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政府委員(
平賀健太君) まず
規約違反の行為でございますが、
規約違反の行為の内容によりましては、あるいは第五条一項の
規定違反というような行為になる場合もあろうかと思います。その場合は、五条一項の
規定の趣旨から、直接に他の
区分所有者が賃借り人に対して差しとめ
請求、あるいは
損害賠償の
請求ができると思われますが、それは特別な場合でありまして、単なる
規約違反、五条一項とは
関係がないという場合のことを
考えてみますと、その場合
井川委員おっしゃいますように、管理人としましては、単に
規約違反ということだけを理由に、直接に賃借り人に対して
請求はできないと解せられるのでございます。しかしながら、賃貸し人である
区分所有者、賃貸し人としましては、
区分所有者の一人として
規約に拘束をされております。
規約を守る義務がある。それから賃借り人というのは、いわば賃貸し人にかわって
区分所有権を行使しているのでございますので、賃貸し人たる
区分所有者は賃借り人をして
規約を守らせる義務を他の
区分所有者に負っておる。そういうことになるわけであります。でありまするから、他の
区分所有者は賃貸し人である
区分所有者に対して、あの賃借り人をして
規約を守らしめよという
請求ができることは、これは
井川委員おっしゃるとおりであります。
それからそもそもこの賃貸し人と賃借り人との間の借家契約、賃貸借契約におきまして、普通の場合でありましたならば、
規約がありますれば
規約を守ることという一項が賃貸借契約の条項の中に入るのが私は普通だと思うのであります。で、かりに契約書なんか作りまして、たまたまその条項が落ちたといたしましても、
規約は管理者、まあ管理者が任命されておりますれば管理者のところにあわるけでございます。借家人としましても、この一むねの
アパートの中に入る以上は
規約がありはしないか、
規約があれば管理人が持っているはずでありますから、管理人のところに行って
規約を見る。今後そこに住む
関係で
規約の内容には当然関心があると
考えられますので、
規約の内容を知って賃貸借契約を結ぶのが普通ではないか。それから賃貸し人としましても、もし
自分が
部屋を貸した、賃借り人がその
規約を守らぬということになりますと、当然
区分所有者たる
自分に
責任を負わされることになるわけでありますので、これは当然賃貸し人としましても賃貸借の内容の中にこれははっきり明示するのが普通だろうと思います。かりに明示しませんとしましても、暗黙の合意と申しますか、黙示的にこれは
規約の順守ということは賃貸借の内容となっていると解していいんではないかというふうに
考えられるのでございます。そういたしますと、もし借家人が
規約連反の行為をやりました場合には、賃貸し人としましては、その賃貸借契約に基づいて当然借家人に対して
規約を守れ、違反をやめろ、あるいは
損害賠償の
請求ということを賃貸し人ができることに、これはなるわけであります。ところが、賃貸し人に対しては、他の
区分所有者が権利を持っているわけで、民法の四百二十三条の債権者代位の
規定、これは非常に
適用範囲が広い条文でございますが、四百二十三条の債権者代位権の
規定を
適用いたしまして、他の
区分所有者が賃貸人である
区分所有者にかわってその権利を行使するということで、債権者代位権の
規定によりまして、他の
区分所有者が賃借人に対して慣接差しとめの
請求をする、あるいは
損害賠償の
請求をするということが可能になると
考えるのでございます。そういうわけで、まあ
法律的には、その理論構成と申しますか、それは間接的にではございますが、
請求としましては直接に
請求ができることになるというふうに
考える次第でございます。