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加藤シヅエ君 私の資料によりますと、
日本に来るものの帰り方
がたいへん少ないということがいわれているということと、それから
日本の新聞その他のニュースによりますと、
渡り鳥が来て、
生息地が荒されているために、
えさもあされないし、空腹で、胃の腑を解剖の結果、からっぽであったというような死に方をしている鳥の数がどれだけあったとか、そのつどニュースに出ておりますので、これは
協定をほんとうに守られていないことだと私は心配するわけでございます。ですからもう一度、こういう
質問があったかどうかは
鳥類研究所のほうにも御照会なさって、十分にお調べになって、そんなふうに帰り方が少ないというようなことが、現実として外国で、
協定を結んでいる相手国の間で問題になっているということは、これは
協定を結んだ国としての
責任が問われることになりますので、その点を十分に
研究して、他日またそれは
答弁していただきたいと思います。
問題は、結局、この干
がたというのを何とか残してほしいということを
鳥類保護関係の方々、あるいは地域の住民の方々は強く要請しているわけでございますけれ
ども、
経済開発のほうがいつも先行してしまいまして、干
がたというのがつぶされていくわけでございます。それで、干
がたをつぶすというのは、地理的に
経済開発には非常に都合のいいところだもんで、非常に魅力があって、まあ鳥のことは
あと回しで、まず
経済開発だということになって、こんな結果になって、現在どんどんそれがまだ進んでいるのが現状でございますね。ですから私は、ことに新しく
オーストラリアと
協定を結ぶ際に、このことをもう一度、
自然環境を守る役を持っている
環境庁としては、非常に重要視していただきたいわけでございます。
で、そのときにもう
一つ私としては伺っておきたいことは、私もずいぶん前から、干
がたがどんどん滅びてしまうということは、一度滅びてしまった、こわしてしまった干
がたというものは再生できないということでございますね。これはたいへんに、
日本のような国でせっかくいい干
がたがあるのに、これをそこをつぶして工場かなんか建ててしまって、そして鳥が来なくなった。鳥が来なくなったということは、
人間の
環境がそれだけ著しく悪化されたということでございますから、どうかこういうことをとめていただきたいということを、私はもう十年近くそのためにいろいろと現実の問題として運動して、
政府それぞれの当局の方々にもいろいろ御
協力をいただいたわけでございます。
それで、千葉県の市川市の御猟場の前の新浜、あそこが埋め立てられるというときに、いち早く
鳥類関係の方の御要請を受けまして、私はあそこに干
がたを残してほしいという運動に参加したわけでございます。そのときに、いろいろの千葉県当局との折衝もございまして、当時はもう埋め立ての勢いが圧倒的に強くて、
鳥類の
保護なんてことは一部のもの好きな人がやっているぐらいにしか受け取られなかった時代でございましたから、この新浜の干
がたを守って残してくださいという運動は非常に骨が折れたわけでございます。で、その結果といたしまして、その当時の佐藤総理なんかもこれに参加してくだすって、それから
関係の運輸
大臣、建設
大臣、みんな参加してくだすって応援してくださって、いろいろの妥協ができまして、で、人工的な干
がたをそこに残して、それで何とかお茶を濁そうというようなことに、その当時なってしまったわけでございます。私
どもとしても、それ以上強く主張することができかねて、ついに妥協してしまいまして、ここに約九億何千万のお金を注いで人工的干
がたができたわけでございますね。そうすると、こういうような、埋め立てたいだけ埋めちゃって、経済優先にやってしまって、そして
あと少しばかりのお金で人工干
がたのようなかっこうでそこへ残せば、まあやってやったんだというような一種の免罪符みたいな
一つのモデルケースになってしまいました。
それでも、これが、
最初の予定の設計のとおり海の水がここへ入ってきて、干
がたの役をやってくれるのかしらと希望を託しておりましたし、まあ十億に近いお金もそこへかけてくだすったんですから、どうにかなるのかしらと思っておりましたら、やはりそういうものを人工的につくるということはもうほとんど不可能みたいにむずかしいことらしくて、でき上がりましたものは、ちっとも海の水がうまく入ってきてくれませんで、まるで干ばつ地帯みたいにもう亀裂が生じてかわいちゃって、そこに鳥が来るためには
生息しなきゃならないいろいろな生物が少しも
生息できなくなる、そういう
状態で、いま非常に問題を提供しているわけでございます。
環境庁としては、そういうような妥協というものはもうだめなんだと、やっぱり
破壊されつつある干
がたが問題にされている場合には、この
協定の手前からいっても、
環境庁はもっと強力に干
がたを残すためのいろいろ努力を払っていただかなくちゃならないと思うんでございますが、こういうような人工干
がたというものについてどうお思いになるか、そしてどんどん
経済開発が進んで、その両方の板ばさみに立たれる場合には、
環境庁としてはどういうふうになさる決意を持っていらっしゃるのか、その辺を聞かしていただきたいと思います。