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貝沼委員 それじゃ、現在の
法律で恐らく十分だという考えなんでしょうから、二、三の例を挙げてみたいと思います。
たとえば病院なら病院は研究並びに医療の両方使っておるわけです。そうすると、医療法それから
障害防止法、両方かかってくるわけですね。こういうような現場で困っておる問題を一つ挙げてみますと、放射線の治療をやる場合は、特別の病室を設けなければならないようになっておるわけですが、病室を設けると、当然そこには看護婦の配置というのが出てくる。ところが看護婦さんは、そういう特別な、しかも放射線の多い部屋につくのがいやだということで、なかなかいないのだそうです。したがって病院では、特別病室というものがあるにもかかわらず、実際は
使用することができない状態になっておる。それならば放射線の治療は一体どこでやっておるのかということがまずあると思いますね。さらに、その病室自体についても、今度は
放射性同位元素を使う以上、部屋の換気をしなければなりません。ところが換気をする場合に、
放射性物質によるガス等のある可能性があるので、換気扇にはフィルターをつけて換気しなさい、戸などをあけてはいけません、こういうふうに
障害防止法ではなっておる。ところが医療法からいけば、当然、特別な病室ではあるが、病室であることには変わりはない、したがって窓をあけなさい、こういうふうになっておる。その場合に、一体どっちを守ったらいいのか。片一方は窓をあけちゃいけません、片一方は窓をあけなさい、そういうふうに合わないことが実はまだまだある。
もっと申し上げましょうか。たとえば人体に
放射性物質を注射する、そうすると、人間から排泄されるものがあるわけですね。そして便所へ行く、その便所だって、そこには
放射性物質が出てくるわけでありますから、特別にためておいて処理しなければ本当はいけないはずなんですが、果たしてそうなっておるかどうか、そんなことができるのかどうかというような問題で、いま申し上げたのは、医療法とこの
障害防止法の
関係で申し上げたわけでありますが、こういうことがずいぶんあるわけでありまして、現場は非常に困っておる。
たとえば許認可の問題にいたしましても、臨床用の医療
機関だけを考えてみても、
放射線発生装置、高エネルギーの場合、この場合は科技庁の
防止法の法三条、規則四条による
許可、それから厚生省の医療法七条による
許可、両方の
許可をとらなければいけないとか、あるいは放射線照射装置などについても両方ですね。それから放射線照射器具になりますと、やはり両方ですね。
それから、
放射性同位元素になると分かれてくるわけで、これは厚生省だけです。もちろん、これは臨床用医療
機関、こうなっておりますから、医薬品という考えになってくるのだろうと思うのです。ところがこの医薬品も、あるいはエックス線装置もそういう
考え方です。それから研究用、
教育用の問題については、これはもう当然、科技庁
関係になるわけですけれ
ども、ただその場合に、これは文章としてはよくわかるのですが、たとえば一つの
同位元素を持ってきて、それを治療に使う、あるいは研究に使う、その
段階で分かれるわけですね、分かれるけれ
ども、大学病院あたりで治療するのは、研究になるのかならないのかという判断がありませんね。
たとえば、大学病院で使ったことをもとにして研究論文を発表した場合は研究ですね。しかも先日私は、国立の病院等で生活保護世帯は医療扶助を受ける資格があるということで、たとえば東大を初めとする旧帝国大学系の付属病院においては、これをちゃんと実施しなさいという質問をいたしました。そのときに文部省の話では、大学病院というのは、研究とかそういうものが主体であって、治療が直接の目的ではないということで蹴る姿勢があった。しかし、それならばほかの大学でいま実施しておるところは研究していないのかという話になりまして、最終的にはことしから、生活保護世帯に対する医療扶助を認める方向でいよいよやるそうでありますけれ
ども、そういうぐあいに医薬品となるのか研究用であるのかということは非常に判断がしにくい。使う
段階で判断がしにくい、また使った
段階でも判断がしにくい。まして、そこから出てきた
廃棄物については、なおさらわからない、こういう状態になっているわけです。したがって、法的には縦割りでもって、これは研究用だから、これは何だからと言って縦分けした
法律ができておっても、現場では非常に困る。したがって、そういう二つの
法律を調整していただかなければ困るという声が実は現場の声なんであります。そこで私は、
先ほどああいう質問をしたわけでございますが、こういうことについて当局はどういう考えを持っておりますか。