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1974-03-28 第72回国会 参議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(火曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  三月七日     辞任         補欠選任      山内 一郎君     温水 三郎君  三月八日     辞任         補欠選任      温水 三郎君     山内 一郎君  三月十二日     辞任         補欠選任      古賀雷四郎君     高田 浩運君      寺下 岩蔵君     中西 一郎君  三月十三日     辞任         補欠選任      高田 浩運君     古賀雷四郎君      中西 一郎君     寺下 岩蔵君  三月十八日     辞任         補欠選任      鬼丸 勝之君     渡辺一太郎君  三月二十二日     辞任         補欠選任      寺下 岩蔵君     岩本 政一君  三月二十三日     辞任         補欠選任      岩本 政一君     寺下 岩蔵君  三月二十五日     辞任         補欠選任      中村 禎二君     重宗 雄三君      春日 正一君     野坂 参三君  三月二十六日     辞任         補欠選任      重宗 雄三君     中村 禎二君      寺下 岩蔵君     鬼丸 勝之君      山内 一郎君     小山邦太郎君      野坂 参三君     春日 正一君  三月二十七日     辞任         補欠選任      渡辺一太郎君     寺下 岩蔵君      小山邦太郎君     山内 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野々山一三君     理 事                 大森 久司君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 前川  旦君     委 員                 熊谷太三郎君                 寺下 岩蔵君                 山内 一郎君                 沢田 政治君                 田代富士男君                 二宮 文造君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (近畿圏整備長        官)        (中部圏開発整        備長官)        (首都圏整備委        員会委員長)   亀岡 高夫君    政府委員        建設政務次官   内海 英男君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  松村 賢吉君        建設省道路局長  菊池 三男君        建設省住宅局長  沢田 光英君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        文部省社会教育        局社会教育課長  澤田  徹君        厚生省年金局資        金課長      入江  慧君    参考人        住宅金融公庫総        裁        浅村  廉君        年金福祉事業団        理事       實本 博次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (建設行政基本施策並び建設省関係予算に  関する件)     —————————————
  2. 野々山一三

    委員長野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  三月十二日、古賀雷四郎君が委員辞任され、その補欠として高田浩運君が、翌十三日、高田浩運君が委員辞任され、その補欠として古賀雷四郎君がそれぞれ委員に選任されました。  また、三月二十五日、中村禎二君が委員辞任され、その補欠として重宗雄三君が、翌二十六日、重宗雄三君が委員辞任され、その補欠として中村禎二君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいま御報告いたしましたとおり、委員異動により、理事が三名欠員となっております。  理事補欠選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 御異議ないと認め、それでは、理事古賀雷四郎君及び中村禎二君を指名いたします。     —————————————
  5. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日、年金福祉事業団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、建設行政基本施策並び建設省関係予算について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 田代富士男

    田代富士男君 先日、大臣所信表明の冒頭で、ここに大臣が発表されました所信表明を待っておりますけれども、るる大臣が分後のことについて述べていらっしゃいますが、その中で、特に「この際新たな視野の下に、そのより重点的かつ効率的な整備を図ることが必要である」ということにつきまして、短いことばではございますけれども、この中には、いままでと変わった何かをやりたいと、こういう大臣の決意があるのじゃないかと思いますが、この「新たな視野の下に、そのより重点的かつ効率的な整備」ということは、いままでの事業計画と今度の事業計画と、どのようにそれが違うのか、基本精神をどのように織り込まれたのか、その点を概略最初に御説明を願いたいと思います。
  9. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 田代委員も御承知のとおり、私が就任いたしました当時は、石油問題を中心にいたしまして異常な物価の値上がりということで、総需要抑制をして物価の鎮静をはからなければならないという、建設行政にとりましては、過去経験したことのない難関を突破しなければならないという情勢に置かれておったわけでございます。したがいまして、当時まで建設行政、合理的に効率的に進められてきてはおるわけでございますけれども、さらに総需要抑制というきびしい予算編成をしなければならない情勢の中にあって、民生安定向上国民生活に直結した建設行政部門等におきましては、従来以上に効率的な、しかも新しい発想を織り込んだ行政効果を打ち出していかなければならないと、こういう感じを私は率直に申し上げまして持ったわけであります。したがいまして、各担当局長事務当局に対しましても、国家公務員としての自覚に立って、自信を持って勉強をし、そうして国民に対する行政サービス最高度に発揮するように、私は、大臣として就任いたしました日に、申し渡したわけでございます。御承知のように、私自身建設行政そのものにつきましては、まことに不敏でありまして、どのような具体的な指導をしたらいいかという問題については、就任当初は主として精神面における要請をいたしたわけでありますが、いろいろ勉強さしていただきまして特に感じましたことは、いわゆる戦後建設行政に携わった三十数万の建設業界中小から大会社に至るまで、とにかく資材面における行政指導、それから労務面における行政指導というものがもっと充実さるべきではないかという感じを持ったわけでございます。したがいまして、そういう面におきまして技監中心といたします資材並びに労務等に対するいわゆる業界指導を積極的にやって、そうして効率を高めていかなければならないと、事業効率を高めていかなければならないということでそのようにしたのも一つの例でございます。いろいろ具体的に申し上げればいいのかもしれませんけれども心がまえとしては、ただいま一例を申し上げましたような線で指導をいたしてきておるわけでございます。予算面におきましても、労務資材関係についての業界の、何と申しますか、相談場所、とにかく資材がどんどん高騰して需給のバランスがくずれて、特に公共事業なんか請け負っていた方々から非常に強い要請が当時あったわけでございますので、四十九年度の予算編成にあたりましても、実は各地建にいわゆる資材労務係長というポストを行政管理庁に要求をいたしまして、そういう組織を整備いたして、ただいま予算で御審議をいただいておるところでございます。  さらに住宅面なんかにおきましても、この公営関係公的住宅というものが予算を消化しきれないという現実が四十七年度後半から四十八年度にわたりまして現実になってあらわれてきておるわけでございます。この点をしさいに検討いたしますと、やはり公的な施設に対する政府考え方というものをこの際もっともっと積極的にしていかないと、どうしても地方自治体から受け入れていただけないということにかんがみまして、そういう問題に対する対策も、四十九年度予算並びに国会に提案いたしております法律案等についてその結論を出すに至った次第でございます。  そのような気持ちで実は取り組んでおるわけでございますが、いずれにいたしましても、建設行政まことに不敏でございまして、諸先生方の御指導によって遺漏なきを期していきたいと考えておる次第でございます。
  10. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣から概略説明をいただきまして、石油パニックのこういう状態のもとに民生安定、国民生活に密着した問題に対して力を入れたい、また、いま住宅問題等においては予算を消化しきれないような状態であるために、公的施設に対しては政府が積極的に取り組んでいく姿勢を示していかなければ自治体との話し合い等もうまくいかない、こういうお話がありましたが、私も、この国民生活に密接な関係のある事業でありますし、特に民政の安定ということは衣食住が満ち足りてこそ民生の安定はできると思うんです。衣食住の中身を見ましていま一番欠けているのは、住宅問題も欠けていると思います。それと同時に、石油パニックを引き起こした根本はいろいろ国際的な情勢もあるでしょうけれども、一般的には石油のあの問題に入る前にはトイレットペーパーから洗剤、いろいろな問題が起きてきております。私がいま一番心配するのは、トイレットペーパーや、ああいう洗剤ですから、一週間あるいは一ヵ月分一個買えばそのくらいもてるものでありましたが、これがもしも私は——建設委員会と直接関係がありませんが、主食である米の問題が起きたならば、おそらくあの程度ではおさまっていないんじゃなかと一瞬心配をいたしました。米と同時に、これは水の問題である。水を制する者は国を制すと、昔からこのように言われております。この水の問題は、昨年は四国の高松におきましてもたいへんな問題が起きておりますが、この水の問題が今後一番大きな問題になってくるんじゃないか。私は大阪であります。大阪千里ニュータウン等でもしも水が出ないというような状態になったならば、あの団地がどのような状態になるだろうか。東京の三多摩も同じでありますよ、都市周辺も。そういう意味から、私は、きょうは国民生活に最も関係の深い住宅と、それから水の問題、この点からお尋ねをしていきたいと思いますが、大臣所信表明の中に「建設省所管住宅約五十二万戸の建設を行う」としていらっしゃいますけれども、それと同時に、このような建設省所管住宅建設と同時に、「あわせて規模拡大等質向上を図る」考えであるという意味のことを述べていらっしゃいますが、この「規模拡大」というのは、具体的にどういうものか、また、どの程度規模考えていらっしゃるのか、まずこの住宅政策につきましてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  11. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 先ほどもちょっと触れましたように、住宅が特に大都市圏におきましてはもう最大の問題になってきておるわけでございます。政府種々努力をいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げたような現象も出ておるわけでございます。そこで、四十九年度におきましては、第二期住宅建設五ヵ年計画の第四年度目として、五十二万戸の建設を行なうことといたしたわけでございます。この第二期住宅建設五ヵ年計画の内容を見ますると、特に公的関係におきましては、賃貸住宅を六割、それから持ち家を四割というふうに、公的住宅における賃貸住宅を重点にしてやるように基本的に計画をいたされておるわけでございます。そういう基本的精神を考慮しまして公的住宅予算化をはかったわけでありますけれども、四十七年度、四十八年度の結果から見まして、数字ばっかりは大きくあげても、それが現実に消化されないということでは何もならぬぞと、とにかく計画した数字は全部そのまま消化できるようにしなければいかぬということで、実は予算編成の過程におきましても事務当局を督励をいたしまして、やはり質の向上といいますと、まあ五平米ですか、四十八年度よりも広さを広くしていくというような処置も実は講じさした次第でございますが、詳しい点につきましては事務当局から説明を申し上げる次第であります。
  12. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 規模の点につきましてただいま大臣が申し上げましたように、五平米、たとえば公営住宅につきましては五平米増、ほかのものも、公団、公社等も同様準じておりますが、こういう予算を編成しております。この九万五千戸につきまして全部五平米アップするわけでございますから、半数にいたしますと十平米増加できるということでございます。この結果どういうことになるかといいますと、いままで、たとえば公営住宅に例をとりますれば、大体二寝室、二DKということで公営住宅が狭いということが非常に大きな批判の一つでございます。あるいはそこに不満を持つという原因でもございます。そういうことから五平米をふやすことによりまして半数が三DK、三寝室のものになり得るということで非常に飛躍的な拡大をした、そういう意味で、今後公営住宅につきましては半数が三DK、すなわち今後におきましては三DKというものが大体中心に上がってくるんだと、こういう考え方水準アップということをいたしたわけでございます。
  13. 田代富士男

    田代富士男君 住宅の問題につきましては、具体的に後ほどまたお尋ねしたいと思いますが、その住宅等、特に地方におきまして公営住宅が開発されてまいりますと、道路という問題がいろいろ問題になってまいりますけれど、大臣所信表明の中にも述べてありましたから、まずその考えをお尋ねしたいと思いますが、大臣は、「国民生活と密接な関連を有する市町村道整備を推進する」考えであると述べていらっしゃいますが、これも新たな視野のもとに市町村道整備を推進するということは、どういうふうに推進されようとされるのか。いままでもたびたびこういうことは聞いてまいりましたけれども、いままでの考え方と、大臣のいまも今後画期的に取り組んでいきたいと申された端的な違い点大臣からお尋ねしたいと思います。
  14. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 特に私就任以来、事務当局に申しておるわけでございますけれども、いままでも確かに住民のしあわせと直結する道路の路線の決定、また道路の幅の決定、さらには改良、そういう面、ほんとうにいろいろ細部にわたって検討し尽くされて道路行政が行なわれてきておるわけでありますけれども、私就任いたしまして感じますことは、縦割りでございまして、各局間の横の連絡というものがもっとやっぱり必要であるという感じを持ったわけでございます。  一例を申し上げますと、道路局住宅局がもっともっと緊密であったならばこういう問題は起きなかったんじゃないかという住民問題が最近特に感じられるわけでございますので、いままでも緊密に横の連絡はとるように努力はいたしているわけでありますが、道路行政のみならず、建設行政を総合的に、ひっきょうするところは、すべて行政の目的は国民のしあわせに通じなければならぬわけでございますので、そういうふうな指導をいたしておるわけであります。一例を申し上げますと、大阪でございますが、一つの大きな住宅高層住宅をつくったと、それを建てる前に道路住宅との予備折衝と申しますか、打ち合わせが行なわれておれば、そのまん前を高速道路が通るというようなことがなくて済んだはずなのに、もう片っ方が完成してから、しかも、その完成する際には見晴らしのいい公害のない住宅ですといって分譲しておいて、そのあと、もう二年か三年後にそこに騒音の最も激しい道路をつくらなければならないといったような点は、これはもう建設行政としては上の上とは言えないじゃないかと、こういうことはあらかじめ横の連携をもっと総合的にやるべきであるというような、公務員としての国民に奉仕する仕事の心がまえというものを建設省としてはよくやらなければならぬということを口をすっぱくして今日まで言い続けておるわけでございます。  そういう気持ち道路行政並びに住宅関係の各行政に取り組むようにということをこの所信表明の中に表現した次第でございますので、御理解いただきたいと思います。
  15. 田代富士男

    田代富士男君 いま横の連絡が密にあるならばとおっしゃいますけれども、私も同感であります。そういう問題点が、実例が多々ありますけれども、きょうは時間もありませんから、そういう建設省所管の横の関係がうまくいっておれば、そこに生活する人たちがどれだけ豊かな生活ができるであろうかという点はありますが、大臣もその点について力を入れていきたいと申されるならば、希望として、よろしく実行していただきますようにお願いをしたいと思います。  で、これは新しく建てる場合の住宅でございますが、じゃ、現在住宅が建っている地域のそういう皆さん方に対しては、下水事業が現在どうなっているのかと、こういう問題点でございますが、これに対しましても、所信表明の中で、第三次下水道整備五ヵ年計画の第四年度として「特に来年度は、地方公共団体財政負担を軽減して、」云々と、このように述べていらっしゃいますけれども、このような措置を講じられることによりまして下水道はどの程度整備されるのか。整備計画の第四年度といたしまして、従来の引き継ぎというようなことでなくして、これをどのように考えていらっしゃるのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  16. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私どもといたしましても、この下水事業国民生活にとって非常に重要な事業であることは、もう申すまでもございません。特に下水処理されて出てまいった水が第二次処理というところまでしか現在の基本計画ではできていないわけでございます。将来三次の処理をしなければならないという、これはもう先進国、国際的な傾向になっておるわけでございます。処理された水が全く無害なものとして河川等に流されるというところまで持っていかなければならない次第でございますが、四十九年度の予算編成にあたりましても、この五ヵ年計画改定をしたいということと、もう一つは、何といっても実施機関であります地方自治体負担をできるだけやはり軽減しませんと、こういう公共事業につきましてはもう住民の意思に沿えないということも考えまして、補助率の思い切った引き上げと五ヵ年計画改定ということを持ち出して実は努力をいたした次第でございますが、私の力不足と申しますか、総需要抑制ということの中で五ヵ年計画を戦い取るということになりますと、どうしてもこれは非常にきびしい総事業量決定というような点にも持ち込まれる心配もあるという判断をいたしまして、実は補助率アップということをそのかわりかちとろうということで、最終的には補助率アップということに全力を傾けたわけでございます。その結果、予算は二二%ほど伸びたわけでございますけれども補助率アップをいたしておりますために、事業量が実は四十九年度は四十八年度よりもダウンしているわけであります。私、非常に責任を感じておるわけでございまして、この点につきましては、特に熾烈な下水道整備の要望が各自治体から出てきておりますのにかんがみまして、七月から始まります概算要求に際しましては、ぜひとも五ヵ年計画改定は五十年度には実現しなければならないと、こういうふうな気持ち下水道事業に対処いたしておる次第でございます。
  17. 田代富士男

    田代富士男君 次に、昨年発足いたしました年金保険者住宅資金融資制度についてでございますが、これは建設省、それから厚生省の二つの省に関係のある制度でございますが、この年金保険者住宅資金融資制度概略につきまして、双方関係がございますから、簡単に建設省厚生省から御説明を願いたいと思います。
  18. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 住宅資金というものは非常にばく大でございますので、そういうふうなものがいかほどでもふえること、私どものほうは、住宅金融公庫中心といたしまして、個人融資というものを中心に相当の事業量を伸ばしてきているわけでございますけれども、それでもなかなか十分でないということで、この厚生年金を原資といたします個人貸し、これにつきましては、私どもは、たいへんけっこうなことであるというふうなことで受け取っておりますが、昨年成立をいたしました厚生年金あるいは船員保険、あるいは国民年金、こういうふうなものの環元融資制度、これが昨年できまして、これが事業団から企業を通じまして個人に貸されるということになりましたけれども、その中で、企業でもたとえば中小企業のようなものの中には、なかなか企業自身が中継ぎをしないというふうな、できないというふうなところも能力の上からあるわけでございます。したがいまして、総事業量の中から一五%は公庫企業を通じずに、年金福祉事業団から資金を委託されまして、それを全量の一五%だけは公庫企業にかわってお貸しをする、こういう制度が実は厚生省のほうとお打ち合わせでできているわけでございます。そこで公庫のほうは、この一五%に当たります資金を元にいたしまして、これに本来の公庫融資を合わせ貸しをして御便宜をはかる、かような制度で、実は公庫のほう、建設省のほうといたしましては、その辺の手続の問題等含めまして昨年度から打ち合わせの結果、実は窓口を開いたというのが厚生年金還元融資に関します新しい制度でございます。
  19. 入江慧

    説明員入江慧君) ただいま建設省のほうから概略説明がありましたので、重複する部分があると思いますけれども、一応私どものほうだけの分野もございますので、概略説明いたしますと、御存じのように、私ども所管しております厚生年金あるいは国民年金というような年金制度におきましては、将来の給付財源として保険料を集めておるわけでございまして、これを年金積み立て金ということで大蔵省の資金運用部に預託した上で、国民生活福祉向上というような分野に運用しておるわけでございます。ただ、特にそのうち、毎年新たに積み立て金として加えられます——新規預託金と私ども言っておりますけれども、それの一定割合還元融資と言いまして、特に保険料を納めておられます被保険者あるいはその家族の直接の福祉向上に役立つようにというふうに運用しておりまして、その割合が四十八年度から従来の新規預託金増加見込み額の四分の一から三分の一ということでワクが拡大されました。それを機会に、私どもとしましては、還元融資にふさわしい新しい事業をしようということで検討いたしまして設けられましたのが年金積み立て金還元融資によります被保険者住宅資金貸し付け制度というものでございます。いま御説明しましたように、還元融資と申しますのは、被保険者福祉向上ということを本来の目的といたします関係上、その融資の仕組みなり手続等も、それに即した方法というものが考えられます関係で、私どもとしましても、その厚生年金とか船員保険の被保険者につきましては、従来やっておりましたように、その還元融資の機関として設立されました年金福祉事業団を通じまして、事業主あるいは船舶所有者等を通じて被保険者個人住宅資金をお貸しするということをたてまえとしたわけでございますけれども、ただいま御説明のありましたように、中小零細企業等におきましては、事務能力等の関係あるいはその他特殊な事情がありまして、事業主にその転貸事業をやる能力がないというような場合も考えられます。また、年金保険者の中に、国民年金の被保険者というのは自営業者その他、要するに事業主がない、一人で働いている方々を対象といたします関係で、いま申しました事業主を通じての貸し付けということができない。したがいまして、その者につきましては、住宅金融公庫のほうにお願いして住宅資金をお貸しするというふうな仕組みをとりまして、四十八年度から実施しているわけでございます。
  20. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明をお聞きいたしました中で、説明されましたとおりに、昨年の九月に法改正がされまして、いま事業主を中心とした、そこから融資をするような事業主転貸の分がイという条項で、ロは国民年金、これで併用融資。ハが厚生年金、あるいは船員保険の併用融資制度が確立されたわけなんですが、私、手元に資料をいただきまして、年金積み立て金が四十八年度で一兆七千億、四十九年度で一兆八千億ほど、このような年金の使用される明細がいま話がありましたけれども、実際四十八年度の融資の実績というものがこのイの事業主転貸、ロの国民年金、ハの厚生年金船員保険の併用融資を規定されておりますこのイ、ロ、ハの別に実績を示していただきたいと思いますが、これは建設省でも厚生省でも、どちらでもけっこうでございます。数字を明確にしていただきたいのです。
  21. 入江慧

    説明員入江慧君) いま御指摘のありましたことは、私どもとしましては、いまおっしゃいましたように、事業団法に基づきましてイ、ロ、ハの区別があるわけでございますけれども、二月末現在の借り入れ申し込みの実績を申し上げますと、イに該当いたします年金福祉事業団の扱います分野の借り入れ申し込みの総額は約百四十八億ということになっております。それで、ロに該当します国民年金保険者が約一億、それと、あと船員保険厚生年金の被保険者事業主を通じて借りることは困難な者に対します貸し付け、いわゆるハでございます。ハは三十五億ということになっております。
  22. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) 住宅金融公庫でございます。  先ほどお話がございましたような経過で、事業主がその職員にお貸しになる分は別でございます。私どもは、そういう制度のないところで勤務しておられる方々が直接借りたいということでおいでになるようなものを扱わしていただいておるわけでございます。  詳しく申し上げますと、ことしの二月一日から私どもでこの申し込みを受け付けさしていただいたわけでございまして、現在はもう締め切っておりますが、厚生年金保険と船員保険と、この二とおりのものにつきましては、私のほうで扱う計画が当初五千六百件、五千六百戸、金額にいたしまして七十六億円でございました。これが締め切りました結果、戸数では千八百九十六、金額では三十五億一千七百万という結果になったのでございます。金額の面のパーセンテージをとりますと四六・三%ということになっております。  次に国民年金でございますが、これは扱う計画が九千九百戸でございまして、金額は四十九億五千万という予定でございました。これが実際締め切りますと、件数が二百九十八、金額が一億四千九百万ということで、金額のパーセンテージだけ申し上げますと三%ということになっておるのでございます。
  23. 田代富士男

    田代富士男君 いま両方で説明をいただきましたが、ちょっと食い違う点がありますが、大ワクは私の手元の数字と合っておりますけれども、先日、これは読売新聞でも取り上げられまして、「マイホーム絶望期の募集、住宅融資九十一億円宙に浮く」というようなことで新聞に発表されておりますが、被保険者住宅資金、いまイ、ロ、ハと略号を使って申し上げましたけれども、これの昭和四十八年度の予算額の事業ワクが五百六十億円で、実績が百八十四億円、差額の事業ワクが三百七十六億円出ておりますね、イ、ロ、ハ合計いたしますと。そのロ、ハの分が四十八年度の予算額の事業ワクが百二十六億、それから実績が三十六億、それで差額が事業ワク九十億、この九十億というものが読売新聞に発表された数字じゃないかと思うわけなんです、ロ、ハの分ですね。これをイを合計しますと三百七十六億と、九十億を含みまして。問題は、このような数字的な面は幾分違いがあるかと思いますけれども、こういうような融資が出ている。家を建てたい人は非常に多いわけなんです。この中で、大臣が一番最初に、住宅問題で予算を消化しきれない現状であるということを端的に申し述べられました。大臣がただいま申し述べられましたその裏づけの一つの実例といたしまして、ただいま申し上げました住宅資金融資制度の実態を私は提示したわけなんですが、このような結果に終わった理由について、どのように考えていらっしゃるのか。建設省として、あるいは二つの所管にまたがって、いろいろさっきも横の連絡ということが出ておりましたけれども、横の連絡もとりにくいかと思いますけれども、どうしてこのような結果になったのか。当初受け付け日は、四十八年度の四月から四十九年度の二月に予定されておりましたけれども事業主転貸は十月の二十五日から二月の二十八日に変更されております。それから国民年金厚生年金船員保険の併用融資のその制度、ロ、ハにつきましては二月の一日から二月の四日に変更されていると。いろいろな理由もあるでしょう。建設の時期が冬場であったという、そういう理由もありましょうけれども、いずれにしましても、現在住宅難の時代、まして働く者の唯一の夢であり、希望であります住宅を提供しようとしたこの制度が十二分に活用されなかったという点につきまして、どのように考えていらっしゃるのか。  大臣は、ただいま予算委員会のほうからということで席を立たれましたけれども建設省厚生省からお願いいたしたいと思います。
  24. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) まず、私ども公庫所管のほうからのお話をしたいと思いますが、公庫本来の個人融資は一〇〇%以上実は消化しておるわけでございまして、現在でも数万の来年度のものが待っておる、こういう状態でございます。そういう状態でこの合わせ貸しの分だけが非常に成績としては悪いということは、私ども、全く申しわけないことだというふうに思っております。申しわけないだけでは済みませんが、これは反省をしてみますと、やはりいま先生がおっしゃいましたように、実施の期間がだいぶおくれてきて、ずれ込んできて冬場になった。しかも短期間しか事務的な問題から募集ができなかった、こういうことも基本にはございます。しかし、やはり何と言いましても、これは手続上の問題が非常にあったというふうに思います。と申しますのは、初めてこういう合わせ貸し制度というものが二つの機関の間でやられて始められたわけでございますので、そのために、いわゆる事務的な処理というふうなものの中に非常に複雑なものが残っている。これは安全をとるためにいろいろ確実にやらなければいけない、最初だから確実にやらなければいけないというふうなために、いろいろ手続上——需要者のほうといたしましては、非常にめんどうくさい問題が多かったというふうな問題も一つ原因の中にあろうかというふうに思います。さらには、最初でございましたので、PRの点につきましても不足するところがあったんじゃないか、こういうふうに反省をしております。先ほど申しましたように、公庫本来の需要というものは一〇〇%以上あるわけでございますから、条件を整えれば当然これにもくる、よけい借りられるわけでございますから、そういうことで、私どもは、まことにこういう結果については反省をしておりました。今後こういうことがないように、二年目からは厚生省あるいは事業団公庫、こういうものが真剣にこの問題に取り組みまして、事務の簡素化の問題あるいはPRの問題、募集の時期の問題、こういうことについて万全を期したいと、かように考えておる次第でございます。
  25. 入江慧

    説明員入江慧君) その未消化が意外に多かった点でございますけれども、私ども、当初七月一日からの実施を予定しておりましたところが、法律の成立の時期の関係で十月以降に持ち越されたという関係がございます。それで、その十月以降の時期になったところが、おりあしく建築資材の不足でありますとか、価格の高騰というような事情がございましたし、先ほど先生の御指摘のありましたように、冬場に向かう時期であったというような条件もございました。そういうような客観的な環境が非常に悪かったということもあるかと思いますが、そのほか、いま住宅局長からお話がありましたように、何しろ新しい制度でございましたので、私どもとしては、できる限りのPRはしたつもりでございますが、やはりきめのこまかいところまで手が届かなかったということもありましょうし、末端の住宅金融機関で、実際に窓口で仕事に携わる職員の方々が、新しい仕事であるために、なかなか思うようにのみ込めなかったというようなことで、実際には受付事務がスムーズにいかなかったということもあるかと思います。この点につきましては、もうすでにことし——十月以降の実績、経験もございますことでありますので、四十九年度におきましては、建設省と十分連絡をとりながら、こういうことがないように努力していきたいと、このように考えております。
  26. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまうまくいかなかった点が幾つかあげられました。一つは、手続上の問題である、事務処理がスムーズにいかなかったという問題点ですけれども、その事務処理がうまくいかなかったという問題は、ここに、私は、この手続をするに必要な書類はどのくらいあるかということを集めてもらいました。——実にこれだけあるわけなんです。これを自分自身が書き込もうと思ったならば、これはたいへんなことになるのです。政務次官もいらっしゃいますけれども、おそらくこれ全部自分で書くということになったら、こんなに複雑かとおそらく思われると思います。  それと、いま建設省のほうと厚生省のほうの答弁を聞きましたけれども、ちょっと私の受け取り方として違いがありますが、やはり厚生省のほうとしては、この書類を中心にして審査をやっていきたいと、そういう立場じゃないかと思うのです。だから、裏づけに年金とか、そういうものがからんでおりますから、この人がはたして有資格者であるかどうかということを担当する分野厚生省分野になりますから力を入れざるを得ないと思うのです。そういうわけで、書類において何とか処理できるようにと、そういうような考え方がどうしても厚生省のほうとして出てきます、事務的に。それに対しまして建設省としては、困っていらっしゃる皆さん方にできるだけ早く出されるものは出して、もしもこの人が違法であったならば、その時点で取りやめにしてやったらいいじゃないかという、そういうようなところあたりの手続上の事務処理が、横の連携というものがうまくとれなかったんじゃないかと思うのです。だから、私は、厚生省の立場が悪いと、あるいは建設省の立場が悪いと言っているものではありません。現時点において実際行き詰まってしまったものを、過去のものをとやかく言っても戻りませんから、これを庶民の味方として、どのようにすればこの制度が生かされるかというところにポイントを置かなくちゃならないと思うのです。私は、厚生省が悪い、建設省が悪いと言っているのじゃなくして、問題点を取り出して、それをどう解決していくかと、そういう点で私自身この書類を見まして、確かにこれは事務手続上繁多であるということは間違いないと思うのです。だから、この点について責任をどうこうよりも、前向きに建設省建設省として、厚生省厚生省として、いま大臣が横の連絡が大事であると言われたとおりに、どのようにこれに取り組んでいかれるのか、前向きの意見を。私は、まずこの書類手続上に問題点があると言われたことに対しまして問題提起したいと思いますけれども建設省厚生省、いかがでございましょうか。
  27. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 公庫本来の仕事の上でも手続が非常にうるさいというふうなことで、再々この国会におきまして議論にのぼりました。私どもも、年々その手続の簡素化ということは各方面でやっておるわけでございます。それでもまだなかなか十分にいっていないという状況もあろうかと思いますが、さらに、先生おっしゃいますように、そこにお持ちのように、いわゆる年金関係の書類というものがついてまいる。もちろん私どもも、厚生省あるいは公庫事業団といろいろお打ち合わせをして、できるだけ簡素化ということを心がけたわけでございますが、初めてのことでもございましたし、さような結果に終わったということでございまして、たとえば、その企業が一体転貸をするのかしないのか、所属をしておる企業が。こういうことの証明がまず必要だと、転貸をしてないという証明が必要だというふうなことがございまして、借りる方はその企業のところへ行ってそういう証明を持って来なければいけないという問題もございます。これは私ども考えますのに、できれば今後におきましては、転貸をする企業体と、しないところの企業体、こういうふうなものの一覧表でも最初につくっておいて、窓口でそれをチェックをしたらどうか。これにもまだ厚生省事業団のほうではいろいろな難点あるかと思いますが、そういうことも一つ考えかと思います。  さらには、この被保険者がどのくらいそこにつとめておるかという期間の確認、これはこれによって金額は変わりますから、これも確かに書類上は必要でございます。しかし、これも健康保険証あたりを見ることによって大体できるのじゃないかという気もいたしております。いずれにいたしましても、そういうふうに簡素化のつてはあるわけでございますから、今後とも厚生省あるいは公庫事業団と十分に打ち合わせをしまして、本年の轍を踏まないようにというふうなことで、直ちにすでに交渉に入っておる次第でございます。
  28. 入江慧

    説明員入江慧君) 私どもとしましても、先日読売新聞にあの記事が出ましてから、いろいろ手続の点が複雑だということも聞いておりましたので、いま御指摘の申請書類等につきまして検討いたしましたが、要するに不必要なものは、私どもとしては、何といいますか、御要求申し上げてないわけですけれども、結局、先生も先ほど申されましたように、私どもでやっております還元融資の趣旨と被保険者個人の利益、便宜というのをどこで調和さすかという問題になるかと思います。ちょうどこれから四十九年度の受付の手続を定める時期でございますので、できるだけ先生御指摘の方向で検討してまいりたいと考えております。
  29. 田代富士男

    田代富士男君 それから、いまさっき原因はどこにあるかということをお尋ねしましたときに、第二番目に出てきた問題はPRの不足の問題であると、建設省からもこの意見が出ておりましたが、この融資制度が発足いたしまして、広く国民にPRするための広報活動を行なったのかどうか。これは建設省厚生省は一に責任はあるかと思いますけれども、直接の仕事をやっていらっしゃるのは公庫であるし、事業団じゃないかと思いますから、PR不足ということが建設省厚生省の立場からもいま話として出ておりますけれども公庫事業団の代表の方も見えておりますけれども、この点はいかがでございましょうか。こういう点からこの制度が生かされなかったという点を私は提起したいんですけれども、この点についていかがでございましょうか。
  30. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) ただいま先生の御指摘になりました点につきまして、私どもも、いま非常にそういう点についていろいろと考えておるところでございます。この制度が私どもの手で行なわれるようになりましたときに、少し前に、私どもといたしましては、いつもやる方法でございますけれども建設省の記者クラブでまず詳細を発表さしていただくというようなことを行ないましたし、あわせまして、全国の私どもの支所で各県の県政記者クラブにも同じような発表をいたしたのでございます。そのほか、NHKその他放送局に対しテレビまたはラジオによる放送もお願いをいたしました。また、私どもの各支所並びに受託機関等の窓口に、利用者の方々におわかりいただくようなチラシなども用意をいたしたのでございますが、ポスターの作成といったような、もう少し大規模な宣伝の方法等には、まだ時間的な余裕がなくて、それはできずに終わったわけでございます。いろいろあとになって考えてみますと、初めてのこういう制度でございますし、こういう普通のやり方だけではやはり足りなかったんではないかと率直に反省をいたしております。来年度は、当然これは一そう大規模に実施するつもりでございますので、そういう点に遺漏のないように積極的に市町村の住民相談コーナーだとか、それから銀行等の受託金融機関の窓口であるとか、その他いろんな方面にポスターなども掲示をいたしますし、PR用のチラシも十分お配りしたい。  それからもう一つども、これは何もこのことだけではございませんが、住宅関係制度が非常に複雑になってまいっておりますし、いろいろまた別の問題もございますので、住宅金融公庫も、住宅相談業務を大いに拡大したいということで、これは幸い大蔵省にも非常に御理解をいただきまして、来年度から各支所で住宅相談業務が従来以上に活発に行ない得る体制になるはずでございます。そういうところで、特にこういう問題につきまして十分おわかりいただけるような説明を怠らずやらせたいと、私、ただいま考えております。いずれにいたしましても、この経験にかんがみまして、来年度はひとつ十分にそういう点には配慮してまいりたいという考えでございます。
  31. 實本博次

    参考人實本博次君) いま浅村総裁のほうからお話がありましたように、年金福祉事業団といたしましても、もともとわれわれのほうの仕事をお願いしたわけでございますので、いま住金のほうからお話がありましたような媒体物をフルに活用してそのPRは実施してまいったわけでございますが、ただ、これは非常に一般の住宅金融公庫融資と、われわれのほうでもっぱら行なっております事業主を通じて行ないます転貸方式との調整が非常にひまをとりましたものですから、PRを本格的に開始する時期が、といいますのは、具体的に住金の窓口を通じて借り受けをする人たちの具体的な申し込み方法とか、そういうものの確定をするのがおそくなりましたものですから、PRを開始した回数は相当多いのでございますが、確定的な手続をきめて実際実需に結びつくPRをするのが時間的に、時期的におそくなったと、こういうことでそのうらみがあるわけでございます。まあ、やりましたことは、大体この制度がはっきりきまりましてから新聞、ラジオその他でいろいろ放送していただいたわけでございますが、われわれのほうといたしましても、各都道府県の保険課を中心にした厚生年金、それから船員保険あるいは国民年金等の被保険者の方々に対して、そういう都道府県のセクションあるいはそういう人たちの雇用しております事業主を通じまして、それぞれいろいろなパンフレットなり、簡単な紹介をかねたものを配りましていろいろPRにつとめてきたわけでございます。ただ、いろいろやってはみましたが、いま申し上げましたようなことで、結果的にはまだ不徹底ということで、いよいよ来年度からは本格化されますので、いまからそのPRの計画を練っているところでございます。   〔委員長退席、理事前川旦君着席〕
  32. 田代富士男

    田代富士男君 いまPR不足じゃないかと申し上げたことに対して、どのようにPRされてきたかという資料もちょっといただきました。いま公庫のほうから、新聞記者団に発表いたしましたと、こういうお話でございますが、これは新聞社の報道なんですね、ここに出ているのは。だからそれでPRは終わったというわけにはいかないと思うんです。だから、こういうことで記者会見をしましたからそれでPRは一応は行き届いたというような考えでは終わっていらっしゃらないと思いますけれども、まだまだ積極的にこれは取り組んでいかないことには浸透しないと思うんです。いま公庫事業団のほうから言われましたけれども、これは一番大事なことじゃないかと思うんです。そういう点から私は責任を追及しているわけではありません。そういう働く人々に対して、だれでも手の届くところにあるんだという、こういうような制度にしていくために、建設省厚生省あるいはその直轄のもとで実際にやっていらっしゃる皆さん方が力を入れてもらわなければなりませんし、そういう意味から、これが四十九年、五十年度にかけて改善をしていってもらいたいと思いますし、特に融資の限度額でございますが、四十八年度は三段階に分かれておりましたが、これが四十九年度におきましては百万、二百万、三百万、三百五十万と四段階に分けるように一歩前進したような考え方を持っていらっしゃいますけれども、このように四十八年度に比べますれば一歩前進した形をとられておりますけれども、御承知のとおりに、今度原油の価格が上がります。そうしますと、いま一番おそれられているのは、いろいろな物価が上がってきたおりに、いまさっき大臣も、建築資材等の問題に対しては各地建に係長クラスの人を置いてまで対処しているというくらい強い姿勢で臨んでいらっしゃいますけれども、いま大工さんに家を建ててくれといった場合に−これは公庫のあれと違いますけれども、大工さんに家を建ててくれといった場合に、見積もりを出してくれと大工さんに言ったら笑われます。今日、家を建てるのにあなた見積もりを出せという、そういう時代おくれなことを言いなさんな、でき高払いですよ、それでよかったら家を建てましょうと、こういう御時勢で、三百五十万、あるいは併用融資の場合はプラスアルファされて幾らかふえるかと思いますけれども、   〔理事前川旦君退席、委員長着席〕 その融資を受けた金額と家を建てる実質的なかかる費用とのこの差というものがちょっとひど過ぎるんじゃないか。そういう意味から、これは四十九年度の考え方はあらあら出されておりますけれども、五十年以後におきましても、こういう融資の限度額を改正する考えがあるのか。もちろん、いま問題点になっておりました事務手続上の問題、PRの問題と、こういうものを含めまして、大臣予算委員会へ行かれましたんですから、大臣のかわりに総括いたしまして、政務次官、いかがでございましょうか。
  33. 内海英男

    政府委員(内海英男君) ただいままでのお話のとおり、勤労者の皆さん方に対する住宅資金の総量をふやしていく、こういった意味年金関係資金住宅資金に回すということにつきましては非常に好ましいことであると、こういうふうに思っておりますが、御指摘のとおり、その手続上非常に複雑であり、利用しやすいと必ずしも言えないような複雑な手続を要すると、こういった問題につきましては、積極的に関係機関と今後とも引き続き協議をして、改善をはかっていきたい、こう思っております。ただいままたお話のありました融資の限度額等につきましては、やはりこれは実情に即して限度額を引き上げていかなければならないものであると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 公庫の方と事業団の方はけっこうでございます、次に質問が移りますから。  次に、水資源の問題につきましてちょっとお尋ねをしたいと思いますが、現在、東京の主力水源であります利根川水系でございますけれども、これは御承知のとおりに、利根川水系における水資源開発基本計画に基づきまして、国及び水資源開発公団によりましてその開発が進められておりますが、その開発の経過はあまりにも、東京都及びその近郊周辺地域の土地利用度、その開発並びに人口の集中度から見まして、ちょっと現実からかけ離れた、そういうような現状になっているんじゃないかと思うのです。その結果といたしまして、毎年渇水及び節水というような社会環境に置かざるを得ない、そういう状況に立ち至っておりますけれども、この点をどのようにお考えになっていらっしゃるのか。御承知のとおりに、この開発の経過を見てみますと、第一次の基本計画、すなわち昭和三十九年二月閣議決定されました第一次の基本計画というものは、目標年度を昭和四十五年度に置かれている。それまでの期間に利根川水系全域にわたりまして発生する新規の水需要を上水道用水毎秒約五十トン、工業用水毎秒約三十トン及び農業用水毎秒約四十トン、合計いたしますと毎秒百二十トン見込んでおるわけなんですが、これに対しまして新規の水資源開発施設は八木沢ダムあるいは下久保ダム、利根川河口ぜき、草木ダムの建設あるいは霞ヶ浦開発等によりまして必要な水を供給する計画であったわけなんですが、しかし、この予定されました計画の水施設のうち目標年次までに完成したのは、いま申し上げた中で八木沢ダム、これが昭和四十二年じゃなかったかと思いますが、それと下久保ダム、これは四十三年、それから印幡沼開発で、あとは緊急対策として認められました中川、江戸川緊急水域が実現しただけで、この確保された水の量というものは毎秒四十七・四と、水系全体の必要量の三九・四%ぐらいになっているわけなんですね。このうちに東京都に割り当てられたのは毎秒二十一・九トン約二十二トン、だから必要量の四四%にすぎない。残りはそのままになっているというような状態になっているわけなんですね。そういたしますと、この計画が第二次基本計画に引き継がれるというような事態になりまして、一番最初申し上げましたとおりに、渇水あるいは節水という社会環境に置かざるを得ない、そういう状態になっている。この点に対して、これは局長からでけっこうでございますが、まずお尋ねしたいと思います。
  35. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 利根川関係の水資源の開発並びに水需要に対する供給の問題でございますが、ただいま先生から御指摘がありましたように、利根川水系の水資源開発基本計画というものができております。現在のものは昭和五十年を目標にしているということで、しかも進捗率が非常に悪いということでございます。これにつきましては、確かに先生の御指摘のとおりでございまして、われわれといたしまして、この新規の水資源の開発というものを極力進めているわけでございますが、御承知のように、地元の補償の状況、これが主でございます。こういうことで地元との関係また水源の地域と、それから需要地との関係、こういうものがございまして、非常に工事に難航しているという事実でございます。それで、私どもといたしましても、この辺のところを極力進めるべく、このたび水源地域対策特別措置法、こういうものをつくりまして、四月からこれを実施していこうということでございます。こういうことによって地域住民並びに地域の市町村、こういうところとの関係を円滑にいたしまして、極力進めていこうということでございます。  ところで、この東京地域、これを見ますというと、将来の開発はどういうことになるかということでございますが、実を申しますというと、この東京地域の——東京地域と申しますか、東京を含みます南関東地域全体につきまして、私どものほうといたしましては、広域利水調査というものをやっております。それで、この結果によりますというと、昭和六十年の水需要考えますと、実を申しますと約毎年十九億トンほどの水の不足が出るという現在の状況でございます。現在考えられます可能な上流のダム群あるいは下流及び中流部の流況調整河川施設等も考えましても足らぬというような結果でございます。それで、一つにはこの水の利用の合理化、こういうものを極力進めなければならぬ。現在むだになっておる水を極力使う、あるいはむだな水利権の有効利用、それからさらに工業用水等の利用の合理化あるいは下水道の一度使った水の再利用、こういうものも極力進めましてこの穴を埋めていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 いま申されましたとおりに、第一次の基本計画というものの進捗率が非常に悪いと、そういうことで四十五年の七月に第一次の基本計画を全面的に変更をいたしまして、いま話がありましたとおりに、昭和五十年度を目標年度とする第二次の基本計画がされたわけなんですが、四十五年度から五十年度までに発生する新規の水の需要量を上水道用水約毎秒五十トン、工業用水毎秒約四十トン、農業用水毎秒約四十トン、合計いたしますと毎秒百三十トン、これに対する供給目標といたしましては、いま申し上げました第一次計画からつくられました利根川河口ぜき、その他に加えて思川開発及びその他のダムの建設とあわせまして水利用の合理的な処理をはかるとされたのが第二次の基本計画じゃないかと思いますが、この新規の需要量約毎秒百三十トンのうちに、東京都関係は上水道用水が毎秒三十二・四トン、工業用水毎秒五トンの合計約三十七・五トンになっているかと思いますが、しかし、この計画の中で昭和五十年度までに完成する水源施設は、すでに完成した利根川河口ぜきと現在工事中の草木ダムの二つだけで、この二つの事業の開発水量というものは毎秒三十五・一トン、そうしますと、水系全体の必要量の二六・二%にすぎないと、これは数字の上でございますが、これを東京都の分としての予定される水の量を見ますと毎秒二十・六七トンであるものの、必要水量に対しましては五五・三%になる。そうしますと、これを三十七・四マイナス二十・六七トンを引きますと残りの十六・七三、すなわち毎秒十六・七三トンの供給は昭和五十一年度以降の水資源開発に待たねばならないことになると同時に、その計画というものはまだ決定されてないというのが現在の実態じゃないかと思うわけなんです。  じゃ、このことは、いま東京のことを数字的に申し上げましたけれども、これは東京だけでなくして、東京を囲んでおります千葉、埼玉両県におきましても水需要というものは逼迫しているのが実情じゃないかと思うわけなんですね。そうしますと、政府が新設予定の宅地開発公団、この宅地開発公団をして宅地開発の大量供給による住宅建設ということを、いまさきもいろいろ話がされましたけれども、こういうことを実施しようとしている。そうしますと、この水資源の供給速度で、しかも計画に対する責任制がない実態では、これはちょっとやることとなすことと合わない空論になるんじゃないかと、すなわち住宅建設する場合にも、水の供給可能によって、そして土地は開発され利用度が決定することが必要であるにもかかわらず、現実には逆の開発過程を進んでいるんではないかと、そう考えざるを得ませんけれども、この点はいかがでございましょうか。
  37. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) まあ、水の供給のほうを実は担当しております河川局といたしましては、現在の計画しているダム等の水源開発施設、これを極力進めていくということで対処をしているわけでございます。ただ、この宅地開発公団関係の水の状況、これにつきましては、実を申しますと、私どものほうといたしますと、新たにこれによって水の需要がふえるということは実は考えておりませんで、想定しております昭和五十年、あるいは広域利水でいきますと昭和六十年、こういうもののいわゆる計画の必要利用量、この中にこれらは包含しておるということに考えております。それで私どものほうとしては、この水資源の開発、これを極力進めてこれに対処していくとともに、暫定的な問題といたしましては、実は現在工事中のダム、こういうものを引き当てに暫定的な水利権等も一部水道用水等には与えているところがございます。こういうようなことはどういうことかと申しますと、水の需要の安定性が多少悪くなりますけれども、当面の需給を何とかこれで追いつかせていこうということでやっている一つの緊急措置でございますが、こういうようなことによりまして部分的な供給を補い、全体といたしましては、極力この水資源の開発を進めていくという考え方で進めている次第でございます。
  38. 田代富士男

    田代富士男君 次官、いかがでございましょうか。それは住宅局長がいまいらっしゃいませんが、住宅局長がいらっしゃったらその関係についてお尋ねしようと思ったんですが、席を立っていらっしゃるんですが、いまさき大臣は、横の連絡が必要であると、そのように申されていたわけなんですが、その問題提起として、河川局長は水の問題ふやそうとしていらっしゃいますが、住宅が建っても水がなかったら家に住めないといういま具体的な問題を提起したわけなんですけれども、その点いかがでございましょう。
  39. 内海英男

    政府委員(内海英男君) ただいま河川局長からも水の利用ということにつきましてお答えがあったわけでありますが、宅開公団ができまして、宅地の大量供給がなされたときの水の受け入れ態勢はどうかというような御質問によっての答えでありますと、この宅開公団ができまして水の利用が増大するんではないかということを想定されるわけでありますが、これは南関東広域利水関係全般を見まして、六十年度を目ざしての水資源開発事業、こういうものの中にやっぱり含まれている。それを見た上での宅開公団としての宅地の大量供給ということを行なっていくことになると思いまして、いま局長から答えましたとおり、水資源の開発であるとか、さらに水の利用等をいかに今後合理的に進めていくか、こういった方向に積極的に推し進めることによって水不足を幾らかでもなくしていこうと、こういった政策を強力に進める以外にないと私は考えております。
  40. 田代富士男

    田代富士男君 いま政務次官がおっしゃったこと以外にないと思うんですけれども、実際にはこれも大きな問題になっていることは事実です。大阪におきましても、私の知っている兵庫県におきましても、水の問題が解決しないために住宅建設ができないというところが多々あるわけなんですけれども、後ほどまた問題が出てまいりますから、そのときにお尋ねしたいと思います。  で、昨年建設省が発表いたしました広域利水調査第二次報告書によりますと、いまも局長がお話ししていらっしゃいましたけれども、昭和六十年の水の需給は、南関東、すなわち埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の一都三県では年間約二十億トン、それから京阪神——大阪、兵庫の一部と京都府の一部では年間十二億トン不足するほか、大都市では北九州を例にあげますと、福岡県、大分県の一部あるいは備後、昨年異常事態を生じました四国の高松など、こういう六区で供給不足になるという見通しがなされているわけなんです。しかも、これは今後計画されるダムが建設された上の計算でなおかつこれだけ不足であるということが調査報告書に出されているわけなんです。ところが、もし肝心のダムの建設が進まないと、水不足はさらに深刻になってくることは間違いないと思うんです。いま第一次の基本計画が進捗率が悪いからということで第二次の基本計画が実行中でありますけれども、この長期展望に立った水資源需要に対する対策について、今後どのように考えていかれるのか。  そういう点から、また、一つの見方を変えなくてはならないという参考あるいは意見とも受け取ってもよいかと思いますが、東京都の総合開発審議会が、ことしの二月の二十日でございますが、東京都における水資源開発の目標を基本計画に関する答申としてまとめまして都知事に提出をいたしました。その答申の内容を見てみますと、水資源開発の努力はこれまで以上に必要であるけれども、ダムをつくりさえすれば水が無限に確保できるという考え方はもはや許されない、このように都知事に提出されました答申の中に強調されております。そして、河川そのものがやがて供給の限界に達すると見ており、ふえる水需要を野放しにしたまま必要な水量を何とか確保しようとすることは、人口や産業の都市集中を招き、都市問題を激化させる結果になると、このような警告もあわせてしているわけなんです。  しかし、水問題に対する水資源開発は、もはや一つ自治体では開発権限を持たないために、これは国の責任が積極的に問われる問題じゃないかと思いますけれども、いま申し上げました建設省の広域利水調査第二次報告書では、現在計画されているダムができたとしてもこれだけ不足すると。しかし、一方、東京都の総合開発審議会の答申では、こういうような心配を、問題を提起している。これに対しまして、自治体ではどうにもしかたがないし、建設省としてどのようにこの問題に対処されるのか、お尋ねしたいと思います。
  41. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 基本的な考え方といたしましては、この広域利水調査報告書にありますように、全国的に見ますというと、水の需要と供給のバランスは一応とれているわけでございます。全体で、昭和六十年までの新規需要につきまして河川水の需要量が約四百億トン、それに対して供給は四百六十五億トン可能という線を出しておりますので、一応バランスはとれているわけでございますが、御指摘のように、南関東あるいは京阪神、これらにつきまして著しい水の不足の状況が生ずる、これをどうするかという問題でございます。一つは、やはりこの水の需要につきまして、需要のほうの分散と申しますか、人口の集中の抑制あるいは産業の分散等を含めました需要の分散ということが重要かと思います。これに対する措置といたしましてもいろいろ考えているわけでございますが、一方、水の供給のほうにおきましても、やはり今度は分散とは逆に、地域間の融通ということも考える必要がある程度あろうと、この両方からこれを調整していくということが根幹でございます。また一方、水の利用の方面におきまして、これも先ほども申し上げましたが、合理化ということを極力進める、また、水の再使用ということも極力考えなければならぬということでこれに対処していく必要があろうということでございます。それから先ほど東京都のあれにもございましたように、日本の水の資源というもの、必ずしもこれは無限ではございません。降雨量は千八百ミリという年間降雨量、世界でも多い降雨量でございます。世界平均の約二倍半くらい降っているわけでございますが、一方、面積は狭小であり、人口が多いということから、人口一人当たりの水の量、雨の量ということになりますと、世界平均の約五分の一程度しかないということから、必ずしも水の絶対量そのものは豊富ではありません。しかも、その雨の降り方、地形の状況等から、これを全部利用するには非常にむずかしい点がございます。したがいまして、われわれといたしましては、この水の供給を極力はかりますが、やはりこの水の量というものは有限であるということも考えながら諸般の施策をやらなければならぬのではないかと思っております。
  42. 田代富士男

    田代富士男君 もう一つのあれでございますが、これはもうすでに御承知だと思いますが、経済企画庁が首都圏の水不足に対処するために、荒川でございますね、埼玉県と東京都を通っております荒川を水資源開発促進法に基づく指定水系にする方針を固めていると言っておりますけれども、指定水系にし、ダムを建設する計画を打ち出すとしても、これは地元の協力がない限り水資源開発は不可能であることは現在までの実情から見ても明らかじゃないかと思うんですね。しかし、このように、いまも局長申されるとおりに、水不足ということはたいへんなことであります。私が当初申しましたとおりに、洗剤や、ああいう石油、灯油でさえもあれだけの騒ぎが起こりましたのに、水不足になったらたいへんなことになるわけです。その取り組む姿勢は、経済企画庁ではこのように言っているけれども、どのように取り組まれる姿勢なのか。荒川は、現在かんがい・発電用の二瀬ダム、これは完成されておりますが、二瀬ダムのほか、建設省直轄の滝沢ダム、浦山ダム、埼玉県事業の有間ダム、合角ダムが計画中で、建設省調査によると、さらに五ヵ所ないし八ヵ所ほど開発可能と見ていると言われておりますけれども、年間二千七百万トンの水を埼玉県と東京へ供給できると想定されておりますけれども、しかし、ダム建設というものは水源地域の協力が得られることが先決じゃないかと思います。私も、先日大阪事業団へお伺いしたときに、非常にこの問題で悩んでいらっしゃる実態を聞きました。この地域の協力が得られることが先決であると同時に、受益者側の協力も要求されるところでありますが、どのように対処するかが最大の課題じゃないかと思うのです。水源地域対策特別措置法は四月の一日から施行されますけれども、それにどのように対処しようとされているのか、そこらあたりを明確にしていただきたいと思うのです。
  43. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 現在、水源地、特にダムの開発におきます一番の難点と申しますのは、確かに地元との関係でございます。まず個人的な補償の問題でございますけれども、これにつきましては、われわれとしましては、極力誠意を持って交渉し、この生活が現在程度以上に何としてでもできるような形の補償をやるべく努力をして、地元とも折衝をしておるわけでございます。この地域全体につきましては、地域の公共補償関係、あるいはまた、これに関連いたします地域の環境をよくするようないろいろな施設、こういうようなことにつきまして、先ほどお話もありました水源地域対策特別措置法、これの精神もこういうところにあるわけでございます。われわれとしましては、この精神をできるだけ生かして地元との接触を円満にして、ひとつこの御協力を得まして開発を進めていきたいというふうに考えております。  なお、荒川を水資源開発の指定水系にするかどうかという問題、これにつきましては、経済企画庁の主管でございますが、われわれといたしましても、この点につきましても十分検討していきたいというふうに考えております。
  44. 田代富士男

    田代富士男君 水の問題はどこまでいっても尽きない問題ですけれども、いまも局長がちょっと申していらっしゃいましたけれども、わが国の年平均の降水量ですけれども、これは単位面積当たりの降水量は、私の調べました手元の資料では千八百十八ミリ、約六千七百億トン。このうち河川に流出する量は約八〇%、約五千二百億トンと想定されます。これに対して、全世界の陸地の平均降雨量が年間七百三十ミリ。これはいま局長も話していらっしゃいましたが、これで日本の降雨量は年間平均二・五倍にあたりまして、比較的豊富であるということは言えると思います。局長の話のとおりでありますが、しかし、水資源の利用という面で、今度は人口一人当たりの降水量で見ていきますとどのくらいになるか。世界平均、また、アメリカやソ連の数字と比べまして、どの程度になっているか。人口一人当たりの年間降水量は、日本は六千五百トン、アメリカは三万九千二百トン、ソ連は三万七千百トン、カナダは三十八万五千トン、ドイツ連邦共和国は三千四百七十トン、イギリスが三千五百六十トン、イタリアが五千六百六十トン、このように数字の上から見ていきますと、アメリカやソ連の約五分の一程度にすぎない。これは国全体を比べた場合にはこういう結果が出ております。ところが、わが国におきましても、降水量には地域的に偏差があります。関東及び近畿では、それぞれ一人当たりにいたしますと、二千五百トン、三千百トン。わが国の平均が六千五百トンということでございますから、関東、近畿ではわが国の平均値の二分の一以下であると、こういうような状態です。さらに人口の著しい密集地であります南関東、すなわち埼玉、千葉、東京、神奈川の一都三県では九百トンです。京阪神地域、これも人口の一番密集地でありますが、ここは九百三十トン、きわめて少ない。じゃ、わが国平均が六千五百トンでございますから、そのうちの九百トンとなりますと、どのくらいでございますかね、七分の一かそこらの数字でございます。そこへ人口が密集している。しかも、こういうようなへんぱのある現在の状態をどう見るかということですね。だから広域利水調査第二次報告書、いまさっきもちょっと申し述べましたけれども、人口集中が続くならば、このまま続いていくならば、昭和六十年には、南関東、京阪神地域では、人口一人当たりの降水量はそれぞれ七百五十トン、八百五十トンまで減少すると予測すると同時に、年間需要は両地区とも四百トン程度になると想定されて出されております。降水量の半分程度、五〇%まで利用しなければならぬという、こういうようなことが報告書の内容に出されております。しかし、たとえば利根川の栗橋地点では、渇水量が毎秒約八十トンであるのに対しまして、下流部の農業用水等にほぼこれと同じ量がすでに利用されている。その上、利根川水系の水資源開発基本計画では、昭和三十七年から五十年の間に新たに利根川筋に依頼する水需要量がおおむね毎秒八十トン程度と、このようにされておるわけなんです。こういうことを考えてみますと、どうなるかということなんですね。これに対する上流のダム建設は進んでいないと、いまさっき私がるる申し上げましたところでございますし、局長からもその意味の話がされたのが実態であります。しかも、土地の利用、住宅建設という必要性があると同時に、都市用水の増大、これは下水道整備も私が最初に、大臣がいらっしゃるときにお尋ねしたのもここに含まれてくるわけなんです。これも増大されていく。水資源の確保こそ最大のネックだ、緊急課題じゃないか、そういう意味で、当初民生の安定のために大臣が力を注ぐと言われた場合に、衣食住が満ち足りてこそそれが満たされるのだ、その場合に住宅、水、これは欠くことのできない問題だけれども、いまさっきの局長の話された内容からも取り上げまして、こういう問題に対しまして政府の姿勢がいまのままでよいのかどうか、この点いかがでございましょうか。幸い大臣予算委員会からお帰りになりましたから、どうでございましょうか。
  45. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私どもの一番憂えております点を御指摘いただいたわけでございまして、実は私も就任以来、治水、利水という問題はどのようになっておるか、現状把握につとめた次第でございますが、もっともっとやはり水という問題に国民的関心が集まらなければならないのではないかという気持ちを強く持った次第でございます。特に利水基本計画といったような問題につきましては、道路等の五ヵ年計画に比べますと、もっともっと国民の関心が高まって予算措置等も積極的になされなければならないのではないかという感じを持ちながら、特に四十九年度予算編成に当たりましては、総需要抑制という中ではございましたが、とにかく水というものを、いま御指摘いただいたような線で、一滴でもよけい早く利用できるような方策を講じなければならないということで、大蔵とも折衝いたしまして、建設省から要求いたしました調査、ダムの調査地点あるいは実施計画でやるべき地点、着工ダムというような点はほとんど全部予算を計上してまいったということでございますけれども、これは御指摘の中にもありましたように、緊急対策としてとりあえずの対策であって、やはり日本の国全体を考えました際には、やはり大都市圏——関東圏、近畿圏といったような人口集中を抑制をしてまいるという基本的な思い切ったやはり政策が講じられなければならない。それには、建設省といたしまして、地方中核都市というような計画を立てまして、そして国土の均衡ある発展という構想のもとに、一応どこに住んでも同じような住環境、生活環境というものを持ち得るような理想を持ちながら建設行政を進めてまいらなければならない。これもやはり利水対策の水資源の問題を解決するには、やはり地域的な人口配分ということも十分頭の中に入れましてやっていかなければならないということで、地方中核都市の整備強化というような面についても力を入れておるということでございまして、こういう点につきましても、国土総合開発という問題がどうしてもここに実行をされていかなければならないということで、そういう立場からこの問題に取り組んでおる次第でございます。
  46. 田代富士男

    田代富士男君 大臣のお話をお聞きいたしましたら、田中総理の日本列島改造論でなくてはこの問題は解決しないというふうに受け取れる面もありますけれども、そういうあれで受け取ってもらってはぐあいが悪いと思いますが、端的に調査報告書の中から出された数字でもって、どう取り組んでいくのか。大臣のおっしゃることも必要じゃないかと思いますけれども、国土総合開発によって解決していかなくてはならないという意味は理解いたしますけれども、日本列島改造論によってでなければこれが解決しないという問題じゃないと思うんですね。まだとる道はあるんじゃないかと思うんです。そういう意味から申し上げていることでございますから、その点よろしくお願いしたいと思います。  それで、同じく建設省のただいまの第二次報告書の中からまたお尋ねをしたいと思いますが、昭和六十年度におきます生活用水は年間需要量が二百七億トン、工業用水年間需要量が三百七十一億トン、農業用水年間需要量五百八十五億トン、合計いたしますと一千百六十三億トン、昭和四十五年の実績年間七百九十四億トンに対しまして三百六十九億トンの増加となるものと推定されておりますが、この昭和六十年におきます年間需要量は一千百六十三億トンのうち、地下水に依存するものを除きまして、地盤沈下対策等の地下水転換分を考慮すると、河川に必要となる水量は年間九百六十七億トンになると推定されております。これは調査報告書の中に明確に出ておりますが、これは昭和四十五年に河川から供給している水量五百六十億トンに対し、新規必要量は四百二億トンとなっておるわけなんですが、この内訳は、生活用水は年間百二十七億トン、工業用水が二百二十二億トン、これが都市用水として三百四十九億トン。それから農業用水が五十三億トン、合計で四百二億トン。そうしますと、新規河川水必要量のうち約九〇%は都市用水として要るわけなんです。このような都市用水の飛躍的な必要に対する確保に対して、しかも地域限界の激しい、いまもるるその実情を提示しましたけれども、大都市の地域等の必要性と相まって、将来この十ヵ年に課する建設態度というものはどうあるべきか。六十年の数字はこのように出ておりますけれども、この点に対しましてはいかがでございましょう。いま数字でもってさらに提示したのですけれども、これは局長からお願いいたします。
  47. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 数字につきましては、ただいま先生から御指摘のとおりの数字でございます。新規の河川水の必要量が全体で四百二億トン、そのうち生活用水が百二十七億トン、それから工水が二百二十二億トンということになるわけでございます。これに対しまして河川の水資源の開発につきましては、この広域利水調査報告書にも個々の地域、ブロックごとに計画はもちろんできております。ただし、先ほど申し上げましたような南関東あるいは京阪神等の地域については水不足、供給ができないというような形になっておる。ですから、まず第一にはこの計画しております供給が可能になるように水源地、ダムあるいは湖沼の開発、これを極力進めていくということが第一でございます。これに対しましては、われわれといたしましても、地元との折衝等におきましてできるだけ努力をして進めていく所存でございます。ところが、一方この不足の対策、穴のあいているところをどうするかということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、利用の面におきましてもこれを考えなければならぬ点があるんじゃないか。水の利用の合理化あるいは水の高度利用というようなことで対処していこうということを考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、この昭和六十年の水の需給の状況というものは、格段の努力をしない限り、非常な事態が起こるおそれがありますので、われわれといたしましても、水資源の開発を極力進めるとともに、いまの水の利用の合理化、高度利用という点についても極力関係各省等とも打ち合わせをいたしながら努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  48. 田代富士男

    田代富士男君 もう時間がまいったそうでございまして、あとこの問題についてはもうちょっと聞きたいのですが、また次の機会にでも回したいと思いますが、最後に、都市局長にちょっとお尋ねしたいと思いますが、前回、当委員会におきまして、屋外広告物法の施行条例について審議されましたけれども、この第十五条について簡単に御説明を願いたいと思います。
  49. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 「適用上の注意」という条文を新たに加えまして、「この法律及びこの法律の規定に基づく条例の適用にあたっては、国民の政治活動の自由その他国民の基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならない。」という旨の規定が加わったわけでありまして、これは国会における修正によって加わったわけでございます。
  50. 田代富士男

    田代富士男君 この法案は、ずいぶん当委員会におきましても、不備な点がるるありまして、私もその問題点を提起した一人でありますけれども、特に十五条の問題でございますが、十五条のモデル条例はどうなっているのか。自治体に対してその十五条をどのように指導されたのか。そこらあたりをちょっと説明していただけませんでしょうか。
  51. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) この法律の条文自体に「この法律及びこの法律の規定に基づく条例の適用にあたっては」と書いてありますから、法律だけで条例の適用をも含めて直接に規定しているわけでございますが、この法律の趣旨と同様なことを条例にも書くということが望ましいと考えまして、都市局長名でこの改正法施行の通達を出しました際、従来からあります標準条例案の最後の項目に同様の「適用上の注意」という規定を置いて、この「条例の適用にあたっては、国民の政治活動の自由その他国民の基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならない。」ということを書いたわけでございます。
  52. 田代富士男

    田代富士男君 それで、私は、この問題でどうこうしようというあれではございません。ただ、こういうものが有効に生かされるようにやってもらいたいわけなんですが、いま、御承知のとおりに、施行条例案を各地方自治体で審議中であります。そういう意味から、建設省からの指導要綱等が審議されておりますけれども、この改正案の食い違いが起きているわけなんです。特に私は大阪なものですから、大阪府の考え方大阪市の考え方の食い違いが生じてきている。このような食い違いが生じてくるということはどこに原因があるか。基準が明確にされているならばこういう食い違いというものは起きないじゃないかと思うんですね。そういう点から、私は、提案といたしまして、各自治体で問題になっている自治体があるならば、あるいはスムーズにいっているのか、一回お調べになったらどうだろうかと思います。だから、きょう私はこの問題を詰めていく考えはありませんが、私自身がそのように大阪府、大阪市から言われまして、改正案の食い違いというものを私自身もいま感じておりますものですから、そこらあたりをひとつ局長の立場から資料を取り寄せるなりいたしまして、適切な指導をやっていただきたいと、これは私からのお願いでございますが、そしてまたお話を聞きたいと思いますから、その点いかがでございましょうか。
  53. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) この改正法に基づく条例の改正について、さっそく現在の各府県、指定市の提案、すでに議会に提案しているもの、あるいは提案準備中のものにつきまして内容を取り寄せて、できればいたずらな不統一がないように指導したいと思います。ただ、都道府県と指定都市合わせて五十六のうち、現在わかっている範囲ですでに三十五の道府県市が現在の議会に提案中でございますので、その分につきましては、新年度から条例改正を施行しようということでそこまで進んでいるものですから、必ずしもいまからこちらの指導どおりになるかどうか、時間的にちょっと無理があるんじゃないか。なお残る二十一の都府県市につきましては、六月以降の議会を予定しているようでございますので、できるだけそのようにしたいと思います。
  54. 二宮文造

    ○二宮文造君 関連して三点お伺いしたいと思うんですが、まず一点は、先ほども大臣から答弁があった公営住宅ですね。公営住宅の入居のための収入基準、これが従来も上限が低いところに押えられているということで当委員会でもたびたび問題になりました。たしか昨年でしたか、一年ごとに見直して実情に合うように手直しをしていくと、こういうような方針を伺っておりますが、現行の収入基準がすでに実情に合わない。ちょっと私いま雑な計算で、はっきりした数字を持っておりませんが、一種住宅で標準四人家族で大体百五十万見当、これをこえると入居資格がないと、こういうふうなことに押えられているがゆえにせっかくの公営住宅も利用できないと、この上限を何とか上げてもらいたいというのが入居希望者の要求であります。したがいまして、こういうふうに物価も上がってまいりましたし、現在の百五十万見当という上限が実情に合わないことは御承知だろうと思う。また、一年ごとに見直していきたいという前の答弁もあって、早急にこの収入基準の上限を改定をなさるべきではないか、その考え方についてお伺いをしておきたい。  もう一点、第二番目は、政府のほうが持ち家政策を進めております。したがって、持ち家政策にのっとって銀行ローンで、住宅ローンで建築をされている方が相当ある。ところが、最近公定歩合の引き上げによって、前の契約にまでさかのぼって金利を引き上げていく、こういう事実があります、銀行名は伏せますが。そうしますと、借りてる人はその計画に基づいて返済をしていくんですが、銀行の都合で、公定歩合が上がれば一方的に金利を引き上げられるということになりますと、支払い計画がくずれてしまいます。この点は、私どもいままで聞いていた範囲内では、持ち家政策というものを重視する関係からこういう住宅ローンの金利は引き上げないように行政指導をすると、こういうふうに聞いておるんですが、それが一部くずれております、普通の銀行ローン。それからもう一つ同じく住宅ローンの関係で銀行と信託業務を兼営をしております銀行が、これは信託貸し付け金であるということを理由に、これも前の契約にさかのぼって、たとえば年利九分で契約しておったものが現在一一・五%に引き上げられている。こういうふうな借り手にとってみれば、その銀行は銀行と信託業務と兼営しておりますから、原資は一体信預託金なのか、普通の一般の預金なのか、借り手は全然わかりません。ただ、名目が信託貸し付け金となっているがゆえに、脱法行為みたいに、この金利が随時引き上げられていくというような傾向があるようです。この点についてどのように行政指導されるのか。もう一点、同じく住宅ローンで専門四社があります。金融機関が出資をした専門四社がある。この場合も既契約の分にさかのぼってまで金利が引き上げられております。これは九%ぐらいの契約だったものがこの二月ごろに一一・四%、こういうふうに引き上げられている。これは公定歩合の引き上げがもろにこういう弱い人におっかぶさっていくようなことになります。これは政府のいままでの指導と全く反するんではないか、こう考えますが、この点。この三つに分けて考え方を御説明いただきたい。  それから、三番目は、これは中国縦貫道路の問題ですが、御承知のように、もうすでに西宮の約二百メートルを除いて両側ができ上がりつつあります。ところが、この西宮が住宅地を縦断するようなかっこうになって騒音公害ということで、住民はトンネルにしてくれと、こういう要望を公団に出しております。ところが、その要望に沿わないまま現に強行着工している。こういう情勢で付近の住民が非常に心配をし、いわば実力行使をしてでも阻止したいと、こういうふうな傾向のようですが、この青葉台の中国縦貫道路をどういうふうに地元民の意向を聞きながら措置をされていくのか、この点。  この三点をお伺いしたい。最後に大臣にそのまとめをお願いしたいと思います。以上よろしくお願いします。
  55. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) まず第一点の公営住宅の入居基準でございますけれども、これは先生おっしゃられますように、この国会におきまして大臣からの発言がありまして、毎年見直して、必要あればそのつどそれを改定していくと、かようなルールになってございます。そこで、現在の入居基準はどういうことになっているかといいますと、第一種では、これが一昨年の暮れから昨年の四月までの間に改正をされまして、現在では、いわゆる基準上は第一種では五万八千円、第二種では三万円、これを標準世帯に引き直しますと、先ほど先生がおっしゃいました一種では百四十八万円、二種では百六万円、かようなものを入居者の資格限度としております。しかし、先ほど申しました原則に照らしまして、この一年間に物価が例年よりも異常に上がっております。そこで、私どもは、この見直し作業をして、当然これは直さなければいけないと思いますけれども、ただ、法律が通りますと税制が改正されます。そこで基礎控除、勤労控除などが上がります。そうしますと、いまのルールのままでも先ほど申し上げました百四十八万とか百六万というものがおのおのいまの原案では百七十二万、百二十二万というふうに上がります。しかし、これだけ上がりましても、私は、現在の物価と所得の関係からいうと、まだ足りないというふうに判断をいたします。そこで十分これは調査をいたしまして措置をしたいと思っております。  それから第二点の住宅ローンの問題でございますが、私どもは、この住宅の金融というものは住宅政策上に非常に大きなウエートがあろうと思っております。全体住宅投資の中、現在で二〇%程度がこの金融資金というふうなかっこうになってございます。民間金融資金でございます。私ども、この住宅ローンというものは、やはり性格上長期である、低利である、しかも安定しておる、こういう必要があろうということで、この筋を貫くべく指導をしてきておるわけでございますが、直接の銀行担当でございます大蔵省銀行局と十分連絡をとっておりまして、大蔵省のほうでは金融制度調査会、私のほうでは住宅宅地審議会の中の金融小委員会、こういうものでその住宅金融というのはいかにあるべきかということをやっておりますけれども、そういうふうな先ほどの性格に徴しまして、大蔵省とともに私どもは銀行を指導しております。さらには、昨年に至りまして日銀、ここいらあたりにも実は通達をもって、住宅金融に関しましては量の問題、金利の問題、これは確保すべきであるというふうなことで申し入れもしてございます。そういう結果、実は公定歩合が上がり、あるいは一般市中金利というものが上がりました際にも、銀行協会の会長さんが一月九日ですか、新聞発表しておりまして、住宅金融の金利は上げないということを発表しておるわけでございますが、私どもこれを信じておりましたが、先生御指摘のようなことがあるといたしますれば、私どもの方針とだいぶ違いますので、至急これは調査をして、さらに強力な指導をしたい、こういうふうに考えます。
  56. 二宮文造

    ○二宮文造君 三件ともですか、三つともですか。銀行ローンの場合、信託ローンの場合は。
  57. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) いまは一般金利の場合でございます。
  58. 二宮文造

    ○二宮文造君 信託と専門四社の場合。
  59. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) これは次にお答えをいたします。  信託の場合でございますが、通常信託業務を兼ねておるという銀行は非常に少ないと思います。そこで、住宅ローンは先ほどのようなことで、結果といたしますれば、需要者に低利で長期に、しかも安定的にやらなければいけないということでございますが、通常、信託の資金というのは長期でございますから、入ってくるほうが、比較的これは使いやすいというふうに思っておりましたけれども、信託業務ということで貸し付けて高い金利を取るということでは私どもの目的とは大いに反します。したがいまして、これもどこがそういうことをやっているか、私どもも大蔵省とよく相談をして調査をいたしまして、さらに強力な指導をしたいと思います。  それから、専門金融機関でございますが、これは銀行ではございませんで、貸し金業ということになってございます。原資が市中銀行からくるということで商売は非常につらいということで上げたんだと思いますが、とにかく九%台から一一%台に上がっております。しかし、これは住宅金融といたしましては、一一%にもなりますれば、いわゆる勤労中堅階層というものはこういうものを主力として住宅建設に使えないと、あと償還ができないのではないかというふうに私ども考えます。そこで一つの業体でございますから、各種の資金源の手当ての問題とか、そういうことで長期的にはそういう制度が低利になるようにこれはバックアップしなければいけないと思います。そういうことで大蔵省と協議をいたしますが、とりあえず一一%以上に上がりましたものに関しましては、これはできるだけの合理化をして低く抑えろという指導を今後ともやりたいと考えております。
  60. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 中国縦貫道の青葉台の問題でございます。ただいま先生お話のように、中国縦貫道は現在宝塚まで供用しておりますが、宝塚から先、この西宮の一部を除きまして、それから兵庫県の福崎というところまで間もなく来春にはでき上がって供用を開始できるというところまで工事は進んでおります。ところが、この青葉台の地区につきましては、地元の方々の了承が得られませんで、昨年まで鋭意公団のほうと地元の方とお話し合いを進めてまいりましたが、話がつかずに、昨年の十月に道路公団が強行着工という形で着工したわけでございます。その理由は、実はこの団地は不動産会社がやっております宅地開発の団地でありましたけれども、ちょうど馬の背のようになった高台でございます。そのところを高速道路がちょうど横断する形で突っ切るわけでございます。たまたまフォーメーションがそこが山でありますので、道路のほうが低いものですから、台地をカットして切り土の形で道路が入ってまいりますので、平地と違いまして音の問題は比較的影響が少ないわけでございます。公団としては、さらにそこの肩のところに防音壁を建てるということによって環境基準は守られるということで、そういう工法でいきたいということを地元の方と協議してまいりました。地元のほうは、全部ふたをしたトンネル方式にしてくれということで話がつかなかったわけでございます。そこで一応強行着工ということになりましたけれども、その後も鋭意地元の方との話し合いは進めております。最近の情報によりますと、これは県あるいは地元の西宮市の議会の中にもこのための対策の特別委員会をつくっておりますが、県あるいはその特別委員会の方々というものも間に入りまして、いま地元のほうと相当また話が進んできております。それによりますと、その中に一部西宮市の市道がございます。その下を高速道路が突き抜けていくかっこうであって、従来は橋という考え方であったんですが、そこのところをトンネルという形にして少しでも騒音対策になるようにしたいということで、一部トンネルというような形でいま話が進んでおりますが、これはまだ今後地元の方と、もう少しどこまでやるのかというようなことが残されておりますので、鋭意進めておるわけでございます。先ほど申しましたように、来春早々には西宮の北から福崎インターまで供用開始しますと、これは数十キロございますが、その一部が抜けておるとちょうど烏山のような状態になりまして、西宮でおりた車が現在の道路を走るということになりますと交通が混雑いたしますので、私どももできるだけ早い機会にこれを完成したいというふうに考えております。
  61. 二宮文造

    ○二宮文造君 地元とよく話し合ってね。
  62. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) はい。
  63. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) それぞれ公営住宅の入居資格の制限の引き上げの問題、それから住宅ローン三種類についての政府考え方建設省考え方住宅局長から申し上げたとおりでございまして、これはどうしても前向きで局長が申し上げましたような線も実現しなければならないということで、そのようにやっていきたいと思っております。  それから中国縦貫道の青葉台付近の問題でございますが、私も就任以来、やっぱりこういう住民意識の高揚いたしております地域に道路を通すということになりますと、どうしてもやかましいということで、私自身も中央線の沿線に住んでおりますけれども、最近になるほどと、こう思うことを私自身十何年か経験いたしておるわけでありますが、こういう市民のしあわせを増進するためにつくる道路が一部の住民生活を犠牲にするということは、これはもう今後許されないという考え方を持って、十分住民の納得のいくように話し合いをしなさいと、お話し合いをすれば必ず道は開けるはずだということで、烏山の例等もよく関係者の方々にお話いたしまして、また道路公団にも、責任者が行って、そうしてとにかく突っ込んでお互いに胸襟を開いて話し合って、そうして現在いろいろ道路公団においても新技術とか新工法とかいうものを考えれば、いろいろな構想が烏山の際にも実は発見されたわけでありますので、住民の一〇〇%とはいかないまでにも、不満ながらも、まあまあ協力いたしましょうというところまでいったわけでございますので、この青葉台付近の問題につきましてもそういうふうにいくように努力をするように、事務当局道路公団にも申しておる次第でございます。幸いそういう私ども気持ちをわかっていただいて、地元の方々も中に入っていただいて話し合いが現在進んでおりますので、私は、住民福祉というものが守られるようにしていくことによって話し合いがつくものと、こう確信をいたしておる次第でございますので、よろしくお願いをしたいと考えております。
  64. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ちょっと訂正さしていただきます。  先ほど私が西宮北から福崎インターまでが来年の四月と、春と申し上げたということで、これはことしの四月の間違いでございますので、訂正いたします。
  65. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 午前の質疑はこの程度にし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      —————・—————    午後一時四十三分開会
  66. 野々山一三

    委員長野々山一三君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  67. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣に基本的なことをお伺いしておきたいんですけれども市町村道については日常生活を基盤にして今後促進していきたいと、むろん二〇%の増をはかりたいという計画のようですが、ここで一つだけ基本的な考え方をお聞きしておきたいことは、奥地産業の開発道という考え方をお持ちになっておるようですが、過去の日本の現状から見ますと、産業道が中心になって、地域住民を無視されておったんではないかと、こういう傾向が今日の時代には大きな批判として出ておると私は思うんです。特にその点は、過去になく、この生活環境の改善にも努力はするとおっしゃっておりますけれども、これは建設省がこういう点を所信表明の中に挿入されたということは初めてだと私は思うんです。したがって、従来のような道路の開発ということはお考えになっておるとは思いませんけれども、何といっても、この市町村におけるこの産業開発道路ということに銘を打ちますと、少なくともやっぱりそういう点が問題の重点になろうかと思うんで、こういう点については、この市町村におけるところの奥地の開発というのは、今後新しい開発をやっていこうとお考えになっておるんではないかと私は思うんです。どういう構想のもとに、奥地産業開発の道路をやろうという点はどういう発想なのか、お聞きしておきたいと思います。
  68. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 従来と変わりまして、市町村道等につきまして、生活道路につきまして今度の五ヵ年あるいは昭和四十九年度の予算等につきましても市町村道等を積極的にやろうということでございます。これはまたその方針につきましては大臣から御説明があると思いますが、特にその中の奥地産業道路ということが出ております。奥地産業道路は特別な立法に基づきまして奥地の県道あるいは市町村道を特に整備を促進するという意味合いが込められております。私どもは、それにのっとりまして、ほかの道路の伸びよりはこれをどんどん伸ばしていこうという考え方で進んでおります。特に奥地山村道路の場合は県道が主体でございます。まだ市町村道までにはいっておりません。ウエートが県道のほうにかかっております。したがいまして、これは県道との比較をすればいいと思いますけれども、来年度につきましても、県道の伸びは残念ながら前年度より若干ダウンしておりますけれども、この奥地山村につきましては、昨年度より、若干でありますけれども、その全体が下がっている中でもこれは伸ばしてございます。  それから市町村道につきましては、これは奥地の市町村道という形でとるか、あるいは一般の市町村道ということも積極的にやろうとしておりますので、どちらでとってもいいわけでございますが、市町村道自身は昨年より約二〇%ぐらい近い事業費を伸ばそうとしておりますので、この奥地の市町村道につきましても、あるいは市町村道事業という形でもやれるわけでございまして、そういう生活道路を積極的に優先的に考えていこうという姿勢でございます。
  69. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いや、私がお聞きしたいのは、そういう一般的な見方でなくて、いわゆる奥地に産業開発をやるための道路をやっぱりつくろうということだろうと思うんです、これは。そうだと思うんです。したがって、奥地に行くためには、おっしゃるように、県道を主体に考えなくちゃいかぬと思いますね。ところが、そこでもう一つ基本的なことをお聞きしたいのは、これからの産業開発に対しては農地の問題があります。これは御承知のように、日本の場合は、国民の最も必要とする食生活に対する産物はほとんど輸入の形態をとっておるというところに問題があろうと思うんです。従来と違って、この農村道路開発というのは、少なくとも農地の将来への計画ということを考えないでやっていくということは、これは重大な問題じゃないかと思うんです、総合計画から考えてみてですね。したがって、単にその市町村から、あるいはまた地方自治体——県からそういう要望があって、産業誘致のための道路ということになりますと、これは非常な問題じゃないかという私は気がしておるんです。と申しますのは、今日まで出てきておる地域住民の不平というものは、これがまず人間優先という形で行なわれていかなければならないのではないかと。けさもテレビでやっておりましたが、富山県で農地がほとんど産業開発のために公害化してきたと、したがって、こういう時代では子供の健康、みずからの健康の保持できないと、したがって、三重県の開拓農家に行って、今日、一年間次の生活の道を開いておるという放送もありましたが、この開発そのものが地域住民のためでなくて産業開発のための道路になってはいかないと思うんです。ところが、建設省道路さえつくればいいというお考えはないでしょうけれども、そこいらの総合的な開発のあり方、したがって、また地域住民の賛同する形における道路のあり方というものを基本に考えなくちゃいかぬのじゃないかという私は考えを持っておるわけです。こういう面に対する基本的な大臣考え方、これをひとつお聞きしておきたいと思うんです。
  70. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 確かに御指摘の趣旨、私も賛意を表するわけでございます。実は、一時、産業優先的な風潮が地方自治体等にもございまして、工場誘致とか何とかという非常に私ども陳情を受けた時代もあったわけでございますけれども、ただいま御指摘のように、人間尊重、公害防止というような反省が全国的に高まりつつあることは、私は、非常にいい傾向であると、こう考えるわけであります。私も生まれたところが農村でございまするし、過疎地帯等も承知をいたしておるわけでございますが、こういう地区は、主として農業、林業あるいは果樹等によって、養蚕業等によって生計を維持してきておるという地帯が多いわけでございます。ところが、そういう地域の道路整備というものは、御指摘がございましたように、非常におくれておると。やはり国道、県道それから町村道といったような順位で整備計画もできておるということであったわけでございますが、これも現在の五ヵ年計画を策定いたしますときに生活優先というような点も十分考慮に入れましてでき上がったというのも、生活優先、人命尊重というような気持ち行政の中に、また計画の中に取り入れたということの証左でございまして、私どもとして、今後も、特にこの産業道路と、産業優先ということじゃなくて、やはりその地域住民が将来長く生計を繁栄さしていくためにどうあるべきかといったようなことを中心にした地域道路整備というような点も十二分に考慮していかなければならぬのではないかというふうに考えまして、そういうところにおいて、例のガソリン税身がわり財源によって農村の道路整備したいという農村からのほんとうに積極的な、自然発生的な要求もございまして、俗に言う農免道路というような構想も農林省において進められておるわけでございます。道路建設省ばかりでやるというような御指摘もあったわけでございますけれども、農村地域においてなかなか建設省が手の回らない面、これはもう建設省でやりたいと申しましても、何しろ百万キロ近い町村道というものがあるわけでございます。もうみんな砂ぼこりを立てて、農業経営にも非常に大きな障害を与えておるわけでございますので、これはもう建設省とか何とか言わずに、やはり協力し合って、現実に基幹農免道路といったような問題についての整備も全国的に取り上げてはかっておる次第でございます。こういうふうに、生活重点の予算の行使というような点については、一そう御趣旨を生かしてやっていきたいと考えております。
  71. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そういう点については、けさの質問にも大臣が答弁されておるように、建設省だけじゃなくて、横の連絡をとって十分配慮をしていきたいということですから、決してそれを疑うわけではございませんけれども、従来からの方針は、少なくともやっぱり産業道路として開発ができたと私は思うんです。農村で今日立ちおくれておることは、われわれも十分認識をしておるわけです。まず舗装のない町村というのはもうたくさんあります。したがって、下水も十分でないというような県ももうたくさんあります。それはそのようにやっていただかなくちゃいけませんけれども、これも国総法の問題の関連の奥地産業開発というようなものとつながって、それが優先することを私はおそれるわけです。何としてもやっぱり農村は純農村として生かすという、そして、しかも農民が文化生活ができるようなシステムをやっぱりつくってやるんだと、そうすればその地域において生活が安定し、かつまた若い青年の定着も多くなっていくんじゃないかという点は、これはもう現実考えてみて非常に重要なことだと考えます。  そこでお聞きしたいんですが、いままでの道路計画において、きょうも午前中、騒音の防止のために中国で問題になっておるというお話がありましたが、私は、建設省として道路の路線をきめる場合のルートと構造については、少なくともまず何を先に考えるかというと、地域住民福祉を主体に置かなくちゃいかぬと思うんです。ところが、いま出ておるいろんな問題がございますが、道路公団等でやっております計画は、ほとんど市町村の議長あるいは議員とか、こういう人たちの意見を聞いて、そうしてつまり地方条例できめていくと、こういうルートをとっておられると思うんです。実際には、自分たちの町が二つに分断されるということは、計画が出されて後に地域住民が知るというのが今日までの実例ではないかと思うんです。ひどいのになりますと、逆に市長は承認しておると、そうして市長は県知事にそれを申請して、認可を与えると、こういうシステムのケースでかなり要らざるトラブルを起こしておるというのが今日までの、いわゆる地域住民の反対として大きく表面化しておるというのが現実だと思うんです。そういう面から考えてみますと、私がいまちょっと触れましたような方法で、ルート、構造等については、どういう建設省としては取り扱いをしておられるのか。まず四国なら四国の、建設省としていろんな政策をお立てになるでしょう。そうしてその委員会もできております。地域住民とほんとうに折衝するというのはルートができてからやるのか、事前に少なくともその意見をやっぱり拝聴しながらルートをつくろうとするのか、その点詳しくひとつ御説明願いたいと思うんです。
  72. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいまのお話で、実は道路の種類によりましてそのやり方は異なってくると思います。たとえば高速道路の場合、これはもう御承知のように、大まかなルートが法律できめられておりまして、それに対して基本計画あるいは整備計画というものを審議会の議を経てきめます。それから今度公団が調査に入りましてルート発表をし、それから実際の設計、協議ということになるわけでございます。そういうことで、その間に、たとえば基本計画整備計画の間は幹線自動車道審議会という審議会でかかり、まだその段階ではこまかいルートにはなっておりません。非常にある幅で通っております。それから、それがきまりましてから路線発表しますときには、ある程度路線が固定してまいります。その段階では、公団は県あるいは市なりの関係行政機関の方々といろいろ打ち合わせをし、同時にその地域のほかの関連事業がたくさんございます。農政の関連もございます。あるいはその他の関連事業の調整をとり、あるいはまた文化財等がたくさんあるところもございます。そういう場合には文化財の調査もし、その上でこれがよろしいであろうということが大体きまりまして、それから地元の方に路線発表するわけでございます。そうしますと、そのときに初めてどこがかかるという問題になりまして、地元——地元としても、県も地元でございます、あるいは市という段階も地元でございますし、あるいは個々の土地の所有者の方も地元という、非常に一番小さい地元ということでは、そのルートがきまった路線発表の段階で知るわけでございます。しかしながら、その路線発表いたしましてからも、いろんな道路の構造の問題やら、あるいはそれに伴なった水路の問題、取りつけ道路の問題、たくさん問題ございます。これは設計、協議の段階で話し合いをしながら、その構造の形をきめていくという形をとっております。  一般道路の場合は、その整備計画基本計画というものがございませんで、国道の場合ですと地方建設局がいろいろ調査をいたします。そしてその路線の性格であるとか、あるいは交通量であるとか、あるいはその土地の利用がどういう土地利用計画になっているか、工業地域であるか、商業地域であるか、住居地域であるかというようなこと、あるいはその地質、地形等の自然条件もございます。また、その環境条件もございます。そういうほかにいろんな先ほど申しましたような地域計画の問題やら、関連事業たくさんございますが、そういうものを全部調査をいたしまして、これが一番いいというものを、これはやはり県あるいは地元の市町村の方々と打ち合わせをして、それでこれなら大体よかろうということできめまして、それから地元の方に発表ということになるわけでございます。その発表をしてからも、先ほどの高速道路と同じように、ほんとうの地主の方々とは、それからいろんな問題で協議をしてまいるということになります。ただ、この道路が都市計画の地域内を通る、非常に住居地域あるいは人口の多いところを通る場合には、最近はほとんど全部都市計画決定をいたしまして、そこでその都市計画決定の段階でルートも縦覧いたしますし、また苦情があればそこで苦情も受け付けるというような形で、その上で都市計画決定としてきめた上で事業にかかるということをとっております。
  73. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大体そういう行き方でしょうということも私は想像いたしておりましたが、それでお聞きするのですが、たとえば五万都市で、実際にその町を——これは一つの町ですよ。五万の人口の一つの町で一万人の該当する町があるとしますか、それを二つに分断するような場合は、これはたいへんな問題だと思うんですよ、その地域住民にとっては。いまあなたの御説明を聞くと、それは一番最後ですわね。それでは地域住民が納得しないのじゃないかというわしは考えを持つわけです。現にそういうのがあるのです、あとで質問しますけれども。地域住民は、結局、ルート、構造というものを市の段階あるいは県の段階で、あるいはまた審議会、委員会の議を経て、そうして市の条例でも委員会をつくって、しかも市長が一つの指名権を持っておりますから、自由になるわけです。そうすると地域住民の、先ほど申しましたように、いわゆる五分の一の町あるいは六分の一の町の住民には、ルートがきまった後でないと公にされないわけなんです。これでは地域住民のためになるような路線というものは決定しないのが当然ではないかと私は思うんです。私は、こういう問題に何回か遭遇するのですが、陳情に。これは福井県でもそれがございました。一ぺん路線を決定しますと、これは町を分断するということであったのですが、しかも一ヘクタールの田地を七〇%まで道路拡張のためにやはりつぶしていかなくちゃいかぬと。しかも、その農民たちは三十人なら三十人の団体でいままでは一ヘクタール平均あったものを、八ヘクタールにしてでも助けていこうじゃないか、三十アール残ったんじゃもう農民として暮らせないというので、そういう助け合い運動をして、その路線の決定にもう少し農地を生かすような方法にしてくれ、町を二つに分断しないような方法にしてくれ、こういう陳情が一ぺんあったことがある。いろいろなぼくは方法で建設省にもあるいは公団にもやったけれども、市長が承認しておる、県知事も承認しておる。なかなかその変更をしようとしないわけですよ、一ぺんきまると。ここらが一番地域住民を悲しい苦境に追い込んでおる政策ではないかと思うんです。それでは地域住民は浮かばれないんじゃないか。特に最近の高速道路バイパス等におけるところの公害というものをまのあたりに見ておると、ますますこれからはそういう面の困難性があると見なくちゃいかぬじゃないかと私は思うのです。それをもう少し地域住民を尊重するという形で、市長や地方自治体だけでこれをきめるというんじゃなくて、ほんとうに犠牲をこうむるという地域住民、これの意見をまず先に聞くということが、それをまた納得させてやるということが正しいんではないかという感じがするわけです。この点、どうですか。
  74. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) お話ごもっともでございます。私どもも最近道路事業を実施するにあたりまして、非常にあちらこちらでそういう問題のトラブルが起こっております。したがいまして、なるべくそういうことがないように事前に了解済みで道路ができればいいなということを常に考えております。  ただ、そこで一つ問題になりますのは、最初から地域住民の方々に意見を聞きたいということは考えておりますけれども、その場合にでも、やはり何かルートがなければ、さあ、どこにいたしましょうかということでは、やはり私は地元の御意見を聞くことにはならないと思います。その場合に、たいてい地元の方々も、やはり道路をつくりますところには、高速道路は別でありますけれども、一般道路の場合は道路の必要性、この辺を通ることはやむを得ないなということは、皆さんやはり御了解はいただけるんです。ただ、だけれどもここを通ることが困るんだという事例が多いわけでございます。そうした地元の方々の御意見を伺う場合に、どこを通るかきまらずにやはり伺いようがないわけでございます。したがいまして、やはり私どものほうはいろいろなことを考え、先ほどの地域分断が起こるということがあれば、それはもうなるべく起こらないほうがいいわけでございますので、そういう点も道路計画の場合には十分考慮に入れて、総合的に判断した結果、やはりこれしかないということで地元の方にお打ち合わせをするわけでございます。したがいまして、地元の方の御意見を初めから伺うのはいいんですけれども、そうしますと、その地元何万人の方全部の御意見を聞かなければならないことになりますし、あるいはまた、この地区は通ってもいいけれども、この地区はだめだというのがはっきり出ればいいですけれども、これはやはり道路ができますことによる利害というものが、一つ道路でも賛成の方もおれば反対の方もおります。それから道路をつくった場合に買収される方は賛成だ、残る方は反対だという隣り同士の賛成と反対もございます。したがいまして、そういう意味の地元の御意見を聞くことはできるだけやりたいと思いますけれども、何かそこに限度がございまして、そういう点をやはり総合的な判断という形で、地元の市当局あるいは議会というようなところの御了解を得れば、まあそれがやはり集約された地元の御意向であるという考え方でわれわれは進んでいかなければならないのじゃないかということで、いまのお話も十分わかりますし、できるだけそういう形では進みたいと思いますけれども、なかなか実際にはむずかしい点があるわけでございます。
  75. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それじゃ、一つだけ確認しておきますが、もしルート、構造というものができて、大体、市も賛成だ、あるいは市の条例でもそれを賛成の方向でやはり委員会をつくっていったと、賛成の方向でですよ。その場合に地域住民がどうしても反対だ、こういう場合は変更する余地はあるわけですか。私は、それができないようなシステムになっておるのじゃないかと思うから、あなたに質問するわけですが、いままでの実例もそうであったと思うんです。だから、そこらの運営上が、たとえばかりのルート、構造をつくった、これでまずこの町とこの町と町を分断することになります。しかも四十メートルの道路だ、むろん人道もつくる、自転車道もつくるということにその計画はなるでしょう、そういう場合はですね。そうして環境のいいような方向の道路をつくるのだ、あるいは通学については支障はないんだ、病院に行くのにも横断しなくても、これは地下道で行くようにするとか、いろいろな政策があるでしょうから、そういうできた構造の改革、いわゆるルートの計画をまず地域の住民におろす方法は幾らも市の運営上もあろうと思う、あるいはまた市がそれをやろうと思えばできると思うんですよ。だからそういう点をみずからやはり政府としてもそういう方針で進めるというのが賢明ではないかと私は思うのです。なかなかむずかしいと言われるけれども、むずかしいことはないのです。まずそれを発表する前に市の市長の協力を得て、その地域の住民を集めてもらって説明をして、これで賛同している、いや、十日間余裕をくれるならくれとか、地域住民が言えばそれだけの期間を与えてやって十分審議をしていただいて、そうして問題の成功するならするという、路線決定をするということになるのにそうむずかしいことはないと思うのですね。逆の方向が、事後起こってくる問題としてこの苦情が出て、ほんとうに困っておるのは地域住民なんですよ。その点をどうお考えになりますか。むずかしいと言えば、それはおかしなことじゃないかと思いますね、むずかしいことはない。
  76. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいまのお話のことは、大体私どもそれをやっておるわけでございます。ただ少し違うような感じがしますのは、たとえばルートがきまって市なりにおろして、市長も市もこれでいいと、あるいは市がそこで住民の方々に集まっていただいて、これでいいかというその段階が、私どもは、路線発表をしてからそれをやっているわけでございます。市なりあるいは議会なりにそれをお話いたしまして、大体よかろうという返事が来るときには、おそらく地元の市として大体の意見をそれぞれのところから聞いて、大体の意見として返事をいただいていると思っております。ただ、ほんとうに地元の方が集まってということはまだその段階ではありませんけれども、そこでオーケーになりますとルート発表ということをいたしまして、それからはその地区ごとにこまかくその道路がここを通りますということで、その場合の構造はこうなりますということを説明し、それに対していろいろ御議論があれば、それに合うような形で道路をつくってまいりますということを打ち合わせをやっておるわけでございます。ただ、もしお話の場合に、たとえば市にこちらからルートを示し、市が地元の方を呼んで、そこでオーケーを得られれば、これはもちろん問題ないわけでございます。ところがこれはだめだ、だから今度こちらへ振れということになりますと、今度もしかりにそこで振ったといたしますと、今度振る側の地元の方々をお集まりいただいて、今度こういうふうにここを通りたいということになりますと、やはりまたそこで利害の相反する方もいらっしゃいます。ことを通られちゃ困ると、当初向こうという形だったんだから何でおれのところへ持ってくるんだと、変えられるものなら向こうへ持っていけということで、ルートが振り回しになりまして、なかなかもう今度は収拾がつかなくなるということも出てまいりますので、私どもは、もうできるだけいろいろな点を考え、また、いろいろなそういう地元の方の御意見もいれた上で、やはりある程度きまったものについては、できるだけそれを変えずにやりたいということを考えておるわけでございます。ただ、非常に問題になりますところの先ほど申しました市街地等につきましては、これは都市計画決定ということで、その計画を出した段階で、先ほど申しましたように、縦覧もいたしますし、あるいは都市計画審議会という場でいろいろ議論していただいて、そこで計画決定というものが行なわれてから仕事をいたしますので、その段階ではまだまだ地元の方の御意見はいれられる余地がございます。そういうやり方をできるだけその都市計画地域につきましてはやるようにいたしております。
  77. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それで、私、具体的に聞きますが、実例がいま出ておるものですから。問題の起こっておりますのは愛媛県の伊予三島市です。国道十一号線、バイパス建設計画ですね。この反対組織ができておることは御承知だと思います。そこで、反対している中で、二月の十八日より市内関係地区の五ヵ所で建設省と市によって説明会を開いておるわけですよ。そのときに反対意見が続出しておるわけですね。市は賛成なんですよ。市の条例できまった。委員会も賛成なんですよ、これ。そういう賛成だというにもかかわらず地域住民が反対しておるということは、その説明会自体おかしいではないかと言うているんです。だから私がとる方法は、ルートと構造がまずできたら、その地域住民、分断されるその地域の町民にまず説明会を開くとかいうような方向でやるべきじゃないかと思う。一方にきめちまってから、市も大体賛成だと、あるいはまた、建設省はなおさらその路線を確立したいと、そういうことをきめてしまってからどうだと、こういうところに問題があるんじゃないかと思います。しかも、最もこれでひどいのは、これはこういう反対者の方が批評をしておるわけですが、どういう批評をしておるかと申しますと、この道路については、ここに大王製紙という会社があるわけです。その大王製紙のためのつまり産業道路に結びつけておるのではないかという、これが地域住民のやっぱり大きな反対の理由の一つであるわけです。だから、私が大臣にさっきからお聞きしたのは、企業のための道路ではいかぬと言うのです。ほんとうに地域住民のための開発道路でなければ役に立たないということ、最初聞いたのはそういうことなんです。市民はそう思っておるのですよ、一部の分断される町民はね。こういう点をあなたの説明から、しからばそれを常識的にそうむずかしいかいなと私が考えるなら、それはなるほど運営上はむずかしいような気がせぬではありません。けれども、ここだけの反対じゃないんですね。川之江市も反対しておるわけです。こういう継続的にこれが行き先全部反対者が出てくるということになれば、どんなルートの構造を発表されても、できぬじゃありませんか。大臣考え方の精神と違うじゃありませんか。そういう点はもっと事前に地域住民のためになるような政策を——それは皆さんが市長に依頼すればいいんですよ。この町内の人は町が分断されますと大きな迷惑をこうむるかもしれませんが、しかし、これからつくろうとする道路はこういう道路ですと、説明会を事前にやるべきじゃないかというのが私の主張なんです。どうですか、その点。  それからもう一つ、この三島市の道路については、すでにもう市長が承認し、かつまた県知事も承認して、大体路線がきまる方向にいっておるのかどうか。その点をはっきりしてください。
  78. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 最初の伊予三島市のルートの問題でございますが、実はこの十一号線のバイパスをつくりますときに、海岸に沿っておりますところは工業地域になっております。それから商業地域がございまして、そして山のほうが住居地域ということになっております。そこをどこかは通らなければなりません。そこで、これは地建が市等とも打ち合わせしたときにも、できるだけ商業地域と住居地域の境目のところ、そこを通ってほしいと。それよりさらに山へ上げますと、これは住居地域に入ります。それからもう一つ山のほうに高速道路ができる——一つ計画としてはございます。そういたしますと、山のほうに、住居地域のほうに大きな道路が二本もできるというようなことから、いろんなそういうバランスも考えまして、それから山のほうへいくと何か文化財があるそうでございます。そういうようなことから、市あるいは市の議会のほうも大体そのルートでよかろうという承認をいただいておるようでございます。そこで地元の方とのお話し合いに入ったんだろうと思います。ただ、この道路は、先ほど申しました都市計画の区域の中に入っておりますので、都市計画決定という手続を踏んでからでないと私どもは仕事をしないつもりでございます。これはまだ決定をいたしておりません。後段のほうの御質問のお答えになりますけれど、たぶんことしの十二月ぐらいか、ことしの末ぐらいを目標に都市計画決定をしたいということを考えております。これは伊予三島も、あるいはもう一つ隣りの川之江、ここにつきましても同じようにまだ計画決定をしておりませんで、そういうことをいま調整しておる段階というふうに考えております。
  79. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 三島より川之江のほうがもっと激しいんですよ、私もよく存じておりますが。したがって、いま高速道路をこの山手につくったらどうかという点が問題になっておるようですが、高速道路が通るがゆえに、できるだけ山手に寄せてもらいたいというのが地域住民考え方ですよ。ところがこの中間にくるということは、御承知のように、ここに愛媛でも切っての大きな大王製紙があるわけです。これは相当な企業なんですね。しかも、これは公害もあるということを私は聞いておりますが、もうすでにその道路を結ぶための道路企業としては開始しておるということですね。だから、こういう結びつきがないと言っても、一般地域住民はやっぱりその結びつきを疑うわけですね。だから反対せざるを得ないということにもなろうかと思うんですが、そういう一歩市なり県なりが進める前に、やっぱり建設省としても、地域の住民に重大な影響があるんですから、町を二つに分断するんですから、そういう場合にはやっぱりそこの了解を求める。たとえば四十メートルの道路で相当人道もつくる、自転車道もつくると、そして騒音その他も防止できるような方策の道路をつくるんだと、こういうことを事前に話をして了解を求めていくならば、私は、うまくいくんではないかと思うんです。幸いにしてまだ決定してないようですから、この道路はぜひ考慮していただくのと同時に、この三島市から今度は川之江に行く、今度は川之江市がかなりこれはまた反対をいたしております。だから十二月までにきめるとおっしゃるけれども、なかなかきまりはせぬと、こう思っておりますよ。だから、できるだけこの山手に、しかも、たんぼは一等農地ですね。こういう点をできるだけ避けて山手のほうに移動する、こういう計画と方針をもってやっていただくのが賢明ではないかという考え方を持つわけですが、それに対しては、現地も十分見ておられぬでしょうから、ひとつ調査検討して十分配慮を願いたいと思いますが、どうですか、その点。
  80. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 高山先生のただいま御指摘になりました愛媛県の伊予三島市のバイパスの問題、実は私も長い議員生活の間同じような経験を何べんかいたしておるわけであります。調べてみますと、結局は道路公団あるいは地建は県にまかせると、そして市なり県なりの議決をもらえばもうこれでわがこと終わりといったような、人手の足りないせいもありますけれども、そうして行政の手順をずんずん進めてしまう、そうしますと、これは東北高速自動車道の際も、非常に私苦労をしたわけですけれども住民は、路線発表になりますと、相当幅広い千メートルくらいのあれで発表になりますから、自分のあれがかかるんじゃないかということで、えらい不安を持つわけです。そこからいろんなやっぱり住民のそれぞれの推測、憶測というものが一つ住民運動になって、これがもうどうにもならないところまで進んでしまう。そういう事態になってから今度あわてて道路公団なり、県のほうでもいろいろと苦労をされる、こういう経験を私もいたしておるわけであります。そこで、もうこういうことを二度と繰り返さないようにということで、私どもの当初苦労した点を宮城県側のほうに、非常に狭隘なところもあったわけでありますけれども、そこを話し合いをする場合には、もう最初から、大体路線発表になって、この辺はこういうふうになって、ここからここまでは土盛りで、ここからここまでは高架になって農業経営には支障がないんだというようなことをすっかりとあらかじめ具体案を、自信がある具体案を持って道路公団の理事者なり何なり責任ある方あるいは建設省の地建の管理職にある方に来てもらって、そして夜、懇談会を開いて話し合いますと、みんな不安を除いて、いや、それならば何も反対するあれもないと言って、お互いに理解し合えると、そういうことがあるわけでございますので、この問題につきましても、本省においては、どういう現地の事情になっておりますのか、一応とにかく市議会、それから県の議会、それぞれ承認を受けて路線決定がなされておるという先生の御説明でございますけれども、なおよく検討いたしまして、地域住民のためになる道路が怨嗟の道路になったんでは、これはもう私自身立つ瀬がありませんので、御指摘のありましたとおり、さらに話し合いを進めて、市当局にもよく事情を聞いて対処したいと考えております。
  81. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは局長、今後も当事者としてお当たりになるでしょうからね、こういうことを聞いておるんですよ。伊予三島市の概況を申し上げますと、当市は、人口が三万九千人で大王製紙を中心とする製紙産業の都市で、海水の汚濁、大気汚染、悪臭等公害にて全国的にも有名な小都市でありますと。市政はもちろん、県政まで、ややもすれば大王製紙の経営者に支配されておるのではないかと、こう言ってるんです。もう地域住民がこうとってはだめなんですよ。この点は十分踏まえてやってもらうことを局長にも特にこの点はお願いしておきます。大臣からはいま回答がございましたから、それをまず了承して先のなりゆきを見ていきたいと思います。  もう一つ、これで問題が起こっておるんです。これはけしからぬと思いますが、文部省、だれか見えてますか。——いまお聞きのとおり、この三島の反対の地域住民が公民館を使用していろいろ協議をしようという手続きをとったわけですね。ところが、この公民館でそういう協議をすることはまかりならぬという拒否をしておるわけです。ところが、御承知のように、この公民館の使用条件ですが、第二十条にこういうことが書いてあります。生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的として公民館を使うことは当然であるということになっておるわけです。ところが、地域町民がそこで集会をやろうとしたら、それまで阻止しておるということの報告が私に来ておるわけですが、一体、こういう使用の条件というもの、中央としては、これに対しては指導と援助をするという法律になっておりますが、その町民のためにつくった公民館を、地域住民がそういう公害を阻止しようと、そういうことを考えた集会に対して公民館を貸さないということは、少し不当だと思うのです。この運営と指導についてはどういうふうにお考えになっておるのか、一ぺんお聞きしておきたい。
  82. 澤田徹

    説明員(澤田徹君) お答え申し上げます。  公民館は、市町村が設置する社会教育施設でございまして、その使用の目的につきましては、ただいま先生御指摘のように、社会教育法の定めるところによりまして、市町村の住民の教育、学術、文化に関する各種の事業を行ないまして、住民の教養の向上等に寄与すると、こういうふうに定められております。その具体的な事業としましては、同じく社会教育法で、たとえば青年学級を開設すると、あるいは定期文化講座を開設する、体育レクリエーションに関する事業を行なうと、こういったような規定に相なっております。  そこで、個々の公民館の管理運営でございますが、これは地方教育行政の組織及び運営に関する法律に定められたところによりまして、市町村の教育委員会がこれを管理すると、こういうことに相なっております。したがいまして、公民館の利用の許可につきましては、これを管理いたしますところの教育委員会が、御利用の申し出があった際に、公民館の年間の学習計画あるいはそのお申し出の事業を公民館が、先ほど申し上げましたような社会教育施設としての学習事業に該当するかどうか、こういったようなことを判断して許可すると、こういうことに相なっているわけでございます。しかし、個々の公民館のそういった利用の状況等につきましては、私、こまかく詳細には把握いたしておりませんが、先ほど、先生の御指摘ございましたような事例につきましては、市の当局にもよく事情を聞きまして調査いたしたいと思います。
  83. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いや、そのあなたが説明されたのは、私も法律で読み上げればわかっておるんで、そうじゃなくして、こういうことが来ておるんですよ。昭和四十八年十二月二十四日に決議された国道一一号線バイパス審議会条例の趣旨は、伊予三島市がこの事業に取り組む基本的な姿勢を明示しておりますと、貴団体の結成の趣旨を尊重いたしますとき、独自の自由運動によることが望ましいものと思います。学校並びに社会教育施設等を使用して反対運動に便益をはかられることは適当ではありませんと、こう言っているわけです。これを強く主張しますと、われわれ公害の調査に行きますね、水俣からずっと行きましたが、熊本、全部公民館使っておるじゃありませんか。われわれ国会議員はそこでつるし上げですよ。それもやっちゃいかぬということになるんですよ、これ。こういうべらぼうな話はないじゃありませんか。しかも地域住民のためにできておる公民館が、文化なり、あるいはまた、地域住民の利益をはかろうとする話し合いをするのに公民館を使っていけないという、いくら地方の条例があるにしても、政府指導が悪いじゃないですか。すべて運営はその地方条例におまかせして地方教育委員会でやっておるというけれども指導と援助をしておる限りにおいては、こういう面については、公民館というものは一体だれのためにつくっておるのか、地域住民のための文化を中心としてできておるんじゃありませんか。それにそれを貸すことすら反対だというような非民主的な今日の社会ではたいへんだと私は思うんです。これをどうお考えになりますか。いま私が申し上げましたように、われわれがいろいろ調査に行きます、公害やその他で。全部それは公民館でやっております。はち巻きを締めて、そうしてわれわれは陳情を受けております。これもいかぬと言われるんですか。その点どうお考えになりますか。
  84. 澤田徹

    説明員(澤田徹君) お答え申し上げます。  公民館の個々の管理につきましては、先ほどお答えいたしましたとおりでありますが、これをどういう形の事業で公民館をお使いになるのか、これは先ほど申し上げました公民館が社会教育の学習の施設ということでございますので、その事業がやはり地域住民のそういった文化、教養の学習に資する事業であるかどうかという判断で教育委員会が行なっておるわけでございますが、御指摘のような点につきましては、私どももよく実情を聞きまして善処したいと思っております。
  85. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは当然あなたのおっしゃるように、二十三条に「文部大臣及び都道府県の教育委員会は、市町村の設置する公民館が前項の基準に従って設置され及び運営されるように、当該市町村に対し、指導、助言その他の援助に努める」ことができると、こうなっておるわけですよ。だから、今日の事態に、その地域住民のたとえバイパス道路反対のための集会であっても、公民館として、これを使用することはできないというような非民主的なあり方自体は許すべきじゃないと私は思うんです。あなたを責めてみたってしかたがないですけれども、当然これはひとつ文部省として十分調べていただいて経過その他をお知らせ願いたいと思います。  以上をもって終わります。
  86. 春日正一

    春日正一君 私は、住宅政策について幾つかの点でお聞きしたいと思います。  御承知のように、現在、公営住宅、公団住宅など公共の賃貸し住宅建設難が非常に深刻になってきております。そこで、お聞きしたいんですけれども、四十九年度予算における計画戸数の減少、四十八年度計画戸数の建設のおくれなど、年度の途中で削減してもなお着工できないような状態があるわけですけれども、現在どういう状況になっているのか、その点の状況の説明をお願いします。
  87. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 先生おっしゃいますように、公営住宅、公団住宅が主でございますが、大都市地域におきまして四十七年度以来非常に難渋をいたしております。四十六年度までは何とか消化しておったわけでございますが、それ以後そういう事態が起こっております。ただいまの御質問によりまして、四十八年度、これは公営住宅から申し上げますれば、全国で十二万四千戸という当初予算計画をいたしました。これがその後の物価の値上がりあるいは用地難、そういうことによります公共団体の施行能力のダウン、こういうふうな問題から戸数が最終的にはかなり減ってくる、こういうふうなことでございまして、大体十万八千戸程度に最終的にはなるだろう、かように考えております。この十万八千戸の中、年度内に発注いたしますものは九万戸程度に年度末でなろうと私ども見ております。したがいまして、一万八千戸分が四十九年度に繰り込んでいる、かようなことになります。  公営だけ通して申し上げますと、四十九年度予算といたしましては、私どもは、公営住宅予算といたしまして、予算額といたしましては二〇%程度の伸びでございますけれども、戸数は九万五千戸というふうなことで計上しております。この九万五千戸というものの考え方は、ただいま繰り込んできました一万八千戸、これと合わせまして十一万強になりますが、こういうものが公共団体をすべてヒヤリングいたしました結果の能力の最高限であるというふうに考えまして、私ども、逆に申し上げますれば、十一万戸強というものがいまの状態からいきますと最大限の能力じゃないか、こういうことを個所別につかみまして、それからこの一万八千戸というものを差し引きますと九万五千戸、かようなことで戸数は減ということで予算を計上いたしました。しかし、この九万五千戸ということは、戸数からいいますと後退したわけでございますので、これは確実に実施をしなければいけない、そのためにはやはり単価の問題もございます。そういうことで、単価につきましては四六%弱という大幅なコスト・アップ考えておりますし、さらに従来から評判の悪うございました狭いということの解消にも対策を立てた、かようなことでございます。  公団住宅につきまして同様の経過を申し上げますれば、四十八年度は当初計画八万戸でございました。ところが、これも単価アップその他の影響を受けまして、最終的にはこの四十八年度分といたしましては五万九千戸の程度に戸数は落ちるというふうに私ども現在見込んでおります。その五万九千戸の中、当年度、四十八年度のうちに発注ができますものは、いまの見込みでは四万八千戸程度でございます。したがいまして、一万一千戸程度のものが四十九年度に繰り込んでいる、かような状態でございます。そこで、四十九年度におきましては、予算といたしまして七万戸を組んでおるわけでございますが、合わせまして八万戸強の建設を行なうということで、特に公団は大都市周辺の、大都市地域の住宅供給でございますので、その辺の能力というふうなものを見込みまして、先ほど公営住宅で申し上げましたようなものに準ずる予算措置をした、これが四十八年度の経過と四十九年度の予算のつながりでございます。
  88. 春日正一

    春日正一君 非常に深刻な状態だと思うんですね。先ほどの説明で年度内ということですから、まだ二、三日残っているわけですけれども、私のほうで建設省からお聞きした数字でも、二月末現在では公営住宅で六万六千四百、だから当初の計画に対して五三・五%、それを改定して数を減らしたものに対しましても六一・五%というような数字になっておりますし、それから公団のほうも、二月末現在の実績あるいは発注戸数を見ると、一万一千五百、当初の計画八万に対して一四・四%、改定した五万九千に対しても一九・五%というような非常にこう寒々とするそういう実情があるわけですが、そこでこういう状況に対して、いま言われたように、四十九年度は、前年より公団のほうも公営のほうも実際上戸数を減らすというようなことになっておるわけです。しかし、それで済む問題ではないわけですけれども、一体おもな原因としてどういうものがあり、それをどう打開したらふやしていけるのか、その点のお考えを聞かしてほしいのですが。
  89. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 先生おっしゃいました現在二月末の数字、そのとおりでございます。ただし、一月、二月、狂乱状態でございまして、ほとんど入札が不調だった。最近入札が落ちるようになってまいりました。そこで、私が申し上げました戸数を目標にどんどんいま出ておるわけでございます。これには一〇〇%の努力をしなければいけないと考えております。  それから、さようなことになってきた原因でございますが、実は先ほど申し上げましたように、四十六年度はほぼ計画がたいしたそごもなしにいったわけでございますが、四十七年度から急激に状況が悪くなってきた。それは大体大都市地域、東京及びその周辺あるいは大阪及びその周辺、ここらが一番大きなところでございまして、まず最初に東京周辺からそういう事情が起こってまいりました。この原因は、やはり基本的には、建物を上ものといたしますれば下ものの問題、こういうものが土地の問題にからんで大きく出てきたという点が一つでございます。極端に言いますれば、地価が上がって、上がった上に買いにくくなった、かような問題が一つございます。さらに問題といたしますと、その下ものに家を建てるためには、各種の関連公共施設、こういうものがたいへん要ります。あるいは学校等の公益施設まで要ります。こういうものが相当多額にのぼる。そして、地方公共団体の財政を圧迫をする。かような現象が非常に急激に地価の上昇とともに、あるいは工事費の上昇とともに起こってまいりました。そういうことが一つございます上に、さらに人口がふえることがそういうことに拍車をかける。さらには水の問題鉄道の問題まで引き起こす。いわゆる住宅は人の生活をささえるわけでございますから、すべての都市施設が要るわけでございまして、住宅だけ建てればいいということにはならない結果、当然そういうことになったわけでございます。そういうことで、いわゆる団地お断わりというふうな問題が四十七年、四十八年を通じて非常に急激にクローズアップをしてきた。そのために四十七年度から相当大幅にダウンをした、かようなことでございます。そこへもってきまして、四十八年度におきましては、四十八年末の石油問題、それによりまして、それまで比較的安定をしておりました上もののコストが急激に上がった。四十八年度を通じて見ますと、おそらく私どもが積算をいたしましても三五%以上上がった。しかし、相場はそれ以上に上がったということで、先ほど申しました入札不調、こういうふうな問題が大きく起こって、さらにわれわれを圧迫したわけでございます。しかし、かように戸数が減ってよろしいと決して考えているわけでございませんで、五ヵ年計画が達成されなければ私どもの最低限の目標さえも達成できないわけでございますから、私どもは決して減っていいとは思っておりませんが、しかし、できないものを予算を組みましてもこれはやむを得ぬということで、実はむしろ内容の充実に力を入れて、それが完全に消化されるように心がけたわけでございます。  それから、それに対する対策でございますが、こういう経過を見ますれば、いわゆる対症療法と基本療法といいますか、この二つが行なわれなければ、将来の戸数確保、予定どおりの戸数が五ヵ年計画を達成できるというところまでにいかないというふうに思います。基本的には下ものの問題でございますから、まず宅地、これが大都市周辺で大量に造出される、こういうことが必要だろうと思います。さらに、これにつきましては公団の創設とか、そのほか土地に関する各種の手法をいろいろと国会にも提出しております。あるいは準備中のものもございます。こういうふうな各種の手法によりまして宅地を大量に造出することが長期的には必要だ。さらには、土地がありましても、先ほど言った公共施設の問題がございますから、関連公共施設負担制度というものを地方公共団体が受けられるような、そういう状態に持っていく、こういうふうな各種の下ものの実は施策が恒久的には必要だろうと。さらには、住宅は郊外だけではございませんで、中心部にも必要でございますので、再開発ということも、これは今度の法改正も出ておりますけれども、これも基本的に整備をする必要がある。  かような恒久的なもののほかに、こういうものはやはり効果が出てくるまでには年限がかかります。しかし、その間数が減ってもいいかということにはなりませんので、私どもは、緊急策として幾つかの問題をやっておりますし、あるいは四十九年度の予算でも組み込んでおります。たとえばA・B農地、これがいまいろいろと出てくるような状況にありますので、足まめにA・B農地を拾いまして、これを公共体に売るか、あるいは共同で公営住宅なり公団住宅、持ち家、土地所有者の住宅を建てると、そういうふうなこととか、要するにA・B農地をフルに公共住宅その他に利用したい、こういうことで農協とタイアップをいたしまして、いろいろ公共団体と一緒に促進をしております。さらには都市の中にあき地がございます。こういうものも実は一〇〇%住宅に利用したいと私ども考えるわけでございますが、工場あと地なり、あるいは研究学園都市のあと地というものが、施設のあと地ができますれば、大体現状では、この緑の不足の大都市、過密都市の中では公園という声が非常に強く出てまいります。しかし、これ公園に最終的にしてしまったんでは、これは住宅のほうには及んできません。そこで、私どもは、緊急策といたしまして、いわゆるころがしと、私どもニックネームをつけておりますが、窮余の策でございますが、あいたところにとにかく公営住宅なり公団住宅なり、そういうものをまず建てる。それは半分ぐらいは公園にしてもけっこうでございますが、そういうふうなものを建てて、そしてそこに木賃アパート、周辺一定区域の中の木賃アパートなり、あるいはそのほかの悪い住環境にある人たちを優先的に収容する、入れる。そしてそのあと、あきました木賃住宅等は、これはたとえば東京でございますれば東京都が買い取る。買い取るためには私どもも援助を、法的援助をしておりますけれども、こういうふうなことで、買い取ったあとは小公園なりそのほかのものにする。こういうことで、一度あきましたところをころがして公営、公共住宅の供給と都市の整備、環境の整備、こういうことにあわせて行なおう、こういうことでございますれば、過密ということを招かずにやっていける面もございます。集中ということは招かずにやっていけるということで事業主体のほうも受け入れてくれておる状態でございます。そういうふうなこと。そのほか、もちろん国公有地等も同様なことで考えております。  さらに、先ほど申しましたように、単価の面ではまず不自由させないような、四六%弱というふうなものも緊急には上げてございまして、今後、私どもは、減って計上いたしましたこの公共住宅というものは確実に実施をしていくという決意を持っておる次第でございます。
  90. 春日正一

    春日正一君 だいぶ詳しく説明されたわけでございますが、やはりいまの問題として土地の問題の解決、それから受け入れ地域の環境問題、それから地方自治体負担の問題ですね、関連公共施設とか、超過負担に対する。それから資材の高騰による入札不調、こういう問題の解決というような、差し迫ってすぐやらなければならぬ問題がありますけれども、具体的にいまの説明全部に触れていくとたいへんなことですから、順次あれしますけれども、そこで、はっきりお聞きしておきたいのは、これは大臣のほうですけれども、自民党の政策なり、いまの政府の方針なり読んでみますと、持ち家持ち家ということが非常に言われる。そして宅地開発公団というようなことも出てきておりますけれども、一体、公営の賃貸し住宅、公団にしろあるいは公営にしろですね、こういうものをどういうふうに位置づけてこれから進めていこうとしておいでになるのか、施策の基本としての考え方ですね、そこをお聞きしたいんです。
  91. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) この点につきましては、第二期住宅五ヵ年計画にもはっきりお示しいたしてあるわけでございます。と申しますのは、公的に建てようとする住宅の持ち家と借家の割合を見ていただくと御理解いただけるわけでありますが、借家のほうを六〇%、それから持ち家のほうは四〇%というような割合公的住宅整備していこうと、こういう基本計画に基づいて実は昨年度の住宅建設戸数等を割り出してきておる次第でございますので、御指摘のありましたように、自由民主党だからといって持ち家ばかり建てるというような考えは決して持っておらぬわけでございます。やはりライフサイクルに応じまして、大学を卒業して独身の人の入る住宅、また結婚して子供を一人くらいまでの間に入る共同住宅、さらには子供二人大学を卒業させるくらいまで住める住宅、あるいは定年近くなりまして、もう子供たちを片づけて、ばあちゃん、じいちゃんでひとつのんびり庭いじりでもというような方には持ち家をというような考え方で、それぞれのゼネレーションに応じた住宅が提供されると、準備されるということが公的住宅においては私は最も望ましい姿ではないかという考えを持っておりまして、その中にやはりもう人生の半ば以上を働き尽くして、うちの一軒も持てそうだと、こう思う人がなかなか独立家屋が持てないという面もあるわけでございますので、そういう方々に対して持ち家も持てるような方法もひとつ考えなければなるまいと、こういうことでございまして、決して持ち家だけをつくって自民党の勢力拡張に資するなんというけちな考えを持っておらぬことをこの際申し添えたいと思います。
  92. 春日正一

    春日正一君 そういう立場でやってほしいと思うんですけれども現実の問題としては、いまお聞きのような四十一年から本来計画された公共住宅、賃貸しの分が建たなくなってきて、これは分譲も公団では建たなくなっているわけですけれども、特に公営住宅が建たなくなっているというような状況ですわね。だから、その問題は、もしそういうお考えであるなら、よほど決意を固めて、そして予算もうんとつけてもやるというようなことになりませんと、いまのような非常にむずかしい土地の問題とか、そういうような問題、それから最近の何というんですか、物価の高騰というような、そういうような状況の中では、いままでの程度考え方ややり方では、とてもじゃないけれども公営住宅とか、そういうようなものが計画どおり建てられるということにはならぬじゃないかという気がするわけですわ。  そこで、その点はあとでもう一度私の意見もまじえて述べますけれども、ここでお聞きしたいことは、現在進行中の第二期住宅建設五ヵ年計画の策定にあたって、政府は、昭和五十年の時点で年収百九十万円——四十六年価格。以下の層に公的援助を行なうというふうにして公営、公団住宅建設計画を立てたということになっているわけですけれども、いまの条件ではどれぐらいの所得層までが持ち家できると考えておいでか、その点聞かしてほしいんですが。
  93. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) お説のようなことで五ヶ年計画は組まれております。こまかい数字はちょっと別といたしまして、大きく見ますれば、大体この計画当時には二千六百万世帯ぐらいあったと思います。この間の発表では、これが単身者まで含めて三千万になっておりますけれども、これは五分位別に——いわゆる五百万強ずつに五つに割っていった五分位別、これで大体私どもは大まかにロケーションをやっているわけでございますが、一分位、二分位はこれはやはり公的の賃貸住宅、ことに一分位は公営住宅、改良住宅、こういうもので供給しなければならない階層だと思っております。二分位になりますと第一種及び公団の賃貸住宅が上のほうに入ってくる、かようなことに考えております。公団住宅は、したがいまして、賃貸住宅におきましては二分位、三分位ということでございます。私どもは、持ち家の可能性が出てきますものは公庫まで含めまして大体四分位、三分位の上もわずかにございますが、四分位、五分位ということでございまして、五分位の上のほうは、これは援助をする必要がないと思いますが、大体四分位を中心としたものが持ち家だと、こういうふうに実は考えておった次第でございます。しかし、最近のこの建設費の上がりというふうなものは、多少その辺を上へ押し上げておりまして、五分位全体の方がこれを持てるかどうか、現在の公庫融資なり何なりというものはやはり大幅に拡充しなければ、前の予想よりも多少その持てる層が上へ上がっておるというふうに私ども感じておる次第でございます。
  94. 春日正一

    春日正一君 そういう状況ですね。新聞なんかでも公団住宅は出て一軒持ちたいということの中で、建設省の建築研究所建設経済研究室の試算で、昭和四十八年で土地が百六十五平米、建物が七十九・二平米という程度のもので土地が千百五十五万、そして建物が四百八万、合わせて千五百六十三万と、こういうことになっています。それから五十五年には、それが合計して五千五百万なけりゃこの程度住宅が手に入らないということで、この首都圏三十−四十キロの範囲内の土地、百六十五平米五十坪、建物七十九・二平米二十四坪の一戸建てを想定した場合、昭和五十年にはその価格は何と五千五百万円にもなるという。そのとき東京都の勤労者平均月収は四十万円と試算されているが、わが国の場合、住宅の価格は年収の五倍までが限度という見方からすると、この価格は年収の十一倍強となり、持ち家はまず不可能と言える。——これは新聞のあれですけれども、こういうことがいわれておる。これはいま局長が言われたように、最初予定したよりも家の持てる人の範囲が狭くなったということですね。そういうふうな状況になっておるわけですわ。そうすると、やはりいままでよりも、いわゆる持ち家を持たせるという、こういう政策に重点を置いたものから、もっと賃貸し貸し家の質のいいものをたくさんつくると、そういうことにしなければ実情に合わなくなってくるんじゃないかと、事態の推移はまさにそうなっているということだと思うんですけれども、そういう点は、建設省として検討はされているんですか。
  95. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 現在の五ヵ年計画上は、いま私がお話ししたようなことでございますが、一番持ち家が持てるということでございますれば、三分位程度のお話が中心だろうと思いますが、その三分位の下のほうの方々がまず持てなくなるということだと思います。そこで、私どもは、そのときにどうするかというと、やはりこの方々はかなり社会的にも中堅でございますから、持ち家が持ちたいという志向は非常に強うございます。そこで一概にこれをそれじゃみんな賃貸だというふうなことも、これも直接過ぎるというふうに感じております。そこで、賃貸住宅は、いまの建設難でございますが、とにかくそれは必要なだけは十分がんばっていかなきゃいけない、将来にわたってがんばっていかなきゃいけないと思いますが、いまの問題の三分位の下のほうの問題に関しましては、たとえば公団の長期特別分譲という制度を先年からやっておりまして、特に四十九年度におきましては、これをさらに強化してございます。これはどういう制度かといいますと、一口に言うと、公団の賃貸住宅の家賃並みでいわゆる持ち家水準の住宅が持てると、こういう制度でございます。まず、前提は、これは共同住宅でなければ当然持てません。先ほど先生は一戸建ての例を引きましたけれども、この東京周辺あるいは大阪周辺では、土地の問題からいきまして、いまやほとんど一戸建ての方というのは四分位以下ではほとんど持てないと思います。よほど別のルートがなければ持てないと思います。そこで、共同住宅でいわゆる持ち家を持つということで、また安定をはかる方策をやっていたわけでございますが、それは年利五分五厘、すなわち公庫の金利と同じでございますが、五分五厘の原資、これは財投は七分幾らでございますが、それを五分五厘まで下げまして、五分五厘の金利で五年間は金利だけをお払いをいただく、次の五年間は元利均等で償還をする、次の二十年間は七分五厘程度で、これを二十年で償還する。いわゆる中堅階層は、御存じのように、所得もやはり年々一〇%とか向上していきますから、そういう所得に合わせますれば、この傾斜によりまして持ち家が賃貸住宅と同じような負担感で持てる。しかも、私どもは、そのときに大体三万円を割るということを目標にしておりますが、三DK以上、持ち家にふさわしい三DK以上ということで賃貸住宅よりも大きくしてございます。しかし金利を下げておりますので、それが賃貸住宅と同じようなもので最初の五年間はまず過ごせる、そのうちに所得は上がる、かようなことでその辺を調整をする、すなわち持ち家にも援助を入れていく。財投原資よりも金利を安くするわけでございますから、当然一般会計からこの金が入らなきゃいけない。持ち家にもやはりいまの時代では援助が入っていかなきゃいけない。こういうことで、実は四十九年度予算からは画期的なことをやっておるわけでございまして、四十八年度まではそれは六分五厘で出発でございますから、これは財投原資でございますので、一般会計から金を入れる必要はございませんでしたが、五分五厘、一般の金利が上がるのにさからって下げて、一般会計から援助を入れて、一体化した環境のいい持ち家を中堅階層、若年層に供給をしよう、そういうふうな考え方で、この問題は五ヵ年計画のうちは少なくともこういう手法を使って調整をしていく。次の五ヵ年計画はまたいろいろと体系的な問題がございますので、それはまた別途検討いたしておる次第でございます。
  96. 春日正一

    春日正一君 そういう持ち家の計画、いろいろ苦労しておいでのようですけれども、ここにも出てますけれども、三DK、千七百万、都の公社、立川といって立川市内に東京都の住宅公社が建てる団地ですね。これが三DKで千七百万になる。民間マンション顔負けの分譲価格と、こういうふうに言われています。それから埼玉県の入間というから、非常に不便なところですけれども、ここでも庭つきテラスが一千万円突破ということが出ております。だから、そういう持ち家政策に対して、政府の財形政策に対するあれですけれども、新聞の主張、そういうようなものをずっと私も調べてみたんですけれども、こういうふうに言っていますよ、ある大新聞は。「政府案によると、二十歳の青年が、年収の一〇%を毎年積み立てると、十年後には四百十三万円になる。それを頭金に家が建てられる、年収の二五%を毎年返済してゆくと五十五歳の定年までに自分のものとなり、退職金はそっくり残るという。このプランの致命的な欠陥は、土地、家屋の値上がりを全く計算していないことである。バラ色の夢を与えるだけのペーパープランはむしろない方がいい。賃貸の公営住宅をもっと多く建てる方がよほど現実性がある。」、これはある大新聞が財形貯蓄の問題との関連で住宅問題を論じているのですけれども、こう言っている。ほかの大新聞も、多かれ少なかれ、みんな賃貸しをとにかく建てなければだめなんだ、マイホームというようなことは実際に大多数の勤労者には手の届かないことになってきているのだということを主張しておりますよ、それが現実ですわ。だから、あなた方が家の持ちたい人に家を持たせると、私ども、持ちたい人に持たせることにはちっとも異存がないわけですけれども、ということに努力をされることはいいんですけれども、しかし、そういうことの反面、その家さえ持てない人たち、しかも、いまの条件でだんだんその数がふえていっている。そういう人たちに対して一体賃貸し住宅はどうするつもりなのか。だからそれの検討がされておるのか。いままでの割りで、ちょっとここ減ってきたんですけれども、そうじゃなくて、最初の五ヵ年計画の割りでずっとふやしていったとしても、持てない人がふえてきて、賃貸しの必要がふえてくるわけですから、バランスがとれないわけです。そうすると、そのバランスをとっていくために、どうしても公営なり公団なり、そういう公共の賃貸し住宅というものをもっとふやしていかなきゃならないということになるんじゃないだろうか。そこらの辺が建設省で検討されておるのかどうか、これは大臣のほうからお聞きしたほうがいいんじゃないかと思うのですが。
  97. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 持ち家を持ちたいという方には持ち家を持たせられるようにしなければならないという考え、私も強く持っておるわけでありまするし、先ほど申し上げましたように、ライフサイクルに応じて、それぞれのゼネレーションの方々が入っていただけるような賃貸住宅も建てなければならないことは十分わかっておるわけでございます。ところが、いずれも先ほど御指摘いただいたように、公的住宅というものが自治体の協力を一〇〇%得られないという立場から、なかなか予算を計上いたしましても現実公的住宅は建たない。これはもう持ち家も借家も同じようなふうに建たないわけでございます。なぜかというと、結局、土地の問題に帰せてもいいと思うわけでございまして、一昨年からの地価の急激なる投機による暴騰、思惑による暴騰、これをもう是正しなければならない。これには国会のほうでもいろいろ各党お話いただいているようでございますが、一日も早くやっぱり土地規制の法的措置を講じていただくということが住宅問題解決の第一ではないか、こんな感じも持ちますとともに、建設省といたしましても、今国会に宅地開発公団法という法案の御審議をいただいておるわけでございますが、これにつきましてもやはり宅地を豊富に提出できる体制をつくって、そうしてまず地価の規制をしていただくとともに、国民の目の前に宅地というものがこういうふうに具体的に比較的安価に提供されるのだという現実をつくり上げていかなければならないという意気込みで実はおるわけでございます。そうして、まず四十九年度の考え方といたしましては、二千五百ヘクタールくらいのところを一応想定いたしておるわけでございますが、そこに宅地をつくってまいります際には、これも事務当局に指示をいたしておるわけでございますが、どういう町づくりをしたらいいのか、公的機関、公的施設というものをどの程度にマッチさせたらいいのか、また、賃貸住宅をそこに何戸くらい建てたらいいのか、賃貸住宅と持ち家との関連をどういうふうに調整をとったらいいのか、独身寮というような、独身住宅というようなものはその際考慮しなくてもいいのかどうか、そういうあらゆる点から検討いたしまして、そこで一つの町としての機構を十二分に発揮しながらほんとうに楽しい人間生活を送れるような環境を持った住宅、町と申しますか、そういうものを建設していかなければならぬのではないかというようなことを申してやっておるわけでございまして、宅地開発公団ということで持ち家ばかりつくるのじゃないかというふうにお思いの方もおられるわけでありますけれども、先ほど局長からもお答えしたような、五段階の方々に十二分に入っていただけるような考え方も取り入れなければ多摩ニュータウンのようなふうになっていくんじゃないかと、こんなふうにも考えまして、いろいろ検討を加えておる次第でございます。基本計画にも持ち家四〇、賃貸住宅六〇の割合でやると、とにかく賃貸住宅に重点を置いてやろうというふうに基本計画をつくってあるわけでございますので、その線を十二分に実現をしていきたいと思っております。
  98. 春日正一

    春日正一君 私の言っているのは、いままでの比率ではバランスがとれなくなってきているのじゃないかと。いま局長が説明されたように、持ち家を買える人の層が五分位の中でだんだん上のほうに上がっていったわけですから、下限が。そうすると、どうしても賃貸しのほうの比率をふやさなければいかぬ。そのことは、いままでずっと建設委員会で各野党そろって賃貸しの比率をもっと高めなければならぬということを言ってきたんですけれども、ここまでくると、いわゆる政府がずうっと主張してきた、これでいいんだということがもう通らなくなってきておると思うんですよ。どんなに悲惨なものかということは、これは東京なんかの例を見れば一番わかると思うんですけれども、これは東京都住宅局の人が書いた文章の中ですけれども、「住宅水準の低さを特徴づけるものにいわゆる木賃アパートがある。警視庁の調査によれば二三区の個人経営アパートは昭和三七年一月で三九万七、七四七戸であったものが、四六年末で八九万〇、三七六戸と一〇年間で五〇万戸増加している。同じ期間に増加した都営住宅は約一〇万五、〇〇〇戸、公団住宅は一〇万三、〇〇〇戸であった。持家についていえば、三五年から四五年の一〇年間で二六万戸の増加であるから個人アパートの増加寄与率はほぼ五割に達するものと見られる。」と、つまり政府施策や何かで間に合わなくて、持ち家でも間に合わぬ分が半分残っちゃう、それがこの個人アパートという形になっているんですけれども、この「人口と世帯の急激な増加に対して、遅れず住宅戸数がカバーしてきたのは、このような木賃アパートの供給によるところが大きかった。現在では、木賃アパートは全住宅ストックの四分の一強を占めて東京の住宅難の特徴をつくっている。」、こういうふうに言っているわけですね。こういう深刻な状態にあるわけですわ。しかも、この木賃アパートから出るめどがない、つまりほかへ越していくですね、というような深刻な状態考えれば、いままで私どもが主張してきたように、公的な賃貸しをもっとうんとふやせと、そうして家の持てる人、持ちたいという希望があるだけではなくて、現実に持てる人にはそれは持たせたらいいし、また少し援助をすれば持てるという人には援助してあげてもいいけれども、持ち家中心という考え方を変えなければならぬのじゃないか。ここに住宅政策の根本的な分かれ目がきていると思うんですけれども、そういう点が建設省の中で真剣に検討されているのかどうなのか。その点いま大臣のほうからいろいろ言われましたけれども、この比率を上げるのか上げぬのか、ここのところ、そこだけ聞かしてほしいですね。
  99. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 私ども五ヵ年計画をいろいろ検討しております。検討しておりますが、この五ヵ年計画の基本的な原則は、いまのところ変える必要がないと考えております。それの原因といたしましては、もちろん物価も非常に上がりました。所得もかなり上がってきております。もちろん物価のほうが大きゅうございますから差が出てきておりますが、これはやはり私どもが当初に推定をいたしました、いわゆる先ほど言った荒いロケーションで言いました、そしてはじきました持ち家、借家、公的住宅の数、こういうものを抜本的に変えるという程度までにはいっていないということは、やはり負担率を見てまいりますと、一分位、二分位では上がりましたけれども、まだまだ負担できないというところには公的住宅ではなってない。それから持ち家の階層におきましては、実は四十七年度の住宅金融がずいぶんふえました。こういうことからいいまして、その当時では負担能力もかなりふえて家も非常に建ったわけでございます。それが急速にいま落ち込んでいるわけでございますが、五ヵ年を通じて見ますれば、そう抜本的な五ヵ年計画の変更ということは必要がないというふうな判断に立っておるわけでございます。実は前大臣も五ヵ年計画の見直しということを言われました。私どもは、その命令に従いまして各種の資料を検討したわけでございます。ただ最近——ことしに入ってからのような状態はまだ入ってございませんが、しかし、やはりこういうことが続いてはもう計画の基本がだめでございますので、安定化の方向に向かうだろうと思います。  持ち家の話でございますが、三分位の下のほうが問題でございます。五分位の上のほうが上がるんではなしに——もちろん上がりますが、一番困るのは持ち家が持てる下限の階層がだんだん上がっていくことが困るわけでございまして、上がりますれば賃貸住宅がふえるはずでございます。そういう議論だろうと思います。したがって、この五ヵ年計画のうちには、先ほどのような手法を使いましてこれを補い得るというふうな計算を実はしておるわけでございます。そこで、それじゃ、公営住宅が十分建っているのかという問題でございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、残念でございますが、計画どおりいってございません。家が建たないという問題と、もう一つございますのはコストが上がれば家賃が上がる、したがって負担ができない人が出てくる、こういう二つの問題があろうかと思います。そこで、大臣が申し上げましたような抜本的な対策ということで、いわゆる下ものの供給を緊急にも基本的にも考えていかなければいけない、あるいは一分位、二分位の人たちは郊外に行って住むというよりも町の中に住むわけでございますから、そういうころがしとか、あるいは再開発というようなものを抜本的にやらないと、いま私どもがほんとうに不成績に悩んでいるわけでございますが、将来までこういう不成績が続いてはとにかく困りますので、そういう対策を抜本的にも基本的にもやるということでございまして、   〔委員長退席、理事前川旦君着席〕 さらに制度的には賃貸住宅の家賃という問題のあり方につきましても、こういうふうに物価が上がってくる段階におきましては、御存じのような原価に基づく家賃ということではならないんじゃないかということで、あわせて審議会に御検討いただいておりまして、これにつきましては、この夏ごろまでにおそらく中間答申のようなものが出るだろう、それに従って抜本的なやはり対処をして、次の五ヵ年計画からは生々といけるようにという努力をしておるわけでございます。
  100. 春日正一

    春日正一君 いま政府の態度は変わらぬということですけれども、やはりそう簡単にこれから経済が落ち着いていくというわけにはいかぬと、必ずその見通しのように、去年のような事態をだれが予想したかというと、予想外だとみんな言うのですね。しかし、予想外のような事態が起こるように世界的に経済の状態というものは不安定になってきているわけですから、将来安定して、うまくいきますというような論でその住宅問題を考えちゃいけない。住宅の問題というのは、衣食住と言ってこれは一番大事なもので、政府として当然国民全体に保障しなければならぬわけですから、何らかの形で。ところが、これを見ますと、「国の一般会計に対する住宅予算の比率」というのがこのジュリストという雑誌に出ているので見ますと、こういうふうになっています。   〔理事前川旦君退席、委員長着席〕 昭和二十六年度が〇、六%、二十九年度が一・二%、これが一番高いんですね。ここにグラフがありますけれども、二十九年に国の予算の中で一・二%住宅予算が占めたというのが一番高く、三十年が一%、三十五年が〇・八、四十年が〇・九、四十五年が〇・九、そして四十八、四十九と大体一%というような状態で、これほとんど全体の比率の中ではふえてない、そういう状況になっているわけです。そうして公団住宅の場合を見ますと、先ほど大臣がこの比率を六、四でやっていくという話をされましたけれども、四十三年度が賃貸しが六二・三、それから四年度が六五・三、五年度が六六・二、六年度が七一・一と、これはわりあいに高いのですね。ところが、四十七年になると六八・六、四十八年が六〇ちょうど、四十九年は五〇ですね。フィフティーフィフティーになっちゃっている。こういうふうな傾向を考えてみますと、やはりそういう大臣考えられる六、四は維持していくというような考えがある中でも、実際には賃貸しの比率が下がって半々というような状態になっているということですね。だから、そういう点を考えてみると、私は、政府考えは、検討してみても、いままでの方針でこの五ヵ年計画に関する限りは変わらぬと言っておりますから、それ以上ここで議論はしませんけれども、やはり持ち家政策というものは破綻をはっきり示してきたと、やはり賃貸し公的住宅を大量に供給するという方向に政府が踏み切って、そのために土地問題なり、あるいは地方財政の問題なりに本気で取り組んでいかなければ日本の住宅問題というものは解決しないだろう。その点を私は指摘しておいて、今度は、次の質問に移らせてもらいます。  これは公営住宅の建てかえの問題ですけれども公営住宅法を改正して建てかえを制度化して、昭和四十四年度以降建てかえ建設がやられてきたわけですけれども、その建てかえ建設戸数の実績、これはどうなっていますか。
  101. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 建てかえの制度公営住宅法の中に入りましてから、実施は四十五年からだったと思いますけれども、四十四年それ以前にも建てかえというのは法律に基づかずやっておりました。たとえば四十四年では六千七百戸、全国で木造の公営住宅の古いものが建てかえされております。それから四十五年は八千六百戸、四十六年は一万六百戸、四十七年は七千八百戸、四十八年は九千二百戸、四十九年度の計画では一万二百戸というものが計画をされておるというのが実情でございます。
  102. 春日正一

    春日正一君 そこで、これと関連して、先ほど出ました例のころがしという方式ですね。あれはどういうことになっておるのか、その点ですね。もう一度話してくれませんか。
  103. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 公営住宅の建てかえの筋が一つございます。それから、私ども、先ほど来の理由によりまして、近隣の環境をよくしながら公的住宅を供給していくというころがし、これが四十九年度からやられるわけでございまして、建てかえの際に、これを両者の考え方を合わせたような運用をしていくというふうなことで、建てかえところがしというものがくっついてくるわけでございます。本来は、公営住宅の建てかえというものが公営住宅の範囲内では本筋のものでございます。公営住宅の建てかえは、たとえば木造の平家でございますれば、一戸当たり五十坪程度の敷地を持っておる。でございますから、これを立体化した場合に、環境がよくなった上で大体戸数の三倍のものが建ってくるということになります。そうすると、前の人が全部この公営住宅にお入りにそのままなったとしても、あと二倍の戸数が新たに生まれるわけでございます。従来の建てかえでは、この二倍で新たに生まれたものについては、すべて新たな一般公募によって入居者を選考していくというのが原則でございます。しかし、最近の、先ほど来のいろいろな事情がございます。あるいは都市を整備していかなければいけないというために、この二倍のものの中に、公共団体の考えによりまして、先ほどのころがしの思想の、いわゆる近隣の悪い住宅に住んでいる人を優先的に入れて、そのあとを整備していくというふうなことも応用として考えておるということでございます。さらに、ころがしの制度というのは、これは公営住宅と直接関係はございますが、公営住宅のものだけではございませんで、あいたところがあれば、そこに公営住宅、公団住宅、公社住宅、こういうふうなものをできるだけ入れて、そして先ほどの周辺地域の不良住宅に入っておる人たちを、先生御指摘の木賃のものでございますが、そういうものを吸収していくという、これは別の制度でございまして、これにつきましては買い取りのための予算補助とか、そういうものが新たに四十九年度から組まれたわけでございまして、私どもは、この二つを有機的に使えば町の更新にもなりますし、公営住宅の供給、公団住宅の供給にも役立つ、将来の都市計画にもつながる、再開発の前駆動作みたいなことにもなるというふうなことで、その二つが関連してきて出てきているわけでございます。
  104. 春日正一

    春日正一君 それで、それの具体化の状況ですね。これは四十九年度はどうなっていますか。
  105. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) これは大体大阪と東京にまず行なわれる予定でございます。これは場所につきましてはまだ決定をしておりませんが、案は幾つかございます。大阪に一ないし二ヵ所、東京においても一ないし二ヵ所をとりあえず計画をしておりまして、これは私ども予算要求の段階から東京都、大阪府、大阪市に連絡をいたして検討をしておるものでございますが、この具体的な場所はまだこれからの決定でございますが、それぞれの公共団体は実際のその地域のある程度の——なかなか人にわかると困る面もございますので、ひそかにそういう資料を整備をし、その地域の計画を立てておる、私どものほうと接触をしてこの制度を発足させようという努力をしておるわけでございます。
  106. 春日正一

    春日正一君 そういうことで、人にわかると困るというから、私もそれ以上突っ込んで聞きませんがね。そこで、現状ではこういう方式ですね、公営住宅を建てかえてそして全部入れて、周辺の新しい人たちも入れて、その回りもきれいに整備していくというようなやり方、あるいは公園その他のあき地に建物を建ててそこへ周辺の人たちを入れて、それで回りをさらに整備していくと、いわゆる町づくりとしっかり結びついてその中に入り込んだ再開発といいますか、そういうものは現状では非常に重要なことだと思うし、私は、ずっと五年前になりますけれども、都市再開発法が出たときに、駅前とかそういうところで大企業がいいところを占拠するような再開発じゃなくて、まさにそういうスラム街みたいになっているところを国なり地方自治体なりの施行として再開発していくと、改造していくというような方法をやるべきだということをあの当時主張もしましたし、その後も、私、江東のあの防災拠点づくりの場合ですね、あのときの最初の計画では、あれは公営住宅になるから、そうすると公募を一般にやらなければならぬと。そういうことであの計画数字を見ると、よそからあそこにさらに人が入っていくような計画になっておった。そういうものに対して私は批判して、そうじゃなくて地元の人を入れて、さらにあの辺、京島とか、日本で一番過密なところがありますから、そういうところの人たちをそっちに入ってもらって、あそこをほんとうにきれいな町に切りかえるというような方向でやるべきだし、そのために必要な法的な手立てとか、そういうものをやるべきじゃないかというふうな提唱もしたんですけれども、そういう意味で、いま特にこういう方式が非常に大事だと思うんです。  ところで、東京都では、御承知のように、公営住宅というものは昭和四十六年までは一万八千五百に対して一万六千八百というくらいまではいったんですけれども、四十七年の一万九千八百というのが三千二百八十八、一六・五%ですか、四十八年には一万九千八百に対して二千六百七十、一三・四%ということで、とうとう四十九年度には建設計画を一万にダウンしてしまったけれども、それがどれだけやれるか見当がつかないというような深刻な状態になっておるわけですよ。そういう状況のもとで、都営住宅の中で建てかえ計画の占める割合というのがだんだん大きくなっていっているわけです。四十七年、八年と、こうがくっと落ちてきた時期がまさに資材が値上がりを始め、土地の買い占めが始まって地代の値上がりがし、大事なところはもう先に買われちゃって手が出せぬような状態が始まった時期ですから、だから、そういう中でいまある都営住宅の平家建てを建てかえるということが非常に大事になって、都のほうの計画を聞いてみますと、四十八年度が六千戸で一二%、四十九年度が七千戸三七%、五十年度では八千戸で四一%という、五十年までに二万一千戸建てたいというような計画をもっていま進めておるわけですけれども、こういうものを促進するためには住民の納得と協力が一番前提になっておるわけです。これは公住法の改正で建てかえが入ったとき、あのとき私どもはずいぶん質問もし、意見も出したんですけれども、やはり住民の納得できる、そういうことが非常に大事な前提になると思うんです。床面積がふえるのか減るのか、家賃は一体どうなるのか。あるいは環境改善などの計画住民がどういうふうにして参加していき、そして自分たちの不安をどう解消していくことができるのかというようなことが非常に大事なことだと思うんですけれども、こういう建てかえ計画について、建設省としては、そういう点ではどういう指導をしておいでですか。
  107. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 東京都が一番成績が悪いということは、私ども一番頭の痛いところでございます。住宅問題の最大の場所でございまして、東京都の住宅問題が解決しなければ、これはなかなか日本の住宅問題というのは解決しないことになります。それだけのところが一番悪いということは、私どもとしては、ほんとうに困るわけでございますが、頭を悩ましておるわけでございますが、その中に例年やはり先生のおっしゃった数に近いもの、いままで実はやってきておったわけでございます。それが払い下げ問題が出まして以後、その問題もストップしたということで、建設戸数のダウンをいたしました一因になっておるということでございます。私どもは、法律の改正までやりまして、大都市におけるそういう木造のものは建てかえていくということをしたわけでございますから、いまでも三大都市圏につきましては、これは建てかえて公営住宅の戸数をふやすとともに、環境を良好なものにしていくという方針でございます。そこで、そのときの問題点、これは法改正のときにもあったわけでございますが、家賃の問題も一つあろうかと思います。これは、しかし傾斜をさせるなり、減免するなりということを具体的にすでにやっておる事業主体もございますし、東京都あたりでも、今後進めるときには、私どもと相談の上で、そういうものは十分入居者の方々とのお話し合いができるというふうに思っております。  もう一つ規模の問題でございますが、規模の問題は、これは従来は小さいところから小さいところ、それで家賃が上がるということでは困るということでございますが、これにつきましても今度の予算におきましては相当大幅なアップをしておりまして、三DKあるいはそれ以上のものも可能だということでございますから、東京都のそういう建てかえを進めるためには、そういうふうな希望に応じた規模のものもつくり得るようになっておる。最後は問題はやはりそこを払い下げてほしいという人たちに関する問題だと思います。こういう方々の全部の合意が得られなければ、なかなか法律にはありましても実際計画が進まないというのが実情でございます。そこで、これらの方々に合意を得るための考え方をもって現在東京、大阪その他の三大都市圏の公共団体と相談しているわけでございますが、やはりそこに住み着いておりますと地縁ができまして、おまえはどこかへ行って住めよというふうなわけには簡単にいきません。そこで、私どもも、そこに定着したい、しかも長年住んでおるからかなり収入が上がって家も買えそうだと、こういうふうなことにつながってくるのだろうと思います。そこで、その場所でやはり持ち家といいますか、そういうものを持っていただく方法でお話し合いをしたらどうか。先ほど言いましたように、三倍に戸数がなりますから、その中の一倍以下のものが持ち家を持ちたいということでございましょうから、それを別棟なり同じ棟でもけっこうでございますが、うまい配置で別棟の共同住宅のようなものを建てまして、これを持ち家にふさわしい広さのものにいたしまして、先ほど公団のときに申し上げましたような考え方で、支払いも公庫資金を使ったり、あるいは東京都なら東京都の低利融資を使ったりというふうなことで、あるいは経営者側といたしまして、いままでの支払い家賃というものは安いわけでございます、そこいらを適当な額まで下げて、そうして持ち家を持っていただいて、その地緑のあるそこに住んでいただく、かようなことをよりより考えておりまして、こういうものの条件は、大阪とか東京、地域によっても多少違います。また場所によっても違います。そこで、そういうものが臨機応変にできるような原資の持っていき方とか、あるいは支払い方法、そういうふうなものをよりより考えておりまして、こういうものを武器として地域の住民の方々と公共団体が話し合いまして、話し合いの大きな一つの武器にしたい、かような指導をしておるわけでございます。
  108. 春日正一

    春日正一君 そこで、払い下げの問題は次に譲って、いま言いましたようないろいろな住民の建てかえの場合ですね、納得のいくような話し合いをやる必要があるし、特に家賃というようなお金の出る問題の場合、最近の資材の値上がりその他考えれば、当然いままで住んでおった非常に安い家賃から比べれば高いものになるわけですから、それに対して配慮する必要があるのじゃないかということで、先ほど局長のほうからもお話がありましたけれども、東京都では、二年間、一種の場合は一年目は五割引き、二年目は三割引き。二種の場合は一年目は四割引き、二年目は一割五分引きというような処置をとって、傾斜家賃というのですか、そういう処置をとっておるわけですね。しかし、それでももっと減らしてくれという意見もあるし、特に最近のような物価情勢、そういう中で建てられる住宅ということになるとかなり家賃も高いものになりますから、当然そういう状態のもとでは二年間というのを三年なり四年なり延ばして、傾斜をもっとゆるやかなものにしていくということも必要だろうと思うし、そういうことになれば地方自治体負担というものも非常に大きくなるわけですね。建てかえを建設省として奨励される、特に大都市においてはそれがさしあたっての打開の一番のきめ手になってくるということになれば、こういうたとえば家賃に対しての一種の補助みたいなものですね、そういうようなものを制度化して、国としてそういう建てかえをした場合の家賃の傾斜について補助するとかいうようなことは考えられないだろうか、この点どうですか。
  109. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 公営住宅の入居者の方々は、やはり原則は、能力に応じた家賃は負担するというのが原則だと思います。しかし、特にこういう建てかえの場合は、現実問題としてそんな原理だけではいけません。そこで各公共団体は、いままでは、いま先生おっしゃったように、東京都はそういうことでやってきたわけでございますが、さらにそういうものに拍車をかけて今後建てかえを大いに進めていこうということでございますれば、そういう延長の条件なり何なりというものをあらためて考え直す必要があろうかと思います。その場合に地方公共団体が、資金が入ってくる速度がおそくなりますから、資金繰りの問題ともなろうかと思いますし、あるいは何か負担になるというかっこうもあろうかと思います。そこで、これは地方財政の問題として考えますれば、交付税とか、そういうふうな考え方もございましょう。しかし、私ども、四十九年度の予算要求といいますか、予算要求の段階でそういうものに何らかの援助ができないかという考え方を持ちまして、だいぶ折衝したわけでございますけれども、今回は傾斜あたりで考えておくということにとどまっております。しかし、そういう地方財政全体として、もちろん地方にも住宅に関する行政の責任というのは半分あるわけでございますから、そういうものも考えあわせながら、私どもはそういう考え方をいまだ捨てておりません。今後もそういうことにつとめていきたいと考えております。
  110. 春日正一

    春日正一君 その点、大臣はどうですか、政策的な問題として。
  111. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 先ほど来、局長から申し上げてきたことに尽きるわけでございますけれども、私としても、この公営住宅、いわゆる平家づくりの終戦直後にできた数多い都内の木造公営住宅というものをやはり建てかえて、高層のしかも環境のいい住宅に改造していくということが住宅政策の喫緊の政策の一つであるにかんがみまして、やはり国が特別な措置を考えていかなければその実現はなかなかむずかしいということは私も十分承知いたしております。したがいまして、その家賃の問題等につきましては、住宅宅地審議会にも実はお願いして、どういうふうな方向でやったらいいかということをひとつ知恵を貸してくださいということを言って、八月ごろまでにそのお答えがいただける予定にいたしておるわけでございます。  気持ちとしては、やはりそういう思い切った、いま一番国民の望んでおる住宅難というものの解消というものを実現していくためには、やはり何がしかの財政援助と申しますか、そういうものを考えていかなければならぬのではないかという気持ちでございますことを申し添えます。
  112. 春日正一

    春日正一君 この点は、ぜひ積極的に考えて推進していくというようにしてほしいと思います。  そこで、最後に公営住宅の払い下げの問題ですけれども、新聞の切り抜きを私は持ってきたんですけれども、先日の閣議で公営住宅の払い下げが問題になったということが新聞に「公営住宅払い下げ 首相が促進指示 閣議了承 高層化し分譲」というような見出しで書いてありますけれども、この点どういう話だったのか、あるいは建設大臣は基本的にその問題でどう考えておいでなのか、聞かしていただきたいんですが。
  113. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) あのときには、何も総理から指示があったというわけじゃなくて、そういう話題が出たということで、閣議了承をしたというふうには私は理解しておりません。したがいまして、建設省として今日までとってまいりました基本線を踏襲いたしまして、先ほど来、もう真剣に局長から答弁申し上げてきておりますように、いわゆる古くなっております公営住宅、東京都内に四万戸ですが、二百万坪の土地というものは、これは住宅政策の解決をはかってまいりますためには、ほんとうにもう見過ごすことのできないやはり財産でございますので、これを払い下げるということについては、私は、いまのところ考えるべきではないと。これを高層住宅を建てまして、しかも回りに緑地帯というものもつくっていけるというふうに計算して計画いたしましても、十二万戸の実は住宅に改造できるわけでございます。そうしてその改造住宅にしたあと、これを分譲していくということによって持ち家を持ち得る方々の御期待にこたえていくと、こういうふうにするのが私は筋道ではないかと、こういうことを実はそのときもはっきりと申し上げた次第でございます。
  114. 春日正一

    春日正一君 まあ、この新聞見ますと、「田中首相は八日の閣議で、公営住宅の払い下げを進めるよう福田蔵相と亀岡建設相に指示した。これに対し、建設相は、三大都市圏についてはころがし方式や公営住宅の建て替えによる高層化を図って分譲を進めたい」というふうに言って「了承された。」と、こういうふうになっておるんですけれども、これは総理が指示したという点は、そうすると誤報になるわけですか。
  115. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) まあ、指示は私はいただかないわけでありますから、とにかく住宅問題というものは非常に喫緊の問題であるから大蔵とよく話し合って解決するようにせいと、こういうことでございます。
  116. 春日正一

    春日正一君 これは大事なところですからね、くどいようですけれども、本文は「これは、原田郵政相が、自民党は公営住宅の払い下げを選挙公約にしながら、都市部の払い下げは少しも進んでいないと都市再開発法の改正案に関連して発言したのがきっかけ。」と、それで建設大臣はということで、先ほどここで言われたような考えを述べられたと、こうなっておるんですけれども、総理は払い下げろという場合に、平家のいわゆる庭つきの都営ですね、これをそのまま払い下げろという考えを持っておるんですか。
  117. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 総理のその払い下げに対する考え方というのは、私、実は聞いたことございません。もう昨年一年いろいろ国会のほうでもこの問題が論議になりまして、私の前任大臣もきちっと国会に対してもう御答弁になっておられるわけでございますので、私としてもその線を、総理から指示を受けようが受けまいが、私としては、やはり国務大臣として最も国民にプラスになる住宅政策を進めてまいると、こういう気持ちで責任を持ってやっておりますことを申し上げたいと思うわけであります。
  118. 春日正一

    春日正一君 もう一度くどいようですけれども、その自民党の選挙の公約という場合ですね、公営住宅の払い下げという場合は、いま言ったように、何でもかんでも払い下げろと、こういうことなんですか。その中身は、正確にはどういうことなんですか。
  119. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) その新聞記事にもありますように、三大都市圏においては、私、いま申し上げたような線で進みたいと、しかし、比較的土地が容易に取得できるという地区において、その自治体がもう払い下げてもいいという判断を下しました場合には、これは建設省としては認めていこうと、こういう方針をとっておる次第でございます。
  120. 春日正一

    春日正一君 そこで、具体的な問題ですけれども、総理がこういう形で払い下げろということを言うということが新聞にも伝えられておりますし、それからまた住民にも直接そういうことを言っておるものですから、そのことが現実には地方自治体公営住宅の建てかえ事業を非常に困難にしておるという、こういう事実を御存じですか。
  121. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) よく承知いたしております。
  122. 春日正一

    春日正一君 そこで、これは重大な問題だと思うんですね。こういうものができまして、払い下げ公住連というものができて、そして新聞を出しているのですけれども、この新聞を見ますと、こっちは九月の二十三日だから、こっちが早いんですけれども、これは全国・東京合同版といって、日付は去年の十月一日になっております。これは「九月の二十三日午後一時半、永田町の首相官邸に田中首相を訪れ、公営住宅の払い下げを実現するよう強く要請、これに対して首相は、来年度から絶対に払下げると力強く約束した。」、こういうリードがついて、その中で、首相の男の約束だといって、——これは自民党の小山省二代議士が案内して連れて行かれたようですけれども、こういうふうに言っていますね、首相の発言として。「ヤアヤア、公営住宅の払い下げか。公営住宅法をつくったのはオレだからね。住宅のことはよく知っている。絶対払い下げはやるぞ。まっ黒く日やけした顔で」云々といって、「追い出しをしようとしても出せっこないのにバカなことを考えていると。こう言って建設省事務当局を批判して、払い下げについては、変な条件はつけず、絶対にやる。と声を強めて言った。あまりにも明快な態度に、あんなにハッキリ言っていいんだろうかと、かえってこちらが気を遣うほどだ。払下げは、建設省でなかなか進まないようですが。と切り込むと、ナニ、建設省、そんなもの問題じゃないよ。そのうちオレがドカンとやるぞ。」、こう言ったということが書いてあるのですね。そうしてこれが住宅にばらまかれるわけです。こっちを見ると、これはもっとあとの十一月十六日に、目白台の自宅に朝早くやはり訪れて陳情しているということで、「首相の話の要点としては、さる八月に引続き公営住宅の払下げは断行する。と力強く約束したこと及び強制建替えはできないことだ。できないことはやらない。と言明したこと。さらに建設省事務当局の払下げに対する姿勢が後ろ向きであることに対して、某幹部を名ざしで批判するなど、払下げの実現に強い意欲を示したことなどが挙げられる。これに対して公住連側から、一日も早く住宅を現状のまま払下げてほしいと繰返して陳情、庶民にも持家の夢を実現できるよう強く要請した。」、こういうようなことを書いて、いろいろずっとやりとりがあって、「このあと首相から運動の方向について意味深長なサゼッションが行なわれ、建設省苦心のコロガシ作戦を批判するとともに払下げ運動は、どんな状態になっても根強く強まるであろうし、政府住民がイヤがるものを無理に移す考えのないことを明らかにした。」云々というようなことで、「私は公営住宅法を自分で作った。公営住宅法では全部払下げることになっているし、提案理由でも払下げるとなっているんだ。」云々というふうに言って、「建設省は、平家を高層に建替えるというが、気持ちは分るが、そんなことはできないじゃないか。もしやるなら、ここに団地があって、そのそばにもっといいものを建てて、それでこっちへあんた方移ってくれませんかといって、それで移りますといったらやればいいんで、いやだといったら仕方がないじゃないか。そのうちの半分位は絶体反対だぞ。意地でも反対というのがあるからな。それはダメだぞといったんだ。」と。こんなようなことで、絶対反対ということをこの新聞というのは盛んに宣伝し、ころがし作戦粉砕ということを言っているわけですが、そうしますと、一国の総理大臣建設省という自分の総括する役所のやっていることをこういう部外の者に対して批判もし、それで払い下げるんだというようなことになると、これはたいへんなことになると思うんですよ。現に杉並なんかでは、すっかり話がついて、それじゃ建てかえましょうというところまでいっておったんだけれども、総理のそういう話が出たということで、都の職員が行っても、頭から拒否してだめだと言って、時価の二、三割で払い下げろというような要求を出してくるというようなことにもなっておるわけでしてね。この東京都の建てかえ計画、それから払い下げをしないというのは、決して都知事の一存とか、与党だけの考えではなくて、この東京都議会の会議録を見ましても、いままで八回もそういう請願陳情が出されて、そのたびに不採択になっている。特に四十八年四月二十五日の分では、これは自民党も含めて満場一致で委員会ではこの請願を採択しないということになっているんですね。それにもかかわらず、こういう形で総理の発言に激励されて、それで絶対に建てかえには応じないと。東京都のたてまえとすれば、できるだけ強制はしない、話し合いでということになっているものですから、ちっとも進まなくて、東京都の住宅難が打開できないような困難な状態になっておるということになりますと、これは建設省のほうとしてもどうか手を打ってもらわなければならぬだろう。つまり首相の真意というものはどこにあるのかという点をはっきりですね。その点どういうふうに考えますか。
  123. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) その新聞にも総理の気持ちの一端が出ていると思うのでありますが、ころがし方式、新たな土地を求めてそこにまず建てて、さあ、いらっしゃいと、どうですかというのを起点にしてこれはやろうというので、実は私も局長を督励いたしまして、まずそういうことをやってみせないことには、これは話し合いはつかないと思うんです。ただ抽象的に幾ら説明しましても、いま住んでいるそこを持っているよりもいいと、こう本人が思うような条件で、たとえば筑波研究学園都市に移るあと地は、これはもう国有地になるわけでございますので、そういうところに高層住宅を一応建てまして、そこにその公営住宅に入っている方々を優先的に入れるというような措置を講じていくことによって私は話し合いはつけていくことができると、おそらくそういうことを総理もお考えになられたんだろうと思うんですね。したがって、そのあとに分譲していけば、それはその住民の方は持ち家が持てるわけでございますから、全部が全部一〇〇%短期間に協力してもらえるということはなかなか保証しがたいかもしれませんけれども、私は、これはある期間をかけていけば実現は可能ではないかと、こういうふうに感ずるわけでございます。昨年、実は前大臣がいろいろ御苦心をなさった経緯もございますので、そういう面についてはやはり国民世論というものの行くえを見きわめて私は対処しているつもりでございます。
  124. 春日正一

    春日正一君 それで、いまそこにも書いてあるようにと言われたけれども、この新聞ではそういうふうにしていいものを建てて、こっちへ移りなさいといったって、おれはいやだと言って移らぬ者が半分もある。意地でも移らぬぞということになれば、これは払い下げるよりしょうがないだろうというのが総理の考えだというようなふうにもこれは書いてあるわけです。だから困るのです。しかも、総理大臣がそう言っておる。だから東京都の職員が話に行くと、何を言っているのだと、美濃部がやめれば変わるのだ、総理大臣が言っているのだ、こういうことでますます元気を出してくるということになるわけです。そうすると、これはいまの田中内閣の住宅政策にも反することにもなってくるわけだし、それから大臣が言っているそのことにも反することになるわけです。だから、これ何とかしなきゃならぬということで、事の真相を私は明らかにしたいと思って質問したわけですけれども……。  もう一つの問題は、公共住宅は払い下げるといっても、これは地方自治体のものですから、政府が払い下げろといって命令して払い下げるというわけにはいかないものでしょう。そこら辺はどうですか。
  125. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 補助金が入っておりましても公共団体のものでございますから、払い下げを申請したい場合には申請をみずからして大臣の承認を受ける、うちのほうは大臣承認の動作があるわけでございます。
  126. 春日正一

    春日正一君 そういうふうなものが何か総理が言ったから、もうストレートに払い下げてもらえるかのように思い込ませて、そうしてこういう運動が広がっておる。私どもも、たとえば地方の都市で、小さな面積のところに住宅があって、住みなれておって、そこの自治体が、まあこれは管理する必要もないからということで払い下げるなら、それはけっこうなことだし、反対もしないけれども、こういう東京とか、大阪のような大都市で、公営住宅計画がほとんどもう実現できないような条件、さしあたって手近なところでは建てかえ以外に手がないような条件のときに、そういう貴重な公有地を払い下げてしまうというようなことは、これはやはりいまの実情にはもうすでに合わなくなってきておるし、もし自治体がそういうことをやれば、非常に強い世論の非難を浴びることにもなるだろう。だから、そういう意味で、払い下げではなくて、やはり建て替えにすると、そうして東京都の当局も、まあ建てかえたものをそれから分譲するということは考えてもいいということを言っておる。ということになれば、大臣考えとはあまり違っていないわけですけれども、それにもかかわらず、こういうことになってくるということになると、これは非常に困るわけですね。だから、私は、そういう点は、きょうの大臣の答弁というようなものをやはりはっきりさせて、そうしてこの道理を説いて、建てかえをしてということで促進するようにしていく、そういう努力をしていきたいと思いますけれども、しかし、ここで私どうしてもひっかかるのは、総理大臣がそう言ったというのだから、やはりたとえ十分でもいいからここへ来て、総理大臣からはっきり、それは違うのだ、おれの本旨はこうだということを言ってもらいたいと思うのですけれども委員長、どうでしょうか。
  127. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 理事会に相談をいたしまして、御希望に沿えるかどうか協議をいたします。
  128. 春日正一

    春日正一君 それじゃ、それで私の質問を終わります。
  129. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十五分散会      —————・—————