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1965-08-31 第49回国会 参議院 外務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年八月三十一日(火曜日)    午前十時五十八分開会     —————————————    委員異動  八月十二日     辞任         補欠選任      大和 与一君     木村美智男君      北條  浩君     渋谷 邦彦君  八月十三日     辞任         補欠選任      木村美智男君     大和 与一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺尾  豊君     理 事                 草葉 隆圓君                 長谷川 仁君                 森 元治郎君     委 員                 笹森 順造君                 杉原 荒太君                 高橋  衛君                 中山 福藏君                 廣瀬 久忠君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 加藤シヅエ君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君                 大和 与一君                 黒柳  明君                 渋谷 邦彦君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        国 務 大 臣  安井  謙君    事務局側        常任委員会専門        員        結城司郎次君    説明員        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        外務省条約局長  藤崎 萬里君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件) ○派遣委員の報告     —————————————
  2. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず委員異動について御報告いたします。  去る八月十二日、北條浩君が委員辞任され、その補欠として渋谷邦彦君が選任されました。     —————————————
  3. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。  質疑の要求がありますので、これを許します。順次御発言を願います。岡田宗司君。
  4. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は、本日の委員会で、佐藤総理出席をお願いいたしまして、そして沖繩の問題についての総理の御見解等を承りたいと存じたのでありますが、御出席を見られなかったことは、たいへんに遺憾に存ずるものであります。閉会中の委員会といえども、ことに沖繩のような——沖繩総理が行かれて、いろいろ発言をされてまいりましたが、これ、非常に重大な問題なので、やはり閉会中といえども委員会質疑を通じて総理見解等国民に明らかにすること、さらに今後の施策について明らかにすることが日本国民並びに沖繩人々に対して義務である、そういうふうに考えます。今後またひとつ委員長の御努力によりまして、ぜひ総理委員会出席せられるようにお取り計らいを願いたいと思います。  そこで、きょうは、沖繩の問題についての担当大臣である総務長官がまだおいでにならないことはまことに残念でございますが、まず、外務大臣にお伺いしたいのであります。  総理は、沖繩に行かれました際に、沖繩日本復帰しなければ戦後は終わらない、こういう発言もされておりますし、また、沖繩復帰については、自分はできるだけの努力をする、機会あるごとに努力をする、こういう発言もされております。  まず、外務大臣は、この総理沖繩における発言と同じ考えをお持ちになっておるかどうか、その点をお伺いしたい。
  5. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 沖繩施政権返還については、総理はあらゆる機会にその所見を明らかにしておるのであります。今回の沖繩訪問に際しましても、従来の見解と異なるものではないと考えております。結局、この沖繩施政権返還は、沖繩住民のみならず、日本の九千万国民がひとしくこれを待望しておるのであります。それが結局沖繩に関する終局の目標である、こういうことを言っておるのでございまして、去る二月の大統領ジョンソンとの会談におきましても、この点についての合憲がありまして、それが共同声明にも出ておるところでございます。すなわち、極東の安全との関連においてこの問題が解決されるべきものである、その早からんことを期する、こういう趣旨共同声明が出ておるのでございまして、これらの問題につきましては、全然、閣僚といたしまして、私の考えておるところと食い違いがございません。
  6. 岡田宗司

    岡田宗司君 総理沖繩でああいう発言をされたということについては、総理はやはりこれの具体化について、あるいはまたそれを具体化すためにアメリカ側に対して交渉を持ち出すきっかけあるいは時期等について何かお考えがあっての上での発露ではなかったかと私は思う。もしそうでなかったとすれば、これは単なる沖繩に行ってのジェスチュアもしくは美辞麗句にすぎないのであります。少なくとも、総理総理の資格でもって沖繩に行って発着されたということは、私はそれ以上に市大な、つまり沖繩国民をただことばで慰める、あるいはまた遠い将来の展望を述べただけではなかったと思う。とすれば、もし外務大臣総理と同じお考えであるとすれば、この佐藤内閣外務大臣としての椎名外務大臣は、やはりこの問題について何らかの措置をとる、つまり、この問題が解決するための具体的な考え方、あるいはまた具体的な考え方をいつどういう方向で実現するかということについてお考えがあろうと思います。また、それがあなたの職責であり責任であると思うのですが、この総理発言実現するための具体的スケジュールとしてどういうふうに外務大臣としてはお考えになっているか、それを明らかにしていただきたいのであります。
  7. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは総理沖繩に対する基本的な考え方でございまして、その点を直接沖繩住民に会って、総理基本的見解を明らかにしたものと考えるのでありまして、これを、ただ沖繩に行った際に発言した発言であるがゆえにもう少し具体性を持ったものでなければならんというようなお考えのようでありますが、私は必ずしもさように考えておりません。直接沖繩島民に会って、そうして自分基本的な見解はこうであるということを直接話したのであります。それを、ただその実現についてはまた別であり、それはもう考え方だけの話で、いわば空想であるというような安易な気持ち総理は述べたのではなく、必ずそういう日が来たることを庶幾するというやはり非常に強い願望を持って発言されたものと考えるのであります。結局、佐藤ジョンソン共同声明にあらわれておるように、これを具体化するということとは、極東の平和と安全が確保されるということとうらはらをなすものであって、ぜひそういうことが望ましい。一日も早く平和と安全の来たることを待望するという考えのもとに、さような御発言があったものと考えるのであります。
  8. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまの外務大臣の御発言を聞いておりますと、やっぱり総理向こう発言される場合に、何らかのこの沖繩返還の問題について具体的なスケジュールあるいは方法というものがお考えにあっての上での御発言ではなかったように思う。それからジョンソン大統領との共同声明にある事柄として、やはりいつのことだかわからない極東の平和と安全が確立されるまではこの話は持ち出すまいという前々からの総則なりあるいは外務大臣なりの特に触れての御発言と一向変わっていないように思うのです。  そこで私は安井総務長官が御出席になりましたからお伺いしたいのですが、もう一度外務大臣に対する質問と同じことを繰り返しますが、やはり総理向こう沖繩返還について御発言をされたことは、何らかの具体的な方法を持ってアメリカ側交渉を開始する、あるいはまた、まだそこまで行かないにしても、何らかのスケジュールをちゃんと考えながらの御発言であったのかどうか、その点を安井総務長官にお伺いしたい。
  9. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 総理沖繩おいでになってのいろいろな御発言につきましては、いま外務大臣が御答弁されたと同じような趣旨のものであり、私も同様に考えておるわけであります。要するに、本土沖繩というものは、従来日本のものであるし、また同じ日本人九十何万人の人が住んでおる。どうしてもこれはわれわれの悲願として、将来帰したい、帰ってもらいたい。同時に、その間に、ひとつ日本沖繩ができるだけ一体化であるような強い政策を打ち出していく、こういうようなふうに総理も話されましたし、また、そういう強い気持ちで行ってこられたと思っておる次第であります。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの外務大臣なり総務長官お話から推しますというと、総理発言は、強い希望を沖繩人々に示すというだけで、沖繩人々が待望しておりますその具体化ですね、つまり、沖繩日本への復帰の問題について具体的な措置をとるということは何一つお考えになっておらなかった、こう解せられるのであります。ざらにまた、先ほどもジョンソン大統領との会談並びに共同声明から推して、結局、極東の安全が確保されるまでは、あるいは平和が確立されるまでは、沖繩復帰の問題についてはアメリカ側に対して何らの具体的な交渉を開始するつもりはないのだというふうにとれるのでありますけれども、もう一度外務大臣に念を押したいのでありますが、極東の平和と安全が回復されるまでは政府としては沖繩返還についてアメリカ側に対して何らの具体的な交渉を開始するつもりはない、こういうふうにお考えなのかどうか。その点はっきりしていただきたい。
  11. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 結局、沖繩自身日本本土とともにその安全と平和を保ち得ないということは、これはもう非常に基本的な問題であろうと思います。安全、平和というものを犠牲にしてまで施政権返還実現してみたところで、それは意味がないとも私は言えるのではないかと思う。でありますから、日本内政外政を通じて、とにかく安全と平和を目標として努力をしておるのでございまして、今回の発言は、ただ一種の空想であって、何ら実がないというようなことは、これはどうも極端な言い方ではないか。結局、そういうものが目標になって、内政外政努力しておるというのでございますから、私はこれは空疎な発言では絶対にない、こう信じております。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 空疎な発言ではないと言うけれども、具体的なスケジュールもないし、それを実現しようとする手段もとらないとするならば、これは単なる発言で、沖繩人たちを喜ばせるだけの発言であった、こういうことで、逆に、内容を伴なわないがゆえに、今後むしろ逆に失望を与えることにもなりかねないと私は思うのです。そういう点で、私はたいへんいまの外務大臣発言は残念に思うのであります。もし、極東の安全と平和の確立がないならば、沖繩の問題についての解決のための交渉ということは、外務大臣はなさらないおつもりですか。あるいはそれが、いますぐする時期ではないけれども、何らかの時期に解決のための努力をするというおつもりなのか。そこいらのところをどうお考えですか。
  13. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 今度総理一行沖繩へ行ってつぶさに沖繩の実情に直面して帰られた。その結果と申しますか、あるいは教育、県民の一般民生、いろいろなその面において、もうなすべき余地がたくさんある。こういうことを非常に深く感じ取られて帰られたように私は承知しております。したがって、今後日米協議委員会におきまして、民生安寧向上のために機能を拡大して、そうして場合によっては自治権拡大をも考えて、そうしてこの目標のために前進しなければならない。そういう考え方をわれわれは強くした次第であります。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 そんなこと聞いているのじゃないですよ。あなたが外務大臣として、総理の言った、沖繩日本への復帰実現するために外務大臣としての職責から交渉をする、そういう計画を立てるかどうかということをお聞きしたのだけれども、そういうことについての御返事がないところをみると、そういうつもりはないと、こういうふうにとってよろしいでしょうね。
  15. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは極東の平和と安全ということは、きわめて基本的な重大問題であります。これを離れて内政外政も私はないと思います。そういうこの大目標のためにわれわれは日々いろいろな問題に努力をしておるのでありまして、大いにこの沖繩復帰の問題を考える際にも一そう勇気を持ってわれわれの仕事に専念して、そうして一日も早く極東及び日本の安全と平和というものがより確実につかみ得るという日の到来することを念願として日常努力していかなければいけない。そういう決意を一そう固めたような次第であります。その一つの問題として、まず沖繩の問題をどうするかということは、いま申し上げたように、協議委員会権限拡大することが認められておるのでありますから、この際一そう民生安寧向上のためにあらゆる施策を進めてまいりたいと、こう考えております。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 協議委員会幾ら権限拡大しても、そこでもって沖繩民生の問題を論議しても、それは復帰の問題に対して外務大臣アメリカ交渉するということとは何らの関係ない。あなたの言われることは精神分裂的だ。ですから、私はもういまあなたにそれ以上お聞きいたしません。要するに、この問題について真正面から取っ組んでそうして沖繩復帰の問題について日本外務大臣が何か具体的のスケジュールを立てて努力するということはしないということを裏返して言っておられるものと解しまして、私はいまあなたに対する質問を終えて、今度安井総務長官にお伺いしたい。  それは、総理向こうに行きましてからも、こちらへ帰られましてからも、沖繩内地との一体化ということを盛んに言われておる。一体この一体化ということはどういう意味を持っておるのか。またその内容は何なのか。これは担当長官として具体的な意義も内容もおわかりだろうと思うので、それをお伺いしたい。
  17. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 総理沖繩本土との一体化を今度声明されて帰られたことは御説明のとおりでありまして、まあその内容といえば、これはもう基本的には全面復帰をして、名実ともに一本になるということが将来の目的でありますが、しかし、その前にも、それを実現させるためにいろいろ実際問題としてはやることがたくさんある。その意味でいわゆる行政水準内地並みに格上げをしていく、あるいは民生内地並みの、類似した府県に近いものに持っていく、こういう努力自身がやはり沖繩本土への復帰の一歩前進、三歩前進になる具体的な対策だと思っている。そういうような点で十分なこれから施策をやっていこうと、こういう趣旨であろうと思います。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 沖繩との一体化の問題について、私ども一体化ということは、沖繩日本復帰するということで一体化ということの真の意味実現されるんだと思うんです。その沖繩一体化ということについて、この問題を遠くに押しやってしまって、いまの外務大臣お話のように、極東の安全と平和が確保されるまではこの問題についてはあまり触れたがらないというようなことで、沖繩一体化ということだけを叫ばれるという、あるいはその実現努力されるということになると、これは真の意味沖繩一体化ではなくして、沖繩現状のままで固定させて、アメリカ沖繩施政権を持ち、軍事的にこれを一〇〇%利用していくことについて協力をし、沖繩人々にそれを納得させ、そして、悪いことばで言えば、そういう事態をごまかしてアピーズしていくと、そういうことになりやしないか、こう考えられる。沖繩のほうでもそういうふうに考えて、沖繩一体化と言われることについて心配しておる向きもありますが、それらの点についてもう一度そういう、つまり将来の問題との関係についてあなたはどうお考えになっておるか、そこを明らかにしていただきたい。
  19. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いま外務大臣お話しのとおりに、沖繩にも極東の平和と安全の協力体制、こういうものは私は現実として無視するわけにいくまいと思う。そういう事実をもとにしまして、しかもなお復帰という民族の大悲願をこれから強く打ち出していくためには、まずあすこの沖繩民生なり行政機構というものを充実させていって日本に近いものにしていく。そのことが数歩前進することになるということには、私は間違いあるまいと思う。単にこれは固定化というような、これは批評のしかたであるかもしれません。しかし、それならばといって、逆にあの特殊事情に置かれておる沖繩の人に、いまの本土政府民生やあるいは行政機構水準強化をやらないでほっておいてよかろうかということには私はなるまいと思う。これはでき得る範囲においてあるゆる努力をして、そういうものを日本並みに近づけていく。少なくとも今度の総理沖繩訪問によりまして、そういう問題が相当大きく前進をしていく。そのことが結局今後の復帰問題へ非常に近くつながってくることになるというふうに私ども考えております。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 一体化の問題についてはいずれまた、もっとゆっくり時間のある機会にお伺いいたしますが、この問題と、いまあなたが言われました行政水準内地並みにするというようなこと、そのほか経済政策についてもそうでありましょうが、それらのことについて、いま沖繩で全面的に施政権を持っておるアメリカ、特にその具体的な権力である軍政の問題と非常に大きな関連を持つわけです。このアメリカ軍政に対して譲歩をする、そうして沖繩琉球政府権限拡大とか、あるいは沖繩人々自治権拡大とか、こういうことが出てくるわけでありますが、今後、軍政を漸次縮小せしめるということの努力はなされるつもりなのか、これはアメリカとの交渉でありまして、日米協議委員会権限でできるかどうか、まだはっきりしていないようでありますけれどもアメリカ軍政縮小せしめるということについて協議委員会において、あるいは協議委員会の場でなければ、もっと大きな外交交渉を通じてなすおつもりであるかどうか、これは外務大臣総務長官と両方にお伺いいたします。
  21. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 沖繩民生というものを基本にして考える場合には、何といっても、いま総務長官がお答えしたように、まずもって民生安寧、福祉の向上、要すれば自治権拡大をも考える、こういう方法によって現状をできるだけ早くこれを引き上げるということが必要であろうと思います。しかる後に、今度は施政権返還ということを考えなければならぬと思うのであります。結局、施政権は返ったが、しかし、民生はまことに従来のままである、安全の確保も得られないで平和も非常に混乱のままであるというようなことでは、施政権返還をただ型どおりやってみたところが、ほとんど意味をなさないのであります。でありますから、まずもって、沖繩自身の安全と平和というものを確保して、しかる後に施政権返還というものに近づくのがこれが順序であります、こう考えるのであります。  問題は、施政権すなわち、一面からいうと、軍政縮小していくという問題になるかとも思います。すなわち、自治権拡大軍政縮小意味するものであろうと考える。しかし、基本的に施政権返還ということになると、これは協議委員会ではきめられない問題であります。もっと基本的な問題でありますから、アメリカ政府日本政府との間において折衝しなければならぬ問題だと思うのであります。これらにつきましては、まだその具体的な方法考え段階ではない、こう考えるのであります。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 ここでも、まだ沖繩施政権返還については具体的な方法考え段階ではないということを言明されたのですが、沖繩人々に非常な失望を与えることになると思うのですが、それはともかくとして、総務長官にお伺いしたいのは、自治権拡大の一番象徴的なものは、何といっても琉球政府主席公選の問題だと思うのです。この問題について総務長官は、近く開かれる日米協議委員会主席公選の問題を提起する用意があるかどうか、そうして、それを実現するために努力を払われる別意があるかどうか、この点をお伺いします。
  23. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いまの軍政縮小と申しますか、逆に言えば琉球政府権限の拡張、これは私どもはぜひ前向きで進めていきたいと思っておるような次第でございます。御承知のとおりに、いま軍政府が出しております布令布告といったようなものにつきましても、できる限りの整理をいたしまして、そうして琉球政府権限というものを拡大をしていく。さらに主席公選というような問題につきましても、これは前向きの姿勢で、十分、今後検討の対象にして考えていきたい。ただ、一気に公選というようなものも、これはやはり趣旨をできるだけ立てる。この公選という趣旨が結局は主席といいますか、琉球政府権限拡大することに役立つわけなんであります。そういう方面で必ずしも公選という文字どおりの形にとらわれる必要があるかどうか。その他いろんな方法もあるかもしれませんし、そういう点については、今後とも前向きの姿勢で当然日米協議委員会等でも検討されていく筋合いのものであろうと私ども考えております。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまのお話を聞いておりますとね、主席公選の問題について、文字どおり一般有権者の投票による公選ということのほかに何か方法があろうかということを言われた。おそらくこれは立法院の議員の選挙ということを意味しているんだろうと思うんです。しかし、あそこの立法院の構成を見ますと二十九人なんですね。これが主席を選ぶということと、やはり沖繩一般有権者主席を選ぶということの間には非常に大きな差があると思うんです。日本においてはすでに都道府県の主席である知事は、これは文字どおり公選。もし沖繩一体化するということで、行政水準を引き上げていくとか、ほかの面でも自治権拡大をしていくとかいうことになれば、そのくらいのことは初めから日本政府として考えアメリカ側と話し合ってもいいんじゃないか。これはおそらく現地においても強い要望なんです。そういうことをひとつもっと率直に考えて、率直にアメリカ側交渉されたらどうかと私は思うんですがね。  さらに重要な問題は、いまの沖繩大統領令あるいは沖繩軍司令官布令布告でもってずいぶん沖繩人々の権利が剥奪をされておる。アメリカ自由主義の国だといわれておるんです。国内においてもずいぶんいま黒人なんかの問題について大統領努力されておるようなことなんですから、あそこがいま軍事上必要だからといって、ああいう事態に置いておくということは、アメリカ自身も私はたいへん恥ずかしいことだろうと思うんです。そこでこの際、日本側でももっといま沖繩で行なわれておる大統領令だとか、あるいはそれに基づいて沖繩軍司令官が出した布令だとか布告とかいうものの内容検討して、そうしてどの布令布告が今日沖繩行政水準を引き上げる上に、また沖繩人々自治権拡大する上にも妨げになっておるかということをよく掌握して、そしてそれに基づいて私は堂々と要求すべきものは要求すべきではないか、こういうふうに考えるんですが、それらの用意ができておるかどうか、その点をお伺いしたい。
  25. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これはいまお話しのとおりに、琉球政府権限拡大するという意味から、いろいろな方法やいろんな具体的な問題があろうと思います。主席公選という問題もいろんな角度から検討をし、同時に、いま言われましたような布令布告、これももうすでに相当な件数はここ一両年のうちに相当件片づいておる問題もございます。しかし、まだまだそれは、確かに言われるとおりに、非常に足りない面がたくさんあります。これにつきましてはできるだけ十分検討して、具体的な要望も出していきたいと思っておるわけであります。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 それらの問題について私どものほうでも研究しておるが、沖繩のほうからもいろいろな布令布告の廃止等について強い要求がある。それはあなた方のほうに伝わっておるかどうか。もし伝わっておるならば、それに対して今後努力されるのか、近く開かれる日米協議委員会でその問題は持ち出されるのか、それをお伺いしたい。
  27. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いろいろな問題もあろうと思いますし、直ちに実現できそうな問題、いますぐでは無理だ、一定の時期を待たなければ無理だという問題もあろうかと思いますが、いずれにしろこの問題は、お話しのとおりに、協議委員会に出す題目の一つになっておることは間違いございません。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、総理向こうへ行かれた際に——沖繩アメリカの軍事基地として今日南ベトナムの戦争に大きな役割りをしておる。そのために非常に沖繩人々が不安を感じておる。たとえばB52が沖繩から爆撃に出たということは、特にこれは沖繩人々だけでなく、日本の国内にも非常に大きな動揺を与えた。総理自身、このB52が沖繩から爆撃をやったことについては困惑を感じておる、そうして国民の意向をアメリカに伝えた、こういうことを言われておるのであります。これはひとりB52の爆撃だけにはとどまりません。その後のアメリカの対ベトナム戦争における沖繩の基地の使い方を見ましても、あるいは日本におけるいろいろなできごとを見ましても、国民に不安を与えるばかりだ。たとえばB52がほとんどうその理由で板付基地に飛来するとか、あるいはまたその後C130がしばしば板付に飛来すること、アメリカ軍が福岡の埠頭の専用使用を申し入れてきたことや、あるいはさらにLSTの問題もありましょうし、いろいろ不安を与えておりますが、総理は、沖繩に参りました際に、これらのことについて何ら発言されておらない。私は非常にこれはふしぎだと思うし、沖繩人々も、その不安を一体日本政府は取り除いてくれるために努力をしておるんだろうか、こういう疑いを持っておるし、これに触れられなかったことには失望を感じておるのです。そこであすは日米協議委員会が開かれるわけですが、これはひとり沖繩からB52が出撃する問題のみならず、日本全体にいまアメリカ軍の軍事行動によって起こされておる不安がありますが、これらを解消するために日本政府は、明日の日米協議委員会で、B52の沖繩からの出撃を含めて、日本国民に非常な不安を与えるような軍事行動を、アメリカが今日沖繩並びに日本の基地をもとにして行なわないようにということを提議するかどうか。これは外務大臣にひとつお伺いしたい。
  29. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいまのB52の問題につきましては、当初台風避難のために板付にB52が行くであろうというような事前報告を受けて、そうして事後にそれが沖繩に変更された。そうしてそのあとにまた続けて沖繩からベトナムに出撃するという情報が入ったのであります。わずかの期間に二転、三転した。そうして問題のベトナムに対する渡洋爆撃が、結果として沖繩が基地になった。こういったような報道が次々と入ってまいりまして、これはそのこと自体の実質論よりも、そういったようなことが非常に当惑を感ずるような状況にあったのであります。われわれがそういう気持ちを持ったのでありますから、国民一般としても何か非常に不安な気持ちを持ってこれをながめて見ておったということは、これは否定し得ない事実であろう、こう思うのであります。そういう意味において、私もまことに割り切れないものを感ずるというような記者会見においてことばをもって表現したのでございました。これも、そうかといって、それでは今後永久に沖繩の基地をベトナムの戦争のために全然使うことは困るという申し入れをするかしないかという問題とはおのずからこれは違うのでありまして、そのときの情勢によって当惑し割り切れざるものを感じたというのであります。日米安保条約のたてまえからいうと、極東の安全平和のために軍事基地を使うのは、これは当然日本国内の問題についても認められておるところであります。いわんや沖繩の軍事基地はアメリカ施政権下にあるのでございますから、これに対して、条約上あるいは法律的に困るというような申し出をすることは、これは条約のたてまえあるいは法律論的に言いましても当然主張できる考え方ではないのであります。ただ、沖繩日本の潜在主権下に依然として置かれておる、そして住民も全く日本人と何ら区別すべきものはない、こういう点を考慮に入れて、そして実際の行動に関してはそのときそのときにおいて適当な判断のもとにやってほしい、こういう考え方は多数の日本国民考えておるところであろうと考えます。これらの問題については、いわばそのときどきのその情勢下においてどういう一体国民感情が微妙な動きをするかというようなことと関連するのでありまして、これを型どおりに一定の型に当てはめて、そしてこれはいいとか悪いとか、困るとかいうようなことをこれは言うべき問題じゃなくて、おのずからその任に当たる者が適当な考慮を払うべき問題であろうと、こう考えるのでありまして、来たるべき日米協議委員会にこの問題を特別に私は持ち出す考えは持っておりません。こういうことを特に申し出なくとも、たとえば原潜の寄港の問題、これも条約上、もう当然アメリカの軍艦であります、寄港する正当な理由なりあるいは権利とも申しますか、そういうものが認められておるのでありますけれども向こうのほうが、さりながら日本国民感情を考慮して向こうから予告をして、そして了承のもとに寄港するといういわゆる慣行がすでに樹立されております。それを、一定の型に当てはめて取りきめをするというようなことは、かえって適当でない。また、条約のたてまえからも適当ではない。かように考えておる次第であります。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 属僚的答弁ではなはだ不満足です。大臣らしく、あるいは政治家らしく、こういうように国民が不安を抱いているときには、こういう問題について率直なあなたの考えを述べ、そしてまた要求すべきものは要求すべきであって、単に条約上の文面だけの問題ではないと思うのです。私はあなたの属僚的答弁には満足いたしません。また、ただ困惑しておろおろするだけで何もしないという大臣にも満足いたしません。これで私の質問は終わります。
  31. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 森元治郎君。
  32. 森元治郎

    ○森元治郎君 大要二つばかりのことをお伺いいたします。時間がありませんからやりとりはできませんので、明快にお答えを願いたいのは、沖繩の法律的なステータスはやはり平和条約の第三条だと思う。よく読んでみると、もうアメリカはこれを保持する理由はないのじゃないか。それからもう一つは、保持する資格がないのじゃないかということを感じます。もともとは、アメリカを唯一の施政権者としてこれを信託統治するのだということが書いてあるわけです。今日、安保理事会の非常任理事国にもなったことのある日本の領土の一部を信託統治下に置くというようなことはあり得ないし、また、アメリカが、日本が国連に加盟した以上、主権平等の立場にあるものを押えつけるということもできない。そしてまた、資格がないことから見るならば、信託統治の施政権者というものは一つのときも一あれば二つの国がやるときもあり、国連がやるときもあるというのに、条約文によりますと、アメリカを唯一の——ただ一つの施政権者とするのだと、強いことが書いてある。しかし、アメリカがあれを抑えてから、日本から分離させた地域を押えてから二十年になるのに一体何をやったか。信託統治にしようというくらいの気持ちがあるならば、国連の憲章にある信託統治の基本的目的というのに書いてある、住民の福祉の向上とかあるいは独立なりあるいはもっともっとよい生活をという目標が書いてあるのだが、一向何もやっていない。これは信託統治をやろう、しかもおれがひとりでやるのだというにしてはきわめて怠慢であると思う。しかも、いま信託統治を持ち出すことはできない状況にある。そうとするならば、そういう条件、それが前段でありますから、三条の信託統治にすることはできない。とするならば、アメリカはこの提案を国連でやって可決されるまで、立法、司法、行政三権をアメリカのもとに置くのだということもくずれてしまうわけじゃないかと思う。そこで伺いたいのは、一体アメリカはこの三条についてなお条約文面にあるように信託統治にするのだという考えがあるのかどうか。そういうことはできないと思う。もう一つ安井長官に、アメリカは終戦後信託統治にするというくらいの広い人道的な考えがあるならば、どれだけの金をつぎ込んで住民の生活向上努力したか、その数字をほしいと思う。また、アメリカは、日本から持っていった委託統治についてどれだけのことをやっているか。自分の基地だけをつくることに一生懸命で、沖繩にどれだけの金をつぎ込んだか。その二つの点を伺います。
  33. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まず第一点の第三条の解釈の問題でございますが、これは、施政権は期間のいかんを問わず有効に成立するという解釈をとっております。詳細の点は条約局長をして答弁させます。
  34. 藤崎萬里

    説明員(藤崎萬里君) 第三条の法律的な解釈といたしましては、信託統治の提案をするのに何ら期限が付されておらないということで、いつまでにアメリカとしては提案しなくちゃならないという業務はないこいうわけでございます。それから、まあかりに合衆国が信託統治の提案をいたしましてそれが否決されるというようなことがありましても、条文上は、いかなる提案にも同意してそれが提案が行なわれ、かつ可決されるまで立法、司法、行政の三権を行使することができるということになっておりますので、この条文の解釈といたしましては、かりに否決されても、この第三条に基づくアメリカの三権の行使は継続できるということになるわけでございます。
  35. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 累年のこまかい数字につきましては、後ほどあれいたしますが、たとえば本年度のアメリカの援助といいますか………。
  36. 森元治郎

    ○森元治郎君 今日まで。
  37. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 今日までの統計ですか。ちょっと、それじゃ読ませますから。
  38. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 一九五九年から申し上げます。一九五九年には……。
  39. 森元治郎

    ○森元治郎君 全部合わしていいです。
  40. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 二十四億七百万、それから一九六〇年三十八億二千万、一九六一年五十一億九千万、一九六二年五十億四千七百万、一九六三年六十一億四千七百万、一九六四年六十四億三千一百万、ただし、これは高等弁務官資金を含めた額でございます。
  41. 森元治郎

    ○森元治郎君 時間がだいぶ早くたっちゃうんで困るんだが、いまの条約局長の答弁に関連して大臣に、もう信託統治はできないんですよ。それはアメリカに確約をとったことがあるか、あるいはとったらいかがですか、施政権返還にあたって。
  42. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 信託統治について直接アメリカに話しかけたことがございませんが、できるだけとにかく施政権返還を求める。回りくどい方法によって、信託統治をやってしかる後にまたそれを解消して日本復帰するいうことではなしに、いまのままでよろしいからできるだけ早く返還を望むというような意思表示は従来やっております。
  43. 森元治郎

    ○森元治郎君 これは大問題だからまた別の機会にやるのは惜しいんだけれども、とにかく目標がもうくずれてしまったんだからして、アメリカが権利を行使する。いばる必要は毛頭ない。もっと戦々恐々たる気持ち日本に向かってよろしいと思う。  第二点は、よく施政権返還ということと祖国復帰と言うんですが、意味がわからないんです。その区別をおっしゃってください、同じものかどうか。
  44. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 同じものだと私は解釈しております。法律的に言うと施政権返還、それから法律用語ではございませんけれども復帰と、これは同じものをさしておると、こう考えております。
  45. 森元治郎

    ○森元治郎君 そうすると、それを法律的に言うならばこういうことでよろしゅうございますか。日本政府のねらっているところは、奄美大島が昭和二十八年に日本返還されたあのような内容になるのか。すなわちアメリカ合衆国は第三条に基づくすべての権利、利益を日本の国のために放棄すべし、日本はまた立法、司法、行政の完全な権力を行使する責任を引き受けるんだと、こういう形をとろうと返還を要求しているんですか。
  46. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 当然そういう内容になっておると思います。
  47. 森元治郎

    ○森元治郎君 内容になるんですね。そこでもう一つ、一たん返還されたときの、佐藤総理や外相がおっしゃる祖国復帰は、どういう形の返還を心に描いて祖国復帰を言っていらっしゃるのかどうか。基地は別なんだ。あるいはまた、それは一たん返還してもらってから基地のことは相談するのだろうか。こういうことをなぜ伺うかというと、アメリカの国防上の見解日本の主権回復ということの妥協点を求めるならば、基地とその施政権の分離という、いまの自民党沖繩対策特別委員会なんかでやっているような構想というものが当然出てくると思うんだが、政府はどういう形の施政権返還返還されたときの姿、どういう返還を予想してその早い機会返還を願望しているのかどうか。
  48. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 総理のいわゆる復帰とは、まあいま森さんがおっしゃったような全面返還というこのを意味しておるものとわれわれは了承しております。
  49. 森元治郎

    ○森元治郎君 それは、二十年にわれわれから分離されたときの姿、すなわちアメリカ基地も何もない、アメリカ基地、あるものは出ていく、もとの姿でちょうだいする、アメリカに引いてもらうこういう形の沖繩をわれわれは想像してよろしいんですか。
  50. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) その問題には当然触れて考えるべきじゃないと思います。つまり三権の完全なる返還、こういうことでございますから、もとのまま、原形のままで返せと、こういうことではないと思います。
  51. 森元治郎

    ○森元治郎君 時間がないので、残念ながらほかの人に譲ります。
  52. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 羽生三七君。
  53. 羽生三七

    ○羽生三七君 先ほどの岡田委員の最後の質問関連して簡単に一問だけ伺います。  御承知のように最近、先ほど岡田君が指摘したように、B52の沖繩からの発進あるいは米軍輸送機の板付着陸、それからLSTへの日本人の乗船あるいは原潜の寄港、一連のこれらのアメリカ日本に対するいろいろな協力の要請というのはいよいよ激化しております。これはおそらくアメリカ政策に対する日本協力を一そう前進させるための一連の処置、ある意味においては地ならしの政策の推進と思いますが、こういう場合に、先ほどお答えになったように、一つ一つをケース・バイ・ケースでやると、こういうことになると、おそらく応接にいとまのないことになるのではないか。ベトナム問題の現状から見て、アメリカのいま申し上げたような各種の動きはいよいよ強まってくると思います。そのつど政府は、ケース・バイ・ケースだと言いながら、もう問題の処置に忙殺されるんではないか。しかし、それよりも、やはりこの際、条約上のあるいは協定上の制約はあっても、外交上、政治上の問題は別であります。これは世界にもずいぶん例があると思う。条約上にはある程度の制約があっても、外交上、政治上においてはこれについて独自の立場をとっていくという、これはあり得ることであります。でありますから、日本としてもこの際、問題が起こるごとに政府がきりきり舞いをするのでなしに、むしろ明白に日本の態度をこの際明らかにして、いま申し上げたような幾つかの問題について日本基本的な立場をこの際アメリカに明白にしておいたほうがいいのではないか。もちろん、私は平和という基本的な立場を前提にしての問題であります。そういう立場をとらないと、おそらくこれから原潜もしばしば寄港する、それから沖繩からの米軍の発進はいよいよ激化していく。あるいは日本本土にも、ときによっては気象上の理由等以外でも、いろいろな形で着陸を求めてくる。あるいはLSTに対する日本人の乗船問題。そのたんびに政府が、いま申し上げたように、ケース・バイ・ケースでこの問題に応接しておったら、それは際限のない話です。ですから、条約上の拘束はあっても、やはりこの際日本が、先ほどお話があったように、極東の平和と安全が確保されなければ沖繩その他の返還はないということですから、そういう基本的な平和という立場に立って日本の態度をむしろこの際明白にアメリカに伝える。そのことのほうが私は正しいのではないか、こう感じるわけです。これについての外務大臣のひとつ御所見を伺いたいと思います。
  54. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは条約のたてまえからいうと、御指摘のとおり、当然やって差しつかえないことでございます。でありますから、これに対して特別の考慮を促すというようなことは、そのときの情勢いかんによってやるべきものでありまして、これを定型化して、こういう場合、ああいう場合というものを想定してあらかじめきめておくという性質のものではない。のみならず、従来の実例から見ましても、応接にいとまがないというようなひんぱんなケースではないのでございますから、これについては、遺憾ながらお説に従うわけにまいりません。
  55. 羽生三七

    ○羽生三七君 もう一点だけ、簡単に。  いま私ちょっと廊下に出ましたら、別室で決算委員会が開かれておって、その席上で、やはりB52その地米軍機の発着問題に関連して、いままではたまたま一機飛来したような場合にはこれはまあ問題ない、しかし、しばしば反復して繰り返される場合にはこれは問題になる、しかし反復しても問題ないということを外務省当局が決算委員会で言われたそうですが、外務省のどなたが言われたか知りませんが、いま横川委員質問にそういう答弁があったというのは、それでよろしいのですか。
  56. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どういう内容質疑応答であったか私はこれを詳細に知りませんので、よく後刻検討いたしましてきめたいと思います。
  57. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 渋谷邦彦君。
  58. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いまのB52または原潜の問題に関連するのでありますが、ちょうど二、三日前に松野防衛庁長官は、今後B52あるいは原潜の寄港に対しては十分検討する必要がある、確かこのような言明をされたと思うのでありますが、それはいままで十分論議されたように、ベトナムの問題を通じ、あるいは日本のそうした基地を戦争につながるために用いるということは考慮しなければならない、まあそういうような客観的な意味が含まれているのではないか、このように思うのでありますが、外務省として、外務大臣として、そうした防衛庁の見解に対してどのような考えを持っているか、あらためてお伺いしたいと思います。
  59. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 新聞の記事で私は承知しておるにすぎません。松野防衛庁長官がどういう見解をほんとうにお持ちなのか、または防衛庁としてどういう結論を得ておるのか、よく存じませんので、この場合はお答えを控えたいと思います。
  60. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そうした重大な変化について、関係する立場が違うというだけでもって横の連携が何もとられてない。またはそれに対する外務省自身としての基本的な方針というものがさらにいろんな変化がなされていく可能性も出てくる。そういう場合に、ただ発表を控えたいというだけでは、それじゃ政府として一貫した、そういう問題に対する方向というものがないのか。各部門部門でもって発言された責任のないそうい言動が、一体どういうふうに処理されるのかというふうな疑問が出てくるのですよ。そうした問題について、これは新聞の程度しか、承知していないとおっしゃいますが、外務大臣としてはその問題について防衛庁長官と連携をとられてそれを検討する用意があるのかないのか、それを重ねてお伺いしたい。
  61. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) B52が沖繩基地を発進いたしましてベトナム戦争に参加した。これは、先ほども申し上げたとおり、施政権は米側にあるのでありまして、条約上からいっても、日米の関係からいいましても、何ら日本としてこれに対して有権的に指図をするとか、いろいろ介入するという余地はないのであります。ただ二転、三極して、板付へ行くというものが沖繩へ来ている、そうしてまたさらに沖繩を発進してベトナムに参加したということが二両日、足かけ三日ぐらいの間に次々と行なわれたというととは、確かに当局及び国民をして何となく当惑させたということは、これは言えるのでありまして、これについては適切な申し入れをしたのであります。ただ、こういう問題を将来に向かって云々ということは、いまのところ、条約上のたてまえから申しましても、またその他の状況からいいましても、それを定型化して申し入れるというようなことは考えておりません。原潜の問題につきましてもそのとおりであります。これについてわれわれは、いま従来の方針を変更するという考え方は少しも持っていない。ただ新聞の伝えるところによりますと、防衛庁あるいは長官にこれに対する意見があるやにも考えられまするので、十分その点は確かめてみたいと、こう考えております。
  62. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いま外務大臣は、条約条約ということで盛んに条約をたてにとられております。これはもちろんけっこうなことだと思いますが、これが日本国民の感情をいたく刺激して、いろいろな点を検討して、結果から見てどうもまずいという場合には、唐突な質問かもしれませんが、約定を改定する意思はないかどうか。
  63. 椎名悦三郎

    ○国務大貫(椎名悦三郎君) ただいまのところ、条約改定の意思は、もちろん日本側としては持っておりません。
  64. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 もしその条約が日本国民の利益を損ずるという具体的にいろいろな問題が出て来た場合も、いま大臣が言われた方針については変わりはございませんか。
  65. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これが日本の安全及び平和のために基本的には今一の条約体制というものは絶対に必要のものである、こういう考え方を持っておりますので、この問題について、日本のためにならないといろ情勢が、一体はたしてどういう情勢であるか、そういうことを考えても考えつかないのであります。もちろん、お答えしておきますが、何となく、この間の戦争においてざんざん爆撃の惨事を経験した日本国民としては、非常にこういう問題に対して敏感である。その敏感であるという点を全然無視するということも、これは実際の政治としてやはり考えなければならない、こう思うのでございますが、ただしかし問題は、国民感情だけでこの国家の安全というものを考えることはできないので、やはりそれも国家の安全ということを客観的に冷静に考え、なおまた、一方において国民感情をも考慮に入れるということが実際の問題ではないかと思うのであります。その点はもちろん必要であると存じますけれども、ただいまのところは条約を改正するというようなこれは根拠には絶対になり得ない、こういうふうに考えております。
  66. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そこで大臣、八月二十七日イギリス海軍省の発表によりますと、スコットランドのホーリー・ロッホという軍港がございます。これはアメリカのポラリス潜水艦の寄港地になっております。一九六一年から寄港しておるといわれております。ところが、その後五カ年にわたって海水の汚染、いわゆる放射能の有無について調べたところ、非常によごれている、こういう発表がなされているわけです。こうなってまいりますと、屈折の多いわが国の港湾においては、その危険度がもっと高くなってくるということは否定できない問題だと思うのでありますが、こうしたイギリス海軍省の発表は非常に権威があると思うんですが、一連の考え方として、政府としてはいままでその海水の汚染状況をはじめとして、今後どういう態度で臨んでいくのかということをお伺いしたいと思います。
  67. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘のような事実は確かにあったのでございますが、その汚染の程度、これは海底のどろを検出したところ、汚染が従来考えられておるよりも進んでおるということが認められたのでありますが、しかし、これは著しく汚染というようなことではないのでありまして、もちろん人体に害がない、そういう程度のものであります。それでこれが一体どういう原因で汚染されておるかということについては、ただいま厳密に当局によって調査されておる由であります。ただ、非常に汚染度が激しくて問題になるというような程度のものではない。ただ、何のためにこういうふうな汚染の結果になったのか、他のこういう同種類の基地におきましては一切そういう事実が従来認められなかった。イギリスにおきましても、あるいはアメリカその他におきましても認められなかったのであります。その点を究明すべくただいま調査をしておる。こういうことを私は承知しております。
  68. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 時間がありませんので、もう少しお聞きしたいと思うんですが、事実そういうようなことがもう明確になってきた今日の段階において、日本の港湾施設においてもそういう可能性が絶無であるということは言い切れないと思うんですね。しかも、海軍省の発表によりますと、今後しばらくそうした寄港を従来どおり許しておけば、その汚染度が非常に届くなるために、ポラリス潜水艦をはじめとするそういう原潜の寄港は相当慎重に考えなければならないというところまできておるようであります。そうすると、そうしたことがすでにもう事実問題としてあらわれておる今日においては、日本としてもこれは軽視する問題では当然ございません。したがって、先ほど申し上げたように、日本国民にそうなれば甚大な影響をこうむらせることは、もう火を見るよりも明らかであると、そういう観点に立って私は日本国民に損害を与える可能性があるということを申し上げたのでありまして、したがって、今後そういうようなことが日本調査によっても明らかになった場合——おそらく明らかにされるであろうと思うんですが——なおかつ、それでも寄港を認める方針なのかどうか、重ねてお伺いします。
  69. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘のとおり、これをどうしてこういう汚染の結果になったのかということをいま調査しておる最中でありますが、日本といたしましても、この結論を待っておるような状況であります。そしてこの種のことが日本においてやはり起こり得る可能性があるということになりますれば、これに対してどう対処するかということをその上で考えたいと思います。
  70. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 最後に一点論点を少し変えますが、一つだけお伺いしておきますが、先般アメリカ大使館のエマーソン公使に会っていろいろ懇談した際、アメリカとしては、今日のベトナムの収拾について、どこかの国でもかまわない、和平交渉というそうしたきっかけが出てくれば、それに喜んで応ずる用意がある、こういうような話がありました。ところで日本政府として、第四十八国会のときにも、佐藤総理は何か二、三回各国に和平交渉の下交渉みたいなことをしたような話がありました。今日までベトナムのこうした収拾について政府は本気になってそれをまとめるための努力をされてきたかどうか、また今後もいかなる——いままで反対があっても、あるいは中共にしても、ベトナムにしても、ベトコンにしても、和平交渉に応じられないというような回答があったにしても、それを重ねて、努力の積み重ねによって、こういう緊迫せるベトナムの状態を解決するために積極的な解決の方策を持って進む用意があるかどうか、それだけをお伺いしておきたいと思います。
  71. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) たびたび国会において同様の御質問がございまして、それに対してそのつど総理からお答えを申し上げているのであります。私の承知している範囲においては、いろいろ打診をし、情勢を研究し、一歩でも二歩でもこの平和解決のために前進する方法について努力してまいっているのでございますが、これらの問題につきましては、事、外交の問題の機微にわたる問題がございますので、いつ、幾日何をどうしたというようなことにつきましては、自然にわかる分にはこれはやむを得ませんけれども、これをまだ明らかにするということはできない状況でございます。御了承願います。
  72. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 本日の大臣の答弁については十分満足を得られたとは思いませんので、それを結論として質問を終わります。
  73. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめます。
  74. 森元治郎

    ○森元治郎君 資料要求。原子力潜水艦が四回日本に来たのだが、そのときに軍艦旗をつけておったかどうか。そのときの写真を付して見せてもらいたい。それから、どの辺から軍艦旗をつけたか。佐世保の港に入ってきてからか。一体どの辺からか。その点もあわせて資料を願います。     —————————————
  75. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 次に、この際、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員から御報告願います。
  76. 森元治郎

    ○森元治郎君 本委員会の決定に基づき、寺尾委員長、笹森、岡田委員及び私の一行四名は、八月二十二日から八日間の日程をもって、福岡県及び長崎県に出張し、日韓諸協定批准案件の審議に備えて、漁業問題に関し、関係者より事情を聴取したほか、海上保安庁巡視船で対馬付近の李ライン水域を視察し、実情把握につとめたのであります。  また福岡市では、米軍から申し入れのあった港湾専用施設提供問題等についても事情を聴取いたしました。  これら調査に関する報告書につきましては、会議録掲載方をお取り計らいくださるよう委員長にお願いしたいと存じますが、本日はとりあえず口頭で以上のとおり御報告いたします。
  77. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) ただいまの御報告に関する御質疑はございませんか。——別に御質疑もないようですから、派遣委員の報告はこれをもって終了いたしました。  なお、御要望がございました派遣報告書につきましては、これを会議録に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 御異議がないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会      —————・—————