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1965-04-13 第48回国会 参議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十三日(火曜日)    午前十一時十四分開会     —————————————    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     上林 忠次君      田上 松衞君     高山 恒雄君  四月九日     辞任         補欠選任      江藤  智君     増原 恵吉君      山崎  斉君     村上 春藏君      上林 忠次君     熊谷太三郎君  四月十二日     辞任         補欠選任      高山 恒雄君     田上 松衞君  四月十三日     辞任         補欠選任      増原 恵吉君     古池 信三君      村上 春藏君     北口 龍徳君      田中 清一君     塩見 俊二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安田 敏雄君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 熊谷太三郎君                 瀬谷 英行君     委 員                 北口 龍徳君                 小山邦太郎君                 古池 信三君                 塩見 俊二君                 田中  一君                 白木義一郎君                 田上 松衞君                 村上 義一君    國務大臣        国 務 大 臣  小山 長規君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    小西 則良君        首都圏整備委員        会計画第一部長  吉田 伸一君        首都圏整備委員        会計画第二部長  富田 龍彦君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法  の一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) それではただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る八日、熊谷太三郎君が委員辞任され、その補欠として上林忠次君が選任せられました。また、九日、江藤智君、山崎斉君及び上林忠次君が委員辞任され、その補欠として増原恵吉君、村上春藏君及び熊谷太三郎君がそれぞれ選任せられました。なお、本日、増原恵吉君、村上春藏君及び田中清一君が委員辞任され、その補欠として古池信三君、塩見俊二君及び北口龍徳君がそれぞれ選任せられました。     —————————————
  3. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  去る八日、熊谷君の委員辞任に伴い理事が欠員になりましたので、この際その補欠互選いたしたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認めます。  それでは理事熊谷太三郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 田中一

    田中一君 最初に伺いたいのは字句改正でありますが、この意図を明らかにしていただきたいと思うのです。福要綱について申し上げても、要綱の第一の一、市街地開発区域都市開発区域にした理由、そしてその理由内容ですね、市街地開発区域というものはどういう仕事をしていたか、都市開発区域になったら何をしようとするのか。その点を明らかにしてください。
  7. 小西則良

    政府委員小西則良君) 都市開発区域市街地開発区域というのは、現在市街地開発区域という名のもとにやっておりますけれども、市街地開発区域というその文字のあらわす意味が非常に範囲が狭いということでございまして、開発を進める場合におきましては、単に市街地ということだけではございませんで、一つ都市形態をなす、たとえば工業団地あるいは住宅団地というようなことだけではなくって、将来ますます大きくなるところにおきましては、あるいはそこに緑を入れるとか、広い空地というようなものを入れながら一つ都市形態をなしていきたいということから、これは字句改正というつもりで出しておるのでございます。これにつきましては、近畿圏におきましても、首都圏の在来の市街地開発区域というものは意味が狭いということで、あとでできました近畿圏におきましても、この都市開発区域という名称を使っておりますので、今回それにならって都市開発区域という形で整理をしていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  8. 田中一

    田中一君 そうすると、法律内容としてどういう形に実体が変わってくるのですか。事業内容というものが。
  9. 小西則良

    政府委員小西則良君) 内容といたしましては、実体的には変わるところはございません。
  10. 田中一

    田中一君 実体的に何ら変化のないものを、文字を変えたからといって内容が変わるものじゃないのです。小西という名前は君の符牒であって、田中一というのは符牒であるのです。人間間違っちゃ困るから符牒をつけているのです。番号です。同じように精神、実体が変わらないものならば何も変える必要ないのではないかと、従来の表現のしかたが誤解を受けるから云々というのならば別ですけれども、そうでなく、内容が変わってないならば・いたずらに法律改正をする必要はないじゃないですか。
  11. 小西則良

    政府委員小西則良君) いまはっきり実体が変わらないと申し上げましたけれども、最初に申し上げましたように、市街地という形のものではなく、やはり計画的にはそこに都市という、ただ単に市街地じゃなくて、都市といいますとそこにもう少し広い意味に、先ほど申し上げましたような緑地とか、公園、その他を配備していきたいと、こういうことから、いままでの市街地ということになりますと、単に市街地をつくるだけということになりますので、そういう解釈をもちまして都市開発区域と、こういうように改正しようとしておるのでございます。
  12. 田中一

    田中一君 かつては首都建設法時代には、大体まあ日本橋でしょう、道路元標を中心にしたか、あるいは宮城を中心にしたかしらぬけれども、五十キロ以内を首都整備圏というように見ておる。いま百キロまでこの図面を見ても延びております。そうすると、その五十キロから百キロに延びたから、いま言われたような説明をして、内容が変わったと言おうとするのか。その点はどうなんです。いま言うとおり、市街地であろうと、都市であろうと、われわれの受けるものは同じなんです。近畿圏でもってこうしたからというなら、これはまたおかしなものであって、同一建設大臣——同一建設大臣じゃない、委員長が、その主管する責任者が同じであって、立案する人たちも同じであるならば、文字を変えたからといって内容が変わるものじゃないですよ。まだあります。このほかにも名称を変えたのがあります。それはどうなんです。どこだったかな。ひとつその名称の変わったのを説明してください、全部。
  13. 小西則良

    政府委員小西則良君) 名称といいますか、内容もあわせまして、現在の整備法におきましては、既成市街地近郊地帯周辺地域と、かようになっているのでございますが、この近郊地帯という名前をとりまして、さらにそれより少し範囲をとって、これを近郊整備地帯としたいと、かようになっております。
  14. 田中一

    田中一君 それは、変えた理由は。
  15. 小西則良

    政府委員小西則良君) この近郊地帯というのは、当初考えました当時におきましては、既成市街地膨張をこの近郊地帯で遮断しようということで計画されておりましたけれども、その後首都あるいはその既成市街地膨張が非常に力強く膨張していきますために、この遮断緑地でこれを押えようということが実情にそぐわないということで、この近郊地帯も相当荒らされてまいっておりますし、さらに近郊地帯の場所を越えまして、その周辺に非常に無秩序な形に膨張をしてまいっておりますので、これらを計画的に都市、緑を考えながらある区域近郊整備地帯という形で整備したい、かように考えまして、この近郊地帯というものを含めた形でさらに広い範囲を、近郊整備地帯という形に持っていきたい、かように考えている次第でございます。
  16. 田中一

    田中一君 そうすると、昭和二十五年に制定されたこの法律のもとですね、この考え方のもとが、今日になって相当広くなってきた。そこでそういう形で、だれが見てもうなずけるような名称にしたのだというように理解していいのですね。
  17. 小西則良

    政府委員小西則良君) お説のように、まあだれが聞いてもうなずけるようにというお話でございますが、もちろん根本にはそういう気持ちもございますし、いまのままでは非常に無秩序な形で膨張していきますために、これをこのままにしておきますと、現在の膨張のしかたというものは、自然発生的という形になりますので、これらを計画的に、交通機関なりあるいは下水処理であるとか、あるいはそこに緑を入れるとかという形におきまして環境整備というものを整えながら、全体を一つの形でできるだけ計画的なものに進めていきたい、かように考えているのでございます。
  18. 田中一

    田中一君 私はね、小西君並びに大臣、この法律内容というか、審議にあたって質問するのはいやなんですよ。これは委員長だったかな、——委員長も一年か半年でやめちゃう。小西君だって、事務局長だって、長くいて二年いたかどうかだ。何というか、やめるために最後のおつとめとか、どこかヘジャンプするために足場とかという形でもってのみこうした制度行政機関があるわけなんですよ。もう私は質問する熱意すら失う、ばからしくて。これはむろん内閣に対する質疑という形でやっておりますければも、答弁ですら的確な、真剣に取っ組んでいるという姿が見られないと私は受け取っているわけなんです。もう十五年たっている。自然発生的に膨張したからなんという無責任なことばは聞きたくないのですよ。何がために、首都というものを本物にしようか、いわゆる日本の民族の象徴都市としての首都整備し、建設していこうかというところに狙があったのが、変な、不自然な押え方をするから抵抗度が強くなって、それに政治が関与していく。しいて言えば政治が悪いほうに悪いほうに裏道を通って、自然発生という形でもって結果づけられてきているのです。整備しよう、いい都市建設しようという思想から出発したものが、無秩序というものでもって、現実にわれわれはそれによってあらゆる面の被害を受けている。これはもう私どもは、ずっとこの問題と取っ組んでいるからあえて言うのですが、ばからしくてしようがないのですよ。いたずらな制限をするから、これは局長が言っているように、全体の計画を考えずに、いたずらに派生的な、現象的なものばかり追っかけていくから、その間を、盲点をついてはみ出していくのです。一体この程度のものでは、とうてい初めにわれわれが考え、また現在でも希望している、映像に描いている首都というものはできるものじゃないです。たとえば、かってきめられたグリーンベルト、現在そのままです。そのままであって、これは建設大臣も就任して以来、建設大臣というより委員長として就任して以来、おそらくその地区を視察したろうと思うのです。現状はどうなっているか。もうそれこそ制限されて、建設物のあらゆるものを制限されていながら、実際がどうなっているかというと、無制限工場なり何なりが乱立して、再びそれを整備するとかしないとかの問題でなくして、現状においては無風地帯に建てられたものでありますから、法律外の問題なんです。法律外の問題は法律で規制しようと思ってもできません。これは緑地帯でございますから、グリーンベルトでございますからと言うから、建てられない。建てられないときまっているから、建築基準法の届け出もしません。しないでいいんだから、持っていけば、これはだめでございますと言われるから、それを建ててしまう。そうしてグリーンベルトにしてもそのままです。撤回するなら明らかにはっきり撤回して、建てるための認許可あるいは確認とかいうものを行なわれて、秩序ある建設がされなければならないのです。十何年たっていまだにそのままでしょう。無秩序なんというのは、そのような無風地帯グリーンベルトという制限区域というものがあるからそこへはみ出していくのです。それは抵抗が強くなるわけです。そのうしろにはやはり政治という、悪い政治の力がそれを援助しているのです。善良な都民は、自分私権というものを極度に制限され、がまんしている。悪い政治が介在している。それがもう非常に高い取引の対象になって売買されているのです。私は、プラン・メーカーとしての首都圏整備委員諸君、あるいは事務局等が自主的な何らの構想を持たないでぶつかっていると思うのです。公共事業として行なうこの仕事が、各行政部門の各部署計画集合体にすぎない。乱雑な集合体です。それを、一応それぞれの行政機関意思をそのまま羅列して、そして審議会に持ち込み、審議会はそういうものを調べる、審査する権能はあると思うのです。あっても、そんなひまがない方々だけが委員になっているのです。東大教授であろうと何であろうと、政府の息のかかっている人間がそこへ来て、一応机上プランとして書いたものを——机上プランとして魂がこもっていませんよ。各行政部門、各都道府県知事、いわゆる地方団体計画に乗っかって一つの取りまとめをしているにすぎないのです。観念的にはいろいろな寝言を言っております。人口の社会増が年間二十万あるから、何とかこれをとめようじゃないか、学校をひとつよそへ持っていこうじゃないか、工場の新設をやめさせようじゃないか。そんなもんじゃないのです。だから、こういうことを委員長並びに事務局長に私が質問しても、むだなんです。首都圏整備委員長が、よし十年これに、政党がどうあろうと何がどうあろうと、腰を据えて、根をおろして、百年の将来を考えながら街づくりをしようという決意がない限り、悪い政治に左右されて、どう変えようともほんとう国民が描いているような街づくりはできないです。一年や二年でもってやめてしまう委員長とか事務局長とか、これらの諸君責任をとれとか、責任ある答弁をしなさいとかいう要求をするのが、いまの機構じゃ無理なんです。しかし、これもしょうがない。こういう法律案がせめてもいい方向に向かって実際に行動するのじゃなかろうかという気持ちから、私はむだだと思うのだけれども、これから質問しようと思うのですが、小西君もひとつつらいだろうけれども、これは建設大臣もつらいでしょう。建設大臣がこういう問題を、近畿圏も兼務する、この首都圏も兼務する、建設省の事業で一ぱいですよ。本気でやろうと思うならば、兼務なんかでできっこないですよ、実際これやろうとすれば。  それでは最初に伺う。一番初めに出た法律、二十五年に制定された法律首都建設法法律、それはずっと表題が変わり、表題が変わるあと新法になる、ということは、内容が多少とも前進していると思うのです。そういう変貌を示しながら・過去のものに全然触れないで、過去のものはそのままにして進んでいるという以上、どうするかということをまず最初に伺っておきたいのです。  それから極端な私権制限をすることは、はっきりと買収しなさいというのです。私権制限をする場合には買収しなさい。都民全体のいこいの地区とか、森林とか、公園とかあるいはグリーンベルトとか、いろいろの形の表現がございます。これは国民全体の問題なんです。その場合には、いたずらに個人の私権制限しないで、お買いなさいと言いたいのです。買えなければ交換をなさい。金がないというなら、等価交換ということをいま盛んに行なっているのですから。それをしないで、いまだに、過去の非を悟ってグリーンベルトというものをこれを廃止をしようという方向に向かっている。それは二、三年前からの方向です。まず最初に、いつそれを廃止して、どういう機会に廃止して、今度の法律改正による規模の拡大をはかろうとするのか。これはどこまでも私のほうじゃございません、都市計画法に基づく東京都の事業でございますから、自分のほうは関知いたしません、申請があれば私のほうで考慮いたしましょう、おそらく建設大国としてはそういう答弁をする以外にないと思うのです。首都圏整備委員会としては、そういう方向になっておりましょうけれども・まだ具体的な方向を示しておりませんから、そのままにしておきます、という答弁しかないわけです。だから、いまここで建設大臣に、グリーンベルトの改廃をするということについては、いつごろどういう形で改廃するかという質問をすることも——答弁できるならしてください。答弁できなければ強く要求はいたしません。どちらかの答弁をしていただきたい。
  19. 小西則良

    政府委員小西則良君) いま田中先生のおっしゃいましたように、この縁地帯とか空地の問題につきましては、当然そこに私権の制約というものとの関連が出てまいるのでございまして、これらにつきましては一応整備計画というような、縁地の保存という形におきまして整備計画を樹立したい、こういうことでございますが、それにつきましては、現行制度の運用をできるだけ活用いたしまして、これを確保するということで、現在の段階においてはこれしかないのでございますが、とにかく現在の、先ほどから先生のおっしゃいますように、この周辺地区というものはこのままでは、とにかく環境整備ということから考えまして非常に満足すべき状態にはなっておらないのでございまして、これらの土地を確保していくためには、さらにやはり新しい法的処置というものを検討してまいらなきゃならない、こういうふうに考えておるのでございます。
  20. 田中一

    田中一君 前回の委員会でも、これによる四十年度の実施計画というものを示してくれと言ったんですが、ちょっとこれも私は無理だと思うのです、いまの段階では。それぞれの都道府県市町村なり、また政府部内における各公共事業を担当する部署なりが、そうこまかい事業計画が明らかにならぬと思うのです。ことに起債の問題にいたしましても、はたして起債が通るものかどうかわからぬし、そこでどちらに指導権があるかということです。地方並びに政府関係部局からそれが出てくる。それを継ぎ穂して一つ計画であります、整備計画でございます、というものを樹立しているのが、いままでの行き方ですけれども、現に東京都なんというものは、下水道一つにしたって、他の都道府県から比較するときに、非常に後位にある、うしろのほうにいるわけです。下水普及率から見ても、これはおそらくイタチごっこで無秩序な膨張というものがどこでもはみ出してくるということになると、追っかけられないから、そういう現象になっているかどうかしらぬけれども、そういう点は一つ一つ検討しているのですか。これもまた質問するのも無理かもわからぬけれども、委員長、私はもう質問するにしても非常につらいんだ。だから、関係都道府県知事、それから関係部局責任者市町村等首都圏整備に関する発言権、部分的な計画権を持っている人たちを何日かかっても、これ呼んでいただきたいと思います。そうして、そこで具体的に、四十年度にはどういう事業ほんとうにどう行なうのか。むろんこれには自治省をちゃんと置いておいて、これに対する起債は君のほうはどう考えるか、起債は幾らくらいにいたします、こういうようにケース・バイ・ケース一つ一つについて具体的なものがなければ、どういうぐあいにこの法律を変えようとも、ほんとうデスクプランであって、実行されないものじゃないか。本格的に今回の改正というものを中心審議をしても、これはとてもとてもそのままじゃ見過ごしておけないという事態が、歴史的に首都圏整備の問題は、いろいろな重なり合った問題が解決されないでそのままに瞬いてきぼりになって、法律改正だけで解決されるのだという間違いを起こしている。四十年度の予算上、各都道府県市町村計画されているものだけでもひとつ積み上げていただきたいということを要求しておきましたけれども、これは出てきません。これはひとつこれから出るまで、私がこの審議を留保しておきたいと思います。待っていただきたいと思います。なぜこんなことを言うかというと、これはやはり首都圏整備委員会としての勉強です。実際に実態というものを、四十年度の事業実態というものをつかみ、今回のこの法律改正によって非常に大きな問題があろうと思うのは、この首都閥近郊整備地帯及び都市開発区域整備に関する法律の中の市町村長の具申する権限がなくなって、都道府県にこれをまかされておる、都道府県知事にまかされておるというところに問題がある。こういう点は非常に大きな変革なんです。はたして市町村長意思が完全に都道府県知事に伝えられ、そうしてその末端地域社会における考え方が、中間的な都道府県知事の、それを承認を受けて持ってくるなんということよりも、先ほど事務局長が言っているように、大きな全体の広い首都圏という百キロ周辺が、その考え方に立って判断しようということでなければ、中間的な知事などがそうした権限を待つことは、これは危険だと思うのです。そういう意味からも、いまの市町村段階におけるこの法律による整備の四十年度の実態というものを明らかにしていただきたいと思うのです。もう時間がないし、あと一、二質問して、その答弁は後に求めますけれども、委員長、そのようにお取り計らい願いたいと思うのです。
  21. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) その要求の、首都閥整備地域関係のある都道府県知事その他の市長、そういう人たち意見を聞くために委員会へ出席してもらうということですか。
  22. 田中一

    田中一君 とりあえず、人間呼ぶといってもたいへんでしょうから、それらの市町村末端地域社会のこれによる整備計画というものがあるはずです。今度は、その都道府県知事がその市町村長かの意見を聞いて、すべての指定をしようということになりますから、そうすると、これはもう末端地域行政体意思が、知事は聞くでしょうけれども、聞いても聞くだけのことであって、意見を聞くということは、これは私は、右に行ってくださいと言うにかかわらず、知事の判断で、聞けばいいんですから、おれは左だといえば左、議会の決定を経て聞けということはこれは別ですよ。決定決定としても、その決定は国は取り上げる必要はないので、知事意見知事意見としてきまるわけです。ということを、中間的な知事が行なうということは危険がある。それならば、全体を掌握する内閣がそういう決定権を持つということが正しいのであって、いまの段階ではその意味で、市町村の四十年度の予算が大体きまったと思いますから、予算上にあらわれた計画というものを書類で出してください。こういう要求でいいんですね、第一段階は。
  23. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 小西事務局長、いまの田中委員から、首都圏整備関係する地域の県で、その開発指定予定地域に当たっておる市町村整備計画というものがあるはずだと。とりあえず四十年度予算関係する整備計画というものが提出できるかどうか、こういう田中さんの要求ですけれども、これについてどうでしょうか。
  24. 小西則良

    政府委員小西則良君) 四十年度予算につきましては、せんだっての委員会におきましても、田中先年からお話し承りまして、できる範囲のものも整えたのでございますけれども、まだ——いよいよ数字的にはっきりさせるということになりますと、各省において幾ぶん無理のあるところもございまして、きょうの間に合わなかったのでございますけれども、これに対しましては、つとめて努力をいたしまして提出いたしたいと思います。  ただこの前も申し上げましたように、先ほどから田中先生のおっしゃっておいでになることで、ほとんど尽きているのでございますけれども、現在の首都圏委員会というものの置かれている立場からいきまして、予算の提出時期におきまして、この整備計画に関する予算要求にはタッチしておりますけれども、その後の予算折衝、あるいは各省におりましてからの細部につきましては、それらの取りまとめができなければ、こちらでそれを全部まとめることはできないというような形に置かれておりますので、その点、私たちとしても、まことにジレンマにおちいっているような形でございます。ただこれにつきましては、もう新年度にもなっていることでございますし、各省も細部の、個所別というものにつきましても、努力いたしておることと思いますので、まとめて提出いたしたいと思います。
  25. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 田中さん、どうですか、了承しますか。
  26. 田中一

    田中一君 ひとつそうしてください。  工業団地造成事業、これが近郊整備地帯においてもできるというふうに今度変わってくるわけですね。これを具体的に、どんなものを、どういう個所にどんな産業を——工業団地をつくったから、だれが来てもいいのだということでは困るのです。第一、私は、こんな団地をつくることすら、積極的に賛成できないのです。全部それが先行投資として行なわれようとするものなんです、新しい地域にですね。その場合に、その地域を消費地帯として、対象となる工場団地等はこれはぜひ必要です。これはもう私は再三これらの法律の提案される当時からやかましく言っているのです。工場制限だけが能ではないぞ、その地域で消費されるものは、工場はつくらなければならぬではないかと言っておったのですが、今度そうなりました。しかし、今日のこの経済成長という倍増計画等のこうしたキャッチフレーズからきたところの過剰設備投資というものが、今日の経済界の不況、倒産等を招いている事実は、これはもう否定できないのです。それだけに工場団地をつくろうというならば、それに対するところの確固たる、政府責任を持って産業の構造というものを的確につかみ取らないで、金があるから来るのだとか一むろんこれは制限があります。投資対象としてその土地を売りつけるのではございません。そこで事業を開始するという場合にも、この産業ならばぺ−し得るものであるし、かつまた、地域社会から歓迎されるものだという意味の強力な資金的な援助等もあって、なくちゃならぬものだといって誘致するならいざ知らず、今日の資本主義社会における現状から見て、思惑から先行投資をして、倒産とか、あるいは合併とか吸収とかという形で行なわれるものも多々あります。したがって、この工業団地をつくるという場合の地点、これに対する招致する産業の種類、それからその商品の消費先等、十分に何年か後の想定があるはずであります。無秩序の工場団地をつくるのではないと思う。それらを合わせた資料をひとつ出していただきたい。この地区にはどういう産業をいつごろまでに呼ぶ、これの労働源というものはここにこれだけある、この労働源を吸収して、これをその地域社会に還元するのだというような、こまかい計数がなければ、工場団地等はいたずらに造成すべきものではございません。したがって、その計画をこれは内閣責任——これは総理大臣が主宰者ですからね、これはその意味内閣責任において、その点を資料として出していただきたいと思う。
  27. 小西則良

    政府委員小西則良君) いま先生のおっしゃいましたとおり、できるならこの近い周辺地域におきましては、工場をあまりつくりたくないというやはり気持ちでおります。しかし、先ほどおっしゃいましたように、この地区に必要である家具木工の類でありますとか、あるいは電気器具のようなものでありますとか、さらにまた印刷工場というようなもの、こういうようなことを考えますと、地区から全然工場というものをボイコットしてしまうということはできないと思うのでございます。  それから既成市街地工場との関連において、やはりどうしても投資はいけないというものも、そこに吟味さるべきだろうと思うのでございます。  それともう一つは、この近郊整備地帯というのは、これから関係行政機関の長であるとか、あるいは地方の公共団体であるとか、あるいはまた審議会等にはかりましてこれらの区域をきめていくということになろうかと思いますが、この区域の中には、現在市街地開発区域として指定されているところがございまして、すでに工業団地の造成をやっているというところもございますので、これらを考えまして、この近郊整備地帯におきましても、やはり工場というものが設置できるという形にせざるを得ないというような気持ちでここに設置する、こういうぐあいにしておるのでございます。  先生のいまおっしゃいました資料につきましては、現在ただいま申し上げましたような気持ちで特殊の工場というものが当然ここに考えられるのではないかというようなくらいのいま気持ちでおりますけれども、これらにつきましても検討いたしまして、先生のおっしゃるとおりに一応資料を整えたいと思います。  ただ地域計画とか、その他につきましては、いま直ちに全面的に近郊整備地帯というものの区域指定は、この法案によりましても、一年以内、こういうことにしておりますが、その開発区域というようなことになってまいりますと、相当広い範囲になりますので、一気にこれを指定して計画を立ててしまうというようなことには、必ずしもなかなかならないんじゃないか、かように考えておるのでございます。
  28. 田中一

    田中一君 私は、さっきから言っているように、学校とか工場等の新設を制限しようというときにも、必要な工場は持つべきだ、こう言って反発したものです。だから原則的には反対するのじゃないのです。ただだれの何の意思によって工業団地が造成されるかということを知りたいのです。首都整備法というものは、これは人為的な工作なんです。自然にできたものじゃないのです。人間の知恵が住みよい環境をつくろうというところにある意思なんです。したがって、想定されるその地域社会というものに対して、日本全体の生産工業というものからその地域がどういう立場に置かれているかということを検討しなければならないのです。それが、造成するのは住宅公団とかあるいは住宅金融公庫の資金を持つところの事業体とか、都道府県市町村とか、今日までに工場誘致を目ざして宅地を造成し、一坪の土地も売れないで非常な苦しみを味わっているところの地方公共団体がたくさんあるということを、あなたは知らないはずはないと思うのです。たとえば、郊外の会社関係の宅地造成にいたしましても、それきりです。何にも売れていない。これは政策的に、後進地域においては、その地域社会の繁栄、先進地域においては、その無秩序な膨張をはばみ、よい環境の地域社会をつくるために首都圏整備というような事業が行なわれなければならない。国全体の産業構造の面から見て、その地域社会がどういう立場に置かれているかということを検討された後に工業団地の造成等も行なうべきであると思うのです。現に、首都圏基本問題懇談会の答申というものが出ております。これには住宅公団から出席している委員もいなければ何にもないですよ。何の意思でこれをやるのか、ここにあるところの愛川重義さんにしても、読売新聞の論説副主幹として、真剣にこうした問題に取っ組んで、自分の知能というものを完全にこれに投入して考えるなんという時間も余裕もない人たちばかりです。その根本的な意思というものが、ほんとうにそれをつかんで、そこから具体的に足を運んで、そこで実態を見て、そうしてあらゆる世界の都市計画等も調べながら一つの答申が出るという真剣さを愛川さんに求めようなんということは無理なんですよ。つくるものは、事業計画であすこにつくろうじゃないか、ここにつくろうじゃないかといって、だれかの意思でつくる。だれかの意思とは何かというのです。そういう点で一つの事例でいいですから、そういうものをあげてひとつ説明していただきたいと思います。  きょうは時間がないから、まだまだ会期は来月の十九日までありますから、決しておそいわけじゃございません。再び三たび委員長がかわるたびに、事務局長がかわるたびに、あとを追っかけていく、これは整備法案じゃなくて整理法案ですね、あと始末の法案なんです。現象を追っかけてついていく、主務者がかわるたびに、また現象を追っかけて整理しなきゃならぬ法律案が出るということはもうたいへんです。根本的に、この際国務大臣も何も委員長にならぬだっていいじゃないですか、腰を据えて十年なら十年みっちりこれに取り組むという力がある機関にならなければ、ないよりはましでありますけれども、ほんとう国民が求めるものにはならないのではないかという心配を感ずるわけなんです。いま申し上げた点、ひとつ書類でもってお出し願いたいと思うのです。それについてまた質疑を続けます。  私は、きょうはこれであとの質問を終えることにいたします。
  29. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 小西事務局長に申し上げますが、先ほど言った関係都道府県内における、特に四十年度予算関係するわかる範囲計画、資料を出していただきたい。それからもう一つは、その対象となる首都圏地域内における何といいますか、日本経済の中における、状態の中から当面求める分析がどういうようなものかということでしたな。−そういうような各資料。
  30. 小西則良

    政府委員小西則良君) いまお話ございました予算の問題につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、できるだけ整えて御提出いたしたいと思います。  それからいまの、あとの問題でございますが、首都圏計画の基本としまして、人口問題がその基本となってくるわけでございますが、人口問題といたしましては、人口調査が大体五年おきに三十年、三十五年と将来の人口想定に対して参考になる人口調査が過去二回ございます。それで、幸いにしてことしがまたその人口調査の年に当たっておりまして、この十月に行なわれます人口調査というものによりまして、将来のほんとう意味のこの基本計画というものにタッチするのが、この十月の人口調査の結果を見まして、基本計画の人口問題ということに本格的に入ることになろうかと思いますので、現在におきましては、その意味においてはいささか中間の段階における状態になろうかと思います。いずれ私たちのほうといたしましては、どこまでも人口が基礎でございますので、この十月の人口調査というものを待っておりまして、何ぶんにも過去には三十年と三十五年とこれ二つで総体を、将来の総合的のものを予定するということはなかなかここに困難がございますので、そういう意味でこの十月の人口調査というものを期待しておりますので、本年の終わりから来年度にかけましては、ほんとうのいま田中先生の御指摘になるような問題に本格的に取っ組んでいけるんじゃないかと、かように考えているのでございまして、いまお話の問題につきましては、いささか中間段階のものだということになろうかと思いますけれども、できるだけ努力をいたして提出いたしたいと思います。
  31. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今回の改正について、どうも枝葉末節的な感じがするんですけれども、首都圏基本問題懇談会の答申があって、その答申の中に、数々の現況と問題点ということが指摘をされているわけです。この指摘をされている事柄が非常にたくさんあるわけですけれども、これらの指摘された事柄を具体的に解決する方向に向かっているかどうかということなんですが、現状までは解決の方向にちっとも向かってないような気がするんですね。たとえば交通難の問題にしましても、自然環境の問題にしましても、公害の問題にしましても、人口の集中の問題にしましても、こういう指摘された事柄は緩和の方向へ向かってないでますます激しくなるという方向に向かっているように思うんですが、これらの問題は、これは根本的に解決するためには、政府自身がほんとうに腰を据えてかからないことには、もう首都圏整備法といったような法律そのものが現実とは全然縁のない、宙に浮いたものになってしまうというおそれがあるような気がするんです。というよりも、すでに宙に浮いてしまったような気がするんですけれども、これは一体大臣として、単に法律だけつくって当面を糊塗しているというのでは、私はしようがあるまいという気がするんですが、本腰を入れてやれるのかどうかですな、ただ法律が存在しているというだけじゃ意味がないと思う。非常にしかし問題としてはむずかしいと思うんですよ。これらの指摘された事柄を解決するということは、これは河野さんから首都圏整備委員長も代はかわってはいるけれども、手がつかないという現状じゃないかと思うんですね。一体これは本気になって手をつけるのはいつからおやりになるつもりなのか、このところをはっきりした方針をお示し願いたいと思うんです。
  32. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 建設省としましても、たとえば道路についての将来構想、特に首都圏に関する将来構想がありますし、運輸省には鉄道の構想があると思います。それを取りそろえましてあとでこれは一覧表にして差し上げます。
  33. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それから、東京の新しい空港の問題もまだきまらないでごたごたしているという状態なんですけれども、空港もきまらないし、それから都市の機能あるいは人口の分散といったような大きな計画がどうもまとまってないような気がするんですがね。こういうことは、日本の産業構造をどうするかという基本問題につながると思うんです。それに対して一体どこが中心になって計画を実質的に推進していくかということが、国民の立場から見るとつかめないわけです。だからそれらの点、いままでのように各省ごとに担当担当でもって頭ひねっておって、そしてはかどらないということではまずいと思うんですがね。これはやはり首都圏の問題は本気になって取り組むならば、さっきの田中委員のお話じゃないけれども、担当する人がちょくちょく交代をして、そのたんびに立ち消えになるということも問題のような気がするんですけれども、そういう点は、やはり依然として建設大臣がかわると委員長もかわるというような姿をこれからも続けることになるんですか。それはどうなんでしょう。
  34. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) これは大臣がかわりましょうとも、あるいは事務局長がかわりましすうとも、たとえば整備計画なら整備計画できめた方向に向かっていくわけでありまして、先ほど申し上げましたように、われわれのほうは道路の計画を持っておりますし、それから運輸省は鉄道の計画を持っているわけであります。また、郵政省は通信の計画を持っておりまして、そういうものはあと首都圏については、四十三年なら三年まではこういう構想、これはわれわれのほうに五カ年計画があるわけですから、四十三年まではこういう構想、それからまた五十五年まではこういう構想というもので出せると思いますので、この次までにそういうものを取りまとめて申し上げます。
  35. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まあそれぞれの担当各省やっていることについてはわかるんですけれども、それじゃ、この首都をめぐる諸条件について指摘をされている、首都の過大化を防止すべきであるとか、政治経済の中枢機能をどうするか、教育文化の機能についてどうするか、工業生産機能についてどうするか、人口の配置についてどうするかと、こういう問題については、結論は出せる状態にありますか。
  36. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) その点がいわゆる首都圏の機構の問題とからんでくるわけであります。機構の問題がまだ未解決でありますので、いまでは隔靴掻痒の感がするわけでありますが、この機構の問題をどうするかという問題はまた全国的な計画の問題とひっからんでまいりますので、なかなか結論が見出しにくい、この点は御了承願いたいと思うのでありますが、たとえば首都圏のことだけ、たとえば道路計画を考えてみますと、首都圏の道路はうまいぐあいにいくでありましょうけれども、それでは全国の山間僻地との道路関係はどうか。限られた予算の中で首都圏に一体幾ら持ってくるのか、あるいはその他の未開発地帯に対して一体どうするのかということが、一方において首都圏で縛ばられてしまうということになりますと、未開発県の道路の問題が解決できないというような問題がありまして、その辺の調整をどうするのかというような、一例を申し上げますとそういう問題があって、なかなか首都圏の機構の問題が解決難におちいっておる、こういう実情であります。
  37. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ほかに御発言ありますか。−他に御発言もないようでありますから、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会      —————・—————