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1978-11-21 第85回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月二十一日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 葉梨 信行君 理事 馬場猪太郎君    理事 原   茂君 理事 林  孝矩君       玉生 孝久君    津島 雄二君       西田  司君    野田 卯一君       小川 国彦君    高田 富之君       石田幸四郎君    春田 重昭君       安藤  巖君    山口 敏夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  委員外出席者         内閣法制局第一         部長      茂串  俊君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         厚生省社会局庶         務課長     吉江 恵昭君         農林水産省食品         流通局商業課長 宇賀神治夫君         通商産業大臣官         房長      藤原 一郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業大臣官         房会計課長   安田 佳三君         通商産業省通商         政策局長    宮本 四郎君         通商産業省産業         政策局商務・サ         ービス産業室長 細川  恒君         通商産業省機械         情報産業局車両         課長      堀田 俊彦君         通商産業省生活         産業局長    栗原 昭平君         工業技術院長  石坂 誠一君         工業技術院総務         部長      服部 典徳君         工業技術院標準         部長      松村 克之君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         資源エネルギー         庁石油部長   神谷 和男君         中小企業庁次長 宗像 善俊君         消防庁予防救急         課長      中島 忠能君         会計検査院長  知野 虎雄君         会計検査院検査         官       鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局第四局長  岡峯佐一郎君         中小企業金融公         庫総裁     渡辺 佳英君         中小企業信用保         険公庫総裁   小山 雄二君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 十月十八日  辞任         補欠選任   津島 雄二君     鹿野 道彦君   西田  司君     粕谷  茂君   春田 重昭君     新井 彬之君 同日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     津島 雄二君   粕谷  茂君     西田  司君   新井 彬之君     春田 重昭君 同月十九日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   加地  和君     山口 敏夫君 同月二十日  辞任         補欠選任   津島 雄二君     原 健三郎君   春田 重昭君     西中  清君   安藤  巖君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     津島 雄二君   西中  清君     春田 重昭君   不破 哲三君     安藤  巖君 十一月十日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     安藤  巖君 同月二十一日  辞任         補欠選任   天野 光晴君     玉生 孝久君   村山 喜一君     小川 国彦君   春田 重昭君     石田幸四郎君 同日  辞任         補欠選任   玉生 孝久君     天野 光晴君   小川 国彦君     村山 喜一君   石田幸四郎君     春田 重昭君     ————————————— 十月二十日  一、昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算    昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算    昭和五十一年度国税収納金整理資金受払    計算書    昭和五十一年度政府関係機関決算書  二、昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総    計算書  三、昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計    算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産増減及び現況に関する件  六、政府関係機関経理に関する件  七、国が資本金を出資している法人会計に関    する件  八、国又は公社が直接又は間接に補助金、奨励    金、助成金等を交付し又は貸付金損失補    償等の財政援助を与えているものの会計に    関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十一年度政府関係機関決算書  昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書  (通商産業省所管中小企業金融公庫中小企  業信用保険公庫)      ————◇—————
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  この際、会計検査院長に就任されました知野虎雄君並びに検査官に就任されました鎌田英夫君の両君から、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。知野虎雄君。
  3. 知野虎雄

    知野会計検査院長 このたび会計検査院長に任命されました知野でございます。  微力でございますが、誠心誠意その職責を果たしてまいりたいと存じておりまするので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手
  4. 楯兼次郎

    楯委員長 次に、鎌田英夫君。
  5. 鎌田英夫

    鎌田検査官 私、このたび検査官に就任いたしました鎌田でございます。  至って微力ではございますが、その職務の遂行に当たりましては、一段と決意を新たにいたしまして努力してまいる所存でございます。今後とも一層の御指導、御鞭撻お願いする次第でございます。ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  6. 楯兼次郎

    楯委員長 昭和五十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  まず、通商産業大臣から概要説明を求めます。河本通商産業大臣
  7. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十一年度通商産業省所管歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入歳出決算につきまして御説明いたします。  通商産業省主管歳入につきましては、歳入予算額は七十一億三千九百四十八万円余であります。  これに対しまして、収納済歳入額は九十四億五千三百三十六万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと、二十三億一千三百八十八万円余の増加となっております。これは、アルコール専売事業特別会計から一般会計への納付金予定より多かったこと等によるものであります。  次に、通商産業省所管歳出につきましては、当初予算額は三千四十五億三千二百六十二万円余でありますが、予算補正追加額三億七千五百三十万円余、予算補正修正減少額二十九億七千五百九十一万円余、総理府等省庁所管から移しかえを受けた額九十三億一千八十二万円余、前年度からの繰越額百八十九億一千百六十五万円余の増減がありましたので、歳出予算現額は三千三百一億五千四百四十九万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は三千二十五億四千八百十三万円余でありましで、その主な内容といたしまして、中小企業対策費一千百五十一億一千五百十一万円余、科学技術振興費六百四十三億七千六十八万円余、経済協力費六十九億五千七百三十四万円余、公共事業費二百四十三億八千百八十四万円余等となっております。  この支出済歳出額歳出予算現額との差額は二百七十六億六百三十六万円余となっております。その差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は百三十七億二千五百八十七万円余でありまして、不用となりました額は百三十八億八千四十八万円余となっております。  次に、通商産業省所管の各特別会計決算について御説明いたします。  第一に、電源開発促進対策特別会計であります。  収納済歳入額は六百十七億五百二十九万円余、支出済歳出額は百九十九億九千三百三十九万円余であります。  収納済歳入額支出済歳出額との差額は四百十七億一千百八十九万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は二百十八億八千五百七十万円余、剰余金は百九十八億二千六百十九万円余となっております。  第二に、石炭及び石油対策特別会計であります。  まず、石炭勘定であります。  収納済歳入額は一千二百三十七億五千六百三十五万円余、支出済歳出額は一千六十億一千三百十五万円余であります。  収納済歳入額支出済歳出額との差額は百七十七億四千三百二十万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は五十億四千七百六万円余、剰余金は百二十六億九千六百十三万円余となっております。  次に、石油勘定であります。  収納済歳入額は四百六十一億八千二百十五万円余、支出済歳出額は三百七十一億八千七百六十二万円余であります。  収納済歳入額支出済歳出額との差額は八十九億九千四百五十三万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は四十三億八千六百十五万円、剰余金は四十六億八百三十八万円余となっております。  第三に、アルコール専売事業特別会計であります。  収納済歳入額は二百二十六億一千八十三万円余、支出済歳出額は百九十億三千百万円余であります。  この会計損益計算上の利益は六十六億二千四百四十九万円余となっておりますが、期末資産増加相当額二十三億三千二百七十七万円余を控除した残額四十二億九千百七十二万円余を一般会計歳入に納付いたしました。  第四に、輸出保険特別会計であります。  収納済歳入額は一千二十一億四百七十九万円余、支出済歳出、額は百十九億七千三百八十七万円余であります。  第五に、機械類信用保険特別会計であります。  収納済歳入額は三十九億三百二十九万円余、支出済歳出額は五億百十一万円余であります。  なお、一般会計及び特別会計事業の詳細につきましては、お手元にお配りいたしております「通商産業省所管昭和五十一年度歳入歳出決算概要説明書」に記述してありますので、ごらんいただきたいと存じます。  最後に、五十一年度通商産業省所管決算につきまして、会計検査院から不当事項として六件の指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。  これらの指摘事項につきましては、直ちに返還させる等、その是正、改善の措置を講じたところであります。  今後は、この種の事態の発生を未然に防止するため、より一層の指導監督等を行い、かかる事態の絶滅に努力いたす所存でございます。  以上をもちまして、昭和五十一年度における通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
  8. 楯兼次郎

  9. 岡峯佐一郎

    岡峯会計検査院説明員 昭和五十一年度通商産業省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項六件でございます。  検査報告番号三四号及び三五号の二件は、工業配置促進対策事業工業用水道事業に関する補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、事業実施に当たりまして、補助対象事業費が過大であったり、補助対象とは認められないものを補助対象事業費に含めていたりしていたものでございます。  また、検査報告番号三六号から三九号までの四件は、中小企業者設備近代化に資するため、無利子で融資する貸付金の財源として国が都道府県に交付した中小企業設備近代化補助金に関するものでございまして、その貸し付け適否等について調査いたしましたところ、貸し付け対象事業費より低額で設置または購入している者に貸し付け対象事業費どおり設置または購入したとして貸し付けていたものでありまして、いずれも貸し付け補助の目的に沿わない結果になっていると認められるものでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  10. 楯兼次郎

  11. 渡辺佳英

    渡辺説明員 昭和五十一年度における中小企業金融公庫業務について、御説明申し上げます。  当公庫は、昭和五十一年度の当初貸付金を一兆五百五十四億円と定められましたが、年央以降、中小企業をめぐる経営環境が一段と厳しいものとなってきたこと等から、下期中小企業金融対策として、二千二百億円の貸付金追加が認められましたので、これにより、前年度実績に比較して一八・一%増に相当する一兆二千五百八十八億七千六百六十二万円を中小企業者に対して貸し付けたほか、設備貸与機関に対して九十五億八千三百四万円余、中小企業投資育成株式会社に対して二十億円の貸し付けを行い、総額一兆二千七百四億五千九百六十六万円余の貸し付けを実行いたしました。  中小企業者に対する貸し付けのうち、設備資金は、五一・一%に相当する六千四百二十八億五千三十八万円余、運転資金は、四八・九%に相当する六千百六十億二千六百二十三万円余となっており、また直接貸し付けば、五三・五%に相当する六千七百四十一億三百十万円(二万百六十三件)、代理貸し付けは、四六・五%に相当する五千八百四十七億七千三百五十二万円(五万三千百二十九件)となっております。年度末総貸付残高は、二兆八千六十四億三百二十三万円余で、前年度末に比べ三千七百七十五億三千七百三十八万円余、一五・五%の増加となっております。  貸付金延滞状況につきましては、昭和五十一年度末において、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は、百六十六億一千九百七十一万円余でありまして、このうち一年以上のものは、百二十三億六千九百十一万円余、総貸付残高の〇・四%となっております。  昭和五十一年度融資に当たりましては、需要構造変化開発途上国追い上げ等の内外にわたる厳しい環境変化への対応を迫られている中小企業者に対し、その事業基盤強化に資する資金について、積極的に対処するとともに、業況低迷資金繰り難等から苦しい経営を余儀なくされている中小企業者に対しては、その経営の維持、安定のための資金について、業種、地域の実情に応じたきめ細かい配慮を払ってまいりました。  また、前年度に引き続き、中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業に必要な資金流通機構近代化合理化のために必要な資金及び事業転換産業公害の防止、産業安全の確保等のために必要な資金等緊要な資金についても特に配慮してまいりました。  なお、昭和五十一年度におきましては、中小企業者の一層の便益に資するため、千住出張所を新設するとともに、甲府出張所を支店に昇格させました。  最後に、当公庫損益計算について申し上げますと、昭和五十一年度におきましては、貸付金利息収入等の総益金は三千四十二億七千四百二十四万円余、借入金利息事務費、滞貸償却引当金繰り入れ等の総損金は、三千四十二億七千四百二十四万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上をもって、中小企業金融公庫昭和五十一年度における業務概況の御説明を終わります。
  12. 楯兼次郎

  13. 小山雄二

    小山説明員 私、この十五日付をもって発令をされまして、中小企業信用保険公庫総裁に任命されました小山でございます。ふつつかでございますが、せっかく勉強いたしまして職責を果たしてまいりたいと思っておりますので、御指導、御鞭撻お願いいたしたいと思います。  中小企業信用保険公庫昭和五十一年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  本年度におきましては、信用補完制度のより一層の強化推進を図るため、中小企業信用保険法施行令の改正により、保険料率の引き下げが実施されるとともに、国の一般会計から保険事業の円滑な運営を図るための原資として、保険準備基金五十億円及び信用保証協会保証活動円滑化を図るための原資として、融資基金二百十億円、合計二百六十億円の出資が行われました。  まず、保険事業について見ますと、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引き受けは、件数で百三万八千件余、金額で三兆八千九十一億一千八百十五万円余になっており、これを前年度と比較いたしますと、金額で八%の増加になっております。  この結果、昭和五十一年度末の保険引き受け残高は、件数で百七十六万一千件余、金額で六兆七千六百八十六億一千三百三十九万円余となっております。  なお、保険金の支払いは七百十二億八百三十六万円余になりまして、これを前年度に比較いたしますと、七四%の増加になっております。  一方、信用保証協会に対する融資事業につきましては、本年度に国の一般会計から新たに出資されました青十億円及び既往の貸し付けにかかる回収金八百三十億五千七百万円、合計一千四十億五千七百万円をもちまして、長期貸し付け一千四十億四千百万円の貸し付けを行いました。  この結果、昭和五十一年度末における貸付残高は一千四百三十八億九千百万円になっております。  次に、収入支出及び損益概況について申し上げます。  まず、収入支出について申し上げますと、収入済額は四百六十五億七千七百五十五万円余、支出済額は七百三十三億四千七百二十五万円余でありまして、差し引き二百六十七億六千九百七十万円余の支出超過になっております。  損益計算につきましては、さらに支払備金等整理を行いました結果、総利益は六百九十億一千五百八十四万円余、総損失は八百二十一億二千二百八十一万円余となり、差し引き百三十一億六百九十七万円余の損失を生じました。  この損失金は、中小企業信用保険公庫法及び同法施行令の規定に基づき、保険準備基金を減額して整理いたしております。  以上、簡単でございますが、昭和五十一年度業務概況につきまして御説明申し上げた次第でございます。
  14. 楯兼次郎

    楯委員長 これにて説明の聴取を終わります。
  15. 楯兼次郎

    楯委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは四点にわたってお伺いをしたいと思いますが、最初に海外経済協力問題について一言お伺いします。  福田首相がさきのボン先進国首脳会議などを通じまして今日までの対外援助計画を三年間で三倍増ということを約束したやに伝えられまして、それを受けて通産省も本年度予算、来年度予算要求にはこれを織り込んだ作業をいましているとお伺いいたしますが、大体どの程度の海外援助を考えているのか。従来ですと一三%強の増以外は認めないというあれがあったようですが、前年に比較して今回はどのくらいのことを考え、どんな内容海外援助を考えているのか。通産省としての立場を大臣からまずお伺いしたいと思います。
  17. 河本敏夫

    河本国務大臣 これまでの開発途上国に対する援助につきまして、七月のボン会議でわが国は三年間でこれを倍増するという基本方針を明らかにいたしました。ところが、これを円ベースでやるのかドルベースでやるのか、政府部内でもずいぶん議論になりましたが、最終的にはドルベースということに決まりました。しかしながら、ドルベースだけでこれを決定いたしますと、最近の通貨情勢から考えまして実質的にはそんなにふえないことになりますので、原則はドルベースであるけれどもGNPに対する援助額比率等十分参考にしていこう、こういう基本方針政府部内で決定したところでございます。  以上のような基本方針に基づきまして、できるだけ開発援助を拡大していきたいということで、去る九月の補正予算でも若干の追加をいたしましたが、さらに来年度予算におきましても最大限の拡大をしていくつもりでございます。  数字につきましては政府委員から答弁をさせます。
  18. 宮本四郎

    宮本説明員 現在要求いたしております数字を御紹介申し上げます。  当省といたしましては、五十三年度予算額が、これはいろんな経済協力関係予算がございますけれども、全部を通算いたしましてラウンドで九十五億予算がございます。これを五十四年度におきましては百十九億、伸び率は二四・九%でございます。  ただ、この中で先ほど御質問のございましたODAの関係を分離して申し上げますと、五十三年度は七十六億でございます。これを五十四年度におきましては九十九億と約百億に近い金額を要求いたしておりまして、その伸び率は二九・六%となっております。項目の主たるものは、国際協力事業団に対する調査開発委託費及び専門家海外派遣の経費になっております。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 いま最後にちょっと内容を言われたのですが、この派遣する相手は国ですか、それとも民間企業になるのですか。
  20. 宮本四郎

    宮本説明員 ただいまお尋ねの件は、民間ベースによる日本国からの先方の民間に対する派遣でございます。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 そのために海外産業協力財団か何かをおつくりになるのですか。
  22. 宮本四郎

    宮本説明員 御指摘のように、財団法人海外貿と私ども略称しておりますが団体がございます。この団体を改組いたしまして、新しくそういう機能もあわせ持ったらどうであろうか、かように考えております。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 これに対する補助はどのくらいする予定ですか。
  24. 宮本四郎

    宮本説明員 先ほど申し上げました予算の中で約十億円要求いたしております。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 最後にちょっとお伺いしたいのは、外務省がやっておりますね、いまお話のあったような内容民間技術者専門家派遣なども海外経済協力としてやっておるわけですね。その外務省通産省が別々にやっているのですか、それとも外務省との話し合いでこれを何かのレールに乗っけるようにするのか、今後の方針だけひとつ。
  26. 宮本四郎

    宮本説明員 ただいま御指摘の点はずっと外務省と相談をしながらやっておる点でございまして、話がまとまれば密接な連絡の上にやらしていただきたいと考えておりますが、外務省政府ベースで一〇〇%全額政府補助でりっぱな仕事をしておられます。  ただ、日本専門家海外派遣事業を外国と比べますと、西独の四分の一、フランスの何十分の一というふうなことできわめてレベルが低うございます。将来のことを考えますと、何とかこれを飛躍的に拡大する必要がある。つきましては、日本の場合には相当民間の方にもいままで蓄積が出ておりまして余力がついてきております。ただ自分の事業とは必ずしも関係のないということでございますので、そこに私ども政府資金を投入をして、民間レベルでこの仕事を飛躍的に増大させる方法はないものか、こういうことで検討いたしております。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣は今回総裁選挙大分苦労のまっ最中で御苦労さまですが、この総裁選挙のときの大臣発言を特に注目しておりましたが、大変ユニークな大胆な政策も打ち出されたようです。中で、とにかく民間資金蓄積というものに目をつけて、これの活用というものを大いにこれから図りたいというお考えを披瀝されたようですが、そのほかにもなるほどなと思う、私どもも賛成できる案が出されたようです。  この問題に関係して、いま十億円程度の補助を行いながら国際的にも劣っているわが国の民間ベースにおける海外援助、こういうものもやっていこうという考えなんですが、前にやってきているのですからこれはもっと思い切った構想のもとに、予算なんかもこの程度のけちなものでなくてもっと大胆なものをやって、同時にわが国の鉄鋼にしろ繊維にしろそういった民間企業の現状を考えたときの今後の打開策にもなり、同時にわが国の国際交流をもっと親密にしていくという二つのねらいを持って、せっかくこの種のいい計画があるならもうちょっと大胆な政策を講じていいのじゃないかと思うのです。予算の面で見ても少し少な過ぎるように思いますが、大臣この程度でしょうがないと思いますか。もう少し大胆におやりになっていいのじゃないかという気がするのです。
  28. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまのお話には私も全く賛成であります。ただ、何分にも現在五千万しかありませんので、それを十億ということでございますので、やはり順を追いまして飛躍的な拡大を図っていきたい、こう思います。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 ついでにお伺いして恐縮ですが、今回遊説でいろいろお述べになったようなことは、総裁になったらもちろんおやりになることなんでしょうが、万が一他の人が総裁になるというようなことがありましても、河本大臣としては政府の枢要な地位にいれば、やはりおっしゃったことは必ず実現できるように今後とも貫いていくという方針だったのか、これは総裁用なんで総裁でなければああいうことは取り消しになるというお考えなのか、その点もついでにひとつお伺いしておきたい。
  30. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、民間資金をもう少し計画的に動員をしていくということが、日本の国民経済全体から見た場合にいま非常に必要なことである。もっとも民間資金を動員するためにはただ号令をかけただけでは動員できませんので、やはり財政資金をある程度の誘い水にしまして、時により利子補給をする、時には若干の補助金も必要かというように思いますが、いずれにいたしましても国全体として見ました場合には資金は国内で余っておるというのが現状でありますから、その余っておる資金民間の経済活動が停滞をしておる間は政府がいろいろ工夫をして動員をしていくということ。つまり財政という立場からだけ物事を判断しないで、国民経済全体から物事を判断していくということがいまの場合ぜひ必要だと痛感をしておりますが、これはどなたが総理になられましても非常に大きな課題ではないか、ぜひ実現をしていくべき課題だと考えております。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 その点では全く私も同感なので、大いに今後も推進するように大臣の御努力をひとつ期待をしたいと思います。  この問題はこれで終わりまして、次に国内の大規模小売店舗に関して、さきの国会で新たにいわゆる特別措置法の一部を改正する法律案が成立をいたしました。このことをプロパーにきょうお伺いをするわけじゃないのですが、ここで一、二点だけちょっとお伺いしておきたいのです。  この成立しました特別措置法の一部改正は、これがもう最善のもの、現段階で中小都市における小売店を考えたときに、この大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整という点では問題がないというふうにお考えなのか、やはりまだ何か問題があるので通産省としてはこういう点に配慮をし、いま方向としてはこういう努力をしているというようなことがあるのか、それがもう全然ないで、先国会の成立のあれでまず当分はいくということなのかを先に、これは局長で結構ですからお伺いしたい。
  32. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  先国会で大店法、それから商調法の改正がおかげさまで成立したわけでございます。いまお尋ねの点でございますが、御案内のように今回法律改正に当たりましては、前の国会の御決議等も踏まえまして、その後小売問題懇談会、それからさらに産構審、中政審の合同小委員会で御審議を願う等、各方面の意見をいろいろ承りまして、それをもとにいたしまして立案をいたしたわけでございます。  御案内のように、今回の改正で、従来いろいろ議論のございました最近の小売問題、特に問題になってきております諸点を考えてみますと、一つは大店舗の大型化あるいはその数がふえてきておる、あるいはそれが地方中小都市へも進出が進められておる、もう一つは、中型店をめぐる紛争がふえてきておるというような点がいろいろ問題になってきたわけでございますが、今回の改正ではそういう最近における流通業界の情勢というものにかんがみまして、特に調整の対象になります店舗面積を、御案内のように五百平米を超えるところまで引き下げるということにいたしたわけでございまして、これによりまして中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあると思われるものは、ほとんど一応大店舗法の調整対象になるというふうに考えております。そしてそういうものにつきましては、これは御案内のように、大規模小売店舗の進出が行われる場合に、通産大臣または都道府県知事が届け出の内容審査する、その結果、中小小売商に大きな影響を及ぼすというふうに考えられる場合には、審議会の意見を聞きまして開店日の延期あるいは店舗面積の削減というような勧告を行い、場合によっては命令というような構成になっております。  またもう一つの改正点としましては、御案内のように都道府県知事あるいは市町村長というような地方自治体との意見の調整というものが十分できるような仕組みにいたしたわけでございます。  それからもう一つ、商調法の方で今回の改正で大企業者の特定物品販売事業の開始または拡大に係る調査、調整という申し出につきまして、その申し出団体として商店街振興組合等が追加されたというようなかっこうに相なったわけでございます。  したがいまして、こういった改正によりまして現在流通業界でいろいろ問題の起きております状況につきましては、中小企業の保護という点について対処し得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 これに専門的にかかわり合ってきたわけじゃないのですが、おおむねこの種の法律ができましても、全体的に言ってやはりざる法といいますか、大事なところが抜けていて、実際には小売商店その他を保護する立場にはなっていない、決め手がないというふうに考えます。ないよりはましだと思うのですが、しかし、あったためにかえっていけない面もあるというふうに考えます。この点に関しては同僚委員がまた専門の委員会でもいろいろと審議を進めているようですが、一つだけお伺いしておきたいと思いますのは、この措置法その他大型店舗等の進出に対する規制等がありますが、これはたとえば一都市に関して、全体的に見たときに、この規定に合い、都道府県知事の認可がもらえ、ということになりますと、何店舗でもできる、数の制限はあるのかないのかですね。こういう大規模小売店が、たとえばもうすでに中小都市に四つできている。そこへまた新たにこの規定に適合するような店舗が開設されようとするときに、あと三つでも五つでも、何かこれを規制するような枠というものはないんじゃないかというふうにすらりと見て考えたんですが、この点いかがでしょうか。
  34. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  いまお尋ねの、たとえばある都市につきまして、この都市ではたとえば三つあるという場合に、この都市には五つが適当であるというようなかっこうで数の制限というかっこうの構成にはなっておりません。またそういうかっこうの規制はいたしていないわけでございます。  ただ、御案内のとおり、この大店舗法の七条で、要するに変更勧告あるいはその後命令という構成になっておりますが、この七条の変更勧告の要件といたしまして、要するに簡単に申しますれば、いろいろな勘案条項が書いてございますが、そういった事情を考慮して、そういった大規模小売店舗が設置されることによりまして、その周辺の中小小売商の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかという点を審査いたしまして、そういうおそれがある場合には、そのおそれを除去するに必要な限度において、先ほど申しました開店日の延期あるいは店舗面積の削減ということを勧告ができる、場合によっては命令ができる、こういう構成になっておるわけでございます。定量的に決めておるわけではございませんが、具体的にその地域の実情に応じまして、その店舗が設置されることによりまして周辺の小売商に相当程度の影響を及ぼすおそれがある場合には、それを調整するという仕組みに相なっておるわけでございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 だからざる法だと言うのですが、実際にはその開設されることがまず決まって、そしてそれが動いていったその過程とその後でいろいろな弊害が起きたときに、勧告をしたり、いろいろ何か規制をすることができるようにはなっていても、それじゃ実は遅いのです。現在の中小都市を実際にごらんになる必要があると思うので、私はひとつ提案を込めてお伺いしてみたいのは、現在までに大規模小売店舗を許した、五年前、三年前あるいは二年前、ことし許したその店舗の周辺における小売店に対する影響等を後できちっと調査をする責任が通産省にあると私は思う。そのことをやっておいて、それを新しく店舗の開設に対してどうのこうのという審議をなさるときの非常に大きなデータにしていくというふうにしないと、実際にはこんな法律があっても、小売店はこのスーパーの進出を通じてどのくらい悪い影響を受けておるかわからないのですから、したがってそのために適正な審査ができるようにという大きな材料の一つとして、やはり従来許可をして開店をしている五年前、四年、三年、二年、一年前の店舗の周辺における小売店にどういう影響があったかを実地によく調査をしたそのデータをきちっとつかんでおく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  36. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  いまの法律の仕組みは、御案内のように、設置するに際してそういうおそれがあるかどうかというのを審査するわけでございます。いま御指摘のありました点は非常に重要な点でございまして、実際にそういう判断をする場合に、要するにその店が設置された場合にどの程度の影響が出るだろうかということを判断しなければなりませんので、そのための、いわば審査の目安と申しますか、そういったものが望ましいわけでございます。したがいまして、そういうものを私どもいろいろ検討いたしておるわけでございますが、そういった検討に当たりまして、いま御指摘になりましたような実際にどんな影響があるだろうかという点につきましては、私どもとしても勉強していきたいというふうに考えております。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 ただ勉強をしていきたいだけで、実際に申請があった、さて妥当かどうかの調査をするのではもう遅いと私は言っているのです。勉強するというその内容なんですが、すでに許可をして開店をしている何年か前のそういう許可事項に関して、その後一体周辺の小売店舗にどんな影響が出ているかを調べるようなことをきちっと本気でやらない限り、どこかから申請が出てきた、そのときにどろなわ式に調査をするのではなくて、従来もうすでに許可をして開店している大規模小売店舗の影響がどんなに周辺の小売店に起きているかの調査を、できるなら十年前ごろからずっと具体的にデータをきちっと握っておくようなことをしなければだめだというふうに申し上げているので、単に審議官が勉強しますなんて言われて勉強なんかされている余裕がない。次から次にこの法律のまあまあ許容する範囲、しかも私に言わせるとざる法ですから、大変合法的に大資本が出てきている。こういうようなことを通じて、そうでなくても円高不況だ、それ低成長だという経済の大きな変動期にある、しかも後ろには何のバックもないような小売店、ささいな商店が、もうある種の大型店舗が出てくるといっただけで、さておれたちはもうこれでおしまいだ、店をしまおうじゃないかというのが数多く現在ある。そういうものに対して、圧倒的な数の多いこういう小売店に対して事前に手を打ってあげるようなそういう政治がなければ、通産省なんか存在する役目はない。大資本なり大企業なりの合法的な地方進出を援護するために通産省が存在するという、外見的にはそう言われるような現在の状況というものを改める一つの大事なデータを、私はいま申し上げたように、単なる勉強ではなくて、従来許可をしたその周辺における小売店がどんなに影響を受け、どんなにあるいは廃止をしたりないしやっていけないというので一家心中をしたり、単に新聞に出ているだけではない、その寸前までに追い込まれた小売店がたくさんあるというものに対して何らかの手当てを、いま温かい手を差し伸べるとするならば、第一段階としては、まず過去の許可をした店舗周辺における小売店の影響、メリット、デメリット等も含めて十分な科学的な調査をする機関を設けて、その調査のデータをもとにして来たるべき申請に備えていくということをしない限り、ただこんなものができたからというので運営していく、それであなたが言うように、いいことを原が言ったから勉強しますよなんというような調子でやられたんでは、とてもじゃないがいま間に合わないというふうに私は考えるのですが、もっと正式な、そういう後追いをしてしっかりした調査をしていく機関をつくってでも私はやるべきだと思いますが、大臣、この点いかがですか。
  38. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは将来新規の大規模小売店舗をつくる場合の参考の資料としても必要かと思いますが、同時に、あわせて、私は、地域、地域の中小商業が既設の大規模小売店舗によってどのような影響が出ておるかということは、これは行政的にもやはり調べておく必要があろうと思います。そして、非常に悪い影響が出ておるというようなことであるならば、それに対する対応策等も考えていかなければならぬ。そういう意味におきまして、非常に建設的な御意見だと思いますので、具体的にどう対処したらよいのか、よく検討をさせていただきたいと思います。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 河本大臣はやると言ったらやる人だというふうに信用していますから非常にありがたいのですが、これは大至急におやりになる必要があると私は思う。その結果、たとえば十万なり五万なりの都市全体を考えて、そこに何の種類の、あるいは次の種類のA、B、CならCの店舗ができていたりできようとしているときに、まだここは有望だというので企業が進出しようという四つ目、五つ目の申請があったときなどには、やはりこれにはこれで全体的な、グローバルな意味で、ひとつ中小商業あるいは需要供給の関係等も通産省でお調べになった上で、こういった法律以外に別途にそういう、この種の都市に対して少なくとも一、二、三、四、五とか一、二、三の店舗以外は許可をすべきではないというような基本的な方針というものは、やはり続いて通産省で打ち出せるような作業もやっていただきたいと思います。  私は、きょうこれだけを申し上げるつもりではございませんから、あえてそのことだけに終えておきますが、大臣の言われたような非常に重要な問題だと私考えますので、いわゆる通産行政の面からも早く正式の機関をつくって後追いの調査をしっかりとやっていただいて、そのデータを十分つかむということを一点。  二つ目には、ある種の、人口その他を勘案した、都市に関してこの大型小売店舗の数というものもある程度の規制ができるようなデータもおつくりをいただく。この特別措置法に適合すればどんどんむやみに進出ができるいまの状態になっていることは、これは小売店を次から次に壊滅的になくしていく状態で、これはもう非常に大きないわゆるわが国の行政上の問題になるだろうというふうに考えますので、二つの点を強く要望し、第一の点は大臣も十分なというお答えでございますから、それを期待いたしたいと思います。次の機会に、この点の後をどうしたかをお伺いしたいと思いますが、これで終わります。  次に、厚生省、通産省関係する財団法人の富士福祉事業団についてお伺いをいたしたいと思います。  この富士事業団の問題は、第一に気がつきますのは、自転車振興会から補助金が出ている。それから、厚生省の社会福祉事業助成費の補助金が、いわゆる国費が出されている。運営の予算のその他はどうかといいますと、寄付金なり賛助金で運営がされている。あるいは会費も入っている。この寄付とか賛助金で全費用の七六%を賄っている。  それで、時間の関係で具体的にお伺いしてまいりますが、一体この寄付金と賛助金はどういう違いがあるのか。寄付金の内容は一体どういうところからどういうふうに集めておいでになるのか。賛助金とは一体どういうところからどういう手段でお集めになるのかということもあわせて、二つに分けてお答えをいただきたい。
  40. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 お答えいたします。  富士福祉事業団の収入の総額は四千八百六十三万二千幾らでございまして、その中で、先生ただいま御指摘の寄付金収入は一千八百万、それから賛助金収入が四百六十七万何がしということになっております。この中で賛助金収入というのは、実質上はこの団体が出しております雑誌の広告料であるというように承知しております。それから寄付金収入は、これは個人の会社と申しますか、普通の一般の会社からちょうだいしておるものであるというように聞いておりますが、具体的にどの会社から幾らということは残念ながら承知いたしておりません。  以上でございます。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 寄付金も一般の会社からもらっているんだ、この賛助金というのも、個人も含まっているでしょうが会社にいま言った出版物等を頒布する代償として賛助金をもらうという意味ですか。
  42. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 お答えいたします。  この財団は、私手元に持っておりますが、毎月雑誌——雑誌と申しますか、タブロイド判の新聞、それから年十回雑誌を出しております。ここにいろいろ広告を出しておりますが、その広告料収入が賛助金であるというように承知しております。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 その点一時預かっておきますが、寄付金、賛助金という名目、ずいぶん苦しい名目でいろいろやっているんだと思うのですが、この事業団の経理、いまお持ちのようですから、全体的に見まして、ここに繰越不足金、それから借入金、これがわりあいに多いんですね。繰越不足金二百八十七万、借入金は千百八十八万という状態になっているんですが、これは民間企業だったらこれじゃやっていけないわけですが、こういう借入金が多い、繰越不足金が多いという状態に対しては何らかの指導、監督というのでしょうか、何かをしたのですか、してないのですか。これであたりまえだと思って放置してあるのでしょうか、どうでしょうか。
  44. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 お答えします。  確かに先生御指摘のとおり、借方の繰越不足金、貸方の借入金も多いことは確かでございまして、繰越不足金というのは、これは過去の事業の収支差がここにあらわれておるということではなかろうかと思います。それで特別具体的な指導、この点に限った具体的指導ということはいたしておりませんが、ただこの団体は、当期剰余金が出た場合には繰越不足金に充てまして、それの解消に努めておる。たとえば五十三年度決算で八十二万五千円の当期剰余金が出ておりまして、これを五十三年度期首におきまして繰越不足金の解消に充てまして、二百四万幾らですか、このような努力をいたしておりますので、私どもはその努力を見守っておるという状態でございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 努力を見守ることは非常にいいんですが、私は、見守るよりはもっと積極的な指導をしていってあげるべきじゃないかと思う。ボランティア活動というものはわが国では非常にプアなんですね。諸外国と比べたら話にならないほど貧弱なんだ。したがってこれは大いに推進しなければいけない。現在の情勢から言えばなおさらボランティア活動は必要だと思う。にもかかわらず、非常に貧弱な状態にしかなっていない。たとえば奉仕活動の補助金なんかも二十七万六千円、そうして国の補助がこれに対して三分の一ですから九万二千円ですね。九万二千円ぐらいの補助しかできない状態。これが結局ある意味で周りから見ると、週刊誌にいつか書いていましたが、何か総会屋まがいな、企業等に強制的に寄付金なり賛助金を要請するような、勘違いをされる。非常に何か無理な経理がついにそういうことをさせて、世間の誤解を招くという危険があるんだろうと私は思うのですね。それがこの数字にいろいろ出てくる。いまの借入金も千百八十八万だ、あるいは繰越不足金が二百八十七万ある。だんだんに減っていくようだというように、さわらぬ神にたたりなしみたいに余り突っ込んで指導もしようとしない。すればするほど、あなた方がなすべきことをなしていない、しなければいけないということになることが厄介なものですから余り突っ込まない。  ただこれだけじゃない、こういうものはずいぶんあるんですから。まだ東京善意銀行でございますとか、大体四つありますよね、同じような性質のものが。そういうもの全体がやはり私はもうちょっと、特にボランティア活動等を考えたときには突っ込んだ指導、ということは指導する限り責任を負ってやはりもっと出すべきものは出していくということをしなければいけない羽目に陥る。そいつがいやなものだから、できるだけ、うまくやっているようだ、だんだんに減らしていくようだというように見ていく。  この種のものが財団として認可されているということは、存立することは、このボランティア活動の必要性を国が認めているわけです。ということになるならもうちょっと、いまそうでなくとも何かに金を使おう——何かに使おうということはありませんが、国内のとにかく消費というものに相当力を入れなければいけない。いわゆる諸外国との状況から言っても、政府、自治体がいろいろと使い道を考えて苦労をしている節もあるというようなときですから、私はもっと大胆にもうちょっと突っ込んだ指導をする、指導に責任を負った手をやはり差し伸べてやるということが必要なんじゃないだろうかというふうに思うのですが、この点どうですか。いまのこんな程度の状態で補助金もしようがない、来年度もこんなものだというふうにお考えなのか、もう一度ひとつ答弁してください。
  46. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 お答えします。  ただいま先生の御指摘のように国民の福祉の向上を図るためにはいわゆる公的な施策のみではこれは不十分でございまして、そういう意味で地域ぐるみの、たとえば地域の老人や身体障害者あるいはかわいそうな子供たちに愛の手を差し伸べるという国民一人一人の地域ぐるみの福祉の善意のと申しますか、そういう活動がなければ、真の地域福祉、国民福祉ということが達成されないということは、私どもは十分承知しておるはずでございます。  それで、昭和四十八年度から、あるいは都道府県に対しまして、それから昭和五十年度から市町村に対しまして、いわゆる都道府県、市町村、それからそれに協力しますところのおのおのの社会福祉協議会、これが中心になって、ボランティア活動を振興させるための施策、それに必要な予算、必ずしも十分とは申し上げられないかもしれませんが、それを計上し、その拡充に努力しておるところでございます。  それで、ただいま先生御指摘がありました富士福祉事業団、東京善意銀行初め民間の四団体、これも事業発足当初すでに都道府県、市町村と同じようなボランティアに関する実践活動をやっておりましたので、私どもも都道府県、市町村と申しますよりは、実践部隊の第一線でございますところの市町村並みの助成は当然すべきであろうというようにして、助成の対象にしてきておる。その補助額が、ただいま御指摘の額のとおり非常に少額と申せば少額でございますが、助成の対象にしてきておるところでございます。この民間団体は、それぞれ自分で人件費も計上し、それから諸種の団体としての経費も計上しながらおやりになっておる関係で、非常に事業費が相対的に低く、したがいまして補助額も相対的に低い、引きが悪いというようなことになっておりますが、この問題は別途研究するといたしまして、私どもは今後都道府県、市町村、これに対するボランティア活動、その面の充実は十分図ってまいりたいというように考えております。  国家財政厳しい折から公的な資金も限られておるところでございますし、そういう意味でボランティア活動の基盤整備と申しましょうか、たとえばボランティアの中心になるべき人たちの研修、養成あるいはボランティア活動を求める人たちの情報の収集、そのドッキングというようなところに充実した国庫資金支出いたしまして、そういう意味で、一般的にボランティア活動の推進と申しましても、繰り返しになりますが基盤整備、これを図ってまいりたい、かようなつもりで今後とも十分力を入れてやっていくつもりでございます。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 とにかく、この経理を見ていろいろな欠陥があるのですが、少なくとも政府はこの事業に対しては思い切って呼び水的な役割りを果たす必要があると思うのです。これを思い切ってやらないとなかなか民間がぐっと燃えてこないのですから、したがってもっと力の入れようがある。経理を見た限りでは、この収支決算を見た限りでは話にならない。もっと大胆な呼び水をすべきだというふうに考えて、実は申し上げているわけです。  そこで、この問題をもう少し聞きたいのですが、この事業団は厚生省の認可団体であることは間違いないですね。そうですね。厚生省では財団法人、ところが通産省関係では社会福祉法人になっている。どちらが本当なのか、こういう二つの法人格を有することが何かの理由で当然なのか、これが一つ。  それから、民法の三十五条、四十五条、五十条及び社会福祉事業法の二十七条、三十二条で、登記所に登記することになっているのですが、これは法務省に問い合わせましても登記されていない。これは一体どういうわけなのか。  また、登記されていないような法人を厚生省が認可した。それから助成補助金を出した。通産省通産省で自転車振興会を通じて補助金を出している。登記されていないようなところへこんなことが行われているものなのかどうか。三点に分けてお尋ねいたします。
  48. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 お答え申し上げます。  富士福祉事業団というのは、これは民法上の財団法人でございます。お言葉を返すようでございますが民法上の財団法人でございます。あるいは自転車振興会の何かの手続で、これは憶測の域を出ませんが、社会福祉事業をやる財団法人というようなところを何か詰まってそういうことになったのかもしれませんが、これは民法上の財団法人でございます。  それから、登記はなされております。手元に私、念のために持っております。  それから、、自転車振興会が補助なさるのは、いわゆる社会福祉法人のみならずこのような財団法人も含めて、目的によって、しかるべき公的団体補助されるものであるというように考えております。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 通産省どうですか。
  50. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 社会福祉法人といたしましたのは私どもの資料の手違いでございまして、財団法人でございます。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 社会福祉法人であるとなっているのは通産省の手違いで財団法人が正しい、それは間違いないですね。そうすると、何かすぐに改めますか。
  52. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 私どもの資料の元本にはちゃんと財団法人となっておりまして、それを御連絡するときに社会福祉法人と書き違えてしまったものと思われます。日本自転車振興会が公益の増進のためにいろいろ補助事業を行っておりますけれども、社会福祉事業に属するものは補助対象団体が社会福祉法人というのが多うございまして、それで誤りを犯したものでございまして、はなはだ申しわけありません。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、登記されているとおっしゃったですね。登記されている番地はどういう番地になっていますか。
  54. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 この法人は名称その他を変更しておりますが、当初、東京都新宿区三光町八番地で登記されておりましたが、五十三年七月一日、この日付は財団の性格変更と関係ございませんが、東京都新宿区新宿五丁目十二番五号となっております。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 そういうように登記の変更があったのですが、その登記されているというのが法務省に登記されていないというのはどういうのでしょう。登記されているとは法務局に登記されていなければいけないのですが、その原本か何かありますか。
  56. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 登記簿の謄本のコピーを持っております。このコピーは五十三年七月十八日、東京法務局新宿出張所の登記官の名前で、これは登記簿の謄本であるというのを私どもはコピーを持っております。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは法務省が、登記されているものを登記をされていないと言っているのは間違いだと思いますが、これは後で私の方で法務省に問い合わせます。  そこで、自転車振興会へ提出した書類がある。その書類にはいまだに新宿区三光町八番地。前の番地ですね。厚生省の資料によると、いま言われたように五の十二の五というようなことになっているのですが、しかも社会福祉法人は誤りで財団法人でございますとおっしゃっている。通産に対してこの住所変更の届けをしていないのでしょうか。通産省、どうですか。
  58. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 私、いまここに昭和五十三年九月二十八日に提出されました来年度補助申請書を持っておりますが、それによりますと、住所は新宿区新宿五の十二の五と出ておりまして、新しい住所になっております。これは日本自転車振興会は当然承知しているはずでございます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 その新しいのがきっと私どもの手に入らなかったんだろうと思います。確かに七月一日に住居表示変更が行われているのですから、それが同時にぴしっと厚生省のみならず通産省にも手続が済んでいなければいけないはずなんです。それが済んでいるらしいですから、その問題は結構です。  ほかに、このボランティア関係で、いまお話がありましたように厚生省から言われたあと三つありますが、こういったこの活動をしている機関に対してもどのくらいの指導というのをやっているか、まだ資料をとっていませんからわかりませんが、ただいま申し上げたようないわゆる奉仕活動に対する補助金などというような性質のものは、全部合わせて総額でどのくらい出ていることになりますか。
  60. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 お答えします。  いわゆる市町村、都道府県以外の四団体、繰り返しになりますが、これは先生の御指摘ありました東京善意銀行、それからただいま議題になっております富士福祉事業団、そのほかにやはり財団法人でございますが東京キリスト教女子青年会、それから財団法人東京カリタスの家、この四つでございます。全部同額でございまして、一団体が九万二千円でございますから、その四倍の三十六万八千円でございますか。五十二年度は一団体当たり九万二千円。全部同額でございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほども申し上げたように、そうでなくてもボランティア活動は非常に重要でありながら日本では貧弱だ。いま聞いたような状態では呼び水の役目も果たし得ない。もうちょっと力を入れて予算等の増額を考えるべきだと思いますが、来年度はふえるのですか。
  62. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 この民間団体を含めまして、市町村社会奉仕活動センターいわゆる市町村ボランティアセンターには、五十三年度は三千三百七十三万七千円の予算額を計上しておりましたが、五十四年度はこれを六千五百八十万六千円、約二倍ぐらいの予算要求をいたしております。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 これはもうちょっとがんばって、後でどういう状態になったかまた聞きますが、もう少し推進役の役目をする意味で、呼び水を太くしていただくということを私から強く要望しておきます。  最後に、工業技術院の関係についてお伺いをいたします。これは中工試と言われる中国工業技術試験所、特に水理模型実験を中心にして、すでに問題にもなっておりますが、お伺いをしたいわけであります。  余り細かいことを言う必要はないと思いますが、施行令の第一条なりあるいは第十二条の五で設置されましたいまの業務なんですが、特に内海環境部の設備として瀬戸内海の大型水理模型、これが非常に特徴的にこの中工試の施設としてあるわけなんです。これを使う受託研究にするのかあるいはまた施設貸与なのか、設備を貸してやって相手にその試験、実験をさせるのかというようないろいろな問題があるようでございますが、基本的にはこれは地方自治体の要請があって瀬戸内海の水質汚濁予測の研究でございますとかあるいは底質からの汚染の研究、こういうものも行おうというので昭和四十八年ですかに設置されたわけであります。経費は約十七億円かかっている。規模も相当大きなもので、何か世界最大級のものだというふうに聞いていますが、そのとおりだと思います。  ただ、現在までのところは類似性の確立というものが未完成、昭和五十四年度には完成するというふうな目標でやっているようでありますが、これは潮流とかいわゆる潮汐の類似性、こういうものを中心にした非常に難解な研究だろうとは思いますけれども、しかし汚染拡散の実験にしろ、とにかくこれが完全にできない限り内海環境に対する試験研究という大きなテーマが達成できないのだろうと思いますから、五十四年で一人前になる、こういうふうに見ていいのじゃないかと思うのです。  それで、この現状は、私ども素人でよくわかりませんが、すでに完成したものあるいは未完成のものと考えていいのか。いわゆるこの大型水理実験という模型がすでにもうでき上がっているのか、あるいは未完成でこれからでき上がるのだというふうになるのか、ずばりそのことだけまず第一にお答えおきを願いたい。
  64. 服部典徳

    ○服部説明員 いまお尋ねのございました中国工業技術試験所の大型水理模型でございますが、これがもう完成しているのかあるいは未完成なのかというお尋ねでございますが、御指摘のございましたように世界に例を見ない大型の施設でございまして、四十八年に完成いたしましてから五十四年までかけましてその水理模型を現実とよくマッチさせるようにということで現地調査も鋭意場所別に続けてまいっておりますし、また例がないものでございますので方法論的にどういう方法をとったら現地と模型が相似するかという研究を続けておりまして、できるだけ早くわれわれとしては相似性の確認を行いたいわけでございますが、現在の段階では、御指摘のございましたように、やはり五十四年度まではどうしてもかかる。完成か未完成かという言葉の意味になるわけでございますけれども、そういう意味で相似性を全部確認した施設と言えるかどうかという御指摘でございますと、どうしても五十四年度まではまだ確立されてないというお答えになろうかと思います。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど、いまの相似性、類似性、これがなかなかむずかしくて、これが実際にぴしっとつかめるまでは完成とは言えないかもしれないという立場ですね。  これについてお伺いをしていきたいのは、設備の使用を二件許可されたわけですね。許可の手続は、当然、申請者が中工試の所長に出す、所長は工業技術院に認可を求めるのか何か知りませんが、許可を求める、照会をすると言いますか、そうして納金通知書を発行して国庫にその金は入るという手続上の順序になるわけですね。このうち岡山県の場合、日本港湾コンサルタントを通じて水島湾の玉島地区のいわゆる防波堤の建設後の潮流の変化なり水質変化というものに対する予測実験を依頼された、行われたということになるわけですね。当然中工試の電算機などを使ってこれを行っていったのですが、八十八時間、時間的にはかかるだろう。  それから、技師を一名派遣する。派遣という言葉が合っているかどうか知りませんが、技師を一名それに派遣をしてくっつける。  それから、兵庫県の場合には、中国工業技術協会を通じて、本四架橋建設に伴ういわゆる明石海峡の環境アセスメント、その準備的研究として付近の流跡を明らかにするための調査研究というものを行い、やはり技師一名を派遣する。そうして現地のアルバイトを数名採用する。アルバイトは各種の機械にくっつけて作業したらしいのですが、そういうことを行ったのだといういままでの大まかな前提は当たってますか。それでよろしいですか。
  66. 服部典徳

    ○服部説明員 御指摘のように、岡山県に関しましては水島港の玉島地区防波堤建設に伴う水理模型実験、これを日本港湾コンサルタントから設備の使用許可申請が出てまいりまして、それで許可を行った。それから、明石海峡につきましては、中国工業技術協会から、明石海峡における流跡の研究のための設備使用という許可申請が出てまいりまして、これも設備の使用を許可したということでございます。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、これから順次お伺いしていきますが、会計検査院も特に明瞭な答弁をお願いしたいのですが、いま言った一、二の場合、潮流あるいは汐流なり海底の造形の類似性、こういうものが前提にならなければこの実験はできないのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。それが一つ。  それから、なお岡山県と日本港湾コンサルタントとの契約金額ですね。中工試とこのコンサルタントとの契約金は大体わかりました。しかし、岡山県とコンサルタントとの間の契約金額は一体どうだ。  それから、兵庫県と中国工業技術協会、その契約金額は一体どのくらいだろうか。これをまずお伺いしたい。
  68. 服部典徳

    ○服部説明員 設備の使用許可を与えた場合のその設備が未完成のものではないかという御指摘がございましたが、確かに相似性を確認してないという点においては、五十四年度まで未完成と言えば言えるような状態にあるわけでございますが、ただ本件、岡山県あるいは兵庫県の設備使用に関しましては、現地の観測データを、それぞれの設備使用の許可申請を行った者が持参をいたしまして、それで相似性の確認を行っておりますので、そういう意味におきましては、その場所においてある程度の相似性が保たれているというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それから、第二点の日本港湾コンサルタントと岡山県との委託契約の金額はどうかというお尋ねがございましたが、この点については私どもとしては確認はいたしておりません。  それから、中国の工業技術協会と兵庫県との関係でございますが、これは、私どもは中国工業技術協会の監督官庁でございますので、その数字を確認いたしましたところ、二百万円という数字でございました。
  69. 岡峯佐一郎

    岡峯会計検査院説明員 お答え申し上げますが、いま当局で御答弁のございました兵庫県と中国工業技術協会の関係の委託契約は、おっしゃいましたとおり二百万円でございます。  もう一件の日本港湾コンサルタントと岡山県の関係でございますが、委託金額は二千九百二十万円でございます。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 許可申請者がある程度のデータを持ってきて実験研究を行うので、ある程度の成果はあるのだろうというお話ですが、どうもまだひっかかるのですね。この相似性、類似性というものが完成しない限り、この試験設備としては未完成だというふうに言わざるを得ない。そこは、許可申請した者は自分で実際のデータを持ってきてそれと比較をするからある程度わかるだろうという、ある程度わかるような未完成のものを国が正式に貸与するというようなことが始まったこと自体ちょっと不思議だな、ひっかかるなという感じがするのです。これは素人で試験の内容はよくわからないけれども、どうも、未完成だと言っていながら、しかも類似性、相似性というものが中心になってやらなければいけないこの試験研究、それに、とにかく許可申請者が自分でつくったデータを持ってきてある程度やるからある程度のことはわかるだろうという程度しか技術院の関係でも言えない。そんなものを、たとえ二百万でも四百万でも、とにかく貸与して金を取る、どうも国がやる仕事としてはずさんじゃないかなという感じがしますが、意見があったら、後でもう一度わかりやすいように聞かしてもらいたい。  後のコンサルタントと岡山県の場合の二千九百二十万、ところが、実際にはこの納付金は四百万ですね。恐らくその全体の研究の一部なんだ、コンサルタントが受けた岡山県からの依頼というものはもっと広範なものになる、あるいはもっといろいろ要件があった、そのうちのほんの一部をいまの中工試の水理模型を使ってやっているのだ、だから四百万だという感じ一これはわかりませんが、だろうというふうに考えます。それにしても、大分金額が違うのですね。兵庫県の場合には二百万、中工試に対する納付金というのは、契約は百万、するとこれは倍ですね。片っ方になると約六倍です。テーマが大分違うのかどうか知りませんが、ここら辺に少し金額的な差があり過ぎておかしいなという感じが、現地を見ないからわかりませんがするのです。これはどうしてそんなに違うのか、後で御答弁を願いたい。  それから、一応四十八年に瀬戸内海の大型水理模型というものが完成した、類似性の確立をいまやっている、したがって未完成だというのですが、この未完成の模型で実験しても完全なデータというのは得られるというふうに技術的に考えていいのですか。データそのものなんですね。やはり未完成であり、それから先ほどちょっとある程度のとおっしゃったようなものもひっくるめて考えてみますと、いわゆる未完成の部分というか設備を使用して得られるデータというものは信用できる完全なもの、こういうふうに考えられるのかどうかなという、その点もあわせてお答えいただきたい。
  71. 服部典徳

    ○服部説明員 先ほど私の答弁である程度という言葉を使ったのはどうも余り適当じゃなかったかと存じますが、申し上げたい趣旨は、現地観測も相似性を確認するときは中国試験所みずからの手で現実に観測を行い、データを収集し、そこで模型と現地がマッチするかどうかという相似性を研究する、これが本筋でございますが、本件の場合は、現地観測のデータは設備を使用させてほしいという申請者側のデータでございますので、そういう意味では本来の相似性研究とは若干のギャップがございますという趣旨でございます。  それからもう一点の、金額的に差があるではないかというお話でありますが、先ほども申し上げましたように、私どもとしては中国の工業技術協会、この方につきましては、二百万と百万の開きというのは一体何に経費がかかっているのかという確認をいたしまして、それがおおむね旅費でございますとかあるいは資料の費用でございますとか、あるいはアルバイトを使ったその費用でございますとかということで、その差額については確認をいたしておるわけでございますが、日本港湾コンサルタントにつきましては、実は私どもそういう権限もございませんので、四百万の使途については確認いたしておりますが、二千九百二十万と四百万の開きについては確認ができておりません。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、特に会計検査院に先にお伺いするのですが、この中工試の福田所長が、部外から正式に研究を請け負うと、その期間、試験所独自の研究が減ったと見なされ、国の予算が削られる。この二件は工技院と相談して、技術指導として処理した。帳簿の整理ミスで不手際があり、疑惑を招いたことは申し訳ないと説明をしている。しかし、そういう所長の考えを合法化するために、仕事量を実際より小さく見せるために架空の稼働日誌をつくってみたり、あるいは研究員のにせ出勤簿を作成させるなどといったことをやっているということを、会計検査院は調査の結果発言をしている。  検査院で特に調査に行かれた方は、これは明らかに不正な会計処理であり、特定の団体に便宜供与をしたいわゆる税金のむだ遣いだ、さらに追及をするのだということなんですが、予算に縛られた他の政府機関関係や研究関係にも同じような操作が行われている疑いがあると見て、検査院としては特にその面にもメスを入れると言われた。  この私の言った大筋で三つの点は検査院として確認なさいますか。その内容はどうなのか。それから他の政府機関にも同じようなことがあるのじゃないかと言って調査をするとおっしゃったその調査は、たとえ一カ所でも二カ所でも調査した結果どうなっているのかをひとつお伺いをしたい。  その次は、細かくなりますが、施設の稼働日誌ですね。これは三日から一週間施設を動かしたと記載されていたんだが、検査院で兵庫県などから事情をお聞きになったらしい。その結果、二つの研究とも、一週間どころか実際には五十二年十月から五十三年三月まで半年の期間にわたって行われていたということが明瞭になったとおっしゃる。これも事実なら、その調査の結果どうなのかをお伺いをしたい。  また、単に施設使用料を払っただけの技術指導ではなくて、実際には全施設と研究スタッフを投入するいわゆる受託研究に間違いはない、これは明らかだ。この受託研究の場合には受託研究契約書を交換して、依頼者は使用料のほかに研究費を国庫に納入することになっている。二つの研究はこの内容などから見てまさに五千万円から六千万円くらいの研究費を要する受託研究だったと検査院では見ている。これは事実なのか。とすると、工業技術院ではこの点を一体どうして受託研究にしないのか。やはり所長の言うように、そういうことをするとどうも予算を削られるというおそれがあるので、こういうことを相談を受けたときによろしいと了解をしたということになるのかどうかを、これは工業技術院からお伺いをしたい。  この十月の九日に参議院の予算委員会で岡峯さんが、ごく近々私の名前で当局に対して質問書を出します。その上で所定の院内審議を経て最終的結論を表明します。こうおっしゃっている。おっしゃってからもう四十日たっているのですが、一体この処理はどうなっているのか。当局に対する質問をした結果、一体どういう答えが出てきたのか。それに対して検査院としてはどういう結論をお出しになったのかをお伺いしたい。  岡峯さんの前に技術院、先にちょっと……。
  73. 服部典徳

    ○服部説明員 何点かの御指摘がございましたが、そのうち私どもの所管にかかわることを先にお答えさせていただきたいと思います。  いま御指摘になりました点は、ことしの九月六日付の読売新聞の記事をデータとなさって御質問なさったのではないかと推察するわけでございますが、まず第一点の、正式な受託研究にすると試験所独自の研究が減って国の予算が減らされるというような趣旨のことを現地の所長が語ったように記事が出ておるわけでございますが、事実関係といたしましても、受託研究は実際の試験所の業務に支障のない範囲において受託するということになっておりますし、受託研究を受けたからといって国の予算、試験所本来の予算を削られるという危惧は全くないわけでございます。所長にも確認をいたしたわけでございますが、そういう真意で話したのではないという趣旨の弁明を行っております。  それから、にせの日誌、出勤簿をつくったのではないかという趣旨のことでございますが、これも現実に確めましたところ、にせの出勤簿をつくったという事実はございません。  それから、三日から一週間施設を動かしたというのに対して、五十二年の十月から五十三年の三月ごろまでの長期間にわたって動かしたのではないか、こういうことでございますが、実際上は五十二年の十一月十五日に設備の使用の許可をいたしまして、それから五十三年の三月まで断続的に設備を使わせたわけでございまして、そういう関係でこれだけの期間をフルに使ったという趣旨では全くございません。  それから、受託研究にしないで設備貸与にしたのはなぜかという最後のお尋ねでございますけれども、これにつきましては、当然相手方のある話でございますが、受託研究にいたしますと、その引き受けた試験所の名前において、また試験所の責任におきまして研究を完成させるということでございますが、設備の貸与は、試験所の設備を使ってその申請者の方がみずからの責任でみずからの名前において研究を行うという点でございますので、そこが大きな違いでございます。先ほど御説明申しましたように、本水理模型につきましては、現地の観測データが試験所自身のものではございませんので、そういった関係でデータそのものは相手方のものであるという趣旨から言いまして、やはり受託研究という形よりは設備使用許可の方がなじむ制度であるというふうに私どもとしては考えているところでございます。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 いまおっしゃった内容検査院から同じように、どうお考えになってどう調べたのかを、読売新聞が全くでたらめを書いたのかを含めてお答えがあると思うのですが、おっしゃったように、受託研究よりはこの種のものは設備貸与という形の方がいいような御答弁があったのですが、このちょうだいしました資料を見ますと、この種の研究は何百とあるのですよ。受託研究というのはごくわずかしかない。日本全体で十六カ所この研究試験所があるのに、受託研究というものはごくわずかしかないのですね。したがって余裕があると見て差し支えないと私は思う。その研究の内容はよくわかりませんが、ずっと同じことをやっている受託研究が多いのですが、その受託研究の件数はごくわずかしがなくて設備貸与が非常に多い、圧倒的に多いというのは何かわれわれから見ても不思議に思うのですね。  事実、検査院からいま回答いただきますが、どんなふうに内容を調べたかわかりませんが、技師を一名派遣する、それから研究員が助手としてたまたま何か協力をするということなんでしょうが、少なくともこの種の研究をやるのに技師が一名派遣されてわずかな時間だったというふうにして、結局国費がもっとたくさん使われているのに、いかにもそれが少ないように、いわゆる表面的につくろうという結果を招来するから、結果的には、私は、読売がでたらめを書いたのではなくて、ずいぶんむだ遣いをしている面が、他のいわゆる国家的な研究機関にもやはりあるのじゃないだろうかという疑念を実は持ってこの質問をしているわけですが、その点に関してはどうも私が腑に落ちないという感じを持っていることだけ、時間の都合で申し上げておきます。あと会計検査院からお答えをいただいて……。
  75. 岡峯佐一郎

    岡峯会計検査院説明員 お答え申し上げます。  先般の国会におきまして、私近々のうちに質問を発するということで御答弁申し上げたわけでございますが、その前に先生御質問の新聞記事の内容でございますが、これは全く私たちの関知しないところでございまして、文面によりますと、検査院が若干批判的なことを言っているように書いでございますけれども、これにつきましては御了解をいただきたいと存じます。  と申しますのは、この検査は、工業技術院のこういった試験所につきましては二年に一回程度の検査実施しているわけでございますが、そういう定期的な検査につきましてことしの五月に中工試に赴いたわけでございます。その検査の結果若干の疑義を持ちまして、以来調査を続けたというのが真相でございます。その過程で新聞発表があったわけでございます。項目的には新聞の記事その他は合っております。また受託料につきましても金額は合っております。ただ、内容につきましては、私たち全く意思表示をしない段階の記事でございますので、その点については御理解を賜りたい、このように存じます。数多くの質問がございましたので、これまでの検査の推移、現段階の本院の態度はどうであるかということを申し上げれば大体御理解をいただけると思いますので、そういうことでお許しをいただきたい、このように存じます。  ただいま申しましたように、五月以来検査を続けまして考えをまとめまして、十月十九日付で工業技術院に対しまして質問を発したわけでございます。  その骨子でございますが、三つございまして、まず第一点は、二つの申請が出されたわけでございますが、その申請の内容は、当局におかれましては技術指導とこれに伴う設備の使用に当たるという見解でございますが、その内容について見てみますと、すべての業務、申し上げますと、現地調査資料の整理、解析から実験の計画、実施、実験結果の解析それから評価、また最後には成果報告書の執筆まで、すべていたしておるわけでございます。そういったことから、これは中工試がすべてをやったと私たちは判断をいたしまして、これはどちらかと申しますと技術指導の域よりも受託研究ではないかとまず考えたわけでございます。  それから第二点でございますが、そういう内容の場合におきまして設備使用の実績を見ますと、この点につきましては調査官たちも非常に苦労いたしたわけでございまして、現実にないデータの中から、研究者の皆さんの日誌その他をいただきましてこちらの手で集積を続けたわけでございまして、そのために日時を要しましたが、その実績は徴収の際の算定の数値とは相当な隔たりがございました。これが第二点でございます。  それから第三点でございますが、中工試では、水理模型の相似性の確認のための実験、これは本来中工試がみずからやるべき業務であるということで、したがらて使用料の徴収についてはこれを対象外とされておりますが、岡山県それから兵庫県におきましてはそれぞれ対象海域の現地調査による資料を基礎としましてこの実験をただいま申し上げたコンサルタント等に委託をしているわけでございます。したがって、これらの業者から出ました中工試に対する申請を見ますと、その点は明記されているわけでございます。このことからこの仕事は業者みずからが行わなければならない本来のものである。  以上三つ申し上げましたことから、これはやはり受託研究ではないか、それからその場合に、当初徴収した額を上回った実績が出たわけでございますが、その分につきましては増し時間分について徴収すべきではないか、こういうことで実は質問をいたしたわけでございます。  この質問に対しまして当局から十一月十三日御答弁がございました。私たち、その答弁につきまして鋭意検討を続けたわけでございますが、当局の御答弁の中にこういう点がございます。水理模型の相似性確認は四十八年以来中工試が本来の業務として特別研究を行ってきたものである、そして相似性の確認はまだ十分な段階ではなくて、受託研究として責任ある成果を提供し得る自信がなかった、したがって本件申請に際しましても本来業務として扱ったのだ。ただ、技術指導申請書の中に「相似性確認のための実験」という項目がございまして、これが私たちの検査の端緒になったわけでございますが、そういったものを含めておったこと、それから成果報告書の作成に力をかし過ぎた、こういったことにつきましてはまことに遺憾である、しかし以上のことから設備使用料の徴収は妥当であると考えている、こういう答弁に接したわけでございます。  これは要旨でございますが、私どもはこの回答を吟味した結果、初め頭に描いておりました受託研究とすることにつきましては私たちも若干後退せざるを得なかったと申しますか、工業技術院の説明を了としたと言った方が正確かと思いますが、そういった考えになったわけでございます。  ただ、現状でございますが、仮にそういたしました場合、設備使用料につきましてなお当局との間に見解の対立はあるわけでございます。これは、設備使用者が行いました実験はすべて設備使用料を私たちは取るべきであるという姿勢をとっているのでございますが、これに対しまして回答では、このうちに一部中工試が本来負うべき実験が含まれている、そういう点につきましてはそういった本来行うべき実験を踏まえておりますので、それに見合う額はやはり徴収すべきでないという姿勢をとっておりますので、この点につきましてなお相互の理解を得るために現在討議を続けておる段階でございます。  以上でございます。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 もう時間が大分経過しました。申し訳なかったのですが、この先またお伺いしたいのですが、ちょっときょうは時間の都合でやめます。  いま検査院の見解も聞きました。技術院の見解も聞いたわけですが、ただ技術院の見解の中にも、受託研究をする自信がない、いわゆる相似性、類似性が完成していないというようなことも絡めて、どうも受託研究にする自信がないというような回答があったことも、ここで非常に大きな問題だろうと思うのです。  そこで、工業技術院としてまだたくさんの設備貸与なりいわゆる技術指導という点があるだろうと思うのですが、この点は今回のことに端を発して少なくとも疑惑を持たれたり、いま検査院もまだ納得していない二、三点がありますが、そういった問題の解明をぴしっと、現在やっているいわゆる技術指導なり施設の貸与なりという問題に関しての対応をすぐにする必要があると思うのですが、この点をひとつ技術院からもきちっと回答をちょうだいしたい。とにかくもう一度よく調べて、それに対して過誤のないような対応をすべきだというふうに考えますが、その点だけお伺いして終わります。
  77. 石坂誠一

    ○石坂説明員 お答え申し上げます。  いままで御指摘の中国工業技術試験所におきます設備使用に関します件につきましては、私どもといたしましては瀬戸内海の環境保全に寄与するという観点から積極的に対応したところでございますけれども、一部研究管理上の見地から必ずしも十分でなかったというように思っておるわけでございます。  したがいまして、今後の問題でございますが、特にこの水理模型に関しましては、私どもの工業技術院としましても初めての大きな設備であり非常に特殊なものでございまして、まだ歴史的な経験もないというようなことで、いろいろございましたけれども、特に瀬戸内海の環境保全の重要性ということを考えまして、各ケースの実情を十分踏まえましてさらに一層適切な対応ができますように、現在まであります設備使用、受託研究、共同研究というようなあり方につきましても検討を加え、必要に応じては制度の改善を前向きに検討いたしたいということを考えておるわけでございます。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  79. 楯兼次郎

    楯委員長 この際、午後一時五十分まで休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時五十六分開議
  80. 原茂

    ○原(茂)委員 長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため出席がおくれますので、委員長の指定により、私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。馬場猪太郎君。
  81. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 私は、商品取引所の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  四十七、八年ごろから取引所をめぐるトラブルも多かったのが一時減っておりましたのが、五十年ごろからまたぼちぼちふえてまいりました。そして、中には、定年退職になりてなけなしの金を商品取引の相場ですって倒産をしたというような例であるとか、母子家庭の方々が非常な迷惑をこうむっているというようなお話をたびたび承っておるわけでございますが、いただきました資料によりますと、通産省所管で五十年の紛議事項だけで十三件、そして五十一年は三十九件、さらに五十二年は六十四件というふうに紛議もふえておりますし、そうしてまた農林省所管も三十四件、五十四件、七十五件というふうに、紛議事件も相当ふえていっております。ただしかし、この紛議というのはもうそこそこ非常にむずかしいことになって調停委員会なり審査委員会にかかったものであって、それまでにも、事前に相談であるとか苦情であるとかいうような形で通産省なり農林省においでになって解決のついたような問題も多々あると思います。したがって、実際のトラブルというのは総量どれくらいあるかということはなかなかつかめないわけでありますが、通産省及び農林省それぞれの所管ごとに、どれだけのトラブルが起こっておるかということを、数字をとらえていらっしゃるはずでございますので、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  82. 島田春樹

    ○島田説明員 お答えを申し上げます。  いま紛議の実態はどれくらいかというお尋ねでございますが、私どもがいま承知しておりますのは、先生がいまお述べになりました紛議件数でございまして、五十年十三件、五十一年三十九件、五十二年六十四件というようなのが私ども把握しております紛議の状況でございます。
  83. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 答弁になっていないじゃないですか。それは私が読み上げたのであって、そのほかに電話であるとか、相談があったとか、苦情であるとか、そういうものの件数をお知らせいただきたいと言っているのです。
  84. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  それ以外でございますが、私どもの方へ直接委託者から電話とか文書で紛議が持ち込まれたものにつきましては、詳細に把握しておりませんが、最近では月大体数件、三件から五件ぐらいの程度というふうに承知いたしております。
  85. 宇賀神治夫

    ○宇賀神説明員 農林水産省におきましても全体としての紛議、苦情の件数は掌握いたしておりませんが、農林水産省の商業課に対しまして電話なりあるいは文書で苦情、紛議等の申し立てのあった件数は、最近におきましては月平均大体十件ないし十五件程度という実情でございます。
  86. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それは、直接通産省なり農林水産省なりに問い合わせがあったり照会があったりということ。紛議の内容についてはいろいろあると思うんですよ。たとえば、いま直接相談があったり電話があったりという以外に、検査員がそれぞれの取引所を調べたり、取引を調べたり、定期検査をしたり、そういうところで発見したものがあったと思います。そうすると、検査員の調べたもの、紛議の機関にかかったもの、苦情相談のあったもの、そしてもう一つは自主的な規制といいますか、定款に違反したもので取引所なり会員自体が処分したもの、そういった全体の数字はつかまえていらっしゃいますか。
  87. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  いまお尋ねのようなかっこうでの数字というのは、私ども、申しわけありませんが、把握いたしておりません。
  88. 宇賀神治夫

    ○宇賀神説明員 農林水産省におきましても通産省と同様でございまして、全体の数字につきましては掌握いたしておりません。
  89. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 これだけ社会問題になっておるのに、御自身で検査なさった結果についても数字を統計的に挙げておらない。それぞれの所管で検査員がおるわけでしょう。その数字も明らかになっておらない。わずかに、言えば紛議事件だけしか資料もいただけないのですね。そしてまた、電話だとか文書だとか、あるいは直接来られたということだってずいぶん重要な問題もたくさんあるはずなんですよ。ある程度数字を挙げて、そしてそれを処理していかなければならないわけでしょう。どうしてそういうことをおとりになっていないのですか。全貌がつかめないじゃないですか。
  90. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  たとえば、うちの方へ持ち込まれたような場合、それにつきましてはそれぞれの処理をいたしておるわけでございますが、統計的にちょっと処理をいたしていないものですから、お答えできないのはまことに申しわけございません。
  91. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 農林省も一緒のようですが、統計的に処理をしてないと言って、大体においていまトラブルになっておるのは、主として外務員の九十四条にかかるような、実際にもうけが確実だと思わせたり、利益を保証したり、あるいは顧客の指示を受けないで勝手に売買したり等々、九十四条に関するようなことがほぼ主なんでしょう。そうすると、大体の傾向をつかまえられたらそういう対策は立てられますけれども、ただ紛議事項だけで対策が本当に立てられるのでしょうか。あるいはまた、せっかく検査員の制度があって、定款に違反しておるかどうかということもちゃんと検査なさっているのですから、ちょっとまとめる気になったらすぐにそれはまとまるのじゃないでしょうか。それをおやりになっていないということは、それだけ熱意がないということなんでしょうか。
  92. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  紛議の内容でございますが、私ども先ほど申し上げました紛議の、たとえば五十年十三件、五十一年三十九件というかっこうで紛議として扱っておりますこのものにつきましての内容、どういった理由で紛議になっておるということにつきましては、一応分析をいたしております。それによりますと、大体各年ほぼ傾向が同じでございますが、委託者からの申し出事由別の紛議の理由というものを見ますと、過当勧誘を理由とするものがほぼ半分というのが大体の傾向でございます。
  93. 宇賀神治夫

    ○宇賀神説明員 お答えいたします。  農林省におきましても、五十二年度の七十五件という取引所のあっせん、調停にかかります件数の内訳を検討いたしますと、一番多いのはやはり過当勧誘でございまして、七十五件のうち過当勧誘が四十五件ということになっておりまして、そのほか無断売買、それから連絡不備というような内容になっておるわけでございます。
  94. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 具体的に紛議にかかる以前に話し合いの中で処理されているのもずいぶんありますね。どういう方法で話し合いをしてそれを解決するか。たとえば三百万円損したけれども三百万円まるきり返った人もあるでしょうし、そして百五十万円返った人もあるでしょうし、それはどういう方法でやっていらっしゃるのですか。通産省なり農林省が直接そういうあっせんもなさっているのか。そういったことも取引所側の方に全部お任せになっているのでしょうか。
  95. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  紛議の解決の仕方はいろいろケースによっても異なりますが、まず典型的なものとしましては、取引所に申し出のあった紛議につきましての調停は、これは各取引所の定款に定めるところによります紛議調停委員会による調停と、それからもう一つ簡易調停というやり方と、二つの方法がございます。大多数は簡易調停によって和解が行われるということでございます。  それから、取引所が二つ以上にまたがります紛議につきましては、全国商品取引所連合会の紛議調停合同審査委員会というのがございますが、ここに関係取引所から諮問をいたしまして、この委員会の素案というものを関係取引所が尊重して調停をするというのが最も典型的なやり方でございます。
  96. 宇賀神治夫

    ○宇賀神説明員 農林水産省所管の取引所につきましても、通産省と同様の方法でございます。
  97. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでは、農林省なり通産省なりが直接あるいはタッチしてやられることはなしに、全部簡易調停の方へ回されているわけですか。そしてそれらは、大体解決率はどの程度なんですか。紛議に回るまでの間にどの程度解決しているのですか。
  98. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  紛議の処理の仕方は、先ほどお答えしたようなのが一般的でございます。取引所で、要するに商品取引員と委託者との間の紛議の調停は各取引所で行うのを原則にいたしております。これは専門的な知識を要すること等の観点からそういうふうにいたしておるわけでございます。  ただ、それでは役所は全然やらないのかというお尋ねであろうかと思いますが、取引所における調停に先立ちまして、あるいは調停に当たりまして、紛議の内容において法令違反等の事実が客観的に明確になっているというような場合につきましては、早期解決のために積極的に仲介をするというような場合もございます。  どれぐらいの解決率かというのは、ちょっといま調べます。
  99. 宇賀神治夫

    ○宇賀神説明員 農林水産省におきましても同様でございまして、たとえば行政庁の窓口に電話なりあるいは文書で申し立てのありました紛議につきましては、それが単に苦情に類するようなたぐいのものにつきましては主務省が直接解決するというケースもございますが、一般的には取引所に回付いたしまして、取引所のあっせん、調停というような手段で解決する方法をとっております。
  100. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  先ほどの、どれぐらい解決しているかという点でございますが、同一年度内で片づいているのが大体五〇%ぐらいということでございます。残りにつきましては時間がかかりまして、徐々にその後解決をしていくというような傾向であります。
  101. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 数字を余り調べておいでにならないようですから、それじゃ資料で出してください。簡易調停で解決ついたものは三年間でどのくらい、連合審査によって解決ついたものはどのくらい、両省とも数字で後ほど出してください。それでないと、あなた方は紛議の内容について全体をつかまえていないのですね。あるいはトラブルについて紛議に至らないような問題、全体をつかまえてないですね。全体をつかまえておらずにこれの解決策が立てられますか。非常に簡単に簡易調停に応じてくれるもの、そしてこれはなかなかむずかしい、いよいよこじれて紛議にかけなければならぬもの、それはそれぞれみんな理由が違うでしょう。そういう状態で全貌をとらえておらなくてどうして対策が立てられるのですか。  そのほかに、私先ほど申し上げたように、取引所の中で、あるいは取引員なり会員の中から自主的に定款に応じて解決つけているのもあるでしょう。そういう数字を一遍全部調べて出してください。それから、検査員が検査に行って発見した数字を全部。  いま調べてもらっていたら時間がかかりますから、後ほどで結構ですけれども、出していただけますか。
  102. 島田春樹

    ○島田説明員 できるだけ整理いたしまして御提出申し上げます。
  103. 宇賀神治夫

    ○宇賀神説明員 手元の資料を整理いたしまして、できるだけ提出いたしたいと思います。
  104. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そこで、全貌はつかまえてはいらっしゃらないけれども、紛議なり、簡易調停なり、大体いまつかんでいらっしゃる範囲内で、東京の取引所ではどういうところに不良勧誘といいますか、取引員といいますか、そういったものがあるのか、名古屋ではどういうところが非常に事故が多いとか、関門地域では大体どういう傾向で、どういうふうな事故が多くて、どこの会社の取引員がこういう事故が多いか、そういう傾向についても把握していらっしゃるかどうか。
  105. 島田春樹

    ○島田説明員 いまちょっと取引所別の数字、手元にございませんが、各取引所とも傾向はほぼ同じというふうに承知いたしております。
  106. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それぞれの取引所がほぼ傾向が同じであり、そして大体において、その取引所の中でもバッドマークをつけなければならぬ人たちもちゃんとつかまえておいでになりますか。
  107. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  いわば各取引業者と申しますか、取引員についてどういうところがというお話になりますと、これはそれぞれ検査をいたしておるわけでございますから、その結果に応じて処理をいたしておるということでございまして、どこがというのはちょっといま申し上げかねるわけでございます。
  108. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 トラブルはまず取引所に一つありますね。会員にあります。取引員にあります。外務員にあります。それぞれに掌握していらっしゃらないですか。そしてそれを全部掌握しており、数字も掌握しておれば、大体どこの取引所ではどこどこが余り成績がよくないとか悪いということがおわかりになるわけでしょう。そういうことを通産省としても農林省としても数字の上では全然とらえておいでにならないのですか。あるいはまた、そこまでいかないにしても、今度はたびたび上がってくる苦情なりトラブルについての傾向だけでもわかるわけですから、それではあなた方の方で呼んで調査をしたり警告したり、処分する前にいろいろやられているでしょう。そういう傾向だけでも、発表できるできないは別として、ちゃんとつかまえていらっしゃるか、いらっしゃらないか、それだけはっきり言ってください。
  109. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  いわゆる商品取引員に対してでございますが、これは御案内のように、私ども立入検査をやっております。それによりまして、その検査をやるに当たりましてそれぞれの事項に現に検討すべき問題点があると思われるようなもの、あるいは再び検査を行う必要があるもの、あるいは前回検査したときから相当期間経過しているようなものにつきまして検査対象にいたしましてその検査を行っているわけでございます。したがいまして、検査の結果というのは、私どもは検査内容というものを十分チェックいたしておりますから、どういうところに問題があるかということはもちろん把握をいたしております。
  110. 宇賀神治夫

    ○宇賀神説明員 農林水産省におきましても、先ほど申し上げました五十二年度七十五件という紛議ケースにつきましては、その内容等についてある程度の詳細を承知いたしておりますし、また立入検査等につきましても毎年相当数の検査実施しておりますので、その結果から相当程度のことは判断できるというふうに考えております。
  111. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでは一応取引員なりあるいは外務員なりについても、どちらも内部的にはちゃんと全部握っておる、掌握しているということですか。
  112. 島田春樹

    ○島田説明員 先ほど申し上げましたように、検査を通じましてそれぞれの実態を極力把握するように努めておりますので、私どもといたしましてはできるだけ実態を把握しておるつもりでございます。
  113. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 農林省も一緒だと思いますね。把握していらっしゃると思うのですよ。把握していなければ行政にならないですからね。把握しておるだけで一般の投資家は全く知らないでは、事故の防止に役立ちませんね。どういう方法を講じて事故が起こらないような処置を講じていらっしゃるか。  もう一つは、たびたび事故を起こしているような、紛議を起こしているような会員に対しては、どういう措置をとっていらっしゃるのか。
  114. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  私ども、事故防止のためには従来いろいろな措置を講じておりますが、一番重点を置いておりますのは、いわば検査でございます。それは先ほど申し上げましたようなかっこうで検査実施しておるわけでございます。そしてそういった検査の結果に基づきまして、財務面あるいは業務面に問題がある場合には、その程度に応じまして、法律上定められているところによりまして、場合によっては許可の取り消し、それから受託業務の停止、戒告というような措置があるわけでございますが、そういった措置をとることといたしておるわけでございます。
  115. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 一般の投資家に対してどうしておるかが抜けています。
  116. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  これにつきましてもいろいろ考えておりますが、いま一番行っておりますのは、まず最初に勧誘に参りますときにも、たとえばしおりと申しますか、投資家が行動を起こすに際して、まず商品取引の実態を十分知るようなかっこうの資料というものを必ず交付することにしまして、十分認識した上でやるというようなかっこうにさしておるわけでございます。
  117. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大臣、先ほどからお聞きいただいておるように、この二、三年ずっと紛議もふえ、トラブルもふえておりますが、あなたの担当の部下の方では数字も十分つかんでいらっしゃらない、そしてまたどうも総合的なとらえ方がまだできておらないし、指導もどうも不十分なようにお感じになりませんか。それに対して、いまの時点で大臣、どういうふうにお考えになりましたか。
  118. 河本敏夫

    河本国務大臣 商品取引所につきましては、つい先般法律を改正をいたしまして、ある程度規制も強化されたわけでありますが、なお不十分な点が残っておると思います。こういう点につきましては、今後さらに一層努力をいたしまして改善しなければならぬと思います。
  119. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それじゃ具体的に、いろいろの処置をしたけれどもどうしてもうまくいかなかったということで、何らかの処分をしたという実例がございますか。処分の中にはたくさんございます。いまちょっと営業停止とか受託停止とか言われた。まず処分の種類はどれだけあるんですか。法律的にあるいは実質的に処分の種類は幾つぐらいありますか。そしてどういう処置をとったか。
  120. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  処分につきましては、最も重いのが許可の取り消し、それから受託業務の停止、それから戒告等というようなかっこうになるわけでございます。最近の状況では、私どもの所管では、五十年には戒告等十件、それから五十一年には受託業務の停止が二件、それから戒告等が十六件、五十二年は戒告等が十九件ということでございます。
  121. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 営業停止等もございませんか。この前の答弁の中では、五社、二ないし五日というふうな後答弁がせんだってあったと思うのです。何遍も言わさぬと、あるものは数字を全部明らかにしなさいよ。一つずつ指摘するんだったら、全部こっちで指摘しますよ。指摘しますけれども、あなたの方から言えることは自主的に言ってください。
  122. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  いま営業停止とおっしゃいましたのは、私がいまお答えしました受託業務の停止がこれでございます。
  123. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 許可の取り消し等は全然ございませんか。そしてその受託業務の停止、営業停止については大体最大限幾らまであり、そして先ほど言われたのは二ないし五日ぐらいの処分しかしてないのですが、それはどういう理由でなったのか。
  124. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  最近の数字を申し上げたわけでございますが、もう少し古いところから申し上げますと、四十六年には許可の取り消しが一件ございます。それから四十七年には受託業務の停止、これは二十日間というケースがございます。それから四十九年にも許可の取り消しが一件、それから受託業務の停止が一件。それから五十年以降は先ほど申し上げたようなことでございまして、受託業務の停止が五十一年に二件、こういうことになっております。
  125. 宇賀神治夫

    ○宇賀神説明員 農林水産省につきましても、許可取り消しにつきましては、四十六年、四十九年、これは通産省と共管でございますが、それぞれ一件ございます。最近の処分状況を申し上げますと、五十一年につきましては受託業務の停止、いわゆる営業停止が二件ございます。それから五十二年度につきましては、受託業務の停止が九件ございます。
  126. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そのうちで戒告というのはどの程度のものなんですか。
  127. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  どの程度というお尋ねの意味がちょっとわかりませんが、私どもは軽微または過失による形式違反というようなものにつきましては、戒告等の処分をいたしておるわけでございます。
  128. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そのほかにも、いつだったか私もちょっとつまびらかにいたしませんけれども、注意書の提出だとか始末書の提出を求めたというような処分の仕方もあるというふうに聞いておりますが、それはどういう程度のものですか。
  129. 島田春樹

    ○島田説明員 始末書でございますが、これは先ほど戒告等と申し上げた中に含まれておりますが、要するにこの戒告あるいは始末書というのは、いずれも軽微もしくは過失による形式違反、その程度の軽重に応じて戒告あるいは始末書、こういう処理をいたしております。
  130. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それにしましても商品取引というのは信用を重んずる業務でしょう。非常に信用が大事な業務だと思うのですが、ただしかし、それは一般の投資家なり勧誘を受けた側はどうしてそれを知るのですか。あるいは何かに、公報にでも載せるとか何かして、一応ここは注意しなさいというような、気づくようなそういうことがあるのですか、ないのですか。
  131. 島田春樹

    ○島田説明員 業務停止ということになりますればこれは市場でわかるわけでございますが、たとえば戒告というようなのは一般には公表されておりませんので、そこのところは広く一般の者が知るという状況にはなっていないかと思います。
  132. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それらの軽微のものにしろあるいは業務停止にしろ、重なって何度か受けたという例もたくさんございますか。
  133. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  最近のデータで見ますと、同じ商品取引員で重なってというのは余り見受けられません。二件というのがこのデータで見ると一番多いケースでございます。
  134. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それは取引所の中であるとかそれぞれの担当の役所だけで、ほかはうかがい知ることができない。そうすると一般の投資家はどういうふうにして判断したらいいでしょうか。
  135. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように一般に広く公知させるという措置はいまとっておりませんので、どこがどういう処分を受けたということを一般の人が広く知るというふうにはいまなっていないわけでございます。  ただ、逆に言いますと、そういう処分を受けるということになりますれば、当事者と申しますか、その業者にとっては要するに社会的信用上問題があるわけでございますから、そういう意味で処分を行っていくというのは非常に重要なことだというふうに考えております。
  136. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 一般の方々がその処分の内容も何もわからなかったら、信用置いていいのかどうかもわからないわけですから、トラブルを未然に防ぐということに役立たないわけでしょう。そういう対策も本当は立てなければいかぬと思います。だからといって、大部分は非常にまじめにやっていらっしゃる業者が多いと思いますけれども、やはり事信用に関しては相当シビアな態度が必要なんじゃないでしょうか。ここで明らかにせよと言ってもなかなかそれはできないと思いますが、資料として、顕著な例についてはいただけますか。ここはどうも幾ら指導してもだめなんだ、たびたびここはトラブルを起こしておる、あるいはまた、ここ一、二年件数が非常に多い、そういうものはここで公開せよとは言いませんが、何かの機会に私どもへはいただけますか。
  137. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  いま私、最近のこのデータで見ますと特に特定の業者が著しく違反件数が多いという、その顕著な例というのは、なかなかちょっとここでデータを見ていても判断するのはむずかしゅうございまして、そういうかっこうでの一種の資料というのはちょっと提出しにくいんではないかと思います。
  138. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もう目に余るようなのは、つかまえるのはつかまえていらっしゃるわけでしょう。知らしていただかなくても、私どもは私どもなりの資料もいただいております。しかし、これはここで読み上げようとは思いませんけれども、少なくともあなた方がつかんでいらっしゃるのか、あるいは主観的に言っていらっしゃるのか、被害を受けた方々、それをやっぱり照合して正しく正す必要もあるから、私、公表すると言ってないのです。いただきたいと言っているのです。  ここを見ますと、一つの社で三人も四人も被害を受けている方がある。傾向を見ると、違反事実がずいぶん多いように大体固まってきているんですよ。それをほっておく手はないじゃないですか。何らかの形でこれを明らかにして、余りにもひどいものは公開するというような措置も考えなければ本当はいけないんじゃないでしょうか。あなた方がやる前に、商品取引所自体も本当は自分の信用を確保するためにも何らかの処置をとらなければならぬと思うのですが、それに対してそういう御指導はなさった例がありますか。
  139. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  いま御指摘の点は、俗な言葉でちょっと語弊があるかもしれませんが、俗な言葉で言えば、非常に悪質な取引というようなものがある場合に、それを世間一般に公知公表するというようなかっこうで事は考えられないのかという御趣旨かと思います。いまお話しのように、確かに営業姿勢の悪い商品取引員の公表を行うというようなことは、要するに委託者に有益な情報を与えるということで紛議を未然に防ぐという意味で有効な手段であるというふうに私も考えるわけでございます。  ただ、当然のことながらこういう公表というようなことになりますと、商品取引員の営業活動に多大の影響を与えるという点もございます。したがいまして、仮にこういうことを行うということになれば、当然のことではございますが、事実を公正に把握して客観的な基準に基づいて評価を行って、この辺から公表するというようなことを考えなければいけない、そういう点を検討する必要があるわけでございます。したがいまして、私どもとしましてもそういった問題点というものにつきまして検討を進めていきたいというふうに考え  ております。
  140. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 去年の三月二十九日にもいろいろ問題を提起してありますし、この一年半ほどの間トラブルがずいぶん出ているわけです。国会の中でも数回取り上げられているわけです。その間一年半ほどの間はそれに対する対策をお考えにならぬで、これからお考えになるんですか。それともいままでも何かちゃんと具体的にこういうことをやったという実例があるんですか。客観的にと言うんですから、たとえば皆さん方行政の立場で、こことここの会社は非常に悪質だ、だから自発的に取引所の中でこういう処置をとったらどうですかというような手続なんかやってみたんですか。
  141. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  先ほどいま検討中と申し上げましたけれども、これは現在なお検討をしておる段階でございますので、そう申し上げたわけでございます。  何かやったのかというお尋ねでございますが、特に受託業務改善のための具体的な検討措置というのを本年の三月に指示をいたしたところでございまして、現在それが逐次実施に移されておる段階でございます。これが確実に実行されるという段階でかなりの成果を期待できると私ども考えている次第でございます。
  142. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最初に戻りますが、あなた方のやっていらっしゃることは、数字もかっちりつかんでおらない、そしてまた指導もどうも非常に手ぬるいような感じがいたしますが、一般の投資家にとってみればやはり行政が頼りなんですよ。それがいま研究中、研究中で、去年の春から考えてみても、こういう問題が顕著になってきてからでも一年半の間研究中でずっと通しているわけですか。その間にもやはり事故は起こってきているわけでしょう。それともまたその中で消費者側も悪いんだという例があるんだったら示してください。
  143. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、この三月に指示をいたしました事項につきましては、たとえば委託者のしおりの改訂あるいは新規委託者の売買取引の制限等々、一々申し上げませんが、相当詳細に具体的に受託業務改善のための検討項目を示しまして、それについての実施を指示をいたしたわけでございます。これが現在逐次実施に移されておるということでございまして、私どもといたしましてもなお今後とも引き続き努力いたしますが、そういうかっこうでいまいろいろ指導をいたしておるということでございます。
  144. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 半年たっているわけですから、ある程度の成果は上がってきておるということを自信を持って言えるわけですか。
  145. 島田春樹

    ○島田説明員 いま申し上げました指示に対しまして実施に移りましたのが九月からでございますので、まだちょっとその成果ということを申し上げる段階ではございませんが、私どもはこれによりまして相当程度の成果を期待できると考えておる次第でございます。
  146. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 三月にお出しになって九月までは何もやらずにじっと見ておったわけですか。何もいま事故がたくさんふえてきただけではなしに、去年からやってきておるから三月に出されたんでしょう。そして九月まではじっと待っておったわけですか。
  147. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  三月に指示をいたしまして、検討さして、そして九月からそれを実施に移した、こういう状況でございます。
  148. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 三月に出して、そして業界の意見を聞いて九月まで待っておったということですか、あくまで業界ぺースということ。これは何も通産省、農林省が指導しなくても、だれが指示しなくても、信用取引なんですから本来から言えば取引員なり会員なり取引所自体がやらなければならない問題なんでしょう。それでなければ信用を保てないんじゃないですか。それを一々半年間じっと御意見を聞いて待っておるというのはどういう態度なんですか。
  149. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  待っておったというわけではございませんで、これ、いろいろ技術的な点もございますので、そういう点を業界に指示をして詰めさせて、そして具体案を得て実施をするというような運びにしたわけでございます。
  150. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 技術的な点というのはどういう点ですか。
  151. 島田春樹

    ○島田説明員 詳細な説明は省略いたしますが、それぞれの項目につきまして、たとえば委託者のしおりの改訂というのを具体的にどういうかっこうでやれば一番いいのかというような、これは一番わかりやすい例でございますが、そういったものを具体的に詰めましてこういったかっこうが一番いいという結論を得まして、そして実施をするというようなかっこうで、それぞれの項目につきまして具体的なやり方の詰めをいたしたわけでございます。
  152. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまのはさっぱりわからないのですがね。何をどういうふうにしたのか。たとえば外務員の不正が多いから外務員にはこういう特別教育をやったとか、あるいは外務員がとってきたけれども後の管理の面は別にやるとか、何かそういう具体的な、技術的な説明があればいいけれども、抽象的な一般論ではわからないのです。具体的にどういうことをやってきたんだ。たとえば外務員なら外務員についてどういうふうにしたのか、そして事故を少なくするためにはどういう処置をとったのかということで説明してください。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 細川恒

    ○細川説明員 御説明申し上げます。  細部にわたりますので私から御説明申し上げますが、たとえばいま審議官の方から申し上げました委託のしおりの改訂につきましては、従来非常に素人わかりのしにくいような点もございましたので、たとえば絵をかきまして、視覚に訴える形で一般の者が見やすいようにする、そのようなものの中にどのようなものを載っけるかというようなことにつきまして、商品取引所の中で十分な検討をさせたということでございます。時間がかかりましたのは、先ほど申し上げましたように、関係者が非常に多うございますので、その辺の細部の詰めにつきまして時間がかかったということでございます。
  154. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 特に最初にも指摘しましたように、外務員の過剰勧誘と九十四条に関する事故が非常に目立って多いと思うのです。それらについてはどういう対策をおとりになっていますか。
  155. 細川恒

    ○細川説明員 御説明申し上げます。  外務員制度の抜本的な改善を図るということを指示いたしまして、たとえば外務員の登録時におきます面接の実施でありますとか、あるいは外務員の登録時におきます誓約書の提出を行いまして、その他再研修を行う等々というような措置を講ずることといたしております。
  156. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういう抽象的な改正だけで片がつくんだったら、もうとうに片がついていると思うのですよ。いわゆるやり手というような外務員でこそ成績が上がるのでしょう。だから文書を流した、教育をした、人選をしたということだけで解決がつく問題じゃないと思うのです。いろいろ処置を講じてこられても、ちょっと行政の目が緩むとまたぶり返してくる、こういうことを何遍も繰り返していると思うのです。  本来商取法というのは、こういう苦情処理だとか紛議だとか、そんなことはわき道、例外的なことであるべきだと思うのです。本来は目的どおり、第一条に書いてあるとおり、健全な運営で商品価格の形成や取引の公正あるいは生産及び流通の円滑を図る、結局流通問題をきちっと将来の見通しもつけて公正な取引をやろうということが目的なんでしょう。ところが、最近の取引所の問題というのはトラブルばかりなんです。なぜ本来の目的が議論されずにこういうトラブルがたびたび、抑えてもしばらくするとまた噴き出してくる状態はなぜ起こるのだと分析していらっしゃるのか。
  157. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  御指摘のとおり、商品取引所の本旨からいえば、いまの問題というのはまことに遺憾なことでございますが、私ども従来、おしかりを受けたわけでございますが、いろいろな措置を講じてきております。全般的には商品取引の営業姿勢というのもかなり改善されてきていると思いますが、御指摘のように、まだいろいろ問題があるというわけでございます。  これはなぜかということになりますが、理由はいろいろあると思いますけれども、一つは一部の商品取引員間の過当競争によるものが大きいと思います。そしてそれは経営者の自覚の欠如という点が考えられるのではないかというふうに思われます。したがいまして、私どもといたしましても今後厳正な行政を行うということでこれに対処していきたいと考えております。
  158. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま過当競争と経営者の自覚の欠如と言われたのですが、何せ二十七兆というような巨額の取引をやるわけなんでしょう。じゃ、なぜそんな過当競争が起こるんだ、その点はどうなんでしょうか。
  159. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  なぜ過当競争が起きるのかというのは非常に問題がむずかしいかと思いますが、最近の一つは経済情勢というのもあろうかと思いますが、基本的には少しでも業績を上げたいというようなところから、経営者の自覚が足りない、それで過当競争が起きるというようなところではないかというふうに思います。
  160. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 お答えにならないですよ。取引所が少しでも成績を上げたいというのは何もいま急に始まったことじゃなしに、いままでずっとあるのです。やはり根本的な原因があって過当競争が起こる。たとえば業者が多過ぎたから過当競争が起こるというのもそうだろうし、あるいは扱い高の範囲が非常に狭まってきているということもそうだろうし、そういう原因がなければ本当の対策は立てられないのじゃないですか。抑えても抑えてもいつまでたってもトラブルというのは起こってくるのじゃないですか。いまのはお答えにならないと思いますよ。
  161. 島田春樹

    ○島田説明員 私どもやはり何といいますか、一つは経営者の自覚という問題が根本にあろうかと思います。数が多いという点も一つの原因ではないかというふうにも思いますが、やはり相対的な問題であるかもしれません。
  162. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 経営者の自覚と言われるなら、経営者の自覚に訴える手段としてはどういう御指導をなさいましたか。そして、数が多いということであれば、その数の多いのをどういうふうにして合理化なさるか。それがなければいつまでもトラブルは絶えないということでしょう。
  163. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  商品取引につきましては御案内のように許可制をとっておりますし、それも四年間という期限を切って許可の更新をする制度、この法律の改正が行われて現在そうなっておるわけでございます。したがいまして、私どもこういう許可をしていくに当たりまして、財務面の基盤の充実という問題と同時に、営業姿勢というのを非常に重視したいというふうに考えております。営業姿勢を重視していくという方針で、許可の審査を行うというようなことを通じましても取引員の姿勢を正していくことに努めたいと考えております。
  164. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 自覚にまつ対策というのはどういうことですか。
  165. 島田春樹

    ○島田説明員 いま申し上げました自覚を促すという意味でも、営業姿勢を重視するというようなかっこうで審査をしていくということが、取引員のモラルと申しますか——正しい営業姿勢をとるように持っていくために、私ども審査に当たってそういう点を重視していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  166. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうすると、いままでの実績を見て、今度の切りかえの五十五年までに、いろいろ成績の悪いところは取引停止をするとかいうふうにしてでも数を減らしていって正常化をしていくという考え方ですか。合理化をやる、あるいは合併もやらせる、そういうような考え方ですか。
  167. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  数を減らすということを考えているわけではございません。ただ、許可を行うに当たっていま申しましたような厳正な審査をし、営業姿勢、財務という両面につきまして問題のない取引員について許可していくということを厳重に行うことによりまして、いま問題になっておりますような点を正していきたいというふうに考えているわけです。
  168. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 厳正な姿勢だけで過当競争はおさまりますか。過当競争になっている原因というものはもっと根本的にあるでしょう。日本的な取引所のあり方ということが問題にあるのじゃないでしょうか。そこらの根本的なところから改めていかなければ過当競争はやまないのじゃないでしょうか。
  169. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  過当競争の根本の原因を正していくということにはどういうことをやっていけばいいかというお尋ねだと思いますが、私ども従来三十年代から四十年代にかけまして、いろいろ取引に対する大衆参加というのをきっかけにして紛議が起きてきたというような経緯にかんがみまして、二度にわたって法律の改正を行い、特に最近におきましては、許可の更新というような制度を導入する、その間問題のあるものにつきましてはいろいろな行政指導を行うというかっこうで対処してきたわけであります。したがいまして、いま根本をどうするかというお話でございますが、基本的には、商品取引員の営業のあり方というものにつきまして、健全な経営が行われるためには、やはり財務基盤の充実という問題と、営業姿勢の何といいますか是正と申しますか、正しい営業姿勢で臨む、この二つが担保されれば問題は解決していくというふうに考えますので、そういう方針指導していくということで対処したいというふうに考えておるわけでございます。
  170. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 根本的な問題は大臣からお答えいただきたいのですが、大臣どうですか。それだけで、いまの営業姿勢とかあるいは厳しい態度で臨むだけでいけるのでしょうか。いまの取引実態というものから来ている過当競争というものは、抜本的な考え方の改正が必要じゃないかと思うのですが、大臣の考え方をひとつお聞かせいただきたい。
  171. 河本敏夫

    河本国務大臣 いろいろ政府委員から答弁もしておりますが、さしあたりはいま申し上げましたような方法でやっていくよりしようがないのではないか、こう思っております。でありますから、これまでのやり方をさらに徹底を図りまして効果を上げるようにしたいと思います。
  172. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでは一般取引についてはその程度にして、次に金についての質問をいたしたいと思います。  当委員会でも二回か三回にわたって金の質問がありましたし、最近でも法務委員会でもありました。昨年の三月の二十九日の大蔵委員会の中でも、金の自由市場といいますか、自由な取引についての質問があったわけでございますが、そのときの御答弁によりますと、現在のところでは実態を把握しておらない、今後あらゆる方法で調査をして把握をしたいという答弁がございますが、五十二年の三月ですから、ちょうど一年半たっております。その間にどれだけの実態調査をなさったのか、自由市場と言われるような市場がどれだけあって、業者がどれくらいあるのか、そういう点についてお示しいただきたいと思います。
  173. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  私どもといたしましても、その後いろいろと調査を行ってまいりました。ただ、この金取引市場と言われているものにつきましての実態を私ども調べてみますと、いわゆる金の延べ取引市場と普通言われておりますが、これは離合集散も激しくて流動的でございまして、なかなか把握が困難な状況にあるわけでございますが、現在私ども把握しております市場数は、全国で十数団体というふうな状況ではないかというふうに思っております。各市場にいわゆる金取引業者が会員として参加をしているという状況のようでございますが、その詳細につきましては、私ども調べた限りではなかなかはっきりつかめないというのが実態でございます。
  174. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 実態調査をどういう方法でおやりになりましたか。
  175. 島田春樹

    ○島田説明員 いわゆる金の延べ取引市場と言われる、私どもそれを承知しておるものにつきまして、ヒヤリングを主体にして調査をしたわけでございます。
  176. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまのところでは通産省としては、これは別に違反になるような団体だというふうな考え方をお持ちになっていないから、実態把握ということについては法的にどうにもできないからつかめないということなんですか。
  177. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  私どもいまのところ法律的に何といいますか調査をするということは、現在の実態では法律的な権限に基づいて調査をするということはちょっとできないというふうに考えております。したがいまして、事実上私どもができる範囲で調査をしたということでございます。
  178. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 被害がなければいいのですが、去年の三月に御答弁になったときには被害届が出ておりませんということなのですが、その間に最近ではどうなんですか、被害届が出ておりますか。そして何件くらいありますか。どういうケースが多いか。
  179. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  被害届と申しますかとはちょっと違うのですが、私どもの通産省の本省あるいは各通産局に、金の取引に関しまして、いわゆる消費者相談というかっこうで相談がございます。その相談件数で申し上げますと、五十三年で、これは四—十月でございますが四十六件、それから五十二年度が二十件というのが相談件数でございます。ただ、この相談の中には一般的な相談もございますので、これがすべて被害件数というわけではございませんが、大体そういう傾向でございます。
  180. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま言われた合計六十六件ですか、そのうちで被害を受けているというような問題、社会的にも問題になるような問題はどの程度あり、そしてそれをどういう方法でいま解決をなさっているのか。
  181. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  相談を受けた内容と申しますと、いろいろなケースがございまして一様ではございませんが、たとえば金の将来引き渡し時点における価格が下落する場合に解約の危険性を回避するために予約金というのを取っているわけでございますが、その予約金の積み増しを要求されて、その要求に耐えられなくて取引をやめた、その結果違約金を取られたというようなケース、あるいは予約金を払い込んだ直後に連絡がなくなってしまったというようなケース等が私どもの方に訴えられておるわけです。  私どもいまのところこれに対する措置としましては、こういうことを金の取引について相談がありました場合に、いまの金取引の実情というものを話をして、そういうものについての何といいますか注意を喚起するというのがまず基本的な態度でございます。それから問題によりましては警察の方に相談に行くようにアドバイスをするというようなかっこうで指導いたしておるというのが実情でございます。
  182. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 注意を喚起するという程度のことでいいのでしょうか。そしてまた、いま警察へと言われたけれども、具体的にどういうことで警察へと言われたのでしょうか。
  183. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  案件の内容につきまして、そのケースが詐欺に当たるのではないかと思われるようなケースにつきましては、やはり警察と相談をするようにというようなアドバイスをいたしたというケースがあるわけでございます。それから、一般的には私どもいまのところ被害防止という点では、そういう消費者に対する注意の喚起というのを最重点に置いて行政を行っておる次第でございます。
  184. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 注意の喚起というのはどういう方法で注意を喚起するのですか。
  185. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  結局注意の喚起ということになりますと、PRと申しますか一般によく周知徹底を図るということでございますので、一つは当省で出しております「消費者ニュース」というのがございますが、これにつきまして、この中にいまの金取引の問題につきまして、それを載せまして、消費者に対して注意を喚起するという措置を講じてまいりました。これは五十一年から三回行っております。それからまた最近では、商品取引関係者であります全国商品取引所連合会、それから全国商品取引員協会連合会に対しまして、いわゆる金取引が商品取引所法に基づく取引ではないという点につきまして消費者が誤解をするということがございますので、消費者の誤解を防ぐことをするようにという指導を行ったわけでございます。これはこの九月に行いました。その結果、関係者としましては全国紙数紙に意見広告を掲げております。こういったかっこうで消費者に対するPRを行うということをしております。
  186. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 その程度で金の被害というものはそう防げるものじゃないと思うのですが、その程度の指導なりPRをするということでとどまっておられるということは、前提において結局商品取引所法第二条二項の違反じゃないというふうに判断をしていらっしゃるわけですか。
  187. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  いま問題になっております金に関する取引方法の実態というのを私どもが現在把握しておりますところでは、商品取引所法で禁じている先物取引類似行為に当たるというふうに考えるのはどうも困難なようでございます。御案内のように、先物取引を構成する要件というのは、将来の一定時期に売買の目的物及び対価を現に授受するように制約され、当該商品の転売または買い戻しをすることができ、その場合は差金の授受によって決済するというような取引というのを指すわけでございますが、その契約、約款等から判断いたしますと、転売、買い戻しは行わないとかあるいは差金決済を行わないというようなかっこうに契約がなっておりまして、そういう観点から、先ほど申し上げましたような考え方に立っておるわけでございます。
  188. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 契約がなっておるから先物取引じゃないと言う。契約はどうあろうと、もし事実関係が先物取引と同じようになった場合にはどうなりますか。
  189. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  調べました限りでは、事実関係と申しますか、私どもがつかんでおる限り、表に出てきているところでは、先ほど先物取引で申し上げましたようなそういう事実関係にあるということが、どうも逆になかなかつかめないというのが実態であるわけでございます。
  190. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 じゃどの程度の調査をなさってつかめないのか。法的に何もないから調査のしようがないのか。そこらの問題点もあると思うのですね。この間の法務委員会の御答弁によれば、どうも差金の決済を行わないから、そういうことが明文でうたってないことが多いから先物と断ずることはできない、細川さんがそういう答弁をしているのです。  それじゃ、少ない、多いというわけですから少ない場合もあるはずですね。多いのがそういう明文ですけれども、調べた結果少ない事実関係はあったのかなかったのか。
  191. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  そういうのが多いと申しましたのは、私どもが調べた限りではどうもいま申し上げましたような実態であるわけです。ただ、私どもが調べたのがすべてかということになりますと、詳細に全部を調べられなかったわけでございますから、そういう意味で先ほど申し上げましたようにそういうのが多いというふうに申し上げたわけでございます。
  192. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もっと問いただしたいのですが、何件くらい調べて、そういうものが、その調べた範囲内でそういう判断をできたという点、それも教えていただきたいのですが、それじゃ二十六年の二月七日に当時の法制局の通達が出ておりますね。これとの関係、どうなるでしょうか。  これをちょっと読み上げてみますと、あなた方はこの市場そのものについては金は入らないとおっしゃっているのですが、この見解を見ますと——その前に、二十五年の九月二十日に通産省通商企業局長から「商品取引所法第八条の解釈に関する件」ということで、「第八条第一項の規定は、同法第二条第二項の商品については勿論、右の商品以外の物品(例えば鉄銅、肥料等)についても適用される」のかどうかという問い合わせをしているのです。それに対する回答によりますと、「「先物取引をする商品市場に類似する施設」の開設を一般的に禁止する立法は存在しないことになり、何人も、国家の適正な規制に服することなく、自由にこれを開設、運営することができるという結果を招来し」ということで、結果的には「実際上同法の認める商品市場と同一の経済的機能を果し、その結果右にのべたような弊害を生ずる虞のある一切の施設の開設を禁止することもあると解すべきである。」 だから、これは違反だ、金の市場も違反だという見解を示しておりますが、これはどういうふうに扱ったらいいのでしょうか。
  193. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申します。  いまお尋ねの件ですが、私どもは先ほど申しましたように、どうも実態から申しますといま申し上げましたような実態のようでございますので、その規定の解釈という問題でなくて、実態から言いましてどうもこの商品取引所法というものの措置というのは無理ではないかというふうに考えておるわけです。
  194. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 要件に当てはまるか当てはまらないかというその前提になる調査があなた方できないでしょう、実態把握してないんだから。調査ができないから、実態に当てはまるか当てはまらぬか断定できないのでしょう。そしてまた、法律にないから、調査を、立入検査も何もできないわけでしょう。それで要件に当てはまるということは言えないじゃないですか。当てはまるか当てはまらないか断定できないという、それはおかしいじゃないですか。やはり調査をした結果、果たしてその要件に当てはまるか当てはまらぬかは判断が出るのであって、あなた方十分の調査はできないのですよ。そしていまやっておられる調査は実際には何件やってどういう調査をやりましたか。第一番目のところから第二番目のところに行ってすっと帰ってきているじゃないですか。そんなことで調査ができるのですか。ブラックマーケットと言われるところで果たして調査ができているのか、調査じゃなしに素通りしているだけじゃないですか。それで調査ができると言えるのですか。調査ができないから要件に当てはまらないというのは、それは詭弁なんですよ。
  195. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  私ども五十二年にも五月、八月、九月にわたりまして、できるだけいわゆるいまの延べ取引市場と言われるものにつきまして調べたわけですが、調べました限りにおきましては、契約では先ほど申しましたようなかっこうで明記されておるわけでございますので、取引の実態がそれと違うということになると逆に契約違反という問題になってくるわけでございまして、したがいまして、契約あるいは約款で見る限りはそういうふうな判断ということになるわけでございます。
  196. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 時間が参りましたが、これで終わらなければなりませんけれども、大臣、調べようにも調べられない、実態が把握できない、だから要件に当てはまるか当てはまらないかわからないと言われるのですが、この間の法務委員会の議論を蒸し返すのはやめますが、そこでも実際の取引をやっている数量から言えば、輸入の数量と合わせてみても合わないじゃないかという指摘もあるわけですね。ですから、調査ができないから当てはまるか当てはまらないかわからないということでほうっておいたのじゃこれは堂々めぐりになってしまうのですよ。何らかの形でやはり実態調査しなければならぬと思います。  それについてはもっとしかるべき方法があるのじゃないですか。あなた方がいま相談なさっているようなところ、そして持ってくればたいてい相談を持っていかれるようなところとも十分相談なされば、ある程度もっと実態がわかるのじゃないでしょうか。このままでいけば金は本当に野放しで取引をされる、そして被害もますますふくれていくということになりますよ。しかもいまのところこれに対してどうにもとりようがない。この際法制局なりあるいは法務省なり、もちろん通産、農林、大蔵全部寄って、そして警察庁も寄って、この対策をおやりになるという気持ちはございませんか。この対策をお立てになる気持ちはございませんか。  大臣、ひとつお答えいただきたいと思います。
  197. 河本敏夫

    河本国務大臣 この金の取引についての被害、詐欺的な行為による被害が非常にふえておりまして、この問題は委員会でももう数回議論になっております。これはこの被害が後を絶たない、だんだんふえておる、こういう傾向から絶えず質問が出るのだと思います。再びの御指摘でございますから、やはり何らかの対策が必要だと思います。関係者の間で十分相談をいたします。
  198. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それではこれで終わりたいと思いますが、これはもう四、五回出ていると思います。大臣、早急に各関係省庁と協議をする、そして対策を立てていただくということをひとつお約束いただけませんか。
  199. 河本敏夫

    河本国務大臣 約束をいたします。
  200. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  201. 楯兼次郎

  202. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、国民生活に関係の深い石油関係の問題を中心にして質問をさせていただきたいと思います。  河本通産大臣には、総裁選挙で大変お忙しい中を、きょうは通産省決算においでを願いまして、大変どうも御苦労さまでございます。  私は最初に、石油関係の問題に入ります前に、これはもう私どもの国民生活、日常生活の中にはいろいろな面で欠かせないものでございますが、河本大臣のお宅は一体燃料はどういうようなものを使っておいでになるか、まずその点からちょっとお伺いをしたいと思うのです。
  203. 河本敏夫

    河本国務大臣 燃料はガスと電気です。
  204. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣は東京と兵庫と両方にお住まいがあるようですが、東京の方は多分ガスと電気というふうに思いますが、兵庫の方は何をお使いになっていらっしゃるのでしょうか。
  205. 河本敏夫

    河本国務大臣 プロパンです。
  206. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、大臣は非常に便利なところに住んでいらっしゃるのでガスと電気だけかと私は思いましたら、プロパンもお使いになってくださるということでございますから、これは全体について深い造詣をお持ちじゃないかというふうに思うのですが、ところで、大臣の使っていらっしゃるガスは、どこの会社のガスをお使いになっていらっしゃるのでしょうか。
  207. 河本敏夫

    河本国務大臣 東京瓦斯でございます。
  208. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしますと、まず大臣の東京のお宅のガスは、円高差益の還元を大臣の指示どおり東京瓦斯は実施をいたしましたから、大臣のお宅のガス料金は一応引き下げになったのだ、こういうふうに思うわけでございます。それから電気の方も、これは大臣の御指示どおり、電気料も円高差益は不満足ながら返されることになったので、大臣のお宅ではまず都市ガスと電気については為替差益が還元された、こういうふうに思うわけでございますが、プロパンの方については大臣いかがでしょうか。兵庫の方ではプロパンをお使いだそうでございますが、大臣のお宅を例にとって、プロパンガスは円高差益は還元されておりますでしょうか。
  209. 河本敏夫

    河本国務大臣 プロパンにつきましては、行政指導でできるだけ引き下げるように指導を続けております。具体的に最近どの程度下がっておるかということにつきましては、私は詳しくは承知いたしませんが、とにかく数カ月前から行政指導によりまして引き下げる方向に努力をいたしております。
  210. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣は、この前の当委員会審議に先立ちまして行われた八月三十日の商工委員会で、「為替差益の取り扱いにつきましては、私どもは為替差益は一〇〇%消費者にあるいはまた国民に還元すべしという考え方であります。」という考え方を述べられておりますけれども、この考え方は、電気、ガスのように公共料金として政府が価格決定に関与できる、そういうものだけではなくて、当然灯油の価格あるいはLPG、プロパンガスの価格についても同様に適用される、こういうふうに理解をいたしたいわけでございますが、その点はいかがでしょうか。
  211. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、原則的に申しまして、為替差益というものは一〇〇%消費者に還元されなければならぬと考えております。その基本的な考え方は、あらゆる商品に対して適用すべきものだと考えております。  ただしかし、プロパンの場合は何分にも非常に零細企業が多うございまして、人件費その他の経費も相当ふえておりまして、なかなか思うように引き下げができない、こういうことは指摘できると思います。
  212. 小川国彦

    小川(国)委員 私はまず、これから冬を迎える段階で、国民生活に一番関係の深い灯油価格について伺いたいと思うのでございますが、五十二年九月から大体キロリットル当たり五千三百円、灯油の値下げが石油業界によって行われてきているわけであります。このことは私ども一歩前進である、こういうふうに認めているところでございますが、しかし、ことし石油税が新設されるに当たりまして、三月、四月、五月、六月、この四カ月間、石油税の新設を予想したところの石油業界は、大量の原油を輸入して、ちょうどその同じ時期に円が急騰しましたために、巨額なユーザンス差益が発生した。その額は三月から六月で二千九百七十八億円に及んでいる。これを灯油の生産比率で還元したならば、さらに一キロリットル当たり千二百四十円の値下げが可能なのではないか、こういう試算が出てまいるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  213. 神谷和男

    ○神谷説明員 ただいま先生の御指摘になりました二千九百七十八億円というユーザンス差益の数字につきましては、私ども同種の数字を手元に持っておりませんが、五十二年度の上期におきまして、いわゆるユーザンス差益が三千億程度出ておるという事実はございます。その後、本年度上期の決算におきましても、かなりのユーザンス差益が出ておることは事実でございますが、いわゆる円高に伴います差益の中には、先生御承知のように、仕入れ差益とユーザンス差益と二つございまして、仕入れ差益は、通常円が高くなることに伴いまして原油の仕入れ価格が円ベースで値下がりする、こういうものでございますが、これにつきましては、私どもこれまで石油会社の決算を見てまいったところでは、石油製品の価格の値下げあるいは値下がりという形で、さらにはその他のコストアップという形で還元が行われておるというふうに承知いたしております。  もちろん、金融的な、一時的なユーザンス差益というものは別途残っておりますが、これは一時的なものでございまして、円が下落いたしませんでも、横ばいになっただけでも、この差益は消えてしまう金融的、一時的なものでございますので、われわれといたしましては、これらにつきましては、企業体質の改善のために内部で活用されるよう指導いたしておるところでございます。
  214. 小川国彦

    小川(国)委員 このユーザンス差益の問題については、さきの国会答弁、ことしの八月二十九日の物価特別委員会で石田正実石油連盟会長は、約三千億円と発言をしておりますし、それから神谷石油部長さんは、たしか二千百億円というふうに認めておられると思うのです。もちろん、このユーザンス差益を見て石油会社が経常利益が黒となっておることは私も認めるわけでありますが、これがやはり為替差益であることは事実であって、先ほどの大臣答弁のとおり一〇〇%消費者に還元するというならば、当然このユーザンス差益についてもこれは国民に還元すべき性質のものではないか。そうでないと、先ほどの大臣の答弁は一〇〇%今度はうそになるのじゃないか、こういうふうに思いますが、このユーザンス差益を企業に温存させるのか、国民に還元するのか、その辺についてはさらに通産省として検討を要するところではないかというふうに私は思います。この点、大臣答弁と石油部長の答弁とには食い違いがある、こういうふうに理解せざるを得ませんが、その点はいかがでございますか。
  215. 神谷和男

    ○神谷説明員 先生最初に御指摘の、為替差益の石連と当方との相違について一言御説明をさせていただきますと、私が前回の物特委員会で御説明いたしました数字は、五十二年度の為替差益とその前の年度の為替差益の差、要するに前の年より為替差益が二千百億ふえました、こういう形で、したがって石油会社の利益が前年度利益よりこれだけふえましたという御説明を申し上げましたので、差額でございますので、石油連盟の会長が御説明いたしましたいわゆる根っこからの数字と違っておるという事実がございます。私の説明が若干舌足らずでございましたので、誤解を与えました点をおわびいたしたいと思います。  それから、ユーザンス差益について一〇〇%還元すべきではないかという点につきましては、為替差益の中に仕入れ差益とユーザンス差益があり、仕入れ差益というものはいわゆる石油製品のコストを低下させる、少なくも原価構成でそれだけの低下があることは事実でございます。これはもちろん石油製品は認可料金等ではございませんので、市場の価格メカニズムを通じてではございますけれども、消費者に還元されるべきものであり、そのように指導してまいったところでございますが、ユーザンス差益は一過性のものでございますので、これは非常に偶発的なものであり、不安定的なものである。現に、現時点におきましては、一部企業において若干の為替差損が出ておるというふうにフラクチュエートいたすものでございますので、これはいわゆる原価構成上の変化とみなすのは必ずしも適当ではないというふうに考えます。もちろん、これらが恒常的に発生するような事態になればまた別途の考慮が必要かと思いますが、一時的なものである以上は、それがすべて石油製品の価格に反映されるべきであるというふうに指導するのはやや行き過ぎではないかと考えます。  ただ、先生すでに御承知のように、最近の石油会社の決算におきましては、石油製品の価格値下がりのために営業利益の段階あるいは経常利益の段階では赤字になっておりまして、この一時的な金融上から発生する為替差益に一部食い込んでおるという事実は別途ございます。
  216. 小川国彦

    小川(国)委員 石油会社全体の収支で見れば、これも利益の中の一つとして収支の中の勘定として見なければならないことはわかるわけですが、それは石油部長も認めているように、これは一時的な利益である。為替差益そのものも、かなり継続的にはなっているけれども、これも一過性のものというふうに見れば、やはりそういう性格のものに見られるわけです。しかも、その内容の見方について、石油連盟の会長が三千億あると言うのに、石油部長の答弁だと二千巨億と、九百億も開きがある。業界が三千億あると言うのに、それを監督する官庁の通産省が二千百億なんというふうに少な目に見てやるというのは、いかにも企業優遇の見方のような印象を免れないのですが、この差は一体どこにあったわけですか。
  217. 神谷和男

    ○神谷説明員 ユーザンス差益の数字で、石油連盟会長は三千三百八十億という数字を挙げております。私は、先ほどちょっと触れましたが、二千百億円という数字を挙げております。この二千百億円は、五十二年度のユーザンス差益、私どもでは三千百四十五億円と計算をいたしておりますが、これから五十一年度のユーザンス差益千七十二億円を差し引きますと、約二千百億円という数字が出てまいります。それで、私が前回御説明いたしましたときは、常に、前年度より仕入れ原価がこれだけ下がっております。前年度より原油代がこれだけ上がっております。その他のコストアップも前年度と比較するとこれだけ上がっております。こういう御説明をいたしましたので、ユーザンス差益につきましても、ユーザンス差益が前年度よりこれだけふえております。こういう申し上げ方をいたしましたので、石油連盟の会長が説明した数字と違う数字になったわけでございます。要するに、私は差を御説明し、石油連盟会長は根っこから説明をしたということでございます。
  218. 小川国彦

    小川(国)委員 議論を進めていきたいと思いますが、私が申し上げた灯油価格の引き下げというのは、ユーザンス差益というものを全体の差益の中の一部というふうにみなしていけば、まだ引き下げ可能の余地があるのではないか。私どもの党の計算でもそういうものが出てくるわけなのですが、それならば、皆さんの方では一体灯油の原価をどう見ているのか、そして、その中から現状の価格が適正なのかどうか、その灯油の原価をどういうふうに見ておられますか。
  219. 神谷和男

    ○神谷説明員 一言で申し上げますと、私どもは、石油製品全体としてのコストは常時われわれなりに試算をいたしながら、市場の動向あるいは石油会社の決算状況、財務諸表等を照合し、現在どういうポジションにあるのかということをウォッチいたしておりますが、御承知のように、石油製品は連産品であるという性格を持っておりますので、個々の製品に割り振られるべきコストというものは、おのおのの石油製品の需給関係あるいはその需給関係を反映いたしました生産の仕方の変化と、さらには、それに応じた原油調達の変化によって時々刻々変化をいたしておりまして、一般的に申し上げれば、個々の石油製品の価格構成あるいは石油製品全体の価格体系といったものは、やはり市場の需給によって形成されるべきもの、こういうふうに考えておりますので、灯油についての原価という形の計算というのは、事実上かなり現実にそぐわない仮定を置かない限りむずかしいのではないかと考えております。したがいまして、私ども、個々の石油製品についての原価というものは算出いたしておりません。
  220. 小川国彦

    小川(国)委員 大変怠慢だと思うのですね。皆さんの方では、いま、高過ぎるとか低過ぎるとかいうことは、通産省は言うわけです。先ほど大臣は、プロパンについても値下げしようと思っているけれども、末端の小売業者がなかなか小売の段階で下げてくれない、だから思うようにいかないのだと言っているわけで、それにはやはり一つの目安というものが——物事には目安というものがあるわけなのです。通産省という役所があって、エネルギー庁があって、石油部があって、三百六十五日優秀な頭脳のスタッフの方がそろって石油問題と取り組んでおられて、その石油の中のA重油が幾らになるのか、C重油が幾らになるのか、それからガソリンが幾らになるのか、軽油が幾らになるのか、灯油が幾らになるのか、その辺の標準価格というものは大体どのぐらいになるのだ、そういう通産省のモデル価格をつくるぐらいのことがなかったら、通産省の石油部というのは一体何をやっているのかとならざるを得ないと思うのですね。皆さんがやった実績がないというのなら別なんですが、昭和五十年の十二月一日のときには、石油業法による標準価格というものを発表しているわけです。私ここに、前の通産次官の小松勇五郎さんの「激動の通産行政−回顧と展望」という本を読んだのですが、この中で読みますと、通産次官は灯油の価格の安定のために「「通産省は三五〇円以上で売ってはいかんという通達を出す。それで違反というのなら、メーカーでも小売店でもつかまえて、灯油一缶六〇〇円以上にしてみろ」といった記憶があります。公取さんは「それは乱暴だ」というんですが、そんなことをいっておれる状況じゃなかった。」こういうふうに石油パニックの中に非常に勇気を持ってこういうモデル価格を示し、そして石油製品の価格安定に取り組んだという過去に実績があるわけなんですね。  それで、いま現在石油の諸物資をめぐる価格の混乱というものはいろいろな面に派生している。そういう状況の中でわずか五種目か六種目、しかも原油を加工する中では約一〇%前後出るのが灯油だというふうにわかっているのですから、その加工、精製の中で灯油の価格はおよそどのくらいの値段で売られるのが適正か、それはもう当然通産省のベテランの皆さんが計算できなければならないはずなんですね。そういうコスト計算をやって一つ一つの業界を適切にリードをしていく、そういうリードする役所が通産省だと思うのですが、いかがですか、通産大臣。いまの石油価格の混乱の中でガソリンも乱売が行われて非常に値段の上下の差がある。プロパンも仕入れ値段と売り値の間にはまた大変な開きがある。非常に価格体系が混乱しているのですね。そういう中で何が幾らで売られることが適正かというような目安を通産省がつくるという考え方がなかったら、これは通産省のお役目が勤まらないのじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか、その点。
  221. 神谷和男

    ○神谷説明員 先生御指摘のように石油業法の中に標準額という規定がございます。異常に価格が高騰したりあるいは低落したり、石油製品価格形成の要件の中で異常な事態が発生いたしました場合には、石油製品の安定供給を確保するという観点から標準額を決定することができるし、現に、ただいま御指摘のように過去に標準額を設定した事実はございます。  ただ、私ども一般的には石油製品は先ほど申し上げましたように自由な市場価格機構を通じて価格形成がなされるべきであり、異常な事態のときにのみ標準額というものは発動されるべきであると考えておりますし、また法律の規定もそのようになっておるわけでございます。  ひるがえって現下の情勢を見ますと、確かに石油製品の価格形成要件の一つである原油価格というものが円の高騰あるいは最近におきましては反落というような事態で非常に激変いたしておりますので、これが石油製品の価格形成に必ずしも十分全体として反映されていないというふうに判断をし、石油製品の安定供給が阻害され、国民生活に重要な影響を与えるような場合には、われわれとして異常時としてこれを把握して標準額を設定するという考え方もございますが、現時点におきましては石油製品全体といたしましては円高のメリットと申しますか、少なくもそれによる原価の低減分を製品価格に反映させておりますし、そのように石油製品価格も形成されておりますので、私どもは標準額を発動するような事態になっておるとは考えておらないわけでございます。  個々の石油製品につきましては、標準額を設定せざるを得ないような場合には一定の前提あるいはそれまでの状況というものを踏まえて、やはり一つの前提のもとにこれを定めなければならないわけでございますが、それはあくまで一時的なものでございまして、その後の各石油製品の需給動向あるいは生産技術の変遷等によりまして価格体系というのは変わっていくのが筋でございますので、通常時におきましては石油製品間の価格バランス、価格体系といったものはやはり自由な市場の需給関係によってこれを形成させるのが適当であろうか、このように考えておるわけでございます。
  222. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十一年の初めには標準価格を設定をいたしましたが、あのときには石油製品のあらゆる分野で価格が大混乱をいたしました。そういうことから万やむを得ず標準価格を設定をいたしまして、需要業界に協力を要請をしたわけでございますが、現在はあの当時のような事態とは違っておりますので、ごく一部のものに対して行政指導をしておりまして、先ほど申し上げましたLPガスとかあるいは灯油、国民生活に非常に密接な関係のあるものに限って行政指導をいたしまして、できるだけ引き下げるようにいま努力をしておるというのが現状でございます。
  223. 小川国彦

    小川(国)委員 どうも大臣、引き下げる努力をしているというのですが、引き下げる努力の目安がなくては引き下げられないと思うのですね。ガソリンの場合、大体リッター九十円、いま八十五円も出ていれば百十円で売っているところもある。そういう場合、どの辺の目安で売るのが適正の利潤で適正な値段かということをやはり通産省が国民に示す必要があると思うのですね。灯油についてもプロパンについても大体この辺が標準価格だということを出せるはずなんです。それを出しては困ると言っているのは私は石油業界だろうと思うのですよ。余り安い値段の標準価格を出されると、何だ、石油やガソリン屋さんがそんなにもうけているのか、石油業界はそんなにもうけているのか、こういう批判を受けては困るので、標準価格というものを、いまのお話だと大変な動乱期とか混乱期でなければ標準価格を出さないんだというふうに言っていらっしゃるのですが、いま石油業界の現状を見ると、大変な混乱期ですよ。パニックのときのように品物がなくなったときが混乱期じゃなくて、いまのように品物が余って、石油が、EC諸国でもそうだし日本もそうだし、だぶついている中でダンピングが行われたり、あるいはまた一方では巨大な利益をむさぼったり、そういう混乱の時期にこそ通産省が標準価格を示すべきなんで、その辺はもう少し一歩進んでこれに取り組むというぐらいの姿勢がなければならないのじゃないか、私はこういうふうに思いますが、そうすると通産省は灯油の価格についてもプロパンの価格についても、いわゆる元値と卸値と小売値と、その段階で値段がどういうふうに推移しているか。ですから、一番最初の石油精製メーカーが売り出して、元売が売り出して、卸業者が買って卸して、それから小売業者が買って一般の消費者、国民に売る、その各段階の値段の値動き、そういう実態というのは把握していないのですか。
  224. 神谷和男

    ○神谷説明員 末端の価格につきましては私どもモニター調査を行っておりまして、これによって把握をいたしております。卸段階あるいは元売段階におきましては、必要に応じてと申しますより定期的に、個別企業の秘密にわたる部分もございますけれども、事実上私どもとしては価格の報告を受理をいたしております。原油の輸入価格につきましては当然統計的にこれを把握いたしております。
  225. 小川国彦

    小川(国)委員 企業の秘密というのが通産省の好きなせりふなんですよ。国民のために行政をやっているのか、企業のためにやっているのか。国民のためにやっているなら、こういう値段が適切な値段ですよというのを出せなければならないのですよね。企業の秘密というのは、それを出すと石油業界が困るから出さない、これは非常に悪い考え方で、通産大臣、こういう考え方はやはり変えていかなければ日本通産省の体質というのはよくならないのじゃないかと思いますが、いかがですか。——ちょっと委員長大臣、総裁選で疲れているんだろうけれども、私の質問していることぐらいちゃんと聞いていてくださいよ。大臣に私が質問していることの中でポイントのところで大臣に答弁を求めているのだから、ばんきり答弁を求めているのではないんだから。私の聞いた内容について、通産省のいまのような企業の秘密ということについて標準価格も出さないような姿勢がいいのかどうか、そこを聞いているのですからね。
  226. 河本敏夫

    河本国務大臣 そこで私が先ほど申し上げましたLPガス、それから灯油につきましてどのような具体的な指導をしているかということにつきまして、石油部長から具体的な数字を挙げて答弁をさせます。
  227. 小川国彦

    小川(国)委員 聞いていることはどういう指導をしているかじゃなくて、標準価格を出すというようなそういう通産省の積極的な姿勢はないのかということを聞いているわけです。  それからもう一つは、標準価格を出すに至る、元売りから仕入れから小売に至るまでの一つの流通段階の価格というものがあるわけです。そういうものを分析して最終的に標準価格というものを出していく。プロパンについても灯油についてもそういう仕組みを明らかにしていくというような考え方というものを通産省が今後示していく考え方はないのかということを聞いているのです。
  228. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは先ほど来、私も石油部長からも申し上げましたように、石油価格が非常に混乱をいたしましたときには適当な方法の行政指導をする。たとえば指示価格をつくるとか標準価格をつくるとかいろんなことをやりますが、現在はそういう事態ではない。ただごく一部のものだけについて適当な行政指導をしておるというのが現状でございます。いまのお話は、混乱期だから全体の種類について適当な行政指導を示せ、こういうお話だと思いますが、いまは全体についてやるほどの混乱状態にはない、こういうことを申し上げておるわけであります。
  229. 小川国彦

    小川(国)委員 この問題の判断に、私は大臣が石油価格の混乱といういまの状況の把握がまだ不十分じゃないかと思う。  私はこの一例をプロパンガスの問題にしぼってみたいと思うのですが、先ほど大臣は、おたくの東京の港区のお住まいは都市ガスですから、これは大体千五百万世帯は、都市ガスは三大ガス会社を中心にある程度値下げがされましたが、一千七百万世帯はプロパンを使っているわけなんです。大体地方都市から農村が多い。消費者運動とかそういうのが少ないから、プロパンガスの値下げというのはまことに遅々たる状況で、灯油は、私先ほど厳しい指摘をしましたけれども、かなり値下げはされてきている。ところが、同じ原料からできるプロパンガスと灯油が、片方は三分の一になっているのに、依然としてプロパンガスは下がっていないんですよ。同じ精製過程を通って、同じものからできたんですから、同じ石油を出発点にしてできたもので片方が三分の一に下がって片方がそのまま、片方が三百円になるのに片方はまだ千円のまま、これは非常におかしいわけですよ。そういう点でプロパンガスも灯油並みに引き下げる、そういう考え方がなければならないんじゃないか。  私ども計算しますと、プロパンでも大体輸入差益は千六百九十四億、石油精製による間接的な円高差益でも九百二十四億、合計すると二千六百十八億、これを年間のプロパンの総使用量、LPGの一千四百八万トンで割りますと、一万八千五百二円ということになりまして、一家庭に見ますと、大体月当たり約二百九十九円七十銭ですから、プロパンについて約三百円値下げできるんじゃないか、こういう試算もできるわけなんです。具体的にいま通産省指導して値が下がったというのですが、確かに下がりました。下がりましたけれども、全国で見るとまだ一立方五円しか下がっていないのです。これじゃ下がった分に入らないわけですよ。そういう点で片方が三分の一になっているのにプロパンが五円しか下げられないというのは一体どういうわけですか。
  230. 神谷和男

    ○神谷説明員 プロパンガスにつきましては、先生御指摘のとおりかなりの円高のメリットを輸入段階で受けております。石油精製からも一部出ますけれども、現在わが国のプロパンのほとんどはプロパン液化ガスという形で直接輸入をいたしておるわけでございますが、これの輸入価格の値下がりは一年間で一万円強現実に下がっております。CIF価格でございます。  問題は、これらのトン当たり一万円下がっておるものが末端に行って先般までほぼ横ばいであったということはなぜであるかということでございますが、計算の仕方はいろいろございますけれども、現在小売価格五立米当たりで一万七千円強というのが全国平均でございますけれども、このうちCIFのわが国に輸入したときのガスの価格が占める割合というのは二割にも満たない。それ以外は流通段階におきますタンクの施設費であるとかあるいは配送費であるとか、小売段階におきます人件費であるとかあるいはユーザーの家庭に設置いたしますいろいろな器具の代金であるとか、保安上の経費であるとかといったようなものでございます。したがいまして、大ざっぱに申し上げますと二割強、二五%程度輸入価格が下がっておりますが、末端価格におきますガスの価格のウエートというものが二割程度ということになりますと——先ほど五立米当たり一万七千円と申しましたが、千七百円の誤りでございますので訂正いたしますが、五立米当たりで恐らく三、四%という数字になるのではないかというふうに考えられます。これにその間におきます人件費のアップその他を入れてまいりますと、理論計算をいたしますと末端において十分値下げ可能な数字というのは必ずしも一義的には出てまいりませんが、私どもといたしましては、輸入時点においてのこれだけの値下がりがあるので、流通段階においても最大限の合理化をしてある程度の値下げをするよう指導をしておるわけでございます。  たまたま十月の中旬に行いましたモニター調査では、先ほど先生御指摘のように余り値下がりをいたしておりませんが、十月の末に再度モニター調査をいたしましたところ、さらに二十六円の値下がりが実現をいたしておるわけでございます。十一月から値下げを行う地区も一部あるというふうに承知いたしておりますので、さらに末端において値下がりが進んでいくことを期待しておる状況でございますが、いずれにいたしましても、LPガスにつきましてはその流通過程において膨大な人件費と設備費、保安費がかかるということが末端における価格の値下がりを大幅なものにいたしていないという原因でございます。
  231. 小川国彦

    小川(国)委員 語るに落ちるとはこのことなんですが、さっき私が灯油やプロパンの標準価格を示すのにはどういう経費がどれくらいかかっているのか、そういうものを出していけば標準価格は出てくると思うのです。石油部長はプロパンは器具にかかるとか設備にかかるとかいろいろかかるからこういうふうになるのだとおっしゃる。では、そういうものはどういうふうにかかって最終価格がそんな高いものになるのか。いま石油部長の答弁だと五立方十キロで二十五円下がるはずだ、こう言っているのですが、私どもの輸入価格から見ると、昭和五十一年に十立方二十キロで九百五十六円のLPGが五十三年には七面円に下がっている。これでいくと二十キロ当たり二百五十六円安くなるはずなんです。灯油は大体そういう形をたどって安くなってきているんです。ところが、プロパンについては依然として下がらない。あなた、われわれが円高差益から見た十分の一しか値下げをしていないのですよ。  私ども末端できょうここへ質問に立つ前にいろいろなところを回りました。五円ぐらい下がったというのは先ほど言ったようにありますよ。一立方五円ぐらい下がったのは事実ですよ。しかし、あなたがおっしゃるように二十五円下がったようなところは残念ながらまだ見当たりません。ましてや、私どもが試算したように二十キロで二百五十六円下がるはずなんですが、それが下がらない。  これからどうなるかというと、実は私いろいろなプロパンの販売業者の人たちの意見を聞いたら、どうもことしはプロパンを高い値で売り過ぎた、灯油が安いためにいま暖房用もふろもみんな灯油にかわってしまった、そしてプロパンのガスの暖房器具がこの冬は全然売れない、初めてプロパンから灯油にみんな移行してしまったという実態がわかった。だからあわてて、いま二十立方で六千円のものを一割くらい下げなければならない。いま実勢として下がりますよ。あなたの方で騒がなくても業界自体が六百円下げなければ灯油に対抗できない事態に追い込まれてきている。そうなってから通産省は、われわれの言ったとおり下がった、こう言うのじゃないですか。そうじゃなくて、通産省が行政指導権を持っているなら、いまやはりきちんと二百五十六円、円高差益の中で下げられるものを下げるべきなんじゃないですか。  大臣、兵庫の自宅へ帰るとプロパンガスだそうですか、それをお下げになる気持ちはないですか。
  232. 河本敏夫

    河本国務大臣 数カ月前から何回かLPガスの値下げの行政指導をしておるのですが、残念ながら、いま石油部長が答弁をいたしましたように、何分にも非常にたくさんの小売業者がございまして、主としていま人件費等のためだと思うのですが、なかなか思うように下がらない。その点は大変遺憾に思っております。理論的に計算をいたしますと当然もっと下がってしかるべきだ、このように思いまして、何回か繰り返し業界の団体等に対しましても値下げの協力を要請をしておるわけでございます。しかし、御指摘のようなことはまさに事実だと思いますので、さらに引き続きまして値下げの方向で行政指導を続けてまいりたいと思います。
  233. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣の御健闘によって国民の納得できるようなプロパンガスの値段が出てくることを私は期待しております。  次に、地方ガスの問題に移りたいと思います。  さきに政府は、東京電力ほか七電力、それから東京瓦斯、名古屋の東邦瓦斯、大阪瓦斯、この三社に対しては円高差益を還元せよということでこれを行わせたわけです。約三千五百億引き下げが行われた。ところが、地方ガスに対しては、ガス料金の安定化とか保安対策の推進ということでその差益還元はしなくてもよい、こういう指導をしている。そのために地方ガスの中では大変な利益を上げてしまって、あわてた通産省が値下げ申請を大急ぎで通産省に出させて、そしてこの十二月から値下げを実施した、こういう広島ガスのような例があるのですけれども、同様のケースは東京圏内でもたくさんあるわけです。たとえば東京瓦斯が九九%出資している千葉ガス、それから五〇%出資している筑波学園ガス、埼玉のやはりこれも五〇%出資している松栄ガス、それから茨城の美浦ガス、これは一〇〇%出資ですね。それから栃木ガス、埼玉の鷲宮ガス、神奈川の横浜ガス、これは直系でやっておりますが、こういうように地方ガスがたくさんあるわけです。東京通産局で百二十社あるそうですか、その中には経営のうんといいのとうんと悪いガス会社があるのです。地方ガスでもたとえば京葉ガスのように市川、船橋から千葉に至る二十万世帯も供給しているところ、それから千葉ガスのように四街道、佐倉、成田と三万世帯も供給しているところ、これは首都圏の密集したところにパイプラインを引いてやっているのですから非常に利益率がいいわけです。しかも千葉ガスの場合などは九九%東京瓦斯の出資ですから、東京瓦斯の会社も同じなんですね。そして原料の来るところも袖ケ浦で同じなんです。袖ケ浦のパイプラインから東京に行っている、それから千葉へ来ている。同じところから出たものが東京瓦斯の管内へ行ったときには値下げがされて、こちらの千葉県の地方へ行った場合には値下げがされないのですね。これは少しおかしいのではないか。  それからもう一つは、それではそういう会社が経営がまずいのかというと、たとえば千葉ガスの売り上げを見ても、五十一年度決算、税金を引いた後の利益で八千七百万、五十二年度決算では、やはり税金を引いた後の利益で四千八百万。税金を払う前の利益で見ればこの約倍になる。五十一年度は十七億、五十二年度は二十億と売り上げは順調に伸びているのですね。京葉ガスなども五十二年度で百四十二億、五十三年度で百五、六十億を見込める。こんな優良な会社に、しかも原料の七割はやはり円高差益の恩恵を受けている原料が入ってきているわけですね。そうするとこれは当然地方ガスも——いわゆるガスとか電気というのは独占事業ですから、そこ以外から買うことができないのです。したがって政府が価格決定に関与できるので、当然地方ガスの企業についても、その企業内容を分析して、もうかっているところ、いわゆる円高差益の恩恵を受けているところはきちんと値下げを行わせる、こういう姿勢や考え方がなければならないと思うのです。  この点は通産大臣、三大ガスの引き下げは実施されましたけれども、地方ガスについてはいま全くノータッチという状態なんです。このガスの引き下げについて、これからでも遅くはありませんから取り組むお考えを持っていただきたい、こういうふうに思いますが、この点、大臣の所見をひとつ伺いたいと思います。
  234. 河本敏夫

    河本国務大臣 先般、三大ガスにつきまして円高差益の還元を決めましたのは、直接の差益が計上できるということからそのような行政指導をしたわけでありますが、地方ガスは何分にも数が多うございますし、それから経営規模もまちまちでございます。そして直接の円高差益を受けるというよりも間接的に受けておるというところがほとんど全部でありますので、前回の対象からは外したわけでありますが、その後、地方ガスの中でも比較的規模の大きいところに対しましては値下げの問題なども起こっておりまして、個々に判断をしていきたい、こう思います。
  235. 小川国彦

    小川(国)委員 実は、私が調査を始めましたら、東京瓦斯の方では千葉ガスについて何か七円引き下げるという話を十二月からやるという話が出たのです。しかし、七円引き下げても末端の千葉ガスの方では引き下げる考えはないと言うんですね。しかし、千葉ガスは九九%東京瓦斯の出資なんですから、それから原料も同じところから出ているんですから、これはどう見ても東京瓦斯と全く同じ条件の会社であって、それが親会社が子会社に七円下げるけれども一般の消費者には下げませんよでは少しひど過ぎるのじゃないか。やはりこういう個々の内容について、いま大臣がお話しになったように積極的に個々の実態を調査をして、そして一定のラインから、円高差益の恩恵を受け利益を受けている会社についてはこれを引き下げる、こういうことをひとつ大臣の答弁で、調査だけではなくて、具体的に円高差益の影響なりあるいはまた剰余のあると思われるガス会社についてはこれを引き下げる、こういう考え方をもう一度明白にしていただきたいと思います。
  236. 神谷和男

    ○天谷説明員 さっき大臣が御答弁申し上げましたように、前回の大手三社の引き下げの際には、時間もございませんでしたし、非常に多数ある地方ガスの実態を把握するということも困難でございましたし、それから地方ガスのうち約三分の一は赤字経営というような実態もございますし、そういうことで大手三社の引き下げということをまずやったわけでございます。  その際、原則といたしましては、地方ガスにつきましてはできるだけ長期に料金を据え置くように、差益を不当に社外流出などさせないようにというようなことで原則的な指導をいたしたわけでございます。その後、いま御指摘ありましたように広島ガスなどは相当の円高差益を上げており、これを消費者に還元する方が適切であるというふうに通産省の方も考えましたし会社の方もそういう判断でございましたので、広島については差益の還元ということで三社に続くということになったわけでございます。この場合、大手につきましては大体五十三年度の見込み料金収入に対しまして還元額はおおむね四%でございます。ちなみに、電力の場合は四・六%でございます。それから広島の場合は三・五%でございます。この料金収入に対しまして還元する額が余りにも少額になります場合には、還元の手数も非常にかかるわけでございますし、余りわずかの金を一々還元していくよりはむしろ料金をできるだけ安定せしめるということの原資として使う方が妥当ではないかというような判断をしておりますが、どの辺からそれじゃ還元をし、どの辺くらいになったら還元せずにむしろ料金の長期据え置きということにするか、その辺の判断を余り画一的にすることは適切ではないと思いますが、個々のガス会社の経営の実態等をよく調査いたしまして、実質的な還元ができる場合には還元をするということで指導したいというふうに考えております。
  237. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に申し上げますが、ガスの三社も四百三十二億中二百五十一億円の還元をしたけれども、末端の標準家庭にいくと三百十二円なんです。電力も三百二十円なんですね。そういう状況から見れば、いまおっしゃられたように末端へいくと確かに零細な額になっている。しかし、やはり消費者としては、そういう円高差益のようないわゆる全く一時的な差益で生じた、そういうものについてはやはり返されたということで、一〇〇%返すという大臣の考え方でいけばやはり返してもらったという考え方を強くするわけなんです。いま言うように、東京瓦斯は子会社に七円下げると言っているのですが、それが末端には行われそうもないわけなんです。そういう点を皆さんの方ではちゃんと把握して返すという姿勢がないと、それはなかなか地方ガスだって言うこと聞きませんですよ。その点通産省がもっときちんとした姿勢で、そういうものについては親会社が子会社に下げたらそれはちゃんと消費者に返される、そういうものでないとこれは一貫性がないと思うのですね。その末端までの行政指導を、特にこれは電力、ガスという公共事業体として通産大臣が何よりも権限を持ってやるものですから、こういうものにはきちんと調査の上で末端まで引き下げる、こういう大臣の答弁をいただきたいと私は思うのです。
  238. 河本敏夫

    河本国務大臣 お話ごもっともだと思いますので、個々の企業につきまして、ある企業はできるだけ長く現行料金を据え置かせる、ある企業は下げられるようならば下げさせる、そういうことで実態に応じてもう少し臨機応変にやる方がよろしかろうと思います。そういう考え方の上に立ちまして、これから判断をしていきたいと思います。
  239. 楯兼次郎

  240. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 通産大臣には、総裁選挙のところ大変御苦労さまでございます。  私は本日、石油ストーブの検査機構について若干の質疑を行いたいと思うわけでございます。  まず最初に、私が石油ストーブの検査機構を問題にする一つの観点は、やはり最近のいろいろな報道にもありますように地震対策ということがきわめて大事であるという観点からでありまして、第八十三国会においては大地震対策特別措置法が成立をしたわけであります。そしてここ二、三年、特に関東、東海地域に大地震が起こるのではないかという予測がございますし、きょうの東京新聞あたりにもいわゆる福島県の大陸棚あたりの問題が大きく取り上げられておるわけでございます。五十三年の二月に宮城県沖で地震が発生をいたしました。宮城、福島、岩手等で一時二十六万戸にわたって停電が行われ、その復旧にはかなりの困難が見られたことが報道されております。また五十一年、伊豆地方においても地震の発生が見られたことは御承知のとおりであります。こういうような一連の実態がいろいろな角度から取り上げられ、たとえば東京等におきましては地震が起きたときには大変な困難が予測をされますので、東京都では各区において避難場所の指定まで行われているような状況でございます。その中で、いわゆる被害の最大の主体と申しますかそういうものは火災によるものが心配をされておるわけでございます。特にこの地震が冬季において起きたことを想定いたしますと、この火災の発生率というものは非常に高いものが考えられなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、さらに状況を大臣にも知っていただく意味におきまして申し上げますと、東京都広報室の調査によりますと、現在使用中の石油ストーブは東京都において二百六十万台に達するそうであります。これは世帯数をはるかに上回っている数字でございますから、全国の世帯数を換算してみればこれまたかなりの数、二千数百万台にわたって各種の石油ストーブが使用されているというふうに推測をしなければならないと思うのでございます。  そこでまずお伺いをするわけでございますが、このように地震に対する特別立法ができた現在において、通産省がこういった暖房器具等の製品に対しいろいろな許認可を与えておられるわけでございますけれども、この特別立法ができた段階を踏まえてこれらの製品の技術の進歩あるいは安全の確保、こういう問題について当然通産省としての新しい所信なりあるいは方針というものがなければならないと思うのでございますが、防災対策強化という意味で大臣はどんな所信をお持ちか、またあるいは具体的にどんな指導をされているか、まず最初にお伺いをいたしたいわけであります。
  241. 河本敏夫

    河本国務大臣 石油ストーブにつきましては、過去何年にもわたりましてJISを基幹とする行政が定着をし、消防当局との連絡調整も円滑に行われております。また器具の欠陥による事故件数も余り報告されておりませんで、現在の体制でも十分対処できるものと考えております。  財団法人日本燃焼器具検査協会の関与はあくまでも法律上これを強制するものではありませんが、石油ストーブの安全性確保に占める財団法人日本燃焼器具検査協会の役割りの重要性にかんがみまして、今後とも同協会の運営について十分に指導、監督を行い、公益性の確保に万全を期してまいりたいと存じております。
  242. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 えらくまた結論を早々とおっしゃいまして、それはそれで結構でございますが、なおいろいろと質疑を重ねてまいることにいたしたいと存じます。  自治省にお伺いをするわけでございますが、特に仙台で起こりましたあの地震について、仙台消防署が石油ストーブの自動消火装置に対して実験を行ったそうでございます。新聞報道によりますれば、震度五の最高値というふうに現在の規定があるわけでございますが、四十六台中二十八台が作動しなかった。震度六、いわゆる烈震というふうな状況において初めて火が消えたと報道されておるわけでございます。もちろんこの実験については単に水平に揺さぶったということでございますから、実際の地震とは条件が違うことは私もよく承知をいたしておるわけでございます。しかしながら、あの伊豆地震の際におきましても、震度四でほとんどの人が地震をこわがって石油ストーブを消さないで逃げてしまったということが静岡県で大変話題になったわけでございまして、いわゆる対震装置をつけておっても手で消さなくてはいかぬという意味合いの通達を改めてお出しになっておられると思うわけでございます。また、その震度が大変低い場合に簡単に作動してしまっても、これまた対震装置の意味合いもなくなってくるわけでございますから、大変にむずかしいとは思うのでございますけれども、いずれにしても、冬にたとえば東京のような大都会で地震が起こった場合に、大変大きな災害の原因となるわけでございますので、これらの石油ストーブの安全性あるいは対震装置の問題についてさらに研究を重ねる必要があるのではないか、私はこう思うのでございますけれども、消防庁の御見解をお伺いいたしたい。  そして、特にこの対震装置の問題についてはいますぐ現在の欠陥を正すことはかなりむずかしいかと存じますけれども、将来にわたって技術開発をしていかなければならないが、政府としてどんな対策を講じようとされているか。  もう一点は、民間の技術開発にまつべき分野も非常に多いと思うのですけれども、そういう問題をどのような形で集大成しようとしておられるのか、対策を消防庁にお伺いいたしたいと存じます。
  243. 中島忠能

    ○中島説明員 先生がお話しになられましたように、余り小さな震度のときに対震装置が働くということは実用性の面において問題がございますし、また人が飛び出すようなときに対震装置が働かないというのは、国民一般の不安という面からいって問題があろうかと思います。そういうことで、私たちは通産省あるいは関係消防当局と協議いたしまして現在研究中でございますので、先生のただいまの御発言をよく踏まえまして、鋭意検討いたしたいと考えます。  その次の技術開発の問題でございますが、この点につきましては、いまのどういう震度の場合に対震装置が働くかまた働かせなければならないかということでございますので、そういう点につきまして通産当局とよく協議いたしまして、技術開発の可能性の限界というものを見きわめまして、実用性の観点から遺憾のないようにしてまいりたい、そういうふうに考えております。  民間の問題につきましては現在私たちのところで正直なところそれほど研究いたしておりませんけれども、この点につきましても所管省庁とよく検討を重ねていきたいと考えます。
  244. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 工業技術院あたりを中心にして耐震性の問題はさらに研究を進められるのでしょうけれども、私は、すべての英知を結集して新しい法律もできたわけでございますから、そういった民間の技術の情報等も積極的に集める、そういう姿勢がなければいかぬと思いますよ。この点は注文を出しておきたいと存じます。  さて、この石油ストーブの問題でございますが、この検査の仕組みの問題について私は大変疑念を抱いておるわけでございます。  まず、内閣法制局に伺うわけでございますが、この石油ストーブのJIS規格製品は、工業標準化法によって法的に根拠を与えられておるわけであります。そういうわけでありますから、この法律をしさいに読んでまいりますと、石油ストーブ等の製造業者の申請によって、その製品の製造設備検査設備検査方法、品質管理方法その他品質保持に必要な技術的生産条件を審査することが定められておりますので、製造業者が自主的にJIS規格に合っておるかどうかを検査して、そして通産省にその申請をすればよろしい、こういうふうになるわけでありまして、いわゆる主務大臣審査するということになっておるわけでございます。工業標準化法には第三者に委任できるとは明示されておらない、このように私は解釈いたしておるのでございますけれども、内閣法制局の見解を伺うものであります。
  245. 茂串俊

    ○茂串説明員 ただいま御質問の点につきましては、お述べになりました御見解のとおりであると考えております。
  246. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 したがって、JIS規格の表示を受けたい者は、そのJIS規格に合致するための検査をみずから行って主務大臣に申請すればよろしい、これが内閣法制局の見解でありますが、改めて通産省の御確認をいただきたいと思います。
  247. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  JISマークの表示許可に当たりましては、許可を受けようとする工場または事業場からの申請に基づきまして、製造設備検査設備検査方法、品質管理方法等、製品の品質保持に必要な技術的生産条件を地方通産局の職員が当該工場に立ち入って審査し、その結果に基づいて合否の判定を行っているわけでございます。
  248. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは確認のために申し上げたわけでございます。しかし、実態的に言って、そのJIS規格を受けたい者、申請する者が通産省に直接その検査を受けたいというような要請をした例は、私は聞いておらない。結局、その通産省審査を受けようとすれば、日燃検という財団法人があって、ここの型式検査を受けなければ現実には通産省に上がってこない。一体、その日燃検の検査証明書等が添付されずに申請された例がここ二、三年のうちにありますか、あるかないかについてお答えをいただきたい。
  249. 松村克之

    ○松村説明員 最近の例としては、すべて添付されているわけでございます。
  250. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私が確認したように、実際には日燃検の検査証明がなければ、この石油ストーブのJIS規格に合格することは不可能なわけであります。さらに、通産省の報告を求めましたところ、「通産省で行う検査項目と日本燃焼器具検査協会の行う検査項目の対比」というのが出てまいりました。通産省ではいま松村標準部長がおっしゃった検査を行う、日燃検では「型式検査を受けようとする企業との契約に基づき、構造試験、燃焼試験及び振動試験等の項目について試験を実施している。」こういうふうに明確に審査をすべき内容が分かれておるわけでございます。先ほど法制局の見解でも明確になりましたように、第三者機関に委任をするという条項は一つもない。しかるに、なぜ日燃検に実質的な権限を与えておられるのか、法的な根拠はどこにあるのか、この点をまず御明確にお願いをいたしたいと思います。
  251. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  先ほど御説明いたしましたように、JISマークの表示許可に当たっては、通産局の職員が当該工場に立ち入って審査をするわけでございますが、これらの能力審査の一環といたしまして、設計の検査についてのデータを工場から提出させているわけでございます。この検査は、当該工場が実際JISに規定してあります項目についてみずから実施するものでございますけれども、石油ストーブにつきましては検査の徹底を期すという見地から、申請者自身の型式検査に加えまして、第三者機関による型式検査の結果をも提示するように指導をいたしているわけでございます。
  252. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 参考資料として公的な第三者機関、それの検査の証明があればなおいいというのでございますけれども、この公的な第三者機関というのは単数ですか、複数ですか。
  253. 松村克之

    ○松村説明員 第三者機関といたしまして、一つの機関に実質的に制限しているということではございません。
  254. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの答弁は趣旨がよくわからない。どういう趣旨ですか、もう一度。
  255. 松村克之

    ○松村説明員 いま名前の出ました日燃検という協会がございまして、ここが専門的にそういった燃焼器具についての検査をいたしているわけでございます。したがいまして、そこの検査を受ける、あるいは型式検査を受けるという例が多いわけでございますけれども、いま私が答弁いたしました趣旨は、そこの型式検査でなければ受け付けない、それ以外の検査機関のものは受け付けないということを申し上げているわけではないということを申し上げたわけでございます。
  256. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まあいいでしょう、よくわかりませんけれどもね、あなたの言っているのは。要するに日燃検以外にないのでしょう。ほかにこの検査機能を持った公的な第三者機関というのはあるのですか。どうぞ答弁。
  257. 楯兼次郎

    楯委員長 松村標準部長、答弁がわからぬ、わかるように言ってください。
  258. 松村克之

    ○松村説明員 恐縮でございます。  現在の石油ストーブの検査につきましては、その検査項目が非常に多種にわたること、また検査レベルが非常に高いということから、実質的に申しますと、日燃検という検査機関、これを行うにはほとんどこの機関しかないというような実情であろうかと思います。
  259. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 だから私が問題にしておるわけなんです。通産省ではやる項目が決まっておるわけですよ。石油ストーブの型式検査のいろいろな細かい、しかも高度な技術によって判断をしなければならないものは、この日燃検を通過する以外に方法がないわけじゃないですか。  じゃあなた方は通産省として、たとえばあるメーカーから直接通産省に、ひとつ石油ストーブのJISマークを受けたいから型式検査等もしてもらいたいというふうに言われた場合に、申請されたメーカーが自主的にいろいろな検査をいたしてその項目を挙げてくる、その項目を確認する能力を通産省として持っているのですか、ひとつ明確にお答えをいただきたい。その設備がありますか。それからそれだけの検査項目というものを持っていますか。
  260. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  通産省検査をいたしますのは、これは第三者機関あるいはその企業みずからが型式検査を行ったそのデータに対して、これをチェックするという機能でございます。したがいまして、いずれかの検査設備をもって検査が行われた場合には、これをチェックするということは通産省としてできるわけでございます。
  261. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 要するに通産省はそんなことをやっていないわけでしょう。もう一度。
  262. 松村克之

    ○松村説明員 工場に参りまして、実際の審査をするわけでございますが、その際に提出されたデータにつきましてこれをチェックするわけでございます。
  263. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私が言っているのは——答弁をごまかしちゃだめですよ。JIS規格に伴ういろいろな項目、細目があるじゃないですか。そのデータが上がってくるんですよ。それをさらに確認しなければならぬでしょう。その確認をする機械設備等を持っているかと聞いておるのです。持っていないでしょうが。はっきり言いなさいよ。
  264. 松村克之

    ○松村説明員 どうも言葉が足りなくて恐縮でございますが、私が申し上げましたのは、一つの検査設備を持ってその企業あるいは第三者の機関が検査をいたしました場合に、その検査が正しく行われたかどうかをチェックするわけでございまして、改めて通産省が別な検査施設を持ってこれを検査するということではないわけでございます。
  265. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうであれば、当然申請されたメーカーの数値を書類の上で点検して、そして通産省がJIS規格を認可するということもあり得る、こういうことなんですね。
  266. 松村克之

    ○松村説明員 実際に企業が型式検査の項目につきましてみずから検査設備を持って検査を行い、そのデータを提出した場合には、それをチェックするということで検査をいたすわけでございます。
  267. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこまで確認をいたしたわけでございますけれども、しかし今日石油ストーブメーカーが各社いろいろあるわけでございますけれども、実態的に言って、この日燃検の証明書を添付しないで申請された例はないでしょう、どうですか。よけいなことを言わないで、それだけでいいから……。
  268. 松村克之

    ○松村説明員 おっしゃるとおりでございます。
  269. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 さあそこで先ほどのもとの問題に返るわけでございますけれども、現実的にはこの日燃検の検査を経過しなければ石油ストーブのJIS規格はもらえない仕組みになっている。あなた方がどう答弁しようとも、これはもう厳然たる事実。だから私は、そこまで権限を委譲しているならば、法的な根拠がなければならないと言っておるわけです。しかし、法制局の見解によりますれば、第三者に委任するということは法律の中にない、こうなっておる。どのような法的根拠においてこれをやっているのか、御明確な御答弁をちょうだいいたしたい。
  270. 松村克之

    ○松村説明員 JISにおきましては、型式検査の項目を決めまして、これを検査した結果をデータとして提出するように要求しているわけでございます。したがいまして、これを自社で行うことも十分可能でございますし、あるいは日燃検等に依頼することも可能なわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、ストーブ等についての検査は、これは保安上非常に重要な問題でございますので、相当高度な検査を要求いたしているわけでございます。したがいまして、各社、各メーカーにおきまして、その検査設備をそれぞれ設置するということについてはなかなか困難もあろうかということでございますので、日燃検という組織をつくりまして、ここに中心的にそれらの検査設備を充実させ、それによってJIS規格を守ることができるように、こういう指導をいたしているわけでございます。
  271. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 あなた方はその日燃検の検査機構というものを認めているんじゃないですか。それはいかなる法的基準によるのですか。その点はどうなんですか、もう一度御答弁ください。法的根拠は何ですか。
  272. 松村克之

    ○松村説明員 日燃検について法的に認めていると申し上げているわけではございませんで、日燃検であってもあるいはその他の第三者機関であっても、それらの検査設備設置し、それによって検査をするということは、全く法的には許されているわけでございます。
  273. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 消防庁にお伺いをいたしますが、地震が起きたときにいろいろな火災の原因が想定されるのですけれども、石油ストーブもありますね、それから、ガスの液化によりますところのいろいろな暖房器具、家庭用品等も使っておるようでございますしね。一体地震になるとどっちがどれだけ被害が大きくなりそうですか。どちらを大事にしなきゃならぬということはありますか。防災対策の上からいって、どっちを重点に置かなければならないとか。ないでしょう。両方チェックしながらいかなければいかぬわけでしょう。
  274. 中島忠能

    ○中島説明員 ただいまのところ詳細な資料は持っておりませんけれども、私のおぼろげな記憶で申し上げますと、普及台数の面からいいまして石油ストーブの方が多うございますので、若干石油ストーブかという気がいたしますが、ただ、普及台数が少ないからといって、その他の燃焼器具についてもおろそかにできないというふうに考えております。
  275. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは通産省、だれがお答えいただくかわかりませんが、いま消防庁のお答えのとおり、私は妥当な御返事だと思いますよ。  ところが、液化ガス関係の器具については、検査すべきことが法律によって明記されておるし、その資格が、法律によって検査すべき機構が権限を与えられておるのですね。そっちの方は権限が法律的に与えられ、石油ストーブの方は法律的な根拠がない、この違いはどこからくるのですか。なぜ石油ストーブには法的根拠が要らないとお考えなのか、御説明をいただきたい。
  276. 栗原昭平

    ○栗原説明員 先ほどJISとの関連につきましては標準部長がお答えしたとおりでございます。  日燃検でございますけれども、御承知のように民法第三十四条の規定に基づき設立された公益法人でございまして、実態的には昭和三十三年に通産大臣が認可をいたしております。  この公益法人につきましては、通産省としてもこの母法の規定に基づきまして所要の監督権限を持っておりまして、それなりの監督もできるという体制になっております。また、その技術内容あるいは経理状態等を見ましても、この検査を行うに足る資格を持っておるというふうに存じておりますし、そういった民法上の公益法人といたしまして所要の監督を受けながら、先ほどお話のあったJISの関連の一定の役割りを担っておる、こういう形で、全体といたしまして石油ストーブの安全性確保に必要な対応能力があるというふうに考えております。  そういった見地から、特別の法律を要せずして、現状の日燃検あるいはJISの諸規定に基づいて安全性の確保を期していきたい、かように考えておる次第でございます。
  277. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこら辺は、私は、はなはだ腑に落ちないのでございますけれども、通産省の認可によって、民法三十四条によって公益法人として認めたからいいのだというのですね。特にこの問題の質疑をするに当たっていろいろな答弁用の参考資料をちょうだいをいたしたわけなんですけれども、こういうふうになっているのです。  ちょっと読み上げてみますと、「石油ストーブについては、火災防止の見地から、製品品質の維持を徹底して確保する必要があるので、JISマーク表示許可工場における自主検査に加えて、更に公的な第三者機関に依頼して製品検査実施の上、安全性が確認された製品を供給するよう指導している。」「なお、公的な第三者機関における検査は、JISに規定している製品検査の方法に基づいて実施している。したがって、日本燃焼器具検査協会が行った検査に合格したものは、JISに規定する製品検査の方法による検査をクリアーすること」ができる。  クリアーという言葉、これはどういう意味ですか。陸上競技等においては、ハードルをされいにクリアーしましたというふうに使うのですよ。こんなことを一々答弁を求めてもしようがないから、私申し上げますけれども、したがって、日燃検が行った検査に合格したものは、まあ、すべての難関を突破したものですよというふうに、実質的に日燃検にすべての権限を与えておるわけです。しかも、法的根拠もなしにですよ。  一体、この日燃検というのは民法上の公益法人なんですけれども、私は、民法上の法人というものは私の法人であって公の法人ではないと思っているのですけれども、この解釈、間違いでしょうか。生活産業局長さん、お伺いします。
  278. 栗原昭平

    ○栗原説明員 公益の目的には種々あるかと思いますけれども、日燃検の場合におきましては、やはりこのJISに関する検査あるいは燃焼器具に関する調査研究等々、公益的な目的を達成するために設立された法人であるというふうに考えております。
  279. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私のお伺いには一つもお答えになっておりませんですけれども、これは私法人ですよ。私法人が私法人に命令する権限があるとお思いですか、お答えください。
  280. 栗原昭平

    ○栗原説明員 日燃検のやっております検査につきましては、先ほどお話になりました型式の検査、これはJISとの関連におきまして一定の関与をいたしておるわけでございますが、その関与はJISとの関連において定まってきておるものでございます。  それからもう一つ、検査で製品検査というのがございますが、これは民間企業との契約に基づいて、契約上実施しておるという検査でございまして、実態としてはいま申し上げたようなことでございます。
  281. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私へのお答えはいかがなりましたか、私法人が私法人に命令その他する権利があるのですか、どのように解釈していらっしゃいますか、お伺いをいたします。
  282. 栗原昭平

    ○栗原説明員 先ほどお答え申し上げましたような一定の検査を行っておりますが、命令といったようなことはなかろうかと考えております。
  283. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこでもう一点確認をしておきたいのは、いま申し上げたような公的第三者機関、すなわち日燃検と、イコールで結んでいらっしゃいますね、これは正しいのですか。これ以外にないのでしょう、だからそう結ばざるを得ないのでしょうが、いかがですか。
  284. 松村克之

    ○松村説明員 御指摘のありました文書におきまして、公的な第三者機関に依頼すると言っておりますのは、これは実質的な意味としては中正公正な第三者機関という意味で公的なという言葉を使ったわけでございますが、この検査機関といたしましては、御指摘のありましたように一つの機関としてこの型式検査の項目を全部満たし得るという機関は現在のところ日燃検以外にはちょっと見当たらないということです。
  285. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 確認をされたわけでございます。  私は、日燃検にそういう形で通産省が権限を与えていることについては、実態論的に言ってもこれはやむを得ない形はあると思います。ただ非常に問題なのは、いわゆる国民のすべての人が使っていると言っても過言でない石油ストーブ、年間に二千億産業と言われている石油ストーブの検査、これが日燃検に法的な根拠もなくしてその型式検査の権限がすべて、あなた方は委譲していないと言うけれども、実質的には委譲されているということ、私はそこに大きな問題があると思うのです。  たとえばこの日燃検に対してあなた方は行政上の指導権はあるけれども、もし日燃検が恣意的に何かはなはだまずいことをやった場合に、行政上の命令権は発動できるのですか。発動できないのでしょうが。この問題を明確に答えてください。
  286. 栗原昭平

    ○栗原説明員 公益法人に対する主務大臣の監督の権限でございますが、一般的に申しまして通産省の場合におきましては、まずその日燃検の毎事業年度に関しましての事業計画あるいは収支予算書というものを提出させてこれを検討いたします。また、事業年度の終了後、収支の決算事業報告書等をチェックいたすことにしております。  これが通常のやり方でございますが、日燃検に関しましては、特に御指摘の石油ストーブの安全性の問題もございますし、毎月前月の一件ごとの受け付けの状況あるいは検査の状況について具体的に報告をさせておりまして、また日燃検の公正さを担保するために、日燃検の理事につきましてはメーカーあるいは販売業者は理事としないということを寄付行為上明確にいたしておる、こういった措置を講じておるところでございます。
  287. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一度明確に答えてください。私の方の質問にはちっとも答えてないじゃないですか。通産省として、いわゆる行政上の命令権がこの日燃検に及ぶのかと聞いているのです。及ばぬでしょうが。どうなのです。
  288. 栗原昭平

    ○栗原説明員 民法の規定に基づきまして所要の監督を行うことができるというふうに考えております。
  289. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それ以上答弁しにくいのでしょうから結構でしょう。ただし、これはあくまでも民法上の規定における問題ですよ。じゃ一体、この日燃検というのはどういうものなのかということを通産省はもう少ししさいに検討しなければいけないのじゃないですか。これも非常に大きな権限を通産省は与え過ぎていますよ。ですから日燃検がだんだんのさばってきて、私法人でありながら、公法人のような表現を使いながら業務に対する権威づけを行っておる。全くもってけしからぬわけですよ。  いわゆる国の基本は、立法、行政、司法と三権に分かれておる。三権分立の時代ですよ。何も私は三権そのものを日燃検が持っておるとは言わないけれども、そういう立法的な、あるいは行政的な、あるいは司法的な権限まで、業務内容なんか全部見てごらんなさい。そういうような仕組みになっておるじゃないですか。一つ一つ指摘をしましょう。  まずこのJISマーク、これは日本工業標準調査会の審議においてでき上がっていますね。この草案の協力者というのはだれですか。
  290. 松村克之

    ○松村説明員 マークの草案についての協力者という意味でございましょうか。(石田(幸)委員「これの検査機構の創案者ですよ」と呼ぶ)JIS・S二〇一九石油ストーブの原案作成の協力者は、財団法人日本燃焼器具検査協会でございます。
  291. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 だから、これもいろいろな原案をつくるときに日燃検が大きく貢献しておるわけですよ。絶対的な権限があるとは私は言いませんよ。これは標準調査会の審議の経過を経ていかなければならないわけです。だけれども、実質的にはここが事務局になって原案の作成をしているじゃないですか。そういう性格が一つある。そういうわけで、立法的な性格を持っているのですよ。  それから行政上の権限、こういうものも随所に出てくるのですね。たとえば立入調査権がある。この業務規定を見ますと、工場検査も行っているようだけれども、立入検査基準というのが明確に定められている。一体、立入検査権というのはこれはいわゆる公の法人が与えられるべき資格のものであって、私法人が他の私法人に対して立入検査ができるなどというこんなばかげたことが法律上認められますか。あなた方はこういうことを是認しておるのですか。おかしいじゃないですか。  もう少し申し上げましょう。この日燃検がいろいろな意味で仕事をしていることはよくわかるのだけれども、一体通産省との関係はどうなっているのですか、これは。たとえば五十二年度事業報告書を見てみると、この中に「燃焼器具の技術指導ならびに検査実施状況等の普及向上をはかるため、次のとおり当協会の見学および講習を行った。」その講習対象者として、五月の十九日、工業技術院の電気規格課がこの中に入っておる。あなた方は講習を受ける立場ですか。私はこれは何ともおかしな事業報告書だと思いますよ。通産省指導すべき立場じゃないのですか。それなのに講習を受けなければならない、そういう事業書が堂堂とまかり通って、しかも通産省はこういうものを指摘もせずに通過させておる。こんなばかな話がありますか。あなた方は指導を受ける立場なんですか。もう一遍明確にしてください。さっきの立入調査権の問題と両方答えてください。
  292. 松村克之

    ○松村説明員 通産省日本燃料器具検査協会の指導を受けるという立場にないことははっきりしております。
  293. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それではこの事業報告書は何ですか、見たのですか、チェックしたのですか、五十二年度事業報告。どうですか。
  294. 松村克之

    ○松村説明員 私どものところでは事業報告書のチェックというものはいたしておりません。
  295. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それは通産省の答えにならないじゃないか。
  296. 栗原昭平

    ○栗原説明員 先ほどの立入検査のことに関しましてお答え申し上げますが、私ども、協会の発行しておりますフローチャートの中で立入検査という文字が使用されておるということは承知しております。ただ、日燃検の規定上は立入検査というような規定はございませんで、強いて立入検査に相当するような実態を考えてみますと、これは日燃検が相手と契約しておる工場の中で特に品質管理の優秀なものを特別扱いの対象として検査方法等を簡素化するための判断を行うために工場に対する一定の調査を行っております。これはメーカーとの契約に基づいて調査を行っておるわけですが、この調査のために工場に実際に入る必要があるという実態でございまして、この調査、工場調査ということでございますが、これをたまたま立入検査ということで過去に表現をしておったという実態かと存じます。必ずしも適当な表現ではないと思います。
  297. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 では直させますか、訂正をさせますか。
  298. 栗原昭平

    ○栗原説明員 表現は修正させるように指示をいたします。
  299. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 しかし、あなたがおっしゃったようにこれは違うのですよ。この日燃検が出していらっしゃる「業務手続と関係規定」を見ますと、立入検査基準と工場検査要領とは別になっておる。いいですか、別になっておるのですよ、これは。そこで私は、いろいろなことをやっているのだから日燃検からその書類を全部もらいたいと言ったら、いろいろな書類を持ってきましたよ。その中にはたとえば業務規定はNNS一一〇一という番号で整理されておる。恐らくここに掲げる関係手続と検査規定、このすべてにこういった番号を打って整理しているに違いない。ここに御提出をしていただいた分はそのほんの一部にすぎない。私は、恐らく立入検査基準というものも明確な形で定めてあると思う。この番号を付されているものを全部ひとつ資料として御提出をいただきたい。  これはまた委員長においてお取り計らいをお願いをいたしたいと思います。
  300. 楯兼次郎

    楯委員長 石田委員の御要求の資料は、理事会に諮って処置をいたします。
  301. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 さらに行政的な権限というものがいろいろございまして、この内容をいろいろ見てみると、たとえば「本会は形式検査合格証の数量ならびに私乱用等を監視するものとする。」まさにこれは行政当局の使うべき言葉であって、私契約におけるそういうような表現としては使うべき問題ではない。また、「本会は、必要あるときは、その貼付状況について申請者から報告を求めることができる。」 もうすべてこれ、官庁用語なんですね。また、たとえば「工場が新設された場合、新設工場以外で申請し、形式検査に合格したものも、検査を継続したい時は、新たに形式検査申請をし」云々というふうに、ことごとく義務づけ的なそういうような業務規定になっておる。だから、私は非常に行政的な権限が強いというふうに指摘をするわけです。  さらに、私法的な問題についても、私はこんな権限までこの日燃検が与えられているはずはないと思う。検査契約書を見ますと、その4の中にこうある。ここで乙というのはいわゆる申請者ですが、「乙は、品質が適切に管理されているということについて、別表“2”に示すような品質の証拠を示す書類を提出しなければならない。その他甲が検査に関し、調査をなしまたは報告を求めるときは何時にてもその要求に応ずるものとする。」 こんな一方的な、権威をかさにきた契約の仕方がありますか。  さらにけしからぬのは、その6に、「乙は証票及び証紙を偽造しこれを貼付してはならない。」当然のことでしょう。「また甲より交付された証票又は証紙を甲が指定した物品以外に貼付してはならない。」 これももちろんでしょう。ところが、「乙がこれに違反した場合、甲は乙にその行為の訂正」ここまではいいですよ。「およびその旨の謝罪公示を求め、またこの契約を破棄することができる。」  「謝罪公示」とは一体何ごとですか。これは公に示すと書いてある。一体、日燃検はこういうような不測の事態が起こったときに、公の場所とはどこに提示させるのですか。なぜこんなことを通産省が認めているのですか。御答弁ください。おかしいじゃないですか。広告というなら、広く知らせるなら、新聞その他のことがあるでしょうけれども、「公示」とは何ごとですか、一体。そんなに日燃検は公的な権限を持っているのですか。あなた方は参考資料だと言ったじゃないですか。その言葉と全く矛盾するじゃないですか。いかがですか。なぜこういうようなことが何年も何年も放置されたままになっているのですか。御答弁いただきたい。
  302. 栗原昭平

    ○栗原説明員 検査契約書を見ますと、ただいま先生の御指摘のような表現があろうかと思います。この契約は、先ほど申しましたように私法上の契約でございまして、その契約に基づいて一定の条件——これは石油ストーブの安全性の確保という公の目的を達成するための契約でございますので、いわゆる通常の契約と異なったきつい表現があろうかと思いますが、趣旨は安全性の確保という意味合いから検査を徹底いたしたいという趣旨から出たものだというふうに承知をいたしております。(石田(幸)委員「公示の問題はどうしたですか」と呼ぶ)  この「公示」の内容につきまして、私どもただいま拝見したばかりでよく承知しておりませんが、方法についてはこの契約に基づいて両者間に一定の話し合いがあるものと思います。
  303. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それは全然意味が違うんじゃないですか。それならば「謝罪広告」とか「広示」という字が使われなければならないでしょう。公に示しなさいということはどうして言えるのですか。私法人が公にこの契約不履行の問題をどうやって公示するのですか。答弁になっておらぬじゃないですか。
  304. 栗原昭平

    ○栗原説明員 公示という言葉が何を意味するのか、あるいは広告と同様であるのか、その辺につきましては私もこの場所で正確に申し上げられませんけれども、特段に公示という点に意味があるわけではなくて、やはり広告と同様の意味であろうかというふうに想像いたします。
  305. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そんなのは言いわけにすぎないじゃないですか。これは間違っていたら訂正させなければいかぬでしょう。間違っていたら訂正させますか。——まあ首をかしげているからいいでしょう。しかし、これは問題ですよ。こういう形でいわゆるペナルティーまで科す権限が日燃検にあるということですよ。そのことを私は申し上げておきたい。  さらに、この安全マーク、これも問題ですよ。だんだん時間がなくなってきましたから簡単に言いますが、これは別に日燃検が出したものではないが、日本石油燃焼器具工業組合で出しているわけですけれども、このSマークは安全のマークだ、こう言っておるのです。その中に、この「Sマークは(財)日本燃焼器具検査協会の検査に合格した器具にはってあります。」と書いてある。したがって、われわれ一般消費者、利用者が見る場合に、ああ日燃検の検査に合格したマークだな、安全のマークだなということがわかる。そこまではいいんだけれども、その「Sマークのある製品は、賠償責任保険に加入しており、万一、器具の欠かんによって事故を起こした場合、」云々、いわゆる保険金を支払います。こういうことが書いてある。  安全のマークとこの保険という問題は性質が全く違うのではないですか。いわゆる保険というのは、メーカーが保険会社に、こういう事故を起こしたときに保険金を出してくださいということを掛金をもって頼むわけでしょう。それで保険会社から金が出てくるのであって、何ら日燃検が介入すべき筋合いのものではないじゃないですか。それを一緒の合格マークにしておるということは、これはあるいは間違いかもしれませんよ。間違いかもしれないが、それだけ日燃検が権限があるということをこの日本石油燃焼器具工業組合は認めざるを得ないというところの状況を、明らかにこれは示しているのです。  さらに、もう一点申し上げますと、ここではJISマークに日燃検の名称が入っておるでしょう。この問題について問い合わせてみたらば、これは、日燃検にも、いわゆるJISに関するいろいろな仕事をしておるのだから、その安全性について責任を分担させるという意味においてやっておりますと言う。こういうものを通産省が認可すべきJISマークのところに付属的に印刷を許可しておるから、ますます日燃検を通さなければ通産省は通らないという仕組みになっておる。通産省は一生懸命日燃検の権威づけを後押しをしておるわけであります。  時間もなくなりましたから、私はそれ以上のことを一々御答弁を求めるのはやめますが、しかし、問題なのは、この日燃検が——この人事も問題なんですよ。私は人事の問題はまた改めてやりますが、この日燃検がこれだけ強大な権限を持っているから、恣意的に石油ストーブ等の検査について運営を行っている事実がある。しかも、そういういろいろの検査について申請を受け付けない前の段階において、こういうものを出したいと思うけれども、いや、それはやめた方がいいですねというようなことを行っている事実がある。  さらに申し上げましょう。日燃検のいろいろな案内パンフレットがある。たとえば大型の振動試験装置。先ほど来私が取り上げているように、地震ということを考えますと、対震性というものを大いに研究していかなければならない、その技術を推進しなければならない。にもかかわらず、日燃検は、この装置を使いなさい。いろいろな装置が世の中にあるはずだ、しかるにこの装置で点検した数値を出しなさいと言う。これは技術の進歩をある意味においては妨げておるのではないですか。いろいろなメーカーはこの振動試験装置というものをいろいろ開発して持っておるけれども、それ以外にやむを得ずこれを買わなければならぬ。そういうことが恣意的に行われている実態について、あなた方は御存じないでしょう。そういうような状態にある。ですから、この検査機構がもっと法的に整備された状態の中で認められなければならないと私は申し上げておるわけなんです。  そのほかにも現実にありますよ。いわゆる水銀を使った対震器具をつけたものをあるメーカーが出そうとしたらば、水銀というものは危ないからいまのところそういうものを審査する予定はない。何を言ってるんですか。JISマークの中に明確に書いてあるじゃないですか。それも申請以前において口頭でそういうものが断られておる。それでは一体対震器具のメーカーはどうなるのですか。ことしの春申請して却下された、もうことしの商売はできないじゃないですか。そういったこともあった。だから私は、この検査協会というものはかなり恣意的に運営されているという実態を明らかにするためにいま申し上げたわけなんです。  しかも、いろいろな観点から検討してみれば、通産省が法的根拠もないままにこの日燃検に余りにも権限を与え過ぎているというふうにしか思えない。したがって、私の要求するところは、法律を改正するか、あるいは行政指導によって機構改革をして、そうして真の公平を期せる、そういうような検査の機構にしていかなければならないと思う。  この「業務手続と関係規定」の横には「民法第三十四条による通商産業大臣許可の公益法人につき、すべての人々に開放される。」と出ている。何を言っておるのですか。かなり恣意的に運営されておるじゃないですか。先ほどの業務報告を見たって、あなた方の点検というのはいいかげんじゃないですか。——もうやめましょう。  さて、いろいろ申し上げましたが、大臣にひとつお伺いをいたしたいわけでございます。もちろん私が申し上げたことがすべてとは言いません。また、日燃検はそれなりの社会的な使命を果たしてきた経過も私はあろうかと存じます。その点について私も評価をするにやぶさかではありませんけれども、しかしそういうふうに恣意的に行われているとすれば、人事の問題等を含めてもう一遍この機構について考え直さなければいけませんよ。理事長の人事だってこれは問題でしょうが。その点は後ほどまた機会を得てやりたいと思います。  そういうわけで、どうしてもこれはある程度メスを入れて機構改革をしなければ、そういういわゆる恣意的な権限が一カ所に集中し過ぎているという弊害というものがまざまざとこの中に出てくるわけですから、そこら辺の問題について当然私は改革の方向に通産省としては歩み出すべきではないかと存じます。  以上、通じて申し上げましたけれども、大臣の所見を承りたいと存じます。
  306. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま財団法人日本燃焼器具検査協会の諸問題につきましていろいろ御指摘をいただきました。私どもの知らないことも幾つかございましたので、今後ともさらに十分御指摘の点は検討を加えまして、改革すべき点は改革をするように指導してまいりたいと思います。
  307. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に一言申し上げたいわけでございますが、私は何も通産省の担当局をいじめるために申し上げているわけではないのであって、やはり行政というものは公平第一でなければならぬし、また、一つの機構というものは絶えず改革をされ前進をさるべきものではないか、それが私は社会の要請であり、歴史の過程ではないかと思うわけでございます。そういった意味におきまして、答弁は答弁として私は了といたしますけれども、その内容についてはさらにまた吟味すべき問題があります。どうかひとつ、通産省の生活産業局長におかれましても、ただ答弁をしたからそれでよろしいということではなくして、さらにやはり国民全体のために改革すべきところは果断に改革を進められるよう、特に御要望を申し上げたいわけでございます。大臣の後になって恐縮でございますけれども、局長さん、一言所感をお申し述べいただきたいと存じます。
  308. 栗原昭平

    ○栗原説明員 ただいま御指摘の趣旨に従いまして行政を執行したいと考えております。
  309. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  310. 楯兼次郎

    楯委員長 安藤巖君。
  311. 安藤巖

    安藤委員 私は、中小企業に対する円高対策、特に融資問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、大臣にお尋ねをしたいのですが、円高の緊急対策といたしましては、ストレートなものとして中小企業為替変動対策緊急融資制度を初めといたしまして、中小企業事業転換融資とか、あるいは中小企業設備近代化資金の償還期限の延長、あるいは中小企業信用補完制度における別枠保険料率の引き下げ、てん補率引き上げ、こういう措置がなされておるのは御承知のとおりであります。その他倒産対策、あるいはマル経融資と言われる小企業経営改善資金融資制度というものもあるわけでございますけれども、この円高問題は、ことしに入りましてから一ドル二百円を割るというようなこともあって、一層急激に進んでおります。したがいまして、輸出関連中小企業は非常に深刻な影響を受けております。しかも、この深刻な影響、打撃を受けているのは、企業努力ではもう賄えないものであります。そして、これは企業の責任でもないわけであります。したがいまして、従来の中小企業に対する融資対策の延長線上にあるというものではなくて、国の責任で引き続き特別な、強力な対策を打ち出すべきであるというふうに思いますが、この点どのように考えておられるか、まず大臣にお尋ねしたいと思います。
  312. 河本敏夫

    河本国務大臣 中小企業政策は産業政策の中でも一番大事な政策であると私どもは心得まして、これまで考えられる対策はすべて実施してきたつもりでおりますが、何分にも情勢が激しく動いておりまして、まあ、これまでの対策は主として後ろ向きの対策ばかりでありましたので、後ろ向きの対策ばかりでは事態がなかなか改善されません。そこで、これからはやはり前向きの対策、つまり円高不況の長期化、こういう客観情勢に対応いたしまして、中小企業がこれから活路をどのように開拓をすべきか、こういう場合に政府が積極的にこれをどういう形で支援するのが適切であるか、このような形の積極的な対策をこれからひとつまとめていきたいと考えております。
  313. 安藤巖

    安藤委員 いまの大臣の御答弁は、どうも今後の中期的あるいは長期的な対策をお考えになっておられて、そのことを答弁されたように思われるのです。だから、私がお尋ねした、引き続き緊急な、特別な対策を強化していく必要があるではないかという点についてはお答えになっておられません。  これから具体的にお尋ねをいたしまして、最後にまたお尋ねをしたいと思うのですが、これは全国の輸出産業関係中小企業に共通する問題だと思いますけれども、私は、具体的に陶磁器の町の瀬戸の事例を挙げまして、どういうような状態になっているか、だから緊急に強力な措置をとる必要があるという点で申し述べさせていただきたいと思うのです。  この瀬戸の陶磁器は、生産量の六〇%を輸出に頼っているところです。そして工場数が千六百六十五あるのですけれども、このうち、一人から三人——これはほとんど窯元と言われている瀬戸の陶磁器業界を支えている人たちですが、一人から三人までが六百三十四で三八・一%、四人から九人まで、これが六百八十一で四〇・九%、十人から十九人、これが二百六、一二・四%、まあ十人前後あるいは十人未満、こういう窯元が中心になって支えているわけです。そして、その下に下地あるいは絵つけなどという下請の技術者がたくさんおります。  御承知のように、昨年の九月から県の円高融資が行われました。しかし、これは据え置き期間がわずか四カ月でございますから、現在はもう返済期に入っております。先ほど私が申し上げました国の方の制度としての円高融資、これはまだ据え置き期間中でございますが、昨年以上に円高が進んでおりますので、この瀬戸の陶磁器の関係は三月と四月あるいは九月と十月、春と秋が例年の契約期間になっておりますが、ところがことしの秋は昨年と比べて受注はもう激減をしているという状況にあります。  これは日本経済新聞に報道されている事実なんですけれども、ことしの七月までは月間二十二億円台で推移をしていたが、一ドル二百円割れから落ち込み始め、九月にはとうとう十八億円になってしまったというようなことも言われておりますし、あるいは米国向けノベルティーを生産している中堅メーカーの場合でも、七月までは前年比五%程度の出荷減だったのが、九月は一〇%減、十月には二割も減った、あるいは八月以降受注がゼロの会社もあるというような報道もされているわけなんです。だから、こういうような状況からいたしますと、現在、新しい運転資金がなければこの年が越せないという状況になっております。  これも私は現地へ行って聞いてきたのですが、一つの客観的な事実として、日本銀行の名古屋支店長の談話として、年末から年初にかけて廃業やレイオフも心配されるという指摘がなされております。それからさらには瀬戸市内の金融機関も、受注減がこのまま続くと年明け以降は何とも言えないというような状況にあるわけです。  だから、これまではいろいろお互いに手形のやりくりをして何とかしのいできた、しかしいまこの段階では、窯元が一うでも倒産するともう連鎖的にほかの窯元まで倒産が影響していく、そうしますと、先ほど言いましたような下請の技術者の人たちも路頭に迷う、そうすると技術者が散逸してしまう、こういうような、まあほかの業種でも伝統のあるところはたくさんあると思うのですけれども、非常に伝統のある瀬戸の陶磁器が壊滅状態になるという危機にいまさらされているわけなんですね。こういうような事態にいま直面をしておりまして、先ほど申し上げましたようないろいろな融資制度をほとんどの人が利用して借りられるものはもう借りている、そういう状況ではないかと思うのです。  だから、やはり新しい運転資金がどうしても必要だ、そうでなければ年が越せない、こういうような状態を踏まえまして私が申し上げたいのは、先ほど申し上げましたような円高融資、これは別枠が設けられているわけですけれども、中小企業為替変動対策緊急融資制度ですね、これの別枠の貸付限度額をさらに増額するということ、あるいは二番目に申し上げました中小企業事業転換融資、これの貸付限度額をさらにふやす、こういうような緊急の対策が必要になってきているわけなんですけれども、これに対してどういうふうに対応していかれるのか、お尋ねしたいと思います。
  314. 渡辺佳英

    渡辺説明員 お答えいたします。  瀬戸に限らず伝統的産業を擁しております各産地につきましては、ただいま先生の言われましたような状態が続いておりますので、私どもの公庫といたしましては、ただいまも御指摘のありました中小企業為替変動対策緊急融資というのを昨年の十月から行っております。現在、この十月末日までに全国で一万四百四十四件、総額で一千四百六十一億円という貸し付けを実行しております。  ただいまお話のありました別枠の限度額というのも逐次増額いたしまして、ことしの九月七日にはこれを四千万円まで増額しております。それで一応いまのところは間に合っておるのじゃないかというふうにも考えておりますけれども、今後の様子を見ましてさらにその増額が必要でありまする場合には、関係主管官庁と話をいたしまして、できるだけ現地の要望に沿っていくつもりでおります。
  315. 安藤巖

    安藤委員 間に合っているつもりだとおっしゃっておられるのですが、先ほど私が言いましたような状態にあるということはちょっと調査をされればすぐおわかりいただけると思いますので、いまおっしゃったような線で、増額という方向で早速御検討いただきたいと思います。  そこで、いまお話しになった中小企業為替変動対策緊急融資制度ですが、これは先ほどおっしゃったようなときから始まったわけですが、融資取り扱いの期間がことしの十二月三十一日で終わりになるわけですね。円高の推移、そしてこれに伴う中小企業の深刻な状態は、先ほど私が一つの例を申し上げたとおりなんです。だから、この状態はもっとひどくなりこそすれ緩やかにはならない。ましてやおさまらないという状態だと思います。だから、ことしの十二月三十一日が来たらもうこれで締め切りです。おしまいですというようなことであってはならないのじゃないかと思うのですが、これをさらに延長するというお考えはないのでしょうか。
  316. 宗像善俊

    ○宗像説明員 ただいま先生御指摘の輸出産地の状況につきましては、中小企業庁といたしましても常時実態の把握に努めておりまして、中小企業の産地の各地が非常な苦境にあるということはわれわれとしてもわれわれなりに存じておるつもりでございます。われわれといたしましても、できるだけの努力をいたしまして諸般の制度を拡充強化してまいった次第でございます。  ただいま先生御指摘中小企業為替変動対策緊急融資の存続期間が十二月末までとなっているけれども延長することはどうかというお話でございますが、昨年十月から実施しておりますこの緊急融資制度は逐次貸付条件の改善を図ってまいりまして、さらに先般、九月七日に取扱期間をいま先生御指摘の十二月末まで三カ月延長した次第でありまして、先ほど渡辺総裁からもお話がございましたが、貸付限度額を四千万円といたしまして、特利の適用限度を三千万円にそれぞれ引き上げまして、この緊急融資の一層の拡充を図ったところであります。さらに期間を延長するかどうかにつきましては、今後の円相場の状況等、事態の推移を見守りながら、期間の延長も含めまして、制度の拡充ということの必要性について検討してまいりたいと思っております。
  317. 安藤巖

    安藤委員 ぜひともそういうことで、延長するという方向で御検討をお願いしたいのです。  いまの中小企業為替変動対策緊急融資制度でいろいろ御努力をしていただいていることはわかるのですが、この貸し出しについては、中小企業金融公庫あるいは商工中金あるいは国民金融公庫が貸出金融機関ということになっておるわけですけれども、代理貸し付けというようなことがあって、一般の民間金融機関が貸し付けをする場合も相当多いわけですね。そういう場合に、この貸出金融機関の審査というのがありまして、もちろんこれは、返済可能かどうかという問題、それから有効に使われるのかどうかという問題についての審査があるのは当然だろうとは思いますけれども、ここでいつも問題になるのは担保、保証人の問題なんです。  それで、先ほどおっしゃったような、たとえば国民金融公庫五百万とかあるいは中小企業金融公庫の四千万円の限度額、この限度額にまだ至っていない融資を受けている人たちがたとえば限度額いっぱいまで借り増しをしたい、融資の増額をしたいというような場合に、担保、保証人の問題が出てくるわけなんです。そこで、そういう新たな担保あるいは新たな保証人というのがない場合はその要望に応じられない、要望をかなえることができないというようなことになっているという話もよく聞いております。それから、最初から、このせっかくの制度を利用しようと思っても、担保、保証人の問題で利用できないという人たちも相当いるという話も聞いております。  第一、瀬戸の場合で言いますと、先ほど最初に申し上げましたように、小零細企業が相当多いわけですね。だから、ここで、全然無条件というわけにはまいらぬと思いますけれども、一定の条件は何らかの形で専門家であるあなた方の方で考えていただくにしても、生産意欲のあるところへは保証なしで、いわゆる無担保、無保証という形で融資を受けられるという、こういう制度を考えていただく必要があるのではないかというふうに思うのです。それは、いままでの金融に携わる人たちあるいは金融機関としての立場から言えば、返済の問題、それが確保できるかどうかという大原則があるからそんなことはとてもじゃないがなかなかむずかしいというふうにすぐお考えになると思うのですが、最初に申し上げましたように、この円高の問題は、まさに政府の経済政策の失敗から出てきた、企業の責任では全くないわけなんです。だから、あえて言えば、これは災害と同じなんですよ。そういうような立場に立って考えて、無担保、無保証で小零細企業の人たちも十分利用することができる、そしてこの危機を乗り切ることができるというような制度を考えるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  318. 宗像善俊

    ○宗像説明員 中小企業者の方たちが資金の調達に当たりましていろいろ御苦労があることは、非常に重要な問題だとわれわれも考えております。そういう事態を考えまして、われわれといたしましては、金融なりあるいは信用保険なりあるいは信用保証なりというような金融の円滑化あるいは金融の補完ということに尽力しているところでございます。  金融の常道といたしましては、担保なりあるいは保証なりということが非常に不可欠だということは先生御指摘のとおりでございます。しかし、資金調達力の乏しい中小企業に全くのルールどおりの金融原則を当てはめるわけにはいかぬということで、われわれとしてはいろいろ苦慮いたしまして、無担保での融資ということにつきましては、特に零細な中小企業者ということを対象にいたしますゆえ、国民金融公庫融資の約九割、八八%が無担保になっております。約二兆五千億くらいでございましょうか。  それから、無担保で融資します信用金庫あるいは信用組合というものが、無担保であるがゆえにもし事故が起こったときに債権を全部喪失してしまうのでは大変だということで、中小企業信用保険制度によりまして、八百万を限度にして無担保保険制度を設けております。  さらに、無担保、無保証という、保証人もないというような中小企業の零細な方、あるいはいま先生御指摘のような、自分の持っている担保の限度いっぱいまで借りてしまった、保証人も適当な方がおられないという方のためには、実は中小企業経営改善資金制度という制度を設けまして、無担保、無保証で金が調達できるという制度を開いております。これは、限度額が二百五十万円でございまして、期間は、設備資金が三年半、そのうち据え置きが六カ月、運転資金が二年半、金利は六・六%であるということでございます。  また、無担保、無保証で融資をした信用組合なり信用金庫なりが債権を保全するために保険を掛けることがございます。これは、無担保、無保証の保険に対しまして特別小口保険という制度を設けております。この制度は、限度が二百五十万円まででございまして、てん補率も高く、通常のてん補率が七〇%であるのに対しまして八〇%のてん補率にいたしております。  以上のような措置によりまして、われわれといたしましては、極力中小企業の方々の融資の困難さを少しでも補完していきたいというふうに思っております。  さらに、いま先生御指摘の円高によって苦しんでいる中小企業者の方に対しましては、円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法によりまして、保険につきまして特別小口保険のいまの二百五十万をさらに別枠で用意している次第でございます。  このようにして、われわれとしてはできるだけの努力をしてまいりたい所存でございます。
  319. 安藤巖

    安藤委員 いまいろいろおっしゃったことは私も存じておるわけでございます。  そこで、いまおっしゃった中にマル経融資のこともおっしゃったのですけれども、これはいまおっしゃったとおりの中身ですが、商工会あるいは商工会議所の経営指導を六カ月間にわたって受けて、その推薦という条件がついているわけですね。いま私がお話をしているこの年末をどのようにして過ごすかという問題になってきますと、これは六カ月経営指導を受けていない人はもう間に合わないわけなんです。マル経融資の場合で言いますと、商工会とかあるいは商工会議所の経営指導プラス推薦、これが保証のかわりになっているわけなんですね。それで、無担保、無保証で借りられる。だから、従来の金融原則、いわゆる担保、保証人という考え方からすると、その壁を突き破って一歩突き進んだ制度じゃないかと思います。  だから、この考え方をもう少し進めていただいて、小零細企業の人たちがこの年末、この円高問題を理由にして年を越すことができない状態に追い込まれているのを何とかして救うということで無担保、無保証ということを考えていただいてもいいのじゃないかと思うのですよ。だから、その辺のところを、金融原則を破った事例が一つあるのですね。しかも、これは円高問題とは関係のない制度なんです。先ほど言いましたような一つの災害とも言うべきことにぶつかっている小零細企業の人たちが、無担保、無保証で借りられる制度、これはやはり考えていただく必要があるのじゃないかと思うのですが、もう一度これをお尋ねします。  それから、保証の問題ですね。これも中小企業庁の方からお答えいただくことになると思うのですが、保証人のかわりに信用保証協会の保証ということで、信用保証協会の保証に対する保険のお話もいまありましたが、信用保証協会が保証する場合にもだんだん審査が厳しくなりまして、保証人をつけてこないと信用保証協会は保証しません、こういうのが最近たくさんあるという話を聞いております。だから、信用保証協会審査というのももっと緩やかにすべきではないかと思うのです。  それで、こういう零細企業の人たちは、自分たちの責任ではないけれども、とにかく苦しいところを救ってもらったということになれば、夜逃げするとかなんとかいうことは一応別にいたしましても、ありがたかった、何とか返そうということで、返すことは間違いないと思うのですよ。その辺の信頼を持ってこの無担保、無保証という制度をもっと拡充していただくことを考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  320. 宗像善俊

    ○宗像説明員 無担保、無保証で非常に困っている中小企業の方に、マル経資金で壁を破ったのだからさらに一歩踏み破ったらどうかというお話でございますが、何と申しましても私どもがお預かりしております資金は国民の皆様から納めていただいた税金でございますので、いかにそれを有効適切に使うかということをわれわれもまた当然腐心しておるところでございます。したがって、金融原則というのは言うなれば借りた人間が確実に返せるということのめどがつくようにということでございますので、その意味で、先生御指摘のような、商工会あるいは商工会議所の指導を受けておってその推薦を受けるということも最低限保証にかわる措置として必要ではなかろうかということで、われわれそういう制度を運用しているところでございまして、さらに拡充をというお話もございますが、先ほども御説明申し上げました特別小口保険によりまして無担保、無保証の金が二百五十万円一応借りられるというかっこうになるわけでございます。この制度をいままで運用いたしておりまして、平均が百四十五万円でございます。一応二百五十万円の枠がありますが、実際に使われております特別小口保険に付保されておる保証額は、平均いたしますと百四十五万円になっておりまして、われわれといたしましては、その面から、もちろんお困りの中小企業者の方、たくさんおられると思いますけれども、大ざっぱに全体を見ますとほどほどのところに来ておるのではなかろうかという感じもしておるわけでございます。したがいまして、いま先生が御指摘のような件につきましては、産地の実態、中小企業の実態を見詰めながらなお検討してまいりたいと考えております。  第二番目の、信用保証協会の保証の審査が厳しくなってきておるというお話でございますが、中小企業が非常に困っておられる状況に対しまして、信用保証協会は相当程度、私どもの聞いている範囲では非常な努力をいたしまして、中小企業者の金融の利便に積極的に応じているというふうに私どもは存じておりますけれども、またさらに、いま先生の御指摘のような事項のないように、迅速な保証の審査あるいは担保徴求の弾力化等について指導もいたしておる次第であります。  保証協会を取り巻く経営環境というものは、また他方非常に厳しいものがございます。これは保証承諾の伸び率の鈍化あるいは預貯金の金利の引き下げによりまして運用益が減少しておるものでございますから、保証協会自身が預けておる金の金利が下がりまして運用益が減少しております。こういうことで非常にあれしておりますが、われわれといたしましては、極力いま先生の御指摘のような事態のないように、信用保証ということが円滑に行われるように、保険公庫を通じまして五十三年度予算で五百億円の財政支援を行いまして、また保証協会の基金に対しまして五億円の補助金を出しております。またさらに、先ほど御審議いただきました補正予算におきまして、事態の緊急性にかんがみ、保険公庫の出資金を八十億、基金の補助金を十一億追加をしたところでございます。  以上のような措置によりまして、私どもとしましては、極力信用保証協会中小企業者の金融の便に役立つように運営がなされるよう努力してまいる所存でございます。
  321. 安藤巖

    安藤委員 いろいろ御努力をお願いしたいと思います。  時間が来ましたので、最後大臣にお尋ねしたいのですが、最初に申し上げましたように中期あるいは長期的な展望に立ってのいろいろな施策をやっていただくのはもちろん必要だと思いますが、とにかくことしに入ってからの急激な円高問題で、先ほど具体的に申し上げましたような事情なんですね。これは瀬戸に限らず全国の輸出関係中小企業の実態だと思います。そこで、そういう業界の人たちは、あるいはそういう業界の人たちばかりではなくして全国民が、私も含めて、大臣も同じだろうと思うのですけれども、為替レートの安定というのが一番望ましい、それを早くやってほしいというのが切実な強い要望だと思います。  いま自民党の総裁選挙の中で、大臣はいろいろ福田経済政策に対する批判も行われながらいろいろ安定化についてのことを話しておられるようですけれども、この円レートの安定化についてどういうようなことを考えておられるかというのを最後にお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  322. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま当面の財政金融政策の中で一番大事な点は、いまお話しの円レートの安定という問題だと思います。特にわが国の経済力にふさわしい円レートの安定ということが望まれるわけでございますが、やはりこのためにはアメリカの国際収支が改善されること、アメリカのインフレがおさまること、と同時にわが国といたしまして黒字減らし対策を強化いたしまして、現在の大幅な黒字を少しでも縮小する方向に工夫をすることが大事だと思います。特に私どもの強く望んでおりますことは、アメリカ政府がドル防衛に対して、ドルが基軸通貨であるという認識の上に立ってもっともっと強力な政策を継続的に実施していくということを強く望んでおるものでございます。そういう方向でアメリカとも絶えず接触をしておりますが、さらに一層これを引き続いて接触を強化していくことが必要だと考えております。この円レートが安定をいたしますと、いまお述べになりました幾つかの問題はある程度は解決ができると考えております。  それから同時に、先ほど中小企業の当面の金融問題につきましていろいろお話がございましたが、これは制度的にもできるだけ改善をしなければならぬと考えておりますし、特に緊急を要する問題については、やはり年末等を考えましてできるだけの緊急対策も必要だと考えております。
  323. 安藤巖

    安藤委員 終わります。
  324. 楯兼次郎

    楯委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十四分散会