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参考人(
飛鳥田一雄君)
飛鳥田でございますが、すでに私のほうから申し上げたいと思います大部分は、
知事のほうからお話がありましたので、できるだけそれとダブらないように申し上げさしていただきたいと思います。
この
緑地を
保全するということは、もうすでに手おくれだというくらい緊急な問題でありまして、この問題について御
審議をいただきますことは、たいへん私
たちとしてはありがたいのであります。しかし同時に、もう一度もとに戻って、いわゆる
人口の
都市集中を無
制限に醸成していくような傾向についても御判断をいただきたい、こう私
たちは思うわけです。
横浜市は年々
人口十万くらいずつふえてまいりまして、現在すでに百八十二万になっております。この入ってまいります人というものは、きょう
ごらんをいただきましたように、山を削り谷を埋めて流入してまいります。したがって、
緑地がつぶれるというだけでなしに、それらに対して
道路をつくらなければならないし、水道を引かなければならないし、消防署をつくらなければなりませんし、ごみも取らなければならないし、学校も建てなければならないし、そういう
意味において非常に
公共投資を必要といたします。しかも、ここに住む
人々は、
横浜市に住んで
東京につとめられる
人々でありまして、言ってみれば
横浜に住む
東京人ということであります。一例を申し上げますと、つい先日田園
都市線という電車が通りまして、ここに
人口二十五万くらいの人が入ってくるという予定でありますが、十年間を計算いたしてみますと、上がってまいります
市民税、あるいは国からの
補助あるいは
起債等を
考えてみましても、十年間にこの
地域だけでなおかつ七十九億の不足になるのであります。こういうことが
都市における行政というものを非常に不安定にし、
都市というものの開発について非常に困難を生ずる
とい点であります。
緑地を
保全していただくことはもちろん大
賛成でありますが、それ以前に非常に無秩序な
人口流入というものを醸成してくるような
首都圏のそういうものについて、ひとつお
考えをいただければたいへんにありがたいと思います。
そうした
前提を置きまして、
首都圏の中に
緑地を
保全していただくことは私
たちも努力しなければなりません。そうして、この
法案について、
賛成をしながらも具体的な私
たちの
希望を述べさせていただければ、まず第一に、
計画及び
事業の立案、
決定というものについて、すなわち、
特別保全地区をどう定めていくかということを
計画し、そうして
事業をお
考えいただきます場合には、
地方自治体の自主的な
決定というものを
最高限度に尊重していただきたいということであります。
緑地のどこを
保全地域にするか、このことをもし
首都圏の中で
地方自治体の
意見というものをかりに無視して御
決定をいただきますと、その
地方のいわゆる
自治体としての政策がそれによってねじ曲げられてしまうおそれがあります。そういう
意味であくまで
保全地域あるいは
特別保全地区を
決定いたします場合には、
当該自治体の自主的な
意思を尊重してもらいたい。これは
地方自治権を守るということにもなりますので、そういうことを
お願いしたい。さらに双方の
意思が合致いたしまして
緑地を残していくというような場合には、主として
財政上の問題について御考慮いただきたいのであります。それから、こうした
緑地保全のためには、いろいろの事務的な
職員費がかかるのであります。
人件費がかかるのであります。こういうものがいままで以上に
横浜市あるいは
自治体としては
負担になってまいりますので、援助のお
考えをいただきたい。
さらに、先ほど
知事がお話しになりましたように、
買い入れの問題でありますが、これについて、大体八〇%くらい
時価について
補助をしようというお心持ちのようであります。この八〇%につきましても、
単価をきめてその八〇%という形じゃなく、
政府の
補助として八〇%にしていただきたい。できれば私
たちはこれを一〇〇%にしていただくことを望みたいと思っているのであります。
義務教育国庫負担法などによりまして、小中学校の
建設の場合には、小学校については三分の一、中学校については二分の一
補助するということになっておりますが、
横浜市では、現実にどんなにやりましても、坪九万八千円以下では建たないのであります。ところが、実際は七万八千円という
基準単価を設けて、それの三分の一の
補助をいただく。結局差額二万円だけは全然
補助されないという結果になってまいります。したがって、この
法律についても
補助率を八〇%とお
考えをいただいても、
基準単価をきめてそれの八〇%という形になりますと
実情に沿わないのであります。したがって、
買い入れました
時価とするというふうに書いてありますから、その
時価の八〇%というふうに、いわゆる
生産補助にしていただきたい。そしてさらに、できますならばこれを
全額補助にしていただけるようにと、私
たちは
考えております。
横浜市で現在
首都圏とも相談をいたしながら
考えております
特別保全地区、こういう問題につきましても、実はその中に
円海山という
——きょうあるいは上空から
ごらんをいただいたかもしれませんが
——ものがございます。この場合でも、その坪数は大体四十万坪ぐらいになるのであり、しかも、これは普通
買い入れてまいりますと、
時価という形になりますと、どんなにしても坪五千円以下ではあり得ないだろう、こういうふうに
考えられます。そうした場合に、五千円以下ではあり得ないだろうと思われるものが、
横浜市だけでも、しかもそのうちの一角、一地点である
円海山を
中心とする
地域だけでも四十万坪あるということになりますと、したがって、かなり
補助というものが、
資金的な用意をしていただきませんと、
法案だけできて、しかし、
資金的な
配慮もされておりませんために、結局は
補助率八〇%というものが
精算補助から
基準補助になり、そしてさらにまた、そのパーセンテージが下がっていくという結果にならざるを得ないのであります。伺うところによりますと、ことしは二億円これの
資金を用意していただけるということでありますが、かりに二億円では
横浜市の中ですらほとん
どもう
実情に沿わない、こういうことになろうかと思います。そういう
意味でどうしても私
たちは、
東京都の膨大なふくれ上がり方、そしてそれが
横浜市に流れ込んでまいりまして、
横浜市としてそのしりぬぐいをしていくという感情に
市民としてならざるを得たいのであります。そういう場合の
緑地を
保全していくということについては、ひとつ国としてもっと積極的なかまえを持って、十分に
けつ押しをしてやるという態度をとっていただけないだろうか。初め私
たちはこの
法案の話を伺いましたときに、二億ことし用意してあるという話を聞いたんですが、それは何か若干けたが二けたぐらい違っていやしないかという話をわれわれの仲間うちではいたしたのであります。もし、この
法案が
実行性を持とうとすれば、むしろ
法案の字句のあれやこれやという解釈の問題よりも先に、この問題についてぜひ
先生方の御
配慮をいただかなければ、
法案はできて、具体的には
実行のできないものに終わってしまうのではないだろうか、こういうことを私
たちは
考えます。
さらに、いま
知事も述べられましたけれ
ども、不
均一課税の問題になりますが、この
法案を拝見いたしますと、
市町村に対しては、その
固定資産税を減額した分についてある程度
府県から
補助を受けられる、
補てんをしてもらえる。また
府県は国からある程度の
補てんをしてもらえるということになっていますが、残念でありますが、
横浜市
一つにしかすぎませんが、
指定都市はそのいずれにも入りません。したがって、
指定都市は
固定資産税を減額いたしますと、そのまま
指定都市自身の
負担において減額しなければならぬという形になります、もちろん、これは金額的にはそう大きなものではございません。たとえば先ほどの
円海山を
中心にした四十万坪の
保全地区がある、こういたしましても、
固定資産税は坪当たり一円ぐらいだそうでありまして、このお呼び出しを受けましたのでさっそく調べてみましたら、一円ぐらいだそうでありますから、四十万坪減免いたしましても四十万円でありますから、これはそうたいした問題ではありませんが、しかし、
市町村も何か
考えていただく、
府県も何か
考えていただくという中で、
指定都市が何も
考えていただけないという不公平が出てまいりますので、これは
法案のバランス上、ひとつ御考慮をいただければ幸いだと、こういうことであります。
その他いろいろ申し上げたいことがありますが、要点はそれに尽きます。