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1972-05-25 第68回国会 衆議院 逓信委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十五日(木曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 高橋 清一郎君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 中野  明君 理事 栗山 礼行君       左藤  恵君    佐藤 守良君       中村 拓道君    羽田  孜君       森  喜朗君    武部  文君       松浦 利尚君    八百板 正君       樋上 新一君    土橋 一吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  出席政府委員         郵政政務次官  松山千惠子君         郵政大臣官房長 森田 行正君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         通商産業省重工         業局電子政策課         長       水野上晃章君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     今澄  勇君 同日  辞任         補欠選任   今澄  勇君     池田 禎治君 同月二十五日  辞任         補欠選任   八百板 正君     松浦 利尚君   近江巳記夫君     樋上 新一君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     八百板 正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  有線テレビジョン放送法案内閣提出、第六十  五回国会閣法第一〇二号)      ————◇—————
  2. 高橋清一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  有線テレビジョン放送法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 冒頭に、委員長にお願いをしておきたいと思うのです。  実は、昨年通産省に対しまして、重工業局長出席もしくは大臣出席を求めたわけです。大臣は所用のために出席できないということでありますが、重工業局長は本院においても、参議院においても、出席要求は本委員会以外に出されておらないわけです。ところが、きょう通産省のほうから出席できないという連絡がありました。ただいまあったわけです。私はけしからぬと思うのですね。それはどういう理由で欠席するのかということが明確になって欠席されるなら、質問する者はある程度了解をするでしょう。国会審議が優先するのか、それとも通産省の行政が優先するのか。そういう点は明確にひとつ通産省重工業局長に対して、委員長から責任をもって回答を求めていただきたいと思うのです。そうしなければ、私は国会でまともな審議はできないと思います。商工委員会要求すれば必ず出席する。主管でない委員会に対しては責任ある者が出席しない。そういうことでは私は国会審議は進まないと思うのですね。きょう出席できないということについては、やむを得ませんから了解いたします。その点については、私は委員長のほうでしかるべく重工業局長について不出席理由について本委員会に明らかにしてもらいたいと思うのです。
  4. 高橋清一郎

    高橋委員長 了承しました。
  5. 水野上晃章

    水野説明員 昨夜までは局長も出る予定で準備しておったわけでございますが、けさになりまして突然、私も事情はよくわかりませんけれども、また先生のおっしゃいましたように、後刻確めまして御報告申し上げたいと思います。
  6. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産省が、カラーテレビその他の相殺関税等でいろいろ忙しいことはわかります。しかし、物価に関する特別委員会においても通産省出席は非常に悪い。そういう点については私はぜひ、説明員の方ではありますけれども、あなたの上司に対して、きつく私からもそういうことがあったということを伝えてください。
  7. 水野上晃章

    水野説明員 ただいまの御趣旨十分局長にお伝え申し上げます。
  8. 松浦利尚

    松浦(利)委員 委員長のほうで、しかるべくただいまの問題善処していただいたあと、この不出席の問題については後刻しかるべきところで、またこの問題だけに限って議論させていただきたいと思います。  それでは法案の質問に入らせていただきたいと思うのです。  まず第一点として、郵政大臣基本的な問題としてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  この有線テレビジョン放送法案CATV法案なるものは、一体いまある放送法とどういう関連を持ってくるのか。御承知のように、こうした無線伝達するもの、あるいは有線伝達するという伝達の違いはあったにしても、これは明らかに私は放送という映像伝達、こういった部類に入るべき法律だというふうに解釈をいたします。だとするなら、これは当然現在ある放送法を改正をしてしかるべきではないか。しかし、これを改正せずして、独立した立法措置をとったということについて、那辺にそういう特別な立法措置をしなければならない原因があったのか。  もう一つは、それではこの法律と現在ある放送法との関連はどうなるのか、その点について大臣の所見を承っておきたいと思います。
  9. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 最近都市に次々に局層ビルが建ちまして、そのために難視聴地区が非常に拡大されつつある現状でありますわけでございますが、都市の難視聴地区の解消ということで、放送の再送信をいたしたいという国民要望がありますわけでございます。また、こういうようなことではなくて、よく見える地域におきましては、再送信でなくて、自主送信をやりたいという地域の、要望もかなりたくさんありますわけでございまして、そういうような難視聴地区の再送信、それからよく見える地域では自主送信をやりたいという国民の欲求、そういうものが非常に熾烈でありますわけでございます。それとともに、御承知のように、世の中はだんだん情報化方向に向かっておりますわけでございまして、情報化社会のことを展望いたしますと、この中におけるCATVの使命はきわめて重大だということも考えなくちゃならぬわけでございます。つまり国民要望が熾烈にあることにこたえなくちゃならないということに現在の情勢はなっておりますわけでございますが、そういうような国民の要請にこたえるということになりますと、新しくCATVを持ってまいりますには、何と申しましても、受信者に迷惑をかけてはならない。受信者立場受信者の利益を考えますと、適正なCATVの選択をしなければならないということになってくるわけでございます。  ただいま申しましたようないろいろな理由で、国民からCATV施設要求がたくさん出ている状況にありますわけでございます。ただいまその申請もされておる、そういう状況でございますが、それにこたえるためには、適正な選定をしなければならない。と申しますのは、CATVは非常に独占性を持っておるのでありまして、第一にCATVに使います回線、これは非常に収容力の大きい回線でございまして、まあ二十チャンネル程度回線の使用ができるというような、周波数の収容ができるというような容量の大きい回線でありますわけでございます。したがって、このCATV施設のために、この回線一つかけますと、その回線で相当たくさんの利用ができますわけでございますから、別に新しくまた回線施設するという余地が非常になくなってくる、そういう意味から申しまして、一つ回線CATVのために開設するということは、それだけ独占性を持ってくるわけでございます。それから、費用の点から申しましても、このCATVの開設は、相当多額な費用がかかる。その費用の面から申しましても、だれかそのような施設をやりますと、これと競争してまた回線施設することが非常に困難になってくる。そういう経費の面から申しましても、独占性を持っている。それからまた、道路の占用あるいは電線の架設というようなことにつきましても、だれかひとつそういうものを利用しますと、あとのものが利用しにくくなるというようなことで、そういう面からも独占性を持っておるというわけでございます。独占性を持っておるようなCATV設備でございますから、その設備にあやまちがあってはならない。適正な施設者を選ばなくちゃならないということに独占性から考えてなってくるわけでございます。  そういうことでございますから、今度の法律案趣旨は、その施設に対して許可制をとることにしよう。従来のように、届け出だけではよろしくないということで、施設に対して許可制をとることにいたしましたのは、そういう理由からでございます。  それに関連いたしまして、時世の要求に対する必要性から申しまして、このCATVに対するいろいろな総合的な規制を設けたいということで、単独立法にしようということになったわけでございます。  ただいま引例されました一般の放送の問題でございますが、この放送有線でなくて、つまり電波によって放送するわけでございまして、これがたてまえでありますわけでございます。しかもその放送というのは、単なる放送法だけの規定によってやっているわけじゃございませんで、チャンネルプランのあれでありますとか、免許でありますとか、いろいろな規制電波法にうたわれておりますわけでございます。もともと放送局という無線局の設置は、電波法に基づいてやっておりますことは御承知のとおりでございまして、その放送ということを取り上げましても、放送法だけでなくて電波法とも非常に大きな関連があって、放送事業というものができておりますわけでございます。  そういうようなことでございまして、放送という面から申しましても、放送法だけでなくて電波法にも関連を持っているというわけでございますが、今度はCATVについての総合的な法律をつくろうという意図でございますから、単独法にいたしまして今度のような提案になったわけでございます。
  10. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣の御説明、一応原則的な御説明としては理解ができます。ただ問題は、CATVというものは将来テレビジョン放送だけでとまるものかどうか、そこに私は非常に重大な問題があると思う。もっと具体的にいうなら、同軸ケーブルを使って難視聴地域を解消する、あるいは自主番組を送るという一方交通のテレビジョン映像放送だけでは、絶対に採算というものは成り立たない。だとするなら、CATVが将来発展的に情報産業社会の中で位置づけられてくるという問題が出てくると思うのです。そうなってきたときには、これは放送というものから非常に大きくはみ出してしまう。極端にいうと、放送からさらに情報通信網という方向に発展する問題を含んでおるのです。ですから、私が先ほど申し上げたように、これが有線テレビジョン放送に関するものであるなら、現在の放送法のワクの中に入れていいのではないか。何もここで独立法で出さなくても、現在の放送法を改正することが妥当ではないか。自主番組であるかどうかは別にして、ただ有線映像伝達するというだけのことであって、無線であるか有線であるかという違いだけなんですね。出すなら私は、現在の放送法で十分ではないかという気持ちがしてならないのです。  そこで私は、通産省に具体的にお尋ねをするのでありますが、五月の十二日に、国産電算機メーカーなどが参加をいたしまして、映像情報システム開発協会というのが設立をされました。御案内のとおり、今年度の予算政府は三千万円の支出をするということをきめておられるわけです。そして、この情報システム開発協会というのは、総額一億二千百万円で研究開発に当たる。来年度は七億円という大きな規模でさらにこの開発協会の充実をはかっていくということで、私も映像情報システム設立趣意書その他を通産省のほうから資料としていただきました。これを見てまいりますと、将来のCATVというのは、ただ単なる有線テレビジョン放送からさらに範囲を広げて、もうすでに対話のある情報提供ということを、この通産省映像情報システム開発協会では議論をしておる。だとするなら——このCATVというのは、御承知のように同軸ケーブルでありますから無数のチャンネルがとれる。しかも、伝達としては雑音等関係なく、非常に鮮明にそういった形で伝送できる。そういうことからするなら、このCATVというものを情報システム情報網の中に繰り込んで、将来は双方向性を持った一つ情報伝達機関にしたいという構想が現実通産省に出されておるわけですね。だとするなら、この映像情報システム開発協会というものと、いま出されておる有線テレビジョン放送法というものとの関連について、通産省ではどういうふうに理解をしておられるのか、この間について関連があるのかないのか、その点について通産省の御意見を承りたいと思うのです。
  11. 水野上晃章

    水野説明員 お答え申し上げます。先生のおっしゃいましたとおり、去る五月十二日、映像情報システム開発協会というのを設立いたしました。それで昨年予算要求いたしまして、三千百万円のシステム開発設計費というものを予算でお認めいただいたわけでございます。そのほかに私どもとしましては、先生のおっしゃいましたように、四年がかりくらいで一応機器開発システム開発をこれからやってまいりたいと思っております。それがある程度できました段階で実際に実験をやりまして、消費者の二ーズあるいは評価によりまして、さらに手直しをやってまいりたいという、かなり長期の計画で考えておる段階でございます。したがいまして、ただいま提出されてございます法案に直ちに関係するとは私どもは思いませんけれども、将来そういった技術開発が行なわれ、社会情勢あるいはニーズが動いてまいりました場合には、そういったものも御考慮いただけば幸いと考えている次第でございます。
  12. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ここに柏木さんがおいでですから柏木さんにお尋ねするのですが、双方向性ですね、こういったことが通産省のこの開発協会においては、基本的な、最終的な目標として対話ある情報システムということで現実的に議論をされておる。だとするなら、現在の法体系の中で双方向性というものについては認められるものだ、こういうふうに専門家であるあなたは考えておられるのかどうか、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  13. 柏木輝彦

    柏木政府委員 ただいま通産省のほうからお答えのように、将来機器開発されましたあとで、これをシステムとして運用するという場合のことになるかと思います。双方向ということは当然通信の分野に入ることでございまして、双方向通信につきましては、片方送りでありますそれが映像であれ、音声であれ、放送あるいはテレビジョンというものとは、有線でこれを送る場合、有線電気通信法上別な規制がされることになります。現在では、公衆電気通信法あるいは有線電気通信法が一般的に適用になるということでございます。ただいまお尋ねの、双方向システムというものにつきましては、これは有線電気通信法としての一応の適用があり、電信電話公社がさらにその設備を提供するという際には、公衆電話通信法がさらにその上に適用があるというふうに考えております。
  14. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ですから、いま柏木さんのほうからも御説明があったように、現在の法体系の中では考えられないことが、すでに将来の開発目標として情報システム開発協会ということで、中で議論をされておる。最終目標は対話ある情報提供ですから、双方向性というものを現実に志向しておるわけです。だとするなら、いまここでCATV、いまはテレビジョン放送だということで許可する。しかし、これが映像通信だけにとどまらず、将来この開発協会が志向する対話ある情報提供の具体的なものとしてこれが移行していく、リンクされていくということは私ははっきりしてくると思うのです。  そこで私は、通産大臣が来ていただければよかったわけですけれども、おいでいただけませんし、局長も来られないので、ここで大臣から明確にお答えいただきたいと思うのですが、情報というのは、一体これは通産省のサイドでいくべきものなのか。確かに情報産業ということになれば、これは通産省でしょう。しかし、情報というものについては、一体これは通産省所管なるや郵政省所管なるや、いずれが情報所管するのか、その点を私はひとつ大臣から明確にお答えをいただきたいと思うのです。  なぜこれを申し上げるかというと、現実郵政省のほうでこういうテレビジョン放送法というものについて提案をされてきておる。あくまでも純粋な放送立場でやっておられる。ところが、通産省のほうでは、すでにこのCATVというものを情報伝達一つ機関として議論をされ、双方向性通信としての役割りを果たそうという方向議論をされてきておる。だとするなら、将来の方向として、当然このCATVというものは、情報というものの中に組み込まれていくシステムだということは私ははっきりしておると思うのです。だとするなら、情報伝達するこの情報というものについての所管は、一体通産省なのか郵政省なのか、その点をひとつ明確にしておいていただきたいというふうに思うのです。
  15. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 先刻来松浦委員から、CATVの将来性といいますか、ことに双方向通信の問題につきまして非常に御心配いただきまして、何かとお尋ねをいただいておるわけでございますが、私もその点はいまからしっかり考えておかなければならないきわめて重要なポイントである、こういうふうに思っております。  申すまでもなく、ただいま有線電気通信法あるいは公衆電気通信法によりまして、国内における電気通信事業は、ことごとく日本電信電話公社独占事業ということになっておるわけでございまして、これを侵害されてはならないというのが、私どもこの事業運営責任を持っております立場のものといたしまして強く考えておる点でございます。  そこで、CATVの将来性につきましては、今度の法律案に盛られております再送信の問題並びに自主送信の問題、これはこれでいいと思いますけれども、ただいま御指摘のように、双方向通信という可能性があるということは技術的に考えられておるわけでございます。それでそういうような将来性を持ったCATV、しかも今後社会情報化に向かっていくということになってまいりますれば、その社会におけるCATVの持ちます役割りも非常に大きいということが考えられるわけでございますから、これは真剣に検討、調査しなくちゃならないということで、ただいまそうした将来を展望いたしまして、郵政省の中にCCIS調査会というものをつくっていることは御承知のとおりでございます。これはCATVが単なる再送信あるいは自主送信ばかりでなく、双方向通信というような非常に大きな未来を持っておるのだということになりますれば、CATVをただ再送信あるいは自主送信の具として、メディアとして考えるばかりでなく、そうした非常に広い範囲の将来性を考えましての研究をしなければならない。そうなりますと、もうすでにCATVということばが妥当ではないかもしれない。そこで同軸ケーブル情報システムCCIS調査会という非常に範囲の広い目標調査会をつくりまして、ここでもひとつ真剣に検討していこうじゃないかということで昨年発足させまして、それに伴って多摩ニュータウンCATV実験をやりたいということで、これは電電公社の非常な協力を得たわけでございますけれども、あそこに実際に回線を敷設いたしまして実験をやるということもあわせてやることにいたしておりますが、その実験の結果に基づきまして、これを机上に取り戻して、CCIS調査会で学問的に研究するということをやりたいと思っておるわけでございます。しかし、このCATV実験するについては、やはり準備委員会をつくる必要があると思いまして、これもつくったわけでございますけれども、この準備委員会段階で、いろいろ通産省がやっておられたことも私聞いておりましたから、通産省一緒にやりたい、それは郵政省所管とか通産省所管とか、私ども立場から申しますれば、ただいま先生指摘のように、情報化社会においてそれは通産省の問題であるか郵政省の問題であるかという問題はまさにあると思いますけれども、私どもが考えておりますことは、いまいみじくも先生がおっしゃったように、情報産業は私は通産省の仕事であろうかと思います。つまり電子機器でありますとか、あるいはコンピューターでありますとか、こういうことは通産省所管であることは間違いございませんけれども情報運営、つまり通信そのもの、これは私は郵政省所管である、こういうふうに強く確信をいたしております。その辺なかなか両省のなわ張り争いというようなことが将来起こらないとも限りませんけれども、はっきりした考え方は、情報運営、つまり通信そのものは、まさに郵政省責任でやっていかなければならない、それだけの大きな責任があるんだということを私は痛感いたしておるわけでございますが、そういうような将来の責任に対処してまいりますには、郵政省郵政省でやらなければいかぬということでただいまやっております。いま申しましたとおりの調査会とか実験の場所を設定いたしましてやりたいと思っておりますが、それにいたしましてもやはり通産省から御協力をいただきまして、一緒準備委員会でやりたいということで、この間事務当局にだいぶ折衝させましたけれども、それぞれ立場があるから一応この実験のための委員会は、通産省は別なところで実験するそうでありますが、実験委員会は一応別々に発足いたしまして、そうして絶えず連絡をとっていこう、それで適当なときに合体しよう、合体しましたならばこれは郵政省所管情報、つまり通信政策そのものに関する問題でございますから郵政省所管の合体した委員会でやっていったほうが便利じゃないか、つまりどちらが国家、国民の福祉のために効果的であるかということに立脚しなければならないと思っておるわけでありまして、そういうことで努力いたしておるわけでございます。通産大臣がお見えになっておりませんけれども、私はただいま申したような考え方でございます。  いろいろ御指摘いただいております情報のための基本法でございますが、これは私は情報処理基本法という名前でつくりたいということで、ただいま郵政省の中に調査会をこれまたつくりまして、なるべく早く結論を得たい、これはいろいろの方面に、各省関係がありますから、これまた総合的に各省とも連絡をとりながら進めてまいりたい、こういうように思っておるわけでございます。
  16. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま大臣から明確にお答えいただきましたから、混乱は起こり得ないと思うのですが、先般の国会情報処理協会法案というものが商工委員会提案をされて制定を見ております。そのときに私は商工委員会でも指摘をしたのですが、これが将来いま大臣がお話しになったようにCATVCCISですね、こういった同軸ケーブル基本とした情報処理という方向に進んでいく。そうなってくると当然システム全体が、端末の区域だけではなくて全体が当然情報システムとしての機能を持っておるわけだから、分離しては考えられないということになれば、通産省郵政省かというなわ張りが出てくる、こういうことを私はあの法案審議のときに指摘をしたわけですけれども、いみじくもいま大臣から御答弁いただきましたように、郵政省CCIS調査会においても、多摩ニュータウンにおいて現実研究開発のための施設を設置する研究を進めている。ところが通産省映像情報システム開発協会でも、どこかわかりませんが三百戸の住居を指定して研究をやってみる。同じ政府機関で同じことを両方でやる、郵政省通産省でやる、そこに私は大きな国民の負担というものに対するしわ寄せがあると思うのです。  そこで私は通産省お尋ねをするのですが、この映像情報システム開発協会自体も実験都市というものを三百世帯を中心にしてつくる、こうなっておるわけでありますが、これはいま郵政大臣がお話しになりましたCCIS調査会多摩ニュータウンにおいて同一的に行なわれるものなのか、全く別なところを予定しておるのか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  17. 水野上晃章

    水野説明員 お答え申します。私どものやろうとしておりますことは、大臣も申されましたように、機器開発システム開発ということがさしあたり中心でございまして、といいますのは、いままで通産省情報化といいますか、情報産業の育成ということをやってまいったわけでございますけれども、産業界におきましては電算機の設置台数も一万台をこえまして、ようやく情報化もかなり進みつつあるわけでございますが、家庭におきます情報化というものがかなり進んでいない状態でございます。家庭におきます情報化あるいは都市情報化ということを進めますためには、それにふさわしい安い、使いやすい機器あるいはそういったシステムというものが開発されることが先決でございまして、もちろん通信そのものにつきましては、大臣がおっしゃいましたように、郵政省所管であることは間違いないわけでございますけれども、私どもといたしましてはそういった観点から、機器並びにそれに必要なシステム開発ということを、鋭意進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  それで、ただいま御質問のございました土地の件でございますけれども、私どももできるだけ郵政省のお考えになっている土地で、一緒に、うまくできればやりたいという気持ちはいまも持っておるわけでございます。ただ、私どものやります実験につきましては、時期的に若干おくれます点がひとつございますけれども、たくさんのいろいろな機器を家庭の中に持ち込んで、いろいろ実際に使ってみていただくという必要がございまして、それには住んでおられる方の了解も必要でございます。   〔委員長退席、本名委員長代理着席〕 さらにそういった機器を置けるだけの間取りの広さというものも、ある程度必要かというふうにも考えております。したがいまして私どもとしては、頭からここだということをきめるわけには目下まいらないわけでございますけれども、協会が実際に体制を整えまして動き出しました暁には、できるだけ早く実地調査をやり、住民の方々の意見を聞きまして、できるかできないか、どこが一番いいか、そういうことをきめてもらいたいというふうに考えているわけでございます。
  18. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は郵政大臣にお願いをしておきたいと思うのですが、同じようなことを別々なところで別々の機関がやるというのは、私は競争こそ生め協調はあり得ないと思うのです。ですから、むしろこの際大臣要望しておきたいのは、この通産省が計画をしておる開発協会研究開発のための都市づくりですね、実験都市、それと、CCIS調査会がやろうとしておる多摩ニュータウン、これとは、通産省郵政省と話し合いをしていただいて、できれば同一場所で行なっていただきたい、そうしなければ必ずなわ張り争いが起こってくる、競争の意識というものが出てくる、そういうふうに思うのです。その点について担当責任大臣である郵政大臣が、通産省とそういったことについて統一せられるお気持ちがあるのかないのか、その点について明確にお答えいただきたいというふうに思うのです。
  19. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 さっきちょっと申し落としましたけれどもCCIS調査会の中には非常にたくさん学識経験者、役所の関係なんかも御加入いただきまして、一緒にやることになっております。その中には通産省の方もメンバーに入っておりますことを申し落としておりましたから、つけ加えておきます。  それから実験の場所でございますが、これも御承知のようにつまらない競争をすることは、お話にございました国民の貴重な税金をむだに使うというような面も起こり得る可能性があるわけでございますから、協調していくということはきわめて必要だと思うわけでございます。しかし、私どもの考えはあくまで、CATV双方向通信に使うという通信の問題になりましたならば、郵政省としましては一歩も譲れない、ただ通産省サイドにおきましては、あくまで通信のための機器ということに主眼を置きまして、御調査、御研究を願うということでなくちゃならぬ、こういうふうに考えております。いずれの立場もございますけれども、目ざすところは国民の福祉の増進のためだということでなくちゃならない、情報化社会にりっぱな施設運営をやっていくということでなくちゃならないという目標は同じでございますから、同じ高根の月をながめながら、踏み行く道は違っておりましても、お互いに協調いたしてやっていくことが必要だと思うわけでございます。したがって、お話のございました実験の場所等につきましても、私は通産省のお考えになっている場所がどの辺になりますか、はっきり認識いたしませんけれども、御趣旨に沿うように、連絡、協調の十分できますようなことで実験をすることが効果的だと思うわけでございますから、その辺はさらによく十分検討いたしまして、御趣旨を体して努力していきたい、こういうふうに考えております。
  20. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで大臣、先ほど情報処理基本法の問題についてお触れになりました。これはきのうも本委員会で質問があったそうでありますけれども、与党の方の修正なのか、その点はどうかわかりませんが、要するに規制に対する政府の権限を強化をする。このCATV規制による政府の権限強化といったような法改正が、自由民主党通信部会あたりで議論されておるという新聞報道がなされておるわけです。しかし、こういう規制の問題よりも、いま必要なことは、情報処理基本法あるいは情報基本法といいますか、こういったものを早くつくって、そしてその情報基本法を中心とした通信サービス、情報サービスというものが行なわれることが、私は必要だと思うのです。そういうものがないから、こういった政府の権限、規制強化というような問題が出てくるというふうに私は思うのです。政府がこう思っておられるかどうかわかりません、これは与党の皆さんの通信部会による決定だそうですから。(「決定じゃないよ、誤報だよ」と呼ぶ者あり)決定じゃないそうですけれども、新聞に出ておるわけですね。  ですから、私はこの際大臣お尋ねをしておきたいのですが、これから情報通信あるいは映像通信といった問題が非常に多様化してくる、しかも私たちの台所にどんどんと入ってくる、しかも自由に情報が得られる、そういった情報産業社会というものが現実にあらわれようとしてきた場合に、何といっても必要なのは、大臣が言われた情報基本法なり情報処理基本法という基本法律だと思うのです。それについてはいま大臣、省内で議論をしておられるそうでありますが、具体的に、この前も拡充法のときにお尋ねをいたしましたが、いつごろをめどにして最終成案を得ようとしておられるのか、その見通し、こういうことについて、もし発表してよければ御回答をいただきたいというふうに思います。
  21. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 情報処理基本法にうたわれます内容につきましては、たとえば情報産業、コンピューターだとかあるいはその他の通信機器の振興も大いにはからなくちゃならぬということもうたわなくちゃならぬと思っております。そういう面は通産省の仕事でございます。また、通信技術の向上というようなこともうたわなくちゃならない。これについては郵政省所管であり、また電電公社所管であるわけでございます。さらにまた、人間のプライバシーの問題もあるわけでございまして、聞くところによりますと、日本の全国民の戸籍が十メートル四方のコンピューターの中に入るというようなことにもなるようでございます。そういうことになりますと、プライバシーというような問題が非常に大きく出てくるわけでございますから、これはもう法務省の所管ということになります。その他運輸省でありますとか、いろいろな関係の省庁が多いわけでございますから、私どもの調査を進めるとともに、こういうような省庁とも十分連絡をとって進めていかなくちゃならぬと思っておりますけれども、やはり適当なときには内閣全体の、政府全体の総合的な立場から法制の制定をする必要があるのじゃなかろうかというように考えておるわけでございます。そういうような非常にむずかしい大きな問題を包蔵いたしておりますので、意欲的に調査の進捗には努力いたしますけれども、いつごろ法制定までこぎつけ得るかということについてはまだはっきりとした見通しはつきません。非常に関係範囲が広い、したがって内容がかなりむずかしい問題を包蔵しておるというようなことでありますことは御推察をいただけると思います。しかし、この基本法が非常に必要な課題であり、また前の国会から、早くつくりますという御答弁を申し上げております次第もございますから、郵政省の中につくりましたのは昨年の九月、私が入閣した後に促進してやっておるわけでございますけれども、私の余命が幾ばくあるかわかりませんが、とにかく馬力をかけて、一日も早くその成果を得るように、今後もひとつ私が先頭に立って努力してまいりたい、こういうように考えております。いつまでというお約束はできませんけれども、つとめて早く、すみやかにということで努力いたしたいということだけできょうのところは御了承いただきたいと思っております。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、こういった政府の権限強化といったような問題が出てくる背景には、やはりそういった基本的な法律がないというところに問題があると思うのです。  大臣にここで率直にお尋ねします。政府の権限を強化する、公益条項に限定する、かりにこういったことが、与党の方からいま不規則発言で、これは誤報だということで幸いですが、誤報というこのことについて、こういうことをしようとした場合には大臣はどうなさるか、この点について大臣の所見をひとつ明快にお答えいただきたいというように思うのです。
  23. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私もその記事を見たのでございますが、CATVの自主放送の面についての記事じゃないかと思っております。まだ、与党のほうもその方針が確定しているわけじゃないという御発言がいまあったようでございますけれども、私どもといたしましては、放送につきましては放送法第三条の放送の自由ということ、それから番組の内容につきましては、同じく放送法の四十四条の三項に厳粛にうたわれておるわけでございますから、こういうことを守っていくということは、従来も将来も一貫して変わらないところでございます。   〔本名委員長代理退席、委員長着席〕
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、こういうことに縛る必要はない、いま大臣が言われたことで尽きると思うのです。何もここでこういうふうにする必要はないわけでありますから、そういう方向でいく、おそらく間違いは訂正されるものというふうに理解をいたしたいと思います。  ただ、ここで柏木さんにお尋ねをするのですが、実は情報処理CATVに注目をして、訪米情報通信調査団が編成されて、アメリカに行っていろいろと見てこられたはずです。行かれた方は、郵政省電電公社、国際電電、NHK、ここから訪米調査団が行って具体的に調査をしてきておられます。その調査結果を御報告なさっておられます。  御承知のように、この情報処理CATVという問題は非常に入り組んでおりまして、アメリカでも、あの情報処理については非常に先進といわれておるアメリカですら混乱をしてきておる。非常にむずかしい、たくさんの問題をかかえておるということが、この調査団の報告にも出ておりますが、現実的に、そういうふうに郵政省も把握をしておられると思うのですが、そういうふうに、結論的には非常にこれはむずかしい問題だというふうに理解しておられるのかどうか、その結論について簡単にひとつ柏木さんのほうからお答えいただきたいと思うのです。
  25. 柏木輝彦

    柏木政府委員 最近アメリカのみならず、他の先進国あるいは発展途上国と通信の全般的な問題政策の問題につきましての意見の交換をする機会がたいへんふえているわけでございますが、特にアメリカは、国内におきまして、たとえば情報産業と電気通信産業との関係、あるいはCATVとの関係、あるいはさらに、国内放送衛星の問題、あるいは国際大洋ケーブル、同軸ケーブルの政策の問題というようなものにつきまして、たいへん国内的にもいろいろの議論があるわけでございまして、アメリカにおきましても、これらの関係を主管しておりますFCCに対しまして、いろいろの強い批判も出ているように聞いております。しかもこれらの問題は、現実に日本でのいろいろの電気通信の政策の問題に非常に影響のある問題でございまして、技術的にアメリカが日本よりも若干進んでいる分野が多いために、いずれそれが日本自体の問題になって返ってくるということもございまして、ただいま御指摘がありましたような訪米調査団というような動きが双方に近年ありまして、昨年その第一回が実現したわけでございます。近くまた、当面の責任者が郵政省を訪問したいという話もございますが、ただいまお話しのように、情報問題とCATVの問題というものは非常にアメリカも強い関心を持っており、これにつきましては、必ずしもこの際はっきりした結論が出たというようには聞いておりませんですけれども、かなり政策的にまとまりつつあるというふうに承知しております。  なお、これらの問題につきましても、私どもとしましても、アメリカ側の考え方を聞けば、日本の多様化する通信の需要に対してどういうような政策を全般的にとるかということにつきまして、たいへん参考になる点も多いかと思いまして、このような機会を一そう促進していかねばならぬというふうに考えております。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 要するにアメリカ自体の通信政策ももう転換期にきておる。極端にいうと、情報処理CATVの問題、あるいは電信電話との関係、インテルサットの関係、海底ケーブル、こういった多種多様の通信施設情報網とが入り組んで、一つ通信政策に大きな転換期がきておるということが私は具体的になっておると思うのです。そこで、このCATV法案というものが今日ここに出されてきておる。このCATV法案というのは、必ずしもこの問題だけにとどまらない。逆にいうと、有線テレビジョン放送法案というのは、さらにさらに大きく、アメリカと同じような通信政策に大きな転換を与える一つ基本的な法律になってしまうという可能性を持っておることは、私は事実だと思うのです。私はいまここに、これはアメリカがいかにこの通信政策に重要な関心を示しておったかという一つとして、これはジョンソン時代でありますけれども通信政策に関する米大統領特別委員会の報告書というものが、こんな分厚い報告書がジョンソンの年頭教書に対して出されておるわけですね。この一つをとってみても、アメリカ自身が非常にこの問題について、通信政策と情報処理との結びつきにおいて混迷をしておる。そこでいろいろな問題点がここに出されてきておるのですが、たとえば著作権の問題がどうなるのかとか、あるいは無制約な成長あるいは電波サービスというものが人々に害を与えていくのではないか、こういった、いままで通信あるいは情報処理では問題のなかったような重要な問題が、この特別報告書の中で羅列され、また提起されておるわけですね。だとするなら、アメリカ自体も従来の方針を改めて、御承知のように、大統領府電気通信政策当局というものをつくりましたですね、この問題を契機として。ですから、いま私がここで言わんとするのは、実はアメリカがたどってきたと同じ道を日本がまた歩もうとしておる。通産省通産省サイド、郵政省郵政省サイドでずっと進んでいって、アメリカが繰り返した混乱というものをまたここで迎えようとしてきておる。ですから、そういう意味では、この際大臣要望しておきたいのですが、郵政大臣の、と言ったらまた語弊があるのですが、私は、郵政大臣のところがいいと思うのですが、そういった意味では、将来の通信政策のあり方、CCIS審議会というものがあるわけですけれども、それ以上、それをさらに一歩進めて、将来の日本における情報処理通信政策あるいは放送政策、こういったもの等をからまして、一体どういう方向に日本の通信政策なり情報処理機能というものは進んでいくのか。こういったものをそのCCIS審議会も含めて、もっと強大な、極端にいうと、大統領の年頭教書に対して報告をした大統領特別委員会のような、そういったすべてのワクを離れて権限を持ったものをつくって、先ほど言われましたように、国民総背番号制ということになれば、これは自治省だ、あるいは情報処理機器開発については通産省だ、伝達については郵政省だ、あるいは情報機関をつくって流す教育システムは、これは文部省だ、こういった情報処理というものが各省にずうっとわたってくるし、それは逆に通信政策というものと大きくからまってくるわけでありますから、そういう意味では、こういった大統領特別委員会のような権限を持った、各省のワクを越えて権限を持った機能というものをおつくりになって、これは長期間かかっても、アメリカが混迷をしたようなことのないように、いまから手を打つ、こういう手だてについてお考えがあるかどうか。いま唐突にお尋ねするようで恐縮ですが、そういう方向で律するという考え方について大臣の御意見を承っておきたいと思うのです。
  27. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私は、そういう問題につきましては全く御同感でございまして、いま松浦委員は、通信政策についてもまさに転換期にきているというおことばを使われたのでございますけれども、ほんとうに私は曲がりかどにきているというふうに思っております。在来の郵便あるいは電信あるいは電話あるいは放送のほかに、新しいメディアといたしましてデータ通信、またインテルサットというおことばを使われたのですけれども、宇宙通信、それからテレビ電話、それからいままさに問題になっておりますCATV、また海底電信の問題もあろうかと思いますが、そういうような、これから精力的に開発しなければならないというような分野が非常に多いように考えておりますわけでございます。ところが、率直に申しまして、現在の郵政省の機構では、今後新しく情報化社会に進んでまいります将来の展望における通信事業の担当者といたしましての郵政省といたしましては、いかにも組織が弱いような感じがいたしておりますわけでございまして、したがって、私は先ほど申し上げましたようないろいろな調査の組織をつくったわけでございますが、行政組織といたしましては、おのおの郵務局あり電気通信監理官があり、電波監理局がございますけれども、総合的な立場に立ってもう少し突っ込んで研究する必要があるのじゃなかろうか。電電公社におきましては総合電気通信研究所でございますか、ことばはちょっと違っておるかもしれませんけれども、というようなものをつくっております。ですから、郵政省の電気通信局と申しますと、いかにも電電公社の監督の強化をはかっているように、非常な誤解でございますけれども、誤解を招きますが、そういうような意味ではなくて通信政策そのものをもう少し総合的に研究する機関が必要ではないかというように考えまして、数カ月前に私は事務次官に、郵政省の機構の問題について、大所高所から、しかも画期的に突っ込んで研究するような局でもさしあたり必要ではないかというように申したことでございますが、他の省の関係もいろいろございますから、そういうような知識も吸収しなくてはならぬと思いますけれども責任を持っておりますのは何といったって郵政省でございますから、郵政省にそういう局でも特につくって——現在分化した局はありますことはただいま申し上げたとおりでございますけれども、総合的な調査研究を学究的にやります機関が必要ではないか、そして将来の情報化社会に対しましておくれをとらないように、むしろ国民の福祉をリードするような——あとからあとからついていくような政策ではだめだと思うのでございまして、そういうような機関をつくる必要があるのじゃなかろうか、こういうように私はひそかに考えておりますわけでございます。まだ具現いたしておりませんけれども、ひとつそういう方向で大いに検討いたしてみたい、こういうように考えております。  卒爾の御質問でございましたから、卒爾の答弁になりましたけれども、私の考えておりますことを率直に申しますとそういうことでございます。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私も一つの私案ですけれども郵政省の内局として一つの部局をつくるということでは、やはり各省にわたった問題は解決してこないのではないか。研究としてならわかりますけれども、しかしこれからは、アメリカがやっておるように、混乱をしてきておるものについてどうするのか、どう調整をしていくのかということで、御案内のとおりに大統領府電気通信政策当局というものをつくったわけですね。だとするなら、閣議というか、総理大臣の直属として、郵政大臣を中心としたそういった政策当局というものをつくるべきではないか、そういったことも一つの案だ。いまの大臣のお話を聞いておると、郵政省の内局としての機構改革の中で律していくということは、これはあくまでも郵政内部の問題であって、それが広範に全体に及ぶということは私はむずかしいと思うのです。それができればいまでもできるわけですから。そういう意味ではやはり総理大臣の直属として郵政大臣を中心にそういった強固なものをつくる。大統領府電気通信政策当局というようなものを、これは模倣ではありませんけれども一つの形として考えられてしかるべきではないか、私は、それが情報産業社会という未来に対する先取りに対して規制を加える、同時にそういったものに対応するための政策というものを打ち出す可能性を持った、なわ張りを越えた可能性を持った機関ではないかというふうに思うのです。そういう点について、大臣の言われた機構改革もわかりますけれども、私の申し上げる点についてもひとつ御検討いただきたいし、大臣のお考えをお聞かせいただきたいというように思うのです。
  29. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御趣旨はよくわかりますが、省内の局であればすぐにでもできるということでございましたけれども、これが現在ではなかなかできないのでございまして、そういう新しい局を一つつくるということになればどこかの局を一つ少なくしなければならないという政府の方針がございますものですから、なかなか容易でございませんけれども、どこかでもつぶしてそういうような調査研究の、学究的に広い範囲から勉強するような機関、そしてそこから政策を生み出すような機関、これが必要だと私は申しております。簡単に局の新設はできないわけでございますけれども、それくらい重要性があるというように私は考えておりますわけでございます。  ただ、総合的な機関として総理大臣の管轄下に置いてはどうかということでございますが、総理大臣の下に置くという考え方もございますけれども、はたしてそういうところで能率があがるかどうか。むしろ通信政策について責任を持っております郵政省の中に置きまして、そうしてまた総合的にあらゆる知識を吸収していくという行き方のほうが効果的ではないか、私は現在はそのように考えておりますが、しかし私、御説もわからないわけじゃございませんから、ひとつ十分勉強さしていただきたい、こういうように考えております。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産省の課長さんにお尋ねいたします。局長さんなりが来ておられれば明確にお答えいただけると思うのですがね。  いま、この開発協会は、御承知のようにCATVの業者あるいはコンピューターをつくっておる業者、こういった業者を中心にしてできておりますね。ですから、これは極端な言い方をすると、こういった情報産業というものの研究開発というものが実質的には業者サイドにまかされておる。これはCCIS調査会と異質のところだと思うのです。ですから、こういったものに対して通産省あるいは郵政省——郵政省が入るかどうか別にして、通産省としては、これに対する機能、指導力、こういったものが厳然として存在をしておるのかどうか、これが一つです。  それからもう一つは、私が先ほどからくどくどと申し上げておるように、情報処理という問題と通信政策というものは将来かみ合ってくるわけでありますから、こういったものに対して郵政省自体も、発言権というとことばは悪いですが、ある意味でこれに対して発言権を持つ、こういった可能性がこの協会に対してあるのかどうか、その点について課長さんのほうから説明をしていただきたいと思うのです。
  31. 水野上晃章

    水野説明員 お答え申し上げます。ただいまの協会の組織は、とりあえず機器開発メーカー、電線メーカー十社並びに銀行九行を中心にしてスタートしたわけでございますけれども、これはとりあえずのことでございまして、これから放送関係、新聞関係あるいは広告関係あるいは中小企業メーカーその他にも広く呼びかけてまいることになっておるようでございます。私どもといたしましても、先ほど大臣が申されましたように、常々郵政省とは十分な連絡をとりながらお互いに意思疎通をいたしまして、国全体としてマイナスのないような方向でやっていきたいというふうに考えております。したがいまして、十分郵政省の意見も聞いてできるような体制に持ってまいりたいというように思います。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産省にさらにお尋ねをしておきたいのですが、この設立趣意書を見ましても、もうすでにこの有線テレビジョン放送法案というものを想定をし、具体的にいうなら、有線テレビジョンCATVというものとコンピューターを結びつけるということが厳然としてここでうたわれておるわけですよね。もうはっきりしておるわけですよ。ですから、この有線テレビジョン放送法案というものといま出てきておるこの開発協会というものはあくまでも関連をされて、将来リンクされるわけですからね。だとするなら、当然私はこれに対してただ単に——私は何も郵政省の肩を持つつもりで言っておるのじゃない。その点はひとつ通産省も誤解のないようにしてもらいたいのですが、そういった内容を持ったこの開発協会というものであるなら、これに対して通産省サイドだけでものを見るのではなくて、ある程度郵政省あるいは電波監理局ですね、郵政省部内、電気通信監理局もこれに対してある程度意思疎通ができる、パイプが通っておるということが絶対に必要だ。なぜかといえば、先ほどから言うように、現在禁止されておる双方向性を志向してつくられておる開発協会ですから、そういう意味で私は郵政省とのパイプがつながるように、むしろ積極的に郵政省もこの中に、これは民間団体ですからこれに介入するということはできませんが、これに対して適当な助言あるいは指導ができるという道を探り取ってもらいたいというふうに私は思うのです。その点は、説明員ですから責任ある答弁ができないと思うのですけれども、そういう構想だったかどうか。おそらくそうではなかろうと思うのですが、これはそういう構想で出発しておりますか。その点どうですか。
  33. 水野上晃章

    水野説明員 おっしゃるとおりの趣旨運営するつもりで考えております。ただ大臣も申されましたように、とりあえずは一体で参りますよりも、時期的にも、場所的にも、当初やります機器開発その他の目標からいいましても若干の違いがございますので、一応別々の形でやってまいりますけれども連絡は十分とってまいるということで話し合っておるところでございます。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは郵政省のどなたでもけっこうですが、この開発協会について郵政省には照会がありましたですか。
  35. 柏木輝彦

    柏木政府委員 御承知のとおり、郵政省の中には先般来いろいろ御指摘のような政策の一つの転換期という事情も踏まえまして、また今後も、有線無線、従来二つに分かれておりましたいろいろな問題を、総合的にこれは通信政策として考えなければいかぬということで、官房に通信政策課というものを一昨年より発足して活動しているわけでございますが、このCATV問題につきましては、そこが一応省内の取りまとめの窓口になっておるわけでございまして、通産省のただいまの件につきましても、通信政策課長が絶えず緊密な連絡をとっておるわけでございます。また、いまお尋ねの点につきましても、十分通信政策課のほうで連絡を受けておりまして、パイプもできておるということでございます。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは柏木さん、このCATV放送法案というのは、いまは映像伝達だけですけれども、将来は有線テレビジョン網とコンピューター網が結合して双方向性に移るということについても、郵政省、特に専門家である柏木さんのほうはある程度志向しておる、そういう方向に進むものと見ておるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  37. 柏木輝彦

    柏木政府委員 まさにそのような事情も踏まえまして、CCIS調査会というものが映像のみならず将来の双方向性通信を全体的にとらえた制度の調査をしまして、それに基づきました、いま御審議いただいております法案の次に来たるCATVの利用形態に適応する新しい制度というものの検討も進めているわけでございます。
  38. 松浦利尚

    松浦(利)委員 だとするなら、たいへんうがった言い方になりますが、有線テレビジョン放送法案郵政省がまず出す。それに対応して通産省のほうは情報システム開発協会というものをつくる。そして将来は双方向性というものを認めて、CATVというものはただ単なるテレビジョン放送のみではなくて、双方向性を持った対話ある情報網として使っていくという方向で了解を与えておる、そういうふうに郵政省側はもう割り切っておるというふうに理解してよろしいですか。
  39. 柏木輝彦

    柏木政府委員 まだ、ただいまお話しのような線が出ているということではございませんで、これにはいろいろの利用形態と問題が、なおこれから十分検討しなければならぬことかと存じます。それに従いまして、全体的に今後の双方向通信も含みましたCATVの利用につきまして、今後の情報化社会に最も適し、また国民に定着できるような内容を持ったものをどうするかということを目下検討を開始しているということで、これが目標が定まりますには若干まだ時間が要るということになると思います。
  40. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この有線テレビジョン放送法案というのは、私は非常に重要な法律だと思います。ただ単に有線テレビジョンを送ればいいんだというだけのこれは法律内容ですけれども、実際にこの根の底にあるものは大きく日本の通信政策というものを変えていく。情報産業社会に対応するために、一応採算に乗るであろうテレビジョン放送に限定をして許可を与えていく。そして将来、ある程度これがネットされてくれば、将来の方向としていま通産省が考えておるような双方向性を持った対話ある情報ということにこれが転換をしていく。こういう意味で私はこの放送法案というのは非常に重大な内容を持っておるというふうに思います。ですから、そういう意味では、これはもう会期末で採決の日にちもそろそろ来ておるのだと思いますけれども、何も反対をするつもりでこういうことを申し上げるのではないのですが、やはりそういったバックグラウンドというものを、もっとお互いに意思の疎通をして、そして将来の通信政策に誤りないようにしていきたいという意味で、私はくどくどと、もう済んでおることかもしれませんけれども、いま通産省からも来ていただいて議論をしたわけです。  そこで、今度はこの法案に入りまして、たいへん具体的な問題になって恐縮でありますが、現在NHK自身が難視聴地域の解消のために自主的な施設というものを毎年つくっていっておりますね。このNHKによる現在の難視聴地域解消のための施設をつくる、こういったものと、この第三条とのからみですね。これが一体どういうことになるのか。もっと掘り下げて言うなら、難聴地域にこそこういった同軸テレビジョン放送というものは可能であって、これはもう映像伝達だけに限定されておりますから、無線電波で受信できるところはいまのところこの法律では関係ないです。結局、この法律でいけるところは、難聴地域ということになりますね。各家庭でも喜んで受け入れるところは難聴テレビ。だとするなら、いまNHKが難聴テレビ解消のために努力をしておるわけですが、それとこの法律との関係はどうなるのか。そういうところにこそ、民間でCATV同軸ケーブルというものは許可を求めてくるだろうと思うのですね、大臣のところに。しかも、そういうところにNHKは持っていこうとする。かりに言うなら競合という問題も起こってくるわけですが、その競合を規制するために第三条の「施設の許可」というのがあるのかどうか、このことは私はわかりませんが、この第三条がNHKの難聴解消のための施設に対しても制限を加えるのか、それともやはりNHKも法的なワクに入れて、競願が出た場合は、いずれを許可するかということで許可を選択するのか。そういう点について、現在やっておるNHKの難聴地域解消のための有線テレビ受像施設、これとの関連を、これは大臣でなくてもけっこうでありますから、専門家のほうからお聞かせいただきたいと思います。
  41. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。現在、おっしゃいますように、NHKは難視聴の解消ということで、いわゆる辺地共聴という名前でCATV施設、いわゆる有線テレビ施設をつくっておりますけれども、それの実態は、幹線部分をNHK自体が施設をいたしまして、個々の、幹線から各家庭に入る部分はそれぞれのところで負担する。それからまた一般にはNHKのみならず民間放送も受信したいという要望が強いわけでございますので、それに必要なアンテナであるとか増幅器であるといったものは地元で負担をいたしまして、NHKと地元が共同いたしまして組合をつくって実際に難視聴の解消を行なっておるという状態でございます。  それからまた、いわゆる都市におきましては、これは辺地の場合と多少事情が違うわけでございまして、NHKは正常な電波を出しているわけでございますが、建物のためにそれが妨害されまして、一般の受信者が良好に受信できないといういわゆる都市難聴の場合があるわけでございますが、そのためにNHKが責任を持ってその難視聴を解消しなければならないということには私どもとしてはならないのではないかと考えておるわけでございまして、現在NHKは民間放送あるいはほかの団体と協力いたしまして、たとえば東京におきましては東京ケーブルビジョンといったものをつくって、そこで難視聴解消をはかっておる。それからまた一つの大きな建物によりまして妨害を受けるような場合は、その建物主に、原因者であるということで原因者負担の原則と申しますか、そういうたてまえでそこから経費を出してもらって、NHKは技術的に指導いたしまして難視聴の解消をはかっているという場合もございます。したがいまして、いろいろな場合があるわけでございますが、いずれにしましても、この法案自体は、第三条にありますように、施設を許可するということでございまして、しかもまた第三条の「その規模が郵政省令で定める基準をこえない有線テレビジョン放送施設については、この限りでない。」ということでございまして、私どもこの郵政省令で定める基準というのは大体三百世帯というふうに考えておるわけでございますので、NHKが現在辺地で共同受信施設をつくっておりますものはほとんどが三百世帯以下でございますから、せいぜい百世帯くらいのものでございますから、大部分その中に入ってしまって、おっしゃるような競合するというようなことはまず考えられない。ただ、都市におきましては、先ほど申しましたようにいろいろなケースがあるわけでございまして、NHK自体も積極的にこの難視聴を解消するということはたいへん好ましいことでございまして、現在もいろいろな技術指導あるいは受信指導をやっておりますし、また先ほど申しましたような、ほかの団体と協力をいたしまして難視聴の解消をはかるということでやっておるわけでございますので、私どもとしましては、おっしゃるような競合ということはあまり起こってこないのじゃなかろうかと思っております。しかし、これからこういった法案が成立いたしまして、実際に施設の許可ということになってきますと、いろいろなケースがあろうかと思いますけれども、私どもとしましては、やはり何といっても難視聴の解消ということが一番大事なことでございますから、それにふさわしい施設ができるということが望ましいわけでございますので、ケース・バイ・ケースで指導していきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  42. 松浦利尚

    松浦(利)委員 NHKの難聴地域解消の世帯数が三百世帯以上であった場合は、郵政省令で定めるこの施設の許可の対象になるわけでございますか。その点はどうですか。
  43. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。この法案自体につきましては、NHKであるかほかの民間団体であるかということは考えないわけでございまして、あくまでもこの施設というものを対象として規制をしようというわけでございますので、NHKが辺地におきましてその難視聴解消のための辺地共聴というものをやっておりますけれども、それが三百世帯以上ということになれば当然この法律がかかってくるということになるわけでございます。
  44. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、広告収入によって行なう商業放送ですね。これは別にして、NHKが行なう放送、逆に言うなら、ある意味で公共的ともいうべきものがあるのかないのか、その点はよく私はわかりませんけれども、いずれにしても一応公共放送という部類に入るNHKですね。しかも、現実にいままでずっと難聴地域の解消のために努力をしてきておるそういったものまでこれで網をかぶせてしまう。この点はちょっとどうかと思うのですがね。あくまでもこれは条文ですから、NHKだけは特別措置をせよというつもりはありませんけれども、しかし、そういったものを考えてくると、NHKに、せっかく予算で難聴地域解消のために努力をしておるものに、こう網をかぶせてしまう。それも施設の許可をもらわなければだめだということになれば、あまりにも画一的というか、きびし過ぎはせぬかという気がするのですが、あくまでもやはりワクをはめるわけですか。その点どうでしょう。
  45. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 お説よくわかりますけれども、実際上の問題といたしましてNHKの難視聴対策の共聴施設は相当進んでおりまして、残っておりますのはほんとうに山間僻地というようなところでございますから、三百以上になることも非常に少ないと思いますし、それから許可の網をかぶせましてもNHKが許可されない——これはいろいろな基準に従って審査をするわけでございますけれども、NHKが許可に漏れる、不許可になるということはおそらく想定されないわけでございまして、公共放送のNHK、一般放送業者の民放との間に、区別はもちろんいたしておりませんけれども、このことはただいまも説明したとおりでございますけれども、実際問題としてはないというふうに私は考えておるわけでございます。
  46. 松浦利尚

    松浦(利)委員 実際上、法の執行上支障がないということと、具体的に三百世帯以上である場合には網をかぶせるということは別だと思うのですけれども、三百世帯以上であるならば、NHKであろうと何であろうとこの第三条を適用するのだ、こういうふうに理解せざるを得ないですね、実態としてあるかないかは別として。  それで、もう一つお尋ねしておきたいのですが、「放送施設施設計画が合理的であり」ということは一体どういうことなのか。逆に言うと、申請したものの許可基準が合理的ということは、許可をするものにとって合理的なのか、「合理的」というのは非常にスマートなことばですけれども、「合理的」ということばほど不均衡、不公平を生む用語はない。法律用語に「合理的」ということばがある法律というのは私はあまり知らないのですけれども、一体その「合理的」とはどういうものをさしておるのか。これは専門の電波局長のほうからひとつお答えいただきたい。
  47. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。許可の基準の一つといたしまして、「その有線テレビジョン放送施設施設計画が合理的であり、かつ、その実施が確実なものであること。」というのが第百庁に掲げられているわけでございますが、私どもといたしましては、その内容といたしまして、この施設の区域、それから施設の設置場所、施設自体の敷設計画といったようなものを考えておりまして、その合理性につきまして審査するということになるわけでございます。具体的には、私どもとしまして、この施設を設置する区域につきましては、現在の技術水準におきまして有線テレビジョン放送の信号を、その端末の部分において良好に聴取できるというような施設は、ケーブルとかあるいはまた増幅器というものがございますが、その性能の点から、技術的、経済的に一定の規模以下に制限されるというふうに考えておるわけでございますが、この施設を設置する区域の広さ、その形態、あるいは位置といったものが、当該地域で予想される需要に応ずる必要なサービスを提供するために最も適切であるかどうかという点について検討したい。  それから、第二点としましては、この施設の設置場所というものも問題になってくるわけでございまして、その設置する区域内におきましてあまねくサービスを提供するための送信施設、幹線、いわゆる分配線といったようなものがございますが、そういったものにつきまして、主要な施設の設置場所が適切であるかどうかというような点を検討したい。  それから、第三点におきまして、施設の敷設計画と申しますか、申請にかかわる施設をその基盤としようとする区域内におきまして、地区別あるいは時期別に、いわゆる段階的に設置するという場合もあるわけでございまして、そういった場合の区域内の地域状況、集落需要というところから見まして、その施設工事計画が妥当なものであるかどうか、そういった点をチェックすることによりまして、その合理性を検討したい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  48. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま局長からお話がありましたが、もうそれほど具体的にすでにあるなら、やはり許可の基準でありますから、少なくともそういったものがあるとすれば、ここでこの法律のことばを変えるとかなんとかいうことは別にして、やはり郵政省令で定める基準に適合し、かつその実施が確実なものということによって、そういった施設計画の合理的だという抽象的なことばは、具体的にしておいたほうが私はいいのではないかという気がいたします。ですから、それは、いま言われたものを、ことばを修正することは別にして、明確にしておいていただきたいというふうに申し上げたいと思います。  なお、もう私の持ち時間が来たそうですから、委員長からも御注意がありましたので、これで終わりますが、いずれにいたしましても、先ほど大臣から覚悟のほどを御説明がありましたが、この法案そのものは、ただ単に有線テレビジョン放送だけでは終わらない。必ず将来大きく情報処理というものと結びついて、通信政策にも大きな影響を与えてくる。そういう意味で、この法案の将来について慎重に配慮していただきたい、運用についても慎重であっていただきたいということを締めくくりに申し上げて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  49. 高橋清一郎

  50. 樋上新一

    樋上委員 今回のこの継続審議されております有線テレビジョン放送法案でありますが、まず、新法と銘打って出てきたものにしては、未来に対する展望があまりにも乏しいように思います。私自身も時期尚早であるという感じを持っておるわけでありますが、なぜ有線テレビジョン放送だけに限定して提案してきたのか、大臣にお伺いいたしたいと思います。
  51. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 これはさっき松浦委員にもお答えいたしましたように、最近の社会の趨勢と申しますか、国民の需要と申しますか、そういうものが非常に高まってきたということでございまして、大都市におきましては高層ビルがどんどん建っている、それに基づく難視聴地区がどんどん広がってきているという事実、それから難視聴地区でなくても、自主送信をやりたいというような要請が強いわけでございます。そういう要請に基づきまして、国民各方面からこの有線テレビジョン放送の申請がたくさん出ようといたしておりますけれども、いまこの法律案審議の過程にありますので、行政指導によってしばらく待ってもらいたいといってとめておりますような状態、これも非常に多いわけでございます。そういうような要請を踏まえまして、しかも、有線テレビジョン放送の性質が、たびたび申し上げておりますように非常に独占的な性格を持っている。これは回線が非常にたくさんのチャンネル収容できるという点、あるいはまた経費がたくさんかかるという点、さらにまた道路占用あるいは電柱の共架というような点、こういう点から申しましても独占性を持っておるわけでございますから、独占性を持ったこういう施設一つ許すということになりますれば、その許し方につきましてよほど選択を間違えないようなことにしなくてはならぬ、妙な有線テレビジョン放送施設者ができますと、受信者に非常に迷惑をかけることになりますから、適正な業者を選んで施設をさせなければならないということで、単独法として今度出すことになったわけでございます。  これはさっきお答えしたとおりでございますが、御質問に対してお答えがピントがはずれておったかもしれませんけれども、私はそういうふうに解釈いたしましたものですから、そのようにお答え申し上げておきます。
  52. 樋上新一

    樋上委員 有線テレビといわれるものが、同軸ケーブルの中に存在する多様なコミュニケーションの可能性に対したときに、ほんの氷山の一角にすぎないということは周知の事実でありますが、一昨日の参考人の方の意見にもありましたように、CATVの発達しておるアメリカでさえ法律制定にはまだ至っていないということであります。情報化社会とも呼ばれる一九七〇年代の法律として新法が制定されるのであれば、これは未来のことを法律に入れることはなかなかむずかしいでしょうが、もっとじっくり検討されて盛り込むべきではないか、こう私は思うのですが、この点は大臣、いかようにお考えになりますか。
  53. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御心配また御意見、ごもっともだと思うわけでございますけれども、今度の法律案は、ごらんのとおり、非常に急がなくてはならない再送信の問題、それから非常に要求の強い自主送信、これを踏まえて取り上げて、内容として織り込んでおるわけでございます。しかし、ただいまお話しのように、CATVについては、まさに非常に大きな将来性を持っておるかと思います。こういうような将来の展望に基づきまして、つまりCATVが技術的にどういう可能性があるかという問題、それからまた社会の要請が、需要というものがどういう程度あるか、つまり社会的な需要性の問題、さらにまた、はたして経済のベースに乗るかという経済的な価値性の問題、こういうようなことは将来の非常に大きな課題であります。将来の情報化社会に対してCATVの持つ役割りというものが非常に大きいということが一応考えられておるわけでございますけれども、そういうような将来の、さらにさらに遠い——遠いと言っては語弊がありますけれども、将来に属する幾多の点については、いま十分調査研究いたしましてその対策を講じなくちゃならないという意味で、郵政省の中にCCISという調査会をつくっていま検討し、また多摩ニュータウン実験の場を設けて、これで実験してみたいというような考えでやっておるわけでございます。これはまさに樋上先生指摘CATVの将来性について、ひとついまから大いに調査検討しておこうという姿勢で対処いたしておるわけでございます。さしあたり急ぎます問題として、いま申しました再送信自主送信、これだけに主眼を置きまして、他の双方向通信なんかのことについては将来の問題として大いに研究しようということでやっておるわけでございます。
  54. 樋上新一

    樋上委員 要綱で十一項目にわたって書かれてありますが、これだけ見ましても、郵政大臣CATVの分野でふるう権限はあまりに大き過ぎるのではないか、野放図にもひとしい権限があるように私は感じているのです。施設の許可に始まっていわゆる許可基準の中での裁量権。また施設者の料金その他の認可権。施設者、利用者を含めた契約約款の認可権。改善命令権など、どのような第三者的機関のチェックも経ずに行使することが条文上可能になるわけになっていますね。特に、いわゆる施設者にとどまらず、有線テレビジョン放送事業者にまで、契約約款の認可や改善命令の権限でコントロールし得るのであれば、いわゆる施設許可とは名ばかりで、実質的には事業許可制にほぼひとしいような法律と私は思うのです。こんな法律が認められるとすれば、近い将来予想されるいわゆる電波法放送法の改正で、政府のコントロールはいやが上にも強まるおそれが出てくるのではないかということを私は感ずるのであります。またこのことが言論、表現の自由、将来の情報化産業の発展に及ぼす影響を考えましたときに、もっとじっくり検討すべきではないか、私はこう考えるのですが、大臣はこの点いかがでしょうか。
  55. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 法律案を一見されますと、郵政大臣という名前がたくさん出ておりますので、いかにもCATV郵政大臣がかきまわしたと申しますか、何もかも支配しているような誤解をお持ちになるかもしれませんけれども、一々お調べくださいますればわかりますように、そんな不遜な考えを持っていないのでございまして、しかも、ただいま御指摘になりました放送の内容について、郵政大臣の監督権を強化しようというような考えはみじんも持っておりません。先刻松浦委員にもお答えいたしましたように、番組につきましては、あくまで現在の放送法の基調をなしております放送の自由、そうして四十四条の三項に列挙されております事項を厳粛に守ってまいりたいと考えておるわけでございまして、全く他意はないわけでございます。
  56. 樋上新一

    樋上委員 郵政省は、四十七年度予算の概算要求で、このCATVの健全な発展をはかるため、いわゆる施設者並びに団体に対して助成を行なうことを考えているようでありますが、これはどういう助成を考えておられるのか。また査定の段階で大蔵省から認められなかったわけでありますが、今日継続審議で提出された法案CATV規制を主としたもので、助成についてまでは触れていないようです。にもかかわらずCATVの助成を行なおうとした理由はどこにあるのか、こういうことをお伺いしたい。
  57. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。この法案自体は、第一条の「目的」のところにもございますように、有線テレビジョン放送の健全な発達をはかる、こういう目的があるわけでございまして、私どもとしましては単なる規制だけということではございませんで、あくまでもその健全な発達をはかるという意味でございまして、その意味から私どもとしましては助成ということも考えたわけでございまして、この法律にはっきり明示されていないにしましても、そういったことで助成ということは可能であるかと思っております。ただ実際の予算につきましては、認められたものは調査費ということでございまして、助成する費用というものは現実には認められてないという状態でございます。
  58. 樋上新一

    樋上委員 助成については、公益法人だけに助成するのか。私は今後助成する考えはあるのかないのかということをお伺いしているのですけれども、これはちょっとおかしいと私は思うのですよ、助成ならば。調査費ですか、その点もう一ぺん。
  59. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。現実に四十七年度の予算で認められたものは調査費でございまして、これは、現在のCATVというものが今後いろいろ発達する、また技術的な問題あるいは社会経済的な問題というものにつきましても、いろいろ問題があるわけでございますので、私どもとしましては、みずから調査をいたしまして、このCATVといったもののあり方、技術基準の策定、あるいは自主放送に関する需要の動向といったような社会的な問題、あるいは自主放送の実施に関する経済性といったような問題を、いろいろなモデルを使いまして現実に調査をして、そうしてCATVの健全な発達をはかりたい、そういうことで調査費が認められたというわけでございます。
  60. 樋上新一

    樋上委員 念のために大臣にこの件についてお伺いしておくのですが、過日の参考人よりの意見聴取のときも、業者側からは、いずれも資金難を訴えて、この助成を要望していたようです。これに対して郵政大臣の所信をお伺いしたいのは、金を出してまで応援しなければならないような事業であるならば、許可制にする必要はないと思うのですが、どうですか。
  61. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいまの助成の問題でございますが、これにつきましては私もそういう考えを持っておったことは事実でございますけれども予算の折衝で助成らしき費用ももらえなかったわけでございまして、調査費ということになってしまったわけでございます。  そこで、現在はそのようなことは考えておりませんけれども、助成についての考え方についてのお尋ねでございますからお答えいたしますが、こういうように国民に非常に期待されております施設でありまして、またその施設いかんによりましては受信者に利益を与えるか迷惑を与えるかというようなことにもなってくるわけでございますから、それでただいま施設の許可についてはかなりの規制をいたしておりますわけでございます。規制をいたしますとともに、りっぱな成長を遂げてもらいたいということで助成を考えておったわけでございますけれども、この問題についてはいろいろな御意見も昨年から承っておりますので、こういうことについては将来十分ひとつ検討してまいりたいというふうに思っておりますわけでございます。
  62. 樋上新一

    樋上委員 大臣、いまの問題は私は非常に重要と思いますので、この助成の問題については慎重に検討してやってもらいたいということを特に要望しておきます。  それから、現在難視聴解消のための施設のうちで、自主放送を行なっている者は一体幾らくらいあるのか、その自主放送をやっている経営主体、また放送時間及び番組内容はどうなっているかということをお伺いしたい。
  63. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。現在自主放送のみを行なっている施設はございません。ただ、自主放送と再送信をあわせて行なっているところは三カ所ございます。その内容につきましては、たとえば地元のニュース的なものであるとか、あるいは地元の名士の対談であるとか、そういったような地元の情報というものが中心であるようでございます。
  64. 樋上新一

    樋上委員 いま私、自主放送をやっている施設をお伺いしたのですけれども、自主放送は六施設あり、また八千世帯、いわゆる全体の八%くらいと思うのですがどうですか。
  65. 藤木栄

    ○藤木政府委員 どうも失礼しました。現在、先ほど申し上げましたように、私どもの調査では自主放送をやっているところは三カ所でございまして、その世帯数は約六千ちょっとというふうになっております。
  66. 樋上新一

    樋上委員 八千世帯で全体の八%であるということを調査したのですけれども、あなたのほうの調査と、おっしゃっているのと多少差がある。まあ、いいでしょう。  それで、私が聞かんとしているところは、現在難視聴解消の対応策としてNHKが行なっている解消策は、共同受信アンテナ設置や自動中継局を設置する等やっておりますが、また有線網によって解消するとしておりますが、都市難視の解消のための設備としては、いわゆる共同施設等では解消でき得ないのですか、この点郵政省はどう考えておられるか、お聞きしたいのですが。
  67. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。現在都市難視につきましては、NHK自体が単独で行なっているということはないわけでございまして、NHK自体は、いわゆる受信相談であるとか、あるいは技術指導ということで個々の受信者に対して難視の解消につきまして指導しているほか、御存じのような東京ケーブルビジョンというような団体に参加いたしまして、都市の難視聴の解消に協力しているという状態でございます。
  68. 樋上新一

    樋上委員 郵政大臣にお伺いしますが、NHKは四十六年度一億五千万円の予算で共同受信施設、アンテナ対策、受信局変更等により十万五千世帯の難視聴改善をやっているわけです。そこでまた今年度、二億円の予算で改善しようと考えていると聞いていますが、このように都市においても何もCATVを使わなくても十分やっていけるわけです。にもかかわらず、住民の負担も相当かかるのじゃないか。安い料金で見えるようになる、NHKがそれだけ努力しているのですから十分ではなかろうか、こう考えるのですが、この点いかがですか。
  69. 藤木栄

    ○藤木政府委員 ちょっと私から先にお答え申し上げましてあとから大臣お答え申し上げたいと思いますが、現在NHKの、おっしゃいましたような予算の規模で先ほど申し上げましたような個々の受信者に対する技術指導でございます、たとえばアンテナをどういうような場所に移すとか、あるいは高くするとか、いろいろなことによりまして改善をはかる、あるいはまた先ほど申し上げましたような団体と協力して改善をはかるということもやっておりますし、それからまたいわゆる大きな建物によりまして障害ができたという場合は、いわゆる原因者負担主義と申しますか、そういう建築物の主から費用を負担してもらいまして、簡単な共同施設といいますか、実質的には有線テレビジョン放送施設と変わらないわけでございますが、そういうことを技術的に指導してつくってもらって受信改善をはかっているという状態でございまして、これはいろいろなケースがあると思いますが、いわゆるここに書いてあります有線テレビジョン放送施設というものと、あるいは小規模なものの場合も多いと思いますが、本質的に変わるわけじゃございませんので、その個々のアンテナによるもの以外は、大体におきまして有線テレビジョン放送施設というものを技術的に指導して受信の改善をはかっているというのが実情でございます。
  70. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 NHKがかなり意欲的にそれぞれの山間僻地あるいは都市の難視聴の解消に努力いたしておりますことは、私もけっこうなことだと思っておりますわけでございますが、それでまだ足らないというようなことで、いま都市におきましてどんなことをやっているかということについては、電波監理局長からお答えしましたように、アンテナを高くしたり、あるいは移したり、また現在できております財団法人のケーブルビジョンの団体に出損をいたしましたり、さらにまた、原因者がはっきりわかっております向きからは負担をしてもらって、難視聴の解消を指導いたしておるというようなことでございますけれども、さらに都市におきましては、高層ビルの建設というものがどんどん大きく進んでまいりますわけでございます。したがって、それによる難視聴地区が拡大していくということは予想されますわけでございますから、こういうものを利用いたしまして、NHKも難視聴の解消に一そう拍車をかけて御奮闘願いたいという考えを持っておりますわけでございます。
  71. 樋上新一

    樋上委員 テレビの難視聴の解消を考えているならば、経済的にもあまり負担のかからない方法でテレビの難視聴が解消できるということを真剣に考えるべきであると私は思うのです。そこで、事実財団法人として発足しておりますところの東京ケーブルビジョンにしろ、京阪神ケーブルビジョンにしろ、経営は赤字でやっておるというような状態でありますし、加入世帯も、最初のもくろみよりも大幅に少ないという実情であります。このような状況都市難視聴の解消が、公益法人である東京ケーブルビジョンや京阪神ケーブルビジョン等で完全に解消できると考えているのですかと私はお伺いしたい。また今後もこうした公益法人を、どんどんつくっていかれるのか。この点も重ねてお伺いしたいのです。大臣から答弁を……。
  72. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 既存の財団法人が必ずしも能率をあげていないということにつきましては、御指摘の点があるかと思うのでありまして、この点については私ども非常に心を痛めておりますわけでございますが、そこで、そういうような公益法人、財団法人につきましては、ひとつ積極的に再建を指導してまいらなければならない、こういうふうに考えていろいろ相談を進めておりますわけでございます。  しかし、この財団法人が、有線テレビジョン放送法に先がけてできたという実績にかんがみまして、将来はCATV施設の申請がございますれば、申請に応じて審査をして次々に許可してまいりたいというふうに考えておりますわけでございます。だれでもやたらにふやしていくかというお尋ねであれば、申請に基づいて審査をいたしまして、適正な施設者と認めれば許可してまいりたいという方針でございます。
  73. 樋上新一

    樋上委員 申請があればどんどん許可していくといいますけれども、現在でもこういう状態なのですね。はたしてそこまでしなければならないかということを私たちは考える次第でございます。放送法の第七条では「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」こうありますが、ここにいう「放送」とは無線放送のみをいうのか、または都市難視聴等で起こった受信障害の解消も含めるのか、この点いかがでございましょうか。
  74. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。放送法の第七条の「あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」と書いてある「放送」というのは、第二条に定義がございまして、放送法の第二条に「「放送」とは、公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信送信をいう。」というふうに明記してあるわけでございまして、したがいましてこの第七条でいう「放送」というのは、あくまでも無線による送信である、無線による放送である、そういうことになるわけでございますので、いわゆる有線テレビ施設によるものはこの中には入らないというわけでございます。しかしNHKは、この難視解消のために全国各地でいわゆる辺地共聴というのを行なっておるわけでございますが、これは第九条の第二項の第十号にございます「放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の許可を受けたものを行うこと。」ということで、大臣の認可を受けて現地辺地共聴を行なっておるという状況でございます。
  75. 樋上新一

    樋上委員 「制定の趣旨」にありますが、「有線テレビジョン放送は、国民の文化的日常生活にとってきわめて有用なもの」といっておりますが、それは具体的にどういうことをいうのですか。
  76. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。現在テレビというものは、これは無線のテレビは現在におきまして非常に国民生活にとって切っても切れないものでございますが、都市の難視聴あるいは辺地共聴ということによりまして、有線テレビジョン施設というものも発達しておるわけでございます。そういったところで利用される有線テレビというものは、無線テレビと全く質は変わるわけじゃございませんで、ほとんど大部分が、先ほども申し上げましたように、いわゆる再送信をやっている放送電波による放送の再送信をやっているということで無線テレビとほとんど変わることがない。それからまた自主放送ということになりますと、先ほどもちょっと申しましたように、地元のニュースその他を送る、地元に密着したものを放送するということになるわけでございますので、「国民の文化的日常生活にとってきわめて有用なもの」である、そういうようなことばを使ったわけでございます。
  77. 樋上新一

    樋上委員 また「施設地域的独占の傾向に陥りやすい」ともいわれておるのです。これはどういうことですか。「地域的独占」とはいわゆる許可制にすることによって生じるということもあるのじゃないですか。この点はいかがですか。
  78. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 有線テレビジョン放送が独占的な性格を持っているということはいろいろございますけれども、第一に、使います回線が非常に収容力の大きい二十チャンネルくらい入りますような回線を使って送信しますわけでございますから、そういうような意味で一つその回線ができますと、またさらにもう一つつくるということがなかなか困難になってくる。というのはもう二十チャンネルもありますから、相当広範囲に使えるということになるわけでありまして、その回線だけでも非常に独占性が出てくるわけでございます。それからまた経費の面から申しましても、かなり多額な経費を必要としますから、なかなか競争相手というものが出にくい。その経費面から申しましても独占性を持っている。それからいま一つは、道路の占用あるいは電柱の共架、電柱に線をかけるというようなことについても、やはり一つの業者がそれを使いますと、なかなかほかの業者が使いにくいというようなことで、これまた独占性を持っているというようなことでございまして、きわめて独占性を持った事業ということになりますわけでございますから、その点、業者の選定にはよほど慎重にやらなくてはならない。そうしなければ、たった一つの業者しか許さないというような場所に、へんてこな業者がやってくるということになりますと、受信者はたいへん迷惑をこうむらなくてはならない。また業者が、競争相手がたくさん出てくれば受信者が選択できますけれども独占性を持ったそういうような業態になってくるわけでございますから、その点よほどその選択は慎重でなくてはならない。適正な業者を受信者の利益のために選択しなくてはならぬという問題が起こってくるわけでございます。そこで施設許可制にいたしまして、受信者の利益をはかるということにいたしましたのがたてまえでございます。
  79. 樋上新一

    樋上委員 それについて審議会のようなものをつくって、そこで一応検討し、そして最後に大臣が意見具申をして許可にするとか、そういう構想はお考えになっておりませんか。
  80. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。この法案自体につきましては、審議会に諮問するということは入っていないわけでございますが、私ども、実際問題としましては、現在、電波監理審議会というのがございまして、そこで有線放送も諮問できるかっこうになっておりますので、できるだけそういった電波監理審議会に諮問いたしまして、その答申をいただいて許可するという方向に持っていきたい、そういうふうに考えております。
  81. 樋上新一

    樋上委員 この第二条の定義で、有線テレビジョン放送とは、有線ラジオ放送以外の有線放送をいう、こうなっておりますが、具体的にどういうものが入るのか、お伺いしたいんです。
  82. 藤木栄

    ○藤木政府委員 第二条の定義でございますが、有線ラジオ放送以外となりますと、現在ではこれは有線テレビジョンしかないわけでございます。ただ、将来ファクシミリ放送電波によって実現されますと、こういった施設を使いましてファクシミリの有線放送も可能になろうかと思います。しかし、ファクシミリというものがいつ実施できるか、相当期間を要することだと思いますので、私どもとしましては、現在のところは、有線テレビジョンだけでございまして、将来はそういうものもあり得るということだけを考えておるわけでございます。
  83. 樋上新一

    樋上委員 ファクシミリ等で新聞の社説等を送る場合、現在の法案では、放送法の規定が準用されるわけですから、政治的公平等の規定にひっかかり、送れないのではないかと考えるのですが、この点はいかがですか。
  84. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。お説のように、ファクシミリということになりますと、印刷媒体をそのまま送ることになるわけでございますので、いわゆる社説といったようなものももちろん送れるわけでございます。したがいまして、この放送法の規定、準用される規定に抵触するということもあろうかと思いますので、私どもとしましては、現実にファクシミリが出てきた時点におきましてこれをどうするか、改正をどうするかということについて、十分に検討したい、そういうふうに考えているわけでございます。
  85. 樋上新一

    樋上委員 将来、ファクシミリが出てきたときにあらためて法改正をすべきである、こういうぐあいに思うんです。  第三条の「施設の許可」で、前の運用法改正案では、郵政大臣の指定する受信障害発生区域内の有線テレビの再送信業務だけが許可の対象になっているんですが、本法案で、有線テレビ放送施設の設置をすべて許可にかけるということになったのはどういうわけかお伺いしたいんです。
  86. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。先ほど大臣からも御答弁がございましたように、この有線テレビジョン放送施設というもの自体が、地域的な独占性を非常に持つという点、しかも、その施設自体は、二十チャンネル以上の多くの情報チャンネルを有するという点から考えまして、これは先ほど申しましたように国民の日常生活にとってきわめて有用であり、また先ほど申し上げた地域的な独占ということもあるわけでございますので、施設だけを許可にして、いわゆる業務自体は従来のような届け出にしたいということで、「施設の許可」ということを第三条にうたったわけでございます。
  87. 樋上新一

    樋上委員 三百以上は許可の対象になるわけでありますが、現在の施設のうちでどれくらいが許可の対象になるのか。それから、それに対する行政指導をどのように考えていらっしゃるのかということをお伺いしたい。
  88. 藤木栄

    ○藤木政府委員 現在、この三百以上の施設というのは二百ちょっとのようでございます。大体九千施設がございますけれども、その大部分が三百以下でございまして、実際に三百以上というのは二百ちょっとという状態でございます。
  89. 樋上新一

    樋上委員 施設を設置する区域は申請者が任意に設定するのか、また、郵政省はこの区域の調査等についてどう考えていらっしゃるのか、お伺いしたいのです。
  90. 藤木栄

    ○藤木政府委員 施設の適正な規模という御質問かと思いますけれども、現在の技術的な水準から見まして、同軸ケーブルにところどころ装入いたします増幅器の性能という点から技術的な制約がございまして、いまのところは、四キロ以上になりますと絵の質が悪くなるわけでございますので、大体の規模としますと四キロ四方というようなところが一応の規模になろうかと思います。したがいまして、実際の施設の規模は、加入者の密度であるとか、放送電波の強度といったような外的な条件によっても左右されるということが考えられますので、一がいにはこうだというわけにはいきませんけれども、たとえば東京におきましては新宿区一区ぐらい、大阪あたりでは、区の単位が小さいので、二ないし三の区を合わせた地域、それ以下の中小都市ではその市街地一円が一つシステムの規模であろうかと思っておるわけでございます。  しかし、それは技術的な範囲でございますが、実際に有線テレビジョン放送施設施設する区域といたしまして、適正規模をどのように考えるかという問題につきましては、個々のケース、たとえば地域の具体的ないろいろな事情によって判断せざるを得ない、そういうふうに考えているわけでございます。
  91. 樋上新一

    樋上委員 大臣にお伺いいたしますが、第四条の「許可の基準」について、これは非常にあいまいであり、郵政省の裁量の幅が大き過ぎるという批判が強いわけであります。たとえば一号で「施設計画が合理的であり、かつ、その実施が確実なもの」と、こうなっておるのですが、施設計画が合理的であるかないかという判断をするのは、結局郵政省がやるわけでしょう。その他の項目についても郵政省の裁量によってきまるというわけですが、これはもっと明確にすべきであると私は思うのです。この点、大臣いかがでございましょう。
  92. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 これは、ごらんになりますとそういうふうなことになっておりますけれども郵政省令でちゃんと基準を定めましてお示しすることになっておりますわけでございます。その内容につきましては、事務当局から詳しく御説明いたさせます。
  93. 藤木栄

    ○藤木政府委員 私どもといたしましては、省令あるいは申請の様式というようなものがございますので、そこでこまかく書きまして、一般の申請する方々に御不便がないようにしたいと思いますし、またこの省令自体も十分に配意をいたしまして、私どものかってな裁量によってやるというようなことのないように十分に検討したいと思っております。
  94. 樋上新一

    樋上委員 財団法人東京ケーブルビジョン等の業務区域は東京都及びその周辺です。また京阪神ケーブルビジョンの業務区域は大阪市、京都市、神戸市及びその周辺諸都市を主とする区域ということでございますが、この二つの財団法人の業務区域を見ましても、あまりにも広過ぎると私は思うのです。東京ケーブルビジョンの場合で考えてみても、現在新宿と渋谷で営業している。しかし、業務区域の中で、他の地域都市難視が起こっておる。住民から早く解消してもらいたいと強い要望があった。ところが、東京ケーブルビジョンは、私のところの業務区域でありますが、現在そちらのほうは計画しておりません、また資金もありませんので、当分設備ができませんというようなことがあった場合、何のためにこの法律をつくったのかわからなくなってしまう、こう思うのですが、こういう場合、現在でも都市難視についてNHKは共聴施設等をつくって解消につとめているわけですから、だから再送信のみ施設を設置させるかして、住民の要望を満足できるような方法をとるべきであると私は思うのですが、この点いかがでございましょう。
  95. 藤木栄

    ○藤木政府委員 おっしゃいますように、現在たとえば東京ケーブルビジョンは東京及びその周辺というものが業務区域になっておるわけでございますが、この法案自体につきましては、それをその施設の区域として認めるかどうかはまた別の問題でございまして、その具体的な申請によりまして認めることになろうかと思います。ただ、実際上の問題といたしまして、法案とは直接関係ないと思いますが、この東京ケーブルビジョンの業務区域の中におきましておっしゃいますような難視が起きたという場合は、現在でもやっておるわけでございますが、NHKが指導いたしましてアンテナの場所を変えたり、あるいはまた先ほども申しましたような原因者負担主義で建築主から経費をもらって有線テレビジョン放送施設というものをNHKが指導してつくって、それによりまして難視を解消するということもあるわけでございます。また、場合によりましてはNHK自体が積極的にそういう難視聴の解消を行なうということもあり得ると思うわけでございまして、私どもとしましてはそういった点十分認識を持ちまして、その難視地域の住民の方々が御不便のないようにさらに配意してまいりたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  96. 樋上新一

    樋上委員 この点十分留意をしてもらいたい、こう思います。  それから第十一条の施設の廃止についてでありますが、設置するときは郵政大臣の許可を得た。ところが、「放送施設を廃止しようとするときは、あらかじめ、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。」こうなっておるのですが、これでは住民もたまったものではないのです。高いお金を出しておいて設備をしてもらい、それが施設者の都合でいつ廃止になるかわからない。これでやめられたのでは一般住民はどうなるのか。これでは施設者を守るだけであって、住民の立場を考えているのかどうかという点、大臣いかがですか。
  97. 藤木栄

    ○藤木政府委員 先にちょっと法律の条文につきまして御説明申し上げたいと思いますが、確かにこの第十一条は、「廃止しようとするときは、あらかじめ、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。」ということになっておりまして、私どもとしましては、おっしゃいますように、いきなりやめられては住民が非常に迷惑するわけでございますので、十分その前に、あらかじめ大臣に届け出るということを義務づけているわけでございまして、これによりまして住民が困らないようなことを配意をしたいというわけでございます。法律の条文自体は実は電波法にも同じ条文がございまして、無線局の廃止というものにつきましてはやはり届け出ということになっているわけでございますので、条文としましては、この有線テレビジョン放送施設につきましても届け出る。ただ電波法におきましては、単に「その旨を郵政大臣に届け出なければならない。」という表現でございますが、こちらのほうは、「あらかじめ届け出なければならない。」ということになっておりまして、その点配意をしているわけでございますが、実際問題としまして、あらかじめ届け出ても住民が困るということは確かでございまして、私どもとしましても、この許可をする際に十分検討いたしまして、この許可の条件の中にもございますように、「その有線テレビジョン放送施設を確実に設置し、かつ、適確に運用するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。」ということを条件の一つにあげておりまして、実際上、こういう廃止するようなことがないように十分に指導してまいりたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  98. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいまお答えしたとおりでございまして、電波法よりも少しきびしく「あらかじめ」という文句を加えまして、その義務を課したというわけでございます。
  99. 樋上新一

    樋上委員 終わります。
  100. 高橋清一郎

    高橋委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会