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1964-04-27 第46回国会 参議院 本会議 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十七日(月曜日)    午後一時二十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十号   昭和三十九年四月二十七日    午後一時開議  第一 経済協力開発機構条約の締   結について承認を求めるの件   (衆議院送付)  第二 昭和三十七年度一般会計予   備費使用調書(その2)(衆議   院送付)  第三 昭和三十七年度特別会計予   備費使用調書(その2)(衆議   院送付)  第四 昭和三十七年度特別会計予   算総則第十一条に基づく使用総   調書衆議院送付)  第五 昭和三十七年度特別会計予   算総則第十二条に基づく使用総   調書(その2)(衆議院送付)  第六 昭和三十七年度特別会計予   算総則第十三条に基づく使用総   調書衆議院送付)  第七 昭和三十八年度一般会計予   備費使用調書(その1)(衆議   院送付)  第八 昭和三十八年度特別会計予   備費使用調書(その1)(衆議   院送付)  第九 昭和三十八年度特別会計予   算総則第十四条に基づく使用総   調曹(その1)(衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、故衆議院議員、元衆議院議長堤   康次郎君に対し弔詞贈呈の件  一、沖繩援助に関する日米間の書簡   交換に関する外務大臣報告  一、日程第一 経済協力開発機構条   約の締結について承認を求めるの   件  一、日程第二 昭和三十七年度一般   会計予備費使用調書(その2)  一、日程第三 昭和三十七年度特別   会計予備費使用調書(その2)  一、日程第四 昭和三十七年度特別   会計予算総則第十一条に基づく使   用総調書  一、日程第五 昭和三十七年度特別  会計予算総則第十二条に基づく使  用総調書(その2)  一、日程第六 昭和三十七年度特別  会計予算総則第十三条に基づく使  用総調書  一、日程第七 昭和三十八年度一般  会計予備費使用調書(その1)  一、日程第八 昭和三十八年度特別  会計予備費使用調書(その1)  一、日程第九 昭和三十八年度特別  会計予算総則第十四条に基づく使  用総調書(その1)  一、地方交付税法等の一部を改正す  る法律案  一、皇室経済法施行法の一部を改正  する法律案     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。田中清一君から病気のため会期中、請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに、決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 衆議院議員、元衆議院議長堤康次郎君は、昨二十六日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  この際、本院は、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  議長において起草いたしました弔詞を朗読いたします。   〔総員起立〕  参議院はさき衆議院議長として憲政の発揚につとめられました衆議院議員正三位勲一等堤康次郎君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます     —————————————  弔詞贈呈方議長において取り計らいます。      ——————————
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 外務大臣から、沖繩援助に関する日米間の書簡交換について発言を求められております。この際、発言を許します。大平外務大臣。   〔国務大臣大平正芳登壇拍手
  8. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) わが国琉球語勘に対して潜在主権を有すること、琉球諸島住民日本国民たる地位を有すること、さらには、琉球諸島に対する施政権は将来わが国返還されるべきものであることにかんがみ、政府は、琉球諸島経済開発同島住民安寧福祉を増進するため、米国政府協力して、積極的な援助努力を推通してまいりましたことは、御承知のとおりであります。特に、昭和三十六年六月にワシントンで行なわれた池田ケネディ会談において、米国琉球諸島住民安寧福祉の増進について一そう努力し、わが国がこの目的のため米国と引き続き協力することが確認されました。昭和三十七年三月、ケネディ大統領は、池田総理とそのような了解に基づき、琉球諸島に対する援助供与についての日米間の協力を進めるための取りきめを行なうために日本政府協議を開始する用意がある旨を声明されました。  これに基づき、日米間の交渉は同年九月より開始されましたが、今般、琉球諸島に対する経済援助に関する協議委員会技術委員会の設置を骨子とする取りきめの案文につき両政府間に意見の一致を見るに至りましたので、私と米側エマソン駐日臨時代理大使との間で、四月二十五日書簡署名交換を了したのであります。  今回の取りきめのおもな内容は次のとおりであります。  一、両政府は、琉球諸島に対する援助供与について、引き続き協力する。日本政府援助は、予算で認められた資金から供与され、この資金支出は、日本の法令に従って行なう。  二、協議委員会を設置する。同委員会は、日本側については外務大臣及び総理府総務長官米側については駐日大使により構成される。同委員会は、琉球諸島に対する援助供与についての協力に関する両政府政策調整任務とする。  三、技術委員会を設置する。同委員会は、琉球諸島高等弁務官代表者総理府総務長官の指名する政府職員及び琉球政府行政主席またはその代表者により構成される。同委員会は、援助の実施に伴って生ずる問題の検討任務とする。  四、日本政府琉球政府に提供する資金により取得される器材及び施設日本政府供与する器材及び施設または日本政府琉球諸島における技術援助は、琉球政府が維持し、管理する。前記器材及び施設に対する権原は、原則として琉球政府に帰属する。  以上であります。  なお、米側は、その返簡において、前記了解事項を確認するとともに、米国政府は、自由世界安全保障上の利益が、琉球諸島日本の完全な主権のもとへ復帰せしめることを許す日を待望する旨を述べて、前述のケネディ声明を確認しております。  以上でございます。(拍手
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの発言に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。佐多忠隆君。   〔佐多思隆君登壇拍手
  10. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ただいま報告されました沖繩に関する日米協議委員会をめぐる諸問題について、私は日本社会党を代表して、若干の質問をいたします。  明四月二十八日は、一九五一年サンフランシスコで結ばれた講和条約が発効した日であります。この条約によって、沖繩祖国日本から切り離され、沖繩住民は痛ましい占領政策のもとに呻吟しております。あす第十三回目のこの屈辱の日を迎えるにあたって、私は、われらの同胞沖繩島民の深い悲しみと痛ましい激しい憤りの声にかわって、質問をいたすものであります。(拍手池田総理大臣以下各閣僚の誠意ある答弁を求めてやみません。  ダレス長官によれば、日本は、講和条約第三条により、沖繩に対する潜在主権または残存主権を持つと言われております。ケネディ大統領は、その沖繩新政策において、「沖繩日本本土の一部であり、アメリカは、将来沖繩諸島日本返還する日の来たることを期待する」と述べております。しかるに、アメリカ下院軍事委員会に提出されたプライス法報告書によりますと、「日本沖繩に対する潜在主権というのは、一種主権形式的名称以上の何ものでもなく、アメリカ沖繩日本以外の第三国に渡さないことを日本期待する権利にすぎない。アメリカ沖繩軍事基地として保有することと、施政権を持つこととは、不可分の関係にある」と言っております。また、プライス下院議員によれば、「沖繩軍事基地は、太平洋におけるアメリカ防衛体制にとって、無期限にわたり絶対不可欠である。」したがって、さき報告書は断言しております。「アメリカ沖繩支配は一時的なものではない。日本沖繩に対し真の主権を行使するいかなる権利も持たない」。こう言っております。こんな日本を侮辱することばを吐かれても、池田総理は、アメリカに対して何ら抗議をしないのかどうか、お答えを願いたい。  これに関連して、大平外務大臣お尋ねをしますが、昭和二十八年奄美群島に関する日本アメリカの協定の最後交換文書の中で、初めアメリカ側は、極東の平和が確立されるまでは、沖繩については現在程度の管理と権限を維持することが必要であるとの趣旨の提案をしたのでありますが、これは交渉最終段階で一切削除されたのであります。このことは、当時、岡崎外務大臣が本会議場で誇らかに報告いたしたところであります。にもかかわらず、「極東に脅威と緊張状態が存在する限り、アメリカ琉球諸島における現在の権力を引き続き行使することはぜひとも必要である」と、ダレス長官アイゼンハワー大統領スタンプ太平洋地区軍司令官ブラッカー陸軍長官プライス下院議員、アリソン駐日大使アイゼンハワー・岸共同声明アメリカ予算ライシャワー大使等によって、繰り返し強調されております。大平外務大臣は、一昨年、官房長官時代に、本院予算委員会で、「政府としては、極東における軍事情勢のいかんにかかわらず、アメリカに対して沖繩施政権返還を要求する態度である」と断言をされました。池田内閣は、さき岡崎外務大臣大平官房長官の意気込みを失ってしまったのかどうか、明白なお答えを願いたいのであのます。  ここで赤澤自治大臣お尋ねいたします。沖繩に対する潜在主権日本にありとすれば、沖繩潜在議席があることもまた当然であります。さればこそ選挙制度審議会は、昨年十月、「沖繩に暫定的に旧沖繩県全県一区から定数四名の衆議院議員を選出する」と答申をいたしました。今度の選挙法改正にあたって、政府はこの答申を忠実に守るべきだと思いますが、どうか、お尋ねをいたします。  次に、施政権返還について池田総理大臣大平外務大臣お尋ねをいたします。ケネディ大統領は、沖繩住民占領政治に対する不満を静め、非協力協力へ切りかえるために、新政策を発表することとなりました。沖繩住民はもとより、日本国民も非常な期待を寄せておりました。しかるに、発表された新政策では、施政権返還自治権拡大、軍政の民政への切りかえなどの緊要問題は、すべてたな上げされ、全く失望をさせられました。アメリカによる沖繩統治は、領土の不拡大民族自決の方向に反し、国連憲章信託統治の条件に当てはまらず、国連加盟国たる日本主権平等を無視し、統治の実態も、また国連憲章統治に関する原則に反するものであります。これを正すために、われわれはあくまでも施政権返還を要求いたします。キャラウエー高等弁務官は、「施政権返還自治権拡大は神話にすぎない。現実には何ら問題となり得ない」と、うそぶいております。これに対する総理外相の御意見をお聞きしたい。  第三に、新政策の諸措置について、大平外務大臣野田総務長官お尋ねをいたします。新政策は、琉球諸島に対する援助ワク六百万ドルを撤廃して、二千五百万ドルに改正すると約束をいたしました。しかるに、その後の議会審議によって、ワクは半額以下の千二百万ドルに縮められ、一九六四年度予算支出権限は八百九十万ドルに削られました。援助ワク拡大約束は、ぺてんにすぎなかったことが明白になってまいりました。外相長官はこの事実を何と見られるか、お答えを願いたい。新政策は、琉球人給与水準公衆衛生、教育、福祉水準を、日本本土並みに引き上げるよう施策すると述べております。沖繩現状は、一九五九年に日本本土との比較において、所得水準全国平均の五八%、行政水準日本での下位七県に比べても五五%であります。この水準がその後どのように引き上げられたのか、御説明を願いたい。一人当たりの所得は、なるほど最近は若干向上いたしました。が、沖繩では内地に比べて非常な物価高に悩まされております。銭湯のふろ代は三十六円、内地産ビールが二百七十円、電力料金日本一、水道料金世界一高いのであります。租税負担もまた非常に高率であります。内地並みの税制にすれば、負担人員の六〇%は税を免れることとなり、税額は七〇%引き下げられるといわれております。社会保障は皆無といって過言でありません。生活保護費はきわめて少額で、受給者も僅少にすぎません。生活保護費国庫負担はないのであります。健康保険制度は全くありません。公衆衛生も非常に悪く、伝染病予防法すらできておりません。一九六〇年の琉球政府の歳入のうち、六八%が租税収入、一四%が税外収入で、アメリカ補助はわずかに一六%にすぎません。内地の類似県では、国庫補助が六、七〇%に達していることを思えば、アメリカ財政援助がいかに僅少であるかに驚かざるを得ないのであります。農民土地を取り上げられ、労働者は低賃金に即吟しております。労働基本権においても、労働組合認可制となっており、正当な組合活動が弾圧をされ、組合幹部は不当に逮捕されております。日本でならば受けられる経済的社会的利益を必ず沖繩住民に与えるという新政策の精神はどうなっているのでありましょうか。これらの点について具体的な実情を的確にお示しを願いたいのであります。新政策は、不必要な行政機能琉球政府に委譲し、経済統制や個人的自由を不必要に制限している諸統制を緩和するために、常時日米共同して検討することを約束をいたしました。この約束はどうなっているのか。日米協議委員会日米琉技術委員会はようやく開設されることになりましたが、この開設が非常におくれたのはどういう原因によるのか。協議委員会は、新政策に関する大統領声明によって、当然に、自治権拡大施政権返還日程を討議することを目的とすべきだと思うが、これはどうなっているのか。日本からの財政援助は、日本予算編成方式にならい、会計検査査察下に置くべきであります。新しく発足する日米協議委員会ではこれらの点はどうなっているのか。最後に、最も重大な問題は、沖繩アメリカ核戦略基地であり、殺戮の島だという事実であります。池田総理大臣大平外務大臣福田防衛庁長官お尋ねをいたします。  沖繩本島の総面積の二五%、八万エーカーの土地が収奪をされ、二十万人の農民生産手段を奪われ、一万二千戸の農民が追っ払われております。米軍人軍属による殺人、強盗、暴行その他の凶悪犯罪が多く、これに対する裁判権も持ち得ない状態であります。米軍の演習に伴う被害はあとを断ちません。外に対しては核兵器による殺戮の島であり、内に対しは暴虐の島であります。これらの実情を数字的に詳しくお示しを願いたいのであります。  極東における平和の維持は、アメリカ沖繩に対する軍事的支配によって達成されるものではなく、核基地を取り除き、アメリカ沖繩から撤退をすることから出発をすべきであります。(拍手世界のすべての国が国際的連帯の中で平和に対する責任を負い、冷戦の緩和のために緊張を解きほぐす積極的な努力を示さなければなりません。全面的な核停止条約も、全面完全軍縮も、このことの中から実現をかちとらなければならないと思います。わが国の中に他国の軍事基地を築き、核兵器の島を与えることの中から、はたして真実の平和を維持することができるでしょうか。平和的民主的な発展を通じて間際平和に貢献しようとする日本国民のすべてが、あらためて考え直さなければならない問題であります。アメリカ極東戦略軍事的重要性のために、アメリカ占領支配下に縛りつけられている沖繩を、平和と繁栄の民主的自治体として日本の手に復帰せしめること、これが沖繩島民の悲願であり、われわれ日本国民の切望であります。稲田防衛庁長官はどう考えられるか、お答えを願います。  以上、私は、沖繩潜在主権施政権返還自治権拡大沖繩経済的社会的実情軍事基地の撤廃、沖繩祖国復帰について質問をいたしました。これらの問題について、池田総理は、大平外相は、日本総理大臣らしく、日本外務大臣らしく、き然たる態度で、われわれ日本国民に、沖繩の同胞に、懇切に答弁されんことを切に望んで、質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣大平正芳登壇拍手
  11. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 沖繩に対する日本潜在主権についてのアメリカ側見解についての御質疑でございましたが、これは佐多先生指摘のように、一昨年の五月、下院軍事委員会プライス法修正法案が提出されたときの報告書に、次のような報告がございます。「潜在主権は、主権に対する一種形式上の所有権にすぎないものであって、何らかの真の主権を行使するいかなる権利をも日本に与えるものではない。平たく言えば、琉球諸島に関し日本に留保されたものは、米国沖繩を含む琉球諸島をいかなる第三国にも引き渡さないことを期待する権利であるといえよう。」こういうことが指摘されております。わが国といたしましては、かねて潜在主権内容につきましては、日本沖繩島領土主権を失っていないので、米国日本の同意を得ずしてこれら諸島の法的な性格を変更するような処分を行なうことができない、こういう見解を終始維持してまいったのでございます。したがいまして、日本政府がとっておりまする法律上の見解アメリカ側見解とは、この限りにおいて矛盾するものとは思いません。ただ、これは法律的な見解でございまするが、御承知のように、アメリカ側は、沖繩日本本土の一部であることを確認し、また沖繩住民日本国民たることを認めておりまするし、そして沖繩日本施政下に復帰する場合に備えて措置すべきことを措置しようという態度を明らかにいたしておりまするので、潜在主権を単に概念的、抽象的な問題としてではなくて、具体的、積極的な内容のものにまで発展させようという意欲は十分持っておるわけでございまして、私ども、それに対する信頼の上に立ちまして、日米協力立場で今後とも沖繩に対する経済その他の援助を続けてまいる立場にあるわけでございます。  それから沖繩自治権の問題でございまするが、これは一昨年の三月の大統領声明にもありまするように、施政権者としてのアメリカが必ずしも保留しておく必要のない行政機能を、いっいかなる状況のもとで、いままで以上に琉球政府に委譲することができるかを決定するために、琉球諸島行政機能について継続的な検討を行なうということがうたわれております。政府といたしましては、アメリカ前記方針を実施するにあたりまして適当と認められるものにつきましては、随時広く建設的な提案を行なっていく所存でございます。すでに御承知のように、高等弁務官のもとに民政官が任命され、行政主席任命方法も改定され、労働組合に対する認可制も撤廃されるというような施策が逐次進められておることは、御案内のとおりでございます。  それから沖繩施政権返還問題でございますが、これはたびたび政府も申し上げておりまするように、高度の日米間の政治問題といたしまして、日本政府首脳が訪米その他の機会に施政権返還早期実現を強く要望いたしておりますことは、御承知のとおりでございます。これに対しましてアメリカ側は、先ほど佐多先生も御指摘のように、日本潜在主権を確認しておるが、しかしながら極東の現情勢が継続する間は沖繩を保持するという決意は、依然として変えていないのでございます。昨年の三月の大統領声明では、しかしながら、沖繩日本領土の一部であること、同島がやがて日本の国の完全な主権のもとに復帰する日に備えて日本と密接に協力していこうということを確認し、そこに基づいて今度の協議委員会技術委員会もできてきたわけでございまするので、施政権返還という大道に向かってその準備を実体的に進めておりますことは御承知のとおりでございます。日米間の信頼協力の上に立って逐次進めてまいる以外に分別はないのでございまして、返還々々と叫ぶことだけから返還は出てこないと私は思うのでございます。  それからプライス法関係でございますが、これは総務長官からも御返事があると思うのでございまするが、プライス法による沖繩援助限度額は、従来六百万ドルでございましたが、一九六二年三月のケネディ政策で、限度額を引き上げる提案議会で行ない、千二百万ドルに引き上げられました。その結果、プライス法による援助だけでも、行政費を除きまして、一九六二年度に五百三十六万ドルでございましたが、一九六三年度は六百九十五万ドル、一九六四年度は七百八十六万ドルと、逐年増加いたしておることを御報告申し上げます。  それから今回の協議委員会は、住民安寧福祉の問題と、琉球諸島経済開発の問題を取り扱う機関でございまして、高度の政治問題である施政権返還とか、あるいは自治権拡大というようなものを取り扱うためにできた機関でないことを、御承知願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道登壇拍手
  12. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 沖繩代表者諸君をいまもってこの議席に迎えることができませんことは、お互いに残念なことであると思います。しかし、実際に選挙を行なうことができない現状のもとにあって、議員配当だけ行なうよりは、むしろ日米協力して民生の安定や福祉の向上に努力するのが先であると思います。議員配当は、施政権返還の直後に行なって差しつかえないものと考えます。(拍手)   〔国務大臣福田篤泰登壇拍手
  13. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 沖繩における米軍基地撤退アジアの平和のために必要ではないかというお尋ねでございますが、私どもの考えでは、現在の沖繩における米軍事基地は、変動してやまないきわめて不安定の要素の多いアジア現状から見まして、むしろ、極東アジアの平和と安全を維持するために必要なる軍事基地と考えて、むしろ米軍軍事基地を必要としないようなアジア客観情勢の出現こそ望ましいものであると考えております。(拍手)   〔政府委員野田武夫登壇拍手
  14. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) ただいま、一九六二年のケネディ声明以来、新政策はどうなっているかというお尋ねでございました。その一部は外務大臣からお答えいたしましたが、そのほかの問題に触れてみますと、一応、大体、新政策後の変化と申しますか、それは行政主席任命方法をまず変えてまいりますとか、それから、先ほどこれは外務大臣からも申し上げましたが、文官制民政府を置くことにいたしました。それからプライス法が、いまお話のとおり、六百万ドルが千二百万ドルまで引き上げられた。それから新たに経済的な借款というものが出てまいりました。それから民政府機関であります、たとえば琉球電力公社とか水道公社とか、また、金融関係機関でございますとか、これが従来はアメリカ人をその総裁とか副総裁に任命いたしておりましたのを、ほとんど全部沖繩人をこれに起用したこと。それから一昨日発足を見ました日米協議委員会あるいは日米琉技術委員会、これらはやはりケネディ声明に基づく各般の措置でございます。  そこで、経済的な問題は、これもただいま外務大臣からもちょっと触れましたが、まず、プライス法が倍額の千二百万ドルになりまして、そうして六二年では五百三十万ドルくらいのプライス法が出ておりましたのが、漸次これが増額しております。六四年には七百万ドルにふえております。全体のアメリカ援助額も大体漸次増加いたしておりまして、千万ドルに近い期待ができはしないか。これに基づきまして、日本政府といたしましての援助のやり方が基本的に変わってまいりまして、そうして日本政府援助というものが、日米間の話し合いの結果、直接沖繩にやれるというので、昭和三十五年に一億くらいの援助が、すでに予算として出しております。三十九年度においては、約二十億の日本援助ができるという段階までまいっております。したがって、今日までの経済的な開発も、アメリカはもとよりでございますが、日本がこの数年間にこれくらいの大きな援助ができるようになりましたので、開発の内容も漸次改善されておることは間違いないのでございます。  そういうことで、この沖繩住民の生活も向上してまいりまして、最近のアメリカ政府の発表によりましても、一九六三年度の国民所得は二億六千五百二十万ドル、前年度の二億三千数百万ドルに比べまして、相当向上を見ております。これだけふえております。それで、一人当たりの国民所得も、大体一二・七%の伸びをいたしておりまして、今日の段階におきまして、必ずしも満足なものではございませんが、逐次、しかも、相当の幅をもって向上しつつあることは間違いはございません。これは、数字をもって申し上げてもわかりますが、大体一九六〇年度の国民所得は一億七千五百六十二万ドルであったのが、六二年度は二億三千二百二十一万ドル、それから六三年では二億六千五百二十万ドル、こういう伸びを示しております。また、この一般的な、何と申しますか、物価その他から考えまして、いま佐多さんの御指摘になったこともよくわかりますが、労働賃金にいたしましても、一九五八年以降大体平均約六%の上昇率を見ておりまして、本土、つまり日本の本土と沖繩との賃金格差もだんだん縮まってまいっております。  今後、私どもがこの日米協議委員会並びに日米琉技術委員会、これは、もちろん沖繩の一日も早い本土復帰をこいねごうことは、私どもも、もちろん心から願っておりますが、私、率直に申しますと、今回、日米琉技術委員会が発足いたしましたが、今日までの沖繩政府の意思というものは直接アメリカには伝達できなかったという状態でございますが、一昨日発足いたしました日米委員会が、これがこの琉球住民の率直な意思をありのままアメリカ政府に述べる機会を得たと、こういうことは、私はやはり、沖繩住民の今後の福祉、生活向上、産業の開発、これらに対して相当の効果があるものだと期待いたしております。したがって、今日まで私どもの考えております沖繩住民の向上、つまり、できるだけ本国並みのいわゆる生活向上、福祉、また社会政策社会保障の問題につきましても、これが、日米協議委員会、また日米琉の技術委員会を通しまして、積極的にその推進をはかりたいと、こう思っておる次第でございます。(拍手
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 内閣総理大臣の答弁は他日に留保されました。  これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、経済協力開発機構条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長黒川武雄君。   〔黒川武雄君登壇拍手
  17. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 ただいま議題となりました条約は、欧州経済協力機構を発展的に解消し、経済協力開発機構すなわちOECDの設立を定めたものでございます。  OECDは、従来の西欧十八カ国のほか、米国、カナダを加えて、一九六一年に発足いたしましたが、加盟国の経済成長、低開発国援助世界貿易の拡大を三大目的とし、特に、加盟国間において、広く世界経済のあらゆる問題につき、随時情報を交換し、検討を行なうことを、特色としているのでございます。  わが国は、OECD発足の当初から、その下部機構の一つである開発援助委員会のメンバーとなり、低開発国援助の活動に参加してまいったのでございますが、さらに国際経済のあらゆる面において、これら自由世界の先進工業諸国と緊密な協力関係を維持するため、OECDへの正式加入の希望を表明してまいりましたところ、昨年七月二十六日、正式に加入の招請を受け、OECDとの間に、わが国の加入条件を定めた了解覚え書きを署名するに至ったのでございます。これにより、わが国は、OECDがこれまで採択した諸文書については、一部を除外して受諾し、経常的貿易外取引、資本移動に関する二つの自由化規約については、一定の留保を付しております。  これらの自由化規約は、技術援助、海運、保険、フィルム、観光旅行、直接投資、送金、証券売買、商業上の借款等につき、原則的に自由化を義務づけております。  右のように、広くわが国の海運業、国際収支、農業、中小企業のほか、なお発展段階にある産業等、経済、社会の各方面にわたり深い関係があり、影響が大きいため委員会における質疑は各般にわたり、特に開放経済に対処する政府の基本的構造や具体的施策等について、自由民主党の杉原委員、日本社会党の岡田、佐多、羽生、森の各委員、民主社会党の曾祢委員、日本共産党の野坂委員より、熱心なそうして活発な質疑が行なわれました。これに対して、池田内閣総理大臣、大平外務、田中大蔵、福田通産、赤城農林、綾部運輸、灘尾文部、大橋労働の各大臣、宮澤経済企画庁長官の応答がありました。詳細は会議録で御承知願います。  四月二十四日質疑を終え、日本社会党を代表して岡田委員より反対、自由民主党を代表して井上委員より賛成、民主社会党の曾祢委員より希望条件を付して賛成、日本共産党の野坂委員より反対の討論が行なわれました後、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたした次第でございます。  右御報告申し上げます。(拍手
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。(拍手)      ——————————
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、昭和三十七年度一般会計予備費使用調書(その2)、  日程第三、昭和三十七年度特別会計予備費使用調書(その2)、  日程第四、昭和三十七年度特別会計予算総則第十一号に基づく使用調書、  日程第五、昭和三十七年度特別会計予算総則第十二条に基づく使用調書(その2)、  日程第六、昭和三十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく使用総調  日程第七、昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その1)、  日程第八、昭和三十八年度特別会計予備費使用調書(その1)、  日程第九、昭和三十八年度特別会計予算総則第十四条に基づく使用調書(その1)、  (いずれも衆議院送付)  以上八件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。決算委員長横川正市君。   〔横川正市君登壇拍手
  22. 横川正市

    ○横川正市君 ただいま議題となりました昭和三十七年度一般会計予備費使用調書(その2)外四件及び昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件の事後承諾を求める件につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  まず、本件の内容について概略を申し上げます。  昭和三十七年度一般会計予備費使用調書(その2)は、昭和三十八年一月二十五日から同年三月二十六日左での間に使用された六十九億円余に関するものであります。  次に、昭和三十七年度特別会計予備費使用調書(その2)は、昭和三十八年一月二十四日から同年三月二十六日までの間に使用された二百六億円余に関するものであります。  次に、昭和三十七年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書は、昭和三十八年三月二十九日に使用された三十四億円余に関するものであります。  次に、昭和三十七年度特別会計予算総則第十二条に基づく使用調書(その2)は、昭和三十八年二月二十二日から同年三月二十九日までの間に使用された百四十八億円余に関するものであります。  次に、昭和三十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく使用調書は、昭和三十八年三月二十六日に使用された四十三億円余に関するものであります。  次に、昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その1)は、昭和三十八年五月十七日から同年十二月二十七日までの間に使用された百五十九億円余に関するものであります。  次に、昭和三十八年度特別会計予備費使用調書(その1)は、昭和三十八年七月八日から同年十二月二十日までの間に使用された五百三十一億円余に関するものであります。  最後に、昭和三十八年度特別会計予算総則第十四条に基づく使用調書(その1)は、昭和三十八年九月十七日に使用された一億円余に関するものであります。  決算委員会におきましては、以上八件につきまして、四月二十四日、大蔵省当局から説明を聴取した後、直ちに質疑に入りました。各委員から活発な質疑が行なわれましたが、その詳細については、会議録によって御承知を願いたいと存じます。  ここでは、特に、政府は、予備費の使用については、一そう厳正慎重を期し、いやしくも安易に流れることのないよう望む旨の発言があり、また、予備費を災害復旧事業費補助使用した場合、過大査定等の不当事態を生じないよう、一段の注意を払うことを要望する旨の発言が多かったことを、申し上げておきたいと存じます。  かくて質疑を終わり、討論の後、採決の結果、右八件は、いずれも承諾を与うべきものと、全会一致をもって議決いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  八件全部を問題に供します。八件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  24. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、八件は承諾することに決しました。      ——————————
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長竹中恒夫君。   〔竹中恒夫君登壇拍手
  27. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案のおもな内容は、昭和三十九年度における地方交付税の総額の増加に伴い、  第一に、新道路整備五カ年計画による道路の整備その他の公共事業の増大、社会保障の充実、給与改訂の平年度化、新たに住宅関係経費を算入すること等に伴い、単位費用を引き上げ、市町村における清掃費の項目を新たに測定単位とし、また、離島隔遠地の市町村の増高経費を算入する補正を行なう等、補正方法の一部を改める等の改正であります。  第二に、市町村の基準財政収入額の計算について、基準税率百分の七十でありましたものを、百分の七十五に改め、  第三に、高等学校生徒急増対策費にかかわる基準財政需要額の算定の特例を昭和三十九年度においても適用しようとするものであります。  委員会におきましては、二月二十五日、政府当局より提案理由の説明を聞き、慎重に審査いたしましたが、詳細は、会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて四月二十七日、質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  28. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  29. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長三木興吉郎君。   〔三木與吉郎君登壇拍手
  32. 三木與吉郎

    ○三木與吉郎君 ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案改正点は、第一に、皇室が国会の議決を経ないで賜与または譲り受けをすることができる財産の限度価額について、物価の上昇等の事情を考慮し、天皇及び内廷皇族については、これらの者を通じて、賜与の価額を六百五十万円に、譲り受けの価額を二百二十万円に改定し、その他の皇族については、賜与及び譲り受けの価額をそれぞれ六十万円に、未成年の皇族については、それぞれ十五万円に改定すること、第二に、内廷費及び皇族費の定額について、物価の上昇及び公務員給与の引き上げ等の事情にかんがみ、内廷費の定額を六千八百万円に、皇族費の定額を五百十万円に改定することであります。  本委員会におきましては、内廷費、宮廷費及び宮内庁費の区分、皇室用財産の現状、賜与の内容、新宮殿の概要、一般に公開される皇居東側地区の監理権並びに警察権の問題等について、質疑が行なわれましたが、その詳細は、会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、下村委員より、自由民主党を代表して、施行期日を公布の日に改めるとともに、四月一日から適用することに修正の上、原案に賛成する旨の発言がありました。  次いで採決の結果、下村委員提出の修正案並びに右修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決され、本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  33. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案の委員長報告は修正議決報告でございます。本案全部を問題に供します。委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます、   〔賛成者起立〕
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正どおり議決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十一分散会