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1974-03-07 第72回国会 参議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月七日(木曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員異動  二月二十二日     辞任         補欠選任      濱田 幸雄君     小枝 一雄君      嶋崎  均君     山本茂一郎君      高橋 邦雄君     山本敬三郎君      平井 卓志君     重宗 雄三君      春日 正一君     野坂 参三君  二月二十三日     辞任         補欠選任      吉田忠三郎君     中村 波男君      矢追 秀彦君     内田 善利君  二月二十八日     辞任         補欠選任      山本茂一郎君     山崎 五郎君  三月一日     辞任         補欠選任      山崎 五郎君     山本茂一郎君  三月五日     辞任         補欠選任      吉武 恵市君     田中 茂穂君  三月六日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     吉武 恵市君      小枝 一雄君     星野 重次君      重宗 雄三君     川野辺 静君      野坂 参三君     小笠原貞子君  三月七日     辞任         補欠選任      鈴木 省吾君     高橋 邦雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         原田  立君     理 事                 後藤 義隆君                 佐々木静子君     委 員                 川野辺 静君                 高橋 邦雄君                 星野 重次君                 山本茂一郎君                 吉武 恵市君                 中村 波男君                 中村 英男君                 小笠原貞子君    国務大臣        法 務 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        法務大臣官房長  香川 保一君        法務大臣官房司        法法制調査部長  勝見 嘉美君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   田宮 重男君    事務局側        常任委員会専門        員        二見 次夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 原田立

    委員長原田立君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  小枝一雄君、重宗雄三君及び野坂参三君が委員辞任され、その補欠として星野重次君、川野辺静君及び小笠原貞子君が選任されました。  また、本日、鈴木省吾君が委員辞任され、その補欠として高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  3. 原田立

    委員長原田立君) 次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 原田立

    委員長原田立君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事内田善利君を指名いたします。     —————————————
  5. 原田立

    委員長原田立君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中村法務大臣
  6. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理をはかる等のため、裁判所職員員数増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。  第一点は、裁判官員数増加でございます。これは、高等裁判所における刑事長期未済事件の適正迅速な処理をはかるため、判事補員数を二人増加し、また、簡易裁判所における道路交通法違反事件の適正迅速な処理をはかるため、簡易裁判所判事員数を三人増加しようとするものであります。  第二点は、裁判官以外の裁判所職員員数増加であります。これは、下級裁判所における事件の適正迅速な処理をはかる等のため、裁判所書記官について六人、家庭裁判所調査官について五人を増員するほか、裁判所事務官については、事務簡素化能率化に伴う六十八人の減員を差し引いてなお十四人を増員し、以上これらの職員を通じてその員数合計二十五人増加しようとするものであります。  以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案趣旨でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいまするようお願い申し上げます。
  7. 原田立

    委員長原田立君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 後藤義隆

    後藤義隆君 お聞きいたしますが、裁判官については、今回は判事補二人、それから簡易裁判所判事三名を増員することになっておりますが、その具体的な理由を御説明願いたいと思います。
  9. 勝見嘉美

    政府委員勝見嘉美君) ただいま大臣から申し上げましたように、判事補二名の増員高等裁判所における刑事長期未済事件、特に東京高等裁判所係属しております学生集団事件の適正迅速な処理をはかるためであります。これによって増員されます判事補地方裁判所配置いたしまして、同数の判事地方裁判所から高等裁判所配置がえするという方針だというふうに私どもは承知しております。  長期未済と申し上げましたけれども、係属二年をこえます高等裁判所刑事事件長期未済事件は最近増加傾向にございまして、特に先ほど申し上げましたように、東京高等裁判所におきましては、東大事件その他の学生集団事件が多数係属しております。この処理体制を早急にはかる必要がありますので、この増員はその必要に応ずるための措置でございます。  簡易裁判所判事三名の増員は、増加の一途をたどっております簡易裁判所におきまする道路交通法違反交通事件の適正迅速な処理をはかるためであります。  以上が具体的な理由でございます。
  10. 後藤義隆

    後藤義隆君 ただいまの御答弁地方裁判所から高等裁判所のほうに判事をとるということでありましたが、それはどこの地方裁判所からということを予定しておりますか。その点を伺いたいと思います。
  11. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者田宮重男君) ただいま法務省のほうから説明がございましたように、東京高等裁判所におきますところの学生事件長期未済事件処理ということでございますので、東京高等裁判所配置がえをするということでございますので、一応予定といたしましては東京地方裁判所判事補を二名増員いたしたいと、こういうふうに考えております。
  12. 後藤義隆

    後藤義隆君 ただいま増員理由刑事事件長期未済事件がたくさんあるからということでありましたが、高等裁判所における刑事長期未済事件状態をもっと詳しく伺いたいのでありますが、御答弁を願います。
  13. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者田宮重男君) お手元配付してございます参考資料の第五表にございますが、これが全国高等裁判所刑事未済件数でございます。で、こういうふうに未済件数は大体横ばいでございますが、備考に書いてございますように、係属二年をこえる事件をわれわれといたしましては刑事長期未済事件というふうに言っておるのでございますが、ごらんのように昭和四十五年におきまして三百四十件でありましたのが、四十七年では五百七十三件というふうにふえておるのでございます。特にそのうちでも東京高等裁判所におけるところの長期済事件を見ますと、昭和四十五年では九十六件でありましたのが昭和四十七年には百八十八件というふうにふえてございます。その百八十八件のうちの内容でございますが、これも先ほど法務省から説明がございましたように、その大半は東大事件でございまして、百八十八件のうち百四十二件が例の東大事件でございます。これはその当時、東京地方裁判所におきまして事件処理、裁判をするのについていろいろ問題もございましたけれども、とにかく早くこれを処理したのでございますが、東京高等裁判所にまいりましてから、種々な事情でこのように長期にわたって未済になっている、こういう状況でございます。
  14. 後藤義隆

    後藤義隆君 いまの御答弁高等裁判所判事が足らないからそれで地方裁判所から転任をさせるということですが、それならばもう判事補増員しなくて直接判事増員することはできないんですか、その点伺いたい。
  15. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者田宮重男君) まことに御指摘のとおりでございまして、できれば判事を直接増員したいということは重々考えておるのでございますが、御承知のように判事の場合には、判事補に比しましてなお一そうその給源がむずかしいということでございます。判事補の場合ももちろん高度の法律的な専門知識のほか、広い識見、視野を持つことが必要でございますが、判事になりますとなお一そうの高度の知識、経験、それから視野等必要となりますので、直接これを採用するという面におきましてその給源の問題がございますので、判事補をふやしまして、それによって余力を生じたところの判事高等裁判所等配置がえをする、こういうようなことを考えておるのでございます。
  16. 後藤義隆

    後藤義隆君 簡易裁判所判事三名増員理由といたしまして、道路交通法違反事件が非常に処理未済のものが多いからということでありますが、それでは事件処理状況はどうなっておりましょうか、それを伺いたいと思います。
  17. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者田宮重男君) これもお手元に御配付参考資料の第九表をごらんいただきますと、これの一番下のほうの「刑事」のところでございますが、略式命令道路交通法違反事件でございます。これはいわゆる人身事故を伴うようなそうした事件ではございませんで、無免許運転とか、酔っぱらい運転とか、それから駐車違反と、そういったような道路交通法限りの事件でございますが、これが昭和四十五年度におきましては百三万件でありましたのが昭和四十七年度では百四十七万件というふうに五割もふえておるのでございます。こうした道路交通事件はふえておりますので、過去において、昭和四十五年度、それから昭和四十六年度におきましてそれぞれ簡易裁判所判事七名の増員をお認めいただいたのでございますが、その後の事件趨勢から見ましてなおこの事件がふえる傾向にございますので、今回特に簡易裁判所判事三名の増員をお願いしている次第でございます。
  18. 後藤義隆

    後藤義隆君 ただいまの説明で大体わかったのでありますが、やはりこれも判事と同じで、どこの簡易裁判所のほうに増員するというようなふうな計画でしょうか、その点を伺いたいと思います。
  19. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者田宮重男君) 今後の事件ぐあい等を勘案して最終的にはきめる予定でございますが、さしあたり考えられるのは、やはり何と申しましても大都会——東京、大阪といったようなところ、またはその周辺というようなところが考えられるのでございますが、最終的には事件の今後の趨勢等を勘案してきめたいというふうに考えておる次第でございます。
  20. 後藤義隆

    後藤義隆君 大体裁判所判事は現在では非常に欠員が多いようなふうに見受けられるのですが、やはりいま直ちに、あるいはまたいま直ちにでなくても何年か先には判事を十分補充することができるようなふうに考えておるかどうか、その点を伺いたいのであります。
  21. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者田宮重男君) 裁判官欠員状況でございますが、これもお手元配付参考資料の第一表にございますように、昭和四十八年十二月一日現在で、判事判事補簡易裁判所判事、全部合わせまして七十二名の欠員がおるのでございます。判事につきましては三十五名の欠員がございまして、また今後一月から三月までの間に定年退官等で若干ふえると思いますが、この点につきましては判事補から今度は判事任命される方がございますし、または簡易裁判所判事判事補から判事任命される方がございますので、それによって判事欠員は充員されるという予定でございます。また判事補欠員は七名ということになっておりますが、これもただいま申しましたように判事任命される方がございますので、その分だけ欠員がふえるわけでございます。また判事補から簡易裁判所判事任命がえされるという方もございますので、またさらにその分だけ欠員がふえるという形になります。さらに今回二名の増員ということになりますと、その分も欠員という形になるのでございますが、これは例年のとおりでございまして、四月になりますと司法研修所を卒業いたしまして判事補に任官される方がございますので、大体それによって充員されるという見込みでございます。で、簡易裁判所判事でございますが、これも三十名の欠員ということになっておりますが、先ほど申しましたように簡易裁判所判事判事補から判事任命される方が四月にございますので、それによって欠員がふえるということになりますが、この点につきましては判事補から簡易裁判所判事任命がえされる方もございますし、また今後簡易裁判所判事につきましては、判事定年等でやめられた方もしくは弁護士さん等からも簡易裁判所判事になられる方もございますし、御承知のように選考任用簡易裁判所判事という方もございますので、選考任用によって簡易裁判所判事は充員されると、そういうふうな見込みでございまして、四月になりますと一応欠員はなくなるという予定でございます。
  22. 後藤義隆

    後藤義隆君 次にお伺いいたしますが、この裁判官以外の裁判所職員増員具体的理由を伺いたいのでありますが。
  23. 勝見嘉美

    政府委員勝見嘉美君) 裁判官以外の裁判所職員増員理由について申し上げます。  まず裁判所書記官につきましては、先ほど申し上げました高等裁判所における刑事長期未済事件処理をはかるために二人、それから地方裁判所における特殊損害賠償事件等処理をはかるため二人、それから簡易裁判所における交通事件——これは道路交通法違反事件でございますが——処理をはかるために二人、合計六人を増員することとしたものでございます。次に家庭裁判所調査官につきましては、家庭裁判所における資質検査を充実強化するために五人を増員することとしたものでございます。次に裁判所事務官につきましては合計八十二名の増員でございますが、司法行政事務簡素化能率化に伴う裁判所事務官減員が六十八人ございますので、実質増は十四名でございます。以上で裁判官以外の裁判所職員増員合計二十五名ということに相なるわけでございます。  なお、ただいま申し上げました八十二人の増員の内訳を申し上げますと、第一に最高裁判所におきます民事調停委員及び家事調停委員関係事務処理をはかるため四人の増員、第二に高等裁判所における刑事長期未済事件処理をはかるために四人の増員、第三に地方裁判所における特殊損害賠償事件等処理をはかるために十人の増員、第四に地方裁判所における民事調停委員関係事務処理をはかるために八人の増員、第五に家庭裁判所における家事調停委員関係事務処理をはかるために八人の増員、第六に家庭裁判所における家事調停事件処理をはかるために十八人の増員、第七に簡易裁判所における民事調停事件処理をはかるために十八人の増員、第八に簡易裁判所における交通事件、これは先ほど申し上げました道路交通法違反事件でございますが、その処理をはかるために十二人の増員、以上でございます。
  24. 後藤義隆

    後藤義隆君 裁判官以外の裁判所職員は現在欠員がどういう状態になっておるか、また、これを補充する見込みは心配ないのかどうか、その点を詳しくお伺いいたしたいのであります。
  25. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者田宮重男君) 裁判官以外の裁判所職員欠員状況でございますが、これもお手元配付参考資料の第三表にございますが、合計二百四十五名の欠員が昨年の十二月一日現在であるのでございます。で、かなり多いではないかという御疑問もお出になると思いますが、何ぶんにも裁判所は本庁のほか支部、簡裁、検察審査会等いろいろな組織がございまして、全国で約千四百ばかりの組織がございますので、どこか一つの庁で一名欠員ということでございましても、それを合わせますと常時かなりの数の欠員が常にあるというのは、これはこれだけ多くの組織を持っている以上はある程度の欠員が常時あるということはしかたのないことだろうと思うわけでございます。したがいまして、そういう状態でございますので、ある時点をとらえた場合の欠員職種とそれから次の時点でとらえましたところの欠員職種というものはそれぞれ違っておるのでございます。そういった状況でございまして、普通直ちにそれが補充できるというふうな職種のものにつきましては直ちにこれを補充するということによって欠員を埋めていく、しかしまた、ほかの庁においてはそれと同じ時点においてまた欠員が出るというふうな状況であろうと思うわけでございます。ただ、この欠員の中でも特に書記官家庭裁判所調査官でございますが、書記官家庭裁判所調査官につきましては、裁判官の場合と同じでございまして、年度の途中で欠員を生じましても直ちにこれを補充するということができないのでございます。で、御承知のように、書記官家庭裁判所調査官はそれぞれ一定資格を必要といたします。たとえば書記官の場合には書記官研修所を卒業するもしくは昇任試験に合格する、調査官の場合にも調査官研修所を卒業するといったような一定資格がございまして、これらの職員はそういうふうに一定資格を得た時点において初めてこれを補充できるということになっておりますので、これが大体時期といたしましては四月ということになりますので、四月当初になりますと書記官調査官欠員が補充されるということで、この職種につきましては年度の途中で欠員を生じて直ちにそれを埋めるということができない状況でございます。  以上でございます。
  26. 後藤義隆

    後藤義隆君 最後に、法務大臣にお伺いをいたしたいことでありますが、この裁判所の現状から見て今回の増員だけではなお不十分ではないかと思うのでありまして、裁判官をもっともっと増員せなければいかないのじゃないか、こういうようなふうに考えますが、法務大臣のお考えはその点についてどんな状態でしょうか、どんなお気持ちでしょうか。
  27. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かに裁判官人員が足らないではないかということを各方面から言われておるのでございますが、そこで政府といたしましても毎年裁判官増員を若干ずつしてきてまいっておるわけでございますが、ただ裁判所というのは非常に限られた資格が必要でございますので、数だけ制度上ふやしましてもなかなか給源に困難をするわけでございますので、なかなか飛躍的な増員ということは困難な実情に置かれております。そこで、できる限りその給源のある限り若干ずつ増員をしておりますが、反面におきまして執務環境などの整備というものも必要でございまして、環境を整備して裁判官能率のあがるように努力をするということも反面考えまして営繕等努力を注いでおるような次第でございます。いずれにいたしましても裁判官という特殊な地位でございますので、司法研修所人員あるいは裁判官志望者人員等、いろいろと限られた制約がありますので、毎年わずかずつでございますが、増員を提案して御承認をいただいておるような次第でございます。
  28. 原田立

    委員長原田立君) 本案に対する本日の審査は  この程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十分散会      ——————————