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田中一君 いま三十九年度の新規災が六百三十九億、国費で四百九十八億ということになっておりますが、最近、昨年、一昨年等の
災害はわりあいに少なかった。新規災は少なかった。それだけに
財政当局は、全体の
災害復旧という面と、現在の河川の保全という問題は、原形復旧という
災害復旧の問題と、改良を加えた新しい
治水計画を持っておるわけなんです。ところが、
災害が減ると、当然これは
治山治水費というものは増大されなければならない。ところが、逆に減る傾向がある。これは
小山建設大臣に伺っておきますが、河川局では、全国的に直轄河川あるいは
補助河川等についても、ことに今回の
指定された一級河川十五
水系というものが、どこにどのような集中豪雨なり台風が通過すると、このぐらいの
災害になるのだということがわかっておるはずなんだ。全部わかっておるはずです。そうしてただ単に何年災何年災という、何年災を、五十年なら五十年前の
災害をもとにしてああだこうだという
計画でなくて、全体に対してもどうしても必要な額というのはもう積算されるはずなんです。これは力
関係で、去年は
災害復旧費が少なかったからといって今度は回わしてくれるなら別ですけれども、今度逆に減ってくるのです。したがって、もういままでの
治山治水計画というものは
災害待ちの
計画なんです。早く
災害があってくれればいいというのが、おそらく河川局の
治水行政のほんとうの腹の中の願いだと思うのです。当然集中豪雨なり何なりあれば、これは必ず破堤するのだということがわかっていながら手が出ない。私は、今回の新五カ年
計画が、もとの底からほんとうの、
治山治水を担当する主管者のほんとうの技術的なあるいは見通し等の積み上げからくるものではないのではないかという疑問を持っておるわけなんです。たとえば、一つの
水系をとっても、新しいあの
水系のどこそこに集中豪雨があった。そうすると破堤する個所はわかっているのです。わかっていないような河川局じゃ、これは技術屋と言えません。当然わかっておるはずです。それを守るのが
災害を未然に防ぐということであって、先行投資はそういう形で行なわなければならないわけなんです。ところが、
補助河川にいたしましても、直轄河川にいたしましても、あらわれてくるものは、
災害破堤、洪水によって、ただ単に公共土木費としての復旧費だけでなくて、国民に大きな生命財産の流失というような大きなマイナスを与えながら、ようやく復旧費というもの、
災害復旧という費用が積み上げられ、そうしてそれに対して
治山治水費というものが積み立てられてくるというのは、歴史的な事実なんです。むろんその中には、地方行政の面から見て地方にもいろいろだ業者がいます。コンスタントに仕事が出てくれればその業者も潤おうわけです。決して悪いとは言いません。やはり地方帝業の振興面から見ても、あるいは、この河川は
災害がないからといって、かりに建設業者にしても、だれもいなくなってしまったら、何かあった場合にどうにもなりませんから、あったっていいと思う。その一つの企業を育成する面においても、いいと思う。しかしながら、
災害というものと
治山治水というものが、
災害という歴史的な事実から見て、かくかくするんだというものでないという気象状況であることは、最近の十カ年当たりの経験から明らかにわかっておるわけなんです。それが、この程度の新五カ年計、画では、私どもは期待ができないわけです。ただ単に、
災害復旧という、
災害費を見た場合に、
災害復旧費が入るから、これより上回るんだ、
治山治水費は上回るんだ、こういうことを
財政当局は考えているかもしらぬけれども、これには、加えて国民の大きな犠牲の上に立って仕事がされるということになりますと、私は
建設大臣がこの程度の
計画で納得することはあってはならぬと思うのです。その点、ひとつ建設大盛のいままでの予算は、これはあなたがつくった――いや、前の連中が一応積算しておいたものだったな、これは。しかし、心がまえとしては、そうであってほしいと思うのです。これは実際にそういう積み上げからきているんです。いわゆる
災害待ちの
治山治水行政であると言いたいわけです。