○二宮武夫君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
地方税法の一部を
改正する
法律案に対しまして、
政府原案に
反対、
社会党修正案に
賛成の
討論を行ないたいと思うのでございます。(
拍手)
今回、
地方税法改正案が今
国会に
提案されまするまでの
経過の中に、私は、
国民の一人として、どうしても納得のいかない問題があるのでございます。すなわち、この
法案があまりにも
提案がおくれたことでございます。
地方税を重要な
一般財源としておりまするところの全国三千五百の地方自治体は非常に迷惑いたしているということでございます。地方財政計画はおくれ、
地方税法改正案がおくれたこの二カ月間の空白というものは、私ども聞くところによりますると、全国わずかに三百軒しかないところの、国際観光ホテル整備法の規定によって登録をしたホテル業者、旅館業者が、その
宿泊する外人客に対する
遊興飲食税の
非課税措置廃止に
反対をして、閣僚の中にも一部これに同調する者が現われ、ただいま閣僚の名は申しませんけれども、この調整にまことに困難をきわめたために、これが今次
地方税法改正案の
提案のおくれた
理由であるというふうに聞き及ぶのでございます。(
拍手)
税制調査会の
地方税に対する答申におきましても、外人観光客に対しては
非課税廃止の
措置が望ましいということは、はっきり答申として出て参っているわけでございます。これがかくも長く紛糾しており、しかも、
国民に迷惑をかけているということにつきましては、
政府は深く反省をせねばならないと考えるものでございます。
批判のその二は、
池田内閣が
選挙を通じて公約をいたしましたところの、国、地方を通じて大幅に
減税を行なうという公約は実行されておらないということであります。
地方税が、自然増収一千三百八十九億に対しまして、三十六
年度においてわずかに五十九億円、これが平
年度化されまして、百八十二億という
減税になる見通しでございます。
国民大衆は正直であり、賢明であります。「私はうそは申しません」という
言葉を額面通り期待しておりまするけれども、もし、この期待を裏切りました際には、がぜん支持する階層が減って参るであろうということも覚悟せねばなりますまい。私も、
地方税の
減税が困難であるということは、私自身の経験からよく知っておるのでございまするけれども、ただ、厳粛なる
選挙を通じて公約をいたしました以上、これは何としても実現をする
責任が
政府にあろうかと考えるわけでございます。
今回
提案されました
政府原案におきましては、その
内容においで、私どもがかねがね要求をいたしておりました
大衆的な
飲食、
宿泊等に対する問題は取り入れられました。必ずしも全部が全部
反対というわけではないのでございます。一歩前進ということを申し上げて差しつかえございません。しかしながら、ただいま
修正案を
説明いたしましたように、現在の時点におきまして、
地方税制改革の重要目標は、何と申しましても、地方行政水準の向上のために地方自治体独自の財源を確保することと、
住民負担の
均衡、特に
大衆負担の
軽減をはかるという、この二つの目標が調整をされ、貫徹をされなければならないと考えるわけでございます。これらの目標達成のためには、
地方税制のワクの中で枝葉末節を
修正するがごとき、こそくな手段では、とうてい解決のできる段階ではないのでございます。国と地方とを通じて、その行政事務の再配分を前提とした
国税、
地方税の抜本的な再配分という、まことに困難ではございまするけれども、この問題と取り組まない限り、私は解決はできないと考えておるものでございます。(
拍手)この問題が解決されない限り、いつまでたっても、憲法第八章によって保障されました地方自治体の独立性、
自主性というものは絶対に強化することはできないと考えるものでございます。それぞれの地方自治体が、その独自の立場に立って、ほんとうに妙味のある行政を行ない、地域
住民の福祉向上のために、国と地方との連帯性の上に立って行政が推進される、こういう姿が具現されることを私どもは念願しておるわけでございます。
私は、内閣の諮問機関である
税制調査会において、いよいよ本三十六
年度をもって最後の答申がなされるということを聞いておるのでございます。
政府は、その主体性を確保しながら、この
委員会の苦心の答申策を純真に受け入れて、その実施にあたっては自信と確信を持って臨まれるように、強くここに要求をいたすものでございます。
もちろん、私どもは、全般的に、まだまだ多いところの税外
負担の解消、あるいは法定外普通税の
整理、超過
課税を廃止して標準
税率または準拠
税率に近づけること、地方交付
税率の増額と貧困
団体に対する強い傾斜配分、後進地域に対する国庫補助の思い切った増額、あるいは軍事基地、国有林に対して正しい
交付金の配付、すっきりしたところの各種助成金の増額等、この施策を並行して行なうときに、初めて地方自治体の強化が実施されるものであるというように考えるわけでございます。
このような見地に立って今回の
政府原案を
検討いたしますると、以下、私が指摘をいたしますような点について、どうしても
賛成をいたしかねるわけでございます。
今回の
改正方針は、
国税の
減税を
地方税に持ち込まないということを言っておるわけでございます。
言葉の上では、なるほど、私どもも
賛成をいたすのでございますけれども、このように
説明をしておきながら、実は、しさいに
検討いたして参りますと、必ずしもそのようになっておらないのが、この
地方税法案でございます。すなわち、
所得税において、青色申告者について
現行の
専従者控除を拡充するとともに、
白色申告者についても、新たに
専従者控除の
制度を創設することにしておるのでございますけれども、
住民税においては、
所得税の
影響を遮断するという名目のもとに、
白色申告者に
専従者控除を認めないという
措置をとっておるのでございます。その
均衡を欠きながら、
事業税においてはこれを認めておるということは、これはまことに
首尾一貫をいたしておらないものでございます。青色、白色との間には、単に申告の能力があるかないかの差以外には、実質的には差異は認められないのでございますが、このような
住民税の減収から逆算して、
負担の
均衡を失しているということは、どうしても了解をいたしかねるわけでございます。これは、あくまで、
修正案のように、すっきり筋を通して、
住民税においてもこれを認めるべきであり、
国税において認められた配偶者の座についても、
所得税と同様にこれを確保することが必要であるというように考えるわけでございます。
また、
住民税におきましては、
負担の
均衡を保つ上から、常に過重の
負担にあえいでいるところの給与
所得者に対しまして、
課税方式ただし書適用の場合には、七%の控除、限度五万円とすることが適当であるように考えるわけでございます。同時に、それぞれの自治体が、
住民税の均等割に対しましては、独自の条例に基づいて
軽減措置のできるように、
自主性を生かすべきであるということを、私は主張いたすわけでございます。
事業税におきましては、
個人事業税の控除を
引き上げるとともに、白色申告控除七万円を認めるべきであることは、さきに指摘した通りでございます。
政府原案で廃止しようとしている非出資協同組合、生協、漁協その他の
非課税、あるいは
課税標準の特例は、そのまま存置すべきであるというように考えるわけでございます。
法人事業税については、中小
法人に軽く、大
法人にその
税負担を求めるという方途を講ずべきでございまして、私は、先ほどの
修正案に心から賛意を表するものでございます。これに対しましては、
社会党所属
議員の皆さん方はもちろん、
自民党の
議員の中にも、紹介
議員となって、この請願書が正式に
国会で受理されている事実を、私は御披露申し上げてみたいと思うのでございます。(
拍手)その中には、大平官房長官の名前もあるわけでございます。必要でございまするならば、名前を読み上げてもよろしゅうございます。(「紹介と
賛成とは違う、ごっちゃにするな」と呼び、その他発言する者あり)これは正式に
国会に
提出をされた問題でございますので、ここで御披露申し上げておくわけでございまして、これこそ、理解のある、
国民の
世論を反映する
国会への正式の請願というものを受け付ける態度であろうというふうに考えるわけでございます。
そのほか、詳細にわたりましては、私は、完全に
修正案に
賛成をするものでございまして、
国税で大企業に特別の優遇
措置を講じておきながら、
地方税においてこれを復活するというような意欲はさらさら見えない、このような態度に対しましては、納得をいたしかねるわけでございます。地方自治を財源の上から中央集権下にあえがせるようなこの
池田内閣の地方自治に対する恩情のないところの政策には、私は心から
反対いたすわけでございます。(
拍手)
日本の
国会の良識において、私どもが
提案をいたしておるところの
修正案が可決をされまするように心から御期待を申し上げまして、私の
賛成討論を終わるわけでございます。(
拍手)