金に対する国庫負担をもっと減らすべきではないかとか、国鉄無料パスとか、あるいは海外出張についても見直すべきだということで、実際に行動できるものはしておりますが、そういうことで国民各層の自覚というものが必要だと思います。  それでは、まだ質問したい点もありますが、重複をいたしますから、この辺で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  513. 金丸信

    金丸座長 これにて質議は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本法案の審査に資するところきわめて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。  また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第でございます。  それでは、これにて散会いたします。     午後二時五十五分散会    派遣委員の福岡県における意見聴取に関す    る記録 一、期日    昭和五十六年十月二十三日(金) 二、場所    福岡共済会館(はかた会館)会議場 三、意見を聴取した問題    行政改革を推進するため当面講ずべき措置    の一環としての国の補助金等縮減その他    の臨時特例措置に関する法律案について 四、出席者 (1) 派遣委員    座長 海部 俊樹君       藤波 孝生君    湯山  勇君       横山 利秋君    鈴切 康雄君       米沢  隆君    正森 成二君 (2) 現地参加委員       辻  英雄君    三原 朝雄君       中西 績介君 (3) 政府出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  古橋源六郎君         行政管理庁行政         管理局管理官  増島 俊之君         大蔵省主計局主         計官      兵藤 廣治君 (4) 意見陳述者         九州電力株式会         社副社長    川合 辰雄君         田川市長    滝井 義高君         九州・山口経済         連合会理事長  古賀 政久君         福岡大学法学部         教授      馬川 千里君         福岡県農業協同         組合中央会会長 高嶋 善一君         福岡県民間労組         協議会事務局長 馬場 寿弘君      ————◇—————     午前十時開議
  514. 海部俊樹

    ○海部座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院行財政改革に関する特別委員会派遣委員団団長の海部俊樹でございます。  私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたします。  この際、派遣委員を代表いたしましてごあいさつを申し上げます。  皆様御承知のとおり、ただいま本委員会におきましては、現下の急務とされております行財政改革の推進を図ろうとする行財政改革関連特例法案の審査を行っているところであります。  当委員会といたしましては、本法案の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、仙台市と御当地におきまして、この会議を催し、各界の代表の方々から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。  御意見をお述べいただく方々には、御多用中にかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。  まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。  会議の議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言をなさる方々は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。  なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきをいただきたいと思います。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。  最初に、意見陳述者皆さんから御意見をそれぞれ十五分程度順次お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。  出席委員は、自由民主党の藤波孝生君、三原朝雄君、辻英雄君、日本社会党の横山利秋君、湯山勇君、中西積介君、公明党・国民会議鈴切康雄君、民社党・国民連合の米沢隆君及び日本共産党の正森成二君並びに私の十名であります。  次に、各界を代表して御意見を述べていただく方々を御紹介いたします。  九州電力株式会社副社長川合辰雄君、田川市長滝井義高君、九州・山口経済連合会理事長古賀政久君、福岡大学法学部教授馬川千里君、福岡県農業協同組合中央会会長高嶋善一君、福岡県民間労組協議会事務局長馬場寿弘君、以上の方々でございます。  それでは、川合辰雄君から御意見を述べていただきます。
  515. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 私は、今回の行革関連特例法案につきまして、賛成の立場で、日ごろ行革について考えておるところを述べさせていただきたいと思う次第でございます。  わが国行財政は、高度成長のもとでその役割りを拡大してまいったわけでございますが、特に石油危機以降は、物価の高騰及び賃金の上昇によりまして財政支出が大幅に拡大したために、国債増発による財政運用を行わざるを得ない事態に立ち至ったわけでございます。  しかしながら、行政需要は、低成長経済に移行した後も慢性的に肥大化してきております。このままで新しい行政需要に対応しようといたしますれば、財政破綻はもとより、際限のない行政の肥大化を招き、社会の活力が失われることは必至でございます。  このため、社会経済情勢の変化に合わせて、惰性的な行政の仕組みや内容を改め、行政を簡素で効率的なものにする必要があるわけでございます。また、わが国には民間に対する公的関与の拡大の傾向があらわれておりますが、今後のわが国社会経済発展のためには、自由経済社会の持つ民間の創造性と活力を生かすことがぜひとも必要であると考える次第でございます。それには過大な行政の保護や規制を改めていく必要があるわけでございます。  このような観点から、今回、政府におかれましては、臨時行政調査会の第一次答申を最大限に尊重し、速やかに所要の施策を実行に移すための方針を決定されました。ここに行政改革の第一歩が踏み出されたことの意義はきわめて大きく、これに対して敬意を表する次第でございます。  そこで、今回の臨時国会審議されております行革特例法案についてでございますが、それはまず財政再建から着手するという趣旨から、当面する緊急課題の解決に主眼が置かれております。  しかし、この法案上程の持つ意味は、何よりもこれが今回の行政改革の第一歩となり、今後の行政改革全体の推進の突破口として位置づけられておるということでございます。鈴木首相は、行革に政治生命をかけるというきわめて積極的な姿勢を示されておられますが、国民の大多数はそれに大きな期待を寄せているものと考える次第でございます。したがいまして、できるだけ掃くこの法案を成立させていただきたいと考える次第でございます。  次に、行革推進に当たっての課題あるいは条件などにつきまして、四点申し述べさせていただきたいと思うわけでございます。  まず第一に、財政再建問題についてでございます。  行政改革を進める大前提として、危機的な状態にある財政の立て直しをすべきことは言うまでもございません。赤字財政体質から脱却しなければ、将来のもろもろの課題を担い得る行政を実現することはできないわけでございます。このような状況から、臨調におかれましても、増税なき財政再建が提唱されております。政府におかれましてもこれを受けて、年々巨額化する特例国債からの脱却を昭和五十九年度に達成することとし、五十七年度予算編成に当たりましては、増税に頼ることなく、行財政改革による歳出の抑制を通じて財政再建を図ることを指向されておられます。  増税は、民間の経済の活力を減殺してしまいますので、臨時特例の時間を通じて、ぜひとも増税なしに支出の徹底的合理化によって財政の再建を図っていただきたいと思う次第でございます。  また、予算編成に当たりましては、まず施策相互間の優先順位を明確化することが何よりも重要であると考える次第でございます。補助金等の支出に当たりましては、慣行的、惰性的やり方を改め、状況の変化により不要不急となったものについての廃止または縮減を図ることが必要であると考える次第でございます。また、援助を真に必要とする人々には十分な福祉サービスを提供することは当然でございますが、基本的には自立自助と互譲の精神で対処することが必要でございます。  第二番目に、行政合理化効率化についてでございます。  私ども民間におきましては、二度にわたる石油危機などの厳しい環境に対処いたしまして、減量経営や合理化に血のにじむような努力をし、新たな時代に対応し得る体質をつくり上げつつございます。  しかしながら、行政の現状はとうてい合理化効率化の要請に十分こたえているとは言えないというふうに考える次第でございます。内外の諸情勢の変化に機動的、弾力的に対応していくためには、既存の制度、施策を新たな観点から見直す必要があると考える次第でございます。  その場合に、単に財政再建や人員の削減のみでなく、国、地方を通ずる積年の構造的な問題点にメスを入れ、中長期的な観点に立った組織機構のあり方、制度運営の抜本的な見直しを推進していただきたいと思うわけでございます。三番目に、国と地方との役割り分担についてでございます。  行政合理化効率化に当たりましては、問題となりますのは、国の行政地方行政との関連でございます。国、地方を通じた行財政の総合的効率化を図るためには、わが圏の中央集権的な機構あるいは縦割り行政機構などについて抜本的に見直し、地方の自主性、主体性を強化し、地域に密着した行政を行うことが望ましいと考える次第でございます。  一方では、もちろん行政サービスの水準が地域間で不公平にならないような配慮をする必要もございます。もちろん、地方自治体自身の行財政効率化合理化など厳しい努力も必要であることは論をまたないところでございます。  第四番目に、地域経済への配慮についてでございます。  行財政改革のためには、民間もできる限り行政依存を排し、みずからの活力によりまして時代を切り開いていく必要がございます。また、行政改革の断行は、国民各層に影響を与えますが、改革の意義を十分に認識し、その実現のために協力することが必要であると考える次第でございます。  しかしながら、北海道、東北、九州などの地区は、もともと財政力が弱く、需要面における公共支出のウエートが大きい地域でございますが、現在の状況は、国土の均衡ある発展を図るという政策目標から著しく立ちおくれておるのが現状であろうと考える次第でございます。かかる特有の事情を持つ地域に対しましては、地域事情を配慮したきめ細かな措置も必要であると考える次第でございます。  最後に、今回の行革関連特例法案に直接的な関連はございませんが、行政改革を進める上で一、二要望を申し述べさせていただきたいと思うわけでございます。  第一は、今回の臨調答申において国民各層が負担を分かち合い、改革に努力するという趣旨で、立法府や司法府に対しても自発的な合理化効率化の努力を強く要望しておられます。行政改革を実効あるものとするためには、特に立法府のリーダーシップが必要であると思います。そのため、立法府みずからも、国、地方を問わず、議員定数や議会運営の方法などについて検討を行い、まず範をたれていただきたいと思う次第でございます。  二番目に、九州地区におきましては、九州・山口経済連合会などを中心にして、かねてから「九州は一つ」を合い言葉に、機会あるごとに広域行政と道州制を提言してきておるところでございます。日本商工会議所におかれましても、広域行政と道州制について臨時行政調査会に対し提案する旨を明らかにされたと聞いております。地方時代にふさわしいこの提言についても御検討の対象としていただきたいと要望する次第でございます。  以上、所信の一端を申し述べさせていただきましたが、行財政改革の実行に当たりましては、政府のみならず、産業界、一般国民も何がしかの痛みをこうむることは避けられないと思うわけでございます。この一時の痛みのために根本的な改革の好機を逸してはならないと思うわけでございます。いまこそ国民各層が負担を分かち合い、活力ある福祉社会の実現に一歩を踏み出すときであると確信しておる次第でございます。  以上をもちまして終わらしていただきます。(拍手)
  516. 海部俊樹

    ○海部座長 ありがとうございました。  次に、滝井義高君にお願いいたします。
  517. 滝井義高

    ○滝井義高君 本日、衆議院におきまして、行革臨時特例措置法に対する地方の公聴会を開き、われわれに意見を述べる機会をつくっていただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。  行政改革というのは、いつの時代においても、どの内閣もいつも行政改革を掲げてきました。しかし、いつもそれが不完全に終わって、その目的どおりに達成したためしがございません。しかも、行政改革は大きな時代の転換期には必ず大きく取り上げられます。今回も例外ではないと思います。高度成長から低成長へ大きく時代が転換をし、国民の価値観も大転換をしております。そのときに鈴木内閣がこういう行政改革を大々的に取り上げたことは、私は、その行政改革をやるという精神については賛成でございます。しかし、いまわれわれの審議の対象になっておるこの行革のための臨時特例措置法案については反対でございます。  まず、どうしてこれに反対するかというと、まず第一に、御存じのように、非常に財政が危機だということを大蔵省を中心に宣伝をされました。国民は、本当に財政が危機であろうか、そういう錯覚に陥ってしまったのでございます。財政と言うときには、私たちは何も一般会計だけを見るわけにはいきません。国の財政というのは、御存じのように、中央政府財政もあれば、われわれ地方自治体、地方政府財政もありますし、あるいは営々としてわれわれ国民が積み立てておる社会保障基金もあるわけです。これらの三つのものが一体どういう形で運営されておるかということを見る必要があるわけです。いま財政が危機だというのは、一般会計だけの危機です。一般会計はなるほど三〇%以上の国債を出しておる。しかも、国民の税金は、五十六年度予算を編成するときに、もう法人税を中心に取り得るものは取り尽くしてしまった。あとは国債を発行しなければならぬ。国債発行も限界に来て、五十六年度末には八十二兆を超える累積の国債がある。それならば、来年度予算を組めないのだから歳出を削減する以外にない。歳出を削減するためには財政危機を、政府の——政府のと言っているのですが、政府財政が危機であるということを言わなければならぬと言って宣伝をしたわけです。国民は確実にその宣伝にひっかかったかっこうになっております。果たして財政が危機であるかどうかということです。  いま私たちが財政と言う場合には、御存じのように、政府だけの予算を見るのではなくて、やはり地方自治体の予算、それから社会保障基金、これらのものを総合して、公経済全体を見る必要があるわけです。その場合に、なるほど中央政府財政というのをごらんいただきますと、大体これはいま五十四年ベースで四兆五千億の赤字でございます。しかし、地方政府の、私たちがつめに火をともしながら節約をして一生懸命にがんばって地方財政の確立をやっている地方財政、すなわち地方政府の経常勘定を見ますと、四兆八千億の黒字でございます。それから、高度成長以来日本は、皆保険制度、皆年金制度をとりました。多くの年金基金ができました。この年金全体の基金を見ますと、五兆八千億の黒字でございます。したがって、私たちが、中央、地方、年金、こういう一般政府、いわば国の財政全体を見ますと、六兆円の黒字でございます。だから、日本全体の財政がかねや太鼓で危機だ、危機だ、もう倒れるというような客観情勢はないということが一つです。そういう、客観情勢がないということが一つでございますが、もう一つ、今度は、私たちが見なければならぬのは、日本経済というものは諸外国に比べて非常に順当にいっているわけです。五%の成長。いま、ヨーロッパ先進諸岡で五%を超える成長なんというのはないわけです。それはイギリスにはイギリス病が起こり、イタリーにはイタリー病が起こってどうにもならないわけです。しかし、日本は、それらの諸国にどんどん貿易を拡大して、むしろ摘出しては困ると言われるぐらいに、日本経済は諸外国に比べて安定をしております。財政全体で見ると危機ではないし、経済は安定をしておる。これがいまの実態です。  それならもう一つの問題は、そういう日本経済の中で、日本経済というのをつかさどっていく政府は大きな政府であるかどうかということです。いま政府は大きな政府であるというような錯覚を起こしがちです。政府はむだな金をうんと使っている大きな政府、いわゆるチープガバメント、スモールガバメントではないというような錯覚がありがちなんです。しかしこれも、いま申しました一般政府、すなわち中央、地方社会保障関係の経費がGNPでどの程度占めておるかというと、日本は三〇%です。ところが、これが今度はヨーロッパ諸国をごらんいただきますとどうなっているかというと、アメリカは三五%です。それから西ドイツは四五%です。スウェーデンは社会保障をうんとしておりまして、国民の負担が高くて五〇%です。だから、先進諸国に比べて日本のGNPに占める財政の経常勘定全体を見ると、必ずしも高くないわけです。こういうように、財政的に見てみますとそう心配する状態にはないというのが一つあるわけです。  それからもう一つは、それならば、それらの行政をつかさどっておる公務員はうんとおって、そして公務員が莫大な給料を取って財政を危機にいま追い込んでおるか、将来はわかりませんが、いま追い込んでおるかというと、そういう状態ではないわけです。御存じのように、一般政府、いま申しました中央、地方社会保障のほかに、国鉄とか電電という公企業体を入れましても、就業人口千人について、日本は百人でございます。しかし、アメリカは二百人です。フランスは百八十人です。日本と同じように経済力が発展しておりましたが最近どうもうまくいかなくなったドイツは、ドイツの労働者は働かなくなったのですが、二百人です。したがって、先進諸国の半分しかいないわけです。  こういうように、財政全体の状態日本経済状態、公務員の状態を見ると、先進諸国に比べて日本は大変よくいっておると言わなければなりません。  しかし、よくいっておりますけれども、私たちが考えなければならぬのは、御存じのように、これからの日本的な課題というのは、大きいのが四つあるわけです。  一つは何かというと、防衛に対する国民的なコンセンサスができていない、これをつくらなければならぬということ。それから二番目は、エネルギー、食糧の問題を解決しなければならぬということ。三番目は、高学歴社会高齢化社会が異常な状態でやってくるということです。そして四番目は、明治以来の中央集権ではもはや日本国民のニーズに対応できない。地方分権の時代をつくらなければならぬ。地方時代をつくらなければならぬ。まあ大平さんもそう言ったわけですが、大平さんの亡くなるとともに淡雪のごとくこれは消えようとしておるわけですが、こういう四つの課題を持っているわけです。  この四つの課題にどうこたえていくかという国家の方向を示すグランドデザインを示してくれなければならぬ。ところが、いま内閣は全然われわれにグランドデザインを示さないわけです。そして、文章では「活力ある福祉社会をつくる」と言うのだが、それならば福祉社会のビジョンはどうなっておるかということを何も示さないわけです。これがいまの実態です。そういう実態の中で行政改革が行われるのですから、国民は協力しようといったって協力のしようがない。混迷の中に陥っておるというのが現状でございます。  そこで、今回とりましたこの法案その他の状態から見ますと、五十七年度予算を編成するための大蔵省の予算編成大綱を土光さんがつくってやったと同じです。本当はこれは内閣がつくらなければならぬ。ところが、内閣がつくり切らぬので土光さんにつくってもらったという、こういう恥ずかしい姿になっているわけです。土光さんの言うようなことは、たとえば地方制度で言えば、もう地方制度調査会は十七回にわたってそういうことをみんな言っているわけです。ところが、それを全部実行してきてない。だから、私がここで申し上げたいのは、今度やったことは逆にやっているのです。まず先に仕事を減らし、それから人を減らし、金を減らさなければならぬのですが、先に金減らしをやって、人と仕事はそのままになってきているわけです。だから、逆立ちの行政改革をおやりになっておる。  だから、おやりになるなら、まず第一におやりになることはどういうことをおやりになるかというと、いま一番たくさん仕事を背負っておるのは地方自治体。中央と地方との間の事務の再配分と財源の再配分をどうやるかということが一つ。それから許可、認可、機関委任事務というのをいっぱい私たちは背負っておるわけです。そういうものをできるだけ簡素化して整理をしてしまって、そしてきちっと地方財政が確立できる形にする。そうなりますと、出先機関が要らなくなる。出先機関が要らなくなると、必然的にそれがはね返って、中央の行政機構の改革をやるわけです。鈴木内閣総理大臣は、自分の給料を返上することを今度の法案の七番目にきちっと決めました。しかし、自分の足元の内閣自身の、たとえば閣僚を三つぐらい減らすとか、あるいは自分の機構をどうするということを言わなかったのです。ここに国民的な共感が得られない最大の理由があります。これがマクロの観点です。  ミクロの観点で申しますと、法案です。ミクロの観点で申し上げますと、まずこの法案に出たところと法案に出ないところと二つ申し上げますが、法案に出たところで私たちが一番ぴんとくるのは、一番先の厚生年金保険の給付費の国庫負担二〇%を五%切り下げるわけです。これはいろいろ計算があると思いますが、五十七年から五十九年まで三カ年間、利子を入れると七千七百億切るわけです。そして、この七千七百億を借る形になるわけですけれども、その借用証書が法案に書いてないのです。借用証書がなくて、一体、国民から金を借るなんというのはおかしなことです、国債だって借用証書をきちんとやるわけですから。借用証書がないというのはどういうことかというと、国の財政状態を勘案して払うのですから、−の財政状態が悪かったら、いつ払うかわからぬ。あるとき払いの催促なしです。だから、こういう形は私たちは納得できないので、五十九年までの三カ年間が終わったら、六十年度の四月一日から六十三年なら三年までの三カ年間には必ず払います——そして、利子も何もつけてない。利子を払うのだろうと思うのです。その他適切な措置を講ずると書いておるから、これは恐らく利子のことだろうと思うのですが、利子は六分五厘なり七分なりつけます、こういう形になってもらわないと困るのです。なぜ困るかというと、こういう点で困るのです。いまのような日本財政状態、来年度予算編成がまだ決まらないのですから、十二月に——後で触れますが、決められるのは幾らでもある。五十八年度は増税するか減税するかも決まらないのですから、やみくもです。そうしますと、七千七百億も国がわれわれの血のにじむような保険料をためた金を、そして国の二割を一緒にしたものを借りていくわけですが、六十年度以降になるとどういうようになるかというと、六十年に年金の再計算が来るのです。再計算のときに払わぬということになったら、もうそれでパアです。それからもう一つは、高齢化社会がどんどん進んできます。七十年になると、いま十一人か十二人で一人のが、四人か五人に一人になってしまうわけです。どんどん支払いが出てくるわけです。国鉄の共済組合と同じになります。それから同時に、もう一つは防衛費の後年度国庫負担が債務負担行為でどんどんふえてくるのです。そして、六十年以降は御存じのように赤字国債の支払いが始まるわけです。こういう客観情勢の中でわれわれの大事な金を国がどんどん使っていったら、ちょうど昭和十七年、大東亜戦争のときに、厚生年金を持っておったのが、それが全部戦費に回ったと同じ形が出てくるのです。だから、この点はきちっと借用証書を書いてもらいたい。  それから地域特例です。いままで公共事業をやるときに特別のかさ上げをしてくれる地域特例、これは第六章にあります。この地域特例につきましても、大体三分の一を六分の一に削って、われわれ地方自治体は一応難を免れましたが、都道府県と政令指定都市がその被害をこうむることになるわけですが、これは四百六十億です。ところが、この四百六十億の最後の詰めは一体どうされるかというと、「財政金融上の措置を講ずる」ということになっておるのです。  どういう財政金融上の措置を講ずるか。いま私たちの耳に入るところによりますと、四百六十億のうちの半分、二分の一の二百三十億は、国が一一般会計から交付税の臨時特例交付金としてくれる。しかし二分の一は交付税で見るということです。そうすると、二分の一を交付税で見ますと、交付税は国税三税の、われわれ市町村、県の全体の財源です。ところが、被害をこうむったところにそれをやることになれば、私たちの取り分は少なくなるわけです。何ということはない、市町村はのけたけれども、交付税のところで私たちにかぶってくるのです。こういう制度を、国の財政の赤字危機というものを何らの責任もとらずに、だれもこれは私が悪うございましたと一人も言う人がなくて、厚生年金から金を借り、そして地域特例の公共事業の金を巻き上げて、最後は私たちにその負担をかぶらせるということは納得がいかないわけです。  それから、法案に出ていない問題を二つここで提起をします。  これはこれから十二月のときに問題になるわけですが、国民健康保険です。国民健康保険は医療費の四割を国が払います。その四割のうちの五%を今度は県に持たせるわけです。県に持たせる理論的な根拠は何もないのです。国民健康保険は国の団体委任事務であるし、指導監督は厚生大臣がやるのを県に事務の委任をしているだけでございます。国がやるべきものです。ところが、それを約五%します。そうすると、これは年間二千六百億ぐらいになる。  それからもう一つ、これと同じように、いま母子家庭等に払うところの児童扶養手当あるいは特別児童扶養手当、これは一〇〇%国が持っているのを八〇%にして、都道府県や政令市に二〇%持たせようというわけでしょう。そうすると、これが四百億。これだけでも合わせて三千億になるのです。そうすると、もしこれがいわゆる財政需要として見て、国がもうおまえたちが見なさいということになって、国の財政需要として国が見ますと、それは今度は交付税の対象になっていくわけです。交付税で片がつく。そうすると、何ということはない、私たちにみんなその影響が来るのです。政令市と県のような感じがしますけれども、実際は私たちに今度は交付税で被害が来るわけです。こういう形をおやりになっておるのです。  一体、その「活力ある福祉社会」というビジョンをどういうようにこの法案はわれわれに教えるのか。何も教えてくれないのです。全部、たまたまわれわれ地方政府が黒字、年金会計が黒字、だから、その黒字のところ、おまえたちは金を持っておるから、貧乏になったものに出せと言うならば、まず行政責任を明らかにして、そしてその上でどうするかということをしてもらわなければいかぬわけです。それがないわけです。  最後に、三番目です。私たち産炭地振興と、それからこの臨時特例法との関係でございます。  御存じのように、産炭地のこの臨時措置法は、内閣の方針として十カ年間延長しました。ところが、まだ、その十カ年延長しましたけれども、われわれ産炭地を支える財政的、経済的、社会的基礎をなす法律というものは、大部分が時限立法です。あるいは時限立法に近い形で見直しが行われる法律で来ております。  たとえば、まず第一、過疎法です。この過疎法だけは片づきました。これは昨年四月一日から皆さんの御協力で新しい法律ができて、そして私たちは六月にはそれぞれ議会に提出をして、過疎振興計画をつくって内閣に出しております。これは進行しつつあります。  ところが、あと石炭六法、六法の中で産炭法は通りましたけれども、まだこれはいま計画をつくりつつあるわけです。まだ計画ができておりません。ことしの十一月の十二日までは旧法が生きておりますから、それまでに計画をつくってしまうことになります。そうすると、五法はまだ来年の、一番遅いのは七月三十一日の臨鉱法、それからエネルギー等の特別会計は来年の三月三十一日、こういうようにまだペンディングで、来年の夏まで問題が片づかないわけです。  それから、同和対策事業特別措置法。産炭地問題は同和問題であり、同和問題は産炭地問題というぐらいに密接な関係があります。これは来年の三月三十一日には期限が切れるが、これもまだどうするかという見通しもつけていただいておりません。  それからもう一つは、この産炭地補正でございます。いわゆるエネルギー危機の四十八年以降地方財政、産炭地財政が苦しくなりまして、五十一年から五十六年まで産炭地補正をいただいております。これは普通交付税でいただくわけですが、それがことし限りでなくなって、来年以降どうするかということが明確でありません。  そして、そういうことのほかに、今度は年度を切って動く問題が出てきました。それは国鉄ローカル線の切り捨てです。たとえば私の方の田川で言えば、七つ線がありますが、いまの状態で進めば七つ全部なくなるおそれがあるわけです。そうすると、地域の発展計画をつくろうとする場合に、動脈がなくなったら、もう半身不随です。見通しがつきません。ところが、これは国鉄はいま五十七年と言ったが、五十八年、恐らく六十年、六十二、三年と、こうなっていって切っていくでしょう。  それから、もう一つは緊急失対法、この二万人の首切りがようやく六月、七月、八月、九月で片づきました。  こういうようにまだ不安定要素がいっぱいある中で、私たちは産炭地振興法に基づいて発展計画をいま県が中心になって一生懸命つくっておるわけです。そういう不安定の中に、今度は臨調が出てきたわけです。そして、御存じのように、この法律によって二千四百八十二億を切ります、あるいは借ります。そしてそのほかに補助金を千六百億カット、一割カットするわけです。そのほかに私たちがわからぬのが、二兆七千七百億ゼロシーリングで切っていくわけですから、二兆七千七百億のうち、わかっておるあるいは半分わからないというのが二千四百八十二億で、あと二兆三千億は何もわからぬわけです。  したがって、こういう状態の中で産炭地振興計画を立てようとするわけですから、とてもできません。しかも、この予算措置の期間は、この法律の生きる期間は五十七、五十八、五十九、三カ年間です。この三カ年間は産炭地振興の十カ年間のうちの三カ年間ずつのローリングをつくる一番の根底をなすところです。根底をなすときにこんなものができたら、もう何もできません。もう前途暗たんたる状態であるというのが、いまの産炭地の空気です。  ここで私が最後に申し上げたいのは、内閣というのは、閣議では総合的に決めます。産炭地振興を総合的に決めたはずです。そうしたら、決めたら同時にその翌日には、国鉄がローカル線を切るということを同じ閣議で決めます。同時に今度は、失対を切るんだということを同じ内閣で決めるわけです。そして、同じ内閣で今度は臨調を最大のものとして決めていくわけです。そうしますと、行政はなるほど行政管理庁の形で臨調が出てくる。労働省は失対を切る。そして今度は通産省は一生懸命にやろうとしても、他の運輸省は国鉄を切る、こうなるわけです。  私たちは総合行政をやっておるわけです。総合行政をやっておる私たちは、その縦割りの行政がどんどん出られてきたら何もできません。これがいまの地方自治体が直面をする姿です。  どうかひとつ、大所高所から日本行政改革をやっていただきたい。それには、逆にならないように、やはり秩序正しく整然として行政改革をやっていただいて、そして高齢化社会を迎え、資源不足の日本をひとつしっかりやるようにしていただくことを心から祈念をして、私の公述を終わらしていただきます。(拍手)
  518. 海部俊樹

    ○海部座長 ありがとうございました。  次に、古賀政久君にお願いいたします。
  519. 古賀政久

    ○古賀政久君 国会議員の先生方には大変御多忙のところをわざわざ福岡までおいでいただきまして、私ども意見陳述の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございました。  私は、第一次答申趣旨並びに行革関連特例法案賛成の立場から、三点ばかり意見を申し述べたいと存じます。  第一次答申は、当面五十七年度の予算編成においては、主として歳出カットによって、新規増税を行うことなく赤字国債の発行を減額することを提唱し、本格的かつ具体的な行政改革の提言は問題点の指摘にとどめて、これを二次答申以降にゆだねております。  政府におかれては、これを受けて短時日の間に法案をまとめられ、現在国会において真剣に検討が行われているのでありますが、政府並びに国会財政再建に対する熱意に対し、国民の一人として厚く感謝するものであります。  今回の法案は、第一次答申財政改革の当面の方針に対応するものであり、時日の関係もあって、行政改革の基本に及ぶことなく、適用期間を限定した歳出カットに重点が置かれたのはやむを得ないと思います。しかも、厳しい財政事情の中で国民生活地方への影響をできる限り緩和するよう配慮されております。したがって、私は、法案は妥当かつ適切なものとして賛意を表します。  この際、私が特にお願いいたしたいのは、五十七年度予算財政再建初年度予算としてぜひ実現していただきたいことであります。もしもこれができないようであれば、今後の本格的な行政改革はとうてい望み得ないと思うからであります。  次に、今回の行政改革の目標と、これを達成するための手段について意見を申し述べます。  今回の行政改革の目標は、赤字国債の償還が始まる昭和五十九年度までに、赤字国債を発行しなくても収支バランスがとれるような状態財政を立て直すことにあると存じます。もしもこれに成功しなければ、わが国は借金を返すために借金をするという、国であろうと個人であろうと、やがては首をつらなければならない最悪の事態に立ち至ることは、私が申し上げるまでもないことであります。  したがって、目標を達成する手段は二つあり、これ以外にはありません。一つは、新規増税であり、一つは、行政改革によって歳出を削減することであります。私は、安易に新規増税による手段を選ぶべきでなく、政府国会におかれて財政の現状をあらゆる角度から見直していただきたいと思います。不要不急な経費はないか、むだな使い方をしていないか、十分にメスを入れていただきたいと思います。  政府が第二臨調を設置されたゆえんは、民間の創意工夫を取り入れて経費節減を図り、新規増税によらずに上述の目的を達成することにあると思います。国民もまたこれを強く望んでおります。このたび第一次答申を受けて、これに敏速に対応されたと同様、第二次答申以降に提言が行われるであろう本格的かつ具体的な行政改革答申についてもこれを尊重し、十分御検討をいただいた上、実現できるものは早急に実現していただき、節減を図っていただきたいと思っております。それでもなおかつ五十九年度にどうしても赤字が出るという見通しであるならば、そのときに初めて新規増税論議が行われてしかるべしと信ずるものでございます。  新聞紙上、五十八年度には早くも新規増税を検討中とのニュースを拝見しましたが、もしこれが事実であるとすれば、第二臨調の第二次以降の行政改革に対する本格的かつ具体的な提言はまだ姿を見せていないのでありますから、何のために第二臨調を設置したのかわからなくなってしまうわけであります。かかる新規増税はとうてい国民のコンセンサスを得られるものではありません。  三番目に、行政改革の理念について申し上げます。  第一次答申は、今後わが国が目指すべき方向として、国内的には「活力ある福祉社会の実現」、対外的には「国際社会に対する貢献の増大」を提唱しております。私はこれに全面的に賛成いたします。  この二つの問題は、一から十まで行政が行うのでなく、国民の創意工夫を生かし、国民のボランタリー活動に期待する余地が大幅に残されております。国は、国民の活動を側面的に助けるという姿が望ましいと思います。これに伴って行政の簡素化、効率化が促進されるべきであると思います。  このたびの行政改革によって、財政の硬直性が是正され、国は財政の弾力的運用によって、国民のこの面のニーズにこたえ得るような日が一日も早く到来することを念願いたしまして、私の陳述を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  520. 海部俊樹

    ○海部座長 ありがとうございました。  次に、馬川千里君にお願いいたします。
  521. 馬川千里

    ○馬川千里君 福岡大学の馬川でございます。  ただいまより許認可行政の見直しということにつきまして意見を述べさせていただきます。  その問題に入ります前に、このたびの法案でございますが、それにつきまして少し感想をつけ加えさせていただきたいと思います。  内容は大変わかりにくい形になっておりますが、まず最初に感じましたことは、この法案が鈴木総理が推進されようとしております行政改革の中でどういうふうに位置づけられるのか、それが大変理解しにくいという点でございます。  と申しますのは、鈴木総理は、行政改革というのは二十一世紀を展望した国家の大計だというふうに述べられているわけでございますが、私の目に映りますのは、今度の法案はそういった高い理想に比べていささかつじつまを合わせるというような形で出てきておるのじゃないかという感じが多少いたします。たとえば、法案について申し上げますと、厚生年金といったような問題についてそういったことが指摘できるのじゃないかというような気がいたします。  そういうことで、私はできるだけ早い機会鈴木総理考えております行政改革の全体像を明らかにしていただきたいということを、まず最初に希望いたしたいと思います。  次に、本来の行政改革で欠くことのできない許認可行政の問題について見ていきたいと思います。  この許認可行政というのは、法律ですと行政法の専門の方がやるわけですが、専門の違います私の立場からですと、大変大ざっばなあるいは大変抽象的な意見になってしまうのじゃないかということをお許しいただきたいと思います。  それで、行政改革の問題でございますが、この問題はずっと以前からもあるわけです。昭和三十九年の臨時行政調査会の改革意見でも言われておりました。それからまた、最近では、昭和五十四年に行政管理庁と公正取引委員会が共同で、こういった許認可行政を見直していくということが報道されております。そういう点からいきまして、今度鈴木総理がこういう問題について前向きの姿勢で検討しようということにつきましては、心から敬意を表したいと思います。  ただ、問題は、その許認可行政をどういう角度から見直していくか、それが一番問題ではないかと思いますが、少なくとも思いつきではないということはわかりますが、結論の方から申し上げますと、私は、競争政策の基本的な考えであります競争機能を活用する、そういうような方向から許認可行政一般を見直していくということが必要になってくるのじゃないかという気がするわけですが、それをもう少し説明させていただきたいと思います。  いささか講義のような内容になってしまいますが、独占禁止政策あるいは競争政策といいますのは、戦後に入ってきました経済民主化のための政策でございます。そして、その基本的な考え方といいますのは、ごく簡単に申し上げますと、その法律の一条に書いてありますが、できるだけ公正で自由な競争をさせるということがうたわれております。そして、それによって企業に活力を与えよう、それから、それによって一般消費者の利益を図っていく、それが経済民主化を達成する道であるということを法律自体がうたっているわけですが、こういう考え方は、世上で経済憲法というように評価されているわけでございます。  そうだとしますと、そのような基本的な考え方というのは、許認可行政についても当然に反映されるべきじゃないかと思われるわけです。といいますのは、とかく政府のやることは何をやってもいいんじゃないかというような考え方が以前は多かったわけです。ところが、もし政府の介入が競争を制限するような形で出てきた場合には、企業の活力を損ないあるいはまた消費者の利益に反する。そういうことから、許認可行政に対してもある程度の限界を設けるべきだということは、競争政策から出てきます当然の帰結ではないかという気がするわけです。それは企業の側から申しますと、みだりに自由かつ公正な競争を制限するような政府の介入は規制される、そういうことをある意味では保障しているわけです。  そういう意味で、今日、改めて許認可行政の見直しということが問題になってきました原因としましては、いままでの長い歴史の上で、競争政策というものが戦後入っていながら、行政の問題についてはほとんど反省をしなかった、そういうことが原因ではなかったかという感じがするわけです。  それで、もう少し許認可行政の内容に立ち入って申し上げますと、許認可行政で競争政策と関連して問題になりますのは、新しくある事業分野に入ろうというような場合に、法律によって許可をしないという形をとっているようなものがございます。あるいはまた、価格についても政府が介入するという形で競争を制限する、そういうような形の制限、それが競争政策の面から見て問題になるのじゃないかと思われる許認可行政でございます。  内訳は細かにわかりませんが、大ざっぱに言いますと、数字であらわしますと、わが国の法令が約千五百ぐらいあると言われておりますが、そのうちの一二%、百七十四ぐらいの法令が許認可と関係があるのじゃないかということが言われております。それを生産額の関係で見ますと、四〇%ぐらいが許認可と関係がある、そういうような指摘がされているわけです。  そういうことから、この許認可に対しまして競争政策の観点から見直していくということは、企業に活力を与え、そして消費者の利益という点からいきましても当然やらなくてはいけない問題ではないかという気がするわけです。  また、そういう風潮は何もわが国だけの問題でございませんで、昭和五十三年から五十四年にかけまして、OECDの場でも許認可行政の見直しということが言われております。そして、アメリカにおきましても同じようなことが行われているわけですが、そういうことで、世界の一つの方向ということが言えるのじゃないかと思います。  それから、なおつけ加えますと、冷静に考えてみますと、この許認可行政の見直しといいますのは、独占禁止法あるいは競争政策が入ってきました三十年前から本来は始まるべきであったのじゃないかと思われるわけです。ですから、そういう意味では、戦後三十数年という歳月をかけて本当は一歩一歩着実に実現すべきであったのじゃないかということも忘れてはならない問題ではないかと思います。  それで、許認可行政をなるべく見直すという点からいきますと、では、一切それを認めないで、企業が勝手なことをしていいのかというような考えが出るかもわかりませんですが、そうではなくて、私が申し上げたいことは、許認可行政をやめるべきかどうかということを判断する場合に、競争機能の活用が可能かどうか、そういう面から見ていく。そして、競争が可能だとすれば、なるべく競争を制限するような許認可行政は減らすべきではないかというふうに思われるわけです。  それから、一方では、安全性の確保、あるいはまた衛生の確保、あるいは有害物を排除しよう、そういうための許認可行政というものがございます。それについて申し上げますと、それは必要ではございますが、それについては必要最小限度である、それがまず前提でございます。  それから、それに関連しましてもう一つは、その安全性とか衛生あるいはまた有害物の排除ということと関連しまして、競争を制限するといいますか、新規参入を制限したり価格について政府が介入するというようなことはとるべきじゃない。ですから、二本立てという形でいくべきではないかという気がするわけです。  いささか抽象的になりましたが、なお、最近の動きと関連しましてもう少し具体的に申し上げますと、昨日の西日本新聞で許認可行政の問題が紹介されていたわけでございます。それによりますと、今度の許認可行政の見直しというのは、自動車の車検の期間の延長あるいは定期点検整備の簡素化というようなことに落ちつくのじゃないかという感じの記事が載っていたわけでございますが、そういった問題も一つの許認可行政の見面しの問題であろうと思います。しかし、それは、ただいま私が申し上げました安全を確保するという点からの見直しになるわけです。ですから、それにつきまして必要最小限度ということで、いま申し上げましたような内容が出てきているのじゃないかと思います。  それに関連しまして、運輸事業、内容はいろいろ細かに分かれますが、トラックですとかタクシーですとかいろいろございますが、そういった事業そのものについてのいわゆる新規参入を規制をしている、そういう許認可行政も見直すということも、やはり忘れてはならないのじゃないかという気がするわけです。  もし仮に、新聞に報道されているような形で許認可行政の見直しということが行われるとしますと、大変一方的といいますか、そういう面からだけの見直しで終わってしまって、早く言いますと、競争政策から見直すという点がどうしてもなおざりにされてしまっている、そういう結果になるのじゃないかと思われるわけです。そして、私は、許認可行政を、もし鈴木総理が、政治生命をかけてやるんだというふうに言われているようでございますが、そうだとすれば、単に手続を簡素化するという形だけではなくて、いま言う競争政策、そういった面からメスを入れるということをぜひやっていただきたいという気がいたします。  大変抽象的で雑駁でございますが、以上で私の公述を終わらしていただきます。(拍手)
  522. 海部俊樹

    ○海部座長 ありがとうございました。  次に、高嶋善一君にお願いいたします。
  523. 高嶋善一

    ○高嶋善一君 このたび意見を述べさしていただく機会を得まして、ありがたく存じておる次第でございます。時間が限られておりますので、要点だけを申し上げておきたいと思います。  行政改革に対する私ども系統農協の考え方は、肥大化した行政規模の縮小と新たな経済環境に適応した政府にするため、行政合理化することは必要と考えております。この意味で行政改革は賛成であります。  しかしながら、臨時行政調査会発足以来、その審議と七月十日に行われた第一次答申を見る限りにおいては、五十七年度予算編成に向けて、増税なき財政再建の名のもとに、福祉文教を初め、われわれ農業者に対しきわめて厳しい内容であることにいささか遺憾であると感じざるを得ないものであります。  本日お招きいただいた件は、現在国会審議されております行革関連法案についてでありますが、農林漁業につきましては、第一に、「厚生年金保険事業等に係る国庫負担金の繰入れ等の特例」に関しまして、私ども農林漁業団体役職員のための農林年金が該当いたすものでございます。  また、第二は、「特定地域に係る国の負担、補助等の特例」であり、これは漁港、山村を初め、きわめて農林漁業者にとりましては影響の大きいものであります。  第三は、「政府関係金融機関の貸付金利の特例」であり、農林漁業金融公庫がこれに当たっております。  これらの事項につきましては、八月二十五日の閣議合意などにより配慮がなされているものと見聞いたしておりますが、法案審議に当たって特段の御配慮を賜りたく、運用に当たっての私どもの要望を述べさせていただきたいと存じます。  まず第一に、農林年金の問題ですが、これは直接私どもの老後の生活そのものを左右するものであり、しかし、農林漁業団体職員の問題で恐縮ではありますが、今回の法案におきまして、国の給付費補助一八%を四分の三に減額し、一三・五%とすることにしております。  私ども農林漁業団体役職員は、昭和三十四年、相互扶助の精神のもとに厚生年金から独立し、農林年金を設立して、以来二十余年になりますが、他の公的年金との制度上の格差を解消することに努力しておる次第でございます。  農林年金は、制度としても若く、まだ十分ではない点が多々ありますが、この時期の国庫負担の減額はつらい試練でございます。特例期間後において政府は減額分に相当する額の補助その他の適切な措置を講ずるとしておりますが、元本のみならず運用に基づく利子部分の補てんも十分御配慮願いたいと存ずる次第であります。また、特例期間後早期に厚生年金並みの二〇%国庫負担を実現していただきたく、この席をかりて重ねて要望をいたしておきます。  第二は、地域特例の問題でありますが、法案によりますと、都道府県、指定都市等対象団体としてその措置がなされる模様でありますが、私ども農林漁業者の受益者の自己負担増等にならないよう、地方公共団体への財政措置を十分に図られるようお願い申し上げる次第であります。  第三は、農林漁業金融公庫等政府関係金融機関の法定貸付金利の弾力化の問題ですが、これにつきましては、最近、住宅金融公庫などに見られます利子補給の引き下げの問題が出ているようであります。  農林漁業への投資は、長期かつ効果のあらわれるのがきわめて遅いという特徴を持っており、政府による利子補給なしにはとうてい進め得るものではありません。金利弾力化といっても、今後の事業遂行に当たって支障のないように取り計らわれるよう要望いたしますとともに、借入者の負担増とならないよう十分な配慮をお願いするものでございます。  行革関連法案についての私ども考え方は以上のようなものでありますが、右の点を十分配慮の上、法案の早期実現を図られるようお願い申し上げます。  なお、この際、行革問題につきまして一、二の要望をいたしておきたいと存じます。  その第一は、当面する五十七年度予算についてであります。五十七年度予算はゼロシーリングのもとでその縮減を迫られておりますが、当面する水田利用再編対策、とりわけ五十七年度実施面積につきましては、昨年に続く東北地方の冷害などにより、農家経営はかなりの痛手を負っておりますので、特段の配慮をお願いいたしたいと思っております。  第二は、臨調における農業問題の審議についてでありますが、すでに農林漁業問題につきましては第一専門部会においてその審議がなされておるやに聞いております。この、審議に当たりましては、日本農業の産業としての位置づけ、これまで果たしてきた役割りを十分考慮の上、御審議くださるようお願い申し上げます。  なお、このことにつきましては後でまた申し上げたいと思っておりますが、第一次答申の際に、米価、食管、水田利用再編についての厳しい審議が行われたことと思いますが、食管の消費者及びわれわれ生産者に対する役割りは十分評価すべきであると思われます。また、水田利用再編対策についても、この措置の存続と農業経営の維持を強く訴えるものでございます。この点については特段の御審議をお願いいたしたいと思う次第でございます。  時間に制約がありますので、以上で要約して終わりたいと思いますが、必ず今後大きな問題として農業関係で議論される問題は、農業基盤整備事業という問題であろうかと思いますので、この際お願いを申し上げたいと思います。  農業の基盤整備は、農業の生産性の向上のみならず、農地流動化や構造政策上基本となるものでありまして、いわゆるこれが農政の基盤でございます。また、最近のように農村における混住化の進展とともに、集落を中心とした村づくりが必要となっております。生産と生活環境の整備をあわせて行うことがむしろ従来にない特徴となっております。私どもが基盤整備あるいは土地改良で行う区画整理、こういう問題は、農業者だけの利益ということでなくて、これをやるについては、道路を改修したり、あるいは河川をつけかえたり、あるいは橋をつくり、そうしてその地域の環境をともによくしていくということをやっておるわけでございます。本当はわれわれから言えば、これは国でやっていただいてもいいんではないかという性質のものではないかと思っております。今後におきましても、基盤整備あるいは土地改良、こういったことについては十分ひとつ特別の御配慮をお願いいたしたいと思います。  特に、九州におきましては、ほかの地域よりもこの面は非常におくれておるわけでございます。今後、九州が食糧基地だということもいろいろ言われておりますけれども、今後の問題として、九州の基盤を十分改良していくということについては、国も考えていただき、われわれも十分これをやっていきたいと思っておる次第でございますので、つけ加えてお願いを申し上げておきたいと思います。  以上で私の意見を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  524. 海部俊樹

    ○海部座長 ありがとうございました。  次に、馬場寿弘君にお願いいたします。
  525. 馬場寿弘

    ○馬場寿弘君 本日、この福岡の地で今回の行革に当たりまして意見を述べさせていただく機会をつくっていただきましたことにつきまして、まずもってお礼を申し上げておきたいと思います。  私は、民間に働く労働者の立場を踏まえまして、今回示されております第二臨調の第一次答申について、結論を先に申し上げたいと思います。まずはこの答申をもって政府が勇気と決断のもとで実行に移していただきたいということを先に述べさせていただきたいと思います。  本年六月の三日に、場所も同じくこの場で一日臨調土光会長同席のもとで開催をされました。私どもの上司であります福岡県民間労組協議会の晴気会長もその席で発言の機会をいただきました。その折に、私どもが常日ごろから中央を場にして取り組んでおります御存じの政策推進労組会議、この場をもちまして、中央政府、省庁、多面にわたってそれぞれの提言をしておることを前提にして会長の発言があったわけであります。  特に、私ども民間の労働者は、これまで労使の相互努力によって多くの難局を乗り切ってきた経過がございます。特に第一次、第二次のオイルショックの折の労使の相互努力というのは、まさに耐え忍んでという言葉に尽きるかと思います。一般的に言われておりますのは合理化という名前でありますけれども、そのもとでのいわば肩がわりということになるわけですけれども、省力化、機械化あるいは配置転換、さらには応援作業、職種転換、職業訓練と、言いかえればたくさんの企業諸施策に対して私どもは私どもなりの対応を、いわば努力をしてきたところでありますし、これはまさに角間の労働組合からすれば血のにじむ思いで対応してきた結果だろうというふうに思いますし、このことが、特に私は鉄の出身でありますので、七割操業でも採算のとれる対応ができておるというふうに、いわば企業の体質改善を労働組合挙げて対応してきたというふうに自負をしておるところであります。まさに、今回の第二臨調の対応というのは、こういった民間の活力をいかに中央、地方行政府に対して取り入れていくかというところにその視点があったのではないかというふうに思うわけであります。  私たちは、今日の中央、地方行政府の実態をかいま見ますに、確かに、高度成長に乗りまして、国民、市民、町民、村民と、いわば全国の国民ということになるわけですけれども、サービスという意味では、これはパイの拡大と同時に、それが拡大してきたことはもう当然だろうというふうに思います。しかし、一定ふくらんだこの機構を、その途中でどのような形でいわばチェックがなされたのか。私どもから言えば、行管、政府当局というのは、パイは大きくなっても、中間点でのチェックポイントをなおざりにして今日のままに放置したというほかに言う言葉がないように思うわけであります。いわば、こうした錯綜化いたしましたところの行政の見直しというものに有効適切に手当てがなされていたかどうか、私どもはこの点を多く指摘をしておるところであります。  先ほど申し上げました政策推進労組会議等を通じまして中央政府、省庁に指摘をいたしております点は、すでに二十三にも及んでおるわけであります。これは廃止、吸収、統合というところで一括申し上げておるところでありますけれども、こうした一例が私どもこの地方行政の中にも見られます。  私はいま福岡県の消費生活審議会の一員を仰せつかっておりますけれども、私ども素人にもわかっておる部分があります。それは、今日私どもが指摘しております物価監視の問題であります。この物価監視の問題というのは、労働行政という立場と通産行政という立場でそれぞれ中央から地方行政に対して指導がなされておるというふうに伺っておりますけれども、少なくとも同じ監視機構という立場からすれば、この二つの行政府の対応というのがこの地方の中にもそのまま生かされてきておる。民間の組合あるいは企業からすれば、こういったことはもう朝飯前に整理をされておる分野であります。こういう点から、私どもが常日ごろ申し上げておりますのが、いわばむだの排除でありますし、言いかえれば税負担の軽減でありますし、これが行政府から見れば財政負担の軽減であるというふうに見ることができるのではないかと思います。  こうして私たち風聞の企業体というのは減量に減量を重ねながらの努力をしておるにもかかわらず、国家公務員、地方公務員ということで指摘をさせていただくならば、ここ数年の統計というのは、国家公務員の皆さん方は別にしましても、地方公務員の皆さん方というのは膨大にふえ続けているのが実態であります。  いま一つは、官民較差の関係でありますけれども、私たち民間労働者が官公労の労働者の皆さん方の条件をとやかく言うことは控えさせていただきたいと思いますけれども、少なくとも民間の労働者が血と汗で得ました賃金の中から、一方では物価抑制、減税ということを訴えながら、やはり毎月確実にその給与の中から税金が控除されておるのが実態であります。公企体の皆さん方の中には、毎年毎年赤字を計上しながら、その穴埋めに私たちの血税が補充されていることを見ております。それも単なる金額ならいいのですけれども、きわめて膨大な、私どもの生涯賃金の何千倍とも言えるような金額、税金というのがそうした中に繰り入れられている実態があります。これは民間には許されない実態であります。そして一方では、その当局の方が合理化だと言えばそれには反対、こういうふうな実態というのが続く中で、中央行政府は何をやっているのかといったようなところが、私たちとしては非常に歯がゆい思いで見ておるところであります。  私どもは、こうして企業の対応の中で自助努力というのをやっておるわけですけれども、さてさて公務員の皆さん方でどの程度の自助努力というのがなされておるのか。私たちの目から見れば、それは全くやられていないと言っても過言ではないと思っております。そして、五十五歳あるいは六十歳といったような定年時を迎えますと、毎月の給与というのはかなり平準化現象をたどりましたけれども、退職金あるいは年金といったような点では、時として天下りという分野も含めてみれば、私たちには考えられない七十歳、八十歳に及ぶような方々でも勤められておりますし、その結果というのは、膨大なる退職金といいますか、功労金といいますか、そういう形で支払われておる実態があります。全く驚きのほかありませんし、ばかばかしい話というふうに一笑しておるところであります。この点についても、やはり政府みずからが模範をたれていただくということを、この行革を通じまして国民に示していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  今回の第一次答申で出ております内容を見てみますと、「行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環」云々ということであります。  内容を全般的に伺いますに、労働者福祉切り捨て、特に厚生年金だとか、あるいは教育の場での特殊学級、あるいは公庫の関係ではサラリーマンの夢であります小さな家でもという持ち家の関係での利子の対応、こういったようなところで、一般的に言います労働者福祉切り捨てというところで、私たちは問題なしとは言えません。  しかし、一番私どもが気になりますのは、やはり弱者救済であります。これはどうしても避けて通れない、私ども五体満足な人間がそれなりの対応というものをやらなくてはならない社会的な使命ではなかろうかと思いますけれども、こういったところを十分勘案いただきたいということを申し上げておきたいと思いますし、いま一つは、こうした措置の一環が今回出されております内容ですけれども、この一環すら、仮に形の上でなし崩し的に部分的に実行できないというようなことになった場合に、やはり今後出てまいるでありましょう、来年ですか、第二次答申、これすらも恐らく崩れ去っていくものになるのではないだろうかというふうに考えるわけであります。  それぞれの立場で発言をさしていただいておりますので、時としては非常にその項目項目で問題指摘をされる点ではないかと思いますけれども、弱者救済を除きまして、今回の行政改革一次答申というものは、やはりある意味では、国民が総痛み分けの立場というものに立脚しない限り実行できないのではないかというのが、私の結論的なところではないかと思っておるわけであります。  こういうことを前提にいたしまして、とにかく今回出されております第一次答申、少なくとも第二次答申を実行する上においては、この第一次答申というものを確実に実行いただくということがその前提条件になるのではないかというふうに考えておるわけであります。  要は、当初申し上げましたように、重ね重ねになりますけれども、いかに政府が今回の行革に踏み切っていただくか、そのためにはやはり政府もみずから範をたれていただくということが先決ではないかというふうに思っておるわけであります。  第二臨調の非常に短時間でのこうした作業、大変だったろうとは思いますけれども、いわば一般的に言われております総論賛成、各論反対ではなく、基本的に問題はどこなのかということを確実に踏まえていただいた上で実行に移されることが、やはり国民全体の幸せにつながることを確信いたしまして、当初申し上げました勇気と英断をもって積極的に実行に移していただきますことを重ねて申し上げまして、私の陳述にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  526. 海部俊樹

    ○海部座長 ありがとうございました。  以上で、意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  527. 海部俊樹

    ○海部座長 これより委員からの質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤波孝生君。
  528. 藤波孝生

    ○藤波委員 自民党に与えられました時間の前半を私が、後半を辻委員から御質問を申し上げたいと思います。  最初に、座長からごあいさつがありましたように、本日は大変お忙しいところをこの席に臨んでいただきまして、非常に広い角度から、あるいはまた法案の具体的な内容について、個別の問題にわたりまして貴重な御意見を伺わせていただきましたことを、心からお礼申し上げたいと思います。  私ども行政改革特別委員会は、行革関連法案の審議を小心にいたしまして、お地元のおなじみの三原委員を中心にいたしまして、積極的にこの審査を進めてまいりまして、すでに一昨日で六十四時間の時間を費やして審議を重ねてきておるところでございます。きょう私どもが福岡で、また別の班が仙台で、いろいろ御陳述を承る機会を得ましたことは、特別委員会にとってもとても幸せなことであった、いまつくづくとそのように感謝をいたしておるところでございます。  いろいろお話しをいただきましたように、高度成長時代から安定成長時代へ移行していくについて、わが国経済社会というのはいろいろの厳しい峠を越えていかなければいかぬ。さっき馬場さんからお話がありましたように、まさに民間の企業においては、四十八年の石油危機以降、労使が一体になって一つ一つ合理化効率化の道を進んできておられるわけであります。  一方、その厳しい情勢の中で、それぞれ政府国民に向かってそれぞれの役割りを果たしてまいりますために、財政は非常に公債依存の体質になっていってしまった。これは幾つも理由があるわけでありますが、きょうは時間の関係で申し上げませんけれども、御存じのとおりでありまして、こういう体質をやはり刷新をしていかなければいかぬ、それから、肥大化してきた行政の機構や機能を思い切って改革をしていくということで、八〇年代から二十一世紀に向かう国家社会の運営のやはり一つ一つの柱を立てていかなければいかぬ、その中心はやはり行財政の改革だ、こういう政治の課題を掲げて、政府国会も真剣に取り組ませていただいておるところでございます。  なかなか立場によっていろいろな御意見があります。きょうもホテルからずっとバスに乗って出てまいりましたら、「サービス低下の当直人員削減反対 全九電」という大きな張り紙がしてありまして、九電のように労使一体になって進んでおるところでもそれぞれいろいろな意見があるな、こんなふうに思わせていただいてきたところであります。それぞれの立場でいろいろな御心配があると思うのですけれども、特に政府が何を縮減をしていくか、何を改革をしていくか、一つ一つ利害関係があるわけでありますから、なかなか大変なことだと思いますけれども、これをどうしても乗り越えてやっていかなければいかぬということで、鈴木総理以下やはり政治生命をかけるという表現を使って取り組んできておるところでございます。  私は、さっきから御意見を伺っておりまして、臨調の日程が、まず今度の行政改革の理念というものをまとめ上げて、その後総論がうまくまとめられて各論に入っていく、そしてそれを受けて具体的に作業が進んでいくというような非常に秩序立った作業になっていけば、非常に国民の皆さんの御理解も得やすかったのではないかと思うのですけれども、当面五十七年度の予算編成を増税のない予算編成でいくという方針でゼロシーリングを打ち出し、関係法律の改正を一括法案としてまとめて国会審議するということでまず進んでいるものですから、どうしても行政改革の全体のビジョンというものが示されていない。すでに第一次答申にもいろいろ書かれておりますけれども、そのことがよく指摘をせられるところであります。こういったことが、今後、第二次答申を目指して臨調が作業を進めていく中でぜひ消化されていかなければなるまいし、政治としても、やはり臨調の御努力と相まって、国民の皆さん方に理解を得られる努力をしていかなければならぬだろうということを痛感をしながら、さっきから聞かせていただいておったところでございます。  問題は、第一次答申が出て、いまこういう形の法律案にまとまってきておるわけでございますが、これもそれぞれ御指摘がありましたように、第二次答申、あるいは第一次答申以後と申し上げたらいいのでしょうか、第二次答申で全部終わることになるのか、もっと個別の答申も出ることになるのか、まだ今後の問題だろうと思いますけれども、第一次答申以後の臨調のいろいろな作業、これを積極的に進めて、そしてそれらを継続してやっていかなければいかぬという御意見がそれぞれあったと思います。  きのうも衆議院で住本公述人から、これで終わるんじゃないだろうな、この後が大事なんだよ、だから引き続いて政治のエネルギーを行政改革でずっと進めていくということに意を用いよという御指摘がございました。それを聞いておられた野党の議員から、まず第一次は教育と福祉の切り捨てみたいな感じになるけれども、それはまだこれから本当の行政の機構や機能の改革が進められていくんだと思えばこそまだ少し小さな声でいまやっているんだ、これから継続してやっていくことが大事なんだという強い同調の意見もあったわけであります。私もそう思います。したがって、いまの法案の審査が終わりますと、第二次答申を目指してのいろいろな議論になっていくのだろう、臨調もそうですし、国会でもそういった議論が継続して進められていかなければなるまいと思うのであります。  そこで、具体的にお伺いをしたいと思うのでありますが、今後、制度や施策について思い切った見直しをしていく必要があるというふうに川合副社長さんからの御指摘がございましたが、今後、第二次答申を目指して動いていく行政改革の中で、どのように行政改革を進めるべきであるとお考えか。もし、川合副社長さんと、いま御陳述のありました馬場事務局長さんからさらに具体的な御提案なり御意見なりがございましたら、少しこの法案を離れて大局的な立場で何か御意見をいただくことができればありがたいと思いますので、どうぞお願いいたします。
  529. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 先ほど私、冒頭に申し上げたことに具体的には尽きるわけでございますが、特に国と地方を通じましたわが国のいまの行政制度のあり方、あるいは財政の問題等に大きな問題があるのではないかと私は思うわけでございます。基本的には国と地方を通じた、要するに国として総合的に財政問題を含めまして最も合理的で効率的な制度運用、そういう観点に立ちまして具体的な検討を進めていただく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。個々の具体的な問題についてはいろいろたくさんございますが、一応省略させていただきます。  考え方としては、とにかく国全体として、中央とか地方とか言わずに、総合的に最も合理的、効率的な制度運用財政面を含めまして検討していただくことが一番必要じゃなかろうかと思うわけでございます。
  530. 馬場寿弘

    ○馬場寿弘君 当初申し上げました御意見の中で幾つか申し上げておりましたけれども、少なくとも、私どもは、当初申し上げました政策推進労組会議等ではたくさんの提言をいたしております。特に私が申し上げたい点は、特殊法人とかいう立場でのいわば残務整理といいますか、そういった仕事が私ども知らない分野でたくさんあることも知りました。ここら辺の対応というのが、何か他の分野と吸収といいますか、合併といいますか、そういうことでなされることが大切じゃないかという気がいたしますし、先ほど申し上げましたように、吸収、合併、廃止ですか、そういうところを二十幾つも私ども立場でも指摘することができますし、そのことが具体的に行政府の方で的確に対応をいただいてないという面については、やはり大きな財源を生む結果になると思いますし、いまの段階ではきわめてむだな対応になっておるのじゃないかというふうに思います。  それからもう一つは、やはり公務員という形で指摘をすることになるわけですけれども、同じ働く者の立場ということでは、現状の労働条件を切り捨てろ、あるいは切り下げろと言うことはできないと思います。しかしながら、一般的に言われています、たとえば給与の関係にいたしましても、民間の組合、いわば民間準拠という形で査定がなされます例の取り扱いですね。これも民間の私どもの言い分からすれば、同じ労働組合の団体の中でもきわめて高い条件を維持しておるところと、団体の中でもきわめて劣悪な労働条件でやっておられる方があるわけです。そういうところの単なる高いところだけをとらえて民間準拠だというふうなことをなさるならば、一方では、その業務対応といいますか、内容といいますか、そういうところを民間準拠の中に導入していただきたい。そうするならば、おのずから単なるベースだけの準拠ということにはとどまらないのじゃないかというふうに思うわけです。  特に、無為無策に人だけをふやしておればそれでいいといったような対応がここ数年なされてきておるところに、民間から見るいわば較差問題というものが大きく波及して、たくさんの意見として今日出てきておるのじゃないかというふうに思いますし、私ども民間の企業組合というのは、効率よい企業運営に対して労働組合がどれだけ対応するのか、しかし首切るということにはならないというところでその歩調を合わしておるといったような実態からすれば、ここら辺に大きなポイントというものを求めていいのではなかろうかというふうに思います。  それから、最近は業務の肩がわりをするという立場では、電子工学の分野で大きくその対応をしてくれる機械が出てきました。まさにロボットまで出てきておる実態であります。こういった電算機を初めとしたところのコンピューター社会にあるわけですから、こういったものを中央を含めて地方行政の中にも適確に取り入れていくということになるならば、いまの事務量がどれほど軽減するかということは具体的に申し上げ切れませんけれども、少なくとも三分の一ぐらいは軽減するという形になっていくのじゃないか。思い切って、私ども民間で導入しておりますその機動力といいますか、有効適切なる対応をお願いを申し上げておきたいと思います。
  531. 藤波孝生

    ○藤波委員 もう一点だけお伺いをしたいと思います。  行革の作業を進めてまいります中で、一つは、当然行財政の見直しでありますから、官と民との役割りをどういうふうに求めていくかということがあると思いますが、もう一つの視点は、具体的には中央と地方、さっきからお話がありましたように、中央という言葉がいいかどうか、政府と言っていいのでしょうか、地方自治体との役割りをどのように分担をし、どういうふうに国民に向かって責任を果たしていくかという視点があると思うのでございます。  そういう意味で、今後国と地方役割り考えていく上について特にどういう点に配慮していったらいいか、余り時間がございませんので、恐縮でございますが、簡単に、滝井市長さんと古賀理事長さんから御意見を伺わしていただければ結構でございますから、どうぞお願いします。
  532. 滝井義高

    ○滝井義高君 中央と地方との関係については、藤波委員さんも御存じのように、すでに第十七次の地方制度調査会の中で出てきておるわけです。それから第一次臨調をごらんいただきますと、今度の土光臨調答申よりかはるかにきちっとしたものが出ております。それは中央政治の画一的な権限の非常に強いものをある程度削減をして、そして地方に移す必要があるという基本的な方向を定めておるわけです。そういう基本的方向は、三十九年当時の第一次臨調よりか客観情勢ははるかに進んだわけです。  御存じのように、高度成長から低成長に変わりました段階でもわれわれの国民的なニーズというのは非常に多様化してきました。したがって、明治以来百年続いてきましたこの画一的な中央行政というのは、もはや国民のニーズに合わないわけです。だから多党化その他も起こってきているわけです。多様化というものは何かというと、それは個別性であり分化性であり地域性を持ってくるわけです。そうなりますと、いまの中央集権的な、予算の七割を中央が吸収をして、そしてその四割をいろいろの形で地方にやる、地方はその四割をもらって八割くらいの機関委任事務をやる、こういう形になっておると、それだけ事務が複雑になってくるわけです。だから、この際、まず私は、十七次まで出た地方制度調査会なり第一次臨調の方針に沿って、土光さんが思い切って中央政府の権限を地方に移す、それは最前馬川先生もおっしゃっておりましたが、許可認可のところ、それから機関委任事務、それから出先機関、こういうものをしますと、必然的に中央の省庁の組織の簡素合理化、運営等に問題が出てくると私は思います。したがって地方時代というのは、分権、自治、参加というような形を速やかに政府がこの際思い切ってつくっていただくということが大事だと思います。
  533. 古賀政久

    ○古賀政久君 先ほど田川の市長さんがおっしゃいましたように、第一次答申で、いま藤波先生がおっしゃいました問題につきましては、方向としては非常に明確に打ち出されておるわけでございます。ただ、具体的にどういうことかということになりますと、私は行政の専門家でございませんので具体的にはわかりませんけれども、第一次答申は非常に具体的に打ち出しておるので、ああいう方向でひとつぜひ行政改革をやっていただきたいというふうに念願いたします。
  534. 海部俊樹

    ○海部座長 次に、辻英雄君。
  535. 辻英雄

    ○辻(英)委員 公述人の皆さんには貴重な御意見を伺いましてありがとうございました。ただいま私どもの先輩の藤波委員から、私どもの一般的な考え方につきましては申し上げましたし、御質問もありましたので、私はしぼりましてお伺いしたいと思います。  初めに滝井公述人にお尋ねします。  あなたがおっしゃったように、社会保障の基金なりあるいは地方財政は現状において、あなたのおっしゃった数字を見ます限り、比較的よい状態にある。しかるに一般会計が悪いのは、責任の問題は別にしまして、私も事実認識として同じでございます。そこで、厚生年金の政府の持ち出す金の処理につきましても、滝井公述人の意見を伺いますと、事後措置が悪いのだ、現状においてはやむを得ないのだ、まあそこまでおっしゃらないけれども、その事実認識は同じであろうと私は理解をしたわけでございます。そのことにつきましては、補助金かさ上げ問題についても、一般的には同じ論理であろうと思いますので、基本的にそのように理解をしていいのかどうかということが一つでございます。  もう一つは、産炭地の問題に関連しまして、いろいろ問題はありますが、財政赤字の一つのがんと言われました三Kの一つであります国鉄について、ローカル線のお話がございました。これも非常に、当面の法案ではございませんが、重要な関係のある問題なのでお尋ねをします。  かつて私も、昭和四十三年だったと思いますが、日鉄二瀬が閉山しましたときに、従来二瀬の炭に使っておりました飯塚の幸袋線を、地元の意向も含めまして自動車輸送に切りかえまして、私は、何も不便はなかったし、かえって地域のためによかったという経験を感じたことがございます。これから産炭地振興につきまして、従来の傷が大きいために必ずしも十分な成果になっていないという点は私も理解をいたしておりますけれども、今度の産炭地域振興計画を進めていく場合に、人の輸送と物の輸送が常に国鉄でなければならないかどうかという点は、現在の諸情勢から見まして問題のあるところだと思います。そこで、国鉄の問題全体もありますけれども、たとえば現在のローカル線の中で、俗に言えば空気を運んでいると言われるような状態の路線も相当ある場合に、人が乗ります場合に、それはバス輸送としての考え方はどうしてもできないのか。まあいろいろ細かいことはございますが、基本的に考えて、そういう方式を踏まえた輸送のあり方についての理解、新しい角度で考えた産炭地振興計画というものは、お詳しい滝井先生ですから十分御存じじゃないかと思いますが、どうしていけないのかという点について御意見を承りたい。また、貨物につきましても、国鉄による貨物輸送は全国的にも非常に減っております。他の輸送機関、たとえばトラック等において、どうしても筑豊の再開発を考えるときに、石炭を運ぶわけじゃございませんので、その方法について何か御意見があるのではないかと思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。その二点です。
  536. 滝井義高

    ○滝井義高君 まず、厚生年金とそれから地域特例に関する事後処理の問題です。  これは、国家財政が現実に三〇%を超える赤字を出し、しかも、来年度予算編成におきまして、増税もできなければ国債も発行できないという、いわば進退きわまった状態に追い込まれているときに、どこに突破口を求めるかということになれば、ある程度の歳出を削ることは、これは客観的に見てやむを得ないと思います。しかし、その場合に、削り方が一体どこをどういうように削ってその後始末をするかという点について、非常にしりが抜けているということを言っておるわけです。だから、そのしりが抜けたところを、借用証書をはっきりしてください。期限も切らなければ利子もはっきりしないような形では困りますから、そこをひとつしりをきちっとしてください。それはなぜならば、私の浅い勉強の仕方で見ても、六十年以降にいまよりかさらに財政状態は悪くなりますよ、その悪くなることがわかっておるのに、大蔵大臣はそのことを百も承知の上でああいう条文を書いておるのだという見方をしておるのです。だから、私の方は、借用証書をきちっとしてくださいというのです。  それからもう一つは、交付税というのは、私たち三千有余の地方自治団体が、これは一般財源として一つの権利として持っておる。財界その他からは交付税の見直しなんかが出てきておりますけれども、そんなことは客観情勢からしてもできる問題ではないと思います。やはり国税の所得税、法人税、酒税、いわゆる三税の三二%というのは、われわれみんなが持つものです。ところが、国が吸い上げて後の始末をするときには、普遍的に多数ならば、恐らく薄くまあ保険を掛けるというようなことで余り文句はないだろうというので、全部、切ったものは後で交付税で補てんするからがまんしておけという言い方は、これは困ります。だから、そこはひとつ一般会計から最後はやはり払う形にしてもらわなければ困るのじゃないでしょうか。そうでないと、せっかく営々と築いてきた地方自治体が今度は赤字になるし、社会保障基金も赤字になりますよ。それでは国全体が危機に直面しますというのです。行政改革をやるなというのではない。行政改革は大いにやっていいですから、ちょっといままで過去に答申をしていただいたものの筋を立ててやってください。何もこの臨調の急いで駆け込みでつくったものよりかはるかに——十七次にわたって積み上げ積み上げしてきた専門家の意見というものを無視して、まあ素人とは言いませんけれども、ぱっと出てきて、それがあたかも政治生命をかけるような最大のものであるという錯覚は御免こうむりたいということです。だから、しっかり後をひとつやっていただきたい。  それから、産炭地の問題に関連をいたしまして国鉄が出てきたのですが、まず、産炭地問題を私たちが考える場合に、行政というものは、閣議では総合的にものを決めていくわけです。ところが、残念ながら、日本は縦割り行政でございますから、運輸大臣はとにかく国鉄の赤字さえうまくいけば自分の功成り名遂げるわけです。しかし、地方におるわれわれはそうはいかぬということになる。  そこで、まず国鉄の客観情勢を見ますと、国鉄はこういうのをつくるために過去四回にわたって国鉄再建計画をつくったけれども、大体二年以内に失敗しました。私も、今度は二年以内に失敗するという予言を塩川さんと高木さんにしてきたのですが、私のこの予言は間違っていないと思っておるのです。それはどうして間違っていないかというと、もはやいまの改善計画では、国会を通ってつくった改善計画では役に立たなくなっている。なぜならば、まず第一に、東北新幹線と上越新幹線をおつくりになって、そしてこれは初めは東海道新幹線と同じぐらいの金でできるんだろうと思ったら、インフレで三倍も四倍も金がかかったわけです。その結果、三千億ぐらいの利子を払えばいいというものが、四千億払わなければならぬことになったわけです。これでまず一つ違ってきた。それから、青函トンネルができ上がりまして、これを使うとすれば八百億かかるわけです。そういう状態がまず二番目です。三番目に出てきたのは、まさか貨物がこういう状態になろうとは思わなかったのが、貨物が一〇%から一三%収入減です。もはやいまのままでいけば百以上どんどん駅をのけなければならぬ形が出てきた。それからもう一つ大事な点は、東海道線とか東北線、旧幹線です。こういうものが全部赤字になってきたわけです。そればかりじゃなくて、いままで国鉄の大都市における一番大事な財源であります定期券、定期券で乗った人が全部国鉄から逃げ始めたわけです。だから、いまのところ……
  537. 辻英雄

    ○辻(英)委員 たくさん御意見があると思うのですが、私がお尋ねしたいのは、筑豊再建計画を考えるときに、輸送手段は人についても物についても絶対に国鉄でなければできないとお考えになって再建計画をお立てにならなければいけないかどうか、かわりの輸送手段である、人であればバス、荷物であればトラックということで、筑豊再建計画を立てるのに支障があるかどうかということにしぼってお答え願いたい。
  538. 滝井義高

    ○滝井義高君 したがって、いまのような改善計画が崩れておるという前提が一つ出てきたわけです。そこで、崩れてきました中で、筑豊の産炭地は、御存じのように石炭を輸送するために四通八達しておるわけです。今度の国鉄の再建計画は、全部ビルドがなくてスクラップばかりです。そうしますと、いま私たちが再建計画を立てるのは、いまある鉄道を基礎にして全部計画は立てようとしております。そうすると、それがことしきりで終わるならばいいのです。終わらないのです。御存じのように、五十八年までに切られたら、次は今度は六十年になり六十二年になって、四千キロというものはやられてしまうわけです。そうすると、筑豊はだんだん切られていくわけですから、人口がどんどん減るから、バスをつくっても乗り手がいなくなるという形が出てくる。それならば、いまの段階で福岡県が六つも切られるならば、福岡県全体の交通体系を一体どうするかということを先につくらなければいかぬわけです。一つ一つの線をやるということは、一本一本のりっぱにできておる庭木を切るのと同じです。私たちは、森を見て、この森の中で一体どの木が邪魔になるからこの木は切りたい、添田線は切りたい、室木線は切りたいというのならわかるのです。ところが、やみくもに、おまえのところは乗り手がおらぬからだめ、おまえのところはだめ。それならばのけてしまったときに代替道路はどうなっておりますか、代替道路に一体それじゃ西鉄がやるんですか、国鉄がやるんですか、こういう詰めばやはりある程度前の段階で知らしてもらわなければならぬわけですが、何もないわけです。やみくもに自分で勝手に計算をしておつくりになっておる。だから、ビルドをひとつまずやってください。ビルドには法律があるのです。それは五十五年の十月二日に運輸省の鉄監局長か官房長の名前で、各陸運局長に対して、地方陸上交通審議会というのを各県におつくりなさい、そしてそれぞれの県の十カ年間における公共交通体系をおつくりなさいとなっているのです。これをやらないのです、予算がないといって。そうして地方協議会をもう廃止することを前提にやる。廃止することを前提に地方協議会に入っていくことになれば、市町村長としては輸送の責任が持てないところに入っていってもだめですから、だからいまの段階では私たちは了承ができない、こういう形に全国市長会としてはなったわけです。
  539. 辻英雄

    ○辻(英)委員 議論になりますので、ありがたい御意見として承りました。  最後に、川合さんか古賀さんにお尋ねしたいのですが、行革に伴うデフレ効果論というのが非常な一つの心配になっておりまして、一部で言われております。現在の景気動向につきまして、御存じのように、全体としては回復基調だけれどもということですが、地域的な跛行性が非常に強い。特に九州の実態を見ますと、私どもはそんなふうに思っておる。  そこで、公共事業のこれからのあり方等について、臨調なり政府考え方は、トータルはふやさないという中で、本来、経済発展しなければ、大蔵省の予想しておるような税の自然増収というものも私は期待できないんじゃないかと思うのですね。そういうことを考えた場合に、公共事業の問題というのは、九州の場合にどのような条件になって考えていくことが九州経済発展に必要であるのか。あるいはもう一つ、最近の経済の悪い原因の一つは住宅が非常に悪いことだと言われておりまして、ことに、私は福岡ですから、福岡の周りを見ておりまして非常にそういうことを強く感じまして、そのことが関連産業の多い福岡の経済に非常に悪い影響を与えておる。そのことは、将来を考えますと、当然に法人税なり個人所得税の減収につながるという問題にも絡んでおって、私は財政再建にも大いに関係があると思っておる。そういうことについてひとつ御意見を伺いたい。  もう一つ、これは馬場さんの方になると思うのですが、そういうことと関連しまして、個人勤労所得税というものが、これは増税という言葉ではないんで自然増収なんでしょうが、実質的には相当大幅に可処分所得を減らしておるという問題があって、そのことがいま申し上げた個人消費支出を非常に抑制したかっこうになっておって、経済の沈滞に絡んでくれば、かえってこれは将来の税収の阻害要因になるのではないかというような問題がありますので、経済全体については川合さんなり古賀さんなり、あるいは最後の問題は馬場さんから、時間がありませんから、しぼって簡単にお答えをいただきたいと思います。
  540. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 デフレの問題でございますが、これにつきましては、基本的には、国会審議の場で大蔵大臣や経済企画庁長官お答えになっておられますが、日本全体としてはそう大きなデフレ効果はあらわれないんじゃないかということをおっしゃっておられるようでございます。  問題は、ローカルの問題として九州の場合を申し上げますと、九州におきましては公共投資の支出のウエートが約二四%、全国的にもかなり高い公共支出のウエートになっております。ただ、行革を進めます基本的な考え方というのは、やはり国民が等しく痛みを分け合うという考え方で私どももやらなければならぬというふうに実は考えておるわけでございます。  これは先ほども申し上げたのでございますが、そういう中でもやはり地域の特有な事情についてはぜひきめ細かな御配慮をお願いしたいということを申し上げたわけでございますが、基本的には、今後の御検討の中でその辺の十分な御配慮もひとつお願いしたいということを申し添えまして、お答えになるかどうかわかりませんが、終わらしていただきます。
  541. 馬場寿弘

    ○馬場寿弘君 私どもは、今日の賃上げの要求をやる場合にいたしましても、いたずらに賃上げをしてくれといったようなことはここ数年来言っておりません。少なくとも責任ある立場に位置づけされました労働組合の立場からすれば、一定の経済指標というものを長期的にあるいは短期的に見詰めながら、その経済指標のもとで、たとえば私ども来年の賃上げは一〇%なら一〇%としてくれないかということで、横の連帯をとりつつ、一方でこれと関連して問題になりますのはやはり物価抑制の問題です、直接生活にかかわる対応でありますから。その物価指数というのも、たとえば昨年度ならば七・七というのが非常に問題になったところでしたけれども、そういったところを特に政府に一方ではお願いしながら、いわば物価抑制の対応をお願いしながらの賃上げを要求してきたところであります。  そういう意味からすれば、今日の段階では特に先生がおっしゃるような私どもからする懸念というのはないのじゃないか。いわば、引き続きその姿勢というのは私ども堅持してまいりたいというふうな気持ちでおりますので、対応いただく政府の方でも、たとえば物価抑制ならば、私どもの要求におこたえいただくような形での諸政策というのを実施していただきたい。特に問題になりますのは、私どもが要求した内容におこたえいただく、それはやはり物価抑制に対するその対応の財源として国家予算の中に計上はいただくのですけれども、何となく年度末になりましても、その示しました物価指数に対しての取り扱いというのがずるずるという状況になり、一方では予算計上されたそのものも行使し得ないままに経過したというような経過もございましたので、その点については逆にこちらの方から御指摘をさせていただきながら、今後の御対応をお願い申し上げておきたいと思います。
  542. 辻英雄

    ○辻(英)委員 ありがとうございました。  終わります。
  543. 海部俊樹

    ○海部座長 それでは、午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  544. 海部俊樹

    ○海部座長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横山利秋君。
  545. 横山利秋

    横山委員 皆さんには大変御多忙のところ、ありがとうございました。横山でございますが、御存じのように社会党でございます。  この際、私ども考え方を一言申し上げて、そういうことをまず御了解を願いたいと思うのでありますが、私ども社会党は、社会の進歩に即応した行革は必要である、また、今日膠着している財政を再建しなければならない、そういう点については全く私どもも否応ございません。問題は、どうしてこうなったのか、どういう方法でそれを貫徹するかというところに、私どもとしての建設的な提案を数々いたしておるわけでありまして、一部にございますような、私どもに加えられました、昔反対せんがための反対という意見がございますが、いまはそうではございませんので、その点をぜひお含みの上、私の二、三の質問についてお答えを願えれば幸いだと存じます。川合さんと馬場さんにお伺いをいたしたいと思います。  先ほどるるお話がございました。その中で共通いたしますのが痛み分け、国民が今日の状況についてみんながまんをしなければならないのではないか、そういう趣旨お話がございました。  私ども感じますのに、まず第一に、いま電力会社といい自動車会社といい、日本の有数な大企業は、新聞によりますと史上空前の利益を上げておると言われておるわけであります。もちろん、それは必ずしもそうでない企業もございますけれども、少なくとも大企業はかなりな利益を上げております。この大企業が総痛み分けの部類に、一体今度の臨調の中に入っておるとお思いでしょうか。これが第一であります。  第二番目に、軍事費の問題でございます。  ゼロシーリングでみんなが痛み分けと言っているときに、七・五%の聖域になっております。この論争をいたしますと、限りのない対外政策、外交政策発展いたしますから申しませんけれども、しかし、少なくとも、総痛み分けの中には軍事費が入っていないという点について、本当に国民が納得しておるとお思いでしょうか。お二人の総痛み分けの中にこの二つの部面が入っていないことについて、どうお考えでありましょうか。  私どもは、今度の行革を一言で分析いたしますと、二兆七千七百億円が政府としては五十七年度要調整額であると言っておるわけでありますが、これをゼロシーリング及び一般歳出の削減、すなわち行革一括法案で二千四百八十二億円の削減、補助金の一律一〇%で千六百三十六億円、老人保健の有料化や年金スライド実施時期をおくらせるなどの方法、そして地方自治体への負担転嫁、こういうことで今回の一括法案はでき上がっておるわけであります。  要すれば、それは私ども声を大にして言っておりますように、教育と福祉地方にしわ寄せさせているのではないか、それはひいては国民の中における、先ほど高嶋さんのお話もございましたが、農民にあるいは労働者にあるいは中小企業にしわ寄せが一番いっているのではないか、そう思われてならないのであります。そういう点について、まず川合さん、馬場さんの御意見を伺いたいと思います。
  546. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 今回の臨調答申であるいは特例法案の中で、大企業が痛み分けの痛みを受けていないのじゃないかという御指摘が第一点であろうと思いますが、経済界といたしましても、今回の臨調検討に際しましては、むしろ国民全体にかわってかなり積極的な意見も申し上げておりますし、それから、たとえば公共投資削減の問題等につきましても、これは経済界のみならず国民全般の問題かもしれませんが、積極的な姿勢を示し、意見を申し上げておるところでございます。  ただ、今回の答申なり法案なり行革の中で等しく痛みを分け合っておるかどうかという点につきましては、これは相対的な関係でございまして、私も数字的に果たしてそれが本当の意味の痛み分けになっておるのかどうかという点については、はっきり具体的に申し上げられるような検討をいたしておりませんので、申し上げかねるわけでございますが、基本的には国民等しく痛みを分け合う、国民自体もそういう気持ちであるべきだし、もちろん経済界もその例外ではあり得ないわけでございますが、それと同時に、政府におかれましてもそういう気持ちで今回の法案なり検討をなされたものというふうに私ども考えておるような次第でございます。  それから、防衛問題も、これは例外ではなかろうかというようなことでございますが、私の私見でございますが、これは一つの価値判断の問題ではなかろうかと思うわけでございまして、国際的な問題をいろいろ含めての価値判断の問題ではなかろうかと思うわけでございます。私見でございますが、お答えになったかどうかわかりませんが、以上で終わらせていただきます。
  547. 馬場寿弘

    ○馬場寿弘君 お答えになるかどうかわかりませんけれども、私なりの御意見に対するお答えをさせていただきたいと思います。  確かに、今日の段階だけで物事をとらえてみれば、果たして大企業、大労組どうなのかという御指摘ではないかというふうに思いますけれども、先ほど辻先生のときにもお答えをいたしましたように、労働組合のリーダーシップをとるべきところはどこなのかというところになってきますと、御指摘いただいております、たとえば電力さん、自動車さん、時としては私どもの鉄の場合も入るかと思います。しかしながら、少なくとも企業は企業として、あるいはそれに付随しております私ども民間の組合は組合として、きつい企業体質というものをいかに労働組合も二人三脚になって乗り切るかということについては、午前中の陳述の中でも申し上げたところであります。少なくとも、第一次オイルショックあるいは第二次オイルショックの折には、それなりの企業の痛手というものはあったと思いますし、それに対する私どもの一定の見解というのはその都度申し上げてきておるところであります。今日がいいからということだけの御指摘については、私どもとしては長期的に労働組合としてのビジョンというのを掲げておりますので、これに基づいての対応を図ってきておるということだけは申し上げておきたいと思いますし、大手労組の社会責任というのも、それなりの時代の推移の中では果たしてきておるつもりであります。  他の方々から見られますと、その点ややもすると、御指摘いただける点かと思いますけれども、少なくとも、大手の企業を取り巻くそれぞれの協力関連企業といいますか、ここにはそれぞれの関連の労働組合があるわけです。その中での大手労働組合の指導といいますかリーダーシップといいますか、そういったものは、私どもは私どもで、その団体の立場なりあるいは単組の立場で、常日ごろからの協力関係を持ちながら、それぞれの分野においてリーダーシップ、指導力を発揮してきておる、非常に抽象的でありますけれども、このように申し上げておきたいと思います。  それから同時に、少なくとも行政府におかれましても、単なる政府自民党という立場だけでなくて、社会党の皆さん方、あるいは公明党の皆さん方、民社党の皆さん方、そして共産党の皆さん方におかれましても、たとえば今回の一次答申の中で総理大臣と国務大臣は給与の一部返納というふうなものを示されておりますけれども、皆さん方もやはりそのような姿勢を国民に正さない限り、少なくともだらだら国会といったような国民の批判を浴びるような立場では問題があるのじゃなかろうかというふうに考えるところでありますし……(横山委員「失礼でありますが、そういうことはお答えを願っておりません」と呼ぶ)  軍事費の問題については、私は今日の段階では十分に研究いたしておりませんので、その点については答弁を避けておきたいと思います。
  548. 横山利秋

    横山委員 私の御質問にお二人とも十分お答えを願っておらないのであります。重ねて川合さんにお伺いしたいと思います。  要するに、いまわれわれが直面しております臨調答申政府案、そういう問題をここで議論をして総痛み分けというふうにおっしゃいますので、私は、過去はともあれ、今日的な課題として大企業がどんな痛みをこの臨調答申及び法案で受けるのかというごとの質問なんです。お答えのようでは十分ではないので、具体的にお伺いをいたしたいと思います。  国会の論争の中で積年の問題は、税制の不公正であります、不公平であります。御存じのように租税特別措置法というものがございます。電力会社には渇水準備金等を含めて数々の特別措置があること御存じのとおりであります。こういう税制の不公正を私ども政府に善処を求め、政府もその不公正のあることは認めておるわけであります。  ただ、失礼な話でありますが、土光さんが財界出身者であるからその問題に触れないのだというおか目八目の議論がございますが、大企業としても税制の不公正を正すことについて、総痛み分けとして甘受、受忍をされるお気持ちがおありであるかどうか、端的に伺います。
  549. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 非常にむずかしい御質問でございまして、先ほど電力の問題を具体的にお取り上げになられましたけれども、確かに昨年度はかなりの利益を上げたことは事実でございます。その原因等につきましては、時間がございませんので省略いたしますが、この問題につきましては、長期的な観点から、消費者にとって総合的に見てプラスになる方向で私どもはこの利益については処理するつもりでおりますが、ただいまの不公正税制に関連した問題につきましても同様でございまして、現在、たとえば引当金その他の制度がとられておりますが、これは電気事業の特質等から見て、消費者なり国民に、そういう引当金制度をとることによって、たとえばの話でございますが、長期的に見てむしろプラスの方向になるのではなかろうかという観点から設けられた制度であろうというふうに私どもは理解しておるわけでございます。したがって、今回の行革に関連した御審議におきましても、そういう点を踏まえてさらに慎重な御審議をされるものというふうに私どもは想像しておるわけでございます。お答えになりましたかどうか……。
  550. 横山利秋

    横山委員 議論になりますから、これ以上質問はいたしません。  次に、古賀さんと滝井さんにお伺いをいたします。  恐らく、きょう諸参考人の皆さんも、臨調答申なり政府の言っていらっしゃること、つまり日本における活力ある社会という点については同様御賛成だと思いますし、私どもも賛成でございます。  さて、そのいまの日本経済の現状をどう見るかについて、先ほど川合参考人が、政府行革国会におきましてまあまあだというふうに答えた、あるいは行革デフレはないと答えられておることを引用なさいました。私は、いまの政府の主管大臣が、行革をやりますけれどもデフレになりますと言うはずがないと思います。しかし、経済企画庁長官は言葉の端で、新聞でお目にとまったと思うのでありますが、何とかして内需を増大しなければだめだ、こういうことをしばしば言っているわけであります。  先ほど、九州のような地域的な経済的なおくれということを御指摘になりました。あるいはまた、業種的に、いま非常に労使挙げて業界の回復を叫んでおる業種がありますことも御存じのとおりであります。一方では、中小企業の中できわめて不況下に呻吟しておる業種のあることも、これまた恐らく十分御存じのとおりだと思うのであります。そこへこの行革がどんな経済的影響をするかといえば、私はプラス要因よりもマイナス要因の方がはるかに大きいと思っているのです。  たとえば、景気の中心になりますのが、御指摘がありました住宅、公営住宅は去年よりもことし二十万戸減るわけであります。かてて加えて三年間金利が上がるわけであります。だれが一体大都市で住宅を建てようとするでしょうか。需要は減ることもちろんであります。公共事業についてもそうであります。ゼロシーリングであります。それから、たとえば当面いたします仲裁裁定とか人事院勧告だとか、あるいは労働者の要求する春闘とか、そういうものについて、経営者としてはあるいは地方自治体の首長としては、立場はございますけれども、しかし、これが内需の五〇%を占める個人消費を拡大する要因であることは、だれしもうなずかざるを得ないことであります。新経済社会七カ年計画は活力ある社会を志向しています。いまの行革が果たしてそれに即応したものであるかどうかという点について、私どもは多大の疑念を持っておるわけであります。  経済を担当される古賀さん、あるいは地方の首長をやっていらっしゃる滝井さん、これらの点について御意見があれば伺いたいと思います。
  551. 古賀政久

    ○古賀政久君 お答えいたします。  まあ確かに行革デフレという影響が多少出るかもしれませんが、問題は、行革をやらなければ増税をやらざるを得ないという状況であるというふうに私は認識いたしております。行革の及ぼすデフレ効果と増税の及ぼすデフレ効果とどちらが大きいのかということについては、これはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、今度の特例法案を拝見いたしますと、五十七、五十八、五十九と期間を切ってございますし、それから、できるだけ影響が少ないように配慮されておりますので、私は御心配のようなことはないのじゃないかというふうに思います。  それから、住宅につきましては、御承知のように、最近、日本におきましては、これは空き家を含めまして家の数の方が居住者の数を相当数上回っておりますので、したがって、住宅需要がある程度ダウンしてくるのは、これはもう当然の傾向ではなかろうかというふうに考えております。
  552. 滝井義高

    ○滝井義高君 いま、臨調が今後どのように日本経済に影響を及ぼすかという指摘でございます。  まず、最近衆議院の皆様委員会で、多分大蔵大臣が、ゼロシーリングとして二兆七千七百億の財源の節約をやる、そのうちこの行革で、表に出たものあるいは出ないもの合わしたら約九千億ぐらい削ることになる、それから公共投資が多分八千五百億ぐらいと言われておったと思います。その他ゼロシーリング関係で約六千億、そうすると二兆三千五百億、あと四千億程度はまだこれからであるという何か説明をされたのを記事で読んだのです。そうなりますと、公共事業で八千五百億削ることになると、ちょうど恐らく五十六年と五十七年がゼロで同じになるのだろうと思うのですけれども、私、非常に不思議に思うのは、さきに新経済社会七カ年計画というのをおつくりになっているわけです。この七カ年計画におきまして、初めに多分二百四十兆ぐらいのGNPを見ておったのを、それではいかぬというので、いろいろ討議をして百九十兆ぐらいに下げてきておると思うのです。このときには、御存じのように五%くらいの物価の上昇で、五%前後の伸びになっているわけです。その経済の伸びが五%というときには、いま横山委員が御指摘のように、現在の客観情勢をごらんいただきますと、五%程度のうちの三分の二というのは外需によって占められておる。内需は三分の一です。そうすると、経済の三分の二の外需というと三・四か五ぐらいになるのですが、そういう形で日本が自動車、電機その他どんどん外国に輸出すると、これは貿易摩擦が起こって、いまヨーロッパその他から袋だたきに遭っているわけです。まあそのおかげで、私たちのところの日産自動車も私たちのところに展開できずに困っているのです。アメリカから自動車を一万台、ダットサントラックをあそこらでつくって持っていったが、私たちのところはそういう影響を受けておるわけです。そういうように国内の設備投資というのが停滞をしてくることになる。外需は摩擦が起これば起こるほど、日本は外国に譲歩しなければならぬという形が出てくるわけです。  そうしますと、ここに国内である程度内需を喚起しないといかぬのですけれども、まず内需の中で一番大きなわれわれの個人消費というのが、給料が上がらないわけですから、そして減税が行われないのですから、最前も辻委員さんから御指摘のように、だんだんわれわれの所得が目減りをして内需の拡大は非常にむずかしい状態になる。そのときに財政はある程度景気を刺激をしてやらなければならぬけれども、その公共事業が住宅その他関連性の商いものから削られていく、金利は下げるとなりまして、いま八千五百億ぐらいになりますと、これは非常に国内の経済の伸びに影響を及ぼす。そうすると、百九十兆へ二面四十兆を下げたときにも失業率が一・七ぐらいと政府は見ておるわけです。同時に、経済成長五%で五%前後の物価上昇ですが、そのときには公共投資がやはり九・六%ふえるということが前提になっておるわけです。それが今度はなくなるわけですから、全部の前提が崩れて、新経済社会七カ年計画は根底から崩れてしまうのです。そうすると、日本経済の長期見通しというのは、一体何を頼って私たちは長期見通しを立てたらいいのかわからなくなっちゃう。  そういうように、大きいマクロで見るとそういう経済の見通しが立たない。ミクロで見ると、最前申しますように、いまも県から来ていろいろお話があったのですけれども臨調のこういう情勢が出たら発展計画を立てようにも立てられないと  言うのです。全然見通しがつかないと言うのです。そこで大型プロジェクトを何だかんだと言ったって、そんなものは全部、通産省なりへ行ってみたらもうだめです、臨調段階でそんなものはつくれません、こうなるわけです。だから、とにかくミクロで言えば、われわれ自治体の仕事が見通しがつかない。マクロで言えば、日本経済全体が非常に活力のないものになる可能性をこのものは含んでいるという判断をいたします。
  553. 横山利秋

    横山委員 最後に、馬川参考人にお伺いをいたします。先ほどは許認可を中心としてお話をされましたので、実は馬川さんにはいろいろな角度でお伺いをしたかったのでありますが、一つだけ選んで学者の立場から伺いたい。  行政改革というものは、あの臨調答申の中にもございますように、国民行政に対する信頼感、それが大前提として必要だということが特筆大書されておるわけであります。きょうこちらへ参りまして、北九州の行橋ですか、いろいろな政治家の問題が新聞に掲載されておることを知りました。中央におきましても、やはりまだロッキードの裁判が行われている最中であります。行革は、先ほどの論争のように総痛みであるにしても、国民がみんな納得することがどうしても私は必要な問題だと思うのであります。  先ほど馬場参考人から公務員に対する問題がございました。しかし、私、長年の経験から言いますと、いまの公務員制度の根幹をなす問題は別なところにある。  それは一つは、官僚主義の持つ秘密主義、それから権威主義、それからなわ張り主義、それから学閥主義等の日本の官僚の持っておるこの根幹を揺すぶらなければ、形だけ直してもだめではないかということを久しく私は考えておるわけであります。これが第一であります。  第二番目の問題として、それならば行政国民の信頼を得るためにどうあればいいかという点で、私どもは、まず第一に、たとえば情報公開法の制定をしろ、第二番目にはオンブズマンの制定をしろ、第三番目には政治家の資産、職業の公開制度をとれ、それはアメリカでもドイツでもイギリスでもやっております。私に言わすならば、閣僚が給与の一部を返上するなどというこそくな手段よりも、自分の財産、自分の兼業しておる職業を公開する、裸になることの方がもっと大事なことだと私どもは信じておるわけであります。  こういう意味において、国民の信頼を具体的にとる、官僚制度を打破するという点について、馬川さんの御意見を伺いたいと思います。
  554. 馬川千里

    ○馬川千里君 いま横山先生のおっしゃられましたことには全く賛成でございます。  それで、私の方からそれ以外の意見をつけ加えるというようなことはほとんど必要ないのじゃないかと思いますが、ただ、国民の納得が必要であるとか、国民の信頼という抽象的な言葉ですと、私の方でどういった御返答をしていいのかちょっとわかりにくいのですが、少なくとも競争政策との関係では、それは一応五十二年の改正なんかで国民の信頼を受けているのじゃないかというように私は考えておりますので、国民の信頼あるいは納得が必要であるという点では全く同感でございます。余り十分でないかもわかりませんが、一応そういう形で……。
  555. 横山利秋

    横山委員 私の官僚制度についての趣旨については御同感であるというお話がございました。これについてはたくさん問題提起をしたい、御意見を伺いたいと思うのですが、時間がございません。  最後に、もう一つだけ……。先生は許認可の問題についておっしゃいました。たとえばタクシー、トラック等の企業の認可ですね、企業認可というのがずいぶんございます。それから資格認可、不動産業者、税理士、司法書士、土地家屋調査士とか、士のものがずいぶんございます。こういうものを外すというところまでお考えで言っていらっしゃるのでしょうか。
  556. 馬川千里

    ○馬川千里君 いま横山先生からトラック、タクシー云々という具体的な名前を出されましたが、私の方で、いま言われました業種についてという形ではちょっと御返答しにくいのですが、一般的に、たとえばそういう業種に競争をもたらした方が望ましい。これはすべての事業というわけにいきませんで、結局は個別的に検討する必要があると思いますが、検討した結果、競争をさした方が望ましいのじゃないかというふうに判断できれば、できるだけ競争を制限しているような許認可はとるべきではないかというふうに考えます。
  557. 横山利秋

    横山委員 ありがとうございました。  私の方は終わります。
  558. 海部俊樹

    ○海部座長 次に、湯山勇君。
  559. 湯山勇

    ○湯山委員 公述人の皆さんから非常に貴重な御意見をいただきましたが、時間の関係もございますので、私の方の意見は申し上げないで、そして、お聞きしたい方々に全部まとめて御質問申し上げて、ひとつお答えをお願いいたしたいと思います。  その前に、いろいろ賛成の立場をおとりになった公述人の方々の御意見も、全体構想が明確にされていない、それから全体像を速やかに示すべきだ、あるいはビジョンが不明確だということはあるにしても、行政改革の第一歩として賛成である、ぜひ実現させなければならないというような御指摘がございました。私も同様な意味で、現在法案に出されている各項目については非常に重要視をいたしております。と申しますのは、全体像あるいはビジョンが明確でなくて第一歩、その第一歩が違った方向に向かっていくと、これは将来において大変大きな間違いにつながるおそれがあるという意味で、私はこの第一歩というものを重要に考えているという観点からお尋ねいたしたいわけでございます。  まず、川合公述人にお尋ねいたしたいのは、高度成長によって慢性的に肥大した部分がある、それからまた惰性的なものもある、これらを改めていかなければならない、それを改めるに当たっては、予算編成に当たって優先順位を定めてやっていくことが必要だという御指摘がございました。  そこで、この臨調答申を見ますと、御指摘に該当するものとして社会保障、文教関係費については、「石油危機に伴う大幅な物価及び賃金の上昇の下で、当時ようやく制度的な整備が進められつつあった社会保障、文教関係費が大きな支出拡大要因となるに至った。」こう指摘がございます。なるほど、これをそのまま受けて、川合公述人がお述べになったように、福祉つまり社会保障、それから文教関係費はまさに惰性的なものであり、慢性的、肥大的なものであって、これは改めなければならないというように、いま御指摘の優先順位という点からお考えなのかどうなのか。私どもは、むしろ、社会保障とかあるいは文教費というようなものは、ようやく制度的に整いかけたものですから、大切にしていかなければならない、決して過度に肥大したものや、惰性的になされているものではないというように考えますけれども、それをやはりいまのように慣行的な、惰性的なものというようにお考えになって、今度の五十七年度概算要求におきましても、福祉関係が一番大きく削減されておりますし、それから文教、農林、こういうところが大きななたをふるわれております。それで、いま御指摘があったように、その逆に防衛費というものはふくらんでいる。これらについてのお考えを伺いたいと思います。  次には、滝井公述人に御質問申し上げます。御指摘になられた点、私どもも大部分において同感でございます。そこで、滝井公述人には、特に地域の特別な問題ともいうべき失対問題についてひとつお尋ねいたしたいと思います。  昨年の十二月に、失対収息を図るという方針が決定されまして、百万円の一時金を出すということで、ずいぶん失対就労者が減ってまいりました。当福岡県におかれましても、一五%以上の二千四百五十名が減少している。五十七年度の概算要求で見ますと、失対予算は五十六年度よりも約四十億減になりまして、六百三十六億の概算要求がなされておりますが、その中で特に福岡県と申しますか、私も石油ショックの後で田川地区の失対事業について調査に参ったことがございます。それから、ここには労働大臣の御経験のある藤波委員もいらっしゃいますしいたしますが、これは非常に重要な問題だと思うのですが、緊急就労については、いまの百万円の一時金を出して四百名減員しよう、それから開発就労については、これは枠ですけれども百名減を考えているということですが、こういうことが行われた場合に、果たしてそれらの中から、たとえば生活保護に移さなければならないというような問題、その他諸般の社会問題もこれに派生して出てくるんじゃないか。ことに、いま機械化が進んでいて、これらの事業の効率の問題、高齢化の問題、いろいろ考えなければならない問題が多々あると思いますけれども、いま申し上げました点についてお尋ねいたしたい。と申しますのは、今度の臨調でもやはり失対事業が問題になりました。しかし、直接この答申には出ておりません。しかし、次にはやはり問題になる懸念も多分にございますので、御意見をお聞きしたいと思います。  なお、この失対事業と関連して同和対策事業特別措置法にお触れになりました。いま国会におきましても、その強化、延長をめぐっていろいろ努力が続けられております。ことに前回の三カ年延長のときには、お見えになっている三原委員自民党国会対策委員長としてあの延長には非常に御努力いただいたこともございました。で、今回は、ただ単なる延長ではなくて、事業での差別の解消というのはもうある限界に来ている。事業ももちろんだけれども、むしろ重点は意識の差別の解消を図るべきではないかということで、新たな法改正といいますか、新たな立法が考慮されている状態でございますが、これについて、さっきお触れになりましたので、どのようにお考えか承りたいと存じます。  次は、古賀公述人にお願いいたします。  今度の行政改革は「増税なき財政再建」というのが一つの旗印でございまして、この臨調答申にもそのことが明記されております。先ほどの御公述の中で、五十八年度新増税を検討中であるようだが、これは国会の論議を通して、五十七年度は絶対増税はしない、五十八年度以降においては財政事情等によってやらないと断言できないというのがいまの状態でございますが、古賀公述人は先ほど、もし五十八年度以降に新増税を検討する、あるいは「増税なき財政再建」というようなものが守られないとすれば、第二臨調は何のためにあるかわからないというような、大変はっきりした明快な御指摘がございまして、私どもも同感でございますが、賛成のお立場をおとりになる古賀公述人としては、いまの段階で五十八年度以降増税はないというように御判断になられておるのかどうなのか、この点ひとつお聞かせいただきたいと存じます。     〔座長退席、藤波座長代理着席〕  最後に高嶋公述人にお尋ねいたしますが、賛成のお立場ではございますけれども、今回、法改正として出ている農林年金、地域特例、あるいは農林漁業金融公庫等につきましては、それぞれ大変大きな懸念をお持ちになっているということがよくわかりました。だから、総論賛成、各論反対というんじゃなくて、各論部分には非常に重大な懸念を持っているという御意思であると存じます。それで、私どもも、先般国会で食糧自給、農業再建の決議を全会一致でしたことは御存じのとおりでございまして、今回、法律面はそういうことですけれども補助金削減で農林漁業関係は、福祉、教育に次いで大変大きな削減に遭っております。農林漁業関係の補助金というのは、若干他のものと違って、その補助金がなければ生産ができない、直、生産につながるものであって、たとえば大豆の増産といっても、補助金を出さないでやれと言ってもこれはできないことであって、そういう点では大変違っておりますし、農林漁業金融公庫にしても、その融資が直接生産につながっている、食糧の増産につながっているという点が私は重要ではないかというように考えます。  現に、御指摘になりました水田再編成対策にしても、今日の減反、これはもうすでに九州全体の水田に匹敵するものが削減されているという状態なので、いま食管法の改正あるいはまた食管赤字の解消、そういったものを含んだ臨調答申、それがそのまま実施されて、果たして今日やらなければならない食糧の自給あるいはまた農業の再建というものができるとお考えになられるか、あるいはいまの方向で行くと、農業、農村は一層困難な事情に追い込まれるのではないかというようにお考えなのか、私は、この辺いまの農業にとっては非常に重要な課題でございますので、ひとつ御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
  560. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 五十七年度の予算の編成に当たりましては、政府といたしましては、行財政全般についての見直しを行うことにしておるわけでございます。先ほど私は、予算編成に当たりましては、まず施薬州立間の優先順位を明確にすることが重要だということを申し上げたわけでございますが、もちろん福祉文教問題、非常に大切な問題でございますが、現在の財政状況から考えまして、福祉文教を含めましてすべて一般論として優先順位を明確にして検討すべきだ、編成すべきだということを申し上げたわけでございます。  ただ、何遍も申し上げておりますように、社会的、経済的に真の弱者に対しては十分きめの細かい配慮をお願いしたいということを申し上げたつもりでございます。  以上で、お答えになったかどうかわかりませんが、終わります。
  561. 滝井義高

    ○滝井義高君 まず第一点は、失対問題についてでございます。  今年の七月、八月、九月と三カ月間で、労働省が五十六年度予算に組みました約十万の一般失対の中の二万人の自立引退は一応終了したわけです。御指摘のように、福岡県四千二百人のうち二千四、五百人だと思います。私の町で千五百人の二割、三百人のうち五二%ぐらいで百八十三人くらいやめました。したがって、いま私の方では、私の町で言いますと、生活保護がようやく五割を割ったわけです。全国千人について十一か十二、田川市、郡、合わせますと百二十とか百三十。私の町はようやく五十を割ったわけです。  そうしますと、百八十二、三人が一般失対をやめますと行政的にどういう影響が出てくるか、いま少しモデルをつくろうと思って勉強しているのですが、この百八十三人が生活保護に落ちてくるか、それから日雇い健康保険がなくなって国民健康保険に来るわけです。その国民健康保険の低所得になりますから減免措置をする部分に入ります。そういう二つの側面にどういう影響があるか。七月、八月、九月と終わったばかりですから、まだ影響が余り出ておりません。しかし、これは今後どういう状態になるかということによって、財政的に非常に大きな問題が出てきます。だけれども、一応七月、八月、九月で自立引退の制度は終息をいたしまして、次に御指摘のありますいよいよ来年度予算になりますと、引き続いて緊就、開就、特開の制度三事業の中の緊就二千四百五十人のうちの四吾人を自立引退をしていただく、それから、開就については百人程度でございます。  ここで私たちが考えなければならないのは、御存じのように、この緊就、開就というのは労働省の一般会計の予算でやられておるのではなくして、石炭石油対策特別会計の中でやられておるわけです。したがって、原重油の輸入が——エネルギー政策の上において、日本は石油のエネルギーに占める七五%を六十五年までには五〇%、最近田中通産大臣は四五か六に下げたいとおっしゃっています。そうすると、ますます輸入量が減ることになる。輸入量が減りますと重油関税が減るわけです。いま入ったものの十二分の十を石炭がいただき、十二分の五を石油が取り、そして石油の方には一般会計から石油税が入って均衡がとれてやっておるわけです。ところが、今度の臨調の中で、石油税を石炭、石油並びに代替エネルギーに注入することを抑制しようということを明確にこれには書いておるわけです。そうしますと、油の入る分が少なくなり、そして同時に、石油税を入れることが少なくなりますと、両面から石炭は挾撃を受けることになるわけです。  そうしますと、必然的に、さらに石炭プロパーの政策ですか、鉱害とか産炭地振興よりか、会計を一般会計の労働省に移すだけに切られ方が早いのではないか。そうなりますと、来年は四百人、百人ですけれども、五十八年以降になったらどうなるかという非常に暗い見通しになるわけです。  そこで、四百人、百人切られたらどういう影響が出てくるかということがわれわれ産炭地の自治体としては非常に重大な関心事でございます。  まず第一にどういう影響が出てくるかというと、財政的に申しますと緊、開、特三事業が普通交付税の産炭地補正の算定の基礎になるわけです。したがって、たとえば四百人全国で減るとしますと、私の市だけで五百人緊就がおりますから、したがって八十六、七人減ることになります。八十六、七人減るということは、これを一年間に直すと、たとえば二十日働くとしますと、一万九千人くらいの雇用が減ることになります。そうすると、まず財政的にその分だけの産炭地補正がもらえなくなる。と同時に、それだけの仕事がなくなりまして、中小建設業に決定的な打撃を与えるわけです。一万九千人といったら産炭地では非常に大きな影響を与える雇用になるわけです。  そうしますと、建設業に非常な打撃を与えるばかりでなくて、今度は産炭地振興のための道路をつくったり団地をつくったりする建設的な仕事が、その分だけ自治体にとってはできなくなることになるわけです。業者にとっては仕事がなくなる、労働者にとっては失業の状態が起こってくる、こういう深刻な事態が出ます。そしてその人たちが、最前申しますように、一般失対の方と同じようにまた生活保護に転落するか、国民健康保険に御迷惑をかけるかというような形が出てきます。したがって、この失対問題の影響というものは、筑豊にとって非常に大きな影響を与えることをひとつ御理解いただきまして、今後それに対応する形をしていただかないと、企業が来る客観情勢がございませんから、しかも産炭地の振興が三年間見通しがつきませんから、ぜひひとつもう少し慎重に御討検いただきたい。  それから、同和対策についてでございます。  これは、まず、五十三年に三原先生に非常にお骨折りをいただきまして延長していただくときに、三つの附帯決議をつけていただいたわけです。一つは実態調査をやるということ、一つは啓蒙啓発をやるということ、一つは財政的負担を軽減するということです。  実態調査を福岡県では知事を先頭に熱心にやらしていただきました。その結果、三千六百億の残事業があることがわかりました。大阪について言うと三千幾らあるわけです。したがって、今後なお、これは私たちが科学的に見てどうしても最低五年は延長しないと残事業が終わらぬということです。それが一つです。  それから啓蒙啓発の問題については、最近差別事象が非常に頻発をいたしまして、就職、教育、結婚等に差別事象が頻発する。それから地名総鑑等も出るということで頻発をしております。いままでは地域のいわば目に見える面の物的側面の改善は非常に進みましたけれども、部落内外における精神構造の変革は進まなかったわけです。そこで附帯決議で啓蒙啓発をしていただいたのですが、たとえば、政府が私たちの自治体にくれるお金は、県を通じて年間啓蒙啓発費は四十五万円程度です。二回講演会を開いたら終わっちゃうわけです。そこで、先般来磯村先生のところに行きまして、これはぜひもう少しふやしてもらわなければ困るというので、来年度予算政府が四・五ぐらい、ちょっとふやしておるようですが、これがうまくいっておりません。  それから、もう一つは財政負担の問題です。御存じのように、過去十三年間部落政策がずっと進みまして、納骨堂ができ、教育集会所ができ、そして地域の状態はよくなってまいりました。よくなってまいりましたが、今度は、教育集会所や隣保館や納骨堂ができたけれども、その維持管理の経費は全部自治体持ちです。したがって、仏はできたけれども、それに血を通わせ、肉をつけ、魂を躍動させるという形は、一般われわれの税金から出さなければならない。そういう形はいま自治体ができないのです。今後の部落政策を展開する上に、意識改革と、そういうできた施設の維持改善をどうするかという問題です。そういう中で、補助金その他が、幸いにこの同和対策では余り切られていないようでございますが、出てくるわけで、私たちの側の一般会計から出す方にそれだけの余裕がなくなって、非常にむずかしい事態が起こります。  御存じのように、本音とたてまえが日本では非常に使い分けられます。あるところで、たてまえとしては入社試験に憲法十四条を出すわけです。法のもとにすべて平等であるというのを出す。そして、それである部落出身の青年が一次試験に合格したら、二次試験の口頭試問のときに、今度は自分の会社の利害に密接に結びつくわけですから、本音のところになったら落としてしまうわけです。こういうような本音とたてまえの違い、差別の本質、たとえば男女の差別、島差別、それから身体障害者に対する差別、こういう差別は部落差別と本質的に一緒です。こういうところを私たちは今後どう画していくかということを本格的にやる必要があります。ぜひひとつ速やかに本国会中にこの法案をどうするかということの結論を出していただいて、そして来年度予算編成には、私たちが安心して予算編成ができる形をつくっていただきたいと思います。
  562. 古賀政久

    ○古賀政久君 湯山先生には、最初の冒頭陳述のときに申し上げました第二点について、私の説明不足で多少誤解があるのじゃないかと思いますので、もう一遍その点をひとつ説明させていただきたいと思います。  第二点で申し上げましたのは、赤字国債の償還が始まる五十九年までに、赤字国債を出さなくても歳出歳入の収支バランスがとれるようにしなければならない。五十九年以降も赤字国債を出さなければならぬという状態でございますと、借金をするのにまた借金しなければならぬ、そういう破滅的な事態を招きます。国会の先生方もその点を非常に御心配なさっていろいろ御検討いただいておるだろうと思いますし、国民もその点を一番心配しておるわけでございます。  そこで、赤字国債を出してはならぬという前提に立ちますと、選択の幅は、結局増税か支出節減かというこの二つの選択しかなくなるわけでございます。横山先生にさっき、非常にぶっきらぼうな言い方でございましたけれども行革デフレか増税デフレか、そのデフレ効果はどっちが大きいかの問題だというふうに申し上げましたのもそういうふうな意味でございます。  そこで、その支出をどの程度削減できるかということを検討するために第二臨調を設置されて、民間の創意を生かして、具体的かつ本格的な答申を第二次答申以降に求められておりますのが現状であろうかと思うわけでございます。したがって、私が申し上げましたのは、三次になるか四次になるか知りませんが、第二次答申以降に出てきます本格的かつ具体的な行政改革の提案を受けて、それを政府なり国会で十分御検討いただきまして、そしてそれによって経費がどの程度節減できるかという見通しをお立てになって、その上でどうしても赤字になるというときに初めて増税論議をすべきであって、第二次答申以降の具体的な本格的な行政改革の提案がなされていない先に、もうすでに五十八年から新規増税を検討しておるというような新聞を拝見しまして、もしこれが事実であるとすれば、何のために第二臨調を設置したのかその理由がわからないじゃないかというふうに申し上げたわけでございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  563. 高嶋善一

    ○高嶋善一君 湯山先生のお尋ねに対して、最初要点だけを申し上げたので不足なところがあったと思いますが、お尋ねになりましたので、その件についてお答え申し上げたいと思います。  総論賛成で各論反対、これは私いろいろ要求を申しましたのでそう受け取られたかもわかりませんが、総論はすなわち理念であって、各論はその施策だから、理念を通すために各論がこう出てきたわけだ、こう思っておるわけでございます。そこで、行政改革は、これはもうだれしも私は賛成と思います。  まず、補助金の問題が出ましたが、農業にとっては補助金は絶対必要でございます。しかしながら、農業に対する補助金が非常に大きなものであって、これをやはり財政再建のためには第一番に減らそうという御意思のように承っておるわけでございまして、一日臨調土光会長がここへ見えられましたときもそういうことでございましたので、あのときは三分でございましたから何もいろいろ申し上げる時間がないので、日本農業の実態というものを十分ひとつ見ていただきましてお考えいただきたい、こう申しておったわけでございます。  少し長くなりますが、そのときに、ちょうど第一次答申が七月に出る前に米価の問題があったわけでございますので、このとき、私たちはどう計算しても、農林省が計算されても一〇%以上のコスト高になる、しかし、臨調がこうであり財政再建がこうだから、どうしてもひとつここで抑えてくれ、まあ大体いろいろ失礼なことを申しましたが、そういうことで、あのときは先生方にも大変御心配をかけましたけれども、一応あれで私たちはのんだわけでございます。そのときに、われわれはそれぞれ地域に帰りまして、組合長なりあるいは組合員なり農民にそのことを了解を求め、納得するように説明したわけでございますが、今後どうなるのか、しかしこれはまだ最初だから、今後いろいろなその理念に基づく政策が出てくるので、それを十分見きわめていこうじゃないか、こういうことにして私の福岡県は一応おさまったわけでございます。  そのときに、われわれは、米価というものは生活費なんだから給料と同じだ、それでどうしてわれわれは食っていくかということでございましたが、そこががまんだ、端的に言いますとこういう言い方でやったわけです。今後人事院勧告も出るであろう、そのときにどういう答えを出すのか、われわれは十分それを見ていこうじゃないか、この辺が今後の問題だと思っておるわけでございます。これは組合員の心情を申し上げておるわけです。  ところが、農業の補助金はこれは絶対必要でございます。それはたくさんありますけれども、これに一応目をつけられるということは、それはそうかと思いますが、これについてはメニュー化して、そしてその中で補助金をとっていこうという今度の政策のようでございますので、それを十分私たちは見ていこうと思っております。  それから、減反の問題。これはやはり米が余っておりますので、それにかわるものは何をやったらいいのか。これはやはり外国農産物を輸入しておるのにかわろうじゃないか。そこで、いろいろありますが、先生から大豆のお話がありましたが、大豆は全くこれは水田につくろうといってもできません。そこで、それをどう基盤を整備するかということが大問題でございますので、それに向かっていまやっているわけでございます。こういうものに対してはぜひ先生方も補助金というものをひとつ考えていただきたいと思うわけでございます。まあ食管の問題はここで言うと長くなりますのでやめますけれども、農業に対する補助金というのはほかの補助金と多少違うということを十分ひとつお考えいただきたい。  以上、簡単でございますけれどもお答えいたします。
  564. 藤波孝生

    ○藤波座長代理 次に、中西績介君。
  565. 中西績介

    中西(績)委員 時間がございませんから、一点だけ、川合、馬場両参考人の方にお聞きをしたいと存じます。  先ほどいろいろ御意見をお聞かせいただきました中で、国民すべて痛みを分け合うべきであるという論議でございましたけれども、私はこの問題で教育の面から一点だけお聞きをしたいと存じます。  この三十六本の法律案のかかわりで、来年度予算にもこれは引き続いて問題になるわけでありますけれども、その中で、私は、多くのことを申し上げる時間がございませんから、四十人学級を例にとり申し上げますと、概算要求におきましては四十人学級だけでは約八億円の問題であります。これを減額するということになるわけであります。そして、教職員定数改善措置、配置率の改善と合わせまして約五十六億であります。こういうことになってまいりますと、すべて国会の論議におきましても、教育政策は国を挙げての大計であり国の基本である、こういうことが盛んに言われています。ところが、この内容をつぶさに検討いたしますと、軍事費あるいは科学技術、原子力開発、海外協力などを含めて、すべて財政の論理が優先していると私はこの中身を指摘しなくてはならぬと思います。  こうしたことを考えますと、教育の荒廃など多くの問題があるということを絶えず指摘されておるわけでありますから、いまここで私がお聞きしたいと思いますのは、こうした国民すべての痛み分けの中に、児童生徒、学生、こうした子供の教育を入れるべきであるかどうか。私は、むしろ教育というものは後に引けない問題でありますだけに、こうした問題は延長すべきでなしに短縮すべきではないかと思っておりますけれども、この問題をどうお考えになっておられるか、この一点だけ。
  566. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 四十人学級の問題でございますが、私の聞いている範囲におきましては、昭和六十六年度までに四十人学級を達成するという基本的な目標は変えてないわけでございまして、いまの財政事情からしばらくぺースを落とすというふうに実は聞いておるわけでございます。もちろん今後の教育の場において若干の影響はあろうかと思いますが、しかし、本質的にそのことが直ちに教育問題にはね返るものではないのではなかろうかというふうな認識をしておるわけでございます。  お答えになったかどうかわかりませんが、以上でございます。
  567. 馬場寿弘

    ○馬場寿弘君 私にも中学一年と五年生の子供がおります。十分先生のおっしゃることについてはわかっておるつもりです。私どもが小学校、中学校の折の教育実態と今日では大層変わっておりますので、一概に比較することはできないかと思いますが、やはり一番いいのはマン・ツー・マン教育だろうと思いますけれども、そうはいかないというのが実態。ということになりますと、政府も四十人学級ということについては一定その方針を貫いておいでになった経過がございますので、意向としては変わらない気持ちでおるということだけは申し上げておきたいと思います。  ただ、私の子供の実態をとらえてみますと、何かにつけて今日の学校教育というのがおろそかになっておるのじゃないかというふうな気がいたします。時代の差をいかんともしがたいと言えばそうですけれども、私どもが幼少の時代の教育というのは、常に先生というのは、私どもの出校日には先生も全部おいでになったような気がいたします。しかしながら、子供に聞いてみますと、きょうは先生は昼からお帰りになったとか、あるいは午前中おられなかったとかいうようなことが子供の口から出るわけです。ここら辺が、いまの学校教育の荒廃といいますか、子供と先生方のつながりということに対しては、多少問題のあるところじゃなかろうかというふうな気がしておるわけです。本当に国づくりというのが教育ということになるならば、私は、やはり先生方は少なくとも子供と一心同体ということで、やられてはおると思いますけれども、もっともっと真剣に国づくり、教育ということについて考えていただくならば幸いじゃないかというふうな気持ちで、私はあるときの父親学級といったようなところでも発言をした機会がございますので、先生のおっしゃることについては私は賛成でございますけれども、その実態については多少なりとも疑問を持っておるところです。  特に、先ほど私が陳述いたしました中では、教育問題で影響の出てくるところは、やはりいろいろな形での不自由を患っておられる方々、一般的に言われます弱者というふうな形でいま教育をされています特殊学級といいますか、こういうところの段階では、やはり今回の行革の一環にしても、影響を及ぼすべきでないというふうな気持ちだけは申し上げたつもりでございます。
  568. 藤波孝生

    ○藤波座長代理 次に、鈴切康雄君。
  569. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、公明党・国民会議鈴切康雄でございます。公述人の皆様方にはそれぞれの立場において御意見を賜り、ありがたく厚く御礼を申し上げます。  それぞれの立場により、今回の提案されました行革関連法案についての評価は分かれておりますけれども、私は、国民がこれほど行革に対しての関心と盛り上がりがあったということは、いまだかつてないと思っております。だから、私は、行政改革を思い切りやるチャンスではあろう、そのように思っておりますが、この機運をこのときだけのことでなくしてこれからより盛り上げていくかどうかという問題は、これからにかかっている問題でございます。  確かに、行政改革というのは、口で言うのはやすいのですが、実行するということは非常にむずかしいということは、これは皆様方もよく御存じのことと思います。かつて昭和三十九年に第一次臨調答申をされまして、そして今日まで確かに自民党政府のもとにそれぞれ行政改革が叫ばれてきましたけれども、実際にそれでは第一次臨調の実施に移された問題はということになりますと、御存じのとおり、総定員法と一省一局削減というだけの問題だと言っても過言ではございません。しかし、それも、いまや総定員法も形骸化され、そしてまた一省一局削減も当時から比べるとふえております。  こういう状態を見たときに、今回が五十七年度の増税なき財政再建という命題を抱えて、当面する問題の処理をするということで、本来の本格的な行政改革はこれからだということになるわけであります。だから、国民の中には、今回の行革関連法案を見ただけでは、福祉切り捨て、そしてまた、地方が負担を肩がわりするだけであるということの批判は、私は当然だと思うわけであります。国民痛みを覚えさせるだけであって、本来、政府みずからが血のにじむような行政改革をして、中央省庁の機構の統廃合を初めとしながら、あるいはまた特殊法人、あるいは人員の削減、そしてまた許認可事項等、あらゆる問題に確かに努力をして、その上に立って五十七年度はどうしてもこうしなければならないから国民皆様方にということであるならば、それはそれなりに私は国民の皆さん方の御同意というものもある程度いただけるのではないかと思うのです。しかし、私は、二十一世紀を目指して日本の将来、そして国民の期待できる政府というものがどういうものであるか、効率的な、しかも簡素で小さい政府というものはどういう状態になり、そしてまた、われわれ国民の生活はどのようになるのかという全体像を明らかにしていかなければならないわけでありますけれども、それでなければ、私は国民的な合意というものはなかなか醸し出せるものではないと思っております。  そこで、最低条件は、やはり五十七年度の増税なき財政再建を初めとして、特例期間中にはもちろん、行政改革を通じてその結果、私は減税につながっていかなければならないと思っております。いまは圧力団体にしてもさほど痛みを感じないけれども、これからは肉を切り骨を切っていくという状態になれば、恐らくそれに関する圧力団体というものは、もうその高まりというものは目に見えて明らかだと私は思うのです。だから、政府が五十八年度以降増税なき財政再建という言質を避けているというのも、やはり私はそこに問題があろうかと思っておりますし、もし増税に転嫁されるということになれば、私はもう行政改革は方向が変わってくる、このように思うのです。ですから、ここにおられます公述人の皆さん方は在野にあってぜひ行政改革についても御協力を賜りたい、このことを一言申し上げておきたいと思っておりました。  そこで、時間の制約がありますので、お二人に御意見を賜りたいと思っております。一人は馬川公述人であり、もう一人は馬場公述人でございます。  そこで、私が申し上げたいことは、先ほどからいろいろと行革関連法案についての御質疑がございましたので、私は、これから次への行政改革の一つの大きな主題になるのは何といっても許認可事項の整理、これはすでに中曽根行政管理庁長官も言っておりますし、もう臨調もそのことについての答申を通常国会に間に合うように出されようとしております。それで、いままでの許認可事項の整理統合というものについては比較的しやすい形式的な面だけが主としてなされておりましたけれども、私は、もう実体的な点についてのいわゆる許認可事項にメスを入れていかなければならない、そういう時代だと思っております。  そこで、消費者の立場に立った許認可行政の見直しというのはどういうものであるか。そしてまた、アメリカにおいて許認可事項の見直しはどのようにやっておられるか、その点をまず馬川公述人にお伺いをしたいと思います。先ほどの安全性や衛生の確保のための許認可行政と競争政策との関連について、もう少し具体的にわかりやすく御説明を願いたいのであります。  それから、大規模小売店、いわゆるスーパーの規制の強化が言われておりますが、その動きと競争政策との関係について何か御意見があるならば、その点もお聞かせ願いたいと思います。  馬川公述人には最後でございますが、実は政府が何らかの形で行政介入をしている品目の中に、食料品を中心とした消費物資がございます。それに携わっている方々の生活安定という面から見れば、あながち全部がいけないというのではないと私は思っておりますけれども、しかし、独禁法は一般消費者の利益を図るということに目的があります。このところ、消費者物価の上昇への寄与率を見ますと、行政介入をしている保護物資と競争条件のもとにある消費物資とでは、約二倍の値上がりの傾向にあります。それでは、消費者の利益を図るという目的の独禁法と保護行政との兼ね合いについてはどういうふうに判断をしていったらよいか、その点を馬川公述人にお伺いしたいと思います。  続いて、馬場公述人にお伺いいたします。  民間労組の立場から、民間の企業が血のにじむような合理化をされて、時代に即応した体制をとられた民間の活力、その努力については、心から敬意を表します。同じ労働者であっても立場の違う国家公務員やそれに準ずる職場に勤務する労働者は、労働基本権の代償として、言うならば人事院勧告や仲裁裁定があることについては御承知のとおりと思いますし、また、言うならば給与はそれしか決める方法は実はないわけであります。いま国会で、その完全実施をめぐっての攻防が実は繰り返されておりますけれども、人事院勧告や仲裁裁定に対する民間労組の立場からの御意見と、同じ労働者でも実は未組織労働者というのは劣悪なる労働条件の中で働いております。これらの労働者と、いわゆる大企業に所属しておられるところの労働者というのにはかなりの較差があるということは否めない事実であろうと思います。その劣悪な条件にある労働者に対して、組織を持っておられますところの立場の馬場公述人は、どういう点を留意してこれからの行政改革に対して進めていったらよいかということについて、御意見があればお伺いしたいと思います。  以上でございます。
  570. 馬川千里

    ○馬川千里君 いまの三点についてお答えしたいと思います。  まず第一点は、諸外国で許認可行政についてどういう実態があるか、特にアメリカという御指摘でございますが、実は外国のいわゆる政府規制の問題につきましては、正直なところ私きょうここに参りますので急遽準備をしたということで、余り十分ではないのですが、アメリカを例にとりますと、航空運送事業、トラック運送事業、それから金融関係、エネルギー関係、そういったところについて政府規制を見直そうというふうに言われている。現実にもうそれができ上がっているかどうかということはわかりませんが、たとえば一例としましては、アメリカの航空運賃でございますが、それにつきましては、最近読みました書物で、何か自由化されている、ですから、料金についての規制がなくなっているというふうに私は受け取ったわけですが、その結果としまして、乗客がふえ、そして料金収入も二五%ぐらいふえているというふうに書いてございましたので、そういうところから、アメリカにおきましてもいわゆる政府規制という問題が、早く言えば規制がなくなってきているんじゃないかというふうに判断いたします。  それから、二つ目の安全性と競争の問題は、私先ほど申し上げましたのですが、余り上手に表現できなかったものですから、もう少し御説明を補足させていただきたいと思います。  早く言いますと、消費者の利益という場合には、安い料金あるいは安い価格というのが大変重要な消費者の利益でございます。それからもう一つは、いま鈴切先生から御指摘がありましたような、安全性でありますとか危険を排除する、そういう利益も消費者にとっては大変重要な利益ではないかと思うわけです。  ところが、その説明としまして、許認可が行われていない方の例から申し上げたいと思いますが、たとえば食品でございますが、食品につきましては大方自由な競争がされているかと思います。といいますのは、その競争によって安くていい品物という消費者に利益を一方では与えようということを図っておるわけですが、そういう自由な食料品の販売につきましても、安全性ということに関連しまして、いわゆる食品衛生法ですか、そういった法律によって衛生状態あるいは安全性といいますか、そういった点はまたチェックされているわけです。ですから、両方の利益が必要でございますし、食品衛生法でチェックし、一方では競争させるという形になっていれば、二つとも両立するのじゃないか。ところが、最近の許認可行政との関連で一般に感じますのは、その一方を犠牲にして、一方のために一方の利益だけを図ろうというような形で出てきたり、あるいはその片方だけを重視するというような許認可行政の見直しであってはいけないのじゃないかというふうに考えまして、先ほど安全性と競争の関係ということで話したつもりでございます。  それから三番目の、スーパーの規制といいますか、最近これは大分問題になってきております。これは同じ専門の人でも多分十人十色それぞれ意見が違うのじゃないかと思いますが、競争政策の観点からいきますと、大規模店舗の進出を一切凍結してしまう、あるいは許可制にしてしまうというような形はどうも行き過ぎるんじゃないかというふうに判断いたします。しかし、一方では、どうしても中小の小売店の保護というような問題もございますので、そういった点につきましては、やむを得ない場合に緊急避難的に、一時大きな規模をある程度小さくせよ、あるいは期限を切ってある程度の進出を規制するというようなことは認めていいんじゃないかという気がしますが、無条件にともかく中小が困るからということでいつまでも締め出してしまうというのは、本当の解決になるのかという点で、私はいささか疑問に思っております。  以上のようなところでございます。
  571. 馬場寿弘

    ○馬場寿弘君 御指摘いただいた点についてお答えいたしますと、先ほどの陳述の中で、たとえば人事院勧告とかあるいは仲裁裁定の関係につきましては、民間と官公労の皆さん方の対応の仕方については意見を私として述べたつもりであります。その点はそこにおきまして、未組織労働者の関係でございますけれども、御存じかと思いますが、福岡県の最低賃金を決定します労働者代表委員と経営者代表委員の最近の動きというのがあったことは周知の事実であります。これはやはり私ども組織労働者には直接的には関係のないといいますか、関連のないことかと思いますけれども、少なくともやはり組織労働者が未組織労働者の皆さん方をどのような形で救済をしていくか、これはまさに組織労働者の社会責任だろうというふうに思います。そういう意味で、組織労働者の代表が最賃を決めます福岡県の行政の中できわめて強い姿勢に出た結果が、いわば経営側代表の一時退席ということで出てきたわけであります。そのような形で、私どもは、陰になりひなたになり、未組織労働者の組織実態は、大まかでありますけれどもつかんでおるつもりであります。  その結果がどのような形になるかというのは、今日の段階で経営者側の代表がまた席に戻られておりますので、行く行くお話を詰められると思いますけれども、経営は経営の立場がございましょう。しかし、私ども労働組合という立場ではそのような強い姿勢で臨んでおることは、一つこの福岡県の実態としてお話を申し上げておきたいと思います。  それから、これは全く手の届かないところの方方には、そのような形で非常に遠巻きながらの対応をしておるわけですけれども、その企業組織実態、あるいは労働組合といいましても、組織のできないところ、少なくとも関連企業体の中での、いわば概括的にお話のできる中でも労働組合が組織されていないといったようなところの労働者に対しては、少なからず表向きの論議ということができませんので、私ども大手の対応といたしまして、いわばプライベート的なところでそのような御指導も一方ではやっておりますことを申し上げておきたいと思います。
  572. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 馬川公述人に一問だけ実は御答弁いただかなかった問題がございます。  先ほど消費者物価の問題で、政府が何らかの形でいわゆる行政介入をしている品目の中で、食料品を中心とした消費物資があります。それに携わっている方々の生活安定という面から見れば、あながち全部いけないという気持ちは毛頭ありませんけれども、独禁法は一般消費者の利益を図るという目的がございます。このところ消費者物価の上昇を見ますと、行政介入をしているところの消費者物価というのが、競争条件のもとにある消費者物価指数よりも約二倍くらいぐっと上がってきておるということになっておりますので、そういう点について、やはり消費者の利益を図るという目的の独禁法と保護行政との兼ね合いについてはどう判断をしたらよいか、その点についてお伺いをしたい、こういうことが一点抜けておったと思いますが、いかがですか。
  573. 馬川千里

    ○馬川千里君 私のちょっと聞き違いかもわかりませんですが、保護されている方が上がっているという意味ですね。ですから、競争政策あるいは独占禁止法が競争させるようにというふうに言っているのは、競争を通して消費者の利益を図ろうというわけですから、逆に言えば、保護される場合には上がる、そういう関連性が出てくるのじゃないかと思います。ですから、そういう意味でも、できるだけ競争を食料品につきましても行わせるということが望ましいのじゃないかと思います。  食品の安全性でございましょうか、そういう食品であっても、消費者に衛生的に悪い品物を食べさせるというわけにいきませんですから、そういう点については、また一方で、食品衛生法ですか、そういった法律によって規制をしていく。ですから、競争させて価格は安くするし、衛生の面あるいは安全の面については、食品衛生法による許認可行政といいますか規制をやっていく、そういう二本立てで初めて消費者の利益が十分に図られるのじゃないかというふうに考えます。
  574. 藤波孝生

    ○藤波座長代理 次に、米沢隆君。
  575. 米沢隆

    米沢委員 本日は、朝からいろいろ貴重な御意見をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございます。民社党の米沢隆でございます。  時間もありませんから、まず最初に、古賀公述人にお尋ねをいたします。  御承知のとおり、今回の行政改革というのは、財界はほぼ一致して賛成の立場に立っておられます。古賀公述人も賛成の立場で公述をいただいたわけでありますが、しかし一部では、行革デフレというものを懸念する声があることもこれまた事実でございます。今回の行革を推進していく場合には、特に五十七年度予算等でも八千五百億くらいの公共事業がカットされる、あるいはゼロシーリングあるいは凍結という処置を見ておりますと、大変厳しい状況になっていくことが予想されるわけでございます。  特に九州地方は、社会資本の蓄積という意味からも大変後進性が云々をされる。同時に、いままでも景気が悪いときには、何しろ早く公共事業を多くふやしてくれ、あるいは予算がついたら前倒しをやってくれ、こういう声が本当は財界の声であったわけでありますが、一転して今度はわかるという立場に立たれるとちょっとわからない。そういう意味では、財界の末端の方では、逆にこの行政改革、特に公共事業等を縮減していくことに対してはどうも抵抗があるような感じがするのですが、その点どういうふうに御理解をいただいておるのか、それが第一点でございます。  第二点は、公述の中にも話がありましたように、今後五十九年まで赤字国債を減らしていくということになりますと、御承知のとおり、中期の財政見通しを見ましても、五十七年度に二兆七千七百億、五十八年度は四兆九千六百億、五十九年度は六兆八千億、この三年の間にトータル約十四兆五千三百億も財政的に歳入を確保していかねばならない。そのギャップを一体行革だけで埋めていくことができるであろうか。確かに今後の税収の伸びも関係いたしますけれども、そう税収も伸びていくような可能性はありません。そうなりますと、ほぼ十四兆前後のお金を行政改革行政効果でつくり出していかねばならない。第二臨調でいろいろ答申を出されても、三年間で間に合うようなものはそうないのではないか。そうなりますと、どうも金が足りないということで増税論議が高まってこざるを得ない。  したがって、いま行革委員会での議論の中でも、五十八年度でさえ、増税なき予算編成をするなんということは、はっきり大蔵大臣は言いませんね。まさしく五十八年度ひょっとしたら増税を考えねばならないかもしれない、五十九年度もまさしく増税を考えなければいけないのかもしれない、そういう感覚が私は大蔵省にあると思うのですね。そうなったときに、一つの国民の世論として、増税がなかったらどうもやっていけないぞということになりますと、真っ先に財界が理解ある態度を示されるのがいままでの通例でした。そういう意味で、今後この三年間十四兆を何とかして行革で生み出していかねばならぬ。それができないときて増税論議が出てきたときには、果たして財界として、それでも増税はだめだというコンセンサスをつくっていただく、そういうコンセンサスができるような方向で財界はリードしていただけるのかどうか、この二点、ちょっとお伺いしたいと思います。
  576. 古賀政久

    ○古賀政久君 先生のおっしゃいますように、従来、地方は非常に立ちおくれておるので、できるだけ公共投資を回してもらいたいということは毎年お願いしておるわけでございまして、本年度もやはり九州・山口地区として必要不可欠だと思う問題につきましては、先生方のところにもぜひ陳情に参りましてやっていただきたいというふうに考えております。ただ、従来どおり九州・山口地区として必要なものについてはぜひやってもらいたいということはお願いには参りますが、こういうふうな厳しい情勢下でございますので、そういうふうなお願いが一〇〇%通るとは期待はいたしておりません。ある程度のものはがまんしなければならぬのじゃないか、ないしは重点を非常にしぼってお願いに行かなければならぬのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。  ただ、一九六〇年代の高度成長期には、これは三大都市を中心としたベルト地帯に公共投資が非常に集中しておりまして、九州のウエートは人口、面積が一一%ぐらいでございますのに、大体七、八%のシェアでしがなかったわけでございますが、七〇年代に入りましてから、地方時代という方向に徐々に行っておりまして、大体一割を超えまして、一三%ないし一四%ぐらいのシェアになっておるわけでございまして、今後ひとつ気長に、なるべく地方時代に即応した公共投資が行われることを期待いたしておる次第でございます。  それから、いま先生が大蔵省の中期展望のことを申されましたが、これは五十七年度の二兆七千七百億、五十八年度の四兆九千六百億、それから五十九年度の六兆八千億は、年度の断面断面での赤字でございまして、もしも五十八年度に二兆七千七百億の赤字を行財政改革によってなくしますと、その分は五十八年度の赤字の四兆九千六百億から引かれる。それから五十八年度の断面での四兆九千六百億の赤字が行政改革によって解消されますと、五十九年度はこの分を差し引いた赤字である。したがって、結局二兆足らずの赤字になるというふうに私は理解しております。  それでは増税はどうだ、増税なしではやっていけないのじゃないかということでございますが、先ほども申し上げましたように、これは第二次以降の第二臨調答申が出て、その後でこの答申政府なり国会なりお受けいただきまして、これを十分御検討になって、そして実施に移し、そして支出をできる限り削減をする、その上でどうしても赤字が出るということであれば、もはや選択の余地は増税しかないのだ、どうしても仕方がないということになれば、これは国民としてのコンセンサスが得られるのではなかろうかというふうに申し上げたわけでございますので、第二次答申以降の具体的かつ本格的な行革が出て、その答申が出まして、それに対する政府なり国会なりの御検討の結果を待たなければ、現時点で増税かどうかということは申し上げられないのじゃないかということを申しておるわけでございます。
  577. 米沢隆

    米沢委員 次は、川合公述人にお伺いいたします。  先ほどの公述の中で、今後の課題と条件という項目を読んで、特に地域経済に対してはきめ細かな配慮をすべきだということを強調されました。問題は、単なる地域経済に対する配慮だけではなくて、行革を進めていこうとすると、やはりそれぞれみんな利害を持ち、それぞれ理屈を持っておりますから、きめ細かな配慮をやり出しますと全然やれない。結果的には、一律に何とかしてやろうということにいままでなってきた、そう私たちは考えるわけでございます。しかしながら、おっしゃるように、政府がきめ細かな配慮というものを一体行政段階でどういうようなかっこうでやれるのか、そこがいま行革を論ずる場合に一番頭の痛い問題ではないかという気がいたします。  そういう意味で、民間の経営をされてきた経験からして、たとえば会社の中で合理化をやっていく、そういう場合に、やはり配慮をしながら合理化計画を立てるということになれていらっしゃいますから、今後行革をやろうとする場合、一律ではなくて、それぞれ個別の事情を勘案しながらやっていくというその手法について、何か示唆していただくものがあればぜひお伺いいたしたい。  それから第二に、国と地方役割り分担についての項で、いわゆる中央集権あるいは縦割り行政の悪いところを是正しながら、特に地方の自主性あるいは主体性を確保すべきだと、財界人としては珍しい所論を私は聞かしていただいたわけでございます。確かに、国と地方行政をどう見直すかという観点に立てば、いままでは、一方では地方の自治権を確立しなければならぬという要請があり、一方では中央の方が全国的に統一的に行政は確保されねばならぬ、ナショナルミニマムはわれわれの責任だと言うて、出先機関をつくり、補助金をつくって、それをまたコントロールの材料にする、そういうことをやってきて、結果的には金も離さない、結局統制が強化されるという相矛盾したものがいままであったのだと私は思います。その結果、中央の方が強くて、出先機関が強化される、補助金がどんどん膨大になっていく、そのために地方は大変な出費を余儀なくされる、そういう、まさにいま行革考えねばならないものはそのあたりから出てきたんではないかというふうに私たちは考えるわけでございます。そういう段階にあって、御承知のとおり、第二臨調等でも、地方交付税を何か交付税率を下げようではないかという議論さえ出てくる。これは大変な矛盾だと思います。そういうものを川合公述人はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。  同時に、道州制の検討をやらねばならない、こういう発言でございました。よく財界人は道州制というのを好んで口にされますけれども、この道州制をとろうとする意図はどういうところにあるのか、この二点をお伺いしたいと思います。
  578. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 私ども会社の経営に参加しておりますが、たとえば私どもの会社でもそうでございますが、企業の規模が大きくなりますと、やはり現在の中央政府地方との関係のような関係が生じてまいりまして、縦割りの弊害が出てまいります。それに対しまして、私どもは、総合調整機能というものを非常に重視いたしまして、そういう機能をできるだけ強化してまいりまして総合調整を行っておるわけでございます。と同時に、下部への権限委譲をできるだけ図りまして、全社的に見て最も合理的、効率的な業務の運営、組織をやろうという努力をしているわけでございますが、全くこれは現在の中央と地方関係においても同じような関係があるのではなかろうかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、中央集権的なあるいは縦割り行政的な現在の機構につきまして、地方の自主性あるいは主体性というものを発揮できるように総合的に見直すべきだということを申し上げたわけでございます。  それから、地方交付税の問題がそういう自主性、主体性と逆行するではないかという御指摘であろうかと思いますが、これは一つの今回の行革基本理念といいますか、先ほど来何遍も申し上げておりますように、やはりこういう危機的な財政状態に対応した一つの措置であろうというふうに理解しておりますので、部分的なあるいはある期間のそういう問題については、やはり痛みを分け合うという意味において理解しなければならないのではないかというふうに思っておるわけでございます。  それから、道州制の問題でございますが、これは一つの考え方として申し上げたのでございまして、まあ現在それぞれの自治体がそれぞれの自主性を持って行政をやっておるわけでございますが、やはりそこに何といいましても効率性という問題が十分に考慮されなければならないというふうに考えるわけでございます。そういう意味におきましての広域行政を目指す一つの考え方として道州制ということを申し上げたわけでございます。
  579. 米沢隆

    米沢委員 次は、高嶋公述人にお尋ねをいたします。  先ほどから議論になっておりますように、今回は農業関係の補助金も大幅にカットされる可能性が出てまいりました。同時に、補助ではなくて融資をやろうとか、あるいは政府系金融を法定金利を弾力化して、ひょっとしたら金利が上がっていくかもしれないという、きわめて厳しい状況に追い込まれつつあるわけであります。このことを考えましたときに、いま各論においていろいろと懸念すべき点を表明されましたけれども、大きな流れとしては農業も聖域ではなくなりつつあるということを私たちは考えねばならぬと思うのです。そのことを前提といたしまして、やはり農業者自身あるいは農業団体自身も、かなり意識的にも変えていかねばならない、そういう部分も出てきているんじゃないかと私は思いますが、今後中央会としてどういう御指導をなさっていこうとされておるのか、その点をお聞かせいただきたい。  それから、馬場公述人に最後にお尋ねします。  あの第一次石油ショック以後、民間の苦しみに比べまして確かに行政が余りにも悠長であるということは私も同感でございます。そういう意味では、貴重な税金がむだ遣いをされる、あるいは特殊法人等で余りにも法外な退職金等が出される、あるいは天下りの実態等をながめておりますと、本当に金なんか出したくない、税金なんか出したくないという気持ちになるのは当然でありまして、全く同感であります。そういう意味で、今後政策推進労組会議等々で、いままでも御努力をいただいておりますけれども、不公平税制の是正あるいは所得把握の不公平等について、ちょっと納税者の反乱ぐらいのことをやってもらいたいという、われわれの責任もありますけれども、ともにがんばっていかねばならぬと思うのでありますが、この点今後の方針等をお聞かせいただければ幸いであります。  以上です。
  580. 高嶋善一

    ○高嶋善一君 どういう方針か、もう本当に先生のおっしゃるように厳しい情勢でございます。これはどこから来たかといいますと、いろいろ議論されているところあるいは批判されているところもございますけれども、結局生産性が低いということから来て、現在では、量は努力によって確保してまいっておりますけれども、価格面において外国農産物と比べて高いじゃないか、これが一般の批判だと思っております。  それに対しましては、やはりわれわれとしても、効率ある経営あるいは作業をやっていかねばならない。これに対しては、先ほどからちょっと申しましたように、基盤の問題、それから農業機械、それに投資するいろいろな資材の問題、こういうことをもう少し効率的にやっていく、そのためには共同化をやっていくよりいまのところないのじゃないか。この点は主な重点指導方針としておるわけでございます。  なお、これに対しては非常に地域的な差が全国的にございますので、その辺をそれぞれ地域的にいろいろ細かく計画をしていくべきだ、こういう考え方で、みずからもいままでよりもう少し真剣に厳しく自分たちの農業をやっていこう、指導方針としましてはこういう一応の方針でございます。  しかしながら、第二種兼業農家が非常に多いということ、これを捨てるわけにはいきませんので、これと地域的にどう協調さしていくか。米でいいましても、八割ぐらいあるいは七割ぐらいは第二極兼業の生産物でございますので、これを一概にいまやめろとか、かわれと言うことはできない。  それともう一つは、転作作物、この問題が非常にむずかしい問題でございますので、これはやはり価格の保障をやらなければ転作ができないわけなんで、その辺外国農産物との兼ね合いがむずかしいということを考えております。  それともう一つは、貿易上の問題でございます。これはこの間からも外国のレモンの問題で参りましたけれども、ああいうのはもう少し調整をして考えていただいたらどうか。これは全般にわたりますけれども、そういった政治的な問題、第一は何よりもみずからがこれから効率的にやっていくということについて考えを改めていこうと思っておるわけでございます。それに対しましては、やはり農業というのは非常に生産性の低い、弱い面がたくさんございますので、国などの助成を願っていかねばならないと思っておるわけでございます。  簡単でございましたけれども……。
  581. 馬場寿弘

    ○馬場寿弘君 政策推進労組会議の点でお触れいただきましたけれども、私ども政策推進労組会議に加盟しております立場から申し上げますと、三年前から例の全国キャンペーンというふうな立場で、まず新年度の国家予算編成に向けて、前年度のヒヤリングの行われる段階から、夏の真っ盛りでございますけれども、全国にキャンペーンを張っておるわけであります。ことしも、物価あるいは行革、定年という、十一項目の中でも特に三つの項目にしぼりまして、全国にアピール活動をしたところであります。先生の方は納税者の反乱でもとおっしゃいましたけれども、少なくとも、少資源国のこの日本の中で反乱を起こすような今日の労働組合の対応というのがあるとするならば、それは少なからず労働組合そのものが社会責任というものを全うし得ないことではなかろうかというふうに思います。いわば、私どもとしてはあくまでも良識ある労働組合活動という立場国民に訴えていきたいというふうに考えるわけであります。  こういった非常に政策、制度にかかわる問題というのは、長年の弊害というのが積み重なっての問題指摘でありますから、一、二年、三年という形だけで、単に国民にアピールしたからということだけで問題解決にはならないと思います。そういう意味で、政策推進労組会議というのは、いわば与野党の立場を越えて、各省庁を含めまして問題指摘というのをやっておるわけでありますので、私ども今後とも良識ある対応でもって、末永く息長くこの運動に取り組んでまいりたいと思いますし、その中での提言の場、いわばこうした場があるならば、引き続き建設的な意見をもって対応させていただきたいというふうに考えておるところであります。
  582. 藤波孝生

    ○藤波座長代理 次に、正森成二君。
  583. 正森成二

    ○正森委員 日本共産党の正森でございます。  いよいよ時間が迫ってまいりまして、もう最後でございますが、二、三お聞きいたしたいと思います。  まず最初に、川合公述人に伺いたいと思います。  川合さんは活力ある社会ということを最初に主張されまして、行政の行き過ぎた保護や規制は改めるべきである、こういうように言われました。私どもは、「活力ある福祉社会」と臨調の言っております点については、一定の意見を持っておりますけれども、仮に川合さんのおっしゃるようだといたしましても、実行するということになるとなかなかむずかしい点があるんじゃないかと思うんですね。たとえば、公述人は九州電力の副社長さんですが、電力会社全般をとってみますと、昨年は電力が約五〇%値上げになりました。その結果、新聞で報道されているところでも、本年度は前年度に比べて上げました利益が実に四十一倍になっておるということで、消費者の国民にしては非常に割り切れないものを感じているんですね。この場合に、昨年の電力がどういうぐあいにして値段が決まったかということになりますと、もちろん通産省の許認可関係でございますけれども、ドルのレートというのは二百四十二円ぐらいで、非常に円には安く設定されておる。それからまた、積極的な資産とみなされるものには、買い込んで現在使っておらない土地から、二十年先、三十年先のウランの原料まで八%の利益というのを保証して、そして電力料金を決めておるということになったんですね。ですから、これはある意味では行政の非常に行き過ぎた保護であると言わなければなりません。ところが、この行政の規制を改めればどうなったかと言えば、電力会社はあの時分、通産省が認定したレートよりもずっと高く、円が安くなると見て値上げを主張していたんですね。また、原子力の発電所についても、通産省が認定するよりも稼働率はずっと低く見ていた。だから、一定の規制がなければ電力はもっと高くなっていたということになるんですね。ですから、あなたの方が、もし行政の保護を行き過ぎないように規制を改めるべきだというような御主張をなさるのであれば、まず隗より始めよという言葉がありますが、自動車会社と並んで非常にもうかっておる電力会社としては、国民等しく痛みを分かつという観点から見て、御自分はまずどういうぐあいに自己反省をなさろうとしておられるのか、そのことを国民は知りたいと思うのですね。まずお答え願いたいと思います。
  584. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 ただいま正森先生からお話がございました、これは特に昨年の電気料金に関連した問題の御質問があったわけでございますが、個々に一つ一つ申し上げますと時間もございませんので、ただ、その中で、五十五年度の利益が四十一倍というようなお話がございましたが、新聞報道ではそういうふうな報道がなされておりますけれども、これは若干表現上問題がございますので申し上げますと、御承知のとおり五十四年度が第二次オイルショックの影響を受けまして大幅な赤字になったわけでございます。ところが、この計算では、赤字会社はゼロということで集計いたしまして、五十四年度と対比いたしますと四十一倍ということに相なるわけでございまして、これは表現が非常に問題があるわけでございます。これはかねがね私どもも指摘しておるところでございます。  さらに、円レートの問題、その他あるいは原子力の稼働率を低く見ておったというようないろいろ御指摘があるわけでございますが、私どもは、たとえば円レートについても、これは将来の円レートというのはだれも見通しがつかないわけでございますので、一応料金の申請をするに当たりましては、その時点における過去三カ月の実績を平均したものでやらざるを得ないということで申請したものが、結果として申請の数値とかなりの差が出てきたというようなことでございますし、原子力の問題にいたしましても、稼働率を低く見ておったということでございますが、私どもは、むしろこれは努力によって稼働率が上がったというふうに実は判断しておるわけでございます。したがいまして、確かに、私どもが申請し査定を受けたものと実績との間には、いま申し上げましたようにレート、原子力の稼働率その他、差があるものがあることは事実でございますが、それぞれそういう意味におきましての差であるというふうに理解しておるわけでございます。したがいまして、この差のものにつきましては一部で還元という声もございますが、これはやはり長く社内に留保いたしまして、できるだけ料金の長期安定に資する方が、結果的に消費者のプラスになろうという考え方でおるような次第でございます。  お答えになったかどうかわかりませんが、以上で終わります。
  585. 正森成二

    ○正森委員 きょうは、別に電力会社の現状の批判の会ではございませんので、これ以上申し上げませんけれども、しかし、事ほどさように、行政の行き過ぎた保護とか規制を改むべき点があるとかいいましても、だれにとって利益になるのか、だれにとって痛みになるのかという点は、やはりよく考えてみなければなかなかむずかしい問題であるということを指摘したかったわけであります。いまの御発言を見ましても、必ずしも国民の目から見て納得のできる発言ではないというように私としては感じざるを得ないわけでありますが、時間の関係上次に進みたいと思います。  次に、私は、防衛関係あるいは軍事費の問題について申し上げたいと思います。六人の公述人の御意見を伺いましたが、その中でこの問題に触れられましたのは、滝非公述人が、防衛の問題についてはコンセンサスができていないということで一言お触れになっただけであります。けれども、今度の臨調答申を見てみますと、まさにこの点が非常に大切で、あの答申等が出ましたときに、大新聞の見出し、標語を見ましても、弱者に大胆、強者に遠慮、こういうような見出し、あるいは軍事費は聖域であるというような見出し、あるいはもっとずばりと、暮らし細って軍事費太るという見出しをつけた新聞もあります。つまり、福祉文教関係予算は削って軍事費に回すというのが、ずばりと言ったら本質であると言っても言い過ぎではありません。臨調答申でも、「国際的責任を果たすための経費の増加は必至である」と書いてございまして、その国際的責任を果たすための経費というのは、防衛費と海外経済協力費の二つであるというようになっているわけですね。  そこで、川合さんにまず伺いたいと思いますが、あなたの横山委員に対するお答えを見ますと、これは結局価値判断の問題である、こういう非常に短い言葉でお答えになっているわけであります。しかし、価値判断の問題であるということだけでこの問題が済むであろうかというように考えますと、たとえば産計懇というのがあります。産業計画懇談会、桜田武さんが会長でありますが、さまざまな提言をしておられます。この提言の中でも、防衛費の問題はやはり価値判断の問題で、国民にまだコンセンサスができていないけれども国家としては真っ先の優先順位をもって充実しなければならない問題で、これをヨーロッパ並みにGNPの二・五%ぐらいにふやすにしましても、たかだかここ数年間数千億円の予算の追加を毎年毎年やっていけば軽くできる問題である、軽くということは言っておりませんが、比較的容易にできる問題であるという発言をしておるわけであります。これは福祉文教が相当削られて、来年度千八百二億円防衛費が追加されるのについてもさまざまな意見が出ている現在の国民にとっては、容易に価値判断の問題として黙過することのできない点であると思うわけであります。  そこで、財界を代表しておられる川合さんに、この産計懇の考え方についてあなたの御意見を伺うと同時に、価値判断の問題というのは、こういうように将来防衛費が増大することについても、あなたは価値を認めた上で御発言になっているのかどうか、お答え願いたいと思います。
  586. 川合辰雄

    ○川合辰雄君 この問題につきましては、国会においても論議をされておられるようでございますので、私は、個人的な意見として、先ほど防衛問題につきましては価値判断の問題だというふうに申し上げたわけでございますが、その理由といたしましては、日本の現在の国際的ポジションあるいは役割り、そういうものを総合的に見て判断すべきものではないだろうかというように考えておりますので、個人的な意見でございますが、申し上げたような次第でございます。
  587. 正森成二

    ○正森委員 それでは、もう時間が終わりますので、この一問で終わらせていただきます。  馬場公述人に伺いたいと思います。  馬場さんは、先ほどの横山委員の御質問に対して、軍事費関係については研究していないので発言を控えたいという御意向でございました。そこで、非常に常識的に伺いたいのですが、城山三郎という作家が「男子の本懐」という小説を書いているのですね。それを見ますと、あのときに暗殺されました浜口雄幸やあるいは井上準之助というのは、とにもかくにも、ほかにいろいろございましょうが、軍部の軍事費要求に対してこれを削っていかなければならぬ、あるいはロンドン条約を成立させなければならぬということで奮闘した結果、それぞれ凶刃に倒れたわけであります。また、昭和十一年の二・二六事件のときには、たとえば高橋蔵相は、かつては国債発行で軍事費を賄うという態度を一たんはとりましたが、昭和十年ごろになりますと国債が非常にふえてきた、もうこれ以上はふやせないという態度をとった途端に二・二六事件で軍部の凶刃に遭ったわけであります。これはいずれも、当時そのときなりの行財政改革をやろうとしたのですが、共通の特徴は、やはり軍事費を抑えていくという点が含まれていたことは事実であります。  ところが、今度の行財政改革というのは、軍事費は聖域である——聖域であるという言葉が言い過ぎであるとすれば、少なくとも減らさないでふやさなければならぬ、そのためにどこを節約するかというのが大きなテーマになっておって、昭和の満州事変や支那事変前の政府の態度から見ても、大きく異なる点があるのですね。それを民間労働者も含めて国民は危惧しているということは事実だと思います。その点について、馬場さんの研究をなさった結果でなくても結構でございますから、ごく国民の一人としての常識的な御感想を承りたいと思います。  これで終わらしていただきます。
  588. 馬場寿弘

    ○馬場寿弘君 先ほど横山先生からの御指摘の折には、確かに、いま正森先生の方から御指摘のありましたような形で答えを避けておりましたけれども、まさに私の私見という形でごく簡単に述べさせていただきたいと思います。  国会の中でもこの問題は、与野党それぞれ御意見の相違しておるところであると思います。本気で国防を考えられておるのかどうかということについて、その与野党の御意見の違うところで、私は、一国民としては非常に判断に迷っております。ただ、私個人という意味合いであえてお答えをさせていただくならば、本当に国を守るという立場で与野党含めたコンセンサスができるならば、やはり一定の額といいますか、予算というものは計上していくべきだというふうに私は考えます。
  589. 藤波孝生

    ○藤波座長代理 これにて質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本法案の審査に資するところきわめて大なるものがあると信じます。厚くお礼を申し上げます。  また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第であります。  それでは、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会