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1980-04-01 第91回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月一日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 木野 晴夫君    理事 逢沢 英雄君 理事 有馬 元治君    理事 唐沢俊二郎君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 新井 彬之君 理事 中路 雅弘君    理事 吉田 之久君       上草 義輝君    大城 眞順君       三枝 三郎君    田名部匡省君       田中 六助君    森  美秀君       石橋 政嗣君    市川 雄一君       鈴切 康雄君    山田 英介君       瀬長亀次郎君    辻  第一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小渕 恵三君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      清水  汪君         総理府総務副長         官       愛野興一郎君         内閣総理大臣官         房管理室長   関  通彰君         総理府人事局長 亀谷 禮次君         総理府恩給局長 小熊 鐵雄君         沖繩開発庁総務         局長      美野輪俊三君         沖繩開発庁振興         局長      海原 公輝君  委員外出席者         厚生省年金局年         金課長     佐々木喜之君         厚生省援護局庶         務課長     水田  努君         厚生省援護局業         務第一課長   森山喜久雄君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ————————————— 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     小沢 辰男君 同日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     麻生 太郎君 同月二十八日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     浜田 幸一君   上草 義輝君     大野  明君   三枝 三郎君     宇野  亨君 同日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     三枝 三郎君   大野  明君     上草 義輝君   浜田 幸一君     麻生 太郎君     ————————————— 三月二十六日  青少年健全育成のための社会環境浄化に関する  請願大塚雄司紹介)(第二九二四号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二九二五号)  同(近藤鉄雄紹介)(第三〇〇三号)  同(染谷誠紹介)(第三〇三七号)  同(井上普方紹介)(第三〇四三号)  同(井出一太郎紹介)(第三〇四四号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願河村勝紹介)(第二  九二六号)  同(玉置一弥紹介)(第三〇三八号)  行政改革推進等に関する請願権藤恒夫君紹  介)(第二九二七号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願佐々木  義武君紹介)(第二九二八号)  同(石原慎太郎紹介)(第三〇四五号)  同(佐藤守良紹介)(第三〇四六号)  台湾残置私有財産補償に関する請願坂田道太  君紹介)(第二九二九号)  同外七件(藤田義光紹介)(第二九三〇号)  同(湯川宏紹介)(第三〇〇五号)  同(岸田文武紹介)(第三〇三五号)  同外十四件(木村武千代紹介)(第三〇三六号)  旧満州航空株式会社従業員恩給法令外国特  殊機関職員として指定に関する請願八田貞義  君紹介)(第三〇〇四号)  遺族年金扶助料改善に関する請願森中守  義君紹介)(第三〇四七号)  旧支那派遣軍の湘桂作戦開始より終戦までの戦  務地乙区分甲区分への改定に関する請願(山  崎平八郎紹介)(第三〇四八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二五号)      ————◇—————
  2. 木野晴夫

    木野委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 恩給関係は年々改善をされてきているわけですが、今回も、公務員給与改定関連をさせてプラスアルファをつけた形での改正案提案をされているわけです。恩給法というのはなかなか難解なので理解しにくい点もあるわけです。すでに趣旨説明その他の資料等でも明らかにはされていることですが、今回の改正案改正を要する点の特徴的な面はどういうところなのか、まず御説明を承りたいと思います。
  4. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、今回恩給法改正いたしまして、いろいろ新規改善項目があるわけでございますが、新規改善に要する経費の総額が九百九十八億円、これを現在国会で御審議いただいておるわけです。  この内容について簡単に御説明申し上げますと、中身は大体三つの大きな柱を立てているとお考えいただければいいのじゃないかと思います。  その第一番目が、ただいま先生指摘のように、恩給年額調整といいますか、公務員給与改善率指標といたしまして恩給年額改善し、実質価値の維持ということを図っていきたい、こう考えておるわけでございます。これは、額といたしましては三・四%プラス三千二百円の改善を図るわけでございますが、これを兵の階級で申し上げますと、兵の仮定俸給の三・八%アップということに相なるわけでございます。  それから改善の第二の柱は、これは前回恩給法を御審議いただいたときも附帯決議にございましたように、普通恩給あるいは普通扶助料最低保障額改善でございます。これを格段に改善するということでございまして、特に普通扶助料につきましては、さらに寡婦加算増額等を図りまして、格段の改善を図っておるということでございます。  それから第三点は、戦争未亡人あるいは傷痍軍人等戦争犠牲者として現在もなお非常に弱い立場におられる方、こういった方について格段の改善を図っておるわけでございます。  その他、全体として九項目改善になっておりますが、大きな問題としてはただいま申し上げた三つの柱かと思います。  なお、これらの実施時期に関しましては、年額調整といいますかベースアップ、これを四月から実施いたします。それから公務関係扶助料あるいは傷病恩給、こういったものに関しましては六月から実施する。ただ、寡婦加算につきましては、厚生年金との並びもございまして八月実施ということになっております。その他新規改善につきましては、十月あるいは十二月実施ということに考えておるわけでございます。
  5. 上原康助

    上原委員 大体三本柱といいますか、三点を重点に改定したいという御提案のようです。私もこれまで何回かお尋ねもしてまいりましたが、一応上厚下薄方向は年々修正をされてきた、その御努力は認めたいと思うのです。しかし、最低保障額の問題とか、パーセンテージでは確かに上位号俸の方は抑えてあるのはわかりますが、依然として額にすると雲泥の差があるということは指摘せざるを得ないと思うのですね。  そこで、そういう点とも関連はいたしますが、従来、この恩給法案を審査して可決する段階においては年々附帯決議をつけてまいりました。もちろん、附帯決議といいますものは要望事項でありますので、そのもの次年度というか短期間ですべて実現をするというのは、いろいろな制約等もあってなかなかむずかしいことは理解をしないわけでもございませんが、どうも附帯決議趣旨が十分尊重されてきたとは言いがたい面があるわけですね。この点についてはどのようにお考えなのか、また、これからはどのようなお考えでその趣旨を全うしていきたいというお立場なのか、御見解を承っておきたいと思います。
  6. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 先ほど申し上げましたように、前回恩給法を御審議いただいたときも附帯決議があったわけでございますが、この附帯決議国会の御意思として十分尊重しながら進めていきたいというように考えておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、普通恩給最低保障額あるいは普通扶助料の率、これの改善等については最大の努力をいたしておる、このように考えておるわけでございます。
  7. 上原康助

    上原委員 ちょっとお答えが抽象的なんですね。たとえば第八十八回国会では、五十四年九月六日ですが、本委員会附帯決議として「恩給実施時期については、現職公務員給与より一年の遅れがあるので、遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。」そのほかにもございますけれども、まずこの点からいきたいと思うのです。  御承知のように、公務員賃金改定とは一年おくれになっておりますね。これをぜひ同時期にすべきでないかという主張は長年なされてきたことでありますが、その改定時期を一体化すべきであるという附帯決議に対して、今回はむしろ五段階に分断をしてしまっているわけですね。いまさっきも御説明がありましたが、ベースにかかわる件はたしか四月実施ですか、それから六月実施、八月実施、十月実施、十二月実施、こういうふうに五段階に分けたということは、むしろ後退を意味していると言っても言い過ぎではないと思うのですね。お答えは恐らく財政問題その他でこうせざるを得なかったということをお述べになるかもしれませんが、もう少しここいらは工夫を要する件じゃないのかという感じがするわけですね。この点についての政府の御見解を聞いておきたいと思います。
  8. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 ただいま先生指摘のように確かに実施時期を非常に区々に分けておるわけでございますが、これも先生指摘のように、特に今年度は非常に厳しい財政事情の中にありまして、普通扶助料あるいは普通恩給、こういったものを格段に改善してまいりたい、こう考えたわけでございまして、私ども受給者方々にいろいろ御意見を承るわけでございますが、実施時期が若干おくれても、中身を豊かにしていくということの方が受給者として非常に望ましいという声もあるわけでございますので、私どもとしてはこういった点で中身の充実ということに最大限の努力を払っているというように御理解いただきたいと思います。
  9. 上原康助

    上原委員 そういうお考えも、あるいは理屈づけも一つの見識かもしれませんが、しかし、余り細分化していくということは好ましい方向じゃないと思うのですね。その点は是正をしていただきたいということと、同時に、どうなんですか、実施時期を仮に四月に全部スタートラインをそろえたという場合、計算すればすぐ出ることですが、そんなに財政上のインパクトになるのかどうか、どのくらいの追加予算になるのか、それも承っておきたいと思います。  同時に、先ほど指摘しましたように一年おくれである。これなども恩給関係者は大変御不満だと思うのですね。その点のこれからの改定といいますか、昨年の四月にさかのぼっての実施公務員改定時期と同時になすということ、そろえるということはほとんど不可能なのかどうか、この点について改めて御見解をお聞かせください。
  10. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 ただいまの、もし四月に全部そろえたらどのくらいかかるか、いまちょっと計算できませんけれども、たとえば現在受給者の数が二百五十万人いるわけでございます。したがいまして、この方々に仮に千円ずつ何がしかの給与をするということで二十五億という金になるわけでございます。そういったところで、四月にそろえれば、恐らく数百億円さらに上積みしなければならないのじゃないかというように考えておるわけでございます。  それから、ベースアップ分について前年の四月にすべきじゃないかという御趣旨でございますが、私どもずっとベースアップを続けてまいっておるわけでございますけれども、ここ数年、先生おっしゃったように公務員給与改善率、これを指標として使ってまいっておるわけでございます。この指標は去年のものしか使うわけにいかぬわけですが、この指標をことしのに使うことが果たして一年おくれという認識になるのかどうか、かつて仮定俸給の非常に低いころは、あるいはおくれておるという感じがあったかもしれませんが、去年の指標を使ってことしアップするということを果たして一年おくれと認識すべきかどうかという議論もあるところでございますし、また、他の公的年金等との並びもございますので、これは非常にむずかしい問題ではないかというように考えておるわけでございます。
  11. 上原康助

    上原委員 その点は若干疑問がございますが、いまの御見解を聞きおくことにとめておきたいと思います。  それで、次にちょっと中身のことに入りますが、普通扶助料の場合ですが、文官恩給関係受給者軍人恩給の場合にどうも格差があるような感じがするわけですね。軍人恩給の場合は、普通扶助料がたしか月額にして九万四千五百円程度文官の場合ですと、普通扶助料はたしか五万ちょっとですね。なぜこのように格差が出ているのか。ここいらはどうも軍人恩給の方にウェートが置かれている。もちろん軍人恩給の場合も、兵とか下士官の場合は先ほど言いましたようにまだまだ改善余地があると私は思うのですが、文官関係者普通扶助料についてはもっと考慮する余地がないのかどうか、ここいらを少し御見解を聞いておきたいと思います。
  12. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 ただいまの先生の御発言で、軍人関係が九万何がし、文官関係が五万何がしという数字がちょっと私どもにわかりかねるのでございますが、恐らく先ほどちょっと申し上げました戦争未亡人等支給します公務扶助料、これは先生おっしゃったように九万幾らかと思います。普通扶助料の場合ですと、むしろ文官の方の方が高いのじゃないかというように、詳しい数字はわかりませんが、私どもは認識いたしておるわけでございます。
  13. 上原康助

    上原委員 いまの九万四千五百円というのはたしか公務扶助料です。これは民間の場合ですね。しかし、では文官普通扶助料月額にして幾らになっているのですか。
  14. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 扶助料普通恩給、皆そうでございますが、これは仮定俸給勤務年限による倍率を掛けて計算するわけでございますので、一概に幾らということは申し上げかねるわけでございますが、ただ最低保障額といたしまして今回御審議いただいておりますのが、これは一般的に長期の方で、寡婦といいますか、奥さんが受けられるという方で、寡婦加算の額を含めまして年額五十七万五千円ということになっております。したがいまして、月額にしますと五万円ちょっと欠けるぐらいのところかと思います。
  15. 上原康助

    上原委員 ですから、五万円ちょっと欠けるわけでしょう、五十七万五千円というと。六十万でちょうど五万ですね。そういったところはもう少し改定余地があるのじゃないかという感じがします。いま五万円では、とてもじゃないが生計は成り立ちませんな。さっきはそういった戦争未亡人その他のことについては十分配慮をしたということですが、残念ながらまだまだ非常にでこぼこがあるような感じがしますので、そこらはもっと御検討いただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  次に進みたいと思うのですが、本委員会で何回か取り上げてまいりましたが、例の陸海軍従軍看護婦に対する援護といいますか、措置について、長いこと懸案でありました日赤看護婦さんにつきましてはようやく十万から三十万の慰労金——慰労金という言い方も私は若干疑問といいますか、抵抗を感ずるのですが、とにかく措置がなされたということになっているわけです。厚生省もお見えと思うのですが、この陸海軍従軍看護婦に対しても、少なくとも日赤看護婦並みの何らかの手だてをしなければいかないという立場で、われわれも附帯決議にもその点を指摘をしてまいりましたし、また、政府もそういうお立場で今回千七百万程度でしたか調査費も計上をして、五十五年度で実態把握をしたいということのようですが、この点についてはどのような措置をなさろうとしているのか。また、その実態把握はどの程度なされておって、これからの見通しなどはどういうふうになっているのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  16. 関通彰

    ○関(通)政府委員 旧陸海軍従軍看護婦の件でございますが、先生御存じのように、日赤従軍看護婦につきましては五十四年度から慰労金を交付しているわけでございます。旧陸海軍従軍看護婦さんにつきましては、やはりその勤務形態等日赤の場合といろいろ差がございまして、全く同様に取り扱うということについてはいろいろ問題もございます。特に旧陸海軍従軍看護婦さんにつきましては、個人個人勤務記録が必要なわけでございますが、この記録が著しく不備な状況でございまして、先生ただいまお触れになりましたように五十五年度、厚生省において旧陸海軍看護婦に関する実態調査を行われることとなっておりますので、総理府といたしましては、この調査の結果を待ちまして関係方面と御相談して対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  17. 上原康助

    上原委員 実態把握が困難である、戦後これだけの日子、年月が経過していますから確かにそういう面もあろうかと思うのです。しかしながら、関係者方々要望というのは、勤務状況にしても、特に外地での旧陸海軍従軍看護婦勤務状況というのはほとんど日赤看護婦さんのやったことと変わらなかった、またある面では同一病院で共同して勤務をしたという記録ども現にあるわけですね。そういう面からすると、これを区別するというのはいささか問題があり、また納得できかねるわけですよ。しかし、とはいいましても、政府も何らかの形での実態把握をなさって解決をしたいというお立場のようですから進めていただきたいわけですが、厚生省としては現段階ではどのくらいの実態把握がなされているのですか。
  18. 森山喜久雄

    森山説明員 お答えいたします。  陸海軍看護婦さん方の履歴資料といいますか、そういうものはもともとはあったはずでございますけれども、いろいろな事情で現在は非常に散逸しているわけでございます。ただ、厚生省昭和二十年の一月一日現在で外地におられました部隊の名簿がございまして、こういうもので約五千数百人は名前がわかっておるわけでございます。  今回実態調査をやるわけでございますけれども、こういう方々につきましては改めて名簿をつくりまして、都道府県を通じて、ただ当時の住所が古い住所でございますので、本籍地をめどにしてその住所を探すというような作業をいたしまして、こういう人には積極的に調査票を送りつけて調査をするということでございます。  それから対象は二万人余りいるという一応のデータはあるのでございますけれども、それ以外の方はどこにおられるのかわかりませんので、これは一般的な広報活動をやりまして申し出ていただくということになろうかと思います。
  19. 上原康助

    上原委員 目下掌握されているのが五千六百名前後だ。しかし、一説には旧陸海軍看護婦として戦地その他の看護業務に従事した方々は二万三平ないし四千あるいは二万二、三千だと見込まれている。これを調査するというのは大変なことかもしれません。しかし、こういうことは各都道府県の御協力をいただけば、政府方針をお決めになって、あるいは現にその団体方々努力をしておられるわけですから、そういう面からすると、やる意思さえあれば、方針さえ決まればこれは不可能なことじゃないです。ぜひ進めていただきたいと思うのです。  そこで、これは政治的判断の問題もありますので総務長官に御見解をお聞かせいただきたいのです。  正直申し上げて、日赤従軍看護婦問題等恩給法の適用ということでいろいろ議論がされて、主張もあったわけですが、そのものずばりはいかずに、先ほど申し上げましたような形での処理が一応五十四年度からなされた。一方、陸海軍従軍看護婦の場合はまだ調査段階でおくれをとっているわけです。こういうことは戦後のいろいろな問題の一つとしてぜひやらなければいけない課題だと私は思うのです。ですから、総理府厚生省が一体となって各都道府県とも連絡をとり合って、この従軍看護婦の問題につきましては少なくとも五十五年度で実態調査をして、五十六年度においては予算的措置手だてをするということでないといかぬと思うのです。関係者も年々亡くなる方々もいらっしゃる。大変悲痛な要求をなさっておられます。そういう意味で長官の御見解も聞いておきたいと思うのですが、いかがですか。
  20. 小渕恵三

    小渕国務大臣 いずれにいたしましても、五十五年度予算の中で、厚生省実態調査に積極的に取り組むということでの予算措置もなされておるわけでございますから、そのことをもって政府の姿勢として御理解をいただいて、速やかに厚生省、各地方自治団体協力を得てその調査を終えて、終えました暁におきましては政府としてしかるべき措置をとることになると存じますが、いまの段階では、鋭意その実態調査把握ということについて政府を挙げて努力をいたしていきたいというふうに思っております。
  21. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ積極的な御努力をいただきたいと思います。  あわせて、日赤看護婦さんの場合はたしか総理府支給業務その他の窓口になっていると思うのです。この従軍看護婦の場合は一応厚生省実態調査をして当面の作業は進めていかれるというわけですが、窓口はどうなるわけですか。最終的な結論を出す、支給業務を行うとかそういう面はどうなるのか、そこもお聞かせをいただきたいと思います。
  22. 関通彰

    ○関(通)政府委員 日赤看護婦の場合は、ただいま先生指摘ございましたように、総理府に必要な経費を計上いたしております。ただ、総理府日本赤十字本社補助金として交付いたしまして、日本赤十字社が各看護婦さんに慰労金支給する。支給実施事務日本赤十字社が現在行っております。  陸海軍看護婦さんの場合どうするかという御質問でございますが、日赤の場合とは異なりましてそういう本社がございませんものですから、調査の結果が明らかになりました時点で、関係省庁相談いたしまして措置いたしたい、かように考えている次第でございます。
  23. 上原康助

    上原委員 その点も窓口を明確にした上での改善措置をひとつ強く求めておきたいと思います。  それと、この件と関連いたしますが、日赤看護婦さんへのいわゆる慰労金支給額ですが、先ほども申し上げましたように年額十万から三十万の範囲になっておるわけです。これはいまのところは定額もちろん五十四年度からしか実施されておりませんのでまだとやかく言えないかもしれませんが、しかし、恩給法は御承知のように公務員賃金改定に見合ってあるいは物価の上昇、そういうことと関連をさせて年々改定をしている。三・四プラス三千二百円。そういう面からしますと、やはりこの十万から三十万という額に対しても改善措置を年々やっていかなければいかぬと思うのです。そうなるともう際限ないとあるいはおっしゃるかもしれませんが、決してそういう性質のものではないと私は思うのです。これは、これから手だてをしようとする旧陸海軍看護婦の問題も当然含めてですが、この改善措置についてはどういうふうにお考えなのか、その御用意があるのかどうか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  24. 関通彰

    ○関(通)政府委員 日赤従軍看護婦さんの方々に対する処遇につきましては、本委員会におきましても一昨年来御審議がございまして、その御審議段階でも明らかにされておりますように、現行の諸制度恩給制度なり何なりにはなかなか乗りにくいものである。しかしながら、女性の身でありながら、いわゆる赤紙召集を受けまして戦地で厳しい勤務につかれ、なおかつ戦後も相当期間抑留等により現地にとどまられた。かような格別の御労苦に報いるために、何らかの慰労金を差し上げるべきではないかということで五十四年度から発足したわけでございまして、基本的な性格といたしまして、いわゆる所得の保障、生活の保障という年金的な性格ではなく、過去の御苦労に対する慰労として差し上げる、こういう性格を持っておるわけでございます。  このような見地から、実は五十五年度の予算におきましては五十四年度と同じレベルと申しますか、いわゆるベースアップをしない形で考えておるわけでございます。これはただいま申し上げましたような基本的な性格からくるものである、かように御理解いただきたいと存じます。
  25. 上原康助

    上原委員 それはいろいろ解釈の問題でしょうが、やはり一回限りの一時支給じゃなくして、年々予算計上してやっていくわけですから、それだけは据え置きというわけにもいかない問題だと思うのです。また、該当者の方々からすれば、本当は恩給法の全面適用あるいはそれに類似をする措置が必要だという要求ですから、この点についても一方がどんどん先になって、旧陸海軍の方が区別をされておくれているということでもいけない面もありますが、これはひとつあわせてぜひ改善措置もやっていただきたい、このことを重ねて強く指摘をし、御要望を申し上げておきたいと思います。  同時に、五十四年九月七日の参議院の内閣委員会で、小野内閣総理大臣官房管理室長が、先ほど申し上げた慰労金に対しては「第一回目の支給が本年の十二月に予定されておりますので、この支給実態を見定めた上でさらに検討をしてまいりたい、」増額問題について、今後の改定措置についてのお尋ねに対して、こういうふうに御答弁をしている趣旨もあるということも指摘をしておきたいと思うのです。  そこで総務長官、これもやはり事務段階でもいろいろ御苦労、御検討している節もありますので、政府全体でこういうものはもっと前向きにやるべき性質のものだと私は思うのです。この件について長官のお考えをひとつ聞いておきたいと思うのです。
  26. 小渕恵三

    小渕国務大臣 旧日赤従軍看護婦に対する問題につきましては、五十五年度で初めて通年支給ということになったわけでございまして、出発をいたしてまだ二年目でございますので、いまの段階でベアの問題を論ずるということはなかなかむずかしいかと存じます。また、その性格も先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。しかし、これから旧陸海軍看護婦問題等も出てまいりますので、諸般の情勢を勘案して勉強いたしてみたいと思いますが、御意見として伺っておきたいと存じます。
  27. 上原康助

    上原委員 いまの点は特段の御努力を重ね重ね申し上げておきたいと思うのです。  そこで、ちょっと質問が前後したかもしれませんが、恩給法関連するいろいろな請願なり未処理の件があると思うわけです。もちろん恩給法と直接関係するもの、あるいは戦後処理の一環としてまだ解決されていない面、二つに分かれるかと思うのですが、政府の御認識では、恩給法と直接関係をする請願とかあるいは要求事項とか、また検討に値すると思うような案件といいますか、懸案事項というのはどういうものがあるのか、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  28. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 ただいま私どもが受けておりますいろいろ要望なり要求なりについて申し上げますと、一つは、恩給公務員から外国政府あるいは外国の特殊法人等に出向して、また戻ってきて公務員となったという場合、この外国政府等におられた期間を恩給に通算してもらいたいという御要望一つあるわけでございます。それからもう一つは、恩給公務員ではなかったのだが仕事の中身恩給公務員と非常に似た業務をやっておったのだ、だからこれを恩給公務員と同様に恩給の対象としてもらいたいというこの二つに分かれるのじゃないかと思います。  前者の場合につきましては、満州あるいは中国等に戦時中いろいろな法人あるいは特殊機関があったわけでございます。詳しく数えたことはございませんが、百以上のそういった法人、機関があったのじゃないかと思います。その中で、ただいま申し上げましたような人事管理上、人事交流上非常に近い関係にある、あるいはその性格上公務員と非常に近い性格にあるというものにつきまして、これを公務員期間と通算するという措置をとっておりますが、これは現在の恩給法では約二十二ございます。  後の部分につきましていろいろ御陳情等がありますが、恩給は、御承知のように単に仕事がこうだから、戦時中非常に苦労したから恩給をやるという性格のものではございませんで、やはり恩給公務員として、大正十二年から恩給法に基づいてお約束してきた恩給公務員というものがあるわけでございまして、こういった資格要件といいますか、これを基準として判断してまいっておるわけでございまして、かつ恩給法は御承知のように昭和三十四年に共済組合法に乗り移りまして過去の制度になっておるわけでございます。こういった観点から、恩給公務員と仕事の中身が類似しているというだけでこれを恩給の対象とするということには非常にいろいろむずかしい問題がございます。  先ほど申し上げた二十二の通算しておる特殊法人あるいは特殊機関といったものについては 十分いろいろ検討した結果決めたわけでございますが、あとの残りの部分を未処理と考えるかどうかでございますが、私ども先ほどの二十二団体を決めましたとき十分検討したつもりでございますので、今後残りの部分を検討するということについてはいろいろむずかしい問題があるのじゃないかと考えておるわけでございます。
  29. 上原康助

    上原委員 いまの二十二件ですか、これはたしか「恩給のしくみ」の十一ページに載っているものでしょうと思うのですが、そのほかのものは検討すべきかどうか、未処理と受け取るかどうかはにわかに言いがたいという御趣旨のようですが、これもとらえ方の問題であり、また、該当者はそのほかにもいろいろの要求を出してきているわけですね。もちろん恩給法とは直接なじみがたい問題もあることは私も理解をいたします。  同時に、いまは一応十二年以上、もちろん加算年なり戦時加算というのがあって旧軍人の場合は実在職が三年ですか、そういうふうになっているわけですが、中には非常に特異なケースもあるわけです。物事はどこかで線引きをしなければいけないということは世の常で、なかなか公正というか公平というものは完璧を期しがたい面があるわけですが、たとえば実在職が二年十一カ月であと一カ月すれば加算年の対象になる、あるいは加算年として全体で八年九カ月とか、わずかに三カ月満たないがために恩給法から除外されている面、あるいはそのほかに、一カ月満たないから適用されていないという方々も実際問題として大分いるわけです。  これは、恩給を受けるのと受けないのとでは、生活上も、その人の過去のそういった国に対する貢献といいますかも全くゼロになるのです。これでは非常に不公平ではないかという感じがする。この点はもう少し一時恩給の内容の充実の問題、年限の区切りの問題等考えてあげてもいいんじゃないかという気がするわけです。恐らく総理府にも相当要請がいっていると思うのですが、旧軍人一時恩給格差是正促進協議会というのもあって非常な御不満を訴えている、こういう面がある。  それに、私が前に一度恩給関係の方にもお願いしたのですが、いまの件も含めてまだ未解決の問題が相当残っている。こういうことに対してはもう一度何らかの形で、総理府なりあるいは内閣官房になるかもしれません、そのほかの海外引揚者の問題とか、最近はそれに抑留者の問題、これは恩給法と直接は絡まないかもしれませんが、そういった戦後処理の問題全体について総理府なり政府全体として再検討してみる必要があるんじゃなかろうか。そうせぬと、いつまでも陳情とかそういった関係者の御不満だけがつのって未処理のままで推移をしている。これでは私はいけないと思うのです。また、われわれそういうことを要望される側にある者としても、これではいけないという感じがしますので、ここらについては総務長官になるのでしょうか、ひとつお考えを聞かせていただきたいと思うのです。  なぜ私がこの点をいま申し上げたかといいますと、時間の都合もありますのでついでに申し上げますが、私は分科会で、いま申し上げた戦後処理の問題について恩給問題あるいはその他の、援護法とか恩給になじまないことについてはどうするかと質問したことに対して、野呂厚生大臣は分科会で、「この間も総理府総務長ども、こうした今日の制度でどうにも処理できないものをどうしていくかということを十分話し合っていこうではないかというようなことも話し合ったわけでございます。今後、一般的にこれらの問題についてどう対応するかということについて進めてまいりたい、かように考えております。」という御見解を述べておられるわけですね。ですから、このことについては政府全体でもう一度再検討するに値する事項が残っている、われわれはそういう立場に立っているわけですが、どういうお考えなのか、御所見を承っておきたいと思うのです。
  30. 小渕恵三

    小渕国務大臣 戦後、政府としてはそれぞれの問題について適切に処理をしてきたという立場でございまして、そうした観点に立ちますと、一般的には政府として打つべき手は打ってきた、こういうふうに認識をいたしているわけでございます。しかしながら、いまだ未処理の問題が存在をしておるという御指摘もわれわれ聞くわけでございまして、これをまとめてという御意見のようでございますが、私どもとしては、先ほどの旧陸海軍従軍看護婦問題等、それぞれ御指摘をされた点について一つ一つ誠実に政府としてはこれに対処しておるというのが現在の立場でございますので、政府全体で全部を見直すかどうかという問題につきましては、関係の省庁もございますので、この点についてはもう少し勉強させていただきたいと存じます。
  31. 上原康助

    上原委員 それは確かになかなかむずかしいと思いますよ。むずかしいと思いますが、ただ、政府としてもあるいは政治に携わっている者として、戦後のこれらの問題は、いままで処理されてないのは、処置といいますか手だてされてないのはもうそれでいいというわけにはいかない性質、性格の問題が多いと思うのですね。もちろん、いま総務長官がおっしゃるように一つ一つできるものから着実にやっていくというのは結構ですよ。あわせて総合的な再検討も必要に迫られているということも指摘しておきたいと思うのです。  それと、いまの恩給法との関係で、たとえば私前にも聞いてみたのですが、戦前の沖繩県での県知事によって任命された臨時防疫獣医の方々は、人数は非常にわずかですが、こういうものも恩給制度になじまないということでそのまま放置をされてきているわけですね。関係者も亡くなった方々もいる。これなんかもぜひひとつもう一度御検討をいただきたい。また後ほど担当の方とも御相談をしてみたいと思うのですが、こういう落ちこぼれもあるということを指摘をしておきたいと思うのです。  次に、厚生省方々にちょっとお尋ねしたいのですが、旧軍人の場合厚生年金あるいは国民年金には、過去の恩給受給の対象になっていないのは勤務加算はされてないということですね。引き続いて公務関係、公務員になった方々には公務員共済年金法の勤務加算がされるわけなんだが、これは加算されてない。これは言うところの官民区別ですよね。これなどもやはり検討をすべきではないでしょうかね。どうなんですか。この点少し御見解を聞いておきましょう。
  32. 佐々木喜之

    佐々木説明員 共済の年金におきまして軍歴期間を通算するということは承知をいたしております。ただ、これは共済の制度がいわば恩給制度を引き継ぐ、こういう仕組みからきているわけでございまして、私どもの所管の厚生年金が旧法の期間を引き継いでおるというのと同じであるというふうに考えておるわけでございます。  御承知のように、国民年金、厚生年金は国民の相互連帯に基づきます一般的な社会保障制度でございまして、加入されました方が保険料を拠出されまして、その期間について給付をするというのが仕組みでございます。したがいまして、御質問のような趣旨措置をやるということは制度になじまないということでございます。それからまた民間の方々、たとえば準軍属の方々、民間の工場で働いておられた方々、そういうような方々との均衡の問題等考えますときに、公平の観点から申しまして、仰せのような特別の措置厚生年金、国民年金で行うということはきわめて困難であるということでございます。
  33. 上原康助

    上原委員 言い切ってしまえばそれまでのことかもしらぬけれども、しかし、これはやろうと思えばできない問題じゃないですよ。そういう理屈づけをぎゅうぎゅうやったのでは物事は前進しませんよ。しかし、こういうことがまだ残されているという点は知っておられることなのだから、知っていただきたいと言っても、これ以上知る必要はないと言われるとこっちも困るのだが、やはり問題点としてあるということはぜひ指摘をしておきたいと思うのです。  次に進みたいわけですが、これも援護法問題と関連しますので取り上げますが、去る三月四日の予算分科会で私が、戦災傷害者の問題、被災者の問題等、全国的な面もありますが、特に戦場となった沖繩県の六歳未満の方々の補償問題についていろいろ厚生大臣にお尋ねをいたしましたら、今日までこれが援護措置がなされていなかったのは大変遺憾に思う、年齢のいかんにかかわらず、援護法の中に適用されるよう鋭意検討していきたい、こういう御趣旨の答弁がなされて、その後も県当局ともいろいろ御相談なりをやって、実態把握をしながら進めておられると思うのですが、今後どのような実態把握をし、どういう手順でこの六歳未満の方々の長い間の要望にこたえていかれようとするのか、改めてこれからの見通し等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  34. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  先生承知のとおり、援護法は軍の要請により戦闘に参加した者を準軍属として処遇をいたしているわけでございまして、そこには一つの、おのずと制約はあるわけでございますが、私どもとしましては、大臣が御答弁申し上げましたように、沖繩が戦場と化したという特殊な事情は十分承知をいたしておりますし、その事情を踏んまえた上で、戦闘に参加した者については個々の実態を踏まえ適切に処置をしてまいりたい、このように考えているわけでございます。  三月四日の分科会で大臣が先生に御答弁申し上げたことを受けまして、私ども直ちに沖繩県とすでに過去二回協議に入っておりまして、準軍属として処遇すべき一つの認定のたたき台というものを、最も実情を把握しております沖繩県の方でひとつよく考えてみてもらいたい、それを受けてまた県と私どもは十分協議した上で、実情に即した運用も図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  35. 上原康助

    上原委員 政府のそういった前向きの御努力に対しても敬意を表すると同時に、これは長い懸案事項でしたので、戦闘参加者という制約、あるいはまたこの該当者をどう選別するかというようなむずかしい課題もあろうかと思うのですが、いま御答弁がありましたようなことで、県当局ともあるいはまた関係者の皆さんとも十分連絡をとり合って、一段の解決方を重ねてお願いをしておきたいと思います。  それで、次に進みたいと思うのですが、せっかく総務長官おいででありますので、公務員関係の問題についても実は種々お尋ねしたい点が多いわけです。昨日来きょうにかけて新聞をにぎわしておりますように、依然として高級公務員の天下りが多い。きょうは人事院は呼んでありませんが、これはまたいずれいろいろ議論になると思うのですが、どうもこういった高級公務員というか官僚といいますか、言葉は的確でないかもしれませんが、そういう問題についてはなかなか改善がされないで、ますます拡大をされている風潮がある。退職手当の問題にしても、五千万も六千万も、中には七、八千万という。しかし、一般の公務員の皆さんはせいぜい一千万ないしそれ前後の退職手当。これさえも、人事院勧告にもないのにカットしようとする。  一方また、人事院勧告でなされているものについてはなかなか法律案として御提出いただけないという点もあって、総理府なり人事院の対処の仕方もちょっと問題があるんじゃないかという感じがするわけです。その点は、提出されている法案の審議過程でもいろいろ取り上げられると思いますので、きょうはそういった前提を指摘して、週休二日制の問題についての大臣の見解を改めて求めておきたいと思うのです。  週休二日と言っても正確には四週五休なんで、完全週休二日制でないわけですが、せんだって、三月二十六日の閣僚懇談会で、公務員の週休二日制、四週五休制の実施については意見一致を見た。政府は、これを受けて、法案作成作業に直ちに入るということが決定されたようですが、いつごろ法案は御提出なさるのか。四週一回交代半休制ですからね、これは。この点についての確たる御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  36. 小渕恵三

    小渕国務大臣 週休二日制に関しましての法案につきましては、いま委員指摘のように、二十六日に開催されました関係閣僚懇談会におきまして、従来週休二日制、こう言っておったのですが、一応四週一回交代半休制、こういうことで、実態をそのままにあらわす名称で論議をいたしたわけでございますが、関係閣僚懇談会におきましては、政府として提出をするその骨子をお認めいただきまして、そのことを閣議でも御報告されたわけでございます。したがいまして、現在、その結果に基づきまして法制局と法案の詰めをいたしておるところでございますので、それができ上がりますれば、与党との話し合いも鋭意進めてまいりまして、私どもとしては、できる限り速やかに今国会に御提出申し上げて、前に提出済みの二法案とともに、本委員会におきまして積極的に御審議をいただくようにお願いをいたしたい、このように思っております。
  37. 上原康助

    上原委員 少しよけいなこともおっしゃっていますが……。出してもらいたいのは後回しにして、出していただきたくないのは先にして、あわせて御審議をと言っても、それはなかなか一緒に食べられるものではないのですよ。いずれにしても、今国会に早急に出すわけですね。めどはいつごろになるのですか。
  38. 小渕恵三

    小渕国務大臣 申し上げましたように、法制局の審査がもうわずかで終了することと担当者から聞いておりますので、それが終了いたしますれば、与党との折衝を済ませまして、四月になりましたが、四月のきわめて早い時期に提出をすることとして最大の努力をいたしておるところでございます。
  39. 上原康助

    上原委員 その点は約束事項でもありますので、人事院の勧告もあったことでありますから、ぜひそのように処理していただきたい。同時に、公務員のそういった労働条件あるいは身分とか、生活設計に著しくかかわる法案の提出なり法案改正というものについてはもっと慎重であってしかるべきじゃないかという点も指摘しておきたいと思うのです。どうも公務員のいろいろなことに対しての世論の批判があると、それに悪乗りした形でどんどんばっさばっさやるというのは余りいい傾向じゃありませんので、その点は指摘しておきたいと思うのです。もちろん、不正に対しては厳しく対処しなければいかないという点は踏まえてのことであります。  そこで、時間が少し足りないかもしれませんが、せっかく総務長官が御出席で、沖繩開発庁長官もやっていらっしゃいますので、なかなか沖特を開くゆとりもない面があって、お尋ねしたい点も残っておりますので、もうそろそろ参議院でも予算が処理される段階ですから、特に予算問題とのかかわりで、ちょっと残りの時間お尋ねしておきたいと思うのです。  簡潔に言いますと、これまで沖繩振興開発計画をこの期間内の十年間で、言うところの格差を是正して目的達成をしていくには、たとえ五十五年度の国の財政状況が非常に厳しい関係にあっても、今後もなおこの計画に基づく格差の是正を図っていくには、それ相応の財政措置をやるべきだということをわれわれは主張してきたわけです。これに対して政府も、いかに困難な財政事情や経済情勢の中であっても、あくまで計画の目標達成を図るに必要かつ十分な措置を今後も引き続きとる必要があるので、そういう方向でやっていきたい、こういうふうにしばしば沖特なりその他の委員会でも答弁してこられました。  ところが、御承知のように、五十五年度の国の予算は、政府が言うところの厳しい財政事情のもとといえども、一〇・三%の伸びを示しているわけです。地方財政計画も七・三%。しかし、ひとり沖繩開発庁の予算は何と二・四%の伸び率で、過去の予算の伸びに比べれば、極端に落ち込んでいる。これは、わからぬわけではありませんが、そういう状況になっている。したがって、こういう予算措置で、計画遂行を図るに必要かつ十分な予算だと言えるのかどうかという疑問が持たれるわけです。これまで、復帰以来開発庁予算は毎年国の一般会計予算の伸び率を上回る予算が計上されてきた。四十八年度から五十四年度までの平均伸び率は何と二一%であった。振興開発計画もいよいよ九年目に入って、ゴールであるにもかかわらず、わずかに二・四%というのは私は余りにも低過ぎると思うのです。これはちょっと納得しがたい点なんです。この程度の伸び率の予算で計画の目標は十分に達成できるとお考えなのか。こういうことについて開発庁はどういう御認識を持っておられるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  40. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  先生承知のように、沖繩の本土復帰以来今日までに、振興開発計画に基づきまして社会資本の整備を初めといたしまして、各分野における本土との格差是正あるいは沖繩の自立的発展に必要な基礎条件整備のための努力を続けてきたわけでございまして、その結果、道路、空港、下水道あるいは公立学校などの公共施設の整備につきましてはおおむね順調に進んでまいりまして、その他の分野におきましてもそれなりの成果を上げてきたものと私ども考えておるわけでございます。  御指摘のように、昭和五十五年度の開発庁の予算の伸びは二・四%ということでございまして、四十八年度以降一番低い伸び率にとどまっておるわけでございまして、この点は先生指摘のとおりでございます。これは沖繩開発庁の予算の大宗、約八〇%を占めます公共事業関係費が全国的に厳しい財政事情を反映いたしまして、総額としては伸び率ゼロということで編成をされておるわけでございまして、その影響を受けておるものというふうに言えるかと思います。このように全国での公共事業の総額を伸び率ゼロ、こういうふうに抑えて編成されておるわけでございますが、沖繩の振興開発に係ります公共事業関係費につきましては、対前年度比一・七%の増を確保するという形にいたしてございます。その他沖繩開発庁関係の予算につきましては、沖繩の特殊事情に対しまする配慮を沖繩振興開発計画の基本目標であります本土との格差是正、こういうことに置きまして、その姿勢は貫かれておるものと私ども考えておるわけでございます。  今後残された二年間におきまして振興開発の目標の達成はどうか、こういうお尋ねでございます。私どもとしてはなお厳しい財政事情が続くものと考えておりますが、このような情勢の中にありましても、残された計画期間内に振興開発計画の目標といたします格差の是正あるいは自立的発展の基盤整備という目標達成に向けまして最大限の努力を続けていきたい、このように考えておるところでございます。
  41. 上原康助

    上原委員 もちろんいろいろ五十四年、五十五年の財政事情というのを、私も前段申し上げましたようにわからぬわけではありませんし、大変な財政状況の中でいろいろ工夫をしてこられた、また、そういう中でも開発庁長官初め開発庁関係のスタッフの方々が骨を折っていただいたということについてはわかるわけですよ。しかし、この振興開発の基本方針でもうたわれておりますように「この計画においては、沖繩の各面にわたる本土との格差を早急に是正し、全域にわたって国民的標準を確保するとともに、そのすぐれた地域特性を生かすことによって、自立的発展の基礎条件を整備し、平和で明るい豊かな沖繩県を実現することを目標とする。」目標だと言えばそれまでのことかもしれませんが、そういう目標達成に向けての最終段階になった五十五年度あるいは五十六年度どうなるか、これも非常にむずかしいですね、総務長官。この一番大事なときにいま少し考えるべき点があるのじゃないかということを申し上げているわけです。なかなかそうなりっこない。  いまも御答弁ありましたが、おっしゃるように、沖繩開発予算の中でこれまで最も大きな柱はやはり公共事業関係費ですよ。御指摘のとおりなんです。復帰以来年々大きな伸びで推移をしてきて、五十四年度の予算では二一%の伸びであった。いまおっしゃったように、五十五年度は全国的にはゼロの伸びに対してだという御説明はあったのですが、公共事業はわずかに一・七%の伸びに落ち込んだ。しかし、この公共事業のうち道路関係の予算は前年度対比で九八・二%、下水道関係の予算がこれまた九八・二%ですね。簡易水道、主として離島関係が八九・二%、工業用水は八七・二%といったぐあいに軒並みに大幅に落ち込んでおるわけですね。その他の公共事業でもひとり住宅関係費を除けば一%ないし三%前後の伸びにとどまっている。一方、沖繩県の金融経済に大きな役割りを担っている公庫の貸付資金を見ても、これまた住宅資金を除いたほかは全部前年度並みの資金計画に相なっておりますね。  こういう財政措置といいますか状況を見てみますと、五十三年下期ごろから五十四年にかけて、あるいは五十五年にかけて、沖繩経済にようやく若干の明るい兆しが見え始めておったのです。雇用の問題失業の面も過去の厳しい状態に比べればやや好転の傾向にあった。こういうやさきに、振興開発計画もいよいよ九年目に入って最も重要な時期に入っている段階では、少なくとも五十五年度の予算目標はもう少し考えてもよかったのじゃないかということを指摘をせざるを得ないと思うのですね。こういう面から考えますと、残り両二年度において所期の目標達成はもはや全く不可能になったと言っても言い過ぎでないと思いますが、これに対して一体開発庁はどのような御認識を持っておられるのか。鋭意努力をする、全力投球するということはしばしば大臣の決意にもありましたが、どうも残された期間内での達成というのは不可能に近くなっている。確かに国の財政事情の理由もありましょうし、いろいろあると思うのだが、政府自体も第一次のこの計画期間の目標達成はあきらめて、むしろ積み残しの事業は次期計画にのせればいいというお気持ちになっているのじゃないかという感さえせざるを得ないわけですね。この点どういうふうに考えてどう修復していかれようとするのか、ここらの点についてはひとつ長官の御見解もあわせてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  42. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 計画の目標達成についての見通しはどうかというお尋ねでございます。  先ほど公共施設につきまして若干申し上げましたように、公共施設の整備につきましてはおおむね順調に整備されつつあるものというふうに考えております。なお、公共施設の中でも、しさいに見ますと、本土水準を上回っておるものあるいは本土水準に到達しつつあるもの、なお今後の残された二年間という期間を考えまして格差是正が困難であろうかと思われるようなもの、いろいろございます。ただ、全体的には、先ほど申しましたように、施設の整備につきましてはおおむね順調に進んでおるのではなかろうか、私どもこのように考えておるわけでございます。  なお、計画目標は種々の目標を掲げてございますが、その主なるもので申し上げますと、人口等は計画で考えましたフレームを現時点におきましてすでにかなりオーバーをしておるという状況にございます。他方、失業率は、昨年以来かなり改善はされておりますけれども、現在においてかなり高い失業率を示しておるというような状況、あるいは産業構造の面で見てまいりますと、復帰当時の一次産業、二次産業、特に二次産業が非常にウエートが低く、三次産業に寄りかかっておるというような構造が現在もそのままに引き続いておる、あるいは県民の所得で見てまいりますと、目標といたしました八〇%に対しまして、現在約七〇%というような状況になっておりまして、今後、私どもといたしましては、残された二年間にこの目標の達成のための最大限の努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  たとえば、いま申しました一人当たりの県民所得を全国水準の八〇%に持ち上げるというようなことは、現在のように低成長経済に入っております日本の経済状況等を勘案いたしますとなかなか困難なのではなかろうか。ただ、その中で、私どもとしてはあと残された二年間に最大限の努力をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  43. 小渕恵三

    小渕国務大臣 振興計画も八年を経過したわけでございますので、それぞれの達成度もその期間の中で若干ばらつきのあることはやむを得ないことではないかというふうに考えております。しかし、いまも答弁がありましたように、残された二年間、その期間でぜひ目標達成のために全力を挙げていくということでございますが、同時に、それぞれの目標値に対しての達成度というものも検討していかなければならないということで、五十五年度予算の中には総合調査費というものも計上いたしまして、検討を始める予定に相なっておるわけでございますので、そうしたことで、いままでの実績を十分見通しながら、これから残された二年間がんばっていきたいというふうに思っておるわけでございます。  目標達成をすでにあきらめておるではないかという厳しい御見解ではございますが、政府としては、鋭意努力をいたして、二年間の中で目標達成のために全力を挙げていくというのがいまの姿勢でございます。
  44. 上原康助

    上原委員 あきらめてはいけないということを申し上げているわけです。私はいま若干、県経済を含めての問題点も指摘をして申し上げておりますので、なかなか先行きは厳しいと思いますよ。  これまた指摘するまでもないのですが、日銀の公定歩合は、たしか昨年の四月からでしたか、五次にわたって年九%に引き上げられておりますね。当然のことながら市中銀行の貸し出し金利も引き上げられて、民間企業にとっては、また経営状況が大変苦しくなってきている。これは沖繩だけに限らないでしょうが、特に離島県の場合は、問題はなお大きいですね。こういう金融状況に加えて、先ほど指摘をしましたように、公共工事の発注も減少ぎみ。一方、建設資材の高騰は著しい。全国的な物価の値上がりがいま大変な勢いでやってきている。ですから、建設業界は再び経営ピンチに追い込まれつつあるということを指摘しておきたいと思います。  すでに新聞などの報じているところあるいは実情を見ましても、こういう状況で、不渡りとか倒産の兆しが大きくあらわれ始めているというのが実態だ。特に中小零細、いわゆる中堅以下の建設業などに大きな影響を与え始めている。本来企業体質の脆弱なこれらの業界は、先行きが非常に不安だということで、いま早目に対策を講じなければいけないということをすでに提起をしているわけですね。加えて、五十五年度の開発庁予算、なかんずく公共事業が先ほど言いましたようにほとんど伸びていない。事業量は実質的に前年度を下回るということになりますと、これからどうなっていくかということ。  また、物価問題は、いま政府全体の大きな政治課題になっておるわけですが、総合物価対策の中で、総需要の管理という面から、五十五年度の公共事業は後倒しで臨むということにしておるようです。上期の契約率というもの、目標を非常に抑制しようという御方針のようですが、振興開発計画をいま具体的に進め、それを適用されている沖繩においてもそういう画一的なことでやられると、これは非常に問題が生じないか。たとえば、国の直轄事業の問題等については、やはり開発庁で少し工夫をして検討していただきたいと思うのです。これがそのまま推移をしていきますと、先ほども御指摘がありましたが、せっかく雇用あるいは経済環境が上向きの状況にあるのが、また失業の問題が非常に悪化をしていくということが懸念されるわけです。これは県の問題でもあると思うのですが、開発庁はこういう実情についての御認識はどのようにお持ちなのか、どう対策を講じていかれようとするのか。私はやはり早目に手を打つべきだという立場で申し上げているのですが、御見解を聞いておきたいと思います。
  45. 海原公輝

    ○海原政府委員 先生から、まず、上期の契約率についてどう考えるかというお話でございました。これにつきましては、先生の御質疑の中にございました三月十九日の物価関係の閣僚会議におきまして、公共事業の執行について言及されておりまして、これには「引続き、物価動向に細心の配慮を払うものとし、」「当面、抑制的な事業施行を図る」というふうになっております。そのくだりに、その執行の目標につきましては、現在お諮りしております五十五年度の予算が成立した暁にはなるべく早く別途定めるということになっております。したがいまして、いまそれがどういうふうになるかということはちょっとお答えできかねるわけでございます。  二番目に、沖繩の実態からいって上期についてどう対処していくのかということでございますが、いままでの沖繩県におきます公共事業の執行の状況を見てみますと、四月は繰り越し等の関係がありまして契約率は上がっておりますが、五、六、七、八というのは、どちらかと申しますと余りエンジンがかかってなくて、九月ごろから上がっているというのが偽らざるところでございます。したがいまして、自然体にしておきましても、上期の特に前半の段階におきましては促進がなかなかしがたい状況にはございますけれども、かたがた本年度から来年度への繰り越しというのも、いままだ確定的にはわかりませんが、ある程度の規模になるということもございますので、先生の御指摘の点も踏まえて執行の面において万全を期していきたい、こういうふうに考えております。
  46. 上原康助

    上原委員 そこらは、いろいろ県内の受注、発注あるいは受け入れの問題等もあると思いますが、余り上期あるいは下期に集中されないような全体的な調整といいますか整合というのはやるべきだと思うのです。  それと、もう一つは物価問題ですが、今度の予算修正の中でも、社公民の方でいろいろ要求を出して、約五百億の物価対策費というものが修正されている。これはもちろん全国ベースのものですが、これまでの総合物価対策という場合に、離島県というものは大変見放されている感を私は持たざるを得ないわけですね、ひがみっぽいかもしれませんが。ここは総合物価対策の中で、総務長官、これは大臣の御努力も大きく作用すると思うので、もっとやらなければいかないということを指摘しておきたいと思うのです。これは輸送コストがかかるということと、いろいろな面で悪影響を及ぼしつつある。海洋博の当時の二の舞をするといかないと思うのですね、もちろんあのときとは性格は違いますが。その点を改めて求めておきたいと思うのです。  次に、物価対策については、この点もあわせて後ほど御見解を聞きたいわけですが、さらに先ほど総務長官からもございましたが、たしか五十五年度の沖繩開発庁予算の中には振興開発総合調査費として一億五千万円が計上されております。これは振興開発計画の総点検その他の調査を行う目的でしょう。同時に、この国の調査費に対応して、沖繩県の予算にも、経常的調査費を除いて四億七千九百万円の調査費が計上されている。これは、内容はどういうところに重点を置かれようとするのかもお聞かせいただきたいわけです。  この調査費というのは、いずれ第二次振興開発計画の策定につながる前提でのものだと思うわけですね。これだけの調査費を計上して、しかも、この予算書を見てみますと、先ほどもございましたが、今年は沖繩振興開発総合調査費が一億五千万、これは前年度はゼロですね。前年度は沖繩振興開発計画調査費が六千三百万、今年はこの項はゼロになっている。ですから、総合調査ということになると、各省庁にまたがる総合調査の意味なのか、沖繩開発庁だけの調査のためなのか、どういうものを具体的に調査をなされようとするのかということ。  第二次振興開発計画を前提としてということになると、やはり第二次振興開発計画の目玉となる事業というものはいまごろから考えておかなければいかぬ問題だと思うのですね。この点はどういうふうにお考えなのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  47. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 総合調査費の内容等についてのお尋ねでございます。  先ほどお答え申しておりますように、現在の沖繩振興開発特別措置法及び沖繩振興開発計画の有効期限あるいは計画期間の終了までの期間はあと二年を残すのみとなっておるわけでございまして、沖繩振興開発の今後のあり方と申しましょうか、政府の施策のあり方等につきまして検討することが重要な課題となっておるわけでございます。このための検討に当たりましては、振興開発特別措置法あるいは振興開発計画、さらには沖繩の復帰特別措置法等、関連法律に基づいてこれまで実施されてきました施策とかあるいは事業のすべてについて、制度面及び実施面にわたってその実態と問題点を把握する必要があるものというふうに私ども考えております。  先生指摘の沖繩振興開発総合調査費、これはこのような考え方のもとに、これまで振興開発計画調査費におきましては、これは沖繩開発庁においてその調査実施してきたわけでございますが、今回の総合調査費につきましては、これは各省への移しかえを含めまして多面的、総合的な調査実施しようと考えておるわけでございます。  なお、具体的な調査内容につきましては現在検討をいたしておるところでございますが、沖繩振興開発特別措置法及び振興開発計画等に基づく施策、事業に関連する事項全般を対象にするということを現在考えておるわけでございます。  なお、県の調査費との関連につきましてのお尋ねでございますが、県におきまして、先生指摘のように約四億七、八千万円程度調査費を計上しておるというふうに私ども聞いておりますが、このうちの相当部分は、従前から県の各部局においてやっておりますいわゆる個別的な調査費というふうに承知しております。沖繩振興開発特別措置法及び振興開発計画の期限切れを控えた県独自の調査というものももちろん含まれておりますが、多くは従前からの個別的な調査の引き継ぎというふうに承知しております。ただ、いずれにいたしましても同種の調査実施されるわけでございますので、私どもといたしましては、この調査実施に当たりましては、できるだけ県とも打ち合わせをしながら効率的に実施したいものと考えておるところでございます。  それから、第二次振興開発計画等についてのお尋ねでございますが、先ほど来申しましたような考え方のもとで、現在その詳細な状況あるいは問題点等をこれから調査をしようという段階でございまして、その後の沖繩の振興開発のあり方等につきましては、これらの次期振興計画をどうするかとか、あるいは振興特措法をどうするかというような問題をも含めまして、そういった調査の上に判断をしていかなければならないもの、このように考えておるところでございます。
  48. 上原康助

    上原委員 まだ第二次振興計画の目玉を入れてのお考えがないようですが、しかし、いろいろ出ていますね。那覇空港整備の問題とか、言われている中城湾港開発の問題。この中城湾港開発の件でもたしか開発庁予算で一千万の調査費が五十五年度に計上されている。県には二千万たしか計上されていると思うのです。もちろん、沖繩県にこういった新港を開発するわけですから沖繩県が対応費がないということは言えないものですが、しかし、もともと国の直轄事業といいますか、そういう面でやろうということになると思うのだが、どうもそこらの関係がちょっと理解できない面があるということ。  同時に、これはこれだけの調査費を計上して、すでに前年度もなされているわけですから、五十六年度では着工といいますか、実施をしていくという前提のものなのか、こういうのを二次振の目玉としてお考えになっておられるのかという点。  あるいは六十二年度でしたか、国民体育大会、国体を沖繩で開催するということが決定を見ております。これは県議会でもいろいろ議論はあったようですが、その方向で進めたいということのようですから、このことについてとやかく言いませんが、しかし、国体というのは一種の国策ですね。そのことがもし二次振の目玉と考えるとするならば、私はやはり検討すべき面があると思うのですね。沖繩の地場産業なり沖繩の立地条件を生かした形でのものでないと、また、国策をもとにした国体優先の二次振になるといろいろなひずみが出てきて、再び海洋博の二の舞を演じる分野も出るかもしれません。そういうこととの関連はどうなっているのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  49. 海原公輝

    ○海原政府委員 中城湾の港湾調査費についてのお尋ねがございましたので、その部分について私から答弁さしていただきます。  この港湾調査費でございますが、これは従来、港湾管理者が港湾計画を策定するに当たって、港湾管理者がみずからやっていたものでございます。これは五十四年度から三分の一補助という制度が仕組まれたことで、たまたま私どもの方で中城湾の問題がございますので、それにのせたという仕組みになっております。本年度におきましては、合わせて三千万でございますが、それをもって具体的な岸壁だとか防波堤、泊地等を具体的にプロットしてみまして、それがどういう影響が生ずるかということを水理模型でやるということになっております。  今後の段取りでございますが、港湾計画を策定いたしまして、地方港湾審議並びに中央港湾審議会にかけなければなりません。その間に漁業者を含むいろいろ地元関係者等との調整もございます。したがいまして、これが来年度において先生おっしゃるような事業化につながるかどうかというのは、いましばらくその辺の推移を見きわめないと何とも申し上げかねる、こういうふうに考えているわけでございます。  以上でございます。
  50. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 先生からもう一点、国体を次期振興開発計画の目玉にするのかどうかというお尋ねがございましたが、次期振興開発計画をどうするかという点につきましては、先ほどお答えいたしましたように、私どもといたしましては、現在実施しております現状の分析あるいは課題の摘出ということの上に立って判断すべきものということでその調査を急いでおる段階でございますので、その点御了承をいただきたいと思います。  なお、国体につきましては、私どもの方からお答えするのはどうかというふうに思いますが、私どもとして承知しておりますのは、やはり地元の熱心な誘致によりまして六十二年開催が決定したというふうに聞いております。私どもといたしまして、沖繩県におきまして国体が開催されるということであれば、その関連施設の整備等につきましてやはり協力を十分していかなければいかぬのじゃなかろうか、このように考えておるところでございます。
  51. 上原康助

    上原委員 最後にまとめて総務長官の方からお答えいただきたいのですが、そういう振興開発計画の実態である、また国の財政状況もなかなか厳しい、その影響を受けて先ほどから指摘をしましたような問題があるわけですね。それを踏まえて、二次振はどうしていくかということをわれわれも含めて真剣に考えていかなければいかぬわけです。  さらに、これとの関連で、県の財政状況を見ましても、五十四年度の沖繩県の財政は、自主財源がわずかに一五%、正確には一四・七%で、八五%が依存財源によって運営されていますね。三割自治どころか一・五割自治。依存財源の四八%が国庫支出金ですよ。三〇%が地方交付金、県債、その他が七%という財政の構成になっている。  県財政のおよそ半分を占める国庫支出金は、復帰後は年率三〇%程度の高い水準で伸びてきましたが、五十五年度は先ほどから申し上げましたように、国の緊縮財政の余波を受けて二〇%程度の伸びに落ち込んでおる。その結果、県財政もこれまでにない七・一%という最低の伸び率を余儀なくされて、前年度の一七・七%の伸び率にははるかに及ばない。辛うじて国が示した地方財政計画七・三%の伸び率に歩調を合わせたかっこうにとまっているという現状ですね。ですから、地方財政は沖繩県だけに限りませんが、本来、国の経済成長や財政運営、財政支出のあり方に大きく左右される脆弱性を持っておるわけですが、とりわけ沖繩県の場合はその影響が大きいということが言えると思うのです。  こういう県財政状況を見ても、来年度以降もなお財政再建という名のもとに国庫支出金の大きな伸びは期待できない。さらに行政改革に伴う国の補助金が四分の一程度廃止をされていく。これは五十五年度から向こう四年間に約三千八百件の補助金の四分の一を廃止をするということが、たしか昨年の十二月二十九日の閣議でしたか、決定を見ておりますね。  こういうことになれば、全国的に画一的な行政改革をやろうとする場合は、復帰してまだ八年そこいら、九年目に入る。振興開発計画は、先ほど言いましたように、十年計画がとても目標達成できない状況下にある。こういうところも、まるまるとは言いませんが、考慮もなされずにそのままストレートに全国ペースで考えられるという場合は、ますますこれからの沖繩の県財政、県経済、振興開発のテンポというものに好影響はもたらしません。大きな重圧になっていく。これをどう打開をしていくかということも、二次振計の中、あるいは五十六年度以降の財政措置をどうするかということでお考えにならなければいかぬと思うのです。ここいらの点については総務長官なり開発庁は一体どうお考えなのか。  また、行政改革に伴う補助金問題等についても、振興開発特別措置法に基づいてせっかく本土との格差是正の諸施策が進められているという観点からしますと、ある程度のといいますか、それ相当の適用除外面というものも行政管理庁なり他省庁とも相談をしてやっていただかなければいかない問題だと思うのですが、今日までの政府全体の行政改革なりいろいろな面を見てみますと、どうもそこいらが欠落をしている感じを受けざるを得ません。こういう点についてどのように処置をしていかれようとするのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  52. 小渕恵三

    小渕国務大臣 行政改革あるいは補助金の整理というのは、現下大平内閣の最大の課題でございます。したがいまして、その方向性については、私といたしましても十分心得て対処いたしておるところでございます。しかし、沖繩開発庁長官として沖繩の状況考えますと、御指摘にありましたように、いまなお本土他府県との格差是正につきましては必ずしも目標値を達成しておらない状況もあるわけでございます。したがいまして、沖繩の置かれました特別な状況というものを十分熟知をいたしまして、その立場理解の上で対処いたしまして、政府の基本的な方向と整合性を十分とる形の中で沖繩の立場を強調いたしていきたいというふうに考えております。  なお、二次振計につきましては、今日のこの段階におきましてそういうことを実行するということは明言できるわけではありませんので、その目玉と言われましてもお答えをするすべがありませんけれども、しかし、先刻来御答弁申し上げておりますように、いままでの振興計画、これを十分達成する努力を図ると同時に、見直し等もいたしまして、必要とありますればその二次振計について努力をする、その前提での調査というものもやっていかなければなりませんし、それはとりもなおさず、申し上げたように沖繩の状況というものを十分心得ていかなければならないことは言うまでもないことだと存じております。
  53. 上原康助

    上原委員 これで大体終えますが、もちろんこれはいまの国内の政治、経済、財政状況からして、沖繩だけ特別にというわけにもいかない面もあるいはあるかもしれません。しかし、われわれが考えてみて、やはり基地問題その他含めて、沖繩離れというのは否めない面があると思うのですね。それではいかぬと思うのですよ。ハードな面は、先ほど来ありましたように何とかですが、ソフトウエアのところは、まだまだこれからということですね、県民生活と密接にかかわっている福祉問題その他の件につきましても。ですから、そういう面で、大体いつごろまでに見直しの分析をして、具体的に県なり政府全体のこの作業というものが進んでいくのか、大体の見通しはどのように進むのか、そこいらをちょっとお聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思うのです。
  54. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 今後の見直し作業についての具体的なスケジュールというお尋ねでございます。もちろん現在の振興開発計画、それから沖繩振興開発特別措置法の有効期限、あと二年ということでございます。それ以前に必要があれば必要な措置をとらなければいかぬという形でございますので、私どもといたしましては、先ほど来申しました調査を五十五年度早々にでも発足をさせまして、その実態の分析に入りたいというふうに考えておるところでございます。その後につきましては、その調査結果をもとにいたしまして、必要があれば特措法の内容等についての検討も行っていくという形になろうかと思います。
  55. 上原康助

    上原委員 これで終わりますが、ぜひさっき指摘をしましたようなことを踏まえて、十分県民の期待にもこたえられるように特段の御努力をお願いしたいということを申し上げ、さらにきょう、前段で指摘をしました恩給法改正問題についても、さらなる関係者要望にこたえていただきたい、また、落ちこぼれの問題については誠意をもって、対処できるところは対処していただきたいということを重ねて御要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  56. 木野晴夫

    木野委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  57. 木野晴夫

    木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。逢沢英雄君。
  58. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 恩給改善につきましては、最低保障の引き上げであるとか加算減算率の改正であるとかというようなこと等で、ここ数年漸次改善がなされつつありますることはまことに結構と思います。しかし、先ほども話がありましたように、まだまだバランスのとれてない問題、問題のあるところがいろいろあるようであります。  以下順次お尋ねをいたしたいと思いますが、今回の改正につきましてその概要をまずお尋ね申し上げたいと思っておりましたが、さきの上原さんの方から同じお話がありましたので、省略をいたしまして次に移りたいと思います。  これもさっき話があったところでありますが、恩給改正につきまして、あるものは四月一日から改正がなされる、あるものは六月一日から、あるものは八月一日から、あるものは十月一日から、あるものは十二月一日から、調べてみるとそのような実情になっております。たまたまきょうは四月一日ということなのだけれども、国家公務員給与にいたしましても、基準はやはり四月一日だ。民間のいろいろな団体におきましても四月一日が一つの基準になっておる。そういう考え方からすれば、いろいろ理由があるのでしょう、わからぬでもないけれども、できるだけ時期を統一するということが望ましいというふうに思いますので、ここら辺の政府側のお考えをもう一遍ひとつお聞きしておきたいというふうに思います。
  59. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 ただいま先生から御指摘ありましたように、確かに四月、六月、八月、十月、十二月というような五段発射といいますか、こういう方式でやっておるわけでございます。私どもといたしましても、事務的にもできれば統一したところで出発したいというように考えておるわけでございますが、先生承知のように、何分にも財政事情がきわめて厳しい折からでございまして、内容も盛る、実施時期も早めるという両方を満足させるということがなかなかできかねておるような状態で、非常に残念に思っておるわけでございます。  しかし、受給者側に言わせれば、若干おくれても実をとりたいというような声もございますし、ましてや一カ月早めるということは相当の金額が必要になるような事情もありますので、内容を手厚くするということから実施時期を若干おくらせて財源的な措置をする、こういうことになっておるわけでございまして、できますればなるべく統一した時期に実施したいというのが、私ども事務屋の希望でもあるわけでございますが、いかんせんそういう事情でございますので、御了解いただきたいと思います。
  60. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 政府側のお話もわかります。これもさっき指摘がありましたが、恩給の場合、前の年の国家公務員給与改定を基準として次の年にいろいろなものを決めておる。要するに一年おくれと言っておりますが、そういう事情もありますので、いま申されたようなことどもも含めてできるだけ支給時期を四月一日、年度がわりに統一をするという方向に持っていっていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいと思うのです。そうやっていっても一年おくれだ。一年おくれについてもいろいろ議論があるところでございましょうけれども、そうやっていっても一年おくれだということであります。附帯決議にも過去何年間かにわたってこの問題は指摘がなされております。  次に、いまの恩給制度の中に最低保障というものがあります。この最低保障という制度考え方、それからこの制度がいつごろから始まったものか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  61. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 先生承知のように、恩給年額の計算でございますが、これは最終の俸給と勤務した年数、これによって計算されるわけでございます。したがいまして、俸給のきわめて低い人あるいは勤務年限の短い方、こういった方についてはかなり低額の年金になるわけでございます。ただ恩給というのは、国に忠実に長年お勤めになられた方の生活の一つの支えにするという趣旨もございますので、余り低い恩給年額、これについてはある程度の額を考えるべきではないかということで、特に老齢者の方あるいは妻子、そういった方については最低保障額というのを決めまして一定額を保障するという制度をとったわけでございまして、これは昭和四十一年から発足しております。  それでその後、逐次他の公的年金等の横並び考えながら改善してまいったわけでございまして、今回の改善におきましては、先ほど話に出ましたように、ベースアップについては三・四%プラス三千二百円という改善率でございますが、最低保障につきましては八%を超える改善を行っておるわけでございまして、また、扶助料の最低保障につきましても寡婦加算等の増額を含めて相当大幅の改善をしておるわけでございます。  それで、この最低保障の適用範囲と申しますか、大体現在七十四万人適用人員がございまして、カバレージとしましては全体の四〇%を超える状況でございます。もちろん、長期と短期がございますが、御存じのように実在職年が恩給年限以上の方とそれ以下の方がございまして、長期につきましては大体四〇%くらいでございますが、短期につきましてはもう八〇%を超えるカバレージを持っておるわけでございまして、これの改善というのが相当大きな意味合いを持ってくるのではないかと考えておるわけでございます。
  62. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 次に、扶助料についてお伺いをしたいと思います。  原則として二分の一ということのようです。しかし、加算だとか加給だとかいったようなことで実質的には二分の一が幾らかオーバーしているような場合もあるようですが、原則として二分の一ということです。これも附帯決議に前々から出ておりますが、二分の一を何とか五五%あるいは六〇%にするわけにいかぬかという議論なのですが、よその国でこういう制度を採用しておる国の例があれば、その実例を示していただきたいと思います。
  63. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 私どもは余り外国のことも十分には承知しておりませんが、と申しますのは、外国でもやはり妻一人の場合あるいは子供がある場合、いろいろ条件によって大分違うようでして、それを何%というのが適当かちょっとわかりませんが、仮に妻だけ一人の場合を例にとりますと、一番高いところで西ドイツが六〇%、アメリカが五五%、それからイギリス、フランスあたりは五〇%、二分の一というような状況になっておるわけでございます。
  64. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 この扶助料の率の引き上げということに非常に関心を持っておられる方がずいぶんたくさんおられますので、この問題の前進にぜひ力を尽くしていただきたいということを強く政府側に要望しておきたいと思います。  そこで、戦後処理の問題につきましてお尋ねを申し上げたいのですが、先ほど公務扶助料等々の改善というようなことで、ここ四、五年の間改善がなされております。しかし、戦争に召集されて戦地へ行った、不幸にして戦死をした、そういう方々に対して遺族の家庭に公務扶助料支給される。最近公務員の人々が公務事故、公務災害によりまして不幸にして殉職をされるといったようなときに支給されておる金額、まちまちでありますけれども、相当な金額になっておるケースもあるようであります。そういうものに比べて現在の公務扶助料支給金額、いろいろと考えさせられる問題が多いわけなんです。  ある人の調査によりますと、戦没遺家族の公務扶助料昭和二十七年か昭和二十八年に新しく発足して毎年国から支給される金額を合計したら、昨年の十二月末日まででその総累計金額が五百四十五万円だというような計算をせられておる人もおります。むろん経済価値が、二十年も二十五年も前ではずいぶん違うわけですから、こういう金額は決して合理的というかこれを基準にするということもできがたいのでありますけれども、それにしても昭和二十七、八年ごろから去年の暮れまでの国家補償が、その総合計が五百四十五万だということを考えると、常識的に考えてそんなものかなという感じがするわけなんです。むろん経済価値が違うのですからそこのところは非常に問題があると思います。  あわせて、昭和二十年の終戦のときから七、八年は遺族の人はほっておかれておる。国は何にもしてあげてない。しかも重要なことは、公務扶助料の対象者というのが非常に少なくなっていきつつある。総理府からいただいた書類、去年の分とことしの分と調べてみても、公務扶助料受給者総人数が、去年の場合が六十七万人、この間暮れにいただいた書類のそれが六十三万七千人ということですから、それだけで見ても一年間に三万三千人から受給者が減っておられるということであります。そうなりますと、たとえば三万三千人を仮に三百六十五日で割ってみるとすれば一日当たり九十人ぐらい減っておる。一日九十人ということは一時間にすれば四人弱減りつつある。そうしますと、一時間に四人ということは十五分間に一人減りつつある、こういう計算になるわけなんです。  ですから、私がいまここでこういうふうに言っております最中にも、息子さんを戦争で亡くされたたとえば老父母の人々、先行き非常に短いというような人が現実にこの時点にでもおられるということであります。そうであるならば、やはり作業を急がなければいけないということになってまいります。後のことは心配するなと言って送り出しておるわけですから、ほかの社会保障とか国家補償とかいうのとはまた意味合いが違うわけで、これは非常に特殊なケースなんですから、特殊なケースであれば特殊なケースにふさわしいような処置がなされなければ、後のことは心配するなと言ったのがうそになるということでありますので、その辺はひとつ総理府の方も十分に意を用いていただきまして、戦没者の人々に礼を失しないように、その遺家族の方々に十分な配慮をひとつお願い申し上げたいというふうに思うのです。  その辺につきまして、副長官のひとつお考えを伺いたいと思います。
  65. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 ただいま先生が申されましたように、この公務扶助料受給者は、一身を犠牲にして国のために殉ぜられた方々の遺族であるわけであります。しかもそのほとんどが老齢者や妻子という、国の手厚い保護を必要とする方々ばかりであります。したがって、公務扶助料の増額につきましては、従来から恩給改善における最重点項目として優先的に取り上げてきておるところでありますが、残念ながらいま先生が言われたような状況であるわけであります。  五十五年度におきましては、かねてからの強い要望であります月額十万円を直ちに実現することは諸般の実情から不可能であったわけでありますけれども、現在の月額八万二千五百円をできるだけ引き上げることが必要であるとの考え方から、公務扶助料最低保障額を、遺族加算を含め、五十五年六月から月額一万二千円引き上げて九万四千五百円とすることとしたものであります。  しかしながら、この遺族の方々の置かれておる立場等を考慮すれば、十分先生の言われることは理解するところでありますし、また御指摘の次第も十分理解するところでありますから、次年度におきましてはできるだけ前向きに、先生の御意思に沿ってひとつ努力するようにしなければならない、こういうふうに思うわけであります。
  66. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 ぜひそういうことで前に進んでいただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。  次に、いわゆる傷痍軍人の方々に対する処遇改善も漸次充実をしております。喜びにたえないところであります。しかし、深く考えて調べてまいってきますと、いろいろと腑に落ちないような問題も残っております。たとえば、増加非公死扶助料と傷病者遺族特別年金、これの今度の改善数字をながめてみましてどうも腑に落ちないように思うのですが、これについてひとつ御説明をお願いいたしたいと思います。
  67. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 ただいま御指摘の、増加非公死扶助料と傷病者遺族特別年金、これの差が余りにも大きいのではないかという御質問かと思います。  増加非公死扶助料と申しますのは、増加恩給を受けていた方の遺族に対する年金でございます。この増加恩給と申しますのは、御承知のように非常に症度の重い方、私どもこれを項症と呼んでおりますが、特別項症から七項症まであるわけでございますが、非常に症度の重い方々については普通恩給が併給されておるわけでございます。普通恩給と増加恩給とが併給されておるということになっておりまして、したがいまして、その遺族に対しては当然といいますか、戦前からずっと扶助料として出ておったわけでございます。  ところが、傷病者遺族特別年金と申しますのは、症度の比較的軽い方、私どもこれを款症と呼んでおりますが、一款症から四款症まであるわけでございますが、こういった方々が公務の傷病によらないで平病死された、普通の病気で亡くなられたという場合に給付しておるわけでございますが、これは戦前にはなかった制度でございまして、昭和五十一年に初めて設けられた制度でございます。  この傷病者遺族特別年金を設けた趣旨でございますが、これは少ないながらも、款症という非常に軽い症状ではあっても、恩給を受けておられた方々が亡くなられて、いきなり年金がなくなってしまうということでは余りにもお気の毒ではないかということで、年金として一定額を差し上げるというような形で発足したわけでございまして、五十一年発足当時は年額十万円ということで、まあお灯明料といいますか、線香代といいますか、そういった感じの金額であったかと思います。しかし、これも増加非公死扶助料等の改善に合わせまして毎年改善を続けてまいりまして、今回は十八万二千九百円、ここ四年、五年ぐらいの間に八十何%の改善ということになっておるわけでございまして、これをさらに改善すべきかどうかということにつきましては、他の恩給、年金との横並びもございますので、慎重に検討すべき問題ではないか、このように考えておるわけでございます。
  68. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 御答弁はわかりますが、余りにも格差が大きいような感じがいたしますので、ひとつ部内におきましてよく検討して処置をしていただきたいということを重ねて要望いたします。  次に、この問題もさっき上原さんから指摘がされておりましたが、われわれの側では未処遇という言葉を使っておるのですが、われわれの方にもいろんな団体の人々から、こういう問題はどうにかならぬかとか、こういう問題がまだ残っているんだけれども、われわれ非常につらい目をしているんだとかいったような、いわゆる終戦当時あるいは戦後処理に関する問題でずいぶん注文、苦情を聞くわけなんですが、いま総理府恩給局でつかんでおる、そういう残された問題、どういう種類の問題が一体どれくらいの件数あるのか、もしわかればひとつどなたか御答弁いただきたいと思います。
  69. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 これも先ほど上原先生にもお答え申し上げたのですが、通算制度でございますが、恩給に通算しておるような特殊法人、特殊機関、外国政府、こういったものにつきましては戦前、中国あるいは満州等にそういった団体が百以上あったというように聞いておるわけでございます。そのうち現在処置しておりますのが二十二でございます。したがいまして、あと八十幾つかは残っておるのだろうと思いますが、そのうち私どもの方へ直接いろいろな形の要求あるいは陳情といったようなことで参っておりますのが、ざっと数えて十五くらいあるかと思います。先生方のところへもいろいろな陳情があるかと思います。  ただ、私どもとしましては、この二十二を選び出した基準が、単にその業務の内容が恩給公務員のやっておったような仕事と非常に類似しておるということだけで決めておるわけではございませんで、やはりいろいろ人事交流とか、その法人の性格とか、こういったものを勘案しながら決めていったわけでございますので、私どもとしましては、未処理というような観念よりは、もう十分検討した上で決めたのだというように感じておるわけでございますので、残りの法人等につきましてさらに検討していくというようなことはむずかしい問題ではないか、このように考えておるわけでございます。
  70. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 お話はわかります。わかりますが、本当に気の毒な人、困っている人、谷間の人、こういう人に対しましてはぜひひとつ温かい手を差し伸べるという姿勢で、そうした残された問題の処理、解決のために一層の御配慮をこの際お願いをしたいと思います。  先年、日赤看護婦さんに対しまして処理がなされた。この問題もさっき上原さんの方から出ておりましたが、あの日赤看護婦さんの処理、どういう作業をどういうふうにやっておるかということについて改めてひとつお尋ねをしたいと思います。どなたでも結構ですから。
  71. 関通彰

    ○関(通)政府委員 日本赤十字の従軍看護婦さんに対します慰労金は、御存じのように五十四年度から実施したわけでございますが、五十四年度は総額で八千七百万円総理府に計上いたしまして、これを日赤本社補助金で交付いたしまして、日赤本社が各看護婦さんに支給をいたしております。具体的には、昨年の十二月に書類等が全部整いました約千四十人の方々慰労金をお支払いいたしております。先生御存じのように平均約十三万円程度でございますが、その支給が行われております。五十五年度につきましては、すでに予算の中に一億三千万円の予算を計上いたしまして、五十四年度と同様に日赤本社から支給をいたす、かようなことにいたしております。
  72. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 そうなりますと、さっきの話で、やはり陸海軍の方の看護婦さんの問題が当然ごく自然に出てくるということなんです。これに対しても、これは厚生省ですか、何か手だてをするというように聞いておりますが、陸海軍従軍看護婦さんに対する手だての内容について御説明をいただきたいと思います。
  73. 森山喜久雄

    森山説明員 旧陸海軍看護婦さんの問題でございますけれども、この方々のいろいろな資料というものが国にも都道府県にもございませんので、今年度厚生省実態調査をやるということで、予算の中に千七百万円計上してございます。具体的方法につきましては目下鋭意検討中でございますけれども、基本的に申し上げますと、こういった元看護婦さんの方々に対しまして調査票をお配りいたしまして、それに必要な事項を記載していただきまして、もちろん都道府県を通じてやるわけでございますけれども、これを回収いたしまして厚生省で必要な集計を行うということでございます。  調査の内容でございますけれども、中心となりますのは、こういった方々戦地勤務などを中心といたしました外地における履歴でございます。それと、そういった履歴を裏づける資料か何かをお持ちかどうかということが調査の中心になると思います。この調査は今年度なるべく早く実施をいたしたいというふうに考えております。
  74. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 ぜひひとつ詳しく調査をしていただきまして処置が適正にできまするように要望いたします。  次に、略して軍歴通算とわれわれの方では言うておりますが、何か軍隊に行っておられた人が終戦になった、引き揚げてきた、官公庁に勤めた、そういう人の場合軍隊におった期間が通算をされることになっておるのだという話を聞くのですが、そこはどうなっておりますか、御説明をいただきたいと思います。
  75. 小熊鐵雄

    小熊政府委員 恩給制度と申しますのは大正十二年、もっとさかのぼれば明治からずっとあったわけでございますが、大正十二年に恩給法ができまして、いわゆる官吏あるいは旧軍人等について、これを対象として支給してまいったわけでございますが、昭和三十四年になりまして、もっとも三公社の場合はもっと早いわけでございますが、公務員の共済制度ができましてから、この共済制度に全部乗り移ったわけでございます。恩給の場合は、雇用人というものは含まずに、いわゆる判任官以上の官吏についてその対象としておったわけでございますが、そういった差を全部なくして、公務員全般について共済制度というものができて恩給はなくなってしまったわけでございます。その際、その恩給制度のなくなった人はほっておくわけにまいりませんので、共済制度にそのまま引き継いだわけでございます。したがって、官吏ばかりという話のようでございましたが、必ずしもそういう一方的なあれではなくて、やはりそれまで恩給を受ける権利を持っておられた方を捨て去るわけにいかないということで共済制度に引き継いでいったわけでございます。  なお、旧恩給制度におきましてもいわゆる文官といいますか官吏の方と、それからその方が軍隊に行かれたという場合、これは交互の通算はずっと昔からやっておったわけでございまして、つい最近になって軍人だけをその共済に引き継ぐというような制度ではないわけでございます。そういうような経過を経まして現在共済制度に引き継ぐという形になっておるわけでございます。
  76. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 その説明もわかりますが、そういうことに該当できた人はいいけれども、たくさんの人が軍隊に行っておられた、引き揚げられた、会社へ勤めるとか団体に勤められるというようようなことになっていくわけでしょうが、そこで官公庁に勤められた人はいまの話でよろしいわい、ところが会社に勤められた人、いろいろな団体に行かれた人はお役人さんはそういうことになっておるのかというような問題が当然に発生してくると思います。むずかしいところと思いますけれども、いまのこの問題についてそういう差があるということについて、政府側はどのようにお考えになられますか。お伺いしたいと思います。
  77. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 ただいまの短期軍歴者の方々の問題につきましては、御指摘のようにかねてから種々御議論のあるところでありまして、政府部内でも検討を重ねたところでありますけれども、いずれにしても大変むずかしいいろいろな問題があるという認識に立っておるわけであります。  このような状況にかんがみまして、総務長官としては、この問題について権威ある学識経験者の御意見を聞いてみたいという御意向であるわけでありまして、今後各省庁とも御相談の上、恩給、年金、共済とも関係があるわけでありますから、この問題についてまさに適当な民間の方々等に十分御意見を総務長官個人としてお聞きをしたいという考えを持っておられるところであります。
  78. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 よく研究をして考えていただきたいということであります。  次に、厚生省にお伺いしたいのでありますが、五十五年度から、いままで実現できなかった旧満州地区に対する慰霊団と申しますか墓参団の派遣が可能になったというふうに聞いておりますが、その概略について御説明いただきたいと思います。
  79. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  去る三月十八日に日中双方におきまして慰霊巡拝の概要について共同発表をいたしたわけでございますが、概要は、まず巡拝団の名称は東北地区死没者遺族友好訪中団ということに相なっております。団の編成は六十名とし、団長は厚生大臣とする。この六十名のうち遺族代表は五十一名でございます。日程は、四月三十日から五月九日までの十日間とする。東北地区において巡拝いたします場所は、瀋陽、長春、ハルピン、この三カ所でございます。  なお、追悼式は、到着いたしました四月三十日、日本大使館内において合同追悼式を行うほか、東北地区の瀋陽、長春、ハルピンにおいてそれぞれ中国側が同意した施設内において現地の追悼式を行うことと相なっております。  なお、その他の具体的な行動につきましては、今月の八日先遣隊を派遣いたしまして現地の政府と詳細を打ち合わせる、こういうことに相なっております。  以上でございます。
  80. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 よくわかりました。  恩給問題を調べておりますと年金と連動いたしておりますので、せっかくの機会ですので厚生省の方にちょっとお伺いしたいのですが、援護施策の中に特別弔慰金というのがあるのですが、この特別弔慰金とは何ぞや、その性格についてお尋ねをしたいと思います。
  81. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  援護法あるいは恩給法遺族年金支給をされているわけでございますが、遺族年金あるいは公務扶助料をもらっておられる方が死亡等で失権された後、戦没者の御位牌を他の親族の方がお守りいただいている、こういう実情があるわけでございまして、戦後二十年たった四十年に、いわゆる二十周年としてそれらの戦没者の御位牌をお守りいただいている方に、そういう区切りに着目して特別の弔意を表したらどうだろうかということが関係の向きから強く要請されまして、それにこたえて創設したものでございます。なお、御承知のとおり二十周年、三十周年という区切り目にそういう特別の弔意を表している、こういう性格のものでございます。
  82. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 よくわかりました。戦死した人のお位牌をお祭りしておる遺族の人に支給がなされる、かようなことです。  それで支給の範囲ですが、調べてみますと、きょうだい、おじさん、おばさん、おい、めい、いわゆる三親等というのですか、そこまでのようですが、そうですか。
  83. 水田努

    ○水田説明員 三親等内で、先生の御指摘のとおりでございます。
  84. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 実際には三親等以外の人で戦死した人のお位牌をお祭りしている遺家族家庭があるのです。この間も田舎に帰ってその話が出ました。気の毒で見ておれないというふうにはたの人も言うておられるのですが、先ほど説明によりますと、戦死した人のお位牌を残った人が、周りの人が守り、そして祭っておられるということであるならば、いまの三親等という制限を広げていただいて、たとえばいとこがお位牌をお祭りしておるというようなところにまで範囲を拡大していただきたいと思うのです。現実にこういう遺族家庭があるわけで、数はそんなにたくさんないと思いますけれども、現実にあるので、もう戦争が済んで三十五年にもなるわけですから、そういう問題はひとつできるだけ処置をしてほしいというふうにわれわれ思いますが、その辺に対する御見解をひとつお伺いしたいと思います。
  85. 水田努

    ○水田説明員 先ほど先生から特別弔慰金の性格を聞かれましたので、主として着目した背景、バックグラウンドをお答え申し上げたつもりでございまして、私ども特別弔慰金を支給するに当たりまして、現実にお位牌を守っておられるかどうかということを事実行為として確認することは実はいたしていないわけでございまして、そういう具体的な法定要件になっていないわけでございまして、それはあくまでも一つのバックグラウンドというふうに御理解を願いたいと思います。  わが国は御承知のとおり仏教国でございまして、国が特別の弔意を表する、表さないにかかわらず、やはり亡き人のお弔いは何らかの形で血縁関係のある者がお守りをしていくという慣習があるわけでございます。特に現在支給しております特別弔慰金につきましては、遺族年金支給範囲よりも拡大しまして、兄弟、姉妹あるいはおじ、おば、おい、めいというところまで、いわゆる公的な給付としては目いっぱい拡大をいたしておりますので、これ以上拡大してまいることはやはり公的な性格を持つ制度の範疇、他の権衡等考えて無理があるのではないか、このように考えている次第でございます。
  86. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いまの支給範囲の問題、重ねてひとつ部内で御検討いただきたいことを要望いたしておきますと同時に、その金額の二万円、これにつきましても、お墓の維持管理あるいはお盆の行事あるいは春、秋のお彼岸の行事等々では年額二万円はもう右から左だ、もう少しこれを念の入ったことにしてもらいたいという要望もございます。さきの範囲の拡大と同時に、この二万円という金額についてももう少し増額がなされないものかという希望ですので、この二万円の増額の問題についても部内でひとつ御検討、お考えをいただきたいことを重ねてお願いをしておきたいと思います。  いろいろ申し上げましたけれども、戦争が済んで三十五年、まだ申しましたようないろいろな問題が残っております。われわれの方にもいろいろな人から、こういう問題は何とかならぬか、ああいう問題は非常に気の毒だから何とかしてあげてほしいというようなことが三十何年たったいまでもまだたくさん来るような状況であります。いろいろな問題を申し上げましたけれども、戦争にまつわる問題は特殊なことということで、ぜひひとつ格別の善処方を重ねて希望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。失礼しました。
  87. 木野晴夫

    木野委員長 次回は、来る八日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十七分散会