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1967-05-12 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十二日(金曜日)    午前十時十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 細田 吉藏君    理事 大久保武雄君 理事 進藤 一馬君    理事 古川 丈吉君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 河村  勝君       大竹 太郎君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    中川 一郎君       長谷川 峻君    濱野 清吾君       福家 俊一君    水野  清君       板川 正吾君    小川 三男君       神門至馬夫君    内藤 良平君       野間千代三君    米田 東吾君       渡辺 芳男君    山下 榮二君       松本 忠助君  出席政府委員         運輸政務次官  金丸  信君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省航空局長 澤  雄次君  委員外出席者         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         自治省財政局公         営企業第一課長 近藤 隆之君         日本国有鉄道審         議室長     一条 幸夫君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  成田  努君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁) 今井 栄文君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月十二日  委員濱野清吾辞任につき、その補欠として水  野清君が議長指名委員に選任された。 同日  委員水野清辞任につき、その補欠として濱野  清吾君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十日  民間空港における騒音障害防止法早期制定に  関する請願(岡本富夫君紹介)(第一〇〇〇  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(都市交通に関する問題)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問  題)      ————◇—————
  2. 細田吉藏

    細田委員長代理 これより会議を開きます。  内藤委員長本日所用のため出席できませんので、その指名によりまして、私が委員長の職を行ないます。  この際おはかりいたします。  本日は、航空に関する件について調査のため、新東京国際空港公団総裁成田努君に参考人として御出席を願っておりますが、なお一同公団総裁今井栄文君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 細田吉藏

    細田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 細田吉藏

    細田委員長代理 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  5. 久保三郎

    久保委員 自治省からおいででありますが、きょうは都市交通、その中でも公営交通、なかんずく東京都における問題について若干お尋ねをしたいのでありますが、まず第一番目にお伺いしたいのは、昨年、地方公営企業法改正、これに即応してそれぞれの公営交通再建計画というか、そういうものがそれぞれの企業体、自治体より出てきたと思うのでありますが、それらの進行状況はどういうところまできているのか、まずさしあたりお伺いしたいと思います。ただ、たいへんかってな言い分でありますが、時間に制約もございますので、簡略にお願いしたいと思います。
  6. 近藤隆之

    近藤説明員 昨年の地方公営企業法改正によりまして、法律に基づく財政再建という手続ができたのでございますが、この法律に基づいて再建をやろうという場合には、昨年の十二月末までにその旨を申し出ろということになっております。申し出をいたしました企業の数は、全部で百六十三でございます。そのうち現在までに百三十二の企業につきまして再建計画を承認し、財政再建債発行を認めております。したがいまして、あと三十一がまだ再建計画をつくらないという状況になっております。そのうち十についきましては、われわれのほうと協議を進めておりまして、中には、近い機会に議会へ出すというところまで手はずが進んでおります。残りの二十一につきましては、まだそういっためどもついておりませんので、われわれのほうといたしましては、この一日付をもちまして財政局長名で、次の定例議会までにできるだけ財政再建計画をつくって再建に乗り出すようにというような通牒を出しておるような次第でございます。その残ります二十一の、次の議会までに計画をつくれと自治省のほうから通達いたしました中に、東京大阪、神戸、京都、北九州、この五つの大都市交通事業が含まれておる、こういう状況でございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 いまお話のとおり、それぞれの再建計画が出てくるし、また、出てこぬものは督促しているそうでございますが、今日の時点において、東京都の都営交通、この問題だけにまず焦点をしぼってお尋ねしたいのでありますが、この都営については、最近いろいろな意見が出ているようでありますが、自治省としては、都営交通の将来のあり方というか、そういうものをどういうふうに考えておられるのか。  それからもう一つは、東京都は、いまのお話ちょっと聞きのがしましたが、まだ具体的な再建計画というか、そういうものが出てこぬように思っているわけなんでありますが、その出てこぬ理由は何であるか、そういう点ひとつ……。
  8. 近藤隆之

    近藤説明員 東京都につきましては、昨年の暮れでございますか、一応財政再建計画案事務当局の案というようなものを非公式に伺ったことはございますけれども、その後、御承知のように、知事の改選とかというようなことがございまして、現在の段階では、新しい体制のもとにおける新しい再建計画という形ではいまのところ聞いておりません。昨年伺いましたのは、一方では料金適正化、一方では経営合理化、この二つの柱でもって立て直していこうということでございましたけれども料金改定問題につきましては、御案内のように、昨年都議会のほうで否決ということになっておりまして、その一方の柱がくずれておりますので、あのままの形では、あの当時からもうすでに料金を上げるという計画でございましたもので、いまの段階においては練り直しが必要になってくるんじゃないか、そのように思っております。  それからなお、東京都の交通事業再建計画を通じて今後どういうふうになっていくであろうかということでございますが、これは都のほうの一応の基本的な考え方といたしましては、路面電車が非常に行き詰まっておりますので、適正な料金に改定するといたしましても、将来性の問題はあまりございませんもので、地下高速鉄道整備と相まちまして漸次撤去していく、撤去計画というものが一つの柱になってくると思います。それから、バス事業につきましては、これは民営でもやっておりますけれどもバスとして経営は成り立つはずである、また、成り立たせるべきであるということで、合理化計画との関連において再建計画をつくっていくということになろうと思います。それからなお、地下鉄事業につきましては、これは営団と両方あるわけでございますけれども都営路線立地条件等関係もございまして、それからまた、営団に比べて歴史が非常に新しい、一本しかないというような関係もございまして、経営は非常に悪うございます。しかしいま地下鉄は非常に膨大な建設費を要しますので、これを料金だけでまかなうということはとても困難である。そこで今年度の予算の中でも、運輸省のほうから十八億余りの地下鉄補助金という形で出ておると思いますから、このような国の援助措置、あるいは地方団体も応分の援助をしなければならぬと思いますけれども、こういった形でもって再建していくということになろうと思います。
  9. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、いまのお話ではあなたのほうでは、いま幾つかおあげになったような、路面電車撤去の方向、都バス十分企業として成り立つから合理化というか検討を加えていく、地下鉄赤字であるが、新しい輸送機関としては現行補助金でというお話、この中からは残念ながら、経営改善ということにも足りないし、将来の首都圏交通をどうするか、その中で都営交通はどうあるべきかということは出てこないように思のでありますが、再建計画を考えたとき、いわゆる公営企業法改正による財政再建というものを考えたときに、それぞれの都市、特に東京都における交通、こういうもの全体について一つ構図を描いて、その中から再建計画というものを出させて、所要の対策をとる、こういうことになってきたのかどうか。そうでなくて、単に今日困っている都営交通財政再建、そういうものに焦点を当てただけなのか。それはいずれですか。
  10. 近藤隆之

    近藤説明員 首都であります東京交通を将来どのように持っていくかということは、運輸省のほう、あるいは政府全体といたしましてもいろいろ検討しておる、またいろいろ意見があるところだろうと思います。東京都のほうでも、内部でもいろいろ検討はしております。しかしこの法律に基づく再建というのは、現行制度というものをたてまえといたしまして、現行制度の中でいまやっておる交通というものをどう立て直していくか、そこにとどまるだろうと思います。いまのままではとても何ともならないというものも、中には出てくるかと思います。そうした場合にはどういう形態に持っていくか、あるいは廃止するかというようなことまでいくものも出てくるのじゃないかと思いますが、現在の法律のたてまえでは、現行制度の中でできるだけ料金適正化経営合理化一般会計企業会計との負担区分明確化、この三本の柱でもって経営健全化をはかっていこうというところにとどまっております。
  11. 久保三郎

    久保委員 鉄監局長にお尋ねしたいのでありますが、いままで自治省側からそれぞれ御答弁があったのでありますが、制度調査会答申を基本とする再建計画というもので、それぞれの都市交通、いわゆる公営交通というものが再建できるのか。できると、あなたは運輸省の立場から見ておられるか。御案内のとおり、いま今日的な問題は、遠い将来というか、近い将来もありましょうが、都市交通ビジョンというか計画というか、そういうものは一応抜きにしても、そういう企業体財政再建なり経営改善ということを考えて再建計画を出させてきているようであります。私は、財政再建経営改善も、極端なことでありますが、自治省が今日まで御苦労なさっている再建計画提出、それに基づく若干の利子補給あるいは再建債発行、こういうことではむずかしいのではなかろうかと思うのであります。ましてや運輸省が中心となって助成をしている地下鉄補助金をもってして、地下高速鉄道建設を促進し、経営を良好にしていくということは、私は、木によって魚を求めるというか、そういうことではなかろうかと思うのであります。率直に言って、運輸省としては、いままで自治省から御答弁あったような点で期待をかけておられるのかどうか。
  12. 増川遼三

    増川政府委員 東京都の再建計画につきましては、その案を拝見はいたしておりますけれども、これが都議会審議を経て通過しておりませんし、したがいまして、都とされましても再検討段階にあるわけでございまして、その再検討の結果に私どもといたいましては相当期待をいたしておるわけでございますけれども、これだけで実効が期待できるかどうかということにつきましては、私どもとしましては最大限の努力によって期待いたしたいと考えておるわけでございまして、このためには相当な体質改善も必要でございますし、また助成方策につきましても、今後さらに徹底をすべきものと考えておるのでございます。  特にこの中で運賃の問題もございますけれども、これにつきましてはやはり適正原価ということに重点を置かなければなりません。今後この点からも慎重に取り扱ってまいりたいと考えておるのでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 ぼくの質問が少し間延びした質問をしているものですから、答弁もどうもわかりかねるような答弁なんで、時間の節約もあるので、私も極力気を使っているのでありますが、いまの鉄監局長のお答えの中には何もないように思うのであります。  そこで端的に伺いますが、先ほど自治省からもお話があったのでありますが、再建計画の中には料金適正化合理化ということを考えているというのですね。ところが料金適正化の前に、あなたのお考えによりますれば、最大輸送機関である都電撤去を考えている。何で撤去するかということは、走り方がおそいと言う。だんだん毎日速度がおそくなっていく。そのために利用者が減ってくる。そういうところで運賃を値上げしたって、これはお客が減ってくるばかりでありますから、運賃適正化というのはむしろ運賃を安くするということになろうかと思うのでありますが、それでもおそいものには乗らぬだろうと思うのです。これが一つある。あなたの御所論からいえば、そうなってくる。  それから地下鉄は、政府助成金は多少ございますが、御案内のとおり、公営交通、特にその中でも東京都、大阪名古屋、こういう地下鉄を持っておるところが、いわゆる地下鉄部門で非常に赤字があるわけです。建設資金多額のものがかかる。ところがこれを適正運賃でカバーしていけるかというと、残念ながらハイヤー、タクシーに対抗できるまでの運賃ということは、これは運賃でなかなかそういうかっこうはできないと思う。上げればタクシーその他へお客が逃げてしまう、あるいは国電のほうにかぶっていくということだとわれわれは考えています。だから、その合理化がどういう内容のものであるか知りませんが、まるきり徹底的な合理化をしたにしても、いまあなたが、あるいは鉄監局長お話があったような方法では、残念ながら財政再建は不可能であります。これは再建計画にしても七年間ということが原則のようでありますが、今日的な展望に立てば、東京一つとっても、都市交通のいわゆるこれからのあり方というものは目まぐるしい変化が予想されるし、また予想されねばいかぬと思うのですね。そういうさ中に、気の遠くなるような再建計画でうまくいくかどうか。これはもちろん中途で修正することはあるべしということでおやりになっておると思うのでありますが、この中から新しい都市交通あり方というものは出てこないのであります。  そこで、都市交通全体を扱うのは運輸省でありますが、運輸省として、この再建と新しい都市交通あり方というか、そういうものについての話を聞きたいのであります。再建計画と、そういうものには当然将来の、これからの都市交通構図というか、ビジョンがなければ、財政再建経営改善もおのずから出てこないのであります。現状のままで財政再建する、経営改善する、それは利子補給であり、再建債発行であり、経営合理化であり、運賃適正化であるというこの四つくらいの項目では、これは六、七年前ならば、これでも間に合った。ところが今日ただいまでは無理じゃなかろうかと私は思うのですが、端的に無理であるかどうか、これはお二人から聞きたいのです。どうでしょうか。
  14. 増川遼三

    増川政府委員 仰せのとおり、非常に困難な状況に考えられております。将来のビジョンといたしましては、都市交通状態を見ますと、やはり高速による幹線輸送網と、それからこれに有機的につながりますローカル輸送網というもののつながりが緊密でなければならないわけでございます。その点、ローカル的には路面電車、あるいはトロリーバス、あるいはバスというようなものがございますが、路面電車能率という点からして、これにはあまり期待できません。あくまでローカル的にはバスが主体になろうかと考えます。  次に幹線的な高速輸送網と申しますのは、やはり地下鉄をもって充てることに相なります。東京におきましては営団都営と両方に分かれておりますけれども、これにつきましては、従来もこれを総合的にわれわれは把握をしておるわけでございます。その点、東京都におきましては都電バス地下鉄、こういったローカル的なものと幹線的なものとの二種類をあわせて運営をしておる。それに反しまして、営団のほうは地下鉄一本やりである。こういうところにいろいろ問題があるわけでございます。将来都電撤去すると同時に、営団あるいは都営地下鉄というものの建設を促進いたしまして、都市交通最大輸送機関に編成をいたしたいと考えておるのでございます。そのための資金の面につきましては、相当巨額なものが必要となっておりますけれども、現在の運賃賃率をもってすれば、当然十年あるいは十五年というものは赤字で経緯しなければならないとは存じますけれども、今後の輸送量の伸び、あるいは地下鉄網の有機的なつながりによる輸送効果の向上ということを考えますると、十年くらいから先におきましては、これは必ず黒字に転化し得るものと考えておる次第でございます。それまでの間におきましては、相当財政的な苦しい時期を経過しなければならぬと存じます。これにつきましては、極力財政的な助成方策を強化するとともに、内部における経営改善につきまして格段の措置をとっていただきたいと考えておるわけでございます。  ちなみに、東京都の輸送に関します能率の面を見ますると、他の六大都市平均よりも人件費というものが非常に高くなっておる。また、こういった都営に対比すべき大手私鉄平均からしましても、それよりもさらに相当高い人件費を出しておるわけでございます。営業キロ当たり従業員数から見まして、相当な非能率の形を示しておるのでございます。また、従業員一人当たり車両走行キロの面を比較いたしましても、私鉄よりも公営のほうが相当非能率の姿になっておる。生産性の面からも検討を要するかと存ずるのであります。こういった点につきましても、ぜひとも公営企業体に再検討をお願いいたしたいと考えておる次第でございます。このような点、そのほか各種の検討すべき点が多々ありますが、われわれも当事者の東京都に対しまして、相手方から出てくるのを待つというだけではなしに、こちらからも自治省とも協力いたしまして、指導方を徹底いたしたいと考えておるのでございます。
  15. 近藤隆之

    近藤説明員 われわれが財政再建計画の策定に協力いたします場合におきましても、何もうしろ向きに過去の赤字を消せばいいという態度でもちろんやっているわけではございませんで、できれば将来の都市交通をどういうふうに持っていくかという、都市のそれぞれの団体考え方というものをはっきりさせまして、そういうように持っていくためにどういうようにやっていくか、財政再建が終わった暁にはスムーズな形で都市交通が行なわれるという状態を望んでおるわけでございます。  そこで大阪でございますとか、名古屋でございますとかというところでは、公営交通の占めるウエートが、御承知のように五割近くございます。地下鉄路面電車バスもやっております。それを一体的にどういうふうに運営していくか。大阪で申しますれば、四十六年を目標といたしまして、路面電車撤去するかわりに地下鉄を敷く。そうして地下鉄で負えない部分はバスでやっていくという、一つの有機的な計画ができるわけであります。残念ながら御承知のように、東京都は四分の一のウエートしか公営交通は持っておりません。それぞれ相手のあることでございますから、いろいろ円満な話し合いを進めながら将来の首都交通をどう持っていくかという目標を定めることが必要だと思います。しかし、そういっている間も公営交通というものは毎日毎日赤字を出しているわけでございますので、われわれといたしましては、いまの段階におきまして、できるだけ料金適正化をはかり合理化をはかるということで経営を立て直していく、一方また首都圏交通はどうするかという問題は、別の問題といたしまして早急に政府当局といろいろ協力いたしましてつくっていく必要があるのじゃないかと思っております。そういうものがきまっていきますときに、もちろん再建計画というのはいまのままで固定するわけじゃございませんので、それに合わせまして変更ということを考える。そういうように先行き見ておる次第でございます。
  16. 久保三郎

    久保委員 自治省のいまのお話は、首都圏交通はどうあるべきかということは別問題で、いまある東京都営交通企業をどうするか、いわゆる財政再建経営改善をどういうねらいでやるか。私がさっき申し上げたように、そういうだけのねらいでものごとを持っていくというわけには今日いかないのではないかというふうにわれわれは見ているわけであります。というのは、先ほどもお話が出たように、路面電車撤去するとか、バスは何とかなるだろう、地下鉄赤字だが、多少の補助金があるから何とかやっていけるだろうというようなことでありますが、単にいまあるがままの姿でここ当分押し通していくというふうには私はならぬと思うのです。また、そういうことは、何というか、むだとは言いませんけれども、むしろ前向き——決してうしろ向きとは申し上げませんが、われわれとしてはもっと首都交通あり方というものに焦点を合わせまして、そこで東京都の問題、東京都営の問題をどうするか、こういうことにしないと、片方は、路面のほうは一生懸命に早いところ撤去していく、ところが地下鉄建設のほうは、営団のこともあるしいたしまして、なおかつ相当多額資金を要することでありますから思うにまかせないということになると思うのであります。そういう点を考えると、これはまあ自治省公営企業の範疇だけ考えればいいということであるかもしれませんが、むしろこれは都市交通あり方、その中での経営形態あり方、あるいは輸送配置の問題、輸送改善、こういうことを織りまぜて政府として一貫した方針、その中での自治省担任部門はこれ、運輸省はこれ、こういうふうにならなければならぬと私は思っているわけです。そういう点からいきまして鉄監局長に聞きますが、この都市交通は国鉄もあり私鉄もあり、いまの都の関係もあり営団もあるということでありますが、この問題については何か内部ではやっているんですか。あるところで計画というか、検討を加えつつあるとかいうようなことも聞きますが、それはやっておられるのはどういうところでやっておられるのか、お聞きしたい。
  17. 増川遼三

    増川政府委員 従来都市交通につきまして審議していただいておりますのは、運輸大臣諮問機関でございます都市交通審議会でございます。ここにおきまして、大都市における交通をいかにすべきかということで建議あるいは答申をいただいてきました。特に地下鉄につきましては相当具体的な内容を持った答申をいただいてきたわけでございます。昨年の十月には、この都市交通審議会から、都市交通緊急整備対策に関する建議をいただいておりまして、これを全面的に尊重いたしまして、これに基づいた今後の四十二年度から五カ年間にわたる整備計画、これは私鉄に関するものと地下鉄に関するものと、両計画を立てておる次第でございます。このほかに、現在運輸省の部内の懇談会といたしまして運輸経済懇談会という会合を持っておるわけでございまして、民間の識者にお集まりをいただいて都市交通の問題、流通の問題、この二つの問題について御検討、御討議をいただいておるわけでございまして、われわれの今後の行政方策を定めるにあたりましての考え方というものをたたいていただいておる、こういう次第でございます。
  18. 久保三郎

    久保委員 いまのお話緊急整備計画というか、そういう五カ年計画これは運輸省でお立てになったんですか。それに基づいておやりになっているのかどうか、それが一つ。それから運輸経済懇談会というところへ都市交通あり方、その中でも私のきょうの質問は、東京都の交通をどうするかということでありますが、東京というか首都圏におけるところの交通あり方について、この懇談会というところで検討をお願いしているのかどうか。それからこういうものは日限を切って、時間を限って意見を出してもらうことになっているのかどうか。それからそういうものとの関連で自治省は、再建計画というか、そういうものも固めてみながら処理していかれるお考えであるのかどうか、そういうこと。  それから時間もありませんからまとめてたいへん恐縮でありますが、国鉄の一条審議室長おいでですが、東京都というか首都圏の通勤、通学というか、交通対策として国鉄は山手線とか中央線を中心にしていまやっておりますが、最近では新しい建設線として武蔵野線があるようでございます。そういうものを含めて現状のままで大体国鉄は国鉄の分野で将来もやっていく、そういう考えでおられるのかどうか、この点はどうでしょう。
  19. 増川遼三

    増川政府委員 私鉄及び地下鉄の五カ年計画といいますのは、国鉄の第三次長期計画の終了年次に合わせまして、われわれのほうで一応の腹案を立てたものであります。これを関係事業者に示しまして、四十六年度末における輸送の見込みに対応し得る整備計画という具体的なものをつくっていただいておるわけでございます。これによりまして、今四十二年度の予算におきましても、その腹案をもとに助成方策を盛り込んだ次第でございます。  次に、こういった審議会にはかっておりますわれわれの考え方といたしましては、従来の都市というものだけの対象ではございませんで、あくまで都市圏を対象としておるわけでございます。すなわち東京におきましては首都圏というものを考えましての都市交通政策を確立すべく努力をしておる次第でございます。
  20. 一条幸夫

    ○一条説明員 ただいまの御質問に対してお答えをいたします。  ただいま国鉄は第三次長期計画を実施中でございまして、先ほど久保先生からお話がありましたように在来線、山手線でございますとか中央線、常磐線、東海道線、東北線等の線路の増強工事を進めております。東京を中心にいたしまして、約四千三百億の投資計画で進めております。それから建設公団の関係では武蔵野線の建設、それから根岸線の延長工事をやっております。しかし、国鉄が現在進めております東京中心の通勤対策の工事は、現在の見通しでまいりますと、昭和五十年ごろまでの対策という見方をしてもいいんじゃないかと思います。現在首都圏に二千万人ぐらいの人口がおりますが、昭和六十年ごろには三千万以上、三千六百万人ぐらいになるという推定も出ております。将来の都市交通はだんだん広域化される傾向にございますので、将来は、私どもの持っております線路網以外に、現在よりももっと遠い距離からの通勤鉄道というようなものを考えなければいかぬだろうという提案を実は私どもいたしております。私どもが提案をいたしましたのは、これまで私どもが通勤対策に苦労いたしておりますのは、住宅対策交通対策とが必ずしも一元的に考えられていないというところにも問題があると思いまして、将来の対策としては都市問題として考えていただきたい。それには新幹線を建設いたしましたような新しい技術を使いまして、従来の鉄道よりももっとスピードの速い鉄道を考えますと、いままで住宅地として、あるいはそれ以外の目的でも価値を持ち得なかったようなところが価値を持ち得るようになります。いままで価値を持たなかったところを開発する可能性がございます。将来はそういう考え方でいくべきではないでしょうかという提案を実はいたしております。現在の段階では、国鉄といたしましては第三次計画の遂行に全力をあげておりますが、それからあとの対策といたしましては、いま申し上げましたようなことを考えるべきだろうと思いまして、そういう提案をいたしている段階でございます。
  21. 近藤隆之

    近藤説明員 再建計画の中には、現在の段階で見込み得る限り将来の分も見込むわけでございます。現在運輸省のほうで御研究になっておりますものは、東京都の持ち分がごうごうというところまで実は具体的になっておらないわけでございます。今後毎年毎年具体化されていくだろうと思います。そうしたものについてはもちろん再建計画の中へ織り込んでいくわけでございますけれども、現実の問題といたしましては、いますでに二百億以上の赤字をかかえてまいっておるわけでございまして、現段階において再建計画をつくり、将来それに変動が生ずる場合は、それによって再建計画の変更という手でやっていくというように考えております。
  22. 久保三郎

    久保委員 時間がありませんので要を得ない質問になるかもしれませんが、いままでのお話では、どうも運輸省鉄監局長はぴんとした話が全然ないのだ、一番中心になるところで。それで、先ほどお話があった五カ年計画というのはあとで見せていただきたいと思うのです。  それからもう一つは、これは自治省にお聞きしたほうがいいと思うのでありますが、公営企業法の四十二条で公共企業体方式というか、経営方式も考えてきたようでありますが、これは一条審議室長からお話があったように、都市交通の広域化を予想して、そういう経営形態をとってもいいというふうに規定してきたのかどうか。それとも再建計画というか、そういうものの公営交通財政再建なり経営改善のために必要があらば、公共企業体方式というものも考えていく、こういうことなのか、どちらですか。
  23. 近藤隆之

    近藤説明員 法律に規定しております財政再建と公共企業体とは直接の関係はないと言えると思いますけれども経営が行き詰まってきたのは、いまの経営形態あるいはサービスエリアに問題があるというので、これではやっていけない、したがって公共企業体に持っていくというような考え方をいたしますれば、全然関係がないとも言い切れないと思います。最近の世界各国どこでもの状況でございますけれども、地方公共団体の区域と公営企業としての経済的、能率的なサービスエリアとは食い違ってきております。そこで、一つの地方公共団体がその区域だけでサービスを提供するといったような公営企業が、再検討を迫られておるというのが実情でございます。世界各国とも、これが公共企業体方式になっておるところもございますれば、民間の公益事業に対して地方公共団体がある程度のコントロールをするという形になっておるところもございますけれども、いずれにいたしましても広域経営方式というものが出てきつつございます。そういう点も考慮いたしまして、将来の公営企業あり方としてはこういったものも考えられるということで、あの規定を置いたわけでございますが、ただ具体的にどういうものを想定しているかということになりますと、現在のところまだ政府部内でも話し合いがついておりませんので、別に法律で定めるということにいたしております。われわれ部内といたしましては、いま世界各国どういう形でやっておるか、そしてどういう運営を現実に行なっておるかということをいろいろな面で調査しておるというのが現段階でございます。
  24. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから大体きょうはこれで終わりますが、最後に、鉄監局長、一番問題なのは首都圏交通だと思うのです。それは東京都の交通企業というか、そういうものを含めて一番問題が深刻だし、また実態も非常に逼迫していると思うのです。だから、運輸経済懇談会あるいは都市交通審議会、そういうところへいろいろ御意見を聞いていることは当然だと思うのでありますが、それは政府として、一運輸省とか自治省とか国鉄というものじゃなくて、しかも企業財政再建とか経営改善とかいうだけじゃなくて、むしろ進んで首都圏交通あり方というものを示して、その中で自治省の分担はこれ、運輸省はこれ、国鉄はこれ、東京都はこれ、営団はこれ、それはいろいろあると思うのですが、そういうふうなことにすべきだと私は思っています。だからこれは、もうそういう形で運輸経済懇談会にいろいろ意見を求めているかもしれませんが、やはりのんべんだらりんでは困るので、少なくとも今年度中ぐらいには一応の目鼻をつけて逐次やっていかなければ、片方は先行してしまって、片方はおくれてしまうということですと、今度は調整に手間どったりいろいろな問題が出てくると思う。そういうふうにすべきだと思うが、運輸省としてはどうなのか、そのことをお答えいただきたいと思います。
  25. 増川遼三

    増川政府委員 確かにおっしゃいますとおり、従来のような姿で漫然としているわけにはまいらないことは、われわれも覚悟しておる次第でございます。現在における大都市都市圏というものの拡大、これに対応いたしました姿に持っていかなければならない。すなわち、地下鉄にいたしましても、都の中心部だけを走らしているようなものではなりませんので、現在でも営団地下鉄あるいは都営地下鉄と郊外私鉄との相互乗り入れというような形で有機的なつながりを持たしておるわけでございます。将来はこれをさらに緊密な形に持っていきまして、郊外から都心への直通という姿を積極的にとってまいりたいと考えております。
  26. 久保三郎

    久保委員 鉄監局長、ぼくが質問しているのはそういうことじゃない。まあいいでしょう、時間もないから。どうもそういう答弁ではちょっと困るのですがね。そういう内容もあるかもしらぬが、さっきお尋ねしたのは総合的な計画東京都を中心にして都営交通の問題ももちろんある、そういうものの財政再建なり経営改善を含めて都市交通首都圏交通というものを総合的に打ち立てて、その中の一環として再建計画というものが出てこなければならないものじゃないだろうかというふうに思うが、早急に今年度中くらいには少なくとも東京都なら東京都の、首都圏交通あり方、近い将来、十年間くらいでもけっこうでありますが、そういう見通しに立ってやらなければだめだろうと私は思っているわけです。地下鉄補助金があるから計画どおり、都市交通審議会できめられた路線をやっていくというほそぼその、目標のないと言ったらたいへん語弊がありますが、そういうやり方、それからどうも電車も再建計画の中で一応きめられたし、早いところこれはもう撤去しなければというだけで撤去していくという、ばらばらのやり方ではだめだろうと思うから、総合的な計画をお立てになる必要があると思うが、やっておられると思うけれども、そういうものは今年度中くらいにひとつ目安をつけなさい、いかがでしょう、こういうことなんです。金丸政務次官、どうでしょう。
  27. 金丸信

    ○金丸政府委員 都市交通という問題につきましては、交通都市の機能の基盤でありますから重大な問題であります。また改府自体もこれにまっ正面から取り組んでおるわけでございますが、速急に総合的な、いわば計画的な青写真をつくりまして、御期待に沿うようにいたしたいと考えております。      ————◇—————
  28. 細田吉藏

    細田委員長代理 次に、航空に関する件について調査を進めます。  本日は、本件調査のため、参考人として新東京国際空港公団総裁成田努君、副総裁今井栄文君の両君が御出席されております。  参考人からの意見聴取は、質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小川三男君。
  29. 小川三男

    ○小川(三)委員 最初に公団の総裁から伺います。  成田総裁は就任早々の記者会見で、自分が引き受けた以上は、成田空港は世界的にりっぱな国際空港をつくるんだということを言っておるが、いまでもその心境に変わりないのか。
  30. 成田努

    成田参考人 いまでもいささかも変わりはありません。
  31. 小川三男

    ○小川(三)委員 世界的な国際空港というけれども、わずか三本の滑走路しか有しないものが、どうして世界的な国際空港であると言えるのか。
  32. 成田努

    成田参考人 政府の命ぜられた範囲内において世界的なりっぱなものをつくろう、こう考えておるわけであります。
  33. 小川三男

    ○小川(三)委員 政府に命令された範囲内においてというのは、三本の滑走路しかないのです、三本の滑走路で国際空港なんと言える資格ないですよ。そこはどうなんです。あなたの世界一の国際空港をつくりたいという念願と、三本しか滑走路を持たない成田国際空港の実現のギャップはどうするのですか。問題は、中の芝生がどうの建物がどうのじゃないのです。重大な問題は滑走路なんです。飛行場の死命を制するものは滑走路なんです。
  34. 成田努

    成田参考人 その点につきましては、政府御当局でも十分研究しておられることと存じますから、追ってまたいろいろの御注文、御命令のあることと思います。
  35. 小川三男

    ○小川(三)委員 その問題はあなたといつまでやっていてもしかたがないので……。あなたは総裁を引き受けるときに、非常に重大な問題であるが、国際空港の歴史的な発展について調査されたのですか。いいですか、国際空港については航空審議会で答申しているのです。その答申段階から今日までの状況について、あなたは引き受ける前に十分調査されてから引き受けたのかどうか。
  36. 成田努

    成田参考人 政府から命ぜられまして、それで私は、これは政府の御命令によってりっぱなものをつくり上げなければならぬと考えまして、十分調査研究いたしました。
  37. 小川三男

    ○小川(三)委員 それじゃ成田総裁に、航空審議会の答申について伺いたいと思います。航空審議会は答申案を出している。あなたは十分調査して引き受けられたなら、その答申案についてお答え願いたい。
  38. 成田努

    成田参考人 政府といたされまして、この範囲においてまずやれということでございますので、これでやりまして、その上また政府の御指示を得てやるつもりでございます。
  39. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなたは一体何を聞いているのだ。いまぼくの聞いているのは、航空審議会の答申案、いいですか、はっきり言いますが、佐藤総理はいつでも国会の答弁で、国権の最高機関は国会である、したがって国会の決議はいつでも尊重する、こう言っているのです。航空審議会の答申案が通るには、国会の附帯決議がついて通っている。この航空審議会の答申案も知らないで、見もしないで、何が世界一の国際空港ですか。そんな態度でどうするのですか。もっとまじめに答えてください。
  40. 成田努

    成田参考人 政府におかせられましては、この範囲においてなし得るものとお考えの上、かくせよという御命令であったと存じます。よって私としては、最善を尽くして政府の御意思に沿うように努力いたしておる次第でございます。
  41. 小川三男

    ○小川(三)委員 ぼくの聞いているのは、航空審議会の答申案をあなたは知っているのか、見ているのかということを聞いているのです。政府におかせられましてはなんという、そんなことを聞いているのじゃないのですよ。政府が何をおかせられようと、あなたは航空審議会の答申案を読んでいるのかどうか、これを聞いているのです。
  42. 成田努

    成田参考人 審議会の答申案はよく見ております。ここで「千葉県富里村付近が最も候補地として適当であり、また防衛庁との調整が可能であれば霞ケ浦周辺も適当な候補地である」と言われておりますが、規模としては少々諸種の条件を考慮すれば二千三百ヘクタール程度の敷地面積を必要とするということでございますが、私どもに命令せられましたのは私ども成田新国際空港によって示された数字でございますので、その範囲において私は目下努力いたしつつあるのでございます。
  43. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなた十分調査されたと言うが、それでは航空審議会の答申である霞ケ浦案はどうしてだめになったか、さらに富里案はどうしてだめになったか、浦安案はどうしてだめになったか。航空審議会の答申案はこれ三つしかないのです。成田国際空港なんということは言ってないです。富里と霞ケ浦と浦安とこの三カ所しかないのだ。成田案などというものはない。したがって、あなたが十分に調査研究されておるならば、この三つの答申案はなぜだめになったのかということをまず答えてもらいたい。それなくして、成田が入ってきて、これをやろうということ自体がおかしいですよ。
  44. 成田努

    成田参考人 その点につきましては政府御当局から御説明を聞いていただきとうございます。
  45. 小川三男

    ○小川(三)委員 政府答弁はあとで聞きます。あなたに言われなくたって、このあとやるんです。あなたに聞いているんです。十分調査されて引き受けたと言っているでしょう。したがって、調査されたならどんな調査をされてこの三つの重要な答申案が——しかも国会の附帯決議は答申案を尊重するということをいわれている。この国会の附帯決議が無視されてこの三つのものができないで、なぜ成田へ持ってきたかということ自体も、調査研究されたなら経過はあなた知っているはずだ。
  46. 成田努

    成田参考人 私が公団総裁を拝命いたしましたのは、三里塚地区における現在の成田空港の建設について政府からお引き受けしたのであって、前の三地区に対する調査研究は決して私がとやかく申し上げる筋のものではないのでございますから、これは私からその調査の結果を申し上げる必要もないことと存じます。
  47. 小川三男

    ○小川(三)委員 必要があるかないかをあなたに聞いているんじゃないのです。少なくとも飛行場を成田へつくろうとしてあなたは総裁を引き受けたんでしょう。それには、突如としてきょうここでこの問題が起こっているんじゃないのです。それには過去の何年間かの経過というものがある。それらの経過というものを踏まえて現地に臨まないで、どうしてこれができると考えるのです。その過去の経過について十分あなた調査研究されたとさっき言っているでしょう。引き受ける前に調査研究しました、調査研究して少なくとも答申案に対してすらも理解がなくてどうなります。——どうも成田さんと問答していると時間ばかりかかってしょうがない。私のほうで教えます。この問題が起こってから、この七月が来れば満四カ年になる。その間に運輸大臣何人かわっていますか。航空局長何人かわっていますか。あなたから答弁してください。
  48. 成田努

    成田参考人 何も私から御答弁申し上げなくても、よく御存じのことじゃありませんか。   〔「聞いているんだよ」「ここをどこだと思っているんだ」と呼ぶ者あり〕
  49. 細田吉藏

    細田委員長代理 御静粛に願います。
  50. 成田努

    成田参考人 大臣、六名おかわりになりました。
  51. 小川三男

    ○小川(三)委員 少なくともこの問題発生以来、大臣がだれとだれがかわって、議会でどんな答弁をしておるのか、この程度のことすら調査せず研究せず、あなたは調査研究したなどと言える性質のものじゃない。当該の責任者である航空局長が何人かわったか知らないでしょう。
  52. 成田努

    成田参考人 大臣は、綾部さん、松浦さん、中村さん、荒舩さん、藤枝さん、そして現在大橋さんに至っておられます。航空局長は、今井、栃内、佐藤、堀、沢、この五人におかわりになっております。
  53. 小川三男

    ○小川(三)委員 いいですか。いまあなたが答えられたように、この四年間に運輸大臣はこれだけかわって、当該責任者である航空局長も四人もかわっております。これは重大なことですよ。政府のほうでこれほど変転きわまりない状態なんです。けれどもあそこにある農家は、六百年も続いている農家がある。このように最高の責任者が絶えず入れかわっておるような状態で、どうして地元の人たちがあなた方を信用しますか、政府を信用しますか。あなたは引き受ける前に、もっともっとこの実情を十分に調査検討すべきであった。持ってきたからほいといって引き受けたような、そんな愛知用水や機械化公団のようなわけにいかないんですよ、この航空の問題は。そういう点であなた、軽率だとは考えないのですか。十分調査研究して世界一の国際空港をつくると言いながら、運輸大臣が何人かわったか、当該の責任者である航空局長が何人かわったかも調査せず、わからないようなことで、どうして世界一の国際空港がつくれるのですか。問題はあなたの姿勢にある。態度、立場にある。
  54. 成田努

    成田参考人 この国際空港の必要なることは国民皆さまの御承知のことであり、かつ地元の各位もみな御承知のことでありますから、よくお話し合いをいたしまするが、皆さん賛成して御協力くださるものと私は信じております。
  55. 小川三男

    ○小川(三)委員 それでは、この公団は千葉県知事に向かって、強制立ち入りの公示をしてくれと要求したのか。
  56. 成田努

    成田参考人 あっせんをお願いいたしました。
  57. 小川三男

    ○小川(三)委員 権力をもって強制立ち入りの公示を知事に求める前に、あなたたちは公団の総裁であり副総裁であり、多くの理事がいるはずだ。その人たちは現地へ一度でも行ったことがあるか。現地とは成田の市役所や千葉県庁をさしていうのじゃないですよ。飛行場のできるどまん中、要するに飛行場の敷地内の現地へ行ったことがあるのか。
  58. 成田努

    成田参考人 私はまだ参りませんが、副総裁が親しく行っております。
  59. 小川三男

    ○小川(三)委員 じゃ副総裁に伺います。あなたはいつ現地へ行かれたか。現地とはどこか。
  60. 今井栄文

    今井参考人 今井でございます。千葉と成田へも参りました。それから敷地につきましては、中まで立ち入って詳しく見るというふうな機会はございませんでしたが、付近は見せていただいたことがございます。
  61. 小川三男

    ○小川(三)委員 千葉県庁や成田の市役所は、現地ではないのですよ。飛行場の敷地内ではないのですよ。飛行場の敷地内へ行って居住している農民の諸君とあなたたちは会っているのか。どの理事一人でも現地へ行ったことがあるのか、その点ですよ。
  62. 今井栄文

    今井参考人 私どもとしては、現地へ直接入って親しくお話しするということはまだなかなかできない状況でございますので、成田におきまして、あるいは千葉におきまして、あるいは東京におきまして、現地の実際の農民の方々ともお話し合いをいたしております。
  63. 小川三男

    ○小川(三)委員 現地へなぜはいれない。はいれない状況というのは、一体あなたはどう理解し、どう判断しているか。あなたたちははいれないと言うが、道路はできていますよ。別に道路はだれもあなたたちを妨害していません、作場道を通っても、あなたたちを妨害していません。現地へはいれない状況をだれがつくっているのです。
  64. 今井栄文

    今井参考人 現地へ入らないと申しますのは、やはり個々におたずねしていろいろお話しするというふうな意味では、やはり無用な混乱なり何なりを起こすということを私どもとしては十分気をつけなければならないというふうな気持ちで、御遠慮申し上げておる次第でございます。
  65. 小川三男

    ○小川(三)委員 それでは強制立ち入りはスムースにいくと、あなたは考えているのか。いいですか、スムーズにいかないとあなたたちが考えているから、強制立ち入りを千葉県知事に公示を求めたのです。少なくともこれだけの大問題を解決するには、あなたたちが現地へ行って、現地の居住者と十分に話し合いするという前提でなければならない。それらのことを少しもやらずに、突如として権力をもって強制立ち入りをしようとする。そういう考え方自体がおかしいですよ。その点はどうなんです。
  66. 今井栄文

    今井参考人 私どもとしては、一応立ち入りの公示を県に求める文書を出しましたが、決して強制的に権力をもって立ち入ろうというふうな当初からの意図ではございません。昨日も実は知事のあっせんで地元の方々との話し合いをいたしておるような次第でございまして、でき得る限り地元の方々とお話し合いをつけた上で実際の立ち入り測量をやりたい、こういうふうに考えております。
  67. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうじゃない。あなたのほうで千葉県知事に公示を求めたでしょう。知事はいまの段階で公示すべきじゃない、権力をもって行なうべきではないというので、知事があっせんに踏み切っているのです。あなたたちがあっせんを知事に依頼したのじゃないですよ。もしそうであるならば、ぼくが知事と会ったら、知事は私があっせんしなければならないと思います、こう言っているのです。あなたたちは最初からもうすでに強制立ち入りをやろうとしているのじゃないですか。
  68. 今井栄文

    今井参考人 あるいは私のことばが足らなかった点があるかと思われますが、私どもが立ち入りの通知をいたす以前におきまして、知事からそういうお申し出を私どもは受けております。私どもとしては心から知事のごあっせんに対しては満足いたしまして、そのように計らっていただきたいというように、かねがねお願いいたしておる次第であります。
  69. 小川三男

    ○小川(三)委員 成田総裁に伺います。あなたは政府から命令されたと言うが、政府はどんな命令をあなたにしているのです。どんな強権を用いても、権力を用いても、しゃにむにあそこへ国際空港をつくれということをあなたに政府は命令しているのか。
  70. 成田努

    成田参考人 決していまおっしゃるような命令ではありません。国際新空港の公団が設立されましてその総裁を拝命いたしました以上、その条項に従ってやれという命令なりと私は信じております。
  71. 小川三男

    ○小川(三)委員 いいですか。少なくともあなたたちは現地へ入って、総裁以下現地へ入って、現地で働いているまじめな農民の痛切な声を十分聞いてそれを政府へ進言する責任があるはずですよ。そういう責任は全然ないと考えているのですか。
  72. 成田努

    成田参考人 これからそういう方向に進めていこうと思うております。
  73. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなたはまじめに答えてもらいたい。いいですか。千葉県知事に向かって強制立ち入りの公示を求めておきながら、これからそういうようにいたしますと言うが、そうじゃない、公示を求める前に少なくともあなたたちは現地へ行って、まじめな農民の諸君と十分に話し合いをしなければならないはずだ。そうして農民の皆さんの切実な声を聞くべきなんです。あなたは政府のしもべではないだろう、あなたは政府の使用人ではないだろう、たとえ使用人であったとしても、少なくとも現地の農民の皆さんの理非曲直を、また痛切な立場について十分声を聞いて、それを政府に進言して、政府の方途を誤らしめないだけの責任が総裁にはあるはずだ。その点はどうなんです。あなたは全く政府の御命令にこれ従って、佐藤総理の命令はあなたは昔の天皇の命令のごとくに考えているらしいが、いいですか、あなたが満州に行って中国人を制圧し支配したようなわけにはいかないのですよ。その点で政府に方途の誤りがあるならば、政府にこれはやめさせるだけの進言をすべきですよ。それには現地の実情というものを十分に調査検討しなければならないはずだ。いきなり権力をもって公示を求めていること自体が、あなたの立場なのか。
  74. 成田努

    成田参考人 ただいまのお話の件につきましては、友納知事とよく話し合っておりますので、知事としましては一両日中によく現地の人たちの了解を得るように努力すると言うておられますし、その了解を得た上で立ち入り調査をしようじゃないか、こう申しておられまするから、ここ一両日そのお返事をお待ち申している状態でございます。
  75. 小川三男

    ○小川(三)委員 先ほどから聞いているが、公団の総裁以下、今井さんもそうですよ、理事が大ぜいいるでしょう、この理事一人一度でも、現地へ行って農民の諸君と会った例があるのか、ないですよ。そんなことで、そんなことだから会おうともしないのだ、あなたたちは、会おうともしない、実情を知ろうともしない。そうしていきなり権力をもって強制立ち入りの公示を求めること自体が誤りだと私は考えるのだが、あなたは誤りでないと考えているのか。それからもう一つは、千葉県知事は公団の関係者じゃないですよ。仕事をするのは公団でしょう。千葉県知事が何のためにあれほど介在しなければならないのか。その点であなたたちは千葉県知事にたより過ぎ、千葉県当局を苦しめ過ぎているのですよ。もっと公団が責任を持ってまっこうに出てくるのが当然だ。そうして現地の実情を掌握した上で、これはできないとあなたが判断したら、政府に向かってだめですと進言するだけの責任があなたにあるはずですよ。
  76. 成田努

    成田参考人 順序といたしまして、千葉県知事が地元農民の方々の御了解を得て、しこうして私どもが立ち入りし、いろいろお話しするというのが順序だと思いまして、知事にさようなあっせん方をお願いしておる次第でございます。
  77. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなたの千葉県知事へのそれは、千葉県知事へ全く依存し切ってしまっている。これは日経の社説ですよ。あなたの参考のために読みますが、「すでに平穏な生活を享受している人たちに犠牲を強要するのだから、関係当事者は周到な配慮と暖かい」立場をもって臨まなければならないはずである、これはあたりまえのことですよ。一新聞の社説じゃないですよ。これは当然のことなんです。あなたたちはいままで一度でも、すでに公団発足以来一年になろうとしているが、一度も現地へ行っていないでしょう。権力をもって立ち入りすることがあたたかい処置か、その点ですよ。
  78. 今井栄文

    今井参考人 先生のおっしゃる点まことにごもっともでございますが、私どもとしては、現地の方々の声は直接的には、御指摘のように、現地の農家の方々のところへおたずねしてお話しするというふうな機会に恵まれないできたのでございますが、広くできるだけ多くの地元の方々と現実にお会いいたしておりますし、それからまた、昨年の暮れに開かれた公聴会におきましては、ほんとうになまな現地の方々の声も拝聴いたして、十分その気持ちはわかっておるというふうに私どもとしては考えております。
  79. 小川三男

    ○小川(三)委員 それでは今井さん、あなたに伺うが、それがわかったから権力を発動しようというんですか。あなたたちが十分意見を聞いたその結論として権力を発動しようというのか、どうですか。
  80. 今井栄文

    今井参考人 私どもは、このたび立ち入り調査の公示を県にお願いいたしましたのは、決してそういうものをもって強制的にすぐやろうというふうな意図でいたしたのではございません。しかしながら、国際空港は私ども公団に課せられた使命から申し上げましても、昭和四十六年の四月には開設せなければならないというふうな、公団自体の課せられた使命というものがございます。したがって、私どもとしては、やはり現地立ち入りの調査の手続だけはとにかくとらしていただくということでございます。したがいまして、私どもとしては、しんぼう強く、先ほど先生が千葉県知事に依存し過ぎるというふうにおっしゃられましたけれども、私どもはむしろ、千葉県といわば二人三脚のような形で、千葉県にいろいろ御協力をお願いしている意味も、千葉県が一番よく現地の事情等も知っておられるというふうなことから、私どもとしても自分らの今後の活動に誤りのないようにということで、知事さんの御意見をよく承りながら行動いたしておるわけでございます。
  81. 小川三男

    ○小川(三)委員 それじゃ角度を変えて総裁、あなたに伺う。これはあなたのところで出したものに間違いありませんね。写真はあなたの写真です。署名もあなたの署名です。間違いありませんね。——そこで、あなたに伺いますが、いま航空機問題、飛行場の問題で一番重大な問題はあなたは何だと思っていますか。いま地域の人たちが、大阪国際空港にしても、千歳にしても、東京西北部にある各種の飛行場にしても、一番大きな問題になっているのは何だと思いますか。
  82. 成田努

    成田参考人 一番問題になっておりますのは、騒音問題でございます。
  83. 小川三男

    ○小川(三)委員 それでは、あなたここに、「人体に悪いえいきょうはありません」しかもカッコして、「もんだいにするほどのものはない」飛行機の騒音が問題にするほどのものでないという、あなたこれだけのものを現地に三千部も四千部も刷って配布するには、それだけの科学的な根拠がなければならない。あなたにその根拠を明確に伺いたい。
  84. 細田吉藏

  85. 小川三男

    ○小川(三)委員 いや、今井さん、あなたじゃない。これは総裁のものですよ。総裁が出したものですよ。この署名もあるんですよ。
  86. 成田努

    成田参考人 この騒音の問題は重要な問題でございまして——その前書きがあるはずでございます。——全然騒音というものが問題でないわけじゃありませんが、これはやりようによって、また防ぎようによって処理のできる問題でございますという意味でございます。
  87. 小川三男

    ○小川(三)委員 それは、あなたはそんなことを言うが、ここにカッコして「もんだいにするほどのものはない」と言い切っているのです。ぼくが聞いているのは、飛行場にとって騒音が問題にするほどのものでないという科学的な根拠をあなた示しなさいと言っている。
  88. 成田努

    成田参考人 騒音が人体に全然問題がないとは申しませんが、非常に重大な問題ではない、それは防ぎようがある。あるいは防音林をつくるとか、あるいは防音林区域を広げるとか、また一方において航空機のメーカーにおきましては、なるべく騒音の大ならざるように製造方面において努力しておる。あるいはその他いろいろそういう事情がありまするので、われわれといたしましては、できるだけ騒音が人体に及ばざるように努力いたすつもりでございます。大体において、多少の影響はありましても、これを防ぎ得るべきものだという意味のことでございます。
  89. 小川三男

    ○小川(三)委員 ぼくが聞いておるのは、騒音を防止するための手段はどこにあるのかと聞いておるのじゃないのです。防止するか防止しないか、そういう前提はないのです。いいですか。騒音は「もんだいにするほどのものはない」とあなたのほうでは言い切っておるのです。騒音自体が「もんだいにするほどのものはない」ということは、防止するかしないかが問題ではないのです。防止する手段をあなたに聞いておるのじゃないのです。あなたは騒音は「もんだいにするほどのものはない」こう言い切っておるわけです。したがって「もんだいにするほどのものはない」という根拠がなければ、あなたこれだけのものを現地に配布するはずがないでしょう。それを聞いておる。その根拠を聞いておる。騒音というものの「もんだいにするほどのものはない」という根拠を聞いておる。成田さん、これはあなたの責任で出しておるのですから……。
  90. 成田努

    成田参考人 これはただいまもくどく申し上げましたように、防止策を講ずれば問題でなくなるのであって、頭から騒音があるから空港をつくるのはどうこうというべきものでないのだ、防止策はりっぱにあるのだという意味のことを申したわけでございますが、書きようが悪かったのか舌足らずでありましたのか、その辺御了解願いたいと思います。
  91. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなた、それだったら、この問題について、こういう手段を講ずれば「もんだいにするほどのものいない」というふうに、どこに説明が書いてありますか。この文章の中にどこにそういうことがありますか。あなたはいきなり「もんだいにするほどのものはない」と書いておる。いいですか。——それでは、あなた答えないが、三月十九日の朝日ジャーナルには「騒音とのたたかい」「公害を除く技術開発」とあって、しかも「騒音とのたたかい」という説明の中に、横田基地をこの記者が視察したレポートですが、その結論の中で「したがって最終時には、基地そのものを移転しないかぎり、解決にはならないわけである。」とある。基地周辺の人が移転するのじゃないですよ。基地自体を移転させる以外にこの問題の解決はあり得ない。しかもここにさらに、最後に「いま、新東京国際空港を、千葉県成田市に建設することが問題になっている。しかし、少なくとも騒音の公害という立場からみれば、このような平野のまんなかに新空港をつくるというのは、とんだアナクロニズムというほかないのである。」こう言い切っておる。これは現地に立って現地での騒音についてのあらゆる資料を調査した結果、騒音は防ぐ手段がないと言っておるのです。したがって、基地を移転させる以外にこの問題の解決はあり得ない。しかも成田に新国際空港を設置しようとすること自体が、とんだ時代錯誤であると言っておるのです。これは騒音を中心として言っておることなんだ。これは一つの世論として、一つの見方として肯定して差しつかえないと思う。あなた一人が騒音は問題にならないと言っておる。「もんだいにするほどのものはない」と言い切っておる。万人はこれを承服しませんよ。その点どうなんですか。なおそれを言い切ろうとするのか。
  92. 成田努

    成田参考人 私が申し上げるのは、防止策がある。基地を移転せざる限りはだめなんだというようなことは、私は信用いたしません。それは私との意見の相違と申し上げるほかありません。防止策は十分あります。いろいろのやり方において防止策があります。
  93. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなたそんなこと言うが、防音林というようなことを最近しきりに言っておるが、防音林——林ですよ。林というのは庭木じゃないのですよ。われわれの調査したところによると、成田から約十キロばかりのところに杉で有名な睦岡村がありますが、二十メートルから三十メートルになるには、三十年から四十年かかるといっておるのです。あなた、飛行場つくってあしたからでも飛行機を飛ばしたいのに、防音林なんかできますか。しかもあなたは、音は問題でないのだと言っておるのです。防音設備をすれば問題でないと言っておるのではない。音が問題だからあなた、防音施設をしなければならないと言っておるのでしょう。それをあなたは音を否定している。あなたの出したパンフレットは音を完全に否定して、被害はないと言い切っておるが、こういう資料を三千部も四千部も配付するのには、当然それを言い切るだけの科学的根拠がなければならない、責任がなければならない。それを私は聞いておるのです。
  94. 成田努

    成田参考人 先ほどからたびたび申し上げるように、防音装置をするということは前提として申し上げておるわけでございます。防音設備をすれば音は問題でないので、その設備につきましては今井総裁から御説明申し上げます。
  95. 小川三男

    ○小川(三)委員 それではあなたに具体的に伺いますが、かりに一ホンを減退させるために、絶滅させるためにどんな施設をすればいいのです。
  96. 成田努

    成田参考人 いろいろな方法がありますので、目下どれをとるべきか研究中でございます。いずれ研究がきまりましたらお答え申し上げたいと思います。
  97. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなたの責任の限界を明らかにしておきたいのだが、あなたはこのパンフレットで音は問題にならないと言い切っておる。その前提として、これだけの防音施設をすれば音は問題にならないと言っておるのではない。あなたはいきなり音というものは問題でないと言い切っておる。それはあなたの重大な責任ですよ。いいですか。あなた、これ責任を回避しないでしょう、これはあなたの署名しておるもんですから。あなたは音は問題にならないと言っておるが、これは大阪国際空港周辺の騒音について、関西都市騒音対策委員会大阪大学、京都大学、神戸大学の航空工学及び公衆衛生関係の人たちに依頼した調査の結果です。これは学者ですから、別に政治的な配慮は何もありませんよ。学問として伊丹国際空港を中心とした騒音の研究の結果としてこれを報告しているのですよ。これはその報告の原文です。この中にその結論として、こういうことが出ております。「安眠ができない。子供の勉強ができない。精密機械の製作作業に支障をきたす。医師の診療が困難である。病人の療養ができない。乳幼児がノイローゼになって発育が停止するものさえいる。乳牛のさく乳量と養鶏の産卵が減量したまま回復しない。電話がきこえず料金がかさむ。テレビが正しくみえない。家の屋根瓦が振動で落ち修理費がかさむ。土地の価格が下落し、アパートなど空家ができつつある。」かかる被害の激増のために、空港を中心とする八つの市の騒音対策委員会ができて、こうして政府に向かって、音の問題のみを中心にして猛烈な運動をやっているのです。この飛行場の問題で、騒音を無視したものなんてあり得ない。ところがあなた一人、日本国民の中のあなた一人が、飛行機の音は問題でないと言い切っている。その根拠はどこにあるのか聞いているのですよ。
  98. 今井栄文

    今井参考人 かわりまして私からお答えを申し上げます。  これに書いてある「もんだいにするほどのものはない」ということは、ある意味では比較論というふうな意味で申し上げたのでございまして、それはそのあとにも書いてもございますように、軍用基地と比較いたしますと、御承知のように民間航空機は、相当な経済的な犠牲を払って消音装置も施しておりますし、したがって軍用基地の周辺で、たとえば編隊飛行をタッチ・アンド・ゴーをやるとかいうような訓練のための航空基地の周辺とは、民間航空基地は非常に違うというような点を強調したかったわけでございます。  それからいま先生が御指摘になったような区域は、私は詳しくは存じませんけれども、少なくとも新空港につきましては、現在航空局におきまして騒音対策に関する法律を近く国会に提案するということでございます。したがって非常に近い周囲、これはやかましいところでございますが、そういうところについては当然買い上げをするなり、あるいは移転を希望される方々は移転をしていただくということを考えておるわけでございます。したがってその飛行機の騒音が「もんだいにするほどのものはない」という意味は、その範囲の問題ももちろん私ども頭に置いて書いておるわけでございます。進入路に非常に近接した区域等については当然、買い上げあるいは移転ということを考えていかなければならないと思います。
  99. 小川三男

    ○小川(三)委員 これのどこに、あなた、距離が書いてありますか。  それからさらに家畜の問題においても、これも「ほとんどえいきょうはみられない」と、あなたのほうで言い切っている。日高における馬の受胎率の減少や、馬の問題は去年大きな問題になったのですよ。しかも騒音の問題について、家畜には「ほとんどえいきょうはみられない」と、あなたは言い切っている。どこの段階で、何に影響が見られないのか。そんな前提はないですよ。それからいま、今度の国会に騒音防止の法律が出ると言うが、少なくとも成田総裁が新東京国際空港公団の総裁である限り、成田においてはこの法律は必要ないはずです。騒音が問題でないと言い切っている総裁のもとで、少なくともそういう問題はないはずです。その点はどうなんです。
  100. 今井栄文

    今井参考人 私が先ほど申し上げましたように、一般的な比較論としてこういうふうに申し上げているのでございまして、したがって滑走路の進入表面であるとか、転移表面のごく近くであるというふうなことについては、騒音に問題になると思います。したがいまして、そういったところについては、現在立法によってこれをカバーしよう、こういうふうな方途が講ぜられておるわけでございます。非常に離れたところにつきましては、一部の人たちが言っておられるほど激しいものではないというふうな意味で、比較的に申し上げておるわけでございます。  それからもう一つ、このパンフレットにございます家畜の問題でございますが、乳牛の搾乳量の問題、それから鶏の卵の問題につきましては、私どもとしては、ここに特に大学の名前は書いてございませんが、やはり権威のある調査研究の結果をもとにしてこういうふうに記述いたしたものでございます。
  101. 小川三男

    ○小川(三)委員 それじゃあなた、何キロの範囲内までを騒音、いわゆる人の住めない状態と考えているか。それから家畜に影響のあるというのは、何キロの範囲内か。進入表面であろうと飛び立ってどうであろうと、それは問題ではない。少なくともそのキロ数を明示していただきたい。
  102. 今井栄文

    今井参考人 従来、これは新空港問題が論議された当時から騒音区域の問題については論議されてきた問題でございまして、これは私どもまだ公団ができる以前でございますけれども運輸省当局並びに千葉県庁というふうなところにもいろいろ話し合いをいたしまして、大体ホン数で九〇ホンというようなところは、滑走路の末端から約二千メートル、それから転移表面につきましては、滑走路の中心線から横六百メートルというふうなところが大体九〇ホン程度出る区域ではないかというふうに私どもは従来言っているわけでございます。
  103. 小川三男

    ○小川(三)委員 それがあなたのほうで確定した騒音のキロですね。それ以外には変更しませんね。
  104. 今井栄文

    今井参考人 私どもは、まだ騒音対策立法の内容については、詳しい御連絡を受けておりません。したがって私が申し上げましたのは、従来千葉県におきまして、あるいはまた私どもが九〇ホン出る範囲というのは大体その範囲だというふうに考えているということでございまして、その範囲については何らかの対策を講ずることが、やはり地元の方々のためにぜひ必要だというふうに考えているわけでございます。
  105. 小川三男

    ○小川(三)委員 去年開かれた公衆衛生学会で北大の渡部助教授は、千歳空港を中心とした調査の結果として、少なくも三キロの範囲内は人畜の住める条件ではない、こう発表しているわけです。そういう事実が一つある。さらに、いま熊本県の高遊原空港においてもそのとおりです。地元の強硬な反対を受けているでしょう。そのように、飛行場のあるところで騒音が問題にならないところはどこにもないのです。これは世界的な問題になっている。成田総裁一人だ、こういうことが問題でないと言い切っておるのは。したがって少なくともこれは——運輸大臣がおりませんが、金丸次官、成田総裁を任命したのは運輸大臣です。こんな無責任なことを現地に発表するような公団の総裁の責任については、運輸大臣として明確にしてもらいたい。こういうことを地元に流布して、そうして地元にうそをついて、そんなことはありません、ありませんと言って、こういうものを配布しておいて、そうして地元の協力を得ようなどとすること自体がおかしいですよ。ごまかしておるんですよ。明らかなごまかしですよ。  さらに、もっと例をあげて言いましょうか。ここにこういうものを出しております。「新国際空港だより」、これもあなたのほうで出している。こんなうまい話を羅列して、地元の者はだれが信用しますか。しかもあなたのほうは現地についての調査が全然されていないという証拠を露呈している。いいですか、ここが畜産物の大きな市場になる、こう言っている。国際空港ができることによって、周辺の農家には、畜産物あるいは農産物の大きな市場になると言い切っている。まるでいま地域の農民は非常に困難な状態に置かれている、飛行場ができればあなたたちのいまの農業は面目を一新することができると書いてある。ここにある資料は、飛行場の周辺の中に入るのですよ。丸朝園芸農業協同組合、これは単位農協では日本一の出荷率を持っている農業協同組合です。こういうことをあなたのほうでは調査しないでしょう。年間だけでも、去年の四月一日からことしの三月三十一日までので、四億三千二百万という売り上げ。これは日本一の出荷率を持っている園芸組合です。しかも、国の補助も県の補助も町村の補助も一切受けない、自主独立でこれをやってきているわけです。牧野部落ではスイカだけでも一農家百万以上の粗収入をあげている。しかもこの四億三千二百万の売り上げには、落花生、麦、米は入ってないのですよ。全部園芸だけです。蔬菜です。こういうような農協が現に存在しているわけです。その丸朝園芸農業協同組合の人たちは、死力を尽くしてわれわれはこの土地を守る——それは当然ですよ。しかもあなたのほうでは、まるでいま零細貧困のどん底にでもあるかのように、それを国際空港ができることによって救済でもするかのように言い切っている。こんな不誠意なことで、どうしてこの問題の解決ができますか。もっとまじめにやるべきですよ。みんなごまかしなんだ、出しているものが。これがあなたたちが出した真実のものであるならば、真実のものである、われわれは断じて撤回しない、ということをここで言い切ってもらいたい。
  106. 今井栄文

    今井参考人 ただいまお示しになりましたのは、おそらく離就職対策に関するパンフレットだろうと思いますが、私どもとしては、新空港ができることによって地元の方々が一緒に栄えていただこうということはしんから——だますというような意図は毛頭ございません、しんからそういうつもりでこの問題と取り組んでおるのでございまして、そういった資料をつくりました趣旨も、羽田へ行きまして連日羽田の構内において調査を行ないまして、その調査を行なった結果について、しかも事業主その他とも話をいたしまして、人の需要その他についてもお話を伺った上でつくったものでございます。したがいまして私どもとしては、新しい空港ができ上がりました際には、それにいわれておるように、必ず地元の人たち——先生がおっしゃるようにお困りになっておられない人ももちろん多いと思いますが、今度敷地の中で離農される人たちに対しましては、われわれとしては万全の措置を講じて、その将来の生活設計のお力になりたいという、ほんとうのまじめな真剣な気持ちでおるわけでございますから、御理解願いたい。
  107. 小川三男

    ○小川(三)委員 それでは今度角度を変えて別に伺いますが、国際空港公団法によれば、あなたのほうでは国際空港を建設して維持管理する責任がありますね。そうすると、用排水の問題、高速道路の問題それから油のパイプラインの問題、そういう都市計画の問題は、だれがどこでやるのですか。
  108. 今井栄文

    今井参考人 御指摘になりました、空港を中心とする周辺対策につきましては、ここに航空局長がおられますけれども、公団法だけで行ない得る問題は、補償に関する問題に限定されてくると思います。したがいまして、いま御指摘の用排水の問題、あるいは道路の問題あるいはは鉄道の問題、あるいは新都市の問題というものにつきましては、それぞれ所管省にお願いをいたしておるわけでございまして、これは現在新空港に関する閣僚協議会の幹事会としての関係次官会議を中心にして、各省にその進捗をお願いいたしておる、こういう状況でございます。したがいまして、いまの周辺対策の問題につきましては、政府側のほうから答弁をさしていただいたほうが適当ではないかと思います。
  109. 小川三男

    ○小川(三)委員 いまあなたは、地元に配布した資料については責任を負うと言っていますね。責任を負うと言っているでしょう。そうすると、他の政府機関の行なう仕事まであなたのほうで責任を負いますか。用排水の問題、道路の問題、都市交通の問題、税金の問題、あらゆる問題が、この飛行場をつくるかつくらないかは別として、この周辺に山積していますよ。そういう問題を、一体だれがその責任を負うか。あなたが責任を負うか。公団が責任を負うのか。
  110. 今井栄文

    今井参考人 その中に書いてございます周辺対策の問題につきましては、すでに昨年の七月四日におきまして、新空港決定に伴う地元対策というものの中で、そういった点がはっきりうたわれておるわけでございまして、閣議の決定になっておる事項を内容といたしておるものでございますので、私どもとしては当然やっていただけるものだというふうに確信いたしております。
  111. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、閣議決定によって他の機関が当然やってくれるものとあなたは考えている、あなたのほうの責任じゃないということですね。そうでしょう。あなたが責任を持って、あくまで閣議を動かしてもやるというのですか。どうですか。
  112. 今井栄文

    今井参考人 すでに閣議で決定された事柄を内容として書いてあるわけでございます。
  113. 小川三男

    ○小川(三)委員 責任を聞いているのですよ。
  114. 今井栄文

    今井参考人 道路、鉄道、それから用排水あるいは畑地かんがいというふうな問題につきましては、それぞれ責任の省がございまして、公団自体が責任を負うというふうな、少なくとも法律的に責任を負うというふうな立場にはございません。
  115. 小川三男

    ○小川(三)委員 そこで問題があるでしょう。あなたのほうでは、地元へこういうようなパンフレットを盛んにまいてやっているでしょう。はなはだしいのは、あなたのほうでは隠密みたいなものまで使っているのだ。新国際空港協力会なんというような、どこにあるのだかわからないような団体が、盛んに新聞にはさみ広告をしたり、ビラをまいたりやっているのです。あなたのほうで、現地の人たちを嘱託として何人使っているのです。その人たちが流布して歩いていることについて、あなた責任を負うのか。負えないでしょう、それは。そういうようなやみ団体をつくって——これは資金を投入している者がだれかあるのに違いないのです。資金を投入しないで、あの辺の農家の人たちが、そんなことまであなたたちに協力するはずがないのだ。そういうふうな架空の団体をつくって、署名もなければ、住所もない、しかもそういうものが盛んにまかれている。ビラを集めてあなたのほうに届けてあげましょうか。そういうことをやっている。したがって、あなたのほうでやれる責任の限界というものをはっきりすべきです。その点を伺っておけばいいのです。
  116. 今井栄文

    今井参考人 当公団といたしましては、公団法に基づいて空港を建設してこれを管理する、こういうことが私どもの仕事でございまして、その仕事の範囲は出ない、出ることはできないのでございます。
  117. 小川三男

    ○小川(三)委員 では、農民の皆さんから要求があった場合に、代替地を買って、代替地を整地して、ここに農家の皆さんに移ってくださいという事業をあなたのほうでやれますか。
  118. 今井栄文

    今井参考人 代替地の取得並びにこれの売却に関する問題につきましては、農地法の関係もございますし、それからまた、地元の実情は県が一番よく御存じでございますので、県に文書で御依頼申し上げて、県に代替地取得をやってもらっておるわけでございます。
  119. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなた、それでは価格を明示してもらいたい。代替地を要求している農民に、幾らで代替地を売るのか。
  120. 今井栄文

    今井参考人 代替地につきましては、先生も御存じでございますが、国有地あるいはまた従来の県有地、それから新たに取得いたしました民有地、合わせて約四百ヘクタール用意してあるわけでございますが、この値段につきましては、私どもの県に対する依頼状の中では、県において案をつくって、公団と協議の上で決定しようということになっておるわけでございます。昨日の地元との話し合いにおきましても、そういった面について地元側の御要望も出たようでございますので、できるだけ早い機会に県のほうにお願いして、代替地の値段等についても出していただきたい、かように考えております。
  121. 小川三男

    ○小川(三)委員 いまそういうように、用排水の問題、道路の問題あるいはパイプラインの問題にしても、一つとして決定したものはないでしょう。あなたのほうの権限じゃないですよ、これは。そうして、地元には無責任きわまるパンフレットを配布しておいて、突如として権力をもって立ち入り調査をやろうとする。そういうこと自体がおかしい。いまでもあなた、やろうとしているのでしょう。知事に公示を求めてあるのでしょう。やめるのか、それともやるのか、その点はっきりしてもらいたい。
  122. 今井栄文

    今井参考人 公示を撤回する意思はございません。ただ私どもとしては、強制的に反対される方々のところに立ち入るということではなくして、県を仲介として、あるいは私どもが直接地元の方々の御了解を得た上で中へ入るということを考えております。
  123. 小川三男

    ○小川(三)委員 地元の人たちの了解を得てやろうとするのに、くいは当然抜かれるであろうといって、ドラムかんへ鉄棒を入れて、それをコンクリートで固めて埋めようとするような、まるで地域の農民を最初から敵視しているのでしょう。敵と考えているのです。敵地へ入って作業をすると考えている。いやしくも日本国民を、千葉県の農民を敵視しているような、そんなものの考え方自体がおかしいですよ。それを改める意思があるのかどうか。なぜ、くいがスムーズに打てないような態勢をつくっているのか。こういうようなものをあなたたちで配布しているでしょう。農民をばかにしているんですよ。農民はこういう問題があれば、直ちにその資料に基づいて、ある人たちは羽田にも行き、伊丹にも行き、千歳にも行っております。そうして手分けをして、騒音がどんなに大きな影響を与えるものかということをつぶさに知っております。成田総裁一人が騒音は問題でないと言い切っても、農民は承知しませんよ。あなたがそういうような態度でものをやっておきながら一だからドラムかんへ鉄棒を入れて埋め、それをくいにする。それは抜けないでしょう。けれどもそういう考え方で、あなたのように、ドラムかんへ鉄棒を入れて埋めることはできても、農民の心を埋めることはできない。成田さん、これは反省すべきですよ。あなたの部下がそれをやろうとしているのですよ。政府もそういう命令をあなたに下しているのか。
  124. 今井栄文

    今井参考人 お答えいたします。  私どもは空港をつくることを使命として生まれた公団でございまして、空港はぜひつくらしていただきたい、かように考えております。いま先生のおっしゃいました、地元の方々の気持ちも十分に承るわけでございます。私どもは敷地内の方々、あるいはまたその周辺、特に成田地区の方々に対しましては、絶えず接触はいたしておるわけでございますけれども、そういった方々のお気持ちは十分に承っております。ほんとうに土地を愛するという気持ちから反対しておられる方もございます。そういった方々については、ぜひ機会を得て、会っていただけるものならいつでもお会いしていろいろお話をしたいというふうに考える次第でございます。私どもは敷地内の方々の全部が必ずしも空港をつくることに賛成だというふうには申し上げておりませんけれども政府が、あるいはまた公団が誠意を持って補償その他の対策を講ずるならば、われわれも国のためにつくることに協力しようという方々も非常に多いわけでございます。そういった方々を中心にしまして、できるだけ全体の方々にそういった気持ちが行き渡るように今後とも努力していきたい、かように考える次第でございます。
  125. 小川三男

    ○小川(三)委員 何と言おうと、霞ケ浦が地元の農民の反対でできない。富里もそうです。気象条件や土質の問題じゃないですよ。それでやめて、直ちに、突如として成田へつくるのだ、おまえのほうだと言い切ってあなたのほうが侵入してきているのだ。しかも配布しているパンフレットは、まるでいまにでも、農民は農業をやめれば、飛行場や何かで、どんな有力な地位にも就職できるかのごとく書いてある。だれがこれを保証するのですか。この就職の問題にしたって、だれが保証するのです。私が聞いているのは、運輸大臣は五人もかわっているんですよ。航空局長自体が四人もかわっているんですよ。こういうような状態のもとで、どうして地元の人たちがすなおに信用しますか。しかもあっちがだめならこっちだというような強圧的なものの持っていき方自体が誤りですよ。したがって、強制測量はやめるべきですよ。あくまで強行する意見があるかどうか、それをひとつ伺っておきたい。
  126. 今井栄文

    今井参考人 先ほども申し上げましたように、私どもとしては、そういった単に法律的な手続というものにのみたよって仕事をいたそうと考えておるわけではございません。昨日も、私自身直接参ったわけでございますけれども、千葉で地元の方々とも午前、午後にわたってお会いをいたしまして、その方々の御要望事項に対する回答もお約束いたして、さらにまたお会いする、こういうふうな非常に慎重な、幾重にも段階を経た上で、私どもとしては今後了解を取りつけ得るものと確信をいたしておるわけでございます。したがって、御了解を得た上でできれば極力やりたい、かように考える次第でございます。
  127. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、あなたのほうでいま問題になるのは、要約して代替地の問題、土地買収費の問題、買収価格の問題、地域の問題、面積の問題あるいは樹木やその他の問題があるでしょう。これは条件派の人たちだ。けれども、条件派といえども賛成しているのじゃないですよ。原則としては反対である、しかしどうしてもつくられるものであるならば、これだけの条件は出さなければならぬ。もう一つ団体は条件付反対派なんですよ。  それと、いまこの周辺で行なわなければならない、行なうとあなたのほうで言っているでしょう。たとえば土地を売ったら、その税金はどうなるのか。税金は減免できるようなことを言っていた。税務署は税金をまけません。現に多古で起こった問題ですが、二軒で死亡者が出て、相続しなければならない。そうすると、佐原の税務署はたんぼ一反歩四十万円に評価してきた。あの辺で四十万円なんて売買は絶対にありません。どんないい場所でも、水田はいま二十万円ですよ。宅地にするような場合でも、三十万円かその辺です。税務署が四十万円に評価してきた。なぜそういう評価をしてきたのかといったら、三里塚に国際空港ができるから地価が上がっているから、したがってそういう評価をしたんだ、こう言い切っているわけです。そういうように、いろいろな問題が派生してきておるのです。しかも公団は、あそこへ飛行場をつくればいいのだ。それ以外にあなたのほうの使命はないのです。あなたのほうのやるべき仕事はない。道路の問題、住宅の問題、用排水の問題、一つとしてあなたのほうの権限じゃないでしょう。あなたのほうの問題じゃない。したがって、他の機関がそれをやるといったって、他の機関とは何だと言っている。一本に統一された機関があるのかどうか、その点を伺いたい。
  128. 今井栄文

    今井参考人 これは公団から御答弁することは必ずしも適当ではないかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、政府においては特に新空港に関する閣僚協議会というものを持っておりまして、その下に各種関係各省の次官を中心とする幹事会をつくりまして、内閣審議室が全体を調整するという形で現在空港問題を推進いたしておるわけでございます。したがって私は、政府部内に各省の権限にまたがる事項を調整統合する組織が現在あるというふうに考えております。しかしこれは、私自身いま政府の役人ではございませんので、私から答えるのが適当かどうか若干問題だと思います。
  129. 小川三男

    ○小川(三)委員 ですから、あなたのほうが現地でやろうとしても、すべてそういう問題についてちぐはぐです。だれがやるんだか明確じゃないのです。それをいまにも公団がやるかのごとく、あなたのほうで流布して歩いている。それからこういうようなパンフレットにしても、そのとおり。そういう点については、今後さらにこの問題についての責任の限界を明らかにしなければならない。  それでは、あと運輸省のほうに伺います。四十年の六月にこの法案が国会を通過する際に、附帯決議がついています。これは、航空審議会の答申を尊重するという附帯決議です。そこで航空審議会の答申案は、少なくとも面積においては、旧法で言えば七百万坪以上、四千メートルの滑走路が二本、二千五百メートルの滑走路が二本、三千五百メートルの横風用の滑走路が一本、五本は最小限必要であるという航空審議会の答申です。国会でもまた、この答申を尊重するという附帯決議がついておる。これについてあなたのほうの見解を伺いたい。
  130. 澤雄次

    ○澤政府委員 航空審議会の答申は、ただいま小川先生のおっしゃいましたように七百万坪、二千三百ヘクタール程度の敷地面積が望ましいということがあるのでございますが、その後御承知のような経緯で、下総御料牧場というような、国有地が比較的に多く、また付近に公共用地も多いという成田市に決定いたしまして、三百二十万坪になったわけでございます。
  131. 小川三男

    ○小川(三)委員 比較的国有地が多いと言うけれども、国有地や県有地を合わせても、六八%は民有地を使わなければならないのです。それと国会の附帯決議は、航空審議会の答申案を尊重するということになっておるわけです。したがって、国会の附帯決議を尊重するならば、もう一度この問題を国会に返すべきではなかったか。尊重されていないでしょう。まるで様式が変わったものです。しかも現地に最初は、二本の滑走路しかつくらないということを発表しておいたのです。そして堀さんが航空局長のとき、横風用は要らないのかという質問に対して、できればほしいということであった。それで初めて三本の全貌が出てきたわけです。したがって航空審議会の答申というもの、国会の決議というものは、全然尊重されていないわけです。この案はあなたのほうの独自の案ですよ。したがって航空審議会にもう一度返して、これはやり直すべきだと私は考えるが、その点はどうなんです。
  132. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは次善の策といたしましてやむを得ず三百二十万坪に減少いたしました。滑走路も御承知のように四千メートル一本、二千五百メートル一本、横風用三千二百メートル一本ということに相なりました。これはこの間の経緯を、やむを得ずこのようにしたということを航空審議会のほうには御報告をいたしております。航空審議会はもちろん了承されたということではございませんが、航空審議会には運輸大臣から御報告をいたしております。
  133. 小川三男

    ○小川(三)委員 なぜそれじゃ、こういう経緯だということについて国会に対して報告しないのですか。
  134. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは富里付近あるいは霞ケ浦付近で七百万坪ということで努力をいたしたのでございますが、いろいろな航空技術的な条件その他住民対策上の条件等で下総御料牧場及び県有地の比較的多いこの土地に決定したということは、これは先般の国会でも御報告申し上げていると思います。
  135. 小川三男

    ○小川(三)委員 霞ケ浦と富里があなたのほうでは航空技術的な面でというが、航空技術的な面ではない、私はそう思う。というのは地元の諸君の、霞ケ浦についてはここに久保委員もおられますが、富里にしても、これはそれらの問題じゃないのです。地質の問題や気象の条件の問題じゃないのですよ。地元の農民の団結した反対の壁を、あなたたちは破ることができなかった。それで敗退したと考えて差しつかえないと思う。こういう前提があるのですよ。どこへ行って飛行場を歓迎する地域があるか。かりに都心から一時間の範囲内ということは、公団法によってきめてあります。もし飛行場というものがそれほど地域開発になるものなら、関東各県の知事や県会議長、地元選出の国会議員は、わが県へ誘致のために非常な努力をするはずです、在来の例から見ても。だれが国際空港を誘致する者がありますか。これは地域住民がみんな反対しているからです。その認識がなくて、単に航空技術の面だけだというような考え方で臨むところに、あなたのほうの誤りがあると私は考える。その点はどうなんですか。
  136. 澤雄次

    ○澤政府委員 航空技術上の問題またはその土地の住民対策上の問題ということを申し上げましたので、決して成田のほうが住民対策上問題がないということではなくて、こちらのほうに下総御料牧場及びこれに接続する県有地がございますので、こちらのほうに決定したということでございます。
  137. 小川三男

    ○小川(三)委員 下総御料牧場は、これはどういうことにしてあるのですか。県有地は県から買うとしても、下総御料牧場の問題はどう処理したのですか。
  138. 澤雄次

    ○澤政府委員 下総御料牧場は、先ほど先生から御質問がございました、公団の業務の一部といたしまして、これを栃木県の高根沢のほうに移転するということで、公団のほうでいま計画を進めております。
  139. 小川三男

    ○小川(三)委員 これはちょっとおかしいじゃないですか。一方では、他に代替地を買って農民に提供するようなことを空港公団としてはできないから、千葉県に委嘱していると言っているでしょう。それが三里塚の御料牧場だけをどうしてそういうことをやれるのか。公団の事業の中に、三里塚の牧場を栃木県に移すという法文がどこにありますか。
  140. 澤雄次

    ○澤政府委員 先ほど公団副総裁から申されましたように、公団の業務を行なうということには、公団の補償工事が入っているわけでございます。それで公団が代替地を講入するということも、公団の土地取得のために当然公団がやれる仕事に入っております。ただ、先ほど副総裁が申されましたのは、公団が農地を取得して農地として保有することは農地法の関係で許されないというために、県のほうにお願いをしているということでございます。
  141. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、栃木県には農地は一切ないのですか。
  142. 澤雄次

    ○澤政府委員 栃木県の場合は公団が農地を取得いたしまして、これを牧場として使用いたしまして、そしてこれを下総御料牧場と交換をする、こういう形でございますから、いわゆる一般の農民の農地の取得の場合とは事情が違うわけでございます。
  143. 小川三男

    ○小川(三)委員 成田空港について、これを否とする二つの重大な要因があると思う。その一つは、航空政策研究会がこの間パンフレットを出しましたね。あれは角度が違いますが、少なくともいまの三本の滑走路では国際空港としての資格を欠いている、十年ぐらいしたら行き詰まってしまうだろう、こう言っている。あなたのほうの見解はどうなんです。
  144. 澤雄次

    ○澤政府委員 その点につきましては、航空政策研究会の学者の方の検討されたことは、従来から私のほうも申していたことでございます。二本の滑走路でやりますと、大体二十六万回が限度でございます。それで昭和四十六年に供用開始をいたしまして、そして大体十年でこの二十六万回の限度にまでくるであろうということを私のほうも前から申しておったわけでございます。
  145. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、約十年を待たずに——十年としても、他に飛行場をつくらなければならないという事態が起こってくると思う。したがって、いま根本的にこの問題に立ち戻ってやらないでは、二重投資になります。一方、羽田も拡張しなければならないと言っている。三里塚空港の進行状態ともあわせて、羽田も拡張しなければならない。しかも成田が大きな抵抗の中にあって、いま物議のさなかにある。しかしこれを強行しても、かりに十年の後に行き詰まるのであれば、これは明らかな二重投資じゃないですか。もっと根本的に立ち戻って考え直す必要があるのじゃないか。その点はどうなんですか。
  146. 澤雄次

    ○澤政府委員 ただいま十年たてば大体二十六万回の限度に達するであろうと申し上げましたが、十年たてばこの成田の空港がだめになるということではございませんで、羽田から成田に移しましても、羽田というものは国内航空として一番便利な地点にございまして、これはこれで国内航空のためにますます価値を発揮し、これを拡充してまいりたいとわれわれは思っております。  それから成田は都心から六十六キロというところに——これは六十六キロでも遠いのでございますが、この六十六キロのところにある国際空港という意味におきまして、これは未来にわたりまして非常に大きな価値を持つ、こう思うわけでございます。  それから、成田空港は十年後どうするのかということにつきましては、ただいまから申しますと十五年先でございます。今後航空機の機種がどのように変わっていくか、そのようなことも検討いたしまして、慎重にその後の対策を考慮いたしたいと思います。これは小川先生よく御承知のとおり、諸外国におきましても、たとえばニューヨークでも次々と国際空港を建設してまいっておりますし、パリでも従来から大きな飛行場が二つござまして、それで足りなくなって、大きなのをまたつくろうという状態でございます。われわれは、十年たちましても、いやその後におきましても、成田空港が国際線の上におきまして、東京に近い国際空港としてますます価値を発揮するであろうということを確信しております。
  147. 小川三男

    ○小川(三)委員 いや、それはつくるのです。廃港にすると言っているのじゃないですよ。その後にもう一つつくらなければならない事態が起こるのではないのかと聞いているわけです。
  148. 澤雄次

    ○澤政府委員 それはおっしゃるとおりでございます。
  149. 小川三男

    ○小川(三)委員 いまの十年後の十年という年月は、そんな長い年月じゃないですよ。その後にまたつくらなければならないのなら、いまにして根本的に考え直して、こんな二重投資をやめて、もっと積極的にやるべきじゃないのかということが一つ。産業経済会議の勧告案にしても、これは海洋の問題を出しているでしょう。そういうような問題に立ち返って十分に検討すべきではないのか、こういう点を言っているわけです。
  150. 澤雄次

    ○澤政府委員 先ほどから申し上げましたように、成田東京から六十六キロのところにある国際空港でございまして、羽田を国内線専用に使うといたしますと、成田東京にとりまして一番重要な国際空港になります。それでわれわれといたしましては、その後の問題については、今後の飛行機の機種の改良その他どのような機種が出てくるかということを検討しながら、その後の対策を考えたいと思います。これはただいまからいたしますと、十五年先でございます。私は十五年先にまた別の国際空港を考えても、国家としてこれは決して二重投資にならない、このように考えまして、関係各省もそのような考えで、いま成田の空港はぜひ四十六年にできるようにお願いしているわけでございます。
  151. 小川三男

    ○小川(三)委員 もう一つは、内部的な要因として、あなたのほうでは四十六年には飛行場を使用しなければならないというが、四十六年までに使用できる可能性、見通しがありますか。
  152. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは、羽田の空港が現在でももうそろそろ狭くなってきておりまして、使用の限度は、四十五年度になりましたらどうしても羽田が爆発してしまうという状態にあることは、小川先生もよく御承知のとおりでございます。ぜひぜひ四十六年に成田の新空港ができるように関係方面の強力なる御支援を得たい、このように運輸省としては思っておる次第でございます。
  153. 小川三男

    ○小川(三)委員 この問題は、なぜ霞ケ浦あるいは富里というように、千葉県あるいは茨城県の地域をねらうかというと、これはブルー−14の問題があるからですよ。この問題について、国力をあげてアメリカと交渉するだけの、あなたのほうのかまえがなければならないわけです。そういうことを行なうことを避けて、農民にのみ犠牲をしいようとする。こういうやり方はよくないと私は考える。なぜもっと政府の総力をあげて、国力をあげてアメリカ国政府に向かってこれの撤退を要求しないのか。その点、そういう覚悟があるのか、考えがあるのかということです。
  154. 澤雄次

    ○澤政府委員 これも小川先生よく御承知のとおりに、新空港決定の過程におきましては、立川は使用できませんので、横田、厚木等につきまして、外務省を通じてといいますか、日本政府として一体になって米国政府と当たったわけでございます。しかしどうしても米国政府のほうと合意に達することができなくて、これをあきらめたわけでございます。
  155. 小川三男

    ○小川(三)委員 国会の決議までやるだけの手を打ってみなさい。国会で決議すれば、少なくとも日本国国会が決議したことに対して、それほどアメリカは軽率にぼやっとはしてないと私は考える。あなたたちにそれだけの熱意や意向があるのか。
  156. 金丸信

    ○金丸政府委員 小川先生もよく御案内のように、安保条約の地位協定という問題もありますが、実は羽田の空港のスポットがMACのチャーター機で一ぱいになるというような、先般予算委員会でも質問があったわけでありますが、運輸省といたしましてはそういう面につきましても外務省を通して、できるだけ民間航空のじゃまにならぬようにというお願いをいたしておるわけでありますが、お説の点につきましても、なお日米合同委員会等もあるわけでありますから、そういう面に働きかけてみたいと考えております。
  157. 澤雄次

    ○澤政府委員 ちょっと政務次官のお話に補足さしていただきますが、この新空港の問題につきましては、米軍に日本政府として強力に働きかけまして、横田基地または厚木基地の使用あるいはブルー14の廃止につきまして再三折衝いたしたのでございますが、どうしても合議に到達せず、新空港を別途につくるということに決定いたしたわけでございます。
  158. 小川三男

    ○小川(三)委員 この問題はもっと国会に持ちかけて、そうして努力すべきです。  それからもう一つ伺っておきますが、地元の協力と言うが、この間の総選挙の結果を見ても、あの地域、成田、八街、富里、芝山、これらの地域で、自民党は賛成、そうでないものは反対という立場でこれを見ても、有効投票が四万二百八十七票、そのうち自民党へいっているもの、賛成と見ていいもの二万三百十二、反対が一万九千九百七十五票、この差は三百三十七票、しかしこの三百三十七票の差の中には、いまもって全国指名手配を受けている者があります。逃亡しているのです、候補者自身がですよ。それから当選者の中にも違反者を出している者がたくさんおります。例をあげろと言うなら、名前をあげてもよい。われわれにはそういう者は一人もおりません。したがって、この三百三十七票の差というものは、数においては確かに三百三十七票多いと理解できるけれども内容においてはそんなものではない。それからこの間成田市で一名一区で県会議員の選挙を行なった。これは賛成と反対、明瞭に分かれた。しかも反対派が四千票に近い差をもって勝っている。この点が一つ。それから市会議員の選挙でも、反対同盟の戸村君は、いやがるのを選挙のまぎわになって引っぱり出された。これは空港絶対反対以外の者は持ち出せません。そうして少なくとも高点者は四名おる。八百票以上の高点者四名の中に入っておるわけです。したがって、この問題について関係地域の住民投票を、あなたのほうでもう一度やるだけの考えはないか。住民投票に訴える。空港を成田市につくるかつくらないかだけを掲げた住民投票に訴えて、地域住民の総意を聞くべきである。そういう前提を行なわないで、富里でだめだ、霞ケ浦でだめだ、浦安でだめだ、そうして成田だ、三里塚だ、おまえのほうだといった押しつけ方は、地域の住民は反発は感じても、賛成に回る条件はありませんよ。その点どうなんですか。あらためてこの点は航空審議会の答申にかえって、そうしてもう一つは、内部の問題として関係地域住民に空港の問題について正確な資料を出して、そうして地域住民の住民投票に訴えるべきである、そうして出直すべきだと考  えるが、その点どうなんですか。
  159. 澤雄次

    ○澤政府委員 地元の住民の方には、先ほど小川先生から御指摘のございました点もお伝えいたしまして、公団の役員の方に一人一人地元住民に会って御協力を得るようにお話し合いをしてもら  いたい、このように思っております。
  160. 小川三男

    ○小川(三)委員 総裁以下、一人もやっていませんよ。現地でですよ。現地というのは千葉県庁でもなければ、知事が当事者でもないのです。成田の市長じゃないのです。現地というのは飛行場のどまん中の人たちをさすのです。その人たちとだれが会っています。もうすでにこの七月がくれば一年になろうとしているが、一人の理事だって現地へ入ってきた者ないでしょう。それは黙って通ったかもしれませんよ、県道か何かを。そんなことは入ったことにはならないです。少なくも現地の団体と話し合うことなど、一回だってやってないでしょう。そうして隠密みたいな架空の団体をつくって、ビラをまかしている。これはもう公団がやっているに間違いないです。そんな資金ありませんよ、ほかの者は。だれがそんな資金出しますか。それと、もっとあなたのほうが正確に把握しなければならないのは、条件派にしても原則的には反対である。どうしてもということであるならば、これだけの条件をのまなければだめだ。あるいはもう一つ団体は条件つき反対なんだ、こう言っておるのです。これは反対なんですよ。成田の市民の声を聞いても、そのとおりですよ。あの人たちは、商売や何かやっておる市民の人たちは、国際空港には反対だという立場をとっておりますが、いろいろ営業に差しつかえるから自分の反対の意思表示はしません。そういう点が一つ。それから、かばんを下げて土地ブローカーや土建屋の手先みたいな連中が空港問題、空港問題と騒ぎ回って歩いておる。こんなものは彼らのふところにつながる仕事なんですよ。そんな者の情報を聞いて、これが地元の大地に立って働いておる農民の声であると考えたら重大な誤りです。成田総裁に聞きますが、このまま現地を権力をもって強制立ち入りをやるような事態があるならば、流血の事態が起こることは明らかです。これを言っておきます。しかも何です、あなたのほうで最初から警察権力を使うと言っておるでしょう。用地部の次長に根本信介、纐纈彌三さんを今度監事か何かに据えておるでしょう。こんなことで警察権——しかも、地元の警察もそのとおりです。やる気十分というような態度でいるでしょう。何かあれば反対同盟を警察へ呼んで警告、警告とやっておるでしょう。こんな農民を追い詰めるようなことで、どうしてこの事態の解決ができますか。一人の理事といえども現地へ入ってきてはいないでしょう。こんな無責任な人たちは、この一年間何をやっていたのだ。そしてこんなよけいなパンフレットを現地にばらまいて、この問題は成田さん、あなた重大な責任がありますよ。しかも飛行機の問題について、騒音が何でもありませんなんというようなことを言い切るということは許さるべき問題じゃないですよ。これはあらためて運輸大臣に、任命した責任を追及するつもりです。それだけ申し上げて私は終わります。
  161. 久保三郎

    久保委員 関連。これは政務次官に、公団の人事のことですが、いま小川委員の発言によれば、纐纈彌三という何か元政治家かそういう人を任命したり、それから何か警察の人を任命したりしておるようですが、そういう人事はだれがきめるのです。これは法制上からいえば総裁が任命することになっておるのだが、こういう人事はどうも明朗でない。と同時に、言うならば挑発的な人事だな。こういうものを改めないで、そういうものがいいのだということでやっておる。私はこれは問題があると思うな。地元の千葉県の警察にしたってそうでしょう。そういうのを入れたり、なお聞けば周辺の警察署長は警備方面のベテランを配置したそうだな。こういうのは偶然だとはとても言えないと思う。これはやる気十分といういま話があったが、やる気十分。これは成否はかわらぬ。いまあなたらが予定されておるところに空港ができるかどうかというのは、努力の結果できる場合もあるしできない場合もある。最初からぜがひでも、もうこのままではだめなんだ、だから警察の関係も配置をして、そうしてやるにしくはないというようなことでは、これはもう空港一つの問題じゃない。きょうは政務次官いらっしゃるから、政府を代表して、そういう人事は何でやったのか。それから公団総裁も来ておるから、公団総裁は何でそんな警察など入れたのか聞きたい。大体、公団のおもだった職員の前歴を全部出してもらいたい。
  162. 金丸信

    ○金丸政府委員 先ほど小川先生からいろいろお話もあったことでありますが、先ほど来から、政府といたしましても、あるいは公団といたしましてもできるだけ話し合いをしていただいて、円満にこの問題を解決いたしたいと考えておるわけでありますが、先ほど、流血の惨事があるかもしれぬぞというようなお話もあるようにも私もときどき耳にいたしておるわけでありますが、そんな事態になってはとんだことでありまして、ぜひひとつ小川先生にもお願いし、あるいは千葉県選出の先生方にもお願いするわけでありますが、ぜひひとつ現地の農家の人たちと話し合いのできるような状況をつくっていただけるように、私のほうでも十分考えるわけでありますが、御指導願えれば非常に幸いだと考えておる次第であります。あくまでも話し合いでこの問題を解決いたしたい、こう考えておる次第であります。  なお、ただいま久保先生からお話がありました人事の問題は、監事については公団できめるわけでありませんで、運輸大臣が任命をいたすわけであります。この人事の問題につきましてもいろいろお話があるようでありますが、人事という問題はなかなかむずかしい問題であります。今後とも十分注意をいたしまして御期待に沿うようにいたしたい、こう考えております。
  163. 久保三郎

    久保委員 監事はどうか知らぬが、警察の人をきめるなんというのは運輸大臣がやるわけじゃない。その点纐纈彌三氏の問題はまた違った見方があると思うのです。あるけれども、どうも何かやる気十分でもあるようだし、便宜的な人事でもあるようだし、これはうしろ向いたり前向いたりの人事であって、こんなことでは残念ながら地元の諸君が協力しても、私はできないんじゃないかと思う、この人事では。前向いたり、うしろ向いたり、横向いたり、そういう人事の責任は政府が当然負わなければならぬと思うのですね。
  164. 金丸信

    ○金丸政府委員 人事の問題については全くむずかしい問題でありまして、今後理事の任命等につきましては十分公団とも話をいたしまして御期待に沿うようにいたしたい、こう思います。
  165. 細田吉藏

  166. 水野清

    水野委員 私は主として近く予想されているといわれる強制立ち入りについて、公団及び運輸省に伺いたいわけです。  まず第一に、公団側から、測量について強制立ち入りを近いうちにする予定があるのかどうかということを承りたいわけであります。
  167. 今井栄文

    今井参考人 立ち入りの問題は、先ほど小川先生のときに御答弁申し上げましたように、知事のごあっせんによりまして昨日地元の方々、代表の方々、二団体十名ずつおいでいただきまして、非常に友好裏にいろいろなお話し合いをいたしたわけでありまして、今後そういうふうな知事のあっせんによる話し合いを続けまして、地元の、特に敷地内の地主の方々の御了解を得た上で入りたい、かように考えております。
  168. 水野清

    水野委員 立ち入りをする前にですか、知事のあっせんだけをたよりにしていかれるのかどうか。ほかに手はないのですか。
  169. 今井栄文

    今井参考人 知事のごあっせんと言いましたが、知事が地方公共団体の最高の責任者の方でもございますし、知事さんにお願いするということがたてまえ上当然だと思いますけれども、それ以外に地元出身の先生方にもぜひお願いいたしたい。それからまた公団自体として、現在成田に約六十名程度の職員を派遣して勤務さしておりますが、そういった連中も直接地元の方にお会いする、あるいはまた私にも会っていただければぜひお会いしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  170. 水野清

    水野委員 私は実はこの空港の予定地になっておりますすぐ近所に住んでいるわけですが、私の見るところでは、公団や社会党の方々と意見が違うかもしれないが、空港に対する農民の感情というのは、私は、まず条件とか地元対策ということ一が先行すると思う。このことについては本日は運輸省しか見えておられないので、いずれかの機会に御質問したいわけですが、御承知のように農民というのは、空港ができるからその地域社会が繁栄するのだというような理論をただぶっつけていっても、わかってはもらえないわけであります。そして現在の航空事情から成田に空港をつくるということはやむを得ない、もはやどうしてもこれを拒むことができないというならば、成田周辺の地域社会というものが今後大きな変革が要求されるわけであります。その変革の中で、地元の主として農業、商工業、中小企業関係の人たちがどういうふうにこの大きな波を乗り越えていくかということに、非常にみな関心を持っておるわけであります。この関心が、いきなり強制測量という形で出てくると、一部においてはやむを得ないというような条件賛成あるいは条件反対という立場の人たちが、逆に反対になっていく可能性があると思う。たとえてみると、成田周辺のいまの民心というものは高山の気候のようなものであります。実に変わりやすい。非常に変化しやすい。先ほど小川委員からもお話がございましたけれども、公団や運輸省のものの言い方一つで、一夜にして空港敷地内の感情というものが変化する。そういう意味で、これは公団法による権限ではないかもしれません、それぞれの各省の責任範囲は明確にしていただきたいのでありますが、同時に地元対策というものを具体的に早く手を打っていただきたい。このことについてどういうふうにお考えか。
  171. 澤雄次

    ○澤政府委員 地元対策につきましては、先生も御高承のとおり、昨年の七月四日に閣議決定をいたしまして、その閣議決定でお約束したことは必ず実施するということで、いま関係各省で作業を進めております。また実際に、四十一年度に臨時に調査費もつけまして、調査できるものは調査を進めておるわけでございます。それから最近に至りましてまた、閣僚協議会におきましてこの七月四日の閣議決定を促進するということで、関係各省で作業を進めろということで目下対策を進めておるわけであります。
  172. 水野清

    水野委員 その具体策が地元に浸透する以前において強制測量をやりたいというような、この辺の時間的な問題は公団側としてはどういうふうに考えておりますか。
  173. 今井栄文

    今井参考人 地元対策につきましても二つの種類があるのではないか。一つは、千葉県全体の今後の発展のために北総開発を空港建設を中心として進めるという考え方から、道路とか鉄道あるいは用排水の問題、畑地かんがいの問題、こういう問題がございます。もう一つは、もっと切実な地元の方々の希望である、たとえば用地買収の価格の問題であるとか、あるいは代替地造成並びにそれに対する営農施設あるいはまた代替地の配分の問題それからまた小作人の権利をどういうふうにして保護していくかという問題、それから先ほども質問がございました、騒音地域に対する施策をどう進めるかというふうな問題、騒音地域の問題は、これはまた全体の開発計画とも関連してまいりますけれども、そういうふうに若干身近な問題と、それから全体としての将来の開発の問題と二つあると思います。実は昨日地元の対策部落協議会並びに地権者会、両地元のいわゆる条件派の方々との会合においてそれぞれ熱心な、先生のおっしゃるいわゆる前提条件としての比較的身近な問題についての御要望がございました。これに対して私どもとしては責任を持って、できるものはできるし、それからこういう点は無理だというふうなものは無理というふうな意味におきまして回答を近くつくりまして、今週中にも、あるいはおそくとも来週の月曜日までにはそういう回答を、それぞれの条件派の方々のところへお示しいたす、その上で測量をすることについて一応了承を得られる得られないという問題になるわけでございまして、この点について第二回の会合を、対策部落協議会とは十七日、それから地権者会とは十九日に行なう、こういうことでいっております。私どもとしては、先生がおっしゃるようないわゆる地元対策というものについて、やはり地元の方々に対しては、私どもが立ち入りをする前に、いま言った少なくとも身近な問題については御了承を得よう、こういうふうに考えております。
  174. 水野清

    水野委員 そうしますと、知事のあっせんによる話し合いによって住まれてきた要望に対して、公団で中心になって地元対策をまとめる。まとめたものを地主及び周辺地域の人たちに提示して、その上で測量を始めようというわけですか。
  175. 今井栄文

    今井参考人 そのとおりでございます。
  176. 水野清

    水野委員 実はこれは、そうでなければいいがと思っている私の予想でございますが、この空港周辺地域の状況というのは、さっきお話し申し上げたように、高山の天候のように一夜にして変わりやすい、その条件次第では、私は、かって東京の都下で起こった砂川事件のように、いわゆる空港の反対派と強制的に測量をしようという公団側との間で暴力事件が起こって、流血の惨事を起こすようなことになり得るのじゃないかというふうに心配しておるわけです。現在反対している人たちもおりますし、きょうここへ傍聴にも来ているようでありますけれども、この人たちは思想的に反対をしているのではない。一部には思想的に、成田空港が将来軍事基地になるだろうとかいうような宣伝を聞いて、そういうことを信用して騒いでいる人もおりますけれども、大半の人は生活問題として、経済問題としておびえているのだというふうに私は理解しているわけです。その人たちの気持ちをよくくみ取っていただいて、特に公団側としてはそういう人たちと個々に会って、大ぜいと会いますと、公団側としては会いたいのかもしれませんが、何も一対一でやみ取り引きをやれということでなくて、落ちついて自分たちの生活の内容を提示し、公団側も出せるだけの、それに対する答えを出して、話し合うという、静かに話し合う場所をつくってやる。ともすると、農民が大ぜい集まって、そこへ職業革命家が出てきてアジる。そうすると結論としては、言いっぱなしの聞きっぱなしになってしまう。私は過去三、四年における八街、富里地区における問題もさようだと思う。特に最近においてはむしろ八街、富里地区は空港を持っていくというだけで過去三、四年大騒ぎをさせられ、結論としてはよそへ持っていった。そうして賛成派と反対派というものの地元の対立感情だけが残ってしまった、自分たちはばかを見た、むだな金を使った、県庁まで行って、追っ払ってよかったという人もあるかもしれないけれども、くるはずだと思って銀行や農協で土地を担保に金を借りて使ってしまったという農民が多いわけです。私はこういう問題についても、もちろんこれは私どもいわゆる政党関係者の責任ということもあるかもしれません。同時に、私はやはり国の行政の失敗であったと思う。これは運輸省によくおわかりいただきたい。この地域に対してもしかるべき手を、公団よりも運輸省が手を打っていただくことが、やはりこの成田地区における農民の安心感をつくるのだと思うのです。砂川のような流血事件を起こさないように、ひとつ関係当局で御協議いただきしまて、すぐ警官隊を出して強制測量をやるというようなことが起こると、うまくない、よくお願いを申し上げておきたいと思うのございます。  それからさらに、これは私は国会の情勢がよくわからないのでございますが、委員長にお願いしたいのでございますけれども、この強制立ち入りをやる前に、各党から調査団を出していただいて、それに関係当局も付随いたしまして、そうして地主、農民、その周辺の人たちとのいわゆる話し合いをするようなチャンスをつくっていただきたい。現在の調査団を私拝見しておりますと、自民党だけの調査団があったり、あるいは社会党だけの調査団があったり、えてしてこういう行き方は、お互いに自民党、社会党の自分たちの政治的な立場を守り、あるいは政治的な宣伝を進めるというような行き方が多いわけであります。むしろ地元農民のためには、私は政治が介入しないほうがいいんじゃないかと思う面もあるわけであります。政治が介入しないということは、逆にまた今日考えられないことでございます。すべて国会に議席を持っている政党がこれに参画して、地元に調査団を送って、地元の人たちの意見を聞いていただく、そしてもう一度この運輸委員会なりほかの委員会に持ち込んで、その上で測量を進めていただく、このほうが私は将来重大な事態が起こらないと思うのであります。この機会にここから委員長その他関係者にお願いしたいわけであります。  それから、実は私も突然あれだったものですから、補償内容につきまして、具体的にもう少し伺いたいのでありますが、きょう御出席の顔ぶれがあまり関係者が少ない。運輸省だけだものですから、いずれ運輸委員会の機会にお願いしたいのでありますが、農林省、建設省、労働省、これは中高年層の農民の就業対策、それから学校その他の問題について、保育所、厚生施設、幼稚園、そういった問題で厚生省、文部省、そういったところ、さらに税制の問題については大蔵省といった関係者に出席をいただきまして、上下水道の問題なんかもニュータウンをつくる上下水道の問題でありますが、そういった構想といいますか、将来のプランというものをこの委員会において、これは運輸省が中心になると思うのですが、責任を持って一応提示していただきたい。そして新しい社会の進化があるわけであります。その進化の中で農民が大きな波におぼれないのだ、あるいはその地域の中小企業者たちがおぼれていかないのだということを明示していただかなければ、私は空港をつくること自体がうまくいかないと思います。またそういうことが明示できれば、私は意外に進捗するのかもしれないと思っているわけです。次の機会に私は質問さしていただくことにいたしまして、きょうはこれで終わらしていただきます。
  177. 細田吉藏

    細田委員長代理 ただいまの水野君の御意見のうち、調査団派遣の問題につきましては、理事会において協議をさしていただきます。  また、関係各省の出席要求等につきましては、委員長において善処いたします。
  178. 金丸信

    ○金丸政府委員 お答えいたします。ただいまのお話につきまして、砂川事件その他いろいろ事件がいままであったわけでありますが、前者の轍を踏んではならない、御指摘のとおりだと私も考えておるわけでありまして、なお、農家の方々にあたたかい前向きの姿勢でまじめに交渉をいたしてまいりたい、いわゆる血の通う行政をやってまいりたい、こう考えておりますので、ぜひひとつ先生方の御支援を心からお願い申し上げる次第であります。
  179. 細田吉藏

    細田委員長代理 次会は、来たる十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会