運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-04-10 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十日(火曜日)   午前十時二十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            重政 庸徳君            仲原 善一君            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            戸叶  武君            天田 勝正君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    水産庁長官   伊東 正義君    水産庁次長   村田 豊三君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    水産庁漁政部長 林田悠紀夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁業法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○水産業協同組合法の一部を改正する  法律案内閣提出)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  漁業法の一部を改正する法律案閣法第一三二号)、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、(閣法第一三二号)、以上いずれも参議院先議の二案を一括して議題といたします。両案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまの理事会の結果報告で午前中云々という話がありましたけれども、ときによっては午後に持ちこすことになるかもしれません。その点は委員長において十分ごしんしゃく願いたいと思います。  そこで、私はこの質問を申し上げる前に一応自分の心境を申し上げまするならば、漁業と一口に言いましても、内水面漁業状態沿岸漁業の一部の状態は大体知ることができると思うのですが、大体の人がこういうものかというようなことがわかるかもしれないけれども、それ以上のことになりますと、これはおそらくは本委員会の大部分の人がわからないのじゃないか。それでこの法案が出ました直後、私は二、三の人からこういうものが出ても、何が何だかさっぱりわからないから、ひとつ清澤君どこか水産庁と話をして船に乗ってこれが沖合い漁業であるとか、遠洋とか何とかということを少しばかり見学して、それからかかったらいいじゃないかというような話も聞きましたが、それはなかなか容易でない問題だ。君らがいろいろ言うけれども、実際二十五トンや五十トンの船に乗って、そうして二日もかかるようなところに行ってやってみたら、てんでからだもたいへんだろうから、それも覚悟の上ならそういうことを考えてもよかろうけれども、まあ不可能な状態だろう、そんなことでやめているわけです。実際問題としてはわからぬのが中心になっている。したがいまして、いろいろしろうと質問をするわけでありますので、愚問が非常に多いと思います。がしかし、その愚問に対しては、わからぬものに懇切丁寧にひとつ関係当局からお教え願いたいと思います。  それで一番先にお伺いいたしますが、いろいろ関係法案並びに資料等を見ておりますと、まず目につくのが第一番目に遠洋漁業沿岸漁業沖合い漁業等いろいろの名称が出ております。この名称区別がはっきりとおかりませんので、こういうものを中心にしてひとつ、幸い資料の中にだいぶそういうものを詳しく書いたようなものもありますので、そういうようなものを中心にして、大体どういうようなそれに対しては区別があるのかということをあらかじめひとつ教えていただきたいと思います。この前ですね、漁業調整法並びに価格安定法を昨年やりました際には、やはりこれはお伺いしておりますが、沿岸漁業というものは、大体一日くらいで帰ってくるものだ、一日くらいの作業をやるものだ。それから沖合い漁業というのは一週間くらいである。それから遠洋漁業というものは、一カ月も二カ月もやるんだ、こういうような大ざっぱな表現で聞いておりましたが、いろいろやっておるうちに、同じ沿岸の中でも沿岸漁業等というものが出てきたり、沿岸沖合い漁業等というものが出てきて、沿岸沖合い漁業と何らかの区別をしてみたり、そういうようなものがありますので、そういうものを親切丁寧にお教えしていただきたい。
  4. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今先生漁業区別問題お話ございましたが、現行法にあるのは、沿岸漁業というのは十四条に規定しております。それからあと出てきますのは、指定遠洋漁業というのが五十二条に実は出てくるわけであります。法律的には今ありますのは、十四条の第六項の一号に現在規定がございます。これは「その組合員のうち関係地区内に住所を有し一年に三十日以上沿岸漁業」ということでございまして、ここで五十二条のいわゆる指定遠洋漁業は除いております。法律的に言いますと、現行法指定遠洋漁業を除いております。それからカツオマグロ漁業母船式漁業を除くと「総トン数二十トン以上のスクリューを備える船舶により釣又はうきはえなわを使用して」これこれをする漁業というようなものを、ここに沿岸漁業として規定しておるわけでございます。これが今度は一年に三十日以上というのが、九十日以上というふうに変えております。十四条に沿岸漁業というのがございまして、それからそのほかに、現行法では五十二条に指定遠洋漁業というものを規定いたしております。これは大型捕鯨とか、以西トロールとか、以西底びき、遠洋カツオマグロ漁業をここに指定遠洋漁業というふうに規定しておりまして、現行法では法律的には十四条に沿岸漁業定義があり、それから五十二条に指定遠洋漁業定義があるということに実はなっております。今度改正法律では、指定遠洋漁業というのをやめまして、指定漁業ということにしまして、大臣許可は全部指定漁業というふうに直したわけでございます。それでいわゆる政令でこれはきめていくということにしまして、指定遠洋漁業というものはやめまして、今度の法律で出て参りますのは、沿岸漁業は十四条の三十日以上であるというのを、九十日以上であるというふうに変えまして、ここに十四条に出て参りますが、そのほかには指定漁業という言葉だけでございます。でありますので、たとえば指定漁業になりますと、何トン以上とかいう問題は、これは政令で書くということにいたしましたので、法律的には先生おっしゃいました遠洋漁業というような言葉は出て参りません。変えまして指定漁業として、それは大臣許可漁業、そしてそれは政令できめていくというふうにしたわけでございます。沿岸漁業だけは十四条に出てくるわけでございます。それで資料等につきましては、今漁政部長からお答えいたしますが、法律的には沿岸漁業というのは、十四条に出てくるだけでございまして、そのほかにはいわゆる沖合いでございますとか、あるいは遠洋漁業という言葉は、法律的には実は出てきておりません。あとお配りいたしました資料につきまして漁政部長から御説明いたします。
  5. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 沿岸沖合い遠洋漁業区別につきまして、お配りしてある資料の七ぺージをお開きいただきますと、そこに各漁業別漁獲量が出ておるわけであります。それでここに沿岸漁業沖合い漁業遠洋漁業と出ておりまして、ここで沿岸漁業と申しておりまするのは岸から日帰りとか、あるいは必ずしも日帰りではありませんが、比較的近いところにおいて営んでおる漁業沿岸漁業というふうに申しております。この資料沿岸漁業としてあげました魚種は、イワシ刺し網とか、ニシン刺し網あるいはイカ釣小型底びき、地びき、船びき、大型定置小型定置、それから貝を取る漁業とか、あるいは海草を取る漁業というようなものをあげております。それから沖合い漁業につきましては、中型底びき、揚繰きんちゃく、サンマ棒受サケマス流し網サバ羽釣サバ一本釣、マグロえなわカツオ一本釣をいっております。カツオ一本釣とマグロえなわは二十トン以下であります。それから突棒、これを沖合い漁業として取り上げております。その他の漁業遠洋漁業と申しまして、遠洋漁業は先ほど長官から答弁いたしましたように、指定遠洋漁業のようなもののほかに、母船式のようなものが入っておりまして、特に名をあげますと、以西トロールとか、以西底びきあるいはカツオ一本釣の二十トン以上、マグロえなわ二十トン以上、母船サケマス母船カニ母船トロール遠洋トロール、アラフラ海の白蝶貝というような、外洋の漁業遠洋漁業というふうに規定いたしております。それでこの資料にありますように九−十一年で沿岸漁業七七%漁獲比率で占めておりまして、沖合い遠洋漁業で二三%というようなことであったのですが、だんだん沿岸漁業が占める比率が少なくなって参りまして、三十五年に至りますと三九%に、ほとんど半分程度に減ってきておりまして、沖合い遠洋漁業が逆にふえまして、沖合いが三七%、遠洋が二四%というようにふえております。
  6. 清澤俊英

    清澤俊英君 問題になるのは、私は沖合い漁業で、ここに区分せられた沖合い漁業の中でどれくらいの部分沿岸漁業として取り扱われて入ってくるかということは、問題はこの参考資料の七ページの沖合い漁業というのは、大体が知事許可対象になる部面が多いと思うのですがね。いわゆる大臣許可の分は、大体指定漁業として大洋を中心にした母船であるとか、あるいは指定漁業として何々のトロールとかなんとかということで、大体われわれとしてはこれは考えられますが、ところが、この沖合い漁業というものになりますと、知事許可が非常に多いのじゃないか、そうじゃないですか、私はそういうふうに考えている。その中で一つ沿岸漁業の中から、だいぶ沿岸漁業等という言葉のうちからそっちへ入ってくるものが多いのじゃないですか、こういうような感じがします。ちょっとしろうとだから、質問が把握するのにお困りでしょうが、それだけ私の頭が混乱しておる。私どもが今まで考えてきた沿岸漁業というのは、すべて免許漁業というふうに言いますか、共同漁業あるいは区画漁業等による範囲のものを中心考える。ところが、それ以外のものとして最近この何かやっておりますうちに沿岸漁業等というひとつの同じ漁業の中でもそういう免許であるとか、それから漁業権漁業以外の何かひとつそこにあるのじゃないか、こういうようなことがちょっと考えられるのです、しろうとですから。そうすると、その考えられた分とその全体がある沖合いまで出て、そうしていろいろの漁業をする上の漁種、それから漁獲形式等によって、いろいろ知事許可がそこに出てくるのだ、こういうふうに一応考えてみたいのですね。それで知事許可というのは、全部沿岸漁業とみていいのですか、どうか。
  7. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今資料を御説明いたしましたが、ここに書いてあります沿岸漁業ですね、これは先ほど御説明申し上げましたが、いろいろ貝を取りますとか、イワシニシン刺し網とかいろいろ申し上げましたが、この漁業なんかは漁業権に基づく漁業にみんな入っております。そのほかに知事許可漁業も入っております。それから自由漁業許可も要らぬ、免許制も要らぬ漁業もこの中に入っております。沿岸漁業の中には大臣許可のものはございません。それから沖合い漁業になりますと、これは大部分大臣許可になります、大部分が。しかし、沖合い漁業の中でも知事許可漁業もございます。たとえば、まき網でいきますと、今度の法律で四十トン以上は大臣許可にいたしております、四十トン以上のまき網は。ところが、四十トン以下のものは知事許可でございます。これは沖合い漁業という中に入っております。それで、漁業種類によりましても、この沖合い漁業の中でも規模の大きいものは大臣許可になっておりますし、それ以下のものは知事許可にいたしております。また、沖合い漁業の中の自由漁業もこれはございます。そういうことで沿岸漁業は大体漁業権漁業知事許可漁業自由漁業も入っておりますが、というふうにお考えになってけっこうではなかろうか。沖合い漁業は、これは知事許可も入っておりますが大臣許可漁業が多い、遠洋漁業になりますと、これはほとんど大臣許可漁業というふうにお考えになっていいのじゃなかろうかというように思います。
  8. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでこれはなかなか混雑していて、まだはっきりわかりませんが、あまり聞いてみてもしようがないのですからこのくらいにしておきますが、そこで、共同漁業の第三種中、共同漁業の中で動力船を除いてこれは無動力船だけが第三種漁業対象になっておるというふうになっておりますが、そうしますと、今言われました沿岸漁業に属するこの第三種共同漁業外のものですな、外のものが、これがやはり沿岸漁業として現在もやっておるし、認められておると、法律的に認められておる。こういうことを考えていいのですか。
  9. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今度法律で変えましたのは、この船びき漁業、これは、この中で動力船でやるものは、これはひとつ知事許可漁業にしたらどうだろうか。これは非常に相当沖へ出ましてやりますような形態が多くなってきておりますので、こういうものはひとつ漁業権という漁業からははずして、知事許可漁業にしたらどうかということで船びきだけ、これは特に瀬戸内で問題が多いのでございます。底びきのような問題が似た問題だというのでございますので、これは船びき漁業動力船だけを除いたのでございまして、そのほかにつきましては、あと知事許可に持っていきましたから、そのほかのものにつきましては、動力船使ってもこれは差しつかえないということになっておりまして、共同漁業は全部動力船を使ってはいかぬのだというふうには実はいたしておりません。船びきだけは瀬戸内海で非常にいろいろ問題がございまして、現行法もこういうふうに書いておいて、実は通達で、動力使うものは除くと、共同漁業権から除いたようにして免許をしなさいというような指導を実はしておりましたので、それを法文に書いたわけでございます。
  10. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで私は迷うですね、迷うのが、第三種共同漁業の際には、全部これは動力船以外のものだと、無動力船を使うのだ、こう規定でなっているのじゃないかと思うのです、今度の改正では。ところが最近この表を見ますと、相当の数無動力船もありますが、ほとんど何らかの形で推進機を持った小さい船ですね、ほとんどが出ているのじゃないかと思うのですがね。ただこれだけのものだというと、実際問題として三種漁業になるという、共同漁業権を与えられて、地先漁業をやって、地びきを引いたり、地びき網漁業をやったり、船びきというようなものをやってみましても、ほとんど、こんなものは今消滅して、なくなっているのじゃないかと思うのです。実際問題として、結局五トンもしくはそんな大きくない船に推進機をつけて、そうして三里なり四里なり沖へ出て、一本釣りやったり、いろんな作業をやっていると思うのです。そこへ許可漁業というものが相当のトン数を持ってきて底びきなどをやりますわね、なかなか実際問題調整委員会などが、ある浜から七海里までは、これは旧来の沿岸漁業区域だとしてきめてありましても、相当遠い基地から力のある二十トン、もしくは二十五トンぐらいの底びきなどがやってきて、ばばあっととってしまう。全部とってしまう。見つけたところでこちらの船は五トンや十トン以下のごく力のない、足の弱いものですから、ものも言わずに逃げてしまう。結局こういう法律がありましても、その効用というものはおそらく発揮していないのじゃないかと思う。そういう船に対してこの漁業法を今こういって改正していただきますと、また、そういう点に対する、厳格な沿岸漁民漁業権を擁護するようなものに対する考え方がちっとも出ていないのじゃないかと思う。結局力の関係において片端から追いまくられていく。こういうようなものが、私は法律はどういうふうにいろいろ書かれておるか知りませんけれども、どうかそういうものをカバーするものがあるかもしれませんが、実際問題としてはそういう形で進んでいるのだ。もっとはっきりとした線でそういうものをきめていく何かのきめ手の法律の強いものが私は要りようだと思っている。そういうものは一つもないのです。そういう点についてひとつお伺いしてみたいと思います。
  11. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お配りしました資料の十三ページに大体漁業種類ごとでどんな漁獲金額になっているかという表がございます。先生七ページの質問をされましたが、十三ページの昭和三十三年でございますが、大臣許可漁業金額でいきますと四七%くらい占めております。それから知事許可漁業が二〇%、漁業権漁業が二〇%、自由漁業が一二・七%というふうになっておりまして、これはごらんになりますと、さっきの遠洋漁業でございますとか、沖合いを含めた大臣許可漁業が大体漁獲高の半分、それから先生の今御質問になりました漁業権に基づきます漁業が約二〇%でございます。それで先生おっしゃいますように、漁業権漁業はもっともとは比率が高かったのでございます。これはたしか私の記憶では四〇とかそういうような高い比率であったのでございますが、だんだん漁法発展その他によりまして、大臣許可漁業というようなものがずっと遠洋沖合いでございまするが、比重が高くなってきたということは、これはたしかでございます。漁業権漁業につきましては、二〇%。その前のページを読んでいただきますと、漁家経営体、二十三万のうち十九万くらいが漁家で、漁獲金額は一八%くらいというようなことで、大体漁業権漁業許可漁業を見ますと、これが漁獲高では比重が少なくなってきていることは、これは確かでございます。これは漁法、その他の発展によりまして、これはこういうことになってきますことは、私はある程度そういうことはやむを得ぬというふうに考えるのでございますぶ、私どもとしましては、それじゃ先生のおっしゃいますように、許可漁業なり、漁業権漁業についてあまり保護していないんじゃないかという御質問でございますが、法律的には、漁業権につきましては、先生御承知のように共同漁業権は、これは組合のほうは一切共同漁業権は持たせません。それから区画漁業権でも真珠とか、そういう経営者免許のものは違いますけれども団体管理漁業権といいましてノリ、カキというものは大部分組合でございます。それから定置漁業につきましても、これはある一定の要件を備えますと組合がずっとこれは優先順位が高くなるというようなことで漁業権につきましては、組合といいますか、沿岸の人になるべくいくようにというような法的な措置もとっております。しかしこれを犯します場合には、これは物権としてみなすということで、独占排他的な権利としてやっておるわけでございます。そのほかにこれは大臣許可等運営でございますが、今底びきのお話がございましたが、特に沿岸と衝突します底びきにつきましては、だいぶ広い禁止区域を作って、沿岸には底びきが入ってこないようにというようなことで禁止区域、特に底びきと沿岸関係は昔から歴史的に衝突のある問題でございますので、禁止区域等を設けまして沿岸に近寄らぬようにしますとか、あるいは産卵期や何かに魚を取らせぬようにするとかいうようなことで、なるべく沿岸漁場は、沿岸の人に確保していくというようなことを実は行政運営でやっておるわけでございます。先生御指摘のようなことになりませんように、沿岸の人の漁場について、これは特に沿岸の人が優先的に使う、ほかの者が、大会社が入ってきたり、底びきでかき回したりするということはしないようにということは、法律漁業権保護をしますと同時に、大臣許可知事許可等につきましてもそういう禁止区域を作ったり何かしまして、沿岸との摩擦を避け、沿岸の人の保護をはかるということは、実はやっております。ただ、それで十分であるかどうかということは、いろいろ問題がございますが、私どもの基本的な態度としてはそういうことでやっております。
  12. 清澤俊英

    清澤俊英君 私が今申しましたのは、そういうものはあるでしょう、あるがしかしほとんど実行せられないでほかの者に現実に侵されておる。今私は見ておる。だからこういうところは七海里までは沿岸でおやりなさいとこうやっておいてそれをやるのだけれども、底びきを持ってきてぱっとやってしまっておる。さて来たからといって追いかけて出ていっても、足が違うし、機動力が違うし、さっさと逃げていってしまう。したがってそういう地点で特殊の魚類が相当取れておったやつが一つも取ることができない。そういう現実がある。そういうところばかりでなく、方々にそういう形が出ておるのじゃないか、こう思われておるのです。それからあなた方がきめられたとおりに動いておれば、問題は起きない。実際問題はそうじゃない。だからそういうことが全然わからぬじゃないが、あなた方よくおわかりであったならば、そういう形ででき上がりましたものに対しては、もう少し何か法律の建前を力強くする方法を考えられなかったのだろうか、こういうことなんです。あなたの言われたとおりなんだ。ちゃんときめてある。きめてあっても、それがなかなか実行できない。こういうことなんです。
  13. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 確かに先生のおっしゃいましたようなことは絶無じゃございません。ございます。三十五年でございますが、底びきの規則違反であげましたのが約百五十件くらいございます。それで実は従来は取り消し等はやらなかったのでございますが、つい最近は底びきの許可取り消しということも、悪質なものについてはやりまして、特に底びきは沿岸漁業との関係がございますので、こういうことについてはひとつ厳重にやろうということで、従来ほとんどやりませんので、許可取り消しということも、実は愛媛県の底びきについてもやったことはございます。先生おっしゃいますように絶無とは申しません。百五十件くらい違反をつかまえたことがありますから、つかまらぬ違反を加えるとまだかなりの数になるわけでありますが、私どもこの点に関しましては、特に底びきについては沿岸漁業との関係がございますので、厳重にやっていこうということで、実は重い処分としてやったということでございますが、将来も特にこの沿岸漁業に関しましては、そういう点は私はきつくやっていきたいと考えております。
  14. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは私のほうは、社会党のほうとしてはそういう実情を強く見まして、そうしていずれ沿岸漁業法審議の際には、その点を非常に強く打ち出して、もっと漁区を、沿岸漁民に対する漁業地区をただ無動力船だけでなく、そういうものにも延長さして、そうしてある区域を保障してやらなければならないのじゃないか。こういう考え方が強いのです。だから、それはいずれ沿岸漁業法審議の際に、今の話は譲ります。  ここでお伺いしたいのは、この提案を見てみますと、非常に親切に書いてあるように見えます。だが一とおりのものをぱっと出したように簡単に書いてあるようにも見えます。それでよく見て参りますと、この提案は、あれもこれもというようなものがいろいろ出ておりますが、主点ですね、提案目標というものがはっきりしておらない。どれもこれもみんなあれもやるのだこれもこうやる、こうやってそういう形にはなるでしょうけれども、そういうようなふうに見えますので、したがいまして、この法案審議していく上に、どう考えたらいいのじゃないかということで、この間からいろいろ考えてみても、何と申しましても海のことはあまりわからぬですから考えがつかない。ここで大体は漁業制度改正というものが主となって漁業権免許の問題であるとか、知事大臣許可の問題であるとか、そういうようなものを中心にして、まあ、結局するならば、漁業の海面における漁獲場の混乱を防止することをいわゆる調整するのが主となっているのじゃないか、そういうものが主となっているのじゃないかと、こういうふうに考えるのでありますが、漁業秩序を保たせる、そうして混乱をなくそう、こういうことが主であって、他のものがいろいろ言われておりますけれども、それに対してあまりはっきりした線が並行して出ておらないのじゃないかと、こう思う。それで、この説明を見ましてもそうでしょう。沿岸漁業というものは大体において、何か今沿岸漁業が伸長してくる部面のものと、それからだんだん衰微していくものとがあって、一応伸びていくようなものは、これに対して十分な伸長のできるような方法を考えるのだと、今伸びていけれない、今も言いますとおりの船を使っての漁業、こういうものについては、近代的の装備をするとかどうだとかと、いろいろ申し述べられてありますけれど、それらに対して、ただいまも申しますとおり、あまりはっきりした制度がここでは見られない。それから沖合い漁業等にしましても、提案説明においては、漁業種類、経営規模により生産性の格差が著しく、その経営は必ずしも健全とはいわれておらない。そういう中へ今度沿岸漁業から、今まで無動力船であったようなものが、ほとんどこれから実際の漁業ができなくなって、そうしてそれを漁業等という一つの項目を中心にして近代化した船を持たせ、漁具を持たせ、そうしてこの沖合いに出してやる、混乱の中に出してやるとするならば、そこに沿岸漁民としてのまた一つの筋が通っておらなければならぬ。そういうものがこの中に一つも見ることができない。提案の中に見ることができないと同時に、法案の中にも私はあまり探し出すことはできない。だから、これは結局、提案理由の説明では沿岸漁業はこういう状態沖合い漁業はこういう状態遠洋漁業は外国によってだんだんと生産の場面を狭められてきている。だが、漁業自身の実質はだんだんと近代的な進歩をして、船でも漁具でも、またこれを漁獲する技術でも、非常に進歩している。したがって、逆に漁区の広域性を越しているのだと、それは沖合い漁業の場合でもそういうことはいわれる。沿岸漁業の場合でもいわれる。それをただいろいろの許可漁業等で、あるいは免許漁業等の形で、一応その混乱を防止して何とかやっていこうとしているだけの話でさえ見えないのです。それがしかも明確な、どれはどうなっているのだからどれをどうするのだ、沖合い沖合いでこれは非常にめんどうだと思うのですがね。だから書き切れるものじゃないですけれど、そういうものをどういう方向づけをして、どういうふうに緩和していくのだと、こういう意図で書かれたのか。私は少なくとも漁業法の中には漁獲の問題、それから今のような秩序の整備の問題、したがいまして、漁具、漁船、漁獲法等におけるこれからのあり方の問題等が相当もっと詳しく規定せられて出て、その上に立って本案ができなければならないのではないかと思うのです。ばあっと見ますと、私がさっきから言いますとおり、この法案の根底というものは、ただ一つの海域における混乱と秩序を緩和する、こういう気持でやっておられたように見えますが、この点はどうなんですか。
  15. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 御質問にございましたが、今度出しております法律は、漁業法と水協法の改正沿岸漁業等の振興と、三本でございます。先生のおっしゃいました、一体たとえば沿岸漁業等はどういうふうに持っていくのだというふうなことは、これはまあ漁業法の分野でございますと、これは漁業法というのは漁業に関します基本的な制度を作っていこう、そうしてその制度のもとで水面の総合的利用をしていこう、生産性を上げていこうというのが実は目的でございます。それでこれは基本的な制度を作ることでございますので、先生のおっしゃいました沿岸漁業をどういうふうに持っていくのだというようなことは、実は沿岸漁業等振興法で、あそこで特に沿岸漁業については構造改善事業をするとかやっていくというようなことで実は取り上げたわけでございます。それでそれに関しますたとえば金融の裏打ち等につきましては、農林漁業金融公庫法の改正によりまして、沿岸漁業者に安定化資金を貸すとか、あるいは近代化資金を貸すというような、金融の裏づけはまだそれだけでございませんけれども、公庫法の改正を実はやったわけでございます、それで先生のおっしゃいました沿岸漁業等については、特に今申し上げました振興法等でそういうことと真正面に取り組んでおるわけでございます。水協法につきましては、これは漁業協同組合というものを経済団体として強くしていこうということに割り切っておりまして、それでできれば、組合員というものは質の同じ人でまとまったらどうだ、経営者等を正組合員にして従事者は准組合員にするというようなことができるというようなことをいたしまして、協同組合は経済団体として、もちろん漁業権の管理主体ではございますけれども、経済団体として強くしていこうというのが目的でございます。漁業法につきましては、先ほど申し上げたような基本的制度でございますが、この中で清澤先生おっしゃいますような問題は、漁業権につきましては、これは大部分のものはその協同組合でやりますとか、あるいは大臣許可でも、従来は書いてなくて、新規な場合はくじ引きだなんて法律に書いてあるわけでございますが、くじ引きというようなことでなくて、やはりその中に書いておりますが、沿岸の人が漁業転換をして沖合いに出てくるというようなことについては、ひとつ優先的に新規許可をする場合には考えようじゃないかというような考え方も入れまして法律改正は実はしているわけでございますので、先生のおっしゃいましたことは、漁業法だけでなくて、やはり沿岸漁業等振興法とか、公庫法の改正とか一連のことで水産を取り扱っておりますので、そういうふうに御了解をお願いいたしたいと思います。
  16. 清澤俊英

    清澤俊英君 何か伊東さんもたいへんでございましょう、わからぬのがお伺いするので。質問するほうもたいへんです。それで、私はこの法律が出る順序がちょっと間違ったのじゃないかと思う。ただいまも申しましたとおり、一方におきましては、非常な近代的の装備によってだんだん能率の高いものができ上ってきておる、そうして広大な区域までが要求せられている、こういう事情が一面そこに存在している。ところが反面には、さっきも申しましたとおり、国際情勢で大臣許可のような大資本を擁した事業それ自身が、やはり一つの大きな制圧というのですか、そういうものを受けて、だんだん狭まってきている。狭いところへだんだん入ってきてがちゃがちゃしてやっておる。そこに非常な混乱があることは、言わずしてわかっているのですから、そうしてみましたならば、それらのものを中和して、そうして元来の姿で漁業自身というものを固めていくのには、一つ漁業自体の、まあこの前の改正中心にしますれば、漁業民主化ということが中心相当考えられているのだ、そういうものを中心にして漁業基本法が先に作られなきゃならなかったのじゃないか。その基本法に従って初めて沿岸漁業法、あるいは遠洋漁業中央法なら中央法でもいいし、何とかそういったものが基本的計画の上に立っていろいろの法律ができてきて、それらを総合して運用する上に、初めてこの制度的なものができ上がらなければならぬ、片一方かまわぬでおいて、こっちからずんずん逆のほうから押していったら、しまいには、私はそこに問題が出てくると思うのです。現にこの法律を、こうやって私ら法学者でもなければ、先ほど申しましたとおり、漁業の実態も至って知らないしろうとでございますが見ましても、ずいぶん無理じゃないかと思う改正がだいぶ企ててある、その点はどうなんでしょうね。そういうことをお考えにならなかったのか。これが、この改正が出て、今度沿岸漁業法が出て、そのあとで基本法でもお出しになるのですか。基本法については、どういうお考えを持っておりますか、総合的の計画がちゃんとできて、そうしてその上に立って、私はやはりそういう計画は進められるべきものじゃなかったか。それなくして、これでばっかりやっていってたって、弱い者は弱くなるし、強い者は強くなる、こういうことが考えられますが、同時にまあ、いろいろこれは伊東さんたちにしたところが、漁政部長さんにしたところが、よくおわかりでしょうが、実際というものの運用になりますと、力の強いものにかかったら、これは現実に資本主義社会においては、法の盲点をついてどうにもならぬものですよ。たとえて言いまするならば、いろいろの定置網の問題を並べて、これが優先順位だの何だのといっても、優先順位があるとしますと、初めのうちは二人ぐらいで競争して出すのです。これは漁業調整委員会にかかってすたもたすたもたしているうちにぱっとやめてしまって、あとへ残るものは一つですから、そういう現実が出てきているのですから、そういうことはないとおっしゃるのですか、ありますよ。それに類似したものが、この今の水産の中には私は山積しているのじゃないかと思うのです。それは私は中央市場等を中心にして魚の流通上から見て参りましても、ほとんどまあ漁獲高から見ましても、最近は何べんも御説明があるとおり、だんだんと沿岸漁業漁獲高は減って、そうして沖合い、もしくは大臣許可遠洋漁業漁獲高というものはずんずんとふえてきている。これはずんとふえていくだろうと思う。そういう形がまず極端に出てくると思う。うんと極端に出てくると思うのですよ。そうしてそれが加工業に乗り出して、そうして今では農産品の加工までやっているのだ。まあカン詰業や、あるいは練り物とでもいいましょうか、魚を使ったかまぼこであるとか、さつま揚げであるとか、ああいったような練り物などの大部分は、もう五大水産でもって押さえているのですよ。漁獲高で押さえ、加工品で押さえ、漁場では、これは北村君が質問しておりますが、とうとう政府はこれに対して答弁しておりません。東京に行きましても、大阪に行ましても、名古屋に行っても、神奈川に行っても、九州へ行きましても、ほとんど漁業会社のあるものが、大洋漁業、日魯はあまり入っておらぬようですが、これらが、日水等がその卸売市場それ自身を全部自分の資本でもって押えているのでしょう、それがちゃんと押さえているのです、全部が指し値です。指し値でなかったならば卸さない。これほど市場独占をやり、漁獲独占をやっている。そういうものを中心に何も考えないで、考えないということはどうも言、い過ぎでありますが、十分お考えになったかしれませんけど、そういうものを見聞きしておるわれわれから見ますと、どうも漁業法の今の改正という.ものに対して、それじゃどこが悪いと、こう言われればしろうとの悲しさにわからぬ、大ざっぱに言うて何か物足らぬところがある。こういうものが出ているが、そういうものを総合的にきめつけていくには、私は基本法が先でいいのじゃなかったかと思う。その基本法は大体政府部内において出すようなお考えがあり、また研究もしておられるのかどうか、ひとつこれもお伺いしておきたいと思う。
  17. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 基本法の問題でございますが、私ども漁業基本法と銘は打っておりません。沿岸漁業等振興法という名前でこの国会に提案をしたのでございますが、内容をごらんになりますと、ある程度基本法的なまあ実は事業法と、こういっておるのでございます。農業基本法と若干スタイルが違っておりますが、考え方におきましては、私は漁業基本法的なものだというふうに考えております。法案をこの国会に実は提案しまして、先般政務次官から提案理由の御説明も願ったわけでございます。でありますので、先生がおっしゃいました基本法という問題は、私ども沿岸漁業等振興法をひとつ御審議いただければ、その際に大体農林省はどういうことを考えているのかということはおわかり願えるのじゃなかろうかと思っております。今の漁業法が先に出たのはおかしいじゃないかというお話でございますが、これは同一国会に出しましたので、その点は御了承願いたいのでございますが、そこで漁業法については、実は漁業権免許の期間が三十六年でくるやつを、これも国会で御審議願いまして、三十八年まで二年間延長した法律がございます。それでこれはもう来年でございますので、この漁業法が通りませんと、これにもまた漁業権免許期間二年延長をやりましたことにも、非常に支障を来たしますので、これは実は漁業法も基本法と並んで沿岸漁業等振興法と並びましてこの国会に提案したのでございまして、そういう事情も実はありたわけでございます。  それから非常に民主化がおくれておるというお話でございます。これは労働問題等につきましても、水産関係が私は若干ほかのものよりおくれているということがあると思います。その点認めます、これは。ただ今度の法律では、たとえば先生おっしゃいました大会社にいろいろなものが集中するじゃないかというお話でございましたが、今度の法律改正をいたしました一つの大きな問題は、今まで大臣許可でありますと、どんどんそれは金のある人が、たとえば私、伊東が持っている大臣許可を、どんどん買えたわけなんでございます。これはまあ資本が大きい人が、自分のところへどんどん買っていくということがございます。今度は、大臣許可につきましては、そういう転々自由に譲渡することは認めない、特定の場合に限るということで、そういう許可が一入の人に集中するということにならないように、実はこの大臣許可承継の問題につきましては、大きな改正をいたしましたので、先生が御心配になるようなことは若干直していくということは、法律的にも実は考えたわけでございます。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 今ちょうどその問題が出ましたからお伺いしておきますが、これについては、だいぶ初期には水産庁としては決定的な弊害を除去するための強い態度をとられた、こういうことは聞いている、第一次案では。漁業法第一次案というのがあったんでしょう。それが出ますと、きゅう然と関係漁業者のほうから世論がわいてきて、そして今でまだ許可漁業権に対する何といいますか、権利金というんですか、これは残っているという話なんですがね。現に、サケマスの独航船のごときは一トン約九十万円から百万円の権利金だという。から手でもってちょこんとそれをもらって九十万円だの百万円だの。だから、よほど金のあるものでなければそれを買収して新しい漁業に乗り出すということはできないわけです。それを今すぐ取るとするには非常なむずかしさがあるでありましょうが、実際問題としては、今伊東さんが言われるほど、その点は制圧していないんじゃないですか。私はそのしりのほうは調べてないんです、正直に言えば。複雑多岐にして、なかなかわれわれが一ぺんぐらい読んだったって、しっぽをつかむわけにはいかないんですよ。そういう話がありますが、その点はどうなんです。
  19. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今先生おっしゃいましたように、第一次案を出しましたときに、いろいろ批判がございました。私ども、こういう根本的な制度でございますので、各方面の意見を聞こうということで出しまして、ブロック会議をやったり、いろいろやったわけであります。そのとき問題になりましたのは、特に大臣許可だけで申し上げますと、一斉更新、今度は、ある許可期間、五年なら五年が来ますと、たとえばカツオマグロならカツオマグロについて一斉に新規許可を出すという一斉更新のやり方をしたわけでございます。今の法律でいきますと、一斉更新はとりませんで、ぼつぼつ人によって、カツオマグロでありますと、許可の期間が一斉に切れるというんじゃなくて、ばらばらに切れるわけでございます。これを一斉に期間をそろえよう、そしてそのときに資源の問題とか、あるいは漁業調整の問題を再検討しようという案を出しました。これは、今度の法律は一斉更新になっております。そして改正したんですが、その場合に、実績者の善意無過失でやっている実績者が全然もらえなくなるということでは因るんじゃないかということが一つございました。私どもはこれにつきましては、漁業法違反をやっている人でなくて、善意にやっている人で、資源の面からまた許可できるということであれば、そういう人にはこれはまた許可をあげるということは、当然だというふうに考えまして、これはこの規定の中にそういう文句も入れたわけでございます。もう一つは、転々自由に譲渡することは、これは押えようとしたことは確かでございます。しかし、いろいろその後検討いたしまして、この法律の中身に書きましたのは、全部禁止ということでなくて、ある程度といいますか、若干窓をあけよう。しかし、その窓は広い窓じゃなくて、狭い窓だ。たとえばある資源の関係等でどうしても転換を、たとえば底引きから何かはかの漁業に転換する、あるいは沿岸の人が構造改善とかそういう目的で沖合いに出ていこうというような場合には、そういうときには譲れる。あるいは漁業の従事者、これはカツオマグロ等によくあるんでございますが、漁業の従事者が独立して経営主になろうということがございます。こういう人についてはその承継を考えようとかいうふうに、ある政策意図を入れまして窓を若干あけまして、今御審議願います法律にしたわけでございます。先生のおっしゃいますように、今、権利金と世の中でいわれてありますが、許可の船につきまして若干ありますが、金銭の授受があるということは、これは否定できません。カツオマグロでございますとトン三十万だとか、あるいは先生おっしゃいました以南の流し網ですと百万だ百二十万だのいわれていることがございますが、これは自由漁業にしてしまえば別でございますが、資源関係その他とか、あるいは外交上どうしてもできぬということである禁止をしまして、その禁止の解除という形で許可漁業運営していきます際に、やはりかなり収益があるというものにつきまして、そういうものがどうしてもついて回ってくるということは、これは自由漁業に全部してしまわぬ限り、あるいは承継を一切認めんということにしてしまわぬ限り、やはりどうしても出てくることはわかりますが、私どもとしましてはなるべくそういうものは出ないように、あるいはそういうことがあっても、これが次の経営者の負担にならぬように、それはずっと低くしてしまうという努力は、私どもは資源その他の面から許せばどんどんやっていきたいというふうに考えております。
  20. 清澤俊英

    清澤俊英君 きょうはちょっと順序が狂いましたですけれども、そういう形に、当然今のところなる傾向は強いと思うんですがね、今おっしゃるような形で。実際根拠なしにひょっときめたところが、そうはうまくいかない。そういう形が出て参りますと、結局大資本家が許可権を買い集めてだんだん優秀な船を造っていく。そうでしょう。そういう形は出ているのじゃないですか。そうすると、資本進出には非常に都合がいい形で、今度新しく沿岸漁業が構造改善で出ていくときも、さて出ていこうとしてみて一トン三十万も五十万もかかる。船はその上かかるという話だったが、なかなか出ていく余地もひまもない。そういうことも考えられるんですがね。それはそれで現実はそういうお考えならお考えでいいとして、まあ私はその点は追及しませんが、いずれそれは後の問題とからみつくだろうと思いますので、その点だけは少し残しておきます。  それで、あとは小さい問題を少しお伺いしてみたいと思いますが、共同漁業ですね。大体主務大臣の指定する定着性の水産物、あるいは地域的、時期的に定められる定着性の水産物を採取することを第一種共同漁業権で許される。この資料を見ますとコンブ、アワビと、こうなっておりますね。いろいろのものがほかにあると思うんですよ。青森で言わせれば、あの附近ではウニだとかワカメなんというものもあるでしょうし、サザエだとかホタテ貝だとかいろいろ重要な貝類などがありましょうが、指定外のところはどうなる。指定の目標はこういう主務大臣が指定するというんでしょう。指定の目標はただ地域だけを定めて指定していただくのか。ワカメにしたって、おそらくはコンブにしたって三百六十五日取っていいというのじゃないと思います。わかりませんが、こういう植物性のものなどことにそうだが、どういうときだけ取っていいとかというような区域、時期というようなものまで指定せられるのかどうか。
  21. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 定着性の水産動物の指定につきましては、二十五年と二十六年、二十八年の三回にわたりまして指定しておりまして、二十五年の指定におきましては、伊勢エビ、シャコ、エボシ貝、亀の手、ホヤ、ウニ、ナマコ、ヒトデ、カシパン、イソギンチャク、カイメン、餌ムシ、海ホウズキを指定しております。それから二十六年にそれに加えまして、タコ、北海エビ、シラエビ、三味線貝、コトムシ、それから二十八年にはシオムシを指定しております。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはあれですか、区域はもちろんでしょうけれども、やはり時期を指定してあるのですか。
  23. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 区域は指定してありませんが、共同漁業権区域は、おのずから知事が示しますから、その区域に限られます。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 時期はないのですね。タコはこの時期からこの時期までという……。
  25. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 指定につきましては、時期はございませんが、おのずから漁獲の時期というものはあるわけでございます。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 その指定地域外でそれらのものを取ることは自由なんですね。
  27. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 指定地域外といいますと、漁業権区域外で取るわけでございますが、たとえばそういうものを底びきで取るとかいう例でございますが、そういうことになりますと、これは知事許可でやる、小型のものは知事許可になっております。大型のものは大臣許可になっておりますので、魚種区域外でありましても、漁法によって、そういうものは許可漁業になっておるものがございますので、全然あと区域外だと自由だということにはならぬわけであります。自由漁業で取る分には差しつかえがございませんので、許可漁業で取る分には許可がないと取れぬということになります。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは地域を指定してあるでしょうね。大臣なり、知事の指定外の地域というものはあるのです。そういうところにあるのは、地先漁民がどんどん取っても差しつかえない、こういうことはどうですか。
  29. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 区域外でとります場合には、漁業権に基づく権利として取るのじゃない。これは組合員がたとえば区域外で底びきで取る、こういうことになりますと、それは底びきの許可を受けて取る必要がございます。あるいは潜って取るという場合には、許可漁業でない場合には、伊勢エビを自由に潜って取ってもいい、漁法区域外は許可の要るものは許可を取ってやる。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の質問の仕方が悪いかもしれんが、そういう底びきであるとか、その他許可漁業のようなもので、大がかりで取れるような地域じゃない。おるけれども、たいしておらぬのだから見過ごした地区が残っている。その場合は地区の地先の漁民が好き勝手に取っても差しつかえないのか。
  31. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) それは漁業権の内容として取るんじゃなくて、県に漁業の取締規則がございますが、そういう取り締り規則で、許可とか何かになっておらない形になっているときはこれは自由でございます。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 第三種区画漁業、これはこの指定区域にハマグリだとか、私の考えではこれはハマグリであるとか、アサリだとかその他の貝類の養殖に適するものに許可せられる漁業じゃないかと思いますが、そう解釈していいですか。
  33. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) そのとおりでございます。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 これを区画漁業として指定せられることがどうもいいのか、あるいはなんかこう見ておるうちにしろうとですから、共同漁業として指定せられてこれは当然この地先田畑と違いますので、ここの何反何畝は伊東水産庁長官の養殖場所、何反何畝は清澤の養殖場所なんていうわけにいかないと思います。何といいましても動物ですから、動いて歩くから。そうすると当然この養殖というものは一つの海域に対して共同で飼うということが原則になるのじゃないか。したがって、採取も、これは自分のものという考え方が実質はなくなっていくのじゃないかと思っておる。そうしますと、これは共同漁業のほうに指定せられるのが当然のものじゃないかと思いますが、区画漁業の中に入っておるということについて、何か私は割り切れぬものがありますので、その点をひとつ御説明願いたい。
  35. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 第一種の共同漁業に「貝類」と書いてございますが、これは養殖、稚貝をまいたり海を掃除してやるとかそういうことをしないでこれは天然に出てくるものを取るのが第一種共同漁業であります。第三種区画漁業と申しますと、今申しますように稚貝をまいたり海を掃除したりするのが第三種区画漁業でございます。十八条で第三種区画漁業たる貝類養殖業を内容とする区画漁業免許は、これは一定の資格さえあれば、漁業協同組合が第一順位なんでございますが、たとえば千葉県でハマグリをまいたりアサリをまいたりするやつは、これらは漁業協同組合の団体管理になっております。今御質問のような点は、協同組合が第一順位で、ほとんど第三種の貝類なんかは協同組合免許を持っております。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、これは結局区画漁業というものは養殖に対する漁業を行なうものを大体区画漁業に集め、それから共同漁業という場合にはこれは四つともそうなんですが、大体養殖を責任としないで第五種を別としては自然的に定着するといいますか、区域指定されておるものもありましょうから、定着という言葉だけじゃ工合悪いですけれども、そういうものも共同で採取してやっていく、こういう区画でやっていくのだというような解釈でいいのですか。
  37. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 区画の漁業は、これはみんな養殖業を全部集めております。お説のとおりでございます。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでちょっとわかりませんので、第六条の五項ですか、内水面の問題がどうもわかりません。わかりませんが、大体わかったようになっておりますので、あまり詳しくは言いませんが、ただし養殖しないで何というのですか、すだてをやったり、地びきをやったりいろいろなことをやっておるものがありますが、これは当然それらの許可ども受けないでやっておるものも相当湖沼、河川等に見受けられる。そういうものは養殖なんかちっともやっていない。ただ地先だからやっておる。それから今、伊東さんはよく御存じでしょうけれども、福島潟、あそこなどは埋立になりまして、これから先はどうか知りませんけれども、ヒシの産地です。大してヒシ採集の権限を持っているなんていうこともない。普通の農家の婦人たちが、ある時期が来ますと、あれが胃の薬だというので方々へ売り出すと、最近はあまりやりませんが、そういう場所もある。それからある山間の湖沼などへ行きますと、ジュンサイというやつがある。これはどこか部落管理あたりで勝手にやっているようでありますが、こういったようなものも一般遊魚等の権利と突き合わせて、何かあれには、制度調査会のほうでは、こういうものを公共団体にひとつ一括して権利を与えたらどうだというあれがありますが、この法案からはそういう考え方は抜けているようですが、それについてどうお考えになっているか。
  39. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今御指摘の内水面の共同漁業につきましては、今度改正いたしまして、第一項に掲げる以外のものといたしまして、全部第五種、共同漁業にしまして、これは増殖の義務があるわけでございます。でありますので、増殖をしないということになりますれば、もう免許といいますか、そういうものは必然的にしないというような形になっているわけでございます。従来は第五種だけが増殖の義務があったのでございますけれども、今度は全部一本にしましたので、増殖をしないという人には免許をしないという形になるわけでございます。内水面の管理につきまして、確かに先生がおっしゃいますように、公共団体がやったらどうかというような答申があったのでございますが、これは自治省ともいろいろ相談をしたりなんかしたのでございますが、いろんな免許料、たとえば免許料を取ったり、その監視をしたりというようなことにつきまして、市町村が適当であるかどうかということは、いろいろ問題がございますので、私どものほうは今度は百二十九条でしたかに、遊漁規則を組合が作って、それをはっきり行使して、組合がやはり管理していくということが、一番管理の実態に合うんじゃなかろうかというようなことで、答申にはございましたが、漁業協同組合がやはり管理をする。その場合には遊漁規則というものははっきり作って、知事の認可を受けてやる。不当な遊漁者の制限をしたり、不当に特に遊漁料を取ったりしないように、しかしある程度とれば、また直ちに増殖に使っていくというような形にしたのでございます。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に最近電気や多目的ダム等によって人造湖がたくさんできますね。ああいうものはやはり漁業協同組合というようなものを作って、ある種の養殖をしていく、その協同組合にだけ許されるのですか、今のこの法律からいけば。
  41. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 私どもは大体そういうことで協同組合にこういう免許をしていくということをしようと思っております。個人々々というよりも、やはり協同組合が一番いいんじゃないかというように考えております。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 協同組合以外にはああいうところは、養殖を条件とした協同組合以外の者には、ああいう観光風致を中心にする遊覧地的なところでやる者も、そういうものも特別に作らんければ、絶対許さぬ、今の法律からいえばそういう形になりますか。
  43. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) そういう人造湖でダムで養殖をやっているということになってきますと、区画漁業にやはり該当してくるわけでございます。実際の運営はいろいろ水没の問題があったり何かで、そこの漁業権につきましては個人ということは望ましくない。やはり協同組合なり、そういうものがやるのが私は一番いいと思うのでございますが、法律上の建前は、漁業権のある者は経験者優先ということがございますので、個人にももらえるという形になりますけれども、水没者の代償としてそういうものをやったり何かすることが多うございますので、運営としては関係協同組合とかそういうものに持たせるということにやっていきたいと思います。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 その場合に協同組合でなくてもいいんでしょう。観光協会なりというようなものがその地区的にできますわね。そういった場合、それが遊魚を中心にした養魚をして、そうしてそれ専門にやるのだという一つの形をとれば、それらに対してはやはり許可になるでしょう。
  45. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 法律的にできないということはございません。やり得ます。ただ、どういう形がいいか。今おっしゃいましたような形がいいのか、そこの水没者で協同組合でも作ってやるのがいいか、これはいろいろ問題があると思いますのでへその場合場合によってこれは考えたらいいと思いますが、なるべく個人とかごく少数の人が独占するという形をとらぬほうが、水没その他の関係からいけばいいのじゃなかろうかと思っております。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういう場合には、地元の公共団体が観光を中心にして考えるような場合には、何か規定を設けて、地元の公共団体というものに一つのワクをはめておいたほうが、今のうちにはめておいたほうがいいのじゃないかと思うのだ。これを近ごろ観光事業というものを一つの実業と考えて、そうして同時にそこへほんの形式的な養殖をやって、そうして誇大な宣伝をして人を集めるという例は少なくないと思うのです。それで非常にそれは集まってくる。多くの大衆のためにはあまりかんばしくない傾向を残し、せっかくのものが方々で私はだめになっているのが多いのじゃないか、そういう点に対して、何か特別にこんな小さいことを、よけいなことを考えないでいいという考え方ならば別ですけれども、これらは一つ十分将来御研究をしていただいて考えてもらいたいと思うのです。
  47. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 検討いたします。それでなるべく先生おっしゃいましたような公共性のあるものとか、協同組合とか、そういうものでやったほうが私も今の時点ではいいのではないかと思いますが、これはよく検討いたします。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に第八条について、前にいろいろ示したものと結んでお伺いしてみたいと思いますが、第八条は私はどう見て参りましても、八条が曲げていかれているのじゃないか、どうもあと戻りしているのじゃないかという気がしてたまりませんので、ちょっとお伺いしたいと思いますが、現行法では各地で漁場を営む権利というものを個人に保障されている。これは非常に重要な内容を持っていると思うのでありまして、この漁業法第一条の目的から申しましても、この一条には明確に、「この法律は、漁業生産に関する基本的制度を定め、漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によって水面を総合的に利用し、もって漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする。」こういうふうに漁業民主化というものを非常に強く打ち出してあるのですね。今までの漁村はまあどうかといったら網元だとか網組だとか、村引きですか、何かそういったようなボス的組織が大体漁業をリードしておった。それらのものを一掃して個人の漁民に漁業権を与え、それを保障することによって漁村の民主化の基本にする。ちょうど私は農地改革の自作農の創設の意味合いと同じものがそこに残っているのじゃないかと思うのだ。そういうものが規定せられた、それは現在自作農創設のそれ自身の制度が今ではいろいろ問題になり、議論も戦わせられる段階には来ておりますが、根本の精神における個人の漁民、個人の農民の権限を保障して、そうしてそれを中心にして日本漁業発展させるという考え方は、私は動かすことのできない重要な問題だと思うのです。それがまあどういう事情でありましたかしれませんが、各自の自営権がこれをやめになって、そして大体の方向としましては組合員漁業を営む権利と変わって、そして漁業協同組合に大体の私は漁業権というものが移ったのじゃないかと思う。だから漁業協同組合の持つ漁業権の中へ組合員漁業を営む権利としてわずかに残されたという形が残っておる。これは根本的に見ると私は非常な後退じゃないかと思う。そのほかにもこうずっと見て参りますと、今度のこの改正法の中には、そういった文面が私は多いと思うのです。この点についてひとついろいろお教えを願いたいと思います。
  49. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 現行法の第八条でもこれは漁業権は、ここに書いてある漁業権組合の持っている漁業権なんでございます。やはり個人じゃなくて、ここに書いてありますように「当該漁協業同組合又は当該漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会の有する共同漁業権区画漁業権」というように書いてありまして、現在の法律でも、今度の改正法でも、この漁業権自体は実は組合が持っているのでございます。これは法律、その点は変わりございません。あくまでこの漁業権組合でございます。それから現行法でもこれは「定款の定めるところにより、」で、定款でいろいろなことを規定もしようと思えばできるわけでございます。今度これを変えましたのは、実はここに第八条、だいぶ書きましたが、行使規則を作って、実際にはあくまでも都道府県知事の認可を受けなけりゃならぬ、だから関係区域内で住所を有する人の沿岸漁業を営む者の三分の二以上の書面の同意をあらかじめ要するので、非常に勝手なことはできぬ、こういうことにいたしまして、漁業権行使規則ということで、組合の持っている漁業権を使っていこうということにしたのでございますが、これは現在のこの八条で参りますと、非常に何といいますか、いろいろな経営としてまあ漁業権の使い方が零細化といいますか、していくというような弊害がございます。また、これは合併の場合等にも非常にいろいろ問題が出てくるというようなことがございまして、これはひとつ漁業権の行使の場合も、ある程度これは経営上企業として成り立っていくようにというような人がこれを行使していったらいいのじゃないかというようなことで実は従来の「定款の定める」とございますが、これははっきり行使規則といたしまして、そして全部がごく零細な権利の行使というような使い方じゃなくて、ある程度組合の中でも企業として成り立っていくという人が優先的に使っていくというようなことでやっぱりいくべきがいいじゃないかということで行使規則を作ろう。ただし、これはさっき述べましたように関係者の三分の二以上の同意が要ります。それから知事の認可も要りますので、そう勝手な規則を作って組合がやるというのではなくて、経営が成り立つように漁業権を使ったらいいのじゃないかというようなことで改正したわけであります。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろお話を聞いて、みんなもっとものようですけれども、なかなか納得しません。やはり言われるとおり漁業協同組合が管理漁業権として一応持つ。もっとも漁業権の行使の場合には、旧法で参りますれば「各自漁業を営む権利を有する。」として個人の漁業権というものを認めておるわけです。そこで与えられたる協同組合内の管理漁業権を実際に運行していく場合には、その個人が集まって漁業協同組合を作って、自分のものを自分の定款で処理していくのです、根本が。集まった個人を中心にしてやっていくのですが、こういう形が私は出ているのじゃないかと思う。ところが今度の改正になりますと、漁業権組合へ渡って、そうしてその組合員はこれに入る入漁権を持つが、別に漁業権行使規則を設け、あるいは入漁権の行使規則というようなものを別に設けて、そうしてそれがしかも知事の認可を得る。そうすると前の旧法で参りますれば、自分のものを自分が、漁民みずからが組織を持ち、みずからの定款を定めて、そうして内部調整をやっていくという形が出ておりますが、これだというと、協同組合に与えられたる権限として漁業権の使用の規則が別に設けられて、入漁権の規則も別に設けられて、そうしてそれに縛られておる。しかも、その縛られたものを知事許可を得んければならぬ、こういう別の形が出てきておる。個人から別なものに移っていく、こういうふうに私は見られるが、この点はどうなんですか。
  51. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは八条の三項にこの行使規則を作る場合のことを書いてございますが、これはやはり協同組合法の規定により総会の議決を経るわけでございます。でありますので、前は定款でございますが、今度は漁業権行使規則としまして総会の議決を経る。その場合に地元地区の中に住所を有する沿岸漁業者の二分の二以上の書面の同意を得るというようなことで勝手なことができぬように関係者の同意を必要とし、また総会の議決を経るわけでございます。その上で知事の認可を受けるということにしておりまして、しかも、あくまでこの組合が持っている漁業権を行使するのは組合員なんでございます。組合員外なるものによって持ってもらうのではなくて、やはり組合員の中のだれが使うか、どういう資格の者がどういう期間に使うかということをこれは規定するわけでございますので、総合員以外にいってしまうわけじゃございません。やはり組合の中で総会の議決を経てやっていくという手続は、前の定款と同じことでございます。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 知事が認可するのはなんですか。知事は、私はまだこまかしいことまで調べておりませんが、そういう認可申請があった場合は、当然十八条かなんかどっかの規則で調整委員会の意見を聞いて、これを許可するのでしょう。そういう手数が要らぬとしても、知事独断で一つ許可をする、無条件じゃないのです。知事許可しなかった場合どうなるか。
  53. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは知事の認可にかけたのは、行使規則等で非常におかしな使い方をする、行使規則を設けました趣旨に反する、あるいは非常にまあ差別的なものの使い方をする、あるいは、たとえば、漁業をやります場合に、魚の産卵期等につきまして避けたらいいというように思うところを、操業の期間に、漁業の期間に入れる、そういうようなことがありました場合には、この行使規則を作る目的に反するということで、それを直させるとかということをしてもらうというふうに、これは行使規則がおかしなものにならぬようにということで、ひとつ知事さんも公の立場から検討して下さいという意味で、組合があまり勝手な行使規則を作ってはこれは困るということで、公正な目で判断をしてもらうという意味で認可制度にしたわけでございまして、これはやはり今言いましたように、おかしいことがあれば直すべきじゃないかという目的、直してもらって認可するということで、当然していくものと思います。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、それらのことは定款を定めるとき、模範定款のようなものを一応お示しになって、こうこうこういうようなことが定款にきめられてはならないというようなことを政令でも何でも始末はつくと思う。自主的に運営していく旧法を何か別なものに形が変わって、そうして最後に知事の認可だ。知事はそれをだめだと、こういうことになりますと同時に、二つに、規則を作るときには、大体三分の二の同意が得ぬければできないでしょう。もし三分の二の同意、それ自身が得られなかったらこれもだめになっちゃうのですね。知事の認可がおりない場合もそうであるし、三分の二の同意も得られない、書面で同意を得られない場合も、実際の仕事というものは漁民はできないということでできなくなる。その場合には、せっかく協同組合に管理者として漁業権を許してもらったが、知事の認可がないという場合、この場合、漁業権というものを手をこまねいて見ている、こういう実質が残る。私はそこが非常な重要な問題になってくると思う。そうしたら、事実あっても、現実漁業というものはやれなくなっていく。協同組合漁業権をもらったというだけの話で、個人の漁民はどうにも手がつけられない、こういう実態が出て参りました場合には、何といったって仕事して漁業を行なって、金をもうけて生活をしようと、こういうのですから、しまいには、ある別な力というものが無言の間に漁民の上にかかってくる。今度の改正法ではおおいかぶさってくる。自分の意思に反した、自主的な考え方と別なものでここに押えられてくる。根本的の私は重要問題じゃないだろうか、こう考える。
  55. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは実は漁業協同組合が非常に小さいものが多いので、合併促進を予算も組みましてやっておるわけでございますが、そういう場合に、合併をしました場合に、これが関係者の三分の二以上の同意を得るということにしておかないと、なかなかその、入る問題も、自分が同意をするとか、ある意思を述べる機会がなくなってしまう、合併がしずらくなるというようなことがございますので、関係者の同意ということを特に書いたわけでございます。そこで、先生のおっしゃいますような事態になりますと、これは合併してある程度大きなものになれぬと、組合がそういうことになりますと、やはりもとのちっちゃい組合のままで漁業権だけ管理しているというような組合にその場合はならざるを得なくなるわけでございまして、私どもとしては、協同組合等は漁業権の管理主体ということで、ちっちゃいものだけではなくて、経済体として大きくしていきたいということもございますので、実はこういうような規定を、行使規則を作りまして、しかし、その上でやはり関係者の、合併される組合とかそういうものの関係者の意思を無視してはいかぬというようなことで、この同意の条項を保護の意味で実は入れたわけでございます。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、これに対してはだいぶ意見があるのじゃないかと思いますがね。それで参考までに私は二、三の意見を申し上げてみますが、漁業制度調査会のほうとしましても、全面的にこれを取れとはいうていないようですね。第一種漁業のごときは、この法律を残したらよかろうというように考えているのじゃないですか、漁業制度調査会は。
  57. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 制度調査会からはいろいろの意見がありましたことは事実でございます。ただ私のほうは、第一種だけにこれを限定して置いておくという必要よりも、この少数保護規定を入れまして、この少数者保護規定を入れまして、行使規則ということでやったほうが、これは漁業を単独企業として考えていくのだという立場から行くといいじゃないかということで、答申はそのとおりにとっていないことは確かでございますが、実はこれは私どもも、この漁業法改正のときに、ブロック会議をずっとやったわけでございます。その場合に、実はこの点につきましては、特にこういうことで反対だということは、実はブロック会議等では意見は出ませんでしたような次第でございます。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは参考の意見として私は非常に重く見ておるのでありますが、何かこういうような考え方の人が非常に多いように見ております。漁業組合漁業者または漁業従事者に限るであって、当該漁場が有する各特定区画漁業権もしくは共同漁業権または入漁権ごとに制定する漁業権行使規則、または入漁権行使規則で規定する資格に該当するものは、当該漁場の要する当該特定区画漁業権もしくは共同漁業権または入漁権の範囲内において漁業を営む権利を有する。すなわち各自行使権を廃止して、行使規則で定めた資格該当者に限り漁業を営む権利を有することに改めてある。こう一番先範囲を狭められたことについて不平が述べられておる。原理原則的な問題が残るようである。それには原理原則的な問題が残るようである。水産業法改正等にも関連することであるが、現行法漁業者または漁業従事者たる個人である。個人すなわち漁民だけに許されておる権利である。個人すなわち漁民に対してのみ各自行使権を認めたものであるが、改正案においては、法人も個人も区別を廃しており、しかも水協法改正案においては、いわゆる三百人以下の就業者を持つ漁業家、船は三百トン以下の漁船を所有する法人に対しても漁協の正組合資格を与えておる。これらも当然組合資格を限定して漁業経営というものを規定されておる。零細化を防止せんとする改正案のねらいが多少はずれてきておるようでもある。問題が残るようである。こういうことを言うておられる。前のやつは個人に与えられたる漁業権というものが中心であるから、だから漁民だけの一つ漁業権であった、こう解釈できる。ところが今度は、漁業協同組合の正組合員である漁業者または漁業従事者と、こうなっておる。今のような大資本家も仲間になる、こういうように解釈しているのですね、この人の考え方は。そういうものが中に入ってきて、それらの問題を提起していきましたならばそこに混乱が起きるであろうし、それから旧来の漁民という立場から見ましても、今度の協同組合では三十日から九十日を、九十日から百二十日と範囲を、これは参加範囲を狭めたということでしょう。資格が高くなったから脱落者が多くなる、こういう反面も出てくる。そうすると、それがために今まで持つことのできた漁業者並びにその従事者というものが相当数脱落していく、その反面大会社、大水産業者等のものがこれに参画する、当然の権限を持つ、こういうことが考えられる、こういうふうになってくると思うのです。私もこの説にはどうももっともなような気がします。どうしてこういうようなものだけこういうふうに改正になったのだろう。
  59. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 先生おっしゃいました漁民というのが、今度組合員になったから、法人も入るのじゃないかとおっしゃることは、そのとおりでございます。法律的にはそういう形になります。ただ大会社が、大きい会社が草類、貝類を取るというようなことは実はあまり考えられなくて、これはあるとすれば法人成り、農業法人で法人の問題が出ましたが、個人にひとしいような法人成りというような人が私は考えられるのじゃないかと、そのほかは、もしも大きな会社でございますれば、それが正組合員であったと仮定しますれば、会社として共同漁業、そういうのをやるのでなくして、会社の従事者、そういう人が、会社員とか、そういう従事者がおそらくやるんではなかろうかと思います。ですから法人として従来組合が持っているような漁業権をやるという法人は、おそらく個人に類するような法人成りの法人でありましょうし、もしもたとえば三百トン、三百人何ということでいった場合、その会社がさっきの貝類を取る、あるいは地びきをやるというのでなくして、その従事者が私はやるのであるというように考えまして、そういう人は当然組合員になっておれば、これは准組合員でもこれは漁業権は使えるのでございます。准組合員だからその漁業権が使えなくなったということでは実はございません。三分の二以上の同意といっておりますのも、何かそういう場合の不平等な、非常におかしなことが行なわれないようにということで、多数の人の同意を取るということにしたわけでございまして、大会社が出先のみな地びきをやるとかいうことは、あってもごく例外なことではなかろうかというように思っております。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや、それはそう言ってしまえばそれまでの話ですけれども、ちゃんと権限が法律で与えられている。そういうのが正会員に入っておる。そこに非常な危険性があると思うのです。かりに従事者が、だからひとつ仲間にするのだと、こういうことで入ってきましても、そのバックというものがたいへんなものである。バックにたいへんなものがある。自分の資本と因縁で、因縁と申しますか、実力をもって自分の、そういうものが実際の権限を運用してこないとは限らない。そういうような場合が、そういう点について、ちょっと今度の改正には私は、今も探しておりますが、ちょっと見つかりませんが、何か納得しがたいものが相当あるんじゃないかと思いますがね。十四条ですか、十四条の現行法ですね。現行法でいいますと、旧法、明治三十四年法律第三十四号、「施行前からの慣行によりこの法律施行の際現に効力を有する専用漁業権を有している市、町村、町村組合又は財産区であって特別の事情によりこれを免許をするのが妥当であると認められるものは、第六項の規定にかかわらず、第一種共同漁業免許について適格性を有する。」こういうようなものが、これはどういうことか詳しいことは知りませんが、文字どおりにとれば、こういった何か知らん、私は沿岸漁業漁業権というものと結んで、目に見えな一つの権限というものが習慣的にずっと残って、それに強い一つの権利が与えられている、こういうことを考えているのです。たまたまどこどこの浜の専用区、ここに協同組合の第三種ですか、三種共同漁業の面において、この浜の海区はこれであって、これはとの部落、この漁村の、あるいは何々浜の住民に対して、長く一つの権限として与えられた、こういう概念は漁民にも残っておりましょうし、今までのわれわれが見た慣行等から見ましても、何かそこに残っているのではないかと思います。それはちょうど山間部における、これは伊東さんのほうが専門ですけれども、山の所有権などで、いわゆる太閣のなわ張りで所有権を与えられた地域だとか、これは親元が何軒で、何年の年にこれを分けたのだというようなものが、ずっと村々で残っている。それは重大な権利として、今まで保安林などのもつれがありましても、保安林は保安林、それはそれとして残されている。何かしら私は漁村の中のそういう慣行の中には、やはりそういうものがずっと残っているのではないかと思うのです。それが今も言うとおり、この十四条の九というものがばんと取られて、また第八条の自営権ですか、というようなものがばんと取られて、そうして別の形でこれができ上がっている。こういう点についてはどうも納得し切れぬものがある。法律に漁民の民主化という線で、せっかくボスを排して、そうしで漁民を中心とした一つの行き方をしようということが、ここへきて総括的にくずされて、元どおりになっているのではないか。そうして一方において大資本を中心にする漁具の改正、漁船の改正、技術の、徹底的な改正、こういう資本的装備の重大なものが、そのすきをねらってどんどん入ってくる、こういう形が醸成されてくるように見える、その点が私にはどうも納得がいかない。それがいずれこれから問題になり、二十一条の問題ともからみついて、私は相当重要性を持つのではないかと思う。そこのところどうお考えになるのですか、そうじゃないのだと言われるのですか。だが現実漁業体制をまとめていくためには、そういう古かしい、妙ちくりんのことは、もうやっていられないから、資本の進行の、進むままに漁業構造も変えていくんだし、そういう線でぐんぐんと行ったほうが日本の漁業のためになるんだ、こういう観点に立って考えておられるのか。
  61. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 事実だけ先申し上げます。十四条の九項を落としましたのは、これは実は全国で例が一件だけでございます。静岡県の稲取にテングサをとる専用漁業権を町が持っておった。これがただ例は一件でございます。これにつきましては町当局と漁業協同組合と話し合いがつきまして、今度の免許にあたっては、従来の専用漁業権——今の共同漁業権は、町が漁業協同組合に今度は譲っていいというふうに実は話し合いがついております。で、あと全然これは例がございません。私の考えとしては、共同漁業権は町とかそういうものが持つのでなくて、やはり漁業協同組合が持つのが、これは当然というふうに思いますので、この九項を実は取ったようなわけでございます。  それからさっき三号、共同漁業の三号のことをおっしゃいましたが、あの中でしいらづけ漁業というのを落としておりますが、漁業権から。これは地先といいましても、十数マイル、ひどいのは二十マイルくらいの先までしいらづけの漁業権というのがあるのでございます。こうなりますと、これはほかの漁業と非常に競合しまして、これはおかしい。まあ、全国で半分くらいは知事許可漁業になっております。半分くらいが共同漁業免許しているのですが、これは知事漁業に統一すべきじゃないかというようなことで、三号の免許決定のしいらづけを落としております。  それから、一般論でございますが、私ども沿岸漁業考え方は、沿岸漁業者というのは従来のままの形でいいんだということじゃなくして、私はやっぱり法人なりが経済上やはり必要性から出てくるのであれば、そういうものも法人だからといって除外するとかいうようなことじゃなくて、やはり企業者として安定上、まあいろいろ沿岸漁業者の就業が二次産業、三次産業へ行って人が減っております。こういう際に残る人については、やはり私は法人でも何でも経済上有利であればけっこうでございますし、そういうふうにして企業として安定さしていこうということが実はねらいで、漁業権の行使規則、これは平等に小さくつかむというようなことじゃなしに、こういう点もある程度企業として安定さしていくんだということを基本にして考えていく必要があるんじゃないかというようなことを考えているわけでございます。九項は特に、今言いましたようにそういう問題とは全然関係なく、全国で例が一つで話がついているというようなことでございます。
  62. 清澤俊英

    清澤俊英君 沿岸漁業に対しての考え方は、提案説明にあるとおり、沿岸漁業で不振であるというのは船に乗って魚類をいろいろな方法で取るやつ、これは不振だと、こう書かれている。その反面どうにかやっておって、なおこれから幾らか伸びていく見込みのある、こういう漁業は、それは漁業権漁業による沿岸の養殖等を中心にしたものが考えられているのです。このことは本提案説明だけでなく、前にもそういう説明を承っております。しかるに本法では、これから伸びていく養殖等の漁業権漁業それ自身に、この法案では漁民の主体性をはずしておる形が出てきて、漁業権漁業自身に何かしら影の暗い思いがします。また再び網元のようなボスが資本の形で支配し出すような形が出てきているのであります。すなわち漁業行使規則を作ったり、入漁行使規則を作ったりして、漁民自身の自主性をなくしていく方向がうかがわれます。この規則はどういうものができるのかしりませんですけれども、そのうちだんだんと弱いやつは振り落とされていくように法律ができているように思われます。たとえば現在免許された漁業権で漁民自身がやってきた漁業が、このたびの法改正では協同組合中心となり、協同組合の作る漁業権行使規則や入漁行使規則が主体となっていくのであります。その上協同組合の正組合員の資格が改正され、強大ないぶ無資格者が出てきて正組合員からはずされる者が出るでしょう。すなわち振り落とされる者が出るのであります。そういった反面、法改正によって正組合員資格者として就業員三百人以下を使用する経営者であるとか、総トン数三百トン以下の船を持っている大経営者などが正組合員とし、組合員資格が与えられたのであります。就業者三百人以下の経営者と申せば御木本のような真珠業者や、三百トン以下の船持ちとすれば、カツオマグロ業者の五十トン、百トンはもちろん、遠洋級の百トン、二百トンもの船主経営者も正組合員となり、改正法の表からすれば漁業権漁民の仲間入りができるのであります。そこで私は、零細漁民が振り落とされ、大資本家が仲間入りをしてきている点を問題にして取り上げたいのであります。現行法の十四条の九項は、今やっておりまする養殖漁業等にも関係ある歴史的な入漁権、漁業権を認めた条項だと考えるのであります。第十四条の九項は改正案では削除されましたが、九項の持つ意義は、町村組合やその他が制度的に権利を持つことがいい悪いは別として、漁村、漁民とその地先が離すことのできない経済的に長い間の両者の関係を持つくいることを表現している浜と漁民の深い経済関係の形じゃないかと思うのです。それがこの改正法で削除される。そういった浜と漁民の深い歴史的関係が保持されてきたそういったものは、今度の改正漁業権行使規則であるとか、入漁権行使規則であるとかという新しい規則で規定づけられて、そうして別な形に変わっていく、そこに私は問題があるんじゃないかと思っている。弱い漁民の権利が一枚々々はぎ取られていくように見えます。この点に関しまして水産研究会の浅野長光という人が意見を吐いています。その意見などを聞きましても、私の考え方と同じ考え方がだいぶ浅野氏の意見の中にあるだろうと思います。浅野氏はこういうふうに言っておられる。「現行法第八条の各自漁業を営む権利を改正案では廃止しているが、その理由が私にはわからない。」第八条の各自の行使権というものを廃止しておられるが、それが私にはわからない。「この「各自行使権」の背後には、沿岸漁場の小商品生産者的利用関係が歴史的に形成されてきた。」、この歴史的形成という浅野さんの考え方、それが先ほど私の言いました十四条九項などのような現行法の背景となった実情を言っているんじゃないかと思うのです。「歴史的に形成されてきたという事情がある」というのだ。「そうした利用関係を一挙に払拭し、白紙に物を置くように資本家的生産を形成せしめようとする意図ならば問題は別である。決してそうは行かないであろう。」そういうばかなことはでき得ない。「そうした空想的発展図式からすれば、小生産的利用権を認め、その中から大規模な漁場利用と、経営の形式、成立をはかるという方法は、より緩慢な発展テンポということになろう。しかし、沿岸漁業の構造改善は単に資本に投資先を作ってやるということでおわるものではあるまい。」と、このように浅野長光氏は言っている。「沿岸小漁民そのもののために生産発展のコースを整備することが政策のポイントである」と考えられる。「彼らの内部的成長が基本なのである。「各自行使権」を与えてそうしたコースの発展を保証すべきであると考える。「各自行使権」に関する漁業制度調査会答申は、その廃止を決して主張していない。」「一部の漁業にあっては各自漁業を営む権利の性格が明らかでなく運用上、解釈上に疑義を生じている」という部分を「廃止せよ」とするのは拡大解釈である。「「各自行使権」が廃止されるとすれば、組合員組合に対し単に行使規則の履行を請求しうる一種の社員権者たるにとどまり」、社員権たるにとどまってしまう。「組合員法律的ないし実質的には組合から行使規則に基いて漁業権の貸付をうけたことと解せざるをえなくなるのではなかろうか。組合員漁業権侵害排除の請求をなしうる対世権は否定されることとなり、又一方漁業権の貸付を禁止している法の趣旨に反する結果ともなるのではないか。漁民の主体性を保証する上からいっても「各自行使権」をいかす方向において立法上の工夫を願いたい。」、こう言っている。それから同じく、日大教授の原暉三博士の意見は、「「各自漁業を営む権利」なる観念を削除することと、この種漁業権たる特定区画漁業権共同漁業権又は入漁権につき、漁業協同組合はその権利の行使に関する規約(漁業権行使規則)に従って、当該漁業組合員に営ませなければならないとする新規に「漁業権等行使規則に関する規定を設ける。」とのことで、これをもってするときは、一見法の形式からいえば、第一次明治漁業法の定め方に還ったかの如くである。即ち、組合員組合に対して行使規程の履行を請求しうる一種の社員権たるに止まり、第三者が侵害した場合にその者に対し直接に侵害排除の請求をなしうる対世的効力を有するかは否定しなければならないのであろう。第二次明治漁業法以来、組合員の各自漁業を営む権利の概念が発展固定しているのにかかわらず、これを削除するのは甚だ疑いがある、ただ、各自漁業を営むとの各自が広きに失し実情に副わないきらいがある。しかし、諸般の事情によりこれを制限せんとする理由のあるときは、旧法の「組合規約」現行法「定款」の定める所により規制することが可能であった。」できたんだ、「この管理漁業権を二分し総有的体系にあるものは各自漁業を営む権利に配し、より市民法的な個人的な行使による漁業権を行使規則によらしめるも一方法であろうが、かくては最も価値のある権利について賃借権にも劣る極めて曖昧な権利体系におくのはなおさら疑問である。ここでは定款とあるのを行使規則とするのも彼此差異がないであろう。元来当初は、組合規約による特則は個人的権利を組合が信託的に取得した結果その個人の地位を組合規約で留保したことから発展したものであること既述のとおりである。ところが、時の経過によりこの特則を否定せんとする傾向と併せて組合優先免許主義なる施策により多くの漁業権組合が取得し専用漁業権又は入漁権以外は貸付の目的としていたのが旧法時の事象であった。現行法においては、漁業権は貸付の目的となしえないことを前提として組合が殆んど全部の漁業権を取得した上、その権利の大半を管理漁業権に組み入れた。そこで本来市民法的な個人的権利を総有的体系の法の下に規律することは確かに不自然にして実情に副わない。かくみるとき、漁業権行使規則はその実質は漁業権等貸付規程に脱落するのではないかと思う。ここにも組合漁業権を取得する妥当性並びにその限界について再吟味すべき課題であると思う。  こういうふうに言っているわけです。わしはそんな法律家でもなければ、明治時代からずっと法律がどうだのあるいはこうだということは知りません。明治二十三年に生まれているから、だいぶ前に生まれておりますけれども、今の浜とは確かに違います。今の浜とは確かに違っております。そうして同時に、われわれの小学生時代に修学旅行等に参りまして、浜の人たちと接し、そうして浜の様子を見て参りました概念と、今の改正せられたるこの八条の概念というものは全く遊離せられた妙なものができ上がっている。こういうふうに私は考えるんです。専門家でもなければ、わしは法律家でもないんだから、何の権利とかかんの権利とか言わないが、観念的にそういうことが考えられる。あと戻りしているんだ、こういうことが言われる。
  63. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) いろいろの人の説をお述べになりましたが、これは実は「漁業に関する基本的制度についての対策」として答申が出たわけでございます。私ども答申全部そのままとっておりませんので、この答申がこうだからこうだということは申し上げませんが、御参考までにその関係を読んでみますと、さっきの市町村の問題。「現行の第一種共同漁業に認められている市町村等についての特例は、実例もほとんどなく、今後の方向としてその存続を認める意義が乏しいので、廃止するのが適当である。」ということが実は答申に書いてあります。これは先ほど申し上げましたように、この実例一つでございまして、もう話がついていて、むしろ協同組合がいいと私ども判断しましたので、これはむしろ答申のとおりやりました。  それから管理漁業権の行使についてでございますが、これは共同漁業と区画漁業と二つございます。区画漁業のほうを先に申し上げますと、「漁業協同組合が保有管理する区画漁業権について、当該漁業の経営単位の細分化を防止する見地から、漁業協同組合漁業権行使規程を制定し、または変更する場合には、当該漁業を営む組合員の大多数の者の同意をえなければならないよう措置する必要がある。」、ここでも各自行使でなくて行使規程を作って、しかも、それを作る場合、変更する場合は、大部分の人の同意を必要とするというので、これは答申のように三分の二の同意を得るというようにやったわけでございます。  それから共同漁業権については、これは現行法と若干違いますのは、現行法の各自漁業を営む権利は第一種に限ったらどうだ、これは天然に生えているそう類を取ったりするものに限ったらどうだ、「その他の管理漁業権にあっては、免許を受けた漁業協同組合は、漁業権行使規程の定めるところにより、その組合員に当該漁業を営ませることができることとする等、漁業の性格と漁場行使の実態に即した措置を講ずる必要がある。」、それから「管理漁業権の行使を適正にするため、漁業権の行使は組合員の大多数をもって定める漁業権行使規程によるものとし、この漁業権行使規程の制定変更には行政庁の認可を要することとする必要がある。」、それから「漁業協同組合の合併広域化を促進するためにも、共同漁業権の部落ごとの行使を制度的に保障する必要を生ずる場合がある。そこで、漁業協同組合漁業権行使規程を制定しまたは変更する際には、関係する部落内の沿岸漁業者の大多数の同意をえなければならないように措置する必要がある。」、こういう答申が出ておるわけであります。  それで、現在の答申は、法案と若干違いますのは、各自漁業を営む権利は第一種共同漁業だけにしたらどうだということでございますが、これは、私ども共同漁業権全部にしているところだけが違うだけで、あとは全部一緒なんでございます。  先生、水協法の関係から、准組合員相当落としてしまうのではないか、そうして漁業権は使えなくなるのじゃないかという御指摘がございましたが、私ども、今正組合員六十万人くらいですが、日数関係では十万人ぐらい、十万人ぐらい該当するのじゃないかと思っておりますが、はっきりした数字は申し上げかねますが、しかし、漁業権の行使の場合は、この人たちは同様三分の二の同意には准組合員も入り得るし、それから漁業権を使う場合には、准組合員漁業権を使えるということでございますので、その人たちを漁業権行使から排除してしまったということには法律上はいたしておりません。
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 もっともらしいことを言っておるのだが、なかなか納得できない。それで、第一種の場合など、ことに私はそうだと思うのですがね。組合員たる資格を三十日を今度九十日にしたということで、相当脱落者ができる。今までやってきた人は、これは一番零細漁民だろうと思う。兼業漁民とも言われましょうが、そういった者が脱落していく。天然の浜にあるものを、何も養殖するわけでも何でもない、入ってそれを取っていいわけだからね。私は一番先に、こういった指定区域でないところで自由採取をやる、そういう場所はどうだというと、それは自由採取はいいんだが、豊富にあるがために自由採取はできないんだ。今までは浜に住んで、浜でずっと生命をつないでおった者は、親父はいろいろ船に乗ったりして沖に出るかしらぬけれども、お母さんたちは、ばばさんたちは、その時期になりますと、ワカメ取りに出たり、あるいは貝拾いに出たり、小船をあやつったりしてやってきたんだ。そういうものが今度は全部取られてしまう、やっていけない。だから、そういう場所でないところでは、今でも浜に出ますと、もうこれからいろいろな海草類が取れる時期になりますと、そういうその地域でないところは自由でもってわあっとできる。そして相当の収益を浜で上げている、現に上げています。それらのことを考えると、何かしらぬこの第八条で個人の権限というものを取り上げられたことで、目に見えない障害が出てくるのではないか、根本的なやっぱり障害が出てくるのではないか。これを残しつつ、何か別の方法を考えられないのですか、こういう精神を残しつつ。私はこの制度調査会の答申に、町村等が持つ旧来の習慣による漁業権を、これはまあひとつ考えて、そのものの形をどうするかということは、これは時代の流れとともに当然考えていただきたいことだと思うが、だがそうした長い習慣で、地元権利として、そこに住む数代の漁業民が概念として持った、習慣として持った町村の区域のその権原というものがぱっと消えてしまったら、これは問題にならないと思うのです。それまで消やせとは、私はだれも言っていないと思うのです。それは言っていないと思うのです。これはしつこいような話になりますけれども、私はそう思うのだ。
  65. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) さっき脱落というお話でございますが、これは漁業権の行使の場合には、准組合員でも行使できるんです。それから、先生おっしゃいますように、ごく少数の人やなんかが落ちてしまう、これは三分の二以上のやっぱり同意は要る。その場合に、同意をするかせぬかということもその人たちはできるわけでございますので、これは先生の御心配になるように、みな落ちてしまうのだというふうには私はならぬのじゃないか。しかし、漁場をどうやって使っていくのが一番いいかということは、組合員の中でよくみんなで相談して行使規則を作りなさい、あるいはその場合には、先生おっしゃいましたように、准組合員も含めまして三分の二以上の同意が要るのだ、そういうふうにしてありますので、先生おっしゃいましたようなことにみんななってしまうのだというふうには、実は私考えておりません。むしろそういうことじゃなくて、漁場の有効利用ということにつきまして、これは角度を変えた見地から、知事までの認可を受けさせて、最も漁場を有効に利用さしていくのだ、こういう規則でやるのが一番いいのじゃないか。大体答申の趣旨もこれに近いものでございますので、私どもはこういうふうに割り切ったわけでございます。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあ大体あまり長くやると……午前中にやめることにして、もう少し続けていきます。私はくどいですからね、この問題やめますが、私はこういうふうに解釈して意見だけ申し上げておきますが、どうも伊東さんを初め水産庁の御当局並びに今度この漁業制度調査会の名簿を見ますと、これは大体今の資本主義の線に沿って所得倍増を考えている線が強いのだ。したがいまして、現実の社会から見て、改正していくというならば、まあ漁区を拡大し、相当の投資をやって、そうして規模を拡大、改良いろいろのことをやって生産を高めていくと、これだけに重点を置いて考えられているようであります。そして非常におくれた漁民が、旧来から持った自己の生活と浜の権利というようなものがだんだんと消されつつあるように考えますので、これはまた別の機会に同じことを繰り返すかしりませんけれどもやってみたいと思いますし、社会党としては、衆議院では相当この問題で問題が出ておると思いますので、まあその点はやめます。  そこでその三分の二ですな、三分の二の同意、書面をもって同意を得なければせっかく定めた二つの行使規程ですね、これは生きてこないのですがね。行使規程がなければ、さっきも言うとおり、漁業を営むことはできない、こういう理由になるが、その場合にはどうなるのですか、三分の二集まらぬ場合には。実際としてどういう形が出てくるか。
  67. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 漁業権免許をする場合、やはり私ども考え方としては、これは事前に組合の中で行使規程の話し合いがついたところに免許していく、事実上ですね。ということをやりませんと、漁業権免許してしまった、船は使えない、それで権利なしにたとえば区画漁業に入っていますから、やりますとこれは法令違反になりますので、話し合いのついたところに免許をやっていくという行政指導をやっていきたいと思います。
  68. 清澤俊英

    清澤俊英君 何かありませんか、この行使規程ですね、二つの行使規程を協同組合で作らせるときには、一つの目標を持っているのでしょう。区域を拡大して、協同組合区域を拡大してそこに漁業権を与えるのですから、そうすることはこういう一つの方向づけをもってそういうことが行なわれるのだから、したがいまして、行使規程を置く、あるいは入漁規程というような漁業規程というものは、やはり一つの方向をもって指示せられるのではないですか。今あなたがおっしゃったように、これは自主的にお前らが勝手にきめるのだ、こうなったら、まだ非常に考え方のおくれたのがたくさんいるのだから、そして再分配するのだから、それが自主的にやったら、せっかくやった総体の構想というものは落第になるので目的を達し得ないのじゃないか。そうすると、そこに行使規程というものが何らかの形で、指導の形で私は出てこなければそれは役に立たない。行使規程であれ、漁業規程であれ、漁業権行使規程になると思う、二つともね。そういうものが残ると思うのですが、その点は全然野放しなんですか。
  69. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 先生の御質問の、行使規程にはある意図を持たせてやるかというお話でございますが、これはあくまで意図といいますれば、漁場の有効利用ということが目的であります。でありますので、たとえばのお話でありますが、今農民等が漁業的に漁業協同組合に入ってきまして、わずかなノリを作るとかというようなことをやっておることがかなりございます。こういうことは漁業専業者から見れば、自分らがもっと規模を大きくしてやって、自分らとして企業として成り立つようにしたい、漁場の有効利用という面からいくと、私はそういうことになってくるのじゃないか、一つの例でございますが。ですから、そういうことについては今までの目的に合ったような行使規程の話し合いがついて、これは免許は県知事でございますから、免許の前に、行使規程は大体組合の中で三分の二以上の話し合いがついて、こういうふうに行使規程を作ってやりたいというようなものを事前に持ってきてもらって、それが漁場の有効利用から見ておかしくないということであれば、そこに免許していくということになろうかと思います。
  70. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうするとさっきの話と違う。免許のときからそういうものが出てくる。免許のときからこういう方向のものが出てこなければ免許しないということになれば、それで終わりですよ、それはもう。
  71. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 先生の御質問は、漁業権はもらったけれども、行使規程がなければ使えない、どうするのだという御質問だったわけでございます。私どもはそういう事態にならぬように、事実上の形として、行使規程は三分の二以上の話し合いがつくようなものを一緒に持ってきてもらって免許するということが一番私は、免許と行使規程が同時にあって、免許はもらったが漁業権使えぬということにならぬようにするには、そういうことをやるのが、行政指導をやることが一番いいんじゃないかということをお答えしたわけでございまして、先生がおっしゃったような事態になりたくないという意味で、私はお答えしたわけでございます。
  72. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは伊東さん、ちょっと無理だな、さっきの御答弁から。さっきの答弁は、三分の二しかまとまらぬときはどうなるんだ、こういうことを私は聞いたのだが、それはまとまるように、漁民等があらかじめ話してまとまるようなものを持っていくんだと、こういうことなんです。ところがそのまとまり方で、どうしても法改正の精神に沿わぬようなものがあれば、それで三分の二まとまらぬければ免許しないわけなんです。こういう下腹が見えるわけです。そういう衣の下によろいが見えるのだ。そこに問題があるんじゃないか。自主性があるのだとか自主的にそれをきめていくんだとか、こう言われるけど、実際は都合があって、都合によってそこにずっと持っていかれるのだ。こういうことじゃないですか。それじゃ強制ですよ。
  73. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 私はよろいは決して着ておりません。よろいの上に衣を着ているわけじゃございませんので、率直に申し上げますが、先生のおっしゃったようなときに、どうしてもたとえばまとまらぬ、合併して大きくなって、一つの例ですけれども、やろうと思うのだが、三分の二の同意を得れぬということもあろうと思います。こういうときは合併はできなくなって小さい組合のままで持ってくるのだろうと思うのです、これは。それで先ほど申しました行使規程があまり認可ということを掲げているのは、これはやはり少数者の保護のことももちろんでございますし、漁場の有効利用とかそういうことが頭にあっての認可でございますから、これは事前にもうすぐ認可のできるようなものを持ってこられれば、それからそれは同時に免許もできるというものを、やはりいろいろ事前に相談してもらうということは、やはり私はそれが自主的の相談でございますから、何も強制して、こういうものでなければ一切だめだ、こういうわけではございませんから、そこは三分の二以上の話し合いで持ってきてもらう、事前によく相談して、また県等もそういう指導をよくしようということでやっていけば、私は何も先生が御心配になるような、認可だけするということじゃ決してございません。
  74. 清澤俊英

    清澤俊英君 実際問題としてそうじゃないと思うのだ。それじゃ、認可するときは調整委員会の意見も聞くでしょう。そうじゃないですか。これはあると思うのだ。
  75. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 調整委員会の意見には、これは認可についてはかけてございません。ただ漁場計画を作る漁業権のときですね、漁業権のときには、これは海区調整委員会の意見を聞くということになっております。
  76. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、実際上はこの分でいけば何が起きてくるかわからぬということが、一つの危険として考えられる。ほんとうはこれはどうなんです。伊東さんね、この点は免許しない場合というものがあらがあらかじめもうきめてあるわけですわね、十三条は。だからこの十三条の「(免許をしない場合)」という中の、十一条四項の規定により公示した漁業免許の内容と異なる申請があった場合は、これは免許しないというのです。だから何か知事が公示し、その公示は海区調整委員会の諮問を経てこうやってくるのです。だからそれに従ったものをどうしても出さなければならぬ、免許を受けるには。これは十三条の二号です。とすると、何かしらきまった形にぐうっと持っていかなければならない、こういうことがどうも考えられるのですがね。
  77. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 漁業権をもらったらどういうふうに使うのだ……。
  78. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや、使うのじゃないでしょう。
  79. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) いや行使規則というのは使うのですから、漁業権を漁民が、ということを事前に組合が相談するということは私は必要であろうと、それは当然免許をもらったときにもう使えるという状態に事実上おけるということは、私はこれは当然のことじゃないかというふうにその点は考えます。それで今おっしゃいました十一条の四項というのは、これは期間とか関係地区をみなきめて、それで公示するのですから、それと別な申請をしてきたら、これはもう一回海区調整委員会の意見を聞いて、またやり直すか、あるいは前の公示したとおりにしなさいというふうにするか、どっちかした上で免許をすべきだというふうに考えます。
  80. 清澤俊英

    清澤俊英君 さてその次は、ごく小さいやつですが、この八条のやはりところで、どうしても私読んでいてわからぬところがあるのですが、対照表の百二十四ページか、これは八条の一番しまいです。九条のすぐ前、ごく小さいのですけれども、どういうことになるのか。百二十四ページのしまいから二行目ですね、「第三項中『当該漁業権に係る漁業免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者』とあるのは、『当該漁業権の内容たる漁業を営む者』と読み替えるものとする。」ここで三項を見ますと、「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」こうなっているのですね。三つとも同じになっている。読みかえるというのはどういうように読みかえるのか。何かミスプリントかなんかあるのじゃないでしょうか。
  81. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この五項の規定は、免許しましたそれ以後の問題でありまして、この特定区画漁業権または第一種共同漁業権を内容とする共同漁業権にかかわる漁業権行使規則が今度変更したいとか、あるいは廃止をしたい、漁業を現在営んでおる場合にそういう変更または廃止さしたいというような場合にどうするかという規定であります。その場合には、その三項の場合におきましては、免許の際に漁業権行使規則をきめるとか、そういう規定でありまするから、その「当該漁業権に係る漁業免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者、」こうなるわけですが、五項の場合は現在漁業を営んでおる場合ですから、「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とこう読みかえなければならぬわけです。それで現在漁業を営んでおる者、こう読みかえたわけです。
  82. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっぱりわからぬな、字は同じですね。三カ所に現われました「当該漁業権に係る漁業免許の際において当該漁業権の内容たる」、この文字は「漁業を営む者」三つとも同じですね。ただ、「免許の際」と、これが違うのですね。
  83. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 免許されまして以後、現に漁業を営んでおる場合の問題でございます。
  84. 清澤俊英

    清澤俊英君 それからこの間千田さんがいろいろ二十一条のことでお伺いしておると思うが、この免許の問題に対して十三条の四項に「漁業調整その他公益上必要があると認めた場合」、そこで私はその漁業調整上いろいろ漁業権を設定することが漁業上の問題になる。こういう場合に話し合いをさして、そして別な方向をとって同じ漁業上の問題として免許がこういうふうに使われたらよかろう、こういうような形は考えられますが、ただ問題としてここで私は申し上げたいのは、これが二十一条の免許権の延長の消滅ですね、消滅に対して今問題が起きて日本中のノリですか何ですか知らぬけれども、陳情書が山ほどきているわけですが、そういうときだけでなく、これにはっきりと公益上の必要がある場合、これは旧法にもあるのだろうと思う。公益上というのは干拓、埋立というようなことも考えられるが、干拓や埋立をやっていくということになりますと、これは、それをやっていく人は、ときによりますと莫大な繁栄と利益を受けるわけです。ところが、さっきからわしが言うているとおり、長い間一つの概念として、あるいは習慣として村やそれらのものが十四条の九項でできた。ああいった形で考えられる一つの専用漁区と申しますか、村の財産区というような形で長い間持ってきたものを、今度許可しないのだ、これは、ちょっと前の現行法自身のところでも私はいろいろ議論になったのだろうと思う。これに対して何か附則のようなものがつけられなかったのか。この間も私は申しましたとおり、知事がこういういろいろ公益上に必要がある場合にこれをやめる、取り消す、こういう場合には相当の補償をしてやれ、港湾法の中で、やはり港湾管理者はとめることができるとなっていると思うのです、詳しいことはわかりませんが。そういう場合にも相当の補償をしていく、こういうことが書いてあるのだ。今度のこの改正法に参りますと、大体十三条の四項ではちゃんとこういうものが残っておる。そうして上十一条では、期限が来たら取られるのだ、しかも、干拓や埋立ということが非常なひとつの近ごろはやりもので、そういうことによって日本の国富が急速に発展するがごとく考えられて、土地もないのだから、そうしてどんどん進んでいる。こういうときは五年だ、そうしてこの間も千田さんがそれに対して質問しますれば、これはそのときは取りやめるのだ、許可しないのだ、これではあなた、全く私は漁民を踏んだりけったりだと思う。そうお考えになりませんでしょうか。しかも、これは二十一条から今度移っていますよ。これは毎日繰り返すことになるが、森君がやっている、この間、千田君も幾らかやって、天田君がやっていますから、くどいことは申しません。これで私は時間がきたから、あと幾つもないのだからやめますが、これについて何とか考えられないですか。
  85. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 十三条は、十三条、三十九条の法規上の問題とかその規定は、全然いじっておりません。今までどおりでございます。先生おっしゃった二十一条の問題は、この前からたびたびお答えしておりますが、私のほうとしては、ノリですとか、そういうノリといったら語弊があるかもしれませんが、特定の区画漁業権だけに限ってやるということは、私は漁業問題そのほかの権利補償の問題、また、たとえばこの前申し上げましたが、真珠というものを考えますと、十年先に今やっている人がくるとすれば、優先順位がそれに対しまして高いものがいても、それがまた期間更新というようなことになってしまうということになりますと、いろいろ私は弊害があるだろうと思いまして、今度の規定ではこの更新の規定は省いてあります。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで私は、法律ができても法律を運用する上に、こういうわしの言うような質問が出ておるのだ。それに対するやはり水産庁長官として、二十条のこれもこの間からこれで三べんぐらい言うのですが、二十条の小作地の取り上げの条項があります——あるでしょう二十条には、これこれこれの場合には小作地は取り上げられるとあっても、実際に取り上げる場合には、これは取り上げられないのだ、今の法律から言っても。これは農地法のときに私はちょうど農林委員じゃなかったので、担当の三橋君からそれに対する質問をしていただいて速記録に残っている。これは無条件にこういうことで取られないのだ。いわゆる民法との関係において生活を脅かすようなことは、社会の安寧秩序を害するというととで、そう簡単には取られないのだ。こう書いてあって、こういう前からの解釈がありますので、そういうふうになっているものだとやっぱり答えられている。そしてみますればそれと同じことで、かりに公益上これが取り上げられる、あるいは許可をしないという場合には、これはひとつ水産庁長官にはいろいろの点を調べていただいて、そういう規定があって許可をしないというようなことを言うが、それは実際の漁民の生活、漁業をあてにしたものが今度だめになる。こういうことになれば多数の漁民が、一、二の個人の農民が土地を取り上げられるのと違うでしょう。それこそ浜に騒動も起きることだろうし、そういうようなものを簡単に取り上げられるものじゃないのだから。したがいまして、いろいろな点から考えて、その場合にはそう簡単に生活を脅かす、生業を奪うようなことを無条件にやり得ないのだ。こういう解釈をはっきり出してもらいたいのだ、大胆に。これは屏風浦の問題のときここで数回やりましたよ、横浜の。奥村君はその私の質問に対して勇敢に答えてくれた。港湾規則等もあるし、いろいろの点から言うて、もうこれをこの次に許可しないというようなことを言いましても、それは話し合いがついて、漁民と話し合いがつかないうちは、決して一方的な許可などはしませんということをはっきりここに答えられている。それぐらいの勇気をふるって何かひとつしてもらわぬかったら、今までのお互いのやりとりの中では、そういうことがちっとも言われていない。書いた表だけでは、公益上利用するときは許可しないで済むのだ、ぽかっと取られてしまう。何もお金でもってノリやめろといっても、それだけでノリ事業やっている人はないだろうと思う。それで長い間いわゆる海岸で浅草ノリをこれは何十年の歴史の中で作ってきたんだ。やはりこれは孫にもせがれにも渡して作っていこうという考え方は残っているだろうと思う。  そこで二十一条の延伸の規定ですよ。附則によって延伸が中止せられておっても、本文に残された延伸の規定というものは精神的に残る。それを今度の法律で取り上げているんだ。そうして十四条のこれもここでこういうふうにちゃんと一方は前から規定せられた問題がある。これで大体いいんですか。私はどんなことをしてもこれだけは納得できないんだ、われわれの立場として納得できない。
  87. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) また十四条の九号先生おっしゃいますけれども、私どもは十四条の九はほんとうに事例は全国で一件しか起きなくて、それが十四条の九のように漁業権というものを市町村が持っていたほうがいいのか、漁業協同組合が持っていたほうがいいのかということになりますと、私は先ほどから御答弁しておりますように、これは漁業協同組合共同漁業権ですね、これは持っていたほうがいいと思いますし、全国の事例でたった一件で、その町村と協同組合で話し合いがついておるんですから、これは私は十四条九項を落とすことは、一向差しりかえないんじゃないかと実は考えるわけでございます。  それから二十一条はこれはこの前千田先生に私御答弁しましたが、実際問題として通達を出しまして、第一順位ということになっているんですから、これはなるべく免許するように、あるいは免許をしないような場合はこっちに打ち合わせろ、あるいは免許しない場合には生業をどういうふうにするんだというようなことは、私は当然農林省と県と相談して、そういうときには、期間が切れて、仮定ですよ、仮定の話ですけれども、何かの都合で免許できないという場合には、その人たちの生業をどうするんだ、どういう職業を世話するんだということを、当然私はやってしかるべきだと思っております。
  88. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  89. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をつけて。  暫時休憩をいたします。    午後一時十八分休憩      —————・—————    午後三時十四分開会
  90. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 委員会を再開いたします。  午前に続き、漁業法の一部を改正する法律案水産業協同組合法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。  御質問のおありの方は、順次御発言を願います。
  91. 清澤俊英

    清澤俊英君 ごく簡単に質問を終えれというのですから、簡単にやります。実は水協が非常にこまかく分けられている。それでそれが一つの弊害になるのだからというので、大きくするというので水協法を改正する重点がそんなところにあるらしいような——私はまだ勉強していないから、ようそのこまかいところはわかりませんが、そういうような情勢が相当出ているのだね。そこで、今の水協法を見ますと、組織形態などでちょっと農協の組織形態と違うものがあるような気がする。組織形態がちょっと違うものがあるじゃないかと、こう思われます。ということは、水協自身の中に生産協同組合も入っておれば、会社も入っていれば、個人も入っておる。いろいろなものが入っているのですが、同時に、水産業協同組合自身も自家経営をやる。自家経営なるものは、これは一つの生産経営ですね。生産形態なんだ。非常にこれは複雑で、運営上混乱が出るんじゃないかと思う、混乱が。だから、水協のあり方は、これだけの範囲のものをやる、いわゆる水協の事業活動の範囲というものをきめまして、そしてその水協が同時に経営をやる、生産協同組合的なものもやるということは、これは整理したほうがいいんじゃないかと思う。そういうものをやるのは、全部生産水協に一応切りかえて、切りかえたものが協同相合の中へ入っていく、こういう形になれば、いろいろその地方的な小さい水協が、その生産体を中心にした水協というものが生きてくるんじゃないが。そこで、広範な、大きな協同相合を作ることができるんじゃないかと思うんです。午前中からいろいろこういう議論をしておりましたとおり、概念として、今までの習慣としては、浜、いわゆる浜地先、これを中心にした生産体ができておって、その生産体自身が協同組合になっている、こういうものが非常に多いのです。それだから大きくならぬのはあたりまえだ。そうして今のところへこの法律改正せられて免許権を持つ漁業権組合というもの、漁業権でいろいろ仕事をしていくものがあるとしまするならば、その業種ごとにやはり生産協同組合がそこにできてくるんじゃないかと思う。一番便利なところへできてくるんじゃないかと思う。何何浜ノリ養殖協同組合とか、何々浜アサリ・ハマグリ養殖協同組合というものがそこで必然的に出てくるんだろうと思う。そういうものを集めた一つの広範な一地区の協同組合というものがそれを統括して管理していく、こういう協同組合になりまするならば、今言ったような弊害というものは私はおのずから除去できるんじゃないかと思う。私はそう思うんですよ。そうしてその協同組合自身が生産組合の仕事もする。もしかりにそういうものができたとしましたならば、私は何べんも新潟県の両津における水津の協同組合の紛争を申し上げたことがあるんです。大体一つのそこに生産体を作りますならば、余剰利潤もできてくる。利潤の上がる場合もあるだろうし、損する場合もあるだろう。それはそれなりの一つの体系にまとめてしまう。それなら問題はないと思う。そうでなくて、なまはんかな業態の中に、この協同組合が定置網を持ちますならば、その定置網は膨大な利益がある。協同組合法によって、利潤を上げるときには五分なら五分と決定せられている。そこでいろんな問題ができてくる。だから私は、今日の協同組合法の一番の欠点は、そういった業態の整理がすっかりできておらぬ、そこに問題があるんじゃないか。農協などではあまりそういう形はないと思う。生産体の組合組合として、生産を進めるものは進めるものとしてある、それが協同組合に加入することができる、こういう形になっていく、それがほんとうじゃないかと思う。管理もやれば、仕事もやれば、何もやる、そこでいろいろな問題ができてくる。こう思いますので、時間二十分というので、大体時間ができましたから、これで御返事だけいただいて、残った分はいずれまた機会がありますからそこでやりたい。これは十分考えた御返答を願いたいと思います。
  92. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 先生おっしゃいますように、確かに農協と水協は違っております。まず一番大きな違いは、漁業権の管理主体だということで、これは農協と全然違った性格を持っております。そのほかに、先生御指摘のように、魚協が自営をするということができるということは、これは旧漁業法時代から、まあ水産の特殊性で、組合が自営をやれる、もちろん今の現行法でも定置とかそういう場合には非常に順位を高くしておるというようなことがございます。そのほかに、協同組合の中にも、御指摘のありました、生産組合というものもあるというようなことで、農協とだいぶ違っていることは御指摘のとおりでございます。それで、実はいろいろこれは中でも検討は続けていく問題でございますが、先生おっしゃいましたように、漁業権というようなものに引っぱられていると、組合自体もあまり大きくなれないというような問題があるのじゃないかという御指摘があったのでございますが、確かにそういう問題がございます。それで、将来はこの漁業協同組合を一体どういうふうに、先生もおっしゃったように、純化して、あるいは漁業権の管理主体だけにして、また今度は経済行為をやるものを別に作るとか、そういうことも一つのやり方かもしれません。また先生おっしゃいました、自営をする場合には、自営だけでほかの事業と一切切り離したらどうかというお話もございましたが、こういう漁業協同組合をどういう形にしたらいいかということにつきましては、これは非常にいろいろ問題がございます。多数のいろいろな形の漁業協同組合を作っていいかどうかという問題もございますし、これは私どもでももう少し時間をかけまして、漁業協同組合のあり方、どういう形のものがいいかということは検討を続けていきたいと思います。確かにいろいろな問題がございまして、自営をやると、ほかの経済行為では黒字が出ているが自営で赤字になってしまったというようなことで、組合がやめになるというような例も実はございますので、その辺のところはもう少し時間かけて検討を続けたいと思っております。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 ありますけれども、約束が二十分というのですからやめますが、これはいずれ沿岸漁業法のときでもまた言いたいことはたくさんありますから、実例をもって進めていきたいと思います。
  94. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 十分間ということだからできるだけ簡単にやります。玄海連合海区漁業調整委員会委員の問題であるのでありますが、法律によって見まするというと、玄海の区域内に設置された海区調整委員会委員が県ごとに互選した者を一人と、こういうふうなことでありますが、関係の県は福岡県、佐賀県、長崎県の三県であるのであります。そうして海区を調べてみますというと、福岡県が一つ、佐賀県が一つ、長崎県は二つ、こういうふうなことになっているのでありますから、また一方のほうにおいては、漁業の問題は海区ごとに定め、法律第六十五条の規定によって見まするというと、都道府県知事はいろいろの問題を定める場合は、関係の海区漁業調整委員会の意見を聞かなくちゃできない、こういうふうなことになっているのから見ますというと、海区ごとの意見をまとめなくちゃできないというようなことになれば、海区ごとに委員を出すのが当然であって、県ごとに出すということは間違いじゃないかと、こういうふうに考えるのでありますが、これに対する御意見を承りたいと思います。
  95. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今御指摘の点でございますが、実は先生がおっしゃいましたように、県ごとに互選した委員一人ということに実はなっております。これは現在の割当とか、そういうところも同じような考え方でやっておるわけでございまして、こういう各県の入会でありますとか、漁業調整が特に必要な地域につきまして、いろいろ物事を相談していくという場合に、ある県の委員だけがよけいになって出てくるということは、こういう連合会の調整委員会を作りまして、その中で漁業調整をやっていくという場合には、私どもは適当でないんじゃなかろうか。やはりこれは県ごとに平等に人を出しましてやったほうがいいんじゃなかろうかという考え方で、一県一人というようなことに実はいたしたわけでございまして、この取り扱いを県によりまして甲乙をつけますと、私は将来の調整上はかえってまずいんじゃないかというふうに実は思いまして、各県一人ということにしたわけでございます。
  96. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これ以上になれば議論になりますがすべて問題を解決する場合においては、数によって解決するということにならぬとも限らない。そういうようなことになれば、海区が多かったらばそれだけ決議権を持たせるというのが現在の原則のようでございます。あるいはそういうふうな問題を起こさずにいくということであればそれでいいが、たとえば長崎県の場合、県ごとに一人というようなことであったらば、二海区の者が協議して出ていかなくちゃできない。福岡県、佐賀県は協議して出ていかなくてもいいが、長崎県は協議して出ていかなくてはならぬ、こういうような片手落ちのことはないんですか。
  97. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは、先生も御承知のように、現行法でも、有明等の関係しております海区では、やはり海区委員会委員が県ごとに互選した者が一人ということに実は運用しておりまして、こういう運用のほうがいい。それから海区の数の問題でございますが、これは実は今度の漁業法をやります場合には、大体非常に漁業の発達——動力船とか、いろいろな漁業の発達がございますので、一県一海区ということを実は原則にしておりまして、若干の例外はこれは出ると思いますが、海区を県一つにしようというようなことで考えておりますし、先ほど申し上げましたようなわけで、一つの県だけよけいにするということになりますと、将来いろいろ問題になり、確かに先生御指摘になりましたように、二つ海区がありますところは、その互選でございますので、出た人が別のほうのこともいろいろ相談するということはこれは当然であると思いますけれども、長崎あたりでも、今度どういう海区にいたしますか、海区は非常に減らしており、原則は一県一海区というふうに考えております。
  98. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は漁業協同組合を強化する策でありますが、それについては、漁業制度調査会の答申によって見ますというと、不時の不漁の準備のために、できるだけ利益があった場合には積み立てを行なわなくちゃいけない、そうして組合の基礎を強化していかなくてはいけない。しこうして、これらの問題は、すべて現行の租税特別措置法によって会社等にはいろいろ特典が与えてある。漁業は特に危険なことがあるのであります。また、ある場合においては、非常に豊漁のときがあって利益が上がることがあるのでありますから、そういうような場合においては、不漁の準備金として積み立てさせるべきであると思う。これが協同組合を強化していくところの土台であると思う。そうしてみるというと、一般の有力な会社あたりの積立金に対しては、免税になっているのであります、しかるに漁業協同組合では、そういうふうな積立金をもしやったとしても、免税の特典がないんです。なぜ非常に危険な状態に陥っているところのものが自分だけの力によって、特に利益が上がった場合にそれを積み立てておいて将来のために備えようという場合に、これから税金をとらなくちゃできないところの理由はどこにあるか。将来においてはとるべきものじゃないじゃないか、免税措置を講ずべきじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、御意見承りたいと思うのであります。
  99. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 漁業協同組合の法人税につきましては、現行におきましても一般の法人よりは軽減しておる次第でございまするが、特に先生おっしゃいますように、漁業は豊漁の場合もございますし、あるいは凶漁の場合もあるというように、常に安定していないという点がありますので、豊漁のときにはある程度利益をとっておいて準備金制度を設けるというようなことが必要であるというので、今まで水産庁といたしましては、法人税の改正の場合に要求をしておる次第でございまするが、まだ認められていないわけでございます。最近におきましても、特に自営の漁協につきましては、不漁災害準備金制度を創設しようというので、現在折衝しておるような次第で、まだ認められていない状況であります。
  100. 天田勝正

    ○天田勝正君 私はまず、きょうで質疑を終わろうという各派の申し合わせでありますから、時間を節約するためにひとつこれに基づいて質疑をしますから、ページもちゃんと言います。全体として言いたいことは、以下だんだん質疑はして参りますけれども、この中で、この法律は一体だれを相手にして作るのかということを考えるならば、言うまでもなく漁民であります。私はきょう初めての主張ではないのでありますが、漁民あるいは農民を相手にしての法律は従来の法律観念を変えなければならない。それはきわめてわかりやすく、そう注釈をつけずしてわかるように書くべきだというのが私の根本的の主張であります。何か鬼面人を驚かすようなむずかしい文句や、あるいはカッコばかり数々よけいあって、一体どれが主語で、どれが説明の文になっておるのかわけがわからないような書き方というものは好ましいものではない。戦後かなり法律の文章がやさしく一時なったのでありますけれども、いつの間にやらだんだんもとに戻って、何かことさらにわかりにくくして国民に臨む、取り締まりやすいという考えが以下だんだん出てきているのではないか、ごう思うわけであります。そこで、だんだんそれを指摘して参りたいと思うのですが、まず百十四ページ、六条の関係であります。これはそれぞれの漁業権定義づけております。そのうち、これは三項のほうですが、そこに「水深二十七メートル以上であるもの」以下カッコがまた三つかあります。この「以上」というのは一本旧法と、あるいは前後の関係から見ますと、水深二十七メートル以内のことをさしているのではないかという気が私はするのです。ところが、「以上」という日本語の用語例からすれば、それは二十七メートルから百メートル、二百メートル、そっちのほうをさすような用語になっておる。これはどっちをさしているのですか。どういうことですか。
  101. 伊東正義

    ○政府委質(伊東正義君) 百十四ページのカッコはこれは例外を書きまして、二十七メートル以上ということになっておるのがこれは原則でございます。身網の設置される場所が水深二十七メートル以上のものということにしまして、カッコ内で実は除いておるのがございます。これは瀬戸内海というのが、またカッコの中で瀬戸内海の説明を百九条の二項でいっておるのでありますが、ここにおきますマス網とか、それから特に青森県等の要望もありましてつけ加えたのでありますが、青森県の陸奥湾、陸奥湾では共同漁業と似たような落とし網でございますとか、あるいはマス網というものが共同漁業と同じような形態で行なわれておりますので、これは二十七メートル以上のものでありましてもこれは例外として落とすということになっておるわけでございます。
  102. 天田勝正

    ○天田勝正君 二十七メートルというのが原則なんでしょうが、二十七メートル以上というのですから、つまり百メートル、二百メートル、そういうところをさすという意味ですか。
  103. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 原則は二十七メートル以上という深いところでやる場合を定置としてやっておるわけであります。しかし、カッコの中ではそういう深い所でやっておるものでも瀬戸内海のマス綱と、青森県の陸奥湾の落とし網漁業マス網漁業、これは定置としないということをカッコの中で除いておるわけでございます。
  104. 天田勝正

    ○天田勝正君 その次に四項、区画漁業の区分、第一種と、第二種、これは文章があべこべにしてあるだけで、普通用語例からすれば何か同じものをさすというふうに解釈するのがあたりまえなんです。すなわち片方は、一定の区域内において石、かわら、竹、木等を赦設して営む養殖業」、こういうふうにしてある。二種のほうは「一定の区域内」というのをあとのほうに持っていって、「土、石、竹、木等によって囲まれた一定の区域内において営む養殖業」「営む養殖業」も同じだし、使っている文章も配列が違うだけなんです。そこに特別の意味がありますか。
  105. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これはちょっと御説明申し上げますと、「第一種区画漁業 一定の区域内において石、かわら、竹、木等を敷設して営む養殖業」と申しますのは、たとえばノリの養殖でございますと、一定の海面の区域内におきまして、竹とか木等を敷設して営む養殖業、こういうことになるわけであります。第二種になりますと、「土、石、竹、木等によって囲まれた一定の区域内において営む養殖業」、たとえば魚類養殖業が典型的なものでありますが、木とか土とか石とかによって海を囲みまして、その中で魚類養殖をやっているというような養殖業を第二種区画漁業というように申しております。
  106. 天田勝正

    ○天田勝正君 それで、同じページで同じものを持っておりますね。この第三号のところに第三種なんて書いてありますが、これはこの文字のあとに何かあるのじゃないのですか、何というのがあるのですか。
  107. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは落ちておりまして、ちょっと読ませていただきますると、「第三種区画漁業 一定の区域内において営む養殖業であって、前二号に掲げるもの以外のもの」、こういうことでございます。
  108. 天田勝正

    ○天田勝正君 その次に百十六ページの二号ですね、「定置漁業及び第五号に掲げるもの以外のもの」と、これは私は漁業のことはしろうとでよくわからないのですが、これはわかりやすくいうとどういうことになるのですか。前に「網魚具」、これは「(えりやな類を含む。)」なんというものがあって、そのあと、これこれを「敷設して営む漁業であって定置漁業及び第五号に掲げるもの以外のもの」、これは一番わかりやすくわれわれが理解するには、どういうことをさすのですか。
  109. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 御質問は何ページでございますか。
  110. 天田勝正

    ○天田勝正君 百十六ページの五項の二号——百十六ページの一番初めが五項ですから。
  111. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは「網魚具」「を移動しないように敷設して営む」というように、現在、書いてございますが、これは小型の定置を考えています。定置漁業は、前に水深二十七メートル以上のものという、ここである程度大規模のものになっておるのでございますが、これに該当しないような小さい小型定置がこの大体第二種共同漁業に入るようになっています。
  112. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、さっきの、定置漁業というのは水深二十七メートル以上というのですから、きわめて深いところに漁具を設置する、しかし漁具の設置は二十七メートル以上のところに設置するけれども、非常に浅い——以上というが、日本語はそこはあいまいなんですけれども、以浅といったほうがいい——そういうところのものも、漁具は下へ敷設しても、当然とり得るその上部までの権利は、自然にもう法律規定などを待つまでもなく権利がある、こう解釈していいですね、定置漁業の場合。
  113. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) このさっき御説明いたしました定置漁業の水深二十七メートル以上のものというので、二十七メートル以上でも定置漁業にしないカッコ書きのものは除いております。それからもう一つ、北海道では今度ニシンイワシマスというものは二十七メートルより浅いところであっても、こういうものを目的とするものは定置漁業に実はなっていたわけでございますが、これは今度落としました。サケだけにしまして、全部先生今御質問のありました第二種の共同漁業、こういう小型の定置やなんかは、これはひとつ共同漁業として協同組合にだけ免許しよう、こういうことでございます。ですから、共同漁業として小型のものはやるわけでございます。
  114. 天田勝正

    ○天田勝正君 ですから、私はさっきの質問と今の質問、実は関連的に聞いている。ただ、別々に書いてあるから、例示してわかりやすいように聞いているわけなんで、そこで今、私も多分、ここに掲げる定置漁業というのは常識的には一定の地域で取る漁業だ、どっちも。しかし、片方が水深二十七メートル以上と、こう書いてあるから、それより今度浅いほうの定置漁業——これは全部含めるわけじゃない。いろいろカッコ書きがあるにしても、まあ大よそ分ければそういうものであろう。そうだとすれば、その水深二十七メートル以上のところへ敷設した漁具がある、しかし、それよりも上をとってはいけないという意味じゃないのであって、当然その上の権利も中へ含まれますかどうですか、こう聞いているのです。漁具の設置場所は水深二十七メートル以上でしょう。しかし、対象になる魚類は、その設置場所の上ですね、ずっと水面まで。当然にこれは法律規定がなくても、あると解釈してよろしいかと、こう聞いてい  る。
  115. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 定置の漁業権免許する場合は十一条で、やっぱり漁業のどういう魚を取るのだ、それから漁場の位置はどこだ、区域はどこだということで、身網とかき網とございますから、定置の場合は——ずっとそのかき網のほうまで全部この漁場区域というふうに免許の内容としてなりますので、これは共同漁業、特に先生質問になっております共同漁業と非常に漁業調整の問題があるわけでございますから、定置漁業免許しますときには、漁場区域はどこだということではっきりするわけでございます。ですから、身網、かき網のとこら辺は定置漁業権者の漁業区域となることが普通でございます。
  116. 天田勝正

    ○天田勝正君 私が聞いていることとちょっと違うような気がするのです。あなたの説明の部分は私はわかっておる。それは許可するときに、やはりこういう方法でこういうものを取るということを申請してくるだろうし、したがって、それに許可を与えるのですから、まあ魚種までその際はきまっておるのだ。きまっておるけれども、厳密には一々その上のものを——漁具を底のほうに設置しても、その上のものを自然に取ってしまったといっても、じゃこれを処罰する方法があるかといえば、海の上で、実際はないと私は思うのです。そこでそう考えられるから、漁具はそれは浅く、ここには書いてある。今質問している部分ですね、五項第二号、この部分は浅い。だから、もうそう心配することは要らない、それ以上浅いところからみな取ってきてもいい、ずっと底のほうへ、まあいわば百メートル底のほうに設置した、こういう場合には百メートル底のものだけ、また指定された魚種だけ取るのでなしに、その上の海面までのところは自然的に取れるのではなかろうか。あるいは魚種まで指定してあるのだからそれは取れないのだ、こういうお答えがあればあったとしていいのですよ。取れないのだ、また取ったらそれはすぐ放さなければいかぬのだというなら、それでいいのです。どっちなんです、それは。
  117. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) その上のほうと先生おっしゃっておられますのは、身網のたとえば海面、水面だと思いますが、その辺は定置漁業のおそらく漁場区域の中に入っていて、その上でいろいろなほかの漁業をやるとかということになりますと、これは権利の侵害的なものになりますので、その上等ではほかの漁業はやらぬというような漁場計画を作ることが普通でございます。
  118. 天田勝正

    ○天田勝正君 その定義はいいわ、時間がたっちまうから。  で、次はこれはほんとうのしろうとの私が聞くのだけれども漁業法なんというものはしろうとがすぐわかるほうが私はいいと思って聞くのですが、これは地びきと地こぎというのは同じことじゃないのですか。違うのですか。それからついでに聞きますが、しいらづけというのはどういうのですか。これはさっき除くと、確かに法文上は除いてあるのですが、そういうものはどうですか。つきいそ漁業というのは、これは何ですか、ここに出ている。それからさらに四号を見ると、鳥付こぎ釣漁業なんというのがあるのですが、これは何ですか。寄魚というのはカツオでも釣るときのああいうのをいうのでしょう。そういう区別をちょっと教えて下さい。ここの分を一挙に済ませるために、「第五種共同漁業 内水面(主務大臣の指定する湖沼を除く。)」、この主務大臣の指定する湖沼とはいかなるものか。しかし、それを除いて、「主務大臣の指定する湖沼に準ずる海面」、これは例をあげるとどういうことでしょう。たくさんあるけれども、常識的なものだから、簡単だと思うが……。
  119. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) まず地びき網漁業でございますが、これは浜から網を海の中に入れまして、その綱を引く漁業であります。すなわち地から引く漁業ですから、まあ地びき網漁業というように申しております。それから、地こぎ網漁業というのは、これは船の中から網を引く漁業を地こぎ網漁業というふうに申しております。それから、つきいそ漁業は、これは二種類考えられるのですが、ここで申しておりまするのは、大体魚礁を海の中に入れまして、そこにつきます魚を取る漁業がつきいそ漁業でございます。そのほかに投石なんかいたしまして海藻を取るというような漁業もつきいそ漁業とも申しております。それから、寄魚漁業と申しますのは、これはえさを海の中に投げまして、そこに寄ってくる魚を取るというような漁業であります。それから、鳥付こぎ釣漁業と申しますのは、瀬戸内海あたりに多くあるのですが、小さい魚がそこに集まっておりますると、それをタイが食べにくるわけです。そして鳥が上のほうから、その小さい魚をねらって集まっておる鳥を見ましてタイを釣るというふうな漁業を申しております心それから、「第五種共同漁業」の「内水面」に「主務大臣の指定する湖沼を除く。」と申しまするのは、これは主務大臣の指定する湖沼は、大体海と同じように取り扱っておりまして琵琶湖、霞ケ浦、浜名湖、八郎潟、中海、加茂湖、風蓮湖、厚岸湖のようなものを申しております。それから、その次の「主務大臣の指定する湖沼に準ずる海面」と申しまするのは、これは二つだけでございまして、京都府の久美浜湾と阿蘇海、これは天ノ橋立のところですが、これは海でありますが、海から相当隔絶されまして、湖沼になっております。海ではありまするが、湖沼に準ずる海面というふうに指定をしておるわけであります。
  120. 天田勝正

    ○天田勝正君 その五項三号のうち、地こき網のことを聞いたら船で引くのだ、その次に船びき網というのがあるのだね、事実。だから、船で引くのでもなければ地で引くのでもなければ——地びき網はみなだれでも知っているのだが、船で引くのでもないし、地で引くのでもない地をこぐんだというのだ、これは何ですか。
  121. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 地こぎ網漁業というのは、船でずっと綱を引き上げて参りまして、そしてそれを海岸の上まで引き上げる漁業なのであります。それから、船びき網漁業というのは、船で網を引きまして、船の中に網を引き上げるものを船びき網漁業と申しております。
  122. 天田勝正

    ○天田勝正君 百十八ページから百十九ページ、ここにこれから問題になる真珠母貝養殖業等のことがいろいろ書いてあるのですが、そこで「区画漁業権(以下「特定区画漁業権」という。)」どうしてこの以下特定区画漁業権という言葉を用いなければ法律構成上都合が悪いのですかね。この種の漁業という、総括でも何でもよさそうな気がするのだが、どうして「特定区画漁業権」という規定を作らなければならないのですか。
  123. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これはあとで何回も特定区画漁業権を引いてきておるのでございますが、一つ漁業権団体管理漁業権としての性格が非常に強いものというものをここに持ってきたのですが、共同漁業権はまさにこれは漁業協同組合しかいかぬわけであります。しかるにこごに書いてありますひび建、そう類養殖云々と書きまして、特定区画漁業権、この漁業権につきましては、組合に当該漁業をやっております人の三分の二以上入っている組合ですが、それが優先して第一順位で優先権をもらう漁業権であります。そういう団体管理になじむ漁業権を特定区画漁業権としたわけでありまして、あとは一々書きませんで、特定区画漁業権ということで、あとで引いておるわけでございます。便宜のためにこういう名前をつけました。
  124. 天田勝正

    ○天田勝正君 第八条ですね、百十九ページ。これがたいへんな長いもので、五項まであるんですが、ややこしい内容に私はおそれ入っているんだが、こういうふうにカッコがどこからどこで切れているのやらさっぱりわけのわからないものがあるんですね。百二十二ページのところをひとつ見て下さい。私が今指摘したことは全部に当たるんですけれども、特に百二十二ページ四行目「内容たる漁業を営む者(第十四条第六項の規定により適格性を有するものとして設定を受けた特定区画漁業権及び第一種共同漁業を内容とする共同漁業権については、当該漁業権に係る漁場区域が内水面」カッコと、ここでまた閉じるところなしに別のカッコが出てくるんです。さっきのカッコはちっとも閉じていないで、そのままで別のカッコが出てきて、それで以下また「第八十四条第一項の規定により」云々とずっとこうきて、そしてまた今度「以外の水面」の前に今度閉じるがあるんですね。そうすると、この閉じるのは最初のカッコを閉じたのか、次のカッコを閉じたのか不分明であるし、またその次に別のカッコが次ページに出てくるんです。それでその次に今度百二十三ページの四行目の「営む者」の前にカッコ閉ずが一つあって、そうして今度は最後から五行目のところにカッコ閉ずがまた一つある。そうすると、このカッコ内の説明を除くならば、おそらくここの「内容たる漁業を営む者」という百二十二ページの四行目の「者」から百二十三ページのカッコ閉ずの次にくる「であって、」ここまで続いて読めばよろしいのではないかというふうに私は私なりに解釈したんです。これはどういうことか、そのとおりでよろしゅうございますか。
  125. 林田悠紀夫

    ○説明質(林田悠紀夫君) そのとおりでよろしゅうございます。
  126. 天田勝正

    ○天田勝正君 その次は、過日これは藤野さんたいへん御質問になってされた事柄ですが、こういう何かめんどうな説明をされたあと区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意」こういうことを言われておる。これは過日の質疑を聞いておりましても私どもは了解点に達しておらない。書面によらないたって、総会なり何なりで十分その意思表示はできるのではなかろうか、御説明にもかかわらずそう思うわけです。普通われわれの常識ならば、総会というものが最高の議決機関なんだから、そこできめたものが一番権威があるというふうに考えられるのに、一人一人から書面をとらなければというめんどうな手続をとるというのは、何か特別な私は理由があると思う。善意に解釈すればボス支配に陥らないように、一人々々の意思表示のできる書面という方法をとった、結局一番のねらいはこれはどういうことですか。
  127. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 書面の同意をとりますのは、実は総会の議決前と書いておりまして、准組合員等は総会に議決権がないことになっております。しかし、准組合員でも、これは区域内に住所を有してこの漁業をやる人があるわけでございます。一切そういう人の同意は求めないで、別の何か規則を作るということになりますと、議決権のない人の漁業権行使等がはばまれたりするおそれもありますので、これは関係の准組合員であろうとも、関係している人については書面で同意をとってはっきりしておくんだ、その上で総会のまたさらに議決をするというふうに二重にやりまして、議決権ない人等の保護も当然これで考えておるわけであります。
  128. 天田勝正

    ○天田勝正君 百二十五ページ、第九条、これは「(漁業権に基かない定置漁業等の禁止)」がここに書いてありますね。漁業権がないのに漁業をやってはいけないということは自明の理であろうと思う。ところが、定置漁業だけについて、定置漁業及び区画漁業、これだけをここへとらえて営んではならないと、こういうふうに二漁業権に限定したのはいかなるわけですか。
  129. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは大体漁業権の発生的な問題になりますと、昔の専用漁業、地先の水面に漁業権を持つということで、今度はそれが共同漁業ということに変わってきたわけでございますが、共同漁業権——定置漁業、区画漁業というのは、そういう共同漁業権が大体あるような海面で、こういう漁業権を持って行なうのが普通でございますので、これは地先の共同漁業権者等の侵害にも当然なりますので、これは免許漁業の中で定置漁業と区画漁業だけ抜き出しまして、こういう権利がなければ営んでならないということを規定したわけでございます。
  130. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、こう理解してもいいですね、実際は漁業権のあらざる者は漁業を営んではならない、どこかに置こうというのじゃないのですが、どこかにそういう規定をして、そうして政令な。省令なりでこの区画漁業権定置漁業権だけについては、それはこれこれの扱いをする。そういうふうにやっても効果は同じであると理解してもいいですね。特に二つだけを一般に対し漁業権のない者は漁業を営んではならぬでしょう。つまり、われわれが魚取りに行ったって、漁業権をもらわなければ早い話がその魚釣れないわけですね。それと同じように、だから一般的に漁業権のない者が漁業を営んではならない、これは大前提だと思う。そのうち特に定置漁業及び区画漁業ですか、これについてはこれこれの扱いをするというように、政令や省令でそこを規定をしたって効果においては何ら変わりはない。だから、まあ法律できめておいたほうがよりよかろう、こういうので、この条文にうたったんだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  131. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 漁業漁業権なり知事許可がないと一切営んではならないというふうにはなっておりません。これは準許可もございますし、権利許可がなくてもやれる漁業はございます。ただここに書いてありますように、定置なり区画というものを、漁業権がなしにこういうある一定の施設をしてやるというようなことになりますと、これは当然共同漁業権の妨害にもなりますので、ここに漁業権として正式に免許がない人は、たとえば一定の区画を制限しまして、その中で養殖をやるんだ、あるいは定置の網を敷いてやるんだということは、これは共同漁業権の妨害にもなりますので、そこにはっきり明定したようなわけでございます。ただ漁業については、漁業権知事許可、権利許可がない者は一切やっていかぬかといいますと、そうでなく、準許可もございます。
  132. 天田勝正

    ○天田勝正君 百二十八ページ、十三条に一項に五号までございます。一々質疑していたら切りがありませんから、特に私が心配する四号、五号だけお聞きしますが、この免許をしない場合のこれは規定ですけれども、四号の「漁業調整その他公益上必要があると認める場合」、まあ、これはすらっと読めば何気ないという解釈もできる。ところが、認めるものはだれが認めるか、それは知事が認めるのだ、こうなる。しかし、実際上は水産課とか何とかそこらが認めたのが知事が認めたことになる。ですから心配をするならば、かなり拡大解釈もできればどうにもなるということになると思うのですが、今水産庁考えている漁業調整その他公益上どの範囲までを考えておるのですか。法律案はこれでいいと思うのですよ。私もこう書かなければならぬと思う。ならぬけれども、こういうものが案外乱用のできる危険もないではない。ですから、この際伺っておくわけです。
  133. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 百二十九ページは十三条でございますが……。
  134. 天田勝正

    ○天田勝正君 十三条の四号。
  135. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 漁業調整というのは先生も御承知のような、たとえば定置ですね、定置のような場合に、沿岸共同漁業と非常に問題になることが多うございます。これは経験者が相当優先で持っておりますので、こういうような場合に一体定置を許したほうがいいか、共同漁業として相当多数の人がその海面を共用したらいいかということの漁業調整というのが一番多い事例だと思います。そういうのが漁業調整の例でございますが、公益上必要と認める場合は、この法律では三十九条に「(公益上の必要による漁業権の変更、取消又は行使の停止)」という規定がございます。三十九条に。この三十九条にその公益の例示がしてございます。ページで行きますと何ページになりますか——このページは、改正してございませんので載っけてありませんが、三十九条に公益の例示としまして、「漁業調整、船舶の航行、てい泊、けい留、水底電線の敷設その他公益上必要があると認めるとき」と一応例示を書いてございます。そこで、その他やっぱりこの三十九条でも、「その他公益上必要があると認めるとき」、こういうことになっておるわけでございますが、これは判断するのは実は知事さんが判断をするということになるわけでございます。いろいろな例がございまして、実は私農地局におりましたときでございますが、農地で干拓をするというような場合に、それは必ず公益上といえるかといいますと、これは実は最近の動きとしましては、漁業権者が反対である区画漁業や何かが多いのでございますが、反対のところは無理して埋め立てばしない、干拓はしないというようなやり方を実はやっていたことがございます。でありますので、埋め立てでも常に公益上だとばかりはいえぬものもあるというような、その場合々々でこれは私は変わってくるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  136. 天田勝正

    ○天田勝正君 この四号のうち「漁業調整」というのはこれはどこかで調整しなければならないのですから、これは三十九条があろうとなかろうと必要になってくるのです。案外このすらっと書かれておる、公益上必要がある場合と、こう書かれておるけれども、昔の取り締まり法律を例に引くと、その他公安に害ありと認める場合というような書き方をする。たとえば、治安警察法のような場合、その他公安に害ありと認めるなんというのだから、道を歩いたって公安に害ありと認められちゃって、私も五百回くらい留置場に入れられたことがあるのですけれども、そういうことがあるのですよ。こっちは公安にちっとも害がないといったって、道を歩いているだけだって向こうは認めたというのです。それだから、なかなかすらっと書かれているのに、案外役人が公益に必要があるのだ、こう言われちゃえばここで何かそれらしい答弁を受けておきませんと、どうも弱い漁民に公益上必要があるのだからお前らにそんなにやれない、こうなってくると、困ったものだという心配がある。条文としては私もこう書かなければどうもしようがないのじゃないかと思いながら、ですから、そこらのところは知事許可に委任したとはいいながら、何かこれは政令なり——政令まではまさかこれは書けぬと思うが、省令ぐらいでは、まあこれこれのものは公益に害がある、公益上必要なんだということを例示する必要があるのではないですか。どうなんでしょう。
  137. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) この例示は、今の現行法では三十九条に例示があるという意味でここに出ております。
  138. 天田勝正

    ○天田勝正君 それは漁業調整ですか、この例示は。
  139. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 「公益上の必要による、」で、三十九条は船舶の航行とか停泊、係留、水底電線の敷設その他公益上必要があると認めるときは、三十九条で実は公益の例示をいたしております。それでありますので、十三条のほうには例示しなかったわけでございますが、先生の今御質問になっております、一つ前の条文の十二条で、だれかが免許してくれという申請があった場合には、知事はこれをどうするということで、海区調整委員会の意見を聞かなければならないということになっております。でありますので、これを免許しようとかしないとかいうときにはこの十二条で海区調整委員会の諮問はあるわけでございます。
  140. 天田勝正

    ○天田勝正君 ようございます。例示があればいいんだ。この三十九条のこのなににないから、改正さるべきところではないから、この比較表にはございませんから、あればいいんです。  次に、この五号から百三十ページの四項までにかけて一ぺんに質問しまずけれども、まあこの五号のところに「漁場の敷地が他人の所有に属する場合又は水面が他人の占有に係る場合」こうなって、だんだんその裁判手続なんかが次に書いてあって、そうして今度は四項のところへいきますと、「第一項第五号の所有者又は占有者は、正当な事由がなければ、同意を拒むことができない。」と、こうきている。そうすると、これは何ですか、免許を受けようとする場合に漁場の敷地が他人の所有地だったと、こうなってくると、他人の所有地、他人の占有地——占有地でなく、占有水面でもいいわ、そういうととろを自分の漁場にしようというので免許を受けること自体がどうも普通の常識からすれば何がなし不当なような感じを受けるのですけれども、それが四項に参りますと、これらの所有者、占有者は同意を拒むことができないということになって、たいへんそこに権利の侵害がここになされる、「正当の事由がなければ、」その「正当の事由」とは一体何だと、こういうことに自然なると思う。この一項五号から二項、三項、四項にかけてのこの規定は、どういう意図でこういう文章になってきたのですか、ひとつこれを説明してもらいたい。
  141. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 十三条の一項五号ですね、今、先生のお読みになった、漁場の敷地が私有地だったという場合がこれは往々にしてございまして、八郎潟辺でもかなり底の水面下が私有地になっているというような問題が実はございます。そういう他人の私有地の底、海の底が私有地になっているということがあるわけでございます。そういうところについては、やはりこれはその所有者の同意がないと、その上に漁業権免許してはならないというのはこれはやはり所有権という観念、占有権という観念からいけばこれは当然であろうと思います。しかし、四項で、ただそれは所有権を持っておるだけでほとんど何にも使ってない、将来埋め立てをするんだとか、あるいはそこを、水面をあるいは自分が何かに使うということがはっきりしないで、権利の上で眠っておるといいますか、そういうような事態がありますれば、ほかの人に漁業を均霑させるという意味で漁業権をつくるということは、これはまた正当でないかということで、何か自分が持っておる、占有していて、それが持っておる、占有しておる目的に、何かに使うということがはっきりするのでなくて、ただ持っておるだけで何も使わぬということであれば、ほかの人に権利として使わせるというほうが、いろいろの面から見てプラスじゃないかということで、そういう「正当な事由」といいますのは、今のような、自分がこれから近い将来何かに使うんだということがはっきりしてない、ただ数年間眠らせておくんだということについては、これは漁業権として認めるべきじゃないかという意味で、これは規定したわけでございます。
  142. 天田勝正

    ○天田勝正君 権利の上で眠っておるものが、いつまでもただ占有して国の経済上からも好ましくない、そういうことはあり得ると思う。しかし、権利の上に眠っておるといったって、ただ眠っておるのじゃなくて、眠らざるを得ないという事由もあると思う。だんだん近ごろは世の中が変わってきたから、最近の例はあるかないか知りませんけれども、私のほうの利根川の近くでは、かつて一町歩くらい持っていた連中が洪水で今度は川の中になってしまって、そうして、最近なら必ず補償されると思う、ところが古いときには何の補償もなくて、ただたいていずっと並んでおった自作農が一ぺんに小作農になってしまった、みんな。そういう事例があるのです。こういう、眠るんじゃなくたって、案外権利の行使だなんかを手なれておらない人は、眠らざるを得なくなっておるという事例も出てくるから、私は前段のあなたの説明のほうの、他人の所有地あるいは他人の占有にかかる水面、こういうのは、それに断わりを言って漁業権設定の申請をする、これはもう当然なんですね、この前提は。ところが、四項へ行くというと、これは断われないと、こうなっておる。どうも、これが少しおかしい気がする。断われてもいいのじゃないか、眠る場合だけではないだろうという気がしますがね。その点の心配というか、なければいいんですよ。私は、現実にこれは地先も承知しておる。これは農地の関係ですからこれと比較するのはちょっとむずかしいかもしれません。場所も何も、今だって、何十年もたっているんですが、そういう場所へ皆さんを案内することも何もできる例を持っているんです。だから、権利の上に眠らないでいても、どうもやむを得なかったんだということが世の中にあると思うんですがね、心配なければいいんですよ。
  143. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) この規定がありまして、ごり押しにやっておるという事例は私ちょっと知りませんけれども、これはやはり正当な事由というのはそのときそのときに、先生のおっしゃいました、眠る意思はないんだけれども、何かはかの要因で眠らざるを得なかったんだというようなときは、私はやはりそれは「正当な事由」と言えるんじゃないかと思いますが、これはそのときそのときで事情が、やはり具体的な問題に当たりませんとどれがどうだということははっきり申し上げかねますが、これがあるのでごり押しとなって、そうして人のものを、どんどん権利の乱用に飛び込んでいるんだという、そういう事例は、そうよけいに私はないのではなかろうかと思っております。
  144. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは、私もよけいないと思うし、しかし、わずかでもあった場合はまことに、正当な権利も主張できない人ほどまあ、かわいそうな人ですから、そういう例必ずしもないと、ここで断定できるかといえば、私もあなたもできないのですから、これは取り扱いの上において、ひとつ御検討になってもらいたいということをこの際希望しておきます。  次に進みます。百三十五ページ、ここには、二項で、特定区画漁業権の内容たる区画漁業免許のことが書いてあります。説明はなかなかむずかしく書いてございますが、要するに、末尾のほうにいって、「左に掲げるものに限り、適格性を有する。」と、こういうふうにして、次にその適格性の一、二と書いて、一号、二号、ここに「但し、水産業協同組合法第十八条第二項の規定により組合員の資格を限る漁業協同組合及び」云々と、全部読むものはやめますが、これこれは適格性を有しない、こういう規定であります。これは端的に言うと、どういうことですか。
  145. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは水協法の十八条に規定しておるのでございますが、「特定の種類漁業を営む者又はこれに従事する者」というように、たとえばカツオマグロ漁業協同組合、あるいは以西の組合というような業種別組合がございます。そういう組合に対しては出先水面の、大体養殖でございますが、出先水面でやる特定区画漁業権、さっきの団体管理のからむ漁業権ですね、ノリとかカキとか、そういうものでございますが、それは業種別組合にはこういう適格性は持たせない、これは地区の総合漁業を持たせるという意味でございます。
  146. 天田勝正

    ○天田勝正君 次。適格性を有するものは一号、二号、そこに「当該漁業を営む者の属する世帯の数」二号のほうは「当該漁業を営む者の属する世帯の総数」としてあります。これは単一組合許可の場合と、二つの協同組合許可をもらう場合と区分して片方「総数」と、こういうまた表現を違えたと思うのですけれども、こまかしいことでありますが、これを別に、二号のところだって、何か「総数」と書かなければ意味が通らぬということでもないのではないですか、二つの組合でも「数」でちゃんと概念的に通用するのじゃありませんか。さしたることがないから、こういうふうにしたのだという答えならそれでよろしゅうございます。
  147. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先生おっしゃるとおりでございますが、第一号の場合は単一組合でありますから、「世帯の数」というふうにしておりまして、二号の場合は「二以上共同して申請」する場合もありますから、おのおのり組合員のその世帯の数を数えて見まして、二以上組合の当該漁業を営む漁業者の属する世帯の合計ということで「世帯の総数」としたわけでございます。
  148. 天田勝正

    ○天田勝正君 続いて三項、四項、これは共同申請と、また一方が申請、許可免許を受けた場合に、他方がこれを共有する請求ができる、こういう二つを規定してあります。そうすると近ごろ、まあ東京の付近でも必ずしも善意に基づくものばかりではなくて、一つ漁業協同組合であったものを、その役員が好ましからざる行為をした、よってその組合員から排除された、それが当該組合から出て別の組合を作る、こういうことが現行法でもあり得ることであって、そういう普通の常識からすれば、まあ悪徳なものが別の組合を作った、こうしても三項、四項を通じて見る場合に、好ましからざる集団と言っていいかな、そういうものがひとつ共同で免許をとろう、こういった場合には、三項で「正当な事由がなければ、これを拒むことができない。」、それらと一緒にやるのはいやだと思って別になったのに、それから申し込まれれば断われない、こういうことにひとつなるだろう。それから、また自分たちが許可をとっており、好ましからざる集団のほうが、それは共有しろ、こういってこられると、これもまたどうしても「共有すべきことを請求することができる。」、こういうのだから、法律用語からすれば「できる」ということは、させなければならない、こう読まなければならぬと思うのですが、そういうときに混乱起きませんか。
  149. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これはいろいろむずかしい問題がございますが、除名になった者だけが申し込んだ場合には、それは漁業権も使わせないということになるのかどうかということは、非常にむずかしい問題ですが、ここに書きました「正当な事由」というのは、大体予想しましたのは、そういう人たちが入ってくれば、三分の二の要件を欠いてしまう。いわゆる除名という例ではないけれども、ほかの人が申し込んできたら、当該、それを含めて考えますと、三分の二の要件が欠けてしまう、免許がもらえなくなってしまうというような場合には、これは正当な事由で、お前らが入ってくると、自分らの組合が第一順位でなくなってしまうから、困るというようなことは言えると思うのでございますが、単に除名とか、勢力争い、除名の理由もいろいろございましょうが、そういうことだけで正当な事由と言えるかどうかということにつきましては、私は疑問があるのではなかろうか。法律解釈としては、やはり三分の二というものに欠けてしまうおそれがあるというようなときが正当な事由になるのではなかろうかというふうに解釈しております。
  150. 天田勝正

    ○天田勝正君 しかし、ここで条文をすなおに読めば、三分の二とか云々ということは、ここで問題にならないんですよ。私がまあここに紛争があるという場所まで申し上げればいいのですが、公開の席で、はたして全部抽出していないのに、こういうところで、こういう排除された特定の人の名前をあげるのは私控えたいと思います。つまり私の知っているのでは、東京都の付近だけれども、ある漁業協同組合で役員が好ましからざる行為をやった。好ましからざる行為というのは想像すると——したがって、除名はされないけれども、総会で排除されてしまったから、役員ではない。しゃくにさわるから飛び出して別の組合を作れるのですよ。法律的に作れるでしょう。作れ、る。そういう場合に飛び出してくるのをいい事幸いに、片一方まじめにやっている業者は、その飛び出したほうが、どうせ少ないにきまっているのだ、そういう場合には少ないんですよ。だから、三分の二を侵されるなんという事態は起きていない。ところが、こちらで残されたと言ったって、残されたほうが多いのだけれども、そのまじめな漁業協同組合員組合としてのとにかく新たな免許か何かをもらった、こういう場合に、この三項で言うと、この好ましからざる集団から共有だ、一緒に申請しようじゃないかという場合も拒否できないし、片方がいただいた権利に対して共有だということを言えば、これも拒否できないでしょう。それは条文的に、この四項のほうは、それを拒否することはできないとは書いていない、書いてないが、法律用語とすれば、ここに「当該漁業権を共有すべきことを請求することができる。」この請求することができる」というのは与えなければならないと解釈すべきだと、こういうのです。だから、この点はむしろ漁業調整などを行なって、あなた方が紛争をいたずらに起こさないように、漁業法や協同組合法を改正しようという意図が、そういうところで破れてくるのではないかという心配を私はするわけです。そうでないという解釈をされるなら別です。
  151. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先生のおっしゃいますように、確かに組合を分裂しまして漁業権免許を共同して申請することを申し込むとか、そういうふうなことができるおそれはこれであるわけでございます。それでこの場合には、まず三項の場合には、漁業権免許の当時の場合でございまするが、免許をするときに分裂しまして、共同して持つということを申請することを申し出る。四項の場合はそれ以後におきまして、あとから「共有すべきことを請求することができる。」ということになっておるわけでございます。それで三項の「正当な事由」に該当する場合は、先ほど長官から答弁いたしましたように、非常にむずかしい場合があるわけでございまするが、まあ分裂した変な組合と申しましてはちょっと変でございますが、分裂したきわめて非漁民的なような組合が共同申請を申し込んできますために、当該漁業権を持とうとしておる組合がきわめて弱体化するとか、組合運営が非常に困難になるというような場合は、この正当なる事由に該当して拒むことができるというように解釈されるおけでございます。
  152. 天田勝正

    ○天田勝正君 それはちょっと、もう少し研究して下さい。これは特に、これはまあ県知事許可ですが、県知事といったって個人じゃなくって、やはり水産部があるところもあれば、少なくとも沿岸漁業を営むところでは水産課のないところはない。そういう方々が、携わる公吏の方々が腐敗していないとするならば、かりに、ある組合の幹部が使い込みをやったとか汚職をやった、そういう事態が起きだために組合員から排撃される、自然。よって、その役員の地位は退かざるを得ないということになる。その組合自体から除名されないにしても退かざるを得ないということになって、この汚職なり不当行為を行なった役員が排除されたから、しゃくにさわったから別の組合を作った。その場合にはボスが作ろうと、私が知っている範囲では大きくないのですよ、もとから。だから、三分の二のなんで動かされるということはあり得ない。そうすると、ここで好ましからざる行為というのは県庁のほうでちゃんとわかっているのですから、何かの申請をした場合に、私は当該県の役職員が、申請してきたところで、これはちょっと見送りだというので許可をしない、了としない。好ましからざる行為の集団は許可しない。けれども、しないということはそのほうはわかっているから、正当なる許可をされるだろうという大きな団体のほうへ共同で申請しましょうと申し込むであろうと思うのだ、私は。申し込まれたほうは、これに正当な事由がなければ断われないと書いてあるでしょう。だから、いつもそれは単独で県庁へ申請すれば、これはあなた方好ましからざることをやったのだからと——また別な条文で何かそういう不当な者が支配するようなのは許可しないというのは、優先順位のほうで別にありますよ。だから、好ましからざる行為をした集団の場合は新しい申請をしたりて許可されない。当該県の役職員が腐っていない限りは許可されない。許可されないということがわかっているから、許可されるであろう組合に対して共同で免許を申請しようと、こうくる。その場合に拒否することはできないと書いてあるのですよ、この法律は。だから漁政部長、変なことになりますよと言っている。今度は、AのほうもBのほうも許可を申請をしたという場合、そうしたら正当なる集団であるBのほうへ許可するということがあるかもしれない。どっちもけんか両成敗だからといっても、いい集団のほうへ許可しないという理由は県知事のほうになくなってしまうから、こっちは許可しよう、だがこっちは許可しないといっても、共同所有でございますよといって請求することができると書いてある、四項のほうは。できるとあれば、与えなければならぬということに解釈しなければならぬと言うんですよ、法律用語では。ですから、どうしてもこのそういうあまり好ましからざる行為をしたり、使い込みをしたりしたほうがすっ飛び出して別の組合を作ったって何ら差しつかえない、こういうことになってしまう危険がありませんか。
  153. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) そういう場合には、この第十四条の一項の一号によりまして、特に新たに分裂して参りました組合が共同申請するというふうなことによりまして、この海区漁業調整委員会が適格性を判断する場合に投票いたしまして、「総委員の三分の二以上によって漁業若しくは労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠き、又は漁村の民主化を阻害すると認められた者」というようなことで、特に漁村の民主化を阻害すると認められるというふうな場合がありましたならば、これはそれに免許しないというようなこともできるわけでございます。なお、そのほかに漁業協同組合法には、そういう場合に新たな組合ができないようなことも案としては考えたこともあるのでございまするが、今回の改正におきましては、特に経済的に基礎がしっかりしないというような組合の認可につきましては、監督官庁が審査をいたしまして組合設立ができないというようなことも一方においてはかっておりまして、両々相待って運用をしていきたいということを考えておるわけでございます。
  154. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 天田さんに申し上げます。時間があれですから、簡単にお願いいたします。
  155. 天田勝正

    ○天田勝正君 もしあれだったら、これだけでもいいですよ、私はほかに質問あるけれどもあと整理してもいいです、皆さんの時間があるならば。  しかし、それはね、長官漁政部長が答弁されたようなものは、これは違うですよ、失礼だけれども。だから、このことについては私は十分精査されておらないと思うんだ、ほかはすらすらと答弁したって、ここへきたらつかえたんだ、事実。それでこの法律ができて——ここで答弁をされて成立したって、これをこなすほうは県庁ですよ。私はだんだんに今の漁政部長長官になっていくんだろうから、私らがここに任期のある間は文句を言いながら安心だと、こういうことが言える。しかし、すぐ法律で公布されれば、使うほうは県庁のほうなんですから、それをちょっと強く頭の中へ入れてもらいたいんだな。そうすると、ほかの、十四条の一項の例を引いてお話があるんですけれども、それは不適格だから許可をしないといったって、共同で申請すれば、いい人たちの集団もともに許可されないわけなんですよ、この条文からいけば。許可をしないというのは、共同申請をするんだから、そこへ悪い集団の分子がともづれで申請してきたために、それは不適格でございますと、許可する場合に三分の一か三分の二かわからぬけれども、その人方だけ許可しないということはできない、共同申請だから。そういう分子が入っているからお前たちの申請は、これはだめだと、端的にいえばそれだけなんです。それで正当なものが単独で申請した場合には許可をされる。されるけれども、その不適格のほうも、それは共有であると、こう主張したら断われないと書いてある、これは別の例でありますけれども、国会でやっぱり「できる」というこの法律用語については、とても議論し検討したことがあるのです。われわれは、政府関係当局資料を要求することができる、と書いてある。「できる」というのは、相手が出さぬといったらどうするんだという議論を再三したのだ、これは。ところが、一致された見解は、「できる」ということは、片方から見れば「しなければならない」ということなんであるということに一致をして、これが今日政府及び関係当局と国会の間に守られてきている。そういう事例がある。ですから、私はこの言葉にこだわるのであって、そういう今私が例をあげて、場所まで言ってもいいのだけれども、まあ国会ですから遠慮しておきます。それで、そういう、もう幹部として好ましからざる行為をしたというものでも、飛び出て、そのものはもう漁業協同組合許可しないと、こういうふうにきめれば別ですよ。許可しないということはできないんですよ。できない、今は。ですから、ただ申請した場合に、その漁業権を与えないということはあり得るけれども、協同組合を作るということ自体を許可しないということはできませんよ。できなければそういう、まあ端的なことを言えば不当な集団というか、そのものが、お前のとった漁業権はおらほうの共有でござんすと、こういう請求をすることができる。できるとは与えなければならぬと、こうなっちゃう。どうです、これはもう少し、今すぐ答弁があれだったら、統一見解を考究してこられてもいいのですよ。
  156. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) まず、組合の設立にあたってでございまするが、漁業協同組合法の六十四条でありまするが、今回六十四条の改正考えておりまして、それには、特に新たに「事業を行なうために必要な経営的基礎を欠く等その事業の目的を達成することが著しく困難であると認められるとき」は協同組合の設立の認可をしないことができるようにいたしたわけでございます。特にこれを規定いたしましたのは、この十四条の三項の場合を考え合わせまして、そういうふうな、ただ漁業権を分裂して共同申請のみをしようというような組合の設立というものを、ある程度排除していきたいというような考え方から、こういう規定をいたしたわけでございます。それで、そういうことのみを意図するような組合につきましては、できるだけ排除するということをいたして参りまするとともに、もし組合が設立認可されるというような組合でありましたならば、これは相当正当な理由もある組合ではないかということが考えられます。それから、もしそういうふうな場合におきましても、特に漁村の民主化を阻害するというような場合がありましたならば、これは正当な事由というものに該当すると考えられますので、それを拒むことができるというように解釈をいたしております。
  157. 天田勝正

    ○天田勝正君 これだけで時間をとっちゃ同僚諸君に済まぬと思う。しかし、そう安心ができないんだから、ですから、私は、無理を言うんではない。この点については役所へお帰りになれば、ああ、あれを天田が言っているな、ということの事例があるはずだから。ですから僕は、そういうものも調べて考究して下さいと、こう言っているのです。漁政部長のおっしゃるように、そういうけれども、じゃかりにだ、これからはあなたのおっしゃるとおりどんぴしゃりでそういう好ましからざるものは許可しない、ですけれども、それはどんぴしゃりでやるとはあなたも言えないんだ。なるべく排除するようにいたしたいと、こう言うしかない。なるべく排除するようにというのは、漁政部長がいかにお骨を折りましょうとも、公布をされた以上は、使うのは県知事だというのだよ、私のさっきから言っているのは。あなたがいかが思おうと、それは願望であって、実は県知事さんが使うのだから、そういうものを許可される場合もある。そうして現在許可されているものをどうしますか。そうすると、それはまとことにもう新しい改正法律からすれば不適格だと思ったって、既存の権利ですから、否定するわけにいきません。その協同組合を取り消すわけにはいきません。ついこの間悪いことをして別な組合を作っても、今取り消すわけにいきません、あなた方が。その者が、正当な者がとった権利に、それはおれと共有なんだと、こう言われたら、拒否はできないんだというのだ。法律の条文上でそうなっている。ですから、私もきょう長いこと無理な答弁を求めようというのではない。ですから、もし時間が委員長のほうであんばい、工合が悪いというなら、私のところでもそのことを答弁してくれるならば、私は審議に協力するにやぶさかではありません。だから、これはこの程度にしておいて、時間がないから、先に進みます。三十日、九十日なんていう問題については、これは一切やめておきます。  それで百四十五ページ、九項をちょっと見て下さい。「当該漁業を営む者が法人であるときは、当該法人の構成員若しくは社員又は当該法人の構成員若しくは社員たる法人の構成員若しくは社員」なかなかややこしい表現が使われております。これは一体、法人というのはさまざまあって、組合も法人、会社も法人、それで社員というのは、これは一体何をさすのか。昔でいえば、これは合資会社でいえば、資金を提供した者が社員であった。あとの者は、近ごろ通常使われている社員という言葉ではなくて、使用人である。概括すれば営業使用人、こういう言葉を使ったものです、昔は。ところが、ここにきて社員というのは、要するにそういう合資会社なら合資会社の社員、合名会社なら合名会社の構成員、それを社員というのか、あるいはそこに働いている者もともに社員というのか、こういうのは、法文を作る上の、むしろ法文構成上のなかなかむずかしい問題なんです、すらっと書いてあっても。ですから、協同組合の場合だったら、法人の構成員、これはこれでいいと思う、法人というものを協同組合に限定して考えれば。ところが、そのほかに法人の場合、当該法人の構成員もしくは社員、そうすると、当該法人の構成員というのは、出資したり、合名会社ならば、いわゆる合名に名を連ねている者、これが構成員、社員というのはそれと別だ、こういうふうにも見れる。このあとずっと出てきますけれども、ほかのはやめますが、この法律でいうところの「当該法人の構成員若しくは社員たる法人の構成員若しくは社員」この何か肩車に乗ったような表現の、これは全体をどう解釈すべきものなのか、特にその社員とはいかなる者をさすのか、普通の概念と違うのか、違わないのか。
  158. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) ここで社員と申しておりますのは、合名会社、合資会社、有限会社の社員を申しておりまして、株式会社の社員は、これは申しておりません。
  159. 天田勝正

    ○天田勝正君 協同組合だけ……。
  160. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 構成員は、協同組合とか、あるいは生産組合組合員のことを構成員というふうに申しております。
  161. 天田勝正

    ○天田勝正君 それで社員は……。
  162. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 社員は合名会社、合資会社、有限会社……。
  163. 天田勝正

    ○天田勝正君 それの構成員だね。普通でいえば構成員のことを社員。それに従事しているものは違う。
  164. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 違います。
  165. 天田勝正

    ○天田勝正君 百五十ページ、三項二行目、「その申請の日以前十箇年」、これは端的にわかります。そのカッコ内「(この法律施行後主務大臣が指定する期日までの間は、昭和二十三年九月一日以前十箇年)」、これはどういうことなんです。そうすると今日までではあれですか、二十年もやっていなければだめだ、こういう解釈になりますか。
  166. 伊東正義

    ○政府委量(伊東正義君) これは前の規定そのまま書いてあるのでございまして、この法律施行しましたのが二十四年でございますが、そのときに、十年とはその申請の日以前十年ということじゃなくて、これは昭和二十三年九月一日ということで、二十四年の施行のときにこれは使った条文でございまして、今はこの条文は使わぬで、申請の日前十年ということでやるわけでございます。それから先ほど先生、正当な事由の問題は私ども検討いたします。また、こういうものを正当な事由だということを考えるということを先生にまた具体的に御連絡申し上げます。
  167. 天田勝正

    ○天田勝正君 今使わないというけれども、これは改正条文で質問しているのです。ですから、カッコに、今私が例示した文句があるのですよ。そうすると、いろいろな解釈がここでできるのです。「この法律施行後主務大臣が指定する期日までの間は、」と、こう書いてあるのですから、そうすると、昭和二十三年九月一日以前十カ年間経験があれば、あとはずっと中断してやめておってもその資格があるという意味なのか。そこのところを、十カ年やって、あともずっと引き続いてやらなければならないのか。ところが、そのあとのものは単純に十カ年だ、こういうことになっているのですよ、今使わないのだったら、これは改正条文で落とさるべきものだけれども、ここにちゃんと載っているのですから……。  即座に返事がなければ先に進みますよ。
  168. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは昭和二十八年の八月二十六日に指定いたしまして、昭和二十八年八月三十一日までの間はこのカッコ内でいこうというふうな指定を実はしたわけでございます。で、現在はこの条文で二十三年九月一日以前十カ年ということはやっておりませんで、「申請の日以前十箇年」というものを活用しておるわけでございます。
  169. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、このカッコ内の部分だけは改正法律からすればなくなってしまうので、ここに書いてあるということは、これはミスプリントだと、こういうことですか。ミスプリントでない限りは、今はそれは通用しておりませんと言ったって、今の法律に書いてあるのです。
  170. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは法律施行の際、この二十四年の際に具体的にした規定でございまして、これはここに書いてございますが、今はこれは使っておらぬので、「申請の日以前十箇年」ということでやっておりまして、あっても差しつかえない。これは経過的には、この二十四年の法律でやったときにはこういうことでやるということでこの条文があるわけでございます。
  171. 天田勝正

    ○天田勝正君 百八十六ページから七ページを見て下さい。この二十八条に「相続又は法人の合併によって定置漁業権又は区画漁業権を取得した者は、取得した者は、取得の日から二箇月以内にその旨を都道府県知事に届け出なければならない。」、二項に「都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見をきき、前項の者が」十四条云々、「適格性を有する者でないと認めるときは、一定期間内に譲受しなければその漁業権を取り消すべき旨を」通知する。こういうのですね。そうすると、合併のほうはいいのです。合併のほうは聞きません。相続という場合に、当然に相続をしたのであるから定置漁業権、区画漁業権は一応潜在的に相続人の手に入る。こういうことだろうと思うのです。また二十八条の一項のほうは、これを県知事に届け出る。ところが、その相続人が一向漁業の経験もなければ漁業をしてもおらない、しかし、今後するのだということが一つのケースだと思うのです。もう一つはしてもおらないし、かつ将来もする意思がない。こういうふうに分かれると思いますが、その際に「海区漁業調整委員会の意見をきき」云々と、こう書いてあるから、何かそれは今度は物権となるのだから、漁業権が。物権になるから抵当にもなんにも入れられるというので、いわばこれは金をとって譲ることもできる。しかし、そのまま持っていれば取り消しされちゃう。こういうふうに解釈していいんですか。
  172. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この二十八条は、相続または法人の合併によりましても漁業権というものは人的要素を非常に重大視しておりまして、特にその人の適格性とか、あるいは優先順位というものを法定いたしましてきめておるわけでございます。したがいまして相続、合併によりまして得たものは、それが適格性を有するかどうかということをもう一度審査するということになりまして、その適格性を有する者でない場合は、一定期間に譲渡しなければ漁業権を取り消すということになるわけでございます。
  173. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこで私がその質問の中で指摘しておるのは、だから今度は漁業権が物権なんだから、それで抵当にもなんにも入れられる。こういうことになっておるのであるから、それは消滅あるいは取消といってみたところで、とにかく自動的には相続人が権利を持つのだ。おやじさんが権利を持っておった限りにおいてはその子供が権利を持つのだ。ただそれは潜在的な権利である、一応。それは取り消されることもあり得るのだから潜在的な権利、そういうふうに私どもは解釈する。けれども、一面からいえば物権なんであるから担保も入れられるということになれば、これは金をとって人に譲渡することもできる。それが二カ月以内云々というのであって、これは露骨にこういう表現してないけれども、金をとってその権利というものは譲れるのだ。こう解釈してよろしいかと聞いている。
  174. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、そういう場合に知事の認可を受けまして譲るということになるわけでございます。
  175. 天田勝正

    ○天田勝正君 それであと一点だけにしましょう。今私どもが修正を提出しようという部分については、もう議論済みでありますから、一切この際時間の都合でやめます。ただ指定漁業につきましては、三章以下に書いてありますが、これは従来指定遠洋漁業、こういうふうになっておりましたものが今度は単に指定漁業ということに相なりました。そこで私見を言うならば、指定漁業というものはそれじゃ何であるかといえば、以前は大型捕鯨だとか、以西トロール漁業だとか、いろいろずっと列記式にこういうものが指定遠洋漁業であるというふうに並べてありましたが、今度は指定漁業というのは何だということになれば、法律的にはこれはわからない。それをどこできめるかといえば政令できめる。全部それを一括して政令委任主義になっちゃった。これはどうしてもそうせざるを得ないという積極的な理由があるのかどうか。私の意見からするならば、やはり以前のように列記式にして、その上に政令に委任しなければ行政上都合が悪いというならば、これこれこれこれのものは指定漁業である。その他政令で定むるものと書いておいても行政上何ら支障がないと思うけれども、そうお考えになりませんか。
  176. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 御指摘のように、現在は指定遠洋漁業としまして法定いたしております。それでたとえばカツオマグロでございますと百トン以上というように法定されておりますが、この法定になりました結果、非常に何といいますか、固定化したというようなことが実はございまして、一つの例でございますけれどもカツオマグロの九十九トンの人は百トン以上に実は新規になれぬというようなことで、非常に問題が実はあるのでございます。私どもは今度は一応政令には譲っております。これは漁業の特殊性からいいまして、非常に資源その他で弾力的な問題がございますので、政令には譲っておりますが、政令を作りますときには、これは必ず中央漁業調整審議会を開いて、そこでどういうものを指定漁業にするのだということを、実は中審の意見を聞かなければならぬというので、はっきりさしたわけでございます。でございますので、ここにあけますと非常に固定化する心配がございますので、例示をやめまして、全部これは政令でやりますけれども政令を作る際には必ず中審の意見を聞かなければならないということに実はしたわけでございます。
  177. 天田勝正

    ○天田勝正君 それは、私の指摘することをすらっとそのまま受け取ってもらうならば——二者択一で私は言っているのじゃないのです。二者択一で法定主義にしろと主張したならば、それは行政上窮屈でございますという意見でいいです。それじゃ政令一本にするか、こういうふうに二者択一でも整理の仕方はある。しかし、それだけが整理の仕方じゃないのだから、私の言うのは、当然漁業調整委員会を開いてその意見を聞いてやるということは、今の法定主義でやっている数々の遠洋漁業というものをそこへ盛るというのだから、それならば全部行政庁の、腰だめと言っちゃ悪いけれども、取り計らいに一切まかしてしまうというのは、あまり好ましいことでないから、列挙できるものは列挙する。そうして窮屈な点については、その他政令で定めるものとやっても、扱い上一向に差しつかえないという私は主張をしている。だから、法定主義だけにしなさいというのでは、これは確かに窮屈で、どうも固定化する。そうでなくできるのですね。私の言うように、列挙もするが、しかし、その他政令で定めるもの、こうやっておけば非常に工合がいいだろう、こういう指摘をしている。どろですか。
  178. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) おそらく先生のは、あるものは法律に書きまして、そうすればそれは中審の意見を聞かんでも、法律に書いてあるから、それは法定のもの、それからその他は政令で中審に必ずかけるということになりますと、政令でやるものは中審にかけるけれどもあと法律に列挙されたものは法定で、かけなくていい。こういうことにおそらく法律的にはなるだろうと思いますので、やはりそれはそれで、書かれたものは法定主義になってしまうわけでございます。でございますので、私どもは弾力的な問題がいろいろございますので、一応政令に譲って、全部しかしそれは審議会の意見を聞かなければならぬ、こういうふうに実は整理したわけでございますので、まあ先生のもわからぬわけでもないのでございますが、ひとつこれは、一部は中審にかけない、一部はかけるというのも私はおかしいのじゃないかという実は気がいたします。
  179. 天田勝正

    ○天田勝正君 そんなことはないよ。これは指摘でいいがね、そんなことはない。今のものを全部法定しろといっているのじゃないのだから、当然差しつかえないものは法定にしなさい。あとのは、今のものの中のも含めて、その他政令に定めるもの、こうやっておけば、それは差しつかえないですよ、この次までにひとつそれもさっきのと同じように考えてきて下ざい。これでやめます。
  180. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) それでは他に御発言もございませんければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、両案の質疑は終局いたしました。  本日はこれで散会いたします。    午後五時五分散会      —————・—————