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1965-05-18 第48回国会 参議院 外務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十八日(火曜日)    午前十一時三十七分開会     —————————————    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      草葉 隆圓君     館  哲二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳 牧衞君     理 事                 井上 清一君                 森 元治郎君     委 員                 青柳 秀夫君                 木内 四郎君                 黒川 武雄君                 杉原 荒太君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 加藤シヅエ君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君                 渋谷 邦彦君                 曾祢  益君                 佐藤 尚武君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君    政府委員        外務省条約局長  藤崎 萬里君    事務局側        常任委員会専門        員        結城司郎次君    説明員        外務大臣官房審        議官       佐藤 正二君        外務省経済局外        務参事官     内田  宏君        農林省農林経済        局参事官     森本  修君        水産庁漁政部水        産課長      藤本 静香君        通商産業省通商        局農水産課長   後藤伝一郎君        通商産業省通商        局国際経済部長  原田  明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国グレートブリテン及び北部アイルラ  ンド連合王国との間の領事条約締結について  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○関税及び貿易に関する一般協定貿易及び開発  に関する第四部の追加のために改正する議定書  の締結について承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  この際、委員異動について報告いたします。五月十四日、草葉隆圓君が委員を辞任され、その補欠として館哲二君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 日本国グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の領事条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。外務大臣
  4. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいま議題となりました、日本国グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の領事条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、連合王国との間の領事の分野における関係規定するための領事条約締結につき昭和三十七年八月以来同国政府との間で交渉を行ないました結果最終的に合意に達し、昭和三十九年五月四日に東京において大平外務大臣日英閣僚定期協議出席のため来日中であったバトラー英外務大臣との間でこの条約署名を行なった次第であります。  この条約は、本文四十一ヵ条からなり、これに条約不可分署名議定書が附属しております。その内容は、昭和三十九年八月に発効した日米間の領事条約とほぼ同様のものであり、領事館の設置、領事任命手続等のほか、派遣国接受国において領事館について享有する特権免除派遣国領事領事館職員接受国において享有する特権免除について規定し、また、国民保護船舶遺産等に関する領事職務内容について規定しております。  わが国連合王国との間の経済的、文化的及び人的な交流はきわめて盛んであり、その領事関係も複雑かつ多岐にわたっているのでありますが、連合王国は、伝統的に領事特権領事条約規定を根拠として相互主義により認めることとしておりますため、従来わが国領事に対して認められる特権は、きわめて制限的なものでありましたので、この条約の締約により領事職務特権について両国において具体的に取りきめておくことによって、わが国領事地位及び活動に条約上の保障が与えられることとなることは、有意義なことと考える次第であります。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  5. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に補足説明を聴取いたします。佐藤審議官
  6. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 領事条約と申しますのは、御承知のとおり、領事職務特権について規定するものでありますが、この領事職務特権という問題につきましては、以前においては、特に条約に付することなく、お互いの国内法によって国際慣習に適合する待遇を与えるとか、あるいは通商航海条約の中に一般的な最恵国待遇規定するとかいうことによって解決されていた場合が多いのであります。しかしながら、国際的な人的、経済的な交流が盛んになりまして、相手国にいる自国民が多数になりまして、したがって、相互に相当多数の領事を派遣し、自国民保護職務多岐にわたるようになってまいりますと、特に領事条約として具体的かつ詳細に規定する条約締結することが望ましくなってくるわけでございます。このような考え方世界的にも十九世紀末ごろから諸国の間で出てまいりまして、米仏をはじめとする欧米諸国間では数多くの領事条約締結されております。大体数にして五十くらいのものが締結されております。しかし、英国は、このような欧米諸国の間にあって若干特殊な考え方を持っておりまして、この国は伝統的に領事特権相互主義に基づいて認めることとするといろ考え方を一貫してとっておりまして、戦前においては独立の領事条約というものは一切つくっておりません。したがって、通商航海条約等相手国領事最恵国待遇を保障するということはありましたけれども、そのような場合でも、外国領事に対しては特に何ら特殊な地位を認めるというようなことはなかったようでございます。しかし、戦後においては、一九四九年にアメリカとの間に領事条約締結したのを初めといたしまして、具体的な規定を持つ領事条約をだんだんつくってきております。このような条約がない国との間では領事特権を認めないという立場をとっております。英国はこの米国との条約あと、現在までに、ノルウェー、フランス、スウェーデン、ギリシア、メキシコ、イタリー、西独、オーストリー、ベルギー、スペイン、デンマークというような諸国との間で領事条約締結しておりまして、わが国が今日御審議を願うこの条約イギリスにとっては十三番目ということになっております。わが国イギリスとの間では、わが国からロンドン、香港、ソールズベリーに総領事ないし領事を駐在させておりますし、イギリス側からは、東京、横浜、大阪、神戸という領事館がございますが、北九州に領事事務所のようなものを持っております。  なお、両国民がそれぞれ相手国にどのくらいの者が在留しているかという点につきましては、現在イギリスにいる日本人は大使館や領事館登録義務がないために明瞭な数としてはちょっと把握できないのでありますが、貿易商社とか、新聞社船舶会社銀行等現地駐在員が約四百人ぐらいいると考えられます。それで、家族や留学生、旅行者等その他を含めまして常時約三千名くらいいるのじゃないかと思っております。それから香港については、現地総領事館調査によれば、昨年末約千人くらいいるのじゃないかというふうに考えられます。わが国にいる英国人の数は、三十九年二月末現在の法務省の入管の調査によりますと、日本に六十日以上滞在する人だけをつかまえまして数えますと、二千二百人ばかりになっております。  日英領事条約は、このような事実を背景にいたしまして、具体的な規定を持つ領事条約締結が望ましいということで交渉が開始されまして、先ほど大臣からも話がありましたとおり、昨年の五月に日英閣僚定期会議東京で開かれたときに、バトラー当時のイギリス外務大臣大平前外相との間でこの条約署名が行なわれたわけであります。条約内容は、三十九年の八月一日に発効いたしました日米領事条約とほとんど同様でございますが、イギリス側が、自国の先例にならって念のために入れておくというような規定をかなり入れることを主張したために、条文の数は若干日米よりも多数になっております。前文とそれから本文に四十一ヵ条、末文のほかに、条約不可分の一部をなす署名議定書が入っております。条文のこまかい点につきましては、御質問によってお答えしたいと思います。     —————————————
  7. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、関税及び貿易に関する一般協定貿易及び開発に関する第四部の追加のために改正する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  8. 岡田宗司

    岡田宗司君 この条約締結に伴って生ずることは、やはり日本がいわゆる後進国、低開発国から農産物輸入する問題なんですけれども、これは例のケネディラウンド、あるいは昨年のジュネーブで開かれました国連経済貿易開発会議、そういうものとも密接な関係があるのですが、それらの相関関係についてまずどういう見解をとっておられるか、それをひとつお伺いしておきたいと思います。
  9. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。  第一番目に御質問のございましたケネディラウンドとの関係でございますが、ケネディラウンドは昨年からジュネーブでこれはやっております。これは関税一括引き下げ交渉というふうに称されておりますように、原則といたしまして関税を五〇%下げるということでございますが、各国交渉の結果、工業品につきましては原則として五〇%下げることになりましたが、農産物につきましては、その原則は適用がないということになりまして、別個にやるということになりまして、近く始まる予定になっております。このケネディラウンド関税交渉でございまして、この結果といたしまして起こりましたことは、別途国会に御承認を仰ぎまして関税定率の変更となるわけでございまして、具体的な数字があがっております。しかし、今回のいま御承認を仰いでおりますところの新章は、さような具体的な数字ではございませんので、ケネディラウンドとは別個でございまして、後進国との間に、なるべく後進国のほうを助けてやろう、こういうふうな努力目標を書いてございます。この点が、片や関税交渉でございますし、この新章のほうは、ただいままでガットが三十五ヵ条でございましたが、そのあとに三十六条、七条、八条という条文を加えまして一つ努力目標をあらわす、こういうことでございます。  それから御質問の第二点の、国連貿易開発会議、これはUNCTADのことでございます。これはこの新章との差は、参加国も非常に違いまして、向こうUNCTADのほうは百数ヵ国でございまして、このガットのほうは六十六ヵ国でございます。それから一番大きな違いは、国連貿易開発会議のほうは一つ会議でございますが、このガットの新章のほうは一つ条約でございまして、目下国会の御承認を仰いでいるわけでございます。それでございますので、大体UNCTADのほうは非常に相当過激な文句もつかってございまして、先進国に対して輸入の促進を迫っておりますのですが、この新章のほうは、もっと穏健な形になっておりまして、できるだけ努力するというような形になっております。  結論から申し上げまして、UNCTADとの差は、UNCTADとは会議でございます。国連の中で行なわれた会議でございます。それから新章のほうは、ガット条約の三ヵ条の追加ということでございます。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 私はそういう形の上のことを聞いているのじゃないのです。この三つ根本に流れるもの、それはいわゆる先進国後進国、特に農業の第一次産品生産国のものを買うことによってそれらの国々経済に資するところがあるようにして、そうして世界全体の貿易量の増加をはかり、それから先進国後進国の差をなくし、そうしてそれが全体として経済発展を促進するように持っていこうという精神から出ているわけなんでしょう。そこで私は、これらの三つにはそういう底に流れるものは一つではないかと思うのだが、その点をお伺いしたいのだけれどもね。
  11. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。岡田委員の御指摘のとおり、実はその差を申し上げましたが、底に流れております共通のものは、まさに岡田委員指摘のとおり、低開発国があって、そこが慢性的に外貨不足に悩んで社会の生活水準が低いということは世界の不幸でございますので、できるだけこれを引き上げていこう、こういう精神が流れております。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこで、その上に立ってこの三つがどういう関係を持つのですかということを私はお伺いしたいんです。というのは、たとえばケネディラウンド農産物問題がたいへんむずかしくなった。しかし、切り離されたとしても、今度農産物関係でもって何らかの取りきめができた。特にその場合問題になるのは、アメリカ豊産物の問題ですけれども、これは日本にもたくさん入ってきております。そして、このアメリカガット加入国です。そうすると、そのケネディラウンドである種の取りきめができて、そうして、それに基づいてアメリカ農産物日本に入ってくる場合に、今度の条約によって、アメリカ側日本に対して、アメリカ農産物輸入について多く要求してくるというようなことが起こる場合も想定されるわけですね。一体そういうようなときに、これは単なる後進国の問題でないものとして起こってくることも考えられるんで、そこらはどういうことになるんですか。
  13. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。ケネディラウンドのワク内におきます農産物交渉はこれから始めるわけでございまして、岡田委員指摘の点も重々考えまして対策を練っております。  それから、岡田委員の御質問で、日本輸入先アメリカに偏しないようにという点があるかと存じますけれども、わが国といたしましても、できるだけ後進国のほうから買ってやる、そうして彼らの生活水準経済水準を上げてやるというふうに努力したいと存じておりまして、そういうことを気持ちにとめて対策を練っております。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、去年のジュネーブ国連貿易開発会議ですね、あれはああいうごく一般的な結論しか出なかったわけだけれども、いよいよ結果に基づいてこれからさらに具体的ないろいろなことが各国の問で折衝もされ、また、ああいうような大きな会議が開かれてもくるわけです。そうして、だんだん後進国のほうが先進国に対して、農産物をもっと買ってくれと強い要求をしてくる。それで先進国のほうではなかなかそれを受け切れないということがこれから生じてくるわけですが、その際に、もし国連貿易開発会議でもって、たとえばもっと強く——ここにあらわれているように、強く、これは後進国のほうがきついんですが、その決議が強いものができて、そうして、それに対して先進国自体がこれを買わなければならないという義務というか、責任というか、そういうものがこれよりも強くなった場合には、この条約とその場合の決議、それに基づく先進国後進国関係はどういうことになりますか。
  15. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。御指摘UNCTADは、第一回の理事会を、四月の十二日でございましたか、始めまして、具体的に四委員会をつくりまして、それから本部も目下ジュネーブとニューヨークに置くということで発足を始めておりまして、これから分科会を設けまして作業を始めるわけでございますが、岡田委員指摘のとおり、後進国側先進国側に強く自分の第一次産品を買ってくれと言うことは十分に想像されるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、UNCTAD会議でございまして条約ではございませんので、それについての決議がございましても、やらなければならない——これは政治的にはそういう考慮もあるかと存じますが、法律的にはやらなければならないという立場に追い込まれるようなことはないと存じますし、それから、UNCTADにおきまして日本もほとんどの委員会に全部常任委員として出ておりまして、さようなふうな過激なものにならないように、その会議起草討議あるいは勧告の起算過程において十分努力するつもりでございます。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういう技術的なことじゃないんですよ。私がお伺いしているのは、いまあなたが言われたように、国連貿易開発会議できまった決議は、条約と違って、法律的に拘束力を持っていない、そんなことは私もよく知っているんです。しかし、そういうような決議がなされれば、外交交渉やなんかでもって向こう日本側にうんと買ってくれということを迫ってくるんでしょう。そういう場合に一体これとの関係がどうなるのかということを聞いているんです。だから、これは私が聞いているのは、日本がこれからそういういわゆる後進国からいろいろな農産物の取りきめを迫られてきた場合に、一体日本根本的にどういう方針をもって臨むかということ、それはあなたに聞いても無理かもしれぬ、外務大臣に聞いても無理だと思うんで、これはやはり私はそういう問題については農林大臣なり、あるいは通産大臣なり、あるいは経済企画庁長官なり、総理大臣なりに根本方針を聞かなければならぬ問題だと思うのですが、あなた、じゃ一体これから日本がそういう後進国からいろいろな農産物買い付けを迫られた場合どうするか、どういう方針をとるかということを、根本はお答えになれないでしょう。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 いまの岡田君の問題に関連してですが、たとえば昨年度の日本農産物輸入は総計十五億ドルですね。その場合、私は主として岡田君が先ほど言ったように、これはアメリカからの輸入が多いと思うのです。特に小麦等の場合は軟質、硬質の関係で、輸入先をそう簡単にかえるわけにいかぬにしても、はたしてこれを低開発国からにかえられる部分はどれとどれで、その量はどのくらいかという、そういう具体的なことをここで農林省のほうで言ってもらうといいと思うのだが、それが貿易自由化と関連して日本農業とどういう関連を持つかということは、これはまた別個の問題です。これはまた別の問題で、われわれは独自の判断をせなければならぬけれども、それは別として、当面それがどの程度のウエートを占めておるのか、それを少しお答えください。
  18. 森本修

    説明員森本修君) 先ほどの岡田先生の御質問でありますが、先ほど来言われましたように、こういうガットなりあるいはUNCTADなりの後進国からの貿易拡大の要請が出ております。具体的な要望のしかたとしましては、端的に言いますと、関税でありますとか、あるいは輸入制限でありますとか、そういういわゆる貿易障害というものをできるだけ軽減ないし撤廃しろ、こういう形で要望が出ております。もちろん、そういった要望が出てまいります基本的な背景は、何といっても後進国輸出関心のある産品を、先進国に対してもう少し輸出増大できるような形にしてもらいたい、こういうことになるわけでございますが、日本側としましては、御承知のように、農業にいたしましても、あるいは中小企業にいたしましても、国際的な競争力がかなり弱い。したがって、対外的な保護手段は、何といいますか、後進国が主張しておりますような形で全面的に軽減ないし撤廃するということは実はできないということで、後進国のそういった要望と、中小企業なりあるいは農業保護、対外的なそれとの調和をどういうふうにはかっていくかということが一番問題になる点だと思います。ただ、現在日本が置かれております経済的な情勢からいいますと、特に私どもの関係しております農産物につきましては、高度成長の結果、需要がかなり増大いたしました。しかし、生産は残念ながらその需要増大に完全に追いつくというところまでは行っておりません。そういう関係から、かなり農産物についても、もちろん先進後進を問わず、輸入量増大してきておるわけでございます。他の先進国に比べまして、日本後進国からの農産物輸入の増勢の傾向は、相当高いという情勢になっております。したがって、われわれとしましては、形式的に貿易障害を他の先進国並み軽減ないし撤廃できなくても、最終的な、後進国が考えております貿易増大ということに対しては、実質的に相当こたえておる、また将来もある意味ではこたえ得るのじゃないか、こういう感じを持っております。したがって、もちろん、後進国要望に対しましては実際的な方法で努力はしていかなければいかぬと思っておりますけれども、日本農業保護とある程度調和をとりつつ解決はしていけるものと、こういうふうに実は考えておるわけでございます。  それから第二点の、後進国に対して市場転換可能性という点でございますが、先ほど言われましたように、すべての産品後進国市場から転換して求めるということは、性質上むずかしいものもございます。しかし、ただ考えておりますのは、たとえば砂糖でありますとか、あるいはえさ用トウモロコシでありますとか、そういうふうなものは、需要増大によって非常に輸入がふえてきている。もう少し先進国市場から後進国市場買い付け先転換する余地もあるのではないか、こういうふうに考えまして、いわゆる開発輸入、あるいは経済技術協力といったようなことで、後進国の、特に東南アジアの開発日本も援助いたしまして、できるだけそういう後進国から市場転換がはかれるように、やや長期的な解決策でございますが、努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまのお話はたいへん一般的なことなので、もうすでにこの問題について差し迫った問題が起こっているでしょう。たとえば、中近東あるいはアフリカの二、三の国のほうから、日本でもっとそれらの国々産物を買ってくれなければ、日本からいろいろの品物の輸入をすることを制限する、そういうことで、こっちでも相当これを大騒ぎしている。こういうように、その根本政策、もちろんだけれども、現実に、もうすでに問題が起こっているのです。これらはどういうふうに解決していこうとするのか、まず、それを伺いたい。
  20. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。まことに御指摘のとおり、目下東アフリカ三国は過度の日本の出超になっておりまして、これがある程度の手が打たれない限り、七月一日から輸入制限をする。それから、あとイランとか、そのほかにもアフガニスタンとかございますことは事実でございます。それで、まずわれわれといたしましてすぐやりますことは、その地方からのとにかく産品買い付けてやるということでございまして、そのためには、これはわが国自由貿易でございまして、補助金はやっておりませんので、各民間会社買い付けるわけでございますが、そのためにどういういいものがあるかという調査団を出しまして、たとえばマガジ灰ソーダとか、あるいはトウモロコシ買い付け先転換とかいうようなことを、政府といたしましても調査団を出しまして、かえるかどうか、そういうこと、あるいは品質改良をさして、どういうふうな形でやれば開発輸入ができるか、そういうことをしまして、各民間会社にそういう情報を差し上げて、できるだけ後進国からのものを買ってもらいたいと、こういうふうに考えておりまして、一つ一つ、できるところからやっていくつもりでございます。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはまあそういう努力をしなければならぬでしょうけれども、しかし、いまの東アフリカ三国、あるいはイランですかイラクあたりでも、日本に買ってくれと言ってくるものは、一時の買い付けはいいかもしれないけれども、そんなものを長く買い付けておくと、日本の国内で消化できないものが多いのでしょう。そういうのを一体どういうふうにするつもりですか。できれば、また調査団か何か出して、トウモロコシ買い付け転換するといったって、まあタイで成功したけれども、ああいうようなやり方をするったって、これから相当の時間がかかる。急場にああいうふうに要求されてきたものについてはどう対処していくのですか。それと、それから恒久的な政策との関係をどういうふうにつけていくのか。いま急場しのぎにやろうとすることは、さっき農林省のほうで言われた恒久的対策とどういう関係があるか、そこらの点もう少し私どもがわかるように説明してください。
  22. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。さしあたりの問題といたしましては、この東阿三国の輸入制限の動きでございますが、これは一昨年にナイジェリアでも起こったわけでございまして、これは岡田委員御存じの点だと存じます。それでわれわれといたしまして、まだ関係各省の間の意見の調整は済んでおりませんが、さしあたって考えられますことは、このナイジェリアにやりましたような制度でとにかくまず手を打つということも一法かと存じますが、まだ完全に固まっておりません。  それから、最初に御質問のございました全部買えるかという問題でございますが、確かにまあ品質がよくてわが国の産業に使いいいものだったら従来も買えたわけでございますが、品質あるいはその他の点から、輸送とか何かの点からやはり不便な点が多かったわけでございますが、そのためには、開発輸入と申しますか、向こうで技術協力をするなりあるいは投資をするなりして、向こうの品物の品質を日本で使いやすいようなよい品質にする、そういうふうにいたしますれば、単にそのでき上がったもの全部を日本が買わなくてもよろしいのでございまして、ほかの世界市場にも売れるわけでございます。開発輸入というのも一つの方法かと存じまして、さようなことも考慮しております。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 これからいわゆる低開発国において、たとえばいま言われたように、先進国が技術的な援助をして、そして農産物開発が進んで、そうしてそれの輸出向けの数量が多くなる。そうなってくると、今度先進国全体としても、その一部である日本としても、またそれをさらに買わなければどうにもしようがないという事態が生じてくるのではないか。それらの点はどうお考えになりますか。
  24. 森本修

    説明員森本修君) 先ほど言われました当面の対策と、それから恒久的な対策の関連という点でございますが、一つは、私が申し上げました低開発国に対する開発輸入あるいは技術経済援助というのは、後進国がある程度世界市場において、品質あるいは価格において先進国に太刀打ちできるだけの競争力を持つというふうな方向に持っていくために日本側としてもできるだけ協力するということでございます。短期的にいまやっておりますのは、そういう過程におきまして、現実には競争力がなくて日本市場に入ってこない、価格が高いといったようなことで、そういう段階におきましては、まあ現在若干の国でやっておりますように、価格の調整措置をとって日本側にも入りやすいようにするといったようなことが行なわれておるわけです。そういうふうな過程を踏みまして、できるだけ長期的な対策とつながりのつくものにしていきたいということで実はやっておるわけでございます。  それから、後進国がどんどんつくりまして、先進国が買える限度以上のものになるではないか、こういうふうなお話でございましたが、確かに一次産品のみに後進国経済開発力を集中してまいりますと、御承知のように、一次産品需要というものは、ある程度先進国においては、日本は当面別といたしまして、他の先進国におきましては、需要の限界がございます。したがって、そういう心配が出てくると思います。これは後進国自体の考えるべきことではあるかと思いますが、もちろん、経済開発等の計画等を見てまいりますと、一次産品にのみ集中して開発をしていくということでは実は後進国でもないようでございます。将来は軽工業品あるいはもう少し高度の工業化といったようなことについて経済開発の重点を移していくといったような傾向も見られるわけでございます。そういうふうなことと相まちまして、後進国開発というものが進んでいくのじゃないか、こういうふうに思っているわけでございます。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま日本貿易関係を結んでおるいわゆる後進国から日本に対してどういう種類のものを買ってくれというのを強く要求しておりますか。
  26. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。大体低開発国からの要求は一次産品でございまして、それが圧倒的に多うございまして、多少このごろ工業化してまいりましたので、多少の軽工業品のいうものもございますけれども、目下のところは第一次産品でございます。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、その第一次産品の具体的にどういう種類のものを日本に要求してきておるか、たとえばイランは何を、アフガニスタンは何を、あるいはナイジェリアは何を、どこそこは何をと、おもなものでいいのですけれども、それを聞きたいと、こう言っているのです。
  28. 羽生三七

    羽生三七君 ついでに。それだから、先ほど申し上げたように、アメリカが主たる日本輸入先であるから、それを転換できるとすれば、どういう品物があって、それはどこの国の産品かと、そういうことを具体的に言っていただくと非常によくわかると思うのです。
  29. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。イランからはデーツの買い付けを非常にすすめられております。それから、東阿三国、特にケニアからマガジ灰ソーダ買い付けを要求されております。それから、タイからはトウモロコシ買い付け要望されております。それから、アフガニスタンからは羊の皮でございますか、ああいうものの買い付けを強く要望されております。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、ほかからもずいぶんいろいろ要望があると思うのですが、たとえばデーツですね、これはまあ日本ではあまりデーツの消費というものにはなれていないでしょう。ああいうものをたくさん買い付けを要求されて、まさか日本貿易を進めるためにあれを買って捨てるわけにもいかないので、そういう場合に一体どうするのです。
  31. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。まさに御指摘のとおりの苦悩がございまして、イランで産するものは非常に限られておりまし七、デーツだけでございまして、これ以外に考えられますものを目下調査しておりますが、なかなか——かねがね、もしよろしいものがあったら、有能なる日本の商社でございますから買っているわけでございまして、それが買えなかったというのは、非常に価格あるいは品質にしても困難があるわけでございます。これも関係各省とそれから業界とよく話し合いまして、輸出を続けていくためにお願いして買ってもらっているわけでございますが、このデーツにも限りがあるわけでございます。それで、まあここで考えられますことは、今後経済協力をするとかあるいはそのほかの技術協力をして、向こうに軽工業か何か技術を導入してやるとか、そういうような形で、単にデーツにたよらないで、もう少し幅の広い交易がイランならイランとできるように、そういう方向で考えております。
  32. 森元治郎

    ○森元治郎君 岡田さんに関連して。一番ガット関係で問題になるのは、韓国がさしずめ重大な問題だと思うのです。よく新聞に出ておるところでは、ノリなどという日本の一番消費の多いものをうんと買ってくれと向こうは言ってくるだろう。非常に日本は苦しい立場に立つんだろうと思うが、韓国とのガット関係で見た場合の状況を少し説明してください。
  33. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。法律的に申し上げますと、韓国はガットの加盟国でございませんので、これとの直接の関係は起こりませんが、確かに森先生御指摘のとおり、こういうものが通れば韓国としてもいろいろと要求してくることは、日本としてそういう政策をとっておるんだから、その点も考慮してということはあると存じます。それで、目下業界関係、各省と話し合いまして、なるべくたくさん買えるようにという努力をいたしております。
  34. 森元治郎

    ○森元治郎君 向こうの要求している品目、量。だいぶ強いものがあると思うので、政府関係筋も苦労しているらしいが、それを教えてください。
  35. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。ただいまのノリの御質問につきましては、衆議院段階におきまして、日韓会談がございましたときにお答え申し上げておるわけでございますが、たしか韓国との間では二億枚ないし五億枚という話し合いになっておりますが、大きな幅を持っておりまして、まだ具体的にどのくらいということはきまっておりません。一億ないし五億と、こういうことでございます。
  36. 森元治郎

    ○森元治郎君 いや、私は、ノリばかりでなく、ほかの品目も、量とか——向こう日本に向かって相当強い態度で出てくるだろうと思っているんですがね、その品目と量を。
  37. 森本修

    説明員森本修君) 韓国のほうは、最初の向こう側の要求としましては、特に一次産品につきまして現在日本がやっております輸入制限を撤廃してもらいたいという話があるわけでありますが、日本側としてはそういう一次産品について直ちに輸入制限を撤廃できるという立場にはないということを言っているわけでありまして、向こうからは、先生ただいま御指摘のように、そういうことであれば、できるだけ向こうの関心品目について四十年度においてどの程度輸入がしてもらえるかという数量的ないわゆるコミットをしてもらいたいという話がございました。ただいまノリについてお話が出ましたが、その他向こうから要望がありました品目としましては、水産物——これは御承知のように、アジ、サバでありますとか、あるいはブリでありますとか、するめでありますとか、そういった水産物があるわけであります。それから、そのほか牛肉、あるいは生きた牛といったようなものを輸入してもらいたい。それから無煙炭、これは私どものほうの所管ではございませんが、無煙炭についてもできるだけ多くの輸入をしてもらいたいといったような要望がございました。ただ、私どもとしましては、特に水産物その他につきましては、御承知のように、国内でかなり豊凶の差がございます。とれる年もありますし、とれない年もございます。具体的にするめなどにつきましては、最近国内で非常にとれ高が悪いというふうな関係から、相当品不足であり値段も上がっておるというふうな関係もございまして、国内の産業とあまり当面競合しないといったような産品については、できるだけ輸入について努力をするというふうな答えをいたしました。特に具体的な数量については、ただいま申し上げましたようなものはお約束しているというふうなことではございません。できれば最近の実績以上に買い付けたいといったような抽象的な努力の約束ということに現在のところはなっております。
  38. 森元治郎

    ○森元治郎君 いまお話伺ったけれども、韓国は相当強く日本に向かって迫ってくるだろうと思うのです。先ほど言った、輸入制限を撤廃しろとか、四十年度の輸入見込み額はどのくらいだとか。それで、抽象的な答えだけでは、これは引っ込まないと思うのですが、しかし、そうかといって、例によって椎名譲歩外交ということになりますと、これは大きな国内問題になる。椎名さんはこの間行ってノリの問題を、もともと商工関係の親玉ですから、お話したなったと思うのですが、どんなふうな話し合いだったのですか。
  39. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 海産物の問題につきましては、ほとんどもう農林大臣に一切おまかせをしておりまして、ただ向こうの非常に熾烈な要望はお取り次ぎをいたしますけれども、国内の水産業界の関係がかなり微妙なものがございますので、これもさばきは一切農林大臣におまかせいたしております。
  40. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっと関連して。その熾烈な要望というのはどういうようなことですか。
  41. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ノリとかその他の海産物の問題がございますが、それからまた漁船の輸出の問題、そういったような問題について、とにかく非常な熾烈な要望があります。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 で、今後たとえば国連貿易開発会議のその後のいろいろな経過等から見、さらに最近の低開発国のいろいろな政治的なあるいは経済的な要求から見ますと、いわゆる先進国に対して一次産品買い付けてくれという要求は非常に強くなってくるだろうということは予想されるわけです。そして、そこにこの条約が新しい条項が挿入されてくるということになれば、さらに要求は強まるだろう。この条約の三十七条ですかに、日本文には「約束」ということばがつかってあるですね、それから英語のほうはコミットメントということばになっていますが、一体この「約束」ということが条約上どういう意味を持っているか。特に約束をした場合に、普通われわれが約束をするというとそれを守る義務があることになりますが、この「約束」はどういう義務、責任が生ずるのか、それを詳しくひとつ説明していただきたいと思います。
  43. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。この「約束」でございますが、この「約束」はこの条約上のものでございまして、これはこの前御説明申し上げましたとおり、UNCTADとの大きな差を生じておるわけでございますけれども、これを守るわけでございますが、この条文をごらんになっていただいたと存じますけれども、そのために十分わが国の産業に被害を与えないように、いろいろな点でクッションと申しますか、そういうようなものがとってございます。それから、何が低開発国の関心品目であるか、これは大体先進国がこれをきめるというような方向に進んでおりますし、それから、できるだけ可能な限度というようなこともございますし、もっと大きな点におきましては、やむを得ざる場合を除くと。すなわち、法的な規制がある場合はいいんだと、こういうふうな点で十分わが国の国内産業に被害を与えないように配慮してございます。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 それを聞いているのじゃないのです。この「約束」ということばの意味、それから生ずる義務なり責任というものはどういう問題があるのかということを聞いているので、いままだ内容には入っていない。内容あとで聞きますから。この条項の「約束」ということばの解釈、それをお聞きしたいのです。
  45. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) これは国際法上の約束でございます。したがって、この内容につきましては国際的に守る義務がある。内容の中ではいろいろクッションが入っておりますから、したがって、そのクッションの入った形で約束が行なわれているということでございます。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、この条約日本が批准をした以上は、この中にあるいろいろな、何と言うのですか、クッションは別として、全般的に守る、こういうことになるわけですね。そうすると、たとえばこの条約に基づいて向こう——向こうといっても、いわゆる後進国がいろいろ一次産品買い付けてくれという要求をしてきた場合には、条件はいろいろあるけれども、全体としていえば、その要求を頭から拒否することはできない、こういうことですか。
  47. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) その具体的な場合に、たとえば米なら米を買ってくれというような場合に、ここにこの条文の中に書いてありますいろいろな条件をこちらでかぶせました限りにおいては、「約束」になっております。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、三十八条に「共同行動」というのがありますね。この「共同行動」というのは、たとえば先進国同士が共同をして後進国からの要求に対して共同でもって何らかの方法で買い付けを増進するということもあり得るし、また逆の場合、後進国の要求に対して先進国が共同して拒否するという場合もあるわけです。それからまた、後進国が共同して先進国に向かって要求するという場合もあり得ると思うのですが、その三つの場合がこの「共同行動」ということに含まれているのでしょうか。
  49. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) この「共同行動」と書いてありますのは、ガットの動き方が、締約国団というものがございまして、その締約国団というものが動くときのことを「共同行動」と称しているわけでございます。したがって、いわゆる総会のようなものでございますけれども、そこでどういうことをやるべきであるかということをこの「共同行動」という条文できめているわけでございます。
  50. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは、いろいろ国際協定がありますね。小麦の国際協定とか、あるいはコーヒーの国際協定とかいろいろありますね。ああいったものとの関連はどうなんですか。
  51. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、商品協定の、小麦とか砂糖とかございますが、これはガットの中で申し上げますと、二十条の「一般的例外」の(h)に入っておりまして、これはガット上認められたものでございます。  それから、この商品協定自体は、後進国産品の物価安定にも非常に貢献いたしますので、ガット上においても認められたものでございまして、この一般的債権債務の例外になっております。
  52. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまの佐藤参事官の、「共同行動」のことでもって、締約国団というものの共同行動だという御説明があったのですね。ところが、ちょっとおかしいと思うのは、1に、「締約国は、第三十六条に定める目的を助長するため、この協定の枠内で、又は適当な場合には他の態様で、共同して行動しなければならない。」というのですね。「他の態様」というのは、いろいろな態様があると思うのですね。そうすると、これはかなり、何というのですか、いろいろな形になってくることも予想されるわけでしょう。そうすると、いまいった「締約国団」といった初めから一つのきまった態様があって、それに基づいてやるということだけじゃないのではないですか。どうなんですか。
  53. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) このところの意味は、「この協定の枠内で、」と協定に書いてありますのは、締約国団がどういうふうなことをやるかというようなことは協定の中にあるわけでございます。それで、それ以外にたとえばUNCTADと協力するとか、そういうふうなことを書いてあるものと私は解釈しております。
  54. 羽生三七

    羽生三七君 この三十七条の、さっき森君の言った「約束」のところの一のところにある「やむを得ない理由によって不可能である場合を除くほか、」とあるが、「やむを得ない理由」ということを各国がつけたらどういうことになるのか。もしそれで問題が起こった場合には、だれがやむを得なかったということを判定するのかどうか、その辺のところはどうなんですか。
  55. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) これは一つのクッションのことだと思うのでございますが、「やむを得ない理由によって不可能である場合を除くほか、」は、不可能であるという認定の問題だと思いますが、この点は、この新章の交渉中にいろいろ非常に論議のあったところでございまして、そのはっきりした、たとえば、合意議事録なんかにはなっておりませんけれども、この認定権は先進国にあるということが大体黙示的には承認されているようでございます。
  56. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、先進国が低開発国から輸入する場合に、先進国自身の判断でやる場合には、いろいろな理由をつければ逃げ道は幾らでもあるわけですね、実際上。
  57. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) この点だけでありますれば、そういうことになるわけでございます。ただ、その後にいろいろそういうふうな先進国がどうも自分のほうにぐあいの悪いことをやっているという場合には、訴える道はあるわけでございます。そういうことが自分のほうについてぐあいの悪いことであるというようなことで、締約国団に訴えるという道は開かれております。
  58. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまの「やむを得ない理由」である場合にということですが、これは先進国側で「やむを得ない理由」があると、それを輸入を要求するほうで、つまり後進国側でそれは「やむを得ない」と認めるというときには、「やむを得ない理由」というのもよくわかるのですけれども、一方的に先進国だけが「やむを得ない理由」をたてにとって拒否できるということになれば、おそらく後進国のほうとしては非常に不満があるであろう。それからまた、訴える道があるということになり、あるいはまた、後進国がその「やむを得ない理由」ということを承服できないとした場合に、いま訴える道があると言われたんですけれどもね、たとえば、これはガット会議へ持ち出して、そうしてそこで論議をして、そうして何らかの裁定を求める道はあるんですか。
  59. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 直接にはこの三十七条の2の(b)(i)には、その「すべての関係締約国にとつて満足な解決に到達することを目的として、協議」するという規定があるわけでございます。それで、この点は、この条文自体としてはこれだけになっておるわけでございますけれども、それ以外に、いわゆるガットの目的を棄損したような場合には——ガットそのものの中にでございますね、いわゆる自分の利益が——ガット上の利益が棄損されたというような場合には訴えることができるというのが二十三条にはございます。したがって、ガットそのもの——今度できた分じゃなくて、もとのほうにあるわけでございます。
  60. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、もとのほうにあるんでもどこでもいいんですよ。その、訴えるとすれば、訴えられたほうでは、つまり訴えられた機関ではそれを取り上げて、いい悪い、適当、不適当の判断を下して、たとえば、「やむを得ざる理由」でもって拒否している国に何らかの勧告をすることができるかどうか、それはどうなんですか。もしそれがなきゃ、訴えることができるったって、これは何の意味もないことじゃないですか。
  61. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) もちろん勧告はできるわけでございます。その二十三条の手続に従いまして締約国団がきめることによって勧告ができるわけでございます。
  62. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえば、日本がデーツを買うことを要求されたと、日本じゃ、デーツをもう使い道がない、それで要求に応じられない、で、これをどうも向こう側じゃやむを得ざる理由と認めないで訴えたとするんですね。そういうような場合に、その日本の理由は適当でないというようなことで、もし日本にそのやむを得ざる理由は適当でないというような判定が下されて、たとえば勧告がなされたという場合、日本は一体その勧告に従ってそういう向こう側の要求を入れてデーツを買う数量を増加するということはあり得ることですか。これはまあ例が適当でないかもしれませんけれども、そのガットのそういう場合の勧告と、勧告を受けたほうの側の関係ですね。デーツでなくたって、それは一つの例ですから……。
  63. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) その勧告と申しますか、その訴えをして——これはある締約国がガット上の義務の履行を怠ったという形で訴えが出てくるわけです。したがって、そのときに、それでいろいろ手続がございますが、最終的な手続としては勧告まで行けるわけでございます。その場合にはおそらく義務履行をしろという形のあれでございまして、それは、ある産品を買えというような勧告にはならないと思います。第三十七条なら第三十七条の義務履行をすべきであるという形の勧告になると思うのでございます。
  64. 岡田宗司

    岡田宗司君 法的の形にそういうふうにあらわされるかもしれないけれども、その実質は、買うことを拒絶することが否定されて、買うように勧告されるという実質的内容になるんじゃないですか。
  65. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 結論としてそういうことになることはあると思います。それはたとえば、この可能な限り、「やむを得ない理由によって不可能である場合」というようなことが、これがだれが見ても不可能じゃないというような形になってきた場合、それでしかも法的な理由もない、そういうふうな場合になったときに、それが義務履行を怠っているという場合には、結果的にはそういう形になる可能性はあると思います。
  66. 羽生三七

    羽生三七君 この「やむを得ない理由」を具体的に日本農産物との競合関係で考えてみた場合、たとえばブラジルのコーヒーなんか、これは輸入したって一向差しつかえない。それから、タイのトウモロコシは、これは飼料が不足だから輸入して、アメリカ輸入向こうに肩がわりして積極的に輸入促進すべきである。そうなってくると、さっきの韓国の海産物等は別として、いまこの輸入農産物の主要なあれはほとんど先進国でしょう。たとえばチーズやバターにしたって、アメリカとかオーストラリアあるいは一部オランダがある。そうしてくると、低開発国の第一次産品で、この日本農業保護という問題と関連して、実際に競合して「やむを得ざる理由」を適用するようなものは一体何があるのか、その具体的な問題を少し言っていただかんと、これは抽象論じゃ済まないですから、これは農林省のほうでもいいですが、一番問題になっているのは何と何なのかという、そこのところをちょっと教えてください。
  67. 森本修

    説明員森本修君) 具体的な産品のお話になりますが、実は先ほどお答えがあったと思うのですが、ここに書いてありますのは、大体は後進国が主として生産をしておりまして、特に輸出の関心を持っている品物ということになっておりまして、その範囲は実はまだガットの場で具体的にきまっているわけではございません。もちろん、後進国では具体的にその品物をきめようという動きはございますけれども、まだ、そこまでいきますかどうか、はっきりはしていない現状でございます。ただ、形式的にそういうことでございますけれども、まあ常識的にといいますか、後進国が関心を持っている品物ということになりますと、最も典型的なものはいわゆる熱帯の産品ということになると思います。従来の例からいいましても、その中に入りますものは、先ほどお話がございましたコーヒーでありますとか、ココアでありますとか、あるいはお茶でありますとか、それから熱帯性の油の原料になる、いわゆる油糧用の種子あるいは熱帯性の木材といったようなものが大部分を占めるのじゃないかと、こういうふうに思っております。で、大局的に申しますと、日本との関係では、いま申しました品物は、何といいますか、全般的に言えば、それほど強い競合関係ということにはないと思います。ただ部分的には、たとえばお茶の中で紅茶が入っている、日本でも実は紅茶を栽培しているといったような関係がございます。あるいは油糧用の種子の中には、落花生というものが入っております。日本では落花生はあまり油用としては使っておりませんけれども、ともかくも落花生は日本の国内でも生産されているといったような関係になっております。そのほか若干の品物がございますけれども、まあ、今あげましたようなもの、あるいはデーツなどもその中に入ってくるかと思いますが、そういう品物が若干日本の国内産業と競合するといったような関係に相なっております。
  68. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 米はどうなんです。
  69. 森本修

    説明員森本修君) 米は、いまのところは、実は先ほど言いましたように、まあ従来の例では、まだ後進国産品として取り扱いされるかどうか、はっきりしておりませんが、御承知のように、東南アジアにおいてはかなりつくっておりますので、後進国の関心産品ではないということは言い切れないと思います。ただ、御承知のように、かなりタイプが違いますし、それから現在の状況からいきますと、米の需給状況から見て、それほどまあ東南アジアで輸出先に困っておるといったような実情でもないようでございます。したがって、いままでの国際会議では、特に日本に対して米をぜひ入れてくれといったような熾烈な要望は、若干の国を除いては、ないというのが現状です。
  70. 岡田宗司

    岡田宗司君 一次産品ですから、単に農産物、海産物だけでなく鉱産物もあるわけです。鉱産物のほうはわりあいに問題ないんですが、日本関係ある一次産品生産する国ですね、そして日本にいろいろ要求してきていますが、それらの国が日本に対して何を買ってくれということを要求しておるのか、大体のそういう表ですね、それが出せたらひとつ出していただきたいと思うのです。
  71. 内田宏

    説明員内田宏君) お答えいたします。御要望ございました表、ただいまここに整理した形で持っておりませんので、後刻資料として。
  72. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 午後一時半まで休憩いたします。    午後零時五十一分休憩     —————————————    午後一時五十一分開会
  73. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  関税及び貿易に関する一般協定貿易及び開発に関する第四部の追加のために改正する議定書締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  74. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 後進国のうちの主要な国々日本との間の貿易関係の計数的なあれはどうですか。あらましでいい。
  75. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。まず総計でございまして、後進国とは、大体わが国は、昨年度では、総貿易量に対しまして四六%くらいになっております。それから、いま御質問後進国のおもな国と申しますと、これはパーセンテージでですか、ドルで、金額でですか。
  76. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 収支のしりのほうだけ、金額でいいです。
  77. 内田宏

    説明員内田宏君) 東南アジアから御説明させていただきます。フィリピンでございますが、これは輸出が千九百万ドル、輸入が二千二百万ドル、六十四年でございます。それからインドネシア、これが昨年度千二百万ドルの輸出に対しまして千二百万ドルの輸入をいたしております。あとビルマは五千五百万ドルの輸出をいたしまして、輸入が千七百万ドル。インドは多くいたしまして一億八千万ドルの輸出に対しまして一億四千万ドルの輸入。パキスタンは八千万ドルのわが国からの輸出に対しまして三千百万ドル。セイロンは二千三百万ドルの輸出に対しまして九百万ドルの輸入。このあたりがアジアでございます。  逐次申し上げましょうか。
  78. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 大きなところだけ。
  79. 内田宏

    説明員内田宏君) 大きなところを拾いまして、アラブ連合でございますが、これは昨年度千七百万ドルの輸出に対しまして二千百万ドルの輸入をいたしております。それからアフリカに移りまして、大きなところではナイジェリアがございます。ナイジェリアは七千九百万ドルの輸出に対しまして七百三十五万ドルの輸入を行なっております。それからケニア、これは三千百万ドルの輸出に対しまして四百三十七万ドルの輸入を行なっております。
  80. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 大体それでいいですが、インドネシアは千二百万ドルということで、フィリピン、インドネシアは非常に低いが……(「単位の間違いじゃないか」と呼ぶ者あり)
  81. 内田宏

    説明員内田宏君) 失礼申し上げました。単位の間違いでありまして訂正させていただきます。インドネシアは輸出が一億二千万ドルで、輸入が一億二千八百万ドル。フィリピンは一億九千万ドルの輸出に対しまして二億二千四百万ドルでございます。失礼申し上げました。
  82. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いま大体輸出入額の差額はおのおのどうなっておりますか、しりは。
  83. 内田宏

    説明員内田宏君) ただいま手持ちのもので差し引きまして申し上げますが、この資料としては差額は出しておりません。
  84. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじゃ、それはあとでいいから、いまの輸出入の金額とそれからしりと、それを表にして出していただきたい。
  85. 内田宏

    説明員内田宏君) 御要求のとおり、おもな低開発国の帳じりを資料として提出いたします。
  86. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 トウモロコシ輸入状況ですが、これは主要な各国別にどうなっているか。
  87. 森本修

    説明員森本修君) 一九六一二年——昭和三十八年でございますが、全体の輸入数量が約二百六十万トンということでございまして、そのうち、アメリカからは約百万トン、それから南アフリカからは約七十八万トン、それからタイから四十三万トン、それからあとずっと国がございますが、わりあいに少なくなってまいっております。たとえばアルゼンチンからは約七万トン、ブラジルから二万トン、こういったようなところがおもなところでございます。
  88. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そのタイからの四十三万トン、これをふやされるのでしょうか。六四年はどうなっておるんですか。
  89. 森本修

    説明員森本修君) ちょっと、いま六四年の具体的な国別の数字を持っておりません。
  90. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それ至急に取り寄せて答弁してください。それから、トウモロコシ開発ですが、これはどこの国にどういう方式でやっているか、その実施の成果がどういうふうにあがりつつあるか、今後どういうふうになる見通しか、そこいらを少し詳しく答弁してください。
  91. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっとそこへいく前に、佐多さんの質問に関連して、これ数字がなければ、一九六三年のいまの説明でいいのですが、トウモロコシ輸入する場合に、アメリカとタイとの価格の差はどうなんですか。
  92. 森本修

    説明員森本修君) ちょっといま国別の……。
  93. 羽生三七

    羽生三七君 国別でなくとも、アメリカとタイだけでいいのです、たくさんでなくとも。
  94. 森本修

    説明員森本修君) ちょっといま手持ちがございませんので、後ほどお答えいたしたいと思います。
  95. 羽生三七

    羽生三七君 なぜ私がいまそういう質問をしたかというとですね、これは畜産関係では最近の飼料値上がりが決定的な問題になって、それで至るところで大会を開いているわけです。それでわれわれにも次から次へと要求が来ておるわけです。その場合に、いつでもこのアメリカトウモロコシとその他の国との関係が出てきて、これ何とか転換できぬかという要求がうんとあるわけです。だから、実際にそういうふうに転換すれば幾らか飼料の値下がりに役立つのか、そんなことをしても役立たぬのか、アメリカのほうが安いのか、そこをはっきりさせるために私伺っておるのです。ですから、ここらのことを準備しておいていただかない……。
  96. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いま羽生君が申しましたように、  いまの問題は日本の現在の飼料問題として焦眉の急になっている問題なんで、あらためてその資料なんかを取り寄せてから答弁するというような性質のものでなくて、もうそれは十分頭に入っておるべき、非常に緊急な、しかも重要な問題だと思うのです。そういう問題に対してその程度の御答弁じゃ、どうもわれわれ非常に不満です。もう少し勉強していただきたいと思います。
  97. 羽生三七

    羽生三七君 それで外務大臣も聞いておいていただきたいのですが、たとえば、養鶏危機突破大会とかあるいは畜産では乳牛関係、みんな大規模な大会を持って、この問題に触れてやっておるわけです。もう非常に大きな問題になっておるわけです。ですから、それがいまの農林省が一番困っている乳価問題その他と関連して困っている一つのこれ盲点なんです。ですから、これを農林省あたりがよく知っておらぬということじゃ困るし——関係が違うのかな。担当者がどうなのか——もちろん、農林省だけでなく、外務省だってある程度知っておってもらわぬとこれは困ると思う。
  98. 内田宏

    説明員内田宏君) ただいま、ちょうど資料を持ってきておりませんので、ひとつ、さっそく取り調べましてお答え申し上げます。
  99. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから、トウモロコシに限らず、先ほど輸出入の問題をバランスさせるためには開発をしなければならないというようなお話がありましたが、どの国に対して、どういうものを開発する見通しでおられるのか。それらの計画がどの程度進捗をしておるのか。それらの状況をひとつ御説明を願いたい。
  100. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。ただいまの佐多先生の御質問各国別に検討しておりますが、この点、金額も入っておることでございますし、どの国にどのくらいということは他の国との影響がございますし、まだ関係各省との調整を終えておりませんので、いまお答えできない段階でございます。
  101. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじゃ、数字は遠慮しますが、どういう国にどういうものをという程度の御答弁はできるはずですから、それを伺いたい。
  102. 内田宏

    説明員内田宏君) とりあえず、午前中に問題になりました点の、たとえばアフガニスタン等につきましては、羊の皮を買ってくれということでございますが、非常に向こうのなめしが悪うございますから、こういうものはこちらから技術導入いたしまして、向こうに工場と技術を持ってきて、油を洗い落とすとか、それから塩づけにして持ってくるとかいうようなことも考えております。  それから、アフリカのほうにおきましても、たとえばマガジ・ソーダ灰の質をもう少しよくしてもらうとか、そういうことでございます。
  103. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それはどういうのですか。
  104. 内田宏

    説明員内田宏君) これはびんの原料になるソーダでございます。
  105. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうですか。それから。
  106. 森本修

    説明員森本修君) 農林省関係の品物としましては、先ほど申し上げましたように、非常に輸入需要が多くて、しかも主として東南アジアでございますが、東南アジアから開発の余地のあるものということで、まず砂糖、それからトウモロコシといったところが一番典型的な品物になるわけでございますが、トウモロコシのほうは、インドネシアとかあるいはカンボジア、こういう国に対しまして、できるだけ経済技術協力をして開発をしていく方向に進んでおるわけでございます。
  107. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それはタイ以外にですね。
  108. 森本修

    説明員森本修君) もちろん、タイ以外の新しいところです。  それから、砂糖のほうは、すでにタイに経済技術協力という形でやっておりまして、若干の数量についてすでに輸入の実績がございます。それから、インドネシアにも数件開発輸入といったような形で努力しつつあるところでございます。
  109. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 砂糖の開発輸入をタイあるいはインドネシアとするというお話ですが、その政策と、国内におけるたとえば鹿児島県の奄美大島あるいは沖繩、さらには台湾等のキビ砂糖との関係、競合はどういうふうにお考えになりますか。
  110. 森本修

    説明員森本修君) 御指摘のように、国内におきましても甘味資源のある程度の充実といったような関係、あるいは主として僻地におきます、何といいますか、作物の開発といったような形で生産の振興につとめておるわけでございますが、いずれにいたしましても、現在のところは、全体の需要量に対しまして、ブドウ糖等のその他の甘味資源も含めまして二五%ないしは三〇%、需要量に対してその程度の充足率でございます。したがって、大部分のものは海外からの輸入に仰がざるを得ないというのが現状でございます。将来においてもその態勢はそれほど大きく変化はないというふうに見通されるわけでございます。  海外から入れます際に、どこの市場から入れるかという第二の御質問でございますが、もちろん台湾その他、従来の関係の深いところからできるだけ輸入するということは当然考えなければなりませんけれども、その他の国からもかなり多数のものが入ってくるという実情でございます。そういう関係から、まだまだ今後の輸入の増加もございますし、あるいは旧来の市場についても、転換をしても差しつかえないといったような関係もあろうかと思います。そういう関係で、両者はそれほど矛盾なく将来やっていけるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  111. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 タイ、インドネシアで開発を目途としておられる砂糖の質あるいは値段と、国内の砂糖のそれとの比較はどういうふうになりますか。それからまた、タイ、インドネシアの砂糖は、その他のたとえばキューバだとか、そういうところの砂糖との品質上の比較、あるいは値段上の比較はどうなっておるのか、そこいらについて。
  112. 森本修

    説明員森本修君) 国内の産糖との関係でございますが、御承知のように、国内の産糖に対しましては主として関税保護しておりますが、何といいますか、従量税でございますので、具体的にそのときどきの国際相場によりましてその価格の差額というものは変わってまいりますけれども、通常の国際相場といいますか、そういうことでありますればかなり大きな差がございますが、もちろん国内糖が高いという関係になっております。その他の、要するに、入ってきますソース別の価格でございますが、これはまあタイの砂糖につきましては、かなり日本のほうでも経済なり技術の協力をいたしまして、相当コストが合理化されておるといいますか、そういう関係でございまして、それほど他の市場との関係で価格的に不利である、そういう関係はないものと存じておる次第であります。インドネシアのほうはああいう実は関係の国でございますので、まだ実はその産品をそれほど急いで輸入するという関係にはなっておりませんので、従来の問題に属します、こういうふうに見られるわけでございます。
  113. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 トウモロコシ輸入問題ですが、アメリカあるいは南阿から非常にたくさん輸入しているのですが、これをタイその他の後進諸国に振りかえることがこの際非常に必要だと思うのですが、こまかい数字は後ほど出していただくとして、趨勢として六四年あるいは六五年あたりはタイその他の国のものがどういうふうにふえていく見通しなのか、そこいらの御説明を願いたい。
  114. 森本修

    説明員森本修君) タイからのトウモロコシ輸入の趨勢でございますが、過去の数字を多少見てまいりますと、昭和三十三年あるいは三十四年当時は約十万トンということでございまして、三十七年は二十四万トンぐらいまで増加をいたしております。三十八年は先ほど申し上げたとおりの状態でございます。そういう関係で、かなりタイからも輸入自身は増加をいたしてまいっております。将来はどうかということになるわけでございますが、的確には将来の予測はむずかしいのでございますけれども、まだなお、耕地の関係からいきましても、あるいはその他の経済事情といいますか、そういう関係からいきましても、開発の余地があるといろふうに一般的には見られておるようでございます。
  115. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、それは相当飛躍的に増加して、アメリカ、南阿のものに代替をするというようなことになりますかどうですか、値段あたりはどうなのか。
  116. 森本修

    説明員森本修君) 積極的に他の市場から代替するかどうかということになりますと、全体の輸入量が、御承知のように、かなりふえておるわけでございます。したがいまして、ある意味におきましては代替関係ということになりますか、あるいは増加する日本輸入量に対してシェアが相ともどもふえるといったような関係になりますか、そこいらのところはちょっと的確にはわかりかねるという状態でございます。
  117. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 値段は。タイの値段はアメリカに比べて。
  118. 森本修

    説明員森本修君) 値段の、先ほど御質問がございましたが、ちょっと具体的な数字は的確にはございませんけれども、従来は、値段というよりは品質問題がございまして、タイのトウモロコシが、非常に何といいますか、湿気が多いというようなことが非常に輸入上で問題になっておったわけであります。その点、技術を指導いたしますとか、あるいは保管施設を援助いたしまして完備するとかいったようなこともありまして、品質上の問題が実はだいぶん改善をされております。また、こういう輸入の増加の実績から見ましても、他の国に対してそれほど値段上不利があるというふうには思えないと思います。
  119. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほどの後進国貿易関係ですが、各国別にはちょっとお伺いしたのですが、それらを総計して後進国貿易関係輸出入じりどうなのですか。
  120. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。総計いたしまして、後進国からの輸入は、先ほど申し上げましたように、大体四六%ぐらいでございますが、これは昨年度をとりますと、後進国の計が輸出が三十億ドルでございまして、それから輸入が三十一億ドルと相なっておりますので、そういたしますと、約一億ドルぐらい輸入が多いということになっております。
  121. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 出が多いの。入りが多いの。
  122. 内田宏

    説明員内田宏君) 出が多いようでございます。
  123. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは年度ですか、暦年ですか。
  124. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。これは大蔵省統計でございますので、暦年だと存じております。
  125. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほど韓国からのノリの問題が出ました。よくうわさによると、韓国からのノリの輸入は、非常に大量にしかも安く輸入して、国内においては非常に高く売りさばいてその差額が大きい、暴利をむさぼっておる、しかも、その暴利がみんな利権にからんで自民党関係その他に流れているというようなことでいろいろ言われておるのですが、その取引の価格の状況は各段階においてどういうふうになっておるのか、そこを御説明願いたい。
  126. 森本修

    説明員森本修君) 実は、直接水産の関係をやっておりませんで、具体的な値段はちょっと承知をいたしておりませんが、私が知っております限りにおきましては、大体国内価格はそのときどきの国内の需給状況によってフレてまいりますので、その差額がときによっては相違があると存じます。最近の模様では、ノリ一枚にいたしまして向こう輸出価格が二円ないし三円というふうな状況であるかと承知しております。それに対してこちらのほうでは関税をかけます。関税が約二円ということになっておりますので、国内の価格が昨年あたりでは一枚七、八円から十円といったような、ときによってこれはもちろん違いますが、同じ年でも時期によって違ってまいります。そういう関係になっておるように承知をいたしております。ただ、その差額が全部、輸入業者あるいは関係の商人といいますか流通業者に帰属するような形にはなっておらないようでございまして、差額の一定部分は、協議会がございまして、そこに積み立てをするという形になっておるようでございます。積み立てをいたしましたものは、国内の関係のノリ業者に対する生産あるいは品質の指導に使われておる、こういう状況だと承知いたしております。
  127. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 非常に幅があるので、しかも、それに関連して重大な問題がいろいろうわさされておるので、これはひとつこれを扱っている専門の係官に来ていただいて、きょうまだ時間あると思うので、御答弁願います。
  128. 岡田宗司

    岡田宗司君 委員長、いまのに関連して。そういう差額を積み立てて、そうしてその差額を指導に使うとかいろいろ言っていますが、差額が、いま聞いていると、一枚についてもだいぶなようです。したがって、この金が非常にばく大なもので、それの行くえがどうなっておるかということは非常に重大な問題だと思うのです。それから、一体そういう金の動きというものはだれが監督するのか、農林省で厳重な監督をしておるのかどうか、そこらをひとつ伺いたいのです。
  129. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 専門家に聞こうじゃないか、専門家に来てもらって。
  130. 岡田宗司

    岡田宗司君 どこで監督しているのですか。
  131. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 だれを呼んでくれますか。まだ時間あるのだから。きょうはずっとやるのだから。
  132. 森元治郎

    ○森元治郎君 農林省はすぐそこだろう。歩いて十二分、車で三分。委員長外務委員会は法律論、条約論ばかりやるのではないので、ことにガット関係なら商品の知識のある人、農業関係、そういう者がちゃんと来ていなければだめだよ、そういう抽象論ばかり言っているのでは。専門家は農林水産委員会にばかり行って、こっちへは法律屋ばかりよこすんだから。
  133. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじゃ、その問題は留保しておきます。
  134. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 いま佐多さんが資料の要求をなさったその関係でございますけれども、開発途上の国々がいろいろ訴えておりますことには、生活水準を上げようと思って経済成長を望んでも、一次産品の値が、国際価格でございますか、あるいは輸入の取りきめですか、とかく下がりがちであるにもかかわらず、そうした国が輸入しなければならない工業製品の価格はだんだん上がる傾向にある、したがって、そのギャップがいよいよ大きくなっていくので、非常に開発をするために困難を感じておるといった訴えをたびたび聞いておるのでございますが、日本との場合は、第一次産品輸入価格は下がる傾向であって、工業製品を売る場合には上がる傾向にあるというような数字が出ておるかどうか、それを伺いたいと思います。
  135. 岡田宗司

    岡田宗司君 国際貿易の商品価格の問題だから通産省だ。
  136. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 事務当局不勉強だぞ。なめている。
  137. 岡田宗司

    岡田宗司君 それじゃ、休憩してそういう人を呼んでください。
  138. 森本修

    説明員森本修君) 一次産品の国際価格とそれから工業製品の輸入の価格と、後進国サイドに立って、そういうお話でございますが、一次産品の価格は、御承知のように、先般の国連貿易開発会議においても問題になりましたように、一九五〇年代におきましてはかなり下降の傾向にあったわけでございます。そういう関係から、後進国としても、単に輸出の数量の増加ということだけでなしに、輸出の価格について安定措置を強く要望した、こういう関係に相なっております。日本輸入する産品につきましても、同様に国際的な一般の価格の傾向というのが反映してまいりますので、ただいま申し上げましたような趨勢のもとに日本としても輸入をいたしてきておる、こういう関係になっております。ただ、短期的には最近の——最近といいましても、昭和三十八年ないし七年といったような期間におきましては、若干一次産品市況も強含みになっておりまして、たとえば砂糖でありますとか、その他の産品については一時ほどの下降傾向を示さない、むしろ相当の騰貴をする、上がるといったような傾向もあったわけでございます。したがって、棒下げに下がっておるということはなかなか言い切れませんけれども、また、一時騰貴いたしました一次産品価格が最近になりまして平静に復しておるといったようなこともございます。したがって、一九五〇年代といったようなややロングランの傾向を見ますというと、一次産品価格は下降の傾向にある。日本輸入いたします価格もやはり同じような傾向のもとにあるというふうに、概してそういう傾向だと思います。
  139. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 その下降の傾向ということは非常に重要なことだと思いますので、五〇年代ぐらいから最近に至るまで、数字の得られますところをひとつ表にして示していただきたいと思いますが、それから、工業製品の価格の上がり問題と、日本関係したものだけでけっこうでございます。
  140. 内田宏

    説明員内田宏君) 工業製品の具体的数字については、ただいま手元に持っておりませんけれども、あまり大きく上がっていないと記憶しております。
  141. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それを資料にして出していただきたいと思います。
  142. 曾禰益

    ○曾祢益君 一つだけお伺いしたいのですが、今度の議定書に基づくいわゆる先進国側開発途上にある国に対するいろいろな措置ないし約束は、いろいろな条件がつけたりして、けさほどからの質疑応答にもあらわれておったように、かなり先進国側から見れば具体的に痛いところまで約束させられておらないものではないか、したがって、せっかくこの議定書ができたが、現実には国連貿易開発会議あるいはそのはしりをやったブレビッシュ報告等にあらわれた後進国側の非常にせっついた気持ちからいうと、この程度の義務をはっきりではあるけれども、この程度の内容義務づけでこの議定書に満足と言えないにしても、まあまあこの程度で第一次的にはけっこうだというのか、現実に議定書はつくってみたものの、非常に不満だというので、この議定書に対する後進国側の批准等が非常におくれているようなことがないのかどうか、これが第一点です。同じことのうらはらからいうならば、これもけさ岡田委員があげられた論点なんですけれども、この議定書承認するにあたって、われわれの心得として明確に伺っておきたいのは、そういう不満もあるし、また、この程度の議定書をつくって、具体的にはここにもあるとおり、低開発締約国側が輸出に関心を持っている産品に対する貿易の障害を軽減し及び廃止につとめる、こういうこと。それから第二点は、低開発国から輸入する——政府側が販売差益金を取るだろうけれども——それが衡平な水準に保つようにこれも努力すると、非常に逃げている。第三は、あとは一般的に低開発国からの輸入の促進のための措置を検討する。これは逃げるのがはなはだしいぐらい逃げておるわけです。こういう程度の議定書をつくってみても、次の国連貿易開発会議等でこんなもんじゃもうだめだというのでまた譲らなきゃならない。協定はつくって、この方向として悪いとは言いませんよ。それからまた、日本としては低開発国の気持ちを察しながらも、国内能勢においておくれている農業中小企業をある程度保護するというか、そっちの体質改善をやらずに、この低開発国の問題に立ち向かっているところのためらいがあるわけですから、そういう意味で、日本としても一応この程度の義務ならいいじゃないかという程度でこの議定書承認して効力を発生させた。ところが、もう半年もしないうちにまた別の議定書で、いかにも日本が渋って——日本ばかりじゃないかもしれないが渋って、この程度の協定を通したということが政治的にはプラスにならぬと思う。もうすぐ別の、もう少し立ち入った義務をしょわなければならなくなる、こういうことはないのか。これはやっぱり私は総合的に見てこの程度の内容で低開発国側がまあまあ承認できる。それから、日本がこの程度のものを通してみて、すぐにあとで追っかけられてこれをまた直さなきゃならなくなる心配はないのか、この点の大きな見通しを外務大臣から伺っておきたいと思うのですが。
  143. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) よく聞き取れませんでしたから、もし御質問を間違って理解してお答え申し上げたならば、そのときはまた訂正さしていただきたいと思います。結局、このガットの新章が具体的なきびしい責任とか義務とかというものを明確に課したものではないのでございまして、いわばいろいろ弾力性を内蔵したものでありますから、道義規定であるともあるいは言えるかもしれません。そんな程度で、はたして低開発国が満足していくかどうかという点が一つの御質問の要点だと思うのでありますが、それからまた、わが国としても、この程度でただまあ国際的なおつき合いをしてその場をお茶を濁す、こういうことで一体いいのかどうかというような点だと思うのであります。しかし、やはり国際機関としては、国連貿易開発会議もあれば、当面問題となっているガットの機構もあり、その他まあいろいろなぐあいに常に南北問題というものが問題になっているのであります。日本といたしましては、さきに御説明申し上げたように、日本輸出額のほとんど半分が低開発国向けである。そして低開発国一つ一つをとってみると、ほとんど大多数がこっちの売り過ぎで向こうからの買いはその何分の一という非常なアンバランスであります。現状においても、すでに非常な不平が、不満が低開発国側から出されておりまして、もう少し日本が一次産品を買ってくれなければこれ以上おつき合いはできないというような申し出が多々出てまいっております。でありますから、従来の日本輸出市場を維持するだけでも、もはや従来の態勢では守り切れなくなっておる。そういう意味でございまして、低開発国からもっと輸入をふやし、あるいは開発輸入をする——相当資本を出して第一次産品の品質を向上さして、そして日本が従来文明国から買っておったものをこちらのほうに振り向ける、こういったようなことをして育成していかないと、日本自身のためにも長期的にはためにならぬ、こういう状況でありますから、たとえ厳密な国際上の責任とか義務とか負わぬでも、一つの機運を高めてまいりまして、そしてその機運に乗じてお互いに励まし合って貿易額を高めていくということが絶対に私は必要だと思うのであります。ただ目先のことを考えますと、たいした成算があるわけでもなし、その場をごまかていけばいいわというふうに考えられるかもしれませんけれども、ほんとうはそうではない。まことにきびしい状況に置かれておるのだということを考えるというと、この機運を醸成することは絶対に必要である、かように考えております。
  144. 曾禰益

    ○曾祢益君 いま外務大臣がおっしゃったこと、全く全面的に賛成です。そういう大きな見地から、そう言っちゃ失礼かもしれないけれども、どうしても内地の産業を保護するのが主たる任務にある農林省なり、あるいは通産省でも通商関係当局でないところでは、やはりどっちかといえば短期的な見方をしがちではないか。それを大きく長期的に見て、こういう低開発国援助の問題については、やはり日本の大局的利益から前向きで立ち向かうのだ。これはまさに外務大臣が国内的にもそういう点は大いにインフルエンスを与えていただきたいと思います。ぼくの質問はそういう点で全く賛成です。具体的には、参事官でもいいです。外務当局でもいいですけれども、この協定に対する低開発国側の批准の状況はどうか。その見通しはどうか。日本がこれをやったときに、この次にまた直ちに、この問題じゃ足りないというので、国連貿易開発会議あたりから、さらにこの議定書に上回る協定をつくるというような関係にはならないのかどうか。主として外側の状況から、この協定がいま承認することのどれほどの意議があるか、これを伺いたい。
  145. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。新章は、事実上一昨年の五月に大臣会議で低開発国関係の新しい条項を入れるということがきまりましてから、一年半かかりまして署名されたものでありまして、実質審議に一年かかっておりまして、非常に低開発国先進国との間で十分審議したものでございます。  それから、御質問の状況でございますが、これは正式に受諾したのが締約国で十九ヵ国ございます。そのうち大半が後進国でございまして、これは二つに分けまして、国内法上批准の要らない国と、先生もちろん御存じのとおり、批准の要る国がございます。まず、批准が要らないで、署名したらすぐ発効できる、これが締約国で十九ヵ国、カメルーン、中央アフリカ、セイロン、ガンビア、インド、ジャマイカ、ケニヤ等でございまして、大体いまちょっと雑にいたしまして、このうち、ストレートに受諾したうちの先進国は、イギリスと、アメリカとカナダといたしますと、三ヵ国抜きますと十六ヵ国の後進国がすでにそのまま署名して受諾しております。
  146. 曾禰益

    ○曾祢益君 効力発生の要件は。
  147. 内田宏

    説明員内田宏君) 効力発生の要件は、三分の二の国が受諾した場合に発生いたします。  それから、批准を条件としました国は十六ヵ国ございまして、ベルギー、ブラジル、チリー、フィンランド、ドイツ、イタリア、 ニジェール、 ノルウェー、ペルー、トーゴー、上ヴオルタ等でありまして、明らかに先進国と認められる国がこのうち批准を条件としておりますのは六ヵ国ございまして、十ヵ国の後進国が批准を条件として署名しております。このほかに仮加入国といたしまして、チュニジア、ア連合、ユーゴースラビア、アルゼンチン等もいたしておりまして、計、議定書受諾国は二十二ヵ国になっております。それで、各国ともまだこれはその署名成立当時のことでありまして、署名当時の加入国としては、これは非常に成績がいいほうではないかと存じております。  それからもう一つの御質問の、すぐまた改正を要するのじゃないかという点でございますが、これが成立いたしましてから後、本年の四月五日でございますが、ニューヨークでUNCTAD貿易開発理事会が開かれましたときに、このガットのニュー・チャプターについて、あんなものじゃだめじゃないか、けしからぬじゃないか、すぐ変えろという議論は起こっていないようでありまして、これで後進国が満足したわけじゃありませんが、一年半を費しまして先進国としっかり話した結果、先進国との間にはこのくらいしかいまのところはきまらぬだろう、こういうことではないかと存じます。ただいまのところ、非常に近いうちにこれに対して不満が爆発して追加を要するというようなことはない見込みであります。
  148. 曾禰益

    ○曾祢益君 第二点はそれでわかりました。第一点は、いま批准を条件としょうが、しまいが、受諾国が六十四ヵ国なんだから、四十四ヵ国にならないと効力が発生しないでしょう。その見通しはどうなんですか。いまのお話によると、まだ二十数ヵ国にしかなっていないということだけれども。
  149. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 先ほど内田参事官からお答えいたしましたとおり、正式に受諾した国と申しますのは、署名によってそのまま発効する国でございますが、それが二十二ヵ国あるわけであります。それから、アドレフェレンダムで署名したのが十七あるわけであります。それでもちろん日本はこの中に入っていないわけであります。アドレフニレンダムで署名するという形のいわゆる手続をとり得ない国がたくさんあったために、直接に署名しない、ないしはアドレフェレンダムで署名しないという国の中で、受諾し得る、国会を通して署名するという国は相当数あるというふうに了解しております。
  150. 曾禰益

    ○曾祢益君 だから、くどいようだけれども、現状においてはまだ四十四ヵ国になっていないが、なることは確実、近いうちに三分の二に達することは確実だというふうに見ているわけですね。だから、私は何も日本は待てという意味じゃなくて、日本はむしろ進んで賛成すべきだと考えているわけで、その状況を聞いたわけです。近く三分の二に達する見込みですか。
  151. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。ジュネーブでこの会議に参加した代表団の方の印象といたしましては、いま佐藤審議官の御説明のとおりに、国内手続を要する国がございますが、後進国はほとんどこれに署名するだろうという見通しで代表団は帰ってまいっております。
  152. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 この条約締結の効果について、先ほど外務大臣は、今後の貿易量増大を目標としての機運を醸成していきたいという意味のことを申されましたが、この条約締結によって生ずる日本のプラスの面とマイナスの面とあり得るのじゃないかと思いますが、その点について御説明いただきたいと思います。
  153. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。  まずプラスの面についてでございますが、これはぎつき大臣からも御説明ございましたとおり、わが国はまれに見る、貿易後進国に依存している国でございまして、四六%を後進国に依存しているわけでございます。それで、後進国のこの要望をある程度満たして、そうしてこの後進国の慢性的な外貨不足は補われ、後進国経済が伸びてくるということは、また日本輸出市場も拡大し、かつ、安定していくわけでございます。  それかもう一つは、今度のAA会議、第二AA会議等に参りましても、日本はこれを受諾することによりまして、積極的に低開発国のことを親身になって考えてやるんだということ自体、また第二AA会議においても、非常に日本にとってプラスで、活躍の余地が多いものだと存じます。  それから、御心配の、マイナスの点と申されますが、これは先ほど各先生の御質問に対してお答え申し上げましたように、この関税を引き上げないとか、あるいはなるべく軽減するとかいうことは非常な条件づきでやっておりまして、これは国内の状況で、国内産業に不当な被害を与えないようにいろいろな点で、これはいろいろな文句で、日本の産業に直接不当な被害を与えないように考慮しておりますので、これによって日本が不当な被害を受けるということはないと存じます。この点は一年半の交渉過程におきまして、関係各省から構成されます代表団全部参りまして、十分日本代表団の中でも審議を尽した結果、これはこれでいいだろうということになったのでございます。
  154. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 先ほど森本参事官ですか、午前中の答弁の中にですね、低開発国において、日本のいろいろな製品の輸入をあまり希望している向きは少ない。これは私の聞き違いかどうかわかりませんですけれども、低開発国といっても非常に範囲が広いわけですが、今日低開発国において、日本の製品を望まない、もし望んでいるとするならばどういう範囲かということも先ほど質問があったようでありますが、これは私の聞き違いですか。
  155. 森本修

    説明員森本修君) 私は望んでいないというような趣旨で申し上げたわけではございません。
  156. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 望んでいないと言ったか、少ないと言ったかだな。
  157. 森本修

    説明員森本修君) 何といいますか、競合する産品がどれだけあるかというお話がございまして、後進国輸出関心品目が、全部が全部、日本関係産業と競合するものではないというような趣旨のことは申し上げましたが、輸入に対して関心がない、あるいは要望がないといったような趣旨で申し上げたわけではございません。
  158. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは多少ばかげた質問かもしれませんのですがね、とにかく先進国とか低開発国とか書いてありますが、これは大体の意味はわかっているのです。だけれども、ここでですね、いままでの関税及び貿易に関する一般協定の中には、たしか先進国とか低開発国とかいうことばはなかった。そうでしょうね。
  159. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。このガットの十八条に、正確には「低開発国」とはございませんが、十八条に、ちょっとお読みいたしますが、第一項は、「経済開発に対する政府の援助」という項でございまして、「締約国は、この協定の目的の達成が、締約国、特に、」そこから始まるわけでありますが、「経済が低生活水準を維持することができるにすぎず、かつ開発の初期の段階にある締約国の経済の漸進的開発により容易にされることを認める。」。これが既存のガットの低開発国に対する唯一の条項でございまして、そこに岡田先生のおっしゃいました、「低開発国」とはございませんが、ここにほぼその観念が出ているように承知しております。
  160. 岡田宗司

    岡田宗司君 で、まあ新しい章が加えられて、ここにはっきり先進国とそれから低開発国ということばが出てきた。で、まあ条約なんというものは、たいへんそこに盛られておるいろいろな概念について厳密な定義をなされても、なおかつ解釈の相違等も出てくるのです。したがって、こういう新しい章が加えられて、そこに先進国とか低開発国とかということばが加えられてくると、やはりこれについては相当論議がかわされて、そうしてこれについての明確な概念が規定されたと思うのですが、この条約の新しい条項挿入について、それにおける先進国と低開発国の定義ですね、それひとつ説明していただきたい。
  161. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。この御指摘の点につきましては、何が先進国であるか、何が低開発国であるかということを定義するという試みはございましたけれども、ついに、これはどの国がどちらに属するかということについては合意に達しませんで、この点は低開発国はどれとどれである、それから先進国はどれであるということはきまっておりません。それで、先ほど引用いたしましたガットの十八条のこの「経済が低生活水準を維持することができる」、「開発の初期の段階にある締約国」というのが、これがまあ一つの目安にはなるわけでございますが、特別に、これが低開発国である、これが先進国であるというふうな定義には到達することを得ませんでした。
  162. 岡田宗司

    岡田宗司君 この何ですね、コントラクティング・パーティの定義がきまらない条約というのはどうも少し珍しいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  163. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) これはガットというところが非常におもしろいところでございまして、まあもともとその先進国のクラブのようなところから発達したものであるものでございますから、非常にそういうふうなわれわれ条約マンから見ますと、非常に、あまりはっきりしないような規定が多いわけでございます。いま先生御指摘の点も、その新章の審議については非常に問題になった点のようでございます。結局は、新章の三十八条のほうで、「共同行動」のほうの規定に入りますことでございますが、貿易開発委員会というものができるわけでございます。で、まあケース・バイ・ケースに、たとえばある国が、たとえばブラジルならブラジルがある問題を出した、そうすると、そのブラジルというものが、これが低開発国に入るか入らないかということは、ケース・バイ・ケースに貿易委員会できめるということでどうも落着したように聞いております。
  164. 岡田宗司

    岡田宗司君 このガットの加盟国が六十五ヵ国ある、これには、先進国後進国との間の契約、約束ということが問題になっておるのですね。そうすると、どうしたってこの概念が明らかでなきゃならぬ。この六十五ヵ国のうちで何と何と何の国が先進国であって、何と何と何の国が後進国であるということがはっきりしてなければどうもおかしいのじゃないかと思うのですがね。いま言ったように、ケース・バイ・ケースできめると、これはうんとおくれている国と先進国との問ならいいんですけれども、ある程度工業も発展をしている国で、しかもなおかつ一面において第一次産品の産出並びに輸出が多いというような国が、そういう立場に、そっちのほうだけを取り上げて、そうしておれも後進国である、こう言っていわゆる先進国に対してこの条約をもとにして第一次産品買い付けを要求してくるというような場合も起こってくるんじゃないかということも予想されるので、そこが明らかになってなければならないのじゃないかということが一つ。それから第二の点は、この概念が明らかにされてないというと、私ども今後一体ここに書いてある「約束」の中に書いてあることをやるのについて、どの国がたとえば主になってそういうことをやるのか、そして、たとえば相当の程度工業も発達したような国ですね、いわば中進国というような国は、一体その場合にどういう義務を負う、あるいはどういう約束をするのか、それはもう全然約束をしないでいいのか、この条項による約束はしないでいいのかという問題が起こってくるのです。ここに書かれてあるのは、いわゆる先進国と称せられるものは大体どことどこの国になるんですか。
  165. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 先進国に関しましては、いわゆるヨーロッパ、アメリカ、カナダ、これは問題ないと思います。それで、日本ももちろん入ります。そういうふうな、だれが見ても先進国というところがあるわけであります。それから、だれが見ても後進国というところがあるわけでございます。結局、問題になりますのは先生おっしゃいましたように、中進国が問題になるわけでございます。これに関しましてはガットの中でもいろいろ論議がございましたが、国の名前をあげるのがはたして適当かどうかわかりませんが、ポルトガルとかスペインとかイランとかトルコとか、そういうところがそちらに入るわけでございます。そちらに関してはいろいろ国の事情もあるようでございまして、はっきりきちんときめるというようなことができなかったというのが今度の新章の討議においての結論のようであります。したがって、後進国は、みながコンセンサスで後進国と思っているもの、先進国と思っているもの、これははっきりしているわです。結局、中進国をどっちへ持っていくかということだけが問題になっているように聞いております。
  166. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこで、中進国なるものが自国の輸出を増加するために、きまってないことを理由にして、そういう面においては自分の国は第一次産品の産出量が多くて輸出もそれによっているんだということで、先進国に対して新しい章に基づいて要求をしてくるという場合には、先進国はどういう態度で臨むんですか。
  167. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 結局、ケースはこういう形になるだろうと思います。たとえば、いま名前をあげましたトルコならトルコが、何らかの形で先進国に対して貿易商会がこの章に従って下げろというようなことを要求してきましたとします。その場合に、たとえばドイツならドイツが、いやトルコはあれは後進国じゃないんだというふうな形で、したがって私のほうはこの義務は負わないんだというような形で貿易開発委員会に出す。そこでケース・バイ・ケースに、いわゆる一種のケース・ローみたいな形で、そこで一つ一つきまっていく、そういう形がガットの考えている形だと私は了解しております。
  168. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、さっきもありましたように、たとえば先進国がこの条項に基づいて後進国から要求したものを、「やむを得さる理由により」というので、理由でもって拒否をした、それをそれについて訴えた、それについて委員会なり何なりがある種の裁定勧告をするということがあり得ると思うんですが、それと同じように、やはりその場合場合にその国が後進国であるか先進国であるか、あるいは中進国であるから後進国でないのでこの条項に基づく要求は不当であるとか、そういう判定を下すんですか。そういうことになるんですか。
  169. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 実際問題としてはそういう形になると思います。一度トルコならトルコというものが後進国なら後進国というふうに判定されました場合に、やはりそれが一種のガットにおけるきまりと申しますか、先例と申しますか、そういうふうな形で一種のガット条項を補完する一つのきまりというふうな形になっていくのじゃないかと思っております。
  170. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうなると格づけができてしまうわけですけれども、一方国連貿易開発会議のほうでは、いわゆる先進国に対して後進国がまとまっていろいろな要求をした。その中に相当後進国でない——まあ中進国に入っていると思われるところもずいぶん入っている。だから、ガットの今度の新しい章に言う先進国後進国の概念、これはケース・バイ・ケースできまるにしても、それと一面国連開発会議におけるいわゆる先進国後進国、それの区分、そういうものとはどういう関係になるのですか。
  171. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) これはおそらく変わってくる場合もあると思います。と申しますのは、この今回御審議願っています新章の適用上、後進国というものはどういうものになるかということをガットがきめるわけでございますが、それといわゆるUNCTADでグループをなしている、いわゆる後進国としてグループをなしている七十七ヵ国ですが、あれとは食い違ってくる場合があると思います。
  172. 岡田宗司

    岡田宗司君 食い違ってくると、またそこでもっていろいろ議論が起こるのですが、そういうものはやはりケース・バイ・ケースで解決することになるのですか。
  173. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) ガットの中ではそういう形になってまいりますと思います。ガットのいわゆるやり方、動き方自体が非常にそういうふうなケース・ロー的なところがあるわけでございますから、どうしてもそういう形になって動いていくのじゃないかと思っております。
  174. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう一点、たとえば日本がAという後進国からある種の産物について買ってくれと要求された。この条項に基づいて買ってくれと要求された。そこで日本は、その国との話し合いでそこの国から買いやすいようにした。そうすると、Bという後進国から、それと同じ条件で買ってくれ、おまえのほうはAにそれをこういう条件で買うことを許した、そういう条件にしたのだからおれのほうもそうしてくれと言われる。いわゆる最恵国待遇のなにを求めるということになってくると、これは要らないものをたくさん買わなければならないという場合もだいぶ生じてくると思いますが、そういう場合はどういうことになりますか。
  175. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。御質問の、Aという国から買った場合に最恵国待遇を求められた、日本はもともとガット加盟をしておりまして一船的最恵国待遇を与えておりますし、貿易自由化しておりますから、貿易制度上はそうなりますが、御存じのとおり、商品、特に第一次産品は品質とか価格とか引き渡し条件、引き渡し時期、運搬の方法とか違いますので、同じものが隣の国にあるということには限りませんので、そのときには日本の国に最も必要なものを買うという形になりますので、直ちに一ヵ国に許したならばそれが全部に波及してしまうということはないと存じます。
  176. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだ第一次産品のうちで自由化されていないものについては、為替割り当てやなんかでそういうものをチェックする方式は容易に立つと思うけれども、自由化されていった場合に、はたしてそういうふうにうまくいきますか。それから、相手方の国から強く要求された場合に、何とかいろいろ難くせをつけてそれを断わるということになるというと、今度はそれを、この条項に違反するのじゃないかと言って持ち出されて事めんどうなことになるおそれはないのですか。
  177. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。  買いました場合のケース・バイ・ケースでございまして、おのおのそのときのわが国の国内の産業の情勢にもよりますし、日本の国内情勢にもよりますし、それから買いますものの性質とか価格とかにもよりますから、一がいにそれがどうしても買わなければならないという立場に追い込まれることはないと思います。
  178. 羽生三七

    羽生三七君 いまの問題で続いてもう一問。  先進国あるいは後進国、低開発国ということをきめる場合に、委員会と言われましたが、自分でも志願できるのですか。というのは、実はルーマニアに行きまして、あそこの、この間なくなった共産党の元首のゲオルゲ・ゲオルギュデジさんと何時間も懇談したのです。そのときに、わが国は工業成長率一五%——世界最高ですね。私は日本が最高かと思ったが、ルーマニアが最高だったが、それにもかかわらず、わが国は低開発国を志願した、こう言っておるのですが、そうなると、ああいうことは一体どうなのか。自分で志願すればそれでいいのか。そういう点はどうなんですか。
  179. 内田宏

    説明員内田宏君) お答え申し上げます。  まず、御例示のルーマニアはガット加盟国ではございませんが、一般的問題としてお答え申し上げますと、それはガットで上程されましたときに協議してきめるわけでございまして、それからいま岡田先生から、低開発国先進国の定義がきまらないでおかしいではないかという御意見がございました。これは今回初めてではございませんので、ガットにおきましては、ガットという一つのグループ組織でございまして、これは一九四七年ガットができましたときから、先ほど私が引用させていただきました十八条に「経済開発に対する政府の援助」がございまして、このときにも「低生活水準」「開発の初期」こういうことがございまして、これがずっと、十何年問低開発条項だと言われておりましたが、これにつきましても、どれが十八条該当国であるかということを何らきめないで、ケース・バイ・ケースで円満に処置してきまして、こういう問題が起きておりませんので、さような国際機関だと御承知願いたいと思います。
  180. 藤本静香

    説明員(藤本静香君) 韓国ノリの輸入でございますが、韓国ノリの価格は韓国ノリ輸出組合というのがございまして、そこで一括集荷しておりますので、韓国の輸出組合が買い入れます価格につきましては正確な数字は判明いたしません。国内に入りますときのCIF価格でございますが、昭和三十八年に入れました一億は約一ドル程度——一ドルと申しますのは、一束について一ドルでございますので、百枚について約一ドルでございます。  昭和三十九年の当初入れました一億枚につきましては、大体一ドル四十七セント程度でございます。第二回目に入りました一億枚は、二ドル三十七セントでございます。輸入いたします場合の関税は従量税でございまして、一枚について二円に相なっておるわけでございます。なお、韓国ノリの輸入につきましては、当然相当の差益が出るわけでございますので、韓国ノリの輸入に伴いまして生ずる差益の一部を昭和二十九年度から輸入業者——これは日本の商社と問屋からなっておるわけでございますが、これから生産者に供出金を出させておるわけでございます。この供出金の公正な使途をはかりますために、財団法人で海苔増殖振興会というのを設立いたしまして、これを水産庁が指導しているわけでございます。この供出金はおおむね約一億枚のノリにつきまして二千五百万円程度に相なっているわけでございます。なお国内におきます韓国ノリの販売価格でございますが、非常に、御案内のように、ノリにつきましては種類がたくさんございまして、全体的にそれぞれのノリについての国内価格というものは明確につかめないわけでございますが、おおむね輸入価格プラス関税を含めましたものの五〇%ないし六〇%増の形で販売されておるようでございます。
  181. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっと伺いますが、ノリ百枚について一ドルとか、一ドル四十セントとか、二ドル三十セントとか、えらい急に上がってきているのですが、これはどういう理由なのかということを第一点としてお伺いしたい。  それから、差益というけれども、毎年の差益の金額ですね。それからそれの使途ですね。たとえばいま輸入業者から積み立てたそれを生産者に供出金を出すというけれども、そのほかにもいろいろ使い道があるわけですね、その金額。それから、それの監督ですね。どこがやっているのか。たとえばその差益の金額の中からいろいろ政治献金が行なわれておるとか、先ほど佐多君もちょっと言ったけれども、ある政党に流れたとかいろいろのうわさもあるので、そういうものの監督ですね、それはどこがやって、きちっとしているのかどうか。そういうことを聞かしてもらいたいのですが。
  182. 藤本静香

    説明員(藤本静香君) 韓国から輸入いたします場合のいわゆるCIF価格でございますが、これは御案内のように、韓国のノリ輸出組合と日本側のいわゆる商社との間でコマーシャルベースの取り引きが行なわれるわけでございます。したがいまして、いわゆる日本の国内におきますところのそのときのノリの価格というものが相当にこのCIF価格を決定いたします場合の重要な資料となるわけでございまして、昭和三十八年は、おおむね国内のノリの生産者価格が一枚につきまして七、八円というような場合におきましては、当然それに見合ういわゆる韓国のノリの価格というものは四円ないし五円。と申しますことは、さらにそれに関税を加えますと、国内のノリの価格と相対応するというようなことになるわけでございます。昨年は——昨年と申しますか、三十八年の十一月から三十九年の三月までのいわゆる国内のノリの生産時期に未曾有の不漁に遭遇いたしましたために、御案内のように、国内のノリ価格が非常に暴騰いたしたわけでございます。したがいまして、CIF価格もそれに伴ってかなり高値を呼んだというようなわけでございます。現在、ノリは、日本以外にその輸出の方途もございませんし、また、韓国自身といたしましても、あまり自国内で消費するというものではございませんので、韓国の現在のノリ価格というものは、日本の国内のノリ価格に対応した形で取り引きが行なわれているような現状に相なっているわけでございます。  なお、先ほど御説明申し上げましたように、御質問の第二点のいわゆる供出金でございますが、これは財団法人の海苔増殖振興会というものを設立いたしまして、これが管理をいたしているわけでございまして、大体一億枚について二千五百万程度の金に相なるわけでございます。
  183. 岡田宗司

    岡田宗司君 いやそういうことではなくて、年々どのくらいずつ実際にそこに差益金が入っているのか。
  184. 藤本静香

    説明員(藤本静香君) ただいま正確な数字を持ってまいっておりませんけれども、現在昭和三十九年までに大体振興会に供出されました金は七千五百万程度でございます。それはいわゆる国内の生産者に対する助成の一環といたしまして、東京に全海苔のビルを建設いたしたわけでございまして、そういう供出金の使途につきましては、水産庁としてこれについての監督はいたしているわけでございます。
  185. 岡田宗司

    岡田宗司君 水産庁は、生産者に戻すとかなんとかいったのがビルになったんですか。そのビルが生産に役立つんですか。
  186. 藤本静香

    説明員(藤本静香君) それは、これは御案内のように、全国海苔貝類協同組合連合会というものがございまして、それがそのビルの中に、将来の方向といたしましては、いわゆる生産者によるノリの調整、保管ということをいたしたいという趣旨で会館の建設を認めたわけでございます。したがいまして、その利用はもっぱらノリ生産者のために利用するというたてまえで現在運用させている次第でございます。
  187. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういうことをほんとうに監督してやっているんですか。たとえば吹原産業のように、冷蔵庫をつくると思ったらボーリング場ができてしまった。あれなんかだって大蔵省の厳重な監督下にあるはずなんです。いまあなたは言われたけれども、初めにあなたの話を聞いていると、零細なる生産者に反していくようにわれわれには印象づけられるが、話を聞いてみると、会館が立つ。その会館はノリの零細な生産者が利用するのではなくて、ボスどもが利用することになるんですよ。一体何をやっているんです。だから私は、監督はどうだということを聞いたんです。あなた方は、毎年そこに一体どれだけ入って、その金がどういうふうに使われているか言えないじゃないですか。監督の立場にありながらそのくらいの答えができないでどうなんです。だから、その問題はいろいろ疑惑を生むんですよ。それだから聞いているんです。そんな答弁では私は満足できないんです。はっきりしてください。
  188. 藤本静香

    説明員(藤本静香君) 直ちに資料を取り寄せまして御説明申し上げます。
  189. 原田明

    説明員(原田明君) ただいま担当いたしております通商局次長が米国に出張中でございますから、私がかわりまして、先ほど御質問のございました点についてお答え申し上げます。なお、ただいま農水産課長がこちらに来る途中でございますから、詳細は参りましてから……。  最初に、工業品価格が最近上がり、低開発国からの一次産品の価格は下がっているのではないか、こういう事情がわが国の場合にどのように当てはまっているかという御質問に対するお答えを申し上げたいと思います。  工業品価格につきましては、日本輸出価格は、一般的な価格傾向並びに日本の商品の近代化の結果、だんだん下がっていくような傾向にむしろございまして、したがいまして、日本の機械その他の工業製品の主たる輸出先でございます後進国に対する輸出品の価格も下がりぎみでございます。この点では一般に世界的動向といわれております工業品価格が下がり、日本の場合にどんどん輸出価格が上がっておるという状態ではございません。まず金属製品ということで見てまいりますと、一九六〇年の輸出価格を一〇〇といたしました指数で、六一年が九四・一、六二年八四・八、六三年八二・八、六四年の平均が八五・七となっております。なお、六四年の十二月におきます指標は八七・六になっております。また、機械が一番多いのでございますが、機械につきましては、同じ指標で六一年が九二・二、六二年八八・二、六三年八二・八、六四年平均が七四・四となっております。六四年の十二月で見ますと、この数字がさらに七一・四まで下がっております。また、化学製品につきましては、同じ指標で六一年が九六・二で、六二年八六・八、六三年八一・五で、六四年八九・四、六四年十二月が八六・六というぐあいになっております。この工業製品の価格につきましては、したがいまして、日本といたしましては、特に低開発国に対する輸出が上昇傾向にあるというふうには言えないというふうに考えております。
  190. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  191. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。
  192. 羽生三七

    羽生三七君 いまのは輸出価格ですか。その比率で国内に対する販売価格も下がっておるわけですか。経済企画庁の指標で卸売り価格は横ばいですね。
  193. 原田明

    説明員(原田明君) 輸出価格のほうがやや下がりぎみではないかというふうに考えております。
  194. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近ここに言ういわゆる後進国ですね、後進国でもって工業が発達してきて日本輸出品と競合するものがずいぶん出てきた。たとえばインドだとかパキスタンだとか、ああいうところで綿紡、これが非常に発達してきた。それから、香港後進国に入るか、後進地域に入るかどうかちょっと疑問だけれども、香港あたりでは最近トランジスタ・ラジオなんか日本品と競争のできるのがある。ああいう傾向が今後強くなってくる可能性もあるのですが、それらについての見通し、それからそれに対する日本側の今後の方針ですね、これも非常に大きな方針と、それから個々の具体的な当面の方針とあるのですが、それらについて大体大要をお聞かせ願いたい。
  195. 原田明

    説明員(原田明君) ただいまの岡田先生質問まことに重大な問題でございまして、御指摘のとおり、開発途上の国、特に軽工業並びに繊維産業の競争力が次第に増してきてまいっております。これに対しまして、わが国の軽工業並びに繊維産業の部門におきまして、全面的にではございませんが、部分的に次第に激しい競争に直面するという事態になりつつございます。一番問題になっておりますのは綿製品でございまして、数年前、たとえばアメリカ市場に出しておりましたわが国綿製品は、アメリカ市場アメリカ輸入の中で非常に高いウエートを持っておりましたが、最近は香港、インド、パキスタンその他の諸国に次第にシェアを少しずつ奪われてまいりました。そのシェアは低下しつつあるというような状態にございます。それから、その他の、たとえば造花みたいな製品につきましてもほぼ同様の事態が起こりつつございます。また、合板につきましても、当初は日本輸出が非常に盛んでございましたが、フィリピン、台湾等、特にラワン材の原産地であります国々が工場をつくりまして競争力増大してまいっておりますので、その関係わが国のシェアが第三国市場において奪われつつあるという状態でございます。このような商品は雑貨の中にも非常にたくさん出てまいる傾向がございます。一々品目をあげるいとまはございませんが、非常にたくさん出てまいると思います。こういう傾向に対しまして私どもといたしましては、一方では開発途上国の産品輸出増大をしなければならないという要請と、それから、第三国市場日本輸出との競争において、日本が著しく不利な立場に陥らないようにしなければならないという要請を勘案いたしまして、対策を講じたいと思っております。その第一の対策は、それぞれの産業の競争力を強めてまいって、向こうがつくってまいりますものよりも、よりよい品質のものをより安くつくるという努力でございます。たとえばトランジスタ・ラジオ等の分野におきましては、向こうは二石くらいのラジオに主力を置くといたしますならば、こちらは八石以上の高級品に主力を置くといったような努力でございます。  それから第二の努力は、なるべくそういう摩擦がスムーズに行われるようにという努力でございまして、たとえば綿製品につきましては、国際取りきめといったような取りきめに基づきまして、どの国も輸出が漸増することが可能になるようなというような措置を講じて日本も参加をいたす。  第三番目は、やや構造的な対策でございまして、日本の産業構造をなるべく重化学工業化いたしまして、開発途上国の軽工業並びに繊維産業にその余地を与えるという方向に進みたいというように考えております。
  196. 森本修

    説明員森本修君) 先ほどトウモロコシアメリカとタイからの輸入価格の具体的な数字が手元にございませんでしたのでたいへん失礼いたしましたが、電話で連絡をして資料を取り寄せましたところ、最近の二ヵ年の状況は次のようになってございます。  用途としまして、大部分は飼料用でございますが、それ以外にもありまして、タイからは、飼料用以外には入ってございませんが……。
  197. 羽生三七

    羽生三七君 飼料だけでいいです。
  198. 森本修

    説明員森本修君) さようのものについて申し上げますと、これは一年間の輸入の数量を全部平均をした数字でございますが、三十八年ではトン当たりCIF価格にいたしまして、アメリカからはトン当たりで約二万一千円、それから、タイからは二万二千円ということになってございますが、三十九年度は、アメリカは約二万三千五百円、それからタイのものが二万二千五百円ということになっておりまして、品質あるいはその輸入の時期によりまして多少フレがございますので、この数字を単純に比較することはどうかと思いますけれども、ほぼ競争的な価格関係になっておるのではないかというふうに思っております。
  199. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 アメリカの三十九年をもう一ぺん。
  200. 森本修

    説明員森本修君) アメリカの三十九年は二万三千五百円ということになっております。
  201. 羽生三七

    羽生三七君 これはいまおっしゃったように、単純に比較はできないように思いますけれども、これで大体見当がつくわけですね。それですから、低開発国からできるだけ買ってやるという場合には、大幅にタイに輸入先転換してもいいんじゃないですか。アメリカの場合はどうしてそれができないのかですね。
  202. 森本修

    説明員森本修君) 午前中も申し上げましたように、できるだけ輸入先転換について努力をいたしたいということで種々やっておるわけでございますが、大体いまの状況では、タイの輸出余力のありますものは——もちろんタイは日本ばかりではございませんで、ヨーロッパあたりにも輸出をいたしております。したがって、タイ自体としましては、輸出余力のあるものは大体はけておるという状況でございます。将来買い付けを増加するということにいたしますと、タイの輸出余力を増強する生産の合理的な増大ということによって可能になってくる、こういう関係に相なっております。
  203. 羽生三七

    羽生三七君 それは先ほどの御説明では、タイからトウモロコシあたりの日本買い付けを大いに希望して要求があると言ったから私そういうふうに言っているわけです。いずれにしても、これはまだやり方によっては転換可能だから、十分ひとつ検討していただきたい。
  204. 後藤伝一郎

    説明員後藤伝一郎君) ちょっと補足して申し上げます。タイのほうの輸出余力でございますが、いままでの実績をちょっとかいつまんで申し上げますと、三十七年が四十万トン、三十八年が五十七万トン、それから三十九年が六十七万トンというふうにしてふえております。
  205. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さっきの数字と違うね。
  206. 後藤伝一郎

    説明員後藤伝一郎君) 失礼いたしました。私の申し上げましたのは年でございます。八月からメーズの輸入につきまして商社間で協定を結んでおります。輸出入取引法に基づく商社協定でございますが、これは八月からの年度になっておりますので、ちょっと食い違っておりますけれども、傾向といたしましては、向こう輸出余力のあるものはほとんど日本側のほうで買う、むしろ過当競争のような形になっておって、それで商社間で協定を結んでおるわけでございます。ただ問題は雨期だとかあるいは船の関係、そういう関係で、タイ側のほうの荷物が円滑に集まってこられない、こういうことで、漸増はしておりますが、まあ荷物の集荷等で必ずしも円滑に日本側のほうに荷物が入ってきておらない、こういう現状でございます。
  207. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ただいまの答弁、資料にして、輸入実績それから価格、これは表にして出していただきたいと思います、各国別に。
  208. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議がないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  本件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  211. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  213. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。暫時休憩いたします。    午後三時四十五分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————