○青柳
委員 さて、この二千二百件は、沖繩の場合と違って、地主もわかっておるし、
土地も明確であるから、
期間の
更新について事務上の支障はまずないだろう、いままで毎年毎年、俗に言う切りかえのようなことをやってきておりますから。しかし、そうはいっても、この人々がもうこれで
民法六百四条の期限が来たのだから、いままでは一年更改のような形でやむを得なかったけれ
ども、今度はお返し願いたい、いわゆる
更新を拒否したいという気持ちになられる方もないわけではないと思うのですね。最近の沖繩
基地が、ベトナム戦争に日本の
基地がじかに使われる。事前協議も何かあいまいだという形で、直接対外侵略の
基地にも使われるというようなことに自分の
土地を提供しておきたくないという、そういう気持ちからも返してもらいたいという人が相当出ると思うのですよ。
そこで、こういう
方々も説得をして、何とかまた、不確定期限とは言いながら、二十年の限度で継続していただきたいと説得されるというのが
政府側の
考え方でございましょうけれ
ども、それが功を奏さないという場合に、伝家の宝刀で、
先ほどから論議されております特別措置法を使うんだ。まあこれを使うことが、はたして適法であるかどうかということが大問題になりますけれ
ども、そのこともここで私は本来なら論じたいと思いますが、これは次回に継続審議のようでございますから、またその際にも言いたいと思いますけれ
ども、
政府は特別措置法があるから、
空白なしに直ちに
更新はできたと同じことなんだ、絶対に不法占有にならぬようにしてみせる、これだけの自信があるのかないのか。実は、特別措置法で準用されておるところの
土地収用法を読み合わせてみますと、
土地収用法を発動させて国民の
土地を
使用する、あるいは収用するということは、沖繩の暫定
使用に関する
法律のように、認定して通知さえすればいい、あるいは告示さえすればいいという、そんななまやさしいものではないわけですね。
〔羽田野
委員長代理退席、
委員長着席〕
相当この
土地収用法というのはざる法だ、一方的に大企業あるいは大会社がどんどん民間の
土地を横暴に取り上げて、けしからぬという議論が盛んでございますけれ
ども、そういう
法律でも、民主主義のたてまえで、憲法二十九条を厳正に適用すれば、やはり相当民主的に運用せざるを得ないわけですから、時間がかかりますね。だから、七月二十七日の午後十二時まで説得を続けたけれ
ども成功しなかった。そこでもう見切りをつけて、この特別措置法第三条に該当するということで、認定申請を
防衛施設庁長官や
防衛庁長官を通じて内閣総理
大臣に申請する、内閣総理
大臣は即座に認定をしてこれを通知し告示する、そこまではスピーディーにやれるでしょう。しかし、それから後の収用
委員会の
手続というものが、そう夜の夜中でも一分のすき間なく行なわれるということは
考えられないわけですね。認定ならば簡単でございます。しかし、収用
手続というのは相当の
期間がかかるのが常識です。これまたかからなかったらおかしいですね。それでは収用
委員会というものは全く形骸化してしまいますから。
そこで、その場合には
一つの手がある。特別措置法で準用されている
土地収用法の百二十三条というのがあるから、これでやればいいんだという
考えがあるいはあるんじゃないか、私はそのように想像いたします。これは私の想像で、防衛
施設庁のほうでは、いや、そんなものとはかかわりなくやるというのであればまた
あとで御回答願いたいのですが、百二十三条を使いましても、そうは簡単にいかないと思うのですね。はたして
空白なしにいくかどうか。したがって、いま言われたように二千二百件もある、そのうちの一%でも二十二人、一〇%なら二百二十人の方が拒否されるということがあるわけです。その
人たちについてはやむを得ず不法占有が続いておって、
あとで収用の認定裁決が出れば治癒されるとでも
考えているのかどうか、この辺ひとつ
お答え願いたいと思います。
要するに、こういう複雑な問題をかかえているのに、沖繩における公用地等の暫定
使用に関する
法律と同じようなものを、本土の
米軍基地についても暫定的につくっておかなければまずいのだ、そうでなければ、法治国家らしい形をなさないというふうには
考える必要がないのかどうか。これはよほど重大な問題ですから、正確に
お答え願いたいと思います。