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1966-06-08 第51回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月一日(水曜日)委員長の指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  産炭地域振興に関する小委員       大坪 保雄君    加藤 高藏君       倉成  正君    藏内 修治君       壽原 正一君    田中 六助君       西岡 武夫君    野見山清造君       三原 朝雄君    多賀谷真稔君       滝井 義高君    中村 重光君       細谷 治嘉君    八木  昇君       伊藤卯四郎君  産炭地域振興に関する小委員長                 加藤 高藏君 ————————————————————— 昭和四十一年六月八日(水曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 有田 喜一君 理事 藏内 修治君    理事 始関 伊平君 理事 壽原 正一君    理事 多賀谷真稔君 理事 八木  昇君       大坪 保雄君    上林山榮吉君       神田  博君    倉成  正君       田中 六助君    中村 幸八君       野見山清造君    三原 朝雄君       滝井 義高君    中村 重光君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      森  五郎君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         農 林 技 官         (水産庁漁政部         長)      山中 義一君         参  考  人         (産炭地域振興         事業団理事)  堀坂政太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五五号)      ————◇—————
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。  なお、本日、本案審査のため、参考人として産炭地域振興事業団理事堀坂政太郎君が出席されております。  それでは、質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 産炭地域振興臨時措置法について御質問申し上げるのですが、この産炭地域振興臨時措置法の第四条に、産炭地域振興実施計画基本計画に基づいて地域ごとにつくることになっておるわけです。しかも、この法律では、実施計画はこの法律の施行後二年以内に定めることになっているわけですが、当然、政府としては、たとえば筑豊とか常磐とかという地域の区分に従って実施計画をお立てになったと思います。そこで、問題は、その実施計画というものが一体どの程度具体化したかということが問題なんです。これをひとつ、たとえば一番集中的に合理化のあらしが吹いた筑豊でいいですが、筑豊なら筑豊で一体どの程度実施計画が実現できているのか、それをちょっと御説明を願いたいと思います。
  4. 井上亮

    井上政府委員 御承知のように、産炭地域振興臨時措置法に基づきまして産炭地域振興計画をつくっておるわけでございますが、臨時措置法に基づきまして最初につくりましたのは、昭和三十八年九月十七日に基本計画をつくりまして、引き続いて同三十八年十一月に審議会でこの実施計画を決定いたしました。実施計画の内容といたしましては、釧路、天北・留萌、石狩、常磐、山口、筑豊、筑後・有明、佐賀、長崎、全国をこの九つブロックに分けまして、それぞれ具体的に鉱工業等振興産業基盤整備というような計画をつくりまして実施いたしておるわけでございますが、この基本計画は四十二年度にその目標を置いております。これに対しまして、今日までの実績は、平均的に言いまして、三十九年度の鉱工業出荷目標からいたしますと大体六四・九%程度達成をいたしまして、四十二年度には目標達成率といたしましては大体八割程度見込みをいたしております。
  5. 滝井義高

    滝井委員 それは、いま全国九つブロックに分けてやった場合に、その全体の平均の出荷目標というのが八割になるということなんですか、それとも筑豊だけが八割になるということですか。
  6. 井上亮

    井上政府委員 私が答弁いたしましたのは、産炭地域全国の計でございまして、筑豊につきましては、四十二年度の達成見込みを八六・九%というふうに置いております。
  7. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、この筑豊地区における四十二年度の出荷額は一兆三百六十二億円ですね。三十五年を基本にしますと、三十五年が五千五十四億八千四百万円ですから、ちょうど二倍程度になっているわけです。そうすると現在の出荷というのは筑豊炭田で見ますとどの程度出荷になっておるのですか。四十年末の出荷というのはどの程度になっておると思うのですか。
  8. 井上亮

    井上政府委員 四十年度は、年度が終わったばかりでございまして、ただいま集計中でございまして、正確には近くわかることになるだろうと思いますが、三十九年の出荷で見ますと、三十五年の五千億円に対しまして、三十九年度は七千三百億、達成率としては、これで全体の四十二年目標一兆円の大体七割ということに相なっております。
  9. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、その場合に、食料品とか、衣服手回り品とか、紙パルプとか、鉄鋼とか、機械とかいうように業種を分けているわけです。そうすると、その七割の達成をしたというのは、主としてどういうところにそれができて、どういうところが目標達成できなかったことになるのですか。
  10. 井上亮

    井上政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、工業出荷目標につきましては各業種に分けて検討いたしておりますが、おしなべて大体平均的にまいっております。たとえば、三十九年度の実績を見ますと、食料品工業で見ますと、大体目標に対して七六%というようなことになっておりますし、それから、ただ悪い点を申しますと、ゴム製品工業というのは必ずしもよくありません。伸び率が非常に低いということでございます。それから、さらに、機械関係伸びが必ずしも良好でないというようなことがございます。非常に伸び率のいいのは、繊維工業とか、紙パルプ、印刷物、化学工業というようなものが伸び率が非常に順調にいっているというような点でございます。
  11. 滝井義高

    滝井委員 私たちが一番切望するのは、何と言っても雇用率の非常に大きな機械工業なのです。しかも、御存じのとおり、四百九十三億程度機械工業を二千百六十八億円程度に伸ばすという。これは、機械工業雇用が非常に多いから、そこを重点に置いておったわけです。そこで、これを五倍程度に伸ばそう。衣料手回り品等繊維関係は、筑豊にそういう工業がなかったので比較的誘致しやすいであろうということで、これは十八億の七十億、金額にしたら大きなものではないわけです。しかも、こういうものは御承知のように家計補助的なもので、その地域経済をささえるだけの力がない。どうしても機械工業というようなものが中心になってこなければならないことになるわけです。ところが、その機械工業というのが伸びていない、おくれているということが、やはり筑豊における主柱的な背骨になる産業ができていないわけです。石炭は少なくとも背骨だったわけです。その石炭にかわる背骨ができていないところに産業地域振興というものがうまくいかないことになる。だから、この点、機械工業が来なかったということの隘路は一体どこにあるのかということを究明されなければならない。
  12. 井上亮

    井上政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、筑豊におきます産炭地域振興計画の中で特に順調なものは繊維化学工業中心とした業種が非常に多いわけでございます。機械とかあるいは機械器具類といったものが比較的伸び率が少ないのは御指摘のとおりでございまして、これは、どっちかと言いますと、繊維工業とかあるいは化学工業その他の雑貨類といった点は、筑豊経済を形成しております需要構造からして、立地的にも一応良好な状態にあるというような点が言えるんじゃないか。それから、もう一つ機械工業になりますと、繊維とかその他の雑貨類に比べますと相当資本もかかるというような点が第二点としてあげられるのではないか。それから、同時に、これは第三の問題点かと思いますけれども労働力の点につきましても、繊維工業あるいは化学工業等につきましては、御承知のように特に繊維伸びておるのですが、繊維につきましては、筑豊の労務者の子弟、子女等が主としてその労働力となっておる。機械工業につきましては、繊維等に比べますとそういった環境が薄かったというような点があげられるのではないか。それから、もう一つ、本来筑豊には機械工業が向くと私どもは思うのです。それは、筑豊は御承知のように水が少ないわけでございますので、水を多量に使うような工業については、どちらかというと今日の筑豊は必ずしも適地とは言えない。そういう意味から申しますと、特に大量の水を消費する必要のない機械工業はやはり将来の本命であろう、伸ばすべき業種だというふうに私は思います。ただ、やはりヒンターランド等関係があってその誘致がおくれたわけでございます。それから、機械工業が盛んになりますためには、何と申しましても大企業とか中堅企業というものがあって、その周辺にそれとの下請け関係等においての部品工業等が栄えるのが通例でございますが、そういった機械の大メーカーの進出あるいは中堅企業進出がおくれておるというのが、やはり筑豊全体における機械工業伸び悩んでおるということの大きな原因ではなかろうかというふうに考えております。
  13. 滝井義高

    滝井委員 ブロックに分けた筑豊地域というのは、御存じのとおり福岡市一帯と北九州工業地帯を含んでいるわけです。そこには機械工業の既存のものもあるわけです。鉄鋼もあるわけです。それから、福岡等中心にして食料品等工業もあるわけです。そこで、問題は、その周辺地域ドーナツ型にふくれていって、中枢部人口希薄になりつつある。ちょうど東京都と同じ形が小型でいま筑豊にできつつあるわけなんです。いままで比較的人口の密集をしておった筑豊がだんだん希薄になって、そしてずっと周辺にみんな行っています。だから、たとえば、いままで田川から北九州に通勤する者は非常に少なかったが、最近は全部日田線を利用して北九州に通勤をしているわけです。そして、昼間の筑豊人口は非常に少なくなる、周辺に出ていく、こういう形が出てきているわけでしょう。東京のように、空気が悪くなって、そして交通事情が非常にひんぱんになってどうにもならぬというようなところは人間住居地としては適合しない。しかし、筑豊空気はいいし、ただ土地の鉱害はある、地下は空洞になっているけれども、いわゆる空気が汚染されているとか悪臭があるという公害はそんなにないわけですね。だから、ここに工業特に機械工業を持ってきてもちっとも差しつかえないことになる。ところが、周辺はいま言ったように出てきている。ここで炭鉱が七割とか八割とかいっておると心配要らぬというのは、福岡とか北九州がそういう形になっておるのであって、筑豊中枢部というものがいわゆるドーナツ型で人口が希薄になってきておる。東京千代田区が、だんだん人口が減って小学校が要らなくなるという形が出てきているわけでしょう。まあ東京よりは少し程度が軽いけれども、そういう形が出てきているわけです。  そこで、この筑豊みたいな、鉄道が敷かれ、社宅、住宅があるというところを一体ドーナツにしてしまっていいのかどうかということが問題なんですよ。これはいままでのあんこの部分がなくなったんだから、やはりもう一回あんこを詰めかえなきゃいかぬですよ。いま石炭鉱業にかわるものであんこ役割りを何に求めるかといったら、あなたの言うようにこの筑豊産炭地振興計画の主柱は食料品鉄鋼機械三つですよ。いわゆる千億円をこえるものはこの三つしかないのです。四十二年の出荷目標で、食料品が千四百一億円、鉄鋼が三千四百五十億円、機械が二千百六十八億円、その他が千六億くらいありますが、このその他はいろいろのものを入れてあるのですから、千億円をこえるものは食料品鉄鋼機械です。そうしますと、鉄鋼八幡製鉄があるんだから筑豊のまん中に興すわけにいかぬ。八幡製鉄のベッドタウン的な役割りを演ずると言えば言えるわけです。そうすると、機械食料品というものは持ってき得る。これはあんこ役割りとして石炭にかわり得るものですよ。繊維なんかばかりでは、これはアメリカへ輸出するのですから知れたものですよ。そうすると、食料品機械をどういうようにしてあそこに導入をしてくるかということが今後における産炭地振興の主柱的な政策でなければならぬ。それを一体政府は、ドーナツ型になって発展をしているこの筑豊真空地帯になろうとしている中枢部にどういうように持ってくるかというその政策を具体的に示す必要があるし、その政策のためには相当な金もつぎ込むし、長期低利の金も貸してやるという政策がなければいかぬ。堀坂さんのほうで幾ら一生懸命に工業団地をつくっていただいたって、そこに来なかったら何もならないから、誘導政策というものをとらなきゃいかぬと思うのですよ。前に佐橋さんが通産省におるときには、相当積極的に企業に向かって行政がタッチしていくというので佐橋さんは少しきらわれたのだけれども、もはや筑豊についてはそうやらざるを得ないんじゃないかと思うのです。私あと労働政策の面もちょっと触れますけれども、これはやらざるを得ないんじゃないか。それをあなた方は一体どういうことでやろうとしておるのかということですよ。どういう誘導政策をとろうとするのかということです。
  14. 井上亮

    井上政府委員 今後筑豊産炭地振興方向につきましては、私も、滝井先生がおっしゃいましたように、やはり八幡製鉄の大きな素材工業としての背景を持った北九州市、あるいは地方にまだ残っております労働力、こういうものを利用して、これを一つの原動力にして筑豊地区振興をはからなければいかぬと思うわけでございます。そういった意味から、特に水の少ない筑豊におきまして機械工業に着目すべきだという点については、まことに同感でございます。先ほども申しましたように、機械工業があまり伸展しなかった幾つかの例はあるわけですが、端的に申しまして、ここ数年間の一番大きな伸び悩み原因といたしますと、これは鉄綱業自体もそうですけれども、やはり鉄綱不況のあおり、重工業関係不況のあおりが相当影響しておるのではないか。特に直方市には御承知のように鉄工業の集団的な地域があるわけですが、ここあたりにつきましても、これは炭鉱不況が影響いたしております。あるいは炭鉱機械を修理したりいろいろやっておりますが、炭鉱不況とやはり八幡製鉄中心とする大企業不況という問題がこの伸び悩みに大きく影響いたしていると考えるわけでございます。しかし、だからといって、今後の長期方向を考えます場合に、筑豊の再建のためには、単に繊維工業とか化学品工業雑貨工業というようなものだけでなしに、やはり中核的な機械工業を大いに誘致しまして、これを中心にやはり発展策をはかる以外にないということにつきましては、滝井先生と全く同感でございます。しからば、こういった方策をどうするかということでございますが、これは、実は私どもも、東京におりましてただ様子を見ているだけではございませんで、やはり地方の、筑豊のいろいろ各地の市町村とか県の方々あたり等も出てこられますと、東京にあります大企業の将来の発展計画筑豊に指向してもらうような要請も私みずからもいたしております。この体験からいたしますと、五、六年以降におきましてはそういう計画は持ち得るという話が出ております。ただ、しかし、ここ数年間におきましては、なかなか日本経済の今後の方向あるいは成長率程度といいますか、当該業種伸びというような点につきましてまだ確信を持てないので、いま直ちに筑豊進出して土地造成をお願いするとか、あるいは土地の確保をはかるとかいうようなところまでいく決断がつかない。しかし、その会社の将来の計画としましては、やはり当然九州地方に相当大きな企業を造成して発展の足がかりにしたいという希望は持っておられるわけでありまして、やはりもう少し——短兵急にこれを誘致するといたしましても、当該業種のやはり国内需給あるいは輸出の見通し等関係もありますので、そういうような観点から、急いでこれをしゃにむにつくらすということが困難な事情にあります。これは私が当たりました一つの実例を申し上げたわけでございます。だからといって、すべてがだめだというふうには私は思いません。したがいまして、私どもとしてなすべきことは、大企業九州特に筑豊進出します場合に、将来についての期待は私ども持てると思いますが、それに対しまして、筑豊でなくてあるいは他の産炭地域以外の土地へ逃げられることのないように、やはり筑豊に、九州進出します場合にはやはり産炭地域に来てもらうような努力をしなければいかぬ。そのためには、やはり産炭地域の道路の整備をするとか、あるいは水についての対策を講じておくとかいうような、産業基盤の先行投資的なものをこの際やっておく必要があるのではないかと思います。それから、同時に、土地造成等につきましても、これは毎々御指摘を受けておりますので、こういった点についても、改むべき点は改め——非常に高いというような批判もございます。これは高いのはあたりまえでございまして、これは諸先生承知でございましょうが、産炭地域振興事業団土地造成は、単に安い土地をつくるために土地造成をいたしておるわけではありませんで、やはり六割以上はボタ山処理をやっておるわけであります。これは離職者対策を兼ねた緊急就労的な事業をやっておるわけでございます。こういった点につきましては、もう少し国の助成を強くするとか、いろいろな点を配慮しまして、安い土地が提供できるような努力もするというようなことで、大企業九州進出します場合に産炭地域に根をおろてもらうような基盤をつくっていくことが肝要であるというふうに考えております。
  15. 滝井義高

    滝井委員 産炭地基盤をつくることはわかるのですが、いま石炭局長の言うように、まあこれから五、六年先になったら企業筑豊に行くであろうという、その五、六年が待てないのですね。御存じのとおり、いまでも筑豊というのは、女と年寄りだけになって、青年がいなくなってしまう。どこに行くかというと、全部太平洋ベルト地帯に行ってしまうわけです。そうすると、太平洋ベルト地帯は、過密で公害があって、もはや三重県の四日市みたいに、人間が住めないという状態が起こりつつあるわけです。だから、何もこれは石炭局ベースでものを見るのでなくて、通産省全体として、日本産業構造と配置というものを一体どうするかということがやはり重点に置かれて、そうして、その上で、やはり企業対外競争をやる上に、いまそんないなかには行けません、中枢部に集中しなければだめですというものの考え方を直さなければいかぬじゃないか。そのものの考え方は、経済中心であって、人間というものが経済に従属するものの考え方なんです。だから、五、六年しておったら、もはや日本新規若年労働力というものが企業には不足するのです。それは、昭和四十五年になったら、よう見て百二、三十万しか新規若年労働力は出てこないですよ。そうして、病気をしたり定年退職になって生産の現場から退場していく労働力というのは百五、六十万になるのだから、その新規若年労働力は、引退をしあるいは病気のためにやめていく労働力をまかなうことができなくなってしまう。そして、それに今度は日本経済の伸展による自然増というものを加えてまいりますと、これはおそらく百万をこえる労働力の不足ですよ。そうなったときに、筑豊は根こそぎ持っていってしまわれます。残る者は女と子供とお年寄りだけです。子供も一緒に親は連れていきますわ。そうすると、あと五、六年たって企業を持ってくるといったって、これはもう東京千代田区と同じようになる。それは、東京千代田区なら昼間は人がおりますけれども、あそこには人がおらなくなる。堀坂さんが一生懸命つくった工業用団地も、ペンペン草がはえちゃって、また手を入れなくちゃならぬことになってしまう。だから、何ぞ五、六年を待たんやです。  それから、いま一つは、こういう筑豊政策をやろうとすれば、小手先だけの産業政策じゃだめなんです。やはり大きな外交上の問題が伴ってくる。たとえば、八幡製鉄はいまどこから鉄鉱石を買っているか。はるかかなたの豪州から買っている。藤井さんのごときは、日韓国交調整については非常に熱心で、みずからも韓国に乗り込み、国会にも保守党の推薦で参考人になって出てきた。それほどお隣韓国との国交調整をやる熱意があるなら、お隣中国との国交調整をやったらいい。そうすると、八幡製鉄はすぐお隣中国から鉄鉱石を入れることができるから、豪州よりはもっと安くできますよ。このことは、筑豊のいわば主柱である鉄綱の原料が安くなってくる。いま石炭でも、へますると今度は北海道から八幡製鉄は持ってこなければならぬようになってしまう。そうすると、中国から石炭を持ってくるということになれば、これはどこか突破口をつくっていくとすれば、おのずからやはり八幡製鉄が先頭に乗り出して、お隣中国との国交調整をやらなければ、ほかには財界は言ってくれる人はないですよ。八幡製鉄が一番なんです。もともと官業で発達してきたものだから、それがやっていく。そしてその上で企業来いという形。同時に、太平洋ベルト地帯への労働力の移動というものをここで食いとめる。そういう政策のきちっとした方向がないといけない。中国との国交調整はやらないで、お隣韓国とやっても、もうそんなものは安い労働力日本に持ってくるより使い道がないのじゃないか。金をぶち込むばかりですよ。韓国国交調整したって、日本経済全体から言ってもたいして大きな利益はないわけです。こういう点から言っても、むしろあまりものごとをイデオロギー的に党派的に考えずに、ほんとうに国民経済の立場に立ち、日本国民の福祉と生活を豊かにするという考え方に立てば、私はそれをやることが先決だと思う。そのことが筑豊を起死回生に導く一番大きなポイントですよ。何もこのことは日米安保条約のもとにおいても不可能ではないわけで、たとえば、松村さんだって主張しているし、今度は小坂さんだって行くという。小坂さんや前の防衛庁長官の江崎君等が行くと言っても、与党は今度許そうということなんです。だから、思い切ってやるということが筑豊地盤沈下を具体的に防ぐ方法じゃないか。そういうことでないと、とうとうとして太平洋ベルト地帯に人が流れていくのを押えようだって押え切れません。人がいなくなって企業が来たって、これは話にならぬということなんです。  だから、いまはもう一つの限界ですよ。あなたのようにこれから四、五年待っておったら、もう日本産業構造はがらり変わっていますよ。石炭なんというのはあの辺なくなってしまう。石炭がなくなってしまってから産炭地振興と言ったっておそいです。石炭のあるうちに産炭地振興をやれというのが方向でなければならぬ。予防というのは、病気が起こる前に病気にかからないようにすることです。いま石炭がこういう運命にある。次は石油にやってくる。この業界がそういう運命にある。原子力の発電その他が行なわれて、原子力が燃料化してきますと、十年か十五年先、石油が同じ運命にあう。そういう運命に追い詰められたときにやるんでなくて、もう少し前からやはりやってもらわなければいかぬ。だから、四、五年して追い詰められて、もうペンペン草がはえて仙人のような御老人しか住んでいない筑豊に幾らやろうといったって、今度は労働力をどこから持ってくるか。働き手がないから全然だめだ。だから、私は相当強引かもしれないけれども、金をつぎ込むという政府が決心さえすれば、誘導政策は可能ですよ。それと、いま言ったように、外交政策というものをもう少し世界の立場から考えてみるということです。いまのこの過密な太平洋ベルト地帯、それは北九州も入っています。しかし、いまや北九州というのは、中期経済計画をごらんになっても、七%か八%程度あった生産力というものが、中期経済計画で四・五ぐらいに下がってしまうということです。地盤沈下が急速にいく状態だったんですから。だから、これは太平洋ベルト地帯でもしりっぽのほうで、たいして力がないという形になっておるわけです。それが石炭斜陽化で拍車をかけられておるわけですから、私は、そういう点から、いま井上局長が言うように、これから四、五年したらやるなんという、そんなのんきなことでは話にならぬ。だから、あなたのほうがそういう考え方では、産炭地域振興法律を五年延ばしたって、五年目になってもう一ぺん延ばしてやりかえなければならぬということになるわけですよ。だから、そうじゃなくて、やはり基本計画実施計画をもう一ぺん再検討してもらって、そうして今度の中期経済計画の中にやはり産炭地域振興計画というものを最優先的に位置づけしてもらわなければならぬと思うのですよ。それはやれるでしょうね。
  16. 井上亮

    井上政府委員 まず最初に、私が中核企業特に機械工業の誘致の問題でいろいろ東京にあります機械工業の大企業と誘致について折衝をした経緯の御説明をしたわけでございます。その過程で、やはり北九州進出までの期間としてはもう四、五年は、当該企業の将来性あるいは日本経済の今後の成長の程度、こういった点を慎重に見ないとなかなか具体的に進出ができないという、私と某大企業との折衝の経過を申し上げただけでございまして、私の産炭地振興についての考え方が四、五年待てというつもりで申し上げたわけではございませんので、この点は御了承いただきたいと思います。  それから、なお、御指摘がありましたように、私どもといたしましては、この法案が通りまして五年延長いたしますれば、これを機会に直ちに基本計画の改定とそれから実施計画の改定のための作業に着手したいというふうに考えておりまして、実は先般も産炭地域振興審議会を開きまして、まず各県から、各県における産炭地域振興についての県の計画、県の計画をつくりましたときには当然各市町村からの計画も調整していただいて、その計画の御提出を要求いたしております。それは六月中旬までということになっておりますので、近く集まる予定になっておりますが、この計画をもとにいたしまして、さらに国会終了直後にもう一ぺん産炭地域振興審議会を開きまして、本格的に、振興計画の作成についてのいろいろ考え方なり、具体的な進め方なりについて検討をしてまいりたいというふうに考えております。少なくとも五年延長した機会に従来のこの基本計画を改定して、もう少し、大臣も常に申しておられますように、産炭地振興についてきめ手のある政策をこの際確立するように努力したいというふうに考えております。
  17. 滝井義高

    滝井委員 財界なり企業がこれから四、五年くらいしたら筑豊に行けるだろうというそのものの考え方を直すためには、やはり強力な政策誘導がないとだめなんです。もうからぬところに私企業が行くはずはないんだから。だから、政策誘導をして、損のいかないような形をやはり至急にとっていただく必要があると思うのです。  それから、企業が来る場合に、基盤整備されておらなければならぬ。基盤整備というものが非常に重要だということを局長は指摘されましたが、その場合に、何といっても一番大事なものは、住宅の団地とか工場の団地はすでにできつつあるわけですから、問題は道路なんです。すでにこれは福岡県知事も来て参考人として意見を述べたように、道路をつくる場合に、産炭地域振興計画の独自のものとして道路の整備計画が優先的に行なわれるのじゃない。道路整備五カ年計画のワクの中でただそこが優先的にやられる、こういうことだけなんです。だから、道路整備五カ年計画の予算が福岡県に来ますと、そのうちから産炭地に来るということで、あくまでもそれは道路整備のワクの中で動いていくことになる。だから、そこだけが飛び抜けて優先的に必要だからといってカンフル注射の役割りをするわけじゃないわけです。これが問題なんです。だから企業が来ない。たとえば、四十二年までにこういう計画を立てて目標達成しなければならぬというけれども、飯塚、田川を通って小倉に行くトンネルなんというものは、四十二年の三月三十一日でなければできないわけです。あるいは仲哀トンネルという飯塚、田川、行橋に行く線も、四十二年でないとだめだ。その四十二年にはこういうような出荷状態にいたしますという産炭地振興計画をお立てになった。しかし、道路ができる、動脈ができるのは四十二年の三月三十一日ころでなければ開通に至らぬというのでは、ナンセンスなんですよ。だから、やはりそういうものは、やるなら突貫工事でやる、計画をしたらもう一年かそこらのうちにはできてしまうんだ、これには優先的に金をつぎ込んでいく、こういう政策をとられることが、特殊の産炭地域振興計画だと思うんですよ。ところが、これがないわけです。それは港だって何だってみな同じです。ただわずかに堀坂さんのところの用地の造成が幾ぶん順当にいっておる。しかし、そこには、順当にいっておるけれども来手がおらぬということですから、ペンペン草がはえてしまっている、そうしていたずらに苦しんでいる、こういうことでしょう。だから、そこはやはり、道路について積極的に産炭地域振興の中で予算を確保する、建設省の予算でぐあいが悪かったら経済企画庁の調整費の中か何かに道路の予算をうんと入れておく、そしてそれを優先的に配分する、こういう形にならないと、各省割拠では困るわけです。建設省の所管でない限りは絶対それはだめだ、こういうことでは話にならぬわけです。それは住宅についてもかって私たち経験がある。この前もここで言ったんですが、低所得階層の住宅を厚生省でつくろうじゃないか、社会局が中心になってやれ、そのためには厚生省は年金の還元融資の金を持っておるんだと言ったら、どうしても建設省が許さないという。そんなものは、わがほうの住宅をつくるとは何事だというので、宿舎なら許すという。では宿舎でもいいわ、泣く子と地頭には勝てぬというので、その当時実力者の河野さんもおったものですから、勝てぬということで、結局いま宿舎でしょう。そうして、わずかに雇用促進事業団がそれをやるという形ですね。だから、その点はもう少し、道路なら道路について優先的に金をつぎ込んでいく。動脈がなかったら新陳代謝できないんだから。だから、その動脈を優先的にやるという形を一体つくり得るのかどうかということです。
  18. 井上亮

    井上政府委員 先ほども申しましたように、この法律が通りました場合には、現在あります産炭地域振興基本計画実施計画を改定する作業に入りたいと思うわけですが、先生も御承知のように、何と言いましても、この実施計画の中核をなしておりますのは、産業基盤の造成と申しますか、こういった点に相当な力を入れておるわけでございます。産業基盤の点につきましては、これは当然道路の問題であり、あるいは港湾の問題であり、あるいは通信網の整備であるというような問題が基礎的な問題でございますので、当然こういった計画がこの中で論議されるわけでございます。最初の原案は各県からそういった計画を出していただくことになっておりますが、これをもとにして審議会で検討いたします。この審議会には、御承知のように、正式のメンバーに建設省ほか関係各省みんな入っておりまして、各省共同作業というような形で審議を進めてまいる予定でございますので、当然、この産炭地域振興実施計画のできますときには、各省の計画に同時になるというふうに私ども考えております。したがいまして、ただいまお話のありましたような形で進められるものと考えております。
  19. 滝井義高

    滝井委員 それから、この雇用の問題ですが、今後なお石炭鉱業合理化というものが進行していきますと、なお何万かの離職者が出てくるわけですね。労働省が今回雇用対策法というのをおつくりになって、そして主として中高年齢層の積極的な対策をやろうとしておるわけです。その雇用対策との関係ですね。その雇用対策をいまおやりになっていることは御存じだと思うのですよ。石炭についてはいま炭鉱離職者の特別措置法があるわけですね。その雇用対策法との関連を一体どうやっていくかということです。  これは、労務統制にならぬように、また事業主の自主的な労務の管理を阻害しないように、労働者の能力を最大限に活用していくためにやるんだ、こういうことなんです。御存じのとおり、最近における急激な産業構造の変化と技術革新で、人間が四十歳を過ぎるとものの役に立たなくなるわけです、技術革新が早いために。そこで、ある会社では、御存じのとおり、四十歳になりますと、あるいは四十五歳になりますと、契約の更改をやるわけです。そして、あなたの能力は一体どの程度今後私の企業に役立つかということを一ぺん再検討しましよう、こういうことがある。今後の雇用をやる場合に、いままでの年功序列の賃金体系とか、あるいは終身雇用というようなものを変えて、能力主義になる、こういうわけです。これは労働省の答弁です。そうすると、能力主義になれば——いままでは、年功序列と終身雇用なら惰性で来たわけです。ところが、いろいろ新しい技術を入れて、そして産業が躍進していこうという場合にはどうしても再教育をやらなければならないわけですよ。労働者の再教育をやらないと追いついていかない。技術がそれだけ身についていないわけですから。そこで、再教育をやる政策を実行していくことになる。職業の研究機関なんかも設けていく。そして、いま、そのモデルケースと言ってはおかしいのだけれども、追いつめられて、そしておっぽり出されているというのが炭鉱離職者なんですよ。この離職者の諸君を、一体どのように能力を再開発をして安定した職場に持っていくかということなのです。そうなりますと、これは退職金の問題が出てくるのです。四十か四十五で今度契約の更改をするという場合に、その契約に私は乗れないと言った場合には、退職金をもらってよそに行くことになる。その段階では退職金を相当よけいやることになる。いま炭鉱の離職者というのは、多賀谷君もよく言うように、退職金ももらえぬという場合があるのです。だから、この炭鉱離職者にそれが典型的にあらわれてきているのです。あるいは今後あらわれる。あなた方の新しい石炭政策においても何万人か出てきますよ。そうすると、いまの雇用対策炭鉱離職者との関係というものをどうするか。いままでのありきたりの、いいかげんと言っちゃ語弊がありますけれども、職業訓練をやってどこかそこらあたりにとりあえずということでは、これは話にならぬと思うのです。だから、そういう雇用政策の上からこれをどう扱っていくか。これから労働力は買い手市場から売り手市場に転化するわけです。だから、中高年齢層といえども、女子といえども活用しないと、昭和四十五年には百万をこえる労働力日本では不足する。この不足する労働力を農業からどの程度持ってくるか、中小企業からどの程度持ってくるかということが重要な問題です。日本産業構造に非常に大きな影響を与える問題です。炭鉱はそのはしりとして出てきておる。炭鉱と同じように日本の農業はなると思うのです。いま政府は、農業の切り捨て政策を言うとたたかれるので口をつぐんで言わないけれども、しかし、言わなくたって、私は炭鉱と同じ運命になると思う。もうその徴候は出てきている。炭鉱のときには、政府はこの労働力の活用政策のモデルとして示す必要があるとして、いままでも訓練手当を出したり住宅手当てを出したり、いろいろモデル的なものが出てきております。しかし、それだけではなお不平と不満があるわけです。それは人間の能力を最大限に活用するという施策が十分行なわれていない。だから、産炭地振興政策をやろうとすれば、そこに戦略的な新しい機械工業を持ってくれば、その炭鉱の労働者はそれにマッチするように再訓練が行なわれていなければならぬわけです。それをあなた方に考えよと言うのは無理かもしれぬけれども、あなたのほうがその主導権を握って各省にその方向を示してやる必要がある。そうしないと、筑豊機械工業が来ても、年寄りと女だけでは話にならぬ。そこには技術を身につけた労働者がおりますよ、さあいらっしゃいということにならぬと話にならぬわけです。その体制というものをどうとるか。雇用対策法ができようとしているが、それをいかに通産省が主導権を持って活用していくか、こういうことなんですね。これは労働省を呼んできて言うことかもしれないけれども
  20. 井上亮

    井上政府委員 先生承知のように、現在産炭地域振興実施計画はきわめて広範な内容を持ったものであります。この中では、単に先ほど来申しましたような道路、港湾の問題あるいは水の問題とかというような産業基盤の問題だけではありませんで、ただいま御指摘のありましたように、雇用の拡大の問題、職業訓練を可能ならしめるための問題、そういったことについてまで実施計画では内容をきめていくというような立場で現在運用をいたしておるわけでございます。近い将来、産炭地域振興臨時措置法の五年延長措置ができましたあとで新しい第二次五カ年計画を作成するに際しましては、当然、雇用機会の造出と、それの労働力を確保する問題、さらには筑豊地域特有の中高年齢層の滞留離職者の処遇の問題、特に来たるべき企業誘致等の関係を考慮した職業訓練あるいは就職指導、こういうようなことが問題になるわけでございます。こういった点につきましても、当然、第二次五カ年計画の中ではどうすべきかというような点を具体的に実施計画の中に取り入れてまいりたいというふうに考えております。
  21. 滝井義高

    滝井委員 私は、この法案が通ったあとでということでなくて、今度石炭の抜本政策が出ましょう。同時に、円城寺さんの鉱害部会のほうからのものも出ますね。それと同時に、産炭地振興、それから、そこにおける雇用対策、やはりこの産炭地振興の中に雇用対策も含めて、その三つというものは同時的に出すべきではないか。石炭の抜本策と鉱害の復旧は出るけれども産炭地振興というのはしばらくしてからでないと出ないというのでは、これはみなついてこないのです。政府を信用しない。だから、その三本が同時に出て、同時的に実施されていくということでないといかぬと思うのです。鉱害復旧計画をやるにしても、これはこの前から問題になっておるように、何十万円という金をかけてどうしてもやらなければならぬたんぼの復旧もあるだろうし、場合によっては、何十万円もかけてやると損だ、ここは工場用地にしたほうがいいということになれば、反当り五十万なら五十万の金をやったほうが安上がりになるわけです。だから、そういう施策というものは産炭地振興とにらみ合わせながらやっていくということで、産炭地振興も一枚ぜひその中に加えていただきたい。これだけおくらかしていくのでは、みなが信用しない。信用しないということは、みんな筑豊を見捨てて出ていってしまうということだ。出ていってしまえば、産炭地復旧、鉱害の復旧をやったって意味がないですよ。堀坂さんのほうで団地をつくったって意味がない。だから、その三つは同時にやれますか。
  22. 井上亮

    井上政府委員 近く石炭鉱業の根本的なあるいは抜本的な安定対策の答申が出るかとも思うわけでございますが、この中では、先生おっしゃるように、単に石炭鉱業の安定対策だけでなしに——もちろんこれが当面中心課題となると思います。と申しますのは、今日の石炭鉱業を放置するなら全面的に崩壊の危険があるわけでございますので、これに対する緊急非常の根本対策を講じようという趣旨でございますから、これが中心になることはもちろんでございますが、同時にこの対策と不可分の一体をなしております鉱害の問題、それから産炭地振興、特に鉱害につきましては相当詳細なものが出るだろうと期待いたしておるわけでございますが、産炭地振興の問題についても、やはり産炭地振興についての基本考え方あるいは基本的施策の方向というようなものは、大臣の御意向もありますので、ぜひやっていただきたいというふうに私は考えておる次第でございます。ただ、先生も御承知のように、ただいま御議論いただいておりますような産炭地板輿の問題は、非常に広範多岐にわたる、あるいは非常にこまかい問題まで含んだ広範多岐な問題でございまして、これを単に石炭鉱業審議会の答申にまつということでは、必ずしも適当ではない。むしろ、席炭地域振興審議会というような、各道県、八道県の知事を委員にしております。あるいは各市町村も関係者が入っておるというような機関も別にあるわけでございますから、こういったところで、さらにこまかい実施計画の検討をする、あるいはそういった意見を参考にしながら、関係各省多岐にまたがっておりますので、こういったところと政府部内でも真剣に討議して、産炭地振興実施計画を練る必要があるというふうに考えておりますので、六月末を予定されております審議会の答申には、この実施計画にわたるようなところまではとうてい出ないと思いますが、御指摘のありましたような基本的な施策の方向というような点につきましては、ぜひその意見書を出していただきたいというふうに考えております。
  23. 滝井義高

    滝井委員 これで終わりますが、大臣、いま石炭局長が言ったように、われわれが聞いたところでは、石炭の抜本策、鉱害等は詳細に出るけれども産炭地振興というのはあと回しだというようなお話があったわけです。そこで、それでは話にならないので、いま石炭局長の言ったような大綱となるところ、たとえば、産炭地には機械産業なら機械産業というようなものは最優先的に持っていくべきだ、そのためには低利長期の金を財政資金からでも開発銀行等を通じて出す、それから、道路等は、道路整備五ケ年計画というワクの中に窒息させてしまうのではなくて、そこらについては最優先的に別ワクで、たとえば経済企画庁の調整金等に予算をプールしてでもやるとか、産炭地に誘致した企業については最優先的に年金の金を住宅に回すとか、そうして、団地がたくさんできておりますから、そういう団地についても、来る企業については国がその団地の地代の補助金を出してでも行ってもらうというような、そういう大筋のところだけはやっておいてもらわぬと、あとになって産炭地振興をやるんです、そうして、それは別に審議会でやるんですということで、一行か二行で産炭地振興を片づけられたのでは話にならないということなんです。そういう点、ひとつ大臣の御決意を最後にお聞きしておいて、私、質問を終わりたいと思います。
  24. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま石炭局長がお答えしたように、これはかなり具体的にいろいろ小さい間脳も含んでおりますので、全般的な産炭地振興対策というのは多少時間的にずれるかもしれませんが、できるだけ方針は明らかにするように努力いたすことにいたします。
  25. 滝井義高

    滝井委員 ぜひそうしていただきます。これで終わります。
  26. 野田武夫

  27. 中村重光

    中村(重)委員 産炭地振興について大臣に基本的な問題でいろいろお尋ねしたいことがあるのですが、午後の時間の関係で、産炭地振興の問題を尋ねる前に、水産庁からも見えておりますから、石炭局長にお尋ねをしたいのですが、この原料炭の開発調査を長崎県の高島北部地域を実施する計画があるようですが、まだ最終的な決定がなされていない。ですから、その計画の内容、それから長崎県当局並びに関係の漁業団体との調整というものがどの程度まで進んでおるか、概要をひとつお話し願いたい。
  28. 井上亮

    井上政府委員 この点は、先生地元でいらっしゃいますので非常に詳しいと思いますので、要点のみお答えさせていただきます。  ただいま御指摘の西彼杵周辺の海底につきまして海底炭田の調査をいたす計画を持っておるわけでございますが、この地域は、御指摘がありましたように、松島炭鉱周辺から、南は長崎の沖にあります三菱の高島炭田、あの周辺までの地域につきまして、これは埋蔵量といたしましては十六億トンくらい原料炭を中心に埋蔵されているというふうに考えているわけでございますが、この地域の調査をいたしたいということでございます。なお、これに関係いたしております会社は、御承知の松島炭坑、住友石炭、古河鉱業、三菱鉱業の四炭鉱が一応この調査に関係をいたしております。  この調査のしかたといたしましては、地震探査によって炭量とか炭層状況とかの把握をいたしているような状況であります。ただ、この点につきまして、御指摘がありましたように地元の漁業組合等との関係がありまして、これは地震探鉱でありますから、水面で爆発をして、その波で——私も技術的にちょっと弱いのですが、その振動で地殻の調査をするというやり方をいたしますために、周辺の漁業者との補償問題が起こっているわけでございますが、この点につきましては、長崎県当局が中心になりまして、ただいま地元の漁業組合並びに、政府計画でやっておりますので、私ども出先と、いろいろ調整の労をとってやっていただいているということでございます。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 探査の方法だとか、それから、いつから実施するか。これは、私が聞いているところによると、漁業者に対する被害が非常に大きというので、その時期というのが問題になっているようですね。だから、一月、二月といったような、そうした時期であると影響も非常に少ないのでありますが、七月、八月、九月といったような時期に探査が行なわれるということになってくると致命的な打撃を受けるというので、長崎県主催でもって関係の十五あるいは十六の漁協が集まっていろいろとこの問題について検討した。あとで  これは水産庁からお答えを願いますが、これによって漁獲の上にどういう影響が起こってくるのであるか、その後遺症が起こってきた場合、後遺症に対してどういう対策を持っているのかというようなこと等々、補償の問題と合わせてそうした漁業者の受ける影響という問題が非常に重要な問題になっておるということですから、いつごろ実施する考え方であるのか、それから、具体的な探査の方法というものがどういうことになっているか、その点をひとつ………。
  30. 井上亮

    井上政府委員 調査の時期といたしましては、先生も御指摘のように、できるだけ漁獲高が多い七月の後半あるいは八月、九月、十月というような時期を避けたいというようなことで、ただいま地元とその時期の点につきまして打ち合わせをいたし、それから長崎県が間に立ちまして調整をはかったわけでございますが、一応話は地元におきまして確定したようでございます。その時期といたしましては、ことしの六月二十五日から七月十五日まで、これを第一回の調査といたしたい。それから、第二回は、ただいま御指摘がありましたように、秋の期間を過ぎまして四十二年の一月−三月、この一月−三月のうち、これは海が荒れますとできませんので、一月−三月の間で海が荒れないような時期を見はからいまして日を具体的にきめたい。こういう計画になっております。それから、調査期間としましては、一回、二回合わせまして大体約四十日程度を予定いたしております。大体そのようなことで、補償問題も含めまして一応解決したと私了承しております。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 四十日ということになってくると、六月二十五日から七月二十五日ですか、そうするとここで約一カ月、一月から三月というのは十日程度しか探査をやらないということになりますか。
  32. 井上亮

    井上政府委員 第一回は六月二十五日から七月十五日まででございますから約二十日でございます。ですから、調査期間約四十日の半分程度の調査を第一回でいたしたいということでございます。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 そうだと、いま局長は補償関係は地元で話がついたと言われたが、私が聞いているところによると、七月十五日までに終わると、あとであなたから確定した金額をお答え願いますけれども、あなたがこれからお答えになる金額だろうと思うのですが、大体それでいいのじゃないか。ところが、これがそれで終わらなくて、また一月から三月ということで二回目の探査が行なわれるということになってまいりますと、その影響というものは、もちろんそれは区間は南のほうからずっと北のほうにいくのだろうと思うのでありますから、区間はずっと限っていきますから、同じところをやらないから影響は全体の地域には及ばないということになるのかもしれませんけれども、必ずしもそうばかりはいけないのじゃないか。影響はやはり相当な範囲に及ぶだろう。そうすると、一回の探査で終わることのほうが影響というものは少ないのではないかというような、しろうとですけれどもそういう感じがいたしますが、二回やっても、きまったという補償額でよろしいのかどうか、そこらあたりの詰めはどうなっておりますか。
  34. 井上亮

    井上政府委員 補償問題につきましては、先ほど申しました第一回、第二円、この二つの時期を合わせまして、金額にいたしまして当初四百万円で話が進められたようでございますが、その後地元の要望等もありまして、長崎県も間に入って、千三百万円ということでこの第一回と第二回を合わせましてきまったというふうに現地から報告を聞いております。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 金額の面は私が聞いたのと同じです。大体一月ごろまでに終わると一千万程度でいいのではないか、六月、七月ということになってまいりますと、彼等が非常に大きくなるので一千三百万円。どうも二回で一千三百万というのが、ちょっと私が聞いているのと違いますけれども、しかし、それできまっておるということであると、それでよろしいわけですが、相当これは押しつけをやったのじゃないかという感じがいたしますが、その点は、相当無理じゃなくて、まあなごやかな話し合いの中にきまったのですか。
  36. 井上亮

    井上政府委員 実際にこの調停をしていただきましたのは、長崎県知事にやっていただいたわけでございますが、私、先般産炭地域振興審議会がありましたときに知事さんがおいでになりまして、この様子を承りましたのですが、その模様では、なごやかにと言うと語弊があるかもしれませんけれども、一応被害者といいますか漁民のほうに若干の意見はありましたけれども御了解をいただけるというような見通しを話しておられました。なお、県とされましては、この補償費のほかに、やはり地元に対して何らかの県としての配慮、こういったことも考慮しておられるのではないか、そういうようなことで円満に話がついたのではないかというふうに伺っております。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 十九日かに会合を持たれて、そこで一応やむを得ないじゃないかという形は話としてできたわけですね。しかし、自分たちではどうも漁民を説得することができないから、県が出てきて直接漁民を説得してもらいたいという条件つきになっているように聞いている。だから、相当無理があるわけですね。それが探査を進めていく上についてやはりいろいろな形で問題が出てくるというような可能性がないとも言えない、こう思っています。しかし、七月十五日くらいまでで終わると、金額の問題はそう大きい問題じゃないが、後遺症の問題が一番問題になったようです。だから、この後遺症に対して、水産庁に伺いますが、どういう影響がこの漁業の面において出てくるのか。たとえば、魚礁というものが破壊されるといったようなことが出てくるのではないか。それから、魚が非常に死んでしまうということにもなりましょうし、いま井上局長が県も特別のことを考えていると言われたのは、約三百万円程度後遺症の対策ということで県は予算を組むんだけれども、当然、水産庁として、政府としてこれに対して考えてもらわなければならぬというようなことのように開いております。さらにまた特別交付金等において何か政府としても当然これは考えて措置をしてもらわなければならないのであるけれども、そこいらがやはり問題になったようですから、これは井上局長からも、さらに水産庁からも、こういう後遺症の問題とあわせてそういう対策について伺ってみたいと思います。
  38. 山中義一

    ○山中説明員 ただいまの中村先生の御質問でございますが、お話の漁場につきましては、昭和四十一年度におきまして沿岸漁業の構造改善の一環といたしまして大型魚礁の設置計画を立てております。それから、なお、その関係の爆破で影響を受けるであろうと思われる組合は、長崎の西部漁協ですか、それから福田漁協この漁協に対しましては、県と協議の上、並み型魚礁の設置あるいはつきいそというようなことで人工的な漁場をつくってやる、あるいはアフターケアをするという考え方でございます。なお、この大型魚礁につきましては、国が六〇%の助成、県当局が四〇%で、地元は負担なしでございます。並み型につきましても、市が助成して、結局地元の負担はほとんどございません。そのような計画で県と協議をしております。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたがお答えになった地元の負担がないということは、漁民自体の負担がないということですか。
  40. 山中義一

    ○山中説明員 はい、そういうことです。地元の漁協、それから組合員の負担はないということです。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 地元漁協の負担はあろうはずはありません。補償金も出せ、それから後遺症についての措置も国にしろ、こう言っておるのにみずから負担をして後遺症なんという対策を漁民がやるということ自体、これは常識的に考えられないことです。私は、そうじゃなくて、県も相当な負担をしなければならぬということになりましょうし、それは県自体の発展にも通じていくことですから、これはある程度のことはやらなければならぬ。しかし、現在の貧弱な地方自治体の財政状態の中においてはなかなか必要なことでもできないということですから、圏としても、原料炭の開発ということはきわめて重要な国策上の問題ですから、あとう限りの国としての措置をやる必要がある。だから、県自体がそういう支出をしていくということになってまいりますと、政府としてはこれをどのように後遺症対策等について措置しようと考えておるのか、そういう県の負担を政府がカバーすることについての用意がどの程度あるのかということを聞いておるわけです。
  42. 山中義一

    ○山中説明員 現在国の負担分と県の負担分というものは構造改善できまっております。それで、それ以上にという点につきましては、ただいまの構造改善としてはもう全然国と県とですべてでございますから、構造改善の大型魚礁につきましては問題はないと思います。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 構造改善事業というのは、要するに漁業を振興していかなければならぬという立場から考えられるのです。大型魚礁にしても、あるいは小型の魚礁その他の振興対策にしてもです。この場合はそうじゃないのであって、この地震探査をやる、そこで稚魚なんかも相当死ぬであろうことは間違いない。そこで、いま私が聞いているところによると、探査をやる前に、まあ底びきかなんかで一挙に魚をとってしまって、それを売ってしまうとか、あるいは、どこかで生かしておいて、またその後にそれを放魚していくというようなことですね。そういういろいろなことを考えておるように聞いております。しかし、そのためには相当な費用が要るわけですね。だから、いわゆる漁業振興という立場でやるところのこの構造改善の負担区分という問題と、この後遺症対策というのは同じに考えられるべきではないのではないかというのが私の考え方ですよ。だから、要するに、そういう探査をやる上についての被害に対する措置ですから、その特別の措置を政府としてはやる必要があるのではありませんか。従来の漁業構造改善事業というものに基づいての負担割合ということによってこれを片づけようという考え方は、これは少し無理ではありませんか。政府としてはどうです。
  44. 山中義一

    ○山中説明員 水産のほうの立場といたしましては、現在のところ、構造改善で漁場をよりよくする、アフターケアでありましても、漁場が悪くなったのでありますから、よりよくするということで、その方式を適用して適当でないか、こういうふうに考えております。もしも水産のほうでさらに出すということであれば、石炭対策の一環として出していただきたい、こう考えております。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 それは自然滅失か何かというならわかりますよ。アフターケアの場合でも、もちろん今度の場合は違う。だから、あなたのほうでは、そういうことであるならば石炭対策の一環として考えてもらえばいいじゃないか、そういう不親切な考えはいかぬと私は思いますね。あなたのほうだって、原料炭の開発探査によってこれが大きな問題となっている。これは大体四十年度予算です。それがいままで話がつかない。これは漁業団体が反対してきたから。反対するのはあたりまえです。話がつかないでおったのだから、漁業振興という立場からも、あなたのほうは重大な関心をお持ちになる必要があると私は思う。だから、石炭対策の一環としてやれと言うならやれと言うように、あなたのほうも努力しなければならぬ。二千六百万円予算があって、直接漁民に対しては千三百万の補償をしよう。まだ人件費その他探査に必要ないろいろな経費というものが私は要るだろうと思うのです。二千六百万のうち千三百万補償に出すと、残りは千三万しかない。けれども、これは昭和四十年度の予算の中においてこうであったわけだ。だから、四十一年度ということになってくると、物価もみんな上がってくる、資材も上がってくる、魚価も当然上がって、予算も必然的に増額してこなければならぬ。これは常識なんです。ならば、私は、あなたのほうも積極的に漁業振興という立場の上に立って通産省石炭局と話し合いをしていく、こういう態度が責任上あるべきであるし、私はそれが親切な態度ではなかろうかと思う。あなたのいまの答弁は、きわめて突っぱねるような答弁で、いかにも私が指摘していることが間違っているような印象を与えるような答弁というものは、私はけしからぬと思う。もっと誠意をもって漁民の立場ということを考えていかなければならないし、漁業振興ということを考えていく当然の責任があるじゃありませんか。
  46. 山中義一

    ○山中説明員 ただいま私がお答え申し上げましたことが先生に突っぱねたという印象をもし与えておるといたしますれば、これは私の言い方のよくなかったという点で遺憾でございます。ただ、水産といたしましては、現地の漁業をよりよくする、あるいは衰えた漁業をさらに振興するという点につきましては、現地の実情その他を十分把握して、県知事とも協議の上、さらに今後の対策を前向きで考えてまいりたい、こういうように考えております。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 いま水産庁も、石炭対策の一環として後遺症の問題を考えるべきだ、そういうことを言っているのだが、直接漁民に対する補償というものには後遺症は入っていない。あるべき漁獲というものがなくなるのだから、そこで千三百万の補償ということが考えられた。ところが、これは将来も続いてアフターケアをやらなければ漁獲というものがない。そうでないと漁民というものは永遠に被害が続くことになるわけですね。だから、あなたのほうとしても、それだけのアフターケアに対する措置というものを石炭対策の面から考えられるのか、それだけの用意があるのか、その点どうなんです。
  48. 山中義一

    ○山中説明員 その点につきましては、十分通産省石炭局あるいは現地の県知事と協議して、漁業の振興について検討してまいりたい、このように考えます。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 井上石炭局長、いかがですか。
  50. 井上亮

    井上政府委員 農林省、県とも十分協議いたしたいと考えております。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、この会議の席上でも出た問題であるように伺っていますし、県としてもこれは是が非でもやってもらわなければならぬというのは、ただ調査をやったというだけではどうにもならぬ。これは、開発をしてもらうという期待があるから県も積極的に協力するし、漁民もがまんをするわけです。だから、具体的な形がそこへ出てこなければならぬ。具体的な形とは何かといえば、開発予算を四十二年度の予算の中において計上するかということです。これが条件になっている。また大きな期待となっている。だから、これに対しては四十二年度から開発予算を計上する用意があるか、また、どの程度予算を計上しようとお考えになっておられるか。その点どうですか。
  52. 井上亮

    井上政府委員 先ほど申しましたように、この地域はわが国の残された原料炭の有望な豊庫でございまして、北は松島炭鉱から南は三菱鉱業に至る相当広範な地域にわたって十六億トン程度の埋蔵炭量があるのではないかと目されておるわけでございますので、この調査が済みますれば、この開発について具体的に私どもの今後の計画の中でどうするかという態度を決定したいと考えております。ただ、これは、御承知のように、松島炭鉱、高島炭鉱周辺もやるわけでございますから、このことは当然現在採掘し開発しておる炭鉱にプラスになってあらわれてくる面がございますので、そういった点を考慮して今後の関係企業計画について配慮してまいりたいというふうに考えております。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 そういう抽象的なことでは地元も納得しませんよ。四十二年度から開発予算を組むという期待を持たせているでしょう。これはもう絶対的な条件です。だから、四十二年度から開発予算を、その額は幾らか知りませんが、組まなければならぬ。それが組まないのだということになってきたら、この話はぶちこわれてしまいますよ。だから、その用意があるのか、組むのか組まぬのか、はっきり御答弁を願いたい。
  54. 井上亮

    井上政府委員 先生も御承知のように、この調査地域は非常に広範でございます。したがいまして、四十二年度からの計画ということになりますと、やはり松島炭鉱を起点とする周辺の開発、それから、もう一つは、三菱鉱業を起点とする、あるいは伊王島を起点とする開発ということになろうかと思います。ただ、松島炭鉱の中には中間に池島もありますから、そういったものを起点にした開発ということになろうと思います。これにつきましては各社ともに具体計画をある程度持っておるわけでございまして、この調査によってそれが具体化し明確化すれば、さらに一そうその開発計画が確実性を持つわけでございますので、その暁には当然予算措置等についても配慮したいというふうに考えております。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 いまの漁業補償の問題はこの探査をすることとの関連がありますから、県当局その他関係諸団体と話し合いを十分やって、そこで政府考え方を了承させた上において実施する、こういうことをおやりになりますね。
  56. 井上亮

    井上政府委員 そのとおりでございます。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、産炭地振興の問題について伺ってみたいと思いますが、先ほど滝井さんからも産炭地振興基本方針についてお尋ねになっておったようでございます。私もそういうことで質疑をいたしたいと思いますけれども、時間がありません。したがって、問題を端的にお尋ねしますが、事業団が土地造成をずっと進めておる。ところが、なかなか計画どおり企業がやってこない。そこで、せっかく投じたお金が実際は有効に働いてない。こういうようなことのようでございますが、土地造成の状況はどうなっているのか、そのパーセンテージでもけっこうですが、どうして企業がやってこないのか、また、もっと端的に言えば、産炭地振興というが、いまのような国のかまえで、ほんとうに産炭地企業を誘致して産炭地振興に期待が持てるのかどうか、その点をひとつ端的にお答えを願いたい。
  58. 井上亮

    井上政府委員 いままでに土地造成をやっております状況を簡単に申し上げますと、計画としましては、六百四十二万平米、坪数にしますと百九十五万坪、こういうような関係になっております。このうち、ただいま完成いたしましたものが三百三万平米でございまして、問題は単価が高いということが批判されておるわけでございますが、こういった点につきましては、ただいま事業団とも、今後の方針として、この団地完成に際してできるだけ企業誘致に結びつくような単価にするためにはどういう措置が必要であるかというような検討をいたしております。これにつきましては、ただいま私ども考え方としては、造成についてのいろいろな困難な点、たとえば、ボタ山処理と一般の工業用地、これは性格上違うわけでございますので、こういった違いについては国の助成態度も違えていくというようなこと、あるいは、事業団の経費等につきましても、これをどういう織り込み方、見方をするのか妥当であるかというような点を検討いたしまして、その他いろいろございますが、大きく見ましてそういうような点から、今後の団地造成についてできるだけ企業誘致が可能になるような措置についての検討をいたしておる段階でございます。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたがお答えになった、造成した土地が非常に高い、これは当初から言われているのですね。この土地造成を始めてから何年になりますか。いま検討しておるというようなことでは、これは問題にならぬ。私は本会議でもこの問題を取り上げて通産大臣の答弁を受けたわけですが、独立採算でやるということが私は適当でないと思う。人件費とかその他経常経費を造成した土地の中に原価計算として入れて地価をはじき出しておるようですが、これをまずやめなければいけない。長崎県の調川の土地造成、これは第一回にやったわけですね。これが幾らになっているかというと、五千円から六千円くらいになっていると思うのです。ところが、あそこに企業が来た。どこへ企業が来たのか。造成したところには来ていないでしょう。あのまわりに畑がある。畑をちょっと地ならしして、そこでボタをちょっと埋めると、千五百円から二千円で上がるそこにやってくる。これは当然なことです。だから、いまのような高い地価では企業はやってこない。これは水の問題もある。また先行投資の問題もあるわけですけれども、地価の問題は直ちに解決できる問題です。だからして、あなたは具体的にこれはこうしなければならぬというような確信ある案を持っているだろうと思う。その点どうですか。
  60. 井上亮

    井上政府委員 御指摘のとおりでございまして、特に長崎地区におきましてはそういった事例もあるわけでございますが、ただ、この産炭地域振興臨時措置法ないしは事業団法に基づきます事業団の業務は、先ほどもちょっと一言触れましたけれども、単に企業を誘致するためだけの土地造成をやっておるわけではございません。六割以上はボタ山処理というような公共事業的な使命を持った土地造成、もう一つは、それに関連して、炭鉱離職者を吸収していく、常用雇用として維持していくというための失業対策事業、つまり、公共事業的な性格の事業と失業対策事業というようなものを兼ねた土地造成をやっておるわけでございます。そういった点から、どうしても最も経済的な土地造成ということにはならぬわけでございまして、そういった点で、御指摘のように、独立採算制といいますか、財政ベースでコスト主義でやりますと、どうしても高い土地が中にできてくるということは免れないわけでございます。こういった点につきまして、はたして産炭地振興という観点から見ましてこういった考え方でいいかどうか、公共事業なら公共事業らしく、あるいは失対事業なら失対事業らしく、そういった性格も加味した助成策をとらないと、なかなか御期待に沿うような価格にはならない。そうは申しますものの、もちろん事業団の業務執行に際してできるだけ安くあがる努力はさせなければいかぬと思いますが、その辺に基本的な問題がございますので、そういった点は確かに御指摘のように前々からわかっている問題でございますから、なかなか私ども努力も足りませんし力も足りませんが、これは何とかしなければいかぬというふうに考えている次第でございます。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 私がいまからお尋ねしようと思っておることを局長がお答えになった。この土地造成というものは、離職者対策という点にウエートを置いているのか、あるいは土地造成事業産炭地振興させようというところにウエートを置いているのか、まずこの点をはっきりしなければ、いまの造成土地原価計算の問題なんかも私は解決せぬと思う。しかし、局長がお考えにならなければならぬことは、産炭地域振興事業団の目的は何かということです。炭鉱離職者に安定した職場を与えるということになっている。いまのボタ山処理の問題にしても、土地造成にしても、単に炭鉱離職者をそれに就労せしめるということだけでは、安定した炭鉱離職者の職場を確保するということにならない。目的ははっきりしておるんだ。臨時的なものじゃないんだ。ボタ山処理の問題にしても、土地造成の問題にしても、産炭地振興して炭鉱離職者の安定した職場を確保するということでしょう。これは、産炭地振興し、企業を誘致し、そこへ離職者を吸収していくということでなければ、安定した職場にはなりませんよ。だから、目的がはっきりしているんだから、あなたのほうとしては、積極的にこの目的に沿うた対策というものを要求されてしかるべきだと私は思う。あなたの熱意をもってするならば、間違った考え方を大蔵省が持っておるとすれば、それを十分説得するだけの説得力をあなたは持っているだろうと思う。その点は、一応お答えになったような基本的な問題というのは、いま全然定着していない。関係政府全体の中に十分理解されておらぬということは私は言えると思う。この現実的な問題をあなたは御指摘になったけれども、実際はその目的ははっきりしているんだから、その目的に沿ってこれからの対策をお進めになる必要があるだろう。その点はどうですか。
  62. 井上亮

    井上政府委員 先ほども申しましたように、その点につきましては先生の御指摘に全く同感でございますので、さらに事業団の土地造成の性格を明確にしまして、離職者対策なら離職者対策らしい、これは緊就的な面もあるわけでございますけれども、そういった点はそれはそれとして扱い、それから、誘致に適した土地造成というようなことで、今後の土地造成についての助成策について何らかのそういった現状なり目的に合うような助成策を検討して進めてまいりたいというふうに考えます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 この土地造成にしても、ボタ山処理にしても、炭鉱離職者というものを就労させるということが絶対条件になっている。実際は必ずしもまだそういうことになっていない。下請に出すからそうなるのです。長崎県の場合は開発公社という公的機関が実はやっているのです。その他のところは、あなたのほうから出ているいろんな資料を見てみましても、株式会社なんかが相当やっているわけです。ここで問題になるのは、この炭鉱離職者の賃金というものがどの程度保障されるのかということです。下請の業者が適当と思われる賃金をその労務者と適当に話し合いできめるということでいいのか、現在はどういうことになっているのか、この点どうでしょう。
  64. 井上亮

    井上政府委員 ボタ山処理事業、これは失業対策として企業組合をつくっている例が多いわけでございますが、この場合には当然事業団から直接賃金が確保されるという仕組みに相なっております。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 それは企業組合をつくっている場合はそうでしょう。企業組合をつくっていない場合もあるんだが、ボタ山処理にいたしましても、国が、このボタ山処理のためには労務者が必要であり、労務者の賃金は幾らだということで積算しているだろうと思う。それに対して、現在のところ二分の一から三分の二に国の補助というのは引き上げられてきたわけですね。その国で積算をした労務者が使われ、それだけの積算した賃金が支払われておるかどうかということは、炭鉱離職者の生活安定、そういう立場から、賃金というものは当然保障されていい。下請がかってに労務者の賃金をしぼって安くするということであってはならぬと思う。長崎県の場合だって幹部は十八万も十九万もといったような、地方としては相当高給をとるが、労務者の賃金は非常に安い。しぼられておる。最近は改めておるかもしれませんが、私が調査した当時はそういうことであった。これじゃいかぬと思う。開発公社においてそういう状態であっては、その他の一般の私企業がやっておるというようなところでは相当な低賃金というようなもので労働者はしぼられておるのではなかろうかという感じがいたします。そういう点を調査されたことがあるかどうか、また、その点に対してはどのようにお考えになるのか。
  66. 堀坂政太郎

    堀坂参考人 ただいまの点について私からお答え申し上げます。  事業団がボタ山処理事業体に工事を発注いたします場合におきましては、その賃金を保障するための基礎といたしまして、公共嵐業におきまして算定をされておりますところの賃金額を計算の基礎として織り込みまして、そのほかに一般に行なわれておりますところの諸手当及び退職一時金等につきましての計算をいたしまして、これを原価計算上に組み入れて契約をいたしておるのであります。しかしながら、そのような計算をしておっても、はたして実際にそのような支払いが行なわれているかどうかという点につきましては、御指摘のように十分監督をいたさなくてはならないものでございますので、私どもといたしまして、先般来ボタ山処理事業体の監査要綱をつくりまして、ただいまその実態を把握し、指導をいたしておるところでございます。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 最近会計検査院がボタ山の処理その他土地造成をやっておるところの府県の担当者を呼び出していろいろ事情を聞いたということを伺っております。その点はいまあなたがお答えになったようなことの調査ですか。  もう一つあわせてお伺いしますが、長崎県の場合は開発公社で、その他のところでは私企業がやっておるのが大半だろうと私は思う。そこで、その長崎県の場合は、開発公社が事業をやって利益が出た、その利益を一般会計に入れておった、この点がひっかかるというように聞いておる。それがひっかかるのかどうか。これは、会計検査院からこのごろ呼ばれているが、開発公社がそこで利益を出した、そうしてそれを一般会計に入れた、これがいけないのでしょうかというような疑問を投げかけておるのですが、私もそれはどんなものだろうかと思ったのですね。しかし、前段であなたがお答えになったように、労働者の賃金をあなたのほうが積算されるより非常に安くしてやる、そういうことで利益を出した、そうしてこれを一般会計に入れたというならば、これは検査は当然なことだと思うのです。大いにやってもらわなければならぬ。だから、あなたのほうもお聞きになっていらしゃるだろうと思うが、そこらあたりはどうなんです。
  68. 堀坂政太郎

    堀坂参考人 会計検査院がそのような関係で呼び出して調査をいたしておるという事実につきましては、私、まだ実は承知いたしておりませんので、さっそく調査をいたしたいと存じますが、いま御質問の後段の問題でございますが、私どもは、炭鉱ボタ山処理事業体と契約を結びます場合におきまして、われわれが算定をしておるところの基礎によるところの賃金というものを、採用されておるところの労務者の方にお支払いをするということを約束いたさせておるのでございます。したがいまして、そのようなことが実行されていないということでありました場合におきましては、そのような企業体に対しまするところの今後の事業の発注というようなものについては考慮しなければならない、かように思っておるのでございます。  ただ、ここで、それでは利益が出た場合に一般会計に入れたということについてはどうかという御質問でございますが、この一般会計というのは、これは県という意味でございましょうか。ちょっとその辺が事実を知りませんので非常に理解に苦しむところでございますが、ボタ山の処理事業につきましても、作業量を一応建設省関係の公共事業の算定と同じように実は算定いたしまして、それに対してこのような機械を使ってこれだけの労務者の方が働いていかれれば何カ月で終わるであろうという計算をして発注をいたしておるのでございますが、一般に、ボタ山処理事業関係におきましては、その事業の性質もございまして、実は非常によく働かれまして、期間が若干短縮をされる、すなわち能率が上がって短縮をされるというような場合があるわけでございます。そのようなことによって出ました利益につきましては、これはやはり、事業体でございますので、そのような利益がある程度は出得る、すなわち能率が上がれば出得るようにするということが企業活動を育てる意味だと考えておるわけでございますが、御指摘のようなことでございまして、もし賃金が正当に払われてなくて、それが他に流用されておるということであれば、先ほど申し上げましたように、今後のそういう企業に対する発注は考えたいと思っております。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうとしても、請負業者を選定するについては一つの基準をおつくりになっておる。また、工事をする上においても仕様書をつくっておる。その仕様書のとおりに行なわれていないものをもって不正業者として、ある場合においてはその業者をもう自後指名しないということをおやりになっていらっしゃるだろうと思う。だから、労働者の賃金の場合だって同じだ。これは、あなたのほうが一つの基準を示して、そして、賃金を払わない、労働強化をする、そういう業者は不正業者である、したがって指名からこれを締め出す、こういう態度でお臨みになる必要があると思う。その点どうです。
  70. 堀坂政太郎

    堀坂参考人 実は、ただいま先生のおっしゃいましたと同様の考え方で今後臨みたいと考えております。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、井上局長にお尋ねしますが、産炭地振興というのは山が閉山になってしまってからというようなことで、いろいろ企業の誘致の問題であるとかその他の振興計画をおつくりになるようですが、閉山になる前にそういう計画というようなものも当該の地方自治体並びにその炭鉱を経営しておる鉱業権者との間に話し合いをする必要もあるだろう、こう思う。端的にそれが言えるところは、長崎県の崎戸の場合なんか言える。崎戸は、御承知のとおり一坑がもう終掘した。そこで、もう二坑もいつごろになるのであろうか、こういうことで、地域の自治体としても、あるいは商工団体としても、労働者としても、その点重大な関心を持っている、こういうことですが、いま私がお尋ねをしたような、そういうもう時間の問題となっているそういうところに対しては、特に産炭地域振興計画というようなものをこの際お立てになる必要があるとお考えになっていらっしゃらないかどうか。それから、崎戸炭鉱はいつごろ閉山という形になる見通しを持っていらっしゃるのか。その点どうなんですか。
  72. 井上亮

    井上政府委員 産炭地振興の点については、先生指摘のように、将来閉山がやはり確実であると思われるような山の周辺産炭地につきましては、やはりできるだけ事前にそういった対策をとる必要がある、この点はお説のとおりだと思います。  さらに、お尋ねの長崎県の三菱の崎戸炭鉱の将来の問題でございますが、これは数年前から崎戸炭鉱につきましては縮小過程をとる方針を労使で確認いたしまして、ただいまそういった方針に沿って縮小過程にあるわけであります。これをいつ完全閉山するかというような点は、まだ労使双方話し合いが必ずしも明確になっていないと聞いておりますので、いつかと言われましても、それは私いまお答えはできないわけでございます。しかし、二、三年前からこの崎戸炭鉱については逐次計画的に閉山するということは労使ともに確認されておるようでございますから、そう遠くない、つまり私どもいま昭和四十五年度までいろいろ計画を見ておりますが、この計画期間内には閉山になるのではないか、あまり遠くない、近い将来ではないかというふうには想像しておりますが、まだ労使話し合いがついていないものを、私がいまここで、いつかと言われましても、見通しはちょっと申し上げかねるわけでございます。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 閉山というのは好ましいことではないが、炭がなければどうにもならない、こういうことになるのですが、しかし、働いている労働者は、いつごろになるんだろうかと、非常に不安です。しかも、私が申し上げたように、産炭地振興なんていうものは閉山にならなければ考えない。たとえば、崎戸には製塩工場というようなものもある。しかし、これをもっとどんどん増産するような計画もやってもらいたいが、大蔵省でいろいろ問題がある、こういうことでなかなか進まない。だから、もっと計画を確実に立てて、できるだけそれを明らかにしていく、そして労働者にも不安を持たせないようにする、同時に地域振興計画というものはそれに伴って進めていくという態度が必要だろう、こう思います。時間の関係から、崎戸の問題はその程度にとどめますが、あと、二、三点お尋ねをしておきます。  鉱害のことで私が不思議に思うのは、鉱害があるのを県が知らないということです。たとえば、先般崎戸にも、これは漁業に対する鉱害ですが、前からあった。そこで、補償というものが毎年行なわれてきた。ところが、一坑が閉山になった。それに対してはまたその補償額というものが要求されておる。そういうことを県が知らない。それから、その他伊王島なんかの場合もそうなんだ。だからして、県自体が自分の県の炭鉱で発生をしておる鉱害を知らないといったようなこと、これは石炭局は鉱害の問題についてどのようにそうした関係の府県あるいはその他の関係者との間に話をしておるのですか。連絡の必要はないとお考えになっていらっしゃるのかどうか、そこらあたりはどうなんです。
  74. 井上亮

    井上政府委員 県が地元につきましての鉱害を知らないというのも私は初めて聞いたわけでございますが、むしろ私ども各県の鉱害課長等からいつも激しく責められておる立場でございまして、たとえば福岡あたりは県があげて鉱害をやっておるのじゃないかと思われるくらい熱心にやっておられるわけでございまして、長崎県においてもやはり熱心にやっておられるわけでありますが、もしそういう事実があるとすれば、これは私ども十分注意しなければいかぬことだと思っております。  なお、御承知のように、鉱害復旧事業団が九州にございますから、復旧事業団と県との連係も、先生のおっしゃるような事実があるとすれば、より一そう今後緊密にさせるように、私ども指導いたしたいと思います。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 知らないことははっきりしておる。ぼくが教えて初めて問題になったのだから。だからして、あなたのほうの出先の通産局が関係の県と十分連絡をとっていなかったということは、これは明らかな事実なのです。きょうは時間がないから触れないけれども、たいへん大きな問題がそのために起こってきて、そして当該の被害者に対して迷惑をかけておるという事実もある。だから、どういうことが知らないために起こってきたのか、そのことが被害者にどういう影響を与えたかということについて、あなたに報告があっていないようだから、私のほうからあらためてあなたに御説明をする。もっと出先の通産局のほうも督励をして、十分ひとつ連係を密にして遺憾ないようにやってもらわなければならぬ。  いま一つ中小企業庁長官に来てもらっていますからお尋ねをいたしますが、この産炭地における中小企業に対する金融の問題、これはいつも問題になっているのだが、なかなか円滑には行なわれていない。さらにまた、これは単なる金融問題ではなくて、この前私は商工委員会でも通産大臣に問題提起をやったのだが、名古屋とか大阪とか東京には投資育成会社がある、だから九州にも投資育成会社をつくるべしということを私は主張した。これは単なる私の主張ではなくて、これは委員会の決議となっておる。しかし、まだ投資育成会社はつくられていない。もう一歩進めて、産炭地振興という立場から、たとえば事業団か、投資育成会社がやっているように、企業の株式を引き受けるといったようなこと等も必要になってくるのではなかろうか。投資育成会社と同じような形態でなくてもいいけれども、何か産炭地企業がどんどん進出してくるように、金融、税制の面でもっと抜本的な措置を講ずる必要があるのではなかろうか。こういうことは前からの問題であることだし、また、通産大臣にも問頭を提起して、私もそういうことで考えていきたいと思いますという答弁もあっておることだし、あなたは中小企業庁長官になって大いに張り切っておられることだから、そういう面についての構想もある程度できているのではなかろうかと私は思う。だから、その点についてひとつ考え方を聞かしてもらいたい。
  76. 影山衛司

    ○影山政府委員 産炭地域における炭鉱の終閉山または規模の縮小に伴いまして困難を感じておる中小企業者がおられることは、私はよく承知しておるのでございまして、それに対しましての措置は、先生よく御承知のように、中小企業金融公庫または国民金融公庫における災害並みの特別措置、あるいは保険公庫による特別の保険制度をやっておりまして、これは実績も申し上げられるのでございますが、相当の実績をあげております。それから、問題があるたびに通産局あるいは中小企業庁が乗り出していって、その金融の円滑化ということはやっておるわけでございます。  それから、先生指摘の投資育成会社等を九州に設けるということにつきましても、今後の検討問題でございまして、地元の出資も必要なわけでございますので、そういう点もからみ合わせまして検討をいたしていきたいと考えております。  それから、さらに、先生承知のように、産炭地域振興事業団と中小企業金融公庫とは、進出中小企業に対しましては協調融資をしておるようなわけでございます。それも積極的に推進をいたしていきたいということで、今後とも産炭地の中小企業者の振興につきましては極力努力いたしたいと思っております。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの答弁を聞いておると、一事が万事うまくいっておるように聞こえる。ところが、一向うまくいっていないのだ。だから、現実をもっとしっかり把握して対策をお立てになって、そして質問に対してはもっと具体的に、こういうところをこういたしまして、こういう成果があがりましたという答弁をするようにやってもらいたい。実際はあなたの答弁とはほど遠いものが現実の姿であるということを私は指摘して、大いにがんばってもらうことを要求して質問を終わります。
  78. 野田武夫

    野田委員長 藏内委員
  79. 藏内修治

    ○藏内委員 時間がありませんから、ごく簡単に  一、二点だけ質問をいたします。  最初に石炭局長にお尋ねをしますが、合理化法の審議のときから、あるいは産炭地域振興臨時措置法質疑に入りましてから、何回も同僚委員から質問が出ておることでありますが、要するに、産炭地には今日まで多数の失業者がいまだに滞留を続けておる。生活保護やら失対ということでこれらが滞留して、どうも永続的な恒久的な就労がなかなかできない、困難だという実情であります。加えてまた、合理化法の今度の抜本対策の進行次第によっては、さらに多くのスクラップが継続的に行なわれていく、こういう事態のときに、今回成立しました石炭鉱業合理化法の中で、実は、鉱業権の消滅した区域あるいは事業団が保有している鉱区、これの再開発は、隣接鉱区から開発する場合で著しく合理的であると認められた場合に限ってこれを開発することが認められることになったわけです。これは、石炭の需要供給との関連ももちろんある問題ですけれども、要するに、何らかの石炭の開発ということがそこで行なわれて、そこにかつて炭鉱就労者であった者が吸収されるということになれば、産炭地振興という見地からはこれは決して拒否すべきことでない、むしろ非常に歓迎してもいいじゃないか、むしろ、長期的には見込まれないけれども、短期的には産炭地振興に相当有効に作用をする問題じゃないかという気がするわけです。そういうことでありますが、やはりこれにはいろいろな、合理化法本来の立法趣旨、それから鉱害とか保安、こういう関連する重大問題があるので、これを許可する基準といいますか、何かそういうものが今日考えられているならばひとつお示しを願いたい。  それから、もう一つ関連して申し上げますが、そういうものでなくとも、周囲の隣接鉱区がすべて死滅してしまっておる鉱区であっても、著しく有利な開発ができるというところが、筑豊地帯あるいはその他のところにもかなりあるわけです。たとえば、露頭がすでにもう明らかにあらわれているというところ、こういうようなところは、そのまま打ち切って放置してしまうのが妥当であるかどうか。こういう問題について石炭局長の見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  80. 井上亮

    井上政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、先般国会を通過さしていただきました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正によりますと、事業団が買い上げました鉱区、あるいは消滅した鉱区を事業団が免許によって取得する、それを譲渡、処分いたしますときは、隣接鉱区を持っておる鉱業権者にのみ譲渡なり処分ができるということに相なっておるわけでございまして、私どもこういった趣旨で運用していくわけでございますが、ただ、この運用にあたりましては、この国会でも問題なりましたように、いままで死滅さしたところの鉱区を生かすわけでございますので、今後、保安上の配慮あるいは鉱害に対する配慮、そういうような点を十分いたして再開発いたしたいというふうに考えております。  それから、もう一点、隣接鉱区でない鉱業権者が付近の鉱区を活用したいというな点につきましては、今回の改正案ではできないわけでございます。しかし、それがどうしても必要だ、地元の離職者対策の見地から必要だというようなことも、実際問題としてはあろうかと思います。しかし、まあ現行法ではできません。したがいまして、その問題は今後の検討問題にさせていただきたいと考えております。
  81. 藏内修治

    ○藏内委員 もう一点、中小企業庁長官に伺っておきますが、産炭地の中小企業合理化にかかった炭鉱等に多大の売り掛け金を持って非常に難渋したというのが、いまから三、四年前のことであります。その売り掛け金をいかにして回収してやるかという方法を非常に苦心をして当時通産大臣やら中小企業庁長官にお願いしていろいろな措置を講じてもらったわけでありますが、その中で一点、中小公庫、それから国民金融公庫等の特別ワクを設定するほかに、中小企業信用保険公庫の特例法をつくっていただいて、これによって各都道府県の信用保証協会の何といいますか再保証のような形をとった。要するに、七〇%までしか信用保証率をいままで認めてないのを八〇%に引き上げた。これは、この法律が実は四十四年三月三十一日まであるはずであります。ところが、これに伴う実際の融資ワクというか保証ワクというものが、各都道府県ごとにすでにもうほとんど使い切っておる。そこで、このワクを、要するに四十四年三月三十一日までの期限のある限り、さらにもう一回設定してもらえないかという陳情が地元のいろいろ商工会議所等から来ておりますが、この点についてひとつ何らか特別な考慮を払ってやる意思があるかないか。これは中小企業庁長官からお答えを願いたい。
  82. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生承知のように、産炭地域における中小企業者の信用保険に関する特別措置、これはちょうど激甚災害と同じような措置でございまして、保険限度額も別ワクになっております。たとえば、第二種保険は一千万円でございますが、さらに一千万円、あるいは無担保保険については二百万円でございますが、さらに二百万円というふうに、別ワクになっておるわけでございます。おそらくまだそれを使い切っておるとは思わないわけでございますが、実情を調査いたしまして、なお検討していきたいと思います。  もう一つ問題がございますのは、中小企業金融公庫は特利特ワクの貸し付け限度額が百万円で、それがおそらく限度に来ておるだろう。そちらのほうの要望が強いのじゃないかと思います。それはできるだけ御要望に沿うようにやっていきたいと思います。
  83. 藏内修治

    ○藏内委員 いま長官の言われたあとのほうの分ではないかと私も思う。実は私も詳細なことがよくわからないのですが、たとえば、この取り扱いについては、各都道府県の信用保証協会等によって多少取り扱いの要領は違っておるようです。長崎、佐賀などは、一般ベースで扱っておるようで、特別のワクをつくってはいないように私は聞いておるのですが、たとえば福岡などでは三億円のワクを前後二回に分けて一億五千万ずつ出しておる。それで百九十口ぐらいの申し込みがあって、もう残りはほとんどない。もう二十万円ぐらいのワクしかなくて、実際利用できない。また、これはかなり順調なベースで償還をされておるようです。だから、もう一度設定してもらうことによってかなり利用者がふえるし、効果があがるのではないかと私は思いますので、この点はひとつ、十分な調査と、それに基づいて、各都道府県の公庫を通じて、信用保証協会には地元の要望を満たすだけの行政指導をしていただきたいことをお願いをしておきますが、御所見があれば承っておきたい。
  84. 影山衛司

    ○影山政府委員 御指摘の点につきましては、各関係県あるいは通産当局ともよく相談しまして、実情調査の上善処したいと思います。
  85. 野田武夫

    野田委員長 多賀谷君。
  86. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いま中小企業のお話が出ましたけれども、率直に言って、いまからの炭鉱合理化による整備というのは企業倒産の形です。従来は、五つの炭鉱があったのが、三つ閉山して、あとの残り二つになった、その二つに借金を肩がわりして進んできた。ところが、今後は多くの炭鉱において企業倒産の形が出ると思う。企業倒産の形で整備が行なわれる。ですから、退職金の未払い、中小企業の売り掛け代金も未払いのままになるわけですよ。ですから、私は、いま一番合理化の影響を受けて何ら法的に保護を受けないものは、その炭鉱周辺の零細な中小企業だと思う。これは全く法の外にあるわけです。ただ、やっと融資の道が講ぜられているということだけですよ。  そこで、政府が今後の抜本策を立てるといっても、全部の炭鉱を生かす政策ではない。このことは私は承知しているが、そうすると、かなりの炭鉱整備が考えられるけれども、これが企業倒産の形で行なわれると、売り掛け代金はもらえないということになる。しかも今後はその町ぐるみなくなるというような状態になる。その町を形成しておる主たる炭鉱がなくなる。ですから、町ぐるみが陥没するという状態になる。そこで、中小企業政策についても十分考慮してもらいたい。高松炭鉱の再建をした場合に、われわれが一番陳情を受け、困ったのは、中小企業です。なるほど炭鉱は生き残るからいいでしょう、労働者も何とか移住もできるでしょう、しかし、その付近におる中小企業は全然法の恩恵を受けないのです、こういう陳情がずいぶん来ておるわけです。ですから、いまから政府は、今後何カ年計画かで整備をするとするならば、中小企業政策をどうするかということを根本的に考え、それを抜本策の中に入れてもらいたい。このことをお願いしたいと思いますが、大臣の御答弁をお願いいたします。
  87. 三木武夫

    ○三木国務大臣 それは重大な問題であることは御指摘のとおりだと思います。実際問題として、主たる炭鉱が閉山するような場合に、中小企業をいままでのような状態で生かしていけるかどうかということは、非常にめんどうな問題があると思います。そこで、やはり産炭地振興との関連性があると思いますが、中小企業対策として、これは特殊な、ほかの中小企業対策と違った面もありますから、この点は十分に検討いたすことにいたします。抜本策の中にそういう詳細な問題がそこまでいくかどうかはちょっとお約束いたしかねますけれども、この中小企業の問題は普通の中小企業問題と違いますから、十分な検討をいたしますことは約束をいたします。
  88. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 第一次有澤答申の際も、かなり本院においても議論をし、商店街の集団移動ということも考えたし、実際町で計画してみたが、結局一つだって成功しないのですよ。そうして、対策要綱の中に、融資の条件の中に載っておる。しかし、一つだって実を結ばないのですよ。これは大きな問題として考えてやらなければならない問題です。ですから、産炭地振興ももちろん必要ですけれども、しかし、産炭地振興をしてみたところで、いままでの人口の維持はできないのですから、商店だって購買力がないことは明らかだ。ですから、これは政治として見落とすことのできない問題点として、ぜひ考慮を願いたい。  もう一つ、実際産炭地の人々並びにそのかつての炭鉱は、何とかしてかつての炭鉱あとに工場を持ってきたいと考えておる。ところが、どこに相談に行っていいかわからぬ。一体どこにはどういう企業がいいということを教えてくれるところが残念ながらない。その窓口もないし、予算もない。ですから、ただ市町村に実施計画をつくれと言いましても、市町村だって財政は非常に逼迫した状態でしょう。ですから、何か総合的なコンサルタントのようなものをつくって、こういう企業は脈があるというようなことを教える。そのために総合調査費をかなり組んで、それは役所なら役所でいいですよ。産炭地域振興事業団なら産炭地域振興事業団でもいいですよ。これは産炭地域振興課でやるなら産炭地域振興課でもいいですよ。ただどういう仕事がいいだろうかと言っているけれども、個々の企業がそれをさがすのはあたりまえでしょうが、わざわざさがしてまで来ないですよ。ですから、そういったことを県や市町村はやるべきでしょうけれども、それだけの余裕がない。そこで、専門的なそういう知識の人を動員をして、そして国が予算をつくって、将来の夢はかくあるべきだ、こういうところにこういう産業がいい、その方法はこうだというように、技術的にもあるいは資金的にも何か指導性のある窓口をつくってもらいたい。それのための予算措置をぜひやってもらいたい。このことを大臣にお願いいたしたい。
  89. 三木武夫

    ○三木国務大臣 通産局でそういうことを、もう少しやはり工場の誘致などに対して機構の上でも相談相手になれるような機構を考えてみることにいたします。むろんそういうことを考えれば予算も必要でありますから、そういう結論が出れば、予算もつけることにいたします。
  90. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その産炭地振興に必要な経費というのは、従来調査費があったわけですね。昨年に対して本年度は滅っておるわけですね。ですから、私はやはり、調査費をつけて、そうして地元の通産局に落とすなら落とすようにして、そうして親切に指導し、間違いのないようにやってやらなければ実際企業が来て失敗をしておるわけですね。新しい企業が来て失敗をしておる例を見ると、やはりいろいろ資金的にも技術的にも不備があったんだろうと思います。ですから、それはひとつ国が産炭地振興としてそういう予算を組んで、そうして、事業団にも持たし、産炭地域振興課にも持たし、さらに地元の通産局にも持たすようにして、そしてそこには専門家を置く、ぜひそういう体制を早くつくってもらいたい。このことを要望しておきます。
  91. 野田武夫

    野田委員長 それでは、本案に対する質疑をこれにて終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  93. 野田武夫

    野田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  94. 野田武夫

    野田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  95. 野田武夫

    野田委員長 この際、藏内修治君外六名から本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず提出者に趣旨の説明を求めます。藏内修治
  96. 藏内修治

    ○藏内委員 私は、ただいま議決せられました産炭地域振興臨時措置法の一部改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げたいと思います。  まず、案文を読み上げます。     —————————————     産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 一、政府は、現在検討中の石炭鉱業安定のための抜本策に対応し、画期的な産炭地振興対策を早急に確立すべきである。 二、政府は、本法施行にあたり、当面、次の諸点につき速やかに適切な措置を講ずべきである。  1. 産炭地域における財政援助特別措置の強化拡大を行ない地方公共団体の財政負担の軽減に努めること。  2. 産炭地域進出した企業に対する事業税等については減免補てんに努めること。  3. 産炭地域における教職員の増員については、具体的な方策を検討し、教育の徹底を図ること。  まず、第一の説明でございますが、産炭地の深刻なる現状はもう御承知のとおりでございます。さらに、石炭鉱業安定のための抜本策が行なわれる事態を予想いたしますると、これに加えて大幅なスクラップが長期的に進行していくであろうと思われます。そういう事態になりますると、ますます産炭地の現状は深刻さを加え、収拾のつかない状態も予想せられますので、この際、安定のための抜本策と並行して、画期的な産炭地域振興対策を早急に確立をしてほしい、これが第一の趣旨であります。  第二は、それまでの間、本法施行にあたりましては、当面次の諸点についてすみやかに適切な措置を講じてほしいということでございます。  その一は、産炭地域における地方公共団体の財政援助について、特別措置の強化拡大を行なって地方公共団体の財政負担を軽減をしてやりたい。これをいたしておきませんと、産炭地域の公共団体は一様にみな財政的に窮乏の極に達しておりまして、いわゆる住民のための事業等はもうほとんどなし得ない実情にございます。こういう点について特段の配慮をしてほしいというのが第一であります。  それから、第二の、産炭地域進出した企業に対する事業税でございまして、これは多年にわたるわれわれ石炭対策特別委員会の要望でもございます。大臣もまたこれに対して非常に好意的な御意思を持っておられると聞いておりますが、地方税制全般に影響するところもございますので、特段のひとつ御努力をお願い申し上げて、事業税については低開発地域に対する適用と同様の御措置を今後御努力を願いたいということでございます。  第三は、産炭地域におきましては、産炭地の疲弊と比例いたしまして青少年の非行化等非常に深刻な問題があり、もうすでに教育も荒廃の事態に直面をしておると言っても過言ではございません。そういう点において、補導等の教職員を適当に増員配置することによって、教育水準の向上、あるいは道徳教育と申しまするか、モラルの振興、こういう点にもひとつ特段の配慮を払って、教育の徹底をはかっていただきたいということであります。  以上がこの附帯決議案の趣旨でございます。よろしく御賛同をお願いいたします。
  97. 野田武夫

    野田委員長 これより本動議について採決いたします。  藏内修治君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  98. 野田武夫

    野田委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所見を承ることにいたします。三木通商産業大臣
  99. 三木武夫

    ○三木国務大臣 ただいま全会一致で御決議になりました附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、善処をいたしたいと思います。     —————————————
  100. 野田武夫

    野田委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  102. 野田武夫

    野田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会