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1964-04-09 第46回国会 参議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月九日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員異動  四月三日   辞任      補欠選任    柏原 ヤス君  二宮 文造君  四月七日   辞任      補欠選任    山本 利壽君  鈴木 万平君  四月八日   辞任      補欠選任    鈴木 万平者  山本 利壽君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     黒川 武雄君    理事            草葉 隆圓君            長谷川 仁君            佐多 忠隆君    委員            青柳 秀夫君            山本 利壽君            岡田 宗司君            羽生 三七君            森 元治郎君            二宮 文造君            曾祢  益君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君   政府委員    法務省入国管理    局長      小川清四郎君    外務省アジア局    長       後宮 虎郎君    外務省条約局長 藤崎 萬里君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    警察庁交通局交    通企画課長   宮崎 清文君    外務省国際連合    局外務参事官  力石健次郎君    運輸省自動車局    管理課長    大竹 達哉君   —————————————   本日の会議に付した案件道路交通に関する条約締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出) ○自家用自動車の一時輸入に関する通  関条約締結について承認を求める  の件(内閣提出) ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)   —————————————
  2. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは、外務委員会をこれから閉会いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。去る四月三日、柏原ヤス君が委員辞任され、その補欠として二宮文造委員が選任されました。
  3. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 本日は、道路交通に関する条約締結について承認を求めるの件及び自家用自動車の一時輸入に関する通関条約締結について承認を求めるの件の二件を一括して議題といたします。  まず、補足説明を聴取いたします。力石参事官
  4. 力石健次郎

    説明員力石健次郎君) 道路交通に関する条約締結について承認を求めるの件及び同家用自動車の一時輸入に関する通関条約締結について承認を求めるの件につきまして、補足説明を申し上げます。  まず第一に、道路交通に関する条約のほうでございますが、これは自家用自動車の一時輸入に関する通関条約とともに、 営業用の車以外の自動車による国際的な交通を容易にする目的国際連合の主催した会議で採決されたものでございます。この二つ条約とも国際連合主催会議において採択されたものでございます。そのうち道路交通に関する条約は、一九四九年、すなわち昭和二十四年の八月二十三日からジュネーブで開催されました、道路輸送及び自動車輸送に関する国際連合会議という会議で採択された条約でありまして、国際道路交通の発達及び安全を促進するために統一的な規則を定めたというのがその主たる内容でございます。この条約は、一年以内という短期の滞在を目的としまして入国してまいります自家用自動車の一時輸入について与えられます通関上の便宜について規定するということがまず第一。その次に、そういう自動車については新規登録免除する。また、逆転する人につきまして、国際逆転免許証の効力を認めて、それだけでその国の中で運転ができるようにしてあげる。またさらに、国際交通の安全を確保する見地から締約国道路交通規則一定の基準に合致させるということ。この四つをおもな内容としております。  この四つにつきましてもう少し詳しく申し上げますと、まず第一に、通関手続簡素化に関する規定でございますが、これは当事欧米諸国におきましては数十年にわたってすでに一般的に行なわれておりました制度でございまして、これは通関手帳による団体保証制度と呼ばれておりますが、その制度を念頭に置きまして設けられました規定でありまして、各締約国は、この条約第三条の規定によりまして、国際交通と認められる自動車輸入につきまして、輸入税の支払いを保証する担保の提供を要求することができるということになっております。また、自国の「領域内に設立されている団体であって、当該自動車について有効な国際通関書類(たとえば通関手帳)を発給した国際団体に加入しているものによる保証を認める」という義務を負うことになっております。すなわち、よその発行した通関手帳を認めるということが第一でございます。それによって通関簡素化するということがその趣旨でございます。  第二番目に、新たに登録する義務免除するということでございます。この条約の第十八条におきましては、自動車かこの条約利益を享受するためには、締約国またはその下部機構かその自動車登録しなければならず、また、締約国は、その登録縦書に記載された事項を認めなければならない旨規定しております。これは、たとえば日本なら日本自動車を運行するためには、それを一定の様式で登録しなければならない、そのかわり、その登録した登録証明書に記載されたものは、この条約にもし日本が入りますれば、外国にも通用するということでございまして、外国において新規登録を受けることなく、各締約国内通行することができることになるわけでございます。  第三番目に、国際運転免許証規定でございます。すなわち、国際運転免許証を持っております者は、他の締約国において、新たに国内免許証の発給を受けなくても、その国の中でこの国際逆転免許証だけで運転をしていいということが定められております。わが国について申しますれば、わが国自動車国内運転免許証によりまして、都道府県の公安委員会から国際運転免許証の交付を受けまして、これを持って他の締約国を訪問いたしました場合には、この国際運転免許証がそのままその国で認められ通用しまして、日本人はその国で運転ができる。また、わが国を訪れる外国人旅行者が持ってくる同様の国際運転免許証わが国は認めて、彼らの運転を許してやらなければいけないということがその趣旨でございます。  以上のように、この条約締約国の国民は、自動車旅行について非常な便宜を受けることになります。しかし、第四番目に、そのためには各国自動率交通の安全を確保するために、道路交通規則がほぼ統一されていなければならないという要請があるわけであります。したがって、この条約は、各締約国がよるべき道路交通規則の基本的た準則を定めております。また同時に、各車両が満たすべき基本的な、技術的な要件を定めている次第でございます。すなわち、第六条におきまして、「締約国は、この章に定める規則の遵守を確保するために適切な措置を執る」ということを定め、各締約国キープレフト——要するに左側通行、またはキープライト——右側通行のいずれかを採用しなければならない。それから車両の速度を適正に規制しなければならないこと、追い越しや行き違う場合に守るべき事項左折右折及び交差点における注意事項、運行の際の優先権、それから動物の通行に関する規定、灯火に関する事項、それから自転車の通行方法、こういうものについてこまかい規定を設けております。また各種の標識及び信号機等についても詳しく規定いたしております。  したがいまして、この条約に加入するための国内措置といたしましては、道路交通法の一部を改正する法律案、及び道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車両法特例等に関する法律案が今国会に提出されております。前者は警察庁関係法律案でございまして、後者は運輸省関係法律案となっております。これで第一の道路交通に関する条約の御説明を終わりまして、次は自家刑自動車の一時輸入に関する条約について補足説明を申し上げます。  この条約は、道路交通に関する条約を補完する目的をもちまして一九五四年、すなわち昭和二十九年の五月十一日からニューヨークで開催されました、自家用自動車の一時輸入及び観光旅行のための通関手続に関する国際連合会議という会議におきまして作成されたものでございます。この条約は、旅行者が持ち込みます自動車につきまして再輸出条件として免税の一時輸入を認めること、また、そのための手続国際的に統一することを内容といたしております。わが国も同年十二月二日にこの条約への署名を行なっておりますが、今回批准のために国会に提出された次第でございます。この条約は、わが国関税定率法第一七条第一項第十号に再輸出免税規定に該当する手続が定められておりますが、これをさらに簡易化しようとするものでございまして、具体的には次に述べますような仕組みになるわけでございます。世界各国には、観光旅行または、自動車旅行に関する団体がございます。わが国の場合では、今後どうなるかわかりませんが、一応日本自動車連盟というようなものがあるわけでございます。これらの各団体は、それぞれパリ及びジュネーブに本部を有する国際的な団体でありますところの国際自動車連盟または国際旅行協会に加盟しております。そしてまた、それが世界観光旅行自動車旅行団体の大結合をなしておるわけでございます。したがいまして、前述の一時輸入書類と称する税関用書類、すなわち、代表的なものは通関手帳でございますが、この通関手帳は、国際自動車連盟のまたは国際旅行協会の傘下にごてざいます各国国内団体お互いに発給し合い、かつ、輸入税の納付を相互に保証する。つまり、自動車を持って来た御本人輸入税を払う必要が生じたときに、こういう団体がそれを保証して払うという仕組みになっておる次第でございます。つまり、少し詳細にわたりますが御説明申し上げますと、一時輸入書類の代表的なものであるところの通関手帳、これを外国が発給しましたものは、わが国においては、日本自動車連盟が、わが国関係官庁が定める条件を満たした上で通関手帳を発給する認可を受けまして、他方におきましてはいわば親団体でありますところの国際旅行協会国際自動車連盟というふうなものの間で保灘契約を結びまして、通関手帳を発給する権限を与えられる次第であります。そうして、この日本自動車連盟が発給したところの通関手帳外国で有効に認められますし、よそから来たものは日本で有効に認められるということになる次第でございます。したがいまして、万一通関手帳によって一時輸入を認められました自動車が、一年以内に輸入国から再輸出されないというような場合が起こりました場合には、輸入国にある団体税関当局に対して、その自動車にかかわる輸入税を御本人にかわって納める。そうして、自分が納めただけのお金を、その通関手帳を発給した外国団体に対して、自分がかわりに納めたからそれを払ってくれということを求償するということになるわけでございます。この条約批准いたしまするための国内措置といたしまして、町家川自動車の一時輸入に関する通関条約実施に伴う関税法等特例に関する法律案——これは大蔵省関係の法案でございますが——法律案か本国会に提出されております。  このいま述べました二つ条約、これらの間には、直接法律上の関係はなく、一応別々の条約でございますが、二つ条約成立の経緯から判断し、また、一時通関条約の近い将来における成立を予想しているところの道路交通条約の第三条第一項の規定、これは同時に通関条約ももうすぐできるということを道路交通条約のほうですでに予想してできている次第でございます。また、一時通関条約は、道路交通に関する条約目的を考慮して一時通関条約を結んだということを前文に書いてございまして、お互いに密接な関係を持っております。この二つ条約は精神的に密接な関係を持っていると考えられますので、ここで一括審議をお願いしている次第でございます。これは便益上の問題でございますが、これらの二つ条約に加入いたしますと、わが国から他の締約国へ旅行する者だけでなくて、わが国を訪問します外国人旅行者も、その自動車通関手続簡素化及び新規登録免除国際運転免許証使用など、従来にも増して便益を与えられることになります。このことは、国際間におきまする人的交流を促進するという面におきまして、国際協力国際親善の増進に資することはもちろんのことでございます。さらに、オリンピック本邦開催を控えている現在におきまして、わが国観光政策の振興にも寄与するところが大きいものと考えております。  これで私の補足説明を終わらしていただきます。
  5. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 以上で説明は終了いたしました。これから質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次発言を願います。
  6. 曾禰益

    曾祢益君 この二つ条約に関連して、ちょうど自家用車自由化の問題が、取上げられる時期でもありますので、しかも、こういう自家用車を一時簡易手続で実質上無税で輸入するという取り扱いについて、やはり乗用車自由化の変形ですね。形を変えたやり方ではないかというふうに、日本側はこういう国際的な話し合いにいままで入っておりませなんだ関係で、そういう心配を持っている向きもあるわけです。つまり、これを利用して、外国自動車を持って自家用車という形で日本に来て、結局日本に居すわってしまって輸入された、そういうような心配はないかと、こういうことをいわれているんですけれども、その点はどういうふうに政府では考えておられるのか。
  7. 力石健次郎

    説明員力石健次郎君) 御承知のとおり、わが国は島国でございまして、自動車運送費相当かさむので、一時輸入簡素化されただけで直ちに輸入件数が非常に激増するというふうには考えておりません。また、従来わが国自動車輸入を制限して、一時は非常な外車にはやみ値が生じておったような時代がございます。その転売差益も最近におきましてはだんだん少なくなっておりまして、自由化とともに解消していく筋合いのものであると考えております。したがって、自由化を目前に控えましてわが国自動車産業は非常な輸入抵抗力をつけつつある時期でもございますので、この条約批准したからといって、わが国自動車産業を圧迫するというような事態にはならないと考えております。もっとも、万一多少でも転売差益が生ずるというような場合に、転売を行なうことはこの条約は認めておるわけではございませんで、これは法律違反する不正行為でございまして、その防止措置については別途考慮しておる次第でございます。
  8. 曾禰益

    曾祢益君 まあ大体そうだろうと思うのですけれども現実にやはりそういう違反行為をやって日本自家用車の一時簡易輸入をやっておいて、そうして一年以内に転売したと、あるいは一年以後に居すわったといいますか、再輸出しなかった場合に、どういうふうにしてそれを摘発することになっておるのか。これは外務省ではなくて運輸省その他の——あるいは警察当局等は来ておられるかどうか知りませんが、そういう少し具体的な取り締まり励行方法についてどういうことになっておるかを伺いたいわけです。
  9. 力石健次郎

    説明員力石健次郎君) 私も専門ではございませんので、あるいは御満足のいく答えにならないかもしれませんが、一時輸入自動車転売の従来の実績を見ますと、三十年度に輸入件数が四十二件、転売件数が二十九件。三十一年に九十八に対して転売が六十六。三十二年に輸入件数が六十三で転売が五十七というふうに非常に多かったのでございますが、三十三年から取り締まりを非常に厳格にいたしまして、転売件数は三十三年が二件。三十四年が全くない。三十五年が二件。三十六年が四件。三十七年がゼロというふうな実績になっておりまして、そう御心配になるほどのことはないのではないかと考えております。
  10. 曾禰益

    曾祢益君 これはほんとうに技術的なことですけれども、やはり運輸当局なり警察当局から、この次の機会でいいですから、そういうことはきちんとしておいて、何しろこれは相当な数がオリンピックを前にして入るわけです。また、入ってくれなければ、この条約を早く通す意味はないわけです。善意の人が大部分だと思いますけれども相当自家用車が入る。それに伴なって、万一悪い者が出た場合に、転売その他がどういうふうにしたら摘発できるのか、これらのこともはっきり私は聞いておきたいわけです。この次の機会に、事務当局でけっこうですから、運輸当局並びに警察当局の人を呼んでいただきたいと思います。
  11. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと……。この条約案件としては処理上ただ外務委員会、こういうことですか、この辺はどうでしょう。
  12. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  13. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 速記をつけて。  曾祢委員運輸省自動車局管理課長が見えております。
  14. 大竹達哉

    説明員大竹達哉君) 運輸省自動車局管理課長でございます。  この条約適用を受けまして輸入されました自動車が、その後転売された場合にどうなるかという御質問であると存じますけれども、この道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車両法特例に関する法律案——脱着運輸委員会のほうで御審議いただいておりますけれども、この第二条の第二項第二号におきまして、道路運送車両登録あるいは検査適用除外利益を受ける車両の定義の中で、「当該自動車輸入した者の使用に供されるものであること。」と定義いたしておりまして、その自動車第三者転売された場合におきましては、一応この条約利益を受けることを排除するというふうに私どものほうでは考えております。したがいまして、第三者転売した場合には、その自動車は当然登録あるいは検査を受けなければならないということになると思います。
  15. 曾禰益

    曾祢益君 それは当然そうで、そんな抜け道があってはならないので、そういう転売されたような場合には、登録免除とかその他の便益は受けられないという規定があることはわかる。ただそれが、どういうふうにしたら摘発というか、かりに違反行為があった場合に、わかるかということは、これはいま速記中止中に岡田委員も言われたように、主として現場的には警察の問題だと思うけれども道路交通法その他の立場からいって、運輸当局としてもいわば簡単に言えばインチキを征伐する具体的な措置はどうなっているのかということを聞いているのです。法律上そういう転売した者には一時関税免除するとかそういう便益を与えられないことはあたりまえの話なんで、現実法律適用励行、これがどうなっているかということを聞いているわけなんです。
  16. 大竹達哉

    説明員大竹達哉君) 実際に転売されました場合には、税関のほうから御通告をいただきまして、私どもといたしましては、その自動車登録あるいは検査を受けるように指示をするという考えを持っております。
  17. 曾禰益

    曾祢益君 そんなことじゃない。つまり、ヤミで売った場合のことを言っているのですよ。現実ヤミで売ることがよくあるでしょう。そういう場合にどうしたら——道路交通で、ときどきいわゆる一斉検査をやっているでしょう。そういう場合に、現実にそこにいるのは警察官でしょう。そこで転売されたかどうかということがわかるのかということなんです。たとえば期限が過ぎているとか——一年以上たっているから、これは期限が過ぎているからインチキだということがわかる。現実転売されているものについて、どうして転売されたかということがわかるか、そういうことを見届けておかなければいけない。これはいいことなんですよ。国際的にいいことであって、悪い者ばかりではないと思う。一方において、日本自動車産業自由化という大きな波にぶつかっているわけなんです。先ほど力石参事官のお話にあったのですけれども、過去とそう大きな違いはありませんけれども、しかし、何といっても外国車に対しては関税障壁等があってやはり日本軍が保護されていることは事実なんです。そこで、どっと外車自家用車の形で一年間入ってくる。そのときに、もし違反者があった場合に、日本の法益を守り、日本乗用車を守るだけの具体的な違反摘発のどういう体制が整っているかどうかということを聞いているのです。あとで警察当局と両方で相談して返事をしてくださってもいいのです。法律上どういうことが書いてあるかということを聞いているのではない。
  18. 大竹達哉

    説明員大竹達哉君) それでは、具体的な摘発方法その他につきましては、後ほど警察庁と御相談いたしましてお答え申し上げます。  それから罰則関係につきましては、転売された車が発見された場合において、それが運行されたときには、道路運送車両法違反として、国内一般の場合と同様に罰則適用することができます。
  19. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 御質問の御趣旨は、具体的にどういう取り締まりをしているかということだと思いますか、私、実は交通関係を担当しておりまして、具体的な取り締まりの面になりますと、実は所掌事務関係で、恐縮でございますが、刑事局の担当しておる問題でございます。したがいまして、過去において関税法違反あるいは物品税法にかかる自動車違反について、どういう取り締まりをした実例があるかどうか、また、具体的にどういう取り締まりをすることになっているか、こういうことにつきましては、さっそく調査の上で御返答申し上げたいと思います。
  20. 長谷川仁

    長谷川仁君 オリンピックを控えまして一時輸入を予想される外車台数はどのくらいですか。
  21. 力石健次郎

    説明員力石健次郎君) 実は、わが国はいままで自動車自由化しておりませんで、いままで自動車輸入を認めた件数というものは極端に少ない数になっております。そうして、オリンピックの際に相当の人が自分自動車日本に持ってくることを望むであろうということは一応われわれも予想していた次第でございますが、それがどのくらいの数にのぼるかということは、専門家の間でも非常に見当がつきかねる。しかし、相当の数にのぼるであろうというふうに言われております。
  22. 長谷川仁

    長谷川仁君 私が質問をしたのは、そうでなくても東京が車の大洪水ですし、交通事故が毎日たいへんな数にのぼっておる。そうした場合に、何台来るのかわからぬということでは困るわけです。ことに私ども心配するのは、外車が入ってきた場合、観光客が入ってきた場合に、われわれのほうでは駐車の問題、車庫の問題いろいろありますね。そういった場合、この観光客に対しては特典を与えるのか、与えないのか。もう一つは、たとえばインターナショナル・ライセンスを持ってきても、日本の場合には制限数キロですね、その標識キロですけれども観光客の場合にはほとんどマイルです。その交通標識を全部かえるのか、そのこともひとつお聞きしたい。
  23. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) 御質問自動車台数でございますが、これはむしろ、私のほうよりあるいは通産省なり運輸省のほうの御担当かと思いますが、私どものほうで予想しておりますのは、日本に来て、たとえばこの条約批准をなさった場合に、国際運転免許証を持って日本に来て運転しようとする人たちが大体どのくらいになるであろうか。これはほんとう推定でございますが、昭和三十九年度のオリンピックにおきましては、年間約八千名くらいの人が運転免許証を持って日本運転をするのではなかろうか、このように、これはまったく推定数字でございますが、推定いたしております。その根拠を簡単に申し上げますと、現在外国行政庁が発行いたしました運転免許証を持って日本に参りまして日本免許証に書きかえておる件数が、大体、三十七年でありますが、二千七百人くらいおります。これが観光客オリンピックの際には相当ふえるであろうとその他のデータから推定いたしまして、約八千人という数字を一応出しております。  それから次の問題は、このような国際運転免許証を所持する者が日本に参りまして、日本道路交通法令上何らかの特典を与えることがあるかないか。今回お願いをいたしておりますこの条約と、これに関連いたします道路交通法の一部改正をお願いいたしておりますが、それによりまして、大体道路交通法令は各国とも共通をいたしておりますが、多少条約と違っておる点もありますので、この際、道路交通法の一部を改正いたしまして大体条約並みにする。それによって外国から来た人たちが特に不便を感じることはないであろう。ただ、特に利益を与えるとかなんとかということは、いまのところ考えておりません。  それから標識の点につきましては、実は昨年の四月におおむね国際標識に準ずるように改めております。ただ、細部におきましては、多少国際慣行その他が違いますので、標識につきましては、条約加入とともに国際標識に必ず合致させなければならぬという義務がございませんので、いまのところ警察といたしましては、昨年改訂いたしました標識で大体よいのではないか、かように思っております。
  24. 長谷川仁

    長谷川仁君 交通標識国際並みになってきたのですが、交通法規、たとえばスピード違反あるいは人身事故に対するそういった方面、たとえば泥酔運転なんという場合には、日本は要するに、法規でいきますと、非常に軽いわけですね。今度観光客がどっと押しかけてきて人身事故を起こしたとかなんとかいう場合、この法規を改正するという意向は全然ないわけですか。
  25. 宮崎清文

    説明員宮崎清文君) わが国道路交通法令の罰則と、それから西欧諸国の罰則とを比較いたしますと、実はいろいろ国情その他の相違がございまして、ちょっとたいへん比較はいたしかねますが、概して申し上げますと、自由刑、つまり懲役とか禁錮とかの自由刑におきましてはちょっとわが国のほうがやや多い。罰金刑におきましては西欧諸国のほうが多いように見受けられます。ただ、御指摘の泥酔運転は、わが国におきましても非常に問題があると思われますので、条約に加入するといなとにかかわらず、今回の道路交通法の一部改正におきまして、自由刑の引き上げをただいまお願いしております。
  26. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 速記をとめて。   〔速記中止
  27. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 速記起こして。
  28. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 自家稲車一時輸入に関する通関条約が採択されたのは一九五四年、それが発効したのが五七年の末ということになって、その間かなり期間を経過しているのですが、これはどういう事情によるのですか。
  29. 力石健次郎

    説明員力石健次郎君) この条約の効力発生の規定に、「この条約は、批准書又は加入書であって十五番目に審託されるものの寄託の口の後九十日目の日に効力を生ずる。」、ということになっておりまして、五四年の会議のあとで各国条約を持ち帰りまして、それを各自の国会に提出しまして批准をする。それが十五の国が批准するまで効力を発生しなかったわけでございます。そのためにそれが五七年までかかったということになっております。
  30. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その、正規に批准したのはどういう国ですか。
  31. 力石健次郎

    説明員力石健次郎君) これはちょっときょうわかりませんので、この次調べましてお答えしたいと思います。
  32. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  33. 黒川武雄

  34. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  なお、大臣の出席は十二時三十分までと御了承願います。
  35. 羽生三七

    羽生三七君 最初に、大平外相とフランスの外相との間で昨日中国代表権問題その他いろいろ会談が行なわれたことが新聞に報道されております。それからまた共同声明も出るのではないかと思いますけれども、大体新聞に出ておることと相違はないのですか。まず最初に……。
  36. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
  37. 羽生三七

    羽生三七君 その中で、国連における中国代表権問題は重要事項であるとの見解を大平外務大臣は述べられたと言われておりますが、これに関連してお尋ねをいたします。中国問題が重要であるということはもう当然でありまして、私たちもこれは非常な重要問題であるということは前々から幾たびか指摘したとおりでございますが、しかし問題は、それが重要問題であるということと、それから重要事項に指定するということとは根本的にその性質が違うということです。そこに私はまず問題があると思います。それで日本政府は今日までこの重要事項指定の共同提案国となってきたわけでありますが、この過去の経過を見ても日本政府の真意は、重要事項に指定することにより、実質的には中国代表権問題をたな上げにして、中国の国連加盟を阻止することを真の目的としているのではないかという感じがするわけです。いかがでありますか。最初この点からお伺いいたします。
  38. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) きのうの会談では、わが国がただいまとっておりまする中国政策というものを説明いたしたわけでございます。国連におきまして中国代表権の問題は重要事項という態度をとってまいったわけでございます。ただいままでそれを変えていないということでございます。それから私は、この問題が国連におきまして過去において問題になっておりましたことは、いろいろな形で問題になっておったわけでございまするが、いずれにいたしましても、これを国連の場で討議する。まさしく代表権問題でございまするから、国連の場以外に討議する場はないのでございますから、国連の場で討議するということになっておるわけでございます。したがって、それを国連の場で討議しないとかというかたくなな態度を決してとっておるわけじゃないのでございまして、この問題はアジア並びに世界の問題として非常に重要であるという認識は依然として変えていないわけでございまして、討議にあたりましてもそういう態度で臨んでまいりますことは、私は当然だと思うのでございます。ただ、第十九回総会におきましてこの問題がどういう形で問題になるかというテクニックの問題までまだわかりません。議案が出ていないわけでございまするから、基本的な考え方といたしましては、国連の場で討議すべきであるということ、日本のこの問題に対する認識は重要問題であるという認識を捨てていないということでございまして、これは中国の国連加盟をじゃまするのではないかとかなんだとかいう、そういうことでなくて、もっと公明に国連の場で討議すべき問題だというように私は考えております。
  39. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、今秋の国連総会においても、結局は日本が中国の重要事項指定問題を提起する当事国となる、共同提案国となる、そういう含みを持っての御発言でありますか。
  40. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 第十九回国連総会の国連対策というのはまだきめておりません。これをきめるにあたりましては十分検討しなければならぬわけでございますので、まだきめておりません。従来こういう態度をとってきたということを説明し、いまの段階におきましてこれまた変えていないということだけを説明いたしたわけです。
  41. 羽生三七

    羽生三七君 私、考えるのに、日本が重要事項指定の共同提案国となって、いままで——過去、しかもその中心的な役割りを果たしてきているわけです。私はそう信じております。アメリカとともに、日本が中心的役割りを果たしてきている。ただ、ここで私どもは非常にふしぎにも思い、また奇怪にも思うことは、重要事項の指定の提案国となる限り、日本政府自身が具体的にどういう考えを持っておるのか、明確な見通しがなければならぬと思うのです。これは、昨年も一昨年もこの問題について私お尋ねいたしました。だから問題は、重要事項指定ということを国連の場に持ち出して提案国となるかどうかは別として、持ち出すだけで、これを結局持ち出すことによって、これを手続問題として扱って問題の前進を阻止することがねらいではないかと考える以外にないわけです。もし、そうでないとするならば、重要問題であるから国連の場で討議してくれというのはそれはわかりますが、日本はこういう考えを持っておるということがない。これは私何回も去年、一昨年も申し上げたとおりです。日本自身に案がなくて、ただ単に国連の場で御随意に御討議ください、そんなばかなことはないと思うのです。私は、日本一定の中国政策を持っておる、しかし重要な問題であるから、国連においても各国の意見を十分聞きたい、そういうことで重要事項だと言うのなら、これはわかります。そうでなしに、去年もおととしも私は承ったけれども日本自身が確たる方針がなさそうであります。そうすると、全くあなたまかせの国際連合で、各国の意見がきまったら日本もしかり、まあしかるべきだということと受け取れる。日本自身としては中国政府は非常に重要であるが、と同時に、日本としてはこういう考えをもってこの問題を処理していきたい、あるいは解決していきたい。そういう一定の方向のもとに、同時に、世界各国の世論も十分国連の場で聞かせてもらいたい。こういうことでなければならぬと思う。そういう方針なしに、いつも手続問題として、実質上は代表権問題の解決を阻止することがどうもねらいのように思われてしかたがないのですが、その点はどうですか。
  42. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 日本は中国問題につきましては、他のいかなる国よりも深甚な関心、いわば致命的な関心を持っているわけでございます。それほどの問題でありますがゆえに、羽生先生がおっしゃるように、非常に明快な結論を出して、その答案を持って国連に臨めというお気持ちはよくわかりますが、ただ、私が申し上げておりますように、この問題は日本にとりまして非常に重要な問題であるばかりでなく、アジアにとりましても、世界にとりましても非常に重要な、いわば間口の広い、奥行きの深い問題である。非常にむずかしい問題であるだけに、軽々に結論は明快に打ち出すというに至っていないわけでございます。しいて申しますならば、世界の世論の帰趨を見きわめながら日本もとっくり考えていかなければならぬ問題である。そういう意味におきまして、この問題につきまして国連で真剣な討議を期待いたしておったわけでございまするが、過去におきましてまだそこまで来ていないわけでございまして、世界の世論の段階、現段階はなるほどこれは相当めんどうな問題であるということで、いろいろな議案が出まして、それに賛否ないし棄権の表決が展開されたという段階にまだとどまっておるわけでございます。しかしそれほど重要な問題であるということでございまして、御不満もありましょうけれども、それほどまあ深刻に考えておるのだということは御理解いただきたいと思います。
  43. 羽生三七

    羽生三七君 いや、それは、重ねて申し上げますが、この問題が重要であるということは、大平外務大臣だけでなく、私たち自身も重要と考えながら質問をしておるわけで、その点は決して軽々しく考えているわけじゃないことはあえて申し上げるまでもないと思います。そこで、どんな疑問の余地も残さぬような形で明白に割り切って、いまどうしておるか、こう聞けば、これはなかなか御回答も困難だろうと思いますが、フランスの立場は、いまや中国の国連加盟問題はこれは国際的常識である、残されているものは技術的問題だけではないかという見解を述べたとも言われておりますけれども、まあそれはとにかくとして、そういう割り切った考え方でないにしても、とにかく政府としてはある程度の一定の方向を持って、そういう方向を模索しながら、同時に、国際世論に十分に耳を傾けていくということでないと、もうずっと何年も、重要であるからということだけで、それじゃ日本自身はどうするかということについてはもう全く何らのお考えも示されておらぬ。そして、重要事項指定問題にするということになると、手続問題として実際にこの問題をまたずっと向こうのほうへ時期的に追いやっていくということ以外にどうもねらいはないのじゃないか、それがねらいじゃないかという感じがあまりにも濃厚になるわけです。ですから、政府自身として、少なくともどんぴしゃりと割り切ったような回答は出なくとも、一応やはりこの問題の解決の方途というものはこういう方向じゃないかというものがあってしかるべきだと思います。いかがでありますか。  それからもう一つ、それに関連をして今回また、先ほどまだ態度をきめておらぬと言われましたけれども、私は、重要事項指定の共同提案国や当事国となることは好ましくないと判断いたしますが、その点もあわせてお答えいただきたいと思います。
  44. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 国連における審議の経過は、御案内のように、長い間たな上げ方式で行っておりまして、それから重要事項指定方式というものに、牛歩というか、非常に遅々たるものがございますけれども、そのように変わってきておるわけでございます。つまり、この問題が重要な問題であるだけに、腰の重い問題であるだけに、世界の世論のテンポというものも、まあ、あまりスピーディでないと言えます。しかしながら、徐々に、そのように変化は私は認められると思います。それから、私どもは、重要事項であるということで、重要事項指定方式について提案をいたした立場を持っておるわけでございます。これをこの第十九回総会にこの態度について再吟味する要があるかどうかということでございますが、まあ政府が一度とりました政策は、よほどのことのない限りは私は変えるべきではないと考えるわけでありまして、ただいまのところ、これを変えなければならぬという積極的な理由をいま発見いたしかねておるわけでございます。がしかし、それまでに時間もあることでございまするし、十分の検討をやらしていただきたいと思っております。  それから、人さままかせでじんぜん日をむなしゅうしているじゃないかというおしかりでございますけれども、私どもは私どもなりに、この問題については、日本の外交の直面しておる最も重要な問題として非常に真剣に検討を続けておるわけでございまして、明快なる結論をお示しすることができないことを遺憾に存じますけれども、依然として真剣な検討を続けておるということだけは御了承願いたいと思います。
  45. 羽生三七

    羽生三七君 この中国問題は衆参両院とも今国会で非常な多くの論議を呼んだわけですが、最初衆議院段階で、中国国連加盟の場合日本も国交正常化を考慮すると言われてから、参議院の段階へ来てだいぶ変わってきた。それで、どんなに説明をされようとも、それが大幅な後退であることはもう間違いないと思うのです。そこへもってきて、また今度のきのうの日仏会談で、私たちもまさかと思っておった重要事項指定をまた重ねて再確認されたようなことになって、もう非常な私はこの中国問題に対しては大幅な後退だろうと思います。これは政府はいかようにも説明されましょう。速記録に出ておることばの解釈から始めて、いろいろなそれは御説明をなさると思いますが、常識的に見て、非常に大きな後退だと思うのです。それはまあ、ある意味においては、自民党内の党内事情もあると思いますけれども、何といってもこれに非常な大きな特徴だろうと思います。あれだけの答弁をされておいて漸次後退していく。それで結局もとに戻ってしまった。完全にもとに戻ってしまった。まあ非常に遺憾に思うのですが、その点いかがでありますか。
  46. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) これはまだ将来の問題でございまして、日本政府が具体的な問題として提起されて、それに対する措置が、これは前進であるとか、あるいは後退であるとかいうことを論ずる問題では私はないと思うのでございます。将来を予想していろいろな論議が、たまたまフランスの中共承認というアクションを契機として朝野にわいたわけでございます。したがって、これは前進であるとか、後退であるとか、よほど進んだことを言っておったが、またもとに返ったじゃないかとか、そういう御批判でございますけれども、私どもはそう思っていないわけでございます。将来の問題として、国会で、私どもの一般的な感じ方は申し上げたわけでございまして、そういう考え方に別に変わりはないわけでございます。
  47. 羽生三七

    羽生三七君 これと面接の関連はないのですが、けさの新聞を見ますと、インドネシアがAA会議を、二十五ヵ国に正式に招請状を出して、明日からですか、あるように聞いておりますが、これは予算委員会で私お尋ねして、日本としてはまあ過去二回正式、それからもう一つは非公式ですか、過去二回断られたようですが、この参加するということになるとなかなかむずかしい問題があるとは思いますが、さりとて、私は前に申し上げましたように、アジア問題の解決は中国問題の解決なしにはほとんど不可能ではないかとさえ思われる。そして池田内閣が、近隣外交ということをたいへんな重要な柱にして外交政策をとっておられる。そのアジア、アフリカの二十五ヵ国が、日本と並びに若干の三、四ヵ国を除いて大部分が参加をして、そして一つの会議を持つ。この中には中国も入っておる。だから、断られたのは、いまさら間に合うわけではないからやむを得ないとしても、そういう形で近隣外交というものをどうしてお進めになれるのか、非常に疑問なきを得ない。これは非常に私は重要な問題だと思う。私は、AA会議に参加して、ある一部の国の考え方の言うとおりになるとは毛頭考えておりません。しかし、日本日本としてアジア政策というものを持たなければならない。ただ、 いま政府が言っておるような近隣外交で、特定の仲のいい国とだけしかるべくやって解決する性質のものではないと思う。だから、そういう意味で、このAA会議の開催に対して日本が不参加ということは、非常なそういう意味での重要性があると思いますが、この点はいかがでありますか。
  48. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私は、基本的な考え方は羽生先生と同一でございまして、アジア外交を進める上におきまして、あらゆる機会をつかまえて、日本として積極的に活動を展開してまいらなければならないものと思います。今度のAA会議でございまするが、私どもといたしましては、その会議は今日ただいまのアジアの緊張というものを緩和する方向に働くのか、あるいはむしろそういうことをやることによって激化する方向になるのか、その点をいろいろ吟味いたしまして、この時期においてこの会議を開催するということは、時期として適当でないという意味で、私どもは参加につきまして消極的であったわけでございます。その趣旨は、関係国には十分お伝えしておいたわけでございます。しかしながら、それでも、日本のそういう懸念を十分メンバー各国が承知の上で、しかもなお、日本にぜひ出ていただきたいという会議全体として正式な招請があれば、これはもう一ぺん考え直してみようと、こういう態度でおるわけでございましす。
  49. 森元治郎

    ○森元治郎君 重要事項指定方式というのを説明してもらいたいのだが、条約局長もいるから、そちらからでも。
  50. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと、そのお答えの前に、重要事項指定問題を新しく提案するのか、前からの引き続き効力を持っているというのか、そこのところの解釈もあわせてひとつ。
  51. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 国際連合憲章第十八条第二項に「重要問題に関する総会の決定は、出席し且つ投票する構成国の三分の二の多数によって行われる。」ということがございまして、そのあとに、憲章自体が重要事項と認めるものが列挙してございます。その次の項に、それ以外でも「三分の二の多数によって決定されるべき問題の新たなる部類の決定を含めて、」——新たな部類の決定が行なわれる場合を焼足しております。この項に基づきまして、中国の代表権問題は重要事項であるという決議をいたしたわけでございます。この前の総会の決議が将来とも引き続き有効であるかどうかということでございますが、これについては、いままであまりはっきり争われたことがございませんけれども、取り扱いとしては、一たんそういう意思決定をした以上は引き続き有効と認むべきが当然であるという意見のほうが、われわれが照会した限りでは、多いようでございます。
  52. 森元治郎

    ○森元治郎君 新たな重要事項指定の決議を打ち消す決議をもって対抗することもできるわけですね。
  53. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 前の決議と趣旨において相反する新たな決議が行なわれれば、そういう結果になるわけでございます。
  54. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連して。  そしてその場合に、手続的には一番最初にどういう論議になるのですか。国連の場においてそういうことを論議するわけですか。いま森委員とやりとりのあったようなことがどういう前提条件の形をとるのですか。
  55. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) これは当然こうなるはずだというようなふうに申し上げられないと思うのでございまして、機長がもう当然前の総会できまった決議が有効だと取り扱って、その前提で議事を進めているものに対して、ある国の代表から議長の裁定をチャレンジする、そしてそのことが表決に付されるというようなこともあるかもしれませんし、あるいは重要事項指定の決議をまたどこかの国が確認するような趣旨の決議を出してくるかもしれませんし、その場合場合によっていろいろな形があり得るだろうと思いますので、当然こういう道行きになるだろうということは想定しがたいと思います。
  56. 岡田宗司

    岡田宗司君 関連して。重要事項指定方式につきまして、総会で議決でもってそういう指定をした先例はあるのかどうか。
  57. 力石健次郎

    説明員力石健次郎君) 議決でそういうことをやった先例はございません。
  58. 岡田宗司

    岡田宗司君 議決以外に指定方式をとった先例は。
  59. 力石健次郎

    説明員力石健次郎君) 議決以外で三分の二の票が必要であるということになった例はございます。
  60. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはあとまで続いたのであるか、そのとき限りでそれは消滅したのであるか、その点は、その先例は。
  61. 力石健次郎

    説明員力石健次郎君) そのとき限りのことであったので、それが続いたかどうかということがはっきりわかるような事例はなかったと存じます。
  62. 森元治郎

    ○森元治郎君 そこで大臣に伺うが、日本政府としてはこの決議の解釈をどっちをとりますか。この決議は、たいていの国は、この決議は生きておって今後とも続くのだという立場をおとりになっているのか、どっちですか。
  63. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 国連憲章の上ではっきりとした明文がないわけでございまして、いま条約局長が御説明申し上げましたように、これは議長の議事運営についてチャレンジがあるか、また別な国連決議が出るのか、それはわかりませんので、出たときに考えなければならないと思います。
  64. 森元治郎

    ○森元治郎君 すべて大平さんの御答弁は出たとこ勝負で非常にやりにくいのですがね。こういう方針で決議は生きているつもりだというたてまえで議長が裁定に出てきたときに、その立場から論議を進めていくと、こうおっしゃってくださればいいと思うのだが、どうですか。
  65. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
  66. 森元治郎

    ○森元治郎君 初めからそう言わないと、非常にやりにくいんです。そこで、この重要事項指定方式というのは、中共に代表権を認めまいとするために十八条を引っぱり出してきた作戦的な単なる数の問題なんですね、数。われわれはそう思うが、大臣はいかがに思うかということが一つ、もう一つは、大臣のただいまの羽生さんに対する御答弁を見ると、広くて深くて慎重にも慎重にやらなくてはならぬ、アジアにも世界にも影響する、友好国とも相談しなければならぬ。たいへんな前提条件で、認識の深さを御答弁になったんだが、それくらいに広く、深く、何ともならないくらいむずかしいなら、重要に指定されたものは、みなで検討しましょうというんだから、一体その努力をいかなる形でされているのか。アメリカも——アメリカのことを聞いてもしかたないですけれども日本が、いかに重要かということを国連でおやりになったのか。国連の場以外に討議する場所がないと言うんですから、いかに国連でおやりになったか。やったとしたら、いかなる態度をとったのか、イニシアチブをとったのか。二つの問題をひとつ。
  67. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 重要でございますから三分の二という票数が必要だという決議になっていると思うのでございまするが、私どもといたしましては、先ほど羽生先生にもお答え申し上げましたとおり、国連の場でこの問題が取り扱われた経緯は、森先生も御承知のとおりでございまして、厚い実質討議が行なわれてはいませんのでございます。つまり、この問題についての十分な実質討議を行なうような世界世論にはまだなっていないというのがいままでの実情であったと思うのでございます。日本としてそういう環境の中でこれはひとつ大いに実質討議をやろうじゃないか、イニシアチブをとってやろうじゃないかということをやったかということは、そういうことはやっておりません、ただいまのところ。
  68. 森元治郎

    ○森元治郎君 これは共同提案国でなければいいんですよ。並び大名で、これどうだ、君も賛成だろうといって引っぱり込まれて、これでいこう。重要だから三分の二方式でいこう、三分の二でいこう、重要だから、こうくるのじゃないか。重要だから三分の二の投票でいこうというのが十八条の趣旨なんですね。重要だからといって、日本が共同提案国で、岡崎さんがきつい演説をして、それで世論を見るでは、何のために共同提案国になったんですか。日本が、やさしいことばで言うと、張本人ということになりますね。張本人がわからなくて、だれがわかるんですか。世論は、これこれだから重要だというので初めて他国をしてこれを納得させることができると思うんですよ、通過しちゃって、三分の二で、重要だか軽いんだかわからないじゃ、国連外交なんかどこへいったってわからないです。
  69. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) これは国連の議事運営の問題でございまして、私がコントロールできない問題でございまするが、先ほど申し上げましたように、いまそういう決議が出ていて、それでは大いに実質討議をやろうじゃないかという空気にまでまだ熟してきていない現況であります。
  70. 森元治郎

    ○森元治郎君 そんなら重要でなくてもいいでしょう。これは軽小事項で三分の二、これでもかまわないんだな、入れなければいいんだから。熟していないと言うけれども、それはそのくらいのことを、やはり国連中心という三本の柱ですか、これはアジアの一員がなくなって二本の柱になったけれども、それくらいは当然政府としてやるべきだと思うのですね、どうもはなはだ一歩も進まないので、残念だけれども。ところで、松井大使の報告はいかがですか。行ったきりですか。あなたのほうには報告が来ていると思うが、三十数ヵ国ですか、お回りになった結果、だいぶ安心するような報告らしいのですが、お差しつかえなければ、何カ国くらい中共の……。
  71. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) けさほどようやく大使の報告が参りまして、これから私は読ましていただこうと思っております。
  72. 羽生三七

    羽生三七君 関連してちょっと一つ。この前、池田総理、外務大臣がそれぞれ予算委員会で私の質問に答弁された際に、中共が祝福された状態で国連加盟を認められた場合に、日本はそのときには踏み切る。これははっきり言われたわけですが、そのときに、祝福された状態とは何かとお尋ねしましたけれども、それはそれだけにしておいてくれということで、何回も重ねてお尋ねしたが、御答弁がなかったが、依然として私はそれは疑問が残っているわけです。その場合にはっきりするというのですから、きょうはひとつその点を具体的に承りたいと思う。というのは、祝福された状態ということばが出る限りは、それはどういう状態であるか、あなたの頭の中になければことばは出てこないわけですね、ただことばのあやじゃないから。具体的にこういう状態、祝福された状態というものがあって初めてああいう御発言になったと思うのですが、その点を一つお聞かせいただきたい。
  73. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 論議の入り方は羽生先生と逆でございまして、祝福された状態というものを形成する素材というものは、これはいまないわけでございます。これは将来の問題なのでございます。将来どういう素材が出てまいりますかということがわからないので、この内容規定せよと言われても、私には不可能でございますが、ただ一般的感じ方として、祝福されたような状態と申し上げるその感じ方に相当する素材が出てきてれば、というような感じ方でございます。その素材は将来のことでございまして、いまわからないわけでございます。
  74. 森元治郎

    ○森元治郎君 差しつかえない限り、次回でもけっこうですが、松井報告ですね、これは大事な報告だと思うので、お差しつかえのない限り報告を聞かしてもらいたい。せっかくあそこら暑いところを回ったのですから、よく聞かしてもらいたいと思うのです。  そこで、国連脱退という問題もこれは一言聞いておかなければならない。国連脱退ということは、だんだんあなたの御答弁は後退してまいりまして、最初は世界の大勢がそっちに向いたならば考えると言う。そのうちだんだん、党内でしかられて、世界の大勢がそうなっても、かりに入っても、友だちと——友好国と相談してみなければならない、よく意見を聞いてみなければならない。そのときの入るときの態様といいますか、形、これもまた考えなければならない。こういうふうに下がってきたわけですね。そうしますと、多数の国が中共承認をして参加する。参加ができたけれども、すぐそれが承認にはつながらないよ。代表の承認にはつながらないよ。まず一番の強い友好国アメリカとも相談してみなければならない。アメリカがうなずかないというなら、たとえ少数派になっても居残るのだ、こういうふうに下がってきたのですね、大臣は。そこで、こういうふうに下がってきますと、入り方いかんによっては——入り方はどういう形になるか、これはわからないけれども、入り方いかんによって、アメリカも相当に強硬なつき上げもあって、しかも国連の分担費も払わないということになってきまして、苦しい立場になったときに、アメリカも重大な決心をする場面も出てくると思うのです。したがって、日本も重大な決意をしなければならぬ場面が来ると思うのですが、いかなる場合でも国連は脱退しないというたてまえでお進みになるかどうか。
  75. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私はたびたび本院におきましても申し上げておりますように、国連の現在の平和維持機構としての本来の機能が十全に果たされておるかと申しますと、必ずしもそう思いません。きわめて不十分、不満足な、状態でございますが、しかもなお、国連が百十三国をメンバーとして、加盟国が一票一票の行使の権限を与えられて、非常にデモクラチックな運営をやられておる。定期的に総会は開かれ、各種の委員会が世界的に各地で開かれておるという、不満足ながら今日行なわれておる国連活動全体として評価いたしますと、これは世界平和の維持にとりまして最小限度ともかく大きな役割りを私は果たしておると思うのでございます。したがって、何としても国連は守らなければならぬと思います。どういう危機に際会いたしましても、国連は守るという方向にわが国の外交は進めてまいらなければならぬと思っております。それで、いま森さんが言われた中国代表権問題というのは、まあ世界の平和とか、アジアの平和とかということに対して重要な問題ばかりでなく、国連にとりましても非常に重要な問題だと思います。そうしてこの加盟ということになると、国連というものの運営にとりまして相当大きな問題を投げるという御心配、場合によっては脱退というようなケースが起こり得ないと保証できないというような御認識、それほどの重要性を持った、重さを持った問題であるという認識も大体感じとして私も同感でございます。ただしかし、私といたしましては、前段に申し上げましたように、どういう危機に際会いたしましても国連を守り抜くということで日本は進んでいくべきだと思います。
  76. 森元治郎

    ○森元治郎君 国連を守るのなら外に出て守るわけにいかないので、中におって守らなければいけないので、あくまで出ないということだけは確認できますか。
  77. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 当然のことと思います。
  78. 森元治郎

    ○森元治郎君 私の質問に、大臣も、そういう危機の場面が国連に来るだろうことも想像されるような御答弁だったと思うのですが、聞き違いであるかどうか。この入り方ですね、あるいは中共を承認する、引っぱり込むほうのやり方、態様といいますか、それ次第ではアメリカとしてもメンツもなくなるようなこともあるかもしれぬ。そういうことを想像して私は申し上げたのですが、危機感というのをどういうふうに大臣はとられておりますか。
  79. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 国連憲章前文、国連憲章を貫いている精神等から見ての見方もあると思いまするし、同町に、しかしながら、ユニバーサリティの平和維持のためには生かしていかなきゃならぬじゃないかという議論もあるかと思います。そういう根本的な論議に及ぶ性質の問題じゃないかということはわかるわけでございまして、国連にとりまして相当重要な問題になる場合が全然ないとは言えないものだろうと、そういう感じ方はいたしております。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっと関連。  ただいま、国連を守るため、こういうことを言われましたが、これはたいへんけっこうなこと、だと思うのですが、中国の代表権問題を重要事項方式に指定された、それの共同提案者になったということは、やはり国連を守るというその立場からそういう方法をおとりになったのかどうか、その点をお伺いしたい。
  81. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) これは従来たびたび申し上げておりますように、この問題は、アジアの、平和、世界の平和にとりましてきわめて重要な問題である。したがって、国連憲章の条章に従いましてそういう決議の提案国になったわけでございます。
  82. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、国連を守るため、端的に言って、そういうことでございますか。
  83. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そのことは、先ほど申しましたように、国連憲章に従ってとっておる行動なんでございまして、当然のことだろうと思います。
  84. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、中国を国連に入れないためのやり方としてああいう方式をとるということになりますというと、中国はやはり国連に破壊をもたらすであろうということを考えておやりになった、こうしかとれないんですけれども、そういうふうにお考えになってあの重要事項指定方式をとられたんでしょうか。
  85. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 重要事項であるという決議でございまして、そのとおりお受け取りいただきたいと思うのでございます。
  86. 曾禰益

    曾祢益君 日仏共同声明も出たようでございますが、共同声明は非常に簡単なことしか書いてないんで、大体池田・ポンピドウ会談、それから大平・クープドミュルビル会談で、ただ単に、いまちょっと外務大臣が御説明になったように、日本の従来中国に対してとってきた政策を説明したと、その従来の政策は今日においても変わっていない、また、フランスのほうとしてはなぜ中共を承認したか、それは事実がそうなんだからそうしただけで、あとは瞬間と技術的な問題だけだという程度のあっさりしたすれ違いだけであったのか。そうだとすれば、鳴りもの入りでということばはどうかと思いますが、とにもかくにも、日仏間の第二回目のこういう重要な協議、意見の交換としてはあまりにも内容がなさ過ぎたんではないか。むろんここで発表できないこともあろうとは思いますけれども、そう簡単に、単に両方から説明し合ってさようならでは、全くコンサルテイション、協議の意味はなさない。したがって、いま同僚各委員から御指摘になったような、重要事項指定方式の問題もあるいは俎上にのったかどうか知りませんが、少なくとも日本としては、フランスの態度にしても、国府との関係はどうほんとうに考えているのか、あるいは国連総会において日本としてはそういう中共だけに国連の代表権を与えることは絶対反対だ、国府はどうしてもこういう関係で残さなければならぬという考えがありとすれば、そういうところまで相当突っ込んだ日本側の意見というものもお述べになったとわれわれ推定するんです。それについて必ずしも意見が合わない。合わなくてもいいと思います。合わなくてもいいんだけれども、そこまで突っ込んだ討議をしなければ、ただ、そうろう文みたいな、前提みたいな話だけですれ違ったのでは、あまりにもとの機会を取り逃がしたような気がしてならない。どういう程度に話を進められてどういう成果があったのか。双方の違いは違い、今後の協議、今後の協力について、特に中国問題、第二には東南アジアにおけるフランスのインドシナ中立化の問題に関して、あるいは東南アジアの共産主義に対抗する有効な手段として軍事方式一点ばりじゃいかぬ。アメリカのやり方がいかぬならいかぬでけっこうです。日本の考えとフランスの考え方と接近がどの程度できたのか、できないのか。そこら辺のことは大まかなことをひとつお教え願いたい。
  87. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、定期協議をやる以上は、単なる周知の事実をお互いに型とおり確認し合うということでは意味がないと思います。共同声明にもありますように、この定期協議ばかりでなく、政府間のレベルの協議というものをさらに強化拡大していこう、そうして可能な限りの調和をはかっていこうということが共同声明にもうたわれているわけでございます。そうして、問題によりましてアグリーすることももちろんございます。多くの点にアグリーしましたし、それからまたディスアグリーしたこともございます。しかし一番大事なことは、なぜアグリーしたか、なぜディスアグリーしたか、これが十分論議されなければならぬと思いまして、なぜディスアグリーするかの理由、背景ということについて十分アグリーしておく必要がある。こういう考え方で臨みまして、御指摘の中国問題につきましては、総理会談、外相会談の大半——半分以上の時間をそれについてさきまして、くまなく論議をかわしたわけでございます。結論として相当の開きがあることはありまするけれども、フランスの気持ちという点、それから日本の考え方というのは、相当の深度において私は理解されたと思います。
  88. 曾禰益

    曾祢益君 もう一つ、お話のように両方の意見が合致しない点もあるので、合致しないけれども同意した、了解し合った、これもけっこうだと思います。同時に、共同コミュニケにもあると言われた可能な限りにおいて協調調整をはかっていこう、これもまあなおけっこうだと思います。したがって、中国問題等についても、少なくともお互いに自由陣営の一員、お互いにアメリカとも協力はしているけれども、少なくとも自主性を貫いていきたい点においても変わらない。お互いに現に共産主義に対して屈服しているわけじゃない。そういう点から見ると、フランスの中共承認は一つの歴史的流れに沿った新しい方向だとぼくらは考える。ただ同時に、日本の立場、あるいは全体から見て、台湾問題を全然無視した行き方というものは適期でない。それならば、そこら辺に関連して、両方でもっと相談し合って、いまのところ、むろん出発点も多少違うし、条約関係も違うし、国の置かれた環境も違うと思いますけれども、少なくとも自由陣営の二つの柱として、アメリカ、台湾を含めてという意見でひとつ相談し合って、何か自由陣営の意見をまとめようじゃないか、前向きの姿で、というようなところまで今日内容はまだできていないにしろ、可能な限りにおける接近を求めるという意味において、そこら辺のところまで話が行っているのか。行っていないにしても、そういう、何というか、望み、展望をお持ちになったのか。それとも、これはとてもだめなんだ、国連における共同行動なんか全然問題にならぬというようなインプレッションなのか、どうなのか。そこを押えれば私はもう質問をやめます。
  89. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私は、単に外交辞令としてだけでなく、相当フランス側も満足しておると思います。私は、一番大事なことは、お互いにフランクに話し合うことでございまして、何らの留保なく話し合う雰囲気が一番大事だ、それをキープしてまいることが一番大事だと思うのでございます。そういう意味におきまして、今度は第二回目の定期協議でございましたが、第一回目より多くの前進があったと思うわけでございます。それから、それ以外の、政府レベルにおきまして、まあ大使館レベルの情報並びに意見の交換にいたしましても、よほど緊密になってきております。より緊密になっていくものと思うのでございます。基本は、共同声明にもうたわれておるとおり、平和と正義とそうして自由を達成することを道標としていくんだという基本を踏まえて、そうしてお互いにフランクに、しかも、緊密に協議し合っていこうという気持ちはお互い盛り上がってきておるわけでございまして、私はこの空気は大事にキープしてまいりたいと思っております。
  90. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 昨晩、南漢宸総裁が来日した。総裁は、今後二ヵ月間くらい滞在をして、そうして日本の各方面の方々と意見の交換をしたいということを切望しておるようです。南漢宸氏は、御承知のとおり、中国銀行の総裁であり、中国の国際貿易促進委員会の主席でもあり、経済人として第一等の人物だと思うのです。その人が各方面の方々とお会いしたいと言っておりまして、少なくとも経済的には日中両国の関係を推進をしようとしておられる大平大臣は、この南淡農民とお会いになることが当然であり、また望ましいと、こういうふうに考える。それば、この間、金鍾泌氏が来られたときも、各方面の人たちになるべく会って国際的な意思疎通をはかることが大臣の任務だとお考えになっておったというような御答弁もありました。そういう心がまえからも、お会いになってしかるべきだし、望ましいと思うのですが、その点をどういうふうにお考えになっておりますか。
  91. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 南漢宸氏御一行が見本市を契機とされて御来日されて、経済界方面とお話しをいたすことはけっこうなことだと私は思っております。   で、政府との接触でございますが、私どもといたしましては、結論として南漢展氏とお目にかかることを御遠慮いたしたいと思っております。何となれば、国交が結ばれない国との間におきまして、政府関係者がお目にかかるということは適当でないと考えるからであります。承認国との間におきましては、私はできるだけ、この間も申しましたように、各界の方と時間のある限りお目にかかるというようにいたしております。そのようにけじめをつけていくことが、日中関係のためになるのではないかと私は考えております。
  92. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 未承認国だから会わないという話はおかしいのじゃないかと思うのですが、たとえば韓国の皆さん出力とは、これは未承認国であるにかかわらず、お会いになっている。それからまた、日ソの国交が回復するころ、国交回復以前に政府の方々が向こうの方々とお会いになったというような前例は、たくさんあるのです。そういう意味で、未承認国だから政府関係者は会わないのだというようなことは、筋として通らないことじゃないか。むしろ、少なくとも貿易は促進をしようというお考えであるならば、向こうの財界の代表である南漢宸氏にお会いになることが当然じゃないか、こういうふうに思いますが、いま大臣の言われる会わない理由は、理由にならないと思う。その点どういうふうに思いますか。
  93. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 多少佐多先生に誤解があるようでございますが、国交正常化の前に承認ということがあるわけでございまして、ソ連の場合も、韓国の場合も、承認はいたしておる。で、正常化が話し合いの途中であるという状態において、あったと思うのであります。中共の場合とは、事情が違うと思うのでございます。中共の場合は、まだ承認というところまで行っていない。
  94. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 正常化と承認の場合は、むしろ、場合によっては、大臣の言われるのとは逆なこともあり得るのじゃないですか。正常化をして、その積み上げの結果、承認という最終的な措置までやるということもあり得る。
  95. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 論理的にはそうじゃなくて、承認というのが先にありまして、それから外交関係の設定のお話に入るというわけでございます。たとえば外交関係の設定ということ——承認だけかあって、外交関係か事実上設定されていない場合、たとえば外蒙なんかの場合もありますけれども、あなたのおっしゃるように、中共の場合なんというのは、承認と国交正常化というものをそんなように区別していくということば、なかなか事実上むずかしいと思いますけれども、論理的には私は承認が先であって、そうして国交正常化ということになっていくものと思います。
  96. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこのところは意見が違いますが、それは意見として違ったままにしておいても、かりに国交の正常化が行なわれていない、あるいは承認が行なわれていないという場合であっても、だからといって、政府の者が相手国のいろいろな人と話し合いをしてはいけないということはないのじゃないか。これまでの、たとえば日ソの国交回復の場合でも同じだったと思うので、承認をしていないから、国交が正常化していないからわれわれはく会わないのだ、こういうことは筋が通らないじゃないか。そういう態度を固執されるということは、少なくとも貿易の関係は進めようというお考えならば、進んでそういう点は突き破っていかれることのほうがいいんじゃないかと思いますが、どうですか。
  97. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) これはまあ考え方だと思うのでございます。私は、冒頭に申しましたように、貿易の関係が促進されることはけっこうなとでございまするし、そして、それは、民間レベルでやるというたてまえをとっておりますので、民間の方々とお話し合いをいただくことは、けっこうなことだと思っておるわけでございます。で、事政府となりますと、まあかたいことを申し上げるようでございますが、ちゃんとしたけじめをつけてお目にかか石ということにするのが礼儀だろうと思っておるわけでございます。
  98. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 もう一つ。けさ松村使節団が中国にお立ちになったようでありますが、これに対して、政府のほうでは、どういうことを期待をしておられるのか、どういうことをやってくるというふうにお考えになっておられるのか。その点をお話し願いたい。
  99. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま、国交がない状態でございますが、日中の間に人の行き来があり、それぞれの立場につき、それぞれの事情について理解が進むということは、けっこうなことと思うのでございます。特に、松村謙三先生のような方が先方に行かれるということは、理解の増進におきまして裨益するところがあるだろうと思います。
  100. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは、本一日はこの程度で散会いたします。次回は、四月十四日午前十時でございます。     午後零時三十三分散会    ————————