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1974-04-04 第72回国会 参議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月四日(木曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      稲嶺 一郎君     小枝 一雄君      木内 四郎君     田中 茂穂君      増原 恵吉君     玉置 猛夫君      星野  力君     渡辺  武君  三月二十九日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     木内 四郎君      小枝 一雄君     稲嶺 一郎君      玉置 猛夫君     増原 恵吉君      小谷  守君     西村 関一君  三月三十日     辞任         補欠選任      渡辺  武君     星野  力君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 木内 四郎君                 平島 敏夫君                 八木 一郎君                 田  英夫君     委 員                 稲嶺 一郎君                 杉原 荒太君                 増原 恵吉君                 加藤シヅエ君                 西村 関一君                 羽生 三七君                 星野  力君    国務大臣        外 務 大 臣  大平 正芳君    政府委員        環境庁自然保護        局長       江間 時彦君        外務省欧亜局長  大和田 渉君        外務省条約局外        務参事官     伊達 宗起君    事務局側        常任委員会専門        員        服部比左治君    説明員        環境庁自然保護        局鳥獣保護課長  仁賀 定三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○日本国中華人民共和国との間の貿易に関する  協定締結について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその  生息環境保護に関する日本国政府とソヴィエ  ト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結  について承認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその  環境保護に関する日本国政府とオーストラリ  ア政府との間の協定締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員諸君すでに御承知のごとく、フランス共和国大統領ジョルジュ・ポンピドー氏は、昨三日午前五時逝去せられました。まことに哀悼の至りにたえません。  本委員会といたしまして、この際、議事に入るに先立ちまして、つつしんで哀悼の意を表したいと存じます。     —————————————
  3. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十八日木内四郎君が委員辞任され、その補欠として田中茂穂君が選任されました。  また、翌二十九日田中茂穂君が委員辞任され、その補欠として木内四郎君が選任されました。     —————————————
  4. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまの委員異動に伴い、理事が欠員となっておりますので、この際、その補欠選挙を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。  それでは理事木内四郎君を指名いたします。     —————————————
  6. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 日本国中華人民共和国との間の貿易に関する協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大平外務大臣
  7. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいま議題となりました日本国中華人民共和国との間の貿易に関する協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案の理由を御説明いたします。  政府は、わが国中華人民共和国との間に貿易に関する協定締結するため、昭和四十八年六月以来東京及び北京交渉を行ないました結果、本年一月五日に北京において、我がほう本大臣先方姫鵬飛外交部長との間でこの協定の署名が行なわれた次第であります。  この協定は、十カ条から成り、関税、内国税その他の課徴金、一時的輸入品第三国向け通過運送支払い送金等に関する事項につき相互に最恵国待遇を与えることとしているほか、支払い通貨貿易平等互恵の原則及び適正な国際市場価格基礎として締結される契約に基づくこと、技術交流貿易に関連する展覧会の開催、仲裁判断の執行、混合委員会設置等について定めております。  この協定締結により、昭和四十七年九月の国交正常化以前においても相当量の実績を持っていた両国間の貿易は、より安定した基礎の上に一そう促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  8. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 引き続き本件補足説明を聴取いたします。伊達条約局参事官
  9. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 日中貿易協定につきまして、簡単に補足説明を申し上げます。  昭和四十七年九月の日中国交正常化以来、両国間の各般の交流が活発になってきておりますが、本協定は、これらの交流を円滑にするために、双方において締結を検討いたしておりました各種の実務協定の中では最初に署名されたものでございます。  この協定内容につきましては、ただいま大臣より説明がありましたとおりでございますが、両国貿易関係について御説明申し上げますと、一九七三年におけるわがほうの輸出が約十億三千九百万ドル、輸入が約九億七千四百万ドル、合計約二十億千三百万ドルとなっておりまして、一九七二年と比較いたしますと、合計で約九億ドル弱、率にして約八〇%程度伸びておりまして、順調な発展を遂げております。この協定締結によりまして、両国間の貿易関係はより着実な発展を遂げていくものと期待されます。  以上でございます。
  10. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  11. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境保護に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結について承認を求めるの件  渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境保護に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)  以上両件を便宜一括して議題とします。  両件につきましては、去る三月二十六日の委員会におきまして、趣旨説明及び補足説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  12. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ただいま議題になりました渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境保護に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定について、若干の質問をいたしたいと存じます。  私は、鳥類関係した別に専門家でもございませんけれども、今日では、国会の中で渡り鳥に関する、あるいは鳥類に関する関心を深くお持ちになっている議員がたいへんにたくさん超党派でできておりまして、お聞き及びかと思いますけれども鳥類保護議員懇話会というのも組織されておりまして、これはたしか超党派で二百四十六名ぐらいの議員の方がここに参加していらっしゃって、たびたびいろいろの研究会を催されましたし、また、担当の官庁からのいろいろの報告を受けましたし、また、予算が立てられますときには、いつもみんな力を合わせまして大蔵当局にこの予算の増額を申請いたしましたり、いろいろと関心がたいへんに高まりつつあるわけでございます。それというのも、ただ鳥というようなものに興味を持つということではなくて、この渡り鳥というようなものの生息ということが、その国にとっての、国民環境がよいか悪いかということのバロメーターになるというふうに世界的の学者からも言われておりますので、特にこの渡り鳥協定というようなものが、そういうような意味で非常に重要な意味があるということだろうと私は考えております。そしてこの日豪渡り鳥協定前文を見ましても、これは前回の日ソ渡り鳥協定のときからこういうふうでございますけれども、「鳥類自然環境の重要な要素一つであり、自然環境を豊かにする上で欠くことのできない役割を果たしている」云々という条文がございます。一番最初日本鳥類協定をつくりましたのは、いまから二年前の日米渡り鳥協定でございました。そのときの前文はこんなふうな書き方ではございませんで、目的は文化とかレクリエーションとか、そういうようなことに鳥類の存在というものが必要だというふうに書かれておりました。私は、そういうようなことよりも、自然環境保全ということがこういう協定の一番重要な意味であるので、そういうことが前文に入らなかったことを遺憾であるということを、その当時質問の中に加えて私見を述べたわけでございましたが、その当時は、ほかの国、アメリカとほかの国というような、そういうようなところの渡り鳥協定前文のようなものが参考にされまして、そんな文章ができていたように承りました。それが日ソのときから、また、今度日豪の場合にも、非常に自然環境の重要な要素一つであるということがはっきりうたわれたということは、確かに一つ進歩であったと思っております。  ところが、この前文だけが進歩いたしましても、内容がはたして進歩したかどうか、これがたいへん問題でございまして、このことについて伺うわけでございますが、今日は、その内容いかんということは環境庁のほうの担当でございますので、環境庁のほうからも御答弁をいただくわけでございますけれども外務大臣としては、こういうような渡り鳥協定ができたと、そしてその結果がほんとうに国が責任持って環境保全のために尽くしているのか、あるいはちっともいないのかということは、外務大臣としても非常に御責任が重いのじゃないかと私は思うわけでございます。特に、この問題は具体的にあらわれてくるので、どうも成績が年々よろしくない。特に、日米渡り鳥協定ができるまでには長いことかかって、要するに一般並びにお役所関係でも少しも理解がないので、たしか昭和三十五年に国際鳥類保護会議という国際会議東京で開かれて、そのときに鳥類保護ということが国際的に必要であるという問題が提起されてから、日米渡り鳥協定ができましたのは四十七年の三月というのですから、ずいぶん長い間かかってようやくできました。しかし、その後は、まあとんとん拍子というわけでもございませんけれども、次から次へできております。それはたいへんけっこうなことだと思います。特に、四十七年の六月の国連人間環境会議の席で、当時の大石環境庁長官がこの問題を非常に重要視して発言されておりますが、そのときには中国カナダオーストラリア東南アジアの国々との間の条約締結ということも非常に大事であるというような御発言がございまして、これは非常に一般から支持されたと思います。  そこで、いま日本では第二回目のオーストラリアまできたわけでございますが、いま私その受け入れ体制のことをあと回しにいたしまして、まず最初に、今後ともまだほかの国ともおつくりになろうという意図がどのくらいおありになるのか、そしてことに、中国との間というようなことが非常に問題が前面に出ているというようなことを聞いておりますので、そういうようなことの御用意は外務当局としてはどういうふうになっておりますのか、それからまず承りたいと思います。
  13. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答え申し上げます。  中国カナダ東南アジア諸国との渡り鳥協定重要性につきまして、ただいまお話しのように、以前から大石環境庁長官からも国際会議の場で御指摘があったということでございますが、いまのところ、率直に申し上げまして、カナダ東南アジア、それから中国話し合いを始めたとか、ないしは将来の懸案といたしまして、問題が両者で意識されているということはございません。私どもといたしましては、日米から始まりまして、日豪日ソ、これらの鳥類保護条約というものは、今後とも鳥類保護国際協力の面を推進していくべきであると考えておりますので、今後必要あらばこれらの諸国とも進めてまいりたいと存じております。
  14. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 中国とは、やはり渡り鳥協定は実際上は非常に必要な状態になっているんではないか、中国政府要人の方も非常にこの問題には積極的に賛成をしていらっしゃるというようなことを聞いておりますもので、それで外務当局としてはどういうふうにしていらっしゃるのか。
  15. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 中国に関しましては、日本に参ります渡り鳥の数と種類というものから見ますると、ソ連、アメリカ、豪州というものにまさるとも劣らない重要性を持つものでございます。したがいまして、中国との間では私どもも他に先んじて、渡り鳥保護につきます協定について話し合いをしたいと、始まればよいと思っております。しかし、ただいま御指摘のございました中国側が非常に積極的であるということは、私どもとしては実は承知しておらないわけでございまして、まだ両政府間の実務協定交渉の間で、渡り鳥協定というものがまだ議題ないしは両者交渉の間で口にのぼったことはございません。
  16. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 中国日本との間には、約二百類ぐらいの渡り鳥保護が必要であるというようなことが専門家の方々の間で話題にのぼっておりまして、やはりこれはどうしても、ここだけあけておくわけにいかないので、日本政府としても、こういうことを、関心を高めて、さらに研究を進めていただきたいと思うわけでございます。で、その場合に、鳥は政治的な問題には関係なく、どこへでもその必要に応じて渡るものですから、台湾との関係はどういうことになるのか、そういうこともちょっと聞かしていただきたいと思います。
  17. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 中国との間に渡り鳥保護協定を結ぶことにつきましては、私どもも、先ほど申し上げましたように、前向きで検討してまいりたいと思っておりますが、その際に、台湾との関係がどうなるかということでございますが、かりに協定を結びました場合には、やはり中国から来る渡り鳥について保護をするということでございまして、この場合、地域的な支配が及んでいるところについての協定ということでございますので、台湾から来る渡り鳥については、日中間渡り鳥協定が結ばれました際には、その協定は適用にならないということになると思います。
  18. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それではもう一度、先ほどの日本渡り鳥協定が結ばれたことに対して、この協定内容についての責任ある体制をとっているかどうかということを問題にしたいと思います。  それは、日米の場合には、協定締結されましてすでに二年間たっているわけでございます。それで、その二年間の間に、はたして協定に書かれておりますことがそのとおり順守されているかどうか、はなはだ疑問が多い。実際はどうもそうでないように思われる具体的な事実が多い。こういうようなことになりますと、これは外務大臣、こういうことに対してはどういう責任をお感じになるわけでございましょうか。渡り鳥協定ができまして、そして両国では、渡り鳥保護するとか、絶滅に瀕する鳥類保護するとか、そのやり方はどうするかというようなことについてこまかい規則ができているわけでございます。その受け入れ体制というのは、一番おもなものは、渡り鳥が渡ってまいりましたときに、どこへでも好きなところへ行くわけじゃなくて、行くところは一定の渡り鳥生息できるようなところ、そこで栄養をとったり、それから卵を産んだり、ひなをかえしたり、そしてまた、時期が来たらまたもとのところへ渡って帰っていく、そういうことを意味すると思いますけれども日本へ、時期が来て、シーズンが来て飛んできたら、どこにももう羽の休めるところがないということになったら、こういうことに対して、そういうことをやりますと協定に書いてあって、そしてこっちでは受け入れ体制は、鳥のいない間に全部工業地開発されつつあって、鳥の来るところはありませんなんというような状態になっているということが報告された場合の責任というのは、どういうことになるのでございましょう。
  19. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 日米条約につきまして、鳥類保護が必ずしも十分にいってないのではないかということでございますが、私どもといたしましては、この日米条約で約束されております鳥類保護、すなわち、渡り鳥保護し、かつ、渡り鳥の卵の採取ですとか、渡り鳥を捕獲するとか、そういうものを禁止いたしましたり、ないしは、絶滅鳥の売買を禁止するということにつきましては、日米条約締結の当時に国内法も整備いたしまして、実質的に国内条約義務を履行する手続というものは完備しているように思っております。かりに、心ない人がこの法律というものに違反いたしまして取るということになりますれば、これは法律上の罰則がかかるということによって担保をいたしておるわけでございまして、条約規定そのものが全然実施されていないということはないと存じております。ただ、自然環境破壊といいますのは、経済開発と申しますか、そういうものが進みますと、鳥類生息する自然環境というものは、若干は破壊されるということがあるかもしれませんし、その点をあるいは御指摘になったのかもしれませんが、それにつきましては、やはり外務省のみならず、政府当局も、それから国民も、自然環境という、保全ということを念頭に置きつつ経済開発をしていく、これはやはり官民一体協力が必要なのではないか、そのように考えます。
  20. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ただいまの御答弁はもう全く答弁になっておりませんで、それはあなたが実情を御存じないためにそういうことをおっしゃっていらっしゃるんで、法規を完備いたしましてとか、法規に基づいてとかとおっしゃってますけれども、鳥を扱うには、法律がどうなっていても、事実がそれに付随しなければ何にもならないことでございますし、また、法律をどんなにしておきましても、鳥を法律によって規制することはできないので、人間がちゃんとその環境をつくっていくという努力をしていかなければいけないわけでございます。したがって、私は、大平外務大臣には、こういう協定を三つもこれで日本が結ぶということは、たいへんな進歩であるということを喜ぶわけでございますけれども、ただ、法律文面協定文面だけが完備したのでは何にもならなくて、その内容が実を伴っていかなければ、責任もとれないことである。ことに、具体的に環境がだんだん破壊されるほうが早くて、そうして渡り鳥が来ても住めないとか、生息地がないとか、来ても農薬に汚染されたえさを食べて死んで行くとか、あるいはえさが全然なくて、あとで死んでいる鳥を解剖すると、胃の脇がからっぽのものをずいぶん見つけたとか、そんな情けない話を次から次へニュースとして聞いているということ、これは非常に心を痛めることで、条約の精神にも非常にもとることなんでございます。ことに、協定を結ぶような国では、私たち日本人普通常識で考えるより以上に高くこういう問題については重要視していると思います。外務大臣なんかもいろいろな会話のときに、動物の愛護とか、渡り鳥の問題がどうなっているとかということは、非常にいい話題として出てくると思います。そういうようなときに、おまえの国ではさっぱり渡り鳥がはるばる行っても、おなかすかして死んでしまうような状態だねというふうに言われたら、これは非常に日本の国の恥ではないかと思うので、外務大臣がそういうところで恥をおかきになってはよくないと思いますので、そういうところに特に関心を十分にお持ちになっていただきたいわけです。ただ、その関心をお持ちになって、それを実行していくのは外務当局のお仕事ではなくて、環境庁のお仕事でございますから、私はその問題は環境庁のほうに伺いたいと思います。  で、昨年の九月三十日に、日本にはこの鳥類関係いたしました民間団体としては山階芳麿博士の主宰していらっしゃいます日本鳥類保護連盟という非常に学術的にも、また、国際的にも権威の高い連盟がございます。この連盟と、そして日本野鳥の会、これは非常に全国的に野鳥関心を持って、研究的に、そしていろいろ身を持って野鳥研究保護に当たっているという大きな全国的な組織の会でございますが、この二つの民間団体協力いたしまして、全国のおもな干がた百十五カ所において調査、百四十三人の人が参加して、一斉にバードセンサス鳥類人口調査みたいなのを行なったそうでございます。で、この結果はかねがね予想されていたような数、二十万羽の半分を下回る数であったという結果があらわれておりますということが報告されております。そして、干がた破壊が実にすさまじくて、そしてこういうような結果になるということでございます。で、この問題が国際的にどういう意味があるかということを申し上げますと、こういう調査が行なわれたというそもそもの動機は、ソビエト科学アカデミー鳥類研究者から、先ほど申し上げました鳥類保護連盟山階博士に、シベリアから飛び立つ渡り鳥のうち北米、欧州、中東へ行く鳥は毎年ほとんど同数が帰ってくるのに、日本日本を経由して南へ行った鳥の帰ってくる数は非常に少ないのはどうしたわけか、こういう照会があったそうでございます。これはどうも先ほどたびたび私が申し上げているように、協定文面だけ整っても、内容がこういうふうに整わなくて、そして、ことにソビエトとも協定を結んでおります、そのソビエトアカデミー鳥類研究者の方からそういうことが指摘されたということは、これははなはだよろしくないことだと考えますので、これは環境庁としてこの問題についてどういうふうに考えていらっしゃるか、承りたいと思います。
  21. 江間時彦

    政府委員江間時彦君) 渡り鳥保護につきましてたいへん深い関心を持っていただきまして、その当事者として感謝申し上げる次第でございます。  先生が御指摘になりましたように、わが国、最近非常に大きな経済発展を遂げましたのでございますが、その過程におきまして、ややこの種の配慮に欠けたということがあったことも事実であろうかと、思います。干がたでございますが、干がたといいますのは、おそらく海辺に近く、そして浅い。しかも、真水が流れ込むという幾つかの条件を備えなければならないところでございます。そういうところが開発との関係では非常に開発がしやすいということによりまして、どんどん開発されまして、渡り鳥飛来地が奪われるという現象が見られるわけでございます。われわれ、これをどういうふうにして守るかということについて、深い関心を持っておるわけでございます。現在、率直に言いまして、残り少なくなりかけております干がたを全力をふるいまして守っていきたい、あらゆる法令を駆使しまして、もし法令の根拠がなくても、それを事実上守っていくという措置を進めておるわけでございます。最近におきましては、かなりこういう方面の理解が進みまして、ほぼわれわれが考えております行政が進められるというふうに考えております。
  22. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 環境庁ができましてからまだ日も浅いことでございますし、お役所としては非常にこの問題について熱心に仕事を進めようと努力していらっしゃることはわかります。三木長官もたいへん御熱心であると承っております。しかし、いま私が質問いたしましたソビエトのアカデミーの鳥類研究者からのこういう質問があったということは、環境庁ではお聞きになっていらっしゃいますでしょうか。
  23. 江間時彦

    政府委員江間時彦君) 承知いたしております。
  24. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それに対して、どういうふうにお答えになったのでしょうか。こういうように数が、たいへん日本から来たのが、帰らないと言っているのは、何とお答えになったのでしょうか。
  25. 仁賀定三

    説明員(仁賀定三君) そのような手紙がまいったということにつきまして、十分その内容を私まだ聞いておりません。ただ、ソ連の学者がいろいろその種の研究をされまして、発表されました論文が山階先生のほうに送られてまいっております。それによりますと、先ほど先生が御指摘のように、各地区にソ連から飛んで行っておる。そのポピュレーションというのは、日本のポピュレーションが比較的少なくて、日本以外へ飛ぶポピュレーシヨンが相当大きい。日本でどのような生態になっておるかということがまだ十分解明されていない。今後日本と十分連絡をとり、日本の生態について、双方協力して解明していきたいというふうな論文が送られてまいったことは聞いております。なお、今後十分山階研究所とも連絡をとりまして、検討してみたいと考えております。
  26. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 いまの御答弁、私に聞こえましたのは、シベリアから飛んでくる鳥のポピュレーションが比較的日本に来るのは最初から少ないのだと、こんなふうに向こうで言っているのでございますか。私が聞いているのは、来たものの中で帰るのが、北米や欧州や中東に行くのは、毎年行ったのはほとんど帰ってくるのに、日本日本を経由して南に行った鳥の帰り方が少ないというのはどういうわけかと、質問はこういう趣旨だと思います。それについて御答弁を願います。
  27. 仁賀定三

    説明員(仁賀定三君) その趣旨の手紙がまいったということは聞いておりませんで、いま私が申し上げましたような内容の論文が送られてまいったということは聞いております。先生の御指摘のような趣旨の手紙が別途まいったということについては、山階博士のほうから聞いておりません。
  28. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私の資料によりますと、日本に来るものの帰り方がたいへん少ないということがいわれているということと、それから日本の新聞その他のニュースによりますと、渡り鳥が来て、生息地が荒されているために、えさもあされないし、空腹で、胃の腑を解剖の結果、からっぽであったというような死に方をしている鳥の数がどれだけあったとか、そのつどニュースに出ておりますので、これは協定をほんとうに守られていないことだと私は心配するわけでございます。ですからもう一度、こういう質問があったかどうかは鳥類研究所のほうにも御照会なさって、十分にお調べになって、そんなふうに帰り方が少ないというようなことが、現実として外国で、協定を結んでいる相手国の間で問題になっているということは、これは協定を結んだ国としての責任が問われることになりますので、その点を十分に研究して、他日またそれは答弁していただきたいと思います。  問題は、結局、この干がたというのを何とか残してほしいということを鳥類保護関係の方々、あるいは地域の住民の方々は強く要請しているわけでございますけれども経済開発のほうがいつも先行してしまいまして、干がたというのがつぶされていくわけでございます。それで、干がたをつぶすというのは、地理的に経済開発には非常に都合のいいところだもんで、非常に魅力があって、まあ鳥のことはあと回しで、まず経済開発だということになって、こんな結果になって、現在どんどんそれがまだ進んでいるのが現状でございますね。ですから私は、ことに新しくオーストラリア協定を結ぶ際に、このことをもう一度、自然環境を守る役を持っている環境庁としては、非常に重要視していただきたいわけでございます。  で、そのときにもう一つ私としては伺っておきたいことは、私もずいぶん前から、干がたがどんどん滅びてしまうということは、一度滅びてしまった、こわしてしまった干がたというものは再生できないということでございますね。これはたいへんに、日本のような国でせっかくいい干がたがあるのに、これをそこをつぶして工場かなんか建ててしまって、そして鳥が来なくなった。鳥が来なくなったということは、人間環境がそれだけ著しく悪化されたということでございますから、どうかこういうことをとめていただきたいということを、私はもう十年近くそのためにいろいろと現実の問題として運動して、政府それぞれの当局の方々にもいろいろ御協力をいただいたわけでございます。  それで、千葉県の市川市の御猟場の前の新浜、あそこが埋め立てられるというときに、いち早く鳥類関係の方の御要請を受けまして、私はあそこに干がたを残してほしいという運動に参加したわけでございます。そのときに、いろいろの千葉県当局との折衝もございまして、当時はもう埋め立ての勢いが圧倒的に強くて、鳥類保護なんてことは一部のもの好きな人がやっているぐらいにしか受け取られなかった時代でございましたから、この新浜の干がたを守って残してくださいという運動は非常に骨が折れたわけでございます。で、その結果といたしまして、その当時の佐藤総理なんかもこれに参加してくだすって、それから関係の運輸大臣、建設大臣、みんな参加してくだすって応援してくださって、いろいろの妥協ができまして、で、人工的な干がたをそこに残して、それで何とかお茶を濁そうというようなことに、その当時なってしまったわけでございます。私どもとしても、それ以上強く主張することができかねて、ついに妥協してしまいまして、ここに約九億何千万のお金を注いで人工的干がたができたわけでございますね。そうすると、こういうような、埋め立てたいだけ埋めちゃって、経済優先にやってしまって、そしてあと少しばかりのお金で人工干がたのようなかっこうでそこへ残せば、まあやってやったんだというような一種の免罪符みたいな一つのモデルケースになってしまいました。  それでも、これが、最初の予定の設計のとおり海の水がここへ入ってきて、干がたの役をやってくれるのかしらと希望を託しておりましたし、まあ十億に近いお金もそこへかけてくだすったんですから、どうにかなるのかしらと思っておりましたら、やはりそういうものを人工的につくるということはもうほとんど不可能みたいにむずかしいことらしくて、でき上がりましたものは、ちっとも海の水がうまく入ってきてくれませんで、まるで干ばつ地帯みたいにもう亀裂が生じてかわいちゃって、そこに鳥が来るためには生息しなきゃならないいろいろな生物が少しも生息できなくなる、そういう状態で、いま非常に問題を提供しているわけでございます。  環境庁としては、そういうような妥協というものはもうだめなんだと、やっぱり破壊されつつある干がたが問題にされている場合には、この協定の手前からいっても、環境庁はもっと強力に干がたを残すためのいろいろ努力を払っていただかなくちゃならないと思うんでございますが、こういうような人工干がたというものについてどうお思いになるか、そしてどんどん経済開発が進んで、その両方の板ばさみに立たれる場合には、環境庁としてはどういうふうになさる決意を持っていらっしゃるのか、その辺を聞かしていただきたいと思います。
  29. 江間時彦

    政府委員江間時彦君) 渡り鳥といいますのは、どうもまだわれわれの目から見ますと多分に気まぐれのような要素もございまして、いままで干がたがなかったところに干がたのような条件ができて、そこにたまたま渡り鳥が居つくというような事実も例外的にはございます。しかしながら、先ほど先生がおっしゃいましたように、人工干がたをつくってみたところがさっぱり鳥が居つかないということも過去においてはあったわけでございます。要するに、現在の科学的なわれわれの知見をもってしても、間違いなしに渡り鳥生息させるに値するような人工干がたはまだできないだろうというのが実情かと思います。そんな実情でございますんで、現在やはりわれわれに残された道は、すでに昔から存在しております干がたをなくさないということを、まず行政的にはやらなければならないことだろうと、で、これの確保に全力をふるっていくというのが今後の方針かと存じます。
  30. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは、渡り鳥生息地とわかっているところのこういうような埋め立て、開発が始まった場合には、渡り鳥保護を優先的に考えるという態度を環境庁がおとりになるかどうか、その点をはっきり示していただきたい。
  31. 江間時彦

    政府委員江間時彦君) 私たち、できるだけその方針で臨みたいと思っておりますし、また、最近は公有水面埋立法の強化なども行なわれまして、われわれがそういう面で保護をはかる上には、多分に行政的な力が与えられるようになったことも事実でございます。しかしながら、まだやはりこういう面につきましてわれわれ微力でございまして、経済的な開発人間が先か鳥が先かというような議論がよく起きるわけでございまして、そこら辺、いろいろ困難な問題があることも事実でございます。  ともかく、現状といたしましては、われわれ、あらゆる力を駆使して干がたを守っていくという努力はやっておるつもりでございます。
  32. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 環境庁では、人間が先か鳥が先かって言われたときは、何と答弁なさるんでございますか。
  33. 江間時彦

    政府委員江間時彦君) まあ人間が先かという議論の場合には、たいていお金で済むというような議論が多うございますから、要するに、そういうふうな開発をなさる人に対して経済的な補償ができる道をできるだけ考えるということ、それから、できれば別の場所でやってもらうというようなこと、そういう方法を講じるのが一番よいかと思います。
  34. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 具体的な問題は、やはりお金の問題がいつもそこにあらわれてまいりますので、まあお金で解決する方法もあるというふうに環境庁ではお考えになっているようないまの局長答弁でございますけれども、私といたしましては、もう少し根本的に環境庁はお考えになって当然ではないかと思います。それは、環境庁環境を守るんでございます。  先年でございますか、アメリカのスタンフォード大学の有名なポール・エーリック博士という方が日本へ来て講演いたしましたね。あのときに、アメリカでは、炭坑の坑口と申しますか、入口のところに小鳥を入れた、カナリヤの入ったかごをさげておいて、中の空気がいいかどうかということは、その鳥がどういう状態であるかということによってはかるんだと。空気が悪くなった場合にはカナリヤがいち早く死ぬんだと。鳥が死ぬようなときには人間も生きていかれなくなるのだという例をとって言われまして、そして、まことに情けないこには、いまそういう方面の学者は、日本はカナリヤのかごだって。日本でもって鳥が住めなくなるときにはもう地球全体が非常にあぶなくなるときなんだと、そういうふうに考えるということばを残して帰られたんでございますが、これは私たちにとってたいへんショッキングな言い方だと思います。で、確かにそれはそうに違いないんです。これはもう、鳥類のことを研究なすった方は、環境が悪かったら鳥はもういち早く死んでしまうんだと。そういうところには人間が住めなくなるんだと。ですから、開発の場合でも、その問題をもっと強く前面に押し出して、人間のために環境が必要なんであって、特に鳥だけを特別に保護するんじゃないんだと。人間のために保護しなくちゃならないという、その立場をもっと強くおっしゃっていただきたいと思います。そうして、この協定を結ぶ際には、国際的な信用の問題がこういうふうにあらわれてきているということも特にお考えの中に深く入れて、今後も、干がただけは守るために、もっともっと強力に、弱い役所だなんておっしゃらないで、国民の世論が背後にあるということをお考えになって、もっと強く出ていただきたい。  私は、これだけを要望いたしまして、また外務大臣もどうか、そういうような面で協定に対しての責任を守るということを深くお考えになっていただいて、私の質問を後わります。ちょっと所信を伺って……。
  35. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) われわれ条約を結ぶ場合には、日本といたしましては、国内法の整備ができておるかできてないかということをまず見定めた上で、条約締結さしていただくようにいたしております。で、これはいま先生御指摘のように、国際信用が第一でございますので、せっかく結んだ以上、その実効があがらぬということになりますと、国際信用をそこねることになりますので、その点は外務省としてはかたくこのルールは守っていきたいと念願しておるわけでございます。しかしながら、国内法は整備されておりましても、現実にそれが円滑に活用されて、所期の目的を達成し得るかどうかというのは、これまた別問題でございまして、それにつきましては、いま御指摘のように、いろいろな問題がございまするし、とりわけ日本において問題が先鋭的に出てまいっておりますことは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、この問題は、ひとり鳥類保護という観点ばかりでなく、大きく自然の保護という観点から、経済政策はもとよりでございますけれども、全体の政策基調に、第一の要件として取り込んでおかなければならぬ大きな課題であろうと考えております。したがいまして、政府といたしまして、そういう観点から周到な配慮を怠らないように努力をしてまいりたいと思います。
  36. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 環境庁も、きょうは大臣がおいでくださいませんでしたので、大臣の御意思を体して局長から。
  37. 江間時彦

    政府委員江間時彦君) いろいろな点、先生から御指摘を受けまして、確かに、鳥の生息状況というものが環境のよしあしを示す一つのバロメーターになるというふうな評価が最近なされておりまして、われわれも事実そのとおりだと思います。まあそういうふうな具体的な効用の問題を別にいたしまして、やはり鳥類に対してどのような態度をとるかということは、すなわちわれわれが人間生活において一つの非貨幣的な価値を認めるということにもつながる非常に重要な要素だろうとわれわれ考えるわけでございまして、現在の法令のもとでできるだけ十分な措置を講じますし、また、法令の根拠のない場合でも、事実上、行政的な力によって干がたを守っていくということに努力いたします。
  38. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 両件に対する質疑は本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午前十時五十四分散会      —————・—————