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1975-10-16 第76回国会 衆議院 議院運営委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十月十六日(木曜日)     午後三時五十一分開議  出席委員    委員長 田澤 吉郎君    理事 小渕 恵三君 理事 西岡 武夫君    理事 加藤 六月君 理事 大村 襄治君    理事 木村武千代君 理事 山口 鶴男君    理事 藤田 高敏君 理事 東中 光雄君    理事 大久保直彦君       加藤 紘一君    瓦   力君       近藤 鉄雄君    楢橋  進君       野呂 恭一君    羽田  孜君       三塚  博君    村岡 兼造君       森  喜朗君    小川 省吾君       斉藤 正男君    森井 忠良君       山田 耻目君    中島 武敏君       小沢 貞孝君    玉置 一徳君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         内閣官房長官  井出一太郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君  委員外出席者         議     長 前尾繁三郎君         副  議  長 秋田 大助君         事 務 総 長 藤野 重信君     ————————————— 委員の異動 九月二十七日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     村岡 兼造君   唐沢俊二郎君     瓦   力君   綿貫 民輔君     加藤 紘一君 十月十六日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     小沢 貞孝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  青森市における仮谷建設大臣発言に関する件      ————◇—————
  2. 田澤吉郎

    田澤委員長 これより会議を開きます。  この際、一言申し上げます。  去る九月二十六日、議院運営委員会理事会において、与野党の話し合いがまとまらぬまま委員会を職権開会し、採決したことは、まことに遺憾に存じ、陳謝いたします。  今後、議院運営委員会各党話し合いの場であることを確認して、委員会運営に当たりたいと存じます。     —————————————
  3. 田澤吉郎

    田澤委員長 この際、三木内閣総理大臣が御出席になっております。  去る十二日の青森市における仮谷建設大臣発言に関し質疑の申し出があります。順次これを許します。藤田高敏君。     〔「議事進行について」と呼び、その他発言する者あり〕
  4. 田澤吉郎

    田澤委員長 御静粛に。
  5. 藤田高敏

    藤田委員 指名されましたから……(発言する者あり)
  6. 田澤吉郎

    田澤委員長 御静粛に願います。
  7. 藤田高敏

    藤田委員 議事妨害にならないように、委員長静粛にさせてください。
  8. 田澤吉郎

    田澤委員長 御静粛に願います。——静粛に願います。——静粛に願います。(「議事進行について発言を求めている」と呼ぶ者あり)
  9. 藤田高敏

    藤田委員 静粛にさせてください。(「議事進行について発言を求めているんだ。発言を許しなさい」と呼ぶ者あり)
  10. 田澤吉郎

    田澤委員長 御静粛に願います。  どうぞ。
  11. 藤田高敏

    藤田委員 私は、ただいま田澤委員長から説明のありました……(発言する者あり)
  12. 田澤吉郎

    田澤委員長 御静粛に願います。
  13. 藤田高敏

    藤田委員 去る十月十二日、青森県における仮谷建設大臣国会答弁は……(発言する者あり)
  14. 田澤吉郎

    田澤委員長 発言中です。御静粛に願います。
  15. 藤田高敏

    藤田委員 国会答弁のようないいかげんなものではないという仮谷建設大臣のいわゆる失言問題に関連をいたしまして、国会答弁に対する三木内閣基本的態度基本的な見解についてお尋ねをいたしたいと思います。  どういう因果の回り合わせか知りませんが、四国出身三木総理大臣に対し、同じ四国出身であります私が、これまた同じ四国出身仮谷建設大臣失言ないしは暴言問題に対して質問をするということは、何かの因縁とはいえ、私はきわめて遺憾な出来事として質問をいたしたいと思うのであります。  先ほど委員長から言われましたが、また、すでに私ども特に議院運営委員会の段階では問題になってまいりましたが、十月十二日、青森県において仮谷建設大臣が、国会答弁のようにいいかげんなことは言わないという発言があったことは、三木総理も十分御承知であろうと思いますが、十分御承知だという前提に立ってまず質問いたしたいのであります。  それは四国では、いいかげんなことを言うなとか、あるいはあの人はいいかげんな男だとかいいかげんな人だということは、よく言うのであります。そういうときには必ず、いいかげんというこの言葉は、でたらめであるとかあるいは中途半端であるとか、あるいはあの男はいいかげんな男だと言うようなときには、あの男は信用ができないとか、こういうふうにわれわれ四国では特に使われてきておる言葉でございますが、こういう性格言葉として今回の仮谷発言を考えますときに、これは国務大臣としてはきわめて不謹慎、不穏当かつ無責任政治的発言だと考えますが、総理見解をまずただしたいのであります。
  16. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 この問題に対して私の考え方を申し述べて、藤田君のお答えにしたいと思います。  私は、国会答弁というものはきわめて重視するのです。それは、やはり国会答弁を通じて自分信念であるとか政策であるとか、こういうものを議員皆さん、国民の皆さんに理解してもらう最も厳粛な場面であります。したがって、私は、この国会答弁には私自身も今日まで心を砕いてきたわけです。また、この私の信念が三木内明政治姿勢として反映するように努力もしてきたわけであります。ところが、いま御指摘仮谷建設大臣の軽率、舌足らずの発言は、これはまことに私の期待に反するものである。非常に遺憾に思っておる次第であります。  去る十四日でありましたか、仮谷建設大臣が私のところに見えまして、非常に自分発言というものは軽率であったと深く反省をしておる、二度と再び国会軽視するがごとき疑いを持たれるような発言は絶対にいたきないということを誓っておったわけでございます。私も注意をいたしました。  そういうことで、この問題というものは単に仮谷自身に対するのみならず、総理・総裁としての私にも、また三木内閣の全閣僚にも深い戒めとして受け取らなければならぬと考えておるわけでございます。したがって、今後やはりこういうややもすれば国会軽視ととられるような発言を全閣僚が再びすることのないように、かたい決意であるということを申し述べて、お答えにいたしたい次第でございます。
  17. 藤田高敏

    藤田委員 三木総理答弁によりますと、国会答弁はきわめて厳粛なものでなければならない、また、三木総理の考えておる厳粛なものでなければならないという期待に対して、仮谷建設大臣発言はその期待に反するものである、こういうふうにいまお答えになられました。  私は確認をいたしたいのでありますが、それでは、仮谷建設大臣のこの発言国会軽視発言だというふうに三木総理自身確認をされた、このように理解してよろしいかどうか。
  18. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私はその場におったわけではありませんが、国会軽視と受け取られるような発言であるという考え方であります。
  19. 藤田高敏

    藤田委員 私は後でも申し上げますが、過去これに類するような発言を通じて国務大臣が罷免をされあるいは辞任をした例は幾つかございます。そういう過去の経過からいいましても、今回のような発言というのは、従来にも増してその政治責任を問われるべき重大な発言であろう。これは後でどのように注釈を加えましょうとも、言葉表現そのものにはごまかしはないわけですから、言葉表現そのものはこれまたきわめて厳粛な形で表現されておるわけですから、その表現において私ども国会軽視であるか、国会軽視のようなものであるかという判断をしなければならぬと思うのです。ですから、私が冒頭念のためにお尋ねをまた確認をしたように、仮谷建設大臣発言そのものを十分あなたは御承知であろうということを前提に私が質問しておるわけですが、あの表現に関する限り、そういう言葉であったとすれば、これは国会軽視だと断定しなければならぬと思いますが、その点どうでしょうか。
  20. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私も新聞紙で読んだわけですけれども、ああいう発言国会軽視と受け取られる余地のある発言である、こう考えます。
  21. 藤田高敏

    藤田委員 先ほど三木総理仮谷建設大臣注意をした、また、官房長官が今日まで議院運営委員会理事会に出て、本人にも十分そのことを確かめた、こう言っておるわけですから、総理、これは大事なことですからもう一度お尋ねしておきますが、単に新聞だけではなくて、あなたは国務大臣を任命する任命権者として、仮谷建設大臣に直接会って、建設大臣からそういう発言があったのかどうか、これを当然確かめられたと思っておるわけでありますが、そのように確認してよろしいかどうか。
  22. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 各新聞紙にも報ぜられておりますし、仮谷自身が、私は深く反省をしておる、再びこういうような疑いを持たすような発言は絶対にいたさぬことを誓いますと言ったのですから、その報道されておる発言はそのままのものであろうと私は考えております。
  23. 藤田高敏

    藤田委員 その点はきわめて明確になりました。任命権者である総理が、私ども新聞その他で理解をし、また、官房長官から直接聞いたとおりのことが総理の口から確認されたわけでありますから、そのことを前提として私は以下質問を続けたいと思います。  そういうことであれば、これは単に国会軽視のようなということではなくて、明らかに国会軽視発言である。また、三木内閣の、いま三木総理国会答弁というものはこういうものである、そういった基本方針に反するものである、というふうに確認してよろしいかどうか。
  24. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 先ほども申し上げますごとく、仮谷建設大臣が非常に深く反省をして、再びああいうことは繰り返さないというわけでありますから、あの発言がいろいろ御非難をされるような内容のものであったことは、私もそのとおりだと考えております。
  25. 藤田高敏

    藤田委員 いま少し私の質問にまじめに答えてほしいと思うのです。というのは、きょうのこの質問は、国会答弁ということですから、少なくともその三木総理国会答弁自身が模範を示すようなものでなければならぬ。これは後でも言いますが、美辞麗句で個々のその場その場限りを逃げるのではなくて、是は是とし非は非とする、こういう厳粛な折り目切り目をつけることが大切じゃないか。そういう点では、私がいまお尋ねしておるのは、三木総理冒頭国会答弁とはかくあるべきだということを強調されたことにこの仮谷発言というものは反しておるじゃないか、反しておると確認してよろしいかどうか、こういうことでありますから、その点明確に答えてもらいたいと思うのです。これは言葉の上でもはっきり新聞に出ておるとおりだ、本人からも聞いてそのとおりだということを確認しておるわけですから、いま私が質問しておることは当然なことじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  26. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 だから私は、軽率な発言である、こう言っておるわけです。
  27. 藤田高敏

    藤田委員 私が質問しておることに対して、基本的に総理はこれを認められた、このように理解するわけであります。  それでは、総理お尋ねをいたしますが、いまさら私は憲法を引き出すまでもないと思うのですけれども憲法の四十一条は、国会国権最高機関であり、唯一の立法機関であるということを明示し、そして憲法六十三条には、国務大臣答弁に対する義務規定が明記されております。私、法律には素人でありますけれども、旧憲法には、国務大臣答弁ということは憲法上には明記されてなかった。しかし、今日の民主憲法わが国憲法の中には、国務大臣答弁というものが憲法規定の中に明確にうたわれておるわけであります。それであればあるだけに、三木総理冒頭、政治的な意味において厳粛なものでなければならぬという国会答弁基本的な性格にお触れになりましたが、私は、政治的なものだけではなくて、憲法で明記されておるほど、これは法律的にも、政治的にも、道徳的にも、国務大臣国会答弁というものはきわめて重要なものである。こういう点からいけば、いま三木総理が言われたように、国会軽視にかかわる発言は、即この六十三条の国務大臣答弁義務規定からいってもきわめて憲法違反のそしりを免れない、このように考えますが、いかがでしょうか。
  28. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは、国会国権最高機関である、最高機関でいいかげんなことを言っていいわけではないわけでありますから、それはもう憲法を持ち出すまでもなく、民主政治基本であります。だから、やはり国会答弁というものは厳粛なものでなければならぬということは、もう繰り返して言うまでもないことでございます。
  29. 藤田高敏

    藤田委員 憲法を持ち出すまでもないと言いますけれども、やはり議会制民主主義の土台というものは憲法が基礎になるべきものである、総理がいま言う意味における政治的なものとしてもそうだということは、これは私、国会議員あるいは国務大臣、だれ人もその程度の良識と認識を持ってない者はお互いその資格を問われるだろうと思うのです。しかし、そういったものの上に、憲法でこれだけ明白に国務大臣答弁というものは非常に政治的にもその責任は重いということを明記しておる以上、今回の仮谷建設大臣発言はその責任まことに重大であって、いわば今日まで三木内閣が優柔不断な態度で終始しておるような、政治責任の明確さを欠くような態度は、憲法上からも許されないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  30. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これはいまも私が申しておるように、仮谷自身が深く反省して再びこういう疑いを持たすような発言は絶対にしないということを誓い、しかも、仮谷自身の問題ばかりでなく、私自身もまた閣僚自身も、皆さんの厳しい批判はその戒め批判であると受け取って、絶対に二度とそういうふうな疑いを持たすような発言はいたさない決意であると、こう言っておるわけでございまして、これは深く責任を感じておる発言であると受け取りを願いたい。
  31. 藤田高敏

    藤田委員 稻葉問題を持ち出すまでもありませんが、三木内閣になってからも、この種の国務大臣発言問題については、今後このようなことは再び起こらないようにするとこう言いながら、いわば舌の根も乾かないうちにこういう暴論が、国会軽視憲法無視発言がなされておるわけです。そういう最近の事例に徴して考えても、これは本人反省をしておるとか、本人が不注意であったとか、そういうことだけで済まされるものでしょうか。私は、その意味において、素人とはいいながら、憲法問題をいま提示したわけでありますが、この憲法違反であるかどうかについても、私は議会の子だと言われて、みずから天下に私ほど議会のことについて見識のある総理といいますか議員はいないのだということを言っておる総理が、今回の問題が憲法違反であるかどうかについての明確な判断もできないのか。あるいはそういうことに対して、折り目切り目の、政治的にその責任を明確にする態度がとれないのか。このことについては私は続いて質問もいたしますけれども、まず先ほどの私の質問関連して言うなれば、明らかにこの六十三条の憲法違反であり、そのことは、ひいては九十九条の憲法擁護義務国務大臣なり国会議員なりあるいは裁判官なり公務員の憲法擁護義務にも明確に違反しておるものだ、私はこう思うのです。まず、この憲法違反疑いがないかどうか、この点について明確に答えてもらいたいと思う。
  32. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 憲法の問題というもの、それは重要な問題であることは事実ですが、これは議会政治基本の問題ですからね。国会答弁がいいかげんなものであっていいわけはないわけですから、これは軽率であったということは間違いのないことだと思います。
  33. 藤田高敏

    藤田委員 私は、これは委員長からも注意してもらいたいと思うのですよ。これだけ明確に憲法違反であるかどうかと言っておるのに、そのことに対しては一言も触れない。そういう態度国会軽視発言が続出する根拠になるのですよ。明確に答えてください。その程度のことが答えられない総理ですか。明確に答えてください。
  34. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 藤田さんの御指摘になる憲法六十三条、「内閣総理大臣その他の國務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院出席することができる。又、答辯又説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」これが六十三条の御指摘になっておる条文でございますから、だから国会答弁出席しなければならぬという、何かこの条項がそのまま今度の仮谷発言に適用されるかどうかということに対しては、私はどうも疑問を持つわけでございます。ただ、私は、議会政治というものの基本として、国会答弁というものはやはり厳粛なものである、だからこれは単に仮谷自身の問題のみならず、私自身内閣の全体として、これは戒めとして、今後は国会尊重精神を発揮するように十分注意をいたします、こう言っておるわけでございます。
  35. 藤田高敏

    藤田委員 六十三条のこの条文を読んでもらわなくても、私が言っておるのですからわかっておるのですよ。これは先ほども言ったように旧憲法には載ってなかった規定なんです。それが今日のわが国憲法にわざわざ明記されたということは、国務大臣答弁というものが憲法上も規制される重要な政治的な発言であり、いわば立法上の義務として明記されておるわけであります。したがって、今度の仮谷発言というのは、いわゆる国会答弁のようなというこの国会答弁にずばり当てはまる暴言を吐いておるわけでありますから、当然これは憲法違反のそしりは免れない、こういうふうに判断するのは、これは当然すぎるほど当然なことじゃないでしょうか。この程度の常識的な判断を、いわゆる三木総理得意の美辞麗句を並べるようなごまかしによって、いわば答弁をすりかえるようなことをするから、こういうような失言暴言というものが後を絶たないのではないでしょうか。その点、明確にしてください。
  36. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 先ほど条文を読み上げたように、国会から要求があれば出席しなければならぬということが規定されておるわけでございますから、この問題はこの六十三条そのままということにはちょっと環境が違いますが、しかし、やはり議会民主政治というものは、国会答弁というものは、国権最高機関ですから厳粛にやらなければならぬということは憲法以前の一つの民主政治の大原則だと思っています。
  37. 藤田高敏

    藤田委員 私は、この解釈問題自身できょうは質問時間を取ることは許されません。しかしながら、憲法解釈ではありませんけれども、いま総理答弁を聞いておると、この六十三条というのは何だか国務大臣が物理的に議場にあらわれる、出席するというような形式的な論理でごまかそうとしておる。そうじゃないのですよ。この憲法規定は、出席をしてそして答弁をしなければならぬ。答弁をしたことについては、これは国務大臣としての政治的な責任が伴うという義務規定なんですよ。その点を明確にしないで、出席するということだけしか書いてないんだ、そういう素人をごまかすようなことを言ってはだめですよ。そういう点でもう一度、これは明らかに憲法のこういう精神に反するものだというぐらいなことは答弁できないですか。
  38. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私の答弁が御不満のようでありますから、法制局長官から憲法解釈について私の答弁を補足さすことにいたします。
  39. 吉國一郎

    吉國政府委員 六十三条の後段の「答辯又説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」という規定解釈につきまして、ただいま藤田委員から御指摘がありましたように、これは出席だけではなくて、当然答弁または説明を十分にしなければならないという義務憲法上の義務であることは申すまでもございません。ただ、総理にもその点はよくお話をしてございますから、誤解は万ないと思います。そうしてこの「答辯又説明」と申しますのは、もちろん誠実にかつ的確なる答弁または説明をいたさなければならないということを規定したものでございまして、今回の、先ほど来の発言の問題は、その答弁をしなかったあるいは説明をしなかったという問題ではございませんので、直ちに憲法第六十三条後段規定に違反するものということではないと考えております。
  40. 藤田高敏

    藤田委員 私のところへ答弁者発言表が来ておるのは、三木総理大臣だけしか来てないのですよ。ですから、これはおかしな議事運営をやってもらっては困る。
  41. 田澤吉郎

    田澤委員長 総理大臣は一人で御答弁を願いたいと思います。
  42. 藤田高敏

    藤田委員 その点は、きょうのこの委員会性格は、あれだけ議運理事会でも確認をしておるところですから、それは明確にしてもらいたいと思う。  私は、先ほども申し上げたように、憲法解釈それ自体でこれ以上なにをいたしませんが、いわゆる四角四面のしゃくし定規的な解釈ではなくて、私ども国会で議論をする場合は、やはりこういう今回の仮谷発言のような発言をすれば、これは憲法条項から照らしても問題があるぞという、そういう法律上あるいは政治的な観点からお互いが論議をすべきものだと思うのです。そういう点からいけば、私は十分憲法違反疑いがあるということを明確に申し上げておきたいと思います。  そこで、関連をするわけでありますが、かつて昭和四十三年倉石農林大臣が、いわゆる憲法問題に触れて、こんなばかばかしい憲法を持っている日本はめかけみたいなものだという発言、あるいは六十五国会小林法務大臣が、昭和四十六年の一月十八日浜松で行った、並び大名、ところてんのように予算は通るのだという、この国会に対する侮辱ないしは国会軽視発言、こういうものと比較をして判断をした場合に、今回の仮谷発言というものは、私がいま挙げた二つの例と比較しただけでも、それに匹敵する以上の重大な政治責任を問われる発言だと考えるのですが、どうでしょうか。
  43. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 仮谷君は、地方議会にも長くおって、国会へ出てこられても当選五回を重ねられておると思いますが、私はやはり仮谷君という人をよく知っておるわけですが、議会軽視するという考え方は常日ごろ持っていないのですよ。その仮谷君がどうしてああいう発言をしたかというのは私自身も不思議に思うわけでございますが、仮谷君は国権最高機関としての議会軽視するという思想はいままで持っていないのですね。そういう点がどういうことでああいう発言になったか、どういう場面でどういう考え方でああいうことを言ったのか、私自身も非常に解釈しかねるわけでございます。しかし、彼自身が日ごろの言動から見て議会軽視する論者ではこれはないということだけは、私は強く申し上げることができると思います。
  44. 藤田高敏

    藤田委員 これまた答弁になっていないわけでありまして、私は仮谷建設大臣の経歴を聞いておるわけではない。問題は、その言葉の上にあらわれた表現上の問題について、これは国会軽視に値する、あるいは憲法違反に値する、国務大臣にあるまじき国会軽視発言、こういう角度から取り上げておるのですからね。そういう点からいけば、いま私が二つの例を挙げましたが、それと比べても、今回の場合はそれに匹敵する重大責任を問われるべき性質のものではないのか。そういうものでないのであったら、いま総理お答えになったように、仮谷君という人はりっぱな人だというようなことだったら、仮谷建設大臣発言に対して、なぜあなたは注意したのですか、何で仮谷君はあんなばかみたいな発言をしたのだろうと。注意した根拠がなくなるじゃないですか。そういう点から言って、私は、少なくとも本当にまじめにこの国会総理がこの問題で御答弁になられるのであれば、私はほかにも例をたくさんここに持っておりますが、いま言った倉石あるいは小林大臣発言問題と比較して、十分その責任を問われるべきものだと考えるのでありますが、重ねて総理見解をただしたい。
  45. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 まあいろいろな事件と比較というのはいろいろむずかしい。比較ということは単純なものではないですけれども仮谷君の発言は軽率な発言であると私は言っておるわけでございます。
  46. 藤田高敏

    藤田委員 あえてそういう半ば私の質問に歯車がかみ合わないような答弁をされることは、いわゆる二つの過去の事例に照らしても、注意をしたというその事実の中から見ても、仮谷建設大臣自身がこれは深くおわびをする、そういう反省態度をあらわしておるということは、いま言っておるような過去の例あるいは憲法上の問題、国務大臣としての良識、そういうものに照らしておかしくないのであれば、何も深く陳謝したり、あるいは厳正に注意したりする必要はないのでしょう。私はもうあえてこんなことは言いたくないけれども、結局、過去の事例に比較しても、それ以上の政治責任を問われるものであっても、あなたにはそれだけの任命権者としての折り目切り目をつけるいまその決断なり政治的条件がないからようしないのじゃないですか。どうですか。
  47. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 仮谷君が非常に反省をして、再びこういうことはもう絶対にしないということで、反省を十分にしておると私は受け取っております。
  48. 藤田高敏

    藤田委員 やはり一番痛いところを突かれると、オクターブも下がったようでありますが、私は、三木総理に対する一つの尊敬の念としては、先ほども言いましたけれども三木総理は当選回数十四回、先ほども調べてきますと、三十八年五ケ月という在職年数を持たれておる。そういう経歴、年数からいけば、文字どおり船田中さんに次ぐ永年在職の国会議員であり、総理だ。そういう面から見れば、文字どおり議会の子だ。それだけに、田中内閣なり佐藤内閣の当時に、この種の問題で折り目切り目をつける、責任の所在を明らかにする、そうして今後こういうことを起こさないためのみせしめのためにも、主権者である国民に対してその責任を明確にするという点については、田中内閣あるいは佐藤内閣以上にりっぱな処置をなさるであろう。こういうふうに私はある意味では期待もし、信頼もしておったわけであります。いまなおその意味においては、まだ私はそういう期待を持っております。ところが、いまのような御答弁では、私は納得がいかないばかりか、この今回の仮谷発言に対して、いわば陳謝といいますかおわびをした、反省をしたということだけで、何ら処置をなさろうとしない。過去の二つの例を取り上げても、この二人の大臣辞任をしておる。実質的には罷免ないしは解任をしておるわけでありますが、それに準ずる程度責任を明確にできないというのはどういうことなんでしょうか。その積極的理由があるのであれば、その理由を明確にしてもらいたいと思うのです。できなければ、私は議会の子だなんて胸を張ることはきょう限り返上してもらいたいと思う。どうですか。
  49. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 先ほども私が言っておるように、これは単に仮谷君のみならず、内閣全体に対する戒めとして、今後は言動を通じて国会尊重の実を上げたい、これを私は藤田君に対しても繰り返し述べておるわけでございます。
  50. 藤田高敏

    藤田委員 持ち時間も少なくなりましたから、結論に入ります。  私の一貫した主張からいって、私の見解というものは十分理解してもらったと思う。その点からいって、私は、仮谷建設大臣に対して罷免、辞任を含めた明確な処置を要求します。私のその主張、要求に対して答えてもらいたいと思うのであります。  それで、私は非常に残念に思うのですが、きょうのわずかな時間でありますが、この質疑を通して、三木総理のそういう態度の中に、やはり今回のような失言暴言問題が起こってくる政治的風土がある、そういう土壌が依然としてあると思うのであります。それは、あえて言いますと、いま開かれておるこの国会の中で、酒、たばこ、郵便料金の値上げ三法、これは前国会で廃案になっておるのですね。あるいは独禁法は衆議院でああいう形で全会一致で成立をしておる。あるいは議長裁定で問題になりましたが、俗称生活関連法案、恩給とか年金とか石油備蓄法といったようなそういう生活関連法案は、閣議で決定しておきながら一カ月もその提案権者である三木内閣三木総理が握りつぶして、そうして党利党略的にこの国会に出してこない。あるいは、これは後日予算委員会あたりでも問題になると思いますが、あの金大中事件の問題でもどうですか。七十五国会で、金大中氏の日本再来日を含めて十分な環境整備をした上でなければ日韓閣僚会議をやらぬと言っておきながら、国会が終わったとたんにのこのこ外務大臣が出ていく、そうして日韓閣僚会議をやる。すべてこういった一連のことを見ると、国会で、国権最高機関であるこの唯一の立法機関で決められたことは、その答弁答弁、しかし、やることはみんな違うんだと空洞化していくような、こういうやり方をやっておる国会のこの雰囲気、あるいはそういうずるい政治的な態度、そういう政治的風潮の中に、私は今回のような仮谷発言というものが起こってくる土台があるのじゃないかと思うのですよ。この点についての態度を私は明確にしてもらいたいと思う。  これは重大なことです。私は、そういう意味において、この仮谷発言は、単に仮谷建設大臣だけの罷免問題にとどまらない、三木内閣それ自体の不信任問題にまで発展する性格を政治的には持っておると思うのです。三木総理見解をただします。
  51. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 しばしば申しておるように、国会答弁というものは厳粛なものでなくてはならぬ、こう言っておるわけなんです。しかもそのことは、今後三木内閣の言動を通じて国会尊重精神を発揮できるようにやりたいというかたい決意も述べておるわけでございますから、私が議会政治責任というものに対して何も考えないというものでは断じてないわけでございます。
  52. 藤田高敏

    藤田委員 私は重ねて申し上げておきますが、これだけの政治責任を問われるべき仮谷失言問題に対して、私のこの質問を通しても、いまだにいかなる措置をとるのかということについて明確な態度が示されません。  私は最後の質問としてお尋ねをいたしますが、この仮谷建設大臣に対して、どういう政治責任三木総理はとろうとなさっておるのか。その方針なり具体的措置について、明確にお答えをいただきたい。
  53. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 仮谷自身が厳しく反省しなければならぬことは当然のことであります。また、内閣自体としても、こういう御批判というものは、内閣全体の戒めとして、今後将来に向かって議会軽視するものでないということを、三木内閣の言動を通じて私は明らかにするようにこれからいたしたいということでございます。
  54. 藤田高敏

    藤田委員 そうしますと、逆に言えば、仮谷建設大臣に対して具体的な責任を問う処置はとらないということですか。責任を問わないということなんでしょうか。問わないというのであれば問わないと言うし、問うのであれば具体的にどうするということを言ってくださいよ。そうしないと答弁になりません。
  55. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 仮谷自身も、将来再びこういうことを繰り返さないことを誓うということを私の前で述べておりますし、また、内閣全体としても、これを単に仮谷自身の問題というだけの問題にしないで、内閣全体の戒めとしてこの問題を受けとめていきたい。そうして将来に向かって、いやしくもこういう誤解を生ずるようなことのないような言動を、今後われわれとしてはいたすことを深く決意をしておりますと申しておるのが私の考え方でございます。(発言する者あり)
  56. 藤田高敏

    藤田委員 最後に。  不規則発言にもありますが、それでは仮谷発言の問題については何もしないというふうに理解してよろしいか。いわゆる具体的な責任を問う処置はとらない、こういうことなんでしょうか。その点明確に、きわめてはっきりわかるように言ってください。どうぞ。
  57. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 仮谷自身に対しては厳重な注意を与え、またわれわれ自身三木内閣閣僚の言動を通じても、再びこういう疑いを持たすようなことのないように、将来に向かって責任をとりたいと考えておるわけでございます。
  58. 藤田高敏

    藤田委員 結果的には何もしない。私は、何もしないということは、三木内閣は何もできない、こういうふうに残念ながら理解をせざるを得ません。  そこで、私は、時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後に申し上げておきますけれども、これは私ども社会党の立場であり、私自身の立場でありますが、きょうの質疑を通して、やはり三木内閣のそういう態度の中に、先ほど来から触れましたように、この種の国会軽視憲法違反のそしりを免れないような言動が生じてくる政治的土壌があるというふうに、残念ながら確認せざるを得なかったわけであります。それであればあるだけに、こういう議運の場を通していわゆる仮谷発言問題についての質疑はなされましたけれども、それは当然のこととして、この質疑があったからということで仮谷建設大臣責任は免罪されるものでないということを明確に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  59. 田澤吉郎

    田澤委員長 藤田君の質疑はこれにて終了いたしました。  次に、東中光雄君。
  60. 東中光雄

    ○東中委員 最初に委員長に申し上げたいのでありますが、この委員会冒頭で、さきの二十六日の強行職権開会、それに対しては遺憾の意を表明して陳謝をする、話し合いを旨としてやっていくんだ、こういうふうに言われたのでありますが、この委員会の設定自体が、いま強行をやった、こういう状態であります。全く形式的なことではいかぬ、そういう点で、しかも、ここで議事進行についての発言を求めたけれども発言を許さない、議事進行についての発言さえ許さない、こういうやり方には強く抗議をしておきます。  そして、三木総理にまずお伺いしたいのでありますが、いまの藤田議員発言から見て、青森における仮谷建設大臣発言の内容については新聞で知っておる、こう言われましたが、仮谷建設大臣にその内容を直接ただすということも総理自身はまだしておられないのか、その点をまずお伺いしたい。
  61. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 仮谷自身は深く軽率な発言反省して、再びこういうことは絶対に起こさないということを言ったのですから、私はもう聞くまでもなく、新聞紙に報道されておることが言った言葉であろう、こう考えておりましたから、あえてその質問はしなかったわけでございます。
  62. 東中光雄

    ○東中委員 それでは、反省をしていると言っておるから反省をした、何を反省しているのかということについては、総理は、全く新聞で言っておるだけだ。この国会でこれだけ大きな問題になって、そしていまここでこういう審議がやられるという状態になっても、なお反省をしておる内容自体については総理責任持って知られておられない。そういう状態で、なおこの審議に、それについて総理がどう考えるか、その当事者である仮谷建設大臣を呼ぶということ、これが私たちの一貫した要求にかかわらず、出てこない。こういう状態というのは、このやり方は本当に究明することになってないという点で、仮谷建設大臣をここに呼ぶということを改めてここで委員長に要求をいたします。
  63. 田澤吉郎

    田澤委員長 この点については理事会で相談をお願いいたします。
  64. 東中光雄

    ○東中委員 じゃ理事会を開いていただいて、相談をしていただきます。(「もう決まったじゃないか」と呼ぶ者あり)
  65. 田澤吉郎

    田澤委員長 さきの理事会で、すでに建設大臣の要求をしないということに決定しております。ですから、東中君のただいまの要求に対しては理事会でお諮り願いたいと思います。
  66. 東中光雄

    ○東中委員 理事会で諮っていただきますということだから、いま理事会で諮ってくれ、こう言っているのじゃないですか。いまここへ呼ぶかどうかということについて言っているのですから。(発言する者あり)こういうきわめて不明朗な——なぜ仮谷建設大臣がここへ来て答弁することがそんなにこわいのか、答弁できないのか、私たちはそう言わざるを得ないのであります。このことを、理事会でということでありますから、すぐに要求しておきます。  ところで、総理にお伺いしますが、いま国民の中で、長い間自民党政治が続いている中で、自民党政府の国会答弁の実態を国民が見ています。そういう中で、自民党政府の国会答弁大臣答弁と言えば、それはいいかげんな答弁の代名詞のようにさえ使われています。三木内閣国会答弁も、質問にまともに答えないはぐらかし答弁がある。何を言っているのかわからないあやふやな答弁もある。検討するとか善処するとか言って、実際に何もしない、誠意のない紋切り型の官僚答弁もある。あるいは実行しない空公約の答弁もある。政府委員に任せて答弁を回避する大臣の無責任答弁、あるいは長々と質問にかみ合わない時間つぶしの引き延ばし答弁さえある。こういうのをいいかげん答弁だと国民が言っているのだと私たちは思うのです。  そこで、こういうやり方というのは、国権最高機関である国会軽視であり、また議会制民主主義を実質的にはじゅうりんしていくような内容さえ持っている。憲法の六十三条の大臣出席義務答弁義務、これにも実質的に反していくようなそういう実態になっておる。この青森における仮谷建設大臣発言は、それを国会答弁のようないいかげんなものではない、国会答弁はいいかげんなものなんだ、ここで言っているのはそうでないのだ、こういう言い方をして、国会答弁のいいかげんな答弁を肯定し、肯定することを公言する、こういう性質を持っているわけです。だから、私たちはこれはきわめて重大な発言である、こう思っておるわけですが、それについて総理はどう考えられるか。
  67. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 まあ、しばしば私は言いますように、これは非常に軽率な発言である。三木内閣国会答弁がいいかげんなものであろうはずはないわけです。われわれは、やっぱり国権最高機関として、政府の国会答弁を通じて、野党あるいはまた国民の理解を得たいということで、一生懸命に答弁をしておるわけであります。いいかげんなものでは断じてない。それにかかわらず、仮谷発言というものは、これは非常に軽率な発言である、こう考えております。
  68. 東中光雄

    ○東中委員 仮谷発言のその言葉が軽率なんじゃなくて、その言葉に出てきている内容、これは、実際は国会でそういう国会答弁をやっているということを前提にしてでなければあんなものは出ないわけですから、出たということはそれを肯定しているということになるわけですから、だからそこで言うたこと自体がこれは重大でありますけれども、しかし、そこで実態がこうなっているということについて、総理は全く反省をされていないというふうに聞いていいわけですか。
  69. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 三木内閣国会答弁というものは、国会が国の最高機関の場でありますし、国民に対しても国会を通じて言うことが一番やはり国民の理解を得るわけでありますから、これはおろそかには断じてしてない。そういうことは、われわれとしていいかげんな答弁などは断じてしてないということ、だけは、明らかにしておきます。
  70. 東中光雄

    ○東中委員 仮谷建設大臣青森における発言は、結論から言いますと二重に問題がある。これは建設大臣として、行政府の長官として発言したのだということは、井出官房長官も議運の理事会へ来て言われたところであります。そこで、そういう発言をされた場は何かといえば、自民党の資金集めをするためのパーティーの場であったと言われている。そういう中で熱意の余り強調してこう言ったのだと言いますけれども、高知と青森と被災者が出ている。高知の被災者は七十七人も死者を出した。そういう状態の中で青森へ行って、資金集めの場だからといって、高知よりもここをやります、これは行政府の長官としてはそんなへんぱなことを言うべきではないわけです。それにもかかわらず、そういう強調をやって、そういういいかげんなことを一方で言うておいて、そのいいかげんなことを言うことが国会答弁のようないいかげんなものではない。それは国会答弁はもっといいかげんなんだということを言っていることになるわけであります。総理はそういう内容について、行政府の長官が一党の利益のために行政府長官としての立場を使ってそういういいかげんなことを言う。さらにそれよりも国会答弁はもっといいかげんなんだ、こういう発言ですから、どうお考えになりますか。
  71. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私も予算委員会なんかで仮谷建設大臣と一緒に彼の答弁も聞いておるのですが、非常に真剣な答弁をしていますね。いいかげんな答弁はしていない、仮谷君の答弁は。そういうことで、それなのにどうしてああいう発言をしたのかということは、私自身もなかなか理解しにくいのですが、また仮谷自身もその答弁を通じていいかげんな答弁をしているとは思わないし、また三木内閣として国会でいいかげんな答弁というようなことは、そんなことが許されるわけがない。断じてそういうことはないということだけは、これはもうどんなに声を強く申し上げても声が大き過ぎはしないくらいのものであります。
  72. 東中光雄

    ○東中委員 三木総理は、国会答弁はいいかげんなものではない、こういうふうに言われるわけですが、たとえば三木総理自身、ことしの六月二十七日、これは参議院での答弁でありますけれども、独禁法の改正について、国権最高機関としての国会の中で、「衆議院での修正も全会一致のものでございますから、さらにこれを修正する考えは持っておらない」、「この法案を本気で通すつもりかという、いまさらそういう御質問は心外に思うわけでございます。」そして「ぜひとも成立を図りたいと願っておることは申すまでもない」、「会期内に成立を期待しておる次第でございます。」これは真剣に言われているのだと思います。しかし、こう言って答弁をされたことが会期内で成立しなかった。次の国会に、国会に対してこういうふうに言うたんだから、当然それはやるべきことじゃないですか。ところが今度は、さきの七十五国会で成立させなかっただけじゃなくて、この臨時国会で提案されようともしない、実際にやろうとしておられない。こういうのは国権最高機関としての国会で、国民に対して総理として言われたことをそのまま——自民党の党内のことがあるのかもしれません。しかしそれは一党のことです。一党のことじゃなくて、国権最高機関のところで総理大臣が言うた答弁、それを貫徹しようとされない。こういうのを国民から見たら、これはいいかげんなことだということになるのです。私たちはそう考える。その点について総理はどう思われますか。
  73. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私が、衆議院を全会一致で通った独禁法の改正、参議院においても審議を促進して可決をしてもらいたいという熱意を持って提案をしたことは事実でございます。しかし廃案になって、それが再出発をしなければならぬわけでありますので、いま自民党内でこの問題を再調整をしておる、この結論を得次第——独禁法というものは、これはあきらめておるわけではないのでありますから、自民党の、審議を終えれば、この問題に対して国会に提案をすることになると思います。
  74. 東中光雄

    ○東中委員 国会に対して、そして国会の場で国民に対して言われた、いわば綸言汗のごとしですよ。それを自民党内で何かあったから。それは一党内のことじゃないですか。それと国会と同じように考えるのか。むしろ自民党の党利、党内情勢、これを優位にしておる、そういうことになる。そういう答弁総理みずからがやっているのだというところが——もうすでに国権最高機関としての国会でそう言うたのだから、いろいろあってもそれはやるべきだ。しかも全会一致なんですから、自民党もそのときは賛成しておったのですから。そういう状態で、後で党内の事情を優先さす。これは国会答弁が無責任答弁であると言わざるを得ないじゃないですか。その点を言っておるわけです。
  75. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は通常国会で、何とかこれを参議院においても議決をされたいと願っておったことは御承知のとおりです。しかし、これが廃案になって、新しく出直さなければならぬわけでありますから、これを自民党の中においても十分あらゆる角度からもう一遍検討して、そしてこれが提案になれば、皆がやはり納得してこの法案の審議に当たれるような、こういう手続をとることがこの国会ではいい。この国会はいろいろと、景気浮揚政策であるとか、その他財政特例法とか、いろいろ重要な問題がありますから、そういう審議にいささかも影響を与えるようなことがあってはいけぬということで、自民党内においてもこれは全部が納得をする形において提案をしなければならぬというので、いまそういう手続をしておるわけでございます。これは前回の国会ではなくして、もう新たなる出発に立つわけでございますから、そういう念を入れたいと思って、いま自民党で検討を加えておるところでございます。
  76. 東中光雄

    ○東中委員 酒、たばこ値上げ法案は、これは国会で廃案になったけれども、とにかくすぐに出すのだ。しかも、これは与野党一致ではない。国民も多く反対しておる。それは再検討じゃなくて、すぐに出してくる。しかし、この国会でぜひ通したいのだということを国会で言うたものを、それを自民党の都合で国会答弁が実質上もう無に帰するような方向をとっておる。そこに国会に対する答弁の厳粛さというか、あるいはそれに対する責任というか、というものについて総理が本当に厳粛に責任を感じておられるならば——三木内閣としてやったことなんです。三木内閣の代表者として出したことなんです。それが自民党の一党の党内の都合で変えられていく、そういう国会答弁のあり方が私たちは無責任答弁だ、こう言っているわけであります。  もっと例を挙げれば切りがありません。たとえばここに一つ例があります。昭和四十九年十二月十九日、三木内閣ができてからですが、衆議院の予算委員会でわが党の村上議員が、身体障害者の雇用率の悪い企業を公表しろということを要求しました。長谷川労働大臣は、身体障害者の「非常に雇用率の悪いところは、近いうちに公表いたします。」こういうことをここでいわば公約された。当然身体障害者の雇用を促進していくという点での処置としてそういうことをやると言った。ところが、全然やらないですね。その後に、二月段階でもまた同じことを言ったら、近く公表しますと言っている。これは口で言っているだけであって、実際やらない。やろうと思ったらすぐできることですよ。それを聞いた身体障害者の人たちは、公表されるのだというので待っていますよ。しかし、そこで言うたってやらない。こういう答弁ですね。これはいいかげんな答弁じゃないですか。本当にやる気がなくて言うている。こういう答弁は、これは国会答弁がいいかげんだということの具体的な一例です。この問題について総理はどう思われますか。
  77. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 先ほども申しておるごとく、いいかげんな答弁はいたさない、こういうことで真剣な答弁をわれわれとしてはいたしておるわけでございまして、御指摘の長谷川労働大臣の件については、私もよく調べてみることにいたします。
  78. 東中光雄

    ○東中委員 調べてみると言われるのは、それは調べてもらったらいいですが、ここで言っている事態ですね、もうこの事柄の性質ははっきりしているでしょう。去年の十二月、もういまは十月も中旬であります。この間労働省ができないことじゃないわけですよ。事務的にすぐできることですよ。それは三日や一週間はかかるかもしれぬけれども国会へこういう答弁をして、そうしてそのままほっておかれる、こういう姿勢が三木内閣国会軽視、あるいはいいかげんな答弁をやっているということのこれは例証でしょう。だから、このこと自体について総理はどう思われるか。やっぱり言うたことはちゃんとやるべきだというふうに思われるかどうか。いかがでしょう。
  79. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それは当然に、言ったことはこれはやっぱり実行しなければならぬと考えております。
  80. 東中光雄

    ○東中委員 ところが、やらぬことを言っているという状態になっている。そういう問題を含めて、私たちは、今度の仮谷建設大臣発言は重大な問題だ。そういう国会答弁、これは長谷川大臣あるいは三木総理ということで言っているのじゃなくて、政府の国会答弁はいいかげんなものだということを言っているわけです。だから、私たちは全大臣にそういう問題について、国会答弁についての姿勢ということをただすのは当然だ、こう考えておるわけであります。  そこで仮谷建設大臣の問題の発言でありますが、先ほども議論されましたが、憲法六十三条、国務大臣出席義務答弁義務が書いてあるわけです。これはもう後段はその両方を書いていることは明白です。答弁義務があるということは厳正に真実を述べるということでなければならぬことは、もう憲法規定解釈として当然であります。そういう点で言えば、国会答弁のようないいかげんなという発言は、これは憲法の趣旨に反する方向を向いているということは明白だと思うのですが、重ねてその点についての総理考え方をただしたいと思います。
  81. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私はいままで申し上げましたごとく、憲法の六十三条を引用されていろいろお話しでありますが、これはもう議会政治基本ですよ。国会答弁するものがいいかげんな答弁であっていいはずはないわけですから、これはもう申すまでもなく、国会答弁というものは厳粛な答弁でなくてはならぬ。これがなかったら議会政治は成り立たないじゃないですか。憲法に書くとか書かぬとかいったそういうことじゃない。もっとやっぱり根本の問題です。議会制民主主義が維持できませんよ。みんな閣僚がいいかげんな答弁をしておって、何で議会政治というものは守っていけるでしょうか。これはもう絶対に答弁は厳粛な答弁でなくてはならぬ。これはもう議会政治のABCだと私は思っております。
  82. 東中光雄

    ○東中委員 議会政治のABC、根本の問題に反したことを言うているのですから、しかもそれは単なる原理じゃなくて、実定憲法上に明文があるのですから、その実定憲法上の明文にも反しておる方向だ。議会政治の根本にかかわるその問題にも反した方向の発言だということ、そういうふうにこの建設大臣発言三木総理はお考えになっているのか、なっていないのか、そこのところを聞いているわけです。
  83. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 しばしば私が言っておったように、その発言は軽率な発言である、こう考えております。
  84. 東中光雄

    ○東中委員 これは、こういう答弁を私はいいかげんな答弁だと言うのです。これに反するか反しないか。反しないと考えている、あるいは反すると考えているということ、どっちかしかないわけです。ところが総理は、あさってのことを言っているわけです。いまここで言っていることじゃなくて、あさってのことを言っているわけです。だから、そういう答弁が私はいいかげんな答弁だ、こう思うわけです。だって、質問になぜ答えられないのですか。議会政治の根本に関することだ。それに反しているじゃないか。反していないと思っていらっしゃるのですか。反すると思っているのですか。どっちですか。
  85. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 だから、私は軽率な発言であると言っておるのです。
  86. 東中光雄

    ○東中委員 これは軽率であるとかないというような問題じゃなくて、私たちが聞いているのは、事柄の性質、いいかげんな答弁国会答弁はいいかげんな答弁だという発言を公に建設大臣として言うたわけですから、言うのは軽率だ、言わなかったらそういうように思っておってそうやっておってもいいのだ、そんなものじゃないんですね。軽率かどうかというのは、言う契機のことを言っておられるのであって、私たちはその性格を言うておるのです。だから、これは議会政治の根本にかかわるような問題に反することを言っている。憲法六十三条の国務大臣答弁義務に反することを言っておるというふうに、軽率にも反することを言うたということなのか。しんからそう思うて言うたか。その言うに至った経緯——軽率であったか慎重であったかということを聞いているのじゃなくて、事柄の評価を聞いているのですから、それについて総理大臣答弁されないというのは、これはまさにいいかげんな答弁じゃないですか。
  87. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 だから、仮谷自身が深く反省する、二度とこういうことは絶対にしないということを誓ったわけでございます。それはやはりあの答弁が適当でないと考えたから、そういうふうに自分反省し、将来を誓ったものであります。
  88. 東中光雄

    ○東中委員 私は、あれが適当な発言であったかとか、慎重な発言であったのか軽率な発言であったのかと言うてお聞きしているのじゃないのです、何遍も繰り返しますけれども。事は憲法に関すること、事は議会制の根本に関することだというふうに国会答弁については総理は認識をしておると、こうおっしゃるのですよ。それで、あの発言はその認識から見て反しておるのか反してないのか、どういう評価をされておるのかということをお聞きしているわけですから、その発言に至った経緯としての——不用意であったとかそんなことを聞いているのじゃないわけです。質問に答えていただきたい。総理大臣の評価、判断を答えていただきたい。  委員長、そのことを私は聞いているのですから、それに対する答弁をしてもらってください。
  89. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私の評価、私もやはり私の期待に反する発言である、こう言っているのですから、私がこれを評価しているわけではありません。
  90. 田澤吉郎

    田澤委員長 東中君に申し上げます。  約束の時間が経過いたしましたので、簡単にお願いいたします。
  91. 東中光雄

    ○東中委員 評価については言っていない、いま答弁はそういう答弁でした。評価について言っていない、そう聞いたのですが、私は、あの発言について、議会制度の中心の問題、根本の問題、憲法六十三条との関係、そういう基準から見て、あの発言はそれに合致しているというのか、あるいはそれに反しておるというのか、どうなのだということを聞いているのですから、それに対して答えられなければ、評価されてないことになるじゃないですか。この答弁はどうなんです。
  92. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 仮谷君はもう非常に深く反省をしておるのでありますから、これは非常に彼自身としてもこの発言というものは軽率きわまる発言であった、そう考えるから、本人がこれは深く反省する、二度と再びこういうことは繰り返さないということを誓うゆえんは、そこにあると思うのであります。
  93. 東中光雄

    ○東中委員 私が一番最初に指摘しましたように、国民は、自民党内閣国会答弁は本当にいいかげんなものだというふうな、いいかげんな答弁の代名詞にさえ使っておるということを申し上げました。いままさにそうですよ。そういう国会軽視態度を政府がとっているということを言っているわけであります。  私たちはこの問題について、国会答弁について、少なくとも二つのことを申し上げたい。  一つは、国会答弁大臣自身が直接責任を持って真実を答弁する、それから質問者の了解も得ないで政府委員答弁させるようなことはすべきでない。もう一つは、国会答弁したことについては責任を持って実行する、その結果を報告する、そういう国会答弁でなければいかぬ。ほかにもいろいろあるでしょうが、少なくともこの二つをいま提起したい。そして、そういういいかげんな国会答弁でないような態度をとられることをひとつ申し上げたい。  もう一つは、仮谷建設大臣の今度の発言については、議会の根本にかかわる問題、そして憲法六十三条にも反する問題、こういう点からいってこれは閣僚たる資格が問われる問題、国会答弁を尊重する、議会制民主主義を尊重するという立場からいけば総理大臣は当然罷免さるべき性質のものである、こう思います。その点についていま評価を避けられておるわけですから、反するか反しないかということについて避けられてきたわけですが、ここではそういう質問に対する答弁回避じゃなくて、具体的にそういう処置をとられるべき性質のものであるということをここで指摘して、総理見解をお聞きしたい。
  94. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、しばしば言っておるように、この仮谷発言を擁護しようと思わない。軽率であった、これは厳に将来に戒めなければならぬと言っておるのでありますから、したがって、これを評価——評価とはどういうことを言われるのか知りませんが、これはやはり軽率な発言である、こういう誤りを二度と繰り返してはいけない、こう考えております。
  95. 田澤吉郎

    田澤委員長 東中君の質疑はこれにて終了……(発言する者あり)先ほど申し上げましたように、東中君、約束の時間が経過していますので、簡単にお願いをいたします。
  96. 東中光雄

    ○東中委員 発言を許されましたので、重ねてお伺いしますが……(発言する者あり)
  97. 田澤吉郎

    田澤委員長 御静粛に。
  98. 東中光雄

    ○東中委員 さきに申し上げた二つ国会答弁についての基準ですね、これについて総理はどう思われるのかということを答弁されてないから、そのことを言っているわけであります。
  99. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 国会答弁については責任を負うことは当然であります。それと政府委員には、それは政府委員答弁さす場合もある。これはやはり当然に許されることでございまして、それはやはり違法なことではございません。
  100. 田澤吉郎

    田澤委員長 東中君の質疑はこれにて終了いたしました。(拍手)  次に、大久保直彦君。
  101. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 先ほど総理の御答弁をお伺いしておりまして、非常に納得しがたい面がありますので、確認意味で、若干重複するかと思いますが、お尋ねいたします。  お伺いするところによりますれば、あの青森発言以来、仮谷建設大臣総理のところに、弁明でございますか、行かれ、それに対し、総理が厳重に注意を与えた、こういうことをお伺いいたしておるのでございますが、その事実関係はいかがでございましょうか。
  102. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 そのとおりです。
  103. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 そのときに仮谷建設大臣はどのような報告をされたわけでございますか。
  104. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 まことに軽率な発言、深く反省をいたしております、再びこういうような国会軽視疑いを持たれるような発言は絶対にいたさないことを誓います、こういうことであります。
  105. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 それに対して総理が厳重な注意を与えたということになっておりますが、どのような注意をお与えになっておりますか。
  106. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それはしばしば言っておるように、国会答弁がいいかげんなものであれば議会政治は成り立たないですから、これは根幹に触れる問題ですから、私のみならず各閣僚も厳に、この国会における答弁というものが厳粛なものであるということを——みずからそういう考え方の上に立たなければ議会政治は成り立たないということで、厳重な注意を与えたわけでございます。
  107. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 それだけ厳しい姿勢をもって臨まれた総理の御発言によれば、今回の仮谷建設大臣発言というものは明らかに国会軽視発言であったと、このように総理も認識をされ、それに対して厳重な注意を与えた、このように理解してよろしゅうございますか。
  108. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは、あの言葉をそのまま受け取れば、やはり国会軽視の非常な疑いを持たれる言葉でありますから、いやしくも国務大臣がそういう疑いを持たれるということは非常に慎まなければならぬことでございますので、注意を与えたということです。
  109. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 ただいまの総理の御答弁の中では、国会軽視疑いを持たれる、こういう御発言でございましたが、私は、疑いではなくて、やはり先般の仮谷建設大臣発言は明らかに国会に対する侮辱であり、また国会を冒涜するものであり、また国会軽視するものであると、こういう認識に立っております。これは疑いというようなもので処置されるべきものでもないし、総理みずからが、先ほど来伺っておりますと、国会答弁というものはきわめて厳粛なものである、こういう御見解に立っておられるわけでございますから、この仮谷発言なるものは将来に問題を託すという御発言もあったわけでございますが、明らかに国会軽視に至る発言である、疑い云々という筋合いのものではない、このように思いますが、重ねて答弁をお伺いいたしたいと思います。
  110. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私も、先ほども申したように、仮谷君と一緒に予算委員会で彼の答弁を聞いておったわけですが、仮谷建設大臣のその答弁というものはやはりいいかげんな答弁ではありませんで、非常に彼自身——そしてまた議会の当選回数を重ねて、国会というものに対してこれは重視しなければならぬということももう身にしみて知っておる仮谷君でありますから、その仮谷君がどうしてああいう発言をしたのかということは、私自身もなかなか理解しにくいものがあるわけでございますので、彼の本質が国会軽視の思想を持っておるとは私は思っていないのですよ。それなのにああいう発言をなぜああいう場合にしたのかということに対しては、われわれも理解しにくい点があるわけです。思想としては、私は国会軽視の思想の持ち主ではない、こう考えております。
  111. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 思想として国会軽視の思想を持ってないから決して国会軽視の言動はとらないということにはならないと思うのです。思想として持っておりませんでも、現に国会軽視の言動をとった場合には、総理としてやはりそれなりの毅然とした対応の仕方があるのじゃないかと思いますが、仮谷建設大臣の信条は別としまして、具体的な問題として今回の問題は国会軽視ではなかったのか、改めてお伺いいたしたいと思います。
  112. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 国会軽視発言であると、こう言われても弁明の余地がない発言だと思います。
  113. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 まあ、弁明の余地がないということはそのとおりであると肯定をいただいたことになると思いますが、私は、今般の仮谷発言というものは、単に仮谷建設大臣個人の問題にとどまるべき事柄ではないと認識いたしております。これは総理言葉をかりれば、総理自身国会軽視の考えを持っておられないかもしれませんし、また持っていないと言明されるかもわかりませんが、現実の行動面において、結果的に現象的にやはり三木内閣全体が国会軽視をされている、そういう内閣全体の姿勢の中の一現象として今度の仮谷発言というものが出てきたのではないか。私はこのように思うわけでございますが、この点について一応総理見解を伺っておきたいと思います。
  114. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それは私は断じて承服するわけにはいきません。私は議会主義者であります。日本の議会制民主主義の健全な発展を願って、今日まで長い政治経歴を歩んできたわけでございます。私が国会軽視するという思想などは断じて持っていない。
  115. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 思想を持っているか否かではなくて、具体的な行動が国会軽視になっている面がある、こういう点を申し上げているのであります。  抽象的な議論はこの程度にいたしまして、あなたが総理に就任されましたときに、政治資金規正法の改正、独禁法の改正並びに自動車排ガス五十一年規制、さらには年金改正等いろいろ、総理の長い間の議会生活の上に立たれた政治課題に取り組む姿勢として、私どもは一応の評価をいたしました。しかし、今日になってみますと、政治資金規正法については、総理は元来、これは個人に限るのだ、このようにおっしゃっておりますが、その後その政治献金は個人に限る方向に進んでおるのか、それはどうですか。
  116. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 御承知のように、政治資金というものは、やはりその国の長い社会的な慣習というものもあるわけでございますから、この個人献金というものに直ちに移行するのにはやはり無理がある。社会的条件が整っていない。自民党としては、党の経常費はやはり個人献金によっていこうという党議の決定をしたわけでございますが、その他については、いまの新しい政治資金規正法の施行を通じて、そうして三年後ですか、あれを見直しをするということになって、そのときの検討の課題にしたいと思っております。
  117. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 自動車の排ガス規制の問題について、窒素酸化物を厳しく規制するという既定方針はいまでも変えていないと、こういう御答弁をなさっております。それはその後、この既定方針に沿った解決策で臨むとおっしゃっておられますが、五十一年度の規制完全実施が延期された場合でもそういう方針で臨むと、こういう御発言がありますが、その点はいまどうなっておりますか。
  118. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 御承知のように、窒素酸化物の規制、マスキー法と言われておるもの——アメリカはマスキー法というものはもう無期延期のような形になっている。日本はやはりアメリカと違って国土も狭いし、これはぜひともやりたいということで、五十一年度規制というものを実行したいということでしたが、やはりそれだけの技術開発がなかなか間に合わない。だから、段階的にその窒素酸化物の目標とする規制に向かって近づけていくように、段階的な措置をとっていることは御承知のとおりでございます。目標はそれに向かって、少し時間的にはずれるけれども、その目標に向かって鋭意努力をしておることは御承知のとおりでございます。
  119. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 外交問題について、懸案の日中平和友好条約の締結問題でございますが、総理は、共同声明の路線を堅持すると再三御発言になりながら、いまだ覇権条項の書き入れについて陰に陽に反対をされているやにいろいろな報道がございます。そして実質的にはその交渉が凍結されておる、こういうふうに伺っておりますが、この問題はその後どうなっておりますか。
  120. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 大久保君も御承知のように、これはニューヨークにおいて宮澤外務大臣と中国の喬冠華外務大臣との間に十時間にわたっての長い会談が行われて、何とかしてこの日中平和友好条約を早期に締結したいという努力をいたしたわけでございまして、ただいま日中両国で、なるべく早期に妥結をしたいという目標に向かって、外交的なルートで検討が進められておるわけでございます。これを凍結するという考え方は持っておりません。内容については、いま外交の交渉の途中でございますから、これを申し上げることは遠慮をしたい。
  121. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 まあ、これ以上お尋ねしても具体的な御答弁はないと思いますが、私は、過去の事例はともかくとして、近来、最近の特にこの臨時国会召集以来、三木内閣の姿勢を拝見しておりますと、野党各党が総理を初め外務大臣、大蔵大臣、経企庁長官の四大臣の演説を要求しているにもかかわらず、これは国会召集冒頭に大蔵大臣、経企庁長官の演説をなさろうとしない。さらには、前国会与野党一致で衆議院を通過しましたいわゆる生活関連法案十一件につきましても、郵便貯金法の一部改正ですとか、または簡易生命保険法の一部改正ですとか、そういったものも、いわゆる閣議で今国会に提出をすると決めておきながら、一向に国会に提出される気配がない。さらには、九月十六日におきまして議運委員会確認事項をまとめられたわけでございますが、この酒、たばこ値上げ法案の扱いについても九月の二十日にそれを一方的に破る暴挙が行われた。さらに、九月二十六日には単独議運委員会を自民党、与党が開きまして、本会議の手続を省略して委員会に強行付託をする。さらには、十月の一日には、各党国対委員長会談が行われ、その国対委員長が記者会見をしているさなかに逓信委員会において採決をし、続いて大蔵委員会において単独強行採決をする。こうした一連の流れを見ておりますと、いわゆる政党政治、議院内閣制の本質に立ち戻って考えるならば、私は、三木内閣は明らかに国会軽視していると断定せざるを得ない姿が随所に目立ちます。私は、そういう意味において、先ほど総理がおっしゃっているように、いいかげんな国会答弁であるかないかということは、総理並びに閣僚がこの国会発言をされたことがそのとおり実施されているかどうか、それがいいかげんであるかないかの一つの大きな基準になる。そう思って、いま日中問題、さらには排気ガス等々の問題についてお尋ねをいたしたわけでございますが、しかし、その国会答弁が、総理並びに閣僚の口からなされたことが実行されてないということになりますと、これは明らかに国会軽視した、そういう具体的な問題になると思いますが、その点について御見解はいかがでしょうか。
  122. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 酒、たばことかいろいろな——きょうは仮谷君の問題を中心にして論議をするために開かれたわけでございますから、これは改めて私の所見を述べる機会があろうと思います。ただ、この国会答弁で申しましたことは、これは政府が責任を負わなければならぬ。ただ、そういう場合に多少の時間的なずれはある。そのことはやはり御理解を願わなければならぬ。しかし、国会で申し上げた方向というものを変えては、これは信義にもとるわけです。ただ、その至る過程の間に多少の時間的ずれというものは御理解を願いたい。国会で目標として掲げたものを、これを全然顧みないというような無責任なことはいたさないつもりでございます。
  123. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 発言と同時にその発言内容が実行に移されるということは、できる場合とできない場合とあることは承知をいたしております。しかし、現実に発言されたことが実行に移されないとするならば、その発言は、またその行動は、国会軽視につながるものである、こういう御認識だと理解してよろしゅうございますか。
  124. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 国会答弁をしておきながらそれを実行の努力をしないということは——時間的ずれがあることは大久保君もやむを得ないと言っている。しかし、国会答弁をしておりながら全然その実行のために努力をしないということは、これは国会軽視であると言われても仕方がない。
  125. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 それでは申し上げますが、去る四十九年十二月二十日、本院の予算委員会において、わが党が、三木総理自身のいわゆる金脈問題を追及いたしました。その際、総理の金脈に絡みまして、架空の政治団体による多額な政治資金の流用をわが党から指摘したことがございますが、御記憶でいらっしゃいましょうか。
  126. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 記憶しております。
  127. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 その際、三木総理自身に、いわゆる政治四団体の責任者並びにその政治四団体の収支報告を早急に提出するように強く主張申し上げましたが、御記憶でいらっしゃいますか。
  128. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 記憶しています。
  129. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 その後、四団体の代表者の氏名については確かに御答弁をいただきました。しかし、調査の上予算委員会に提出することをお約束していただいた収支報告については、今日、昨年の十二月の二十日でございますからもうすでに半年以上を経過いたしておるわけでございますが、いまだに提出されておりません。これは先ほど総理みずからが御発言になった約束をしていながら実行に移されない一つの具体的あらわれであると思いますが、いかがお考えでいらっしゃいますか。
  130. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 公明党から御指摘になった四団体、これはもう政治資金には届け出してあるわけです。それを一括して、プロジェクトチームのような四団体があって、各プロジェクトチームごとの詳細な、明細な報告書というものが出されていないということでおしかりを受けたわけです。何分相当時間もたつものでありますから、なるべくそのときの領収書とかいろいろなものを集めようと努力をしておるのですが、まだ完全なものにならなくて、一応の大体の報告はいたしましたけれども、詳細なことは出てないことは事実でございます。これはできるだけ明細な会計報告を出すように、会計責任者にも言って努力はしておるけれども、なかなか全部の領収書がそろわないという現状にあることは事実でございます。私は何もそれを隠す必要はないので、政治資金規正法で届け出てあるわけで、それをプロジェクトチームに一括して届けたというところに、要するに取り扱いとしては不注意な点があったので、私自身もこれは明細書を出してもらいたいと願っておるわけでございますが、何分にも相当過去のことでございますので、それは全部そろわないので、まだ今日明細書の提出に至らないことは事実でございます。
  131. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 ですから、私は先ほど念のために——調査の上予算委員会に提出するという御発言を確かに総理はなさった。しかし、今日半年以上も経過していながらいまだ御報告の様子がない。これは国会答弁そのものをいわゆる空文化してしまう国会軽視ではないのですか。これを国会軽視と言わずして何を国会軽視と言うのですか。いいかげんな答弁というのは、みずから口に出して発言したことを実行に移さないことがいいかげんな答弁ではないのですか。ですから、私は、この仮谷発言というものは、三木内閣一連の国会軽視の体質の延長線上でこういう問題が出てきたということを指摘しているのです。これがもし国会軽視ではないというなら、総理の所信を伺いたいと思います。
  132. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 国会軽視しようという考えは私は毛頭ない。ただしかし、過去のそれは私自身がやっておるわけでないので、皆会計責任者がおるわけで、これを詳細に領収書なんかを出してそろえるということは私自身も希望するわけなんです。だから、これは簡単にそういう領収書などは集まるものだと思っておったのですが、これは大分昔のことでありますので、なかなか領収書が集まらずに、私が申した提出いたしますということがまだ今日まで、概略のことは申したのですけれども、詳細にわたって会計報告ができてないことは、これは事実でございます。
  133. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 それならば、調査の上予算委員会に提出するなどという御発言はなさらない方がよろしかったのです。しかし、その御発言が明確になされ、それが本院の議事録に残っている以上、この御発言を実行しないということは、これは院に対する冒涜ではないのか。いかがですか。
  134. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 冒涜というような考えは私にあるわけではないので、私自身も明細書を政治資金には届け出しているのですから、その内容の明細書を出すことは、私自身も出せれば出したら一番いいと思って、会計責任者に、これを全部領収書をそろえて、書類をひとつそろえてくれといって、私が言ったわけでございますが、それが全部の領収書がそろわないで、まだ完全なものになってないというのが現状でございまして、国会軽視しようということで言ったわけではないので、これはぜひとも私自身にも——政治資金規正法で届けてないのではない。届けてあるけれども、一括してそれを届けたというところに非常に不注意な点がありましたので、これを明らかにできれば私自身も非常に好ましいと思って、そう言って会計責任者にその調査を依頼したわけでございますが、全部がそろわないというところで完全な報告書になってないことは御指摘のとおりで、この点は私自身としても非常に遺憾なことだと思っております。
  135. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 私は、総理のいわゆる政治四団体の内幕を聞いているのではなくて、総理国会に出しますと言っていながら、国会に、もう半年以上も経過しておる今日、ほぼ一年近く経過しておるわけで、約十カ月経過しておる今日、なお提出されていないことは、これは国会軽視に相当するのじゃないですか、総理みずからが国会軽視をしているのではないですか、こういうお尋ねをしているので、その点についての総理の御所見はいかがですか。総理大臣として、調査の上予算委員会に提出をしますと明言されていながら、今日まだそれが実行されていない。これはその気になれば、十カ月も一年近くも日数のかかる問題ではないと思います。いかがでしょうか。
  136. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それは、細かいいろいろな収支というものに対しては、領収書などもそのときは取っておったのでしょうが、時間がたつに従って領収書が離散したような場合もあって、なかなかやはりそれを追跡するということに対して時間がかかりますので、これは私自身も早く明細な一つの報告書ができればと考えて努力したわけでございますが、なかなかそれが全部の領収書がそろわないというのが正直な現状でございます。
  137. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 領収書がそろわないから出せないのであって、国会軽視をしているのではないという御議論は、いただけない議論です。これは私は、総理国会答弁ほど厳粛なものはないとみずからおっしゃっているように、やはり強い決意のもとで調査の上予算委員会に提出をするという御発言はなされたものだと思っております。それがなされない以上は、やはり三木内閣総理を先頭にこの国会における答弁を空洞化するような議会軽視をしているものだと断定をせざるを得ませんし、また、先ほど来あったように、今回の仮谷発言についても、これは三木内閣の体質から来るいわゆる国会軽視発言である、こういう断定をせざるを得ない現状でございます。こういう点について、総理の明確な本事態に対する見解を明らかにしていただきたいと思います。
  138. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 国会軽視しておるという、そういうことは断じてありません。これは、国会は厳粛な場でありますから、国会で言ったことは実行したいということで努力をしておるわけでございますが、いまの問題についてはそのような事情があってなかなか全部明細な会計報告ができないということは、また私自身も遺憾に思っておる次第で、それが国会軽視するということの考え方からそういうことを無責任発言をしたのではないのです。私も簡単に、これは帳簿を見ればそういう報告ができるものだと考えてそういうことを申し上げたのですが、何分長い期間でなかなか領収書なんかの保存がしてないものがあって、これは詳細な報告書とならないことをまことに遺憾に思っておる次第でございます。
  139. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 私は、総理自身並びに閣僚のいわゆる発言の重みについて議論をしているのであって、領収書がいつ集まったかというような議論をしているのではないのです。私はこの問題——お出しになりますね、この収支報告は。いつお出しになるのですか。もう一年たったのですよ。
  140. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それがいろいろな調査ができ次第、これは大分前のことですから非常にむずかしい問題ですが、これはできる限り調査を継続することにいたします。
  141. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 委員長に申し上げますが、ただいまの総理答弁そのものがもうすでに国会軽視答弁だ。みずから本院においてそういう発言をしておきながら、それが一向に実行に移されておらない。こういうことではきわめて本院としては遺憾であり、内閣を挙げて本院を軽視し、また冒涜しているものだと断定せざるを得ません。  総理に最後に申し上げますが、このような総理大臣の一言一言の発言が国民に与える影響がきわめて大であることを思いますときには、このような発言をなさった以上、責任あるその発言に対する裏づけを行っていただきたいと思いますし、もしそれができなければ、潔くわが身の措置をとらるべきだということを申し上げて、私の持ち時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。(拍手)
  142. 田澤吉郎

    田澤委員長 大久保君の質疑はこれにて終了いたしました。  次に、玉置一徳君。
  143. 玉置一徳

    玉置委員 三木総理質問をいたします。  私は、仮谷発言はまことに遺憾でありまして、この点を追及したいと思いますが、まずそれよりは、三木総理大臣の今日までの政治姿勢について質問をしたいと思うのです。と申しますのは、そういう土壌がやはりこういう軽はずみな発言になるおそれがあるのじゃないか、こう思うがゆえであります。  あなたは田中内閣の総辞職の後を受けられまして、そしてまず自民党の近代化と政治の倫理性を高めるために、国民の期待のうちに内閣を組織されたのであります。その意味で国民からも非常な期待と喝采をある意味では受けておいでになりましたのは、六〇%という支持率が物語っておると思います。しかしながら、その後を見ておりますと、自民党の近代化も遅々として進まないような感じがいたしますが、これは他党のことでありますのでさておきまして、まず、目玉商品でありました独禁法の問題にいたしましても、その他核拡散防止条約の問題にいたしましても、いずれもせっかくの総理の意図にかかわらず、それがいずれも自民党の制約によりまして思うとおりにならない。ましていわんや、倫理性を高めるためには、民主政治の根幹に立ちまして対話と協調という方法を強調されてきたのでありますが、遺憾ながら、昨今の様子を見ておりますと、強行採決の連続でありまして、いささかも対話と協調という三木内閣の一番主眼としておいでになるものがその片りんも見えないような感じがいたします。こういうことでは、せっかくの三木内閣の誕生の意味が薄らぐのじゃないだろうか、総理にしたって非常に不本意なことだと思うわけであります。それが御案内のとおり、新聞の論調によりますと、二三%の支持率に下がっておるということも、国民もまたせっかくの期待にかかわらず、昨今の様子を非常に危惧しているのじゃないかという感じがいたします。私は、三木内閣は便々として命を長らえるよりは、原点に返ってこの際思い切ってやるべきじゃないかと思うのです、初心を。あなたはこの国民の支持率をどのように受けとめられるか。国民に対してどのように期待にこたえようとされるか。ひとつ、先ほど申しましたような仮谷発言関連いたしまして、こういった内閣の姿勢そのものがやはりそういうものを誘発するおそれがあるという意味において、総理にあえてお伺いをしたいのであります。
  144. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 前の通常国会に公職選挙法の改正、政治資金規正法の改正、これはもう従来になかった、いままで政治資金規正法の改正などはやろうとしてやり得なかったわけでございますから、やはりこういうふうな選挙とかあるいは金の集め方とか出し方とか、こういうところから政治というものを粛正していかなければ、党の近代化といってできるものでないですから、その前提として、公職選挙法とかあるいはまた政治資金規正法というものを、民社党、社会党の協力も得ましたけれども、これは国会で議決を願ったわけでございます。したがって、これは一日にしてこのすべての解決というものはむずかしいけれども、やはり政治というものがもっと国民の信頼にこたえるように粛正されなければならぬということで、私は、これは最初に国民にもこのことを約束して、この通常国会でこれを議決したわけでございます。独禁法だけは廃案になって、いま出直しをしなければならぬようになりましたけれども、この二つの問題については公約を果たしたつもりでおるわけでございます。  私は、やはり日本の場合は、いろいろ玉置さん、自民党が何もかも悪いという御発言でありますけれども、しかし、いま議会制民主主義というものは大きな試練期にある。これは自民党が何もかも悪いんだということだけで問題は解決できない。野党の諸君も、やはり議会制民主主義を健全に育てていくためには共同の責任を持っているんだという節度が要ると思う。そういうことで、やはり自民党が全部悪いんだという、こういうふうな解決の中からは、議会制民主主義というのはなかなか育っていかない。皆がやはり意思の疎通を図って、そうして節度のある一つの行動をとるということでないとなかなか育たないと思いますので、まあ私は自民党が全部いいと言っておるのではないのですけれども、これは、与野党ともに、議会制民主主義を守っていくために、共同の責任を感じなければなかなか国会運営はうまくいかない、こう考えておるわけでございまして、この点は野党の立場にあられる人も深く考えてもらいたいと思う点でございます。
  145. 玉置一徳

    玉置委員 それでは、三木内閣も対話と協調というものは今後も堅持しておゆきになる。しかも、それはもう一度出直して厳にそのことをおやりにならぬと、参議院のあの保革伯仲しておるところではまことに心もとないあれだと思います。  そこで、今後は少なくとも単独採決は今国会に関しておやりにならぬかどうか、ひとつお伺いしておきましょう。
  146. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私はこういうふうに思うのです。やはりいまの国会は、与野党の間にもう少し意思の疎通を図っていいんだ、対話と協調と私が言っているのは、議会政治の本質からであります。保革伯仲したから言うのではないのです。議会政治というものはそういうものだ。だから、野党が自分の言うことは絶対に正しい、自民党の方は皆間違っているという、こういう考え方のもとに議会政治は私は育つとは思わないのですよ。やはり野党としても考えなければならぬ点がありますよ。単独採決を自民党がしたくないことは明らかでございますが、そうかといって、野党の諸君の言うとおり聞かないと国会がなかなか審議できないということも、少し考えてもらわなければならぬですよ。だから、どうしてもこの際に、いろいろこの国会は、玉置さん、どうしてこれがこうなったかということを百も承知でしょう。何でこうなったかということをあなた自身も百も承知でしょうが、皆がやはり政策の以前の問題として、議会制民主主義というものが重大な試練に立っているんだ、共同の運命を背負っているんだという点から、自民党も反省するところは反省いたしますが、野党の方もこの点については考えていただかなければならぬ点も私はある、こう考えておる次第でございます。
  147. 玉置一徳

    玉置委員 私たちは、自民党に、前の国会で積み残された、全野党も賛成をしました十二法案を先にお出しなさい、それから後順次お出しになることが運営の妙を得ておるし、早いことやれるのだと言うのを、わざわざぞうきんで顔をなでるような調子で三法案を先に出してきてみたり、反対法案だけを後ろに控えさせてみたりというようなところに、非常に自民党にも無理もあるということを反省していただかなければいかぬけれども、自民党自体が総理の言うことを聞かなくなっているのではないかということを、私も横から非常に心配してあげているのです。そういうことで、少なくともただいま申しましたとおり、今後は——もう一つは、自民党の方も、修正もさせなければ何もさせぬ、そのままでないと通さぬという姿勢では、総理、これはだめだと思いますよ。したがって、酒、たばこ、郵便料金の値上げ法案についても、やはり審議の過程で直すべきものは直すという雅量がなければ、私は民主政治というものは成り立たないと思われますが、これについて、なるほどと思うような、審議の経過に基づいて、衆議院、参議院、両院を通じて修正を受け入れるようなお腹があるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  148. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それは政府が何とも申し上げられない。国会でやることでございますから、国会の意思によってそういう問題は処理さるべきだと思う。ただ、法案の提出について玉置さんいろいろ御議論があるようですけれども、政府とすれば酒、たばこ、郵便料金も今年度の予算に計上してあるわけです。そしてそれは、国会で予算は通っておるわけですから、その裏づけの財政に関連する法案でございますから、自民党が早くこの問題を処理したいということを考えることは私は当然だと思う。ことに、衆議院では附帯決議もつけて参議院に送って、参議院も、もう三時間もあったらこの問題は議決されておったのではないでしょうか。そこまでいっておったわけでございますから、この問題を政府が早く処理したいということで、国会への提出というものに対してほかの法案に先立って提出したというのは、財政に責任を持つ政府の立場から御理解を願いたいと思うのでございます。生活関連法案は、いま皆国会に提出をしておるわけでございます。
  149. 玉置一徳

    玉置委員 先ほど私も申しましたように、独禁法というのは、そのものは、そうあしたから日本の命をとるような大きな問題ではないか知りませんけれども、あなたが倫理性を高めるという意味では目玉商品であったことは事実なんです。それが、自民党の党内の事情によって再提出を延期されたということは、核拡散防止条約とともに、これは本当に六十数%が二三%になったやはり大きな原因だとも思います。これは一体本当はどうされますか、率直にお答えいただきます。
  150. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これはたばこや酒とは違いまして、参議院で一遍も審議されてないのです。だから、審議を相当にやった法案ではないのです、一つも審議をされてないのですから。今度は重要な不況対策、財政特例法とか、いろいろな重要なものがあって、この議決を願わなければ、政府も財政的に責任が持てなくなるわけですから、こういう重大な関連法案に——独禁法が少し審議を進めておれば、それはそういう心配はないのですけれども、審議を全然してないものですから、このことで重要な法案の審議に支障を来してはいけないので、提出する前に自民党で意見をまとめておかなければならぬということで、いま自民党で調整をしておるわけで、私は、自由経済体制を守るためにルールは必要である、やはりルールを持つことが自由経済体制を守るために必要であるという考え方は、私は変わっておらないのですよ。
  151. 玉置一徳

    玉置委員 議会運営のために単独採決並びに一切修正を受け入れないというような姿勢はどうなんだという質問をしましたら、あなたは、それは議会の問題だ、こうお話しになりますが、やはり総理であり、政府の一番、首班であると同時に、党の総裁であることもこれは厳然たる事実でありまして、それがうまく両方相まって運営されるときに初めて政党政治の妙味が発揮されると私は思うのであります。それにかかわらず、非常に党内におけるいびりもきついし、それからあなたの統率力も非常に乏しい、こういうことが今日の仮谷発言のようなものを出来さすゆえんだと、こう私は思うのです。  そういう意味では、もう一つは、いつも解散を問題にされますが、これは議会運営に関係がありますから一言聞いておきますが、こういうことが、年内には解散しないとか、今度はまた解散は慎重にするとか、その場その場で違った形になりますが、これは一体どうなんだということと、もう一つは、この間水田さんからわれわれに全部にわたりました憲法六十九条の問題は、お互い議会の子として、私はこれは検討に値すると思うのですが、あなたはどのように評価されておるか、この二点をお伺いしたいと思います。
  152. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 解散の問題、私は言を左右にしておることはないですよ。終始一貫解散のことは考えていない。それはそうでしょう。玉置君がお考えになっても、この日本の不況克服、あるいはまたそれに伴う財政的処置というものは大変な問題ですよ。これを御審議を願うということがいま一番必要なことで、解散というような声を立てて、議会の審議というものに対して影響を与えることは、今日の国の実情に沿わないと思っておるわけですから、解散というものに対して私の答えが終始一貫をしておることは、これは御理解を願いたいのでございます。  それからまた、いま……(玉置委員「水田発言」と呼ぶ)政府はやはり第七条の解散もできるという解釈の上に立っておるわけでございます。
  153. 玉置一徳

    玉置委員 私たちは、冒頭に申し上げましたとおり、三木さんのせっかくの意図にかかわらず自民党の党内の掌握が総裁として非常にわれわれが見ておりましても危なげであり、それからそういうことから由来するのでしょうが、いままで目玉商品としてお出しになっておる問題もついうやむやにならざるを得ない等々が、非常に国民の不信を買い、先ほどのように発言に対して信頼をもち得ないというようなことが議論になっておるのだと思います。私は、やはり原点に帰って、総理・総裁として、民主政治の確立のために本当にがんばり直さなければならないのじゃないか。われわれが、三十八年有五カ月の総裁に対して、総理に対して、こう言うことはまことにおこがましい話でありますが、国家国民のために、そのことが私は非常に大事なことだと思いますので、十分ひとつがんばっていただかなければならない。  解散については、三木内閣はこんなんではとうてい通常国会の長丁場はもたぬだろう、だから一月二十日前後冒頭解散をせざるを得ないであろう、こういうようにも言われておりますが、これについて三木さんの決意をひとつお伺いしたいのです。
  154. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 玉置君なかなか推理を働かしておいでになるようですけれども、私は、いまの日本の状態がこういう状態ですから、やはり景気回復を軌道に乗せて、そうして雇用の問題も不安が起こっておるのですから、これをやることが必要である。いろいろ三木内閣、御心配願っておるようでございますが、三木内閣は、国民の信頼にこたえて、今後とも断固として所信を貫く考えであることは間違いがない。ただ、まあ自民党もいろいろな意見の人がおりますから、それをまとめていくまでには時間はかかるわけです。しかし、私が目指しておる政治の方向というものを私は変えることはしない。ただ、多少時間的なずれがある、こういうふうにひとつ御理解を願いたいのでございます。
  155. 玉置一徳

    玉置委員 独禁法も非常な長い時間がかかる、こういうことに理解してよろしいか。
  156. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いや、いま自民党の中で、やはりいろいろ審議会で検討しておるのですから、検討が済み次第、そんな時間がかかるというわけではない。どれくらいの検討の結果結論を得るかということにかかっておるのでございます。
  157. 玉置一徳

    玉置委員 終わります。
  158. 田澤吉郎

    田澤委員長 玉置君の質疑はこれにて終了いたしました。  次に、小沢貞孝君。
  159. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこに官房長官がいらっしゃいますが、たしかおとといだと思いますが、仮谷発言をめぐって議院運営委員会理事会で、井出官房長官を呼んで、これに対する政府の見解やいかん、こういうことで、井出官房長官は、これはメモってきたものを私が聞いてメモしたものですから、多少のごろの違いがあると思いますが、こういう発言をしているわけであります。「仮谷建設大臣青森発言は、政府としてはまことに遺憾に存じます。本人は、舌足らずで不用意であったことを深く反省をしております。本人の意図は、弁解しても仕方ないが、災害復旧を急ぐ熱意の余り発言したので、理解していただきたい。本日三木総理は厳重に注意をした。これに対して本人は、言動について今後注意することを誓っています。許されるならば、仮谷建設大臣はしかるべき時期、場所で陳謝したいと申しております。せっかく議長のあっせんで軌道に乗るようになったので、寛大にしていただきたい。」まあ要約すればそういう発言でありました。許されるならば、建設大臣はしかるべき時期、場所で陳謝をしたい、こういうように政府がこれは発表しているわけであります。まあ恐らくきょう午後七時から議運の理事会が開かれて、あしたは本会議が開かれるであろう。これはこれから、七時からの問題であります。あした本会議が開かれるならば、当然総理としては、仮谷建設大臣は本会議冒頭反省しておる点並びに国民、国会に対して陳謝するのが当然ではなかろうか、こういうように考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
  160. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 その場面は、議運の方でいろいろ御相談になるのですから、議運で御決定を願いますが、仮谷建設大臣は、本人が非常にやはり反省をしておるわけですから、そういう機会があれば、みずからの非を認めて、そうして釈明をすることになると私は思います。
  161. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 機会があれば、機会は明日本会議が多分開かれる、その冒頭で当然陳謝すべきである。これは仮谷建設大臣にしてもそうであります。本人は、伝えられるところによれば、やめたいみたいな心境すらあるが、井出官房長官が出かけていって、まあそれはやめてくれみたいな、これは新聞報道で定かではありませんけれども、こういうもやもやな気持ちでもって災害復旧とかあるいはまた不況克服の国会国務大臣として対処していくことは、国家と国民にとって必ずしも利益ではない。こういうように感ずるわけで、これによって仮谷発言がすべて許されるかどうかということは別問題としても、これは当然本会議冒頭で陳謝すべきである、こういうように考えます。  重ねてその点を総理から御答弁をいただきたいことと、いま一つ、さきに稻葉法務大臣の欠陥憲法発言があったわけであります。その締めくくりとして、総理は衆議院会議において、陳謝であるか釈明であるか、また総理自身もやったわけであります。いま各党の代表の質問を聞いておって、内閣としては深く反省をしておる、将来の戒めとしたい云々と、まあニュアンスはいろいろ違うのだけれども、いま答弁をしておったようであります。本会議仮谷大臣だけが陳謝をした後、総理はそれを総まとめにして、内閣としてはどうするか、こういうことを当然これまた発言すべきではないか、こういうように考えます。  以上の二点について。
  162. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 議運の方でそういうふうにお決め願うならば、そういう機会を持ちたいと思っております。
  163. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 仮谷建設大臣総理大臣、いいですか、それで。
  164. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 だれだれにするかということは、議運でもよくひとつ御相談願いたい。議運でこういうことがいいという御決定ならば従う所存でございます。
  165. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 終わります。
  166. 田澤吉郎

    田澤委員長 小沢君の質疑はこれにて終了いたしました。  次に、山口鶴男君。
  167. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 今回、議運の委員会総理出席を求めて、国会答弁に関しましてこのような質疑を交わすことはきわめて残念であり、遺憾なことであると思います。  私ども議運の理事会に各党を代表して出ております。少なくとも議運の理事会で党を代表して発言し、約束したことについては、これはお互い守っていく、少なくともそういう決意をもって私どもも議運の委員としての職責を務めております。そういう中で国会答弁はいいかげんなものだというような発言閣僚からなされ、それからさらに、各委員から三木内閣基本姿勢に関して、また三木内閣国会にお約束をいたしました数々の法律案あるいはその他の問題について、これがきわめて遺憾な状態に放置されているではないかというような指摘がございましたことにつきましても、私ども心から遺憾に存ずる次第であります。  重複は避けまして、議運の委員会としての問題に主として限定をいたしましてお尋ねをいたしたいと思います。  今度の国会ほど私は異例の国会はないと思います。野党が反対したにかかわらず、補正予算の提出を待って国会を開けと要求したにかかわらず、憲法七条の規定に従って内閣が一方的に国会の召集をいたしました。そしてまた、補正予算の提出は延々おくれたわけであります。しかも、私は問題にいたしたいのは、九月の九日、閣議におきまして、いわゆる先国会の積み残し法案、酒、たばこ、郵便もありましょうが、そのほかに数々の国民生活法案がございました、これを一括して閣議決定をいたしたことは総理も御記憶であろうと思います。そしてさらに、九月の十九日には、そこにおいでの井出官房長官が、一括して国会に提出する、こういうことを記者会見において発表せられたのであります。まさにこれは内閣としての約束だろうと思います。しかるに、九月二十日提出されましたのは、恩給法その他、酒、たばこもございます。しかし、共済組合法等十本の法律、一本の条約が提出をされなかったわけであります。そうしてこれが国会において問題になり、そこに議長さんもおいででありますが、議長裁定を待って初めて十月十日にこれらの法案が提出をされた。私は議運に携わりまして三年半であります。その前の前例もいろいろ聞いております。閣議決定をされ、それがどのような理由かどうかわかりませんが、印刷がおくれているとかあるいはいろんなへ理屈をつけまして、一カ月以上にわたって国会に提出されなかった、こういう例は私は知りません。しかも、議長裁定を待って初めて国会に提出された、こういう例も知りません。  三木総理、このようなことが国会を尊重する政治であると言われますか、国会軽視でないと言われますか、明確な御答弁をいただきます。
  168. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 山口君、私はこういうふうに考えているのです。やはり与野党の意思の疎通というものをこれは欠いている。これを何とかしてお互いの意思の疎通を図っていかないと、ある法案に対して、これは絶対反対だ、これはもう絶対に上程することは阻止するというような絶対論をしたのではうまくいかない。そういうことですから、どうしても今後は、こういう問題について——そうしたらまたいろんなことを考えて、そうして疑心暗鬼を呼ぶわけですから、それは閣議で決定した法案は早く出すにこしたことはないのでしょうが、何か与野党の間の意思の疎通を欠いて、そういうことに国会運営というものがぎこちなくなっている面もあると思うのですが、私は、これはやはりどうしても、議会政治ですから話し合って——やはり各党としても皆が気に入らぬこともあるわけですね。気に入らぬことがあっても、国会の場で審議をしてこれを片づけていくということでないとなかなかうまくいかぬ、その間疑心暗鬼ができるわけですから。そういうことで、やはり国会が運営がうまくいかない原因がある。今後はやはり与野党の意思の疎通をもっと図って、自民党の苦衷だって皆、山口君が知って、もうおわかりですからね、自民党のいま法案に対して。自民党の立場というものは、酒、たばこにしてもよくわかるわけですから、野党の諸君でも。そういうことで、もっとざっくばらんに意思の疎通を図って、今後の国会運営というものを改めていかないと、どうもこういう状態がいつまでも続くことは、自民党のためにも私はよくないことだ。そういうことで、今後とももう少し意思の疎通を図って、自民党の真情を野党の諸君にも訴え、野党の諸君も自民党の立場というものに御理解願って、国会を正常な軌道に返す一つの大きな転機にしなければならぬと考えております。
  169. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 総理答弁をはぐらかしていただいては困ります。法律案の提出権は一体どこにあるのですか。内閣にあるのでしょう。三木総理、あなたにあるのじゃありませんか。これが与野党の疑心暗鬼であるとかどうとかというようなお話をいろいろされました。そういうことじゃないのです。提案権があるにかかわらず、とにかく一カ月以上にわたって、閣議決定されても出てこない。それからさらに、与野党のことを言いましたが、理事会の合意事項までつくって私どもは法案の取り扱いについて相談した。破ったのは自民党じゃありませんか。そうしてさらに、議長裁定があって初めて法案が出てくるなどということは、いまだかつてないのです。法案の提出権は内閣にあるのじゃありませんか。それがなぜおくれたのか、これを聞いているのですよ。
  170. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 条約の案件については、参議院の先議というのもありましたし、準備の整うたものから政府は出していこうということで、そういうことで法案の提出を行ったのであると、井出官房長官、そういうふうに申しております。
  171. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 まさに提案権が内閣にあることを忘れたいいかげんな答弁であると言わざるを得ません。  さらに一つ私はお尋ねをいたしたいと思います。三木総理は、かつて佐藤内閣時代、自民党の総裁公選に何度か挑戦をされました。そしてその際、やはり国民に訴えるということで全国各地を遊説されたことを聞いております。また、三木さんと同行いたしました海部現官房副長官からも、当時三木さんがいたしました演説の内容について私はいろいろお聞きいたしました。感銘を受けたものもございます。その際に三木総理は、佐藤さんは官僚ですと、こう言われる。そして、私は議会の子であります、私は一度も月給をもらったことがない、そこが同じ自民党員であっても私と佐藤さんの違いなんですということを強調されたと承りました。三十数年にわたる議会生活、議会の子、まさに議会を尊重し、国会答弁は厳粛なものと思い、国会を尊重するのが三木内閣の姿勢でしょう。ところが、あなたが批判をされた官僚である佐藤内閣先ほどわが党の藤田さんが幾つか挙げられましたが、これとほぼ同じないしはこれよりも軽いような発言失言で、何人かの大臣辞任をしているじゃありませんか。また、田中内閣におきましても、増原防衛庁長官が辞任をしているという例もございます。少なくとも、私は官僚ではない、国会を尊重する議会の子だ、こういうことを言われたあなたが、官僚の総理大臣のときには国会軽視発言があれば閣僚辞任させるということをやってきたのに、なぜあなたは議会の子だと言いながらそれができないのですか、私はその点をお尋ねいたしたい。
  172. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 先ほども申しましたごとく、仮谷君と私はよく知っておるのですが、あの人はやはり議会軽視というような思想を持っていないので、どうしてああいうふうな発言をあの場合にしたかということは、私自身も理解しにくい点があるわけでございます。したがって、いま御提案になっておった、しかるべき場所において仮谷自身もこれに対して説明し、陳謝もしたいということでございますから、そういう点も勘案をして、将来にわたっては絶対にこういうことを二度と繰り返さないということを誓っておるわけでございますから、そういう点で仮谷君の今回のことについては御理解を願いたいと思うわけでございます。
  173. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大変苦しい御答弁をされておるようですが、私は、三木総理は、このような議会軽視発言をされた大臣については断固たる措置をおとりになりたいというお気持ちは十分持っておると思うのです。ところが、できない。なぜか。それを私はお尋ねしたい。  かつて稻葉問題がございましたときに、国民の多くの人たちが、しっぽ切りをしたくても出血多量で三木さんはできないのだ、しっぽ切りをすれば出血多量で三木内閣はもたない、こういうふうに言われました。三木さん、このようなお言葉は十分お聞きになっておられるだろうと思うのであります。私は、多分今回仮谷問題について断固たる措置がとれない理由は、はしなくも三木さん、先般の衆議院会議で述べられたでしょう。わが党の赤松議員が、独禁法の問題について足を引っ張っているのは一体だれか、こういうことを再質問で聞いた。野党だとあなたは言ったが、それはどういう意味なのかと聞きましたら、いや野党ばかりではない、こう言われたでしょう。足を引っ張っているのは野党ばかりではない、党内に三木内閣の足を引っ張っている方々がおられるということを暗に認めるような御答弁をあなたは本会議でやられた。  私はこの際お尋ねをいたしたい。議会の子である三木さんは、断固措置をとるべきである。なぜしっぽ切りができないのか、どういう事情があってできないのか。このことをひとつ国会を通じて正直に国民の皆さんに私はお答えをいただきたい、これを強く要求いたします。
  174. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いろいろと私の立場に対して御理解のある御発言を承りますけれども、私は何も、自分がこうだと考えたならば、それは遠慮するものはありません、私は国民に対して責任を負うておるわけですから。そういうことで、どうか、余りいろいろと御心配くださることは御親切かもしれませんけれども、私はさようには考えていない。
  175. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私は国民の聞きたいことを端的にお尋ねしたのでありますが、これもいいかげんな答弁と言わざるを得ません。  最後に私は指摘をいたしたいのは、特に憲法六十三条との関係の問題が、わが党の藤田議員、ほかの方々から指摘をされました。憲法六十三条で、国務大臣答弁義務がある。だからこそ、答弁は厳粛なものでなければならないわけなんです。しかるに、この憲法義務に対して違反しておるかどうかという問題については、何ら明確な御答弁がなかったわけです。私はこれはきわめて重大な問題だと思います。したがいまして、私どもは、本日のこの議運委員会にせっかく三木総理の御出席をいただきまして、私どもが提案をいたしました、このような国会軽視発言については断固たる措置をとるべきである、国会答弁に関する三木内閣基本的姿勢を率直にお尋ねする、こういう目的がまさに全く果たされなかったということをきわめて遺憾に思います。したがいまして、私どもは、今後予算委員会あるいは他の機会を通じまして、先ほど申し上げたこの二つの問題について、今後とも三木内閣を徹底的に追及をしていく、このことをここで明らかにいたしまして、私は質問を終わっておきたいと思います。(拍手)
  176. 田澤吉郎

    田澤委員長 これにて三木内閣総理大臣に対する質疑は終了しました。  この際、暫時休憩いたします。     午後六時二十八分休憩      ————◇—————