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1962-08-31 第41回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月三十一日(金曜日)    午後二時三十分開会   —————————————   委員異動  八月二十三日   辞任      補欠選任    武内 五郎君  柳岡 秋夫君  八月二十四日   辞任      補欠選任    熊谷太三郎君  津島 壽一君    柳岡 秋夫君  武内 五郎君  八月二十八日   辞任      補欠選任    中尾 辰義君  原島 宏治君  八月二十九日   辞任      補欠選任    米田 正文君  平井 太郎君  八月三十日   辞任      補欠選任    原島 宏治君  中尾 辰義君  八月三十一日   辞任    津島 壽一君  熊谷太三郎君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木村禧八郎君    理事            石井  桂君            徳永 正利君            村上 春藏君            武内 五郎君    委員            稲浦 鹿藏君            岩沢 忠恭君            熊谷太三郎君            黒川 武雄君            小山邦太郎君            田中 清一君            増原 恵吉君            三木與吉郎君            瀬谷 英行君            田中  一君            藤田  進君            中尾 辰義君            田上 松衞君            村上 義一君   衆議院議員    発  議  者 井手 以誠君   国務大臣    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    建設政務次官  松沢 雄藏君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省都市局長 谷藤 正三君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 平井  学君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○公共土木施設災害復旧事業費国庫負  担法の一部を改正する法律案(衆議  院送付予備審査) ○地すべり等防止法の一部を改正する  法律案衆議院送付予備審査) ○霞ケ浦放水路利根川下流改修工事  促進に関する請願(第一八五号) ○公営住宅建築基準単価引上げ等に関  する請願(第一九号) ○新道路整備五箇年計画改定に関する  請願(第二一六号) ○東北自動車道早期建設に関する請  願(第二一五号) ○国道一号線拡幅早期実現に関する請  願(第三号) ○一級国道五十一号線等整備促進に関  する請願(第一八七号) ○一級国道新潟平線中郡山、会津若松  両市間道路改修工事施行に関する  請願(第一一一号) ○国道十九号線中木曾地区改修工事促  進に関する請願(第五九号)(第一二  七号) ○主要地方道石岡潮来線等整備促進に  関する請願(第一八八号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査建設行政基本施策に関する  件)   —————————————
  2. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいまより建設委員会を開会いたします。  先刻の委員長及び理事打合会の結果について御報告いたします。  本日の委員会運営についてでありますが、初めに、理事補欠互選を行ない、次に、昨日本委員会付託になりました二法案提案理由説明を聴取いたします。それから次に、請願審査をお願いいたし、継続調査要求をおきめ願い、さらに議員派遣について御決定を願いまして、大臣所信表明を承るという順序で進めて参りたいと存じます。  次に、委員異動について御報告いたします。  去る二十三日、武内五郎君が辞任せられ、柳岡秋夫君が選任されました。翌二十四日、柳岡秋夫君、熊谷太三郎君が辞任せられ、武内五郎君、津島壽一君がそれぞれ選任されました。また二十八日、中尾辰義君が辞任せられ、原島宏治君が選任されました。二十九日、米田正文君が辞任され、平井太郎君が選任されました。三十日、原島宏治君が辞任せられ、中尾辰義君が選任されました。本日、津島壽一君が辞任せられ、熊谷太三郎君が選任されました。   —————————————
  3. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、理事の、補欠互選についてお諮りいたします。  去る八月二十三日の委員異動に伴いまして、理事に欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。  つきましては、互選の方法は、手続を省略して、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 御異議ないと認めます。それでは、武内五郎君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案及び地すべり等防止法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を求めます。衆議院議員井手以誠君
  6. 井手以誠

    衆議院議員井手以誠君) 提案者井手以誠でございます。  まず、ただいま議題になりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  本年七月の四県集中豪雨によって、二十八年の大水害、三十二年諫早大水害によって原形復旧を施した中小河川堤防、農地及び農業用施設は、一カ所も残さないほどに再度決壊の災害を受け、関係者の深刻な打撃はもちろん、国費のこの上ないむだづかいとなっておりますので、このような被害の愚を繰り返さないよう、この際多年の懸案である改良復旧に踏み切り、その早期完成をはかる必要があります。  これがこの法律案提案いたしました理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、原形に復旧した施設で再度災害にかかった個所、または原形に復旧するだけでは災害防止に十分な効果が期待し得ない個所について必要な改良工事を施工するものを災害復旧事業にみなすことにしました。  第二に、緊急工事について現行の三年以内の期間を、二年以内に繰り上げることといたしました。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。  次に、ただいま議題になりました地すべり等防止法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  本年七月八日の集中豪雨地すべりによって佐賀県太良町大浦地区は死者四十三名、重傷者三十一名の大惨事を引き起こしたのを初め、九州各地地すべりによる被害が多かったことは、ぼた山崩壊とともに今次九州水害の特異の現象でありました。しかも、現在なお徐々に地すべりが続き、地割れが広がって居住避難危険状態にあるものは、佐賀県下だけで六十六地区、六百八十二戸に上り、わずかな予算地表水排水水抜きボーリングを行なう程度では地すべりの危険を防止することは困難でありますので、国は国土保全のため緊急に切り取り工事等の大規模防止工事高率補助によって施行させる必要があります。また、現に地すべりを続け家屋を解体しつつある地区も、国から防止区域指定を受けるには少なくとも三カ月以上を要し、特に住民は崩壊埋没の不安におののきながらも、費用がないため家屋等移転ができず、とほうにくれる悲惨な実情に置かれておりますので、民生安定のため家屋移転等勧告、これに基づく補助融資等特別対策を講ずる必要があります。  以上がこの法律案提案いたしました理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、この法律からぼた山関係を別途ぼた山崩壊防止法案の立法に伴って削除し、名称を地すべり防止法に改めることにいたしました。  第二に、緊急に切り取り等の大規模工事を行なうため、防止工事に「地塊の切取り」を加えることにしました。  第三に、主務大臣は、防止区域指定について、すみやかにその手続を完了しなければならないことにしました。  第四に、都道府県知事地すべり被害のおそれのあるものに家屋等移転または除却勧告することにいたしました。  第五に、防止工事の国の補助は、現行渓流施工すなわち砂防については三分の二、その他二分の一を、ともに四分の三に引き上げることにしました。  第六に、都道府県は、関連事業計画移転等勧告に基づいて家屋等移転除却した費用の三分の一(畜舎、収納舎等は二分の一)、国はその三分の二を補助することにしました。  第七に、都道府県は、農業用家屋その他施設に要する資金を無利子で貸付を行ない、国は補助金を交付することにしました。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかな御可決下さるようお願いいたします。
  7. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 以上で提案理由説明は終わりました。   —————————————
  8. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、請願審査を行ないます。  便宜、お手元に配付の付託請願一覧表によりまして、審査を進めます。整理番号1を議題に供します。  専門員説明いたさせます。
  9. 武井篤

    専門員武井篤君) 1番は河川関係でございまして、文書番号は一八五号になっております。利根川下流霞ケ浦放水路、それから利根川下流河川改修事業促進してもらいたいというので、その常陸川水門の完成を早くやってくれと、こういうような請願でございます。
  10. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 御質疑並びに御意見のある方は御発言願います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) では採択することに決定いたしました。  次は2の説明を求めます。
  12. 武井篤

    専門員武井篤君) 文書番号は一九号でございます。公営住宅建築基準単価引き上げ、それから国庫補助増額方に関する請願でありまして、公営住宅建築が、建築資材用地費高騰で、今の基準単価をもっては建築が不可能である。したがって、この建築費不足分は、地方自治体の負担となるので財源がこれに伴わない。だから公営住宅建築基準単価を、少なくとも二〇%以上引き上げられるように、ひとつ国庫補助額の大幅な増額措置されたいという請願であります。
  13. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 御質疑並びに御意見のある方は御発言願います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それでは2は採択することにいたします。  次は3から10まで一括して説明させます。
  15. 武井篤

    専門員武井篤君) 文書番号二二八号でありますが、これは新道路整備五カ年計画改定して、著しく遅滞している北海道、東北地方道路整備のため、大幅な予算増額措置を講じて、先進地との格差解消をはかられたい。  それから文書番号二一五号でありますが、国土開発縦貫自動車道東北自動車道予定路線を定める法律を早急に制定の上、調査完了部分から直ちに着工されるように措置せられたい。  それから文書番号の三号でございますが、国道一号線拡幅早期実現方についての請願でありまして、国道一号のうち、特に鈴鹿峠の三重県境から栗太郎の栗東町の間三十二キロメートル余、それから草津草津町から大津市追分町の京都府界までの間十七キロメートル余が非常に幅員が狭いので交通混雑しているから、これを早く拡幅してもらいたいということであります。  それから一八七号は、国道五十一号線、これは千葉から成田を通りまして鹿島、那珂湊、水戸へ行く道路でございますが、これを早くやってくれ。それから第二点は、二級国道銚子水戸線及び銚子千葉線一級国道に格上げして整備促進せられたいということであります。  それから文書番号一一一号は、一級国道の四十九号でありますが、新潟から平間、特に郡山、会津若松間が非常に悪いので、これを整備してもらいたい、改修してもらいたい、こういうことであります。  それから百二十七号は、国道十九号線の特に木曾地区でございますが、非常に工事がおくれておりまして、改良は五〇%、舗装が一〇%にすぎないという状況であるから、これを早くやってもらいたい。  それから文書番号五十九号は、同じでございます。  それから百八十八号、これは茨城県でございますが、主要地方道石岡潮来線、それから水戸、鉾田、佐原線、それから小川、鉾田線、これをおのおの整備促進してもらいたい、こういう請願でございます。
  16. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 御質疑、御意見のある方は御発言を願います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 別に御発言もなければ、3から10までを採択することに決定いたしました。   —————————————
  18. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、継続調査要求についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査につきましては、閉会中もなお継続してこれを調査して参りたいと存じますので、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 御異議ないと認めます。  なお要求書作成等は、委員長に御一任願います。   —————————————
  20. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  閉会中における委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔午後二時四十四分速記中止〕   〔午後三時四分速記開始
  22. 木村禧八郎

  23. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、建設事業並びに建設計画に関する調査議題といたします。  河野建設大臣より行政に対する基本方針について所信を承りたいと思います。河野建設大臣
  24. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のように、最近におけるわが国経済成長は著しく、生活水準向上もまた見るべきものがありますが、これに対し、道路等公共施設あるいは住宅及び生活環境施設等社会資本の充実が大きく立ちおくれ、これが今日の交通難住宅難、水不足あるいは水害等国力成長のひずみとも言える現象となって現われているのであります。このような社会資本の弱体は、今後の産業経済の発展あるいは国民生活向上を期する上にも大きな障害となっているのであります。  一方、振り返って建設行政について見ますと、戦後から今日にかけて建設省関係公共事業予算は年々増額の一途をたどっておりますが、最近に至っては、予算の多額の繰り越しを初めとし、行政運営の面において種々の問題が生じてきているのであります。したがって、事態がこのまま推移すれば、建設行政を円滑に遂行していく上にかなりの支障を来たすのではないかと憂えるのであります。  ここにおいて私は、今や従来の建設行政のあり方について謙虚に反省し、その大幅な改善をはかるべき時期に立ち至っていると考えるのでございます。われわれは、まず第一に、一国民に立ち帰り、現実建設行政を直視してみることが肝要であります。今さら申し上げるまでもなく、建設行政は、道路住宅治水利水下水道等、いずれも国民生活と密接な関係があり、これから遊離しては成り立ち得ないのでありますが、これまでその運営にあたって、とかく国民の利害が十分反映されなかったようであります。したがって、私はこの際、このような従来の弊風を一掃し、「国民のための、国民立場に立った行政」という基本理念に徹せさせる考えであります。  次には、いたずらに理想に走ることなく、現実に立脚した行政を行なわなければならないという考えであります。現在すでに建設事業に関し種々計画が立てられているのでありますが、いかにりっぱな計画も、その確立な実行がなければ無意味であります。これまで計画のみ先ばしりして事業がおくれたり、予算を繰り越す等、国民の期待に反し、あるいは貴重な国家の財源を有効適切に使わなかった面があったのでありますが、これからは、まず与えられた仕事を着実に実施していくことに力を入れたい考えであります。このため、いわゆる総花的な事業の執行を排し、事業緊急性経済効果等を考慮して、優先度の高いものから資金を集中的に投下して、事業早期完成をはかる考えであります。  また、ここで特に強調したいのは、事業の統一的、一体的な実施ということであります。従来、道路住宅都市計画等の各事業個々ばらばら計画され、実施される傾向があったのでありますが、これは国家経済的に見ても大きなマイナスでありますから、今後は事業相互関連性を重視し、計画及び実施の両面にわたり、相互の調整を十分にとり、総合的な視野に立って事業を進めていく考えであります。  以上が建設行政に対する私の基本的な考え方でありますが、これに基づき諸般の施策を講じて参りたい考えでおります。  まず第一には、抜本的な国土保全対策を推進する考えであります。近年激甚な水害が相次いで起こり、わが国産業経済あるいは国民生活に大きな打撃を与えているのでありますが、一方では、水需要の増大が著しく、各種用水について供給不足現象が深刻化してきております。このため、治水利水総合的観点に立って、この際現行治水事業十カ年計画に再検討を加え、重要河川改修等重点を置いて既定計画拡充改定をはかりたい考えでおります。また、災害復旧事業については、工事施行期限を短縮する等、その緊急性に即応して事業促進をはかる考えであります。  次に、道路整備については、道路整備五カ年計画を積極的に推進するとともに、当面の道路交通状況に対処する緊急事業を強力に実施して、その促進をはかる所存でありますが、特に全国的幹線道路大都市重要路線重要幹線等整備重点を置くくとともに、立体交差等踏切道改良事業積雪地帯における道路交通等を確保する対策等にも力を入れたい考えであります。また、あわせて道路の管理を強化したい考えでおります。すなわち一級国道指定区間拡充交通安全施設整備共同溝の設置、街路樹整備等を強力に推進する考えでおります。  第三に、宅地対策についてでありますが、最近における住宅用地工業用地等入手難地価高騰は著しいものがあります。このため、日本住宅公団による宅地開発事業拡充等措置にあわせて住宅地開発方式についても再検討を加え、宅地供給を飛躍的に増大したい考えでおります。なお、鑑定評価制度その他地価の抑制、宅地の流通の円滑化に関する制度についても検討整備を進めていく考えでおります。  第四に、住宅対策については、従来の量の政策から質の政策に転換すべき時期に到達していると考えますので、したがって今後、政府施策住宅建設にあたっては、規模引き上げを行なうとともに、不燃堅牢化中高層化を一そう促進したい考えでおります。また、大都市における勤労者住宅需要等を勘案して、地域別住宅建設計画を策定し、都市計画に即応して政府施策住宅建設促進する考えであります。さらに農山漁村住宅改善についても力を入れたいと考えております。  第五としては、下水道整備が著しくく立ちおくれている現実にかんがみ、この際下水道事業の強力な推進をはかり、下水道普及率を大幅に引き上げたい考えでおります。  以上当面の課題を重点的に取り上げてみたのでありますが、これらの建設事業は長期的な見通しの上に立って、国民経済全体の立場から最も有効適切に実施すべきであると考えております。すなわち限られた資金を最も効率的に投下して国作りを行ない、今後の国際競争に打ち勝っていく国力の基盤を培養しなければならないと信ずるものであります。  以上でございます。
  25. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 以上をもちまして、河野建設大臣所信表明は終わりました。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  26. 田中一

    田中一君 最初に河野さん、これはどっちみちきょうは新聞記者にも発表なさると思いますけれども、プリントをお出し願いたいと思います。これは当委員会は常にそれをやっておりますから、委員長として……。
  27. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それではお出し願えますね。
  28. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) よろしゅうございます。
  29. 田中一

    田中一君 今、お話の中の、重点的に説明があったと思うのですが、むろん、たとえば治水事業にしても、こまかい事業性格というものは、性格というか、説明というものはないけれども、それはみんな含まれておりますね。
  30. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そうでございます。
  31. 田中一

    田中一君 たとえば治水事業といっても、そのうちの砂防なら砂防重点的にやるんだというような意思はむろん含まれておるのでしょうね、その説明の中には。そういう点が、砂防という言葉が一つもなかったのですが、これはおそらく含まれておるものでしょうね。
  32. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、従来農林省と建設省の間に砂防の問題についていろいろ問題のあったことは御承知のとおりでございます。これにつきましても、人事の交流等をいたしまして、この点をひとつ順次適切に改善していきたいということで努力はいたす所存でおります。御了承いただきたいと思います。
  33. 田中一

    田中一君 治水十カ年計画改定道路整備五カ年計画改定等は、大体この地点はこうするのだ、あそこはこうするのだというようなことの一応立案は事務当局でしているものですか。それらのものは全部三十八年度予算に織り込まれるというように理解してよろしゅうございますか。
  34. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 治水につきましては、残っておりまする二年と次の五年とを加えてこれを新たに五カ年ぐらいで全部でかし上げるということで、これを新五カ年計画と称して、これを今整備して大蔵省と折衝しておる、こういうことでございます。  道路のほうは、ついでに申し上げますが、従来の五カ年計画に、これはこれで一志全国的規模に立ってできておりますから、それに新たに緊急度の加わっておるものをプラスして、これを緊急三カ年ぐらいの事業で加えていきたい、こういうつもりでおります。
  35. 田中一

    田中一君 それから住宅対策の量より質という、この点が非常にいいと思うのです。確かにその時期だと思うのです。そこで、これは常に今までの、私は、十二年ここにおりますけれども、各大臣が質より量に走っておった。またその当時は、その時点においてはそうしなければならなかったと思いますけれども、量より質という転換は、量が減るんだという印象を私は受ける。また受けたのじゃ困るんですよ。だから、量もふやし質もよくするのだというように理解をしたいのですが、河野建設大臣、そのくらいのことはあなたならすると思うのですが、量もふやし、そうして質も向上さすんだというように理解してよろしゅうございますか。
  36. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大体そういう所存大蔵省とせっかく研究していきたいと思いますが、特に住宅問題でひとつ御協力いただきたいと思いますことは、私は、比較的収入の少ない人の住宅公団もしくは公社、地方公共団体等で作って差し上げる。それから収入の幾らか上の人には宅地だけを作ってお分けするということでいきたい。宅地重点を置いて、所得の比較的多い人、従来は三万円、四万円、五万円という人でなければいけないという住宅もあるようでございますが、こういう住宅のほうは、宅地を造成して宅地をふやし、宅地を分譲して、そうして自分宅地自分住宅を作っていただくというふうにしていきたい。下の人は、こちらで質のいいものを作って、そうしてそれをお貸しするというような方向でいきたい。そこで、あわせて、今、御要望のありましたとおりに、全体を通じて減らないように、ふえるようにいたしていきたいと、こう考えております。
  37. 田中一

    田中一君 これは議論になると困るのです、もう時間も、時間というか、二日でもって会期が終わりますから。三日の一時から委員会を持つそうです。あとは月に一ぺんぐらいしか持たないそうですから……。十分に三十八年度予算をあなたが大蔵省要求するには、もう相当あなたの力になって、われわれが、当委員会が力になって、あなたのねらっている予算を余分に取るように協力をしたいと思うのです。そこで、今お話の住宅の問題ですが、ちょっと一言伺っておくのは、低収入層というものの定義はどうお考えになっておりますか。今あなたの言っていることにちょっと僕は納得できないものがあるので、低収入層ということを言われておりますが、幾らから幾ら。それからボーダー・ラインでも、全然もう自分の食うのに一ぱいだという層はどのくらい。それから宅地を提供すれば自力で家が建てられるんだという層の収入は幾らくらい。
  38. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は一応三万円ぐらいを上下と考えております。
  39. 田中一

    田中一君 三万円が普通のまあ庶民生活がし得る収入だ、こういう見方ですか。
  40. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 三万円ぐらいまでの人の住宅は政府のほうでお世話申し上げて、特に安い負担で差し上げなければいかぬのじゃなかろうかという考えです。
  41. 田中一

    田中一君 住宅公団ですら、たしか三万四千円以上の者でなければ入れないのです。今お話しになったように、公営住宅とか住宅公団とかいう言葉が出ましたけれども、公営住宅ですら三万何千円かの収入がなくちゃ入れないのです。ですから、住宅公団が庶民大衆の住宅じゃないということは明らかです。したがって、その、何というのですか、一般庶民生活し得る、生活をなし得る収入というものを三万円で、おそらく三万円じゃ今の、まあ統計上三万円じゃこれは低い層じゃないですか。住宅公団ですら入れないのです。
  42. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そこは私の勉強が足りないかもしれませんが、ひとつまたベース・アップ等もこうありますから、ことしは幾らといっても、来年また上がるかもしれない。私はとにかく今言ったような気持で、低い人のほうは政府で建ててあげる。高い人は自分でやるという、住宅公団あたりが比較的高いところまでお世話しているのですけれども、しかし、宅地だけ作ってあげれば十分だということで、これからの住宅政策の切りかえをするときが来ているのじゃないかと思っております。
  43. 田中一

    田中一君 個々の問題については、いろいろとありまするから伺いますが、そこで、建設資金の問題ですが、たとえば公営住宅にいたしましても、御承知の不燃化するとか、中高層化するということは非常にいいことです。そうして今まで、今までの大臣はするすると言ってもちっともしないのです。今度のあなたはおそらくするでしょう。さて、するとなると、今度は単価の問題なんですよ。非常に苦しいところがございまして、今のような、たとえば公営住宅にしても三分の一の補助、そうなると、なるほど現在七万円くらい、七万円か八万円かかります、一坪。その三分の一の補助ならまだいいけれども、五万円足らずの標準建設費というものを押えながら、その三分の一というから全然家が立たぬということになる。昨年、御承知のように、ずいぶん公営住宅に対して仕事をしようとする者がなくなっちゃって、入札をしても落札をしない。そこで、せんだって新聞を見ると、あなた、建設費の単価の是正をしなければならない、大蔵大臣もそういうようなことを言っていると書いておりましたけれども、どのくらいまでこれを予算要求でしていくか。そこで今後は、かりに予算要求しますと、七万円取るんだと思う。そうすると、今のような家賃をきめる基準というものは、用地費並びに建設費によって家賃がきまっていく、いわゆる使用料、通俗にいう家賃がきまってきます。そうすると家賃が高くなる。家賃が非常に高くなる。今まではたかだか四万、五万程度のものでもって、あとはだれかが負担してその家に住んでいる。今度はそれを大幅に上げて、合理的に促進されるようになると家賃が高くなってくる。そういう点の見込み方ですね。これは三十八年度予算でおそらく要求なさるのですから、この際明らかに、明らかというか、あなたが予算を取るという、取ろうというものはやはり聞いておかなければならぬ。住宅局長がいるでしょうから、おそらくどういうことを考えておられるか、大臣事務当局との腹がぴたっとこないとまずい。おそらくあなたのことだから、事務当局がどんなことを言ったって正しいことを押し通すということを信頼しておりますけれども、その点はどうですか、その辺のことは、かね合いは。
  44. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のとおり、新大蔵大臣はこの道の大家でございまして、何でもわかっておることでございます。この間も、単価を君どうするのだと言うたところが、鉄もセメントも安いからどうでしょうなというようなことを言うておりました。それから、まあ君は専門家だから建つ予算をつけなければだめだよ、今までのように予算だけあっても人が相手にしないようなことじゃうまくないから、そこのところは抜かりなくやってくれ、こういう話の程度はいたしましたが、その後着々実は単価についても話し合いを進めております。今それをここで結論的にどうこうと申し上げるわけには参りませんが、できるだけひとつ単価の是正もいたしたいし、その単価がどういうふうなことに話し合えますか、向こうもわかっておる人でございますから、適当な打開策がよって生じてくるのじゃなかろうかと思っております。
  45. 田中一

    田中一君 けっこうです。そうすると、今のようなことではとてもできないから、やっぱり単価の是正は、正しい単価にはするのだという方向で御尽力願うということですね、けっこうです。  それから、災害復旧を早く復旧させようという考え方は非常にけっこうです。どうもあなたの言っていることは、みんなけっこうけっこうになっちゃって工合が悪いのですが、私は野党でありますから、そこで、三・五・二の比率でもって従来災害復旧をやっているのですが、これはまあ政令でそうきめてあるのですが、何かそれをもう少し促進させるような方法を法律の上で変えていくというような気持があるのでしょうか。その点はどうでしょう。これは政令だったかな法律だったかな。
  46. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は五・五にせいという御要望もないことはございません。それから災害の性質によっては、そういうことが必ずしも不可能でないという場所もあるように聞いております。しかしまた一面におきましては、三・五・二でもなかなか事業が進みにくい場所もあるようでございます。したがって、私の考えとしては、一応の現状の三・五・二でいくということを目途といたしまして、ものによってひとつ考えていくということが適切ではないか、こう思っておりますので、もうちょっと勉強させていただきたいと思います。
  47. 田中一

    田中一君 それから事業の総花的な配分はやめよう、重点主義でいこう、これはほんとうにけっこうです。そこで、従来は全く総花的なんです。これは各局でも、お手前のほうの局の予算が減ると人の問題に関しますから、それはできない。たとえば河川局一つ言っても、各事業所ごとに相当の人員をかかえて仕事をしている。一面、重点主義になると、どっかの仕事をこれはひとつこの際打ち切って、重点的にここへ持っていこうじゃないかということになると、新しい問題が起きてくるのです。というのは、直轄事業、直営事業ならば、その労働組合との争いなんかが起きたり、あるいは地方的にいって総花式でやっていますから、衆議院、参議院ともに出身の選挙区がございます。選挙区の事業が運ばぬと、これはもう少し延ばしてこのほうを先にしなければならぬじゃないかと、限定されておる予算ですから、そういう配分をするとまたそこに一つの問題が起きる。そこで、こういうことは、むろん河野さんは自分の選挙区なんかへ持っていかないで、当然それらの重点的なものに——むろん河野さんの選挙区へ持っていって一向差しつかえないのですよ、それが重点的なものならば。そうしていった場合、今までの事業事務当局が積み上げた重点的な事業であるということを前提にしながら、新しく改善された計画に載って増加される予算重点的なものに投入するのだというような理解をしていいかどうか。あるいはそうじゃない。もうこれは一ぺんここは打ち切って、その力をこっちに持ってくるのか。そこのところは、非常に今後建設行政を行なう場合の、いろいろな問題を含んでおるので、その点一つ明確——明確というか、考え方の問題を、これをひとつ示していただきたいと思います。
  48. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話のとおり私も農林省におきまして、これと同じような農地の改良、用水等の問題を扱って参りましたが、なかなかめんどうでございます。また同時に、それの監督の事務所等の問題等も非常に複雑でございます。しかしそうだからといって、そのまま続けていくことは、非常に事業の施行を予算関係等で長引いておるものを、そのままにしておくということは必ずしも妥当ではない。なるべく効率的に早く重点的に完成をしていくことが必要である。今までやっておりますものを、これを打ち切るとか、しばらく中止するとかというような考えは私ありません。しかし用地関係等において非常にめんどうなもの、御理解のいただけないものについては、ときに決断をもって考えたい、こう考えております。したがって、まあ実例をもって申し上げれば、昨年度の建設省全体の予算で使い残しのものが三百何十億あることは御承知のとおりであります。これはいずれも理由があることと考えますが、ことしは早目に各県の土木局長、もしくは地方局長を招集いたしまして、一たん予算としては割り振ったが、これが未使用に終るようなことがあっては非常に不本意である。したがって見込みをつけて地方の理解が得られないというような予算については、一応返してくれということを申し渡してあります。これらのものについては、あとに残すよりも、集めてこれを重点的に使っていくようなこともいたすつもりでございます。  また明年度の予算の割り振りにつきましては、あらかじめそういう点を十分考慮いたしまして割り振っていきたい。そうして可能なものは一つ一つ早期に完成をしていくようにしていきたい。それから、そういうことによって人が余ったらどうするか。余った人につきましては可能な限り、私は二級国道等の地方道路に、管理の不十分なところが非常に多いと思うのであります。これらについて、いわゆるでこぼこ道を補正するという予算も明年は相当に私は要求いたしておりす。こういうものについて管理の面、道路の管理の面について重点を置いて、こういう人を管理のほうに差し向けまして、そうして補修のほうに万全を期するということに持っていきたいと考えております。
  49. 田中一

    田中一君 けっこうです。  そこで、従来繰り延べになっている事業というものは、おおむね用地の問題が常にからんでおるわけでしょう、おっしゃるとおり。そこで私が申し上げたいのは、これは大臣が就任する前のことだと思うのですがね。「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行について」ということしの六月二十九日の閣議了解で、この通牒が各都道府県に出ておるわけです。この内容を見ますと——これはあなたが農林大臣時代に主張したのかもわかりませんけれども、そうして用地問題が解決されない、用地問題が解決されないから事業ができなかったのだ、そうして結論的に予算の繰り延べが生じたのだということになった。だから、用地が取得できないからということでもって、その事業はストップして、予算を脇に持っていくということになると、これは重点的な、そして重要な事業であるという見込みが、予算を取得したってだめだということになると、公共用地の取得ができないからだめになったということになると、この閣議了解の通牒というものは相当強く働らかなければならぬ。働かすために今度の公共用地取得審議会ですか、この答申に基づいた損失補償基準要綱というものが施行にあたって、各都道府県事業主体に流された、この中に、これはあなた意識しておられるかどうか知りませんけれども、こういう文句があるのですよ。「この要綱は、収用委員会の裁決の場合においても基準となるものと認められる。」ということをいっておるのです。これは非常に重大な問題なんです。法律による収用委員会というものは、この収用委員会の権限というものは、何も政府や知事や地元やそれらのものから何らかの影響を受けて判断を下すものじゃない。しかし、今回の損失補償基準要綱では、ちょっとこの文章も了解に苦しむのですが、これは法律家はうまくわれわれをごまかすだろうと思いますが、「この要綱は、収用委員会の裁決の場合においても基準となるものと認められる。」、こういう通牒を出しておるのです。そうしてその内容については、「精神損失に対する補償等の取扱いについて」という第二の項目では、これ途中ですけれども、「従来一部において行なわれてきた精神損失に対する補償、協力奨励金その他これらに類する不明確な名目による補償等の措置は、行なわないものとする。ただし、現に土地の権利者等と補償について協議中のものについては、従前の例により得るものとする。」、こういう通牒を出しておるのです。今お話のように、用地の取得が困難だということはだれの責任か。事業主体の責任でもない場合もあると思うのです。あるいはその背景に反政府的な考えをもって、これをじゃましているという意思がある場合もあるかもしれない。いろいろあるかもしれません。しかし土地収用委員会委員の権限までを、用地取得を急ぐあまりに、それまでも侵すような通牒を出すということは、これはあなたも農林大臣として、これに加ったと思いますけれども、これはどうか、これはあり得ないのじゃないかというように私は考えております。建設大臣事業を遂行するに急なるあまり、こうして国民の利益を権力で押し切る。閣議決定というものは、法律よりも弱いものなはずであります。その法律を、これで制肘するということなどは私には考えられないのです。だからこの精神で公共用地取得のために事業を行なうとすると、大きな抵抗があるわけです。それはもうとんでもない抵抗があるのです。そうすると、せっかく建設大臣が実行しようといういろいろの公共事業というものは、その遂行ができなくなるということを私は心配するものなのです。で、こういうものを、自分でお気づきにならなかったのだろうと思いますけれども、これは建設大臣、これに対するひとつ国民が安心するような答弁をしてほしいと思うのです。あなたの今まで、就任以来打っておるのはみんなヒットばかりです。もし、これに対する答弁が国民に安心でも与えますと、これは本塁打になりますから。これは下手な答弁をすると、これは大へんです。それこそエラーというか、エラーどころじゃなくて、大きな混乱が社会に起こるということに必ずなると思うのですよ。私などは、これがもし、ほんとうに政府が、こういうものでやろうとするならば、やはり国民の側に立って、急先鋒になって政府を糾弾せざるを得ないのです。国民立場に立って、今後の建設行政を行なおうという建設大臣のほんとうの、真情は、ここに現われてないものと私は了解したいのですけれども、その点ひとつ御説明して下さい。
  50. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) もちろん御承知の上で御発言と思いますけれども、収用委員会をこの通牒が拘束するはずはないのでございまして、委員会委員会独自の立場でむろん御決定あってしかるべきもので、それをわれわれは、それに従って行政を行なうということは当然であります。ただ何にいたしましても、御承知のとおり用地の問題が、各地で非常に複雑にからみ合っておるものでございますから、いろんなところでまた段階ごとにと申していいぐらいに、計算の仕方等についても複雑なものがあるというようなこと等もありますものですから、一応の基準を述べたということにすぎないと私は思います。したがって、これによって委員会は、お話のように収用委員会が拘束されるとか、指導されるとかいう必要は毛頭ない、そういうふうに考えております。
  51. 田中一

    田中一君 それでは、私がこうして法律を作る立場におりながら、私自身でも一つの圧力を受けるという気持を持っているんで、建設大臣、この閣議了解でございますから、閣議でやはり同じように了解をしてもらって、この通牒は、この損失補償基準要綱というものは、収用委員会には何らその意思決定を拘束するものではないという閣議了解を得て、そしてお出し願いたいと思うのです。
  52. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御注意の点につきましては、もう一ぺん再検討いたしまして善処をいたします。
  53. 田中一

    田中一君 いろいろ総括的に——プリントがないから、私もノートをとる余裕もないので、はなはだ残念ですが、一つだけ伺っておきますが、水の需要というものは、日本の経済成長のためには、どうしても必要なものです。これは絶対なものなんです。そこでそのために、昨年の国会では、とうとう通過しなかったのですが、秋にでき上がった水資源公団、これと愛知用水公団が残っております。それでこれらのものを今あなたのおっしゃっている事業の統一、事業相互関連性をとって、国民立場に立つ運営をしたいということを発言なすっていらっしゃるんだから、これはまあひとつ同じような水を扱うものであって、あなたが建設大臣になるということは、農林行政建設行政の今までのいろんな食い違い、たとえば食い違いというか、国民が一緒になってほしい、総合的な関連をもってほしいと思っていることが実現されるんじゃないかという私は期待を持っているんですよ。これらのものを、今御発言のような事業相互の、これは建設省内部においてもいろいろな問題がございます。しかしせめてこれは一元化し、統一ある国土計画、私はこの事業が、もっとふえていいと思うのです。かりに民間企業というか、特殊団体、特殊法人にやらしたほうがいいんだという点に立つならば、もっと伸ばしてもいいと思うのです。これはやはりあっちにもこっちにも——愛知用水公団がある、水資源公団がある、九州の球磨川利水公団ができるとか何とかいうことになると、これは困ると思うのですよ。  現に国土開発縦貫自動車道なんというものは、基本法がないために、中央道を作り、北陸道、東北道を作り、それぞれ出身の選挙区の国民の要望にこたえて各出身の国会議員が立法化して出している。これらのものも、やはりお説のような国土計画の一つでありますから、これもやはり事業相互関連性があるのだから、事業の統一ということは、これは非常に大事であろうと思う。建設省の中にもある。たとえば町の中に家を作るという場合に、都市局と住宅局とに縄張りが二つに分割されておりますが、事業そのものはちっとも変わってない。  したがって水資源公団と愛知用水公団とは同じような目的を持っているから、これを一つにしてもらいたい。今ここでもって下手な答弁をされると困りますから、その方向をひとつ御検討願いたいと思いますが、いかがですか。
  54. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) よく検討いたします。
  55. 田中一

    田中一君 先ほどの宅地の問題でありますが、高収入者には宅地供給する。そして自立住宅建設促進する。低所得者には公営住宅、その他、政府出資の資金によって低家賃の住宅供給するということであります。  そこで宅地の造成は、平面的な宅地の造成をふやすのだというような印象を一面に受けますが、なおかつ不燃、堅牢、中高層化ということを大臣説明しておりますが、これは対象は違うから、矛盾はしませんが、宅地の造成をして高収入層に住宅建設の意欲を起こさせるという考え方をとり、宅地造成を促進すると、地域的にその辺の宅地は値上がりするわけです。政府資金、公共団体の資金を、これに投入すれば、道路もでき、橋もでき、下水もでき、電気もガスもくるということになると、どうしても隣接する宅地というものは値上がりになる。さて宅地政策を打ち出して土地の価格を抑制しようという考えに立ちますと、これは資本主義をもって立つ政府は、とうてい宅地高騰を押え得るということはおそらくできないと思う。各私鉄などは、宅地の開発によって利潤を上げている今の現状でありますから。そうすると、先ほどおっしゃった中高層化政策、いわゆる既開発市街地における高層化、大臣は十階より二十階を立てればいいじゃないかと言われたそうだが、これは全くもっともです。賛成です。それは二十階を立て得る経済的地盤を持つところの土地ならばけっこうです。しかし二十階を立てたために、経済的に非常に建設費が高くなる不経済なところに立てることはできません。これは当然です。既開発市街地においては高層化を当然しなければならぬと思う。平面的に宅地をどんどん延ばしていったところで、日本の領土というものは四つの島に限られているのですから。大臣の言われたように立体化する方向に重点をおかれて、地価十万円の土地でも十階建なら一階の地価は一万円で済むわけですから、そういうところに重点的な開発をなさることを私は希望するのですが、大臣はどういう考え宅地の造成をなさらんとするのか、その点、今までの建設省宅地政策というものは、住宅金融公庫、住宅公団これを原資として、地方の私鉄とか、いろいろな公共団体等が宅地の造成をやっておりますが、平面的宅地なんです、これらの点はどうなんです、私はもう少し、今までのもんじゃない、すかっとした拍手を送りたいような考え方をひとつお示しを願いたいと思います。
  56. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私も同じような考えを持っておるものでございますが、建設大臣になりますまでは、たとえば神田のようなところは、ひとつ一括して、ここに四階ないし五階以下の建物を禁止するというわけにいかぬもんだろうかということを、しばしば前知事に申し上げておりたのでありますが、さて大臣になりましていろいろ伺いますと、これをやるためには、いろいろな法律もしくはいろいろな条件を整えなければならないようなことで、あしたのことには間に合いにくい、それを自分の在任中に、ぜびこれをやるといいましても、なかなかそれが金で一向解決しないということになりますので、それはそれとして、一応予算を編成します上においては、今申し上げたような宅地政策の上に重点を置いて私は申し上げたわけであります。もちろんその旧市内もしくは旧地域の建設については、別途これは考え法律措置を要するものももちろんございましょうから、考えなければならぬということについては、私も全く考えは同じでございます。
  57. 田中一

    田中一君 だれがそんなことを言った、官房長が言ったのか、尚住宅建設課長が言ったのか、建築基準法の第何条ですか、町の中の建築物の高さというものを指定すればできるのです。あとは資金関係だけなんです。資金関係だって問題はございません。住宅金融公庫が優先的に融資しているのだし、それから住宅公団が屋根貸しの資金を融通してもいいのです。そういうことをだれが大臣に、大臣の非常にいい夢に水をぶっかけるような、何か局長、課長あたりがいるから、大臣がやはり首を切るというのです。だれがそんなことを言ったんだ、建築基準法の五十九条に「高度地区」というのがあるのですよ。これは「建設大臣は、都市計画上又は土地利用上必要があると認める場合においては、都市計画法の定める手続によって、都市計画施設として高度地区指定し、その地区内における建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めることができる。」、大臣がどういうように指定してもいいのです、あとの問題は資金の問題ですよ、自分はそこに土地を持っているけれども、大臣が今この地区は六階地区ときめたらば、あとは金の問題ですよ、金の問題なんで、法律の改正も何もないんです。前国会で住宅公団法をここで改正して融資ができるようになっております。住宅金融公庫法も改正して融資ができます。一向さしつかえないのですよ、だれがそういうことを言ったか、大臣に一ぺん聞いてみたい。だれがそういうことを大臣に、そういう何というか間違ったことを進言したか、これは非常によくないです、だれですか、大臣。だれがそれを教えたのですか。
  58. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は私、農林大臣時代以来、東京都の仕事については手をやいているのです。実は、これはもうできることでも、東京都へ持っていったら、どこへどう入っていってしまうか、もう結果が出てこない。そのために、ほらばかり吹いているという非難さえ起こる。当然やってもらえることでも、東京都のほうにいくと、これが消えてしまう。皆さん御承知のとおり、都政と区政という関係が、どういうようにからみ合っているものか、一向できにくいものでございます。したがって、東京都内の問題を扱います場合には、よほど慎重に考えてやらないと、押しても突いても動いてこないというのが東京都です。私は今までしばしば辛い目にあったのです。  そこで東京都に関係のある問題は、よほど慎重にかかろうというようなことから、実は一通り予算も済みましたから、一応大蔵省に送りつけましたから、明日午前から東京都の建設関係の役人に全部来てもらいまして、そこで初めて東京都関係の仕事をひとつとっくり話し合って、そしてやってみたい、こう考えておったものでございますから、今のお話の点についても、実はよほど慎重に考えていきませんと、都のほうでは承知したような、しないような、もう当然できなければならぬことでもできてない、例をあげてみろと、おっしゃれば、たとえば芝浦屠場の問題、これらはだれが考えてみてもおかしな存在で、そして豚の問題が起こってくる、どうやって、はたから押しても突いても、どうにもならぬという関係にぶつかるわけでございまして、たとえばその他生鮮食料品の問題にしても、都が何と言っても、区が言うことを聞かないというようなものがあるのでございます。  したがって、今一番私は部下にも督励いたしまして、三田の通りを何とかしようじゃないかと言っているのですが、これとても、なかなかちょっと手はつけにくい、手はつけにくいと言ったところが、一応あそこは道路の拡張をする見込みになっておりますので、本建築はおそらく禁じてあるのではないかと思います。一方三田の両側の商店街の諸君は、一体いつ通してくれるのだというやかましい苦情が参りますが、さればといって、こちらのほうはとにかく東海道のスタートですから、これを何とかひとつ通すようにしたいものだと思っても、これはなかなかそう簡単にいきにくいというようなことでございまして、いろいろ御注意を受けることは今後もございましょうと思いますが、ひとつ私、できるだけ可能なものから手をつけていきたい、こう考えております。どうぞ御了承を願います。
  59. 田中一

    田中一君 それが大臣いけないのです。日本の官僚組織というものは、それは一大臣が幾ら、あなたが実力を持っても、なかなかこの網を破ることはできないです。伝統的に、旧憲法以来、もう強固な鋼鉄以上の特殊鋼の網があるのです。これがよしあしを言っているのではございません。これはやはり全国民の意思を背景としてよいほうに持っていくのが正しいのであって、今私は端的に市街地における高度制限、高度指定の問題すら、大臣に、そういうような上申した役人がおるというなら顔を見たいです。ことに東京都の諸君に会うと、東京都の諸君はもっと、これはあまり言いたくないけれども、もっとひどいのです。これはあなたに来年の選挙にひとつ東京都知事に出てもらうんだな、そして勇気を持ってやってもらう、実にそれはひどいものです。今私は他のことは言いません。今高度指定の問題です。建設大臣指定すればいいのです。結局その資金がないというと、お貸ししましょう、貸す道は法律を改正すればできるのです。現に開かれているのです、道は。  だから私は宅地造成ということを、平面的な宅地造成をやっても限界があるのです。一つの団地が、たとえば例の中央線でも、相当団地ができました。そのために十二月から一月にかけての寒いときには、御承知のように着ぶくれて電車に人が入らない、死人も出る、こういう状態が毎年々々厳冬季には続けておるのですよ。なぜかというと、宅地造成の罪ですよ。平面的な宅地造成の罪ですよ。何らそういう輸送機関その他の問題も考慮しないで、ただ作ればいいのだと思って作らしておる。これじゃいけない、だから、そうするには、やっぱりあなたのおっしゃるように、三田の通りもよろしい、それから神田だってそうですよ。東京の二十三区では、たった一・七階しかないのです、一・七階しか。建物は二階になっておらないのですよ。これに相当な資金を投入することによって、宅地造成をする資金があるならば、逆に地域の高度化をして、それに対する資金を貸したほうがずっといいのです。そうして住宅公団が、かりに十万坪の宅地造成をすると、その隣接の土地は、全部完成された住宅公団宅地の価格にまでは必ず上がるものなんですよ。地価を上げておるのは政府の政策なんです。これじゃやっぱり間違いである。じゃ宅地はないか、市街地にあるのですよ。そうして自分の職場まで三十分くらい……、あなたはゴルフに起きられたらというけれども、ゴルフに行くよりも、三十分くらい建設省に来るまでの間の歩道をとぼとぼ並木を歩いたほうが、どのくらいゴルフより効果があるかどうかわかりません。こいつは確かにそうですよ。帰りに建設省の中でマージャンをやらないで、やっぱりこつこつと三十分くらい、三十分、四十分の自分のうちまで夕方歩いていくという、これは健康上いいことですよ。そうするには、やっぱり通うのに一時間半も二時間、往復三時間もかかるのはざらです。それをラッシュ・アワーで、もう一日の勤めのカロリーの消耗量よりも通勤の消耗量のほうがよほどひどいのですよ。うちに帰って細君にいやな顔をすれば、細君もふくれる。家庭の幸福を破壊される。しょうがないからマージャンでもして、七時か八時に帰ろう、楽になってから帰ろうという気持で、金がないから、月給が安いから、一ぱい飲む金がないから、まあマージャンでもしてかせごうかということになっちゃう。ここがやはり、あなたのおっしゃっている総合的なものです。  私はやはり既成市街地にはまだ宅地が残っていると思うのだ。これに十分に住宅金融公庫なり、住宅公団なりを通じて、これに資金を流せと強制したほうが、どのくらいあなたらしいセンスかわからない。そういうあなたの目をおおうただれかがいるから、けしからぬ話ですが、これもひとつ検討して下さい。
  60. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまのお話、よく了承いたしましたので、至急検討いたしまして、間に合えば明年度間に合うようにいたします。
  61. 田中一

    田中一君 私ばかりしゃべるとどうも工合が悪いから、どなたかあれば渡しますが、私はまだまだゆっくりと、三十八年度の予算編成までに、やはりわれわれが国民立場で申し上げたいことがたくさんあるので、時間をとって伺いたいと思いますけれども、三日の日は、大臣は午後一時からずっと出られるわけですね、私はその点を伺っておきたいのです。
  62. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 決算委員会がございまして。
  63. 田中一

    田中一君 午後に——午前はどうでしょう。
  64. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 午前は衆議院のほうがあるわけです。もうちょっと予算の目鼻がついてからじゃいけませんか。
  65. 田中一

    田中一君 予算の目鼻がつく前に、あなたに申し上げたい。今のように、あなたのそばにいる人間が、あなたをだますじゃありませんか、それじゃ困るのですよ。あなたをだますと、今までどおりになっちゃうのですよ。
  66. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) あとから委員長とよく時間の打ち合わせをいたしたいと思います。
  67. 田中一

    田中一君 私が今大臣に質問しているのですから、委員長と話し合うのもけっこうですが、国会終わりますと、みんな予定を持っておりましてね、だから大臣も、せんだって御要求になれば必ず出ますと、こう言っている。それは決算委員会のほうをちょっと延ばしてもらっても出て下さいよ、どうですか、できませんか。
  68. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ちょっと話し合って見ますから。
  69. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  70. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 速記を起こして。
  71. 田中一

    田中一君 あなたに会って質問をする時間がないので、非常に困るんだけれども、これは委員長に申し上げますが、予算ができてからでは、根本的な要望があるときにも、われわれの希望は何にも入れられないのです。少なくとも自民党多数ですから押し切っちゃう。ですから、私はその前に、河野大臣、われわれの建設的な意見を言うのですよ。決してなにも、あなたの仕事の足をかっぱらうという気持は全然持ってないんです。真剣に申し上げているのです。これはそのつもりでひとつお聞きになって、かつまた、委員会を何回か開くという機会を持っていただきたいのです。予算が固まってきたら、全然あなたは、てこでも動くものではないんですよ、これは。
  72. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 予算は御承知のとおり十二月に最終決定しますので、それまでに追加的に、私はぜひこれはと思うものは追加的に要求するつもりでおります。したがって、今ここでぜひしておかなければならぬということじゃなしに、その間にいろいろ御注意を承りまして、自分としてもぜひこれはというものについては、善処して参りたいということにいたしたいと思いますから。
  73. 田中一

    田中一君 それから次に伺いたいのは、一級国道の直轄部分を、維持管理の直轄部分をふやそうということだったのですが、さっきの御説明は、ちょっと不明確だと思うので、もう一ぺんその点伺いたいと思うのです。
  74. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は今すぐにというわけには、むろんいくとは思いませんけれども、国道と名のつくものはひとつ一級、二級を通じて、将来国の管理にすべきものじゃなかろうかということを——実はここへ来るまで、二級国道が府県でやっているというようなことは知らなかったのでございます。一級国道にしても同様でございます。その他地方建設局が、わずかに直轄する道路だけをしているということも、ここへ来て初めて知ったわけでございます。これはもういかにいっても、どうかと思われますので、ぜひひとつ明年度からは、地方建設局につきましては道路の管理——むろんその他地方建設行政についての相談相手になっていくぐらいの点に、何とかひとつ職員の再配置をするなり、建設省設置法の改正をするなりしていけないものだろうかと研究いたしておるのでございます。
  75. 田中一

    田中一君 それから先ほど道路交通行政という言葉を大臣が使っておったんですが、むろんまあ主として交通のためにあるのが道路です。交通のためにある道路、不可分なものでありますけれども、これは所管は違いますわね。そうすると、警察庁から交通部門をとってしまうつもりですか。それともこっちから向こうにやっちゃうつもりなんですか。言葉の説明道路交通行政という言葉を言っておりますけれどもね、それはどういうニュアンスなんですか。
  76. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今の道路に対する行政の面につきましては、御承知のような現状でございまして、必ずしも私は適切でないんじゃなかろうか。建設省そのものは、これまで建設の仕事が大部分で、その後の維持管理行政という面について非常に手が抜かれてきた。これがはたして、これでいいか悪いかということについては、すでに私は検討の段階に入るべきものと考えます。  そこで最近に、先ほどお話もございましたが、交通閣僚懇談会でもありましたら、その席で私は発言しようと思って実は待っておるのですが、その機会が実はまだありませんで発言いたしませんが、たとえば今のバス、それから一般の道路において、どの程度の道路にどの程度の重量の自動車が走ってよろしいかという取り締まりというようなことについて、建設大臣発言権というものを、もう少し強くされべきじゃなかろうか。現状においては、せっかく——下の舗装が簡易舗装か何舗装かということもわからぬで、上のものが許可され、取り締まられるということでは適当ではございませんし、また上を走るものの程度によっては、こちらのほうとしても舗装の仕方もあるだろうというような関連性があり、これだけ舗装を全国的に建設省が行なうようになって参りますれば、従来と違った面において、私は各省間の連絡が必要になってくると思いますので、この点について、とくと関係閣僚と懇談いたしてみたい、こう考えております。
  77. 田中一

    田中一君 それは、またいずれ伺います。そこでせんだって、交通の問題でありますが、まあ東京の交通難ということは、これはもう、どうにもならないような状態になっておりますが、建設大臣、これは本気で考えておられると思うのですが、大きな建造物のまん中に道路を作ろうじゃないかというようなことも、ちょっと言われたように聞いております。それはまあちょっと、幾ら建設大臣でもできませんよ。私有財産にまで——用地取得のために、こんな困難しているにもかかわらず、そこでもって働いている建物の、建造物の中へ道を抜くなんということは、都市計画でもって、その下に道を作る場合は、名古屋にはあります。上に建物を作って下に道路を抜いたところもありますけれども、やっぱり建物の私権のほうが先行しますよ。だからそれはまあできないと思うが、交通緩和のためには、宮城はどうですか。これは一番宮城が、交通問題を中心にすると、じゃまなんです。といって、まああなたもソビエトにいらっしゃっておわかりのように、ああいう共産主義の国でも、非常に民族の記念すべき——民族尊重といいますかね、やはりそうしたものを保存します。私も大好きなんです。宮城なんかというものは、あそこに道路を作るべきじゃない、こういう主張を党内で持っておるのですが、さてそうなってくると、やはり地下道ぐらいは作ったっていいじゃないかと思うのですよ。われわれ平和を前提としますから、あの中に道路を作ったために、隧道を抜いたために、そこに爆弾をしかけるなんということは想像しませんから、そのときには、まあ国民の象徴はどこかに行ってもらえばいいのですから、あそこに縦横に二本か三本道路を、隧道を抜くなんという考え方は、建設大臣、ないでしょうかな。そうすれば相当緩和されると思うのです。  それからことに何というか、大宮御所といいましたかな、今の皇太子がおられる地域ですね、あの地域は十二万坪あるのです。皇太子が使っているところはごく少ないのです。もっともまあ谷底のほうにはテニス・コートや何かを作っておられるようでありますけれども、これは大体十二万坪を二万坪程度に区切って、あとはあれは開放すると非常に交通上いいのです。そういうことのほうが先に考えられるのじゃないかという気持を持っているのです。で、あとはまあ——あの中は非常にいいですよ。江戸時代の面影があってなかなかいいものです。これは大臣もよく御承知だと思いますけれども、あれは公園にしても何にしてもいいのです。しかし道路を作ることも必要です。ましてや高速道路の二号線でしたかな、例の五反田から白金の自然公園を通るあれも、文部大臣に言ったところが、文部大臣は何とか年内にしようと言っておりますけれども、あれなんかも残したいけれども仕方がない。これは小鳥の住むところで、人間の住むところが先ですから、あそこはやはり一応大臣の主張は私は認めますが、そういうような、どうも困難な国民相手の強制よりも、われわれの税金で豊かな——豊かか貧乏か知らぬけれども、とにかく生活なすっていらっしゃるわれわれの象徴に甘えて、少しそういうことを中心に考えたらどうであろうか。建物の中に高速道路すらぶち抜くというような大きな建造物は日本にはございません。一番大きな面積を持っているという大手町ビルですら、何もあそこには住んでおらぬのですよ。昼間はなるほどあそこは自由に交通ができます。しかし人が住んでおらぬ、夜間はあそこに道路は必要ございませんよ。そういうことよりも、今のような宮城並びに大宮御所あたりにひとつ国民のために道路を作るということを建設大臣が進言すると非常にこれはいいのですがな、これは。隧道でもいいのですよ、困れば。
  78. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は、今のビルの中に道路を作りますやつは、大阪において現実にその必要が起こりまして、こたは政令の改正をいたしまして、大阪の朝日新聞がぶつかるわけです。大阪の、御承知でございましょうが、高速道路が朝日新聞の今の本社の横っぺらにぶつかることになります。もっともこれは多少事例が違いまして、朝日新聞が大阪の市有地を借りて本社の一部分ができておる。そこの大阪市の所有地である所を通るということになります関係から、大阪の朝日新聞が高層建築をこれから作る場合に、その三階でしたか二階でしたかに、その一階の一部分を道路に使って、そうしてその上下がビルになるというものが、ぜひ朝日新聞も、そういうふうにしてほしいと言いますし、今後そういう事例が起こってくるだろうということを想定いたしまして、双方話し合いまして、政令の改正をいたして実行することにいたしたわけであります。  それから今お話の自然公園でございますが、これは実は私一昨日でございましたか、自然公園に実地に見聞に参りました。ところがこれらでも行ってみて、私は驚いたのですが、これは中は六万坪あるそうでございます。ほとんど自然公園ですから、名前はいい名前ついておって、自然で金は全然かけずに、そのままの竹やぶ、小さなササやぶで、しいて言えば昔から五、六百年たっておるというシイの木がうっそうとしております。それでこの経営にあたっては、鳥が逃げてしまうから人間は一日三百人以上入れないのだ。六万坪のところに三百人しか人を入れないので、それ以上の入場をさせぬといって、これを保護しておいて、道路を通すについてはなかなか同意しません。これを文化財保護委員会か何か、この委員の方ががんばっておられて、なかなか聞いていただけない。行ってみたのですが、これを一体同意していただけない理由がないというふうに私も確信を得まして、絶対やるというので帰って参ったんですが、ひとつこれは建設委員の皆さんの方にも御見聞いただきまして、そんなばかなことはないじゃないかということで、世論として喚起していただきたいと思うのであります、今お話の宮城とか青山御所とかいう場合は、私も実は大臣になりまして、青山の通りをあれだけ工事をしておるにもかかわらず、青山御所が一番あと回しになっておるということは、はなはだ遺憾だ、まず困難なところから手をつけべきだ、困難であるかどうか知りませんが、決して反対されるわけでもなかろうが、あと回しになっておることは、国民感情の上から言っても適当でない。早急に一日も早く東宮御所の一部の工事を着手いたしまして、一番先にこの工事完成させるということにしておるわけでございます。必要があればむろんそういう点について御異論があるわけもなかろうと思いますし、問題は必要度だろうと思うのでございます。むしろ祝田橋のところにこれから地下道を作る、そうすると祝田橋の石垣を積みかえすることになるわけでございます。この石垣の積みかえについて、今の文化財委員会がなかなか同意をいたさないということで、思わぬところに障害がございまして、なかなか困難をいたしておるようなわけでございまして、おそらく宮内庁及びお上が、そういうことのよしあしとか云々というようなことはあろうとは私は考えませんけれども、問題は必要度だろうと思うのでございまして、今後研究して参りたいと思うのでございます。
  79. 田中一

    田中一君 宮城なんか必要ですよ。半蔵門の中に入ってもわかるとおり、中には例の道灌堀のわきには道路ができておる、あそこのところ堀ばたなんか、ぐっと曲がっているのですから、桜田門あたりに出ることになればとてもそれは違うんだな、実際に。だからおそらく天皇陛下も喜ぶのじゃないかと思うんですよ、ああいう民主的な方ですから。これは一ぺん大臣午餐会でもあったときに進言したらどうですか、いいことですよ。人間天皇で、われわれが身近に感じる天皇にしてもらわなければ困る。  それで、公共用地の取得というのは、先ほどあなたが言ってるように、ネックになるのは、一番抵抗強いのは公共建造物なんです。御承知のとおり、公共建造物が一日も早く撤去するというようになれば、もっと進むんです。その一番うるさいのは警察なんです、交番一つ動かすのですら、なかなかうんと言わない、一番最後に残る。郵便局もです。これはもうこういう点は、あなたも今度はぶつかると思うのですが、大体において公共建造物というものは常にがんばる。宮益坂上の郵便局などというものは、すっかり前後ができていながら、私ども再三再四当委員会で注意して、十月にはできます。十一月……、結局十二月一ぱいはがんばってしまう。その間たいへんな混雑なんです。これは建設大臣建設省の掃除をすると同じように、ほかの役所の、そうした悪習はやはりきれいにしてもらわなければならぬと思うのです。おそらく事業を執行しているところの道路公団にしても、それから東京都の道路建設関係の職員にお聞きになると、一番相手にして困るのは公共建造物、政府機関の建物が多いのです。次にくるのは警察というやつが一番いけないそうだ、なかなか言うことを聞かない。こういう点は、大臣ひとつ十分に実行力を発揮して、そうして繰り越しなんという事業がなくなるように、公共用地の取得ができないから、その責任というものは事業執行者にあるという考え方でなくて、そういうものは打ち切っちゃって、別のものにもつていくのだ、これはやすきにつくところで、だれでもできるんです。余った金をほしいほうにやるというのは一番いかぬのです。そうじゃなくて、重要度があるからこそ事業を進めているのですから、それらの障害というものは、これは政府部内の問題が一番多いんですから、これをひとつ征伐し、事業の繰り越しなんというのは恥であります。予算要求した建設大臣が、一番はずかしめを受けなければならないのです。自己批判しなければならないものなんです。そういうものを遂行するように手腕を発揮していただきたいのです。  あと、ほかの方もあると思いますから、私はこれで一応やめますが、ほかの方がなければ、もう少し続けたいと思います。
  80. 田上松衞

    ○田上松衞君 前二回にわたって、ずけずけいろいろ申し上げたんですが、あのときにもお断わりしたように、どうぞ誤解のないようにしていただきたいと思う。田中委員も極力言うておられたんですが、私ども河野実力大臣にできるだけ仕事をしてもらいたいということを卒直に申し上げておくわけなんです。毎日こういうような蒸し暑い日が続くけれども、卒直な国民感情は、河野旋風でわずかに清涼を感じているというのは事実なんです。特に今の内閣の姿では、河野大臣以外には何だか頼るところがないような気持すら持っておる。したがって私は言い過ぎになるかもしれませんけれども、おそらく衆参通しまして建設委員の諸君は、いろいろな注文をつけたいだろうし、いろいろな意見を進言したいという気持にあふれておる。これは間違いないと思ってみておる。したがって、いろいろ聞きたいこともあり、申し上げたいこともたくさんあるわけですけれども、さっきからよくわかっておりますように、きょうの時間的な関係では、どうにもしようがない、次の機会に延ばそうと思ったんですけれども、たまたまこれはすぐ閉会に入ってしまうので、そうした時間もありませんので、ほんの一、二点だけをお聞きしておきたいと思うのです。  建設大臣が前に、いわば構想もあるいは方針も、まだ完全に樹立していないのだと言われたけれども、なかなかどうしてぽんぽんと次から次へと打ち出されるものは非常にりっぱなものだ。おせじなしに、これを前提として申し上げておきます。  そうすると三週間余り前、たしか七日ですか、神田の学士会館で開かれた全国土木、建設の局長会議ですか、そで大臣は、道路工事の執行と維持管理に関して具体的な要綱を指示されたと承っておるわけなんです。その要点が、執行については工事期間をできるだけ短縮するのだ、もう一つは、原則として工事は夜間にしたい、維持、管理の面では道路パトロールあるいは機動作業班、そういうものを新設して、交通対策の一助にしたいというような内容だった。そこでこれを実現することのためには、民間諸団体の協力をも求め、そして期間的には十月までの間、言うなれば三カ月間ですか、この間に、これを軌道に乗せるということを指示、あるいは御決意を表明されたということのようですが、非常にいいことだと思うんです。こんなことこそ国民はこいねがうところと申し上げたいのですが、そうした構想あるいは御計画というものは、お考えのとおりに地方にこれが徹底し、順調にすべり出しておりますか、どうですか。若干危惧を感じますので、この点率直にお聞かせ願いたい。
  81. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は建設省でじきじきにやっております第二阪神国道等は、大体、私も現地に参りまして見て参りましたが、予定どおり進んでおります。今お話の各地方の土木部長さんにお願いいたしましたことにつきましては、三カ月間の猶予、その間にひとつよく整備してほしい。たとえて申しますれば、一つの工事について、何カ月間ということで工事に、施工期限をきめてやっておるが、それが従来ややもすれば、非常に日数が長くなっておる。日数が長ければ、それだけその沿道の人、関係地方の人が迷惑されるわけです。これについての不満が非常に多い。何で一体こんなに長くかかるんだ。多くの人は、公共事業は失対関係のものだというようなことを言われますけれども、必ずしも私はそうじゃないものがある。したがって、これらのものについても、当該請負人と話し合って、そして早く片づけるように、施工期日についても万人の納得のできるような施工期日に立て札を変えてくれ、また工事現場についても、だれが見てもやむを得ぬという程度にひとつ整頓をよくしてくれ、迂回道路等についても親切にしてやってくれということをお願いいたしてあるわけでございます。なおまた、監督者についても監督者を明瞭に、だれにでもわかるような監督者をつけておいてくれ、そして苦情があれば監督者に申し出のできるようにしておいてくれというような点を指示いたしました。これがそのとおりいっておるかおらぬかは、いずれ十月一日を期して、全国に、査察班を編成してこれに回っていただくことにいたして、目下その班を編成中でありますし、その班は、こういうふうにして回りますからということも、地方土木部長に通達をするつもりでおります。したがって、それが行っても、なおかつ従来どおりになおざりになっておりますとすれば、土木部長さんと御懇談申し上げなきゃならないと、こう思うのでございます。せっかく御協力いただくようにお願い申し上げたいと思います。
  82. 田上松衞

    ○田上松衞君 この問題については、要望申し上げておきたいと思うんですが、おっしゃる決意、さっき申し上げたように、非常に関係地域民はこれを歓迎しておるんです。今日どういう形で出るかということをいろいろ——もちろんこういう国会のさなかですから、私ども主要な全国の各地を歩くことは、これはできないことですけれども、いろいろな情報はとっておるわけですが、どこで聞いても、関係地域のものが歓迎しておるにかかわらず、役所の進め方がスローモーだと、なぜしないんだという疑惑が起こってくると聞かされておるわけです。これは確かに、私ども、二、三の例を必要とあれば、こういう方面だとまで言いたいんですけれども、これはまああえて言うまでのこともないかと思いまするが、どうかひとつ十分督励していただきたいとお願い申し上げます。  それから第二点。東京——大阪間の道路混雑を打開するために、東京、関西を結ぶ輸送路として、湘南地域を避けるバイパスを急いで着工するという方針をお立てになったと。そして、このことについては、予算その他について総理及び大蔵大臣との間にも了解を得られたというようなことが報道されておるわけです。これは事実了解を遂げられて、必要な予算をお取りになったでしょうか、どうでしょうか。
  83. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 総理、大蔵、両大臣とよく懇談をいたしまして、そして明年度予算に所要の予算要求をいたしておりますので、いずれ予算決定の際に、最終的に決定になるだろうと考えております。
  84. 田上松衞

    ○田上松衞君 要求をされておりますることは、さっき申し上げましたように、私どもは報道でもう伺っているわけなんですが、どうかこれが実現するように、これもひとつ極力——田中委員がさっき言われたように、何でもとにかくやっていくのだ。河野実力大臣の真価をこれらのところにひとつ示していただきたいと、要望申し上げまして、なおこれとともに、現在着工中であります藤沢茅ケ崎間、いわゆる藤沢バイパスと称しておるわけですが、まあこれを早めるということを進言されまして、予定は来年一ぱいだったはずですけれども、来年の夏までにこれを完成させるようにというようなことになって、大体そうなるのじゃないかと、まあいろいろその筋の者は期待をしておるわけですが、これも、そういう工合な期待が裏切られないようにいきますか、どうでしょうか。
  85. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これも実は、夏の江ノ島鎌倉に特に行楽客が多いだけに、あの道路が必要なわけであります。一番混み合いますのは、東海道線で箱根までの間で一番混み合いますのは藤沢、それから大磯、国府津と、三個所にネックがあります。そこで、藤沢地帯の混乱を避けるために、このバイパスを計画されたのだそうでありますが、これが昭和三十三年に案が立てられて、今日までに至っておるわけでございますが、現地を視察いたしまして強く督励をいたしまして、おおむね来年の六月三十日までに、これが事業を施工いたしておりまする鹿島組、このほうを督励いたしまして、まあ初めのころは、よく単価の割増しといいますか、早くやるなら金を上げてくれというような要求もあったようでございますけれども、そんなばかな話はというので、よく談合いたしまして、一応来年の六月三十日までに完成をする約束になっております。
  86. 田上松衞

    ○田上松衞君 地元の問題について触れて何か委員諸賢にもいやな感じを与えるかとも思うのですけれども、私はいいものであれば、地元であろうと、何であろうとやってもらいたい。特に神奈川県民の期待は、河野大臣に対してまた切なるものがあるわけなんですね。  そこで、やはり今のような問題に関連いたしまして、大磯バイパスですね、これもやられるということで計画をお立てになったと言っておられるわけなんですが、これは事実ですか。そして、もし事実だとすれば、これはもうこまかいことは、時間的なあれがありまますから聞きませんけれども、おおむねの計画案ですか、ほんのアウトラインを示していただきたい。
  87. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは大磯ではございません。実はこれは私が始めたのではないのでございまして、今の、たとえば藤沢のバイパスでも、昭和三十三年から立案され、計画されて、実行に入って、今完成期にあるのでございます。今の大磯——小田原間の道路は、実はこれも測量その他、いつからか知りませんが、よほど古くから話がありまして、(田中一君「まああまりそんなことは言わんほうがいいな。土地ブローカーが……。変なことを言うと問題になりますよ。」と述ぶ)いや、入っておりまして、ところが、これはもう土地ブローカーも何もないのです、全部。初めのことは、大磯辺に多少の障害がありまして、海岸を行かずに陸のほうを行くというような話がありましたが、ようやく話をつけまして、全部海岸の国有地を通って、民有地は全然ないということで、大体の計画を進めておるようでございますから、これもおそらく計画完成次第、海岸を通って民有地を通らずにいくということに相なると思います。
  88. 田上松衞

    ○田上松衞君 今の問題は、この程度に、いろいろ田中委員も懸念される問題もありますから、単にそういう点の心配は質問しておる私も重々悪い影響のないように努めたいと思いますから、その点の御懸念はひとつ下げてもらいたい。  最後にもう一つだけ、きわめて簡単にお伺いいたしたいと思います。入手難住宅地、特に地価高騰という問題に対処するための措置といたしまして、何か住宅地開発法ですか、かりに。こういうようなものを制定して昭和四十五年度までに必要と考えられておるところの七万三千ヘクタールの宅地を入手するための資金を確保したいということが報道されておるわけですが、これらについて、きょうは時間的な関係もありますから内容はお聞きしませんが、ただいつごろこれをお出しになるのか、今国会では、とても間に合わないことはわかりきっておりますが、およそどの時期を見ておりますか。
  89. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) なるべく通常国会に間に合うように出したいと思って鋭意努力いたしております。
  90. 田上松衞

    ○田上松衞君 この際ぜひひとつ、こういうものをできるだけ早く出していただいて、こうした、今申し上げたような点は、幾つかの河野構想の中で、ほとんどこぞって双手をあげて賛成しておるものだと私ども認識しておるわけですから、こういうことに対しては、その実現のために極力御努力下さるように要望申し上げます。
  91. 田中一

    田中一君 二つほど聞きますがね、あなた首都圏整備委員会委員長になりなさいよ、河野さん。どうも川島さんがやっているが圧力がきかないですよ、これはどうしてもあなたが建設大臣として東京都の問題を取り上げるにはどうしてもあなたが首都圏整備委員長にならなければ、これはなかなか困難です。あなたは執行者、法律の執行者、一面整備委員会は立案者なんですよ、整備委員長というのはこれはプランメーカーなんですよ。だから従来は梅さんが、中村梅さんがやっておりましたが、あなたになって、こういう権力を河野さんに持たせたら、えらいことになるということで、そうしないのかどうか。これは今までの慣例から言えばおかしいですよ。どうしてもあなたが首都圏整備委員長にならなければ、ほんとうに東京都は料理できません。それはあなたは河野派に対する割り当ては終りだと言われて、それでやったかどうかしらないけれども、これは円滑な建設行政並びに都に対する重点的な施策を持つならば、私はどうしても首都圏整備委員長になっていただきたいということを僕はお願いするのですが、その点どうですか、どういう経過ですか。
  92. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私建設行政にしろうとでございましたので、なるべく荷の軽いほうがよろしいと思って、一つでも少いほうがいいと思いまして、実は辞退いたしたわけであります。
  93. 田中一

    田中一君 辞退してはいけませんよ、もらっておきなさい、そうしなければほんとうにできませんよ。首都圏整備委員会は、これはプランするところです。だからそれと実施面を持たなければ、歴代の建設大臣はみんな持っておったのですから。あなた首都圏整備委員会というものがどんなものかおわかりというか、理解がなかったからでしょうね、きっと、そうでしょう。これはひとつ、今度閣僚懇談会であなたから発言してほしい、私はそれをお願いするわけです。  それからもうひとつの問題は、入札制度の問題について非常にあなたが危険というか、何か不明朗なものがあるのじゃなかろうかというふうに感じられておるように、耳に聞き、また新聞等で見ておりますが、どういう点なんですか、それをひとつ伺っておきたいと思います。
  94. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は建設行政が、建設業者の協力なくしてはできぬことは心得ております。が、しかし、一面において建設者と建設省との関係については、間々不明朗な点があったならば非常に重大であるということも深く戒しめなければならぬと考えております。幸いにして、私は建設業者に友人が一人もありません。そういう意味におきまして、決して意地悪をしようとは考えておりません。無理に奇をてらおうとも考えておりません。しかし、最も公正な建設業者と建設省との関係を一ぺんここで築き上げたいという気持を持っております。と同時に、これは私はしろうとで、間違っておるかもしれませんが、大手五五社とか大手十社とかいうような言葉がよく使われますが、いつまでたっても大手大手という言葉でやったのでは、下のものが浮ぶ瀬がない。したがって、特殊の技術を要するもの、特殊機械を必要とするものにつきましては、これは別でございましょう。そうでない限りは、常に入札でAが主であれば必ずBをある程度入れる、Bが主であれば必ずCをある程度入れる、Cの中の優秀なものの上昇率を見て入れるというふうにして、この仕事はAのグループだ、この仕事はBのグループだというようなことでないようにしていくことのほうが、だんだん下のものも上に上がるチャンスができてくるのじゃなかろうかというような意味において、私の希望を入れた新しい入札制度を作れということを下僚に命じてあるわけであります。  そういう意味において全部の業界に勤務評定を作って、そうして、期間内にりっぱな仕事をしたものは、どんどん抜擢して大きな仕事をやらせるように、指名するようにいたしておりますと同時に、小さな仕事については、大きなものは絶対に入らぬようにしていこうじゃないか。だから、これは今検討中でございますが、建設省の現に持っておりまする、直営事業の持っておりまする建設の機械、これらについても、地方の業界の組合でもできますれば、そういうものはひとつ、これを払い下げるなり、貸与するなりする方法をとって、地方の中小業者の育成をはかるようにして、そして地方の仕事は、地方の業界でできるようにしていくような方法はないだろうかということについて検討させるということにいたしたいと、少なくともそういう方法でひとつ厳にやっていきたいと考えております。
  95. 田中一

    田中一君 まあ大手五社とか、大手何社という言葉を言っているのは、ちょうどあなたが大物だと言うのと同じなんですよ。同じ閣僚だってやはりあなたの、相当社会の評価は高いのと同じような形のものである。そういう通念で言っているのだというように、私はそういう理解をしようとします。内閣が今の閣僚の中でもって、あなたが一番経歴といい、その実力といい、やはりそういうものですよ。いわゆる大物ということだと私は理解するのです。  そこで、もう少しあなたのお考え方を、いわゆる明朗な発注者  注文を出すものと、それから、受けるものとの慣行を作りたいならば、公入札を復活する意思はございますか。これが一番明朗なんです。公入札、機会均等、これは会計法並びに予算決算会計令に明らかになっているように、公入札制度をとるということになれば、何といっても、これは明朗なんです。資本の大小にかかわらず、これはもう実力本位でもってやる。北海道の網走の仕事を鹿児島の業者だって入札できるんだというような、公入札制度でやるというような、踏み切りを考えておるのかどうか、これが一番なんですよ、一番、現在の法律の精神が、そこにあるのです。その点はどうでしょう。
  96. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) よく御承知のとおり、まだ検討はしておりませんけれども、まあ制度的に、できぬことはないと考えます。むろん、できる妥当なことと考えますけれども、安全な安定した相手とやっぱり契約をするということが、工事を期限内に着実に完成成するゆえんだろうと考えますから、国家の要請にこたえて、予算の範囲内において確実に期限内に工事を仕上げる、その適格者という制限は必要じゃなかろうかというふうに考えられますので、なるべく指名入札者の数は、私は、ふやして指名するというつもりでございます。
  97. 田中一

    田中一君 御存じと存じますが、国との契約というものは、何といっても、原則は公入札なんです。そうするとあとの問題は、おのずから解決される。いろいろな問題が。今あなたがおっしゃっているように安全性、これも何でもないことなんですよ。最低の価格を入れた者が落札者ではない、契約の相手方ではないという法律の改正を昨年やったのです。だから、公入札制をしいて、そうしてたとえば資本金百万円ぐらいの請負業者が十億の仕事を受けた場合、これは何も最低落札者じゃないということに法律を改正したのですからね。これは、官房長、耳をかしげているけれども、そういうことを知らなければおかしいぞ。君、首をかしげているけれどもさ。これは法律を改正したのですよ。だからそれは不適格だといっても、それを除外して一向差しつかえないのです。それで、これならよかろうと思って契約をするなら、今の会計法上、一つも矛盾はないわけです。
  98. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それはそうでございましょうけれども、さてとなりますと、やっぱり最低をはずす場合には、いろいろ手続、その他でめんどうがありましてですね。
  99. 田中一

    田中一君 めんどうなんてないですよ。また官房長が耳打ちをする−…。自分たちの都合の悪いことはすぐに耳打ちをして、大臣の目をおおうということはよくないことですよ。現在の法律では自由にできます。しかし、それをやったんでは、やっぱり秩序が保てなくなりますから、指名入札制度もこれはいいと思いますけれども……。  そこで、あなたが、一つ一つ、みな全国の地建から出るものとかあるいは国の補助工事、これはやっぱり国の予算が入っておりますからね、十もランクされたランキングというものに目を通してやる時間的な余裕はないですわね。結局、これは計画局なり、官房長なりあるいは地建の、それぞれの指名するための審議会を持っております。みな審議会を持っておる。何人かの、どの場合にもあるのです、審議会が。この業者はどうか、今までどうしてたか、だめかいいかということを五人なり八人なりでもって、その審議会でもって、検討をして、じゃこの業者にきめよう、こういうことで原案ができ上がる。そうすると、それをまあ出納責任者ですね。その責任者がいますから——法律上何と言いましたか、忘れましたけれども、出納責任者ですね。その人が、けっこうでございましょう、それにきめましょうということできまるのです。これも入れたらいいでしょう、はいと言ってきめるのですよ。おのおのが相当権威があり、かつまた、だれが見てもさしっかえがないような——まあおそらく一つの団体には派閥があるでしょうから、その派閥の代表的な者が皆集まってきめるのですから、大体、今まではそういう間違いがなかっただろうと私は思っておりますけれども、今建設業者はふるえ上がっているのです、ほんとに。ついきのうかきょうの漫画に、官僚と建築業者が穴倉にもぐって、一年待て、一年待てと言っている漫画が出ておりましたが、これは何も、そういうことの実態を知らない人たちはかっさいをするでしょうけれども一事実二流と一流、二流と三流の間の格差というものは、こんなにあるんです。こんなにあるということは、なかなか納得いかないでしょうけれども、たとえば資本金にいたしましても、一流が少なくとも四十億以上の資本です。そうして含み資産は、おそらく三百億ぐらいは持っているでしょう、大体において。ここにもそのくらいの人が、実力者が参議院議員としておられますけれども、力を持っておりますよ。それと今度は、二流、三流となったら格差が激しいんです。どういう形で大臣が、一流に二流を加え、二流に三流を加え、三流に四流を加えると言って指名者をふやすという考え方に立つか知らないけれども、これはやはりかえって不安定なる競争をしいるということになって、仕事のほうに、完成がおくれたり、あるいは不正建築をしたりというおそれが多分にある。これは、徐々に育成しなければならぬ、何といっても、百年、百五十年という伝統があって、そうして利潤も株価も高い、そういうところに優秀な技術家が集まるものなんです、どうしても。特に地方の業者と称する方々は、大体において災害待ちの業者なんです。災害があればしめたものなんです。またあなたが早期完成なんということを言っておりますけれども、災害早期完成、また次の災害まで、いつ来るかわからぬけれども、とにかくくるだろうけれども、それまでにやればいいのだということになって、繰り延ばしでもってやるのが多いんです、実際は。これはやむを得ぬと思うのです。今のこういう日本の政府並びに地方公共団体の機構から言えば。私はむろんあなたが、だれ一人として業者を知らないのですから、だからだれに知恵を使われて、どうする、こうするということはしないと思いますが、あなたの結局側近にいる下の人たちがやるわけですから、あなたがそれをうのみにするわけです。まあ今まで特別に、何か大きな問題があったのかと思って私は伺ったわけです。ただ抽象的な、どうも大手五社と言ってけしからぬ……これは資本主義社会では、大手五社を信用するんです。資本主義社会では、強力な利潤を上げているやつは、間違いなさそうだということになるんですよ。このことはひとつ、十分大臣は間違いを起こさないように措置していただきたいと思うのです。  それから機械等を払い下げる、あるいは貸そうということは、現在でもやっております。やっておりますが、これは歴史的に見て、終戦後たしか機械を買おうという制度ができたのは、あれは二十六、七年ごろだったか——たしか今より十年ぐらい前だったと思う。それが民間でもみんな機械を持たない、公共事業は伸びてくるというものだから買った。また電源の開発等では、二流、三流の会社でも、自分の資本金の何倍というような機械等を買い込んだものなんです。機械がなければ仕事をやらないぞと言うものだから、どうしても機械を買わなければならない、無理をしたのです。そのために建設機械貸与、資金融通法なんという法律を作って、そうして機械を整備する資金源を考えたものなんです。  そこで申し上げたいのは、そういう形で国が持っているところの、約二百億程度のものを持っていると思う、その機械をこれを全部なくしちゃうとなりますと、またあなたの末端における職員が失業するおそれが多分にある、そういう点も十分考慮されて、業者自身が持っている機械とうものは、たいへんなものなんです。しかしこれは全部の業者が、全部整備する期間を除いてフルに使っていないんです。遊ばして置かなければ仕事はもらえぬというんですよ、いつ遊ぶからといって仕事はとれない、だから業者の持っている機械、政府の持っている機械を、合理的にこれを生かして使う、活用するということが一番必要だと思うのです。私はそう思うのです。業者自身が遊ばしておるのです。こういう点は、ただ単に業者を白眼視しないで、業者の持っている機械力、人間の力——優秀なものですよ。役人なんかにはなりませんよ、優秀な技術家は。みんな請負人なり施工者側に行ってしまうものなんですよ。そういう人たちの実態をほんとうに掘り下げて、有効にそれを活用するという方法をとっていただきたい。ただ、あいつは大手五社だからけしからんとか、大手何社だからけしからんというのじゃなくて、ほんとうのそれらの持っている能力というものを活用するというようにしていただきたいのです。それで漫画も今度は穴ぐらから首を出すような方向に、ひとつあたたかい気持で、そうして、だいぶ設備投資抑制から業者はお手あげになっております。むちゃくちゃな競争をさせて予算を余すことは建設大臣の、何というか、栄誉じゃないのです。建設大臣予算一ぱい一ぱいで十二分の仕事をしてもらうのが、建設大臣の一番いいことなんです。国民にこたえることなんです。やたらに二流、三流を入れて競争さして、三重県の県庁みたいに九億三千万円の予算のものが六億三千万円で落札されて、三億もうけたと言う、もうけたのじゃないですよ、これは、一番辛い予算を組む技術者が九億三千万で予定価格を作った。落札さしたのが六億三千万だ、九億の仕事が三億円の損をしてもできるということは考えられないのですよ。そういうことの傾向は、現にせんだってあなたが出席されない委員会でも、ここで調査をしたのですが、そういうことは、九億のものを六億でもできるのだから、業者は三億の不当なるもうけをしているというようなことは、これは間違いであります。そういう点はひとつ十分に、だれかいい——大手五社でも八社でもかまいませんが、相談相手をお作りになって、一人も知らないのじゃいけませんよ、一人ぐらい友達にしたってかまいませんから、そして健全な建設能力というものを確保するようにひとつお願いしたい。  そしてやたらに現在あるところの政府の機械を、これを払い下げるなんといったのじゃ、いわゆる建設の、地建関係の機械の整備工場というものには、やはり何千人の人間がおるのです。その一言が出るために何千人が、自分が首になるのだという印象を持つと、これまた末端において、いろいろの問題が起こりますから、これもまた十分に御考慮なさっていただきたい、お願いします。
  100. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) だんだん御注意をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。
  101. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 別に御発言もなければ、本日は、これにて散会いたします。   午後五時三分散会    ————・————