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説明員(
兼重寛九郎君) いま
佐藤国務大臣からお述べになりましたことに要点は尽きるのでございますが、
原子力が将来は新しい
エネルギー源としまして、
発電用をはじめおそらく
船舶の
推進用にも非常に大事なものになるということは、いまさら申すまでもないことでございます。そのほかに
放射線の
利用ということが、たとえば
放射線同位元素を使ったもの、あるいはそのほか
原子炉そのものを使いました
放射線の
利用というものも、おそらく
範囲から申しまして、もっと広い大事なことになろうかと思うのでございますけれ
ども、特に現在の
日本の
エネルギー事情から申しますと、
原子力発電ということが重要な問題であるわけでございます。そこで、
日本の
原子力開発といたしましては、その
出発点が
先進諸国に比べまして十年おくれたと
一般に言われておりますけれ
ども、私は、十年よりももっと多い。十五年以上もおくれて出発したというふうに了解しております。したがって、相当、先に始めた国では
原子力発電につきましてもかなり進んだ
技術もできておりますので、これまで
日本の産業の
近代化をやってきましたのと同じ
ようなやり方で、
外国の
技術の進んだものはそれを取り入れながら、できるだけ早い時間でそういう水準まで
日本の
科学技術が追いつくことにしたいということでありますことは、いま
大臣が述べられたとおりでございます。そこで、
発電につきましてそういう
外国ですでに相当
程度開発されました
技術を輸入し、これを
発電に
利用するということは、主として
民間の
電力業界の力によるということでございます。ただし、その一番
最初のものは、どういたしましても経済的に
採算がとれないものでございますから、
政府の資金も入っております
原子力発電株式会社が設立されまして、来年の春、今年度末には実際の
商業発電を開始する予定の
東海発電所を現在
建設中であることも御承知と思います。これを初めといたしまして、
昭和四十五年を終わりとする
前期の十年間というのに、百万キロワット
程度の
原子力発電所が
国内にできるということを期待しておるわけであります。この百万キロワットが、まあおそらくは経済的に見たならば、一番
状況のいい
重油専焼の
発電所に比べて対抗できるとは
考えないのでございますけれ
ども、終わりごろには、かなりそれに近いものになるということも期待したい。したがって、その次の
段階になりますと、おそらく十分経済的な競争の観点からいっても、
原子力発電所の
建設がだんだん多くなってくるであろう。まして、
外貨の
節約という面から申しますと、ただ
発電の単価がどちらが高い、安いということとは別に、
外貨の
節約という
意味からいえば、こちらの
原子力発電のほうが有利であるという計算が出ておりますので、これはある
程度奨励する必要もあると
考えております。しかし、いつまでもそういうことだけには頼っておれませんので、現在、
原子力研究所を中心にいたしまして、
国産動力炉の
開発ということを一、二年前から始めてきております。さらに、将来は世界的な
核燃料資源の
有効利用ということを
考えましても、
高速増殖炉の
開発ということは全世界的にぜひしなければならぬことでございます。
各国ともそれに非常に熱意を持っておるわけでありますが、特に
日本は、普通の現在使われております
原子炉から出てまいります
プルトニウムの
利用ということは、どうしてもこれを将来の
発電炉に
燃料として使うということにしなければなりません。そのためには、その
プルトニウム、普通のそういう
発電用、あるいは
船舶の
推進用、
平和利用のための
燃料として
利用するということは絶対に必要なことでございますので、そのためにも、
高速増殖炉の
研究開発ということが非常に
日本にとって重要なことでございます。そのため、その
高速増殖炉の
研究開発が重要であることは、
最初の
原子力委員会ができましたときにつくりました
長期計画にもそのことが述べてございます。三十六年の二月にそれを改定いたしまして、現在の
長期計画にはもっとそれをはっきりうたっております。しかしながら、その
研究開発自体は、まだ、たとえば
計画をつくってその
年次計画に従って進むというほど具体的にはなっておりませんが、これもなるべく早い機会にそういうふうに移りたいというので、現在各
方面の
専門家の
意見も聞きながら
準備を進めておる
段階でございます。先ほどちょっと申し忘れましたが、その
発電は主として
民間企業を頼っておりますけれ
ども、
最初の十年間
——前期十年間は経済的には
採算に乗らないものでございますから、これを積極的に促進しますためには、何らかの
促進策、ある
意味からいいまして、
助成策もとる必要はあろうと
考えられますので、それをどういうふうな形でするのが最も適当であり、まだ有効であるかということにつきましても、現在検討中でございます。一番
政府として
考えなければなりませんことは、
使用済み燃料の
処理でありますとか、あるいは、それから、生産されました
プルトニウムの買い上げでありますとか、そういうふうなことについて適切な政策をとることが必要であると思っておりますが、それをどういうふうな形でやるかということは、現在まだ固まっておりません。
以上で一応終わります。