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1965-03-18 第48回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十八日(木曜日)    午前十時三十八分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月十七日     辞任         補欠選任      日高 広為君     岩沢 忠恭君      村山 道雄君     上林 忠次君      川野 三暁君     木暮武太夫君  三月十八日     辞任         補欠選任      木暮武太夫君     川野 三暁君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         安田 敏雄君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 川野 三暁君                 熊谷太三郎君                 瀬谷 英行君     委 員                 小山邦太郎君                 村上 春藏君                 田中  一君                 白木義一郎君                 田上 松衞君                 村上 義一君    国務大臣        建 設 大 臣  小山 長規君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    小西 則良君        建設大臣官房長  鶴海良一郎君        建設省河川局長  上田  稔君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法  の一部を改正する法律案内閣提出) ○治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)     ―――――――――――――
  2. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十七日、日高広為君、村山道雄君及び川野三暁君が委員辞任され、その補欠として岩沢忠恭君、上林忠次君及び木暮武太夫君が選任せられました。また本日、木暮武太夫君が委員辞任され、その補欠として川野三暁君が選任せられました。     ―――――――――――――
  3. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  去る十七日、委員異動に伴いまして理事に欠員が生じましたので、その補欠互選したいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事川野三暁君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。小山国務大臣
  6. 小山長規

    国務大臣小山長規君) ただいま議題となりました首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律、案につきまして、提案理由及びその趣旨を御説明申し上げます。  現下の首都及びその周辺における人口及び産業集中化が無秩序に進んでおりますが、この対策として、政府においては、ここ数年来ことに公共施設整備努力するとともに、他方首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律改正強化を行ない、人口増加の原因となる施設の新増設を一そう抑制することとし、あわせて工業衛星都市としての市街地開発区域も、十八地区にわたってその育成整備につとめているところであります。  このような政府あるいは地方公共団体等の懸命の努力にもかかわらず、遺憾ながらなお十分にその効果をあげるに至っておりません。特に最近既成市街地周辺部におきましては、遮断緑地として想定しております近郊地帯をこえて無秩序な市街化が急速に拡大しつつある状態であります。  こうした既成市街地周辺部の無秩序な市街化を防止し、計画的に市街地整備し、あわせて緑地の保全をはかるため、既成市街地周辺近郊整備地帯を設定し、広域的かつ総合的な土地利用をはかるとともに、この区域を離れた現在の市街地開発区域都市開発区域と改称し、従前のように工業都市または住居都市としての機能のみならず、研究学園都市その他の性格を有する都市としても発展せしめることができるものとし、また、これらの地域への産業の分散を一そう推進するため、近畿圏における都市開発区域、新産業都市等においてとられてきた地方税の不均一課税に伴う地方交付税補てん措置をも認めることといたしたいと存ずるのであります。  これに加えて、現在の首都圏整備計画内容を拡充し、あわせて工業団地造成事業に関する規定整備することにより、首都圏問題の解決を強力に推進しようとするものでありまして、これがこの法律案提案する理由であります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず、首都圏整備基本法である首都圏整備法改正でありますが、第一に、近郊整備地帯を現在の市街地開発区域指定する場合と同様の手続により指定し、この地域において計画的に市街地整備し、あわせて緑地を保全すべく、公共施設社会福祉施設あるいは緑地施設等の多岐にわたる整備計画策定し、その実施推進することにより、首都近郊の無秩序な市街化を防止しようとするものであります。  また第二は、既成市街地及び近郊整備地帯以外の首都圏内における従前市街地開発区域都市開発区域として、それぞれの立地条件にふさわしい性格衛星都市として整備し、首都圏における人口産業等の適正な配置をはかろうとするものであります。  第三には、首都圏整備計画内容として、電気通信等通信施設整備に関する事項あるいは首都圏における広域的な交通通信体系または水の供給体系整備するために必要な事項を加えようとするものであります。  次に、首都圏市街地開発区域整備法の一部改正でありますが、第一に、題名首都圏近郊整備地帯及び都市開発区域整備に関する法律と改め、近郊整備地帯及び都市開発区域整備のための法律といたしております。  第二には、首都圏整備計画実施を確保するため、従前市街地開発区域について規定されておりました建設大臣都市計画決定上の首都圏整備計画尊重義務に関する規定を、近郊整備地帯及び都市開発区域においてそれぞれ適用されるものとし、あわせて、この場合において建設大臣用途地域等指定をしようとするときは、都県知事申し出に基づいてするものといたしております。  第三は、工業団地造成事業に関する諸規定整備でありまして、同事業近郊整備地帯及び都市開発区域の両地域においてこれを行ない得るものとするとともに、その施行者となり得る者として新たに市町村を加えるほか、近畿圏における工業団地造成事業と同様に、事業周知措置土地建物等先買い土地買い取り請求生活再建措置事業計画作成、同事業施行により設置された公共施設管理公共施設の用に供する土地帰属不動産登記法特例その他事業を適正かつ円滑に実施するために必要な規定を設けることとしたのであります。  第四には、都市開発区域への工場誘致をより積極的に推進するため、同区域内における工場の新増設に関し地方税の不均一課税を行なった場合には、地方交付税法上の基準財政収入額算定に関する特例措置を講ずることといたしております。  なお、指定都市につきましては、さきに述べました用途地域等申し出及び工業団地造成事業に関する事務に関し、指定都市の長をもって都県知事と同等の法的取り扱いをいたす規定を設けることとしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨でございますが、首都圏整備推進が焦眉の急務である事態にかんがみ、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  7. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 続いて補足説明を求めます。小西事務局長
  8. 小西則良

    政府委員小西則良君) 首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案につきまして逐条に御説明申し上げます。  第一条におきましては、首都圏整備法の一部改正をいたしております。  初の第二条第四項及び第五項の改正は、首都圏整備法において使用されております用語定義改正でございまして、従前の第四項は、近郊地帯に関する定義、第五項は、市街地開発区域に関する定義でございましたが、提案理由説明の際に申し上げました趣旨にかんがみ、それぞれの規定を、近郊整備地帯及び部市開発区域定義に改めたものでございます。  第十七条関係改正は、首都圏整備委員会事務局計画第一部及び計画第二部の所掌事務に関する技術的改正でございます。  第二十一条関係改正は、首都圏整備計画基本計画整備計画及び事業計画の三種類からなっておりますうちの整備計画内容の拡充に関するものでありまして、従前既成市街地近郊地帯及び市街地開発区域について定めることされておりました事項を、既成市街地近郊整備地帯及び都市開発区域について定めることとし、これにその重要性にかんがみ、電気通信等通信施設に関する事項を新たに加えたものでございます。  また、同条同項第二号のほうは、従前は、既成市街地市街地開発区域間あるいは市街地開発区域区域相互間の道路等交通施設整備に関する事項のみを掲げておりましたが、首都圏における交通通信体系あるいは水の供給体系を広域的に整備することの必要性にかんがみ、このように改めたものでございます。  あわせて、同条の第三項と第四項の間に新たに第四項を挿入いたしまして、整備計画において公害防止について適切な考慮が払われるべき旨を明記したのでございます。  第二十四条から第二十六条までを全部改正いたしておりますが、従前の第二十四条は市街地開発区域指定に関する規定、同じく第二十五条は市街地開発区域内における小中学校の施設に対する国の補助規定、同じく第二十六条は市街地開発区域整備に関する法律規定でございます。  これを新たに、第二十四条は近郊整備地帯指定に関する規定に改め、首都圏整備委員会は、既成市街地近郊で、その無秩序な市街地化を防止するため、計画的に市街地整備し、あわせて緑地を保全する必要がある区域近郊整備地帯として指定することができるものとし、その指定手続従前市街地開発区域指定の際と同様のものとしたものでございます。  第二十五条は、都市開発区域指定に関する規定でございまして、従前市街地開発区域目的工業都市または住居都市として発展させることを適当とするものに限定されており、また、その配置既成市街地周辺地域とのみ規定されておりましたものを、一つは、開発目的研究学園都市など工業都市または住居都市のみに限定せず、かつ、一方では、その配置既成市街地及び近郊整備地帯以外の首都圏地域と明確にいたしまして、衛星開発都市としての性格を明らかにしたものでございます。  なお、念のために申し添えますと、従前の第二十五条の国の補助規定は、昨年の第四十六国会におきまして、義務教育学校施設費国庫負担法改正されました結果、同条に規定いたしておりました特例が全国的に認められることとなり、現在ではすでに死文化いたしているものをこの際整理した次第でございます。  第二十六条は、工業団地造成事業その他の整備手法近郊整備地帯及び都市開発区域の両地域にわたって適用せしめるため、現在の首都圏市街地開発区域整備法対象範囲を拡大しようとする趣旨でございます。  次に、この改正案の第二条におきましては、首都圏市街地開発区域整備法の一部改正をいたしております。  まず、先ほど申し上げました趣旨にかんがみ、題名首都圏近郊整備地帯及び都市開発区域整備に関する法律と改めることといたしております。  目次の改正は、技術的なものでございます。  第一条関係改正は、目的改正でございまして、先ほど申し上げました趣旨を体したものでございます。  第二条関係改正は、この法律において使用されております用語定義改正でございまして、技術的なものでございます。  第三条関係改正は、従前市街地開発区域におきましては、建設大臣首都圏整備計画に従って都市計画を決定すべき努力義務を課せられていたのでありますが、これを近郊整備地帯及び都市開発区域の両地域においてその適用があるように改めるとともに、同条に第三項及び第四項の二項を新たに加えまして、これらの地域において建設大臣首都圏整備計画に従って都市計画を決定しようとする場合におきましては、建築基準法規定しております用途地域等指定は、市町村申し出を待たずして都県知事申し出に基づいて行なうこととし、他方都県知事がその申し出をしようとするときは、関係市町村の意見を聞かなければならないこととする旨の特例を設けたものでございます。  この特例を設けることにより、首都圏整備計画に基づいた合理的な土地利用の確保をはかるとともに、地元市町村の利害の調整をも十分に考慮しようとする趣旨でございます。  第四条関係改正は、工業団地造成事業施行することができる地区の要件に関するものでございまして、工業都市として発展させることが適当な都市開発区域はもとより、近郊整備地帯の中でも整備計画により工業市街地として整備することが適当な区域におきましては、計画的に工業団地造成が行ない得るものとしたのでございます。  第七条関係改正は、工業団地造成事業施行者となり得べき者として市町村を加える趣旨でございます。  第二章第三節の節名改正は、次に述べます土地先買い等規定が同節に加わることによる技術的なものでございます。  第十四条の次に三条を加える改正規定は、新たに加えました第十四条の三の土地建物等先買い規定を設けたことから、そのために必要な第十四条の二の周知措置あるいは第十四条の四の土地買い取り請求を認める規定が関連して追加整備されたものでございまして、これらの規定は、首都圏工業団地造成事業と全く同様の性格近畿圏工業団地造成事業あるいは相似た性格の新住宅市街地開発事業にも設けられているものでございます。  第十七条の次に一条を加える改正規定は、工業団地造成事業施行に必要な土地等提供者生活再建措置について、施行者努力義務を明記したものでございます。  第二章第二節の次に一節を加える改正規定は、従前首都圏工業団地造成事業につきましては、専業計画作成等が法定されていなかったのでありますが、後に御説明申し上げます公共施設管理引き継ぎ、あるいは公共施設敷地帰属規定を加えるとなりますと、あらかじめ、これらの管理者等との協議を行なう必要が免じてまいりますので、今後は事業計画作成することとし、処分管理計画につきましても若干の技術的改正を加えまして、この両計画一節に取りまとめたものでございます。  第十九条関係改正は、従前事業計画が法定されていなかったため、工事が完了したときは施行者がみずから公告しておりましたものを、事業計画と適合した工事であるかどうかを判断した上で行政庁が行なうこととしたものでありまして、これもあとの公共施設引き継ぎ等と関連した改正でございます。  第二十条関係改正は技術的なものでございますが、同条の次に二条を加える改正規定は、工業団地造成事業施行により設置された公共施設管理者を明確にするとともに、事前に事業計画及び処分管理計画協議が成立している公共施設管理者となるべき者は、その公共施設事業計画に適合している限り、その引き継ぎを拒むことができないものとし、あわせて、公共施設の用に供する土地帰属につきましても、事業施行前の公共施設敷地難業完了後のそれとがいわば交換されるというたてまえといたしております。  第二十一条から第二十六条までの間の改正は、技術的なものでございます。  第二十七条の次に次の一条を加える改正は、工業団地造成事業に関しまして書類の送付ができない場合に、その内容を公告することをもって送付にかえ得る趣旨でございます。  第二十八条関係改正は、事業計画を法定したことに伴う技術的改正でございます。  第二十九条関係改正は、施行者として市町村を加えたことに伴う技術的改正でございます。  第三十条の改正も技術的なものでございます。  第三十条の次に二条を加える改正規定は、第三十条の二におきまして不動産登記法特例を、第三十条の三におきまして政令への委任の規定を、それぞれ設けたものでありまして、工業団地造成事業が何ぶんにも広い面積にわたる権利移転地目変目合筆分筆等を伴うものであることにかんがみ、政令で特別の登記令を受けることができるものとするほか、公告の方法なども政令で定めることができることとするものでございます。  第三十一条から第三十三条までの間の改正は、技術的なものでございます。  第三十三条の次に一条を加える改正規定は、いわゆる地方税の不均一課税に伴う特例措置でございまして、都市開発区域内における工場の新増設に関し、不動産取得税または固定資産税軽減課税を行なった地方公共団体につきましては、地方交付税法上の基準財政収入額算定に関する特例措置を講ずるものとし、これによって、都市開発区域への工場誘致推進をはかろうとする趣旨でございます。  第三十四条及び第三十五条関係改正は、技術的なものでございます。  第三十五条の次に一条を加える改正規定は、地方自治法上の指定都市首都圏におきましては現在は横浜市がこれに該当いたしますが、とれにつきましては大都市としての性格上、都県知事が処理することとされている事務をその市長に処理させる特例を設けたものでございます。  第三十九条を第四十条とし、新たに加えました第三十九条の規定は、土地建物等先買い規定に違反した者及び造成工場敷地に関する権利処分に際して虚偽の承認申請をした者に対する罰則でございます。  なお、念のため申し添えますと、以上御説明申し上げました改正規定のうち、工業団地造成事業に関するもののほとんど全部が、昨年御審議いただきました近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律規定とその平仄が合うように整備いたしたものでございます。  次に附則について御説明申し上げます。  第一項は、この改正法施行期日についての規定でございまして、この改正法の一部は公布後三月以内に、また他の一部は公布後一年以内に、それぞれ政令で定める日から施行することといたしております。その区別は技術的にきわめて微妙ではございますが、大別いたしまして、早急に規定整備することを要し、かつ、準備も比較的容易な工業団地造成事業に関する改正規定は三月以内に施行し、計画策定あるいは区域の設定に慎重な検討を要する近郊整備地帯等に関する改正規定は一年以内に施行する趣旨でございます。  第二項から第四項までは、この改正に伴う経過措置についての規定でございまして、第二項におきましては、この改正法が実際に施行されるまでの間に、首都圏整備委員会が、改正後の規定施行準備のために、計画の改定あるいは区域指定等に必要な諸手続改正後の規定の例により取り進めることができるものとし、他方従前市街地開発区域がそのまま都市開発区域として存続させる場合の手続簡略化特例について規定したものでございます。  第三項及び第四項は、この法律施行の際現に施行されている工業団地造成事業についての経過措置規定したもので、きわめて技術的なものでございます。  第五項から第十項までは、以上の改正に伴う関係法律のそれぞれ一部改正規定でございまして、第五項の都市計画法、第七項の地方自治法、第八項の建設省設置法及び第九項の租税特別措置法は、いずれも字句修正等技術的改正でございます。  第六項の公有水面埋立法の一部改正は、工業団地造成事業施行による小規模な埋め立てについての同法の適用除外及び埋め立て地帰属特例につきまして、近畿圏工業団地造成事業同様趣旨改正を加えたものでございます。  第十項の水資源開発促進法の一部改正は、首都圏整備計画において水の供給体系整備に関する事項をも策定することとなったことにかんがみ、水資源開発基本計画との調整をはかるためのものでございます。  以上、簡単ではございますが、首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案につきまして、逐条に御説明いたした次第でございます。
  9. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 本案に対する質疑は、後日に譲ります。
  10. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  11. 田中一

    田中一君 昨年の新河川法改正のときにも、新しい計画事業というものを明示せよという要求をしておったのでありますが、一応今回この新しい五カ年計画ができたことに対しては、約束を守ったとして当然だと思いますが、そこで、この計画策定までの間に、おそらく建設当局、いわゆる治山治水を担当する部局としては、これだけでは足りない、かくかくの方針が望ましいのだという原案をお持ちだったと思うのです。最初にそれを説明していただいて、そうして財政上の問題その他の理由によってなぜこうなったかという点について、もしも簡単な資料でもあれば、要求された原案、それから調整されて今日になったという時点における経過ですね、これを伺っておきたいと思うのです。
  12. 上田稔

    政府委員上田稔君) お答え申し上げます。  私どもは、この新しい河川法が成立をいたしまして、その新しい河川法趣旨は、水系を一貫して治水を行なうということがもとになっておるわけでございますが、水系を一貫して、区域ではなくて全体の川をながめて、そして改修をするという計画を立てたわけでございます。そうして、もちろん砂防も、それに合わせまして砂防工事計画していくということで計画をいたしました。そうして、その全体といたしまして日本の川というものをどうするかということからスタートをしていったわけでございます。そういうふうにいたしまして、たとえば三十町歩以上の想定はんらん面積のあるところは堤防で守る、そうしてそれ以下でありましても、家が密集をいたしておるとか、あるいは重要な工作物のあるところは守っていく、こういう考え方で長期計画というものを作成をいたしたわけでございます。その長期計画日本の現状から見て、いままで農業中心でありましたものが、これから産業中心に変わっていくというようなことから考えまして、そうして諸外国等への製品の輸出ということを考えていかなくちゃいけない。それにはやはり諸外国との値段の問題なんかも十分に考慮していかなくちゃいけない。それには工業立地条件なんかも考えていかなくちゃいけない。ところが、日本の国は非常に災害が多い。非常に災害が多いということは、せっかく工場ができても、また住宅ができても、これが非常に水害で、いままでせっかくつくったものがすぐにだめになってしまうということになる。こういうことでは立地条件も変わってくる。また、住民の生活も、戦後非常に衰えておったけれども、これはやはり欧米並みの目標に持っていかなくちゃいけないということで、そういう計画を、大体二十年以内にこれをやり上げていこうじゃないかというような構想を描いたわけでございます。それに基づきまして、第一期の五カ年計画として新河川法に基づいた治山治水計画を立てていこうということで、一兆五千四百億というものをまず描いたわけでございます。しかしながら、日本経済状況というものが高度成長からだんだんと安定成長に向かいつつあるというようなことを考え、また、いろいろな日本の経済の動きというものから見て、いま少し、一兆五千四百億を急に、つまりいままでの予算から、前期五カ年の治水事業をやっておりました四千億の予算に比べて、急に伸ばしていくという点において少し無理があるのではなかろうか。また、たまたま中期計画というものもお立てになっておりますし、中期計画では非常に少なく見られておるわけでございますが、これを修正を――修正といいますか調整をしていただきまして、そうして一兆一千億という線に押えていただいたわけでございます。ただ二十年の長期の夢というものについては――夢じゃない、構想については、それに向かって進んでいくという考えでおります。
  13. 田中一

    田中一君 この積算の裏には、具体的な対象が明らかになったと思うのです。これはどうなんですか。大体できておるんでしょう、それは。
  14. 上田稔

    政府委員上田稔君) この五カ年計画につきましては、ただいま申し上げましたように、長期計画というものを立てておるわけでございます。これの目標をどこに置くか。結局、治水といいますけれども、何年洪水といいますか、どの程度の洪水を対象にして国を守っていくかという点において規模がきまってくるわけでございます。たとえば二百年に一ぺんあるような洪水を対象にするとか、あるいは三百年に一度あるようなものを対象にするとか、あるいは百年ぐらいのものを対象にするとか、あるいは五十年ぐらいを対象にするとか、いろいろ、それによって目標が変わってくるわけでございます。そして国土の安全性というものがそれによって変わってくるわけでございます。しかし、日本の国の、大体、最近に出ておる洪水から見て、長期構想というものを重要水系については、少なくとも五十年以上の洪水というものを対象に見ようじゃないか。既往の最高水位といっておりますが――既往といっても、明治以前のものは入っておりませんので、明治以降のものでございますが、それの既往の最高水位、これを統計的に直してみますと、大体、日本の重要水系は、五十年に一度以上のものが出ておるわけでございますが、私どもは、これを計画の対象にいたしたわけでございます。そうしてそのほかのものについては、たとえば支川につきましては、第二の洪水、といいますと、統計的でもっていきますと、大体、三十年に一度以上の、それよりももうちょっと高い高水量になるわけでございますが、それを対象に計画をしておるわけでございます。それからそのほかの、今度は水系でございますが、それは、やはり明治以降の第二の高水量を対象に計画をいたしたわけでございます。そういうことを対象にしてこの構想をつくったわけでございます。そして一本一本積み上げてまいりますと、大体、約十兆程度の工事になるわけでございます。
  15. 田中一

    田中一君 ちょっと、資料もあると思うから伺っておきますが、三十五年度の災害復旧費は幾ら使いましたか。それから三十五、六、七、八、九年と、過去五カ年間の災害復旧費はどのくらい使っておりますか、年度別に、ちょっと御説明願います。それから三十九年災、三十九年度の新規災害というものは幾らに積み上げておるか。これは、むろん、治山治水関係といいながら、建設大臣が担当しておる治水関係だけでもけっこうです。
  16. 上田稔

    政府委員上田稔君) 現在、手元の資料でいきますと、三十七年、八年、九年につきましては、ちょっともう少し、これ不足であると思いますが、それで申し上げたいと思います。  三十七年につきましては、直轄の河川等の災害復旧費につきましては三十八億五千一百万円、補助のほうが三百九十一億七千二百万円、それから三十八年災害は、直轄災は二十八億一千一百万円、補助のほうが四百五十二億九千八百万円、三十九災は、これは、十一月ですから、十月ごろの資料じゃないかと思いますが、ちょっと古うございますが、全部入れまして、いま覚えております範囲では、七百億近くあったと思います。
  17. 田中一

    田中一君 いま三十九年度の新規災が六百三十九億、国費で四百九十八億ということになっておりますが、最近、昨年、一昨年等の災害はわりあいに少なかった。新規災は少なかった。それだけに財政当局は、全体の災害復旧という面と、現在の河川の保全という問題は、原形復旧という災害復旧の問題と、改良を加えた新しい治水計画を持っておるわけなんです。ところが、災害が減ると、当然これは治山治水費というものは増大されなければならない。ところが、逆に減る傾向がある。これは小山建設大臣に伺っておきますが、河川局では、全国的に直轄河川あるいは補助河川等についても、ことに今回の指定された一級河川十五水系というものが、どこにどのような集中豪雨なり台風が通過すると、このぐらいの災害になるのだということがわかっておるはずなんだ。全部わかっておるはずです。そうしてただ単に何年災何年災という、何年災を、五十年なら五十年前の災害をもとにしてああだこうだという計画でなくて、全体に対してもどうしても必要な額というのはもう積算されるはずなんです。これは力関係で、去年は災害復旧費が少なかったからといって今度は回わしてくれるなら別ですけれども、今度逆に減ってくるのです。したがって、もういままでの治山治水計画というものは災害待ちの計画なんです。早く災害があってくれればいいというのが、おそらく河川局の治水行政のほんとうの腹の中の願いだと思うのです。当然集中豪雨なり何なりあれば、これは必ず破堤するのだということがわかっていながら手が出ない。私は、今回の新五カ年計画が、もとの底からほんとうの、治山治水を担当する主管者のほんとうの技術的なあるいは見通し等の積み上げからくるものではないのではないかという疑問を持っておるわけなんです。たとえば、一つの水系をとっても、新しいあの水系のどこそこに集中豪雨があった。そうすると破堤する個所はわかっているのです。わかっていないような河川局じゃ、これは技術屋と言えません。当然わかっておるはずです。それを守るのが災害を未然に防ぐということであって、先行投資はそういう形で行なわなければならないわけなんです。ところが、補助河川にいたしましても、直轄河川にいたしましても、あらわれてくるものは、災害破堤、洪水によって、ただ単に公共土木費としての復旧費だけでなくて、国民に大きな生命財産の流失というような大きなマイナスを与えながら、ようやく復旧費というもの、災害復旧という費用が積み上げられ、そうしてそれに対して治山治水費というものが積み立てられてくるというのは、歴史的な事実なんです。むろんその中には、地方行政の面から見て地方にもいろいろだ業者がいます。コンスタントに仕事が出てくれればその業者も潤おうわけです。決して悪いとは言いません。やはり地方帝業の振興面から見ても、あるいは、この河川は災害がないからといって、かりに建設業者にしても、だれもいなくなってしまったら、何かあった場合にどうにもなりませんから、あったっていいと思う。その一つの企業を育成する面においても、いいと思う。しかしながら、災害というものと治山治水というものが、災害という歴史的な事実から見て、かくかくするんだというものでないという気象状況であることは、最近の十カ年当たりの経験から明らかにわかっておるわけなんです。それが、この程度の新五カ年計、画では、私どもは期待ができないわけです。ただ単に、災害復旧という、災害費を見た場合に、災害復旧費が入るから、これより上回るんだ、治山治水費は上回るんだ、こういうことを財政当局は考えているかもしらぬけれども、これには、加えて国民の大きな犠牲の上に立って仕事がされるということになりますと、私は建設大臣がこの程度の計画で納得することはあってはならぬと思うのです。その点、ひとつ建設大盛のいままでの予算は、これはあなたがつくった――いや、前の連中が一応積算しておいたものだったな、これは。しかし、心がまえとしては、そうであってほしいと思うのです。これは実際にそういう積み上げからきているんです。いわゆる災害待ちの治山治水行政であると言いたいわけです。
  18. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いまおっしゃったことは、よく趣旨はわかるのであります。むろん河川の当局としては、守るべき堤防、つくるべきダムというものが、どこどこになければならぬということは、先ほど局長が御説明しましたように、二十年間には全部の河川を守り切るという構想を描いておるのは、すなわち、各河川ごとに脆弱な堤防、あるいはダムをつくるべき場所、砂防をするべき場所があるということを前提としておるわけであります。そこで、それはそれじゃ一挙にできるかというと、これは資金の関係がありましてできないことは、御了承願えると思うのでありますが、そこで、その二十年というものを四期に分けて五カ年ずつやっていこうという計画を立てておるわけなんであります。そこで、先ほど申しましたように、今度の新規五カ年計画については、まず一兆五千億でスタートしようということからいたしましたのは、いま申し上げたように、まず重要水系のかくかくの場所はどうしてもやっておく必要がある、あるいは補助河川その他についても、まずこの程度のものはどうしても必要であるということから、一兆五千四百億という積算、積み上げをしたわけなんです。ところが、一方において、例の中期経済計画というものがあります。中期経済計画においては、総投資が、五カ年間において十七兆八千億ということになっているし、それから治水については九千億だ、この制約が一つ出てきたわけでありますが、その制約をある程度打ち破りまして、一兆一千億というのは、たしか今度の中期経済計画に直しますと一兆二百億ぐらいであったと思うのでありますけれども、千二百億ばかりオーバーした分は、あとでまた御質問があれば申し上げますが、予備費でまかなうという制度をとりまして、一兆一千億という計画をつくったわけなんであります。したがって、いまおっしゃいましたように、台風災害がくれば堤防が破堤し、結局災害復旧になるのじゃないかということをおっしゃることは、要するに、二十年間でやるべきものについて、建設省としては現在のところ、現在の人口産業配置からいえば、重点順に五カ年計画でやっていくわけですが、重点順に五カ年計画でやっていく以外のところに集中豪雨がきたということになりますと、当然、当然といいますか、残念ながら災害復旧とならざるを得ない、そういう面は出てくるわけでありますけれども、その点はしたがって、おっしゃるように、災害が来てから初めてやることになるのじゃないかというお話にはなりますが、やはり治水計画を立てるとなりますと、二十年間後に成達すべき完成図を描いておいて、そしてその中の人口産業配置その他からいって、一番重要なところからまず手をつけていこう、そして、その金額は財政当局との、あるいは日本の経済の許す範囲ということになってきますと、勢いその中のいわゆる四分の一ですか、数字の上においてはもっとうんと下でありますけれども、順序を立ててやっていくということにならざるを得ない。その結果、それ以外のところに集中豪雨などがまいりますと、破堤が起こる、あるいは災害が起こる、こういうことになりますのは、日本のいまの経済の実情からいって、どうも避けがたいことであるような感じがいたします。
  19. 田中一

    田中一君 やむを得ないというのですね。そうすると、もう一つ伺いますが、一体この新五カ年計画の期間中に、計画中に、大体災害はどのくらいに想定しているか、これは百年、八十年、五十年、三十年とかいう計算、災害の想定があるわけです。おそらく災害というものがくるのだという前提で考えられていると思いますが、その想定はどうなっておりますか。
  20. 上田稔

    政府委員上田稔君) 過去十カ年の年間の被害額の平均でございますが、これが毎年千九百億ぐらいのものがあるのではなかろうか――これは一般被害も入れての計算でございますが、あるわけでございます。これをどの程度に減らすかということでございますが、今後五カ年やりまして、この平均被害額を一千億程度にいたしたいというのを目標にしているわけであります。一千億か一千百億ぐらいにいたしたい。
  21. 田中一

    田中一君 過去十カ年の実績から見て、毎年千九百億というのは、これは事業費としての千九百億ですか、それとも全体の国富というものがそれだけなくなるという前提のものなんですか。
  22. 上田稔

    政府委員上田稔君) この千九百億というのは、一般被害を入れてでございます。すべての災害といいますか、河川による災害を全部入れてございます。
  23. 田中一

    田中一君 この中のあれは、そのうちの公共土木費、そのうちの国費、補助費、どのくらいに分けられますか。全体の被害を千九百億と推定というか、実績でしょうけれども、その中でもって、そのうちの公共土木費というのは、国費でどのくらいになるのか、国費というか、国費というよりも、被害としても、災害としてもいいけれども、どのくらいになります、事業費として。
  24. 上田稔

    政府委員上田稔君) 千九百億の一般、平均被害額のうちで、公共土木被害額というのは大体七百億程度でございます。
  25. 田中一

    田中一君 これはいままでの実績ですね。
  26. 上田稔

    政府委員上田稔君) そのとおりでございます。
  27. 田中一

    田中一君 そうすると、災害があると必然的に金が出てくるのです。かりに今度の新五カ年計画でもって九千億の被害が減ってくるというならば、もっとこれは先行投資すべきなんです。本年度の予算がずいぶん窮屈だ窮屈だと言っております。言いながら減税をやっている。多少の減税をやっている。減税は、実質的に国民経済から見た場合には増税になっておる。中期経済計画だったな、あれにしても、そういう計画にしても、単なる数字の積算であって、いままでの所得倍増計画というものが失敗したとは言いにくいから、そのひずみを直すということを言っておるけれども、事実失敗しておるのです。公共災害において、ことに河川を中心の災害において、一番被害を受けるのは、非常に下積みの人たちがわりあいに多いわけなんですよ。それを守るには、災害がないときこそ大幅に、当然七百億なら七百億という公共土木費の事業費が要るのだったら、これは七百億というものを加えたっていいではないか、そして七百億じゃあと災害があったら困るというなら、年々減少するはずなんだから、新しくその半分の三百五十億というものをプラスして災害のないときには積み上げていくというような、二十カ年計画を十五カ年でやるのだ、十五カ年計画というものを十年で一応やるのだという気がまえがなくては、社会不安なり、災害によるところの生命財産を失うことが多いわけなんですよ。そういう積算がなされないで、財政当局から押しつけられて、去年災害がなかったからいいじゃないかという調子でもってやられたんじゃ、国民はたまらぬわけです。私はこの程度のものじゃ納得できないですよ。いろいろ内容も変わってきていますよ。河川改修、ダム、砂防、この二つの事業の区分からいっても、原因となる砂防事業というものは、相当大幅に伸びています。伸びているけれども、この程度じゃだめです。えてしてこれは――小山建設大臣の郷里には大淀川という川がある。私はこの間行ってみて、まだまだ足りないです。あの程度でもって、台風常襲地帯の大淀川が、まだまだ水系として見た場合には、ひどいところがたくさんありますよ。私はね、この数字が出たから納得したという形を建設省がとっているのはおかしいですよ。もう少し要求すべきであるということなんです。昨年度の災害が、国費で四百九十八億ほど減っておりますね。また年々、砂防施設が完全なところは災害は皆無です、全然何もないです、ほんとうに。これは災害があるたんびに現地視察に出ていきますけれども、ありませんよ。こういう点から見ても、今回この新五カ年計画で行なおうとする河川、ダム、砂防のこの区分の予算づけなどは、まだまだ砂防に足りないです。砂防はこれはもとです。土砂、石などの流出から起こる災害が非常に多いわけなんです。この前期の――前期というか、いままでの治水事業十カ年計画の当初に、当委員会は猛烈にこの計画に対して意見を主張いたしました。そうして日本に一万以上あるといういわゆる河川に、一本ずつの砂防ダムくらいはつくろうじゃないか、上砂の流出を避けるためにつくろうじゃないかというので、これは実行しているはずでありますけれども、これは今日まで、過去五カ年間で何本くらいやりましたか。流出が一番原因なんですね、支流の。だから支流砂防というものをやっていこうじゃないか……。何本くらいこれは完成しましたか。これは本数でいいですよ、金より。
  28. 上田稔

    政府委員上田稔君) 年間約二千五百渓流くらいです。そのうちで完成をいたしておりますのが、半数くらい……。
  29. 田中一

    田中一君 二千五百、河川の……。
  30. 上田稔

    政府委員上田稔君) 約二千五百渓流でございます。
  31. 田中一

    田中一君 これは一本を言っているのですか。一渓流一本ということになっているのですか、これはどうなっています。
  32. 上田稔

    政府委員上田稔君) これは渓流の性質によって変わっておりますが、一渓流に二カ所やっておるところもあります。
  33. 田中一

    田中一君 そうすると、これは計画が二千五百ということは、これは二千五百渓流でいいんですね。そうして千二百五十、半分が完成している、これでいいわけですね。ある渓流については二本やっているところもある、三本やっているところもある、こういうことですね。全体的にこのかつての十カ年計画が出されたときに、それは猛烈な抵抗をやったものです。抵抗というか、是正をやらしたのです。これは多分村上君のときだったかな、建設大臣が。それは猛烈です。これは挙党一致です。そんなこっちゃ災害は守れぬぞと言って。それで伺ってみると、たしか河川は約一万本だったかな、支流を入れて、いわゆる河川と称するものは。そのうちの二千五百本程度に事業を行なおうとして、過去五カ年間に……。そうして完成しているのが千二百五十じゃ、これは配分が間違っていると言わなければならぬです。なぜ砂防事業というものを軽視しているか。今回のこの新五ヵ年計画ではどのくらいを見ているのです。残っているのは、年間に二千五百本やっているとなると、幾らになりますか、五カ年ですから、一万二千五百渓流というものがもう仕事をしておるのだということになるのです。そうしていて完成しているのは千二百五十本ということになるんでしょう。年間と言いましたね。二千五百本というのは。本ということばでいいか……。
  34. 上田稔

    政府委員上田稔君) 毎年着工いたしておりますその渓流の数が二千五百渓流でございます。そのうちで、その渓流の中には一本のいまの砂防ダムをつくっておるところと、あるいはまた、二カ所ないし三カ所同時に着工している渓流もあるわけでございます。そういうものの中で約半数が毎年その本数としてでき上がっていくわけでございます。しかし、その渓流としては、土砂の流出がいままでにもうすでに多くて、山が荒れておるというために、非常に流出量が多いために、その一つの渓流においても、多いものは十本、十カ所のそういう堰堤をつくらなければいけないというような渓流もあるわけでございます。それで、砂防といたしましては、そういう何といいますか、流出土砂の多いものからひとつ堰堤をつくりますと、それが満ぱいになるまでの間時間があるわけでございますが、そういうものを見つつ、全国的には砂防堰堤をつくっていっているわけでございます。しかし、その重点としては、たとえば夫井川がだんだんと形成されそうなものであるとか、あるいはまた下流が非常に重要地域であって、河川に流出土砂が多くなるとたいへんなようた渓流を選定をして、そして工事をやっておるわけでございます。
  35. 田中一

    田中一君 これはかつての十カ年計画の前期五カ年計画策定するにあたっての当委員会の約束と違うのですよ。われわれは、何といっても早急に、たとえば一本じゃ効果がおそい、二本がいいというのがあったらやったらいい。しかし、大体において本流に流入する土砂を何としても治めなきゃならぬというところから、各河川の支流に一本の堰堤をつくれ、こういうことを要求して、それを実行しようとしているのです。しかし、完成したのは五カ年間で千二百五十渓流なんていうことになると、していないということなんです、結局。私は、治水行政というものが政治的に非常に歪曲されてくる危険を多分に感じているのですよ。しかし、よく政治的にひっぱられるならいいですけれども、悪い意味でやられたのじゃたまったものじゃない。えてして砂防というものは、あまり人間が住んでいないところに危険があるものですから、うっちゃっておいて、結局災害待ちということに極言せざるを得ないのですが、千二百五十本くらいじゃ、一体どうなるのですか。これは約束が違いますよ。
  36. 上田稔

    政府委員上田稔君) ただいま申し上げました二千五百渓流というのは、一年間に手をつける渓流数が千二百五十渓流でございます。五カ年間でございますと、その五倍になりませんが、延べでいきますと五倍になるわけでございます。
  37. 田中一

    田中一君 だから完成はどうなんですか。その半分の千二百百五十と言っておりますが、毎年毎年完成しておりますか。そうすると、一河川に砂防施設のないところ。完成したところと完成しないところと数字を資料で下さい。後期五カ年計画の残りの半分を手をつけようじゃないかということになって、われわれは了解しているのです。少しも実行していないということになるのです。これじゃ一体何本ありますか、河川と称するものは。一万幾らあったかな、総計でもっとあったかな。
  38. 上田稔

    政府委員上田稔君) 先生がいま言われました一万一千か二千ぐらいでございますが、これは準用河川以上の河川数でございます。それに土流で渓流というのは、沢がありますと、それが全部渓流になるわけでございまして、まだまだその数より以上のものになるわけでございます。
  39. 田中一

    田中一君 どれくらいあるか。
  40. 上田稔

    政府委員上田稔君) ちょっといまここに手元に持っておりませんので、あとで調べで御提出いたします。
  41. 田中一

    田中一君 そこで、これだけの計画では不十分と言いたい。それから一級河川は、先般一応決定しました。その十五水系というものを中心に考えて見て、当面の直轄河川としてどのくらい投入する計画ですか、五カ年間で直轄河川に対しては。
  42. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 一級河川を五カ年間で幾ら直すかという御質問なんだと思いますが、私どもとしましては、全部やりたいと思います。
  43. 田中一

    田中一君 全部じゃ足りないですよ。ここに区分項目になっているのは、河川改修費とダムの施設費――これは多目的ダムでしょう。それから砂防施設をやった場合には、その程度じゃ全部やれっこない。だから幾らに分けているかということです。伺いたいのは、事業費が幾らで補助費が幾ら、補助河川が幾ら、そのうち、今回の一級河川については、何十%くらい計画が遂行できるかということです。全部やるつたってできませんよ、こんな金じゃ。
  44. 上田稔

    政府委員上田稔君) 私どもは、一級水系、今年度きめていただきました十五水系というものにつきましては、これは予算上の水系でございますので、これは一級水系というのは五カ年間に十五本でしまいというふうには考えておらないので、ただいま大臣がおっしゃいましたように、すべて直轄水系というのは、していただきたいというふうに考えておるわけでございますが、そういう意味におきまして、現在の一級水系に、五カ年間でどれだけかということについては、ちょっと資料がございませんし、まだ十分にそれだけのものはいまちょっと持ち合わせておりません。ただ私どもは、五カ年間におきましては、重要水系、つまり非常に被害を与えることが大きい水系につきまして、これに重点を置いて工事施行していきたい、それについては百水系を目標にして考えていっているわけです。それは全体の約半分以上というものを投入をいたしたい、こういうふうには考えております。
  45. 田中一

    田中一君 しかし、四十年度予算の上において、直轄河川がどのくらい、それから補助河川がどのくらいという金額はわかりますね。四十年度の計画のそれをちょっと知らせてください。私の手元にある資料についてみても、千三百三十七億、河川が、事業費八百五億、国費として五百二十七億という数字、これは正しいのですか。ダムが、事業費二百五十八億、国費百九十九億、砂防が、事業費二百六十八億、国費百九十三億、これは正しいのですか。こういう振り分けをしているんですが、私の申し上げる数字は正しいですから、それを中心に質問しますが……。
  46. 上田稔

    政府委員上田稔君) ちょっといま合計がしてありませんので申し上げかねるのでございますが、治水につきましては、四十年度におきましては……。
  47. 田中一

    田中一君 千三百二十七億。
  48. 上田稔

    政府委員上田稔君) 事業費にいたしまして四百三十億、補助につきましては三百七十四億、これが河川の事業費でございます。
  49. 田中一

    田中一君 合計八百五億になるのでしょう。
  50. 上田稔

    政府委員上田稔君) 合計でございますか。合計は、ただいま先生にお出ししております資料で、四十年度治水事業予算、事業費、河川、ダム、砂防、建設機械を入れまして千三百三十七億でございます。
  51. 田中一

    田中一君 そこで、このうちの直轄分と補助分をちょっと知らしてください。
  52. 上田稔

    政府委員上田稔君) ただいまちょっと合計させます。
  53. 田中一

    田中一君 委員長、それも資料出してください。少し資料が足りないよ。少し調査室に必要な資料をつくらして要求してください。
  54. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 承知しました。そうしますと、河川局長、一千三百三十百億一千七百万の内訳の直轄、補助の内訳、それを河川別、ダム別、砂防別、建設機械別に分けた資料を出してもらいたい。
  55. 上田稔

    政府委員上田稔君) 承知いたしました。提出いたします。
  56. 田中一

    田中一君 小山さん、大淀川のところは砂防はあまりやっていないね。ぼくはずっとこの間歩いてきたのですが、あれじゃだめですよ。少し持っていかなければ、ほんとうに砂防は。やっているところはありましたけれども、少ない。あの大淀川の水害というものは、もう宿命的に、あそこへ、四国へ上陸したらくるものだというふうにあきらめているんですかね。相当な雨量でしょう、もう襲来すると。あなたの町の小林などは相当被害を受けているところがあるのでしょう。あそこは高いからないのですか。下流はどの辺になるのです。だいぶ堤防をやっておりますけれどもね。
  57. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 大淀川につきましては、やはり被害の多いのは、下流の高岡以東、それから国富の支流の綾北、綾南側の流域が一番多いのでございます。
  58. 田中一

    田中一君 私ども、やはり災害は、集中豪雨があろうとも台風がこようとも、土砂の流出、土石の流出がないと災害は相当守れるはずなんです。したがって、砂防施設だけはどうしてもやってくれ、一渓流でもかまいません、一本ずつだけでもとにかく入れてくれ、こう言って再三再四言要求して今日まで十何年聞きているわけなんです。いま伺ってみて、これも資料として出していただきますけれども、足りないと思うのですよ。そこで全体の計画策定は、過去五十年間の、五十年前から今日までを中心としての災害というものを予想しながらつくっているということを言っていましたから、それも一つの見方でしょうけれども、ただ、災害がなかった場所にも一本入れなさいというのです、これは。全然水源がない金山じゃ、やる必要ございませんけれども、あなた方は良識でわかっているはずですけれども、そうせぬと必ず大きい災害になる。で、直轄河川の十五水系、これに対してはどういう心がまえを持っておるのですか。砂防施設施行しようという計画はどの程度に持っているのですか。
  59. 上田稔

    政府委員上田稔君) 先ほど申しましたように、五カ年計画におきまして、十五水系というものを特に計画として進めておるというのではなくて、重要水系というものについては考えておるわけでございます。そして砂防につきましては、渓流砂防、予防砂防というものでございますが、これも十六年ぐらいでひとつ完成をしようじゃないかという考え方を持っておるわけであります。そうして荒廃砂防でございますが、これは十三年ぐらいで完成をしよう。それから地すべり対策事業というもの、これもやはり十三年ぐらいで完成をしよう。こういう計画長期計画、長期構想というものをつくっているわけでございます。
  60. 田中一

    田中一君 今度の法律で書いている新五カ年計画、あれ、十カ年計画、二十カ年計画というものを出したっていいじゃないですか、そういう遠大なものを。計画を出すのは安心感なんですよ。二十カ年計画をつくってくればいい。それで、四分の一前期五カ年計画を出していくということのほうが安心なんですよ。むろんこれは前提としては、一応これが完成した暁には新しい新五カ年計画をつくろうという気持ちでいるでしょう。勇気を持って打ち出せばいいのですよ、計画的な治山治水事業というものを。  それから、もう一つ伺っておきますが、かつての十カ年計画で、その計画の完成率、これはおそらく災害費を控除して、一応計画されたものからどのくらい仕事をしておるか。仕越し工事はどのくらいになるか。足りなければ問題になりません。おそらく仕越し工事をやっているに違いない、よりよき予算を配分していると思いますから。それはどのくらいあるか。これもひとつ資料で出してください、仕越し工事がどのくらいあるか。
  61. 上田稔

    政府委員上田稔君) 資料としてお出しいたしますが、大体いま持っておりますので、事業量というもので申し上げますと、実施の額は、昭和三十五年度は一〇一%の予算をいただいております。このときには、三十五年の単価で積算をいたしておりますので、そのままのものが大体できております。それから三十六年でいきますと、実施額は一〇六%になっております。しかし、物価の変動がございますので、それを直しますと九九%でございます。それから三十七年度で申しますと、一〇九%でございますが、変動を考えますと九七%、それから三十八年が一一三%でございますが、変動を考えますと九七%でございます。それから三十九年が一一八%でございますが、変動を考えますと九九%ということになるわけでございます。したがいまして、まあこういうふうに少し下回っておるのでございますけれども、予算上は。つまり初めの計画のもし積算でいきまして、そうして単に物価だけの変動を少し加味して考えると、予算が少し少ない目に出ているのでございますが、この程度の変動といいますか、差というものは、請負差額であるとか、あるいはまた石積み工法を考えておりましたのが、これはコンクリートブロックでもいいのじゃなかろうかというふうなくふうもいたしておりますので、そういうこれを考えまして、大体予定どおりの工事ができているのじゃなかろうかというふうに考えております。
  62. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 河川局長、いまの資料は用意できますか、田中君から要求したのは。
  63. 上田稔

    政府委員上田稔君) 次回までに準備いたします。
  64. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 他に御発言もないようでありますから、本案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会      ―――――・―――――