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1962-03-15 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十五日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君    理事 山内  広君       内海 安吉君    小笠 公韶君       大森 玉木君    倉成  正君       島村 一郎君    高橋  等君       辻  寛一君    藤原 節夫君       保科善四郎君    飛鳥田一雄君       田口 誠治君    西村 関一君       受田 新吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 植木庚子郎君  出席政府委員         法務事務官         (矯正局長)  大澤 一郎君         検     事         (入国管理局         長)      高瀬 侍郎君         公安調査庁次長 関   之君  委員外出席者         検     事         (大臣官房人事         課長)     神谷 尚男君         検     事         (大臣官房営繕         課長心得)   住吉 君彦君         法務事務官         (矯正局参事         官)      福井  徹君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  細川 俊三君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月十四日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として西  尾末廣君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十四日  元満州国官吏恩給に関する請願井堀繁男君  紹介)(第二二八一号)  同(草野一郎平紹介)(第二四四三号)  同外一件(高橋清一郎紹介)(第二六五五  号)  同(木村俊夫紹介)(第二六八〇号)  建国記念日制定に関する請願田中彰治君紹  介)(第二二八二号)  同(岡崎英城紹介)(第二四四七号)  同(中馬辰猪紹介)(第二四四八号)  同(二階堂進紹介)(第二四四九号)  同(辻寛一紹介)(第二四五〇号)  同外二件(柳谷清三郎紹介)(第二四五一  号)  同外二件(浦野幸男紹介)(第二四八〇号)  同外一件(黒金泰美紹介)(第二五一三号)  同外二件(佐伯宗義紹介)(第二五一四号)  同外一件(藤本捨助君紹介)(第二五一五号)  同(臼井莊一君紹介)(第二六五〇号)  同外四件(神田博紹介)(第二六五一号)  同(塚原俊郎紹介)(第二六五二号)  同(中村幸八君紹介)(第二六五三号)  同(始関伊平紹介)(第二六八四号)  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  玉置一徳紹介)(第二二八三号)  同(岡崎英城紹介)(第二四四四号)  同(宇野宗佑紹介)(第二六七七号)  同外五件(木村俊夫紹介)(第二六七八号)  アジア・アフリカ地域における在外公館の整備  拡充に関する請願鈴木義男紹介)(第二二  八六号)  同(小川半次紹介)(第二四五五号)  同(田中角榮紹介)(第二四五六号)  同(松平忠久紹介)(第二五二〇号)  元南満州鉄道株式会社職員期間恩給法等の特  例措置に関する請願外一件(濱田幸雄紹介)  (第二四四〇号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第二五一一号)  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案反対に  関する請願外十七件(石橋政嗣君紹介)(第二  四四一号)  同外二十件(石橋政嗣君紹介)(第二五一二  号)  同外十三件(石橋政嗣君紹介)(第二六八一  号)  戦没旧軍人軍属栄典授与等に関する請願外九  件(臼井莊一君紹介)(第二四四二号)  恩給増額に関する請願岡崎英城紹介)(第  二四四五号)  同外十九件(伊藤五郎紹介)(第二四七八  号)  同(金子岩三紹介)(第二四七九号)  同(宇野宗佑紹介)(第二六四八号)  同(千葉三郎紹介)(第二六四九号)  同(森山欽司紹介)(第二六八六号)  傷病恩給の是正に関する請願岡崎英城君紹  介)(第二四四六号)  沖繩日本菓子輸入に対する課税軽減に関する  請願菅野和太郎紹介)(第二四八三号)  恩給増額に関する請願外二件(森山欽司君紹  介)(第二六八五号)  寒冷地手当増額に関する請願黒金泰美君紹  介)(第二六五四号)  山形県河北町溝延、西里両地区の寒冷地手田増  額に関する請願牧野寛索紹介)(第二六五  六号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願木村  俊夫紹介)(第二六七九号)  暫定手当全額本俸繰入れに関する請願外百八十  一件(加藤清二紹介)(第二六八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三一号)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。西村関一君。
  3. 西村関一

    西村(関)委員 法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、若干関連した質問をいたしたいと思います。  まず、最初に出入国管理行政についてでございますが、前回の委員会におきまして、川崎から横浜に移転するということについての質疑応答が行なわれたのでございますが、私は、この一際、出入国管理行政のあり方について、政府の見解を承りたいと思うのでありますが、もちろん、無制限わが国から外国に出かけ、また、外国からわが国に入れるということはできないことは当然でございますが、どのような基準をもって管理をしておいでになりますか、まず、その点から局長の御意見を承りたい。
  4. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。  外国人本邦渡来することについて、いかなる方針をもって入国管理局事務を運営しておるかという御趣旨と解しまして、一、二申し上げてみたいと存じます。  第一に、最近に相なりまして、本邦渡来いたしまする外国人の数が飛躍的にふえて参りました。これは経済関係渡来者観光関係渡来者とその他の渡来者三つに大別いたしますと、観光渡来者の数が、逐年おおむね二〇%の増率をもちましてふえて参っております。次に、経済関係の来邦者も非常な速度をもちましてふえて参っておりまするので、これらのものを処遇いたしまする根本の方針といたしましては、第一に、本邦へ善意を持ちまして渡来いたしまする外国人上陸並びに滞在について、あとう限り便宜をはかるという方針がございます。これは観光の事業を振興する、または経済的の活動をふやすという大きな目的のために由来しておるものと存じまするが、あとう限り簡便に、あとう限り短い時間で入国の審査をいたし、そうして本邦渡来いたしまする目的に合致するように、その旅行を規制するということが一つでございます。  次に、本邦渡来する人たちの中に、本邦渡来いたしますこと自身が好ましからざるてい人物がおることは当然のことでございまするので、三つの態様に分けまして処遇いたしております。  第一は、本邦に入って参りますこと自体を好まない外国人、つまり、上陸を申請されても、それを拒否する人のリストができ上がっております。これは昭和三十六年の十二月末現在で百八十一名の人名が登録せられております。これは本邦へたとい来られても上陸許可できないという犯罪上の理由でございます。次に、本邦から入管令の第二十四条に違反いたしまして強制退去を受けました人たちリストがございます。われわれはこれを被退去強制者旬報ということでリストをこしらえておりますが、三十六年十二月末現在で千四百三名の人名がこのリストに掲載せられております。なお、明瞭な入国拒否するということに該当しない、ただ日本へ入ること並びに入ったあと状況について特別注意をしなければならない、たとえば麻薬関係でございますとか、その他好ましからざる人物といたしまして、要注意外国人というリストがございます。このリストに掲載せられておる者が九十二名昨年末の現在でございます。この三つリストを使いまして、本邦へ入って参ります非常に数多くの人を規制することにいたしております。  この第一の上陸拒否者リストと被退去強制者旬報は、外交機関、つまり、外務省の出先にも配布してございますので、当該公館査証を請求いたしました際には、そのリストと照らし合わせまして、査証を発給する段階において入国拒否しておるという状況でございます。いわゆる不良外国人と申しますか、これらの人たち渡来を防ぐこと以外は、善良な意図をもって本邦へ入って参ります人については、あとう限りの便宜を供与し、その入国並びに滞在について不快の念を与えないようにということを、第一線をして非常に注意せしめておる次第でございます。ただ、情勢が、入って参ります外国人のふえる勢いが、先ほど申し上げました通り、二〇%にも達しておりますので、逐年これに対処するために、入国管理局の機構並びに人員等を整備いたしますのに非常に苦心をいたしておる次第でございます。
  5. 西村関一

    西村(関)委員 当局の御苦心のあるところもよく了解がつくのでございますが、善意ある者と好ましからざる者との区別をつける基準でございますが、ただいま局長の申されました要注意麻薬その他の要注意外国人という点につきましてはわかります。また、入管令第二十四条によるところの強制退却を命ぜられた者、これも入国をしてもらっちゃ困るということでありますが、本邦入国をしてもらっては困るという百八十一名のリストにあげられておる人たちのことにつきまして、どういう基準で好ましからざる者というレッテルを張るか、そういう点について、もう少し詳しく、基準等がありますれば、お示しをいただきたいと思います。
  6. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 ただいまの上陸拒否さるべき者のリスト、その内容はどうか、いかなる基準によって当該リストに掲載せられるかという御質問でございますが、これは出入国管理令の第五条に上陸拒否という条文がございます。この条文に明示してございます。「左の各号の一に該当する外国人は、本邦上陸することができない。」という規定がございまして、その規定に十四の項目がございます。これにはっきり掲載せられておりますので、この第五条に抵触するてい外国人渡来拒否しておる次第でございます。これは非常に機械的な条文でございまして、たとえば本邦におきまして一年をこえる刑に処せられた者、こういうことは、その当該受刑者リストを参照いたしますと、直ちにこの人が該当者であるかないかということが判定せられる次第でございます。たとえば伝染病関係の者でございますとか、精神病の関係の者でございますとか、非常に貧困な者でございますとか、または、ただいま申しました、日本におきまして一年以上の懲役または禁固に処せられた者でございますとか、麻薬の法令によって処罰せられた者とか、売淫その他わいせつ文書等規定がございますので、この規定に抵触いたします者を上陸拒否者といたしまして、このリストに掲載してございます。問題が非常に機械的、かつまた、判断を加える必要のない内容であります関係上、何十万という外国人の中で、百八十一名しか明瞭にこれに該当する者がおらないというのが現状でございます。
  7. 西村関一

    西村(関)委員 ただいまのお話は、規定に該当する者のリストというふうに理解をするわけでございますが、それと要注意外国人というものとの区別が、もう一つ明瞭にならないのでありますが、好ましからざる人物リストに該当する者は一括されるべきはずだと思います。さらにそのほかに要注意外国人というリストがあるという点はどうなんですか。
  8. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 ただいまの要注意外国人リストというものの内容はどうであり、かつまた、上陸拒否者、被退去強制者等との関係はいかがかというお尋ねでございますが、この要注意外国人と申しますのは、たとえば関税法関係でございますとか、または麻薬関係の容疑は十分でございますが、しかしながら、これが刑事訴追を受け、判決をしていない先に逃げてしまった者でございますとか、または本邦において、たとえば懲役を一年をこえない刑を受けておるにもかかわらず、日常の生活態度その他におきまして、常に麻薬関係の仕事に従事しておる節があるというような、いわゆる将来また犯罪を起こすであろう疑いがある人間でございます。すでに刑が確定いたしました者は、ただいま申し上げましたリストに載せますが、このてい人物になり得る可能性をきわめて多く含んでおる者が、要注意外国人リストに掲載せられてあります。事の性質上、このリストに掲載せられておる者は直ちに入同を拒否するということに該当するかどうかは、当該場合における判定によりましてきめる次第でございますので、このリストに掲載せられたこと自体が、上陸拒否ということにつながっておらない点を御了承いただきたいと思います。
  9. 西村関一

    西村(関)委員 ただいまの御説明範囲内におきましては、十分に了解ができると思うのです。ただ、従来のいろいろな具体的な事例から申しまして、好ましからざる人物という中に、共産圏から来る外国人というものが、わが国共産主義という体制の国家形態をとっておりませんために、そういうような国から来る人たちはなるべく日本に入ってもらいたくない、こういうお考えが当局に相当強いように思うのでございますが、もしそうであるとするならば、どういう規定によりまして規制をなさるのでありますか、その点お伺いいたしたい。
  10. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げたいと存じます。  共産圏または共産主義を信奉する人たち本邦への渡来と、ただいま申し上げました要注意外国人との関係が、いかなる関係にあるかということについて、まず第一に申し上げてみたいと存じますが、先ほど来申し上げました通り要注意外国人と申します者には、いわゆる政治的な意味は全然包含しておらないのでございます。つまり、犯罪ということが主たる要注意外国人たる内容でございまして、非常に特別なごく少数の場合を除きまして、いわゆる政治上の所見を異にすることによって要注意外国人に掲載されるということはございません。この点は、明らかにわれわれはそれを区別する方針で事に従っております。ただいまごく少数の例を除いてと申し上げましたのは、入管令の第五条に、その立法の経過におきまして、いまだかつて適用したことのない条文がございます。つまり、一種上陸拒否をされる者に対しまする各項目が掲載してございまするが、その中で第十二項に、「公務員であるという理由に因り、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体」というがごとき特殊な規定がございます。この種のものに何が該当するのか、英米法の概念ではありますかもしれませんが、本邦ではこの種項目に該当するものは何もないというふうに考えております。こういう点で、上陸拒否者は全然刑事犯罪上の者かと申しますと、ただいま申し上げましたように、ごく特殊な極端な例は、政治的なものと申せましょうが、掲載してございます。しかしながら、この種規定はいまだかつてこれを適用したことがございません。  それで、共産圏諸国から本邦へ参ります人の入国に際しては、いかなる規制があるかということでございますが、これは日本承認をいたしました、つまり国交が回復しております共産圏諸国人たち本邦渡来して参ります場合と、日本がまだ承認をしておりません共産主義国から来る人たちと、この二つの区分をまずしてございます。第一の、本邦日本がその国家承認しております共産主義国から参ります者については、特別な違いはございません。つまり、査証上の総合的な扱い同等性というような問題でございまして、これは他の国人と同等に本邦渡来することができるように相なっております。ただ、査証の発給に際しまして、無査証協定のございます国と、そうでない国との違い、または国内的に先方制限を加えておりますと、それに対応するような制限本邦でも加えておりますので、その間の出入りはございますが、本邦承認いたしました共産主義国から参ります人たちに対する扱いは、他のいわゆる自由主義国と申しますか、他の国々から参りますものと、本質的には何らの違いがございません。ただ、本邦がまだ承認しておりません共産主義国から参ります人たちにつきましては、原則として、国交がないという関係上から、その入国並びに日本人がおもむくこと自身についても、これは許可しないという基本的な方針がございます。しかしながら、最近におきまする当該諸国本邦との間の政治経済文化、特に経済文化関係におきまして非常に密接な連絡が増大しておりまする関係上、これらのいまだ承認せられざる共産主義諸国からの渡来者につきましても、非常に増大傾向にございます。入国を許しましたものが増大しておる傾向でございます。共産主義諸国から入って参ります人たち昭和三十二年からの例を一、二申し上げてみますると、ソ連から本邦へ入って参りまする人につきまして、昭和三十二年に四百七名の人がソ連から新規に入って参りました。三十三年になりますると、五百六十一名になります。昭和三十四年に少し減りまして四百四十四名、三十五年に九百十八名、三十六年の一月から十月までで、すでに八百七十三名入っております。これは主として経済文化関係者でございます。そのほか、チェコでございまするとか、その他本邦がその国家承認いたした国から参りまする者の数は、逐年先方へおもむく日本人の数の増大と同様にふえつつあるのが現状でございます。なお、東独でございまするとか、または北鮮でございまするとか、北ベトナムでございまするとか、本邦がいまだ独立を承認しておりません諸国から渡来して参ります者につきましては、非常に僅少な数の渡来者がございまするだけで、そのほかでは多少ふえておりますけれども、いまだ非常に増大ということには相なっておらないのが現状でございます。
  11. 西村関一

    西村(関)委員 ただいま局長説明によりますと、共産主義諸国からの渡来については、承認、未承認区別を問わず差別をしていないけれども、実際上は、承認しておる国からはたくさん入れておるけれども、未承認の国からは数が非常に少ないということでございます。それも一応の規制の仕方としてはやむを得ないことだということはわかります。また、いろいろ文化経済交流ということだけでなしに、その他の目的を持って来る人たちもございますから、細心の注意を払われるということも当然だと思うのでありますが、私がまことに不可解に思いますことは、ごく近くにありまする朝鮮人民民主主義共和国、いわゆる北鮮からの渡来を希望する者が、いまだ一件も許可されていないという現状でございます。これは御承知通り朝鮮が南北に分かれて、民族二つに分離されているという現状におきまして、わが国は南の朝鮮承認しておるというような関係からくることだと思いますけれども、北鮮に対しても相当経済的な関連が高まりつつあるわけでございます。また、これはイデオロギーの違い、あるいは政体の違いというものを越えまして、世界各国諸国、諸民族が、平和のために一つ共同連帯の責任をとっていこうじゃないかというふうな動きが、強く出て参っておることも御存じのことだと思うのであります。いろいろな国際会議日本において行なわれるようになって参りましたことも、御承知通りでございます。そういう場合に、未承認であるとはいえ、共産主義諸国から日本に参りたい、会議に出席したいと希望される者に対して、北鮮に関する限りいまだかつて一回も許可されていないということは、私は非常に不可解なことだと思うのであります。これは局長の御答弁の範囲を越える問題であるかもわからないと思いますけれども、ただいま大臣もお見えになりましたが、そういう点につきまして、政府はどういう御方針おいでになるのでございますか。中華人民共和国からは入国許可されている。また、東独からも許可されている。まだ承認されていない共産主義の国からの入国許可されている例は多多あるのであります。ただ、北鮮に限って一回も許可されていないということはどういうわけでございますか。その点、まず局長からお答えをいただきたいと思います。
  12. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、これはある意味合いにおきまして、まさに北鮮から一名も現在までに入国許可された者がないのに比べまして、中共でございますとか、東独でございますとか、その他のいわゆる未承認共産主義国からの到来者はある。なぜかくのごとき差異が生じたのかというお尋ねと存じます。北鮮から一名も入っておりませんのは——一名も入っていないということはございません。ごく例外例外と申しますか、いわゆる北鮮帰還協定に基づきまして、新潟港へ参ります船舶によりまして、北鮮へ帰還したいという人たちを逐次現在までに八十九回北鮮へ送還しております。この用務に関連いたしまして、事の人道主義上の見地から、北鮮赤十字社職員が本部へ到来すること、並びに新潟の町に上陸すること等につきましては、これを許可いたした経緯がございます。これ以外に、お尋ねのごとく、政治文化経済等関係におきまして、いまだ入国を許した前例がございません。この理由がどういうところにあるかということを、私自身、就任いたしましたときに非常に疑問に思いまして、調べた経緯がございますが、非常に高度と申しますか、本邦に近接いたしました地域における非常に先鋭化した政治的の状態が、この原因であるように私は理解したのでございます。言葉をかえて申し上げますと、入国管理行政上の要請というよりも、より高度の、より外交的と申しますか、政治的な判断から、この種規制が加えられておる。その規制によりまして、入国管理行政上、その種の措置を講じておるのが現状のように私は理解しておる次第でございます。ただ、この入国の問題につきましては、原則的、一般的なことでございますが、一国は、だれをいつ入国させるかさせないかということの判定につきましては、純粋の法律的な見地から申しますと、きわめて広範な裁量権を持っておるわけでございます。しかも、その理由の何たるかを問わず、当該入国許可とか不許可とかいうことを決定できるのが、国際慣習に相なっておりますので、一種の非常に深い高度の裁量権を使いまして、政治的の要請のもとにこの種判断が行なわれ、それに基づきまして、前例になずんで入国管理行政が行なわれておるというのが現在の状態でございます。
  13. 西村関一

    西村(関)委員 私は、外国から本邦入国する人たちの場合、たとえば伝染病菌を保持しているとかいうようなことで、そういう人に入ってきてもらったら公衆衛生上非常に困るというような場合には、厳重な規制をしなければならぬと思うのです。しかし、思想とか信仰とかイデオロギーとかいうような違いがありましても、どういう人たちが入って参りましても、これをわが国のるつぼの中で十分にこなして、何らそれらの人たちの影響を受けるというようなことのない状態にまで、わが国思想、また社会の治安の確保等が高められて、そういう状態が一日も早く実現して、自由にどの国の人たちとも交流ができるというような時代を早く作らなければいけないと思うのであります。   〔委員長退席草野委員長代理着席〕  たとえば御承知通り、カナダは、私の今申し上げましたように、健康上の理由からは非常に厳重な規制をいたしておりますが、思想上の理由からでは、あるいは政治形態が違うという理由では規制をいたしておりません。カナダと日本と比べることは、必ずしも好例だとは言えないと思いますけれども、私は、今日の東西両陣営の相対立しているこのきびしい世界の現実を無視することはできないと思うのでございます。今局長も率直に御答弁になりましたような、こういう事態を何とか早く解消する努力をわれわれもしなければならないし、また、政府当局においてもこれはやっていかなければならないと思うのであります。特に北鮮の場合のごときは、今言われました特別中の特例というのは、これは用務に従事する人でありまして、問題外でございますが、一般の国際会議等に出る、相当社会的地位もあり、見識もありする人の入国さえも許可できないということは、高度の政治的配慮に基づくのだというお言葉でございますが、それも私にはわからぬではございません。しかし、そういう事態を早くなくするような努力を、政府当局においても、またわれわれにおきましてもしなければならないと思うのであります。私は決して世界の政治のきびしい現実を無視するような議論をするつもりはございませんが、しかし、いかにしても、そういうことのためにすぐ近くの国々の人たちと自由な交流ができないということは、宗教的な立場あるいは人道的な立場から国際的な連帯責任を高めていこうというような意図のもとに行なわれる国際集会等におきましても、厳重な規制が行なわれるということについて、はなはだ遺憾に思うのでございます。従来、私は、この種の外国からの入国希望者につきましてしばしば当局と折衝をさせていただきまして、高瀬局長が従来の慣例や法規の許す範囲内においてきわめて親切な取扱いをせられたことに対しては、まことに局長の誠意に対してこれを多といたしているものでございます。しかし、現実におきましては、まだいろいろなそういう未解決の問題が残っている。これは管理の責任の衝にある立場にあられる方といたしましては、私はやむを得ない現在における処置であるとは思いますけれども、何とかこういう事態を早く解消するというような気持をもって努力をしていただきたいと思うのであります。その点法務大臣の御見解を承りたいと思います。
  14. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 まだ国交は開けておりませんけれども、ほとんど一衣帯水の隣国との間における人間の行き来の問題についての御高見でございますが、理想としては全く仰せのようにあるべきだ、それも一つのりっぱな御見解だと私も考えます。私自身といたしましても、今日までのところでは、御指摘になりました国との問の問題で、特に非常に頭を悩ましたほどの問題には幸いにしてまだ遭遇しておりません。と申しますのは、おそらく、事務当局が十分従来の経過等をお話をして、そうして今日置かれている内外の情勢から御説明申して、納得をしていただいておるからだろうと考えます。しかし、そのやすきにいつまでもついておってもいけないので、やはり情勢の推移とともに、御趣旨のような考え方で十分見直し、検討する必要はあるだろう、かように私は考える次第であります。
  15. 西村関一

    西村(関)委員 次に、日本から外国に出かけていく、いわゆる出国の場合でございますが、この場合においても、共産主義国、特に未承認共産主義国に対する規制は、入国の場合と同じでありますか。
  16. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 日本人の海外の渡航につきましては、入国管理行政上は、その人が所持しております旅券に出国の確認をいたすスタンプを押しまして、その確認をするだけのものでございまして、日本人はそのいずれの国へも行く完璧な自由を持っておるというのが建前でございます。ただ その際に、旅券の内容に 某々国、たとえば北ベトナムでございますとか、北朝鮮に向かっていくということを旅券上に明示いたしますことにつきましては、この問題は外交当局事務の責任者でございますが、私の理解しております限りにおきましては、当該旅券にその未承認国の名前を掲載すること自体が、事実上の承認という問題に国際法上の関係があり得る可能性等につきまして考えまして、事実上その国に向けて行かれる日本人たちに対しまして、旅券面に明瞭に記載することがない、通俗的に申しますと、いわゆる横すべりということで、その訪問を実現しておるのが現在の状況のように了解しております。  なお、承認をしております共産主義国に対する日本人の渡航につきましては、通常の他の諸国に対する渡航と同等に取り扱っておるのが現在の状況でございます。
  17. 西村関一

    西村(関)委員 従来日本人外国に渡航をいたします場合におきましても、渡航の自由というのは憲法で保障されている権利でございますが、しかし、事実上は相当な規制が行なわれておる。これは規制しなければならぬ客観的な理由がございますから、それは当然規制をさるべきだということも、特に今日のような外貨の不足しております事態におきましては、そういう面から当然だと思うのでございますが、共産主義国に対する渡航については、かなり従来はきびしい規制が行なわれたように思うのであります。ただいまの局長の御答弁と実際上の取り扱いとは相当違っておるように私は感ずるのであります。特に未承認国に対しては、なるべく行かない方がいいというような御見解のように察せられる取り扱いが、従来多く行なわれたと思うのであります。この点につきまして、ただいまの局長の御答弁ではもう一つはっきりしないように思いますが、いかがでございますか。
  18. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、入国管理局といたしましては、外務省が当該所定の日本人に対しまして旅券を発給いたしましたその事後のことを事務的に処理する建前に相なっております。だれに対していつ旅券を発給するかということは、外務省が主管しておりまして、外務省の専決でこれが行ない得るのが現在の法制上の建前でございます。ただ、専決と申しましても、外務省が他の国内諸機関、諸官庁と連絡なしにそういうことを行なっておるという意味ではございませんので、内々の相談等は関係の各諸官庁にございます。右の内議と申しまするか、協議が接到いたしますると、関係の機関からその意見を提出し、それが、外務省におきまして旅券を発給するしないということをきめまする、有力な資料に相なっておるのが現在の状況でございます。一たび旅券を発給されますと、先ほど申し上げました通り、それを出国の確認をいたすのが入国管理局の仕事の事務内容に相なっておるわけでございます。  第二に、ただいま御指摘になりました、日本人共産圏諸国への渡航の問題でございまするが、非常に制限を加えておるような印象を各方面に与え、かつまた、御指摘の通り、具体的な例といたしましては、旅券発給を拒否された場合の実例が存するのでございますが、一般的の傾向といたしましては、かなりの数共産圏諸国日本人が渡航しておるのが現在の状況でございます。具体的の数字を一、二申し上げますと、昭和三十四年に日本人共産圏諸国への正規渡航者の数は、昭和三十三年の千三百三十六名に対比いたしまして半分の七百九十八名に減っております。これは特殊なる状態でございまするが、昭和三十五年には二千三百三十二名、千名の増加を示しております。しかしながら、昭和三十六年には二千四百六十六名と相なっております。これがソ連その他のいわゆる共産圏諸国に向けての日本人の渡航の問題でございます。このように二千四百六十六名が三十六年度に渡航いたしましたのは、労働組合の幹部でございまするとか、国際見本市の関係でございまするとか、芸能その他文化的な関係での渡航が非常にふえておるというのが現在の状況でございます。
  19. 西村関一

    西村(関)委員 次に、職員の定員増の問題でございますが、この前の本委員会における政府委員の御説明によりますと、四百二十九人のうち、百五人は定員外職員の定員化であるという答弁でございましたが、現在定員外職員は何名あるのか、そのうちの百五名だけをこの法案の改正によりまして定員化したいのだということだと思いますが、そういう点はどういうことになっておりますか。
  20. 神谷尚男

    ○神谷説明員 現在の法務省設置法の改正に織り込まれております定員外職員の定員化の数は、ただいま仰せになりましたように百五名でございますが、そのほかに今回定員化を予定してい職員と同種の職務に従事してい職員がどのくらいあるかという御趣旨の御質問だというふうに理解いたしまして、お答え申し上げますが、一応私どもの方へそういう職員として定員化を希望したものは、そのほかに約十名ございます。
  21. 西村関一

    西村(関)委員 その十名を省かれた理由はどういうことですか。
  22. 神谷尚男

    ○神谷説明員 この十名は、共済組合診療所の薬剤師とか看護婦、その他、いわゆる厚生関係事務に従事してい職員でありまして、これらにつきましては、今後なお共済方式に関する検討の結果等を待ちまして措置するのが適当である。これは各省共通の問題として、今回定員化の対象にならなかったのでございます。
  23. 西村関一

    西村(関)委員 そういたしますと、大体この法の改正によって考えております定員外職員の定員化は、一応これで全部解決がつく、今の十名の福祉関係の業務に従事している者を除いては、一応定員化は全部できる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  24. 神谷尚男

    ○神谷説明員 そういうふうに御理解を願いたいと思います。
  25. 西村関一

    西村(関)委員 本法案の改正によりまして、相当数の職員の定員増が見込まれておる。その中には公安調査庁の職員の増も含まれておるということで、それらの業務の内容等につきまして、なおしさいに検討をさしていただく余裕が十分にございませんが、一応それはそれなりに政府の申されておる点を認めるといたしまして、これと関連をして私は、人員の増もさることながら、仕事をする法務省関係の庁舎が非常に老朽化しておるという点について、この老朽庁舎をどのように修理し、保全し、あるいは新設し、法務省の庁舎として、外観上も十分な体裁を備えていくということに対する計画があろうと思うのです。それがきわめて緩慢な状態にある。これは予算等の関係がありまして、そう簡単にはいかないと思いますけれども、見るに見かねるようなひどい庁舎が一ぱいある。これは私よりも皆さんの方がよく御存じだと思うのでありますが、こういう点に対する大蔵省との折衝、予算要求、その予算要求がどのようにしぼられたかという点についてお伺いしたいと思う。と申しますのは、一例を申しますと、今の入管の管理事務所を移転するにいたしましても、相当な経費をかけるように予定しておられる。そういうことも必要でありましょうが、しかし、この間も山内委員質問をいたしましたように、そういう工場等の臭気や、工場の吐き出す化学的な人体に害があると思われるような外気、そういうようなものによって、これはとても不適当だということで移すというのであるならば、それを規制するところの別個の法律があるはずです。これはただに収容所の問題だけでなしに、その付近住民一般の問題でありますから、そういうようなことだけの理由でもって相当多額な経費を使って移転するということと比べて、非常に大事な業務をあずかるところの本来の事務所であるとか、簡易裁判所であるとか、あるいは検察庁であるとかいうところの庁舎が、非常に老朽化しておるという点につきまして、これはどういう計画を持っておられるのですか、どういう状態にあるのですか。
  26. 住吉君彦

    ○住吉説明員 法務省所管庁舎の老朽の程度その他御質問にお答えいたしますが、御存じの通り、法務省の出先機関は、検察庁、法務局その他たくさんございますが、合計で三千三百三十三ございます。うち、四十年以上を経過しております建物が大体一七%、三十年以上ということになりますと三〇%ということになりますが、建物自体が大部分木造でございます。木造と耐火構造の比率を申し上げますと、木造が六七%、耐火構造が三二%、その木造は、今申しますように、相当経過年数を経ておりますのと、比較的新しい庁舎でありましても、これが戦中戦後の資材の十分ございません当時の建物でございます。いわゆる脆弱建物として建設省からいろいろ御指摘を受けておる建物でございますが、そういうものが圧倒的多数を占めております。そこで、この整備を要します建物を全面的に新営いたすといたしますと、概算約五百数十億の予算を必要といたします。なかなか一挙にこれを改築の軌道に乗せるということも困難でございますので、私どもといたしましては、年次計画を立てまして予算要求をいたしておりますが、いろいろ財政事情その他から、例を三十七年度予算にとって申し上げますと、要求総額六十七億に対しまして、査定総額が新営費にあっては十八億、その他補修費が入っております。そういう事情でありまして、今申します老朽庁舎の改築がなかなか計画的に参りませんけれども、できるだけ緊急度合い、建物の老朽度合い等を科学的にも精査いたしまして、その範囲内におきまして逐次整備計画を立てております。なお、補修費は各省同じでありますが、坪当たり五百円ということで、年間約四億六千万円ばかりの補修費で、今申します主として木造庁舎及び宿舎の補修に充てております。
  27. 西村関一

    西村(関)委員 今御答弁がありましたように、四十年以上のものが一七%、三十年以上のものが三〇%、その大部分の六七%が木造である。木造の中には、年次が若いものであっても、ほとんど戦後の粗悪な建造物も多かろうと思うのであります。こういう状態では、私は十分に安心して業務に従事することができないと思うのです。また、外観の体裁上から申しましても、非常にひどいものがたくさんある。一例をあげますれば、御承知の滋賀県の彦根の裁判所の支所のごときは、非常に古い、ひどいお城の建物を改築して使っておる。もう老朽用にたえないというような状態であります。米原の簡易裁判所のごときは、御承知通り、同じ簡易でも、庁の簡易宿泊所の建物を転用して使っておる。これも、実に体裁も悪いし建物もひどいし、私もよく知っているのでありますが、これはよくきょうまでしんぼうしておられたと思うのであります。こういうものもなかなか今年度の予算には乗らないというような状態では、どうも法務省は予算のとり方が下手じゃないかと思うのですが、もう少し熱意を持って、これらの点についても十分な配慮をせられる必要があると思うのです。やはり内容も大事でありますが、外観も入れものも大事だということは言うまでもありません。相当苦心をしておられると思いますが、ほかの省に比べて私は見劣りがすると思いますから、率直に申し上げておるのであります。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 この点について法務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  28. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 法務省所管の庁舎、あるいは裁判所関係の庁舎等についての実情について、非常な深い御理解と御同情を得まして、まことにありがたく存ずる次第であります。実は、私も仰せの通りの問題を考えておりまして、でき得るならば三十七年度の予算におきましては、従来とは面目をあらためて、できるだけ多額の営繕費も獲得しまして、そうしてこの実情を若干でも直していきたいと考えておったのでありますが、何しろ、先ほども事務当局から御説明申し上げましたように、これを五カ年計画あるいは十カ年計画にしてやろうといたしましても、少なくとも三十億から四十億くらいに一挙にふやしませんと、十年計画でやろうと思ってもとてもできないというようなありさまであります。それだけに、かりに四十億にならなくても、あるいは三十億にならなくても、せめて二十五億くらいはという考えで、いろいろ折衝もしておったのでありますが、だんだんと財政当局説明を聞いてみますと、御承知のように、今回の予算におきましては、公共事業等においてはでき得る限り、ほんとうに緊急やむを得ないものでない限りは、なるべく一つこの際、物価その他の諸情勢等にもかんがみて、自粛をしたいという考えを強く主張しております。これもある程度理解ができます。また、一方におきまして、私ども去年は十五億程度のものが、ことしは十八億になりましたけれども、しかし、これを二十五億にする、三十億にするということをやっておりますと、どうしても今度は技官その他技術者が足りない。それを実際こなしていくのには、技術者の定員増加をしなければならぬ、こういうことになります。ところが、現在の状態におきましては、そうした方面の技術者を入手することは、ほとんど不可能に近い状態であることは御承知通りであります。それやこれや考えてみますと、やはり残念ではありますけれども、まあ、この際としては、前年より二割ばかりの増強になっておりますが、またしばらく物価情勢その他経済情勢全般の成り行き並びに財政状況等の成り行き等にもかんがみまして、さらに後日に期するよりほかないのではあるまいかというので、非常に残念でございましたけれども、ただいまお答え申し上げたような程度でがまんをしたのであります。もちろん、これは法務省所管だけでございません。裁判所の方もほんとうにお気の毒な状態にありますので、われわれといたしましては、なるべく早い時期を選んで、そうして諸般の情勢等の許す日が一日も早く来たらんことを心待ちに待って、努力を新たにしてみたい、かように考える次第であります。
  29. 西村関一

    西村(関)委員 最後に、もう一点お尋ねをいたしまして、質問を終わりたいと思います。  今度の設置法の一部改正法案につきまして、町村の配置分合に伴うところの改正が出ておりますが、つまり、医療少年院の問題であります。これに関連をいたしまして、若干少年院の問題また、非行少年の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  現在、御承知通り、非行少年の数は年々増加の一途をたどっております。かつまた、その質は凶悪化いたして参っております。これは国家にとりましても、民族にとりましても、ゆゆしい問題であると思うのでありますが、この非行少年の取り扱いにつきましては、法務省のみならず、厚生省、文部省、労働省等々の各関係官庁の関連がございまして、これは法務省の所管の問題だけではございませんけれども、特に非行少年の矯正問題につきましては、法務省所管の諸施設、諸機関の今日までの働きを過去の実績に照らして反省すべきところは反省し、前進すべきところは前進せしめていかなければならないと思うのであります。全国少年院の実態につきましては、少年院の施設の責任者及び職員の方々の非常な労苦がある。これは、問題の少年を預かっておられるのでありますから、しかも、昔のやり方ではなくて、いわゆる懲罰ということよりは、矯正という立場で、あるいは教育という立場で、施設の運営に携わっておられるのでありますから、非常な苦心が要ることは申すまでもないと思うのであります。しかし、その苦心が払われておりまするにかかわらず、出所いたしました少年の中からは、再び犯罪に陥る者が相当ある現状でございます。こういう問題に対しまして、一体どういうふうなお考えで、どういうふうな処置をとっていくべきであるというふうにお考えになっておられますか。矯正局長の御見解を承りたいと思います。
  30. 大澤一郎

    ○大澤(一)政府委員 われわれ矯正関係職員、なかんずく少年の矯正教育に従事しております職員一同に対しまして、非常に御理解があり、またあたたかい御激励のお言葉を承りまして、心から感激にたえない次第であります。われわれ一回目夜努力はしておりますものの、現在、御指摘に相なりましたように、少年院の出院者のその後の状況は、必ずしも満足をすべき状況でないのであります。少年院に再び戻ってくる者が二〇%ないし三〇%という大きな数字を示しておりますし、なお、再び罪を犯した者の数ということになりますと、それ以上に上るものと推測せられるのであります。まことに力の及ばない点を深くおわびする次第であります。現在少年院の収容者は、最近の少年犯罪の増加の傾向に反しまして、やや減少の趨勢を示しておるのでございます。過去四年間を見まして、大体一万人前後でございましたが、三十六年度末には九千三百人、なおまた、本年に入りましてやや減少のカーブを描いておるのでございます。この点のいきさにつきましては、われわれ、いかなるわけで犯罪がふえているにかかわらず少年院の在院者が減少しているかという点について、目下検討しておりまするが、一面われわれの少年院の処遇なり少年院の教育についての裁判所側の批判の現われとも見られますので、この点については大いに戒心いたしまして、過去を反省して、ほんとうに実効の上がる少年院にいたしたいと努力をいたしておるわけでございます。  そこで、われわれといたしましては、現在、先生方の御視察をいただきまして、すでに御承知と思いますが、少年院の形が法律によって分けられております。特別少年院、初等少年院、中等少年院及び医療少年院、ただ、医療だけがきわめて科学的な分類になっているわけでございますが、特別少年院、初等少年院、中等少年院となりますと、初等は年令が低くて年のいかない者、中等が少年のうちの高年令、特別が処遇困難者、再入者というふうな大ざっぱな分け方でございますので、われわれといたしましては、最近矯正界で非常に進歩して参りました心理的な分類あるいは性格的な分類等をさらに強化いたしまして、少年の知能なり性格なり、あるいはまたその者の学歴等をさらに詳細に分類いたしまして、少年の個別的な能力、その必要とする必要性に即応した観点から少年を分類いたしまして、少年院もそれに即応した少年院に特殊化いたしまして、そうして本人の最も必要とする教育体制をとっていきたいと考えておるわけでございます。この方針につきましては、法務省のみならず、法務省に設置されております矯正審議会の中央部会あるいは科学審議部会等でいろいろ外部の意見も伺いまして、本年よりこれを充実してい方針で、すでに昨年度からその準備に入ったわけであります。たとえて申し上げますと、少年のうち、ある程度の能力がある者につきましては、労働省の職業補導の線に沿いまする職業訓練を少年院において実施する。また、さようでない、義務教育も受けてないという子供につきましては、一つの少年院を純然たる学校組織にまとめまして、それに少年院の教官のうちの学校教員の資格がある者のみを配置いたしまして、純然たる学校教育に徹する。また、今御指摘のありました医療少年院におきましては、知能の低い、いわゆる精薄に近い者に対しては、治療教育を行なう。また、心理的な疾病があって医学的治療を要する者は、医療少年院においてその治療に当たるというふうに、少年院の特殊化、従いまして、収容少年の能力と必要性に応じた矯正教育を徹底して行なえるようにという方針のもとに、昨年から、乏しい予算でございますが、重点的に配置いたしまして、とりあえず東京の近辺の少年院からその施行に入ったわけであります。本年度は、さらにその結果によりまして、それを漸次全国に推し進めまして、少年院の教育の特殊化、徹底化ということに努力しまして、少年の矯正教育の実を上げたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 西村関一

    西村(関)委員 少年院に入所する者の数が、少年犯罪の数に比べて減っておるということについては、裁判所が少年院に送致しない、その原因がどこにあるか、裁判所に少年院のあり方に対する若干の批判等があって、そういうふうに数が減少しているのじゃないかと思われる節もある、その点をよく検討したい、こういう御見解のようでございます。この点につきましては、局長としても非常に深刻にお考えになっていらっしゃると思うのでありますが、少年院の職員の、大体施設の長になる人はみなりっぱな人でありまして、その道の練達の士ばかりでありまして、非常に尊敬すべき方々ですが、事実その施設の中に働く職員の素質というものが、必ずしもこれについていけない、また、質のみならず、数から申しましても、十分であるとは言えないと私は思うのであります。それらの点、また、施設の中の設備の改善、あるいは施設の生活の雰囲気の改善というような点が一つの問題点になるのじゃないかと思うのです。そのような欠陥を埋めていく一助といたしまして、少年院のみならず、一般の施設に対しましても、刑務所におきましても、宗教教戒師というものが、特殊面接委員の制度に即してボランティアとして奉仕をしておる。これを特殊面接委員のようなちゃんとした制度にすることは、ちょっといろいろな点でむずかしいと思いますが、しかし、これに準じたボランティアの働きとして、相当な働きをして参っておると思うのでありますが、この宗教教戒師の働きに対しまして、局長はどういうふうにお考えになっておいででありますか、また、この施設の、今若干指摘申し上げましたような欠陥と申しますか、改善すべき点と申しますか、そういう点について、私は率直に感じた点を申し上げたのでありますが、その他の点について、この少年院に対して相当な労苦が払われているにかかわらず、成績が十分に上がらないのは、どういうところに原因があるとお考えになるか、その二つの点をお伺いいたしたい。
  32. 大澤一郎

    ○大澤(一)政府委員 少年院におきまして、教官の不足なり設備の不十分であるという点を御指摘願ったのでございますが、この点につきましては、ただいまの御趣旨の通りでございます。施設につきましては、少年院が新しい少年院法の改正によりましてすべて国家の施設となりまして、従来まで民間施設でありましたいわゆる少年保護団体に収容された者は、すべて少年院に収容するということになりましたために、急いで民間施設の買い上げ、ないしは旧軍事施設の転用等で充足したというような事情がございまして、きわめて地域的にも偏在し、また、少年院として理想的な形でない施設も多々あるのであります。これらの点の改修は年々努力はしておりますが、いかんせん、少年保護団体として民間施設でありましたために、地域的に非常に偏在しておりまして、さような更生保護関係に利害の深かった地域にはたくさんの団体がございまして、それが……(「答弁が長過ぎる」と呼ぶ者あり)さような点で、少年院につきましても努力しておるわけであります。  特に精神面の教育につきましては、矯正教育の根幹をなすものと考えまして、少年院においても特殊面接委員の拡充を各地方で次第に活発化しております。現在五百七十三名の委員がこれに従事していただいております。今後ますます活発化していきたい、かように考えております。
  33. 西村関一

    西村(関)委員 私は、御質問を申し上げる機会がほかにないものですから、法務省設置法の改正案が出ております機会にお伺いを申し上げておるのであります。少年の非行の問題は、非常に大きな問題であると考えておりますので、政府当局の抱負と御決意のほどを伺いたいと存じまして、質問申し上げておるのであります。今、局長さんからいろいろお伺いをいたしましたが、私も実は傍観者じゃなくて、心配している者の一人という立場で御質問を申し上げているのでありまして、この点は、きょうの議題とは直接のつながりがないようでございますけれども、非常に深い問題をはらんでおると思いますので、この行非少年の問題は、総理府の御提案になっている問題と関連をして、次会にもう一度お尋ねをすることにして、一応この辺で私の質問を終わらしていただきます。
  34. 中島茂喜

    中島委員長 山内広君。
  35. 山内広

    ○山内委員 所管外の大蔵省から来ていただいておりますので、まず最初に、大蔵省の方にお伺いしたいと思いますが、過日の質疑の中で明らかにされなかった点を、大蔵省の立場から明らかにしていただきたいと思います。  その第一は、今度川崎にあります収容所が横浜に移ることになりまして、その残った財産をどうするのかということでお尋ねしましたところが、横浜に新築しまして、それと土地を含めて交換するというお話であります。ところが、私、法的にはあまり詳しくわかりませんけれども、現在の川崎にあるものは法務省の行政財産でありまして、行政財産は、もちろん、申し上げるまでもなく、転売、貸与等は禁止されている。それを、今度横浜に持っていくために、川崎化成なるものと交換をする、そのために、大蔵省の財産に入れて、普通財産として処理して、でき上がれば今度交換の手続をとって、また法務省に横浜の新しい財産が行政財産として戻る、こういうことは法的に違法の措置でないか、そういうふうに考えましてお尋ねしましたところが、法務省としては満足な回答を得られなかった。この点について大蔵省から御答弁をいただきたい。
  36. 細川俊三

    ○細川説明員 ただいまお話のございました川崎入国者収容所の問題でございますが、先般の委員会におきまして法務省の方から御答弁がありましたけれども、これは、一般に私たち建築交換という言葉で呼んでおりますが、今川崎にあります入国者収容所は、行政財産としてその用に供されておりますが、ただいま川崎化成と契約を結びまして、今使っております行政財産の代替施設を横浜に作る、こういう問題でございますが、これは、国有財産特別措置法九条の四の考え方に従って処理している問題でございます。先ほどお話のございましたように、行政財産を、用途を廃止せずそのまま相手方に売ることはできないというのは、お話の通りでございまして、そういう場合には、一応行政財産の用途を廃止して普通財産にして、それを相手方に渡しまして、その効用の見合いの限度におきましてその相手方から財産を取得し、それを法務省の行政財産にする、こういう過程をたどっております。
  37. 山内広

    ○山内委員 その国有財産特別措置法第九条の四によって措置されたと言われておりますが、私、今法規をここへ持ってきておりませんので、条文を読んでいただきたいと思います。
  38. 細川俊三

    ○細川説明員 「普通財産のうち土地又は建物その他の土地の定着物は、国又は公共団体において公共用、公用又は国の企業若しくは公益事業の用に供するため必要があるときは、国有財産法第二十七条第一項の規定による場合の外、土地又は建物その他の土地の定着物と交換することができる。但し、交換に係る財産の価額の差額がその価額の多いものの四分の一をこえるときは、この限りでない。」こういう規定でございます。初めは国有財産法二十七条によりまして交換が実施されておったのでございますが、三十年ごろかと記憶いたしておりますが、国有財産特別措置法の二部改正によりまして、九条の二、三、四、五というものが加えられたわけであります。
  39. 山内広

    ○山内委員 今お読みになったので思い出したのですが、私も実はそれを知っておるのです。そこで、大蔵省の立場からすると、普通の財産になったのだから交換ができる、これは私わかるのです。ところが、法務省は、行政財産として持っておるものを、交換するために、普通財産として大蔵省の財産に所管がえをして、そうして新しいものと交換することがおかしいではないか。広い立場に立てば、もっと高いランクに立てば、そういうことが言えるじゃありませんか。こうなりますと、この間も出たのですが、法務省の立場とすれば、大蔵省に一般財産として移管したのだから、おれの方は知らぬのだ、また、大蔵省に言わせると、これは一般財産になったのだから、今度新しいのと建築交換をしても違法でない、これを総合的に考えれば、脱法行為であり、不法行為であり、違法行為だと私は申し上げたい。特に私の申し上げたいことは、こういう違法行為、脱法行為をもし官庁で認めることになりますと、非常にでこぼこが出てくるのです。そのために、法的には、これは確かに特定庁舎等の特殊整備計画というものを立てまして、そういうことを禁止しておる。ですから、労働省だとか、法務省というものは、何年たっても建築ができないのです。ところが、事業を持っておる、豊富な資金の運用のできるところは、どんどんいいところを買って、交換分合していいものを建てていくじゃありませんか。そういう官庁の不合理があってはいかぬというので、こういう取り締まりを設けておる。法解釈からいっても、行政措置からいっても、違法ではないかと申し上げている。その点について……。
  40. 細川俊三

    ○細川説明員 先ほどお話がございました庁舎等の立体化をはかるために、庁舎等特別措置法と私たち呼んでおりますが、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法という法律によりまして、いわゆる庁舎の立体化をはかっております。それから、今申し上げました問題の建築交換の規定でございますが、いろいろの法的な疑問点と申しますか、この立法のころにはあったそうでございますが、それをすべて解決しまして、この建築交換の方式は、国有財産法二十八条の定めが特別措置法に特に取り入れられた規定でございます。それで、先ほど先生からお話がございました、建築交換の方式をとっていると、いろいろアンバランスが出てくるじゃないかというふうなことでございますが、それはごもっともでございます。従いまして、私たちは建築交換を実施しまして、たとえば川崎市の入国者収容所に使用しております行政財産を、私たち効用の見合いという言葉で呼んでおりますが、その効用に見合う分においての取得を認めるというような方法で、その適正化をはかっております。
  41. 山内広

    ○山内委員 これは、私も研究課題として、あらためてもう少し研究もさしていただきたいと思います。あなたの方でも、そういうことよりここでは答弁ができないのじゃないかと思うわけです。  話を進めまして、この国有財産審議会の答申を求めなかったということが、法務省側の答弁にあったわけであります。これはその通りであるのかどうか、この審議会に答申を求めなかった理由はどういう理由であるか、また、これからでも諮るつもりであるか、その点を明らかにして下さい。
  42. 細川俊三

    ○細川説明員 この川崎入国者収容所の交換につきまして、国有財産関東地方審議会に諮問したかどうかというお話でございますが、後ほど申し述べます事情によりまして、本件につきましては、国有財産関東地方審議会に諮問はいたしておりません。しかし、この問題で交換の協議を受けましたのは、やはり本年の初めごろでございます。その後、部内で種々検討を加えました結果、最近に至りまして、やはり国有財産審議会に諮問すべきであるという結論に達しまして、現在それは諮問しているという事情でございます。先ほどあとで述べます事情と申し上げましたが、それは、普通財産の一般的な処分でございます。それは、国から売り払いという行為によって一方的に手が離れてしまう、国有財産を売り払ってしまうということは、非常に重要な問題であるということから、各財務局に置きます国有財産地方審議会に諮問いたしまして、それぞれその適正をはかっております。今問題になっておりますいわゆる建築交換の問題ですが、これは、現に行政財産として使用いたしております財産を相手方に払いまして、相手方が、その行政財産として使っております効用の見合いの範囲におきまして、それをすぐに建ててこちらに引き渡すということでございますので、一方的に国が売り払い処分をしてしまって手を放してしまうというのとは違うのじゃないか。すぐ行政財産の見合いの範囲で財産を得るという考え方がございまして、財務局におきましても、こういうものは諮問すべきであるという積極的な指導はいたしておらなかったのであります。ただ、部内で管財行政の問題でいろいろ検討いたしましたとき、たまたまこれが議題になりました。いろいろ考えてみますと、これは国有財産の大きな変動であります。しかも、相手方に売り払うという行為を伴っている。これはやはり普通財産の一般の処分と同じように扱うべきじゃないだろうかということで、議論しました結果、そういう方針に確定いたしました。最近の情勢を申し上げますと、昨年の十一月に開かれました関東財務局の第三十八回の国有財産地方審議会に、新宿区役所を相手方とする件その他二件をやはり建築交換でやりますということで、それぞれ国有財産審議会に諮問いたしました。それからこの二月には、東京都を相手方とする建築交換を国有財産審議会に諮問いたしました。今後この建築交換の取り扱いに関しまして、やはり財産の変動あるいは大きな問題であるということで、すべて国有財産審議会に諮問しようという方針が進んでおります。それから、この国有財産法十四条に基づきます交換の協議というものがございまして、これを交換していいかということは、各省庁から大蔵省の方に参りますが、この承認をする前の段階において審議会にお諮りする、こういう制度にいたしております。従いまして、今の入国者収容所の問題は、審議会に諮問するに際しましては、すでにそういう見解で進んでおりまして、計画承認も六月に出したような事案でございますので、これにつきましては、今のところ、あらためて審議会に諮問いたさないというふうな考え方で進んでおりまして、場合によりましては、管財部長からそういうことを審議会に報告いたさせよう、こういうふうにも考えております。
  43. 山内広

    ○山内委員 この種の建築交換、特に財産が非常に高い、約二億に上る土地ですから、当然審議会の承認を求めるべきだ、私もそう思っておったところが、課長も今の非は非として、今後はそういううふな方針でやる、こういうお話でありますから、一応そのことについては了解いたします。ただ、これは大臣にもお聞き取りいただきたいと思うのですが、地方公共団体とか、そのほか法人の教育関係とか、あるいは体育の方面とか、そういう相手方が公益性を帯びたものであれば、ある程度こういう省略の措置もいいかもしれませんが、何せ予算面で見ても一億八千万円以上の財産を処分するのに審議会を省略したということは、法務省という法を守る立場からすれば、国民の大きな疑惑を招くものです。だから、審議会にその適否の答申を求めて、答申があれば、これは大臣としても荷が軽いのじゃないか。そういう意味で、私は、すでに六月に計画承認は済んでいるというけれども、こういうケースは、もっと大臣の裁量で再検討を加えられた方が、かえってこれは行政上適切な措置ではないか。そのことについては、課長も含みのあるお話もありますので、これはこれで話は終わりたいと思います。  それから、これはもう一つ参考までにお聞きをしておきたいのですが、国会審議をする場合、現在の段階ではまだ何も議題にも供されてもおらぬし、ただ、たまたまこういう問題が出たために、この川崎の残った財産はどうなるかという質問がなされて、初めて出てきて審議の対象になっておるわけです。この建物は、来年の何か夏か秋ごろ完成すると——横浜のですね。そういう御説明もあったので、予算審議としては、それでは三十八年度に国会においては審議をすることになるのかどうなのか。その辺は私よくわからないのですが、どういうことになりましょうか、御説明いただきたい。
  44. 細川俊三

    ○細川説明員 このような大きな財産につきましては、国会の審議を仰ぐために、庁舎特別取得費という項目を設けましてあげております。本件に関しましては、たしか三十六年度の予算に、庁舎特別取得費のワク内でその分をここに割り当てまして、現在契約を進めておりますが、繰越明許を受けて来年度に完成する、私はそのように考えております。
  45. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、これは昭和三十六年度で予算が出て、私三十六年度見ていないのですが、これの財源というものは、やはり形としては一般会計から求められることになるのじゃないか。その川崎化成ですか、その人に現実に売って金を取ったわけじゃないので、これはまあ普通財産に繰り入れてあれしたのですから、もし突かれれば、あなたの方では、これは一般財源に求めておる、こういう答になるのだろうと思うのです。それが間違いがないとすれば、今度は三十七年度はただ設置法だけでもって、ただこれだけの処理で国会が——これはまあ幸い審議の対象になりましたけれども、何にも出てないわけです。ただ、質問者の質疑を通じて出てきた。そうして今度は三十八年度になって相手方が出てくれば、初めて交換分合ということで、金はもらって処理されたようになるのじゃないですか。そういう審議の仕方になると、まことにこれは国の財産の国会審議というものが軽視されるというか、歪曲されるというか、全く審議を尽くされない形、これでは僕はうまくない、こう思うのですが、その点どうですか。
  46. 細川俊三

    ○細川説明員 もう少し敷衍いたしますと、この交換は、片方で売り払いという形式をとりまして、片方におきまして庁舎の購入という形式でございます。今三十六年度の予算におきまして、八億五千万の庁舎等特別取得費という費目が計上されておりまして、これはさきの国会において御承認を得たものでございます。その八億五千万のワク内において、今お話がございました二億近い金で川崎入国者収容所の建物を取得する、こういう方法になっております。
  47. 山内広

    ○山内委員 どうもそうなりますと、ますます私のような新米議員にはわからなくなってくる。普通財産の処分の場合は審議会の承認を得る。ところが、これの場合は建築交換だから、そういうことで審議会の承認は求めなくてもよいのだ、そういうことでこうやってこられて、その辺がどうもわからない。
  48. 細川俊三

    ○細川説明員 私、説明が不足したかと思いまして恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、一方的に手を離してしまって、売り払い処分するという財産と、それからこの財産を売り払って、その見合いに、今使っております財産の見合いの範囲におきまして、新しく行政財産を取得する、これは片一方で売り払いましても、片一で方すぐ取得する、それで、そのような考え方から、財務局に対しましては、国有財産審議会に関する限り、積極的にこれをかけるという指導はいたしておりませんでした。先ほど申し上げましたように、一方では財産を売り払いますが、他方その見返りとして行政財産を取得するから、審議会にお諮りしなかった、こういう見解で進んでおります。
  49. 山内広

    ○山内委員 大臣もお聞きの通り、われわれ、会計というものはその年度年度で区分さるべきものなんで、三年間にわたるものが中断され、どこに出て、どういうふうで建物ができ上がったのか、そうしてまた、国の財産がいつどういう形で売り払われてしまったのか、国会もわからぬような形に残すということは、私は、法のどこに欠点があり、どうやればいいのか技術はわかりませんけれども、やはりこれは明瞭になさるべきものだ、こう思うわけです。  それではもう一つちょっと進みますが、きのうの御説明では、横浜の本牧というところが今の予定だ、これは何か風致都市の指定を受けておるのだ、非常に環境のいいところだ、そこで、それに見合うような設計をしておる。これはそうあるべきだと思うのですが、そういう風致都市というような、何か法的な保護を受けておるところにこういう建物を建てる場合、都市計画審議会というようなものの承認が必要なものかどうか。また、必要なものならば、それが終わっておるのかどうかまた、地方の人の公聴会といったようなものも開く必要があるようにも私は考えられるのですが、そういう手続は必要あるかないか、法的に御説明いただきたい。
  50. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 ただいまの横浜本牧の土地は、風致地区ということをいわれておりまするのは、世俗、通俗的の観念で、付近が非常に景色がよろしいという意味合いのことでございます。しかしながら、住民各位、特に町会長をしております数名の方々、並びに区会、市会、県会の各党各派の方々で、当該土地に関係を持っておられる方のあっせんがございまして、その景色のよい場所に入国者収容所なる建物がきつ然としてそびえることが、三渓園に対し、八聖殿に対する風景のバランス並びに近隣に住宅をかまえて——工場はございません。おる人たちに与える威圧感その他の問題から、慎重に設計その他をやってほしいという要望は再度ございました。また、陳情等のこともございました関係上、この地元の方方の考えておられることを設計並びに運営等において十分考慮しようということを、当初より法務省といたしましては考えまして、数回にわたり折衝をいたしまして、その結果、本年の二月二十四日に相なりまして、市役所関係当局も列席の上に、地元の各種要望と右要望に対して、法務省の建設の面を担当しておりまする経理部が、小生とともに参りまして、十分の打ち合わせをいたしまして、地元各位の円満なる了承を得て、ただいま進んでおるのが現在の状況でございます。
  51. 山内広

    ○山内委員 わざわざおいで願った大蔵省の関係は、それでけっこうでございます。どうぞお引き取りいただきたいと思います。  次に、ちょっと一言大臣お尋ねしておきたいと思うのですが、この川崎は昭和三十一年に設けられた収容所でありまして、これは大臣の御説明の中にあるわけですが、鉄筋コンクリートの建物は非常にいいのだ、しかし、木造の家屋荒廃したものも付属建物としてついておるようでありますが、ただ、移転しなければならぬ第一の理由は、非常に工場が密集して環境が悪くなってきて、非常に健康上よくない、のどを痛める、そういうことが今度新しく横浜を求めた理由説明され、かつ、質疑の中でも、それが詳細に述べられておるわけであります。そこで、私もそのとき意見として申し上げたのですが、それは非常にけっこうなことで、収容者の健康に適さぬところをいいところに行くのですから、そのことはいいけれども、少なくとも大臣の立場で、この収容所一カ所だけを移して、あとに残る働く住民や労働者や、これから埋め立てがどんどんできまして、働く人もどんどんふえていくわけです、そういうことについて大臣はどうお考えになるのか。この点、自分の所管するものだけを移してしまえばいい、これは、個人の会社とか商店なら考えられますけれども、大臣として、この環境がそれほど変わってきて、人間の住むに不適なところをどういうふうにお考えになったか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。
  52. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 本件の問題につきましては、すでに御説明申し上げた通り、それが一つの大きな理由になっておることは、御指摘の通りであります。しかしながら、そうした事情にあるような地区をどうすればいいかということにつきましては、法務大臣としてお答えするのはいかがかと思いますが、国務大臣の一人として考えますれば、当然これは建設省の都市局等におきまして、そうした地区の改善ということで十分意を用いるのが筋ではあるまいか、かように考える次第であります。
  53. 山内広

    ○山内委員 どうも所管の大臣でないということで、少し冷淡なようなお考えを受け取って残念に思いますけれども、これは議論をいたしますと時間がなくなりますので、それはそれとして端折ります。  次に、お尋ねしたいことは、定員の問題なんですが、これは石山委員からもかなり詳しく御質問もありましたけれども、若干お尋ねしておきたいと思います。  今度は本省において三百二十九名の増員、それから百四名の定員化をはかった、こういうことで、公安調査庁は百四名の増員になる。この百四名の中には、定員外職員の定員化をはかった者が一名もいないのか、その点とあわせて、本省全部でまだ定員化されない者がどれくらい残るか、この点をお伺いしたい。
  54. 神谷尚男

    ○神谷説明員 この百四名の中に一名定員化の職員が含まれております。
  55. 山内広

    ○山内委員 職種は何ですか。
  56. 神谷尚男

    ○神谷説明員 電話の交換手でございます。
  57. 山内広

    ○山内委員 これであと定員化されない臨時の職員は何名残りますか。
  58. 神谷尚男

    ○神谷説明員 十名でございます。
  59. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、百三名公安調査庁に増員される人は、全部新規採用で、純然たる定員増になるわけですね。そう考えてよろしいのですか。
  60. 神谷尚男

    ○神谷説明員 その通りでございます。
  61. 山内広

    ○山内委員 配付を受けました資料によりますと、現在調査官は千二百六十八名ですか、ちょっと数字がよく見えませんが、百三名といいますと、一割近い増員になる。これはちょっと説明が長くなるかもしれませんが、御承知通り、今回臨時行政調査会が設けられまして、できればその答申を待つということで、行管の方では極力増員を押えておるはずで、この抵抗を破ってこれだけの増員をあなたの方で実現した、このことは、私非常に重視しておるわけです。ということは、前に川島長官もここで説明されておるのですが、今回御承知通り、各省から全部増員計画が出ております。そして、ほとんどが臨時職員の定員化ということで、純然たる増ということはほとんど認めておらないのであります。文部省のように、高専ができて新たに学校がふえる場合の先生というような特殊なものは別です。それは川島長官の非常な努力と力量によって極力押えて、そして現員で仕事を見て、あとは臨時行政調査会の結論に従って、行政をいろいろ考えていきたいということです。なぜあなたの方の機関が、どんな説得力を用いて、実質的に一割に近い純増を実現したか、これは提案理由説明を見ましても得心がいかないのです。たとえば登記事務が増加したとか、交通事故がふえているからそれに対処するのだ、これだけでは、どうも行管長官の説明と食い違ってしまって、また長官がここへ来たときに、 なたの方の増員だけなぜこんなにたくさん認めたのか、法務省関係の増員はどうしたのだという追及は当然出てくるわけです。時間がありませんから、公安調査庁関係だけでけっこうですが、具体的にもう少しこの増員の必要な理由を御説明いただきたいと思います。
  62. 関之

    ○関(之)政府委員 お答えいたします。  必要の理由は、ごく要点を申し上げてみますると、極左、極右の動向の現情勢に対処して、それに備うる必要上、この程度の増員が必要だ、こういうふうに一言で申し上げると相なるのであります。その理由をかみ砕いてもう少し申し上げますると、極右の方が、浅沼委員長の不幸な事件以来、昨年の暮れの三無事件その他の傾向の示すごとく、やや憂うべき傾向に立ち至ったことは、御承知通りであります。このことは、一昨日も石山委員から御質問のあった通り、私は、どうも事態としてはなかなかむずかしい問題に相なってきた、こう観察をいたすのであります。なぜこのような問題が生じてくるか、こういうことに相なりますと、結局極左との関係、極右の方々の言うことが、要するに極左勢力の侵攻に対抗する、こういうことを主張しておりますが、しからば、左の方はどうなったかと申しますと、最近までの二年間に、日本共産党は四万から八万に増加いたしました。さらに、その勢いをかりまして今後の二年間に、全国のどこどこの計画するものを全部集計して私どもが考えてみますと、三十七万人に伸ばす、こういうふうにいたしておるわけであります。そういたしますと、その勢力の増長というもの、なお、そのほかの各種の外郭的な諸団体に対する増強も、たとえば民主主義青年同盟というものの育成強化という点も強力にやっておりまして、その数は三十万というふうに目標を立てておるわけであります。それらの一連の事態を見ますと、どうも左の方の事態、さらにまた右の方の事態、そういうものを考えてみまして、実は昨年も一昨年も、大体そんな見通しを立てまして増員をお願いいたしたのでありますが、いろいろな関係で御理解が得られなくて、年末の私どものお願いするこの人の問題をどうしても解決いただかなければ、職責において十分なこともできない、こう申し上げて参ったのであります。  さて、手持ちの現在の状況はどの程度かと申しますと、現在千七百十名ということに相なっておるわけであります。当初スタートいたしましたのがたしか千七百二名でありまして、行政整理とかあるいは定数外の定員化とかいろいろなことがありまして、若干その程度に伸びたのでありまして、現状は、昭和二十七年のスタートのときと大差なしというような状況に相なっておるわけであります。小さいところの府県におきましては、せいぜい十人の者が調査に従事しておる。その中には局長あり、両課長あり、あるいはタイピストありというような状況で、ほんとうに調査に従事する者は、お考えいただく通り、きわめて少数なものに限定されるわけであります。このような組織をもってはとうていできない、特に申し上げましたような左右の動向に対処してはむずかしい、こう言って一、二年前から極力お願いし、そしてようやく本年度において、われわれの数年来の以上の理由の申し開きがお認めいただいて、これだけの増員をいただいた、こういう次第に相なるのであります。
  63. 山内広

    ○山内委員 今の御説明でも、実は私まだしっくりいかないところがあります。業務量に比例して定量がふえるということになれば、これはもう各省とも事情が実は同じなんで、決して公安調査庁だけではないと私は思う。まだ極端なところがたくさんあります。しかし、それは先般石山議員もいろいろ意見を述べられ、あなた方の方から御答弁もあって、これは今ここでいろいろ言うことは避けたいと思います。ただ、時間がないので明らかにできませんけれども、最近やはり公安調査庁の仕事が、熱心なあまりか、だいぶ人権侵害の事実もあるわけです。岡山だったと思いますが、最近ではちょっと古くなりましたが、あそこでも事件が起きておる。労働組合にどんどん入ってくるとか、いろいろ行き過ぎもあるわけです。そういうことで、私どもは、こういう増員がはたして妥当なものであるかどうか。また、それから仕事がどんどん伸びていけば、ますます増員も必要になってくる。その限界はどの辺に置くべきかという一応のめどを立てませんと、仕事が多い、多いということで無限に増員に応ずるわけにもいかない。よその官庁では、大てい、いろいろな業務の内容を知らせる白書とか、あるいは月報、月刊のいろいろなものを送ってくれるわけです。しかし、私ども不幸にして、法務委員会の方には配られているかもわかりませんけれども、まだ実は一度も公安調査庁はどういう仕事をしておられるのか——見るのは、あなた方の攻撃の材料ばかりいろいろな総合雑誌なんかで見ておる。そういうことで、PRの点も非常に足りないし、また、国民に故意に目をふさいでいるような印象も受けるわけです。そういうことで、法務大臣に最後にこれだけお聞きして、質問を終わりますけれども、一体公安調査庁の将来の拡充といいますか、こういうものをどの辺に限界を置いてお考えになっておるのか、むずかしい問題だとは思いますけれども、こういう行政の改革を目前に控え、むしろいろいろ整理を意図しているときに、どんどんあなたの方の公安調査庁の職員だけふえていく、このことに対しての御見解を聞いておきたいと思います。
  64. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 いろいろ政府委員あるいは事務当局から御説明申し上げたと存じますが、この問題につきましては、私が川島行政管理庁長官といろいろ御折衝する際に用いました説明の仕方は、一つはこういう点にあったのでございます。予算の上ではなるほど純増の定員のように見えます。また、予算の編成からいくとそうなるのでありますが、しかし、実際問題から考えますと、そのうちの全部とは申せませんが、相当部分の人たちは、現在嘱託といいますか、そういうような格好で、事実上調査事務に協力をさせるという場合があり得るのであります。そういう者がありますので、そうした人たちがだんだんと仕事をやっていきます場合に、部内の事務の進行ぶりからいいましても、正式の職員の方が、事務能率も上がるし、また、調べをする場合も都合のいい場合が出てくるというようなことから、そのうちの若干数というものは、やはり現在おる人たちからいわゆる新しく職員になる。だから、予算的には新しい職員増の格好になる。それでは、それに対応するところのそれは、今まで何の経費でやっていたかといえば、これは結局調査活動費の中を割いて、人件費的に使っておるわけであります。そうしますと、それだけ調査活動費に欠陥が起きまして、いろいろ調査をしたり、あるいは資料を収集したりという場合に、それの調査活動費をふやしてもらいたいという要望が、猛烈なものがつとにあるわけであります。そこで、そういう部分は、今までそういう人たちに充てておった経費を、新規に認めてもらったその人の費用で充てて、それに対応するものは、若干それだけは調査活動費の充実に資することができる、こういう建前で考えておるわけであります。  それで、なお、今回の問題につきまして、一般的に公務員の定員増加を極力避けたいという方針をとっておりましたが、先ほど来あるいは先日来も事務当局が申し上げておるような理由もございますし、あるいはまた、当局説明の中で一番私も痛切に必要があるということを感じましたのは、この公安調査庁の発足当時の定員と今回がようやく同じくらいになれる程度で、途中で大きな行政整理も食いまして、そのために非常に事務上支障を来たしておった。ところが一方、あの当時と今日と比べますと、右翼の台頭もはなはだしいものがある。これについてももっと十分厳重な調査をすべきじゃないかという世論もございますし、また、われわれも不十分な点も認めざるを得ない点がございます。そうした点で、なお陣容の強化をはかる必要もあるというようなことから、今回のような措置に出ましたので、もちろん欲を申せば、もっとほしかったとも言えますし、将来もまたふやそうというような気持もおそらく事務当局では持ちましょうが、私としては、この際これだけの苦しい中から定員を閣議に認めてもらい、皆様方にもお願いしておるので、これで当分の間は一つ十分始末をしてやっていくべきじゃなかろうか、かように考えている次第でございます。
  65. 山内広

    ○山内委員 当分の間これでやるというのですから、それは信頼しますが、ただいまの大臣の答弁の中で、非常に重大な御答弁があった。というのは、この前事務当局に答弁を求めたら、この百三名は純増である。ところが大臣は、そうではないのだ、情報調査費から今まで使っていたものを繰り入れることが便利だから、実質的な純増でないという御答弁。だから、私は、前に、定員外の処置している者を何名入れたのかということをお伺いしたのはそれなんです。先ほども私説明しましたけれども、定員外の職員を定員化せいというのは、国会の意思なんです。決定しておるのです。そして、これが今一番予算の取りやすい方法なんです。これは実際は情報調査費で使っている。臨時職員というものはみんなそうです。事業費にくっついて、事業費を食っている。そういうことはよくないから、定員に入れろというのが私どもの主張ですけれども、定員外職員を定員化するということは、もうどこでも反対がない。いかに川島さんががんばっても、お手元の北海道開発庁では今までたくさんの定員外の職員を持っているから、たくさんの増員をやっております。そうしますと、今私のお聞きしたいことは、業務量でとったのではなくして、定員外職員を定員化するとごまかしてとったというよりほか解釈できない。これは問題です。もう少し私にも検討させていただきたいと思います。
  66. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ちょっと関連して。今山内さんに定員外の職員という言い方で説明をなすったのですが、公安調査庁では、この定員外の、いわゆる調査活動費で臨時的に調査を依頼したり、あるいは一定の期間調査をやらせたりするような形の職員が非常に多いのじゃないか、職員というよりは、そういう関係が、非常に他の官庁に比べて多いのじゃないか、こう私たちは思うわけです。しかも、その調査を依頼されたいわゆる定員でない者、これが非常にスパイ的なことをやる、職員でないだけに、かなり露骨なことをやるわけです。僕らもその被害を受けている一人です。そういう意味で、ぜひ一つこの法案の審議の資料として、一年間に公安調査庁が何人の人に調査を依頼したのか、あるいは大臣のおっしゃるように、嘱託のような形で何人の人に情報の提供費を提供したのか、そしてそのトータルは幾らか、そういうことをぜひ一つ資料として出していただきたい。そういうものを見た上で、僕らはこの法案の——おっしゃるように定員外の人間を定員に繰り入れたのか、あるいは事務当局のおっしゃるように純増なのか、そういうことを判断ていきたい、そういう資料の提出をお願いしたい。
  67. 山内広

    ○山内委員 時間もだいぶ迫っておりますし、まだ問題もありますけれども、また、飛鳥田氏から資料の提出を求めておりますので、きょうはこれで終わりたいと思います。
  68. 中島茂喜

  69. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 時間がありませんから、横浜の出入国管理事務所の問題は山内さんからお話がありましたから除いて、再び繰り返しません。ただ、一つ大蔵省の方に残っていただいたのは、僕は予算のことはほとんどよくわかりませんが、少なくとも予算というものに現われている以上は、それにもっと忠実な方法をとるべきであって、予算にこう現われてはいるけれども、実はこういう意味だから、これはいいのだというような処理の仕方は、僕は許されないのじゃないかと思うわけです。すると、予算として売り渡し、買い受け、こういう形になっており、しかも、それが足かけ三年にわたって流れている以上、その場合に、審議会などというものを除いてしまうという理由はないように思うのですが、どうもその辺がはっきりしない。だから、そういう点でよく私にもわかるように説明をしていただきたいと思います。
  70. 細川俊三

    ○細川説明員 先生から今お尋ねのありましたこと、先ほど来申し上げましたように、建築交換の問題に関しましても、やはり国有財産の処分という観点から、今後国有財産審議会に諮問いたしまして、その完璧を期したいと思います。
  71. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そうすると、今後ということでいいんでしょうか。私はそうすべきじないかと思うのですが、法案ができちゃっておるから仕方がないというような便宜主義で一体いいかどうか。できればそういう正しい方向をとっていただく、ほかのお役所ならいざ知らず、法務省ですから、法務省が便宜主義を発揮して、法律の精神を踏みにじったのでは済まないように思うのですが、どうなんでしょうか。
  72. 細川俊三

    ○細川説明員 先生から今お話のありましたのは、これは三十六年度の予算できめまして、三十六年の七月ごろに計画承認をいたしております。先ほど来申し上げましたように、建築交換を実施します場合は、国有財産法十四条に基づきます表示がありましたときに、こちらが承認を与えます前に、こういう点について交換していいかどうかということを、国有財産審議会に諮問いたしたい、こういうふうに考えております。国有財産審議会に諮問する事項は、財務局長判断いたしまして、これはいい、これは悪い、これはかけなくていいという判断をすることになっております。先ほど来私が申し上げましたように、これにつきまして積極的にかけるというような指導が今までなされていなかったということで、審議会にかけずにこちらが計画承認を実施したのでありますが、今後の問題は、計画承認がある前に審議会に諮問いたしたい。それからこのような案件につきましては、今までの審議の形態から、事前に承認を与えています。これもその当時の事情におきましてはやむを得なかった、こう考えておるのでございます。従いまして、やり直すというふうなことはできないのでございます。
  73. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 違法ではないけれども、少なくとも妥当ではない。しかし、もうすでに一ぺんやっちゃっておるからやむを得ないんだ、こういうお説だろうと思います。  そこで、問題を違えまして、出入国管理事務所の問題で、一つだけ日ごろ疑問に思っておりますことを教えていただきたいのです。立川に出張所があります。この立川では、実際米軍の軍人だけではなしに、米軍軍用機あるいはキャット、こういうもので第三国人が入ってきております。これはだれも否定はしていないと思います。その方方は軍人の場合もありますし、あるいはまた一般の人である場合もあります。こういうものを一体どういうふうに扱っていらっしゃるのか、一つ教えていただきたいと思います。
  74. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 ただいま立川の空軍司令部が使用しております飛行場に、地位協定関係者以外の出入国者はいかがであるかということと推察いたしますが、現実にその種の人間が出入りすることがございます。これに対しましては、一切のその種の人間は、当該立川事務所におきまして上陸の審査をいたし、出入国させる者を規制しております。この点につきましては、ただいまのところ、米側も十分に協力もしておりますので、先年来一、二問題はございました。つまり、入国管理事務所立川出張所が知らないうちに出たり入ったりするものもございましたが、現在はその種のものがないように、米軍側も協力して、憲兵隊からすぐ通知がございますので、わが方は税関、検疫ともにこれを実施しておるというのが現状でございます。
  75. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そうすると、一切の書類は残っておるわけですね。
  76. 高瀬侍郎

    高瀬政府委員 残っております。
  77. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 けっこうです。
  78. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 ちょっと先ほどの私の言葉が不十分あるいは私の知識が十分でなかったために、誤解をお与えしたかと思いますが、実はあの百四名のうち、予算的に所要人件費を百三名の予算定員をもらったわけです。そのうち、純然たる組みかえは百四名のうちの一人、百三名のうちで、十六名は、公安調査庁の新しい庁舎ができまして、今まで宿借りをしておったり何かしたのが、そのための守衛の増加が十六名でございます。それからその次に二十名の人があるのですが、これは、私の説明が今やや間違ったか、あるいは不完全だったかと思いますが、外国語の翻訳等をいたしますために、翻訳職ともいうべきものを事実上調査活動費で使っておるのであります。それは、私も前からその人数が二十人ということをはっきり知らなかったものですから、若干と、こう申し上げたのでありますが、今聞いてみますと、二十名だそうです。その二十名の者は 従来ほかの役所ならば、たとえば外務省ならば、翻訳官と当然言えるポストの人たちなんです。そういう人たちがありますので、それを一つはっきりと定員に認めてもらって、そして調査活動費の少しでも完全なる活用をしたいということが目的でございます。従って、十六名に二十名ですから三十六名、三十七名、その程度が、やや今言ったいわゆるほかの役所におけるような、定員外の職員を定員化したという格好になる数字なのでございます。  なお、それからもう一つ、時間をとりまして恐縮ですが、この川崎収容所の交換問題につきまして、何か法務省が脱法的な行為をやっておるような御批判もございましたけれども、決してそうではないのでございまして、この制度は、先ほども大蔵省の課長から説明しましたように、従来国有財産の法律上はっきりしてないものを、こういう場合は許すことにしようじゃないかというので、先年あの改正が行なわれたのであります。そしてその改正の趣旨にのっとって、各省がそれぞれ当該年度に直ちに予算が必要なものは予算に計上して、国会の御審議を仰いでおります。それから数年にわたるものは予算外契約をお願いしまして、やはり御審議の機会を作ってあるわけなんです。ただ、今回の問題で私もどうかと思いましたのは、大蔵省でいろいろ内部の取扱いが、新しい制度でございますから、必ずしも一定しておらなくて、ある場合には審議会にかけ、ある場合にはかけない場合もあったやのことが、私も初めて知りました。実は私もこれに類することを同じくお世話したことがありますが、その場合なんか必ずちゃんと審議会にかかっております。たまたまこの問題はかかっておらなかったようでありますが、これは制度が新しいので、運用の上で十分に完全化しておらなかったということと思います。従いまして、法務省といたしましては、その法律に従い、しかも、常に交換の場合におきましては、大蔵省のいわゆる国庫大臣、管財大臣に協議をいたしまして、そして一つ承認を仰いで進めておりますから、脱法で適当に便宜的にやっておるのだという御批判は、一つもらい下げにしていただきたいものだ、こう思います。
  79. 中島茂喜

    中島委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  80. 中島茂喜

    中島委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許します。山内広君。
  81. 山内広

    ○山内委員 法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、社会党を代表いたしまして、反対の意思表示を申し上げたいと思います。  二点につきまして、いろいろな論議を通じまして、この行政財産である川崎の収容所が、大蔵当局も認めてい通りに、不正なものではない、不法ではないけれども、妥当性を欠いている、今度の措置については手落ちがあったということを認められてい通りであります。この点が反対の第一点であります。  それから、こういう建築交換に関係いたしまして、二億近い国の財産が、国会の審議が十分に尽くされない形において処理されている。この点が反対の第二であります。  それから第三点は、横浜に新築を予定されておりますこの風致地区については、一部誘致反対の地元の運動もあるように聞いております。これらの反対の方々の得心のいくような十分な努力がまだまだ払われていない。こういう点において反対をいたすものであります。  それからまた、公安調査庁に対して百四名の定員増がありますが、この定員増は、実は行政管理庁から出されておる資料によりますと、全部定員外の職員を定員化するということで、実はとっておるのであります。しかし、これは純然たる増員でありまして、そういう点において、まだまだ公安調査庁のいろいろな定員内の職員の活動についても、われわれは検討する必要がある、こう考えておるわけであります。  こういう諸点をあげまして、私どもは、まだ審議も十分でもありませんし、できればこれは政府において撤回し、あらためて提案していただきたいと思うのであります。その時期もありませんので、私どもはこの法案に賛成するわけには参りません。  反対の意思を明らかにいたしたわけであります。(拍手)
  82. 中島茂喜

    中島委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  83. 中島茂喜

    中島委員長 起立多数。よって、本案は可決いたしました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議」なしと呼ぶ者あり〕
  84. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は、明十六日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとしこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会