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1966-11-10 第52回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    十月十八日  次の委員会開会要求書が提出された。   商工委員会開会要求書  通商産業基本施策に関する件、その他の諸問  題を早速に審議する必要があるので衆議院規則  第六十七条第二項の規定により直に商工委員会  の開会を要求致します。   昭和四十一年十月十八日  衆議院商工委員長 天野公義殿             商工委員 板川 正吾                  加賀田 進                  中村 重光                  石野 久男                  大村 邦夫                  五島 虎雄                  桜井 茂尚                  沢田 政治                  實川 清之                  島口重次郎                  田中 武夫                  田原 春次                  山崎 始男                  麻生 良方                  栗山 礼行                  加藤  進 ————————————————————— 昭和四十一年十一月十日(木曜日)    午後零時一分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 小平 久雄君 理事 河本 敏夫君    理事 櫻内 義雄君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君      稻村左近四郎君    小笠 公韶君       神田  博君    黒金 泰美君       佐々木秀世君    進藤 一馬君       田中 六助君  早稻田柳右エ門君       石野 久男君    五島 虎雄君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    田原 春次君       麻生 良方君    栗山 礼行君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     北島 武夫君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業事務官         (通商局次長) 原田  明君         通商産業事務官         (企業局長)  熊谷 典文君         通商産業事務官         (重工業局長) 高島 節男君         通商産業事務官         (化学工業局         長)      吉光  久君         通商産業事務官         (鉱山局長)  両角 良彦君         中小企業庁長官 影山 衛司君     ————————————— 十一月十日  理事田中武夫君同日理事辞任につき、その補欠  として加賀田進君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  通商産業基本施策に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についておはかりいたします。  理事田中武夫君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいま田中武夫君が理事辞任されましたのに伴いまして、その補欠選任を行なうのでありますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、加賀田進君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 天野公義

    天野委員長 通商産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。
  6. 板川正吾

    板川委員 台湾バナナ輸入問題について続けて質問したいと思うのですが、この問題は、われわれどうも調べれば調べるほど黒い霧が広まっていく、こう思うのです。われわれがこの問題をこうして追及するのは、バナナがたいへんもうかるからという意味で追及しているのではないのです。それからまた、この取り扱いが違法だからけしからぬという意味でもない。しかし、政治家法網をくぐって、合法の仮面のもとにぼろいもうけをしておるというようなあり方に利用されているところに問題があるのではないか。これが問題だ。政治家というのは金がかかるから、それくらいの程度はやむを得ないんだというなら、金のかからない政治をやるべきで、金がかかるからこういう法網をくぐってぼろいもうけをしていいということにはならないと思うのです。そういうバナナ輸入問題をめぐって黒い霧があるので、これを明らかにしていくべきだということで、私は再度質問に立ったわけであります。  まず第一に、私は、通産官僚の態度に問題があると思う。これは、われわれは法律のとおりやっているんだ、法規に従ってやっておるんだ、別にわれわれは悪いことをしたわけではない、悪かったら法律を直したらいいじゃないか、こういうことであります。結局、国民疑惑を解くよう問題を真剣に考えようとしない。めしを食ったのはおれじゃない、こういう考え方の上に立っているから、真剣にこの問題に取り組まないのではないかと思う。  そこで私は、前に申し上げたペーパー業者実態なるものを一つ二つ申し上げて、大臣にとくと承知してもらいたいと思う。それは、この前は委員会名前をあげないでくれという要望自民党理事からあり、あげるならば委員会を開かないぞというようなことも言うものですから、私は、この前は実は質問をするつもりではなかったものですから、あげなかった。しかし、その後参議院で問題になった点について触れて掘り下げてみたいと思うのです。  そこで、参議院で六人の政治家バナナ貿易輸入会社との関連を持っておるということを言われたのですが、その後この問題について調査をいたしましたか。調査をしたとすれば、どういう結論が出たのか。これは事務当局でいいです、時間がないですから簡単に。
  7. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、こういうバナナ問題でときどき委員各位にお手数をかけるような、こういう姿はよくない、バナナ問題を明らかにする、こういうことで、国民にもこれは黒い霧というような抽象的なことばで、いかにも中には不正が行なわれているというようなことは、政治の名誉のためにも解明しなければいかぬ、こういうことで、いま徹底的に調査をして明らかにしようということで、事務当局指示をいたしておるのでありますが、板川さん御承知のように、これはなかなか複雑な問題ですから、指示してまだ一週間くらいですか、だから多少の時間がかかって、いま事務当局ですべて大臣指示に従って明らかにしましたというお答えをする段階には至っておりませんが、これは明らかにしたいという考えでございます。
  8. 板川正吾

    板川委員 それでは伺いますが、この問題になりました大亜産業株式会社、これが前議長船田中氏と関係があるかないか、この点参議院でも質問があったと思うので、これについて簡単にどういう関係があったのか伺いたい。
  9. 原田明

    原田説明員 お答え申し上げます。  大亜産業蓮実進さんという方が取締役をなすっていらっしゃいます。大亜産業関係調査では、それだけしかわかりませんが、国会関係のほうの便覧その他を拝見いたしますと、蓮実進さんは船田中先生秘書をしていらっしゃるということでございます。
  10. 板川正吾

    板川委員 大亜産業というのは、船田さんの秘書蓮実進というのが代表取締役会社である。そこで伺いますが、この大亜産業に対して輸入実績は、いつから、どのくらいありましたか。
  11. 原田明

    原田説明員 去年の七月−九月間に二千六百四十六かご、四十一年一月−三月期間に二千百九十六かご、四十一年四月−六月に二千六百三十六かご並びに三千三百二十九かごと、これは二回にわたって割り当てが行なわれております。それから本年十月−三月に四千百四十九かごでございます。これのもとになります三十九年の実績が一万三千三百四十かごであります。
  12. 板川正吾

    板川委員 その大亜産業が、最近バナナ輸入に関する事業を同じ大亜通商というものに譲渡したというのだが、それはいつですか。
  13. 原田明

    原田説明員 大亜産業から本年七月二十五日付をもちまして、営業権の一部たるバナナ輸入から販売に至る一切の権利を大亜通商株式会社に譲渡した旨の届け出が出ております。
  14. 板川正吾

    板川委員 それでは譲受した大亜通商というのはどういう会社ですか。いっできた会社ですか。だれが取締役になっておりますか。
  15. 原田明

    原田説明員 取締役二宮正之という方であると記憶しております。設立年月日は、いま資料を見ておりますので、わかり次第直ちにお答え申し上げます。
  16. 板川正吾

    板川委員 大亜通商というのができたのが七月七日、登記は。
  17. 原田明

    原田説明員 七月七日でございます。
  18. 板川正吾

    板川委員 それでは、この権利を譲渡した場合に、通常どれくらいの金が動くかわかっておりますか。
  19. 原田明

    原田説明員 わかっておりません。
  20. 板川正吾

    板川委員 これは、この前も言ったとおり、大体三年間くらいこういう割り当て制度が続くだろうというので、一かごについて千円、三年間分ですから三千円、一かごについて大体三千円くらいの金が動く、こう言われておる。三千円なら買いであって、五千円ならどうもこれは高過ぎるということのようであります。  そこで伺いますが、事業を売り払った大亜産業というのは、その後どういうことになっておりますか。
  21. 原田明

    原田説明員 バナナのほうは一切やっておらないものと了解をいたしております。
  22. 板川正吾

    板川委員 バナナはやっていない……。
  23. 原田明

    原田説明員 ものと了解をしております。
  24. 板川正吾

    板川委員 やっていないじゃない。会社は八月二十日に解散してしまったのだよ。大臣、こういうふうにいまのずっとやりとりで御承知のように、大亜産業という船田さんの秘書代表取締役をやっている会社、これは、この会社台湾からバナナ輸入割り当てをもらって輸入する、そうして今度輸入組合ができて名簿が明らかになると、だんだんうるさくなるということを察知しまして、最近に至って、これを大亜通商という名前産業通商が変わっただけで、おそらく経営者名前は変わっておりますが、実態はそう変わらないのじゃないかと思っておりますが、とにかく大亜通商という会社に譲渡した。大亜通商というのはいつできたかというと、この七月にできた。新しい会社をつくって、そこへ権利を譲渡した。そして古い大亜産業というのは、この八月に清算した。会社は解散しておりますね。おそらくこれは実際に商売やってないですよ。まさにペーパー業者です。こういうのが幾つもあるのです。  それから、一体、この大亜産業割り当てをもらった経過というものを通産省は調べたことはありませんか。聞いたことはありませんか。
  25. 原田明

    原田説明員 昭和三十八年と三十九年は、日本側においては自由化をいたしております。したがいまして、申請があれば自由に割り当てをいたしております。したがいまして、その台湾側からのオファーをどのようにして各社がお取りになったかということは一切存知しておりません。
  26. 板川正吾

    板川委員 三十八年自由化しましたね。日本自由化したのですが、向こうはまあ統制をした。ですから、日本バナナ輸入するためには、台湾からオファーをもらわなくちゃ輸入はできない。この大亜産業上田清ともう一人は水谷文一、どちらも取締役で、水谷代表取締役上田清は、上田さちという女の名前、これはたぶん奥さんだろうと思うのですが、その主人だろうと思う。上田清と二人が三十九年に台湾に行った。台湾に行って、当時台湾バナナが非常に増産をされておって、ぜひ日本でもっと買ってもらいたいところだった。そこで台湾の要人と会ったときに、バナナ日本に大量に入るためには関税を引き下げてほしい、七〇%は高い、五〇%ぐらいにしてもらいたいという要望だった。その関税を引き下げるためには国内でいろいろの運動のしようがある、ということで、割り当て権をもらってきた、こういう事実だろうと思う。そうして割り当てをもらって、それで三十九年末ですか、四十年二月にはすでにバナナ輸入をとっておる。ところが四十年三月に、台湾バナナ業界の首脳が十二、三名日本へ来ている。日本に来て、船田衆議院議長公邸接待を受けている、こういう事実がある。ところが、参議院でこの船田さんの問題が取り上げられたときに、船田衆議院議長蓮実秘書がどういうことを言っているかというと、こう言っていますね。船田中前衆議院議長は、これは十月二十七日の日本経済新聞ですが、「蓮実君は私の秘書だが、大亜産業とか、そういう会社関係しているなどということは全く知らない。まして台湾バナナ関係しているなどということも私の全く知らないことだ。」こう言っておる。それから秘書はどういうふうに言っているかというと、同じく二十七日の朝日新聞で「船田中代議士秘書蓮実進氏の話友人から頼まれ、大亜産業という会社の役員に名前を貸したことは覚えている。しかし、同社がバナナ輸入していることや、私が代表取締役になっていることは知らなかったし、配当などももらっていない。船田先生はご存知ないことだ。」こう言っておりますね。全く御存じないなら——三月、日にちは八日から十日の間だそうですが、台湾バナナ業界連中船田さんのところへ来て、そしてそのときにおそらく、大亜産業というのは蓮実何がしの名前になっておりますが、これは実際は議長がやっておるのです、そうして、関税引き下げのために今後努力します、よろしくお願いします、ということであったと思う。事実、関税を五〇%に下げようという動きが自民党にあり、そしてその後農民団体反対運動によってもとに戻ったという事実があるのです。そしてまたこの台湾バナナ業界の面々十名、これは名前を言ってもいいですが、台湾青果公会、これは業者団体ですが、ここの理事長の王諸回、あるいは台湾省青果運銷合作社聯合社、これはやはり生産団体ですが、首席理事の謝敏初、省農会の留金約、台湾青果蕉聯営委員会幹事路国華、こういう連中を引き入れて議長公邸接待をしておる。しかもこの席上に蓮実水谷も当然打ち合わせをして参加しておるですね。しかし、そういう事実があるにかかわらず、新聞になると、これはおれは知らぬ、秘書のことだ、秘書友人のことだ、友人はまただれかのやったことだろう、といってみんな責任を他になすりつけて、そして、あるなら証拠を持ってこい、こういうことが私はいまの保守党政治家モラルになっているのじゃないか、こう思うんですね。自分責任を感じないで、秘書責任にする。荒船だって、あるいは上林山だって、みんなそうじゃないですか。全部名前秘書で、秘書がやったんだ、おれがやったんじゃない、若干配慮が足りなかった、こう言っている。そうして秘書はどうかというと、友人がやったんだ、名前を貸した覚えはない、事実が明るみに出るまではみんなそう言ってごまかしておるのです。私は、こういう政治家モラルの低下というのが今日の国民政治不信の原因をなしておるのであって、こういう点は根本的に改革をさせなければならぬじゃないか、こう思うのですが、大臣はどう考えていますか。
  27. 三木武夫

    三木国務大臣 その具体的なことについては私は存じませんので、いろいろ板川さんが御指摘になったことについてはお答えの限りではないと思いますが、しかしやはり政治家責任を持つということは私は非常に大事だと思います。したがって、将来に向かって責任を持てない行為はやらぬ、そうしてそういう疑いを受けるようなことはやはり行動を慎むということは、これは政治家モラルとして、その点は板川さんと同感であります。いろいろ具体的なことについては初めて承ることで、それにお答えはいたしかねますが、原則論として、あなたの言うことと私は全く同感であります。
  28. 板川正吾

    板川委員 大亜産業から大亜通商にくらがえするときに業界でこういう話があったそうです。船田さんが業界から足を洗うのは困るのだ、なぜなら、彼が業界に入っておれば金を使わなくても運動を頼める、業界から足を洗うと、今度はものを頼むときに金を積まなくちゃならない、だからほんとうはこれは名義書きかえさせないほうがいいのだということを言っておったそうでありますが、この輸入組合名簿を見ますと名前は変わっております。代表者も変わっております。しかしこの買い取った大亜通商という会社代表取締役というのは、全芭連事務局長です。全国芭蕉加工連盟ですか、全芭連事務局長二宮正之という人です。事務局長が私財で何千万も払って株券を買ったわけじゃないと私は思う。おそらくこれは世間の目をごまかすための名義の変更にすぎないだろう、こう思うのですね。こういうくらい、まあバナナにはいろいろの保守党政治家関係しておる。  そこで、もう一つ私は問題にしたいと思うのですが、三興商事株式会社というのが輸入組合名簿にありますが、この三興商事株式会社というのはいつできて、代表者の氏名はどういうのですか、それを知らせてほしいと思います。
  29. 原田明

    原田説明員 三興という字は三つの興きるという字を書く商事でございまして、これは千代田区永田町にある会社でございまして、代表者謝哲信という方でございます。
  30. 板川正吾

    板川委員 現在の代表者謝哲信という方です。代表取締役、これは最近かわったんです。前の代表取締役はだれかというと、私が会社謄本をとったところによると今松治郎である。そしてこの謄本によると、四十一年十月二十一日、すなわち私がこの前に、十月十八日に当委員会で問題にもして、この輸入組合名簿衆議院名前が出ておって、そしてそれはかえって先生まずいんじゃないですかといって注意をされ、あわてて名前謝哲信にかえて出したという趣旨のことを私は会社名前に触れずに言ったわけです。ところが、その取り上げた三日後には、これはいかぬということで、今松治郎代表取締役は十月二十一日に辞任して、そして謝哲信なる者が十月二十一日に代表取締役にかわっている。これは大臣資本金百二十五万円です。大亜通商というのは三千万円。三千万の会社、百二十五万の会社、これはみんなペーパー業者ですよ。まだ幾らでもありますよ。永興産業、二百万の会社、とにかくこういうペーパー業者が大体六百七十五社のうち半分近くいるというのです。紙だけでもうけているのです。紙だけで食っているのです。しかもそれは、多くは政治家につながっている。こういう事実がある。こういう実態法律にあるのだから、法律に従っていればわれわれはいいのだ、こういうことだけでは、私は通産行政として黒い霧を晴らすわけにいかぬと思います。何かこれに関する改善の方法というものを、大臣どう考えていますか。
  31. 三木武夫

    三木国務大臣 これは通産省としての行政としては、法規を守り、そして合理的な基準を算定して、そうしてやるよりほかにはない。やはりこういうものに対して、その内容というものに国民がいろいろな疑惑を持っておるとするならば、その実態調査をすることと、もう一つは、いまやっておること、これが最善だということではないわけですから、いろいろな弊害もあるわけです。こういう点で、何かもっと明朗なものにする方法にないかということで、私は二つのことを指示した。実態調査することと、いままでのやり方というものをもう少し根本的に改革するようなことの方法は考えられぬであろうか。いままでやっておること、これは一つの合理的なものだと思いますよ、いまのところでは。しかし、もう少しバナナ輸入を明朗にするために何か改革余地はあるのではないか。この二つ事務当局指示をしておるわけでございます。これに対しては、何らかこれに対する私への報告があろうと思いますから、それを基礎にして、私自身としてもこれは十分に検討をいたしてみたいという心境でございます。
  32. 天野公義

    天野委員長 午後一時二十分まで暫時休憩をいたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後二時三分開議
  33. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について質疑を続行いたします。板川正吾君。
  34. 板川正吾

    板川委員 午前中の質疑でもわかりますように、われわれはペーパー業者実態なるものの片りんを見たと思うのです。ところが、この前の質問では、ペーパー業者というのはわからぬ、それは国としては手続きをとられれば、どなたもまともな商売をやったものだと思って、わからぬ、こう言われております。しかし実際は、調べてみれば、われわれもちょっと調べれば大体実態というものはわかる。私このバナナの問題を取り上げるのは、商工委員会でこの問題を取り上げないと、社会党も何だか変なうわさがあるように言われる。商工委員会で取り上げないのは、社会党にもあるから取り上げないんだろう、こういうことを言われますと、これは当分商工委員会バナナ問題を取り上げざるを得ないと思うので、ひとつその点を御了承願いたいと思うのです。  そこで、これは通産省次長でも課長でもよろしい、十月十八日の朝日新聞かに、そのバナナの黒い霧の問題をめぐって、革新議員に一千万円ほど金が流れて、何かの運動費として頼んだ、こういうような記事があり、当時私ども理事会をやっておったときに、自民党は、何を言うか、おまえたちばかりあまり質問するな、こうやって新聞にもあった、社会党にも関係がある、というふうな言い方をしておる。これの革新議員というのはどういう者であるか、通産省次長課長は知りませんか。
  35. 原田明

    原田説明員 その朝日新聞記事は、ただいま手元にございませんので承知いたしておりませんが、日本側に関します限りは、割り当て基準は明確でございまして、外部からのプレッシャーによりまして動くというような余地はございませんので、私ども革新議員とかそういうことを、どの議員の方ということと関係なく、そのような事実があるかどうかということは、全然承知をいたしておりません。
  36. 板川正吾

    板川委員 もう一つ伺いますが、実は私はバナナ問題を取り上げると、自民党議員からこう言われるのです。板川君 社会党にもバナナ関係しておる議員がいるんだ、だから君があまりそれをやると自分のうちにも火がつく、こう言われる。しかもその自民党議員自民党内における相当の有力者であって、そうして通産省の筋からそういうことがいわれていると言われておる。一体社会党バナナ議員があるというのは、だれとだれですか、それを明らかにしてもらいましょう。
  37. 原田明

    原田説明員 ただいまも申し上げましたとおり、私どものほうではそういうことを一切申したことはございません。
  38. 板川正吾

    板川委員 ある自民党の、しかも当選六、七回という大臣までやった人が私にしばしば言う、通産省次長課長に聞けばわかるんだ。だから、わかるのだというなら、どういう実情なのか、その実態をここで報告してもらったらいいだろう、こう思うのです。それは何党に属しようが、悪いやつは悪い。この際退治しなければなりませんから、明らかになるなら言ってもらいたい。
  39. 原田明

    原田説明員 先ほども申し上げましたとおり、私どものほうの割り当て基準というのは非常に明確にいたしております。外部からのプレッシャーによりまして動くというような余地のないものでございます。そのような意味におきましても、私どもはそういう事実は全然ないと信じております。また過去にもそういうことを申し上げたことは全くございません。
  40. 板川正吾

    板川委員 あるいは、自分のほうだけではぐあいが悪いからそういうデマを流す人がよくあるかもしれませんから、そうかもしれません。台湾バナナの取引問題をわれわれ聞いて考えるところによると、日本輸入商社なりがもし大陸と取引でも若干やると、このバナナ輸入というのは直ちに停止されるそうである。まして社会党は、党の方針として、中国に台湾は統一さるべしという外交方針を堅持しておりますから、社会党の国会議員ペーパー業者に顔を出しておれば、これは向こうでそういう会社とは取引しないということはすぐわかる。大体この国内における六百七十五社ですか、この輸入業者の中で、華商の業者あるいは混血、日本人と台湾関係の者と一緒に会社をやっている者がどのくらいあるか、そういった者が、情報網があらゆるところにあって、あの会社社会党議員を入れて協力的だということであれば、向こうもオファーも出さなかっただろうし、そんな危険な仕事をやるはずがない。しかし、通産省筋から、社会党関係にも関係議員がありというようなことを言うものですから、私はこの際明らかにしておきたい、こう思ったわけであります。言ったことがないというならばそれはけっこうでありますが、もし事実があればいつでも明らかにしてもらいたい、こう思います。  それから、輸入組合の六百七十五社ですか、この六百七十五社の役員数、資本金——会社などの場合、資本金でけっこうです。それから従業員数、しかも常用の従業員数、これはわかりませんか。
  41. 原田明

    原田説明員 輸入組合に加入いたしますときに謄本をとっておりますので、加入時における役員及び資本金はわかると存じますが、従業員数までは現在直らにはわからないのでございます。
  42. 板川正吾

    板川委員 これはひとつ、輸入組合を通じてでもけっこうですから、役員数、それから従業員数、資本金、これを早急に調べて資料として提出を願いたいと思います。委員長、これはひとつ御了承願います。  次に、今回七百八十万かご割り当てが四十一年十月以降一カ年行なわれますが、この割り当てについて、割り当てされた者がどういう経路で実際に輸入をするかということは、調査することが今後できますか。
  43. 原田明

    原田説明員 輸入の事務は、割り当てを取得しました以後、輸入承認書をその割り当てに基づいて取得いたします。そのあと信用状を開設し、船積み、通関をいたす、こういう順序になろうかと思います。こういう実態につきまして、どのように実際の実務が行なわれているかということを調査するということが、現在問題になっておりますペーパー業者というものの実態をつかむ上に非常に大事なことであるというふうに考えております。私どものところで輸入の通関の実績というものについても調べたいという考えを起こしまして、調査票の提出を求めて着手いたしたこともございますが、バナナ輸入の通関は、もらいました割り当ては各期一枚でございますが、二百かごずつくらいのプロットに分けて船積み抽せんをいたしておりますというような関係で、各船積みは非常に無数の数に及ぶおびただしい通関になっております。したがいまして、計算上は、数量的に把握をするという形でフォローするということは、短時日の間には不可能でございます。ただ、現在までに私どものところで調査をいたしましたところでは、割り当ての取得、輸入承認の取得、それから船積み、通関というすべての事務を全然やっておらない、割り当てはもらったが通関はしておらないという会社は一社もございませんで、割り当てをもらった会社は全部通関の書類上はその会社の名義になってあらわれております。したがいまして、ペーパー会社というものを発見いたしますには、そういう書類の上だけで簡単に調べたというのではなかなかわからないような実情にあるというふうに感じますので、今後さらにどういう方法でやる場合にペーパー業者——割り当てはもらっておりますが実際の輸入の実務は行なっていないというのが判明するかということを至急に検討いたしまして、大臣からの御下命がございますので、できるだけ早急にそういう調査をいたしたいというふうに考えております。
  44. 板川正吾

    板川委員 信用状を開設して輸入して関税を払うときに、委任を受けて実際の輸入の実務をやっている人が、関税を払いますときに、ほとんど小切手で払うそうですね。小切手で支払うから小切手を切ったものがということで調べていけば、関税の段階でわかるのじゃないかといわれておりますが、それはわかりませんか。
  45. 原田明

    原田説明員 ペーパー業者の問題が世間にやかましくなります以前の段階では、小切手でわかるものもあるかと思います。それからまた配荷業者に対する配荷指図書というようなものでわかるという面もあるかと存じます。ただし配荷指図書あたりも、最近はこういう問題が出てまいりましたので、そろそろ割り当てをもらった本人の名前にしておいてくれというような動きがあるようにも聞いておりますので、すべてのペーパー業者を漏れなく公平に調査いたしまして、それによって何らかの措置をとる場合の対抗し得るような証憑書類にし上げるという点が一番苦心の存するところかと思います。これからそういう点をさらに実態調査いたしまして、どうすればわかるかということを検討いたしたいというふうに考えております。
  46. 板川正吾

    板川委員 このバナナ輸入の改善については、実は私も一つの案を持っております。ひとつ提案をしてみたいと思ったのですが、これも非常に複雑なものがあるようでありまして、なおひとつ実際を検討して、また次の機会に議論を展開してみたいと思います。  いずれにしましても、きょうわれわれが明らかにしたのは、実際世間で非難をされるようなペーパー業者実態がある、だから、これを何らかの方法で、そうしていわゆるバナナにまつわる通産省、政界、この関係の黒い霧というのをなくさなくちゃいかぬ、こう思うわけであります。  次の質問もありますから、私はまた次の機会に新たな資料を提供して、当分まだこの問題を取り上げていきたいと思います。きょうは、バナナの問題はこれで終わります。
  47. 天野公義

  48. 田中武夫

    田中(武)委員 バナナ問題で若干の質問をいたしたいと思っていますが、大臣の都合で委員会開会がおくれたり、また大臣中座をせられるようでありますし、実は科学技術特別委員会のほうからも質問の時間がきたといって呼びにきておりますので、簡単に二、三の点についてお伺いしたいと思います。  前の十月十八日の委員会バナナ輸入問題が取り上げられたときに、大臣は、いまのやり方についていろいろ欠陥があるから検討して直していきたい、こういうようにおっしゃいましたね。それについてはいまも変わりありませんか。
  49. 三木武夫

    三木国務大臣 いまも変わりません。率直にそういう考えでおります。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 ところが、「台湾青果速報」というものがあるんですが、その六百七十二号、これによると、輸入課長高谷君ですかが、バナナ輸入組合の正副理事長を呼んで、バナナに関する黒い霧はこれで済んだ、したがっていままでどおりに割り当てを行なうから元気を出してやれ、そういうことを語ったというのがいま申しました「台湾青果速報」の六百七十二号に出ておるんですがね。私は予算委員会でも当委員会でも、いわゆる行政の行き過ぎ、国会軽視、そういうことを問題にしてきました。大臣が国会において答弁をし、いろいろ問題になっておるときに、それがうそならそれでいいんですが、そういうものが出ておるということですね。大臣どう考えられますか。
  51. 三木武夫

    三木国務大臣 通産行政に対して責任を持っておるのは私であって、私が何か改善の方法はないか十分に検討せよということを指示したのは、最近、一週間ぐらい前でした。その指示に当然役人は従うべきである。そういうのは何かの誤りだと私は思います。どうか日本大臣の言を信用してもらいたい。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 通商局ではその「台湾青果速報」というのを御存じなんですね、そういうものがあるということは。
  53. 原田明

    原田説明員 国会でもバナナの問題は非情に問題になっておりますし、委員会においてもお取り上げになって、大臣からの御指示もあって、私どもはこの問題の改善のために検討をいたしております。したがいまして、バナナ輸入組合の理事長、副理事長に対しまして、検討をする、特にペーパー業者の排除の方法でございますとか、その他流通の改善の問題のための審議会というような問題について検討をするよう話し合いを行なったことがございます。そのあとでこの「台湾青果速報」が出たわけでございます。この青果速報の記事は必ずしもその私どもの話し合いの模様を正確に伝えておりません。たとえば、輸入秩序を維持するという政策はいままでどおり続けますというような点はそのとおり出ておりますが、そこらがあまり強く出過ぎましたあまり、ペーパーの問題でありますとか、その他のほうがそこに出ておらないようであります。また、こういう問題はこういう方向でパーパーを改善したいと言いますと、直ちにまたそれが先回りをされまして、非常にその方策の効果が薄くなるというような面もございますので、やり方について慎重にやっていきたいという点も考えております。いずれにしましても、この青果速報の記事それ自体が必ずしも正確でなかったということでございますので、事務局のほうで記者を呼びまして、その旨を申し入れしております。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣次長の話では、正確ではなかったということですが、いま私が言ったように、高谷課長が、黒い霧は晴らされた、今後もいままでどおりの方法でやるから心配せいでもいい、こういうことを言ったというように伝えられているのですがね。必ずしも正確でないというだけでは済まされぬと思う。その記事の訂正をさすとか、あるいはそういう誤解を解くような方法をはっきりやってもらわなくちゃ困る。ことにそういうことを言ったのかどうかは知りませんが、黒い霧は晴らされた、こういうことに至っては、国会において追及をしているまだ最中というか序論ですよ。それに、晴らされたなんということ自体、私は一事務官としては言い過ぎだと思うのです。そういう考え方が事務官僚にある限り、行政の姿勢は正せないと思います。大臣どうせられますか。
  55. 三木武夫

    三木国務大臣 一事務官が、黒い霧は晴らされた、そういうふうなことはおそらく私は言ったのではないと思いますよ。それはいま次長の言っているように、正確でない、不正確の一つだと思います。一事務官が黒い霧が晴らされたと言うようなことは、これは僭越至極の言論であります。当然にいろいろ疑惑があれば絶えず究明を受けるべきで、晴らされたという過去形は使うべきではない。常に行政は、将来に向かっても、疑惑があれば絶えずいろいろな究明をされるべき性質のものであります。  それから、その点は、いま次長からもこれに対して記者を呼んだということだが、私からもさらに注意しておきます。これは改善をしようというのがわれわれの考え方でございます。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 原田さん、この「台湾青果速報」の六百七十二号、これを資料として要求します。と同時に、そういうものに誤解を生むような記事が出ていたということであるならば、それを直ちに訂正させなさい。そうして訂正の出たその号も資料として要求します。いいですか。
  57. 原田明

    原田説明員 すでに訂正の申し入れをしておりますので、その新聞社がどの程度それに応ずるかどうか、私どもは強制力は持っておりませんが、こちらの申し入れに従って訂正を出してもらうようにさらにもう一ぺん要望をいたしておきます。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 これは業界紙か何かじゃないかと思うのだが、強制力はないとしても、そういうことが新聞に出たら、訂正させるようにするか、でなければ、それが誤りであるということを通産省名で出しなさい。どうなんです。
  59. 原田明

    原田説明員 記者も訂正をするという約束をしたように聞いております。したがいまして、それを見ました上で、不満足なものであるというような場合には、適当な、いま仰せのような措置をとりたいと思います。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 だから六百七十二号と、それからその訂正が出た号を資料として要求するという、それはそれでいいのでしょう。
  61. 原田明

    原田説明員 けっこうでございます。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 これは大臣就任以前なんですが、自由化のときに、いままでの実績があっても小さな業者が切られておるというのですが、それはどうでしょう。それは三十七年の二月五日の「通商公報」というのがあるのですが、それにずっと名前を列記しておるのですが、零細は切られておる、そういうことが言われておるのです。その点、三十七年当時の担当者がここにいなければ的確な答弁はできないと思いますが、ともかくいま申しました三十七年二月五日の「通商公報」でずっと名前が出て、その中でいままでの業者で落とされた者にはその後の輸入は認められていない。それは小企業者をカットしておる、そういうことですが、いかがですか。
  63. 原田明

    原田説明員 御指摘の日付の「通商公報」を見た上で正確にはお答え申したいと思いますが、バナナ輸入の場合、あまりにも小さな割り当てが行なわれました場合には、船積みやその他の関係からも、独立した輸入業者としてはなかなか立ちにくくて、傾向といたしましてペーパー業者になりやすいというような面があると考えられます。したがいまして、その意味において小さなところはなるべく結合合併をいたしまして、それによって輸入コストの切り下げ、合理化というものをはかるのは非常に望ましいことであるというふうに考えて、そのような措置をとったことがあるように聞いております。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、あなたはいま私の言っているように、自由化以前の実績のある者でカットせられたものがあるということを認められるわけですね。
  65. 原田明

    原田説明員 現在の割り当てを受けておりまする者は、三十八年と三十九年の実績を持った方々であります。この方々は実績を持っていらっしゃる限り、割り当てを切られたというようなことはございません。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 自由化前の輸入業者が二百三十四社あって、二百十六社が認められておるのです。
  67. 原田明

    原田説明員 たしか昭和三十七年と御指摘でございましたが、三十七年においてそのような結合が行なわれたわけでございます。その後、三十八年の四月に自由化をいたしました。したがいまして、三十七年における実績云々ということは、それで一応御破算になったわけであります。三十八年、三十九年及び四十年の六月までといいます間は、全く日本側においては自由な時代でございます。今度あらためまして四十年七月から割り当てをするということになりまして、いつを基準にするかということが問題になったわけであります。その場合に三十八年と三十九年という二年間の実績を持った者が割り当てをもらった。したがいまして、その三十八年、三十九年の二年間に実績を一持った者は割り当てを切られるというようなことはございません。全部入っております。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 三十七年二月というのは、自由化を前にしてのあれでしょう。だから結局零細企業を切り捨てたのでしょう。そうじゃないのですか。ともかくそれ以前に輸入実績を持っておる者が切られたことには間違いないのでしょう。
  69. 原田明

    原田説明員 三十七年に割り当てを切られたと言うと非常に強く響くのでございますが、合理化、流通コストの切り下げのために結合をしたわけでございます。したがいまして、結合したという形で割り当てがあったわけでございますが、三十八年に自由化をいたしましたので、結合した者もしなかった者も、割り当てをもらっていたかいなかということに関係なく、三十八年四月以降は、どなたでも自由に割り当てを幾らでもおもらいになれるという状態になったわけであります。そのどなたでも、幾らでも、どこからでも自由に入れられるという状態になりました二年間に築き上げられました実績というものを基準にいたしまして、去年の七月から割り当てをしたということでございます。したがいまして、小さい方々でも、もしその期間におやりになっている方々は全部また実績が認められた、こういうことでございます。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 そこに問題があるのじゃないですか。三十八、三十九、四十でしたか、そこでオファーをとった者は自由に入れてきた。それが基礎になっていまの資格を認めたのでしょう。そこに問題があるのじゃないですか。何か私の聞いているところによると、せっかくオファーをとってきても、小さい業者は許可にならずに、そのオファーを一括して大企業に渡したということがある、こういうことなのです。小さな業者ですから、オファーをとるにしても少ない。だからそういう小さいのを幾つか合わせて、数をふやして大企業に渡した、そういうことを聞いておるのですが、そういうことはないのですか。
  71. 原田明

    原田説明員 三十八年の四月からはほんとうの意味における自由化でございまして、大きな方でも小さい方でも、いままで一回もバナナをおやりにならなかった方でも、どなたでも、どこからでも、また幾らでも、いつでも自由に輸入ができるというふうになったわけでございます。したがいまして、小さい方が少しのオファーであると認められない、そういう事実は日本側に関する限りは全然ございません。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 実は、私のほうに来ている投書ではそういうように訴えてきておるのですよ。それが自由化だということでだれでもやれる。そこでオファーをとる。とることによっていろいろ問題があった。そしてそれが今度輸入組合ができたときに固定化したわけでしょう。そこに問題があるのじゃないのですか。だから台湾で顔をきかす者だとか、いままでやってなかった者でも、台湾に行ってそこでオファーをとってくれば、それが現在の制度が続く限り永久に手数料が入るのでしょう。そこに問題があるのじゃないですか。その間にいろいろな過当競争があった、あるいはいやな問題が出てきたのではないですか。そこに政治家とか、あるいはいわゆる台湾サロンといわれる人たちが活躍した舞台が出てくるのではないですか。そして一たん締めたやつをゆるめて、そしてそれを締めたのでしょう。ゆるめたときの実績が、現在の制度が続く限り永久に利権として残る。そうじゃないですか。そうでしょう。
  73. 原田明

    原田説明員 確かに御指摘のような点も問題であると私どもは考えております。ただちょっと補足して御説明させていただきたい点は、三十八年と三十九年の二年間は自由化された時代でございますが、三十八年には台湾側日本のインポーターに前年の実績に従って割り当てをしたといわれております。したがいまして、三十八年は自由化前の実績というものがよく反映された時代というふうにいわれております。三十九年は台湾側台湾の輸出業者に対する割り当てに切りかえましたので、御承知のとおり、日本業界台湾からオファーをもらうために殺到したといわれている時代であります。つまりこれが自由化時代、真の意味においては自由化時代といえるかもわかりません。したがいまして、実績基準をとります場合に、ほんとうにバナナを昔からやっておりまして、われわれこそほんとうのバナナ業者であるというふうに自負しておられるような古いところは、どちらかといえば昔の実績基準にするべきだという御主張が強く、それから自由化された時代に実績をつくられましたところは、自由化されている時代こそ真に商売の実力が発揮されて実績がつくられた時代であるから、これを基準に入れるべきである、こういう議論をして、業界の内部でもかなり意見が対立をされたようでございます。結局両方の言い分にもっともな点がございますので、一方だけに片寄るということをいたしませんで、三十八年と三十九年という二年間の実績基準期間にしたというふうに考えております。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 いやいや、そこに問題があるのじゃないか、こう言うておるのです。大臣、先ほどから言っているように、自由化前は割り当て制度であった。そして自由化の一年前にいま通商局次長は統合ということばを使ったけれども、そこで一緒になったかならぬか知らないが、小企業を切り捨てて、そして門戸開放を三十八年四月にやった。そして二年間、自由競争というかっこうをとって、それを今度輸入組合をつくったところでその実績が永久に権利として残るということ。しかもこの間に、先日の委員会大臣もおっしゃったが、過当競争ということばで言われたが、確かにそういった招待したり、豪華なみやげ品を持って帰らせたり、いろいろなことがあったでしょう。同時に、そこでオファーさえとればどうにでもなる、そういうことでいわゆる台湾サロン等々といわれる人たちが台湾に顔をきかして持って帰ってくる。それが固定した権利となって現在残っておる。そこに問題があるのではないですか。これを変えなければいけないのではないかと思うのですが、大臣いかがでしょう。
  75. 三木武夫

    三木国務大臣 非常に田中さんの言われることはわかりますが、そこはむずかしい点ですね。それなら自由に自由化したらいいかというと、御承知のように弊害がある。何らかのやはり割り当てということをすれば基準が要る。そのときどきに通産省のいろいろな判断によって、割り当てというものは公正を期しがたいから、どこかにやはり基準をつくる。基準ということになれば、何か合理的な基準といえば、自由化前あるいは自由化後の三年くらいの期間のもの、それがやはり実績ということになるのですね。しかし言われることはわかりますよ。その実績が永久にもうけがあるとするならば、全く永久にわたって利益を確保できるということは不合理じゃないかということはわかりますが、なかなかそこはむずかしい点ですね。割り当てをするのは、自由化すれば一番簡単ですよ。しかし、それは弊害があって、やはりある程度輸入の秩序を確立していかなくちゃならぬということになると、一体どういう基準でやるか。通産省の判断だけでやるということもよくない。そういう点を改善というときに、私は田中さんの言われることわかるのですよ。けれども、それにかわってやはり合理的なものさしがないと、あるいは富くじみたいにするというわけにもいかないし、先着順というのもおかしい。やはり何らかのものさしが要るということですね。それはなかなかむずかしい点で、将来研究して、もっと合理的なものがあるなら、むろんそれがいい。そうすべきだと思いますが、なかなかむずかしい点と、零細を切ったとおっしゃるけれども、ずいぶん多いのは多いですよ。このバナナというものに六百八十、これは必ずしも独占形態とは言えない、あのバナナに六百何十軒も向かっているというのは。これはそういう点で非常に大きいものを保護して小さいものを押えたという姿ではない。私から言えば、少し多過ぎるのではないかと思うくらいで、小さいものを圧迫するという、そういう行政が行なわれたというふうには私は見ないのでございます。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、俗説には九割もペーパーであるとか、実際は少なくとも半分以上はペーパーであろうと言われておるのですね。そこで私、先日の委員会で、ダミーまでは調査困難としても、ペーパー業者は幾らあるかを資料で出してくれと言ったのだけれども、出ていない。先ほど板川委員もこのことについて触れましたが、やる方法はないことはないと思う。あるのですよ。したがって、まずペーパー業者、ダミーがはっきりしたものに対しては割り当てをしないといいますか、もう資格を剥奪するというか、そういう措置が望ましいのではないか。そういたしますと、あとに残ったものだけが特定の利益を享有するということになりますので、そういうものに対しては、これは党としての考え方ではなく、私個人としては、かつてありました特定物資輸入臨時措置法、ああいう法律で、特定のものにそういうことだけで利益がいくというのはチェックできるのではないか。これは時限立法で成立をいたしまして、そうして時限がきたということで廃止になったはずです。あれをあのままではなくとも、ああいうような考え方ができるのではないですか。少なくとも問題はペーパーだと思うのですよ、ダミーだと思うのですよ。まずダミーとかペーパーを切っていく、そういう方向に向かっていただきたいのですが、いかがですか。
  77. 三木武夫

    三木国務大臣 これは私、実態調査指示してあるのは、ペーパーといっても、こういう点があるのです。ペーパーだけで割り当てだけを持っていて、じっとしておって眠り口銭をとっているとも言い切れないもの、たとえば輸入手続は自分でやるし、それからいろいろな手続もやって、ペーパーということでただ割り当てだけ持って何もしないということでなしに、ある程度のやはり輸入業務をしておるのですね。私がすぐにいま実態調査をしてみたいというのは、バナナ輸入業務の実態というものがどういうふうになっておるか少し時間をかけて調べてみたいというのは、じっと何もしないということではないので、その船は台湾の船で来るわけでしょう。だからやはり手続ということだけにかかってきておるわけですから、それはやるのですね、実際は。(「いや、やらないものがある。」と呼ぶ者あり)やるんですよ。だから、そういう点で一口にペーパーと言っても、割り当て権利だけ持っておって、何もしないで口銭だけども言い切れぬものが実際はなかなかあるのですね。  そういうことで、これはただこの場の問題ではなしに、こういうことで、もう委員会が、通商行政にはたくさん大問題があるのに、バナナバナナということで何回も議論になるということは、私はこういうことはよくないと思う。だから、できるだけ私の立場、政府のほうとしてもこれを究明して、そうして明朗なものにしたいという熱意は田中さんと変わらぬですよ。毎日毎日バナナで引き出されて、これはほんとうに国会の姿としても、外から見ても非常にいい姿ではありませんから、御協力をいたしまして、われわれもこれを解明して、できるだけ明朗なものにするし、いまあなたのおっしゃったいろいろな提案、これも一つの案だと思いますけれども、いまここで私はコミットはできません。しかし一つの案であるし、そういうこともひっくるめて検討いたしたいと考えております。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、私が申し上げましたのも一つの提案なんですよ。そこで調査は、原田次長、簡単にできるのじゃないかと思うのです。この日本バナナ輸入組合の定款は、大臣が認可したものでしょう。それの十一条に「本組合は、事業の執行に必要な限度において、組合員から報告を徴収することができる。」だから、それぞれの会社における仕事の内容、量、そういうものはいつでも報告を聴取できるのじゃないでしょうか。いかがですか。
  79. 原田明

    原田説明員 報告聴取は可能でございます。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 それをやったら明らかになるでしょう。
  81. 原田明

    原田説明員 いま大臣からも申されましたとおり、ペーパー業者の中に輸入実務を全く行なわないでやっている者とか、ある程度行なっている者、それから書類上はすべてその業者の名前で行なわれていて、ただ実際はやっていないという者というふうにいろいろの種類があるようでございます。書類の上、たとえば先ほど板川先生から御指摘がございましたように、第三者に十分対抗できる証拠力となるような小切手でございますとか、指図書でございますとか、そういうもので判断できる場合には可能でございますが、全部の書類がその方の名義になっておるというような場合で、しかも実務はやっていないという場合は、ちょっと書類の報告の聴取だけでは簡単にはわかりにくいものがあるのではないかというふうに心配をいたしております
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、この定款十一条による調査をしろということは、一つ基準をつけて、こういうことと、こういうことと、こうこうこと、これに従って報告しろということで、私はできると思うのです。いままでこういうことはやられていないのでしょう。大臣、いかがですか。
  83. 三木武夫

    三木国務大臣 それはごもっともだと思いますから、十一条による報告をやらせましょう。これは一方的な報告だけでは——通産省実態調査しようというのが私の指示の内容でしたが、やはりあわせて定款による報告を求めることも調査の非常に補足的な役割りを演ずることになりますので、これは御説のように指示いたしましょう。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 その基礎となるのは、輸取法十九条の五のいわゆる「輸入業者であって、定款で定めるものとする」というこの輸入業者の定義だと思うのです。この法律を見てみますと、あるいはその他のものを見ましても、輸入業者の定義がないわけです。だから、その前にまずでき得るならば、この輸取法を改正して、第二条の定義のところで、本法にいう輸入業者とはこれこれをいう、輸入業者だけではおかしかったら、輸出入業者とはこれこれをいうということにやるのが筋じゃないかと思う。私は法の解釈を行政官庁がかってにやることはあまり好みませんが、しかし、さしあたって通産大臣輸入業者とはいかなるものをいうのか、こういうことをまずきめる。そしてその基準に従って調査を行なう。そうするならば、ある程度のペーパー業者というものは浮かんでくる。そういうものに対してこれを切っていく。できるのじゃないですか。そうすると、残ったものだけでということになると不公平があるということなら、特別な法措置をとって、その利益を積み立てさせておくとか、あるいはそれを納入せしめるとかなんとかいった、先ほど言った特定物資輸入臨時措置法、これはバナナだけでもない、韓国ノリだってそうだろうし、かつて砂糖が大問題を起こしましたが、こういうような物資につきましては再検討の必要があると思いますが、いかがですか。私はここで何々代議士が関係しておるとか、そういうことは暴露はいたしません。それよりも、通産省通商の姿勢を正していく。バナナばかりやられてどうもという大臣のお話ですが、これは大きな一つの輸人秩序の問題だろうと思うのです。そういうところに抜かりがあるところに黒い霧が起こり、黒い魔手が動くわけです。すず行政の面において、そういうことがないような方法をとるべきじゃないかと思いますが、それはあるんですよ。もしもなんでしたら、私のほうにお聞きになりましたら御教示をいたしますが……。
  85. 三木武夫

    三木国務大臣 御教示というとなんですけれども、いろいろ意見があったら、ほんとうに意見はお聞きしたいと思います。実際にいま問題の中心は、ある一定の期間をとった実績というものによってずっと割り当てをするということも——それ以外の方法は、それなら、何らか基準基準ということになると、それが合理的かというと、必ずしもそうは思わないというところに、率直に言ってこの問題の悩みがあるわけです。しかし一つの問題は、輸入業者が非常にもうけが多いというところに問題もあるわけですから、そういう点でいま田中さんの言われるように、単にこれはバナナばかりには限りませんから、低開発国からの輸入促進というものと結びつけて一つの構想というものを考えてみる余地があるのではないか、そういうこともいま検討の対象にいたしておる次第でございます。それを、何かほかのものもそういうものに引っくるめて一つの構想ができないかということが検討しておる問題点の一つでございます。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 そこでいま大臣なり原田次長に、輸取法十九条五の輸入業者とはどういう定義なんだと聞いても明確に出ないと思いますが、出ますか。法制局等とも打ち合わせられて、明確な定義をまず定めてください。この定義があいまいなところに、こういう問題の起こる可能性があると思うんですよ。だから輸入業者とは何か、こういうことについては宿題としてお預けしておきましょう。そしてまずそれから解決しなければいけない。これは通産省だけではなくて、法制局等とも十分検討して、他の法律との関係も多いですから……。私は私なりの定義を持っております。定義を持っておりますが、一応それをつくってください。そうしてそれで論議をいたしましょう。そしてできるならば、法改正をして、輸取法の二条の定義の中に入れるべきだと思います。  そこで、このことについては、これ以上議論をしても議論倒れになると思います。私の定義と大臣の定義とは食い違うかもわからぬ。だから、それは宿題としておきまして、そこで、このバナナ輸入組合の組合員たるの資格、この組合員たるの資格をめぐって告訴問題にまで発展したでしょう。加入金を添えて出しておるのに組合員たる資格を出してもらえなくて、金を返してくれぬ。それで告訴事件にまで発展した。ところが、輸取法を見ても、それに基づく定款を見ても、組合員たるの資格がはっきりしていないんですよ。十九条の五では「輸入業者であって、定款で定めるもの」となっておる。ところが定款のどこを見ても、組合員の資格として「組合員たる資格を有する者は、」となっておって、組合員たる資格はこれこれとは書いてない。そこに問題があると思うのです。これはあなたが許可したんじゃないだろうが、当時の大臣ここにおられるんじゃないですか、ようこんなことで許可しておったですね。この定款と輸取法を見て、輸入業者という一つの大きな事件につながるバナナ輸入組合の組合員たるの資格が出てこないのです。そうでしょう。どうですか。すべてが「組合員たる資格を有する者は、」となっているのですよ。だから組合員たる資格はどうかというと、「輸入業者であって、定款で定めるもの」というような法のきめで、定款では何も書いてないのです。そこで、この「有する者」とはどういう者ですか。
  87. 原田明

    原田説明員 まことに御指摘のとおりでございまして、定款の第十二条では「バナナ輸入業務に係る営業所を有する者であって、バナナ輸入業務をした輸入業者または当該業務をする輸入業者として理事会が認定したもの」というふうに書いてございます。ところが、この「資格を有する者」というのがどういうことであるかということが書いてございません。これをつくりますために組合の定款施行規約というものをつくらなければなりません。すでにその案ができておりまして、春の理事会を通過いたしまして、あと総代会を通過いたしましたならば、おそらく実行し得るのではないかという案がございます。もしこの施行規約案というものが、先生御指摘のような諸点を盛り込みまして、ほんとうに輸入業務を行なうものに限るというようなふうのことができるような案になるということになれば、この問題は解決しやすくなるということでございますので、私どももこの問題、先生御指摘のとおりに取り進めたい、かように考えます。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 定款に定めなさい、施行細則でなく。当然組合の主体は組合員ですよ、したがって組合員たる資格は一番の基礎なんですよ。それが抜けておるということは、この組合がどこか抜けた存在であるということを物語っておると思うのですよ。よく当時の通商局長か通産大臣か知りませんがこんなことで三組合が競合して認可合戦をやったときに認可いたしましたね。そこに今日の禍根があるのじゃないですか。いまさら就任前の問題を取り上げて大臣なり原田さんをいじめるのもどうかと思いますのでこの程度にしますが、大臣、これは根本的に法の改正とそれから定款の改正をやらしめる必要があると思うのですが、どうですか。
  89. 三木武夫

    三木国務大臣 御指摘されておる点は不備だと思います。これは将来研究をいたすことにいたしたいと思います。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 研究じゃなくて、かぶとをぬぎなさいよ。これは当然、抜けておるのです。いまさら大大臣が私ごときと法律論をやって、恥をかかしたくないですから、研究しますじゃなしに、そういたしますとおっしゃりなさい。
  91. 三木武夫

    三木国務大臣 不備な点は改めることにやぶさかではございません。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、この輸入業者の組合員たるの資格を有する者ですが、これは大臣ではなくていい、原田さん、これは営業所を日本に持っておるということが、定款によると一つのあれになっておるのですが、法人あるいは自然人でもけっこうです、国籍は関係ありませんか、あるいは日本国籍の法人または自然人に限るのですか。営業所さえあれば、外国国籍の自然人または法人でもいいのですか。
  93. 原田明

    原田説明員 営業所を有するかどうかの確認は、法人にありましては、登記の謄本並びに事業税の納付説明書によって、また個人におきましては、納税を行なっている営業所として証明するに足る書類または外国人にありましては、外国人登録証明書等によりまして理事会が認定したものということになっております。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、この組合員たる資格を有する者は国籍は問わない、営業所のみ日本にあるならば組合員たるの資格を有する者になる、そういうことですね。
  95. 原田明

    原田説明員 さようでございます。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 これは私は何も排他的な考え方を持つわけじゃないのです。その点はこれではっきりしてますか、国内に営業所を持っておれば国籍は問わない、そういうことがこれではっきり出てきますか。
  97. 原田明

    原田説明員 特に制限をいたしておりませんので、そのようになるものというふうに解釈いたします。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは輸取法十九条の五は、国籍は問わぬわけでしょうね、それが前提になるわけですから。
  99. 原田明

    原田説明員 日本に対する輸入において過当競争を行なうというような場合に、これを是正する必要があるわけでございますが、そういうおそれがあるものは国籍とは必ずしも関係がないと存じますので、輸取法の場合にもそういう区別はないというふうに解釈いたします。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと聞き漏らしましたが……。
  101. 原田明

    原田説明員 輸取法のほうでも国籍による区別はないというふうに解釈いたします。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは輸取法の四条の大臣制裁、これは国籍いかんにかかわらずやれますね。
  103. 原田明

    原田説明員 国籍に関係なく、日本に対する輸入について問題があるという場合には可能であるというふうに考えます。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 日本の法に服させなければならない者はどういう者ですか。日本国の法律による規制を受ける者はどういうものですか。
  105. 原田明

    原田説明員 日本国内に居住する者であるというふうに考えております。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 日本国内に住所を有する者であるならば国籍のいかんを問わず規制を受ける。そうすると、本社というか主たる事務所が外国はあって外国法人である、そうして営業所のみを日本に持っておる、そういう者もおるわけでしょう。それは処罰はだれが受けるのですか。たとえば主たる事務所、これは外国にあって、代表者は外国人で外国に住んでおる、そして営業所だけ日本にあって輸入を行なっておる、これもこの定款によると輸入業者になり得るでしょう。そうすると基本の輸取法に戻って制裁を受けるのはだれなんですか。その日本にある営業所の責任者なのか。それがもし日本流でいう法人の役員でなかった場合にはどうなるのですか。
  107. 原田明

    原田説明員 刑事法の関係は私はあまり詳しくはございませんので、必ずしも正確ではないと存じますが、日本における営業所が行なった輸入から関係法規違反という事態が起こった場合には、その輸入の業務を行なった責任者であるこちらの営業所というものの代表者が制裁を受けるのではないかというふうに解釈をいたしております。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 その刑事罰じゃないけれども、いわゆる輸取法四条の制裁行政処分ですね、これも結局は法律にもはっきりした定義が載っていない。それから定款にもはっきりしていない。ただ組合員たるの資格を有する者とだけある。ここに問題がある。そこで一例をあげただけなんですがね。だからそういうものをはっきりしなくちゃいけない。それをはっきりする中においてダミーとかペーパーというものが浮かんでくる。そういうものは切り捨てていく。そのことについてはひとつ御確認を願いたいんですが、いかがですか。
  109. 原田明

    原田説明員 外国人でありましても……。
  110. 田中武夫

    田中(武)委員 いやいや、その外国国籍のことはもうあとにおいて、いま言ったことなんですよ。まず、いいですか、あなたでなしに大臣にぼくは言うとるんですよ。まず輸取法において定義を明確にする、それに基づいて定款でもっと組合員たる資格をはっきりさす、その中に輸入業者とはこれ、これ組合員とはこれこれ、こういうことを明確にしておくならば、その規定からダミーなりあるいはペーパーを浮かび上がらせることができてくるじゃないか。もちろんその定義のきめ方ですがね。いま問題になっておるダミーとかペーパーがよくないこと、これはもう論外だと思うのです。よくない。それがはっきりしないからだという。現在では輸入業者というものの定義があいまいだからはっきりしない。だから、それをはっきりすれば、それにはみ出したものは切り捨てていく、そういうことができて、いわゆるダミーあるいはペーパー業者征伐になるじゃないですか。ほんとうに前向きでこの黒い霧の根元を断とうとするならば、大臣、決意を持って、私の言うとおりでなくとも、そういう方法を講ずべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  111. 三木武夫

    三木国務大臣 これは田中さんの言ったように、いろんな機構の上においてもいま検討も加えておる。あまりもうけ過ぎておる。いろんな改善する方法があると思います。そういうことで明確に輸入業者というのを定義もしたらいいと思いますから、そういう定義、それから全体のこれを明朗にする改革案とあわせてこの問題は検討させてもらいたい、こう思います。
  112. 田中武夫

    田中(武)委員 それから大臣、問題の中心は、この輸入のいわゆる形式といいますか、日本バナナ輸入組合に原因がある。これをもっと……。ところが通産省バナナ輸入組合とはくされ縁がある。それは先日の委員会で私も触れたし、もっと具体的に板川委員が触れております。そういうことだけでなく、人事の面において、バナナ輸入組合の東京事務局長も大阪事務局長もともに通産省出じゃありませんか。そのほうがいいかどうか知りませんよ。しかし、そういうところにやはり業者というか業者組合と通産省のくされ縁が出てくる。双方の、西も東もともに通産省出の人がいわゆる天下り人事で事務局長をやっております。月給は十三万円です。そういう点について大臣、どう考えられますか。
  113. 三木武夫

    三木国務大臣 これは田中さんの言うくされ縁ということは少しオーバーだと私は思います。そういうのではなしに、輸入組合、それならば三つほど組合があって、第一組合、第二組合、第三組合があって、それがしのぎを削った過当競争ということはよくない。できるだけ一つ輸入秩序を確立するためには一つの権威のある輸入組合をつくることが好ましいという、これは行政の方向としては私は正しいと思うのでございます。したがって、輸入組合というものは全体の組合ですから、これで輸入秩序を確立するというために通産省が努力をすることがくされ縁というふうに言われることは、これは受け取るわけにはいかない。やはり方向としてはそれは妥当な方向だと思いますが、人事の点については、この点はいろいろ通産省の人事の中にも、民間に——御承知のように、やはり若くして役所をみな退くようになりますから、そういうことで、民間にも通産省の役人が行くという例はあるわけで、これは定年というか役人をやめるのが早過ぎるのです。その余生というものを国のために、国家社会のために尽くしたいという考え方はもっともな点だと思いますが、そういう場合においても、世間の疑惑を持たれないような、それだけの節度は要る。だけれども、そのことがくされ縁だというふうに言われると、これはそういうことはないというのですが、いわゆる人事が、役人をやめて民間にいろいろ仕事を求める場合、一つの節度ある態度をとれということは傾聴をいたします。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの大臣の御答弁には私は意見を持っております。しかし、なにか参議院のほうでも呼んでいるそうだし、それから中村君も関連質問で待っておりますので——私はこれでは終わりません。あとは、大臣が出られたあとで、閉会中は政府委員とはいわないのだが、政務次官あるいは原田さん等と若干の議論をあとに残しまして、ちょっと質問を譲りますから……。
  115. 天野公義

  116. 中村重光

    中村(重)委員 大臣が、ペーパー業者の問題、ダミー業者の問題等について、ともかくこれはおもしろくない、この改善について検討しておる、こういうことだから、それに関連して二、三お尋ねしてみたい。  先ほど大臣は、バナナバナナというが、重要な問題があるのだ、こればかりやっているというのはどうもおもしろくない。そのおり私どもとしてもおもしろくないと思う。だがしかし、いわゆるバノコンなるもの、バナナ、ノリ、コンニャク、こういうものの輸入をめぐって、いわゆる黒い霧が政界をおおっているということは、これは事実なんです。あなたのほうで断固としてこれを改めさえするならば、われわれはしいて問題を起こそうとは考えていない。だから、あなたの決意いかんということになる。先ほど来いろいろ聞いておるのだけれども、あなたの答弁態度というものはきわめて消極的だと私は受け取っておる。きょうは時間がないようですから、じゃあどういう点かと言われるならば、あらためて私は指摘をしたいと思っている。  そこで、先ほど来、いろいろ調査をしてみた、ペーパー業者というけれども輸入手続等これはやっておる面もあろう、こう言われた。しかし、いままでの間に相当事務当局調査をしておられると私は思う。もし調査しておられぬとするならば、職務怠慢もはなはだしいと思う。私の調査した範囲でも、年間三期か四期にわたって割り当てを受けておるはずですから、割り当てを受けたそのときに権利を譲渡してしまって、何の手続もしてない、これは完全なペーパー業者です。これはもうはっきりしておるわけです。ですから、そういう調査というものがなされていないはずはないと私は思う。だから、調査をして、断固としてそういうペーパー業者であるとかダミー業者、そういうものをこれから排除していくというあなたの決意いかんにかかっておると私は思う。だから、そういう決意があなたにあるのかどうかということを明確にしてもらいたいということ。  それから、これもまたあなたのお答えの中に出たのですが、ともかく輸入業者があまりもうけ過ぎている、そこに問題があるのだ、こういうことであった。私もそのとおりだと思う。台湾では一かごが七ドルか八ドル、ともかく二千五百円ないし二千八百円、それがわれわれ消費者の口に入るときには一万円以上だということです。これはどうしてそんなに——実際の浜相場、これは関税が七〇%かかっておるにいたしましても、これは四千円ないし四千五、六百円にしかならない。それが一万円以上だということになってくると、あまりにも消費者の口に入るときには高い値段になっておる。だからその原因について、あなたのほうではいままでいろいろと調査されたことであろうから、それをどのように改善されようとしておるのか、具体的に私は申し上げたいのですが、浜相場はどういう形で立っておるか、これも一問一答で質問をしたいのですが、時間の関係がありますからこれは私から申し上げる。国内の青果なんかの相場の立て方というのは、いわゆる仲買人であるとかあるいは小売り商がいわゆるせって値段をきめている。しかしバナナに限っては、加工業者というものはせることができない。輸入業者のきめた値段で買わなければならぬ。だから輸入業者は、自分の考えている値段で買ってくれない加工業者には売らないという態度をとっておる。そういうべらぼうなことが行なわれておるのだが、それをあなたのほうではどのように調査をし、どのように改善されようとしておるのか、以上二点。  もう一点は、バナナが神戸であるとか門司に着いたときは腐っておったとよく言われる。これを海に一万かご放棄したということが事実かどうか知らないが報道されておる。これをいろいろ調べてみると、台湾の船で積んできた、ところが台湾の船は非常に悪い、船足もおそい、そういうことも原因の一つだと伝えられておるのであります。これも協定のときに私は話し合いしてあったと思うのですが、台湾の船を五〇%、日本の船を五〇%という協定ができておったのではないか。ところが現実はどうなっておるか。ほとんど台湾の船でいわゆる積み取りというものをやっておるのではないか。積み取り権の問題、それから配船権の問題というものはどういうことになっておるか。そういうことについて通産省はどのように調査をし、これの改善についてどうした取り組みをしてこられたのか。いわゆる輸入業者がもうかり過ぎておるところに問題があると大臣が指摘される。私もそのとおりだと思うのだが、それではもうけさせないような具体的な措置として私は二、三の点を申し上げたんだが、それらのことについていままであなたのほうで取り組まれた実績、これを改善しようとされるならば、どのような改善を考えておられるのか、そうした点についてお答えを願いたいのです。三点について明確に答えていただきたい。
  117. 三木武夫

    三木国務大臣 最初に、消極的ではないかというお話であります。それは違います。やはり積極的にこの問題というものは解明をいたしたいと私も願っておるのであって、態度は消極的ではない。こんなことで政治家疑惑を持たれるということは、これは国会の信用のためにもよくない、これは解明したいという熱意は、御了解を願いたいと思うのであります。ただ、その方法論につきまして、たとえば少し過剰利得があるのではないかというような問題については、流通機構は農林省がやっておるので、次長から浜相場の問題などは答弁を補足させますけれども田中さんの言われたのも、そういう一つの何か時限立法みたいなものでその過剰利得みたいなものを納めさせるようなことはできないかという意味もあの中には含まれておる、そういうことでこの問題は確かに研究に値すると思います。いまここでこういうふうにいたしますという結論は出ておりませんので、お答えはいたしかねますけれども、そういうことも一つの検討しなければならぬ問題点である。それから、実際問題としてペーパー業者などの実態というものはなかなかむずかしいけれども、いま言ったように、通産省としても業界実態調査するし、いま田中さんの御提案のあったような報告も業界から求めるし、そして明らかにして、これはペーパー業者ということが明らかであれば排除したいという考えです。そういうことで、このバナナ輸入をもっと明朗で国会の御審議のお手数のかからぬようなものにしたいということを、私は心から願っておる一人でございます。  浜相場とか、いろいろな点については、原田次長から補足いたすことにいたします。
  118. 原田明

    原田説明員 国内流通は農林省の御所管でございますので、さらに農林省とも御相談申し上げた上で検討を進めてまいるわけでありますが、確かに浜相場の立て方その他は、終戦後次第にこういう形態ができ上がってまいりました。せり売りとか入札といったような形でなく現在のバナナの販売は行なわれているようであります。したがいまして、こういう点確かに改善の余地があるのではないかというふうに感じております。ただ、こういう流通部門は、業界自体が、たとえば輸入業者と加工卸売り業者、あるいは卸売り業者と小売り業者というものが自主的に話し合いをしまして、商売の中で自然に見出したものでございます。それにはやはり歴史的ないしバナナというものの特殊事情等に基づくそれぞれの理由もあるようでございます。したがいまして、政府がこれに一挙に干渉しまして、こういう制度でいけというふうな指導が可能であるかどうかというような点もございますが、輸入の量が少なくて供給が不足であるという場合には、どうしても売り手のほうが強くなる傾向にございますので、輸入業者のほうがどちらかといいますと強い立場で加工卸売り業者というものに対します。加工卸売り業者のほうが必ずしも希望するような価格で入手できないというような場合があるわけでございます。ただ、これをせり売りあるいは入札にいたしますと、ある程度公平にはなる可能性がございますが、すぐにそこで値が下がるかどうかという保障は必ずしも期待できないというような面もあるかと思います。したがいまして、一方におきまして輸入の量ないし供給の総量というものをふやしながら、またこういう業界自体が自然につくり上げておるような制度を近代化いたしまして、流通過程で無用のコストのかかる部分を省き、また適正の利潤で消費者にバナナが供給されますようにという努力をしていただくように要望し、そのような指導をすべきではないかというふうに考えております。
  119. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの答弁を聞いておっても、浜相場を、買う側が相場を立てるということに改めさせることがはたしてできるかどうか、それからそういうことをやることではたして値段が下がるかどうか、これもわからない、そういう答弁のしかたです。だから、ここにもペーパー業者とかダミー業者がはびこっておるということの問題があるのですよ。要するに六百七十五社という業者が全部バナナ輸入を扱っておるというならば非常に事情が変わってくるのですよ。ところが、権利を譲って、実際にバナナを扱っておる業者がわずかだということになる。そうなってくると、自分たちで輸入業者というものが話し合いをするのです。われわれのほうでひとつ値段をきめようじゃないか、これ以下では売らないことにしようじゃないかと。勝手に自分たちで協定をしてしまう。それに対して、非常に高いじゃないか、こういう条件はいけないじゃないかということを加工業者がいろいろと要求をすると、君のほうにはもう売らぬ、引っ込んでおれ、こういう形で加工業者は排除されてしまう。これは現実に行なわれている問題なんです。だからそういった国内の青果物のような形で、いわゆる買う側がせって値段をきめるということが、はたして値段が下がることになるかどうかわからないというようなこと、そういうことも、ペーパー業者なんかというものがおって、そして実際にバナナを扱う業者というものが少なくなっておる、そのためにいわゆる売り手市場的な形になっておるんだというようなこと、そこらあたりも十分あなたのほうでは調査して、そしてそういう弊害が起こらないようにしていくという態度でなければならない。ともかくこれほどバナナの問題について騒がれておるのに、あなたのほうでも改善について検討をしておるということですけれども、いま私が質問したようなことに対してすら的確な答弁ができないなんというようなことは、私は職務怠慢もはなはだしいと思う。そういうことでは補佐的な任務を完全に全うすることにはならぬと思う。十分反省をして取り組みをしてもらいたいと思う。  それからもう一つ、船の問題についての御答弁がない。これは非常に重要な問題だから、その答弁をしてもらいたい。  それからあわせてもう一つお尋ねしておきますが、あまりバナナがもうかるものだから、今度は都道府県が適当な名目をつけて、いわゆる貿易公社とかなんとかいうような名目をつくってバナナ輸入をやっている。そうして一般の輸入業者と変わらないようなべらぼうなもうけ方をやっている。そうして知事であるとかその関係者というものは、県のほうから金を出せぬものだから、外国に行ったりなんかするときには、適当にそのバナナ輸入のもうけから観光旅行としゃれ込んでいる。そういうことが実は問題になりつつあるということなんだが、そういう都道府県にすらバナナ輸入というような商売をあなたのほうでお認めになるのか。実際に認めておるようだが、その点はどうなんです。
  120. 原田明

    原田説明員 船の問題は、確かに現在日本は必ずしも有利な船の条件で買っているとは言えないようであります。GIFで買っております。台湾以外のバナナについてはFOBで買っております。また日本は造船国でもあり海運国でもございますので、日本側で船を持ってFOBその他で買うということのほうが適当ではないかとも思いますし、少なくとも五〇、五〇というような比率で日本船と台湾船と両方で運ぶということでいくのが望ましいというふうに考えております。この問題につきましては、業界でもそういう希望は持っておりまして、たびたび台湾側のほうと交渉をいたしております。現在のところはまだ船を台湾のほうで持っているのが大部分でございます。そういうことからなかなか交渉がうまくまいっておりませんが、将来の方向といたしまして、先生御指摘のような方向に行くべきであるというふうに考えております。  それから都道府県がバナナ輸入をやっておるという点は、ある県の貿易公社が自由化時代にバナナ輸入実績をつくりまして、それに基づきまして割り当てをもらっております。これも県自体ではございませんで、県がそういう業務をやるものとしてつくった公社であるという立場をとっておられますので、現在のところは割り割てが行なわれているという実情にございます。
  121. 田中武夫

    田中(武)委員 関連質問の関連のようなことでいまちょっと気がついたのですが、県が公社をつくってやっておるというのは何県か私は知りませんが、その公社は民法法人ですか。法律上はどういう資格ですか。
  122. 原田明

    原田説明員 民法上の法人ではないかと思いますが、さっそく取り調べまして御報告させていただきたいと思います。
  123. 田中武夫

    田中(武)委員 民法上の法人なら問題がありますね、民法からいって。営利を目的とする業務はやれるのですか。もちろん営利を目的としたものについては、実は商法の規定を適用するという規定がありますけれども、県が民法上の法人でそういう営利事業を行なう、これは自治法第二条の目的からいくと、自治体の権限からいってもおかしいことになりませんか。
  124. 原田明

    原田説明員 私がいま民法上の法人ではなかろうかと申しましたのは、確証がございませんので取り消さしていただきまして、取り調べました上で御報告させていただきたいと思います。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 いま中村委員が関連質問で言うまで私はそのことを知らなかったのですが、それを聞くと黙っておれない。これは地方自治法の自治体の目的からいっても問題があるし、それから法人格がどういう法人格なのか。これがたまたま株式会社であって、その社長が知事なり県の人がやっておるということならまた話は別のことになってくると思う。だからそういう点についてはひとつ調査の上報告を願うといたしまして——それは、もちろんこのバナナ輸入組合の組合員ではないのですか。
  126. 原田明

    原田説明員 バナナ輸入組合の組合員でございます。
  127. 田中武夫

    田中(武)委員 組合員だったら、ここに名簿があるから調べなくたってわかるでしょう。名簿を見たら、これに株式会社とかなんか書いてあるから性格はわかるでしょう。
  128. 原田明

    原田説明員 貿易公社と書いてございまして、株式会社であるか何であるかよくわからないわけでございます。
  129. 田中武夫

    田中(武)委員 それは私法上の法人でないことだけは確かですな。私法上の法人であるならば、株式会社とか有限会社とか必ず名称がつくことになります。同時にまた協同組合方式でないことは事実ですね。それも名称が入ります。そうすると残るのは任意団体であるか、民法上の法人であるか、それが社団法人であるのか、財団法人なのか。それから民法の規定からいって、公益法人として認可をとっておりながら営利事業を行なえるのかどうか。そういうことも結局、組合員であるというなら、私が最初申し上げたように、輸入業者としての定義があいまいである、同時にバナナ輸入組合の定款がかご抜けである、そういうところでいろいろなものがあるのですよ。これは法律も定款も全部勉強し直してやり直す必要がありますよ。そこに禍根がある。かつて一年か二年実際にバナナ輸入したという実績が踏み台になって、それが権利として残っておる。いいですか次官。そして先ほど大臣のおられるときに指摘したように、輸取法の解釈というか定義が明確でない。同時にそれを受けたところのこのバナナ輸入組合の定款がはっきりしてない。そこでおかしな問題が出てくるんですよ。これは全部やり直す必要があると思うのですが、大臣おられませんけれどもどうですか。定款もやり直す、輸取法も検討します——大臣がいないので的確な答弁はできないとしても、私の言っていることはわかるでしょう。
  130. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 先生のおっしゃっていることはもっともだと存じますから、法律改正につきましては、いずれ法制局とも打ち合わせたいと思います。また定款等につきましては、これは通産省の所管事項でございますから、十分に調査いたしまして御趣旨に沿いたいと思います。
  131. 田中武夫

    田中(武)委員 この名簿によると「組合員資格追認者」というのがありますね。これはどういうものですか。組合員名簿の三十八ページの「追認」ということはどういうことなんです。
  132. 原田明

    原田説明員 創立当時の組合員に加えまして、相次いで加入して認められた者というように解釈いたしております。
  133. 田中武夫

    田中(武)委員 それならば新組合員ですね。そうでしょう。いまさら論議はしませんが、追認ということになりますと違いますよ。あなたのおっしゃるのなら新組合員とすべきです。追認ということは、あとから認めてその資格が遡及するということです。新組合員なら認めたときから以降に権利が発生するのです。これは通産省がやらしたのではないと思うが、そういう追認だとか追加承認だとかいうことばで書いておるところ自体に、このバナナ組合の性格があらわれておると思うのです。そうじゃないですか。組合なら当然新組合員でいいのですよ。それを「追認者」と、まるで役所が認めたという一しかも追認ということは、その追認した月日よりかさかのぼって資格が発生するのですよ。あなたのいまの答弁ですと、新加入組合員です。  それでは、追加承認と追認者というのとはまた違うのですか。
  134. 原田明

    原田説明員 追加承認ということばはどうも誤解を招くと思いますので、先生のおっしゃるようなことばに直したほうが適当ではないかと思います。
  135. 田中武夫

    田中(武)委員 それはそれで答弁として聞いておきます。組合員名簿の三十八ページは「組合員資格追認者」となっておる。それから三十九ページの名簿は「追加承認」となっておる。これはどう違うのか。
  136. 原田明

    原田説明員 全く同じであろうと思います。
  137. 田中武夫

    田中(武)委員 これは私が十月十八日の当委員会において資料を要求して出してきたものです。したがって、出した以上は、これはあなたのほうで責任を持たなくてはいけない。そうであろうと思いますとか、そういうことではいかぬわけです。国会に資料を出す限りにおいては、その資料の内容は検討し、誤りがあるときは正す、そうでなくてはならないと思うのです。これは私がバナナ輸入組合からもらったのではない。正式に委員会において資料として要求をし、その要求に応じて出してきたのです。そうならば、この内容についての責任は、あなたと申しますか通産省が持つべきです。私はこういうことでとやかく言わぬですが、大体全体の流れとして、行政府が立法府を軽視しておる。あるいは行政権が立法権を侵しておる。行政の法に対する挑戦、こういうことばは何回か私はこの委員会なり予算委員会で申しました。こういうものを出してくること自体も、ただ定款を出せ、組合員名簿を出せと言ったから、向こうから、もらってそのまま目を通さずに出してくるということは、委員会審議に対してあなたが十分なる認識を持っていない、軽視しておるあらわれですよ。そうであると思いますというようなことでなく、はっきりした答弁を、いまはとりません、調査をしてやってください。そしてこういうことば自体を使うということが、先ほど私申しましたように、東西の両局長が通産省から行っており、したがってまだお役人の頭を持っておるので、追認とか承認とかいうことばを——承認は、理事会で承認ということになっておりますから、そうであろうと思いますけれども、民主的な組合であれば、当然新組合員とか、新たに組合に加入した者とかいうふうにやるべきだと思う。こういうことば自体が横行しているところにバナナ輸入組合の伏魔殿的な存在のにおいがするわけです。  きょうはこれでおきますが、大臣バナナだけが通産省の仕事でないと言われても、このバナナ輸入組合については今後とも徹底的に掘り下げてまいりますから、それだけ申し上げておきます。
  138. 天野公義

  139. 中村重光

    中村(重)委員 公取は今度家庭電器のメーカー、商社あるいは組合に対して立ち入り検査をおやりになっている。これは任意でおやりになりますか、あるいは強制調査をされるのですか。
  140. 北島武夫

    ○北島説明員 独占禁止法第四十六条に基づく強制調査権を発動してやっております。強制調査権、いわゆる臨検審査であります。
  141. 中村重光

    中村(重)委員 この公取の調査に対して通産省は、いかにも公取が商習慣も何も知らないでべらぼうなことをやっているかのごとき談話を新聞には報道しておりますが、あなたのほうは、この調査をおやりになるということについては相当事前調査をおやりになっておるだろうと思う。相当な確信を持っておやりになったのだろうと思いますが、現在のところは調査はどの程度まで進んでいるわけですか。
  142. 北島武夫

    ○北島説明員 まだ一昨日、昨日と続けて二日やっているばかりでございまして、状況はまだここで申し上げるまでに至っておりません。ただ件数といたしましては、電器製品のほうにつきましては七団体、八社、二十二カ所について、ただいまの独占禁止法第四十六条に基づく強制調査を実施いたしたわけでございます。
  143. 中村重光

    中村(重)委員 通産省が、公取は商習慣を知らないのだと言っているのに対して、あなたは今後とも摘発を続ける、こういう態度であるわけです。私も当然だろうと思う。かつてあなたのほうは、たとえばミルクの問題、その他セメントの関係等、調査を進めてこられた、その成果についても伺っておきたいと思うわけです。あなたのほうでメスを入れられるのは非常にいいわけです。ところが、強制調査権を発動していくという断固たる態度が必要であるというふうに私どもは考えるのですが、そういうことではなくて、任意調査をおやりになる。そのために徹底した調査ができないというようなことが従来までの実績としてあるのではないかと思います。だから、いままであなたのほうでミルクの問題なり、あるいはセメントの調査であるとか、あるいは今回また家電の立ち入り検査に踏み切られたということでありますが、従来の実績についてもひとつお答え願いたいことと、それから今度は、商習慣を誤解をしているとか、知らないのだというような通産省の態度に対して、あなたはどのようにお考えになっておられるのか。あなたの談話で内容は明らかにされておるわけですけれども、この際、この委員会においてあなたの決意のほどもひとつ伺っておきたいと思います。
  144. 北島武夫

    ○北島説明員 これは独占禁止法四十六条のいわゆる臨検審査をやるかあるいは任意審査にするかは、そのときどきの場合に、ケース・バイ・ケースによって措置すべき問題でございまして、任意審査を適当とする事件も相当ございます。たとえば相対ずくの個々の不公正な取引方法の場合におきましては、おおむね任意審査の場合が適当なこともあるわけでございます。それからまた価格協定等あるいは生産数量の協定等の不当な取引制限の場合におきましても、時と場合におきまして、まず任意審査でもって入りまして、途中でいわゆる臨検審査に切りかえるということもあるわけであります。あるいはまた当初から臨検審査ということもあるわけでございまして、一がいに申すことはできないわけでございます。ただいままでの実績では、私ちょっといま手元に資料はございませんけれども、おそらく臨検審査の件数は全体の審査件数の中では二割程度のものであろうか、ちょっと数字はございませんが、そんなふうな記憶がございます。これはどういう方法がいいかは、その場合によりましてケース・バイ・ケースによってきめるべきことでありまして、一がいに任意でやったほうがいい、あるいは一がいに臨検がいいということは言いかねるのでございます。ときどきの場合において私どもも適当な状況を判断いたしましてやるわけであります。  それから、ただいまの、公取は商慣習を知らないというふうなことが通産省の係官の方の言として新聞に出ておったということでございます。はたしてそういう商習慣かどうか、これから調査してみなければわからないわけでございます。私どもといたしましては、あくまでも独占禁止法違反の疑いを持ちまして審査いたしておるわけであります。かりに商習慣といたしましても、もしその間に意思の連絡がありといたしますれば、これは明らかに独占禁止法違反でございます。そういう点をただいまこれからせっかく審査するわけでございます。
  145. 中村重光

    中村(重)委員 重工業局長にお尋ねします。  あなたのほうが話をしないのにあなたのほうの見解というものが報道されるはずはない。あなたのほうは、公取は商習慣を誤解をしておる、これは管理価格ではないのだ、このことは公取の諸君はでたらめなことを言っているのだ、こういう意思表示ということになる。だからあなたはこの点についてどのようにお考えになっておられるか。
  146. 高島節男

    ○高島説明員 本件につきましては、通産省も家庭電器製品ができるだけ安い値段になり、また業界が健全な発展をしてもらうということの角度からいろいろな意味調査、勉強をしてみたい、非常に複雑な状態でございますから、そういう気持ちがあるわけでございます。そのときに、おそらく通産省の全部をもちろん代表した意見でも何でもございませんが、雰囲気としてありましたのは、これから本格的に問題に取り組んでいくという段階のときにちょうどこういった形で任意調査が行なわれたわけでございますから、多少人によりましてはショックを受けたというようなことがそういった報道になったのではないかと思います。  私の見解を申し上げますと、これは独禁法に基づきまして公正取引委員会としてそういう一つの容疑を持って調査をなさる、そしていま委員長からお答えがありましたように、その結果、その間に何らかの意思連絡と申しますか、協定的なものがあるということであってはいけませんので、その角度から掘り下げられていくということは、これは当然のことであると思います。通産省としましては、その御調査の結果を待ち、また同時に家庭電器業界の価格形成のあり方、その源には家庭電器メーカー自体のいろいろかかえている悩みがございますが、そういった行政面の施策を掘り下げていきまして、片方、御調査の結果出ました成果を結び合わせて健全な発展をはかるべきである、こういうふうに考えております。いまお読み上げいただきました新聞の報道には、いろいろな取材はなさっておると思いますけれども、省内でも、とっさの間でございますから、いろいろな意見が部分的に出たのであろうと思います。私はそういうように考えております。
  147. 中村重光

    中村(重)委員 せっかくのあなたの答弁だけれども通産省の態度は一貫しているわけだ。セメントの場合もちょうど同じような談話を発表した。だから私はこの委員会で指摘したのだ。公取が立ち入り検査をやるということについては事前に相当な内査を進めたであろう。そして調査をやっているのだ。それを通産省は、公取の立ち入り検査というものは行き過ぎているというような、そういう態度をとるということはけしからぬではないか、こういうことで指摘したこともある。ちょうどそのときもあなたの答弁と同じような答弁をした。またあなたのほうは同じようなことを今度は談話として発表した。とっさのショックを受けた、それでまあとっさのことでいろいろな考え方を持っている者があって、そういうことを話したのであろう、そうじゃないです。あなたのほうは大資本の、特に独占資本の利益を守っていこうという考え方で一貫している。だから公取の公正な職務執行というものに対しては不愉快な気持ちを持ってあなた方は受け取っているのだ。だからこういうような談話を発表するということになった。あなたのほうのほんとうの本音をここで単に意思表示したということにすぎない。だからこういうような談話を発表した。係の者が一つのショックを受けて、つい、まとまったことではなくて頭に浮かんだ考え方を表明したにすぎないのであろう、あなたとしてはこれは正しいと思う、こういうことなんだが、それじゃあなたもこの新聞をお読みになったのだろうから、それに対してはこの係の者に対してその気持ちを確かめられたか。そのことについて、あなた自身の考え方はいま表明されたのだけれども、こういう談話を発表する不心得な者に対して、あなたはどういう処置をおとりになりましたか。
  148. 高島節男

    ○高島説明員 この問題は、いろいろ人によって考え方がございます。結局、独占禁止政策と産業政策ということの調和にわれわれはいろいろな問題でしょっちゅうぶつかっておりますが、いかにも双方がぶつかっておるような考え方で見られるのは、私としては非常にその点は真意が伝わっていないような感じがするのでございます。問題にお互いにぶつかっているというのでございます。公正取引委員会で当然のこととしまして、そういった協定、むしろ独禁法のたてまえからいえば、管理価格というようなことは定義がはっきりいたしませんが、現象としては協定があるかどうかというようなところを公正な競争の確立のためにお調べになっていく、それは当然の職務でもあります。それからわれわれのほうは、ただそういったことの運用と関連いたしまして、どういうふうに政策を実態的に持っていくかということの反省をしておるわけでございます。したがって、独禁法と産業政策という関連は、われわれのほうも大ぜい職員をかかえておりますが、十分にその間を練って勉強をしていく。相互の立場というものの理解というものが十分つきませんと、たとえば鉄の問題で北島委員長と私と議論をしておると、何かいかにも対立をしておるようにとられて、しょっちゅういわれますが、これは対立ということでなくて、一つの問題を苦心さんたんしながら解決をはかっていくので、そこいらの気持ちが十分に世間に伝わっていない点もあると思います。そこいらは私どもとしては、本来のお互いのあるべき職責を十分尽くすという角度から心得ていかなければならぬ、こういうふうに考えまして、そういう点はどういうふうにしてそういう記事が出たか知りませんが、一般的な私自身の見解は局内にはよく話をいたしておる次第でございます。
  149. 中村重光

    中村(重)委員 私はこの公取が立ち入り検査をされたのはおそきに失すると思う。もっと早くおやりになる必要があったと思う。あなた自身も、当然家庭電器の販売の問題だけではなくて、その他独禁法上の問題には関心を持っておられるであろうし、適正に商行為が行なわれているかどうか、そういうことについてそれなりに調査を進められなければならなかったであろうと私は思う。あるいは行政指導等もおやりになっておられるだろうと私は思う。私はこの家庭電器というものが独禁法の違反をやっているということを気づいておった。ということは、家庭電器はほとんど月賦販売ですから、それを購入する場合に、どういうことを販売業者は言うと思いますか。値引きをしてくれと交渉する。そうすると、値引きはできないのです、それはちゃんと協定があります、きめられた値段以下で売りますと、私はもう締め出しを受けるのです、販売権をもぎ取られてしまうのです、できないのです、あなたのことだから、できれば幾らかでも値引きをしてあげたいと思うのだけれども、実はそれができないのです、と販売業者は正直に言うのです。これはもうどの販売業者だって同じことだと私は思う。だからこれは独禁法上の違反であるということははっきりしておる。いつ公取が立ち上がるであろうかということを実は見守っておった。そうしたところがようやく——あえて私は重い腰を上げたとは言わない。非常に人手が足りない、そういうことから手が回らなかったのであろうと好意的に見ているが、今後立ち入り検査をおやりになったということについては、断固たる態度に対して、むしろ私は労をねぎらいたいという気持ちです。これは通産省がみずから調査をし、十分な指導をしていかなければならないのにもかかわらず、それをおやりにならないで、公取が立ち入り検査をやったということに対して水をかけるような、しかも商習慣を誤解をしているなどと、私が申し上げたような現実があるにもかかわらず、そういうことを知らないようにして、公取のやった態度を非難をするというようなことは、私は反省しなければならぬと思う。もう一度あなたの考え方を明らかにしてもらいたい。
  150. 高島節男

    ○高島説明員 公正取引委員会が今回の措置をとられたことに対しまして、とっさの間とはいえ、何かそういうような記事が伝わるようなことがあったということは、まことに申しわけないと思います。ただ、いま御指摘になりました点でございますが、小売り店が値引きができないように、メーカーからという意味だと思いますが、メーカーから一つの販売条件を押しつけておるという形、これは再販売維持の問題になってくるのじゃないかと私は思います。ただそういう場合に、これはいろいろな現象があるのじゃないかと思いますが、これは今後の御調査に期待したいと思いますけれども、販売店のほうで信用がない、資力が衰えてくる、業績があがらないというようなところのそういった行動に対しまして、メーカー側のほうでは、むしろある意味でそのつど、再販売維持というようなあれじゃなくて、お前らもしっかり売れといいますか、そういったことは不況になって相当出てきたのじゃないか。そういう現象に対しては一体どう考えるべきか。これは私、独占禁止法上の措置を十分理解いたしておりませんが、もしそういう措置にひっかかるとすれば、別に何らかのあるべき体制というものを考えていかなければいかぬのじゃないか。しかし再販売価格維持契約の場合には、これは正式に認可をとることになっておりますので、正式の認可をとらないでそういう業種を指定して実情に応じてやっていくという手を踏まないでやっている分野については、これは今度の調査によって明らかになってくる問題じゃないかと思います。
  151. 板川正吾

    板川委員 関連。これは次官に前提として伺いますが、十一月九日の新聞によると、三木通産大臣は、このほど事務当局に対して、物価対策の見地から主要工業製品の価格を引き下げるため具体策を検討するように指示したという。これは消費者物価はもちろん、これまで安定している卸売り物価にも上昇気配が出てきたためで、工業製品の価格は安定しているので問題はないというのが通産省の公式見解であっただけに、この態度の変化は注目されている。通産大臣は工業製品の値下げにひとつこれから取り組んでいこうという態度をとったし、事務当局指示しておりますか。
  152. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 指示しております。
  153. 板川正吾

    板川委員 公取が家庭電器とプロパンの問題で立ち入り検査をしました。私が聞いた範囲では、特に家庭電器の場合には、いま中村委員が言ったように、なかなか値引きしない。それはどういうのかというと、メーカーから一定の価格で販売することを強制される、いわゆる再販売価格維持をさせるわけです。こういう実態にあると聞いております。  御承知のように、再販売価格維持契約制度をとるためには、公正取引委員会の指定が必要であります。指定を受けないでそういうことをやるのはいわゆるやみ再販価格だろうと思います。  最近、たとえば新宿のスーパーで、「再販制度に挑戦」として、メーカーがかってにやみ再販制度を強要しているのはけしからぬから、再販価格なんというものはやめてしまうようにというので署名をとって公取に回しておるという話も新聞等に出ておりますね。こういうやみ再販について公取が徹底的な措置をやるのは当然だと私は思うのです。ところが、やみ再販でも価格維持でも同じですが、この前は佐橋次官は、公取と一戦交えるということばが新聞紙上に出た。今度見ると、山本通産次官は七日の記者会見で、「いきなり独禁法違反という法的措置に訴える前に、行政指導で独禁違反をなくすような手を打つことが重要で、この旨公正取引委員会に申し入れた」というのですが、そういう申し入れがありましたか。
  154. 北島武夫

    ○北島説明員 新聞の報道とは多少違うようでございます。プロパンガスの審査を開始いたしました後に、通産省事務当局の方が当方の事務局に参りまして、プロパンガスの審査の状況についてお聞きになったとともに、今後はできるだけ自分のほうでも行政指導によって、もしそんな価格協定などの独禁法違反があるならやめさせるようにしたい、こういうことを言って帰られたということを、私はあとで聞いております。
  155. 板川正吾

    板川委員 通産省が、たとえばプロパン販売についてもいわゆる調整規定なるものを設けさせて指導して、何とか安定させようというふうに見ている。しかしなかなか業界の方はそれに甘えて、そうしてその一定の基準よりだんだんと基準を越えて、実質的にはカルテルを実行するという動きがある。公取はある程度それを見ているが、ときどきばしゃっと出て立ち入り検査をする。そうすると片方は、これはどうもたいへんだというのでびっくりするというようなイタチごっこみたいなことが続いておると思うのです。これは通産省がどうあろうとも、公取は通産省の外郭機関じゃないですから、それは独自の見解で、独禁法を守るというたてまえから堂々とやったらいい。その公取のやり方に対して文句があれば、それは最終的には法廷で争うほかないわけですけれども、独禁法に触れない範囲でやはり指導というものを行なわなくてはいけないのだろう、こう思うのです。しかしどうも通産省の指導というのは、公取が目を光らせておかないと、だんだんとひさしを貸せばおもやのほうに入ってきますから、その辺ひとつ今後ともしっかりやってもらいたいと思うのです。  私は、今回の場合に特に考えたのは、松下電器がやみ再販の問題に関連しておるというんですね。松下電器の販売組織がやみ再販を実質的にやっているのじゃないか、こういう疑いで立ち入り検査を受けたと思う。松下幸之助さんというのはなかなかりっぱな人で、いわゆる産業界の修身の先生みたいなことをやっておりまして、いろいろなことをやっている。なかなか合理的なりっぱな人だと思うのですが、産業界の修身の先生のところがやみ販売価格をやっているのじゃ、修身の先生が無賃乗車しているようなもので、どうもこれはぐあいが悪いですね。この点われわれは、公取は厳重に審査した結果、必要とあれば注意すべきじゃないか、修身の先生が無賃乗車をひそかにやっていたというのじゃいけないのであって、今後ともひとつ十分にこの問題を審査、調査を徹底してやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  156. 北島武夫

    ○北島説明員 まだ特定の会社の名をあげて云々する時期ではございませんが、どの会社であるにいたしましても、独占禁止法で認めておらない再販売価格維持行為をやっておりますれば、これは私のほうとしては審査に回さざるを得ないのでありますが、私のほうといたしましては、独占禁止法上与えられた権限を慎重にしかも勇敢に行使いたしまして、今後独占禁止法を十分ひとつ守っていきたい、こう考えております。
  157. 板川正吾

    板川委員 プロパンの報告を聞くと、メーカーから自動車会社に直売しているものが八円ないし九円のものを今後一リットル当たり十六、七円にしょう、あるいは元売りから小売りへ出すのを二十円のものを三十四、五円にしようとか、こういうようなことを指導されて市況の安定ということをはかろうとしたのだと思います。プロパンのような非常に危険性のあるものは、何でもかんでも安ければいいという性質のものばかりでなく、これは安全性というものを背中合わせになっておるものでなくちゃならない。安くて危険性あるものじゃこれはいけない。特に最近プロパンガスにおける事故が多いし、需要は今後ますます普遍化していきますから、そういう意味で安全性の問題があると思います。業界としては、安全性が侵されるような値下がり状態ではぐあいが悪いということであれば、これは協定によらなければいいのであって、協定して値上げしようというところに問題があるだろう。協定をして値上げさせようということで、公取で手入れするのはそこだろうと思うのです。そこら辺は、プロパンの問題は将来何らかの措置をとる必要があるのじゃないかなと思いますね。安いというだけでもいけない。同時に、最近やたらにプロパンの事故が多い。例をあげれば、私のよく知っている、うちの近所で、わずかな路地に五十キロのボンベが三本も立っておって、そしてそれは営業用に使っておる。その路地を人が出入りして、もし何かの間違いでも起こればたいへんな事故になる。その例がこの間大宮でありましたね。狭い路地に五十キロボンベが積んであって、そのところを自動車が入っておって、ボンベをひっくり返して大火事になった。そういうこともあって、このプロパンの問題は、同時に安全性を強化するという面で、今後通産省としても考えなくちゃならぬこともあるだろうと思いますが、この点どうですか。
  158. 両角良彦

    ○両角説明員 ただいま御指摘もございましたように、プロパンの最終販売価格が適正であって、それによりましてプロパン販売の保安の確保もあわせてはかられるというようなことは最も望ましいと存じますが、同時にプロパンの価格水準につきましては、今日プロパンの供給の三割以上が輸入に依存いたしておりまして、輸入価格というものが大体十七、八円以上でございますので、これとのバランスで輸入が円滑に行なわれるような市況というのがございまして、冬場の需要期にプロパン使用の一千万世帯がプロパンの不足というような事態に見舞われることのないように、さような面からも、私は現在の市況の回復ということが望ましく、かつ必要ではないかと考えております。
  159. 板川正吾

    板川委員 いずれにしても八、九円で売っておったのが十六、七円、二十円のものが急に三十四、五円になる。急激に安くなるのには、安くなるだけの情勢、理由があって安くなったのですから、需要供給の原則によって安くなったそれを人為的に急激に値上げをするというようなこと、人為的にそれをつり上げる、こういうところにやはり問題があります。公取の手入れを受けるのはやむを得ないですね。ひとつその点は、それはそれとして、事故のないように、今後安全の強化について指導してもらいたいと思います。
  160. 天野公義

  161. 栗山礼行

    栗山委員 過般の十月十八日の商工委員会におきまして、最近業界が非常に大きな問題として取り上げております白板紙の値上げの問題、段ボールの白板紙の値上げの問題を中心にいたしまして、板川委員及び山口委員から通産省及び公取の竹中事務局長にいろいろ御質問等がございました。私はそれを伺っておりまして、その問題に触れることなく終わったのでありますけれども、その後わが党のほうにも強い要望がございました。過般また大阪におきまして、名古屋以西の近畿各県の白板紙値上げについての問題の決起集会がございまして、私も招かれて参ったわけでございますが、これを通じまして、私は委員長あてに十月二十六日付をもちまして、民社党本部中小企業対策委員会委員長私の名前をもちまして、申し入れ書を竹中事務局長まで差し出しておいたわけでございますが、これは委員長、ごらんをいただきましたか。
  162. 北島武夫

    ○北島説明員 拝見いたしました。
  163. 栗山礼行

    栗山委員 いろいろそのときに申し上げて懇談をいたしまして、そうして竹中事務局長の見解等も承りました。すでにそのときに、十分なる調査の段階ではないけれども、ある程度のつかみ方ができたので、委員長の意向をもとにして四メーカーを中心とする勧告を行なう、こういうようなお話を公的にお伺いをいたしました。そういうふうな話がございまして、それを期待いたしまして、ぜひ強い態度で勧告を求めたい、こういう要望をいたして帰ったわけでありますが、その後の公取の白板紙に対する処置をどういうふうにおとりいただいたか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  164. 北島武夫

    ○北島説明員 白板紙のことにつきましては、不況カルテルを実行しておったわけでございますが、その期間中におきまして、値上げの時期等につきまして、私のほうでも見ておりまして、これは誤解を招くようなことがあってはいかぬぞという感じがいたしました。ただ、事情を調べてみますと、毎月のたしか価格仕切りの日が同じなんですね。したがって、その時期でなければ各社交渉できないということで、その時期に各社が交渉して値上げを相手方とやるというような状況はその当時はうかがえたわけであります。これはその関連事業者から見れば、あるいは白板紙のメーカーたちが協定して自分たちに売っているのじゃないか、こういう感じは持たれたかもしれません。そういう点はしかしよほど気をつけなければいかぬということで、ことに不況カルテルを終わった後においてそういうことがかりにあるとすればいけませんから、事務局長からすでに連合会のほうに厳重注意をいたしております〇この間紙業関係委員会を開いておりまして、業者の方が来ましたときにも、価格の引き上げについては独禁法違反にわたらないようにひとつ十分に注意するように、こういうことを私自身も申し上げたのであります。いたずらにカルテルということで価格の引き上げにのみ狂奔することなく、カルテルについては、その期間中に体質の改善その他の方策も十分に講ずるように、しかも価格の改定については、共同行為によってやったというような疑いを招くようなことは困りますよ、ということを私どものほうでも厳重に申し渡しております。
  165. 栗山礼行

    栗山委員 いま伺いますと、御承知のとおりに、不況カルテルの期限が切れました直後に四メーカが一挙に値上げをする、こういうふうな態度をとったということで、紙業界に非常な混乱を招いて、こういうような地下カルテル行為は許すべからざるものだということで、大きな問題に発展をいたしたものと考えておるわけですが、いま委員長からお伺いをいたしますと、そういう誤解を招くかのごとき内容については十分注意をすべきである、こういうことで事務局長がお話を申し上げ、また委員長みずからも連合会にその通達及び意見を申し述べた、こういう御答弁をいただいておるのでありますけれども委員長、これは地下カルテルという認識の上に立っていらっしゃるのか、たまたまそういうふうな感じを与えるという感を持つので、こういうことは誤解を受けるからということでお考えになっていらっしゃるのか。いま御答弁を伺いますと、私は明確に地下カルテルとしてのとらえ方で手段を求めなくちゃならぬということで、いろいろ竹中事務局長と話をいたしまして、そういう内容等も含むので、私は委員長の命を受けて勧告を強くする、こういう態度で臨みたいのだ、こういうことでございましたから、お手並みをひとつ拝見して経過を待ちたい、こういうことで別れたわけですが、いまの御答弁はそういうニュアンスといいますか、とらえ方に非常に微妙な内容がございますので、私は法律論をあなたみたいな大家と論争をするということは避けたいと思うのでございますけれども、明らかに地下カルテルという見解に基づく勧告なりや、あるいは誤解を招くということで単なる注意事項として申し入れられたのであるか、この点を明確に願いたい。
  166. 北島武夫

    ○北島説明員 これがはたして地下カルテルであるかどうかというかとは、実際に審査してみないとわからぬわけであります。不況カルテルの継続期間にも、価格の引き上げについて多少時期を同じゅうしたような傾向がありました。実は取引状況を調べてみましたら、先ほど申しましたように価格の改定が、いつも紙業者については仕切りというものが同じ日になっておる、したがって、その日にやはり値上げを公表しなければならぬということになると、受けるほうから見れば、共同してやってきたなという印象を持つのでないかという感じがいたしました。その点は紙業界独特の状態であるかもしれもせん。ただ、ここでもってそれがはたして地下カルテルあるかどうかということは、私ども確認を握っておるわけではございませんから、せっかく不況カルテルを続行して、また終わったばかりにおいて、今度は独禁法違反というようなことを受けることがないようにということは厳重に注意する必要がありますので、その点先般事務局長からも注意をいたしましたし、私からも注意をいたした、こういうわけです。
  167. 栗山礼行

    栗山委員 重ねてこれは御要望申し上げておきます。まだ結論づけて断定する段階でないので、その以前の問題として、いろいろ注意なり勧告にわたらないひとつの警告的要素をもって申し述べておいた、こういうふうな段階に委員長はとどまるわけでありますが、やはりこれは法律解釈と、それから鋭敏な一つの主観で時を同じゅうしてやっておるという内容、しかも四社が同一値上げを業界申し出る、そしてそれを強行実施をする、こういう内容が調査をしなければわからないというとらえ方でお運びになるというところに、私は公取の機能や信を天下になくする要因を持つのじゃないかと思うのでありまして、たいへん御警告を申し上げるようでありますけれども、これはすみやかに十分な調査の上に立って、処断するものは処断する、こういう強い態度でお臨みを願いたい、こう要望申し上げまして、御意見があればお伺いすることにいたします。
  168. 北島武夫

    ○北島説明員 なお不況カルテルの継続期間中に価格の引き上げを一、二回かなさったわけであります。かそのときの値上げの幅は各社一様ではないわけです。そういうところからも、必ずしもこれは直ちに協定とはいえないという感じはいたしております。
  169. 栗山礼行

    栗山委員 たいへん恐縮でありますが、もう一問だけ。  宇野政務次官お見えになっていらっしゃいますが、同様に紙業課長と繊維雑貨局長にも、通産行政としてこれについてどう見るか、どう対処するかということについて委員会でも質問が展開されたのでありますから、そしていま業者と関係者とにおいてすみやかに何らかの協定に達するような話し合いの進め方を推進いたしておる、こういう局長や課長の話でございましたので、私はその成果に期待を寄せる、ただしあとで、どろぼうが入ってかぎを一つ用意するというような、拙速な拙劣な行政というものについては十分考慮すべき問題ではないか、こういうことで意見を申し上げておいたのでありますが、その後通産省はこの問題についてどういうふうにお取り組みを願って、そうして今日どういう状況であるかということを一言でお答えを願いたいと思います。
  170. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 過般来、先般の委員会におきましてもこの問題は問題になっております。したがいまして、公取のほうからも、いま委員長が申されましたとおり、適切な勧告が行なわれたようでございますから、通産省といたしましても、ただいま鋭意その間の調整につとめておることだと存じております。  なお、本日局長が参っておりますと、もう少しく事務的なこまかいことが報告できるのでありますが、ただいま申し上げましたようなことで私はよく存じておりませんから……。
  171. 栗山礼行

    栗山委員 では御要望申し上げます。  政務次官は、こういう問題については所管局長でないとこまかいことは答弁できぬということでありますから、局長をせしめまして明確に、こういう取り組みをし、こういう内容を持っておりますということを、ひとつ何らかの形においてお答えをいただきたいということを御要望申し上げておきます。
  172. 天野公義

  173. 田中武夫

    田中(武)委員 いま公取委員会が取り組んでおられる具体的な問題は触れないことにして、それは公取委員会の今後の出方、いやな言い方をすれば、お手並みを見せていただくということにして、若干その基礎になるようなことについて見解を伺っておきたいと思います。  中村委員との間にもちょっと質疑応答があったようですが、私ちょっと中座しておりました。商慣習というものをどう解釈しておられますか。
  174. 北島武夫

    ○北島説明員 商慣習にもよりけりでございますが、よく法律上も正常な商慣習により云々というような書き方がございます。商慣習によりましても、それが法に触れる場合があるわけであります。
  175. 田中武夫

    田中(武)委員 公の秩序、善良な風俗に反するのは商慣習じゃないわけです。そうでしょう。だから悪い商慣習じゃなしに、いい商慣習ということで悪いものは商慣習じゃないわけですよ。公の秩序、善良な風俗に反する商慣習は成り立たないわけです。そうでよう。独禁法以前の法律を見てごらんなさいよ。慣習とは何ぞや、コモンローとは何かということからいきましょう。
  176. 北島武夫

    ○北島説明員 法律上でよく正常な商慣習という語がございます。そうなりますと、その反面、商慣習であっても正常ならざるもの、あるいは場合によると不法なる慣習もある。こういうふうに一応私ども考えておるわけであります。世上行なわれております商慣習なるものにも、これは違法な商慣習ということも多分にあると私は思います。
  177. 田中武夫

    田中(武)委員 正常な商慣習云々ということは独禁法にはみな書いておるわけですね。この用語については、はっきりしたことを公取委員会としては持っておられるだろうと思うのです。私が言っているのは、商慣習それ自体は、公の秩序、善良な風俗に反するものは慣習ではないわけです。私はそう思うのです。慣習ではない、そうでしょう。公の秩序、善良の風俗に反する慣習というものは、商慣習ではない、どうです。まずそのはかるものさしだけをきめておきましょう。
  178. 北島武夫

    ○北島説明員 まともに田中先生法律論を戦わすのも私は気がひけるのでございますけれども、商慣習といえば商事の慣行でございますから、中にはやはり違法なものがある、正常ならざる、認められざる商慣習というものがあるわけです。たとえば、例を申したら悪いですが、いわゆる不当な歩積み・両建て預金とか、これは戦後十数年間の商慣習になっておる、こういうことが言えるかもしれない。それはしかし法律に照らしまして違法な商慣習である、こう私どもは考えておるわけでございます。違法な商慣習もあり得る。しかしそういうのは、個々の契約としては、場合によって民法上無効なこともありますし、それから他の行政法規の違反として排除を命ぜられることもありましょうし、あるいはまた刑事事件という問題もありましょう、私はこう考えております。法律論を申し上げて、まことに申しわけありません。
  179. 田中武夫

    田中(武)委員 そこをものさしをはっきりしておかぬと、せっかくいきり立ったが竜頭蛇尾に終わる危険性もあるわけです。慣習というものは、公の秩序、善良の風俗に反したものは慣習ではないのじゃないですか。これは法制局を呼ばなければいかぬな。法制局を呼ぼう。では、これは法制局を呼んで、もう一ぺんやりましょう。  それから、正価販売を強制することはカルテルですか。もう一つは、これは佐藤さんの時代に、カルテルには拘束性を必要とすると言っておったが、あなたの御見解は拘束性を必要とするのかしないのか、ものさしをはっきりきめておかぬと……。
  180. 北島武夫

    ○北島説明員 正価販売という場合に、メーカーが指定した値段、これをひとつ守れ、守らなければ荷どめをするぞというふうなことは再販売価格維持行為、これは独占禁止法で認めたものにしかやれない、こういうことになるわけですね。その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。
  181. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、たとえば両角さん、ガソリンスタンドで、ガソリンの正価販売というやつを全部かけておりますね。正札販売、これは上から言うたのですか横の連絡でやったのですか、どっちなんですか。上からやったときならば、いま言った再販価格維持契約の問題が出てきます。横で申し合わせたのならカルテルという問題が出てきます。あれはどうなんです。まず所管局長の意見を……。
  182. 北島武夫

    ○北島説明員 もしメーカーからの指定がありますれば、これは再販売価格維持類似行為、それから横の協定でありますれば、これは不当な取引制限に当たる場合もある、こういうことでございます。
  183. 田中武夫

    田中(武)委員 全部かけていますよ。
  184. 両角良彦

    ○両角説明員 御指摘の正札販売は、地方のスタンド等がみずからの意思で行なっておる場合が大部分でございます。
  185. 田中武夫

    田中(武)委員 秀才答弁だな。みずからの意思というのは個々別々ですか。個々別々に、みずからの意思でですか。それならば、かけておくのもそれぞれ個々別々の、思い思いのものをかけるだろう。同じものがかかっているんですよ。
  186. 両角良彦

    ○両角説明員 みずからの意思と申しましたのは、値段そのものでございまして、これはたとえば東京都の一つの相当密接した区域の中でも、いろいろなガソリンの値段があるわけです。ただ、ある一定の値段以下では売らないという意味の正札を掲げておることは、各スタンドのみずからの意思で掲げたことであります。
  187. 田中武夫

    田中(武)委員 張り出しているのが同じきれで染め抜いたもので、みずからのなにで個々でやるなら、ああいうことはやらぬと思うのです。あれはやはり何か横の連絡があって初めてできる。あれは上からか横からか知りませんが、同じような赤に白抜きののぼりをかけておる。これは明らかに横の連絡があったと思う。あるいは上からそうしなさい——上というのはメーカーないし卸ですか、メーカーからやっておるとするならば、再販価格維持契約の問題が出てくる。そこでもう一つは、例の拘束性を必要とするや否や。委員長、これははっきりしておかないと、いまあなたがいきり立っておる電器メーカーにも拘束性というものは出てこない。そうしたら竜頭蛇尾に終わる。拘束性というものをどう見るのか。
  188. 北島武夫

    ○北島説明員 その点はたしか前の通常国会の予算委員会お答えいたしたと思うのですが、私ども現在、拘束性ということは、約束してそれをやればそれが拘束なんだ、こう考えておる。たとえそれが罰則がつかないものであっても、相互が約束すればやはりそれは拘束だ、こう考えておる。御安心いただきたい。
  189. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、横の連絡ということは、一諸にどこかに集まって、そしていわゆる意思の相談をしたといいますか共同謀議というか、そういうものを必要としますか。
  190. 北島武夫

    ○北島説明員 公取の審決もございますし、あるいはまた東京高等裁判所の判決にもございますけれども、カルテルの成立には、単に外形上形が一致したというだけではこれは共同行為にはならない、裏に何らかの意思の連絡を必要とする、こういうことであります。意思の連絡というのは、これは明示であると黙示であるとを問わず、明らかに約束したということはもちろん入ります。そうでなくて、目と目でやったといいましても、状況証拠からいいまして意思の連絡ありと認められれば、これは独占禁止法に反する、こういうことになります。
  191. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると業界の連合会、何々協会というものがありますね。そこでタクトを振った場合はどうなりますか。
  192. 北島武夫

    ○北島説明員 事業者団体になりますと、独禁法第八条の規定に禁止規定がございますから、それぞれ行為に応じまして第八条一号ないし第五号でございましたか、その条項に該当いたします。
  193. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、大体ものさしはきまりましたね、ものさしはきまった。ただ商慣習ということについて若干の意見は違います。それは、正常なるというのがいわゆる公の秩序、善良の風俗に反しないもの、こういうふうに解釈するならこれも一致する。そうすると残るのは、何が公の秩序、善良な風俗に反するかということが残るわけです。大体これでものさしがきまりました。そのものさしによって公取委員会が何ものもおそれず何ものの批判にも屈せずやっていただくことを要望しておきます。
  194. 中村重光

    中村(重)委員 それでは中小企業の年末金融の問題について。  まず、新聞報道によって、四十一年下期の融資追加ワクとして年末金融の内容が報道されておるわけですが、それは新聞報道でありますので、本委員会において年末金融対策について一応お答えを願いたいと思います。
  195. 影山衛司

    ○影山説明員 十一月八日の閣議におきまして、政府関係中小企業三機関の今年度の下期の貸し出し計画の追加が決定いたしたような次第でございまして貸し出し規模につきまして合計九百三十五億円でございます。国民金融公庫が三百八十億円、中小企業金融公庫が二百九十億円、商工組合中央金庫が二百六十五億円ということになっております。おのおのその裏づけといたしまして財政投融資をこれに投入いたしておるような次第でございます。
  196. 中村重光

    中村(重)委員 なお、この民間金融機関の年末金融対策とあわせてお答え願いたいということと、それから、いまお答えになりました国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金、この三つに対しての九百三十五億を追加融資する、こういうことでありますが、従来形式的になっておる傾向があるわけです。ということは、これを短期で出すんですね。年度内に償還させるというのもある。それから年度越しというのもあるわけですけれども、しかしほんとうに中小企業の金融の緩和をはかっていくということになってまいりますと、長期融資でなければならないと思います。ですから、長期、短期の融資内容はどういうことになっておるのか、それからいま一つ、中小企業、なかんづく零細企業というものは信用力がない。したがって、その信用補完制度を強化していくという立場からは、やはりこの中小企業信用公庫の保証原資というものをふやしていくということでなければならないわけですが、その点に対してはどのようにお考えになっているのか。
  197. 影山衛司

    ○影山説明員 第一点の民間金融機関でございますが、これは年末におきましての貸し出し目標額をおのおの自主的に決定をしてもらうということを要請いたしたわけでございまして、全国銀行におきましては、貸し出しの目標額は四千億円でございます。相互銀行が二千五百億円、信用金庫が三千億円でございまして、合計九千五百億円を貸し出し目標とするということになっております。これは中小企業向けの貸し出しの額ということでございます。  それから政府関係金融機関に対しますところの財政投融資の質の問題でございますが、昨年の追加財投の場合には、おのおの各金融機関につきまして短期の、年度内に返さなければいけない資金をこれに追加いたしたわけでございますけれども、今年度におきましては、その短期のものは財投の中には含めないという方針でただいま大蔵省とも折衝いたしておるわけで、長期と準長期ということになるかと思います。  それから第三点の信用補完の問題でございますが、これにつきましては、先ほど先生から御指摘のとおり、民間の金融機関の金を中小企業のほうに誘導をしていく上におきまして、信用補完制度が非常に大きな役割りを果たすわけでございますけれども、ただいまのところ実態を調べておりますと、年度当初七十五億円を信用保険公庫から信用保証協会のほうに流すということで予算を計上いたしておりますけれども、ただいままでのところ、これを増加する予定はございません。大体順調にいっておりまして、例の特別小口保険等につきましても相当順調にいっておるというふうに考えておるわけでございます。
  198. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、短期は財投の中に含めないということになりますと、この九百三十五億というのはいわゆる長期と準長期というこの二つにする、こういうことですか。
  199. 影山衛司

    ○影山説明員 九百三十五億のうちで財政投融資部分が五百二十五億でございます。あとは各金融機関の自己努力と申しますか、回収金によってまかなうということになるわけでございます。
  200. 中村重光

    中村(重)委員 各金融機関の回収金によってやる自己努力、それが問題なんです。九百三十五億、これは従来とも必ずしも——資金というものは必ずしもということばは当たらない。従来とも投融資というのは非常に少なかった。自己努力でやりなさい、自己努力でやりなさいというようなことで自己努力に依存するという傾向が強いわけです。年度末においてすら、いわゆる自己努力だ、回収金でやりなさい、こういうことで九百三十五億のうちに五百二十五億だけが財投であって、あとは回収金ということになってくると、これはそれだけ回収をするわけだから、回収するということになってくると、借りた金は返さなければならないけれども、相当無理な回収というものがなされるであろうということが十分予想されるわけなんです。それではいけないのであって、九百三十五億というような貸し付けワクというものは、これはいわゆる回収金というものではなくて、やはり財投の別ワク融資をやるというようなことでなければならぬと私は思う。長期だけというのには無理があるとすれば、長期あるいは準長期、その中に、九百三十五億全部を財投という形で出すとするならば、それは短期というものも加わっていいと思うのだけれども、ともかく回収金に半分近く依存するということは私は適当ではないと思う。その点はどうお考えになりますか。
  201. 影山衛司

    ○影山説明員 私どもこの貸し付け規模の追加をいたす場合あるいはその計画をつくります場合に、各金融機関の回収の規模等につきましても、無理のないところをやらして、それを基礎にして財投の追加計画も組んでございます。たとえば商工中金あたりにつきましては、追加は二百六十五億いたしましたけれども、ほとんどこれは財投の必要性はないくらいに自分のところの通常のベースでの回収金でやれるというぐらいなベースでございまして、そういう点で無理は全然いたしていないわけでございます。
  202. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく私どもは、お役人さんの頭の中で考える机上プランばかり立てたのでは現実とは遊離しているのだということをいつも言っている。ともかく政府関係金融機関というものは独立採算でやっているのだから、できるだけ——できるだけではない、焦げつきなんというものは全然やらないようにしなければいけない。あまり焦げつきを出したのでは、これは自分の成績にさわるということもある、出世の妨げになるという考えもあるのでしょう。また、あなたのほうも、大蔵省からやかましく言われるから、盛んにそういうことでもって督励をせられている。だから、慎重の上にも慎重を期して、ある場合には民間の金融機関以上に厳密な、いわゆるシビアな貸し付けをやっているのですよ。頭の中で考えて、そうしているいわゆる出先の人たち、出先でなくても、その政府関係の金融機関のそれぞれの首脳部の人たちとのあなた方がお考えになって、それでこの程度で出したのならだいじょうぶだ——いまあなたの最後のお答えからいくと、むしろ財投なんか必要ではなくて、回収金で十分やれるのだ、そういう考え方で年末金融対策をやろうなんということは、私はあまり現実無視もはなはだしいと思う。従来ともにほんとうに必要資金が政府関係金融機関から貸し付けられているという保証がありますか。いまですら申し込みの五〇%も融資していないという現実をあなたはどのようにお考えになりますか。そういう現実を無視して、そうしてそう心配要らぬのだ、そんなに困っていないのだ、こういう考え方で年末金融対策をやろうなんということは、これは間違っていますよ。どうですか。
  203. 影山衛司

    ○影山説明員 中小企業への融資が円滑にいくようにということが私どもの施策の念願でございます。無理をしないということを大前提といたしまして、年末の追加財投等も行なっておるわけでございます。これは各公庫の実態に応じてそれをきめておるわけでございます。先ほど申したのは、商工中金は無理なく二百六十五億程度は回収できるから、それを前提として年末の追加貸し出しを行なっておるということでございます。一方において国民金融公庫は貸し付け規模は三百八十億にきめたわけでございますが、これが小規模零細でございますので、なかなか回収がむずかしいということで、三百八十億全部を財投でまかなっていく。おのおの公庫の実態に応じまして、無理のないところできめておるつもりでございます。
  204. 中村重光

    中村(重)委員 あなたが回収金だけで十分やれるという商工中金が最もひどいのです。最もシビアな取り組み方をしている。財投の必要がないなんて、これは現実遊離もはなはだしい。現実につい最近われわれ商工委員会が現地視察をやって、長崎県の貝津という団地に行って現状を聞いてきた。あなたのほうの出先も出てきているから報告を受けておられるだろうが、せっかく国の政策に従って団地をつくった。設備投資を行なってきた。ところがそれは全部融資なんだから、無利子の助成というものは、あなたも御承知のとおりきわめて少額なんです。それでその金利がたいへんな経営圧力になっているのです。かてて加えて、親企業の単価引き下げが行なわれてきた。それから支払い条件も現金から手形へ、手形は短期から長期へとなっている。まさに倒産寸前にあるのです。だから、つい最近商工中金に三億数千万円の融資申し込みをやったところが、半分にも満たない一億四千万円で押えられたのです。一つの例を私は申し上げた。まだ幾つも私は調査している。年末金融対策の問題を取り上げて委員会質問するということについては、私どもはそういう諸団体とも相当懇談会をやって、実態をつかんでいる。だから具体的な例をここで一つ一つあげて申し上げるならば、三時間でも五時間でも質疑するだけの材料を私は持っているのです。しかしもう五時にもなっているのだから、あらためてやることにして、私は一つの例を申し上げた。あなたが自分の金だけでできるのだと特に声を大にして強調されておる商工中金が、いま申し上げた現状なんですよ。財投の必要はないのだというような考え方で、中小企業の非常に逼迫した年末に臨んでの危機を切り抜けることができるとあなたはお考えになりますか。中小企業の倒産、しかもその倒産は最近は資本金が非常に少ない小規模企業の倒産という状態になっている。倒産件数は少しも減らないという実態をあなたはどう見ておられるのか。目をつむって、あなたはいまのような楽観的な取り組みをしようとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。どうですか。
  205. 影山衛司

    ○影山説明員 私ども決して楽観をいたしておるわけではございませんで、昨年の年末財投と比較してみましても、昨年は御承知のように不況のさなかであったわけでございますが、それで貸し付け規模は八百二十億でございますから、それに比べまして今年度は非常に金融がゆるんでおるというような状況でございますけれども、倒産の高水準というようなことも頭に置きまして、九百三十五億というふうに、昨年を上回る追加をいたしたような次第でございます。先生の御指摘の財政投融資の額と各金融機関の貸し付け態度というものはまた別に考えていいのではないかと思います。商工中金はほかの公庫と違いまして半官半民でございますので、多少回収ということにも意を注ぐかと思いますけれども、先ほど先生御指摘のような団地あたりにつきましての融資というものが円滑にいっていないという点がございますならば、これは具体的な問題といたしまして、団地が今後うまくいってもらわなければいけないわけでございますから、これは商工中金等とも、あるいは通産省の出先の機関ともよく相談をいたしまして、そういう団地が年末を乗り切り得るように具体的にめんどうを見てあげたい、そういうふうに考えております。
  206. 中村重光

    中村(重)委員 財投でなくて別で考えろ、そういうところにいわゆる出資金の問題が飛び出してきたり、貸し付けにあたっての預金の要求というものが出てきたりするのです。いわゆる私どもがいつも問題にする歩積み両建て、そういうような形があなたの答弁の裏からは考えられる。財投を引き締めていくということになってくると、やはり貸し付け原資というものは何かに求めなければならぬということになるのですよ。回収をきびしくやるということになってくると、それは無理に支払いをしなくてはならぬということになる。これは少しも年末金融対策にならないです。それじゃ財投でなくて何が別にあるのです。いわゆる債権をさらにはっぱをかけて引き受けさせなければならぬということになる。それだってだれがやるのです。これはほとんど商工中金の組合員が引き受けなければならぬようになるのです。そうすると年末金融対策にならぬじゃありませんが。だから、やはり政府の投資とか融資とかいう形がなければ、ほんとうの金融緩和という形にはならない。これはあなたのほうで、あまり金をどんどん出していったならば回収に力こぶを入れないようになるかもしれない、そういう取り越し苦労があるとするならば、そんな必要はありませんよ。貸し付けをする当事者はそれほど甘くはない。もっとあなたのほうとしては大蔵省との折衝をやって、そうしてできるだけ年末金融がゆるやかにできるようにしてやらなければ、年末になって倒産は激増するということになってまいります。そういうことはないという保証はあなたはできないでしょう。それと信用補完の関係で、信用保険公庫に対するところの投融資の必要はない、順調よくいっております。順調よくいっておるというのは、金が余って順調よくいっておるのではないですよ。順調よくいっておるというのは、ある場合は、私どもがいつも言う特殊部落の特別小口保険の問題にしても、これとても住民税の均等割りでなくて所得割り、それだけでもっていいわけなんだけれども、必ずしも、あれだけは納めております、それは滞納いたしておりませんと持ってきて、それで手っとり早くさっさっとばかりやっているというわけでもないのです。実際に行った人に聞いてみると、何だかんだと言って、むずかしい調査も受けるらしい、こういうことなんですよ。しかしながら、保証協会が相当努力をしておるということだけはよくわかります。啓蒙も大いにやっている。そういう意味で順調よく進みつつあるということは、私はそうではないとは申しません。大いにその努力は多としたいと思う。だがしかし、保証を求めた人に対して、それでは承知しました、保証いたしましょうというようなことで順調よく保証をやってくれておる、そういう意味で順調よくいっているのだということには私はならないと思う。信用保険公庫、保証協会の立場から判断をしてみて順調よくいっておるというのであって、それが必ずしも金を借りる側、保証を求める側の立場に立って順調よくいっておるということにはならないと言うのです。順調よくいっておるということは、やはり金を借りる側、保証を求める側が、政府関係金融機関は、信用保険公庫は、保証協会は実にうまくやってくれる、こういうふうに感激をするような状態が順調よくいっておるという形になると私は思う。あなたの順調よくいっておるというようなおことばは、末端のそうした姿を知っている私どもにとりましては、的はずれの答弁というような感じを受けます。そうでないと言えますか。
  207. 影山衛司

    ○影山説明員 特別小口保険あたりも、常に私どもの指導の態度といたしましては、中小企業者、借りる側に立って業務を行なうべきであるという指導をいたしておるわけでございまして、従来保証協会あたりも特別小口につきましてはあまり積極的ではなかったわけでございますけれども、国会の商工委員会あたりの先生方の御鞭撻もございまして、私どもも相当これは積極的な指導をいたしまして、むしろ各協会とも特別小口につきましては、最近は積極的に借り保証をすすめておるというような態度でございます。その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  208. 中村重光

    中村(重)委員 私は五時までできょうは終わらなければいけないのですが、この国金なんかの年末金融ですが、これも国金のあるところ、いわゆる国金所在地ならばいいのですね。所在地でなくて、何というのですか農漁村、いわゆる地方になりますと、どうしても代理貸しになる。その代理貸しが非常に困るというのです。これは悲痛な叫びですよ。地方銀行の支店、出張所等で貸し出しをする場合、銀行の都合というようなことで貸し出しをコントロールしていくということですね。これは困るのです、こう言う。だから政府関係の資金を年末金融対策として考えてもらうならば、地方銀行あるいは相互銀行の窓口を通じないで、何か特別な措置を考えてもらえないだろうか、こういうことを切々と私どもに訴えられるのですよ。何かその点について考え方はありませんか。
  209. 影山衛司

    ○影山説明員 国民金融公庫につきましては、だいぶ支店、出張所網も整備されてまいりましたので、できるだけ直接貸しをするということが一つの方針でございます。それと農村、漁村で出張所もないようなところにつきましては、商工会がございまして、商工会がそういう人たちのために融資の仲立ちをしておる状況でございます。商工会あたりも活用いたしまして、できるだけ円滑にしたいと思っております。
  210. 中村重光

    中村(重)委員 最近は国民金融公庫の支店、出張所もたくさんできたとおっしゃる。具体的には長崎県の例で申し上げるのですが、長崎県に幾つありますか。長崎市と佐世保市だけです。ほかにありませんよ。ましてや離島は長崎、佐世保まで出てこいというのです。そして出てきて、そのまま貸してくれるのではない。申し込みに行く、調査に行く、また調査決定を待つ、また手続をしに来る、また借りに来る。こんな年末で困っているときに、ネコの手も借りたいようなときに、あなたが言うようにうまくいくものではない。それじゃ商工会が代理行為をやっているのだというが、商工会だっていろいろな取り次ぎをしています。あなたの言うような意味の代行為はやっておりません。ですから勢い地方銀行、相互銀行の窓口を通ずることになるのです。それが困るというのです。大体国民金融公庫がそれだけ貸し付けをしてくれればいい。商工中金にしてもそうなんです。農漁村なんかではもう中小金融公庫はほとんど問題にいたしませんから、そうすると地方銀行は政府関係機関からの金は直貸しでも代理貸しでも十分貸してくれないのですから、だから三分の一にも足りない。支払い能力はある。そういう場合には民間の金融機関から借りたいのですよ。ところが代理貸しで民間金融機関から貸し出しを受けるものだから、今度は政府関係の資金の代理貸し金額のみにとどまってしまう。もう全然金が足りないのです。だからどうにもならぬという事態に追い込まれるのです。そういう実情というものを全然考慮に置かないで、順調よくいっております、これで金が足りますとかいうようなことではどうにもならないのだ、こう言っておるのです。何か考えはありませんか。
  211. 影山衛司

    ○影山説明員 先生御指摘のとおり、資金量を三機関にふやしただけでは問題が解決できないわけでございまして、末端にまで中小企業者が借りやすいように、きめのこまかい指導なり、あるいは仕組みを考えていかなければならないということを考えております。
  212. 中村重光

    中村(重)委員 それでは最後に申し上げますが、先ほどあなたは、昨年はこれだけであった、昨年よりもことしはこれだけ上回ったという。金額についてははっきりあなたが言われたとおりですが、昨年八百二十億が今度は九百三十五億になる。昨年よりも上回っているのです。しかも昨年は非常に不況のどん底であった、いまは上向きなんだ。にもかかわらず、九百三十五億という昨年を上回ったのだ、こういう言い方です。いつもあなた方は金額のその量によって答弁をなさる。総理大臣がそういう答弁ばかりする。あなたも右へならえで、そういうことをおっしゃる。せめてあなただけでもそういうことをおっしゃらぬようにしなければなりませんよ。なるほど絶対額はふえておりますけれども、それでは政府関係の三つの金融機関で、かつて三、四年前までは中小企業金融の融資ワクの何パーセントを占めておったと思います。九%を占めておったのですよ。いまは八・五%になったじゃありませんか。融資絶対額はふえた。そしてあなた方が盛んに中小企業金融対策として、中小政府関係金融機関はできるだけ大幅な貸し付けをやるのだと言っておられる。けれども、そのことばとは逆に貸し付け比率というものは絶対額はなるほどふえたけれども、比率は下がっておるじゃありませんか。絶対額はふえたというが、物価はどんどん上がっているんですよ。設備、資材なんというものもどんどん上がるんですよ。卸価格なんというものは、上がってくるんですよ。どんなにたくさんつくっても管理価格で下がらない。それだから中小企業の資金量というものはそれだけ大きくふえておるのですよ。だからして、絶対額はふえるのはあたりまえじゃありませんか。ほんとうに政府が中小企業金融の問題について積極的に取り組んでいこうとするならば、従来が九%であったならば九・五%あるいは一〇%にふやしていくという態度でなければならない。そういうことをおやりにならないでおって、ただ金額が昨年よりふえたというゆえをもって、昨年よりもことしはより緩和しておるんですなんという考え方を、数字をもって私たちをごまかそうとしたって、ごまかされやしません。総理大臣がそういうことならば、しろうとだからということで、これは政治家なんだから、そういうことは許せないことばでありますけれども、ある程度許せますが、ほんとうに中小企業の実態をつかんでおる、また責任ある立場にある中小企業庁の長官が総理大臣の口まねをするような、そういう態度じゃどうにもならぬじゃありませんか。中小企業からあなたは感謝されるのではなくて、あなたは恨まれますよ。テレビに登場しても、あなたは恨まれるだろうということをお考えにならないといけません。  最後でありますから、政務次官からも最後のきめの答弁をやっていただきたい。
  213. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 先ほどからの御意見ごもっともな御意見だと思うのであります。ただし、年末金融に関しましては、すでにワクはいわゆる閣議決定ということになっておりますが、その他の問題に関しましては、いま先生の申されましたとおり、十二分に政府といたしましても善処していきたいと考えております。
  214. 影山衛司

    ○影山説明員 先生の御指摘のとおり、私どもも数字をふやすだけが能ではないというふうに考えております。少なくとも数字の面でもふやしまして、あとは先生の御指摘のとおり、きめのこまかい指導をやっていきたいというふうに考えております。
  215. 天野公義

  216. 栗山礼行

    栗山委員 たいへんきょう緊急欠くべからざる問題においてのみ、ひとつ私の良識のワク内で御質問を申し上げて、尽きざるところはまた私みずから乗り込みまして、いろいろ御懇談申し上げる、こういうことでいきたいと思います。  十月十八日の商工委員会において、ぜひ影山中小企業庁長官の御参加を要求いたしておったのでありますが、所用のためにということで、私はもう弱いもので、特にあなたに御好意を持ってお答えをいただきたい、こういうことでありまして、二問だけお尋ねを申し上げたい。  十月の十八日には資本自由化について三木通産大臣の基本的な見解及び宇野政務次官、企業局長等にいろいろ具体的な内容で質問をいたしました。私、中小企業庁長官にお尋ねする要点は、簡単に申し上げて、資本自由化についての総括的な御意見を聞くということではなくて、資本自由化に対処する中小企業対策の問題、あわせまして、資本自由化に中小企業というものがどのようなメリットなり、どのような悪影響があるか、こういうことについて、中小企業庁長官のその言を、ひとしく、不安と焦燥と、あるいはまた一面の期待を持ちつつ、日本産業人、経済人がこれをながめておる。こういうことでありますから、影山中小企業庁長官がぜひ委員会を通じてその点を明らかにしてもらいたい、こういう内容を持っておったのでありますが、その当時とやや情勢が進展しているのかごとき感がある中において、ことさらあなたの言が非常に商工委員会で必要だ、こう考えますので、いま申し上げましたように、中小企業庁長官は中小企業におきます資本自由化にいかに対処していくべきか、こういう基本的な見解をひとつ明確にお答えをいただきたい。
  217. 影山衛司

    ○影山説明員 資本自由化におけるところの中小企業問題でございますが、元来中小企業庁はもとより通産省におきましても、外資の導入につきましては、中小企業にこれが非常に甚大な影響を与えるということで、従来とも慎重な態度をとってきておるわけでございまして、今後ともやはり中小企業に甚大な影響を与えるというものにつきましては慎重な態度を続けていきたい、こういうふうに考えております。ただ、天下の大勢といたしまして、資本自由化も、これは外国の先進国の仲間入りをするという段階におきまして日程にのぼってくるわけでございますので、中小企業もこれに備えまして徹底した近代化をはかっていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。現実に資本の自由化あるいは技術の導入というようなことに関しまして、中小企業等に対しまして影響を及ぼすようなものが具体的な問題として上がってきております場合には、従来とも、それが少なくとも中小企業分野におきまして、たとえば中小企業近代化促進法等の指定業種におきましては、その計画に基づいて近代化が達成されるまでの間は、外国の企業とも太刀打ちができるまでの間は、外資の導入というものを差し控えるというような基本的な態度をとっておるわけでございまして、その点も今後は続けていくわけでございますが、先ほど申し上げましたよう勢は相当外資の自由化というものが日程にのぼっておりますので、私どもといたしましては、中小企業を指導いたしまして、徹底的な近代化を促進したいというふうに考えておるわけでございます。
  218. 栗山礼行

    栗山委員 私お伺いいたしますと、中小企業が世界の自由化に対応する体制整備が先行して、それとの見合いにおいて実質的な資本自由化に耐え得る諸条件と取り組んでいかなければいかぬ、こういう見解ですね、違いますか。
  219. 影山衛司

    ○影山説明員 外資導入の自由化と並行いたしまして、あるいはさきがけまして、具体的な場合によっていろいろ違うと思いますが、いずれにいたしましても中小企業の近代化を促進していかなければならないということを考えておるわけであります。
  220. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、今日の中小企業の客観的な条件のもとにおいて、直ちに中小企業に資本自由化というものの対応性がないという割り切り方の考え方でそういう御意見が出るのですか、その点はどうなんですか。
  221. 影山衛司

    ○影山説明員 中小企業の製造業も、いろいろと業種によって近代化の進め方が違っておるわけでございます。これはやはり具体的な場合に即して考えていかなければいけないということでございまして、中小企業分野が外国企業に対して競争力がないとかあるいはあるとかいうことを一義的には言えないというふうに考えるわけでございます。
  222. 栗山礼行

    栗山委員 あなたの御意見を伺いますと、この間山本事務次官が資本自由化に対応する三つの分類をしましてこれを新聞で公表された、その三つの分類は、比較的容易に自由化の受け入れられる業種、業態、二番目には条件つきで可能性のある業種、業態、あるいは三番目には資本自由化に対応性のない、受け入れることのできない業種、業態、こういうふうな三つの問題がございますが、大体そういうふうなことを基調とされていま御答弁をいただいたと思うのですが、中小企業の中にもケース・バイ・ケースによって自由化のメリットもある、こういうことも皆無だというふうに私は暴論を述べようとは思わないのです。しかし、大まかに見て、いまの日本の中小企業というものが国際競争に耐え得る体質と内容を持っておるかどうか、これが先行して、そして中小企業の安定と振興、中小企業も貿易のシェアを高めておると同時に将来も高めてまいらなければならぬ。そういうことを考えますと、国際競争に対応する体質を改善することがまず何よりも基本的には必要な先行条件だ。こういう立場において考えつつも、なおメリットもあり、ケース・バイ・ケースの業種、業態においては善処しなくてはならないのじゃないか、こういうふうな見解をお持ちなのかどうか、その点をもう少し明確にお答えいただきたい。
  223. 影山衛司

    ○影山説明員 原則的、基本的には先生の御指摘のとおりに、国際競争力という見地から中小企業者の体質の改善は早急に進めていかなければいけないということを考えておるわけでございます。特に、外に輸出をいたします場合の国際競争力と、内に外国の大企業が国内企業と提携をして進出をしてくるという場合と、いろいろ分けて考えなければいけないというふうに考えております。
  224. 栗山礼行

    栗山委員 もう一問は、ちょっとあとの局長との関連がありますから、もう少し禁足を願いたい。  きょうは所管の化学工業局長がおいでになっておりますから、まずお尋ね申し上げます。要点だけ申し上げます。昨日の日経の報ずるところによりますと、十八日に大臣、宇野政務次官、企業局長からお伺いいたしました内容よりも大きな進展をいたしまして、早くも第二に分類される条件つきの合弁会社方式の認可が近く行なわれる、こういうことでございますが、これは化学工業局長、昨日の日経の「五年は生産制限、イエール社進出に条件、通産省近く認可の方針」という新聞をごらんになりましたか。
  225. 吉光久

    ○吉光説明員 実は御指摘の新聞、私も昨日読みまして、私自身がびっくりしたわけでございます。
  226. 栗山礼行

    栗山委員 まあびっくりのしかたも、少しないしょで隠しておいたがばれちゃった、こういう失態の苦笑のびっくりもあろうかと思いますし、あるいはまた、私すなおでありますから、全然根拠のない予想せざるものが、どこからこういうものが出てまいったかというような一つのびっくりのしかたもあると思うのでありますが、この点はいかがな内容を持つびっくりのしかたであったかということが重点だと思います。
  227. 吉光久

    ○吉光説明員 実は本件に対しましては、まだ各種の角度から慎重な検討を加えておる段階でございまして、記事内容に出ているような、そういうことにつきまして通産省内部で態度を決定したという事実はございません。
  228. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、この記事通産省から発表もしくは非公式において何らかの見解を表示されたものを日経が取材としてとらえて独自の立場で報道した、こういう一つの見方もなし得るわけでありますが、この記事の出所と内容をどういうふうに理解されておりますか。
  229. 吉光久

    ○吉光説明員 実はこの記事が出ましてすぐに関係各課あるいは関係局等と、何らかの形でこういうことをだれかしゃべっている者がいるかどうか、実はこれ自身内容的にこういう形での検討はいたしておりませんので、内容としては架空のものでございます。ただしかし、念のためにだれかこういう発言をした者はいないかどうかという点について調べましたところ、少なくとも通産省内部で日経記者にこういう形での発言をしている者はいなかったわけでございます。したがいまして、おそらく新聞社独自の調査網で調査された結論を独自の立場でお書きになったというふうに推察いたしております。
  230. 栗山礼行

    栗山委員 ちょっと後段は局長おかしいですね。独自の立場で調査をされて、そして独自的な主観による掲載だということになってまいりますと、調査の内容は通産省通産省が近く認可の方針だということでありますから、公式、非公式あるいは潜在的な要素を含めて、こういう見解でひそかに作業されておるという内容を実態調査をされて、日経が発表したという見解を私は一面持てるのじゃないか、こう思うのでありますが、その点についていかがですか。
  231. 吉光久

    ○吉光説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、この内容に即した形での検討というものは行なっておりません。通産省自身で検討しております中身、これはいろいろな形から諸条件等検討いたしておりますけれども、ここに出ておりますような中身では検討はいたしておりません。
  232. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、どうなんでしょう。なかなか報道機関は鋭敏なものでありますから、通産省の潜在的要素がここにあり、そういう先行的な形において報道された、こういう見解をとるべきか、もしくは、ずばり申し上げまして事実無根、こういう割り切り方による独自発表であるかどうか、この二つについての御見解をお尋ね申し上げます。
  233. 吉光久

    ○吉光説明員 内容的には事実無根でございます。
  234. 栗山礼行

    栗山委員 中小企業庁長官にお伺いいたします。  この新聞じゃないのですが、あなたも長官としてすでにこれに対処する心がまえをお持ちになっていらっしゃる、また、そうでなければならぬということを確信いたしておりますが、くどくど申し上げる必要はありません。イエールとコパルの合弁会社というのは三十九年からこれを申請しておる。このことが何を意味するかということについては、東南アジア市場、なかんずく日本を拠点とする東南アジア市場にその組織を置きたいということでこれと取り組んでまいっておる。日本の現下のかぎ業界がどういう実態にあるかということは、あなたが御存じでないとは言わせませんし、それなら中小企業庁長官をやめてもらうということでなければなりません。私は総理大臣に言って、あの長官は勉強しておりませんということになってまいるのだと思います。これは御承知のとおり、たいへん深刻です。中小企業を基盤として、長い間の歴史的な成果を積み重ねました今日の状態からまいりますと、生産過剰、こういう一面をとらえておる。設備過剰もおのずから付随いたしておる。それをやはり近代化促進の問題、あるいはまたイエールとコパルの問題に対処してどうあるべきかということについて非常に激北競争を受けましたり、あるいは良心的なものはみずから生産のシェアを縮めてそういう過当競争の中に共倒れるという弊を避けてまいりたいという状態の中でいま呻吟いたしております。ひそかに、イエールとコパルの合弁会社についてこれを認めてもらうことは、日本のかぎ業界の従属化であるし、あるいは一つの支配下に置かれる。このことは日本の貿易及び日本のかぎ業界の国内市場が屈服をする状況にならないか、こういうふうな非常に重大な問題がここに内在をいたしておる。特に単なるかぎ業界の問題ではなくて、一体ケース・バイ・ケースとは、どのようにしてかぎ業界の近代化、再編成をいたしましてこれの業界の安定をはかってまいるかというような重大な時期にこれが行なわれるということについては、まさに中小企業の行く手に大きな暗黒の内容をもたらすものであるということは御承知のとおりであります。いま局長にお尋ね申し上げておりますように、長い間の懸案でございますが、事実無根の記事であるということまで言われておるのでありますけれども、イエールとコパルの問題について、長官はどのような独自的見解を持ってこれに対処されんとするのか、こういうことについてひとつ御見解を明確に承りたい。
  235. 影山衛司

    ○影山説明員 イエール、コパルの合弁に伴う外資導入につきましては、私もかねてから非常に関心を持ちまして検討いたしておるわけでございます。  それから一方におきまして、国内のドアロックの業界、これは非常に近代化の意欲の強い業界でございます。業界の数は少のうございますけれども、非常に一生懸命に近代化の努力をいたしております。先生承知のように、昭和四十年度におきまして中小企業近代化促進法の指定業種に指定をされておりまして、ただいま実態調査を完了いたしまして、近代化の基本計画と初年度の実施計画を策定中でございます。先ほど化学工業局長からも答弁ございましたように、ただいまのところ、そういう外資導入を早急に認めるつもりはないということを前提といたしまして、この基本計画に基づく近代化を促進していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  236. 栗山礼行

    栗山委員 局長にちょっとお伺いいたします。  先ほど明快に事実無根の記事であるということの御答弁をいただきまして、非常に意を強くいたしました。しかし一まつの不安のございますことは、やはり私もこの前に申し上げたのでありますけれども、形はケース・バイ・ケースだとか、また近代化促進の計画の策定等の見合いの中においてこの問題をきめるのだというようなことで御答弁をいただいておるわけでございますけれども、どうも潜在的な基本の認識点というものは、結局このイエールとコパルとの条件的な承認の方向を基礎としてこの問題の近代化の促進の作業が設定されるという感を私は頭から抜き去ることができない、いろいろ御懇談申し上げておる中においてそういうことをとらえることができるわけです。しかも事実無根だということになりますと、この新聞記事が掲載されまして直ちに大きな反響を呼び起こしておりますことは局長も御承知のことだと思います。第一は金融機関であります。金融機関が、いよいよ条件的な認可をされるということに対処するについて、いまの企業に対する貸し付けに対して大きな脅威と不安ということで現にあらわれております。したがって、各企業についてこの問題について金融機関が非常な注目をしてまいった、こういう一点がございます。それから流通部門であります。問屋関係についてはとかく過当競争をいたしておる。いよいよ本陣がやってきた、こういうことで、いまの取引関係をむしろ流通部門の問屋関係がこれを有利な一つの条件としてとらえて、手形のサイトの問題にいたしましても、あるいはまた取引価格の問題にいたしましても、いけなければよせということで、文句なしにメーカーを押えることができるといういたけだかな態度で対処する、ひそかに一つほほえみを持っておるのは流通部門である、こういうことでございましょう。それから企業を取り巻く金融あるいは支払い関係あるいは工場の恐怖、焦燥感というものは非常に重大なものでございます。こういうふうに私は大まかに問題点——一つ記事があたかも通産省は事実無根と言われるのでありますけれども新聞社がこれを報道いたしますところにはそれなりの根拠を持っておると思うのでございますけれども、裏打ちはない、こういうことで事実無根だと言われるのでありますけれども業界はいま申し上げましたようなことでたいへんな不安と焦燥感と大きな不利益な弊害が現実にもう起こってまいっておるということを私の頭で耳でこれを感じ取るのであります。こういうふうに考えますと、事実無根であるということでございますなれば、明確にいまイエールとコパルの合弁会社方式については通産省として何らの関与をいたしておらぬ、まだ白紙である、こういうふうに通産省として明確にこの記事を打ち消すべき態度表明をなされるかどうかということが、局長の当面の責任者としての態度であります。また通産省として、私は宇野政務次官にお伺いいたしたいのでありますけれども、かくのごとく資本自由化というものについては、メリットの面じゃなくて、大きな不安という一つの条件下においてこの不況下で大きな問題になっておる、こういうことでございまして、氷山の一角、この動向がどういう行く手を定めるかというような問題点のとらえ方を私はいたしておる。こういう点から見て、単に局長の問題じゃなくて、通産省として明確にこのことが事実無根である、皆さんの不信と不安と焦燥感はひとつ胸を張って除去をしなさいと言うだけの勇断ある態度の表明がなされるかどうかということを私は局長と宇野政務次官にお尋ね申し上げたいと思う。
  237. 吉光久

    ○吉光説明員 本件記事につきましてなお全くの白紙状況であるという点につきましては、御指摘どおりでございます。いまやっておりますのは、先ほど中小企業庁長官からお話しございましたように、近代化促進法にございますところの基本計画あるいは初年度の実施計画、この策定を急いでおるわけでございます。ただ、こういう近代化計画あるいは基本計画なり実施計画を組んでまいります場合に、やはり何といいましても、国際的なかぎの商品でございますイエールの品物というものは、当然に競争力強化の観点からの一つの仮想目標になるわけでございまして、このイエールの品物に対抗し得るようなそういうふうな日本のかぎというものをつくらなければならぬというふうなことで、イエールのかぎ自身を一応の目標にいたしましてこれらの計画の全体は組まれていくというふうなことに相なろうかと思っております。ともあれ現状は、そういう基本計画なり実施計画なりを早急につくりまして、早急に体質改善策をはかっていく、これが一番必要な時期である、こういうふうに判断いたしております。
  238. 栗山礼行

    栗山委員 私は意味はわかるのですよ。意味はよく了承できるのであります。ただ技術開発をせなくちゃならぬということについて私は否定いたしません。権威ある専門部門において、かぎ業界日本の技術水準というものについて何ら遜色なしという裏づけをいたしておる事実もございますが、これをもって足れりといたす者ではございません。私は、やはり国際場裏において技術、価格、そういうふうな条件において国際競争力のひとつ大きな進出をはかっていくという立場においてとらえなければならぬ。単なる国内需要というながめ方でこれを見るべきでない、こういうふうに考えておるのが一つでありまして、そのような近代化の肉づけ、方向づけこそいわゆる当面の重要な課題である、こういうことが一点と、今日いま申し上げました——ちょっと局長すり違えてもろうたら困るわけでありますが、ただいまこの誤報が新聞に発表されたというところにすでにして甚大な、潜在的、実際的に大きな経済的な一つの波乱が巻き起こっておる。これについて業界に向かって明確にこれは誤報なり、イエール、コパルの問題については全く白紙であるという態度を明確に表明されることそれ自身が最も緊急な重要な課題ではないか、こういうことが私のとらえ方でありまして、宇野政務次官及び所管局長の明確な御答弁をいただきたい、こういうことを申し上げたのでありまして、ひとつこの質問に対するお答えをいただきたい。  なお、私、局長にもう一点申し上げますが、あなたのことばのニュアンスではどうも誤解を受けます。それは近代化計画の策定と見合ってということについての非常に柔軟な表現でありますが、やはり近代化計画を実施するという急務に迫られておるということを業者も踏まえ、また当局もそれを踏まえまして、これの肉づけをしようという作業をされておる。だからその計画策定直ちにコパル、イエールの合弁会社認可とは別なのであって、日本の中小企業の近代化と技術開発及びコパルに対する対応性を持って大いにひとつ古い歴史のかぎ業界を躍進するという条件をもとにして、その後においてイエール、コパルの合弁方式はいかにあるべきかという、こういう論法でなければならぬということのお伺いを重ねて私はいろいろいたしておるわけでありますから、この点をひとつ三点明確にお答えをいただきたい。
  239. 吉光久

    ○吉光説明員 第一点、現状において全くの白紙でございます。  第二点の近代化計画でございますが、これは私の申し上げ方が舌足らずであったかと思いますが、まず実施の前の計画そのものの策定、これ自身を現在急いおるで段階でございまして、計画でき次第全力をあげてその実施に邁進してまいりたい。そのためのあらゆる手段を考える、これもまた必要なことでございまして、これは実施計画即できたというふうな意味で申し上げたわけではなかったわけでございますけれども、舌足らずのためにちょっと誤解をお与えしたようでございまして、その点一応釈明しておきます。
  240. 栗山礼行

    栗山委員 事実無根の記事によるということが明々白々にされたという事実を私は了解いたしますが、しかるならば、それによって諸弊害が起きていることについて、通産省はかかる記事の掲載については、全く事実無根なりということを、新聞その他の報道機関によって明らかにするという態度こそ重要な課題ではないか、これについて当該局長と通産省の次官が大臣にかわってそういう勇断ある態度をおとり願えるかどうか、こういう一点を申し上げておるわけであります。
  241. 宇野宗佑

    ○宇野説明員 第一点、第二点に関しましては、いま局長が申したとおりでございます。そこで、そのような誤報がなされましたが、先ほど先生申されましたとおり、金融上あるいは流通機構上非常な御迷惑をおかけいたしたということも重要なことでございますので、この点に関しましては大臣とも相談をいたしまして、極力先生のおっしゃったような線にのっとって、そういう事実は今日ないのであるから安心してほしいというようなことを外国に向かいまして発表し、なおかつ業界にもその旨を連絡をいたしたい、かように存じます。
  242. 栗山礼行

    栗山委員 これ以上宇野さんを責めつけることはどうかと思いますが、重ねて政治的発言ではなくて、三木大臣にかわる政務次官でございますから、ひとつ可及的すみやかに、単なる業界や内輪の問題ということでなくて、ひとつ広く天下に訴えるという態度の実現を私は監視をさせていただくということをひとつ強調いたしまして質問を終わることにいたします。
  243. 天野公義

    天野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十九分散会