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1961-05-26 第38回国会 衆議院 農林水産委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月二十六日(金曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       川村善八郎君    久保田円次君       倉成  正君    田邉 國男君       舘林三喜男君    谷垣 專一君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       中山 榮一君    野原 正勝君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    森田重次郎君       八木 徹雄君    足鹿  覺君       片島  港君    北山 愛郎君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       西村 関一君    山田 長司君       湯山  勇君    稲富 稜人君       玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         農林政務次官  八田 貞義君         水産庁長官   西村健次郎君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君         日本国有鉄道参         事         (営業局配車課         長)      武田 啓介君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 五月二十六日  委員舘林三喜男君辞任につき、その補欠として  倉成正君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十五日  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第二〇〇号)  農業保険事業団法案内閣提出第二〇一号) は本委員会に付託された。 同日  農産物価格安定法の一部を改正する法律案(芳  賀貢君外十一名提出)(衆法第三〇号)  飼料需給安定法の一部を改正する法律案芳賀  貢君外十一名提出)(衆法第三一号) は撤回された。     ――――――――――――― 五月二十五日  農業基本法政府案制定促進に関する陳情書  (第八五六号)  同  (第九四六号)  農業基本法政府案制定反対に関する陳情書  (第八五七号)  農業経営資金助成に関する陳情書  (第八五八号)  海岸砂地地帯農業振興臨時措置法期限延長等  に関する陳情書  (第八五九号)  土地改良法の一部改正に関する陳情書  (第八六〇号)  同(第九〇八号)  麦作農家経済安定維持に関する陳情書  (第九〇九号)  麦対策確立に関する陳情書  (第九一〇号)  同  (第九一一号)  同(第九一二  号)  沿岸漁業振興法制定に関する陳情書  (第九一三号)  稚魚採捕の制限禁止に対する法制化等に関する  陳情書  (第九一四号)  農業基本法政府案の一部修正に関する陳情書  (第九四七号)  農業災害補償制度改正に関する陳情書  (第九四八号)  同  (第九四九号)  同  (第九九四号)  同  (第九九  五号)  同  (第一〇二八号)  土地改良法改正に関する陳情書  (第一〇二七号)  麦対策に関する陳情書  (第一〇二九号)  農林漁業者所得及び生活水準引上げ政策実施  に関する陳情書  (第一〇五三  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  魚価安定基金法案内閣提出第七四号)  漁業生産調整組合法案内閣提出第七五号)  沿岸漁業振興法案角屋堅次郎君外二十四名提  出、衆法第二三号)  水産物価格安定等に関する法律案角屋堅  次郎君外二十三名提出衆法第二九号)  水産業改良助長法案芳賀貢君外二十四名提出  、衆法第三三号)      ――――◇―――――
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を聞きます。  この際お諮りいたします。  ただいま外務委員会審査中の関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件について、外務委員会連合審査会開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、連合審査会を開会する場合の時日につきましては、外務委員長と協議の上追って公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  4. 坂田英一

    坂田委員長 次に、内閣提出魚価安定基金法案及び漁業生産調整組合法案について補足説明を聴取することといたします。西村水産庁長官
  5. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 魚価安定基金法案提案理由につきましては、過日御説明申し上げた通りでありますが、本法律案趣旨及びその概要につきまして、私から補足的に御説明申し上げます。  わが国漁業は、最近における漁船大型化合成繊維漁網の普及、魚群探知能力の向上その他の技術的発展等により、その漁獲量において順調な増加を示しておりますが、この中で、サンマスルメイカアジサバ等のいわゆる多獲性の水産物の増加が顕著であります。これらの多獲性の水産物につきましては、その漁獲が地域的にまたは時期的に、水揚げ港における輸送、冷蔵、冷凍、加工等処理能力を越えて集中して水揚げされ、盛漁期にその魚価が暴落し、いわゆる大漁貧乏の現象を呈することがしばしばありまして、これに関係いたします漁業者経営を著しく不安定なものといたしておりますことは、提案理由で御説明申し上げました通りであります。今後における国民経済成長発展に即応し、中小漁業者所得水準を高め、国民経済において正当な地位を確保し得るよう、これら漁業者経営を不安定ならしめている要因を除去するために、総合的な施策を樹立することが要請されています。  政府といたしましても、鋭意その対策を検討した結果、一方におきまして、漁業者団体における出荷調整の機能を考慮いたしまして、冷蔵庫、冷蔵自動車設置及び主要生産地市場における情報センター設置につきまして所要予算措置を講ずる等、流通改善のための施策を推進することといたしておりますが、これらの措置にあわせまして、漁業者生産面において自主的に適切な調整を行なう組織を設けるため漁業生産調整組合法案提出いたすとともに、これと相待って生産及び流通調整等事業につき助成をする組織を設けるため、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容について概略御説明申し上げます。  第一は、この基金の性格でありますが、魚価安定基金は、多獲性の水産物価格の著しい低落がこれに関係する中小漁業者経営の安定を著しく阻害している事態にかんがみまして、漁業生産調整組合水産業協同組合等が多獲性の水産物価格を安定させるために行なう調整等事業につき助成をすることによりまして漁業経営の安定に資することを目的として設立される法人であります。法人組織にいたしましたのは、政府都道府県及び民間団体の協力により本事業を運営するという見地から、これらのものの出資により基金の造成を行なうこととした次第でありますが、そのためにはこのような制度が最も適当であると考えたためであります。  第二は、基金資本金及び出資に関する規定であります。基金の成立の当初における資本金は一億六千万円を下るものであってはならないと法定しておりますが、このうち政府は八千万円を出資することといたしたのであります。その他の出資者といたしましては、都道府県のほか、この基金業務に関係する諸団体に広く協力を願う趣旨から、漁業生産調整組合水産業協同組合及び水産加工業を営む者が組織する中小企業等協同組合を予定いたしておりますが、都道府県出資につきましては、地方財政健全性を確保するため、自治大臣承認を要することといたしたのであります。  第三は、この基金管理に関する規定でありますが、基金管理につきましては、一般的な方針といたしまして、極力事務の簡素化をはかり、その事務費の節減に努力して参る所存でございますが、役員の定数についても、これを必要な最小限度のものとするため、総数を五人以内に限定した次第であります。また、基金業務の能率的かつ適正な運営をはかるため、基金理事長諮問機関として評議員会を置き、基金業務に関する重要事項を調査審議することといたしたのであります。  第四は、基金業務に関する規定でありますが、基金は二つの業務を行なうものといたしました。  その第一点は、出資者たる漁業生産調整組合に対する資金の交付であります。漁業生産調整組合が行なう事業につきましては、この法律案とともに御審議をお願いいたしております漁業生産調整組合法案の御説明で申し上げましたように、二種類ございます。一つは、一般的な制限として、休漁日の設定、積載量制限等を予定しておりますが、他の一つは、一定事態において、以上の制限を行なってもなお調整事業が十分な効果をあげ得ない場合に、一部の組合員対象としまして陸揚げ制限を行なおうというものでありまして、その一部の組合員に対しては一種の犠牲をしいることにもなるわけでありまして、この場合に漁業生産調整組合がこれらの組合員に対して調整金を支給することといたしておりますが、基金はこの調整金の支給に要する経費の全部または一部に相当する金額を交付することにより、漁業生産調整組合事業の円滑な実施を確保しようというものであります。  その第二点は、出資者たる水産業協同組合または中小企業等協同組合に対する資金の交付であります。これは、従来実施して参りました水産物流通調整事業所要改善を加え、この基金事業として制度的に確立いたしたいというものであります。水産物流通調整事業は、系統漁協実施するサンマかす及びスルメイカ調整保管事業につきまして、一定の条件により、保管期間中の金利相当分助成することにより、その原料魚であるサンマ及びスルメイカ価格の著しい低落を防止しようとするものでありますが、魚価安定の実効を期するために、多獲性の水産物生産及び流通の実態に即応した改善が強く要請されていたのであります。  このため、新たに基金事業といたしまして、出資者たる水産業協同組合または中小企業等協同組合一定の条件のもとに、多獲性の水産物を加工しまたはこれを原料として製造した製品を、その加工者または製造者の委託を受けて保管及び販売をした場合に、当該組合に対し、その製品保管に要する経費、すなわち金利及び保管料相当額限度とする金額を交付することにより、魚価の安定をはかろうとするものであります。この場合、基金業務対象といたします製品政令指定することとしておりますが、さしあたり、昭和三十六年度におきましてはサンマかす指定する予定にしておりまして、その他のものにつきましては、諸般の情勢が整備されれば漸次拡充をしたいと考えております。  第五は、基金の財務及び会計に関する規定であります。基金は、毎事業年度、収入及び支出の予算、事業計画並びに資金計画を作成した場合、また財務諸表及び決算報告書を作成した場合には、農林大臣承認を受けさせることとし、財務及び会計の健全化を期することとした次第であります。また、基金は、その資産を金融機関への預金、国債その他の有価証券取得等方法によって運用して得られる果実により、その業務実施することを原則としておりますが、多獲性の水産物生産流通及び価格変動の実態から見て、毎年の事業量にかなりの変動が予想されますので、特に必要があると認められる場合には、農林大臣承認を受けて一定の範囲内で基金の元本を取りくずすことができることといたしてまして、基金業務の運営に遺憾のないよう措置したいと考えております。  その他、この基金の行ないます業務は、いずれもきわめて公益性の高いものでありますため、それが適正に行なわれるよう、この法律案は、若干の監督規定を設けるほか所要罰則規定も設けてあります。また、この基金に対しては登録税法その他の税法上の特例を設けてあります。  以上で本法律案趣旨及び概要についての補足説明を終わります。  次に、漁業生産調整組合法案の提案の理由につきましてはさきに御説明申し上げた通りでありますが、本法案概要及びその趣旨につきまして、私より補足的に御説明申し上げます。  わが国漁業において重要な地位を占める中小漁船漁業は一般にその経営が不振でありますが、なかんずく、サンマイカアジサバイワシ等いわゆる多獲性の大衆魚の採捕を目的とする漁業については、時期的な過度の漁獲により、陸揚げ地輸送、保蔵、加工等処理能力限度を越えて陸揚げが集中するため、魚価が暴落し、いわゆる大漁貧乏の現象を生ずることがしばしばあり、その経営が著しく不安定となっておりますことは、すでに提案理由で御説明申し上げた通りであります。このような中小漁業経営の安定をはかるためには、一方において陸揚げ後における水産物流通調整することが必要でありますが、他方、この種の漁業の特質上、その前提として漁業生産自体調整を行なうことが必要となって参るのであります。かような見地に基づきまして、今般別途御審議願うことといたしております魚価安定基金法案提出いたすとともに、中小漁業者等が自主的に生産調整を行なうための組織として漁業生産調整組合を設けることができるようにするとともに、必要な場合に国が直接漁業生産活動規制に関する命令を発することによってこれを補完する措置を講ずることができるようにするため、所要立法措置を講ずることとし、今回この法案提出した次第でございます。  次に本法案内容について概略御説明申し上げます。  この法案の骨子の第一点は、この法案の適用を受ける漁業政令指定することとしていることであります。この指定対象となるのは、一定の海域において多獲性の水産物の採捕を目的とする漁業でありますが、その指定要件は二つありまして、その第一は、その漁業を営む者の中で中小漁業者の占める地位が高いこと、すなわち、その漁業を営む者の総数の三分の二以上が中小漁業者であり、かつ、その漁業における生産活動相当部分中小漁業者により行なわれていることを必要としております。その第二は、生産調整を必要とする事態であること、すなわち、時期的に過度の漁獲が行なわれることにより、しばしばその漁獲物価格が著しく低落し、その結果その漁業を営む中小漁業者等経営の安定が阻害され、または阻害されるおそれがあるということであります。このような要件に合致する漁業政令指定するのでありますが、その指定の仕方は、一定操業区域において一定の魚種の一定の漁法により採捕する漁業というように行なう予定で、具体的な対象としては、さしあたり、千葉県以北の太平洋におけるサンマ棒受網漁業山陰地方におけるアジサバイワシまき網漁業、東海、黄海におけるアジサバまき網漁業、青森県沖合いの太平洋におけるイカ釣漁業等を考えております。  第二点は、組合設立の仕方であります。組合法人としておりますが、組織の原則としては、この種の組合の例に準じ、営利を目的としないこと、組合員が任意に加入しまたは脱退することができること、組合員議決権及び選挙権が平等であることの三つの要件を備えなければならないこととしております。組合指定漁業ごと設立するものとし、かつ、重複設立を避けるため、指定漁業ごとに一個としております。指定漁業は、さきに申し述べました通り一定操業区域ごと指定することになっておりますので、組合は、陸上の地区によらず、一定操業区域を単位として設立されることになります。また、一たび設立された組合は、この種漁業の性格にかんがみ、対象漁業指定漁業としての要件を備えるものとして指定を受けている限り、一時的な事情に左右されず、常時存置し得るものといたしております。次に、組合員たる資格につきましては、小規模の漁船を使用して営む者については、漁獲量の全体に占める割合も少なく、また経営の規模が零細なために、調整事業に参加せしめることが必ずしも必要かつ適当とは考えられない場合もありますので、組合の定款で一定規模以上の漁船を使用する者に限定することができることといたしております。組合設立要件としては、中小漁業者が主体となり、かつ調整事業効果を十分に発揮し得る場合にのみ設立を認めるという見地から、組合員たる資格者の三分の二以上が組合員となるとともに、組合員たる資格者の三分の二以上が中小漁業者であり、かつ総組合員の三分の二以上が中小漁業者であるものでなければ設立することができないこととしており、さらに、設立につきましては農林大臣認可を受けることを必要とし、農林大臣認可の申請が一定要件に適合する場合に認可を行なうことにいたしております。  第三点は、組合事業に関してであります。漁業者協同組織による経済的地位の向上については、水産業協同組合系統組織による経済事業に期待することとして、漁業生産調整組合経済事業は行なわず、生産調整事業とこれに必要な最小限度事業に限定しております。すなわち、水産業協同組合漁業生産調整組合は、それぞれ事業の分野を分かちつつ、相協力して漁業経営の安定に資することを期待している次第であります。  組合必須事業である調整事業につきましては、二種類ありまして、一つは、組合員の行なう当該漁業目的とする水産物の採捕、運搬または陸揚げに関する一般的な制限であり、具体的には休漁日の設定、漁獲物積載数量制限運搬船の使用隻数制限等を予定しております。他の一つは、組合員の一部を対象とする陸揚げ制限でありまして、一定事態において一般的な制限を行なってもなお調整事業が十分な効果をあげ得ないような場合、これを具体的に申しますと、サンマ漁業において一定の港に陸揚げをしようとする漁船漁獲物がその港における輸送、保蔵、加工等処理能力を越え、かつ価格が著しく低落するような場合におきまして、一部の組合員漁船に対して陸揚げの停止をさせることを予定しているのであります。この場合には、その対象となる組合員に一種の犠牲をしいることにもなりますので、組合がその組合員調整金を支払うこととするとともに、魚価安定基金からその組合に対し、それに要する経費の全部または一部を交付することとしておるのであります。  組合が以上の調整事業実施しようとする場合には、制限の種類、方法実施期間等調整規程で定め、農林大臣認可を受けなければならないこととしております。農林大臣は、調整規程認可を行なうにあたっては、その調整事業指定漁業経営の安定をはかるために必要な最小限度を越えないこと、不当に差別的でないこと、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないことの三つの要件に適合しなければしてはならないものとしております。  組合事業としては、調整事業のほか、任意事業として、組合員に対する情報提供事業と、組合員のためにする組合協約の締結があります。  組合協約は、組合員経営の不安定な事態を克服するために締結するものでありまして、調整事業に関しては陸揚げ地市場卸売業者漁獲物運搬業者組合員資格を有する員外者と締結することができ、その相手方は正当な理由がない限りその交渉に応じなければならないこととするとともに、必要がある場合には、農林大臣交渉の当事者に対し勧告を行なうことができるものとしております。また、調整事業に関する組合協約のうち、特に組合員資格を有する員外者と締結するものについては、調整規程と同様の趣旨から、農林大臣認可を必要とすることにいたしております。そのほか、組合協約は、組合員取引関係がある事業者との間においても締結することができることにいたしております。この場合、相手方は誠意をもってその交渉に応じなければならないものといたしております。  第四点は、漁業生産活動規制に関する命令であります。すなわち、組合の自主的な生産調整事業では十分な効果をあげ得ないような場合には、一定要件のもとに農林大臣が直接に組合調整事業と同様の制限を定めて組合員たる資格者全員に対しこれに従うべきことを命ずることができることとしております。そして、その発動は、組合員たる資格を有する員外者漁業生産活動調整事業の前提となっている経営不安定の事態の克服を阻害しており、または組合統制力が十分でないため自主的な生産調整ではかかる事態の克服ができず、もしくはその方法が適当でないと認められる場合において、このような状態の継続することが当該漁業経営の安定に重大な悪影響を及ぼし、国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずるおそれがあると認められるときに限って行なわれるものとしているのであります。この命令内容は、当該組合組合員たる資格者が行なう当該漁業目的とする水産物の採捕、運搬または陸揚げに関する一般的な制限について、当該組合が総会の議決を経て農林大臣に申し出た場合に限り、当該組合調整規程内容を参酌して定め、農林省令をもってすることといたしております。  第五点は、いわゆる独禁法の適用除外についての定めであります。すなわち、農林大臣認可を受けた調整規程または組合協約及びこれらに基づいてする行為には、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律規定は、不公正な取引方法を用いるとき等を除いては適用しないこととし、他面、農林大臣調整規程もしくは組合協約認可をしようとするとき、または漁業生産活動規制に関する命令をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならないものとしております。  第六点は、農林大臣は、漁業指定についての政令制定改廃の立案をしようとするとき、または漁業生産活動規制に関する命令をしようとするときは、中央漁業調整審議会に諮問しなければならないものとするとともに、この法律の施行に関する重要事項についても同審議会の意見を聞くことができるものとしております。このため、中央漁業調整審議会委員の増員をはかり、新たに一般消費者及び関連事業者をも委員に加え、さらに、部会の設置もできるようにして、この法律の適正な運用に資したいと考えております。また、調整規程もしくは組合協約または漁業生産活動規制に関する命令実施関係都道府県における水産業に著しい影響を及ぼすと認めるときは、調整規程もしくは組合協約認可をし、または規制命令を発する前に、あらかじめその都道府県知事の意見を聞かなければならないものとしております。  以上のほか、組合管理解散等につきましては、この種の組合の例に準じ所要規定を設けるとともに、組合事業に対しては、農林大臣が十分な監督を行なうこととし、一定の場合には組合に対し必要な措置をとるべきことを命じ、あるいは組合の解散を命ずることができるものとしており、さらに、この法律の違反に対しては罰則を設けて、実効の確保をはかっております。また、組合事業については一定の場合に非課税の特典を認める等のため、附則で関係法律改正をすることといたしております。  以上で本法案概要趣旨についての補足説明を終わります。      ————◇—————
  6. 坂田英一

    坂田委員長 次に、内閣提出魚価安定基金法案漁業生産調整組合法案角屋堅次郎君外二十四名提出沿岸漁業振興法案角屋堅次郎君外二十三名提出水産物価格安定等に関する法律案及び芳賀貢君外二十四名提出水産業改良助長法案に対する質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。湯山勇君。
  7. 湯山勇

    ○湯山委員 私は農林大臣の御出席をお願いしておったのです。という意味は、政府提案による二法案は、所得倍増計画、つまり、生産性の増強あるいは近代化、そういう趣旨といささか性質において反する面があるように見受けられますので、その点は政府の基本的な政策に関係がありますから、ぜひ農林大臣の御出席を願って質問いたしたいと思います。それまで留保さしていただきたいと思います。
  8. 坂田英一

    坂田委員長 水産庁長官がおいでですから、長官に対する御質問がありますれば今おやり願って、なお農林大臣が見えられてから質問を続けられてもいいかと思うのですが……。
  9. 湯山勇

    ○湯山委員 あるにはあるのですが、ちょっと大臣に対する質問を先にしてからの方がこちらの方は工合がいいので、そうお願いしたいと思います。
  10. 坂田英一

    坂田委員長 それでは、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三分休憩      ————◇—————    午後三時八分開議
  11. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出魚価安定基金法案漁業生産調整組合法案角屋堅次郎君外二十四名提出沿岸漁業振興法案角屋堅次郎君外二十三名提出水産物価格安定等に関する法律案及び芳賀貢君外二十四名提出水産業改良助長法案を議題として、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。大野市郎君。
  12. 大野市郎

    ○大野(市)委員 この際一、二点政府にお伺いをしておきたいと思います。  二十五日の参考人の方々の御意見を承っても、われわれが常識的に心配をしておりました数点を指摘して、この点について懸念を持っておられたのであります。結論としては、一歩前進であるから、この法律の成立には賛成の模様でございます。私どももそういう立場で政府案の成立を期待するものでありますが、ただ、この流通の問題がネックであるというので、特に大衆魚を食べたいという需要が非常に強いのに、生産調整組合のような形で休業をさせて、供給の方から価格を維持しようというようなこそくな考え方には賛成しがたいという意見を述べられた方もあります。私どももそういう意味の海の蛋白質を大量に消費したいというのは常識で考えてもわかることでございます。そこで、流通の問題に対しては政府は一体どの程度力を入れておるのか、かねがね疑問とする点が多々あったのであります。そこで、手近な問題としまして、冷蔵庫の設備によって、大量にとれたそういう魚類を、消費したいときに消費したい場所に、時間、空間の移動をなさしめる用途を持つものでございますが、冷蔵庫などを作ってもとても採算が合わぬから、これは理屈倒れだというふうな意見を述べる向きもあるようでございますけれども、私どもは、たとえば、日本冷蔵のあの大会社が企業として隆々たる成績をあげておる、株価などを見てもなかなかはち切れるような値段で取引が行なわれておる状況を見ますと、ほんとうに真剣に冷蔵庫の機能というものを考えるならば、打つ手があるはずだ、こんなふうに思っておるわけであります。そういう観点から伺いたいのは、水揚げ地に冷蔵庫を持つ、あるいは消費地に冷蔵庫を持つ、冷蔵庫の配置の場所は、そういう工合で、おおむねいずれの地点に力を入れるかというのは理屈では割り切れないところがございましょうが、頻繁に入れかわりをして、冷蔵庫のからになることがないような用途がほしいというようなことになると、やはり、いろいろな種類の魚が入れられるところの場所ということになると思います。そうすると、それは消費地の冷蔵設置場所ということになると思います。この意味で、一体、政府は、冷蔵庫の設置をいたす場合に、そういう企業として日本冷蔵のような工合で運営をしておる事態と見比べて、今日どういう行政指導をなされておるのか、この点をまず承りたいと思います。
  13. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 魚の流通改善につきまして、昨日も参考人からいろいろ御意見がございました。今大野委員からも御指摘がありました。私どもとしまして、いろいろ根本的な問題があるわけでございます。  まず第一に申し上げられることは、漁業生産調整組合魚価安定基金、それのみをもってして魚価安定ができる、こういうふうには毛頭考えておらないわけであります。問題は、根本的に、やはり、とられた魚が片や終局的に消費があるとすればそれと円滑に結びつける、こういうことが大事であろうと思います。この意味におきまして、産地を問わず、消費地を問わず、冷蔵庫というものの充実は必要であります。これを産地について考えますると、冷蔵庫のみならず、あるいはその他の加工諸施設、あるいは輸送の問題、これらは総合的な問題として考えなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。しかしながら、大衆的な多獲性の魚類につきましては、時期的に非常に集中してとれるということがありまして、そのマキシマムな能力を時期的に最大の漁獲に見合うような数字で冷蔵庫を作るというようなことになりますと、これは企業的には全然採算ベースに乗らない。現在いろんな私企業が経営しております冷蔵庫は企業採算ベースというものを考えてやっておるわけでございます。しかしながら、一方、多獲性の大衆魚類については、それでは間尺に合わないということがございますので、幸い、一般的な問題としまして、本年度の予算におきまして、冷蔵庫は産地に二カ所建設する補助金がつきました。これにつきましては、今後とももう少しやり方を根本的に考える必要があるのではないか。いつまでも企業的なベースのみからこの問題を判断していく場合には容易に伸びない面もあるのじゃないか。私の方もいろいろ検討いたしまして、しからば、冷凍運搬船というようなものを時期的にこれをハイヤーして借りまして、これを港において処理するなり、あるいはそこで冷凍するというような、動く冷蔵庫というものも検討して参ったわけでございます。この点につきましては、今後もそういう点から検討して参りたいと思います。しからば、これを保有しあるいは運営するものをどこにするかという点も関連して一つ結論を出したいということで、せっかく今検討しておるわけでございます。  なお、流通改善につきましては、そういう物的施設もさることながら、情報の交換ということが大事であります。消費地と産地との市況の通報というものが今日よりもより円滑にいけば、そこにおのずから価格形成の妥当なものができる可能性があるということをもちまして、本年度予算で全国三十カ所の情報センター設置いたしまして、主要産地と大消費地をつなぎまして迅速に市況を通報し、価格形成に遺憾なからしめるという方途を講じて参りたいということを考えておるのであります。  これらの点にも関連いたしまして、さらに産地の市場機構がどうあるかという問題がまた一つ大きな問題になるわけでございますので、これにつきましては、昨日も参考人からいろいろ御意見の御開陳がありましたが、私どもとしましても、産地市場問題協議会というものを設けまして、産地のそれこそ実務をやっている人を集めまして問題の検討にあたっております。  漁業につきましては、漁業の種類あるいは地域的な特異性というような点、しかも漁業の中の階層というようなものから簡単に一定の尺度ができないというところに今日の悩みがあるわけでございまして、この点につきましても、私どもは今後はっきりした姿を出すべく努力して参りたい、こういうふうに存じております。
  14. 大野市郎

    ○大野(市)委員 冒頭申し上げました消費地か生産地かという問いは、消費地は企業ベースに乗り得るわけです。そこで、これはわかっていることですけれども、そういう質問をしたわけで、今年は産地に多少でも手がつく。そこで、漁獲地で魚の水揚げの種類がそれぞれ違うのだから、そうすると、今のあなたの動く冷蔵庫という着想は、私は非常にいい着想だと思います。そこで、外貨獲得のための外航船などでもああいった利子補給の道なども国策としてやるのでありますから、大衆魚が、参考人の諸君のお話を承っても、実際ああいうふうな工合で捨てられて、ウジがわいて肥料にさえも扱い手がないというふうな、資源のまことにむだな放棄がたびたびあるのですから、そういう意味で、動く冷蔵庫というものにその建造費を思い切って補助を出すというような方法を立案されて、そしてこれらを何台か作って、漁期によってその水揚げ港指定したり、いろいろな条件を考えてやるならば、動く冷蔵庫がからで遊ぶということもなくできる理屈でありますから、長官がせっかくそういういい着想を持っておられるならば、これはやはり具体化して、それを作るにどれくらいの費用がかかるか検討されて具体化されたい。それを動かして歩くのは、何月はどこに行けというふうなことでいけば、常時満腹な形でその配船ができるということが想定されるのですから、せっかくそういう着想があるならば、これを次の国会にはぜひ一つそういう予算措置についてもわれわれが相談できるようにこれを推進せらるる熱意をこの機会に一つ長官から表明していただきたいが、長官のお考えはいかがですか。
  15. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 実は、今動く冷蔵庫と申しました点につきましては、単に冷蔵のみならず、あるいはそれを処理・加工するという面にむしろ重点を置いて考えておるわけでございます。昨年からずっと検討はいたしておりますが、問題は、単にその船の建造費の補助ということでなく、周年どういうふうにオペレートしていくかというような点も考えないと、いたずらに過剰投資になるという点もありますので、私はぜひそういうものを実現する方向に向かって検討して参るつもりでおります。ただ、この問題は、その保有主体とか、建造主体とか、あるいはそれを現実にどういうふうに使うかという問題、これは、漁業者団体なり、その経済的事業をやる組織というものの関連で、にわかに簡単には参らない点もございます。私ども実は結論は出ておりませんが、いずれにいたしましても、もう少し積極的な方向に向かって問題を考えていきたい、こう思っております。
  16. 大野市郎

    ○大野(市)委員 ぜひ一つそのオペレーションの方を研究されて、理屈としてはもう動く冷蔵庫ならば満腹ができるのだから、善処をお願いしたい。  それから、もう一つは、生産地の魚市場の改善が要求されておりますが、私どもも自分たちのところで魚市場の運営について多少は見ておるけれども、行政担当の責任者として、生産地の魚市場の実際の運営の上から改善すべきであると思われる事項、これらについて伺いたいと思います。
  17. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 生産地市場と申しましても、現実にそこでやっている仕事の内容を見ますと、千差万別でございます。そのことは、そこの歴史的なあるいは経済的な問題、あるいは立地的な問題がありますし、さらに、そこに水揚げする漁船の態様というもので大きく左右されるわけであります。御承知のように、漁業者組織といたしまして漁業協同組合というものがございます。これは漁民のための経済的事業をやる団体で、従いまして、現実に陸揚げ地において漁業協同組合が共同出荷をしてやるという例もたくさんございます。実際に最終的にたとえば消費地まで漁業協同組合がみずからの手で出荷しているという例は割に少ない。むしろ、そういう事例は、漁業者が割に小さい漁業者、いろいろな階層がまじっていないようなところ、しかもそこは組織ががっちりしている、こういうところで東京の近県にもそういうところがございます。そこでは陸揚げ地から全部漁業協同組合で共同出荷している。これは、立地条件も東京に近い、漁獲する魚種も割に高級ということでございますが、そういう地区漁協は非常にその面でここ二、三年来組合経営改善される、ひいては漁業者の利益が増大しております。しかし、一方、非常に大きな漁港になりますと、漁業協同組合でやっておるところもございますけれども、非常に大きなところになりますと、他県船も非常に多い。漁業協同組合でやっておるけれども、ほんとうは構成員のみならず員外利用の方がはるかに多いという場面もあるかと思います。さらに、株式会社の魚市場というような格好でやっておるものもあります。これらにつきまして、この姿がいいとか、これは悪いというふうににわかに割り切った考えでいくことは、いたずらに流通の安定を阻害するのみである。問題は、その間におきまして、その生産者である漁業者の経済的価値を拡張するために現在より改善すべき点がどこにあるかということ。そこで、先ほども申しましたように、消費地の市況というものが敏速に産地にわかっていくということは非常に大きな利点があろうと思います。あるいは、そこに共同加工施設も適切なものを作れば、これによって最終的な漁業者の手取りも増加する、こういうことも考えられます。そういう点をいろいろ勘案しつつ、産地市場問題協議会のいろいろな意見を今後も聞きつつ、私どもはこの問題について取り組んで参りたい、こういうふうに考えております。
  18. 大野市郎

    ○大野(市)委員 まあ、魚市場の業態が千差万別であるから一言で言いがたいというお話でありますが、この問題は、中央卸売市場の問題としてもなかなかてこずって思ったように行政指導が及ばない状況を知っておるから、各地方の産地市場の把握がむずかしいのもわかりますよ。わかりますが、たとえば、そういうことが千差万別であるとしても、あなたの方の担当の機関でほんとうにそれぞれの千差万別の実態を分類し、実態をほんとうに押えておられるのですかどうですか、もう一度お聞きしたい。
  19. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 その実態をほんとうに押えておるかということは、私、率直に申し上げますと、完全に押えておるとは申し上げかねます。ただし、各市場におきましての取引の形態、そこにどういう事情があるかということは、大体私どものところで承知しております。ただ、問題は、先ほど申し忘れましたけれども、漁業協同組合の共同出荷、——市場を経営しておるという場合におきましても実は産地ですぐ産地仲買いに組合が手放しておる。特に鮮魚につきましてこういう点が非常に多いので、こういう点については金融の面その他の面がいろいろあると思いますが、従来の魚に対する取り扱いというものの熟練というものがあると思います。私の申し上げた趣旨は、千差万別であるからほうっておくという趣旨ではございません。そこにおのずからあるべき姿というものが浮き彫りにされる。しかし、私の申し上げました趣旨は、単にこれは生産者の協同体である漁業協同組合一本に強権的にやるということは決していいことじゃないのじゃないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  20. 大野市郎

    ○大野(市)委員 その点はよくわかります。これは、仲買いの制度にもそれぞれの歴史があり、また、その土地のいろいろな事情もありましょうから、一がいに一つだけの理屈で押しつけるわけにはいかぬと思いますが、そういう各市場の問題について、このごろはもう中央市場のほかに地方市場のいろいろな問題をもっとしっかり把握しろという声が実は各地で出ておるのです。ところが、その調査機関が、水産庁だけでございません、どうも全般にわたってそうでありますが、そういう調査担当の仕事をする人たちの能力、——能力というのはむしろ物理的な能力、そういうものが欠けておるのではないかというので心配をするのであります。現実には、各市場、地方生産地市場の状況を報告するように各県ごとに委託をすることになると思いますが、それらは何人くらいでどういう方法でやっておられるか、簡単でよろしいですから、実情の一端を聞かしていただきたい。
  21. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 市況あるいは取引の状況につきまして、特別の職員は設置してございません。私どもは、府県を通じまして、あるいは統計調査というものを通じまして、資料を得ておるというのが現状でございます。
  22. 大野市郎

    ○大野(市)委員 それでよろしいことだと思いますが、その府県を通じて調査を依頼したものに対して、具体的には満足すべき調査項目がお手元に参っておりますか。
  23. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 今御指摘の点につきましては、現在府県を通じまして調査を実施して参っております。まだその結果は私どものところに来ていないのであります。
  24. 大野市郎

    ○大野(市)委員 それもよろしいでございましょう。一歩前進であります。そこで、それらの結果をぜひ督促していただきたい。早く手元にまとめて私どもにぜひ資料としていただきたい。それらの各市場の特殊事情があるならばあるでけっこうですから、それらのいわゆる集約したものを、こういう類型がある、こういう類型がある、こういうことに対しての素材をわれわれも資料としていただいて、われわれはわれわれとして改善策も研究せねばならぬと思います。行政官庁のあなた方の方で研究されるのは当然でありましょう。その節は資料をいただきたい。
  25. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 今の資料につきましては、ただいま聞きますと、完成するのは秋になるのじゃないかと思います。できましたらさっそくお届けいたします。同時に、先ほど申し上げました産地市場問題協議会で議論になりました点等についても、要約したものをお手元に届けるようにいたします。
  26. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そこで、大量にとれました場合に、これは果樹などの問題にもそれが出てくると思うのでありますが、水産の問題で、なまものでありますから、加工面が重要視されてくるのは当然だと思います。この加工面に対して、これはもう、鮮度保持のため、また輸送の問題を避けるためにも、産地に加工場が建設されるのが一番いいと思いますが、この点に対してどんな程度の行政指導で加工面の開発を考えておられるか、御質問したいと思います。
  27. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 全般についてカバーするようなものはございませんけれども、中小企業業種別振興臨時措置法に基づきまして、魚かすについて今年から指導する、こういうことになっております。しかし、一般的な問題としまして各県がむしろ第一線でいろいろな加工の問題についてはやっております。一方におきまして、消費構造の変異と申しますか、食生活の変化というものがございますので、その点と関連しつつ指導をいたしておるわけでございます。
  28. 大野市郎

    ○大野(市)委員 加工面に対してもう少し行政指導が強化されませんと、漁家の常として、実際お天気がよければ船で出て何日か沖とりの者は滞留して帰る、沿岸の者も家へ帰るとくたくたで一ぱいひっかけて休むのが関の山というのが漁業に従事する人たちの実態でありますから、この加工面でやはりそのめんどうを見てくれる立場の機関がまことに手薄だと思うのであります。こういう加工面の開発というようなものは水産庁の中のどういう行政組織でされておりますか、承りたいと思います。
  29. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 一般的には私どもの流通面を担当します生産部の水産課でやっております。特に技術的な問題、これは技術開発部との関連で、たとえば、そういう面につきましては、新しい技術につきましての補助金等も出ておるわけでございます。
  30. 大野市郎

    ○大野(市)委員 技術関係で技術開発のお話が出ましたので思いつきましたが、たとえば、日本海水産研究所においては、イカの漁が非常に多い地方であるので、イカの加工について研究所で一つの成果を出した。今までできないと思われたかまぼこにイカをすり身にして使うということに成功しまして、これがその周辺の研究所所在の町には普及して市場に売り出されたことを知っておりますが、こういうような地方に国の機関として研究機関がありまする場合に、そこでできた成果がどの程度に中央に送られて、どの程度にイカ漁獲をする地方にその技術が伝わっておりますか、こういう点に対して一つ承りたいと思います。
  31. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 イカの加工につきまして、ただいま大野委員のお話のような技術があることは承知いたしております。また、一方、北海道におきましては、そのイカの皮を処理して取り去るということで、これがこのごろ多くなりましたフィッシュ・ソーセージの原料になるということも言われておりますが、この方は企業的にはまだ難点があるということでございます。そういう点におきまして、率直に申しまして、私の方として特にこれを一般的に伝達するということついて積極的な措置はとられておりません。しかし、私は、この問題は、実は、研究機構全般の問題と関連して、一つこういう問題があるのではないか。たとえば今の加工の問題、——魚資源の問題等は原始的な問題として一つ取り上げなくてはいけませんけれども、加工の問題等につきましては、これは今八海区にあります研究所で部分々々でやるということでなくて、今後は、統合して、もっと大きなスケールで、しかも国でやる場合には基礎的なものをやるということでやって、その成果を各府県の研究所なりを通じて一般に知らしめるようにしていきたい、こういうふうに考えております。
  32. 大野市郎

    ○大野(市)委員 たとえば、一例をあげれば、研究所がイカのようなああいう魚類の加工に着目をして普及させる。今のお話ですと、それを地方全体に普及させるまでに至っていないというお話で、はなはだ残念であります。やはり、そういう成果が出たならば、イカ漁獲をする地方がたくさんあるのですから、そういうところにやはり普及して奨励をするということが、一つ魚価の安定にもなり、漁民の生活の安定にもなる。だから、宝の持ちぐされにならないようにお願いしたいと思います。  同時に、研究所のように地方に置かれてある国の機関が活動を開始するにあたって、旅費がまことに少ない。そのために、漁区の指導に出かけたいが旅費がない。そこで、やむを得ないものですから、理解のある各調整漁区の方々に後援会みたようなものを作っていただいて、そこで運用の援助を受けておるという実態もわれわれは知っておるわけですが、こういうことではせっかくの機関が意慾に燃えながら活動がとめられておるのでありますが、こういう活動費に事欠くようなことであっては、まことにせっかくの心尽くしが役に立たないのでありますが、長官としてそういう問題に対してどのように考えておりますか。
  33. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 研究機関の研究費が少ないということは全般を通じて言われておるところであります。今御指摘のような点につきましては、できるだけ改善して参りたいと考えております。
  34. 大野市郎

    ○大野(市)委員 あなたの方の機関なんだから、予算の原案はたっぷり要求してもらわない分には、行政組織の上で、われわれが気がついても、なかなか立法府と行政府の立場がありますので、残念な結果になりますが、そういうことで善処を願います。  そこで、漁獲の問題でありますが、今回、日本海の中に大きな漁場発見の端緒があるので、これの調査費を取られたことはまことにけっこうでございますが、この日本海というああいう両方の首を締められたような海で、そこで生活をしておる漁民がたくさんあるのであります。遠洋漁業とかあるいは太平洋沿岸の漁業につきましては相当手厚いいろいろな施策が見られますが、これは、漁獲量が飛躍的に多くなっておりますから、国策の見地からこれも当然だと思って是認をします。しかし、日本海というようなああいうところに住まねばならぬ漁民、そういうものの生活の向上のためにも新漁場の開発は緊急の要件でありますが、日本海の中で生息し、日本海の中で成長して食ぜんに上せることのできるたくさんの魚種があることを研究所の所員の口からもわれわれ報告は聞くのでありますが、全体として日本海内における漁場の調べということについていかなる見通しを持っておられましょうか、これについて伺いたいと思います。
  35. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 日本海における魚族資源の生物学的な観察につきまして、私、ただいまこまかい資料を持っておりませんので、はっきりしたことは申し上げかねますけれども、一般的に申しまして、日本海の漁業というのは決して恵まれた地位にはない、こういうことは事実でございます。片や、最近極前線の漁場の調査ということを本年度の予算から実施いたしておりますが、やはり、今後調査によってなお開発すべき余地は相当あるというふうに考えております。数年前に実施しました日本海流の調査とはまた別の意味におきまして、この極前線の調査のほかに、もし調査するのに適当でありかつ価値あるものならば、これは十分積極的に取り上げて参りたい、こういうふうに考えております。
  36. 大野市郎

    ○大野(市)委員 今のその調査方法一つに、このごろは天然色の写真が非常に発達いたしました関係から、航空機でこの日本海の極前線を縦に貫いて飛行写真をとれば、漁獲のいわゆる場所の指定というものが非常に簡易にしかも明確にできる、いわゆる潮目の工合によってプランクトンの発生状況が判定できて、従って、そこへ住みつく魚の種類、量などというものが判読できると言われておるのでありますが、航空機によるところの潮の色合いによって判定ができるというその説はどの程度信頼できるものか、伺いたいと思います。
  37. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 ただいまの飛行機によります天然色写真を利用して潮目等も見る、これは魚群探知機の一種かと思いますが、これにつきましては、試験研究の域を脱しませんけれども、東北区水産研究所でサンマについて写真をとってやっております。従いまして、この問題は、日本海についてももしこれを適用する方がよろしいということであれば、私どもの方も積極的に考えてみたい、こういうふうに思っております。
  38. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そういう工合で、まだ調査方法として確定的なものかどうか、今の御答弁によると研究中のようなわけでございますから、この点はくどく申しませんが、現地の声は、そういう漁場確定の方法があるのだからぜひやってくれ、こういう要望が強いのであります。試験的にも、それが確実な一つ方法かどうか、一つこれを実行して、その結果をまたわれわれにお知らせ願いたいと思います。特に、日本海にすむところの、そこで生まれ、そこで成長し、そこで漁獲の可能の魚類については、現地の研究所の方では非常に力強いことを地元の者には言明をしておりますので、中央の長官であるあなたが、日本海はどうも貧しいのじゃなかろうかと概念的にきめられるということは、すべての予算措置や行政措置のところで大きな出発点のすれ違いになる心配がありますから、ぜひ一つ日本海漁区というものの振興ということをもう一度白紙で一つ洗い出していただいて、手近なところにそういう漁場がありといたしまするならば非常なしあわせなんだから、どうか、先入観を捨てて、日本海漁業の再出発をお願いしたい。これは希望であります。  まだまだ国民は魚の消費を欲しておるのでありますから、そういう趣旨で、しかもそれが輸送力といわゆる流通改善によって可能になるというのであるなら、それができないととは政治の貧困だと言わなければならないのでありますから、水産庁においては、魚をとることだけでなくて、とってからあと消費者の口に入るまでは水産庁の責任なんだ、こういうような考え方が確立しておらぬと、どうしても市場の問題から始まって加工の面も手薄になる。そういう点について、これは農林省の一番根本的なお考え方だと思いますので、八田政務次官がおられますから、次官の御決意を承っておきたいと思います。
  39. 八田貞義

    ○八田政府委員 ただいま、大野委員から、日本海漁業の振興、その再出発についてのいろいろな御見解をお漏らしいただきました。まことに同感でございます。  その他、今後御指摘の方向に向かいまして実現に努力して参りたいと思います。
  40. 大野市郎

    ○大野(市)委員 次に、価格の問題でありますが、これには生産価格と消費者価格とございますが、魚は新鮮でありますと値が高いのは当然でございまして、タイ一枚見ましても、あるいはサンマ一尾見ましても、鮮度の落ちたものが安くなるのはやむを得ないところであります。これはよく承知しております。ただ、この問題で、たとえば魚の小売店の店舗などについては、厚生省が非常に強い行政指導をしまして、このごろ、魚屋を開店するには、店先に冷蔵設備をして、ガラス張りの冷凍設備の中に魚を陳列しないと商売を許さないというような強い行政指導をいたしておるのであります。これは大へんわれわれ国民の生活にとってはけっこうなことだと思います。その点で、問題は、生産者から水揚げされると、問屋の手に入って、仲買人を通して小売店に持ってこられるのでありますが、何とか、先ほど冒頭に出ました一時冷凍しておく設備がありますと、値くずれがないのはみんなが知っております。しかし、これは漁業協同組合の力関係があって、なかなか全国組織の結束が農業協同組合ほどにいかないというような実態もあるようで、経済力として、中央会の事業として支所を各所に設けて冷蔵庫を経営するというような事柄が、指導者の能力の関係でなくて、漁業の取引の実態のためにその辺がむずかしいということも承っております。水揚げ地が自分の母港でなくて、漁獲地に近いところに水揚げをしてしまう関係から、資金が母港の組合に入らないというふうな金融面のむずかしい点も承っております。ですから、農協の中央会などの組織までには、金融的にむずかしい点も理解しております。それだけに、国の力で地区の漁業協同組合に何とかもっと力をつけて、そうして、そこの沿岸漁業漁船が上がるところに冷蔵庫設備を拡充させるということならば、私はそうむずかしくないと思います。なぜかというのに、地方の水揚げ地であり、ごく近くに消費地のあるそういう港々には、一年に一回しか水揚げがないなどという港はないのでありまして、やはり、計画をして、何月はどこの魚をというような工合で漁民は計画して魚を水揚げしておりますから、私は、研究の成果に待つならば、採算的に可能な場所がたくさんあると思います。ただ、ほうっておくと、先ほど言いましたように、その日に追われて、そういう経済行為の計画が立たないのです。何とかこれを水産庁の方で、大きな消費地とか大きな水揚げ地だけでなくて、もっと各地の中小規模の水揚げ地にこれらの措置を及ぼしていただきたいと思いますが、何かいい工夫はございませんか。この点、もう一回承りたい。
  41. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 沿岸の地区漁協、いわばそこの地元漁船というものを対象としてその流通面の改善、こういうことは、これまたきわめて重要な問題でございます。結局、流通面の改善によってそこの漁民の経済的地位向上するわけでございますが、しかし、これには、やはり、前提としまして、その地区漁協が実力のあるものでなければならないということが言われるわけでございまして、その点につきましては、御承知のように、昨年国会で制定していただきました漁協整備促進法によって、不振組合は、これはだんだん直して参る。それと同時に、現在の漁業協同組合というのが、漁業権というものとの関連におきまして、どうしても小さい字、浦というものでまとまっておる。ということは、やはり経済的な単位としてはあまりに小さきに過ぎるということがございますので、この点につきましては、今後、漁業協同組合をもっと大きな経済単位に合併を促進して参る。こういうことが一つ必要ではないかというふうに考えておるわけであります。そうしまして、そこにおいて物的な施設をどう処置していくかということは、それらと並行して、個々の地区々々に応じた施設対策を講じて参りたい、こういうふうに考えております。
  42. 大野市郎

    ○大野(市)委員 今度は、沿岸の問題としまして、例の浅海増殖の問題が非常に現地では引っぱりだこで歓迎をされておるわけであります。この点の隘路は地元負担の問題であります。地元負担が多いために、せっかく地元では非常な要望がありながら、これについていけないということで足踏みをしておる傾向があるのでありますが、これらの点に対して、一体、浅海増殖の予算の執行にあたって、私が今申し上げたような足踏みが現実にあるものかどうか。あるいは予算が引っぱりだこでまだ足らぬ足らぬというふうな不足も訴えられる状況にありまするが、予算執行上の実態を質問いたします。
  43. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 浅海増殖につきましては、私どもは毎年その拡充に努力して参っておるわけでございます。御承知のように、浅海増殖といいますと、つきいそ事業、あるいは魚礁を作るということでございます。率直に申し上げまして、昨年までは、これらの国庫補助金が、大型魚礁を除きましては三分の一であるということのために、どちらかというと府県の要望もあまり積極性がなかった。それは、今御指摘がありましたように、地元負担との関連においてであろうと思います。ところが、幸いにして、今年度予算から、この国庫補助金の率が二分の一に引き上げられましたので、だいぶ地元負担の関係も軽くなったわけであります。おそらく、その結果と思いますが、本年、事業計画を立てるにあたりまして、各県から非常な要望がありまして、実は、私の方としまして、その要望に今年度の予算では全部に応じ切れない、こういう事態がございます。従いまして、そういう各県の積極的な要望にかんがみまして、私は、この二分の一の補助に補助率を引き上げたことは非常によかったと思っておりますので、今後来年度予算についてはさらに増額を要求して参りたい、こういうふうに考えております。
  44. 大野市郎

    ○大野(市)委員 総じて、水産庁の方は、海の上の仕事を担当しておられるので、そういうおおらかな気持の人が多いせいかと思いますが、予算の要求その他の作業の実態をわれわれが拝見しましても、まことにおおらか過ぎて、この点、われわれとしては、もっと大幅な予算要求をして、行政の実のあがるように努めていただきたいと、実は外側から思っておるのでありますが、これは、一つ、何としても海の蛋白質の要求は非常に熾烈で強いのでありまして、北洋漁業の関係などで行き詰まりがありましても、まだまだ方法によっては国民の蛋白資源の獲得は可能なはずでありますから、そういう意味で、ただいまの浅海増殖の例一つあげましても、せっかく地元の要望が盛り上がってきておるところでありますから、加工の面あるいは冷蔵庫の設備などのめんどうというような新しい幾つかの流通の面の問題がございますので、こういう点に対しても、ふんだんに、一つ次回は張り切っていただきたい。この点は、特に八田政務次官に、予算関係のさらに飛躍的な獲得について、もとよりお望みだろうと思いますので、この際御決意を承って、私の質疑を終わりたいと思います。
  45. 八田貞義

    ○八田政府委員 浅海増殖の問題につきましては、ただいま長官からお述べいたしましたように、非常に要望が高くなっておるわけです。明年度の予算につきましては、御要望に沿うように努力いたしたいと考えております。
  46. 坂田英一

  47. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 長官に二、三点お伺いいたしますが、先般の参考人の意見を聞いてみますると、いずれも流通改善の問題が叫ばれております。もちろん、ただいま大野委員からも流通の問題でるる述べられましたが、この流通対策の点で一番問題になっているのは、先般のお話では、冷蔵庫の問題とかあるいは輸送の面で非常に意見が強かったように思われるのであります。そこで、この輸送の面では、もちろん、船で輸送することも一つ、陸送することも一つ。その陸送の中には、貨車輸送、トラック輸送等がございます。ところが、聞くところによりますと、今度東京の中央卸売市場では、何か週休制をとるということで、日曜に休む、それから、京都ではもうすでに休むということを決定した、大阪でも日曜を休むというような意見があるようでございます。これは、もちろん、働く人を休ませなければならぬから、労働問題とからんでそういうことも必要であることは申し上げるまでもございませんが、もしこれが全国的に日曜が全部休むことになりますと、貨車の滞貨というものは非常に大きな問題に相なると思います。東京市場には、私はしょっちゅう行きますが、大体百五十車くらい一日に入っております。大阪でもこれに劣らないくらい入る。それが、そのほか京都、名古屋、各市場が全部休むということになりますと、冷蔵貨車というものは何千車というものが停滞するということになるのでございますが、そうしたことになりますと、現在冷蔵貨車が不足であるから何とかこれを増配をしてくれというような声が大きいときに、一斉に休むということになれば、魚が全部一時ストップします。ストップすれば経費もかかることはもちろんでございますが、とにかく、貨車の輸送面緩和ということは非常に大きな打撃を受けるものでございますが、そういう声が上がっていないかどうか。それから、東京では日曜を休む、京都でも日曜を休む、大阪でも休むというような声が上がっておりますが、これが事実かどうか。まずお答えを願いたいと思います。
  48. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 市場の週休制につきましては、多年の問題でありまして、東京の市場につきましては大体週休に踏み切った。いろいろ、消費者の面、小売業者の面、生産者の面がございます。東京では、御承知でございますように、従来は二の日に休んでおります。これが週休制になると普通の月で三回が四回になる。これについていろいろまた貨車の問題も考えなければいけませんけれども、問題はむしろ関西にあると思います。関西につきまして、京都、大阪あるいは神戸という大きな市場に出荷します陸揚げ地は、下関、福岡あるいは長崎というところがおもな出荷地であります。従いまして、これらが同時に同じ日に休まれますと、貨車繰りにつきましてはここに配車課長も来ておりますからそちらから御説明願えると思いますが、貨車繰りから言っても非常に不効率であり、非常に混乱を生ずるおそれもある。私どもとしては、その間の調整について、たとえば大阪と京都と神戸は日をずらして休むようにしてもらいたいというようなことで、今いろいろ指導をしております。まだその結果ははっきりいたしませんけれども、少なくとも、ただいまの貨車繰りの問題からいきますと、一ぺんに関西で休まれると大へん困った問題になる、こういうふうに考えております。
  49. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 今せっかく中央卸売市場法の改正がございますが、これまでは、東京で二の日とか、あるいは大阪では何日とかいうようなことで、順序を経て市場が休んでおるわけであります。漁民のためには非常に便利であったということがはっきり言われますが、この市場法の改正に伴って、そういう指導なり、あるいは法律に織り込んでそのように実施させるというようなことができるものかできないものか、お答えを願いたいと思います。
  50. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 現在のところ、この問題につきましては、中央卸売市場法に基づく府県の規則あるいは条例によりまして規制しているようであります。これらは、中央卸売市場法によりまして、農林省の農林経済局を通じまして指導をしておるのが現状でございます。ただ、私どもは、漁業生産者の立場から、先ほどのようなことは強く申し入れてあるわけでございます。
  51. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 配車関係の方がおいでになっておるそうですが、先般もお聞きした通り冷蔵車が非常な不足をしておるということでございますが、今度の運賃値上げにからんでサービスの改善をするということを総理大臣も言っておりますし、さらに農林大臣も言っておるようであります。現在、大体どの程度の冷凍貨車があって、どういう配置をしておるか、地方的に、九州に幾らとか、あるいは北海道に幾らとか、近畿には幾らというような配車をしておるのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  52. 武田啓介

    ○武田説明員 お答えいたします。  冷蔵車は、今大体四千三百両ほど運転しておりまして、貨車の回転効率は全国平均いたしますと一七%くらいということに相なります。実は、全国的な冷蔵車の配置について資料を持って参りませんでしたが、当面の問題は、北海道におきまして、サケ、マスの水揚げ場の方へそのうち約六分の一、七百両ほど回しまして、一日百両ないし百五十両くらいを本土との間を往復させております。  それから、今後の輸送上のサービスの向上と申しますか、どのような手段を考えているかという御質問に対するお答えでございますが、列車輸送力そのものはただいま直ちに格段の改善というわけにはいかない。しかしながら、貨車におきましては、特に冷蔵車はここ数年来大体年に二百両ないし三百両ずつ増加して参っておりまして、今後も、需要は当然強うございますから、そういうような措置をとることにいたしております。と同時に、また、需要が一番盛んであります年度前半にその貨車を落成させて参るようにいたしたい。さらに、絶対輸送力そのものは問題がございますけれども、スピードを上げるということはある程度可能でございまして、過去においてもやって参っておりますし、今後も計画をしておるところであります。たとえば、長崎から名古屋に参りますのは、従来三日置きでありましたのを二日置きにする、あるいは、北海道から東京市場に参りますのは、四日ごとでありますが、それを三日ごとにするように、スピードを上げるというような計画を進めております。まだこれは計画でありまして、多分そのようなことが今週くらいからできると存じておりますけれども、そのような面で逐次改善を進めて参りたい、このように考えております。
  53. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 次に、大衆魚生産価格と消費地価格というものは非常に大きな幅がございます。これはいろいろな要素があってそうなっておると思います。この参考書で見ますと、まず大体四年間あげておりますが、アジに至りましては、三十四年に二十七円が生産地の卸売価格になっております。それから消費地の卸売価格が四十五円、小売価格に至っては百二円、それから、サバに至りましては、四十円のものが小売価格に至りまして九十七円、スルメイカについては、十七円が八十円というふうに、非常な大きな幅がございます。こうした幅は、卸は安くても小売は高くして消費者に負担させておることは明らかでございます。こういう点におきまして、指導監督の任にありますところの水産庁として何か手を打ったことがあるかどうか、それから、手を打てないものかどうか。生産地が安かったら消費地にも安く食わして、食ぜんをにぎわして栄養をとっていただくということが建前でありますのに、こういう大きな幅があるのは何か矛盾があると私は考えておりますが、矛盾があるならば、どういう点が矛盾か。さらに、改善すべきところがあったらどういう点を改善しなければならぬかということを、はっきりお答えを願います。
  54. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 ただいま御指摘の、お手元にお配りしました資料による価格差の大きいところ、——ただ、この資料につきまして一つお断わりしておきますのは、生産地の価格は加工原料に回ったものも全部ひっくるめておりますし、消費地の小売価格は鮮魚として売られたものであります。そこで、これがそのままの価格差であるというふうにはちょっと見がたい点もございます。しかし、そういう事情があるにしましても、価格差が非常に大きいということは十分言われるわけでございます。  まず第一に、生産地と消費地の卸売価格の問題は、輸送経費あるは目減りの問題等がございますが、これらの点につきましては、産地市場問題協議会におきましても当然議論して、どこにどういうパーセンテージでどういうものがあるかという点を解明して参りたい。  それから、小売価格と消費地卸売価格のマージンにつきましては、ここで御指摘されるまでもなく、従来から非常に価格差が大きいということは言われているわけでございます。この点につきまして、はたしてどうすべきか。原因として考えられることは、どうも一小売店当たりの取り扱い数量が少ないのではないか。逆に言えば、もっと小売価格を押えるようなことをすれば取り扱い数量を多くせざるを得ないというようなことが言えるのではないか。しかし、これにつきましても、行政庁がそこに介入するということは、私経済そのものの中に介入するわけでありまして、実際問題としてはなはだやりにくい、やるのはいかがかと思われます。はたして成功するかどうかわかりませんけれども、われわれまだ思いつきの程度を出ておりませんので、申し上げるまでに至っておりませんけれども、一つの標準販売店みたいなものを持つ、あるいは、現在テレビ等もこれだけ普及しておりますので、これらを利用して、たとえば季節々々により魚の入荷というのがおのずからありますし、やはり、その日に大量に入れば、なるべく消費者の購買力をそそるという意味で、その調理法も兼ねて、テレビで相場等も小売であればどのくらいになるということを知らせることを考えてみたらどうか。ただ、私どもの行政として、今そこまで踏み切っているわけではございません。こういうことでも一つやってみたらどうかということを今寄り寄り考えているわけでございます。
  55. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 もちろん、生産価格は、加工原料等も含めておりまするから、安くなっているでしょう。サンマのごときは、かすに落とすということになると最低でございますので、まあ安くなっていることはわかりますけれども、しかしながら、消費地の卸売価格と小売価格というものを見ましても、はなはだしきに至っては二倍以上になっている。どの点から考えましても小売価格が高い。そこで、高いことを緩和するために標準店のごときものを作りたいという御意思があるようでございますが、全漁連もございますから、全漁連等でいわゆる標準店のごときものを各地でやらせて、そして、多くの消費者に、ここがこういう卸売価格であるから小売は小売でこうなるのだ、これで間に合うのだということを、これは口先でなく実行に移してこそ、ほんとうに生産者の価格もよくなって流通対策面が万全を期せられるというところまでいくのではないか、私はかように考えているのでございます。そこで、ただそう考えているというだけでなしに、いわゆる指導権を持っているのだから、指導で、やれということをすすめて、そして、そういうものを何カ所か作ってみる、そして、一方、それを新聞に書くとか、あるいはラジオで放送するとか、テレビで放送するとかいうことでなければ、ただ単にラジオとかテレビで入荷状況とか価格を知らせるということだけでは、私は効果があがらないと思っております。であるから、考えて、いいということは直ちに実行に移すべきだと考えるのであります。どうか、長官は、勇気をふるって、そういう趣旨でやろうということについては努力をするということにしていただきたいと思います。  次に、試験研究について先ほど大野先生も触れられましたが、試験場等では試験をしております。結果がいい悪いということはあまり民間には発表しておりません。たとえて申しますと、イカ原料としたチーズができるとかソーセージができるとかいうことを私は常に聞いております。それができると言っておりますが、はたしてできたのかどうかという結果については私は一回も聞いておりません。しかも、実を言うと、私の方でも、北海道の試験場にパテントをくれということを申し出ましたところ、断わられた。企業化してよいものならばやはりわれわれもやらなければならぬということでそういう要望をしたのでありますが、いただけなかった。そうしたような、モンロー主義といいましょうか、官費で研究をしておって、民間に出すのにどうだこうだと言っておりましては、いつまでたっても試験研究の実を完全にすることができないことになるのでございますが、こうした点を発表する、できたものを民間に出して、民間で企業化していいものであるならば民間で企業化させるということでこそ、ほんとうに役所の試験研究が実ったということになるのですが、そういうことをおやりになる御意思があるかどうかということお伺いいたしたいと存じます。
  56. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 先ほどもちょっとお話ししました、今川村委員御指摘のイカの問題は、私ちょっと間違いまして、まだ実験段階で、よく成果がはっきりしないということであります。われわれの方としまして、成果のはっきりした、これが一般の民間で奨励さるべきものがあれば、これにつきましてあえて一試験研究機関の中にこれを閉じ込めておくという趣旨は毛頭ございません。今後そういうものがあれば積極的にそれを一般に利用するようにやることは当然のことでございます。  ただ、魚の利用の面、応用面につきましての問題は、従来のように単に魚だけの問題ではなかなか問題の解決ができない。食品の形態もいろいろ複雑、高級になって参りますので、そういう点を考えますと、やはり、中央に食品の研究所というものも置く必要があるのではないかということが、試験研究機関との関連において今後大きな課題として真剣に取り組んでいくべき問題だと考えております。
  57. 大野市郎

    ○大野(市)委員 今のイカの問題ですが、ソーセージもそうですが、かまぼこは実はもう作って売っております。ですから、それがまだ研究段階だというのは、どういう報告でしょうか。この点は私確かめてきたのだから、中央で把握が足らぬのではないか。この点は、もし間違いであるならば取り消して、さっそく民間に出していただきたいと思います。
  58. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 私、申し上げたのは、かまぼこの方につきまして申し上げたつもりではなくて、イカをソーセージに使う、——皮を薬品で処理するということのようです。しかし、これはよく調査いたしまして、間違いがありましたならば取り消しますし、まだ、場合によりますればもっとはっきりしたことも機会を得まして申し上げたいと思います。
  59. 湯山勇

    ○湯山委員 国鉄の配車課長さんがお見えになっておりますので、今の配車に関連してお尋ねいたしたいと思います。それは、この法律を出す一つの要素になったものが輸送の関係にある。そこで、特に重要なのは国鉄輸送の問題だと思います。そこで、水産庁の方へ先にお尋ねして、それに対してまた配車課長さんの方からお答え願いたいと思うのです。  今この法律を出した原因になった多獲性大衆魚価格安定のためには、鉄道においてどの程度の輸送量が確保されればいいというような点がございますか。あるいは、輸送内容についても、どういう点が克服されればいいのだというような点があれば、まずそれを御指摘願って、それについて配車課長さんの方からそういう点についてこうだというような意味の御答弁を願ったらと思います。
  60. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 輸送量がどの程度あればいいかという問題につきまして、これは、実は、全部の魚をそのまま冷凍貨車で輸送するという場合には比較的簡単に答えが出ると思います。サンマの例をとりましても、鮮魚、あるいは冷蔵される、あるいは開きにされる、これらの点がございます。輸送の形態につきましても、貨車輸送、それから、最近におきましては産地からのトラック輸送というものが非常に伸びております。たとえば塩釜あたりから関西までトラック輸送しておるというような現状でございます。これらの点になりますと、道路の条件をどうすべきか、道路が非常に条件がよくなればトラック輸送というものはもっと非常に伸びるということでもございますので、にわかに数字的に冷蔵貨車はどの程度あるべきかということは、私どもとしてはやはりちょっと答えはできかねるのじゃないか、こう思っております。
  61. 湯山勇

    ○湯山委員 私がお尋ねしておるのは、将来の問題は別として、ただいま緊急とらなければならない措置がこういう措置なので、そのためには、たとえば、今おっしゃったようにサンマならサンマに限っていいと思うのですが、サンマの最盛期で、しかもここでこういうふうにダブついたときに、こういう手配がなされればこれは克服できるというような点がなければ、こういう法律は出す意味がないと思いますので、そういう点はどうだということを伺っているのです。何貨車必要だというようなことまでを申し上げるのじゃなくて、たとえば、きょうたくさん入るというような場合に、前日の朝ぐらいまでの連絡で配車ができればどうだとか、あるいは、きょう入ったのは翌日の朝までに配車ができればどうだとかいうことがあると思うのです。現在は、三日前に言わなければならないとか、前旬中の中ごろまでに言わなければ次の十日間の配車の手配ができないとか、いろいろな制約があると思うのです。そういう制約の中で、こういう部分が解消すればうんとよくなる、あるいはまた、こういうふうになればいいというような点がなければ、これはせっかく御説明になりましても一向説明にならないわけなので、こういう点、最も重要なポイントというのは幾つかあるはずだと私は思いますので、それを一つお示し願いたいと思うわけです。
  62. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 サンマを例にとりますと、ことにサンマは季節的に非常に大量に水揚げされるものですから、これにつきましては、毎年、サンマの漁期前に私どもの方と運輸当局と協議しまして、大体の配車計画を、大まかなものを作るわけでございます。それに従いまして現実の配車をしていただくということになるわけでございます。現実の配車は、なるべくそこを計画的にするために、一昨年から、沖合いの漁船から入港する日にちを知らせしめる、あるいは、入る船が、たとえば釜石は多いということがわかれば、その船は気仙沼に行くというように調整しております。しかし、問題は、たとえば気仙沼を例にとりましても、あそこのヤードの操車能力、さらにはまた本線との連結の問題等もございますので、私どもの承知しております範囲では、一日三百トンが限度というふうに承知しております。三百トンとしますと、二十二車くらいが配車能力と聞いております。私どもとしまして、それはもっと五十車も配車していただければいいわけですが、サンマの漁期につきましては、国鉄当局と連絡しまして、その配車につきましてはできるだけのことはしていただいているわけでございます。ただ、なにせ、漁獲量そのものが気仙沼の配車能力をこえる場合は、その冷凍貨車の運搬では問題が片づかない、こういう事態があるわけであります。
  63. 湯山勇

    ○湯山委員 今の御答弁は一般論としてはそうだと思いますけれども、実際にこういう緊急調整をやろうとする段階の御答弁としては納得できかねるのです。私がお尋ねしたいのは、たとえば、今の何とかいう港へ沖合いからの連絡がある、その連絡がどれくらい前にあれば、たとえばもよりの駅に連絡する、そして冷蔵車の手配をするのだけれども、実際においてはこういうわけでそれができないのだという実態がなければ、輸送改善するといっても、今のようでは改善の余地がないのではないかという印象もまた受けるわけです。  そこで、お聞きしていると、現在夏場のサケ、マスには七百両の冷蔵車が行っておる、その終わったあとサンマということになるわけですから、そういうことの操作もあり得ると思います。それから、沖の方からの連絡が十分つけば、たとえば前日あるいは前々日に連絡して、すぐ手配してもらえる範囲はどれくらいかというようなこともまたあるのではないかと思います。そういうことが実際は資料として実はほしいわけです。そうしないと、はたして輸送が隘路になっているのかどうか、その克服の努力をしないで、障害の実態を見ないで、これが隘路だというのでこういう方法をとるということでは、私は対策自体も不完全になる心配があると思います。  そこで、長官の方はそういう一般論の御答弁として、配車課長さんにお尋ねしたいのは、実際問題として、たとえばサンマならサンマの場合、何日前くらいに緊急にこれだけ要るという連絡があれば、冷蔵車に余裕がある場合には手配ができますか。量にもよりますけれども、たとえば今のように十車とか二十車という場合ですね。
  64. 武田啓介

    ○武田説明員 お答えいたします。  鮮魚輸送につきましての湯山先生の御質問でございますが、少し実態を申し上げてお答えといたしたいと思います。  鮮魚は国鉄の調べによりますと大体総漁獲量の四割程度が鉄道にかかっておりまして、国鉄の貨物の中で最も波動の多い貨物であります。最盛期であります十月ごろと最閑散期でございます七月、六月ごろの場合とでは倍も違うという、まことに波動の大きい貨物でございます。従いまして、かりに年間これをコンスタントに輸送するとした場合、それに必要な冷蔵車は持っておりますが、そのような大きな波がありますので、閑散期には、冷蔵車が相当遊びまして、他のものを運ぶという事態が起こります。また、繁忙期になると、冷蔵車が足りませんので、一般の有蓋車をさらにこれに加えて輸送するというような実態になっております。  そのような波動がございますので、特に最も盛んでございまする秋冬の繁忙期になりますると、国鉄といたしましては、関係各方面と御連絡申し上げまして、大体旬間の計画を立てるようにしております。たとえば、どこにどのような魚が揚がるということを、できればその前の旬の半ばごろまでに承知をいたしますると、その手配をいろいろすることができるような形になっております。これが一般的な話でございまして、特にどこかに急に水揚げが多かったというような場合は、もちろん冷蔵車では間に合わぬことが多うございますので、一般の有蓋車をもってできるだけ早くそれをやるようにしておりますが、この点は、何日といっても、ちょっと申し上げかねるのでございますが、国鉄といたしましては、できるだけ早くお知らせ願えさえすれば手配がつきますし、かつまた、全体の量だけでなく方向別までわかりますと、さらに私どもの方としては計画しやすいわけでございます。しかし、この点は、いろいろな事情がございますようでありまして、今までのところ、これは非常にうまくいっていると申し上げかねるわけでございますけれども、水産庁からも御指導をいただいておりますし、繁忙期にはそのような手配でいたしておるということでございます。  一番根本的な問題は、鮮魚の波動があまりに強うございますゆえに、これに対応した最もむだのない輸送というのは非常にむずかしい。かつまた、鮮魚に関しましては、貨車の足が非常に長うございまして、申し上げるまでもなく、たとえば、九州の魚が大阪に参りますとか、北海道の魚が東京に参りますとかいう関係で、貨車足が最近は七百七、八十キロでございまして、普通の貨車の平均に比べますと三倍くらいの貨車足でございます。それだけ貨車の流通と申しますか還流が阻害される面がございますので、そのために、先ほど申し上げましたように列車のスピードを上げるというようなことで、少しでも還流を早めたいと思っておりまするほかに、発着の荷主様の荷さばきをできるだけ能率的にいたしていただきますれば、それだけ貨車が早くなりますので、そのようなことをお願い申し上げておる次第でございます。  従いまして、貨車数も、先ほど申し上げました通り、大体年に二、三百両ずつふやして参っております。大体生鮮魚類は国鉄の輸送量の一%半くらいのものでございまするが、貨車はそれと比較いたしますと三%強のものをもってまかなわなければ、今のような事情で、できないというような実態になっております。
  65. 湯山勇

    ○湯山委員 そこで、水産庁長官に伺いますが、今国鉄の方の御説明を聞きますと、旬間計画をきちっと立てるということでございます。しかし、そういうことに対して、はたして水産庁からもうまくそれを利用しておられるかどうか、それに対する対策を十分立てておるかどうか。これは、私、実際問題として申し上げたいのは、実際は漁業者の方はどこへ揚げるということを言わないのです。言えばそこで市場の値段が下がりますから、できるだけ隠すというのが今までの実態です。そうすると、実際問題として、あすどこの市場に揚げるということを前もって知ろうと思っても、なかなか知れないので、そこで一般的なやり方しかできない。そういう漁業者の心理といいますか、こういうことも考慮に入れなければ、国鉄の方でいかにそういう体制をお整えいただいたとしても、問題はなかなかむずかしいのじゃないかという気がします。この点、またあとでお聞きしてもいいと思いますけれども、ぜひ御配慮願わないと、今のように輸送に配慮があるといっても、それを克服するための最も万全の手段がまだまだ講じられておらないというような点も指摘できるのじゃないかと思いますので、これは一つ再検討願いたいと思います。
  66. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 今の点、すべての漁業につきまして計画的なものをやっているというふうには申し上げかねますけれども、サンマにつきましては、その漁期について、たとえばことしならことしの全般計画のほかに、漁場の移動というものに関連しまして旬別計画を立てております。旬別計画で配車の要求をしております。  なお、漁船の方につきましては、陸揚げ港を秘匿するという湯山委員の御指摘でございましたけれども、サンマにつきましては、前日までに、どこに陸揚げするということを通報させることにしております。従いまして、その漁場によってだいぶ違って参りますけれども、大体旬別には、どの辺にサンマの漁場がある、そうするとおのずからこれは気仙沼であるか釜石であるかということは判明して参ります。それをさらに前日までに通報させて、そういうことで調整していく。しかし、それだけでは足りませんので、漁業生産調整組合を作って、そこで多少ならしていく。これは決して生産制限という意味じゃございませんので、漁獲調整をするというのが今度の趣旨であります。
  67. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 私、まだ長官に質問がございますけれども、社会党とのお約束もあることでありまして、大臣が参りましたので、私は次の機会に質問することにいたしまして、私の質問はこれで終わります。
  68. 坂田英一

    坂田委員長 湯山勇君。
  69. 湯山勇

    ○湯山委員 農林大臣にお尋ねいたしたいと思います。  端的にお尋ねいたしますが、今回漁業生産調整に関する二つの法律案が出ております。所得倍増計画から申しましても、基本問題調査会の答申から申しても、当然、漁業については、水産物生産性の向上と近代化、この二つを軸として漁業者所得向上、経済の安定をはかっていく、これが私は基本的な態度ではないかと思います。しかも、水産物につきましては、将来所得倍増計画の目標年度においては七百四十万トンと、毎年三%の伸びを見ていく、需要はもっと上回っているというようなことでございますが、そういう際に、これは漁獲調整生産制限じゃないと言われますけれども、きのうおったところにきょうも魚がいるというわけでもないわけで、それは今科学が進みましたからある程度そういう面もあるかもしれませんけれども、やはり何といっても大勢としては生産制限だと思います。こういう生産性の向上と一致しないような、そういう形のやり方というものは、私は、暫定的なもの、当面の緊急な措置としてならばこれはあるいは肯定できる面もあるかとも思いますけれども、これがこんなふうな恒久的な法律になっていく、しかも、当面はサンマに限るということですけれども、将来はアジサバあるいはイカと、だんだんこういう生産調整という描置が多獲性の大衆魚へ拡大されていくということになれば、政府の言っておられること、あるいは大臣のお考えになっていることとどうも逆行する面があるというように思うわけですが、この点はいかがでしょうか。
  70. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私は、湯山さんの御議論は抽象的にはけっこうだと思います。ほんとうに積極的に魚をよけいとって、それがむだな経費を使わないで、経費を差し引いても利益が非常にあがるということにするのがいいと思います。しかし、御承知のように、今度こういう法律を出したのは、サンマのようなものは、とれるときにはとれといって倍以上もとったら、市場価格は二、三割になってしまう、半額以下になるというような場合が多いのですね。そういう場合に、油なんか倍くらい使って値は三割くらいになってしまったということよりは、ある程度市場の需給を見て、これを半分くらいにしておいて価格が倍になる方が、——倍というのはちょっと大きいけれども、有利に売れるようにする方が、油は少なく使って高い値に売れるようにする方が所得を上げるにはいいのではなかろうかということで調整していこうということでありまして、これは漁業者の意に反してはやりません。市況を通報し、ことに漁獲のみならず陸揚げ港まで考えていこうというところにこの一つのねらいがあります。たとえば、気仙沼に揚げるよりも、少し遠くなるけれども東京近傍まで持ってきて揚げた方が値は上がる、ところが、東京の方は船が二はい入っている、それなら長野に持っていけ、これは一つの例でありますが、そういうことまでやっていこうということは、すべて漁業者所得を上げるためにすることであります。漁獲についての調整というのは、あくまで漁業者の収入がよけいになるようにするための調整でありまして、漁獲制限とはその意味が違う。私は根本的にはあなたの御議論はわかるけれども、よけいとれて値が三割になるというのはサンマとかイワシとかいうようなものですから、これは十分湯山さん御存じだと思いますが、そこにむずかしさがあると思います。根本的には、漁獲の問題なり取引港の問題なり貯蔵設備の問題なりというものがだんだんと考えられていかなければならぬと思います。
  71. 湯山勇

    ○湯山委員 私も、大臣の言われるあと半分のことはよくわかりますし、その通りだと思います。大臣の言われるように、あとそのために所得が低下するのは防止しなければならない、これはおっしゃる通りですけれども、そうだとすれば、方法がどこか食い違っているのじゃないか。私の言うことも大臣はその通りだと肯定しているし、後半の部分は一致するわけですから、そうすると、そのつなぎ目に食い違いがあるのじゃないかと思うのです。というのは、今大臣の言われたように、生産調整という方法で今のような方法をやっていくか、そうじゃなくて、あるいは支持価格ですね、私どもはそういう法案を出しておりますけれども、そういう形でそれをやっていくか、そういうところに食い違いがあるのであって、私は、大臣の平素の御主張から言えば、そういう生産調整でやらないで、もっと別途な方法で、あるいは資金を出すにしても別な方法で、生産調整をやらないでとにかく生産性は高めていくのだという大原則に立ってそういう方法がなされなければならないのじゃないかと思うのですが、そういう点から言うと、確かに所得向上・維持という点から言えばおっしゃる点もわかりますけれども、それにしては方法がまずいんじゃないか。ただ、今のところ貯蔵の設備にしてもあるいは加工の設備にしても輸送の状態にしても一朝一夕に解決できない、そこで、やむを得ず暫定的にこういう方法をとって、近い将来に、こういう方法をとらなくてもいいような別な方法をすみやかにとっていくんだ、こういうことなら私にはよくわかりますし、政府の御意図もわかります。しかし、そうではなくて、こういう生産調整方法をさらに拡大していって、イカにも及ぼす、サバにも及ぼす、あるいはアジにも及ぼすということになれば、いわゆる多獲性の大衆魚というものが全部生産性の向上と逆な方向で価格安定がはかられていく。そこに私は大へん大きな問題があると思いますので、そういう点について大臣のお考えを伺いたいわけです。
  72. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私も抽象的にはあなたの御議論に必ずしも反対しないと申し上げたのは、これは、魚というものと、農産物、穀物というようなものとはよほど違うんですね。農産物自体もほかの工業生産品と比べて耐久性の少ないものですが、それ以上に腐敗性の強い魚、しかも、その魚の中で、一ぺんに一時期にたくさんとれて、そうして、価格については、普通の状態を保ってもなかなか高級魚とは違っている形、こういうものであります。あなたのお話しになっていることも研究しなければならぬと思いますが、かなりそこにむずかしさがありますね。なまでサンマが食べられるときの価格を維持する数量は一体どれだけか。それを貯蔵保管して、もう一ぺん冷凍なら冷凍にして売れるものにしての価格はどうか。これは、インスタント食品のカン詰などにサンマなんかがありますが、実際言って、いろいろ研究はされていますが、あまりうまくないものですよ。これだけの費用をかけて貯蔵保管できるかどうかということが根本的に考えられていかないと、これはやはりとっておいても無理だと思いますね。それを、あなたの方のお話のように、極端に言えば、多獲性大衆魚政府が買い上げて、安くなっても政府が何とかせいというなら別ですが、ここにやはりむずかしい点がある。将来いろいろ研究はいたさなければなりませんが、その点は、むしろ、将来のサンマならサンマの需要面というものをいかなる形でふやすかということが考えられていって、それに相応する形において貯蔵保管もし加工もするという形でなければならぬ、それがまず第一だと思います。ただ、なまのものが一番高いのですから、それをいかにして市場に出して有利に売るかいうことは、先ほど申し上げたように、これをとるために出した油その他の費用をよけい使って、値が三割くらいにも落ちたということになると大へんなことになるから、そういうことをさせるよりは、従来通りにとっておいて有利な価格で売った方が得であるし、それでもたくさんとれたら一応貯蔵しておいて売るということですが、そこはかなりむずかしい問題を包蔵しておると思うのです。全般的な問題としてはさらに私ども深く考えてみたいと思います。
  73. 湯山勇

    ○湯山委員 全般的の問題として御検討を願うということですが、私は実はサンマのことはよく知らないので大へん残念なんですが、ただ、大臣のおっしゃったこの農産物とは違ってという要素は、私はむしろ大臣の言わたれ逆の意味のことを申し上げたい。というのは、農産物ならば、きょうとらなくても、あすとるという手がありますけれども、魚の場合はそういうことがございません。そこで、私どもの知っておる範囲で申しましても、漁業者というものは、少々値段が下がっても、たくさんとれる方が景気がよいし、それをいなすというようなことは、実際はその心理に合わないやり方です。そうじゃなくて、しかも需要は国の中にずいぶんあるのですから、生産性を高めていくという観点から考えた場合にはもっと別途の対策があるのじゃないかということが一点です。第二点は、サンマの場合は今のように最終的にはサンマかすで安定をはかっていこう、イカの場合はスルメイカでやろうとなさっておるのかもしれませんが、この制度を拡大するというふうにおっしゃっても、実際はこれと同じような形でアジサバに拡大していくということはほとんど不可能ではないか。これは大臣が今おっしゃった以上の困難な問題があると思います。そういうことを考えていけば、もっと別途にこれを解決する道を考えないと、この一本やりで多獲性大衆魚価格の安定をはかっていこうというのは、実際問題から考えても、あるいは漁業者の心理という点から考えても、あるいはこれを拡大するという点から考えても、いろいろな点から、むしろ大臣の言われるのとは別な意味での非常にむずかしい問題がたくさんあると思います。そういう点から、もう一ぺん向きを変えて御検討を願うことはできないものかどうか、これを一つお伺いしたいわけです。
  74. 周東英雄

    ○周東国務大臣 この点は、私ども、次の段階では、漁業に関する基本法とでも申しますか、これをぜひとも考えたいと思います。この魚価安定基金法案なり漁業生産調整組合法案というものは一つの先行した制度ですが、漁業全体に関する基本政策を考えたいと思います。これはこの前の委員会でも私はこの席で申し上げたと思います。これは国会が済んだら取り組んで基本法の制定にかかりたい。この中には、漁業というものと農業というものの特殊性、違った点を生かしながら、それに相応した対策を、生産基盤から、漁場の問題から、漁業権の問題から、さらに魚価の問題も織り込んで考えていきたい。そういう場合にはよく全般的に考えて研究いたしたいと思います。
  75. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると、大臣の御答弁から、この措置は、実際にはサンマ漁業の方ではすでに自主的に行なわれておる、そういうことに対して政府としてもこれを取り上げて、これに対する何らかの意味の物心両面の援助を与えていこう、ただし、こういう方法だけで多獲性大衆魚価格の安定をはかっていけるかどうかについては疑義があり、問題が多い、従って、これはある意味では暫定的なテスト的なものであって、将来抜本的に考える、こういう含みを持った大臣の御答弁であると私は受け取りたいのですが、それならばそれで了解できるのですが、いかがなものですか。
  76. 周東英雄

    ○周東国務大臣 非常に御熱心ですが、私は、これはサンマに対しては一つ対策であって、疑義があるけれどもこれをやるというのではない。一つ対策だと思います。しかし、あなたがお話しのように、ほかのすべての魚も同じようにやれるかとおっしゃると、それはそれぞれ違うであろう。また、サンマについても、これだけでいいかどうかはさらにまた研究いたしますから、日進月歩、これに対して必要な問題があれば改正を加えていくことも考えておりますが、提案する以上は、このものは悪いけれども出したというのではなくて、これはこれとして大きな意義があると考えて出しております。
  77. 湯山勇

    ○湯山委員 どうも大事なところで食い違うのですが、この法律を出した意味は、私は、今おっしゃったような意味において好意的に認めております。サバとかアジとかイカとかに拡大するということはもう決定しておることなんで、するかしないかを検討するという段階ではもうなくなっておると思います。そうなると、今言いましたような意味で、これはサンマの場合は一応これでいくけれども、全体的には恒久的に抜本的に考えていこうというように解釈することが妥当ではないかと私は思いますので、そう解釈してよろしゅうございますかというわけですから、そうならそうだとおっしゃっていただけばまことに簡単なんです。
  78. 周東英雄

    ○周東国務大臣 それは今申し上げた通りです。ほかの問題はこの通りにはいくまいから、よく全般の魚価対策というものは考えます。
  79. 湯山勇

    ○湯山委員 それで大臣の御答弁は了解することにいたしまして、サンマの場合にも私はまだ問題があると思いますので、二、三点、これは長官から主としてお答え願いたいと思うのです。  昨年やった実績から、サンマについていろいろな調整措置が自主的にとられているが、それによって調整されたサンマの量はどれくらいで、それだけの量を調整したことによって実際に所得が上がった、価格の低下を防ぎ得たという金額は一体どれくらいになっておりますか。
  80. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 昨年は、海況と申しますか漁況は非常に変化しまして、サンマは近年になく不漁でございました。最近わかったところによりますと、二十八万七千トン程度である。従いまして、昨年は、いろいろ調整保管というような施設を実施するに至りませんで、魚価も非常に高いところである、こういう次第でございます。
  81. 湯山勇

    ○湯山委員 今の御答弁では、一向昨年の調整措置というものが効果を発揮していないというようなふうにもとれるわけですが、どうなんですか。
  82. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 調整措置という言葉で私はちょっと誤解してお答えしました。今度漁業生産調整組合でやろうとしておるような生産調整、これは自主的に調整をいたしたわけでございます。ただ、魚価の安定のために魚かすを調整保管するという面につきましては、漁獲量が少なかったために──ただ一部ございます。九千二百俵ばかり、これは北海道であったと思いますが調整保管実施しておる。そういう趣旨で私申し上げたわけです。漁業生産の方の調整は、これは全体の漁獲量が少なかったせいもありますけれども、船積みの一隻当たりの制限というようなものにつきましてはやはり相当効果があった、こういうふうに聞いております。ただ、それによって所得にどういう差ができたという資料は私どもの方は持っておりませんけれども、魚価は少なくとも非常に高くなったということははっきりしております。
  83. 湯山勇

    ○湯山委員 それはちょっと納得できかねる。昨年はサンマは不漁であって、遠方から行ったものはほとんど漁が少なかったために困って帰ってきております。そういう事例もあるわけです。地元の方で非常に要求しておるというし、それについては政府の方でも資金手当もするということになっておるのですから、それでは、昨年でなくても、一昨年でも、どの程度の生産調整が行なわれて、それによってどの程度実際に利益を得たか、こういうことの資料がなければ、一体この資金がはたして妥当な金額なのか、あるいはこれの運用益ではたしてこの目的を達するだけの調整ができるかどうかわからない。やったために一そう赤字がふえる、借金がふえるというようなことになってもまた工合が悪いと思います。この資料がなければ、一体はたして調整でよかったのか悪かったのかの判断も、ただ勘でやるしかないわけです。それじゃどうも私は御説明としてはいただきかねると思います。で、そういう資料ははたしてないものかどうか、ないけれども地元の要望があったのでやったのだということなのか、その辺、もし資料がなければ経緯でも明らかにしていただきたいと思います。
  84. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 ただいま、お話のうちに、サンマの船が必ずしも黒字でなかったものもあった、こういう御指摘がありました。これは、なるほど一般的に魚価はよかったわけでございますけれども、何せ二千隻以上の、小さいのは十トン以上から、百五十トンくらいまでの船が操業いたしますので、漁場は特定いたしておりまして、その中には操業能力も劣っておるというような格好で漁獲の落ちたものもあると思います。それから、サンマ調整措置について、休漁日設定とかあるいは積載制限というような問題、これにつきましては、率直に申し上げまして、サンマ漁業者が従来大漁貧乏に泣かされておるというところの経験的なものから出まして、こういう措置をとったらどうかということは、われわれもその現実を見まして、それから業界の要望もありまして、そういうことを自主的にやったわけでございます。従いまして、漁業生産調整組合休漁日設定とかあるいは陸揚げ制限あるいは積載量制限あるいは場合によっては陸揚げ地を変えるというようなもの、これはやはり一連のものとして、生産者もこれらのものを全般として要望しております。それは、個々の漁業者としては、多少はそこに自分としては抜けがけをしたいという気持もありましょうけれども、全体としてこれはそうならなければならないという気分も受けまして、私どもとしては、こういう措置をとろう、こういったことになったわけであります。もちろん、今後、生産調整組合ができました場合におきまして、あるいはその年の漁況というようなものにつきまして、陸上における輸送力とか処理の問題と関連しまして改善していかなければならない問題は多くある、こういうふうには考えております。
  85. 湯山勇

    ○湯山委員 大臣にちょっとお尋ねいたしたいと思うのですが、先ほどは生産性の問題についてお尋ねしたのですけれども、実は、今長官から御答弁いただきましたように、この措置は、そういう数量的な資料に基づいて農林省の方の御判断でなされたものでなくて、実際は、大漁貧乏という具体的な事実、それから、やってきた実績、そういう経験的なものがもとになってできておるわけですから、はたしてその通り成果があがるかどうかについては疑義があると思います。  それはそれとして、漁業の近代化ということに関連してお尋ねいたしたいのは、今のような場合に、漁業を近代化していくというのは、漁法の改善ということは一そうよけいとれるわけですからそれは別として、その他の流通面その他における近代化というのは、やはり、貯蔵庫を設けていくとか、加工場を作るとか、輸送を合理化していくとか、そういうことが実は近代化の要素としてはなされるべきであって、生産調整、今のように量を制限するというような措置は、これはとる対策としては下の下であるというように私は思うのですけれども、大臣もその点では御同感だと思いますが、いかがでございますか。
  86. 周東英雄

    ○周東国務大臣 これは、やはり、ものによりますよ。先ほど、生産性を上げるというのはよけいとった方がいいとおっしゃいますけれども、これは、とられたものの総量を価格に見積って漁業就業人口で割って一人当たり所得がふえなければ、生産性が上がったと言えない。なるほど物量はふえたけれども、価格は暴落した、そしてそれを合計したら前より減ったということになると、これは所得の面から見まして生産性が上がったとは言えない。だから、それは、私は、漁業のごときものについての生産性の向上は、少ない労力でよけいとって、その魚がよりよく売れる、こういう形に持っていくのにはいかにするか、こういうことがこれからの漁業生産向上について考えなければならぬことである。それで、今後のサンマのごときものは、ある時期を画しての多獲性のものであって、海がまっ黒になるくらいで、それをとって売りに出しても、とてもそれは価格は下がって投下資材の方にも引き合わぬということになってはいかぬのであって、それは漁業者が自主的に調整をやっておる現状でございます。それを政府に応援を求めてきておるわけです。そういう意見を参考にして立ててみたのですから、これは私は一つの考え方であると先ほども申しておるわけです。しかし、これをそれじゃすべての魚種にやれるかということになると、なかなか困難なものもありましょう。しかし、ものによっては、これを活魚の方法で生かして育てるということもあるかもしれぬ。また、ものによっては、冷凍にしておいてももとに返して鮮魚と同じに売れるものもあるかもしれません。こういうものの一々の特殊性を考え、すべての取引形態を考え、また、貯蔵・保管方法を考え、そして市場制度を考えていくということは、これは魚価のために今後とらなければならぬ重大な点だと思います。だから、私は、基本において生産をもっとふやした方がいいのではないかということはけっこうだけれども、ふやした結果漁業者に損にならないような形にやっていきたい、こう思っております。
  87. 湯山勇

    ○湯山委員 大臣、これは農業基本法の質問と違って、選択的拡大の問題ではないと思うのです。多獲性大衆魚にしても需要が頭打ちしないようにということを基本問題調査会の答申でもはっきり書いてあります。そうすれば、これによって価格が安定せずして生産性が阻害されるというようなことがあってはならない。もしそういうことがあれば、私は、それはとる方の責任ではなくて政治の責任だと思います。それから、漁業の近代化ということも政府のきわめて大きな基本方針です。その近代化ということは、やはり、何といっても、冷蔵庫をふやしていき、加工場をふやしていく、そういうことでなければならないのであって、輸送も、地元の漁協あたりがやるのではなくて、やはり、農林省、運輸省、こういう大きいところで解決していくということでなければならないと思います。こういうことをやった上で、それでもどうにもならないというものについて今言われたような措置をとられるというのなら、これはまた別ですけれども、そうではなくて、そのどれもだめだというのでは、これは漁業者の方がかえって泣くような結果になるのではないか。ことに、さっき申し上げましたように、サンマの場合は自主的に調整をやったからそれぞれ連絡もあると思いますけれども、法律できめられて、そうして通報をするということになって、それが一種の強制ということになれば、これはその情報がまた敏感な市場に反映して値段が下がってくるというようなこともないという保証はできないです。実際それほど市場というものは生産者よりも敏感ですから、そういうことにもなりかねないので、実際こういう方法をとるということは万策尽きてとる手段であると私は思うのですが、これは議論になりますから、お考えがあれば聞かしていただきたいのですが、私は、やはり、農林大臣が今まで言っておられたことから見ても、そういう方に重点を置かれて、この方はあまり力をお入れにならないでもっと検討するというお立場をとっていただいた方が妥当ではないかと思います。その一つの例として、サケ、マスに出ていって、独航船の方は裏作という形でサンマに出ていくそうです。これはどうにもならないにしても、母船は休んでおるのが多いし、これは冷凍施設を持っている。関係者の間では、こういうのを何か大きな立場から使うような方法もあるのではないか、それは使おうと思えば使えないこともないと言っておる人もあります。そういうこともありますし、それから、戦争直後の食糧不足のときには、実際は輸送などいろいろなことが隘路であったけれども、沖取りのものを集めて、大きな母船のようなもので消費地に送っていった。そういうような事例もないわけではないわけです。これも、技術的に困難があるといたしましても、もうかるということになればやりかねないわけなんで、むしろこういうことに政府が力を入れていくという道もあるのではないかと思いますので、そういうことも含めて、私は、周東農林大臣にしては、この法律はいかにも消極的過ぎるし、どうもふだん言っておられることと必ずしも一致していないような感じがして、大へんその点では残念なので、そういうこともあわせて一つお尋ねいたしたいと思います。
  88. 周東英雄

    ○周東国務大臣 いろいろ御意見でありますので、よくその点は将来の研究の資料とはいたします。しかし、これは私どもが強制的にやるのではなくて、今まで漁業者がある程度こういう問題に対しては貯蔵・保管して調整しながらやって非常に有利であった、それを一つ政府は補助金を出し、とにかく貯蔵・保管の設備をさせたい、あるいは買い上げをしていきたいというようなことでやってきた、そしてまず研究の結果これが出てきたわけであります。今お話しのような、母船を利用して冷凍してみたらどうかというようなことも実は考えた末です。サンマだけをとる船で冷凍施設を持っているものは冷凍もしておるわけです。ところが、その冷凍したものが、今度戻して売る時期になると、必ずしもサンマにはあまり有利でない。むしろ、それならば、今後の畜産の大きな増加から見るとフィッシュ・ミールに期待したらどうかという問題も出て、非常にサンマ・ミールというようなものも考えて、総合的に考えている結果がここへ来ているわけです。だから、本件だけで終わるというわけではなくて、魚価安定対策というものについては、今後、全体の魚、これは沿岸漁業はもとよりのこと、遠洋、沖合いからとってくるものも問題になってくる、全体としては研究しておる、こういうことを申し上げておるわけです。サンマについてここまで出てきたことは、必ずしも政府だけが強制的にやるのではなくて、こういうものを実際的にやってきた結果を見て、それに対して助成措置を考えよう、こういうことであります。これは、実施した結果、非常に不合理が出てくるならば、これは改正しなければなりませんけれども、これはサンマに対しては一歩前進していることだと思います。
  89. 湯山勇

    ○湯山委員 今の大臣の最後の御答弁で了承いたします。ただ、おっしゃったように、非常にこれはやり方としても問題があります。それから、実態把握についても問題があると思います。それから、もしほんとうに政府がいいとお考えになるにしては、やり方に腰が抜けております。ですから、繰り返し申しますけれども、これはいろいろな点でずいぶん問題が多いので、その一々の質問はきょうはやめますが、一つ再検討するということを確約していただいて、私はそれを信頼して質疑を終わることにいたします。
  90. 坂田英一

    坂田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会