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1961-07-01 第38回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年七月一日(土曜日)    午前十時三十五分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員藤田進君辞任につき、その補 欠として大河原一次君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     藤野 繁雄君    理事            秋山俊一郎君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            河野 謙三君            重政 庸徳君            田中 啓一君            高橋  衞君            仲原 善一君            堀本 宜実君            阿部 竹松君            大河原一次君            亀田 得治君            安田 敏雄君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 周東 英雄君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    外務省アメリカ    局中南米課事務    官       奈良 賀男君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省農地局農    地課長     山路  修君    食糧庁長庁   須賀 賢二君    水産庁漁政部長 林田悠紀夫君    通商産業省企業    局次長     伊藤 三郎君    運輸省海運局海    務課長     鎌瀬 正己君    海上保安庁警備    救難部長    樋野 忠樹君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件農林水産政策に関する調査  (船舶廃油による漁業被害に関す  る件及び伊勢湾周辺水質汚濁によ  る漁業被害に関する件)  (香川県下における小作料問題等に  関する件)  (昭和三十六年産米麦価等に関する  件)  (昭和三十六年産なたねの基準価格  に関する件)   ―――――――――――――
  2. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  船舶廃油による漁業被害に関する件及び伊勢湾周辺水質汚濁による漁業被害に関する件を一括議題といたします。両件について質疑の要求があります。御発言を願います。なお、本件について政府からの出席は、ただいまは水産庁から漁政部長漁業振興課長経済企画庁から水質保全課長外務省からはアメリカ局中南米課専務官海上保安庁警備救難部長、それから運輸省海運局海務課長海運局参事官等であります。通産省から企業局次長が見えております。
  3. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題になりました船舶廃油の問題、さらに伊勢湾周辺水質汚濁に関する問題につきましては、この委員会でもう再三再四取り上げて論議をしたところであります。そのつど関係政府当局におきましては、いずれもすみやかに善処したい、あるいは調査をしてこの委員会にその状況報告するというような発言がなされておりますにかかわらず、今もってこれらの問題の解決は遅々として進行いたしておりません。状況の中間的の報告等もほとんどなされておらないという状況でありまして、まことに遺憾に思うのであります。  そこで第一にお伺いいたしたいことは、船舶廃油に関する問題でありますが、近ごろだんだん貿易の伸展なり、経済高度成長に関連いたしまして、貨物の輸送が非常に増加いたしております。従って船舶港湾に対する出入も漸次その数を増してきている。そのために船舶からの廃油による被害が日とともに激増いたしております状況であります。特に海外からの船の入港なり、出港が非常に多くなるというようなために、大型の外航船舶等から生ずる被害がその中でも非常に大きな部分を占めてきていると思うわけであります。これらの問題に対しまして、沿岸における特に零細漁民のこうむっている被害というものは、きわめて金額的にもその数がふえているわけでありまして、これらの問題はすみやかに解決してやらなければ漸次漁場が縮小されて参りまして、生活が困難に追い込まれている漁民のために一日も遷延を許しません。ここに重大な問題があろうと思う。国内船でありますれば国内問題として解決の道がそんなにむずかしくなく進行するかと思いますが、この海外船舶になりますというと、非常に解決めんどうでもあろうと思いますし、あるいは船の出入がひんぱんでありまするために、その加害者が、廃油を流した船がどこの国籍の船であるか、あるいはその所有者がだれであるかというようなことを明確に判断するということもむずかしい場合が多いと思うんです。これらの問題について、まず最初に抽象的にお伺いいたしたいことは、どこでそういうような取り締まりをなさっているのか、おそらく海上保安庁なりあるいは港湾管理いたしております管理組合なりというようなところではなかろうかと思いますが、問題はちっとも解決しないということから、最初に一体そういう問題の取り締まりはどういうところで、どういう機構でおやりになっておるのかということをお伺いをいたしたいと思います。
  4. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この問題につきましては、水産庁といたしましては被害者の方を管轄しておる立場にございまして、日本漁業特殊事情といたしまして、沿岸漁業が非常なウエートを占めておりまして、特にノリとかカキとか真珠とかそういうふうな沿岸水産物が油の被害その他いろいろな工場被害を受けておる次第でございまして、まことに遺憾に存じておる次第でございます。それで常に被作者の立場といたしまして、被害者をいかにして救済していくか、あるいはそれを予防していくかということを考えておる次第でございまして、この港湾におきまする管理につきましては、港則法というような法律もございまするし、海上保安庁とか運輸省の一応の監督にあるんじゃないかというふうに私どもの方では考えておる次第でございます。
  5. 森八三一

    ○森八三一君 海上保安庁なり運輸省からの係官が御出席という御報告がございましたので、まず最初に私がお伺いいたしましたのは、水産庁はこれは被害を受ける立場に立っていろいろ対策を立てられる立場と思います。今、漁政部長お話通りと思いますが、そういうような船舶出入に伴う廃油流出、それが被害を及ぼしておるんですから、そういう問題の取り締まりは一体どこでやっておるのかということをお尋ねしておるんです。関係の各行からお越し願っておるんですから、それは私の方でやっておるというお答えがなければならぬと思うんです。どこなんですか、一体。
  6. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 海上保安庁は立法の当事者ではございませんですが、港則法によりますと、港則法の二十四条に、港内または港の境界外一万メートル以内においては廃油その他を捨ててはならないというのがありまして、それによって取り締まりをやっておるわけでございます。実情を申し上げますと、私どものそれぞれの大きな港には港内艇がございまして、その港内艇でそれぞれ巡視しておるわけでございます。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、船の出入りに伴って廃液が流れるということの取り締まりというものは海上保安庁の方で巡視艇等をお持ちになりまして、それで目の届く限りあなたの方で一応の取り締まり監督をなすっておるということでございますれば、そういうような監督の、あるいは取り締まりの結果として、被害が発生したという場合にはその被害をどこへ連絡して、どこでその解決策をとらせるかということにならなければならぬと思うんです。ただ問題が発生したということをつかまえただけでは問題の解決にはならぬので、その発生した被害というものを解決しなけりゃならぬ。解決するには、これは海上保安庁では解決はできぬと思うんです。それについてはあなたの方は取り締まりをやっていらっしゃるのですから、問題が発生した場合にはすみやかにその実態というものを調査をして、被害者が判明する、あるいは判明いたしませんでもその状況というものはどこかに御連絡なさらなければならぬと思うんです。どこにどういうふうに御連絡なさるんですか。
  8. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 私ども港内艇が巡視しておりますときにみずから発見したもの、あるいはまたよそからの情報によります、漁業組合あるいはそれぞれの工場等からもございますが連絡がございますと、直ちに港湾管理者及び県の水産課またはほかの関係漁業組合にもそういう被害があるということを連絡をとっておる次第でございます。
  9. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、海上保安庁現地取り締まりなり、あるいはその他によりまして発見せられた被害状況あるいはその加害者というものについて、調査の結果判明した部分というものはそれぞれの官庁なり関係団体に対して通報せられるということになりますといたしますると、通報を接受いたしましたそれぞれの官庁におきましては、あるいは団体におきましては、それに対する解決対策というものが当然とり進められていかなければならぬと思うんです。そこで具体的にお伺いいたしまするが、これもこの前も委員会ですでに問題にいたしまして、その解決策について善処を求めてある案件であります。昭和三十五年の十一月二十七日に名古廃港に入港して昭和三十五年の十二月十六日に港を出て参りましたアトランチックスターリン号ですか、この船の廃油流出に伴う被害総額漁業関係だけで五億八千五百万円、おおむね六億に達しておるという話を聞いておるのであります。これは加害をいたしました船籍もわかっておる。加害の船の所有者もわかっております。そうして今申し上げましたように、きわめて甚大な被害見込み額というものをも詳細に調査が完了しておる。このことについて海上保安庁は、お話のありましたように関係官庁報告されておると思う。これに対して関係官庁として、今日までどういうような取り扱いをなすったか、その具体的な事例一つ――ずっと掘り下げて参りますれば、あとのさまざまの問題も、これを一つのモデルとして解決されていくべき方向が見つかりまするしいたしますので、具体的な事例一つつかまえて、これでお尋ねいたしたいと思うのですが、海上保安庁はこの問題をどこへ御連絡したのですか。
  10. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 私どもはその場所の全部につきまして、いろいろ報告がございました。たとえば本件につきましては、尾張の水産試験場分場からの連絡がございまして、その分場の方からそれぞれの状況水産庁の方に連結がいっておると思うのでございます。港湾管理者には直接に名古屋海上保安部から、私どもの方からといたしましては、本庁がそれぞれ事件がございますれば電話連絡関係の向きに、正式の文書ではございませんが、そういう事実があったことを、それぞれ連絡しておるわけでございます。
  11. 森八三一

    ○森八三一君 この案件外航船舶ですから、おそらく外交上の折衝が必要になってくると思う。自然水産庁海上保安庁からの報告あるいは関係被害組合あるいは県等からの報告によりまして、それぞれ対策を進めるということになっておると思いますし、おのずから、申し上げまするように外交上の問題に関連すると思いますが、外務当局の方に水産庁から御連絡なさってありますか、どうか。
  12. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 水産庁といたしましては、現地漁業協同組合の方から陳情を受けまして、外務省の方の、ちょっと課の名前は覚えておりませんが、南米関係の方を担当しておられるところへこういう問題があるということで、どういうふうにしたらいいものであるかということをお願いをしたような次第でございます。
  13. 森八三一

    ○森八三一君 そのことを折衝された外務省は、一体どういう手続をお踏みになっておりますか。その手続なり、あるいは折衝状況なり具体的にお伺いをいたします。
  14. 奈良賀男

    説明員奈良賀男君) 水産庁の方から四日ほど前に連絡がございましてお話をお伺いしたのでございますが、まだ本件外交交渉のところまで煮詰まっておらないような印象でございまして、条約局その他ともいろいろ協議をしておりますが、口頭の連絡の段階でございますし、一応もう少し詳しい書類でもいただきたいということで検討中でございます。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話だと、去年の十一月に発生した案件が四日ほど前に水産庁から外務省にいった。水産庁ではどういうことですか。この前も、今年の一月の委員会でも問題にしたことなんで、私どものようなしろうとでも今申し上げましたような被害の総金額までおおむね見当がついておるという案件について、四日ほど前にどうしたらいいかというような折衝関係当局に行なわれておるというのじゃこれは問題にならぬと思うのですね。
  16. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 実はこの問題は相当複雑な問題でございまして、船の所有者アメリカ人でございまして、船をチャーターしておる者はフィリピン人で、船長コロンビア人というように相当複雑なケースでございます。それから、その被害が、その船の廃油によってあったのかどうかということがやはり問題でございまして、この件については海上保安庁の方で港則法を適用されて取り調べが行なわれておるようなわけで、油の分析とかそういうふうなことも行なわれておるような次第でございます。それで、港則法によりまして、船長責任あるいはチャーターしておる国の責任が問われるわけでございまするが、そういうふうな油と被害との因果関係を明確にするようにということがまず必要でございまして、そういう点で相当手間取っておるような次第でございます。  それからまた、その法的な考え方につきましても、港則法によりまして船長を処罰するといたしましても、その船はそういう事件が起きましてからしばらくして出航して、ほかの港を、外国の方を回っておるというような状況でございまして、裁判を提起するという場合には、名古屋の地裁の方へ提起するというふうなことになるだろうと存じておるのでございまするが、そういうふうなことで、いろいろそういうことを調査いたしましたり、また船長を罰するということだけでは、これは漁業者にとっては何ら意味がない次第でございまして、やはりそれの損害賠償不法行為によって取るということが必要でございまするし、そういうふうな点につきましても、どういうふうにやるべきかというようなことを法務省の方と相談いたしましたりしまして、外務省へ直ちに報告するのはおくれたわけですが、係官の方では何か外務省の方とどういうふうにしたらいいものかということにつきましては相談申し上げたりして、いろいろこの対策については苦慮をいたしておるような次第でございます。
  17. 森八三一

    ○森八三一君 今お話のように、実際問題として加害者が判明いたしましても、その船が外国船であるというようなこと、あるいは裁判をやりまして責任者がはっきりいたしました場合といたしましても、それが経済的に力を持っておらぬというような船長等の場合には、これはもう事実上経済的な損害というものを補てんしていただくということにはなりかねる。理屈の上ではわかっておっても、実際上の解決にはならないというふうなきわめて複雑、デリケートな問題が多いと思うのです。それでは沿岸における零細な漁民はだんだんと漁場が狭められていく。魚族も減ってくる。さらに関係漁民の数はふえるということで、非常に生活が困難になっておるときに、損害受けっぱなしということになるという危険が多分にあると思うのです。ですから、そういう問題に対処する何らかの具体的な対案がなければならぬと思うのです。その場合に、港湾につきましては、私よくわかりませんが、いずれ港湾管理しておる管理組合等があろうと思うのですね。そういうような港湾内の水域を利用する場合には、関係零細漁民は、その水域を使用さしていただくために、いろいろの使用料のようなものを支払って権利を取得してやっておると思うのです。だとすれば、そういうようなことに関する解決は、管理をしておる者と加害者との関係に移して、漁民被害との関係は、その管理責任者の間において国内的に解決するというような対案でも作ってやらないと、これは零細漁民は死んでしまうようなことになると思うのですね。そういうことは法的にできるのか、できぬのか。できるような気もするし、非常にむずかしいとも思いますが、そういう関係は、これは港湾のことにつきましては運輸省と思いますが、どうなんですか。私が今申し上げるようにはならぬですか。
  18. 鎌瀬正己

    説明員鎌瀬正己君) ただいまの問題につきましてお答え申し上げます。損害が起こりました場合に、加害者被害者との関係を、被害者港湾管理者関係にかえる法律制度が適当ではないかという御質問の要旨だと思いますが、この問題につきましては、おそらく水産庁で御研究なさる問題じゃないかと思うのですが、港湾管理者の方につきましては、運輸省港湾局研究いたしておりますので、港湾局の方から答弁するように連絡申し上げたいと思います。
  19. 森八三一

    ○森八三一君 委員長、きょうは港湾局は来てないですか。
  20. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 見えておりません。
  21. 森八三一

    ○森八三一君 全私申し上げましたように、船籍外国船であり、所有者外国人であるという場合には、解決は私はむずかしいと思うのです。だが、むずかしいから漁民は泣き浸入りせいということではこの解決にならぬと思う。それで今私のしろうと考えを申し上げたんですが、そういう理屈もあると思うのですね。それによって管理組合等相当経済的の負担をしなければならぬということでありますれば、港に出入りしまする船から何か港湾使用料等を取ると思いますから、そういうときにそういうものをプール的に徴収をしておいて、被害漁民には責任を負って直ちに解決する、こういう道が私はあり得るのではないかというように思うのですがね。漁政部長どうなんですか。そういうことはお考えになりませんですか。
  22. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) そういうような場合におきましては、やはり何か特別の制度がないとできないのじゃないかというふうに考えられます。たとえば港湾外国船に、あるいはその他の日本船でもございまするが、そういうふうに利用さしたものから一定の金額を徴収しまして、あるいは今度は港湾受益者の力からも徴収して何か保険制度のようなものを設けまして、そういうふうな損害があったような場合に支出するとか、何か新しい制度がないと今の制度ではそれは困難じゃないかというふうに考えます。それから私たちの漁業被害を受ける側といたしましては、漁業共済保険制度を設けておりまして、この組合の中でも二組合共済保険に加入しておるわけなんでございまするが、その損害共済保険の加入のときの条件の損害のところまで該当しておりませんので、保険金は支出されていないわけなんですが、やはり今後におきましては、そういう保険制度を発達させまして、こういう被害が出た場合に、それを何とか補っていくというようなことを考えたい、かように考えております。
  23. 森八三一

    ○森八三一君 後段の方でお話のございました保険制度が現にあるんですから、そういうものの適用範囲を拡大するとか、いろいろ水産庁内部考えられる道も多少あろうと思うのです。そういうことについてもう少し研究をすみやかに進めて、こういうようなだれが被害を与えたのか判明いたしがたい場合が多いのです。たまたま今私が例示に出した問題は具体的な加害者が一応わかっているということでありますが、おおむねの場合にはわからないというのが実情なんですね。非常に出入りがひんぱんなんですから。さらにそれが国内船であるのか、外国船であるのかということもおのおの輻湊して出入りをしておるんですから、こういうことも非常にむずかしいと思うのです。むずかしいからその対策がないということじゃ困るのですから、その点は加害者被害者との関係を一応断ち切って、それはそれとして別個に解決する道はあろうと思いますので、漁民被害者との関係については、その被害発生時にすみやかに解決されるという案を今お話保険のシステムによって解決していく道が一つあろうと思います。しかし、これでは漁民の方の掛金なり負担というものを増さなければ、あるいは国が相当の助成をしてやるということでなければ、これは困ると思うのです。そこで申し上げましたように、港湾を使用する場合には、当然使用料を取っておるはずなんですから、その使用料の中にこれを含めて考えていくとすれば、これは非常に負担というものは軽減されると思うのです。しかもそれは漁民負担でなしに解決される。当然そうでなければならぬと思うのです。でございますので、そういう道もすみやかに一つ研究を願いまして、安心して漁民諸君港湾内における沿岸漁業に精励のできる道というものを早急に一つ考えていただきたいということを希望しておきます。  それから今ここに具体的に論議いたしておりますものにつきましても、まあやっと今油の分析だとか何とかということをやって、半年もたってからやっとどうしていくかということの具体的な調査に入っていらっしゃるようですが、そういうことにつきましても被害が発生いたしますれば、直ちにそういうことに対する調査を完了しませんければ、日がたてばたつほど問題の解決が私はむずかしいと思うのです。こういうこともスピーディにやっていただきたい。同時に、ここに具体的にあげました問題につきましてもすみやかに結論を得て、難儀しております漁民に適正な補償が与えられるように、さらにそれが裁判との関係で長びくということでありますれば、何か他にもそういう例があったと思いますが、国が立てかえて一応払った――ビキニの問題のときでしたか、こっちの方では一応漁民被害というものを考え政府の方で払って、あとで対米交渉をなすってその補てんをなさったという例があったということを考えますれば、親切に考えればそういう道もないわけではないと思う。外交上の問題、裁判上の問題は政府責任に移して、政府漁民との間に別個の解決をするということも不可能ではないと思いまするし、前例もあったと私は記憶しております。油の問題ではありません。ですから、そういう問題についても一つ至急解決する道があるとすれば、責任関係を二段に分けて対処していただきたいという希望を申し上げておきます。  それから時間がございませんから、伊勢湾水域における水質汚濁の問題については、三重県の方でも調査が完了して水産庁中間報告があったと承っております。中間報告だけではこの問題の解決にはならぬのでありまして、その報告を基礎にして難儀をしている漁民諸君にその経済的な補てんがなされなければならない。そのことがわれわれの要求している問題点なので、そこで調査の結果どういうことが報告されて、それに対してわれわれの要求している漁民に対する経済的な補償についてどういうふうな手続を取り運ばれているのか、その点をお伺いいたします。
  24. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 中間報告の結果につきましては、三十五年度の調査結果の中間報告があったわけでございまするが、十六工場について調査した結果、魚ににおいのつく原因は石油関係工場廃液によることが一応判明いたしまして、まだ水質二法によりましてこれを調査地域に指定して、それによって工場防護装置をつけるという法律的な手続はできませんので、浄化施設をそういう工場に自主的に整備するように県の方からも要請している次第でございます。そういうふうな工場に対してはそういう対策をとっておりまするが、なお県と相談いたしまして、県といたしましては工場からの金とか、あるいは県の方から出資をいたしまして基金制度のようなものを現在検討をしているわけでございます。その基金によりまして生活めんどうを見ましたり、あるいは職業の転換とか、そういう対策を立てていくということにいたしているような状況でございます。  それから水産庁としましては、漁場造成を県の方から要請して参っておりまして、大型魚礁を設置して、別の場所に魚のつく場所を作っていくというようなことも考えておりまして、それから構造改善の事業を行ないまする地域に本年度に指定をいたしまして、総合的な立場からこの問題を取り上げていきたいというように考えている次第でございます。
  25. 森八三一

    ○森八三一君 今の漁政部長お話はですね、今後被害が発生した場合には、基金制度等を設けて、県と関係漁民の積立金と、あるいは工場も一部負担するでしょうけれども、そういうもので生活困難な場合の足しにしてやろうという制度を今考えている。それから漸次あの水域に魚族が生息しなくなるということでありますので、今後漁業を営まんとする者については漁場が与えられるように、新漁場の開拓あるいは魚礁等を作って魚の繁殖を誘致するというようなことを考えていこうということでありますが、これは当然一つやってもらわなければならぬと思います。それも早くやらなければならないと思いますが、現に数年ずっと累積してきて、漁業ができなかったために貧困に陥っておるとか、あるいは他に職を求めて、相当の資本をかけてよそへ行っちまったという人は、今までの漁業権というものは無償で剥奪されたということに結果的にはなっておる。そうして難儀しておる。そういう過去における累積しておる被害補てんというものについては、何ら対策がないという御報告と思うのです。それでは問題の解決にならぬので、既往における被害に対してはどうするということまで、今、県と連絡してお考えになっておるのかどうか、そこはどうなのですか。
  26. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは通産省の企業局の方からも出席になっておるわけでございますが、県の立場といたしましては、従来もそういう補償について工場から補償をさせる。しかしながら、どの工場からの廃棄物によって、その被害が生じておるかという点が問題であるというようなところから、どの工場から幾らという金額の支出につきましては、相当問題がありまして、そういう点から、毎年工場もある程度支出はしておる次第でございまするが、今後はそういうふうに毎年出していくというのじゃなくて、基金として積み立てておきまして、それを利用して永続的に生活の保障をしていくというような考えを持っておるように聞いております。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 今後の問題としては、私も、ぜひそういう施薬を講じて、安心して漁業に従することができるようにしなければならない――けっこうと思いますが、その今までのやつですね、今まで起きちまったことはそれは知らぬということじゃ、これは乱暴のやり得ということで、力の強いやつが弱い者を食っちまうということになる。それでは問題の解決にならぬと思う。これは通産省の方では、加害者立場監督していらっしゃるのですが、対案がございますか。やり得ということじゃおかしいですよ、これは。
  28. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 汚水処理の問題につきましては、先ほど林田部長からお話がありましたように、指定水域にはまだなっておりませんが、通産省としましては、一般的に汚水処理施設の設置につきましては、税制上の優遇措置とか、あるいは開銀の融資とか、中小企業の設備近代化の資金の活用ということによりまして、除害施設につきましていろいろ育成指導をして参っておるわけでございます。ただいま森先生のお話のありました従来の加害をどうするかという点でございますが、聞くところによりますと、四日市におきましては、従来も四日市市が中心になりまして、工場からも資金を出せまして、漁船建造費を含めて見舞金というようなものを出したようであります。で、その後県の方で調査をされまして、五月上旬でありますが、県の方と企画庁、水産庁、通産省等関係官が現地へ参りまして現地調査等をしたように聞いております。調査の結果は、一応、県の方では三十七年の三月末を目標にして調査をするということになっておりますので、最終的な結果はその調査を待たなければわからないわけでございます。私どもも、工場側が他の産業に被害を与えた場合に、これをやり得だなどということはもちろん考えておるわけではございません。適当な調査をいたしまして、その結果に基づいて両者間に適当に円満に話し合いがつくということを期待しておる次第であります。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 他に問題がたくさんありますので、これで最後の質問にいたしますが、今までのお話を聞いておるというと、水質が汚濁をしないようにどういう施設をさせておるとか、こういう指導をしておるとおっしゃる、おっしゃるけれども、そういうことはただ気体めにおっしゃっておるだけで、現実にその被害というものは刻々増大しておるのですね。伊勢湾だけじゃないのです。全国至るところの水域にそういう問題は続出しておるのですよ。そういうことが完全に行なわれているならば、そういう問題は起きないはずです。にもかかわらず、漸次ふえておるということは、気休めなことをやっておる、あるいはそういう施設が行なわれていても、被梓関係からそういう施設をただ形式的に施しただけであって、実際には活用しておらぬという事実と認定せざるを得ないと思うのです。被害が増大しておるという現実ですね、この現実に目をおおうわけにいかぬですよ。だから何をやったとおっしゃいましても、被害が非常にふえておるという事実は、いいかげんに処理されておるということに判定せざるを得ないのです。それでだんだん進めていくと、だれがやったかわからぬということで、いたずらに時間がかかる。調査調査でこれは何年も何年も暮れちまうのです。これが資力の大きい連中であれば、そういうようなことにたえていくある程度の力もあろうと思うのですけれども、御案内のようにきわめて零細な漁民でありますると、もうそれですぐだめになってしまうのです。お話をすると、今調査中、そのうちにももう生命は断たれてしまう。これじゃ問題の解決にならぬので、被害が発生したといたしますれば、その被害に対して、どこの工場であるとかということの調査調査でおやりになっていいのです。いいが、関係水域内における工場が何か連帯をして、一応の対策解決する。他日それがはっきりした場合に、その分担を修正すればいいのですよ。それくらいの親切を考えてもらわないと、今後、経済高度成長といいますか、それに従って政府としても、工場を地方へ分散させるというのでしょう。これをやらなければならぬと思うのです。その場合に、工場がどこへいくかというと、山の中へいくわけじゃない。おおむね交通の至便な、特に海運の都合のよろしいところ、港湾の地帯を求めていくと思う、海岸の地帯にそういうものは造成されると思うのです。その場合に、追われていく連中の立場考えると、これはほんとうに真剣な問題なんです。いいかげんな問題じゃないのです。といって、今、その新しい工場にそういうものを負担をさせるというと、生産コストの上に関係していく、そういうものが貿易の面にも関係してくるということで非常にむずかしい、むずかしいからといって、倒れていく連中を見殺しにするというようなことでは政活にならぬと思うのです。ですから調査をするのはけっこうですが、調査で日が暮れてしまったのでは何にもならぬということを至急に一つ考えてもらいたい。今まで何べん聞きましても、だれであるかわかりません、調査をしております、そういうことが起きないように、こういう施設をやっていきますとおっしゃいますけれども一つもなっておらぬのです。これじゃ零細漁民は行くところがないですよ。これは真剣に一つ考えて、今ここに具体的に登場しております伊勢湾水城につきましても、今後の問題につきましては、今、漁政部長の言われたような点について、徹底的な施策を一つ考えていただき、費用の点については調査の段階だと思うのですが、調査の結果に待つまでもなく、関係工場で一応の手当てはしておく、あと調査の結果、それぞれの分担区分がついたときに、その修正をやればいいのです。それくらいのことは、資本家の諸君はそれを考える力があるのですから、これはぜひ一つ至急に解決の具体案を立てて、いずれまた機会を得て私はその結論の御報告を願うときを持ちたいと思います。すみやかに一つその結論を出されるように希望いたしまして、一応この問題は他日に譲っておきます。
  30. 亀田得治

    ○亀田得治君 四日市の問題は、これは私も二回ばかり質問申し上げ、その結果の報告を実は待っておる問題です。これはぜひ森委員の御希望もありましたが、できるだけ早くやっぱり結論をつけてもらいたい。その報告を私としても聞きたいと思いますので、要望しておきます。
  31. 千田正

    ○千田正君 この問題は十何年やっておるのにまだ結論を出せないというのはどういうことかね。もうこの質水汚濁の問題は、部長がまだ課長にもならないときから取り上げて、当委員会で取り上げてやっておるのだが、今日に至ってもまだ結論が出ないということは、あなた方勉強しないということじゃないでしょうが、水産庁としては、ことに零細漁民を守る立場から、真剣に取り上げなければならない問題だと思う。いつ結論を出すのですか。もう十数年になっておりますよ、この水質汚濁の問題は。それにもかかわらず、今日に至ってもまだ結論の緒論さえも出ないというととはどういうことですか。誠意がないといえば誠意がないといえるし、真剣味がないといえば、真剣味がないといえるが、これはあんたに文句を言ってもしようがないが、長官以下しかっりやって下さいよ。漁民のためにあんた方の官庁があるとすれば、責任を持ってこの問題を考えていただきたい。もう少し真剣に考えていただきたい。何にかありますか。
  32. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先ほどからの先生のおっしゃることもまことにごもっともでございまして、水産庁といたしましても何とかこの問題に対処しなければいかぬという覚悟を持っておるわけでございますが、先般沿岸漁業関係法律を作りたいということで、いろいろ各省にも折衝したわけでございます。その中には水質汚濁の防止の問題につきましてどういうふうなことをしたいということで、いろいろ各省とやっておるわけですが、すでに水質の二法ができておるというようなことで、あの法律にのっとってやるべきじゃないかというようなほかの省の要求もありまして、なかなか根本的な解決まで至っていないような次第でございます。なお、今後とも十分努力をしたいと思います。
  33. 千田正

    ○千田正君 水産庁でしっかりしたものを提案するということになれば、当農林委員会はおそらく全員一致でそういうことはサポートしますよ。それが何もしっかりしたものが出てこぬからどうしたのだとわれわれは文句を言わざるを得ない。だから、もう少し骨のあるものを作っていらっしゃい。そうしたらば、あなた方ばかりでなく、当委員会のおそらく各党の皆さんも真剣になって、皆さん協力してこの問題の解決に当たると思うのですよ。だから、誠意を示してもらいたい。しっかりしたものを出して下さい。それを注文しておきます。
  34. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、両件についてはこの程度にいたします。   ―――――――――――――
  35. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次に、香川県下における小作料問題等に関する件を議題といたします。  本件は、去る第三十八回国会においてその請願の審査に当たり、お手元にその要旨をお配りいたしております請願四百二十八号及び四百二十九号についてはこれを採択し、あらためて本委員会の問題にすることとなっておりましたのであります。この際、本件を問題といたします。  まず、農林省当局から、本件の経過並びに見解等について説明を求めます。
  36. 山路修

    説明員(山路修君) 香川県の小作料引き上げ及び小作地取り上げの問題につきまして経過の概要を御説明いたします。  香川県におきましては、従来から小作地の集団取り上げの動きが相当強い動きがあるのでありますが、昭和三十三年末――昨年の十二月でごさいます、香川県におきまする地主の方々の団体といたしまして全国農業再建協同組合連合会という組織がございますが、この組織が中心になりまして国を相手に昭和三十三年――昭和二十年以降三十三年までの小作料統制が不当に財産権を侵害しておるということにつきましての国家賠償請求訴訟を一方で提起いたしました。また、並行いたしまして小作人に対しまして三十四年度と三十五年度の小作料につきまして、現行小作料の統制額の約十五倍に当たる額の小作料の請求を行ないまして、もしこれを支払わない場合には耕作者として認めないという旨の内容証明郵便を送付いたしたわけでございます。この数は約私どもの承知しておりますところでは国家賠償請求訴訟が二十九件、内容証明郵便が約三百通出ておるようでございます。で、このような地主の一方的な通告につきまして一部の小作人につきましては不安を感じまして、いろいろ耕作者の組織といたしましてこれに対抗するような動きも見せておるようでありますが、農林省といたしましても香川県当局と十分連絡をとりまして、この地主の一方的な通告がいずれも法令の解釈を誤ったものでございまして、小作料の引き上げないし小作地の取り上げは、いずれも現行農地法の統制下におきまして一方的にこれを強行することは農地法違反になる旨の見解を明らかにしまして、香川県当局を通じまして地主団体に対するいろいろな指導等を続けておるわけでございます。たまたまこの間におきまして、先ほど申し上げました一部の小作人の方々が不安を感じましていろいろ耕作者の組織等も作られておるわけでございますが、その一つといたしまして、一月二十四日に全国農民同盟の会長から農林大臣あてにこの地主の通告、内容証明郵便というものについての農林大臣の見解を公式に求められたわけでございまして、これにつきましては二月に農林省といたしましては、農地局長名でこれに対する見解を明らかにしたわけであります。その内容は先ほども申し上げましたように、この小作料の十五倍の引き上げということは小作料統制の違反であると、それからこの小作料を支払わなければ耕作の地位を認めずに土地を取り上げるという通告は同様に、農地法の小作の解約については県知事の許可を要する規定の違反であるというこの二点を明確にした次第であります。  その後の香川県の状況でございまするが、四月ごろ、四月でございまするか一件小作地に地主が立ち入るというような動きがございました。これにつきましては香川県当局の小作主事等が現地に参りまして十分説得いたしまして、地主側も了承いたしまして、小作地取り上げの実力行使というものは途中で中止せられたというふうに承知しております。さらにその後、稲の植付期の前にまたこういった実力行使があるのではないかといったような懸念もございましたので、香川県当局を通じましていろいろ地主に対する法規の趣旨の説明その他の指導を続けているわけでございますが、幸い今日までそれ以上の強行立ち入りというようなことは起こっていないように承知いたしております。  以上が概要であります。
  37. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまの説明に対し御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  38. 東隆

    ○東隆君 今の案件のうち、国に訴訟をいたしたものを裁判所は受理しておるはずでありますが、その経過はどうなっておりますか。
  39. 山路修

    説明員(山路修君) 地主側が国家賠償請求の訴訟を提起いたしておるわけであります。これは高松において受け付けられておるわけでありますが、まだこれの審理その他の段階には至っていないように承知いたしております。
  40. 東隆

    ○東隆君 受理されたものを、裁判所の関係ですから、農林省の方ではいかんともいたしがたいかもしれませんが、それを、適当な方法でもって、裁判の進行、そういうふうなことを何かとめる方法はないですか。あるいはそれを却下する方法はないですか。
  41. 山路修

    説明員(山路修君) 農林省といたしましては、この告訴の、訴訟の内容が、何と申しまするか、一方的に法律の解釈を非常に誤ったものであるという確信を持っておるわけでございます。  で、この訴訟の内容を多少御説明申し上げますると、香川県のこの地帯におきましては、昭和十四年に、小作料統制令が出たわけでございまするが、この当時までの小作料の納入の方法が、いわゆる代金納という形になっておったわけであります。この地主の方々の主張は、小作料統制令は金納小作料あるいは物納小作料には該当するが、一方の、収穫の量をきめましてその時々の時価によって金額に換算して支払うといういわゆる代金納でございまするが、これにつきましては、小作料統制が該当しないというような主張をいたしまして、従いまして、国が小作料統制の現在の額で押えておることが違法である、こういう主張でございます。これは、まことに私どもといたしましては、まあどうしてそういう見解が出たか了解に苦しむような問題でございまして、今先生の御指摘のように、訴訟を抑えるとかまあそういうことを待つまでもなく、訴訟がかりに進行いたしましても、この主張が誤りであるということはかえって明確になるわけでございまして、特にこれを抑えるといったようなことは、現在のところ考えていない次第でございます。
  42. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ちょっとこの件に関連してお伺いしますが、先ほどの説明の中で、農林省当局は、県の当局に対して、まあいろいろ勧告を申し上げておる、注意を申し上げておるということがあったんだが、県当局は、末端の市町村に対しても、そういうような行動をやっているのですか、準じて。
  43. 山路修

    説明員(山路修君) 香川県当局におきましては、その問題に対しましては、非常に積極的に、市町村あるいは農業委員会等を通じまして、あるいはチラシ、パンフレットを配付する、有線放送を活用する、あらゆる手段を講じまして、この問題を明確に指導しておるようでございます。
  44. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 特にこの請願の要旨の、配付された説明書にもあるのですが、農地被買収者問題調査会設置法案が成立したこの機会を期して、非常に地方では、単にこれは香川県だけの問題でなくて、地主の土地の取り上げの問題や、まあ物価の値上がりに便乗したかどうか知りませんけれども、小作料の値上げの問題が非常に出ておるのですよ、各地方に。従ってそういう問題を、やはり農林省当局では、こういう事件の起きたところでなくて、各地方庁に対しまして十分そういうことがないように、現行の農地法が厳正に施行されるように、私としては注意を喚起しておかなきゃいかぬだろうと、こういうふうに思うわけなんですが、特にその点を要望しておく次第でございます。
  45. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと関連して。さっきの農地課長報告ですと、四月に一件実力行使があった、こういう報告があったわけですが、これは農林省の見解が明らかにされた後でありまして、こういうことははなはだごり押し過ぎると思うのですね。だから、こういうのに対しては、やはりちゃんと関係方面で告発の手続をとるとか何とか、そういうことをやってほしいと思いますね。ただおざなりで罰則というものをつけてあるわけじゃないのですから。法規などをよく知らないでやった者まで一々摘発する必要もないでしょうが、そういう社会的な問題になって、農林省からも公式な見解を出した後に、なおかつやると、こういう者はちょっとほうっておけぬと思うのですがね。そういうふうにされておるのですか。あるいはもしされておらないとしたら、そこをお調べ願って、そういうふうに処理される方がいいと思うのですが、それはどうでしょうか。
  46. 山路修

    説明員(山路修君) ただいまの件でございまするが、強行立ち入りを行なったと申しますか、いわば田のそばまで来た者を未然に小作主事等が説得いたしまして押えたと申しまするか、やめさした、こういうことになったと承知しております。従いまして、本件につきまして直ちに……。
  47. 亀田得治

    ○亀田得治君 未遂ですか。
  48. 山路修

    説明員(山路修君) さようでございます。本件につきまして、直ちにそういう法的な措置をとるというようなことは考えておりませんが、この取り上げ問題に対しましては、もちろん香川県の警察当局等とも十分の連絡をとっておりまして、今後不祥事件が起こることを未然に防止するように、できるだけの努力を続けておる次第でございます。
  49. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、本件についてはこの程度にいたします。   ―――――――――――――
  50. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、藤田進君が辞任、その補欠として大河原一次君が選任されました。   ―――――――――――――
  51. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記をつけて。  昭和三十六年産米麦価等に関する件を議題といたします。  本件について御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
  53. 亀田得治

    ○亀田得治君 簡単に、大事なことだけ少しお聞きしておきたいと思いますが、お米の問題に入る前に、ちょっと麦のことですが、二十八、二十九日の米審でも相当御意見が出たと思いますが、等外麦の本年産の麦の扱いですね。これは生産者団体の方からは、ぜひ昨年同様政府の買い入れを要求しておるわけです。これに対する大臣の考えですね、明らかにしてほしい。
  54. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) この点は、従来通り買い上げる方針を答弁をあのときにもいたしておりまして、至急にその検査等を進め、買い上げの必要措置も講ずるように準備を進めております。
  55. 亀田得治

    ○亀田得治君 それからもう一点ですが、昨年政府から麦作の転換についての指示といいますか、意向が各都道府県に出されたわけですね。それに従って実際に転換を実行した農民が相当あるわけです。もちろんその裏づけとして、前国会に法案が出たわけです。それはまあ流れて予算だけ残っておる。これはまあそこの処理が非常にむずかしい問題でありますが、政府の意図に従って、この実際は転換した、こういう農家に対して、どういうふうにされる方針ですか。
  56. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 御質問の三十五年植付の麦に当たって、政府の指導といいますか――に基づいて転作されたというものに対して、処置をどうするかというお尋ねですが、これはあの勧告、指示といいますか、通牒の面から見ますると、別にこれに対しては、先国会に出しました内容の、転作農家に対して交付金を交付するというようなことは、予算上もその通りの内容にもなっておりません。これは率直に文章をそのように私は読みましたが、しかし、これは社会党さんの方でも、私どもの方でも、あれだけの指示だけで転作されるとは予想はしておらなかったと思うのです。なかなかそう簡単に転作ができんという空気が多かったものですが、あけてみますると、大体十五万町歩近く転換しておる。これは一面には、私は農家が大、裸に対する認識をやはり深く持っておられたということであり、いい転作物があれば転作していった方がいいといろ考えで、私は積極的にお考えになった面も相当あると思います。そこに政府の通牒等に現われておる大、裸の現状というものについての考え方というものが響いたと思います。そのことは私は非常にけっこうだったと思うし、農家がかくまでに国の政策というものに対して理解し、思いのほかの協力をしていただいたということに対しては、新しい問題に対してあれをどうするかということを考えてみる必要があろう、こういう答弁をいたしております。そういう意味合いで、目下研究をやっております。
  57. 亀田得治

    ○亀田得治君 これはまあ非常に私たちの立場からいっても、ちょっと扱い方としては微妙な点があるわけですが、今まで政府の方針に従って転作したものが何といいますか、ばかを見るというようなことにならぬように研究はしてもらいたいと思います。  それじゃ米価の問題に移りたいと思いますが、今年の米価については、農林大臣もたくさんの陳情を受け、大へん例年よりも強い関心が高まってきておるわけですが、いろいろ作業をされておると思いますが、そこら辺の状況をざっくばらんに一つお話を願いたい。どういう点が政府としての検討の中心になっておるか。
  58. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) これは簡単に言えば、去年、おととしと過去二カ年において大へん各方面の方々、農業者の団体、農業者の代表の方々、学識経験者を入れて苦労して作ったもので、米価の算定方式が御承知の通り生産費及び所得補償方式によるということになっております。従って、その方針は堅持しつつ、同じく生産費及び所得補償方式をとると申しましても、農民団体等の方々のお示しの額との相違があります。その相違点はどこにあるかということは、大体皆さんも御承知の通りでありますので、今日の時点においては、その双方の基本線は生産費及び所得補償方式を両方ともとることに意見は一致しておるが、それに関してとられておる内容となるべきファクターにまだ意見の相違点がありますので、その相違点等について今慎重に考究をしております。また御承知の通り、党におきましても、これらの問題の重要な点にかんがみまして、米価に対する懇談会等もこしらえて研究をいたしておりますのもそういう点を中心に考えておる次第でありまして、政府といたしましては、政府部内において考えることはもとよりでありますが、そういう党の機関の研究等とも相待ちまして、できるだけ早く一つのまず方針といいますか、計算方式といいますか、そういう問題についての研究を遂げ、しこうしてそれに当てはめて一つ米価の決定を急ぎたい、かように思っておるのが現状であります。
  59. 亀田得治

    ○亀田得治君 もう少し具体的にお聞きしないとわからぬわけですが、およそ問題点になっておるところはこちらも想像はつきますので、若干お聞きしてみたいと思いますが、家族労賃の評価の問題ですね。この点はやはり政府としては昨年と同じように一人以上、つまり全規模の労務者の賃金、こういうものを対象基準として評価がえをする。農業団体の方ではいろいろありますが、統一された意見としては、最低五人規模以上の労賃を標準にしてやるべきだ。これは昨年からそういうふうに対立をしておるわけですが、まあ両者の差はさほど大きくはないわけですが、統計上。この点はどういうふうな考え方に進んでおりますか。
  60. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) その点は、重要な一つ研究題目として私どもも取り上げて研究しております。今どちらかということをまだ申し上げる段階ではありませんが、慎重にこれは考えております。
  61. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは基本法の審議の際にも、若干関連したような問題が出たわけですが、やはり農民の生活を引き上げていく前提として所得を引き上げていく、どこを標準にするのかという問題がずいぶん出たはずです。しかし、まあ実際問題として、この一人や二人使って働いておる零細企業の中でも一番小さい職場ですね、そういうところの賃金というものはいろいろな場所があるでしょうが、場合によっては農家よりも生活が低いかもしれぬというようなものもあるわけですね、そういうのも全部込みにして評価がえをするということは、基本法の精神からいってもやはり間違いじゃないか、だから五人規模以上というところで線を引いてもこれは問題のある職場もあります。ありますが、せめて五人規模以上の労賃をとるということは最低限必要じゃないか、理論的に。そう思うのですが、これはまだ結論が出ておらぬかもしれませんが、農林大臣自身としてはここら辺どういうふうにお考えになっておるのでしょうか。
  62. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) この点、私は慎重に問題点を取り上げて研究しておるというのは、お話のように、このことの取り扱いというものが、ただ単に米価をきめるということだけでなくて、今お示しの、農業基本法にいう生活水準の均衡をどの程度、どういうところを比較するかということが問題がここで出ておったのですね、そういう問題と考え合わせてこれは当然いろいろな問題に関係をする問題であります。そういう点というものも考え合わせていかなければ、米価決定の場合には、これはこういうふうに家族労賃を算定した、また基本法にいう生活水準の不均衡是正というようなものの中に使われる、比較される対象はまた違ったものになるというようなこともまた因るのでありまして、これらの問題がありますので、ただこれだけについてはこうだ、また別のときは別だというようなことにならぬように、いろいろな点を考え合わせていかなければならぬという考えで、今の五人以上云々という問題も一つの労賃の比較計算の上におけるファクターに取り上げられる一つの対象ではありまするが、それらを含めて広く考えて、慎重に当たっておるというのはそういう意味であります。
  63. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ所得を引き上げる、生活を引き上げる、そうしてアンバランスを縮めていく、このこと自体は抽象的には了解されておるわけですから、今までの論議では。しかし、そのアンバランスを縮めていくということのためには、基準が上がってこなければ縮まらぬと思うわけです。両者の比較がいつも同じところにあるのでは、これはいつまでたってもその開きはずっと続いていく。それから最近のああいう、こまかいことですが、小さな企業の賃金が若干よくなったといったようなこともありますけれども、実際上はまだその差というものは非常に大きいわけなんですね、若干そういう芽がこれは見えてきておる。しかも、その内部をさらに分析すると、やっぱりいろいろ問題があるのでして、そんな程度ですから、これはどうしても政府が基本法制定のときにおっしゃった気持からいっても、せめて一人以上というのを五人以上くらいのところまで引き上げてくる、これは一つぜひ農林大臣の方で御努力を願いたいと思いますね、基本法をお作りになった一つ責任からしても。  それから、まあしかし、一人以上とるか、五人以上とるか、いずれにいたしましても、この家族労賃の評価という点からして相当な生産費の値上がりが出てくる、これはまあ大体いろいろな資料でもはっきりしておるわけですが、これはどの程度にお考えになっておりましょうか。家族労賃だけについて……。
  64. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 労賃の関係及び物価の関係というものについては、大体四月の物価指数をとって今日まできておるわけであります。
  65. 亀田得治

    ○亀田得治君 その結果具体的には……。一割以上は家族労賃は上がるでしょう。
  66. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 家族労賃につきましては、これは昨年用いました方法によりますと、生産費所得補償方式の大きな部分としまして、家族労働費を都市均衡労賃と製造労賃で評価がえをしておるわけですね。で、生産費の中にありまする家族労働費を都市均衡労賃で置きかえるわけでございますが、その場合の都市均衡労賃は、これは去年の場合は都市製造業の全規模賃金を使ったわけであります。それでその全規模賃金の上昇率という意味でただいまお尋ねをいただいておるものと理解いたしますれば、大体九%ぐらいは賃金として上がっております。
  67. 亀田得治

    ○亀田得治君 政府はまだ御採用になる決意は固まっておらぬようですが、五人以上の場合には何%になりますか。
  68. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 五人以上の場合、いわゆる労働省の賃金統計そのものとしまして五人から二十九人までのものが何ぼ、それから二十九人以上の賃金の上昇率はどうなるかという趣旨のお尋ねでありますが、私はここへ参りますときに、その資料を持っている者が一緒に来ませんでしたので、あとから資料を持った者が上がりますから、そのときにお答えいたします。
  69. 亀田得治

    ○亀田得治君 資料はあとから拝見さしていただきますが、全規模よりも上昇率は大きいですか。
  70. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) これはまだ私数字そのものを実数で見てお答えしておりませんから、もし間違っておりますれば訂正いたしますけれども、傾向としてはやはり規模の大きい製造業の企業の労賃の方が高いことになっておるのじゃないかと思います。ただ実数を見ておりませんから、実数を見ました上であらためてお答えいたします。
  71. 亀田得治

    ○亀田得治君 それじゃ次に問題になっておりますのは、例の生産費所得補償方式を適用する場合のバルク・ラインですね。これも大きな議論に毎年なってきておるわけですが、ことしはどういうふうに政府はお考えですか。生産者団体としてはぜひ八〇%バルク・ラインの線を一つ検討してくれ、こういう、要求が出ておるのですね。
  72. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) バルク・ライン生産費という考え方につきましては、これは数年来議論を重ねて参った問題でございまして、農林省としては、一昨年の米価、昨年の米価の際に、バルク・ライン生産費をとることは適当でないという考え方をいろいろ資料等に基づきまして御説明を申し上げたことがあると考えますが、結論的に申し上げますと、昨年米審の小委員会検討を経まして米価審議会で採択されましたのは、いわゆる適正な限界の農家の生産費を求める方法といたしまして、平均の反収から標準偏差に相当する数値を引いたものを生産費を計算する場合の反収に用いるという方法を採用したわけでございます。目下私ども考えておりますのは、本年産の米価につきましても、農林省としましてはバルク・ライン生産費を採用する考え方では準備を進めておりません。反収につきましては、昨年用いました標準偏差を考慮した反収を採用する方針で準備を進めております。
  73. 亀田得治

    ○亀田得治君 この点についての考え方は、もうすでに割り切っておられるようですが、やはり農民の不満は、非常に条件の悪い農家でも当然この生産費所得補償をさるべきじゃないか、その点をまあ強くいっているわけです。これはどういう品物でも似通ったような問題はあると思いますが、まあ今まで苦労して米を作らしてやってきて、最近は余るとかいいますが、まあそうでもないような統計も最近農林省に出たといったような記事も私最近見ましたが、ともかくそういう農民の感情を私は無視しちゃいかぬと思いますね。だから、政府のような標準偏差方式といったような、なかなかむずかしい言葉な人ですが、この方式を採用される場合でも八〇%バルク・ラインをなぜ農民が主張しているかと、やっぱりその気持というものをちゃんとくんでやってもらわないといかぬと思いますね。それがくんであれば、標準偏差を引くとか引かぬとか、いろんなそういったような場合のやっぱりやり方でも若干違ってくるはずなんです。だから、これは一つまだ十分標準偏差方式をとるにしてもこまかい具体的な数字はきまっていないのだと思いますから、やっぱり十分そういう気持はくんだ作業をお願いしたいと思いますね、これはまあ一つ要求しておきます。  それから時期別格差ですね、これはまあいろんな問題とからんで大へん注目されてきているのですが、これは農林大臣、どういうふうに処理されるお気持ですか。
  74. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) この点は、時期別格差を設けた当時の事情、その趣旨というものからいいますと、多分に情勢が変化してはおります。が、しかしこの点はなかなか農家の方々の要求も熾烈でありますし、地方別にも要求も高いような状況で、目下のところ、これに対して本年はどうするかということについても先ほどのお示しのような各事項について真剣に再検討しているものと合わせて考究を続けているわけであります。今すぐにこれをやめるとか続けるとかいう形にまだいっておりませんが、すぐこれをなかなかやめるということも困難だろうと思いますが、順次やはり地方別にはこれをならしていくというか、そういう措置は皆さんの御理解と御協力を得てやっていかないと、初めにある程度単収地域、単作地帯という方面から出てくる早場の米というものは、自由時代もこれはとにかく価格は高く取引された事実もあり、ことに政府が今のように配給の組織を持って端境期に配給する米を入れるということから考えましても、早く出してもらうところに、早く出たら出たところに奨励金を出すということも考えられることで、よい政策であったと思うのですが、今日は西の方も一律に早場米、早場米と一生懸命にそういうことを言いまして、どこもかも出してきた。そういうことを考えてみましたときに、今後ともこれに対しては、今言ったように各方面もその事態を認識していただいて順次ならすということも必要だと思うのです。本年どうするかということはまだ決定いたしておりません。
  75. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは大臣の言われることも、順次ならすという意味はわかりますが、時期別格差といったような名称にはなっておりますが、農民としては事実上のやはり手取り米価なんだという気持が強いわけなんですが、これはこの気持もおわかり願って、従ってこれは基本米価がやはりどうきまるのか、これとも切り離しては考えられない。で、今年は一万一千九百四十円、こういうものを――もう農林大臣のところには何千通とはがきもいっていると思いますが、これは一致して要求しているわけなんです。だから、これをお認め願えれば、こういう時期別格差の問題などの処理も私は大へん楽になると思うのです。大まかに言って一万一千九百四十円というこれはちゃんと各団体がやはりたくさんの人を動員して生産費調査もやって、そしてきちっと出してきている数字なんです。これをこの通りお認め願えればもちろんいいわけなんですが、大まかに言ってどの辺のところを農林大臣としてはお考えになっているのか。
  76. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) なかなかむずかしいお尋ねで、今基準計算法に再検討を加えている最中ですからどんな数字だということはわかりませんが、少なくとも従来の計算でかりにうわさになっているような数字よりも高く、一万千百九十一円――幾らですか、一万千百九十四円、これとの間でしょうね。
  77. 亀田得治

    ○亀田得治君 これはよく覚えておいて下さい。
  78. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 計算方法を考えている最中ですから、分どれくらいがよかろうかということは、これは抽象的に言ったら、それはそれこそ亀田さんにしかられますから、やはり私は基礎を置いてものを考えていきたいし、まだ無理でございます。あなたもお話しのようにバルク・ライン方式というものは農民団体が主張しておるけれども、もしそれでなかったとしても、標準偏差方式についても、いろいろと数字のとり方があろうから、そういう点も農民の考え方をくんでよく考慮したらどうかという御示唆もあったし、これらもいろいろな点を考慮中であります。どのくらいに大よそなるだろうかということは、やはりそういうあらゆる基礎を農家のために考えてきめた上で申し上げた方がよかろうと思います。
  79. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは理屈としては、大臣のおっしゃるように方式を考えてそうして出た結論、こういうことでしょうが、しかし、やはりそこに検討というものがどういう場合でもあるわけですが、しかし、そんなことはあまり考えていない、筋通りでいくのだということのようですから、ずっと計算をして、非常に高いものが出たという場合にそれをまた再検討する、そんなことはしませんな。
  80. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 私そう申しますのは、非常に慎重に政府考え、党でも考えておりますし、一つの標準といいますか、計算の方法というものがきまりますれば、出てきた結論をさらに小細工して上げたり下げたりというようなことはしたくないと思います。
  81. 亀田得治

    ○亀田得治君 大蔵大臣も、二十八日に農民の代表の方と約一時間ばかりお会いになって、私も立ち会ったのですが、そのときにも農林省から筋を通して出してきたものについては予算があるとかないとか、そういうことは言いません、大蔵大臣としてはまれに見る明快なお話をしております。元来この制度は保護政策なんだから金が足らぬからという理由で考え直すというふうなことはしませんということを言っておりましたが、そういう事情等を考えますと、今度政府相当思い切って上げるつもりでやっているのじゃないかという印象を農民の皆さんに与えておるわけですからね。これはその通り受け取っておいていいのでしょうな。これは大蔵大臣のことですが、しかし、あなたの方からお出しになったら大体そのまま認めていくというような気持でありますので、農林省としては一つ筋の通った計算をしてそのままやはり通していくというふうにしてほしいわけなんですね。それをやらないで、事前にかりにはじいてみて、ちょっと高過ぎるから、これじゃ大蔵省の方だめだろうというのでまたちょっとこう手を入れてみる、そんなことをしてもらいたくないというわけなんですね。それは先ほどのお答えにも若干こう関連があることですが、大蔵大臣もそういうふうな、ざっくばらんな気持でおられるようなんですから、なおさらそこいらの一つやり方は筋の通ったものでお願いしたいと思っておるのですが……。
  82. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 私と大蔵大臣とは考え方は同じことでありまして、筋の通ったものを作りたいと思いまするし、筋の通ったもので計算されたら大蔵大臣は考えると、こう言っておるのです。通った筋というものを生み出すために今非常に研究をいたしております。それで出てきたものについてただいま御答弁いたしましたように小細工はいたさぬつもりです。
  83. 亀田得治

    ○亀田得治君 これも農民団体の皆さんからはいろいろ御意見が出ておることですが、米価においては比較的労賃の保証というものができておる。できておるというのは、完全な意味じゃありませんが、この米価の労賃評価を上げると、どうしても乳価なりほかの問題についても波及していく、そういうような考慮から米価についての労賃評価などをこうちょっと検討する、そんなことはなさらぬでしょうな。
  84. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) どうもそういうことは私は意外なお尋ねだと思うのですが、乳価を下げるために米の操作をするというようなことは考えておりません。
  85. 亀田得治

    ○亀田得治君 やはり現状では米価の決定が一番専門家の意見をよく聞き、いろいろな人の意見が出た上でやられているわけですから、これの方がほかの農産物の価格よりも筋が通っていると思うのですね。だから、ほかの農産物のために米価の方を押える、こういうことのないように一つこれはやってほしいと思います。まあそうなりますと、それはほかの農産物についても、これは米価が今度は逆に基準になって、いろいろ問題が出てくるでしょうが、これはしかし農民の生活をよくするという立場からいったら、当然これは出てくる問題です。今まで小さな工場で、低賃金で働いておった人が、だんだんいろいろなことを知って、同じ働くのに、おれたちも大企業の諸君と、生産性等の点から見て、一挙に同じようにとはいかぬかもしれないけれども、もっと近づけなければならぬ、そういう気持が出てくるのと同じでしてね。これは当然ほかの農産物でも米価がやはり影響を与えていくと思う。だから、それはそれとしてやはり見てもらいたいのですね。そのために起こるいろいろな消費者の負担とか、そういったような問題については、やはり必ずしも米価のような――二重米価ばかりを私は申し上げるのではない、別個な問題としてやはり検討していくべきなんでして、今お聞きしたところでは、そういうほかの考慮などはしないで、米価は米価として筋を通していくということですから、そういう立場をあくまでも守って一つやってほしいと要望しておきます。  それから最後に、大体米価の決意の時期であるわけですが、米審がいつ開かれるか、政府の原案ができなければいかぬわけですが、いつごろまでにできて、米審はいつごろ開いて、最終的な決定はいつごろするかというめどでしょうか。
  86. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 米審の会議を開く時日ですが、できるだけこれは急いでやりたいと思い、今準備に専心しております。十日以前に開きたいと思っております。  それから今の亀田さんのお話し、前の、質問ですが、ほかの農産物を引き下げるために、米価を操作するということはいたしておりません。そういうことはしておりません。ただ問題は、あなたのあとの方のお尋ねが問題であって、だから、米価はそうだからということでその決定の方式ですべての農産物をすぐやれというようなお考えのもとでのお話しならば、これはそれぞれ十分考慮しなければいかぬ。これはもう農業基本法のときにも申し上げたように、ほかの農産物についても、私は農家のために十分価格政策は考えていかなければならぬけれども、その方面は価格だけでやるという問題ではなくて、生産の指導、生産性の向上とかあるいは生産に必要な基盤あるいはいろいろさっきお話ししたような、乳牛等の関係について、それらの購入費の措置について、これは物価の事情や金融上いろいろあるでしょうが、いろいろな方法で、その生産性を高め、そうして農家の所得を上げるようにすることも一つの問題であって、そういう点について、米価決定の方式がかくあるがゆえに、それと同じようなものをすぐとれということも困難じゃなかろうかということを申し添えておきます。  私は、亀田さんもよく御承知でありますが、米価については長い間の苦労と長い間の研さんというものが積み重なって、ここに現行の米価の計算方式というものが固まったのはごく最近です。それまでは、むしろ物価がだいぶ上昇していくパリティ計算の方がよかった、その証拠には、今日では農家が農業団体はよけいなことをするな、生産費及び所得補償方式をとるからいけない。ことしは一つパリティ計算方式だけでやってもらいたいというようなことが出てくるのだろうと思う。私は相当いろいろな問題について、むずかしさがあって、ようやく長い間のお互いの苦労が実った生産費及び所得補償方式を、どういう方向にこれから育てて、どういうものにしていくかということに努力していきたい、それをほかの農産物についてすぐ向けていけといったって、なかなかこれはいろいろむずかしい問題があるので、これは十分亀田さん御承知の上での御質問だと思いますが、今の御質問は、そういうものへの伏線であることは困りますから、申し添えておきます。
  87. 亀田得治

    ○亀田得治君 別に米価と同じそのままの方式をほかへ持っていくということは、それはこちらも考えておるわけではありませんが、時間もありませんし、ほかの方もありますから、米価はこの程度にしますが、実は昨日大臣をお持ちしておったのですが、結局おくれまして、お聞きできなかったのですが、本日から大豆の、例の自由化がなったわけですね、昨日相当こまかいことをいろいろ関係の局長などにお伺いしたのですが、ぜひ大臣に確かめておきたいという点が二、三ありますので、ついでに一つお答え願っておきたいのですが、一つは、七月一日から自由化をやるという予定であったわけですが、ただそれに関連して、大豆菜種に関する交付金法ですね、これを作る国内措置として、こういうことが一つの大きな条件になっておったわけですね。これはアメリカも知っているわけですが、昨日のお話しを聞きますと、だからそういう事情であれば、国内法規が不成立になったというのであれば、当然臨時国会終了等まで自由化を待ってくれという交渉があってしかるべきだと思うのです、アメリカとの間に。アメリカという国はそんな無理をする国じゃないということであれば、私は聞かれる問題じゃないかと思う。それを交渉もしないで、そうして七月一日を迎えている。こういうふうにやられたことは、大へん尽くすべき手を尽くしていないんじゃないかということが一つ。この点大臣の気持。  それからもう一つは、大豆菜種の交付金法が通らなかった。そこで、それにかわる措置をしよう、こういうふうに政府がお考えになっているわけですね。で、これはどういう措置にするのか、農安法でおやりになるとすれば、予算関係の裏づけをさらに追加予算等でしなければならぬようになるのかと思いますが、あるいはそういうことでやるのか、あるいは廃案になった法案と同じようなことを、予算を生かしておやりになるのか、そこら辺のところはまだ問題が残っているようですが、との点、大臣としてはどういうふうに大体お考えになっているのか、非常にこれは関心をみんな持っているわけなんです。これを一つお聞きしたい。  それから、いずれの方法でやるにいたしましても、現在すでに菜種は出回っているわけですし、まあ農業団体の方ではそこの自主調整などはいろいろおやりになっておりますが、しかし、自由化にもう入ってくれば、当然これはそこに変動は起きてくる。だから、従って農家に補償してやる、支持価格といいますか、基準価格といいますか、これは至急きめなければいかぬわけなんですね。安心しないのです、そうしないと。いやそんなに迷惑をかけない、どんなだってあとからでも処置してやる、こう政府はおっしゃるかもしれぬけれども、それはやっぱり農民の気持としてはちょっとおかしい、だから至急これはきめてもらわなければならぬ。もうわれわれとしては、自由化は、しばらくこういう関係からいうならば延ばすべきだという意見でありますが、しかし、そう習ったってもうすでに入ってしまっているのですから、入った以上は、それに対する安心の措置をしてもらわなければならぬ、一ついつまでに一体おきめになるつもりでおやりになっているのか、こういうような点を明らかにしてほしい。
  88. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 第一のお尋ねですが、これはごもっともなお尋ねかと思います。しかし去年の十月から、自由化を十月にやるということを声明し、次に、いろいろのことで来年の七月からやるということを声明しておりますし、従って、それに関する法的措置等も考えておったはずですけれども、不幸にして審議未了になりましたことは残念であります。しかし、あと臨時国会は三カ月ほど先のことであります。二カ月先に自由化を延ばすということで、これも一つの方法かもしれませんが、私はここまでくるならば腹をきめてやったらいいし、業者に対する措置は、法案が通った方がいいのですが、方法はせなければならないから、それに対して実際の取り得る方法があるならば、つなぎにやっておっても、今までたびたび声明をしておりまするし、その意味において、農家が損をしないような方法、措置を講ずるということでよいのではなかろうか、こう言って踏み切ったわけであります。その点はいろいろ御意見はあるかと思いますが、御了承願いたいと思います。  第二の点につきまして、それじゃ行政措置をどうするかという点でありますが、大豆につきましては三十五年産は、これはもう初めから予算の関係等で、予算措置だけで、法律が通らないでもできることになっておって、従来の全販連たな上げのものの措置をするということですから、これは別として、他の大豆につきましては、九月ごろにできるものでありますから、すぐには問題は起こってこないと思います。もし起これば、やはりそれに対する処置を考えていこう、こういうこと、及び菜種については御摘指の通りすでに出回りになっております。これについては、お話しのように農業生産者団体が買付調整をやっておりますから、しかもその取り扱いはほとんど総生産の半分くらいになります。今日の場合、その生産団体の調整をしておりまするそれが事実に即して、その生産者の販売価格と市場価格との差というものは、やがて農業者団体に交付する。精算の時期にこれを交付するような方法を準備してはどうかと思います。それに対しては、その事実が急速にはまだ起こって参りませんが、起これば、やはり法律の基礎としては農安法というような法律があるわけですから、出てきますし、そうすると、その通りやるにいたしましても、内容的には多少農業者団体を中に入れて、今申したような買付調整をしなければ、販売価格と市価との間の差額を精算の上交付し、それに対する必要な予算的措置は、形のしからはむしろ必要が起こった場合に予備金でも支出する方法をとった方がいいのではないかと思います。それは、法律が通らぬでも予算があるからできるという形は、なるたけとりたくない。一応それで予備金の方で出しておいて、法律が通ったあとで直接元に戻すという方がいいかと思います。そこらのことが、多少ただ単に予算的の技術上の問題でなくて、でき得る限り筋を通してやりたいために、その点を今大蔵省と相談をさしております。いずれにいたしましても、何らかの方法で金が出るような措置を講ずるつもりであります。  第三点の、それに対しても菜種の基準価格の範囲をきめたらということ、これはけっこうだと思いますが、私は菜種生産地域における農家の不安を除くために、できる限り――と申しますと、まだ御意見があると思いますが、これは今日における物価の上昇といいますか、できるだけ同じ問題は米なりに起こっておりますものですから、それらとにらみ合わせて、適正な価格をすみやかに公示することができるようにはからいたい。これも今大蔵省との間に相談中であります。
  89. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは今月、今米価で大へん忙しいでしょうが、やっぱり米価決定がされないと、その仕事には移れないのですか、菜種の基準価格
  90. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) まあできるだけ急ぐと申しましても、やはり米価に没頭しておりますから、米価のあとになるかとも思いますが……。
  91. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ事務的にどうしてもやむを得ないということなら仕方がないかもしれませんが、ともかく米価をきめて、そうしてできるだけ早い機会にやっぱりやってほしい。その中身が非常に安いところにおきめ願ってもあまり喜ばないわけでして、まあ生産者団体の皆さんとしては、昭和三十一、三十二、三十三ですか、自由化問題等の影響のない年ということでとっておられるのだと思いますが、その三カ年の農家の平均手取り、これを基準にしてくれ、こういう要求を私たちもきめているわけです。もちろんそれにパリティをかけてやるわけでしょうが……。で、前国会でこの交付金法が問題になったときも、交付金の基準価格などをきめる場合に、農林省としては生産者団体の意見を聞いて、そしてやっぱりそれを尊重してやるべきだという修正を受けているのですね。予算などの範囲内といったような原案なども、これは修正されているわけです、衆議院の委員会で。だからそういう建前等から言っても、私はこの農民の要求というものについては十分政府は尊重した立場基準価格というものを検討すべきだと思うのですが、これはどういうふうに、おおまかに言ってお考えになっておられましょうか。
  92. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 御意見の点、私はよく尊重しながら慎重に基準価格考えたいと思っております。ことにただいま私がお答えしたように、物価等の指数の上がり方の問題もありますし、おのずからそういうことは当然考えてきめなきゃならぬと思っております。
  93. 河野謙三

    ○河野謙三君 あの麦の販売価格と買い入れ価格はきまったのですが、次にその計算をされる場合に、中間経費ですね、これは前年度とおおまかに比較してふえているのですか、減っているのですか。
  94. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 中間経費は、おもなものは販売マージンと加工経費、販売マージンは、われわれ織り込みましたのは率で一五%、前年度通り据え置きました。率で据え置いたわけです。従って、小麦粉は前年度と同じ、額においても同じでありますが、精麦については想定価格が下がっておりますから、その意味ではちょっと下がっております。
  95. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと大臣に、今中間経費というのはいろいろありますけれども、麦は相変わらず政府輸送をやっているでしょう。しかもその輸送費というものは何と考えましても常識的に言いまして政府が輸送するよりは民間の輸送にまかした方が安いことはきまっているのですよ。特に今のように麦が余ってきた場合に、非常に輸送距離というものは短縮できるわけですよ。そのときになぜ現地売却に切りかえないかと、こういうことを私は常に考えるのですがね。たとえば九州の麦を政府が買って東京まで運んだり、北海道まで運んだり、だれかが運ばなければいけませんけれども、少なくともその現地で買い取ってやって、そうしてその現地でその需要者に売却するという方法に、もうとっくに私は切りかえるべきだと思う。そうすることによって非常に大きな経費の節減になると思うのですよ。これは私は農林事務当局ではなかなか踏み切れない問題で、むしろ政府の方針として――政治ですよこれは――やるべきだと思う。そういうふうに思うのですが、そういう点は何か御検討なさったととがあるかどうか。それと関連して、まあこれは特に私は大臣に御意見をここで伺えなければ、検討してもらいたいと思う。  もう一つは、日通の元請になっているでしょう。日通の元請というのは、大ざっぱに言って前年度と同じですか。
  96. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) ちょっと下がっております。
  97. 河野謙三

    ○河野謙三君 これあたりも私は非常に検討を要する問題だと思う。だから一方において農家からの買い取り価格をこまかく計算し、販売価格をこまかく計算すると――ひとのところはなかなかこまかく計算するけれども、自分の、政府の内輪の仕事についての計算がそれほどきびしくないと私は思うのですよ。その点は一つ特に大臣に、今御退席になりますから、特に私は希望を申し上げておきます。
  98. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) これは一ぺんいろいろな専門家というか、いろいろな方に御協力を願って、食管会計でやっておる保管、輸送、配給その他について根本的に御意見を伺いたいと思います。これは、中間経費の問題は長い間の問題だから、よほど研究し直してみる必要があるのじゃなかろうか。今の輸送の問題なんかも私はよく御意見はわかりました。だいぶほかにも私も考えていることがあるので、何かのときに懇談会で御指導願いたいと思います。
  99. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと私は長官にもう一つ伺いしたいのですが、これから米の問題になりますが、麦の場合もそうですが、一体、投下労力というのですね、反当投下労力といいますか、石当たりの投下労力ですか、これは投下労力は私は下がっていると思うのですよ。というのは、たとえば去年まで小型のトラクターが五十万台であったが、今は八十万台も入っている。場合によったら百万台も入っているかもしらぬ。とにかく機械化されたことによって投下労力が下がっている。もうそういう計算をされていると思う。今までは二十人かかったものが十六人になったというようなことは、やっていると思うのですが、その反面、機械化することによって資本が出ますね。償却が全部できていませんね。こういうものによる支出が、投下労力が、かりに反当五人減ってもその五人減った分以上に機械化することによっての支出がふえていると思う。その差し引き勘定なんかはどうなっていますか。
  100. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) お話しのように投下労働時間は、年々何時間かずつ下がっております。反面、物材費の値上がり、それから今の固定資産の償却、そういったような、そういうものがございまするので達観的に申し上げますと、それぞれの物価労賃等に評価がえをしました生産費というものは、ここ三年くらい達観的に申し上げますとほとんど同じくらいの水準でございます。反当たりでございますから反当たり生産費としてはほとんど同じでございます。
  101. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は先ほど投下労力だけの問題にしぼって申し上げたので、まだここにいただいた資料を読んでもおりませんし、麦の問題は既定の事実になりましたが、米の価格を計算する場合に、投下労力の問題と機械化による農村の償却金利負担、こういうものを見ましても、私はこの関係だけでも前年度より相当ふくれておると思うのですが、実際は機械化することによって一般産業ならば非常にコストは下がるのですけれども、農村は機械化することによって現段階――少なくともここ二、三年の間は機械化はどんどん進んでおるけれども、機械化によってコストが上がっていくという事態、これは須賀さんのお手元ではどういう計算になりますか。傾向だけでいいです。去年と比較してどうですか。
  102. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 物材費の面においての値上がりと申しますか、経費の方向というのは、これはもちろんそういう傾向をたどっております。しかし、今申し上げましたように、労働面におきまする生産性の向上と、それから物材費の増高と、両方をかみ合わせて反当たり投下総経費といいますか、反当たり生産費というものを出してみますると、これはここ三年ばかり水準としましてはあまり動いておりません。
  103. 河野謙三

    ○河野謙三君 この問題、あまり米価審議会じゃないから突っ込んでやる時間もありませんから、その点も一つ精細な御研究を願いたいと思うのですが、最後に、きのうちょっとたまたま鉄道運賃の問題から話題が出たのですが、今年度の米価決定にあたって、物材費の中の肥料ですね、肥料の価格の中に運賃の値上がりというものを見ておりますか、見ていないかということを伺いたいのです。
  104. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) これは、肥料等、物材費につきましては、農業統計調査部で調べておりまする生産費の中にあがっております肥料代は、最近の農村物価賃金調査に現われておりまするそういう諸資材の上昇率で直すわけでございますから、だから私の方では、面接その肥料の運賃が最近改訂になったからそれを織り込む、そういうふうな個々の修正はいたしません。現実に生産費の中へ書かれてきましたものを最近の農村物価賃金調査によりまして最近時点のものに引き直す、そういう修正をするわけでございます。
  105. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは肥料の場合には政府の方針として運賃の価上げを一五%やって、それがいよいよ八月一日から肥料の価格の中へ織り込まれるわけですね。だから理論的にいえば、鉄道運賃の一五%上がった分だけ肥料の価格が上がるわけですね。その価格を過去の物価指数で出したものだけで今度きめる米価の中に織り込むということは――はっきりともう八月一日から一五%運賃が上がるのだから、しかもこれは政府の方針で上げたのですから、それによって起こる影響というものは、米の生産費の中の肥料のウエートというものはそんなに小さなものじゃありませんから、当然織り込むべきだと私は思うのですが、これは想定価格じゃないのですよ。現実に一五%上がるのだから、ここの点は理論的におかしいじゃないかということを私は申し上げたのだが、それはどうなんですか。
  106. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 個々の物資につきまして、個々に拾いますればただいま御指摘のような問題のあるものもおそらくはかにもあるいはあり得るかと思います。しかし、昨年までとってきました米価算定の方針としましては、決定時点以後に発生いたします物価ないしそういうものの変動の要素は、これは一切織り込まないで、決定時点において明らかになっておる要素だけで計算をしようという建前をとっておるわけであります。そういう考え方につきましては、いろいろ御批判もあるかと思いますが、少なくとも昨年産米価まではそういうようなことでやってきております。
  107. 河野謙三

    ○河野謙三君 しつこいようですけれども、これから電力が秋になったら上がるであろうとか、物価がだんだん上昇するであろうとか、そういう不確定な要素の場合は現時点で抑えていくより仕方がないでしょうけれども、今のようにはっきり政府の方針で八月一日から運賃が上がるのだ、上げるのだときまっているんですね。従って、それが肥料価格に影響することは当然なんですよ。そういうものまで織り込まないということは不合理だと思う。去年の場合はそういうものはなかったわけですよ、鉄道運賃の値上がりなんというのは。しかもそれがキャラメルであるとか歯みがきだとかいうものではなくて、とにかく米を生産する場合に一番大きな要素である肥料の価格に影響があるということがわかっているのですよ。だから、これはやはり先ほど大臣が筋を通して精細に計算をしてという以上は、当然私は入るべきだと思うのですが、筋が通らぬと思うのですがどうですか。
  108. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 問題点はよく私どもわかりました。よく検討してみます。
  109. 森八三一

    ○森八三一君 昨日からきょうにわたりまして、大豆等の自由化の問題に関連しまして、相当詳細な質疑がありまして、大臣もかなり明確に御答弁なすっておりますが、今なおその影響を受けまする菜種の基準価格と申しますか、支持価格と申しますか、そういうものの決定の時期については、米価との関係があるので、多少おくれるようなふうに聞こえまする発言もあったわけであります。が、すでに大臣もお認めになっておるように、出回りの最盛期を控えておりまして、非常に生産農民としては難儀をいたしております。さらに福田農林大臣時代でも貿易自由化の問題は議題になりまして、しばしば当委員会で論議をいたしました。そのつど、歴代の大臣はこのことによって関連する資源に対して国内の生産農民にいやしくも経済的な負担を与えぬような措置をするということを言明をされております。私どもは安心はいたしておりますものの、多少の心配はないわけではありません。そこで、この際何らか当委員会として意思を表示し、政府の善処を求めるというような運びをするのが妥当であろうというように考えましたので、各党の理事の皆様とは私的に打ち合わせをいたしまして、こんなふうに取り運んだらどうかという試案をまとめまして、委員長の手元まで提出をしておきましたので、休憩を願いまして、一応お諮り願って、当委員会としての意思を決定いたしたいと思いますので、さような取り運びをお願いいたします。
  110. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  111. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記を始めて。  この際お諮りいたします。昭和三十六年産菜種の基準価格に関する件につきまして、便宜私から決議案を提案申し上げ、委員各位の御賛同を得たいと存じます。  まず、案文を朗読させます。
  112. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 別に御発言もなければ、本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  114. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、本件については、この程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時五分散会