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1972-05-17 第68回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十七日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 高橋清一郎君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 本名  武君 理事 水野  清君    理事 古川 喜一君 理事 中野  明君       小渕 恵三君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    佐藤 守良君       中村 拓道君    羽田  孜君       林  義郎君    武部  文君       中井徳次郎君    土橋 一吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  出席政府委員         郵政政務次官  松山千惠子君         郵政大臣官房長 森田 行正君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     中川 俊思君   森  喜朗君     山口シヅエ君   近江巳記夫君     樋上 新一君 同日  辞任         補欠選任   中川 俊思君     小渕 恵三君   山口シヅエ君     森  喜朗君   樋上 新一君     近江巳記夫君     ————————————— 五月十三日  電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する  法律等の一部を改正する法律案反対に関する請  願(安宅常彦紹介)(第三〇七三号)  同(大出俊紹介)(第三〇七四号)  同(北山愛郎紹介)(第三〇七五号)  同(古川喜一紹介)(第三〇七六号)  同(松浦利尚君紹介)(第三〇七七号)  同(八木昇紹介)(第三〇七八号)  同(米田東吾紹介)(第三〇七九号)  同(江田三郎紹介)(第三一一〇号)  同(土井たか子紹介)(第三一一一号)  同(松浦利尚君紹介)(第三一一二号)  同(三木喜夫紹介)(第三一一三号)  同(柳田秀一紹介)(第三一一四号)  同(安井吉典紹介)(第三一一五号)  同(山口鶴男紹介)(第三一一六号)  同(阿部喜男紹介)(第三一三九号)  同(江田三郎紹介)(第三一四〇号)  同(川俣健二郎紹介)(第三一四一号)  同(田中恒利紹介)(第三一四二号)  同(土井たか子紹介)(第三一四三号)  同(内藤良平紹介)(第三一四四号)  同(長谷部七郎紹介)(第三一四五号)  同(畑和紹介)(第三一四六号)  同(三木喜夫紹介)(第三一四七号)  同(八百板正紹介)(第三一四八号)  同(安井吉典紹介)(第三一四九号)  同(柳田秀一紹介)(第三一五〇号)  同(阿部喜男紹介)(第三一九六号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三一九七号)  同(角屋堅次郎紹介)(第三一九八号)  同(川俣健二郎紹介)(第三一九九号)  同(久保三郎紹介)(第三二〇〇号)  同(田中武夫紹介)(第三二〇一号)  同(田中恒利紹介)(第三二〇二号)  同(内藤良平紹介)(第三二〇三号)  同(長谷部七郎紹介)(第三二〇四号)  同(井野正揮君紹介)(第三二三一号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三二三二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第三二三三号)  同(久保三郎紹介)(第三二三四号)  同(田中武夫紹介)(第三二三五号)  同(井野正揮君紹介)(第三二八〇号)  同(金丸徳重紹介)(第三二八一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  有線テレビジョン放送法案内閣提出、第六十  五回国会閣法第一〇二号)      ————◇—————
  2. 高橋清一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  第六十五回国会内閣提出にかかる有線テレビジョン放送法案議題とし、審査に入ります。     —————————————     —————————————
  3. 高橋清一郎

    高橋委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。郵政大臣廣瀬正雄君。
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま議題となりました有線テレビジョン放送法案につきまして、提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近各地において同軸ケーブルを用いた有線電気通信設備により有線テレビジョン放送を行なう事業が活発に計画されておりますが、有線テレビジョン放送は、国民文化的日常生活にとってきわめて有用なものとなりつつあり、また、その施設地域的独占の傾向におちいりやすいものであります。  このような事情にかんがみ、その施設設置許可制とすること等により施設設置及び業務運営を適正ならしめることによって、受信者利益を保護するとともに有線テレビジョン放送の健全な発達をはかるため、この際有線テレビジョン放送法を制定しようとするものであります。  次に、法律案要旨を御説明申し上げます。  まず、有線テレビジョン放送施設設置して有線テレビジョン放送業務を行なおうとする者は、その施設設置について郵政大臣許可を受けなければならないことといたしております。郵政大臣は、その施設計画合理性確実性施設技術基準適合性、その他その施設をその地域設置することの必要性等について審査の上許可することといたしております。  次に、許可を受けた施設者は、有線放送業務を行なおうとする者からその施設使用の申し込みを受けたときは、原則としてこれを承諾しなければならないものとし、また、この場合の使用条件郵政省令で定める基準に適合するものでなければならないことといたしております。  次に、許可を受けた施設者は、郵政大臣が指定した受信障害発生区域内においては、その施設設置する区域の所在する都道府県内にある放送局の行なうテレビジョン放送をすべてそのまま同時再送信しなければならないことといたしております。  次に、このような義務としての再送信を行なう施設者は、その再送信の料金その他の役務の提供条件に関する契約約款について、郵政大臣の認可を受けなければならないことといたしております。  次に、郵政大臣は、施設運用または義務としての再送信業務運営が適正でないために受信者利益を阻害していると認めるときは、施設者に対し一定事項について改善を命ずることができることとすること、その他業務の届け出、自主的に放送番組の適正をはかるための番組審議機関設置等について所要の規定を設けまして、施設運用及び業務運営の適正をはかることといたしております。  最後に、この法律施行期日は、この法律の公布後六カ月を経過した日といたしております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  5. 高橋清一郎

    高橋委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  6. 高橋清一郎

    高橋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  7. 武部文

    武部委員 私は前回の当委員会で、当時いろいろ問題になりました郵便貯金利子の問題と庶民金融制度の問題について、郵政大臣見解をただしました。そのときの私の発言は、伝えられるところによると、郵便貯金利子を、大蔵省意向をいれて、銀行その他の利子引き下げと同様にこれを行なう、しかし、それと引きかえに庶民金融の実施をやる、こういうようなことが伝えられておるが、郵政大臣見解はどうかということをお尋ねをいたしました。当時郵政大臣は、そういうことは絶対にない、その報道大蔵省サイド報道であって、郵政省としては関知しない、こういう発言がありまして、私どもは、従来どおり郵政大臣はこの郵便貯金利子引き下げにはあくまでも反対であり、同時にこの庶民金融についてはあくまでもその実現に努力をする、こういう意向だということを承知をいたしました。けさのテレビのニュースと新聞は、この問題を相当大きく取り上げておりまして、内容については具体的に初めてこれが明らかになったのでありますから、この機会に郵政大臣見解を承っておきたいと思います。昨日、与党政調会長が、郵政大蔵農林、三省に対して、自民党政調会長あっせん案提示をして、明後日までにこの問題についての回答を求めておる、こういうようなことが報道されておりますが、一体その経緯はどうなっておるのか、最初にこれをお伺いしたい。
  8. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま武部委員御質問の、郵便貯金金利引き下げの問題でございますが、これにつきましては、ただいまお話しのように、最近、公定歩合引き下げが行なわれそうだ、それに関連いたしまして預貯金金利引き下げてもらいたいというような、まあ国の要請があるからということでございましょう。私に、郵便貯金金利引き下げに応じてもらいたいというようなお話が、きのう実は政調会長からあったわけでございます。と申しますのは、たいへん武部委員、格別な御好意を賜わっておりますいわゆる庶民金融郵便貯金個人貸し付けの問題でございますが、これは先生の非常なごあっせんによりまして、野党のほうも、今度の国会政府提案が希望持てないということであれば議員提案でやるべきだというようなことで、だんだん話が熟してまいりまして、野党三派、場合によっては共同提案でもしようかというような動きが活発になってまいりました。そのことは先生によるところきわめて甚大でございますけれども、それと軌を一にいたしまして、自民党のほうでも同じ動きが活発にせんだってから起こってまいっておりますわけでございますが、今度自民党のほうでも、政府提案がどうもこの段階でも非常に困難のように思われるということになれば、もともとこうした問題は今度の国会中に政府提案で出すことが常道であり、それが最も好ましいことであるけれども、それができないということになれば、次善の策として、議員提案でもぜひ成立させたいということで、非常に強い動きがただいま見られておりますわけでございますけれども、その自民党の党内における動き、それが政調会段階でいろいろ審議がなされまして、その結果、政調会長に、議員提案庶民金融の道を開くということを前提として、その政調会審議の場で、大蔵省サイド議員あるいは農林省サイド議員からいろいろと御発言がございまして、そういうことも参酌しながら、政調会長調整を一任されたというようなかっこうになっておりますようでございます。  そういうような要請に基づきまして、きのう私に会いたいということで、ただいま申しましたようなお話があったかと思うのでございます。で、ときたまたま庶民金融を具体化しよう、ものにしようというような時期でございますから、それと関連いたしましてお話があったことは事実でございますけれども、私どもは、庶民金融金利の問題は絶対に取引にいたしたくない、いたすべき性質のものではないという考えをもともと持っておりますわけでございまして、また党におきましても、そのことは強調くださっております。この二つは全然別個のものであって、取引の具に供すべきものではないということを強くおっしゃっていただいておりますわけでございます。  そこで、きのうの会見では、まあ関連を持っておるということでございましょう。一緒にお話はあったわけでございますけれども、これについては、私は庶民金融お話も承り、金利の問題につきましてもお話を承ったのでございますけれども庶民金融金利の問題は、時節柄、これによって何らか取引をしているというような誤解を受ける心配が非常にある。と申しますことは、すでに御承知のように、せんだって、いかにも私が、庶民金融をでかしてくれるならば金利引き下げに応じてもいいというようなことを話し合ったような、きわめて間違った報道でございますけれども、まあ幾つかの新聞にそのような解釈ができるような報道がされたわけでありますが、これは決して私から出た問題ではございません。どこから出たかということは大体想像がつくわけでございますけれども、そういうことに基づいていろいろ心配をされて私にお尋ねがございますけれども、決して私はそういうことに参画していない、そういうような話を受けたことはないということで、かたくその点は否定をしてまいったわけでございます。  そこで、きのうも政調会長に午後二時過ぎからお目にかかったのでございますけれども、冒頭に、庶民金融のことについてはたいへん政調会長あっせんの労をとってものにしてやろうという御意図があるようにきのうの調整案で承ったわけでありますが、それについて大いに謝意を表したわけでございまして、内容については多少申し上げたいことがございますけれども、まあ大体においてよろしいということを申し上げました。しかし、金利の問題については絶対に取引はいたしませんよということを強く申し上げたわけでございますが、その金利の問題のうちに、一つ制度的な要請お話もあったわけでありまして、郵便貯金金利決定も、農林関係金融のほうと同様に、あるいはまた他の金融機関と同様に、臨時金利調整法適用下に置いてもらいたいという一項目があったわけでございまして、これは申し上げるまでもなく、郵便貯金金利の問題を、大蔵大臣管理いたしております二の調整法適用のもとに置くということでございますから、大蔵大臣管理下郵便貯金を移してもらいたいという説でありますわけでございまして、これはもう絶対に承服できない。ただいま郵便貯金というものは郵政大臣管理下にございますわけでございまして、郵政大臣が責任をもって国民のために運用いたしておりますわけでございます。その管理大蔵大臣にまかせるということについては、これはたいへんに大きな問題でございまして、絶対に承服できない。これは庶民金融を返上してでも承服することができるものじゃない、郵政省にとりましてはたいへん大きな問題ですよということを強く申しました。金利の問題についてはこれが一つございます。  いま一つは、ただいま御指摘の当面しております公定歩合引き下げに伴う預貯金金利引き下げの問題、これはぜひひとつ郵政省も協力してもらいたい。郵便貯金も他の銀行と同様に金利引き下げてもらいたいというようなことでございまして、これまた断じてお断わり申し上げますということを申しまして、ほかにも二、三ございますけれども金利に関する問題はこの二つでございますが、あまりに不本意な内容でございましたから、私はいわば座をけって立ったというようなかっこうで、十分ぐらいしかおりませんで辞去いたして帰ってきたわけでございます。しかし、私といたしましては、せっかく政調会長から、庶民金融をひとつものにしたいという格別な御熱意を持っていろいろ調整の御配慮を賜わっておりますその御好意に対しましては感謝しなければならないことでございますし、でき得るならば政調会長のごあっせんによって庶民金融はぜひものにしたいという悲願を持っておりますわけでございますから、私も会長から示されました調整案、これはまだメモ式のものでございます。外に発表してはならぬぞというようなことで、私もそういたしましょうと言って、話し合ったつもりでございますけれども、もうだんだん漏れておりますから、私も一部、たとえばただいま武部委員にも御披露申し上げましたわけでございます。  そういうようなことでございますから、そのごあっせんの労は大いに多としなければならないのでありますけれども郵便貯金金利引き下げ反対ということについての私の信念は、今日までのところ変わっていないということがはっきり申し上げられますわけでございます。また、先生方のきょうの御激励、これもしっかり踏まえまして、十分奮闘してまいりたい、こういうふうに考えておりますわけでございます。
  9. 武部文

    武部委員 いまの大臣お話で大体の概要はわかりましたが、この政調会長あっせんは、調停のためのあっせん案として五項目ありますね。五項目あるうちの四つ郵政省ですね。五項目目が農協、漁協に対する貯金保険制度を認めるとかあるいは為替、国庫金取り扱い業務を行なわせるというような、確かに郵政省農林省に対する調停のためのあっせん案ではありますが、この五つのうちの四つ郵政省関係のある項目であります。いまお聞きいたしますとやはりこれは非常に重要な問題であります。  一の問題は、以下の金利の問題や、それから利子決定権の問題を大蔵省に移す、あるいは金利引き下げをするならば一の庶民金融法案政府提案として出してもいい、こういうようにこの報道から見るとなっておるのであります。したがって、この五項目については、一番最後は別として、四つは相関連をしたものだというふうに私どもは理解ができるわけです。  そこで、いま大臣お話を聞いておりますと、一番問題になるのは郵便貯金利子臨時金利調整法のもとにおきたいという政調会長発言ですね。これはもうたいへんなことです。郵政省始まって以来のことです。そういうことが庶民金融の問題とうらはらの取引に供されるということについては、私どもとしては断じて納得できないことであります。大臣もいまそういう決心を述べられたので、その点はけっこうだと思います。  金利の問題もその次にあります。さらに百五十万円の郵便貯金利子が非課税となっているが、この優遇措置預金者に悪用されないよう法的規制を行なう、これは一体何をさしているのか、私も若干わかりますが、このことも一つ条件になっておるようです。  いま大臣がおっしゃったように、いままであなたは、この預金利子引き下げについては絶対に反対だといって大臣態度を明らかにしてこられました。これはけっこうなことだと思います。また取引はしないということもおっしゃっておる。これもけっこうなことです。一つ気になるのは、いまあなたが最後におっしゃった、そういう見解については、今日までのところ変わっていないということをおっしゃったわけです。今日までのところ変わっていないことはよくわかりますが、問題はこれから先のことであります。いまいろいろ聞いておると、政調会長がいまあなたを呼んでおるようですが、何か非常に急いでこの結論を出そうとあせっておるようですね。私はここで大臣に明らかにしてもらいたいことは、今日までのことはよくわかります。よくやってもらったと思っております。ですから、新聞の投書を見ても、金利引き下げ郵政大臣反対をしていることは非常に高く評価をされております。庶民金融をやろうということについても国民からは非常に高い評価が出ておるわけです。今日までの努力はよくわかりますが、いま一番大事な時期に差しかかったわけですから、いまお述べになったこの五項目のうちの四項目郵政省関係のあるこのことについては、郵政大臣としてはきょうまでの態度と変わらず、あくまでも金利引き下げやあるいは金利決定権大蔵省に移譲するというようなことについては絶対に認めるわけにいかぬ、こういう態度をここでぜひ明らかにしていただきたいし、そうだと思うわけですが、その点はいかがでしょうか。
  10. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま御指摘の件、一人百五十万円までの貯金利子優遇措置郵便貯金においても正確に行なわれるよう、他の金融機関と均衡をとるよう法的規制を行なうということについての御意見、またお尋ねでございますが、これは申すまでもなく名寄せの問題でございまして、郵便貯金限度が百五十万ということになっておるけれども、一人でその満度までの貯金をオーバーするような通帳を幾つも持っているような人があるじゃないか、こういうような規制が行なわれないという実情は、郵便貯金が百五十万で押えられるというその限度実情において無視した現状であるということで法的規制要請しておりますわけでございますけれども、私どもといたしましては、現在におきましても名寄せはもうやっておりますわけでございまして、この点については、さらに落ち度があるということであれば行政指導を強化いたしまして、さらにそのことの絶無を期すということでまいればいいと思っておりますので、法的措置を講ずるということについてはもちろん反対をいたしておりますわけでございます。  それから、現在までのところ反対だということについて、将来どうなるかというお尋ねでございますが、私もいろいろ勉強したところによりますと、最近金利の問題がまた大きな課題になろうかと思いますので、最近の金融あるいは経済情勢等も、学者の御意見を承ったりなんかいたしましていろいろ勉強いたしておりますわけでございますけれども、私の信念が正しいと賛成してくれる人もございますれば、そうではないぞと言ってくれる人もおりますようでございますけれども、そういうことをいろいろそしゃくし、また吸収いたしまして私みずからの意見ができるわけでございますが、現在までのところ、そのような金利引き下げに応ずる必要はないというような結論になっておりますわけでございます。しかし、実はこの前、金利引き下げ反対という私の信念を裏づけてくださったのは、党の政調会通信部会にはかりまして、通信部会の御同意をいただき、またむしろ激励をいただきまして、私自身の信念がさらに固まったというような事実もありますわけでございます。  そこで、さらにあっせんの労をとられます政調会長でございますから、私きょう向こうから呼び出しを受けているわけではございません。私のほうから、きのうの会見における提示に対しましていろいろ協議いたしましてお答えする決意がきまりましたから、そのことを一応お答えするチャンス申し出をいたしておるわけでございます。しかし、これは国会中でございますから、国会第一であるということはもちろんでございますから、国会の間隙をいただいてお伺いするというほかに道はないわけでございます。それで、きょうお目にかかることができれば、こういう回答をいたしたいという案ができております。もちろんこれは絶対反対だということを申し上げるわけでございます。  ところが、その調整の労をとっております政調会長でございますから、その後またどういうことを重ねて言ってくるかわからない。そういう場合には私は考えが余ったら、部会にも相談するというようなこともあり得るわけでございます。そのときに私は全然考える余地がないということでは、部会に御相談いたしましても部会のほうが私の御相談に乗ってくれないわけでございますから、そういう場合、おおらかな気持ちになって部会の方々の御意見をいただきたいと思います。きょうここにいらっしゃる部会有力メンバー、いずれも金利引き下げには反対だという御意見の方が多いようでございまして、この委員会が始まります前も、絶対に金利の点については譲ってはならぬぞという御激励を承りましたし、いまもまた大きな声が出ましたわけでございます。でございますが、一応調整段階でございますから、やはりそういうような御相談を申し上げるというチャンスはなくてはならないと思っております。そういう場合に、私の信念信念として申し上げますけれども皆さま方の御意見も十分参酌しなくてはならぬということは当然だと思うわけでございまして、その点はひとつごかんべんを願いたい、こういうように考えております。私やはり政党人なものですから、党の御意見を承らなくてはならぬということは当然だと思っておりますわけでございますので、さような意味のことを申し上げておるわけでございまして、私みずからの信念が固いということはいま申し上げましたとおりでございます。
  11. 武部文

    武部委員 終わりますが、あなたの信念は変わりがないというふうに最後のことばでわかりましたから、ぜひその信念を通していただきたい。  私どもの聞くところによると、与党通信部会もあなたの意見と同様だということを聞いておるのでありますから、ぜひひとつ不当な調整には断固拒否をしてもらいたい。私ども野党の立場からいっても、全部が全部かはわかりませんけれども庶民金融には賛成だという態度で進みたいと思っております。しかし、これがセットで金利の問題や利子決定権まで大蔵省や党に移されては、庶民金融に私どもは賛成するわけにいかぬのであります。そういう点はこの機会に明らかにしておきます。このあっせん案については、郵政省の今日までの基本的な運営に大きな問題を投げかける要素を持っておるわけですから、ぜひいままでの大臣がここで述べられたこと、あるいは大臣の決意、信念、そういうものを変えないで政調会長に答えていただきたい。この点を最後に要望して私の質問を終わりたいと思います。
  12. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御趣旨はほんとうにありがたく拝聴いたしました。御趣旨を体しまして努力するつもりでございます。
  13. 武部文

    武部委員 終わります。
  14. 高橋清一郎

    高橋委員長 林義郎君。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 ただいま武部委員からお話がありました庶民金融の問題、郵便貯金の貸し付け制度の問題でありますが、先ほどからの委員大臣とのお話を聞いておりまして私ちょっと気にかかる点があります。預金金利引き下げを行なう、これは郵政省にとってたいへんなことである、あるいは当委員会としてもたいへんなことであるというお話がありましたが、私はそうではないと思うのであります。私は、この現在の経済状況を見ますと、金利引き下げをするというのは、これは国内金融情勢からすれば当然のことである。なぜそうなるか。これは貸し出し金利のほうの問題であります。銀行というのは、預金を集めて自分のところの従業員に給料を払い、いろいろな資産の償却をして、それで預金の貸し出しをするわけでありますから、前と同じような賃金を払い、社内経費を払っておるならば、当然に預金金利を下げるということになりますが、私はだからといって、いままでどおりに銀行が経営を続けておっていいという理屈にはならないと思うのであります。私は、貸し出し金利の問題と預金金利の問題というのはおのずから別でなくてはならないだろう、こう思うのであります。これは本来的な、自由主義経済のもとにおける鉄則であります。貸し出し金利を下げるから自動的に預金金利も下げるなどという考え方は大蔵省当局としてもとってもらっては困る考え方であります。これが第一点。  第二点は、お話がありました臨時金利調整法の問題でありますが、臨時金利調整法のもとにおくと大蔵大臣の監督下にある云々というお話であります。そもそも臨時金利調整法のいきさつを考えますと、これは独占禁止法ができましたそのときに、金利協定を銀行がやっている、貸し出し金利の協定あるいは預金金利の協定をやっているということがありました。これが独占禁止法違反であるということであるから臨時金利調整法をつくったというようなのが、ほぼ大まかないきさつであります。いろいろほかにも理由がありました。当時の統制下におきましての金利調整という問題もありました。しかし、一番基礎にあったのは、独禁法との関係の問題だと私は記憶しているのであります。私は、預金金利であるとか、あるいは貸し出し金利というのは、本来自由競争であるべきである。したがいまして、郵便貯金が現在の経営上において高い預金金利を払うことができるならば、高い金利を払ったほうがよろしいということであります。あとはその郵便貯金を集める、また郵便貯金のコストにおきまして、その上において六・五%という形で産投会計その他に出すわけでありますから、そういったことができるならば、本来ならば国民大衆から集める金でありますし、国民大衆に喜ばれることであるから、私は当然にこれは上げていくべきだろう、こういうような実は気がするのであります。私はそういった意味において、一方において臨時金利調整法云々がある、それだからそれに従えなんということはおかしなことで、こちらは独占禁止法の問題でありますから、政府がいっていることについては独占禁止法にかからないのは当然のことであります。それを一緒にしてやるというのは非常に政策の混淆があるだろうと思うのであります。この点をぜひついていただきたい。  それからもう一つは、郵便貯金というのは国民の零細な預金を集めるのでありますから、本来ならば、できるだけたくさんの金利預金者に対して還元していくということが一つの大きな目標だろうと思います。貯蓄増強、これは政府のいままでの大きなかけ声でありました。貯蓄増強という政策を政府がやっている限りは、私は基本的に申したならば、預金金利は当然たくさん払っていくということが筋だろうと思うのであります。預金金利を上げていくということが私は筋だろうと思う。そういった意味におきまして、一体いま、郵便貯金の中のコストというものが、銀行における経費コストというものと比較してどういうことになっているのかということをひとつ明らかにしていただきたいのです。私はいまそういうふうに考えておりますけれども、この点について郵政大臣どういうふうにお考えになるのか、お考えをあらためてお尋ねしておきたいと思います。
  16. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 現在の経営の状況あるいは外貨滞留の状況から申しまして、貸し出し金利は下ぐべきだ、ところが、それに関連して、預金金利を下げるという必要は必ずしも連動的にはないんだという御意見に第一の点はお聞きいたしたのでありますが、そういう意味でございますね。それであれば、ただいま御指摘の二点と申しますか、三点と申しますか、ともいずれも私は賛成でございまして、たびたび申し上げておりますように、銀行預金の本質と郵便貯金の本質は全く違うものである。銀行預金は、短期に例をとりますと、七割までが会社の預金でございます。個人の預金はわずかに三割、長期を含めましても五割以上が会社の預金でございまして、個人の預金というのは少ない。しかも、短期では銀行預金は預託の期間がわずかに〇・四カ月でございます。郵便貯金のほうは九割九分六厘までが個人の零細な貯金の集積でございます。そうして、しかも短期に例をとりましても、預託の期間は平均七カ月というようなことになっておるのでありまして、そういうことを見ましても、いかに性質が違うかということがわかるわけでございます。いわば銀行預金というのは産業資金であります。郵便貯金国民の生活資金あるいは消費者資金ともいうべきお金でございますから、全く異質のものである。銀行預金は私は金利を下げましても差しつかえないと思っておるわけでございます。これは産業資金でございますから、産業に関係のある資金として預金金利引き下げるべきじゃないかと思っておりますけれども、しかしそのうちでも個人の小口預金というのがありますから、こういうものについては特に考慮を払うという区別をする必要があろうか、このように考えております。しかし郵便貯金のほうは、そういう性質でございますから、全面的に金利引き下げは好ましくないことでございます。また申すまでもなく、いまのように消費者物価はどんどん高騰しております時節でございますから、いまの郵便貯金利子すら消費者物価の高騰の率に及ばないというような現状でございますから、これ以上に郵便貯金利子引き下げるということは、ほんとうに国民に絶望感を与えるというようなことになって、金はたくわえてもだめだ、使ってしまえということになりますと、これが消費者物価の高騰にまた大きな刺激を与えて、さらに拍車をかけるということになるわけでございますから、そういう意味において私は反対をいたしておるわけでございます。  なお預金コストのお尋ねでございますか……
  17. 林義郎

    ○林(義)委員 事務当局からでもけっこうです。
  18. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 それではこのコストの問題につきましては、私いささか存じておりますけれども、はっきりした数字の認識がございませんから、あとで資料を持参いたしまして御説明申し上げるということにいたしたいと思っております。
  19. 林義郎

    ○林(義)委員 私は大臣にお願いをしておきたいのです。とかく農協の問題である、あるいは銀行の経営を圧迫するからどうであるというような観点では私はこれからの政治の問題は解決できないと思うのであります。一体国民大衆は何を求めているか、国民大衆がどういうふうな気持ちでやっているかということを知って、その上に立って政治というものをやっていかなくちゃいけない。私はこれがほんとうの政治のあり方だろうと思うのであります。大蔵省郵政省当局の間の調整をどうするかという問題ではない。それであったならば、これは政府の中の仕事にまかしておけばいいのであります。国会において議論するのは、やはり国民の気持ちをいかにして反映していくかというところにポイントがあると思うのであります。そういった意味におきましては、私が先ほど申し上げましたように、国民大衆というのはやはり貯蓄したい、社会制度が不十分であるとか、いろんな問題ありますから、貯蓄したい、貯蓄をしておかなければいかぬという希望があるわけで、特に郵便貯金のような零細な庶民を相手にしておるものにつきましては、その点を十分に心に入れられて政治をやっていただきたいと私は思います。これがほんとうの政治であると思います。単に逓信委員会大蔵委員会でどうだこうだという問題ではない。私は国民大衆の名においてぜひやっていただきたいと思うのであります。  せっかくの機会でありますから、委員長のお許しを得まして先ほどお話がありました有線テレビジョン放送法案につきましても私同じような考え方を持っておりますので、この点についての質疑をいたしたいと思います。  実は有線テレビジョン放送というものはへ新しい事態であります。私が知っておりますのにいたしましても、そうたくさんない。ところが、いわゆる未来学者等からいろいろといわれておりますが、これからは有線テレビジョンというものが非常にはやってくる。特に情報化時代であります。情報化時代でありますならば、こういったものが非常に発達するだろう、こういうことがいわれておるのでありますけれども、現状においてこういった同軸ケーブルを使ったところのものが全国に一体どのくらいあるのか、それから将来の見通しとして一体どういうことになるのか、情報化社会というものがどういうことになるのかという将来の見通しにつきましては、たしか昨年じゃなかったかと思いますが、当委員会においても議論をされたことがあります。ありますが、その辺について郵政省当局あるいは政府当局内において、情報化社会というものについてどういうふうなことに考えておられるのか、またどういうふうになってくるだろうかという予想をしておられたならば、その辺もお話しいただきたいと思います。  以上二点、第一点は現在において同軸ケーブルを使うような、あるいは有線テレビジョンというようなかっこうのものがどのくらいあるのかという点、第二点は将来の情報化社会というものがどういうふうな形になるだろうということをお話しいただきたいと思います。最初のほうは事務当局から、あとのほうはできたら大臣からお話しいただきたいと思います。
  20. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。現在いわゆる有線テレビジョン放送施設は届け出でございまして、本年三月末におきまする届け出がございました有線テレビの放送施設の数は九千五百五施設でございます。しかし、そのうち三施設だけがいわゆる再送信にあわせまして自主放送を行なっているという状態でございまして、そのほかの施設は全部自主放送だけを行なっているわけでございます。これに対しまする加入世帯数まで申し上げますと、九千五百五の施設に対しまして約九十万の加入がございます。したがいまして、一施設当たり平均百世帯というようなものでございます。
  21. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 将来の情報化社会へのビジョンでございますけれども、これはたいへんむずかしい問題でございますが、私は私なりに、人類の歴史というものを大きく三つに分けたいと思うのでございまして、第一は部落孤立時代、それから第二は交通化時代、第三は情報化社会あるいは情報化時代というように大きく分けられるのじゃなかろうか、これは私だけが考えております考え方でございますが、将来は情報化社会に向かうのだというような方向を持っておるように私は判断をいたしておるわけでございますが、その情報化社会においては何と申しましても通信というものがその基幹をなすというように考えておるわけでございまして、これについては現在の電信あるいは電話に例をとって申しますと、電信は現在まさに経営が非常な難渋をきわめておるわけでございまして、電電公社の電信の経営は赤字であることは御承知のとおりでありますが、ただこの電信の面におきましては、私はデータ通信も電信の一種だと思っておるわけでございます。データ通信を電信だと思いますと、このデータ通信の将来性というものは、相当大きく開けていくというように考えておるわけでございます。電話は実は何と申しましてもやはり各家庭の必需品というようなものになりつつあるわけでございます。その方向に推進していく。どの家庭にも電話は架設されているというような状況に持っていかなければならぬと思いますし、さらに全国の即時化、さらにまた全世界の即時化というようなところまでこの電話の即時化を発展させるというようなことが一つの大きな指標ではないか、こういうように考えておるわけでございます。しかし、電信にいたしましても、電話にいたしましても、非常に新しいメディアというものが開発されておるわけでございますから、そういうような新しいメディアの利用というようなことについては、絶えず技術的にも、また政策的にも勉強していかなければならないというように考えておるわけでございます。  これにさらに放送、ラジオ、テレビということも加わってまいるわけでございますが、その分野も、私は際限なくまた広がっていくのじゃないかというような気がいたしておるわけでございまして、こういうものを総合しましての新しい通信政策、通信技術というものも、もうぼつぼつ真剣に考えなければならない段階になっているのじゃないか、こういうように私は思っております。  幸いに昨年、郵政省の課長補佐級の若いゼネレーションが「通信行政の展望」という力作を発表いたしたのでございますが、これも非常に示唆に富んだ、現実を多少無視した点もございますけれども、大体示唆に富んだ非常にりっぱな勉強であった、こういうように私は敬意を払っておるわけでございます。私も、そうした情勢を踏まえまして、郵政省としましても大きな政策の新機軸を開くという必要がありはせぬかと考えまして、私の相談相手と申しますか、私も加わっていろいろ雑談をするというような場をつくりたいというので、昨年、通信問題懇談会というのをつくりまして、各方面の知識を集めて月に一回程度会議を開きまして、ざっくばらんな御意見を承って、大いに私はじめ郵政省のほうで勉強の資料にいたしておるわけでございます。  また、ただいま御指摘のございましたCATVについては、これは将来かなりの技術的な可能性が考えられると思うのでございますが、その技術的な可能性ばかりでなく、将来の社会的需要と申しますか、ニーズ、そういう問題、しかし、これがそろばんに乗るか乗らないか、経済的にやっていけるかどうかというような問題もございますが、その経済的な価値性の問題、CATVにつきましては、こういうような技術的な可能性、社会的な需要性、それから経済的な価値性というものを踏まえまして、ひとつ大いに検討したい、調査したい、勉強したいということで、昨年から郵政省の中にCCIS調査会というのをつくりました。これは同軸ケーブル情報システム調査会ということになるようでございますが、あえてCATV調査会としなかったのは、このCATVが、再送信あるいは自主送信ばかりでなく——今度御審議を願います法律案は、再送信と自主送信ばかりを取り上げておるわけでございますけれども、CATVについては双方向通信ということも考えられるわけでございまして、そういうようなCATVの多様性を考えますと、CATVだけの、単純な名称では妥当でないというので、あえてCCIS、同軸ケーブル情報システムという文句を使っておるわけでございますが、そのような多様性のCATVは将来性を持っているんだ、それをひとつ大いに調査、研究しようというわけで調査会をつくりました。これも全く、ただいま林先生指摘の情報化社会に備えましての郵政省の姿勢であるというように御判断をいただきたいと思います。  さらに、この調査に基づきまして、多摩ニュータウンに実験の場をつくりたいということで、これも電電公社の協力をいただきまして推進をいたしておるわけでございますが、結論的なビジョンについての私の考え方というのは、まだまことに恥ずかしながら持っておりませんけれども、何となく情報化社会に向かう希望が持てる、ビジョンが持てる、それには、いまその通信メディアについていろいろ考えさせられる点があるわけでご、さいまして、この開発に大いに熱意を傾注して努力していかなければならない、また、政策の面につきましても、他国におくれをとってはならないというようなことで、いろいろやっておることだけを御答弁さしていただきたいと思います。
  22. 林義郎

    ○林(義)委員 大臣からお話がありましたが、大臣もあまり長くおられないようでありますから、もう一、二点だけお尋ねしますが、私はいままでお話を聞いていまして感じたことがある。それは、これからの情報化社会においては通信の問題が非常に大切である、確かにそのとおりであります。しかし、通信の問題だけではない。情報化時代というのはいろいろなものが出てくる。情報公害といわれるものまでことばに乗せられているような時代であります。そういった事態に対応して、これは郵政大臣としてではなくて、国務大臣として廣瀬先生に私はお尋ねしたいのです。そういった時代に対応していくいろいろな問題が出てくると私は思います。たとえば非常に情報が出てくる、個人の自由というものがなくなる、あるいは非常にたくさん出てくるその情報を、どういうふうな形でセレクトしていくか、選択していくか、その選択の機能をどこで果たしていくか、コンピューターで非常に管理された、一億総背番号時代とかいいますけれども、そういった管理されたようなときに、個人の自由を一体どういうふうな形で守っていくかという問題、こういう問題は、ほんとうにこれから考えていかなければならない大問題だと私は思うのであります。もちろん技術が非常に進歩してくる。通信技術、その他のコンピューター技術、いろいろなものが進歩してきます。それにあってますます人間というものが機械に追いまくられてしまう、あるいは技術に追いまくられてしまうという事態になるだろうと思うのです。これからの問題というのは、そういったように、いわゆる管理社会というものになってきたときに、国民が何をするのであるか。国民は自由に生きたい、豊かな生活をしたいという欲求がますます出てまいります。生活程度が当然上がってまいりますから、そういったことになってくる。そういった精神的な、あるいはいろいろな形でのトラブルの問題を解決していくところに、私は大ざっぱに申しまして非常に大きなポイントがあるのじゃないかと思います。これは、野党先生方もおられますし、たしか私の記憶では社会党の武部先生だったと思いますけれども、昨年のちょうどいまごろそういう話をされたことがあります。情報化社会というものは、非常にバラ色に包まれたところの問題と、非常に灰色の問題、この二つの問題が政府の中でもあるのじゃないか、そういったお話をされたのですが、私はそのころから考えておるのですけれども、これからの問題というのは、いかにして技術を高めていくか、いかにしていい情報を流すかという問題だけではいけない。これがほんとうに国民の福祉なり、国民の希望にどれだけマッチするかということを中心にして考えていかなければならない。国民の生活というものを中心にして技術の進歩であるとか、いろいろな社会的な機構、組織をつくります。たとえば、ここで有線テレビジョン放送会社というものができる。そういったものがほんとうに国民の福祉になるかという基本的な考え方に立って、これからのいろいろな立法というものを考えていかなければならないと思うのであります。お立ちになるようでありますから、大臣にこの点、基本的な考え方だけをお尋ねしておきます。  というのは、有線テレビジョン放送法案において、その点欠けておる点がたくさんある。はっきり申し上げるならば、郵政省当局のためにやっておるとしか考えられない点がたくさんある。私はそれではいけないと思うのであります。ほんとうに法律をつくるならば、これからの法律というのは、国民の福祉を守り、健康を守り、あるいは国民の希望を守っていくような法案というものをわれわれは考えていかなければならないと思うのでありますが、大臣のこの点に関する御見解、もしも、そういった見解で私があとで事務当局と議論いたします、そのときにおいて修正すべき点があるならば、大臣は修正にやぶさかでないかどうか、その点についてまで御見解を賜わればありがたいと思います。
  23. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 いまから党の政調会長に会いたいという私の考えをお受け入れいただきまして、しばらくの御猶予を賜わりましたことを感謝申し上げます。しかし、すぐに済みますから、すぐに帰ってまいります。  ただいまの問題でございますが、きわめて示唆に富んだ御意見だと思うのでございます。先ほど私が御答弁申し上げましたのは、ただいまお話しのバラ色の面についてあえて申し上げたわけでありますけれども、ただいま御指摘の、非常に暗い、灰色と申しますか、そういう面もまさにあろうかと私は思っておるわけでございます。ただいま林先生は情報公害ということばをお使いになったわけでございますけれども、私は個人のプライバシーというような点から申しましても、日本全体の国民の戸籍が十メートル平方のコンピューターに入るというようなことを聞いておるのでありまして、だということになりますと、これはほんとうに個人のプライバシーの問題が非常に重大になってくる。まあこれは一つの例でございますけれども、万事そういうようなことになってくるんじゃないかというようなことが情報化が進むにつれて起こってくるというように考えられるわけでございます。そこで私ども、早晩情報処理基本法というようなものでもつくらなくちゃならぬ。これは通産省サイドでも情報産業基本法というものをお考えになっていらっしゃるようでありますが、私どもの立場から申しますと、情報処理基本法というものをつくりまして、これは情報処理のための産業の振興もうたい、また技術の振興もうたい、また個人のプライバシーの尊重もうたって情報化の方向を示すというような基本法をつくる必要があるのじゃないかという気がいたしておりますわけでございます。  そういうようなことをいろいろ考えますと、まさに明るい面もあれば暗い面もあるということは考えられるわけでございまして、そういう両面を持った情報化社会、これに対処してまいるについて、あやまちのない何らかの方向を定めたい、これは基本法によりたい。これはもちろん郵政省だけでできるものじゃございません。厚生省も、法務省も、通産省も、運輸省も、関係の方面が非常に多いと思うのでございますが、そういう関係の省庁と十分に協議いたしまして、りっぱな情報化社会に対処してまいる位置づけをする、方向づけをするというようなことを考えてみなければならない。そういうために昨年から、私、省内に情報処理基本法の調査会というものをつくりまして、九月でございましたか、発足いたしたわけでございますが、それもおぼろげながら、先生のようにはっきり私は考えていなかったのでありますけれどもお話を承って非常に得るところが多かったわけでございます。何となくまあそういうような両面がありそうな気がいたしましたために、暗い面としてはプライバシーの問題を考えておったわけでございますが、基本法をつくりたいというように考えつつあるわけでございます。基本的に申しますと、そういうようなことがただいま考えております私の考え方でございます。  修正点についてどうか、賛成か反対かということでございますけれども、林先生の御修正をなさろうといたしております事柄を具体的に存じませんものですから、何とも申し上げにくいのですけれども、あとで十分承って私の考えをまとめたい、このように考えております。
  24. 林義郎

    ○林(義)委員 いま大臣からお話がありましたようなことですが、今回有線テレビジョン放送法審議するにあたりまして、非常に私は、世の中で誤解があると申してはあれですが、この有線テレビジョン放送が対象にしたいというのは、いろんな情報メディアというのがありますが、その中でどれだけを対象にしたい——まあ関連するところのいろんな問題があります。同軸ケーブルを使ってやれば相当なことができるわけであります。今回の法律において規制の対象とするのはどの範囲であって、いわゆるファクシミリであるとか、テレビ電話であるとかなんとかというようなものは、これは対象にしないんだ。この法律の対象にはならない。これの対象にするのは具体的にこれだけを対象にするのだということをやはりひとつはっきりしておかないと、私いろんなあとでの議論、また先ほど申しましたように、これからの大問題がありますから、その議論と関連して非常にむずかしい問題が出てくると思うのです。したがって私は、この有線テレビジョン放送法においてはひとつその点を非常にはっきりしておいて、非常に狭まれたこの分野だけをやるんだという形でやらなければいけないのだろうと思うのです、これは一つ考え方でありますが。その点について郵政当局のほうはどう考えておられるのかお尋ねいたします。
  25. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。有線テレビジョン放送法案の対象ということでございますが、これはこの法案の中にも書いてございますように、第二条にこの定義がございまして、この法律におきまして有線テレビジョン放送というものは、有線放送でございまして、有線ラジオ放送業務運用の規正に関する法律に規定する有線ラジオ放送以外のものをいうという、非常にこうはっきりしないような表現でございますが、この有線ラジオ以外は何があるかということでございます。これは当然有線テレビジョン放送というものが主体になるわけでございますが、これはあくまでもいわゆる放送ということからしますると一方向の通信ということになるわけでございまして、いわゆる双方向といったようなものはこの範疇には入らない。また、このテレビ以外にも将来、先生がいまおっしゃいましたようなファクシミリというものも出てくる可能性はございます。したがいまして、このファクシミリが放送としまして一方向的に使われるということになりますれば、この法律の範疇に入ってくるということにはなるわけでございます。しかし、あくまでもこれは一方向のファクシミリというものが技術的にできましたらそういうものも入るという意味でございまして、実際にこのファクシミリがいつできるかということはまあ問題でございまして、ファクシミリということになりますと、これは印刷されたものをそのまま送るということもあるわけでございますので、この法案自体でいろいろ規定しております問題にまあ多少問題が生じてくることもあると思いますが、それはまたその時点において私ども考えたい。さしあたりはファクシミリというのは当分先のことであると考えておりますので、実質的には一方向の通信でありまする有線テレビジョンといったものが主体になる、そういうふうに考えておるわけでございます。
  26. 林義郎

    ○林(義)委員 ファクシミリの話が出ましたけれども、私は、ファクシミリというのはまた有線テレビジョンと違う問題がたくさんあると思うのです。第一、出すほうも相当違ってまいると思います。私は、たまたま技術的にできるから同じ法律でもって規制できるようにしておくという考え方ではいけないと思うのであります。社会的な要請、先ほどから申し上げましたように、国民の希望というのが違う、要望が違うものであります。違うものに対して、たまたま技術的にできるから同じ法律でもって規制をするという考え方が私はおかしいと思う。したがって、この法律においてははっきり有線テレビジョン、いわゆる、いま考えられたところの有線テレビジョンだけに限定すべきである。この辺はやはりひとつはっきりしておかなくちゃいかぬ。それがあるから、何かわからないけれども、技術的に同軸ケーブルを使っているやつは全部ひっかかるんだというような話になりますから、非常にむずかしい混乱した問題が出てくる。有線テレビジョンで今度やる難視聴対策であるとか、あるいは若干、いままでに流したテレビをもう少し見たい、あるいは自主放送をやりたいという範囲だけ、しかもテレビジョンでこういうふうにやるものだけをこの法律の対象にしておく、あとはとにかく別のものでやる、こういうふうにしておいたほうがいいのじゃないか。単に技術的な問題を解決するだけではない。国民の要望をどう解決していくかというようなところに法律の問題があるわけでありますから、私はそういった点においてひとつこれをはっきりしておいていただきたい、これをお願いいたします。
  27. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。私どもも、現在はこのファクシミリというのはないわけでございまして、将来の問題としてもしそういうものが出てきた場合は、一方向の通信であるという意味からこの法律の範疇には入るのじゃないかとは思っておりますけれども先生のおっしゃいましたように、また先ほども申し上げましたように、ファクシミリが出ますといろいろ問題があるわけでございまして、この法律のままでファクシミリを規制するということは実は考えてないわけでございまして、あくまでも現段階におきましては有線テレビジョンというものが主体になるというわけでございます。
  28. 林義郎

    ○林(義)委員 いまお話がありまして、あまり長く時間をやるなというようなお話でありますから、あとで時間をまた別のときにいただきまして、私はゆっくりそれをやらしていただきたいと思うのであります。  そこで、私はこの法律をざっと見まして、郵政大臣許可にかかる事項というのは、第三条に施設設置許可、第七条に施設計画その他基本的事項の変更というのがあります。郵政大臣の認可、指定にかかる事項といろのは、第六条に施設設置期限を指定すること、第十三条に受信障害発生区域を指定すること、第十四条に当該再送信の役務の契約約款、変更を含むの認可という事項があります。さらに郵政省令または政令で定める事項として、第三条に許可を要しない施設の規模、許可申請書記載事項の一部というのがあります。第四条に施設技術基準、第七条に許可を要しない変更の範囲というのがある。第九条に施設の提供義務を課されない場合の使用条件に関する基準というのがある。第十二条に業務届け出の記載事項の一部変更という問題がある。第十三条に再送信義務を課されない場合の除外規定を定めるという場合がある。第二十条に業務報告を求める場合、それから第二十二条に手数料の額の規定がある。第二十三条にこの法律適用除外の問題がある。第二十四条に法執行についての細則の問題がある。こういったことがありますが、どうも私はながめてみまして、許可、認可にかかる事項は除きまして、政令委任事項が非常に多いと思うのであります、基本的な態度として。政令で委任するというのは現在の法律体制のもとにおいてはできるだけ避ける。特に国民の権利義務関係のあるような点については、全部法律に書くというのが私は立法のたてまえでなくてはならないと思うのであります。したがって、こういった点につきまして、本来は一つ一つ私は議論しなくてはならないだろうと思うのです。  しかし時間がありませんから、私一つ一つ議論をすることはいたしませんが、できましたならば、いま申し上げましたところの郵政省令または政令で定める事項というのの原案があるだろうと思う。大体郵政省当局で考えられたものがあるだろうと思うのです。それを資料にして当委員会に配っていただきたい。これは私は委員長にお願いしたいのであります。そういった問題をできるだけはっきりしたい。そうした上で——私このままでは思い当たりませんからわかりませんが、やはりそういったものの中で、はっきり法律に書いていいようなものがあったらじゃんじゃん私は法律に書くべきだと思うのです。もう法律を出してからこの法律が廃止になるまで変わらないような技術基準であり、また変わらないような基準であるならば当然法律に書くべきであります。大体法律を見ればわかるようなかっこうにしておくというのが国民に親切な法律であります。何も政令や省令とかを引っぱって、ああだこうだといって全部見て、どこがどうなっているかわからないというような法律では——少なくとも大体法律を見たら何のことか、どういうふうにしてやったら大体どこがどうできるかとかなんとかいうことがわかるようにしておかなければいけない。これは私はこれからの新しい立法形式として、当然考えていかなくてはならないと思いますが、私はそういった意味で委員長に、ぜひ当局に言っていただきたい。いま申しました政令または省令というものの大体の原案があればひとつ出していただきたい。出していただいてからでないと議論できませんから、私はひとつ出していただきたいと思いますが、ぜひお願いいたします。
  29. 藤木栄

    ○藤木政府委員 郵政当局としましては、おっしゃいましたような政令並びに省令というものは原案がございますので、さっそくお出しいたしたいと思います。
  30. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、いまの郵政当局からのお話で、いわゆる有線テレビジョン放送というものをすべて対象にしてやる、あとのものは除くということでこれからの議論を進めたいと思いますが、有線テレビジョン放送というものが、どういった必要性から出てきたかということを考えなくてはならないと思います。これはやはり辺地におけるところの難視聴解消の問題が第一だと思うのであります。なかなかテレビが見えない。テレビが見えないからNHKに頼んでいって、共聴施設をつくってくれ。なかなかできない。そういったことから、しようがない、自分たちで金出して有線テレビを引いてやろう、こういった問題がある。辺地いわゆる自然的条件によるところの難視聴の問題であります。  第二は、都会におけるところの難視聴の問題であります。大きなビルまたはビル群ができますことによって、その谷間に置かれたところにおいてはなかなかテレビが見えなくなる。電波障害を起こすという問題がある。こういった場合におきまして、その地域において有線テレビジョンをつくってやろうという問題が第二の問題であります。  第三のカテゴリーといたしまして、情報化社会のほうに近づいていくわけですが、現在NHK、民放その他のテレビジョンがありますが、どうも自分のところにある現在のNHKまたは民放だけでは足りない。さらにもう少したくさんのテレビを見たいという要望があるだろうと思います。特に東京近辺の山梨であるとか、長野であるとか、そういったところに私はこういった問題がたくさんあると思うのであります。それはやはり社会的なニーズでありますから、これはぜひ達成していかなければならないと思う。  それから最後には、町の自主放送というものがあると思う。この自主放送というのは、その地域社会のお互いのコミュニケーションをはかっていくという意味における自主放送をやっていく。たとえば漁業協同組合であるとか、農業協同組合であるとか、あるいは多摩ニュータウンというようなところにおきまして、新しいコミュニティーをつくっていく上において情報を流していくという要請があると思うのであります。新しい社会においても、古い社会においても、そういった要請がある。それはやはり自主放送という形でこの有線テレビジョンを使って流していく、こういうことになるだろうと私は思うのであります。社会的な要請というものは私は大体そういうことだと思いますが、その点でよろしいかどうか、郵政当局の御答弁をいただきたい。
  31. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。先生のおっしゃるとおりでございまして、私どももそういうものを対象として考えているというわけでございます。
  32. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、私はまず第一の難視聴の問題でありますが、これは放送法の規定によりまして、本来ならばNHKは全国民にあまねく放送の受信ができるようにしなければならないということが書いてある。またNHKが共聴施設等においていままでいろいろやってきたことも、まさにその放送法の規定に基づいてやったところであります。したがいまして、今度そういった場合に、有線テレビジョン放送施設設置する。これはNHKと違うところであります。そうしますと、やはり本来NHKがやるべきである、そうでしょう、本来NHKがやるべきものであるにもかかわらず、有線テレビジョン放送施設というものができる、放送施設業者というものができてやるということになると、その辺で一体どちらの要請を先にすべきであるか。NHKというのは御承知のとおり、受信料を取ってやっておりますから、全国民にあまねく放送をやっていかなければならないということであります。  それからもう一つは、民放がありますが、この民放につきましては、やはりその放送区域というものが一応ありますから、その区域内に対して民放もある程度まで放送していく。言うならば、住民に対して情報を提供する、情報を供給するというサービス業務でありますから、そのサービス業務を果たさなくてはならない。その果たしてないところに、こういった有線テレビジョン放送というものができてくる要請があると私は思うのであります。本来ならばそういったものはNHKなりあるいは民放なりの力によってやらなければならない、その努力においてやらなければならない問題だろうというふうに私は考えるのであります。その場合と、この有線テレビジョン放送施設の問題と、こちらに業者を新しくつくるわけですから、その関係をどういうふうに考えるのか。この点につきまして郵政当局の御見解を尋ねます。
  33. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。おっしゃいますように、NHKは放送法によりましてあまねく受信できるように放送しなければならないということになっているわけでございまして、現在、九七%以上もカバレージを持っているという状態でございますが、それでも残りの数%、これは山間僻地のところが多いわけでございます。そういうところで電波を出す中継局をつくっているわけでございます。しかし、中継局をつくるには経費があまりにもよけいかかる、あるいは地形的にむずかしいというようなところにつきましては、NHKが金を出しまして幹線部分いわゆる有線テレビジョン施設、俗に辺地共聴といっておりますが、そういう施設を現在つくっているという状態でございます。その際、地元住民の方々がNHKのみならず、民放も見たいということで、ある程度の経費を負担しまして、民放のテレビも見えるような施設を追加いたしまして、NHKと民法と両方見て楽しんでいるというのが実情でございます。したがいまして、先生のおっしゃいますように、辺地におきまして、もし特定の有線テレビジョン事業者が出てまいりまして、この施設をつくるといたしましても、この法案にありますように、施設許可ということになっております。先ほどもおっしゃいましたような許可基準というものがございまして、その許可基準の中に「施設計画が合理的であり、かつ、その実施が確実なものであること。」といったようなこともございます。私どもとしましては、そういった点を十分にらみながら、当然、NHKのほうが優先するわけでございますから、NHKのテレビがあまねく見えるということを第一にしまして指導していきたい、そういうふうに考えているわけでございます。  民放の点につきましては、先ほども申しましたように、いわゆる中継局の場合でございますと、民放につきましても、私どもは日ごろ難視聴の解消ということを口をすっぱくして申し上げておるわけでございますけれども、なかなかNHKと同等にはいま中継局ができていないという状態でございます。これにつきましても、私どもとしても何らかの対策を講じたいと思っておるわけでございますが、まだこれという名案はございません。しかし、辺地におきましては、先ほども申しましたように、辺地共聴という場合に、地元の方もある程度の経費を負担して、民放も一緒に見ているという状態でございますので、NHKの施設がそういったところでできれば、民放も見られるという状態が現状でございます。
  34. 林義郎

    ○林(義)委員 そこで私は申し上げたいんですけれどもテレビジョン放送許可にするというだけの問題である。国民の立場に立つならば、テレビを見るというのは、知る権利とかなんとかこの前からずいぶん議論がありましたけれども、知る権利とかなんとかいう議論でなくて、憲法二十五条でいうところの健康で文化的な生活を保障するという規定からしますならば、これだけの情報化社会になってくれば、いろいろな情報を得るということは、やはり文化的な生活ということになるだろうと私は思うのであります。全然何もないというようなことでは、文化的な生活にならない。したがって、そういった国民の権利を守っていくという観点からするならば、むしろ政府のほうが強制的にでも施設をつくらせなくちゃいかぬのじゃないかという場合も、たくさんあるだろうと私は思うのであります。  ところが、それは今度は民間事業者にまかしてやるという話であります。その場合に、民間の事業者にまかしてやるというときに考えなければならぬのは、一定の地域というものがあります。この有線テレビジョン放送法法律案要綱の中にも書いてありますけれども、「その施設地域的独占の傾向に陥りやすいことにかんがみ」と、こう書いてある。「地域的独占の傾向に陥りやすい」ところの施設業者を認めて、しかも、国民に健康で文化的な生活を与えなければならないという要請があるときには、すべて見させるような形を一方とる。これはむしろ放送法の問題だろうと思いますけれども、放送法上の問題と同時に、こちらのほうで有線テレビジョン放送施設許可するについては、その許可した地域があったならば、その地域には、少なくとも、いかなる理由があれ、正当な理由——おれは全然料金を払わないとか、おれは全くおまえのところはいやだという人でない限りはすべて見れるような供給義務、そういう情報の供給義務体制というものをこの施設業者には与えるべきだろうと私は思うのであります。もちろんそれが一番基本の問題である。国民の立場においては、供給義務を与える——自分の地域は難視聴地域である、あるいはこういったテレビジョン放送ができる、それならば、その地域の人に対しては必ず供給をいたしますという義務を業者に課すべきだと私は思うのであります。この法律ではどう見てもこの点がはっきりしてないのであります。施設計画が合理的であるとか、いろいろ書いてある。合理的な範囲内で読もうと思えば読めるかもしれませんけれども国民の立場に立って議論するならば、国民の側からいうならば、そこはぜひはっきり供給義務規定というものを入れるべきであろうと思うのでありますが、この点について郵政当局はどういうふうにお考えになりますか。その点が第一点。  それからもう一つ、実は時間があまりありませんので、あとでまた時間をいただいて議論をいたしますが、許可基準の中に「その地域における自然的社会的文化的諸事情に照らし必要であり、かつ、適切なものであること。」と書いてある。これはどういうふうに読むのですか。自然的な諸事情、社会的な諸事情あるいは文化的な諸事情と、三つあるのですか。それとも自然的社会的文化的諸事情というものは一緒になっているのですか。もしも三つに分けていうならば、自然的諸事情、社会的諸事情、文化的諸事情、それぞれ一体どういうふうに考えておるのですか。こんな条文というのは、きわめてあいまいもことしている。こんなあいまいもことしている条文を出すのは、はっきり申し上げておかしいのじゃないかと思うのです。法制局でつくられたのかもしれませんけれども法律論としては非常におかしな条文である。むしろいま申し上げたような基準こそが必要であって、これは「必要であり、かつ、適切なものである」から、そのときには許可をしなければならないという形で、この「自然的社会的文化的諸事情」というものを——もしはっきり答弁できるならば答弁していただきたいのですが、これははっきり申し上げてなかなかむずかしいと思うのです。私は幾らでも議論をいたしますよ、二時間でも三時間でも。もしも時間があればこの点について議論をいたします。幾らでもやりますが、これに適合している場合には許可をしなければならないと書いてある。ところが、適合しないというときには許可をしなくてよろしいということになるわけですね。そういう非常にあいまいな許認可権限を郵政省に与えるのはどうかと思う。本来ならば、テレビジョンというのは、先ほど申し上げたように、国民の立場に立ってやらなければならない問題であります。政務次官、ぜひお願いしたいのです。これは国民の立場においていろいろな問題をこれから議論していく場であると私は思うのであります。  そういった意味で、いまの点、郵政当局はどういうふうにお考えになるのかということがまず第一点。それから第二点は、「自然的社会的文化的諸事情」というのはどういうことなのか、御説明いただきたいと思います。
  35. 藤木栄

    ○藤木政府委員 まず、第一点の問題につきましてお答え申し上げます。  この法案にございますように、郵政大臣が指定いたしました受信障害発生区域におきまするいわゆる再送信につきましては、その提供条件郵政大臣が認可することになっておりますが、その認可条件一つといたしまして、これは第十四条の二項四号にございますように、「特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。」という規定がございますので、先生のおっしゃいましたようなことは、ある程度実施できるのではないかと考えておるわけでございます。  なお、第二点の「自然的社会的文化的諸事情に照らし」というのは、たいへんわかりにくいということでございますが、確かに、まあそういうこともあろうかと思いますが、私どもといたしましては、そういった条件を総合いたしまして、たとえば具体的には設置する場所の状況、地況と申しますか、であるとか受信状況、特に受信障害の状況、それから受信者の分布状況あるいは需要の動向というものに照らしまして、真に必要であり、かつ適切なものである、さらにほかの有線テレビジョン放送施設との関係あるいは他の許可の申請といったものをあわせまして、総合的に判断したいというものでございまして、別々に読むというふうには私ども考えておらないわけでございまして、総合的に判断をいたしたいというわけでございます。
  36. 林義郎

    ○林(義)委員 時間もないようでありますから、私はこれでひとつ質問を中断さしていただきたいと思います、委員長にお願いしまして……。  いまの総合的に判断する、総合的判断のそれでは一体、いまの放送法に何とか基準……根本基準というのがありますね。はっきり申し上げて、これはあれと同じことだと私は思うのです。放送局開設の根本的基準に合致することなどというきわめてわけのわからない基準である。私はやはり基準というものはできるだけはっきりしてやるべきであろう。いたずらに、郵政当局にもってきて、頭を十ぺん下げたら認めてやる、七へん下げたら認めないということではいけないと思うのです、はっきり申し上げて。私は質問を中断いたしますけれども、そういった観点からもう一ぺん見直していく必要があるであろう。たくさんまだ問題がありますからゆっくりやらしていただきたいということをお願いいたしまして、質問をとりあえず終わります。      ————◇—————
  37. 高橋清一郎

    高橋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本案審査のため、参考人に御出席願い意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 高橋清一郎

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 高橋清一郎

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は明十八日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二分散会