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1964-06-16 第46回国会 衆議院 国際労働条約第八十七号等特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十六日(火曜日)    午前十一時四十九分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 安藤  覺君 理事 澁谷 直藏君    理事 田中 正巳君 理事 森山 欽司君    理事 河野  密君 理事 多賀谷真稔君    理事 野原  覺君       秋田 大助君    小笠 公韶君       亀山 孝一君    渡海元三郎君       長谷川 峻君    濱田 幸雄君       大出  俊君    田口 誠治君       安井 吉典君    山田 耻目君       栗山 礼行君    吉川 兼光君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         労 働 大 臣 大橋 武夫君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         内閣法制局         参事官         (第一部長)  吉國 一郎君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (管理局長)  小林  巖君         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   岡田 勝二君         外務事務官         (国際連合局         長)      齋藤 鎭男君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君     ————————————— 本日の会議に付した案件  結社の自由及び団結権保護に関する条約(第  八十七号)の締結について承認を求めるの件(  条約第二号)  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一号)  地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二号)  国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第三号)  地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第四号)      ————◇—————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案国家公務員法の一部を改正する法律案、及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。野原覺君。
  3. 野原覺

    野原(覺)委員 政府代表されて官房長にお答えを願いたいと思うのです。池田総理出席を要求いたしましたけれども総理なかなか出席をされませんので、官房長官としては政府代表して、総理にかわって御答弁をいただきたいと思うのであります。  まず第一にお尋ねいたしたいことは、八十七号条約とこれに関連する国内法整備について、政府も御承知のように、四月二十三日に特別委員会が設置されましてから今日まで、質問者は十五名、その質問の延べ時間は五十二時間に及んでおるのでございますが、いまだに批准がされていないのであります。国内法整備につきましては、いろいろ論議はされましたけれども、その見通しすら今日立っていないのであります。一体政府はこの現状をどのようにお考えになっておるのか、率直に政府見解を承りたいと思うのであります。
  4. 黒金泰美

    黒金政府委員 御承知のとおりに、本委員会におきまして熱心に御質疑が続けられておりますが、まだILO条約批准の御承認を得なくてまことに残念に存じております。現存は与党でございます自民党機関におきまして、ILO条約批准に伴う関係国内法の問題についていま協議が行なわれておる段階でございます。党の意向がまとまりますれば、これに基づきまして国会の御審議を進めていただけることかと、かように期待をいたしております。
  5. 野原覺

    野原(覺)委員 私は、それでは端的にお聞きしたいと思うのです。この四十六国会成立させる自信があるかどうかということでございます。御承知のように、この国会は会期余すところ十日しかない。八十七号条約関連国内法審議につきましては、参議院においてもこれは十二分なる審議が行なわれなければならぬのであります。本院で五十二時間の長時間にわたって審議をして、いまだにその目鼻すらもつかない、こういう状態でどうして残りの十日でこの法案を通過させることができますか。この点については、一体政府はどう考えるのか。何とかして審議をしてもらいたい、審議をしてもらいたいと言いますけれども、先ほど私が申し上げましたように、五十二時間の長時間の審議をしてきている。書記長幹事長会談の経過もございまして、私どもは慎重に審議をしてきたのであります。特にわれわれ社会党は、野党ではございまするけれども、この審議政府も御承知のように、ほんとうに寛容と忍耐の精神をもって今日まで私ども協力してきたのであります。定足数が足らないと思われるような場合でも、この会議の開会を認めてきておるのです。特に、自民党は今日まで八名質問に立っておるのでございまするが、そのうちの四名は特別委長のメンバーでない者の質問すら許してきているのであります。正委員質問が終わらないのに、しかも与党にそのように破格のやり方を認めてきたというゆえんのものは、何とかして社会党としてはこの八十七号条約関連国内法成立させなければならぬという熱意があったからであります。しかるに何でございますか、このていたらくは。もう一度お尋ねいたしますが、確信がございますか。ほんとうのことをおっしゃっていただきたい。いいかげんなことを言って、時間がたてばもうそれでおしまいだじゃなしに、池田内閣としてはほんとう成立させる確信があるのか、一体今日の事態政府はどう考えておるのか、もう一度承りたいと思います。
  6. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほど申し上げましたように、ILO条約批准承認関係法案をここで御審議願っておる最中でございますし、私どももぜひこの国会成立を期待いたしまして、最後まで努力を続けたいと考えております。
  7. 野原覺

    野原(覺)委員 あなたが成立を期待いたしましても、一向に進展していないじゃないですか。一体池田内閣はこの状態に対して、閣議を開いたことがございますか。何とかしてこれを打開しなければならない。特に池田総理は何と言ったですか。この特別委員会が設置された当初、わが党の河野委員社会党代表して質問に立たれて、それに対して再三、何としてもこの国会成立させるということをここで宣言をしたのであります。あらゆる新聞記者等との談話その他の機会に、池田総理は国の内外に、八十七号条約関連国内法一括審議をやって、一括採決でこの国会を通すということを声明しておる。しかるに何でございますか、この状態は。あなたが何とことばを弄しょうとも、これはだれがどう考えても、とても成立は困難ではございませんか。  そこで私はお聞きいたしますが、こういう事態になっておることの原因はどこにあると政府考えておるのか。考えていないはずはないと思う。この事態原因というのはどこにあると池田内閣考えておるのか、これをお聞きしたいのです。
  8. 黒金泰美

    黒金政府委員 この問題、いろいろ御意見もございましょうし、その御意見の慎重なる調整に時間がかかっておる、かように考えております。
  9. 野原覺

    野原(覺)委員 御意見の慎重な調整ということは、もっと具体的に言えばどういうことでございますか。
  10. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほど申し上げましたように、国内法の問題につきまして、与党であります自民党のいろんな機関で、目下慎重に調整をしておられる段階でございますので、その結果を待ちたいと思います。
  11. 野原覺

    野原(覺)委員 それではやはりものごとをはっきりさせておきたいと思う。国内法整備について、自民党党内事情調整がどうしてもできない、そのことがこのような事態になった原因であると、政府もお認めでございますか。
  12. 黒金泰美

    黒金政府委員 いまいろいろと努力をして調整をいたしておるところでございます。
  13. 野原覺

    野原(覺)委員 私は、国際的にもこれは大きな責任がある問題でございますから、やはりいけないところはいけない、党内事情のためにこのような事態になったらなったということを率直に認めてかからなければ、この問題の解決はできないと思う。あなたがただいまおにおわせになりましたように、自民党党内事情なんです、この事態になってきておる原因は。これは、だれが何と言っても党内事情なんです。社会党自民党も、たとえば、自民党代表としては倉石忠雄特別委員長社会党河野密ILO社会党特別委員長が窓口になって、数年間折衝してきたのです。そのことについてのいろんな文章上の表現技術その他はあるでございましょうけれども、その大綱を尊重するという両党の約束が実現されるならば、このようなことにならないのであります。私どもは、倉石特別委員長とわが党の河野委員との間に話し合いのついた、いわゆる自社両党の合意案については、党内に若干の不満がありましても、八十七号条約批准のためにはこの約束は守ろうと社会党は踏み切っておる。野党がこのように前進的な、前に進む態勢を示しておるときなのでございます。池田内閣与党である自民党状態は何でございますか。そのことを政府としてもしっかりつかんでこの問題に対処してもらわなければならないと私は思うのであります。そこで大事なのは、与野党意見が折り合わないからだということであろうと思う。そういたしますと、与野党意見を折り合わせる以外に、八十七号の批准関連国内法整備の問題は解決できないということになる。そのように理解してよろしゅうございますか。政府もそうお考えでございましょうか。
  14. 黒金泰美

    黒金政府委員 いまこの委員会で御審議願っておる最中でございますから、私どもがどうこうということを申し上げるのは差し控えたほうがいいかと思います。
  15. 野原覺

    野原(覺)委員 国会審議をしておるから、政府としてはとやかく申し上げることは差し控える、こう申しますけれども、それはあまりにも無責任ことばであります。条約批准政府責任ですよ。じゃ、国会でどうでもしてください、そんなのんきなことが言えますか。条約批准する、しかもその批准約束しておる。その責任を履行しなければならぬ国際的な義務を政府は負っておる。そういたしますと、今日の国会審議与野党論議をしておるのだから、高みの見物だ、どうでも国会でおきめください、そういうのんきなことじゃないはずですが、いかがですか。あなたは池田内閣代表してそういうのんびりしたことが言えるのですか、お尋ねしたい。
  16. 黒金泰美

    黒金政府委員 高みの見物じゃございません。非常に緊迫した気持ちで、切実な気持ちでおりますけれども、いま御論議の最中でございますから、それが一体どんなふうになるであろう、こういうことは私ども申しかねます。
  17. 野原覺

    野原(覺)委員 それではお尋ねいたしますが、池田総理が再三にわたって、国の内外に向かって、四十六通常国会でぜひとも八十七号の条約批准とこれに関連する国内法整備はやってみせる、こう声明をされた。私はこの言明の裏には何かがあると思う。これは単なる決意表明ではないので、できるという確信があればこそ、あのような言明自信を持って総理はお述べになられたのだろうと私は思うのです。したがって、総理政府代表してお述べになられたその根拠、それはどこにあったのです。ああいう下言明は軽々しくできるものではないのですがね。そういう決意をお述べになる根拠というものが、どこかにあったはずなんです。それは何でございましたか。
  18. 黒金泰美

    黒金政府委員 特別、根拠と申し上げてうまく御説明できないと思いますが、とにもかくにも、この国会でぜひ御審議を願い、そうして御承認のほどを賜わりたい、かようなお願いでございます。
  19. 野原覺

    野原(覺)委員 そういうお願いで私ども審議をしておるけれども、一向に前進をしない。その前進しないことは一にかかって自民党党内事情、これはあなたもお認めになった。その点は私は率直でよかったと思います。しかしながら、政府はその党内事情に対して一体どうしようというのか。全く拱手傍観じゃございませんか。私のこの質問に対して、あなたではこの問題は答弁できないかもわからぬ。だから私は池田総理出席を要求いたしましたが、どうしてもきょうはお見えにならないという関係もあって、残念ながらあなたに質問をしておるのです。総理総裁なんだ。この党内事情、これを一体どうしようというのか。一向に前進しない。これでいいのかということが今日問題になっておるわけなんです。  そこで次にお尋ねいたしますが、官房長ILOの七十二次報告というのを御承知だろうと思うのであります。この七十二次報告によりますと、その二百三項にこういうことが書いてある。「日本政府は、一九六三年六月二十六日付の書簡において、一九四八年の結社の自由及び団結権保護条約(第八十七号)関係案件に関する与野党交渉担当者間の話合いは、六月においても継続された。い野党書記長幹事長間において成立した了解の下に、六月十四日、衆議院会議において、国際労働条約第八十七号等特別委員会を設置し、八十七号条約批准承認案件及び関係国内法改正案を付託することを決定した。」こういう書簡を、日本政府ILOに送っておるのであります。この書簡は七十二次報告の二百三項に、ただいま私の読みしげたところが出されておるのです。そこで、ずっと私は興味を持って書簡を続いて読んでみたのであります。そういたしましたら、二百三項の次の二百四項にこう書いてある。政府は「前述特別委員会審議促進協力した。」これはどういうことかといえば、前述特別委員会とは、与野党交渉担当者間の話し合いによってまとまり、それが書記長幹事長会談において成立した特別委員会です。自民党の中に、倉石特別委員長をさして、これは党の代表者じゃなかったのじゃないかという疑問を持たれる者があるやに聞くのでありますけれども政府ILOに対して、与野党交渉担当者間の話し合いと、書簡をもってはっきり宣明しておるのです。倉石さんは与党代表河野さんは野党社会党代表、このことを政府は確認してこの書簡を出しておるのでございます。このことは事のついでに申し上げたのでございます。  そこで問題は、政府はこの特別委員会協力したわけです。協力したということは、与党である自民党野党第一党の社会党話し合い協力する、特に与党がその話し合い交渉の対象になっておるわけでございますから、議院内閣制としては当然でございましょう。協力すべきであります。そこで次に問題になってくるのは、この特別委員会政府協力したということは、つまり政府与党倉石社会党河野、この二人の間でまとまったことに協力をしたということであります。協力をするということなんですよ。特別委員会が設置された。二百三項に書いてある。それは交渉担当者の間での話し合いがまとまって設置したのだ。二百四項には、前述特別委員会審議促進政府協力したのであります、こうILOに向かってものを言っておるのでございますから、この「前述特別委員会審議」とは何か、これは与野党交渉担当者の間で話し合いのできたことについての審議なんだ。ということは、つまり与党代表する倉石社会党代表する河野、いわゆる自社両党の修正案でまとまるように協力したということをILO報告しておるのです。このことを官房長官認めになりますか、いかがですか。
  20. 黒金泰美

    黒金政府委員 実は私これを起草いたしておりませんもので起草者意向はよくわかりませんが、どうもここで書いてありますことをさらっと読みますと、「総理大臣衆議院特別委員会政府見解を説明する等、」「審議促進協力した、」そこまで深く考えてこれを起草しておりますかどうか、私実際起草の責にないものでありますからわかりませんが、そこまでは読みにくいのじゃないかと、いま初めて拝見して考えます。
  21. 野原覺

    野原(覺)委員 このことは、あなたのほうではそういう御見解を持たれるかもしれませんが、二百三項と二百四項に書かれておる政府からの書簡というものが、特別委員会審議促進協力したということは、特別委員会審議とは何かといえば、二百三項に書いてあるように、与野党交渉担当者の間でまとまったことの審議だ。それに協力したということでございますから、いまの池田内閣自社両党の話し合いの線でまとめるということ、そのことを努力することをILO正式書筒をもって誓っておる。このことは御研究願いたい。誓っておるのです、これは。だからILOで、わざわざここで二百三項、二百四項と項目を起こして、政府からこういう書簡が来ておるということで述べておる。私は外務大臣をあとで呼んで——外務大臣がまだ見えてないのではなはだ残念でありますけれども、実はこの正式書簡なるものを外務大臣に要求したのです。ところが外務省は私に出さないのです、その書筒を。極秘であるからこれは出さない、外務省はこう言う。一体その書筒に何と書いておるのか、この報告だけではわからない。私はこの問題は保留しておきたいと思うのであります。  そこでお尋ねをいたしますが、池田総理は、官房長官自社両党の話し合いでまとまったいわゆる倉石河野合議案話し合いでまとまったあの線については、どのような意思表明を今日までされておるのですか、お聞きしたいと思います。
  22. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほどもお話し申し上げましたように、いま自民党の中でいろいろと調整をやっておられます段階なので、いまの点につきましては答弁をしばらく御猶予願いたいと思います。
  23. 野原覺

    野原(覺)委員 何を答弁したのかわかりません。これは一番大事な個所なんです。池田総理総裁です。そうして前尾さんは幹事長。しかも倉石河野話し合いというのは、社会党成田書記長自民党前尾幹事長の間で、その努力を誓い合っておる。しかも倉石さんは自民党代表なんだ。これは政府正式文書にもある。与野党交渉担当者と書いてある。だから倉石前尾という党の代表者話し合いしたものを、池田総理が知らぬとは言わせませんよ。これは承認を与えているでしょう。この線で努力しなさいという承認を与えているでしょう。与えてないとしたら、特別委員長責任は重大だ。与えておるでしょう。承継を与えてませんか。何らの意志表明もしないで事が進んでおるのですか、お聞きしたい。これはあなたが答弁できなければ、総理出席を要求しますよ。
  24. 黒金泰美

    黒金政府委員 池田総理としては、私の記憶では何にも言っておらないと思います。
  25. 野原覺

    野原(覺)委員 これはきわめて重要な問題でありまして、官房長官としては、委員長お聞きのように、答弁ができないのであります。答弁ができない。私は承認を与えていないことはなかろうと思う。やはりそのことは私どもとしてははっきりしてもらいたい。そのような政党ではなかろうと思う。幹事長話し合いしたことを総裁が知らない、党の代表として選ばれた倉石忠雄さんがまとめてきたことを総裁が知らないとは、私どもはそういう自由民主党じゃなかろうと思う。だからお聞きしておるんだ。ところが今日になっても、その点を不明確にしたままじんぜん日を過ごして、八十七号条約批准はできない、関連国内法成立はできないという、こういう事態に持ってきた池田総理池田内閣政治責任というものは重大ですよ。単に総裁三選に通ったら事が終わったんだと思ったら、間違いですよ。この問題は国際的に重大ですよ。ドライヤーが九月には日本にやってくる。聞くところによれば、五十年近いILOの歴史で、事情調査調停委員会というのが設けられることにはなっておるけれども、いまだ発動されたことはないというじゃありませんか。それがいよいよ九月にはやってくる。そうして、そのことは困るということを池田総理認めておる。日本の経済のために、貿易のために、国際的な信頼のためにこのことは避けなければならぬ。このことのためにも努力してもらいたいというところの意思表明があったんだ。ところが何もしてないじゃないですか。拱手傍観じゃないですか。なぜ池田さんが乗り出さないのです。聞くところによれば、執行部一任だ、池田総裁が裁断を下したら、三選に影響するから、これに反対するところの諸君の票がもらえないから、執行部一任だというところのうわさが流れているじゃありませんか。そういううわさが流れておるならば、総理はそのうわさを消すべきだ、私はそう思うのです。総裁に選ばれるかどうかということは、これは天なり命なりじゃありませんか。ほんとう信頼がなければ選ばれないんだ。しかしながら池田さんが今日、長い間政権を担当してきて、そうしてしかも施政演説で国民に約束し、国際的にはILO約束したこの問題を、今日に至ってもなお解決できないで終わるとするならば、たとえ総裁に三選されても、その内閣の寿命、池田さんの将来というものは推して知るべしであります。私はいろいろ池田内閣には申し上げたいことがあって、いろいろ調査をして、池田総理質問をしたいと思って用意しておるのでありますけれども、残念ながらあなたでは答弁ができない。したがって他日、近い機会池田総別出席お願いをいたしまして、お尋ねをしてまいりたいと私は思うのであります。官房長官に対する私の質問は、この程度で終わっておきたいと思います。  そこで、次に文部大臣お尋ねします。  文部大臣お尋ねしたい第一点は、去る本年五月二十日、都道府県教育委員長協議会都道府県教育長協議会からあなたに、ILO八十七号条約批准関連国内法整備について要望書が出されたと私どもは聞いておるのであります。どのような内容のものでございましたか、できたらお知らせ願いたい。
  26. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お尋ね全国都道府県教育委員長協議会、それから全国都道府県教育長協議会の名において要望せられました事項でありますが、三点ございます。一つ日教組等中央地方交渉について、それから校長教頭等管理職員範囲について、それから登録交渉について。伝えられる倉石修正案には、特にこの三項目についてはなはだ不満を感じておるので、条約批准関係法案審議にあたっては御配慮を願いたい、こういう趣旨の要望でございます。
  27. 野原覺

    野原(覺)委員 そこで文部大臣に申し上げておきますが、これから私のあなたに対する質問は実はきわめて重大な内容を持っております。ということは、最悪の事態調査団日本にやってくることになって、八十七号条約批准ができない、こうなりますると、御承知のように、ILOのほうでは追加情報の要求を組合側にいたしておるのであります。だからして、あなたも慎重に御答弁を願いたい、私も慎重に質問いたします。重要な中身を持っておりますから、そのような配慮で私もお尋ねいたしますから、あなたも慎重な御答弁お願いしたい。  そこで、ただいま申されました教育委員長協議会全国教育長協議会の申し入れは三点。一つは、日教組中央地方交渉について。その中身は、日教組中央地方交渉権認めるべきでないという内容になっておる。第二点、校長教頭等管理職員範囲について。その中身は、校長教頭管理職範囲は、地方にまかせず、全国一律にしてもらいたい。第三点、登録交渉について。その中身は、交渉については、登録と非登録との差異を法文上明確にしてもらいたい。こうなっておる。そこであなたにお尋ねしたいことは、まずあなたの所見であります。あなたがこの要望書を五月二十日お受けになられたのです。どういう御所見をお持ちですか、その点からお尋ねしていきましょう。
  28. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この要望は、私目当てに出されたものとは存じません。私にも出されましたが、関係方面にそれぞれ要望せられた事項だと考えます。御承知のように、政府のほうとしましては、今回の条約批准につきまして国内法の改正案を国会に提出いたしまして御審議を願っておるわけであります。われわれとしましては、この原案が通過することを希望いたしておるわけでございます。その間、倉石さん、河野さん等の間でいろいろお話し合いが行なわれ、世上伝えられる倉石修正案なるものが出ておる、これがこの委員会におきましていろいろ御検討の項目にもなっておると承知するのであります。私どもとしましては、原案の趣旨というものをぜひお認め願いたい、かように考えておる次第であります。これに対するいろいろな御意見等について、いま私がいいとか悪いとかいうふうなことを申し上げることはいかがであろうか、実はかように考えておる次第であります。
  29. 野原覺

    野原(覺)委員 あなたは、教育委員長協議会教育長協議会から要望書が出されて、何か新聞によりますとお答えになられたようですね。どういうあなたの御意見表明をされたのですか。
  30. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この教育委員会における要望につきまして、これをどうするとかこうするとかいうことは、私は答えてはおりません。ただ私としましては、政府の提出いたしております法律案の趣行と、これが実現に向かって努力したいということを申し上げたのであります。
  31. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと新聞の間違いでしょうかね。あなたはこの三項目の支持努力約束された、代表者約束したのか、あるいはこの会議の席上に行って、あなたがごあいさつの中でお述べになられたのかはわかりませんが、そういう報道がありますが、これはいかがですか。
  32. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この三項目というものは、私から申せば、要望せられた諸君の考え方というものは政府の原案に近いものだと私は思うのでありますが、いまの要望に対しまして、私がそれが実現を約束するというふうなことはございません。私としましては原案の趣旨の達成のために努力するということを申したわけであります。
  33. 野原覺

    野原(覺)委員 では労働大臣にお尋ねしましょう。ただいま申し上げましたこの三項目は、政府原案の線に近いということであります。いかがにあなたはお考えですか。
  34. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私はその要望書なるものを受けておりませんし、また研究もいたしておりませんので、よく研究をしてございませんので、正確なお答えをいたしかねる状態でございます。
  35. 野原覺

    野原(覺)委員 そのほうが慎重な御答弁かもわかりませんね。  そこで文部大臣、重ねてお尋ねいたしますが、ここに書かれてある三項目は間違いがございませんか。間違ったところがないかあるか、あればひとつ御指摘下さい。  労働大臣、これからのことは重要ですから、よく文部大臣の御答弁を聞いて、あなたの御所見を求めますから、いまのような答弁では困りますから、よく聞いておってもらいたい。
  36. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ここに書いてあります事柄について、間違っておるとか間違っていないとかいうことは私は申し上げる立場にはないと思うのであります。書かれたとおりということであろうと思うのであります。これを読んでみますと、ただ従来政府答弁いたしておりますことと食い違っておるかと思いますことは、登録交渉についてのところであります。倉石修正案は、教育委員会に、登録、非登録団体の区別なく交渉に応ずる義務がありとし、こういうふうなことを書いておりますが、政府答弁といたしましては、そのような答弁はいたしておらないように承知いたしております。
  37. 野原覺

    野原(覺)委員 その点だけでございますか。あなたは間違ったかどうか言うべき立場でないとおっしゃいますけれども、やはりこれは重要なのです。教育委員長協議会教育長協議会といえば、地方における教育の責任者だ、その人々が決議して持ってきたことに対して、文部大臣は、指導助言の責任と義務があるはずだ。そうなればあなたはほうっておくべきじゃないのです。進んであなたは検討しなくちゃならない、間違いがあったら、これは間違いだと指摘してやらなければならない、私は日本の法制の上では、そういうお立場にあるのが文部大臣だと思うのです。ところが、いまあなたにお聞きいたしますと、何かそういう所見を発表することを控えておられますけれども、この委員会は国政審議委員会ですよ。文部大臣が一体八十七号条約に対してどのような所見を持っておるかということを私は質問する権利がある、あなたはお答えする義務がある、だから私は尋ねておるのです。ところが、あなたのいまの御答弁では、登録、非登録のところが云々ということでありました。  労働大臣、登録、非登録については、倉石修正案が、教育委員会登録、非登録団体の区別なく交渉に応ずる義務がありとし、こう書いてある。つまり交渉とは、登録、非登録の差別なく交渉が行われなければならぬと書いてある。このことは政府原案ではどう書いておるのですか。
  38. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政府の原案では、登録団体も非登録団体も、これに対して当局は交渉に応ずる義務があるということは書いてありませんし、また政府考えでもございません。ただILO八十七号条約の趣旨から考えましても、登録団体、非登録団体は無差別的に交渉をする能力を認めなければならない。また、政府の原案は認める趣旨である。ただ表現においては、登録団体と非準録団体の、登録という手続を経ておるか経ていないかという違いがありますので、この点に着眼をいたしまして、当局は登録団体に対しては積極的に団体交渉に応じていく方針である。しかしながら、このことは非登録団体に対して交渉に応ずることを否定する趣旨ではない、こういう趣旨に原案を説明いたしております。政府の原案はさような意味でございますので、あるいは御指摘になりましたその意見書を立案するに際しましては、起草者において政府原案の趣旨を誤解されておる点があるかもしれないという気持ちをもって拝聴いたしました。
  39. 野原覺

    野原(覺)委員 労働大臣にもう一度お尋ねいたしますが、そういたしますと、何回もこの委員会登録の問題は論議をされてきたのですが、登録団体と非登録団体というのは、交渉という面から見ると実体的な差異はないというのがあなたの御答弁であったように記憶いたしますが、いかがですか。
  40. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 非登録団体と当局の間に行なわれる交渉も、登録団体と当局の間に行なわれる交渉も、交渉そのものには差異はないわけでございますし、また団体側の交渉の能力においても差異はないのであります。ただ、政府がこれに対応する場合において積極的に団体交渉に応じていくかどうか、この点が違う。違う理由は、登録してない団体は、はたして職員団体であるかどうか、それは交渉に応ずる当局において調査の上、職員団体であるということがはっきりしたならば、登録団体と同様に対すべきである、これが政府原案の趣旨である、こういうふうに説明いたしておるわけであります。
  41. 野原覺

    野原(覺)委員 その点は登録の問題としてきわめて重要ですから、あとで私はお尋ねをし、私の所見も述べたいと思うのですが、いま文部大臣お尋ねをしておる関係で急ぐのでありますが、登録団体と非登録団体との実体的差異について法文上明らかにするとともに、何かしら交渉については差別をしてもらいたいという中身を持ったこの要望書になっておるのです。教育委員長ともあろう方々が、そして教育の地方分権だと称する、教育の実質上の責任者といわれる教育長の協議会がそういうことを書いてあるのです。  それから第一項では、日教組中央地方交渉でございますが、いわゆる中央交渉というのは、いま問題の焦点になっておりますから、私はあとでゆっくり時間をうんとかけて文部大臣お尋ねいたします。あなたの御答弁をいままで拝聴してまいりましたが、私は不満です。あなたは筋違いだと言いますけれども、私に言わせたら、あなたの考え方そのものが筋違いだ。これはぜひあとであなたからもっと突っ込んだ御所見を私は承りたいし、私も意見を開陳さしてもらいたいと思う。  そこで、ここで問題にしたいのは地方交渉です。労働大臣、日教組は、都道府県交渉相手、たとえば都道府県の教育委員会、そういうものと交渉ができませんか、できますか、いかがですか。
  42. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 地方公務員法関係の団体でございますので、私から申し上げることもいかがかと存じますが、この委員会におきまする答弁を伺っておりますと、地方において交渉ができるという趣旨に私は伺ってまいりました。
  43. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、これは、中央地方交渉権認めるやに伝えられているが云々と書いてある。中央のことは、なるほど、いま問題になっておりまして文部大臣としてこれには反対でございますから、それはいいとしても、地方交渉というのは日教組はできるのだ、これは自治大臣、自治省の見解、これは終始この委員会において政府見解が明らかにされておる。こういうようにここに書かれてあることは、非常にこれは問題があるのです。この問題があるのに対して、先ほど文部大臣は、何にも所見を開陳しないかのようなことでございましたが、何も教育委員長なり教育長には御注意をされなかったのでございますか。何にも注意をしておりませんか。今日に至るも文部省は、君らの考えは間違いだぞ、ここのところはちょっとおかしいぞと指摘はされておりませんか、お聞きしたいと思います。
  44. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題は、いわゆる倉石修正案というものが伝えられまして、その倉石修正案なるものに対する地方の教育委員会関係者の意見であり要望でございます。それを私がかれこれ申す必要は少しもないと思う。ただ先ほど申しましたのは、政府原案との関係におきまして誤解があるのじゃないかというふうに私が述べましたのは、登録関係のところでございます。私自信としてその問題について教育委員会関係者に注意をいたしたことはございません。問題は、要するに地方の人たちのいわゆる修正案に対する意見表明である、あるいは要望である、かように私は考えておるのであります。
  45. 野原覺

    野原(覺)委員 間違った意見、間違った要望がなされた場合に、あなたは教育委員長や教育長に対しては御注意はしないことにしておるのですか。それをしない理由はどこにあるのですか。
  46. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 間違ったというふうに仰せになりますけれども、この修正案に対する意見をどう立てるかということは、それぞれの人たちの考えによることであります。地方の教育委員会がそういう意見を立てた、それは間違っているから直せというふうに一々私から申すわけにはまいらぬと思います。
  47. 野原覺

    野原(覺)委員 要望書を直せと訂正はされなくても、御注意はあってしかるべきじゃありませんか。この要望書をあなたがお受けになったときに、ここのところは君おかしいぞ、気をつけなくちゃというぐらいの御注意もなさらないで、あなたのほうのお考えに召しておれは、それが間違いであろうとも、あなたはお認めになっていく、そういうことですか。一体あなたの指導、助言というのはどういうことなんですか。
  48. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、この問題について私が指導、助言というふうなことをするほどの問題ではない、さように考えております。
  49. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、教育委員長というのが、都道府県の教職員団体、職員団体と交渉する立場にあるそのものが、間違った考え方をしておる、あなたは教育委員会に指導、助言の立場にないのですか。指導、助言というのはどういうことなんです、お教え願いたい。
  50. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 地方教育委員会のやりますことが法令その他に違反しておるとか間違っておるとか、そういうときにはもちろん指導、助言もいたします。しかし、要望書と申しますか、意見書と申しますか、そういう意見そのものにつきまして私がかれこれ申す必要はないと思うのであります。
  51. 野原覺

    野原(覺)委員 間違った意見を持って地方の教育行政をやられてはいかぬでしょう。間違った考え方で職員団体の問題について当たられたのではいけないと思いませんか、いかがですか。
  52. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教育委員会は、申すまでもなく、法令その他に基づいて行政をやっているわけであります。それが間違っておる、こういうふうなときには、是正を求めるのは当然だと思うのであります。そのように私は考えております。
  53. 野原覺

    野原(覺)委員 ところが、そういうときには指導、助言をやるのだけれども、教育委員会責任者の教育委員長、それからその事務担当の責任者の教育長が全国から集まってこういう決議を持ってきて、これは間違いがあるということで、あなたはそのときお気づきにならなかったとしても、これは明らかに政府考えと違うのだという点が一つでも二つでもあった場合には、注意してやるべきですね。いまからでもおそくありません。先日の君らの要望書はこの点が政府考えと違うじゃないか、こういう注意は、あなたから直接されなくても、事務当局から、担当者から注意されてしかるべきものではなかろうか。そうしないと、地方における教育の責任者の教育行政というものが誤まっていくのじゃないか、私はそう考えるのですが、私の考えは間違いですか。
  54. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 別にあなたの考えが間違いだとも申しませんけれども、ただ、地方の教育委員会関係者が、こういう種数の問題について自由に意見表明し、要望することは、何ら差しつかえないと思います。それが直ちに指導、助言を必要とする事項であるかどうかということについは、その問題によって考えたらいい問題だと思います。先ほど私が指摘いたしましたような問題は、おそらく事務当局あたりが会ったときにお話しておると思います。またその後の国会答弁によって十分理解がいっていることと私は考えるのであります。
  55. 野原覺

    野原(覺)委員 このような要望に対して直ちにどうのこうのということは、これはなるほど検討しなければなりませんから、直ちにあなたが意思表明ができないということもあるでしょう。しかしながら、明らかに間違いだという時点がきたならば、注意してやらなければなりません。私はそう思う。私の理解が間違いであるともあなたは指摘されないのであるから、私の言っていることを裏側からお認めになったようにも思うのです。  そこで自治大臣にお尋ねいたしますが、あなたのところには、全国町村長会の決議が三十九年五月十八日付、市長会の決議が五月二士五日付、知事会の決議が五月二十六日付、町村長会と市長会と知事会、これに議長会が入って、いわゆる全国六団体の要望が、知事会と同じ日付の五月二十八日にきておるのです。この要望に対する自治省当局の所見をお聞かせ願いたい。
  56. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そういう要望がまいっております。なぜこういう要望をしたかについてここに書かれてありますが、「町村における職員団体の交渉は、今なお未成熟でそのルールは無視せられ、大衆行動による威圧、強迫、監禁等の不正常交渉が、なお後をたたず、ために、町村の業務運営が甚だしく阻害されることが多い。よって、交渉上の紛糾、悪化を防止し、正常交渉の慣行を樹立することが緊要である。交渉の円滑、正常化をはかるため」云々という前置きで、最後に六団体でこれを要約したものが四項目ばかりあげられて、これが要望となって私の手元に出ておる次第でございます。特に弱小市町村で、交渉過税を通じていろいろな不都合な現象か起こっておりますことは、皆さん御承知のとおりでございまして、ですから、いまのような気持ちで、これだけはぜひという要望となったものと私ども考えております。  ただいまの四項目につきましては、なるほど、この要望にはある程度こたえなければならないと考えまして、私どもこの法案を提出しておる次第でございます。
  57. 野原覺

    野原(覺)委員 町村会長の決議に「交渉登録団体に限定し」こうあるのです。これはその他にもございますが、この登録団体に交渉を限定するということは、政府の原案の精神とも迷うと思う。これはあなたのほうで、あなたが直接でなくて、事務当局からでも御注意あってしかべきではないかと思いますが、いかがですか。
  58. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その点につきましては、一再ならず本委員会におきまして閣僚が全部同じように述べておるわけでありまして、登録を受けない団体の交渉能力というものを否定するものではない。消極的ということばを使っておりますけれども、この要望では、登録された職員団体に限定するという非常に強い表現になっておりますけれども、この点につきましては、いろいろ陳情にお見えになる方々には私たちの考え方は随時申し上げている次第であります。
  59. 野原覺

    野原(覺)委員 その点は非常に率直な御答弁で、私は敬意を表したいと思いますが、これは町村長会だけでない。私が拝見いたしましたら、同じ文章が市長会のにもあるのです。市長会のは「交渉することができる団体は、登録を受けた職長団体に限るものとする」、それから全国知事会は「交渉することができる団体は、登録を受けた職員団体に限るものとし」云々、こうある。これはもちろん六団体のものにもあるわけです。この政府原案というのは、自治大臣御承知のとおり、ずいぶん前から出されたものです。一体こういった職責団体の交渉その他について自治省はどういう指導をしているのか、私は疑わずにおれない。あの政府原案が出たときからすでに政府の態度はきまっている。それは大橋労働大臣が答弁した中身のものなんです。ところが、いまだに市長会、町村長会、知事会、議長会、こういうものから、登録したものだけに限るのだといったような陳情かくるということは——陳情を出すのは自由だといえば自由です、文部大臣が言うように、どのような意見を出そうとかってだといえばそれまでですが、そういった地方自治団体に行政指導をしなければならぬのが自治省なんです。そういう点から見て、一体どういう指導をされてきているのか疑わしいので私はここで取り上げたわけでありますが、この点はいかがですか。職員団体に関することは何も指導していない、彼らの言うがままに、むしろ彼らのしりをたたいて、ことばは悪いけれども、大いに激励をして、職員団体の交渉、そういうものに負けるなといって鞭撻でもしているかのような印象を、私はいろいろなものを通して受ける。これはどうなっておりますか。
  60. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私どもは、こういう団体の役員の方々がお集まりになった席でこういう話が出ました場合には、やはり政府の方針をじゅんじゅんと説いておる次第でございます。決して御指摘のような、逆にこういった陳情をやらせるようなしりたたきなんかいたした覚えはございませんが、ただ先ほど申しましたとおりに、若干の市町村でひどい目にあった人たちが、こういう事態が起こってはわれわれ市町村長はつとまらないとか、また非登録の団体とも会わなければならぬということなら、どういう団体が手を変え品を変え攻めてくるかわからない、こういうことではとても日常の業務ができないから、ぜひ交通整理ということで登録団体に限ってくれということを言われますけれども、私どもはあえて、そうではない、こういう方針でいかなければ、将来、そういうあなた方のお考え方ではやれませんよということを私どもは指導はしてまいっておるつもりでございます。
  61. 野原覺

    野原(覺)委員 いろいろトラブルを起こした町村長なり市長、知事、そういうものからだけの陳情であればいざ知らず、全国なんですね。しかも全国の町村長、全国の市長、全国の知事、全国の六団体、これが期せずしてこういった間違ったことを平気で要望書の中にうたってくるということは、私は問題があると思うのです。あなたの御答弁によれば、平素から指導しておるそうですか、指導は不徹底です。指導しておるにもかかわらず、こういうもの、かいまだにやってくるということは、あなたの、つまり自治省の事務当局でございましょうね、それの指導がきわめて不徹底。これはひとつ自治大臣として大いに部内の指揮、監督をやってもらわなければならぬと思う。  そこで、事のついででございますから、昭和三十八年九月三十日午前十時から、鳥取県庁講堂において鳥取県の幹部約百九十名を前にして、自治省の一幹部が、「ILO八十七号条約批准とこれに伴う地方公務員法の改正について」という演題で、約二時間にわたる講演をした事実があったそうであります。その席上自治省の一幹部は、いまだ国会に提案もされず、通過もしていない地方公務員法改正があたかも通過したかのような立場で——もちろん政府原案ですよ、——立場で、法律改正案の内容を解説された。労働運動対策を強化しなければならぬという点を、鳥取県庁の幹部に指導された。ところが、その幹部の中から一人質問者が立って質問したそうであります。そうしたら、その自治省の幹部は、ILO八十七号条約批准国内法の改正については事務当局としては必要ないと考える、こういったむちゃな答弁をした。それかあなたの自治省の幹部——名前は伏せましょう。私は、これが事実だとすればたいへんなことだと思う。国の公務員が、政府政府原案を出していまここで審議をして、そして国全体がILOの問題の解決を何とかしなければならぬといっておるときに、県庁に出向いていって、しかも自治省の責任ある幹部によってこういうことが指導されておる。大臣御承知ですか。これは聞いたことがありしますか。いかがでしょう。
  62. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 鳥取県というのは私の選挙区でございますが、うかつにも自治省からだれかが行ってそういう話をしたという事実は存じませんでした。いまちょっと聞きましたら、行った者があるようでございます。  私どももこの審議の過程を通じて思うのですけれども、私は政府でございまして原案を出しておりますから、これをどうしても御審議願って全面的に皆さんに御了承をいただくというつもりで汗をかいて答弁をしておるわけでございますが、まあ中途で倉石委員長の指摘された問題点なども出てまいりまして、なかなか議論が混乱いたしております。しかしながら、私どもの役所から地方へ参りました者が、政府原案というものを踏みはずして、大臣が一生懸命で政府原案についてここで説明しておりますものを、自治省の者がこれに対して何か逆のことを言うようなことはあり得ないと思います。なお、そのときに鳥取県へ参りました者がおりますので、その人から事実について御説明申し上げたいと思います。
  63. 野原覺

    野原(覺)委員 私はこういう一個人的な問題を取り上げたくはない。けれども、そういった町村長会なり市長会なりのあの決議を見て私は驚いた。自民党の中でも心ある皆さん方は驚かれたそうです。私はそれも聞いておる。事いやしくもILOに関心を持ち、そしてそれを研究された方ならば、これが直ちに間違いであるということくらいはわかる。そういうことが全国の決議となって平然として上がってきておる。そういうことは一体何だろうかと思って私調べていくうちに、あるところから私は陳情を受けたのであります。だから、自治大臣が言うように、そのような間違った幹部のいないことを私も願います。私はその幹部に対してどうこうせよとは決して思ってはおりません。このことは自治大臣としてもくんでいただきたいのだが、とにかくそういった公務員制度の問題を指導する自治省の中の機構というのか、あるいは指導する人の熱意というのか、何か事欠けるものがあるから、ああいった間違いが平然と国会議員の皆さん方のところにやってくるわけなんだ。これは私はかねてから十分な指導をひとつお願いしておかなければならぬと思うのであります。  そこで委員長、ひるの時間、それから本会議の都合もございますから、お約束どおりこの辺で午前中の私の質問を終わって、あとは後ほど御相談をさしていただきたいと思います。
  64. 倉石忠雄

    倉石委員長 この際暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕