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1964-03-17 第46回国会 参議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十七日(火曜日)    午前十時二十六分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     黒川 武雄君    理事            井上 清一君            草葉 隆圓君            長谷川 仁君            加藤シヅエ君    委員            青柳 秀夫君           大野木秀次郎君            木内 四郎君            山本 利壽君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            森 元治郎君            二宮 文造君            曾祢  益君            野坂 参三君   政府委員    科学技術庁原子    力局長     島村 武久君    外務省アメリカ    局長      竹内 春海君    外務省国際連合    局長      斎藤 鎮男君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    外務省アメリカ    局外務参事官  西堀 正弘君    水産庁生産部海    洋第一課長   荒勝  巖君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○北太平洋のおつとせいの保存に関す  る暫定条約を改正する議定書締結  について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは委員会を始めます。  まず、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件でございます。  これから質疑に入ります。どうぞ質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 森元治郎

    森元治郎君 オットセイのこの問題についての日本の従来の主張は、私たちの聞いておるところでは、海の上でもとらせろ、頭数が多い……。だれに聞くのですか。
  4. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) オットセイ専門委員として農林省から水産庁荒勝海洋第一課長が見えております。
  5. 森元治郎

    森元治郎君 海の上でも日本はとりたい。数も多い。それからこれは悪いけだものだから、害獣だから、ことにサケマスを食い荒らして困る、こういうような主張をしておったと思うのです。二つの柱じゃないかと思うのです。そのうしろのほうの話なんですが、日本サケマスをどうもオットセイが食ってしまうから足りないのだということを日ソ漁業交渉でも有力な武器として利用して交渉しておったと思うのですが、最近の話に聞くと、どうもあまりサケマスは食わないようだ。ニシンとかラタとかそんなものを食っているらしい、こういうことなんですが、事実はどうなんですか。
  6. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えいたします。オットセイにつきまして、ただいまおっしゃいましたように、従来いわゆる北海道あるいは三陸沖を周辺する漁業者の間では、オットセイは非常に魚を食べる、だから害獣だという意見は非常に強いものがございまして、ただいまでもそういう主張をされておる方も多いと存じております。しかし、私たちの役所の立場で十分にオットセイの生態を研究してまいりまして、現在まだ最終的な結論を得たなどというふうなことはありませんが、要するに、従来私のほうで海上捕獲を多少試験的にやっておりますが、そのときに捕獲されたオットセイ胃袋等を調べてみますと、やはり海洋動物でありますから、海の魚を食べて生存しておることは事実でございます。が、いま先生がおっしゃいましたように、大体胃袋の中から出てまいります食いものの残物を整理いたしますと、イカが非常に多くて、いま申されたように、ニシン、あるいはちょっと南に下がりますとイワシと、こういった比較的小さい系統のものが多くて、全体として、日ソ漁業条約とか、あるいはあの辺の漁民で一番重大関心のある鮭鱒と申しますか、サケにつきましては、胃袋の全体の量の二%未満というふうに試験のデータは出ているのでございます。
  7. 森元治郎

    森元治郎君 この政府側調査を見ると、いままでの、日本が沖どりでもってサケを乱獲して困るということに対抗するために、どうもオットセイのやろうが食うのが多くてしかたがない、これが食っていたのだと突っぱってきたわけだ。しかし、食ってないとなると、これは重大な問題だと思うのだ。こういうはったりは、一体いかなる根拠でいままで政府ソビエトに向かって、オットセイが食ったんだなんということをやってきたのか。これは日本研究権威というものが疑われるし、はったりだということになるのですね。農林省の人いませんか。
  8. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 私も一応いま日ソ漁業条約の担当をしております留守番役課長でございますが、従来私たち日ソ漁業条約鮭鱒のことでソ連側と理論的に論争いたします場合に、公式の記録といたしまして、オットセイサケを食べておるから、その分を日本にとらせろというふうな主張はいたしておりません。と申しますのは、オットセイ日米加ソ連の四カ国が同じ場所に打ち合わせて顔出しいたしておりますが、また同じ顔ぶれが、とにかく日ソだけに限りますと、鮭鱒だけに限って議論をします場合にも、オットセイ委員のメンバーがまた鮭鱒委員になって交渉をいたしております過程もありまして、あまりその意見の食い違うようなことを言えないようなかっこうになっておりますので、このオットセイ食害があるというふうな意見は確かにすでに主張しておりますが、それがどの程度の量であり、どの程度のまたひどいものかということについて科学的な結論が出るまでは、そういう主張をすることを差し控えたい、こう思っております。
  9. 森元治郎

    森元治郎君 しかし、そういうことは、われわれは昔から、私は古くから日ソ漁業のことは聞いているのだが、そういう主張を押えようともいままでしていないで、やはり有利ですからな、あれが食っているのだ、 おれがとっているのじゃない、人のせいにするのだから。そういう戦術を押えることもやったっていいと思うのだが、それは一面で、公式には言わないが、民衆のだれかしらに言わせておいて、片方じゃ公式で言ったことはございません。これはやはり弱いと思うのだな。そういうふうな、相手方に疑われるようなこと厳重に避けなければならぬわけで、そこで、いわゆる日ソ間の資源保護資源調査という問題の権威の問題が出てくるのだな。そういう点から見ても、やはり慎重にやらないと、日本の言うことの権威というものが相手から認められなくなるから、十分注意してもらいたいと思うのですね。  それから千五百頭分か何か配分してくれるらしいのだが、これは現物でもらうのですか、金でもらうのですか、しょっぱなから。
  10. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えいたします。従来、アメリカからは年々オットセイの皮が現物で一応日本側に約一万枚前後の枚数が引き渡されておるのでございますが、これは何年も——六、七年もやっておりますので、一応プリビロフ島でとれましたものを一定アメリカ場所日本側現物で引き渡されるということでルールがついているのでありますが、今後ソビエトから新しくさしあたり千五百枚——向こうで今年捕獲する予定の約一割と了解しておりますが、これが日本側に引き渡されることになったということになっておるだけでありまして、と申しますのは、ほかの三カ国はこのオットセイ条約につきまして批准も全部終えたようでございますが、まだ日本側立場といたしまして、ちょっと批准がおくれたようなかっこうで、あまりむずかしく事務的に向こうに、いついかなる方法でどうやって日本に引き渡すのかという連絡がちょっとしにくいようなかっこうで、あまりこまかく詰めてはおりませんが、ただいまのところ、向こうとの非公式な打ち合わせでは、ソ連コマンダー群島、あるいはロベン島でとれましたオットセイの皮を、一応ただいまのところ、一定の性別、あるいは年齢別、あるいは大きさ別と、こういうふうに規格別に分けまして、千五百枚をナホトカ日本側に引き渡す。ナホトカまでの向こうがもちました費用は、ソ連側でもつ。ナホトカ日本側に引き渡すから、日本ナホトカからそれをおそらく日本内地へ持って帰ってくることになると思いますが、おおむね今年の十月か十一月ごろ、こういうふうにだけ言われておりまして、具体的な受領方法等については、公文等によっては打ち合わしてございません。
  11. 森元治郎

    森元治郎君 アメリカからもらう分が現物で来るわけですね。
  12. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) はい。
  13. 森元治郎

    森元治郎君 それが処分に登るまでの経過、一体だれが受け取って、政府が受け取るんだろうが、それが民間業者に払い下げられていくんだろうが、これははたけばほこりが出そうな感じもするのですね。そのちょっと経過を、お金になって国庫に納まるまでの経過を詳しくひとつ。
  14. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えいたします。先ほど少し触れましたが、アメリカプリビロフ島で年間相当な枚数——約十万枚くらいとれるのでございますが、そのうち日本に、平均いたしますと、約一万二千枚ぐらいずつ、多い年で一万四千枚、少ない年で一万枚程度枚数日本側に引き渡されております。これにつきましては、このオットセイ毛皮というものは、住んでいる地帯が、太平洋におけるアメリカプリビロフ島が大多数というか、九割前後までその生息地になっておりまして、あとわずかにソ連側のいわゆるコマンダー諸島、あるいは旧海豹島——ロベン島と申しますが、この辺でわずかばかし生息しておるということで、そういう結果からかとも思いますが、オットセイ毛皮加工方法と申しますか、これは非常に特殊な加工方法といわれておりまして、いまのところ、われわれの聞いた範囲では、アメリカファーク社が独特な技術を持っていて、ファーク社でないとほかの加工業者はどうもうまくいかない、こういうふうにいわれておるのでございますが、それでプリビロフ諸島でとれました皮を、アメリカアメリカの本土まで持ち帰りまして、軍艦等で持ち帰ってくるのだろうと思いますが、それを日本側が受け取りますが、その事務代行を、いまのところ全部、倉庫に入れたり、保険にかけたり、輸送したり、あるいは貯蔵したりというような実際の実務は、現在のところ三升物産のほうにお願いいしております。三井物産のほうからさらにそのファーク社という加工会社に、一応塩づけにされましたなまの毛皮委託加工と申しますか、加工いたしまして、そうして一応完成されたと申しますか、仕上げされたオットセイ毛皮にいたしております。それで、でき上がったというか、一応なめされて着られるようになった毛皮を一枚々々オークションといいますか、国際入札がございまして、そこで世界じゅう毛皮業者が、オットセイ毛皮を一枚一枚目で見て確認した上で入札にかけて買ってまいりますが、そこの入札にかけて日本側では売りさばいておる。売りさばいた結果の金額が、いわゆる政府歳入に入ってまいります。それが大体年間平均いたしますと、二億円前後。オットセイ毛皮もその年の流行とか人の好みというようなことによりまして、多少値段上がり下がりはございますが、大体私たち感じとしては、年間二億円くらいの収入がいまのところ予定されまして、ことしの、三十九年度の歳入も、いまのところ総額約二億二千三百万円で、そのうちアメリカが約二億一千九百万円、ソ連が約四百万円、こういうふうに見ております。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、民間業者はそれを売るわけですね、そこから買って。三井物産から買うのですか、どこから買うのですか、民間小売り業者はだれを通じて手に元入れるのですか。
  16. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 先ほどちょっと言い方が間違っておったかもしれませんが、政府三井物産に委託しまして、さらに三井物産ファーク社と全部加工契約を結ぶ。実際、加工は、政府の名前において三井物産が代行してファーク社加工を頼む。でき上がったものは一応政府の財産になっております。それを一枚一枚入札に付しておる。こういうかっこうになっております。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、オークションで落とした値段と、そこらの銀座あたりで売っている値段はどのくらい差があるのですか、その幅は。
  18. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 少し専門的なことになりますので、私もそういうことは苦手でございますが、一応知っている限り御答弁申し上げます。オットセイ毛皮というものは、先ほど申し上げましたように、非常に世界的な流行の、御婦人方の高価な外套というのがほんとうに一極の高級品の取り扱いでございまして、これには主として雄の、中年くらいの雄が利用される。それからオットセイの雌になりますと、からだも小さくて、毛皮相当層が薄いということで、ほとんどおしゃれ用オーバーには利用されない。これは防寒具用として長靴の裏側とか、そういうふうなもの、あるいは、冬場アラスカあたりで働く労働者のジャンパーみたいなものに使われる、こういうことになっております。さらにまた、雄でも一番でかいブルというハレムの王さまというものの雄は、とりましてもでか過ぎて、せいぜい敷き皮程度しか使えない、こういうことで、オットセイ毛皮につきましては、これは実需品というか、防寒具用に使われるか、御婦人のおしゃれに使われるかということになりますと、ちょっとそれによって値段考え方が違ってくるということが一つ。と申しますのは、非常に流行品でありますので、ことしは赤い毛皮がはやったとか、ことしは黒い毛皮がはやるとかいうようなことで、あるいはそれのデザインというようなことによりますが、私たちのいまのところの推定では、一応おしゃれ用ということを前提にして、ノーマルな形でいきますと、大体オーバー一着つくりますのに五枚ぐらいオットセイのりっぱな雄を利用しなければならない。それで大体オーバー一着百万円ぐらいというふうに聞いておりますが、大体原料代オットセイは、オークションにかけまして、平均七、八万円、五枚使うとしまして、三十五万円から、ちょっと高級品になりますと五十万円ぐらい、こういうふうに了解しております。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 なかなか利幅が大きいものですね、五割もうかるということは。  そこで、アメリカから一万二千頭か、ソ連から千五百頭分ぐらい配分を受けるでしょう。何か配分を受けるという感じは、自分が悪いことをしているから、お前に幾らか口どめ料にやるというような感じがするのですが、どういうことで配分ということになったのですか。
  20. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えいたします。一応オットセイ毛皮というものは、要するに、人類にとって実需品というか、防寒具用として非常に大事だ。オットセイ資源保護というか、ほうっておくと、いまのままでは絶滅してしまうという意味で、ソ連アメリカオットセイというものは、必ず自分の生まれた生息の島へほぼ帰ってくる、こういう特殊事情があって、いまのところ、原則的に三つの島しかオットセイはいない。そこで、つまり最大持続的生産と申しますか、一定生存量というものを保護しつつ、それ以上ふえてはまたいろいろな意味で弊害があるし、また、それ以下に減らしても悪いという一定捕獲基準を設けまして、そこでオットセイを捕獲したほうが一番いいのじゃないか。いままでの考え方では、オットセイ陸上へ戻ってくるから、陸上に上がったところでいわゆる撲殺してやったほうが、オットセイ毛皮に対するきずも少なくて非常によろしいということでやってきたわけであります。その結果、いわゆる海上オットセイが回遊している間にとってしまうことは、幾らとるかわからぬし、また、どんなふうなことになるかわからないというので、ひとつそれは制限しようというのがオットセイ条約の趣旨でございまして、その関係で、日本がとりたいのを押えてとってないから、それを一定量還元して、日本並びカナダ配分する、こういうふうな考え方になっております。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 世界がみんなそういうふうになれば、世界は平和で天国になると思うのだが、自分の国の特産物自分領土内にあるものもほかに少しは分けてやろうということになれば、戦争もなければ平和になってしまうと思うのだが、だから、私は何かうしろめいたことでもあるのじゃないかという甘い方をしたわけです。  最後に一つ、海の上でとれば何頭ぐらいとれそうですが。日本が海の上でとれば、向こうコマンダーとかどこかかへ行くオットセイがなくなるぐらいとれるのですか。
  22. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) オットセイ回遊経路といたしまして、いままで研究系統技術者が調べた範囲では、一応大体大ざっぱに申しますと、千葉沖合いあたりぐらいまでオットセイが下がってくる。おおむね三陸沖といわれておりますが、主として岩手の三陸海岸の周辺が一番でございますが、そこまで下がってくるわけでありますが、しかしそこへ全部どういうふうにはたして回遊しているのか、まだ完全な知識を得ておりませんので、十分なことは申し上げられませんが、やはり相当多数のオットセイソ連領土コマンダー、あるいは口ベン島のオットセイは回遊してくる。場合によっては、アメリカプリビロフ群島オットセイは大体回遊してきておるものと了解しておりますが、全部とるということもむずかしいかと思いますが、仮定の話でわかりかねますが、全部が全部とってしまう——とろうとすれば、いまのところ海上捕獲といいますか、試験的にとっておりますので、約千五、六百枚は軽くといいますか、とっておりますので、二万頭ぐらいはあるいはとれるのじゃないか。これはほんとう仮定の答弁ではなはだ恐縮でございますが、そういうふうに存じております。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 密猟はどれくらいありますか、現在。やっているはずだよ、当然。
  24. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えします。  いや密猟のほうは、私のほうで取り締まりを非常に強化して、政府監視船だけでも三隻が出まして、また県のほうの、若手あるいは青森の監視船も出てオットセイ取り締まりを実行しておりますので、たまたま取り締まりにひっかかってくると申しますか、犯罪者と申しますか、違反者が、やはり年に裁判にまで付せられる方が、多い年で十人、少ない年で五、六人くらいはございます。  それで、頭、数のほうにつきますと、ほんとうの話わかりかねますが、相当、実を申しますと、先ほど食害という話が出ましたのですが、私たち立場から見ますと、むしろあすこで太平洋方面でかけてある定置あるいははえなわ、あるいは流し網、こういう網に相当オットセイがひっかかってくる。これによる被害も、網の被害のほうが、実を申しますと、大きいようなかっこうになっておりまして、実際のところ、そういうひっかかったことによるオットセイ毛皮というものはあるいは多少あると思いますが、具体的に何枚くらいかというところまで、実はまだ掌握いたしておりません。
  25. 森元治郎

    森元治郎君 海上捕獲は、向こう側はどの辺まで話し合いに寄ってきているのですか。日本のほうの主張に、海の上でとることについて、頭数が少なければいいとか、あるいは原則的にとってはいかぬとか、どうなんですか。
  26. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 今度の条約改定と申しますか、議定書で、研究の大きな対象として海上捕獲可能性というか、についてテーマになったわけでありますが、海上捕獲は従来も、実際の話、調査目的のためというか、それはオットセイの出たる回遊経路、あるいは種別別と申しますか、これはプリビロフ群島とか、あるいはどの群れがどの辺の地帯まで南下してくるかとか、回遊するのだという、そういうことの調査のために、日本側は大体年間千六百頭、それからソ連か約六百頭、それからアメリカが約千七百頭前後、カナダが七百頭前後ということで、海上捕獲を相互に協議してまいったわけであります。ところが、今度のやつは、さらにそれにプラスいたしまして、先ほどもちょっと触れましたが、オットセイは従来陸上で殺すと一番毛皮にはいいんだという定説があったわけであります。ところが、研究が進むに従いまして、ちょうど七月、八月というオットセイが回遊して戻って上陸して、そこで一応生殖の時期に入るのでありますが、そうなりますと、えさも何も食べない。さらに、海じゃなくて陸上で動き回るものですから、けがもするというふうなことで、しかも七、八月を見ますと、九月からの寒いシーズンを控えての毛皮の換毛の寸前に当たる。こういうふうなことで、陸上でとる毛皮というものは、ちょっと品質的に落ちるの、じゃないか。むしろ換毛期になる、陸上へ上がる前に海上でとったほうが、むしろ毛皮品質管理にはさらにプラスしていいんじゃなかろうかという疑問が最近出されまして、それが大きな研究テーマ一つになりまして、日本もことしからの海上捕獲には、毛皮品質についての研究をことしから始める。世界じゅう四ヵ国そろって一斉にやる。こういうふうになっておりまして、それが今度の海上捕獲の大きな試験目的でございます。
  27. 森元治郎

    森元治郎君 このオットセイ条約というのをちょっと読んでみると、非常に遠慮しているんですね。公海自由の原則ということで、いま日韓会談でも、日ソ交渉でもうんとがんばっている。宮城県から千葉県の沖、目の先まで泳ぎ回っていろ。これは、日本は公海の原則からとってかまわないもの、それをば非常におとなしく自主規制をして密猟を取り締まって、それで向こうからお情けというか、配分をちょうだいしている。ネコみたいなものなんですね。それなら、逆にこっちでもって、目の前に来たものはちょうだいして、殺して向こうに配付してやって一向差しつかえない。そこで、この頭数向こうからもらうのを何か恩恵でもらっているようだが、もっとよこせ、とるものをとらないでいるじゃないか。なるほど千五百頭ばかり——もっと要る。幾らでも要る。日本主張では、たくさん要るんだからというなら、この量をふやす交渉はしているんですか。向こうは全然聞き入れないのか。公海自由を押えているんですから……。
  28. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 先ほど御答弁申し上げましたが、現在おおむね私見を申し上げますと、アメリカ領プリビロフ群島というところでは、少ない見積もりで百五十万頭、多い見積もりで二百万頭くらいの生息群がある。ソ連コマンダー諸島及びロベン諸島では、それぞれ約十万頭くらい。あとわずかばかり、数千頭くらいのやつが旧千島列島あたりに多少いるんじゃなかろうか。こういう程度のことになっておりますが、それで、オットセイ条約が施行されて、各国が資源保護といいますか、増殖に努めました関係で、最近はっきりしてきましたのは、ソ連領海オットセイ群が多少生息群がふえてきておるらしい。したがいまして、ソ連でとる毛皮の分も、かつて、いまこの条約が始まりました初めのころは、七、八千頭くらいだったのが、現在一万五千頭くらいまでふえてきております。それで、大体いいじゃないか、こういうふうになっております。それで、そのほかに、最近少し雌がふえ過ぎて、このままでは少しオットセイ生息には差しつかえが出てくるのじゃないかという疑問も出ておりまして、もう少し多くとろうじゃないか、こういう話も出ておるんでありますが、これも、先ほど御説明いたしましたような、オットセイの現在の使用されているいわゆる毛皮の使途と申しますか、それが非常にぜいたくな、ファッションを目的とする毛皮であります関係で、それをとったところで、また、何といいますか、売るほうがまた逆にむずかしくなってくる。まあぜいたく品でありますので、多少過剰になりますと、暴落と言ったらおかしいのですけれども、それで少しおかしなことになるものですから、いまのところ、まだはっきり完全にふえ過ぎたという意見もございませんし、まあ現在の程度でも少し進めたらどうか、こういうふうになっております。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 何ですか、いままでこの条約を結んでから、減る傾向はもちろん押えられ、年々どのくらいふえているということが報告されているんですか。
  30. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) それが、何しろオットセイというものが、あるオットセイというものが、たとえばアメリカプリビロフ諸島ならプリビロフ諸島で生まれまして一人前の生殖可能な段階になるまでは、何年間か海の上を回遊しておりまして、春の五、六月前後になりますと、生殖の時期になりますと、ある一定の島へ戻ってくる。その問は、太平洋の、アメリカ側でいいますと、カリフォルニアの海岸あたりまで、それから日本側のほうは、先ほど申しましたように、千葉県の沖合いあたりまで回遊して、その間どこかで生殖というか、泳ぎながら生殖しているような動物でありますので、ほんとうの話、実態的に全部でどういう形で何頭おるのだということは、非常につかみにくい。しかも、生まれて一年の間に非常に多くの頭数の子供が死ぬらしいという程度のことになっておりますが、それで一応一定の島で、プリビロフならプリビロフに上がってくる六月、七月、八月の間に上がっておる雄と雌とできたら全部といきたいのですが、サンプル的に雌にパンチを入れまして頭数調査アメリカもやっておりますようですし、ソ連もやっておりますようですが、いわゆるおとなの数から判断して、全体の資源量を推定というか、測定しているようなかっこうで、それで先ほども申し上げましたように、アメリカプリビロフの場合も百五十万ないし二百万ぐらいだろうという推定値、非常に誤差が大きい。これは一応公定版的な数字でございますが、そのほかに、特定の学者の意見等はまだはなはだしい誤差もございまして、ほんとうのはっきりしたオットセイの実態の数字はつかめておりません。そういう関係でございますが、いまのところ、この資源保護をやった関係もありまして、だんだんふえてきておる。むしろ減少よりはふえつつある傾向であるということだけは申し上げられるかと思います。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、資源保護でもってふえつつあるということは、これは明らかです。それから、今度新しくこの条約を延長することによってさらにふえるであろう、それからもっとふやさなければならぬ、こういう意味でこの条約は結ばれたわけですか。単にいままでのものを維持するためか、もう少しふやしたほうがいいか、その目的はどうなんですか。
  32. 西堀正弘

    説明員(西堀正弘君) 現行条約は、御承知のように、オットセイの猟獲方法はいずれの猟獲方法が一番よいかということを調査するわけでございます。それが一応の勧告が出まして、今度は陸上猟獲と併用して海上猟獲の可能性があるかどうかという調査目的とするのが今度の改正する条約なんでございますけれども、したがいまして、御質問の、これによってふえるかどうかということは、直接目的になっておらない。したがいまして、今度の条約によって、このオットセイ資源というものをふやそう、あるいはもっとふやそうというようなことを実は目的にしておりませんので、調査することが目的なんでございますので、御質問の点につきましては、今度の改正条約に関連してわれわれとしてはちょっとお答え申し上げかねる次第でございます。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度の新しい条約で、それじゃ、今後はどういう猟獲方法を立てるかということを私考える場合に、それいかんによっては減ることもあり得るわけです。たとえば、海上でよろしいということになってどんどんとれば減る。あるいは猟獲方法を制限していけば、いままでと同じようにふえるということにもなる。だから、全然そういう目的がないとかなんだとかということじゃ、私ちょっとおかしいと思うのですが、たとえば、そういう表向き条約の面でふやすのだということをうたっていないでも、こういう条約を結んで、それで今後こういう猟獲方法をとろうじゃないか、それを調べようじゃないかと言うからには、ふやすとか、あるいは現状を維持していくとか、何かそういうものが前提になっていなければならぬはずなんですが、どうなんですか。
  34. 西堀正弘

    説明員(西堀正弘君) われわれの希望いたしますところは、もちろん、オットセイの猟獲を最大の持続的な生産性というものを可能ならしめるような状況に持っていきたい。しかし、そのためには、どの程度のものをとろうか、しかも海上猟獲をそこに併用していいかどうかということを目的として今度の改正条約締結することになっているのでございまして、もちろん、希望といたしましては、現在のオットセイ資源状況、これは、ただいま水産庁のほうから御説明申し上げましたように、増加しつつあるようであるということでございますけれども、その増加するだけが、実はオットセイ条約目的ではございませんで、ある一定のレベルにおいて、人類がオットセイの猟場というものを最高の持続的生産性のレベルにおいて利用し得ると、そういうようなレベルはどこであろうかということも確定していくような調査をする、こういうことなんでございますから、そのために、これが資源として増加していくかどうかという点には、御質問なんでございますけれども、直接的にはわれわれちょっとお答えしかねる次第なんでございます。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうもよくわからない条約ですね。ぼくらは、とにかく減っちゃ困る、ふやしていって猟獲最も考えながら猟獲を毎年ふくしていきたい、そうしておいて、しかも減らないようにしたい、こういうことじゃないのですか。
  36. 西堀正弘

    説明員(西堀正弘君) ただいまの御質問、だいぶはっきりいたしましたけれども、そういうような最大の持続的生産性を維持しつつ、一番大きな利用度はどこであろうかということが決定される場合におきましては、もちろん、資源自体というものが減るという状況でございますと、それは最大の持続的生産性というものが維持されないわけでございますから、したがいまして、減らさないというところで最もいい、最大の生産性というものを確保する。その限りにおきましては、そういいうレベルが発見されるといたしますと、資源自体としては、先生のおっしゃいますとおり、減らないということは申し上げられます。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は減らないようにということでなくて、ふやしていって、しかも、とる量もふえるようにしたらいいと、そういう目的でもって資源保護条約が結ばれるのではないのかということを聞いている。
  38. 西堀正弘

    説明員(西堀正弘君) そのとおりでございます。ただ、資源が増加していくということが目的なんではございませんので、資源が最高に生きながら、そのレベルにおいて人類の利用し得る頭数が一番多いところに持っていくと、こういうのがまあ目的でございます。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 私も同じことを言っているのですけれども、そんな回りくどいことを言わないで、ふやしながらよけいとるようにするのだと言えば、これは一音でわかるのじゃないですか。ということは、なぜ私がそのことを聞くかというと、これはオットセイばかりでない。たとえば鯨の問題だってそうなんですね。日本はどうもとり過ぎると、そうして日本がよけいとっちまうものだから資源が減るのだ。これは鯨についてもずいぶん言われていましょう。それから、サケマスだって言われているし、そのほかの魚でもそう言われておるのです。日本が方々で締め出されようとするのはそういうところにあるので、私らそこがどうもはっきりしないといけないと思うので、日本としても将来の大計を考えるならば、私は、やはり相当国際条約によって、積極的にふやすというたてまえをとりつつ、しかもふえていくならば、それによって猟獲量もふやしていくというたてまえをすべての国際条約においてとらなければならぬのじゃないかと。ただふえるほうは目的じゃないのだ、ふやすほうが目的ではないのだ。ただ、とるほうが目的なんだ。とるについても、減らないようにしながら、しかも最大の猟獲量をあげていこうというのじゃ、少し私は考え方が消極的過ぎやしないか。それはもちろん、減っていくやつを何とかして食いとめてふやそうとするためには、日本で控えなければならぬ問題も起こってくるでしょう。日本のほうで譲歩しなければならぬ。いままでとれていたのをみずから規制しなければならぬ問題も起こってくると思うのですけれども、しかし、大局的に考えていくならば、私はやはりこういう種類の国際条約に臨む日本側の態度としては、もっと積極的に、つまり資源もふやすというたてまえをとり、そうして、その上でもって各国の猟獲量、特にそのうちにおいて日本もふやしていく。こういうたてまえで進むべきだと思うんですよ。あなたのいま言われたような回りくどい、しかも非常に消極的な考え方では、これは長きにわたって私は日本に対して決して得じゃない、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  40. 西堀正弘

    説明員(西堀正弘君) どうも同じところをぐるぐる回りましたけれども、先生のお考えになっているところと、私の考えておりますことは、あまり差がないように思うのでございます。実は、もちろん、希望といたしましては資源もどんどんふえていく、したがって、それに見合っての猟獲量なり、この場合でございましたら捕獲獣なりが増加することは希望なんでございます。しかし、それは先ほどから申しました、いわば最大の持続的生産性というのがそうなんでございまして、資源がふえつつ、しかもそれがふえていくということは、まさに、先ほどから私の申しておりました最大の持続的生産性というものが確保されて、しかも、それがレベルが上になっていく。そういうことで、レベルが次第に上になっていくという点を先生はおとりになって御説明になりましたし、私のほうは、実はその最大の持続的生産性というものが一定レベルで維持される——、それがふえもしない、減りもしない、いわばオプティマムの状態になったことを実は想定して申し上げておったので、結局、同じことを、片っ方は漸増的な方法で申しておられるのに対して、私は、そういうオプティマムの状態が発見されたという事態を実は想定して申し上げていたのであります。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 実は私は、オットセイじゃないんですけれども、鯨はどうするつもりなんですか。鯨に対して日本側はどういう考えで臨むのですか。だいぶ南氷洋の鯨が減っていくので世界じゅう大騒ぎしています。日本のほうも、それは政府が鯨をとっているならあるいは考え方は簡単かもしれないけれども、政府がとっているんじゃなくて、私企業がとっているんです。だから、最大の猟獲量をあげて利潤を得ようというのがそういうところの考え方でしょう。そうすると、どうしても資源保護してふやしていくということよりも、むしろいかによけいとれるかということのほうが最大の眼目になる。そこで、いろいろ捕鯨の問題についても食い違いが出てくると思うのですが、そこいらで私は、鯨の問題について一体日本はどういう態度で臨むのか、根本の考え方ですね、それはどこに置いているんですか。
  42. 西堀正弘

    説明員(西堀正弘君) 鯨につきましては、私は主管局ではございませんけれども、鯨につきましても、日本といたしましては、もちろん、根本的な目的と申しますか、根本的な態度というものは、水産一般において申し上げたと同じに、最大の持続的生産性の確保という点を基本的な目的としているわけであります。しかし、鯨につきましては、御承知のように、その資源が年々減りつつある。特にシロナガスのごときは、非常な勢いでもって減りつつあるという状況におきまして、日本としても、もちろん将来の最大の持続的生産性というものの確保のために、必要な処置をとるべきであり、そのための国際的な措置には、もちろんそういう立場から合意すべきものと考えておるのでございますが、何ぶんにも、日本の捕鯨業界というものも控えておりますので、非常に理想的な最大の持続的生産の措置を急にここでとっていくということになりますと、業界の調整ということもございますので、これはそう急な措置では、非常に日本としては困難であるという立場も、もちろん、政府としては捕鯨会議におきまして主張いたしまして、漸進的に企業の調整ということも考えながら、行く行くは最大の持続的生産性という方向へ持っていきたい。したがって、暫定的には、企業の、何といいますか、立場と申しますか、調整ということもある程度は加味した措置をとってもらいたいという立場で、捕鯨界においては、将来の目的、それから当面の立場、この調整を日本政府としてはとるべく努力している次第でございます。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 シロナガスクジラはぐんぐん減っていく。いまあなたの言われているようなことをやって、私企業の立場を非常に考えて漸進的にやっておると、ますます減っちゃって、ますます困難な事態が起こってくる。そして、しかもそういうなまぬるい態度をとっていると、日本政府は国際的にまた袋だたきにあうということも考えられるので、そこでやはり将来の形態という面から、多少捕鯨会社のほうの利益ということを考えなければならぬでしょうけれども、しかし、そこいらの点は十分考慮されて国際的に協力していかないと、日本がかえって長い目で見て不利な立場に置かれるということを千分に考えていただきたいと思うのです。
  44. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほどのに関連してちょっと伺っておきたいんですが、一九一一年の当時の資源の状態はどうですか。
  45. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 一九一一年、非常に昔でございますが、当時の資料等は、現在のような科学的調査をやっておりませんので、資源的には現在よりも非常に少ない段階だったんじゃないか。たとえば、日本がかつて海豹島、いわゆるロベン島、すぐ鼻先のところでございますが、領土として持っておった時分と比べると、いまと比較しますと、非常に現在のほうがふえておるという程度しかわかっていないのでございます。
  46. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから、海上猟獲については、先ほどからたびたび問題になったんですが、陸上の猟獲については、何か規制の方法ありますか。
  47. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 陸上のほうが従来から伝統的でございますが、これはその捕獲を、大体毎年オットセイの定例委員会がございまして、おおむねその年にとるいわゆる捕獲頭数というものを四ヵ国と申しますか、実際とるのは二ヵ国でございますが、話し合いできめまして、雄何頭、雌何頭、ロベン島は何頭、プリビロフ諸島は何頭というふうにおおむねきめまして、その範囲内で、ある一定オットセイが上陸するシーズンに、各国政府が人を出して屠殺する。その屠殺する方法も、いたずらに毛皮を傷つけないふうな方法で、しかも、あまり子供はとらない、ブルもあまりとらないというふうなことでやっております。
  48. 二宮文造

    ○二宮文造君 それからもう一つ伺っておきたいのですが、配分を受ける毛皮の性別ですね。これも細目の協定はあるのですか。
  49. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 細目の協定はございませんか、その年に雄と雌をどのぐらいの比率でとるか——従来は多少雄を多い目にとってきたわけでございます。どちらかというと、六割ぐらいが雄で、四割ぐらいが雌で、それで十年続けてまいりますと、何となく雌のほうがしふえ過ぎまして、オットセイは、御存じのように、ハレムというものを構成いたしまして、一頭の雄が八十頭なり百頭なりの雌を、ストックをかかえておるのですが、(笑声)そういう関係からいたしますと、雄のほうを多く殺しても、生存というか、資源保護には影響がないので、雄のほうを多い目に殺すという、それによって逆に雌がふえ過ぎますと、逆にそういう資源保護の観点からはみ出してくる雌のようなものが出てくる。場合によっては逆に子供が非常にふえ過ぎて、子供を結局踏み殺してしまうというような、増殖という面から見るとマイナス的要因が出てくるということで、最近雌を多い目にとって、それで最近はどちらかというと、雌をもっととろうじゃないかという運動が、声が起こりつつあるのですが、先ほど申し上げましたように、雌をとってもあまり役に立たないもんですから、何となく、各国政府、せっかく多額の経費を出して、そのそれぞれの島へ人夫を出してとりにいっても、どうも収支計算上あまりプラスにならないようなものはとりたがらない。そういうかっこうで来ておりますが、それ以上は資源保護にならぬからというので、これから雌をもう少しとりましょうという議論を現在調整中と、こういうふうに了解しております。
  50. 二宮文造

    ○二宮文造君 それを聞きましたのは、先ほどの説明では、大体雄の場合は七万円ぐらいするような話でございましたのですが、国庫に入っております金額は、一万五千枚で大体二億円と、荒らい計算をしますと、六千何百円というような単価になるのですが……。
  51. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) その国庫に入ります分は、非常に大ざっぱにいま御説明申し上げますが、一応オットセイの総売り上げ代金というものを計算いたしますと、まあ現在の価格の倍近い値段、約四億円前後、四億円をこす四億四、五千万円くらいの金額だったと思います、ほんとうの売り上げ代金は。そのうちから、加工費、運搬費、保険費、そういった種々の中間経費を差し引きますと、大体一億二、三千万円が国庫収入。だから、大ざっぱな議論でございますが、大体いまの単価のその二億円を枚数で割った値段の倍以上の値段が総平均価格、それから、雌のほうは、雄に比べますと、もう十分の一くらいの値段にしか当たっていないというので、雄、雌を平均しますと、そういう非常に低い値段になっておる。こういうふうに御了解願いたいと思います。
  52. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから、海上調査費用として支出している金額は、幾ら計上されていますか。
  53. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 世界中の各国の予算費用は、一応存じておりませんが、日本の場合は、その年々によって調査並びに取り締まりと両方やっておりますが、全部で、総額で約二千万円くらい。こういうように了解しております。
  54. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) ほかにございませんか。——ほかに御発言がございませんければ、本件に関する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。本件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  57. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、次回は、三月十九日午前十時から開会することといたしまして、本日はこの程度で散会いたします。    午前十一時三十七分散会      —————・—————