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佐藤(達)
政府委員 ただいまの勧告時期の問題につきましては、私どもとしては、現在のやり方をもってする限りは絶対に
完全実施はできないものだというふうには、毛頭考えておりません。しかしながら、この勧告時期をさらに
改善することによって
完全実施がしやすくなるということであればこれにこしたことはございませんので、そういう虚心たんかいの立場において、
政府あるいは与党においても十分この点については御検討いただきました。私どものほうも一緒に参加させていただいて知恵を出し合ってまいったのでございますけれども、どうも遺憾ながら今日まで名案はないということできております。
そこで、いまお尋ねの、現在の
制度がなぜこういうやり方になっておるかということだけをごく簡単に御了解願っておきたいと思いますけれども、御承知のように、日本の場合における一般の賃金の上昇と申しますか、賃金の変更の時期は、大体春でございまして、春闘ということばが一般に用いられているとおりで、春でございます。私どもは、
公務員の賃金というものは民間
給与に見習っていくということが、少なくとも今日の事態においては適当であろうという頭を持っておりますから、結局民間賃金追随主義のたてまえをとらざるを得ない。そうしますと、いまの賃金上界時期が大体四月、五月、春でございますために、私どもとしてもその時期をめどにいたしまして民間の
給与を調べる、そして格差を発見いたしまして、その格差を埋めていただこうということでまいりますものですから、やはり調査の起点が春となり、さらにその時期にさかのぼって埋めていただこうということになるわけでございます。ところで、勧告作業というものが、空に計算するわけではございません、六千数百の民間事業所に克明に当たっての結果の集計によってはじき出すものでございますから、今日のあらゆる機械力を動員いたしましても、どうしてもそういう作業が完結いたしますのは夏になってしまう。したがって、八月勧告、八月から五月にさかのぼっていただきたいという形にならざるを得ない。しかし、一方先ほど申しましたように、その間においていろいろの御批判がございますから、われわれとしては御批判を承って検討をしてまいったわけでございますけれども、先ほどのように、現在のところ名案はない。さらに、私どもは名案があればという態度は捨てておりませんけれども、そこで今日私どもが名案がないというままでほうっておいていいかどうかという点につきましては、やはり予算の組み方の問題が一つ残っておるのじゃないか。われわれの一番手近に考えております公労委の仲裁裁定が、新年度早々、新年度に入って間もなく下る、そしてそれが補正予算も何もなしに四月にさかのぼって過去十年ばかり完全に実施された。お金の額も決して少ない額ではないので、数百億のお金がころっと補正もなしに予算のやりくりだけで出ておる、これはどういうわけだろうという点に素朴な疑問を持ちまして、
公務員の
給与の場合についても、翌年度の賃金の上昇がある程度測定されるならば、それを
政府当局、企画庁なり大蔵省あたりで一応御勘案いただいて、何らかの形で当初の予算にそれだけの含みを盛っておいていただくべきじゃなかろうか、その方法は一つあるのじゃなかろうか。幸いにこの内閣
委員会におきまして過去二回、この
給与法案の
審議の際に附帯決議をいただいた。その附帯決議の御趣旨も、予算上、財政上の措置に遺憾なきを期するようにということがうたわれておりますので、私どもとしては、いま申しましたような趣旨もその附帯決議の中には当然含まれておるのじゃないかと、非常に心強く考えておる次第でございます。当面はそのほうで
政府当局にお願いしてまいっておるわけでございます。