○
政府委員(
村山達雄君) 今度
提案いたしております
税制改正案の
要綱につきまして、概略御
説明さしていただきます。
お
手元に「
税制改正の
要綱」という書類が配ってございます。それの十二ページを
最初に見ていただきたいと思います。
ここで全体の輪郭が出ております。「
昭和三十六
年度租税及び
印紙収入予算額」とあります。それを見ていただきますと、左の欄に
税目、
一般会計と
特別会計に分けまして、各
税目がずっと並んでおります。右の方の欄を見ていただきますと、
最初に三十五
年度補正後
予算額、これは第一次
補正後の
予算額でございます。それに対しまして、三十六
年度がどういうふうになるかということが順次出ております。三十六
年度の
最初の欄が、
昭和三十五
年度補正後
予算に対する
自然増収がどれだけ出るか、それをプラスいたしまして、
現行法による三十六
年度の
収入見込額がその次の欄にございます。それから、今度三十六
年度における
税法改正の欄がずっと三欄並んでおりまして、
減税総額がその三
欄目に書いてございます。で、
現行法による
収入見込み額から
税制改正による
減収額を引きまして、
改正による
見込み額が出てございます。
最後の欄に
参考までに、前
年度の
補正後
予算額に対してどんな
増減関係になっておるかということが出てございます。
それをちょっと見ていただきますと、三十五
年度補正後
予算額、
一般会計の
合計欄のところで見ていただきますと、第一次
補正後では一兆四千八百八十億。左の
肩書きに
カッコで書いてあります一兆三千三百六十六億というのは、これは当初
予算の額でございます。で、三十六年で今後どれぐらい
自然増収が出てくるかというところでございますが、二千四百十六億
補正後
予算額に比べて出てきます。
現行法による三十六
年度は従って一兆七千二百九十六億でございます。ここまでが
現行による
見込みでございます。それから、次から三欄ございまして、
最初はいわゆる
一般減税による三十六
年度の
減収見込み額が出ております。それからずっと見ていただきますと、
源泉で五百二億、
申告で百二十六億、
合計で六百三十億、それから
法人が二百八十五億、
物品税で三億四千万、
通行税で六億と、
合計して九百二十五億という
数字でございます。これがいわゆる
一般減税の三十六
年度における
規模でございます。これを平
年度ベースに直しますと千百三十億という
数字になるわけでございまして、公約で千億以上
減税と、
国税で千億以上
減税と言っているのはそういうことでございます。なお、
地方税を入れました場合、
地方税はまだ固まっておりませんが、
税制調査会あたりで練りましたところでは、
国税と入れまして千四百三十億
程度の
一般減税規模と、かように見ているわけでございます。
その次の欄にありますのが、その他の
措置による
増収額でございまして、
最初の三段がいわゆる
租税特別措置法の
改正に基づく
増収、
初年度の
増収額でございます。
源泉で十九億、
法人で九十七億、ここまで合わせますと約百十七億
程度になるわけでございます。これは平
年度にいきますと百六十五億ぐらいになります。従いまして、
特別措置による
整理の
規模というものは、平
年度で考えますと百六十五億。現在、
租税特別措置による
減収額は幾らかと申しますと、三十五
年度当初
予算ベースでは千四百七億といっておったわけでございます。三十六
年度の現在で見積もりいたしますと、千四百九十五億
程度になります。それに対しまして百六十五億の
整理をいたすということになるわけでございます。一割以上の
整理率に当たるということが言えると思うわけであります。
それから、
揮発油につきましては、新
道路計画と関連いたしまして、
揮発油税並びに
地方道路税につきましては、大体一五%の
税率を
増徴いたした。
揮発油税の一万九千二百円が二千九百円上げて二万二千百円、
地方道路税は三千五百円を五百円上げて四千円にいたしますと、こういうことでございます。なお、これに伴いまして、ここには出ておりませんが、
地方税であります
軽油引取税につきましては二割
程度上げまして、一万四百円を二千百円上げて一万二千五百円とするということも、同じ
道路計画の
財源として同時にきまっている
事柄でございます。それによります
増収が
初年度百五十三億ということになっております。
それから、その次に
関税に六億という
増収がございますが、これは別に増税が
目的でやったわけではございませんが、御案内のように、
現行の
関税の定率というものは
昭和二十六年にきまっておりまして、その後全然改変が行なわれていない。で、今回、貿易・為替の
自由化に対処するために、ある
程度の合理的な
税率をもって
日本の
産業構造に即応させなくちゃならぬということで、ブラッセルの
分類表に従いまして全面的な
改正を行なったわけでございます。その結果として出て参りました
税収増が約六億ということでございまして、別に
増徴の意味ではございません。
合計いたしますと、それによる分が二百七十七億という
増収が別途見込まれるわけでございまして、差し引きますと六百四十七億の純
減収ということに相なるわけでございます。それを
現行法による
見込みから差し引きますと一兆六千六百四十八億、三十五
年度予算に比べますと千七百六十八億の
増収でございます。いわゆる三十五
年度当初
予算に対して三千九百三十億見込んだというのは、この欄の左から二番目の
肩書きに出ているわけでございます。三千九百三十億、これは当初
予算の一兆三千三百六十六億に対して三千九百三十億見込んで、このようになりますという
数字でございます。
その次に見ていただきたいのは、一枚前に飛びまして十ページでございます。これは
税制改正の
項目ごとに平
年度、
初年度の
減収額が出ております。まず
所得税で先ほど言った六百三十一億、平
年度、初
年度ともに同じ
金額が出ております。これは、今回の
改正におきましては、従前と違いまして、一年間フルに
減税を働かすということでございまして、先般の
臨時国会で
給与所得等について三月末までに支払われる分についてあらかじめ
減税をお願いしたのはその
趣旨でございます。従いまして、今度の
改正におきましては、
初年度から平
年度並みの
規模で
減税を行なっているということが言えると思うわけでございます。
項目別に見ていただきますと、
配偶者控除の
創設によりまして百四十二億、
扶養控除の
引き上げで六十二億、
専従者控除の
拡充で七十五億、
給与所得控除の
拡充で百二億、
税率の引き下げで二百三十四億、
退職所得課税の
改正で十六億、
合計で六百三十一億でございます。
それから、
法人税でございますが、
初年度の方を見ていただきますと、
耐用年数の改訂で百五十五億、
配当課税の
改正で百二億、
同族会社の
留保課税の
軽減で二十八億、
合計二百八十五億。これは、
原則といたしまして、今年の四月一日以降終了する
事業年度、あるいはものによりましては開始する
事業年度から適用することにいたしております。従いまして、平
年度はそれより大きな
規模になりまして、左側に書いてあるように、四百九十七億という
数字になっているわけでございます。
それから、
通行税等は
初年度、平
年度ともに十億の
減収、
特別措置の
整理合理化で、先ほど申し上げましたように
初年度百十八億、平
年度百六十五億。
以上
合計いたしますと、
減収額といたしては、
初年度九百二十六億、平
年度千百三十八億、
増収額といたしましては、
初年度再十八億、平
年度百六十五億、こういう
数字になるわけであります。
以下、
改正の
内容につきましてごく簡単に御
説明申し上げたいと思います。
初めに返っていただきまして、一ページでございます。前書きにちょっと
改正の気持を表わしておりますので、読み上げますと、「
中小所得者の
負担軽減を図り、
企業基盤の
強化に資するため、
所得税及び
法人税を
中心とし、
国税について平
年度千百三十億円の
減税を行なうとともに、最近の
情勢に応じ、
租税特別措置について
整理合理化を行ない、新
道路整備計画の
財源に充てるため
揮発油に対する
消費税の
増徴を図る等次のとおり
税制改正を行なうものとする。」ということでございまして、今度の
減税は、
所得税、
法人税を
中心に考えている。
所得税におきましては、
中小所得者の
負担軽減を
中心に考えている。
法人につきましては、今度は
一般の
税率を引き下げるというようなことでなくて、
企業基盤の
強化に資するに必要な
措置をとりましたということをうたっておるわけでございます。
所得税でございますが、(1)、
配偶者控除の
創設、これは、従来、
配偶者につきましては、
扶養親族の一人目として七万円引かれておったのでございますが、今回は
本人の
基礎控除と
同額の九万円にいたしますということで、ここで二万円かた上げるわけでございます。この
考え方は、言うまでもなく、夫の
所得に対する
貢献度からいいまして、普通の
扶養親族と
同一に扱うことはいかがなものであろうかということ、並びに各国のいろいろな例を見ましても、
配偶者については
本人と
同一ないしそれに近い
控除をやっているというような
関係もございます。また、
日本の
税制につきまして、現在は
分離課税の
制度をとっておりますので、夫婦共かせぎの場合と、そうでない一人だけが働いている場合と、
負担があまりにも違い過ぎるという面もあって、それらの場合の
調整も考えまして、
配偶者の
控除について
本人と
同額にしたと、こういうわけでございます。
次は、(2)、
扶養控除の
引き上げでございまして、現在は、第一人目、
配偶者のある場合とない場合と違いますが、
配偶者のない場合でございますと、第一人目七万円、それから第二人目がすぐ三万円ということになっておるわけでございます。今度考えましたのは、その中でも、
年令によって
相当教育費を
中心として実際のかかりが違うということに着目いたしまして、十五才以上の者については、
現行の三万円から二万円
引き上げたらどうであろうかということでございます。これはいろいろな家計
調査をいたしますと、大体この
程度の
金額を
引き上げるのが適当であるというふうに考えるわけでございます。なお、外国の
立法例でも同じようなことをやっておるのがございます。同時に、この十五才以上というところは、
専従者控除の
要件といたしまして十五才以上、これは
事業所得者について
専従者というのは十五才以上というところをねらっております。この辺との
バランスも一方においてにらんでおるわけでございます。
(3)、
専従者控除の
拡充、これは二つやっておりまして、
白色専従者について新たに
専従者控除を設けて、
一定の
要件に該当する
家族専従者については七万円の
控除を行なう。
現行は、
白色のものにつきましては、
家族専従者について特に
控除を認めていない。かりに
給与を出しておっても、その
給与は
本人から引くということをいたしていない、こういうことでございます。しかし、これは、従来はどちらかと申しますと、今の
日本の
家族制度のもとにおいては、親子の間でお互いに
協力し合っているというのは、いわば契約に基づいて
権利義務の
関係としてあるのでなくて、やはり一種の
親族関係で、相互に助け合うという形なんだと。言ってみますと、何といいますか、契約法的な
考え方でなく身分法的な
関係にあるのだという
考え方。従って、それに対する、
勤労に対する対価としての
勤労控除は認めない反面、
扶養控除として認めておったわけでございます。しかし、戦後この風潮はだんだん変わって参りまして、だんだん
個人主義的な色彩も強くなって参るということもございます。かたがた、
法人と
個人の
バランスを問題にした場合に、
日本の
同族法人は
家族に対しまして
給与を出している、それを認めているわけでございます。非常に、これを
個人の場合だけ認めないとすると、アン
バランスになるというところで、今回
国税については少なくとも踏み切ってはどうだろうかというのが、この七万円の
控除でございます。それとの
バランスで、
青色申告者について、大体八万円を
最高限度といたしまして、それまでの
金額については
給与の支給を
経費に認めておったわけでございますが、今回は七万円が
白色に認められましたので、少し
引き上げる、
原則としては九万円までである。ただし、
年令二十五才以上の者については十二万円にしてはどうかということでございます。
なお、
専従者控除のその次のところでございますが、
給与を出すのはいいが、
本人の
手元に残る
所得よりも多くなるのはおかしいのじゃないか、しかも、それで赤字を出して、翌
年度以降に繰り越して、翌期以降の
所得を減殺するというようなことがありますと、実際問題としても、また
理屈からいっても、おかしいのじゃないかということで、その間適当な
調整を設けたらどうかというのが、その次に書いてあることでございます。それから、現在
扶養親族の定義は、
所得五万円以下の生計を一にする
親族を
扶養親族としているわけでございます。従いまして、もしこの
給与額が非常に少ないということになりますと、一方においてその少ないなりの
給与が
専従者控除で認められると同時に、また他方において同じ
専従者がその
所得は五万円以下であるという
理由によって
扶養控除をも認められる、いわば両方の
控除がダブって認められるという結果にもなります。この点不合理とも考えられますので、そういう
重複控除は認めない。どちらか有利な方で考えてほしいというのがこの2に書いてある
事柄でございます。
(4)の
給与所得控除の
引き上げ、これは
現行は、そこに書いてございますように、四十万円まで二割、四十万円超一割、
最高十二万円までの
給与所得控除を行なっているわけでございます。ちょうど
最高限に来ますのが八十万円になるわけでございます。今度は、特にいわば
給与所得の
基礎控除的なものもやりましょう。同じ一万円の
定額控除をやりまして、その残額について四十万円まで二割、四十万円超一割、
最高十二万円は現在と同じにいたします。こういたしますと、
最高の参ります限界が七十一万円という
所得金額になります。この結果、一万円という
基礎控除は
所得の少ない人、
給与の少ない人に厚くいくわけでございますので、
月給、
給与の少ない人は、これによりまして非常に大きな
減税の特典を受けられるというところでございます。これを設けましたのは、従来から
給与所得者が
事業所得者その他に比して非常に重いという批判もございます。
実績を見ましてもその
通りでございますが、今度
事業所得者等につきましていろいろな
専従者控除というようなものが設けられておりますので、それとの
バランスからいいましても、また
理屈からいって、現在の引き方は必ずしも合理的ではない。
給与の大小にかかわらず、いわば
経費と認められる固定的なものがあるはずだ、そういうものは
給与にスライドしないで引いた方がもっと
理屈に合うのだ、こういうことでございまして、一万円の
定額控除を行なったということでございます。
その次の(5)は
税率の緩和でございまして、これは七十万円以下の
所得階級について
税率を緩和したわけでございます。これが、当初
政府の
調査会の案では百八十万以下の
人たちまで
軽減をするという案でございましたが、考えてみますと、七十万以上というのは、総
所得金額に直しますと大体百万以上ということになります。そういたしますと、
納税者の全体の五%
程度でございますので、今度の
減税が
中小の者に重点を置くという
趣旨からして、
政府の案では七十万円以下に限定したということでございます。
以上を通じまして、
負担関係がどうなるか、(6)はちょっと違いますので、そこで一ぺん
課税最低限がどういうことになるかというのをごらんいただきたいと思います。ページで申し上げますと、十三ページでございます。そこに
扶養親族等の数がずっと出ておりまして、どういう
家族構成の方の、
月給取りの方は
課税最低限が幾らになるか。
標準世帯として考えておりますのは、
夫婦子供三人が大体
標準世帯と考えますので、その
扶養親族欄の四人のところで見ていただきますと、
現行は三十二万九千七百十二円、それが三十九万八百七十円になります。大体六万円以上
課税最低限が上がるわけでございます。なお、御
参考に申しておきますと、
昭和十五年の
課税最低限が、現在の
物価換算で三十二万六千円くらいであったということでございますので、
改正案はもとより、
現行でも当時よりは
課税最低限は高くなっておるということは言えるかと思います。
それから、
負担関係がどうなるかというのは十八ページにございます。年額で四十万
あたりの人がどうなるか。なかなか欄が見にくいのですが、三十万のところがもうかからなくなりまして、それから四十万のところで
現行が五千四百九十六円、それが
改正案では六百九十六円になります。
軽減額が四千八百円でございます。
減税軽減割合八七・三%でございます。以下ずっと
階級別に見ていきますと、その次が五十万、七十万と、こう並んでおるわけですが、
軽減割合の欄だけ見ていただきますと、八七・三%、四二・九%、三二・四%、二三・一%、ずっと上に行きまして、これが一千万のところでございますが、一・一%の
軽減になるということでございます。
改正後の
平均税率が、
改正案というところの
カッコのところに出ております。これが百円
当たりの
金額でございます。百円
当たり四十万のところでは十七銭、その次が一円八十七銭、四円七十銭、八円五十四銭、十七円八十四銭、三十円七十銭、三十九円六十七銭、これが
改正後の百円
当たりの
平均税率になりますということでございます。大体今度の
改正の結果はそうなります。
そこで、もとに戻っていただきまして、二ページでございます。(6)退職
所得の特別
控除の限度額の撤廃、これは全然別個の系統でございますが、現在の退職
所得は、退職金をもらいますと、それから退職
所得控除というのを出します。それから残った
金額を半分にして、ほかの
所得とは全然別にして
税率をかけて、それで税金を納める、こういう非常に緩和
措置をとっておりますが、その際に、
控除額を幾らにするかという計算の際に、こういうことをやっておるわけでございます。現在は
年令と勤続年数によって
控除額が違います。すなわち、四十才までの勤務年数についてはその一年について三万円、四十才から五十才まで四万円、五十才以上五万円、その
合計額を引きます。ただし、その
合計額が百万円をこえるに至ったら百万円で切ります。
控除額の
最高を百万円で切っておるわけでございます。今度はそれを撤廃しようということでございます。頭打ちの百万円というのを撤廃して、算出された退職
所得控除額をそのまま引いていこう、こういう考えでございます。これは現在どうなっておるかと申しますと、普通の職員が大体普通の会社は五十五才が定年のようでございます。それで中学卒、それから高校卒、大学卒で、今の税法によるところの
控除額を計算いたしますと、中学卒では約百四十万ちょっとこえます。それから高校卒では百三十万ちょっとこえる。それから大学卒では百二十万ちょっとこえる。いずれも四十万、三十万、二十万くらいが頭打ちにかかっておるということなんです。退職
所得を、普通の
規定によって円満に退職しておるのに、この
控除の頭打ちがあるというのはどうもおかしいということで、今回それの取っ払いをしようというわけであります。
以上が
所得税の項目のごくあらましでございます。
次が
法人税関係でございますが、
耐用年数の改訂、これは最近非常に技術革新の状況がございますので、平均的に
耐用年数において二割
程度短縮したいということでございます。これはもちろん技術革新の度合いその他によりまして、全部一律ではございませんが、大体ならして二〇%くらい短縮したらどうか。定率法による償却率に換算いたしますと、約二三%
程度短縮になるということでございます。
それから次は、企業の資本充実のために
配当課税に対するやり方を
改正していこうということでございます。
現行は
法人税と
所得税の二重課税という問題があるわけでございまして、
法人税というのは
所得税の前取りであるという一つの
考え方があるわけであります。それは完全なる二重課税だという人と、いや、そうではなくて、
法人税には二重課税の部分もあるけれども、
法人には
法人の独自に
負担すべきものがあるという説がございまして、世界各国、説もいろいろ違いますし、やり方も違っておるわけであります。
日本の
現行のやり方は、
法人税は普通にかけておきまして、その
調整をある
程度行なっておるわけでございますが、
調整のやり方は支払い
法人側でやるのではなくて、受け取り株主側でそれを
調整いたしております。そのやり方は、受け取り株主が
個人である場合と、
法人である場合で違いますが、
個人の場合には、その配当収入が一千万までの部分については、その二割だけを税額から
控除いたします。一千万をこえる部分につきましては、一割を税額から
控除いたしますというやり方をやっておる。受け取り株主が
法人の場合には、その受け取った益金は、配当金は、それに見合う負債利子を
控除した後の益金部分は課税
所得に算入しない、こういうやり方で
調整をとっておるわけでございます。ところが、問題は、もっぱらこの
調整の方法が受け取りの株主側で
調整していくために、配当、増資する場合のコストと、それから借入金をする場合のコストが非常に違ってくるという不平が、主として支払う
法人側から出てくるわけであります。
現行法人の
税率は、
地方税を含めまして約五〇%になっておるわけでございます。有配会社の平均配当率が一割三分くらいでございますので、一割三分の配当をするためには、五〇%の税金がかかるために、約二割六分の
利益を上げないとできない、そういうことになっておるわけです。ところが、借入金の利子でもって同じような
資金を調達いたしますと、八分で借りて八分そのまま損金に認められますから、支払い側では八分でいいわけなんです。ところが、受け取る側を見ますと、受け取る方は一割三分もらいますと、その分は課税になっていないということなんです。先ほど申しました二重課税の
調整が受け取る株主側でやられているために、一割三分そのままで回ります。借入金利子の方は、八分でもって利子をもらいますと、それに対して課税になります。四分にしか回らない。こういうことになるわけでございまして、そのためにその
調整の方法を現在の受け取る株主側だけでやっていると、非常に増資が
資金調達の面で借入金に比べて不利になる。従って、
調整をやるのなら、むしろ支払い
法人側でやってほしい、こういう希望が企業側からあるわけでございます。一方、受け取り株主側の方では、そういたしますと、利回りが違って参りますので、それははなはだしい変動は困るということは当然でございます。この辺、
政府の
税制調査会でももみにもんだわけでございますが、今回はその一部を支払い
法人側において
調整いたしましょう、その
調整した分は、そのかわり、受け取り株主側における
調整は一部削除いたしますということにいたしたわけでございます。
これがこの案の骨子でございまして、そこに書いてありますように、(イ)から書いてありますが、
法人に対する
法人税率は三八%から二八%に
軽減いたします。軽
減税率もその割合で
軽減いたします。そのかわりに、受け取る方の株主に対しましては、現在の
控除率を約四分の一圧縮いたします。とう言っているわけであります。これでまるまる収支とんとんではなくて、実はこれをやるためには国の方は平
年度約二百億の
財源をつけてやっているわけです。完全に取り戻そうと思うなら、今の
控除率なり益金不算入の率をもっときつくしなければいかぬわけですが、そういたしますと株主側に相当変動がありますので、国の税金で大体二百億
程度のものをつけまして、それで今度の
改正を行なおうとするものであります。先ほど言いました平
年度約二百億
減収はそういう意味でございます。国の
減税財源を持ち出して、今度の
調整を行なおうということでございます。
ただ、そこの(二)に書いてありますように、
軽減の方は
昭和三十六年四月一日以後開始する
事業年度、そこから適用いたします。従って、一番早いのは九月決算の分からこの軽
減税率が適用になる。受け取る側の方は、三十七年一月一日以後受け取る配当からやります。決算確定して、それから支払いまで大体二カ月ありますから、十一月以降受け取る分から課税をすればいいわけですが、区切りも悪いですから、一月にしたわけです。従いまして、二カ月くらいこの
調整は全般的に見ると
納税者に有利になっているということでございます。なお、ここには書いてございませんが、一年決算の
法人につきましても、同じように九月以降終了する
事業年度分について、その半年分について、六カ月
法人と同じように
軽減すべきであろうということを、これは法律の
規定をもって明らかにしたいと思っているわけでございます。
その次の問題は、今度は問題が違いまして、いわゆる
同族会社に対する留保
所得加算税の問題でございます。これはその終わりの方に書いてありますように、
現行ではその期首の積立金とその期の留保
金額が資本金の四分の一あるいは百万円のいずれか多い方の
金額をこえるに至りますと、その留保
金額のうちのこえるに至った部分について百分の十加算税をとります。それによりまして、
同族会社が過当に留保して総合されて
所得税を受けることを免かれるということとの
バランスをとろうとしているわけでございます。これについていろいろ検討しました結果、一方におきましては非
同族法人との
バランスを考え、他方において
個人との
バランスを考えまして、今回は特に二点においてその
軽減合理化をはかったわけでございます。
その一つは、いきなりその留保
金額をそのまま問題にするものでなくて、それから五十万円という絶対額あるいは課税
所得の一〇%のどっちか多い方を引きまして、その残りの
金額について同じような計算をいたします。それが期末、期首の積立金と
合計いたしまして、資本金の四分の一をこえるに至ったら、その至った分について従来と同じように課税いたしましょう。そこは非常な
軽減になるわけでございます。従来の百万円という限度はすでに意味がありませんので、それは取っ払います。それと同時に、その留保
金額があまりにも多いものについては、現在の一〇%という
税率は、
個人との
バランスをとる上において不適当と認めましたので、三千万円をこえる部分につきましては一五%、一億をこえる部分については二〇%という
税率をもって
合理化をはかろうということを、同時に考えているわけでございます。
それから、あとは
特別措置でございまして、ごく簡単に申し上げます。
預金の利子の
分離課税一〇%でございますが、これは今回預金の利子を低下させる、引き下げるという政策方向が打ち出されておりますので、それが円滑に実施できるようにという考慮から、一年間延長いたすことにいたしているわけであります。ただし、国民貯蓄組合、これは現在一人一組合の
原則に基づきまして三十万円までは非課税ということになっております。これの実際の運用は、相当乱に流れているような節も見られますので、この点については十分根本的な運用上適切な
措置を講じて、乱用防止をいたしたいというふうに考えているわけでございます。それから、配当
所得に対する
源泉徴収
税率の
軽減、本則は二〇%でございますが、
措置法によりまして、預金の利子と同じように、やはり一〇%にいたしたいわけであります。預金利子の特例が一年延長されましたことに伴って、これも一年延長いたそうということでございます。
その次は、これは大体準備金
関係で、
最初は貸倒準備金でございます。貸倒準備金は、現在はこれは業種によって違いますが、たとえば金融機関でいいますと、期末貸金の千分の七、あるいは
所得の二五%相当額のいずれか低いものだけ毎年繰り入れることができる。ただし、その累積額は期末貸金の百分の三あるいは自己資本
金額のいずれか低い方でございます。こういうことであるわけでございます。その後、これはものによって違いますけれども、いろいろ状況を見ておりますと、金融機関、製造業者、卸売業者で実際どれくらい積んでいるかということをずっと見てみますと、かなりアン
バランスが認められるというものが第一点にございます。というのは、貸し倒れの事実がないのに、この累積積み立てがずっといっているという点が一つ考えられる。それから
所得制限があるわけでございます。金融機関の場合二五%、普通の会社でありますと一五%の
所得制限がありますが、この
所得制限を引いているもの、引かないものといろいろあるわけでございます。そもそも貸倒準備金の
所得制限を設けるということ自身が、はたして合理的のものであろうかという点も考え合わせまして、今回はそういう二点を考えまして、二つ準備金の性質を考えてみたわけでございます。一つは、毎期生ずる貸し倒れに備えるための経常的な貸倒準備金というようなもの、それから、毎期に考えられない、しかし何十年に一ぺんか考えられるような異常な貸し倒れを生ずるための準備金、こういうものを二つ分けて考えることはどうだろうか。そのやり方といたしまして、その経常的な分は、期首と期末の貸金の増加額に対して五%積み増しを認める、異常の部分については、根っこからの貸金の総額に対して二%だけ毎年累積的に認めていく、こういうやり方の方がより合理的ではなかろうかということで、さようなことを考えているわけでございます。
それから、価格変動準備金でございますが、これは現在たな卸資産とか株式等につきまして、
原則として時価あるいは帳簿価額の九二%相当額との差額について価格変動準備金の繰り入れを認めよう、ただし、前期に繰り入れたものは、一度に入れまして毎年洗いがえていくというやり方でございます。従いまして、普通の場合でいいますと、たな卸資産がだんだん増加するに従って、この分は預金になっていく、こういうような性質のものでございます。ただ、この準備金というのは、いってみれば、たな卸資産が異常に騰貴した場合に、将来の低落に備えるという
制度ではないのです。
日本の
制度は、これは全く、何といいますか、どんな条件であっても現在は認めるということでございますので、そういう意味では完全な
利益留保的な意味が非常に強い。で、これは戦前でございますとこの
制度も考えられるのですが、現在ではたな卸資産の評価法におきまして非常に合理的な
制度が設けられておる。それから損失が生じた場合には、繰り越しとか繰り戻しという
制度も設けられているわけですから、その上に加えて、この価格変動準備金というものがはたして
税制上どれだけの意味があるだろうかという点からいたしまして、検討の対象になりまして、とにかくある
程度縮小すべきではないかという結論でございました。現在八%
程度の積み増しは認められるところを、それを六%ぐらいにする。で、ものによりまして四%とありますやつは三%ぐらいにしていく。ただ、それを一挙に
初年度から実施いたしますと、経常の
利益のほかに、今の洗いがえによってプラス・アルファがすぐ課税標準になってくるわけでございますから、これはいかにもひどい。そうではなくて、将来それを押えるのはいいけれども、将来たな卸資産がだんだんふえてきて、その六%なら六%相当額が現在の商品の八%相当額になるまでは、特に課税する必要はないじゃないか、それ以後積み増しができるようにすれば足りるじゃないかという考えでございまして、今度の案でも、一応本則はそううたっておりますが、たな卸資産はふえていくまでは特に取りくずすということはしなくてもよろしいということを、経過
措置において明らかにしたい、かように思っておるわけであります。
その次は退職
給与引当金でございます。これは労働協約等で退職
給与規程が設けられまして、退職
給与引当金を積んでおるという場合には、現在は、今期末一斉に退職したという場合の——これは自己都合で退職した場合、どれぐらい一体退職金を出すか。それから、その直前、
事業年度末で同じように退職したという場合にはどれくらい出すか。つまり、前期末から今期末までで要引当額だけは引き当ててよろしい。ただし、その
最高限度は、今期末で一斉退職したとする場合のその支給額の半分でございます。こういう制限をとる。それから同時に、この運用については、いつでも換価が自由でなくちゃならぬという意味で、その四分の一は特定預金に運用することを求めているわけでございます。で、今回
改正しようとするのは、これは会社都合はよる場合の退職金は、これは自己都合よりも退職金が多いわけでございます。その場合に、現在は退職したら準備金から取りくずしなさい、こう言っているわけです。ですから、その場合は、引当金よりも、その人について積み立てられた分を計算いたしますと、その人について積み立てられたものよりもよけい支給されることになるわけです一その分も準備金を取りくずせという法律になっておるわけであります。その点は少し酷ではないか。だから、その差額については、退職準備金、退職
給与引当金から取りくずしを認めずに、取りくずすことを特に強制しないで、差額はその期の別の損金に認めることにしてはどうかというのが今度のことでございます。これはむしろ
減収になる要因でございます。
次が償却
関係でございまして、これは御案内のように、普通償却のほかに、いろいろな近代化のための設備であるとか、あるいは新しい試験をした設備を新しく企業化するような場合には、普通償却を含めまして、
初年度二分の一の特別償却を認めているわけでございます。そこで、今度は、普通償却についてだいぶ今度はふやしておることであります。それが一つと、それから、現在は、普通償却を含めて
初年度に五割と、こう言っているわけです。従って、特別償却によるメリットが幾らであるかということは、普通償却込みであるために、非常にわかりにくいというような問題がございますので、今度はそれを別ワクにいたしましょうと。で、普通償却を引いた残りを特別償却として、いわば追加償却として認めてやるという考えでございます。で、まあそれを計算いたしますと、従来の二分の一というのは、三分の一
あたりでちょうど
バランスがとれるということで、それはそのような解釈でございます。
それから、そのほかに、やや
程度の落ちる特別償却といたしまして、三年間五割増特別償却というのがございまして、これは機種にいたしまして何千種類とありまして、それが適用を受けるために、非常に煩瑣な手続のために逆惑をこうむっている。しかも、わずかな
利益を受けるにすぎないという非難が多いのでございます。こういう状態であります。そこで、これをそれぞれ分類いたしまして、普通償却に織り込むべきものは普通償却に入れ、それから、そのうちメリットの高いものについては、三分の一を特別償却の方に回すというようなことでございます。
探鉱用機械、坑道、造林費の特別償却、これはいずれもその性質に顧みまして、三年間適用期限を延長するということでございます。
その次が、試験研究の助長
関係でございますが、現在では試験研究用設備で、特にこれは重要なものというふうに主務大臣の認めたものにつきましては、
初年度五割、それから、二
年度、三
年度、それぞれ二割、四年間でほとんど残骸額に達するまで償却を認めているということでございますが、今回、他の
合理化機械につきまして三分の一の特別償却の
制度が認められますので、
初年度三分の一の追加償却を別ワクでいたしますと同時に、この試験研究機械の
耐用年数を五年
程度といたしまして、普通償却も認めます。そうすると、大体
初年度は従来五割というのが、これによりまして七割
程度までいくことになるわけでございます。
それから(2)は、最近のやはり試験研究助成の要請にこたえまして、そこで(1)のような主務大臣の承認を受けないような機械設備についても、新たに追加償却
制度を認めましょうということでございまして、その場合に、その
程度は十分の一
程度といたしますということでございます。
それからもう一つ、盛んに要望のありますのは、試験研究機関に対する寄付金について何らかの特例を設けてくれということでございます。
現行は、普通の寄付金でございますと、その
所得の百分の二・五、資本の千分の二・五、その
合計額の二分の一までは、どこに出そうとも、どんな
法人でも、これは損金に認めるわけであります。そのほかに、特に公益
目的とかに出す寄付金につきましては、大蔵省の指定を受けますと、それとは別に、全額損金に認められるという
制度がございます。で、公益的な、非常に公益性の高い試験研究機関につきましては、もとよりこの指定寄付金の
制度は働いているわけでありますが、世間の要望は、そこまでは至らないものについても、やはり試験研究を助成する意味で、何らか特段の
措置を考えてくれということでございますので、今回は普通の寄付金限度と同じ限度で、それは試験研究用のための一つの別ワクとして、新たに設けていこうということを考えているわけでございます。
それから(4)は、共同研究機関に対する拠出金でございますが、これは近く鉱工業技術研究組合法等のような法律が出て参ると思いますが、それによりますと、三以上の企業者が集まって組合を作って、共同研究をやりますが、そのときは、もとより非出資でございますので、その研究をやる場合に、金を出して、それで共同の研究設備を買います。その場合、受け入れた方の側が課税になっては困る。従って、圧縮記帳を認めてほしい、そして出した方は何らかの形で何年間かの償却を認めてほしいという要望でありますので、この点十分に検討いたしまして、実情に沿った案を出したいと思っておるわけであります。
その次が輸出
所得の
控除制度でございまして、これは御案内のように、現在は普通
控除と割増し
控除というのがございまして、普通
控除と申しますのは、普通に輸出いたします、そうするとその取引
金額の商社は一%、メーカーは三%、ただしプラントは五%、それかあるいは
所得金額の八〇%かどちらか少ない
金額は
所得から
控除いたします。ただし、前年の輸出の二分の一をこえる分については、その取引基準の方は五割増し、それから
所得については一〇〇%のいずれか少ない
金額を限度として割増しとして
控除いたします。こういうやり方をやっておるわけであります。今回、先ほど申しました
法人税の方でいろいろな
減税を行なっておりますので、この点につきましては若干
整理をしていただく。ガット等の
関係もございましてなかなか微妙な問題でございますが、割増し
控除等を廃止いたしまして、なお三年間存続してやるということでございます。
それから、重要物産免
税制度につきましても、名称を改めるとともに、若干
内容を
合理化したい。
次に、重要外国技術の使用料課税の特例、これはここで期限が切れますが、二年間適用期限を延長する。ただし、
税率一〇%を一五%、本則は二〇%でありますが、なお五%だけの軽
減税率を設けて、二年間延長いたします。
航空機の
通行税の
軽減、
通行税二〇%が一〇%になっておりますが、それも三年間適用期限を延長します。
「その他」のところで、低開発地域の開発促進策と対応して、その地域に新増設される償却資産について特別償却
制度を設ける。これもいろいろ案が目下練られておりますので、われわれの方で具体案を検討しておるわけであります。それから、産業基盤
強化のために、いろいろ合併した場合の清算
所得に対する課税等について特例を設けてほしい。これは機械工業振興法との
関係で、主務官庁の指導により合併促進される、それに基づいて清算
所得の出てくる場合の特例を設けてくれということで、目下検討中でございます。
増資登録税の特例でございますが、これは会社が増資する場合には、今年、三十六年三月三十一日までは千分の七の本則を千分の五に
軽減しておりますが、最近の状況にかんがみまして、これも三年間延長さしていただいたらどうかということでございます。
その次が、少し問題のあるところでございますが、交際費課税の特例の問題でございます。これは、現在では資本金一千万円未満の会社には適用しておりません。それ以上の会社につきまして、
昭和二十九年四月一日以前一年間の交際費の
実績、それの六割か、あるいは
昭和三十四年一月一日以前一年間の交際費の
実績の八割か、あるいは法律で定めております取引基準によります売り上げに対する
一定率、これは千分の二・五から千分の十一くらいまでいろいろございますが、そのいずれか多い
金額までを認めて、それをこえる分については課税いたします、こういうことになっております。いろいろ過去の課税の実例をとりますと、どうも取引
金額に対する
一定割合というのが、どうもあまり合理的ではない。結果を見ますと、大会社の否認割合は非常に少なくて、
中小会社は非常に多いということが出てくる。それからもう一つは、一千万未満の
法人については、交際費課税の問題がございませんので、盛んに交際費——まあこれのために増資をやらないという会社がだいぶ出ておるということがございまして、形は複雑でございますが、結果から見て非常に不公平で、なかなか取引基準の
合理化ということが設けられていないということがガンだと思います。そこで今回は、相当簡明にいたしましてやったらどうか。いわば
基礎控除のようなものを考えて、そしてその
基礎控除をこえる分についてはその二割だけを課税対象にするという簡明な思想はどうだろうか。
基礎控除といたしまして年額三百万円と、それから資本金の大小によって違いましょうから、資本金の千分の一
程度を加算した
金額、それを
基礎控除として引きます。それをオーバーする分については、八割まではかまいませんが、二割方については普通の税金を納めて下さい、こういう簡明な方法でいったらどうであろうかということがこの
提案でございます。
それから、その次に書いてございます米穀
所得課税の特例、社会保険診療報酬の特例については、いずれも慎重に検討するということが書いてございます。
「その他の
改正」の欄でございますが、公社債の償還差益等を利子
所得に含めるということが問題になったのでございますが、これはなかなか実質論としては問題はあるという意見がありますし、かたがた
政府の方では、これはやるといたしましても、
昭和三十七年の四月一日以降発行した分から課税する。従いまして、償還期の参りますのは
昭和三十八年の四月一日以降償還期が参るわけであります。そういう案でおったわけでございますので、もともと
政府案でそうであれば、実質論としても問題はあるのだから、今度は本則で
改正することを行なわずに、その辺の、実質論並びに技術論といたしましても、どこまでが利子
所得と認むべきであるか、課税技術の問題もずいぶん残っているはずだ。その辺両方含めて成案を得た上、
提案すべきものであるならば、あらためて来
年度提案すべきであるということになりまして、今回は、この要項では出ておりますけれども、
政府の
改正法律案の中からは落ちているという次第でございます。
それから、その次の居住用財産の譲渡
所得、これはよくありますが、御主人等がおられて、
月給取りのような場合、
本人がなくなります。残ったものは居住用の家屋と土地だけでございます。相続税がかかります。売らねばならぬ。売りますと、譲渡
所得が出ます。売って、だんだん、まあ従来住んでおった家を売り飛ばしまして、借家に移っていく、あるいは小さな家に買いかえていく、その差額を学資
資金に充てていくという場合があるわけですが、そういう場合でも現在は普通の譲渡
所得として課税しているわけです。もちろん、譲渡
所得としても、十万円を引いて、半分として課税するということをやっておりますが、それでもなお相当気の毒な場合がありますので、居住用財産の譲渡
所得に限りましてこの
控除額を上げてはどうであろうかということでございます。
それから次は、事業譲渡類似の有価証券の譲渡、株式の買い占めによる、有価証券の譲渡による
所得を、今の譲渡
所得の非課税の対象外とするということでございます。現在は、有価証券取引税等が
創設されました際に、ある
程度それとの見合いにおきまして、有価証券の譲渡から生ずる
所得については
原則として課税いたしません。ただし、それが継続的なものであって事業
所得あるいは雑
所得と認められるものについては、それはもちろん課税いたしますが、譲渡
所得と認められるものは課税いたしません、こういうことになっているわけでございます。ところが、その有価証券譲渡にもいろいろ経済的に見ますと態様がございまして、形は有価証券譲渡ではあるけれども、実質は事業の譲渡だと考えられる場合があるわけであります。現在はそれを別に手を打っておりませんので、現物出資をして、そして株を取得して、実際は事業は売って、そのもうけなんですが、形は有価証券を全部譲渡するという形で逃げております。それが現在非課税になっているわけです。そういう事実において事業譲渡
所得だと考えられるようなものについては、有価証券譲渡の非課税からはずそうというわけであります。まあどんな場合をもってそういうものと見るかということにつきましては、各国の
立法例その他いろいろございますので、検討しておりますが、要するに、その事業を支配しておったと思われる株主がその経営権を譲渡するという形でいく場合には課税すべきではないかという点でございます。
もう一つの点は、先般来問題になっております株式を買い占めて値をせって、それを当該会社あるいはそれの特定の
関係者に売って、それでうんともうけるというようなものにつきましても、これはやはり他の
バランスからいって、その
金額も大きいことでもありますので、課税すべきではないかということでございます。これに関連いたしまして、有価証券の課税については、なおほかにも多少研究する問題、事業
所得に類するものと、あるいは譲渡
所得と認められない限度というものがあるだろうと思うわけです。買い占めとか事業譲渡でなくて、継続して年間大きな取引をやっておるというようなものについては、やはりそれは事業
所得あるいは雑
所得として課税すべきではないかと思います。
現行でもそうなっておりますが、その基準を法令上明らかにしていったらどうかということを考えておる次第でございます。
それから、次は間接税の問題でございますが、
最初は
通行税と——これは二点出ておりますのは、二等寝台につきましては今度思い切ってこれを非課税にしたらどうか。現在は一等と、二等は寝台だけ課税になっておるわけでございます。これは従来から二等寝台はちょっとひどいじゃないかという御意見があり、まあ遊興飲食税
あたりでも、今度は宿泊の料金の免税点等が変わります。その辺等とにらみ合わせまして、二等寝台の課税は廃止したらどうかということでございます。それからなお、
通行税法では、これと関連して、一等、二等という等級区分の呼称によらないで実際の賃率によったという
改正をいたしたのであります。
それから、その次は
物品税でございますが、これは今般小型自動車が現在一五%、中型三〇%、大型五〇%という
物品税の
税率であるわけであります。その小型自動車が気筒容積現在千五百CC以下という
規定になっているわけでございます。これは運輸省の方の基礎法の
関係で、運輸省が従来そういうふうに取り扱っておったわけでございますが、最近は、聞くところによりますと、やはりある
程度スピードを出さないと非常に交通上交通妨害になるということで、スピードアップさせる。型はあまり大きくしないが、スピードアップしないと困るということで、運輸省の方でそれを二千CCまでは小型と考えていいという
改正が行なわれましたので、
物品税の方も同じように平仄を合わせていきたいと考えられるわけでございます。もう一つ考えておりますのは、カラー・フィルムに対する
税率が
現行、今年の三月で一〇%の
軽減率が本則の三〇%になるわけでございます。
現行の状況を見てみますと、
日本のカラー・フィルムはまだとうてい外国品に太刀打ちできないという状況にございます。なおしばらく、一年間
程度存続して様子を見たらどうかということで、延長案をここに出しているわけでございます。
それから、
揮発油に対する
消費税に対しては先ほど御
説明申し上げました。
ごく端折ってお話し申し上げました。以上でございます。