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1962-09-10 第41回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年九月十日(月曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   委員の異動  九月一日   辞任      補欠選任    北村  暢君  阿具根 登君    小平 芳平君  牛田  寛君  九月三日   辞任      補欠選任    高橋  衞君  温水 三郎君    阿具根 登君  北村  暢君    野溝  勝君  戸叶  武君    北條 雋八君  原島 宏治君  九月十日   辞任      補欠選任    原島 宏治君  北條 雋八君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     櫻井 志郎君    理事            堀本 宜実君            安田 敏雄君            森 八三一君    委員            井川 伊平君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            中野 文門君            仲原 善一君            藤野 繁雄君            山崎  斎君            北村  暢君            戸叶  武君            野上  元君            矢山 有作君            渡辺 勘吉君            牛田  寛君            原島 宏治君            天田 勝正君   説明員    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      小林 誠一君    食糧庁長官   大澤  融君    食糧庁総務部企    画課長     松元 威雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○農林水産政策に関する調査  (消費者米価に関する件)  (米の集荷手数料に関する件)  (菜種の基準価格に関する件)  (ビール麦の共販に関連する競合に  関する件)  (澱粉価格に関する件)   —————————————
  2. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員長から政府当局に警告をいたしておきますが、政府は必ず定刻に今後出席を要求いたします。政務次官からそれに対して一応のお答えを願います。
  3. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) まことに、当局のほうが遅参をいたしまして申しわけございません。今後必ず定刻までに出席を必ずいたしますようにいたしますから、何とぞ御了承をお願いを申し上げる次第でございます。
  4. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) まず消費者米価に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記を起こして。
  6. 戸叶武

    ○戸叶武君 私は最近臨時行政調査会で諮問されましたときに、この国会政府あり方に対する質問がありまして、その一つといたしまして、国会において委員会政府部課長級まで引き出されて、いろいろ質問されると、政府機関麻痺状態になるので、この問題はどういうふうに調整するかというような趣旨の質問があったのですが、問題は、大臣はきょうはかぜだそうですけれども、私は、政府代表しまして政務次官なり政府委員というものが、この委員会答弁に当たることになっておりますが、非常に今までの質問応答を見ますると、予算委員会を初めとして非常に質問の的をはずして、はぐらかすことをもって上手な答弁と思われるようなふまじめさというものが横溢して、国会における審議権というものが、政府側答弁によって非常にそこなわれているのです。このことはやがて議会政治に対する国民の不信を必ず招くと思うのです。こんなことをやっていたのでは、サル芝居で何にもならぬという感じが強くなっています。今、かぜだそうですが、おそらくは委員長のところにも診断書も出してきていると思います、相当の病気でない以上は、この委員会をはずすということは大臣として非常に怠慢です。しかも、この消費者米価の問題は今、国民の一番の注目の的になっているのです。安田理事が先ほど質問いたしましたのは、これは大臣にかわっては当然政務次官責任を持つなり、食糧庁長官責任を持つことは当然だと思いますけれども、大臣責任をその答弁に対して十分持つだけの責任体制を備えてここに臨んでいるかどうか、あらためて政務次官並びに食糧庁長官から答弁を願います。
  7. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) ただいま戸叶先生からの御質問、まことにごもっともと存じます。お話しの点につきましては、政府といたしまして、きょうはかぜのために大臣出席をいたしてはおりませんが、食糧庁長官責任を持って御質問に対してお答えを申し上げたいと存じますので、御了承をお願いいたしたいと思います。
  8. 戸叶武

    ○戸叶武君 食糧特別会計赤字は、内地米だけでも当初予算の六百十六億円から千八十六億円、麦などの赤字分を加えると、全体の赤字は七百一億円から千二百十一億円にふくれる見通しだということが報ぜられておりますが、政府の推計によると、そういう数字になるのでしょうか。あらためて食糧庁長官にお尋ねします。
  9. 大澤融

    説明員大澤融君) まだ不確定要素が多いので、最終的にどのくらいになるかという判断はむずかしいと思いますけれども、先般の生産者米価が平均一万二千百七十七円ということにきまりましたし、今の主食用販売価格は、一石当たり今の政府買い入れ価格に相当いたしますものが一万七百八十五円ということで、その逆ざやと申しますか、高く買って安く売るというその差が昨年よりふえております。それと政府石当たり負担事務費ですとか、保管料ですとか、金利ですとか、いろいろございますけれども、そういうような負担というものを全部計算いたしまして、さらにどのくらい米が集まるかということですが、大体、予約で農協等推進目標としておりますものが四千二百五十万石程度でございますが、今いったような四千二百万石程度のものが集まるということになりますと、今申されたような数字に近い財政負担額になるということになろうかと思います。
  10. 戸叶武

    ○戸叶武君 この赤字解消の問題をめぐって政府側では消費者米価を上げなければどうにもならぬというようなPRを盛んに行なっておりますが、政府態度としては、消費者米価を具体的に幾ら上げるかということの操作にまではいっていないとしても、基本的に消費者米価を上げるという方針が大体きまったのでしょうか。そのことを伺いたい。
  11. 大澤融

    説明員大澤融君) 改定すべきかどうかということについての検討はいたしておりますけれども、据え置きにするか、あるいは値上げをするかという最終的な結論には至っておりません。
  12. 戸叶武

    ○戸叶武君 政府自民党政務調査会会長との間には考え方に少しギャップがあるようなことも報ぜられておりますが、政府としては、消費者米価を上げるという場合には、どういうようなことを基準としてその上げる操作を行なおうとしているのですか。そういう準備も、私はもう、あの場合この場合を配慮して行なわれていると思いますが、どうなんですか。
  13. 大澤融

    説明員大澤融君) 御承知のように、消費者米価は三十二年から据え置きになっております。そのときと現在とでは、家計状態、あるいは物価の水準というようなことも、いろいろ変化をいたしております。そういうようなことから、食糧管理法の建前としては、家計の安定を旨として消費者米価をきめるわけですから、食糧管理法に示されている精神と見比べて、一体上げてしかるべきなのか据え置いたほうがいいのかというような点について、いろいろ検討を行なっております。
  14. 戸叶武

    ○戸叶武君 物価家計の安定ということを配慮しているということになっておりますが、消費者米価というものがはね上がれば、当然家計のほうにも響いて来、諸物価に対する影響というもの、この問題は一番私は大きいのだと思いますが、ただ、今までにおいて生産者米価は三十二年に比べると一八・六%上がったからとか、あるいは消費者米価がずっと据え置かれているからとか、その関係の今日の段階における、先ほどあんたが説明したように、逆ざや現象が現われているとか、そういう一つの例が幾らでもあげられると思いますが、この消費者米価を上げたというとたんに、私は諸物価に対する影響というものは甚大だと思いますが、そのことに対しては、どういう測定を行なっておりますか。
  15. 大澤融

    説明員大澤融君) 米価を上げた場合に、物価にどういうふうにはね返るかというようなことも、私どもいろいろ検討しなければならない問題の一つだと思いますけれども、たとえば米価が全体の物価の体系の中でどのくらいのウエートを占めているかというようなことですとか、あるいは過去において米価を上げた場合に物価はどういうふうに動いたかというようなことについての検討というようなことをやっております。それが一体どの程度影響があるか、あるいはどの程度影響がないかというようなことについては、私どもまだ結論を得ておりません。
  16. 戸叶武

    ○戸叶武君 過去の資料検討しているといいますが、その、もう資料検討するからには、具体的な資料がまとまっていると思いますが、それを本委員会に提出してもらえるでしょうか。
  17. 大澤融

    説明員大澤融君) まだお目にかけるような程度資料がまとまっておりません。
  18. 戸叶武

    ○戸叶武君 いつまとまるのですか。これはやはり私は今度政府物価値上げを押えると言っていながら、事実上において、この今の池田経済政策の行き詰まりを打開する政策一つとして、公共料金値上げ私鉄料金値上げや何かをもくろんでおり、それから消費者米価の問題にも手を触れようとしておりますが、これは私は非常な悪性インフレへの道を開くものであって、勤労大象はこれによって間接的な非常な搾取をこうむることになると思うのでありまして、公共料金値上げの問題と、この消費者米価値上げの問題は、当然私は国民生活に甚大な影響を与えると思うので、それに対する資料というものは、正確に、私は整備されたものが政府において用意されなければならないと思うのです。今聞くところによると、先ほどの説明ですと、そういうものを中心として、過去の事例中心として検討中だという話でしたが、今見ると、その資料がまだ整備されていないと言うが、資料が整備されてないで過厚の事例に対する検討中というもおかしな話ですが、何を対象として検討中ですか。
  19. 大澤融

    説明員大澤融君) もちろん、いろいろ資料を集めながら検討を行なっておるわけでございまして、まだこの資料からこういうふうに判断したらいいじゃないかというような資料までまとまっていないということを申し上げたわけであります。
  20. 戸叶武

    ○戸叶武君 抽象的なお話だとわかりませんから、話はすべて具体的に煮詰めることにいたしますが、資料を通じて検討中という、その資料具体的資料、どういうものをどういう形において検討しているかというその内容を明らかにしてもらいたいと思います。
  21. 大澤融

    説明員大澤融君) 各種の物価の指数ですとか、あるいはまた家計費調査ですとかというようなものについて検討しておるわけでございます。
  22. 戸叶武

    ○戸叶武君 これは、その検討資料となる資料は、当然この委員会にも、あとでわれわれも資料要求しますから、出してもらいたいと思うのですが、白日のもとにおいてわれわれが十分そういう資料中心検討していくならば、今公共料金値上げ消費者米価値上げというものが、あとで諸物価にはね返ってくることは、これはだれが見ても明らかなことなので、政府はこれに対してもあげて責任を負おうとしておるのでありましょうが、新聞等の報ずるところによると、自民党政調会長が、千五百億円程度赤字ぐらいならば、そういうものを消費者米価値上げによってするというようなことをしないで処理していかなくちゃならないという考えを持っておるかのような報道もされておりますけれども、今の段階におきまして、公共料金も上がるのだ、消費者米価も上がるのだ、こういう値上げムード政府みずからが作っていくということは、政府経済政策の破綻からくるやむなき処置かもしれないのですけれども、これですと、政府物価の値上がりを抑制するという方針と全く逆コースを歩むことになるので、そのこと自体が、私は池田経済政策の矛盾というよりはインチキ性というものを、ここに露呈することになるのだと思いますので、この問題に対する私たち審議というものもきわめて重要なのであります。今私はここで大臣でないあなたにいろいろなことを追及してみても、どうもあとで四つに組んで戦うわけにならないようなことになるおそれがありますので、質問をなるたけ端し折っていきますけれども、とにかくこの値上げ問題を中心として政府検討したと称する、また事実上検討したことになるのでしょうが、そういう資料は全部われわれの委員会に出してもらいたい。それをめぐって、とにかく私たちは十分この問題を掘り下げて検討していかないと、国会自体がこの政府機関の独走に対して、非常にこれを抑制する力がなかったのじゃないかという疑惑国民から招くおそれがありますから、その資料は十分出してもらいたいと思いますが、その確約が食糧庁長官できますか。
  23. 大澤融

    説明員大澤融君) 所要な資料は提出さしていただきたいと思います。
  24. 安田敏雄

    安田敏雄君 関連。長官、過般生産者米価決定する際のいきさつとして、当時の農林大臣河野さんは、議会に、生産者米価決定する場合においては、諮って、そしてその意見を聞くということを確約しておった。ところが参議院選挙終了後における米価決定の際のときには、この委員会農林大臣出席するということを約束しながら来ないままに、そのまま最終的には与党側相談して生産者米価決定したいきさつがあるわけなんです。したがって、私どもはそういう大臣議会に諮るという言明をしながら、そういう独善的な行為に出たことについては、不満なんです。当時農林大臣がそのまま在任しておれば、これは当然その責任を明らかにしなければならないと思っておりましたが、建設大臣になったために事切れになったわけです。したがってそういうことがあるので、ただいまあなたが戸叶委員質問に答えて、いろいろの資料を出すと、こういうことでございますけれども、消費者米価決定にあたっては、委員会のほうに対して、国会のほうに対して、意見を聞くなり諮るなりどういうふうにしたらいいかということについて大臣相談を求めるということは、どういうようにあなたは考えておりますか。
  25. 大澤融

    説明員大澤融君) 消費者米価据え置き、あるいは値上げというような問題をやります場合には、考え方について米審にお諮りするという制度になっておりますけれども、さらに国会でいろいろ御論議のあるところは、もちろんこういう委員会を通じて問題点を私どもよく認識して米価決定をやっていかなければならぬというふうに考えております。
  26. 安田敏雄

    安田敏雄君 回りくどくてよくわからぬですが、最終的に消費者米価を据え置く場合はともかくといたしまして、上げる場合におきましては、本委員会意見を聞くということを確認していいんですか。
  27. 大澤融

    説明員大澤融君) 特に上げますが、どうですかというふうな特定事項としてお聞きするというふうなことではなしに、日ごろいろいろまたきょうのような機会でも、御論議をいただいておりますので、そういう意味で御意見を拝聴さしていただきたいというふうに考えております。
  28. 安田敏雄

    安田敏雄君 確かに米審最終決定をして、その意見に基づいて政府決定するでしょう。しかし問題は、国民生活に重大な影響のある問題である。そういう観点からいきますならば、やはり国会に全然相談しないということは、これは非常におかしいと思うのですよ。ですから、やはりその決定前に国会意見を求めてくる、あるいはどうしたらいいかというような相談をするというようなことは、当然政府消費者米価に対する決定前の政治的な行為としては当然だろうと、こう思うわけですが、そういう点はどうですか。
  29. 大澤融

    説明員大澤融君) 特定事項として、たとえば特定の法案を御審議願うというような形で御審議願うというようなことは、制度上とらないでもいいんだろうと、こう思いますが、そういうことにかかわらず、もっと一般的に消費者米価あるいは米価の問題として御論議のあるところは十分お聞きして政府態度もきめなければならぬというふうに考えております。
  30. 戸叶武

    ○戸叶武君 この前の生産者米価決定したときのいきさつに対して、私たちは非常に疑惑があるのは、その生産者米価決定する場合におけるところの政府内における最高責任者はだれか、これは政府における政治責任の問題というものがいつでも明確にされなければならないのです。やはりこの議院内閣制のもとにおける責任の所在というものが明確でないと、政治責任追及というものがぼけてしまうのですが、この前の生産者米価決定のときには、御承知のとおり、政府修正案で妥結したのは大臣の一万二千百五十二円であったのが、あと田中政調会長が二十五円引き上げさして、そうしてこの一万二千百七十七円という決定を見たので、河野さんはふんまんやる方なかったという。また当時の水田大蔵大臣も非常に憤慨したということですが、今日の議院内閣制の運営というものが、池田内閣になってから非常に自民党独裁、一党独裁の形で多数党が政権を握っておるのだから、与党との連絡において政治は力だという考え方で、政府あり方議会あり方、そういうことを無視して、そういう問題を決定するのですが、これは政務次官にお尋ねいたします。これはこの前大臣にお尋ねしたのですが、あいまいでしたけれども、一体議院内閣制のもとにおいてそういう生産者米価決定なり消費者米価決定なりという、最終決定というものは一体どこでするのか、だれが責任を持つか、そういうことを明確にしてもらいたい。
  31. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) ただいまの御質問でございますが、先般の田中政調会長が引き上げたというような御印象でございますが、むろん政党内閣でありますから、政党においては政党として十分に意見を戦わしまして、その党の方針を実行いたしまするものは、これは農林大臣決定をするのでございまして、党にそのまま屈服するというようなことがあってはならぬし、またないと存ずるのでございます。
  32. 戸叶武

    ○戸叶武君 政党内閣だからといって、内閣というものが少なくとも国会に対しても政治責任を負うのです。自民党が今日多数党で内閣を組織しておるからといっても、内閣機能与党の圧力によって麻痺させておいたのでは、私は政治責任追及というものが不明朗になってしまうと思う。事実上、公然の事実であるのは、大蔵大臣なり農林大臣というものが無視されて、そうして池田さんかどうかしらぬが、新聞の伝えるところによると、田中政調会長がこれをひっくり返したということは事実で、当時大騒ぎを演じた。そうじゃありませんといって詭弁でもってあとでは弁解するでしょうが、これは天下に公然と知られている事実であります。こういうところに、私は政治の根源というものを乱しておるということを、今の政府は気づかなければだめだと思う。やはり政府機能というものと国会機能というものはおのずから違うのであるし、政党内閣制であるからといって、与党政府との権限というものがそういうふうにけじめがつかないような形においては、議院内閣制というものは成り立たない。自民党を基礎として内閣ができたとしても、内閣は国を代表するところの行政機構最高機関としての内閣であって、自民党のあごで使われるところの内閣だという考え方であるならば、これはもうほんとう憲法精神というものをじゅうりんさせることなんで、今度のやはり消費者米価決定問題に対して、先ほど安田さんが質問しておるのもその点なんです。だれがほんとう責任を持つのか。ほんとうに今の農林大臣は、農林大臣は二人あるといわれて河野さんのロボットのようなことを言われておるような不見識の大臣であるが、きょうはかぜを引いて休んでおるが、おそらくはわれわれの追及がこわくてかぜを引いたとしか見られない。こういう腰抜け大臣をいただいておって、今度政調会長なら政調会長というものが消費者米価値上げ反対だ、今度は田中反対のような形において相当がんばってくれるかと思うけれども、前には大臣生産者米価の問題に対して政府でもって妥結した点というものを政調会長にひっくり返される。今度はとにかく政府に運動するのよりは、賀屋さんですか、政調会長というような実力者に、政府に陳情するよりは自民党政調会長に陳情すれば、これが一番手っとり早いという風潮は、この国会というものを飾り物にして、与党にさえ頼んでいけば何でも片づくという風潮を生んでくるのです。これは生産者米価決定するのも、消費者米価決定するのも、このごろのやり方は審議会だ何だといういろんな行政補助機関的なものを作って、事実上は選挙運動です。与党政調会長のところに日参して国民が非常なむだな費用を使ってやっていかなければ、政府なんかを相手にしては話にならない、実力者に頼め、与党に頼めという形で、たいへん内閣国会もないがしろにされて、こういう国民生活関係のある諸問題というものが決定するのじゃ、これはほんとう国会は開店休業したほうがいい。で、重要な委員会にはかぜだといって大臣は出て来ない。今の政務次官答弁というのは、非常にまじめのようなんですけれども、全部うそ答弁世間に伝えられているのとは、うそなことを平々然として言うのでなければ政務次官が務まらない、首にされてしまう、うそを言ってそしてでたらめを言ってごまかすということが、これは政治家一つの有能か無能かの境目になるようなふまじめな雰囲気というものの中に、私たち議会政治をみずからが崩壊させていく危機というものを内蔵していると思う。知らぬは亭主ばかりなりというけれども、世間は全部知っている。私は、これは消費者米価の問題は、生産者米価の引き上げの問題よりも、さらに国民生活に密接な関係がある重大な問題であるから、事前に大臣が出てきて、どこの審議会できめてどうするのだ、こうだとか言って、責任逃れをやらないで、まっこうに国民代表者相談をして、この委員会において慎重審議するようなかまえを持つことを要請するものである。そういうことをしない限りにおいては、もう大臣なんというものに対してはわれわれは不信任を表明し、自今相手にしない、そういうつもりですが、政務次官はどういうお考えですか。
  33. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) ただいまこうしていろいろと生産者米価の問題につきましても、また今国民の注視の的になっておりまする消費者米価の問題につきましても、非常に御熱心な御論議がかわされておるこういう国民代表でありまするその声を聞いて、そうして施策をいたしていくということが内閣責任でありますし、大臣責任であるのでございますから、したがってここのただいまの非常な皆さん方の御論議に対しましては、今日は発熱をして出て来ておりませんが、大臣としましては十分に傾聴をいたしましてその御意向をくんで施策の上に現わしていく、かようなことになろうと存ずる次第でございます。
  34. 戸叶武

    ○戸叶武君 前の政調会長田中大蔵大臣は当時から一キロ当たり七円か七円五十銭程度値上げの問題を論じたり、また重政さんは一キロ五円ぐらいの値上げというようなことも放言しておりますが、食糧庁長官にお尋ねしますが、まだその決定はしないでしょうが、こういう一キロ当たり七円とか五円とか、仮設にしても、そういう数字をあげてすでにもう政府部内においては消費者米価値上げに関するところの検討をやっておるのでしょうか、どうでしょうか。
  35. 大澤融

    説明員大澤融君) そういう具体的な数字についての検討までに立ち至っておりません。
  36. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ほかにありませんか。
  37. 安田敏雄

    安田敏雄君 ちょっと関連して。大臣のこの間の臨時国会に際しての所信を見ますというと、食糧管理制度の改善をしよう、こういう意図が出ておるわけですよ。その理由としては、食糧管理制度は米が少ないときにできたものでありますから、需給が均衡を得つつある現状におきましては適当でないと思うから検討する必要があると、明らかに改善の意図を出しておるわけなんです。そこで政府のこの間の生産者米価値上げによりまして、食糧管理会計の赤字が千二百五十億に達するわけなんです。その赤字をなくなさなければならぬということは、農林省の一致した考え方のようだけれども、具体的にどういう方向で赤字を解消していくのか、御説明を願いたいと思います。
  38. 大澤融

    説明員大澤融君) 赤字と申しますか、先ほど申し上げたように生産者米価政府の売り渡し価格との差、さらにそのほかに政府の事務費ですとか、保管料ですとかその他の経費、そういうものを赤字と一口に言いますけれども、これは生産者米価をいかにきめるか、政府の売り渡し価格を通じて消費者米価をどうきめるかということの結果出てくるものなのでありますので、もちろんそうした負担が少なければ少ないほどいいということは言えますけれども、それをなくさぬがためにどうこうするというようなことで価格を考えないでもいいのじゃないかということが言えるのじゃないかと思いますけれども、御質問の意味がどうやってこの赤字をなくするのだというような御質問ですけれども、お答えにならないかもしれませんけれども、私どもとしてはたとえば政府経費の中のいろいろな費用についてはなるべく合理化して少なくて済むようにということで、特にこの数年いろいろ努力をしてきておりますけれども、そういうことなら政府経費をどうやって少なくするという御質問なら、そういうことだと思います。赤字自体は今言ったようなことで出てくることですから、それをどうやって減らさなければならないかというような立場で食糧管理のことを考えるということじゃないのじゃないかと、こう思っております。
  39. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、消費者米価決定の問題は、食糧管理会計の赤字とは別個の問題だ、こういうように受け取れるわけですが、そういうように解釈していいですか。
  40. 大澤融

    説明員大澤融君) 赤字をなくすために、消費者米価を上げるのだとかどうするのだとかいうようなことではないという意味で別個の問題ということが言えるかもしれませんが、消費者米価をいじればその負担が少なくなったり、あるいは据え置けばそのままになるというようなことで相関連する問題でもあると思っております。   —————————————
  41. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 次に、米の集荷手数料に関する件を議題にいたします。  質疑のある方は、御発言を願います。
  42. 森八三一

    ○森八三一君 集荷手数料の問題につきましては、前臨時国会の際に、この委員会で質疑をいたしました。事は抽象的な問題ではなくて、きわめて具体的な問題でありますので、その趣旨でだんだんお尋ねいたしましたが、あまり詳細にわたりますると、ただ応答だけでは要を尽くし得なくなるという危険が考えられましたので、現行の五十円でありますか、手数料についてそのよってきたる具体的な積算の根拠を資料でお示しをいただきたいという希望を申し上げまして、政府委員からは提出をいたしますという確約をいただきましたので、その資料の提出を待った上で、詳細な質疑を申し上げたいというように考えておりましたが、先刻委員部のほうからの連絡で、まだ内容的に検討をしなければならぬ部分が存在をしておるので、資料として本日提出することは困難であるというようなお話を承ったのであります。前回の委員会の質疑応答なり、さらに最後に希望をいたしました資料提出の要求に対して出しますという確約のあったいきさつ等から考えますると、すでに旬日余を経過いたしておりまする今日、その資料が提出されておらぬということは、はなはだ遺憾に存じます。がしかし、今ここで遺憾だからといって、そのことの責任を究明しておるだけでは問題の解明になりませんので、承りますれば口頭では説明するということだそうでございますので、以下具体的にひとつお尋ねしたいと思います。まず第一に、人件費の問題ですが、現在政府の計算されておりまするのは、先回の委員会でも御説明のありましたように、公務員ベースと農村都市の物価の差を勘案いたしまして、通年の職員が一人、季節的な補助職員が三名ですか、三カ月分ですか、を一応の基準組合いの人件費と策定をいたしておるということでありました。そこで公務員の給与ベースとは、昭和三十六年度における公務員給与ベースを採用されておると思いますが、それで間違いはありませんかどうか。
  43. 大澤融

    説明員大澤融君) 三十六年の公務員の給与ベースは二万四千七百一円ということでございまして、三十七年はそれ以後ベース・アップが七・一%あったわけでございます。それを織り込んで三十七年の計算をしております。
  44. 森八三一

    ○森八三一君 その二万四千七百一円というものが公務員ベースといいますか、公務員に対する実質給与とお考えになっておりますか。いやしくもここで論議さるべき対象は農村、都市物価の差で修正するということで、論議はあります、ありまするが、そのことを別といたしまして、実質給与というもので比較をしなければ、ナンセンスだと私は思うのです。おそらくそういうことであろうと思いますが、さように了解してよろしゅうございますか。
  45. 大澤融

    説明員大澤融君) 基本ベースをとっております。
  46. 森八三一

    ○森八三一君 基本ベースで計算をするという考え方に間違いがあるとは思われませんか。いやしくもこういうような基準を設けて計算する場合に、実質給与というものを対象にしなければいかぬくらいのことは、こんなことは三つ子でもわかると思うのですよ。公務員給与を基準としてやりますという限りにおいては、その公務員に対する実質給与というものと比較をとらなければ、賃金をはじき出すという感覚にはならぬことは、これはもうだれだって常識論としてわかるのですよ。それがただ形式的な基本給与というものだけでよろしいという理由はどこに存在するのですか。
  47. 大澤融

    説明員大澤融君) 従来からこういう考え方をとっておりましたのは年間の繁閑を見れば、基本的な給与というものを基礎にしてものごとを考えてよかろうという思想だと思うのです。
  48. 森八三一

    ○森八三一君 年間の推移を考えれば、基本給与だけでよろしい。この人件費というものは重大な米の取扱いについてその集荷部分を政府から委託を受けてつつがなくやっていくということのために必要な給与を与えるということでしょう。年間云々ということは、どうも私には給与ということの本質から論じてどうも理解ができません。公務員だって年間生活しておるのだし、米を集荷する政府の重要な事務を委託しておる人だって年間生活をしなければならぬので、それには家族手当もあるでしょう、時間外勤務もやるでしょう、あるいは盆暮の賞与というものも公務員に与えられておれば、当然この連中にも与えてやるということがあたりまえじゃないですか。それを省いておるということの間違いということをお考えになりませんか。
  49. 大澤融

    説明員大澤融君) 私申し上げましたのは、年間の繁閑というようなことを考えて基本ベースでいっていると思いますが、さらにボーナスといいますか、そういうようなものは一種の企業体でもございますので、プラス・アルファーとしてかせぎ出すということで得られるものという考えで基本ベース一本で考えておる、こういうことでございます。
  50. 森八三一

    ○森八三一君 どうもあなたの御答弁が今やっておるからそれでやっておるということをただ説明しておられるだけで、実際この重要な仕事を委託としてやらせるということを考える場合に、公務員だって忙しいときもひまなときもありますよ。そんなものはそれは事務の内容によってあります。それは例を準公務員の立場におるかりに農林漁業金融公庫に例をとりましょうか。そうすると予算がきまってまだ実施にならぬ四−六月ぐらいまではずっとひまで、それからその予算がきまっていよいよ土地改良その他がすべり出してくると非常に忙しくなるということで、公務員の立場においても年間を通ずればひまなときも忙しいときもある。これはあたりまえのことなんで、そういうひまなときはそれではお前はしばらく休職だというわけにいこうはずはないし、あとでまた私論議いたしますが、ひまなときは一体あるのかないのか、そんないいかげんな事務ではない。きわめて重要な事務で、米が出入りをするというときばかりでなくて、その他のときにいかにして完全に政府の委託にこたえるかということの準備をしなければなりません。等々でそんな事務に繁閑があろうはずがないのですよ。そんなことを考えれば、公務員に対する実質給与をこの重大な仕事を担当しておる職員に対する給与とひとしくしてやるということが、私は給与という観念から当然だと思うのです。今までやっておったことが間違っておったというならば、これは改めるということに私は踏み切るべきだと思うのですよ。それを今までやっておったからそれでよろしいというふうにやられることは、少し機械的な答弁過ぎやしないかと思うのですが、どうでしょう。
  51. 大澤融

    説明員大澤融君) 問題の御指摘としては、十分検討をいたしたいと思いますけれでも、今までは給与ベース、基本ベースで考えておったということも、合理的な考え方としてずっととられてきておると思いますので、今御指摘の問題もありますので、そういうことも重要な御指摘として検討はしなければいけないというふうに考えますが、従来やられてきた方法は、一がいに不合理だというふうなことではなかろうということを先ほどから申し上げているわけでございます。
  52. 森八三一

    ○森八三一君 長官、そんなにこだわって御答弁になる必要はないので、ここではほんとう国民生活に一番重要な米の問題を論じておるのですよ。もしここでその集荷がうまくいかないというような事態が発生すれば、国内混乱の極をきわめるというほど、私は重要なものを論じていると思うのです。そのときに従来やってきたことに合理性があったという主張は私にはわかりません。合理性ということはどこから出てくるのか。給与というものはこれは少なくともその人の生活を保障してやるのに必要な額でなきゃならぬことは、これは給与の本質から見て当たりまえだと思うのですよ。だからそこで何を目安にきめるかというと、個々の生活には非常な差がございますので、公務員ベースという人事院等において詳細に御検討になったものを一つ例として採用する、こうなれば個人別にはいろいろな差があっても、まあいわゆる一応妥当なものであろうということできまってくるのですね。その公務員の給与というものは、ただ形式的な月給だけではなくて、そのほかにさまざまな戦後における給与体系から評価されておるものが存在しておる。そのトータルが、その人の生活について十分ではなくても、まずまずという保障を与えておるということなんですよ。その基本給与だけで合理性があるなんということは、これはまああなたのおやりになったのじゃないから前任者のことを悪口言うのは後任者としてはどうもはばかられるということでそういうことをおっしゃるのなら、人情の上ではわかりますがね。けれどもほんとうに純粋理論として賢明な大澤さんが合理性があるなんということを今ここでおっしゃるのはおかしいので、あとのほうの確かにそうです、だからそういう点は今後検討しますと、こうおっしゃればいいので、前段の合理性があるという点までおっしゃるのなら、私はもっと究明しなければならぬ、どこに合理性があるのか。
  53. 大澤融

    説明員大澤融君) 率直に十分検討しなきゃならない問題だと思いますけれども、そもそも給与ベースとして国家公務員のベースをとるか、あるいは地方公務員のベースをとるかというようなことにも、おそらく問題があろうと思います。これを従来とりましたのは、地方公務員よりは高い国家公務員のベースをとっておるというようなこともあって、そういうこともかね合いで今までのようなやり方できめてこられたのじゃないかとこう思います。そういう意味である意味で私は合理性があったと思うのです。そういうことを申し上げておるので、絶対不動の正しいものであるというようなことは、なかなかこういう問題については言えない。いろいろなことを考えて、こうだということできめられてきておると思いますので、御指摘の問題まず十分検討をさしていただきたいと思います。
  54. 森八三一

    ○森八三一君 この問題は大体あなたの御答弁了承しましたから、これ以上申しませんが、国家公務員をとっておるけれども、きわめてずさんな統計に基づく農村都市物価差というものをちゃんと当てはめて修正をしておるのですから、実質的には国家公務員の給与は当てはめておらぬのですよ。つまりそれよりはるかに低いところを押えておる。だからそういうことで合理性なんということをおっしゃると、またこれは議論が発展してしまうので、もう一切抜きにして、今までのやり方については、今日の時点では確かに検討を加えて改善をする余地ありと思います。こういうことできっぱりしておいてもらうと、もうあと質問がなくなるのですがね、このことに関しては。その辺がどうでしょう。(笑声)
  55. 大澤融

    説明員大澤融君) 私が申し上げたことで十分おわかりになっていただいておると思いますので、この上、何も加えないほうがいいのじゃないかと思います。
  56. 森八三一

    ○森八三一君 大体私が最後に申し上げたことと、長官答弁とはイクオールであるということでありそうでありますので、そう理解いたしまして、このことはやめておきます。  それからその次に、同じ人件費で労務者の給与といいますかね、人夫賃といいますかね、そういうものがあるのですね。この人夫賃というものは先回の御説明では、地方における日雇い労賃をとっておるということでありますが、その日雇い労賃とは男の労賃であるのか、女の労賃であるのか、男女平均の労賃であるのか。通年平均の労賃であるのか、季節的な特定の時期をとらえての労賃であるのか、そのことをひとつ御説明いただきたい。
  57. 大澤融

    説明員大澤融君) 間違うといけませんから、調べてからお答えしたいと思います。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 それでは今の人夫賃の計算については、私のお尋ねいたしましたのは、地方における日雇い労務者の賃金を採用いたしております。そこまでは先回の答弁了承いたしました。その日雇い労賃とは、男の労賃か女の労賃か、平均の労賃か、通年平均の労賃であるのか、あるいは特定の期間における労賃であるのかということでお尋ねしておきます。そこで、今その数字が出てきてからお尋ねしようと思いますが、私は作業というものは、女ではできないと思います。これはきわめて重労働です。今日四斗俵一俵かつぐ、始末をするというような人は特殊労務者ですよ。これはおそらく農村の男の方でも、これを自由にやり得るという存在は何パーセントということであろうと思います。なかなかむずかしい。女の方ではおそらくできない。したがって俵装の問題等からしばしば論ずることであります、よく御承知と思います。それからこの受け入れ時期というものは、農村としては繁忙期です。八月のお盆で盆踊りをやっているときとは時期違いますね。といたしますると、通年平均の労賃をとるということは、実態に各わないということなんです。そういうことも十分考えていらっしゃるか、具体的にお示しをいただきたいということです。  それからその次に、これは資料が出てからお伺いいたしますが、労務者に対しましては、農村における実際の雇い方といたしまして日給千円なら千円ときめますけれども、なかなか千円ということでは、事実今日労務者を確保することができない。ときには作業の関係で夜おそくなりましても、仕事をやってもらわなければならぬという場合があるということで、私どもが実際にこの仕事を担当いたしております集荷機関について調査いたしますると、きめられた約束ごとに基づく給与のほかに、平たく申せば一ぱい差し上げて気持よく帰ってもらうというような雑費に属するものといいますかね、これは実質給なんですよ、僕に言わせれば。そういうものが相当出ていると思うのです。そういうものは、この計算上には少しも勘案されておらぬと思うが、そういうものを勘案すべきだとお考えなのか、そういうものは勘案する必要がない、昭和二十七、八年のころで今日のように農村の労務が払底しておらぬときは、まだそう目を三角にして論議することもない。今日の農村の労務の実態というものは、まさに底にまできているということですから、昭和三十七年産米のことを論ずる場合には、過去は論じませんよ、今日の時点に立てば、そういうものをなにがし見てやるということが当然の措置と思いますが、そうはお考えになりませんか。
  59. 大澤融

    説明員大澤融君) それも研究させていただきたいと思いますけれども、労賃の額の中には、二十八年度それから最近の需給状況、そういうものを新たに反映する形で出てきていると思いますので、考え方としては、昔と今と変えなければならぬということにはならぬのじゃないかと思いますけれども、別の問題として検討はさしていただきたいと思います。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 これの実態を新たに検討するという言葉ですから、その言葉の裏には、ほんとうに好意を持って検討するという内容が含まれていると、私は、理解をいたしますから申し上げませんけれども私の承知いたしておりますところでは、労賃の計算は三百九円というものをベースにして、それから取り扱い数量が昭和二十八、九年当時とはふえておりますので、そういうような取り扱い数量の増を勘案したことと、その後における一般給与が公務員のベース・アップと同じように上がっておるものであろうという見地に立って計算されておると思うのです。そのベースの三百九円なんというのは、これはあと資料をちょうだいできればわかりますが、これは実際何といいますか、架空な賃金ですよ。今三百円で農村で重労働をやる人夫があるかないかというと、これはおそらくだれが考えたってこんなことは問題にならぬと思う。この特殊技能者が、今日のニコヨンという言葉、ないと思いますが通例言いますから、そういう表現をいたしますけれども、そういう諸君と比べてそのくらいの存在だということでは、これは常識的に問題にならぬと思うのです。かりに日雇い賃金というものについて考えるという場合でもこの労務の実態というものから何がしかプラス・アルファをしなければ作業はできないということに気がつきませんか。ただ形式的にそういうことでよろしいと、昭和二十七、八年のころはまだ農村労働力というものが今日の状態とはあまりにも違っておりましたから、これはそのときの可否を今論じておりません。昭和三十七年のものをきめるについて、農村労働力の実態というものをどこまで把握するかという事実に私は基づかなければいかぬと思う。その場合には自由労務者より低いようなものを形式的にとらえて、それで論ずるということは、この仕事の特殊性というものにかんがみますれば、あまりにもナンセンスなことだと、こう思いますが、そうはお考えになりませんか。
  61. 天田勝正

    ○天田勝正君 関連して。先ほど来森さんから適切な御議論がありましたが、労賃の問題ですが、農村における日雇い労賃を基準にして云々、こういうわけだけれども、実態は、私は物好きですから新聞に出たのを、秋田、山形あたり、ああいう東京よりも離れている地帯でも、必ず農繁期においては千円をこえ、かつ酒を飲ませ、そしてオート三輪で送り迎えだ、こういう、新聞に出ておったものですから、実際にそれを調べてみたのです。そうしたらまさにそのとおりだと、こういうのです。それは大都市と離れている地帯でもそのとおり。われわれのような埼玉を例にとりますれば、これは農繁期であろうとなかろうとにかかわらず、とても今日千円などでくる人は一人もいない。これが実態です。普通勤める人は勤め初めにはそれほどの金を取っておらないかもしれないけれども、しかしそれ以上でなければ来ないというのが実態です。それからもう一言しておきますことは、米をかつぐなどという大それたことでなくて、米俵をゆわくこと自体、そのことをできる人が農村にいなくなったというのが、この近郊の農村における姿です。私の生まれた村あたりでも、もう米俵をゆわくなんというのは、特殊技能者に属しまして、四十、五十の人をその際に頼まなければならない。私の家自体もそうなんです。だれもゆわけるものは一人もいない。こういうことで、そこで特殊技能というのは、そのときどきでまことに変わるものだなあと私は感じておるのですが、よく人間文化財というようなことをいわれますが、あれも今だから人間文化財、もとをただせば普通の職人が普通にやれたことを今日その人がやれるというだけなんです。冷酷な言葉でありますけれども、そういうことでしょう。もとだったら久留米がすりだって女の人はみなやれた。ところがそれをやれる人がいなくなったときに初めて人間文化財と、こうきた。この本の製本、昔の製本にしてもみなそのたぐいです。ですから、かつては下級労働者のごとく見られた者が、今日は特殊技能者として非常にすぐれた技能者としての価値がここに生まれてきた。ですから農村における日雇い労賃を基準にして云々ということになれば、この取り扱い手数料などは、もう暴騰するということになりますが、それでよろしゅうございますか、そういうふうに理解して。見方を変えるといいうのじゃなく、むしろ、変えないでいけば、日雇い労賃というものはそういう実態なんだから、どうでもこうでもおそろしく暴騰をせざるを得ない、そういうことに帰結すると、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか、ついでにひとつ。
  62. 大澤融

    説明員大澤融君) 天田先生のおっしゃるお話し、私必ずしもよく理解できないのですが、この日雇い労賃のことは物賃統計、あれでやっておるわけですから、先ほど来天田先生から御指摘のあったその賃金、金を払う以外のいろいろなもの、そういうものを技術的にどうつかむのかという技術的な問題もありましょうし、あるいはまた、過去二十八年からやっておりました方法について、背景になっている労働力の需給状況というようなものについて、やり方自体を基本的に変えるというようなことが妥当なのかどうなのかというようなことについて比較検討をさしていただいて解決をしていきたい、こう思う次第であります。
  63. 森八三一

    ○森八三一君 その比較検討ということはけっこうです。けっこうですが、長官、あなたが今食糧の集荷配給の第一線の責任者として処理されているという立場に立ってお考えになります場合に、農村の労務の実態というもの、それからその仕事の特殊性というものを考えますと、昭和二十七、八年のころの物賃統計でやったということを私は非難しているのじゃないのですよ。そういうことではいけないということをお感じになりませんかという、あなたの気持を聞いているのです。その気持がそうでないと検討する場合にゆがんでいってしまう。気持がすっとまっすぐになっていると検討もまっすぐにいくんですね。そこを聞いているのです。
  64. 大澤融

    説明員大澤融君) ですから、私の気持といいますか、態度をきめるのにいろいろ検討さしていただきたい、こういうことを申し上げておるわけです。
  65. 森八三一

    ○森八三一君 態度をきめる検討はいいのですが、あなたの感じとして、農村の労働力の実態、この仕事の特殊性というものを機械的な物賃統計でやるという感覚はいけないとお感じになりませんか。検討の前の問題だと思うのです。
  66. 大澤融

    説明員大澤融君) せっかくの御指摘でございますけれども、単に感じでものを申し上げても何だと思いますので、確かに労働力の現状というのは三十年ごろと非常に変わってきているというようなことも、私ども承知をしておりますけれども、そういう背景の中で二十八年と同じような形で去年、ことしやってきたわけです。そこで急に変えなければならないというようなことのためには、考え方をよほど整理してかからないと、今までやってきたことを変えるのにはなかなかむずかしいことがあると思うので、そういう意味で慎重な検討をさしていただきたいということを申し上げておるわけです。
  67. 森八三一

    ○森八三一君 これもどうも私の申し上げておることは、気持の上では了解されておると思いますので、今後出てくる具体的な作案を見た上でまたお尋ねしよをと思いますが、この点はほんとうにお考えになりませんと、ただしわ寄せを集荷機関に及ぼしておるというだけでは、私は重大な食糧のことを取り扱うのには最善のものではない、少なくとも食糧に関する集荷配給の混乱を来たしてはたいへんなことになる。そのことについては責任を持たしてやらしている。その者にいたずらなる経済的なしわ寄せを与えて涼しい顔をしているというような態度は、これはもう率直に改めるべきだと思うのです。しかしそういうように改めるべきことについてのいろいろな御検討は、これはなされなければなりません。いいかげんにつかんではいけません。いけませんけれども方向としてはそういう方向にあるということぐらいだけはお考えになっていると思いますから、これ以上申し上げませんけれども、それを理論づけるための調査研究は必要ですわね。けれども方向としてはそういう方向にあるのだということは、これは賢明な長官おわかりになっていると思うのですがね、そうでしょう、わかっているでしょう。まあ、わからんとおっしゃいませんから、わかっておるというふうに私は了解をいたします。人件費の問題はその程度にしておきます。  それからその次に事務費の問題ですが、これは非常に思いやりのある計算がなされておる。それはこういうような非常に緻密なことをやらなければならぬので、たまには浩然の気を養うといいますか、そういうような意味でレクリエーションの費用なんかがプラス・アルファで見込まれておる。これはまさにヒットだと思うんです。これが昭和二十八年から三十七年まで、せっかくのこのあたたかい思いやりが金額的には据え置きになってしまっている。これでは仏を作ったが魂はちっとも入ってないのです。これはどういうわけで据え置きになっているのですかね。これくらいのものはほんとうのあたたかい気持であれば、もうその後の鉄道運賃だって上がっていますし、公務員の旅費だって上がっていますし、われわれが閉会中に調査に行く手当といいますか、そういうものも上がっていますしね、これはこういうことに要する費用というものは膨大にふえていくということはわかりますが、こういうものを据え置きにしているという感じが、どうも私にに納得がいかないのだが、やはり時代に即するように今度は検討して改めるのでしょうね。
  68. 大澤融

    説明員大澤融君) もちろん、検討するということは必要でしょうけれども、物価修正をして据え置きということにはなってないのではないかと思います。物価の上がりというようなものを見てやってきておると思います。
  69. 森八三一

    ○森八三一君 それは長官ね、ちょっと取り消してもらったほうがいいと思うんです。私の調べた調査によりますと、当初から千五百円という具体的な絶対額がそのままずっと据え置かれているのです。物価の変動に伴う調整は加えられておらぬ。加えられているならば、私の持っている資料というか、私の調べが間違いでしたら私はあやまりますが、少なくとも私が承知しているところでは、絶対額千五百円というものが昭和二十八年からずっと昭和三十七年まで修正を加えているという事実はないと思いますので、もし私が誤っているとすれば、私のほうがあやまります。
  70. 大澤融

    説明員大澤融君) 私の申し上げたのが誤りのようです。訂正さしていただきます。
  71. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、この点は今長官のお気持ははっきり了解したのです。物価の変動によって修正しているというのはあなたの精神です。それを修正しておらんという事実は、あなたのお気持にそぐわないということになるのですから、今度の改定のときには、これはあなたのお気持どおり物価の変動によって修正していくと確信しておる、その確信どおりおやりにならぬとたいへんなことになるので、これはもうこれ以上申し上げんでもちゃんとあなたの顔つきでわかりますから、修正が行なわれるものと了解いたします。  それから旅費ですよ、この関係者の旅費ですね、旅費が昭和二十八年の見積もりから昭和三十七年の見積もりまで、これも誤っていれば私修正いたしますが、百七十三円増加しております。これは事務の実態の変遷というものも考えなければならぬことでありますが、先回の委員会で渡辺委員から詳細に事務の変遷について具体的な事例をあげて御質問がありました。そのときにあなたのお答えは、義務供出のときから予約供出制度に変わった後に事務はむしろ、私の聞き違いかもしれませんが、減っておるのではないかというような趣旨の御説明があったように考えますが、そこで私もこれは非常におかしいなと思って調べてみますると、義務供出時代から予約制度に変わりました後における事務というものは非常に変わってますね。これはたいへんなことなんですよ。というのは、義務供出当時はそのやり方が行政機関を通して県及び市町村というもの、そういうルートでずっとおりていって、それぞれ数量の割当が行なわれる。その間政府のほうでは集荷に対する協力とかなんとかに金をお出しになりまして、そうして県知事なり市長村長などを督励し、その際に調整委員の参加というものもあって、その連中を集めてやる費用等は集荷手数量ではなく、別のルートでそういう金が出ていたのですね。ところが予約制度になりますと、これは集荷機関がそういうことを全部やらなければならぬということで、私の調べでは部落別の集荷予定数量の決定及びその要請だとか、売り渡し申し込みの推進だとか、売り渡し申し込み委託の取りまとめだとか、売買契約の締結だとか、概算金の委託申請であるとか、さまざまのことが、従来はこれに類することまで市町村長さんのほうになり、県知事さんのほうのお仕事としてあった。そういうものに対してはあるいは地方交付金の中に織り込まれておったか別途に出されておったかは、まだよく調べておりませんけれども、そういうものが、全部集荷機関のほうへ変わってきた。特に昭和三十五年になりますると、授権計画の作成及び検査の立ち合いというものが新しく入ってきておると思いますけれども、授権の立ち合いというものは前からあったが、授権計画の作成だとか、その準備行動というようなことがまた三十五、六年ごろに新しく入ってきておるということなんかを考えますと、事務分量というものが非常に変わってきておる。あなたのほうでは長年のことだからなれてきておる、熟練工になったから能率が上がるだろう、こういうような考えがあるかもしれませんけれども、事務の実態というものは、非常に累加されておるということなんです。そういうことになりますると、いろいろな、食糧事務所のほうへ出向いて御指導を願うとか打ち合わせするとか、あるいは町村の集荷機関と県の取りまとめの機関あるいは全国段階の取りまとめ機関等との間における打ち合わせのための会合だとか、いろいろなことがこれはかなりふえておるのですね。その間また運賃は相当改定されておる。バスなんかに至りますと、おそらく昭和二十八年から考えれば十倍くらい上がっているのですね。また近く上がるらしいということを考えますとたいへんなことになる。というのは、この十年間に百七十三円の引き上げではこれはどうにも追っつかないということになると思う。これも実態に即するようにお考えになると同時に、人間についても昭和二十八年から、先刻御説明ございましたように基幹職員が一名、それから技術補助職員が三カ月分ということで、延べにいたしますると年間十五人分ですか、という計算になっていますね。これは先回の御説明で理論的にはわかったように思いますが、事務の内容がふえてきておるということだから、要する人件費というものも頭数を多少ふやさないと、同じ一俵を取り扱うのにいたしましても、事務的にはよけいの人手を要する。熟練したからということを勘案すれば別ですけれども、そうでないとすれば、これは機械的にふやさなければならないということも、私たちが実態を調査いたしますと、政府のほうのお気持は今申しましたように一・二五人ですか、一カ月に平均いたしますとそういうことだと思いますが、それが実態調査では一・四〇くらいのわずかなことではございますが、所要人員というものはふえておるという事実ですね。実態が存在しておるということは、私の申し上げた事務の内容に非常に変遷があり、しかもそれが累加されておるという事実の反映がそこに出てきておる、こう思う。そこで今のお尋ねは、取り扱い人員というものを通年十五人ということの計算が動いておらぬというのは少し酷ではないかということ、旅費について実態を把握しておらないということを感じますが、おそらくは御同感であろうと思うから、そのことも合わせて誠実に検討していただけることと思いますが、そう了解してよろしいですか。
  72. 大澤融

    説明員大澤融君) 事務の内容ですけれども、実際ふえておるかどうかという点、考え方によっていろいろ問題はございます。問題はございますけれども、今おっしゃったような点は、私どもとしては当然誠実に検討しなければならぬということはおっしゃるとおりだと思っております。
  73. 森八三一

    ○森八三一君 大体ほかにも会議費の問題とか、通信費とか、先回いろいろな御説明があった、資料は出ておりませんけれども、印刷、消耗費だとかそういうものが今私の申し上げました同様の趣旨において相当の累増がなされなければ、政府の仕事を委託しながら、しわ寄せだけを経済的に機関のほうに押しつけておるという批判をこうむらざるを得ない。それは非常に残念なことですから、そういうことについて十分ひとつ同じ趣旨において御検討をいただきたいと思います。  それから保管料の問題について関連いたしますのでお尋ねいたしますが、保管料の計算というものは、この前も御説明があった従価と従量ということの二つの条件に基づいて、それぞれ計算をしておる。これは倉庫の料率の認可について、そういうような手続がずっと進められてきておりますので、その方法によらざるを得ないと私も思います。思いますが、その場合に従価を例に申しますると、五等の政府の買い入れ価格というものを対象にしておるということですけれども、これは誤りではあるまいか。昭和二十七、八年のころには三等の買い入れ価格というものを基礎にしておられたということでありますが、やはりこれは一番中心的な存在である三等というものを対象に計算するということが、私は筋の通った方法と思いますが、従価ですからね。従価を基礎にとる場合、実体を表現しないものをとるということは、ただ安くしさえすればいいというだけの観念で行なわれるというようにしか理解できない。これはどういうことですか、従価ということは総和平均でしょう。あなたのよくおっしゃる総和平均、一番安いやつをとるというのは、これはどうもどう考えてみても筋が通らぬと思うのですが、なぜ五等をとっておられるのですか、これも三等に改めるのでしょう、今度は。
  74. 大澤融

    説明員大澤融君) ちょっと私森先生のおっしゃることは理解できないのですが、よくひとつ検討さしていただきます。
  75. 森八三一

    ○森八三一君 理解できないというと検討できませんから、理解してもらわないと困るのですが、保管料の計算については従価率によって一つの計算を立て、従量率によって一つの計算を立て、その合計が現行の六円何銭ですか、というものになっているのでしょう、そういうことでしょう、これはこの前御説明があったはずなんです。
  76. 大澤融

    説明員大澤融君) さようでございます。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 その場合従価の計算をいたしまする基礎金額というものが、五等の政府買い入れ価格というものを基礎にしていらっしゃる、これはあやまちでしょう。いやしくも従価というものをこの料率計算の基礎に持ってきておるゆえんのものは、それこそ入る貨物の中心的な存在をとらえるということでなければ、こういうような二つのファクターで計算するという趣旨がゆがんじまうんですよ。なぜ五等をとっておるのか。これは前からとっておるというなら、またそれは歴史を重んずることになりまするが、前には三等でやっておったんですよ。そいつをひょいと五等に変えてしまったということは、やはり食糧管理特別会計の赤字がふえちゃいかぬから、気の毒でもずっと安いほうで押しつけておけということにしたんじゃないですか。そういう不合理を繰り返してはいかぬので、あなたが過去においてはそういうことがあったとおっしゃるから今度逆用しますと、過去においてそういうことをやっておったんだから、過去をおとりになったらどうだ、こう言いたくなっちゃう、過去は言いませんが……。
  78. 松元威雄

    説明員(松元威雄君) ただいまの若干技術的点を御説明申し上げますと、確かに当初二十八年でございましたが、そのときは従価率の基礎は売り渡し平準価格でございました、おっしゃるとおり。それを当時の保管料のいわば経費を基礎といたしまして、それを従価と従量に割り振ると、その場合の従価率の基礎としましては三等を使っているわけであります。そういたしまして、当時の五円九十八銭というものをきめたわけでございます。それをその後三十年から御指摘のように、五等の政府買い入れ価格をベースにするということに改めたわけでございますが、その際、従来の保管料と実質的に同一になるように、従価率のほうの率を引き上げたわけでございます。つまりもとは同じであってそれを三等を五等に変えたから、それに見合った分だけ今度率のほうを上げたということであります。つまり基準価格に三等をとるか五等をとるかということは、このこととの相関連になるわけでございまして、当時五等にいたしましたけれども、それはそのために下げたわけではなくて率を上げたわけでございます。そういたしまして、その結果といたしまして、現行の六円十二銭というものをきめたわけでございます。それで御指摘のように、この立て方として、いずれがいいかという先生御指摘の点はあると思いますけれども、それによって額を削ったというわけではございません。
  79. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと理屈を抜きにして、この保管料というものは運輸省ですか、どっかで保管料率というものについては認可がありますね。そういうものと農業倉庫の場合全然無関係で、実際に農業倉庫を運営して参りまするために入り用な倉庫の償却費だとか、そういうものを完全に見積もってやるということをまず前提において、その額を導き出すためにどういう計算でやればいいかという逆算でやっておる、こういうふうに了解してよろしければ、今後農業倉庫の運営に要する実態をずっと洗ってしまって、そしてそれに要する費用が今より三培かかるならば三培ちょうだいできる、ここへ持っていってしまうということになりますよ。それではなかなかおさまらぬから、一応認可料率の二銭何厘とかいうものがあるでしょう、そういうものを使って導き出しておる。その導き出す場合に五等をとるということはこれは不当じゃないか、こういうことを申し上げておるんですから、だからあなたのおっしゃるように、実態的にかかる費用というか経費ですね、所要の経費というものを全部政府はみてやるんだという建前でやっているなら、どういう計算でやろうという中身が、全部従量率でやろうが、何でやろうが、一向おかまいなしじゃないか、そういう趣旨は私はわかります。今後実態を調査してどうなるか、これは双方から調査委員を出して、公平にインチキのない調査をして、なるほど農業倉庫を今作れば坪何万円もかかる、そいつの耐用年数を税金の計算で三十年なら三十年と押えて、残存価額を幾ら見てどうだということをやっていく。農業倉庫は米以外は入れてはいけないのですから、通年の回転率はどうだということになりますると、その費用を全部見てやるというなら、これはありがたいことですよ。それでよろしゅうございますか。
  80. 大澤融

    説明員大澤融君) 経過はそういうことだったと思うのですけれども、いろいろな技術的な問題を含んでおりますので、何等をとるかというようなことについても、十分先生のおっしゃることを頭に置いて、今後の問題として検討をさせていただきたい、こう思います。
  81. 森八三一

    ○森八三一君 大体私の申し上げておることは、最初はどうも理解ができなかったようですが、今のところでは御理解が願えて、その趣旨においてよく検討すると言うのですから、今ここで幾らどう申し上げましても、検討の結果が正しく出てくるか出てこぬかという数字を見せてもらわねば、あなたの検討は間違っていますよという指摘をすることができませんので、きょうはここで水かけ論はやめますが、ただ私がちぐはぐだと思いますことは、米のほうは政府買い入れの五等価格を基礎にして料率を当てはめてやっていらっしゃる、そうすると麦になりますと、今度は売り渡しの価格で、同じように倉庫へ入れる米と麦というのは確かに食ってうまいかまずいか、カロリーが多いか少ないかという差はあるけれども、常識的には米麦ということで、保管ということになれば一緒ですね。それを計算する場合に、米のほうは買い入れ価格の五等、そして麦のほうは売り渡し価格、これは麦のほうが逆ざやだものだから買うほうよりは売るほうが安いので、何となしにいやらしい保管料というものを、安いところへ、安いところへ理屈をくっつけちゃ導き出そうというような悪意に満ちた計算が行なわれておるように誤解をするんです。これはおそらく農林省のことですから、好んで農案倉庫の連中にうき目を見させようというような、やましい考えで計算をされておるものとは私は思いません。思いませんけれども、出てきている実態を見ると、米のほうは三等をとっておったのが五等に変えちまったわ、しかもそれは買い入れ価格だ、麦になると今度は逆ざやになったものだから、買うほうより売るほうが安いので、売るほうの基準価格をもってきて料率をかけると数字が出てくる、そういうことですと、いやらしい感情を持ってしまうのです。これはやはり売り渡しなら売り渡し、買い入れなら買い入れ、そして中心的存在である三等なら三等ということに改められるということが私必要だと思いますね。その場合に、認可料率の二銭何厘をとるかとらぬかということは、問題になってもいいと思うけれども、ものによっていやらしい感じが持たれがちなことをやっていらっしゃるのはおかしいと思うのです。これはどうでしょう。
  82. 大澤融

    説明員大澤融君) いろいろのいきさつがあって、そういうことになっておるんだろうと思いますけれども、いきさつも尊重しなきゃならないと思いますが、御指摘のような点、ひとつこれまた十分検討させていただきます。
  83. 森八三一

    ○森八三一君 いきさつを尊重するという言葉は、私も必ずしもむげにしりぞけはいたしません。いたしませんけれども、悪いいきさつを改めるということは当然のことですから、検討するという役目がそこにあると思うのです。だからその趣旨を含めてひとつ御検討をいただきたい。きょうは私もう少し長官と方向というものをはっきり導き出すように、お互いに誠意をもって具体的な問題ですから論議をいたしたい、そして今後の食糧政策にあやまちなきを期したいという感じで、相当自分なりに集めた資料を持ってきております。おりますが、ことごとにどうも私の申し上げることは、顔つきではもっともだ、だからひとつ検討しよう、検討しようというので逃げられてしまうので、どうもこれ以上質問を繰り返しましても、のれんを押していおような格好になってしまう。きょうはこの辺で一応私の質問は終わっておきますが、以上申し上げましたことを、長官のことですから十分御理解を願って御検討を願えると思いますが、とにかく食糧管理特別会計の赤字にこれはつながってくる問題ですから、そういうような財政の面から不合理な数字を何とはなしに理屈づけをしていくということは、私は許されぬと思う。ほかのこととは違って、事食糧に関する問題ですから、これはひとつあやまってもしそういうような手数料では取り扱いはできません。取り扱いをこれは集荷機関がやらなきゃならぬということはないので、契約に基づいてやるのですから、もし放棄されたというようなことはなかろうと思いますが、そういう事態に追い込んだらたいへんなことで、また集荷いたします者が保管のほうはいたしませんということになったら、これはたいへんな問題が起こる。これはだれの力を借りぬでも国内の混乱を導き出すことはいとやすいことと思います。今この重大なときに、特に食糧の問題ですから、国内が混乱の極をきめるというような不安の状態が起きてはいかぬと思うので、甘やかす必要はありませんけれども、ほんとうに合理的に必要とする経費というものは見てやるというくらいのことは当然のことと思います。そういう趣旨に立ってひとつ御検討いただきまして、検討の結果を発表してしまわれると、もう抜き差しならなくなり、かみしもをつけなければなりませんので、大体こういう数字になるだろうというようなことを、事前にひとつこの委員会にお諮り願って、みなで衆知を集めて間違いない方向をつかんでいきたいというふうにいたしたいと思いますので、検討の結果が公にされます前に、ひとつご相談いただきたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。行政の問題にわたるので、国会はそんな権限はありませんとおっしゃられれば、それは確かにそのとおりです。しかしこの重要な問題を論議しているのですから、公でなくても、ある程度やわらかい意味でもお示し願って、建設的な意見を申し上げるくらいの余地というものは残して置いてもらわなければならない。お前さんの意見を聞いて検討した結果がこれだと、つっけんどんにやられてはたいへんだ、必ずしも公の委員会でなくともけっこうです。懇談会でもけっこうですから、何かなごやかにいくという空気だけは作ってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 大澤融

    説明員大澤融君) 正式な議題として御相談申し上げるということのお約束をすることは何かと思いますが、何らかの形で、もちろんこの問題をきめますときは、団体のほうの御調査もいろいろございます。そういう方面の御議論もいろいろお聞きしてやらなければならぬことでしょうから、あるいはまた森先生はいろいろ資料をお持ちのようでございますから、私どもにそういうものをひとつお見せ願って御指導願いたいと思います。
  85. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 約束した資料の提出がないので非常に戸惑うわけです。第一こうしたようなものが当然出てきたのは、こういうものに対するバック・データが事前にあったと思います。そういうものなしにきょうやることは、当然やはりそういう資料がなければ、こういう審議が実際は具体的に進まぬと思うのです。そうしますと、やはり集荷業者としては、非常に大きな不安とまた改定されるだろうという期待の錯綜の中で、その間ある日数を経過するわけですが、いつごろその資料を出されますか、まずその点からお聞きしたい。
  86. 大澤融

    説明員大澤融君) いろいろ検討しておりますので、日ならずして出せると思いますけれども、いつということをちょっと申し上げかねると思います。なるべく早く出したいと思います。
  87. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 しかし、すでに五十円というものを決定しているのに、それを検討するということは、改定をするという意図を持って検討されていると理解していいですか。どうですか。
  88. 大澤融

    説明員大澤融君) 改定するしないは別といたしまして、団体のほうからもいろいろ御調査がございます。そういうもの等と突き合わせるというような作業も必要でございますので、そういう意味で検討させていただいております。
  89. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは前回に長官説明されたことに限って質問する以外にデータがありませんから、そういうことでお伺いいたしますが、第一の労務費の、反当労働日数というものは、一・二五人というものが基礎になって算出されたという説明がありました。その年間一・二五人で十五人分というものは、どういう調査によって出されたものでありますか。
  90. 大澤融

    説明員大澤融君) 二十八年の調査をベースにいたしましてやっております。
  91. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、先ほど森委員からもいろいろ質問がありましたように、たとえばリクリエーション費であるとか、あるいは通信費であるとかそういうものがずっと据え置かれているということが、森さんの資料と称するもので紹介されたのでありますが、当然今度出される資料は、松元企画課長も聞いて下さい、今度出される資料というものは、割当制当時に四十円を決定したデータと、予約制に移って四十八円になった三十五年までに据え置かれたデータと、三十六年、三十七年が五十円になったデータ、それぞれのやっぱり傾向をその内容によって伺いませんと、この内容の了解ができにくいわけであります。そういう点の資料を出していただきたいと思います、出せますか。
  92. 大澤融

    説明員大澤融君) 承知いたしました。
  93. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ただ、その資料をこの次は出していただけるわけでありますが、実際二十八年のデータで一・二五人であるという今の長官答弁でありますが、その後この前私が指摘をいたしましたように、今日割当制から予約制に変わった段階では、この前も具体的に集荷要綱によって私が新たに付加された業務を累次取り上げてここで明らかにしたのでありますが、そういう事務費の累増というものを傾向としてどういうふうに見ておられるかということ、それからそういう人件費よりはむしろ事務費にこの割当制当時より予約制に移行してからの分担が非常に増嵩してきていることは、これは疑いもない事実であります。そういうような制度の変わりによって出てくる事務費の増嵩というもの、そういうものを割当制当時から予約制に移った以降においてどういうふうに見ておられるか、そういう点もやはり二十九年以前と三十年から三十五年、三十六年、三十七年とそういう中でそれを立証するバックデータ等もひとつ合わせて御提出を願いたいと思います。特に管理費等におきましては、非常にその取り上げ方が不十分であると思います。たとえば共通管理費として見ている人件費でありますが、これは三十一名見ているにすぎない。しかし、現実はこうしたような仕事を遅滞なく十分責任を持って遂行するためには、役員の分担もあります。そういう人件費が見られていない。あるいはそういう管理職の仕事を遂行するためのいろいろな事務費も、管理費的なものの中に含まれておらぬのでありますが、そういう点も十分事務を遅滞なく責任をもって遂行するために必要な経費はやはり見る、その非現業負担部分を見るというような、そういう要素が非常に欠けていると思われますが、そういう点もやはり十分ひとつこの仕事を指定集荷団体に全責任を持ってやらせるという建前から、そういう要素も、もしも落ちているなら、これを要素として取り上げるというふうな考え方で、これらの手数料の要素というものを十分考慮していくという点について十分これは考えていただきたいのでありますが、この点についてお考えはどうですか。
  94. 大澤融

    説明員大澤融君) そういう問題もあろうかと思いますので、団体のほうの御調査によっていろいろ検討さしていただいております。それから御指摘の資料は、できるだけ努めたいと思います。
  95. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それから特に法定福利費の点でありますが、この点は非常に取り上げ方が不十分な点があるのじゃないかと思うのであります。たとえば国家公務員ベースで見ているのでありますけれども、実際国家公務員でも、たしか三十三年の七月から国家公務員共済組合が実施され、それに対する負担というものが新たに出ております。健康保険の負担その他は既存のものを見ていると思いますが、そういうものをやはり法定福利費の中に見なければ実態にそぐわないわけであります。また逆に現実の集荷団体の立場からいいましても、三十四年の一月から農林漁業団体共済組合が実施されて、これによって新たにやはり事業主負担というものが千分の三十九というものを新たに負担している。たとえばそういう要素をやはり無視したのでは、法定福利費の計算は適正ではないと思うのでありますが、そういう点はやはり十分考慮して計算の中に入れていただけますか。
  96. 大澤融

    説明員大澤融君) 御専門の立場からの御指摘でございまして、私どもひとつ十分検討さしていただきたいと思います。
  97. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それから人件費の点については国家公務員のベースにすると言いますけれども、それは本俸と、それから家族給とか、あるいは暫定手当及び期末手当が支給されております。そういう確定された要素まで国家公務員ベースで計算する場合は算出をいたしませんと、適正を欠くと思います。それはまた現実の指定集荷業者としては、そういう支給をやはりいたしているわけでありますので、そういう点も料率計算の基礎資料として十分織り込んでいただけますか。
  98. 大澤融

    説明員大澤融君) その点については、先ほど森先生のほうからも御指摘があってお答え申し上げておりますが、そういうふうに処置さしていただきたいと思います。
  99. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは、この米の集荷手数料の点については、冒頭に申しましたように、いずれ資料の提出がなくてはさらに具体的な計数として質問をするわけにも参りませんので、先ほど御要請をいたしました資料はひとつなるべく早く提出を願って、そうして次の委員会等で十分検討させていただくことにいたします。  それから保管料の問題でありますけれども、先ほど寄託価格の建値の点についてはるる質疑応答がありましたので、それは森委員と同じ意見を強く申し上げて、当然三等建でやっていただくということになるわけでありますが、料率の点については、農業倉庫は、政府あるいは地方長官の認可を得た徴収し得る認可料率があるわけであります。こういう料率というものをできるだけ、やはり計算の従価率、従量率の中に取り入れる寄託価格の三等建とともに、その認可料率を従価率、従量率の加算した料率にこれを活用する、適用するということを、これはやはり強く料率算定の基礎として要請をいたすのでありますが、その点のお考えはどうですか。
  100. 大澤融

    説明員大澤融君) その点についても、十分検討させていただきます。
  101. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) これにて休憩いたします。    午後零時二十二分休憩    ————・————    午後一時四十二分開会
  102. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  委員の異動について、御報告いたします。  九月三日付をもって委員北條雋八君辞任され、その補欠として原島宏治君が委員に選任されました。  本日付をもって委員原島君が辞任され、その補欠として北條君が委員に選任されました。   —————————————
  103. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 右の結果、当委員会理事が一名欠けることになりましたので、この際、委員長はその補欠として理事に北条君を指名いたしたいと存じますが、御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  105. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 菜種の基準価格に関する件を議題といたします。質議のある方は、御発言を願います。
  106. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 きょういただいた農林省弘報を見まして、菜種は、ことしの作付面積は十七万五千町歩、三十六年に比べて一一%減の二万二千町歩が減少しておるという数字が出ております。このうち、菜種の作付転換、特に六月二十一日の農林統計調査部の資料によりますと、不作付となった面積が一万二千三百町歩という多きに達しておるという報告が出ております。一方、農産物の需要と生産の長期見通しを見ますと、菜種の四十六年度までの生産の見通しは、作付面積が十九万九千町歩、三十四年に対比して四・七%の作付面積の増、生産量についても、三十四年の二十六万二千トンに対して四十六年度は三十三万トン、二割六分の生産の増加を長期見通しで出しておるわけでございます。この長期見通しをふまえて現状を見ますと、作付面積の増加というよりは、むしろ逐年面積が減少してきておるという傾向があるわけでありますが、こういう現実の現象の事態と、長期見通しにおける、わずかではありますが、三十四年度に比べて四・七%の作付増加という大きな見通しとのズレが現実にあるわけであります。一体、この国内産の食用油脂資源としての菜種の位置づけというものをどういうふうに見ておられるか、その点からまずお伺いいたしたい。
  107. 大澤融

    説明員大澤融君) おそらく長期見通しの中にも油の需要というようなことを見ておったと思いまするけれども、その中で国産の原料で需要される油がまかない得るということになりますのが最も望ましい形でありますけれども、必ずしもそういうふうにはなかなかいかないと思う。そこで、油の中で国産の菜種がになう役割というのは、今お話がございました程度の面積になり、収量になる、十年後、四十六年ですけれども、というふうに見ておるわけです。しかしながら、この見通しは、現状いろいろと前提があって見通しが立てられております。そういう意味で、たとえば面積にいたしましても、十年後という場合に上がり下がりがある。一直線に上がっていく、あるいは一直線に下がっていくというようなことではおそらくないので、上がり下がりがあって、現状のような前提でおるならば、そこへ到達するのではないかというような考え方をしておりますので、たまたま三十七年は三十六年産に比べて確かに減っております。労力不足というようなことが大きく響いて、不作付面積が多くなっておるというようなことじゃなかろうかと思いますけれども、かたや構造改善というような仕事も進んでいきます。また、品種の改良とかいうようなことも進みますし、あまり人手をかけないような菜種の栽培方法というようなことも研究され、おそらくは実施に移されていくというようなことにもなろうと思いますので、そういうようなことを考えて、大体十年後にはこの程度になるのじゃないか、そしてその程度のもので国内で需要される油の原料としては、大きな役割を果たしていくのじゃないかというふうな考え方だろうと思います。
  108. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 現実は、そういう長期見通しとは逆に、ことしの計画自体でも国内産が二十四万九千トンの生産量ということに対応して、需要に応ずるためにはわずか七万トンの菜種を輸入に仰いでおります。一体この菜種というのは、国内の農産物のうちで成長農産物と見ていいのじゃないかと思うのですが、そういう国内の需要を国内の農産物でまかなうという建前からいえば、かなりやはり国内産菜種の生産についても成長部門として、これを今取り上げた農業基本法の選択的拡大という角度からも、そういうふうに菜種を位置づけていいと思うのですが、そういう点はどうですか。
  109. 大澤融

    説明員大澤融君) 確かに油の資源というのは、なかなか国内で自給するような状態になっておりませんので、それの重要な原料である菜種、それを成長作物たらしめるように私ども努力しなければいけないというふうには考えております。
  110. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、再び六月二十一日の農林省統計調査部の菜種の減反の理由としてあげておりますのは、台風被害による苗不足、これが第一点であります。それから第二点は、菜種価格の低下というものを第二点にあげております。それから第三点は、労力事情ということで、三つの減反の理由をあげているわけであります。この菜種価格の低下と統計のデータの中から減反を原因づけているそのことと、今、長官がおっしゃったように、菜種はやはり成長農産物である、そういうふうに指定をされたことについてでありますが、同じく農林省で出した長期見通しにはいろいろ施策の要点を述べております。その述べている五つの生産性向上のための施策が十分に講じられる必要があると並べている五つの理由の一つには、成長農産物の順調な発展をはかるためにも、農産物の価格の安定、流通機構の整備に関する施策を促進すること、こう指摘しているのでありますが、現実に菜種価格が低落をしていることが減反の理由であるということと、長期見通しの中における施策の成長農産物の価格の安定というものとは非常に一致しないという矛盾が見出されると思いますが、その点について長官の御意見を伺いたい。
  111. 大澤融

    説明員大澤融君) 生産選択的拡大というようなことですけれども、やはり総生産を増大していくという場合には、経済性を持った生産ということが前提になると思います。しかも、自由化というような国際的な波の中で、いわば自由化の影響を直接受けないというようなことで今の制度もできていいるわけであります。そういう意味では、だんだん生産性を上げて、外国の農産物油資源にも太刀打ちができるようになるという形で生産を伸ばしていかなければいけないわけで、そういう意味では価格を相当なところで支持をする、相当なところの水準にとどめるというようなことにたよっておったのでは、なかなかそういうところにいかない。やはり合理的なベースでむしろ生産性を上げるような努力を、これは振興局のほうでおやりになっておるのですが、いろいろの施策をおやりになっておる。そういう施策の進捗と相待って生産性も高まり、生産も上がるというような形に持っていかなければ、やはり成長作物というわけにはなかなかいかないと思います。そういう形で、私どもは菜種を成長作物にしていきたいという気持を持っておるわけであります。
  112. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、非常にニュアンスの違いといいますか、この法律が前の国会に出された際の菜種価格の考え方は、前の長官の繰り返しの説明にもありますように、強く保証を農民に与えて、保証価格をこの基準価格の性格にするということがうたわれておるのです。そういうことをさらに内容としながら、貿易自由化の影響をこの交付法でカバーしようということが、手段として出てきておると思うのでありますが、その生産性の向上については、後ほどこまかく伺いますが、今長官のおっしゃった自由化の影響によって生産が減退しないような保護的な措置として交付法が出されたことから見ますと、この前も時間がなくて単に意見だけを申し上げたんでありますが、輸入大豆から換算して国内の農家の庭先渡しの菜種の価格を計算いたしますと三千二百十一円になります。なお、現実にアメリカで市場に出回っておる輸入大豆の価格を同じく国内の農家の庭先の菜種に換算したものをとってみますと、これは三千三百三十四円四十二銭になっております。そういう貿易の自由化によって現実に取引されておるアメリカの大豆価格を国内の農家の菜種価格に換算いたしますと、三千三百三十四円以上になっておるものを、貿易自由化の影響を受けないための交付法であれば、少なくともその基準価格はこの出回り価格を下回ってはこの立法の趣旨に反すると思うのであります。三千百八十円とか、そういうものではとうていこれらの貿易自由化の影響から交付金はその役割を果たしていないということになるわけでありますが、そういう点から勘案して三千百八十円というものは、きわめて貿易自由化の防衛措置としては適当ならざる基準価格であると思いますが、その点はいかがですか。
  113. 大澤融

    説明員大澤融君) 国際価格に対して自由化の影響を受けない基準年次の所得は保証しましょう、少なくともその所得までは保証しましょうというのが基準価格だと思います。そういう意味でただいまおっしゃったように、国際価格が非常に高いものだ、基準年次の所得よりは高いものだというようなときが来れば、もちろんそういうふうになるためには、国内の生産性が非常に上がるということがなければ、なかなかそうならないと思うのですが、そういうふうになれば、この交付金制度というのが果たす役割はむしろ終わったんです、そういうときが来るまでこういうことをやろう、そういうことが早く来ることを期待している法律だというふうに考えております。
  114. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうもそういうふうなことでは納得いたしかねますが、いずれまたその点に戻るとして先に進みますと、今の生産性向上ということでありますが、そういうことを今度の基準価格を算定する場合には、どういう要素を取り上げられた計算の経過が出ておりますか。
  115. 大澤融

    説明員大澤融君) 基準年次の反収に対して三十七年の推定反収はどのくらいになるかということで、生産性の向上を織り込んでおります。
  116. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 その基準年次というものは、この前も申しましたように、三十二年は異常な減収の年であったわけです。そういう減収の年を含めたものを基準年次として、しかも水田裏作のようなものが四割五分も減収をして、そうして出てきたものを突っ込みで生産性向上という要素に、それだけを取り上げること自体にも非常に問題があると思うのでありますが、そういう点を、この前も一つの計算の仕方としては、基準年次がそういうふうな不合理な、不合理といいますか、アブノーマルな、三十二年も基準に入っておるのでありますから、そういう点をもっと平年反収にこれを置きかえるという操作もこれはやればできる、そういう点の具体的な数字もこれを基準年次から遡及して七カ年をとって、その間の最高最低の年を除いた平均をとれば百三十キロになる、そういう基準年次の取り方をまずとって、そうして三十七年五月なら五月の反収というものとの比率を出すということについて強く希望甲したのでありますが、そういう取り上げる御意思はないのですか。
  117. 大澤融

    説明員大澤融君) 基準年次という場合には、そのときの物価ですとか、あるいはそのときの菜種、大豆の生産性でありますとか、あるいは菜種、大豆等の価格というようなことが総合的に一体化されているものとして基準年次を考える、御指摘のように、そのときは確かに反収が低いときだったと思います。しかし、そういうことは物価だとか、価格だとか需給関係だとかいうようなものと結びついて、そういうふうに全体として基準ということを考えなければいけないので、そのときの基準年次の反収だけを切り離しまして、平年作としてはこのくらいだというものを求めて価格決定しようという年と比べるというようなことにはならないのじゃないか、むしろそういうことならば価格だとか何とか、そういうものすべて同じような考え方で歩調を合わせて一体として基準年次というものを考えなければいけない、なかなかそういうことはむずかしいので、やはり過去において現われた一つのときをとらまえて一体として考えるということでなければいけないのじゃないかというふうに考えております。
  118. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 その反収の取り上げ方が生産性の向上というのですが、生産性の向上というのは反収だけで十分足れりとお考えですか。
  119. 大澤融

    説明員大澤融君) 生産性の向上という場合には反収だけでなくて、たとえば反当たりの投下労働時間というような考え方もあると思います。しかし、今まで出ております統計としては、生産統計というようなものが最も信頼しやすいものですから、生産費調査から見て反当労働時間、あるいは反当たりの投下労働時間というものは出てくるわけですけれども、菜種の生産費調査というのは二百七、八十戸の農家というようなもので大体の傾向はつかめると思いますけれども、生産性を見る場合は、やはり生産統計で出てくるようなことでつかむのが現在としては最も妥当な方法じゃないかということでやっておるので、生産性のつかみ方としては、これだけに限るということではなかろうと思います。
  120. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、生産性の向上によって労働時間はどう変わってきておるか、その点を伺います。
  121. 大澤融

    説明員大澤融君) これは生産費調査から見ますと、三十一年に、たとえば、反当ですが、百十一時間だったというようなものがあるいは三十二年百五時間、三十三年が百二時間、基準にいたしますとこういうようなものは三十一、三十二、三十三が基準年次ですから、平均して見ますと、おそらく百時間ちょっとということになると思いますけれども、三十六年に至っては八十六時間というような非常に生産性が上がっているというような数字が出て参ります。
  122. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 今長官が使った資料は、生産費調査ですね。それだけ生産費調査がやはりよりどころになるならば、なぜ生産費をこの基準価格を使うときのもっと重要的な要素として勘案しなかったか、その点を再び質問しますが、なお、つけ加えて申します。政府が出した三十六年十二月二十一日のこの法律の暫定措置の施行令に、この前も言いましたように、第二条の第一項に、今の基準年度に対する農業パリティ、これをかけろということがうたってあるんです。その金額、三年の基準年次にパリティの指数の平均で除して算出する、その金額及び菜種の生産費等生産の事情、こういうふうに生産費というものを明瞭に施行令で算出の基礎要素としてうたっている。あなたが今私に労働時間を説明する際に使った、二百六十戸や三百戸程度であるから、あまり信憑性というものもどうかと思うという裏には、そういう答弁に都合がいい材料とか、生産費調査を使う。私たちはやはり政府みずからが政府責任調査をした生産費調査をそのまま信用して、この生産費を施行令にうたっているように、パリティの係数をかけた金額及び生産費というものを明確に基準価格決定要素に織り込まれることを、前回も強く要請したのでありますが、この点の三千百八十円に至った生産費指数、係数をどのように科学的にこれを織り込んだか、その経過を伺いたいと思う。
  123. 大澤融

    説明員大澤融君) 生産費調査そのものは、先ほど言ったように、なかなか使いにくいと思いますが、時系列的にやっておりますので、その傾向としては十分参酌することができると思います。年々低下しているというのは、御承知のとおりと思います。労賃の上がるというようなことで非常に変動はございますけれども、そういったようなことで、そのものを使うということは、なかなかできにくいと思いますが、御承じのように、菜種の生産をしておられる方、平均しますと一反歩にもならないというようなことで、非常に自給的な色彩が多いと思います。私どもが、生産性を上げて、今後伸びていってほしい、成長作物になってほしいというような菜種生産を考えます場合には、先ほども私が申し上げましたように、経済的なベースで、相当高い生産性で、国際価格とも太刀打ちができるというような生産が伸びていく、そういうものの再生産が確保されていくというようなことを望んでおりますので、ここで出てきた生産費そのものを保証しなければならないというようなことじゃなかろうというふうに考えております。
  124. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、この法律の中で再生産を確保するということがうたってある。これは法律の経過からいっても、当初政府の原案にはなかったものが修正をされて、これは明らかになって出ているわけです。国会で強く要求したそういう要素がいかに法律の上にうたわれても、再生産を確保するということについては、今の現実の生産費調査からみれば、三千百八十円というのは、きわめて低きに失する価格である。その再生産確保というものは、三千百八十円という数字は、どう理解していいんですか。どのようにこれを説明しますか。
  125. 大澤融

    説明員大澤融君) 基準年次ベースの価格といいますか、価格水準を保証する、所得水準を保証するということで、さらに生産性を上げるという努力をしながら再生産を確保する、生産をしていくということでございますから、基準年次の所得に見合ったものを保証して参るということになれば、経済ベースで選択的な拡大という中で成長作物として伸び得るような菜種生産、これはりっぱに再生産が確保されるというふうに考えております。
  126. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 基準年次における生産費は三千八百円をこしておりますよ。三十一年——三十三年の平均は、政府調査した生産費ですよ。それが、長官が言うように、生産性の向上によって約百二十円ばかり下がっておる、生産費は。それは政府のみずからの資料によっても明らかでありますから、これはそのとおりであります。そういうふうに生産者がみずから生産性の向上に努力し、政府施策は何ら見るべきものがないにかかわらず、そういう努力をして、生産費が基準年次よりは百二十円も下がっておる。下がった値段が三千七百八十一円という数字が農林省によって示されておる。そういう数字があるのに、法律でうたうところの再生産を確保するということが、三千七百八十一円という生産費に対して、三千百八十円というのは一体どういうことですか。
  127. 大澤融

    説明員大澤融君) 先ほど申し上げたように、自給的な色彩の強い作物、そういう自給というようなことを頭に置いてでなくて、ほんとうにりっぱに外国とも太刀打ちのできる商品作物としての菜種ということを考えておりますので、生産費調査から出てきたあの生産費を償わなければそういう商品生産的な、りっぱに国際的な競争ができ得るようになる菜種の再生産が確保できないということじゃあないというふうに申し上げておるわけです。
  128. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 しかし、現実に法律で再生産を確保するという大きな項目があるんですよ。そういう項目に対して、去年と同じような価格で、それでもう何にも問題がないと、そういうふうに強弁するんですか。
  129. 大澤融

    説明員大澤融君) 強弁と申されると、強弁じゃないのであって、私どもは、今まで申し上げたような合理的な再生産、そういうものがこれでりっぱに確保できるというふうに考えておるわけでございます。
  130. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 三千百八十円では、合理的な生産をしたもの、そういう線にはなっていないわけですね。それじゃあ伺いますが、この長官が言うに投下された家族労働時間は、確かに農民の努力によって年々低下しております。しかしその払われた労働報酬を農林省の調査した資料によって見ましても、わずか三十五年では一時間当たり四十六円四銭、いいですか三十五年では四十六円四銭、一時間あたりの家族労働報酬ですよ、四十六円四銭。三十六年度では三十二円四十八銭、そういう金額にしかなっておりません。しかし、このここに至る農林省の実労働時間、これは能率換算時間ですが、これに各月各旬別のその地方の男女別通常の臨時雇い賃金の実労働時間一時間当たりを出しておりますが、これの労賃は三十五年は四十八円十四銭、それよりも実収入における一時間当たりの家族労働報酬は低い。三十六年では五十三円八十四銭、一時間当たりの家族労働時間が。それが農家が現実に販売して受け取った価格の報酬の中では、わずかに三十二円四十八銭、そういう一時間当たりの家族労働報酬が今の菜種の基準価格の形成の要素になっております。そうした場合に、一時間三十二円四十八銭で、これで生産性も向上し、基準年に比べてここら辺でいいという結果に、これはどう考えたってならないと思うのですが、そういう点についてはどういうふうに理解されますか。
  131. 大澤融

    説明員大澤融君) 先ほど来から申し上げましたように、自給的な色彩の非常に強い、生産性の低い、経済ベースになかなか乗らないというふうなものが次々に作られていくということであっては、せっかくのこの法律の趣旨も死んでしまうと思うのです。と申しますのは、自由化して生産性が上がり、外国と太刀打ちができるまではひとつこういう措置で、いわば所得の不足払いを行なっていこうという趣旨でございますので、今おっしゃったように、また私が先ほど申し上げたように、この生産費調査そのものを使うということは非常に危険なんで、むしろもっとその経済ベース、あるいは生産性の高い太刀打ちできるような菜種の生産が次々に再生産されていくということが望ましいので、そういうものの再生産の確保ということは、この価格で十分できるということを私申し上げているのでございます。
  132. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 現実にこの菜種を作っている農家は、今のそうしたような答弁を内容としたような基準価格では引き合わないから、先ほども統計調査部の資料にもあるように、一万二千町歩以上の作付放棄の現実があるわけです。作付を放棄しているのですよ。農林省は非常に無理をして大裸麦の特別措置法案を繰り返し国会へ出した。われわれは大裸麦の生産農民の立場から強くこれを反対してついに廃案に持ち込んだ。そのときに転換作物の一つとして菜種をあげたはずであります。その転換対象の菜種がみずからこうしたように一万二千町歩以上も作付放棄をしている。農林省の統計調査部は、それらの減反の理由の一つとして菜種の価格の低下をあげている。いろいろなたくみな説明はありますけれども、素朴な農民は、こういう価格で国内の必要とする菜種の油脂原料を長期見通しによって、四十六年度までに、これだけの三十三万トンもの大量を製造するという意欲が、逐次耕作放棄に現われておる。こういう事実から見れば、何としてもこういう基準価格の金額には生産性の向上というものを、先ほども指摘したように反収だけを取り上げて、生産費というものを生産事情の中に大きくふまえて施行令でうたっているそういうものをほんとうに軽視して、そうして三千百八十円に押しつけをしておる。そういう現実の事態というものに目をおうて三千百八十円をいろいろこう言えばああ言うというふうにここで答弁だけを繰り返すということでは、これはほんとうに四十六年に至る長期見通しも、これは絵に描いたもちになる心配が多分にあると思うのであります。菜種価格の低下というものを作付減少の原因に同じ農林省の統計調査部ではあげておるのです。そういう点について食糧庁はもっと生産性向上にしても、反収というようなものだけを取り上げないで、再生産を確保するという要素をもっと強く織り込んで、そうして生産性の向上自体がもっと政府でも強力に畑作に対する長期にわたる総合的な振興計画を立てていくという中に逐次解決する間は、国内自給度の向上を目途とする価格による補償措置というものが、今日ほど大事なときはないと思うのです。そういう現実に菜種価格の低下が減反の理由であるとあげられた点について、それを排除するという努力が政府のこの基準価格決定には私はなければならぬ。もう一回伺いますが、生産費というものは、生産性の向上というもの以外に再生産を確保するという要素を忠実に価格形式の中に織り込むということをもう一ぺん考え直してもらいたいと思うのですが、その点はどうですか。
  133. 大澤融

    説明員大澤融君) もちろん、生産費を考えなければいけないということはおっしゃるとおりだと思いますけれども、ただその考え方として、自給的な作物としての生産費、そういうものを考えるのじゃなくて、商品生産、りっぱな生産性を持った成長作物としての菜種の生産、そういうことを頭に置いて考えなければいけないというふうに思っております。
  134. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 もう何べん聞いても同じようなことで、非常にいんぎんで丁重であるけれども、私にはどうも核心に触れた答弁にはならないと思うのです。再生産を確保するということをどういうふうに見ますか、三千百八十円で、法律でうたっておる再生産を確保するというそういう条項に忠実なこれは計算であると思いますか、その点を伺いたい。
  135. 大澤融

    説明員大澤融君) しばしばお答えしておるとおり、私どもがやりました基準価格、それは法律の趣旨に十分沿っておるものだというふうに考えております。
  136. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 価格低下が減反の理由だと言っておるのですよ、統計の上から。再生産を確保するということを法律でうたっておるのですよ。生産費と生産事情をしんしゃくしとうたっておるのですよ。その取り上げ方は反収のみに重点が置かれて、大事なその他の要素が非常に軽く扱われておる。この点をやはり十分立法の趣旨に照らして尊重して計算をし直してほしいと思うのです。そうしませんと、先ほど言うたような生産の長期見通しなどということは、これはもう絵に描いたもちです。こういうやり方で一体政府は長期見通しに対して責任を持ってこれを公表しているとはいえない。これは長官じゃなくて大臣に聞かなければならぬ。私はもう今後手数料の問題にしても、菜種の問題にしてもこれ以上は大臣質問します。それから価格の点はそういうことで、非常にこれは法律の上から再生産を確保するとうたっておる。生産費が三千七百円をこしておる。統計調査部では、減反の三つの理由の一つとして菜種価格の低下をあげておる。そういう現状の中で、三千百八十円という去年と同じ価格を据え置いておるということは、何としてもこれは国民の立場において納得できません。これ以上は、次に農林大臣が出るそうですから、農林大臣に伺うことにします。  それから第二点は、この前も問題になったのでありますが、三等基準というものがこの弘報では重大なミスプリントだということでした。訂正しましたか。
  137. 大澤融

    説明員大澤融君) 訂正いたしました。
  138. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いつ出るのですか。これにも出ておりませんよ、きょうのやつにも。
  139. 大澤融

    説明員大澤融君) 日付ははっきりしておりませんが訂正したはずでございます。
  140. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 これは弘報で発表してからかなりの時日が経過しておる。一般にこういう権威ある弘報で周知する以外に方法がない。その間当然常識的に三等建てで三千百八十円というものが告示されたものと思っておる。それが重大なミスで三等というのはよけいな数字を印刷したというんだそうですが、これは近日中に直すんでしょうが、そういうことは私は単なる事務的なミスということではなしに、当然常識的にそうであると思ったものに対するこれは大きなやはり問題を提起しておると思います。それだけに三等をなぜはずしたか、その点をお伺いいたします。
  141. 大澤融

    説明員大澤融君) これは先般来繰り返し私御説明しておると思うのですが、この制度はいわば自由化の波にさらされないようにするための不足払いをする、不足払いの額をきめる手続をやっておる法律だと思います。そういう意味で、平均的なものを基準価格とし、それに見合った標準販売価格考えて、その差額をそれぞれの規格、等級のものに、実際に売れた値段にプラスする交付金の額を算定する法律の手続というような意味があると思うのです。そういう意味でどういう規格のものが幾らだというようなことをやる必要がないのだというふうに考えます。
  142. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 常識的に伺いますが、基準とは何を基準にするのですか。
  143. 大澤融

    説明員大澤融君) 基準とは何をというとちょっと困るのですけれども、基準価格というのは何かということですと、この法律の第二条の二項にございますように、政令で定める一定期間の菜種の生産者の販売価格に云々、これを基準価格と、こういうわけでございます。
  144. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そういうようなあいまいもことした基準価格では、生産者が検査を受けたときに、一体自分の取得する代金はどのくらいを保証されるかということがわかりません。生産者は検査を受けたときに、政府が和種三等なら三等の基準価格を告示で明確にすることによって、集荷団体からの申請の記録にある等級間格差を了知して、自分のこの法律によってサポートされる価格はどれだけであるかということが安心して待っておれるわけですが、そういうことが最終段階までわからない、そういう農民に不安感を抱かせるような、当然和種三等建というものを明示すれば足りるものを、なぜ最後までそういう不安なような状態に置かなければならぬのですか。
  145. 大澤融

    説明員大澤融君) 法律の趣旨がそうなんだということを一度申し上げましたが、そのほかに、この法律制度は、農業団体等が自主的に販売調整、共販をやっておられるというような現実の上に組み立てられたものです。またそういう機能をしっかり活用せよというようなこともあって組み立てられた制度でございます。したがいまして共販というような場合には、個々の農民の方が無条件に委託販売をするわけでございます。そうして最終的に生産価格がきまって支払いをされる、その支払いをされた価格の上に交付金が上乗せされるということになりますから、今までの現実にあったそういう自主的な調整機能の上に組み立てられておるので、格差というようなことも自主的におきめになられるわけで、年々の取引の状態を見ておられれば、自分が作ったものはこういう銘柄、等級のところならば幾らくらいになるだろうというようなことは、大体のところは見当はつけられるということじゃないかというふうに思います。
  146. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 長官は大体くらいとおっしゃるけれども、生産農民から見ればそのものずばりをはっきり明示してもらって、それで安心をさせてもらいたいということは、これは素朴な当然な期待だと思います。なぜそれならば事前に告示をする必要がありますか。法律でうたっておるからやるというだけですか。事前にこの告示を法律によってやるというのは、事前に交付金のねらいを明確に、的確に農民にこれを理解させて、そうして自分が検査を受ければ幾らの補償がなされるということが明らかになる建前で、これは事前に価格を告示する建前になっているのですが、今の大体のことで見当をつけるというような、そのこと自体にも、これは十円、二十円を切実に考えておる農民から見れば非常に雑駁な見解であって、やはり自分が受検をして、何等の和種を共販に出したというときには、少なくともそのよりどころが三等建の基準価格が明示されておることによって、自分の受検した販売菜種の手取りがわかってくるわけです。そういう大体で見当つけておればいいじゃないかということであれば、何ら事前にこれを告示する必要もないと思うのですよ。事前にというのは、農家が検査を受けたときには交付金によってこれだけのものを最終的には政府に約束されるという、そういう正確なものとすなおに期待して法律を理解しておったのですが、その点はどうですか。
  147. 大澤融

    説明員大澤融君) もちろん、手取り水準はこのくらいになるのだというようなことは事前に知っておくべきことですし、またできることでありますので、事前に基準価格をきめて、手取り水準はこのくらいになるというようなことを示すわけでございます。
  148. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そういう何といいますか、突っ込みで建目がないということになりますと、三等建がないということになりますと、極端な例をとれば、洋種が多く出る、上等級のものが多く出るという場合、また、その反対の場合、和種で下等級のすそ物が多く出るという場合、その基準になる生産者の交付金によって受ける取得というもの、総体の生産額というものは非常に不利になったり、不当にまた高くなったりする。そういうことをなくするためにも、また優良なものを極力多く出させる、生産性の向上を期するためにも、少なくとも基準になる和種の三等建というものがなければ、この法律の趣旨にまた相反する場合もかなり多く出てくることが予想されるのですが、そういうことも考えて、この際、去年は三等建というものが出ておったのですから、それにさらに和種というものを基準基準価格に明示をするということを、十分やはりこれは考えて明示してほしいと思うのですが、どうしてそういうことができないんですか。できるのじゃないですか。
  149. 大澤融

    説明員大澤融君) 繰り返し繰り返し申し上げますように、この制度は自主的な調整機能、農業団体の活動というものを土台にしてその上に上乗せする交付金、一律に上乗せする交付金を計算する手続としてこういうことをきめておりますので、そのような必要はなかろうと思います。ただ、私ども不足払いというのは、今までわが国ではあまりとっていない、実験をしていない新しい制度です。そういう意味でその運営の仕方というようなことにも、いろいろ新しい問題も出てくると思いますが、そういうことはございますけれども、今申し上げたような趣旨で、おっしゃるような方法じゃなくて、総和平均というような物事の処理をしていくというのが法律の趣旨に合ったやり方だというふうに考えております。
  150. 森八三一

    ○森八三一君 関連。今の大澤さん、この前総和平均とおっしゃいましたが、総和平均ということは幾つかのものがあって、そのものを加重平均するか算術平均するかをして総和平均というものが出てくると思うのですね。その三千百八十円というのは総和平均だ。その総和平均が出てきたもとはどういう数が出てきましたか。
  151. 大澤融

    説明員大澤融君) 出てきましたその基準価格というものは、総和平均という言葉がいいのか悪いのか、ちょっと疑問でありますが、すべての銘柄というようなものを網羅して平均的な価格としては幾らだというふうなのがこっちに出てくるわけです。それを基礎にしてパリティではじいたりなんかやるというような意味で、総和平均という言葉がいいかどうか疑問がありますけれども、私ども農業団体でやっておるときには、だんごというような言葉で言っておりましたけれども、そういう考え方でございます。
  152. 森八三一

    ○森八三一君 それにしても、今の等級別販売の価格というものがあって、それを平均して出てくるのでしょう。今ここで説明しましたね。かりに総和平均で二千円という価格をきめるといたしますね。その場合に三千円のものが五十、二千円のものが五十、千円のものが五十、その総和平均が二千ということは、これは加重平均で出た結果ですから一応わかりますね。内容があって三千円のものが五十、二千円のものが五十、千円のものが五十、その総和平均は、算術平均しても加重平均しても二千円ですね。それはわかった。そういうことで告示しておいたが、今度は実際販売した結果が三千円のものが六十と、それから二千円のものが五十と、千円のものが四十、こういう販売結果になったとすると、平均価格は二千百三十三円ですね。その場合には、二千円のいわゆる基準価格よりも百三十三円多いのですから、交付金はない、こういうことでしょう。この場合の話は。
  153. 大澤融

    説明員大澤融君) 基準価格が二千円で、実際売った場合に二千百三十三円の標準販売価格が出てくれば、そういうことになります。
  154. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、今渡辺君の質問に、三千百八十円というものを示しておけば、農民諸君はおおむねもらえる価格というものは見当がつくんだとおっしゃいましたが、今私が設例いたしましたような場合に、生産者としては自分のものは三千円もらえる、二千円もらえる、千円もらえると思っておったが、二千百三十三円に売れたのだから、これは基準価格以上ですから、この場合もらえぬでもいいですね。それぞれにプラスするのですから、よけいいきますから問題ない。逆に今度は三千円のものが四十、二千円のものが五十、千円のものが六十、こう出た場合には、その総和平均は千八百六十何円かになりますね。そうすると、基準価格に達しませんから、もらえるのです。そのもらった金はどこへやるのですか。四十俵は三千円に売れているから三千円……。
  155. 大澤融

    説明員大澤融君) ですから、それぞれのものについて同じ金額を上乗せして払うということになります。
  156. 森八三一

    ○森八三一君 そうすると、結局、上等級のものはこの販売に参画しないほうが得だということになりますね。下等級のものだけをこの施策に乗せてくるということになれば、もらえる額が多くなる。上等級のものがよけい出てくればもらえなくなっちまう。そういう問題が出てくるのです。そういう不合理性があることを集荷団体のほうに調整せいと言われても、集荷団体は非常に困るということに私はなると思うのですよ。だからそういう不明朗なことでなしに、総和平均ということであれば、三千円のものが五十、二千円のものが五十、千円のものが五十と想定して、総和平均二千円、こういう額が出てくる基礎がなくちゃ平均は出てこないと思う。基礎があるなら基礎をお示しになったらいい。
  157. 大澤融

    説明員大澤融君) そういう基礎は、今の物賃を基礎にしてなかなか出てこないと思います。そういう意味で今おっしゃったように物賃の基礎になっている中でのいいもの悪いものの比率、それと実際売れた場合のいいもの悪いものの比率というものが必ずしも一致しているということではなかろうと思います。しかしながらそういうことは個々的なことでやるのじゃなくて、全体の上に上乗せする交付金の額、それも基準年次の所得水準を保証するという建前で、全体のものについて交付する額をきめる、そういう手続の法律です。ですから、ある人の売ったものについて厳格にこれこれだけは支持をするのだというふうな考え方じゃなくて、自由化の影響を受けないときの所得水準をひとつ維持していくわけです。そういうむしろ厳格に支持をするというようなことよりは、ふんわりした形の制度だと思うのです。そういうふうに御理解いただかなければならぬと思うのです。今の確かに基準年次とこれとのウエートが違ってくるとどういうような問題が出て参ります。しかしそういうことは、今言ったようなもっといわばおおらかな形の所得水準の支持、交付金の額の算出方法というような制度だというふうに御理解いただきたいと思うのです。新しい不足払い制度ですから、いろいろな問題が私これからも出てくると思いますけれども、建前はそういうところに考え方を置いていろいろなことを解決していかなければならないのじゃないかというふうに私思っております。
  158. 森八三一

    ○森八三一君 もう関連質問ですからやめますが、今お話しのようなことで参りますと、私が設例いたして申し上げましたようなことからして、基準年次の、つまり貿易自由化が行なわれる前の所得が保証されない人が出てくる場合があり得ると、それは自由化の前における基準価格がこれはおのずから私は三等なら三等というものでおおむね見当がついておったと思うのです。でなくとも等級別の根拠があって基準総和平均価格というものが策定をされていると思うのです。でなければ出てこようがない。何もなしに出るわけないのですから、三千百八十円というものは空から出たわけではない。販売実績というものから出たわけです。販売実績というのは等級別にあったのですから、その総平均をとって、ただ算術平均ではいかぬから販売実績を加重平均してみて出る、こうなって初めて出るのであって、そうするとそれが保証されない場合が起き得るという前提に立てば、お話しのようなことでもいいのですけれども、その点はどうなんですか。
  159. 大澤融

    説明員大澤融君) ですから先ほどから御説明申し上げているように、厳格にある一定価格ですべてについて支持をするという制度じゃなくて、所得水準を支持しましょう、維持しましょう、保証しましょうという、そういう制度だというふうに御理解願いたいと思います。厳格にそのものずばりの価格支持をするというようなことになれば、こういう制度じゃなくて、また別の形の制度でやらなければいかぬということになるのじゃないかと私は思います。
  160. 森八三一

    ○森八三一君 これでおしまいにしますが、それは大澤さんが今そういうように思われるということについて、私はかれこれ申し上げませんけれども、この法律を審査したときのお話し、これは価格安定法からはずしてこっちに持ってきたわけですわね。その当時におけるいろいろな国会論議を一ぺん振り返っていただきますと、価格安定法のときには、一定の水準から下がった場合には数量を買い上げすることによって維持をしようということでしたが、それよりももっと前進したあれをやるのだということで、非常に説明が変わってきているのです、確かに。そう変わってくるところに問題がある。だからそうこだわらないで、予算がないからというならそれは予算のほうを取ればいいので、もう少し明朗な制度にしていただきたいというのです。これはまだあとに残りますが、きょうは関連ですからこれでやめます。
  161. 安田敏雄

    安田敏雄君 関連。長官、食糧庁のほうでこの三千百八十円を支持決定して出した。ところがわれわれのところに届いている全国販売農業協同組合連合会長名でもって出しておる資料では、大臣あてにですよ、三千六百三十七円で出しているわけだ。差し引き四百五十七円の差があるわけですよ。そういうことからして、この協同組合で出しておる数字は、あなたのほうで見ると、きわめて合理性があるのか、それとも不合理だというのか、そういう点はどうですか。
  162. 大澤融

    説明員大澤融君) 法律、政令の制度に従ってきめれば、私どものような数字になるというふうに私ども考えております。
  163. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、連合会できめた数字というものは、あなたのほうで検討して合理性がないということなんですか。
  164. 大澤融

    説明員大澤融君) まあそういう言い方をいたしますと角が立ちますけれども、私どものようなやり方がいいというふうに考えております。
  165. 安田敏雄

    安田敏雄君 まあ関連ですから、また研究してお尋ねしますが、連合会ではじいたそろばんにいたしましても、無謀なことはやっていないだろうと思うのです。減反の現象が出てきたり、所得が保証されなかったり、そういうようなことを考えれば、これだけの数字が出るというのは、それ相当なりの算定基準があるわけなんです。ですから、そういう四百五十七円も差額があるという問題につきましては、その関係団体ともう少し親切にあなたのほうの意向なりを説明して、そうしてそういうような差額に対して、もう少し何とか縮めていくというような私は行政上の配慮というものは絶対必要だと思うのです。ただここで四角ばった、私のほうは所得水準を維持する立場からきめる、所得を保証するという立場でなくて、水準を維持するという立場からきめるのだというのがあなたの最終結論のようなんです。そういう点についてもっと調整するという行政の方法があり得ると思うわけなんですが、そういう点についてはどうなんですか。
  166. 大澤融

    説明員大澤融君) 書類に出た形、告示の形としてはこういうことでございますけれども、いろんな意味で関係の団体の方とは絶えず寄って、今いろいろ御指摘のあるような問題についても、新しい制度ですから、いろいろ問題がございますから、絶えずそういう討論をしたり、フランクな、率直な意見の交換をしております。
  167. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、今後の問題として三千百八十円ですか、八十円より以上に高めていくんだという、基準価格を高めていくのだという余地が残っているわけなんですね。
  168. 大澤融

    説明員大澤融君) その問題については、これが決定的なことだというふうに御理解いただきたいと思うのです。
  169. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  170. 櫻井志郎

  171. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 次に、ビール麦の共販に関連する競合問題に関する件を議題といたします。
  172. 戸叶武

    ○戸叶武君 これは競業の問題でございますが、農業協同組合法第四十二条の二の競業禁止に該当する農協法違反の問題に関しまして、ここ三年ほど農林大臣並びに経済局長及び協同組合部長と質問応答を重ねて参ったのでありますが、これはのれんに腕押しで、監督官庁としての農林省の態度というものに私は非常な疑惑を持ってきたのでありまして、これがぐるになっているのだなという感じです。これは私は来月の一日に農林大臣並びに経済局長に、今度はかぜを引いたり、ほかの会へ出たりしないで出てもらって対決したいと思いますが、きょうは農協部長にお尋ねいたします。  この前、経済局長が農協法違反という問題に対して実態を十分調査するということを言明しておりますが、その後その実態を調査いたしましたか。
  173. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) ビール麦の問題に関しまして農協法の四十二条の二に違反する事例があるのじゃないかということでございますが、かねがねこの問題につきましては問題とされていたわけでございますが、六月七日に全中とビール会社との間に協定ができまして、ビール麦議会というのを各都道府県に設置をし、その協議会のあっせんによりまして単協とビール会社が契約をし、それでその履行につきましては全販連系統が担当して、それから指導関係は麦耕連あるいは販連の指導部門で担当するということになりました。各県におきましてその協議会設立の準備が進められ、若干の府県におきましては、すでに協議会も成立いたしております。その協定に従いまして、ビール麦の協議会が経済連と麦耕連の関係の事業の調整が行なわれるということでございますが、そういう意味で現在協議会がそういうことで作られつつございますし、そういうような両者における事業の調整ができますれば、これはこの四十二条のこの問題も解決するのではないかというふうに考えておるわけであります。
  174. 戸叶武

    ○戸叶武君 それがなれ合い協定の全くのでたらめなんです。これはもうおそらくは麦耕連のボスとあなたのほうでなれ合って作った一つの協定だと思う。実態は違うのです。私は実態を調べろと言ったのです。栃木県における新たなる事例を、古いことは一ぱいありますから、これは裁判になってから出しますけれども、この新しい事例を見ましても、今言っているように、このビール会社の下請機関としてのビール麦耕作組合連合会、麦耕連と称する一つのボス組織、もう一つ系統共販を推進しているところの単協から経済連、この販連につながるところの系統共販の体制、もう一つこの協定を作ったとするところの農協の中央会、全中協というようなものがありますが、栃木県においては二足のわらじというか、三足のわらじをこの坪山徳弥という農協のボスがはいているのです。農協中央会の会長でしょう。麦耕連の栃木県の会長でしょう。経済連の栃木県の会長でしょう。何が協定だ。何が競業禁止だ。同一の人間が一つのことを自分に有利な利益誘導のためにやっているので、そんな協定なんか何にもならない。それではその具体的事実をあなたに示しますが、最近その協定が行なわれた後における事実を示しますが、「昭和三十七年七月十六日栃木県ビール麦系統農協共販推進協議会の一〇農協、一連合会は三十五年産、三十六年産ビール麦について麦耕連系単協に比べて不利益な差別的取扱いを受けてきているので、三十七年産ビール麦については同一市郡内の麦耕連系単協も共販農協も契約会社別順路により受渡しを同時に行う様経済連に強く要請した。又生産農家がビール麦代金をお盆資金として使用するため万一、八月十日迄に受渡しが行われないときは経済連が全額仮払いの措置をとるように申入した。このときは経済連小林専務が責任をもって麦耕連の受渡しと同時にやらせるようにすると云うことであった。」この小林専務というのは、これは経済連の専務であり、栃木県の麦耕連の副会長でしょう。坪山、小林というボスが二足、三足のわらじをはいているのです。  そうして、七月二十六日栃木県麦酒麦耕作組合連合会は三十七年産ビール麦の受け渡し日程を定め、傘下の単協に通知した。  経済連専務理事(県麦耕連副会長)小林正一郎が上記の麦耕連受け渡し日程を承知の上に七月二十七日ビール酒造組合と打ち合せ決定した共販農協の受け渡し日程は麦耕連の受け渡し日より、各社とも十日以上もあとであった。しかも受け渡し日程が共販農協に通知されたのは八月八日以後になった。  共販農協には受け渡し日程の正式通知もない間に一方近隣の麦耕連系単協の受け渡しが行なわれているため、八月二日受け渡し促進と代金仮り渡しの別紙要請書を経済連会長に提出した。  八月四日経済連小林専務が水橋農協にて共販農協組合長五名と会談し、受け渡し遅延の申しわけをし、代金仮り渡しについて善処を約した。  八月六日共販農協の協議会を開催し、経済連に対しビール麦受け渡し遅延の救済策として代金の金額仮り渡しの実行を申し入れ、また県麦耕連会長坪山徳弥が経済連会長就任に際して栃木県ビール麦議会を設立する動きが伝えられたので、別紙の要請書を経済連、中央会県信連各会長に提出した。  八月八日共販農協の再三の要請でようやく経済連は販売部長、食糧課長が全販連に出向き(共販農協から一名ずつ同行し)経済連独自では資金調達が困難であるので全販連より共販農協分のビール麦代金の仮り渡しをされるよう懇請した。  全販連は栃木県経済連が従来ビール麦系統共販に熱意がなかったことや、特に小林専務がみずから酒造組合に出向いて受け渡し日程をきめたことでもあるので、口頭での仮り渡し要請をされても困る。経済連会長が正式な文書による仮り渡し申請が出されれば考慮しようということで物別れになった。  八月九日共販農協長らは経済連小林専務、石川参事と会見、前日の経過にかんがみ日時も切迫しているので本日中に決着をつけることを要求した。その結果ようやく経済連は全販連に対し共販農協のビール麦検査確認書に基き仮渡申請書を作成し、小林専務、石川参事が全販連に出向いた。共販組合長等は経済連に待機したが、午後六時全販連より仮渡し決定の連絡を受けて解散した。  経済連専務理事(麦耕連副会長)小林正一郎はその地位を利用し共販農協のビール麦受け渡しを故意に遅延させたが、関係農協から責任追及され、最終的には共販農協の検査済みビール麦二〜三等合計六万九千八百五十一俵の代金一億六千七百十万七千三十二円を仮渡しし、その金利四十五万六千八百四十一円の損失を経済連に与えた。これは明白な背任行為である。  予定された日に受け渡しは行なわれなかった。3の経済連より文書をもって共販組合に通達された日程のとおりに受け渡しが完了したのはキリンビール会社の大内、水橋農協と日本ビール会社の七井、益子、阿久津農協のみで、キリン社、高根沢、蒲須坂農協は八月十日の予定が同日夜になって翌日に延期されたと経済連、小林専務が申しわけに来た。アサヒビール会社の祖母井、南高根沢、北押原農協は全く一方的に八月十四日が八月二十日まで引き延ばされた。いずれも受け渡し予定日時には農協組合長、担当職員、倉庫用人、食糧事務所係官が待機して深夜十一時にまで及び多大の出費を余儀なくされ、また無用の心配をかけさせられた。  これらのことは麦耕連と会社が故意に共販農協のビール麦受け渡しを遅らせたもので坪山、小林が経済連と県麦耕連を兼職する結果、惹起されたものである。」  こういうふうに具体的事実が農協なり農民に甚大な被害を与えているのです。で、こういうこの生産農民の利益を守るべきところの農協の責任者というものがこういう二足、三足のわらじをはいて、こういうよこしまなことをやっていることに対して、監督官庁は何もそれができないのか、今までに。具体的事実を調べろと私は言ったんです。今の答弁のように抽象的な言いわけを聞くためにやってきたのではない。だめだ。今度は一日に連れてこい、大臣と局長と……。ほんとうにふざけきっている。これはもうやるだけのことは国会でやって、全部今度は告発しますから。大臣から経済局長からあなたから坪山から、小林から。こんな国会が侮辱せられて、でたらめで監督ができないで、農民のために利益を守る農協がボスのためにじゅうりんされておるという具体的事実、これを幾ら取り上げたってもっと資料は具体的に全部データを集めているから、これを一日までに首を洗って材料をよく調べて大臣を出してこい、ばかな、今のような答弁は聞いていられない。ふざけちゃいけない。今まで何回やってきたんだ。  今度は委員長に要請します。がまんにがまんをしきって農民のためにわれわれはまじめに農民の代表として国会で戦っている。ふざけきった態度だこれは。私は来月の二日には外国に行かなくちゃなりませんから準備もないが、それまでに材料を集めて一日の日に農林大臣と経済局長と出てもらって、まだ協同組合部長はかわったばかりでよく知らないが、われわれが三年、石の上にも何年かと言いますけれども、じみに積み上げて、そして共販体制というものを確立して、農協の中にもぐり込んでいるところの政治ボス、そういうものが官庁の官僚ボスと結んでよこしまなことをやることを許さないような反省を促しながら、今日まで質問しようと思って一つ一つ押してきた。ここまできても、まだふざけきった寝言を言っている。こんなことでは、ほんとう国会がばかにされるのですから承知できません。もうきょうはこれで質問を終わります。一日の日にひとつ今度は大臣と対決をする。どうぞ私はかぜをひこうが病気しようが、必ずここに参りますから、そうしてその答弁いかんによって、もうとても国会でやったのじゃだめですから、裁判でもって戦いますから、幾ら順序よくやってきたって、そんなでたらめな答弁ばっかりやっているのじゃだめだ。   —————————————
  175. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 澱粉価格に関する件を議題といたします。質疑のある方は、御発言を願います。
  176. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 澱粉価格についてお尋ねをいたしますが、食糧庁ではよく御存じのことで私から申し上げないでも知っていられると思うわけですが、要は幸いに澱粉の需要の道が開けて参りましたので、従前どおりでございますと、あまりに、御迷惑をかけなくても済んだと思う。ところが現在では、そうでなくて、わきの品物が出てきたので、澱粉も思うように売れぬようでございますが、これはどうお考えになっているかひとつ伺いたい。
  177. 大澤融

    説明員大澤融君) 澱粉の需要は、いろいろな新しく要望が出て参りまして、非常によい需要をされております。しかし、いまだ政府ではバ澱のほうは相当の量をかかえておりまして、これは澱粉不足というような状態の中で売却をやっておりますが、バ澱のほうはなかなか落ちないというような状態でもありますが、いずれにしてもことしのもうイモもできてきて、澱粉の生産が開始されておりますので、早い機会に価格安定法によります基準価格というようなものも検討して参りた。い、こう思っております。
  178. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 長官も御承知のように、どうしてもバレイ澱粉は寒地農業として作ることをやめるわけには参りませんので コンスターチと競合して非常に困っているようでございますが、幸いに各方面で努力をされてバレイショ澱粉の需要が確実になったところへ、今度はコンスターチが出てきたようでありますが、承りますと、コンスターチの輸入の関税が安い、おまけに飼料として無税で入ってきておりますトウモロコシをコンスターチに回しているということでございますが、そこでお聞きしますと調べてみたがわからぬ、こう仰せられておりますが、私はわからぬとは考えておりません。そこで食糧庁のほうでは確かにコンスターチがじゃまになって澱粉が思うように売れないというお考え方かどうか。
  179. 大澤融

    説明員大澤融君) コンスターチの生産は大体五万トン近いものがあるかと思いますけれども、これだけの量で、また現在程度の価格でほかのイモ澱粉に対しての圧力がかかっているというふうにも必ずしも言えないと思いますが、おいおい生産もふえることですし、トウモロコシの関税の問題というようなものも、私どもとしては検討していかなければならない問題の一つだと思っております。また、えさとして無税で入れたものがそっちに流れる、こういうことがあっちゃならないものだと、私どもとしてはその事実はまだ確認はしておりませんが、もしそういうことがあれば、あってはならない、そういうことをしてもらっては困るということだと思うのです。
  180. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 だんだんコンスターチがふえていっておるようでございまして、三十年から三十七年までにすでに四倍になり、三十七年にはおそらく九倍になるだろう、こういう心配をいたしておりますが、澱粉は価格も高くないのでいろいろお願いしたいということでございますが、そういうわけで現在食糧庁に手持ちをしておるのでは価格の要求をいたしましても非常に困るわけでございますが、私はこの間わからないという話を聞きましたが、簡単にわかると思っております。と申し上げますことは、輸入をし、関税をかけたトウキビが何んぼあるか、それをコンスターチにして何んぼできるかということをお調べになれば出るのではないかと思いますが、これはどうも役所の逃げ言葉になると思いますが、実は麻薬の原料を厚生省が仕入れて、そうして工場にまかす。そうすると工場にまかして出た麻薬は、業者のほうではうまいことを言っていながら麻薬の原料を仕入れて工場に頼んで、工場は監督をしない。その間に工場が麻薬を流しているのではないかということをいっている。今そういうようなわけで、これもわからぬといえばそれまでだが、それでは困るので、どうしても寒地農業にやらなければならぬもの、ビートとかバレイショは抜かすことができないものですから、そこらは食糧庁として、大いに肩を持つ必要ございませんが、日本の畑作農業が満足できるようにしていかなければならないことは当然だと思うのですが、いかがですか。
  181. 大澤融

    説明員大澤融君) そのとおりだと思います。
  182. 森八三一

    ○森八三一君 重要農産物価格安定法によりまして、澱粉の政府買い入れ価格決定、その一つなる原料イモの基準価格の告示ということを、法律としては十月末までにすべきであると命じておりますが、それでは時期が実態にそぐわないということで、毎年この委員会でも論議が尽くされまして、ここ数年来九月末までには必ず措置をするということで、おおむねその趣旨によって今日まで推移をしてきていると思います。本年も当然その線に沿っての措置がなされるものと期待をいたしておりますが、大体そういうように了解をいたしてよろしい情勢かどうか。
  183. 大澤融

    説明員大澤融君) イモの作況というようなものは、統計調査部の調査も間もなくわかるだろうと思いますが、なるべくひとつ早くきめたい、こう思います。
  184. 森八三一

    ○森八三一君 統計調査部のほうで作況の資料がそのうちにわかるだろうから、なるべく早くという話ですが、もうすでにきょうちょうだいした弘報にも、昭和三十七年産のイモの生産費なんか出ておるのですね。だからこれが出てくる限り、生産実態調査というのがなしにもっと先の結論が出てくるはずはないと思うのですがね。いかがでしょうか。
  185. 大澤融

    説明員大澤融君) 生産費調査は去年のイモのあれだと思います。ことしのイモの作柄というのは、統計調査部のほうから出るのはもう間もなくだろうと思いますけれども、これからでございます。そういうものが出て、もちろんそれは去年の生産費調査費というものは重要な参考になると思いますが、そういうふうにいたしたいと思います。
  186. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、間もなく出るということであれば、九月末ごろにはおおむねきまるという情勢に了解をいたしますがね。
  187. 大澤融

    説明員大澤融君) そういう気持で対処していきたいと思っております。
  188. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、これも午前中の手数料の問題と同じでその趣旨はよく了解するが、調査研究ということで終始をすると思いますがね。最近の生産の実情から考えまして、労働賃金や直接生産費が相当上昇を来たしておることは、間違いありませんし、基本法にいう他産業従事者との所得を均衡せしめるということも、重要農産物価格安定法を制定してまで措置をされておる。この重要なカンショ、バレイショ等のものにつきましては、その趣旨が具現されなければならぬと思うのです。といたしますならば、相当の基準価格においても上昇というものが考えられると思うのです。その場合にすぐ反収を引っぱり出す、生産性の向上を全部それを織り込んでしまうと、こういう数字になるというような作業の行なわれる場合が多いのですがね。生産性の向上に伴うあれを、全部マイナス条件を持っていってしまうということでは、生産性の向上をはかる努力というものの意欲が欠けてくることになるのですね。そういう点はことしどういうふうに見込まれるおつもりですか。これはもう反収がきまる、生産費調査がきまってこなければ言えないというものではなくて、抽象的には方向というものはお示し願えると思う。もし数字がわからなければ、やはり逆算をおやりになる心持が動いておる、こういうふうに了解しなければならぬと思う。そういうことであってはならないと思います。
  189. 大澤融

    説明員大澤融君) これは例の安定法の制度のもとでやっておることでございますから、またあそこに基準価格をどうやってきめろということはあるのですから、その趣旨に忠実に従ってやるということに尽きると思います。
  190. 森八三一

    ○森八三一君 法律の末尾に、一応計算に関する基準的な算式が示されておるので、それによってきめるとおっしゃいますが、その場合といえども必ずしも物理的に条件が示されておるわけではなくて、感じの上で見込みを加えてやるという場合もあるわけです。たとえて申しますと、過去におきましてはカンショ澱粉等の場合に、政府の手持ち在庫量が相当ありましたね。これを供給に全部見るか半分見るかというようなことが、非常に大きな価格決定の要素になってくるのですね。ことしはそういうものがありませんから、そういうことが生ずる問題はないと思います。が、バレイショについては遺憾ながら在庫数量が相当ある。ですからそういうものを幾ら見込むかというということが、非常に重要になってくるのですね。その付表に出ておる算式でやるとおっしゃいますけれども、全部見込むか、ゼロにするか、半分見込むかということが非常に重要な要点になってくるのですね。その場合に私の申し上げます基本法に基づいて、他産業従事者の所得と均衡せしめるというねらいが一つあるのですから、それを重視して各種の条件は逆算をしていけるような立場に立たなければおかしいじゃないかということを申し上げておる。
  191. 大澤融

    説明員大澤融君) おっしゃることよくわかります。ただ、基本法をとって言われました他の産業従事者との所得の均衡、生活の均衡というようなことを単に価格だけを通じて、価格に非常に大きなウエートを置いてやるということではなかろうかと思いますので、もちろんそういうことは頭に置いてやらなければいけないでしょう、価格制度それだけに、今の基本法の所得均衡といういうようなことを期待するのは無理じゃなかろうかというふうに思います。先生のおっしゃっておることはよく意味がわかります。
  192. 森八三一

    ○森八三一君 価格政策だけで所得の均衡を実現するということは、無理ではないかということは、私にもわかります。わかりまするが、生産性の向上と直接生産費の低減ということが先行して、そうしてその価格を上げなくても均衡がとれるようなことをやることはいいのですけれども、その希望を前提に置いて、できもしない夢のような希望のもとに、こうなるべきはずだからこうだという計算は、基本法の精神に反する、私はそういうふうに理解するのです。その限りにおいて価格政策というものは厳然として存在をする、こう理解をいたしますが、やはりこの場合にそういう観念で計算をされますか、どうですか。
  193. 大澤融

    説明員大澤融君) 私どもいろいろなことを考える場合に、基本法で言っておるようなことを前提にして、やはり施策をしなければいけないと、こう思います。価格制度に期待されるものは、所得の均衡、所得の安定、所得の確保というようなこと、これだけじゃなくて、たとえば需要の増進でありますとか、あるいは選択的拡大という立場もありましょうし、いろいろな角度からやはり価格政策というような荷物をしょわされておるものである、もちろん基本法の精神に従がって、そういういろいろな角度から考えながらイモの値段、澱粉の価格というものもやらなければいけないのだと、こう思います。
  194. 森八三一

    ○森八三一君 前段のほうにお話のございましたことが実現ができる度合いに応じて、価格が変化をしていくという現実に立っての変化は、私も了解をいたしますけれども、ただ期待といいますか、計画だけでそれを前提としてこういうような法律できめられる価格の作定をするということは間違いが起きるのではないか、それでは農民は基本法に非常な不満を感ずるという結果になる。だから今お話しの前段のことがずっと先行していく、そしてその実績が出てくる、その実績の出る度合いに従がって価格政策に変化がずっと出てくるということはいいと思うのです。そればどうなんですか。
  195. 大澤融

    説明員大澤融君) 今の安定法の制度の問題を離れて、価格政策一般についての御議論かと思いますけれども、もちろん前段に言われたのは、所得の確保のことだと思います。そういうことと先ほど私が申し上げたようなことと相関連して、価格制度というものは進まなければならないというふうに私は考えておりますけれども、先生の言われるようなのも方法かとも思いますが……。
  196. 森八三一

    ○森八三一君 これは直接ここで関連する問題はないと思う。しかし、総合的なやはり基礎の上で価格というものがはじかれてくるはずでありますので、その基本的な態度というものについて食い違いがありますると、作業の面でもやはり抽象的な条項については、必ずしも満足すべき方向になくなっていきますので、十分論議をしなければならないと思いますが、きょう時間の関係がありますので、その基本的な価格政策をとるべき態度につきましては問題に触れぬことにいたします。そこで、具体的に今年のカンショ、バレイショの基準価格は、生産調査その他が近日中に出てくるので、その際に安定法の示す算式を忠実に守りながら、九月末を目途としてきめるように努力をするということですから、これは具体的な数字が出てきまして、具体的な数字が試算されませんというと、それではたして安定法の趣旨を十分に具現しているかどうかということについての詳細な論議がいたしかねるわけであります。仮定を前提にして論議をするというわけにはこういう具体的な問題はできませんから、これ以上私の質問は進展をいたしませんが、この際希望を申し上げながら、いずれ来月の一日にはこの委員会が開かれますので、そのときには詳細な資料に基づいて数字的なひとつ質疑をいたしたいと思います。その場合の希望として、原料価格につきましては、今年の作況を具体的には私は数字承知いたしませんけれども、値付け当時における長雨のために成育が非常によくなかった。最近かなり持ち直しておるという状況ではありまするけれども、必ずしも単位面積当たりの収量というものは、私どもの調査によりますと、上昇は見ておらぬと思います。ところが、生産に要する自家労働賃金、それから直接の肥料その他の生産費というものは、相当に高騰しておるということは、これはおおうべくもない事実だと思います。そこで計算をいたしますれば、当然原料価格というものは、相当の上昇を見ると思います。それが最近政府施策等も非常によろしきを得て新需要が発生して最終製品である澱粉の滞貨というものが非常に減少してきているという事実、この事実を私は逆転せしめるようなことがあってはならないということで、価格の面をいたずらに押えていこうというような動きが出る危険を実は私は感ずるんです。そういうことはお話しございました算式に従って、忠実にこれを計算するとおっしゃいました限りにおいて出てこないはずでありますけれども、そのことについては十分ひとつ善処をしてそろばんをはじいていただきたい、こういう希望を申し上げておきます。  それからイモ切りぼしにつきまして、昨年非常に御心配をかけましたけれども、これは本年の状況から申しますると、数量的にはそんなに減産はしないと思います。といたしますと、また昨年のような事態を繰り返してはいけませんから、これは外国輸入原料とかみ合せて始末をしようと思えば、生産者に何らの不安なしに始末のでき得る建前になっていると思うんです。ですから、今年はきっちり生産数量というものを把握して、それと外国輸入原料との調整をきっちりつけて、来年の二月ころになって余ったの何だのという問題で、またお互いに迷惑するということが発生いたしませんように、当初からまず全生産数量を消化して、その不足分を外国の糖密等の輸入に待つ、そのリンク制度という過去のとり来たった方策を百パーセントに織り込んでやるという措置をしていただきたいと思うんです。これは通産省のアルコールとの関係も新しく去年から発生したんですから、そういうものを加えて、必ずしも酒やしょうちゅうばかりでなしに対策を樹立することを考えていただきたい、これはできましょうね。
  197. 大澤融

    説明員大澤融君) 昨年のようなことのないように、初めからひとつ原料を織り込んで考えていきたいと思います。
  198. 森八三一

    ○森八三一君 その希望もひとつ申し上げておきます。きょうは数字がございませんので、そういうような状況を、私が私なりの資料で申し上げてはいけませんから、近日中に政府のほうでイモの生産量、それからカンショ、バレイショそれぞれについて、それからその原料を澱粉に加工する見込み数量、それから切りぼしに加工する見込み数量、それから出てくる生産数量というものを勘案して、それぞれの政府買い入れ価格をおきめになるというときには、必ずしもあなたとは意見が一致しておらぬと思います。基本法の趣旨を体して最終価格の決定されるように配慮を願いたいという希望だけをきょうは申し上げまして、具体的な数字は一応ここに自分なりのものを持っておりますけれども、あなた方のほうに資料がなければ話になりませんから、この次にいたします。
  199. 木島義夫

    ○木島義夫君 関連。今食糧庁長官から九月末に発表するという話がありましたが、われわれ関東などは、このカンショの生産が早いほうでありまして、九州とよほど事情が違う。過去のいろいろな経験によりますと、どうも発表がおくれるために非常に安くイモを売ってしまったりして、はなはだしい場合には、売ってしまったあとに発表されるというようなことがあって困っている。九月末でもおそきに失する感がする。ですからこの点はいろいろな御都合もあるでしょうけれども、なるだけ早くこれを発表してもらいたい。われわれの希望から言えば二十日ごろまでに発表してもらいたいほどなんです。で、過去においては十月もずっと過ぎてから発表になった例もたくさんある。非常に千葉県あたり、イモの重要な産地でありまして、皆さんがせっかくの法律の適用を十分に受けることができないこういうことを言っておりますから、ぜひ九月末におくれることなく、むしろ二十日ごろまでに、われわれは、この早場の生産地においては希望しておるということを特に御注意願いたいと思います。
  200. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 お願いを申し上げておきたいと思いますが、イモの価格が今月末にきまるということは、当然なことであります。きまるまでに清算払いをするということで先取引をするところもあり、また金に詰まって、やむを得ず安いところでも売り払うということで安売りする例もある。しかしできれば農業協同組合においても、あるいはその他カンショの出荷団体が適切にその間の処理をして、なるべく生産者の有利なように計らいますことは当然なのでありますが、そこで一番私は従来からも何回も質問をし、依頼をしたわけでありますが、なかなか実行できないことは、通産省関係のアルコール原料になまイモをすり入れるのですが、その場合に支持価格が出ない前にたとえば二十五円、去年二十五円で、二十五円に決定される前に澱粉用の価格計算で十九円でいこうということは、これはもうやむを得ぬことだと思うんですよ、先売りしたわけですから。ところが同じ政府機関で、農林省が二十五円の支持価格というものを決定してのちに、アルコール原料としてつまりその製造工場がこの二十五円を下回わって買う。売り込みにきたから買うんだというような考え方でなしに、支持価格はやはり政府機関は守って、価格維持を有効適切に押してもらいたいという希望を私は毎年申し上げるのですが、あとの希望は報告によりますと、いや、そういうことになっておりますというのですが、現実はそうでない例を私は知っております。ですから、どうか支持価格によって、その価格決定ができましたら、少なくとも通産省のアルコール原料に使いますなまについては、適切な連絡のもとに買い入れをしていただきたいというお願いを申し上げたいと、こう思います。
  201. 大澤融

    説明員大澤融君) よく気をつけます。
  202. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十四分散会