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1966-05-31 第51回国会 参議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月三十一日(火曜日)    午後一時三十四分開会     —————————————    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     竹田 現照君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 青木 一男君                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 小山邦太郎君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 田中  一君                 竹田 現照君                 達田 龍彦君    国務大臣        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    鮎川 幸雄君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  古賀雷四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    参考人        埼玉県知事    栗原  浩君        横 浜 市 長  飛鳥田一雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○流通業務市街地整備に関する法律案内閣提  出) ○首都圏近郊緑地保全法案内閣提出)     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十七日、鈴木強君が委員を辞任され、その補欠として竹田現照君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 流通業務市街地整備に関する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。瀬戸山建設大臣
  4. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) ただいま議題となりました流通業務市街地整備に関する法律案につきまして、提案理由及びその、要旨を御説明申し上げます。  東京大阪等大都市においては問屋、倉庫、卸売市場等のいわゆる流通業務施設都心区域に過度に集中しておりまして、これがかえって物資流通機能を著しく低下させるとともに、自動車交通を渋滞させる原因となっております。しかも、これらの流通業務施設に対する需要は、経済の発展都市の膨張に伴って、今後ますます増加の一途をたどり、このまま放置すれば、ますます都心部過密化を招き、物資流通の面においても、道路交通の面においても憂慮すべき事態に立ち至るおそれがあります。  したがって、大都市におけるこれらの事態を打開し、都市機能の維持及び増進をはかるためには既成市街地周辺部等の適地に、流通業務市街地計画的に配置して、その整備を促進することが必要であります。そのためには、これらの大都市における流通業務施設整備に関して基本方針を定め、それに基づいて、流通業務地区及びその中核としての流通業務団地都市計画として定め、地区内の建築制限土地収用等の法的な措置を講じ、その整備を促進する必要があります。  以上が、この法律案提案理由でありますが、以下この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、経済企画庁長官農林大臣通商産業大臣運輸大臣及び建設大臣は、協議により、都心区域流通業務施設が過度に集中しているため流通機能の低下及び自動車交通の渋滞を来たしている東京都、大阪市その他の大都市について、都市ごと流通業務施設整備に関する基本方針を定めることといたしました。  第二に、建設大臣は、この基本方針に基づいて、当該都市区域のうち幹線道路鉄道等整備の状況に照らして流通業務市街地として整備することが適当な地区について、都市計画として流通業務地区指定し、流通業務市街地としての機能を維持するために必要な建築等の規制を行なうことができることといたしました。  第三に、建設大臣は、流通業務地区内において、その中核として、トラックターミナル鉄道の貨物駅または中央卸売市場及びこれらと密接な関連を有するその他の流通業務施設を一体的に立地させるため、流通業務団地都市計画として決定することといたしました。この都市計画においては、団地内に立地することとなる流通業務施設敷地配置関連公共施設配置等及び建築物形態等に関する制限について定めることといたしております。  第四に、地方公共団体または日本住宅公団は、流通業務団地造成事業都市計画事業として施行することができることといたしました。流通業務団地造成事業は、流通業務施設敷地造成及びその処分、関連公共施設整備等をその内容とするものとし、その施行について、土地収用、先買い、買い取り請求等について必要な規定を設けることといたしました。  第五に、国は流通業務団地造成事業等に関し、必要な資金の調達、農地転用等について配慮するものといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるよう御願い申し上げます。
  5. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本案についての質疑は、後日に譲ることといたします。     —————————————
  6. 松永忠二

    ○要員長(松永忠二君) 次に、首都圏近郊緑地保全法案議題といたします。  本日は、本案審査のため、埼玉県知事栗原浩君、横浜市長飛鳥田一雄君のお二人に参考人として御出席をいただいております。また、首都圏整備委員会から瀬戸山委員長及び鮎川事務局長出席いたしております。  一言御あいさつ申し上げます。きょうは首部圏近郊緑地保全法案の本委員会審議にあたりまして、たいへんお忙しいところを埼玉県知事横浜市長、時間を繰り合わせて御出席をいただいております。いろいろ御意見を聞かせていただくことのできたことを委員会としてたいへん喜びとしているところであります。どうぞ十分ひとつ御意見をお述べいただきまして、本案審議にあたりまして、十分な参考になることのできますように御意見をお述べをいただきたいと思います。一言お礼を兼ねてごあいさつを申し上げました。  なお、議事順序について申し上げます。  栗原参考人から、次いで飛鳥田参考人から、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後委員から御質疑を申し上げるという順序議事を進めてまいります。  それでは、栗原参考人から御意見をお述べ願います。
  7. 栗原浩

    参考人栗原浩君) 埼玉県知事栗原でございます。  ただいま御審議をいただいておりまする首都圏近郊緑地保全法案につきましては、私ども首都圏内に立地をしておりまする県といたしましては、かねて、この法案の趣旨に盛り込まれておりますような制度化というか、法制化というものを長く希望をいたしておった次第でございます。私どもは、この首都圏整備法ができた当初から、私なども府県代表として、この首都圏整備審議会の一員といたしまして、例の前の近郊地帯、いわゆるグリーンベルト地帯制度という時代にも、この法案に盛り込まれておりますような精神法律化が必要だということを私どもは強く主張してまいったんでありますけれども、まだまだその運びに至らなかったことは、われわれ残念に思っておったのです。で、そういう法制化ができなかったために、今日、法案説明にもありますような、近郊地帯における良好な自然環境とか、健全な生活環境とか、あるいは首都圏の秩序ある発展というようなものがおくれて、無秩序な市街地化が進んだということも、一面言えるんじゃないかと思っております。したがいまして、私といたしましては、この首都圏近郊緑地保全法案が一日もすみやかに成立することを希望をいたしておるのであります。そういう前提に立ちましてではございますけれども、この法案を一応拝見をいたしまして、私の気のつきました二、三の点につきまして、時間の許す限りで意見を述べてみたいと、かように考える次第でございます。  第一点は、この法案の十一条に損失補償の問題が書いてあるんでありますけれども、この損失補償の問題は、その精神はけっこうなんでありますが、これはなかなかわれわれが現地で体験いたしておりますと、非常に判定がむずかしということが言えるのであります。これは私の少し言い過ぎかもわかりませんけれども、故意に、ためにするために、ほとんど不可能なような許可の申請を知事に出して、許可がなければ補償を取るというようなことも必ずしもないではない。これは法律にもそういう非常識なものについては補償しないということは書いてあるんでありますけれども、これらの判定がむずかしいということと、一つは、この補償というものが一時的なものであるか、将来の期待権に対しても補償をするのかどうかという問題についても、若干、この運用の問題などはなかなかむずかしい問題が起こるんじゃないか。これは現地のわれわれの経験からいたしまして感じがいたすわけであります。  それからいま一つは、土地買い入れの問題でありますが、これは私どもも、緑地を完全に保全するためには、政府買い入れる、あるいは府県買い入れるということが最も必要だということは前から主張しておったのでありまして、法案の十二条によりまして、土地買い入れ規定が出ておるのでありますが、ただこれは運用の問題でありますけれども申し出があれば、「買い入れるものとする。」、こう書いてありますから、これは申し出があったものについては、府県は必ず買わなければいかぬだろうという精神であろうと思うのであります。考えてみますと、この特別保全地区というものは、樹林地水辺地などで、しかも相当な規模を有しておるもの、しかも、埼玉県の事情からいたしまして、景色はいいけれども生産性が低いということでありますから、こういう制度を設けられますと、府県で買ってくれという面積相当膨大になることが予想されるのでありまして、しかも、制限を受けますから、建物も建てられない、利用も制限される、また、ほかに売ろうとしても買い手がないということになります。どうしても府県買い入れろという面積というものが相当多くなってくることが予想されるのでありまして、これは将来の運用の問題でありますけれども、これに応じ切れない場合に、かえって法案精神を害するのではないかということが心配されるわけであります。この法案精神といたしましては、緑地保全の第一の責任者府県知事だということであり、そうしてその費用についても十四条によりまして「都県負担とする。」ということが書いてあります。ただ補償土地買い入れについては、一部国庫補助をするということでありますけれども、この国庫補助の問題、あるいは十七条に書いてあります資金配慮というような問題、県民の、国民の要求に対して応じ切れるかどうか、応じ切れないということになりますと、グリーンベルトのときに問題になったのでございますが、全然法律が死文化してしまうということになりますから、これらの点においては、政府におきましても今後の運用の問題としてこの資金については計画とにらみ合わせて十分な配慮をしていただきたい、こういうことを考えておるわけであります。つまり申し出緑地の確保とその裏づけになる財源との調整ができるかどうかということについて御配慮をいただきたい、こういうふうに考えられるわけであります。  いま一つ最後に、私ども一番府県としての立場を申し上げなければならぬと思いますことは、いま修正案が用意されておるように承っておるのでありますけれども、例の緑地特別保全地区指定された地区に対しては、町村は不均一課税とする、これは買い取るほうの側だけでなくて、地主側といいますか、指定を受ける側の立場考えての修正案と思いますので、その精神についても私は十分了解することができるのであります。そうでなければならぬと私は思います。しかし、不均一課税をした場合の府県財政支出ということに若干問題があるんじゃないかという感じがいたすわけでございます。法制による税制の改革による減収というものは、これは当然地方財政計画の中で論議すべき問題でありまして国で行ないます地方財政計画の中で論議、処理されなければならない問題じゃないかと原則的に私は思うのであります。そこで、いままでの税の体系を見ましても、地方団体間で税のやりとりをするという前例はございません。したがって、法律書き方も、十四条によって「保全に要する費用は、都県負担とする。」、その都県負担と見て、これを都県が支払えというような書き方をしているわけでもありますけれども、いずれにいたしましても、市町村の税の減収に対して府県がこれを負担する、交付するということがたてまえになっておりますから、これは地方団体間で税のやりとり補てんし合うということになるのでありまして、これは税の体系からいっても好ましくないんじゃないかと私どもは思っているわけであります。  それからいま一つは、これは御承知のとおり、新産都市についても、この保全法にいたしましても、固定資産税減収等に関しまして、他の税収行為の中で市町村減収というものに対して府県補てんする前例はないんじゃないかと思います。したがいまして、こういう点につきましては、何らかの考慮をめぐらしていただかなければならないんじゃないかと思うのであります。  それから実際の問題といたしまして、町村が不均一課税の場合にどういう税率を用いるかといいますと、これはどうしても地元町村民の利益を擁護するという立場町村長はありますから、免税はしないという要旨のようでありますけれども、その財源補てんするということになれば、ほとんど免税に近い不均一課税をするにきまっている。市町村は自分のところの住民がかわいいですから、それを保護する意味において、ほとんど免税に近いものを考える。そうすると、現在の樹林地や何かの固定資産税は御承知のとおり安いのでありますけれども、それにしましても面積は非常に大きくなりますから、それらを府県負担するということになりますと、これは何か府県で条例を制定する場合におきましても、地方議会において、県会等において相当論議を呼ぶんじゃないかというようなことが予想されるわけであります。  以上のような点がどうもわれわれとしてはちょっと納得しがたい。あるいは改正し、あるいは将来の運営について注意していただかなければならない点があるように見受けるのでありますが、しかし、いずれにいたしましても、それらの点は十分国会において御審議をいただくわけでありますが、今日まで、ことに埼玉県のようなところは非常に無秩序な対策状態になっておりますので、この精神を生かしていただいて首都圏近郊緑地保全法というものをすみやかに成立さしていただきたいということを私ども考えておるわけであります。  いま意見を申し上げましたけれども、その意見に基づいて十分の御審議お願いいたしたいと考えておりますけれども府県におきましても、この土地対策並びに首都圏の今日の現状から考えまして、その無秩序な市街地化というものを防ぎ、良好な自然環境をつくるということについては責任があるわけであります。また、そういう面からいたしましても、多少忍ぶべきものは忍ばなければならないとも考えておりますので、以上の意見を御参考になりましたら御審議の中に加えていただきまして、首都圏近郊緑地保全法のすみやかな成立をお願いをいたしたい、かように考えておる次第であります。
  8. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ありがとうございました。  次に、飛鳥田参考人お願いをいたします。
  9. 飛鳥田一雄

    参考人飛鳥田一雄君) 飛鳥田でございますが、すでに私のほうから申し上げたいと思います大部分は、知事のほうからお話がありましたので、できるだけそれとダブらないように申し上げさしていただきたいと思います。  この緑地保全するということは、もうすでに手おくれだというくらい緊急な問題でありまして、この問題について御審議をいただきますことは、たいへん私たちとしてはありがたいのであります。しかし同時に、もう一度もとに戻って、いわゆる人口都市集中を無制限に醸成していくような傾向についても御判断をいただきたい、こう私たちは思うわけです。横浜市は年々人口十万くらいずつふえてまいりまして、現在すでに百八十二万になっております。この入ってまいります人というものは、きょうごらんをいただきましたように、山を削り谷を埋めて流入してまいります。したがって、緑地がつぶれるというだけでなしに、それらに対して道路をつくらなければならないし、水道を引かなければならないし、消防署をつくらなければなりませんし、ごみも取らなければならないし、学校も建てなければならないし、そういう意味において非常に公共投資を必要といたします。しかも、ここに住む人々は、横浜市に住んで東京につとめられる人々でありまして、言ってみれば横浜に住む東京人ということであります。一例を申し上げますと、つい先日田園都市線という電車が通りまして、ここに人口二十五万くらいの人が入ってくるという予定でありますが、十年間を計算いたしてみますと、上がってまいります市民税、あるいは国からの補助あるいは起債等考えてみましても、十年間にこの地域だけでなおかつ七十九億の不足になるのであります。こういうことが都市における行政というものを非常に不安定にし、都市というものの開発について非常に困難を生ずるとい点であります。緑地保全していただくことはもちろん大賛成でありますが、それ以前に非常に無秩序な人口流入というものを醸成してくるような首都圏のそういうものについて、ひとつお考えをいただければたいへんにありがたいと思います。  そうした前提を置きまして、首都圏の中に緑地保全していただくことは私たちも努力しなければなりません。そうして、この法案について、賛成をしながらも具体的な私たち希望を述べさせていただければ、まず第一に、計画及び事業の立案、決定というものについて、すなわち、特別保全地区をどう定めていくかということを計画し、そうして事業をお考えいただきます場合には、地方自治体の自主的な決定というものを最高限度に尊重していただきたいということであります。緑地のどこを保全地域にするか、このことをもし首都圏の中で地方自治体意見というものをかりに無視して御決定をいただきますと、その地方のいわゆる自治体としての政策がそれによってねじ曲げられてしまうおそれがあります。そういう意味であくまで保全地域あるいは特別保全地区決定いたします場合には、当該自治体の自主的な意思を尊重してもらいたい。これは地方自治権を守るということにもなりますので、そういうことをお願いしたい。さらに双方の意思が合致いたしまして緑地を残していくというような場合には、主として財政上の問題について御考慮いただきたいのであります。それから、こうした緑地保全のためには、いろいろの事務的な職員費がかかるのであります。人件費がかかるのであります。こういうものがいままで以上に横浜市あるいは自治体としては負担になってまいりますので、援助のお考えをいただきたい。  さらに、先ほど知事がお話しになりましたように、買い入れの問題でありますが、これについて、大体八〇%くらい時価について補助をしようというお心持ちのようであります。この八〇%につきましても、単価をきめてその八〇%という形じゃなく、政府補助として八〇%にしていただきたい。できれば私たちはこれを一〇〇%にしていただくことを望みたいと思っているのであります。義務教育国庫負担法などによりまして、小中学校の建設の場合には、小学校については三分の一、中学校については二分の一補助するということになっておりますが、横浜市では、現実にどんなにやりましても、坪九万八千円以下では建たないのであります。ところが、実際は七万八千円という基準単価を設けて、それの三分の一の補助をいただく。結局差額二万円だけは全然補助されないという結果になってまいります。したがって、この法律についても補助率を八〇%とお考えをいただいても、基準単価をきめてそれの八〇%という形になりますと実情に沿わないのであります。したがって、買い入れました時価とするというふうに書いてありますから、その時価の八〇%というふうに、いわゆる生産補助にしていただきたい。そしてさらに、できますならばこれを全額補助にしていただけるようにと、私たち考えております。横浜市で現在首都圏とも相談をいたしながら考えております特別保全地区、こういう問題につきましても、実はその中に円海山という——きょうあるいは上空からごらんをいただいたかもしれませんが——ものがございます。この場合でも、その坪数は大体四十万坪ぐらいになるのであり、しかも、これは普通買い入れてまいりますと、時価という形になりますと、どんなにしても坪五千円以下ではあり得ないだろう、こういうふうに考えられます。そうした場合に、五千円以下ではあり得ないだろうと思われるものが、横浜市だけでも、しかもそのうちの一角、一地点である円海山中心とする地域だけでも四十万坪あるということになりますと、したがって、かなり補助というものが、資金的な用意をしていただきませんと、法案だけできて、しかし、資金的な配慮もされておりませんために、結局は補助率八〇%というものが精算補助から基準補助になり、そしてさらにまた、そのパーセンテージが下がっていくという結果にならざるを得ないのであります。伺うところによりますと、ことしは二億円これの資金を用意していただけるということでありますが、かりに二億円では横浜市の中ですらほとんども実情に沿わない、こういうことになろうかと思います。そういう意味でどうしても私たちは、東京都の膨大なふくれ上がり方、そしてそれが横浜市に流れ込んでまいりまして、横浜市としてそのしりぬぐいをしていくという感情に市民としてならざるを得たいのであります。そういう場合の緑地保全していくということについては、ひとつ国としてもっと積極的なかまえを持って、十分にけつ押しをしてやるという態度をとっていただけないだろうか。初め私たちはこの法案の話を伺いましたときに、二億ことし用意してあるという話を聞いたんですが、それは何か若干けたが二けたぐらい違っていやしないかという話をわれわれの仲間うちではいたしたのであります。もし、この法案実行性を持とうとすれば、むしろ法案の字句のあれやこれやという解釈の問題よりも先に、この問題についてぜひ先生方の御配慮をいただかなければ、法案はできて、具体的には実行のできないものに終わってしまうのではないだろうか、こういうことを私たち考えます。  さらに、いま知事も述べられましたけれども、不均一課税の問題になりますが、この法案を拝見いたしますと、市町村に対しては、その固定資産税を減額した分についてある程度府県から補助を受けられる、補てんをしてもらえる。また府県は国からある程度の補てんをしてもらえるということになっていますが、残念でありますが、横浜一つにしかすぎませんが、指定都市はそのいずれにも入りません。したがって、指定都市固定資産税を減額いたしますと、そのまま指定都市自身負担において減額しなければならぬという形になります、もちろん、これは金額的にはそう大きなものではございません。たとえば先ほどの円海山中心にした四十万坪の保全地区がある、こういたしましても、固定資産税は坪当たり一円ぐらいだそうでありまして、このお呼び出しを受けましたのでさっそく調べてみましたら、一円ぐらいだそうでありますから、四十万坪減免いたしましても四十万円でありますから、これはそうたいした問題ではありませんが、しかし、市町村も何か考えていただく、府県も何か考えていただくという中で、指定都市が何も考えていただけないという不公平が出てまいりますので、これは法案のバランス上、ひとつ御考慮をいただければ幸いだと、こういうことであります。  その他いろいろ申し上げたいことがありますが、要点はそれに尽きます。
  10. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ありがとうございました。  以上で参考人の方の御意見は終わりました。  それでは本案についての質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  11. 田中一

    ○田中一君 栗原知事さんと飛鳥田市長と両方に伺いますが、あなた方の行政区域における保全地域というものの性格が、首都圏というワクの中の一単位であることは間違いございません。したがって、これがただ単に埼玉県だけの負担でそれらの府県の場合には保全の義務がございますが、それらの問題をまかなうこと自身が不十分だというような御意見でありますけれども、これはもうどこまでも首都圏というその大きな圏内の連帯性でこの計画が出発し、また、保全の義務も共同で負うべきであるというような御意見が正しいと思うのか、あるいはいま飛鳥田市長のように、どこまでも自主的に、自分の行政区域におけるところの——保全区域、特別保全区域というものが、自分の行政区域内にあるけれども首都圏全体の一単位として見るべきだという、ことにまた、決定にあたっても、飛鳥田市長の場合には、自分たちの行政区域の長であるところの市長の意思というものを十分に尊重してくれという意見も出ておりましたけれども、この指定される地域というもののあり方、性格というものをどうお考えになっているか、どう考えようとしているか、それを先に伺いたいと思います。お二方から伺いたいと思います。
  12. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御答弁は腰をおろしてお答えください。参考人の方、どうぞ、けっこうでありますから。
  13. 栗原浩

    参考人栗原浩君) いまのお話は、私は両面あると思うのでございますね。この緑地保全するということは、これは法律の初めにも書いてありますように、「首都圏の秩序ある発展」のためには不可欠な条件だというような公益的な意味一つある。いま一つは、埼玉県なら埼玉県という地域性が十分にあるわけです。埼玉県の無秩序な市街地化とか、あるいはまた健康な生活環境をつくる上に埼玉県としても必要だ、この両面が緑地保全のためにはあると思うのです。したがって、この費用負担について、府県がある程度のものを忍ぶということは、第一の責任者としてやむを得ないと考えております。ただ、その負担のしかたが、それならば首都圏の公益的な範囲の行政区画のためにこの保全法ができるのだといいましても、たとえば首都圏の一都十県なら一都十県で負担するというような方法は、現在の法制ではできないでしょうから、私どもは、これは地方財政計画全体の中で税の減収というものは考えるべきじゃないか、論議すべきじゃないか、こういう意見であります。
  14. 飛鳥田一雄

    参考人飛鳥田一雄君) 私のところでは、たとえば首都圏のいままでグリーンベルトになっておりましたところでも、決してその緑地を少なくせずに、しかも、そこにニュータウン計画ができるのじゃないかというように、横浜市自体の施策を持っているわけです。したがって、この決定については、ぜひわれわれの意向を十分に尊重していただきたいという考え方を持っています。しかし、首都圏全体としての総合的計画として緑地を残していくことは、横浜市自身にとってもまた同様プラスのことでありますから、そういう面を忘れるつもりはありません。しかし、やはり自治体自身が、住民の意思に基づいてこういう計画を立てたいという意図は十分に尊重をしていただきながら首都圏全体のことを考えていただきたい、こう思うのです。
  15. 田中一

    ○田中一君 栗原さんね、あなたの埼玉県に、国有地どのくらいありますか。
  16. 栗原浩

    参考人栗原浩君) いや、その反別は覚えておりません。
  17. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと待ってください。それだけの質問ですか。すわってやるから、少し区切りをつけてください。どうぞ。
  18. 田中一

    ○田中一君 国有地はどのくらいありますか。
  19. 栗原浩

    参考人栗原浩君) いま数字覚えておりません。
  20. 田中一

    ○田中一君 じゃ、政府のほうでだれか答弁してください。
  21. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいまお尋ねがございました埼玉県自体の国有地についての調べはございませんけれども、おおむね五十キロ圏内におきまして既成市街地を除く地域についての国有地、民有地の概況の資料がございます。
  22. 田中一

    ○田中一君 それを伺いたいんです。
  23. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 五十キロ圏内の既成市街地を除きます全体の土地面積から申し上げますが、これは行政区域の全面積でございます。それが大体五十八万ヘクタールございます。そのうちに民有地、これは固定資産税の課税対象になっている地域でございまして、都県の固定費産税課税対象に関する統計資料によったものでございます。これがただいま申し上げました五十八万ヘクタールの中で大体七五%、実数で申しますと約四十三万ヘクタールでございます。その残りが公共用地、これはすべての公共用地を含むわけでございますが、パーセンテージは二五%、大体十四・六万ヘクタールでございます。
  24. 田中一

    ○田中一君 ちょっとぼくの質問もまずかったかもしれませんが、緑地とみなされる山林あるいは原野の国有地を伺ったわけです。
  25. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいま申し上げましたのは、全般の関係の民有地、公共用地の関係の数字で申し上げたわけでございますが、統計のとり方、資料は若干異なっておりますけれども首都圏整備委員会におきまして、先ほど申し上げました地域について、国有地、公有地等を調べたものがございます。これは昭和四十年に調査したものでございますが、この資料によりますと——その前にこの資料の考え方から簡単に申しますが、この資料は国有地、公有地のうちで国有林あるいは御料地、試験研究所、その他緑地的な施設を含むもので一ヘクタールの規模以上のものを集めたものでございます。  そのまず概数、全体の数字を申し上げますと、五十キロ圏内で国有地が八千六百二十三ヘクタール、公有地が三千三百二十八ヘクタール、この関係の分につきましては、府県別も出ております。
  26. 田中一

    ○田中一君 これは、栗原さんね、公有地が三千三百二十八ヘクタールあるそうです。これをおおむねあなたのほうで、今度かりにこの法律が通った場合に指定されていく地域ですか、公有地というのはむろん県並びに市町村が持っているものだと思うんですが、その分類は知事のほうでわかりますか。大体どんなものですか。
  27. 栗原浩

    参考人栗原浩君) いまのお話の詳しい統計も持っておりませんですけれども、大体国有地とか公有地というものは、公有地というのは県有、市町村有がおもですけれども、これはもう首都圏生活環境整備とかというようなことに理想的に役立つような地区にはほとんどありません、埼玉県あたりは非常に山奥なら山奥に国有地がありますから。で、公有地でもこれはもう大体使っておりまして、市町村有林というものは、やはり秩父なら秩父の山奥に持っているわけですから、国有地なり公有地というものをそのままここでいう保全のための対象として活用するということは、東京の近県では非常にむずかしいんじゃないかと思います。
  28. 田中一

    ○田中一君 最近、ここ五年くらい、あなたが就任してから、いわゆる県有地を払い下げた経験、払い下げたのはどのくらいありますか。
  29. 栗原浩

    参考人栗原浩君) 私の県では、県有地を払い下げるなんという余裕はありません。これは、他の国有財産と等価交換等をした例はございますけれども、一般の民間に県有地を払い下げるという例はございません。
  30. 田中一

    ○田中一君 飛鳥田市長にも同じ質問なんですがね、ひとつお答え願いたいと思います。
  31. 飛鳥田一雄

    参考人飛鳥田一雄君) 横浜では、ほとんどもう国有地で緑地となるべき場所はございません。むしろあるとすれば軍事基地です。富岡というところに、これはもう完全に緑地帯に私たちはしたいところが約十万坪ばかり基地があります。それから、上瀬谷というところに、これは電波基地ですが、これも緑地帯に指定ができればしたいと思うのですが、これも約六万坪くらいあります。それから、つい最近解除になりました、大船と横浜の境のところに、大船の昔燃料廠というのがあります。そこがちょうど山になっておりまして、これも緑地帯に指定できればしたいところが、これは解除になりまして、国有財産になりましたが、これは約十三万坪くらいございます。しかし、これはまあ県等で高等学校などに使いたい、こういう御意向のようです。まあそんなものがわずかにあるだけでして、国有地はほとんどございません。
  32. 田中一

    ○田中一君 これはちょっと瀬戸山さんに伺っておきますがね、いま両氏の話を伺ってですね、大体いま県の持っている適地というものはないと、それから市町村などで持っているものも、埼玉県の例を聞くと、とうてい、いわゆる首都圏内における緑地保全地域と、特別保全地域として指定さるべき、該当するものは少ない、こうなると、結局民有地を買収しなきゃならないわけなんです。  そこで私は、この法案が出るということは、まあかつて二、三年前にも、河野建設大臣がおった時分にも、緑地帯の、グリーンベルトの問題を再検討するということを言明しておりましたが、その成果が出たと思うのですが、その間にこの五十キロ圏内におけるいろいろな地方自治体の実態も調べ、かつまた、こういうものを、この地点を指定したいのだ、あるいはこの地点を緑地帯として残したいという希望はおそらく首都圏にあがってきておると思うのですよ。その点がまあ配慮されて、今度いよいよこの法律提案され、かつまた、予定地というものは、もうあなた方首都圏整備委員会の中には想定されているという現状であるのか。そうして、それがいまお話しの飛鳥田市長とか栗原知事考えているものと同じであるのかどうか。その点ひとつ伺っておきたいと思うのです。
  33. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) これは先般もお話がありまして、いわゆる図型的な資料として皆さんにもさし上げてあると思います。これは御承知のように、非常に無秩序にスプロールされて、まあ将来、今日もやや手おくれであるわけでありますけれども、たいへんな事態になると、こういうことで首都圏としても検討しておりましたが、この際どうしてもこういう立法措置をしたいとお願いしておるわけでありますが、それまでには、もちろん首都圏委員会としてもいろいろ県内の検討したりいたしまして、地元の県あるいは横浜市等ともいろいろ御協議しまして、おおよその地帯の検討は進めておるわけであります。しかし、それが全部すぐ取り上げられるかどうかという問題点もありますけれども、おおよそこういうところは適地ではないか、こういうところは保存すべきではないかということは、いろいろ御協議を進めておる、こういう状態でございます。おおむねそういう状態をお手元にさし上げてありますような図型的な資料であらわしておる、こういうことでございます。
  34. 田中一

    ○田中一君 私の心配するのは、四十一年度予算が二億円、それでそれがどういうぐあいに配分されるのか非常に危険なわけです。おそらく買取り請求というものが出ると思うんです。また、地方自治体としても、あと問題があるよりは買ってしまったほうがいい、特価で買うから納得してくれるだろうということになり、おそらく早く買ってしまおうという気持ちになると思う。その買う場合に、補助率その他の問題は飛鳥田市長からもお話がありましたように、問題があると思うが、それは別にしても、買ってしまいたいという気持ちがある。二億円四十一年度予算に計上したということは、それは何を想定してどこに該当すべきものだというふうに考えられておるのか、伺いたいと思います。
  35. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) その前に、先ほどの両参考人からお話がありましたし、また、委員会の皆さんからもお話がありましたように、二億円ということでこの法律の趣旨を生かすということは、率直に言ってこっけいではないか、私どもさように考えております。ただ、この法案お願いいたしまして、できてそれで整備計画をいろいろ御協議を願って立てていく、それまでには相当時間もありましょうし、なお、特別保存地域等についてどの程度やるべきかという問題点等残っております。それでありますから、さらにまた、この法律に書いておりますように、買い取りの請求がどのくらい出るものであるかどうか、私どもは買い取りということがあると思います。また、そうあるべきだと思います。しかし、それもまだ一種の予想でございますので、そういう意味で二億円というものでこの問題が解決するとは思っておりません。これはさっき両参考人からお話もありましたが、いまにしてこういう制度を条文に確保しておかないと、もう過去の手落ちは明らかでありますから、政府としてもこの問題と取り組む以上は、そういう実効をあらしめることは当然であります。ただ、初年度でありますから、この程度で一応方針をきめるという程度で御理解願いたいということを前々から申し上げておるわけであります。それから今後一番大事なことはその点だという覚悟をいたしておるわけであります。
  36. 田中一

    ○田中一君 財源措置がなければ、今度いわゆる土地造成屋がこれと思う地点におそらく入り込みますよ。その隣地、その付近はおそらく良好な県民、市民のいこいの場所になるはずでありますから殺到するということです、宅地開発という問題……。だから、あるいはこの法律の制定によって、財政措置の貧困は自然をこわす行為が促進されるという見方も現実においてあらわれてくるのではなかろうかという心配が多分にあるわけです。どうも後手後手といく、これは常に——いいことばで言えば進展する、前進する国家の行政の場合には、なかなか追いつかないのだということは言えるかもしれないが、全般の財政は言いませんけれども、ただ、そういう傾向が生まれるのではないかと思います。また昨日は、政府の勧奨によって財団法人か社団法人かの開発協会というものが生まれてきておる。この開発協会がいわゆる具体的に何をするか、まだ私はその開発協会のほうに出ておりませんからわかりませんけれども、何かそういう自然を守るということがこの法律中心です。自然をこわす行為が片一方政府の手でもって促進されるということを考えると、これが見込まれている地域の隣接する所、見込まれている地域には、しかしこの法律案ができても権限がありませんから、指定しなければ、時間がかかる。そこに殺到するような行為が生まれてくるのではないかという気がするんですがね、これはどう考えておりますか。これはあなたとぼくの見解の相違になりますが、あなたはおそらくそういうことはないと言うに違いないと思う。そうでないというお考えならそうでないという理由をひとつ説明してください。
  37. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そうではなかろうとは思いません。そういうおそれがありますので、早くこれで指定をして、そういう行為の制限をいたしたい、これがねらいでございます。  ついでに申し上げておきますが、きのう、まだこれは正式のあれがありませんけれども、ありました開発協会というのは、いわゆる地方公共団体のお集まりでありまして、こういう点をもちろん兼ね備えた、不規則な開発をしないという趣旨の協会をつくろう、こういうことであろうと思います。
  38. 田中一

    ○田中一君 そこでいま私は、飛鳥田さんと栗原さんに申し上げますが、そういう心配を持っているわけです。それで両氏は、知事、市長は、この法律の制定に対して、いまのようないわゆる買収、買い取り請求に対する予算がない場合には、自治体が自分で一応金を立てかえている、この特別区域というものはきめてしまうんだと、お二方も賛成賛成と言って——いろいろな条件をつけていますけれども賛成だと、共通な問題は補助率を全額下さい、あるいは精算補助という形でもって実際に買ってやってください、こういう要求がありますけれども、その熱意は、国の努力が足りなければ、自分自身の自治体の力でもって行なうというまでの決意がございますか。これは飛鳥田さんと栗原さんの両方に伺います。
  39. 飛鳥田一雄

    参考人飛鳥田一雄君) 現に横浜では、もう首都圏と打ち合わせて指定をしてほしいというふうなお互いの話し合いのついている場所が数カ所あります。その数カ所に対して現実にはお話のように土地ブローカー等が入り込んで、地主を集めて買い取りの交渉をしているという事実がたくさんあります。市のほうでは別に特別の権限はありませんけれども、集めて、そういうことをしないようにということで、ようやくおさまっているという実情ですから、率直に申し上げて、この緑地保全について指定、さらに買い取りという行為は、もうこの一、二年の間にずばっと全部やっていただきませんと、結果としては中を虫食いされてしまって、その目的を達成できないのではないかと思います。くどいようですが、この法律がほんとうに役立つかどうかということは、一、二年の短期のうちに実施をしていただけるかどうかということにかかるだろうと思います。そうして私たち自身もこれだけにたよっているのではなしに、主としてできる限りの力をあげて、買い取られるものは買い取っていこうというつもりでおります。まあいずれにもせよ、横浜市としては、緑地地帯がなくなってしまうということは市民生活を破壊することになりますから、やるだけのことはやるつもりでおりますけれども……。
  40. 栗原浩

    参考人栗原浩君) いまのお話は、私の県では、まだ緑地法ができるであろうからということで不動産業者等が入ったという事実は聞いておりませんが、しかし、お話のように、要するに、この法律が施行になって、政令でもって保全地区指定する、あるいは特別保全地域指定するという場合には、いかなる事態が起こっても国なり府県なり、公共団体がそれに協力するだけの裏づけを同時につけるということは絶対に必要だと私は思います。
  41. 田中一

    ○田中一君 もし国がそこまでの措置をしてくれない場合には、県が自身でもやるという自信はお持ちですね。
  42. 栗原浩

    参考人栗原浩君) いや、それは政令のほうで、首都圏整備委員会なり建設大臣——地区のほうは建設大臣でしょうが、指定する際に、無制限に私は指定しないで、あるいは府県と調整をとって、財源とにらみ合わせて指定をしていただくということにすれば、差しつかえないと思います。
  43. 田中一

    ○田中一君 それじゃ、もう一ぺん鮎川君に、想定されている特別保全地域というものが何ヘクタールぐらいあって、大体その地域というものの、一ヘクタール単価でも坪単価でもかまいません、どれくらいの資金が要るであろう、したがって、国の、時価と言っておりますけれども、どういう形になるか、国家資金等、補助金としてはどれくらいの金が想定されているんですか。
  44. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 坪数で申し上げさしていただきますけれども、先ほどからお話がございますように、首都圏におきまして計画をしておる面と、各府県で要望されている面が必ずしも一致いたしておりませんので、ただいま、いろいろな点で今後とも調整をしてまいらなきゃならないと思っているわけでございます。したがいまして、そういう点で不確定な点があるわけでございますが、大体この法律の対象といたしております一般保全地区が、六千万坪ないし九千万坪程度になるんではないかというふうに考えておるわけでございます。それから特別保全地区が四百万坪ないし六百万坪程度になるんではないか、こういうふうに考えられておるわけでございますが、そのうち買い上げがどのくらいになるかという買い上げと指定との関係でございますが、これもまだ、今後問題としては残っておるわけでございます。しかし、かりに五百万坪が特別保全地区で全部買い上げるとして、かりにそれが単価一万円とすれば、五百億程度になるわけでございます。
  45. 田中一

    ○田中一君 今度はちょっと方向を変えて伺いたいんですが、都市公園法ができたのが三十一年ころだと思うんです。そこで、横浜市が——町村合併する前の横浜市を考えましょう。その場合に、公園というものが都市公園法で少なくともそれが促進されているはずなんです。政府予算を見ましても、昨年よりもことしのほうがふえております。去年たしか四億くらい、ことしは七億か八億になったと思うんですけれども、それで公園緑地といいますか、公共団体が維持管理する、これはここ数年横浜市は伸びておりますか、それともストップしておりますか。あるいは新しい指定——町村合併して大きくなった横浜市として、緑地等の地域があると思いますが、そういうところを買収して公園等をつくったという実例とその面積、どんなものでございますか。
  46. 飛鳥田一雄

    参考人飛鳥田一雄君) ちょっと坪数は、私のほうでは失念してきょう持ってきておりませんが、大体横浜市では二十三カ所の都市公園がございます。そして、ここ四、五年の間にかなりふえておるということだけは事実です。
  47. 田中一

    ○田中一君 埼玉県の場合には、まあ栗原さんはちょっと坪数はあれでしょうけれども……。
  48. 栗原浩

    参考人栗原浩君) 私も坪数は別に覚えておりませんが、埼玉県は都市公園は非常に少ないです。
  49. 田中一

    ○田中一君 これは都市局長、一面、自然の環境を守るために、自然の形態をこわさないために緑地保全地域をつくっておりますけれども、これは都市公園の場合でも、児童公園もあるし、いろいろおとなの公園もあるし、あるいは墓地公園もあるし、そうしたものに対し、政府としてどのくらいの——この都市公園法ができたのがたしか三十一年だと思ったんですがね、これは自来どれくらいの予算をとってきているか。それからまた、政府として、今後緑地保全地域というもの、あるいは特別地域をきめても、都市公園に対しては政府はどういう方針でいくか、これは建設大臣に伺っておきたいと思うんです。それから竹内都市局長のほうから、予算ですね、大体のワクが出てくれば想定されてきますから、それを竹内君、先に説明してください。
  50. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 都市公園事業は、今年度四十一年度は国費が十億でございまして、前年度五億五千万円に対しまして八二%の伸びを示しております。昨年度は一昨年度に比しましてたしか二億円ぐらいふえております。これは数字はあとで詳しく説明いたしますが、ここ一、二年の間に予算の伸び率といたしましては相当飛躍的にふえておりますけれども、何しろ絶対額が非常に少ないものでございます。われわれといたしましては、公園事業というものに特に重点を置いて予算の獲得あるいは事業の遂行につとめてまいりたいというふうに考えております。
  51. 田中一

    ○田中一君 四十一年度が十億、昨年が五億五千万、その前が、二億円程度上がったということは三億五千万程度、その前というと、今度十年ぐらい前にはゼロだったということになってくるけれども、これはどういうことになるか。まあ五十億は出ていないわけですね。それを一面、首都圏という立場から見るところの緑地保全地域というものは当然しなきゃならぬことでしょう、皆さん言われているとおり。しかし、都市公園というものに対してこれに置きかえて、もういいんだということはないと思う。ないのがここに十億という四十一年度予算が計上されたということになると思いますけれども、一体行政的に見て、都市公園というものを政府はどういう評価をし、かつまた、方向として考えておるのか。都市が何千とございます。その中で、昨年が五億五千万というようなものになりますと、これはもうやらないということですね。その中で横浜市は相当伸ばしているというんだから、おそらく市費を使って伸ばしている面が多分にあるのだと思います。一面、こうした首都圏、これはむろん近畿圏には保全地域はありますけれども、中部圏も出てまいります。しかし、こればかりじゃございません。そのために首都圏というふうに限定されておりますけれども、今後都市におけるところの緑地化の問題というものは、当然これは並行して行なわれなければならないと思うのです。  そこで、新しい観点から、この法律を通すというこの機会に、都市公園について今後どういう方向でいくか、また、いこうとするか、あるいはここでもってこの精神を受け継いで、ただ、これは荒らされるから防衛のためにこういう法律を出すんだということでは足りないんです。一面、荒らされっぱなしでもって、木を切ることが都市計画だと思われているような現在の都市におけるところの都市公園築造というものに対して、ひとつ方針を出していただきたい。
  52. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 公園に関する関心の度合いというものは、いま田中委員がお話しになったように、非常に貧弱だと率直に申し上げられると思います。それは私の私見も入るわけでありますけれども、前にも申し上げたと思いますが、日本の国土の自然条件はあまりによろしい。まあ山紫水明というと度が過ぎるかも知れませんが、比較的山岳地帯、あるいは原野が多い。川も非常に多い。こういう状況で、自然の状況というものが欧米の大陸地帯に比べまして非常によろしい。したがって、窓をあけるとそれこそ青葉若葉が見えるというのが日本の従来の姿であったと思います。そういう関係から、欧米では御承知のとおり早くから公園や都市公園というものが非常に発達をしてきておりました。また整備もされてきておりますが、日本に公園の思想というものが発達しなかったというのは、そういうところに私はあるのだろうと、こう解釈しております。それがひいては、最近、従来ありました森林的な公園でさえもだんだんスプロールされて、東京都をごらんになっても、従来非常によかった公園がその姿を消していくという状態です。やはりそこに大きな原因があったのではないかと思います。ところが最近は、大都市といわず地方といわず、都市がだんだん整備されて、建築物も高度化されている、こういう状態から、やはり欧米が経験いたしましたように、緑あるいは花というものに、非常に、何といいますか、愛着と申しますか、思慕の感が出てきた、だんだん公園思想というものが一般国民の間に広がってきたというのが現状であろうと思うのです。そういう意味において、私は行政的にも、率直に言って情熱が欠けていたのじゃないかということを申し上げてはばからない。けれどもしかし、最近は都市の高度化あるいは膨張、こういうことから公園が非常に大切であるという一般的な思想が高まってきた、これは当然のことであろうと思います。そういうことで、率直に内輪話をいたしまして、先ほど御紹介いたしましたようなちゃちな公園の国費を出しておりますが、私は四十一年度の予算、なるほど十億といいますと、四兆何千億の中で十億というと、全く何だと言いたいぐらいでありますけれども、公園費の十億も持たないで社会開発なんかこっけいじゃないかと、こういうことで議論をいたしまして、実は十億を一銭も切ってはならぬということで、ようやく十億円台にきたというのが実情でございます。そこで、これも私の私見を申し上げて恐縮でありますが、この東京、名古屋あるいは大阪、京都、その他もありますけれども、その他の地域と比較してみますると、比較的都市の周辺に接壊して近いところに相当山がある、丘陵地帯がある、こういうところはそれ自体がいわば公園のようになっている。たとえば京都、奈良というようなところ、また、名古屋はやや違いますけれども、それにしてもまだ近くに山林らしいものがある。東京はもとはあったのでしょうけれども、非常に平地であり、ますから、だんだん、当然に残るべき、開発してもやはりある程度残るべき地帯というものが非常に少ないというのが、関東平町の特殊事情であろうと思います。そういう意味で、古都という意味で、京都、奈良、鎌倉等については、ああいう立法をしていただきましたが、東京というところはほうっておくと、どこでも便利でありますからスプロール化されてしまう、こういう意味で最初東京大阪の市街地の中に五カ年計画ぐらいで、私はけたを大きくいって、一千億ぐらいで大公園計画というものをこの際すべきじゃないかということを事務当局に命じて、一応ペーパープランをつくりました。つくりましたけれども、それは言うべくして行なわれない。実際上土地の取得もかないませんから、十億円で都市公園をやるような国で一千億の計画を出しても、とてもそれは笑い話で終わってしまう、それよりも予防というお話がありましたが、まず東京首都圏においては予防が先決だろう、こういうことでこの法案を出して御審議を願う。内容を打ち明けて申し上げて恐縮でありますが、そういうことであります。
  53. 田中一

    ○田中一君 最後に、お二方に伺いますが、いまのこの提案されているこの法案に対する費用負担の問題を何とか軽減しようじゃないかという案が、寄り寄り仲間の中で出てくることは事実であります。そこで、これはまあ率直に言って、政府の力をしてはこの法案提案するまでに解決されなかった問題です。一方古都法等が早く通ってしまった。それと見合う場合には、アンバランスじゃないかというような議論から、主として出身の各地域の同僚からその辺が出ておりますけれども、どの方法が一番いいか。政府が不均一課税というものを、これはもうそれぞれ個々の問題については行なっていくのだという方針がきめられておるものかどうか。そしてまた、固定資産税の問題等も、いま飛鳥田市長から伺っても、これはたいしたものじゃない、そういう特別保全地域としてきめるところはたいしたものじゃないだろうと言っておりますが、量の問題を考えた場合には、相当負担になるわけです。横浜市は相当善政をしいて豊かなお金を持っていらっしゃるらしいからいいかしらぬけれども、そうでない貧困の都市もありますから、これはひとつ、そういうことでなく、不均一課税というものはどの事象において行なっていくのだという方針なら方針でけっこうですが、やはり税の体系というものは乱すものじゃなかろうと思うのです。その点で建設大臣はどういう修正が望ましいのか。提案者としては、修正困りますよというのは本音でありましょうけれども、何なら速記をとめてひとつ考え方を伺ってもいいと思うのです。それでは、お二方とも市長会の代表並びに知事会の代表の方という気持ちで参考人としてここにおいで願ったのですから、その点は伺っておきたいと思う。これは栗原さんは、先ほどずばりとあなたはものを言わないから困る。私はこういう方法がやりたいと言っていただけるといいのですが、飛鳥田市長のほうも、一万円あまりたいしたものではないと言うから、どういうぐあいにわれわれは地方財政が因らないように、また、税体系が乱されないようにしていったらいいかということを心配しているわけです。むろん、これは参議院の地方行政委員会のほうからも何らかの申し入れ等もあると思いますけれども、相談しなければならぬと思いますけれども、率直にどういう方法をとったらいいのか、お二方から伺っておきたいと思います。
  54. 栗原浩

    参考人栗原浩君) 私は、不均一課税の問題については、先ほど冒頭に申し上げたとおり、税の体系からいいましても、市町村が随意に課税するのではなくて、一つ法制に基づいて課税するのであるから、これは全体の財政計画において論議すべき問題だ、こういうふうに考えます。
  55. 飛鳥田一雄

    参考人飛鳥田一雄君) 私のほうは、できれば不均一課税というものは避けていただけたらありがたいと思います。と申しますのは、どの程度のどういうふうに減免していくかということは、現実としては非常にむずかしいわけです。そうしてまた同時に、そのことが税の全体の体系をある程度そこなう可能性もありますので、できれば不均一課税というものは避けていただいて、他の形でこの被害を受けている人たちに対する救済を考えていただけたらありがたいと思います。
  56. 田中一

    ○田中一君 私の質問はこれで終わります。
  57. 石井桂

    ○石井桂君 私は、ちょっと具体的な例を引きまして栗原知事さんに伺いたいわけです。  五、六年前にグリーンベルトができましたときに、蕨のはずれから浦和のはずれまで、いま中仙道に直角に非常に大きな農地がございます。これをどんどん家が建つのを防ぐために、グリーンベルトが敷かれたときに非常に大きな期待を持っておりました。その緑地はほとんど農地でございますから、転用が非常にむずかしいのではないかということに望みをかけてグリーンベルトと農地と二つでうまくできるかと思いましたところが、オリンピックがくるにつれて、道路が非常に改善される。だんだん人の出入りが激しくなるということで、見ているうちにほとんど中仙道の両脇はそのグリーンベルトは埋められてしまった。ところが、今度出る緑地保全法案によると、農地は除外しているわけですよね。そうすると、栗原先生の監督している蕨と浦和の間の非常に厚い農地、これは美田ですが、これは保全法からはずれているわけです。そういうところが一番この保全法案による規制をしたいところなんですが、ところが、そういうものはやむを得ず従来のまま放置しておけば、だんだんと虫食い状態で蚕食されてなくなってしまうところなんですが、それに対するお考えはどういうふうに考えていらっしゃるか。あれはみんななくなってもしようがないんだとお考えなのか。あれは実際は東京埼玉との間の大きな帯だと思うのですが、これに対するお考えを具体的に知事からお聞きできれば非常にいい。  それから同じく、それに対して建設大臣鮎川事務局長か、どちらでもけっこうですから、どういうふうにお考えになっておるか、それだけお聞きしたいと思います。
  58. 栗原浩

    参考人栗原浩君) いまのお話はまことにごもっともで、首都圏整備法というものができたときには、そういうことを大きく期待したわけです。それですから、この保全法が、われわれが成立を希望しながらも、先ほど来国会の先生方の御審議にあたって、法令ができたならば、いかなる事態にも対処するような予算措置というものを同時にしなければ死文になってしまうということをちょっと申し上げたゆえんです。つまり、あれは緑地グリーンベルト指定をされましたけれども、単に青写真の上で指定をしただけで、何も措置していない、当時としては。それで、東京からはみ出してくる工場のスラム街みたいなぐあいにだんだんなってしまう。これをいま先生が農地法で防げとおっしゃいましたけれども、現在の地方知事の力では、これはなかなか防ぎ切れるものではない。それはいわゆる無秩序な入り方というものはなかなか、地方知事が政治をやっておりますと、既成事実に対して住民が住宅を建てたものを、農地法をたてにとってうちをこわすわけにいかない。したがって、そういう場合においては、緑地にするならば、やはり最終的には国なり県なりが買い取るというような方法で徹底した措置を講じなければ私はだめだと思います。それが第一。  それから第二番目に、あの地帯をどう考えるかということですが、これはもう私は保全法には当たらないと思いますし、保全法に当たるような樹林地がないわけです。これはいま大臣がお答えになりましたように、これは都市公園でやっていくよりしかたがない。そういう意味であそこにりっぱな荒川というグリーンベルトがありますから、あれの完全な保全ということについては、建設省に対しましてもお願いをいたしまして、完全にこれを緑地として残すと同時に、オリンピックもございまして、戸田橋の付近というものを都市公園に指定してもらいまして、できるだけ緑地をふやす、そしてお互いに秩序ある、私の個人的な考えでは、市街化する以外に方法がない。そしてその間に適正な都市公園というような計画をつくって緑地をつくっていく。これは保全するのではなくてつくっていく。そういう地帯からそういうふうにして、従来のような形式的な指定をしたけれども何もしないということではなしに、こちらから積極的な秩序のある都市づくりをしていく以外は、ああいう東京に近いところでは私は方法はないと思っております。
  59. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいまのお尋ねは、従来の近郊地帯というものの制度との関係、農地との関係をどういうように考えるかというお尋ねかと思いますが、近郊地帯グリーンベルトといわれた地域は、相当広大な地域でございまして、それには現在樹林地のほかに相当の農地を含む地区約十二万ヘクタールに及ぶ地域でございます。そこで、その地域につきましては、先ほど埼玉知事さんからしかもお話がございましたように、計画としてやって、それを裏づける何らの措置がない、それが今日に至っている。それは実際上は穴抜け地域としていろいろと市街化もされておる点が現存あるように思うわけであります。そこで、今後この地域につきましては、ははり昨年の法律の改正によりまして、まず、グリーンベルト、いわゆる近郊地帯を廃して、近郊整備地帯に変わったということで、その地域整備の基本的考えが違っております。したがいまして、従来の近郊地帯も含めまして、今後は近郊整備地帯をどういうふうに市街化を考えていくか。また、緑地をどういうふうに保全していくか。さらに、農地をいかなる角度から検討していくか。そういう点につきまして、近郊整備地帯につきましては、総合的に検討を進めていかなければならないと、こういうふうに考えておるわけでございまして、現にこの点につきましては、基本計画を改定作業の一環として各専門の方々に御検討をいただいておるわけでございます。しかし、緑地の中で特にこの法律の対象になっております地域につきましては、樹林地水辺地等といたしまして、ただ制限をするだけでなく、また、それに対する権限の保障等も考えなければならないわけでございまして、用地買い上げの予算等も必要になってくるわけでございますが、そういたしますと、どうしても地域をはっきりし、限定しなければならないということになってくるわけでございまして、従来の地域との差は相当ございますが、そういう法律上の制限あるいは用地の買い入れという点を考えますと、現段階では少なくとも法制の対象については、特に制度上の、また財政上の措置をとってやらなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  60. 石井桂

    ○石井桂君 いま栗原知事の御説明はよくわかるのですよ。いまああいう勢いで都市が膨張し、そうして農地法でも押え切れないのだ、しかも、これは農地で保全法の適用もないのだ、だからいろいろその土地が市街化されるときには、近代的な整備をするようにしたい、こういう意味でよくわかるのですが、非常にぼくはさびしい気がする。せっかく保全法を出して、そうしていま東京がとにかくふくれ上がって埼玉へ入ってきて、それをある程度グリーンベルトで一時押えられる望みを与えておいて、さらに今度それを抑えるときに、鮎川さんの説明だとどうもよくわからぬけれども、山林があったのを残しておいて、あとはしようがないというふうにとれたのですが、そういうふうな御説明だったでしょうか。
  61. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) この法律の対象外の問題としましては、市街化をどういうふうにするかということと、緑地的な要素の強い従来の制度として入っております農地——生産緑地といっておりますこの農地をどういうふうに考えるかという問題が残されているわけですが、この法律案におきまして、農地を除外したということは、そういう点を全然今後考えないということではなくて、今後の計画面においては十分検討していきたい。しかし、この法律の対象からは、先ほど申し上げましたような点で一応対象からは除外されておりますが、首都圏整備計画の上では十分その点もあわせて考えていきたい、こういうふうに考えます。
  62. 石井桂

    ○石井桂君 このワクからはずすけれども、特別に農地は別の考えでいくのだ、その別の考えというのは何ですか。
  63. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) その点が非常にむずかしい点でありますが、農地は申すまでもなく緑地的な面と、それから農業生産の問題、特に近郊農業という特殊な農業ですから、そういう点を含む問題がございますので、首都圏の特に近郊地帯における農業、農地をどういうふうに考うべきか、緑地的な面だけでなく、そういう農業の面、あるいは土地利用の全般の面から検討さるべきである、こういう点でいま御検討をいただいておるわけでございます。
  64. 石井桂

    ○石井桂君 私が問題にしている蕨と浦和の間の農地というのは、美田なんですよ。お米をとるところばっかりなんです、ほとんど。ところが、その農地は美田ではあるけれども都市の膨脹に抗し切れなくて、みんな虫食うようにつぶれていくわけです。どうせつぶれるなら生産農地なんと言うのはおかしいので、それは栗原知事の言うように、思い切ってつぶれるのだ、だからその中で押えるうちは押えて、そうしてあとでできるものはりっぱなものにするという話だったら現実的でいいのですけれども、美田は美田としてあとで全体的に何か整備計画をするんだということになると、私の質問にぴったり答えていただけないので、遠く、答えはあと二、三年先にされるからというような感じを受けるわけですよ。せっかくいま土地として残っているわけですから、そういうところは手っとり早くいえば、保全地区にかぶせて、農地といえども例外を設けてかぶせて、そうして買っておくということだったら非常に安心だと思う。しかも、東京から来ると三十分くらいで来られるのですからね、都心から。そういうところは農地だからといってお米は何俵もとれませんよ。あそこだったら、とったところで一反当たり何俵もとれない。三俵もとれればいいほうじゃないですか。それでも埼玉県では美田だと思うんですよ、あそこは。そういうところをただ別に計画するからというのであのまま放置するのは非常に惜しいような気が私はするのです。そうでなくてもグリーンベルトをひいたときに、あそこは大事だから予算を取ってというので、お互いに私どもも努力しまして、取れなかったけれども、今回は地上にできるものの規制ができるようになったわけだから、せめてあそこでかぶしてもらえるかと思うと、この保全法によると農地だからかぶせない、こういうわけです。だから何かかわるべき施策があってしかるべきだと思うのですけれども、もう何か遠くの先のほうで整備考えるみたいなことでは、せっかくある緑地保全されない。つまりこの保全法案は、そのいまの問題の土地にはききめがない法律だということになるから、そこでもう一ぺん鮎川さん、わかりやすいように答えてください。もし鮎川さんがあれだったら大臣に答えていただいてもけっこうです。
  65. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 鮎川事務局長が申し上げていることも、栗原知事のおっしゃることも、趣旨は同じだと思います。これは一般的の原則をとりました法律でありますから、農地を緑地保全地域にするというわけにはいかないということに農地はなっております。けれども、いまのお話のような事態が各地にあるわけであります。そういうところはやはり農地として残すところもありましょうけれども、残せない地帯は都市計画として公園等の整備をする、これ以外にはないんじゃないかとかように考えております。
  66. 小酒井義男

    小酒井義男君 一つだけお尋ねしたいのですが、栗原参考人にお尋ねいたしますが、少し突っ込んだ御質問になるのですけれども、お話を聞いておると、緑地保全は必要でぜひやるべきだ、しかし税の問題についてこれは国で見るべきだという御意見、そうすると、都県がこれを買い上げてそして二割程度のものは金を出して管理をするということくらいは、やはり都県として引き受けてやってもいいんだ、こういうふうに理解をしてもよろしゅうございますか。
  67. 栗原浩

    参考人栗原浩君) これは先ほど御質問にお答えしたように、府県自体も受益者ですから、保全法によって緑地をつくるということは、府県自体も——首都圏全体も利益でもあるけれども、その地域についても利益がありますから、その管理その他の費用都県負担するということはやぶさかでない。ただ税制がからみますから、税制の問題をああいう形ですることは、地方公共団体間で税をやりとりすることは前例もございませんし、法制に基づいて不均一課税をした場合においては、国全体が財政計画の中でやるべきものだという意見です。
  68. 小酒井義男

    小酒井義男君 飛鳥田参考人の御意見をお聞きしていると、補助も、全額政府で持って管理の費用なんかも負担にならないようにせよ、こういう考え方ですと、国が賢い上げて管理しろということと同じようなふうの実態になると思うのですが、そういうことでもいいということなんでしょうか。
  69. 飛鳥田一雄

    参考人飛鳥田一雄君) けっこうでございます。府県の場合と市の場合と、いわゆる地方自治体によってかなり財政状態が違います。いまは市町村財政状態が非常に苦しいのでございますから、われわれはこの問題について全額国でやっていただけたらというふうに考えております。したがって、もし国で管理せられるということであればそれでもけっこうでございます。
  70. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは瀬戸山大臣に一つお尋ねしますが、これは各自治体財政能力というのは、御承知のように相違があるのですが、非常に困っている自治体と、ある程度このくらいの負担はできるという自体と、同じように扱うということに無理があるのじゃないかという気がいたしますが、そういう点は何か分けて取り扱いをするというような方法をお考えになりませんか。
  71. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 地方財政のアンバランスの問題については、地方財政に基づくスライド——スライドということばは当たらぬかもしれませんが、そういう考え方の財政措置の法律が別にあるわけであります。なお、新産都市建設に伴う公共事業等が非常に多くなります場合にも、やはり同じような立法措置がなされております。それに伴ってこの首都圏地域における開発の問題、あるいは近畿圏地域の開発の問題等についても、やはりそういう不均衡に対して特別な助成をするという立法措置がいま国会で審議中だということでありますが、出してあるわけであります。ただ、この問題について影響が及ぶかどうかということは、横浜市が大都市ということでありますから特別市になっておりますので、それが当てはまるかどうかということは、いま私の手元ではちょっとわかりませんが、小さい都市については、そういう財政措置が講ぜられておる、また、講じようということで首都圏整備計画の中で、ちょうど新産都市に応ずる、あれとやや内容は違っておりますが、同じような趣旨の立法をいま国会で御審議願っておる、こういう事情でございます。
  72. 小酒井義男

    小酒井義男君 いまの問題は私ももう少し勉強して次回にお尋ねしたいと思いますから、きょうはこの程度にしておきます。
  73. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の聴取を終わりたいと思います。  たいへんお忙がしいところお出かけいただきまして、非常に有意義な御意見等お聞かせいただきましてありがとうございました。参考人の皆さんの御意見を十分に法案審議の最終段階に取り入れていきたいという気持ちを持っておりますので、きょうのお忙がしいところおいでいただきましたことをひとつ有効に活用させていただきたいと考えております。たいへんどうもありがとうございました。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  74. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。  それでは引き続き政府に対する質疑を行ないます。
  75. 田中一

    ○田中一君 せんだって私から要求した資料に対して、一応説明してほしいと思うのです。
  76. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 先般の委員会で提出要求のございました資料について簡単に御説明申し上げます。
  77. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 簡潔にひとつお願いします。
  78. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 資料は大別して三種類ございます。  一つは、首都圏の近郊緑地保全の予定の地図と申しますか、予定の計画はどういうふうになっておるかという図面に関する資料が一つでございます。  それからもう一つは、首都圏整備に関する概況でございまして、工場等の制限並びにこれに関する市街地開発区域整備に関する問題の点でございます。  それから第三点は、首都圏近郊緑地保全法施行令案の概要についての政令案の内容でございます。  この第一点は、図面でございますので省略いたしますが、一言つけ加えて申しておきますと、提出いたしました資料は、従来の近郊地帯グリーンベルトの入った図面でございまして、従来の計画が入っております。それが計画図においてどういうふうに今後改良するかという計画をあらわした図面を提出いたしております。  それから二番目の首都圏整備の概要につきましては、二種類の資料を提出いたしまして、一つは、全般的な「首都圏整備の概要」というパンフレットと、それの実施状況と申しますか、この中で特にこの前御質問がありました工業等の制限の概況、また、これに関連する市街地開発区域整備の概況、こういう資料を差し上げております。この中身は、目次について申し上げますと、まず、現存の首都圏人口規模とその地域的配分はどういうふうに考えておるかという点でございます。  それから二番目に、既成市街地における工業等の制限の概況はどうなっているか。さらに、市街地開発区域、今後は都市開発区域と名称を改めることになりますが、その都市開発区域整備の概況といたしまして、工業団地造成の概況、工業団地造成に伴う人口推移の概況、これについての資料を提出いたしております。  また、三番目は、要綱でございますが、政令案につきまして、ただいま政令案の要綱として考えております——試案でございますが、要綱を提出いたしたわけでございます。以上でございます。
  79. 松永忠二

    委員長松永忠二君) それでは、本案の審査は、本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時十二分散会      —————・—————