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1964-03-26 第46回国会 参議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)    午前十時十八分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     黒川 武雄君    理事            井上 清一君            草葉 隆圓君            長谷川 仁君            佐多 忠隆君    委員            青柳 秀夫君            鹿島守之助君            杉原 荒太君            山本 利壽君            岡田 宗司君            羽生 三七君            森 元治郎君            二宮 文造君            岩間 正男君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君    国 務 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    科学技術庁原子    力局長     島村 武久君    外務大臣官房長 高野 藤吉君    外務省条約局長 藤崎 萬里君    外務省国際連合    局長      齋藤 鎭男君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    原子力委員会委    員       兼重寛九郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○原子力の非軍事的利用に関する協力  のための日本国政府アメリカ合衆  国政府との間の協定を改正する議定  書の締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査(当面の国  際情勢に関する件)   —————————————
  2. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、理事辞任についておはかりいたします。加藤シヅエ委員から、都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は投票によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事佐多忠隆委員を指名いたします。   —————————————
  5. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 本日は、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。政府側からは外務省当局のほかに、佐藤科学技術庁長官島村原子力局長兼重原子力委員会委員が出席されております。御質問のある方は、順次御発言を願います。
  6. 岡田宗司

    岡田宗司君 原子力の非軍事的利用、すなわち平和利用に関する政府基本方針というものがあろうと思うのであります。そこで、この点を科学技術庁長官のほうからお示しを願いたいと思います。
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 原子力基本法第二条、これに、わが国原子力、これは平和利用のみに限るときめられておる。そういう立場で自主、公開、その原則を立てておる、かよう考えます。
  8. 岡田宗司

    岡田宗司君 この平和利用ということの概念なんですがね。これは非軍事的利用平和利用かどうかということもありますし、軍事的利用平和利用との間の区別、ディマーケーションというものは必ずしも明確でないので、この平和利用ということをどうお考えになっておられるか。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 平和利用軍事利用と、こういうことですが、軍事利用のほうが直接に使われておるとわかりいいのですけれども、ただ、平和利用動力なら動力というものをとりましても、これが一般通念原子力動力用として使われる。またその動力、それを使って動かしている兵器があるかどうか。あるいはまた、その次の発展段階のものがあるでしょうが、そういう場合には、一体これを平和利用と言い得るか、あるいは軍事利用と言い得るかたいへん疑問だと思います。しかし、私はもっとこういう事柄は一般通念できまるようになっていくのじゃないだろうか、またそうあるべきじゃないだろうかというふうに私は考えております。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま、原子力利用していろいろやる場合に、必ずしも明確でないものがある。そこで一般的通念についてということでございますが、この点について平和利用ということの、もっと具体的にどういうものが平和利用か、どういうものが軍事利用だということを明らかにしていくことが、やはり通念をはっきりさしていく上に役に立つと思うので、政府のほうでは、平和利用というものはどういうことだ、そしてそれはどういう具体的な利用方法に限られておるのだということが明らかにされなければならぬと思うのですが、その基本法に基づく平和利用というものは具体的にどの範囲までのことをさすのか。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たとえばわが国で一番力を入れておりますのは、平和利用として原子力発電、これは問題なしに平和利用だと考えます。  第二に、舶用動力として、これはただいま商船をつくるまでにはまいっておりませんが、いわゆる観測船をつくるということで衆参両院の御審議をいただいております。もうすでに原子力観測船、それにかかっておる。これでその方向がおわかりだと思いますが、また、ラジオアイソトープ利用等になりますると、その範囲はまた広いと思います。これはできるだけ農業や、私どもの生活に直結するような部門にこれを使っていきたいと、かように思います。ただ、いま申し上げますように、電力用原子力、これはあまり問題はないように思いますけれども、理屈を申せば、この原子力発電兵器をつくればどうなるのか、あるいはそこまでの議論はしなくても、少なくとも舶用動力炉の場合には、それが潜水艦にも使えるのじゃないかと、こういうよう議論もできるし、またラジオアイソトープにいたしましても、医薬用にこれを使う場合に、さらにその範囲がもっと拡大されないか。いろいろそういう面で問題を起こし得るだろうと私は思いますが、そういう点が、原子力基本法を設けました際の通念から申しまして、それが平和的に使われる、これを第一の念願にしておる。そうして、その範囲も直接核兵器、あるいは核兵器類似の人類に対する非常な害毒を流す、こういうことについては私どもも気をつけなければならないことだろうと、かよう考えます。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 私ども発電あるいは普通の船舶舶用動力あるいはラジオアイソトープ利用等については、これは平和的利用の主たる面だと思うのですけれども、例をあげまして、舶用動力の問題ですけれども商船とかあるいは観測船に使われる場合には、われわれも国会で審議して賛成いたしました。われわれは平和利用だと思っております。しかし、これが戦争を目的とする軍艦、つまり自衛隊が持っております船に使われてまいりますというと、これはわれわれは軍事利用と、こういうふうに思うわけですが、その点はいかがですか。
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) その点が実は一番議論があるだろうと思います。したがいまして、運航用船舶原子力推進、これが常識的に、通念的になれば、これは軍艦であろうとまた商船であろうと、そういう意味では禁止はできないのじゃないか。ただ、現状におきましては、なかなかこの原子力推進の場合に、舶用の場合に、これはもう潜水艦は特別だろう、こういうことがございますから、この点は論の対象があるだろうと先ほど来私は少しことばを濁しておるのも、そういう意味において議論余地ありと、こういうことでございますが、おそらく皆さん方にいたしましても、原子力推進がこれはもう普通なんだと、こういうことになると、潜水艦持つこと自身は問題じゃないのでしょうから、その潜水艦原子力で動いているというだけで反対はされないだろうと、かように思います。現状においてはまた議論があるだろうと思います。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 だいぶ伏線を考えお答えになっているようですけれども、もっとすっきりしたお答えを私どもは願いたいのですが……。  いま防衛庁でもって年々計画を立てていろいろな船舶を、海上自衛隊用船舶をつくっておりますね。それには潜水艦もありますし、普通のいわゆる軍艦というものもありますが、これらについて、原子力利用して推進するものをつくろうといういま計画があるかどうか、あるいは近い将来にそういう計画が持たれておるかどうか、その点はいかがでございますか。
  15. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま、どうも日本技術からいいましてそこまでは進んでおらないので、防衛庁も、詳しくは知りませんが、さよう計画を持っているようには私は伺っておりません。おそらくそういう計画があれば私のほうへ相談するだろうと思いますが、まだ相談を受けておりません。ただいま、ようやく日本原子力観測船をつくろう、しかもそれに十年かけてやろうという程度でございますので、そうまだ進んでないように思います。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、現在の防衛庁においては、原子力舶用動力に、船舶用動力利用するということは計画されておらない、こう承知していいわけですね。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さよう考えてよろしいかと思います。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いする点は、これは先ほどからこの舶用動力について、船舶用動力については疑問というか議論余地がある、こういうことで、これは船舶用動力が、たとえば潜水艦とかあるいは他の軍艦に使われた場合にはこれは軍事利用ではないか、こういうことについて、もし船舶を動かすについて原子力が非常に一般的なものになった場合には、それは通念として軍事利用ではないということでありますけれども、現在は、私ども考えでは、まだ原子力利用してその船が動かされるというのは、各国で実験的に行なわれておるだけであります。たとえばアメリカにおきましてもサバンナ号の一隻だけである、あるいはまたソ連におきましても砕氷船だけである、また他の国におきましても普通の船舶には使われておるものがないような事態、したがって、主として使われておりますのは、アメリカにおきましてはいわゆる原子力潜水艦である、それからまたソ連におきましてもすでに原子力潜水艦ができておるということであります。また、イギリスにおきましても目下建造中であるということが伝えられておる。そういたしますと、どうもまだ船舶に使われるという場合も、これは一般的な通念として石炭あるいは重油にかわって広く使われるというところまではまだいっておらぬ。そうすると、これは特別にまあ軍事用利用されておるのだとこれはいわれてもしようがないと思うのです。そういう点はどうお考えになりますか。
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの原子力を主力にしての潜水艦、そのスピードなりあるいは航続時間なり、そういうことが問題になる、これが兵器としての非常な重要なポイントだと、こういうことに考えますと、ただいまは議論があるだろう、こういうことでございます。それはまさしくいまい言われますごとく、この兵器としての特殊な条件にそういう点が考えられるでしょうから、これは日本で持つことがただいまのところ望ましくない。しかし、私は先ほど申しますように、一般通念でこれがもう舶用には最も経済的なこれは動力だ、動力源だと、こういうようなことに意見が一致すると、これは日本もそれにおくれをとるわけにはいかないだろうと、かよう考えますが、ただいまのところでは大いに議論余地ありと、かように私は考えております。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 大いに議論余地ありということなんですが、その大いに議論余地ありということは、つまり軍事用であるということをお認めになっておるから大いに議論余地あり、こういうことでございますか。
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) それは私がとやかく言う筋ではないので、いずれ他の方面におきまして議論が出てくるだろう、科学技術庁としてはこれは議論余地のある問題である、かように思うわけでございます。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 これが全部平和的利用だと言うならば議論余地はないので、軍事的利用だと認められるからこれが議論余地があることになるのでしょう。そうじゃないでしょうか。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さように見られる方があるから議論余地がある、かように申し上げるわけであります。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 そう見られる方があるから議論余地があるのじゃなくて、いますでに佐藤長官議論余地ありと言われたのだから、私ども議論余地ありと、これはやはりその軍事用にというふうに考えておられるから、つまり両方に使われると思われて、議論余地があるとこう言われたと思うのですがね。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は大体原子力動力用に使っておるのだ、こういう説明からは、それをもって直ちに軍事的だということは言い過ぎだと思います。しかしながら、この原子力を推進する問題、舶用に使うと言えば、それは必ずスピードの問題あるいは航続距離の問題、それが今日兵器として重要なポイントだと、かよう考えてくると、私が申し上げますように、舶用動力原子力、これは平和利用だと、かように申しましても、皆さん方のほうでそうおっしゃらないだろう、こういうことを私は申し上げるのでございまして、これはもう少し、その兵器とは何なりや、こういう点を議論しないとそこで結論が出てこないのだ、だからこれはもう少し研究していく筋のも一のだろう、こういう意味でございます。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 この問題はまああとに譲りまして、次にこの現在の平和的利用の問題ですが、この平和的利用ということが、発電なりあるいは舶用動力使用なりラジオアイソトープということになりますと、これは日本としてやはり一定の計画を持ってこの利用法につとめられることになっておると思うのです。おそらく長期計画並びに年々の計画というものがあろうと思うのですが、これはあるいは技術庁長官よりも原子力委員会のほうからお伺いしたほうがいいのかもしれませんが、この計画大要と、それから特に三十九年度の計画はできておると思うのですが、その計画大要についてお伺いしたいと思います。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 詳しくは兼重さんから答えていただきたいと思いますが、いままでのところ、私ども原子力そのものがおくれて研究に入ったものですから、何とかしてこの研究のおくれを取り返したいというのでございます。ただいままでのところは、外国施設、その設備を国内に導入しております。けれども、これだけでは満足しないので、国産動力炉国産のものに切りかえる。こういうところに研究の大目標を置いておるのでございます。まあ、その点からあらゆる計画を進めておりますし、ちょうどいま八年たっておりますので、ようやくその第二期計画に入っておるんじゃないだろうか、かように思います。今日までのところは、いわゆる長期計画、その長期計画にのっとってのいろいろの研究開発を推進しておる。かよう状況でございます。詳しくは原子力委員会から。
  28. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) いま佐藤国務大臣からお述べになりましたことに要点は尽きるのでございますが、原子力が将来は新しいエネルギー源としまして、発電用をはじめおそらく船舶推進用にも非常に大事なものになるということは、いまさら申すまでもないことでございます。そのほかに放射線利用ということが、たとえば放射線同位元素を使ったもの、あるいはそのほか原子炉そのものを使いました放射線利用というものも、おそらく範囲から申しまして、もっと広い大事なことになろうかと思うのでございますけれども、特に現在の日本エネルギー事情から申しますと、原子力発電ということが重要な問題であるわけでございます。そこで、日本原子力開発といたしましては、その出発点先進諸国に比べまして十年おくれたと一般に言われておりますけれども、私は、十年よりももっと多い。十五年以上もおくれて出発したというふうに了解しております。したがって、相当、先に始めた国では原子力発電につきましてもかなり進んだ技術もできておりますので、これまで日本の産業の近代化をやってきましたのと同じようなやり方で、外国技術の進んだものはそれを取り入れながら、できるだけ早い時間でそういう水準まで日本科学技術が追いつくことにしたいということでありますことは、いま大臣が述べられたとおりでございます。そこで、発電につきましてそういう外国ですでに相当程度開発されました技術を輸入し、これを発電利用するということは、主として民間電力業界の力によるということでございます。ただし、その一番最初のものは、どういたしましても経済的に採算がとれないものでございますから、政府の資金も入っております原子力発電株式会社が設立されまして、来年の春、今年度末には実際の商業発電を開始する予定の東海発電所を現在建設中であることも御承知と思います。これを初めといたしまして、昭和四十五年を終わりとする前期の十年間というのに、百万キロワット程度原子力発電所国内にできるということを期待しておるわけであります。この百万キロワットが、まあおそらくは経済的に見たならば、一番状況のいい重油専焼発電所に比べて対抗できるとは考えないのでございますけれども、終わりごろには、かなりそれに近いものになるということも期待したい。したがって、その次の段階になりますと、おそらく十分経済的な競争の観点からいっても、原子力発電所建設がだんだん多くなってくるであろう。まして、外貨節約という面から申しますと、ただ発電の単価がどちらが高い、安いということとは別に、外貨節約という意味からいえば、こちらの原子力発電のほうが有利であるという計算が出ておりますので、これはある程度奨励する必要もあると考えております。しかし、いつまでもそういうことだけには頼っておれませんので、現在、原子力研究所を中心にいたしまして、国産動力炉開発ということを一、二年前から始めてきております。さらに、将来は世界的な核燃料資源有効利用ということを考えましても、高速増殖炉開発ということは全世界的にぜひしなければならぬことでございます。各国ともそれに非常に熱意を持っておるわけでありますが、特に日本は、普通の現在使われております原子炉から出てまいりますプルトニウム利用ということは、どうしてもこれを将来の発電炉燃料として使うということにしなければなりません。そのためには、そのプルトニウム、普通のそういう発電用、あるいは船舶推進用平和利用のための燃料として利用するということは絶対に必要なことでございますので、そのためにも、高速増殖炉研究開発ということが非常に日本にとって重要なことでございます。そのため、その高速増殖炉研究開発が重要であることは、最初原子力委員会ができましたときにつくりました長期計画にもそのことが述べてございます。三十六年の二月にそれを改定いたしまして、現在の長期計画にはもっとそれをはっきりうたっております。しかしながら、その研究開発自体は、まだ、たとえば計画をつくってその年次計画に従って進むというほど具体的にはなっておりませんが、これもなるべく早い機会にそういうふうに移りたいというので、現在各方面専門家意見も聞きながら準備を進めておる段階でございます。先ほどちょっと申し忘れましたが、その発電は主として民間企業を頼っておりますけれども最初の十年間——前期十年間は経済的には採算に乗らないものでございますから、これを積極的に促進しますためには、何らかの促進策、ある意味からいいまして、助成策もとる必要はあろうと考えられますので、それをどういうふうな形でするのが最も適当であり、まだ有効であるかということにつきましても、現在検討中でございます。一番政府として考えなければなりませんことは、使用済み燃料処理でありますとか、あるいは、それから、生産されましたプルトニウムの買い上げでありますとか、そういうふうなことについて適切な政策をとることが必要であると思っておりますが、それをどういうふうな形でやるかということは、現在まだ固まっておりません。  以上で一応終わります。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいま発電関係についてのお話がございましたが、いまの長期計画ですが、この三十九年度、つまり本年度において、政府としては原子力開発、その利用についてどういう計画をお持ちになっているか、お伺いします。
  30. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) 三十九年度といたしましては、原子力研究所におきまして、これまでずっと基礎的な研究を続けることはもちろんでございますが、先ほど申しました国産動力炉研究開発というのをさらに具体的な形で進めていくようにしたい。それから高速増殖炉につきましては、計画を立てることができるかできぬかというようなことを検討いたしたいということでございます。あとプルトニウム燃料に使います研究開発につきましては、これは原子燃料公社日本原子力研究所との共同研究の問題といたしまして、両者が適当な分担をしながらこれを進めていくということも、三十九年度では大事な仕事になります。一方、原子力研究所では、この前、昨年方針をきめまして、材料試験炉建設というということが始まっておりますが、それが一そう今年度は具体的になってくる。三十九年度に具体的になっていくということでございます。同じように、原子燃料公社におきましては、再処理施設、これはまだ原子力委員会としてこういう建設ということをきめてはおりませんけれども、いつでもきめられるようなふうに、設計その他の準備を進めておりまして、三十九年度はそれが一そう具体的になっていくようになっております。あとラジオアイソトープ利用並びにその生産も、おいおい軌道に乗ってまいりましたので、日本原子力研究所の中にアイソトープ・センターという機構を新たにつくりまして、その仕事は、現在の東海研究所でもやっておりますけれども、将来は大洗地区にその主要の部分が行くことになりますので、その一部の建設大洗地区に開始されることになるわけでございます。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまのお話で、一応長期計画について大要がわかったのでありますが、この原子力発電について、最初技術的に非常にむずかしい問題もあるし、また同時に、経済的に引き合わない、そこで、民間ではなくて、政府も出資しておる原子力発電株式会社にやらした、こういうわけですが、まあ外国では、たとえばイギリスあたりでは、この原子力発電等公社でやっております。それから、よその国にもそういうところが多いわけです。アメリカ発電については何か民間でやっておりますけれども日本の場合ははたして民間にまかしてうまくいくものかどうか。私どもどうも、やはりこれは公社なり何なりの、つまり国家が直接参加する機関のほうがいいというふうに考えるんですが、政府は依然としてこの原子力発電民間にまかす、こういう方式をおとりになっていくのであろうか、その点お伺いしたい。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この原子力発電民間にやらすかどうかという、これはまあ当初ずいぶん議論があったのでございます。しかし、第一、第二、こういうものはいまの特殊な機関でやらせようと、さらに引き続いて関西電力や中部電力あるいは東京電力で開発していこうと、こういう計画になっております。ただいまのところ、この方法がいいんじゃないだろうかと。で、これは民間側においての希望もございますし、また民間をしてこれをやらすために政府が特別な融資を考えてやるとか、こういうことで、私どもの経験から申せば、これは民間に移してもいいんだと、こういう実は結論でございます。ただいまの長期計画でも、そういう意味でこれを取り上げているというのが、一般結論でございます。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは、将来やはり原子力発電が、たとえば重油専焼よりもコストが安くできるというようなことになれば、民間のほうもおそらく積極的にやるでしょうけれども、しかし、たとえ政府の融資あるいはいろいろな援助がありましても、なかなか思うように商業ベースに乗らぬということになりますと、はたして民間産業で、民間の電力企業が積極的にやるかどうかというような問題も起こってくるわけです。あるいはまた重複投資というようなことで、国民経済の面から見たら非常に損な面も出てきやせぬかというようなことも考えられますし、また民間の企業ですと、どうしてもやはり相当な利潤ということも予想してきますから、なかなかそれもあげられないということになると、むずかしい問題も起こってくる。やはりどうも私どもは、公社形式でやったほうが将来の発展になると、まあ、こういうふうに考えてるんですが、今後たとえば電力も、いまの九つの電力会社の統合の問題も起こってきております。それから、あるいはまた発電についても、電源開発ような、つまり国家の機関ような形でやっていくものもあるわけですが、たとえばそういうふうな将来の電力の統合との関係等から見まして、はたしていまの九電力会社のうちの幾つかに、あるいは将来は九つのそれぞれにやらすという方針をいまでもおとりになっていったほうがいいとお考えでしょうか。
  34. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお述べになりましたような理由、さらにまた税の問題——国民の負担の問題ですね。さらにまた、これの需用者側の立場から、こういう電力では非常に高くなって、至るところに問題を起こすのじゃないか。公社でやるにしても、これはいたずらに税負担——大事な税をそこに注ぎ込むことだと、また、消費者側から見ましても、いかにも高い電力だと、こういうことにならないかというその御心配は、実は十分検討いたしまして、そうして採算のとれるようなものにすること、それを第一に指導しているわけでございます。  で、現状におきましての量は、きわめて総供給量から見まして少ないものになるから、なるほどコストは現状においては高いが、それは全体の電力料金に影響を与えるほどのものではないと、こういう結論のもとで、ただいま進めさしているわけでございます。だから、非常にこの原子力発電の量がふえてきて、そうして消費者にも迷惑をかける、またそれだけの迷惑をかけるものを国がやるにしても、それは国民税負担の面から見て、これはたいへんだということになれば、これは原子力発電そのものを、これを採用するかどうかということを考える、その方向へゆくべきであろう、かように思いますが、私ども考えまた原子力委員会で取り扱っているところでは、技術も進んでゆくし、またこれはだんだん安くなるし、そういうことを考えると、国民には迷惑をかけないで、また民間ベースでやり得ると、こういう結論から、ただいまのような方式を採用しているのでございます。ただいま九電力の合同の話など出ておりますが、ただいまそこまで私のほうが触れるだけのあれもございませんが、大体この関西電力、中部電力あるいは東京と、こういうところになりますと、十分の技術者も持っているようですし、また、その消費量から見ましても、きわめてパ一センテージの低い原子力発電をこの中へ加えることも、そう心配な状況ではない。先ほど兼重さんからお答えいたしましたように、むしろ安くなる。そうしてそれが油を使わないとか、こういうよう意味で、国際決済上も役立つと、いずれの点から見ましてもしあわせだと、ことに公害のない発電所と、こういう意味で、たいへん私ども魅力を感じているのでございます。問題は経済性をいかにするかということで、その意味の指導研究、特にそれに力を入れているというのが現状でございます。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは兼重さんにお伺いいたしますがね、この原子力発電株式会社が操業を開始するときの電力の価格ですね。これが重油専燃と比べまして、どのくらいの開きがあるのですか。
  36. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) 私は最終的にどのくらいになるかということを存じておりませんけれども計画のときには、一キロワット時当たり四円九十九銭ということであったと記憶いたします。ところが、それに対しまして、会社側から言わせますと、原子力委員会で安全審査をいたしましたところ、いろいろ安全上の考慮から、こういうところにもつと設備をよくしろというよう意見も、あるいは通商産業省のほうからも同様な意味の要求がありまして、設計変更などもございましたために、これが一〇%前後影響したというような話も聞いておりますから、おそらく五円何がしというようなことになると思います。現在最新鋭の重油専燃発電所を建てますと、おそらく二円五、六十銭——七十銭くらいでありましょうか、したがって、その程度の差は、最初原子力発電所としてあるわけでございます。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、重油ですと半分ということになるわけですけれども、これはですね、何年計画ぐらいで縮めていかれるのか。これは重油と同じくらいになる、そういう見通しでございますか。
  38. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) いまの御質問の意味がどういうのか——発電所の将来ということでは、あまり多くは期待できませんけれども、年を経るに従いまして、償却が進めばもっと原価は安くなると聞いておりますが、全体的に申しますと、最近アメリカで契約ができた、あるいはできようとしているものなどは、アメリカの原価をそのまま円に引き直しますと、すでに日本重油専焼火力発電所と対抗できる、あるいはそれよりも安いというような数字も出ております。ただ、それを現実に日本に持ってきまして、日本の事情に合うよう建設をしたときに、それと同じようにいくかということには、なお問題がございますので、きょう現在建設を始めれば、すぐ重油専焼火力と競争できる、あるいはまさるということば、まだ立証されておりませんが、非常に近くなっておるということは現実でございますから、そういう経験をごくわずかな回数繰り返せばできるのだというふうに考えております。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、これは原子力利用の行政面のことですけれども、国でやはり原子力研究所を持ちこれがセンターになっておる。ところが、民間にも、電力会社でも持っておる。あるいはそのほかのところにもあると思う。それから、さらに大学にも研究所がある。それから、たとえば農林省にアイソトープ利用について研究実験機関ができておるというように、非常に各所に研究所があると思うのですけれども、それがいろいろ重複した研究もやっておる。それから、お互いに競争しつつむだも相当あろうかと思うのですが、これらについて、統一的にその成果をあげていくよう方法というものは、政府としては従来おとりになっておると思うのですけれども、どういうふうに行政面でやっておるのか、その点お伺いしたい。
  40. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま御指摘になりました点、これはもう科学、原子力だけで申すわけじゃございませんが、あらゆる面においてそういう重複また競争が行なわれていないか、また総合的な開発ということに遺憾はないか、こういう点でございますが、一口にわかりやすく申すならば、大学や会社の研究所の設備はきわめて小さなもので、その応用的立場に立つものは原子力研究所だ、こういうよう考えればいい。したがいまして、大学その他で使っておりますものは、非常に軽便なまた小さな設備を持っておりますが、原子力研究所に行けば、その応用段階、いわゆる開発発電所になるまでのその中間的な施設がある。したがって、その意味では二重にはなっておらないと思います。したがって、それぞれ基本的な研究が進んできて、さらにこれを開発するその場合に原子力研究所を使ってください、これは会社も大学も、そういう意味で個々に研究所に研究を、みずからがすることもありましょうし、委託することもある。そういう意味原子力研究所がその機能を発揮してくれるものと、かよう考えます。  それからもう一つの原子力発電、これはもう発電に限りませんが、原子力そのものがよほど総合的な研究の成果でありますから、そういう意味で各部門の協力を得なければならない。大学あるいは各会社においてはその部分的研究に没頭しておるというものが主のよう考えます。しかし、この原子力研究所の東海村に参ってみれば、その総合的な役割りというものが今度は遺憾なく発揮されるようになる。こういう意味で、東海村の原子力発電は、いま言われたような役割りを果たすのでありまして、できるだけ同様の施設はこれはしないように、また、お互いに研究に没頭するあまり競争する、こういうことがないように、ここへ来ればともかくも中間研究の成果を中間的に取りまとめ得るもの、また総合的機能も発揮し得るもの、こういうことに御利用が願いたいと思うのであります。ただ、いままでのところでは、私が考えように必ずしもまいっておりません。これは技術者のほうにも、いろいろ欠点とは申しませんが、それぞれの系統があるようですから、なかなかその系統が強い。また、会社におきましてもお互いに競争の立場にありますので、自分たちの研究の成果を発表するということをよほど差し控えておる。だから、研究の途上において発表することがないために、相互にその研究をおくらしておる、こういうことがあるだろう、研究の成果をおくらしておる、こういうことがあるのではないかと思います。こういう点を順次直していくこと。ことに科学技術庁といたしましては、文部省関係にはこれはほとんどくちばしを入れないようになっておりますので、この原子力研究に関しては、一そう大学の研究の場合とこの原子力研究の場合とをもっと密接にくっつける必要があるだろう。そういう意味で、人的交流その他についても特別な配慮をしているわけでございます。ただいま御指摘になりました点は、これは研究所の本来の使命を達成する上においてぜひとも私ども考えていかなければならないことだ、これはできるだけ派閥をなくし、また総合的開発をするのでございますから、そういう意味で、総合的な成果があがるようにやっていかなければならないだろうと、かように思います。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま佐藤長官のほうからもちょっと触れられましたですが、科学技術庁の管轄といいますか、それと、文部省の管轄下にある研究機関との間に密接なコオディネーションができてないということは、いろいろな点で問題が起こっておるように私は聞いておるのです。これらの点について、一体今後政府としてはどういうふうにしていったらいいとお考えなんですか。それでないと、そこにまたお互いがからに閉じこもり排斥し合い、そうしてお互いの研究の結果を隠す——と言うのも変だけれども、知らせないでやっていく、非常なむだが出るというようなことも起こってくるわけですけれども、それらをコオディネートする方法を、これは政府はどうお考えになるか。また原子力委員会はそういう問題について、それらをコオディネートする権限あるいはその力を持っている——と言うのもおかしいですが、そういう権限があるのかないのか、その点はどういうふうになっておりましょうか。
  42. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは最も私どもが注意しなければならないことでございます。ことに原子力の場合におきましては、学界、財界双方の協力を得ないと十分成果をあげ得ない、こういうことでございますので、そういう意味では文部省と科学技術庁が連繋をとるばかりでなく、その人的構成におきましても、十分考慮をいたします。したがって、そこらに一つの問題もないようにしていく。たいへんしあわせなことで、わが国原子力、これは原子力基本法でも示しているように、平和利用であります。平和利用のその目的のためにお互いが協力することは、それぞれの主務官庁がありましても、それは当然のことだと、かように思うのでございまして、私は、やりにくい面もあるが、目的がはっきりしておるだけに協力がしやすいんじゃないだろうか、かよう考えます。ただ財界側でやっておりますように、各部分部分の開発研究がございますから、このほうの総合的な成果を上げる、これまた絶えず注意していかなければならないことでございますから、これらもただいままでのところ、まずとやかく言われなくて済むようなものではないだろうかと。まあ一番大きな問題でいままで議論されておりますのは、学者の科学技術研究の自由、こういう立場から、あるいは科学者が科学的な知識の範囲の発言でなしに、さらに、ややわれわれの不知に乗じて科学と政治と混淆している面がある。そういう面でしばしば議論を起こしておりますが、われわれは科学的な発言については十分尊重するつもりでございます。したがって、学術会議等ともそれぞれ私ども話し合い、連携を密接にしておるということでございます。どうかそういう意味でこれを見守っていただき、またそのコオディネーションをさらに進めるように御協力を願いたいものだと思います。
  43. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) ただいま、原子力委員会あるいは科学技術庁と大学関係とたいへんまずい面が非常に多い、そればかりであるかのような印象を与えておりますようですが、原子力関係につきましては、実質はそうじゃございませんで、たとえば原子炉は、いま関西研究原子炉というものを京都大学がつくっております。あれをつくることをきめましたのは、原子力委員会のできます前の準備会の時代、関東地方は東海研究所にある炉を大学の人を使って研究をする。関西にはないので、あそこにつくる。あれも最初は、原子力研究所の炉にして大学の人たちも使わせるかどうかということをいろいろ考えたのでございますが、結局大学に置いたわけでございます。そういうようにその連絡をしておりますし、大学における原子力学科などのことなども文部省とよく連絡をとってやっております。さらに核融合反応のことなどにつきましては、とりあえずは、大学の関係であるというので、名古屋にプラズマ研究所ができるようになりましたのも、原子力委員会の湯川教授を委員長にしました部会をつくって、その検討の結果そういうふうになりました。その研究が進んで大規模なことをやるようになれば、また日本原子力研究所なり、あるいはそれに相当したものでそれを受け継いでさらに次の研究を進めるというような順を立ててやっております。そういう関係では、大学関係とも十分連携をとりお互いの相談の上でやっておりますが、ただ正式に調整をしてどうとかというような形がとれないことは、先ほど大臣から説明されたとおりでございます。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 実は国立大学にも、方々で競ってやっておる。それから今度は私立大学でも非常な無理をしてつくっている。あんなことをするなら、もっと金を政府のほうで出して、あるいは方々から出資させて、原子力研究所ようなものを日本に何カ所かつくって、そして、そこでもって大学関係も利用させて総合的にやるという方法を基本的にきめて、そしてそれを進めていけないものでしょうかね。そうせぬと、ちぐはぐになっちゃってむだが多いじゃないでしょうか。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま兼重委員が御説明になりましたように、関東また関西、そういうところへ中心的なものを置く。そういう意味では各界から協力を得ておるわけです。しこうして、原子力は戦後の科学だ、こういう意味で、この方面技術者養成には、各大学とも非常に力を入れている。これが現状でございます。どうしても、使うにしても二カ所ではまだ不十分だ。したがって、程度の低いもの、——程度が低いと言っては申しわけございませんが、小さな規模のものを各大学は専門的につくっていく。その程度のものは、ほとんどこれは常識的に必要なものになっておるのではないだろうか。したがって、いま御指摘のごとく、私立大学におきましても、官立大学同様、ずいぶん資金を投資して、そうしてそれだけの技術者を養成していることは、この技術者が基礎的な理念の研究をされること、またそれだけのものを身につけられること、これは最も必要なことじゃないだろうか。したがって、もう原子力施設というものを特殊なものに考えると、そうすると、この際の日本原子力工業はややおくれるのではないだろうか。むしろ積極的に可能なところにおいては、どんどんそういうものをつくってくれ、これまで言ってもいいのではないだろうか。また学者の研究の態度から申しましても、基礎的な研究をし得る最小限度の施設は要る、これが各先生方のお気持ちでもあるのではないだろうか、かように思いますので、これが二重投資だということで、非常にそのほうをやかましく言うよりも、ただいま不足している原子力関係の技術者、将来の原子力の発展ということを考えますと、これは力を入れてもらいたい部門のように実は思うのであります。私はちょっと議論を唱えておきます。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 いやね、各大学で持つのはけっこうですが、小さいやつをそこらにたくさんつくってもしょうがないじゃないか。これから発展していくためには、この設備はいいものでなければならない。最新のものでなければならない。ところが、各国立大学にしても、私立の大学にしても、非常に金がかかる。ところが、政府のほうで一体それに対してどれだけ力こぶを入れるか。もし将来日本原子力利用が進み、それにつれてそれに必要な学者なり技術者なりをたくさん供給しなければならないとすれば、そのもとになるものに対して、政府としてはもっと積極的であるべきだ。私はそういう意味で申し上げたので、つまり、規模の小さい、そうしてじきにそれが老朽化してしまうようなもの、あるいは時代おくれになってしまうようなものでないものを各大学に持たすというなら私は賛成。それにはやはりなかなかそれぞれの大学ではできませんから、国立にしてもあるいは私立にしても、相当政府で力を注がなければならないが、その点が少し欠けているのではないかというように思いますが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お説のとおりだと思います。この大学の研究には一つの限度があるだろう、こういう御指摘だろうと思います。やはりその限度を越して大学がやるということになると、問題が起こり得るだろう。ただいまちょうど宇宙開発においてそういう例がございます。これは大学においての研究範囲からさらに開発への段階になってくると、開発のものはこれは民間に移すほうがよいのではないか。これはしかしなかなかむずかしいことで、どこまでが研究であり、どこが開発なのか、その議論が残っておりますが、施設が非常に大きくなってくると、どうも研究室では手に負えないというものがある。そういうものは、東海なりあるいは関西なりのセンターを御利用願う、そういうことで、まず形の上では整っておる。したがって、研究される方々の態度、一定の限度まで、まあこの辺が自分たちの限度だと、そういうところでピリオドを打たれることになるとまた変わってくるのではないか。ことに、原子力より以上に、宇宙開発部門だと、より総合的な協力を必要としてまいりますが、このほうになってくると、よほど考えないと困ると思います。しかし、ただいまの大学あるいは研究所の研究制度というものもこれから工夫していかないと、いままでのよう日本のやり方でございますと、優秀な技術者、科学者が外国へ、アメリカあたりに逃避するとか、また、十分日本の制度ではその力を伸ばし得ない、こういうことも感ずるのでございますので、一がいに限度ばかりをやかましく言うわけにはいかない。その限度にかわるものをやはり考えてやる。これは優秀な科学者、技術者についてはそういうことを考えないと、その研究の成果が十分あがらないのじゃないか。文部省の予算も最近はよほど変わってはまいりましたものの、やはり一般教育のほうが主になっております。この特殊な研究について膨大な予算をさくことはなかなか文部省もやりにくいだろう、かように思いますので、この点は一工夫あるべき段階に来ておると、かように思います。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、ウラニウムなんかの国内における生産ですね、これが一体どうなっているのか、それについてお伺いしたいのですが、これは原子力局長
  49. 島村武久

    政府委員島村武久君) 原子力開発をやります場合には、その燃料としてウランが必要でございますが、日本では原子力に手をつけましたころ、まだ世界のウラニウムが必ずしも自由に手に入る時代でございませんでしたので、従来、日本は地質学的に見てあまりウランがありそうにはないということではございましたけれども、極力探鉱をいたすという努力を払って今日に来ておる状況であります。探鉱を開始いたします場合、これを実施いたしますのは、通産省の地質調査所が地質的な角度から非常にラフな探査をやりまして、そこに異常値が発見せられました場合に、原子燃料公社がさらに精査を——精密な探査を行なうというようなシステムで進めております。現在のところ、まあ御承知だと思うのでございますけれども、一番日本でありそうだと考えられておりますのは、鳥取県と岡山県との県境に近いところでございますが、人形峠といわれておるそこが現在一番有望なところと考えられておるのであります。昨年の三月あたり原子燃料公社が発表いたしました、現在までの探査によってわかっております埋蔵量と申しますのは約二千トンということでございます。まだ非常に少ない量でございます。このような数字では、先ほど来兼重委員からもお話がありました日本原子力発冠を進めていくような場合には非常に足りない。大部分のものは、したがって、海外に依存しなければならぬだろうという見通しにもなるわけでございます。ただ、従来、日本にはほとんどないであろうと考えておりましたのでございますけれども、最近の状況原子燃料公社に聞きますと、やはり何も鳥取、岡山県境のみならず、あれから日本海のほうにかけまして随所に徴候が見えておるわけでございます。特に最近では、奥多摩の地方がかなり有望であるということで、ここの探査も実施いたしております。おそらく、また、一年近くたちますので、近い時期に、一年分の探鉱の結果をプラスいたしまして、現在の段階における推定埋蔵鉱量というようなものの発表も行なわれることと思いますが、三十九年度には、さらに岐阜県のいわゆる陶土地帯と同じような地域、かなり、これはまあ概算の結果でございますけれども、有望であるというような徴候もございますので、そういった方面に対しましても探鉱を継続して行なっていいという状況でございます。
  50. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、いまのところ採掘しておるのは人形峠だけでございますか。
  51. 島村武久

    政府委員島村武久君) 申し落としましたが、日本でやっておりますのは探鉱の段階でございます。鉱石をさがすという段階でございますので、もちろんさがし方にもいろいろございますですが、原子燃料公社では坑道探鉱——坑道を切って探鉱して鉱量を確かめるというようなこともいたしておりますので、坑道探鉱を実施いたします場合に、必然的にその程度の量は出てくるわけであります。現在、そういうふうにして得られましたものを試験材料にいたしまして、製錬の方法研究等もやっておりますが、また近く山元に中間製錬プラントの建設もいたしておりますので、今後試験研究に使う分くらいのウランは日本で製錬をして、いわゆる人形峠の鉱石から出たウランを使うということになるわけでございまして、いわゆる本格的な採掘事業を行なっておるわけではございません。この燃料公社が確かめ得ました鉱物に対しまして、いわゆる事業として採掘をやりますのは、これはやはり世界のウランの価格その他とにらみ合わせまして、どうしてもやはり採算的な角度から検討し直す必要があると考えております。まだ今日ではそのような事業としての採掘ということを実施しておるわけではございません。
  52. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、大体日本原子力発電等に要する原子燃料というものは、ほとんど全部将来にわたっても輸入に仰がなきゃならぬ、こういうことになるわけですね。
  53. 島村武久

    政府委員島村武久君) 何しろ地下にあるもののことでございますので、いつ何どきいい鉱脈にぶつからんとも限りませんけれども、現在までの状況から将来を見通します場合には、日本で鉱石を掘り出して発電に充てることも可能でございますけれども、多くはやはり海外に依存しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  54. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、輸入するということになりますと、まあ世界の供給との関係が問題ですし、それからまた、世界各国で需要もふえてくることもありましょうが、将来に向かって入手困難というようなことはないかどうか。その点はどういうことでしょうか。
  55. 島村武久

    政府委員島村武久君) きわめて控え目に申しますと、やはり原子力の将来をどのように見るかということにも関連いたしますので、必ずしも的確な判断ではないかもしれませんけれども、今日の段階におきましては、ウランは世界的に過剰でございまして、ここ十年、二十年の間にウランが非常に得にくいというような事態が来るとは私ども考えておりません。まあ学者によりますと、非常に長期な見通しを立てて、各国原子力発電が非常に盛んに行なわれるようになれば、ウランの市況がまた持ち直しまして、ウランのいわゆる需給がバランスをとってくるようになるだろうというような見方もございますけれども、現在のところは過剰状態でございまして、入手に非常に困るだろうという見通しを持ってはおりません。
  56. 岡田宗司

    岡田宗司君 速記とめてください。
  57. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  58. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 速記始めて。
  59. 森元治郎

    ○森元治郎君 私は茨城県選出の議員でありますから、どうも原子力というと東海村、東海村というとお隣の飛行場の問題になるんですね。大臣も、何とか移転については努力したいと言っておるんですが、閣議で取り上げて論議をされたことが一回もないと思うんですが、どうでしょう。
  60. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは閣議で取り上げる前に、私自身もアメリカ大使にお目にかかり、また防衛庁長官にもこのお話をし、そういう意味防衛庁長官もようやく決心をし、アメリカ側におきましても同情しておる。そういう立場で、今日防衛庁が中心になりまして、そして演習地の候補地をさがしておる、こういう段階でございます。それはもうすでに新聞その他にも出ておりますように、いませっかく防衛庁が努力しておる際でございますので、その実行を待っておる、こういう状況であります。
  61. 森元治郎

    ○森元治郎君 もういつも陳情団もわれわれも、同じ印刷したような答弁しかもらえないわけですね。これはやはり大きな問題で、大臣も反対なんですから、困るんですから。限度というものはないんですかね。この辺まで来なきゃ困る。これから大洗にもまた大きな原子力関係の施設を置く。また、あるいはもっと広がるかもしらぬ。やはり、この限度といいますか、ものごとの話にはけじめがやっぱり必要だと思うんで、どの辺までひとつ考えられないかというくらいの気組みはないんですか。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま言われるように、よほど今回は具体的になっておりますから、いわゆるいついつまでにそれをきめろと、こういうわけのものでもございませんが、新しくアメリカ側の編成がえ等もございますので、そういう意味から非常に急いでおります。で、いままでこれほど具体的になったことはございません。したがって、今回は実が結ぶのではないかと、私はかように期待しております。
  63. 森元治郎

    ○森元治郎君 期待はみんな——同じような答弁なんですが、今度ほど具体的になったことはないと言うけれども、さっぱり、見ていると、いわゆる候補地なるものへの調査といいますか、あらゆる手続が非常におくれて、緩慢なんですね。そこで、あなたも将来総理とかいう名前が一説には出ておるんで、なったら、一番頭の痛い問題の一つになると思うんです。それで、大臣と総理に言うのがほんとうですけれども、そういう将来のなりそうな方ですから言うんですが、日米間でトップ・クラスの話にしたことがないんですよ。いつでも合同委員会の下っぱの、局長以下のところで話をしているんで、協定にもあるようなものを活用して、上のクラス——大使、大臣間で那珂湊の射爆場の問題を論議したことは一回もないですよ。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いや……。
  65. 森元治郎

    ○森元治郎君 ありません。それは私は政府にかわって確信を持って申し上げます。そういう態度では困ると思うんです。
  66. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはまあ一ぺんもないということを別に議論するわけじゃございませんが、私、責任を持って交渉したわけでございます。そればかりではなく、防衛庁長官がこちらの司令官ともそれを話をし、向こうの方も、適当な場所があれば移る、こういうことを言ってくれたので、今回の候補地の選定に運んでおるのです。したがって、いままでとは——いままでもやっておると思いますが、よほど力が変わっておるのじゃないか、かように思います。ただ、この土地の問題につきまして、各地でも非常に候補地を歓迎してくれない、こういうものですから、しばらく候補地を隠して、しかし、やっぱり公にいつかはなるのだからというのでこれを発表しておる、こういう状況でございます。そういう意味で、防衛庁が主になりましてこれの折衝をしておるというのが現在の実情でございます。そういたしますと、必ずしも捨てたものでなくて、私のほうにその候補地を持ってきてください、こういうところがあるようです。そういうところがややその条件に合わなくて、やや狭いというので、またそれが問題になっているというようなことで、候補地をいろいろ検討しておりますが、ただいまのところは、候補地というよりも、もっとはっきりした形において防衛庁準備を進めておる、こういうことでございます。
  67. 森元治郎

    ○森元治郎君 まことにけっこうな珍しい奇特な地区があると思うのですが、これはもうだめになってしまったのですか。
  68. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのほうはやや狭くてだめだ、こういうことです。残念です。
  69. 森元治郎

    ○森元治郎君 いずれ防衛庁長官にでも聞きましょう。  そこで、放射能関係ですが、あそこに働いている従業員、この方たちの仕事から受ける影響、そういうものはどんなふうに調査されて結果が出ておりますか。
  70. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この放射能の問題は専門家から説明させますが、私どもは言われておるような危険のないものだ、かよう考えます。
  71. 島村武久

    政府委員島村武久君) 御承知のとおり放射線を扱う研究所でございますので、特に従業員の放射線管理ということを厳重にいたしておるわけでございます。定期的にももちろんいろいろな医学的な検査もいたしておるわけでございます。おかげさまで現在までのところ、原子力研究所におきましては人間のからだに影響のあるような事故もございませんし、また平常時の作業によりまして放射線による障害を来たしたということもございません。この点につきましては、今後ももちろんより一そう放射線管理の体制を充実してまいるつもりでございまして、一応御安心いただいてけっこうじゃないかと思います。
  72. 森元治郎

    ○森元治郎君 安心もしますけれどもね、これは科学の話だから、たとえば悪いというのを一〇とすれば、この作業に従事していない者が何点幾らとか、あるいは従事している者がそれにどのくらい違うのだ、そういうわかりやすい数字みたいなものは表にできませんですか。
  73. 島村武久

    政府委員島村武久君) 現在までのところでは、一般人と区別いたしまして、作業に従事している者のほうがどの程度放射能による影響があるかというような徴候を見出すまでに至っておりません。したがいまして、何と申しますか、一般にはこれくらいだけれども放射線作業に従事している者はこのくらいだというようなデータになるところまで行っていないというふうに了解願いたいと思います。
  74. 森元治郎

    ○森元治郎君 もう一つ伺いたいが、茨城県、ことにあの辺で近ごろうわさが出ておるのは、どうも影響がわれわれのところにあるらしい。こういうことがだれが言ったのか知らぬが、そういうことがたいへん伝えられ始まっておる。そこで、いま放射能の灰が実験禁止後どのくらい降っているかといったような数字の発表も、アメリカソ連か国連か知らぬが、発表がありましたが、地区別にいって茨城県、ことに東海——私は水戸ですから、川のこっち側にいるのですが、あの辺の調査でもありますか。ただ、日本なんて大きなことを言わないで、関東——ことに東海付近、こういう研究はしておりませんか。地元なんかたまりませんよ、これは。
  75. 島村武久

    政府委員島村武久君) 先ほどの御質問は従業員のことでございましたが、今度は一般の付近住民に対するお尋ねでございます。私どもといたしましては、決して原子力による放射能があの辺に影響を及ぼすようには実は考えていないわけでございますけれども、たとえば英国におきましても、何ともないのにもう十数年テームズ川の水を取り続けておる。そして毎日研究をしておる。つまり慎重な考慮があることは申すまでもないわけでございます。茨城地区——特に水戸、東海村を中心といたしましたかなり広範な地域にわたります放射能の調査は、特別に科学技術庁自身が調査をいたしておるわけでございます。専用のバスを走らしておりまして、方々で空気の測定あるいは雨水、川の水あるいは土壌等の採取を行ないまして、常時走り回って検査をいたしております。全然影響は、もちろんあっちゃたいへんですけれども、いまのところございません。今後も継続していくつもりでございます。  それから問題になりますのは、そういった原子力施設から出ます放射能の問題ではなくて、いわゆる核爆発の実験によりまして、大気——空から降ってきますところの放射能の問題があるわけでございます。これにつきましてもいろいろ対象を異にいたしまして、地点は違うわけでございますけれども、全国の約半分近くの都道府県にお願いいたしまして放射能調査を実施いたしておるわけでございます。これももちろん雨水の調査あるいは大気中の放射能、さらに土壌あるいは食品というようなものに至るまで、それぞれサンプルを集めまして調査を継続いたしておるわけであります。その結果−もちろん茨城県にもお願いをいたしまして県自体で御調査願ってもおるわけでございますが、したがいまして、日本全国から見ましても、茨城県が最近特に目立った徴候を示しておるような事実は全然ございません。一般的に申しますと、核爆発の実験もだいぶとぎれておりますので、全般的には空から降ってまいります放射能も減りつつございます。ただ降ってきたものは蓄積いたしますので、蓄積量自体はこれはだんだんにふえていくわけでございます。空から降ってきつつあるところの量自体は、おかげさまでだんだんに減ってきておるという状況でございます。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないようですから、退席される前に二、三点お聞きしたいと思うのです。  現在、この原子燃料の供給状況ですね、世界的な情勢はどうなっていますか。アメリカではいまウラニウムが非常に余っている。ソ連もフランスもともに余っているので、これらの国は売り手に回っている、非常にだぶついている、こういうことを聞いているのですが、これは技術庁長官いかがですか。これどうですか。
  77. 島村武久

    政府委員島村武久君) 先ほども申し上げましたように、ウランが非常に貴重なものである時代には、各国とも非常に探査に努力いたしましたわけで、いわゆるウラン・ラッシュというようなことばさえ出ておったわけでございますけれども、その後いわゆる兵器としての利用が限度に来まして、あまりもうそちらの方面の需要がなくなってきたということもあると思います。また一面には、原子力発電が、初め予想いたしましたよりは急速に普及しないというような問題も他面あろうと思います。いずれにいたしましても、世界のウランというものがやや過剰になってきておりまして、伝え聞くところによりますというと、カナダ等では鉱山を閉鎖するというような事例も起こっておるようでございます。これは端的にウランの価格にも響いてまいりまして、日本が——これはごく小量でございますので、相場というほどのことにはならぬと思いますけれども燃料公社等がウラン精鉱を輸入いたします価格もどんどん下がってきておるという状況でございます。アメリカはウラン鉱床につきましても買い上げの価格を保証しているよう状況でございますけれども、おそらくその期限が過ぎますればその価格もさらに下がるというようなことになるのではなかろうかという予想をいたしておるわけでございます。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 条約局長にお聞きしますが、今度の議定書の改定ですね、これの目的がはっきりしないのですけれども、この「制限を撤廃する」、そこだけはわかるのだが、私はこの提案理由を見たけれども、どうもこれだけじゃ理由がわからぬ。何のためにやるのか、この点をはっきりさせてもらいたい。これじゃわかりませんよ、何のことか。
  79. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 最近のわが国における研究事業の拡大発展に伴いまして、研究用特殊核物質需要が増大し、現行規定に定める制限量のワク内ではこの需要に応ずることが不可能な状況となったからでございます。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 それだけじゃないでしょう。いまのこれは世界の供給状況と深い関係があるじゃないか。
  81. 島村武久

    政府委員島村武久君) ただいま御審議いただいております条項は、アメリカ側からこのような物質を入手いたします場合の一つのケースにすぎないわけでございます。研究用の特殊核物質を入手する場合に限られております。動力用の、動力炉用の燃料あるいは原子炉に使います燃料としてアメリカから受け入れますようなものは、別の条項によって入手することになっております。したがいまして、本条項によります需要は、もっぱら研究機関あるいは大学等におきますところの研究用の物質でございまして、以前の、現行の協定によりますと、これに物質ごとにワクがきめられておりまして、ウラン二三五で申しますと、百グラムというふうにきめられているわけでございます。現在のところ、まだ百グラム全部を買ったわけではございませんけれども、需要が非常に多いわけです、大学あるいは研究機関等で。私どものほうでは、そのワク内で計画的にアメリカ側に申して受け入れているわけでございますけれども、もうこれは早晩、このワクがありましたのでは、日本におきますこの方面研究に支障を来たすこと明らかでございます。私どものほうからかねて外務省にお願いいたしまして、このワクをふやしてもらう、あるいはむしろいっそワクを撤廃してもらうことはできないかということをお願いして、アメリカ側と相談していただきました結果、これらの特殊核研究用に使われる特殊核物質につきましては、いままでありましたワクにこだわらないでもらえるような道が開けましたので、改正の議定書を御審議願っておるわけであります。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 これ、長官の時間もありましょうから、ここで論議しませんけれども、ただ、現状できめられているものをまだ輸入もしない、それを満たしてもいない状況でこのワクを広げていくというわけですね。それは単に日本側だけの要求だということにはこれは言えない点があるのじゃないかと考えられるわけです。こういう点でどうですか。ことにアメリカの最近の状況では、原子力発電装置を外国に盛んに輸出している。そういう中で、しかもヨーロッパではもうだめだ。そこで東南アジアのほうに重点を置いてきている。東南アジア諸国もこれを要求している。そういう中で、これは日米協力日本がこの解決にアメリカ協力して乗り出すと、そういうことが期待されているのじゃないか。そういう問題とこれは関係あるように思うのですが、これは国務相から答弁願いたいと思うのですが、どうですか、そういう事実は。
  83. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま原子力局長が御説明いたしましたように、今回の協約の改定は非常にはっきりしている。特殊の研究用、大学が主でございます。したがいまして、その量も比較的少ないと思います。またいまお尋ねになりましたような点は、私どもの実力をもってしては、ただいまのところ、まだそこまで出ておりません、遺憾ながら。日本アメリカ動力炉、JPDRをようやく据え付けてそれが動き出したというばかりでございます。したがいまして、そこまでお考えになるのは、やや行き過ぎているのじゃないか。頭が少し悪いほうがいいのじゃないか、そう考えるわけでございます。あまりよ過ぎるような……。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうふうに、これは先に行って何か出てくるのじゃないかというふうに感ずるのですが、そういう点についてはどうお考えになりますか。
  85. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはわが国が中心になりまして東南アジア諸地域に、あるいは技術指導、あるいは研究の指導とか、東南アジア諸地域の国はよほどおくれております。わが国現状よりもおくれておる。こういう事態でございますので、むしろわが国が指導的な役割りをしている。そういう意味において、ただいまのような御意見が出るかと思いますが、私は原子力の将来のことを考えると、やはりお互いに協力し合って開発への努力、これは望ましいことではないか、かように思います。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 次にお聞きしますが、この使用済みの核燃料ですね。ことにプルトニウム処理ですね、いまこれはどのよう処理されているのか、この点について。
  87. 島村武久

    政府委員島村武久君) 現在どうやっておるかというお尋ねでございますが、日本には現在完成いたしました原子炉はたしか七つあるわけでございます。それらのうち、小型の、いわゆる大学あるいは民間の会社等にございます小型の炉、日本原子力研究所にあります一号炉等は、これは一度燃料を装入いたしますと、このまま半永久的に使えますし、その他のものも数年間は取りかえる必要がないものでございますので、それらの炉からはまだ使用済み燃料というものが出ておりません。現在ただ一つ使用済み燃料が出ておりますのは、日本原子力研究所にございます二号炉CP5の炉から最初に装入いたしました燃料使用済み燃料となって出てまいっております。これは一昨年の四月に取り出したものでございまして、原子炉に付属いたしておりますところの冷却用のポンドに入れまして、そのままそのような形において保存いたしているわけでございます。これはアメリカとの協定によりまして送り返すことになって、向こうで処理してもらうことになっているわけでございますが、目下送り返して再処理を向こうでしてもらいますための交渉をいたしておりますが、まだ結論に到達しておりませんので、そのようにして保存いたしているわけでございます。近い将来を予想いたしますと、同じCP5から第二回目の使用済み燃料が出てまいることと考えられます。また、日本原子力研究所の三号炉と申します国産でつくりました原子炉からも、燃料がそのうちに出てくる。おそらく一年以内に出てまいると思います。これらの三号炉につきましては、一応やはり原子力研究所で冷却用のポンドに入れまして保存いたすかたわら、一部は研究用に処理をすることを考えております。なお、現在原子力研究所で動き始めました動力試験炉、これもようやく動き始めたばかりでございますが、おそらくは三年ぐらい先になりませんと使用済み燃料はこれは出てこないと思います。また同じ東海村にあります原子力発電会社の発電用原子炉、これは明年から稼働いたします。この分は稼働を始めますと逐次使用済み燃料が出る。現在のところ日本では再処理工場を持っておりませんので、すぐにこれを処分しますためには外国に再処理を委託しなければならぬということになるわけでございまして、原子力委員会長期計画にもありますとおり、昭和四十五年までの十年間の後半ということになっておりますので、四十四、五年ころまでには日本で再処理施設をつくりまして、先ほど申し上げましたように、使用済み燃料は大部分この施設によって再処理をしたいという考えで、現在燃料公社で再処理工場の設計をやっているわけでございます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 運営の問題ですが、佐藤国務相が退席されるというので、できるだけ国務相から御答弁願って、それからあとで詳しくお聞きしたいと思うんです。そうでないと、時間がなくなってあと十分ぐらいしかありませんから。そこでお聞きしたいのですが、いまの問題と関連して、これは当然アメリカに送り返して再処理してもらって、それからまた再輸入というようなかっこうに協定はなっているわけですね。ところが、現在はこれは一つの炉の分だけだけれども貯蔵されている、こういうことになっているんですが、これは商業ベースに乗らない。そういう問題がたくさんあると思うんですね。そこで昨年の九月ですか、原子力委員会からプルトニウム調査団が派遣されたその報告書が出されているんですね。この報告書によるというと、いまの問題が出ていると思うのですが、この報告書をこれは当然技術庁長官お読みになったと思うのですが、これに対してどういうふうにお考えになりますか。この第一の商業ベースに乗らないという問題と、それからアメリカに送る場合には非常に輸送問題がある。単に経費の問題だけでなくて、安全問題、補償問題等が非常にからんでおる。こういう問題は国際的に解決を要する問題であるが、これが解決されたとしても、非常に燃料費に負担がかかる。海外で採算がとれてもわが国ではとれない。そういう状況にこれは陥るのじゃないか。したがって、それに対して使用済み燃料はそのまま適当な時期まで貯蔵する方法を提案した。そして商業ベースで考えるならば、再処理費と見合いでこれを決すべきである。という勧告をしておるようですけれども、これについてはどういうふうにお考えになりますか。
  89. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま御指摘になるように、この最初協定では、使用済み燃料を向こうに送り返す、向こうで買い取ってもらう、こういうことでございますが、先ほど来ここで質疑がありましたように、国際的ウラン価格、こういうものもよほど変わっておりますので、最初予定したよりも買い取り価格は安いようだ。さらにまた運賃が、特別な包装、その他を考えてまいりますと、最初協定どおり行なって向こうに引き取らすということでは非常に当方が損をする。経済的に引き合わなくなる。それでこのウランの本来の関係から申しまして、完全燃焼への努力をすることがこれは当然のことだ。いわゆる完全燃焼とまではいかなくとも、その燃焼を十二分に利用する。そういう意味から、先ほど来お話がありますように、高速増殖炉開発等の問題があるわけでございます。そうしてこの使用済み燃料をこちらに残すこと、これは岩間さんだからお答えするわけではございませんが、しばしば誤解をされやすいのは、使用済み燃料核兵器等に使われはしないだろうか、こういうことですが、わが国原子力基本法第二条は非常にはっきりしておりまして、これはもう平和利用ということで限っております。その意味において、私どもはこの燃料の再使用、こういう場合におきましても、その目的の範囲においてこれを使っていく、こういうことでございますので、一部で云々されておりますような事態は絶対に起こらない、むしろこの平和利用への徹底したやり方をすべきじゃないだろうか、かように私ども考えております。したがって、わが国にこの使用済み燃料を残すということ、そういうこの協定に対しましても協定の変更もおそらく米英等も了承してくれるんじゃないだろうか、経済性のないこと、それをしいて私どものほうにしいることはこれは負担上困るということで、ただいまその再処理への努力をいたしておる、こういうことでございます。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると何ですか、この協定を改正するというようなことを予想して、現在当然送り返すべきものを貯蔵している。つまり、さっきの勧告書の趣旨の方向に進む、こういうような政策をこれははっきり考えられている、こういうふうに受け取っていいわけですか。
  91. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま保存しておりますことは、これは使用済み燃料の保存方法として明示されておる方法でそうしてそのポンドへ入れておるわけでございますから、これは御了承いただきたい。そしてさらにその次の段階においてこの協定への問題を手がけたい、こういうことでございます。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 次にお聞きしますが、そうなるというと、これは原子力平和利用の管理機構ということを非常にこれは重視しなくちゃならない、貯蔵量が多くなってくるわけですから。ところが、これは御存じのように、いままででも非常に不完全なんです。原子力基本法制定当時でさえ政府の管理機構ではどうも原子力平和利用の三原則による厳格な管理は不可能だ、これは原子力物理学者のほとんど全員が指摘しているんじゃないか。そういうことになりますと、量が非常にふえるという現状の中では、これはたいへんなことになってくるのじゃないか。そこを先ほどから、これは大臣は先手を打たれて、それで何か退路を断つような答弁を最初された。しかし、最初のところで、これは大いに議論のあるところだということをあなたのほうで投げかけておる。だから、矛盾ですよ。はっきり矛盾ですよ、そういうことを言っておいて、そういうような問題を投げかけておいてから、知らないというようなかっこうで退路を遮断するというようなことは。いまの管理の問題と関連してこれはどういうふうにお考えになるか。
  93. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは御指摘のとおり、管理する、あるいは再処理する、その方法をもっと具体的にしなければならない。これはただいま御指摘のとおりでございます。したがって、私どもも、燃料公社に対しこれが処理を急ぐということ、そういう意味で力を入れておるわけでございます。先ほど来長期計画の一端としてそういう問題のあることに触れられました。もうすでに第一の原子力発電、これが動き出そうとしておる。そういたしますと、来年あるいは再来年になればそういう問題は起こってくるのであります。これは非常に急いでおるわけであります。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう計画をすでに進められて、場所なんか物色されておるんじゃないですか。そういうことを聞いておりますが、どうですか。
  95. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) 現在原子力燃料公社で再処理施設の設計を進めておりますけれども、それをどこに置くかということはまだ決定しておりません。これを置くことをきめます前には、実質的に原子炉を置きますときのような安全審査をした上で決定したいと考えております。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはわれわれの早耳かもしれませんが、どうですか。東海村に大規模な再処理工場が計画されて、用地買収の計画が進められておる。そういうことを聞いておるのですが、そこまではまだ行ってないのでございますか。いまの兼重さんの御答弁ですが。
  97. 島村武久

    政府委員島村武久君) 燃料公社といたしましては、現に東海村に精錬施設を持って研究施設も持っておるわけでございまして、その地続きに現在米軍の射爆場がございますが、そちらのほうにかねて建築したい希望を持っておることは確かでございます。ただし、まだその工場の設計ができ上がっておりませんので、その上でただいま兼重委員からお話もありましたように、はたしてそこに置いて支障がないものであるかどうかという厳重な、審査が行なわれるわけで、その上できめられることでございまして、現在そこに置かれるときまったものではございません。燃料公社としてはできるだけ便宜の都合もございますので、そこらに置きたいという希望は持っております。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうでしょう。プルトニウム最初にできる。そうすると、世界の様子を見ますと、アメリカでもソ連でも発電炉でできたプルトニウムというものは、ほとんど原子兵器使用に使われておる。こういう点と、それからこれはこの日本の産業界でも、そういうことを要望するような声がちらちら出ているんじゃないですか。これは一昨年の五月ですが、三井物産の水上達三氏のことばによると、原子力発電発電原価を下げるために、日本でも使用済み核燃料からとれるプルトニウムで原爆をつくってもいいのではないか。こういう発言をしておるんで、ちらちらちらちらそういうようなことが出てきておるわけだ。これは私が言っておるわけではありませんから。こういう点はどうなんですか。大いに論議のあるところだと思います。論議の課題を出しておるわけです。
  99. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 早耳の岩間さんですから、私どもの知らないことも耳に入るようですが、ただいまの再処理工場の問題は、先ほど来関係者が説明したとおりでございます。  また、プルトニウムから核爆発、そういうものをつくったらどうかという話があると、こういうことですが、私どもは、はっきり原子力基本法第二条で平和利用、こういうことに縛られております。これは非常にはっきりしております。これはどこの国に対しても大いばりで言えることでございます。原子力はどこまでも平和利用するんだ、もうそれ以外の何ものでもない。このことこそ私たちが誇り得る実は問題のように思っておりますので、ただいまのようなお尋ねがございまして、一部にどんな意見をしているか存じませんが、そんなことは全然問題にならない。むしろ、原子力基本法の第二条を守り抜く、これがまことにとうといことであり誇り得ることである、この点をはっきり申し上げておきます。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまのような御答弁聞いたのでありますけれども、私は、だから、そういうのが最初に出ると思ったんです、岡田さんのさっきの質問のときに。ところが、何だかそれと違うようなかっこうで、大いにこれは論議のあるところだというのが出たから、これはやはり問題になりますよ。  まあ、時間もないようですから、最後に一つだけお聞きしますが、先ほど防衛庁計画の中に、自衛隊で核装備をする、そういうよう計画はないんだというようお話ですね。これは第二次防ではないだろう。三次防の段階になると、そういう計画というのは当然出てくるのじゃないか。私は、これは時間がないから、いろいろな実はいま日本の置かれている、ことに安保条約、それから中国封じ込め作戦の態勢下の中における日本の役割り、ことに肩がわり防衛、肩がわり、そういう作戦を遂行しなければならぬという中から、当然日本自衛隊の核武装化というのは必然にそういうものを生む。そういう可能性というものを非常に内部要因として持っている。国際情勢の中からもそうだと考えている。そうしますと、先ほどは二次防としては否定された。しかし、三次防の課題も二、三年のうちに当然出てくる。そういう態勢の中で、どうです、この点。そう言い切れましょうか。
  101. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど申し上げたのは、原子力潜水艦——原子力動力にする潜水艦日本で持ち得るかどうかという、そういう議論であったと思います。したがって、それで問題を引き起こしたといいますか、わが国核兵器を持たないということは、これははっきりしておるのじゃございませんか。いままで他の委員会等におきましてもしばしば総理がお答えしておる。ただ、防御用か攻撃用かということで議論があるようですが、防御用のものなら憲法はこれを制約はしておらないということ、しかし、わが国政府としては、防御用のものでも核兵器は持たない、こういうことを申しておるようにはっきり私考えております。誤解はないように思っております。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 この議論は、ここでやりますと限りがないので、まああえてこだわりませんけれども、いまのよう説明だけでこれは納得できない問題だ。現実はどんどん変わっていく。そういう態勢の中でもう既成事実がどんどんできていく。そういう事態をわれわれ見ているので、まあ池田総理のそういう答弁もあったのですけれども、ナイキ一つ見ましても、これはとにかく、通常、核両用のそういう態勢をこれはとりつつある。そういう基礎をいろいろつくって、その中で、もう既成事実の上でどうにもならないところに追い込まれる、こういう事態が起こってはまずいのじゃないかというふうに考えております。まあ長官、お出かけのようですから、これはあとで論議をまたいたします。
  103. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それじゃちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  104. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 速記つけて。
  105. 岡田宗司

    岡田宗司君 本日の新聞によりますと、「原子力委員会は二十五日、米原子力潜水艦日本寄港問題と関連し「原子力潜水艦からの一次冷却水の排出」についての資料を国会へ提出した。この資料によると、日米両国の許容基準には大きな相違があり、日本側は米潜水艦が寄港するさい日本の基準に従うよう折衝しているが、米側はまだ応諾していない。」云々とあるわけで、原子力委員会から資料が国会に提出されたとなっておりますが、これは参議院のほうにも配付されるものでしょうかどうか。そうして、われわれにいつこれが配付されるか、お伺いしたい。
  106. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) その新聞に出ておりますのは、三月十九日付で衆議院の科学技術振興対策特別委員会において岡議員から提出要求をされました資料としてそちらに提出したものでございます。それで、実は参議院のほうからも同様の御要求があったということは、実は私、そうであったとすれば、うっかりしておりました。まことに申しわけないのでございますが、この同じ資料でありますれば、さっそくにも提出するようにいたします。
  107. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは早急に出していただきたいと思います。そうして、先ほど私が申し上げた点は御了承願いまして、次の委員会にこの問題に関連いたしまして、佐藤長官にもおいでを願いまして論議をしたいと思いますので、よろしくお願いします。  それからもう一つ、原子燃料の輸入の年次別数量と、それから輸入先、それからその価格の状況ですね。その資料をひとつお願いしたいと思います。  それからもう一つは、ウラニウムと原子燃料の世界のいま生産量、これが報告されておりましたならば、それについての資料を提出していただきたいと思います。
  108. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは、本件につきましては、この程度にします。   —————————————
  109. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 次に、勢等に関する調査を議題とし、当面の国際情勢について質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  110. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 韓国の、おとといからきのう、きょうにかけての政治情勢が非常に不安なものになってきつつあるようですが、こういうことを私たちは見通したから、これを警戒すべきだということをしばしば申し上げてきたのですが、この問題はあとでお聞きするとして、その前に、大臣が金鍾泌氏に会われたときの、何といいますか、資格といいますか、それはどういう形で外務大臣としてお会いになったのですか。それとも、そうでなくて、何か別な形でお会いになったのですか。それはどうなんですか。
  111. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 外務大臣として金鍾泌氏の表敬訪問を受けました。
  112. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 総理がお会いになるときには、大臣お話では、党の総裁として会われたということだったのですが、総理の場合はどういう資格でお会いになったのですか。
  113. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 総理は、総裁としてお目にかかったと聞いております。
  114. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 総理のときには、総理大臣としてでなくて総裁として会い、それから外務大臣の場合には外務大臣として会う。そういういろいろな使い分けをされるのはどういうことに基づくものか、どういう理由でどういう必要があってそういういろいろな区別をされるんですか。
  115. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 先方が韓国の一政党の役職にあられる方でございますから、政党としての立場でお目にかかられたものと思います。私の場合は、一政治家であろうと実業家であろうと、報道人であろうと芸能人であろうと、諸外国から日本を訪れた方で表敬訪問の申し出がある方につきましては、時間の許す限りできるだけ会うことにいたしております。
  116. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 金鍾泌氏との会談は表敬——儀礼的なものであったというふうなお話でしたが、まあそういうことにとどめたいとお考えになったから、あるいはそういうことから逸脱するようなことになると困るというような点で、総理は、総理としての資格でなしに総裁としてお会いになったというふうに私たちは考えるんです。それだけの配慮をされたんだろうと思うんですが、大臣の場合にはそういうあれがなくて、外務大臣として会われた。しかも会われた内容その他からいえば、時間から見ても、お話し合いになった内容という伝えられるところ等から見ては、これは明らかに単なる表敬——儀礼的な会談でなしに、一つの交渉的なものだとしか思えないんですが、その辺をどう考えておられますか。
  117. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) たびたび申し上げてるように、金鍾泌氏と交渉するつもりはございません。先方もそういうつもりはないようでございます。表敬訪問を受けたときに、日韓交渉の問題につきまして話題が及びましたことは事実でございます。しかし、交渉の実体には全然触れておりません。
  118. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 金鍾泌氏は、おとといまでは今月一ぱい、あるいは話し合いがまとまらなければ来月初めまでも滞在するんだということを言っておられたようですし、また新聞にもそう伝えられている。ところが、きのう、おととい、きょうにかけてのこの韓国における政情不安のために急いで帰られるというふうにも伝えられておりますが、金氏のその辺の動静を、動向を、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  119. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私のほうは存じておりません。
  120. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから、これもたびたび問題になることですが、李承晩ライン、この撤廃は前提であり当然なことであるというふうに言っておられますが、韓国側ではそれをちっとも了承はしていない。特にきのうの学生デモ等においては、この平和ライン——あるいは国防ラインといいますか、平和ラインといいますか、これを絶対死守するということがこのデモの中心スローガンだったというふうに伝えられておりますが、そういうふうな向こうの情勢だと、大臣がこれまでにいろいろお話しになったことが、どうもあまりに楽観し過ぎているのじゃないか。そこいらに非常に危惧の念を持つのですが、大臣はどういうふうにその点お考えになりますか。
  121. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 漁業協定が結ばれた暁におきまして、漁業協定以外に、日本のあの水域における漁業を規制するものはない。やはりそういう目的のために漁業交渉に当たっているわけでございます。韓国側にどういう意見がございますか、いろいろ御意見があるようでございますが、私どもといたしましては、私どもの既定の方針にちっとも変わりはありません。
  122. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの李ラインといいますか、国防ラインの問題についてお伺いしたいのですが、実はきのう衆議院の農林水産委員会で井手以誠君の質問に対しまして、赤城農林大臣がこういうよう意味の答えをしているのです。それはですね、韓国との交渉が成立して、そうして条約か何かできて、その批准後においても、もし韓国側において国防ライン、李ラインまたそれに類したようなものを設けるならば、批准後においても破棄することもあり得る、こういう意味のことを農林大臣言われている。外務大臣も同じような意向をお持ちでしょうか。その点、明らかにしていただきたい。
  123. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私がいま申しましたように、朝鮮の海域における漁業の操業にあたりまして、漁業協定だけが唯一無二のこれを規制するものである。それ以外のものによって規制を受けるものでないことははっきりしていると思うのでございます。それ以外のものによって規制を受けるというようなことになりますと、漁業協定のこれは違反になるということでございまして、漁業協定を結ぶということは、その協定で合意した範囲内におきまして安全操業を保障しようという両方の政府の意思がそこで結晶してまいるわけでございますから、それによって安全操業が保障されるということになると思うのでございます。
  124. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、端的に言いまして、赤城農林大臣の言われました、もし批准が行なわれた後においても、韓国が一方的に国防ライン等の宣言をした場合には、破棄することもあり得るということ、この赤城農林大臣の言明を裏書きされることになるわけですか。こう理解してよろしゅうございますか。
  125. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 国防ラインということは、これは私ども関知しないことなんでございまして、日韓の間におきまして、漁業の操業にあたって規制をするものは、いまつくろうとしている漁業協定を唯一無二のものにするということでございまして、それ以外のことは全然考えていないわけでございます。日韓の間には、それ以外に規制するものはないという、そのために交渉をやっているわけでございます。
  126. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、一方的に何か韓国側が、李ラインまたはそれに類似するようなものをとる措置を講じた場合には、これは協定違反として、その協定なりあるいは条約なりは破棄されると、こう解釈してよろしゅうございますか。
  127. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 韓国と第三国との間のことは、私は干渉いたしません。日本と韓国との間におきましては、せっかく交渉いたしておりまする漁業協定が唯一無二のこれを規制するものであるということでございます。
  128. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、韓国の今日の政情不安、これは相当激しいものがあろうかと思うのであります。こういうよう状況において、あるいは韓国側のほうで交渉をおくらす、あるいは中断するというような事態も考えられるわけでありますが、かような大きな韓国側のほうの動向に対して、外務大臣はどういうふうに御判断になっておるか、これがいまの交渉に影響を及ぼされることがある、こういうふうにお考えになっておりますか。
  129. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 韓国内の問題は韓国の政府の問題でございまして、私からとやかく申し上げるべき性質のものじゃないと思います。日本政府の既定の方針にはちっとも変わりはありません。
  130. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし、やはり交渉を進める上においては、相手側の国の事情なり、あるいはそこに起こってくるいろいろな政治的な事態というものは考慮に入れて交渉をされるはずだと思うのです。もしそれがいまの交渉に影響を及ぼし得るという見込みがあるならば、それはこちら側としてもそのことを考えなければなりますまいが、そういう点についてどう御判断になっておるか、外務大臣として、交渉相手の国の国内状況についての判断というものは、これはなされておらなければならぬはずですが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  131. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 常に注意を怠らずにおるつもりでございます。しかし、それが交渉にどのように出てまいりますかは、これは韓国政府の問題でございます。日本政府といたしましては、ただいまは交渉をいたしておりまする基本的態度にちっとも変わりはありません。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。外相は、しばしばいままでの答弁の中で、朴政権は安定している、朝鮮の民情も非常によくなっている、こういう条件の上で日韓会談を進めるのだということを明言されたはずです。どうでしょう。これは衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会の中でしばしばこれは言われたのですね。ところが、最近の情勢は、最初あなたが予定されてそうして一つの交渉を進める条件だと言った、そういう条件が必ずしもそうなっていない。非常にこれは反対の世論が起こり、物情騒然としてきているでしょう。そうしたら、その問題はやはりこれは当然考慮の中に入るのはあたりまえじゃないですか。それから、相手のある問題だということをしばしばあなたたちは言っておられるわけですね。その相手が非常にこういう状態になってきて、それで金鍾泌氏も帰らなければならないという、そういう情勢が出てきておるという態勢の中で、これは当然考慮に入れないとすれば、最初のことばというのは全くのごまかしということになるのですが、この点いかがですか。
  133. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) たびたび申し上げておりますように、私は、交渉の相手国に対しまして最大の敬意と誠意をもちまして交渉に当たっておるわけでございます。そうして、いま韓国内の問題につきましては、先ほど申しましたように、韓国政府がこれを処理する立場にあるわけでございます。私どもが交渉の相手にいたしておりますのは韓国政府でございます。韓国政府がそれに対してどう対処されるかということが問題なんでございます。日本政府といたしましては、既定の方針に変わりはありません。こう申し上げておるわけであります。
  134. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは、これをもって散会いたします。    午後零時三十五分散会