運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-06-30 第38回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月三十日(金曜日)    午前十時四十分開会   ―――――――――――――   委員異動 六月十日委員大森創造辞任につき、 その補欠として亀田得治君を議長にお いて指名した。 本日委員大河原一次辞任につき、そ の補欠として藤田進君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     藤野 繁雄君    理事            秋山俊一郎君            北村  暢君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            河野 謙三君            田中 啓一君            高橋  衞君            仲原 善一君            堀本 宜実君            阿部 竹松君            亀田 得治君            小林 孝平君            清澤 俊英君            安田 敏雄君            藤田  進君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   委員外議員            羽生 三七君   国務大臣    農 林 大 臣 周東 英雄君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    経済企画庁調整    局農林課長   後藤伝一郎君    外務省経済局次    長       高野 藤吉君    外務省条約局参    事官      東郷 文彦君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省農林経済    局金融課長   中島 清明君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省振興局植    物防疫課長   石倉 秀次君    食糧庁業務第二    部長      村田 豊三君    林野庁林政部長 高尾 文知君    水産庁漁政部長 林田悠紀夫君    通商産業省通商    局農水課長  西尾 八起君    運輸省港湾局参    事官      佐藤  肇君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林畜水産関係物資国鉄貨物運  賃に関する件)  (木材需給及び価格に関する件)  (農林水産関係三陸フェーン災害  に関する件)  (大豆の輸入自由化に関する件)  (第三十八回国会における未成立農  業関係法律案善後措置に関する  件)  (今次の集中豪雨による被害に関す  る件)   ―――――――――――――
  2. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る六月十日大森創造君が辞任、その補欠として亀田得治君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 農林畜産関係物資国鉄貨物運賃に関する件を議題といたします。  本件につきましては、かねて本委員会の問題になっております公共政策割引制度化、及び本年四月の運賃改訂に伴う引き上げ率調整の問題に関し、その後の事情ついで関係当局説明を求めます。
  4. 岡本悟

    説明員岡本悟君) いわゆる農林水産物資等暫定割引制度がございますが、これが六月末で切れるわけでございます。関係方面の御要望にこたえまして、さらに六カ月この期間を延伸する措置をとることをきめまして、すでに昨日私の方の大臣から国鉄総裁へその旨指令を出したような次第でございます。  それから去る四月の運賃改訂に関連いたしまして、農林水産物資のうち特に影響の著しいものについて特別措置を講ずるよう農林省から強い御要望がございまして、経済企画庁が中に入りまして、運輸省農林省といろいろ協議いたしました結果、すでに新聞紙上等で御存じのように、五品目につきまして――この五品目をさらに分類いたしますと二十七品目になりますが――五百キロ前後の遠距離のものにつきまして割引措置を講ずるということにいたした次第でございます。  なおこれに先立ちまして、これもすでに御承知かと存じますが、肥料並びに、これは当農林水産委員会には御関係ないと思いますが、肥料用鉱石、原料となります鉱石につきまして、それぞれ肥料会計年度の改まりますまで、つまり七月一ぱい旧運賃に据え置くというふうな措置を講じたような次第でございます。
  5. 亀田得治

    亀田得治君 一番あとの、肥料並びに鉱石についての七月末までの据え置きというのは、あと一カ月なわけですが、その後はどういう予定ですか。
  6. 岡本悟

    説明員岡本悟君) この問題につきましては運輸者の方からお答え申し上げるのは必ずしも適当でないと存じますが、実は経済企画庁がやはり中に入りまして取りまとめたのでございまして、そのときの関係省の了解では、八月以降は新しい肥料会計年度に入るので、いずれ肥料審議会あたり等でこの新しい原価というものが組み立てられるわけでございますので、運賃値上がり等につきましては、当然そういう新しい要素として考えるということにしたらどうかというふうな話しもございました。一応それで了解しているような次第でございます。
  7. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 肥料の問題につきましては、私の方からお答え申し上げますが、実は硫安につきましては現在のマル公が七月三十一日までございますから、ですからそれについてはマル公計算をされておりまする関係上、中途の段階でこれを変えることは非常に因るということで、これは全体の一五%アップというものも硫安等肥料にはかけないと、こういうようなことで、七月三十一日までは全然従来の運賃値上がりのなかった姿で実施をすると、こういうことで今までお願いをして、そう実施をして参りましたわけでございます。で、その際、マル公のあります硫安ばかりではございませんで、尿素であるとか、塩安であるとか、それから硝安であるとか、複合肥料であるとか、そういうものも入れまして、そういうものにつきましては七月三十一日までは運賃値上がりの全然影響を与えない、こういうことで参りましたわけでございまするが、八月以降におきましては、新しい肥料年度に入りまするので、その価格算定につきまして、いろいろ運賃をどういう工合に扱うかという問題も当然肥料審議会でいろいろ御検討をいただくということになりますので、八月以降についてはそういう特別の措置を講ずることをやめましたわけでございます。しかしながら、今の状況でも肥料については公共政策割引がございます。ですから、その意味においては、一般物資とは違いまして、特別な割引制度の上に乗っかっているというようなことになっているわけでございます。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 農林省へちょっとお伺いいたしますが、肥料問題出ましたから……。八月一日以降来肥料年度には運賃が上がるから肥料価格も上がるおけですね。まあ最終的にきめるマル公は下がる要素もあるから、どうなるかわからないけれども、とにかく肥料の中に相当大きなウエートを占める肥料運賃が上がるということになれば、来肥料年度肥料は、運賃が上がる分だけは上がるわけですね。そういうものは、まだ肥料の部面では、政府は最終的に八月以降幾らになるかということはきまっていないでしょうけれども、今すでに米の価格算定をやって米価審議会にかけますね、その米の価格の中に、肥料価格というものは、上がった価格というものを想定して入れているんですか。それとも肥料価格というものは現状のまま横ばいというようなことで、米の価格の中に占める肥料価格というものはきめているんですか、どうですそれは。
  9. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 米価の中で肥料価格は具体的にどういう工合に扱われているかという問題につきましては、私その直接の専門でございませんので、ちょっと正確な答えは申し上げられないと思いますけれども、御承知のようにパリティを基礎にして計算しているわけでございますので、そういうような意味から申しますと、今の一五%といいますか、運賃が新しく八月以降上がったという姿で、具体的にこれは数字ではじかれて入っているということではないのじゃないかというふうに考えておりますが、それはまあその内容についてこまかくまだ勉強しておりませんので、正確には私も申し上げるわけには参らないのですが……。
  10. 河野謙三

    河野謙三君 硫安のようにマル公をきめていくものは、あなたの方の操作で、肥料上がり分はよその原材料でまた下げて、肥料の絶対額は上げないという想定がおそらくできて、それでその米の価格の中に及ぼす肥料価格というものは同じだという計算ができるかもしれませんけれども、窒素系肥料以外の、マル公範囲外のものですね、たとえば過燐酸のごときは、燐鉱石その他運賃が上がることによって一番大きな影響を受けると思うのですよ。こういうものは当然私は上がると思うのです。肥料価格が。それを、しかも小さな要素じゃなくて米の価格の中における大きな要素である肥料価格を、はっきりと運賃が上がるということがわかっておるにもかかわらず、それを織り込まないで米価算定をしているということだったら、私は由々しい問題だと思うのですが、そこら辺はどうなっているのです。
  11. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) おっしゃる通り肥料の占める割合というのは、米価の中でも相当無視のできない状態にあるのでありまするから、今後米価算定するにつきましても十分そういう事情検討していただくように、私の方からも直接の担当の食糧庁の方には十分一つ連絡をいたしたいと思います。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 これは経済局長にお尋ねするのは無理かもしらぬが、現に今米価の問題の審議会が間近に開かれて、政府原案もできているはずですよ。原案の中に、肥料価格というものは現状のままの価格を押えて織り込んでおるのか、それとも今運輸省農林省との間できめられた運賃値上がりというものをちゃんと織り込んで計算しておられるのか。そこらのところは、これは将来の問題ではなくて、現に食糧庁というか、農林省責任において、それから政府責任において米価算定をされた基礎の中にどういう数字が入っているか。これは一つ私は伺わなければいかぬと思うのだ。委員長お願いしますが、これは経済局長では無理だと思うから、もし午後委員会をやるなら、食糧庁の方を呼んで、その点一つ確かめていただきたいと思うのですが、委員長そういうふうにおはかり願えますか。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この運賃調整の問題ですが、元来基礎運賃は一五%アップするということできめられたのでありまするけれども、元来問題になりましたように一五%というものが非常に上回っている地域がある。これでは部分的に特に西日本でありますから、輸送します水産物等につきましては非常に高率なものになっておる。二三%を上回るような状態の所があちこちにございますので、これが調整を強く要請をしておりまして、その結果、農林省経済企画庁運輸省国鉄という各関係部局におきまして調整をされたのでありまするが、今お話しによりますと、ある程度調整はできましたけれども、その調整内容について調べてみますというと、なお二〇%をこえ、二一%、ひどいのは二三%にも達するような所が依然として残っておる。これは一体調整したことにならないのではないか。幾分の、ほんの申しわけ的なことであって、こういうことでは業者が切望しておりました運賃改訂の建て直しということについて、ほとんど大した効果がなかったのではないかということになるように思いますが、その問題につきましては、農林省当局はどう考えておられるのですか。依然として高率な運賃だということは、せっかく調整をしていただいたのに、その効果というものは非常に薄いように思うのですがね。
  14. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) おっしゃる通り全般運賃改訂の場合におきまして、大体運賃改訂の目標は一五%アップと、こういうことで全般的には考えられておるということでございますから、大体その程度のところであれば、これは農林物資といえどもやむを得ないのじゃないかということで、そこは考えているわけでございますが、一五%以上に上がります分は、何といいまするか、遠距離逓減割引率を変えましたことによって影響するところが非常に多いという実情でございまするので、いろいろ企画庁が中心になって、全体といたしましては、できるだけその一五%に近づけるようにということで、遠距離逓減部分に非常に今までよりも不利な部分がございましたのを、そういう距離によって割引をいたしまして、そしてできるだけ全体として一五%に近づけるように、こういうような指示で調整をいたしましたわけでございます。しかし、これはいろいろ物資によっては輸送距離等の違うものもございまするし、同じものであっても非常に遠く輸送するものもございますし、あるいは近距離輸送のものもございます。そういうようなことで、物資によっては、ある程度出入りのありますことは、これはもうやむを得ないものじゃないかというふうに考えているのでございます。全体といたしましては、今までの、調整しない前の農林水産物資の全体の値上がり率といいますのは、平均して一五・八%でございましたが、先ほど運輸省の方からお話しがございました大きな品目で五品目木材、薪炭、野菜類それから飼料、魚貝類、大きな品目では、こういう五品目を取ってみますると、大体今度の調整で全般的には一五%かすかす、そこそこになっているというような状況になっているのでございます。ですから、その中でいろいろ出入りがございますことはやむを得ないと思いますけれども、できるだけ運用上の問題として、いろいろ国鉄とも話しをいたしまして、そういう問題は運用上の問題として一つ何とかお互いにがまんをし、便宜をはかっていくように一つお願いをするよりほかにしようがないのじゃないかというふうに私たちは考えているわけでございます。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 大体、今のお話しによると、一五%そこそこだとおっしゃいますけれども、特に水産物につきましては、なかなかそうなっておらぬのです。安いのでも、下がったのでも一八%から一九%、あるいは一七%というのがありますが、そういうことで、かなり上回っておるという計算が出てくると思うのです。私どもは、この水産物というのは、御承知のように非常になまものでありますので、輸送に念を要するという点と、特に冷蔵貨車使用するという必要があるのでありまして、現在冷蔵貨車が十分でないというために、冷蔵車を使う場合には割増金を取られておる。この水産物に対しまして一五%に近づけるために、今、特殊の物資についてはというお話しがありましたが、これは生活の必需物資であります農林水産物の中でも大衆魚につきましては価格も安いことでありますので、特に運賃等を引き上げられると影響が大きいのでありますが、その冷蔵貨車割増金等の率を幾らかでも引き下げて、そしてそういうふうなでこぼこにならないようにしてもらいたいという意向を持っているのでありますが、今後こういう問題について一つ国鉄の方で何かお考えがありますかどうか伺っておきたい、運輸省から。
  16. 岡本悟

    説明員岡本悟君) 仰せの通り特に遠距離のものにつきましては、先ほど経済局長からお話しがございましたように、遠距離逓減の率を若干是正をいたしましたのと、それからもう一つ運賃計算キロ程というものは御承知のように最短経路計算するということに相なっておりまするが、これを一部実際運送いたしておりますところの経路によって計算するというふうに変えましたので、そういうふうな値上がり率の一五%をこえるものが出てくるわけでございまして、今回、特別措置によりましてそれをできるだけ一五%に近づけたのでございますが、しかし、それでもやはり相当上回るものが出て参るわけでございまして、特に御指摘の鮮魚等につきましては、相当そういうものがあるようでございます。冷蔵貨車使用につきましての割り増し、こういったものにつきましても、かねてから農林省からも御要望がいろいろございまして、その方面についての検討もいたしたのでございますが、先般来、経済企画庁が中に入りまして行ないました特別措置は、先ほどお話しもありましたような結果になったのでございまして、これで一応関係各省としてはお互い不満もございますけれども、大局的な見地から妥結したような次第でございまして、さらに冷蔵貨車使用割り増しにつきまして何らか考慮せいとこういうことでございますが、一応われわれといたしましては、これで御解決いただいたというふうに解釈しておるのでございます。  先ほど経済局長から、農林省としては国鉄当局とさらに今後折衝したい、こういうふうなことを申しておりましたけれども、これも国鉄営業政策とも関連する問題でございますので、国鉄自身におきまして、冷蔵車状態であるとか、あるいは今後の車両の増加というふうな、いろいろな点から考えまして、そういう方法が講じ得るというふうなことになりますれば、国鉄自体判断におきましてそれに応ずることもあり得るかと考えますので、当委員会においてそういう御意見が出たということを、十分国鉄側に伝えたいと、かように考えます。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今ここでどうこうということも確答を得られるとも思いませんが、私が申しましたように、特に大衆鮮魚等につきましての運賃値上がり率相当高いということに、業者は非常な不満を持っておるわけでありまして、何らかの処置によりまして、それを今後一般の一五%のレートに近づけるような方法を努力を願いたい。われわれとしてもこれで納得するわけに参りませんので、一応これはわれわれの意見は留保いたしまして、今後の措置に待つことにいたしたいと思いますが、今、運輸省の方からお答えもございましたように、冷蔵貨車をどんどんふやしてもらえば、特に指定をする必要もなくなってくるのでありますが、国鉄といたしましては、こういう物資を運ぶために、これは特別なものじゃなくて、鮮魚を運搬するためには冷蔵貨車が必要だということは当然なことでありまして、国鉄のサービスとしては当然やるべきことであります。それができないからといって割増しを取られるということは非常に困るのでありますから、この点は特に御留意願いたい。そして今後こういうふうな当然必要な措置に対しまして割増しを取るというようなことは、一つ改めてもらうように要望いたします。
  18. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御質疑もなければ、本件についてはこの程度にいたします。   ―――――――――――――
  19. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次に、木材需給及び価格に関する件を議題といたします。  本件について質疑の、要求があります。御発言を許します。
  20. 石谷憲男

    石谷憲男君 木材価格が急激に高騰する情勢にあるということと対応いたしまして、本年の二月たしか二十一日であったかと思いまするが、木材対策についてという経済企画庁の取りきめがあったように記憶をいたしているわけでございますが、この取りきめの内容は、時間がございませんから申し上げませんが、当面対策として三つの提案があり、さらに当面並びに将来対策として五つの提案内容といたした趣旨のように伺っているわけでございまするが、これらの措置のその後の実施状況、並びに実施されたことによって木材価格が当面どのような状況になっているか、この点を一つ経済企画庁から御説明をいただきたいと思います。
  21. 後藤伝一郎

    説明員後藤伝一郎君) ただいまの木材対策の件でございますが、御承知のように去年の秋口以降の木材価格値上がりというものは、きわめて異常でございまして、いわゆる季節的変動を示すものではございますけれども、去年の秋から冬にかけての値上がりに対しまして、日本銀行の卸売物価指数に反映いたしますウエートというものは非常に大きくなりまして、経済企画庁といたしましても、全体の日本経済高度成長立場から一つの物価問題といたしまして、このまま放任するわけには参らないという立場から、ことしの二月でございますけれども、木材需給を総合的に円滑ならしめるという立場から、農林通産両省お願いいたしまして、木材需給計画を練り直したわけでございます。それによりますと、この数年木材需給が逼迫いたしましたけれども、大体国内生産国内消費が上回りますその数量は、大体三百万立米くらいだったわけですけれども、三十五年度の見通しからいいますと、その倍を上回る。このことが、この需給のギャップが価格を引き上げている基本的な要因だ。こういう角度からいたしまして、国内供給力をまず高めるということが一つ。それから国内供給力で間に合わないものを、どうしても外材輸入に待たなければなりません。その二つの考え方を基礎にいたしまして、大体国有林の増伐といたしまして二百万立米民有林の増伐を大体約五十万立米、それから輸入材を約百万立米、それからまた木材高度利用という立場からパルプの部門に対しましてチップ使用の倍増をはかるということで、約百五十万立米供給の増を見込んだらどうかということで計画を立てまして、大体農林通産両省ともにこの計画了承していただきましたので、これならば実施に移すことができるという基本的な了承のもとに、二月末にこれを閣議了承事項といたしまして関係官庁実施お願いいたしたわけでございます。で、その実施といたしましては、大体輸入の方も円滑にいっておりますし、また国内の流通の方も――あとでこれは林野庁からお話しがあると思いますが――円滑に参っております。その結果、大体木材卸売物価指数は上がってはおりますけれども、その上がり方というもののテンポが鈍って参りまして、御承知のように東京の店先渡し卸売を見ましても、杉の小丸太で大体三十五年の一月を一〇〇といたしますと、今年の五月で一一九・三、杉の中丸太で三十五年の一月を一〇〇といたしますと一一八・六というふうに、丸太そのものといたしましては、まあ十分でないかもしれませんけれども、ほぼ安定の足取りをこの二、三カ月いたしておると思っております。ただ、製品の板になりますと、原木高影響が最近出て参りまして、まだ相当の高値を示しておることは、これは否定できないかと思います。  簡単でございますが……。
  22. 石谷憲男

    石谷憲男君 そこで、要点だけを、非常に時間がありませんから簡潔に一つ御答弁いただきたいと思うのです。私は、ただいまの御説明ではどうも納得できないわけなんです。御承知のように、木材価格変動というものはきわめて時期的なものでありますから、なるほど今の状態ではやや一服という感じがあることは、私もよく承知いたしておりますが、秋口の需要の旺盛期に至るというとまたこれは反動を示すということが言えると思います。そこで、私の質問申し上げましたのは、たとえば国有林伐採量増加をはかる。従ってそういう提案に対して関係官庁にも十分に協力をいただいておると、こうおっしゃっておるけれども、一体こういった計画的な伐採量増加というものは、現実にどのように進行しておって、どのような効果というものを現にもたらしつつあるかということの判断を、実は今質問したわけです。  それから外材輸入増加をはかるということを御提案になっておるけれども、しからば、この外材輸入の場合に中心になるのは南洋材並びにソ連材だと思うのですが、ソ連材等のごとく、もうすでに長期契約に基づいて年度輸入量というものがきまっておるものにつきまして、特にこの対策をお出しになったことによって百万立方メートルの増というものをつけ加えて、さらに交渉するというような態勢をとっておやりになっておるのかどうか。  それから廃材チップ使用の倍増をはかると、こうおっしゃっておるけれども、これはそう簡単に、倍増をはかるという言葉だけでは倍増しないのですよ。従って倍増をはかるということのためには、何か具体的な措置というものを経済企画庁並びに関係各省と協力しておやりになっておって、それが現に倍増の方向に向かってこれくらいふえつつあって、そのことによってパルプ価格はこういうふうに抑制されつつある、こういうことなら、この効果意味というものがよくわかる。そういうことに焦点を合わして一つ説明願いたい、こういうことを先ほどお願いしたわけです。  林野庁からでけっこうですから、ごく簡単に当面対策としてここに提案になっております今の三つの問題について、その後の実施状況効果のほどをお知らせいただきたい、こういうことなんです。
  23. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) ただいま石谷先生からの御質問の点につきまして、先ほど企画庁の方から一応基本的な考え方の御説明があったわけでございますが、その後の実施状況ということになりますと、林野庁関係といたしましては、先ほどお話しのありました国有林の増伐ということでございますが、これは目下具体的に伐採個所の検討ということを続けておりまして、近く成案を得るという段階に至っております。過般営林局の経営部長会議を開催いたしまして、既定の計画分それから増伐分というものを含めて、計画樹立後、早急に売り払いを実施する予定でおります。  次は外材の問題でございますが、これは御承知通り国としての特別な規制というものはないように思われますし、むしろ民間ベースの問題だろうと考えられますが、大体実績は、本年すでに、三十六年に入りましてから約二十五万立米の入荷を見ているわけでございます。なお、三十六年度におきまして七十万立米輸入が期待されている、こういう状況でございます。  特に林野庁といたしまして、ああせよ、こうせよという指示はいたしておりません。輸入の増勢というものが非常に醸成されておりますので、そういうことが期待される、こういうことでございます。  それから廃材チップの問題につきましては、これは先生御承知通り生産者でありますところの全国木材チップ工業連合会これと使用者でありますところの紙パルプ連合会とで具体的に地域別の計画というものを定めまして、目下着手中である、こういう状況でございます。
  24. 石谷憲男

    石谷憲男君 ただいまの御説明のようなことであるならば、あえて対策というものはおかしい。たとえば国有林の増伐についても目下計画中だと、先ほどそれはある程度効果があって、やや値上がりのテンポというものが緩慢になっている、こういうふうにおっしゃっている。今あなたの御説明は、まだ計画中であってそれが実際効果を生むという段階になっておらない、しかもその取りきめが二月ですから、もう今日では七月に入ろうとしている、まだ計画中で当面対策なしのようなことでは、これは非常に問題である。  それから外材輸入増加をはかるとおっしゃったけれども、百万立米増加というものは、去年の実績に対してことしの輸入見込みが百万立米ふえているというだけで、何も対策と称して一応予定されているものよりもさらに百万立米ふやすことはないように思う。そこはどうなるか。  それから廃材チップ使用をはかっていくということは、今御説明程度ならば、そういうことはそれぞれ事業者は従来やってきている。しかし、この際、緊急対策として一挙に年間に倍増をはかるというならば、倍増できるようなさまざまな指導なり援助なりというものは与えられているかどうかということを今お聞きしているのです。その点、ちょっと追加して簡単に御説明願いたい。
  25. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) なかなか専門の先生からの御質問で弱るわけでございますが、(笑声)国有林の増伐関係というものは、これは林野庁の指揮命令系統で適確に行ない得る問題でございます。それにつきまして計画中と申し上げましたけれども、先の長い話しではございませんので、遠からずこれは実施に入り得る、こういうことを申し上げておきたいと思います。  外材の問題と廃材チップの問題でございますが、これは先ほど御指摘のありました通りの点があろうかと思いますが、現在の林野庁だけで、ある意味の規制あるいは促進策をどういうふうにとるかということにつきましては、御指摘の通りでございます。なおこれは関係方面、通産省なりあるいは企画庁方面とも連絡をとりまして、この見通しが単なる見通しで終わらぬように一つ検討いたしたいと思います。
  26. 石谷憲男

    石谷憲男君 それでは林政部長にお伺いしますが、この廃材チップの原料になる末木枝条につきまして、木材取引税の課税対象にするという動きが北海道であった。これは私どもも承知をいたしまして、そういうことがあっては、せっかくの倍増をはかるどころか逆行なんですから、そういう点につきまして、その関係方面に働きかけをして、当面一時そういう動きが消えておるようですけれども、そういうことは御存じですか。そういうおそれがあるならば、少なくともその程度のことにつきましては全国的に十分に手を打っていろいろなことをやらなければ、倍増どころでない、半減しますよ、そういうことが逆に起こっている。どうですか。
  27. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) 寡聞でございまして、ただいまの点、初めて承知いたしたわけでございますが、課税とかそういう問題によってこういう立木の生産とか輸入促進というようなことが阻害されませんように、林野庁としては努力いたしたいと思います。
  28. 石谷憲男

    石谷憲男君 「寡聞でございまして」ということは、私どもとしては非常に因るわけなのです。そう形だけの木材緊急対策じゃないはずなんです。やはり異常な木材価格の高騰というものが現にあって、これを何とかして抑制しなければならぬということからこういう対策が出た。そういうことによって、たとえば住宅計画のごときものも予定通り進行しないといったようなことが現実問題として現われておるわけだ。それならば、当面対策らしい効果の上がる手を具体的に打っていただいて、そうしてやっていただくということに、もうちょっと真剣になっていただかなければならぬと思うのですがね。私はこの二月にそういうものが出たけれども、そんなものは今日の段階において価格抑制の上に何の意味も持っていないということを率直に申し上げましても、これは過言でないように思っている。それじゃ困るということから今の御質問を申し上げているのだが、その辺につきましてもう少し活発な適切な手を打つ用意がありますかどうですか。
  29. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) どうも一説明員立場で政策的なことをとかく申し上げる筋でないと思いますが、御趣旨を十分関係方面とも連絡いたしまして努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  30. 石谷憲男

    石谷憲男君 それと関連いたしまして、やはり一部相当大規模な森林所有者の中に木材の切り惜しみをする傾向があって、そういうことがこのいわゆる需給逼迫にさらに拍車をかけておる、こういうことがよくいわれておるわけなんです。そこで政府におかれても、何かの税制措置等について特別な考慮を払ってそういうことのないようにしたいとかするとかいうようなことが私どもに伝わってきておるのですが、そういうことがあるのですか。
  31. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) ただいまのお話しはたしか自治省関係だったと思います。そういう現在の資産評価税と申しますか、その中にいわゆる立木を固定資産というようなふうな考え方で課税をし、先ほどお話しのあったような売り控えと申しますか、そういうものに出させるような効果があるのじゃなかろうか、こういう趣旨でいろいろ検討されておるような話しを聞き、また新聞で見たわけでございますが、林野庁といたしましてもそういうことで税を課するということによって、一体木材というものが出てき、それが現在の価格に対して抑制的な効果があるかどうかということについては、非常に疑問を持っておるわけでございます。いろいろ検討はいたしましたが、林野庁といたしましては、そういうことはとるべきではないということでございまして、正式にそれをやりたいということでの役所と折衝その他はまだやっておりません。
  32. 石谷憲男

    石谷憲男君 要するに、この妥結逼迫を幾分かでも緩和するために売り惜しみ等をやっておる者があるならば、それを防ぐような方法を考えなければならぬという問題は、これはそういう事実をお認めになりますか。事実をお認めになれば、従ってそれに対する対策をやはり用意されなければならぬということになる。
  33. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) いわゆる森林所有者というものが売り控えその他を非常にやっておるのではなかろうかという、こういうお話しでございますが、これはすでに御承知通りに、木材の需要の増大というものに伴いまして、国内の生産量というものは年々増加の一途をたどっておるわけでありまして、最近十年間では約二八%、最近の三カ年をとりますと約九%の増加というふうになっておりますので、必ずしもこのいわゆる売り控えということが、かりにあるにいたしましても、それだけが値上がりを激化しておるというふうには考えられないのではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。
  34. 石谷憲男

    石谷憲男君 その問題はそれくらいにいたしておきますけれども、そこで、私ども一番価格対策の面について大いに考慮しなければならぬ方法は、やはり輸入の促進だというふうに考える。そういう場合に、一体どこに焦点を合わして輸入促進を考えていくかということになりますと、やはり私はソ連材というふうに考える。聞くところによりますと、最近ソ連材の見本輸入が行なわれて、それは木材に関しましては製材品あるいは割材というようなものが入ってくる。ソ連の方としても大いに出したい、こういうふうな動きがあるようですが、このことは、それ自体としてはまことにけっこうなことだと思うのですけれども、国内価格との問題もありましょうし、特にそのことによりまして従来軌道に乗って、しかも発展一途にある素材の輸入というものに大きな影響を及ぼすということになりますると、特に港湾周辺都市の製材工場の原料問題等はなかなか問題が大きくなってくる、こういうふうに私どもは考えるのですが、これらに対する関係者のお見通しなり所見はどういうことですか。
  35. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) 木材輸入状況それから見通しということにつきまして簡単に申し上げたいと思いますが、すでにこれは御指摘になりましたように、木材輸入量は年々増加しており、特にその中ではソ連材相当有力であるということは御指摘の通りでございます。三十五年度は六百三十六万立方メートル入りまして、これをその前年度に比べますと約一一%の増加という傾向になっておるわけでございます。なお三十六年度におきましては、これは因果関係というものが非常にめんどうなことだろうと思いますが、木材価格が上がっておるということに刺激されまして輸入意欲が非常にふえてきておる、そういう現象がございまして、前年度よりも二百十四万立方メートル、約三四%の輸入増加が期待される、こういう趨勢にあるわけでございます。
  36. 石谷憲男

    石谷憲男君 現在のソ連材貿易というものは、御承知のようにあくまでこれは民間ベースでやっておるわけです。そこで、必ずしもソ連材輸入ということを、国内木材価格対策等の関係において結びつけに考え方でやっておるわけではない。特に価格対策ということを考えた場合に、ソ連材輸入という問題は、私は等閑視できない大きな機能を持っておるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、将来何かこのソ連材輸入問題等につきまして、国内価格対策を加味したようなやり方というものを研究される用意がございますか。
  37. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) 木材価格問題ということになりますと林野庁だけの問題ではございません。それぞれ企画庁なりあるいは通産関係にいろいろ御協力を願いまして、価格のある意味の均衡のとれた安定ということを考えなければならないと思います。林野庁といたしましては、国内の生産者、そういうものも考えねばなりませんので、ただ一がいに入れるのがいいというふうにも考えられません。そこら辺のかね合いの問題等につきましては、林野庁だけではなく、関係方面の御意見を伺って善処した方がよかろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  38. 石谷憲男

    石谷憲男君 いやいや、一がいに入れる方がいいというふうには考えないとおっしゃるけれども、そういうことはおかしいのであって、少なくともこの当面対策としても百万立米外材輸入増加をはかっていくということがちゃんと提案されているわけです。そういうことを前提にいたしまして、やはり国内価格対策との関連においてそのいわゆる輸入材を扱っていくような機構その他の問題につきましての御研究をなさっているかどうか、あるいはされる用意があるかどうかということを聞いているわけです。現にぐんぐん伸びている、さらに、伸びていく上に計画的に百万立方メートルよけい三十六年度入れようじゃないか、これは、こういう提案先ほど来申し上げる企画庁の対策なんだが、どうなんですか。
  39. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) これは、先ほど私、簡単に申し上げました通りに、非常に輸入の意欲というものが高まっているわけでございますので、特に林野庁だけで云々しなくても、そういう趨勢にあるので、相当量の輸入増ということは大いに期待をされる、そういうことを申し上げたわけでございます。
  40. 石谷憲男

    石谷憲男君 だから、今私が御質問申し上げているのは、現在のいわゆる民間ベース方式を続けていかれるという限りにおきましては、必ずしも国内木材価格対策との関連性というものはないのですよ。ところが、これは大いにあらしめていい対象だ、こういうふうに考えている。そこで、何らかあらしめていい存在だというふうにお考えになるならば、対策の用意があるか、研究の用意があるかということを聞いているのです。
  41. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) どうも私、頭が悪くて質問の御趣旨がはっきりつかめないのでございますが、国が、何か向こうの方は、ソ連の場合は公団がありまして、輸出を国として一本でやっているわけです。ところがこちらの方はいわゆる御承知通りの経済体制でございますので、国が何か統制的なものを作る、あるいは全国一律的なものを作ってそれを受けて取引を有利にし、あるいは国内価格の面にそれを反映させるというようなふうには、すぐにはできないのではなかろうか、こういう考えを私は持っているものですから、さように申し上げたわけであります。  ただ、御参考までに申し上げますと、ソ連材輸入につきましては、御承知の全北連というものがございまして、それが日本の各県下にそれぞれソ連の輸入木材に関する組合が、これは知事の認可でできておりますが、そういうものが入りまして、一応形といいますか、機構はでき上がっているわけでありますが、それに対して林野庁の方では、いろいろ援助とかあるいは助言をするというふうなことはやっているわけでございます。また過般、先年も前の林産課長、民間の方と一緒に現地の方にも参りまして、向こうからもこちらの状況を見に来る、そういう意味の援助といいますか、指導といいますか、そういうことはやっているわけでございます。
  42. 石谷憲男

    石谷憲男君 それは私もよく承知しております、よくやっておられることは。しかしながら、価格対策だといって、いわゆるこういう大前提に木材対策というものをお出しになっているのだから、そこで、やはり価格を抑制しなければならぬということを前提にしてさまざまなことを考えていった場合に、ソ連材貿易というものは、今までのようなやり方では、必ずしも国内木材価格対策と直接的な関連はないのだけれども、これをあらしめるようなふうに考えるならば、相当有効な手段ということをここに考えられるのじゃないか。従って、用意があるか、研究をされる気があるかということを聞いているのです。現状を御説明していただきたいということは申し上げていない。そういうことはまあそれでいいです。  通産からお見えになっておりますから、ちょっとお聞きしますが、一体、ソ連から製材品だとかあるいは割材タイプというものを見本輸入で入れるかどうかという話しがあるようだが、その点につきまして、今後の見通しに立ってそういうことをおやりになっておるのか。これはとにかく一ぺん入れてみようじゃないかという程度の試みなのか。将来の見通しに立っておやりになっておるということであるならば、これはあくまでもやはり国内木材価格対策との関連において、どういう見通しの上に立ってそういうことをおやりになろうとしておるかということがはっきりしなければ、これはやはり国内にかなりの私は混乱を招く要素だと思うのです。いいことかもしれぬけれども、混乱を招く要素だと思う。その点を一つお聞きしたい。
  43. 西尾八起

    説明員(西尾八起君) 石谷委員の御質問にお答えいたします。  ソ連材の割材及び製材の輸入の件につきましては、その品質、価格等、非常に不明な点が多いわけでございまして、この輸入に踏み切りますまでには、林野庁とたびたびにわたりまして慎重に協議申し上げたわけでございます。私どもといたしましては、本来は、輸入のサンプルでございますならば、五百ドル以下の無為替輸入制度がございますので、本来の商業ベースでありますならば、商業サービスとして無為替輸入でサンプルを日本側に送ってくるのが当然と考えるわけでございますが、そうしたことがソ連の通商事情その他からできないというようなことでございますので、品質、価格、特にそれは日本の輸入の大宗であります丸太輸入との価格上のバランスを相当検討を要する問題である。従いまして、今回のは日本の国内で広く商社あるいは需要者、各階層にわたりまして十分検討していただき、また、それをもとにいたしまして行政的にも十分な検討をいたします材料として、単に見本としてこれは輸入するわけでございます。  今後の問題でございますが、これは見本の検討の結果の上で、さらに林野庁と十分御相談申し上げなければ、何とも申し上げられる限りではございませんが、一番私ども重大な関心を払っておりますのは、やはり原材料としての丸太輸入を十分な量を確保する、それに支障のない範囲といいますか、それをだんだん今後も漸増せしめながら、そういう前提で割材あるいは製材が適正な範囲で入る、かりに今後輸入するといたしましても、そういう大前提はぜひいたさなければならぬのじゃないかというふうに考えておるところでございます。こうした点につきましても、大体林野庁でも同じお考えであろうかと存じますが、通産省といたしましては、以上のような考えで目下のところいるわけでございます。しかし、これはどこまでも仮定に立った話しでございまして、目下のところは、そういう品質、価格等の検討のための見本品だけであるというふうに御承知願いたいと思います。
  44. 石谷憲男

    石谷憲男君 そこで国内に及ぼす影響を十二分に見通しながら、見本輸入を契機として量を拡大するという場合においては、かなりその点の考慮を適切にやっていただきたいということと、あわせて、そのことによりましてせっかく軌道に乗っている素材の大量輸入というものが支障のないように、だんだんそれは製品輸入が多くなって素材輸入が少なくなるようなことに相ならぬようなふうに、私は十分御検討願いたい、かように一つ希望を申し上げておきます。  それから次に、とにかく大量に輸入をしなければならぬ、しかも大量に輸入をすることを政府としても大いに奨励をしている、こういうことになって参りますと、これは輸入港の関係がここに出てくるわけであります。御案内の通りたしか全国で四十五港だと思いますが、木材輸入指定港があるわけです。ところがその植物防疫の関係がございまして、なかなかやはり防疫事務というものが円滑に進んでいかない。これが一つの隘路になって輸入促進の道というものがどうも円滑に展開していかない、こういう事情があるようでございますが、おそらくこれは植物防疫に関係のある機関が非常に弱小である、ないしは人間の数が少ないということだと思うのです。そこで、輸入が多くなるに従って、さらに指定港の申請というようなことも全国各地からぼつぼつ出てきておるわけでございます。これもなかなか受け入れてもらえないということで、植物防疫の問題が輸入促進の一つの隘路であるというふうに言えそうに思うのですが、そこで、この状況なり今後の打開の見通し、こういうようなことにつきまして一つ防疫課長からお答えをいただきたい。
  45. 石倉秀次

    説明員(石倉秀次君) ただいま石谷先生からの御質問につきまして御返答申し上げます。  御指摘の通り、植物防疫作業が輸入の面につきましてかなり隘路になりそうだということは、私の方でも十分見通しをしておりまして、着々それに対する態勢を考えております。で、木材輸入の際に検疫を必要とするということは、これは皆さん十分御承知だと思います。過去十カ年ほど、戦後木材輸入がふえましてから、実施して参りました輸入検疫におきまして相当危険な害虫及び病菌がひっかかっております。今後輸入量が増大いたしましても、われわれの方といたしましては、一そう綿密に検疫をやって参りたいというふうに考えております。  先ほど林野庁並びに経済企画庁の方から御説明のありましたように、相当輸入量が激増しております。本年にいたしましても三割以上の増加でございます。翻って植物検疫を開始いたしました昭和二十六年に比較しまして、三十五年の検疫量が実に十六倍という増加でございます。一方これに反しまして人員は約二割増という非常に微々たる増加でございまして、この間われわれは検疫の技術の改善並びに人員の能率的な運営によりまして、ようやく対処して参ったのでございますが、現在ではほとんど人員の増員なくしては、これ以上出張所なり検疫所なりを開設する、そうして検疫業務量の増加によって輸入増加に対処するということは困難と判定いたしております。で、現在、農林大臣あてに木材輸入等に関連いたしまして、植物防疫所の出張所の陳情のございます港は十二港ございます。また木材の特定港として陳情のございます港湾は二十港に達しております。これを現在の出張所の設置数二十一港に対しまして出張所の数として約五割の増、それから木材の特定港として考えますと約倍の増加を見なければ業界の御希望に沿い得ない状況でございます。しかしながら、植物防疫、検疫関係の人員の増加はなかなか渋うございまして、毎年何がしかの定員増は認められておりますが、このような業務の五割ないし倍増に対しまして、人員を五割ないし倍増してほしいという要求は、これまた非常識かと考えます。これまで業務の能率化をはかって参りました面をさらに一そう技術的にあるいは機械的に強化するということが考えられます。幸いにしまして、植物検疫の際に最も時間を要しておりました検疫をして病害虫を発見した場合に消毒操作を施し、その清毒の効果を確認するまで、従来の技術によりますと約一カ月を要しておったのでありますが、最近新しい消毒剤が開発されまして、これによりますというと、約二十日間程度に短縮できます。この点におきまして、まあ相当業務量を能率化することができるかと考えられます。なお、これまで出張所ないし特定港の指定にあたりましては、木材の貯木施設につきましては、相当地元の方の御協力もいただけたのでありますが、検疫の際につきものであります消毒作業を円滑に実施いたしますためには、経験のあります消毒業者のおりますこと、並びに消毒設備の完備しておりますことが非常に効率的な作業を運営する前提となりますので、指定港の開設にあたりましては、地元の協力を得まして、ただいま申し上げましたような点を整備し、そうして早急に指定港の増加をはかっていきたいというように考えております。しかしながら、現在だけの人員ではとうていできません。三十七年度の予算におきましては、木材輸入量の多い従来の指定港――出張所への格上げ、並びに特定港に対する出張検疫の増大に対処するための人員要求、並びに指定港への出張検疫旅費の増額、高能率の木材消毒器の試作等の経費を要求する予定にして、現在局内の検討を終わった段階でございます。
  46. 石谷憲男

    石谷憲男君 そこで、まあ輸入数量が急激にふえてきたにもかかわらず、機構並びに人員の伸びは微々たるものである、こういう状況であることはわかったわけなんですが、急激に伸びてきたということは、伸びざるを得ない事由があって伸びてきた。しかもこれはただ単年度の問題じゃない、将来これはますます伸びる、伸ばさなければならない。しかも先ほど来の木材対策からいいましても、輸入増加というもの、これは政府の方針としても積極的に取り上げなければならない、こういうことなんですから、ただいまおっしゃっておるように、これに対応するような準備を要求することは、これは非常識だろうというような認識は私はかえって非常識じゃないかというように思うのです。そこで、そういうことですから、先ほど来企画庁はこの問題については関係者とも大いに協議をしてやっておるということです。従って、この予算要求につきましても関係省一体の要求だという格好で、ぜひとも強力にやっていただきたい。まあその辺の解決がつかなければ、口で輸入の増大だ、要請だといっても、現実の問題としては一歩も前進しない、その点を強く御要望申し上げたい。  それからもう一つ、これは多少愚劣な質問になるかもしれませんが、なかなか国の定員がそのためにふえていかないという実情もわからぬでもないのですが、そういう際に、都道府県の職員に十分なる研修を行なって、そういう事務を委託するというようなことによりまして、この当面の事態を幾らかでも緩和するというようなととが緊急事態に対する一つ必要措置としてできぬものでしょうか、どういうものでしょうか。
  47. 石倉秀次

    説明員(石倉秀次君) ただいま御激励をいただきまして、まことにありがとうございました。予算のことでございますので、今後いろいろと折衝の段階があるかと思いますが、ただいまの御激励に対しまして、極力人員の増加をはかって参りたいと思います。  それからもう一つ、都道府県職員に対する事務委託の問題でございますが、これは防疫員制度というのがございまして、最終的には不可能ではないかと存じますが、現在、今御指摘の点は検討中でございます。まあ当方の担当官の間での意見では、木材あるいは食糧、飼料というような膨大な量に達します農産物の輸入につきましては、国の職員でございます植物防疫官は、輸入の際の検疫、消毒の命令及び消毒の効果の確認という、主として監督的な業務を行ない、実際の実務を実施する下部組織を作る必要があるだろうというように判断いたしまして、現在、部分的には、特に西日本の輸入港におきましては、協力機関といたしまして植物検疫協会というような組織を作り、との中におきまして実際の消毒作業、そのほかを実施する態勢をとらしております。現在、この態勢がまだ全国的に整備するという段階に至っておりませんので、それから、検疫協会の職員がまだ十分なる技術的な水準、並びに十分なる経験を積む段階に至っておりません。まだ十分な機能を発揮しておりません。このような協力団体の組織が全国的に整備され、かつまた、職員の水準が上がりますれば、直接都道府県の職員に事務を委託いたしませんでも、植物防疫官とこの協力団体との関係において処理できるのではないかというように考えております。  なお、このような考え方は、昭和四十年度におきます木材輸入量が、現在の数倍増になるという計画のもとに作業を進めております。
  48. 石谷憲男

    石谷憲男君 まあ、そこで、よくその実情はわかったわけですが、やはり当面非常に困っておるという実情も十分御承知通りなんだから、これは何か困っている当面の状況というものを応急に打開することに役立つような、具体的な研究をされて、一つ解決をはかっていただきたいということに焦点を合わした御研究をいただきたい、こういうことを御要望申し上げておきます。  次に、最後に一点だけ運輸省に聞きたいのですが、御承知通り、一昨年の十五号台風によりまして、名古屋港を中心にして、まあ貧弱な木材の貯木施設が破壊をされて、そうしてもう非常に人命を損傷した。まあこういう事実があるわけですが、また、昨今非常な、異常な出水があったようでして、こういう問題はいつ何どき事故を起こすかしれない差し迫った状況であるように私は考えております。いずれも、ただいま申し上げた事情でございますから、どの貯木場にいたしましても、言うならば過剰貯木をしておる。従って、そういう事故発生率が非常に高いというふうに考えられる。まあかように考えるわけなんですが、そこで、例の港湾整備五カ年計画ですが、昨年二千五百億の予算がきまって、その中には相当の貯木関係の予算が含まれているように私どもは考えておるわけですが、まあそういった防災的見地からいたしましても、私は非常に関心を持って、この港湾整備の重要な一環として、木材に関連する施設というものを強力にやってもらわなければならぬ、かように考えております。ところが、伺うところによりますと、二千五百億円の港湾整備五カ年計画につきましては、運輸省当局の当初の要請というものは、何か二十三港くらい指定港だというふうにお考えのところが、大蔵省との折衝において、これが十港程度に削減されているという。現実に木材の入っておりますのは、先ほど来申し上げておりますように四十五港入っている。しかも、さらに木材輸入指定港として次から次へと申請が出ておる。それも当然の私は動きだと思う。どうしてもこれは解決しなければならぬ動きだと思う。そこで、その辺の関係がいかようになっておるかということと、さらにまた、それらの木材に関連をする施設というものは、決してこれはその貯木場には及んでないわけですね。貯木場には及んでない。だから、従って、水中ないし陸上の貯木施設というものは、あくまでも民間でやらなければならぬということなんですが、なかなか大規模にやらなければならぬということになりますと、相当の資金が必要だということになってくる。従って、今後はそういう施設に対してもこの貯木場の対象に考えるというようなお考えがあるのか。それがなかなかむずかしいために、何らかの起債の優先認可という措置によって援助するというお考えがあるのか。私は、木材の関連施設だけ非常に完備いたしましても、肝心の貯木場がそれに関連しましてりっぱに整備されなければ、ただいま申し上げましたような防災的見地から見ても、同時に、やはり木材という問題に限定された場合でありましても、何というか、処理というものが円滑にいかないということによりまして、せっかくの輸入が内地のかような好影響を期待する面に対する影響が適切な時期に及んでこない、こういうことがあるように思うので、そこで二、三点申し上げましたが、それを一つ総括して御説明をいただきたいと思います。
  49. 佐藤肇

    説明員(佐藤肇君) ただいまの御質問でございますが、第一点の木材輸入増加並びに防災的見地から、どのように今後五カ年計画木材取り扱い港を盛り込んでいくかということでございますが、当初われわれが立てました五カ年計画の素案というのは三千四百億でございましたか、そういう案でございまして、そのときには約八十億円で二十三港でございます。これを盛り込んでございます。それが今年度の予算におきまして二千五百億ということできまったわけでありますが、その内容につきましては目下作業中でございまして、これが十数港になったということではございません。まだ二十三港というものを対象にいたしましてわれわれとしては計画を作成しつつある段階でございます。  次に、防災の問題でございますが、もちろん、これも加味しておりまして、本年度の予算におきましては、新しく主要な水面、それから種分け場を作るというものに対する補助をいたしまして事業をやりましたのは、約二億円でございますが、それに比べまして、東京とか名古屋、清水等におきまして、防災的見地から水面を静穏にする、木材の流失を防止するということで予算化しましたものが約六億ございまして、合計で八億の仕事をやっております。  次に、貯木場そのものでございます。倉庫と同じような取り扱いになっておる貯木場に対して、補助その他の方法によっていかに助成していくかということでございますが、これは非常にわれわれも関心を持っておる重要な問題でございますが、取り扱い上は、港湾法からいいましても、貯留施設、いわゆる倉庫業を営んでおるわけでございまして、これについて補助するという規定は、先ほどお話がございましたように、ないわけであります。これを補助対象にするということは非常に困難な問題ではないかと思います。  次に、しからば、どのようにして助成していくかということでございますが、陸上倉庫の場合におきましては、開銀その他によりましてわれわれとしても助成の措置を講ずるわけでありますが、いかんせん、貯木場におきましては、非常に取扱いの料金が安いものでございますから、現在の料金では、融資を受けて作りましてもその償還もできないというようなのが実情でございまして、やはり適正な料金によりまして自主的に開銀融資その他の資金を受けて整備していくように指導していきたい、こういうように現在は考えておるわけであります。
  50. 石谷憲男

    石谷憲男君 そこで、港湾整備五カ年計画に関連する問題では、まだ目下検討中だということでございますが、現実は、ただいま申し上げたように、現に四十五港につきまして木材輸入が行なわれておる、さらにこれが増加しなければならぬという状況にあるということを十分念頭に置かれて、机上作業じゃなしに、実情救済的なものに役立つように、ぜひとも御研究をいただきたいということ、それから今の貯木施設なんですけれども、名古屋港の被害状況を調べた結果を見ましても明らかなんですが、これは何というか、やはり民間の施設ですから、従って、それだから不十分なものだというわけじゃないのですが、ああいう異常災害にあってみますと、結論的には非常に貧弱なものであったという結論になるわけなんですね。そこで、この流失によりまして経済的な打撃をこうむるととも大きいですが、やはりこれは人命に対しまして重大な影響を持つものだということはあれが立証しているわけです。これは私はどこでも同じ現象が起こっているだろうと思う。そういう意味で、やっぱり必要な完全な施設をするということにならなきゃならない。そうすると、相当な資金が必要だ。そこで、そういう立場からもその辺の手厚い御心配が私はぜひとも行政当局として行なわれなければ、やはりああいう何年に一回、十何年に一回しかこないような災害というものは、過ぎ去ってしまったら忘れられる。そうすると、勢い貧弱な、手の抜いた施設になる。そこで、一たびああいうことにまたあうということになると大へんなことになる、こういうことを繰り返すことになると思いますから、ちょうどああいう大へんな出水でいい時期だと思いますが、真剣に考えて、何らかの助成措置をする。それで行なわれる施設は、これは完全なもの、防災的見地に立っても完全なものだということにならしめ得られるような措置を進めていただきたいということを御要望いたしまして、私の質問を終わります。
  51. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、本件についてはこの程度にいたします。   ―――――――――――――
  52. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日大河原一次君が辞任、その補欠として藤田進君が選任されました。   ―――――――――――――
  53. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 農林水産関係三陸フェーン災害に関する件を議題といたします。  本件について質疑の要求があります。御発言を許します。  速記とめて。   〔速記中止〕
  54. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記つけて。
  55. 千田正

    ○千田正君 三十八国会の終わりごろになって、突如として、青森、岩手両県下に特殊なフェーン災害によるところのいろいろな問題が起きたのでありますが、これに対して各省に関係する問題がありますけれども、私は特に農林水産に関する問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。特に災害のひどかったのは、林業問題、開拓地の問題、零細漁民の漁船の損失その他に対する問題でありますが、詳しいことはおそらく被害県からすでに農林省当局に請願、陳情がされておりますと思いますので、これに対する対策をどういうふうにやっておられるか。これを私は時間がないから簡潔にお尋ねしますから、お答えは十分にお答えをしていただきたい。  まず第一に、林野庁関係の問題についてお伺いします。
  56. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) 私から簡単にお答えいたします。御承知通り、三陸のフェーン現象によりまする災害の中で、林野関係としては相当大きな被害があったことはすでに御承知通りでございますが、大体林野庁当局といたしまして、考えて、すでに一部実施に入っておりますものも含めまして、大体七件ばかりに相なるわけでございます。順次項目に従いましてお答え申し上げたいと思います。  第一は、被災林木等の処理の問題でございます。これは被害の面積が約二万五千五百町歩でございまして、そのうち国有林野が二千五百町歩、それから民有林関係が二万三千町歩ということになっておりまして、民有林の被害というものはすでにお手元に資料が参っているかと思いますが、約三十億円の見込みでございます。これに対しまして措置といたしましていわゆる焼失をいたしました林木、これは早急に伐採をいたしまして搬出する必要があるというわけで、緊急に搬出林道の開設、これを計画いたしますとともに、伐採のための施設、たとえばチェインソーだとかあるいは索道というものの購入資金につきまして天災融資法によりまする経営資金の活用をはかり得るように、関係方面と目下折衝中でございます。  第二点といたしまして、町村木を緊急に運び出すための緊急搬出路の開設でございます。また、これは単に町村木を搬出するというだけの効果ではなくて、被災を受けられた方々に対しましていわゆる雇用の機会をもお与えするという意味におきまして、早急に被災地域に林道を開設する必要があるわけでございます。ところが、林道事業の実施にあたりまして、いわゆる地元市町村の財政負担能力というものを考えまして、国庫補助の割合を増加する必要があるという考えに立ちまして、現在大蔵省、県等と具体的に折衝を進めているわけでございます。  第三番目といたしまして、被災あと地の造林の問題でございます。被災跡地の造林につきましては、そのほとんどが来春以降に実施されるというふうに思われるわけでございますが、事業の進捗状況によりまして、被災県に対する造林の補助ワクの増大を考慮する必要があるわけでございます。なお、その補助金額の決定にあたりましては、いわゆる査定の標準経費というものがございますが、これを適正に算定いたすようにいたしたい、こういうふうに考えるわけでございます。なお、いわゆる補助残、その他の自己負担分につきましては、農林漁業金融公庫の資金を活用いたしたい、こういうふうに考えております。御参考までに申し上げますると、県から本年度造林の希望の量といたしましては、約三百町歩の希望が出ているわけでございます。  次は第四点といたしまして、森林保険関係でございます。災害を受けました民有の人工林、これが約二千町歩でございますが、森林保険の対象地はそのうちの九百十二町歩ということに相なっておりまして、件数にいたしまして百八十件、こういうことに相なっております。措置といたしましては、保険契約地の被害調査につきましては、現在ほかの県から緊急に応援の人員を出してもらいまして目下実施中でございますが、ただいまのめどといたしましては、七月の二十日ごろまでには完了する見込みでございます。なお、保険金の支払いについては、調査の完了いたしたものから逐次支払うわけでございますが、七月中にはぜひ支払いを終えたい、こういう考え方で進んでおります。大体被害保険金額の支払い見込み額は、ただいまのところ、約三千万円という程度でございます。  それから第五点といたしまして、災害を受けました製炭施設の問題でございます。これの復旧につきまして、資料にもございますが、約六百基あるわけでございます。金額にいたしまして約九百五十万円でございます。これにいわゆる付属の施設であります作業場とかあるいは寝起きいたしております小屋等の、いわゆる付属施設の損害を入れますと千五百万円に上るわけでございます。措置といたしましては、天災融資法の発動によりまして経営資金を活用いたしたいということでございます。  それから第六番目といたしまして、官行造林地があるわけでございますが、これが約四百八十町歩ございまして、そのうち五十二町歩はいわゆる三年半以下の林部でございまして、あとの四百三十町歩が二十四年生ないし三十一年生の林部でございます。現在この四百三十町歩の利用の可能の林部につきましては、現在伐採に必要な調査を行なっておるわけでございますが、被害木を緊急に処分の上、これは規定によりまして分収をいたす予定でございます。なお、五十二町歩の幼齢林地につきましては三十七年度において改植をいたしたい、こういう考えでおります。  それから最後に第七といたしまして、これは被害が発生いたしました直後の五月三十日でございます。さしあたり青森営林局に対しまして復旧用材の売り払いにつきまして必要な指示を行なったわけでございますが、すでに青森営林局におきましては、いわゆる一般の購買等を停止いたしまして、貯材その他売り払いのための準備をすでに行なっておったのでございます。現在までに岩手県知事に応急仮設住宅用として素材約千立方メートル、価格にいたしまして約四百万円、これをすでに供給いたしております。さらに応急仮設住宅用並びに一般住宅用材といたしまして素材約五千三百立方メートル、立木約五百六十立方メートルを供給する予定で目下準備を取り進めておるのでございます。価格の点でございますが、これはすでに御案内の通りに、都道府県が災害救助法に基づきまして行なうところのいわゆるこの種のもの、並びに公共施設の応急復旧というものにつきましては五割以内の減額というような措置もございまするし、公共団体に直接売り払いますときは担保を免除するということもとっておるわけでございます。また、直接個人に売り払うときには担保は取りますが、延納の措置をとっているわけでございます。いずれも随意契約によって応急間に合うように取り進めたい、こういうことでございます。  以上はなはだ雑駁でございますが、とりあえずそういう措置をとっております。
  57. 千田正

    ○千田正君 大体了承いたしましたが、特に私が伺いたいのは、いわゆる官行造林の今後の問題ですね。先般も森林公団の発足等において当委員会においていろいろ論議を尽くしたのでございますが、今度のフェーン災害によって、四百町歩くらい被害を受けたのでありますが、これは御承知通り、官行造林は官行造林に指定になると同時に、もうほとんど個人や民間の人たちが立ち入り禁止するほど厳粛に取り扱ってきたものを、一朝にして烏有に帰した。今後はどうするかということで、非常にまあその点が気がかりになっておるわけです。ところが、今お話によるというと、焼け残りの分を処分して分収法に従ってこれを分けるのだとこういうわけなんですが、その後はどうするか。これは新しい森林公団法に基づいてやるのですか、それとも何か方法を考えるのかということと、住民から言いますと、官行造林にするのだと言って三十年も五十年も国の処分にまかしておいて、火災になった、保険に入っておらない。これは残っておればいいけれども、全然残っておらないのはこれはゼロということですか、その点はどうなんですか。焼けてしまって何にもないという場合が、これはもう保険もしておりませんから、そういうものに対してはどういうことなんですか。
  58. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) 非常に重要な問題でございますが、従来の官行造林法あるいは分収の考え方から申しますると、いわゆる分収契約と申しますか、これはいわゆる共同事業的な性格のものである。従って、ある一定期間が経過いたしましてから得られますところの収益を当初の契約によって分収をしていく、そういうことで発足しているわけでございます。従って、これが全部焼けてしまって何もなくなったという場合には、おのおのその分収の率に従って当事者として負担をするということが筋だろうと思うわけでございます。ただ、ただいま御指摘の、その改植をする点、これは問題ないと思いますが、相当林に対して、あるいは適伐期に達したもの、あるいはその焼け残りがあれば、これは切って売るわけでございます。その切ったあと、あるいは全然なくなったところをどうする、その措置でございますが、これを従来の建前といたしましては、いわゆる官行造林の再造林というような形になろうかと思いますので、なかなかその点がむずかしいのじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
  59. 千田正

    ○千田正君 だから、法律的にいえば、従来の官行造林法によるというと、別に保険をかけていないのですから、国がそれを十分に善意のいわゆる経営をしておるわけですから。ところが、焼けてしまった。残っているのは何もないということになるというと、一体国に土地を提供して管理をまかしておったそういう土地を所有している個人というものは、官行造林をお願いしてまた三十年たったら焼けた。一世紀にわたってもう自分の収入というものは一つもないということになる。そういうのは正しい行き方かどうかということは、この際むしろはっきり考えてほしいと思うのですがね。そういうことを非常に悲しんでいるわけですよ、被災地の諸君は。お前たちは土地を出せ、われわれは国で経営してりっぱな造林をしてやるから、そして相当の伐齢期になったら、それを切って、そして収益をお前たちにやるのだという約束で、なかなか自分の山でありながら自分たちも入れもしないで、営林署におまかせしておった。それが一朝にして烏有に帰した。これからも同じような火事があったらばかにならない。何年たっても自分の土地を利用することもできなければ収入もないということを、これは考えなければ問題じゃないですか。
  60. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) お言葉を返すようでございますが、ただいまの官行造林は、いわゆる公有林野に対する百行造林が主体になっているのじゃないかと考えるのでございますが、いわゆる純然たる意味の私有林というものに官行でやっているというケースじゃないと思います。
  61. 千田正

    ○千田正君 純然たるあれじゃなくとも、地方自治体が持っているものですよ。この人たちの考え方は、もしも営林署が伐齢期がきて、これが伐採されて、それによって収入が何パーセントもらえるということで学校の増設とか病院の建設とか、地方自治体のそれぞれの計画をしているわけです。それが全然そういう収入がない、こういうことになってくるので、個人よりもひどいわけです。
  62. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) ただいまの問題は、従来のこれは既設の既契約の官行造林地につきましては、従来の古い廃止になりました官行造林法の適用になるわけでございますが、あれの建前、考え方からいきますと、これは先ほど申し上げました通り、理屈っぽくなりますが、お互いに危険、損失を負担するのだ、こういうことでございますので、ただいま先生から御提起になりました問題は、一つ新しい問題といたしまして検討いたしてみたいと思います。現行の規定なり法律の範囲、あるいは従来の林野庁の指導、官行造林の指導の考え方からいたしますると、言葉は悪うございますが、何とも今のままではいたし方がない、こういうことでございます。
  63. 亀田得治

    亀田得治君 関連して。  これは私は横で聞いていて、なるほどそういう欠陥があるのかというふうに感じたのですが、しかし、考え方としては、官行造林の場合は国で一切めんどうを見ましょう、こういう建前になっているわけですから、地元の皆さんが持っておる部分、持ち分ですね、官行造林法によると持ち分がきまっておりますね、その部分については、官行造林費用の一部としてやはり国が保険をかけてやる、そこまでの世話を当然しておくべき問題なんじゃないですかね。これがもし民間の人なり公共団体がやっておると、自分で保険へ入るわけですね。しかし、国の方で官行造林は一切やるとなっておるわけですから、その一切ということの中には、現在の経済的な観念でいけば、当然災害なりそういう非常の事態というものはどんな場合だって予想できるわけですから、これは当然含まれてしかるべきなのです、考え方としては。従って、そういう点に現行法上欠陥があるのなら、その部分を国が払って、そうして保険にかける、それが筋が通っているということになるのであれば、多少はさかのぼって考えたっていいはずだと思うわけなんですが、どうなんですか。
  64. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) 御趣旨はよくわかるのでございますが、官行造林法はすでに廃止になっておるわけでございます。従いまして、今問題になっておりますのは、廃止になりました古い公有林野等官行造林法の適用のある既契約の分についての問題ということに相なろうかと思いますが、それにつきまして、さかのぼって云々するという気持はわかるわけでございますが、廃止した法律を改正とか何とかという、そういう技術的な問題を抜きにいたしまして、ただいまのところでは何とも手がないのではなかろうか。それからまた、先ほど申し上げましたように、いわゆる共同事業的な性格を強く本来持っておるわけでございますので、利益のある場合は分収をいたしますが、損失のある場合はお互いにこれも分けて負担をする、こういう仕組みになっておるわけでございます。従いまして、ただいま両先生から御提起になりました点につきましては、新しい問題として、今後の問題として、十分われわれ検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  65. 亀田得治

    亀田得治君 研究してもらいたい。
  66. 千田正

    ○千田正君 今後のこうした土地の跡地の造林に対しては、今度は森林公団法に基づいて森林公団に引き継ぐわけですか。
  67. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) その点十分検討いたしておりませんですが、いわゆるこれが再造林ということになりますると、従来の指導方針からははずれるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。なお、これを新たに官行造林としてやるのはどうもむずかしいのじゃなかろうかと私考えるわけでございますが、その点も十分検討してみたいと思います。
  68. 千田正

    ○千田正君 十分にこれは検討をする要があるし、また、今お話のありましたように、どうも保険も何もかけていないから、実際は利用するにも利用し得なかったということですから、国にまかせっきりになっておる。焼失した場合は、損はお前は半分負担しろ、これはちょっと罹災地の人たちに対してはあまりに虫のいい話で、十分これは考慮してもらいたい。  その次に、開拓の問題でありますが、これは今度の場合は、この地区においては非常に異常乾燥でありまして、ほとんど二カ月も全然雨が降らなかった。従って、水の供給というものが全然ないのだ、ほとんど植付した作物というものは全部枯渇してしまっておる。引き続いてそういうところへ火災が生じて開拓地におけるところの住家が焼けたものがある。それから全然植付がないものだから、何か臨時に労働をしようとしましても特別な何もそういう職も得られない。非常に開拓民は困っておる。開拓民のみならず、この地区は山地の農民でありますから製炭する山を焼かれたんでは何もない。みじめなほんとうに惨たんたる姿のままで暮らさなければならないという状況であります。これに対しまして農林省として特に何らかの措置を講じていただけるかどうか、この点を一つ農地局長からお伺いしたい。
  69. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 開拓地が、その辺の既耕地の問題もありますが、まず第一点で、大体先生おっしゃったように、異常乾燥で表土が飛びまして、将来いろいろな農作物の植付に困るということで、表土の飛散したものに対しまして、いわゆる暫定法で災害復旧としてやれるかやれないかということで、実は災害直後係官も現地に出しまして調査の結果、大蔵省へ交渉いたしましたが、ある程度の厚さの表土が飛散したものについては暫定法の対象にして考えようじゃないかということで実は話し合いがつきまして、これは開拓地だけでなくて既耕地も含めてでございますが、過去において、昭和二十七年に一回北海道でやったことがあるそうでございますが、二度目としてこれは適用しようというふうに話し合いがつきました。今後大蔵省と共同査定というようなことで、暫定法による農業土木施設の災害復旧の中の農地の災害としまして客土とかあるいは土がなかなかとれない場合にはあるいは深耕する、いろいろなことで農地を元の原形復旧しようじゃないかということでするつもりでございます。補助率は、これは暫定法の補助率でございますので、農地でありますれば五割から累進していくわけでございますが、これは大蔵省と話がつきましたので、近く共同査定をしたいというふうに思っております。そういうふうなことによりまして、地元に若干の労賃というものも落ちるんじゃないかというふうに考えております。面積等は既耕地の方が若干多くて、今私たちの方で調べましたのは一万二千町歩くらいになっております。これが全部ある程度の厚さの表土が飛びましたかどうか、その辺はこれから査定をやるわけでございますが、その中の相当部分のものが対象になるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。そのあとの土壌改良等につきましては、実は暫定法でやるわけに参りませんので、たとえば石灰を入れるとか、溶成燐肥を入れるとかいう問題をどうするかという問題は、暫定法の対象にはなりませので、これは別途大蔵省に話しまして、少なくとも開拓地くらいはそういうものの補助も出したいということで今後交渉しようと思っております。これはまだ話がついておりません。  それから特に開拓地の問題でございますが、先生おっしゃったように、住宅が相当焼失損壊をいたしております。また、農畜舎等もかなりのものがやられておりますので、これは三十三、三十四年は実は特別立法ができまして九割補助ということで復旧したわけでございます、被害激甚地は。それ以外の所は五割ということで三十三、三十四年はやりました。今年の災害は補助率はどこでいくかということは実は特別立法があるかないかということでまた違って参ります。法律がなくても最低五割ということははっきりいたしたいというふうに実は考えております。法律ができますれば、またこれは別途考えていくべき問題であろうと思います。  それからいろいろな、開拓地につきましては、従来の起債の問題の償還をどうするかというような問題、あるいは今後の資金をどうするかという問題がございます。天災融資法がもしも発動になりますれば、これは天災融資法で経営資金を借りられる人もございましようし、そのほかには自作農資金も実は今計算いたしております。まだ最終的にきまっておりませんが、ある程度のものは、自作農資金は考えたいということで大蔵省と話をしております。  それから従来の政府からの借入金につきましては、これは債権管理の例の条件緩和の法律の適用の対象になっている中で、まだその手続をしてない人は、至急あれで手続をして、その上で、あれは据置期間中でも金利がありますので、金利が払えぬというようなことになりますれば、これは債権管理法を適用して、しばらくの間、金利も払わぬというような措置もしたらどうか。それから条件緩和の対象になっておりません農家につきましては、これは最初から債権管理法で最長十年延ばせますので、そちらの方で手続をしたらどうかというふうに考えております。  それから開拓営農振興臨時措置法を改正いたしまして、開拓者につきましては、特別会計から災害資金を融資できるように三十五年度からいたしております。これは三十四年の伊勢湾台風の被害にかんがみまして、長期の比較的低利の金を特別会計から貸せる――あのときは貸したのでございますが、それを三十五年度から実は制度化いたしまして、三十五年度は一件も適用ございませんでしたが、これは天災融資法が発動になったような災害のときに、開拓地に激甚な被害が出た場合には検討しようという大蔵省との約束になっておりますので、フェーンの現象の起きました開拓地につきましても、できますれば、この特別会計からやりますと開拓者に有利になりますので、そういう金が出せるように、まだ大蔵省とはっきりきまっておりませんが、そういう対策を大蔵省と交渉した上でとりたい、こういうふうに現在は考えておりますが、これは今後の折衝に実は待つととろがございますので、この点はまだ確定いたしておりません。でありますので、はっきりいたしておりますのは、暫定法の対象として、表土がある程度飛んだものは、これは農業土木施設の災害としてやろうということは現在はっきりいたしております。
  70. 千田正

    ○千田正君 もう一点。今度の場合は不思議にこの零細漁民の船が相当やられた。岩手県だけでも三百数十隻やられているのですが、水産庁関係で喪失した小さい零細漁民の所有の船舶に対して対策を何か考えておりますか。
  71. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 水産庁関係の、特に無動力船が非常に損害が多うございまして、五百隻以上に及んでおります。これにつきましては天災融資法によりまして、二トン未満の船につきましては、天災融資法の適用を見ることになっておりますので、その融資を行なっていきたい。それ以上の船につきましては、農林漁業金融公庫資金の貸し出しを行なっていくというような計らいをいたしております。
  72. 千田正

    ○千田正君 だいぶ時間が過ぎましたから、最後に農林省として、経済局からどなたが見えてますか。――天災融資法を、あれしてもらいたいということを各省に陳情しているのですが、これはどういうふうになっておりますか。
  73. 中島清明

    説明員(中島清明君) 天災融資法の発動につきましては、被害の数字がまとまりまして、大蔵省と折衝いたしまして発動することに話がついております。
  74. 千田正

    ○千田正君 じゃあこの程度で、時間もありませんから、大体了承いたしましたので、私の質問を終わります。
  75. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ここでしばらく休憩し、午後一時三十分から再開いたします。    午後零時三十五分休憩    ――――・――――    午後三時二十八分開会
  76. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 委員会を再開いたします。  この際、お諮りいたします。  羽生三七君から、今次の水害について委員外議員の発言を求められております。許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。それでは、羽生三七君の発言を許可します。
  78. 羽生三七

    委員外議員(羽生三七君) 貴重な時間を委員外発言をお許しいただいて、お礼を申し上げます。  今度のこの水害についてでありますが、所管省の農林省以外の、建設省、厚生省等、各方面にわたる問題点があるわけでありますが、周東農林大臣は、農林大臣としてのみならず、総理大臣の代理も兼ねられておりますので、この際特に、二、三重要と思われる問題をここにあげて対策お願いいたしたいと思います。当面の対策は、昨日の次官会議で一応の基準はきまったようでありますけれども、なお気のついた点を申し上げて御配慮をわずらわしたいと思います。  今回の水害は、長野県等を初め、関東、中部、近畿等多方面にわたっておりますけれども、まだ現に、私けさほど九時電話をいたしましたところが、現に被害がなお続いておるという状況の中でありますので、今農林省から御配布をいただいた資料を拝見しても、これを上回る膨大な被害額になることは予想にかたくないと思います。そこで、今回の水害の特質を見ておりますと、普通の冠水等による被害、それから農地の流失等、いわゆる農林省関係のものもありますが、この以外に宅地の流失等が非常に多いわけであります。これは普通の冠水のほか、何といいますか、鉄砲水というか、山津波といいますか、そういうことで、一瞬の間に農地も、宅地も、住宅もみな流され、私の地方では二百人程度に上る人命の死亡または行方不明等があるわけであります。行方不明はほとんどみな死んでおると思われます。  当面こういう場合に、農林省所管の対策を適切にお願いすることはもちろんでありますが、食糧、衣料の問題等もありますが、さらに臨時の総理大臣代理とされて、ぜひ何らかの機会、この総合対策の機関があるようでありますが、そこで十分一つ御考慮をわずらわしたいことは、今申し上げましたような諸問題に対する対策のほか、今日まで人命の犠牲の場合は、おおむね一人当たり三千円ないし五千円というような慰弔料のほか、何らの規定がないわけであります。これはいつの災害の場合でも問題になることでありますが、このような場合、これに対処する何らかの方法はないのかどうか。たとえば特殊立法でもよいと思いますが、とにかくこれはいつの場合にも問題になるけれども、人命の損害に対しては、何らの救済方法というものはない、慰弔方法というものはない。これに対して何らかすみやかなる特殊立法なりあるいは何らか他に方法があるならば、しかるべき方法を講じていただいて、農林省所管の農地の流失、冠水等の被害を救っていただくのみならず、当面する、ただいま申し上げた諸問題についても、十分な御配慮をわずらわしたいと思います。なお、そういうことになりますと、昨日の次官会議の決定で、承ると、予備費の流用で大よそまかなえるようでありますが、もし何らかの特殊立法等を必要とすることになれば、当然臨時国会等もなるべくすみやかに召集していただかないと、特殊立法等もできませんので、とれらもあわせて御考慮をわずらわしたいと思います。いずれにいたしましても、私が電話で受けた話では、想像を絶する被害のようでありますので、これらの点、御勘案をいただいて、単に農林省所管問題のみならず、建設省、厚生省、その他各省に問題わたると思いますけれども、総合的に、政府としてすみやかなる対策を立てていただくよう、この際特にお願いをいたす次第であります。よろしくお願いいたします。
  79. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) まことに今度の災害に対しては、災害地の方々に対して非常にお気の毒に思っております。政府といたしましては、実は昨日直ちに次官会議等を開き、各省から情報を一応集まったところを持ち寄りまして、検討いたしました。一昨日の状況におきましては、比較的範囲は広いのです。がしかし、被害の額といいますか、状況は非常に今までに比べまして小さいような形でありまして、その関係上、さしあたって中央災害対策協議会というものが総理大臣を会長としてありますので、それを中心として、まずそれぞれの措置を講じていこう。ことに今度のは不幸中の幸いでありましたことは、各県庁所在地は被害をとうむっておりませんので、各府県の活動が敏速果敢に行なわれておりまして、それぞれの手配を進めておるようであります。しかし、それらの状況につきましては、各省からそれぞれの係り官を派遣いたしましたが、明後日――それ以後を通じまして、関係各省から、特に次官以上の方々に現地分担派遣をしてもらおう、こういうことでございます。ところが、きょうは一昨日の状況よりもやや被害がまたふえておるような状況でありますので、御指摘のように、それぞれの調査を早く積み上げて応急処置並びに恒久の処置を講じていくようにしたいと思います。ことに災害救助の立場において、よく生活保護、薬品、その他の問題は、東京の方面から特別に輸送をせぬでも各地で全部調達ができるというような状況までわかっておりますので、さしあたってはただいま申しましたように、中央災害対策協議会の活動に持ち、さらに必要があれば閣僚を長とする中央災害対策本部というようなものを政府に設けるかどうかということを考えていきたいと思いますが、ただいまはその必要はないではなかろうか、こういうふうに考えております。  これが現状でございまして、なお、各地におけるその後の被害等におきましては、敏速にこれが実情を調査の上、それぞれ必要な対策をとりたいと思います。
  80. 羽生三七

    委員外議員(羽生三七君) 特に先ほど、私があとから申し上げました人命の問題ですね。これは数百人が死亡または行方不明になっておるのに、これに対しては、従来の慣例からいくと三千円ないし五千円の慰弔金しかないわけです。それは災害のつど問題になるわけですが、これに対して何らかの特殊立法か特別の施策が必要ではないかということを痛切に感ずるわけですが、この際、これは農林大臣としてではなしに、政府責任あるお一人として、しかるべき機関において何らかの結論を一つ出していただくように、われわれもそれぞれ努力をいたしますが、政府としても十分お考えをいただきたいと思います。この点はいかがでありましょうか。
  81. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 御趣旨の点につきましては、中央災害対策協議会に問題として持ち出しまして研究をさせたいと思います。
  82. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 羽生君の委員外発言は以上をもって終わりました。   ―――――――――――――
  83. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 大豆輸入自由化に関する件及び第三十八回国会未成立農業関係法律案善後措置に関する件を一括して議題といたします。本件について質疑の要求があります。御発言を許します。亀田君。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 一括でありますから、第二の方を若干お聞きしたいと思います。  前国会でたくさんの農基法関連法案が流れたわけですが、それに対する善後措置、農業基本法だけは通っておるわけですが、これはどういうふうに処理されておるのか、まずその辺の実情の御説明お願いします。
  85. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 前国会に提案をいたしました法律案のうち、十八件が継続審議または審議未了と相なっております。それらのうちの相当部分は、さらに次の臨時国会において再検討の上、同趣旨の法律案をお願いした上でなければ措置のとれないものがあるわけでございますが、中にはそういった法律措置を待たずに、行政的に処理できます範囲内のものは、極力行政的にある程度処理をして参りたいということで検討を重ねております。各件ごとに、法律案ごとに簡単に申し上げた方がいいのかもしれませんが、設置法とか、中央卸売市場の一部改正とか、それから中金法の改正でありますとか、肥料取締法の改正でありますとか、農業共済の法律の一部改正でありますとか、それから畜産関係の諸法案でございますとか、これらはそれぞれ臨時国会にさらに御審議をお願いした上でないと、何とも行政的にどうということではない、そういう性格のものではないと思います。  そこで、農業近代化資金あるいは農業災害補償法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案等につきましては、今後何がしか行政府に空白の生じませんような工夫を必要とするのではないかと思います。と申しますのは、近代化資金で申し上げますと、近代化資金に統合して総合化する予定でございました家畜の導入に要する資金でございますとか、あるいは、従前、農業改良資金の施設資金で補償しておりましたものとか、さらには公庫の貸付対象でございました共同利用施設の一部とか、これらのものは近代化資金が誕生いたしますまで、そのまま、空白のままで待っておるというわけにも参りませんので、それらにつきましては、新規のものを含めまして、もともとこれは系統の資金を使うわけでございますから、つなぎ融資というような点を極力やっていただくようにいたしたい。それからなお、旧来、制度のありましたものにつきましては、理論的には旧制度が生きておるわけでございますが、旧制度による予算措置が講じられておりません。そういったような関係もございますので、この点はむしろ何らかの方法で、旧制度がありましたものについては、利子の補給がさかのぼってできますような工夫を考慮して、次の機会に法律にお願いをするというふうにいたしたいと目下検討を重ねておるところであります。  それから災害補償法の一部改正の一部改正と申しますのは、例の料率の改訂でございます。三十六年産の水陸稲につきましてはすでに作付けも始まっておりますので、これについては、とりあえず従前の、三十五年に適用いたしました料率を適用することとして、告示を出さしていただいたわけであります。で、前国会にお願いいたしましたものと同趣旨の法律案を重ねて次の機会にお願いをし、それによって水陸稲を予定の法律にあげさしていただきたいと思っております。なお、麦につきましては、御承知のように、三十六年産麦につきましては本来のことで済みますが、三十七年産以降の麦の対策につきましては、なお今後よく検討した上でやって参りたいと思いますが、次の国会に同趣旨の法律案をお願いする際までには明らかにいたしたいと思っております。それから大豆につきましても、大豆の出回り期は秋以降でございますので、そういうことで法律案を間に合わせていただきたいというつもりで準備を進めております。なお、菜種につきましては、行政措置によりますもの、あるいは既存の法律の制度によりますもの、いずれにいたしましても必要な対策を講じて参りたい、さように考えております。  大体、大部分はそういうことで、次の機会に法律をお願いした上ですべり出すものが多いわけでございますが、中には農業近代化資金のように、空白を生じますこともいかがかと思われるものがありますので、それらのものについては、今申しましたような方向で善処いたしたいと考えております。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 きのうの農業共済組合新聞、あれを見ますと、何か農林大臣が発表したというので、自作農の造成のために三分五厘で三十年年賦のことを考えて、農地局当局にこれを命令して、当局は今これの検討中だ、しかも非常にうがったことを書いてあるのですね、これを農地法の改正の中へ入れるか、別の法律にしてやるかということを今考えている、こういうような非常に突っ込んだ記事が出ておりましたが、これは何かあるのですか、根拠が。
  87. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 前国会で、基本法の御審議をいただきました過程で、大臣が個人的な見解として、将来の農地行政の重要な一環として、そのような農地取得のための制度を現在あります自作農資金ではまだ十分でないように思われるから、もっと思い切った低利長期の融資制度を考えたいというようなことを、特に個人的な見解だがというお断わりの上でお答えになった経過があることを私は記憶しております。そこで、最近特にそういう御下命があったかどうかは確かめておりませんが、事務当局として、大臣のそういう御見解の表明もありましたので、明年以降の施策として、それをどういうふうに御趣旨が生かせるものかどうか検討いたしておることは事実でございます。農地法に入れるとか入れないとか、そういうこまかいところまではもちろんいっておりませんが、ちょうどそういう大臣のお気持、御見解でありますし、私どもも何かそういったものがあって、何かそういう方向でものが考えられる必要があるということは痛感しておりますので、検討をよりよりしていることは事実でございます。なお、先ほど申し落としましたけれども、農地法の改正――農地法の改正も審議未了となりましたので、農地法につきましては、すでに前々国会でございましたか、昨年の秋の臨時国会で、前の農地法の改正案が流れましたあとで通達が出て、現行農地法の範囲内で、趣旨に反しない限り使用収益権に限って、所有権を除いたそういった使用収益権に限って、現行農地法のワクの中で認められるものは認めて法人化の動きに若干でもブレーキにならないようにというふうな趣旨の農地局長通達が出ております。今回もその通達をさらに援用いたしまして、前回の運用方針を引き続き次の機会まで踏襲するようにというふうな通達を出しております。
  88. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、関連法案が流れたことについて、行政措置の対象となるようなのは、農業近代化、農地法、それから大豆、菜種、農災の一部改正、まあこの四つぐらいのようですが、大豆、菜種を中心にしてきょうは聞きたいと思っているのですが、その前に、この流れましたたくさんの法律案について、衆議院を通るときに、一部は修正されたり、あるいは相当内容の入り込んだ付帯決議等がついておりますね。今どれがどれというふうに私は覚えておりませんが、こういうようなものについては、どういうふうな考えを持っているのですか。
  89. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 先ほど、大体同趣旨の法律案をもう一回再検討した上でお願いするつもりでおるというふうに答えましたのは、実は先生の御指摘のような点もございますので、もう一回、最終的に臨時国会に提出をしますまでに、その辺のところを検討した上で態度をきめたいと思っております。まだ今のところは、はっきり一つ一つについての結論は出しておりません。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 これは衆議院をともかく一たんそういう形で通ったわけですから、単なる意見とか、そういうだれそれの委員意見といったようなものじゃないわけでして、これはそのままやはり採用していかなければ、そこに矛盾ができて、なかなか通りにくくなるのじゃないですか。そこら辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
  91. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 御指摘のような点もあろうかと思って再検討をしております。
  92. 亀田得治

    亀田得治君 そこで、大豆、菜種の関係ですが、これは行政措置でやるのか、あるいは農安法でやるのか、まだはっきりしないようなことのようですが、これは大臣に実はお聞きしたかったわけですが、後ほどまたあるいは大事な点は繰り返すかもしれませんが、一応あなたに一つお聞きして参りたいと思いますが、大豆、菜種の交付金の法案が出たのは、自由化ということが前提となっているわけですね。ところが、その前提条件となった法案が国会を通らなかった、こういうことであれば、常識的には自由化を暫く待つ、こういうことが普通の行き方じゃないかと思うのですがね。政府も無条件に自由化ということを言ってるわけじゃないのですから、自由化をするについての条件、重大な条件なんです。だから、その条件が満たされなかったわけですから、そうすれば、自然な形からいったら七月一日からやろうと思っていたが、暫くこれはあとにする、こういうことにしておけば、そんなにむずかしい問題が起きてこない。そういうことをせぬものですから、いや農安法でやるとか、行政措置でやるとか、いずれでやるにしても非常な問題が、後ほど若干お聞きしますが、起きてくるわけなんでして、これはどういうふうにお考えですか。
  93. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 具体的な法律案なり、今後の運用方針につきましては、経済局なり食糧庁の方からお答えをお聞きいただきたいと思いますが、私どもは十分な国内産大豆、菜種に対しての保護措置が講じられた上でということをかねがね申しておったわけでございます。十分な大豆、菜種の保護措置が、当面行政措置その他によって講じ得るということで考えておる次第でございます。
  94. 亀田得治

    亀田得治君 ともかく、法律として出したものが通らないという、その法律の背景というものは、自由化をそれによって裏づけていくわけなんですね。それが国会を通らないということは、実質的に考えれば、自由化を少し待ちなさい、そういう意味になるわけなんですよ。にもかかわらず、行政措置ででも、その辺の処理をしていくということは、ちょっと筋が通らないように思うのですね。こんな前例というものはそんなにないと思うのですが、どうなんでしょうか。そうしませんと、法律で通らなかった、よく中身を検討してみたら、これは法律でやるほどのことはない、行政措置でもいいのだというようなことがはやり出したのでは、これは私は大へん悪い前例になろうと思うのですね。どういうふうにそこら辺のことを、前例などから比較して、お考えになるのですか。
  95. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 仰せの通り先ほど官房長もお答え申し上げましたように、大豆の自由化につきましては、今までも非常に関税の措置、それから国内的な対策等を講じた上で、自由化するという態度で参っておるわけでございまするが、ただ問題は、御承知のように、対米といいますか、対ドル地域に対しまして制限をしておりましたもので最後に残っておりましたのが大豆とラードだけということになっておりまして、これはどうもドル地域だけを制限して、ほかの地域は自由だという姿でいつまでも置くというわけにも参りませんので、そういう事情もございまするから、昨年からジュネーブで関税交渉もやって参りまして、それで関税についてのアメリカとの交渉も妥結をいたしたわけでございまして、その関税の引き上げをやり、それから国内的には、御承知のような法案を出しまして、そしていよいよという場合には、政府が買い入れといいますか、交付金を出して、そして国内の生産者が困らぬようにするという対策を講じて自由化しようと、こういうことにきておりましたわけでございます。ただ、そこまで大豆というものが国際的には、何といいまするか、いつまでも制限しておくというようなことが続けられないような国際的な情勢にもなってきておるのでございまして、いろいろこの関税交渉をいたしまする過程におきましても、これはその交渉の過程では、ともかく一応七月一日ということ、いろいろ国内措置を講ずるということはもちろんでございますけれども、一応の目標といたしましては、七月一日ということを目標にして折衝して参っておりました。実際問題といたしましては、そういう事情もあるわけでございます。ですから、そういうようなことのために、たとえば関税をこちらから上げます場合に、いろいろ向こうから代償要求等があるわけでございますが、そういうようなものについても、たとえば七月一日に自由化されるということが一つの前提になりまして、非常に向こうでも代償要求をがまんをして、やっとこさっとこ妥結に持っていったというような事情もございまして、国際交渉でございまするから、なかなかデリケートなところがあるわけでございます。まあそういうようないろいろ国際の信義上の問題もございまするし、そういう事情もいろいろ考えまして、政府といたしましては、七月一日から大豆を自由化するということは、とにかく今までの方針通りやっていこうと、こういう結論をつけましたわけでございます。そういう事情でございまするので、しかし、自由化する以上は、これはどうしても対策というものはきちんとやはり講じなければいかぬ。ですから、そこでその対策としては、先ほど申し上げましたように、関税の問題と、それから国内対策と両方あるわけでございまするけれども、関税の問題については、いずれあるいは外務省の方からお話があると思いますが、関税についての協定の文書を国会の承認を得るようにお願いをしておったわけでございますけれども、これも審議未了になりましておりまするので、これは今後事後承認といいまするか、国会で事後承認をしていただくというようなことで、一つできるだけそういうような考え方でお願いをいたしたい。それから国内的には、現在の実際の実情から申し上げますると、大豆の値段が相当高いものですから、そう実際に影響を与えるという問題はなかなか起こらぬとは思いまするけれども、まあ大体前の既定方針通り法律を臨時国会でお願いして、そしてそれで対策を講ずると、こういう基本的な考え方は同じでございまするが、その間に非常に困るような事態が起こりました場合には、これはやむを得ないから行政措置ででも、前の法律で考えておりましたような内容で、生産者が困らぬように対策を講じていくと、こういう措置農林省としてはとらざるを得ないという立場でございます。まあ初めから申し上げましたように、関税の問題と、それから生産者に対する対策、そういうようなものと両々相待って、とにかく一緒に、自由化する以上は、それをとにかくとりあえずの措置としてやらにゃいかぬと、こういうようなことで考えておるわけでございます。
  96. 亀田得治

    亀田得治君 そういう関税の措置なり国内措置の中身は、これはちょっと前提の問題が済んでからまたお聞きすることにいたしますが、私その前提の方がふに落ちないんです。重大な条件、ともかく引きかえになっておる重大な条件である法律が通らぬのに、予定通り七月一日からこの自由化をしていく、自由化政策という立場に立ったところで、臨時国会でこの法案が通ってからで私はいいと思う。それは外交交渉ですから多少の約束等はあるかもしれぬが、それは国内事情を全然無視して先方だって押しつけなきゃならぬと、それほどのことは私はないと思いますしね、そこら辺がどうも不明朗なんですね。だから、重要な関連法案が国内では不成立になったから、七月一日というつもりでいたが、秋まで待ってくれ、こういう交渉をアメリカとの間で一たんされたのかどうなのか、そこら辺をお聞きしたい。これはちょっと大臣じゃないと困ると思うのですが、実情はどうなんですか。どうも聞くところによると、関連法案のいかんにかかわらず、七月一日から自由化をやっていこうという閣議の再確認をするにあたって、外務大臣相当発言をされて、そういうふうにきまったように聞いているのです。外務大臣は、私たちのこれは想像になるわけですが、どうもやはりアメリカと約束がある、そういうことばかりが先に走って、そうしてきめられているのじゃないか、たまたま池田さんもアメリカへ行く、アメリカに行く前にそんなおかしなことをやっちゃいかぬとか、そういうようなふうなことがからんで、七月一日予定通り実行、そういうことになったような感じがするのですが、もう少しそこら辺を、とにかく法案未成立ということで、ちょっと待ってくれということをアメリカと交渉されたのかどうか、どうです、外務省の方。
  97. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) お答え申し上げます。先ほど坂村局長からお答えがありましたように、大豆の自由化は、アメリカだけに対して差別待遇的に自由化してない。この問題は、数年来から大きな問題になっておりまして、アメリカに対する差別待遇は、大豆のほかにラード、くず鉄、銑鉄、いろいろございましたが、この二つだけは最後まで残ったわけでございます。そうして、アメリカも、一般の自由化を促進する点は別に、これだけが特にひどい、そこで、ことに御承知のように一九五八年、二年前の暮にヨーロッパ諸国が通貨の交換性を回復いたしまして、ドルだけを差別待遇するという実態上の根拠もなくなったということで、この大豆の自由化を昨年の九月にするというような大体のめどもございましたのですが、この自由化に際しまして、結局、国内対策をどうするかということで、また、政府間にもいろいろ話がございまして、結論的には、関税を上げると同時に国内的な対策をする、その政策に従いまして、昨年の暮からジュネーブで関税を上げるという交渉をアメリカとずっとやって参ったわけでございました。それで、日本側といたしましては、できるだけ関税を上げて、国内に対する影響を少なくするという政策もございますが、そういたしますと、ガットの交渉上、ほかの品目で逆に関税を下げなければならぬということになりますと、そちらの方のあれがまた非常に痛手をこうむるということで、三%上げまして、一三%ということでアメリカと交渉いたしましたが、アメリカは、三%も高過ぎる、代償ももっと出せという話し合いでございましたが、その前に、いつごろ自由化するかという、それともからみあわせまして、アメリカとしてはできるだけ早く、たとえばことしの四月という話もございましたが、それはできないから、七月一日を目途としてやる、そういうことが条件となりまして、それでは三%上げ、それから代償も普通よりもある程度少なくて済んだ、そういう交渉の経過から申し上げますと、七月一日ということが前提と申しますか、関税の引き上げの交渉の結果、一つの付帯条件的なことで話がまとまりましたので、国会に今度提出して、関税の引き上げの方は御審議願ったわけでございますが、審議未了となりまして、しかし、これをどうするかという問題がございまして、国会は審議未了になりましたが、そういう交渉の経緯から申し上げますと、ちょっと待ってくれというのはなかなかできにくい、また、そうすれば代償をもっと今後よけい取られるとか、いろいろな難問がまた付帯的に起きて参るということもございましたので、いろいろ研究いたしまして、結局、国内的にはある程度生産者の方々に迷惑のかからない措置がとり得る、また、現在の実勢から申して非常に大豆が高くなっているから、また出回りのこともございますので、何とかいけるのじゃないかということで、アメリカには今までの交渉の経緯から申しまして、申し出てもかえってやぶへびになるし、また、聞いてもらえるという見込みも非常に少なかったのでございまして、今回のような措置と相なった次第であります。
  98. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、再交渉はしておらぬということですね。そこをちょっと聞いておきたい。結論だけ。
  99. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) まあ国会の御審議の途中で、これがどうなるかということで、アメリカ側も御承知のように非常に重大な関心を持っておりましてそうして、いよいよ審議未了となりまして、こうなったがということで具体的に延ばしてくれということを正式には申し出てはおりません。
  100. 亀田得治

    亀田得治君 そこなんですよ、問題は。この日米間の折衝の中には、直接にはそれは関税だけかもしれませんが、国内措置のことは日本が独自にやればいいという、まあ形式的に言えばそういうことになりますけれども、しかし、自由化した場合には国内措置はこういうようなことになるといったような話は、当然これは話には出ていると思うのです、みな関連して出ているのだから。従って、その関連して出ておる話の部分が予定通り行かなかったということなら、そんな弱気にならないで、実はこういう状態になったので秋なら秋までこれは延ばしてくれと、これはやっぱりその折衝をして、それでも聞かれなければ、それはしようがない。聞くかもしれぬわけですわね。そんなことは、あなた聞かれるもんじゃないというようなことを前提してかかるのは私はおかしいと思う。やっぱり、ちょっとアメリカへ行く直前なもんだからいろんな遠慮があったのと違いますか、おかしいですよ、それは。あなたにはちょっとわからぬかもしれぬな、これは。
  101. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) 今御説明申し上げましたように、この国会の御審議中にアメリカ側もこの成り行きにつきまして非常に関心を持っておりまして、これがはたして七月一日から自由化されるかどうかということにつきましていろいろ話しておりましたが、向こうの口吻からいきまして、これをこれ以上延ばすということはほとんどまあ不可能である、ないしは延ばされるとアメリカも国内的にも非常に困るということで、国会の御審議が未了になったというその以前にこういう話を持ち出しても、実際上は話がうまくいかないばかりか、またいろいろの関税の譲許、その他の点についてかえって不利になるという見通しがございましたので、正式に交渉ということはいたしませんでしたが、その前におけるいろいろな話し合いの過程におきまして、これはまあ持ち出しても無理だという結論を得たので、国会が六月八日に終わりました以後におきましては、一つ七月一日のやつを待ってくれということを正式には申していないということでございます。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 あなたの答弁からしても、アメリカの方が国内措置について関心を持っていることが想像されるわけだ。知っておってもそんなものは知らぬというふうな態度に出られても、これはちょっといたし方ない点もあるわけなんだが、向こうさんが国内措置に対して関心を持っておるのであれば、アメリカの関心を持っておるその問題がこうなったんだ、こう言えば、はあなるほど、そんなものがわかるもんならそういうのもあたりまえでしょうよ、それは。無関心なら、それは言うたって無理かもしれぬ。関心を持っているとあなたはおっしゃる。何でそれに対して言わぬ。これはもう重大な失態ですね。
  103. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) 関心をもちろん持っておりますが、結局、七月一日に予定通り自由化されるかどうかというよりも、必ずしてくれという意味におきまして関心を持っていたと私は申し上げるわけです。それから、先ほど申し上げましたように、昨年来、九月ないしは一月、四月というふうに、自由化の時期をできるだけ早くということを、いろいろの理由で七月一日まで延ばしたわけでございまして、この柱がくずれますと、ほかの方にもいろいろまた不利を及ぼすということで、七月一日にはいろいろなことを考慮いたしまして自由化に政府といたしましては踏み切った次第でございます。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 じゃ、その関心を持っているということは、もっと突込んで言えば、その法律がだめになったら、日本政府は、これがだめになったからちょっと待ってくれと言うて来わせんかと、そういうことなんですよ、向こうの立場に立って僕らが眺めれば。それがあるから関心を持つわけだ。そんなものがどうなろうと、それは日本国内の問題だ、おれの方は七月一日、約束を取りつけたのだから、もうこれでいいのだという形式的な割り切った考えなら、何も関心も何も持つ必要はないですよ。関心を持っているということは、ちょっと背骨のある外務大臣がいると、ひょっとしたら言うてくるかもしれぬということから関心を持つ。これは一ぺん外務大臣を呼んでお聞きすることにしましょう。そんな交渉もしないで、そうしてこの関係法案の未成立のままでやってしまう、これは非常な問題です。  そこで、経済局長にちょっとお聞きしますがね、こんな前例というものは私はないと思うのですが、これはどうなんです、国会で通らなかったものを行政措置でやってしまうということ、あったらそれを一つ示して下さい。
  105. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 御質問の御趣旨で、たとえば条約の問題とそれから国内法の問題と両方あろうと思うのでございますが、条約の問題については、純粋に法律論を申し上げますと、憲法では条約、協定は、事前に、または時宜により事後に国会の承認を受ける、こういう憲法でございまして、そういうことからいたしまして、今までも事後承認を受けたという例はずいぶんあるわけでございます。それから国内法の問題については、問題は大豆と菜種の交付金法案と言いますのは非常に大事な問題でもございまするので、法律によってこれはきちんとした施行、実行をやりたい、こういうような意味で法案を提案して御審議をいただいているわけでございまして、これを、それじゃ、かりに法律を作らなくても――別に作らなければできないかということであれば、たとえば交付金を交付するということであれば、理論的に言えば、あるいは予算措置によって行政措置だけでできないことはないというふうにも考えるのでございますが、そういう理屈は別といたしまして、ただこの場合にはほんとうに自由化するということになりますれば、困った事態が起こった場合には、これは何としてでも農林省としては国内の生産者のための価格の維持対策をやらなければいかぬ、こういうところに追い込まれるわけでございますから、これはいろいろ前例があろうがあるまいが、とにかくそういう場合にはやらなければいかぬということは非常に強く私ども考えておるわけでございますので、ここでどうしても困る事態が起こった場合には、とにかく行政措置ででも、あるいは既存の法律を基礎にいたしまするか、いずれかによってとにかく何とか保護措置を講じなければいかぬということを考えておるわけでございます。
  106. 亀田得治

    亀田得治君 その考えはあなたの立場に立っての考え方であって、こちらは第一次的には当然自由化を延ばすべきなんだ、こういう立場なんです。あなたの方は自由化をやることの前提に立っておるのです。そこは別としまして、いろんな話を一どきにしますと混乱しますが、国会に条約を出して、そうして審議未了になって事後承認、そういうことをやった例というものは、私の調べた範囲ではマドリッド協定ですか、それだけですね。それは国会閉会中に条約を結んで、しかしこれは非常に急ぐから次の国会でまた審議する、事後承認という形で次の国会へ出す、あらかじめ効力を発生させる、そういうことはこれは憲法の規定にもある。だけれども、国会に出しておいて、審議半ばですわね。言うてみれば審議未了なんです。そういう格好になったものを、今度は政府だけの考えで、こう事後承認を受ける格好で実行していく、こんなことはないでしょう。マドリッド協定というものが一つあるだけです。国内法にはそんなことはないでしょう、国内関係では。条約ではそういうことが一つあるだけです。前例がないですよ。そんな安易な考えを持てば、国内関係の、ことに行政関係の法規ですね、こういうものは、それは行政措置でやっていいのか、やはり法律案として作らなけりゃならぬのか、その辺の境目が相当あいまいなものもたくさんあるわけなんです。それを一たん法律でやるべきものだとして出しておいて、――出さぬでおいてそういう議論をするならいいですけれども、出してしまったものをそういう形で行政措置をとられる。前例ないでしょう、これは。国内措置ではどうです。
  107. 東郷文彦

    説明員(東郷文彦君) ただいまの条約に関する先例の点でございますけれども、その点はお話の通り、平和条約で、ある日を限って加入手続をとるという約束をしてそういう期限があった。事情がありまして、その間、国会の解散がございました、これは。それで審議未了になった、同じ性質の条約が今のマドリッド協定のほかに戦争犠牲者の保護に関する条約、これは全く同じ性質のものでございます。それ以外に、今お話しのように、審議未了になって事後承認という例は条約に関してはございません。
  108. 亀田得治

    亀田得治君 国内法はどうです、国内法は。こんな重大なことをやろうというからには、あなた国内法の前例なんかお調べになって、どこから突つかれても大丈夫という自信を持っておやりになるはずです。
  109. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 具体的に、詳細な具体的な例は、私、調べたことございませんが、とにかく法律を提案をいたしまして、法律そのままで実施をするか、あるいは実際問題としては行政的に国内的にできます場合には、その場合に、そのときの事情ではどうにも何とか対策を講じなければいけないとか、法律と同じような考え方で、趣旨は同じでございまするけれども、おそらく法律でやる場合と、それから行政措置でやる場合とでは実際の実行方法が違うと思うのでございます。ですから、申し上げますれば、これは緊急措置としてやむを得ずやはり行政措置を講じなければならぬというようなことになりますれば、これはやむを得ず行政の範囲でやれることはやらざるを得ないというふうに考えておるのでございます。
  110. 亀田得治

    亀田得治君 その理屈はあとからお互いに言いましょう。そういう前例があるかというのだ。
  111. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 現在私の頭には、具体的に申し上げるような例もございませんので、いずれ資料によってそれはお答え申し上げたいと思います。
  112. 亀田得治

    亀田得治君 こんなあなた前例はないですよ。これは自由化を強行されるとすれば、私たちもやむを得ず、損害を受けないようにという気持で、またちょっと議論したいところはあるわけですけれども、その前段の問題ですよ。だからそんな前例のないことをおやりになるよりも、自由化を臨時国会終了後までやっぱりストップすると、これは多少民主的な国家であれば、相手でもみなそれは了解しますよ。そんなこと了解せぬような相手国だったら、それはもうちょっとどうかしている。そこなんでしてね。だから、前例もない。もう一つは自由化という問題については意見相当分かれているわけですわね。私は何らのそういう争いのない法案が審議未了になった場合の措置と、こういうふうにこれは政策上の観点が違うと、いろいろこう見方が違うわけですね。そういう法案だから、それが通らないから行政措置ということは、なおさらこれは非常な悪例になるということを考えるのです。こんなことを一度おやりになったら、昭和三十六年、その当時の坂村局長がこういうことをやった前例があるなんていって、あなたいつも悪例の例に引っ張り出されますよ、これは。実際に。だから、その点を考えますと、私はそういう自由化を前提にしたような中身に入って質問をしたり、注文をしたりするのははなはだ気がひけるのです、実際に。だから、ぜひあしたから自由化するという、きょう皆さんに質疑をしてですね。できるものなら、われわれの言うことが筋が通っているというふうにお考えになるなら、やはり緊急にあすからの実施というものはやっぱりとめてもらう。これもまあ農林大臣、総理大臣、外務大臣等のまあ重大な政治的な判断を待たなきゃならぬがね。私の言うのは、あなたそんなに筋の通らぬこととは思わぬでしょう、担当局長として。実際のところ。どんなに考えたってこれはもういろいろな意味で不都合です。どうですか。
  113. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 非常に大豆の自由化というような問題は、国内的にも国際的にもまあ大きな問題でございまして、ですから、そのために国会におきましてもいろいろの御意見もございましたし、政府の部内でももちろん御承知のようにいろいろの考え方があるわけでございまするが、政府といたしまして、従来の今までの国際交渉その他のいろいろの事情を考えまして、そういうようなことでとにかく自由化をしようと、こういうことで考えました場合におきましては、これはやはり緊急措置といたしまして関税を引き上げる。国内的にはどうしても困った場合にはそれに応じました対策を講ずると、こういうことをきめて、生産者にも、国内の生産者の困らぬという態勢だけは整えざるを得ないというふうに私ども考えておるのでございまして、いろいろなまあ考え方はございまするけれども、それが政府として一本の方針にまとまりまして、こういうことに踏み切っていろいろの措置を講じよう、こういうことに相なっておるわけでございますので、そういう御事情も御了解をいただけるのじゃないかというふうに私ども考えておるのでございます。
  114. 亀田得治

    亀田得治君 そんな事情なんかとてもそれは了解できるものじゃないのですが、ともかくあなたの方じゃ押し切ってでも明日からやると、こうおっしゃるから、若干そういう立場から少しこちらの注文も出しておかなければならぬと思いますが、先ほどお答えの中で、何かアメリカの大豆もちょうど上がっておるからというような説明もちょっと入ったようですが、最近はどんどん下がってきていますね、御承知のように。だから、そういう点等も七月一日からやろうとしたときの状況とだいぶ違うわけですね。だから、そういうことなんかも七月一日を変更する大きな理由にされていいわけだと思いますし、この点はどういうふうに考えておりますか。これはもっと下がっていくと思いますが。
  115. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) アメリカの大豆が非常に一時上がっておりましたが、最近の傾向としてはある程度下がりぎみではございます。最近は百二十五ドル、百二十ドルから前後というところであるようでございまするが、これが将来の問題といたしましては、ある程度もう少し下がるのじゃないかという傾向も見受けられるわけでございまして、そういう点も十分検討いたしまして、とりあえずの問題といたしまして、七月一日から大豆を自由化いたしました場合に、さしあたりの問題は国内の菜種の問題だろうと思うのでありますが、菜種の現状、それから国内の大豆の問題になりますると、これは秋から出回りでございまするので、そのときにどういう値段になるかという問題等もある程度検討いたしまして、そういたしましても、とにかく基本的な考え方としては、今度の臨時国会にその対策一つきめてもらうという考え方でございまするが、その間におきまして非常に困りました場合には、いろいろ値段が下がって困ってくるという事態が起こりました場合には、これはやはり行政措置といたしましても何らかの救済をしなければならぬというようなことが考えられるわけでございまして、そういうような意味で両方かね合いまして考えておるわけでございます。
  116. 亀田得治

    亀田得治君 これを予定通り七月一日からやろうとした理由の中には、アメリカ大豆の最近の価格の高騰ということが一つあったわけでしょう、理由としては。どうなんです。
  117. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 七月一日からやろうということを考えました理由の中には、特にアメリカ大豆が上がっておるからということが理由で七月一日からやろうということを考えたわけじゃございません。七月一日ということは、先ほどいろいろ外務省からもお話がございましたように、今までの国際交渉のその一応の目標として七月一日ということを目標にして参っておりまするので、そういうようないろいろの交渉の面からの信義の問題等もございまするから、そこで、まあとにかく計画通り七月一日から実施しようというふうに考えておるようなわけでございます。
  118. 亀田得治

    亀田得治君 見通しとしてはどういうふうに考えておられますか、アメリカ大豆の価格の問題。
  119. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 今までの見通しがそう正確な把握はできないわけでございまするが、少なくとも幾ら下がりましても百ドルよりも下がることはあるまいということで見ておるわけでございます。昨年でございまするか、昨年いろいろ自由化いたしまする場合の対策等を検討いたしました場合には、そのときは九十五ドル、九十ドルから九十五ドルぐらいでございまして、一応九十五ドルというようなことで検討いたして参ったわけでございまするが、ことしになりましてから一時百三十ドルをオーバーするような値段までなりまして、それがだんだん最近は下がりぎみで、百二十ドルから百十五ドル前後というようなところまできておるわけでございまするが、これは向うで価格支持のベースを今までよりも引き上げましたものですから、そういう点を考えますると、その最低ベースが百五ドルぐらいじゃないか。ただいま正確な数字ございませんけれども、百五ドルちょっと上回わるのじゃないかというふうに私記憶いたしております。従いまして、それより下がることはないというふうに大ざっぱには考えられるのじゃないかというふうに考えております。
  120. 亀田得治

    亀田得治君 だから、こういう点なども、アメリカの大豆の価格が一時ずっと上がってきた。そのことが七月一日に踏み切る最大の理由でなかったかもしれないが、そういうことを考慮されたことは事実なんです。われわれもそういうふうに聞いている。ところがそういうふうにきまったあとがずっとこう下がってきているわけなんです。だから、先方に説明しようと思えば、幾らでもこれは説明の仕方があるということを私は申し上げておる。  はなはだ遺憾でありますが、先へちょっと進みたいと思いますが、そこで、このさしあたりは菜種の問題ですね、もう出回っているわけですから。これについての国内措置、これはどういうふうにお考えですか。
  121. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の通り、国産菜種は五月の中下旬から出回りを始めております。六月、七月、八月が最盛期になっておりますが、従いまして、大豆の自由化に即応いたしまして、当面今出回っておりまする大豆の取引に、農家に不安のないような措置を講じて参る必要があろうかと存じます。この点につきましては、一方予算上とれておりまする大豆、菜種の交付金として予定されておりまする三十億の予算の実施との関連もございまして、ただいま大蔵当局とも具体的な細目については折衝中でございまするが、当面さしあたりの問題として、すでに菜種が流通をいたしておるのでございまして、これにつきましては、御承知のように農産物価格安定法もございまして、現在すでに生産者団体もこの法律に基づきまして自主調整も行なっております。こうした自主調整の事実を尊重いたしまして、自由化に伴う影響を農家が端的に受けないように十分の措置を講じて参るつもりでおります。
  122. 亀田得治

    亀田得治君 抽象的にはそういうことになるでしょうが、具体的に農家のどういう手取りを保障しようというお考えになっているのか、そこを聞きたいわけだ。
  123. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 農産物価格安定法をそのまま適用して参るかどうか、そこにも実は問題があるのでございまして、かりに農産物価格安定法だけで、この問題を処理して参るということになりますれば、農産物価格安定法に定めておりまする政府買い入れ基準価格というものの支持をして参らなければなりませんけれども、農産物価格安定法をそのまま適用して参るかどうか、この辺若干ただいま予算当局とも検討いたしております。ただいま申しました三十億の交付金は、これは一般会計の予算でございまして、従って一般会計の交付金をただいま申しました農産物価格安定法によりまする自主調整と同じような効果が上がるような使い方をいたしまするならば、それも一つ方法であろうかと思います。ただいま予算当局ともそういう意味で折衝いたしておりますので、従いまして、その際に農家の手取りを保証いたしまする価格をどこに置くか、この辺は非常に重要な問題でございまして、農産物価格安定法のままでいけば、一つのすでに算式もございまするけれども、政府買い上げを行なわないでそれと同じような効果を上げていこう、そういう行政措置で菜種の方をやって参ろうということになりますと、別途のそういう農家の価格を保証する価格形式の基準というものを考えて参らなければならないわけでありまして、ただいま私どもそれらの扱いにつきまして大蔵省とも折衝いたしておる段階でございます。
  124. 亀田得治

    亀田得治君 折衝はわかりますが、折衝するについては農林省としてはこういう考えなんだということがなければ、これは大蔵省は、まあいつもの例ですが、どっちでもいい、安い方がいいんだ。だから、農林省としての考えというものがはっきりしていなければいかぬでしょう。どっちになっているのですか。僕らちょっとほかで聞いても、何だかいつまでもはっきりせぬようなことですが、明日から自由化に入っていくというときに、そんな状態で、さっき坂村局長が言うたような、いろんな措置を講じて心配のないようにしてやっていくのだ。――事実はそうなっていないじゃないですか。しかし、そうではない。実際は何かあるのだろうと思いますよ、考えが。それはあまり早く言うて、それが大蔵省にうまくのまれなかったりすると、ごたごたが起きると思って隠しておるかどうか知りませんが、そんな何も案がないということはない。どういう方法でやろうとしているのか、それをもっとざっくばらんに話してくれないか。
  125. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 当面出回っておりまする菜種に対しまして、農家の保護の見地からは、先ほど申し上げましたような、すでに生産者団体が自主調整を行なっておりまするので、農家が農協系統を通じて売っておりますものにつきましての不安というものは、価格の面からもないわけでございます。ただ、御指摘のように、基準価格が幾らでそれが取引されるかという点は、これはもうできるだけ早いほど早く農家に知れるほど農家の取引の便宜にもなりまするし、先行きの安心感があるわけでございまして、これは御指摘の通り当然でございます。私ども、そういう意味で一日も早く価格がきまりますように、ただいまいろいろ作業をしておるような現状でございます。
  126. 亀田得治

    亀田得治君 これは大蔵省と交渉に入っているのですか。作業とおっしゃったが、普通作業というと、いろいろ基礎的の農林省なら農林省だけの仕事のような感じも与えるのですが、どっちなんです。
  127. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 食糧庁価格の作業を担当いたしておりまするのは総務部の方でございまして、直接には私の方ではございませんけれども、ただいま総務部の方では、御承知のように麦価の問題、来たるべき米価の問題、それとこの菜種の問題と、三つ抱えて、それぞれ今作業をしておるような状況でございます。その作業と並行しながら大蔵省とも折衝をいたしているような状況でございます。
  128. 亀田得治

    亀田得治君 どうもはっきりしませんね。これは農安法によりましても、農業団体の意見を聞いてそれを尊重するということがありまするし、先だって審議未了になった大豆、菜種の交付金の法律にも、これは修正されて同じような規定が設けられましたね。こういう規定は尊重していくおつもりですか。
  129. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 農安法によりますれば、もちろん法律の所定の手続に従って当然尊重して参らなければならないと思います。先般審議未了になりました大豆なたね交付金暫定措置法案につきましては、審議の途中におきまして修正が行なわれ、その修正案は衆議院の農林委員会を通ったのは事実でございます。正式に法律として成立を見なかったのはまことに残念でございます。従いまして、農安法でいけば、そのまま機械的な手続を盗めなければなりませんけれども、そうでなくて、別途の行政措置によって農家の保護に遺憾なきを期するということになりますれば、新しい別の観点に立ちまして、農家の保護に遺憾のないような価格形成というものを考えて参らなければならないと思います。
  130. 亀田得治

    亀田得治君 農安法による場合でも、よらぬ場合でも、衆議院の委員会で修正された点は、この点はどうせ農安法以外の行政措置による場合でも当然だと思うんですね。それに近いことをやるわけなんですから、審議未了になった法案に近いことをやるわけなんですからね。そうでしょう。ところで、農業団体の方では、皆さんの方にも陳情が出ていると思いますが、昭和三十一年と三十二年と三十三年の平均農家手取りですね、これにパリティをかけたものを農家に対する基準価格といいますかね、行政措置、どういう言葉をお使いになるかわかりませんが、保証してほしい価格というふうに考えているわけですね。この点は皆さんもお聞きだと思いますが、これは大いに尊重されるのですか、どうなんです。
  131. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 現に農業団体が菜種の自主調整をいたしているわけでございますから、その自主調整を基調にいたしまして、三十五年度の菜種の流通に支障がないようにしようということを根幹に考えまするならば、ただいまの御指摘のような点は一つ十分考慮をして参らなければならないかと存じます。ただ、御承知のように、車は予算の執行にも関連をいたす問題でございまして、幾らでも農家の手取りが高ければいいというわけにも参らないだろうと思います。私ども農業団体から御要望のありまするお気持は、農林省の担当者としましては当然によくわかるのでございます。それと具体的に今後きめて参りまする価格の形成につきましては、それらの御要望は十分検討の材料にはいたしながら、遺憾のないような措置を講じて参りたいと考えております。
  132. 亀田得治

    亀田得治君 まあわかるけれども、でもがつくので困るわけですが、たとえばこの間の大豆なたね交付金法ですね、この当初の案では、予算の範囲内でそういう交付金を出すと、こうなっているのですが、これが衆議院の委員会で削除されたのですね。だから、そういう、予算はこれしかないというようなことは言っちゃいかぬと、附帯決議にもさらにその点は念を押して同じようなことがついておりますね。だから、予算が三十億で足らなければ追加予算を組んでやっていくのだと、こういう趣旨に僕らは衆議院の農林水産委員会の修正なり附帯決議というものを解釈なしておるわけなんですが、だから、だから、当初、私は官房長官にいろいろ修正や附帯決議等があったが政府の方ではどういう考えかと聞いたら、それらを大体尊重していくようなお答えであったわけですね。さっきも、あなたお聞きになった通りに、またそれが当然ですよ。そんなものを尊重せぬようじゃ、これは法案は通りませんよ、次に出したって。だから、そうであれば、そんな予算というようなことはまた言わないで、筋の通った要求であればそのまま認めていくと、予算が足らなければ追加していくと、これはもう仕方がないですよ。所得倍増で、農家の方が、政府があんなことを言い出したものですから、みんながだんだん利口になってきたわけですよ。麦でも米でも何でも、あなた、それはしようがないですよ。だから、そんな予算の範囲内というような考えであなたが交渉されていたら、あなたじゃないかもしれぬが、これは大きな間違いなんです。前回の衆議院における法案の取り扱い方からいっても、間違いなんです。政府もそのとき、けっこうだからとにかく通してくれということで、衆議院を通している。だから、これも大臣に確かめますがね、そこが一番肝心な問題なんです。そのことを一日も早く、しかもはっきりしてあげるということですよ。それがですね、今晩中にできぬようでは、それはもうあしたからの自由化というものはやめるのが、これは筋ですよ。だから、実際はこういう問題についても、参議院の農水の委員会の開会というものをもっと早くやってほしいという意見等も、私たち関係者から相当受けたわけです。だけれども、日の関係上できなかったわけですがね。
  133. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の点、私どもにもよくわかる点があるのでございますが、ただ、明日からの自由化に臨むにあたりまして、全然生産者の価格がきまらないと取引に支障を来たすかと申しますと、これは幸いにして、農業団体と申しますか、生産者団体の組織が近来非常に強化されておりますし、またいろんな農産物につきましても、すでに共同計算のシステムが軌道に乗っておりまするので、取引そのものにつきましてはさほどの不安もなく、現に農業団体は全国的、組織的に非常によくその辺のいわゆる自主調整ということをやって参っております。しかしながら、ただいま亀田委員御指摘の通り、私どもも農家の価格をきめるというのは、一日も早いほどいいと思っております。これはもう御指摘の通りでございまして、これらの点につきましては、食糧庁のそれぞれの担当部門でただいま作業をいたしておりますので、御指摘の意を体しまして庁内の作業も促進するようにいたしたいと思います。
  134. 亀田得治

    亀田得治君 これはいつごろまでに結論を出す予定ですか。
  135. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) これはもう大へん抽象的なことを申し上げて恐縮でございまするが、一日でも早いほどいいと思って、私どもそういう心がまえでやっております。
  136. 亀田得治

    亀田得治君 それはまあ一日でも早いことがいいに間違いないのですが、当然これは自由化されれば、今、農業団体はこういうふうに自主調整の努力はしていたって、ずっとこれは開いてくることは事実なんです。だから、そんな当然予想される問題について、その保証基準というものがはっきりしないというのは、これじゃ坂村さん、あなただめですよ。国内措置は十分じゃないじゃないですか。まあ私の意見ですから、これくらいにしておきます。
  137. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  138. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、本件はこの程度にいたし、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五十六分散会